説明

MYCOBACTERIUMTUBERCULOSIS抗原の融合タンパク質およびその使用

【課題】結核の改善されたワクチン、および診断、予防および処置の改善された方法のためにMycobacterium tuberculosis抗原を含有する融合タンパク質を提供する。
【解決手段】少なくとも2つのMycobacterium tuberculosis抗原を含有する融合タンパク質。2つの個別のM.tuberculosis抗原を含有する2−融合タンパク質、3つのM.tuberculosis抗原を含有する3−融合タンパク質、4つのM.tuberculosis抗原を含有する4−融合タンパク質、および5つのM.tuberculosis抗原を含有する5−融合タンパク質、ならびに結核感染における診断、処置および予防におけるその使用。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、少なくとも2つのMycobacterium tuberculosis抗原を含有する融合タンパク質に関する。具体的には、本発明は、2つの個別のM.tuberculosis抗原を含有する2−融合タンパク質、3つのM.tuberculosis抗原を含有する3−融合タンパク質、4つのM.tuberculosis抗原を含有する4−融合タンパク質、および5つのM.tuberculosis抗原を含有する5−融合タンパク質、ならびに結核感染における診断、処置および予防におけるその使用方法に関する。
【背景技術】
【0002】
結核は、M.tuberculosisの感染によって生じる慢性感染疾患である。結核は、発展途上国における主要な疾患であり、そして、世界の先進国における増大する問題であり、毎年約800万件の新症例および300万件の死亡をともなう。その感染は、長期間、無症候性であり得るが、この疾患は、肺の急性炎症としてもっとも一般的に発現し、発熱および乾性咳を生じる。処置しない場合、代表的には重篤な合併症および死亡を生じる。
【0003】
結核は、長期間の抗生物質治療を用いて、一般に管理され得るが、そのような処置は、その疾患の伝播を予防するのには十分ではない。感染した個体は、無症候性であり得るが、時として、伝染性であり得る。さらに、処置レジメのコンプライアンスは重要であるが、患者の態度は、モニターするのが困難である。ある患者は、処置の過程を完了せず、このことは、有効でない処置および薬物耐性の発生をもたらし得る。
【0004】
結核の伝播を管理するために、効果的なワクチン接種および疾患の正確な初期の診断が、最も重要である。現在、生細菌を用いるワクチン接種が、防御免疫を誘導するための最も効果的な方法である。この目的のために使用される最も一般的なMycobacteriumは、Bacillus Calmette−Guerin(BCG)(M.bovisの無発病性株)である。しかし、BCGの安全性および効力は、論争の基となっており、そしていくつかの国(例えば、米国)は、この薬剤を用いて一般公衆にワクチン接種を行わない。
【0005】
結核の診断は、皮膚試験を使用して一般に達成され。この試験は、ツベルクリンPPD(タンパク質精製誘導体)に対する皮内の曝露を包含する。抗原特異的T細胞応答は、注入後の48〜72時間までに、注入部位での測定可能な硬化を生じ、このことは、マイコバクテリア抗原への曝露を示す。しかし、感度および特異性は、この試験の問題であり、そしてBCGを用いてワクチン接種された個人は、感染された個人と区別され得ない。
【0006】
マクロファージがM.tuberculosis免疫の第1のエフェクターとして作用することが示されているが、T細胞は、そのような免疫の主なインデューサーである。T細胞のM.tuberculosis感染に対する防御における本質的な役割は、ヒト免疫不全ウイルス(HIV)感染に関連するCD4+ T細胞の枯渇に起因する後天性免疫不全症候群患者におけるM.tuberculosisの頻繁な発生によって説明される。マイコバクテリア反応性CD4+ T細胞が、γインターフェロン(IFN−γ)の強力な生産者であることが示されており、次にマウスのマクロファージの抗マイコバクテリア効果を誘発することが示されている。ヒトにおけるIFN−γの役割はさほど明らかではないが、研究が1,25−ジヒドロキシ−ビタミンD3が単独またはIFN−γもしくは腫瘍壊死因子αとの組み合わせのいずれかがヒトマクロファージを活性化し、そしてM.tuberculosis感染を阻害することを示している。さらに、IFN−γがヒトマクロファージを刺激して、1,25−ジヒドロキシ−ビタミンD3を産生するすることが公知である。同様に、インターロイキン−12(IL−12)がM.tuberculosis感染に対する耐性を刺激することにおいて重要な役割を担うことが示されている。M.tuberculosis感染の免疫学の総説について、ChanおよびKaufmann、1994、Tuberculosis:Pathogenesis、Protection and Control、Bloom(編)、ASM Press、Washington、DCを参照のこと。
【非特許文献1】ChanおよびKaufmann、1994、Tuberculosis:Pathogenesis、Protection and Control、Bloom(編)、ASM Press、Washington、DC
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
従って、改善されたワクチン、および結核の診断、予防および処置のための改善された方法が必要とされる。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、M.tuberculosis抗原の融合タンパク質に関連する。具体的には、本発明は、2つ以上のM.tuberculosis抗原を含有する融合ポリペプチド、そのようなポリペプチドをコードするポリヌクレオチド、そのポリペプチドおよびポリヌクレオチドをM.tuberculosis感染の診断、処置および予防において使用する方法に関する。
【0009】
本発明は、部分的に、2〜5つのM.tuberculosisコード配列を含有するポリヌクレオチドが、その個々の成分の免疫原性および抗原性を保持する組換え融合タンパク質を産生するという本発明者らの知見に基づく。本明細書において記載される融合タンパク質は、T細胞増殖、サイトカイン産生、および抗体産生によって測定されるように、T細胞およびB細胞応答の両方を誘導した。さらに、融合タンパク質は、インビボにおいてアジュバントとともに免疫原として使用され、M.tuberculosisに対する細胞媒介性および体液性免疫の両方を誘発した。さらに、融合タンパク質が、融合構築物によって作製され、そして結核の発症に対する、動物における長期の防御を提供するためにアジュバントとともにワクチン処方物中で使用された。この融合タンパク質は、その個々のタンパク質成分の混合物よりもより効果的な免疫原であった。
【0010】
本発明の特定の実施態様において、本発明の単離されたか、または精製されたM.tuberculosisポリペプチドは、M.tuberculosis感染の予防および/または処置において被験体中に投与されるための薬学的組成物として処方され得る。融合タンパク質の免疫原性は、アジュバントの含有によって増強され得る。
【0011】
本発明の別の局面において、その単離されたか、または精製されたポリヌクレオチドが使用されて、インビトロにおいて組換え融合ポリペプチド抗原を産生する。あるいは、そのポリヌクレオチドは、被験体中にDNAワクチンとして直接投与され、被験体における抗原の発現、その後の抗M.tuberculosis免疫応答の誘導を生じ得る。
【0012】
このポリヌクレオチドが、感染の診断または疾患の進行のモニターのために、M.tuberculosisに対する体液性抗体または細胞媒介性免疫を検出するためのインビトロアッセイにおいて使用されることもまた本発明の目的である。さらに、このポリペプチドは、皮内皮膚試験の形態におけるインビボ診断薬剤として使用され得る。あるいは、このポリペプチドは、非ヒト動物において、抗M.tuberculosis抗体を生成するための免疫原として使用され得る。この抗体は、インビボおよびインビトロにおいて標的抗原を検出するために使用され得る。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
本発明は、結核の処置および予防のために有用な抗原、そのような抗原をコードするポリヌクレオチド、およびそれらの使用方法に関する。本発明の抗原は、M.tuberculosis抗原の融合ポリペプチドおよびその改変体である。より具体的には、本発明の抗原は、より大きな融合ポリペプチド分子中に融合される少なくとも2つのM.tuberculosisポリペプチドを含有する。本発明の抗原は、抗原に対する免疫性を増強するため、または他の局面(例えば、抗原の一方の末端におけるヒスチジン残基の伸展の付加を介する、これらの抗原の単離)においてこれらの抗原を改善するために、設計された他の成分をさらに含有し得る。
【0014】
(5.1.M.TUBERCULOSIS特異的抗原)
本発明の抗原は、図1A〜13Bにおいて例示され、それら抗原のホモログおよび改変体を含有する。これら抗原は、例えば、以下に記載のようなリンカーペプチド配列の付加によって改変され得る。これらのリンカーペプチドは、図1A〜13Bにおいて示される融合タンパク質の各々を作製する1つ以上のポリペプチド間に挿入され得る。本発明の他の抗原は、M.tuberculosisの公知の抗原(例えば、以前に記載された38kD(配列番号27)抗原(AndeersenおよびHansen、1989、Infect.Immun.57:2481〜2488;GenBank登録番号第M30046号))と連結した図1A〜13Bにおいて記載される抗原である。
【0015】
(5.2.免疫原性アッセイ)
本明細書において記載される抗原およびその免疫原性部分は、免疫原性応答を誘導する能力を有する。より具体的には、抗原は、M.tuberculosis免疫個体由来のT細胞、NK細胞、B細胞、および/またはマクロファージにおいて、増殖および/またはサイトカイン産生(すなわち、インターフェロン−γおよび/またはインターロイキン−12産生)を誘導する能力を有する。抗原に対する免疫原性応答の評価における使用のための細胞型の選択は、所望の応答に依存する。例えば、インターロイキン−12産生は、B細胞および/またはマクロファージを含有する調製物を使用して最も容易に評価される。M.tuberculosis免疫個体は、M.tuberculosisに対する効果的なT細胞応答を備えることにより、結核の発症に対して耐性である(すなわち、実質的に疾患症候のない)と考慮される。そのような個体は、結核タンパク質(PPD)に対する強力に陽性な皮内皮膚試験応答(すなわち、直径約10mmを超える硬化)、および結核疾患の徴候または症状が全くないことに基づいて同定され得る。M.tuberculosis免疫個体由来のT細胞、NK細胞、B細胞、およびマクロファージは、当業者に公知の方法を使用して調製され得る。例えば、PBMC(すなわち、末梢血単核細胞)の調製物が、成分細胞のさらなる分離なしに使用され得る。PBMCは、例えば、「フィコール」(Winthrop Laboratories、NY)を通過する密度遠心分離を使用して、一般に調整され得る。本明細書に記載されるアッセイにおける使用のためのT細胞はまた、PBMCより直接精製され得る。あるいは、マイコバクテリアタンパク質に対して反応性の富化されたT細胞株、または個々のマイコバクテリアタンパク質に対して反応性のT細胞クローンが、使用され得る。そのようなT細胞クローンは、例えば、M.tuberculosis免疫個体に由来するPBMCを2〜4週間マイコバクテリアタンパク質とともに培養することにより、生成され得る。このことは、マイコバクテリアタンパク質特異的T細胞のみの拡大を可能にし、そのような細胞のみからなる株を生じる。次に、これらの細胞はクローン化され、そして当業者に公知の方法を使用して個々のタンパク質とともに試験され、個々のT細胞特異性をより正確に規定し得る。一般に、M.tuberculosis免疫個体に由来するT細胞、NK細胞、B細胞および/またはマクロファージを使用して行われる、増殖および/またはサイトカイン産生(すなわち、インターフェロン−γおよび/またはインターロイキン−12産生)についてのアッセイにおける陽性を試験する抗原は、免疫原性であると考慮される。そのようなアッセイは、例えば、以下に記載の代表的な手順を使用して行われ得る。そのような抗原の免疫原性部分は、類似のアッセイを用いて同定され得、そして本明細書に記載のポリペプチド中に存在し得る。
【0016】
ポリペプチド(例えば、免疫原性抗原、またはその部分もしくはその他の改変体)が細胞増殖を誘導する能力は、細胞(例えば、T細胞および/またはNK細胞)をそのポリペプチドと接触し、そしてその細胞の増殖を測定することによって評価される。一般に、約105の細胞の評価に十分なポリペプチドの量は、約10ng/mL〜約100μg/mLの範囲であり、そして好ましくは、約10μg/mLである。ポリペプチドと細胞とのインキュベーションは、代表的には、37℃で、約6日間行われる。ポリペプチドとのインキュベーションに続いて、その細胞を増殖応答についてアッセイし、このアッセイは、当業者に公知の方法(例えば、放射標識したチミジンのパルスに対して細胞を曝露し、そして細胞のDNA中への標識の取り込みを測定する)によって評価され得る。一般に、増殖においてバックグランド(すなわち、ポリペプチドなしで培養された細胞について観察される増殖)を少なくとも3倍超える増加を生じるポリペプチドが、増殖を誘導し得ると考慮される。
【0017】
細胞中のインターフェロン−γおよび/またはインターロイキン−12の産生を刺激するポリペプチドの能力は、その細胞をそのポリペプチドと接触し、そしてその細胞によって産生されるインターフェロン−γまたはインターロイキン−12のレベルを測定することによって評価され得る。一般に、約105の細胞の評価に十分なポリペプチドの量は、約10ng/mL〜約100μg/mLの範囲であり、そして好ましくは、約10μg/mLである。そのポリペプチドは、固体支持体(例えば、米国特許第4,897,268号および同第5,075,109号に記載される、ビーズまたは生分解性ミクロスフィア)上に固定化され得るが、固定化される必要はない。そのポリペプチドとその細胞とのインキュベーションは、代表的には、37℃で、約6日間行われる。ポリペプチドとのインキュベーション後に、その細胞がインターフェロン−γおよび/またはインターロイキン−12(またはその1つ以上のサブユニット)についてアッセイされ、このアッセイは、例えば、酵素結合イムノソルベント検定法(ELISA)、またはIL−12 P70サブユニットの場合T細胞の増殖を測定するアッセイのようなバイオアッセイのような、当業者にとって公知の方法によって評価され得る。一般に、培養上清1mL(1mLあたり104〜105のT細胞を含む)あたり少なくとも50pgのインターフェロン−γの産生を生じるポリペプチドが、インターフェロン−γの産生を刺激し得ると考慮される。105のマクロファージまたはB細胞あたり(または3×105のPBMCあたり)、少なくとも10pg/mLのIL−12 P70サブユニット、および/または少なくとも100pg/mLのIL−12 P40サブユニットの産生を刺激するポリペプチドがIL−12の産生を刺激し得ると考慮される。
【0018】
一般に、免疫原性抗原は、M.tuberculosis免疫個体の少なくとも約25%に由来するT細胞、NK細胞、B細胞および/またはマクロファージにおいて、増殖および/またはサイトカイン産生(すなわち、インターフェロン−γおよび/またはインターロイキン−12産生)を刺激する抗原である。これらの免疫原性抗原において、優れた治療的性質を有するポリペプチドが、上記のアッセイにおける応答の大きさに基づき、および応答が観察された個体の割合に基づき、区別され得る。さらに、優れた治療的性質を有する抗原は、M.tuberculosis免疫でない個体の約25%超に由来する細胞においてインビトロでの増殖および/またはサイトカイン産生を刺激せず、それによって、M.tuberculosis応答細胞に特異的に起因しない応答を除去する。M.tuberculosis免疫個体由来のT細胞、NK細胞、B細胞および/またはマクロファージ調製物において高い割合で応答を誘導する抗原は(他の個体に由来する細胞調製物において、応答のより少ない発生をともない)、優れた治療的性質を有する。
【0019】
優れた治療性質を有する抗原もまた、実験動物において、ワクチンとして投与された場合、M.tuberculosis感染の重篤度を減少する能力に基づいて同定され得る。実験動物における使用のための適切なワクチン調製物は以下に詳細に記載される。効力は、細菌数において少なくとも約50%の減少を、および/または実験の感染後の死亡率の少なくとも約40%の減少を提供する抗原の能力に基づいて決定され得る。適切な実験動物としては、マウス、モルモット、および霊長類が挙げられる。
【0020】
(5.3.コード配列の単離)
本発明はまた、M.tuberculosisの融合ポリペプチドをコードする核酸分子に関する。下記の第6章中の例示の目的のための特定の実施態様において、13のM.tuberculosis融合コード配列が構築された。本発明に従って、融合タンパク質のアミノ酸配列をコードする任意のヌクレオチド配列が、コード配列の発現を指向する組換え分子を生成するために使用され得る。
【0021】
全長コード配列、またはホモログ改変体をクローニングして、融合ポリヌクレオチドを生成するために、本明細書に開示されるヌクレオチド配列の任意の部分またはその相補物から設計される標識されたDNAプローブが使用され、M.tuberculosisの種々の株より作製されるゲノムライブラリーまたはcDNAライブラリーをスクリーニングして、各個別の成分のコード配列を同定し得る。コード配列の単離はまた、本明細書において開示されるコード配列に基づいて設計される2つの縮重オリゴヌクレオチドプライマープールを用いるポリメラーゼ連鎖反応(PCR)によって行われ得る。
【0022】
本発明はまた、配列番号1、3、5、7、9、11、13、15、17、19、21、23および25のヌクレオチド配列に相補的な単離されたか、または精製されたポリヌクレオチド、およびそのような相補配列に選択的にハイブリダイズするポリヌクレオチドに関する。好ましい実施態様において、配列番号1、3、5、7、9、11、13、15、17、19、21、23および25の配列またはその相補配列に対して、低ストリンジェンシーな条件下でハイブリダイズし、そして配列番号2、4、6、8、10、12、14、16、18、20、22、24および26の融合タンパク質の免疫原性を保持するタンパク質をコードするポリヌクレオチドが提供される。例示の目的であるが、限定のためでなく、低ストリンジェンシーの例示的な条件は、以下のとおりである(ShiloおよびWeinberg、1981、Proc.Natl.Acad.Sci.USA、78:6789−6792もまた参照のこと):DNAを含有するフィルターを、6時間、40℃で、35%ホルムアミド、5×SSC、50mM Tris−HCl(pH7.5)、5mM EDTA、0.1% PVP、0.1% Ficoll、1% BSA、および500μg/ml変性サケ精子DNAを含有する溶液中で前処理する。ハイブリダイゼーションを以下の改変をして、同一の溶液中で行う:0.02% PVP、0.02% Ficoll、0.2% BSA、100μg/mlサケ精子DNA、10%(重量/容量)硫酸デキストラン、および5〜20×106cpm 32P標識プローブを使用する。フィルターをハイブリダイゼーション混合液中で18〜20時間、40℃でインキュベートし、次に2×SSC、25mM Tris−HCl(pH 7.4)、5mM EDTA、および0.1% SDSを含有する溶液中で、55℃で1.5時間洗浄する。洗浄溶液を、新鮮な溶液で置き換え、そして60℃でさらに1.5時間インキュベートする。フィルターをブロット乾燥し、そしてオートラジオグラフィーのために露光する。必要な場合、フィルターを、3回目は65〜68℃で洗浄し、そしてフィルムに再度露出する。使用され得る他の低ストリンジェンシー条件は、当該分野において周知である(例えば、交差種ハイブリダイゼーションについて使用されるように)。
【0023】
他の好ましい実施態様において、配列番号1、3、5、7、9、11、13、15、17、19、21、23および25のコード配列またはその相補配列に対して、高ストリンジェンシーな条件下でハイブリダイズし、そして配列番号2、4、6、8、10、12、14、16、18、20、22、24および26の融合タンパク質の免疫原性を保持するタンパク質をコードするポリヌクレオチドが提供される。例示の目的であるが、限定のためでなく、高ストリンジェンシーの例示的な条件は、以下のとおりである:DNAを含有するフィルターの、8時間から一晩、65℃で、6×SSC、50mM Tris−HCl(pH7.5)、1mM EDTA、0.02% PVP、0.02% Ficoll、0.02% BSA、および500μg/ml変性サケ精子DNAを含有する溶液中でのプレハイブリダイゼーションを行う。フィルターを、100μg/mL変性サケ精子DNAおよび5〜20×106cpm 32P標識プローブを含有するプレハイブリダイゼーション混合液中で、48時間、65℃でハイブリダイズする。フィルターの洗浄を、2×SSC、0.01% PVP、0.01% Ficoll、および0.01% BSAを含有する溶液中で37℃で行う。次に、0.1×SSC中で、50℃、45分間オートラジオグラフィー前に洗浄する。使用され得る他の高ストリンジェンシー条件は、当該分野において周知である。
【0024】
さらに別の好ましい実施態様において、配列番号1、3、5、7、9、11、13、15、17、19、21、23および25のコード配列またはその相補配列に対して、中程度のストリンジェンシーの条件下でハイブリダイズし、そして配列番号、2、4、6、8、10、12、14、16、18、20、22、24および26の融合タンパク質の免疫原性を保持するタンパク質をコードするポリヌクレオチドが提供される。中程度のストリンジェンシーの例示的な条件は、以下のとおりである:DNAを含有するフィルターを、6時間、55℃で、6×SSC、5×デンハルト溶液、0.5% SDSおよび100μg/mL変性サケ精子DNAを含有する溶液中で前処理する。ハイブリダイゼーションを、同一の溶液中で行い、そして5〜20×106cpm 32P標識プローブを使用する。
【0025】
フィルターをハイブリダイゼーション混合液中で、18〜20時間、55℃でインキュベートし、次に1×SSCおよび0.1% SDSを含有する溶液中で30分間、60℃で2回洗浄する。フィルターを乾燥でブロットし、オートラジオグラフィーのために曝露する。使用され得る他の中程度ストリンジェンシー条件は、当該分野において周知である。フィルターの洗浄は、2×SSC、0.1% SDSを含有する溶液中で、37℃にて1時間行う。
【0026】
(5.4.コード配列によってコードされるポリペプチド)
本発明に従って、融合タンパク質、そのフラグメント、またはその機能的等価物をコードする本発明のポリヌクレオチドが使用され得、融合タンパク質、そのフラグメント、またはその機能的等価物の適切な宿主細胞中での発現を指向する組換え核酸分子を生成する。そのようなポリヌクレオチドによってコードされる融合ポリペプチド産物は、コード配列の分子操作によって改変され得る。
【0027】
遺伝子コードの固有の縮重性に起因して、実質的に同一か、または機能的に等価なアミノ酸配列をコードする他のDNA配列は、その融合ポリペプチドの発現のために本発明の実施において使用され得る。そのようなDNA配列は、本明細書に開示されるコード配列またはその相補物に対して、上記5.3章に記載される、低、中程度、または高ストリンジェンシー条件下でハイブリダイズし得る配列を含む。
【0028】
本発明に従って使用され得る改変されたヌクレオチド配列は、同一または機能的に等価な遺伝子産物をコードする配列を生じる、異なるヌクレオチド残基の欠失、付加または置換を含む。遺伝子産物自体は、アミノ酸残基の欠失、付加、または置換を含み得、サイレントな変化を生じ、従って、機能的に等価な抗原エピトープを産生する。そのような保存的アミノ酸置換は、関与する残基の極性、電荷、溶解度、疎水性、親水性および/または両親媒性の性質における類似性に基づいて成され得る。例えば、負に荷電したアミノ酸としては、アスパラギン酸およびグルタミン酸が挙げられる;正に荷電したアミノ酸としては、リジン、ヒスチジンおよびアルギニンが挙げられる;類似の疎水性値を有する非荷電の極性ヘッド基を有するアミノ酸としては、グリシン、アスパラギン、グルタミン、セリン、トレオニンおよびチロシンが挙げられる;そして非極性ヘッド基を有するアミノ酸としては、アラニン、バリン、イソロイシン、ロイシン、フェニルアラニン、プロリン、メチオニンおよびトリプトファンが挙げられる。
【0029】
本発明のヌクレオチド配列は、融合タンパク質コード配列を種々の末端に変更する(その遺伝子産物のプロセシングおよび発現を改変する変更を含むが、これらに限定されない)ために操作され得る。例えば、変異を当該分野で周知の技術(例えば、部位特異的変異誘発)を使用して導入し、新たな制限部位を挿入し得、グリコシル化パターン、リン酸化などを変更し得る。
【0030】
本発明の代替的な実施態様において、融合タンパク質のコード配列を、当該分野で周知の化学的方法を使用して、全体的または部分的に合成し得る。例えば、Caruthersら、1980,Nuc.Acids Res.Symp.Ser.7:215−233;CreaおよびHorn,180,Nuc.Acids Res.9(10):2331;MatteucciおよびCaruthers,1980,Tetrahedron Letter 21:719;ならびにChowおよびKempe,1981,Nuc.Acids Res.9(12):2807−2817を参照のこと。あるいは、そのポリペプチド自体を化学的方法を使用して生成し、アミノ酸配列を全体的または部分的に合成し得る。例えば、ペプチドを固相技術により合成し、樹脂から切断し、そして分取用高速液体クロマトグラフィーにより精製し得る(Creighton,1983,Proteins Structures And Molecular Principles,W.H.Freemam and Co.,N.Y.50〜60頁を参照のこと)。その合成ポリペプチドの組成を、アミノ酸分析または配列決定により確認し得る(例えば、エドマン分解手順;Creighton,1983,Proteins Structures and Molecular Principles,W.H.Freemam and Co.,N.Y.34〜49頁を参照のこと)。
【0031】
さらに、融合タンパク質のコード配列をインビトロまたはインビボで変異させて、翻訳配列、開始配列および/または終結配列を作製および/または破壊し得るか、あるいはコード領域に変化を作製する、および/または新たな制限エンドヌクレアーゼ部位を形成するか、または既存の制限エンドヌクレアーゼ部位を破壊して、さらなるインビトロでの改変を容易にし得る。当該分野で公知の任意の変異誘発技術を使用し得、これらの技術には化学的変異誘発、インビトロでの部位特異的変異誘発(Hutchinson,C.ら、1878,J.Biol.Chem 253:6551)、TAB(登録商標)リンカー(Pharmacia)の使用などが含まれるが、これらに限定されない。この操作により、その融合ポリペプチドの免疫原性が破壊されないことが重要である。
【0032】
さらに、非古典的アミノ酸または化学的アミノ酸アナログを、置換または付加として配列内に導入し得る。非古典的アミノ酸としては、以下を含むがこれらに限定されない;通常のアミノ酸のD−異性体、α−アミノイソ酪酸、4−アミノ酪酸、Abu、2−アミノ酪酸、γ−Abu、ε−Ahx、6−アミノヘキサン酸、Aib、2−アミノイソ酪酸、3−アミノプロピオン酸、オルニチン、ノルロイシン、ノルバリン、ヒドロキシプロリン、サルコシン、シトルリン、システイン酸、t−ブチルグリシン、t−ブチルアラニン、フェニルグリシン、シクロヘキシルアラニン、β−アラニン、フルオロ−アミノ酸、デザイナー(designer)アミノ酸(例えば、β−メチルアミノ酸)、Cα−メチルアミノ酸、Nα−メチルアミノ酸、および通常のアミノ酸アナログ。さらに、アミノ酸は、D(右旋性)またはL(左旋性)であり得る。
【0033】
特定の実施態様において、融合タンパク質の各々の抗原のコード配列を、それらのアミノ末端またはカルボキシ末端で任意の順序でペプチド結合を介して結合する。あるいは、ペプチドリンカー配列を使用して、融合ペプチドを構成する個々のペプチドを、各ペプチドが結核を予防および処置するためにその抗原性の有効性を最大化する二次構造および三次構造に折り畳まれることを保証するのに十分な距離に引き離し得る。このようなペプチドリンカー配列は、当該分野で周知の標準的な技術を使用して、融合タンパク質に組み込まれる。適切なペプチドリンカー配列は、以下の因子に基づいて選択され得る:(1)可撓性のある広がったコンフォメーションを取るそれらの能力;(2)第一のポリペプチドおよび第二のポリペプチド上の機能的エピトープと相互作用し得る二次構造を取ることができないこと;および(3)ポリペプチド機能的エピトープと反応し得る疎水性残基または荷電残基の欠如。好ましいペプチドリンカー配列は、Gly、AsnおよびSer残基を含む。他のほぼ中性のアミノ酸(例えばThrおよびAla)もまた、リンカー配列中で使用され得る。リンカーとして通常使用され得るアミノ酸配列としては、以下に開示されるアミノ酸配列が挙げられる;Marateaら、Gene 40:39−46,1985;Murphyら、Proc.Natl.Acad.Sci.USA 83:8258−8262,1986;米国特許第4,935,233号および米国特許第4,751,180号。リンカー配列は、1〜約50アミノ酸長であり得る。ペプチド配列は、第一および第二のポリペプチドが非必須のN末端アミノ酸領域を有し、このN末端アミノ酸領域を使用して機能性ドメインを分離し、そして立体障害を妨げ得る場合、必要とされない。例えば、融合タンパク質中の抗原を、可撓性ポリリンカー(例えば、Gly−Cys−GlyまたはGly−Gly−Gly−Gly−Ser(1〜3回繰り返される))により連結し得る(Birdら、1988、Science 242:423−426;Chaudharyら、1990、Proc.Natl.Acad.Sci.U.S.A.87:1066−1070)。
【0034】
1つの実施態様において、このようなタンパク質は、そのタンパク質をコードする核酸の組換え発現により産生される。このような融合産物は、所望のアミノ酸配列をコードする適切な核酸配列を当該分野で公知の方法によって互いに、適切なコードフレームで連結し、そして当該分野で公知の方法によってその産物を発現することにより作製され得る。あるいは、このような産物は、タンパク質合成技術(例えば、ペプチド合成器の使用によって)作製され得る。サイトカインまたはアジュバントのような他の分子についてのコード配列を、その融合ポリヌクレオチドに同様に付加し得る。
【0035】
(5.5 融合タンパク質の産生)
本発明のM.tuberculosis融合タンパク質の産生のために、そのタンパク質または機能的等価物をコードするヌクレオチド配列を適切な発現ベクター(すなわち、挿入されたコード配列の転写および翻訳に必要なエレメントを含むベクター)内に挿入する。組換え発現ベクターでトランスフェクトまたは形質転換した宿主細胞または宿主細胞株を、種々の目的のために使用し得る。これらは、その融合タンパク質の大規模産生を含むが、これに限定されない。
【0036】
当業者に周知の方法を使用して、融合コード配列および適切な転写/翻訳制御シグナルを含む発現ベクターを構築し得る。これらの方法としては、インビトロ組換えDNA技術、合成技術およびインビボ組換え/遺伝子組換えが挙げられる(例えば、Sambrookら、1989,Molecular Cloning A Laboratory Manual,Cold Spring Harbor Laboratory,N.Y.およびAusubelら、1989,Current Protocols in Molecular Biology,Greene Publishing Associates and Wiley Interscience,N.Y.に記載される技術を参照のこと)。ポリペプチドをコードし得るRNAもまた、化学的に合成され得る(Gait編、1984、Oligonucleotide Synthesis,IRL Press,Oxford)。
【0037】
(5.5.1.発現系)
種々の宿主発現ベクター系を利用して、融合タンパク質コード配列を発現し得る。これらとしては、以下を含むがこれらに限定されない;コード配列を含む組換えバクテリオファージDNA、プラスミドDNAまたはコスミドDNA発現ベクターで形質転換した細菌(例えば、E.coli、B.subtilis)のような微生物;コード配列を含む組換え酵母発現ベクターで形質転換した酵母(例えば、Saccharomyces、Pichia);コード配列を含む組換えウイルス発現ベクター(例えば、バキュロウイルス)を感染させた昆虫細胞系;コード配列を含む組換えウイルス発現ベクター(例えば、カリフラワーモザイクウイルス、CaMV;タバコモザイクウイルス、TMV)を感染させた植物細胞系、またはコード配列を含む組換えプラスミド発現ベクター(例えば、Tiプラスミド)で形質転換した植物細胞系;あるいは哺乳動物細胞系(例えば、COS細胞、CHO細胞、BHK細胞、293細胞、3T3細胞)。これらの系の発現エレメントは、それらの強度および特異性で異なる。
【0038】
利用する宿主/ベクター系に依存して、任意の多くの適切な転写および翻訳エレメント(構成的プロモーターおよび誘導性プロモーターを含む)を、発現ベクターにおいて使用し得る。例えば、細菌系におけるクローニングの場合、バクテリオファージλのpL、plac、ptrp、ptac(ptrp−lacハイブリッドプロモーター;サイトメガロウイルスプロモーター)などのような誘導性プロモーターを使用し得る;昆虫細胞系におけるクローニングの場合、バキュロウイルスポリヘドロンプロモーターのようなプロモーターを使用し得る;植物細胞系におけるクローニングの場合、植物細胞のゲノム由来のプロモーター(例えば、熱ショックプロモーター;RUBISCOの小サブユニットに対するプロモーター;クロロフィルα/β結合タンパク質に対するプロモーター)または植物ウイルス由来のプロモーター(例えば、CaMVの35S RNAプロモーター;TMVのコートタンパク質プロモーター)を使用し得る;哺乳動物細胞系におけるクローニングの場合、哺乳動物細胞のゲノム由来のプロモーター(例えば、メタロチオネインプロモーター)または哺乳動物ウイルス由来のプロモーター(例えば、アデノウイルス後期プロモーター;ワクシニアウイルス7.5Kプロモーター)を使用し得る;複数のコピーの抗原コード配列を含む細胞株を生成する場合、SV−40ベース、BPVベースおよびEBVベースのベクターを、適切な選択マーカーと共に使用し得る。
【0039】
細菌系が、M.tuberculosis抗原の発現に好ましい。インビボ送達のために、例えば、Bacillus−Calmette−Guerrinのような細菌を、その細胞表面上に本発明の融合ポリペプチドを発現するように操作し得る。他の多くの細菌発現ベクターを、発現させる産物についての意図される使用に依存して、有利に選択し得る。例えば、大量の融合タンパク質が、薬学的組成物の処方のために産生されるべき場合、容易に精製される融合タンパク質産物の高レベルの発現を指向するベクターが、望ましくあり得る。このようなベクターとしては、以下が挙げられるが、これらに限定されない:E.coli発現ベクターpUR278(Rutherら、1983、EMBO J.2:1791)(このベクターにおいて、コード配列はlacZコード領域とインフレームでベクター内に連結され得、それによりハイブリッドタンパク質が産生される);pINベクター(InouyeおよびInouye、1985、Nucleic Acids Res.13:3101−3109;Van HeekeおよびSchuster,1989,J.Biol.Chem.264:5503−5509)など。pGEXベクターもまた使用して、グルタチオンS−トランスフェラーゼ(GST)との融合タンパク質として外来ポリペプチドを発現し得る。一般に、このような融合タンパク質は可溶性であり、そしてグルタチオン−アガロースビーズへの吸着、それに引き続く遊離グルタチオンの存在下での溶出により、溶解した細胞から容易に精製され得る。pGEXベクターは、トロンビン切断部位または第Xa因子プロテアーゼ切断部位を含むように設計されているので、目的のクローン化した融合ポリペプチドをGST部分から遊離させ得る。
【0040】
(5.5.2.タンパク質精製)
一旦組換えタンパク質が発現されると、組換えタンパク質は、その産物の物理的特性または機能的特性に基づくアッセイ(産物の放射性標識に引き続く、ゲル電気泳動、ラジオイムノアッセイ、ELISA、バイオアッセイなどによる分析を含む)により同定され得る。
【0041】
一旦コードタンパク質が同定されると、そのタンパク質は、クロマトグラフィー(例えば、高速液体クロマトグラフィー、イオン交換クロマトグラフィー、アフィニティークロマトグラフィー、およびサイジングカラムクロマトグラフィー)、遠心分離、可溶性の差異を含む標準的な方法によって、またはタンパク質精製の他の任意の標準的な技術によって、単離および精製され得る。使用する実際の条件は、正味電荷、疎水性、親水性などのような因子にある程度依存し、そしてこれらは当業者に明らかである。機能的特性は、抗体結合、T細胞増殖の誘導、サイトカイン産生(例えば、IL2、IL−4およびIFN−γ)の刺激のような、任意の適切なアッセイを使用して評価され得る。本発明の実施のために、各々の融合タンパク質は、他のタンパク質から少なくとも80%精製されていることが好ましい。各々の融合タンパク質は、少なくとも90%精製されていることがより好ましい。インビボ投与のためには、それらのタンパク質は、95%より高度に精製されていることが好ましい。
【0042】
(5.6.融合タンパク質コード配列の使用)
本発明の融合タンパク質コード配列を使用して、M.tuberculosisに対する免疫応答を誘導および/または増強する免疫原としての使用のためのタンパク質産物をコードし得る。さらに、このようなコード配列を、別の分子(例えば、サイトカインまたはアジュバント)のコード配列と連結し得る。このようなポリヌクレオチドは、インビボでDNAワクチンとして使用され得る(米国特許第5,589,466号;第5,679,647号;第5,703,055号)。本発明のこの実施態様において、そのポリヌクレオチドは、レシピエントにおいてそのコードタンパク質を発現し、免疫応答を直接誘導する。そのポリヌクレオチドを、未処置の(naive)被験体内に注射して、そのコード産物に対する免疫応答を誘発し得るか、あるいは感染した被験体または免疫化された被験体に投与して、二次的な免疫応答を増強し得る。
【0043】
好ましい実施態様において、治療組成物は、発現ベクターの一部である、融合タンパク質コード配列またはそのフラグメントを含む。特に、このようなポリヌクレオチドは、そのコード領域に作動可能に連結されるプロモーターを含み、そのプロモーターは、誘導性または構成性であり、必要に応じて、組織特異的である。別の実施態様において、ポリヌクレオチドは、ゲノム中の所望の部位で相同組換えを促進する領域に隣接するコード配列を含み、従ってそのコード配列の染色体内発現を提供する(KollerおよびSmithies、1989、Proc.Natl.Acad.Sci.USA 86:8932−8935;Zijlstraら、1989、Nature 342:435−438)。
【0044】
核酸の被験体への送達は、直接的(この場合、被験体は核酸または核酸運搬ベクターに直接曝露される)であるか、間接的(この場合、細胞を最初に、インビトロでその核酸を用いて形質転換し、次いで被験体内に移植する)のいずれかであり得る。これら2つのアプローチは、インビボ遺伝子移入またはエキソビボ遺伝子移入として、それぞれ公知である。
【0045】
特定の実施態様において、核酸をインビボで直接的に投与し、ここで、核酸が発現され、そのコードされた融合タンパク質産物を産生する。これは、当該分野で公知の任意の多くの方法によって、例えば、その核酸を適切な核酸発現ベクターの一部として構築し、その核酸が細胞内性になるようにその核酸を投与すること(例えば、欠損レトロウイルスベクターまたは弱毒化レトロウイルスベクターあるいは他のウイルスベクターを使用する感染(米国特許第4,980,286号を参照のこと)によって、または裸のDNAの直接注射によって、または微粒子ボンバートメント(例えば、遺伝子銃;Biolistic,Dupont)の使用によって、または脂質もしくは細胞表面レセプターもしくはトランスフェクト剤でのコーティング、リポソーム、微粒子もしくはマイクロカプセル中のカプセル化(米国特許第5,407,609号;同第5,853,763号;同第5,814,344号および5,820,883号)によって、あるいは核に進入することが公知であるペプチドに連結してその核酸を投与することによって、レセプター媒介エンドサイトーシス(例えば、WuおよびWu、1987、J.Biol.Chem.262:4429−4432を参照のこと)(これは、そのレセプターを特異的に発現する細胞型を標的化するために使用され得る)をうけるリガンドに連結してその核酸を投与することによって、など)によって、達成され得る。別の実施態様において、核酸リガンド複合体を形成し得、ここで、そのリガンドはエンドソームを破壊するための融合促進(fusogenic)ウイルスペプチドを含み、その核酸のリソソーム性分解を回避し得る。さらに別の実施態様において、核酸を、特定のレセプターを標的化することによって、細胞特異的な取り込みおよび発現のためにインビボで標的化し得る(例えば、1992年4月16日付のPCT公開WO92/06180;1992年12月23日付のWO92/22635;1992年11月26日付のWO92/20316;1993年7月22日のWO93/14188;1993年10月14日付のWO93/20221を参照のこと)。あるいは、核酸は、細胞内に導入され、そして相同組換えによって発現のために宿主細胞DNA内に取り込まれ得る(KollerおよびSmithies、1989、Proc.Natl.Acad.Sci.USA 86:8932−8935;Zijlstraら、1989、Nature 342:435−438)。
【0046】
特定の実施態様において、レトロウイルスベクターのようなウイルスベクターが、使用され得る(Millerら、1993、Meth.Enzymol.217:581−599を参照のこと)。レトロウイルスベクターは、そのウイルスゲノムのパッケージングおよび宿主細胞DNAへの組み込みに必要ではないレトロウイルス配列を欠失するよう改変されている。融合体コード配列をそのベクター内にクローン化し、このことは、レシピエント内への核酸の送達を容易にする。レトロウイルスベクターについてのさらなる詳細は、Boesenら、1994、Biotherapy 6:291−302に見出され得、これは、造血幹細胞を化学療法に対してより耐性にするために、造血幹細胞へmdr1遺伝子を送達するレトロウイルスベクターの使用を記載する。遺伝子治療におけるレトロウイルスベクターの使用を説明する他の参考文献は以下である:Clowesら、1994、J.Clin.Invest.93:644−651;Kiemら、1994、Blood 83:1467−1473;SalmonsおよびGunzberg,1993,Human Gene Therapy 4:129−141;ならびにGrossmanおよびWilson,1993、Curr.Opin.in Genetics and Devel.3:110−114。
【0047】
アデノウイルスは、遺伝子治療に使用され得る他のウイルスベクターである。アデノウイルスは、気道上皮への遺伝子の送達のための特に魅力的なビヒクルである。アデノウイルスは、天然で気道上皮に感染し、そこでアデノウイルスは軽度の疾患を引き起こす。アデノウイルスベースの送達系についての他の標的は、肝臓、中枢神経系、内皮細胞、および筋肉である。アデノウイルスは、非分裂細胞に感染し得るという利点を有する。アデノ関連ウイルス(AAV)もまた、インビボ遺伝子移入における使用が提唱されている(Walshら、1993、Proc.Soc.Exp.Biol.Med.204:289−300)。
【0048】
別のアプローチは、エレクトロポレーション、リポフェクション、リン酸カルシウム媒介トランスフェクション、またはウイルス感染のような方法によって、組織培養物中の細胞に構築物を移入することを含む。通常、移入の方法は、その細胞への選択マーカーの移入を含む。次いで、細胞を選択下に配置し、移入された遺伝子を取りこみそして発現する細胞を単離する。次いで、それらの細胞を被験体に送達する。
【0049】
この実施態様において、その核酸は、生じた組換え細胞のインビボでの投与の前に細胞に導入される。このような導入は、トランスフェクション、エレクトロポレーション、微量注入、その核酸配列を含むウイルスベクターまたはバクテリオファージベクターでの感染、細胞融合、染色体媒介遺伝子移入、マイクロセル媒介遺伝子移入、スフェロプラスト融合などを含むが、これらに限定されない、当該分野で公知の任意の方法によって実行され得る。多くの技術が、外来遺伝子の細胞への導入について当該分野で公知であり(例えば、LoefflerおよびBehr,1993,Meth.Enzymol.217:599−618;Cohenら、1993、Meth.Enzymol.217:618−644;Cline,1985,Pharmac.Ther.29:69−92を参照のこと)、そして本発明に従って使用され得る。
【0050】
本発明のポリヌクレオチドもまた、結核の診断において、患者中のM.tuberculosisに特異的なポリヌクレオチド配列の検出に使用され得る。このような検出は、例えば、その細菌に感染していることが疑われる患者から得られた生物学的サンプルからのポリヌクレオチドを単離することにより、達成され得る。生物学的サンプルからのポリヌクレオチドの単離の際に、1以上のそれらのポリヌクレオチドに相補的である本発明の標識したポリヌクレオチドが、当業者に公知の核酸ハイブリダイゼーションの技術を使用して、その生物学的サンプル中のポリヌクレオチドにハイブリダイズされ得る。例えば、このようなハイブリダイゼーションは、溶液中で、または固体支持体上の1つのハイブリダイゼーションパートナーを用いて行われ得る。
【0051】
(5.7.融合タンパク質の治療的および予防的使用)
精製または部分精製された融合タンパク質またはそのフラグメントは、ワクチンまたは治療的組成物として処方され得る。このような組成物は、免疫応答を増強するためにアジュバントを含み得る。さらに、このようなタンパク質は、油乳剤中にさらに懸濁され、注射の際にインビボでそのタンパク質のより穏やかな放出を生じ得る。処方物の各成分の最適な比は、当業者に周知の技術によって決定され得る。
【0052】
任意の種々のアジュバントが、免疫応答を増強するために本発明のワクチンにおいて使用され得る。ほとんどのアジュバントは、その抗原を迅速な異化から保護するよう設計された物質(例えば、水酸化アルミニウムまたは鉱油)、および免疫応答の非特異的刺激剤(例えば、リピドA、Bortadella pertussisまたはMycobacterium tuberculosis)を含む。適切なアジュバントが市販され、そしてこれらとしては、例えば、フロイント不完全アジュバントおよびフロイント完全アジュバント(Difco Laboratories)ならびにMerckアジュバント65(Merck and Company,Inc.,Rahway,NJ)が挙げられる。他の適切なアジュバントとしては、ミョウバン、生分解性ミクロスフェア、モノホスホリルリピドA、キルA(quil A)、SBAS1c、SBAS2(Lingら、1997、Vaccine 15:1562−1567)、SBAS7およびAl(OH)3が挙げられる。
【0053】
本発明のワクチンにおいて、アジュバントはTh1の局面を含む免疫応答を誘導することが好ましい。適切なアジュバント系は、例えば、モノホスホリルリピドA(好ましくは、3−デ−O−アセチル化モノホスホリルリピドA(3D−MLP))とアルミニウム塩との組み合わせを含む。増強された系は、モノホスホリルリピドAとサポニン誘導体との組み合わせ(特に、WO94/00153に開示されるような3D−MLPとサポニンQS21との組み合わせ)を含むか、QS21は、WO96/33739に記載のようにコレステロールでクエンチされるより反応生成性の低い(reactogenic)組成物を含む。以前の実験は、体液性免疫応答およびTh1型細胞性免疫応答の両方の誘導において3D−MLPとQS21との組み合わせの明確な相乗効果を実証した。水中油型乳剤中にQS21、3D−MLPおよびトコフェノールを含む特に強力なアジュバント処方物は、WO95/17210に記載され、かつ好ましい処方物である。
【0054】
本発明の抗原を含む処方物は、それ自体で、または薬学的組成物または治療的組成物の形態で被験体に投与され得る。タンパク質を含む薬学的組成物は、混合、溶解、顆粒化、糖衣化、湿式粉砕、乳化、カプセル化、封入または凍結乾燥の従来のプロセスによって製造され得る。薬学的組成物は、そのポリペプチドを薬学的に使用され得る調製物に加工することを容易にする、1以上の生理学的に受容可能なキャリア、希釈剤、賦形剤または補助剤を使用して、従来の様態で処方され得る。適切な処方物は、選択される投与経路に依存する。
【0055】
局所投与のために、タンパク質は、当該分野で周知であるように、液剤、ゲル剤、軟膏剤、クリーム、懸濁剤などとして処方され得る。
【0056】
全身性処方物は、注射(例えば、皮下注射、静脈内注射、筋肉内注射、髄腔内注射または腹腔内注射)による投与のために設計された処方物、ならびに経皮投与、経粘膜投与(transmucosal)、経口投与または肺投与のために設計された処方物を含む。
【0057】
注射のために、タンパク質は、水溶液中で、好ましくはハンクス溶液、リンガー溶液または生理学的食塩水緩衝液のような生理学的に適合性の緩衝液中に処方され得る。その溶液は、懸濁剤、安定化剤および/または分散剤のような処方剤を含み得る。あるいは、そのタンパク質は、使用前の適切なビヒクル(例えば、発熱物質を含まない滅菌水)を用いての構成のために粉末形態であり得る。
【0058】
経粘膜投与のために、浸透されるべき障壁に対する適切な浸透剤が、処方物に使用される。このような浸透剤は、一般に当該分野で公知である。
【0059】
経口投与のために、組成物は、タンパク質を当該分野で周知の薬学的に受容可能なキャリアと組合せることによって、容易に処方され得る。このようなキャリアは、そのタンパク質が、処置されるべき被験体による経口摂取のための、錠剤、丸剤、糖衣剤、カプセル剤、液体、ゲル剤、シロップ剤、スラリー、懸濁剤などとして処方されることを可能にする。経口固体処方物(例えば、散剤、カプセル剤および錠剤のような)のために、適切な賦形剤は、以下のようなフィラー(filler)を含む;糖(例えば、ラクトース、スクロース、マンニトールおよびソルビトール);セルロース調製物(例えば、トウモロコシデンプン、コムギデンプン、コメデンプン、ジャガイモデンプン、ゼラチン、トラガカントゴム、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム、および/またはポリビニルピロリドン(PVP));顆粒化剤;ならびに結合剤。所望の場合、架橋ポリビニルピロリドン、寒天またはアルギン酸またはその塩(例えば、アルギン酸ナトリウム)のような、崩壊剤が添加され得る。
【0060】
所望の場合、固体投薬形態は、標準的な技術を使用して、糖衣または腸溶コーティングされ得る。
【0061】
経口液体調製物(例えば、懸濁剤、エリキシル剤および液剤)について、適切なキャリア、賦形剤または希釈剤としては、水、グリコール、油、アルコールなどが挙げられる。さらに、矯味矯臭剤、保存剤、着色剤などが添加され得る。
【0062】
口腔投与のために、タンパク質は、錠剤、ロゼンジなどの従来の様式で処方される形態を採り得る。
【0063】
吸入による投与のために、本発明に従う使用のためのタンパク質は、適切なペロペラント(例えば、ジクロロジフルオロメタン、トリクロロフルオロメタン、ジクロロテトラフルオロエタン、二酸化炭素または他の適切な気体)の使用を伴い、加圧されたパックまたは噴霧器からエアロゾルスプレーの形態で都合良く送達される。加圧されたエアロゾルの場合、投薬単位は、測定された容量を送達するためのバルブを提供することにより、決定され得る。吸入器または注入器での使用のための(例えば、ゼラチンの)カプセルおよびカートリッジは、タンパク質と適切な粉末基剤(例えば、ラクトースまたはデンプン)の粉末混合物を含んで処方され得る。
【0064】
タンパク質はまた、例えば、従来の坐薬基剤(例えば、ココアバターまたは他のグリセリド)を含む直腸組成物または膣組成物(例えば、坐薬または保持浣腸剤)で処方され得る。
【0065】
先に記載された処方物に加えて、タンパク質はまた、デポー調製物として処方され得る。このような長期作用性処方物は、移植(例えば、皮下または筋肉内)によって、または筋肉内注射によって投与され得る。従って、例えば、タンパク質は、適切なポリマー性材料または疎水性材料(例えば、受容可能な油中の乳剤として)またはイオン交換樹脂と共に、あるいは低可溶性の誘導体として(例えば、低可溶性の塩として)処方され得る。
【0066】
あるいは、他の薬学的送達系が使用され得る。リポソームおよび乳剤は、抗原を送達するために使用され得る送達ビヒクルの周知の例である。特定の有機溶媒(例えば、ジメチルスルホキシド)もまた使用され得るが、通常は、より高い毒性という代償を払うことになる。融合タンパク質もまた、ミクロスフェア中にカプセル化され得る(米国特許第5,407,609号;同第5,853,763号;同第5,814,344号および同第5,820,883号)。さらに、タンパク質は、治療剤またはワクチン剤を含む固体ポリマーの半透性マトリクスのような、持続放出系を使用して送達され得る。種々の持続放出性の材料が確立され、そして当業者に周知である。持続放出性カプセルは、それらの化学的性質に依存して、数週間から100日を超えるまでの間、タンパク質を放出し得る。その試薬の化学的性質および生物学的安定性に依存して、タンパク質の安定化のさらなるストラテジーが使用され得る。
【0067】
被験体において免疫応答を誘導するための融合タンパク質の有効量の決定は、特に、本明細書中に提供される詳細な開示を考慮すれば、十分に当業者の能力の範囲内である。
【0068】
有効用量は、インビトロアッセイから最初に推測され得る。例えば、1用量が、当該分野で周知である技術を使用して免疫応答の誘導を達成するように動物モデルに処方され得る。当業者は、動物データに基づいてヒトへの投与を容易に最適化し得る。投薬量および間隔は、個々で調整され得る。例えば、ワクチンとして使用される場合、本発明のポリペプチドおよび/またはポリヌクレオチドは、1〜36週間の期間にわたって約1〜3用量で投与され得る。好ましくは、3用量が、約3〜4ヶ月の間隔で投与され、ブースターワクチン接種が、その後周期的になされ得る。代替的プロトコルは、個々の患者に適切であり得る。適切な用量は、上記に記載されるように投与される場合に、免疫された患者において少なくとも1〜2年間、M.tuberculosis感染からその患者を防御するのに十分な免疫応答を生じ得るポリペプチドまたはDNAの量である。一般に、1用量に存在する(または1用量中のそのDNAによりインサイチュで産生される)ポリペプチドの量は、宿主1kgあたり約1pg〜約100mg、代表的には、約10pg〜約1mg、および好ましくは、約100pg〜約1μgの範囲である。適切な用量の範囲は、その患者の大きさにより変化するが、代表的には約0.1mL〜約5mLの範囲である。
【0069】
(5.8 融合タンパク質の診断的使用)
本発明の融合ポリペプチドは、インビトロおよびインビボでの結核感染の診断に有用である。本発明のポリペプチドの細胞増殖誘導能力またはサイトカイン産生誘導能力は、セクション5.2(前出)に開示される方法によってアッセイされ得る。
【0070】
別の局面において、本発明は、インビボで皮膚試験を使用して結核を診断するための、1以上の融合ポリペプチドの使用のための方法を提供する。本明細書中で使用されるように、皮膚試験は、患者に対して直接的に実施される任意のアッセイであり、ここで、遅延型の過感受性(DTH)反応(腫脹、発赤(reddening)または皮膚炎のような)が、上記に記載の1以上のポリペプチドの皮内注射後に測定される。このような注射は、そのポリペプチドを患者の皮膚細胞に接触させるのに十分な任意の適切なデバイス(例えば、ツベルクリン注射器または1mL注射器のような)を使用して達成され得る。好ましくは、反応は、注射後少なくとも約48時間、より好ましくは注射後約48〜約72時間で測定される。
【0071】
DTH反応は、細胞媒介免疫応答であり、これは、試験抗原(すなわち、使用したポリペプチドの免疫原性部分、またはその改変体)に以前に曝露された患者において、より大きい。この応答は、定規を使用して、可視的に測定され得る。一般に、直径約0.5cm、好ましくは、直径約1.0cmより大きい応答は、結核感染を示す陽性応答であり、これは、活性な疾患として表れるかもしれないし、表れないかもしれない。
【0072】
本発明の融合ポリペプチドは、皮膚試験での使用のために、ポリペプチドおよび生理学的に受容可能なキャリアを含む薬学的組成物として、好ましくは処方される。このような組成物は、代表的に、0.1mLの容量中に約1μg〜約100μg、好ましくは10μg〜約50μgの範囲の量で、1以上の上記ポリペプチドを含む。好ましくは、このような薬学的組成物中で使用されるキャリアは、適切な保存剤(例えば、フェノールおよび/またはTween 80TM)を含む生理食塩水溶液である。
【0073】
別の局面において、本発明は、結核を診断するためにポリペプチドを使用するための方法を提供する。この局面において、その融合ポリペプチドを単独で、または組み合わせて使用して、生物学的サンプル中でM.tuberculosis感染を検出するための方法が提供される。本明細書中で使用される、「生物学的サンプル」は、患者から得られた、抗体を含有する任意のサンプルである。好ましくは、このサンプルは、全血、痰、血清、血漿、唾液、脳脊髄液または尿である。より好ましくは、このサンプルは、患者または献血から得られる血液、血清または血漿のサンプルである。そのポリペプチドは、以下に記載のように、予め決定したカットオフ値と比較してサンプル中のポリペプチドに対する抗体の存在または非存在を決定するためのアッセイにおいて使用される。このような抗体の存在は、結核を示し得るマイコバクテリア抗原に対する、以前の感作を示す。
【0074】
1より多くの融合ポリペプチドが使用される実施態様において、使用されるポリペプチドは、好ましくは、相補的(すなわち、1つの成分ポリペプチドがサンプル中の感染を検出する傾向にあり、ここで、その感染は、別の成分ポリペプチドによって検出されない)である。相補的なポリペプチドを、一般に、各々のポリペプチドを個々に用いることにより同定して、M.tuberculosisに感染していることが分かっている一連の患者から得られた血清サンプルを評価し得る。各ポリペプチドを用いて(下記のように)、どのサンプルが陽性であると試験されるかを決定した後、2以上の融合ポリペプチドの組合せは、殆どの、または全ての試験されるサンプルにおいて感染を検出し得るように処方され得る。そのようなポリペプチドが相補的である。結核に感染した個体からの血清のうち約25〜30%の血清は、任意の単一のタンパク質に対する抗体について陰性である。従って、相補的なポリペプチドは、診断試験の感度を改良することと組み合せて使用され得る。
【0075】
サンプル中の抗体を検出するための1以上のポリペプチドを用いるための、当業者に公知の種々のアッセイ形式が存在する。例えば、HarlowおよびLane、Antibodies:A Laboratory Manual、Cold Spring Harbor Laboratory,1988を参照のこと(これは、本明細書において参考として援用される)。好ましい実施態様において、このアッセイは、そのサンプルからの抗体に結合しそして除去するための固体支持体上に固定したポリペプチドの使用を包含する。次いで、この結合した抗体は、レポーター基を含む検出試薬を用いて検出され得る。適切な検出試薬としては、抗体/ポリペプチド複合体に結合し、そしてレポーター基を用いて標識されるポリペプチドを遊離する抗体が挙げられる(例えば、半競合的アッセイ)。適切な検出試薬は、抗体/ポリペプチド複合体に結合する抗体およびレポーター基で標識された遊離のポリペプチド(例えば、半競合的なアッセイにおける)を含む。あるいは、競合的アッセイが利用され得る。ここでは、ポリペプチドに結合する抗体は、レポーター基で標識され、そしてそのサンプルとのその抗原のインキュベーション後に、その抗体を、固定された抗原へ結合させる。そのサンプルの成分がポリペプチドへの標識抗体の結合を阻害する程度は、固定されたポリペプチドとそのサンプルとの反応性の指標である。
【0076】
固体支持体は、当業者に公知の任意の固体材料であり得る。この材料には、その抗原が付着されてい得る。例えば、その固体支持体は、マイクロタイタープレート内の試験ウェルまたはニトロセルロースあるいは他の安定な膜であり得る。あるいは、この支持体は、ビーズまたはディスク(例えば、ガラス、ガラス繊維、ラテックスまたはプラスチック材料(例えば、ポリスチレンもしくはポリ塩化ビニル))であり得る。この支持体はまた、磁気粒子または光ファイバセンサ(例えば、米国特許第5,359,681号において開示されるもの)であり得る。
【0077】
このポリペプチドは、当業者に公知の種々の技術を用いて固体支持体に結合され得る。本発明の状況において、用語「結合(されている)」とは、吸着のような非共有的会合、および共有結合的付着(これは、抗原と支持体上の官能基との直接の結合であり得、または架橋剤を介する結合であり得る)の両方をいう。マイクロタイタープレート内のウェルまたは膜への吸着による結合が好ましい。そのような場合には、吸着は、そのポリペプチドを、適切な緩衝液において、適切な長さの時間の間固体支持体と接触させることによって達成され得る。接触時間は温度により変動するが、代表的には、約1時間と約1日との間である。一般に、プラスチックマイクロタイタープレートのウェル(例えば、ポリスチレンまたはポリ塩化ビニル)を、約10ng〜約1μgの範囲、および好ましくは約100ngの量のポリペプチドと接触させることが、適切な抗原量と結合するに充分である。
【0078】
ポリペプチドの固体支持体への共有結合的付着は、一般に、まずその支持体を、その支持体およびそのポリペプチド上の官能基(例えば、ヒドロキシル基またはアミノ基)の両方と反応する二官能性試薬とともに反応させることによって達成され得る。例えば、そのポリペプチドは、ベンゾキノンを用いるか、またはそのポリペプチド上のアミンおよび活性水素と、その支持体上のアルデヒド基との縮合によって適切なポリマーコーティングを有する支持体に結合され得る(例えば、Pierce Immunotechnology Catalog and Handbook、1991、A12〜A13を参照のこと)。
【0079】
特定の実施態様において、そのアッセイは、酵素連結免疫吸着アッセイ(ELISA)である。このアッセイは、まず、固体支持体(通常マイクロタイターのウェル)上に固定された融合ポリペプチド抗原を、そのサンプルと接触させ、その結果、そのサンプル内のポリペプチドに対する抗体を、その固定されたポリペプチドに結合させることによって行われ得る。次いで、結合していないサンプルは、固定されたポリペプチドから除去され、そしてその固定された抗体−ポリペプチド複合体に結合し得る検出試薬が加えられる。次いで、この固体支持体に結合したままの検出試薬の量は、特異的な検出試薬について適切な方法を用いて決定される。
【0080】
より詳細には、一旦そのポリペプチドが、上記のようにその支持体上に固定されると、その支持体上の残りのタンパク質結合部位は、代表的にはブロックされる。当業者に公知の任意の適切なブロック試薬(例えば、ウシ血清アルブミンまたはTween20TM(Sigma Chemical Co.,St.Louis、MO)が使用され得る。次いで、固定されたポリペプチドは、そのサンプルとインキュベートされ、そして抗体は、その抗原と結合させられる。このサンプルは、インキュベーションの前に適切な希釈剤(例えば、リン酸緩衝化生理食塩水(PBS))を用いて希釈され得る。一般に、適切な接触時間は、M.tuberculosis感染サンプルにおける抗体の存在を検出するために充分な時間である。好ましくは、この接触時間は、結合した抗体と結合していない抗体との間の平衡に達したもののうち、少なくとも95%が結合しているレベルを達成するに充分である。当業者は、平衡を達成するために必要な時間は、経時的に、生ずる結合のレベルをアッセイすることによって容易に決定され得ることを認識する。室温では、約30分間のインキュベーション時間が一般に充分である。
【0081】
次いで、結合していないサンプルを、適切な緩衝液(例えば、0.1%Tween 20TMを含むPBS)を用いてその固体支持体を洗浄することによって除去し得る。次いで、検出試薬をその固体支持体に添加し得る。適切な検出試薬は、固定した抗体ポリペプチド複合体に結合し、そして当業者に公知の種々の手段のいずれかにより検出され得る任意の化合物である。好ましくは、その検出試薬は、レポーター基と結合体化された結合剤(例えば、プロテインA、プロテインG、レクチンまたは遊離抗原)を含む。好ましいレポーター基としては、酵素(例えば、西洋ワサビペルオキシダーゼ)、基質、補因子、インヒビター、色素、放射性核種、発光基、蛍光基、ビオチンおよびコロイド粒子(例えば、コロイド金およびコロイドセレン)が挙げられる。結合剤のレポーター基への結合体化は、当業者に公知の標準的な方法を用いて達成され得る。一般的な結合剤はまた、多くの商業的供給源(例えば、Zymed Laboratories,San Francisco,CAおよびPierce、Rockford、IL)から種々のレポーター基に結合体化されたものが購入され得る 次いで、検出試薬を、固定された抗体ペプチド複合体とともに、結合した抗体を検出するに充分な長さの時間インキュベートする。適切な長さの時間は、一般的に、製造業者の指示書から、または経時的に発生する結合レベルをアッセイすることによって決定され得る。次いで、結合していない検出試薬を除去し、そして結合した検出試薬を、レポーター基を用いて検出する。レポーター基を検出するために使用される方法は、レポーター基の性質に依存する。放射性基について、シンチレーション計数またはオートラジオグラフ方法が一般的に適切である。分光光度学的な方法は、色素、発光基、および蛍光基を検出するために使用され得る。ビオチンは、異なるレポーター基(一般には、放射性基または蛍光基あるいは酵素)に結合したアビジンを用いて検出され得る。酵素レポーター基は、一般に、基質の添加(一般に、特定の時間の間)、続いてその反応産物の分光光度学的分析または他の分析によって検出され得る。
【0082】
そのサンプルにおける抗M.tuberculosis抗体の存在または非存在を決定するために、一般に、その固体支持体に結合したままのレポーター基から検出されるシグナルを、所定のカットオフ値に対応するシグナルと比較する。1つの好ましい実施態様において、そのカットオフ値は、固定した抗原を感染していない患者からのサンプルとともにインキュベートした場合に得られる平均の中間シグナルである。一般に、所定のカットオフ値から3つ分の標準偏差分上回るシグナルを生成するサンプルを、結核について陽性とみなす。別の好ましい実施態様において、そのカットオフ値は、Sackettら、1985、Clinical Epidemiology:A Basic Science for Clinical Medicine、Little Brown and Co.106〜107頁の方法に従って、Receiver Operator Curveを用いて決定される。手短には、この実施態様において、そのカットオフ値は、真の陽性の割合(すなわち、感受性)と、擬陽性の割合(100%特異性)(これは、診断試験結果についての各々可能なカットオフ値に対応する)との対のプロットから決定され得る。左上のコーナーに最も近いプロットにおけるカットオフ値(すなわち、最大領域を包含する値)は、最も正確なカットオフ値であり、そしてこの方法によって決定されたカットオフ値より高いシグナルを生成するサンプルは、陽性とみなされ得る。あるいは、このカットオフ値は、プロットに沿って左に移動されて、擬陽性の割合を最小限にし得るか、または右へ移動させて、擬陰性の割合を最小限にし得る。一般に、この方法によって決定されるカットオフ値より高いシグナルを生成するサンプルは、結核について陽性とみなされる。
【0083】
関連する実施態様において、このアッセイは、迅速なフロースルー試験形式またはストリップ試験形式において行われる。ここで、その抗原を、メンブレン(例えば、ニトロセルロース)に固定する。フロースルー試験において、サンプル内の抗体は、そのサンプルがそのメンブレンを通過すると固定したポリペプチドに結合する。次いで、検出試薬(例えば、プロテインA−コロイド金)は、その検出試薬を含む溶液がメンブレンを通過して流れると、その抗体−ポリペプチド複合体に結合する。次いで、結合した検出試薬の検出を、上記のように行い得る。ストリップ試験形式において、ポリペプチドが結合するメンブレンの一端を、そのサンプルを含む溶液に浸す。このサンプルは、検出試薬を含む領域を通過してメンブレンに沿って、および固定したポリペプチドの領域へと移動する。そのポリペプチドでの検出試薬の濃度は、そのサンプルにおける抗M.tuberculosis抗体の存在を示す。代表的には、その部位での検出試薬の濃縮は、線のようなパターンを生成し、このパターンは、可視的に読み取られ得る。そのようなパターンの非存在は、陰性の結果を示す。一般に、そのメンブレンに固定されるポリペプチドの量を選択して、その生物学的サンプルが、上記のように、ELISAにおいて陽性シグナルを生成するに充分である抗体レベルを含む場合に、可視的に認識可能なパターンを生成する。好ましくは、そのメンブレンに固定されるポリペプチドの量は、約5ng〜約1μgの範囲であり、そしてより好ましくは約50ng〜約500ngの範囲である。そのような試験は、代表的に、極微量(例えば、一滴)の患者の血清または血液を用いて行われ得る。
【0084】
本発明を説明してきたが、以下の実施例は、例示の目的にのみ提供され、そして限定のためではない。
【実施例】
【0085】
(6:実施例:M.tuberculosis抗原の融合タンパク質は、個々の成分の免疫原性を保持する)
(6.1.材料および方法)
(6.1.1.融合タンパク質の構築)
M.tuberculosis抗原のコード配列を、その融合およびその後の融合タンパク質の発現を容易にするために、PCRにより改変した。DNA増幅を、10μlの10×Pfu緩衝液、2μlの10mM dNTP、2μlの各々のPCRプライマー(濃度10μM)、81.5μlの水、1.5μlのPfu DNAポリメラーゼ(Stratagene、La Jolla、CA)および1μlのDNA(70ng/μl(TbRa3抗原について)または50ng/μl(38kD抗原およびTb38−1抗原について)のいずれか)を用いて行った。TbRa3抗原について、94℃での変性を2分間行い、続いて96℃で15秒間および72℃で1分間を40サイクル、および最後に72℃で4分間行った。38kD抗原について、96℃での変性を2分間行い、続いて96℃で30秒間、68℃で15秒間および72℃で3分間を40サイクル、および最後に72℃で4分間行った。Tb38−1抗原について、94℃での変性を2分間行い、続いて96℃で15秒間、68℃で15秒間および72℃で1.5分間を10サイクル、96℃で15秒間、64℃で15秒間および72℃で1.5分間を30サイクル、および最後に72℃で4分間行った。
【0086】
制限エンドヌクレアーゼを用いて消化して所望の付着末端または平滑末端を得た後に、各融合ポリペプチドについて特異的なポリヌクレオチドを発現プラスミドに連結した。各々得られたプラスミドは、各融合ポリペプチドの個々の抗原のコード配列を含んでいた。使用した発現ベクターは、pET−12bおよびpT7^L2 IL1であった。
【0087】
抗原Ra12、TbH9およびRa35についての3つのコード配列を連結して、1つの融合タンパク質(配列番号1および2)をコードさせた(図1Aおよび図2B)。抗原Erd14、DPVおよびMTIの別の3つのコード配列を連結して、第二の融合タンパク質をコードさせた(配列番号3および4)(図2)。抗原TbRa3、38kDおよびTb38−1の3つのコード配列を連結して、1つの融合タンパク質をコードさせた(配列番号5および6)(図3A〜3D)。抗原TbH9およびTb38−1の2つのコード配列を連結して、1つの融合タンパク質をコードさせた(配列番号7および8)(図4A〜4D)。抗原TbRa3、38kD、Tb38−1およびDPEPの4つのコード配列を連結して、1つの融合タンパク質をコードさせた(配列番号9および10)(図5A〜5J)。抗原Erd14、DPV、MTI、MSL、およびMTCC2の5つのコード配列を連結して1つの融合タンパク質をコードさせた(配列番号11および12)(図6Aおよび6B)。抗原Erd14、DPV、MTIおよびMSLの4つのコード配列を連結して1つの融合タンパク質をコードさせた(配列番号13および14)(図7Aおよび7B)。抗原DPV、MTI、MSLおよびMTCC2の4つのコード配列を連結して、1つの融合タンパク質をコードさせた(配列番号15および16)(図8Aおよび8B)。抗原DPV、MTIおよびMSLの3つのコード配列を連結して、1つの融合タンパク質をコードさせた(配列番号17および18)(図9Aおよび9B)。抗原TbH9、DPVおよびMTIの3つのコード配列を連結して、1つのコード配列をコードさせた(配列番号19および20)(図10Aおよび10B)。抗原Erd14、DPVおよびMTIの3つのコード配列を連結して、1つの融合タンパク質をコードさせた(配列番号21および22)(図11Aおよび11B)。抗原Tb9HおよびRa35の2つのコード配列を連結して1つのコード配列をコードさせた(配列番号23および24)(図12Aおよび12B)。抗原Ra12aおよびDPPDの2つのコード配列を連結して1つの融合タンパク質をコードさせた(配列番号25および26)(図13Aおよび13B)。
【0088】
組換えタンパク質を、pETプラスミドベクター(pET−17b)およびT7 RNAポリメラーゼ発現系(Novagen,Madison,WI)を用いてアミノ末端部分の6つのヒスチジン残基とともにE.coli内で発現させた。E.coli株BL21(DE3)pLysE(Novagen)を高レベル発現のために用いた。組換え(Hisタグ)融合タンパク質を、500mlのIPTG誘発したバッチ培養物由来の可溶性上清からまたは不溶性の封入体から、QIAexpress Ni−NTA Agaroseマトリクス(QIAGEN、Chatsworth,CA)を用いるアフィニティークロマトグラフィーによって、8M尿素の存在下で精製した。手短には、20mlの一晩飽和させた、pET構築物を含むBL21の培養物を、50μg/mlアンピシリンおよび34μg/mlクロラムフェニコールを含む500mlの2×YT培地に加え、37℃で振盪しながら増殖させた。細菌培養物を、2mM IPTGを用いて、0.3のOD560にて誘発し、そしてさらに3時間(OD=1.3〜1.9)増殖させた。細胞を、500mlのバッチ培養物から、遠心分離によって採取し、そして2mM PMSFおよび20μg/mlロイペプチンおよび25mlあたり1つの完全なプロテアーゼインヒビター錠剤(Boehringer Mannheim)を含む20mlの結合緩衝液(0.1M リン酸ナトリウム、pH8.0;10mM Tris−HCl、pH8.0)中に再懸濁した。E.coliを、凍結融解に続き短い超音波処理によって溶解し、次いで、12k rpmにて30分間スピンしてその封入体をペレット化した。
【0089】
この封入体を、10mM Tris−HCl(pH8.0)中にて1%CHAPSにおいて3回洗浄した。この工程は、LPSの夾雑レベルを大幅に減少させた。この封入体を、最終的に、20mlの8M尿素を含む結合緩衝液中に可溶化したか、または可溶性上清へ直接8M尿素を添加した。Hisタグ残基を有する組換え融合タンパク質を、Ni−NTAアガロース樹脂に、1時間室温にて振盪することによってバッチ結合させ(500ml誘発物あたり5mlの樹脂)、そしてその複合体をカラムに通過させた。フロースルーを、同じカラムに2回通過させ、そしてそのカラムを各回30mlの洗浄緩衝液(0.1M リン酸ナトリウムおよび10mM Tris−HCl、pH6.3;これもまた、8M尿素を含む)で3回洗浄した。結合タンパク質を、30mlの洗浄緩衝液中の150mMイミダゾ−ルで溶出し、そして5mlの画分を収集した。各々の組換え融合タンパク質を含む画分をプールし、10mM TrisHCl(pH8.0)に対して透析し、Ni−NTAマトリクスに1回より多く結合させ、そして、10mM Tris−HCl(pH7.8)中で溶出および透析した。組換えタンパク質の収率は、98%より高い純度で、1Lの誘発細菌培養物あたり、25〜150mgの間を変動した。組換えタンパク質を、Limulusアッセイ(BioWhittaker)を用いてエンドトキシン夾雑物についてアッセイし、そして<10E.U.Imgを含むことが示された。
【0090】
(6.1.2:T細胞増殖アッセイ)
精製した融合ポリペプチドを、末梢血単核球(PBMC)調製物中におけるT細胞増殖を誘発する能力について試験した。PPD皮膚試験で陽性であることが知られ、そしてそのT細胞がM.tuberculosisからのPPDおよび粗可溶性タンパク質に応答して増殖することが示されているドナーからのPBMCを、10%のプールしたヒト血清および50μg/mlのゲンタマイシンを補充したRPMI1640中で培養した。精製したポリペプチドを、二連で、0.5〜10μg/mlの濃度で加えた。200μlの容量中で96ウェルの丸底プレートにおける6日間の培養後、50μlの培地を、以下の6.1.3節において記載するようにIFN−γレベルの決定のために各ウェルから取り出した。次いで、このプレートを、1μCi/ウェルのトリチウム標識したチミジンを用いて、さらに18時間パルス刺激し、採集し、そしてトリチウム取り込みを、ガスシンチレーションカウンターを用いて決定した。両方の複製物において、培地単独において培養した細胞において観察される増殖の3倍を超える増殖をもたらした画分を、陽性とみなした。
【0091】
(6.1.3.:インターフェロンγアッセイ)
マウス由来の脾臓を無菌的に取り出し、そして完全なRPMI中で、単一の細胞懸濁物を調製し、次いで赤血球細胞溶解を行った。100μlの細胞(2×10-5細胞)を、96ウェルの平底マイクロタイタープレート中で1ウェルごとにプレートした。培養物を、示された組換えタンパク質を用いて、24時間刺激し、そしてその上清をIFN−γについてアッセイした。
【0092】
上清IFN−γのレベルを、PharMingenから利用可能な抗体の対および手順を用いて、サンドウィッチELISAによって分析した。標準的な曲線を、組換えマウスサイトカインを用いて生成した。ELISAプレート(Corning)を、50μl/ウェル(1μg/ml、0.1M重炭酸コーティング緩衝液中、pH9.6)のサイトカイン捕捉mAb(ラット抗マウスIFN−γ(PharMingen;カタログ番号18181D))を用いてコーティングし、そして4時間室温にてインキュベートした。プレートの中身を完全に振盪し、そしてPBS−0.05% Tween、1.0% BSA(200μl/ウェル)を用いて、一晩4℃にてブロッキングし、そしてPBS−0.1% Tween中で6回洗浄した。次いで、PBS−0.05% Tween、0.1% BSA中に希釈した標準(マウスIFN−γ)および上清のサンプルを、室温で2時間加えた。このプレートを上記のように洗浄し、次いで、100μl/ウェルの第二のAb(ビオチンラットαマウスIFN−γ(カタログ番号18112D;PharMingen)をPBS−0.05% Tween、0.1%BSA中で0.5μg/mlに希釈して用いて、室温で2時間インキュベートした。洗浄後、プレートを、100μl/ウェルのストレプトアビジン−HRP(Zymed)を、PBS−0.05% Tween、0.1% BSA中で1:2500希釈にて用いて、室温にて1時間インキュベートした。このプレートを、最後の回に洗浄し、そして100μl/ウェルTMB基質(3,3’,5,5’−テトラメチルベンジン、Kirkegaard and Perry、Gaithersburg,MD)を用いて発色し、そしてこの反応を、発色した後に、H2SO4、50μl/ウェルを用いて終結させた。吸光度(OD)を、570nmを参照波長として用いて450nmにて決定し、そしてサイトカイン濃度を、標準曲線を用いて評価した。
【0093】
(6.2.結果)
(6.2.1.:3連融合タンパク質は、免疫応答を誘発した)
M.tuberculosis抗原をコードする3つの配列を、融合タンパク質の産生のための発現ベクター中へと挿入した。Ra12、TbH9およびRa35と命名されたこの抗原を、1つの組換え融合タンパク質として作製した(図1Aおよび1B)。抗原Erd14、DPVおよびMTIを、第二の融合タンパク質として作製した(図2)。この2つの融合タンパク質を、インビトロおよびインビボでのアッセイにおいて使用するためにアフィニティー精製した。
【0094】
これらの2つの融合タンパク質を、6つのPPD+被験体由来のT細胞応答を刺激する能力について試験した。T細胞増殖を測定した場合、両方の融合タンパク質は、その個々の成分に類似する反応性パターンを示した(図14A〜図14F)。類似の結果が、IFN−γ産生を測定した場合にも得られた(図15A〜図15F)。例えば、被験体D160は、抗原TbH9およびMTIに個々に応答した。被験体D160はまた、これらの抗原を含む融合タンパク質に応答した(図14Bおよび図15B)。対照的に、D160からのT細胞応答は、他の抗原個々に対しては観察されなかった。別の被験体であるD201(この被験体は、抗原Erd14にも、DPVにも、MTIにも、個々には反応しなかった)は、これらの抗原を含む融合タンパク質に対してもまた非応答性であった。2つの融合タンパク質の個々の成分に対するT細胞応答が特に強力ではない場合、その融合タンパク質は、殆どの場合、個々の抗原によって誘導される応答以上の応答を刺激したことに留意すべきである。
【0095】
Ra12−TbH9−Ra35の3連融合タンパク質をまた、インビボでの免疫原として試験した。これらの実験において、この融合タンパク質を、免疫のためにマウスの足蹠に注射した。各群3匹のマウスに、異なるアジュバント処方物におけるタンパク質を与えた:SBAS1c、SBAS2(Lingら、1997、Vaccine 15:1562−1567)、SBAS7およびAL(OH)3。3週間の間隔での2回の皮下免疫の後、その動物を、1週間後に屠殺し、そしてそれらの排出リンパ節を、T細胞増殖およびサイトカイン増殖アッセイにおける応答細胞として使用するために採集した。
【0096】
どのアジュバントをその免疫において使用したかに拘らず、強力なT細胞増殖が、TbH9が個々の抗原として用いられたときにTbH9において誘導された(図16A)。より弱い応答がRa35およびRa12に対して誘発された(図16Bおよび図16C)。Ra12−TbH9−Ra35融合タンパク質を免疫原として使用した場合、個々の成分に対する応答と類似の応答が観察された。
【0097】
サイトカイン産生を測定した場合、アジュバントSBAS1cおよびSBAS2は、類似のIFN−γ応答(図17)およびIL−4応答(図18)をもたらした。しかし、SBAS7および水酸化アルミニウムの組合せが、3つすべての抗原について、最も強力なIFN−γ刺激をもたらし、そして最低のレベルのIL−4産生をもたらした。インビボでの体液性抗体応答について、図19A〜図19Fは、この融合タンパク質が、3つのアジュバントのいずれかと共に使用される場合、IgG1およびIgG2aの両方の抗原特異的な応答を惹起したことを示す。
【0098】
さらに、C57BL/6のマウスを、各々Ra12−TbH9−Ra35(Mtb32A)またはErd14−DPV−MTI(Mtb39A)をコードする配列をを含む2つの発現構築物の組合せをDNAワクチンとして用いて免疫した。免疫した動物は、引き続く生細菌のエアゾールチャレンジの際に、結核に対する有意な保護を示した。これらの結果に基づいて、Mtb32AおよびMtb39Aをコードする配列の融合構築物を作製し、そしてそのコード産物を、モルモットの長期間の保護モデルにおいて試験した。これらの研究において、モルモットを、アジュバントを含む処方物中の単独の組換え融合タンパク質またはMtb32AおよびMrb39Aのタンパク質の混合物を用いて免疫した。図20A〜図20Cは、SBAS1cまたはSBAS2における融合タンパク質を用いて免疫したモルモットが、同じアジュバント処方物中の2つの抗原の混合物を用いて免疫した動物に比較して、引き続くチャレンジの際の結核の発生に対してより良好に保護したことを示す。SBAS2処方物におけるこの融合タンパク質は、その動物における最大の保護を可能にした。従って、種々のM.tuberculosis抗原の融合タンパク質は、個々の成分の混合物よりもワクチン処方物においてより有効な免疫原として使用され得る。
【0099】
(6.2.2.2−融合(bifusion)タンパク質は免疫応答を誘発した)
ヒンジ配列のないTbH−9抗原およびTb38−1抗原を含む2−融合タンパク質を、組換え方法によって産生した。TbH9−Tb38−1融合タンパク質がT細胞増殖およびIFN−γ産生を誘発する能力を試験した。三つのドナーからのPBMCを使用した:一つのドナーは、以前にTbH9には応答するが、Tb38−1には反応しないことが示されている(ドナー131);一つのドナーは、Tb38−1に応答するが、TbH9には応答しないことが示されている(ドナー184);そして1つは、両方の抗原に応答することが示されている(ドナー201)。これらの研究の結果は、融合タンパク質における両方の抗原の機能的活性を実証する(図21Aおよび21B、22Aおよび22B、ならびに23Aおよび23B)。
【0100】
(6.2.3.:4−融合タンパク質は、結核患者の血清と反応した。)
TbRa3、38KD抗原、TB38−1およびDPEPを含む融合タンパク質を、組換え方法によって産生した。TbF−2と呼ばれるこの4−融合タンパク質のM.tuberculosis感染患者からの血清との反応性をELISAによって試験した。これらの研究の結果(表1)は、4つすべての抗原が、融合タンパク質において独立して機能することを実証する。
【0101】
当業者は、各融合タンパク質内の個々の抗原の順番が変更され得、そしてそれらのエピトープの各々がなお、機能的に利用可能である限り、匹敵する活性が予測されることを理解する。さらに、活性エピトープを含有する短縮された形態のタンパク質は、融合タンパク質の構築において使用され得る。
【0102】
本発明は、例示される実施態様によって範囲が限定されない。この実施態様は、本発明の単なる局面の例示を意図し、機能的に等価である任意のクローン、ヌクレオチドまたはアミノ酸の配列は本発明の範囲内にある。実際、本明細書において記載したものに加えて本発明の種々の改変が、上記の説明および添付の図面から当業者には明白である。そのような改変は、添付の特許請求の範囲の範囲内に入ることが意図される。ヌクレオチドについて与えられる全ての塩基対のサイズはおおよそであり、そして説明の目的で使用されることもまた理解されるべきである。
【0103】
本明細書において引用されるすべての刊行物は、その全体が、参考として本明細書において引用される。
【表1】

【図面の簡単な説明】
【0104】
【図1A】3−融合タンパク質Ra12−TbH9−Ra35(Mtb32Aと称する)のヌクレオチド配列(配列番号1)およびアミノ酸配列(配列番号2)。
【図1B】3−融合タンパク質Ra12−TbH9−Ra35(Mtb32Aと称する)のヌクレオチド配列(配列番号1)およびアミノ酸配列(配列番号2)。
【図2】3−融合タンパク質Erd14−DPV−MTI(Mtb39Aと称する)のヌクレオチド配列(配列番号3)およびアミノ酸配列(配列番号4)。
【図3A】3−融合タンパク質TbRa3−38kD−Tb38−1のヌクレオチド配列(配列番号5)およびアミノ酸配列(配列番号6)。
【図3B】3−融合タンパク質TbRa3−38kD−Tb38−1のヌクレオチド配列(配列番号5)およびアミノ酸配列(配列番号6)。
【図3C】3−融合タンパク質TbRa3−38kD−Tb38−1のヌクレオチド配列(配列番号5)およびアミノ酸配列(配列番号6)。
【図3D】3−融合タンパク質TbRa3−38kD−Tb38−1のヌクレオチド配列(配列番号5)およびアミノ酸配列(配列番号6)。
【図4A】2−融合タンパク質TbH9−Tb38−1のヌクレオチド配列(配列番号7)およびアミノ酸配列(配列番号8)。
【図4B】2−融合タンパク質TbH9−Tb38−1のヌクレオチド配列(配列番号7)およびアミノ酸配列(配列番号8)。
【図4C】2−融合タンパク質TbH9−Tb38−1のヌクレオチド配列(配列番号7)およびアミノ酸配列(配列番号8)。
【図4D】2−融合タンパク質TbH9−Tb38−1のヌクレオチド配列(配列番号7)およびアミノ酸配列(配列番号8)。
【図5A】4−融合タンパク質TbRa3−38kD−Tb38−1−DPEP(TbF−2と称する)のヌクレオチド配列(配列番号9)およびアミノ酸配列(配列番号10)。
【図5B】4−融合タンパク質TbRa3−38kD−Tb38−1−DPEP(TbF−2と称する)のヌクレオチド配列(配列番号9)およびアミノ酸配列(配列番号10)。
【図5C】4−融合タンパク質TbRa3−38kD−Tb38−1−DPEP(TbF−2と称する)のヌクレオチド配列(配列番号9)およびアミノ酸配列(配列番号10)。
【図5D】4−融合タンパク質TbRa3−38kD−Tb38−1−DPEP(TbF−2と称する)のヌクレオチド配列(配列番号9)およびアミノ酸配列(配列番号10)。
【図5E】4−融合タンパク質TbRa3−38kD−Tb38−1−DPEP(TbF−2と称する)のヌクレオチド配列(配列番号9)およびアミノ酸配列(配列番号10)。
【図5F】4−融合タンパク質TbRa3−38kD−Tb38−1−DPEP(TbF−2と称する)のヌクレオチド配列(配列番号9)およびアミノ酸配列(配列番号10)。
【図5G】4−融合タンパク質TbRa3−38kD−Tb38−1−DPEP(TbF−2と称する)のヌクレオチド配列(配列番号9)およびアミノ酸配列(配列番号10)。
【図5H】4−融合タンパク質TbRa3−38kD−Tb38−1−DPEP(TbF−2と称する)のヌクレオチド配列(配列番号9)およびアミノ酸配列(配列番号10)。
【図5I】4−融合タンパク質TbRa3−38kD−Tb38−1−DPEP(TbF−2と称する)のヌクレオチド配列(配列番号9)およびアミノ酸配列(配列番号10)。
【図5J】4−融合タンパク質TbRa3−38kD−Tb38−1−DPEP(TbF−2と称する)のヌクレオチド配列(配列番号9)およびアミノ酸配列(配列番号10)。
【図6A】5−融合タンパク質Erd14−DPV−MTI−MSL−MTCC2(Mtb88fと称する)のヌクレオチド配列(配列番号11)およびアミノ酸配列(配列番号12)。
【図6B】5−融合タンパク質Erd14−DPV−MTI−MSL−MTCC2(Mtb88fと称する)のヌクレオチド配列(配列番号11)およびアミノ酸配列(配列番号12)。
【図7A】4−融合タンパク質Erd14−DPV−MTI−MSL(Mtb46fと称する)のヌクレオチド配列(配列番号13)およびアミノ酸配列(配列番号14)。
【図7B】4−融合タンパク質Erd14−DPV−MTI−MSL(Mtb46fと称する)のヌクレオチド配列(配列番号13)およびアミノ酸配列(配列番号14)。
【図8A】4−融合タンパク質DPV−MTI−MSL−MTCC2(Mtb71fと称する)のヌクレオチド配列(配列番号15)およびアミノ酸配列(配列番号16)。
【図8B】4−融合タンパク質DPV−MTI−MSL−MTCC2(Mtb71fと称する)のヌクレオチド配列(配列番号15)およびアミノ酸配列(配列番号16)。
【図9A】3−融合タンパク質DPV−MTI−MSL(Mtb31fと称する)のヌクレオチド配列(配列番号17)およびアミノ酸配列(配列番号18)。
【図9B】3−融合タンパク質DPV−MTI−MSL(Mtb31fと称する)のヌクレオチド配列(配列番号17)およびアミノ酸配列(配列番号18)。
【図10A】3−融合タンパク質TbH9−DPV−MTI(Mtb61fと称する)のヌクレオチド配列(配列番号19)およびアミノ酸配列(配列番号20)。
【図10B】3−融合タンパク質TbH9−DPV−MTI(Mtb61fと称する)のヌクレオチド配列(配列番号19)およびアミノ酸配列(配列番号20)。
【図11A】3−融合タンパク質Erd14−DPV−MTI(Mtb36fと称する)のヌクレオチド配列(配列番号21)およびアミノ酸配列(配列番号22)。
【図11B】3−融合タンパク質Erd14−DPV−MTI(Mtb36fと称する)のヌクレオチド配列(配列番号21)およびアミノ酸配列(配列番号22)。
【図12A】2−融合タンパク質TbH9−Ra35(Mtb59fと称する)のヌクレオチド配列(配列番号23)およびアミノ酸配列(配列番号24)。
【図12B】2−融合タンパク質TbH9−Ra35(Mtb59fと称する)のヌクレオチド配列(配列番号23)およびアミノ酸配列(配列番号24)。
【図13A】2−融合タンパク質Ra12−DPPD(Mtb24と称する)のヌクレオチド配列(配列番号25)およびアミノ酸配列(配列番号26)。
【図13B】2−融合タンパク質Ra12−DPPD(Mtb24と称する)のヌクレオチド配列(配列番号25)およびアミノ酸配列(配列番号26)。
【図14】図14A−14F:2つの融合タンパク質およびその個別の成分を用いて刺激した場合の6人のPPD+被験体のT細胞増殖応答。
【図15】図15A−15F:2つの融合タンパク質およびその個別の成分を用いて刺激した場合の6人のPPD+被験体のIFN−γ産生。
【図16】図16A−16F:融合タンパク質またはその個別の成分およびアジュバントを用いて免疫したマウスのT細胞増殖。
【図17】融合タンパク質またはその個別の成分およびアジュバントを用いて免疫したマウスのIFN−γ産生。
【図18】融合タンパク質またはその個別の成分およびアジュバントを用いて免疫したマウスのIL−4産生。
【図19】図19A−19F:融合タンパク質またはその個別の成分およびアジュバントを用いて免疫したマウスの血清抗体濃度。
【図20】図20A−20C:M.tuberculosisのエアロゾルチャレンジ後のモルモットの生存。融合タンパク質、Mtb32AおよびMtb39AをアジュバントSBAS1c(20A)、SBAS2(20B)またはSBAS7(20C)中に処方し、そして細菌でのチャレンジ前にモルモットにおいて免疫原として使用した。BCGは陽性コントロールである。
【図21】図21Aおよび21B:融合タンパク質TbH9−Tb38−1によるTbH9−特異的T細胞における増殖およびIFN−γ産生の刺激。
【図22】図22Aおよび22B:融合タンパク質TbH9−Tb38−1によるTb38−1−特異的T細胞における増殖およびIFN−γ産生の刺激。
【図23】図23Aおよび23B:融合タンパク質TbH9−Tb38−1によるTbH9およびTb38−1抗原の両方に対する応答を以前に示したT細胞における増殖およびIFN−γ産生の刺激。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
必要に応じてN末端におけるヒスチジン残基の伸展を伴わない、配列番号2のアミノ酸配列をコードするヌクレオチド配列に相補的な第2のポリヌクレオチドに中程度にストリンジェントな条件下でハイブリダイズするヌクレオチド配列を含むポリヌクレオチドであって、必要に応じてN末端におけるヒスチジン残基の伸展を伴わない、配列番号2のアミノ酸配列の免疫原性を保持するポリペプチドをコードする、上記ポリヌクレオチド。
【請求項2】
必要に応じてN末端におけるヒスチジン残基の伸展を伴わない、配列番号2のアミノ酸配列をコードするヌクレオチド配列に相補的な第2のポリヌクレオチドに高ストリンジェントな条件下でハイブリダイズするヌクレオチド配列を含むポリヌクレオチドであって、必要に応じてN末端におけるヒスチジン残基の伸展を伴わない、配列番号2のアミノ酸配列の免疫原性を保持するポリペプチドをコードする、上記ポリヌクレオチド。
【請求項3】
請求項1または2に記載のポリヌクレオチドによってコードされるポリペプチド。
【請求項4】
第2の異種ポリペプチドに融合されている、請求項3に記載のポリペプチド。
【請求項5】
請求項1または2に記載のポリヌクレオチドを含む薬学的組成物。
【請求項6】
請求項3または4に記載のポリペプチドを含む薬学的組成物。
【請求項7】
請求項1または2に記載のポリヌクレオチドを含む発現ベクター。
【請求項8】
ウイルスベクターである、請求項7に記載の発現ベクター。
【請求項9】
請求項3または4に記載のポリペプチドおよびアジュバントを含むワクチン組成物。
【請求項10】
請求項1または2に記載のポリヌクレオチドおよびアジュバントを含むワクチン組成物。
【請求項11】
請求項3または4に記載のポリペプチドを組み換え的に発現する、単離された宿主細胞。
【請求項12】
請求項1または2に記載のポリヌクレオチドの組換え発現を含む、請求項3または4に記載のポリペプチドの生成方法。

【図1A】
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【図1B】
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【図2】
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【図3A】
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【図3B】
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【図3C】
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【図3D】
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【図4A】
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【図4B】
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【図4C】
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【図4D】
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【図5A】
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【図5B】
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【図5C】
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【図5D】
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【図5E】
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【図5F】
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【図5G】
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【図5H】
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【図5I】
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【図5J】
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【図6A】
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【図6B】
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【図7A】
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【図7B】
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【図8A】
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【図8B】
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【図9A】
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【図9B】
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【図10A】
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【図10B】
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【図11A】
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【図11B】
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【図12A】
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【図12B】
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【図13A】
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【図13B】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【公開番号】特開2009−107(P2009−107A)
【公開日】平成21年1月8日(2009.1.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−149834(P2008−149834)
【出願日】平成20年6月6日(2008.6.6)
【分割の表示】特願2000−542460(P2000−542460)の分割
【原出願日】平成11年4月7日(1999.4.7)
【出願人】(397069329)コリクサ コーポレイション (38)
【Fターム(参考)】