説明

Mg2Ni合金の製造方法およびその利用

【課題】 水素吸蔵体としてより優れたMgNi合金、およびその製造方法を提供する。特に、未反応のMgや、MgNi生成の副生成物であるMgNiの含有量の少ないMgNiを提供する。
【解決手段】 MgとNiとを含む原料(前駆物質)から、誘導加熱を利用するIFACSによってMgNiを生成するMgNi生成工程を含み、上記前駆物質の温度をMgNiの包晶点より高くする第一の加熱工程と、上記第一の加熱工程後に、前駆物質の温度をMgNiの包晶点以下とする冷却工程と、上記冷却工程後に、前駆物質の温度をMgNi2の包晶点より高くする第二の加熱工程とを含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、MgNi合金の製造方法およびその利用に関するものであり、特に、水素吸蔵体として好適に利用可能なMgNi合金、その製造方法、およびその代表的な利用法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、エネルギー問題や環境問題は、世界的に深刻な問題となっている。この解決策として、化石燃料以外のエネルギーへの転換が検討されている。このような背景のもと、クリーンなエネルギーとして注目されているのが水素エネルギーである。
【0003】
しかし、水素ガスは爆発性に富むため、これを利用するためには貯蔵媒体が必要となる。そこで、取り扱いが簡単で十分安全な媒体として考えられているのが水素吸蔵合金である。
【0004】
金属が水素と反応して金属水素化物を生成することは古くから知られている。特に、マグネシウム(Mg)は、水素吸蔵量が7.6wt%と大きいため、水素吸蔵体として有望視されている。Mgは、単独では水素との相互作用が大きいため、水素を放出しにくい性質を持っている。しかし、繰り返し水素を吸蔵・放出することのできるMgNi合金が発見されて以来、金属Mgにニッケル(Ni)を添加すると触媒作用で脱水素反応が起こりやすくなることが知られるようになった。
【0005】
従来の鋳造法では、MgとNiの融点や蒸気圧に大きな差があるため、高純度のMgNiを合成するのは非常に困難である。そこで、アーク溶解によってMgNiを合成する方法(非特許文献1・2)や、水素化燃焼合成法によって、MgとNiの圧粉体からMgNiHを合成する新しい合成法(非特許文献3・4)が試みられている。
【0006】
しかしながら、アーク溶解では不純物が混合しやすく、純度の高いMgNi合金を合成するには至っていない。また、水素化燃焼合成法を用いれば数秒で水素化物が得られるが、副生成物であるMgNiH0.3や未反応物が含まれており、高純度なMgNiHを合成することはできていない。
【0007】
また、本発明者らは、誘導場活性化合成法(Induction Field Activated Synthesis:IFAS)、特に900℃10分間のIFAS条件で、市販のMgNiよりも比較的純度の高いMgNi合金を製造することに成功している(2004年3月24日、平成16年度日本セラミックス協会年会にて発表)。なお、IFASは、誘導場活性化燃焼合成法(Induction Field Activated Combustion Synthesis:IFACS)と同義である。以下では、表記をIFACSに統一する。
【0008】
ここで、IFACSについて簡単に説明しておく。IFACSは、高周波誘電加熱を利用した燃焼合成である。IFACSでは、対象となる原料の周囲を、誘導加熱できる媒体、例えば導電性のカーボンシートで覆う。そして高周波誘導電流によりこのカーボンシートを加熱する。すると、加熱されることによって原料の外周部がまず反応し、次に、この反応によって生成した生成物の生成熱と外部からの熱とによって、原料の内部にまで反応が進行する。
【非特許文献1】I. Saita I et al., JOURNAL OF ALLOYS AND COMPOUNDS , 2003, Vol. 356, p490-493 ,
【非特許文献2】T. Akiyama et al., Mater Trans , 2001 , Vol. 42, No. 8 , p1748-1752
【非特許文献3】Huaiyu Shao, Yuntao Wang, and Xingguo Li, Materials Science Forum PRICM 5: The Fifth Pacific Rim International Conference on Advanced Materials and Processing , 2005, p475-479
【非特許文献4】Chia-Ming Chen and Jih-Mirn Jehng, Applied Catalysis A: General, 2004, Vol. 267 No. 1-2, p103-110
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
水素吸蔵体として求められる特性としては、大きい水素吸蔵量、速い水素化反応速度、低い水素吸蔵平衡圧、および低い反応温度等が挙げられる。この中でも特に水素吸蔵量を上げるためには、できるだけ純度の高い水素吸蔵体を得ることが重要である。
【0010】
MgとNiとからMgNiを合成する場合、まず問題になるのが、未反応のMgの残留である。Mgは、既に述べたように水素を放出しにくい。そのため、水素の吸蔵と放出とを繰り返すことが求められる水素吸蔵体としては、最終的に製造された水素吸蔵体中のMg残量は低いことが好ましい。
【0011】
Mgの他に問題となるのが、MgNi製造の副生成物であるMgNiである。MgNiはMg水素吸蔵能を持たない不純物である。そのため、最終的に製造されたMgNiの含有量は低いことが好ましい。
【0012】
しかし、上記従来の製造方法によって得られるMgNi合金は、水素吸蔵体としての純度が未だ十全とは言えず、改善の余地があった。
【0013】
本発明は、このような従来の問題点を鑑みたものであって、その目的は、不純物の含有量の少ないMgNi合金、その製造方法、およびその代表的な利用を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意検討した結果、MgとNiとを含む前駆物質からIFACSによってMgNiを生成するMgNi生成工程を含み、上記MgNi生成工程は、上記前駆物質の温度をMgNiの包晶点より高くする第一の加熱工程と、上記第一の加熱工程後に、前駆物質の温度をMgNiの包晶点以下とする冷却工程と、上記冷却工程後に、前駆物質の温度をMgNi2の包晶点より高くする第二の加熱工程とを含むMgNi合金の製造方法は、純度の高いMgNiを得ることができ、それゆえにこの方法によって製造されたMgNi合金は、水素吸蔵体として非常に好適に利用できることを独自に見出し、本発明を完成するに至った。本発明は上記新規な知見に基づいて完成されたものであり、以下の発明を包含する。
【0015】
(1)MgとNiとを含む前駆物質からIFACSによってMgNiを生成するMgNi生成工程を含み、上記MgNi生成工程は、上記前駆物質の温度をMgNiの包晶点より高くする第一の加熱工程と、上記第一の加熱工程後に、前駆物質の温度をMgNiの包晶点以下とする冷却工程と、上記冷却工程後に、前駆物質の温度をMgNi2の包晶点より高くする第二の加熱工程とを含むMgNi合金の製造方法。
【0016】
(2)上記第一および上記第二の加熱工程の少なくとも一方は、前駆物質の温度を900℃以上とする上記(1)に記載のMgNi合金の製造方法。
【0017】
(3)上記第一および上記第二の加熱工程の少なくとも一方は、前駆物質の温度を1000℃未満とする上記(1)または(2)に記載のMgNi合金の製造方法。
【0018】
(4)上記冷却工程は、前駆物質の温度を700℃以下とする上記(1)〜(3)のいずれかに記載のMgNi合金の製造方法。
【0019】
(5)上記冷却工程は、前駆物質の温度を25℃以上とする上記(1)〜(4)のいずれかに記載のMgNi合金の製造方法。
【0020】
(6)上記第一の加熱工程は、前駆物質の温度を950℃とする上記(1)〜(5)のいずれかに記載のMgNi合金の製造方法。
【0021】
(7)上記冷却工程は、前駆物質の温度を600℃とする上記(1)〜(6)のいずれかに記載のMgNi合金の製造方法。
【0022】
(8)上記第二の加熱工程は、前駆物質の温度を900℃とする上記(1)〜(7)のいずれかに記載のMgNi合金の製造方法。
【0023】
(9)上記(1)〜(8)のいずれかに記載の方法によって製造されたMgNi合金を微細化する微細化工程を含むMgNi粉体の製造方法。
【0024】
(10)上記微細化工程は、MgNiの結晶子サイズを100nm以下とする上記(9)に記載のMgNi粉体の製造方法。
【0025】
(11)上記微細化工程は、上記結晶子サイズを5nm以上とする上記(9)または10に記載のMgNi粉体の製造方法。
【0026】
(12)上記微細化工程は、MgNiの格子歪み量を0.01%以上とする上記(9)〜(11)のいずれかに記載のMgNi粉体の製造方法。
【0027】
(13)上記微細化工程は、MgNiの格子歪み量を1%以下とする上記(9)〜(12)のいずれかに記載のMgNi粉体の製造方法。
【0028】
(14)上記微細化工程は、メカニカルグラインディング(MG)によってMgNi合金を微細化する上記(9)〜(13)のいずれかに記載のMgNi粉体の製造方法。
【0029】
(15)上記(1)〜(8)のいずれかに記載の方法によって製造されるMgNi合金。
【0030】
(16)上記(9)に記載の方法で製造されるMgNi粉体であって、MgNiの結晶子サイズが100nm以下であるMgNi粉体。
【0031】
(17)上記(9)に記載の方法で製造されるMgNi粉体であって、MgNiの格子歪み量が0.01%以上であるMgNi粉体。
【0032】
(18)上記(9)〜(14)のいずれかに記載の製造方法で製造されるMgNi粉体。
【0033】
(19)上記(15)に記載のMgNi合金、および/または、上記(16)〜(18)のいずれか1項に記載のMgNi粉体のうち少なくとも1つを含むことを特徴とする水素吸蔵体。
【発明の効果】
【0034】
以上のように、本発明に係るMgNi合金の製造方法は、MgとNiとを含む前駆物質からIFACSによってMgNiを生成するMgNi生成工程を含み、上記MgNi生成工程は、上記前駆物質の温度をMgNiの包晶点より高くする第一の加熱工程と、上記第一の加熱工程後に、前駆物質の温度をMgNiの包晶点以下とする冷却工程と、上記冷却工程後に、前駆物質の温度をMgNi2の包晶点より高くする第二の加熱工程とを含むことを特徴とする。
【0035】
それゆえに、従来の製造方法と比較して、未反応のMgおよび副生成物であるMgNiの含有量が少ないMgNiを製造することができる。
【0036】
また、上記製造方法によって製造されたMgNi合金、および当該MgNi合金を微細化して得られる粉体は、水素吸蔵体またはその材料として好適に利用することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0037】
<1.MgNi合金の製造方法>
本発明に係るMgNi合金の製造方法は、MgとNiとを含む前駆物質からIFACSによってMgNiを生成するMgNi生成工程を含み、上記MgNi生成工程は、上記前駆物質の温度をMgNiの包晶点より高くする第一の加熱工程と、上記第一の加熱工程後に、前駆物質の温度をMgNiの包晶点以下とする冷却工程と、上記冷却工程後に、前駆物質の温度をMgNi2の包晶点より高くする第二の加熱工程とを含めばよい。
【0038】
なお、その他の工程、温度、材料、製造設備・器具等の諸条件については、特に限定されるものではない。
【0039】
前駆物質とは、MgとNiとを含むものであればよく、他の組成、MgとNiとの量比等は特に限定されない。なお、説明の便宜上、前駆物質とは、原料、および本発明に係る各工程の対象となる物質の両方を含むものとする。つまり、第二の加熱工程を終えた最終製造物以外は、第一の加熱工程、冷却工程を経た物質についても、MgNiの含有量に関わらず、前駆物質と称するものとする。
【0040】
本発明に利用されるIFACSとしては、特に言及しない限り、従来のIFACSと同様の手法を好適に利用することができる。つまり、具体的には以下の通りである。まず、圧粉体とした前駆物質の周りを電気伝導性媒体(例えばカーボンシート)で覆う。この電気伝導性媒体の周囲にはコイルを配する。この状態で高周波電流を上述のコイルに流すと、電気伝導性媒体が誘導加熱され、その結果、媒体で囲まれた前駆物質が加熱される。また、誘導加熱は加圧下で行われ、特に、粒状固体を圧力媒体として用いた加圧下で行われることが好ましい。IFACSについては、本発明者らによる論文(M. Shibuya et al., J. Am. Ceram. Soc., Vol86, No.4 P706-710 (2003))に、詳細に記載されている。
【0041】
IFACSでは、高周波電流の出力を制御することによって、反応前、反応中、反応後の前駆物質の温度を制御することができる。
【0042】
本発明において、第一および第二の加熱工程は、上述のIFACSによって前駆物質を加熱する工程である。
【0043】
第一の加熱工程に供する前駆物質は、混合物または合金等、その状態は限定されないが、含まれるMgとNiとのモル比(Mg/Ni)は、1.9〜2であることが好ましい。この比率の場合、純度の高いMgNiを得ることができる。
【0044】
第一の加熱工程では、上述したように、前駆物質を、その温度がMgNiの包晶点より高くなるように加熱する。なお、MgNiの理論上の包晶点は760℃であるので、MgNiの包晶点より高い温度とは、760.1℃以上であってもよい。
【0045】
本製造方法が、このように純度の高いMgNiを製造することができる理由としては、次のような仮説が考えられる。まず、上記温度で加熱することによって、MgNi生成反応をより早く進めることが。従って、Mgをほぼ完全に反応させるまでの加熱時間が短縮される。これによって、未反応Mgの含有量の少ないMg2Ni含有組成物を短時間で製造することができる。さらに、加熱時間を短くすることによって、Mgの蒸発量を低く抑えることができる。その結果、MgNi2の生成量も低く抑えることができる。このように、上記温度範囲によると、不純物が少ないMg2Ni含有組成物を製造することができると考えられる。但し、これは単なる仮説であって、本発明を限定するものではない。すなわち、本発明と同様の条件で、高純度のMgNiを製造することができる方法であれば、これ以外の理由によるものであっても、本発明の範疇に含まれる。
【0046】
また、第一の加熱工程における温度条件は1000℃未満であることが好ましい。加熱温度が高くなると、短時間でもMgの蒸発量が多くなり、その結果MgNiの生成量が多くなってしまう。しかし、1000℃以下では、MgNiの生成量が比較的低く抑えられるので、得られるMGNi合金中のMgNi含有量が少なくなる。なお、温度条件としては、特に850℃〜950℃の範囲内であることが好ましい。
【0047】
なお、第二の加熱工程は、下記冷却工程によって冷却された前駆物質を、再びMg2Niの包晶点より高い温度にまで加熱する工程である。第二の加熱工程として好ましい温度条件は、上述の第一の加熱工程と同様である。
【0048】
冷却工程は、第一の加熱工程後の前駆物質を、MgNiの包晶点以下にまで冷却する工程である。この工程によって、Mg−Niの融液から、NgNi相が析出する。なお、このときの温度は、25℃以上であることが好ましく、600℃であることが最も好ましい。
【0049】
第二の加熱工程は、上記冷却工程によって冷却された前駆物質を、再びMg2Niの包晶点より高い温度にまで加熱する工程である。なお、第二の加熱工程として好ましい温度条件は、上述の第一の加熱工程と同様である。
【0050】
なお、各工程での処理時間は、純度の高いMgNiを生成することができる時間であればよく、特に限定されるものではない。
【0051】
以上の第一の加熱工程、冷却工程、および第二の加熱工程工程によって、MgNiの含有量が少なく、さらには未反応Mgの含有量も少ないMgNi合金を製造することが可能となる。
【0052】
なお、必要に応じて、500℃〜600℃(600℃程度)の穏やかな温度条件で反応させる工程を、第二の加熱工程の後に行ってもよい。このとき加熱する方法としては、電気炉による加熱が好適である。
<2.MgNi粉体の製造方法>
本発明に係るMgNi粉体の製造方法は、上記<1>欄で述べた方法によって製造されたMgNi合金を微細化する微細化工程を含めばよく、微細化する方法、使用する装置、試薬、および他に含まれる工程等は特に限定されるものではない。
【0053】
微細化する方法としては、メカニカルグラインディング(MG:Mechanical Grinding)が特に好ましい。本発明では、従来利用されてきたMGを好適に利用可能である。MGの概略は次の通りである。不活性ガスを充填したポットと呼ばれる容器内にボールと試料とを封入し、遊星型ボールミル等の装置によってポットを回転させる。すると、ボールや容器との衝突により、試料の破砕および圧粉を繰り返され、試料が微細化される。
【0054】
微細化されるにつれて、MgNi合金中のMgNiの結晶子サイズは小さくなり、格子歪み量は大きくなる。結晶子サイズおよび格子歪み量は水素吸蔵能に影響を与えるので、微細化の程度、すなわち微細化によって得られるMgNi粉体中の結晶子サイズ、および格子歪み量は、目的に合わせて適宜設定すればよい。例えば、「微細化する」とは、MgNiの平均結晶子サイズを100nm以下とすることであってもよいし、格子歪みの量を0.01%以上とすることであってもよい。
【0055】
MgNiの平均結晶子サイズを微細化すると、微細化していないMgNi合金よりも、水素を取り込みやすくなるという効果を奏する。つまり、水素化反応速度を増加させること、および水素吸蔵平衡圧を低下させることの少なくとも一方を実現できる。
【0056】
また、平均結晶子サイズを5nm以上とすると、水素吸蔵量を低下させずに水素化反応速度を上げることができる。格子歪み量を1%以下とした場合も、同様の効果を得ることができる。
【0057】
さらに、平均結晶子サイズを10nm以上70nm以下とすることで、微細化していないMg2Ni合金よりも水素吸蔵量を増加させることができる。格子歪み量を0.01%以上0.6以下とした場合も、同様の効果を得ることができる。
【0058】
Mg2Ni粉体の平均結晶子サイズを100nm以下とするためには、例えば、Mg2Ni合金:ボールの重量比を1:20とし、遊星型ボールミルを用いた回転数300rpmのMGで、5分以上微細化すればよい。格子歪み量を0.01%以上とする場合も同様である。
【0059】
また、Mg2Ni粉体の平均結晶子サイズを5nm以上とするためには、上記条件によるMG時間(粉砕時間)を420分以下とすればよい。格子歪み量を1%以下とする場合も同様である。
【0060】
また、Mg2Ni粉体の平均結晶子サイズを10nm以上70nm以下とするためには、上記条件によるMG時間を5分以上360分以下とすればよい。格子歪み量を0.01%以上0.6%以下とする場合も同様である。
【0061】
<3.Mg2Ni合金およびMg2Ni粉体並びにその利用>
本発明には、上記<1>欄の製造方法で製造されたMg2Ni合金が含まれる。このMg2Ni合金は、未反応のMgおよびMgNi2の含有量が少ない。そのため、本発明に係るMg2Ni合金は、水素吸蔵体またはその原料として、非常に好適に利用することができる。
【0062】
また、本発明には、上記<2>欄の製造方法で製造されたMgNi粉体が含まれる。このMgNi粉体は、上述したように微細化されているため、優れた水素吸蔵特性を示す。そのため、本発明に係るMgNi粉体も、上記MgNi合金と同じく、水素吸蔵体またはその原料として、非常に好適に利用することができる。
【0063】
それゆえ、本発明には、上記MgNi合金および上記MgNi粉体のうち少なくとも1つを含む水素吸蔵体も含まれる。すなわち、本発明の水素吸蔵体は、上記MgNi合金および/または上記MgNi粉体を含む。
【0064】
なお、本発明に係る水素吸蔵体は、MgNi合金およびMgNi粉体の含有量、MgNi合金およびMgNi粉体以外に含まれる組成、形状、使用目的等は、何ら限定されるものではない。また、MgNi以外の水素吸蔵合金をさらに含んでいてもよい。
【0065】
本発明は上述した実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能である。すなわち、請求項に示した範囲で適宜変更した技術的手段を組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。
【実施例】
【0066】
以下、実施例により、本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。
【0067】
〔実施例1〕
(A)IFACSによるMgNiの生成
粉末調製はMg粉末(平均粒径180μm、純度99.9%、高純度化学製)、Ni粉末(平均粒径63μm、純度99.9%、高純度化学製)を用いた。
【0068】
これらの粉末をMg/Ni=2(モル比)となるように窒化珪素製のボールおよびポットを用いて乾式混合(回転数:100rpm、ボールの重量/粉末の重量=10、ポット容量:250ml、混合時間:2時間)した。この混合粉末を円柱金型(直径40mm×高さ5.0mm)を用いてハンドプレスにて圧粉成形(成形圧:70MPa)した。
【0069】
高周波誘導加熱用の炭素シート(厚さ:0.4mm、日本カーボン製)でカプセル(直径40mm×高さ5.0mm)を作製し、その中に圧粉体を入れ、熱伝対(アルメル−クロメル)を装着した。次に、第一章で示したように鋳物砂とともに絶縁性セラミック容器に充填した。次に高周波コイルに通電することによりカーボン製カプセルを発熱させ、MgNiを生成した(MgNi生成工程)。このときの温度プロファイルを図1に示す。
【0070】
本実施例のIFACSでは、図1に示すように、まず高周波出力70%(電圧60V、電流135A、周波数70kHz)で950℃まで温度を上げ(第一の加熱工程)、その後、600℃まで冷却し(冷却工程)、さらに、高周波出力50%(電圧45V、電流100A、周波数70kHz)で900℃とした(第二の加熱工程)。
【0071】
なお、本実施例では、IFACS後、未反応のMgをより穏やかに反応させるために、電気炉で600℃、2.5時間熱処理を行い、下記(B)欄の操作に用いた。
(B)粉末X線回折による評価
上記(A)欄の操作によって得られた試料を、耐水研磨紙により研磨した後、メノウ製乳鉢によって粉砕した。粉砕後の試料の組成を、X線回折装置(Rint2000、Rigaku製)による粉末X線回折で調べた。結果を図2に示す。
【0072】
図2は、図1中に(a)〜(b)として示す時点における試料のX線回折の結果を表すXRD(X-Ray Diffraction)パターンである。
【0073】
図2に示すように、本実施例のMgNi合金(図2(d))は、MgまたはMgNiといった不純物が少なく、非常に純度の高いMgNi合金であることが分かる。
【0074】
本実施例は、下記比較例1(900℃で温度を保持した場合)とは異なり、MgNi生成工程が進むにつれてMgが減少していくが、MgNiは生成されなかった。つまり、本実施例でのMgの減少は、MgNiの生成に起因するものであって、Mgの蒸発に起因するものではないことが分かる。
【0075】
また、図3にMg−Niの相関図を示す。図3を見るとMg−Niの粉末が液相になると必然的にMgとMgNiが生成するにもかかわらず、本実施例ではMgNiがほとんど生成せず、MgNiのピークが認められなかった。
【0076】
これは、本実施例ではMgの蒸発を比較的抑えることができることに加え、完全に溶解せずに、燃焼反応によってほぼ固体の状態で反応が進行することによって、MgNiが生成されず、MgNiが生成したためであると考えられる。
【0077】
なお、本発明者らは、この条件でMgNiの製造を繰り返しても同様の結果、すなわち純度の高いMgNiが再現性よく得られことを確認している。また、本実施例1の試料(d)を市販の純度99.9%MgNiのXRDパターンと比較したところ、市販のMgNiよりも純度が高いことが分かった。つまり、本実施例の条件によって、99.9%より高い純度のMgNiを製造することができた。
【0078】
(C)水素吸蔵放出特性の評価
また、上記(B)欄で述べたようにメノウ製乳鉢によって粉砕した後の試料の水素吸蔵放出特性を、PCT曲線測定装置(PTC-A04、LESCA製)によって評価した。なお、PCT曲線(Pressure-Composition-Temperature curve)、すなわち圧力−組成等温線は、水素吸蔵量、吸蔵・放出平衡圧力、反応熱、エントロピー変化等の水素吸蔵体の静的特性に関する数値を求めることができる、最も基本的かつ重要なデータである。
【0079】
図4は、350℃で測定した本実施例のPCT曲線である。図4に示すように、本実施例のMgNi合金の水素吸蔵量は3.5wt%であり、MgNiの水素吸蔵量の理論値3.6wt%に近い値を示した。すなわち、本実施例のMgNi合金は良好な水素吸蔵量を有することが分かった。
【0080】
(D)水素化
本実施例のMgNi合金を、上記(B)欄と同様にして粉砕した後、ジーベルツ法PCT評価装置で水素化し、上記(B)欄と同様にして粉末X線回折を行った。
【0081】
Mgが未反応のまま含まれていると、MgHのピークが現れるが、本実施例ではMgHのピークが見られず、MgNiHのピークのみが確認された(データ不図示)。これは、本実施例ではほぼ単相のMgNiを得ることができたことを示している。
【0082】
〔比較例1〕
IFACSの温度条件以外は、実施例1の(A)欄と同様の操作によって比較例1のMgNi試料を得た。
【0083】
本比較例のIFACSでは、高周波出力50%(電圧45V、電流100A、周波数70kHz)とし、図5に示すように、1000℃まで加熱した。図5に示す(e)500℃、(f)600℃、(g)700℃、(h)900℃、(i)1000℃まで加熱した試料について、上記(B)欄と同様にX線回折を行った。結果を図6に示す。
【0084】
図6から、MgNiを生成するには、600℃以上とすることが好ましいことが分かる。また、1000℃以上となると、MgNiが増加した。これは、Mgの蒸発量が増加したことによると考えられる。
【0085】
〔比較例2〕
IFACSの温度条件以外は、実施例1の(A)欄と同様の操作によって、比較例2のMgNi試料を得た。
【0086】
本比較例のIFACSでは、高周波出力70%(電圧60V、電流135A、周波数70kHz)とし、図7に示すように、反応温度は900℃とした。IFACSによる加熱を開始してから(k)3分、(l)5分、(m)7分、(n)10分後の試料について、上記(B)欄と同様にX線回折を行った。
【0087】
X線回折の結果、加熱開始から3分では未反応のMgが残っており、5分以上加熱するとMgNiのピークが確認された(データ不図示)。
【0088】
図3から、MgとNiとの配合比(モル比)がMg/Ni=2のとき、液相から包晶反応を経て760℃でMgNiが生成し始める。そこで本発明者らはMgNiが生成しない700℃で保持するIFACSを行った。しかし、加熱時間が5分以下のときは未反応のMgおよびNiが検出され、さらに反応時間を増加させると、Mgは減少したものの、Niについてはほとんど減少しなかった(データ不図示)。これはMgの減少が蒸発によるものであり、反応時間を進めても、新たなMgNiは生成されていないことを示す。
【0089】
このように、未反応のMg量を減らすために単に温度を上げて反応を進める、またはMgNiの生成量を減らすために温度を下げるという方法では、純度の高いMgNiを得ることは難しかった。
【0090】
〔実施例2〜8〕
(E)微細化工程
上記実施例1の(A)欄で得られた試料(d)を電気炉で600℃、2.5時間熱処理することで残留している微量のMgを反応させた。
【0091】
次に、このMgNiをメノウ製乳鉢によって適度に粉末にした。窒化珪素製のポットとボールを用いて、MgNi粉末とボールの重量比を1:20に調製し、アルゴン充填した遊星型ボールミル(P−5、フリッチュ製)を用い、回転数300rpmで、1〜360分間微細化を行った(微細化工程)。なお、乳鉢によって粉末にし、MGを行わなかったものを微細化0分とする(実施例1と同一なので、以下、実施例1とする)。MGが1分、5分、10分、20分、30分、3時間、6時間の試料を実施例2〜8とする。
(F)評価
こうして微細化した試料について、粉末X線回折、粒度分布測定、水素吸蔵放出測定による評価を行った。
【0092】
0〜360分間MG処理を行った試料のXRDパターン(図8)では、MG時間が増えるにつれてピーク強度が減少していき、ピーク幅が拡がっていた。これは、MG時間の増加に伴ってMgNi合金が微細化し、MgNiの結晶子サイズが小さくなることによると考えられる。
【0093】
このXRDパターン結果から、Halder-Wagner equation式により求めた結晶子サイズと粉砕時間(MG時間)との関係を図9に、格子歪み量と粉砕時間との関係を図10に示す。MGが比較的短時間(3時間以下)の間は、粉砕時間が長くなるにつれて、結晶子サイズは急激に小さくなった。しかし、MGが3時間を超えると、結晶子サイズの低下は緩やかとなる。また、結晶子サイズと同様に、歪み(strain)の大きさも、MGが180分以上となると増加は緩やかになった。
【0094】
SEM写真によって解析したところ、MGを行っていないもの(MG0分、実施例1)は、粒径が約10μm〜250μmであり、個々の粒子で大きさの差が大きかった。また、MG3時間(実施例7)では約10μm以下の粒径、MG6時間(実施例8)では約2μm以下の粒径であることが観察された(データ不図示)。
【0095】
また、MGを30分以内としたものについて、粒度分布測定によって粒径を測定した。結果を図11に示す。
【0096】
図11に示すように、微細化処理を行っていないものは広い分布をもつが、微細化処理時間が長くなるにつれて粒径が小さくなっていくと共に、分布の幅が狭くなった。よって、微細化処理が数分であっても、処理時間とともに粒径が小さくなっていく傾向があることが観察できた。
【0097】
実施例7,8について、上記(C)欄と同様の操作によって、水素吸蔵・放出特性を調べた(図12)。
【0098】
また、実施例1〜4(MG時間0〜10分)についても上記(C)欄と同様の操作を行い、それぞれの水素吸蔵特性を測定した。
【0099】
図13・14に、実施例1〜4のPCT曲線を示す。図14は図13の要部を示すPCT曲線である。また、図15に、粉砕時間と水素吸蔵量との関係を表すグラフを、図16には、粉砕時間と水素吸蔵・放出平衡圧との関係を表すグラフを示す。
【0100】
MgNiの水素吸蔵量の理論値3.6wt%に対して、実施例1(MG0分)は上述したように水素吸蔵量3.5wt%であったが、実施例7は3.0wt%、実施例8は2.7wt%であった(図12)。これは、先ほどの図8のXRDパターン結果からも分かるように、MGを長時間(3時間以上)行うことによって、MgNiの結晶構造が壊れてアモルファスとなったためであると考えられる。アモルファスは、水素が侵入してきても水素を保持し続けられず、放出してしまう傾向にある。
【0101】
一方、実施例1では水素吸蔵平衡圧(水素吸蔵プラトー圧)が約0.8MPaであったのに対して、実施例7では約0.2MPaであった(図12)。このことから、MG処理することによって、一つ一つの結晶が微細化され水素拡散距離が短くなり、その結果、高圧を必要とせず比較的低圧で結晶内部へ水素が拡散すると考えられる。実施例8についても同様のことが言える。図16でも、同様に、MGの時間が増加するに伴って、水素吸蔵・放出平衡圧力は低下した。つまり、微細化することによって、MgNi合金は水素を取り込みやすくなった。
【0102】
図13〜16に示すように、実施例3(MG5分)は特に大きい水素吸蔵量(3.56wt%)を示した。これは、理論値に非常に近い値である。その理由として、MG処理によって適度に微細化された結果、水素の拡散距離が短くなるとともに、水素保持能力の低いアモルファスが少ないためであると考えられる。
【0103】
水素吸蔵のしやすさを調査するために、水素化反応速度を調査した。各試料を4MPaの水素雰囲気下、350℃の温度で加熱したときの圧力変化を10秒ごとに測定し吸蔵量を求めると、MG時間が増加するにつれて水素化速度が増加していることが確認された(不図示)。
【産業上の利用可能性】
【0104】
本発明に係る水素吸蔵体は、エネルギー、化学、金属、機械等の分野で広く利用可能であり、具体的には、水素自動車、水素の貯蔵・輸送装置、蓄熱装置、発電システム、コンプレッサー、センサー、アクチュエーター、水素精製・回収装置、および触媒等に利用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0105】
【図1】本発明の実施例におけるIFACSの温度プロファイルを示すグラフである。
【図2】本発明の実施例におけるMgNi合金のX線回折結果を表すXRDパターンである。
【図3】Mg−Niの相関図である。
【図4】本発明の実施例の水素吸蔵・放出特性を表すPCT曲線である。
【図5】比較例におけるIFACSの温度プロファイルを示すグラフである。
【図6】比較例におけるMgNi合金のX線回折結果を表すXRDパターンである。
【図7】比較例におけるIFACSの温度プロファイルを表すグラフである。
【図8】本発明の実施例におけるMgNi粉末のX線回折結果を表すXRDパターンである。
【図9】本発明の実施例おけるMgNi粉体における結晶子サイズと粉砕時間(MG時間)との関係を表すグラフである。
【図10】本発明の実施例おけるMgNi粉体における格子歪み量と粉砕時間(MG時間)との関係を表すグラフである。
【図11】本発明の実施例におけるMgNi粉末の粒子径分布を表す分布図である。
【図12】本発明の実施例におけるMgNi粉末の水素吸蔵・放出特性を表すPCT曲線である。
【図13】本発明の実施例におけるMgNi粉末の水素吸蔵・放出特性を表すPCT曲線である。
【図14】図13の要部を示すPCT曲線である。
【図15】本発明の実施例における粉砕時間(MG時間)と水素吸蔵量との関係を表すグラフである。
【図16】本発明の実施例における粉砕時間(MG時間)と水素吸蔵・放出平衡圧との関係を表すグラフである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
MgとNiとを含む前駆物質から誘導場活性化燃焼合成法(IFACS)によってMgNiを生成するMgNi生成工程を含み、
上記MgNi生成工程は、
上記前駆物質の温度をMgNiの包晶点より高くする第一の加熱工程と、
上記第一の加熱工程後に、前駆物質の温度をMgNiの包晶点以下とする冷却工程と、
上記冷却工程後に、前駆物質の温度をMgNi2の包晶点より高くする第二の加熱工程とを含むことを特徴とするMgNi合金の製造方法。
【請求項2】
上記第一および上記第二の加熱工程の少なくとも一方は、前駆物質の温度を850℃以上とすることを特徴とする請求項1に記載のMgNi合金の製造方法。
【請求項3】
上記第一および上記第二の加熱工程の少なくとも一方は、前駆物質の温度を1000℃未満とすることを特徴とする請求項1または2に記載のMgNi合金の製造方法。
【請求項4】
上記冷却工程は、前駆物質の温度を25℃以上とすることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載のMgNi合金の製造方法。
【請求項5】
上記第一の加熱工程は、前駆物質の温度を950℃とすることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載のMgNi合金の製造方法。
【請求項6】
上記冷却工程は、前駆物質の温度を600℃とすることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載のMg2Ni合金の製造方法。
【請求項7】
上記第二の加熱工程は、前駆物質の温度を900℃とすることを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載のMgNi合金の製造方法。
【請求項8】
請求項1〜7のいずれか1項に記載の方法によって製造されたMgNi合金を微細化する微細化工程を含むことを特徴とするMgNi粉体の製造方法。
【請求項9】
上記微細化工程は、MgNiの結晶子サイズを100nm以下とすることを特徴とする請求項8に記載のMgNi粉体の製造方法。
【請求項10】
上記微細化工程は、上記結晶子サイズを5nm以上とすることを特徴とする請求項8または9に記載のMgNi粉体の製造方法。
【請求項11】
上記微細化工程は、MgNiの格子歪み量を0.01%以上とすることを特徴とする請求項8〜10のいずれか1項に記載のMgNi粉体の製造方法。
【請求項12】
上記微細化工程は、MgNiの格子歪み量を1%以下とすることを特徴とする請求項8〜11のいずれか1項に記載のMgNi粉体の製造方法。
【請求項13】
上記微細化工程は、メカニカルグラインディング(MG)によってMgNi合金を微細化することを特徴とする請求項8〜12のいずれか1項に記載のMgNi粉体の製造方法。
【請求項14】
請求項1〜7のいずれか1項に記載の方法によって製造されることを特徴とするMgNi合金。
【請求項15】
請求項8に記載の方法で製造されるMgNi粉体であって、MgNiの結晶子サイズが100nm以下であることを特徴とするMgNi粉体。
【請求項16】
請求項9に記載の方法で製造されるMgNi粉体であって、MgNiの格子歪み量が0.01%以上であることを特徴とするMgNi粉体。
【請求項17】
請求項8〜13のいずれか1項に記載の製造方法で製造されることを特徴とするMgNi粉体。
【請求項18】
請求項14に記載のMgNi合金、および/または、請求項15〜17のいずれか1項に記載のMgNi粉体のうち少なくとも1つを含むことを特徴とする水素吸蔵体。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【公開番号】特開2007−46119(P2007−46119A)
【公開日】平成19年2月22日(2007.2.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−232547(P2005−232547)
【出願日】平成17年8月10日(2005.8.10)
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第1項適用申請有り 2005年2月16日 龍谷大学発行の「2004年度(平成16年度)修士論文要旨集」に発表
【出願人】(597065329)学校法人 龍谷大学 (120)
【Fターム(参考)】