N‐(2‐アミノフェニル)‐4‐[N‐(ピリジン‐3‐イル)‐メトキシカルボニル‐アミノメチル]‐ベンズアミド(MS‐275)結晶多形B
式(I)によって表されるN‐(2‐アミノフェニル)‐4‐[N‐(ピリジン‐3‐イル)‐メトキシカルボニル‐アミノメチル]‐ベンズアミド(MS‐275)の結晶性多形B、並びに前述の化合物の製造方法、そして選択された疾患の治療薬としてのその使用を説明する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、N‐(2‐アミノフェニル)‐4‐[N‐(ピリジン‐3‐イル)‐メトキシカルボニル‐アミノメチル]‐ベンズアミド(MS‐275)の結晶性多形B、製造方法、及び選択された疾患の治療薬としての前述の化合物の使用に言及する。
【背景技術】
【0002】
EP 0 847 992 A1(その対応する特許はUS 6,794,392である)には、悪性腫瘍、自己免疫疾患、皮膚科的疾患、及び寄生虫感染症の治療薬としてのベンズアミド誘導体が記載されている。特に、これらの誘導体は、血液学的悪性腫瘍と固形腫瘍に好適な抗癌剤として極めて有効である。N‐(2‐アミノフェニル)‐4‐[N‐(ピリジン‐3‐イル)‐メトキシカルボニル‐アミノメチル]‐ベンズアミドの調製は、第57頁の実施例48に記載されている。当該化合物は、クロマトグラフィーによって精製されていないし、また炭(charcoal)での処置によって精製されてもいない。前記方法の最終ステップには、エタノールからの再結晶が含まれている。
【0003】
前述の化合物は、159〜160℃の融点(mp)を有している。
IRスペクトルは、以下のバンド:IR(KBr)cm-1:3295、1648、1541、1508、1457、1309、1183、742を示している。
このデータは結晶多形Aの形態を示している。
【0004】
EP 0 974 576 B1には、モノアシル化フェニレンジアミン誘導体の製造方法が記載されている。N‐(2‐アミノフェニル)‐4‐[N‐(ピリジン‐3‐イル)‐メトキシカルボニル‐アミノメチル]‐ベンズアミドの調製は、第12〜13頁の実施例6に記載されている。前記方法の最終ステップには、シリカゲルカラムクロマトグラフィーによる化合物の精製が含まれている。
前述の化合物は、159〜160℃の融点(mp)を有している。
IRスペクトルは、以下のバンド:IR(KBr)cm-1:3295、1648、1541、1508、1457、1309、1183、742を示している。
このデータは結晶多形Aの形態を示している。
【0005】
J.Med.Chem.1999、42、3001‐3003には、新しいベンズアミド誘導体の合成とヒストンデアセチラーゼ(HDAC)の阻害が記載されている。N‐(2‐アミノフェニル)‐4‐[N‐(ピリジン‐3‐イル)‐メトキシカルボニル‐アミノメチル]‐ベンズアミドの製造方法が記載されている。前記方法の最終ステップには、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(酢酸エチル)による化合物の精製が含まれている。
前述の化合物は、159〜160℃の融点(mp)を有している。
IRスペクトルは、以下のバンド:IR(KBr)cm-1:3295、1648、1541、1508、1457、1309、1183、742を示している。
前記データは結晶多形Aの形態を示している。
【0006】
WO 01/12193 A1には、N‐(2‐アミノフェニル)‐4‐[N‐(ピリジン‐3‐イル)‐メトキシカルボニル‐アミノメチル]‐ベンズアミドを含んでなる医薬製剤が記載されている。
WO 01/16106には、ベンズアミド誘導体に関して高い溶解性と改善された経口吸収を有するN‐(2‐アミノフェニル)‐4‐[N‐(ピリジン‐3‐イル)‐メトキシカルボニル‐アミノメチル]‐ベンズアミド、及び医薬として許容され得るその塩を含んでなる製剤が記載されている。
【0007】
WO 2004/103369には、ヒストンデアセチラーゼ阻害剤を含んでなる医薬組成物が記載されている。該出願は、別の癌活性化合物と、N‐(2‐アミノフェニル)‐4‐[N‐(ピリジン‐3‐イル)‐メトキシカルボニル‐アミノメチル]‐ベンズアミドとの併用に関係している。実は、その出願は後願であり、先に触れた物質に基づいているので、結晶多形Aの形態に関係している。
【0008】
最後に、JP 2001‐131130(11‐317580)では、モノアシルフェニレンジアミン誘導体の精製方法を記載している。参考例2では、未精製のN‐(2‐アミノフェニル)‐4‐[N‐(ピリジン‐3‐イル)‐メトキシカルボニル‐アミノメチル]‐ベンズアミドの製造方法が記載されている。
前述の化合物は、159〜160℃の融点(mp)を有している。
IRスペクトルは、以下のバンド:IR(KBr)cm-1:3295、1648、1541、1508、1457、1309、1183、742を示している。
このデータは結晶多形Aの形態を示している。
【0009】
そのうえ、実施例1では、活性炭を伴った水性酸性媒体を用いた未精製のN‐(2‐アミノフェニル)‐4‐[N‐(ピリジン‐3‐イル)‐メトキシカルボニル‐アミノメチル]‐ベンズアミドの精製が記載されている。最終的な結晶化は40〜50℃にて水性条件下でおこなわれている。
【0010】
その実施例に対する説明に続いて、未精製のN‐(2‐アミノフェニル)‐4‐[N‐(ピリジン‐3‐イル)‐メトキシカルボニル‐アミノメチル]‐ベンズアミドがエタノール、メタノール又はアセトニトリル中の還流温度条件下での溶解と、それに続く2℃での再結晶によって精製されないことが比較実施例1〜3からわかっている。その結果、これらの再結晶ではいずれの純粋化合物も得ていない。
【0011】
加えて、活性炭を伴った還流温度条件下におけるエタノール中での未精製のN‐(2‐アミノフェニル)‐4‐[N‐(ピリジン‐3‐イル)‐メトキシカルボニル‐アミノメチル]‐ベンズアミドの「精製」が記載されている。活性炭で濾別した後に、化合物を2℃で再結晶させている。この方法の精製効果は非常に限られている。1.1%の不純物質が、N‐(2‐アミノフェニル)‐4‐[N‐(ピリジン‐3‐イル)‐メトキシカルボニル‐アミノメチル]‐ベンズアミド中に残っている。その結果、この手順ではいずれの純粋化合物も得ていない。
【0012】
最新の文献はN‐(2‐アミノフェニル)‐4‐[N‐(ピリジン‐3‐イル)‐メトキシカルボニル‐アミノメチル]‐ベンズアミドの結晶多形Bに言及しておらず、そして、前述の化合物の物理化学特性も知られていない。
いくつかの生物学的研究及び臨床研究が、N‐(2‐アミノフェニル)‐4‐[N‐(ピリジン‐3‐イル)‐メトキシカルボニル‐アミノメチル]‐ベンズアミドを対照におこなわれた。例えば、Kummarら、Clin Cancer Res.13(18)、2007年、5411〜5417ページでは、難治性固形腫瘍におけるN‐(2‐アミノフェニル)‐4‐[N‐(ピリジン‐3‐イル)‐メトキシカルボニル‐アミノメチル]‐ベンズアミドの第一相試験が記載されている。前記化合物は経口的に適用された。
【0013】
進行性の難治性固形腫瘍又はリンパ腫における更なる試験が、Ryanら、J.Clin.Oncol.、Vol.23、17、2005年、3912〜3922ページ及びゴアら、Clin Cancer Res.、Vol14、2008年、4517〜4525ページによって公開された。
難治性、且つ、再発性の急性白血病を患っている成人における更なる活性が、Gojoら、Blood、Vol.109、2007年、2781〜2790ページによって公開されている。
【0014】
工程開発(スケールアップや変更された精製工程)の過程の中で、驚いたことに、先に触れた最新技術の中で記載されているN‐(2‐アミノフェニル)‐4‐[N‐(ピリジン‐3‐イル)‐メトキシカルボニル‐アミノメチル]‐ベンズアミドの既知の形態は、前述の化合物の熱力学的に安定した結晶多形でなく、少なくとも60℃未満の関連温度範囲内で熱力学的に安定した結晶多形ではないが、しかし、N‐(2‐アミノフェニル)‐4‐[N‐(ピリジン‐3‐イル)‐メトキシカルボニル‐アミノメチル]‐ベンズアミドの結晶多形Aは熱力学的に安定した結晶多形であることがここでわかった。
【0015】
このことは、結晶多形Aを使用するとき、医薬品開発にN‐(2‐アミノフェニル)‐4‐[N‐(ピリジン‐3‐イル)‐メトキシカルボニル‐アミノメチル]‐ベンズアミドの熱力学的に安定した結晶多形を使用していないという問題を生じる。このことは、例えば、N‐(2‐アミノフェニル)‐4‐[N‐(ピリジン‐3‐イル)‐メトキシカルボニル‐アミノメチル]‐ベンズアミドの結晶多形Aの形態が、(例えば、原薬としての保管中、並びに薬物製造中に)部分的又は完全にN‐(2‐アミノフェニル)‐4‐[N‐(ピリジン‐3‐イル)‐メトキシカルボニル‐アミノメチル]‐ベンズアミドの他の結晶多形の形態に転換する危険性を生み出す。しかしながら、固体形態の転換が特性の変化に関連するので、安定した固体状形態が医薬品を開発するための前提条件である。
【0016】
加えて、より大きなスケールにおいて純粋な多形相としての結晶多形Aのための確かな製造方法を確立することが不可能であった。
更なる問題は、高い化学的純度を有する結晶多形Aの確かな製造である。
【0017】
これらの問題は、本明細書中に記載のN‐(2‐アミノフェニル)‐4‐[N‐(ピリジン‐3‐イル)‐メトキシカルボニル‐アミノメチル]‐ベンズアミドの熱力学的に安定した結晶多形である、結晶多形Bによってここに解決される。
【発明の概要】
【0018】
以下の式(I):
【化1】
によって表される本発明のN‐(2‐アミノフェニル)‐4‐[N‐(ピリジン‐3‐イル)‐メトキシカルボニル‐アミノメチル]‐ベンズアミド結晶多形Bは、以下のステップ:
a)5℃未満の一定の反応器内温度にて、未精製のN‐(2‐アミノフェニル)‐4‐[N‐(ピリジン‐3‐イル)‐メトキシカルボニル‐アミノメチル]‐ベンズアミドを水中に懸濁し、希塩酸をその反応混合物に加え、そして
b)前述の反応混合物に炭を加え、次に、その反応混合物を5℃未満の一定の温度にて1〜20時間撹拌し、そして
c)それを濾過して溶液から炭を取り除き、それを水ですすぎ、そして
d)容器内温度を5℃未満に維持しながら、希水酸化ナトリウム水溶液で反応混合物のpH≧を8に調整し、そして
e)得られた沈殿N‐(2‐アミノフェニル)‐4‐[N‐(ピリジン‐3‐イル)‐メトキシカルボニル‐アミノメチル]‐ベンズアミドを、水とエタノールで洗浄し、乾燥させ、そして
f)沈殿物をエタノールと水の混合物中に懸濁し、それを40〜90℃の温度にて1〜10時間加熱し、そして
g)混合物を冷ました後に、得られた沈殿物を、水とエタノールですすいで、純粋なN‐(2‐アミノフェニル)‐4‐[N‐(ピリジン‐3‐イル)‐メトキシカルボニル‐アミノメチル]‐ベンズアミド結晶多形Bを得、それを続いて30〜60℃の温度にて乾燥させる、
を含んでなる方法によって得ることができる。
【0019】
本発明の方法もまた当発明の対象である。
ステップa)の未精製のN‐(2‐アミノフェニル)‐4‐[N‐(ピリジン‐3‐イル)‐メトキシカルボニル‐アミノメチル]‐ベンズアミドは、EP 0 974 576 B1の実施例6に記載の方法に従って製造できる。
【0020】
当方法に従って製造された本発明のN‐(2‐アミノフェニル)‐4‐[N‐(ピリジン‐3‐イル)‐メトキシカルボニル‐アミノメチル]‐ベンズアミド結晶多形Bは、少なくとも94%、好ましくは少なくとも96%、さらに好ましくは少なくとも98%、さらにより好ましくは少なくとも99%、最も好ましくは少なくとも99.5%の化学的純度を有するであろう。
【0021】
本発明のN‐(2‐アミノフェニル)‐4‐[N‐(ピリジン‐3‐イル)‐メトキシカルボニル‐アミノメチル]‐ベンズアミド結晶多形Bには全く結晶多形Aの形態が含まれないことに注意するべきである。
例えば、ステップc)を終えた後に、不十分な純度のN‐(2‐アミノフェニル)‐4‐[N‐(ピリジン‐3‐イル)‐メトキシカルボニル‐アミノメチル]‐ベンズアミドが測定された場合、より高い純度は先に触れた方法のステップb)とステップc)を繰り返すことによって達成できる。
【0022】
1つの実施形態は、いかなる他の固体状形態(例えば、別の結晶多形)を実質的に含まないN‐(2‐アミノフェニル)‐4‐[N‐(ピリジン‐3‐イル)‐メトキシカルボニル‐アミノメチル]‐ベンズアミドの結晶多形Bを提供する。
更なる実施形態は、N‐(2‐アミノフェニル)‐4‐[N‐(ピリジン‐3‐イル)‐メトキシカルボニル‐アミノメチル]‐ベンズアミドの結晶多形Aを実質的に含まないN‐(2‐アミノフェニル)‐4‐[N‐(ピリジン‐3‐イル)‐メトキシカルボニル‐アミノメチル]‐ベンズアミドの結晶多形Bを提供する。
【0023】
本明細書中で言及するとき、「実質的に含まない」という用語は、N‐(2‐アミノフェニル)‐4‐[N‐(ピリジン‐3‐イル)‐メトキシカルボニル‐アミノメチル]‐ベンズアミドの他の固体状形態を完全に含まない固体状態の組成物を包含する。「実質的に含まない」という用語はまた、10%未満、5%未満、2%未満、1%未満、若しくは0.5%未満の他の固体状形態又は他の結晶多形を含んでいる結晶多形Bの固体状態の組成物も含有する;ここで、N‐(2‐アミノフェニル)‐4‐[N‐(ピリジン‐3‐イル)‐メトキシカルボニル‐アミノメチル]‐ベンズアミドの他の形態の内容は、様々な解析法、例えば、粉末X線回折法、FT‐ラマン分光法、IR分光法と、示差走査熱量測定、微小熱量測定及び固体NMRによって測定される。
【0024】
N‐(2‐アミノフェニル)‐4‐[N‐(ピリジン‐3‐イル)‐メトキシカルボニル‐アミノメチル]ベンズアミドの結晶多形Bに加えて、第3の無水形態であるN‐(2‐アミノフェニル)‐4‐[N‐(ピリジン‐3‐イル)‐メトキシカルボニル‐アミノメチル]‐ベンズアミドの結晶多形C及び非晶相を発見した。
よって、N‐(2‐アミノフェニル)‐4‐[N‐(ピリジン‐3‐イル)‐メトキシカルボニル‐アミノメチル]‐ベンズアミドの結晶多形C及び非晶相もまた本発明の対象である。
【0025】
N‐(2‐アミノフェニル)‐4‐[N‐(ピリジン‐3‐イル)‐メトキシカルボニル‐アミノメチル]‐ベンズアミドの結晶多形Bは、無水の形態であり、且つ、156〜158℃の融点(mp)を有する(実施例2を参照のこと)。
N‐(2‐アミノフェニル)‐4‐[N‐(ピリジン‐3‐イル)‐メトキシカルボニル‐アミノメチル]‐ベンズアミドの結晶多形Cは、その152〜155℃の融点によって特徴づけられる。非晶相は、30℃〜50℃のガラス転移温度によって特徴づけられる。加熱速度に依存して、非晶相が加熱中に結晶多形の1つに再結晶する。
【0026】
融点と並んで、結晶多形A、結晶多形B、及び結晶多形Cはまた、粉末X線回折(XRPD)パターンの反射位置によっても区別できる(実施例3を参照のこと)。非晶相は、1つ若しくは2つだけの広範な拡散極大を示すが、XRPD反射と規定されない粉末X線回折パターンによって特徴づけられる。
3つの異なった結晶多形、並びに非晶相は、FT‐ラマンスペクトルのそれらの特徴的なバンドによってさらに識別できる(実施例4を参照のこと)。
【0027】
現在の最新技術であるN‐(2‐アミノフェニル)‐4‐[N‐(ピリジン‐3‐イル)‐メトキシカルボニル‐アミノメチル]‐ベンズアミドの結晶多形Aと、新しい結晶多形Bの間の区別はまた、IR分光法によっても可能である(実施例5を参照のこと)。
結晶多形Bは、少なくとも60℃未満の関連温度領域にて熱力学的に安定したN‐(2‐アミノフェニル)‐4‐[N‐(ピリジン‐3‐イル)‐メトキシカルボニル‐アミノメチル]‐ベンズアミドの結晶多形であり、そのため、それは薬剤としての使用のために好ましい形態である。
【0028】
よって、結晶性N‐(2‐アミノフェニル)‐4‐[N‐(ピリジン‐3‐イル)‐メトキシカルボニル‐アミノメチル]‐ベンズアミド結晶多形Bは、そのX線回折図が2θ=21.1°に反射を持つことを特徴とする。
さらに、結晶性N‐(2‐アミノフェニル)‐4‐[N‐(ピリジン‐3‐イル)‐メトキシカルボニル‐アミノメチル]‐ベンズアミド結晶多形Bは、そのX線回折図が2θ=21.1°、20.4°、及び27.4°に反射を持つことを特徴とする。
【0029】
追加的な特徴づけは、ラマンスペクトルによって与えられる、ここで、結晶性N‐(2‐アミノフェニル)‐4‐[N‐(ピリジン‐3‐イル)‐メトキシカルボニル‐アミノメチル]‐ベンズアミド結晶多形Bは、902cm-1、3036cm-1、1639cm-1及び916cm-1にそのバンドを持つ。
N‐(2‐アミノフェニル)‐4‐[N‐(ピリジン‐3‐イル)‐メトキシカルボニル‐アミノメチル]‐ベンズアミドの結晶多形BのIRスペクトルは、以下の特徴的なバンド:IR(KBr)cm-1::3349、3311、1705、1641、1262及び751、並びにIR(ATR)cm-1:3349、3309、1702、1638、1260及び749を示す。
【0030】
よって、純粋な結晶性N‐(2‐アミノフェニル)‐4‐[N(ピリジン‐3‐イル)‐メトキシカルボニル‐アミノメチル]‐ベンズアミド結晶多形Bの特徴は、2θ=21.1°、20.4°及び27.4°に反射を持つそのX線回折図、並びに1705cm-1、1641cm-1、1262cm-1及び751cm-1にバンドを持つそのFT‐ラマンスペクトル、並びに1702cm-1、1638cm-1、1260cm-1及び749cm-1にバンドがあるそのIR(ATR)スペクトルである。
【0031】
結晶多形Bが少なくとも60℃未満の関連温度領域にて熱力学的に安定したMS‐275の結晶多形であるという事実のおかげで、より大きいスケールにおける非常に純粋な形態でのその製造は、MS‐275の結晶多形Aの製造に比べて簡単である。
N‐(2‐アミノフェニル)‐4‐[N‐(ピリジン‐3‐イル)‐メトキシカルボニル‐アミノメチル]‐ベンズアミド結晶多形Bは、様々な疾患の治療薬の製造のため、並びに確立された試験システムにおいて使用できる。
【0032】
例えば、N‐(2‐アミノフェニル)‐4‐[N‐(ピリジン‐3‐イル)‐メトキシカルボニル‐アミノメチル]‐ベンズアミド結晶多形Bは、悪性腫瘍、自己免疫疾患、皮膚科的疾患、及び寄生虫感染症の治療薬として使用できる。
「悪性腫瘍」という用語には、急性白血病、悪性リンパ腫、多発性骨髄腫及びマクログロブリン血症などの血液悪性腫瘍、並びに結腸癌、脳腫瘍、頭頚部腫瘍、乳癌、肺癌、食道癌、胃癌、肝癌、胆嚢癌、胆管癌、膵臓癌、膵島細胞腺腫、腎細胞癌、副腎皮質癌、膀胱癌、前立腺癌、睾丸腫瘍、卵巣癌、子宮癌、絨毛癌、甲状腺癌、悪性カルチノイド腫瘍、皮膚癌、悪性黒腫、骨肉腫、軟部組織肉腫、神経芽細胞腫、ウィルムス腫瘍及び網膜芽細胞腫などの固形腫瘍が含まれる。
【0033】
「自己免疫疾患」という用語には、リウマチ疾患、糖尿病、全身性エリテマトーデス、ヒト自己免疫性リンパ球性リンパ節症、免疫芽細胞性リンパ節症、クローン病及び潰瘍性大腸炎が含まれる。
「皮膚病」という用語には、乾癬、にきび、湿疹及びアトピー性皮膚炎が含まれる。
「寄生虫感染症」という用語には、寄生虫感染によって引き起こされる疾患、例えばマラリアなどが含まれる。
【0034】
よって、本発明には、前述の疾患の処置のためのN‐(2‐アミノフェニル)‐4‐[N‐(ピリジン‐3‐イル)‐メトキシカルボニル‐アミノメチル]‐ベンズアミド結晶多形Bの使用、並びに前述の疾患の治療薬製造のためのN‐(2‐アミノフェニル)‐4‐[N‐(ピリジン‐3‐イル)‐メトキシカルボニル‐アミノメチル]‐ベンズアミド結晶多形Bの使用がさらに含まれる。
悪性腫瘍の治療薬としてのN‐(2‐アミノフェニル)‐4‐[N‐(ピリジン‐3‐イル)‐メトキシカルボニル‐アミノメチル]‐ベンズアミド結晶多形Bの使用が好まれる。
【0035】
薬剤/製剤の製造を、当該技術分野で知られている方法に従って実施することもできる。一般的に知られており、そして使用されるアジュバント、及び更なる好適な担体又は希釈剤を使用することもできる。
好適な担体及びアジュバントは、例えば、調剤、化粧品、及びUllmann’s Encyclopedia of Technical Chemistry、Vol.4、(1953年)、1‐39ページ;Journal of Pharmaceutical Sciences、Vol.52(1963年)、918ページ以降;H.v.Czetsch‐Lindenwald、「Hilfsstoffe fur Pharmazie und angrenzende Gebiete」;Pharm.Ind.2、1961年、72ページ以降;Dr.H.P.Fiedler、Lexikon der Hilfsstoffe fur Pharmazie、Kosmetik und angrenzende Gebiete、Cantor KG、Aulendorf in Wurttemberg、1971年における関連分野のために推薦されるものなどであってもよい。前記文献を本明細書中に援用する。
【0036】
前述の薬剤及び製剤もまた、本発明の対象である。
治療的効果に関して、妥当な用量は異なり、そして医薬組成物の濃度、宿主、適用の形態、及び処置される疾患の重さによる。
本発明はまた医薬組成物も含み、その医薬組成物を、例えば、経口、経腸、非経口、例えば、静脈内、腹腔内、筋肉内、皮下又は経皮適用のための既知のガレヌス製剤(galenics)調製方法によって調製できる。本発明の組み合わせ剤を、組織中に埋め込むこともできる。
【0037】
よって、本発明は、特にヒトが特に好まれる、温血動物に対する経腸投与のための、例えば、経鼻、頬側、直腸など若しくは、特に経口投与のための、並びに非経口投与のための、例えば、静脈内、筋肉内若しくは皮下投与などのためのN‐(2‐アミノフェニル)‐4‐[N‐(ピリジン‐3‐イル)‐メトキシカルボニル‐アミノメチル]‐ベンズアミド結晶多形B組成物の使用を含む。前記組成物は、単独で、又は好ましくは医薬的に許容し得る希釈剤及び/又は担体と一緒にN‐(2‐アミノフェニル)‐4‐[N‐(ピリジン‐3‐イル)‐メトキシカルボニル‐アミノメチル]‐ベンズアミド結晶多形Bを含んでなる。有効成分の投薬量は、処置されるべき疾患、そして種、性別、年齢、体重、及び個々の健康状態、個々の薬物動力学データ、並びに投与方法に依存する。
【0038】
N‐(2‐アミノフェニル)‐4‐[N‐(ピリジン‐3‐イル)‐メトキシカルボニル‐アミノメチル]‐ベンズアミド結晶多形Bの好ましい量は、1日あたり0.0001〜100mg/kg、好ましくは1日あたり0.001〜10mg/kg、より好ましくは1日あたり0.01〜1mg/kg、そして、最も好ましくは1日あたり0.05〜0.5mg/kgの範囲内にある。
患者の処置に必要な量によっては、同じか若しくは異なる用量により1日又は数日間で規定した量の活性化合物を適用することが有用であることもある。
【0039】
N‐(2‐アミノフェニル)‐4‐[N‐(ピリジン‐3‐イル)‐メトキシカルボニル‐アミノメチル]‐ベンズアミド結晶多形Bはまた、(特に腫瘍の処置用組成物の形の)組成物の調製工程に対して、及び多くの疾患、特に腫瘍疾患、より特に本明細書中で先に言及したものの処置方法に対して予防的に、又は特に治療的に使用されることもできる。
好ましい実施形態において、N‐(2‐アミノフェニル)‐4‐[N‐(ピリジン‐3‐イル)‐メトキシカルボニル‐アミノメチル]‐ベンズアミド結晶多形Bは、疾患、特に新生物疾患に罹患している温血動物、特にヒト又は商業的に有用な哺乳動物への投与に好適であり、そしてその疾患の処置のために前述の化合物の有効量を少なくとも1種類の医薬的に許容し得る担体と一緒に含んでなる。
【0040】
N‐(2‐アミノフェニル)‐4‐[N‐(ピリジン‐3‐イル)‐メトキシカルボニル‐アミノメチル]‐ベンズアミド結晶多形Bはまた、錠剤、フィルムコート錠剤、ウエハー、坐剤、丸薬、糖衣錠剤、ゲルカプセル剤、顆粒剤、坐剤、インプラント、注射可能な無菌水性若しくは油性溶液、懸濁液若しくは乳濁液、軟膏剤、クリーム剤、ゲル剤、経皮投与用パッチ剤、吸入による投与に好適な製剤、例えば鼻腔用スプレーの形態でも投与できる。
【0041】
少なくとも1種類の医薬的に許容し得る担体との組み合わせ剤の場合、前述の組み合わせ剤は、約0.1%〜約95%のN‐(2‐アミノフェニル)‐4‐[N‐(ピリジン‐3‐イル)‐メトキシカルボニル‐アミノメチル]‐ベンズアミド結晶多形Bを含んでなり、好ましい実施形態において、単回投与形態は、約1%〜約20%の有効成分を含んでなる。例えば、単位投与形態は、例えば、コート及び非コート錠剤、アンプル剤、バイアル剤、坐剤又はカプセル剤である。更なる剤形は、例えば、軟膏剤、クリーム剤、ペースト剤、フォーム剤、チンキ剤、リップスティック剤、ドロップ剤、スプレー剤、分散液などである。例は、約0.05mg〜約1.0gの有効成分を含有しているカプセル剤である。
【0042】
経口投与用の医薬組成物の調製のために、先に規定した本発明の対象に好適な活性物質は、一般的に知られていて、使用されているアジュバント及び担体、例えば、アラビアゴム、滑石、デンプン、例えば、マンニトースのような糖、メチルセルロース、ラクトース、ゼラチン、界面活性剤、ステアリン酸マグネシウム、水性又は非水性賦形剤、パラフィン誘導体、架橋剤、分散剤、乳化剤、滑沢剤、保存料及び着香料(例えば、エーテル油)と混合され得る。
【0043】
医薬組成物において、N‐(2‐アミノフェニル)‐4‐[N‐(ピリジン‐3‐イル)‐メトキシカルボニル‐アミノメチル]‐ベンズアミド結晶多形Bを、微小粒子、例えば、ナノ粒子、組成物の状態で分散させてもよい。
よって、N‐(2‐アミノフェニル)‐4‐[N‐(ピリジン‐3‐イル)‐メトキシカルボニル‐アミノメチル]‐ベンズアミド結晶多形Bを、生理学的に許容し得る医薬アジュバント及び担体の1つ又は複数と組み合わせて、薬剤として許容し得る製剤を得ることができる。
【0044】
さらなる薬理学的に有効なアジュバント及び担体は、例えば、Remington’s Pharmaceutical Science、第15版、Mack Publishing Company,Easton Pennsylvania中に記載されている。前記文献を本明細書中に援用する。
N‐(2‐アミノフェニル)‐4‐[N‐(ピリジン‐3‐イル)‐メトキシカルボニル‐アミノメチル]‐ベンズアミド結晶多形Bの生物学的利用能をさらに増強するために、先に規定した本発明の目的に好適な化合物はまた、それらとα‐、β‐又はγ‐シクロデキストリン又はその誘導体とをWO 96/02277に開示されている方法に従って反応させることによってシクロデキストリン包接化合物として処方され得る。
【0045】
非経口投与のために、先に規定した本発明の目的のために好適なN‐(2‐アミノフェニル)‐4‐[N‐(ピリジン‐3‐イル)‐メトキシカルボニル‐アミノメチル]‐ベンズアミド結晶多形Bは、生理学的に許容され得る希釈剤、例えば、可溶化剤、界面活性剤、分散剤又は乳化剤を含んでいるか否かにかかわらずオイルなどの中に溶解されるか又は懸濁され得る。オイルとして、例えば、これだけに限定されるものではないが、オリーブ油、ラッカセイ油、綿実油、ダイズ油、ヒマシ油及びゴマ油を使用することもできる。
【0046】
本発明によるN‐(2‐アミノフェニル)‐4‐[N‐(ピリジン‐3‐イル)‐メトキシカルボニル‐アミノメチル]‐ベンズアミド結晶多形Bはまた、任意に(単数若しくは複数の)活性物質の徐放性デリバリーのために、蓄積注射(a depot injection)又はインプラント調製物を介して投与され得る。
【0047】
インプラントには、不活性物質として、例えば、生物学的分解性高分子又は合成シリコーン、例えば、シリコーンゴムなどが含まれ得る。
経皮適用のために、N‐(2‐アミノフェニル)‐4‐[N‐(ピリジン‐3‐イル)‐メトキシカルボニル‐アミノメチル]‐ベンズアミド結晶多形Bはまた、粘着剤中に処方されることもできる。
好ましい投与様式は経口投与である。
【0048】
N‐(2‐アミノフェニル)‐4‐[N‐(ピリジン‐3‐イル)‐メトキシカルボニル‐アミノメチル]‐ベンズアミド結晶多形Bを含んでなる製剤は、例えば、従来の混合、顆粒化、コーティング、溶解又は凍結乾燥工程によって、自体公知の様式で調製され得る。
【0049】
N‐(2‐アミノフェニル)‐4‐[N‐(ピリジン‐3‐イル)‐メトキシカルボニル‐アミノメチル]‐ベンズアミド結晶多形Bの溶液、また懸濁液又は分散液、特に等張の水溶液、分散液又は懸濁液の使用が優先され、例えば、有効成分を単独で又は担体、例えば、マンニトールと一緒に含んでなる凍結乾燥組成物の場合には、使用前に製造されればよい。医薬組成物は、滅菌されてもよく、そして/あるいは、賦形剤、例えば、保存料、安定化剤、湿潤剤及び/又は乳化剤、可溶化剤、浸透圧を調整するための塩、及び/又は緩衝剤を含んでもよく、自体公知の様式で、例えば、従来の溶解及び凍結乾燥工程によって調製される。前述の溶液又は懸濁液には、増粘剤、典型的には、カルボキシメチルセルロースナトリウム、カルボキシメチルセルロース、デキストラン、ポリビニールピロリドン、又はゼラチン、あるいはまた可溶化剤、例えばTween80[ポリオキシエチレン(20)ソルビタンモノオレアート;ICI Americas Inc. USAの商標(RTM)]を含み得る。
【0050】
油中懸濁液には、オイル成分として注射目的のための通例の植物油、合成油又は反合成油が含まれる。これに関しては、所望であれば抗酸化剤、例えばビタミンE、β‐カロテン又は3,5‐ジ‐tert‐ブチル‐4‐ヒドロキシトルエンとともに、酸性成分として、8〜22個、特に12〜22個の炭素原子を有する長鎖脂肪酸、例えばラウリン酸、トリデシル酸、ミリスチン酸、ペンタデシル酸、パルミチン酸、マルガリン酸、ステアリン酸、アラキドン酸、ベヘン酸、又は対応するその不飽和酸、例えばオレイン酸、エライジン酸、エルカ酸、ブラシジン酸若しくはリノール酸を含む液体脂肪酸エステルが特に挙げられる。これらの脂肪酸エステルのアルコール成分としては、最大6個の炭素原子を有し、一価又は多価、例えば一価、二価又は三価アルコール、例えばメタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール若しくはペンタノール、又はその異性体があるが、特にグリコール及びグリセロールである。従って、脂肪酸エステルとしては、以下のもの:オレイン酸エチル、ミリスチン酸イソプロピル、パルミチン酸イソプロピル、「Labrafil M2375」(登録商標)(Gattefosse,Paris製ポリエチレングリセロールトリオレエート)、「Labrafil M1944 CS」(登録商標)(アプリコット核油のアルコール分解によって調製された、グリセリドとポリエチレングリコールエステルからなる不飽和ポリグリコール化グリセリド;Gattefosse,France)、「Labrasol」(登録商標)(TCMのアルコール分解によって製造された、グリセリドとポリエチレングリコールエステルからなる飽和ポリグリコール化グリセリド;Gattefosse,France)、及び/又は「Miglyol 812」(登録商標)(Huels AG,Germany製C8〜C12の鎖長の飽和脂肪酸からなるトリグリセリド)が挙げられるが、特に植物油、例えば、綿実油、アーモンド油、オリーブ油、ヒマシ油、ゴマ油、ダイズ油などであり、より特にラッカセイ油である。
【0051】
注射製剤の製造は通常、無菌条件下、例えば、アンプル又はバイアル内に充填し、そしてその容器を密封して行われる。
経口投与用の医薬組成物は、例えば、N‐(2‐アミノフェニル)‐4‐[N‐(ピリジン‐3‐イル)‐メトキシカルボニル‐アミノメチル]‐ベンズアミド結晶多形Bと1つ又は複数の固体担体とを配合し、所望により得られた混合物を造粒し、顆粒の混合物を加工し、所望により又は必要により追加の賦形剤を加えて、錠剤又は錠剤核を形成することによって得られる。
【0052】
好適な担体としては、特に増量剤、例えば、糖、例えば、ラクトース、サッカロース、マンニトール若しくはソルビトールなど、セルロース調製物、及び/又はリン酸カルシウム、例えば、リン酸三カルシウム若しくはリン酸水素カルシウムなど、また結合剤、例えば、デンプン、例えば、トウモロコシ、小麦、米若しくはジャガイモデンプン、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム、及び/又はポリビニルピロリドンなど、及び/又は、所望により、崩壊剤、例えば、先に触れたデンプン、またカルボキシメチルデンプン、架橋ポリビニルピロリドン、アルギン酸若しくはその塩、例えば、アルギン酸ナトリウムなどがある。追加の賦形剤としては、特に流動調節剤及び滑沢剤、例えば、ケイ酸、タルク、ステアリン酸又はその塩、例えば、ステアリン酸マグネシウム若しくはステアリン酸カルシウムなど、及び/又はポリエチレングリコール若しくはその誘導体がある。
【0053】
錠剤核は、とりわけ(アラビアガム、タルク、ポリビニルピロリドン、ポリエチレングリコール及び/若しくは二酸化チタンを含んでいてもよい)濃縮糖溶液、又は好適な有機溶媒若しくはその混合物中のコーティング溶液、又は腸溶性コーティングの調製のために、好適なセルロース調製物、例えば、アセチルセルロースフタラート若しくはヒドロキシプロピルメチルセルロースフタラートなどの溶液の使用による好適で、所望により腸溶性であるコーティングを伴って提供され得る。例えば、N‐(2‐アミノフェニル)‐4‐[N(ピリジン‐3‐イル)‐メトキシカルボニル‐アミノメチル]‐ベンズアミド結晶多形Bの識別目的のため、又はその異なる用量を表示するために、色素又は顔料を錠剤又は錠剤コーティングに加えてもよい。
【0054】
経口投与用の医薬製剤としてはまた、ゼラチンからなる硬カプセル、またゼラチン及び可塑剤、例えば、グリセロール又はソルビトールなどかならる軟質の封入カプセルも挙げられる。硬カプセルは、例えば、増量剤、例えば、トウモロコシデンプンなど、結合剤、及び/又は流動促進剤、例えば、タルク若しくはステアリン酸マグネシウムなど、並びに所望により安定化剤と混合した、顆粒の形態でN‐(2‐アミノフェニル)‐4‐[N‐(ピリジン‐3‐イル)‐メトキシカルボニル‐アミノメチル]‐ベンズアミド結晶多形Bを含有してもよい。軟カプセルにおいて、N‐(2‐アミノフェニル)‐4‐[N‐(ピリジン‐3‐イル)‐メトキシカルボニル‐アミノメチル]‐ベンズアミド結晶多形Bは、好ましくは、好適な液体賦形剤、例えば、脂肪油、パラフィン油、又は液体ポリエチレングリコール若しくはエチレンかプロピレングリコールの脂肪酸エステルなどの中に溶解又は懸濁され、そこへ安定化剤及び、例えば、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル系の界面活性剤が加えられてもよい。
【0055】
他の経口剤形は、例えば、懸濁された形態で、そして約5%〜20%、好ましくは約10%の濃度、又は、例えば、5ml又は10mlの一定量で投与されるときに好適な単回投与を提供する同様の濃度で有効成分を含んでなる、通例の様式で調製されたシロップである。同様に、例えば、ミルク中、シェイクの調製のため粉末又は液体の濃縮物も好適である。こうした濃縮物もまた、単回投与単位にパッケージされ得る。
【0056】
直腸投与に好適な医薬組成物には、例えば、N‐(2‐アミノフェニル)‐4‐[N‐(ピリジン‐3‐イル)‐メトキシカルボニル‐アミノメチル]‐ベンズアミド結晶多形Bと坐剤基剤の組み合わせからなる坐剤がある。好適な坐剤基剤には、例えば、天然若しくは合成トリグリセリド、パラフィン炭化水素、ポリエチレングリコール又は高級アルカノールがある。
【0057】
非経口投与としては、水溶型のN‐(2‐アミノフェニル)‐4‐[N‐(ピリジン‐3‐イル)‐メトキシカルボニル‐アミノメチル]‐ベンズアミド結晶多形B、例えば水溶性塩の水溶液、又は増粘物質、例えば、カルボキシメチルセルロースナトリウム、ソルビトール及び/又はデキストラン、及び所望により安定化剤を含む水性注射懸濁液が特に好適である。所望により賦形剤を伴うN‐(2‐アミノフェニル)‐4‐[N‐(ピリジン‐3‐イル)‐メトキシカルボニル‐アミノメチル]‐ベンズアミド結晶多形Bはまた、凍結乾燥物の形態であってもよいので、好適な溶媒を添加することによって非経口投与前に溶液にしてもよい。
【0058】
例えば、非経口投与に用いられるような溶液はまた、輸液として使用することもできる。
好ましい保存料は、例えば、アスコルビン酸などの抗酸化剤、又はソルビン酸若しくは安息香酸などの殺菌剤である。
【0059】
本発明はまた、特に、本明細書中で先に触れた疾患のうちの1以上、特に新生物疾患の治療学的管理、そしてまた予防的管理のための組み合わせ物それ自体の使用、又は少なくとも1種類の医薬的に許容し得る担体を伴った医薬製剤の形態での組み合わせ物の使用にも関する。
任意に、N‐(2‐アミノフェニル)‐4‐[N‐(ピリジン‐3‐イル)‐メトキシカルボニル‐アミノメチル]‐ベンズアミド結晶多形Bは、1以上の薬理学的活性物質と組み合わせられ得る。
【0060】
例えば、本願発明の化合物は、既知の抗過剰増殖剤、抗炎症剤、鎮痛剤、免疫調節剤、利尿剤、抗不整脈剤、抗高コレステロール血症剤、抗脂質異常症剤、抗糖尿病剤又は抗ウイルス剤など、並びにその混合物及び組み合わせ物と組み合わせられ得る。
細胞毒性薬を伴ったN‐(2‐アミノフェニル)‐4‐[N‐(ピリジン‐3‐イル)‐メトキシカルボニル‐アミノメチル]‐ベンズアミド結晶多形Bの組み合わせ物が好まれる。
【0061】
追加の医薬品は、アルデスロイキン、アレンドロン酸、アルファフェロン(alfaferone)、アリトレチノイン、アロプリノール、アロプリム(aloprim)、アロキシ、アルトレタミン、アミノグルテチミド、アミホスチン、アムルビシン、アムサクリン、アナストロゾール、アンズメト(anzmet)、アラネスプ(aranesp)、アルグラビン(arglabin)、三酸化ヒ素、アロマシン(エキセメスタン)、5‐アザシチジン、アザチオプリン、BCG又は2回BCG、ベスタチン、酢酸ベタメタゾン、リン酸ベタメタゾンナトリウム、ベキサロテン、硫酸ブレオマイシン、ブロクスウリジン、ボルテゾミブ、ブスルファン、カルシトニン、キャンパス、カペシタビン、カルボプラチン、カソデックス、セフェゾン(cefesone)、
【0062】
セルモロイキン、セルビジン(cerubidine)、クロラムブシル、シスプラチン、クラドリビン、2‐クラドリビン、クロドロン酸、シクロホスファミド、シタラビン、ダカルバジン、ダクチノマイシン、ダウノキソム(DaunoXome)、デカドロン、リン酸デカドロン(decadron phosphate)、デレストロゲン(delestrogen)、デニロイキンジフチトクス、デポ‐メドロール、デスロレリン(deslorelin)、デクスラゾキサン、ジエチルスチルベストロール、ジフルカン、ドセタキセル、ドキシフルリジン、ドキソルビシン、ドロナビノール、DW‐166HC、エリガード、エリテック(elitek)、エレンス(ellence)、エメンド(emend)、エピルビシン、エポエチンアルファ、エポゲン(epogen)、エプタプラチン(eptaplatin)、エルガミゾール(ergamisol)、エルロチニブ(タルセバ(Tarceva))、
【0063】
エストレース(estrace)、エストラジオール、リン酸エストラムスチンナトリウム、エチニルエストラジオール、エチヨール(ethyol)、エチドロン酸、エトポホス(etopophos)、エトポシド、ファドロゾール、フェアストン(farston)、フィルグラスチム、フィナステリド、フィルグラスチム(fligrastim)、フロクスウリジン、フルコナゾール、フルダラビン、5‐フルオロデオキシウリジン一リン酸、5‐フルオロウラシル(5‐FU)、フルオキシメステロン、フルタミド、ホルメスタン、ホステアビン(fosteabine)、ホテムスチン、フルベストラント、ガンマガード、ゲムシタビン、ゲムツズマブ、グリベック、グリアデル、ゴセレリン、グラニセトロンHCl、ヒストレリン、ハイカムチン、ハイドロコートン、エリスロ‐ヒドロキシノニルアデニン、ヒドロキシウレア、イブリツモマブチウキセタン、イダルビシン、イホスファミド、インターフェロンアルファ、インターフェロンアルファ‐2、インターフェロンアルファ‐2A、
【0064】
インターフェロンアルファ‐2B、インターフェロンアルファ‐n1、インターフェロンアルファ‐n3、インターフェロンベータ、インターフェロンガンマ‐1a、インターロイキン‐2、イントロンA、イレッサ、イリノテカン、カイトリル、硫酸レンチナン、レトロゾール、ロイコボリン、リュープロリド、酢酸リュープロリド、レバミソール、レボフォリン酸(levofolinic acid)カルシウム塩、レボスロイド(levothroid)、レボキシル(levoxyl)、ロムスチン、ロニダミン、マリノール、メクロレタミン、メコバラミン、酢酸メドロキシプロゲステロン、酢酸メゲストロール、メルファラン、メネスト、6‐メルカプトプリン、メスナ(Mesna)、
【0065】
メトトレキサート、メトビックス(metvix)、ミルテホシン、ミノサイクリン、マイトマイシンC、ミトタン、ミトキサントロン、モドレナル(Modrenal)、マイオセット(Myocet)、ネダプラチン、ニューラスタ(neulasta)、ニューメガ(neumega)、ニューポジェン、ニルタミド、ノルバデックス、NSC‐631570、OCT‐43、オクトレオチド、オンダンセトロンHCl、オラプレド(orapred)、オキサリプラチン、パクリタキセル、ペジアプレド(pediapred)、ペグアスパルガーゼ、ペガシス(Pegasys)、ペントスタチン、ピシバニール、ピロカルピンHCl、ピラルビシン、プリカマイシン、ポルフィマーナトリウム、プレドニムスチン、プレドニゾロン、プレドニゾン、プレマリン、プロカルバジン、プロクリット、ラルチトレキセド、レビフ(rebif)、エチドロン酸レニウム‐186、リツキシマブ、ロフェロン(roferon)‐A、
【0066】
ロムルチド、サラジェン、サンドスタチン、サルグラモスチム、セムスチン、シゾフィラン、ソブゾキサン、ソルメドロール、スパルフォス酸(sparfosic acid)、幹細胞治療、ストレプトゾシン、塩化ストロンチウム‐89、シントロイド(synthroid)、タモキシフェン、タムスロシン、タソネルミン、テストラクトン(tastolactone)、タキソテール、テセロイキン、テモゾロミド、テニポシド、プロピオン酸テストステロン、テストレド(testred)、チオグアニン、チオテパ、甲状腺刺激ホルモン、チルドロン酸、トポテカン、トレミフェン、トシツモマブ、トラスツズマブ、トレオスルファン、トレチノイン、トレキサル(trexall)、トリメチルメラミン、トリメトレキサート、酢酸トリプトレリン、パモ酸トリプトレリン、UFT、ウリジン、バルルビシン、ベスナリノン、ビンブラスチン、ビンクリスチン、ビンデシン、ビノレルビン、ビルリジン(virulizin)、ジネカルド(zinecard)、ジノスタチンスチマラマー、
【0067】
ゾフラン、ABI‐007、アコルビフェン(acolbifene)、アクティミューン、アフィニタック(affinitak)、アミノプテリン、アルゾキシフェン(arzoxifene)、アソプリスニル(asoprisnil)、アタメスタン(atamestane)、アトラセンタン(atrasentan)、BAY43‐9006(ソラフェニブ)、アバスチン、CCI‐779、CDC‐501、セレブレックス(celebrex)、セツキシマブ、クリスナトール(crisnatol)、酢酸シプロテロン、デシタビン、DN‐101、ドキソルビシン‐MTC、dSLIM、デュタステリド、エドテカリン(edotecarin)、エフロールニチン、エキサテカン(exatecan)、フェンレチニド、ヒスタミン二塩酸塩、ヒストレリンヒドロゲルインプラント、ホルミウム‐166 DOTMP、イバンドロン酸、インターフェロンガンマ、イントロン‐PEG、イクサベピロン、
【0068】
キーホールリンペットヘモシアニン、L‐651582、ランレオチド、ラソフォキシフェン、ライブラ(libra)、ロナファーニブ、ミプロキシフェン(miproxifene)、ミノドロナート、MS‐209、リポソームMTP‐PE、MX‐6、ナファレリン、ネモルビシン(nemorubicin)、ネオバスタット(neovastat)、ノラトレキセド(nolatrexed)、オブリメルセン、オンコ‐TCS、オシデム(osidem)、ポリグルタミン酸パクリタキセル、パミドロン酸二ナトリウム、PN‐401、QS‐21、クアゼパム、R‐1549、ラロキシフェン、ランピルナーゼ(ranpirnase)、13‐シス‐レチノイン酸、サトラプラチン、セオカルシトール(seocalcitol)、T‐138067、タルセバ、タキソプレキシン(taxoprexin)、チモシンアルファ1、チアゾフリン、ティピファニブ、チラパザミン、TLK‐286、トレミフェン、TransMID‐107R、バルスポダル(valspodar)、バプレオチド(vapreotide)、バタラニブ、ベルテポルフィン、ビンフルニン、Z‐100、ゾレドロン酸又はそれらの組み合わせであり得る。
【0069】
追加の医薬品はまた、ゲムシタビン、パクリタキセル、シスプラチン、カルボプラチン、酪酸ナトリウム、5‐FU、ドキソルビシン(doxirubicin)、タモキシフェン、エトポシド、トラスツズマブ、ゲフィチニブ、イントロンA、ラパマイシン、17‐AAG、U0126、インスリン、インスリン誘導体、PPARリガンド、スルホニル尿素剤、α‐グルコシダーゼ阻害剤、ビグアニド、PTP‐1B阻害剤、DPP‐IV阻害剤、11‐ベータ‐HSD阻害剤、GLP‐1、GLP‐1誘導体、GIF、GIF誘導体、PACAP、PACAP誘導体、セクレチン又はセクレチン誘導体でもあり得る。
【0070】
組成物に添加できる任意の抗過剰増殖剤には、本明細書中に援用するMerck Index第11版(1996年)の癌の化学療法薬レジメンに挙げられている化合物、例えば、アスパラギナーゼ、ブレオマイシン、カルボプラチン、カルムスチン、クロラムブシル、シスプラチン、コラスパーゼ(colaspase)、シクロホスファミド、シタラビン、ダカルバジン、ダクチノマイシン、ダウノルビシン、ドキソルビシン(アドリアマイシン(adriamycine))、エピルビシン、エトポシド、5‐フルオロウラシル、ヘキサメチルメラミン、ヒドロキシウレア、イホスファミド、イリノテカン、ロイコボリン、ロムスチン、メクロレタミン、6‐メルカプトプリン、メスナ、メトトレキサート、マイトマイシンC、ミトキサントロン、プレドニゾロン、プレドニゾン、プロカルバジン、ラロキシフェン、ストレプトゾシン、タモキシフェン、チオグアニン、トポテカン、ビンブラスチン、ビンクリスチン及びビンデシンなどが含まれるが、これだけに限定されるものではない。
【0071】
本発明の組成物と共に使用するのに好適な他の抗過剰増殖剤には、本明細書中に援用するGoodman and Gilman’s The Pharmacological Basis of Therapeutics(第9版)、Molinoffら編、McGraw‐Hill刊行、1225〜1287ページ(1996年)で、新生物性疾患の処置に使用できると認められている化合物、例えば、アミノグルテチミド、L‐アスパラギナーゼ、アザチオプリン、5‐アザシチジン、クラドリビン、ブスルファン、ジエチルスチルベストロール、2’,2’‐ジフルオロデオキシシチジン、ドセタキセル、エリスロヒドロキシノニルアデニン、エチニルエストラジオール、5‐フルオロデオキシウリジン、5‐フルオロデオキシウリジン一リン酸塩、リン酸フルダラビン、フルオキシメステロン、フルタミド、カプロン酸ヒドロキシプロゲステロン、イダルビシン、インターフェロン、酢酸メドロキシプロゲステロン、酢酸メゲストロール、メルファラン、ミトタン、パクリタキセル、ペントスタチン、N‐ホスホノアセチル‐L‐アスパラギン酸(PALA)、プリカマイシン、セムスチン、テニポシド、プロピオン酸テストステロン、チオテパ、トリメチルメラミン、ウリジン及びビノレルビンなどが含まれるが、これだけに限定されるものではない。
【0072】
本発明の組成物と共に使用するのに好適な他の抗過剰増殖剤には、他の抗癌剤、例えば、エポチロン及びその誘導体、イリノテカン、ラロキシフェン及びトポテカンなどが含まれるが、これだけに限定されるものではない。
上記のいくつかの化合物が登録商標(RTM)であることに注意するべきである。
【0073】
一般に、本発明のN‐(2‐アミノフェニル)‐4‐[N‐(ピリジン‐3‐イル)‐メトキシカルボニル‐アミノメチル]‐ベンズアミド結晶多形Bと組み合わせた細胞毒性薬、及び/又は細胞増殖抑制薬の使用は、以下のことに役立つ:
i)単独でのいずれかの作用物質の投与と比較して、腫瘍の増殖を低減するのにより高い有効性をもたらすか、又は腫瘍を排除することさえあり、
ii)より少量の投与化学療法剤の投与を提供し、
iii)単剤化学療法や他の特定の併用療法で観察されるのに比べて、より少ない有害な薬理学的合併症しか持たない、患者において耐容性良好である化学療法剤処置を提供し、
iv)哺乳動物、特にヒトにおいてより広範囲の様々な癌タイプの処置を提供し、
v)処置した患者の間でより高い奏功率を提供し、
vi)標準的な化学療法処置と比べて、処置した患者の間により長い生存期間を提供し、
vii)他の癌用作用物質の組み合わせが拮抗作用を生じる既知の例と比較して、その作用物質が単独で使用されたのと少なくとも同程度、癌の進行を遅らせ、及び/又は有効性及び耐容性の結果を得る。
【0074】
本発明は、細胞毒性薬、例えば、Folfox4(フルオロウラシル/ロイコボリン/オキサリプラチン);Folfiri(ロイコボリン、5‐フルオロウラシル、イリノテカン);DHAP(シスプラチン/シタラビン/デキサメタゾン)、CEOP(シクロホスファミド/エピルビシン/ビンクリスチン/プレドニゾン)、CHOP(シクロホスファミド、ドキソルビシン、ビンクリスチン及びプレドニゾン)、FLAG(フルダラビン/シタラビン/フィルグラスチム)、M&P(ミトキサントロン+プレドニゾン;メルファラン+プレドニゾン)、ABMC(ドキソルビシン/カルムスチン/メルファラン/シクロホスファミド)、ICE(イホスファミド、カルボプラチン及びエトポシド)、DVP(ダウノルビシン、ビンクリスチン及びプレドニゾン)、ATRA(オールトランス型レチノイン酸)、ABVD(ブレオマイシン、ダカルバジン、ドキソルビシン及びビンクリスチン)、COP(シクロホスファミド、ビンクリスチン及びプレドニゾン)、VAD(ビンクリスチン、アドリアマイシン及びデキサメタゾン)、並びにMOPP(メクロレタミン、プレドニゾン、プロカルバジン及びビンクリスチン)の1つ又は複数のレジメンとN‐(2‐アミノフェニル)‐4‐[N‐(ピリジン‐3‐イル)‐メトキシカルボニル‐アミノメチル]‐ベンズアミド結晶多形Bの組み合わせをさらに含む。
【0075】
細胞毒性薬自体又はレジメンによるものは、市販されているか、又は標準的な文献手順によって調製できる。
N‐(2‐アミノフェニル)‐4‐[N‐(ピリジン‐3‐イル)‐メトキシカルボニル‐アミノメチル]‐ベンズアミド結晶多形Bは、医薬的に有効な量で、1種類又は複数のこれらの細胞毒性薬と一緒に、同時に、別々に又は連続して適用され得る。
【0076】
投与されるべき併用活性物質の量(「医薬的に有効な量」)は、広範囲の中で変化し、そして処置されるべき病状及び投与方法による。それらは対象とする処置に効果的なあらゆる量におよび得る。
併用活性物質の「医薬的に有効な量」を決定することは、当業者の範囲内にある。
【0077】
N‐(2‐アミノフェニル)‐4‐[N‐(ピリジン‐3‐イル)‐メトキシカルボニル‐アミノメチル]‐ベンズアミド結晶多形Bを細胞毒性薬、及び/又は細胞増殖抑制薬と一緒に含んでなるそれらの組み合わせもまた、本発明の対象である。
【図面の簡単な説明】
【0078】
【図1】N‐(2‐アミノフェニル)‐4‐[N‐(ピリジン‐3‐イル)‐メトキシカルボニル‐アミノメチル]‐ベンズアミド(MS‐275)の結晶多形A及び結晶多形BのDSCトレースを示す。
【図2】N‐(2‐アミノフェニル)‐4‐[N‐(ピリジン‐3‐イル)‐メトキシカルボニル‐アミノメチル]‐ベンズアミド(MS‐275)の結晶多形CのDSCトレースを示す。
【図3】N‐(2‐アミノフェニル)‐4‐[N‐(ピリジン‐3‐イル)‐メトキシカルボニル‐アミノメチル]‐ベンズアミド(MS‐275)の非晶相のDSCトレースを示す。
【図4】N‐(2‐アミノフェニル)‐4‐[N‐(ピリジン‐3‐イル)‐メトキシカルボニル‐アミノメチル]‐ベンズアミド(MS‐275)の結晶多形Aの粉末X線回折パターンを示す。
【図5】N‐(2‐アミノフェニル)‐4‐[N‐(ピリジン‐3‐イル)‐メトキシカルボニル‐アミノメチル]‐ベンズアミド(MS‐275)の結晶多形Bの粉末X線回折パターンを示す。
【図6】N‐(2‐アミノフェニル)‐4‐[N‐(ピリジン‐3‐イル)‐メトキシカルボニル‐アミノメチル]‐ベンズアミド(MS‐275)の結晶多形Cの粉末X線回折パターンを示す。
【図7】N‐(2‐アミノフェニル)‐4‐[N‐(ピリジン‐3‐イル)‐メトキシカルボニル‐アミノメチル]‐ベンズアミド(MS‐275)の非晶相の粉末X線回折パターンを示す。
【図8】N‐(2‐アミノフェニル)‐4‐[N‐(ピリジン‐3‐イル)‐メトキシカルボニル‐アミノメチル]‐ベンズアミド(MS‐275)の結晶多形AのFT‐ラマンスペクトルを示す。
【図9】N‐(2‐アミノフェニル)‐4‐[N‐(ピリジン‐3‐イル)‐メトキシカルボニル‐アミノメチル]‐ベンズアミド(MS‐275)の結晶多形BのFT‐ラマンスペクトルを示す。
【図10】N‐(2‐アミノフェニル)‐4‐[N‐(ピリジン‐3‐イル)‐メトキシカルボニル‐アミノメチル]‐ベンズアミド(MS‐275)の結晶多形CのFT‐ラマンスペクトルを示す。
【図11】N‐(2‐アミノフェニル)‐4‐[N‐(ピリジン‐3‐イル)‐メトキシカルボニル‐アミノメチル]‐ベンズアミド(MS‐275)の非晶相のFT‐ラマンスペクトルを示す。
【図12】N‐(2‐アミノフェニル)‐4‐[N‐(ピリジン‐3‐イル)‐メトキシカルボニル‐アミノメチル]‐ベンズアミド(MS‐275)の結晶多形BのIRスペクトル(KBr)、並びに主要な赤外線バンド及びそれらの割り当てを示す。
【図13】N‐(2‐アミノフェニル)‐4‐[N‐(ピリジン‐3‐イル)‐メトキシカルボニル‐アミノメチル]‐ベンズアミド(MS‐275)の結晶多形BのIRスペクトル(ATR)、並びに主要な赤外線バンド及びそれらの割り当てを示す。
【図14】対照(ビヒクルDMSO)に対する異なる濃度で適用された本発明のN‐(2‐アミノフェニル)‐4‐[N‐(ピリジン‐3‐イル)‐メトキシカルボニル‐アミノメチル]‐ベンズアミド(MS‐275)の結晶多形B(ZK244894)の生物学的活性を示す。
【実施例】
【0079】
実施例1
N‐(2‐アミノフェニル)‐4‐[N‐(ピリジン‐3‐イル)‐メトキシカルボニル‐アミノメチル]‐ベンズアミド、結晶多形B形態の製造方法
30kgの未精製のN‐(2‐アミノフェニル)‐4‐[N‐(ピリジン‐3‐イル)‐メトキシカルボニル‐アミノメチル]‐ベンズアミド(MS‐275、未精製)を反応器に移し、そして約300kgの水を加えた(懸濁させた)。その反応混合物に、内部温度を常に5℃未満に維持しながら、約18kgの塩酸(36%(w/w)、約66kgの水中に希釈されたもの)を加えた。内部温度の制御の下、15kgの炭を加え、そしてその反応混合物を約10時間撹拌した。
【0080】
その反応時間の後、反応液を濾過して溶液から炭を取り除き、そして適宜に約90kgの水ですすいだ。
N‐(2‐アミノフェニル)‐4‐[N‐(ピリジン‐3‐イル)‐メトキシカルボニル‐アミノメチル]‐ベンズアミドの純度を測定した。純度が不十分であれば、再び15kgの炭を濾液に加え、更に10時間撹拌し、再度反応液を濾過して溶液から炭を取り除き、そして適宜に約90kgの水ですすいだ。
内部温度を5℃未満に維持しながら、希釈した水酸化ナトリウム水溶液を使用することによって、反応混合物のpHを≧8に調製した。前述の処理後に、沈殿したN‐(2‐アミノフェニル)‐4‐[N‐(ピリジン‐3‐イル)‐メトキシカルボニル‐アミノメチル]‐ベンズアミド生成物を、約120kgの水、そして約68kgのエタノールで洗浄した。
【0081】
そして、沈殿物を、30〜60℃の温度にて乾燥させた。沈殿物が乾燥した後、それを、5倍量(例えば、約63kg)のエタノールと7倍量(例えば、約111kg)の水の混合物中に懸濁し、そしてそれを5時間で40〜90℃まで加熱した。その反応時間の後、反応混合物を冷ました。沈殿物を、約120kgの水、そして約52kgのエタノールですすいだ。
N‐(2‐アミノフェニル)‐4‐[N‐(ピリジン‐3‐イル)‐メトキシカルボニル‐アミノメチル]‐ベンズアミド生成物を、30〜60℃の温度にて乾燥させた。
収率:9kg〜24kg(理論値の30%〜80%)
融点::156〜158℃
【0082】
実施例2
示差走査熱量測定(DSC)によるN‐(2‐アミノフェニル)‐4‐[N‐(ピリジン‐3‐イル)‐メトキシカルボニル‐アミノメチル]‐ベンズアミド結晶多形と非晶相の分析
DSCトレースを、窒素雰囲気下、アルミニウムパンの中で5K/分の加熱速度を用いて記録した。以下の表1に測定した3種類の結晶多形の融解温度を提示した。
【0083】
【表1】
【0084】
当業者によると、測定される融解温度は、実験条件、特に使用した加熱速度に依存する。加えて、融解温度は、材料の化学的純度に影響を受ける。報告した融解温度は、少なくとも98.5%の純度を有するバッチについて測定した。
【0085】
実施例3
粉末X線回折によるN‐(2‐アミノフェニル)‐4‐[N‐(ピリジン‐3‐イル)‐メトキシカルボニル‐アミノメチル]‐ベンズアミド結晶多形と非晶相の分析
粉末X線回折データを、ゲルマニウム‐単色化CuKα1放射線照射(λ=1.5406Å)を使用して室温にて記録した。2θスキャンを、3°≦2θ≦35°(ステップ幅0.5°)の間で0.08°の角度分解能を有する小型の一次元位置感応型検出器を使用することで室温にて実施した。
粉末X線パターンにおける3種類の結晶多形の最強反射の2θ値を、以下の表2に提示する。
【0086】
【表2】
【0087】
当業者は、X線回折パターンが測定条件に依存する測定誤差と一緒に得られることがあることを理解している。特に、材料の結晶型と用いた測定条件によってX線回折パターンの強度が変動することもあることが一般に知られている。さらに、所定の温度における従来のX線回折パターンの回折角θの測定誤差は典型的には約±0.1°であるので、その程度の測定誤差が回折角に付随するものとして考慮すべきである。その結果、添付の図中に開示したものに関して実質的に同一であるX線回折パターンを示するあらゆる結晶形が、本発明の範囲内に入る。
【0088】
実施例4
FT‐ラマン分光法によるN‐(2‐アミノフェニル)‐4‐[N‐(ピリジン‐3‐イル)‐メトキシカルボニル‐アミノメチル]‐ベンズアミド結晶多形と非晶相の分析
FT‐ラマンスペクトルを、250mWのレーザ出力にて2及び64のsansの分解能を使用して記録した。
ラマン分析の結果を表3に示す。データは、結晶多形A、結晶多形B、結晶多形C、及び非晶相のFT‐ラマンスペクトルの特徴的なバンドの波数(cm-1)を示す。
【0089】
【表3】
【0090】
当業者によると、波数シフトに関する許容され得る許容誤差は、使用した機械及び測定条件に左右されて±2cm-1である。その結果、添付の図中に開示したものと実質的に同一のであるFT‐ラマンスペクトルを示すあらゆる固体状形態が、本発明の範囲内に入る。
【0091】
実施例5
IR分光法によるN‐(2‐アミノフェニル)‐4‐[N‐(ピリジン‐3‐イル)‐メトキシカルボニル‐アミノメチル]‐ベンズアミド結晶多形Bの分析
結晶多形BのIRスペクトルを、拡散反射(KBr)とATRを使用して記録した。主要な赤外線バンドとそれらの割り当てを、以下の表4にまとめる。
【0092】
【表4】
【0093】
当業者によると、波数シフトに関する許容され得る許容誤差は、使用した機械及び測定条件に左右されて±2cm-1である。その結果、添付の図中に開示したものと実質的に同一のであるFT‐ラマンスペクトルを示すあらゆる固体状形態が、本発明の範囲内に入る。
【0094】
実施例6
ヌードマウスによるDU‐145ヒト前立腺癌モデルにおけるN‐(2‐アミノフェニル)‐4‐[N‐(ピリジン‐3‐イル)‐メトキシカルボニル‐アミノメチル]‐ベンズアミド結晶多形Bの生物学的活性
腫瘍移植後に、ヌードマウスを、10、20又は30mg/kgのN‐(2‐アミノフェニル)‐4‐[N‐(ピリジン‐3‐イル)‐メトキシカルボニル‐アミノメチル]‐ベンズアミド結晶多形Bによって経口的に処置した。活性化合物を、30%のHPβCDで適用した。対照として、0.085%のMyrj/NaCl/30%のHPβCD中、DMSO/エタノール1:1のビヒクルを使用した。腫瘍増殖を、腫瘍移植した後、27〜56日後に測定した。
【0095】
その実験の結果を、図8に示す。
結果によると、N‐(2‐アミノフェニル)‐4‐[N‐(ピリジン‐3‐イル)‐メトキシカルボニル‐アミノメチル]‐ベンズアミド結晶多形Bが適用された場合に、腫瘍増殖に関して明確な阻害があることが、当業者にはわかる。
【技術分野】
【0001】
本発明は、N‐(2‐アミノフェニル)‐4‐[N‐(ピリジン‐3‐イル)‐メトキシカルボニル‐アミノメチル]‐ベンズアミド(MS‐275)の結晶性多形B、製造方法、及び選択された疾患の治療薬としての前述の化合物の使用に言及する。
【背景技術】
【0002】
EP 0 847 992 A1(その対応する特許はUS 6,794,392である)には、悪性腫瘍、自己免疫疾患、皮膚科的疾患、及び寄生虫感染症の治療薬としてのベンズアミド誘導体が記載されている。特に、これらの誘導体は、血液学的悪性腫瘍と固形腫瘍に好適な抗癌剤として極めて有効である。N‐(2‐アミノフェニル)‐4‐[N‐(ピリジン‐3‐イル)‐メトキシカルボニル‐アミノメチル]‐ベンズアミドの調製は、第57頁の実施例48に記載されている。当該化合物は、クロマトグラフィーによって精製されていないし、また炭(charcoal)での処置によって精製されてもいない。前記方法の最終ステップには、エタノールからの再結晶が含まれている。
【0003】
前述の化合物は、159〜160℃の融点(mp)を有している。
IRスペクトルは、以下のバンド:IR(KBr)cm-1:3295、1648、1541、1508、1457、1309、1183、742を示している。
このデータは結晶多形Aの形態を示している。
【0004】
EP 0 974 576 B1には、モノアシル化フェニレンジアミン誘導体の製造方法が記載されている。N‐(2‐アミノフェニル)‐4‐[N‐(ピリジン‐3‐イル)‐メトキシカルボニル‐アミノメチル]‐ベンズアミドの調製は、第12〜13頁の実施例6に記載されている。前記方法の最終ステップには、シリカゲルカラムクロマトグラフィーによる化合物の精製が含まれている。
前述の化合物は、159〜160℃の融点(mp)を有している。
IRスペクトルは、以下のバンド:IR(KBr)cm-1:3295、1648、1541、1508、1457、1309、1183、742を示している。
このデータは結晶多形Aの形態を示している。
【0005】
J.Med.Chem.1999、42、3001‐3003には、新しいベンズアミド誘導体の合成とヒストンデアセチラーゼ(HDAC)の阻害が記載されている。N‐(2‐アミノフェニル)‐4‐[N‐(ピリジン‐3‐イル)‐メトキシカルボニル‐アミノメチル]‐ベンズアミドの製造方法が記載されている。前記方法の最終ステップには、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(酢酸エチル)による化合物の精製が含まれている。
前述の化合物は、159〜160℃の融点(mp)を有している。
IRスペクトルは、以下のバンド:IR(KBr)cm-1:3295、1648、1541、1508、1457、1309、1183、742を示している。
前記データは結晶多形Aの形態を示している。
【0006】
WO 01/12193 A1には、N‐(2‐アミノフェニル)‐4‐[N‐(ピリジン‐3‐イル)‐メトキシカルボニル‐アミノメチル]‐ベンズアミドを含んでなる医薬製剤が記載されている。
WO 01/16106には、ベンズアミド誘導体に関して高い溶解性と改善された経口吸収を有するN‐(2‐アミノフェニル)‐4‐[N‐(ピリジン‐3‐イル)‐メトキシカルボニル‐アミノメチル]‐ベンズアミド、及び医薬として許容され得るその塩を含んでなる製剤が記載されている。
【0007】
WO 2004/103369には、ヒストンデアセチラーゼ阻害剤を含んでなる医薬組成物が記載されている。該出願は、別の癌活性化合物と、N‐(2‐アミノフェニル)‐4‐[N‐(ピリジン‐3‐イル)‐メトキシカルボニル‐アミノメチル]‐ベンズアミドとの併用に関係している。実は、その出願は後願であり、先に触れた物質に基づいているので、結晶多形Aの形態に関係している。
【0008】
最後に、JP 2001‐131130(11‐317580)では、モノアシルフェニレンジアミン誘導体の精製方法を記載している。参考例2では、未精製のN‐(2‐アミノフェニル)‐4‐[N‐(ピリジン‐3‐イル)‐メトキシカルボニル‐アミノメチル]‐ベンズアミドの製造方法が記載されている。
前述の化合物は、159〜160℃の融点(mp)を有している。
IRスペクトルは、以下のバンド:IR(KBr)cm-1:3295、1648、1541、1508、1457、1309、1183、742を示している。
このデータは結晶多形Aの形態を示している。
【0009】
そのうえ、実施例1では、活性炭を伴った水性酸性媒体を用いた未精製のN‐(2‐アミノフェニル)‐4‐[N‐(ピリジン‐3‐イル)‐メトキシカルボニル‐アミノメチル]‐ベンズアミドの精製が記載されている。最終的な結晶化は40〜50℃にて水性条件下でおこなわれている。
【0010】
その実施例に対する説明に続いて、未精製のN‐(2‐アミノフェニル)‐4‐[N‐(ピリジン‐3‐イル)‐メトキシカルボニル‐アミノメチル]‐ベンズアミドがエタノール、メタノール又はアセトニトリル中の還流温度条件下での溶解と、それに続く2℃での再結晶によって精製されないことが比較実施例1〜3からわかっている。その結果、これらの再結晶ではいずれの純粋化合物も得ていない。
【0011】
加えて、活性炭を伴った還流温度条件下におけるエタノール中での未精製のN‐(2‐アミノフェニル)‐4‐[N‐(ピリジン‐3‐イル)‐メトキシカルボニル‐アミノメチル]‐ベンズアミドの「精製」が記載されている。活性炭で濾別した後に、化合物を2℃で再結晶させている。この方法の精製効果は非常に限られている。1.1%の不純物質が、N‐(2‐アミノフェニル)‐4‐[N‐(ピリジン‐3‐イル)‐メトキシカルボニル‐アミノメチル]‐ベンズアミド中に残っている。その結果、この手順ではいずれの純粋化合物も得ていない。
【0012】
最新の文献はN‐(2‐アミノフェニル)‐4‐[N‐(ピリジン‐3‐イル)‐メトキシカルボニル‐アミノメチル]‐ベンズアミドの結晶多形Bに言及しておらず、そして、前述の化合物の物理化学特性も知られていない。
いくつかの生物学的研究及び臨床研究が、N‐(2‐アミノフェニル)‐4‐[N‐(ピリジン‐3‐イル)‐メトキシカルボニル‐アミノメチル]‐ベンズアミドを対照におこなわれた。例えば、Kummarら、Clin Cancer Res.13(18)、2007年、5411〜5417ページでは、難治性固形腫瘍におけるN‐(2‐アミノフェニル)‐4‐[N‐(ピリジン‐3‐イル)‐メトキシカルボニル‐アミノメチル]‐ベンズアミドの第一相試験が記載されている。前記化合物は経口的に適用された。
【0013】
進行性の難治性固形腫瘍又はリンパ腫における更なる試験が、Ryanら、J.Clin.Oncol.、Vol.23、17、2005年、3912〜3922ページ及びゴアら、Clin Cancer Res.、Vol14、2008年、4517〜4525ページによって公開された。
難治性、且つ、再発性の急性白血病を患っている成人における更なる活性が、Gojoら、Blood、Vol.109、2007年、2781〜2790ページによって公開されている。
【0014】
工程開発(スケールアップや変更された精製工程)の過程の中で、驚いたことに、先に触れた最新技術の中で記載されているN‐(2‐アミノフェニル)‐4‐[N‐(ピリジン‐3‐イル)‐メトキシカルボニル‐アミノメチル]‐ベンズアミドの既知の形態は、前述の化合物の熱力学的に安定した結晶多形でなく、少なくとも60℃未満の関連温度範囲内で熱力学的に安定した結晶多形ではないが、しかし、N‐(2‐アミノフェニル)‐4‐[N‐(ピリジン‐3‐イル)‐メトキシカルボニル‐アミノメチル]‐ベンズアミドの結晶多形Aは熱力学的に安定した結晶多形であることがここでわかった。
【0015】
このことは、結晶多形Aを使用するとき、医薬品開発にN‐(2‐アミノフェニル)‐4‐[N‐(ピリジン‐3‐イル)‐メトキシカルボニル‐アミノメチル]‐ベンズアミドの熱力学的に安定した結晶多形を使用していないという問題を生じる。このことは、例えば、N‐(2‐アミノフェニル)‐4‐[N‐(ピリジン‐3‐イル)‐メトキシカルボニル‐アミノメチル]‐ベンズアミドの結晶多形Aの形態が、(例えば、原薬としての保管中、並びに薬物製造中に)部分的又は完全にN‐(2‐アミノフェニル)‐4‐[N‐(ピリジン‐3‐イル)‐メトキシカルボニル‐アミノメチル]‐ベンズアミドの他の結晶多形の形態に転換する危険性を生み出す。しかしながら、固体形態の転換が特性の変化に関連するので、安定した固体状形態が医薬品を開発するための前提条件である。
【0016】
加えて、より大きなスケールにおいて純粋な多形相としての結晶多形Aのための確かな製造方法を確立することが不可能であった。
更なる問題は、高い化学的純度を有する結晶多形Aの確かな製造である。
【0017】
これらの問題は、本明細書中に記載のN‐(2‐アミノフェニル)‐4‐[N‐(ピリジン‐3‐イル)‐メトキシカルボニル‐アミノメチル]‐ベンズアミドの熱力学的に安定した結晶多形である、結晶多形Bによってここに解決される。
【発明の概要】
【0018】
以下の式(I):
【化1】
によって表される本発明のN‐(2‐アミノフェニル)‐4‐[N‐(ピリジン‐3‐イル)‐メトキシカルボニル‐アミノメチル]‐ベンズアミド結晶多形Bは、以下のステップ:
a)5℃未満の一定の反応器内温度にて、未精製のN‐(2‐アミノフェニル)‐4‐[N‐(ピリジン‐3‐イル)‐メトキシカルボニル‐アミノメチル]‐ベンズアミドを水中に懸濁し、希塩酸をその反応混合物に加え、そして
b)前述の反応混合物に炭を加え、次に、その反応混合物を5℃未満の一定の温度にて1〜20時間撹拌し、そして
c)それを濾過して溶液から炭を取り除き、それを水ですすぎ、そして
d)容器内温度を5℃未満に維持しながら、希水酸化ナトリウム水溶液で反応混合物のpH≧を8に調整し、そして
e)得られた沈殿N‐(2‐アミノフェニル)‐4‐[N‐(ピリジン‐3‐イル)‐メトキシカルボニル‐アミノメチル]‐ベンズアミドを、水とエタノールで洗浄し、乾燥させ、そして
f)沈殿物をエタノールと水の混合物中に懸濁し、それを40〜90℃の温度にて1〜10時間加熱し、そして
g)混合物を冷ました後に、得られた沈殿物を、水とエタノールですすいで、純粋なN‐(2‐アミノフェニル)‐4‐[N‐(ピリジン‐3‐イル)‐メトキシカルボニル‐アミノメチル]‐ベンズアミド結晶多形Bを得、それを続いて30〜60℃の温度にて乾燥させる、
を含んでなる方法によって得ることができる。
【0019】
本発明の方法もまた当発明の対象である。
ステップa)の未精製のN‐(2‐アミノフェニル)‐4‐[N‐(ピリジン‐3‐イル)‐メトキシカルボニル‐アミノメチル]‐ベンズアミドは、EP 0 974 576 B1の実施例6に記載の方法に従って製造できる。
【0020】
当方法に従って製造された本発明のN‐(2‐アミノフェニル)‐4‐[N‐(ピリジン‐3‐イル)‐メトキシカルボニル‐アミノメチル]‐ベンズアミド結晶多形Bは、少なくとも94%、好ましくは少なくとも96%、さらに好ましくは少なくとも98%、さらにより好ましくは少なくとも99%、最も好ましくは少なくとも99.5%の化学的純度を有するであろう。
【0021】
本発明のN‐(2‐アミノフェニル)‐4‐[N‐(ピリジン‐3‐イル)‐メトキシカルボニル‐アミノメチル]‐ベンズアミド結晶多形Bには全く結晶多形Aの形態が含まれないことに注意するべきである。
例えば、ステップc)を終えた後に、不十分な純度のN‐(2‐アミノフェニル)‐4‐[N‐(ピリジン‐3‐イル)‐メトキシカルボニル‐アミノメチル]‐ベンズアミドが測定された場合、より高い純度は先に触れた方法のステップb)とステップc)を繰り返すことによって達成できる。
【0022】
1つの実施形態は、いかなる他の固体状形態(例えば、別の結晶多形)を実質的に含まないN‐(2‐アミノフェニル)‐4‐[N‐(ピリジン‐3‐イル)‐メトキシカルボニル‐アミノメチル]‐ベンズアミドの結晶多形Bを提供する。
更なる実施形態は、N‐(2‐アミノフェニル)‐4‐[N‐(ピリジン‐3‐イル)‐メトキシカルボニル‐アミノメチル]‐ベンズアミドの結晶多形Aを実質的に含まないN‐(2‐アミノフェニル)‐4‐[N‐(ピリジン‐3‐イル)‐メトキシカルボニル‐アミノメチル]‐ベンズアミドの結晶多形Bを提供する。
【0023】
本明細書中で言及するとき、「実質的に含まない」という用語は、N‐(2‐アミノフェニル)‐4‐[N‐(ピリジン‐3‐イル)‐メトキシカルボニル‐アミノメチル]‐ベンズアミドの他の固体状形態を完全に含まない固体状態の組成物を包含する。「実質的に含まない」という用語はまた、10%未満、5%未満、2%未満、1%未満、若しくは0.5%未満の他の固体状形態又は他の結晶多形を含んでいる結晶多形Bの固体状態の組成物も含有する;ここで、N‐(2‐アミノフェニル)‐4‐[N‐(ピリジン‐3‐イル)‐メトキシカルボニル‐アミノメチル]‐ベンズアミドの他の形態の内容は、様々な解析法、例えば、粉末X線回折法、FT‐ラマン分光法、IR分光法と、示差走査熱量測定、微小熱量測定及び固体NMRによって測定される。
【0024】
N‐(2‐アミノフェニル)‐4‐[N‐(ピリジン‐3‐イル)‐メトキシカルボニル‐アミノメチル]ベンズアミドの結晶多形Bに加えて、第3の無水形態であるN‐(2‐アミノフェニル)‐4‐[N‐(ピリジン‐3‐イル)‐メトキシカルボニル‐アミノメチル]‐ベンズアミドの結晶多形C及び非晶相を発見した。
よって、N‐(2‐アミノフェニル)‐4‐[N‐(ピリジン‐3‐イル)‐メトキシカルボニル‐アミノメチル]‐ベンズアミドの結晶多形C及び非晶相もまた本発明の対象である。
【0025】
N‐(2‐アミノフェニル)‐4‐[N‐(ピリジン‐3‐イル)‐メトキシカルボニル‐アミノメチル]‐ベンズアミドの結晶多形Bは、無水の形態であり、且つ、156〜158℃の融点(mp)を有する(実施例2を参照のこと)。
N‐(2‐アミノフェニル)‐4‐[N‐(ピリジン‐3‐イル)‐メトキシカルボニル‐アミノメチル]‐ベンズアミドの結晶多形Cは、その152〜155℃の融点によって特徴づけられる。非晶相は、30℃〜50℃のガラス転移温度によって特徴づけられる。加熱速度に依存して、非晶相が加熱中に結晶多形の1つに再結晶する。
【0026】
融点と並んで、結晶多形A、結晶多形B、及び結晶多形Cはまた、粉末X線回折(XRPD)パターンの反射位置によっても区別できる(実施例3を参照のこと)。非晶相は、1つ若しくは2つだけの広範な拡散極大を示すが、XRPD反射と規定されない粉末X線回折パターンによって特徴づけられる。
3つの異なった結晶多形、並びに非晶相は、FT‐ラマンスペクトルのそれらの特徴的なバンドによってさらに識別できる(実施例4を参照のこと)。
【0027】
現在の最新技術であるN‐(2‐アミノフェニル)‐4‐[N‐(ピリジン‐3‐イル)‐メトキシカルボニル‐アミノメチル]‐ベンズアミドの結晶多形Aと、新しい結晶多形Bの間の区別はまた、IR分光法によっても可能である(実施例5を参照のこと)。
結晶多形Bは、少なくとも60℃未満の関連温度領域にて熱力学的に安定したN‐(2‐アミノフェニル)‐4‐[N‐(ピリジン‐3‐イル)‐メトキシカルボニル‐アミノメチル]‐ベンズアミドの結晶多形であり、そのため、それは薬剤としての使用のために好ましい形態である。
【0028】
よって、結晶性N‐(2‐アミノフェニル)‐4‐[N‐(ピリジン‐3‐イル)‐メトキシカルボニル‐アミノメチル]‐ベンズアミド結晶多形Bは、そのX線回折図が2θ=21.1°に反射を持つことを特徴とする。
さらに、結晶性N‐(2‐アミノフェニル)‐4‐[N‐(ピリジン‐3‐イル)‐メトキシカルボニル‐アミノメチル]‐ベンズアミド結晶多形Bは、そのX線回折図が2θ=21.1°、20.4°、及び27.4°に反射を持つことを特徴とする。
【0029】
追加的な特徴づけは、ラマンスペクトルによって与えられる、ここで、結晶性N‐(2‐アミノフェニル)‐4‐[N‐(ピリジン‐3‐イル)‐メトキシカルボニル‐アミノメチル]‐ベンズアミド結晶多形Bは、902cm-1、3036cm-1、1639cm-1及び916cm-1にそのバンドを持つ。
N‐(2‐アミノフェニル)‐4‐[N‐(ピリジン‐3‐イル)‐メトキシカルボニル‐アミノメチル]‐ベンズアミドの結晶多形BのIRスペクトルは、以下の特徴的なバンド:IR(KBr)cm-1::3349、3311、1705、1641、1262及び751、並びにIR(ATR)cm-1:3349、3309、1702、1638、1260及び749を示す。
【0030】
よって、純粋な結晶性N‐(2‐アミノフェニル)‐4‐[N(ピリジン‐3‐イル)‐メトキシカルボニル‐アミノメチル]‐ベンズアミド結晶多形Bの特徴は、2θ=21.1°、20.4°及び27.4°に反射を持つそのX線回折図、並びに1705cm-1、1641cm-1、1262cm-1及び751cm-1にバンドを持つそのFT‐ラマンスペクトル、並びに1702cm-1、1638cm-1、1260cm-1及び749cm-1にバンドがあるそのIR(ATR)スペクトルである。
【0031】
結晶多形Bが少なくとも60℃未満の関連温度領域にて熱力学的に安定したMS‐275の結晶多形であるという事実のおかげで、より大きいスケールにおける非常に純粋な形態でのその製造は、MS‐275の結晶多形Aの製造に比べて簡単である。
N‐(2‐アミノフェニル)‐4‐[N‐(ピリジン‐3‐イル)‐メトキシカルボニル‐アミノメチル]‐ベンズアミド結晶多形Bは、様々な疾患の治療薬の製造のため、並びに確立された試験システムにおいて使用できる。
【0032】
例えば、N‐(2‐アミノフェニル)‐4‐[N‐(ピリジン‐3‐イル)‐メトキシカルボニル‐アミノメチル]‐ベンズアミド結晶多形Bは、悪性腫瘍、自己免疫疾患、皮膚科的疾患、及び寄生虫感染症の治療薬として使用できる。
「悪性腫瘍」という用語には、急性白血病、悪性リンパ腫、多発性骨髄腫及びマクログロブリン血症などの血液悪性腫瘍、並びに結腸癌、脳腫瘍、頭頚部腫瘍、乳癌、肺癌、食道癌、胃癌、肝癌、胆嚢癌、胆管癌、膵臓癌、膵島細胞腺腫、腎細胞癌、副腎皮質癌、膀胱癌、前立腺癌、睾丸腫瘍、卵巣癌、子宮癌、絨毛癌、甲状腺癌、悪性カルチノイド腫瘍、皮膚癌、悪性黒腫、骨肉腫、軟部組織肉腫、神経芽細胞腫、ウィルムス腫瘍及び網膜芽細胞腫などの固形腫瘍が含まれる。
【0033】
「自己免疫疾患」という用語には、リウマチ疾患、糖尿病、全身性エリテマトーデス、ヒト自己免疫性リンパ球性リンパ節症、免疫芽細胞性リンパ節症、クローン病及び潰瘍性大腸炎が含まれる。
「皮膚病」という用語には、乾癬、にきび、湿疹及びアトピー性皮膚炎が含まれる。
「寄生虫感染症」という用語には、寄生虫感染によって引き起こされる疾患、例えばマラリアなどが含まれる。
【0034】
よって、本発明には、前述の疾患の処置のためのN‐(2‐アミノフェニル)‐4‐[N‐(ピリジン‐3‐イル)‐メトキシカルボニル‐アミノメチル]‐ベンズアミド結晶多形Bの使用、並びに前述の疾患の治療薬製造のためのN‐(2‐アミノフェニル)‐4‐[N‐(ピリジン‐3‐イル)‐メトキシカルボニル‐アミノメチル]‐ベンズアミド結晶多形Bの使用がさらに含まれる。
悪性腫瘍の治療薬としてのN‐(2‐アミノフェニル)‐4‐[N‐(ピリジン‐3‐イル)‐メトキシカルボニル‐アミノメチル]‐ベンズアミド結晶多形Bの使用が好まれる。
【0035】
薬剤/製剤の製造を、当該技術分野で知られている方法に従って実施することもできる。一般的に知られており、そして使用されるアジュバント、及び更なる好適な担体又は希釈剤を使用することもできる。
好適な担体及びアジュバントは、例えば、調剤、化粧品、及びUllmann’s Encyclopedia of Technical Chemistry、Vol.4、(1953年)、1‐39ページ;Journal of Pharmaceutical Sciences、Vol.52(1963年)、918ページ以降;H.v.Czetsch‐Lindenwald、「Hilfsstoffe fur Pharmazie und angrenzende Gebiete」;Pharm.Ind.2、1961年、72ページ以降;Dr.H.P.Fiedler、Lexikon der Hilfsstoffe fur Pharmazie、Kosmetik und angrenzende Gebiete、Cantor KG、Aulendorf in Wurttemberg、1971年における関連分野のために推薦されるものなどであってもよい。前記文献を本明細書中に援用する。
【0036】
前述の薬剤及び製剤もまた、本発明の対象である。
治療的効果に関して、妥当な用量は異なり、そして医薬組成物の濃度、宿主、適用の形態、及び処置される疾患の重さによる。
本発明はまた医薬組成物も含み、その医薬組成物を、例えば、経口、経腸、非経口、例えば、静脈内、腹腔内、筋肉内、皮下又は経皮適用のための既知のガレヌス製剤(galenics)調製方法によって調製できる。本発明の組み合わせ剤を、組織中に埋め込むこともできる。
【0037】
よって、本発明は、特にヒトが特に好まれる、温血動物に対する経腸投与のための、例えば、経鼻、頬側、直腸など若しくは、特に経口投与のための、並びに非経口投与のための、例えば、静脈内、筋肉内若しくは皮下投与などのためのN‐(2‐アミノフェニル)‐4‐[N‐(ピリジン‐3‐イル)‐メトキシカルボニル‐アミノメチル]‐ベンズアミド結晶多形B組成物の使用を含む。前記組成物は、単独で、又は好ましくは医薬的に許容し得る希釈剤及び/又は担体と一緒にN‐(2‐アミノフェニル)‐4‐[N‐(ピリジン‐3‐イル)‐メトキシカルボニル‐アミノメチル]‐ベンズアミド結晶多形Bを含んでなる。有効成分の投薬量は、処置されるべき疾患、そして種、性別、年齢、体重、及び個々の健康状態、個々の薬物動力学データ、並びに投与方法に依存する。
【0038】
N‐(2‐アミノフェニル)‐4‐[N‐(ピリジン‐3‐イル)‐メトキシカルボニル‐アミノメチル]‐ベンズアミド結晶多形Bの好ましい量は、1日あたり0.0001〜100mg/kg、好ましくは1日あたり0.001〜10mg/kg、より好ましくは1日あたり0.01〜1mg/kg、そして、最も好ましくは1日あたり0.05〜0.5mg/kgの範囲内にある。
患者の処置に必要な量によっては、同じか若しくは異なる用量により1日又は数日間で規定した量の活性化合物を適用することが有用であることもある。
【0039】
N‐(2‐アミノフェニル)‐4‐[N‐(ピリジン‐3‐イル)‐メトキシカルボニル‐アミノメチル]‐ベンズアミド結晶多形Bはまた、(特に腫瘍の処置用組成物の形の)組成物の調製工程に対して、及び多くの疾患、特に腫瘍疾患、より特に本明細書中で先に言及したものの処置方法に対して予防的に、又は特に治療的に使用されることもできる。
好ましい実施形態において、N‐(2‐アミノフェニル)‐4‐[N‐(ピリジン‐3‐イル)‐メトキシカルボニル‐アミノメチル]‐ベンズアミド結晶多形Bは、疾患、特に新生物疾患に罹患している温血動物、特にヒト又は商業的に有用な哺乳動物への投与に好適であり、そしてその疾患の処置のために前述の化合物の有効量を少なくとも1種類の医薬的に許容し得る担体と一緒に含んでなる。
【0040】
N‐(2‐アミノフェニル)‐4‐[N‐(ピリジン‐3‐イル)‐メトキシカルボニル‐アミノメチル]‐ベンズアミド結晶多形Bはまた、錠剤、フィルムコート錠剤、ウエハー、坐剤、丸薬、糖衣錠剤、ゲルカプセル剤、顆粒剤、坐剤、インプラント、注射可能な無菌水性若しくは油性溶液、懸濁液若しくは乳濁液、軟膏剤、クリーム剤、ゲル剤、経皮投与用パッチ剤、吸入による投与に好適な製剤、例えば鼻腔用スプレーの形態でも投与できる。
【0041】
少なくとも1種類の医薬的に許容し得る担体との組み合わせ剤の場合、前述の組み合わせ剤は、約0.1%〜約95%のN‐(2‐アミノフェニル)‐4‐[N‐(ピリジン‐3‐イル)‐メトキシカルボニル‐アミノメチル]‐ベンズアミド結晶多形Bを含んでなり、好ましい実施形態において、単回投与形態は、約1%〜約20%の有効成分を含んでなる。例えば、単位投与形態は、例えば、コート及び非コート錠剤、アンプル剤、バイアル剤、坐剤又はカプセル剤である。更なる剤形は、例えば、軟膏剤、クリーム剤、ペースト剤、フォーム剤、チンキ剤、リップスティック剤、ドロップ剤、スプレー剤、分散液などである。例は、約0.05mg〜約1.0gの有効成分を含有しているカプセル剤である。
【0042】
経口投与用の医薬組成物の調製のために、先に規定した本発明の対象に好適な活性物質は、一般的に知られていて、使用されているアジュバント及び担体、例えば、アラビアゴム、滑石、デンプン、例えば、マンニトースのような糖、メチルセルロース、ラクトース、ゼラチン、界面活性剤、ステアリン酸マグネシウム、水性又は非水性賦形剤、パラフィン誘導体、架橋剤、分散剤、乳化剤、滑沢剤、保存料及び着香料(例えば、エーテル油)と混合され得る。
【0043】
医薬組成物において、N‐(2‐アミノフェニル)‐4‐[N‐(ピリジン‐3‐イル)‐メトキシカルボニル‐アミノメチル]‐ベンズアミド結晶多形Bを、微小粒子、例えば、ナノ粒子、組成物の状態で分散させてもよい。
よって、N‐(2‐アミノフェニル)‐4‐[N‐(ピリジン‐3‐イル)‐メトキシカルボニル‐アミノメチル]‐ベンズアミド結晶多形Bを、生理学的に許容し得る医薬アジュバント及び担体の1つ又は複数と組み合わせて、薬剤として許容し得る製剤を得ることができる。
【0044】
さらなる薬理学的に有効なアジュバント及び担体は、例えば、Remington’s Pharmaceutical Science、第15版、Mack Publishing Company,Easton Pennsylvania中に記載されている。前記文献を本明細書中に援用する。
N‐(2‐アミノフェニル)‐4‐[N‐(ピリジン‐3‐イル)‐メトキシカルボニル‐アミノメチル]‐ベンズアミド結晶多形Bの生物学的利用能をさらに増強するために、先に規定した本発明の目的に好適な化合物はまた、それらとα‐、β‐又はγ‐シクロデキストリン又はその誘導体とをWO 96/02277に開示されている方法に従って反応させることによってシクロデキストリン包接化合物として処方され得る。
【0045】
非経口投与のために、先に規定した本発明の目的のために好適なN‐(2‐アミノフェニル)‐4‐[N‐(ピリジン‐3‐イル)‐メトキシカルボニル‐アミノメチル]‐ベンズアミド結晶多形Bは、生理学的に許容され得る希釈剤、例えば、可溶化剤、界面活性剤、分散剤又は乳化剤を含んでいるか否かにかかわらずオイルなどの中に溶解されるか又は懸濁され得る。オイルとして、例えば、これだけに限定されるものではないが、オリーブ油、ラッカセイ油、綿実油、ダイズ油、ヒマシ油及びゴマ油を使用することもできる。
【0046】
本発明によるN‐(2‐アミノフェニル)‐4‐[N‐(ピリジン‐3‐イル)‐メトキシカルボニル‐アミノメチル]‐ベンズアミド結晶多形Bはまた、任意に(単数若しくは複数の)活性物質の徐放性デリバリーのために、蓄積注射(a depot injection)又はインプラント調製物を介して投与され得る。
【0047】
インプラントには、不活性物質として、例えば、生物学的分解性高分子又は合成シリコーン、例えば、シリコーンゴムなどが含まれ得る。
経皮適用のために、N‐(2‐アミノフェニル)‐4‐[N‐(ピリジン‐3‐イル)‐メトキシカルボニル‐アミノメチル]‐ベンズアミド結晶多形Bはまた、粘着剤中に処方されることもできる。
好ましい投与様式は経口投与である。
【0048】
N‐(2‐アミノフェニル)‐4‐[N‐(ピリジン‐3‐イル)‐メトキシカルボニル‐アミノメチル]‐ベンズアミド結晶多形Bを含んでなる製剤は、例えば、従来の混合、顆粒化、コーティング、溶解又は凍結乾燥工程によって、自体公知の様式で調製され得る。
【0049】
N‐(2‐アミノフェニル)‐4‐[N‐(ピリジン‐3‐イル)‐メトキシカルボニル‐アミノメチル]‐ベンズアミド結晶多形Bの溶液、また懸濁液又は分散液、特に等張の水溶液、分散液又は懸濁液の使用が優先され、例えば、有効成分を単独で又は担体、例えば、マンニトールと一緒に含んでなる凍結乾燥組成物の場合には、使用前に製造されればよい。医薬組成物は、滅菌されてもよく、そして/あるいは、賦形剤、例えば、保存料、安定化剤、湿潤剤及び/又は乳化剤、可溶化剤、浸透圧を調整するための塩、及び/又は緩衝剤を含んでもよく、自体公知の様式で、例えば、従来の溶解及び凍結乾燥工程によって調製される。前述の溶液又は懸濁液には、増粘剤、典型的には、カルボキシメチルセルロースナトリウム、カルボキシメチルセルロース、デキストラン、ポリビニールピロリドン、又はゼラチン、あるいはまた可溶化剤、例えばTween80[ポリオキシエチレン(20)ソルビタンモノオレアート;ICI Americas Inc. USAの商標(RTM)]を含み得る。
【0050】
油中懸濁液には、オイル成分として注射目的のための通例の植物油、合成油又は反合成油が含まれる。これに関しては、所望であれば抗酸化剤、例えばビタミンE、β‐カロテン又は3,5‐ジ‐tert‐ブチル‐4‐ヒドロキシトルエンとともに、酸性成分として、8〜22個、特に12〜22個の炭素原子を有する長鎖脂肪酸、例えばラウリン酸、トリデシル酸、ミリスチン酸、ペンタデシル酸、パルミチン酸、マルガリン酸、ステアリン酸、アラキドン酸、ベヘン酸、又は対応するその不飽和酸、例えばオレイン酸、エライジン酸、エルカ酸、ブラシジン酸若しくはリノール酸を含む液体脂肪酸エステルが特に挙げられる。これらの脂肪酸エステルのアルコール成分としては、最大6個の炭素原子を有し、一価又は多価、例えば一価、二価又は三価アルコール、例えばメタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール若しくはペンタノール、又はその異性体があるが、特にグリコール及びグリセロールである。従って、脂肪酸エステルとしては、以下のもの:オレイン酸エチル、ミリスチン酸イソプロピル、パルミチン酸イソプロピル、「Labrafil M2375」(登録商標)(Gattefosse,Paris製ポリエチレングリセロールトリオレエート)、「Labrafil M1944 CS」(登録商標)(アプリコット核油のアルコール分解によって調製された、グリセリドとポリエチレングリコールエステルからなる不飽和ポリグリコール化グリセリド;Gattefosse,France)、「Labrasol」(登録商標)(TCMのアルコール分解によって製造された、グリセリドとポリエチレングリコールエステルからなる飽和ポリグリコール化グリセリド;Gattefosse,France)、及び/又は「Miglyol 812」(登録商標)(Huels AG,Germany製C8〜C12の鎖長の飽和脂肪酸からなるトリグリセリド)が挙げられるが、特に植物油、例えば、綿実油、アーモンド油、オリーブ油、ヒマシ油、ゴマ油、ダイズ油などであり、より特にラッカセイ油である。
【0051】
注射製剤の製造は通常、無菌条件下、例えば、アンプル又はバイアル内に充填し、そしてその容器を密封して行われる。
経口投与用の医薬組成物は、例えば、N‐(2‐アミノフェニル)‐4‐[N‐(ピリジン‐3‐イル)‐メトキシカルボニル‐アミノメチル]‐ベンズアミド結晶多形Bと1つ又は複数の固体担体とを配合し、所望により得られた混合物を造粒し、顆粒の混合物を加工し、所望により又は必要により追加の賦形剤を加えて、錠剤又は錠剤核を形成することによって得られる。
【0052】
好適な担体としては、特に増量剤、例えば、糖、例えば、ラクトース、サッカロース、マンニトール若しくはソルビトールなど、セルロース調製物、及び/又はリン酸カルシウム、例えば、リン酸三カルシウム若しくはリン酸水素カルシウムなど、また結合剤、例えば、デンプン、例えば、トウモロコシ、小麦、米若しくはジャガイモデンプン、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム、及び/又はポリビニルピロリドンなど、及び/又は、所望により、崩壊剤、例えば、先に触れたデンプン、またカルボキシメチルデンプン、架橋ポリビニルピロリドン、アルギン酸若しくはその塩、例えば、アルギン酸ナトリウムなどがある。追加の賦形剤としては、特に流動調節剤及び滑沢剤、例えば、ケイ酸、タルク、ステアリン酸又はその塩、例えば、ステアリン酸マグネシウム若しくはステアリン酸カルシウムなど、及び/又はポリエチレングリコール若しくはその誘導体がある。
【0053】
錠剤核は、とりわけ(アラビアガム、タルク、ポリビニルピロリドン、ポリエチレングリコール及び/若しくは二酸化チタンを含んでいてもよい)濃縮糖溶液、又は好適な有機溶媒若しくはその混合物中のコーティング溶液、又は腸溶性コーティングの調製のために、好適なセルロース調製物、例えば、アセチルセルロースフタラート若しくはヒドロキシプロピルメチルセルロースフタラートなどの溶液の使用による好適で、所望により腸溶性であるコーティングを伴って提供され得る。例えば、N‐(2‐アミノフェニル)‐4‐[N(ピリジン‐3‐イル)‐メトキシカルボニル‐アミノメチル]‐ベンズアミド結晶多形Bの識別目的のため、又はその異なる用量を表示するために、色素又は顔料を錠剤又は錠剤コーティングに加えてもよい。
【0054】
経口投与用の医薬製剤としてはまた、ゼラチンからなる硬カプセル、またゼラチン及び可塑剤、例えば、グリセロール又はソルビトールなどかならる軟質の封入カプセルも挙げられる。硬カプセルは、例えば、増量剤、例えば、トウモロコシデンプンなど、結合剤、及び/又は流動促進剤、例えば、タルク若しくはステアリン酸マグネシウムなど、並びに所望により安定化剤と混合した、顆粒の形態でN‐(2‐アミノフェニル)‐4‐[N‐(ピリジン‐3‐イル)‐メトキシカルボニル‐アミノメチル]‐ベンズアミド結晶多形Bを含有してもよい。軟カプセルにおいて、N‐(2‐アミノフェニル)‐4‐[N‐(ピリジン‐3‐イル)‐メトキシカルボニル‐アミノメチル]‐ベンズアミド結晶多形Bは、好ましくは、好適な液体賦形剤、例えば、脂肪油、パラフィン油、又は液体ポリエチレングリコール若しくはエチレンかプロピレングリコールの脂肪酸エステルなどの中に溶解又は懸濁され、そこへ安定化剤及び、例えば、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル系の界面活性剤が加えられてもよい。
【0055】
他の経口剤形は、例えば、懸濁された形態で、そして約5%〜20%、好ましくは約10%の濃度、又は、例えば、5ml又は10mlの一定量で投与されるときに好適な単回投与を提供する同様の濃度で有効成分を含んでなる、通例の様式で調製されたシロップである。同様に、例えば、ミルク中、シェイクの調製のため粉末又は液体の濃縮物も好適である。こうした濃縮物もまた、単回投与単位にパッケージされ得る。
【0056】
直腸投与に好適な医薬組成物には、例えば、N‐(2‐アミノフェニル)‐4‐[N‐(ピリジン‐3‐イル)‐メトキシカルボニル‐アミノメチル]‐ベンズアミド結晶多形Bと坐剤基剤の組み合わせからなる坐剤がある。好適な坐剤基剤には、例えば、天然若しくは合成トリグリセリド、パラフィン炭化水素、ポリエチレングリコール又は高級アルカノールがある。
【0057】
非経口投与としては、水溶型のN‐(2‐アミノフェニル)‐4‐[N‐(ピリジン‐3‐イル)‐メトキシカルボニル‐アミノメチル]‐ベンズアミド結晶多形B、例えば水溶性塩の水溶液、又は増粘物質、例えば、カルボキシメチルセルロースナトリウム、ソルビトール及び/又はデキストラン、及び所望により安定化剤を含む水性注射懸濁液が特に好適である。所望により賦形剤を伴うN‐(2‐アミノフェニル)‐4‐[N‐(ピリジン‐3‐イル)‐メトキシカルボニル‐アミノメチル]‐ベンズアミド結晶多形Bはまた、凍結乾燥物の形態であってもよいので、好適な溶媒を添加することによって非経口投与前に溶液にしてもよい。
【0058】
例えば、非経口投与に用いられるような溶液はまた、輸液として使用することもできる。
好ましい保存料は、例えば、アスコルビン酸などの抗酸化剤、又はソルビン酸若しくは安息香酸などの殺菌剤である。
【0059】
本発明はまた、特に、本明細書中で先に触れた疾患のうちの1以上、特に新生物疾患の治療学的管理、そしてまた予防的管理のための組み合わせ物それ自体の使用、又は少なくとも1種類の医薬的に許容し得る担体を伴った医薬製剤の形態での組み合わせ物の使用にも関する。
任意に、N‐(2‐アミノフェニル)‐4‐[N‐(ピリジン‐3‐イル)‐メトキシカルボニル‐アミノメチル]‐ベンズアミド結晶多形Bは、1以上の薬理学的活性物質と組み合わせられ得る。
【0060】
例えば、本願発明の化合物は、既知の抗過剰増殖剤、抗炎症剤、鎮痛剤、免疫調節剤、利尿剤、抗不整脈剤、抗高コレステロール血症剤、抗脂質異常症剤、抗糖尿病剤又は抗ウイルス剤など、並びにその混合物及び組み合わせ物と組み合わせられ得る。
細胞毒性薬を伴ったN‐(2‐アミノフェニル)‐4‐[N‐(ピリジン‐3‐イル)‐メトキシカルボニル‐アミノメチル]‐ベンズアミド結晶多形Bの組み合わせ物が好まれる。
【0061】
追加の医薬品は、アルデスロイキン、アレンドロン酸、アルファフェロン(alfaferone)、アリトレチノイン、アロプリノール、アロプリム(aloprim)、アロキシ、アルトレタミン、アミノグルテチミド、アミホスチン、アムルビシン、アムサクリン、アナストロゾール、アンズメト(anzmet)、アラネスプ(aranesp)、アルグラビン(arglabin)、三酸化ヒ素、アロマシン(エキセメスタン)、5‐アザシチジン、アザチオプリン、BCG又は2回BCG、ベスタチン、酢酸ベタメタゾン、リン酸ベタメタゾンナトリウム、ベキサロテン、硫酸ブレオマイシン、ブロクスウリジン、ボルテゾミブ、ブスルファン、カルシトニン、キャンパス、カペシタビン、カルボプラチン、カソデックス、セフェゾン(cefesone)、
【0062】
セルモロイキン、セルビジン(cerubidine)、クロラムブシル、シスプラチン、クラドリビン、2‐クラドリビン、クロドロン酸、シクロホスファミド、シタラビン、ダカルバジン、ダクチノマイシン、ダウノキソム(DaunoXome)、デカドロン、リン酸デカドロン(decadron phosphate)、デレストロゲン(delestrogen)、デニロイキンジフチトクス、デポ‐メドロール、デスロレリン(deslorelin)、デクスラゾキサン、ジエチルスチルベストロール、ジフルカン、ドセタキセル、ドキシフルリジン、ドキソルビシン、ドロナビノール、DW‐166HC、エリガード、エリテック(elitek)、エレンス(ellence)、エメンド(emend)、エピルビシン、エポエチンアルファ、エポゲン(epogen)、エプタプラチン(eptaplatin)、エルガミゾール(ergamisol)、エルロチニブ(タルセバ(Tarceva))、
【0063】
エストレース(estrace)、エストラジオール、リン酸エストラムスチンナトリウム、エチニルエストラジオール、エチヨール(ethyol)、エチドロン酸、エトポホス(etopophos)、エトポシド、ファドロゾール、フェアストン(farston)、フィルグラスチム、フィナステリド、フィルグラスチム(fligrastim)、フロクスウリジン、フルコナゾール、フルダラビン、5‐フルオロデオキシウリジン一リン酸、5‐フルオロウラシル(5‐FU)、フルオキシメステロン、フルタミド、ホルメスタン、ホステアビン(fosteabine)、ホテムスチン、フルベストラント、ガンマガード、ゲムシタビン、ゲムツズマブ、グリベック、グリアデル、ゴセレリン、グラニセトロンHCl、ヒストレリン、ハイカムチン、ハイドロコートン、エリスロ‐ヒドロキシノニルアデニン、ヒドロキシウレア、イブリツモマブチウキセタン、イダルビシン、イホスファミド、インターフェロンアルファ、インターフェロンアルファ‐2、インターフェロンアルファ‐2A、
【0064】
インターフェロンアルファ‐2B、インターフェロンアルファ‐n1、インターフェロンアルファ‐n3、インターフェロンベータ、インターフェロンガンマ‐1a、インターロイキン‐2、イントロンA、イレッサ、イリノテカン、カイトリル、硫酸レンチナン、レトロゾール、ロイコボリン、リュープロリド、酢酸リュープロリド、レバミソール、レボフォリン酸(levofolinic acid)カルシウム塩、レボスロイド(levothroid)、レボキシル(levoxyl)、ロムスチン、ロニダミン、マリノール、メクロレタミン、メコバラミン、酢酸メドロキシプロゲステロン、酢酸メゲストロール、メルファラン、メネスト、6‐メルカプトプリン、メスナ(Mesna)、
【0065】
メトトレキサート、メトビックス(metvix)、ミルテホシン、ミノサイクリン、マイトマイシンC、ミトタン、ミトキサントロン、モドレナル(Modrenal)、マイオセット(Myocet)、ネダプラチン、ニューラスタ(neulasta)、ニューメガ(neumega)、ニューポジェン、ニルタミド、ノルバデックス、NSC‐631570、OCT‐43、オクトレオチド、オンダンセトロンHCl、オラプレド(orapred)、オキサリプラチン、パクリタキセル、ペジアプレド(pediapred)、ペグアスパルガーゼ、ペガシス(Pegasys)、ペントスタチン、ピシバニール、ピロカルピンHCl、ピラルビシン、プリカマイシン、ポルフィマーナトリウム、プレドニムスチン、プレドニゾロン、プレドニゾン、プレマリン、プロカルバジン、プロクリット、ラルチトレキセド、レビフ(rebif)、エチドロン酸レニウム‐186、リツキシマブ、ロフェロン(roferon)‐A、
【0066】
ロムルチド、サラジェン、サンドスタチン、サルグラモスチム、セムスチン、シゾフィラン、ソブゾキサン、ソルメドロール、スパルフォス酸(sparfosic acid)、幹細胞治療、ストレプトゾシン、塩化ストロンチウム‐89、シントロイド(synthroid)、タモキシフェン、タムスロシン、タソネルミン、テストラクトン(tastolactone)、タキソテール、テセロイキン、テモゾロミド、テニポシド、プロピオン酸テストステロン、テストレド(testred)、チオグアニン、チオテパ、甲状腺刺激ホルモン、チルドロン酸、トポテカン、トレミフェン、トシツモマブ、トラスツズマブ、トレオスルファン、トレチノイン、トレキサル(trexall)、トリメチルメラミン、トリメトレキサート、酢酸トリプトレリン、パモ酸トリプトレリン、UFT、ウリジン、バルルビシン、ベスナリノン、ビンブラスチン、ビンクリスチン、ビンデシン、ビノレルビン、ビルリジン(virulizin)、ジネカルド(zinecard)、ジノスタチンスチマラマー、
【0067】
ゾフラン、ABI‐007、アコルビフェン(acolbifene)、アクティミューン、アフィニタック(affinitak)、アミノプテリン、アルゾキシフェン(arzoxifene)、アソプリスニル(asoprisnil)、アタメスタン(atamestane)、アトラセンタン(atrasentan)、BAY43‐9006(ソラフェニブ)、アバスチン、CCI‐779、CDC‐501、セレブレックス(celebrex)、セツキシマブ、クリスナトール(crisnatol)、酢酸シプロテロン、デシタビン、DN‐101、ドキソルビシン‐MTC、dSLIM、デュタステリド、エドテカリン(edotecarin)、エフロールニチン、エキサテカン(exatecan)、フェンレチニド、ヒスタミン二塩酸塩、ヒストレリンヒドロゲルインプラント、ホルミウム‐166 DOTMP、イバンドロン酸、インターフェロンガンマ、イントロン‐PEG、イクサベピロン、
【0068】
キーホールリンペットヘモシアニン、L‐651582、ランレオチド、ラソフォキシフェン、ライブラ(libra)、ロナファーニブ、ミプロキシフェン(miproxifene)、ミノドロナート、MS‐209、リポソームMTP‐PE、MX‐6、ナファレリン、ネモルビシン(nemorubicin)、ネオバスタット(neovastat)、ノラトレキセド(nolatrexed)、オブリメルセン、オンコ‐TCS、オシデム(osidem)、ポリグルタミン酸パクリタキセル、パミドロン酸二ナトリウム、PN‐401、QS‐21、クアゼパム、R‐1549、ラロキシフェン、ランピルナーゼ(ranpirnase)、13‐シス‐レチノイン酸、サトラプラチン、セオカルシトール(seocalcitol)、T‐138067、タルセバ、タキソプレキシン(taxoprexin)、チモシンアルファ1、チアゾフリン、ティピファニブ、チラパザミン、TLK‐286、トレミフェン、TransMID‐107R、バルスポダル(valspodar)、バプレオチド(vapreotide)、バタラニブ、ベルテポルフィン、ビンフルニン、Z‐100、ゾレドロン酸又はそれらの組み合わせであり得る。
【0069】
追加の医薬品はまた、ゲムシタビン、パクリタキセル、シスプラチン、カルボプラチン、酪酸ナトリウム、5‐FU、ドキソルビシン(doxirubicin)、タモキシフェン、エトポシド、トラスツズマブ、ゲフィチニブ、イントロンA、ラパマイシン、17‐AAG、U0126、インスリン、インスリン誘導体、PPARリガンド、スルホニル尿素剤、α‐グルコシダーゼ阻害剤、ビグアニド、PTP‐1B阻害剤、DPP‐IV阻害剤、11‐ベータ‐HSD阻害剤、GLP‐1、GLP‐1誘導体、GIF、GIF誘導体、PACAP、PACAP誘導体、セクレチン又はセクレチン誘導体でもあり得る。
【0070】
組成物に添加できる任意の抗過剰増殖剤には、本明細書中に援用するMerck Index第11版(1996年)の癌の化学療法薬レジメンに挙げられている化合物、例えば、アスパラギナーゼ、ブレオマイシン、カルボプラチン、カルムスチン、クロラムブシル、シスプラチン、コラスパーゼ(colaspase)、シクロホスファミド、シタラビン、ダカルバジン、ダクチノマイシン、ダウノルビシン、ドキソルビシン(アドリアマイシン(adriamycine))、エピルビシン、エトポシド、5‐フルオロウラシル、ヘキサメチルメラミン、ヒドロキシウレア、イホスファミド、イリノテカン、ロイコボリン、ロムスチン、メクロレタミン、6‐メルカプトプリン、メスナ、メトトレキサート、マイトマイシンC、ミトキサントロン、プレドニゾロン、プレドニゾン、プロカルバジン、ラロキシフェン、ストレプトゾシン、タモキシフェン、チオグアニン、トポテカン、ビンブラスチン、ビンクリスチン及びビンデシンなどが含まれるが、これだけに限定されるものではない。
【0071】
本発明の組成物と共に使用するのに好適な他の抗過剰増殖剤には、本明細書中に援用するGoodman and Gilman’s The Pharmacological Basis of Therapeutics(第9版)、Molinoffら編、McGraw‐Hill刊行、1225〜1287ページ(1996年)で、新生物性疾患の処置に使用できると認められている化合物、例えば、アミノグルテチミド、L‐アスパラギナーゼ、アザチオプリン、5‐アザシチジン、クラドリビン、ブスルファン、ジエチルスチルベストロール、2’,2’‐ジフルオロデオキシシチジン、ドセタキセル、エリスロヒドロキシノニルアデニン、エチニルエストラジオール、5‐フルオロデオキシウリジン、5‐フルオロデオキシウリジン一リン酸塩、リン酸フルダラビン、フルオキシメステロン、フルタミド、カプロン酸ヒドロキシプロゲステロン、イダルビシン、インターフェロン、酢酸メドロキシプロゲステロン、酢酸メゲストロール、メルファラン、ミトタン、パクリタキセル、ペントスタチン、N‐ホスホノアセチル‐L‐アスパラギン酸(PALA)、プリカマイシン、セムスチン、テニポシド、プロピオン酸テストステロン、チオテパ、トリメチルメラミン、ウリジン及びビノレルビンなどが含まれるが、これだけに限定されるものではない。
【0072】
本発明の組成物と共に使用するのに好適な他の抗過剰増殖剤には、他の抗癌剤、例えば、エポチロン及びその誘導体、イリノテカン、ラロキシフェン及びトポテカンなどが含まれるが、これだけに限定されるものではない。
上記のいくつかの化合物が登録商標(RTM)であることに注意するべきである。
【0073】
一般に、本発明のN‐(2‐アミノフェニル)‐4‐[N‐(ピリジン‐3‐イル)‐メトキシカルボニル‐アミノメチル]‐ベンズアミド結晶多形Bと組み合わせた細胞毒性薬、及び/又は細胞増殖抑制薬の使用は、以下のことに役立つ:
i)単独でのいずれかの作用物質の投与と比較して、腫瘍の増殖を低減するのにより高い有効性をもたらすか、又は腫瘍を排除することさえあり、
ii)より少量の投与化学療法剤の投与を提供し、
iii)単剤化学療法や他の特定の併用療法で観察されるのに比べて、より少ない有害な薬理学的合併症しか持たない、患者において耐容性良好である化学療法剤処置を提供し、
iv)哺乳動物、特にヒトにおいてより広範囲の様々な癌タイプの処置を提供し、
v)処置した患者の間でより高い奏功率を提供し、
vi)標準的な化学療法処置と比べて、処置した患者の間により長い生存期間を提供し、
vii)他の癌用作用物質の組み合わせが拮抗作用を生じる既知の例と比較して、その作用物質が単独で使用されたのと少なくとも同程度、癌の進行を遅らせ、及び/又は有効性及び耐容性の結果を得る。
【0074】
本発明は、細胞毒性薬、例えば、Folfox4(フルオロウラシル/ロイコボリン/オキサリプラチン);Folfiri(ロイコボリン、5‐フルオロウラシル、イリノテカン);DHAP(シスプラチン/シタラビン/デキサメタゾン)、CEOP(シクロホスファミド/エピルビシン/ビンクリスチン/プレドニゾン)、CHOP(シクロホスファミド、ドキソルビシン、ビンクリスチン及びプレドニゾン)、FLAG(フルダラビン/シタラビン/フィルグラスチム)、M&P(ミトキサントロン+プレドニゾン;メルファラン+プレドニゾン)、ABMC(ドキソルビシン/カルムスチン/メルファラン/シクロホスファミド)、ICE(イホスファミド、カルボプラチン及びエトポシド)、DVP(ダウノルビシン、ビンクリスチン及びプレドニゾン)、ATRA(オールトランス型レチノイン酸)、ABVD(ブレオマイシン、ダカルバジン、ドキソルビシン及びビンクリスチン)、COP(シクロホスファミド、ビンクリスチン及びプレドニゾン)、VAD(ビンクリスチン、アドリアマイシン及びデキサメタゾン)、並びにMOPP(メクロレタミン、プレドニゾン、プロカルバジン及びビンクリスチン)の1つ又は複数のレジメンとN‐(2‐アミノフェニル)‐4‐[N‐(ピリジン‐3‐イル)‐メトキシカルボニル‐アミノメチル]‐ベンズアミド結晶多形Bの組み合わせをさらに含む。
【0075】
細胞毒性薬自体又はレジメンによるものは、市販されているか、又は標準的な文献手順によって調製できる。
N‐(2‐アミノフェニル)‐4‐[N‐(ピリジン‐3‐イル)‐メトキシカルボニル‐アミノメチル]‐ベンズアミド結晶多形Bは、医薬的に有効な量で、1種類又は複数のこれらの細胞毒性薬と一緒に、同時に、別々に又は連続して適用され得る。
【0076】
投与されるべき併用活性物質の量(「医薬的に有効な量」)は、広範囲の中で変化し、そして処置されるべき病状及び投与方法による。それらは対象とする処置に効果的なあらゆる量におよび得る。
併用活性物質の「医薬的に有効な量」を決定することは、当業者の範囲内にある。
【0077】
N‐(2‐アミノフェニル)‐4‐[N‐(ピリジン‐3‐イル)‐メトキシカルボニル‐アミノメチル]‐ベンズアミド結晶多形Bを細胞毒性薬、及び/又は細胞増殖抑制薬と一緒に含んでなるそれらの組み合わせもまた、本発明の対象である。
【図面の簡単な説明】
【0078】
【図1】N‐(2‐アミノフェニル)‐4‐[N‐(ピリジン‐3‐イル)‐メトキシカルボニル‐アミノメチル]‐ベンズアミド(MS‐275)の結晶多形A及び結晶多形BのDSCトレースを示す。
【図2】N‐(2‐アミノフェニル)‐4‐[N‐(ピリジン‐3‐イル)‐メトキシカルボニル‐アミノメチル]‐ベンズアミド(MS‐275)の結晶多形CのDSCトレースを示す。
【図3】N‐(2‐アミノフェニル)‐4‐[N‐(ピリジン‐3‐イル)‐メトキシカルボニル‐アミノメチル]‐ベンズアミド(MS‐275)の非晶相のDSCトレースを示す。
【図4】N‐(2‐アミノフェニル)‐4‐[N‐(ピリジン‐3‐イル)‐メトキシカルボニル‐アミノメチル]‐ベンズアミド(MS‐275)の結晶多形Aの粉末X線回折パターンを示す。
【図5】N‐(2‐アミノフェニル)‐4‐[N‐(ピリジン‐3‐イル)‐メトキシカルボニル‐アミノメチル]‐ベンズアミド(MS‐275)の結晶多形Bの粉末X線回折パターンを示す。
【図6】N‐(2‐アミノフェニル)‐4‐[N‐(ピリジン‐3‐イル)‐メトキシカルボニル‐アミノメチル]‐ベンズアミド(MS‐275)の結晶多形Cの粉末X線回折パターンを示す。
【図7】N‐(2‐アミノフェニル)‐4‐[N‐(ピリジン‐3‐イル)‐メトキシカルボニル‐アミノメチル]‐ベンズアミド(MS‐275)の非晶相の粉末X線回折パターンを示す。
【図8】N‐(2‐アミノフェニル)‐4‐[N‐(ピリジン‐3‐イル)‐メトキシカルボニル‐アミノメチル]‐ベンズアミド(MS‐275)の結晶多形AのFT‐ラマンスペクトルを示す。
【図9】N‐(2‐アミノフェニル)‐4‐[N‐(ピリジン‐3‐イル)‐メトキシカルボニル‐アミノメチル]‐ベンズアミド(MS‐275)の結晶多形BのFT‐ラマンスペクトルを示す。
【図10】N‐(2‐アミノフェニル)‐4‐[N‐(ピリジン‐3‐イル)‐メトキシカルボニル‐アミノメチル]‐ベンズアミド(MS‐275)の結晶多形CのFT‐ラマンスペクトルを示す。
【図11】N‐(2‐アミノフェニル)‐4‐[N‐(ピリジン‐3‐イル)‐メトキシカルボニル‐アミノメチル]‐ベンズアミド(MS‐275)の非晶相のFT‐ラマンスペクトルを示す。
【図12】N‐(2‐アミノフェニル)‐4‐[N‐(ピリジン‐3‐イル)‐メトキシカルボニル‐アミノメチル]‐ベンズアミド(MS‐275)の結晶多形BのIRスペクトル(KBr)、並びに主要な赤外線バンド及びそれらの割り当てを示す。
【図13】N‐(2‐アミノフェニル)‐4‐[N‐(ピリジン‐3‐イル)‐メトキシカルボニル‐アミノメチル]‐ベンズアミド(MS‐275)の結晶多形BのIRスペクトル(ATR)、並びに主要な赤外線バンド及びそれらの割り当てを示す。
【図14】対照(ビヒクルDMSO)に対する異なる濃度で適用された本発明のN‐(2‐アミノフェニル)‐4‐[N‐(ピリジン‐3‐イル)‐メトキシカルボニル‐アミノメチル]‐ベンズアミド(MS‐275)の結晶多形B(ZK244894)の生物学的活性を示す。
【実施例】
【0079】
実施例1
N‐(2‐アミノフェニル)‐4‐[N‐(ピリジン‐3‐イル)‐メトキシカルボニル‐アミノメチル]‐ベンズアミド、結晶多形B形態の製造方法
30kgの未精製のN‐(2‐アミノフェニル)‐4‐[N‐(ピリジン‐3‐イル)‐メトキシカルボニル‐アミノメチル]‐ベンズアミド(MS‐275、未精製)を反応器に移し、そして約300kgの水を加えた(懸濁させた)。その反応混合物に、内部温度を常に5℃未満に維持しながら、約18kgの塩酸(36%(w/w)、約66kgの水中に希釈されたもの)を加えた。内部温度の制御の下、15kgの炭を加え、そしてその反応混合物を約10時間撹拌した。
【0080】
その反応時間の後、反応液を濾過して溶液から炭を取り除き、そして適宜に約90kgの水ですすいだ。
N‐(2‐アミノフェニル)‐4‐[N‐(ピリジン‐3‐イル)‐メトキシカルボニル‐アミノメチル]‐ベンズアミドの純度を測定した。純度が不十分であれば、再び15kgの炭を濾液に加え、更に10時間撹拌し、再度反応液を濾過して溶液から炭を取り除き、そして適宜に約90kgの水ですすいだ。
内部温度を5℃未満に維持しながら、希釈した水酸化ナトリウム水溶液を使用することによって、反応混合物のpHを≧8に調製した。前述の処理後に、沈殿したN‐(2‐アミノフェニル)‐4‐[N‐(ピリジン‐3‐イル)‐メトキシカルボニル‐アミノメチル]‐ベンズアミド生成物を、約120kgの水、そして約68kgのエタノールで洗浄した。
【0081】
そして、沈殿物を、30〜60℃の温度にて乾燥させた。沈殿物が乾燥した後、それを、5倍量(例えば、約63kg)のエタノールと7倍量(例えば、約111kg)の水の混合物中に懸濁し、そしてそれを5時間で40〜90℃まで加熱した。その反応時間の後、反応混合物を冷ました。沈殿物を、約120kgの水、そして約52kgのエタノールですすいだ。
N‐(2‐アミノフェニル)‐4‐[N‐(ピリジン‐3‐イル)‐メトキシカルボニル‐アミノメチル]‐ベンズアミド生成物を、30〜60℃の温度にて乾燥させた。
収率:9kg〜24kg(理論値の30%〜80%)
融点::156〜158℃
【0082】
実施例2
示差走査熱量測定(DSC)によるN‐(2‐アミノフェニル)‐4‐[N‐(ピリジン‐3‐イル)‐メトキシカルボニル‐アミノメチル]‐ベンズアミド結晶多形と非晶相の分析
DSCトレースを、窒素雰囲気下、アルミニウムパンの中で5K/分の加熱速度を用いて記録した。以下の表1に測定した3種類の結晶多形の融解温度を提示した。
【0083】
【表1】
【0084】
当業者によると、測定される融解温度は、実験条件、特に使用した加熱速度に依存する。加えて、融解温度は、材料の化学的純度に影響を受ける。報告した融解温度は、少なくとも98.5%の純度を有するバッチについて測定した。
【0085】
実施例3
粉末X線回折によるN‐(2‐アミノフェニル)‐4‐[N‐(ピリジン‐3‐イル)‐メトキシカルボニル‐アミノメチル]‐ベンズアミド結晶多形と非晶相の分析
粉末X線回折データを、ゲルマニウム‐単色化CuKα1放射線照射(λ=1.5406Å)を使用して室温にて記録した。2θスキャンを、3°≦2θ≦35°(ステップ幅0.5°)の間で0.08°の角度分解能を有する小型の一次元位置感応型検出器を使用することで室温にて実施した。
粉末X線パターンにおける3種類の結晶多形の最強反射の2θ値を、以下の表2に提示する。
【0086】
【表2】
【0087】
当業者は、X線回折パターンが測定条件に依存する測定誤差と一緒に得られることがあることを理解している。特に、材料の結晶型と用いた測定条件によってX線回折パターンの強度が変動することもあることが一般に知られている。さらに、所定の温度における従来のX線回折パターンの回折角θの測定誤差は典型的には約±0.1°であるので、その程度の測定誤差が回折角に付随するものとして考慮すべきである。その結果、添付の図中に開示したものに関して実質的に同一であるX線回折パターンを示するあらゆる結晶形が、本発明の範囲内に入る。
【0088】
実施例4
FT‐ラマン分光法によるN‐(2‐アミノフェニル)‐4‐[N‐(ピリジン‐3‐イル)‐メトキシカルボニル‐アミノメチル]‐ベンズアミド結晶多形と非晶相の分析
FT‐ラマンスペクトルを、250mWのレーザ出力にて2及び64のsansの分解能を使用して記録した。
ラマン分析の結果を表3に示す。データは、結晶多形A、結晶多形B、結晶多形C、及び非晶相のFT‐ラマンスペクトルの特徴的なバンドの波数(cm-1)を示す。
【0089】
【表3】
【0090】
当業者によると、波数シフトに関する許容され得る許容誤差は、使用した機械及び測定条件に左右されて±2cm-1である。その結果、添付の図中に開示したものと実質的に同一のであるFT‐ラマンスペクトルを示すあらゆる固体状形態が、本発明の範囲内に入る。
【0091】
実施例5
IR分光法によるN‐(2‐アミノフェニル)‐4‐[N‐(ピリジン‐3‐イル)‐メトキシカルボニル‐アミノメチル]‐ベンズアミド結晶多形Bの分析
結晶多形BのIRスペクトルを、拡散反射(KBr)とATRを使用して記録した。主要な赤外線バンドとそれらの割り当てを、以下の表4にまとめる。
【0092】
【表4】
【0093】
当業者によると、波数シフトに関する許容され得る許容誤差は、使用した機械及び測定条件に左右されて±2cm-1である。その結果、添付の図中に開示したものと実質的に同一のであるFT‐ラマンスペクトルを示すあらゆる固体状形態が、本発明の範囲内に入る。
【0094】
実施例6
ヌードマウスによるDU‐145ヒト前立腺癌モデルにおけるN‐(2‐アミノフェニル)‐4‐[N‐(ピリジン‐3‐イル)‐メトキシカルボニル‐アミノメチル]‐ベンズアミド結晶多形Bの生物学的活性
腫瘍移植後に、ヌードマウスを、10、20又は30mg/kgのN‐(2‐アミノフェニル)‐4‐[N‐(ピリジン‐3‐イル)‐メトキシカルボニル‐アミノメチル]‐ベンズアミド結晶多形Bによって経口的に処置した。活性化合物を、30%のHPβCDで適用した。対照として、0.085%のMyrj/NaCl/30%のHPβCD中、DMSO/エタノール1:1のビヒクルを使用した。腫瘍増殖を、腫瘍移植した後、27〜56日後に測定した。
【0095】
その実験の結果を、図8に示す。
結果によると、N‐(2‐アミノフェニル)‐4‐[N‐(ピリジン‐3‐イル)‐メトキシカルボニル‐アミノメチル]‐ベンズアミド結晶多形Bが適用された場合に、腫瘍増殖に関して明確な阻害があることが、当業者にはわかる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
以下の式(I):
【化1】
によって表される結晶性N‐(2‐アミノフェニル)‐4‐[N‐(ピリジン‐3‐イル)‐メトキシカルボニルアミノ-メチル]‐ベンズアミドの結晶多形Bであって、N‐(2‐アミノフェニル)‐4‐[N‐(ピリジン‐3‐イル)‐メトキシ-カルボニルアミノ-メチル]‐ベンズアミドの結晶多形Aを実質的に含んでいないもの。
【請求項2】
以下の式(I):
【化2】
によって表される結晶性N‐(2‐アミノフェニル)‐4‐[N‐(ピリジン‐3‐イル)‐メトキシカルボニル‐アミノメチル]‐ベンズアミドの結晶多形B化合物の製造方法であって、以下の:
a)未精製のN‐(2‐アミノフェニル)‐4‐[N‐(ピリジン‐3‐イル)‐メトキシカルボニルアミノメチル]‐ベンズアミドを水中に懸濁し、5℃未満の一定の反応器内温度にて、希塩酸をその反応混合物に加え、そして
b)前記反応混合物に炭を加え、その後、反応混合物を5℃未満の温度にて1〜20時間撹拌し、そして
c)濾過して溶液から炭を取り除き、水ですすぎ、そして
d)5℃未満の容器内温度を維持しながら、希釈した水酸化ナトリウム水溶液で反応混合物のpHを≧8に調整し、そして
e)得られた沈殿N‐(2‐アミノフェニル)‐4‐[N‐(ピリジン‐3‐イル)‐メトキシカルボニルアミノメチル]‐ベンズアミドを、水及びエタノールで洗浄し、それを乾燥させ、そして
f)沈殿物を、エタノールと水の混合物中に懸濁し、40〜90℃の温度まで1時間〜10時間かけて加熱し、そして
g)混合物を冷ました後に、得られた沈殿物を、水及びエタノールですすぎ、続いて30〜60℃の温度にて乾燥させて純粋なN‐(2‐アミノフェニル)‐4‐[N‐(ピリジン‐3‐イル)‐メトキシカルボニルアミノメチル]‐ベンズアミド結晶多形Bを得ること、
を特徴とする前記製造方法。
【請求項3】
ステップc)の後にN‐(2‐アミノフェニル)‐4‐[N‐(ピリジン‐3‐イル)‐メトキシカルボニル‐アミノメチル]‐ベンズアミドの純度が不十分であった場合に、ステップb)及びステップc)を繰り返すことを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
請求項2及び3に従って製造されることを特徴とする、請求項1に記載の結晶性N‐(2‐アミノフェニル)‐4‐[N‐(ピリジン‐3‐イル)‐メトキシカルボニル‐アミノメチル]‐ベンズアミド結晶多形B。
【請求項5】
そのX線回折図が、2θ=21.1°に反射をもつことを特徴とする、請求項1に記載の結晶性N‐(2‐アミノフェニル)‐4‐[N‐(ピリジン‐3‐イル)‐メトキシカルボニル‐アミノメチル]‐ベンズアミド結晶多形B。
【請求項6】
そのX線回折図が、2θ=21.1°、20.4°及び27.4°に反射を持つことを特徴とする、請求項1に記載の結晶性N‐(2‐アミノフェニル)‐4‐[N‐(ピリジン‐3‐イル)‐メトキシカルボニル‐アミノメチル]‐ベンズアミド結晶多形B。
【請求項7】
ラマンスペクトルが、902cm-1にバンドを持つことを特徴とする、請求項1に記載の結晶性N‐(2‐アミノフェニル)‐4‐[N‐(ピリジン‐3‐イル)‐メトキシカルボニル‐アミノメチル]‐ベンズアミド結晶多形B。
【請求項8】
ラマンスペクトルが、902cm-1、3036cm-1、1639cm-1及び916cm-1にバンドを持つことを特徴とする、請求項1に記載の結晶性N‐(2‐アミノフェニル)‐4‐[N‐(ピリジン‐3‐イル)‐メトキシカルボニル‐アミノメチル]‐ベンズアミド結晶多形B。
【請求項9】
IRスペクトル(ATR)が、1702cm-1、3309cm-1、1638cm-1、1260cm-1及び749cm-1にバンドを持つことを特徴とする、請求項1に記載の結晶性N‐(2‐アミノフェニル)‐4‐[N‐(ピリジン‐3‐イル)‐メトキシカルボニル‐アミノメチル]‐ベンズアミド結晶多形B。
【請求項10】
IRスペクトル(KBr)が、1705cm-1、3311cm-1、1641cm-1、1262cm-1及び751cm-1にバンドを持つことを特徴とする、請求項1に記載の結晶性N‐(2‐アミノフェニル)‐4‐[N‐(ピリジン‐3‐イル)‐メトキシカルボニル‐アミノメチル]‐ベンズアミド結晶多形B。
【請求項11】
そのX線回折図が、2θ=21.1°、20.4°及び27.4°に反射を持ち、且つ、ラマンスペクトルが、902cm-1、3036cm-1、1639cm-1及び916cm-1にバンドを持ち、且つ、IR(ATR)スペクトルが、1702cm-1、3311cm-1、1641cm-1、1262cm-1及び751cm-1にバンドを持つことを特徴とする、請求項1に記載の結晶性N‐(2‐アミノフェニル)‐4‐[N‐(ピリジン‐3‐イル)‐メトキシカルボニル‐アミノメチル]‐ベンズアミド結晶多形B。
【請求項12】
悪性腫瘍、自己免疫疾患、皮膚科的疾患及び寄生虫感染症の治療薬の製造のためのN‐(2‐アミノフェニル)‐4‐[N‐(ピリジン‐3‐イル)‐メトキシカルボニルアミノ-メチル]‐ベンズアミド結晶多形Bの使用。
【請求項13】
単独で、又は医薬的に許容し得る希釈剤及び/又は担体と組み合わせてN‐(2‐アミノフェニル)‐4‐[N‐(ピリジン‐3‐イル)‐メトキシカルボニルアミノ-メチル]‐ベンズアミド結晶多形Bを含んでなる組成物。
【請求項14】
1種類又は複数の細胞毒性薬又は細胞溶解薬と一緒にN‐(2‐アミノフェニル)‐4‐[N‐(ピリジン‐3‐イル)‐メトキシカルボニル‐アミノメチル]‐ベンズアミド結晶多形Bを含んでなる組み合わせ剤。
【請求項15】
N‐(2‐アミノフェニル)‐4‐[N‐(ピリジン‐3‐イル)‐メトキシカルボニル‐アミノメチル]‐ベンズアミド結晶多形Bを、細胞毒性薬又は細胞溶解薬と一緒に、同時に、別々に又は連続して投与することを特徴とする、請求項13に記載の組み合わせ剤。
【請求項1】
以下の式(I):
【化1】
によって表される結晶性N‐(2‐アミノフェニル)‐4‐[N‐(ピリジン‐3‐イル)‐メトキシカルボニルアミノ-メチル]‐ベンズアミドの結晶多形Bであって、N‐(2‐アミノフェニル)‐4‐[N‐(ピリジン‐3‐イル)‐メトキシ-カルボニルアミノ-メチル]‐ベンズアミドの結晶多形Aを実質的に含んでいないもの。
【請求項2】
以下の式(I):
【化2】
によって表される結晶性N‐(2‐アミノフェニル)‐4‐[N‐(ピリジン‐3‐イル)‐メトキシカルボニル‐アミノメチル]‐ベンズアミドの結晶多形B化合物の製造方法であって、以下の:
a)未精製のN‐(2‐アミノフェニル)‐4‐[N‐(ピリジン‐3‐イル)‐メトキシカルボニルアミノメチル]‐ベンズアミドを水中に懸濁し、5℃未満の一定の反応器内温度にて、希塩酸をその反応混合物に加え、そして
b)前記反応混合物に炭を加え、その後、反応混合物を5℃未満の温度にて1〜20時間撹拌し、そして
c)濾過して溶液から炭を取り除き、水ですすぎ、そして
d)5℃未満の容器内温度を維持しながら、希釈した水酸化ナトリウム水溶液で反応混合物のpHを≧8に調整し、そして
e)得られた沈殿N‐(2‐アミノフェニル)‐4‐[N‐(ピリジン‐3‐イル)‐メトキシカルボニルアミノメチル]‐ベンズアミドを、水及びエタノールで洗浄し、それを乾燥させ、そして
f)沈殿物を、エタノールと水の混合物中に懸濁し、40〜90℃の温度まで1時間〜10時間かけて加熱し、そして
g)混合物を冷ました後に、得られた沈殿物を、水及びエタノールですすぎ、続いて30〜60℃の温度にて乾燥させて純粋なN‐(2‐アミノフェニル)‐4‐[N‐(ピリジン‐3‐イル)‐メトキシカルボニルアミノメチル]‐ベンズアミド結晶多形Bを得ること、
を特徴とする前記製造方法。
【請求項3】
ステップc)の後にN‐(2‐アミノフェニル)‐4‐[N‐(ピリジン‐3‐イル)‐メトキシカルボニル‐アミノメチル]‐ベンズアミドの純度が不十分であった場合に、ステップb)及びステップc)を繰り返すことを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
請求項2及び3に従って製造されることを特徴とする、請求項1に記載の結晶性N‐(2‐アミノフェニル)‐4‐[N‐(ピリジン‐3‐イル)‐メトキシカルボニル‐アミノメチル]‐ベンズアミド結晶多形B。
【請求項5】
そのX線回折図が、2θ=21.1°に反射をもつことを特徴とする、請求項1に記載の結晶性N‐(2‐アミノフェニル)‐4‐[N‐(ピリジン‐3‐イル)‐メトキシカルボニル‐アミノメチル]‐ベンズアミド結晶多形B。
【請求項6】
そのX線回折図が、2θ=21.1°、20.4°及び27.4°に反射を持つことを特徴とする、請求項1に記載の結晶性N‐(2‐アミノフェニル)‐4‐[N‐(ピリジン‐3‐イル)‐メトキシカルボニル‐アミノメチル]‐ベンズアミド結晶多形B。
【請求項7】
ラマンスペクトルが、902cm-1にバンドを持つことを特徴とする、請求項1に記載の結晶性N‐(2‐アミノフェニル)‐4‐[N‐(ピリジン‐3‐イル)‐メトキシカルボニル‐アミノメチル]‐ベンズアミド結晶多形B。
【請求項8】
ラマンスペクトルが、902cm-1、3036cm-1、1639cm-1及び916cm-1にバンドを持つことを特徴とする、請求項1に記載の結晶性N‐(2‐アミノフェニル)‐4‐[N‐(ピリジン‐3‐イル)‐メトキシカルボニル‐アミノメチル]‐ベンズアミド結晶多形B。
【請求項9】
IRスペクトル(ATR)が、1702cm-1、3309cm-1、1638cm-1、1260cm-1及び749cm-1にバンドを持つことを特徴とする、請求項1に記載の結晶性N‐(2‐アミノフェニル)‐4‐[N‐(ピリジン‐3‐イル)‐メトキシカルボニル‐アミノメチル]‐ベンズアミド結晶多形B。
【請求項10】
IRスペクトル(KBr)が、1705cm-1、3311cm-1、1641cm-1、1262cm-1及び751cm-1にバンドを持つことを特徴とする、請求項1に記載の結晶性N‐(2‐アミノフェニル)‐4‐[N‐(ピリジン‐3‐イル)‐メトキシカルボニル‐アミノメチル]‐ベンズアミド結晶多形B。
【請求項11】
そのX線回折図が、2θ=21.1°、20.4°及び27.4°に反射を持ち、且つ、ラマンスペクトルが、902cm-1、3036cm-1、1639cm-1及び916cm-1にバンドを持ち、且つ、IR(ATR)スペクトルが、1702cm-1、3311cm-1、1641cm-1、1262cm-1及び751cm-1にバンドを持つことを特徴とする、請求項1に記載の結晶性N‐(2‐アミノフェニル)‐4‐[N‐(ピリジン‐3‐イル)‐メトキシカルボニル‐アミノメチル]‐ベンズアミド結晶多形B。
【請求項12】
悪性腫瘍、自己免疫疾患、皮膚科的疾患及び寄生虫感染症の治療薬の製造のためのN‐(2‐アミノフェニル)‐4‐[N‐(ピリジン‐3‐イル)‐メトキシカルボニルアミノ-メチル]‐ベンズアミド結晶多形Bの使用。
【請求項13】
単独で、又は医薬的に許容し得る希釈剤及び/又は担体と組み合わせてN‐(2‐アミノフェニル)‐4‐[N‐(ピリジン‐3‐イル)‐メトキシカルボニルアミノ-メチル]‐ベンズアミド結晶多形Bを含んでなる組成物。
【請求項14】
1種類又は複数の細胞毒性薬又は細胞溶解薬と一緒にN‐(2‐アミノフェニル)‐4‐[N‐(ピリジン‐3‐イル)‐メトキシカルボニル‐アミノメチル]‐ベンズアミド結晶多形Bを含んでなる組み合わせ剤。
【請求項15】
N‐(2‐アミノフェニル)‐4‐[N‐(ピリジン‐3‐イル)‐メトキシカルボニル‐アミノメチル]‐ベンズアミド結晶多形Bを、細胞毒性薬又は細胞溶解薬と一緒に、同時に、別々に又は連続して投与することを特徴とする、請求項13に記載の組み合わせ剤。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【公表番号】特表2012−500819(P2012−500819A)
【公表日】平成24年1月12日(2012.1.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−524272(P2011−524272)
【出願日】平成21年8月27日(2009.8.27)
【国際出願番号】PCT/EP2009/006381
【国際公開番号】WO2010/022988
【国際公開日】平成22年3月4日(2010.3.4)
【出願人】(300049958)バイエル ファーマ アクチエンゲゼルシャフト (357)
【Fターム(参考)】
【公表日】平成24年1月12日(2012.1.12)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年8月27日(2009.8.27)
【国際出願番号】PCT/EP2009/006381
【国際公開番号】WO2010/022988
【国際公開日】平成22年3月4日(2010.3.4)
【出願人】(300049958)バイエル ファーマ アクチエンゲゼルシャフト (357)
【Fターム(参考)】
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