説明

N−アセチルグルコサミンを含有する組成物

【課題】N‐アセチルグルコサミンは、変形性関節症に対する治療効果や美容効果を有し、これを有効成分とする数多くの食品またはサプリメントが市販されており、このN‐アセチルグルコサミンが有する生理活性を顕著に高めた組成物を提供する。
【解決手段】N‐アセチルグルコサミンと、アルファ−GPCとを含む組成物。N‐アセチルグルコサミンと、アルファ−GPCとを含む食品組成物。N‐アセチルグルコサミンと、アルファ−GPCとを含む皮膚外用剤組成物。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、N−アセチルグルコサミンを含有する組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
N‐アセチルグルコサミンは、変形性関節症に対する治療効果や美容効果を有し、これを有効成分とする数多くの食品またはサプリメントが市販されている。 例えば、下記特許文献1には、N−アセチルグルコサミンを有効成分とする美肌促進剤が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2001−48789号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の目的は、N‐アセチルグルコサミンが有する生理活性を顕著に高めた組成物を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明者らは、N‐アセチルグルコサミンと、アルファ−GPCと、を配合した組成物が、N‐アセチルグルコサミンのみを用いる場合よりも、顕著に優れた生理活性を発現することを見出し、本発明を完成するに至った。 本発明は、N‐アセチルグルコサミンと、アルファ−GPCとを含む組成物を提供するものである。 また本発明は、N‐アセチルグルコサミンと、アルファ−GPCとを含む食品組成物を提供するものである。 また本発明は、N‐アセチルグルコサミンと、アルファ−GPCとを含む皮膚外用剤組成物を提供するものである。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、N‐アセチルグルコサミンとアルファ−GPCとを配合したので、N‐アセチルグルコサミンが有する生理活性を飛躍的に高めることができる。
【発明を実施するための形態】
【0007】
以下、本発明をさらに詳しく説明する。
【0008】
N−アセチルグルコサミンは、例えば、カニやエビなどの甲殻類から得られたキチンを原料として、特開2000−281696号公報等に記載されている方法にしたがって調製することができる。例えば、甲殻類の殻から調製された多糖類キチンを、酸で部分加水分解し、これにキチナーゼのような酵素を作用させて分解し、N−アセチルグルコサミンを調製することができる。なお、市販されているN−アセチルグルコサミンも利用でき、例えば、商品名「マリンスウィート」(焼津水産化学工業株式会社製)などが挙げられる。
【0009】
アルファ−GPC(L−アルファ−グリセリルホスホリルコリン;sn−グリセロ(3)ホスホコリン)は、例えば特表2004−536838号公報、特表2002−532520号公報等に記載されているように、広く知られている化合物である。 アルファ−GPCは、公知の化学合成法により製造可能であり、また市販されているものを利用することもできる。
【0010】
本発明の組成物は、食品組成物としてヒトに投与することができる。この場合、N−アセチルグルコサミンの摂取量は、成人1日当たり、0.1〜15g、より好ましくは0.3〜5gである。またアルファ−GPCの摂取量は、例えば、成人1日あたり0.01g〜10g、好ましくは100mg〜1000mgである。したがって本発明の組成物を食品組成物としてヒトに投与する場合、それぞれの成分の配合割合としては、1日あたりの摂取量が上記範囲内となるように適宜調整すればよい。
【0011】
上記食品組成物には、その効果を損なわない限り、任意の所望成分を配合することができる。例えば、ビタミンC等のビタミン類やソフトカプセルを調製する時に通常配合される乳化剤、緊張化剤(等張化剤)、緩衝剤、溶解補助剤、防腐剤、安定化剤、抗酸化剤等を適宜配合することができる。 上記食品組成物は、その形態を特に制限するものではないが、公知の方法によりマイクロカプセル、ソフトカプセル又はハードカプセルに封入してカプセル化することが好ましい。
【0012】
本発明の組成物は、皮膚外用剤としてヒトに適用することができる。この場合、各成分の配合量はとくに制限されないが、例えば一成分あたり0.00001〜30質量%、好ましくは0.0001〜20質量%、さらに好ましくは0.001〜8質量%の範囲でそれぞれ配合するのがよい。 また本発明の組成物は、石鹸またはシャンプー中に配合することができる。この場合、各成分の配合量は上記の皮膚外用剤と同様である。 また本発明の組成物は、入浴剤として使用することができる。この場合、各成分の配合量は上記の皮膚外用剤と同様である。
【0013】
本発明の組成物において、N‐アセチルグルコサミンとアルファ−GPCとの割合はとくに制限されないが、N‐アセチルグルコサミンを1としたとき(質量基準)、アルファ−GPCを0.01〜100、好ましくは0.1〜10、さらに好ましくは1〜3の割合で配合するのが好ましい。
【0014】
上記皮膚外用剤は、皮膚外用剤として通常使用される公知の材料、例えば色素、香料、防腐剤、界面活性剤、顔料、抗酸化剤、保湿剤、紫外線吸収剤などを適宜配合することができる。 上記皮膚外用剤は、クリーム、乳液、化粧水、パック等、公知の形態で使用され得る。
【実施例】
【0015】
以下、実施例により本発明を詳しく説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。
【0016】
実施例1 膝または肘の関節に痛み感じている各10人のボランティア(55歳以上)に、N‐アセチルグルコサミンとアルファ−GPCを1日2回、経口投与した。なお、N‐アセチルグルコサミンの1日あたりの投与量は1g、アルファ−GPCは0.8gとした。投与開始後、1週間後、3週間後および4週間後に、関節痛の部位(膝または肘)について、関節痛が、「改善された」、「若干改善された」、「変わらない」の基準で自己評価してもらった。結果を表1および2に示す。
【0017】
比較例1 実施例1において、アルファ−GPCを投与せず、N−アセチルグルコサミンのみを投与したこと以外は、実施例1を繰り返した。結果を表1および2に示す。
【0018】
比較例2 実施例1において、N−アセチルグルコサミンを投与せず、アルファ−GPCのみを投与したこと以外は、実施例1を繰り返した。結果を表1および2に示す。
【0019】
【表1】

【0020】
【表2】

【0021】
表1および2の結果から、N−アセチルグルコサミンとアルファ−GPCとの併用効果が明らかとなった。
【0022】
実施例2 特許第4249853号公報の実施例にしたがい、本発明の組成物の肌への潤い効果を調べた。 年齢25〜45歳までの成人女子ボランティア20名に、N−アセチルグルコサミンおよびアルファ−GPCを、1日2回、経口投与した。なお、N‐アセチルグルコサミンの1日あたりの投与量は1g、アルファ−GPCは1gとした。試験期間は60日間とし、試験終了後、肌の状態などについてアンケート調査を行った。なお、期間中の食生活、化粧等については特に制限を設けなかった。その結果を表3に示す。
【0023】
【表3】

【0024】
比較例3 実施例2において、アルファ−GPCを投与せず、N−アセチルグルコサミンのみを投与したこと以外は、実施例2を繰り返した。結果を表4に示す。
【0025】
【表4】

【0026】
比較例4 実施例1において、N−アセチルグルコサミンを投与せず、アルファ−GPCのみを投与したこと以外は、実施例2を繰り返した。結果を表5に示す。
【0027】
【表5】

【0028】
以上の結果から、N−アセチルグルコサミンとアルファ−GPCとの併用効果が明らかとなった。
【0029】
実施例3 下記組成でもって、乳化型化粧料を調製した。スクワラン 5.0質量%流動パラフィン 5.0質量%ブチルパラベン 0.2質量%メチルパラベン 0.2質量%モノオレイン酸ソルビタン 2.0質量%モノオレイン酸ポリオキシエチレン 2.0質量%グリセリン 4.0質量%ジプロピレングリコール 3.0質量%N−アセチルグルコサミン 0.8質量%アルファ−GPC 0.8質量%精製水 残量
【0030】
40−60代の女性被験者a〜gの7名を対象として、コントロールを一方の目尻に、実施例3の化粧料を他方の目尻に、1日2回塗布し、4週間これを続けた。なお、コントロールは、上記処方においてN−アセチルグルコサミンおよびアルファ−GPCを除いたものである。 4週間後、以下の評価基準により被験者に実施例3の採点をさせた結果を表6に示す。なお、コントロールの試験区は、一人が可であり、その他全員が不可であった。優:目尻の皺が顕著に消失した。良:目尻の皺の量が減少するとともに、深さが改善された。可:目尻の皺の量は変化ないが、深さが改善された。不可:変化なし。
【0031】
【表6】

【0032】
比較例5 実施例3において、アルファ−GPCを処方しなかったこと以外は、実施例3を繰り返した。結果を表7に示す。
【0033】
【表7】

【0034】
比較例6 実施例3において、N−アセチルグルコサミンを処方しなかったこと以外は、実施例3を繰り返した。結果を表8に示す。
【0035】
【表8】

【0036】
実施例4 顔面に肌荒れを実感しているパネラー5名を対象とし、コントロールを一方の顔面の片側に、実施例3の化粧料を他方の顔面の片側に1日2回、1週間にわたり塗布した。なお、コントロールは、上記処方においてN−アセチルグルコサミンおよびアルファ−GPCを除いたものである。 1週間後、以下の評価基準により被験者に実施例4採点をさせた結果を表9に示す。なお、コントロールの試験区は、一人が可であり、その他全員が不可であった。優:肌荒れが消失した。良:肌荒れがほとんど実感された。可:一部に肌荒れは残存したものの、肌荒れの改善が実感できた。不可:変化なし。
【0037】
【表9】

【0038】
比較例7 実施例4において、アルファ−GPCを処方しなかったこと以外は、実施例4を繰り返した。結果を表10に示す。
【0039】
【表10】

【0040】
比較例8 実施例4において、N−アセチルグルコサミンを処方しなかったこと以外は、実施例4を繰り返した。結果を表11に示す。
【0041】
【表11】

【0042】
以上の結果から、N−アセチルグルコサミンとアルファ−GPCとの併用効果が明らかとなった。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
N‐アセチルグルコサミンと、アルファ−GPCとを含む組成物。
【請求項2】
N‐アセチルグルコサミンと、アルファ−GPCとを含む食品組成物。
【請求項3】
N‐アセチルグルコサミンと、アルファ−GPCとを含む皮膚外用剤組成物。

【公開番号】特開2012−162473(P2012−162473A)
【公開日】平成24年8月30日(2012.8.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−22670(P2011−22670)
【出願日】平成23年2月4日(2011.2.4)
【出願人】(599154412)
【Fターム(参考)】