説明

N−アミノピペリジンおよびこの塩の調製方法

本発明は、式(I)のN−アミノピペリジンの新規な調製方法に関する。


【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、式
【0002】
【化3】

のN−アミノピペリジンの新規な調製方法を主題とする。
【背景技術】
【0003】
文献中においては、N−アミノピペリジンのいくつかの調製方法が知られている、
ピペリジンおよびクロラミンを用いたラシヒ法;
ヒドラジンおよびN−アセチルアミノピペリジンを経る方法;
N−ニトロソピペリジンを経る方法(Lunn,Keefer,J.Org.Chem.,1984,49(19),3470);
グルタルアルデヒドおよびベンゾトリアゾールを経る方法(Katritzky A.R.,Wei−Quiang Fan,J.Org.Chem.,1990,55,3205〜3209)。
【発明の開示】
【0004】
本発明による、N−アミノピペリジン(I)およびこの塩の調製方法は、
a)式
NH−NH−COOR(II)
(式中、Rは(C〜C)アルキル基、フェニル、またはベンジルを表す)
のカルバジン酸エステルを、

Hal−(CH−Hal(III)
(式中、Halはハロゲン原子を表す)
の1,5−ジハロペンタンで処理し、
b)こうして得られた式
【0005】
【化4】

【0006】
(式中、RはC〜C)アルキル基、フェニル、またはベンジルを表す)
のピペリジン−1−イルカルバメートを酸性媒体または塩基性媒体中において処理して、期待する式(I)の化合物を製造することを特徴とする。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
適当な場合には、N−アミノピペリジン(I)の塩は、無機または有機酸の作用によって調製することができる。
【0008】
「ハロゲン原子」の語は、臭素、塩素、またはヨウ素原子を意味すると解される。
【0009】
段階a)は、アセトニトリルまたはトルエンなどの溶媒中において、周囲温度と溶媒の還流温度の間の温度で行われる。
【0010】
段階b)は、例えば塩酸もしくは臭化水素酸の存在下などの酸性媒体中、または、例えば水酸化カリウムまたは水酸化ナトリウムの存在下などの塩基性媒体中のいずれかにおいて、水またはエタノールなどの溶媒中において、周囲温度と溶媒の還流温度の間の温度で行われる。
【0011】
本発明の好ましい実施形態によれば、段階a)において、式(II)の化合物(式中、Rはエチル基を表す)は、式(III)の化合物(式中、Halは臭素原子を表す)で、アセトニトリル中において、溶媒の還流で加熱することによって処理する。
【0012】
本発明の好ましい実施形態によれば、段階b)において、式(IV)の化合物(式中、Rはエチル基を表す)は、水酸化ナトリウムで、水中において、溶媒の還流で加熱することによって処理する。
【0013】
好ましくは、臭化水素酸塩、塩酸塩、またはシュウ酸塩などのN−アミノピペリジン塩を調製する。例えば、N−アミノピペリジン臭化水素酸塩は、メチルtert−ブチルエーテル(MTBE)などの溶媒中において調製することができる。
【実施例】
【0014】
A−エチルピペリジン−1−イルカルバメート
565.3gのカルバジン酸エチルを373mlのアセトニトリル中に入れた混合物を調製する。415.4gの1,5−ジブロモペンタンを、先の混合物上に投入して還流させる。還流は、3時間維持する。真空下での濃縮により、アセトニトリルを除去する。こうして得られた残渣を、トルエン/水の混合物中に溶解させる。30%のNaOHを添加することにより、二相混合物をpH=5とする。水相を、静置およびトルエンを用いた再抽出により分離する。合わせたトルエン相に、水および36%HClを添加する。「リッチな」水相を、メチルtert−ブチルエーテル(MTBE)を用いて3から4回洗浄し、中性物質(不純物、カルバジン酸ジエチル、残留ジブロモペンタン)を除去する。酸性の水相を、トルエン存在下において、NaOH、次いでNaHCOを用いて塩基性とする。この水相を、トルエンで再抽出する。トルエン相は、水を用いて別に洗浄し、残留カルバジン酸エチル残渣を減少させる。トルエン相を、乾燥により濃縮する。252gの期待する生成物が白色粉末の形状で得られ、この白色粉末はメチルシクロヘキサンからの再結晶化により精製する。
【0015】
H NMR スペクトル(300MHz):δ(ppm):1.23:t:3H;4.14:qd:2H;2.70:t:4H;1.66:qt:4H;1.36:qt:2H;5.54:bs:1H。
【0016】
B−N−アミノピペリジン
先の段階において得られた化合物160g、水214ml、および水酸化ナトリウムビーズ120gの混合物を、アルゴンをフラッシュさせながら3時間還流させる。冷却後、640mlのMTBEを投入した後に、存在する無機物質を濾過除去する。こうして、粗N−アミノピペリジンのMTBE溶液が得られる。
【0017】
C−粗N−アミノピペリジン臭化水素酸塩の調製
36%w/w臭化水素酸エタノール溶液約1体積を、先の段階において得られたN−アミノピペリジンのMTBE溶液上に、25℃で0.5時間かけて、投入する。沈殿物の生成が観察され、混合物を1時間攪拌し続ける。臭化水素酸塩を20℃で濾過除去し、エタノール、次いでMTBEを用いて洗浄する。続いてこれを、真空下、45〜50℃で乾燥させ、156gの期待の化合物を得る。
【0018】
融点=177〜177.5℃(文献値174〜175℃)。

【特許請求の範囲】
【請求項1】

【化1】

のN−アミノピペリジンおよびこの無機酸もしくは有機酸との塩の調製方法であって、
a)式
NH−NH−COOR(II)
(式中、Rは(C〜C)アルキル基、フェニル、またはベンジルを表す)
のカルバジン酸エステルを、

Hal−(CH−Hal(III)
(式中、Halはハロゲン原子を表す)
の1,5−ジハロペンタンで処理し、
b)こうして得られた式
【化2】

(式中、Rは上で定義した通りのものである)
のピペリジン−1−イルカルバメートを酸性媒体または塩基性媒体中において処理して、式(I)の化合物を製造することを特徴とする方法。
【請求項2】
段階a)において、アセトニトリルまたはトルエンから選択される溶媒中において、周囲温度と溶媒の還流温度の間の温度で反応が行われることを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
段階b)において、塩酸もしくは臭化水素酸から選択される酸または水酸化カリウムもしくは水酸化ナトリウムから選択される塩基のいずれかを用いて、水またはエタノールなどの溶媒中において、周囲温度と溶媒の還流温度の間の温度で反応が行われることを特徴とする、請求項1または請求項2に記載の方法。
【請求項4】
段階a)において、式(II)の化合物(式中、Rはエチル基を表す)を、式(III)の化合物(式中、Halは臭素原子を表す)で、アセトニトリル中において、溶媒の還流で加熱することによって処理することを特徴とする、請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
段階b)において、式(IV)の化合物(式中、Rはエチル基を表す)を、水酸化ナトリウムで、水中において、溶媒の還流で加熱することによって処理することを特徴とする、請求項1から請求項4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
臭化水素酸塩、塩酸塩、またはシュウ酸塩から選択される、式(I)の化合物の塩を調製することを特徴とする、請求項1から請求項5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
式(I)の化合物の臭化水素酸塩を、メチルtert−ブチルエーテル中において調製することを特徴とする、請求項1から請求項6のいずれか一項に記載の方法。

【公表番号】特表2008−509114(P2008−509114A)
【公表日】平成20年3月27日(2008.3.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−524372(P2007−524372)
【出願日】平成17年8月2日(2005.8.2)
【国際出願番号】PCT/FR2005/002016
【国際公開番号】WO2006/024778
【国際公開日】平成18年3月9日(2006.3.9)
【出願人】(504456798)サノフイ−アベンテイス (433)