説明

N−アリルカルバメート化合物及び特に放射線硬化コーティング剤におけるその使用

添加剤として適したN−アリルカルバメート化合物が提案され、その化学的主要部は、できるだけ多くのバインダー系との十分に高い相溶性を保証するために、化合物の全体構造の改変を可能にしており、ここで、UV架橋性二重結合は、できるだけ立体的要求が少なく、柔軟な結合を介して連結され、反応性が高いように設計されている。本発明による一般式(A)のN−アリルカルバメート化合物において、R1基は、直鎖、分岐又は環状の置換脂肪族炭化水素基、及びヘテロ環基から選択され、R1基は、少なくとも1つのエチレン性不飽和結合を含み、R2、R3、及びR4は、水素及び炭化水素基から選択され、R5は水素又はアリル基を表し、cは1以上の整数である。
【化1】

【発明の詳細な説明】
【発明の詳細な説明】
【0001】
本発明は、新規なN−アリルカルバメート化合物、及び組成物における成分としてのその使用に関する。特に放射線硬化コーティング剤、好ましくはUVラジカル硬化性コーティング組成物における成分としてのその使用に関する。
【0002】
架橋ポリマーは多様な方法で使用される。架橋重合体は、多くの材料、例えば、デュロプラスチック(duroplastic)の成形部品、接着剤化合物、及びインク、さらにあらゆる種類のコーティング剤の重要な基本成分であり、最終的に、架橋の種類及びその密度は、機械的及び化学的特性並びに安定性にとって肝要である。
【0003】
放射線硬化コーティング剤は、被膜基板の化学的及び機械的耐性、特にアルカリ又は酸性作用を有する試薬に対する耐性を改善するのにしばしば使用される。この点において、無溶剤のUV硬化クリヤコート系は、特に重要である。
【0004】
コーティング剤、特に薄層としてのコーティング剤は、活動的できつい作業に対して適している。コーティング剤は下地基板を、記載した化学的影響から、特に電気化学的及び機械的影響からも保護し、並びに/又は物体に特定の色及び/若しくは特定の表面光沢を付与する。
【0005】
特に最上のコーティング層、及び本件の場合まさにクリヤコートフィルムは、酸及び塩基、並びに機械的応力の他に、紫外線、熱、寒さ、水分、及び酸素からの強い影響にさらされるため、特に強く、不可逆的に架橋されており、化学的耐性があり、高い機械的耐性も有する層を製造することがここで重要である。
【0006】
溶剤型のコーティング系からの放出問題並びに簡易でエネルギー効率の良いプロセスへの傾向のため、バインダーを溶解し、次いで架橋中に重合して網目構造を生成する、いわゆる反応性希釈剤を使用する、放射線硬化コーティング剤、特にUV硬化系がますます重要になっている。
【0007】
放射線硬化、特に活性な架橋性ビニル官能基を介するUV硬化は、すでに広範囲な工業的応用を有する。特開2008−274209号公報、欧州特許出願公開第1 333 047号、特開7−069686号公報、国際公開第93/09084A1号パンフレット、及び独国特許出願公開第24 41 600号が例として挙げられ、近年世界中で出願された出願数も、放射線硬化系の実用性及び経済的重要性をおおむね反映している。
【0008】
UV架橋系に関する一般論文が、Reinhold Schwalm,Elsevier−Verlag,Amsterdam,2007による「UVコーティング剤」に提供されている。
【0009】
放射線硬化クリヤコートの機械的特性並びに達成可能な表面光沢は非常に満足のいくものであるが、化学的耐性、特にアルカリ剤及び酸性剤に対する耐性は、特に自動車産業により指定された基準に関してまだ不十分とみなされている。
【0010】
ポリマーのUV硬化に関するさらなる現況は、独国特許出願公開第10 2006 049 764号に記載されており、それによれば、例えば、不飽和ポリエステルに基づくポリウレタン水性分散液が、UV架橋系に対して使用される。
【0011】
独国特許出願公開第10 2006 049 764号による水性分散液の使用は、汚染防止に関する溶剤の節減に対処するが、より高い温度での乾燥ステップ、又は乾燥時間が必要なため、エネルギー効率の観点から批判的に見られている。
【0012】
独国特許出願公開第10 2004 053 186号は、重合性ウレタンアクリレート及び不飽和ポリエステルに基づく水及び無共溶剤のUV硬化配合物について記載している。
【0013】
しかし、ポリエステルに基づくポリマーは、酸及び塩基に対して加水分解安定性が制限されるため、推薦しがたい。
【0014】
国際公開第2008/049932A1号パンフレットは、低分子エチレン部分を含有し、感圧接着剤として適している、放射線硬化混合物について記載している。これらの低分子部分は、架橋中に、網目構造に組み込まれる。概して、非常に良好な硬化特性を有する配合物をこうして得ることができるが、非相溶性及び硬化度に関する困難がしばしば生じ得る。
【0015】
これらの系において、低分子液体アクリレート/メタクリレート官能性化合物が、同様にアクリレート官能性のバインダー用の反応性希釈剤としてしばしば使用される。特に、例えばBASF SEから商標名ラロマー(Laromer)(登録商標)HDDAで販売されているヘキサンジオールジアクリレート(HDDA)は、この点で非常に一般的である。
【0016】
国際公開第2004/000794A1号パンフレットでは、アリル官能基を有する化合物は、不飽和アルコールをジイソシアネートと反応させることにより得られ、分子中の二重結合官能基の連結はそれぞれの場合に、カルバメートの酸素原子を介して達成される。これらの化合物を使用すると、実際、化学的耐性が改善するが、耐酸性は著しくは影響されず、改善は見られない。
【0017】
市販のUV架橋塗装系のこれらの化合物の溶解性及び相溶性には問題がある。これらの化合物は、ジイソシアネートを介して合成されるので、分子主要部の選択は、市販のジイソシアネートに限定されることにより、相溶性の目標とする調整、又は塗料特性の変動が大きく制限される。
【0018】
別の欠点は、一方で、三官能性又はより高次の官能性のイソシアネートの入手性がジイソシアネートの場合よりはるかに限られており、他方、これらの化合物は重合する強い傾向を有するので、これらの化合物におけるアリル基の多数の官能性結合が、実際には反応しにくいことである。しかし、1分子当たりのビニル/アリル官能基の数は、架橋密度に影響し、したがって、二重結合の官能性を介してUV架橋塗装層の機械的特性及び化学的耐性に決定的な効果を及ぼすので、これらの化合物でも、化学的耐性は限られた改善しか達成できない。
【0019】
国際公開第93/09084A1号パンフレットは、コンタクトレンズを製作するための系を対象にしており、ヒドロゲル用のスチレン/アクリレート/ビニルモノマー混合物をUV硬化するために、ビニルカルバメート基を含有する化合物を記載している。これらのモノマー混合物に対して特に適しており、少なくとも1つのビニル基を含有する化合物が記載されているが、スチレン基又はアクリレート基の官能基から第2の基を選択することが必要である。
【0020】
しかし、大部分のUV架橋塗装系に関して、スチレン官能基は、HDDAに基づく既存のUV架橋塗装系との非相溶性をしばしば生じるので、批判的に見られている。
【0021】
本発明の目的は、添加剤として適しており、その化学的主要部が、できるだけ多くのバインダー系との十分に高い相溶性を保証するために、化合物の全体構造の改変を可能にする、化合物を提案することである。UV架橋性の二重結合は、立体的な要求ができるだけ少なく、柔軟な結合を介して連結され、反応性が高いものとすべきである。
【0022】
この目的は、請求項1の特徴を有する新規な化合物により達成される。
【0023】
本発明による式Aの化合物を使用することにより、特に相溶性並びに架橋密度は、国際公開第2004/000794A1号パンフレットで提案された化合物に比べ改良され得る。
【0024】
本発明によれば、アリル二重結合官能基は、カルバメートの酸素原子ではなく、カルバメートの窒素原子を介して連結されている。二重結合官能基のこの連結の変更は、アリル官能性イソシアネート又はアミンを対応するアルコール又はそのクロロギ酸エステルと反応させることにより達成することができる。
【0025】
実施例7に関連して以下に示されるように、特に高い化学的安定性が結果として達成されるので、本発明による化合物にとって、カルバメート基とアリル官能基とのN−官能性結合は重要である。
【0026】
この官能性二重結合の連結を変更した結果、これで本発明による化合物は、多種多様な市販のアルコール官能性出発化合物から形成することができる。
【0027】
本発明による低分子化合物、特に、R1基(the radical R1)がC〜C炭化水素単位から誘導される化合物は、通常、液体であり、したがってコーティング組成物において反応性希釈剤としてすぐに使用することができる。
【0028】
R1基の少なくとも1つのエチレン性不飽和結合(ビニル基)は、好ましくはN−アリル基、N−アリルカルバメート基、N−ビニル基、(メタ)アクリレート基、及び/又は(メタ)アクリルアミド基から選択される。
【0029】
本発明による好ましい化合物は、特にアクリレートベースの反応性希釈剤に可溶であるように選択される。
【0030】
本発明による高分子の化合物は、このようにして液体コーティング組成物においても使用される。
【0031】
本発明による好ましい化合物において、R1基はポリオールベースの基を含む。
【0032】
ポリオールベースの基は、ジオール、トリオール、オリゴマー性又はポリマー性ビニルアルコール化合物、単糖類、二糖類、及び多糖類、並びに前述のポリオールの誘導体から特に選択することができる。
【0033】
単糖類及び二糖類を選択する場合に、これらは好ましくはこれらの糖アルコールの形態で使用される。
【0034】
ポリオールは、特に好ましくは、約3000g/mol以下、特に約800g/mol以下、より好ましくは約500g/mol以下のモル質量を有する。
【0035】
本発明による化合物にとって、非アクリレート二重結合官能基とでさえ良好な共重合が保証されることが特に重要であると判明した。
【0036】
本発明による化合物は、可溶であり、又は少なくとも十分に相溶性であり、そのため分離効果が大いに回避できるので、通例の反応性希釈剤系を使用するUV架橋クリヤコート系の成分として非常に適している。
【0037】
さらに、本発明による化合物は、通例のアクリレート官能性バインダー及びさらなる反応性希釈剤と良好な共重合を可能にする二重結合官能基を有するが、これらは、酸/塩基加水分解に対して安定な結合を介して、好ましくは少なくとも部分的に、連結される。
【0038】
アクリレート基を用いる好ましい追加の機能化は、本発明による式Aの化合物に対し容易に可能であり、本発明による化合物の所与の塗料成分との相溶性を著しく増加させることができる。この態様は特に無溶剤のUV架橋クリヤコートにとって重要であり、この理由はこの場合、機械的安定性、均質性、透明性、及び表面光沢に関して極度に高い要求が課せられているためである。
【0039】
追加のビニル基、特に追加のN−ビニルカルバメート基を問題としている分子に導入することは、可能であり、ある種の塗装系にとって架橋密度をさらに増加させるのに有利になり得る。
【0040】
本発明による化合物の調製において、複数の二重結合を有するアミンが、ジオールから合成されたクロロギ酸エステルと反応する場合に、分子中に4つの加水分解安定なアリルカルバメート基を有する化合物を容易に得ることができる。
【0041】
本発明による式Aの主要部に基づく分子全体構造の選択が大きく拡張し、さらに連結可能な二重結合官能基の数及び種類に関する選択肢の変化の結果、網目構造密度、相溶性、コーティング剤の柔軟性、要求される化学的耐性に関してUV架橋塗装層を最適化する可能性は、本発明によるN−アリルカルバメート官能性化合物が使用される場合、国際公開第2004/000794A1号パンフレットに記載のO−アリルカルバメート官能性化合物に比べ、大いに増える。
【0042】
ビニル/アリル官能性化合物は、ある種の他の二重結合官能基の非存在下でのラジカル硬化プロセスにおいて、一般に乏しく不完全な硬化、架橋特性を有するが、例えばアクリレートを含有する、ある種の混合物では、硬化は特に早く且つ効果的に進行するので、本発明による化合物の一変形では、1つ又は複数のアクリレート官能基が、分子中に追加して組み込まれる。
【0043】
分子中にすでに存在し、カルバメート基を介して結合している、N−アリル基により、塗装層の酸安定性は、一般に保証されるので、これらのアクリレート基は、エステル結合を介して結合することができる。
【0044】
架橋を最適化するために、アクリレート官能基は、アリル官能基と協調させることが好ましい。
【0045】
R1基中のアクリレート官能基に対するN−アリルカルバメート官能基の比が1以上である場合、有利であることが判明した。
【0046】
アクリレート架橋に基づく通例の系での追加の強い相溶性促進効果は、アクリレート官能基においても役割を果たす(実施例7参照)。
【0047】
引用された国際公開第2004/000794A1号パンフレットにおいてこれらの態様を考慮することは困難又は不可能であり、国際公開第2004/000794A1号パンフレットに記載された反応プロセスを使用して、記載した混合型アクリレートエステル/O−アリル官能性物質を調製することは、特に非常に困難である。
【0048】
しかし、本発明による、アルコール成分とアリルイソシアネートとの反応において、混合型アクリレートエステル/N−アリル化合物は、最大で2ステップを含む反応により容易に得ることができる(実施例2参照)。
【0049】
本発明による別の変形では、アリル官能基は、ヘテロ環系、特にトリアジン化合物に組み込まれている窒素原子に結合している。トリアジン化合物は、互変異性体で存在することができる。簡潔性のために、それが常に明白に以下に示されていなくても、本文脈では、用語「トリアジン」は、常に互変異性体も含むように意図されている。
【0050】
N−アリル成分として、トリアリルイソシアネート(1,3,5−トリアリル−1,3,5−トリアジン−2,4,6(1H,3H,5H)トリオン)又はその互変異性型(式1参照)は、この実施形態の例として挙げられる。
【0051】
記述されたN−アリル官能性トリアジンは、適切な塩基触媒作用下でアリルイソシアネートから容易に調製することができ、市販されている。
【化1】


式1 1,3,5−トリアリル−1,3,5−トリアジン−2,4,6(1H,3H,5H)トリオン及び互変異性体
【0052】
二官能性、三官能性、及びより高次の官能性のN−アリルカルバメートの新規な化合物は、アリルイソシアネートと、脂肪族直鎖、単環又は二環或いはヘテロ環のポリオールとを反応させることにより概して容易に調製することができる。
【0053】
ポリオールとして、モノマー多価アルコール(例えばジオール及びトリオール)、糖類、及びそれらの誘導体、特に糖アルコール、並びに酢酸ビニルを使用して調製したコポリマーを使用することができ、後者については、アルコール官能基は、酸又は塩基触媒による加水分解/加溶媒分解反応により形成される。
【0054】
アルコール基がアリルイソシアネートに比べて化学量論過剰で使用される場合、例えば、残りのOH基は、例えばアミン触媒作用下でアクリル酸クロライド又はメタクリル酸クロライドを使用して第2の反応ステップで反応することができる。上で記載した、混合型N−アリル又はアクリレートエステル化合物は、同様に本発明に従ってこのようにして得られる。
【0055】
前述したように、本発明による化合物は、アリルアミンとの反応により対応するポリオール含有クロロギ酸エステルを介して得ることもできる。
【0056】
後者の方法は、ラジカル及び放射線硬化系に対して、本発明による特に高次の官能性のアリルカルバメート、又は新規な短鎖N−アリルカルバメート官能性化合物を調製するのに主に適している(実施例3)。
【0057】
原則として、記載したN−アリル官能性化合物又はその混合物は、すべての放射線硬化系並びに電子ビーム硬化系において使用することができ、ここで、アクリレート官能基系、特にUV硬化コーティング剤が好ましい。
【0058】
無溶剤のUV硬化クリヤコート配合物においてこれらの化合物を使用することが特に好ましく(実施例6参照)、その理由はこの場合、透明性に対する厳しい要件のために、他の添加剤、例えば緩衝用又はマトリックス強化用顔料及びフィラーは使用することができないからである。
【0059】
N−アリル官能性化合物は、UV架橋インク、粉体コーティング剤、又は概してすべての種類のUV架橋ポリマーマトリックスにおいても使用される。
【0060】
上記の議論に基づけば、本発明の別の重要な態様は、上記で詳細に記載され、請求項1〜10で定義される化合物の1つ又は複数を含む組成物を提供することにあることは明らかであり、この組成物は放射線硬化コーティング剤において有利に使用することができる。
【0061】
代替として、又は好ましくは追加的に、そのような組成物は、モノマー性、オリゴマー性、及びポリマー性のN−ビニル又はN−アリル官能性1,3,5−トリアジン化合物、特に1,3,5−トリアリル−1,3,5−トリアジン−2,4,6−(1H,3H,5H)トリオンから選択される化合物を含有する。
【0062】
本発明による組成物は、好ましくは無溶剤である。
【0063】
トリアリルイソシアネートの使用は、UV硬化系中の有機硫黄化合物と共に通常記載されており(例えば、特開57−133108号公報、特開57−158230号公報、特開58−213022号公報、仏国特許出願公開第2258436号、独国特許出願公開第24 02 390号、米国特許第3,855,093A号参照)、ここで、硬化プロセスは、本発明のようにUVラジカル硬化によってではなく、むしろUVカチオン硬化によって進行する。
【0064】
しかし、特にコーティング剤業界はゼロエミッションの考え並びに廃水管理に関心を持っているので、通常有毒であり、環境的に有害である有機硫黄化合物を使用することは、将来、批判的に見られるに違いない。しかし、特に、硫黄化合物にはコーティング剤から浸出する可能性があるので、有機硫黄化合物を含有するUV硬化クリヤコート層の使用は、そのような考えと対立し、環境にやさしいコーティング剤技術にとってより不適当である。
【0065】
したがって、環境及び経済の観点から当該の放射線硬化塗装層、特にUV硬化クリヤコートにとって、上に引用した刊行物に記載されたポリマーのUV硬化のプロセスは、意味ある代替手法に相当しない。
【0066】
欧州特許出願公開第1 111 008号、欧州特許出願公開第1 338 623号、及び欧州特許出願公開第1 674 513号において、トリアリルイソシアネートも熱可塑性物質及び/又はエラストマーを製造するためのUVラジカル硬化混合物の成分として記載されている。
【0067】
これらの方法は、架橋していない又は弱く架橋したポリマーの厚い層への適用に基本的に関しており、UV及び風化作用(weathering effect)に関して安定化され、しかも機械的に耐性もある、強く架橋した薄層へのコーティング剤を製造するには適していない。
【0068】
既定の放射線硬化配合物において、モル質量が増えるほど、粘性は大きく増加する一方で、溶解性及び相溶性は一般に減少するので、非常に高い分子量を有する化合物は、得られるコーティング剤及びクリヤコート層に対する要件を満たすのにあまり適していない。
【0069】
UV塗料調製物における粘性の大きな増加は、通常、不十分な流れ、低い表面光沢値、並びに、低い機械的及び化学的安定性と関連しており、それは、クリヤコートコーティング剤において特に問題である。
【0070】
この理由により、5000g/mol未満、より好ましくは1000g/mol未満、及び特に700g/mol未満の分子量を有する低分子及び特に単一分子の化合物が、好ましくは使用される。
【0071】
記載したN−アリル官能性物質の混合物は、共重合により個々の成分の重合を大きく改善するために、特別な組成物において有利である可能性もある。
【0072】
本発明による化合物及び組成物の前記の説明に基づくと、本発明の別の重要な態様が、請求項14で定義されるコーティング組成物を提供することにあることは明らかである。
【0073】
したがって、実質的に無溶剤の組成物が好ましい。これらの組成物は、特に1つ又は複数のさらなる反応性希釈剤も含むことができる。
【0074】
本発明の範囲内で適切である他の反応性希釈剤としては、とりわけ、前述のヘキサンジオールジアクリレート(HDDA)、ヘキサメチレンジオールジメタクリレート(HDDMA)、イソボルニルアクリレート(IBOA)、トリプロピレングリコールジアクリレート(TPGDA)、及びトリメチロールプロパントリアクリレート(TMPTA)が挙げられる。
【0075】
さらなる反応性希釈剤と本発明による化合物との混合物において、本発明による化合物及び/又はN−ビニル官能性、N−アリル官能性1,3,5−トリアジン化合物の割合は、好ましくは約5重量%〜約80重量%であり、一部の適用においてはさらに高い。
【0076】
適切な反応性希釈剤は、同様にトリアジン主要部に基づくO−アリル官能性化合物の市販例として2,4,6−トリアリルオキシ−1,3,5−トリアジン(式2)も含むが、本発明によるN−アリル官能性化合物に関しては、単独で使用されるこの反応性希釈剤は、苛性耐性、耐酸性、及び/又は引っかき抵抗性については満足度の低い結果をもたらす(実施例7参照)。
【0077】
式2の反応性希釈剤は、より高温度、例えば、60〜80℃で使用されるUV硬化コーティング組成物に特に適している。
【化2】


式2 2,4,6−トリアリルオキシ−1,3,5−トリアジン
【0078】
さらに、本発明によるコーティング組成物は、好ましくはポリマーベース又はオリゴマーベースのバインダーを含む。
【0079】
そのようなバインダーは、好ましくはアクリレート官能性、ウレタン官能性、又はポリエステル官能性バインダーを含む。
【0080】
本発明によるコーティング組成物は、約0.5μm〜約600μm、より好ましくは、約0.5μm〜約100μmの層の厚さを有するコーティング剤を製造するのに特に適している。
【0081】
本発明によるコーティング組成物は、好ましくは塗料として、特にクリヤコートとしても配合される。UV硬化性、より好ましくはUVラジカル硬化性であるクリヤコート配合物が特に好ましい。
【0082】
本発明によるコーティング組成物は、同様に好ましくはインクとして配合される。
【0083】
本発明による好ましいUVラジカル硬化性コーティング組成物は、請求項1〜10のいずれか一項に記載のN−アリルカルバメート官能性化合物を脂肪族反応性希釈剤成分として含み、R1基はC〜C炭化水素単位から誘導され、及び/又はコーティング組成物は、トリアリルトリアジン化合物(場合によっては互変異性型で)を含む。
【0084】
〜C炭化水素単位から誘導されるR1基を有する本発明によるN−アリルカーボネート官能性化合物は、通常、液体であり、したがって、本発明によるコーティング組成物中の単独の反応性希釈剤としても適している。
【0085】
本発明による上記のコーティング組成物は、請求項1〜10のいずれか一項に記載の化合物の割合が、約80重量%以下、特に約5〜60重量%、より好ましくは約8〜30重量%、又は請求項11〜14のいずれか一項に記載の組成物の割合が、約80重量%以下、特に約5〜60重量%、より好ましくは約25〜60重量%、最も好ましくは約30〜60重量%であることを好ましくは特徴とする。
【0086】
以下の実施例は、本発明をそれに限定することなく、本発明をより詳細に説明するためのものである。
【実施例】
【0087】
実施例1:ヘキサメチレン−ビス−N−アリルカルバメートの合成
ヘキサメチレンジオール11.4g及びジブチルすずドデカノエート(触媒)0.01216gを塩化メチレン70gに溶解し、アリルイソシアネート16.0gを氷冷しながら1滴ずつ添加した。
【0088】
窒素雰囲気下、室温で20時間撹拌した後、塩化メチレンを減圧下で除去した。洗浄水のpHが中性になるまで、得られた生成物を50℃の温度の温かい蒸留水で洗浄した。
【0089】
次いでNaSOを使用して乾燥を実施した。生成物をプロトン核磁気共鳴分光法により同定した。
【0090】
実施例2:アクリロイルヘキサメチレン−N−アリルカルバメートの合成
ヘキサメチレンジオール12.8gを塩化メチレン150gに溶解し、アリルイソシアネート9.0gを氷冷しながら1滴ずつ添加した。
【0091】
窒素雰囲気下、35℃で20時間加熱した後、混合物を再び氷水で冷却し、ジイソプロピルエチルアミン15mLを添加し、アクリロイルクロライド9.8gを1滴ずつ添加した。
【0092】
混合物を室温で20時間撹拌し、塩化メチレンを減圧下で除去した。
【0093】
洗浄水が中性のpHを示すまで、得られた生成物を冷水と共に振とうして洗浄した。
【0094】
次いでおよそ同じ量の酢酸ブチルで混合物を希釈し、冷水で3回振とう洗いした。
【0095】
塩化マグネシウム上で乾燥した後に、酢酸ブチルを可能な限り低い温度で慎重に減圧下で除去した。生成物をプロトン核磁気共鳴分光法により同定した。
【0096】
実施例3:1,4−テトラメチレン−ビス−(ジアリルアミノ)カルバメートの合成
氷水で冷却した塩化メチレン54mL中ブタンジオール−ビス−クロロギ酸エステル10.0gの溶液にジアリルアミン10.0gの溶液、次いで塩化メチレン80mL中ジイソプロピルエチルアミン12mLを1滴ずつ添加した。
【0097】
室温で20時間撹拌した後に、塩化メチレンを減圧下で除去した。洗浄水のpHが中性になるまで、生成物を50℃の温度の温かい蒸留水で慎重に洗浄した。
【0098】
次いでNaSOを使用して乾燥を実施した。生成物をプロトン核磁気共鳴分光法により同定した。
【0099】
参照実施例4:1,6−ヘキサメチレン−ビス−アリルカルバメート(国際公開第2004/000794A1号パンフレットによる)の合成
ヘキサメチレンジイソシアネート20.0gを、塩化メチレン70g中のアリルアルコール14.0g及びジブチルすずドデカノエート0.0152gに対し氷冷しながら1滴ずつ添加した。
【0100】
窒素雰囲気下、室温で20時間撹拌し、塩化メチレンを減圧下で除去した後、洗浄水のpHが中性になるまで、生成物を50℃の温度の温かい蒸留水で数回振とうして洗浄した。
【0101】
次いでNaSOを使用して乾燥を実施した。生成物をプロトン核磁気共鳴分光法により同定した。
【0102】
参照実施例5:N,N−イソホロン−ビス−アリルカルバメート(国際公開第2004/000794A1号パンフレットによる)の合成
【化3】


式3 N,N−イソホロン−ビス−アリルカルバメート(国際公開第2004/000794A1号パンフレット)
イソホロンジイソシアネート26.7gを、アリルアルコール14.0g及びジブチルすずドデカノエート0.0152gに氷冷しながら1滴ずつ添加した。
【0103】
窒素雰囲気下、室温で20時間撹拌した後、洗浄水のpHが中性になるまで、生成物を50℃の温度の温かい蒸留水で数回振とうすることにより洗浄した。
【0104】
次いでNaSOを使用して乾燥を実施した。生成物をプロトン核磁気共鳴分光法により同定した。
【0105】
実施例6:コーティング配合物を形成するための、実施例1〜5の化合物及び追加の市販成分の処理
この実施例の放射線硬化試験配合物に対して、Bayer MaterialScience製のデスモルクス(Desmolux)(登録商標)U 880Hをバインダーとして使用し、BASF製のラロマー(Laromer)(登録商標)HDDAを反応性希釈剤として使用し、BYK Altana製のBYK 306をフロー制御剤として使用した。
【0106】
コーティング配合物を製造するために、上述のコーティング成分、Ciba製のUV架橋剤イルガキュア(Irgacure)184、及び場合によっては実施例1〜5で得られた化合物、すなわち、N−アリル官能性トリアジン化合物としての1,3,5−トリアリル−1,3,5−トリアジン−2,4,6(1H,3H,5H)トリオン(Aldrich)又はO−アリル官能性トリアジン化合物としての2,4,6−トリアリルオキシ−1,3,5−トリアジン(Aldrich)を、表1に列挙した割合に従って歯状ディスクを有する高速攪拌機でディスク周辺速度1.0m/secにて15分間混合した。
【0107】
表1に列挙した標準配合物はベースの配合物を表す。これらの配合物はそれぞれの場合、実施例1〜5の化合物及び他の2つのトリアジン化合物のコーティング系の機能発揮に関して試験をするために、HDDA成分の50%を置き換えることにより変化させた。これらは、表中では代用添加剤とも呼ばれる。
【0108】
得られた試験配合物を、隙間50−μmを有するドクターブレードを使用して予め黒く塗装されたパネルに塗布した(例えば、レネタパネルM12型,ブラックアンドホワイトスプレーモニター(Leneta panel Form M12,black and white spray monitor)の商標名で入手可能なパネルの黒い部分)。
【0109】
放射線硬化は、不活性N雰囲気下、1800mJ/cmのUV線量を用い、塗布された塗装層の室温でのUV放射(ドープされていない高圧水銀ランプ)により実施した。
【0110】
【表1】

【0111】
実施例7:塗装層の試験結果
実施例6で製造した塗料試料のアルカリ/酸耐性の試験は、1%水酸化ナトリウム溶液又は硫酸溶液を試料に滴下することにより実施した。
【0112】
このようにして処理したコーティング剤をグラジェントオーブン中で30分間温度勾配にさらした。応力を受けた表面を水ですすぎ、乾燥し、23℃及び50%の相対湿度で24時間保管した後、損傷を視覚的に評価した。
【0113】
コーティング剤の耐アルカリ性及び耐酸性に対して、損傷が視覚的に検出可能である最低の温度を決定した。
【0114】
標準配合物の得られた酸及びアルカリ安定性を、HDDA部分の50%を代用添加剤と置き換えて得られたコーティング剤の安定性と比較すると、HDDAを含有する標準配合物に対して41℃のアルカリ温度安定性及び42℃の酸安定性が得られた。
【0115】
N−アリル官能性トリアジン化合物で改質した塗装層に対して、61℃の高いアルカリ温度安定性及び47℃の増加した酸安定性が検出された。
【0116】
O−アリル官能性トリアジン化合物について、HDDAの50%置換では、N−アリル官能性トリアジンと比較して、59℃のより低いアルカリ温度安定性及び同様に44℃のより低い耐酸性が、結果として得られた。
【0117】
しかし、N−アリル−官能性トリアジン化合物は、O−アリル官能性トリアジン化合物に対して、化学的耐性に関する利点を示すだけではない。DIN EN ISO 11341に従い、得られた塗装層の300時間の短期風化試験(weathering test)を実施すると、O−アリル官能性トリアジンを使用した場合は、風化(測定の幾何学的配置(measuring geometry)d/8°、色I5、GretagMacbeth)の後に、変色ΔEが0.35単位増加することが観察された。
【0118】
このことはO−アリル官能性トリアジン化合物に比べ、N−アリル官能性トリアジンの高い風化安定性を表している。
【0119】
引用した国際公開第2004/000794A1号パンフレットに従ってジイソシアネート及びアリルアルコールから調製することができる他のO−アリル官能性物質を、UV硬化クリヤコート適用における安定性について試験した場合、実施例5(式3)の環状N,N−イソホロン−ビス−アリルカルバメートが使用された場合、HDDAの50%が置き換えられた場合、たった54℃のアルカリ温度安定性及び再びたった44℃の酸安定性が得られた。
【0120】
N,N−イソホロン−ビス−アリルカルバメートと同様に、ヘキサメチレン−ビス−アリルカルバメート(実施例4)が、国際公開第2004/000794A1号パンフレットに従って、対応するヘキサメチレンジイソシアネートをアリルアルコールと反応させることにより得られた。この試料は塗装系と非相溶性であり、HDDAに直接可溶でなく、対応する実施例1のN−アリル官能性ヘキサメチレン−ビス−N−アリルカルバメートは同様にHDDAに直接可溶でなかったため、全体として、ヘキサメチレン主要部の非相溶性促進作用を結論付けることができる。
【0121】
化学的耐性に対する影響をさらに試験できるように、実施例4のヘキサメチレン−ビス−アリルカルバメートを予めメタノールに溶解し、塗布し、UV架橋の前にメタノールを除去するため塗装層を50℃で数時間減圧下で乾燥した。
【0122】
透明な塗装層が得られたが、驚くことに45℃の耐アルカリ性及び44℃の耐酸性が得られ、耐アルカリ性及び耐酸性は標準塗料に比べほんのわずか改善した。
【0123】
本発明によるアリルカルバメート基のほんの一部がアクリレート基で置き換えられると、化合物は塗装系とより相溶性になり、国際公開第2004/000794A1号パンフレットによる実施例4からのヘキサメチレン−ビス−アリルカルバメートと比較して、驚くべきことに、実施例2から得た物質が組み込まれたとき耐酸性は44℃で一定であったが、塗装層の耐アルカリ性は45℃〜48℃に増加した。
【0124】
この結果に基づいて、化合物の相溶性が、塗装層の達成可能な化学的耐性に明らかに強く影響すること、及び、化合物の相溶性の影響が、二重結合官能基の加水分解安定な連結より大きな効果を及ぼし得ると結論付けることができる。
【0125】
さらに、同じ分子でよく共重合するモノマー単位を組み合わせることは、達成可能な化学的耐性にプラスの効果を及ぼすようである。
【0126】
ヘキサメチレン主要部及び二重結合官能基の影響を詳細に説明するために、実施例3において対応する四官能性N−アリルカルバメート、1,4−テトラメチレン−ビス−(ジアリルアミノ)カルバメートをテトラメチレンジオールギ酸エステル(a tetramethylene diol chloroformate)を介して合成した。得られた化合物は室温で液体であり、反応性希釈剤HDDAと完全に混和性があった。得られる塗装系に対し、耐酸性については44℃の値が再び得られたが、耐アルカリ性については56℃の比較的高い値が得られた。
【0127】
実施例3から得られた四官能性N−アリルカルバメートは、液体として存在し、UV開始剤に対する良好な溶解力及び、通例のバインダー系との高度な相溶性を示すので、単独の反応性希釈剤として、HDDAなしで直接使用することも可能である。これはコーティング組成物において、例えば80重量%の高濃度で使用することも可能にする。
【0128】
得られた結果を組み合わせると、架橋することになる二重結合官能基の加水分解安定な連結、分子中でのその官能性、及び使用される主要部が、重要な役割を果たすという結論が得られる。
【0129】
この結果により、環構造、特にヘテロ環、より好ましくは、トリアジン化合物を、カルバメート基を介して結合したより高次の官能性の加水分解安定なアリル基で官能化された、主要部として使用することは、非常に高い酸及び塩基安定性に対する特に有利な効果を有することが示される。
【0130】
しかし、優れた化学的安定性を達成するために、本発明によれば、例えばアクリレート官能基を用いた追加の改質による、対応化合物の上述の相溶性及び反応性を、本塗装系に的を絞った様式で適合させることもできる。
【0131】
この点で、成分の最適共重合が達成できるように、塗装系におけるアクリレート官能基に対する加水分解安定なアリルカルバメート官能基の正確な比を保証することが重要である。
【0132】
添加剤が既存の塗料調合剤において使用されることになるなら、他の塗料特性は添加剤の添加によって悪影響を受けるべきでない。
【0133】
驚くべきことに、N−アリル−官能性トリアジンを使用して製造した塗装層に対し、CSM InstrumentsのモデルUNHT機器を使用して、初期クラック形成まではほぼ53mNの改善した引っかき抵抗性(標準コーティング剤のクラック形成は51mN)も測定された。
【0134】
O−アリル−官能性トリアジンを用いて改変した塗装層に対し、初期クラック形成が31mNである大きく減少した引っかき抵抗性が観察された。
【0135】
表2に上述した試験結果をまとめて示す。
【0136】
【表2】

【0137】
表面光沢及び光沢の減少(HazeGloss,Byk Gardner)又は硬さ及び風化後の硬さの減少(フィッシャースコープ(Fischerscope)H100,Fischer)などの重要な塗料特性の試験において、本発明による添加剤については、被試験配合物においてHDDAが50%置き換えられるまでは塗装層に対するマイナス効果は何も検出することができなかった。
【0138】
よって、新規な添加剤は、風化安定性又は表面光沢に顕著に影響を及ぼすことなしに、化学的耐性及び機械的耐性を主に改善する。したがって、新規な添加剤は塗装系、特にUVクリヤコート系において添加剤として特に有利に使用することができる。


【特許請求の範囲】
【請求項1】
一般式Aで示されるN−アリルカルバメート化合物であって、
【化1】


式中、R1基は、直鎖、分岐又は環状の置換脂肪族炭化水素基、及びヘテロ環基から選択され、R1基は、少なくとも1つのエチレン性不飽和結合を含み、R2、R3、及びR4は、水素及び炭化水素基から選択され、R5は水素又はアリル基を表し、cは1以上の整数である、化合物。
【請求項2】
R1基の少なくとも1つのエチレン性不飽和結合が、N−アリル、N−アリルカルバメート、N−ビニル、(メタ)アクリレート、及び/又は(メタ)アクリルアミドから選択される官能基によって表されることを特徴とする、請求項1に記載の化合物。
【請求項3】
R1基が、ジオール、トリオール、オリゴマー性又はポリマー性ビニルアルコール化合物、単糖類及び二糖類、並びに前記ポリオールの誘導体から特に選択されるポリオールベースの基を含むことを特徴とする、請求項1又は2に記載の化合物。
【請求項4】
前記単糖類又は二糖類が、糖アルコールであることを特徴とする、請求項3に記載の化合物。
【請求項5】
前記ポリオールが、約3000g/mol以下、特に約800g/mol以下、より好ましくは約500g/mol以下のモル質量を有することを特徴とする、請求項3又は4に記載の化合物。
【請求項6】
R1基がアクリレート官能基を含むことを特徴とする、請求項1〜5のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項7】
R1基がヘテロ環基、特に1,3,5−トリアジンベースの基であることを特徴とする、請求項1〜6のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項8】
R1基が、モノマー基であることを特徴とする、請求項1〜7のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項9】
アクリレート官能基に加え、R1基が、ヘテロ環基、特に1,3,5−トリアジン基を含むことを特徴とする、請求項7又は8に記載の化合物。
【請求項10】
R1基におけるアクリレート官能基に対するN−アリルカルバメート官能基の比が1以上であることを特徴とする、請求項6〜9のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項11】
請求項1〜10のいずれか一項に記載の1つ又は複数の化合物、並びに/或いはモノマー性、オリゴマー性、及びポリマー性のN−ビニル官能性、N−アリル官能性、O−ビニル官能性及び/又はO−アリル官能性1,3,5−トリアジン化合物、特に1,3,5−トリアリル−1,3,5−トリアジン−2,4,6(1H,3H,5H)トリオン又は2,4,6−トリアリルオキシ−1,3,5−トリアジン、場合により互変異性体から選択される成分を含む、放射線硬化コーティング剤において使用するための組成物。
【請求項12】
約5000g/mol以下、好ましくは約1000g/mol以下のモル質量を有する化合物から実質的に構成されることを特徴とする、請求項11に記載の組成物。
【請求項13】
実質的に無溶剤であり、ヘキサメチレンジオールジアクリレート(HDDA)、ヘキサメチレンジオールジメタクリレート(HDDMA)、イソボルニルアクリレート(IBOA)、トリプロピレングリコールジアクリレート(TPGDA)、及びトリメチロールプロパントリアクリレート(TMPTA)から特に選択される反応性希釈剤を場合によっては含むことを特徴とする、請求項11又は12に記載の組成物。
【請求項14】
請求項1〜10のいずれか一項に記載の化合物又は請求項11〜13のいずれか一項に記載の組成物を含む、コーティング組成物。
【請求項15】
実質的に無溶剤であることを特徴とする、請求項14に記載のコーティング組成物。
【請求項16】
ポリマーベース又はオリゴマーベースのバインダーを含むことを特徴とする、請求項14又は15に記載のコーティング組成物。
【請求項17】
前記バインダーが、アクリレート官能性、ウレタン官能性、又はポリエステル官能性バインダー成分を含むことを特徴とする、請求項16に記載のコーティング組成物。
【請求項18】
塗料として、特にクリヤコートとして、より好ましくはUV硬化性クリヤコートとして配合されることを特徴とする、請求項14〜17のいずれか一項に記載のコーティング組成物。
【請求項19】
UVラジカル硬化性であることを特徴とする、請求項14〜18のいずれか一項に記載のコーティング組成物。
【請求項20】
R1基がC〜C炭化水素単位に由来する、請求項1〜10のいずれか一項に記載のN−アリルカルバメート官能性化合物を脂肪族反応性希釈剤成分として含み、及び/又はトリアリルトリアジン化合物、場合によっては互変異性体を含むことを特徴とする、UVラジカル硬化性コーティング組成物、特に請求項14〜17のいずれか一項に記載のUVラジカル硬化性コーティング組成物。
【請求項21】
前記N−アリルカルバメート官能性化合物が三官能性又は四官能性であることを特徴とする、請求項14〜20のいずれか一項に記載のコーティング組成物。
【請求項22】
インクとして配合されることを特徴とする、請求項14〜17又は21のいずれか一項に記載のコーティング組成物。
【請求項23】
請求項1〜10のいずれか一項に記載の化合物の割合が、約80重量%以下、特に約5〜60重量%、より好ましくは約8〜30重量%であり、又は請求項11〜13のいずれか一項に記載の組成物の割合が、約80重量%以下、特に約5〜60重量%、より好ましくは約25〜60重量%、最も好ましくは約30〜60重量%であることを特徴とする、約0.5μm〜約600μmの層厚さを有するコーティング剤を特に製造するための、請求項14〜22のいずれか一項に記載のコーティング組成物。

【公表番号】特表2013−512269(P2013−512269A)
【公表日】平成25年4月11日(2013.4.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−541423(P2012−541423)
【出願日】平成22年11月26日(2010.11.26)
【国際出願番号】PCT/EP2010/068342
【国際公開番号】WO2011/067183
【国際公開日】平成23年6月9日(2011.6.9)
【出願人】(594102418)フラウンホーファー−ゲゼルシャフト ツル フェルデルング デル アンゲヴァンテン フォルシュング エー ファウ (63)
【氏名又は名称原語表記】Fraunhofer−Gesellschaft zur Foerderung der angewandten Forschung e.V.
【住所又は居所原語表記】Hansastrasse 27c, D−80686 Muenchen, Germany
【Fターム(参考)】