説明

N−アルコキシ−4,4−ジオキシ−ポリアルキル−ピペリジン化合物類、それらの相当するN−オキシド類及びそれらを用いた制御されたラジカル重合

【課題】N−アルコキシ−4,4−ジオキシ−ポリアルキル−ピペリジン化合物類、それらの相当するN−オキシド類及びそれらを用いた制御されたラジカル重合
【解決手段】本発明は、開鎖又は環状ケタール構造を形成する二つの酸素原子によって、4位が置換された、選択された1−アルコキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、1−アルコキシ−2,2−ジエチル−6,6ジメチルピペリジン及び1−アルコキシ−2,6ジエチル−2,3,6−トリメチルピペリジン誘導体、a)少なくとも一つのエチレン性不飽和モノマー及びb)上記ピペリジン誘導体を含む重合性組成物に関する。本発明の更なる態様は、エチレン性不飽和モノマーの重合方法、及び制御された重合のための、開鎖又は環状ケタール構造を形成する二つの酸素原子によって、4位が置換された1−アルコキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、1−アルコキシ−2,2−ジエチル−6,6ジメチルピペリジン及び1−アルコキシ−2,6ジエチル−2,3,6−ジメチルピペリジン誘導体の使用である。N−オキシル誘導体の中間体、エチレン性不飽和モノマー及び遊離ラジカル開始剤と一緒のN−オキシル誘導体の組成物、並びに重合方法もまた、本発明の態様である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、開鎖又は環状ケタール構造を形成する二つの酸素原子によって、4位が置換された置換された、選択された1−アルコキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、1−アルコキシ−2,2−ジエチル−6,6ジメチルピペリジン及び1−アルコキシ−2,6ジエチル−2,3,6−トリメチルピペリジン誘導体、a)少なくとも一つのエチレン性不飽和モノマー及びb)上記ピペリジン誘導体を含む重合性組成物に関する。本発明の更なる態様は、エチレン性不飽和モノマーの重合方法、及び制御された重合のための、開鎖又は環状ケタール構造を形成する二つの酸素原子によって、4位が置換された1−アルコキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、1−アルコキシ−2,2−ジエチル−6,6ジメチルピペリジン及び1−アルコキシ−2,6ジエチル−2,3,6−トリメチルピペリジン誘導体の使用である。N−オキシル誘導体の中間体、エチレン性不飽和モノマー及びフリーラジカル開始剤と一緒のN−オキシル誘導体の組成物、並びに重合方法もまた、本発明の態様である。
【0002】
本発明の化合物は、低い多分散性を有する重合樹脂生成物を与える。重合方法は、モノマーからポリマーへの良好な転換効率で行なわれる。特に、本発明は、高い重合速度及び良好なモノマーからポリマーへの転換において、ホモポリマー、ランダムコポリマー、ブロックコポリマー、マルチブロックコポリマー、グラフトコポリマー等を与える安定なフリーラジカル媒介重合方法に関する。
【背景技術】
【0003】
ソロモンらへの1986年4月8日に発行されたUS−A−4581429は、ポリマー鎖の成長を制御して短鎖またはオリゴマー性ホモポリマー及びブロックおよびグラフトコポリマーを含むコポリマーを生成するフリ−ラジカル重合法について開示している。その方法は、次式(部分的に)R′R″N−O−X(式中、Xは不飽和モノマーを重合させることが可能なフリーラジカル種を表す。)を持つ開始剤を使用する。その反応は典型的には低い転換速度を持つ。特別に言及されたラジカルR′R″N−O・基は、1,1,3,3テトラエチルイソインドリン、1,1,3,3テトラプロピルイソインドリン、2,2,6,6テトラメチルピペリジン、2,2,5,5テトラメチルピロリドン、またはジ−第三−ブチルアミンから誘導される。しかしながら、提案された化合物は、全ての要求を満たさない。特に、アクリレートの重合は、十分なほどに速く進行せず、及び/又はモノマーからポリマーへの転換率は望ましい程は高くない。
【0004】
EP−A−0574666は、4位に開鎖又は環状ケタール構造を有するいくつかの新規1−オキシル−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン化合物及びそれらの製造方法を開示している。
【0005】
US4,105,626はまた、4位にケタール構造を有する2,6−ジエチル−2,6−ジメチルピペリジンから誘導されるニトロキシド及びそれらの製造方法を開示している。
【0006】
しかしながら、いかなるニトロキシド及びニトロキシルエーテル化合物も、制御されたラジカル重合のための調節剤/開始剤として記載されていない。
【0007】
GB2335190が最初に、2,2,6,6−テトラアルキルピペリジンに基づいた重合調節剤/開始剤を開示しており、そしてここでアルキル基は1ないし6個の炭素原子
を有し、かつ少なくとも一つの基はメチル基ではない。4位にケタール構造を有する特異的な化合物は言及されていない。
【0008】
一般的に、US−A−4581429及びGB2335190に開示されているこれら2,2,6,6−テトラアルキルピペリジンでは、これらが開鎖又は環状ケタール構造を形成する二つの酸素原子によって、4位が置換された1−アルコキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、1−アルコキシ−2,2−ジエチル−6,6ジメチルピペリジン及び1−アルコキシ−2,6ジエチル−2,3,6−トリメチルピペリジン誘導体であるという特定の評価があることが今や見出されている。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0009】
4位のケタール構造は、貯蔵、特に高温においての貯蔵のために重要な高い熱安定性を確実にする。ケタール構造は、対応する4−オキソ化合物と比較して、熱的に、非常により安定している。
【0010】
化合物は、例えば、慣用の安定性試験に使用されるような、高温においての貯蔵後でさえも、変わらない開始/調節活性を示す。
【0011】
ニトロキシル又はニトロキシルエーテル媒介フリーラジカル重合に関する他の問題は、結果として生成されるポリマーにかなりの着色が形成されれることである。4位にケタール構造を有する本発明の化合物は、他の同様の構造の従来技術化合物と比較して、非常に少ない着色しかポリマーへ与えない。
【0012】
二つのメチル基の代わりに、二つのエチル基によって導入された立体障害性は更に、増加した重合の開始活性及び制御を導く。
【0013】
ピペリジン環の2及び6位の特異な置換パターンは、短時間での高いモノマーからポリマーへの転換率及び一般的に2より下の低い多分散性を許す。高いモノマーからポリマーへの転換率は、エチル−又はブチルアクリレートのようなアクリレートでさえも達成される。短時間での高い転換率を達成するために必要な温度は、例えば120℃ぐらいの低い温度であり得る。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明の一つの態様は、
a)少なくとも1つのエチレン性不飽和モノマー又はオリゴマー、及び
b)式Ia、IIa又はIIIa
【化1】

[式中、
nは1又は2を表し、
Xは、−CH2−フェニル基、CH3CH−フェニル基、(CH32C−フェニル基、(炭素原子数5ないし6のシクロアルキル)2CCN、(CH32CCN、−CH2CH=CH
2、CH3CH−CH=CH2、3−シクロヘキセニル基、3−シクロペンテニル基、(炭
素原子数1ないし4のアルキル)CR20−C(O)−フェニル基、(炭素原子数1ないし4の)アルキル−CR20−C(O)−(炭素原子数1ないし4の)アルコキシ基、(炭素原子数1ないし4の)アルキル−CR20−C(O)−(炭素原子数1ないし4の)アルキル基、(炭素原子数1ないし4の)アルキル−CR20−C(O)−N−ジ(炭素原子数1ないし4の)アルキル基、(炭素原子数1ないし4の)アルキル−CR20−C(O)−NH(炭素原子数1ないし4の)アルキル基、(炭素原子数1ないし4の)アルキル−CR20−C(O)−NH2及び式
【化2】

(式中、R20は、水素原子又は(炭素原子数1ないし4の)アルキル基を表し、R21は、水素原子、炭素原子数1ないし4のアルキル基又はフェニル基を表し、及びR22は、未置換の又はOH又はN(R20)(R21)によって置換された、もしくはO又はNR20によって中断された炭素原子数1ないし12のアルキル基を表す。)
で表される基からなる群から選択され;
もしもnが1の場合、
Y及びY'は、独立して、炭素原子数1ないし12のアルキル基、炭素原子数3ないし1
2のアルケニル基、炭素原子数3ないし12のアルキニル基、炭素原子数5ないし8のシクロアルキル基、フェニル基、ナフチル基、炭素原子数7ないし9のフェニルアルキル基を表すか;又は
Y及びY'は、一緒になって二価の基、−C(R1)(R2)−CH(R3)−、CH(R1
)−CH2−C(R2)(R3)−、−CH(R2)−CH2−C(R1)(R3)−、−CH2−C(R1)(R2)−CH(R3)−、o−フェニレン基、1、2−シクロヘキシリデン
基、−CH2−CH=CH−CH2−又は
【化3】

の一つを形成し、ここで、R1は、水素原子、炭素原子数1ないし12のアルキル基、C
OOH、COO−(炭素原子数1ないし12の)アルキル基又はCH2OR4を表し;
2及びR3は、独立して、水素原子、メチルエチル基、COOH又はCOO−(炭素原子数1ないし12の)アルキル基を表し;
4は、水素原子、炭素原子数1ないし12のアルキル基、ベンジル基、又は18個まで
の炭素原子を有する、脂肪族、脂環式もしくは芳香族一価カルボン酸から誘導された一価のアシル残基を表し、;
もしもnが2の場合、
Y及びY'は、一緒になって、四価の基
【化4】

(式中、Qは、炭素原子数2ないし12のジカルボン酸又は炭素原子数1ないし12のアルキレン基から誘導されたビスアシル残基を表し、;及びZは、炭素原子数1ないし12のアルキレン基を表す。)の一つを形成する。]で表される化合物を含む重合性組成物である。
【0015】
好ましいのは、化合物が式Ia又はIIaで表される重合性組成物である。
【0016】
炭素原子数1ないし12のアルキル基は、直鎖又は枝分かれした基であり得る。例としては、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、2−ブチル基、イソブチル基、t−ブチル基、ペンチル基、2−ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、2−エチルヘキシル基、t−オクチル基、ノニル基、 デシル基、 ウンデシル基又はドデシル基である。
【0017】
3ないし12個の炭素原子を有するアルケニル基は、枝分かれした又は枝分かれしていない基であり、例えば、プロペニル基、2−ブテニル基、3−ブテニル基、イソブテニル基、n−2,4−ペンタジエニル基、3−メチル−2−ブテニル基、n−2−オクテニル基、n−2ドデセニル基、イソドデセニル基であり得る。
【0018】
3ないし25個の炭素原子を有するアルキニル基は、枝分かれした又は枝分かれしていない基であり、例えば、プロピニル(−CH2−C≡CH)、2−ブチニル基、3−ブチ
ニル基、n−2−オクチニル基、またはn−2−ドデシニル基である。
【0019】
アルコキシ基の例は、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、イソプロポキシ基、ブトキシ基、イソブトキシ基、ペントキシ基、イソペントキシ基、ヘキソキシ基、ヘプトキシ基又はオクトキシ基である。
【0020】
炭素原子数7ないし9のフェニルアルキル基は、例えば、ベンジル基、α−メチルベンジル基、α,α−ジメチルベンジル基又は2−フェニルエチル基であり、ベンジル基が好
ましい。
【0021】
炭素原子数1ないし12のアルキレン基は、枝分かれした又は枝分かれしていない基であり、例えば、メチレン基、エチレン基、プロピレン基、トリメチレン基、テトラメチレン基、ペンタメチレン基、ヘキサメチレン基、ヘプタメチレン基、オクタメチレン基、デカメチレン基又はドデカメチレン基である。
【0022】
炭素原子数5ないし8のシクロアルキル基は、例えば、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基、メチルシクロペンチル基又はシクロオクチル基である。
【0023】
18個までの炭素原子を有する一価カルボン酸の例は、蟻酸、酢酸、プロピオン酸、バレリアン酸、メチルエチル酢酸、トリメチル酢酸、カプロン酸、ラウリン酸又はステアリン酸の異性体である。不飽和脂肪酸の例は、アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、リノール酸及びオレイン酸である。
【0024】
脂環式カルボン酸の典型例は、シクロヘキサンカルボン酸又はシクロペンタンカルボン酸である。
【0025】
芳香族カルボン酸の例は、安息香酸、サリチル酸又は桂皮酸である。
【0026】
ジカルボン酸の例は、蓚酸、マロン酸、琥珀酸、グルタル酸、アジピン酸、セバシン酸、フマル酸、マレイン酸、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸である。
【0027】
好ましいのは、式Ia、IIa又はIIIaで表される化合物において、Xが、−CH2−フェニル基、CH3CH−フェニル基、(CH32C−フェニル基、(炭素原子数5ないし6のシクロアルキル)2CCN、(CH32CCN、3−シクロヘキセニル基を表し
、及び他の置換基が、上記で定義した通りである重合性組成物であり、最も好ましくはXは、CH3CH−フェニル基を表す。
【0028】
また、好ましいのは、式Ia、IIa又はIIIaで表される化合物において、Xが、−CH2−フェニル基、CH3CH−フェニル基、(CH32C−フェニル基、(炭素原子数5ないし6のシクロアルキル)2CCN、(CH32CCN、3−シクロヘキセニル基
からなる群から選択され、
nは1を表し、
Y及びY'は、独立して、炭素原子数1ないし12のアルキル基、炭素原子数3ないし1
2のアルケニル基、炭素原子数3ないし12のアルキニル基、炭素原子数5ないし8のシクロアルキル基、フェニル基、ナフチル基、炭素原子数7ないし9のフェニルアルキル基を表すか;又は
Y及びY'は、一緒になって、二価の基、−C(R1)(R2)−CH(R3)−、CH(R1)−CH2−C(R2)(R3)−、−CH(R2)−CH2−C(R1)(R3)−、−CH2−C(R1)(R2)−CH(R3)−、o−フェニレン基、1、2−シクロヘキシリデン基、−CH2−CH=CH−CH2−又は
【化5】

の一つを表し、ここで、R1は、水素原子、炭素原子数1ないし12のアルキル基、CO
OH、COO−(炭素原子数1ないし12の)アルキル基又はCH2OR4を表し;
2及びR3は、独立して、水素原子、メチルエチル基、COOH又はCOO−(炭素原子
数1ないし12の)アルキル基を表し;
4は、水素原子、炭素原子数1ないし12のアルキル基、ベンジル基、又は18個まで
の炭素原子を有する、脂肪族、脂環式もしくは芳香族一価カルボン酸から誘導された一価のアシル残基を表す。)を形成する重合性組成物である。
【0029】
より好ましいのは、式Ia、IIa又はIIIaで表される化合物において、Xは、CH3CH−フェニル基を表し、;
nは1を表し、
Y及びY'は、独立して、炭素原子数1ないし12のアルキル基、炭素原子数3ないし1
2のアルケニル基、フェニル基又はベンジル基を表すか;又は
Y及びY'は、一緒になって、二価の基、−C(R1)(R2)−CH(R3)−、CH(R1)−CH2−C(R2)(R3)−、−CH(R2)−CH2−C(R1)(R3)−、−CH2−C(R1)(R2)−CH(R3)−、−CH2−CH=CH−CH2
の一つを表し、ここでR1は、水素原子、炭素原子数1ないし12のアルキル基、COO
−(炭素原子数1ないし12の)アルキル基又はCH2OR4を表し;
2及びR3は、独立して、水素原子、メチルエチル基又はCOO−(炭素原子数1ないし12の)アルキル基を表し;
4は、水素原子、炭素原子数1ないし12のアルキル基、ベンジル基、又は12個まで
の炭素原子を有する、脂肪族、脂環式もしくは芳香族一価カルボン酸から誘導された一価のアシル残基を表す。)を形成する重合性組成物である。
【0030】
最も適当な個々の化合物を表1、2及び3に示す。
表1:式(Ia)に従った化合物
【表1】

【表2】

【表3】

【表4】

【表5】

【表6】

表2:式(IIa)に従った化合物
【表7】

【表8】

【表9】

【表10】

【表11】

【表12】

表3:式(IIIa)に従った化合物
【表13】

【表14】

【表15】

【表16】

【表17】

【表18】

【0031】
特に好ましいのは表1及び2の化合物である。
【0032】
最も好ましいのは、以下の化合物である:
【化6】

4,4−ジブトキシ−2,6−ジエチル−2,3,6−トリメチル−1−(1−フェニル−エトキシ)−ピペリジン(表1、番号4)。
【化7】

7,9−ジエチル−6,7,9−トリメチル−8−(1−フェニル−エトキシ)−1,4−ジオキサ−8−アザ−スピロ[4.5]デカン(表1、番号10)。
【化8】

7,9−ジエチル−2,6,7,9−テトラメチル−8−(1−フェニル−エトキシ)−1,4−ジオキサ−8−アザ−スピロ[4.5]デカン(表1、番号11)。
【化9】

[7,9−ジエチル−6,7,9−トリメチル−8−(1−フェニル−エトキシ)−1,4−ジオキサ−8−アザ−スピロ[4.5]デシ−2−イル]−メタノール (表1、番号18)。
【化10】

8,10−ジエチル−7,8,10−トリメチル−9−(1−フェニル−エトキシ)−1,5−ジオキサ−9−アザ−スピロ[5.5]ウンデカン(表1、番号34)。
【化11】

8,10−ジエチル−3,3,7,8,10−ペンタメチル−9−(1−フェニル−エトキシ)−1,5−ジオキサ−9−アザ−スピロ[5.5]ウンデカン (表1、番号35)。
【化12】

2,4−ジエチル−1,2,4−トリメチル−3−(1−フェニル−エトキシ)−7,16−ジオキサ−3−アザ−ジスピロ[5.2.5.2]ヘキサデセ−11−エン(表1、番号40)。
【化13】

[8,10−ジエチル−3,7,8,10−テトラメチル−9−(1−フェニル−エトキ
シ)−1,5−ジオキサ−9−アザ−スピロ[5.5]ウンデシ−3−イル]−メタノール(表1、番号41)。
【化14】

9−(シクロヘキセ−2−エニルオキシ)−8,10−ジエチル−3,3,7,8,10−ペンタメチル−1,5−ジオキサ−9−アザ−スピロ[5.5]ウンデカン。
【0033】
好ましくは、エチレン性不飽和モノマー又はオリゴマーは、エチレン、プロピレン、n−ブチレン、i−ブチレン,スチレン、置換スチレン,共役ジエン、アクロレイン、酢酸ビニル,ビニルピロリドン,ビニルイミダゾール,無水マレイン酸、(アルキル)アクリル酸無水物、(アルキル)アクリル酸塩、(アルキル)アクリル酸エステル、(メタ)アクリロニトリル、(アルキル)アクリルアミド、ハロゲン化ビニル又はハロゲン化ビニリデンからなる群から選択される。
【0034】
特に、エチレン性不飽和モノマーは、エチレン、プロピレン、n−ブチレン、i−ブチレン、イソプレン、1,3−ブタジエン、α−炭素原子数5ないし18のアルケン、スチレン、α−メチルスチレン、p−メチルスチレン又は式CH2=C(Ra)−(C=Z)−Rb(式中、Raは水素原子又は炭素原子数1ないし4のアルキル基を表し、Rbは、NH2、O-(Me+)、グリシジル基、未置換の炭素原子数1ないし18のアルコキシ基、少なくとも1つのN及び/又はO原子によって中断された炭素原子数2ないし100のアルコキシ基、又はヒドロキシ置換された炭素原子数1ないし18のアルコキシ基、未置換の炭素原子数1ないし18のアルキルアミノ基,ジ(炭素原子数1ないし18のアルキル)アミノ基、ヒドロキシ置換された炭素原子数1ないし18のアルキルアミノ基又はヒドロキシ置換されたジ(炭素原子数1ないし18のアルキル)アミノ基、−O−CH2−CH2−N(CH32又は−O−CH2−CH2−N+H(CH32 An-を表し;
An-は、1価の有機もしくは無機酸の陰イオンを表し;
Meは、1価の金属原子もしくはアンモニウムイオンを表し、
Zは、酸素原子又は硫黄原子を表す。)で表される化合物である。
【0035】
少なくとも1つの酸素原子によって中断された炭素原子数2ないし100のアルコキシ基としてのRaの例は、次式
【化15】

(式中、Rcは炭素原子数1ないし25のアルキル基、フェニル基、もしくは炭素原子数
1ないし18のアルキル基により置換されたフェニル基を表し、Rdは水素原子もしくは
メチル基を、そしてvは1ないし50の数を表す。)である。これらのモノマーは,例えば相当するアルコキシル化アルコールもしくはフェノールのアクリル化によって非イオン界面活性剤から誘導される。
該反復単位は、エチレンオキシド、プロピレンオキシドもしくは両者の混合物から誘導することができる。
【0036】
適当なアクリレートもしくはメタクリレートモノマーの他の例は、次式
【化16】

(式中、An-およびRaは上記で定義した意味をもち、そしてReはメチル基もしくはベ
ンジル基を表す。An-は好ましくは、Cl-、Br-もしくは-3S−CH3を表す。)である。
【0037】
さらなるアクリレートモノマーは
【化17】

である。
【0038】
アクリレート以外の適当なモノマーの例は、
【化18】

である。
【0039】
好ましくは、Raは水素原子もしくはメチル基を表し、RbはNH2、グリシジル基、未
置換もしくはヒドロキシ基で置換された炭素原子数1ないし4のアルコキシ基、未置換の炭素原子数1ないし4のアルキルアミノ基、ジ(炭素原子数1ないし4アルキル)アミノ基、ヒドロキシ基で置換された炭素原子数1ないし4のアルキルアミノ基もしくはヒドロキシ基で置換されたジ(炭素原子数1ないし4アルキル)アミノ基を表し;およびZは酸素原子を表す。
【0040】
特に好ましいエチレン性不飽和モノマーはスチレン、メチルアクリレート、エチルアク
リレート、ブチルアクリレート、イソブチルアクリレート、第三ブチルアクリレート、ヒドロキシエチルアクリレート、ヒドロキシプロピルアクリレート、ジメチルアミノエチルアクリレート、グリシジルアクリレート、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、グリシジル(メタ)アクリレート、アクリロニトリル、アクリルアミド、メタクリルアミドもしくはジメチルアミノプロピル−メタクリルアミドである。
【0041】
好ましくは、開始剤化合物は、モノマー又はモノマー混合物に基づいて、0.01mol%ないし20mol%の量で、より好ましくは0.01mol%ないし10mol%の量で、そして最も好ましくは0.05mol%ないし10mol%の量で存在する。
【0042】
モノマー混合物が使用される場合、mol%は、混合物の平均分子量でで計算される。
【0043】
本発明の他の態様は、
少なくとも一つのエチレン性不飽和モノマー又はオリゴマーのフリーラジカル重合によるオリゴマー、コオリゴマー、ポリマー又はコポリマー(ブロック又はランダム)の製造方法であって、該方法は、式Ia、IIa又はIIIaで表される開始剤化合物の存在下において、O−C結合を分断して二つのフリーラジカルを形成することができる反応条件下で、モノマー又はモノマー/オリゴマーを(共)重合させることを含み、ラジカル・Xは重合を開始できる方法である。
【0044】
好ましくは、O−C結合の分断は、超音波処理、加熱又はγないしマイクロ波の範囲の輻射線への曝露によって行なわれる。
【0045】
より好ましくは、O−C結合の分断は、加熱によってなされ、かつ50℃から160℃の間の温度において行なわれる。
【0046】
好ましい開始剤及びエチレン性不飽和モノマーは、上記で既に言及している。
【0047】
方法は、有機溶媒の存在下、または水の存在下、または有機溶媒と水の混合物中で実行され得る。その他の、グリコールまたは脂肪酸のアンモニウム塩のような補助溶媒または界面活性剤が存在していてもよい。他の適切な補助溶媒は、以下に記載する。
【0048】
方法は、できる限り少量の溶媒を使用することが好ましい。反応混合物において、モノマー及び開始剤の30重量%以上、特に好ましくは50%以上、そして最も好ましくは80%以上を使用することが好ましい。
【0049】
有機溶媒が使用される場合、適切な溶媒または溶媒の混合物は、代表的には単一のアルカン(ヘキサン、ヘプタン、オクタン、イソオクタン)、炭化水素(ベンゼン、トルエン、キシレン)、ハロゲン化炭化水素(クロロベンゼン)、アルカノール(メタノール、エタノール、エチレングリコール、エチレングリコールモノメチルエーテル)、エステル(酢酸エチル、酢酸プロピル、酢酸ブチル、または酢酸ヘキシル)、及びエーテル(ジエチルエーテル、ジブチルエーテル、エチレングリコールジメチルエーテル)、またはそれらの混合物である。
【0050】
水性の重合反応は、反応混合物がモノマー転換を通して均一の単一相を維持することを確実にする助けとなるように、水混和性または親水性の補助溶媒によって補われえる。水性溶媒が、全ての重合反応が完了する後まで反応物或いはポリマー生成物の沈殿または相分離を防ぐ溶媒系を与えるのに効果的である限り、いかなる水溶性または水混和性の補助
溶媒も使用され得る。本発明で有用な補助溶媒の例は、脂肪族アルコール、グリコール、エーテル、グリコールエーテル、ピロリジン、N−アルキルピロリジノン、N−アルキルピロリドン、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、アミド、カルボン酸、及びそれらの塩類、エステル、有機硫化物、スルホキシド、スルホン、アルコール誘導体、ブチルカルビトール、またはセロソルブのようなヒドロキシエーテルの誘導体、アミノアルコール、ケトン等、並びにそれらの誘導体、及びそれらの混合物、からなる群から選択され得る。特有の例は、メタノール、エタノール、プロパノール、ジオキサン、エチレングリコール、プロピレングリコール、ジエチレングリコール、グリセロール、ジプロピレングリコール、テトラヒドロフラン、及び他の水溶性または水混和性材料、及びそれらの混合物を含む。水及び水溶性または水混和性有機液体の混合物が水性反応媒体として選択される場合、水と共溶媒の重量比は、代表的には約100:0ないし約10:90の範囲である。
【0051】
方法は、特にブロックコポリマーの生成に有用である。
【0052】
ブロックコポリマーとして、例えばポリスチレン及びポリアクリレート(例えばポリ(スチレン−コ−アクリレート)又はポリ(スチレン−コ−アクリレート−コ−スチレン))のブロックコポリマーがある。それらは接着剤もしくはポリマーブレンドの融和剤もしくはポリマー強化剤として有用である。
ポリ(メチルメタクリレート−コ−アクリレート)ジブロックコポリマーもしくはポリ(メチルアクリレート−コ−アクリレート−コ−メタクリレート)トリブロックコポリマーは、系統を塗料のための分散剤、塗料添加剤(例えば、レオロジー剤(rheological agents)、相溶剤、反応希釈剤)、もしくは塗料(例えばハイソリッドペイント)樹脂成分としてとして有用である。スチレン、(メタ)アクリレート、および/もしくは、アクリロニトリルのブロックコポリマーは、プラスチック、エラストマー、および接着剤として有用である。
【0053】
更に、ブロックが極性モノマーと非極性モノマーの間を互い違いになっている本発明のブロックコポリマーは、両親媒性の界面活性剤または高い均質のポリマーブレンドを調製する為の分散剤としての多くの用途において有益である。本発明の(コ)ポリマーは、1000ないし400000グラム/モル、好ましくは2000ないし250000グラム/モル、そして、さらに好ましくは2000ないし200000グラム/モルの数平均分子量を持ち得る。塊中で生成された場合、数平均分子量は、500000までであり得る(上記されたような最小重量と同じ。)。数平均分子量は、サイズエクスクル−ジョンクロマトグラフィ(SEC)、ゲル透過クロマトグラフィー(GPC)、マトリックス支援レーザー脱離イオン化質量分析法(MALDI−MS)、または、開始剤がモノマーとたやすく識別できる基を所有している場合は、NMR分光分析器または他の慣用的な手法により決定され得る。
【0054】
本発明のポリマー又はコポリマーは、好ましくは1.0ないし2、より好ましくは1.1ないし1.9、及び最も好ましくは1.1ないし1.8の多分散性を有する。
【0055】
従って、本発明はまた、合成新規ブロック、マルチブロック、スター、グラジエント、ランダム、ハイパーブランチ及びデンドリマーコポリマー、並びにグラフト又はコポリマーも含む。
【0056】
本発明によって製造されたポリマーは、以下の適用に有用である:
接着剤、洗剤、分散剤、乳化剤、界面活性剤、脱泡剤、定着剤、腐蝕抑制剤、粘度向上剤、滑剤、流動調節剤、増粘剤、架橋剤、紙処理、水処理、電子材料、ペイント、塗料、写真術、インク材料、映像材料、超吸収剤、化粧品、ヘアー製品、防腐剤、殺生剤材料又は
アスファルト、なめし革、生地、セラミック及び木材の変性剤。
【0057】
本発明の重合は"リビング"重合であるので、それは実用的に任意に開始及び停止しされ得る。更にポリマー生成物は、リビング物質の連続重合を許す官能アルコキシアミン基を保持する。従って、本発明の一つの態様は、一度、第一モノマーが初期重合段階で消費されると、第二重合段階において、第二モノマーが続いて添加され得り、ポリマー鎖が成長し、第二ブロックが形成される。そのため、同じ又は異なるモノマー(類)で所望の重合を実行し、マルチブロックコポリマーを製造することが可能である。更に、これはラジカル重合であるので、ブロックは、本質的にいかなる順序でも製造され得る。イオン重合の場合のように、一連の重合段階が、最も安定化されていないポリマー中間体から最も安定化されたポリマー中間体への順序で行なわれ得るように、ブロックコポリマーの製造を必ずしも制限しない。従って、ポリアクリロニトリル又はポリ(メタ)アクリレートブロックが最初に製造され、続いてスチレン又はブタジエンブロックがそれらに結合される等のマルチブロックコポリマーの製造が可能である。
【0058】
更に、本発明のブロックコポリマーの異なるブロックに接合するために必要とされる架橋基がない。単純に、次のモノマーを添加し、次のブロックを形成することができる。
【0059】
特別にデザインされたポリマー及びコポリマーの多数は、とりわけ、C.J.Hawker,Angew.Chemie,1995,107,1623〜1627頁に記載されているスター及びグラフト(コ)ポリマー、K.Matyaszewski他,Macromolecules,1996.29巻.第12号,4167〜4171頁に記載されているデンドリマー、C.J.Hawker他,Macromol.Chem.Phys.198,1997年,155〜166頁に記載されているグラフト(コ)ポリマー、C.J.Hawker,Macromolecules,1996,29,2686〜2688頁に記載されているランダムコポリマー、またはN.A.Listigovers,Macromolecules,1996,29,8992〜8993頁に記載されているジブロックコポリマー、及びトリブロックコポリマーなど、本発明により可能である。
【0060】
式Ia、IIa及びIIIaで表される化合物は、新規である。本発明の更なる態様は、従って、式Ia、IIa又はIIIa
【化19】

[式中、
nは1又は2を表し、
Xは、−CH2−フェニル基、CH3CH−フェニル基、(CH32C−フェニル基、(炭素原子数5ないし6のシクロアルキル)2CCN、3−シクロヘキセニル基、3−シクロ
ペンテニル基、(CH32CCN、−CH2CH=CH2、CH3CH−CH=CH2、(炭素原子数1ないし4のアルキル)CR20−C(O)−フェニル基、(炭素原子数1ないし4の)アルキル−CR20−C(O)−(炭素原子数1ないし4の)アルコキシ基、(炭素原子数1ないし4の)アルキル−CR20−C(O)−(炭素原子数1ないし4の)アルキル基、(炭素原子数1ないし4の)アルキル−CR20−C(O)−N−ジ(炭素原子数1ないし4の)アルキル基、(炭素原子数1ないし4の)アルキル−CR20−C(O)−N
H(炭素原子数1ないし4の)アルキル基、(炭素原子数1ないし4の)アルキル−CR20−C(O)−NH2及び式
【化20】

(式中、R20は、水素原子又は(炭素原子数1ないし4の)アルキル基を表し、R21は、水素原子、炭素原子数1ないし4のアルキル基又はフェニル基を表し、及びR22は、未置換の又はOH又はN(R20)(R21)によって置換された、もしくはO又はNR20によって中断された炭素原子数1ないし12のアルキル基を表す。)
で表される基からなる群から選択され;
もしもnが1の場合、
Y及びY'は、独立して、炭素原子数1ないし12のアルキル基、炭素原子数3ないし1
2のアルケニル基、炭素原子数3ないし12のアルキニル基、炭素原子数5ないし8のシクロアルキル基、フェニル基、ナフチル基、炭素原子数7ないし9のフェニルアルキル基を表すか;又は
Y及びY'は、一緒になって、二価の基、−C(R1)(R2)−CH(R3)−、CH(R1)−CH2−C(R2)(R3)−、−CH(R2)−CH2−C(R1)(R3)−、−CH2−C(R1)(R2)−CH(R3)−、o−フェニレン基、1、2−シクロヘキシリデン基、−CH2−CH=CH−CH2−又は
【化21】

の一つを形成し、ここでR1は、水素原子、炭素原子数1ないし12のアルキル基、CO
OH、COO−(炭素原子数1ないし12の)アルキル基又はCH2OR4を表し;
2及びR3は、独立して、水素原子、メチルエチル基、COOH又はCOO−(炭素原子数1ないし12の)アルキル基を表し;
4は、水素原子、炭素原子数1ないし12のアルキル基、ベンジル基、又は18個まで
の炭素原子を有する、脂肪族、脂環式もしくは芳香族一価カルボン酸から誘導された一価のアシル残基を表し、;
もしもnが2の場合、
Y及びY'は、一緒になって、四価の基
【化22】

(式中、Qは、炭素原子数2ないし12のジカルボン酸又は炭素原子数1ないし12のアルキレン基から誘導されたビスアシル残基を表し、;及びZは、炭素原子数1ないし12のアルキレン基を表す。)の一つを形成する。]で表される化合物であるが、但し、化合物A、B、C
【化23】

を除いた化合物である。上記した定義及び選択は又化合物にも適用される。
【0061】
本発明の化合物の製造は、既知の反応工程に従って行なわれる。式Ia、IIa及びIIIaで表される化合物の製造の一般的な方法は、GB2335190に記載された4−
オキソ化合物Xa又はXlaから、又は、例えば、DE2352127中に記載された既知の化合物XIIaから出発する。
【化24】

【0062】
これらの出発化合物は、例えば、適当な一価アルコール、ジオール又は四官能価アルコールと反応させられ、式Xb、XIb又はXIIbで表される中間体
【化25】

(式中、Y、Y'及びnは、上記した通りである。)を形成する。このようなケタール化
反応は従来技術で既知であり、かつ対応する化合物もほとんど知られている。反応は、例えば、US3790525、US3899464、US4007158及びUS4105626中に記載されている。
【0063】
式Xb、XIb及びXIIbで表される化合物は、例えば、GB2335190又はWO99/46261に記載されているように、式Xc、XIc及びXIIc
【化26】

の相当するニトロキシドへ標準方法に従って、酸化される。
【0064】
ニトロキシドは、続いて、酸化条件下で、式HXで表わされる化合物とカップリングさせられる。適当なラジカルXは、上記で定義した通りである。このカップリング反応は、例えば、GB2335190に記載されている。好ましくは、カップリング反応は、国際特許番号PCT/EP01/05668に記載された方法に従って、Cu(II)塩の存在下において行なわれる。
【0065】
これらニトロキシドは、フリーラジカル源と組合せて重合調節剤としても使用され得る。
【0066】
本発明の更なる態様は、従って、
a)少なくとも1つのエチレン性不飽和モノマー又はオリゴマー、;
b)式Ib又はIIb
【化27】

[式中、
nは1又は2を表し、
もしもnが1の場合、
Y及びY'は、独立して、炭素原子数1ないし12のアルキル基、炭素原子数3ないし1
2のアルケニル基、炭素原子数3ないし12のアルキニル基、炭素原子数5ないし8のシクロアルキル基、フェニル基、ナフチル基、炭素原子数7ないし9のフェニルアルキル基を表すか;又は
Y及びY'は、一緒になって、二価の基、−C(R1)(R2)−CH(R3)−、CH(R1)−CH2−C(R2)(R3)−、−CH(R2)−CH2−C(R1)(R3)−、−CH2−C(R1)(R2)−CH(R3)−、o−フェニレン基、1、2−シクロヘキシリデン基、−CH2−CH=CH−CH2−又は
【化28】

の一つを形成し、ここでR1は、水素原子、炭素原子数1ないし12のアルキル基、CO
OH、COO−(炭素原子数1ないし12の)アルキル基又はCH2OR4を表し;
2及びR3は、独立して、水素原子、メチルエチル基、COOH又はCOO−(炭素原子数1ないし12の)アルキル基を表し;
4は、水素原子、炭素原子数1ないし12のアルキル基、ベンジル基、又は18個まで
の炭素原子を有する、脂肪族、脂環式もしくは芳香族一価カルボン酸から誘導された一価のアシル残基を表し、;
もしもnが2の場合、
Y及びY'は、一緒になって、四価の基
【化29】

(式中、Qは、炭素原子数2ないし12のジカルボン酸又は炭素原子数1ないし12のアルキレン基から誘導されたビスアシル残基を表し、;及びZは、炭素原子数1ないし12のアルキレン基を表す。)の一つを形成する。)で表される化合物、;及び
c)エチレン性不飽和モノマーの重合開始が可能なフリーラジカル源
を含む重合性組成物である。
【0067】
好ましくは、式Ib又はIIbで表わされる化合物において、
nは1を表し、
Y及びY'は、独立して、炭素原子数1ないし12のアルキル基、炭素原子数3ないし1
2のアルケニル基、フェニル基又はベンジル基を表すか;又は
Y及びY'は、一緒になって、二価の基、−C(R1)(R2)−CH(R3)−、CH(R1)−CH2−C(R2)(R3)−、−CH(R2)−CH2−C(R1)(R3)−、−CH2−C(R1)(R2)−CH(R3)−、−CH2−CH=CH−CH2
の一つを形成し、ここでR1は、水素原子、炭素原子数1ないし12のアルキル基、CO
O−(炭素原子数1ないし12の)アルキル基又はCH2OR4を表し;
2及びR3は、独立して、水素原子、メチルエチル基又はCOO−(炭素原子数1ないし12の)アルキル基を表し;
4は、水素原子、炭素原子数1ないし12のアルキル基、ベンジル基、又は12個まで
の炭素原子を有する、脂肪族、脂環式もしくは芳香族一価カルボン酸から誘導された一価のアシル残基を表す重合性組成物である。
【0068】
本発明の有用な特定のニトロキシド化合物を表4及び5に示す。
表4:式(Ib)に従った化合物。
【表19】

【表20】

【表21】

【表22】

【表23】

【表24】

表5:式(IIb)に従った化合物。
【表25】

【表26】

【表27】

【表28】

【表29】

【表30】

【表31】

【0069】
表4及び5の化合物が特に好ましい。
【0070】
最も好ましいのは、以下の化合物である:
【化30】

4,4−ジブトキシ−2,6−ジエチル−2,3,6−トリメチル−ピペリジン−1−オキシル(表4、番号4)。
【化31】

7,9−ジエチル−6,7,9−トリメチル−1,4−ジオキサ−8−アザ−スピロ[4.5]デカン−8−オキシル(表4、番号10)。
【化32】

7,9−ジエチル−2,6,7,9−テトラメチル−1,4−ジオキサ−8−アザ−スピロ[4.5]デカン−8−オキシル(表4、番号11)。
【化33】

7,9−ジエチル−2−ヒドロキシメチル−6,7,9−トリメチル−1,4−ジオキサ−8−アザ−スピロ[4.5]デカン−8−オキシル(表4、番号18)。
【化34】

8,10−ジエチル−7,8,10−トリメチル−1,5−ジオキサ−9−アザ−スピロ[5.5]ウンデカン−9−オキシル(表4、番号34)。
【化35】

8,10−ジエチル−3,3,7,8,10−ペンタメチル−1,5−ジオキサ−9−アザ−スピロ[5.5]ウンデカン−9−オキシル (表4、番号35)。
【化36】

2,4−ジエチル−1,2,4−トリメチル−7,16−ジオキサ−3−アザ−ジスピロ[5.2.5.2]ヘキサデセ−11−エン−3−オキシル(表4、番号40)。
【化37】

8,10−ジエチル−3−ヒドロキシメチル−3,7,8,10−テトラメチル−1,5−ジオキサ−9−アザ−スピロ[5.5]ウンデカン−9−オキシル(表4、番号41)。
【0071】
ラジカル源は、ビス−アゾ化合物、ペルオキシド又はヒドロペルオキシドであり得る。
【0072】
C−中心ラジカルの生成は、とりわけ、ホーベン ウェイル、Methoden der Organischem Chemie、E19a巻、60−147頁に記載されている。これらの方法と一般的に同様の方法が適用され得る。
【0073】
好ましくは、ラジカル源は、2,2'−アゾビスイソブチロニトリル、2,2'−アゾビス(2−メチル−ブチロニトリル)、2,2'−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニト
リル)、2,2'−アゾビス(4−メトキシ−2,4−ジメチルバレロニトリル)、1,
1'−アゾビス(1−シクロヘキサンカルボニトリル)、2,2'−アゾビス(イソブチルアミド)ジハイドレート、2−フェニルアゾ−2,4−ジメチル−4−メトキシバレロニトリル、ジメチル−2,2'−アゾビスイソブチレート、2−(カルバモイルアゾ)イソ
ブチロニトリル、2,2'−アゾビス(2,4,4−トリメチルペンタン)、2,2'−アゾビス(2−メチルプロパン)、2,2'−アゾビス(N,N'−ジメチレンイソブチラミジン)、遊離塩基又は塩酸塩、2,2'−アゾビス(2−アミジノプロパン)、遊離塩基
又は塩酸塩 、2,2'−アゾビス[2−メチル−N−[1,1−ビス(ヒドロキシメチ
ル)エチル]プロピオンアミド]又は2,2'−アゾビス[2−メチル−N−[1,1−
ビス(ヒドロキシメチル)−2−ヒドロキシエチル]プロピオンアミドである。
【0074】
好ましいペルオキシド及びヒドロペルオキシドは、アセチルシクロヘキサンスルホニルペルオキシド、ジイソプロピルペルオキシジカーボネート、t−アミルペルネオデカノエート、t−ブチルペルネオデカノエート,t−ブチルペルピバレート、t−アミルペルピバレート、ビス(2,4−ジクロロベンゾイル)ペルオキシド、ジイソノナノイルペルオキシド、ジデカノイルペルオキシド、ジオクタノイルペルオキシド、ジラウロイルペルオキシド、ビス(2−メチルベンゾイル)ペルオキシド、二琥珀酸ペルオキシド、ジアセチルペルオキシド、ジベンゾイルペルオキシド、 t−ブチルぺル2−エチルヘキサノエート、ビス−(4−クロロベンゾイル)−ペルオキシド、t−ブチルぺルイソブチレート、t−ブチルペルマレイネート、1,1−ビス(t−ブチルペルオキシ)3,5,5−トリメチルシクロヘキサン、1,1−ビス(t−ブチルペルオキシ)シクロヘキサン、t−ブチルペルオキシイソプロピルカルボネート、t−ブチルペルイソノナオエート、2,5−ジメチルヘキサン2,5−ジベンゾエート、t−ブチルペルアセテート、t−アミルペルベンゾエート、t−ブチルペルベンゾエート、2,2−ビス (t−ブチルペルオキシ)
ブタン、2,2ビス(t−ブチルペルオキシ)プロパン、ジクミルペルオキシド、2,
5−ジメチルヘキサン−2,5−ジ−t−ブチルペルオキシド、3−t−ブチルペルオキシ3−フェニルフタリド、ジ−t−アミルペルオキシド、α,α'−ビス(t−ブチルペ
ルオキシイソプロピル)ベンゼン、3,5−ビス(t−ブチルペルオキシ)3,5−ジメチル1,2−ジオキソラン、ジ−t−ブチルペルオキシド、2,5−ジメチルヘキシン−2,5−ジ−t−ブチルペルオキシド、3,3,6,6,9,9−ヘキサメチル1,2,4,5−テトラオキサシクロノナン、p−メンタンヒドロペルオキシド、ピナンヒドロペルオキシド、ジイソプロピルベンゼンモノ−−ヒドロペルオキシド、クメンヒドロペルオキシド又は t−ブチルヒドロペルオキシドである。
【0075】
これら化合物は、市販で入手可能である。もしも1個以上のラジカル源が使用される場合、置換パターンの混合物が得られる。
【0076】
ラジカル源は、モノマー又はモノマー混合物に基づいて、好ましくは、0.01mol%ないし30mol%の量で、より好ましくは、0.1mol%ないし20mol%の量で、及び最も好ましくは、0.5mol%ないし10mol%の量で存在する。
【0077】
好ましくは、ニトロキシル化合物は、モノマー又はモノマー混合物に基づいて、好ましくは、0.01mol%ないし20mol%の量で、より好ましくは、0.01mol%ないし10mol%の量で、及び最も好ましくは、0.05mol%ないし10mol%の量で存在する。
【0078】
ラジカル源と式Ib、IIb又はIIIbで表わされる化合物のモル比は、1:10ないし10:1、好ましくは1:5ないし5:1及びより好ましくは、1:2ないし2:1であり得る。
【0079】
また、本発明の他の態様は、少なくとも一つのエチレン性不飽和モノマー/オリゴマーのフリーラジカル重合によるオリゴマー、コオリゴマー、ポリマー又はコポリマー(ブロック又はランダム)の製造方法であって、該方法は、組成物に加熱又は化学線を受けさせることを含む方法である。
【0080】
組成物は、好ましくは90℃ないし160℃の加熱を受ける。
【0081】
本発明の更なる態様は、
式Ib又はIIb
【化38】

[式中、
nは1又は2を表し、
もしもnが1の場合、
Y及びY'は、独立して、炭素原子数1ないし12のアルキル基、炭素原子数3ないし1
2のアルケニル基、炭素原子数3ないし12のアルキニル基、炭素原子数5ないし8のシクロアルキル基、フェニル基、ナフチル基、炭素原子数7ないし9のフェニルアルキル基を表すか;又は
Y及びY'は、一緒になって、二価の基、−C(R1)(R2)−CH(R3)−、CH(R1)−CH2−C(R2)(R3)−、−CH(R2)−CH2−C(R1)(R3)−、−CH2−C(R1)(R2)−CH(R3)−、o−フェニレン基、1、2−シクロヘキシリデン基、−CH2−CH=CH−CH2−又は
【化39】

の一つを形成し、ここでR1は、水素原子、炭素原子数1ないし12のアルキル基、CO
OH、COO−(炭素原子数1ないし12の)アルキル基又はCH2OR4を表し;
2及びR3は、独立して、水素原子、メチルエチル基、COOH又はCOO−(炭素原子数1ないし12の)アルキル基を表し;
4は、水素原子、炭素原子数1ないし12のアルキル基、ベンジル基、又は18個まで
の炭素原子を有する、脂肪族、脂環式もしくは芳香族一価カルボン酸から誘導された一価のアシル残基を表し、;
もしもnが2の場合、
Y及びY'は、一緒になって、四価の基
【化40】

(式中、Qは、炭素原子数2ないし12のジカルボン酸又は炭素原子数1ないし12のアルキレン基から誘導されたビスアシル残基を表し、;及びZは、炭素原子数1ないし12のアルキレン基を表す。)の一つを形成する。)で表される化合物であるが、但し、化合
物D、E、F、G、H
【化41】

を除いた化合物である。
【0082】
本発明の更なる他の態様は、式Ia、IIa又はIIIaから誘導された少なくとも一つのオキシアミン基を結合して有するポリマー又はオリゴマーである。
【0083】
ポリマー又はオリゴマーはまた、高分子開始剤とも呼ばれ得る。それらは、例えば、第二モノマーとの重合を開始するために使用され得り、続いてその結果としてすでに上記されたようなブロックコポリマーの形成を生じさせる。
【0084】
本発明の更なる態様は、エチレン性不飽和モノマー重合のための式Ia、IIa又はIIIaで表される化合物の使用及びエチレン性不飽和モノマー重合のために、フリーラジカル源と一緒に式Ib、IIbで表される化合物を使用することである。
【0085】
様々な置換基の定義及び選択は、すでに言及した。それらはまた、選択及び個々の化合物を含む本発明の他の態様としても適用される。
【実施例】
【0086】
以下の実施例で本発明を説明する。
実施例A1:7,9−ジエチル−6,7,9−トリメチル−1,4−ジオキサ−8−アザ−スピロ[4.5]デカン−8−オキシル(表4、化合物10)
【化42】

化合物は、US4,105,626(実施例5)に従って調製される。
【0087】
実施例A2:7,9−ジエチル−2−ヒドロキシメチル−6,7,9−トリメチル−1,4−ジオキサ−8−アザ−スピロ[4.5]デカン−8−オキシル(表4、化合物18)
【化43】

標題の化合物は、US4,105,626に従って調製され、7,9−ジエチル−2−ヒドロキシメチル−6,7,9−トリメチル−1,4−ジオキサ−8−アザ−スピロ[4.5]デカンを酸化することによって調製される。
赤色のオイルが得られた。C1528NO4のための元素分析
計算値:C 62.91%, H 9.85%, N 4.89%;
実測値:C 62.83%, H 9.83%, N 4.75%。
【0088】
実施例A3:8,10−ジエチル−3,3,7,8,10−ペンタメチル−1,5−ジオキサ−9−アザ−スピロ[5.5]ウンデカン−9−オキシル(表2、化合物35)
【化44】

標題の化合物は、US4,105,626に従って調製され、7,9−ジエチル−2−ヒドロキシメチル−6,7,9−トリメチル−1,4−ジオキサ−8−アザ−スピロ[4.5]デカンを酸化することによって調製される。
赤色のオイルが得られた。C1528NO4のための元素分析
計算値:C 68.42%, H 10.81, N 4.69;
実測値:C 68.21%, H 10.66%, N 4.63%。
【0089】
実施例A4:7,9−ジエチル−6,7,9−トリメチル−8−(1−フェニル−エトキシ)−1,4−ジオキサ−8−アザ−スピロ[4.5]デカン(表1、化合物10)
【化45】

エチルベンゼン40mL中の7,9−ジエチル−6,7,9−トリメチル−1,4−ジオキサ−8−アザ−スピロ[4.5]デカン−8−オキシル(表2、化合物10)10.3g(0.04mol)の溶液へ、水中に70%のt−ブチルヒドロペルオキシド8.3mL(0.06mol)及び触媒溶液0.7mL(エタノール153mL中にCuCl2
3.44g及びLiCl4.24gを含む)を添加した。その混合物を、無色になるまで、65℃において攪拌した(約90分)。室温まで冷却した後、水25mL及びNa2255gを添加し、そしてその混合物を10分間、強攪拌した。その有機層を分離し、H2Oで洗浄し、そして残っているエチルベンゼンを蒸発させた。残滓をクロマトグラフィーによって精製し(SiO2ヘキサン−酢酸エチル(19:1))、そして無色のオイル状
の標題の化合物10.3gを得た。
2235NO3のための元素分析
計算値:C 73.09%, H 9.76%, N 3.87%;
実測値:C 72.95%, H 9.79%, N 3.68%.
【0090】
実施例A5:[7,9−ジエチル−6,7,9−トリメチル−8−(1−フェニル−エトキシ)−1,4−ジオキサ−8−アザ−スピロ[4.5]デシ−2−イル]−メタノール(表1、化合物18)
【化46】

標題の化合物を7,9−ジエチル−2−ヒドロキシメチル−6,7,9−トリメチル−1,4−ジオキサ−8−アザ−スピロ[4.5]デカン−8−オキシル(表4、化合物18)から、実施例A4と同様に調製した。無色のオイル、
1H−NMR(CDCl3,300MHz,d ppm):7.4−7.1m,(5 ArH),4.7−4.55m(1H),4.3−3.55m(5H),2.1−0.5m(26H)。
【0091】
実施例A6:8,10−ジエチル−3,3,7,8,10−ペンタメチル−9−(1−フェニル−エトキシ)−1,5−ジオキサ−9−アザ−スピロ[5.5]ウンデカン(表1、化合物35)
【化47】

標題の化合物を8,10−ジエチル−3,3,7,8,10−ペンタメチル−1,5−ジオキサ−9−アザ−スピロ[5.5]ウンデカン−9−オキシル(表4、化合物35)から、実施例A4と同様に調製した。無色のオイル。
2541NO3のための元素分析
計算値:C 74.40%, H 10.24%, N 3.47%;
実測値:C 74.19%, H 10.43%, N 3.43%。
【0092】
実施例A7:3,8,10−トリエチル−3−ヒドロキシメチル−7,8,10−トリメチル−1,5−ジオキサ−9−アザ−スピロ[5.5]ウンデカン−9−オキシル(表4、化合物42)
【化48】

標題の化合物は、実施例A1と同様に、(3,8,10−トリエチル−7,8,10−トリメチル−1,5−ジオキサ−9−アザ−スピロ[5.5]ウンデシ−3−イル)−メタノールを酸化することによって赤色のオイル状で調製される(US4,105,626に記載されているように調製される。)。
GC−MS:m+=328(C1834NO4=328.48)である幅の狭い束の4つのピーク(ジアステレオマー)。
【0093】
実施例A8:酢酸3,8,10−トリエチル−7,8,10−トリメチル−1,5−ジオキサ−9−アザ−スピロ[5.5]ウンデシ−3−イル−メチルエステル−9−オキシル(表4、化合物54)
【化49】

標題の化合物は、実施例A1と同様に、酢酸3,8,10−トリエチル−7,8,10−トリメチル−1,5−ジオキサ−9−アザ−スピロ[5.5]ウンデシ−3−イル−メチルエステルを酸化することによって赤色のオイル状で調製される(US4,105,626、実施例4と同様に調製される。)。
【0094】
実施例A9:オクタデカン酸3,8,10−トリエチル−7,8,10−トリメチル−1,5−ジオキサ−9−アザ−スピロ[5.5]ウンデシ−3−イルメチルエステル−9−オキシル(表4、化合物55)
【化50】

標題の化合物は、実施例1と同様に、オクタデカン酸3,8,10−トリエチル−7,8,10−トリメチル−1,5−ジオキサ−9−アザ−スピロ[5.5]ウンデシ−3−イル−メチルエステルを酸化することによって赤色のオイル状で調製される(US4,105,626、実施例4と同様に調製される。)。
MS(CI):MH+=595(C3668NO5=594.95)。
【0095】
実施例A10:酢酸7,9−ジエチル−6,7,9−トリメチル−1,4−ジオキサ−8−アザ−スピロ[4.5]デシ−2−イル−メチルエステル−8−オキシル(表4、化合物19)
【化51】

標題の化合物は、実施例A1と同様に、酢酸7,9−ジエチル−6,7,9−トリメチル−1,4−ジオキサ−8−アザ−スピロ[4.5]デシ−2−イル−メチルエステルを酸化することによって赤色のオイル状で調製される(US4,105,626、実施例4に記載されているように調製される。)。
GC−MS:m+=328(C1730NO5=328.43)である幅の狭い束の6つのピーク(ジアステレオマー)。
【0096】
実施例A11:2−(8,10−ジエチル−3,3,7,8,10−ペンタメチル−1,5−ジオキサ−9−アザ−スピロ[5.5]ウンデシ−9−イルオキシ)−プロピオン酸2−ヒドロキシ−エチルエステル(表1、化合物54)
【化52】

500mLのトルエン中の8,10−ジエチル−3,3,7,8,10−ペンタメチル−1,5−ジオキサ−9−アザ−スピロ[5.5]ウンデカン−9−オキシル(表4、化合物35)89.54g(0.3mol)、銅(I)ブロミド43.04g(0.3mol)、銅粉末19.06g(0.3mol)及びペンタメチル−エチレン−トリアミン103.9g(0.6mol)の攪拌混合物へ、窒素下において2−ブロモプロピオン酸−2−ヒドロキシエチルエステル59.1g(0.3mol)を30分以内に滴下して添加した。その混合物を17時間、攪拌し、続いて濾過した。濾液を水(500mLで3回)、及び続いてEDTA溶液(300mL、1%)で洗浄した。その有機層をNa2SO4上で乾燥させ、そして次に蒸発させ、かすかに黄色のオイル状で標題の化合物122.8g(98.5%)を得た。
1H−NMR(CDCl3,300MHz,d ppm):4.45−4.26m,(1H),4.25−4.23m(2H),3.85 bs m(2H),3.71−0.72(36H)。
【0097】
B)式Ia、IIa又はIIIaで表される化合物を、開始剤/調節剤として使用したn−ブチルアクリレートとの重合
一般的な注意:
溶媒及びモノマーは、使用される直前に、アルゴン雰囲気下又は真空下においてビグレウクス カラム(Vigrwux colum)上で蒸留される。
酸素を除去するために、全重合反応混合物は、重合前に、アルゴンでフラッシュされ、凍解サイクルを適用した真空下において排気される。反応混合物は、続いてアルゴン雰囲気下で重合される。
重合反応の開始において、全ての出発物質は均質に溶解される。
転換率は、80℃、0.02トルにおいて30分間、ポリマーから未反応モノマーを除去し、残っているポリマーの重さを測り、そして開始剤の重量を引くことによって決定される。
ポリマーの特性決定は、MALDI−MS(マトリックス支援レーザー脱離イオン化質量分析法)及び/又はGPC(ゲル透過クロマトグラフィー)によって行なわれる。
MALDI−MS:測定は、アメリカ合衆国、リノのリニア サイエンティフィック(Linear Scientific Inc)社の線状(linear)TOF(飛行時間)MALDI−MS LDI−1700上で行なった。マトリックスは、2,5−ジヒドロキシ安息香酸であり、そしてレーザー波長は337nmである。
GPC:フラックス インストルメンツ(FLUX INSTRUMENTS)社のレオス4000を用いて行なった。テトラヒドロフラン(THF)を溶媒として使用し、1mL/分においてポンプ送りした。二つのクロマトグラフィーカラムを直列に置いた。:イギリス、シュロップシアのポリマー インスツルメンツ(POLYMER INSTRUMENTS)社の5μmC混合Plゲル型。測定は40℃において行なわれた。カラムは、200ないし2000000ダルトンの数平均分子量を有する低い多分散性ポリスチレンで検量される。検出は、エルカテック アクチエンゲゼルシャフト(ERCATECH
AG)の屈折率検出器ERC−7515Aを用いて30℃において行なわれた。
【0098】
実施例B1.145℃において表1の化合物10(実施例A4)を用いたn−ブチルアクリレートの重合
温度計、冷却器及び電磁攪拌器を備えた50mL三つ口フラスコ中で、表1の化合物10
、644mg(1.78mmol)及びn−ブチルアクリレート15g(117mmol)を混合し、脱気した。得られた透明溶液を、アルゴン下において145℃まで加熱し、重合を5時間行なった。次に、反応混合物を60℃まで冷却した。残っているモノマーを高真空での蒸発によって除去した。最初のモノマーの11.1g(74%)が反応した。明るい黄色の粘性流体が得られた。
Mn=6460、Mw=8280、PD=1.28。
【0099】
実施例B2.145℃において表1の化合物35(実施例A6)を用いたn−ブチルアクリレートの重合
温度計、冷却器及び電磁攪拌器を備えた50mL三つ口フラスコ中で、表1の化合物35、718mg(1.78mmol)及びn−ブチルアクリレート15g(117mmol)を混合し、脱気した。得られた透明溶液を、アルゴン下において145℃まで加熱し、重合を5時間行なった。次に、反応混合物を60℃まで冷却した。残っているモノマーを高真空での蒸発によって除去した。最初のモノマーの12.3g(82%)が反応した。明るい黄色の粘性流体が得られた。
Mn=6630、Mw=8450、PD=1.27。
【0100】
実施例B3.145℃において表1の化合物18(実施例A5)を用いたn−ブチルアクリレートの重合
温度計、冷却器及び電磁攪拌器を備えた50mL三つ口フラスコ中で、表1の化合物18、679mg(1.78mmol)及びn−ブチルアクリレート15g(117mmol)を混合し、脱気した。得られた透明溶液を、アルゴン下において145℃まで加熱し、重合を5時間行なった。次に、反応混合物を60℃まで冷却した。残っているモノマーを高真空での蒸発によって除去した。最初のモノマーの12.37g(82.5%)が反応した。明るい黄色の粘性流体が得られた。
Mn=7000、Mw=9000、PD=1.29。
【0101】
実施例B4.表1の化合物10を用いた、n−ブチルアクリレート及びN,N−ジメチル−アミノエチルアクリレート(DMAEA)のブロックコポリマーの調製
1)ポリ−n−ブチルアクリレートの調製
温度計、冷却器及び電磁攪拌器を備えた50mL三つ口フラスコ中で、表1の化合物10、644mg(1.78mmol)及びn−ブチルアクリレート15g(117mmol)を混合し、脱気した。得られた透明溶液を、アルゴン下において145℃まで加熱し、重合を5時間行なった。次に、反応混合物を60℃まで冷却した。残っているモノマーを高真空での蒸発によって除去した。最初のモノマーの11.1g(74%)が反応した。明るい黄色の粘性流体が得られた。
Mn=5700、Mw=8050、PD=1.41。
2)DMAEAを用いたブロックコポリマーの調製
温度計、冷却器及び電磁攪拌器を備えた50mL三つ口フラスコ中で、上記ポリ(n−ブチルアクリレート)6.5g及びN,N−ジメチルアミノエチルアクリレート6.5g(45.5mmol)を混合し、脱気した。得られた透明溶液を、アルゴン下において145℃まで加熱し、重合を3時間行なった。次に、反応混合物を70℃まで冷却した。残っているモノマーを高真空での蒸発によって除去した。最初のモノマーの1g(15%)が反応した。明るい黄色/茶色がかった粘性流体が得られた。
組成(NMR):ブチルアクリレート87重量%/N,N−ジメチルアミノエチルアクリレート13重量%
Mn=5700、Mw=8170、PD=1.43。
【0102】
実施例B5.表1の化合物35を用いた、n−ブチルアクリレート及びN,N−ジメチル−アミノエチルアクリレート(DMAEA)のブロックコポリマーの調製
1)ポリ−n−ブチルアクリレートの調製
温度計、冷却器及び電磁攪拌器を備えた50mL三つ口フラスコ中で、表1の化合物35、718mg(1.78mmol)及びn−ブチルアクリレート15g(117mmol)を混合し、脱気した。得られた透明溶液を、アルゴン下において145℃まで加熱し、重合を5時間行なった。次に、反応混合物を60℃まで冷却した。残っているモノマーを高真空での蒸発によって除去した。最初のモノマーの12.3g(82%)が反応した。明るい黄色の粘性流体が得られた。
Mn=6170、Mw=8300、PD=1.34。
2)DMAEAを用いたブロックコポリマーの調製
温度計、冷却器及び電磁攪拌器を備えた50mL三つ口フラスコ中で、上記ポリ(n−ブチルアクリレート)6.5g及びN,N−ジメチルアミノエチルアクリレート5g(35mmol)を混合し、脱気した。得られた透明溶液を、アルゴン下において145℃まで加熱し、重合を3時間行なった。次に、反応混合物を70℃まで冷却した。残っているモノマーを高真空での蒸発によって除去した。最初のモノマーの1g(22%)が反応した。明るい黄色/茶色がかった粘性流体が得られた。
組成(NMR):ブチルアクリレート82重量%/N,N−ジメチルアミノエチルアクリレート18重量%
Mn=5700、Mw=8350、PD=1.46。
【0103】
C)式Ia、IIa又はIIIaで表される化合物を、開始剤/調節剤として使用したスチレンとの重合
アルゴンでフラッシュし、電磁攪拌器を備えさせた排気シュレンクチューブ中で、表6に示した量のニトロキシルエーテルをアルゴン雰囲気において、新しく蒸留したn−スチレン50molへ添加した。シュレンクチューブを閉じ、そして残っている酸素を、液体窒素を用いた二つの凍解サイクルで除去した。チューブをアルゴンで充填し、そして表6に示された温度まで、攪拌しながら6時間加熱した。残っているモノマーを、室温において真空下で除去した。残滓の恒量まで乾燥を続けた。分子量及び分布を、テトラヒドロフランを用いたゲル透過クロマトグラフィーによって決定し、そしてポリスチレン標準によって検量した。結果を表6に示す。
表6
【表32】

1mol%は、8.72×10-2molNOR/lスチレンに相当し、0.1mol%は、8.72×10-3molNOR/lスチレンに相当する。
開始剤/調節剤は、表1の化合物35
【化53】

である。
【0104】
C)式Ib、IIbで表される化合物及びジベンゾイルペルオキシド(BPO)を、調節
剤/開始剤として使用したスチレンとの重合
アルゴンでフラッシュし、電磁攪拌器を備えさせた排気シュレンクチューブ中で、表7に示した量のニトロキシル及びBPOをアルゴン雰囲気において、新しく蒸留したn−スチレン50molへ添加した。シュレンクチューブを閉じ、そして残っている酸素を、液体窒素を用いた二つの凍解サイクルで除去した。チューブをアルゴンで充填し、そして表7に示された温度まで、攪拌しながら6時間加熱した。残っているモノマーを、室温において真空下で除去した。残滓の恒量まで乾燥を続けた。分子量及び分布を、テトラヒドロフランを用いたゲル透過クロマトグラフィーによって決定し、そしてポリスチレン標準によって検量した。結果を表7に示す。
表7
【表33】

[BPO]=6.7×10-3mol/Lは、開始剤0.077mol%に相当する。
[BPO]=6.7×10-2mol/Lは、開始剤0.77mol%に相当する。
[NO・]=8.72×10-3mol/Lは、NOラジカル0.1mol%に相当する。[NO・]=8.72×10-2mol/Lは、NOラジカル1mol%に相当する。
NOラジカルは、表4の化合物35
【化54】

である。
【0105】
D.ブロック共重合
C部分に記載した方法に従って、120℃においてスチレンを重合させることによって得
られたスチレン高分子開始剤20gを、0.05mol%の濃度の化合物35(表1)(分子量データは表参照。)と一緒にガラスオートクレーブ中で
1)スチレン100g
2)スチレン90gとアクリロニトリル30gの混合物
に溶解させた。
溶液を30分間のアルゴンパージによって脱気し、続いて、110℃のオイル浴中で6時間、加熱した。ポリマーを、沈殿によって、10倍の過剰メタノール中に得、そして未反応モノマーを除去するために、恒量まで真空中で乾燥させた。分子量を、C部分に記載したようにGPCによって決定した。D0から実験D1及びD2(表8)への分子量のシフトは、明確にブロックコポリマーの形成を示し、かつ本発明の化合物を使用して重合されたポリマーの再開始能力を確立する。
表8
【表34】

【先行技術文献】
【特許文献】
【0106】
【特許文献1】US−A−4581429
【特許文献2】EP−A−0574666
【特許文献3】US4,105,626
【特許文献4】GB2335190

【特許請求の範囲】
【請求項1】
a)少なくとも1つのエチレン性不飽和モノマー又はオリゴマー、;
b)式Ib又はIIb
【化1】

[式中、
nは1又は2を表し、
もしもnが1の場合、
Y及びY'は、独立して、炭素原子数1ないし12のアルキル基、炭素原子数3ないし1
2のアルケニル基、炭素原子数3ないし12のアルキニル基、炭素原子数5ないし8のシクロアルキル基、フェニル基、ナフチル基、炭素原子数7ないし9のフェニルアルキル基を表すか;又は
Y及びY'は、一緒になって、二価の基、−C(R1)(R2)−CH(R3)−、CH(R1)−CH2−C(R2)(R3)−、−CH(R2)−CH2−C(R1)(R3)−、−CH2−C(R1)(R2)−CH(R3)−、o−フェニレン基、1、2−シクロヘキシリデン基、−CH2−CH=CH−CH2−又は
【化2】

の一つを形成し、ここでR1は、水素原子、炭素原子数1ないし12のアルキル基、CO
OH、COO−(炭素原子数1ないし12の)アルキル基又はCH2OR4を表し;
2及びR3は、独立して、水素原子、メチルエチル基、COOH又はCOO−(炭素原子数1ないし12の)アルキル基を表し;
4は、水素原子、炭素原子数1ないし12のアルキル基、ベンジル基、又は18個まで
の炭素原子を有する、脂肪族、脂環式もしくは芳香族一価カルボン酸から誘導された一価のアシル残基を表し、;
もしもnが2の場合、
Y及びY'は、一緒になって、四価の基
【化3】

(式中、Qは、炭素原子数2ないし12のジカルボン酸又は炭素原子数1ないし12のアルキレン基から誘導されたビスアシル残基を表し、;及びZは、炭素原子数1ないし12のアルキレン基を表す。)の一つを形成する。)で表される化合物、;及び
c)エチレン性不飽和モノマーの重合を開始することが可能なフリーラジカル源を含む重
合性組成物。
【請求項2】
少なくとも一つのエチレン性不飽和モノマー/オリゴマーのフリーラジカル重合によるオリゴマー、コオリゴマー、ポリマー又はコポリマー(ブロック又はランダム)の製造方法であって、該方法は、請求項1記載の組成物に加熱又は化学線を受けさせることを含む方法。
【請求項3】
式Ib又はIIb
【化4】

[式中、
nは1又は2を表し、
もしもnが1の場合、
Y及びY'は、独立して、炭素原子数1ないし12のアルキル基、炭素原子数3ないし1
2のアルケニル基、炭素原子数3ないし12のアルキニル基、炭素原子数5ないし8のシクロアルキル基、フェニル基、ナフチル基、炭素原子数7ないし9のフェニルアルキル基を表すか;又は
Y及びY'は、一緒になって、二価の基、−C(R1)(R2)−CH(R3)−、CH(R1)−CH2−C(R2)(R3)−、−CH(R2)−CH2−C(R1)(R3)−、−CH2−C(R1)(R2)−CH(R3)−、o−フェニレン基、1、2−シクロヘキシリデン基、−CH2−CH=CH−CH2−又は
【化5】

の一つを形成し、ここでR1は、水素原子、炭素原子数1ないし12のアルキル基、CO
OH、COO−(炭素原子数1ないし12の)アルキル基又はCH2OR4を表し;
2及びR3は、独立して、水素原子、メチルエチル基、COOH又はCOO−(炭素原子数1ないし12の)アルキル基を表し;
4は、水素原子、炭素原子数1ないし12のアルキル基、ベンジル基、又は18個まで
の炭素原子を有する、脂肪族、脂環式もしくは芳香族一価カルボン酸から誘導された一価のアシル残基を表し、;
もしもnが2の場合、
Y及びY'は、一緒になって、四価の基
【化6】

(式中、Qは、炭素原子数2ないし12のジカルボン酸又は炭素原子数1ないし12のアルキレン基から誘導されたビスアシル残基を表し、;及びZは、炭素原子数1ないし12のアルキレン基を表す。)の一つを形成する。)で表される化合物であるが、但し、化合
物D、E、F、G、H
【化7】

を除いた化合物。

【公開番号】特開2010−65058(P2010−65058A)
【公開日】平成22年3月25日(2010.3.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−281606(P2009−281606)
【出願日】平成21年12月11日(2009.12.11)
【分割の表示】特願2002−549736(P2002−549736)の分割
【原出願日】平成13年11月12日(2001.11.12)
【出願人】(396023948)チバ ホールディング インコーポレーテッド (530)
【氏名又は名称原語表記】Ciba Holding Inc.
【Fターム(参考)】