説明

N−ヒドロキシアクリルアミド化合物

以下の式(I):


(式中、R1は水素、置換されてもよい低級アルキル、シクロ(低級)アルキル、シクロ(高級)アルキル、置換されてもよいアリール、置換されてもよいヘテロサイクリル、またはアリール縮合シクロ(低級)アルキルであり、
2は水素またはハロゲンであり、ZはCHまたはNであり、
Xは式(II):


であり、R3は−OHもしくは置換されてもよいアリールで置換されてもよい低級アルキル、または低級アルカノイルであり、
4は水素または低級アルキルであり、
Yは置換されてもよい低級アルキレンである)
を有する化合物またはその塩。該化合物はヒストンデアセチラーゼ阻害剤として有用である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、医薬として有用な化合物、およびそれを含む医薬組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
ヒストンデアセチラーゼ(以下、「HDAC」ともいう)は、遺伝子発現を調節するための転写機構において重要な役割を果たし、ヒストン過アセチル化を誘発し、および遺伝子発現に影響を与えることが知られている。従って、炎症性障害、糖尿病、糖尿病合併症、ホモ接合型サラセミア、線維症、肝硬変、急性前骨髄球性白血病(APL)、臓器移植拒絶、自己免疫疾患、原生動物感染、腫瘍などのような、異常な遺伝子発現により引き起こされる疾患の治療剤または予防剤として有用である。
【0003】
該酵素の機能を阻害することのできる多くの化合物(HDAC阻害剤)が広範に研究されている(例えば国際公開番号第WO2004/024160号、米国特許第2004/087631号、国際公開番号第WO2004/063169号、米国特許第2004/092558号、国際公開番号第WO2005/086898号、国際公開番号第WO2006/016680号、国際公開番号第WO2006/102760号、国際公開番号第WO2006/105979号、国際公開番号第WO2006/117548号、国際公開番号第WO2006/122319号などを参照)。
【0004】
例えば、国際公開番号第WO01/38322号は、以下の式に代表されるヒストンデアセチラーゼ阻害剤を開示する:
【化1】

(式中
Cyは、それぞれが置換されてもよいシクロアルキル、アリール、ヘテロアリールまたはヘテロサイクリルであり;
1は、mが0から4の整数であり、Wが−C(O)NH−、−S(O)2NH−などからなる群から選択される−(CH2m−W−であり;
Arは、置換されてもよいアリーレンであって、アリール、ヘテロアリール環などと縮合していてもよく;
1は、化学結合または直鎖もしくは分岐鎖飽和アルキレンであり、ここで前記アルキレンは置換されてもよく;ならびに
Zは、アニリニル、ピリジル、チアジアゾリル、およびMがHまたは医薬的に許容される陽イオンである−O−Mからなる群から選択される。
【0005】
国際公開番号第WO02/22577号は、デアセチラーゼ阻害剤として以下のヒドロキサメート化合物:
【化2】

(式中
1は、H、ハロまたは直鎖C1〜C6アルキルであり;
2は、H、C1〜C10アルキル、C4〜C9シクロアルキル、C4〜C9ヘテロシクロアルキル、C4〜C9ヘテロシクロアルキルアルキル、シクロアルキルアルキル、アリール、ヘテロアリールなどから選択され;
3およびR4は、同一または異なっておよび独立して、H、C1〜C6アルキル、アシルもしくはアシルアミノであるか、または
3およびR4は、それらが結合している炭素と一緒になってC=O、C=Sなどを表すか、または
2はその結合している窒素と一緒になっておよびR3はその結合している炭素と一緒になって、C4〜C9ヘテロシクロアルキル、ヘテロアリール、ポリへテロアリール、非芳香性ポリヘテロサイクル、または芳香性および非芳香性混合ポリヘテロサイクル環を形成し;
5は、H、C1〜C6アルキルなどから選択され;
n、n1、n2およびn3は、同一または異なっておよび独立して0〜6から選択され、n1が1〜6であるとき各炭素原子は任意におよび独立してR3および/またはR4で置換されることができ;
XおよびYは、同一または異なっておよび独立して、H、ハロ、C1〜C4アルキルなどから選択される)
またはその医薬的に許容される塩を開示する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、医薬として有用な新規化合物、およびそれを含む医薬組成物に関する。
【0007】
より詳細には、本発明は、ヒストンデアセチラーゼの活性に対して強力な阻害効果を有する化合物に関する。
【0008】
本発明の発明者らはまた、式(I)の化合物(以下、化合物(I)という)などのヒストンデアセチラーゼ阻害剤が、強力な免疫抑制効果および強力な抗腫瘍効果を有することも見出した。従って、化合物(I)などのヒストンデアセチラーゼ阻害剤は、免疫抑制剤および抗腫瘍剤のための有効成分として有用であり、ならびに炎症性障害、糖尿病、糖尿病合併症、ホモ接合型サラセミア、線維症、肝硬変、急性前骨髄球性白血病(APL)、臓器移植拒絶、自己免疫疾患、原生動物感染、腫瘍などのような疾患のための治療または予防用の有効成分として有用である。
【0009】
従って、本発明の一つの目的は、上記のような疾患を治療または予防するための生物学的活性を有する化合物を提供することである。
【0010】
本発明のさらなる目的は、有効成分として化合物(I)を含む医薬組成物を提供することである。
【0011】
本発明のさらなる目的は、上記のような疾病を治療または予防するための、化合物(I)のようなヒストンデアセチラーゼ阻害剤の使用を提供することである。
【0012】
本発明のさらなる目的は、化合物(I)を含有する医薬組成物、およびそれに関連した文書(該文書は、該医薬組成物を上記のような疾患を治療または予防するために使用することができるもしくは使用されるべきであると述べている)を含む、市販用パッケージを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0013】
従って、本発明は以下の式(I):
【化3】

(式中
1は水素、置換されてもよい低級アルキル、シクロ(低級)アルキル、シクロ(高級)アルキル、置換されてもよいアリール、置換されてもよいヘテロサイクリル、またはアリール縮合シクロ(低級)アルキルであり、
2は水素またはハロゲンであり、
ZはCHまたはNであり、
Xは
【化4】

であり、
3は−OHもしくは置換されてもよいアリールで置換されてもよい低級アルキル、または低級アルカノイルであり、
4は水素または低級アルキルであり、
Yは置換されてもよいアルキレンである)
を有する化合物またはその塩を提供する。
【0014】
上記の化合物またはその塩は、以下の反応式に示されるような方法、または製造例もしくは実施例に開示された方法により調製することができる。
【0015】
本明細書の上記および以下の記述において、本発明がその範囲に含むことを意図している種々の定義の好適な例および説明を、以下に詳細に説明する。
【発明を実施するための形態】
【0016】
本発明の化合物(I)は、化合物(A)から、例えば次の方法または実施例に開示された方法に従って得られる。
【0017】
(方法1)
【化5】

(式中R1、R2、X、YおよびZはそれぞれ上記に定義され、R5はヒドロキシ保護基である。)
【0018】
(方法1)
化合物(I)は、化合物(A)を、酸の存在下でヒドロキシ保護基の脱離反応に付すことにより得られる。
【0019】
該酸は、塩化水素溶液(例えばメタノール、ジオキサン、酢酸エチル、ジエチルエーテルなどのような溶媒中の塩化水素)、酢酸、p−トルエンスルホン酸、ホウ酸などを含む。
【0020】
場合により、一つまたはそれ以上の好適な脱保護用溶媒を用いてもよい。そのような溶媒は、メタノール、エタノール、酢酸エチル、ジオキサン、ジエチルエーテル、酢酸などを含む。
【0021】
反応温度は決定的ではなく、この反応は、通常、冷却下から加熱下において行われる。
【0022】
化合物(I)は塩であってもよく、これも本発明の範囲に包含される。例えば、分子中にアミノ基のような塩基性の基が存在するときに、塩は、酸付加塩(例えば塩酸、臭化水素酸、硫酸などのような無機酸との塩、メタンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、4−トルエンスルホン酸、カンファースルホン酸(例:[(1S,4R)−7,7−ジメチル−2−オキソビシクロ[2.2.1]ヘプト−1−イル]メタンスルホン酸またはそのエナンチオマーなど)、フマル酸、マレイン酸、マンデル酸、クエン酸、サリチル酸、マロン酸、グルタル酸、コハク酸、などのような有機酸との塩)などにより例示され、またカルボキシル基などの酸性基が存在するときに、塩は、塩基性の塩(例えばリチウム、ナトリウム、カリウム、カルシウム、マグネシウム、アルミニウムなどのような金属との塩、リジンなどのようなアミノ酸との塩)などにより例示される。
【0023】
さらに、化合物(I)の溶媒和物(例えば水和物、エタノレートなど)、無水物およびその他の多形、または医薬的に許容される塩も本発明の範囲に包含される。
【0024】
化合物(I)が、光学活性型、幾何異性体などのような不斉炭素原子または二重結合に基づく立体異性を有するとき、そのような異性体およびそれらの混合物も本発明の範囲に包含される。
【0025】
化合物(I)の医薬的に許容されるプロドラッグが本発明の範囲に含まれることにも留意すべきである。医薬的に許容されるプロドラッグとは、生理的条件において−COOH、−NH2、−OHなどに変換されて本発明の化合物(I)を形成することのできる官能基を有する化合物を意味する。
【0026】
本明細書の上記および以下の記述において、本発明がその範囲に含むことを意図している種々の定義の好適な例および説明を、以下に詳細に説明する。
【0027】
「ハロゲン」はフッ素、塩素、臭素およびヨウ素を意味する。
【0028】
「低級」は特に示さない限り1から6個の炭素原子「C1〜C6」を意味することを意図する。
【0029】
「高級」は特に示さない限り7から11個の炭素原子を意味することを意図する。
【0030】
好適な「1つまたはそれ以上」は1から6の数、好ましくは1から3の数を含んでもよい。
【0031】
好適な「低級アルキル」および「低級アルキル」部分は、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、sec−ブチル、tert−ブチル、ペンチル、tert−ペンチル、ネオペンチル、ヘキシル、イソヘキシルなどの1から6個の炭素原子を有する直鎖または分岐アルキルを含んでもよい。
【0032】
好適な「シクロ(低級)アルキル」および「シクロ(低級)アルキル」部分は、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシルなどの3から6個の炭素原子を有するシクロアルキルを含んでもよい。
【0033】
好適な「シクロ(高級)アルキル」および「シクロ(高級)アルキル」部分は、シクロヘプチル、シクロオクチル、アダマンチルなどの7から11個の炭素原子を有するシクロアルキルを含んでもよい。
【0034】
好適な「低級アルキレン」は、メチレン、エチレン、トリメチレン、テトラメチレン、ペンタメチレン、ヘキサメチレン、メチルメチレン、エチルメチレン、プロピルメチレン、イソプロピルメチレン、ブチルメチレン、イソブチルメチレン、プロピレン、エチルエチレン、1,2−ジメチルエチレン、1,1,2,2−テトラメチルエチレンなどの1から6個の炭素原子を有する直鎖または分岐アルキレンを含んでもよい。
【0035】
好適な「アリール」または「アル」部分はフェニル、ナフチル、アントリル、ピレニル、フェナントリル、アズレニルなどのC6〜C16アリールを含んでもよく、またこの「アリール」または「アル」部分はハロゲンおよびヘテロサイクリル(低級)アルキルからなる群から選択される1つまたはそれ以上の置換基で置換されてもよい。
【0036】
好適な「アル(低級)アルキル」はベンジル、フェネチル、フェニルプロピル、フェニルブチル、フェニルヘキシルなどのフェニル(C1〜C6)アルキル、ナフチルメチル、ナフチルエチル、ナフチルプロピル、ナフチルブチル、ナフチルペンチル、ナフチルヘキシルなどのナフチル(C1〜C6)アルキルを含んでもよい。
【0037】
好適な「低級アルコキシ」および「低級アルコキシ」部分は、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、イソプロポキシ、ブトキシ、イソブトキシ、sec−ブトキシ、tert−ブトキシ、ペンチルオキシ、tert−ペンチルオキシ、ネオペンチルオキシ、ヘキシルオキシ、イソヘキシルオキシなどの1から6個の炭素原子を有する直鎖または分岐アルコキシを含んでもよい。
【0038】
好適な「アル(低級)アルコキシ」はベンジルオキシ、フェネチルオキシ、フェニルプロポキシ、フェニルブトキシ、フェニルヘキシルオキシなどのフェニル(C1〜C6)アルコキシ、ナフチルメトキシ、ナフチルエトキシ、ナフチルプロポキシ、ナフチルブトキシ、ナフチルペンチルオキシ、ナフチルヘキシルオキシなどのナフチル(C1〜C6)アルコキシを含んでもよい。
【0039】
好適な「アリール縮合シクロ(低級)アルキル」および「アリール縮合シクロ(低級)アルキル」部分は、テトラヒドロナフチル、インダニル、ベンゾシクロブタニルなどの8から12個の炭素原子を有するアリール縮合シクロアルキルを含んでもよい。
【0040】
好適な「低級アルカノイル」は、ホルミル、およびアセチル、エチルカルボニル、プロピルカルボニル、イソプロピルカルボニル、ブチルカルボニル、イソブチルカルボニル、sec−ブチルカルボニル、tert−ブチルカルボニル、ペンチルカルボニル、tert−ペンチルカルボニル、ネオペンチルカルボニルなどのアルキル部分が1から5個の炭素原子を有する直鎖または分岐アルキルであるアルカノイルを含んでもよい。
【0041】
好適な「低級アルキルでモノ−またはジ−置換されてもよいカルバモイル」はカルバモイル;N−メチルカルバモイル、N−エチルカルバモイル、N−プロピルカルバモイル、N−ブチルカルバモイル、N−イソブチルカルバモイル、N−tert−ブチルカルバモイル、N−ペンチルカルバモイル、N−ネオペンチルカルバモイル、N−イソペンチルカルバモイル、N−ヘキシルカルバモイルなどのアルキル部分が1から6個の炭素原子を有するアルキルであるN−(低級)アルキルカルバモイル;N,N−ジメチルカルバモイル、N,N−ジエチルカルバモイル、N,N−ジプロピルカルバモイル、N,N−ジブチルカルバモイル、N,N−ジイソブチルカルバモイル、N,N−ジ−tert−ブチルカルバモイル、N,N−ジペンチルカルバモイル、N,N−ジネオペンチルカルバモイル、N,N−ジイソペンチルカルバモイル、N,N−ジヘキシルカルバモイル、N−エチル−N−メチルカルバモイル、N−メチル−N−プロピルカルバモイル、N−ブチル−N−メチルカルバモイル、N−メチル−N−イソブチルカルバモイルなどのアルキル部分がそれぞれ1から6個の炭素原子を有するアルキルであるN,N−ジ(低級)アルキルカルバモイルを含む。これらのカルバモイルはそれぞれ1つまたはそれ以上の好適な置換基によって置換されてもよい。
【0042】
好適な「好適な置換基」は低級アルキル、アリール、シクロ(低級)アルキルなどを含んでもよい。
【0043】
「ヘテロアリール」および「ヘテロアリール」部分の好適な例は、例えばピロリル、ピロリニル、イミダゾリル、ピラゾリル、ピリジル、ジヒドロピリジル、ピリミジル、ピラジニル、ピリダジニル、トリアゾリル(例えば4H−1,2,4−トリアゾリル、1H−1,2,3−トリアゾリル、2H−1,2,3−トリアゾリルなど)、テトラゾリル(例えば1H−テトラゾリル、2H−テトラゾリルなど)など;の1から4個の窒素原子を含有する不飽和三から八員(より好ましくは五または六員)複素単環基を含んでもよい。
【0044】
「ヘテロサイクリル」または「ヘテロサイクリル」部分の好適な例は
例えばピロリジニル、イミダゾリジニル、ピペリジル、ピペラジニル、アゼチジニルなどの1から4個の窒素原子を含有する飽和三から八員(より好ましくは五または六員)複素単環基;
例えばモルホリノなどの1から2個の酸素原子および1から3個の窒素原子を含有する飽和三から八員(より好ましくは五または六員)複素単環基を含んでもよく;
ならびにこの「ヘテロサイクリル」または「ヘテロサイクリル」部分は1つまたはそれ以上の低級アルキルによって置換されてもよい。
【0045】
好適な「ヒドロキシ保護基」は以下の通りである:
低級アルキル(例えばメチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、t−ブチル、ペンチル、ヘキシルなど)、好ましくはメチル;
低級アルコキシ(低級)アルキル(例えばメトキシメチルなど);
低級アルコキシ(低級)アルコキシ(低級)アルキル(例えば2−メトキシエトキシメチルなど);
アリール部分が1つまたはそれ以上の好適な置換基で置換されてもよいアル(低級)アルキル(例えばベンジル(Bn)、p−メトキシベンジル、m、p−ジメトキシベンジルなど)、好ましくはベンジル;
アリール部分が1つまたはそれ以上の好適な置換基で置換されてもよいアル(低級)アルコキシ(低級)アルキル(例えばベンジルオキシメチル、p−メトキシベンジルオキシメチルなど);
(低級)アルキルチオ(低級)アルキル(例えばメチルチオメチル、エチルチオメチル、プロピルチオメチル、イソプロピルチオメチル、ブチルチオメチル、イソブチルチオメチル、ヘキシルチオメチルなど)など、好ましくはメチルチオメチル;
トリ(低級)アルキルシリル(例えばトリメチルシリル、トリエチルシリル、トリブチルシリル、tert−ブチルジメチルシリル、トリ−tert−ブチルシリルなど)、低級アルキルジアリールシリル(例えばメチルジフェニルシリル、エチルジフェニルシリル、プロピルジフェニルシリル、tert−ブチルジフェニルシリル(TBDPS)など)などのトリ−置換シリル、好ましくはtert−ブチルジメチルシリル(TBDMS)およびtert−ブチルジフェニルシリル;
複素環基(例えばテトラヒドロピラニルなど);
以下に示すようなアシル[例えば低級アルカノイル(例えばアセチル、プロパノイル、ピバロイルなど)などの脂肪族アシル;芳香族アシル(例えばベンゾイル(Bz)、トルオイル、ナフトイル、フルオレニルカルボニルなど);
低級アルコキシカルボニル(例えばメトキシカルボニル、エトキシカルボニル、プロポキシカルボニル、イソプロポキシカルボニル、ブトキシカルボニル、イソブトキシカルボニル、t−ブトキシカルボニル、ペンチルオキシカルボニル、ヘキシルオキシカルボニルなど)など;
アリール部分が1つまたはそれ以上の好適な置換基で置換されてもよいアル(低級)アルコキシカルボニル(例えばベンジルオキシカルボニル、ブロモベンジルオキシカルボニルなど);
低級アルキルスルホニル(例えばメチルスルホニル、エチルスルホニルなど);
低級アルコキシスルホニル(例えばメトキシスルホニル、エトキシスルホニルなど);
アル(低級)アルカノイル(例えばフェニルアセチル、フェニルプロパノイル、フェニルブタノイル、フェニルイソブタノイル、フェニルペンタノイル、フェニルヘキサノイル、ナフチルアセチル、ナフチルプロパノイル、ナフチルブタノイル、ナフチルイソブタノイル、ナフチルペンタノイル、ナフチルヘキサノイルなど);
アル(C3〜C6)アルケノイルなどのアル(低級)アルケノイル(例えばフェニルプロペノイル、フェニルブテノイル、フェニルメタクリロイル、フェニルペンテノイル、フェニルヘキセノイル、ナフチルプロペノイル、ナフチルブテノイル、ナフチルメタクリロイル、ナフチルペンテノイル、ナフチルヘキセノイルなど)など];
低級アルケニル(例えばビニル、アリルなど);など。
【0046】
本発明にとって好ましいヒドロキシ保護基は、例えば、テトラヒドロピラニル、トリメチルシリル、t−ブチルジメチルシリルなどである。
【0047】
本発明の好ましい実施形態は以下のように示される。
【0048】
(1)以下の式(I’)の化合物;
【化6】

(2)R1は水素、低級アルキル、シクロ(低級)アルキル(低級)アルキル、シクロ(高級)アルキル(低級)アルキル、置換されてもよいアル(低級)アルキル、ヘテロアリール(低級)アルキル、シクロ(低級)アルキル、シクロ(高級)アルキル、置換されてもよいアリール、低級アルキルヘテロサイクリル、アリール縮合シクロ(低級)アルキルであり、好ましくは、R1はシクロ(低級)アルキル(低級)アルキル、ハロゲン置換されてもよいアル(低級)アルキル、シクロ(低級)アルキル、シクロ(高級)アルキル、またはハロゲン置換されてもよいアリールであり、より好ましくは、R1はシクロヘキシルメチル、ベンジル、クロロベンジル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル、アダマンチル、フェニルまたはクロロフェニルであり;
(3)R2は水素またはハロゲンであり、ZはCHまたはNであり、好ましくはR2は水素でZはNであるか、またはR2はハロゲンでZはCHであり、より好ましくは、R2は水素でZはNであるか、またはR2はフッ素または塩素でZはCHであり;
(4)Xは
【化7】

である(式中、好ましくはR3は−OHもしくはハロゲン置換されたアリールで置換されてもよい低級アルキル、または低級アルカノイルであり、より好ましくは、R3は低級アルキルまたは低級アルカノイルであり、より好ましくは、R3はメチルまたはアセチルであり、最も好ましくは、R3はメチルであり、およびR4は水素または低級アルキルであり、より好ましくは、R4は水素またはメチルであり、最も好ましくは、R4は水素である)。
(5)Yはヒドロキシ、アリール、アリール(低級)アルコキシ、または低級アルキルでモノ−またはジ−置換されてもよいカルバモイルで置換されてもよい低級アルキレンであり、好ましくはYは低級アルキレンであり、より好ましくは、Yはエチレン、メチルメチレン、エチルメチレン、イソプロピルメチレン、プロピレンまたはイソブチルメチレンである。;
(6)上述の(1)〜(5)のうち2つまたはそれ以上を組み合わせた化合物である、式(I)を有する化合物。
【0049】
(7)R1は水素、低級アルキル、シクロ(低級)アルキル(低級)アルキル、シクロ(高級)アルキル(低級)アルキル、置換されてもよいアル(低級)アルキル、ヘテロアリール(低級)アルキル、シクロ(低級)アルキル、シクロ(高級)アルキル、置換されてもよいアリール、低級アルキルヘテロサイクリル、アリール縮合シクロ(低級)アルキルであり、
2は水素またはハロゲンであり、
ZはCHまたはNであり、
Xは
【化8】

であり、
3は−OHもしくはハロゲン置換されたアリールで置換されてもよい低級アルキル、または低級アルカノイルであり、
4は水素または低級アルキルであり、
Yはヒドロキシ、アリール、アリール(低級)アルコキシ、または低級アルキルでモノ−またはジ−置換されてもよいカルバモイルで置換されてもよい低級アルキレンである上記の(1)の化合物。
【0050】
(8)R1はシクロ(低級)アルキル(低級)アルキル、ハロゲン置換されてもよいアル(低級)アルキル、シクロ(低級)アルキル、シクロ(高級)アルキル、またはハロゲン置換されてもよりアリール、
2は水素でZはNであるか、またはR2はハロゲンでZはCHであり、
Xは
【化9】

であり、
3は低級アルキルまたは低級アルカノイルであり、
4は水素または低級アルキルであり、
Yは低級アルキレンである上記の(7)の化合物。
【0051】
(9)R1はシクロヘキシルメチル、ベンジル、クロロベンジル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル、アダマンチル、フェニル、またはクロロフェニルであり、
2は水素でZはNであるか、またはR2はフッ素もしくは塩素でZはCHであり、
Xは
【化10】

であり、
3はメチルまたはアセチルであり、
4は水素またはメチルであり、
Yはエチレン、メチルメチレン、エチルメチレン、イソプロピルメチレン、プロピレン、またはイソブチルメチレンである上記の(8)の化合物。
【0052】
(試験法)
本発明の化合物(I)の有用性を示すために、本発明の代表的な化合物の薬理試験結果を以下に示す。
【0053】
(試験1:ヒストンデアセチラーゼ阻害活性の測定)
ヒトヒストンデアセチラーゼの部分的な精製、[3H]アセチルヒストンの調製、およびヒストンデアセチラーゼ活性のアッセイは、基本的に、Yoshidaらにより提案された方法に従い、次のように実施された。
【0054】
(ヒトヒストンデアセチラーゼの部分的な精製)
ヒトヒストンデアセチラーゼは、ヒトT細胞白血病ジャーカット細胞から部分的に精製した。ジャーカット細胞(5×108細胞)を、15mMリン酸カリウム、pH7.5、5%グリセロールおよび0.2mM EDTAからなるHDA緩衝液40mLに懸濁した。ホモジネーション後、遠心分離(35,000×g、10分)により核を集め、1M (NH42SO4を補充した同じ緩衝液20mL中でホモジナイズした。粘性のホモジネートを超音波処理し、遠心分離(35,000×g、10分)により清澄化し、(NH42SO4の濃度を3.5Mに高めることにより、デアセチラーゼを沈澱させた。沈殿したタンパク質をHDA緩衝液10mL中に溶解し、同じ緩衝液4リットルに対して透析した。次に、同じ緩衝液を用いて平衡させたDEAE−セルロース(Whatman DE52)カラム(25×85mm)に透析物を充填し、リニアグラジエント(0〜0.6M)のNaCl 300mLで溶離した。ヒストンデアセチラーゼ活性の単一ピークが0.3から0.4M NaClの間に現れた。
【0055】
([3H]アセチルヒストンの調製)
ヒストンデアセチラーゼアッセイの基質としての[3H]アセチル標識化ヒストンを得るために、RPMI−1640培地(10%FBS、ペニシリン(50単位/mL)およびストレプトマイシン(50μg/mL)を補充)20mL中のジャーカット細胞1×108細胞を、75cm3のフラスコ中で、5%CO2−95%空気雰囲気下、5mM酪酸ナトリウムの存在下で、37℃で30分間、300MBq[3H]酢酸ナトリウムと共にインキュベートし、遠心チューブ(50mL)に移し、1000rpmで10分間遠心分離して集め、リン酸緩衝化生理食塩水で1回洗浄した。洗浄した細胞を、氷冷した溶解緩衝液15mL(10mM Tris−HCl、50mM 亜硫酸水素ナトリウム、1%トリトンX−100、10mM MgCl2、8.6%スクロース、pH6.5)中に懸濁した。Dounceホモジナイザーによるホモジネーション(30ストローク)後、1000rpmで10分間遠心分離して核を集め、溶解緩衝液15mLで3回洗浄し、氷冷した洗浄緩衝液(10mM Tris−HCl、13mM EDTA、pH7.4)15mLで引き続き1回洗浄した。ミキサーを用いてペレットを氷冷水6mL中に懸濁し、懸濁液にH2SO4 68μLを加えて、濃度を0.4Nとした。4℃で1時間インキュベートした後、懸濁液を15,000rpmで5分間遠心分離し、上清を取ってアセトン60mLと混合した。−20℃で一晩インキュベートした後、凝固した物質をマイクロ遠心分離により集め、風乾し、−80℃で保管した。
【0056】
(ヒストンデアセチラーゼ活性のアッセイ)
標準アッセイとして、[3H]アセチル標識化ヒストン10μLを酵素画分90μLに加え、混合物を25℃で30分間インキュベートした。HCl水溶液10μLを加えて反応を止めた。放出された[3H]酢酸を酢酸エチル(1mL)により抽出し、溶媒層(0.9mL)をトルエンシンチレーション溶液10mL中に取って放射能を測定した。
【0057】
(試験2:T細胞増殖阻害活性の決定)
10%ウシ胎児血清(FBS)、50mM 2−メルカプトエタノール、ペニシリン(100単位/mL)およびストレプトマイシン(100μg/mL)を補充したRPMI−1640培地0.1mL中のルイス(Lewis)ラット脾臓細胞1.5×105細胞を各ウェルに含むマイクロタイタープレート中で、Tリンパ球幼若化試験を行い、これにコンカナバリンA(1μg/mL)を加えた。加湿された5%CO2雰囲気下、細胞を37℃で72時間インキュベートした。培養期間後、Tリンパ球幼若化反応における被験化合物の抑制活性をAlamarBlue(登録商標)アッセイ法により定量した。試料をDMSOに溶解し、さらにRPMI−1640培地で希釈し、培地に加えた。被験化合物の活性をIC50で表した。
【0058】
それらの試験の結果を表1に示す。
表1:本発明の化合物のHDAC阻害活性およびT細胞増殖阻害活性
【表1】

【0059】
エイムス試験は陰性であり、目的化合物は、その有効性用量において、血中の血小板/好中球の減少を伴わず、血圧の低下を伴わず、また心拍数の増加を伴わないと予測される。
【0060】
化合物(I)のようなヒストンデアセチラーゼ阻害剤を含む本発明の医薬組成物は、炎症性障害、糖尿病、糖尿病合併症、ホモ接合型サラセミア、線維症、肝硬変、急性前骨髄球性白血病(APL)、原生動物感染などのような、異常な遺伝子発現により引き起こされる疾患のための治療剤または予防剤として有用である。さらに、抗腫瘍剤、または以下に例示する臓器移植拒絶および自己免疫疾患を予防する免疫抑制剤として有用である:
心臓、腎臓、肝臓、骨髄、皮膚、角膜、肺、すい臓、小腸、肢、筋肉、神経、椎間板、気管、筋芽細胞、軟骨などのような、臓器または組織の移植による拒絶反応;
骨髄移植後の移植片対宿主反応;
関節リウマチ、全身性エリテマトーデス、橋本甲状腺炎、多発性硬化症、重症筋無力症、I型糖尿病などのような自己免疫疾患;および
病原性微生物(例えばAspergillus fumigatus、Fusarium oxysporum、Trichophyton asteroidesなど)によって引き起こされる感染症。
【0061】
さらに、化合物(I)などのヒストンデアセチラーゼ阻害剤の医薬製剤は、下記の疾患の治療または予防に有用である。
【0062】
炎症性もしくは増殖亢進性皮膚疾患、または免疫媒介型の皮膚疾患(例えば乾癬、アトピー性皮膚炎、接触性皮膚炎、湿疹様皮膚炎、脂漏性皮膚炎、扁平苔癬、天疱瘡、水疱性天疱瘡、表皮水疱瘡、蕁麻疹、血管性浮腫、脈管炎、紅斑、皮膚好酸球増加症、エリテマトーデス、にきび、円形脱毛症など);
眼の自己免疫疾患(例えば角結膜炎、春季カタル、ベーチェット病に伴うブドウ膜炎、角膜炎、ヘルペス性角膜炎、円錐形角膜炎、角膜上皮ジストロフィー、角膜白斑、眼天疱瘡、モーレン潰瘍、強膜炎、グレイヴス眼障害、フォーグト−小柳−原田症候群、乾燥角結膜炎(ドライアイ)、フリクテン、虹彩毛様体炎、サルコイドーシス、内分泌眼障害など);
可逆的閉塞性気道疾患[喘息(例えば気管支喘息、アレルギー性喘息、内因性喘息、外因性喘息、塵埃喘息など)、特に慢性または難治性喘息(例:遅発性喘息、気道反応性亢進など)、気管支炎など];
粘膜または血管の炎症(例えば胃潰瘍、虚血性または血栓性の血管損傷、虚血性腸疾患、腸炎、壊死性腸炎、熱傷に関連する腸管の損傷、ロイコトリエンB4媒介型疾患など);
腸管の炎症/アレルギー(例えばセリアック病、直腸炎、好酸球性胃腸炎、肥満細胞症、クローン病、潰瘍性大腸炎など);
消化管が遠因の症候性発現を伴う食品関連アレルギー性疾患(例えば偏頭痛、鼻炎、湿疹など)
腎臓疾患(例えば間質性腎炎、グッドパスチャー症候群、溶血性尿毒症症候群、糖尿病性腎障害など);
神経疾患(例えば多発性筋炎、ギラン・バレー症候群、メニエール病、多発性神経炎、単発性神経炎、脳梗塞、アルツハイマー病、パーキンソン病、筋萎縮性側索硬化症(ALS)、神経根障害など);
脳虚血性疾患(例えば頭部損傷、脳の出血(例:クモ膜下出血、脳内出血など)、脳血栓、脳塞栓症、心停止、卒中、一過性脳虚血発作(TIA)、高血圧性脳障害など);
内分泌疾患(例えば甲状腺機能亢進症、バセドウ病など);
血液疾患(例えば赤芽球ろう、再生不良性貧血、形成不良性貧血、特発性血小板減少性紫斑病、自己免疫溶血性貧血、顆粒球減少症、悪性貧血、巨大赤芽球性貧血、赤血球形成不全など);
骨疾患(例えば骨粗鬆症など);
呼吸器疾患(例えばサルコイドーシス、肺線維症、特発性間質性肺炎など);
皮膚疾患(例えば皮膚筋炎、尋常性白斑、尋常性魚鱗癬、光線過敏症、皮膚T細胞リンパ腫など);
循環器疾患(例えば動脈硬化、アテローム性動脈硬化、大動脈炎症候群、結節性多発性動脈炎、心筋症など);
膠原病(例えば強皮症、ウェーゲナー肉芽腫、シューグレン症候群など)
脂肪過多症;
好酸球性筋膜炎;
歯周病(例えば歯肉、歯周、歯槽骨またはセメント質への損傷など);
ネフローゼ症候群(例えば糸球体腎炎など);
男性型脱毛症、老人性脱毛症;
筋ジストロフィー;
膿皮症およびセザリー症候群;
染色体異常関連疾患(例えばダウン症候群など)
アジソン病;
活性酸素媒介疾患{例えば臓器損傷[例:保存、移植、虚血性疾患(例:塞栓症、心筋梗塞など)に伴う臓器(例:心臓、肝臓、腎臓、消化管など)の虚血性循環障害など];
腸疾患(例えばエンドトキシンショック、偽膜性大腸炎、薬物または放射線により誘発される大腸炎など);
腎臓疾患(例えば虚血性急性腎機能不全、慢性腎不全など);
肺疾患(例えば肺中酸素または薬物(例:パラコート、ブレオマイシンなど)によって引き起こされる中毒、肺癌、肺気腫など);
眼の疾患(例えば白内障、鉄沈着疾患(眼球鉄錆症)、網膜炎、色素変性症、老人性斑点、硝子体瘢痕、角膜のアルカリ火傷など);
皮膚炎(例えば多形性紅斑、線状免疫グロブリンA性皮膚炎、セメント皮膚炎など);および
その他の疾患(例えば歯肉炎、歯周炎、敗血症、膵臓炎、環境汚染(例:大気汚染など)、加齢、発癌物質、癌転移、高山病などによって引き起こされる疾患、)};
ヒスタミン遊離またはロイコトリエンC4遊離によって引き起こされる疾患;
血管形成術後の冠状動脈の再狭窄および外科手術後の癒着防止;
自己免疫疾患および炎症性症状(例えば原発性粘膜浮腫、自己免疫性萎縮性胃炎、早発性閉経、男性不妊、若年性糖尿病、尋常性天疱瘡、類天疱瘡、交感神経性眼炎、水晶体原性ブドウ膜炎、特発性白血球減少症、活動性慢性肝炎、特発性肝硬変、円板状エリテマトーデス、自己免疫性精巣炎、関節炎(例:変形性関節症など)、多発性軟骨炎など);
ヒト免疫不全ウイルス(HIV)感染、AIDS;
アレルギー性結膜炎;
外傷、火傷または外科手術による肥厚性瘢痕、ケロイド、血管内膜過形成など。
【0063】
さらに、HDAC阻害剤は、抗増殖剤として冠動脈疾患の治療、特に経皮経管冠動脈形成術(PTCA)を受けている患者の再狭窄の防止に可能性がある。
【0064】
従って、本発明の医薬組成物は、肝臓疾患[例えば免疫原性疾患(例:自己免疫肝疾患、原発性胆管性肝硬変、硬化性胆管炎などのような慢性自己免疫性肝臓疾患)、部分的肝臓切除、急性肝臓壊死(例:毒素、ウイルス性肝炎、ショック、酸素欠乏などによって引き起こされる壊死)、B型肝炎、非A非B型肝炎、肝硬変、肝不全(例:劇症肝炎、遅発性肝炎、「慢性から急性に移行した」肝不全(慢性肝疾患における急性肝不全など)など)など]の治療および予防に有用である。
【0065】
本発明の医薬組成物は、医薬製剤の形態、例えば、固形、半固形または液状の形態で使用可能であり、これらは、有効成分として、化合物(I)などのヒストンデアセチラーゼ阻害剤を、外用、腸溶性または非経口的な投与に適した有機もしくは無機の担体もしくは賦形剤と混合された状態で含む。有効成分は、例えば、錠剤、ペレット剤、カプセル剤、坐剤、液剤、乳剤、懸濁液剤、注射剤、軟膏剤、塗布剤、点眼剤、ローション、ゲル、クリーム、および使用に適したその他の剤型用の、医薬的に許容される通常の非毒性の担体と調合してよい。
【0066】
本発明で用いることのできる担体は、水、グルコース、乳糖、アカシアガム、ゼラチン、マンニトール、デンプンペースト、三ケイ酸マグネシウム、タルク、トウモロコシデンプン、ケラチン、コロイダルシリカ、バレイショデンプン、尿素、および固形、半固形または液状の形態にある製剤の製造において使用するのに適したその他の担体を含む。さらに、補助剤、安定化剤、増粘剤、可溶化剤、着色剤および香料を用いることもできる。
【0067】
この組成物をヒトに適用するためには、静脈内、筋肉内、局所もしくは経口投与により、または化合物(I)を含浸させた血管ステントにより適用するのが好ましい。化合物(I)などのヒストンデアセチラーゼ阻害剤の治療有効量は、治療される個々の患者の年齢および症状により変動し、またこれに依存するが、個々の患者を治療するとき、静脈内投与の場合は、化合物(I)などのヒストンデアセチラーゼ阻害剤の、ヒト体重kgあたり1日用量0.01〜10mgが、筋肉内投与の場合には、式(I)の化合物などのヒストンデアセチラーゼ阻害剤の、ヒト体重kgあたりの1日用量0.1〜10mgが、および経口投与の場合は、化合物(I)などのヒストンデアセチラーゼ阻害剤の、ヒト体重kgあたりの1日用量0.5〜50mgが、一般に治療用に投与される。
【0068】
上記の医薬剤型を製造する際に、化合物(I)またはその塩は、その他の免疫抑制物質、例えばラパマイシン、ミコフェノール酸、シクロスポリンA、タクロリムスまたはブレキナールナトリウムと共に用いることもできる。
【0069】
以下に、本発明の化合物(I)を調製するための製造例および実施例における反応をより詳しく説明する。本発明は、決して以下の製造例および実施例により限定されるべきものではない。
【0070】
本明細書において、以下の略語も使用される:HCl(塩化水素);MeOH(メタノール);EtOH(エタノール);IPE(ジイソプロピルエーテル);AcOH(酢酸);AcOEt(酢酸エチル);HOBT(1−ヒドロキシベンゾトリアゾール);WSCD(1−エチル−3−(3’−ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド);DMF(N,N−ジメチルホルムアミド);DMA(N,N−ジメチルアセトアミド);aq.(水溶液);Et3N(トリエチルアミン);DIEA(ジイソプロピルエチルアミン);NaOH(水酸化ナトリウム);NaH(水素化ナトリウム);THF(テトラヒドロフラン);DIBAL(水素化ジイソブチルアルミニウム);LAH(水素化アルミニウムリチウム);LiBH4(水素化ホウ素リチウム);NaBH4(水素化ホウ素ナトリウム);MnO2(酸化マンガン(IV))。
【0071】
(製造例1)
5−クロロ−6−[(2−フェノキシエチル)アミノ]ニコチン酸エチル(1.6g)のTHF(24.0mL)溶液に、0.94M DIBALヘキサン溶液(15.9mL)を窒素雰囲気下、0℃で1滴ずつ加え、混合物を同じ温度で1時間攪拌した。MeOH(3.0mL)および酒石酸ナトリウムカリウム四水和物(4.2g)を0℃で加えた後、混合物を周囲温度で1時間攪拌した。単離した沈殿を濾過し、溶媒を濃縮により除去して{5−クロロ−6−[(2−フェノキシエチル)アミノ]−3−ピリジニル}メタノール(1.26g)を得た。
【0072】
製造例2、3、4、5、6、7、8、9および10に開示された化合物は、製造例1と同様の方法で得られた。
【0073】
(製造例11)
LAH(1.68g)のTHF(34.0mL)混合物に、(2R)−2−アミノ−N−ベンジル−N−メチルプロパンアミド(1.7g)のTHF(5.1mL)溶液を窒素雰囲気下、50℃で1滴ずつ加え、混合物を還流下で加熱しながら2時間攪拌した。水(1.68mL)を加えた後、氷冷下で4N−NaOHaq.(1.68mL)および水(5.04mL)。単離した沈殿を濾過し、濃縮により溶媒を除去して(2R)−N1−ベンジル−N1−メチル−1,2−プロパンジアミン(1.43g)を得た。
【0074】
製造例12、13、14、15、16、17、18、19、20、21および22に開示された化合物は、製造例11と同様の方法で得られた。
【0075】
(製造例23)
5−クロロ−6−({2−[(4−フルオロベンジル)(メチル)アミノ]−2−オキソエチル}アミノ)ニコチン酸エチル(3.5g)のTHF(70mL)溶液に、LiBH4(1.2g)を氷冷下で加え、混合物を周囲温度で40時間攪拌した。1N HCl aq.(60.0mL)を氷冷下で加えた後、炭酸カリウムで混合物をpH9に調節した。混合物をAcOEtで抽出し、抽出層を真空中で蒸発させた。クロロホルムおよびMeOH(19:1v/v)の混合物を溶離液として用いて、残渣をシリカゲルクロマトグラフィで精製した。所望の生成物を含有する画分を捕集し、真空中で蒸発させて2−{[3−クロロ−5−(ヒドロキシメチル)−2−ピリジニル]アミノ}−N−(4−フルオロベンジル)−N−メチルアセトアミド(0.71g)を得た。
【0076】
製造例24、25、26、27および28に開示された化合物は、製造例23と同様の方法で得られた。
【0077】
(製造例29)
5−クロロ−6−({2−[(4−フルオロベンゾイル)アミノ]−2−メチルプロピル}アミノ)ニコチン酸エチル(1.25g)のTHF(25mL)混合物に氷冷下でLiBH4(0.84g)を加え、混合物を周囲温度で20時間攪拌した。反応混合物に1N−HCl aq.(44.4mL)を氷冷下で1滴ずつ加えた。混合物をAcOEtおよび氷水の混合物に注ぎ入れた後、20%炭酸カリウム水溶液で混合物をpH9.0に調節した。分離した有機層を水で洗い、硫酸マグネシウムで乾燥し、真空中で蒸発させてN−(2−{[3−クロロ−5−(ヒドロキシメチル)−2−ピリジニル]アミノ}−1,1−ジメチルエチル)−4−フルオロベンズアミド(1.08g)を得た。
【0078】
(製造例30)
クロロホルム(24.0mL)中の{5−クロロ−6−[(2−フェノキシエチル)アミノ]−3−ピリジニル}メタノール(1.2g)およびMnO2(3.7g)の混合物を50℃で4時間攪拌した。酸化マグネシウムを濾過し、濃縮により溶媒を除去した。残渣をIPEおよびヘキサンで粉砕して5−クロロ−6−[(2−フェノキシエチル)アミノ]ニコチンアルデヒド(0.78g)を得た。
【0079】
製造例31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45および46に開示された化合物は、製造例30と同様の方法で得られた。
【0080】
(製造例47)
クロロホルム(11.0mL)中の(6−{[2−(4−フルオロフェノキシ)エチル]アミノ}−3−ピリジニル)メタノール(0.55g)およびMnO2(1.8g)の混合物を60℃で2時間攪拌した。酸化マンガンを濾過して取り除き、濃縮により溶媒を除去して6−{[2−(4−フルオロフェノキシ)エチル]アミノ}ニコチンアルデヒド(0.53g)を得た。
【0081】
製造例48および49に開示された化合物は、製造例47と同様の方法で得られた。
【0082】
(製造例50)
THF(20mL)中の5−クロロ−6−[(2−メトキシエチル)アミノ]ニコチン酸エチル(2.0g)およびNaBH4(1.2g)の混合物に還流下でMeOH(6.3mL)を1滴ずつ加え、同じ温度で4時間攪拌した。濃縮により溶媒を除去した。残渣に水を加え、AcOEtで抽出した。抽出層を水で洗い、硫酸マグネシウムで乾燥し、真空中で蒸発させて{5−クロロ−6−[(2−メトキシエチル)アミノ]−3−ピリジニル}メタノール(1.46g)を得た。
【0083】
製造例51に開示された化合物は、製造例50と同様の方法で得られた。
【0084】
(製造例52)
THF(54.0mL)中の6−({2−[(tert−ブトキシカルボニル)アミノ]エチル}アミノ)−5−クロロニコチン酸エチル(5.4g)およびNaBH4(2.4g)の混合物にMeOH(6.4mL)を50から56℃で1滴ずつ加え、混合物を還流下で加熱しながら2.5時間攪拌した。濃縮により溶媒を除去し、残渣にAcOEtおよび水を加えた。分離した有機層を水で洗い、硫酸マグネシウムで乾燥し、真空中で蒸発させた。クロロホルムおよびAcOEtの混合物を溶離液として用いて、残渣をシリカゲルクロマトグラフィで精製した。所望の生成物を含有する溶離画分を捕集し、真空中で蒸発させて(2−{[3−クロロ−5−(ヒドロキシメチル)−2−ピリジニル]アミノ}エチル)カルバミン酸tert−ブチル(3.51g)を得た。
【0085】
(製造例53)
DMF(10.0mL)中の(2E)−3−{5−[(2−フェノキシエチル)アミノ]−2−ピラジニル}アクリル酸(0.5g)、O−(テトラヒドロ−2H−ピラン−2−イル)ヒドロキシルアミン(0.25g)およびHOBT(0.28g)の混合物に1−(3−ジメチルアミノプロピル)−3−エチルカルボジイミド(0.33g)を加え、混合物を周囲温度で20時間攪拌した。反応混合物をIPE(50mL)および水(30mL)の混合物に注ぎ入れ、30分間攪拌した。単離した沈殿を濾取して(2E)−3−{5−[(2−フェノキシエチル)アミノ]−2−ピラジニル}−N−(テトラヒドロ−2H−ピラン−2−イルオキシ)アクリルアミド(0.62g)を得た。
【0086】
(製造例54)
DMF(9.0mL)中の(2E)−3−{5−クロロ−6−[(2−フェノキシエチル)アミノ]−3−ピリジニル}アクリル酸(0.6g)、O−(テトラヒドロ−2H−ピラン−2−イル)ヒドロキシルアミン(0.27g)およびHOBT(0.31g)の混合物に1−(3−ジメチルアミノプロピル)−3−エチルカルボジイミド(0.35g)を加え、混合物を周囲温度で20時間攪拌した。反応混合物をAcOEtおよび水の混合物に注ぎ入れた。分離した有機層を水で洗い、硫酸マグネシウムで乾燥し、真空中で蒸発させて(2E)−3−{5−クロロ−6−[(2−フェノキシエチル)アミノ]−3−ピリジニル}−N−(テトラヒドロ−2H−ピラン−2−イルオキシ)アクリルアミド(0.76g)を得た。
【0087】
製造例55、56、57、58、59、60、61、62、63、64、65、66、67、68、69、70、71および75に開示された化合物は、製造例54と同様の方法で得られた。
【0088】
(製造例72)
DMF(10.0mL)中の(2E)−3−[5−クロロ−6−({2−[(4−クロロベンゾイル)アミノ]エチル}アミノ)−3−ピリジニル]アクリル酸(0.5g)、O−(テトラヒドロ−2H−ピラン−2−イル)ヒドロキシルアミン(0.19g)およびHOBT(0.21g)の混合物にWSCD(0.25g)を加え、混合物を周囲温度で20時間攪拌した。反応混合物をAcOEt、THFおよび水の混合物に注ぎ入れた。分離した有機層を水で洗い、硫酸マグネシウムで乾燥し、真空中で蒸発させた。残渣をエーテルで粉砕して4−クロロ−N−{2−[(3−クロロ−5−{(1E)−3−オキソ−3−[(テトラヒドロ−2H−ピラン−2−イルオキシ)アミノ]−1−プロペン−1−イル}−2−ピリジニル)アミノ]エチル}ベンズアミド(0.55g)を得た。
【0089】
製造例73および74に開示された化合物は、製造例72と同様の方法で得られた。
【0090】
(製造例76)
ジクロロメタン(50mL)中の5,6−ジクロロニコチン酸(5.0g)および塩酸N−メトキシメタンアミン(3.1g)の混合物にWSCD(4.9g)を加え、混合物を周囲温度で2時間攪拌した。反応混合物を水で洗い、硫酸マグネシウムで乾燥し、真空中で蒸発させた。残渣をIPEおよびヘキサンで粉砕して5,6−ジクロロ−N−メトキシ−N−メチルニコチン酸アミド(4.77g)を得た。
【0091】
(製造例77)
THF(27mL)中で攪拌中のジエトキシホスホリル酢酸エチル(2.67mL)および60%NaH(0.54g)の混合物に{2−[(3−クロロ−5−ホルミル−2−ピリジニル)アミノ]エチル}カルバミン酸tert−ブチル(3.1g)のTHF(10mL)溶液を氷冷下で1滴ずつ加え、その後、混合物を周囲温度で2.5時間攪拌した。反応混合物をAcOEtおよび水の混合物に注ぎ入れた。分離した有機層を水で洗い、硫酸マグネシウムで乾燥し、真空中で蒸発させて(2E)−3−[6−({2−[(tert−ブトキシカルボニル)アミノ]エチル}アミノ)−5−クロロ−3−ピリジニル]アクリル酸エチル(3.8g)を得た。
【0092】
(製造例78)
ピリジン(6.1mL)中の5−クロロ−6−[(2−フェノキシエチル)アミノ]ニコチンアルデヒド(0.70g)、マロン酸(0.53g)およびピペリジン(54mg)の混合物を100℃で4時間攪拌した。濃縮により溶媒を除去し、残渣にAcOEt、THFおよび水の混合物を加えた。分離した有機層を水で洗い、硫酸マグネシウムで乾燥し、真空中で蒸発させた。残渣をIPEおよびヘキサンで粉砕して(2E)−3−{5−クロロ−6−[(2−フェノキシエチル)アミノ]−3−ピリジニル}アクリル酸(0.79g)を得た。
【0093】
製造例79、80、81、82、83、84、85、86、87、88、89、90、91、92、93および94に開示された化合物は、製造例78と同様の方法で得られた。
【0094】
(製造例95)
ピリジン(4.7mL)中の6−{[2−(4−フルオロフェノキシ)エチル]アミノ}ニコチンアルデヒド(0.5g)、マロン酸(0.4g)およびピペリジン(41mg)の混合物を100℃で3時間攪拌した。濃縮により溶媒を除去し、残渣にAcOEt(5mL)、IPE(15mL)および水(15mL)の混合物を攪拌しながら加えた。単離した沈殿を濾取して(2E)−3−(6−{[2−(4−フルオロフェノキシ)エチル]アミノ}−3−ピリジニル)アクリル酸(0.42g)を得た。
【0095】
(製造例96)
ピリジン(6.2mL)中のN−{2−[(3−クロロ−5−ホルミル−2−ピリジニル)アミノ]−1,1−ジメチルエチル}−4−フルオロベンズアミド(0.90g)、マロン酸(0.54g)およびピペリジン(55mg)の混合物を100℃で3時間攪拌した。濃縮により溶媒を除去し、残渣にAcOEtおよび水を加えた。分離した有機層を水で洗い、硫酸マグネシウムで乾燥し、真空中で蒸発させた。残渣をIPEで粉砕して(2E)−3−[5−クロロ−6−({2−[(4−フルオロベンゾイル)アミノ]−2−メチルプロピル}アミノ)−3−ピリジニル]アクリル酸(0.72g)を得た。
【0096】
(製造例97)
(2E)−3−(5−クロロ−2−ピラジニル)アクリル酸メチル(1.0g)、(2R)−2−アミノ−N−(シクロヘキシルメチル)ブタンアミド(1.5g)およびEt3N(2.11mL)のDMA(10mL)溶液を115℃で10時間攪拌した。反応混合物をAcOEtおよび水の混合物に注ぎ入れた。分離した有機層を水で洗い、硫酸マグネシウムで乾燥し、真空中で蒸発させた。残渣をIPEで粉砕して(2E)−3−[5−({(1R)−1−[(シクロヘキシルメチル)カルバモイル]プロピル}アミノ)ピラジン−2−イル]アクリル酸メチル(1.23g)を得た。
【0097】
製造例98、99、100、101、102、103、104、105、106、107、108、109、110、111、112、113、114、115、116、117、118、119、120、121、122、123、124、245、246、247、248、249、250、251、252、253、254、255、256、257、258、259および260に開示された化合物は、製造例97と同様の方法で得られた。
【0098】
(製造例125)
5,6−ジクロロニコチン酸エチル(3.0g)、2−メチル−1,2−プロパンジアミン(1.7g)およびDIEA(5.2mL)の1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン(30.0mL)溶液を100℃で3.5時間攪拌した。反応混合物をAcOEtおよび水の混合物に注ぎ入れた。分離した有機層を水で洗い、硫酸マグネシウムで乾燥し、真空中で蒸発させて6−[(2−アミノ−2−メチルプロピル)アミノ]−5−クロロニコチン酸エチル(3.15g)を得た。
【0099】
(製造例126)
(2E)−3−(5−クロロ−2−ピラジニル)アクリル酸メチル(0.5g)、(2R)−N1−ベンジル−N1−メチル−1,2−プロパンジアミン(0.67g)およびEt3N(1.05mL)のDMA(5.0mL)溶液を100℃で7時間攪拌した。反応混合物を飽和炭酸水素ナトリウムaq.に注ぎ入れ、AcOEtおよびTHFの混合物で抽出した。抽出層を水で洗い、硫酸マグネシウムで乾燥し、真空中で蒸発させた。クロロホルムおよびMeOH(19:1v/v)の混合物を溶離液として用いて、残渣をシリカゲルクロマトグラフィで精製した。所望の生成物を含有する溶離画分を捕集し、真空中で蒸発させて(2E)−3−[5−({(1R)−2−[ベンジル(メチル)アミノ]−1−メチルエチル}アミノ)−2−ピラジニル]アクリル酸メチル(0.71g)を得た。
【0100】
製造例127、128、129、130、131、132、133、134、135、136および137に開示された化合物は、製造例126と同様の方法で得られた。
【0101】
(製造例138)
(2E)−3−(5−クロロ−2−ピラジニル)アクリル酸メチル(0.5g)、[2−(2−クロロフェノキシ)エチル]アミン(0.65g)およびEt3N(1.05mL)のDMA(5.0mL)溶液を100℃で5時間攪拌した。反応混合物をAcOEtおよび水の混合物に注ぎ入れた。分離した有機層を水で洗い、硫酸マグネシウムで乾燥し、真空中で蒸発させて(2E)−3−(5−{[2−(2−クロロフェノキシ)エチル]アミノ}−2−ピラジニル)アクリル酸メチル(0.72g)を得た。
【0102】
製造例139、140、141、142、143、144、145、146および147に開示された化合物は、製造例138と同様の方法で得られた。
【0103】
(製造例148)
ジオキサン(12.0mL)中の(2E)−3−(6−クロロ−2−ピラジニル)アクリル酸メチル(0.6g)、(2−フェノキシエチル)アミン(0.48mL)、炭酸セシウム(1.48g)、1,1’−ビナフタレン−2,2’−ジイルビス(ジフェニルホスフィン)(0.19g)および酢酸パラジウム(II)(34.0mg)混合物を還流下で2時間加熱した。反応混合物をAcOEtおよび水の混合物に注ぎ入れた。分離した有機層を水で洗い、硫酸マグネシウムで乾燥し、真空中で蒸発させた。ヘキサンおよびAcOEt(7:3v/v)の混合物を溶離液として用いて、残渣をシリカゲルクロマトグラフィで精製した。所望の生成物を含有する溶離画分を捕集し、真空中で蒸発させて(2E)−3−{6−[(2−フェノキシエチル)アミノ]−2−ピラジニル}アクリル酸メチル(0.75g)を得た。
【0104】
(製造例149)
(2E)−3−(5−クロロ−2−ピラジニル)アクリル酸メチル(1.1g)、[(2R)−2−アミノプロピル]カルバミン酸tert−ブチル(1.45g)およびEt3N(2.32mL)のDMA(11mL)溶液を100℃で12時間攪拌した。反応混合物をAcOEtおよび水の混合物に注ぎ入れた。分離した有機層を水で洗い、硫酸マグネシウムで乾燥し、真空中で蒸発させた。残渣をIPEで粉砕して(2E)−3−[5−({(1R)−2−[(tert−ブトキシカルボニル)アミノ]−1−メチルエチル}アミノ)ピラジン−2−イル]アクリル酸メチル(1.0g)を得た。
【0105】
製造例150および151に開示された化合物は、製造例149と同様の方法で得られた。
【0106】
(製造例152)
5,6−ジクロロニコチン酸エチル(1.2g)、2−フェノキシエタンアミン(0.79mL)および炭酸カリウム(2.26mL)のDMF(12.0mL)溶液を100℃で4時間攪拌した。反応混合物をAcOEtおよび水の混合物に注ぎ入れた。分離した有機層を水で洗い、硫酸マグネシウムで乾燥し、真空中で蒸発させて5−クロロ−6−[(2−フェノキシエチル)アミノ]ニコチン酸エチル(1.67g)を得た。
【0107】
製造例153、154、155、156、157、158、159、160、161および162に開示された化合物は、製造例152と同様の方法で得られた。
【0108】
(製造例163)
1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン(50.0mL)中の5,6−ジクロロニコチン酸エチル(5.0g)、N−(4−フルオロベンジル)−N−メチルグリシンアミド塩酸塩(6.3g)およびDIEA(8.7mL)の混合物を100℃で4.5時間攪拌した。反応混合物を水の混合物に注ぎ入れ、AcOEtで抽出した。抽出層を水で洗い、硫酸マグネシウムで乾燥し、真空中で蒸発させた。残渣をIPEで粉砕して5−クロロ−6−({2−[(4−フルオロベンジル)(メチル)アミノ]−2−オキソエチル}アミノ)ニコチン酸エチル(7.57g)を得た。
【0109】
製造例164、165、166、167および168に開示された化合物は、製造例163と同様の方法で得られた。
【0110】
(製造例169)
(2E)−3−(5,6−ジクロロピリジン−3−イル)アクリル酸メチル(0.5g)、Et3N(0.9mL)および(2R)−2−アミノ−N−(シクロヘキシルメチル)プロパンアミド(0.6g)のDMA(5.0mL)溶液を145℃で12時間攪拌した。反応混合物をAcOEtおよび水の混合物に注ぎ入れた。分離した有機層を水で洗い、硫酸マグネシウムで乾燥し、真空中で蒸発させた。ジクロロメタンおよびAcOEt(4:1v/v)の混合物を溶離液として用いて、残渣をシリカゲルクロマトグラフィで精製した。所望の生成物を含有する溶離画分を捕集し、真空中で蒸発させて(2E)−3−[5−クロロ−6−({(1R)−2−[(シクロヘキシルメチル)アミノ]−1−メチル−2−オキソエチル}アミノ)ピリジン−3−イル]アクリル酸メチル(0.32g)を得た。
【0111】
製造例170に開示された化合物は、製造例169と同様の方法で得られた。
【0112】
(製造例171)
5,6−ジクロロニコチン酸エチル(5.0g)、(2−アミノエチル)カルバミン酸tert−ブチル(4.0g)および炭酸カリウム(9.4g)のDMF(50.0mL)溶液を100℃で3.5時間攪拌した。反応混合物をAcOEtおよび水の混合物に注ぎ入れた。分離した有機層を水で洗い、硫酸マグネシウムで乾燥し、真空中で蒸発させた。残渣をIPEで粉砕して6−({2−[(tert−ブトキシカルボニル)アミノ]エチル}アミノ)−5−クロロニコチン酸エチル(5.55g)を得た。
【0113】
(製造例172)
MeOH(11.0mL)およびTHF(8.0mL)の溶液中の(2E)−3−{5−[(2−フェノキシエチル)アミノ]−2−ピラジニル}アクリル酸メチル(0.55g)および1N−NaOH aq.(5.5mL)の混合物を周囲温度で18時間攪拌した。濃縮により溶媒を除去した。残渣にAcOEtおよび塩水を加え、1N−HCl aq.で混合物をpH5に調節した。分離した有機層を硫酸マグネシウムで乾燥し、真空中で蒸発させて(2E)−3−{5−[(2−フェノキシエチル)アミノ]−2−ピラジニル}アクリル酸(0.51g)を得た。
【0114】
(製造例173)
MeOH(12mL)中の(2E)−3−[5−クロロ−6−({2−[(4−クロロベンゾイル)アミノ]エチル}アミノ)−3−ピリジニル]アクリル酸エチル(0.6g)および1N−NaOH aq.(7.3mL)の混合物を60℃で2時間攪拌した。濃縮により溶媒を除去した。残渣にAcOEtおよび水の混合物を加え、1N−HClで混合物をpH5に調節した。分離した有機層を硫酸マグネシウムで乾燥し、真空中で蒸発させた。残渣をIPEで粉砕して(2E)−3−[5−クロロ−6−({2−[(4−クロロベンゾイル)アミノ]エチル}アミノ)−3−ピリジニル]アクリル酸(0.52g)を得た。
【0115】
製造例174および175に開示された化合物は、製造例173と同様の方法で得られた。
【0116】
(製造例176)
MeOH(24mL)中の(2E)−3−[5−({(1R)−1−[(シクロヘキシルメチル)カルバモイル]プロピル}アミノ)ピラジン−2−イル]アクリル酸メチル(1.2g)および1N−NaOH aq.(8.3mL)の混合物を60℃で2.5時間攪拌した。反応混合物に対して1N−HCl aq.(8.3mL)で中和し、混合物を真空中で蒸発させた。DMF(12mL)中の残渣にO−(テトラヒドロ−2H−ピラン−2−イル)ヒドロキシルアミン(0.59g)、HOBT(0.68g)およびWSCD(0.78g)を加え、混合物を周囲温度で20時間攪拌した。反応混合物をIPEおよび2%炭酸水素ナトリウムaq.の混合物に攪拌しながら注ぎ入れた。単離した沈殿を濾取して(2R)−N−(シクロヘキシルメチル)−2−[(5−{(1E)−3−オキソ−3−[(テトラヒドロ−2H−ピラン−2−イルオキシ)アミノ]プロパ−1−エン−1−イル}ピラジン−2−イル)アミノ]ブタンアミド(0.82g)を得た。
【0117】
製造例177、178、179、180、181、182、183、184、185、186、187、188、189、190、191、192、193、194、195、196、197、198、261、262、263、264、265、266、267、268、269、270、271、272、273、274、275および276に開示された化合物は、製造例176と同様の方法で得られた。
【0118】
(製造例199)
MeOH(60mL)中の(2E)−3−[5−({(1R)−1−[ベンジルカルバモイル]−4−メチルペンチル}アミノ)ピラジン−2−イル]アクリル酸メチル(1.1g)および1N−NaOH aq.(29mL)の混合物を60℃で3時間攪拌した。反応混合物を1N−HCl aq.(29mL)で中和し、減圧下で蒸発させた。残渣をクロロホルムで2回抽出した。有機層を合わせて硫酸マグネシウムで乾燥し、濾過し、蒸発させた。DMF(20mL)中の残渣にO−(テトラヒドロ−2H−ピラン−2−イル)ヒドロキシルアミン(404mg)、HOBT(388mg)およびWSCD(670mg)を加え、混合物を周囲温度で12時間攪拌した。酢酸エチルおよび水の混合物を反応混合物に注ぎ入れた。水層を分離し、AcOEtで2回抽出した。有機層を合わせて水で2回洗い、硫酸マグネシウムで乾燥し、濾過し、蒸発させた。Yamazen充填カラムを用いて残渣をカラムクロマトグラフィにかけ(35×100mm、クロロホルム/AcOEt)、(2R)−N−ベンジル−2−[(5−{(1E)−3−オキソ−3−[(テトラヒドロ−2H−ピラン−2−イルオキシ)アミノ]プロパ−1−エン−1−イル}ピラジン−2−イル)アミノ]−4−メチルペンタンアミド(883mg)を非晶質として得た。
【0119】
製造例200、201、202および203に開示された化合物は、製造例199と同様の方法で得られた。
【0120】
(製造例204)
MeOH(12mL)中の(2E)−3−[5−({(1R)−2−[ベンジル(メチル)アミノ]−1−メチルエチル}アミノ)−2−ピラジニル]アクリル酸メチル(0.6g)および1N−NaOH aq.(3.5mL)の混合物を55℃で2.5時間攪拌した。反応混合物に対して1N−HCl aq.(3.5mL)で中和し、混合物を真空中で蒸発させた。DMF(10mL)中の残渣にO−(テトラヒドロ−2H−ピラン−2−イル)ヒドロキシルアミン(0.31g)、HOBT(0.36g)およびWSCD(0.41g)を加え、混合物を周囲温度で20時間攪拌した。反応混合物を水に注ぎ入れ、AcOEtおよびTHFの混合物で抽出した。抽出層を水で洗い、硫酸マグネシウムで乾燥し、真空中で蒸発させた。クロロホルムおよびMeOH(19:1v/v)の混合物を溶離液として用いて残渣をシリカゲルクロマトグラフィで精製した。所望の生成物を含有する溶離画分を捕集し、真空中で蒸発させて(2E)−3−[5−({(1R)−2−[ベンジル(メチル)アミノ]−1−メチルエチル}アミノ)−2−ピラジニル]−N−(テトラヒドロ−2H−ピラン−2−イルオキシ)アクリルアミド(0.71g)を得た。
【0121】
製造例205、206、207、208、209、210、211、212、213、214および215に開示された化合物は、製造例204と同様の方法で得られた。
【0122】
(製造例216)
MeOH(7.0mL)およびTHF(7.0mL)の溶液中の(2E)−3−(5−{[2−(2−クロロフェノキシ)エチル]アミノ}−2−ピラジニル)アクリル酸メチル(0.7g)および1N−NaOH aq.(4.2mL)の混合物を50℃で1時間攪拌した。反応混合物に対して1N−HCl aq.(4.2mL)で中和し、混合物を真空中で蒸発させた。
DMF(10.5mL)中の残渣にO−(テトラヒドロ−2H−ピラン−2−イル)ヒドロキシルアミン(0.37g)、HOBT(0.43g)およびWSCD(0.49g)を加え、混合物を周囲温度で20時間攪拌した。反応混合物をAcOEtおよび水の混合物に注ぎ入れた。分離した有機層を水で洗い、硫酸マグネシウムで乾燥し、真空中で蒸発させた。残渣をIPEで粉砕して(2E)−3−(5−{[2−(2−クロロフェノキシ)エチル]アミノ}−2−ピラジニル)−N−(テトラヒドロ−2H−ピラン−2−イルオキシ)アクリルアミド(0.7g)を得た。
【0123】
製造例217、218、219、220、221、222、223、224および225に開示された化合物は、製造例216と同様の方法で得られた。
【0124】
(製造例226)
MeOH(9.4mL)中の(2E)−3−[5−({(1R)−2−[(4−クロロベンゾイル)アミノ]−1−メチルエチル}アミノ)ピラジン−2−イル]アクリル酸メチル(0.47g)および1N−NaOH aq.(3.8mL)の混合物を60℃で2.5時間攪拌した。反応混合物に対して1N−HCl aq.(3.8mL)で中和し、混合物を真空中で蒸発させた。DMF(10mL)中の残渣にO−(テトラヒドロ−2H−ピラン−2−イル)ヒドロキシルアミン(0.22g)、HOBT(0.25g)およびWSCD(0.29g)を加え、混合物を周囲温度で20時間攪拌した。反応混合物を2%炭酸水素ナトリウム水溶液に注ぎ入れ、AcOEtおよびTHFの溶液で抽出した。抽出層を塩水で洗い、硫酸マグネシウムで乾燥し、真空中で蒸発させた。AcOEtおよびTHF(9:1v/v)の混合物を溶離液として用いて、残渣をシリカゲルクロマトグラフィで精製した。所望の生成物を含有する溶離画分を捕集し、真空中で蒸発させて4−クロロ−N−{(2R)−2−[(5−{(1E)−3−オキソ−3−[(テトラヒドロ−2H−ピラン−2−イルオキシ)アミノ]プロパ−1−エン−1−イル}ピラジン−2−イル)アミノ]プロピル}ベンズアミド(0.45g)を得た。
【0125】
製造例227、228、229および230に開示された化合物は、製造例226と同様の方法で得られた。
【0126】
(製造例231)
MeOH(9.0mL)中の(2E)−3−[5−クロロ−6−({(1R)−2−[(シクロヘキシルメチル)アミノ]−1−メチル−2−オキソエチル}アミノ)ピリジン−3−イル]アクリル酸メチル(0.45g)および4N−NaOH aq.(0.89mL)の混合物を55℃で3.5時間攪拌した。反応混合物に対して1N−HCl aq.(3.55mL)で中和し、混合物を真空中で蒸発させた。DMF(9.0mL)中の残渣にO−(テトラヒドロ−2H−ピラン−2−イル)ヒドロキシルアミン(0.21g)、HOBT(0.24g)およびWSCD(0.28g)を加え、混合物を周囲温度で20時間攪拌した。反応混合物をAcOEtおよび水の混合物に注ぎ入れた。分離した有機層を水で洗い、硫酸マグネシウムで乾燥し、真空中で蒸発させた。AcOEtおよびヘキサン(3:1v/v)の混合物を溶離液として用いて、残渣をシリカゲルクロマトグラフィにより精製した。所望の生成物を含有する溶離画分を捕集し、真空中で蒸発させてN2−(3−クロロ−5−{(1E)−3−オキソ−3−[(テトラヒドロ−2H−ピラン−2−イルオキシ)アミノ]プロパ−1−エン−1−イル}ピリジン−2−イル)−N1−(シクロヘキシルメチル)−D−アラニンアミド(0.33g)を得た。
【0127】
製造例232に開示された化合物は、製造例231と同様の方法で得られた。
【0128】
(製造例233)
1)5,6−ジクロロ−N−メトキシ−N−メチルニコチンアミド(4.7g)のトルエン(141.0mL)溶液に0.99M水素化ジイソブチルアルミニウムトルエン溶液(22.2mL)を窒素雰囲気下、−30℃で1滴ずつ加え、混合物を同じ温度で30分間攪拌した。反応混合物をMeOH(4.1mL)でクエンチングし、0℃で30分間攪拌した。(溶液A)
2)(ジメトキシホスホリル)酢酸メチル(3.4mL)のトルエン(103mL)溶液に60%NaH(0.96g)を窒素雰囲気下、20から30℃で少量ずつ加え、混合物を同じ温度で30分間攪拌した。混合物に溶液Aを0から10℃で1滴ずつ加え、混合物を周囲温度で1時間攪拌した。反応混合物をAcOEtおよび水の混合物に注ぎ入れ、1N−HCl aq.でpH2に調節した。分離した有機層を飽和炭酸水素ナトリウムaq.で洗い、硫酸マグネシウムで乾燥し、真空中で蒸発させた。残渣をIPEで粉砕して(2E)−3−(5,6−ジクロロピリジン−3−イル)アクリル酸メチル(2.83g)を得た。
【0129】
(製造例234)
DMF(5.0mL)中の(2E)−3−(5−{[(1R)−2−アミノ−1−メチルエチル]アミノ}ピラジン−2−イル)アクリル酸メチル二塩酸塩(0.52g)、Et3N(0.47mL)、4−クロロ安息香酸(0.32g)、およびHOBT(0.27g)の混合物に1−(3−ジメチルアミノプロピル)−3−エチルカルボジイミド(0.31g)を加え、混合物を周囲温度で18時間攪拌した。反応混合物を水およびIPEに注ぎ入れ、単離した沈殿を濾取して(2E)−3−[5−({(1R)−2−[(4−クロロベンゾイル)アミノ]−1−メチルエチル}アミノ)ピラジン−2−イル]アクリル酸メチル(0.48g)を得た。
【0130】
製造例235および236に開示された化合物は、製造例234と同様の方法で得られた。
【0131】
(製造例237)
ジクロロメタン(10.0mL)中の(2E)−3−(5−{[2−(ベンジルアミノ)エチル]アミノ}−2−ピラジニル)アクリル酸メチル(0.50g)、AcOH(96mg)、およびHOBT(0.24g)の混合物に1−(3−ジメチルアミノプロピル)−3−エチルカルボジイミド(0.27g)を加え、混合物を周囲温度で20時間攪拌した。反応混合物を水に注ぎ入れ、ジクロロメタンで抽出した。抽出層を水で洗い、硫酸マグネシウムで乾燥し、真空中で蒸発させた。残渣をエーテルで粉砕して(2E)−3−[5−({2−[アセチル(ベンジル)アミノ]エチル}アミノ)−2−ピラジニル]アクリル酸メチル(0.47g)を得た。
【0132】
(製造例238)
DMF(20.0mL)中の(2E)−3−{6−[(2−アミノエチル)アミノ]−5−クロロ−3−ピリジニル}アクリル酸エチル二塩酸塩(1.0g)、4−クロロ安息香酸(0.5g)、Et3N(0.85mL)およびHOBT(0.43g)の混合物に1−(3−ジメチルアミノプロピル)−3−エチルカルボジイミド(0.50g)を加え、混合物を周囲温度で20時間攪拌した。反応混合物を飽和炭酸水素ナトリウムaq.およびAcOEtの混合物に注ぎ入れた。分離した有機層を水で洗い、硫酸マグネシウムで乾燥し、真空中で蒸発させた。残渣をIPEおよびヘキサンで粉砕して(2E)−3−[5−クロロ−6−({2−[(4−クロロベンゾイル)アミノ]エチル}アミノ)−3−ピリジニル]アクリル酸エチル(1.18g)を得た。
【0133】
製造例239および240に開示された化合物は、製造例238と同様の方法で得られた。
【0134】
(製造例241)
ジクロロメタン(10mL)中の6−[(2−アミノ−2−メチルプロピル)アミノ]−5−クロロニコチン酸エチル(1.0g)およびEt3N(0.62mL)の混合物に塩化4−フルオロベンゾイル(0.44mL)を氷冷下で1滴ずつ加え、混合物を同じ温度で1.5時間攪拌した。反応混合物を飽和炭酸水素ナトリウムaq.およびクロロホルムの混合物に注ぎ入れた。分離した有機層を水で洗い、硫酸マグネシウムで乾燥し、真空中で蒸発させた。ヘキサンおよびAcOEt(1:1v/v)の混合物を溶離液として用いて残渣をシリカゲルクロマトグラフィで精製した。所望の生成物を含有する溶離画分を捕集し、真空中で蒸発させて5−クロロ−6−({2−[(4−フルオロベンゾイル)アミノ]−2−メチルプロピル}アミノ)ニコチン酸エチル(1.30g)を得た。
【0135】
(製造例242)
MeOH(15.0mL)およびTHF(10.0mL)溶液中の5−クロロ−6−{[2−(4−フルオロフェノキシ)エチル]アミノ}ニコチン酸エチル(1.5g)およびEt3N(0.68mL)に10%パラジウム担持活性炭(1.5g、50%湿重量)を加えた。反応混合物を水素雰囲気下、周囲温度で6時間攪拌した。触媒を濾過して取り除き、濃縮により溶媒を除去した。残渣にAcOEtおよび水の混合物を加えた。分離した有機層を水で洗い、硫酸マグネシウムで乾燥し、真空中で蒸発させた。残渣をIPEおよびヘキサンで粉砕し、6−{[2−(4−フルオロフェノキシ)エチル]アミノ}ニコチン酸エチル(0.78g)を得た。
【0136】
(製造例243)
(2E)−3−[5−({(1R)−2−[(tert−ブトキシカルボニル)アミノ]−1−メチルエチル}アミノ)ピラジン−2−イル]アクリル酸メチル(0.96g)のMeOH(4.8mL)溶液に4N−HCl AcOEt溶液(14.3mL)を加え、混合物を周囲温度で5時間攪拌した。AcOEt(48mL)を加えた後、単離した沈殿を濾取して(2E)−3−(5−{[(1R)−2−アミノ−1−メチルエチル]アミノ}ピラジン−2−イル)アクリル酸メチル二塩酸塩(0.80g)を得た。
【0137】
(製造例244)
(2E)−3−[6−({2−[(tert−ブトキシカルボニル)アミノ]エチル}アミノ)−5−クロロ−3−ピリジニル]アクリル酸エチル(3.8g)のEtOH(38.0mL)溶液に4N−HCl AcOEt溶液(25.7mL)を加え、混合物を周囲温度で4時間攪拌した。IPE(100mL)を加えた後、単離した沈殿を濾取して(2E)−3−{6−[(2−アミノエチル)アミノ]−5−クロロ−3−ピリジニル}アクリル酸エチル二塩酸塩(3.2g)を得た。
【0138】
(製造例277)
2,6−ジクロロ−5−フルオロニコチン酸エチル(820mg)、N−(シクロヘキシルメチル)−D−バリンアミド(914mg)およびEt3N(1.44mL)のDMA(8.2mL)溶液を90℃で5時間攪拌した。反応混合物をAcOEtおよび水の混合物に注ぎ入れた。分離した有機層を7%塩化ナトリウム水溶液で洗い、無水硫酸マグネシウムで乾燥し、濾過し、減圧下で蒸発させた。残渣を高速液体クロマトグラフィによるカラムクロマトグラフィにかけ(Yamazen充填ハイフラッシュカラム、26×150mm(シリカゲル)、ヘキサン/AcOEt=90/10〜40/60)、2−クロロ−6−({(1R)−1−[(シクロヘキシルメチル)カルバモイル]−2−メチルプロピル}アミノ)−5−フルオロニコチン酸エチル(980mg)を得た。
【0139】
(製造例278)
窒素雰囲気下において、2−クロロ−6−({(1R)−1−[(シクロヘキシルメチル)カルバモイル]−2−メチルプロピル}アミノ)−5−フルオロニコチン酸エチル(970mg)、ギ酸アンモニウム(1.03g)およびパラジウム10重量%担持活性炭(水50%)(300mg)のEtOH(19mL)溶液を攪拌しながら45分間還流した。反応混合物を濾過し、減圧下で蒸発させ、AcOEtおよび水の混合物に注ぎ入れた。分離した有機層を5%塩化ナトリウム水溶液で洗い、無水硫酸マグネシウムで乾燥し、濾過し、減圧下で蒸発させて6−({(1R)−1−[(シクロヘキシルメチル)カルバモイル]−2−メチルプロピル}アミノ)−5−フルオロニコチン酸エチル(910mg)を得た。
【0140】
(製造例279)
6−({(1R)−1−[(シクロヘキシルメチル)カルバモイル]−2−メチルプロピル}アミノ)−5−フルオロニコチン酸エチル(300mg)をTHF(2.4mL)およびMeOH(1.2mL)の混合溶媒に溶解した。1M−NaOH aq.(1.58mL)を周囲温度で溶液に加えた。混合物を50℃で1.5時間攪拌した。反応混合物を減圧下で蒸発させ、生成した残渣を水、AcOEtおよびTHFの混合物に注ぎ入れた。1M−HCl aq.で水層のpHを約2に調節した。有機層を分離し、5%塩化ナトリウム水溶液で洗い、無水硫酸マグネシウムで乾燥し、減圧下で蒸発させて6−({(1R)−1−[(シクロヘキシルメチル)カルバモイル]−2−メチルプロピル}アミノ)−5−フルオロニコチン酸(265mg)を得た。
【0141】
(製造例280)
窒素大気圧下において、6−({(1R)−1−[(シクロヘキシルメチル)カルバモイル]−2−メチルプロピル}アミノ)−5−フルオロニコチン酸(260mg)および4−メチルモルホリン(0.122mL)の1,2−ジメトキシエタン(2.6mL)溶液に、クロロ炭酸イソブチル(0.12mL)を攪拌しながら0℃未満で1滴ずつ加え、反応混合物を0℃未満で30分間攪拌した。不溶性物質を濾過により取り除き、NaBH4(98mg)の水(2mL)懸濁液を0℃未満で一度に濾液に加え、混合物を周囲温度で30分間攪拌した。再度NaBH4(80mg)の水(1.5mL)懸濁液を加えた。反応混合物を周囲温度で30分間攪拌し、水、AcOEtおよびTHFの混合溶液に注ぎ入れた。1M−HCl aq.で水層のpHを約2に調節した。有機層を分離し、10%塩化ナトリウム水溶液で洗い、無水硫酸マグネシウムで乾燥し、濾過し、減圧下で蒸発させた。残渣を高速液体クロマトグラフィによるカラムクロマトグラフィにかけ(Yamazen充填ハイフラッシュカラム、20×65mm(シリカゲル)、クロロホルム/MeOH=94/6〜88/12)、N1−(シクロヘキシルメチル)−N2−[3−フルオロ−5−(ヒドロキシメチル)ピリジン−2−イル]−D−バリンアミド(255mg)を得た。
【0142】
(製造例281)
1−(シクロヘキシルメチル)−N2−[3−フルオロ−5−(ヒドロキシメチル)ピリジン−2−イル]−D−バリンアミド(245mg)のAcOEt(5.6mL)溶液に活性化MnO2(568mg)を周囲温度で加えた。70℃で2時間攪拌した後、活性化MnO2(140mg)を混合物に加え、70℃で1時間攪拌した。冷却後、無水硫酸マグネシウムを反応混合物に加え、周囲温度で10分間攪拌した。不溶性物質を濾過により取り除き、AcOEt、クロロホルムで洗った。濾液および洗浄液を合わせ、減圧下で蒸発させた。生成した残渣をトルエンと共に真空中で蒸発させてシロップ状物質を得た。
一方、氷冷した60%水素化ナトリウム(33.4mg)のTHF(4mL)懸濁液に(ジエトキシホスホリル)酢酸エチル(0.16mL)のTHF(1mL)溶液を加え、その後混合物を周囲温度で15分間攪拌した。上記のシロップ状物質を周囲温度で混合物に加え、反応混合物を周囲温度で2時間攪拌した。混合物をAcOEtおよび5%塩化ナトリウム水溶液の混合物に注ぎ入れた。分離した有機層を塩水で洗い、無水硫酸マグネシウムで乾燥し、減圧下で蒸発させた。残渣を高速液体クロマトグラフィによるカラムクロマトグラフィにかけ(Yamazen充填ハイフラッシュカラム、20×65mm(シリカゲル)、ヘキサン/AcOEt=86/14〜34/66)、(2E)−3−[6−({(1R)−1−[(シクロヘキシルメチル)カルバモイル]−2−メチルプロピル}アミノ)−5−フルオロピリジン−3−イル]アクリル酸エチル(247mg)を得た。
【0143】
(製造例282)
(2E)−3−[6−({(1R)−1−[(シクロヘキシルメチル)カルバモイル]−2−メチルプロピル}アミノ)−5−フルオロピリジン−3−イル]アクリル酸エチル(240mg)のMeOH(0.96mL)およびTHF(1.92mL)の混合溶媒溶液に1M−NaOH aq.(1.18mL)を周囲温度で加え、混合物を50℃で1.5時間攪拌した。反応混合物を1M−HCl aq.(1.18mL)で中和し、減圧下で蒸発させた。残渣をAcOEt、THFおよび5%塩化ナトリウム水溶液の混合物に注ぎ入れた。分離した有機層を塩水で洗い、無水硫酸マグネシウムで乾燥し、減圧下で蒸発させた。DMF(3.6mL)中の残渣にO−(テトラヒドロ−2H−ピラン−2−イル)ヒドロキシルアミン(104mg)、HOBT(120mg)およびWSCD(138mg)を周囲温度で加え、混合物を周囲温度で62時間攪拌した。反応混合物をAcOEtおよび水の混合物に注ぎ入れた。分離した有機層を10%塩化ナトリウム水溶液で洗い、無水硫酸マグネシウムで乾燥し、濾過し、減圧下で蒸発させた。残渣を高速液体クロマトグラフィによるカラムクロマトグラフィにかけ(Yamazen充填ハイフラッシュカラム、20×65mm(シリカゲル)、ヘキサン/AcOEt=50/50〜10/90)、無色の泡状物質を得た。得られた泡状物質をAcOEtで粉砕してN1−(シクロヘキシルメチル)−N2−(3−フルオロ−5−{(1E)−3−オキソ−3−[(テトラヒドロ−2H−ピラン−2−イルオキシ)アミノ]プロパ−1−エン−1−イル}ピリジン−2−イル)−D−バリンアミド(229mg)を得た。
【0144】
表2:製造例番号および化学構造
Pr:製造例番号;Str.:化学構造

表2(続き)

表2(続き)

表2(続き)

表2(続き)

表2(続き)

表2(続き)

表2(続き)

表2(続き)

表2(続き)

表2(続き)

表2(続き)

表2(続き)

表2(続き)

表2(続き)

表2(続き)

表2(続き)

表2(続き)

表2(続き)

表2(続き)

表2(続き)

表2(続き)

表2(続き)

表2(続き)

表2(続き)

表2(続き)

表2(続き)

表2(続き)

表2(続き)

表2(続き)

表2(続き)

【0145】
表3:製造法番号および分析データ
Pr:製造法番号;Dat.:分析データ

表3(続き)

表3(続き)

表3(続き)

表3(続き)

表3(続き)

表3(続き)

表3(続き)

表3(続き)

【0146】
(実施例1)
(2E)−3−{5−クロロ−6−[(2−フェノキシエチル)アミノ]−3−ピリジニル}−N−(テトラヒドロ−2H−ピラン−2−イルオキシ)アクリルアミド(0.70g)のEtOH(14mL)溶液に2M HCl EtOH溶液(2.5mL)を加え、混合物を周囲温度で2時間攪拌した。反応混合物にAcOEtを加え、単離した沈殿を濾取して(2E)−3−{5−クロロ−6−[(2−フェノキシエチル)アミノ]−3−ピリジニル}−N−ヒドロキシアクリルアミド塩酸塩(0.54g)を得た。
【0147】
実施例2、5、6、7、8、9、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、25、26、27、28、29、30、31、32、34、35、36、37、38、39、40、45、46、47、48、52および53に開示された化合物は、実施例1と同様の方法で得られた。
【0148】
(実施例3)
4−クロロ−N−{2−[(3−クロロ−5−{(1E)−3−オキソ−3−[(テトラヒドロ−2H−ピラン−2−イルオキシ)アミノ]−1−プロペン−1−イル}−2−ピリジニル)アミノ]エチル}ベンズアミド(0.45g)のEtOH(18mL)溶液に2M HCl EtOH溶液(1.4mL)を加え、混合物を周囲温度で2時間攪拌した。濃縮により溶媒を除去し、残渣をEtOH、THFおよびAcOEtの混合物で粉砕して4−クロロ−N−[2−({3−クロロ−5−[(1E)−3−(ヒドロキシアミノ)−3−オキソ−1−プロペン−1−イル]−2−ピリジニル}アミノ)エチル]ベンズアミド塩酸塩(0.32g)を得た。
【0149】
実施例4および10に開示された化合物は、実施例3と同様の方法で得られた。
【0150】
(実施例24)
1−(シクロヘキシルメチル)−N2−(5−{(1E)−3−オキソ−3−[(テトラヒドロ−2H−ピラン−2−イルオキシ)アミノ]プロパ−1−エン−1−イル}ピラジン−2−イル)−D−アラニンアミド(0.46g)のMeOH(6.9mL)溶液に2M HCl EtOH溶液(1.6mL)を加え、混合物を周囲温度で2.5時間攪拌した。反応混合物にAcOEtおよびIPEの溶液を加え、単離した沈殿を濾取してN1−(シクロヘキシルメチル)−N2−{5−[(1E)−3−(ヒドロキシアミノ)−3−オキソプロパ1−エン−1−イル]ピラジン−2−イル}−D−アラニンアミド塩酸塩(0.17g)を得た。
【0151】
実施例42、43、60、64、65,71、74および96に開示された化合物は、実施例24と同様の方法で得られた。
【0152】
(実施例33)
4−クロロ−N−{(2R)−2−[(5−{(1E)−3−オキソ−3−[(テトラヒドロ−2H−ピラン−2−イルオキシ)アミノ]プロパ−1−エン−1−イル}ピラジン−2−イル)アミノ]プロピル}ベンズアミド(0.42g)のEtOH(8.4mL)溶液に2M HCl EtOH溶液(1.4mL)を加え、混合物を周囲温度で3.5時間攪拌した。反応混合物にAcOEtおよびエーテルの溶液を加え、単離した沈殿を濾取して4−クロロ−N−[(2R)−2−({5−[(1E)−3−(ヒドロキシアミノ)−3−オキソプロパ−1−エン−1−イル]ピラジン−2−イル}アミノ)プロピル]ベンズアミド塩酸塩(0.31g)を得た。
【0153】
実施例41、44および66に開示された化合物は、実施例33と同様の方法で得られた。
【0154】
(実施例49)
2−(3−クロロ−5−{(1E)−3−オキソ−3−[(テトラヒドロ−2H−ピラン−2−イルオキシ)アミノ]プロパ−1−エン−1−イル}ピリジン−2−イル)−N1−(シクロヘキシルメチル)−D−アラニンアミド(0.3g)のEtOH(3.0mL)溶液に2M HCl EtOH溶液(1.3mL)を加え、混合物を周囲温度で3時間攪拌した。濃縮により溶媒を除去し、残渣にAcOEtおよび水の混合物を加えた。飽和炭酸水素ナトリウムaq.で混合物をpH7に調節した。分離した有機層を水で洗い、硫酸マグネシウムで乾燥し、真空中で蒸発させた。残渣をIPEで粉砕してN2−{3−クロロ−5−[(1E)−3−(ヒドロキシアミノ)−3−オキソプロパ−1−エン−1−イル]ピリジン−2−イル}−N1−(シクロヘキシルメチル)−D−アラニンアミド(95mg)を得た。
【0155】
実施例56に開示された化合物は、実施例49と同様の方法で得られた。
【0156】
(実施例50)
(2E)−3−(5−{[(1R)−1−{[ベンジル(メチル)アミノ]メチル}−3−フェニルプロピル]アミノ}ピラジン−2−イル)−N−(テトラヒドロ−2H−ピラン−2−イルオキシ)アクリルアミド(0.8g)のEtOH(4mL)溶液に2M HCl EtOH溶液(3.1mL)を加え、混合物を周囲温度で3時間攪拌した。反応混合物にAcOEtを加え、分離した沈殿を濾取した。沈殿にAcOEt、THFおよび水の混合物を加えた。飽和炭酸水素ナトリウムaq.で混合物をpH8に調節した。分離した有機層を硫酸マグネシウムで乾燥し、真空中で蒸発させた。残渣をIPEで粉砕して(2E)−3−(5−{[(1R)−1−{[ベンジル(メチル)アミノ]メチル}−3−フェニルプロピル]アミノ}ピラジン−2−イル)−N−ヒドロキシアクリルアミド(0.15g)を得た。
【0157】
(実施例51)
(2R)−N−(シクロヘキシルメチル)−2−[(5−{(1E)−3−オキソ−3−[(テトラヒドロ−2H−ピラン−2−イルオキシ)アミノ]プロパ−1−エン−1−イル}ピラジン−2−イル)アミノ]ブタンアミド(0.8g)のEtOH(16mL)溶液に2M HCl EtOH溶液(2.7mL)を加え、混合物を周囲温度で2.5時間溶解した。濃縮により溶媒を除去し、残渣にAcOEtおよび水の混合物を加えた。飽和炭酸水素ナトリウムaq.で混合物をpH5に調節した。分離した有機層を硫酸マグネシウムで乾燥し、真空中で蒸発させた。残渣をエーテルで粉砕して(2R)−N−(シクロヘキシルメチル)−2−({5−[(1E)−3−(ヒドロキシアミノ)−3−オキソプロパ−1−エン−1−イル]ピラジン−2−イル}アミノ)ブタンアミド(0.45g)を得た。
【0158】
実施例54、55、57、58、59、61、62、63、68、69、70、72、73、75、76、77、78、79、80、81、82、83、84、85、86、87、88、89、90、91、92、93、94および95に開示された化合物は、実施例51と同様の方法で得られた。
【0159】
(実施例67)
(2E)−3−[5−({(1R)−2−[(シクロヘキシルアセチル)アミノ]−1−メチルエチル}アミノ)ピラジン−2−イル]−N−(テトラヒドロ−2H−ピラン−2−イルオキシ)アクリルアミド(0.3g)のEtOH(6.0mL)溶液に2M HCl EtOH溶液(1.0mL)を加え、混合物を周囲温度で2.5時間攪拌した。濃縮により溶媒を除去し、残渣にAcOEおよび水の混合物を加えた。飽和炭酸水素ナトリウムaq.で混合物をpH6に調節し、単離した沈殿を濾取して(2E)−3−[5−({(1R)−2−[(シクロヘキシルアセチル)アミノ]−1−メチルエチル}アミノ)ピラジン−2−イル]N−ヒドロキシアクリルアミド(0.21g)を得た。
【0160】
(実施例97)
1−(シクロヘキシルメチル)−N2−(3−フルオロ−5−{(1E)−3−オキソ−3−[(テトラヒドロ−2H−ピラン−2−イルオキシ)アミノ]プロパ−1−エン−1−イル}ピリジン−2−イル)−D−バリンアミド(220mg)のEtOH(3.3mL)溶液に2M−HCl EtOH(0.92mL)溶液を周囲温度で加えた。反応混合物を周囲温度で2時間攪拌し、減圧下で蒸発させた。残渣に水およびAcOEtの混合物を加え、炭酸水素ナトリウム水溶液で水層のpHを約7に調節した。分離した有機層を塩水で洗い、無水硫酸マグネシウムで乾燥し、濾過し、減圧下で蒸発させた。生成した残渣をIPEで粉砕してN1−(シクロヘキシルメチル)−N2−{3−フルオロ−5−[(1E)−3−(ヒドロキシアミノ)−3−オキソプロパ−1−エン−1−イル]ピリジン−2−イル}−D−バリンアミド(120mg)を得た。
【0161】
表4:実施例番号および化学構造
Ex:実施例番号;Str.:化学構造

表4(続き)

表4(続き)

表4(続き)

表4(続き)

表4(続き)

表4(続き)

表4(続き)

表4(続き)

表4(続き)

表4(続き)

表4(続き)

表4(続き)

【0162】
表5:実施例番号および分析データ
Ex:実施例番号;Dat.:分析データ

表5(続き)

表5(続き)

表5(続き)

表5(続き)

表5(続き)

表5(続き)

表5(続き)

表5(続き)

表5(続き)


【特許請求の範囲】
【請求項1】
以下の式(I):
【化11】

(式中
1は水素、置換されてもよい低級アルキル、シクロ(低級)アルキル、シクロ(高級)アルキル、置換されてもよいアリール、置換されてもよいヘテロサイクリル、またはアリール縮合シクロ(低級)アルキルであり、
2は水素またはハロゲンであり、
ZはCHまたはNであり、
Xは
【化12】

であり、
3は−OHもしくは置換されてもよいアリールで置換されてもよい低級アルキル、または低級アルカノイルであり、
4は水素または低級アルキルであり、
Yは置換されてもよいアルキレンである)
を有する化合物またはその医薬的に許容される塩。
【請求項2】
以下の式(I’)の化合物
【化13】

である、請求項1に記載の化合物またはその医薬的に許容される塩。
【請求項3】
1が水素、低級アルキル、シクロ(低級)アルキル(低級)アルキル、シクロ(高級)アルキル(低級)アルキル、置換されてもよいアル(低級)アルキル、ヘテロアリール(低級)アルキル、シクロ(低級)アルキル、シクロ(高級)アルキル、置換されてもよいアリール、低級アルキルヘテロサイクリル、アリール縮合シクロ(低級)アルキルであり、
2が水素またはハロゲンであり、
ZがCHまたはNであり、
Xが
【化14】

であり、
3が−OHまたはハロゲン置換されたアリールで置換されてもよい低級アルキル、または低級アルカノイルであり、
4が水素または低級アルキルであり、
Yがヒドロキシ、アリール、アリール(低級)アルコキシ、または低級アルキルでモノ−またはジ−置換されてもよいカルバモイルで置換されてもよい低級アルキレンである、請求項2に記載の化合物またはその医薬的に許容される塩。
【請求項4】
1がシクロ(低級)アルキル(低級)アルキル、ハロゲン置換されてもよいアル(低級)アルキル、シクロ(低級)アルキル、シクロ(高級)アルキル、またはハロゲン置換されてもよいアリール、
2が水素でZがNである、またはR2がハロゲンでZがCHであり、
Xが
【化15】

であり、
3が低級アルキルまたは低級アルカノイルであり、
4が水素または低級アルキルであり、
Yが低級アルキレンである、請求項3に記載の化合物またはその医薬的に許容される塩。
【請求項5】
1がシクロヘキシルメチル、ベンジル、クロロベンジル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル、アダマンチル、フェニル、またはクロロフェニルであり、
2が水素でZがNである、またはR2がフッ素もしくは塩素でZがCHであり、
Xが
【化16】

であり、
3がメチルまたはアセチルであり、
4が水素またはメチルであり、
Yがエチレン、メチルメチレン、エチルメチレン、イソプロピルメチレン、プロピレン、またはイソブチルメチレンである、請求項4に記載の化合物またはその医薬的に許容される塩。
【請求項6】
請求項1に記載の化合物を含むヒストンデアセチラーゼ阻害剤。
【請求項7】
請求項1に記載の化合物を含む、炎症性障害、糖尿病、糖尿病合併症、ホモ接合型サラセミア、線維症、肝硬変、急性前骨髄球性白血病(APL)、臓器移植拒絶、自己免疫疾患、原生動物感染または腫瘍を治療または予防するための医薬組成物。
【請求項8】
有効成分として請求項1に記載の化合物を、医薬的に許容される、実質的に無毒性の担体または賦形剤とともに含有する医薬組成物。
【請求項9】
医薬としての使用を目的とした請求項1に記載の化合物。
【請求項10】
請求項1に記載の化合物の使用を含む、ヒストンデアセチラーゼを阻害するための方法。
【請求項11】
ヒストンデアセチラーゼを阻害するための医薬の製造を目的とした請求項1に記載の化合物の使用。
【請求項12】
請求項1に記載の化合物の有効量をヒトまたは動物に対して投与することを含む、炎症性障害、糖尿病、糖尿病合併症、ホモ接合型サラセミア、線維症、肝硬変、急性前骨髄球性白血病(APL)、臓器移植拒絶、自己免疫疾患、原生動物感染または腫瘍を治療または予防するための方法。
【請求項13】
炎症性障害、糖尿病、糖尿病合併症、ホモ接合型サラセミア、線維症、肝硬変、急性前骨髄球性白血病(APL)、臓器移植拒絶、自己免疫疾患、原生動物感染または腫瘍を治療または予防するための医薬を製造するための請求項1に記載の化合物の使用。
【請求項14】
請求項1に記載の医薬組成物およびそれに関連する文書(該文書は、該医薬組成物を炎症性障害、糖尿病、糖尿病合併症、ホモ接合型サラセミア、線維症、肝硬変、急性前骨髄球性白血病(APL)、臓器移植拒絶、自己免疫疾患、原生動物感染または腫瘍を治療または予防するために使用することができるもしくは使用されるべきであると述べている)を含む市販用パッケージ。

【公表番号】特表2010−513223(P2010−513223A)
【公表日】平成22年4月30日(2010.4.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−524037(P2009−524037)
【出願日】平成19年12月14日(2007.12.14)
【国際出願番号】PCT/JP2007/074605
【国際公開番号】WO2008/075757
【国際公開日】平成20年6月26日(2008.6.26)
【出願人】(000006677)アステラス製薬株式会社 (274)
【Fターム(参考)】