説明

N−フェニル−N−(4−ピペリジニル)アミド塩の製造方法

【化1】


本発明は、N-フェニル-N-(4-ピペリジニル)アミド塩、特に、化合物レミフェンタニル(remifentanil)の製薬上許容される付加塩の製造方法に関する。該製造方法においては、式(III)の化合物を式CH2=CH-C(O)-ORのアクリル酸アルキルエステルと反応させ[ここで、互いに独立して、Rは低分子量アルキル、好ましくは(C1-4)-アルキル、好ましくはメチルまたはエチルを示す;R1は、低分子量アルキル、好ましくは(C1-4)-アルキル、好ましくはメチルまたはエチルを示す;HXは、無機もしくは有機酸を示す]、ここで、それらの成分を、場合によっては、触媒の存在下、好ましくは高温で反応させて、式(I)の化合物の塩を得る。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、選択されたN-フェニル-N-(4-ピペリジニル)アミド塩、特に化合物レミフェンタニル(remifentanil)の塩、特に塩酸レミフェンタニルの製造に関する。
【背景技術】
【0002】
EP 0 383 579(Glaxo Welcome Inc., 1990年8月22日公開)には、N-フェニル-N-(4-ピペリジニル)アミドおよびそれらの塩ならびにそれらの製造が記載されている。特に式(I)の化合物およびそれらの塩:
【化1】

【0003】
(式中、RおよびR1は、互いに独立して、低分子量アルキルを示す)が記載されている。レミフェンタニルは、Rがメチルを示しR1がエチルを示す式(I)の化合物に相当する。
【0004】
式(I)の化合物は、麻酔薬として使用される合成オピオイドである。式(I)の化合物の塩の好ましい製造方法は、アザ-マイケル付加による式(II)の化合物をアルキル化し、生じた式(I)の化合物から製薬上許容される塩、好ましくは塩酸塩へ変換するものである。
【化2】

【0005】
マイケルアクセプター、例えばアクリル酸誘導体[例えば、CH2=CH-C(O)-OR]の存在下の、式(II)の化合物の遊離アミンから出発するアザ-マイケル付加の方法は、重大な欠点を有する。例えば、J. Med. Chem. 32, p. 968 (1989)によると、第2級ピペリジン窒素原子上のR1-C(O)置換基の分子内置換が式(II)のピペリジン化合物の反応において観察されており、これは、除去するのが困難な望ましくない副生成物を与える。さらに、式(I)の化合物は液体形態で得られ、クロマトグラフィーにより精製され、ついで塩に変換されるが、これは高い経費を要する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】EP 0 383 579
【非特許文献】
【0007】
【非特許文献1】J. Med. Chem. 32, p. 968 (1989)
【発明の概要】
【0008】
驚くべきことに、まず、式(II)の化合物を塩に変換し、その塩をアザ-マイケル付加により式(I)の望ましい塩に直接的に変換することが可能であり、そのようにして得られる式(I)の化合物の塩は純粋な形態で直接的に得られることが、本発明において見出された。この一工程の方法は実施が簡便であり、さらに、第2級ピペリジン窒素原子上のR1-C(O)置換基の分子内置換が生じないという驚くべき利点を有する。また、例えば遊離ピペリジン窒素の攻撃により1つの分子のエステル基がアミドに変換することによる、化合物(II)の2つの分子が二量体化する二量体化反応や、式(III)の化合物に存在するエステル基の鹸化のような他の望ましくない副反応が生じない。これらの特性は特に重要である。なぜなら、式(I)の化合物は非常に強力な活性成分のクラスに属し、それらの製造において安全性の理由により追加的な費用が特定の条件に伴うため、該方法には相当高い経費を要するからである。
【0009】
また、反応を促進させるために触媒量の触媒、例えば塩基を反応混合物に加えることが可能であるが、本発明の方法は触媒の添加を伴うことなく進行することも驚くべきことである。必要に応じて、その後それ自体公知の方法で該塩から式(I)の純粋な化合物を得ることが可能である。
【0010】
本発明は特許請求の範囲において定義されている。特に、本発明は、N-フェニル-N-(4-ピペリジニル)アミド塩、特に、化合物レミフェンタニル(remifentanil)の製薬上許容される付加塩、特に塩酸レミフェンタニルの製造方法であって、式(III)の化合物を式CH2=CH-C(O)-ORのアクリル酸アルキルエステルと反応させることを特徴とし:
【化3】

【0011】
[式中、置換基Rは、互いに独立して、低分子量アルキル、好ましくは(C1-4)-アルキル、好ましくはメチルまたはエチル、好ましくはメチルを示す;
R1は、低分子量アルキル、好ましくは(C1-4)-アルキル、好ましくはメチルまたはエチル、好ましくはエチルを示す;
HXは、無機もしくは有機酸、好ましくはハロゲン化水素、好ましくはHBr、HI、HCl、好ましくはHCl、または有機モノ-もしくはジ-カルボン酸、好ましくはシュウ酸を示す]、
該成分を、場合によっては、触媒の存在下、好ましくは高温で反応させ、ついで該反応混合物を冷却し、式(I)の化合物の塩を得る、製造方法に関する。
【0012】
本発明はまた、結晶または非晶質形態で直接的に得られる、本発明に従い製造された式(I)の化合物の塩に関する。
【0013】
本発明に従い製造された式(I)の化合物の塩は、本発明に従い製造された式(I)の化合物の塩をそれ自体公知の方法で式(I)の化合物の遊離塩基に変換することにより式(I)の化合物の遊離塩基を製造するためにも使用されうる。
【0014】
本発明はまた、本発明に従い製造された式(I)の化合物の塩をそれ自体公知の方法で式(I)の化合物に変換することを特徴とする、式(I)の化合物の遊離塩基の製造方法に関する。
【発明を実施するための形態】
【0015】
好ましくは、式(III)の化合物においてR = メチル、R1 = エチルおよびHX = HClである塩酸レミフェンタニルを製造する。
【0016】
本発明の方法の重要な利点は、式(III)の化合物が結晶または非晶質固体の形態であり、一工程で最終生成物を与えることである。これに関して、式(III)の化合物を式CH2=CH-C(O)-ORのアクリル酸アルキルエステルと直接的に反応させることが可能であり、該アクリル酸アルキルエステル、好ましくはアクリル酸メチルエステルを溶媒として使用することが可能である。しかし、式(III)の化合物の量に対して約1〜10当量の量で該アクリル酸エステルを含有する適当な不活性溶媒を使用することが好ましい。
【0017】
式(III)の化合物と式CH2=CH-C(O)-ORのアクリル酸アルキルエステルとの反応のための適当な不活性溶媒としては、好ましくは、アルコール、例えばメタノール、エタノール、n-プロパノール、イソプロパノール、ブタノール;またはエーテル、例えばtert-ブチルメチルエーテル;またはテトラヒドロフラン(THF);またはアセトニトリル;または溶媒として適した他の化合物、あるいはそれらの化合物の混合物が使用される。適当な不活性溶媒またはそのような溶媒の混合物の選択は当業者により容易に最適化されうる。
【0018】
それにより式(III)の化合物を該不活性溶媒または不活性溶媒の混合物に溶解または懸濁させ、式(III)の化合物のモル量に対して少なくとも等モル量のアクリル酸アルキルエステル、そしてまた場合によっては触媒をそれに加える。該アクリル酸エステルは、好ましくは、式(III)の化合物の量に対して約1〜10当量の量、好ましくは約3〜10当量の量、好ましくは約3〜6当量の量、特に約5当量の量で使用される。溶媒とアクリル酸アルキルエステルとの重量比は、好ましくは8:2〜2:8の範囲、好ましくは6:4〜4:6の範囲である。
【0019】
該反応混合物を十分に長い時間にわたって高温で攪拌し、それにより、式(I)の化合物を直ちにおよび/または該反応混合物の冷却下に結晶または非晶質形態で得、濾取することが可能である。好ましくは、該反応混合物を、該反応混合物の沸点に応じて約20〜120℃の範囲の温度、好ましくは約50〜80℃の範囲の温度で約1時間〜48時間、好ましくは約4〜6時間処理する。生じる化合物(I)の塩は一般に、直ちにまたは該反応混合物の冷却下に結晶または非晶質形態で得られる。
【0020】
好ましくは、該反応混合物に触媒を加える。適当な触媒の添加は反応速度を著しく加速させる。適当な触媒としては、例えば、金属炭酸塩、例えば炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸リチウム、炭酸マグネシウム、炭酸カルシウム;第3級アミン、例えばトリエチルアミン、N-メチルモルホリン、ヒューニヒ(Huenig)塩基(エチルジイソプロピルアミン)、N,N-ジメチルベンジルアミン;塩基性無機水酸化物、例えば酸化アルミニウム、酸化カルシウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化リチウム;塩基性イオン交換体、例えばAmberlyst A21が挙げられる。
【0021】
該触媒、例えば第3級アミンの濃度は、好ましくは、使用される式(III)の化合物1 mol当たり1〜10 mol%、約3〜5 mol%の範囲である。前記のその他の触媒の最適濃度は当業者により容易に決定されうる。
【0022】
本発明を行うためには、該方法は、好ましくは、以下のとおりである。式(III)の化合物および触媒量の塩基、例えばトリエチルアミンを有機溶媒に溶解または懸濁させる。ついでアクリル酸アルキルエステルを加える。該懸濁液を沸点で約4〜6時間加熱する。室温に冷却後、該生成物、すなわち、式(I)の塩を、場合によっては逆溶媒、例えばtert-ブチルメチルエーテルの添加の後、直接的に濾取する。このようにして、一般に、99%を超える(> 99%)純度を有する生成物が得られる。粗生成物としての該湿潤生成物を、好ましくは、有機溶媒に熱時溶解し、逆溶媒の添加により結晶化させる。このようにして、一般に、99.5%を超える(> 99.5%)純度を有する生成物が得られる。
【0023】
以下の実施例は、本発明を限定することなく本発明を例示するものである。
【実施例】
【0024】
実施例1
トリエチルアミン(9 mg, 0.09 mmol) およびイソプロパノール (1.5 ml) を、R = メチル、R1 = エチルおよびHX = HClである0.981 g (3.0 mmol)の式(III)の化合物に加える。ついでアクリル酸メチル(1.35 ml, 15.0 mmol) を加える。該懸濁液を沸点で24時間加熱する。室温(22℃)に冷却後、沈殿物を濾取し、イソプロパノール (3 ml)で洗浄する。該湿潤生成物である塩酸レミフェンタニルを真空中(70℃)で乾燥させる。1.03 g (82%) の塩酸レミフェンタニルを無色固体の形態で> 99%の純度で得る。
【0025】
実施例2
トリエチルアミン(3 mg, 0.03 mmol) およびイソプロパノール (1 ml) を、R = メチル、R1 = エチルおよびHX = HClである0.327 g (1.0 mmol)の式(III)の化合物に加える。ついでアクリル酸メチル(0.45 ml, 5.0 mmol) を加える。該懸濁液を沸点で24時間加熱する。室温(22℃)に冷却後、tert-ブチルメチルエーテル (5 ml) を加え、攪拌を室温(22℃)で1時間行う。ついで沈殿物を濾取し、tert-ブチルメチルエーテル (2 ml)で洗浄する。該湿潤生成物であるレミフェンタニル粗製物 (339mg) をイソプロパノール (4 ml) 中に取り、沸点で加熱し(0.5時間)、濾過による清澄化を行う。該混合物を一晩(16時間)放置して冷却する。沈殿物を濾取し、イソプロパノール (1 ml)で洗浄し、該湿潤生成物を真空中で乾燥させる(70℃、24時間)。267 mg (65%) の乾燥生成物レミフェンタニルを無色固体の形態で得る。純度 > 99.5%。
【0026】
実施例3
炭酸カリウム (0.7 mg, 0.005 mmol) およびイソプロパノール (1 ml) を、R = メチル、R1 = エチルおよびHX = HClである0.327 g (1.0 mmol) の式(III)の化合物に加える。ついでアクリル酸メチル(0.45 ml, 5.0 mmol) を加える。該懸濁液を沸点で24時間加熱する。室温(RT)に冷却後、tert-ブチルメチルエーテル (5 ml) を加え、攪拌をRTで1時間行う。ついで沈殿物を濾取し、tert-ブチルメチルエーテル (5 ml)で洗浄する。218 mg (53%)のレミフェンタニルを無色固体の形態で得る。純度 > 99%。
【0027】
実施例4
炭酸カリウム (1.4 mg, 0.01 mmol) およびメタノール (1 ml) を、R = メチル、R1 = エチルおよびHX = HClである0.327 g (1.0 mmol) の式(III)の化合物に加える。ついでアクリル酸メチル(0.45 ml, 5.0 mmol) を加える。該懸濁液を沸点で25時間加熱する。室温(RT)に冷却後、tert-ブチルメチルエーテル (5 ml) を加え、攪拌をRTで2時間行う。ついで沈殿物を濾取し、tert-ブチルメチルエーテル (5 ml)で洗浄する。303 mg (73%)のレミフェンタニルを無色固体の形態で得る。純度 > 99%。
【0028】
実施例5
炭酸ナトリウム (3.2 mg, 0.03 mmol) およびイソプロパノール (3 ml) を、R = メチル、R1 = エチルおよびHX = HClである0.981 g (3.0 mmol) の式(III)の化合物に加える。ついでアクリル酸メチル(1.35 ml, 15.0 mmol) を加える。該懸濁液を沸点で24時間加熱する。室温(RT)に冷却後、tert-ブチルメチルエーテル (15 ml) を加え、攪拌をRTで0.5時間行う。ついで沈殿物を濾取し、tert-ブチルメチルエーテル (6 ml)で洗浄する。1.196 g (97%)のレミフェンタニルを無色固体の形態で得る。純度 > 99%。
【0029】
実施例6
トリエチルアミン(126 mg, 1.25 mmol) およびメタノール (12.5 ml) を、R = メチル、R1 = エチルおよびHX = HClである8.17 g (10.0 mmol)の式(III)の化合物に加える。ついでアクリル酸メチル(11.3 ml, 125 mmol) を加える。該溶液を沸点で6時間加熱する。室温(RT)に冷却後、該懸濁液を室温で更に16時間攪拌する。ついでtert-ブチルメチルエーテル (12.5 ml) を加え、該懸濁液を0〜5℃に冷却する。その温度で1時間後、沈殿物を濾取し、tert-ブチルメチルエーテル (25 ml)で洗浄する。該湿潤生成物であるレミフェンタニル粗製物 (9.095 mg) をメタノール (25 ml) 中に取り、沸点で加熱し(1時間)、濾過による清澄化を行う。室温に冷却(1時間)後、tert-ブチルメチルエーテル (25 ml) を加える。該懸濁液を0〜5℃に冷却し、その温度で1時間攪拌する。沈殿物を濾取し、tert-ブチルメチルエーテル (25 ml)で洗浄し、該湿潤生成物を真空中で乾燥させる(50℃、15時間)。8.522 g (83%) の乾燥生成物レミフェンタニルAPIを無色固体の形態で得る。純度 > 99.5%。
【0030】
実施例7
トリエチルアミン(126 mg, 1.25 mmol) およびメタノール (12.5 ml) を、R = メチル、R1 = エチルおよびHX = HClである8.17 g (10.0 mmol)の式(III)の化合物に加える。ついでアクリル酸メチル(11.3 ml, 125 mmol) を加える。該溶液を50℃の内部温度で6時間加熱する。室温に冷却後、該懸濁液を室温で更に16時間攪拌する。該懸濁液を0〜5℃に冷却する。その温度で1時間後、沈殿物を濾取し、tert-ブチルメチルエーテル (25 ml)で洗浄する。該湿潤生成物であるレミフェンタニル粗製物 (8.333 mg) をメタノール (25 ml) 中に取り、沸点で加熱し(1時間)、濾過による清澄化を行う。室温に冷却後、tert-ブチルメチルエーテル (12.5 ml) を加える。該懸濁液を0〜5℃に冷却し、その温度で1時間攪拌する。沈殿物を濾取し、tert-ブチルメチルエーテル (25 ml)で洗浄し、該湿潤生成物を真空中で乾燥させる(50℃、18時間)。7.648 g (74%) の乾燥生成物レミフェンタニルAPIを無色固体の形態で得る。純度 > 99.5%。
【0031】
実施例8
メタノール (5 ml) およびアクリル酸メチル (4.5 ml, 50 mmol) を、R = メチル、R1 = エチルおよびHX = HClである3.27 g (10 mmol) の式(III)の化合物に加える。加熱を50℃の内部温度で47.5時間行う。ついで該混合物を0〜5℃に冷却し、該懸濁液を0〜5℃で1時間攪拌する。ついで沈殿物を濾取し、tert-ブチルメチルエーテル (10 ml)で洗浄する。3.381 g (82%) のレミフェンタニルを無色固体の形態で得る。純度 > 99%。
【0032】
実施例9
トリエチルアミン(51 mg, 0.5 mmol) およびアセトニトリル(5 ml)を、R = メチル、R1 = エチルおよびHX = HClである3.27 g(10 mmol) の式(III)の化合物に加える。ついでアクリル酸メチル(4.5 ml, 50 mmol)を加える。加熱を50℃の内部温度で21.5時間行う。ついで該混合物を0〜5℃に冷却し、該懸濁液を0〜5℃で1時間攪拌する。ついで沈殿物を濾取し、tert-ブチルメチルエーテル(10 ml)で洗浄する。3.617 g(88%) のレミフェンタニルを無色固体の形態で得る。純度 > 98%。
【0033】
実施例10
トリエチルアミン(51 mg, 0.5 mmol) およびメタノール(5 ml)を、R = メチル、R1 = エチルおよびHX = HClである3.27 g(10 mmol) の式(III)の化合物に加える。ついでアクリル酸メチル(4.5 ml, 50 mmol)を加える。攪拌を室温で18時間行う。ついで該混合物を0〜5℃に冷却し、該懸濁液を0〜5℃で45分間攪拌する。ついで沈殿物を濾取し、tert-ブチルメチルエーテル(10 ml)で洗浄する。3.243 g(79%) のレミフェンタニルを無色固体の形態で得る。純度 > 98%。
【0034】
実施例11
トリエチルアミン(51 mg, 0.5 mmol) およびアクリル酸メチル(4.5 ml, 50 mmol)を、R = メチル、R1 = エチルおよびHX = HClである3.27 g(10 mmol) の式(III)の化合物に加える。加熱を50℃の内部温度で22時間行う。ついで該混合物を室温に冷却し、該懸濁液を室温で30分間攪拌する。ついで沈殿物を濾取し、tert-ブチルメチルエーテル(10 ml)で洗浄する。3.512 g(85%) のレミフェンタニルを無色固体の形態で得る。純度 > 97%。
【0035】
実施例12
Amberlyst A21(500 mg) およびメタノール(5 ml)を、R = メチル、R1 = エチルおよびHX = HClである3.27 g(10 mmol) の式(III)の化合物に加える。ついでアクリル酸メチル(4.5 ml, 50 mmol) を加える。加熱を50℃の内部温度で6.5時間行う。ついで50℃で熱時濾過を行う。濾液を0〜5℃に冷却し、該懸濁液を0〜5℃で15分間攪拌する。ついで沈殿物を濾取し、tert-ブチルメチルエーテル(10 ml)で洗浄する。2.442 g(59%) のレミフェンタニルを無色固体の形態で得る。純度 > 99%。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
N-フェニル-N-(4-ピペリジニル)アミド塩、特に、化合物レミフェンタニルの製薬上許容される付加塩の製造方法であって、
式(III)の化合物を式CH2=CH-C(O)-ORのアクリル酸アルキルエステルと反応させることを特徴とし:
【化1】

[式中、置換基Rは、互いに独立して、低分子量アルキル、好ましくは(C1-4)-アルキル、好ましくはメチルまたはエチルを示す;
R1は、低分子量アルキル、好ましくは(C1-4)-アルキル、好ましくはメチルまたはエチルを示す;
HXは、無機もしくは有機酸を示す]、
該成分を、場合によっては、触媒の存在下、好ましくは高温で反応させ、式(I)の化合物の塩を得る、上記方法。
【請求項2】
Rがメチルを示し、R1がエチルを示し、HXがハロゲン化水素、好ましくはHBr、HI、HCl、好ましくはHCl、または有機モノ-もしくはジ-カルボン酸、好ましくはシュウ酸を示す、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
Rがメチルを示し、R1がエチルを示し、HXがHClを示す、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
式(III)の化合物を式CH2=CH-C(O)-ORのアクリル酸アルキルエステルと反応させ、該アクリル酸アルキルエステルを溶媒として使用する、請求項1〜3のいずれか1項に記載の方法。
【請求項5】
式(III)の化合物を適当な不活性溶媒中でアクリル酸アルキルエステルと反応させ、該溶媒が、好ましくはアルコール、好ましくはメタノール、エタノール、n-プロパノール、イソプロパノール、ブタノール;もしくはエーテル、好ましくはtert-ブチルメチルエーテル;もしくはテトラヒドロフラン(THF);もしくはアセトニトリル;またはそれらの化合物の混合物である、請求項1〜3のいずれか1項に記載の方法。
【請求項6】
不活性溶媒または不活性溶媒の混合物が、式(III)の化合物の量に対して少なくとも等モル量、好ましくは1〜10当量の量、好ましくは3〜10当量の量、好ましくは約3〜6当量の量、特に約5当量の量のアクリル酸アルキルエステルを含有する、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
反応を適当な触媒の存在下で行い、触媒が、金属炭酸塩、好ましくは炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸リチウム、炭酸マグネシウム、炭酸カルシウム;第3級アミン、好ましくはトリエチルアミン、N-メチルモルホリン、ヒューニヒ塩基(エチルジイソプロピルアミン)、N,N-ジメチルベンジルアミン;塩基性無機水酸化物、好ましくは酸化アルミニウム、酸化カルシウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化リチウム;塩基性イオン交換体、好ましくはAmberlyst A21を含む群から選択される、請求項1〜6のいずれか1項に記載の方法。
【請求項8】
触媒の濃度が、使用される式(III)の化合物1 mol当たり1〜10 mol%、好ましくは約3〜5 mol%の範囲である、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
反応混合物を、約20〜120℃の範囲の温度、好ましくは約50〜80℃の範囲の温度で、約1時間〜48時間、好ましくは約4〜6時間にわたって処理する、請求項1〜8のいずれか1項に記載の方法。
【請求項10】
請求項1〜9のいずれか1項に従い製造された、結晶または非晶質形態の式(I)の化合物の塩。
【請求項11】
式(I)の化合物の塩をそれ自体公知の方法で式(I)の化合物の遊離塩基に変換することによる、式(I)の化合物の遊離塩基の製造における、請求項1〜9のいずれか1項に従い製造された式(I)の化合物の塩の使用。
【請求項12】
請求項1〜9のいずれか1項に従い製造された式(I)の化合物の塩をそれ自体公知の方法で式(I)の化合物の遊離塩基に変換することを特徴とする、式(I)の化合物の遊離塩基の製造方法。

【公表番号】特表2011−526257(P2011−526257A)
【公表日】平成23年10月6日(2011.10.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−515118(P2011−515118)
【出願日】平成20年7月3日(2008.7.3)
【国際出願番号】PCT/EP2008/005418
【国際公開番号】WO2010/000282
【国際公開日】平成22年1月7日(2010.1.7)
【出願人】(503061533)シラグ アーゲー (2)
【Fターム(参考)】