説明

N−ベンジル置換ピリジルポルフィリン化合物およびその使用方法

本発明は、N−ベンジル置換ピリジルポルフィリン化合物、N−ベンジル置換ピリジルポルフィリン化合物の有効量を含む組成物ならびにN−ベンジル置換ピリジルポルフィリン化合物の有効量を、それを必要とする対象に投与する工程を含む、反応性種への暴露による傷害、勃起障害、尿失禁、肺疾患、高酸素症、神経変性疾患、肝臓疾患、心筋保護中の心筋損傷、炎症状態、再潅流傷害、虚血状態、心疾患、糖尿病、糖尿病性合併症、癌、癌化学療法の副作用、もしくは放射線誘発傷害の治療または予防方法および酸化傾向のある化合物の半減期を延長する方法に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、その全体の開示を本願に援用する2005年9月28日出願の米国特許仮出願第60/721388号の利益を主張する。
本発明は、N−ベンジル置換ピリジルポルフィリン化合物、N−ベンジル置換ピリジルポルフィリン化合物の有効量を含む組成物ならびにN−ベンジル置換ピリジルポルフィリン化合物の有効量を、それを必要とする対象に投与する工程を含む、反応性種への暴露による傷害、勃起障害、尿失禁、肺疾患、高酸素症、神経変性疾患、肝臓疾患、心筋保護中の心筋損傷、炎症状態、再潅流傷害、虚血状態、心疾患、糖尿病、糖尿病性合併症、癌、癌化学療法の副作用、もしくは放射線誘発傷害の治療または予防方法および酸化傾向のある化合物の半減期を延長する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
オキシダントは、細胞代謝の正常な副生成物である。しかしながら、反応性酸素種、例えば、超酸化物(「O」)およびOから形成される反応性中間体は、生物学的目標を損傷することが知られている。例えば、ジェイ リーら(J.Lee et al.)、J.Am.Chem.Soc.第120巻:7493〜7501ページ(1998年)は、反応性酸素および窒素種が、ミトコンドリア呼吸作用およびアポトーシスの調節および抑制で或る役割を演じることを開示している。
【0003】
エス クッツオクレアら(S.Cuzzocrea et al.)、Pharm.Rev.、第53巻:135〜159ページ(2001年)は、酸素から誘導される生物学的に関連性のある遊離基は、O、ペルヒドロキシル基(「HO」)、および一酸化窒素(「NO」)を含むことを開示している。Oの1つの源は、虚血後の再潅流中にOを産生する炎症誘発性サイトカンである。この参考文献は、NOとOとの反応が下記の反応により反応性ペルオキシ亜硝酸塩イオン(「ONOO」)を形成することを開示している。この参考文献は、さらに、ONOOの形成が、NOおよびOの細胞傷害性潜在力を高めることを開示している。
【0004】
NO+O → ONOO
動物においては、超酸化物ジスムターゼ(「SOD」)はこれらの反応性種の効果に対抗する。SODは、下記の反応によりOの過酸化水素および酸素への転換を触媒する金属酵素である。
【0005】
2O+2H → H+O
或種の合成金属大員環(metallomacrocyle)もまた、反応種のさらに反応性の低い生成物への変換を触媒することを報告している。米国特許第6204259号(リリーら(Riley et al.))は、Mn(II)またはMn(III)金属を含むペンタアザ大員環が、Oの酸素および過酸化水素への転換を触媒することができることを開示している。
【0006】
スパソジェビックら(Spasojevic et al.)、Biology and Chemistry 4(5):526〜533ページ(2000年)は、マンガン(II)およびマンガン(III)のテトラキス−5,10,15,20−(2−N−エチルピリジニウム)ポルフィリナト錯体が酸素の触媒的捕獲剤であることを開示している。
【0007】
ジェイ リーら(J.Lee et al.)、J.Am.Chem.Soc.第120巻:7493〜7501ページ(1998年)は、OおよびONOOが、金属ポルフィリン5,10,15,20−テトラキス(N−メチル−4−ピリジル)ポルフィナト鉄(III)により分解されることを開示している。
【0008】
リーら(Lee et al.)、Bioorg.Med.Chem.Letters 第7巻:2913〜2918ページ(1997年)は、5,10,15,20−テトラキス(N−メチル−4−ピリジニウム)ポルフィナトマンガン(III)が、ビタミンC、グルチオネート、およびビタミンE等の生物学的耐酸化剤の存在下でONOOの還元を触媒することを開示している。
【0009】
米国特許第5630137号(ニューエンら(Nguyen et al.))は、金属ポルフィリンとの組合せでSODを含む化粧品組成物を開示している。この組成物は、遊離基が原因の皮膚および毛髪障害を治療するのに有用であるとされている。この特許は、SODの耐遊離基作用を強化するとされている天然産金属ポルフィリン、例えば、クロロフィル、クロロフィリンおよびヘモグロビン等の使用を開示している。
【0010】
ドイツ特許公開DE19647640A1は、2つの金属ポルフィリン化合物が、ポルフィリン環のメソ位で共有結合する金属ポルフィリン二量体を開示している。この特許公開は、二量体が酸素−輸送方法を触媒するのに有用であると主張している。
【0011】
国際公開第99/55388号パンフレットは、メソ置換基がエステル、アルキル、ハロゲン化アルキル、およびアミド基である、メソ置換金属ポルフィリン錯体を開示している。この公開公報は、さらに、その様な化合物が、オキシダントの細胞水準およびこれらのオキシダントが加わる経過を調節するのに有用であると主張している。
【0012】
金属ポルフィリンはまた、二重螺旋(quadraplex)DNAに結合することによりテロメラーゼ活性を阻害することが報告されている。例えば、シーら(Shi et al.)、J.Med.Chem.第44巻:4509〜4523ページ(2002年)は、メソ−テトラキス(N−メチルピリジニウム)金属ポルフィリンのカチオン形態がDNAの二重螺旋構造と相互作用することを開示している。
【0013】
米国特許第6087493号明細書(ホイールハウスら(Wheelhouse et al.))は、ピリジル環の窒素原子が、水素、アルキル、アルキルヒドロキシ、アルキルアミン、アルキルアセテートまたはアルキルスルフェート基で置換されたメソ−テトラキス(ピリジル)金属ポルフィリンを開示している。この特許は、その様な化合物がテロメラーゼ阻害剤として有用であると主張している。
【0014】
米国特許第6204259号明細書(リリーら(Riley et al.))は、Mn(II)またはMn(III)金属を含むペンタアザ大員環が、炎症疾患状態および再潅流傷害の治療に有用であるとされていることを開示している。
【0015】
米国特許第6127356号明細書(クラポら(Crapo et al.))は、メソ置換基がアリール、置換アリール、シクロアルキル、4−ピリジルまたはN−置換4−ピリジル基である、メソ−置換金属ポルフィリンを開示している。この特許は、ピリジル環の窒素原子が、アルキル基、アルキルヒドロキシ、アルキルアミン、アルキルカルボキシレート、アルキルスルフェートまたはアルキルホスフェートで置換されたメソ−テトラキス(ピリジニウム)金属ポルフィリンをさらに開示している。この特許は、開示されている金属ポルフィリンがSODの模倣体として作用すると主張している。
【0016】
ミスコら(Misko et al.)、J.Biol.Chem.第273巻:15646〜15653ページ(1998年)は、5,10,15,20−テトラキス(N−メチル−4−ピリジニウム)ポルフィナト鉄(III)が、ONOOの硝酸塩への転換を触媒することを開示している。この著者はまた、5,10,15,20−テトラキス(N−メチル−4−ピリジニウム)ポルフィナト鉄(III)が、炎症の部位の細胞損傷を低減するのに有用であるとされていることを開示している。
【0017】
国際公開第00/75144A2号パンフレットは、ピリジル部分が、窒素原子に関わるピリジル環の2(「オルト」)、3(「メタ」)または4(「パラ」)位でポルフィリン環のメソ炭素原子に結合する、5,10,15,20−テトラキス(N−アルキルピリジニウム)金属ポルフィリンを開示している。この公開公報は、メソ−テトラキス(N−アルキルピリジニウム)金属ポルフィリンが、関節炎、炎症性腸疾患および急性呼吸器疾患症候群を含む炎症性疾患を治療するため、および虚血再潅流傷害の治療のために有用であると主張している。
【0018】
米国特許第5994339号明細書(クラポら(Crapo et al.))は、ピリジル環の窒素原子が、アルキル、アルキルヒドロキシ、アルキルアミン、アルキルカルボキシレート、アルキルスルフェートまたはアルキルホスフェート基で置換された、Mn−、Fe−およびCu−を基にした5,10,15,20−テトラキス(N−アルキル−4−ピリジニウム)金属ポルフィリンを開示している。この特許は、また、5,10,15,20−テトラキス(N−アルキル−4−ピリジニウム)金属ポルフィリンが、SODの模倣体として、および炎症状態の治療にとって有用であることを主張している。
【0019】
米国特許第6245758B1号明細書(スターンら(Stern et al.))は、炎症疾患および虚血再潅流を含む障害を治療するとされている、5,10,15,20−テトラキス(ピリジル)金属ポルフィリン、およびこの相当するN−アルキルピリジニウム塩の使用を開示している。金属ポルフィリンにおいて有用であると言われる金属としては、Mn、Fe、NiおよびVが挙げられる。
【0020】
米国特許出願公開第2002/0042407号明細書(フリードビヒら(Fridovich et al.))は、O等のオキシダントの細胞内または細胞外水準を調節するのに有用であると言われる5,10,15,20−テトラキス(N−アルキルピリジニウム)金属ポルフィリンを開示している。金属ポルフィリンにおいて有用であると言われる金属としては、Fe、Mn、Co、NiおよびZnが挙げられる。この公開公報は、また、皮膚および肺の炎症疾患、虚血再潅流傷害等の障害;緑内障、黄斑変性症および白内障等の眼障害;および中枢神経系の疾患を治療すると言われる、これらの5,10,15,20−テトラキス(N−アルキルピリジニウム)金属ポルフィリンの使用方法を開示している。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0021】
しかしながら、反応性種への暴露による傷害、勃起障害、尿失禁、肺疾患、高酸素症、神経変性疾患、肝臓疾患、心筋保護中の心筋損傷、炎症状態、再潅流傷害、虚血状態、心疾患、糖尿病、糖尿病性合併症、癌、癌化学療法の副作用、もしくは放射線誘発傷害を治療または予防するため、または酸化傾向のある化合物の半減期を延長するために有用であるための新しい化合物、組成物および方法に対する明らかな要望が依然として存在する。
【0022】
本出願の(背景技術)における任意の参考文献の引用は、参考文献が本出願の先行技術であることの是認ではない。
【課題を解決するための手段】
【0023】
本発明は、式(A)を有する化合物に関する。
【0024】
【化1】

(式中、Mは、FeまたはMnであり、
fは0または1であり、
各Rは独立して、−C(O)(アミノ酸残基)または−SO(アミノ酸残基)であり、
nは、式(A)の化合物の帯電のバランスを取るのに充分な対イオンの数である)
式(A)の化合物(「N−ベンジル置換ピリジルポルフィリン化合物」)は、対象において、反応性種への暴露による傷害、勃起障害、尿失禁、肺疾患、高酸素症、神経変性疾患、肝臓疾患、心筋保護中の心筋損傷、炎症状態、再潅流傷害、虚血状態、心疾患、糖尿病、糖尿病性合併症、癌、癌化学療法の副作用、もしくは放射線誘発傷害(それぞれ「状態」である)を治療もしくは予防するため、または酸化傾向のある化合物の半減期を延長するために有用である。
【0025】
本発明はまた、N−ベンジル置換ピリジルポルフィリン化合物の有効量、および生理学的に許容されるキャリヤまたはビヒクルを含む組成物に関する。この組成物は、対象において、状態の治療もしくは予防または酸化傾向のある化合物の半減期を延長するために有用である。
【0026】
本発明はさらに、N−ベンジル置換ピリジルポルフィリン化合物の有効量を、それを必要とする対象に投与する工程を含む、状態の治療または予防方法に関する。
本発明はさらに、N−ベンジル置換ピリジルポルフィリン化合物の有効量を、それを必要とする対象に投与する工程を含む、酸化傾向のある化合物の半減期を延長するための方法に関する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0027】
本発明は、本発明の非限定的な実施形態を例示することを意図する以下の詳細な説明、図、および例示的実施例に対する参照によりさらに完全に理解されてもよい。
1. 式(A)のN−ベンジル置換ピリジルポルフィリン化合物
上述したように、本発明は、下式を有するN−ベンジル置換ピリジルポルフィリン化合物を包含する。
【0028】
【化2】

(式中、M、f、R、およびnは、上で定義されている通りである)
一実施形態では、fは1であり、各対イオンは1価であり、nは5であり、各アミノ酸残基は帯電していない。
【0029】
一実施形態では、fは1であり、対イオンは1価であり、nは1であり、各アミノ酸残基は、その唯一の帯電基として−CO部分を有する。
一実施形態では、MはFeである。
【0030】
その他の実施形態では、MはMnである。
一実施形態では、fは1である。
その他の実施形態では、fは0である。
【0031】
一実施形態では、各対イオンはClまたはBrである。
一実施形態では、各対イオンは、CHC(O)O、2−メチルベンゾエート、3−メチルベンゾエート、または4−メチルベンゾエートである。
【0032】
一実施形態では、対イオンは、Mとともに結合を形成する。
一実施形態では、Mとともに結合を形成する対イオンは、Mとともに結合を形成しない対イオンと同じである。
【0033】
一実施形態では、Mとともに結合を形成する対イオンは、Mとともに結合を形成しない対イオンと異なる。
一実施形態では、Mとともに結合を形成しない対イオンは、Mとともに結合を形成しないその他の対イオンと異なる。
【0034】
その他の実施形態では、各対イオンは独立して、F、Cl、Br、I、HO、またはCHC(O)Oである。
一実施形態では、各Rは−C(O)(アミノ酸残基)である。
【0035】
その他の実施形態では、各Rは−SO(アミノ酸残基)である。
一実施形態では、nは0である。
一実施形態では、nは1である。
【0036】
その他の実施形態では、nは5である。
一実施形態では、MはFeであり、fは1であり、各対イオンはClである。
その他の実施形態では、MはFeであり、fは1であり、各対イオンはClであり、Rの各存在は−C(O)(アミノ酸残基)である。
【0037】
その他の実施形態では、MはFeであり、fは1であり、各対イオンはClであり、Rの各存在は−SO(アミノ酸残基)である。
一実施形態では、アミノ酸残基のアミノ酸は、β−アラニン、γ−アミノ酪酸、6−アミノヘキサン酸、5−アミノ吉草酸、L−アスパラギン酸、L−グルタミン、L−グルタミン酸、グリシン、L−フェニルアラニン、L−チロシン、またはL−バリンである。
【0038】
一実施形態では、各Rはオルト位にある。
一実施形態では、各Rはメタ位にある。
一実施形態では、各Rはパラ位にある。
【0039】
一実施形態では、式(A)のN−ベンジル置換ピリジルポルフィリン化合物は単離されて精製された形態である。
N−ベンジル置換ピリジルポルフィリン化合物は4つのピリジル基を有する。立体因子により、各ピリジル基の窒素原子は、(1)ポルフィリン環の平面より上に(この配置は、本願ではβ−位として参照される);または(2)ポルフィリン環の平面より下に(この配置は、本願ではα−位として参照される)存在することができる。
【0040】
或る実施形態では、N−ベンジル置換ピリジルポルフィリン化合物は、以下の表に記載される様に異性体番号1〜8で示される以下の異性体の1つ、またはこれらの混合物で存在することができ、ピリジル基は式(A)で示されるように1〜4の番号が付けられている:
【0041】
【表1】

前記表で、「α」はピリジル基の窒素原子がα−位にあることを表し、「β」はピリジル基の窒素原子がβ−位にあることを表す。
【0042】
一実施形態では、Mとともに結合を形成する対イオンは、ポルフィリン環の平面より上に存在する。その他の実施形態では、Mとともに結合を形成する対イオンは、ポルフィリン環の平面より下に存在する。
【0043】
一実施形態では、N−ベンジル置換ピリジルポルフィリン化合物は、それ相当するその他の異性体が実質的に存在しない。
その他の実施形態では、N−ベンジル置換ピリジルポルフィリン化合物は、2つ以上の異性体の混合物として存在する。
【0044】
1.1 式(I)のN−ベンジル置換ピリジルポルフィリン化合物
一実施形態では、N−ベンジル置換ピリジルポルフィリン化合物は式(I)を有する。
【0045】
【化3】

(式中、M、f、R、およびnは、N−ベンジル置換ピリジルポルフィリン化合物に対して上で定義されている通りである)
一実施形態では、fは1であり、各対イオンは1価であり、nは5であり、各アミノ酸残基は帯電していない。
【0046】
一実施形態では、fは1であり、対イオンは1価であり、nは1であり、各アミノ酸残基は、その唯一の帯電基として−CO部分を有する。
一実施形態では、MはFeである。
【0047】
その他の実施形態では、MはMnである。
一実施形態では、fは1である。
その他の実施形態では、fは0である。
【0048】
一実施形態では、各対イオンはClまたはBrである。
一実施形態では、各対イオンは、CHC(O)Oまたは4−メチルベンゾエートである。
【0049】
一実施形態では、対イオンは、Mとともに結合を形成する。
一実施形態では、Mとともに結合を形成する対イオンは、Mとともに結合を形成しない対イオンと同じである。
【0050】
一実施形態では、Mとともに結合を形成する対イオンは、Mとともに結合を形成しない対イオンと異なる。
一実施形態では、Mとともに結合を形成しない対イオンは、Mとともに結合を形成しないその他の対イオンと異なる。
【0051】
その他の実施形態では、各対イオンは独立して、F、Cl、Br、I、HO、またはCHC(O)Oである。
一実施形態では、各Rは−C(O)(アミノ酸残基)である。
【0052】
その他の実施形態では、各Rは−SO(アミノ酸残基)である。
一実施形態では、nは0である。
一実施形態では、nは1である。
【0053】
その他の実施形態では、nは5である。
一実施形態では、MはFeであり、fは1であり、各対イオンはClである。
その他の実施形態では、MはFeであり、fは1であり、各対イオンはClであり、Rの各存在は−C(O)(アミノ酸残基)である。
【0054】
その他の実施形態では、MはFeであり、fは1であり、各対イオンはClであり、Rの各存在は−SO(アミノ酸残基)である。
一実施形態では、アミノ酸残基のアミノ酸は、β−アラニン、γ−アミノ酪酸、6−アミノヘキサン酸、5−アミノ吉草酸、L−アスパラギン酸、L−グルタミン、L−グルタミン酸、グリシン、L−フェニルアラニン、L−チロシン、またはL−バリンである。
【0055】
一実施形態では、式(I)のN−ベンジル置換ピリジルポルフィリン化合物は、単離されて精製された形態である。
一実施形態では、式(I)の化合物は式(IA)の化合物である。
【0056】
【化4】

(式中、XおよびYはそれぞれ独立して対イオンであり、Mは上記式(I)に対して示された通りである)
式(IA)の化合物の例示的な例が以下に示される。
【0057】
【表2】

式(IA)の化合物のさらなる例示的な例が以下に示される。
【0058】
【表3】

一実施形態では、式(I)の化合物は式(IB)の化合物である。
【0059】
【化5】

(式中、XおよびYはそれぞれ独立して対イオンであり、Mは上記式(I)に対して示された通りである)
式(IB)の化合物の例示的な例が以下に示される。
【0060】
【表4】

式(IB)の化合物のさらなる例示的な例が以下に示される。
【0061】
【表5】

式(I)のN−ベンジル置換ピリジルポルフィリン化合物は4つのピリジル基を有する。立体因子により、各ピリジル基の窒素原子は、(1)ポルフィリン環の平面より上に(この配置は、本願ではβ−位として参照される);または(2)ポルフィリン環の平面より下に(この配置は、本願ではα−位として参照される)存在することができる。
【0062】
或る実施形態では、式(I)のN−ベンジル置換ピリジルポルフィリン化合物は、以下の表に記載される様に異性体番号1〜8で示される以下の異性体の1つ、またはこれらの混合物で存在することができ、ピリジル基は式(I)で示されるように1〜4の番号が付けられている。
【0063】
【表6】

上記表で、「α」はピリジル基の窒素原子がα−位にあることを表し、「β」はピリジル基の窒素原子がβ−位にあることを表す。
【0064】
一実施形態では、Mとともに結合を形成する対イオンは、ポルフィリン環の平面より上に存在する。その他の実施形態では、Mとともに結合を形成する対イオンは、ポルフィリン環の平面より下に存在する。
【0065】
一実施形態では、式(I)のN−ベンジル置換ピリジルポルフィリン化合物は、それに相当するその他の異性体が実質的に存在しない。
その他の実施形態では、式(I)のN−ベンジル置換ピリジルポルフィリン化合物は、2つ以上の異性体の混合物として存在する。
【0066】
1.2 式(II)のN−ベンジル置換ピリジルポルフィリン化合物
一実施形態では、N−ベンジル置換ピリジルポルフィリン化合物は式(II)を有する。
【0067】
【化6】

(式中、M、f、R、およびnは、式(A)のN−ベンジル置換ピリジルポルフィリン化合物に対して上で定義されている通りである)
一実施形態では、fは1であり、各対イオンは1価であり、nは5であり、各アミノ酸残基は帯電していない。
【0068】
一実施形態では、fは1であり、対イオンは1価であり、nは1であり、各アミノ酸残基は、その唯一の帯電基として−CO部分を有する。
一実施形態では、MはFeである。
【0069】
その他の実施形態では、MはMnである。
一実施形態では、fは1である。
その他の実施形態では、fは0である。
【0070】
一実施形態では、各対イオンはClまたはBrである。
一実施形態では、各対イオンは、CHC(O)Oまたは3−メチルベンゾエートである。
【0071】
一実施形態では、対イオンは、Mとともに結合を形成する。
一実施形態では、Mとともに結合を形成する対イオンは、Mとともに結合を形成しない対イオンと同じである。
【0072】
一実施形態では、Mとともに結合を形成する対イオンは、Mとともに結合を形成しない対イオンと異なる。
一実施形態では、Mとともに結合を形成しない対イオンは、Mとともに結合を形成しないその他の対イオンと異なる。
【0073】
その他の実施形態では、各対イオンは独立して、F、Cl、Br、I、HO、またはCHC(O)Oである。
一実施形態では、各Rは−C(O)(アミノ酸残基)である。
【0074】
その他の実施形態では、各Rは−SO(アミノ酸残基)である。
一実施形態では、nは0である。
一実施形態では、nは1である。
【0075】
その他の実施形態では、nは5である。
一実施形態では、MはFeであり、fは1であり、各対イオンはClである。
その他の実施形態では、MはFeであり、fは1であり、各対イオンはClであり、Rの各存在は−C(O)(アミノ酸残基)である。
【0076】
その他の実施形態では、MはFeであり、fは1であり、各対イオンはClであり、Rの各存在は−SO(アミノ酸残基)である。
一実施形態では、アミノ酸残基のアミノ酸は、β−アラニン、γ−アミノ酪酸、6−アミノヘキサン酸、5−アミノ吉草酸、L−アスパラギン酸、L−グルタミン、L−グルタミン酸、グリシン、L−フェニルアラニン、L−チロシン、またはL−バリンである。
【0077】
一実施形態では、式(II)のN−ベンジル置換ピリジルポルフィリン化合物は、単離されて精製された形態である。
一実施形態では、式(II)の化合物は式(IIA)の化合物である。
【0078】
【化7】

(式中、XおよびYはそれぞれ独立して対イオンであり、Mは上記式(II)に対して示された通りである)
式(IIA)の化合物の例示的な例が以下に示される。
【0079】
【表7】

式(IIA)の化合物のさらなる例示的な例が以下に示される。
【0080】
【表8】

一実施形態では、式(II)の化合物は式(IIB)の化合物である。
【0081】
【化8】

(式中、XおよびYはそれぞれ独立して対イオンであり、Mは上記式(II)に対して示された通りである)
式(IIB)の化合物の例示的な例が以下に示される。
【0082】
【表9】

式(IIB)の化合物のさらなる例示的な例が以下に示される。
【0083】
【表10】

式(II)のN−ベンジル置換ピリジルポルフィリン化合物は4つのピリジル基を有する。立体因子により、各ピリジル基の窒素原子は、(1)ポルフィリン環の平面より上に(この配置は、本願ではβ−位として参照される);または(2)ポルフィリン環の平面より下に(この配置は、本願ではα−位として参照される)存在することができる。
【0084】
或る実施形態では、式(II)のN−ベンジル置換ピリジルポルフィリン化合物は、以下の表に記載される様に異性体番号1〜8で示される以下の異性体の1つ、またはこれらの混合物で存在することができ、ピリジル基は式(II)で示されるように1〜4の番号が付けられている。
【0085】
【表11】

上記表で、「α」はピリジル基の窒素原子がα−位にあることを表し、「β」はピリジル基の窒素原子がβ−位にあることを表す。
【0086】
一実施形態では、Mとともに結合を形成する対イオンは、ポルフィリン環の平面より上に存在する。その他の実施形態では、Mとともに結合を形成する対イオンは、ポルフィリン環の平面より下に存在する。
【0087】
一実施形態では、式(II)のN−ベンジル置換ピリジルポルフィリン化合物は、それに相当するその他の異性体が実質的に存在しない。
その他の実施形態では、式(II)のN−ベンジル置換ピリジルポルフィリン化合物は、2つ以上の異性体の混合物として存在する。
【0088】
1.3 式(III)のN−ベンジル置換ピリジルポルフィリン化合物
一実施形態では、N−ベンジル置換ピリジルポルフィリン化合物は式(III)を有する。
【0089】
【化9】

(式中、M、f、R、およびnは、式(A)のN−ベンジル置換ピリジルポルフィリン化合物に対して上で定義されている通りである)
一実施形態では、fは1であり、各対イオンは1価であり、nは5であり、各アミノ酸残基は帯電していない。
【0090】
一実施形態では、fは1であり、対イオンは1価であり、nは1であり、各アミノ酸残基は、その唯一の帯電基として−CO部分を有する。
一実施形態では、MはFeである。
【0091】
その他の実施形態では、MはMnである。
一実施形態では、fは1である。
その他の実施形態では、fは0である。
【0092】
一実施形態では、各対イオンはClまたはBrである。
一実施形態では、各対イオンは、CHC(O)Oまたは2−メチルベンゾエートである。
【0093】
一実施形態では、対イオンは、Mとともに結合を形成する。
一実施形態では、Mとともに結合を形成する対イオンは、Mとともに結合を形成しない対イオンと同じである。
【0094】
一実施形態では、Mとともに結合を形成する対イオンは、Mとともに結合を形成しない対イオンと異なる。
一実施形態では、Mとともに結合を形成しない対イオンは、Mとともに結合を形成しないその他の対イオンと異なる。
【0095】
その他の実施形態では、各対イオンは独立して、F、Cl、Br、I、HO、またはCHC(O)Oである。
一実施形態では、各Rは−C(O)(アミノ酸残基)である。
【0096】
その他の実施形態では、各Rは−SO(アミノ酸残基)である。
一実施形態では、nは0である。
一実施形態では、nは1である。
【0097】
その他の実施形態では、nは5である。
一実施形態では、MはFeであり、fは1であり、各対イオンはClである。
その他の実施形態では、MはFeであり、fは1であり、各対イオンはClであり、Rの各存在は−C(O)(アミノ酸残基)である。
【0098】
その他の実施形態では、MはFeであり、fは1であり、各対イオンはClであり、Rの各存在は−SO(アミノ酸残基)である。
一実施形態では、アミノ酸残基のアミノ酸は、β−アラニン、γ−アミノ酪酸、6−アミノヘキサン酸、5−アミノ吉草酸、L−アスパラギン酸、L−グルタミン、L−グルタミン酸、グリシン、L−フェニルアラニン、L−チロシン、またはL−バリンである。
【0099】
一実施形態では、式(III)のN−ベンジル置換ピリジルポルフィリン化合物は、単離され精製された形態である。
一実施形態では、式(III)の化合物は式(IIIA)の化合物である。
【0100】
【化10】

(式中、XおよびYはそれぞれ独立して対イオンであり、Mは上記式(III)に対して示された通りである)
式(IIIA)の化合物の例示的な例が以下に示される。
【0101】
【表12】

式(IIIA)の化合物のさらなる例示的な例が以下に示される。
【0102】
【表13】

一実施形態では、式(III)の化合物は式(IIIB)の化合物である。
【0103】
【化11】

(式中、XおよびYはそれぞれ独立して対イオンであり、Mは上記式(III)に対して示された通りである)
式(IIIB)の化合物の例示的な例が以下に示される。
【0104】
【表14】

式(IIIB)の化合物のさらなる例示的な例が以下に示される。
【0105】
【表15】

式(III)のN−ベンジル置換ピリジルポルフィリン化合物は4つのピリジル基を有する。立体因子により、各ピリジル基の窒素原子は、(1)ポルフィリン環の平面より上に(この配置は、本願ではβ−位として参照される);または(2)ポルフィリン環の平面より下に(この配置は、本願ではα−位として参照される)存在することができる。
【0106】
或る実施形態では、式(I)のN−ベンジル置換ピリジルポルフィリン化合物は、以下の表に記載される様に異性体番号1〜8で示される以下の異性体の1つ、またはこれらの混合物で存在することができ、ピリジル基は式(III)で示されるように1〜4の番号が付けられている:
【0107】
【表16】

上記表で、「α」はピリジル基の窒素原子がα−位にあることを表し、「β」はピリジル基の窒素原子がβ−位にあることを表す。
【0108】
一実施形態では、Mとともに結合を形成する対イオンは、ポルフィリン環の平面より上に存在する。その他の実施形態では、Mとともに結合を形成する対イオンは、ポルフィリン環の平面より下に存在する。
【0109】
一実施形態では、式(III)のN−ベンジル置換ピリジルポルフィリン化合物は、それに相当するその他の異性体が実質的に存在しない。
その他の実施形態では、式(III)のN−ベンジル置換ピリジルポルフィリン化合物は、2つ以上の異性体の混合物として存在する。
【0110】
2. 定義
本願で使用される、上記および下記で使用される用語は以下の意味を有する。
本願で使用される「アミノ酸残基」という用語は、アミノ酸の末端アミノ基の水素原子が足りない、天然または非天然アミノ酸から誘導される基を意味する。例えば、アミノ酸残基のアミノ酸がグリシンである場合、アミノ酸残基は、式−NHCHCOHを有する。したがって、N−ベンジル置換ピリジルポルフィリン化合物においては、−C(O)(アミノ酸残基)はアミド基であり、−SO(アミノ酸残基)はスルホンアミド基である。「アミノ酸残基」が誘導されるアミノ酸の一般的な例としては、アラニン、アルギニン、アスパラギン、アスパラギン酸、システイン、グルタミン酸、グルタミン、グリシン、ヒスチジン、イソロイシン、ロイシン、リシン、メチオニン、フェニルアラニン、プロリン、セリン、トレオニン、トリプトファン、チロシン、バリン、N−アセチルリシン、β−アラニン、アミノアジピン酸、γ−アミノ酪酸、6−アミノヘキサン酸、5−アミノ吉草酸、アザセリン、O−ジアゾアセチルセリン、ベタイン、γ−カルボキシグルタミン酸、L−クロラムフェニコール、シトルリン、シクロセリン、エピネフィリン、ヒスタミン、ホモシステイン、ホモセリン、5−ヒドロキシリシン、4−ヒドロキシプロリン、L−ランチオニン、3−メシルヒスチジン、N−メチルアルギニン、N−メチルグリシン、ε−N−メチルリシン、ノルロイシン、オルニチン、ペニシラミン、L−フェニルセリン、ホスホセリン、ホスホトレオニン、ホスホチロシン、ピログルタミン酸、セロトニン、およびチロキシンが挙げられるがこれらに限定されない。一実施形態では、アミノ酸の酸はC〜C20アルカン酸である。一実施形態では、アミノ酸は、アラニン、β−アラニン、γ−アミノ酪酸、6−アミノヘキサン酸、5−アミノ吉草酸、アルギニン、アスパラギン、アスパラギン酸、システイン、グルタミン酸、グルタミン、グリシン、ヒスチジン、イソロイシン、ロイシン、リシン、メチオニン、フェニルアラニン、プロリン、セリン、トレオニン、トリプトファン、チロシン、またはバリンである。一実施形態では、アミノ酸はラセミアミノ酸である。一実施形態では、アミノ酸はL−アミノ酸である。その他の実施形態では、アミノ酸はD−アミノ酸である。一実施形態では、アミノ酸はその双極イオン(中性)形態で存在する。
【0111】
本願で使用される「対象」という用語は、ウシ、サル、ウマ、ヒツジ、ブタ、ニワトリ、シチメンチョウ、ウズラ、ネコ、イヌ、マウス、ラット、ウサギ、モルモットおよびヒトを含むがこれらに限定されない。一実施形態では、対象はヒトである。
【0112】
N−ベンジル置換ピリジルポルフィリン化合物の帯電のバランスを取るのに充分な対イオンの数であるnが1を超える場合は、各対イオンは同じか異なることができる。例示的な対イオンとしては、スルフェート、シトレート、アセテート、オキサレート、フッ化物、塩化物、臭化物、ヨウ化物、ナイトレート、ビスルフェート、モノホスフェート、ジホスフェート、トリホスフェート、酸性ホスフェート、イソニコチネート、ラクテート、サリチレート、酸性シトレート、タートレート、オレエート、タンネート、パントテネート、ビタートレート、アスコルベート、スクシネート、マレエート、ゲンチシネート、フマレート、グルコネート、グルカロネート、サッカレート、ホルメート、ベンゾエート、グルタメート、メタンスルホネート、エタンスルホネート、ベンゼンスルホネート、p−トルエンスルホネート、パモエート(すなわち、1,1′−メチレン−ビス−(2−ヒドロキシ−3−ナフトエート))、カンファースルホネート、2−メチルベンゾエート、3−メチルベンゾエート、および4−メチルベンゾエート対イオンが挙げられるがこれらに限定されない。一実施形態では、対イオンは1価である。1価の対イオンの例としては、アセテート、塩化物、臭化物、ヨウ化物、ナイトレート、ビスルフェート、サリチレート、オレエート、ビタートレート、ホルメート、ベンゾエート、メタンスルホネート、エタンスルホネート、ベンゼンスルホネート、p−トルエンスルホネート、カンファースルホネート、2−メチルベンゾエート、3−メチルベンゾエート、および4−メチルベンゾエート対イオンが挙げられる。その他の実施形態では、対イオンは2価である。
【0113】
N−ベンジル置換ピリジルポルフィリン化合物に関して使用される「有効量」とは、単独またはその他の予防もしくは治療薬との組合せで対象において状態を治療または予防するために、あるいは酸化傾向にある化合物の半減期を延長するために有効である量である。
【0114】
本願で使用される「単離され精製された」という用語は、反応混合物または天然源の他の成分から分離されていることを意味する。或る実施形態では、単離体は、単離体の重量当たり、少なくとも30%、少なくとも35%、少なくとも40%、少なくとも45%、少なくとも50%、少なくとも55%、少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%または少なくとも98%のN−ベンジル置換ピリジルポルフィリン化合物を含む。一実施形態では、単離体は、単離体の重量当たり、少なくとも95%のN−ベンジル置換ピリジルポルフィリン化合物を含む。
【0115】
本願で使用される「それに相当するその他の異性体が実質的に存在しない」とは、それに相当するその他の異性体の約10重量%以下を有し、一実施形態では、約5重量%以下、その他の実施形態では、約2重量%以下、その他の実施形態では、約1重量%以下、その他の実施形態では、約0.1重量%以下の相当するその他の異性体を有することを意味する。
【0116】
本願で使用される「OAc」はアセテートを意味し、「OTf」はトリフレートを意味し、「OMs」はメシレートを意味し、「OTs」はトシレートを意味する。
N−ベンジル置換ピリジルポルフィリン化合物においては、正帯電基の数および負帯電基の数は、pHを含めた因子により変動し得ることは理解されるべきである。
【0117】
本発明の範囲内の正帯電基の例としては、fが1である場合のM、および各N−ベンジル置換ピリジル基(1〜4)が挙げられる。幾つかの実施形態では、アミノ酸残基は、プロトン化アミノ基を有することができる。これらの実施形態では、各プロトン化アミノ基は正帯電基である。
【0118】
同様に、幾つかの実施形態では、アミノ酸残基は1つまたは複数のカルボキシレート基を有することができる。これらの実施形態では、各カルボキシレート基は負帯電基である。
【0119】
N−ベンジル置換ピリジルポルフィリン化合物が、2つのピロール窒素原子のそれぞれが金属Mに対する結合を形成する特定の構造を有するものとして表される場合、当業者は、ピロール窒素原子が、それぞれがピロール窒素原子と金属Mとの間にある4つの同等の結合を有する様に表される、4配位種も形成できることは理解されるべきである。本願で示されるN−ベンジル置換ピリジルポルフィリン化合物の表示はまた、この4配位種を包含する。
【0120】
3. N−ベンジル置換ピリジルポルフィリン化合物の製造方法
N−ベンジル置換ピリジルポルフィリン化合物を、通常の有機合成または方法を使用して、あるいは以下のスキーム1〜3で示される例示的方法により作ることができる。
【0121】
以下のスキーム1は、N−ベンジル置換ピリジルポルフィリン化合物を作るのに有用であるポルフィリン中間体1を合成するのに有用である手順を例示する。
【0122】
【化12】

ピリジン−2−カルボキシアルデヒドは、約10%のキシレンまたはトルエンの存在下で、還流のため約120℃の温度で、例えば約130℃〜約140℃の範囲の温度でプロピオン酸およびピロールと反応してピリジルポルフィリン1を与えることができる。
【0123】
以下のスキーム2は、fが1であり、Mが、N−ベンジル置換ピリジルポルフィリン化合物に対して上で定義されているN−ベンジル置換ピリジルポルフィリン化合物を作るために有用である、式(IV)のヒドロキシ金属ポルフィリン中間体を作るために有用な方法を例示する。
【0124】
【化13】

ポルフィリン中間体1は、塩酸還流中でメタル化剤と反応して、室温で水酸化物塩基、例えば水酸化ナトリウムまたは水酸化カリウム等で処理可能な金属化ポルフィリン錯体を形成し、式(IV)のヒドロキシ金属化ポルフィリン中間体を与えることができる。スキーム2の方法で有用なメタル化剤としては、塩化第一鉄、塩化第二鉄、硫酸第二鉄、酢酸第一鉄、硫酸アンモニウム第一鉄、酢酸マンガン(III)、酢酸マンガン(II)、および塩化マンガン(II)が挙げられるがこれらに限定されない。
【0125】
以下のスキーム3は、nが4または5であり、R、M、およびfがN−ベンジル置換ピリジルポルフィリン化合物に対して上で定義されている通りであるN−ベンジル置換ピリジルポルフィリン化合物を作るための方法を示す。
【0126】
【化14】

化合物3のヒドロキシ金属化ポルフィリン中間体のピリジル基は、高温(約50℃〜130℃)で、N−メチルピロリジノン(NMP)中で、例えば過剰のα−ブロモベンジル化合物を使用してN−ベンジル化可能である。この方法は、R、M、fおよびnがN−ベンジル置換ピリジルポルフィリン化合物に対して上で定義されている通りであるN−ベンジル置換ピリジルポルフィリン化合物を与える。
【0127】
スキーム3のα−ブロモベンジル化合物は、例えば2,6−ルチジンおよびNMPの存在下で、相当するブロモメチル安息香酸クロライドまたはブロモメチルベンゼンスルホン酸クロライドをアミノ酸と反応させて調製可能である。あるいはまた、スキーム3のα−ブロモベンジル化合物は、例えば相当するブロモメチル安息香酸クロライドまたはブロモメチルベンゼンスルホン酸クロライドを、アミノ酸エステル、例えば、エチル、メチル、またはt−ブチル等と、場合によりその酸性塩として2,6−ルチジンおよびジクロロメタンの存在下で反応させ、次いで、相当する酸官能性を与えるためにエステルを、例えば加水分解で転換することにより調製可能である。
【0128】
スキーム3のその他のα−ハロベンジル化合物は、例えば相当するα−ブロモベンジル化合物から調製可能である。スキーム3のα−OTf、α−OMs、およびα−OTsベンジル化合物は、相当するα−OHベンジル化合物と、例えばトリフルオロメタンスルホニルクロライド、メタンスルホニルクロラド、トルエンスルホニルクロライド、トリフルオロメタンスルホン酸無水物、メタンスルホン酸無水物、またはトルエンスルホン酸無水物とを反応させることにより調製可能である。
【0129】
必要に応じて、N−ベンジル置換ピリジルポルフィリン化合物は、フラッシュカラムクロマトグラフィー、高性能液体クロマトグラフィー(HPLC)、中圧液体クロマトグラフィー(MPLC)、分取用薄層クロマトグラフィー、アニオン交換クロマトグラフィー、および再結晶化を含むがこれらに限定されない当業者に公知の方法を使用して精製可能である。
【0130】
4. N−ベンジル置換ピリジルポルフィリン化合物の治療的使用
本発明によれば、N−ベンジル置換ピリジルポルフィリン化合物は、状態の治療または予防あるいは酸化傾向のある化合物の半減期の延長を必要とする対象に投与されることができる。
【0131】
一態様では、N−ベンジル置換ピリジルポルフィリン化合物は、状態を治療または予防し、あるいは対象の組織とイオン化放射線の相互作用によりin vivoで発生する1つまたは複数の反応性種を捕獲もしくは中和することにより酸化傾向のある化合物の半減期を延長する。その様な反応性種としては、超酸化物および過酸化物を含む反応性酸素種;ならびにONOO、一酸化窒素を含む反応性窒素種、およびニトロキシル種、例えば、NO、NOH、またはONO等が挙げられるがこれらに限定されない。
【0132】
4.1 反応性種への暴露による傷害の治療または予防
N−ベンジル置換ピリジルポルフィリン化合物は、反応性種への暴露による細胞または組織損傷を治療または予防するために使用されることができる。一実施形態では、反応性種は、反応性酸素種、例えば超酸化物および過酸化物等、ならびに反応性窒素種、例えばONOO、一酸化窒素、およびニトロキシル種、例えばNO、NOH、およびONO等を含むがこれらに限定されないオキシダントまたは遊離基である。
【0133】
反応性種への暴露による損傷の例は、皮膚の皺、皮膚の老化、日焼け紅斑症、UV誘発皮膚損傷、およびUV誘発皮膚疾患、例えば癌等である。
4.2 酸化傾向のある化合物の半減期の延長
N−ベンジル置換ピリジルポルフィリン化合物は、in vivoで酸化傾向のある化合物の半減期を延長するために使用されることができる。その他の実施形態では、酸化傾向のある化合物、例えば変形性関節症を治療するのに有用なヒアルロン酸等が対象に投与される場合、N−ベンジル置換ピリジルポルフィリン化合物は、酸化傾向のある化合物により引き起される酸化性損傷を治療または予防するために、あるいは劣化を阻害するために、したがって酸化傾向のある化合物の有効性を高めるために投与されることができる。一実施形態では、N−ベンジル置換ピリジルポルフィリン化合物はヒアルロン酸の酸化性損傷を阻害する。その他の実施形態では、N−ベンジル置換ピリジルポルフィリン化合物は、酸化傾向のある化合物の有効性を高める。
【0134】
4.3 勃起障害の治療または予防
N−ベンジル置換ピリジルポルフィリン化合物は、勃起障害を治療または予防するのに有用である。勃起障害としては、十分な勃起、特に性交を達成または維持するのに十分な勃起を達成または維持することの不能を含む。この不能はまた、完全な不能、不整合的能力、または短い勃起のみを維持するための傾向であることもできる。本願で説明される方法により治療可能なまたは予防可能な勃起障害としては、特発性勃起障害、ならびに例えば機械的外傷性傷害、特に、神経(例えば、前立腺摘除術中の)に対する外科手術の結果として生じる機械的外傷性傷害を含む外傷性傷害;真性糖尿病;アテローム性動脈硬化症を含む心疾患;放射線;または或種の薬剤から生じ得る障害が挙げられる。勃起障害はまた、年齢にも関係し得る。
【0135】
N−ベンジル置換ピリジルポルフィリン化合物は、外科手術により引き起される勃起障害を治療または予防するために使用されることができる。一実施形態では、外科手術は前立腺または結腸の外科手術である。
【0136】
さらなる実施形態では、勃起障害は前立腺神経損傷の結果として生じる。
4.4 尿失禁の治療または予防
N−ベンジル置換ピリジルポルフィリン化合物は、尿失禁を治療または予防するのにも有用である。本願で説明される方法により治療可能なまたは予防可能な尿失禁は、例えば機械的外傷性傷害、特に分娩中または神経(例えば、前立腺摘除術または婦人科外科手術中の)の外科手術の結果として生じる機械的外傷性傷害を含む外傷性傷害;真性糖尿病;アテローム性動脈硬化症を含む心疾患;放射線;または或種の薬剤から生じる障害の結果であり得る。尿失禁はまた、年齢にも関係し得る。
【0137】
一実施形態では、尿失禁治療または予防を必要とする対象は男性である。
一実施形態では、尿失禁治療または予防を必要とする対象は女性である。
4.5 肺疾患の治療または予防
N−ベンジル置換ピリジルポルフィリン化合物は、肺疾患を治療または予防するのに使用されることができる。一実施形態では、肺疾患は、嚢胞性線維症、高酸素肺傷害、肺気腫、または成人呼吸窮迫症候群である。
【0138】
4.6 高酸素症の治療または予防
N−ベンジル置換ピリジルポルフィリン化合物は、高酸素症による傷害を治療または予防するのに使用されることができる。一実施形態では、高酸素症による傷害は、高酸素症誘発眼傷害または高酸素症誘発肺傷害である。
【0139】
4.7 神経変性疾患の治療または予防
N−ベンジル置換ピリジルポルフィリン化合物は、神経変性疾患を治療または予防するのに使用されることができる。一実施形態では、神経変性疾患は、パーキンソン病、アルツハイマー病、ハンチントン病、または筋萎縮性側索硬化症である。
【0140】
4.8 肝臓疾患の治療または予防
N−ベンジル置換ピリジルポルフィリン化合物は、肝臓疾患を治療または予防するのに使用されることができる。一実施形態では、肝臓疾患は、肝炎、肝不全、または薬剤誘発肝不全である。
【0141】
4.9 心筋保護中の心筋損傷の治療または予防
一実施形態では、本発明は、心筋保護誘発剤およびN−ベンジル置換ピリジルポルフィリン化合物の有効量を、それを必要とする対象に投与する工程を含む、心筋保護を誘発または維持するための方法を提供する。本発明において有用な心筋保護誘発剤としては、塩化カリウム、プロカイン(procaine)、リドカイン(lidocaine)、ノボカイン(novocaine)、ブピボカイン(bupivocaine)、ニコランジル(nicorandil)、ピナシジル(pinacidil)、ハロタン(halothane)、セント・トーマス溶液(St.Thomas solution)、フレメス溶液(Fremes solution)、2,3−ブタンジオンモノオキシム、またはエスモロール(esmolol)が挙げられるがこれらに限定されない。
【0142】
一実施形態では、心筋保護誘発剤はリドカインである。
一実施形態では、心筋保護誘発剤およびN−ベンジル置換ピリジルポルフィリン化合物は同じ組成物内に存在する。N−ベンジル置換ピリジルポルフィリン化合物は、心筋保護中に生起する心筋損傷を予防または最小化するのに有用である。
【0143】
その他の実施形態では、本発明は、(a)心筋保護誘発剤、および(b)N−ベンジル置換ピリジルポルフィリン化合物の有効量を、それを必要とする対象に投与する工程を含む、心筋保護中の心筋損傷に対して対象の心臓を保護する方法を提供する。
【0144】
一実施形態では、心筋保護誘発剤は、N−ベンジル置換ピリジルポルフィリン化合物の投与前に投与される。
その他の実施形態では、N−ベンジル置換ピリジルポルフィリン化合物は、心筋保護誘発剤の投与前に投与される。
【0145】
さらなる実施形態では、心筋保護誘発剤およびN−ベンジル置換ピリジルポルフィリン化合物は同時に投与される。
さらなる実施形態では、心筋保護誘発剤およびN−ベンジル置換ピリジルポルフィリン化合物は同じ組成物内に存在する。
【0146】
その他の実施形態では、心筋保護誘発剤およびN−ベンジル置換ピリジルポルフィリン化合物は、N−ベンジル置換ピリジルポルフィリン化合物が心筋損傷に対する保護のその予防効果を発揮し、一方、心筋保護誘発剤がその心筋保護効果を発揮する様に投与される。
【0147】
一実施形態では、本発明は、N−ベンジル置換ピリジルポルフィリン化合物および心筋保護誘発剤を含む組成物を提供する。
4.10 炎症状態の治療または予防
N−ベンジル置換ピリジルポルフィリン化合物は、炎症状態を治療または予防するのに使用されることができる。炎症状態は、体の組織の炎症が存在する場合に生じる可能性がある。N−ベンジル置換ピリジルポルフィリン化合物を使用して治療可能なまたは予防可能な炎症状態の例としては、移植拒絶反応;関節の慢性炎症障害、例えば、関節炎、リウマチ様関節炎、変形性関節症および増加した骨吸収に関わる骨疾患等;炎症性腸疾患、例えば、回腸炎、潰瘍性大腸炎、バレット症候群、およびクローン病等;炎症性肺疾患、例えば、喘息、成人呼吸窮迫症候群(ARDS)、および慢性閉塞性気道疾患等;眼の炎症性障害、例えば、角膜ジストロフィー、トラコーマ、回旋糸状虫症、ブドウ膜炎、交感性眼炎および眼内炎等;歯茎の慢性炎症性障害、例えば、歯肉炎および歯周炎等;結核症;ハンセン氏病;腎臓の炎症性疾患、例えば、尿毒症性合併症、糸球体腎炎およびネフローゼ等;皮膚の炎症性障害、例えば、硬化性皮膚炎、乾癬および湿疹等;中枢神経系の炎症性疾患、例えば、神経系の慢性脱髄性疾患、多発性硬化症、AIDS随伴神経変性およびアルツハイマー病、感染性髄膜炎、脳脊髄炎、パーキンソン病、ハンチントン病、筋萎縮性側索硬化症およびウイルスまたは自己免疫脳炎等;自己免疫疾患、例えば、真性糖尿病、免疫複合血管炎、全身性エリテマトーデス(SLE)等;心臓の炎症性疾患、例えば、心筋症、虚血性心疾患高コレステロール血症、およびアテローム性動脈硬化症等;ならびに種々の疾患、例えば、子癇前症、慢性肝不全、脳および脊髄損傷、および癌等から生じる炎症が挙げられるがこれらに限定されない。N−ベンジル置換ピリジルポルフィリン化合物はまた、炎症状態の進行を低減し、および/または炎症状態の症状を減少するための治療または予防に使用されることができる。一実施形態では、N−ベンジル置換ピリジルポルフィリン化合物は、炎症状態に随伴した痛みを治療または予防するのに有用である。
【0148】
N−ベンジル置換ピリジルポルフィリン化合物の有効量の投与により治療可能なまたは予防可能な炎症状態はまた、体の全身性炎症であることもできる。全身性炎症の例としては、グラム陽性またはグラム陰性ショック、敗血症、敗血症性ショック、出血性またはアナフィラキシー性ショック、(SIRS)、またはIL−2、インターフェロン−γ、もしくはGM−CSF等の炎症誘発性サイトカインに対する応答での癌化学療法により誘発されるショックが挙げられるがこれらに限定されない。
【0149】
一実施形態では、炎症状態は、循環ショック、敗血症、全身性炎症応答症候群、出血性ショック、心臓性ショック、またはIL−2等の抗癌剤免疫療法により誘発される全身性炎症である。
【0150】
一実施形態では、N−ベンジル置換ピリジルポルフィリン化合物は、炎症性皮膚疾患の治療または予防のために使用されることができる。一実施形態では、炎症性皮膚疾患は、接触性皮膚炎、紅斑、または乾癬である。
【0151】
一実施形態では、炎症状態は反応性種への暴露の結果である。
4.11 再潅流傷害の治療または予防
再潅流傷害を、N−ベンジル置換ピリジルポルフィリン化合物の有効量の投与により治療または予防することができる。再潅流傷害は、自然発生的な出来事、例えば心筋梗塞、脳卒中、または外科手術中に血管中の血流が故意にまたは無意識に阻止されることにより引き起される結果である。
【0152】
N−ベンジル置換ピリジルポルフィリン化合物の有効量の投与により治療または予防することができる再潅流傷害としては、腸管再潅流傷害、脳卒中、神経外傷、神経損傷、心筋梗塞、および心肺バイパス外科手術、臓器移植外科手術、胸腹部動脈瘤修復手術、頸動脈血管内膜切除外科手術、または出血性ショックの結果生じる再潅流傷害が挙げられるがこれらに限定されない。
【0153】
一実施形態では、再潅流傷害は、心肺バイパス外科手術、胸腹部動脈瘤修復手術、頸動脈血管内膜切除外科手術または出血性ショックの結果として生じる。
一実施形態では、N−ベンジル置換ピリジルポルフィリン化合物は、心筋再潅流中に投与される。一実施形態では、再潅流は心肺バイパスから生まれる。その他の実施形態では、再潅流は心筋梗塞傷害を招く。
【0154】
一実施形態では、再潅流傷害は、外科手術、特に臓器移植外科手術の結果生じる再酸素化傷害である。
一実施形態では、臓器移植は、心臓移植または腎臓移植である。
【0155】
その他の実施形態では、臓器移植は、心臓移植、腎臓移植、肝臓移植、または肺移植である。
一実施形態では、再潅流傷害は反応性種への暴露の結果として生じる。
【0156】
4.12 虚血状態の治療または予防
虚血状態を、N−ベンジル置換ピリジルポルフィリン化合物の有効量の投与により治療または予防することができる。
【0157】
N−ベンジル置換ピリジルポルフィリン化合物の有効量の投与により治療または予防することができる虚血状態としては、安定狭心症、不安定狭心症、心筋虚血、肝虚血、腸間膜動脈虚血、腸管虚血、危急肢虚血、慢性危急肢虚血、脳虚血、急性心臓虚血、および中枢神経系の虚血疾患、例えば、脳卒中または脳虚血が挙げられるがこれらに限定されない。
【0158】
一実施形態では、虚血状態は、心筋虚血、安定狭心症、不安定狭心症、脳卒中、虚血性心臓疾患または脳虚血である。
一実施形態では、虚血状態は反応性種への暴露の結果である。
【0159】
4.13 心疾患の治療または予防
心疾患を、N−ベンジル置換ピリジルポルフィリン化合物の有効量の投与により治療または予防することができる。
【0160】
N−ベンジル置換ピリジルポルフィリン化合物の有効量の投与により治療または予防することができる心疾患としては、慢性心不全、アテローム性動脈硬化症、鬱血性心不全、循環ショック、心筋症、心臓移植、心筋梗塞、および心臓不整脈、例えば、心房性細動、上室性頻拍症、心房粗動、および発作性心房頻拍症等が挙げられるがこれらに限定されない。
【0161】
一実施形態では、心疾患は、心臓不整脈、鬱血性心不全、循環ショックまたは心筋症である。
その他の実施形態では、心臓不整脈は心房性細動、上室性頻拍症、心房粗動または発作性心房頻拍症である。
【0162】
一実施形態では、心疾患は心不全である。
その他の実施形態では、心疾患は、バルーン誘発血管損傷、冠動脈ステント移植、アテローム性動脈硬化症、または再狭窄である。
【0163】
その他の実施形態では、心疾患は、急性心不全、慢性心不全、虚血性心不全、薬剤誘発心不全、特発性心不全、アルコール性心不全、または心臓不整脈である。
一実施形態では、心疾患は反応性種への暴露の結果である。
【0164】
4.14 糖尿病または糖尿病性合併症の治療または予防
糖尿病または糖尿病性合併症を、N−ベンジル置換ピリジルポルフィリン化合物の有効量の投与により治療または予防することができる。
【0165】
N−ベンジル置換ピリジルポルフィリン化合物の有効量の投与により治療または予防することができる糖尿病のタイプとしては、I型糖尿病(インスリン依存型真性糖尿病)、II型糖尿病(インスリン非依存型真性糖尿病)、妊娠糖尿病、異常インスリン症、膵臓病から生じる糖尿病、その他の内分泌疾患(例えば、クッシング症候群、末端肥大症、褐色細胞腫、グルカゴン産生腫瘍、原発性アルドステロン症またはソマトスタチン産生腫瘍等)、A型インスリン抵抗症候群、B型インスリン抵抗症候群、脂肪組織萎縮性糖尿病、およびβ−細胞毒素により誘発される糖尿病が挙げられるがこれらに限定されない。
【0166】
N−ベンジル置換ピリジルポルフィリン化合物はまた、糖尿病性合併症を治療または予防するのに使用されることができる。N−ベンジル置換ピリジルポルフィリン化合物の有効量の投与により治療または予防することができる糖尿病性合併症の例としては、糖尿病性白内障、緑内障、網膜症、腎症(例えば、微量アルブミン尿および進行性糖尿病性腎症等)、多発神経障害、足の壊疽、アテローム性冠状動脈疾患、末梢動脈疾患、非ケトン性高血糖性高浸透圧性昏睡、単発神経炎、自律性神経障害、皮膚または粘膜合併症(例えば、感染症、脛斑、カンジダ菌感染症または糖尿病性リポイド類壊死症等)、末梢血管疾患、高脂質血症、高血圧症、インスリン抵抗性症候群、冠動脈疾患、糖尿病性神経障害、単発神経炎、足の潰瘍、関節疾患、真菌感染症、細菌感染、神経障害、血管障害、心筋症、および勃起障害が挙げられるがこれらに限定されない。
【0167】
4.15 癌化学療法の副作用の治療または予防
癌化学療法の副作用を、N−ベンジル置換ピリジルポルフィリン化合物の有効量の投与により治療または予防することができる。
【0168】
癌化学療法の副作用の例としては、吐き気、嘔吐、脱毛、骨髄抑制、食欲不振、神経障害、頭痛、疼痛、口渇、口のただれ、骨髄抑制、色素沈着過度、皮膚発疹、体液鬱滞、下痢、心臓毒性、過敏症、発熱および悪寒、白血球減少、血小板減少、無気力感、腎毒性、中毒性難聴、体のほてり、高血糖、および膵炎が挙げられるがこれらに限定されない。
【0169】
一実施形態では、癌化学療法は、白金系抗癌剤を投与する工程を含む。したがって、本発明は、N−ベンジル置換ピリジルポルフィリン化合物の有効量を、それを必要とする対象に投与する工程を含む、白金系抗癌剤の投与の結果として生じる副作用を治療または予防する方法を包含する。白金系抗癌剤の投与の結果として生じる副作用は、上に列挙した癌化学療法の副作用のものである。或る実施形態では、白金系抗癌剤としては、シスプラチン(cisplatin)、カルボプラチン(carboplatin)、アロプラチン(aroplatin)、およびオキサリプラチン(oxaliplatin)が挙げられるがこれらに限定されない。
【0170】
一実施形態では、癌化学療法は、ドキソルビシン(doxorubicin)またはシスプラチンを投与することを含む。
特定の実施形態では、N−ベンジル置換ピリジルポルフィリン化合物は、ドキソルビシンの副作用の治療または予防の必要のある対象に投与される。
【0171】
その他の特定の実施形態では、N−ベンジル置換ピリジルポルフィリン化合物は、シスプラチンの副作用の治療または予防の必要のある対象に投与される。
4.16 放射線誘発傷害の治療または予防
放射線誘発傷害を、N−ベンジル置換ピリジルポルフィリン化合物の有効量の対象への投与により治療または予防することができる。
【0172】
本発明方法を使用して治療可能な、または予防可能な放射線誘発傷害の例としては、急性放射線症候群、例えば、脳症候群;胃腸症候群;造血症候群;急性放射能疾患;肺線維症;放射線直腸炎;神経障害;吐き気;嘔吐;脱毛;疼痛;頭痛;食道狭窄;胃潰瘍;放射線肺臓炎;心筋症;局所的に誇張された色素沈着、多孔質、細かな線、皺、拡大した孔、および脂腺における黒ずんだ充填物の発達;皮膚癌;日焼け;日光皮膚炎;光線アルルギー性皮膚炎;日焼け斑;老人斑;および日光中毒により特徴付けられる光損傷皮膚が挙げられるがこれらに限定されない。
【0173】
一実施形態では、放射線誘発傷害を治療することは、放射線への暴露後の対象の生存時間を増加することを含む。
その他の実施形態では、死は、本発明により予防可能な放射線誘発傷害の一例である。
【0174】
N−ベンジル置換ピリジルポルフィリン化合物はまた、治療放射線の投与中の放射線誘発傷害からバイスタンダー(bystander)健全組織を保護するのに有用である。
放射線誘発傷害は、核兵器、例えば、原子爆弾、中性子爆弾、または「汚い爆弾」等;工業源、例えば、原子力発電所、原子力潜水艦、または核廃棄物処理場等;診断用または治療用医療もしくは歯科用途、例えば、X線、CTスキャン、外部放射線治療、内部放射線治療(例えば、癌治療で使用される放射性「種」移植)を含むが、これらに限定されない多数の源からのイオン化放射線に対する対象の暴露の結果として生じてもよい。この傷害は、偶発事故、戦争またはテロ行為、家庭または仕事場での蓄積暴露、医学的診断または治療中の意図的暴露、あるいは紫外放射線、例えば日光への暴露の結果として生じてもよい。
【0175】
日光への暴露に起因する放射線誘発傷害の例としては、局所的に誇張された色素沈着、多孔質、細かな線、皺、拡大した孔、および脂腺における黒ずんだ充填物の発達;皮膚癌;日焼け;日光皮膚炎;光線アルルギー性皮膚炎;日焼け斑;老人斑;および日光中毒により特徴付けられる光損傷皮膚が挙げられるがこれらに限定されない。一実施形態では、日光への暴露が原因の放射線誘発傷害に対して治療される対象は、疾患によりまたは医薬品により(薬剤誘発感受性)日光に対して敏感であった。
【0176】
一実施形態では、この傷害は核兵器の放射線により誘発される。
その他の実施形態では、この傷害は原子力発電所の放射線により誘発される。
その他の実施形態では、この傷害は、対象が非放射線関連障害の治療で受ける放射線治療の放射線により誘発される。
【0177】
その他の実施形態では、この傷害は、対象が癌の治療で受ける放射線治療の放射線により誘発される。
一実施形態では、この傷害は、対象に対して暴露または投与された放射性物質の放射線により誘発される。
【0178】
一実施形態では、放射線誘発傷害は、反応性種への暴露の結果として生じる。
4.17 癌の治療または予防
本発明は、N−ベンジル置換ピリジルポルフィリン化合物の有効量を、それを必要とする対象に投与する工程を含む、癌の治療または予防方法を包含する。
【0179】
N−ベンジル置換ピリジルポルフィリン化合物を使用して治療または予防できる癌の例としては、表1において以下で説明される癌およびこの転移が挙げられるがこれらに限定されない。
【0180】
【表17】




一実施形態では、癌は、膵癌、結腸直腸癌、中皮腫、悪性胸水、腹膜癌症、腹膜肉腫症、腎細胞癌、小細胞肺癌、非小細胞肺癌、睾丸癌、膀胱癌、乳癌、頭部および頸部癌、または卵巣癌である。
【0181】
その他の実施形態では、治療または予防を必要とする対象は予め癌治療を受けている。その様な予備治療としては、事前の化学療法、放射線治療、外科手術または免疫治療、例えば、癌ワクチンが挙げられるがこれらに限定されない。
【0182】
N−ベンジル置換ピリジルポルフィリン化合物はまた、ウイルスが原因の癌の治療または予防に有用である。例えば、ヒト乳頭腫ウイルスは子宮頸癌をもたらす可能性があり(例えば、ヘルナンデス−アビラら(Hernandez−Avila et al.)、Archives of Medical Research(1997年)第28巻:265〜271ページを参照されたい)、EBウイルス(Epstein−Barr virus(EBV))はリンパ腫をもたらす可能性があり(例えば、ヘルマンら(Herrmann et al.)、J Pathol(2003年)199(2):140〜5ページを参照されたい)、B型またはC型肝炎ウイルスは肝癌をもたらす可能性があり(例えば、エル−セラグ(El−Serag)、J Clin Gastroenterol(2002年)35(5 Suppl 2):S72−8を参照されたい)、ヒトT細胞白血病ウイルス(HTLV)−IはT細胞白血病をもたらす可能性があり(例えば、モルトロウクスら(Mortreux et al.)、Leukemia(2003年)17(1):26〜38ページを参照されたい)、ヒトヘルペスウイルス8型感染症はカポジ肉腫をもたらす可能性があり(例えば、カドーら(Kadow et al.)、Curr Opin Investig Drugs(2002年)3(11):1574〜9ページを参照されたい)、およびヒト免疫不全ウイルス(HIV)感染症は、免疫不全の結果として癌の発生に寄与する(例えば、ダル マソら(Dal Maso et al.)、Lancet Oncol(2003年)4(2):110〜9ページを参照されたい)。
【0183】
N−ベンジル置換ピリジルポルフィリン化合物はまた、表1に列挙される癌を含むがこれらに限定されない癌の進行を阻止するために投与されることができる。その様な予防的使用は、腫瘍形成または癌に対して先行する進行が分かっているまたは疑わしい状態で、特に、非腫瘍性細胞成長が、異常増殖、化成からなる場合、または最も具体的には、形成異常が発生している場合に示される(その様な異常な成長状態の検討に対しては、ロビンスとエンジェル(Robbins and Angell)、Basic Pathology、68〜79ページ(第2版、1976年)を参照されたい)。異常増殖は、構造または機能において顕著な変性を伴わない、組織または臓器における細胞数の増加を含む制御された細胞増殖の一形態である。例えば、子宮内膜増殖症は多くの場合、子宮内膜癌に先行し、多くの場合、前癌結腸ポリープが癌性損傷へ変換する。化成は、成人のまたは完全に区別される細胞の1つのタイプが成人細胞のその他のタイプに置換わる、制御された細胞成長の一形態である。化成は、上皮細胞または結合組織細胞で生起することができる。一般的な化成としては、幾分無秩序な化成上皮組織が挙げられる。形成異常は多くの場合、癌の前兆であり、主に上皮で見出され、それは非腫瘍性細胞成長の殆ど無秩序な形態であり、個々の細胞の一様性および細胞の構造的方向性を失っている。形成異常細胞は多くの場合、異常に大きく、深く染色される核を有し、および多形性を示す。形成異常は、慢性的刺激または炎症が存在するところで特徴的に生起し、多くの場合、頸部、気道、口腔、および胆嚢において見出される。
【0184】
選択的にまたは異常増殖、化成、もしくは形成異常として特徴付けられる異常細胞成長の存在に加えて、対象からの細胞サンプルによりin vivoまたはin vitroで示される形質転換表現型、または悪性表現型の1つまたは複数の特徴の存在は、N−ベンジル置換ピリジルポルフィリン化合物の予防的/治療的投与の望ましさを示すことができる。形質転換表現型のその様な特徴としては、形態学変化、緩んだ基層アタッチメント、接触阻止の損失、足場依存性の損失、プロテアーゼ放出、増加した糖輸送、減少した血清要求、胎児抗原の発現、250,000ダルトンの細胞表面タンパク質の消失が挙げられる(また、形質転換または悪性表現型に関連した特徴に対しては、同文献84〜90ページを参照されたい)。
【0185】
特定の実施形態では、白板症、上皮の良性と思われる異常増殖もしくは形成異常損傷、またはボーエン病(Bowen’s disease)、上皮内癌は、本発明により治療または予防できる新生物発生前の損傷である。
【0186】
その他の実施形態では、繊維嚢胞性疾患(例えば、嚢胞性過形成、乳腺異形成、特に腺疾患(良性上皮過形成))が、本発明により治療または予防可能である。
その他の実施形態では、悪性腫瘍に対する次の前処置要素の1つまたは複数を示す対象における癌を、N−ベンジル置換ピリジルポルフィリン化合物の有効量の投与により治療することができる:悪性腫瘍に随伴する染色体転座、例えば、慢性骨髄性白血病に対するフィラデルフィア染色体または濾胞性リンパ腫に対するt(14;18);家族性ポリポーシスまたはガードナー症候群;良性モノクローナルガンマグロブリン異常症;メンデル性(発生)遺伝パターンを示す、癌または前癌疾患、例えば、家族性結腸ポリポーシス、ガードナー症候群、遺伝性外骨腫、多内分泌腺腫症、アミロイド産生を伴う髄様甲状腺癌および褐色細胞腫、ポイツ・ジェガース(Peutz−Jeghers)症候群、フォン・レクリングハウゼン(Von Recklinghausen)の神経線維腫症、網膜芽腫、頸動脈小体腫、皮膚悪性黒色腫、眼内悪性黒色腫、色素性乾皮症、毛細血管拡張性運動失調症、チェディアク−ヒガシ(Chediak−Higashi)症候群、白化症、ファンコニ(Fanconi)再生不良性貧血、およびブルーム症候群(ロビンスとエンジェル(Robbins and Angell)、Basic Pathology、112〜112ページ(第2版、1976年)を参照されたい)を有する人の一親等血縁;および発癌物質への暴露、例えば、喫煙および或種の化学品の吸入または接触。
【0187】
その他の特定の実施形態では、N−ベンジル置換ピリジルポルフィリン化合物は、乳癌、結腸癌、卵巣癌、または子宮頸癌の進行を阻止するためにヒト対象に投与される。
5 本発明の治療的/予防的投与および組成物
これらの活性により、N−ベンジル置換ピリジルポルフィリン化合物は、獣医およびヒト医学において都合よく有用である。上述の通り、N−ベンジル置換ピリジルポルフィリン化合物は、それを必要とする対象において状態を治療または予防するのに、あるいは酸化傾向のある化合物の半減期を延長するのに有用である。
【0188】
対象に投与される場合、N−ベンジル置換ピリジルポルフィリン化合物は、生理学的に許容されるキャリヤまたはビヒクルを含む組成物の成分として投与されることができる。N−ベンジル置換ピリジルポルフィリン化合物を含む本発明の組成物は、経口投与されることができる。N−ベンジル置換ピリジルポルフィリン化合物はまた、任意のその他の都合のよい経路、例えば注入または静脈内ボーラス、上皮または皮膚粘膜上皮を通しての吸収(例えば、経口、直腸、および腸粘膜)により投与されることができ、その他の生物学的活性剤とともに投与されることができる。投与は全身または局所であることができる。種々の送達システム、例えばリポソーム中のカプセル化、微粒子、マイクロカプセル、カプセルが公知であり、投与されることができる。
【0189】
投与方法としては、皮内、筋肉内、腹腔内、静脈内、眼、皮下、鼻腔内、硬膜外、経口、舌下、大脳内、膣内、経皮、直腸、吸入による、または局所、特に、耳、鼻、眼、または皮膚が挙げられるこれらに限定されない。幾つかの例では、投与は、N−ベンジル置換ピリジルポルフィリン化合物の血流中への放出をもたらす。投与方式を医師の裁量に任せることができる。
【0190】
一実施形態では、N−ベンジル置換ピリジルポルフィリン化合物は経口投与される。
その他の実施形態では、N−ベンジル置換ピリジルポルフィリン化合物を局所的に投与するのが望ましいことがある。これは、限定するものではないが、例えば、外科手術中の局所注入により、局所適用、例えば外科手術後の包帯とともに、注射により、カテーテルの手段により、坐薬または浣腸の手段により、あるいは移植手段により達成されることができ、前記移植は、シアラスチック(sialastic)膜等の膜を含む、多孔性、非多孔性、またはゼラチン状物質、あるいは繊維である。
【0191】
或る実施形態では、N−ベンジル置換ピリジルポルフィリン化合物を、心室内、硬膜内、および硬膜外注入、ならびに浣腸を含む任意の適当な経路により中枢神経系または胃腸管中に導入するのが望ましいことがある。心室内注入を、心室内カテーテル、例えば、リザーバ、例えば、オンマヤ(Ommaya)リザーバ等に取り付けた心室内カテーテルで円滑にすることができる。
【0192】
肺投与はまた、例えば、噴霧器の吸入器の使用により、およびエアゾール化剤を伴う調剤により、またはフルオロカーボン・オールの合成肺表面活性剤での潅流により採用されることができる。或る実施形態では、N−ベンジル置換ピリジルポルフィリン化合物は、従来のバインダーおよび賦形剤、例えばトリグリセリド等とともに坐薬として調剤されることができる。
【0193】
その他の実施形態では、N−ベンジル置換ピリジルポルフィリン化合物は、小胞、特にリポソームで送達されることができる(ランガー(Langer)、Science 第249巻:1527〜1533ページ(1990年)およびTreat or prevent et al.、Liposomes in the Therapy of Infectious Disease and Cancer 317〜327ページおよび353〜365ページ(1989年)を参照されたい)。
【0194】
その他の実施形態では、N−ベンジル置換ピリジルポルフィリン化合物は、制御された放出システムまたは持続放出システムで送達されることができる(例えば、グッドソン(Goodson)、in Medical Applications of Controlled Release、supra、第2巻、115〜138ページ(1984年)を参照されたい)。ランガー(Langer)、Science 第249巻:1527〜1533ページ(1990年)の展望で検討されているその他の制御されたまたは持続放出システムが使用可能である。一実施形態では、ポンプが使用可能である(ランガー(Langer)、Science 第249巻:1527〜1533ページ(1990年);セフトン(Sefton)、CRC Crit.Ref.Biomed.Eng.第14巻:201ページ(1987年);ブッフバルトら(Buchwald et al.)、Surgery 第88巻:507ページ(1980年);およびシャウデックら(Saudek et al.)、N.Engl.J Med. 第321巻:574ページ(1989年))。その他の実施形態では、ポリマー物質が使用可能である(Medical Applications of Controlled Release(ランガー(Langer)およびワイズ(Wise) eds.、1974年):Controlled Drug Bioavailability、Drug Product Design and Performance(スモーレン(Smolen)およびボール(Ball) eds.、1984年);ランガー(Ranger)およびペッパス(Peppas)、J.Macromol.Sci.Rev.Macromol.Chem. 第2巻:61ページ(1983年);レビーら(Levy et al.)、Science 第228巻:190ページ(1935年);ダーリングら(During et al.)、Ann.Neural.第25巻:351ページ(1989年);およびハワードら(Howard et al.)、J.Neurosurg.第71巻:105ページ(1989年)を参照されたい)。
【0195】
その他の実施形態では、制御されたまたは持続放出システムを、N−ベンジル置換ピリジルポルフィリン化合物の標的の近傍、例えば、脊柱、脳、皮膚、肺、甲状腺、結腸または胃腸管に置くことができ、したがって、全身投与量の画分だけを必要とする。
【0196】
本発明の組成物は、薬剤として許容される賦形剤の適当量を場合により含むことができ、そうすることにより対象に対して適切な投与の形態を準備することができる。
その様な薬剤としての賦形剤は、液体、例えば、水および、石油、動物、植物、または合成源、例えば、落花生油、大豆油、鉱油、ゴマ油等を含む油等であることができる。薬剤としての賦形剤は、生理食塩水、アラビアゴム、ゼラチン、デンプンペースト、タルク、ケラチン、コロイド状シリカ、尿素等であることができる。さらに、助剤、安定剤、増粘剤、潤滑剤、および着色剤が使用可能である。一実施形態では、薬剤として許容される賦形剤は、対象に投与される場合に無菌である。水は、N−ベンジル置換ピリジルポルフィリン化合物が静脈内投与される場合に特に有用な賦形剤である。生理食塩水溶液および水性デキストロースおよびグリセロール溶液はまた、液体賦形剤として、特に、注射可能な溶液で使用可能である。好適な薬剤としての賦形剤としてはまた、デンプン、グルコース、ラクトース、スクロース、ゼラチン、モルト、ライス、小麦粉、チョーク、シリカゲル、ステアリン酸ナトリウム、グリセロールモノステアレート、タルク、塩化ナトリウム、乾燥スキムミルク、グリセロール、プロピレン、グリコール、水、エタノール等が挙げられる。本発明の組成物は、必要に応じて、また少量の湿潤剤もしくは乳化剤、またはpH緩衝剤を含むことができる。
【0197】
本発明の組成物は、溶液、懸濁液、エマルション、錠剤、丸剤、ペレット、カプセル、液体含有カプセル、粉末、持続放出調剤、坐薬、エマルション、エアロゾル、スプレー、懸濁液の形態、または使用に適した任意のその他の形態を取ることができる。一実施形態では、組成物はカプセルの形態である(例えば、米国特許第5698155号明細書を参照されたい)。好適な薬剤としての賦形剤のその他の例は、本願に援用するRemington’s Pharmaceutical Sciences 1447〜1676ページ(アルフォンソ アール ジェナーロ(Alfonso R.Gennaro,eds.、第19版1995年)に記載されている。
【0198】
一実施形態では、N−ベンジル置換ピリジルポルフィリン化合物は、人間に対して経口投与に適合した組成物として通常の手順により調剤される。経口送達のための組成物は、錠剤、トローチ剤、水性もしくは油性懸濁液、顆粒、粉末、エマルション、カプセル、シロップ、または例えばエリキシル剤の形態であることができる。経口投与される組成物は、薬剤として口当たりのよい製剤を与えるために、1つまたは複数の作用薬、例えば、甘味剤、例えばフルクトース、アスパルテームまたはサッカリン等;芳香剤、例えばペパーミント、ウインターグリーンの油、またはチェリー等;着色剤;および保存剤を含むことができる。さらに、錠剤または丸剤形態である場合、組成物は、胃腸管での崩壊および吸収を遅らせるために被覆されることができ、それによって長期間にわたり持続した作用を与えることができる。浸透圧活性駆動のN−ベンジル置換ピリジルポルフィリン化合物の周りを取り囲む選択的浸透性膜はまた、経口投与組成物にとって好適なものである。これらの後者のプラットフォームにおいては、カプセルを取り囲む環境からの液体が駆動化合物により吸収され、孔を通して作用薬または作用薬組成物を置き換えるために膨潤する。これらの送達プラットフォームは、即時放出調剤の強化形状に対して本質的にゼロ次送達形状を用意することができる。時間遅延物質、例えばグリセロールモノステアレートまたはグリセロールステアレート等も使用することができる。経口組成物は、マンニトール、ラクトース、デンプン、ステアリン酸マグネシウム、サッカリンナトリウム、セルロース、および炭酸マグネシウム等の標準賦形剤を含むことができる。一実施形態では、賦形剤は薬剤としての等級のものである。
【0199】
その他の実施形態では、N−ベンジル置換ピリジルポルフィリン化合物は、静脈内投与のために調剤されることができる。一般的に、静脈内投与のための組成物は無菌の等張水性緩衝液を含む。必要に応じて、組成物はまた、可溶化剤を含むことができる。静脈内投与のための組成物は、注入部位での痛みを和らげるためにリグノカイン等の局所麻酔剤を場合により含むことができる。一般的に、成分は別々に供給され、または単位剤形で、例えば活性剤の量を指示するアンプルまたはサシェ(sachette)等の密封容器中の凍結乾燥粉末または無水濃縮物として一緒に混合される。N−ベンジル置換ピリジルポルフィリン化合物が注入により投与される場合は、これらは、例えば無菌の薬剤としての等級の水または生理食塩水を含む注入用ボトルで調剤されることができる。N−ベンジル置換ピリジルポルフィリン化合物が注射より投与される場合は、注射用の無菌水または生理食塩水のアンプルを用意して、成分を投与前に混合することができる。
【0200】
N−ベンジル置換ピリジルポルフィリン化合物は、制御された放出または持続放出手段で、または当業者に良く知られた送達装置で投与されることができる。例としては、本願に援用する、米国特許第3845770号明細書、第3916899号明細書、第3536809号明細書、第3598123号明細書、第4008719号明細書、第5674533号明細書、第5059595号明細書、第5591767号明細書、第5120548号明細書、第5073543号明細書、第5639476号明細書、第5354556号明細書、および第5733556号明細書に記載されているものが挙げられるがこれらに限定されない。その様な剤形は、種々の割合で所望の放出形状を用意するために、例えば、ヒドロプロピルメチルセルロース、その他のポリマー物質、ゲル、浸透性膜、浸透圧系、複数層コーティング、微粒子、リポソーム、微細球体、またはこれらの組合せを使用して、1つまたは複数の活性成分の制御された、または持続放出を与えるために使用されることができる。本願に記載されているものを含めて、当業者に公知の好適な制御された、または持続放出調剤は、本発明の活性成分とともに使用するために容易に選択されることができる。したがって、本発明は、経口投与に適した単独剤形、例えば錠剤、カプセル、ゲルキャップ、および制御された、または持続放出に適合したキャプレット(caplet)等が挙げられるがこれらに限定されない単独剤形を包含する。
【0201】
一実施形態では、制御された、または持続放出組成物は、状態の治療または予防のため、または最少量の時間で酸化傾向のある化合物の半減期を延長するためにN−ベンジル置換ピリジルポルフィリン化合物の最少量を含む。制御された、または持続放出組成物の利点としては、薬剤の拡大された活性、減少された投与頻度、および増加した対象の承諾が挙げられる。さらに、制御された、または持続放出組成物は、作用またはその他の特徴、例えば、N−ベンジル置換ピリジルポルフィリン化合物の血中濃度等の始期に有利に影響を及ぼすことができ、したがって、逆の副作用の発生を減少させることができる。
【0202】
制御された、または持続放出組成物は、所望の治療的または予防的効果を即座に生み出すN−ベンジル置換ピリジルポルフィリン化合物の量を最初に放出することができ、長期にわたり治療的または予防的効果のこの水準を維持するために残りの量のN−ベンジル置換ピリジルポルフィリン化合物を徐々に、連続して放出することができる。体においてN−ベンジル置換ピリジルポルフィリン化合物の一定水準を維持するために、N−ベンジル置換ピリジルポルフィリン化合物を、代謝されて体から排出されるN−ベンジル置換ピリジルポルフィリン化合物の量を置き換える速度で剤形から放出することができる。活性成分の制御された、または持続放出は、pH変化、温度変化、酵素の濃度または利用可能性、水の濃度または利用可能性、あるいはその他の生理学的状態または化合物を含むがこれらに限定されない、種々の状態により促すことができる。
【0203】
状態の治療または予防のため、または酸化傾向のある化合物の半減期を延長するのに有効なN−ベンジル置換ピリジルポルフィリン化合物の量を、標準の臨床方法で決定することができる。さらに、in vitroまたはin vivo分析を、最適投与量範囲を確認する手助けとして場合により使用することができる。使用される正確な投与量は、また、投与の経路、対象の放射線暴露時間、対象が暴露される放射線の量、または予防もしくは治療を受ける状態の重篤度に依存することができる。しかしながら、適当な有効投与量は4時間毎に約10マイクログラム〜約5gの範囲であるが、これらは一般的には、4時間毎に約500mg以下である。一実施形態では、有効投与量は、4時間毎に、約0.01mg、0.5mg、約1mg、約50mg、約100mg、約200mg、約300mg、約400mg、約500mg、約600mg、約700mg、約800mg、約900mg、約1g、約1.2g、約1.4g、約1.6g、約1.8g、約2.0g、約2.2g、約2.4g、約2.6g、約2.8g、約3.0g、約3.2g、約3.4g、約3.6g、約3.8g、約4.0g、約4.2g、約4.4g、約4.6g、約4.8g、および約5.0gである。同等の投与量は、約2時間毎、約6時間毎、約8時間毎、約12時間毎、約24時間毎、約36時間毎、約48時間毎、約72時間毎、約毎週、約2週間毎、約3週間毎、約毎月、および約2カ月毎を含むがこれらに限定されない種々の時間間隔で投与されてもよい。本願で説明されている有効投与量とは、投与された合計量を意味し、すなわち、1つより多いN−ベンジル置換ピリジルポルフィリン化合物が投与される場合は、有効投与量は投与された合計量に相当する。
【0204】
N−ベンジル置換ピリジルポルフィリン化合物が放射線誘発治療損傷の予防のために投与される場合、N−ベンジル置換ピリジルポルフィリン化合物は、放射線暴露前の48時間以内に投与されることができる。投与を、上で示された一定間隔で繰り返すことができる。
【0205】
一実施形態では、N−ベンジル置換ピリジルポルフィリン化合物の初期投与量は、以後の一定間隔で場合により投与される繰返し投与量を伴い、放射線暴露前の約5分〜約1時間で投与される。
【0206】
N−ベンジル置換ピリジルポルフィリン化合物は、ヒトでの使用に先立って、所望の治療的または予防的活性をin vitroまたはin vivoで評価することができる。
【0207】
それを必要とする対象において状態の治療もしくは予防のため、または酸化傾向のある化合物の半減期を延長するための本発明の方法は、N−ベンジル置換ピリジルポルフィリン化合物を投与されている対象にその他の治療薬を投与する工程をさらに含むことができる。一実施形態では、その他の治療薬は有効量で投与される。
【0208】
その他の治療薬の有効量は当業者には良く知られている。しかしながら、その他の治療薬の最適有効量の範囲を決めるのは当業者の権限内で十分である。本発明の一実施形態では、その他の治療薬が対象に投与される場合、N−ベンジル置換ピリジルポルフィリン化合物の有効量は、その他の治療薬が投与されない場合のその有効量よりも少ない。この場合は、理論にとらわれずに、N−ベンジル置換ピリジルポルフィリン化合物およびその他の治療薬は、状態の治療もしくは予防のために、または酸化傾向のある化合物の半減期を延長するために相乗効果的に作用するものと考えられる。
【0209】
その他の治療薬は、抗炎症剤であることができる。有用な抗炎症剤の例としては、アドレノコルチコステロイド(adrenocorticosteroid)、例えば、コルチゾール(cortisol)、コルチゾン(cortisone)、フルドロコルチゾン(fludrocortisone)、プレドニゾン(prednisone)、プレドニゾロン(prednisolone)、6a−メチルプレドニゾロン、トリアムシノロン(triamcinolone)、ベタメタゾン(betamethasone)、およびデキサメタゾン(dexamethasone)等;および非ステロイド系抗炎症剤(NSAID)、例えば、アスピリン、アセトアミノフェン、インドメタシン、スリンダック(sulindac)、トルメチン(tolmetin)、ジクロフェナク(diclofenac)、ケトロラク(ketorolac)、イブプロフェン(ibuprofen)、ナプロキセン(naproxen)、フルルビプロフェン(flurbiprofen)、ケトプロフェン(ketoprofen)、フェノプロフェン(fenoprofen)、オキサプロジン(oxaprozin)、メフェナム酸、メクロフェナム酸、ピロキシカム(piroxicam)、メロキシカム(meloxicam)、ナブメトン(nabumetone)、ロフェコキシブ(rofecoxib)、セレコキシブ(celecoxib)、エトドラック(etodolac)、およびニメスリド(nimesulide)等が挙げられるがこれらに限定されない。
【0210】
その他の治療薬は抗糖尿病薬であることができる。有用な抗糖尿病薬の例としては、グルカゴン(glucagon);ソマトスタチン(somatostatin);ジアゾキシド(diazoxide);スルホニル尿素、例えば、トルブトアミド(tolbutamide)、アセトヘキサミド(acetohexamide)、トラザミド(tolazamide)、クロロプロパミド(chloropropamide)、グリベンクラミド(glybenclamide)、グリピジド(glipizide)、グリクラジド(gliclazide)、およびグリメピリド(glimepiride)等;インスリン分泌促進薬、例えば、レパグリニド(repaglinide)、およびナテグリニド(nateglinide)等;ビグアナイド(biguanide)、例えば、メトフォルミン(metformin)およびフェンフォルミン(phenformin)等;チアゾリジンジオン、例えば、ピオグリタゾン(pioglitazone)、ロジグリタゾン(rosiglitazone)、およびトログリタゾン(troglitazone)等;およびα−グルコシダーゼ阻害剤、例えば、アカルボース(acarbose)およびミグリトール(miglitol)等が挙げられるがこれらに限定されない。
【0211】
その他の治療薬は、抗心疾患薬であることができる。有用な抗心疾患薬の例としては、カルニチン(carnitine);チアミン(thiamine);およびムスカリン性受容体拮抗剤、例えば、アトロピン(atropine)、スコポラミン(scopolamine)、ホマトロピン(homatropine)、トロピカミド(tropicamide)、ピレンジピン(pirenzipine)、イプラトロピウム(ipratropium)、チオトロピウム(tiotropium)およびトルテロジン(tolterodine)が挙げられるがこれらに限定されない。
【0212】
その他の治療薬は、免疫抑制剤であることができる。有用な免疫抑制剤の例としては、コルチコステロイド(corticosteroid)、カルシノイリン(calcineurin)阻害剤、抗増殖剤、モノクローナル抗リンパ球抗体、ポリクローナル抗リンパ球抗体、プレドニゾン、メチルプレドニゾロン、シクロスポリン(cyclosporine)、タクロリマス(tacrolimus)、ミコフェノレートモフェチル(mycophenolate mofetil)、アザチオプリン(azathioprine)、シロリムス(sirolimus)、ムロモナブ(muromonab)−CD3、インターロイキン−2受容体拮抗剤、ダクリズマブ(daclizumab)、ウマの抗胸腺細胞グロブリン;およびウサギの抗胸腺細胞グロブリン等が挙げられるがこれらに限定されない。一実施形態では、臓器移植の結果生じる再酸素化損傷を治療または予防するための方法は、免疫抑制剤を投与する工程をさらに含む。
【0213】
その他の治療薬は抗嘔吐薬であることができる。有用な抗嘔吐薬の例としては、メトクロプロミド(metoclopromide)、ドンペリドン(domperidone)、プロクロルペラジン(prochlorperazine)、プロメタジン(promethazine)、クロルプロマジン(chlorpromazine)、トリメトベンズアミド、オンダンセトロン(ondansetron)、グラニセトロン(granisetron)、ヒドロキシジン(hydroxyzine)、アセチルロイシンモノエタノールアミン、アリザプリド(alizapride)、アザセトロン(azasetron)、ベンズキナミド(benzquinamide)、ビエタナウチン(bietanautine)、ブロモプリド(bromopride)、ブクリジン(buclizine)、クレボプリド(clebopride)、シクリジン(cyclizine)、ジメンヒドリネート(dimenhydrinate)、ジフェニドール(diphenidol)、ドラセトロン(dolasetron)、メクリジン(meclizine)、メタラタール(methallatal)、メトピマジン(metopimazine)、ナビロン(nabilone)、オキシペルンジル(oxyperndyl)、ピパマジン(pipamazine)、スコポラミン、スルピリド(sulpiride)、テトラヒドロカンナビノール、チエチルペラジン(thiethylperazine)、チオプロペラジン(thioproperazine)、トロピセトロン(tropisetron)、およびこれらの混合物が挙げられるがこれらに限定されない。
【0214】
その他の治療薬は抗癌剤であることができる。N−ベンジル置換ピリジルポルフィリン化合物およびその他の抗癌剤は、付加的にまたは相乗効果的に作用することができる。N−ベンジル置換ピリジルポルフィリン化合物およびその他の抗癌剤の相乗作用的使用は、癌を伴う対象に対して、これらの作用薬の1つまたは複数の少ない投与量の使用および/または作用薬の少ない頻度での投与を可能にする。N−ベンジル置換ピリジルポルフィリン化合物および/またはさらなる抗癌剤の少ない投与量を利用する能力および/または作用薬を少ない頻度で投与する能力は、癌の治療において作用薬の有効性を減少させることなく対象への作用薬の投与に付随した毒性を減少させることができる。さらに、相乗作用効果は、癌の治療におけるこれらの作用薬の改善された有効性および/またはいずれかの作用薬単独の使用に付随した逆のまたは望まない副作用の低減をもたらすことができる。
【0215】
一実施形態では、N−ベンジル置換ピリジルポルフィリン化合物および抗癌剤は、その様な作用薬が癌の治療で単一治療として使用される場合に一般的に使用される投与量で投与される場合に相乗作用的に作用することができる。その他の実施形態では、N−ベンジル置換ピリジルポルフィリン化合物および抗癌剤は、その様な作用薬が癌の治療で単一治療として使用される場合に一般的に使用されるよりも少ない投与量での投与量で投与される場合に相乗作用的に作用することができる。
【0216】
一実施形態では、さらなる抗癌剤は、表2に列挙される薬剤であることができるがこれらに限定されない。
【0217】
【表18】








本発明の組成物および方法で使用することのできるその他のさらなる抗癌剤としては、アシビシ、アクラルビシン、塩酸アコダゾール(acodazole hydrochloride、アクロニン、アドゼレシン、アルデスロイキン、アルトレタミン、アンボマイシン(ambomycin)、酢酸アメタントロン、アミノグルテチミド、アムサクリン、アナストロゾール、アントラマイシン、アスパラギナーゼ、アスペルリン、アザシチジン、アゼテパ(azetepa)、アゾトマイシン(azotomycin)、バチマスタト(batimastat)、ベンゾデパ、ビカルタミド、塩酸ビサントレン、ビスナフィドジメシラート、ビゼレシン、硫酸ブレオマイシン、ブレキナルナトリウム、ブロピリン、ブスルファン、カクチノマイシン、カルステロン、カラセミド、カルベチマー、カルボプラチン、カルムスチン、塩酸カルビシン(carubicin hydrochloride)、カルゼレシン、セデフィンゴール、クロランブシル、シロレマイシン(cirolemycin)、シスプラチン、クラドリビン、クリスナトールメシラート、シクロホスファミド、シタラビン、ダカルバジン、ダクチノマイシン、塩酸ダウノルビシン、デシタブイン、デキソルマブラチン、デザグアニン、デザグアニンメシラート、ジアジコン、ドセタキセル、ドキソルビシン、塩酸ドキソルビシン、ドロロキシフェン、クエン酸ドロロキシフェン、プロピオン酸ドロモスタノロン、ズアゾマイシン(duazomycin)、エダトレキサート、塩酸エフロルニチン、エルサミトルシン(elsamitrucin)、エンロプラチン、エンプロマート、エピプロピジン、塩酸エピルビシン、エルブロゾール(erbulozole)、塩酸エソルビシン(esorubicin hydrochloride)、エストラムスチン、リン酸エストラムスチンナトリウム、エタニダゾール、エトポシド、リン酸エトポシド、エトプリン(etoprine)、塩酸ファドロゾール、ファザラビン、フェンレチニド、フロクスウリジン、リン酸フルダラビン、フルオロウラシル、フルロシタビン、ホスキドン、ホストリエシンナトリウム、塩酸ゲムシタビン、ヒドロキシ尿素、塩酸イダルビシン、イホスファミド、イルモホシン、インターロイキン2(組換え型インターロイキン2またはrIL2を含む)、インターフェロンα−2α、インターフェロンα−2β、インターフェロンα−n1、インターフェロンα−n3、インターフェロンβ−Iα、インターフェロンγ−Iβ、イプロプラチン、塩酸イリノテカン、酢酸ランレオチド、レトロゾール、酢酸ロイプロリド、塩酸リアロゾール、ロメトレキソールナトリウム、ロムスチン、塩酸ロソキサントロン、マソプロコール、メイタンシン、塩酸メクロレタミン、酢酸メゲストロール、酢酸メレンゲストロール、メルファラン、メノガリル、メルカプトプリン、メトトレキセート、メトトレキセートナトリウム、メトプリン(metoprine)、メツレデパ、ミチンドミド、ミトカルシン(mitocarcin)、ミトクロミン(mitocromin)、マイトジリン、ミトマルシン(mitomalcin)、マイトマイシン、ミトスペル(mitosper)、ミトーテン、塩酸ミトキサントロン、ミコフェノール酸、ノコダゾール、ノガラマイシン、オルマプラチン、オキシスラン、パクリタキセル、ペガスパルガーゼ、ペリオマイシン(peliomycin)、ペンタムスチン(pentamustine)、硫酸ペプロマイシン、ペルホスファミド、ピポブロマン、ピポスルファン、塩酸ピロキサントロン、プリカマイシン、プロメスタン、ポルフィマーナトリウム、ポルフィロマイシン、プレドニマスチン、塩酸プロカルバジン、ピューロマイシン、塩酸ピューロマイシン、ピラゾフリン、リボプリン、ログレチミド、サフィンゴール、塩酸サフィンゴール、セムスチン、シムトラゼン、スパルフォセートナトリウム、スパルソマイシン、塩酸スピロゲルマニウム、スピロムスチン、スピロプラチン、ストレプトニグリン、ストレプトゾシン、スロフェヌル、タリソマイシン、テコガランナトリウム、テガフール、塩酸テロキサントロン、テモポルフィン、テニポシド、テロキソロン、テストラクトン、チアミプリン(thiamiprine)、チオグアニン、チオテパ、チアゾフリン、チラパザミン、クエン酸トレミフェン、酢酸トレストロン(trestolone acetate)、リン酸トリシリビン、トリメトレキサート、グルクロン酸トリメトレキサート、トリポレリン、塩酸ツブロゾール、ウラシルマスタード、ウレデパ、バプレオチド、ベルテポルフィン、硫酸ビンブラスチン、硫酸ビンクリスチン、ビンデシン、硫酸ビンデシン、硫酸ビネピジン、硫酸ビングリシナート、硫酸ビンレウロシン、酒石酸ビノレルビン、硫酸ビンロシジン(vinrosidine sulfate)、硫酸ビンゾリジン(vinzolidine sulfate)、ボロゾール、ゼニプラチン、ジノスタチン、塩酸ゾルビシン(zorubicin hydrochloride)が挙げられるがこれらに限定されない。
【0218】
本発明の方法および組成物で使用可能なさらなる抗癌剤としては、20−epi−1,25ジヒドロキシビタミンD3、5−エチニルウラシル、アビラテロン、アクラルビシン、アシルフルベン、アデシペノール(adecypenol)、アドゼレシン、アルデスロイキン、ALL−TKアンタゴニスト、アルトレタミン、アンバムスチン、アミドックス(amidox)、アミホスチン、アミノレブリン酸、アムルビシン、アムサクリン、アナグレリド、アナストロゾール、アンドログラホリド、血管形成阻害剤、アンタゴニストD、アンタゴニストG、テベレリクス、抗活性化形態形成タンパク質1、抗アンドロゲン物質(前立腺癌)、抗エストロゲン薬、抗新生物薬、アンチセンスオリゴヌクレオチド、アフィディコリングリシネート、アポトーシス遺伝子モジュレーター、アポトーシス調節因子、アプリン酸、ara−CDP−DL−PTBA、アルギニンデアミナーゼ、アスラクリン(asulacrine)、アタメスタン、アトリムスチン、アキシナスタチン1(axinastatin 1)、アキシナスタチン2(axinastatin 2)、アキシナスタチン3(axinastatin 3)、アザセトロン、アザトキシン(azatoxin)、アザチロシン、バッカチンIII誘導体(baccatin III derivatives)、バラノール(balanol)、バチマスタット、BCR/ABLアンタゴニスト、ベンゾクロリン、ベンゾイルスタウロスポリン、βラクタム誘導体、β−アレチン、ベタクラマイシンB(betaclamycin B)、ベツリン酸、bFGF阻害剤、ビカルタミド(bicalutamide)、ビサントレン、ビスアジリジニルスペルミン(bisaziridinylspermine)、ビスナフィド(bisnafide)、ビストラテンA、ビゼレシン、ブレフレート、ブロピリミン、ブドチタン、ブチオニンスルホキシミン、カルシポトリオール、カルフォスチンC、カンプトセシン誘導体、キャナリーポックスIL−2、カルボキサミド−アミノ−トリアゾール、カルボキシアミドトリアゾール、CaRest M3、CARN 700、軟骨由来阻害剤、カルゼレシン、カゼインキナーゼ阻害剤(ICOS)、カスタノスペルミン、セクロピンB、セトロレリクス、クロリン、クロロキノキサリンスルホンアミド、シカプロスト、シスポルフィリン、クラドリビン、クロミフェン類似体、クロトリマゾール、コリスマイシンA(collismycin A)、コリスマイシンB(collismycin B)、コンブレタスタチンA4、コンブレタスタチン類似体、コナゲニン、クランベシジン816(crambescidin 816)、クリスナトール、クリプトフィシン8、クリプトフィシンA誘導体、キュラシンA(curacin A)、シクロペンタアントラキノン(cyclopentanthraquinones)、シクロプラタム(cycloplatam)、シペマイシン(cypemycin)、シタラビンオクホスファート、細胞溶解因子、サイトスタチン、ダクリキシマブ(dacliximab)、デシタブイン、デヒドロジデムニンB(dehydrodidemnin B)、デスロレリン、デキサメタゾン、デキシホスフアミド(dexifosfamide)、デキスラゾキサン、デクスベラバミル、ジアジコン、ディデムニンB、ジドックス(didox)、ジエチルノルスペルミン、ジヒドロ−5−アシチジン(dihydro−5−acytidine)、ジヒドロタキソール、ジオキサマイシン(dioxamycin)、ジフェニルスピロムスチン、ドセタキセル、ドコサノール、ドラセトロン、ドキシフルリジン、ドロロキシフェン、ドロナビノール、デュオカルマイシンSA、エブセレン、エコムスチン、エデルホシン、エドレコロマブ、エフロミチン(eflomithine)、エレメン、エミテフル、エピルビシン、エプリステリド、エストラムスチン類似体、エストロゲンアゴニスト、エストロゲンアンタゴニスト、エタニダゾール、リン酸エトポシド、エクセメスタン、ファドロゾール、ファザラビン、フェンレチニド、フィルグラスチム、フィナステリド、フラボピリドール、フレゼラスチン、フルアステロン(fluasterone)、フルダラビン、塩酸フルオロダウノルニシン(fluorodaunorunicin hydrochloride)、ホルフェニメクス、ホルメスタン、ホストリエシン、ホテムスチン、ガドリニウムテキサフィリン(gadolinium texaphyrin)、硝酸ガリウム、ガロシタビン、ガニレリクス、ゼラチナーゼ阻害剤、ゲムシタビン、グルタチオン阻害剤、ヘプスルファム(hepsulfam)、ヘレグリン、ヘキサメチレンビスアセトアミド、ヒペリシン、イバンドロン酸、イダルビシン、イドキシフェン、イドラマントン、イルモホシン、イロマスタット、イミダゾアクリドン(imidazoacridones)、イミキモド、免疫賦活ペプチド、インスリン様成長因子−1レセプター阻害剤、インターフェロンアゴニスト、インターフェロン、インターロイキン、イオベングアン、ヨードドキソルビシン、イポメアノール,4−、イロプラクト(iroplact)、イルソグラジン、イソベンガゾール(isobengazole)、イソホモハリコンドリンB(isohomohalicondrin B)、イタセトロン、ジャスプラキノリド(jasplakinolide)、カハラリドF(kahalalide F)、ラメラリン−Nトリアセテート、ランレオチド、レイナマイシン、レノグラスチム、硫酸レンチナン、レプトルスタチン(leptolstatin)、レトロゾール、白血病抑制因子、白血球αインターフェロン、ロイプロリド+エストロゲン+プロゲステロン、リュープロレリン、レバミゾール、リアロゾール、直鎖ポリアミン類似体、親油性二糖類ペプチド、親油性白金複合体、リッソクリンアミド7(lissoclinamide 7)、ロバブラチン、ロンブリシン、ロメトレキソール、ロニダミン、ロソキサントロン、ロバスタチン、ロキソリビン、ルルトテカン(lurtotecan)、ルテチウムテクサフィリン、リソフィリン(lysofylline)、細胞溶解性ペプチド、マイタンシン、マンノスタチンA、マリマスタット、マソプロコール、マスピン、マトリライシン阻害剤、マトリックスメタロプロテイナーゼ阻害剤、メノガリル、メルバロン(merbarone)、メテレリン、メチオニネース、メトクロプラミド、MIF阻害剤、ミフェプリストーン、ミルテフォシン、ミリモスチム、ミスマッチ二本鎖RNA、ミトグアゾン、ミトラクトール、マイトマイシン類似体、ミトナフィド、マイトトキシン線維芽細胞成長因子−サポリン、ミトキサントロン、モファロテン、モルグラモスチム、モノクローナル抗体ヒト絨毛性生殖腺刺激ホルモン、モノホスホリルリピドA+ミオバクテリウム細胞壁sk(monophosphoryl lipid A+myobacterium cell wall sk)、モピダモール、多剤耐性遺伝子阻害剤、多発性腫瘍抑制遺伝子1ベースの療法剤、マスタード抗癌剤、ミカペルオキシドB(mycaperoxide B)、ミコバクテリア細胞壁抽出物、ミリアポロン(myriaporone)、N−アセチルジナリン(N−acetyldinaline)、N−置換ベンズアミド、ナファレリン、ナグレスチプ(nagrestip)、ナロキソン+ペンタゾシン、ナパビン(napavin)、ナフテルピン(naphterpin)、ナルトグラスチム、ネダプラチン、ネモルビシン(nemorubicin)、ネリドロン酸、中性エンドペプチダーゼ、ニルタミド、ニサマイシン(nisamycin)、酸化窒素モジュレーター、窒素酸化物抗酸化剤、ニトルリン(nitrullyn)、06−ベンジルグアニン、オクトレオチド、オキセノン(okicenone)、オリゴヌクレオチド、オナプリストン、オンダンセトロン、オンダンセトロン、オラシン(oracin)、経口用サイトカイン誘導剤、オルマプラチン、オサテロン、オキサリプラチン、オギザウノマイシン、パクリタキセル、パクリタキセル類似体、パクリタキセル誘導体、パラウアミン(palauamine)、パルミトイルリゾキシン(palmitoylrhizoxin)、パミドロン酸、パナキシトリオール(panaxytriol)、パノミフェン、パラバクチン、パゼリプチン、ペガスパルガーゼ、ペルデシン、ペントサンポリサルフェートナトリウム、ペントスタチン、ペントロゾール(pentrozole)、ペルフルブロン、ペルホスファミド、ペリリルアルコール、フェナジノマイシン、酢酸フェニル、ホスファターゼ阻害剤、ピシバニール、塩酸ピロカルピン、ピラルビシン、ピリトレキシム、プルアセチンA(placetin A)、プルアセチンB(placetin B)、プラスミノーゲン活性化因子インヒビター、白金複合体、白金複合体群、白金トリアミン錯体、ポルフィマーナトリウム、ポルフィロマイシン、プレドニゾン、プロピルビス−アクリドン、プロスタグランジンJ’2、プロテアソーム阻害剤、プロテインAベースの免疫調節剤、プロテインキナーゼC阻害剤、プロテインキナーゼC阻害剤(微細藻類)、プロテインチロシンホスファターゼ阻害剤、プリンヌクレオシドホスホリラーゼ阻害剤、プルプリン、ピラゾロアクリジン、ピリドキシル化ヘモグロビンポリオキシエチレン複合体、rafアンタゴニスト、ラルチトレキセド、ラモセトロン、rasファルネシルタンパク質トランスフェラーゼ阻害剤、ras阻害剤、ras−GAP阻害剤、脱メチル化レテリプチン、レニウムRe186エチドロン酸、リゾキシン、リボザイム、RIIレチンアミド、ログレチミド、ロヒツキン(rohitukine)、ロムルチド、ロキニメクス、ルビギノンB1(rubiginone B1)、ルボキシル(ruboxyl)、サフィンゴール、サイントピン(saintopin)、SarCNU、サルコフィトールA(sarcophytol A)、サルグラモスチム、Sdi I模倣体、セムスチン、老化誘導阻害剤1、センスオリゴヌクレオチド、シグナル伝達阻害剤、シグナル伝達モジュレーター、単鎖抗原結合蛋白質、シゾフィラン、ソブゾキサン、ボロカプタートナトリウム、フェニル酢酸ナトリウム、ソルベロール(solverol)、ソマトメジン結合タンパク質、ソネルミン(sonermin)、スパルホス酸、スピカマイシンD、スピロムスチン、スプレノペンチン(splenopentin)、スポンギスタチン1(spongistatin 1)、スクアラミン、幹細胞阻害剤、幹細胞分割阻害剤、スチピアミド(stipiamide)、ストロメリシン阻害剤、スルフィノシン(sulfinosine)、超活性血管作用性小腸ペプチドアンタゴニスト、スラジスタ(suradista)、スラミン、スワインソニン、合成グリコサミノグリカン、タリムスチン、タモキシフェンメチオジド、タウロムスチン、タザロテン、テコガランナトリウム、テガフール、テルラピリリウム(tellurapyrylium)、テロメラーゼ阻害剤、テモポルフィン、テモゾロマイド、テニポシド、テトラクロロデカオキサイド、テトラゾミン(tetrazomine)、タリブラスチン(thaliblastine)、チオコラリン(thiocoraline)、トロンボポエチン、トロンボポエチン模倣体、サイマルファシン、チモポエチン受容体アゴニスト、チモトリナン、甲状腺刺激ホルモン、スズエチルエチオプルプリン(tin ethyl etiopurpurin)、チラパザミン、二塩化チタノセン、トプセンチン(topsentin)、トレミフェン、全能性幹細胞因子、翻訳阻害剤、トレチノイン、トリアセチルウリジン、トリシリビン、トリメトレキサート、トリプトレリン、トロピセトロン、ツロステリド、チロシンキナーゼ阻害剤、チルホスチン、UBC阻害剤、ウベニメクス、泌尿生殖洞由来増殖阻害因子、ウロキナーゼレセプターアンタゴニスト、
バプレオチド、バリオリンB(variolin B)、ベクター系(赤血球遺伝子治療)、ベラレソール、ベラミン(veramine)、ベルジン(verdin)、ベルテポルフィン、ビノレルビン、ビンキサルチン、バイタクシン、ボロゾール、ザノテロン(zanoterone)、ゼニプラチン、ジラスコルブ、および、ジノスタチンスチマラマーが挙げられるがこれらに限定されない。
【0219】
別の一実施形態では、その他の抗癌剤はインターフェロン−αである。
その他の実施形態では、その他の抗癌剤はインターロイキン−2である。
一実施形態では、その他の抗癌剤は、ナイトロジェンマスタード、ニトロソウレア、アルキルスルホネート、トリアゼン、または白金含有作用薬等のアルキル化剤である。
【0220】
一実施形態では、その他の抗癌剤はトリアゼンアルキル化剤である。
特定の実施形態では、その他の抗癌剤はテモゾロミド(temozolomide)である。
【0221】
テモゾロミドは、約60mg/m(対象の体表面積)〜約250mg/mおよび約100mg/m〜約200mg/mの範囲の投与量で対象に投与されることができる。特定の実施形態では、テモゾロミドの投与量は、約10mg/m、約1mg/m、約5mg/m、約10mg/m、約20mg/m、約30mg/m、約40mg/m、約50mg/m、約60mg/m、約70mg/m、約80mg/m、約90mg/m、約100mg/m、約110mg/m、約120mg/m、約130mg/m、約140mg/m、約150mg/m、約160mg/m、約170mg/m、約180mg/m、約190mg/m、約200mg/m、約210mg/m、約220mg/m、約230mg/m、約240mg/m、または約250mg/mである。
【0222】
特定の実施形態では、テモゾロミドは経口投与される。
一実施形態では、テモゾロミドは、約150mg/m〜約200mg/mの範囲の投与量で対象に経口投与される。
【0223】
その他の実施形態では、テモゾロミドは、約150mg/m〜約200mg/mの範囲の投与量で、5日連続で1日当たり1度対象に経口投与される。
特定の実施形態では、テモゾロミドは、1〜5日で約150mg/m〜約200mg/mの範囲の投与量で、5日連続で1日当たり1度対象に経口投与され、次いで、約150mg/m〜約200mg/mの範囲の投与量で、28〜32日で5日連続で1日当たり1度再度経口投与され、次いで、約150mg/m〜約200mg/mの範囲の投与量で、55〜59日で5日連続で1日当たり1度再度経口投与される。
【0224】
特定の実施形態では、その他の抗癌剤はプロカルバジン(procarbazine)である。
プロカルバジンは、約50mg/m(対象の体表面積)〜約100mg/mおよび約60mg/m〜約100mg/mの範囲の投与量で対象に投与されることができる。特定の実施形態では、プロカルバジンの投与量は、約10mg/m、約1mg/m、約5mg/m、約10mg/m、約20mg/m、約30mg/m、約40mg/m、約50mg/m、約60mg/m、約70mg/m、約80mg/m、約90mg/m、約100mg/m、約110mg/m、約120mg/m、約130mg/m、約140mg/m、約150mg/m、約160mg/m、約170mg/m、約180mg/m、約190mg/m、約200mg/m、約210mg/m、約220mg/m、約230mg/m、約240mg/m、約250mg/m約260mg/m、約270mg/m、約280mg/m、約290mg/m、約300mg/m、約310mg/m、約320mg/m、約330mg/m、約340mg/m、約350mg/m、約360mg/m、約370mg/m、約380mg/m、約390mg/m、約400mg/m、約410mg/m、約420mg/m、約430mg/m、約440mg/m、約450mg/m、約460mg/m、約470mg/m、約480mg/m、約490mg/m、または約500mg/mである。
【0225】
特定の実施形態では、プロカルバジンは静脈内投与される。
一実施形態では、プロカルバジンは、約50mg/m〜約100mg/mの範囲の投与量で対象に静脈内投与される。
【0226】
その他の実施形態では、プロカルバジンは、約50mg/m〜約100mg/mの範囲の投与量で、5日連続で1日当たり1度、対象に静脈内投与される。
特定の実施形態では、プロカルバジンは、1〜5日で約50mg/m〜約100mg/mの範囲の投与量で、5日連続で1日当たり1度対象に静脈内投与され、次いで、約50mg/m〜約100mg/mの範囲の投与量で、28〜32日で5日連続で1日当たり1度再度静脈内投与され、次いで、約50mg/m〜約100mg/mの範囲の投与量で、55〜59日で5日連続で1日当たり1度再度静脈内投与される。
【0227】
その他の実施形態では、プロカルバジンは、約50mg/m〜約100mg/mの範囲の投与量で対象に1度静脈内投与される。
特定の実施形態では、その他の抗癌剤はダカルバジン(dacarbazine)である。
【0228】
ダカルバジンを、約60mg/m(対象の体表面積)〜約250mg/mおよび約150mg/m〜約250mg/mの範囲の投与量で対象に投与することができる。特定の実施形態では、ダカルバジンの投与量は、約10mg/m、約1mg/m、約5mg/m、約10mg/m、約20mg/m、約30mg/m、約40mg/m、約50mg/m、約60mg/m、約70mg/m、約80mg/m、約90mg/m、約100mg/m、約110mg/m、約120mg/m、約130mg/m、約140mg/m、約150mg/m、約160mg/m、約170mg/m、約180mg/m、約190mg/m、約200mg/m、約210mg/m、約220mg/m、約230mg/m、約240mg/m、約250mg/m約260mg/m、約270mg/m、約280mg/m、約290mg/m、約300mg/m、約310mg/m、約320mg/m、約330mg/m、約340mg/m、約350mg/m、約360mg/m、約370mg/m、約380mg/m、約390mg/m、約400mg/m、約410mg/m、約420mg/m、約430mg/m、約440mg/m、約450mg/m、約460mg/m、約470mg/m、約480mg/m、約490mg/m、または約500mg/mである。
【0229】
特定の実施形態では、ダカルバジンは静脈内投与される。
一実施形態では、ダカルバジンは、約150mg/m〜約250mg/mの範囲の投与量で対象に静脈内投与される。
【0230】
その他の実施形態では、ダカルバジンは、約150mg/m〜約250mg/mの範囲の投与量で、5日連続で1日当たり1度対象に静脈内投与される。
特定の実施形態では、ダカルバジンは、1〜5日で約150mg/m〜約250mg/mの範囲の投与量で、5日連続で1日当たり1度対象に静脈内投与され、次いで、約150mg/m〜約250mg/mの範囲の投与量で28〜32日で、5日連続で1日当たり1度再度静脈内投与され、次いで、約150mg/m〜約250mg/mの範囲の投与量で55〜59日で、5日連続で1日当たり1度再度静脈内投与される。
【0231】
一実施形態では、ダカルバジンは、約150mg/m〜約250mg/mの範囲の投与量で対象に1度静脈内投与される。
特定の実施形態では、その他の抗癌剤はドキソルビシンである。
【0232】
ドキソルビシンを、約50mg/m(対象の体表面積)〜約100mg/mおよび約60mg/m〜約100mg/mの範囲の投与量で対象に投与することができる。特定の実施形態では、ドキソルビシンの投与量は、約10mg/m、約1mg/m、約5mg/m、約10mg/m、約20mg/m、約30mg/m、約40mg/m、約50mg/m、約60mg/m、約70mg/m、約80mg/m、約90mg/m、約100mg/m、約110mg/m、約120mg/m、約130mg/m、約140mg/m、約150mg/m、約160mg/m、約170mg/m、約180mg/m、約190mg/m、約200mg/m、約210mg/m、約220mg/m、約230mg/m、約240mg/m、約250mg/m約260mg/m、約270mg/m、約280mg/m、約290mg/m、約300mg/m、約310mg/m、約320mg/m、約330mg/m、約340mg/m、約350mg/m、約360mg/m、約370mg/m、約380mg/m、約390mg/m、約400mg/m、約410mg/m、約420mg/m、約430mg/m、約440mg/m、約450mg/m、約460mg/m、約470mg/m、約480mg/m、約490mg/m、または約500mg/mである。
【0233】
特定の実施形態では、ドキソルビシンは静脈内投与される。
一実施形態では、ドキソルビシンは、約50mg/m〜約100mg/mの範囲の投与量で対象に静脈内投与される。
【0234】
その他の実施形態では、ドキソルビシンは、約50mg/m〜約100mg/mの範囲の投与量で、5日連続で1日当たり1度、対象に静脈内投与される。
特定の実施形態では、ドキソルビシンは、1〜5日で約50mg/m〜約100mg/mの範囲の投与量で、5日連続で1日当たり1度対象に静脈内投与され、次いで、約50mg/m〜約100mg/mの範囲の投与量で、28〜32日で5日連続で1日当たり1度再度静脈内投与され、次いで、約50mg/m〜約100mg/mの範囲の投与量で、55〜59日で5日連続で1日当たり1度再度静脈内投与される。
【0235】
その他の実施形態では、ドキソルビシンは、約50mg/m〜約100mg/mの範囲の投与量で対象に1度静脈内投与される。
一実施形態では、その他の抗癌剤はトポイソメラーゼI阻害剤、例えば、エトポシド(etoposide)、テニポシド(teniposide)、トポテカン(topotecan)、イリノテカン(irinotecan)、9−アミノカンプトテシン(aminocamptothecin)、カンプトテシン、またはクリスナトール(crisnatol)等である。
【0236】
特定の実施形態では、その他の抗癌剤はイリノテカンである。
イリノテカンを、約50mg/m(対象の体表面積)〜約150mg/mおよび約75mg/m〜約150mg/mの範囲の投与量で対象に投与することができる。特定の実施形態では、イリノテカンの投与量は、約10mg/m、約1mg/m、約5mg/m、約10mg/m、約20mg/m、約30mg/m、約40mg/m、約50mg/m、約60mg/m、約70mg/m、約80mg/m、約90mg/m、約100mg/m、約110mg/m、約120mg/m、約130mg/m、約140mg/m、約150mg/m、約160mg/m、約170mg/m、約180mg/m、約190mg/m、約200mg/m、約210mg/m、約220mg/m、約230mg/m、約240mg/m、約250mg/m約260mg/m、約270mg/m、約280mg/m、約290mg/m、約300mg/m、約310mg/m、約320mg/m、約330mg/m、約340mg/m、約350mg/m、約360mg/m、約370mg/m、約380mg/m、約390mg/m、約400mg/m、約410mg/m、約420mg/m、約430mg/m、約440mg/m、約450mg/m、約460mg/m、約470mg/m、約480mg/m、約490mg/m、または約500mg/mである。
【0237】
特定の実施形態では、イリノテカンは静脈内投与される。
一実施形態では、イリノテカンは、約50mg/m〜約150mg/mの範囲の投与量で対象に静脈内投与される。
【0238】
その他の実施形態では、イリノテカンは、約50mg/m〜約150mg/mの範囲の投与量で、5日連続で1日当たり1度対象に静脈内投与される。
特定の実施形態では、イリノテカンは、1〜5日で約50mg/m〜約150mg/mの範囲の投与量で、5日連続で1日当たり1度対象に静脈内投与され、次いで、約50mg/m〜約150mg/mの範囲の投与量で28〜32日で、5日連続で1日当たり1度再度静脈内投与され、次いで、約50mg/m〜約150mg/mの範囲の投与量で、55〜59日で5日連続で1日当たり1度再度静脈内投与される。
【0239】
一実施形態では、その他の抗癌剤はO−6−ベンジルグアニンである。
その他の実施形態では、その他の抗癌剤はO−6−ベンジルグアニンおよびテモゾロミドである。
【0240】
その他の実施形態では、その他の抗癌剤はO−6−ベンジルグアニンおよびプロカルバジンである。
なおその他の実施形態では、その他の抗癌剤はO−6−ベンジルグアニンおよびダカルバジンである。
【0241】
5.1 癌の多重治療
N−ベンジル置換ピリジルポルフィリン化合物を、外科手術、放射線治療、または免疫療法、例えば、癌ワクチンの投与等を含むがこれらに限定されない1つまたは複数のさらなる抗癌治療を受けたことのある、現に受けている、または受けようとしている対象に投与することができる。
【0242】
癌を治療するための本発明方法は、外科手術、放射線治療、または免疫療法を行うことをさらに含むことができる。
一実施形態では、抗癌治療は免疫療法である。
【0243】
一実施形態では、免疫療法は癌ワクチンである。
一実施形態では、抗癌治療は放射線治療である。
その他の実施形態では、抗癌治療は外科手術である。
【0244】
特定の実施形態では、N−ベンジル置換ピリジルポルフィリン化合物は、放射線治療と同時に投与される。その他の特定の実施形態では、さらなる抗癌治療は、N−ベンジル置換ピリジルポルフィリン化合物の投与前またはその後に行われ、一実施形態では、N−ベンジル置換ピリジルポルフィリン化合物の投与前またはその後の少なくとも1時間、5時間、12時間、1日、1週間、1カ月、または数カ月(例えば、3カ月まで)で行われる。
【0245】
さらなる抗癌治療が放射線治療である場合、任意の放射線治療プロトコールを、治療または予防されるべき癌のタイプによって使用することができる。例えば、限定するものではないが、X線放射線を投与することができ、特に高エネルギーメガ電圧(1MeVエネルギーよりも大きい放射線)を深部癌に対して使用することができ、電子ビームおよび常用電圧X線放射線を皮膚癌に対して使用することができる。γ線を放射する放射性同位元素、例えば、ラジウム、コバルトおよびその他の元素の放射性同位元素もまた投与することができる。
【0246】
さらに、本発明は、化学療法または放射線治療が治療を受ける対象において負の副作用をもたらす化学療法または放射線治療に対する代替としてN−ベンジル置換ピリジルポルフィリン化合物を使用する癌の治療方法を提供する。治療を受ける対象は、場合により、その他の抗癌治療方法、例えば、外科手術、放射線治療、または免疫療法で治療することができる。
【0247】
N−ベンジル置換ピリジルポルフィリン化合物はまた、in vitroまたはex vivoで、例えば、白血病およびリンパ腫を含むがこれらに限定されない或種の癌の治療等であって自家幹細胞移植を含む治療のために使用されることができる。これは、対象の自家造血幹細胞が刈り取られ、全ての癌細胞が取り除かれ、次いで、対象の残っている骨髄細胞集団が、N−ベンジル置換ピリジルポルフィリン化合物の投与および/または放射線治療により絶滅させられ、幹細胞グラフトが対象に注入されて戻される方法を含むことができる。
【0248】
N−ベンジル置換ピリジルポルフィリン化合物およびその他の治療薬は、付加的に、または一実施形態では相乗作用的に作用することができる。一実施形態では、N−ベンジル置換ピリジルポルフィリン化合物は、その他の治療薬と同時に投与される。一実施形態では、N−ベンジル置換ピリジルポルフィリン化合物の有効量およびその他の治療薬の有効量を含む組成物が投与可能である。あるいはまた、N−ベンジル置換ピリジルポルフィリン化合物の有効量を含む組成物およびその他の治療薬の有効量を含む別の組成物が同時に投与可能である。その他の実施形態では、N−ベンジル置換ピリジルポルフィリン化合物の有効量は、その他の治療薬の有効量の投与前またはその後に投与される。この実施形態では、N−ベンジル置換ピリジルポルフィリン化合物は、その他の治療薬がその治療効果を発揮する間に投与され、またはその他の治療薬は、N−ベンジル置換ピリジルポルフィリン化合物が、状態の治療または予防のためにあるいは酸化傾向のある化合物の半減期を延長するためにその予防または治療効果を発揮する間に投与される。
【0249】
本発明の組成物は、N−ベンジル置換ピリジルポルフィリン化合物および生理学的に許容されるキャリヤまたはビヒクルを混合する工程を含む方法により調製されることができる。混合工程は、化合物および薬剤として許容されるキャリヤまたはビヒクルを混合するために良く知られている方法を使用して遂行されることができる。一実施形態では、N−ベンジル置換ピリジルポルフィリン化合物は、有効量で組成物に存在する。
【0250】
6 キット
本発明は、対象へのN−ベンジル置換ピリジルポルフィリン化合物の投与を簡単にすることのできるキットを包含する。
【0251】
本発明の一般的なキットは、N−ベンジル置換ピリジルポルフィリン化合物の単位剤形を含む。一実施形態では、単位剤形は無菌であり得る容器内にあり、N−ベンジル置換ピリジルポルフィリン化合物および生理学的に許容されるキャリヤまたはビヒクルの有効量を含む。キットは、状態の治療または予防あるいは酸化傾向のある化合物の半減期を延長するためのN−ベンジル置換ピリジルポルフィリン化合物の使用を指示するラベルまたは印刷指示書をさらに含むことができる。キットはまた、その他の治療薬の単位剤形、例えば、その他の治療薬の有効量を含む容器をさらに含むことができる。一実施形態では、キットは、N−ベンジル置換ピリジルポルフィリン化合物の有効量およびその他の治療薬の有効量を含む容器を含む。その他の治療薬の例としては上で列挙されたものが挙げられるがこれらに限定されない。
【0252】
本発明のキットは、単位剤形を投与するのに有用な装置をさらに含むことができる。その様な装置の例としては、シリンジ、点滴バッグ、傷当て、吸入器、および浣腸バッグが挙げられるがこれらに限定されない。
【0253】
以下の実施例は本発明の理解の手助けのために示されるものであって、勿論、本願で説明され言及されている本発明を特に限定するものとして解釈されるべきものではない。
【実施例】
【0254】
(一般的方法)
プロトンNMRスペクトルを、Varian 300MHz分光光度計を使用して取得し、化学シフト値(δ)は、100万分の1(ppm)で報告する。TLCを、シリカゲル 60 F−254で予め被覆したTLCプレートを使用して行った。中間体および最終化合物を、H NMRおよびMSデータ、HPLC、および/または元素分析を基にして特徴付けた。
【0255】
(実施例1)
(化合物1の合成)
【0256】
【化15】

プロピオン酸(30L)を含む50Lの三つ口反応フラスコに2つの添加漏斗および還流冷却器を取り付けた。1つの添加漏斗に、トルエン(583mL)中のピロール(417mL、6.0モル)の溶液を入れ、2番目の添加漏斗に、トルエン(432mL)中の2−ピリジンカルボキシアルデヒド(568mL、6.0モル)の溶液を入れた。
【0257】
プロピオン酸を還流するために加熱し、次いで、プロピオン酸を還流するために勢いよく撹拌しながら、添加漏斗の内容物を2時間にわたってほぼ均等な速度で同時に添加した。得られた暗赤色−褐色反応混合物を1時間、還流で加熱し、次いで加熱源を取り除き、反応混合物を室温で約18時間撹拌した。得られた黒色溶液を#1濾紙で濾過し、真空で濃縮して黒色油状残渣を得た。黒色油状残渣をトルエン(5L)で希釈し、得られた溶液を1分間撹拌し、次いで真空で濃縮した。この希釈/濃縮を3回繰り返し、得られた黒色固体残渣を酢酸エチル(5L)で希釈し、得られた溶液を室温で約18時間撹拌した。得られた溶液を#1濾紙で濾過し、集めた固体をジクロロメタン(2L)で希釈し、得られた溶液を、溶出液としてジクロロメタン:トリエチルアミン(98:2、容量:容量)を使用してシリカゲル(10kg)でのフラッシュカラムクロマトグラフィーで精製した。関連画分を一緒にして真空で濃縮し、得られた黒色顆粒状固体を10%水性水酸化アンモニウム(2L)で希釈し、得られた懸濁液を2時間、勢いよく撹拌した。得られた懸濁液を#1濾紙で濾過し、集めた黒色固体を脱イオン水で洗浄した(4×1L)。洗浄した固体を、次いで酢酸エチル(2L)に懸濁し、得られた溶液を1時間撹拌し、次いで#1濾紙で濾過した。集めたなす紺色の顆粒状固体を1,2−ジクロロエタン(1L)で希釈し、得られた溶液を2時間撹拌し、次いで#1濾紙で濾過した。集めた固体を1,2−ジクロロエタン(4×200mL)で洗浄し、次いで真空で一晩中乾燥し、キラキラした深みのある金属性の紫色の固体として化合物1を得た。収量=64.26g(7%)。R=0.56(シリカ、9:1ジクロロメタン:メタノール中の7Nアンモニア);H NMR(CDCl)δ 9.14(d,J=3.9Hz,4H)、8.87(S,8H)、8.21(d,J=7.5Hz,4H)、8.10(dt,J=1.8Hz,J=7.8Hz,4H)、7.71(dd,J=5.1Hz,J=7.5Hz,4H);13C NMR(CDCl)δ 160.7、148.8、134.9、132.2、130.6、122.6、122.6、119.0;質量スペクトル(“MS”)m/z=619(M+H)。
【0258】
(実施例2)
(化合物2の合成)
【0259】
【化16】

塩化第二鉄(14.3g、88.89ミリモル)を、1N塩酸(245mL、3当量)中の化合物1(50.0g、80.39ミリモル)の懸濁液に添加し、得られた反応混合物を還流のために加熱し、約18時間撹拌した。得られた暗褐色反応混合物を室温まで冷却し、5N水酸化ナトリウム(160mL)を使用して塩基性とした。得られた沈殿物をWhatman#50濾紙で真空濾過し、続いて脱イオン水(4×1.5L)およびジエチルエーテル(1.5L)で洗浄した。次いで、得られた暗紫色固体を真空で3日間100℃で乾燥し、次いでジクロロメタン(200mL)に溶解し、セライトの2.54cm(1インチ)−パッドにより真空濾過した。セライトケーキを、9:1(容量:容量)ジクロロメタン:メタノールの溶液で、濾液がほぼ無色になるまで洗浄した。次いで濾液を真空で濃縮し、1水和物として暗紫色真珠光沢の粉末固体として化合物2を得た。収量=25.74g(47%)。MS m/z=672(M+)。C4027FeNの分析計算値:67.91%C、3.82%H、7.90%Fe、15.85%N、4.53%O。実測値:67.84%C、3.63%H、7.70%Fe、15.92%N。
【0260】
(実施例3)
(化合物3の合成)
【0261】
【化17】

化合物1(200.0g)を3.2Lの酢酸および800mLの脱イオン水に懸濁し、253.3g(2.0当量)の硫酸アンモニウム第一鉄6水和物を添加した。反応混合物に空気をゆっくりとバブリングし、次いで一晩中還流した。温かい反応混合物を回転蒸発器に移し、溶剤を真空で除去した。得られた固体を、4Lの10%水酸化アンモニウム中で勢いよく撹拌しながら3時間懸濁し、#50濾紙で真空濾過し、脱イオン水の1L部分で4回洗浄した。僅かに湿った固体を24Lのエタノール中で1時間撹拌し、中位ガラス化漏斗で500gのセライトで真空濾過した。濾液を回転蒸発器に移し、真空で濃縮した。得られた固体を真空および40℃で1日乾燥して、1水和物として164.0g(68%)の深紫色固体の化合物3を得た。MS m/z=672(M)。
【0262】
(実施例4)
(化合物4の合成)
【0263】
【化18】

化合物1(1.00g)を10mLの酢酸に懸濁し、440mg(1.01当量)の酢酸マンガン(III)2水和物を添加した。反応混合物を一晩中還流し、室温まで冷却した。溶剤を蒸発器フラスコに移し、真空で除去した。水酸化アンモニウム(30%水溶液、20mL)を蒸発器フラスコに添加し、続いて真空で除去した。得られた固体をメタノール(20mL)に2回溶解し、次いで蒸発させた。得られた黒色固体を50mLのジクロロメタンに溶解し、セライトの3cm厚ベッドで真空濾過した。濾液を真空で濃縮し、得られた固体を一晩中乾燥して、1水和物として1.28g(95%)の金属性黒色固体の化合物4を得た。MS m/z=671(M)。
【0264】
(実施例5)
(化合物5の合成)
【0265】
【化19】

100mLの丸底フラスコ中の10gの4−ブロモメチル安息香酸に、窒素雰囲気下で25mLの塩化チオニルを室温で添加した。撹拌懸濁液を4.5時間還流し、溶剤を真空で除去した。得られた油を50mLのトルエン中に2回溶解し、溶剤を真空で除去した。残留溶剤を真空で除去して、白っぽい固体として10.92g(100%)の化合物5を得た。
【0266】
(実施例6)
(化合物6の合成)
【0267】
【化20】

50℃の、2.74mL(1.1当量)の2,6−ルチジンおよび21mLのメチルピロリジノン中の3.54gのL−フェニルアラニンの撹拌懸濁液に、5.00g(1.0当量)の化合物5を添加した。懸濁液を、50℃および窒素雰囲気下で18時間撹拌し、100mLの急速に撹拌した1N HCl中に注入し、200mLの酢酸エチルで抽出した。得られた有機相を、1N HCl、水、およびブラインのそれぞれ100mLで洗浄し、無水MgSOで乾燥して真空で濃縮した。得られたゴムを、ジクロロメタン中の5%酢酸100mLに溶解し、300gのSiOでのフラッシュクロマトグラフィーを使用して精製した。カラムを、ジクロロメタン中の5%酢酸、7:3のジクロロメタン:酢酸エチル中の1%酢酸で、最後に、酢酸エチル中の1%酢酸のそれぞれ2Lで溶出した。60mLの画分が集まった。不純物をジクロロメタン中の5%酢酸中に溶出し、化合物6を酢酸エチルの添加で溶出した。化合物6含有画分を一緒にし、溶剤を真空で除去して黄色油を得た。得られた油を100mLの容量のトルエンに2回懸濁し、真空で濃縮して酢酸を除去した。得られた固体を、−20℃で酢酸エチル/トルエンから結晶化した。結晶を真空濾過し、室温においてトルエンで洗浄し、真空で18時間乾燥した。濾液を真空で濃縮し、結晶の2番目の収穫物を集めた。収穫物1は1.14gの白色結晶を生成し、収穫物2は0.868g(26%全体)の化合物6を生成した。
【0268】
(実施例7)
(化合物7の合成)
【0269】
【化21】

L−チロシンメチルエステル塩酸塩(4.96g、21.4ミリモル)を、撹拌しながら、21mLのジクロロメタンおよび5.2mL(2.1当量)の2,6−ルチジン中に窒素雰囲気下で懸濁した。懸濁液を0℃まで冷却し、化合物5(5.00g、21.4ミリモル)を添加した。懸濁液を周囲温度まで加温して18時間撹拌した。懸濁液を100mLの1N HCl中に注入し、分離漏斗で振盪した。得られた相を分離し、水性相を100mLの容量の酢酸エチルで2回抽出した。一緒にしたジクロロメタンおよび酢酸エチル有機相を無水MgSOで乾燥し、濾過し、真空で濃縮して、白っぽい固体として7.22g(86%)の化合物7を得た。
【0270】
(実施例8)
(化合物8の合成)
【0271】
【化22】

化合物7(7.20g、18.4ミリモル)を、撹拌しながら92mLのメタノール中に懸濁した。水酸化ナトリウム(1N水溶液、55mL)を添加し、この懸濁液を1.5時間撹拌すると溶液となった。濃塩酸(4.6mL、3.0当量)を添加し、メタノールを真空で除去して、赤色−白色固体の濃縮水性懸濁液を得た。この懸濁液を氷浴で15分間冷却し、次いで真空濾過した。得られた固体を100mLの1N HClで、続いて100mLの脱イオン水で洗浄し、次いで真空において40℃で18時間乾燥して、6.28g(90%)の化合物8を得た。
【0272】
(実施例9)
(化合物9〜16の合成)
【0273】
【化23】



L−フェニルアラニンまたはL−チロシンメチルエステルHClに代えて、γ−アミノ酪酸(化合物9)、5−アミノ吉草酸(化合物10)、L−アスパラギン酸メチルエステルHCl(化合物11)、L−グルタミン酸(化合物12)、グリシンエチルエステルHCl(化合物13)、β−アラニンメチルエステルHCl(化合物14)、L−バリンメチルエステルHCl(化合物15)、およびL−グルタミン(化合物16)を使用して、化合物9、10、11、12、および16を実施例6の手順に従って合成し、化合物11、13、14、および15を実施例7および8の手順に従って合成した。
【0274】
(実施例10)
(化合物17の合成)
【0275】
【化24】

還流冷却器を取り付けた1Lの丸底フラスコ中で、735mLのクロロホルム中の10.00gのm−トルイル酸および14.37g(1.1当量)のN−ブロモスクシンイミドの撹拌懸濁液を窒素で0.5時間散布した。散布を中止し、撹拌懸濁液を、窒素雰囲気下で、500W石英ハロゲンランプを使用して75%出力で照射して固体を溶解し、反応を還流した。1.25時間後に反応の赤色が透明となり、別の14.37gのN−ブロモスクシンイミドを添加した。反応混合物を撹拌し、窒素雰囲気下で、500W石英ハロゲンランプを使用して75%出力でさらに1.5時間照射し、この時点で溶液は透明であった。溶剤容量を真空で約100mLまで減少させ、次いで溶液を結晶が形成する−20℃まで冷却した。得られた懸濁液を乾燥シリカのベッドで真空濾過し、次いで800mLのクロロホルムで溶出した。クロロホルムの濾液の容量を真空で約100mLまで減少させ、次いでクロロホルムを結晶が形成する−20℃まで冷却した。結晶を真空濾過し、30mLのクロロホルムおよび50mLのヘキサンで洗浄し、次いで250mLのクロロホルムに溶解し、分離漏斗を用いて、3×300mL容量の水で、続いて300mL容量のブラインで1回洗浄し、微量のスクシンイミドを除去した。有機相を硫酸マグネシウムで乾燥し、真空濾過して真空で濃縮し、白色結晶粉末として9.56g(61%)の化合物17を得た。
【0276】
(実施例11)
(化合物18の合成)
【0277】
【化25】

化合物17(10g、46.5ミリモル)を25mLのSOClに懸濁した。懸濁液をN下で還流するために加熱し、懸濁液は透明な淡黄色溶液となった。4.5時間の還流後、反応混合物を冷却し、過剰の試薬を真空で除去した。残渣を50mLのトルエンで希釈することを2回繰り返して行い、真空でトルエンを除去することにより微量の塩化チオニルを除去した。淡黄色油を真空下で乾燥して、放置すると固化した淡黄色油として10.8g(定量収量)の化合物18を得た。
【0278】
(実施例12)
(化合物19の合成)
【0279】
【化26】

21mLの乾燥塩化メチレン中の、グリシンエチルエステルHCl(2.98g、21.4ミリモル)および2,6−ルチジン(5.71mL、2.3当量)の溶液を、N下で氷/水浴中で冷却した。化合物18(5g、21.4ミリモル)を添加し、溶液を撹拌しながら一晩中室温まで加温した。反応混合物を100mLの1N HCl中に注入した。得られた水溶液を2×150mLの酢酸エチルで抽出し、一緒にした有機相をMgSOで乾燥し、濾過して真空で濃縮し、5.9g(収率92%)の化合物19を得た。
【0280】
(実施例13)
(化合物20〜23および25の合成)
【0281】
【化27】


実施例12の手順に従い、グリシンエチルエステルを、L−バリンメチルエステルHCl、L−チロシンメチルエステルHCl、メチル6−アミノヘキサノエートHCl、およびエチル4−アミノブチレートHClで置き換えて化合物20〜23を調製した(収率>90%)。
【0282】
グリシンエチルエステルHClをβ−アラニンメチルエステルで置き換えて実施例12の手順に従い化合物25を調製した。
(実施例14)
(化合物26の合成)
【0283】
【化28】

化合物19(5.9g、19.7ミリモル)を90mLのEtOH中に溶解し、27.6mL(1.4当量)の1N NaOH(水溶液)を、定常流および室温で添加した。10分後にEtOHを真空で除去し、得られた溶液を1N HCl(水溶液)で酸性化した。重い白色沈殿物が観察され、この混合物を、さらに固体形成を促進するために氷/水浴で冷却した。固体を、真空濾過を使用して集め、真空オーブンで、40℃で一晩中乾燥して2.7gの化合物26を得た。固体の2番目の収穫物を、濾液をおよそ半分の容量まで濃縮し、溶液を氷/水浴で冷却することにより得た。真空濾過および乾燥により、さらに1.1gの化合物26を得て合計収率は71%であった。
【0284】
(実施例15)
(化合物27〜30および32の合成)
【0285】
【化29】


実施例14の手順に従い、化合物27〜30および32を化合物20〜23および25から調製した。
【0286】
(実施例16)
(化合物33の合成)
【0287】
【化30】

L−フェニルアラニン(3.54g、21.4ミリモル)、DMAP(0.5g、0.2ミリモル)および2,6−ルチジン(2.73mL、1.1当量)を21mLの無水NMPに懸濁し、50℃に加温した。化合物18を50℃で添加して透明な黄色溶液を得た。N下で一晩中撹拌を続け、白色沈殿物を有するオレンジ色の反応混合物を得た。反応混合物を100mLの1N HCl(水溶液)に注入し、250mLの酢酸エチルで抽出した。有機層を水で、次いでブラインで洗浄した。有機層を真空で濃縮してオレンジ色の油を得た。この油を5%酢酸/ジクロロメタンに溶解し、同じ溶剤で充填された300gのシリカゲル上に載せた。カラムを、800mLの5%酢酸/塩化メチレン、1%酢酸を伴う200mLの70:30の塩化メチレン:酢酸エチル、および2×300mLの1%酢酸/酢酸エチルで溶出した。最後の2つの画分は化合物33を含んでいた。濃縮および乾燥により、4.4g(収率57%)の化合物33を白色発泡体として単離した。
【0288】
(実施例17)
(化合物34の合成)
【0289】
【化31】

還流冷却器を取り付けた1Lの丸底フラスコ中で、735mLのクロロホルム中の10.00gのo−トルイル酸および19.56g(1.5当量)のN−ブロモスクシンイミドの撹拌懸濁液を窒素で0.5時間散布した。散布を中止し、撹拌懸濁液を、窒素雰囲気下で、500W石英ハロゲンランプを使用して75%出力で照射して固体を溶解し、反応を還流した。1.5時間後に反応の赤色が消滅し、別の6.52g(0.5当量)のN−ブロモスクシンイミドを添加した。反応混合物を撹拌し、窒素雰囲気下で、500W石英ハロゲンランプを使用して75%出力でさらに1.5時間照射し、この時点で溶液は透明であった。溶剤容量を真空で約100mLまで減少させ、次いで−20℃まで冷却した。得られた懸濁液を、150mLのガラス化漏斗で乾燥シリカの1cmベッドを通して真空濾過した。シリカを2.5Lのクロロホルムで溶出した。クロロホルムの濾液を真空で約1Lまで減少させ、分離漏斗を用いて、3×1L容量の水で、続いて1L容量のブラインで1回洗浄して微量のスクシンイミドを除去し、次いで硫酸マグネシウムで乾燥して真空濾過した。クロロホルムを、1気圧で、還流で250mLまで真空で濃縮し、−20℃で3日間冷却した。得られた結晶を真空濾過し、30mLのクロロホルムで、続いて50mLのヘキサンで洗浄し、次いで真空オーブンに室温で置き、一晩中完全な動的真空状態とし、白色結晶粉末として8.48g(54%)の化合物34を得た。
【0290】
(実施例18)
(化合物35の合成)
【0291】
【化32】

実施例11の手順に従って、化合物34を、その相当する酸塩化物の化合物35へ転換した。
【0292】
(実施例19)
(化合物36の合成)
【0293】
【化33】

β−アラニンメチルエステルHCl塩(1.79g、12.8ミリモル)を撹拌しながら、窒素雰囲気下で、13mLのジクロロメタンおよび3.1mL(2.1当量)の2,6−ルチジン中に懸濁した。4−ブロモメチルベンゼンスルホニルクロライド(3.45g、1.0当量)を添加した。懸濁液を18時間撹拌し、100mLの1N HCl中に注入し、50mL容量のクロロホルムで2回抽出した。有機相を無水MgSOで乾燥して濾過し、溶剤を真空で除去して、透明油として3.74g(87%)の化合物36を得た。
【0294】
(実施例20)
(化合物37の合成)
【0295】
【化34】

化合物36(3.66g、10.9ミリモル)を、撹拌しながら54mLのメタノールに溶解した。水酸化ナトリウム(1N水溶液、33mL、3当量)を添加し、得られた懸濁液を45分間撹拌した。塩酸(1N水溶液、40mL)を添加し、メタノールを真空で除去して白色固体の濃縮水性懸濁液を得た。この懸濁液を氷浴で15分間冷却し、次いで真空で濾過した。得られた固体を100mLの脱イオン水で洗浄し、次いで真空で、40℃で18時間乾燥し、2.61g(74%)の化合物37を得た。
【0296】
(実施例21)
(化合物38〜39の合成)
【0297】
【化35】

メチル6−アミノヘキサノエートおよびグリシンエチルエステルHClでβ−アラニンメチルエステルHCl塩を置き換えて、実施例19〜20の手順に従い化合物38〜39を合成した。
【0298】
(実施例22)
(化合物40の合成)
【0299】
【化36】

1Lの丸底フラスコに、860mLのベンゼン、24.50g(128.5ミリモル)のm−トルエンスルホニルクロライド、および25.16g(1.1当量)のN−ブロモスクシンイミドを入れた。窒素下で撹拌し、全出力の60%に設定した500ワット石英ハロゲンランプで照射し、還流するために反応を加熱した。6時間後に、さらにN−ブロモスクシンイミド(4.57g、0.2当量)を添加し、反応混合物を、還流で、さらに6.5時間照射した。照射を中止し、反応混合物を氷浴上で1時間冷却し、大量の沈殿物を形成させた。沈殿物を真空濾過し、100mLのトルエンで洗浄した。濾液を、600mLの容量の水で3回、続いて600mLのブラインで洗浄し、30gの無水MgSOおよび23gのSiOで乾燥した。得られたスラリーを、次いで150mLの中位ガラス化漏斗で乾燥SiOの2cm厚ベッドを通して真空濾過した。濾過した固体を、漏斗を用いて200mLのトルエンで洗浄し、濾液を真空で濃縮し、白色結晶を伴う褐色油として35.8gの化合物40を得た。これを、さらなる精製なしで次の合成に使用した。
【0300】
(実施例23)
(化合物41の合成)
【0301】
【化37】

12mLの塩化メチレン中の、グリシンエチルエステルHCl(1.55g、11.1ミリモル)および2,6−ルチジン(2.96mL、2.3当量)の懸濁液を氷/水浴で冷却した。化合物40(5g、11.1ミリモル、〜60%純度)を反応混合物に添加し、得られた暗褐色溶液を撹拌し、一晩中室温に加温した。TLCは出発物質の存在を示し、さらに0.75g(5.37ミリモル)のグリシンエチルエステルHClを添加した。反応をさらに2時間撹拌した。反応混合物を50mLの1N HClに注入し、得られた有機層を水およびブラインで洗浄した。真空での有機層の濃縮で、5.6gの褐色/オレンジ色油を得た。この油を160gのシリカで精製した。極性の低い不純物は塩化メチレンで溶出し、化合物41は酢酸エチルで溶出した。化合物41を含む画分の濃縮で、3.46gの暗褐色油を得た。そのH NMRは、化合物41および〜25%のジ−ブロモアミド不純物を示した。この混合物を、さらなる精製なしで次の反応に使用した。
【0302】
(実施例24)
(化合物42の合成)
【0303】
【化38】

化合物41(1.67g、4.96ミリモル)を25mLのエタノールに溶解し、7.5mL(1.5当量)の1N NaOH(水溶液)を定常流で添加した。室温で一晩中撹拌後、さらに3mLの1N NaOH(水溶液)を添加した。撹拌を2時間続けた。反応混合物を真空で濃縮してエタノールを除去し、得られた水溶液を50mLのEtOAcで洗浄した。得られた水性層を1N HCl(水溶液)で酸性化して濃縮した。得られた濃縮物を酢酸エチルで抽出し、有機相をブラインで洗浄した。有機層を真空で濃縮して褐色油を得て、これをトルエンで摩砕し、黄褐色固体(0.903g)を得た。この黄褐色固体は化合物42および〜25%のジ−ブロモ不純物を含んでいた。この混合物を、さらなる精製なしで次の反応に使用した。
【0304】
(実施例25)
(化合物133の合成)
【0305】
【化39】

化合物3の1水和物(0.200g、0.267ミリモル)、化合物39(1.72g、20当量)、およびN−メチルピロリジノン(2mL)を一緒にして、120℃および窒素下で6時間撹拌した。反応混合物を室温まで冷却し、50mLのジクロロメタンを添加した。反応混合物を一晩中、室温および窒素下で撹拌し、次いで30mLの中位ガラス化漏斗でセライトの1cmベッドを通して真空濾過した。濾過した固体を100mLのクロロホルムで洗浄し、黒色吸着物質を含むセライトの上層を150mLのビーカーに移した。クロロホルム(100mL)をビーカーに添加した。得られた懸濁液を還流で15分間撹拌し、次いで中位ガラス化漏斗を通して真空で加熱濾過した。濾過した固体をビーカーに戻し、抽出を繰り返した。濾過した固体を、次いでガラス化漏斗を用いて、濾液およびセライトがほぼ無色になるまでメタノールで溶出した。一緒にした濾液を回転蒸発器で濃縮し、残った溶剤を真空で18時間除去した。得られた黒色固体を50mLの4:1の水:メタノールに溶解し、1cm直径のカラムにおいて水中に充填された9.5gのMCI−ゲルのジビニルベンゼンポリマー樹脂を使用してクロマトグラフィーにより精製した。カラムを、200mLの、それぞれ4:1の水:メタノール、3:2の水:メタノール、および2:3の水:メタノールで溶出した。30mLの画分を集め、HPLCを使用して分析した。同様の保持時間の化合物を含む画分を一緒にプールして、質量分析を使用して分析した。プールした画分は化合物133を含んでいた。化合物133を含む画分を、実施例26.2の手順に従って、化合物148およびその個々の異性体を生成し単離するために分取用HPLCを使用してさらに精製することができる。
【0306】
(実施例26)
26.1 化合物107の合成
【0307】
【化40】

化合物3の1水和物(0.200g、0.267ミリモル)、化合物13(1.45g、20当量)、およびN−メチルピロリジノン(2mL)を一緒にして、120℃および窒素下で、6.5時間撹拌した。反応混合物を室温まで冷却し、40mLのジクロロメタンを添加した。反応混合物を一晩中、室温および窒素下で撹拌し、次いで30mLの中位ガラス化漏斗を用いて、セライトの1cmベッドを通して真空濾過した。濾過した固体を100mLのジクロロメタンで洗浄し、黒色吸着物質を含むセライトの上層を150mLのビーカーに移した。ジクロロメタン(30mL)をビーカーに添加した。得られた懸濁液を還流で15分間撹拌し、次いで中位ガラス化漏斗を通して真空で加熱濾過した。濾過した固体をビーカーに戻し、抽出を繰り返した。濾過した固体を、次いでガラス化漏斗で、濾液およびセライトがほぼ無色になるまでメタノールで溶出した。一緒にした濾液を回転蒸発器で濃縮し、残った溶剤を真空で18時間除去した。得られた黒色固体を50mLの脱イオン水に溶解し、1cm直径のカラムにおいて水中に充填された9.5gのMCI−ゲルのジビニルベンゼンポリマー樹脂上でクロマトグラフに掛けた。カラムを、300mLの水で、次いで200mLの、それぞれ4:1の水:メタノール、3:2の水:メタノール、および2:3の水:メタノールで溶出した。30mLの画分を集め、HPLCで分析した。同様の保持時間の化合物を含む画分を一緒にプールして、質量分析で分析した。溶剤を真空で除去し、異性体の混合物として264mgの黒色固体を得た。プールした画分は化合物107を含んでいた。化合物107を含む画分を、分取用HPLCでさらに精製した。
【0308】
26.2 半分取用HPLCを使用して化合物107の精製およびアニオン交換による化合物122の形成
【0309】
【化41】

26.2.1 化合物107の粗混合物の半分取用クロマトグラフィー
26.1の項で記載された方法により調製された化合物107の245ミリグラムの化合物を、0.1%トリフルオロ酢酸(容量/容量)を有する水7.5mLに溶解し、少なくとも30分間混合した。得られた溶液を、0.22μmのナイロン膜シリンジフィルターを通して濾過し、最終注入溶液容量は8mLであった。Phenomenex、Synergi、POLAR−RP、10μmの粒径、80A孔径の半分取用規模のカラムを使用した。カラムの寸法は250mm×21.2mm(直径)であり、製造業者により充填された。
【0310】
カラムを、注入前に、0.1%トリフルオロ酢酸(容量/容量)を伴う100%の水
を使用して、20mL/分の流量で30分の最少期間で平衡にした。
濾過溶液をクロマトグラフに注入し(10mLの注入ループサイズを使用して)、クロマトグラフ分離を、0.1%(容量/容量)トリフルオロ酢酸を伴う水(「溶剤1」)および0.1%(容量/容量)トリフルオロ酢酸を伴うメタノール(「溶剤2」)の2つの成分系を使用して、以下の勾配条件下で行った。
【0311】
【表19】

画分収集は約20分(注入点からのランタイム)で開始し、最初の主要化合物(すなわち、>10%閾値@254nm)が溶出を開始した。採取された設定画分容量は10mL(60秒)であった。画分収集を約100分で終了し(閾値は<10%@254nmである)最後の成分がカラムからの溶出を終えた。
【0312】
個々の画分をHPLCで分析した。90面積%@254nm以上の個々の成分を含むことを示した画分を、次の通りこれらのそれぞれのプールの中に一緒にした(「RT」は保持時間を意味する)。
【0313】
【表20】

上記プールの全てを真空で濃縮し、残渣を、回転蒸発器を使用して乾燥して残渣を得た。
【0314】
26.2.2 化合物122を与えるための樹脂処理
プール1、プール2、およびプール3のそれぞれの残渣を水で希釈し、それぞれ3mLの最終容量とした。それぞれの得られた溶液を、次いでDOWEX Marathon 11(塩化物形態)の強力な塩基性アニオン交換樹脂(各それぞれのサンプルに対する固定樹脂の1mLの水溶液)と4時間、室温でそれぞれに撹拌した。
【0315】
樹脂処理後、各プール溶液を、0.22μmのナイロン膜シリンジフィルターを通して濾過した。残った樹脂を、それぞれのサンプルに対して2mLのメタノールで洗浄し、それらのメタノール洗浄のそれぞれを0.22μmのナイロン膜シリンジフィルターを通して濾過し、これらのそれぞれの溶液に添加した。
【0316】
26.2.3 乾燥および最終生成物、化合物122異性体1〜3
それぞれの溶液を真空で濃縮し、高真空下で70時間の最少期間で、室温で乾燥し、ペンタ−塩化物形態で固体として化合物122、異性体1(6ミリグラム、HPLCにより93面積%純度@254nm);RT 2.6分ピーク;ペンタ−塩化物形態で固体として化合物122、異性体2(5ミリグラム、HPLCにより91面積%純度@254nm);RT 3.2分ピーク;ペンタ−塩化物形態で固体として化合物122、異性体3(15ミリグラム、HPLCにより93面積%純度@254nm);RT 5.6分ピークを得た。
【0317】
(実施例27)
実施例25および実施例26の26.1で示される手順により、化合物39に代えて化合物9、化合物10、化合物6、化合物8、化合物11、化合物14、および化合物15を使用し、式(IA)の、化合物101、102、106、108、109、112および113を合成した。
【0318】
実施例25および実施例26の26.1で示される手順により、化合物3に代えて化合物4を使用し、化合物39に代えて化合物11、化合物10、化合物12、化合物13、化合物14、および化合物16を使用し。式(IA)の、化合物103〜105、110、111、および114を合成した。
【0319】
【化42】

【0320】
【表21】

実施例25および実施例26の26.1で示される手順により、化合物39に代えて化合物38および37を使用して式(IB)の化合物131および132を合成した。
【0321】
【化43】

【0322】
【表22】

実施例25および実施例26の26.1で示される手順により、化合物39に代えて化合物27、化合物28、化合物33、化合物26、化合物29、および化合物30を使用し、式(IIA)の化合物161〜163および165〜167を合成した。
【0323】
実施例25および実施例26の26.1で示される手順により、化合物3に代えて化合物4を使用し、化合物39に代えて化合物32を使用し、式(IIA)の化合物164を合成した。
【0324】
【化44】

【0325】
【表23】

(実施例28)
(放射線誘発死に対するN−ベンジル置換ピリジルポルフィリン化合物のin vivoでの有効性)
(材料および方法)
以下の実験で使用したBalb/cマウスは8週齢であり、雄または雌のいずれかであり、24gの平均体重を有する。N−ベンジル置換ピリジルポルフィリン化合物を、0.1mLの合計溶液容量で投与されるそれぞれの個々の投与量を伴う0.9%の通常の生理食塩水の溶液として、皮下処置された動物に投与する。処置されたマウスおよび対照マウスの両方を、Gammacell 3000 Elan Irradiator(MDS Nordion、Ontario、Canada)から供給される、イオン化放射線の6Gy線量に暴露する。放射線線量を投与するために、6Gyの線量を供給するためにおよそ1分間、密閉した放射線源のある放射線室のビーカーの中にマウスを置く。動物の「生存率」は、生き残りのマウスの数を照射したマウスの合計数で除して計算する。
【0326】
(動物の前放射線照射治療)
Balb/cマウスを、対照グループおよび処置グループのそれぞれ約10匹のマウスの2つのグループに分ける。対照グループの各マウスに、放射線照射2時間前に0.1mLの生理食塩水を皮下投与し、続いて、その後12時間毎に、0.1mLの生理食塩水の皮下投与を繰り返す。治療グループの各マウスに、放射線照射2時間前にN−ベンジル置換ピリジルポルフィリン化合物(0.1mLの生理食塩水中の)の2mg/kg投与量を皮下投与し、続いて、その後12時間毎に、N−ベンジル置換ピリジルポルフィリン化合物(0.1mLの生理食塩水中の)の2mg/kg投与量の皮下投与を繰り返す。投薬を、対照グループのマウスの全ての死まで、対照および治療グループの両方の各動物で続ける。
【0327】
(マウスの後放射線照射治療)
Balb/cマウスを、対照グループおよび治療グループのそれぞれ約10匹のマウスの2つのグループに分ける。対照グループの各マウスに、放射線照射10分後に0.1mLの生理食塩水を皮下投与し、続いて、その後12時間毎に、0.1mLの生理食塩水の皮下投与を繰り返す。治療グループの各マウスに、放射線照射10分後にN−ベンジル置換ピリジルポルフィリン化合物(0.1mLの生理食塩水中の)の2mg/kg投与量を皮下投与し、続いて、その後12時間毎に、同じN−ベンジル置換ピリジルポルフィリン化合物(0.1mLの生理食塩水中の)の2mg/kg投与量の皮下投与を繰り返す。投薬を、対照グループのマウスの全ての死まで、対照および治療グループの両方の各動物で続ける。
【0328】
(マウスの後放射線照射治療)
Balb/cマウスを、対照グループおよび治療グループのそれぞれ約10匹のマウスの2つのグループに分ける。対照グループの各マウスに、放射線照射10分後に0.1mLの生理食塩水を皮下投与し、続いて、その後12時間毎に、0.1mLの生理食塩水の皮下投与を繰り返す。治療グループの各マウスに、放射線照射10分後にN−ベンジル置換ピリジルポルフィリン化合物(0.1mLの生理食塩水中の)の10mg/kg投与量を皮下投与し、続いて、その後12時間毎に、同じN−ベンジル置換ピリジルポルフィリン化合物(0.1mLの生理食塩水中の)の10mg/kg投与量の皮下投与を繰り返す。投薬を、対照グループのマウスの全ての死まで、対照および治療グループの両方の各動物で続ける。
【0329】
(種々の疾患についてのN−ベンジル置換ピリジルポルフィリン化合物の効果)
(オキシダントまたは遊離基損傷における効果)
A549ヒト上皮細胞およびRAWマウスマクロファージを成長させ培養し、次いで、シー サボら(C.Szabo et al.)、Mol Med.、2002年10月;8(10):571〜80ページの方法により、N−ベンジル置換ピリジルポルフィリンの種々の濃度の存在または不存在下でオキシダントまたは遊離基で処置した。例示的N−ベンジル置換ピリジルポルフィリン化合物を、マウスRAW細胞における細胞の生存可能性の抑制に対して投与量依存的に保護した(図1〜12)。それぞれの例示的N−ベンジル置換ピリジルポルフィリン化合物の10または100μMを、図1〜12で示される通りに使用した。
【0330】
これらのデータは、化合物163、165、162、161、166、167、134、105、103、122異性体1、122異性体2、122異性体3、101、102、108、112、113、133、132、131、107、および165は状態の治療または予防のために、および酸化傾向のある化合物の半減期を延長するために有用であることを示す。
【0331】
(ネズミにおける心筋梗塞についての効果)
シー ワイ シャオら(C.Y.Xiao et al.)、J Pharmacol Exp Ther.、2004年8月;310(2):498〜504ページにすでに記載されている様に、左前下行冠状動脈の閉塞および再潅流によりネズミを心筋梗塞に掛ける。N−ベンジル置換ピリジルポルフィリン化合物を、再潅流の5分前に、1、3、または6mg/kgの投与量で静脈内投与する。
【0332】
(ネズミにおける出血ショックについての効果)
オー ブイ エブゲノフら(O.V.Evgenov et al.)、Crit Care Med.、2003年10月;31(10):2429〜36ページにすでに記載されている様に、ネズミを2時間の出血に掛け、続いて蘇生させる。N−ベンジル置換ピリジルポルフィリン化合物を、蘇生の5分前に、6mg/kgの投与量で静脈内投与する。ネズミを、40mmHgの平均BPに達するまで出血させる。この平均BPを2時間維持し、その後、2x瀉血容量の容量時点で、生理食塩水で蘇生させる。次いで、ネズミを3時間観察して生存時間を記録する。N−ベンジル置換ピリジルポルフィリン化合物(6mg/kg)を蘇生開始前に静脈内投与する。蘇生後40分から、20分間、左心室収縮期圧(LVSP)、dP/dt、−dP/dtを連続的にモニターする。N−ベンジル置換ピリジルポルフィリン化合物(6mg/kg)を蘇生開始前に静脈内投与する。蘇生後1時間で血液を採取する。N−ベンジル置換ピリジルポルフィリン化合物(6mg/kg)を、蘇生開始前に静脈内投与する。蘇生後1時間で血液を採取する。N−ベンジル置換ピリジルポルフィリン化合物(6mg/kg)を、蘇生開始前に静脈内投与する。
【0333】
(マウスにおける心不全についての効果)
シー ワイ シャオら(C.Y.Xiao et al.)、J Pharmacol Exp Ther.、2005年3月;312(3):891〜8ページにすでに記載されている様に、マウスを大動脈緊縛により誘発した心不全に掛ける。N−ベンジル置換ピリジルポルフィリン化合物を、3mg/kg/日の投与量で経口投与する。
【0334】
(異所心臓移植中の心臓の拒絶反応についての効果)
エイチ ジャンら(H.Jiang et al.)、Transplantation、2002年6月15日;73(11):1808〜17ページにすでに記載されている様に、ネズミを異所心臓移植に掛ける。N−ベンジル置換ピリジルポルフィリン化合物を、10mg/kg/日の投与量で経口投与する。
【0335】
(血管外傷についての効果)
シー チャンら(C.Zhang et al.)、Am J Physiol Heart Circ Physiol.、2004年8月;287(2):H659〜66ページにすでに記載されている様に、ネズミを、頸動脈のバルーン誘発血管外傷に掛ける。
【0336】
(真性糖尿病についての効果)
ジェイ ジー マブレイら(J.G.Mabley et al.)、Br J Pharmacol.、2001年7月;133(6):909〜19ページにすでに記載されている様に、マウスを、複数低投与量ストレプトゾシン(streptozocin)糖尿病に掛ける。
【0337】
本発明は、本発明の2〜3の態様および機能的に均等であり本発明の範囲内にある任意の実施形態の例示として意図される実施例において開示されている特定の実施形態による範囲に限定されるべきものではない。事実、本願において示されかつ説明されたものに加えて本発明の種々の変更は当業者にとって明白であり、添付の特許請求の範囲の範囲内に入ることが意図される。
【0338】
本願で引用された全ての参考文献はその全体において本願に援用される。
【図面の簡単な説明】
【0339】
【図1】2mM H(「H2O2」)に暴露したマウスRAW細胞の細胞生存可能性について、化合物163、165、162、161、166、167、および134の効果を示す図。
【図2】2mM H2O2に暴露したマウスRAW細胞の細胞生存可能性について、化合物105、103、122異性体1、122異性体2、122異性体3、101、および102の効果を示す図。
【図3】2mM H2O2に暴露したマウスRAW細胞の細胞生存可能性について、化合物108、112、113、133、132、131、107、および165の効果を示す図。
【図4】4mM H2O2に暴露したマウスRAW細胞の細胞生存可能性について、化合物163、165、162、161、166、167、および134の効果を示す図。
【図5】4mM H2O2に暴露したマウスRAW細胞の細胞生存可能性について、化合物105、103、122異性体1、122異性体2、122異性体3、101、および102の効果を示す図。
【図6】4mM H2O2に暴露したマウスRAW細胞の細胞生存可能性について、化合物108、112、113、133、132、131、107、および165の効果を示す図。
【図7】400μM ONOOに暴露したマウスRAW細胞の細胞生存可能性について、化合物163、165、162、161、166、167、および134の効果を示す図。
【図8】400μM ONOOに暴露したマウスRAW細胞の細胞生存可能性について、化合物105、103、122異性体1、122異性体2、122異性体3、101、および102の効果を示す図。
【図9】400μM ONOOに暴露したマウスRAW細胞の細胞生存可能性について、化合物108、112、113、133、132、131、107、および165の効果を示す図。
【図10】800μM ONOOに暴露したマウスRAW細胞の細胞生存可能性について、化合物163、165、162、161、166、167、および134の効果を示す図。
【図11】800μM ONOOに暴露したマウスRAW細胞の細胞生存可能性について、化合物105、103、122異性体1、122異性体2、122異性体3、101、および102の効果を示す図。
【図12】800μM ONOOに暴露したマウスRAW細胞の細胞生存可能性について、化合物108、112、113、133、132、131、107、および165の効果を示す図。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(A)を有する化合物
【化1】

[式中、Mは、FeまたはMnであり、
fは0または1であり、
各Rは独立して、−C(O)(アミノ酸残基)または−SO(アミノ酸残基)であり、
nは、式(A)の化合物の帯電のバランスを取るのに充分な対イオンの数である]。
【請求項2】
式(I)を有する、請求項1に記載の化合物。
【化2】

【請求項3】
式(II)を有する、請求項1に記載の化合物。
【化3】

【請求項4】
式(III)を有する、請求項1に記載の化合物。
【化4】

【請求項5】
fが1であり、各対イオンが1価であり、nが5であり、各アミノ酸残基が帯電していない、請求項1に記載の化合物。
【請求項6】
fが1であり、前記対イオンが1価であり、nが1であり、各アミノ酸残基が、その唯一の帯電基として−CO部分を有する、請求項1に記載の化合物。
【請求項7】
MがFeである、請求項1に記載の化合物。
【請求項8】
MがMnである、請求項1に記載の化合物。
【請求項9】
fが0である、請求項1に記載の化合物。
【請求項10】
fが1である、請求項1に記載の化合物。
【請求項11】
各対イオンがClまたはBrである、請求項1に記載の化合物。
【請求項12】
対イオンがMとともに結合を形成する、請求項1に記載の化合物。
【請求項13】
各対イオンが独立して、F、Cl、Br、I、HO、またはCHC(O)Oである、請求項1に記載の化合物。
【請求項14】
各Rが−C(O)(アミノ酸残基)である、請求項1に記載の化合物。
【請求項15】
各Rが−SO(アミノ酸残基)である、請求項1に記載の化合物。
【請求項16】
nが1である、請求項1に記載の化合物。
【請求項17】
nが5である、請求項1に記載の化合物。
【請求項18】
fが1であり、各対イオンがClである、請求項6に記載の化合物。
【請求項19】
各Rが−C(O)(アミノ酸残基)である、請求項17に記載の化合物。
【請求項20】
各Rが−SO(アミノ酸残基)である、請求項17に記載の化合物。
【請求項21】
前記アミノ酸残基のアミノ酸が、β−アラニン、γ−アミノ酪酸、6−アミノヘキサン酸、5−アミノ吉草酸、L−アスパラギン酸、L−グルタミン、L−グルタミン酸、グリシン、L−フェニルアラニン、L−チロシン、またはL−バリンである、請求項1に記載の化合物。
【請求項22】
請求項1に記載の化合物の有効量および生理学的に許容されるキャリヤまたはビヒクルを備える組成物。
【請求項23】
請求項1に記載の化合物の有効量を、それを必要とする対象に投与する工程を含む、炎症状態の治療方法。
【請求項24】
前記炎症状態が、関節の炎症状態、歯茎の慢性炎症状態、炎症性腸疾患、炎症性肺疾患、中枢神経系の炎症状態、眼の炎症状態、グラム陽性ショック、グラム陰性ショック、出血性ショック、アナフィラキシーショック、外傷性ショック、化学療法ショック、または炎症誘発性サイトカインの投与に対する応答で誘発されるショックである、請求項23に記載の方法。
【請求項25】
請求項1に記載の化合物の有効量を、それを必要とする対象に投与する工程を含む、再潅流傷害の治療方法。
【請求項26】
前記再潅流傷害が、脳卒中、心筋梗塞、または臓器移植によって生じる再酸素化傷害である、請求項25に記載の方法。
【請求項27】
前記臓器移植が心臓移植または腎臓移植である、請求項26に記載の方法。
【請求項28】
請求項1に記載の化合物の有効量を、それを必要とする対象に投与することを含む、虚血性状態の治療方法。
【請求項29】
前記虚血性状態が、心筋虚血、安定狭心症、不安定狭心症、脳卒中、虚血性心臓疾患または脳虚血である、請求項28に記載の方法。
【請求項30】
請求項1に記載の化合物の有効量を、それを必要とする対象に投与する工程を含む、放射線誘発傷害の治療方法。
【請求項31】
前記放射線誘発傷害が急性放射線病である、請求項30に記載の方法。
【請求項32】
請求項1に記載の化合物の有効量を、それを必要とする対象に投与する工程を含む、糖尿病の治療方法。
【請求項33】
前記糖尿病が真性糖尿病である、請求項32に記載の方法。
【請求項34】
前記糖尿病がI型糖尿病またはII型糖尿病である、請求項32に記載の方法。
【請求項35】
請求項1に記載の化合物の有効量を、それを必要とする対象に投与する工程を含む、糖尿病性合併症の治療方法。
【請求項36】
前記糖尿病性合併症が、糖尿病性神経障害、網膜症、神経障害、脈管障害、心筋症、または勃起障害である、請求項35に記載の方法。
【請求項37】
請求項1に記載の化合物の有効量を、それを必要とする対象に投与する工程を含む、心血管疾患の治療方法。
【請求項38】
前記心血管疾患が、急性心不全、慢性心不全、虚血性心不全、薬剤誘発心不全、特発性心不全、アルコール性心不全、または心臓不整脈である、請求項37に記載の方法。
【請求項39】
前記心血管疾患が、バルーン誘発血管損傷、冠動脈ステント移植、アテローム性動脈硬化症、または再狭窄である、請求項37に記載の方法。
【請求項40】
請求項1に記載の化合物の有効量を、それを必要とする対象に投与する工程を含む、癌の治療方法。
【請求項41】
前記癌が、結腸直腸癌、肺癌、膵臓癌、食道癌、胃癌、皮膚癌、白血病、リンパ腫、睾丸癌、膀胱癌、乳癌、前立腺癌、頭部および頸部癌または卵巣癌である、請求項40に記載の方法。
【請求項42】
請求項1に記載の化合物の有効量を、それを必要とする対象に投与する工程を含む、癌化学療法の副作用の治療方法。
【請求項43】
前記癌化学療法が、対象に対して白金系化学療法剤を投与する工程を含む、請求項42に記載の方法。
【請求項44】
前記白金系化学療法剤がシスプラチンである、請求項43に記載の方法。
【請求項45】
前記放射線誘発傷害が、癌の治療のために対象に対して行われる放射線治療により引き起される、請求項30に記載の方法。
【請求項46】
請求項1に記載の化合物の有効量を、それを必要とする対象に投与する工程を含む、放射線誘発死の予防方法。
【請求項47】
請求項1に記載の化合物の有効量を、それを必要とする対象に投与する工程を含む、放射線への暴露後の対象の生存時間を増加する方法。
【請求項48】
請求項1に記載の化合物の有効量を、それを必要とする対象に投与する工程を含む、反応性種への暴露による傷害の治療または予防方法。
【請求項49】
請求項1に記載の化合物の有効量を、それを必要とする対象に投与する工程を含む、炎症性皮膚疾患の治療または予防方法。
【請求項50】
前記炎症性皮膚疾患が、接触性皮膚炎、紅斑症、または乾癬である、請求項49に記載の方法。
【請求項51】
請求項1に記載の化合物の有効量を、それを必要とする対象に投与する工程を含む、皮膚の皺、皮膚の老化、日焼け紅斑症、UV誘発皮膚損傷、またはUV誘発皮膚疾患の治療または予防方法。
【請求項52】
請求項1に記載の化合物の有効量を、それを必要とする対象に投与する工程を含む、勃起障害の治療または予防方法。
【請求項53】
前記勃起障害が前立腺または結腸の外科手術に起因する、請求項52に記載の方法。
【請求項54】
請求項1に記載の化合物の有効量を、それを必要とする対象に投与する工程を含む、尿失禁の治療または予防方法。
【請求項55】
請求項1に記載の化合物の有効量を、それを必要とする対象に投与する工程を含む、肺疾患の治療または予防方法。
【請求項56】
前記肺疾患が、嚢胞性線維症、高酸素肺傷害、肺気腫、または成人呼吸窮迫症候群である、請求項55に記載の方法。
【請求項57】
請求項1に記載の化合物の有効量を、それを必要とする対象に投与する工程を含む、高酸素症による傷害の治療または予防方法。
【請求項58】
前記高酸素症による傷害が、高酸素症誘発眼傷害または高酸素症誘発肺傷害である、請求項57に記載の方法。
【請求項59】
請求項1に記載の化合物の有効量を、それを必要とする対象に投与する工程を含む、神経変性疾患の治療または予防方法。
【請求項60】
前記神経変性疾患が、パーキンソン病、アルツハイマー病、ハンチントン病、または筋萎縮性側索硬化症である、請求項59に記載の方法。
【請求項61】
請求項1に記載の化合物の有効量を、それを必要とする対象に投与する工程を含む、肝臓疾患の治療または予防方法。
【請求項62】
前記肝臓疾患が、肝炎、肝不全、または薬剤誘発肝臓傷害である、請求項61に記載の方法。
【請求項63】
心筋保護誘発剤および請求項1に記載の化合物の有効量を、それを必要とする対象に投与する工程を含む、心筋保護誘発方法のための方法。
【請求項64】
ヒアルロン酸および請求項1に記載の化合物の有効量を、それを必要とする対象に投与する工程を含む、in vivoでのヒアルロン酸の半減期を延長する方法。
【請求項65】
ヒアルロン酸および請求項1に記載の化合物の有効量を、それを必要とする対象に投与する工程を含む、変形性関節症の治療方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公表番号】特表2009−510083(P2009−510083A)
【公表日】平成21年3月12日(2009.3.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−533585(P2008−533585)
【出願日】平成18年9月26日(2006.9.26)
【国際出願番号】PCT/US2006/037742
【国際公開番号】WO2007/038630
【国際公開日】平成19年4月5日(2007.4.5)
【出願人】(504080179)イノテック ファーマシューティカルズ コーポレイション (24)
【Fターム(参考)】