説明

N−置換ヒドロキシピリミジノンカルボキサミドの製造方法

特定のN−アリールアルキル−1−(アルキルまたはアルアルキル)−2−アシルアミノアルキル−5−ヒドロキシ−6−オキソ−1,6−ジヒドロピリミジン−4−カルボキサミドの製造方法が開示されている。1つの実施形態では、この方法は、対応するN−アリールアルキル−1−(アルキルまたはアルアルキル)−2−アミノアルキル−5−エステル保護されているヒドロキシ−6−オキソ−1,6−ジヒドロピリミジン−4−カルボキサミド中の遊離アミンをアシル化した後、5−ヒドロキシを塩基加水分解により脱保護することを含む。この方法のヒドロキシピリミジノンカルボキサミド生成物は、HIV感染を治療し、AIDSを治療し、またはAIDSの発症または進行を遅らすために有用なHIVインテグラーゼ阻害剤である。方法中間体として使用され得る特定のエステル化N−アリールアルキルヒドロキシピリミジノンカルボキサミドも開示されている。


【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(発明の分野)
本発明は、HIVインテグラーゼ阻害剤として有用な特定のN−アリールアルキルヒドロキシピリミジノンカルボキサミドの製造方法に関する。本発明は、本発明の方法において中間体として使用され得る特定のエステル化N−アリールアルキルヒドロキシピリミジノンカルボキサミドにも関する。
【背景技術】
【0002】
(発明の背景)
N−アリールアルキル−1−(アルキルまたはアルアルキル)−2−アシルアミノアルキル−5−ヒドロキシ−6−オキソ−1,6−ジヒドロピリミジン−4−カルボキサミドのクラスはHIVインテグラーゼ酵素の阻害剤である。より具体的には、これらの化合物は1型HIV(HIV−I)インテグラーゼ酵素及び2型HIV(HIV−2)インテグラーゼ酵素を阻害する。このクラスは、定義されており、以下に記載されている式Iの化合物を含む。これらの化合物及びその医薬的に許容され得る塩は、HIVによる感染の治療または予防において、並びにAIDSの発症または進行の治療、予防または遅延において有用である。このクラスの代表的化合物は国際公開番号WO03/035077及び対応するUS7169780に記載されている。WO03/035077に開示されている化合物の中に、以下化合物Aと称するN−(4−フルオロベンジル)−5−ヒドロキシ−1−メチル−2−(1−メチル−1−{[(5−メチル−1,3,4−オキサジアゾル−2−イル)カルボニル]アミノ}エチル)−6−オキソ−1,6−ジヒドロピリミジン−4−カルボキサミドがある。化合物Aの一般名はラルテグラビルであり、ラルテグラビルカリウムはウイルス複製及び複数の抗レトロウイルス剤に対して耐性のHIV−I株の証拠がある治療を受けたことのある成人患者のHIV−I感染を治療するために他の抗レトロウイルス剤と一緒に適応されるISENTRESS(Merck & Co.,Inc.)中の活性成分である。化合物Aの構造は以下の通りである:
【0003】
【化1】

US2006/0122205及び対応するWO2006/060730は、上記クラスの化合物を製造するために使用され得る方法を開示している。この方法は、(i)2−[(保護アミノ)アルキル]−5−ヒドロキシ−6−オキソ−1,6−ジヒドロピリミジン−4−カルボン酸アルキルをアルキル化して、2−[(保護アミノ)アルキル]−1−アルキル−5−ヒドロキシ−6−オキソ−1,6−ジヒドロピリミジン−4−カルボン酸アルキルを得、(ii)ステップiの生成物をアルアルキルアミンとカップリングして、N−アルアルキル2−[(保護アミノ)アルキル]−1−アルキル−5−ヒドロキシ−6−オキソ−1,6−ジヒドロピリミジン−4−カルボキサミドを得、(iii)ステップiiの生成物中の2−アミノアルキル基を脱保護して、N−アルアルキル2−アミノアルキル−1−アルキル−5−ヒドロキシ−6−オキソ−1,6−ジヒドロピリミジン−4−カルボキサミドを得、(iv)2−アミノアルキル基を適当なアシル化剤を用いてアシル化して、上記クラスの化合物を得ることを含む。US2006/0122205に記載されている化合物Aの製造を以下に示す:
【0004】
【化2】

WO03/035077は、化合物Aの製造を含めたUS2006/0122205(実施例18及び実施例19のステップ4、5、6、(ステップ7なし)、8及び9を参照されたい)に関する方法を開示している。
【0005】
【化3】

上記したルートは化合物A及び関連するヒドロキシピリミジノンカルボキサミドを製造するための実際的ルートである。特に、US2006/0122205に記載されているルートは化合物Aを大規模製造するために使用し得る。しかしながら、例えばより安価及び/またはより取り扱いやすい試薬を使用し、少量の試薬しか消費せず、生成物をより高収率で与え、ステップ数がより少なく、廃棄物はより少なく及び/またはより環境的に優しく、及び/またはより高い純度の生成物を与える代替製造ルートが常に要望されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】国際公開第03/035077号
【特許文献2】米国特許第7169780号明細書
【特許文献3】米国特許出願公開第2006/012205号明細書
【特許文献4】国際公開第2006/060730号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
(発明の要旨)
本発明は、HIVインテグラーゼ阻害剤として有用な特定のN−アリールアルキル−1−(アルキルまたはアルアルキル)−2−アシルアミノアルキル−5−ヒドロキシ−6−オキソ−1,6−ジヒドロピリミジン−4−カルボキサミドの製造方法に関する。より具体的には、本発明は、
式I:
【0008】
【化4】

の化合物を製造する方法であって
(A)式II:
【0009】
【化5】

の化合物を有機溶媒A中、塩基の存在下で式III:
【0010】
【化6】

のアシル化剤と接触させて、式IV:
【0011】
【化7】

のアシル化アミン化合物を得るステップ:および
(B)式IVの化合物を有機溶媒B中で水性塩基と接触させて、
式Iの化合物を得るステップを含む方法(本明細書中で方法Pとも称する。)を包含する。
上記式中、
XはハロゲンまたはOC(O)Rであり;
はC1−6アルキルまたはAryAで置換されているC1−6アルキルであり;
はC1−8アルキルまたはAryBであり;
はHまたはC1−6アルキルであり;
はAryCで置換されているC1−6アルキルであり;
AryCはフェニルまたはナフチルであり、前記フェニルまたはナフチルは各々独立して
(1)C1−6アルキル、
(2)C3−6シクロアルキル、
(3)C1−6ハロアルキル、
(4)O−C1−6アルキル、
(5)O−C1−6ハロアルキル、
(6)O−C3−6シクロアルキル、
(7)S−C1−6アルキル、
(8)S−C1−6ハロアルキル、
(9)S−C3−6シクロアルキル、
(10)ハロ、
(11)CN、
(12)NO
(13)N(H)R
(14)N(−C1−6アルキル)
(15)CH(O)、
(16)C(O)−C1−6アルキル、
(17)C(O)O−C1−6アルキル、
(18)C(O)NH
(19)C(O)N(H)−C1−6アルキル、
(20)C(O)N(−C1−6アルキル)
(21)
(a)O−C1−6アルキル、
(b)O−C1−6ハロアルキル、
(c)O−C3−6シクロアルキル、
(d)S−C1−6アルキル、
(e)CN、
(f)NO
(g)N(H)R
(h)N(−C1−6アルキル)
(i)CH(O)、
(j)C(O)−C1−6アルキル、
(k)C(O)O−C1−6アルキル、
(l)C(O)NH
(m)C(O)N(H)−C1−6アルキル、または
(n)C(O)N(−C1−6アルキル)
で置換されているC1−6アルキル、または
(22)任意の置換基の2個以上がAryQでない条件で、AryQ
である1から4個の置換基で置換されていてもよく;
AryAは独立してAryCと同一の定義を有しており;
AryBは独立してAryCと同一の定義を有しており;
LはC1−6アルキレンであり;
はHまたはC1−6アルキルであり;

(1)HetP、
(2)HetPで置換されているC1−6アルキル、
(3)C(O)−C1−6アルキレン−HetP、
(4)C(O)−HetP、
(5)CycQ、
(6)O−CycQ、
(7)C(O)−CycQ、
(8)C(O)O−CycQ、
(9)AryQ、
(10)O−AryQ、
(11)C(O)−AryQ、
(12)C(O)O−AryQ、
(13)HetQ、
(14)O−HetQ、
(15)C(O)−HetQ、または
(16)C(O)O−HetQ
であり;
は分岐状C3−6アルキルであり;
HetPはそこを介して環が化合物の残りに結合している1個のN原子を含有し、N、O及びSから選択される追加ヘテロ原子を含有していてもよい4から7員飽和もしくはモノ不飽和ヘテロ環式環であり、環中の任意のSはS(O)またはS(O)の形態であってよく、環中の任意のNは環が飽和のときにはC1−6アルキル、C(O)−C1−6アルキルまたはC(O)O−C1−6アルキルで置換されており、環がモノ不飽和のときには環二重結合の一部であり;
CycQは各々独立してハロゲン、C1−6アルキル、C1−6ハロアルキル、O−C1−6アルキル、O−C1−6ハロアルキル、オキソ、N(C1−6アルキル)、C(O)N(C1−6アルキル)、C(O)−C1−6アルキルまたはC(O)O−C1−6アルキルである1から3個の置換基で置換されていてもよいC3−7シクロアルキルであり;
各AryQは独立して、各々独立してハロゲン、CN、NO、C1−6アルキル、C1−6ハロアルキル、O−C1−6アルキル、O−C1−6ハロアルキル、S−C1−6アルキル、N(C1−6アルキル)、C(O)N(C1−6アルキル)、C(O)−C1−6アルキルまたはC(O)O−C1−6アルキルである1から4個の置換基で置換されていてもよいフェニルであり;
HetQは独立してN、O及びSから選択される1から4個のヘテロ原子を含有している5または6員ヘテロ芳香族環であり、ベンゼン環が縮合していてもよいヘテロアリールであり、前記ヘテロアリールは各々独立してハロゲン、CN、NO、C1−6アルキル、C1−6ハロアルキル、O−C1−6アルキル、O−C1−6ハロアルキル、S−C1−6アルキル、N(−C1−6アルキル)、C(O)N(−C1−6アルキル)、C(O)−C1−6アルキルまたはC(O)O−C1−6アルキルである1から4個の置換基で置換されていてもよい。
【0012】
式Iの化合物は本明細書において単に化合物Iとも称される。また、式IIの化合物は化合物IIまたは遊離アミンIIとも称され、式IIIのアシル化剤は化合物IIIまたはアシル化剤IIIとも称され、式IVの化合物は化合物IVまたはアシル化アミンIVとも称される。同様の命名法が下記する他の化合物に対して使用する。
【0013】
US2006/0122205(本明細書においてUS’205号とも称する。)及びWO03/035077(本明細書においてWO’077号とも称する。)に記載されているN−アリールアルキル−1−(アルキルまたはアルアルキル)−2−アシルアミノアルキル−5−ヒドロキシ−6−オキソ−1,6−ジヒドロピリミジン−4−カルボキサミドの製造方法とは異なり、本発明の方法は保護ヒドロキシピリミジノン基質を使用している。すなわち、式IIの化合物中の5−ヒドロキシ基がOC(O)−Rにエステル化されている。本発明においてヒドロキシ保護基質を使用すると、US2006/0122205及びWO03/035077の方法(すなわち、「他の2つの方法」)と比較して完全変換のために必要なアシル化剤(すなわち、R−C(O)X)の量を有意に低減できる。より具体的には、本発明の方法は完全変換のために1当量の基質IIあたり1当量のアシル化剤しか必要としないのに対して、他の2つの方法は2当量を必要とする。典型的には、R及びRは同一の基ではなく、アシル化剤R−C(O)Xは比較的高価であり、よって本発明の方法は他の2つの方法に比べてコストを有意に節約でき、方法を化合物Iの大規模製造のために使用するときには特にそうである。
【0014】
式II(式中、Y=H)を有する基質はしばしば結晶性であり、非吸湿性であるのに対して、他の2つの方法において使用されている対応のジヒドロキシピリミジン基質はしばしば非結晶性で吸湿性であり、よって単離したり取り扱うのがより困難である。
【0015】
本発明の他の実施形態、態様及び特徴は以下の記載、実施例及び特許請求の範囲に更に記載されており、またはこれらから明らかであろう。
【発明を実施するための形態】
【0016】
(発明の詳細な記述)
本発明は、まず対応するN−アリールアルキル−1−(アルキルまたはアルアルキル)−2−アミノアルキル−5−エステル保護されているヒドロキシ−6−オキソ−1,6−ジヒドロピリミジン−4−カルボキサミド中の遊離アミンをアシル化した後、5−ヒドロキシを塩基加水分解により脱保護することによるN−アリールアルキル−1−(アルキルまたはアルアルキル)−2−アシルアミノアルキル−5−ヒドロキシ−6−オキソ−1,6−ジヒドロピリミジン−4−カルボキサミドの製造方法に関する。本発明は、本発明の概要において上記したステップA及びBを含む方法(すなわち、方法P)を包含する。
【0017】
本発明の第1実施形態(本明細書中で実施形態E1とも称する。)は、RがC1−4アルキルまたはCH−AryAであり;他の変数がすべて本来定義されている通りである(すなわち、本発明の概要において定義されている通りである。)方法Pである。この実施形態の態様において、RはC1−4アルキルまたはCH−AryA(ここで、AryAは各々独立してCl、Br、F、CN、NO、C1−4アルキル、C1−4フルオロアルキル、O−C1−4アルキル、O−C1−4フルオロアルキル、S−C1−4アルキル、CH(O)、C(O)−C1−4アルキル、C(O)O−C1−4アルキル、C(O)NH、C(O)N(H)−C1−4アルキルまたはC(O)N(−C1−4アルキル)である1から4個の置換基で置換されていてもよいフェニルである。)である。
【0018】
本発明の第2実施形態(実施形態E2)は、RがCHまたはCH−AryA(ここで、AryAは各々独立してCl、Br、F、CN、C1−4アルキル、O−C1−4アルキル、CFまたはOCFである1から3個の置換基で置換されていてもよいフェニルである。)であり;他の変数がすべて本来定義されている通りである方法Pである。
【0019】
本発明の第3実施形態(実施形態E3)は、RがCHまたはベンジルであり;他の変数がすべて本来定義されている通りである方法Pである。
【0020】
本発明の第4実施形態(実施形態E4)は、RがCHであり;他の変数がすべて本来定義されている通りである方法Pである。
【0021】
本発明の第5実施形態(実施形態E5)は、Rが分岐状C3−8アルキルまたはAryBであり;他の変数がすべて本来定義されている通りであり、または先の実施形態のいずれか1つに定義されている通りである方法Pである。この実施形態の態様において、AryBは各々独立してCl、Br、F、CN、NO、C1−4アルキル、C1−4フルオロアルキル、O−C1−4アルキル、O−C1−4フルオロアルキル、S−C1−4アルキル、CH(O)、C(O)−C1−4アルキル、C(O)O−C1−4アルキル、C(O)NH、C(O)N(H)−C1−4アルキルまたはC(O)N(−C1−4アルキル)である1から4個の置換基で置換されていてもよいフェニルである。
【0022】
本発明の第6実施形態(実施形態E6)は、Rが分岐状C3−6アルキルまたはAryB(ここで、AryBは各々独立してCl、Br、F、CN、C1−4アルキル、O−C1−4アルキル、CFまたはOCFである1から3個の置換基で置換されていてもよいフェニルである。)であり;他の変数がすべて本来定義されている通りであり、または先の実施形態のいずれか1つに定義されている通りである方法Pである。
【0023】
本発明の第7実施形態(実施形態E7)は、Rが分岐状C3−6アルキルまたはフェニルであり;他の変数がすべて本来定義されている通りであり、または先の実施形態のいずれか1つに定義されている通りである方法Pである。
【0024】
本発明の第8実施形態(実施形態E8)は、Rが分岐状C3−6アルキルであり;他の変数がすべて本来定義されている通りであり、または先の実施形態のいずれか1つに定義されている通りである方法Pである。
【0025】
本発明の第9実施形態(実施形態E9)は、Rがt−ブチルであり;他の変数がすべて本来定義されている通りであり、または先の実施形態のいずれか1つに定義されている通りである方法Pである。
【0026】
本発明の第10実施形態(実施形態E10)は、RがHまたはC1−4アルキルであり;他の変数がすべて本来定義されている通りであり、または先の実施形態のいずれか1つに定義されている通りである方法Pである。
【0027】
本発明の第11実施形態(実施形態E11)は、RがHまたはCHであり;他の変数がすべて本来定義されている通りであり、または先の実施形態のいずれか1つに定義されている通りである方法Pである。
【0028】
本発明の第12実施形態(実施形態E12)は、RがHであり;他の変数がすべて本来定義されている通りであり、または先の実施形態のいずれか1つに定義されている通りである方法Pである。
【0029】
本発明の第13実施形態(実施形態E13)は、RがAryCで置換されているC1−4アルキルであり;他の変数がすべて本来定義されている通りであり、または先の実施形態のいずれか1つに定義されている通りである方法Pである。
【0030】
本発明の第14実施形態(実施形態E14)は、RがCH−AryC、CH(CH)−AryC、C(CH−AryCまたはCHCH−AryCであり;他の変数がすべて本来定義されている通りであり、または先の実施形態のいずれか1つに定義されている通りである方法Pである。
【0031】
本発明の第15実施形態(実施形態E15)は、RがCH−AryCであり;他の変数がすべて本来定義されている通りであり、または先の実施形態のいずれか1つに定義されている通りである方法Pである。この実施形態の態様において、R
【0032】
【化8】

(式中、T及びTは各々独立してH、Cl、Br、F、CN、C1−4アルキル、C1−4フルオロアルキル、OC1−4アルキル、O−C1−4フルオロアルキル、N(CH、C(O)CHまたはCOCHである。)
である。この実施形態の別の態様において、Rは4−フルオロベンジルである。
【0033】
本発明の第16実施形態(実施形態E16)は、AryCがフェニルであり、前記フェニルは各々独立して
(1)C1−4アルキル、
(2)C3−6シクロアルキル、
(3)C1−4フルオロアルキル、
(4)OC1−4アルキル、
(5)OC1−4フルオロアルキル、
(6)O−C3−6シクロアルキル、
(7)ハロ、
(8)CN、
(9)N(H)−イソプロピル、
(10)N(H)−t−ブチル、
(11)N(−C1−4アルキル)
(12)CH(O)、
(13)C(O)−C1−4アルキル、
(14)C(O)O−C1−4アルキル、
(15)C(O)NH
(16)C(O)N(H)−C1−4アルキル、
(17)C(O)N(−C1−4アルキル)
(18)
(a)OC1−4アルキル、
(b)OC1−4フルオロアルキル、
(c)O−C3−6シクロアルキル、
(d)CN、
(e)NO
(f)N(H)−イソプロピル、
(g)N(H)−t−ブチル、
(h)N(−C1−4アルキル)
(i)CH(O)、
(j)C(O)−C1−4アルキル、
(k)C(O)O−C1−4アルキル、
(l)C(O)NH
(m)C(O)N(H)−C1−6アルキル、または
(n)C(O)N(−C1−6アルキル)
で置換されているC1−4アルキル、または
(19)2個以上の任意の置換基がフェニルでない条件で、フェニル
である1から3個の置換基で置換されていてもよく;他の変数がすべて本来定義されている通りであり、または先の実施形態のいずれか1つに定義されている通りである方法Pである。
【0034】
本発明の第17実施形態(実施形態E17)は、AryCが各々独立してCl、Br、F、CN、C1−4アルキル、C1−4フルオロアルキル、O−C1−4アルキル、O−C1−4フルオロアルキル、N(CH、C(O)CHまたはCOCHである1から3個の置換基で置換されていてもよいフェニルであり;他の変数がすべて本来定義されている通りであり、または先の実施形態のいずれか1つに定義されている通りである方法Pである。
【0035】
本発明の第18実施形態(実施形態E18)は、AryCが
【0036】
【化9】

(式中、T及びTは各々独立してH、Cl、Br、F、CN、C1−4アルキル、C1−4フルオロアルキル、O−C1−4アルキル、O−C1−4フルオロアルキル、N(CH、C(O)CHまたはCOCHである。)
であり;他の変数がすべて本来定義されている通りであり、または先の実施形態のいずれか1つに定義されている通りである方法Pである。
【0037】
本発明の第19実施形態(実施形態E19)は、AryCが各々独立してCl、Br、F、CN、CH、CF、OCH、OCF、N(CH、C(O)CHまたはCOCHである1から3個の置換基で置換されていてもよいフェニルであり;他の変数がすべて本来定義されている通りであり、または先の実施形態のいずれか1つに定義されている通りである方法Pである。
【0038】
本発明の第20実施形態(実施形態E20)は、AryCが各々独立してCl、Br、F、CHまたはCFである1から3個の置換基で置換されていてもよいフェニルであり;他の変数がすべて本来定義されている通りであり、または先の実施形態のいずれか1つに定義されている通りである方法Pである。
【0039】
本発明の第21実施形態(実施形態E21)は、AryCが各々独立してCl、Br、FまたはCHである1または2個の置換基で置換されていてもよいフェニルであり;他の変数がすべて本来定義されている通りであり、または先の実施形態のいずれか1つに定義されている通りである方法Pである。
【0040】
本発明の第22実施形態(実施形態E22)は、AryCが4−フルオロフェニルであり;他の変数がすべて本来定義されている通りであり、または先の実施形態のいずれか1つに定義されている通りである方法Pである。
【0041】
本発明の第23実施形態(実施形態E23)は、LがC1−3アルキレンであり;他の変数がすべて本来定義されている通りであり、または先の実施形態のいずれか1つに定義されている通りである方法Pである。
【0042】
本発明の第24実施形態(実施形態E24)は、LがCH、CH(CH)、C(CHまたはCHCHであり;他の変数がすべて本来定義されている通りであり、または先の実施形態のいずれか1つに定義されている通りである方法Pである。
【0043】
本発明の第25実施形態(実施形態E25)は、LがCH、CH(CH)またはC(CHであり;他の変数がすべて本来定義されている通りであり、または先の実施形態のいずれか1つに定義されている通りである方法Pである。
【0044】
本発明の第26実施形態(実施形態E26)は、LがC(CHであり;他の変数がすべて本来定義されている通りであり、または先の実施形態のいずれか1つに定義されている通りである方法Pである。
【0045】
本発明の第27実施形態(実施形態E27)は、RがHまたはC1−4アルキルであり;他の変数がすべて本来定義されている通りであり、または先の実施形態のいずれか1つに定義されている通りである方法Pである。
【0046】
本発明の第28実施形態(実施形態E28)は、RがHまたはCHであり;他の変数がすべて本来定義されている通りであり、または先の実施形態のいずれか1つに定義されている通りである方法Pである。
【0047】
本発明の第29実施形態(実施形態E29)は、RがHであり;他の変数がすべて本来定義されている通りであり、または先の実施形態のいずれか1つに定義されている通りである方法Pである。
【0048】
本発明の第30実施形態(実施形態E30)は、Rが(1)HetPで置換されているC1−6アルキル、(2)HetP、(3)AryQ、または(4)HetQであり;他の変数がすべて本来定義されている通りであり、または先の実施形態のいずれか1つに定義されている通りである方法Pである。
【0049】
本発明の第31実施形態(実施形態E31)は、RがAryQまたはHetQであり;他の変数がすべて本来定義されている通りであり、または先の実施形態のいずれか1つに定義されている通りである方法Pである。
【0050】
本発明の第32実施形態(実施形態E32)は、RがAryQであり、他の変数がすべて本来定義されている通りであり、または先の実施形態のいずれか1つに定義されている通りである方法Pである。
【0051】
本発明の第33実施形態(実施形態E33)は、RがHetQであり;他の変数がすべて本来定義されている通りであり、または先の実施形態のいずれか1つに定義されている通りである方法Pである。
【0052】
本発明の第34実施形態(実施形態E34)は、Rが5−メチル−1,3,4−オキサジアゾル−2−イルであり;他の変数がすべて本来定義されている通りであり、または先の実施形態のいずれか1つに定義されている通りである方法Pである。
【0053】
本発明の第35実施形態(実施形態E35)は、Xがハロゲンであり;他の変数がすべて本来定義されている通りであり、または先の実施形態のいずれか1つに定義されている通りである方法Pである。
【0054】
本発明の第36実施形態(実施形態E36)は、XがClまたはBrであり;他の変数がすべて本来定義されている通りであり、または先の実施形態のいずれか1つに定義されている通りである方法Pである。
【0055】
本発明の第37実施形態(実施形態E37)は、XがClであり;他の変数がすべて本来定義されている通りであり、または先の実施形態のいずれか1つに定義されている通りである方法Pである。
【0056】
本発明の第38実施形態(実施形態E38)は、HetPが
【0057】
【化10】

(式中、星印()は化合物の残りへの結合ポイントを指し、VはC1−4アルキル、C(O)−C1−4アルキルまたはC(O)O−C1−4アルキルである。)
からなる群から選択される飽和ヘテロ環式環であり;他の変数がすべて本来定義されている通りであり、または先の実施形態のいずれか1つに定義されている通りである方法Pである。
【0058】
本発明の第39実施形態(実施形態E39)は、HetPが
【0059】
【化11】

(式中、星印()は化合物の残りへの結合ポイントを指し、VはCH、C(O)CHまたはC(O)OCHである。)
からなる群から選択される飽和ヘテロ環式環であり;他の変数がすべて本来定義されている通りであり、または先の実施形態のいずれか1つに定義されている通りである方法Pである。
【0060】
本発明の第40実施形態(実施形態E40)は、Rがイソプロピル、t−ブチル、sec−ブチル、イソブチル、イソペンチル(すなわち、3−メチル−1−ブチル)、2−メチル−1−ブチル、ジエチルメチル、2−ペンチルまたはネオペンチルであり;他の変数がすべて本来定義されている通りであり、または先の実施形態のいずれか1つに定義されている通りである方法Pである。
【0061】
本発明の第41実施形態(実施形態E41)は、Rがイソプロピルまたはt−ブチルであり;他の変数がすべて本来定義されている通りであり、または先の実施形態のいずれか1つに定義されている通りである方法Pである。
【0062】
本発明の第42実施形態(実施形態E42)は、CycQが各々独立してハロゲン、C1−4アルキル、C1−4ハロアルキル、O−C1−4アルキル、O−C1−4ハロアルキル、オキソ、N(−C1−4アルキル)、C(O)N(−C1−4アルキル)、C(O)−C1−4アルキルまたはC(O)O−C1−4アルキルである1から3個の置換基で置換されていてもよいC5−7シクロアルキルであり;他の変数がすべて本来定義されている通りであり、または先の実施形態のいずれか1つに定義されている通りである方法Pである。
【0063】
本発明の第43実施形態(実施形態E43)は、CycQが各々独立してCl、Br、F、CH、CF、OCH、OCF、オキソ、N(CH、C(O)N(CH、C(O)CHまたはCOCHである1から3個の置換基で置換されていてもよいC5−7シクロアルキルであり;他の変数がすべて本来定義されている通りであり、または先の実施形態のいずれか1つに定義されている通りである方法Pである。
【0064】
本発明の第44実施形態(実施形態E44)は、CycQが未置換のC5−7シクロアルキルであり;他の変数がすべて本来定義されている通りであり、または先の実施形態のいずれか1つに定義されている通りである方法Pである。
【0065】
本発明の第45実施形態(実施形態E45)は、AryQが各々独立してハロゲン、CN、NO、C1−4アルキル、C1−4ハロアルキル、O−C1−4アルキル、O−C1−4ハロアルキル、S−C1−4アルキル、N(−C1−4アルキル)、C(O)N(−C1−4アルキル)、C(O)−C1−4アルキルまたはC(O)O−C1−4アルキルである1から3個の置換基で置換されていてもよいフェニルであり;他の変数がすべて本来定義されている通りであり、または先の実施形態のいずれか1つに定義されている通りである方法Pである。
【0066】
本発明の第46実施形態(実施形態E46)は、AryQが各々独立してCl、Br、F、CH、CF、OCH、OCF、SCH、N(CH、C(O)N(CH、C(O)CHまたはCOCHである1から3個の置換基で置換されていてもよいフェニルであり;他の変数がすべて本来定義されている通りであり、または先の実施形態のいずれか1つに定義されている通りである方法Pである。
【0067】
本発明の第47実施形態(実施形態E47)は、AryQが各々独立してCl、Br、F、CH、CF、OCH、OCFである1から3個の置換基で置換されていてもよいフェニルであり;他の変数がすべて本来定義されている通りであり、または先の実施形態のいずれか1つに定義されている通りである方法Pである。
【0068】
本発明の第48実施形態(実施形態E48)は、HetQがフラニル、チエニル、ピロリル、ピラゾリル、イミダゾリル、トリアゾリル、テトラゾリル、オキサゾリル、イソオキサゾリル、チアゾリル、イソチアゾリル、オキサジアゾリル、チアジアゾリル、ピリジル、ピリミジニル、ピラジニル及びピリダジニルからなる群から選択されるヘテロ芳香族環であり、前記ヘテロ芳香族環は各々独立してハロゲン、CN、NO、C1−4アルキル、C1−4ハロアルキル、O−C1−4アルキル、O−C1−4ハロアルキル、S−C1−4アルキル、N(−C1−4アルキル)、C(O)N(−C1−4アルキル)、C(O)−C1−4アルキルまたはC(O)O−C1−4アルキルである1から3個の置換基で置換されていてもよく;他の変数がすべて本来定義されている通りであり、または先の実施形態のいずれか1つに定義されている通りである方法Pである。
【0069】
本発明の第49実施形態(実施形態E49)は、HetQがフラニル、チエニル、ピロリル、ピラゾリル、イミダゾリル、トリアゾリル、テトラゾリル、オキサゾリル、イソオキサゾリル、チアゾリル、イソチアゾリル、オキサジアゾリル、チアジアゾリル、ピリジル、ピリミジニル、ピラジニル及びピリダジニルからなる群から選択されるヘテロ芳香族環であり、前記ヘテロ芳香族環は各々独立してCl、Br、F、CH、CF、OCH、OCF、SCH、N(CH、C(O)N(CH、C(O)CHまたはCOCHである1から3個の置換基で置換されていてもよく;他の変数がすべて本来定義されている通りであり、または先の実施形態のいずれか1つに定義されている通りである方法Pである。
【0070】
本発明の第49実施形態(実施形態E49)は、HetQがオキサゾリル、イソオキサゾリル、チアゾリル、イソチアゾリル、オキサジアゾリルまたはチアジアゾリルからなる群から選択されるヘテロ芳香族環であり、前記ヘテロ芳香族環は各々独立してCl、Br、F、CH、CF、OCH、OCFである1または2個の置換基で置換されていてもよく;他の変数がすべて本来定義されている通りであり、または先の実施形態のいずれか1つに定義されている通りである方法Pである。
【0071】
本発明の第50実施形態(実施形態E50)は、HetQが
【0072】
【化12】

(式中、UはHまたはCHである。)
であり;他の変数がすべて本来定義されている通りであり、または先の実施形態のいずれか1つに定義されている通りである方法Pである。この実施形態の態様において、HetQは5−メチル−1,3,4−オキサジアゾル−2−イルである。
【0073】
及びRの本来の定義及び下記実施形態に記載されているR及びRの定義の一部は、R及びRが同一の基であり得るように重複している。一方、R及びRは典型的には本発明の方法において同一ではなく、よって、以下の実施形態である。本発明の第51実施形態(実施形態E51)は、RがAryBであり、RがAryQであるときAryB及びAryQは同一でないという条件ですべての変数が本来定義されている通りである方法Pである。この実施形態のサブ実施形態には、RでAryBであり、RがAryQであるときAryB及びAryQは同一でないという条件で、R及びRの重複している定義を含む方法Pのすべての実施形態(例えば、Rが実施形態E6に定義されている通りであり、Rが実施形態E30に定義されている通りである方法Pの実施形態)が含まれる。
【0074】
本明細書中で使用されている用語「アルキル」は、特定範囲の炭素原子数を有する一価の直鎖または分岐状飽和脂肪族炭化水素基を指す。よって、例えば、「C1−8アルキル」(または、「C−Cアルキル」)はオクチル、ヘプチル、ヘキシル及びペンチルアルキル異性体、並びにn−、イソ−、sec−及びt−ブチル、n−及びイソ−プロピル、エチル及びメチルを指す。別の例として、「C1−6アルキル」(または、「C−Cアルキル」)はヘキシル及びペンチルアルキル異性体、並びにn−、イソ−、sec−及びt−ブチル、n−及びイソ−プロピル、エチル及びメチルを指す。別の例として、「C1−4アルキル」はn−、イソ−、sec−及びt−ブチル、n−及びイソプロピル、エチル及びメチルを指す。別の例として、「C1−3アルキル」はn−プロピル、イソプロピル、エチル及びメチルを指す。
【0075】
用語「アルキレン」は、特定範囲の炭素原子数を有する二価の線状または分岐状脂肪族炭化水素基を指す。よって、例えば「−C1−6アルキレン−」はC−C線状または分岐状アルキレンを指し、「−C1−4アルキレン−」はC−C線状または分岐状アルキレンを指す。本発明で興味深いアルキレンのクラスは−(CH1−6−であり、特に興味深いサブクラスは−(CH1−4−、−(CH2−4−、−(CH1−3−、−(CH2−3−、−(CH1−2−及び−CH−を含む。興味深い別のサブクラスは−CH−、−CH(CH)−、−C(CH−及び−CH−CH−からなる群から選択されるアルキレンである。興味深い別のサブクラスは−CH−、−CH(CH)−及び−C(CH−からなる群から選択されるアルキレンである。
【0076】
用語「ハロゲン」(または「ハロ」)は、フッ素、塩素、臭素及びヨウ素(或いは、フルオロ、クロロ、ブロモ及びヨードと称する。)を指す。
【0077】
用語「ハロアルキル」は、水素原子の1個以上がハロゲン(すなわち、F、Cl、Br及び/またはI)で置換されている上に定義したアルキル基を指す。よって、例えば「C1−6ハロアルキル」(または、「C−Cハロアルキル」)は1個以上のハロゲン置換基を有する上に定義したC−C線状または分岐状アルキル基を指す。用語「フルオロアルキル」は、ハロゲン置換基がフルオロに限定されている以外同一の意味を有する。適当なフルオロアルキルには一連の(CH0−4CF(すなわち、トリフルオロメチル、2,2,2−トリフルオロエチル、3,3,3−トリフルオロ−n−プロピル等)が含まれる。特に興味深いフルオロアルキルはCFである。
【0078】
用語「シクロアルキル」は、特定範囲の炭素原子数を有するアルカンの一価単環式環を指す。よって、例えば「C3−7シクロアルキル」(または、「C−Cシクロアルキル」)はシクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル及びシクロヘプチルを指し、「C3−6シクロアルキル」はシクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル及びシクロヘキシルを指す。
【0079】
用語「C(O)」はカルボニルを指す。用語「S(O)」及び「SO」はそれぞれスルホニルを指す。用語「S(O)」はスルフィニルを指す。
【0080】
化学基中の開放結合の末端としての星印()は基の化合物の残りへの結合ポイントを指す。
【0081】
用語「アリール」はフェニル及びナフチルを指す。特に興味深いアリールはフェニルである。
【0082】
用語「アルアルキル」は、上に定義したアリール基で置換されている上に定義したアルキル基を指す。特に興味深いアルアルキルはベンジルである。特に興味深い置換アルアルキル基は4−フルオロベンジルである。
【0083】
用語「ヘテロアリール」は、独立してN、O及びSから選択される1から4個のヘテロ原子を含有し、ベンゼン環が縮合していてもよい5または6員ヘテロ芳香族環を指す。用語「ヘテロアリール」には、例えばピリジル(或いは、ピリジニルと称する。)、ピロリル、ピラジニル、ピリミジニル、ピリダジニル、トリアジニル、チエニル、フラニル、イミダゾリル、ピラゾリル、トリアゾリル、テトラゾリル、オキサゾリル、イソオキサゾリル、オキサジアゾリル、オキサトリアゾリル、チアゾリル、イソチアゾリル、チアジアゾリル、キノリニル、イソキノリニル、キナゾリニル、ベンゾチオフェニル、ベンゾフラニル及びインドリルが含まれる。
【0084】
特定の関係で明確に反対の言及がない限り、安定な化合物が生ずるならば、本明細書中に記載されている各種環式環及び環系は環原子(すなわち、炭素原子またはヘテロ原子)で一部である化合物の残りに結合され得る。
【0085】
明確に反対の言及がない限り、上に挙げられている範囲はすべて包括的である。すなわち、範囲は該範囲の上限及び下限の値だけでなく、その間のすべての値を含む。よって、例えば「1から4個のヘテロ原子」を含有するとして記載されている環はその環が1、2、3または4個のヘテロ原子を含有し得ることを意味する。また、挙げられている範囲はその範囲に該範囲内のサブ範囲のすべてを含むと理解される。よって、例えば「1から4個のヘテロ原子」を含有するとして記載されているヘテロ環式環はその態様として2から4個のヘテロ原子、3から4個のヘテロ原子、1から3個のヘテロ原子、2または3個のヘテロ原子、1または2個のヘテロ原子、1個のヘテロ原子、2個のヘテロ原子、3個のヘテロ原子及び4個のヘテロ原子を含有するヘテロ環式環を含むと意図される。別の例として、「1から4個の置換基」で置換されていてもよいと記載されている環(例えば、フェニールやナフチルのようなアリール)はその態様として1から4個の置換基、2から4個の置換基、3から4個の置換基、4個の置換基、1から3個の置換基、2から3個の置換基、3個の置換基、1から2個の置換基、2個の置換基及び1個の置換基で置換されている環を含むと意図される。
【0086】
本発明の方法に関与する化合物中に変数(例えば、化合物II中のR)が2回以上現れている場合、各回のその定義はすべての他の回の定義と独立している。また、置換基及び/または変数の組合せは、その組合せにより安定な化合物が生ずる場合のみ許容され得る。
【0087】
明確に反対の言及がない限り、環置換が化学的に許容され、安定な化合物が生ずるならば名前が挙げられている置換基による置換は環(例えば、シクロアルキル、アリールまたはヘテロアリール)中の原子上で許容される。
【0088】
本発明の方法において反応物質または試薬として使用される化合物(例えば、化合物II、III及びIV)の言及において、「安定な」化合物は、その構造及び特性が化合物Iが製造されるように本発明の方法において使用し得るのに十分な時間維持しているかまたは本質的に変化せずに維持し得るものである。化合物Iに関して、「安定な」化合物は、本発明の方法に従って製造後単離され得、その構造及び特性が意図する目的(例えば、治療のためにHIV感染またはAIDSを有している被験者に対して投与する目的)のために化合物を使用し得るのに十分な時間維持しているかまたは本質的に変化せずに維持し得る化合物である。本発明の方法は安定な化合物の使用及び/または製造に限定される。
【0089】
本発明の方法のステップAは、化合物II中の遊離アミンをアシル化剤IIIを用いてアシル化して、アシル化アミンIVを得ることを含む。ステップAは有機溶媒A中で実施する。有機溶媒Aは適当には非プロトン性溶媒であり得る。非プロトン性溶媒は、例えばハロアルカン、ジアルキルエーテル、ジアルコキシアルカン、ビス(アルコキシアルキル)エーテル、環状エーテルまたはジエーテル、脂肪族ニトリル、芳香族ニトリルまたは第3級カルボン酸アミドであり得る。適当な非プロトン性溶媒のクラスはC−Cハロアルカン、各アルキルが独立してC−Cアルキルであるジアルキルエーテル、同一または異なる2個の−O−C−Cアルキル基で置換されているC−C線状または分岐状アルカン、ビス(C1−4アルコキシ−C1−4アルキル)エーテル、C−C環状エーテル及びジエーテル、C−C脂肪族ニトリル、C−C芳香族ニトリル、N,N−ジ−C1−4アルキルC1−4アルキルカルボキサミド及び第3級C4−6ラクタムから構成される。1つの態様において、ステップAにおいて使用する有機溶媒はジクロロメタン、ジエチルエーテル、MTBE、DME、ジメトキシメタン、ビス(2−メトキシエチル)エーテル、THF、ジオキソラン、ジオキサン、アセトニトリル、プロピオニトリル、ベンゾニトリル、o−トルニトリル、p−トルニトリル、DMF、DMACまたはNMPである。この態様の特徴で、ステップAにおいて使用する溶媒はアセトニトリル、DMF、THF、MTBEまたはNMPである。この態様の別の特徴で、溶媒はアセトニトリルである。
【0090】
ステップAは、化合物IVを形成する反応(アシル化)を検出可能に進行させ得る温度で実施し得る。この反応は適当には約−40から約100℃の範囲の温度で実施し得、典型的には約−15から約15℃の範囲の温度で実施する。本発明の態様において、ステップAは約−5から約5℃の範囲の温度で実施する。
【0091】
ステップAにおけるアシル化は塩基の存在下で実施する。ステップAにおいて使用する塩基はアシル化の酸性副生成物を中和する塩基であり得る。塩基は、例えば金属水酸化物、金属炭酸塩、第3級アミンまたはピリジンであり得る。適当な塩基のクラスはアルカリ金属水酸化物及び第3級アミンから構成される。適当な塩基のサブクラスはトリ−C1−4アルキルアミン、並びに環炭素の1個がOまたはSで置換されていてもよく、環窒素の各々がC1−4アルキルで置換されているC4−6アザシクロアルカン及びジアザシクロアルカンから構成される。1つの態様におて、塩基はLiOH、KOH、NaOH、炭酸Na、炭酸K、NMM、NEM、TEA、DIPEA、DABCO、ピリジンまたはコリジンである。この態様の特徴で、ステップAにおいて使用する塩基はNMM、NEM、TEA、DIPEAまたはDABCOである。この態様の別の特徴で、塩基はNMMである。
【0092】
化合物II、アシル化剤III及び塩基は少なくとも一部のアシル化アミンIVが形成される量で使用し得る。通常、ステップAにおいて化合物IIの最適変換及びアシル化アミンIVの最適形成が所望され、よって典型的にはこの目的に適した反応物質及び試薬の相対比を使用する。アシル化剤IIIは適当には1当量の式IIの化合物あたり少なくとも約0.9当量(例えば、少なくとも約1当量)の量で使用し得、典型的には1当量の化合物IIあたり約1から約5当量の範囲の量で使用し、より典型的には1当量の化合物IIあたり約1から約2当量の範囲の量で使用する。1つの態様において、アシル化剤IIIは1当量の化合物IIあたり約1から約1.5当量の範囲の量で使用する。別の態様においてアシル化剤IIIは1当量の化合物IIあたり約1から約1.2当量の範囲の量で使用する。
【0093】
必須ではないが、活性化剤(例えば、EDC、DCCまたはBOP−Cl)をアシル化剤IIIと一緒に使用し得る。ステップAにおいて使用する場合、活性化剤は典型的には1当量のアシル化剤IIIあたり少なくとも1当量の量で使用し、より典型的には1当量のアシル化剤IIIあたり約1から1.5当量の範囲の量で使用する。
【0094】
塩基は、適当には1当量の式IIの化合物あたり少なくとも約0.9当量(例えば、少なくとも約1当量)の量で使用し得、典型的には1当量の化合物IIあたり約1から約5当量の範囲の量で使用し、より典型的には1当量の化合物IIあたり約1から約2当量の範囲の量で使用する。1つの態様において、塩基は1当量の化合物IIあたり約1から約1.5当量の範囲の量で使用する。別の態様において、塩基は1当量の化合物IIあたり約1から約1.2当量範囲の量で使用する。
【0095】
ステップAの反応時間は、(i)化合物II、アシル化剤III及び塩基の選択及び相対比、(ii)溶媒の選択、(iii)反応温度の選択、及び(iv)所望の変換レベルに応じて広範囲で変更可能である。反応は通常約24時間以内(例えば、約12時間以内)に完了(すなわち、100%変換)し、典型的には約8時間以内に完了し、しばしば約4時間以内に(例えば、約0.1から約2時間で)完了する。
【0096】
ステップAにおける反応物質及び試薬の反応容器(または、反応ポット)への添加順序は重要でない。反応物質及び試薬は一緒にまたは別々に同時に添加しても、任意の順序で逐次添加してもよい。或いは、一部を同時に添加し、他を同時添加の前またはその後に逐次添加してもよい。ステップAは例えば次のように実施し得る。化合物II及び非プロトン性溶媒をフラスコに装入し、反応温度とする(例えば、冷却する。)。その後、塩基を添加する。次いで、この混合物を別々に作成した非プロトン性溶媒中のアシル化剤IIIの混合物を収容している反応容器に反応温度で添加する。次いで、所望の変換度に達するまで反応混合物を反応温度でエージングする。典型的には、化合物IIの完全変換が望ましい。必要に応じて反応物質及び試薬を反応容器に添加している間、その後のエージングの間にもステップA反応混合物をエージング(例えば、攪拌)する。ステップAで形成されたアシル化アミンIVを慣用の手段により(例えば、水を反応混合物に添加することによりアミンIVを沈殿させた後、沈殿を濾過により分離することにより)回収してもよく、またはアシル化アミンIVを含む反応混合物を直接ステップBにおいて使用してもよい。すなわち、ステップA及びBを同一ポット中で実施し得る。
【0097】
本発明の方法のステップBは、ステップAから生じた化合物IVを水性塩基を用いて加水分解して化合物Iを得ることを含む。ステップBは有機溶媒B中で実施する。有機溶媒Bは非プロトン性溶媒であり得る。有機溶媒Bは独立して有機溶媒Aとして使用するために上記した溶媒であり得る。よって、1つの態様において、有機溶媒BはDCM、ジエチルエーテル、MTBE、DME、ジメトキシメタン、ビス(2−メトキシエチル)エーテル、THF、ジオキソラン、ジオキサン、アセトニトリル、プロピオニトリル、ベンゾニトリル、o−トルニトリル、p−トルニトリル、DMF、DMACまたはNMPである。この態様の特徴で、有機溶媒Bはアセトニトリル、DMF、THF、MTBEまたはNMPである。この態様の別の特徴で、溶媒はアセトニトリルである。
【0098】
別の態様において、ステップA及びBにおいて使用する溶媒は同一である。すなわち、有機溶媒A=有機溶媒B。この態様の特徴で、ステップA及びBにおいて使用する溶媒はアセトニトリル、DMF、THF、MTBEまたはNMPである。この態様の特徴で、ステップA及びBにおいて使用する溶媒はアセトニトリルである。
【0099】
ステップBは、化合物Iを形成する加水分解を検出可能に進行させ得る温度で実施し得る。この反応は適当には約−30から約30℃の範囲の温度で実施し得、典型的には約−5から約15℃の範囲の温度で実施する。本発明の態様において、ステップBは約5から約10℃の範囲の温度で実施する。
【0100】
ステップBにおいて使用する水性塩基は化合物IVを加水分解して化合物Iを与え得る塩基であり得る。水性塩基は適当には金属水酸化物または水酸化第4級アンモニウムであり得る。本明細書中で用語「水性」は塩基を水中の溶液、懸濁液または分散液として使用することを意味する。適当な塩基のクラスはアルカリ金属水酸化物、アルカリ土類金属水酸化物及び水酸化アンモニウムから構成される。1つの態様において、ステップBにおいて使用する塩基はLiOH、NaOHまたはKOHである。この態様の特徴で、塩基はKOHである。
【0101】
水性塩基は、少なくとも一部の化合物Iが形成される量で使用し得るが、塩基は典型的には化合物IVの最適変換及び化合物Iの最適形成を与え得る量で使用する。従って、水性塩基は適当には1当量の化合物IVあたり少なくとも約0.9当量(例えば、少なくとも約1当量)の量で使用し得、典型的には1当量の化合物IVあたり約1から約10当量の範囲の量で使用し、より典型的には1当量の化合物IVあたり約1から約8当量(例えば、約2から約8当量)の範囲の量で使用する。本発明の態様において、塩基は1当量の化合物IVあたり約2から約6当量(例えば、約5から約6当量)の範囲の量で使用する。他のところで述べたように、ステップA及びBはステップAで形成された化合物IVを回収または単離することなく同一反応容器中で実施し得る。すなわち、方法Pを「1ポット合成」として実施する。この状況で、ステップAにおいて化合物IIのすべて乃至実質的にすべてが化合物IVに変換されると仮定した後、1当量の化合物IIあたりの塩基の当量の範囲に換算してステップBにおいて使用しようとする塩基の適切な量を決定することが好都合である。この状況で、ステップBにおいて使用するための1当量の化合物IVあたりの塩基の当量の範囲は1当量の化合物IIあたりの塩基の当量の範囲となる。
【0102】
ステップBの反応時間は、(i)溶媒の選択、(ii)水性塩基の選択及び相対比、(iii)反応温度の選択、及び(iv)所望する変換レベルに応じて広範囲で変更可能である。反応は通常約24時間以内(例えば、約12時間以内)に完了し、典型的には約8時間以内に完了し、しばしば約4時間以内に(例えば、約0.1から約2時間で)完了する。
【0103】
上述したように、ステップBにおいて典型的に使用される反応パラメーター(例えば、溶媒の選択、溶媒の量、塩基の選択、塩基の量、反応温度及び反応時間)は化合物IIを化合物Iに実質的に変換させ得るものである。より具体的には、パラメーターの好ましい組合せは、−N(R)C(O)Rを殆どまたは全く加水分解せずに−OC(O)Rを加水分解させるものである。当業者は過度の実験をすることなく本明細書中に与えられている情報を用いて反応パラメーターの組合せを同定することができる。
【0104】
ステップBにおける反応物質及び試薬の反応容器(または、反応ポット)への添加順序は重要でない。ステップBは例えば以下のように実施し得る。水性塩基を反応温度で有機溶媒B(例えば、アセトニトリル)中に溶解させた化合物IVに添加し、所望の変換度(典型的には、100%)に達するまで混合物を前記温度でエージングする。必要に応じて水性塩基を添加している間、その後エージングしている間にもステップB反応混合物をエージング(例えば、攪拌)する。次いで、ステップBで形成された化合物Iを慣用の手段を用いて回収してもよい。例えば、反応混合物を(例えば、酢酸を用いて)酸性化し、必要に応じて種晶と一緒に水を添加して結晶性スラリーを形成し、前記スラリーをエージングし、濾過により結晶性生成物を分離し、洗浄した後、化合物Iの結晶性生成物を乾燥することにより化合物Iを回収してもよい。
【0105】
化合物IVは、ステップAから生じた生成物混合物から単離した後、ステップBにおいて使用するために有機溶媒B中に溶解し得る。或いは、化合物IVをステップA生成物混合物から単離せずに、その代わりに生成物混合物をそのまま生成物混合物に水性塩基を添加して使用する。後者が好ましい。例えば、ステップA生成物混合物を収容している反応容器に直接水性塩基を添加し、そこでステップBを実施し得る。換言すれば、ステップA及びBを1ポット合成で実施する。デフォルトにより、有機溶媒A及び有機溶媒Bは1ポット合成において同一である。
【0106】
本発明は、上記したステップA及びBを含み、更に、
(C)式V:
【0107】
【化13】

(式中、Pは水素化分解により開裂され得るアミン保護基である。)
の化合物を有機溶媒C中、水素化分解触媒の存在下で水素源と接触させて、式IIの化合物を得ることを含む式Iの化合物の製造方法をも包含する。
【0108】
ステップCではアミン保護基Pを除去して化合物II中に遊離アミンN(H)Rを与える。L、R、R、R、R、R、R及びここに含まれる変数(例えば、AryA、AryC、HetQ、R等)に関する実施形態E1からE51がステップA、B及びCを含む方法にも当てはまると理解される。また、ステップAの前にステップCを実施する、すなわちこの方法でのステップの順序はステップC、次いでステップA、その後ステップBであると理解される。
【0109】
水素化分解により開裂され得るアミン保護基は当業界で公知であり、例えばGreene and Wuts,Protective Groups in Organic Synthesis,第3版(Wiley−Interscience,1999),p.494−653(全文参照により本明細書に組み入れる。);及びMcOmie,Protective Groups in Organic Synthesis(Plenum,1973),p.44−74(全文参照により本明細書に組み入れる。)に記載されているものが含まれる。
【0110】
本発明の第52実施形態(実施形態E52)は、Pが(1)C(=O)−O−(CH0−1−CH=CH、または(2)C(=O)−O−C1−4アルキレン−アリール(ここで、アリールは各々独立してハロ、−NO、−C1−4アルキルまたは−O−C1−4アルキルである1から5個の置換基で置換されていてもよい。)であり;他の変数がすべて本来定義されている通りであり、または先の実施形態のいずれかに定義されている通りであるステップA、B及びCを含む方法である。
【0111】
本発明の第53実施形態(実施形態E53)は、Pが(1)−C(=O)−O−CH−CH=CHまたは(2)−C(=O)−O−CH−フェニル(ここで、フェニルは各々独立してハロ、−NO、−C1−4アルキルまたは−O−C1−4アルキルである1から3個の置換基で置換されていてもよい。)であり;他の変数がすべて本来定義されている通りであり、または先の実施形態のいずれかに定義されている通りであるステップA、B及びCを含む方法である。
【0112】
本発明の第54実施形態(実施形態E54)は、Pがアリルオキシカルボニル、ベンジルオキシカルボニル、p−メトキシベンジルオキシカルボニル、p−ニトロベンジルオキシカルボニル、p−ブロモベンジルオキシカルボニル、p−クロロベンジルオキシカルボニルまたは2,4−ジクロロベンジルオキシカルボニルであり;他の変数がすべて本来定義されている通りであり、または先の実施形態のいずれかに定義されている通りであるステップA、B及びCを含む方法である。
【0113】
本発明の第55実施形態(実施形態E55)は、Pがベンジルオキシカルボニルであり;他の変数がすべて本来定義されている通りであり、または先の実施形態のいずれかに定義されている通りであるステップA、B及びCを含む方法である。
【0114】
ステップCは有機溶媒C中で実施する。有機溶媒Cは、例えばカルボン酸エステル、脂肪族エーテルまたはジエーテル、環状エーテルまたはジエーテル、芳香族炭化水素、第3級カルボン酸アミド、アルコール、アルコール−水混合物、またはアルコール−水−カルボン酸エステル混合物であり得る。適当な溶媒のクラスはC−Cアルキルカルボン酸のC1−4アルキルエステル、各アルキルが独立してC−Cアルキルであるジアルキルエーテル、同一または異なる2個の−O−C1−4アルキル基で置換されているC−C線状または分岐状アルカン、ビス(C1−4アルコキシ−C1−4アルキル)エーテル、C−C環状エーテル及びジエーテル、トルエン、o−キシレン、m−キシレン、p−キシレン、キシレン混合物、N,N−ジ−C1−4アルキルC1−4アルキルカルボキサミド、第3級C4−6ラクタム、C1−4アルキルアルコール、C1−4アルキルアルコールと水の混合物、及びC1−4アルキルアルコールとC1−4アルキルC1−4アルキルカルボキシレートと水の混合物から構成される。1つの態様において、ステップCにおいて使用する溶媒は酢酸エチル、酢酸イソプロピル、ジエチルエーテル、MTBE、DME、ジメトキシメタン、ビス(2−メトキシエチル)エーテル、THF、ジオキソラン、ジオキサン、トルエン、DMF、DMAC、NMP、メタノール、エタノール、イソプロパノール、n−プロパノール、イソブタノール、メタノール−水、エタノール−水、またはメタノール−酢酸エチル−水である。この態様の特徴で、溶媒はメタノールと酢酸エチルと水の混合物である。
【0115】
別の態様において、ステップCにおいて使用する溶媒は水とC1−3アルキルアルコールと必要に応じて酢酸C1−3アルキルの混合物である。この態様の特徴で、溶媒は水−メタノール混合物、水−エタノール混合物、水−メタノール−酢酸エチル混合物、または水−メタノール−酢酸イソプロピル混合物である。水とアルコールと必要に応じてエステルの混合物を使用する場合、水は例えば溶媒の全容量に基づいて約5から約95容量%を占め得る。
【0116】
ステップCにおける化合物Vの水素化分解は、化合物IIを形成する反応(アミンの脱保護)を検出可能に進行させ得る温度で実施し得る。この反応は適当には約−50から約200℃の範囲の温度で実施し得、典型的には約0から約40℃の範囲の温度で実施する。
【0117】
水素源は典型的には水素ガスであり、必要に応じてステップCにおいて使用する反応条件で化学的に不活性なキャリアガス(例えば、窒素、またはヘリウムやアルゴンのような不活性ガス)と混合されている。圧力はステップCにおいて重要な態様でないが、大気圧及び過圧が好都合である傾向にある。圧力は典型的には少なくとも約2psig(115kPa)である。ステップCの1つの態様において、圧力は約2から約20psigの範囲である。
【0118】
水素の消費量は重要な方法パラメーターではないが、典型的には少なくとも化学量論量の水素ガスを使用する。
【0119】
水素化分解触媒は、担持または非担持8族金属、或いは8族金属の担持または非担持塩または複合体からなる。適当な触媒のクラスはPd、Pt、Rh、Ni及びその塩からなる群から選択される担持及び非担持金属触媒から構成される。適当な触媒担体には炭素、シリカ、アルミナ、炭化ケイ素、フッ化アルミニウム及びフッ化カルシウムが含まれる。ステップCの態様において、触媒は担持または非担持Pd、或いは担持または非担持Pd塩または複合体である。この態様の特徴で、触媒はPd黒(すなわち、細かい金属パラジウム粒子)またはPd/C(すなわち、炭素担体上のパラジウム)である。この態様の別の特徴で、触媒はPd/Cである。
【0120】
水素化分解触媒は、該触媒の非存在下での反応条件及び/または反応時間と比較してより穏和な条件及び/またはより短い時間で反応を進行させる量で使用し得る。ステップCにおいて水素化分解触媒は適当には化合物Vの重量に対して少なくとも約0.01重量%の量で使用し得、典型的には化合物Vの重量に対して約0.01から約100重量%の範囲の量で使用する。ステップCの1つの態様において、触媒は約0.2から約5重量%の範囲の量で使用する。ステップCの別の態様において、触媒は約1から約3重量%の範囲の量で使用する。
【0121】
ステップCは、必要に応じて酸(例えば、グリコール酸、メタンスルホン酸、トリフルオロメタンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸、酢酸、TFA、硫酸または塩酸)の存在下で実施し得る。方法のある実施形態において、酸を存在させると副生成物の形成が低減することが観察された。例えば、酸を存在させると、式Vを有するN−フルオロベンジルヒドロキシピリミジノンカルボキサミドの水素化分解において脱フルオロ副生成物が全くまたは殆ど形成されないことが知見された。酸を存在させると、遊離アミンIIを水素化中塩(例えば、グリコール酸塩)として溶解状態を維持する傾向にあり、こうすると固体触媒が濾過により効率的に除去できることも観察された。存在させる場合、酸は典型的には1当量の化合物Vあたり少なくとも約0.9当量(例えば、約1から約10当量、または約1から約5当量)の量で使用する。
【0122】
水素化は固定床反応器、またはガス、溶媒、化合物V、触媒及び(必要に応じて)酸のスラリーを機械的またはガス手段を用いて連続的に攪拌する攪拌型スラリー反応器のような各種タイプの反応器を用いてバッチ式または連続的に実施し得る。比較的小規模のバッチ式水素化のために適した反応容器は反応混合物を攪拌するために攪拌機またはロッカーを備えたオートクレーブである。バッチ式方法において化合物V、触媒、溶媒及び(必要に応じて)酸の反応容器への添加順序は重要でない。反応物質及び試薬を一緒にまたは別々に同時に添加しても、任意の順序で逐次添加してもよい。或いは、一部を同時に添加し、他を同時添加の前またはその後に逐次添加してもよい。例えば、予め溶媒と混合した化合物Vを反応容器に装入した後、触媒を添加してもよい。次いで、必要に応じて1つ以上の不活性ガスと混合した水素ガスを容器に充填した後、所望の変換度に達するまで混合物を反応条件下で攪拌することにより水素化分解を実施し得る。
【0123】
化合物Vは、直ぐ下のステップDに記載されているように式VIの化合物から製造され得る。以下に述べるように、化合物Vを含む有機層をステップD生成物混合物から抽出し、その層をステップCにおいて直接し得る。すなわち、ステップCにおいて使用する前に化合物Vを単離しない。この状況で、化合物VIのすべて乃至実質的にすべてがステップDにおいて化合物Vに変換されると仮定した後、化合物VIに対するステップCにおいて使用しようとする水素、触媒及び(必要に応じて)酸の適切な量を決定するのが好都合である。この状況で、ステップCにおいて使用するための化合物Vに基づく触媒の重量%、水素の量及び酸の当量の範囲は化合物VIに基づく範囲及び量になる。
【0124】
本発明は、上記したステップA、B及びCを含み、更に
(D)式VI:
【0125】
【化14】

の化合物を有機溶媒D中、塩基の存在下及び必要に応じてエステル化触媒の存在下で式VII:
【0126】
【化15】

(式中、YはハロゲンまたはOC(O)Rである。)
のエステル化剤と接触させて、式Vの化合物を得ることを含む式Iの化合物の製造方法をも包含する。
【0127】
ステップDでは化合物VIのピリミジノン環上の5−ヒドロキシ基をエステル化する。上記した実施形態E1からE55がステップA、B、C及びDを含む方法にも当てはまると理解される。また、ステップCの前にステップDを実施する、すなわちこの方法でのステップの順序はステップD、次いでステップC、次いでステップA、その後ステップBであると理解される。
【0128】
本発明の第56実施形態(実施形態E56)は、Yがハロゲンであり;他の変数がすべて本来定義されている通りであり、または先の実施形態のいずれか1つに定義されている通りであるステップA、B、C及びDを含む方法である。
【0129】
本発明の第57実施形態(実施形態E57)は、YがClまたはBrであり;他の変数がすべて本来定義されている通りであり、または先の実施形態のいずれか1つに定義されている通りであるステップA、B、C及びDを含む方法である。
【0130】
本発明の第58実施形態(実施形態E58)は、YがClであり;他の変数がすべて本来定義されている通りであり、または先の実施形態のいずれか1つに定義されている通りであるステップA、B、C及びDを含む方法である。
【0131】
ステップDは有機溶媒D中で実施する。有機溶媒Dは、例えばカルボン酸エステル、脂肪族エーテルまたはジエーテル、環状エーテルまたはジエーテル、芳香族炭化水素、第3級カルボン酸アミド、アルコール、アルコール−水混合物、またはアルコール−水−カルボン酸エステル混合物であり得る。適当な溶媒のクラスはC−Cアルキルカルボン酸のC−Cアルキルエステル、各アルキルが独立してC−Cアルキルであるジアルキルエーテル、同一または異なる2個の−O−C1−4アルキル基で置換されているC−C線状または分岐状アルカン、ビス(C1−4アルコキシ−C1−4アルキル)エーテル、C−C環状エーテル及びジエーテル、トルエン、o−キシレン、m−キシレン、p−キシレン、キシレン混合物、N,N−ジ−C1−4アルキルC1−4アルキルカルボキサミド、第3級C4−6ラクタム、C1−4アルキルアルコール、C1−4アルキルアルコールと水の混合物、及びC1−4アルキルアルコールとC1−4アルキルC1−4アルキルカルボキシレートと水の混合物から構成される。1つの態様において、ステップDにおいて使用する溶媒は酢酸エチル、酢酸イソプロピル、ジエチルエーテル、MTBE、DME、ジメトキシメタン、ビス(2−メトキシエチル)エーテル、THF、ジオキソラン、ジオキサン、トルエン、DMF、DMAC、NMP、メタノール、エタノール、イソプロパノール、n−プロパノール、イソブタノール、メタノール−水、エタノール−水、及びメタノール−水−酢酸エチルである。この態様の特徴で、ステップDにおいて使用する溶媒はEtOAcまたはIPAcである。
【0132】
別の態様において、ステップDにおいて使用する溶媒は水とC1−3アルキルアルコールと必要に応じて酢酸C1−3アルキルの混合物である。この態様の特徴で、溶媒は水−メタノール混合物、水−エタノール混合物、水−メタノール−酢酸エチル混合物、または水−メタノール−酢酸イソプロピル混合物である。水とアルコールと必要に応じてエステルの混合物を使用する場合、水は例えば溶媒の全容量に基づいて約5から約95容量%を占め得る。
【0133】
ステップDにおいて使用する塩基は、例えば金属水酸化物または第3級アミンであり得る。ステップDにおいて使用するのに適した塩基のクラスはアルカリ金属水酸化物、第3級アルキルアミン、並びに第3級環状アミン及びジアミンから構成される。塩基は、例えばLiOH、NaOH、KOH、トリ−C1−4アルキルアミン、或いは環炭素の1個がOまたはSで置換されていてもよく、環窒素の各々がC1−4アルキルで置換されているC4−6アザシクロアルカンまたはジアザシクロアルカンであり得る。1つの態様において、ステップDにおいて使用する塩基はNaOH、KOH、トリエチルアミン、ジイソプロピルエチルアミン、N−メチルピロリジン、N−メチルピペリジン、N,N’−ジメチルピペラジンまたはN−メチルモルホリンである。別の態様において、ステップDにおいて使用する塩基はトリ−C1−4アルキルアミンである。この態様の特徴で、塩基はTEAである。
【0134】
ステップDにおいて化合物VI、エステル化剤VII及び塩基は化合物Vの少なくとも一部が形成される量で使用し得る。通常、ステップDにおいて化合物VIの最適変換及び化合物Vの最適形成が所望され、よって典型的にはこの目的に適した反応物質及び試薬の相対比を使用する。ステップDにおいてエステル化剤VIIは適当には1当量の化合物VIあたり少なくとも約0.9当量(例えば、少なくとも約1当量)の量で使用し得、典型的には1当量の化合物VIあたり約1から約10当量の範囲の量で使用する。1つの態様において、ステップDにおいてエステル化剤VIIは1当量の化合物VIあたり約1から約1.5当量の範囲の量で使用する。また、ステップDにおいて塩基は適当には1当量の化合物VIあたり少なくとも約0.9当量(例えば、少なくとも約1当量)の量で使用し得、典型的には1当量の化合物VIあたり約1から約10当量の範囲の量で使用する。1つの態様において、ステップDにおいて塩基は1当量の化合物VIあたり約1から約1.5当量の範囲の量で使用する。
【0135】
ステップDにおいて必要に応じてエステル化触媒を使用する。エステル化触媒は化合物VIのエステル化を助け、化合物Vを形成する触媒であり得る。適当なエステル化触媒にはジアザビシクロアルケン及びジアルキルアミノピリジンが含まれる。1つの態様において、エステル化触媒はDMAP、DBNまたはDBUである。この態様の特徴で、エステル化触媒はDMAPである。
【0136】
ステップDにおいてエステル化触媒は、該触媒の非存在下での反応条件及び/または反応時間と比較してより穏和な条件及び/またはより短い時間で反応が進行し得る量で使用し得る。ステップDにおいてエステル化触媒は適当には1当量の化合物VIあたり約0から1当量の範囲の量で使用し、典型的には1当量の化合物VIあたり約0.000001から約0.1当量の範囲の量で使用する。1つの態様において、ステップDにおいて触媒は1当量の化合物VIあたり約0.000001から約0.01当量の範囲の量で使用する。この態様の特徴で、ステップDにおいてエステル化触媒は1当量の化合物VIあたり約0.001から約0.01当量の範囲の量で使用する。
【0137】
ステップDは、化合物Vを形成する反応(エステル化)を検出可能に進行させ得る温度で実施し得る。この反応は適当には約−20から約100℃の範囲の温度で実施し得、典型的には約0から約30℃の範囲の温度で実施する。
【0138】
ステップDにおける反応物質及び試薬の反応容器への添加順序は重要でない。反応物質及び試薬を一緒にまたは別々に同時に添加しても、または任意の順序で逐次添加してもよい。或いは、一部を同時に添加し、他を同時添加の前またはその後に逐次添加してもよい。ステップDは例えば次のように実施し得る。化合物VI及び溶媒を反応容器に装入した後、塩基を添加し、次いで必要に応じてエステル化触媒を添加し、生じた混合物を適当な反応温度とする。次いで、混合物を反応温度で維持しながらエステル化剤を反応容器に添加する。次いで、生じたスラリーを所望の変換度(典型的には、100%)に達するまで反応温度でエージングする。必要に応じて、反応物質及び試薬を反応容器に添加している間、必要に応じてその後エージングしている間にもステップD反応混合物をエージング(例えば、攪拌)する。次いで、ステップDで形成された化合物VはステップCにおいて使用するために回収し得る。例えば、生成物混合物を水を添加することにより溶媒抽出にかけ、生じた化合物Vを含む有機層を直接ステップCにおいて使用してもよい。
【0139】
本発明は、上記したステップA、B、C及びDを含み、更に
(E)式VIII:
【0140】
【化16】

の化合物を溶媒E中、マグネシウム塩基の存在下及び必要に応じて水の存在下でアルキル化剤と接触させて、式VIの化合物を得ることを含む式Iの化合物の製造方法をも包含し、前記アルキル化剤は
(1)Rがメチルならば、式(CHS(O)Iの化合物、
(2)Rがメチルならば、式(CHS(O)Z(ここで、ZはClまたはBrである。)の化合物、
(3)式R−Iの化合物、
(4)式(RSOの化合物、または
(5)式R−Q(ここで、Qはアルキルスルホネートまたはアリールスルホネートである。)の化合物
であり、アルキル化剤が(CHS(O)Z、(RSOまたはR−Qのときにはこのアルキル化剤をヨウ化物源と一緒に使用する。
【0141】
ステップEでは化合物VIIIのピリミジノン環の1位の窒素をアルキル化する。上記した実施形態E1からE58がステップA、B、C、D及びEを含む方法にも当てはまると理解される。また、ステップDの前にステップEを実施する、すなわちこの方法でのステップの順序はステップE、次いでステップD、次いでステップC、次いでステップA、その後ステップBであると理解される。
【0142】
本発明の第59実施形態(実施形態E59)は、ステップEにおいて使用するアルキル化剤がRがメチルならば(CH)S(O)I、Rがメチルならば(CHS(O)Z、(C1−4アルキル)−I、(AryA−CH)−I、(C1−4アルキル)SO、AryA−CHSO、C1−4アルキルトリフレート、C1−4アルキルメシレートまたはC1−4アルキルトシレートであり;アルキル化剤が(CHS(O)Z、(C1−4アルキル)SO、AryA−CHSO、C1−4アルキルトリフレート、C1−4アルキルメシレートまたはC1−4アルキルトシレートのときにはこのアルキル化剤をヨウ化物源と一緒に使用し;他の変数がすべて本来定義されている通りであり、または先の実施形態のいずれか1つに定義されている通りであるステップA、B、C、D及びEを含む方法である。
【0143】
本発明の第60実施形態(実施形態E60)は、Rがメチルまたはベンジルであり;ステップEにおいて使用するアルキル化剤が(CHS(O)I、(CHS(O)Z、(CH)−I、(Ph−CH)−I、(CHSO、Ph−CHSO、メチルトリフレート、メチルメシレートまたはメチルトシレートであり;アルキル化剤が(CHS(O)Z、(CHSO、Ph−CHSO、メチルトリフレート、メチルメシレートまたはメチルトシレートのときにはこのアルキル化剤をヨウ化物源と一緒に使用し;他の変数がすべて本来定義されている通りであり、または先の実施形態のいずれか1つに定義されている通りであるステップA、B、C、D及びEを含む方法である。
【0144】
本発明の第61実施形態(実施形態E61)は、Rがメチルであり;ステップEにおいて使用するアルキル化剤が(CHS(O)Iであり;他の変数がすべて本来定義されている通りであり、または先の実施形態のいずれか1つに定義されている通りであるステップA、B、C、D及びEを含む方法である。
【0145】
ステップEは有機溶媒E中で実施する。有機溶媒Eは適当には極性非プロトン性溶媒であり得る。極性非プロトン性溶媒は、例えばジアルキルエーテル、ジアルコキシアルカン、ビス(アルコキシアルキル)エーテル、環状エーテルまたはジエーテル、第3級アルキルアミン、第3級環状アミンまたはジアミン、脂肪族ニトリル、芳香族ニトリル、第3級カルボン酸アミド、ジアルキルスルホキシド、環状スルホン、N,N’−ジアルキル環状ウレアまたはヘキサアルキルホスホラミドであり得る。適当な溶媒のクラスは、各アルキルが独立してC−Cアルキルであるジアルキルエーテル、同一または異なる2個の−O−C−Cアルキル基で置換されているC−C線状及び分岐状アルカン、ビス(C1−4アルコキシ−C1−4アルキル)エーテル、C−C環状エーテル及びジエーテル、C−C脂肪族ニトリル、C−C芳香族ニトリル、アルキル基が同一または異なるトリ−C1−4アルキルアミン、環炭素の1個がOまたはSで置換されていてもよく、環窒素の各々がC1−4アルキルで置換されているC4−6アザシクロアルカン及びジアザシクロアルカン、N,N−ジ−C1−4アルキルC1−4アルキルカルボキサミド、第3級C4−6ラクタム、C4−6環状スルホン、N,N’−ジ−C1−4アルキル−N,N’−(ジ−、トリ−またはテトラ−メチレン)ウレア及びヘキサ(C1−4アルキル)ホスホラミドから構成される。
【0146】
1つの態様において、ステップEにおいて使用する溶媒はジエチルエーテル、MTBE、DME、DMM、ビス(2−メトキシエチル)エーテル、THF、ジオキソラン、ジオキサン、アセトニトリル、プロピオニトリル、ベンゾニトリル、o−トルニトリル、p−トルニトリル、トリエチルアミン、ジイソプロピルエチルアミン、N−メチルピロリジン、N−メチルピペリジン、N−メチルモルホリン、DMF、DMAC、NMP、スルホラン、DMPUまたはHMPAである。この態様の特徴で、ステップEにおいて使用する溶媒はNMPまたはDMACである。この態様の別の特徴で、ステップEにおいて使用する溶媒はNMPである。
【0147】
ステップEにおいて使用する塩基はマグネシウムの水酸化物、水素化物、炭酸塩、酸化物、アルコキシド、リン酸塩またはケイ化物であり得る。グリニャール試薬(例えば、ハロゲン化C1−4アルキルマグネシウム及びハロゲン化フェニルマグネシウム)も適当である。適当な塩基には、例えばMg(OH)、MgH、MgCO、MgO、Mg(−O−C1−4アルキル)、一塩基性、二塩基性または三塩基性(Mg)(PO、(Mg)Si、塩化C1−4アルキルマグネシウム(例えば、MeMgCl)及び臭化C1−4アルキルマグネシウム(例えば、MeMgBr)が含まれる。1つの態様において、ステップEにおいて使用する塩基はMg(OH)、MgOまたはMg(O−t−Bu)である。この態様の特徴で、ステップEにおいて使用する塩基はMg(OH)である。
【0148】
ステップEにおいて式(CHS(O)Z、(RSOまたはR−Qを有するアルキル化剤と一緒に使用するヨウ化物源は、適当には金属ヨウ化物またはヨウ化第4級アンモニウムであり得る。ヨウ化物源は、例えばヨウ化アルカリ金属及びヨウ化テトラアルキルアンモニウムからなる群から選択され得る。1つの態様において、ヨウ化物源はLiI、NaI、KIまたはヨウ化テトラ−n−ブチルアンモニウムである。この態様の特徴で、ヨウ化物源はNaIまたはKIである。
【0149】
化合物VIII、アルキル化剤及び塩基は化合物VIの少なくとも一部が形成される量で使用し得る。通常、ステップEにおいて化合物VIIIの最適変換及び化合物VIの最適形成が所望され、よって典型的にはこの目的に適した反応物質及び試薬の相対比を使用する。ステップEにおいてアルキル化剤は適当には1当量の化合物VIIIあたり少なくとも約0.9当量(例えば、1当量の化合物VIIIあたり少なくとも約1当量)の量で使用し得、典型的には1当量の化合物VIIIあたり約1から約10当量の範囲の量で使用する。1つの態様において、ステップEにおいてアルキル化剤は1当量の化合物VIIIあたり約1.1から約5当量の範囲の量で使用する。別の態様において、ステップEにおいてはアルキル化剤は1当量の化合物VIIIあたり約1.5から約3当量の範囲の量で使用する。
【0150】
また、ステップEにおいて塩基は適当には1当量の化合物VIIIあたり少なくとも約0.9当量(例えば、少なくとも約1当量)の量で使用し得、典型的には1当量の化合物VIIIあたり約1から約10当量の範囲の量で使用する。1つの態様において、ステップEにおいて塩基は1当量の化合物VIIIあたり約1.1から約5当量の範囲の量で使用する。1つの態様において、ステップEにおいて塩基は1当量の化合物VIIIあたり約1.5から約3当量の範囲の量で使用する。
【0151】
ヨウ素源が必要ならば、適当には1当量の化合物VIIIあたり約0.1から5当量の範囲の量で使用し得、典型的には1当量の化合物VIIIあたり約1から約3当量の量で使用する。
【0152】
ステップEにおいて必要に応じて水を使用する。水を存在させると再現性を向上させ得る。例えば、水を存在させると化合物Aの製造におけるアルキル化ステップの再現性が向上することが観察された。水は適当には1当量の化合物VIIIあたり約0から約2当量の量で使用し得る。1つの態様において、ステップEにおいて水は1当量の化合物VIIIあたり約0.2から約1.5当量の範囲の量で使用する。
【0153】
ステップEは、化合物VIを形成する反応(エステル化)を検出可能に進行させ得る温度で実施し得る。この反応は適当には約50から約130℃の範囲の温度で実施し得、典型的には約60から約120℃の範囲の温度で実施する。1つの態様において、ステップEの反応は約95から約110℃の範囲の温度で実施する。
【0154】
ステップEにおける反応物質及び試薬の反応容器への添加順序は重要でない。反応物質及び試薬を一緒にまたは別々に同時に添加しても、任意の順序で逐次添加してもよい。或いは、一部を同時に添加し、他の同時添加の前またはその後に添加してもよい。ステップEは例えば次のように実施し得る。溶媒を反応温度以下の温度で反応容器に装入した後、温度を反応温度以下に維持しながら化合物VIII、塩基,アルキル化触媒及び(必要に応じて)水を逐次添加する。次いで、生じた混合物を必要に応じて脱気した後、適当な反応温度まで加温し、所望の変換度(典型的には、100%)に達するまで前記温度でエージングする。その後、室温まで冷却する。必要に応じて反応物質及び試薬を反応容器に添加している間、その後エージングしている間にもステップE反応混合物をエージング(例えば、攪拌)する。次いで、ステップEで形成された化合物VIをステップDにおいて使用するために回収し得る。例えば、冷却した反応混合物を酸でクエンチし、水性緩衝液で中和し、エージングすると、スラリーが生ずる。その後、濾過することにより所望の固体生成物を得、洗浄し、乾燥する。
【0155】
式VIIIの化合物は、式HN(R)Rを有するアミンを式IX:
【0156】
【化17】

を有するカルボキシレートとカップリングすることにより製造され得る。式IXを有するカルボキシレートは、その開示内容を全文参照により本明細書に組み入れるUS2006/0122205及びWO03/035077に開示されている方法に従って製造され得る。
【0157】
本発明は、また
(A’)式IIA:
【0158】
【化18】

(式中、RはC1−8アルキルまたはフェニルである。)
の化合物を有機溶媒A’中、塩基の存在下で式III−A:
【0159】
【化19】

(式中、Xはハロゲンである。)
のアシル化剤と接触させて、式IV−A:
【0160】
【化20】

を有するアシル化アミン化合物を得;
(B’)式IV−Aの化合物を有機溶媒B’中で水性塩基と接触させて、化合物A
【0161】
【化21】

を得ることを含む化合物Aの製造方法(以下、方法P’とも称する。)を包含する。
【0162】
方法P’の態様は、以下の要件(a1)から(a9)及び(b1)から(b5)の1つ以上を組み込んだ本来記載されている方法を包含する:
(a1−a)XはClまたはBr;
(a1−b)XはClである;
(a2−a)Rは分岐状C3−6アルキルまたはフェニルである;
(a2−b)Rはt−ブチルである;
(a3−a)ステップA’及びステップB’を同一ポット中で実施し、有機溶媒A’及び有機溶媒B’が同一溶媒である;
(a3−b)ステップA’及びステップB’を同一ポット中で実施し、ステップB’はステップA’から生じた反応混合物に水性塩基(例えば、水性KOH)を添加し、所要によりステップB’を実施するために混合物の温度を調節することを含む;
(a4)ステップA’を約−15から約15℃の範囲の温度で実施する;
(a5−a)有機溶媒A’はアセトニトリル、THF、DMF、DMAC、MTBEまたはNMPである非プロトン性溶媒である;
(a5−b)ステップA’を溶媒としてのアセトニトリル中で実施する;
(a6−a)ステップA’において使用する塩基はNMM、NEM、TEA、DIPEAまたはDABCOである;
(a6−b)ステップA’において使用する塩基はNMMである;
(a7−a)ステップA’において式III−Aのアシル化剤を1当量の化合物II−Aあたり約1から約5当量の範囲の量で使用する;
(a7−b)ステップA’において式III−Aのアシル化剤を1当量の化合物IIAあたり約1から約2当量の範囲の量で使用する;
(a7−c)ステップA’において式III−Aのアシル化剤を1当量の化合物IIAあたり約1から約1.2当量の範囲の量で使用する;
(a8−a)ステップA’において塩基を1当量の化合物II−Aあたり約1から約5当量の範囲の量で使用する;
(a8−b)ステップA’において塩基を1当量の化合物II−Aあたり約1から約2当量の範囲の量で使用する;
(a8−c)ステップA’において塩基を1当量の化合物II−Aあたり約1から約1.2当量の範囲の量で使用する;
(a9−a)ステップA’を必要に応じて活性化剤の存在下で実施する;
(a9−b)ステップA’を必要に応じてEDC、DCC及びBOP−Clから選択される活性化剤の存在下で実施する;
(b1−a)ステップB’において使用する水性塩基はアルカリ金属水酸化物である;
(b1−b)ステップB’において使用する水性塩基はKOHである;
(b2−a)ステップB’において水性塩基を1当量の式IVの化合物あたり約1から約8当量の範囲の量で使用する;
(b2−b)ステップB’において水性塩基を1当量の式IVの化合物あたり約2から約6当量の範囲の量で使用する;
(b3−a)有機溶媒B’はアセトニトリル、DMF、THF、MTBEまたはNMPである;
(b3−b)ステップB’を溶媒としてのアセトニトリル中で実施する;
(b4)ステップA’及びB’において同一溶媒を使用する;
(b5)ステップB’を約−5から約15℃の範囲の温度で実施する。
【0163】
本来記載されている方法P’に要件(a1)から(a9)及び(b1)から(b5)の各々を単独でまたは多様に組み合わせて取り入れることができ、その各取り入れから生ずる方法は方法P’の態様であると理解される。
【0164】
方法P’の第1実施形態(実施形態P’−E1)は、本来記載されているステップA’及びB’を含み、更に
(C’)式V−A:
【0165】
【化22】

(式中、Pは水素化分解により開裂され得るアミン保護基である。)
の化合物を有機溶媒C’中、水素化分解触媒の存在下で水素源と接触させて、式II−Aの化合物を得ることを含む。ステップA’の前にステップC’を実施する、すなわちこの方法でのステップの順序はステップC’、次いでステップA’、その後ステップB’であると理解される。
【0166】
ステップC’の要件は以下を含む:
(c1−a)Pはアリルオキシカルボニル、ベンジルオキシカルボニル、p−メトキシベンジルオキシカルボニル、p−ニトロベンジルオキシカルボニル、p−ブロモベンジルオキシカルボニル、p−クロロベンジルオキシカルボニルまたは2,4−ジクロロベンジルオキシカルボニルである;
(c1−b)Pはベンジルオキシカルボニルである;
(c2−a)有機溶媒C’は酢酸エチル、酢酸イソプロピル、ジエチルエーテル、MTBE、DME、ジメトキシメタン、ビス(2−メトキシエチル)エーテル、THF、ジオキソラン、ジオキサン、トルエン、DMF、DMAC、NMP、メタノール、エタノール、イソプロパノール、n−プロパノール、イソブタノール、メタノール−水、エタノール−水、またはメタノール−酢酸エチル−水である;
(c2−b)有機溶媒C’はメタノールと酢酸エチルと水の混合物である;
(c3)ステップC’における水素源は、必要に応じて不活性キャリアガスと混合した水素ガスである;
(c4−a)ステップC’における水素化分解触媒は担持または非担持PdまたはPd塩である;
(c4−b)ステップC’において水素化分解触媒はPd/Cである;
(c5)ステップC’において水素化分解触媒を約0.2から約5重量%の範囲の量で使用する;
(c6−a)ステップC’をグリコール酸、メタンスルホン酸、トリフルオロメタン酸、p−トルエンスルホン酸、酢酸、TFA、硫酸または塩酸である酸の存在下で実施する;
(c6−b)ステップC’をグリコール酸の存在下で実施する;
(c7−a)(c6−a)または(c6−b)に記載した酸を1当量の化合物V−Aあたり約1から約10当量の量で使用する;
(c7−b)(c6−a)または(c6−b)に記載した酸を1当量の化合物V−Aあたり約1から約5当量の量で使用する;
(c8)ステップC’を約0から約40℃の範囲の温度で実施する。
【0167】
実施形態P’−E1の態様は、上記した要件(a1)から(a9)、(b1)から(b5)及び(c1)から(c8)の1つ以上を組み込んだ実施形態P’−E1に記載されている方法を包含する。本来記載されている実施形態P’−E1の方法にこれらの要件の各々を単独でまたは多様に組み合わせて取り入れることができ、その各取り入れから生ずる方法は実施形態P’−E1の態様であると理解される。
【0168】
方法P’の第2実施形態(実施形態P’−E2)は、本来記載されているステップA’、B’及びC’を含み、更に
(D’)式VI−A:
【0169】
【化23】

有する化合物を有機溶媒D’中、塩基の存在下及び必要に応じてエステル化触媒の存在下で式VII:
【0170】
【化24】

(式中、YはハロゲンまたはOC(O)Rである。)
のエステル化剤と接触させて、式V−Aの化合物を得ることを含む。ステップC’の前にステップD’を実施する、すなわちこの方法でのステップの順序はステップD’、次いでステップC’、次いでステップA’、その後ステップB’であると理解される。
【0171】
ステップD’の要件は以下を含む:
(d1−a)YはClまたはBrである;
(d1−b)YはClである;
(d2−a)有機溶媒D’は酢酸エチル、酢酸イソプロピル、ジエチルエーテル、MTBE、DME、ジメトキシメタン、ビス(2−メトキシエチル)エーテル、THF、ジオキソラン、ジオキサン、トルエン、DMF、DMAC、NMP、メタノール、エタノール、イソプロパノール、n−プロパノール、イソブタノール、メタノール−水、エタノール−水、またはメタノール−水−酢酸エチルである;
(d2−b)有機溶媒D’はEtOAcまたはIPAcである;
(d3−a)ステップD’において使用する塩基はトリ−C1−4アルキルアミンである;
(d3−b)ステップD’において使用する塩基はTEAである;
(d4−a)ステップD’において必要に応じて使用するエステル化触媒はDMAP、DBNまたはDBUである;
(d4−b)ステップD’において必要に応じて使用するエステル化触媒はDMAPである;
(d5)ステップD’においてエステル化剤VIIを1当量の化合物VI−Aあたり約1から約10当量の範囲の量で使用する;
(d6)ステップD’において塩基を1当量の化合物VI−Aあたり約1から約10当量の範囲の量で使用する;
(d7)使用する場合、ステップD’においてエステル化触媒を1当量の化合物VI−Aあたり約0.000001から約0.01当量の範囲の量で使用する;
(d8)ステップD’を約0から約30℃の範囲の温度で実施する;及び
(d9)化合物VI−AをステップD’反応混合物から有機溶媒D’中のスラリー、懸濁液または溶液として回収し(例えば、反応混合物に水を添加した後、生じた水性層を分離する。)、ステップCにおいて直接使用する。
【0172】
実施形態P’−E2の態様は、上記した要件(a1)から(a9)、(b1)から(b5)、(c1)から(c8)及び(d1)から(d9)の1つ以上を組み込んだ本来記載されている実施形態P’−E2に記載されている方法を含む。本来記載されている実施形態P’−E2の方法にこれらの要件の各々を単独でまたは多様に組み合わせて取り入れることができ、その各取り入れから生ずる方法は実施形態P’−E2の態様であると理解される。
【0173】
方法P’の第3実施形態(実施形態P’−E3)は、本来記載されているステップA’、B’、C’及びD’を含み、更に
(E’)式VIII−A:
【0174】
【化25】

の化合物を有機溶媒E’中、マグネシウム塩基の存在下及び必要に応じて水の存在下でメチル化剤と接触させて、式VI−Aの化合物を得ることを含み、前記メチル化剤は(1)(CHS(O)I、(2)(CHS(O)Z(ここで、ZはClまたはBrである。)、(3)CHI、(4)(CHSO、または(5)式CH−Q(ここで、Qはアルキルスルホネートまたはアリールスルホネートである。)の化合物であり、ただしメチル化剤が(CHS(O)Z、(CHSOまたはCH−Qであるときにはメチル化剤をヨウ化物源と一緒に使用する。ステップD’の前にステップE’を実施する、すなわちこの方法でのステップの順序はステップE’の後に、ステップD’、次いでステップC’、次いでステップA’、次いでステップB’であると理解される。
【0175】
ステップE’は以下の要件を含む:
(e1)ステップE’において使用するメチル化剤は(CHS(O)Iである;
(e2−a)ステップE’において使用する塩基はMg(OH)、MgOまたはMg(O−t−Bu)である;
(e2−b)ステップE’において使用する塩基はMg(OH)である;
(e3−a)有機溶媒E’はジエチルエーテル、MTBE、DME、DMM、ビス(2−メトキシエチル)エーテル、THF、ジオキソラン、ジオキサン、アセトニトリル、プロピオニトリル、ベンゾニトリル、o−トルニトリル、p−トルニトリル、トリエチルアミン、ジイソプロピルエチルアミン、N−メチルピロリジン、N−メチルピペリジン、N−メチルモルホリン、DMF、DMAC、NMP、スルホラン、DMPUまたはHMPAである極性非プロトン性溶媒である;
(e3−b)有機溶媒E’はNMPまたはDMACである;
(e3−c)有機溶媒E’はNMPである;
(e4)ステップE’において使用するヨウ化物源はLiI、NaI、KI、またはヨウ化テトラ−n−ブチルアンモニウムである;
(e5)ステップE’においてメチル化剤及び塩基を各々独立して1当量の化合物VIII−Aあたり約1から約10当量の範囲の量で使用する;
(e6)ステップE’においてヨウ化物源を1当量の化合物VIII−Aあたり約0.1から5当量の範囲の量で使用する;
(e7)使用する場合、ステップE’において水を1当量の化合物VIII−Aあたり約0.2から約1.5当量の範囲の量で使用する;及び
(e8)ステップE’を約60から約120℃の範囲の温度で実施する。
【0176】
実施形態P’−E3の態様は、上記した要件(a1)から(a9)、(b1)から(b5)、(c1)から(c8)、(d1)から(d9)及び(e1)から(e8)の1つ以上を組み込んだ本来記載されている実施形態P’−E3に記載されている方法を包含する。本来記載されている実施形態P’−E3の方法にこれらの要件の各々を単独でまたは多様に組み合わせて取り入れることができ、その各取り入れから生ずる方法は実施形態P’−E3の態様であると理解される。
【0177】
US2006/0122205及びWO03/035077に開示されている方法と比較して、化合物Aを製造するための方法P’の利点は以下の通りである:
(i)方法P’では、比較的高価なオキサジアゾリルカップリング剤が少なくてすむ。より具体的には、方法P’では、100%変換のために1当量のアミンあたり1当量のカップリング剤しか必要としないのに対して、US’205号の方法では2当量を必要とする。
(ii)ステップA’における遊離アミン及びエステル化ヒドロキシ基を含有する基質II−Aは結晶質であり、安定であり、水和されていないのに対して、US’205号及びWO’077号における対応のアミン−ジヒドロキシ基質は乾燥するのが困難な二水和物であり得る。
(iii)ステップE’はN−4−フルオロベンジルアミドVIII−Aのメチル化を含むのに対して、US’205方法は対応するメチルカルボキシレート(すなわち、US’205号の実施例1、ステップ5の化合物e)のメチル化を含む。アミドVIII−Aのメチル化が同様の反応条件下で対応のカルボキシレート基質を用いて達成される収率(約80%)よりも優位に高い収率(約99%)でN−メチル化生成物を与えることが知見された。
【0178】
特定の理論に束縛されるつもりはないが、US’205号に従ってメチルカルボキシレートをメチル化すると、CBZ基が喪失するためにメチルカルバメートが形成され、エステルが脱メチル化され、O−メチル化副生成物が形成され、これらのすべてにより所望N−メチル化生成物の収率が低下する。対照的に、ステップE’のN−4−フルオロベンジルアミド基質はメチル化条件下で比較的安定であり、基質の喪失が殆どまたは全くない。加えて、ステップE’でN−4−フルオロベンジルアミド基質のO−メチル化が生ずる程度に出発基質に開裂され、その後所望N−メチル化生成物に再メチル化される。その結果、ステップE’は所望N−メチル化生成物への本質的に完全な変換を与え得る。
【0179】
本発明は、また
(A”)式ii−a
【0180】
【化26】

の化合物をアセトニトリル中、1当量の化合物ii−aあたり少なくとも約1当量(例えば、約1から約5当量、約1から約2当量、または約1から約1.2当量)のNMMの存在下約−15から約15℃の範囲の温度で1当量の化合物ii−aあたり少なくとも約1当量(例えば、約1から約5当量、約1から約2当量、または約1から約1.2当量)の式iii−a
【0181】
【化27】

のアシル化剤と接触させて、式iv−a
【0182】
【化28】

を有するアシル化アミンを得、
(B”)アシル化アミンiv−aをアセトニトリル中、約−5から約15℃の範囲の温度で1当量の化合物ii−aあたり少なくとも約1当量(例えば、約1から約8当量、または約2から約6当量)の水性KOHと接触させて、化合物Aを得る
ことを含む化合物Aの製造方法(以下、方法P”とも称する。)をも包含する。
【0183】
方法P”の第1実施形態(実施形態P”−E1)は、ステップA”及びB”を同一ポット中で実施する本来記載されているステップA”及びB”を含む。この実施形態の態様において、ステップB”はステップA”から生じた反応混合物に水性KOHを添加し、所要により混合物の温度を約−5から約15℃の範囲に調節することを含む。
【0184】
方法P”の第2実施形態(実施形態P”−E2)は、本来記載されているかまたは実施形態P”−E1に記載されているステップA”及びB”を含み、更に
(C”)式v−a
【0185】
【化29】

の化合物を必要に応じて水または水及び酢酸エチルと混合したメタノール中、触媒としての担持または非担持PdまたはPd塩(例えば、Pd/C)の存在下及び1当量の化合物v−aあたり少なくとも約1当量(例えば、約1から約10当量、または約1から約5当量)のグリコール酸の存在下で水素源と接触させて、式ii−aの化合物を得ることを含む。ステップA”の前にステップC”を実施する、すなわちこの方法でのステップの順序はステップC”、次いでステップA”、その後ステップB”であると理解される。
【0186】
方法P”の第3実施形態(実施形態P”−E3)は、実施形態P”−E2に本来記載されているステップA”、B”及びC”を含み、更に
(D”)式vi−a
【0187】
【化30】

の化合物を酢酸エチル中、約0から約30℃の範囲の温度で1当量の化合物vi−aあたり少なくとも約1当量(例えば、約1から約10当量、または約1から約1.5当量)のトリエチルアミンの存在下及びDMAP、DBN及びDBU(例えば、DMAP)から選択されるエステル化触媒の存在下で1当量の化合物vi−aあたり少なくとも約1当量(例えば、約1から約10当量、または約1から約1.5当量)のピバロイルクロリドと接触させて、式v−aの化合物を得ることを含む。ステップC”の前にステップD”を実施する、すなわちこの方法でのステップの順序はステップD”、次いでステップC”、次いでステップA”、その後ステップB”であると理解される。
【0188】
この実施形態の態様において、化合物v−aをステップD”反応混合物から酢酸エチル中のスラリー、懸濁液または溶液として回収し、これを直接ステップC”において使用する。
【0189】
方法P”の第4実施形態(実施形態P”−E4)は、実施形態P”−E3に本来記載されているステップA”、B”、C”及びD”を含み、更に
(E”)式viii−a
【0190】
【化31】

の化合物をNMP中約95から約110℃の範囲の温度で1当量の化合物viii−aあたり少なくとも約1当量(例えば、約1から約10当量、または約1.1から約5当量)のMg(OH)の存在下及び1当量の化合物viii−aあたり少なくとも約0.1当量(例えば、約0.2から約1.5当量)の水の存在下で1当量の化合物viii−aあたり少なくとも約1当量(例えば、約1から約10当量、または約1.1から約5当量)の(CHS(O)Iと接触させて、式vi−aの化合物を得ることを含む。ステップD”の前にステップE”を実施する、すなわちこの方法でのステップの順序はステップE、次いでステップD”、次いでステップC”、次いでステップA”、その後ステップB”であると理解される。
【0191】
US2006/0122205に開示されている方法と比べた化合物Aを製造するための方法P”の利点は以下を含む:
(i)方法P”では比較的高価なオキサジアゾリルカップリング剤が少なくてすむ。より具体的には、方法P”では100%変換のために1当量のアミンあたり1当量のカップリング剤しか必要としないのに対して、US’205号方法は2当量を必要とする(例えば、本明細書中の実施例1のステップ5では1.15当量のカップリング剤しか使用していないのに対して、US’205号のパラグラフ[0309]の実施例1、ステップ8では2.2当量を使用している。);
(ii)ステップA”において使用するアミンピバレートii−aは結晶質で安定であり、水和されていないのに対して、対応するアミンジヒドロキシ基質(US’205号の実施例1のステップ7中の化合物h)は乾燥するのが困難な二水和物である;
(iii)ステップA”及びB”はUS’205号の対応するステップのもより簡単で、より高い収率を与える。例えば、本明細書中の実施例1のステップ5(=ステップA”及びB”)の全収率は97%であるのに対して、US’205号のパラグラフ[0311]の実施例1、ステップ8における対応するカップリングでは91%である。更に、US’205号方法は化合物Aを単離するために(例えば、蒸留により)除去しなければならないTHFを使用しているのに対して、ステップA”は除去する必要のないアセトニトリルを使用している;
(iv)保護アミンピバレートv−aは、Cbz基を除去するために対応する保護アミンジヒドロキシ基質(US’205号の実施例1のステップ7における化合物g)よりもステップC”においてより少ないPd触媒しか必要としない;
(v)ステップC”におけるグリコール酸の使用がUS’205号のパラグラフ[0303]の実施例1、ステップ7において使用されているメタンスルホン酸と比較して脱フルオロ副生成物の形成を低減させるのにより有効であり、アミンピバレートii−aを溶解状態に保つことによりPd触媒を濾過することにより除去しやすいことが知見されている;
(vi)ステップE”はN−4−フルオロベンジルアミドviii−aのメチル化を含むのに対して、US’205号方法は対応するメチルカルボキシレートのメチル化を含む。ステップE”は、US’205号の実施例1の対応するステップ5(70%)に比してより高い収率(例えば、本明細書の実施例1のステップ2では収率89%)を与える。特定の理論に束縛されるつもりはないが、ステップE”における収率の有意な向上は方法P’の作用効果を記載しているパラグラフの項目iiiで上記した理由のためと考えられる。
(vii)(CHS(O)I及びMg(OH)をNMP溶媒中で使用するステップE”のメチル化はDMSO中でMeI及びMg(OCHを使用するUS’205号の対応するステップに比して改善されている。(CHS(O)Iは非常に有毒で比較的に揮発性のMeIよりも使用するのに安全である。Mg(OH)はより反応性のMg(OCHよりもコスト的に安く、取り扱い易い。溶媒としてのNMPの使用はより再現性の高い完全な反応を与えることが知見されている。
【0192】
本発明は、また
(i)式II:
【0193】
【化32】

の化合物、
(ii)式IV:
【0194】
【化33】

の化合物、
(iii)式V:
【0195】
【化34】

の化合物
(上記式中、L、R、R、R、R、R及びRは発明の概要中に本来定義されている通りであり、Pは水素化分解により開裂され得るアミン保護基である。)
からなる群から選択される化合物及びその医薬的に許容され得る塩を包含する。本発明の態様は、L、R、R、R、R及びRの先の実施形態の1つ以上及び本明細書中に含まれている変数を定義している実施形態を含む化合物IIを包含する。本発明の他の態様は、L、R、R、R、R及びRの先の実施形態の1つ以上及び本明細書中に含まれている変数を定義している実施形態を含む化合物IVを包含する。本発明の更に他の態様は、L、R、R、R、R、R及びPの先の実施形態の1つ以上を含む化合物Vを包含する。先の実施形態を個々に、または化合物II、IV及びVの1つと組み合わせて含むことが本発明の態様であると理解される。Rが分岐状C3−6アルキルである態様が特に興味深い。
【0196】
本発明は、また
【0197】
【化35】

からなる群から選択される化合物及びその医薬的に許容され得る塩を包含する。
【0198】
本明細書中に記載されている反応ステップの進行は、反応物質(例えば、ステップAでは化合物II)の消失及び/または所望生成物(例えば、ステップAでは化合物I)の出現をTLC、HPLC、IR、NMRまたはGCのような分析技術を用いてモニターすることにより追跡され得る。
【0199】
本明細書中に記載されている反応または処理ステップにおいて使用される有機溶媒を言及する際の用語「有機溶媒」は、当該ステップにおいて使用される反応条件下で液相中にあり、化学的に不活性であり、反応物質及び試薬を接触させ、反応が進行するように反応物質及び試薬を溶解、懸濁及び/または溶解させる有機物質を指し、前記有機物質は必要に応じて補助溶媒としての水と一緒に使用する。
【0200】
用語「エージング」及びその変形(例えば、「エージングした」)は、所与の反応または処理ステップにおいて反応物質を所望の変換度を達成するのに有効な条件及び時間接触させ続けることを意味する。用語「エージング」及びその変形(例えば、「エージングした」)は、本明細書中で「所望の変換度に達するまで反応温度で維持する」及びその変形(例えば、「…維持した」)と互換可能に使用する。
【0201】
本明細書中で使用されている略号は以下を含む:
Alloc=アリルオキシカルボニル、Bn=ベンジル、BOP−Cl=塩化ベンゾトリアゾル−1−イルオキシトリス−(ジメチルアミノ)ホスホニウム、CBZ、CBzまたはCbz=カルボベンゾキシ(または、ベンジルオキシカルボニル)、DABCO=1,4−ジアザビシクロ[2.2.2]オクタン、DBN=1,5−ジアザビシクロ[4.3.0]ノナ−5−エン、DBU=1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデカ−7−エン、DCC=ジシクロヘキシルカルボジイミド、DIPEA=ジイソプロピルエチルアミン、DMAC=N,N−ジメチルアセトアミド、DMAP=4−ジメチルアミノピリジン、DME=1,2−ジメトキシエタン、DMF=ジメチルホルムアミド、DMM=ジメトキシメタン、DMPU=N,N’−ジメチルプロピレンウレア、DMSO=ジメチルスルホキシド、eq.(s)=モル当量、EDC=1−エチル−3−(3−ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド、EtOAc=酢酸エチル、EtOH=エタノール、HIV=ヒト免疫不全ウイルス、HMPA=ヘキサメチルホスホラミド、HPLC=高速液体クロマトグラフィー、IPAc=酢酸イソプロピル、Me=メチル、MTBE=メチルtert−ブチルエーテル、MeCN=アセトニトリル、MeOH=メタノール、MSA=メタンスルホン酸、NEM=N−エチルモルホリン、NMM=N−メチルモルホリン、NMP=N−メチルピロリジノン、NMR=核磁気共鳴、Ph=フェニル、TEA=トリエチルアミン、TFA=トリフルオロ酢酸、THF=テトラヒドロフラン。
【0202】
下記実施例は、本発明及びその実施を説明するためにのみ役立つ。これらの実施例は本発明の範囲または趣旨を限定すると解釈されるべきでない。
【0203】
実施例中で化合物からをアッセイするために使用したHPLC方法は以下の通りである:カラム=Zorbax SB C−18(25cm×4.6mm)、流速=1.0mL分、検出=210nm、温度=30℃、溶媒A=アセトニトリル,B=0.1M 水性HPO、勾配溶離=20% A:80% Bで5分間、その後10分間で80% A:20% Bとし、10分間保持。
【実施例1】
【0204】
化合物Aの製造
【0205】
【化36】

ステップ1:1−(4−{[(4−フルオロベンジル)アミノ]カルボニル}−5,6−ジヒドロキシ−1,6−ジヒドロピリミジン−2−イル)−1−メチルエチルカルバミン酸ベンジル(化合物)の製造
【0206】
【化37】

丸底フラスコに2−(1−{[(ベンジルオキシ)カルボニル]アミノ}−1−メチルエチル)−5,6−ジヒドロキシピリミジン−4−カルボン酸メチル(化合物;1当量)及びメタノール(から1.6mL/g−化合物)を充填した。スラリーを55℃に加温した後、トリエチルアミン(1.2当量)を一度に添加した。次いで、溶液を65℃に加温し、4−フルオロベンジルアミン(1.2当量)を65から68℃で添加した。次いで、混合物を還流下で7時間エージングした。溶液を55℃まで冷却し、酢酸(2当量)を一度に添加した。水を添加した後、の種晶を添加した(注:種晶なしでも結晶化するが、種晶添加によりより信頼性の高い結晶成長方法が提供される。)。生じたスラリーをエージング中更に水を添加しながら60℃でエージングした。次いで、スラリーを20℃まで冷却し、濾過し、1:1 メタノール:水で洗浄し、窒素流中で乾燥して、化合物(HPLCアッセイによると純度96重量%、カールフィッシャー滴定によると1.75重量%の水)を得た。全収率は98%であった(純度について補正)。
【0207】
化合物
H NMR(600.13MHz,CDCl)δ 12.37(br s,2H),7.95(br t,Jから6Hz,1H),7.35−7.31(m,2H),7.25−7.19(br m,5H),7.08−7.04(m,2H),6.49(s,1H)4.96(s,2H)4.58(d,J=6.0Hz,2H),1.64(s,6H)。
【0208】
13C NMR(150.92MHz,CDCl)δ 168.5,162.6(d,JcF=246.6Hz),160.0,155.3,154.1,147.9,136.5,133.1(d,JCF=3.1Hz),129.7(d,JCF=7.9Hz),128.6,128.1,127.9,127.1,116.0(d,JCF=22.0Hz),66.8,55.5,42.7,26.7。
【0209】
ステップ2:1−(4−{[(4−フルオロベンジル)アミノ]カルボニル}−5−ヒドロキシ−1−メチル−6−オキソ−1,6−ジヒドロピリミジン−2−イル)−1−メチルエチルカルバミン酸ベンジル(化合物)の製造
【0210】
【化38】

頭上攪拌機、熱電対プローブ及び凝縮器を備えたジャケット付ガラス容器にNMP(から1.73mL/g−)を20から25℃で充填した。次いで、温度を20から25℃に維持しながら、反応器に化合物(1当量)、Mg(OH)(2当量)、MeSO(2当量)及び水(0.6当量)を順次添加した。その後、30℃で攪拌混合物の上部スペースに窒素を5分間流すことにより生じた混合物を脱ガスした。脱ガスが完了したら、反応フラスコへの窒素源の接続を断ち、反応物を凝縮器を介して窒素にガス抜きした。次いで、混合物を1.5時間かけて97℃まで加温し、温度が97℃に達したときに発熱が観察され、温度は約109℃に上昇した。混合物を97から102℃で5時間維持した。次いで、混合物を26℃まで冷却し、脱ガスしたメタノール(から1.73mL/g−)を添加した後、5N 水性HCl(から0.86mL/g−)を添加した。次いで、混合物を30分間エージングした後、NaHSOの水性溶液(0.03当量)を添加した。次いで、化合物の種晶を添加した(注:種晶なしでも結晶化するが、種晶添加によりより信頼性の高い結晶成長方法が提供される。)。混合物を36から40℃で1時間エージングした後、脱ガスした5N 水性HCl(0.86mL/g−)を添加した。混合物を10℃まで冷却し、水性NaHSO(0.03当量)を添加し、混合物を徐々に10℃まで冷却した。その後、スラリーを濾過し、生じた濾過ケーキを1:1 メタノール:水混合物で洗浄した。白色顆粒状結晶性生成物を窒素流下で恒量まで乾燥して、化合物(HPLCアッセイによると純度99重量%)を得た。全収率は89%であった(純度について補正)。
【0211】
化合物:(0℃で獲得したスペクトル−主要カルバメート回転異性体を報告)
H NMR(600.13MHz,CDCl)δ 11.95(s,1H),7.83(t,J=6.0Hz,1H),7.36−7.28(重複m,7H),7.07−7.03(m,2H),5.42(s,1H),5.00(s,2H),4.57(d,J=6.0Hz,2H),3.65(s,3H),1.67(s,6H)。
【0212】
13C NMR(150.92MHz,CDCl)δ 168.5,162.4(d,JcF=246.0Hz),159.8,154.5,151.1,146.7,135.9,133.1(d,JcF=3.1Hz),129.6(d,JCF=7.9Hz),128.8,128.7,128.4,124.4,115.9(d,JCF=21.4Hz),67.2,57.3,42.5,33.1,28.1。
【0213】
ステップ3及び4:2−(1−アミノ−1−メチルエチル)−N−(4−フルオロベンジル)−1−メチル−6−オキソ−5−ピバリルオキシ−1,6−ジヒドロピリミジン−4−カルボキサミド(化合物)の製造
【0214】
【化39】

丸底フラスコに室温で化合物(1.0当量)及び酢酸エチル(3mL/g−)を充填した。次いで、トリエチルアミン(1.3当量)を一度に添加した後、DMAP(0.001当量)を添加した。生じたスラリーを10℃まで冷却した後、反応温度を10から15℃に維持しながらピバロイルクロリド(1.2当量)を約30分間かけて添加した。添加が完了したら、スラリーを10から15℃で15分間エージングした。次いで、水(1mL/g−)を添加し、室温まで加温しながら混合物を30分間エージングした。その後、下方水性層を分離した。
【0215】
有機層にメタノール(2mL/g−)及びグリコール酸(1.2当量)を添加し、粗な混合物を5% Pd/C(に対して2.3重量%、50%湿潤)を用いて5psig及び25℃で4時間水素化した。触媒を小さなセライトプラグを用いて濾別し、ケーキをメタノール(1mL/g−)で洗浄した。濾液を合わせ、丸底フラスコに充填した後、トリエチルアミン(1.3当量)を室温で一度に添加した。次いで、水(3mL/g−)を室温で1時間かけて添加し、スラリーを2時間エージングし、濾過した。濾過ケーキを1:1 メタノール:水で洗浄し、N流下で乾燥して、化合物(HPLCアッセイによると純度99重量%)を得た。全収率は94%であった(純度について補正)。
【0216】
化合物
H NMR(600.13MHz,CDCl)δ 7.88(br t,J=6.0Hz,1H),7.29−7.25(m,2H),7.04−7.00(m,2H),4.53(d,J=6.0Hz,2H),4.01(s,3H),1.60(br s,2H),1.59(s,6H),1.43(s,9H)。
【0217】
13C NMR(150.92MHz,CDCl)δ 175.9,162.4(d,JCF=246.0Hz),161.9,160.5,160.4,138.8,136.6,133.9(d,JcF=3.1Hz),129.4(d,JCF=7.9Hz),115.8(d,JCF=21.4Hz),56.5,42.6,39.4,34.4,31.3,27.3。
【0218】
ステップ5:化合物Aの製造
【0219】
【化40】

フラスコにオキサジアゾールK塩(1.15当量)、アセトニトリル(から5.5mL/g−オキサジアゾールK塩)及びDMF(から12.1μL/g−オキサジアゾールK塩)を充填した。混合物を−5℃まで冷却し、オキサリルクロリド(1.10当量)を攪拌し、混合物から発生するCO及びCOをガス抜きしながら30分間かけて添加した。スラリーを0から5℃で1時間エージングし、−10℃まで冷却した後、遊離アミンを添加した。
【0220】
別のフラスコに遊離アミン(1.00当量)及びアセトニトリル(1.5mL/g−)を充填した。溶液を−10℃まで冷却し、N−メチルモルホリン(1.20当量)を添加した。オキサジアゾール酸クロリドスラリーに遊離アミン/NMMスラリーを−10℃で45分間かけて添加した。HPLCにより調べてカップリングが完了したら、20% 水性水酸化カリウム(5.8当量)を添加し、HPLCにより調べてピバレートエステルの加水分解が完了するまで反応混合物を0から5℃でエージングした。次いで、酢酸(10.0当量)を5分間かけて添加し、反応混合物を15℃まで加温した。次いで、水(8mL/g−)をゆっくり添加し、種晶を添加した(注:種晶なしでも結晶化するが、種晶添加によりより信頼性の高い結晶成長方法が提供される。)。スラリーを1時間エージングした後、生成物スラリーを濾過し、2.5:1 水/アセトニトリル及び水で順次洗浄した後、乾燥して、化合物(HPLCアッセイによると純度>99重量%)を得た。全収率は97%であった。
【0221】
HPLCアッセイ条件:カラム=Zorbax SB Phenyl(15cm×4.6mm)、流速=1.0mL/分、温度=15℃、検出=220nmでUV、溶媒:A=アセトニトリル,B=0.1M 水性HPO;25% A:75% Bから、3分間かけて40% A:60% Bに勾配溶離、5分間かけて45% A:55% Bに勾配溶離、9分間かけて90% A:10% Bに勾配溶離、3分間かけて95% A:5% Bに勾配溶離。
【0222】
化合物A
H NMR(399.87MHz,CDCl)δ 12.04(s,1H),8.45(s,1H),7.94(t,J=6.2Hz,1H),7.41−736(m,2H),7.08−7.02(m,2H),4.61(d,J=6.2Hz,2H),3.68(s,3H),2.63(s,3H),1.87(s,6H)。
【0223】
13C NMR(100.55MHz,CDCl)δ 168.3,166.7,162.6(d,JcF=245.7Hz),159.6,159.1,152.0,150.4,147.2,133.4(d,JcF=3.2Hz),129.9(d,JcF=8.0Hz),124.1,115.9(d,JcF=21.7Hz),58.0,42.7,33.5,26.7,11.4。
【0224】
本明細書は例示の目的で提示されている実施例と共に本発明の原則を教示しているが、本発明の実施は特許請求の範囲に入る通常の変化、改変及び/または修飾のすべてを包含する。本明細書中で引用されているすべての刊行物、特許明細書及び特許出願明細書は全文参照により本明細書に組み入れる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
式I
【化1】

の化合物を製造する方法であって、
(A)式II:
【化2】

の化合物を有機溶媒A中および塩基の存在下で式III:
【化3】

のアシル化剤と接触させて、式IV:
【化4】

のアシル化アミン化合物を得るステップ、および
(B)式IVの化合物を有機溶媒B中で水性塩基と接触させて、式I
の化合物を得るステップを含み、
上記式中、
XはハロゲンまたはOC(O)Rであり;
はC1−6アルキルまたはAryAで置換されているC1−6アルキルであり;
はC1−8アルキルまたはAryBであり;
はHまたはC1−6アルキルであり;
はAryCで置換されているC1−6アルキルであり;
AryCはフェニルまたはナフチルであり、前記フェニルまたはナフチルは各々独立して
(1)C1−6アルキル、
(2)C3−6シクロアルキル、
(3)C1−6ハロアルキル、
(4)O−C1−6アルキル、
(5)O−C1−6ハロアルキル、
(6)O−C3−6シクロアルキル、
(7)S−C1−6アルキル、
(8)S−C1−6ハロアルキル、
(9)S−C3−6シクロアルキル、
(10)ハロ、
(11)CN、
(12)NO
(13)N(H)R
(14)N(−C1−6アルキル)
(15)CH(O)、
(16)C(O)−C1−6アルキル、
(17)C(O)O−C1−6アルキル、
(18)C(O)NH
(19)C(O)N(H)−C1−6アルキル、
(20)C(O)N(−C1−6アルキル)
(21)
(a)O−C1−6アルキル、
(b)O−C1−6ハロアルキル、
(c)O−C3−6シクロアルキル、
(d)S−C1−6アルキル、
(e)CN、
(f)NO
(g)N(H)R
(h)N(−C1−6アルキル)
(i)CH(O)、
(j)C(O)−C1−6アルキル、
(k)C(O)O−C1−6アルキル、
(l)C(O)NH
(m)C(O)N(H)−C1−6アルキル、または
(n)C(O)N(−C1−6アルキル)
で置換されているC1−6アルキル、または
(22)任意の置換基の2個以上がAryQでない条件で、AryQ
である1から4個の置換基で置換されていてもよく;
AryAは独立してAryCと同一の定義を有しており;
AryBは独立してAryCと同一の定義を有しており;
LはC1−6アルキレンであり;
はHまたはC1−6アルキルであり;

(1)HetP、
(2)HetPで置換されているC1−6アルキル、
(3)C(O)−C1−6アルキレン−HetP、
(4)C(O)−HetP、
(5)CycQ、
(6)O−CycQ、
(7)C(O)−CycQ、
(8)C(O)O−CycQ、
(9)AryQ、
(10)O−AryQ、
(11)C(O)−AryQ、
(12)C(O)O−AryQ、
(13)HetQ、
(14)O−HetQ、
(15)C(O)−HetQ、または
(16)C(O)O−HetQ
であり;
は分岐状C3−6アルキルであり;
HetPはそこを介して環が化合物の残りに結合している1個のN原子を含有し、N、O及びSから選択される追加ヘテロ原子を含有していてもよい4から7員飽和もしくはモノ不飽和ヘテロ環式環であり、環中の任意のSはS(O)またはS(O)の形態であってよく、ならびに環中の任意のNは環が飽和のときにはC1−6アルキル、C(O)−C1−6アルキルまたはC(O)O−C1−6アルキルで置換されており、および環がモノ不飽和のときには環二重結合の一部であり;
CycQは各々独立してハロゲン、C1−6アルキル、C1−6ハロアルキル、O−C1−6アルキル、O−C1−6ハロアルキル、オキソ、N(C1−6アルキル)、C(O)N(C1−6アルキル)、C(O)−C1−6アルキルまたはC(O)O−C1−6アルキルである1から3個の置換基で置換されていてもよいC3−7シクロアルキルであり;
各AryQは独立して、各々独立してハロゲン、CN、NO、C1−6アルキル、C1−6ハロアルキル、O−C1−6アルキル、O−C1−6ハロアルキル、S−C1−6アルキル、N(C1−6アルキル)、C(O)N(C1−6アルキル)、C(O)−C1−6アルキルまたはC(O)O−C1−6アルキルである1から4個の置換基で置換されていてもよいフェニルであり;
HetQは独立してN、O及びSから選択される1から4個のヘテロ原子を含有している5または6員ヘテロ芳香族環であり、ベンゼン環が縮合していてもよいヘテロアリールであり、前記ヘテロアリールは各々独立してハロゲン、CN、NO、C1−6アルキル、C1−6ハロアルキル、O−C1−6アルキル、O−C1−6ハロアルキル、S−C1−6アルキル、N(−C1−6アルキル)、C(O)N(−C1−6アルキル)、C(O)−C1−6アルキルまたはC(O)O−C1−6アルキルである1から4個の置換基で置換されていてもよい、
方法。
【請求項2】
ステップAを約−40から約100℃の範囲の温度で実施し;
有機溶媒Aは非プロトン性溶媒であり;
ステップAにおいて式IIIのアシル化剤を1当量の化合物IIあたり約1から約5当量の範囲の量で使用し;
ステップAにおいて使用する塩基はアルカリ金属水酸化物または第3級アミンであり;
ステップAにおいて塩基を1当量の化合物IIあたり約1から約5当量の範囲の量で使用し;
ステップBを約−30から約30℃の範囲の温度で実施し;
有機溶媒Bは非プロトン性溶媒であり;
ステップBにおいて使用する水性塩基はアルカリ金属水酸化物、アルカリ土類金属水酸化物または水酸化アンモニウムであり;ならびに
ステップBにおいて水性塩基を1当量の式IVの化合物あたり約1から約10当量の範囲の量で使用する;
請求項1に記載の方法。
【請求項3】
XはClまたはBrであり;
はCHまたはCH−AryAであり;
は分岐状C3−6アルキルまたはAryBであり
はHまたはCHであり;
はCH−AryCであり;
AryAは各々独立してCl、Br、F、CN、C1−4アルキル、O−C1−4アルキル、CFまたはOCFである1から3個の置換基で置換されていてもよいフェニルであり;
AryBは各々独立してCl、Br、F、CN、C1−4アルキル、OC1−4アルキル、CFまたはOCFである1から3個の置換基で置換されていてもよいフェニルであり;
AryCは各々独立してCl、Br、F、CN、C1−4アルキル、C1−4フルオロアルキル、O−C1−4アルキル、O−C1−4フルオロアルキル、N(CH、C(O)CHまたはCOCHである1から3個の置換基で置換されていてもよいフェニルであり;
LはCH、CH(CH)またはC(CHであり;
はHまたはCHであり;

(1)HetP、
(2)AryQ、または
(3)HetQ
であり;
HetPは
【化5】

(星印()は化合物の残りへの結合ポイントを指し、ならびにVはCH、C(O)CHまたはC(O)OCHである。)
からなる群から選択される飽和ヘテロ環式環であり:
AryQは各々独立してCl、Br、F、CH、CF、OCH、OCF、SCH、N(CH、C(O)N(CH、C(O)CHまたはCOCHである1から3個の置換基で置換されていてもよいフェニルであり;
HetQはフラニル、チエニル、ピロリル、ピラゾリル、イミダゾリル、トリアゾリル、テトラゾリル、オキサゾリル、イソオキサゾリル、チアゾリル、イソチアゾリル、オキサジアゾリル、チアジアゾリル、ピリジル、ピリミジニル、ピラジニル及びピリダジニルからなる群から選択されるヘテロ芳香族環であり、前記ヘテロ芳香族環は各々独立してCl、Br、F、CH、CF、OCH、OCF、SCH、N(CH、C(O)N(CH、C(O)CHまたはCOCHである1から3個の置換基で置換されていてもよい;
請求項1に記載の方法。
【請求項4】
ステップAを約−15から約15℃の範囲の温度で実施し;
有機溶媒Aはジクロロメタン、ジエチルエーテル、MTBE、DME、ジメトキシメタン、ビス(2−メトキシエチル)エーテル、THF、ジオキソラン、ジオキサン、アセトニトリル、プロピオニトリル、ベンゾニトリル、o−トルニトリル、p−トルニトリル、DMF、DMACまたはNMPであり;
ステップAにおいて式IIIのアシル化剤を1当量の化合物IIあたり約1から約2当量の範囲の量で使用し;
ステップAにおいて使用する塩基はトリ−C1−4アルキルアミン、或いは環炭素の1個がOまたはSで置換されていてもよく、ならびに環窒素の各々がC1−4アルキルで置換されているC4−6アザシクロアルカンまたはジアザシクロアルカンであり;
ステップAにおいて塩基を1当量の化合物IIあたり約1から約2当量の範囲の量で使用し;
ステップBを約−5から約15℃の範囲の温度で実施し;
有機溶媒Bはジクロロメタン、ジエチルエーテル、MTBE、DME、ジメトキシメタン、ビス(2−メトキシエチル)エーテル、THF、ジオキソラン、ジオキサン、アセトニトリル、プロピオニトリル、ベンゾニトリル、o−トルニトリル、p−トルニトリル、DMF、DMAまたはNMPであり;
ステップBにおいて使用する水性塩基はアルカリ金属水酸化物であり;ならびに
ステップBにおいて水性塩基を1当量の化合物IVあたり約2から約8当量の範囲の量で使用する;
請求項3に記載の方法。
【請求項5】
更に、
(C)式V:
【化6】

(式中、Pは水素化分解により開裂され得るアミン保護基である。)
の化合物を有機溶媒C中、水素化分解触媒の存在下で水素源と接触させて、式IIの化合物を得るステップを含む請求項1に記載の方法。
【請求項6】
水素化分解触媒は担持または非担持8族金属、或いは8族金属の担持または非担持塩または複合体からなり;
ステップCにおいて水素化分解触媒を化合物Vの重量に対して約0.01から約100重量%の範囲の量で使用し;
有機溶媒Cはカルボン酸エステル、脂肪族エーテルまたはジエーテル、環状エーテルまたはジエーテル、芳香族炭化水素、第3級カルボン酸アミド、アルコール、またはアルコールと水と必要に応じてカルボン酸エステルの混合物であり;ならびに
ステップCを約−50から約200℃の範囲の温度で実施する;
請求項5に記載の方法。
【請求項7】

(1)C(=O)−O−(CH0−1−CH=CH、または
(2)C(=O)−O−C1−4アルキレン−アリール(アリールは各々独立してハロ、−NO、−C1−4アルキルまたは−O−C1−4アルキルである1から5個の置換基で置換されていてもよい。)
である請求項5に記載の方法。
【請求項8】
更に、
(D)式VI:
【化7】

の化合物を有機溶媒D中、塩基の存在下及び必要に応じてエステル化触媒の存在下で式VII:
【化8】

(式中、YはハロゲンまたはOC(O)Rである。)
のエステル化剤と接触させて、式Vの化合物を得るステップを含む請求項5に記載の方法。
【請求項9】
ステップDにおいてエステル化剤を1当量の化合物VIあたり約1から約10当量の範囲の量で使用し;
ステップDにおいて使用する塩基はアルカリ金属水酸化物、第3級アルキルアミン、または第3級環状アミンまたはジアミンであり;
ステップDにおいて塩基を1当量の化合物VIあたり約1から約10当量の範囲の量で使用し
ステップDにおいて使用するエステル化触媒はジアザビシクロアルケンまたはジアルキルアミノピリジンであり;
ステップDにおいてエステル化触媒を1当量の化合物VIあたり約0から1当量の範囲の量で使用し;
有機溶媒Dはカルボン酸エステル、脂肪族エーテルまたはジエーテル、環状エーテルまたはジエーテル、芳香族炭化水素、第3級カルボン酸アミド、アルコール、アルコール−水混合物、またはアルコール−水−カルボン酸エステル混合物であり;ならびに
ステップDを約−20から約100℃の範囲の温度で実施する;
請求項8に記載の方法。
【請求項10】
更に、
(E)式VIII:
【化9】

の化合物を有機溶媒E中、マグネシウム塩基の存在下及び必要に応じて水の存在下でアルキル化剤と接触させて、式VIの化合物を得るステップを含み;前記アルキル化剤は
(1)Rがメチルならば、式(CHS(O)Iの化合物、
(2)Rがメチルならば、式(CHS(O)Z(ZはClまたはBrである。)の化合物、
(3)式R−Iの化合物、
(4)式(RSOの化合物、または
(5)式R−Q(式中、Qはアルキルスルホネートまたはアリールスルホネートである。)の化合物であり、ならびに前記アルキル化剤が(CHS(O)Z、(RSOまたはR−Qならばこのアルキル化剤はヨウ化物源と一緒に使用する;
請求項8に記載の方法。
【請求項11】
ステップEにおいて使用するアルキル化剤はRがメチルならば(CH)S(O)I、Rがメチルならば(CHS(O)Z、(C1−4アルキル)−I、(AryA−CH)−I、(C1−4アルキル)SO、AryA−CHSO、C1−4アルキルトリフレート、C1−4アルキルメシレートまたはC1−4アルキルトシレートであり;
ステップEにおいてアルキル化剤を1当量の化合物VIIIあたり約1から約10当量の範囲の量で使用し;
ステップEにおいて式(CHS(O)Z、(RSOまたはR−Qを有するアルキル化剤と一緒に使用するヨウ化物源はヨウ化アルカリ金属またはヨウ化テトラアルキルアンモニウムであり;
ステップEにおいてヨウ化物源を1当量の化合物VIIIあたり約0.1から約5当量の範囲の量で使用し;
ステップEにおいて使用する塩基はMg(OH)、MgH、MgCO、MgO、Mg(−O−C1−4アルキル)、一塩基性、二塩基性または三塩基性(Mg)(PO、(Mg)Si、C1−4アルキルマグネシウムクロリドまたはC1−4アルキルマグネシウムブロミドであり;
ステップEにおいて塩基を1当量の化合物VIIIあたり約1から約10当量の範囲の量で使用し;
ステップEにおいて水を1当量の化合物VIIIあたり約0から約2当量の量で使用し;
有機溶媒Eはジアルキルエーテル、ジアルコキシアルカン、ビス(アルコキシアルキル)エーテル、環状エーテルまたはジエーテル、第3級アルキルアミン、第3級環状アミンまたはジアミン、脂肪族ニトリル、芳香族ニトリル、第3級カルボン酸アミド、ジアルキルスルホキシド、環状スルホン、N,N’−ジアルキル環状ウレアまたはヘキサアルキルホスホラミドである極性非プロトン性溶媒であり;ならびに
ステップEを約50から約130℃の範囲の温度で実施する;
請求項10に記載の方法。
【請求項12】
化合物A
【化10】

を製造する方法であって、
(A’)式IIA:
【化11】

の化合物を有機溶媒A’中、塩基の存在下で式III−A:
【化12】

のアシル化剤と接触させて、式IV−A:
【化13】

を有するアシル化アミン化合物を得るステップ、および
(B’)式IV−Aの化合物を有機溶媒B’中で水性塩基と接触させて、化合物A
を得るステップを含み、式中のXはハロゲンであり、ならびにRはC1−8アルキルまたはフェニルである方法。
【請求項13】
XはClまたはBrであり、ならびにRは分岐状C3−6アルキルまたはフェニルである請求項12に記載の方法。
【請求項14】
はt−ブチルである請求項13に記載の方法。
【請求項15】
更に、
(C’)式V−A:
【化14】

(式中、Pは水素化分解により開裂され得るアミン保護基である。)
の化合物を有機溶媒C’中、水素化分解触媒の存在下で水素源と接触させて、式IIAの化合物を得るステップを含む請求項12に記載の方法。
【請求項16】
はアリルオキシカルボニル、ベンジルオキシカルボニル、p−メトキシベンジルオキシカルボニル、p−ニトロベンジルオキシカルボニル、p−ブロモベンジルオキシカルボニル、p−クロロベンジルオキシカルボニルまたは2,4−ジクロロベンジルオキシカルボニルである請求項15に記載の方法。
【請求項17】
はベンジルオキシカルボニルである請求項16に記載の方法。
【請求項18】
更に、
(D’)式VI−A:
【化15】

の化合物を有機溶媒D’中、塩基の存在下及び必要に応じてエステル化触媒の存在下で式VII:
【化16】

(式中、YはハロゲンまたはOC(O)Rである。)
のエステル化剤と接触させて、式V−Aの化合物を得るステップを含む請求項15に記載の方法。
【請求項19】
更に、
(E’)式VIII−A:
【化17】

の化合物を有機溶媒E’中、マグネシウム塩基の存在下及び必要に応じて水の存在下でメチル化剤と接触させて、式VI−Aの化合物を得ることを含み、前記メチル化剤は(1)(CHS(O)I、(2)(CHS(O)Z(ここで、ZはClまたはBrである。)、(3)CHI、(4)(CHSOとヨウ化物源の組合せ、または(5)式CH−Q(ここで、Qはアルキルスルホネートまたはアリールスルホネートである。)の化合物であり、ならびに前記メチル化剤が(CHS(O)Z、(CHSOまたはCH−Qのときにはこのメチル化剤はヨウ化物源と一緒に使用する請求項18に記載の方法。
【請求項20】
アルキル化剤は(CHS(O)Iであり、塩基はMg(OH)、MgOまたはMg(O−t−Bu)である請求項19に記載の方法。
【請求項21】
XはClであり
はt−ブチルであり;
ステップA’及びステップB’を有機溶媒A’及び有機溶媒B’が同一溶媒である同一ポット中で実施し;
ステップA’を約−15から約15℃の範囲の温度で実施し;
有機溶媒A’はアセトニトリル、THF、DMF、MTBE、DMACまたはNMPであり;
ステップA’において使用する塩基はNMM、NEM、TEA、DIPEAまたはDABCOであり;
式III−Aのアシル化剤を1当量の化合物II−Aあたり約1から約2当量の範囲の量で使用し;
ステップA’において塩基を1当量の化合物II−Aあたり約1から約2当量の範囲の量で使用し;
ステップA’を必要に応じて活性化剤の存在下で実施し;
ステップB’を約−5から約15℃の範囲の温度で実施し;
ステップB’において使用する水性塩基はアルカリ金属水酸化物であり;
ステップB’において水性塩基を1当量の式IVの化合物あたり約1から約8当量の範囲の量で使用する
請求項12に記載の方法。
【請求項22】
式Aの化合物
【化18】

を製造する方法であって、
(A”)式ii−a
【化19】

の化合物をアセトニトリル中、1当量の化合物ii−aあたり少なくとも約1当量のNMMの存在下で約−15から約15℃の範囲の温度で1当量の化合物ii−aあたり少なくとも約1当量の式iii−a
【化20】

のアシル化剤と接触させて、式iv−a
【化21】

のアシル化アミンを得るステップ;および
(B”)アシル化アミンiv−aをアセトニトリル中、約−5から約15℃の範囲の温度で1当量の化合物ii−aあたり少なくとも約1当量の水性KOHと接触させて、化合物Aを得ることを含む方法。
【請求項23】
ステップA”及びステップB”を同一ポット中で実施し、ステップB”はステップA”から生じた反応混合物に水性KOHを添加し、所要により混合物の温度を約−5から約15℃の範囲に調節することを含む請求項22に記載の方法。
【請求項24】
更に、
(C”)式v−a
【化22】

の化合物を水または水及び酢酸エチルと混合したメタノール中、触媒としての担持または非担持PdまたはPd塩の存在下及び1当量の化合物v−aあたり少なくとも約1当量のグリコール酸の存在下で水素源と接触させて、式ii−aの化合物を得るステップを含む請求項22に記載の方法。
【請求項25】
更に、
(D”)式vi−a
【化23】

の化合物を酢酸エチル中、約0から約30℃の範囲の温度で1当量の化合物vi−aあたり少なくとも約1当量のトリエチルアミンの存在下及びDMAP、DBN及びDBUから選択されるエステル化触媒の存在下で1当量の化合物vi−aあたり少なくとも約1当量のピバロイルクロリドと接触させて、式v−aの化合物を得るステップを含む請求項24に記載の方法。
【請求項26】
化合物v−aをステップD”反応混合物から酢酸エチル中のスラリー、懸濁液または溶液として回収し、これをステップC”において直接使用する請求項25に記載の方法。
【請求項27】
更に、
(E”)式viii−a
【化24】

の化合物をNMP中、約95から約110℃の範囲の温度で1当量の化合物viii−aあたり少なくとも約1当量のMg(OH)の存在下及び1当量の化合物viii−aあたり少なくとも約0.1当量の水の存在下で1当量の化合物viii−aあたり少なくとも約1当量の(CHS(O)Iと接触させて、式vi−aの化合物を得るステップを含む請求項25に記載の方法。
【請求項28】
(i)式II:
【化25】

の化合物、
(ii)式IV:
【化26】

の化合物、
(iii)式V:
【化27】

の化合物
(式中、L、R、R、R、R、R及びRは請求項1に定義されている通りであり、Pは水素化分解により開裂され得るアミン保護基である。)
からなる群から選択される化合物及びその医薬的に許容され得る塩。
【請求項29】
が分岐状C3−6アルキルである請求項28に記載の化合物またはその医薬的に許容され得る塩。
【請求項30】
【化28】

からなる群から選択される請求項28に記載の化合物及びその医薬的に許容され得る塩。

【公表番号】特表2011−509292(P2011−509292A)
【公表日】平成23年3月24日(2011.3.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−542242(P2010−542242)
【出願日】平成20年12月22日(2008.12.22)
【国際出願番号】PCT/US2008/087929
【国際公開番号】WO2009/088729
【国際公開日】平成21年7月16日(2009.7.16)
【出願人】(390023526)メルク・シャープ・エンド・ドーム・コーポレイション (924)
【Fターム(参考)】