説明

N−置換ヒドロモルホン及びそれらの使用

本発明は、式IのN−置換ヒドロモルホン又はその医薬的に許容可能な塩に関する。これらの化合物は、μオピオイド受容体作動薬として機能する。本発明はまた、急性及び慢性の疼痛の治療、予防又は改善のための式Iの化合物の使用に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、医化学の分野に存する。詳細には、本発明は、新規N-置換ヒドロモルホンに関する。
【背景技術】
【0002】
疼痛制御の主要な部位は、中枢神経系(CNS)である。オピオイド受容体の三つの主要なクラスである、μ(ミュー)、κ(カッパ)及びδ(デルタ)は、CNS及び末梢神経系全体に分布している(Foss, J. F., The American Journal of Surgery 182 (suupl to November 2001): 19S-26S (2001))。μ、κ及びδオピオイド受容体は、百日咳毒素感受性ヘテロトリマー性Gタンパク質(Gj)に機能的に結合して、アデニリルシクラーゼ活性を阻害する。これらの受容体の活性化により、K電流が活性化し、それによりK流出が増大し、すなわち過分極、その結果として、電圧型Ca2+流入が低下する。K電流による膜電位の過分極及びCa2+流入の抑制により、様々な神経経路における神経伝達物質放出及び疼痛伝達を防止される。しかし、疼痛管理に関与する主要な受容体は、μオピオイド受容体である(Foss, J. F.、同書)。μ−受容体活性化の結果、他にも、胃腸通過の遅延、呼吸低下、縮瞳、及び幸福感(多幸感)がおこる(Foss, J. F.、同書)。
【0003】
オピオイド作動薬としても知られているオピオイドは、アヘン又はモルフィン様特性を示し、上述のオピオイド受容体でニューロン活性を抑制する薬物の一群である。オピオイドは、様々な医学的に適応するために幅広く投与されるが、主として、中程度乃至強力な鎮痛薬として使用される。オピオイド化合物は、便秘、不快気分、呼吸低下、眩暈、悪心及び掻痒を含む、多数の副作用を有することが報告されている(Yuan, C.-S. et al., J. Pharm. Exp. Ther. 300: 118-123 (2002))。CNS介在型副作用には、オピオイド乱用の可能性が挙げられる。オピオイドはまた、麻酔前投薬及び咳止めとしても有効であり、呼吸困難、下痢及び赤痢の治療にも有効である。
【0004】
ナロキソン又はナルメフェン等の受容体拮抗薬の使用を介したオピオイド誘発性の副作用を選択的に拮抗する試みがなされた。しかし、これらの化合物はまた、鎮痛(analgesia)を覆し、オピオイド禁断症状を誘発するため、その成功は限られていた。(Yuan, C.-S. et al., J. Pharm. Exp. Ther. 300: 118-123 (2002))。純粋なオピオイド拮抗薬ナルトレキソンの第四級誘導体であるメチルナルトレキソンは、主として、末梢部位の受容体に媒介された、オピオイド疼痛投薬の望ましくない副作用を阻止するものの、中枢神経媒介鎮痛効果はそのままであることが報告されている(Yuan, C.-S. et al., J. Pharm. Exp. Ther. 300: 118-123 (2002))。メチルナルトレキソンは、ヒト血液脳関門を通過しないことが報告されている(Foss, J. F., The American Journal of Surgery 182 (suupl to November 2001): 19S-26S (2001))。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
当該技術分野において、CNS介在型副作用を伴わずに有効な鎮痛薬を提供することが、未だ必要とされている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
(発明の要約)
本発明は、式Iにより表されるN-アルキル置換ヒドロモルホンが、μオピオイド受容体作動薬として作用すること、及びそれらが、中枢神経系(CNS)に浸透しないという発見に関する。
【0007】
本発明はまた、有効量の、本明細書に記載されているような式Iの化合物を投与することにより、その必要がある哺乳動物において疼痛、特に慢性疼痛を治療、予防又は改善することに関する。
【0008】
本発明において有用な化合物は、今までに報告されていない。従って、本発明の一つの態様は、式Iの新規N-アルキル置換ヒドロモルホンに関する。
【0009】
本発明のもう一つの態様は、μオピオイド受容体作動薬としての式Iの新規化合物に関する。
【0010】
また、本発明の一つの態様は、1又はそれ以上の医薬的に許容可能な担体若しくは希釈剤との混合物中に有効量の式Iの化合物を含有する、疼痛の治療、予防又は改善に有用な医薬組成物を提供することである。
【0011】
本発明の他の実施形態及び利点は、後述する明細書にある程度開示する。一部は当該明細書により明らかとなるか、又は本発明の実施により理解しうる。本発明の実施形態及び利点は、従属クレームで特に指摘されている要素及び組合せにより理解され、達成されるであろう。
【0012】
前述の一般的記載及びそれに続く詳細な説明は共に、単に例示及び説明であり、特許請求の範囲に記載されている本発明を制限ものではないことを理解するべきである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
(発明の詳細な説明)
本発明者らは、式Iのヒドロモルホン誘導体が、有望なμオピオイド受容体作動薬として機能することを発見した。さらに、式Iの化合物は、血液脳関門を通過せず、ゆえに、CNS介在型副作用を有するはずがないことが判明した。従って、式Iの化合物は、末梢におけるμオピオイド受容体の興奮に反応する疾患、特に疼痛の治療に有用である。式Iの化合物は、血液脳関門を通過しないため、乱用の可能性はない。
【0014】
本発明のこの態様において有用な化合物は、下記式I:
【化2】

(式中、Rは、C1〜6アルキルである)
によって表されるヒドロモルホンのN-アルキル置換誘導体又はその医薬的に許容可能な塩である。
【0015】
有用なアルキル基には、直鎖及び分枝鎖C1〜6アルキル基、さらに好ましくはC1〜4アルキル基が挙げられる。典型的なC1〜6アルキル基には、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、sec-ブチル、tert-ブチル、3-ペンチル及びヘキシル基が挙げられる。
【0016】
Rは、好ましくはメチル又はエチル、さらに好ましくはメチルである。
【0017】
式Iの化合物は、末梢μオピオイド受容体の作動薬であるため、急性疼痛及び慢性疼痛、炎症性疼痛並びに外科的疼痛を含む疼痛の治療、予防又は改善に用いうる。急性疼痛には、術中疼痛、術後疼痛、外傷後疼痛、急性疾患関連疼痛、並びに診断手順、整形外科的処置及び心筋梗塞に関連した疼痛が挙げられるが、それらに限定されない。手術中の場での急性疼痛には、既存の疾病、例えば排液管、胸腔チューブ若しくは経鼻胃管に関連する外科手術手順、又は合併症のような外科手術手順、又は疾患関連源と手順関連源の組合せに起因する疼痛が挙げられる。慢性疼痛には、炎症性疼痛、術後疼痛、癌疼痛、転移性癌三叉神経痛、急性ヘルペス性及びヘルペス後神経痛に随伴する変形性関節症疼痛、糖尿病性ニューロパシー、カウザルギー、腕神経叢剥離、後頭神経痛、反射性交感神経性ジストロフィー、線維筋痛症、痛風、幻想肢痛、灼熱痛、並びに神経痛、神経傷害性及び特発性疼痛症候群の他の形態が挙げられるがこれらに限定されない。各々の場合、本発明の方法は、そうした治療が必要な動物に、有効量の本発明のμオピオイド受容体作動薬、又はその医薬的に許容可能な塩を投与することを要する。
【0018】
慢性疼痛又は神経障害性疼痛は、原因不明の異種病状である。慢性疼痛において、疼痛は複数のメカニズムが介在しうる。このタイプの疼痛は、一般に、末梢又は中枢神経組織の損傷によって生ずる。それらの症候群には、脊髄損傷、多発性硬化症、ヘルペス後神経痛、三叉神経痛、幻想痛、カウザルギー、及び反射性交感神経性ジストロフィーに随伴する疼痛並びに下背疼痛が挙げられる。慢性疼痛は、患者が自発痛、継続的な表在性の灼熱痛及び/又は深いうずく痛みとして説明されうる痛覚異常を被る点で、急性疼痛とは異なる。この疼痛は、熱、低温及び機械的痛覚過敏によって、又は熱、低温若しくは機械的異痛によって誘発されうる。
【0019】
神経障害性疼痛は、末梢感覚神経の損傷又は感染によって生じうる。それには、末梢神経損傷、ヘルペスウイルス感染、糖尿病、カウザルギー、神経叢剥離、神経腫、四肢切断、及び脈管炎からの疼痛が挙げられるが、それらに限定されない。神経障害性疼痛はまた、慢性アルコール中毒、ヒト免疫不全ウイルス感染、甲状腺機能低下症、尿毒症、ビタミン欠乏症によって生じる。神経損傷性疼痛には、神経損傷によって生じる疼痛、例えば糖尿病罹患による疼痛、が挙げられるが、それに限定されない。
【0020】
式Iの化合物はまた、咳止めとして用いることもでき、呼吸困難、下痢及び赤痢の治療又は改善に用いることができる。
【0021】
本発明の方法において利用しうる好ましい化合物の例には、N-メチルヒドロモルホン又はその医薬的に許容可能な塩が挙げられるが、それに限定されない。有利には、前記医薬的に許容可能な塩は、ヨウ化物、塩化物又は臭化物等のハロゲン化物である。
【0022】
本明細書に開示されている化合物の一部は、1又はそれ以上の不斉中心を含むことがあり、従って、エナンチオマー、ジアステレオマー及び他の立体異性形を生じうる。本発明は、それらのラセミ形及び分割形同様、全ての取りうる形並びにそれらの混合物を包含することも意味する。個々のエナンチオマーは、当業者に周知の方法に従って分離しうる。
【0023】
本明細書で用いられる、用語「立体異性体」は、空間における原子配向のみが異なる個々の分子の全ての異性体についての一般用語である。それは、エナンチオマー、及び互いに鏡像でない、1より多いキラル中心を有する化合物の異性体(ジアステレオマー)を包含する。
【0024】
用語「キラル中心」は、4つの異なる基が結合している炭素原子を指す。
【0025】
用語「エナンチオマー」又は「エナンチオマーの」は、その鏡像に重ね合わせることができない、従って、光学的に活性な分子を指し、この場合、エナンチオマーは、その偏光面を一方向に回転させ、その鏡像は、その偏光面を反対方向に回転させる。
【0026】
用語「ラセミの」は、等しい割合のエナンチオマーの混合物を指し、それは、光学不活性である。
【0027】
用語「分割」は、分子の2つのエナンチオマー形の一方の分離又は濃縮又は除去を指す。
【0028】
開示する本発明はまた、開示する化合物の全ての医薬的に許容可能な塩を包含することも意味する。医薬的に許容可能な塩の例には、無機及び有機塩が挙げられる。医薬的に許容可能な塩には、塩化物、臭化物及びヨウ化物、リン酸塩、硫酸塩等のハロゲン化物、;クエン酸塩、乳酸塩、酒石酸塩、マレイン酸塩、フマル酸塩、マンデル酸塩、酢酸塩、ジクロロ酢酸塩、トリフルオロ酢酸塩、シュウ酸塩、ギ酸塩等の有機酸塩;メタンスルホン酸塩、ベンゼンスルホン酸塩、p-トルエンスルホン酸塩等のスルホン酸塩が挙げられるが、それらに限定されない。
【0029】
本発明は、μオピオイド受容体の興奮に反応する疾患を、それに罹患している動物において治療する方法にも関する。本発明の方法で使用するためのN-アルキル置換ヒドロモルホンの特に好ましい実施形態は、上記に定義した式Iによって表される。
【0030】
本発明の化合物は、当業者には公知の方法を用いて調製しうる。例えば、本発明の化合物は、Menschutkin反応により調製しうる。従って、ヒドロモルホン又はその塩を、適当な溶媒又は溶媒混合物中で、RX(この場合、Rは、C1〜6アルキル基であり、Xは、イオダイド、クロライド又はブロマイドのようなハロゲナイドである)と反応させ、第四級ヒドロモルホニウム塩を生成させうる。ヒドロモルホンは、当業者に公知の方法により調製することができ、又は、例えばシグマ−アルドリッチ(Sigma-Aldrich)で購入可能である。
【0031】
本発明の化合物は、下記のインビトロ結合アッセイによって、それらのμオピオイド受容体結合活性、及びμオピオイド受容体での機能プロフィールについて試験しうる。
【0032】
μオピオイド受容体結合アッセイ:
放射リガンド線量置換アッセイは、最終量500μLの結合バッファ(10nM MgCl、1mM EDTA、5% DMSO、50mM トリズマ(Trizma)塩基、pH7.4)中、20μg膜タンパク質(CHO-K1細胞で発現した組換えμオピオイド受容体;Perkin Elmer)を含む0.2nM[H]-ジプレノルフィン(Perkin Elmer、ボストン、MA;50.0Ci/mmol)を用いた。非標識ナロキソン(Sigma)は、このアッセイの陽性対照として用いた(濃度範囲 3x10−7から1x10−13M)。全ての反応は、96-深ウエル・ポリプロピレンプレート内で2時間、室温で行った。0.5% ポリエチレンイミン(Sigma)に予備浸漬した96ウエル Unifilter GF/C フィルタプレート(Packard、メリデン、CT)での迅速濾過により結合反応を停止させた。回収は、96ウエル組織ハーベスタ(Brandel)を使用し、続いて、500μL 氷冷結合バッファで3回濾過洗浄することにより行った。その後、フィルタプレートを50℃で2〜3時間乾燥させた。50μL/ウエル シンチレーションカクテル(BetaScint;Perkin Elmer)を添加し、プレートを、Packard Top-Countで1分/ウエルで計数した。
【0033】
オピオイド受容体[35S]GTP-γ-S結合機能アッセイ:
機能的[35S]GTP-γ-S結合アッセイは、氷上で、結合バッファ(100mM NaCl、10mM MgCl、20mM HEPES、pH7.4)に、次の試薬を示された順番で順次混合し、示された最終濃度となるように行った:0.026μg/μL μ膜タンパク質、10μg/μL サポニン、3μM グアノシン5’-二リン酸(GDP)(Sigma Chemical Co.、セントルイス、MO)、及び0.20nM [γ-35S]グアノシン 5’-(γ-チオ)-3リン酸([35S]GTP-γ-S)(DuPont/New England Nuclear Co.)、ウィルミントン、DW)。調製した膜溶液(190μL/ウエル)を、ジメチルスルホキシド(DMSO)中で調製した10μLの化合物の20x濃縮保存溶液又は適切な対照を含有する96-浅ウエル・ポリプロピレンプレートに移した。非標識[D-Ala、N-MePhe、Gly−オール]エンケファリン(DAMGO)(Sigma-Aldrich)は、μ機能アッセイのためのアッセイ陽性対照として用いた。プレートを30分間、室温で、振盪しながらインキュベートした。96ウエル組織ハーベスタ(Brandel)を用いる96ウエル Unifilter GF/B フィルタプレート(Packard)での迅速濾過、それに続く200μL 氷冷結合バッファ(10nM NaHPO、10mM NaHPO、pH7.4)での3回の濾過洗浄により、反応を停止させた。その後、フィルタプレートを50℃で2〜3時間乾燥させた。シンチレーションカクテル(BetaScint、Wallac)を50μL/ウエルで添加し、プレートをPackard Top-Countで1分/ウエルで計数した。
【0034】
データ分析: 結合アッセイ及び機能アッセイのデータを共に、GraphPad PRISM(商標)、バージョン3.0の曲線当てはめ機能を用いて分析した。データは、平均±S.E.M.で示した。結合アッセイの結果は、阻害定数、K値(最大阻害の2分の1となる化合物の濃度)で示す。機能アッセイの結果は、EC50値(最大応答の50%となる化合物の有効濃度)で示す。
【0035】
インビボ薬理学
本発明の化合物は、例えば下記の試験を用いて、i.v.、p.o.又はi.p.注射後の脳へのインビボ分布について試験しうる。Sprague Dawleyラットに試験化合物を10mg/kg、i.p.で投薬した。投薬溶液は、25% 2-ヒドロキシプロピルベータ-シクロデキストリン(HPBCD)にあり、投薬量は、5mL/kgであった。投与から1時間後、可能な最大量の血液を心臓穿刺により抜き取った。遠心分離により全血から血漿を分離し、分析にかけた。出血後、全脳を回収し、低温正常食塩水中で簡単にすすぎ、その後、液体窒素中で急速冷凍した。血漿サンプル及び脳サンプルは共に、分析まで-70℃で保管した。
【0036】
血漿サンプルを分析するために、分析物の量を市販の対照ラット血漿にスパイクダウンすることにより、較正曲線を作成した。200μL分の標準及び試験サンプルを800μLの内標準(オキシコドン)の水溶液とともに添加し、下記の手順に従ってC18固相カートリッジ(96ウエルフォーマット、3M)で抽出した。500μLのメタノール、続いて500μLの水を適用することにより、カートリッジを活性化した。その後、前記サンプルを適用して、カートリッジを500μLの水で洗浄し、その後、2x500μLのメタノール中1%フマル酸、続いて2x500mLのメタノール中2%アンモニアで抽出した。蒸発及び再構成して、サンプルをLC/MS/MSにより分析した。脳サンプルを分析するために、試験サンプル及び対照脳を比率1:10(W:V)で水と均質化した。分析物の量を対照脳均質物にスパイクダウンすることにより、較正曲線を作成した。500μL分の標準及び試験サンプル脳均質物を、500μL分の内標準(オキシコドン)の水溶液とともに添加し、血漿サンプルのために上に記載した手順に従って、C18固相カートリッジ(96ウエルフォーマット、3M)で抽出した。蒸発及び再構成して、サンプルをLC/MS/MSにより分析した。
【0037】
分析物及び内標準を、当業者に周知の手順を用いて、水−アセトニトリル傾斜条件下(分析物ごとに固有の傾斜)、Zorbax Extended C18カラムでクロマトグラフィーを行った。溶出液をMS/MSによって分析した。分析物を、その装置の4つのうちの2番目を用いて、分析物の分子イオンの「娘」イオンとして記録した。MS/MS条件は、最大の選択性及び感受性を達成するように、個々の分析物ごとに最適化した。
【0038】
未知サンプルの濃度を、対応する較正曲線のパラメータを基に計算した。「組織のgあたりのng」で示される脳内濃度は、対応する均質物濃度を10倍(均質化段階中の希釈比)して得た。脳対血液比を、個々の動物ごとに、対応する脳内濃度(ng/g)と血漿中濃度(ng/mL)の比率として計算し、平均値及び標準偏差を三つのグループについて計算した。
【0039】
本化合物は、Hunskaar, S., O. B. Fasmer,及びK. Hole, J. Neurosci. Methods 14 : 69-76 (1985)に記載されているように、ホルマリンモデルにおいて、それらの抗組織損傷受容活性について試験しうる。雄 Swiss Webster NHI マウス(20〜30g; Harlan、サンディエゴ、CA)を全ての実験で用いた。実験日に餌を回収した。マウスを少なくとも1時間、プレクシグラス(Plexiglass)広口瓶に入れて環境に順応させた。順応時間後、マウスを計量し、i.p.若しくはp.o.投与する関与化合物、又は適量のビヒクル(10% Tween-80)のいずれかを与えた。そのi.p.投薬から15分後、及びp.o.投薬から30分後、ホルマリン(20μLの食塩水中5%ホルムアルデヒド溶液)を右後足の背面に注射した。マウスをプレクシグラス広口瓶に移し、注射した足をなめる又は咬むのに費やす時間量をモニターした。なめる時間及び咬む時間を、ホルマリン注射後1時間にわたって、5分おきに記録した。全ての実験は、昼サイクルの間に盲検方式で行った。早期のホルマリン応答は、0〜5分間、なめる/咬むと測定し、後期は、15〜50分間測定した。ビヒクル治療グループと薬物治療グループの間の差を、一方向分散分析(ANOVA)によって分析した。P値0.05を有意とみなした。急性及び第二段階のホルマリン誘発足なめ活動を阻止する活性を有する場合、それらの化合物は、急性及び慢性疼痛に効果を有すると考えられる。
【0040】
本化合物は、末梢神経障害のChungモデルにおいて、慢性疼痛の治療への可能性(抗異痛及び抗痛覚過敏活性)について試験しうる。体重が200〜225g間の雄Sprague-Dawleyラットをハロタン(70%空気と30%酸素の混合物中1〜3%)で麻酔し、麻酔の間、恒温毛布を用いて体温を制御した。その後、2cm背面中線切開をL5及びL6レベルで行い、脊椎傍筋群を両側に後退させた。その後、L5及びL6脊髄神経を露出させ、隔離して、6-0絹糸で結紮した。陰性対照として反対側のL5及びL6脊髄神経を露出させる擬似手術を行った。
【0041】
触覚異痛: ラットを金網床の高架試験ケージに移し、5〜10分間順応させた。一系列のセムズ−ワインスタイン(Semmes - Weinstein)モノフィラメントを後足の足底表面にあて、その動物の逃避閾値を判定した。使用した第一フィラメントの座屈応力は、9.1gms (.96 log値)であり、5回まであて、逃避反応を惹起するかを見た。動物に逃避反応があった場合には、その系列の次に最も軽いフィラメントを5回まであて、反応を惹起するかを判定した。この手順を、反応がなくなるまで、順次軽いフィラメントを用いて繰り返し、反応を惹起した最も軽いフィラメントを記録した。動物に最初の9.1gmsのフィラメントで逃避反応がなかった場合には、次の重量増加フィラメントを、フィラメントが反応を惹起するまであて、このフィラメントを記録した。各動物について、全ての時点で測定を3回行い、平均逃避閾値を決定した。試験は、薬物投与前並びに薬物投与後1、2、4及び24時間の時点で行った。触覚異痛試験と機械的痛覚過敏試験は、同時に行った。
【0042】
機械的痛覚過敏: 金網床の高架試験ケージにラットを移し、5〜10分間順応させた。先をやや鈍らせた針で、皮膚を貫通せず、皮膚にくぼみを付けるように後足の足底表面に触れた。足を制御するための針の施行により、典型的に、すばやい畏縮反応が起こるが、それは、短すぎてストップウォッチで時間を測定できず、自由裁量で0.5秒の逃避時間にした。神経障害動物の手術した側の足は、先を鈍らせた針に対して過度の逃避反応を示した。10秒の最大逃避時間をカットオフ時間として用いた。動物たちの両脚についての逃避時間は、適用と適用の間に5分間の回復時間を設けて、各時点で3回測定した。各時点についての平均逃避時間を算出するために、測定を3回行った。触覚異痛試験と機械的痛覚過敏試験は、同時に行った。
【0043】
本発明の範囲内の医薬組成物は、本発明の化合物を意図された目的の達成に有効な量で含有する、全ての組成物を包含する。個々の要求は変化するが、各成分の有効量の最適範囲の決定は、当該技術分野の技術の範囲である。典型的に、疼痛の治療を受ける哺乳動物に対して、約0.1〜約5mg/kgの用量で式Iの化合物を、又は等量のそれらの医薬的に許容可能な塩を、1日に1又はそれ以上の回数、有利には4時間ごとに、哺乳動物、例えばヒトに経口投与しうる。筋肉内注射についての用量は、一般に、経口用量の約2分の1である。本医薬組成物は、所望される場合には、1以上の他の適合可能で医薬的に活性な薬剤も含有しうる。
【0044】
単位経口服用量は、約5mgから約350mg、好ましくは約10mgから約300mg、好適には約20から約300mgの式Iの化合物又はその医薬的に許容可能な塩を含みうる。その単位服用量を1日に1回以上投与することができ、好適には、その単位経口服用量を4時間ごとに投与する。
【0045】
原料化学物質としての化合物の投与に加えて、本発明の化合物は、医薬的に用いられうる製剤への本化合物の加工を促進する賦形剤及び助剤を含む、適当な医薬的に許容可能な担体を含有する、医薬品の一部として投与しうる。好ましくは、当該製剤、特に、経口投与することができ、且つ、好ましいタイプの投与に用いることができる、錠剤、糖衣丸及びカプセル等の製剤、並びにまた直腸内投与しうる坐剤等の製剤、並びに注射による投与又は経口投与に適する溶液は、約0.01から99パーセント、好ましくは約0.25から75パーセントの活性化合物(複数を含む)を賦形剤とともに含有する。
【0046】
本発明の医薬組成物は、本発明の化合物の有益な効果を経験しうるあらゆる動物に投与しうる。そうした動物の中で最も重要なものは哺乳動物、特にヒトであるが、本発明はそのように限定されるものと解釈されない。
【0047】
本発明の医薬組成物は、それらの意図された目的を達成するあらゆる手段によって投与されうる。例えば、非経口、皮下、静脈内、筋肉内、腹腔内、経皮又は口腔内経路により投与しうる。代わりに又は、同時に、経口経路で投与しうる。投与量は、患者の年齢、健康状態及び体重、もしあれば併用療法の種類、治療頻度、及び所望の効果の性質に依存するであろう。
【0048】
本発明の医薬組成物は、溶液、懸濁液、乳剤、錠剤、ピル、ペレット、カプセル、液体含有カプセル、粉末、持続若しくは制御放出性調合物、坐剤、乳剤、エアロゾル、スプレー剤、懸濁液の形態、又は使用に適する他のあらゆる形態を取りうる。本発明の医薬品は、それ自体公知である方法で、例えば、通常の混合法、顆粒形成法、糖衣丸製造法、溶解法又は凍結乾燥法により、製造される。
【0049】
経口使用のための医薬品は、例えば、活性化合物を固体賦形剤と混合し、場合によっては得られた混合物を粉砕し、所望される又は必要な場合には適当な助剤の添加後、その顆粒混合物を加工して錠剤又は糖衣丸のコアを得るために、経口投与に適した組成物として常用の手順に従い調合しうる。経口送達のための組成物は、例えば、錠剤、ロゼンジ、水性若しくは油性懸濁液、顆粒、粉末、乳剤、カプセル、シロップ又はエリキシルの形態でありうる。経口投与される組成物は、医薬として味のよい製剤を提供するために、1又はそれ以上の薬剤、例えば、フルクトース、アスパルテーム又はサッカリン等の甘味料、;ペパーミント、ウインターグリーン油又はサクランボ等の着香剤;着色剤;及び保存薬を含有しうる。さらに、錠剤又はピルの形態である場合、当該組成物をコーティングし、胃腸管での崩壊及び吸収を遅らせ、その結果、長期にわたる持続作用を提供しうる。浸透活性推進化合物を包囲する選択的透過膜もまた経口投与組成物に適する。これらの後者のプラットフォームにおいては、カプセルを包囲する環境からの液体は、その推進化合物によって吸収され、その推進化合物が膨張して、開口部を通してその薬剤又は薬剤組成物を移動させる。これらの送達プラットフォームは、即時放出調合物の前記スパイク型プロフィールとは対照的に、本質的に零次の送達プロフィールをもたらす。グリセロールモノステアレート又はグリセロールステアレートのような時間遅延材料を用いうる。
【0050】
適当な賦形剤としては、特に、ラクトース若しくはスクロース、マンニトール、ナトリウムサッカリド又はソルビトール等のサッカリド、炭酸マグネシウム、セルロース製剤及び/又は、リン酸三カルシウム若しくはリン酸水素カルシウム等のリン酸カルシウム等の充填剤、並びにトウモロコシデンプン、小麦デンプン、米デンプン、バレイショデンプンを用いるデンプンペースト、ゼラチン、トラガカントゴム、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム及び/又はポリビニルピロリドン等の結合剤がある。必要な場合、上述のデンプン、及びまたカルボキシメチル−デンプン、架橋ポリビニルピロリドン、寒天、又はアルギン酸若しくはアルギン酸ナトリウム等の、その塩等の崩壊剤を添加しうる。助剤は、上述した全て、流動性調節剤及び滑沢剤、例えばシリカ、タルク、ステアリン酸若しくはその塩である、ステアリン酸マグネシウム若しくはステアリン酸カルシウム等、及び/又はポリエチレングリコールである。糖衣丸のコアには、必要な場合、胃液耐性の適切なコーティングを施す。このため、濃縮サッカリド溶液を用いてもよく、それらは、場合によっては、アラビアゴム、タルク、ポリビニルピロリドン、ポリエチレングリコール及び/又は二酸化チタン、ラッカー溶液並びに適当な有機溶液若しくは溶媒混合物を含有しうる。胃液耐性のコーティングを施すために、アセチルセルロースフタレート又はヒドロキシプロピルメチル−セルロース等の適当なセルロース製剤溶液を用いる。例えば、識別のため、又は活性化合物用量の組合せを特徴付けるために、染料又は色素を錠剤又は糖衣丸のコーティングに添加しうる。適当な製薬用賦形剤の他の例は、Remington's Pharmaceutical Sciences pp. 1447-1676 (Alfonso R. Gennaro ed., 19th ed. 1995) に記載されており、本明細書に参照して組み込まれる。一つの実施形態において、賦形剤は、製薬用グレートである。
【0051】
経口使用しうる他の医薬品には、ゼラチン製のプッシュフィットカプセル(push-fit capsules)、並びにゼラチン及びグリセロール又はソルビトール等の可塑剤で作製された軟質密封カプセルが挙げられる。プッシュフィットカプセルは、ラクトース等の充填剤、デンプン等の結合剤、及び/又はタルク若しくはステアリン酸マグネシウム等の滑沢剤、及び、場合によっては安定剤と混合されうる顆粒形態の活性化合物を包含しうる。軟質カプセルでは、活性化合物を、好ましくは、脂肪油又は液体パラフィン等の適当な液体に溶解又は分散させる。加えて、安定剤を添加してもよい。本医薬品は、例えば米国特許第5,698,155号に記載されているような、カプセル形態でありうる。
【0052】
式Iの化合物は、制御放出系若しくは持続放出系で、又は当業者に周知の送達装置で送達しうる。制御又は持続放出系は、当該技術分野では公知の方法によって調製しうる(例えば、Goodson, in Medical Applications of Controlled Release, vol. 2, pp. 115-138 (1984) 参照)。Langer、Science 249 : 1527-1533 (1990)の総説で議論されている他の制御又は持続放出系を用いることができる。一つの実施形態としては、ポンプを用いることができる(Langer, Science 249 : 1527-1533 (1990); Sefton, CRC Crit. Ref. Biomed. Eng. 14 : 201 (1987); Buchwald et al., Surgery 88 : 507 (1980); 及びSaudek et al., N. Engl. J. Med. 321 : 574 (1989))。もう一つの実施形態としては、高分子材料を用いることができる(Medical Applications of Controlled Release (Langer及びWise編, 1974); Controlled Drug Bioavailability, Drug Product Design and Performance (Smolen及びBall 編, 1984); Ranger及びPeppas, J. Macromol. Sci. Rev. Macromol. Chem. 23: 61 (1983); Levy et al., Science 228 : 190 (1985); During et al., Ann. Neurol. 25 : 351 (1989); 並びにHoward et al., J Neurosurg. 71 : 105 (1989) 参照)。例えば、1又はそれ以上の式I化合物を含む経口制御放出調合物は、米国特許第6,294,195号に記載されているとおり調製しうる。他の例としては、米国特許3,845,770号、同第3,916,899号、同第3,536,809号、同第3,598,123号、同第4,008,719号、同第5,674,533号、同第5,059,595号、同第5,591,767号、同第5,120,548号、同第5,073,543号、同第5,639,476号、同第5,354,556号及び同第5,733,566w号に記載されているものが挙げられるが、それらに限定されない。これらの特許は、本明細書に参照して組み込まれる。例えばヒドロキシプロピルセルロース、他のポリマーマトリックス、ゲル、透過膜、浸透圧系、多層コーティング、微粒子、リポソーム、マイクロスフェア又はそれらの組合せを用いて、比率を変えて所望の放出プロフィールを提供するような剤形を用いて、1又はそれ以上の活性成分の制御又は持続放出を提供しうる。本明細書に記載されているものを含む当業者に公知の適当な制御又は持続放出調合物は、本発明の活性材料とともに使用するために、容易に選択しうる。従って、本発明は、これらに限定されないが、経口投与に適当な、制御又は持続性放出に適応する錠剤、カプセル、ゲルキャップ及びキャプレット等の単位剤形を包含する。
【0053】
制御又は持続放出組成物は、所望の治療又は予防効果を即座に生じる量の本発明の化合物を最初に放出し、別の量の本発明の化合物を徐々に及び継続的に放出して、このレベルの治療又は予防効果を長期にわたって維持しうる。一定レベルの本発明の化合物を体内で維持するために、本化合物は、代謝され、身体から排泄される化合物の量を補充する速度で、その剤形から放出されうる。活性成分の制御又は持続放出は、pH変化、温度変化、酵素の濃度若しくは効力、水の濃度若しくは効力、又は他の生理条件若しくは化合物を含むが、これらに限定されない様々な条件による刺激を受けうる。
【0054】
直腸で使用できる可能性がある医薬品としては、例えば、1又はそれ以上の活性化合物と坐剤基剤の組合せからなる坐剤が挙げられる。適当な坐剤基剤としては、例えば、天然若しくは合成トリグリセリド、又はパラフィン系炭化水素がある。加えて、本活性化合物と基剤の組合せからなる直腸用ゼラチンカプセルの使用もまた可能である。可能性のある基剤材料としては、例えば、液体トリグリセリド、ポリエチレングリコール又はパラフィン系炭化水素が挙げられる。
【0055】
非経口投与に適当な調合物としては、水溶性塩のような水溶性形態の本活性化合物の水溶液、及びアルカリ溶液が挙げられる。加えて、適切な注射用油性懸濁液等の本活性化合物の懸濁液を投与しうる。適当な親油性溶媒又はビヒクルとしては、胡麻油等の脂肪油、又は、エチルオレエート若しくはトリグリセリド又はポリエチレングリコール-400(本化合物は、PEG-400に溶解できる)等の合成脂肪酸エステルが挙げられる。注射用水性懸濁液は、カルボキシメチルセルロースナトリウム、ソルビトール及び/又はデキストラン等の、当該懸濁液の粘度を上昇させる物質を含有しうる。場合によっては、前記懸濁液は、安定剤を含有しうる。
【0056】
以下の実施例は、本発明の方法及び組成物を例示するものであり、これらに限定されない。臨床療法において通常遭遇する様々な条件及びパラメータに対する、並びに当業者には自明である他の適切な変更及び適応は、本発明の精神及び範囲の範囲内である。
【実施例1】
【0057】
N−メチルヒドロモルホニウムイオダイド(ヒドロキシモルホンメチオダイド)
塩酸ヒドロキシモルホン(1.9g、5.9mmol)を50mLの水に溶解した。この溶液に、50mLの20% イソプロパノール/クロロホルムを添加し、得られた二相混合物を2M アンモニア水で塩基性(pH8)にした。層を分離し、水性相を、さらに3つの、20% イソプロパノール・クロロホルム30mL画分で抽出した。有機相を併せ、飽和塩化ナトリウムで洗浄し、1PS紙に通して濾過して、ロータリーエバポレータで溶媒を除去した(1.9g)。残留物をアセトン(10mL)に溶解すると、結晶が形成を始めた。メチルイオダイド(2mL、32mmol)を5mLのアセトニトリルとともにこの混合物に添加した。その反応混合物を室温で3時間攪拌し、その後、TLC分析(移動相:15%トリエチルアミン、15%メタノール、70%エチルアセテート、シリカゲル)は、出発原料(R=0.14)がもはや存在しないことを示した。HPLC分析は、54%、3.2分(イオダイドイオン)、44%、4.25分(生成物)、及び1%、5.2分(ヒドロモルホン)を示した。その反応混合物を10mLのアセトンで希釈し、濾過した。フィルターケークをさらに3つの5mL画分のアセトンで洗浄し、空気乾燥して、2.4gのヒドロモルホンメチオダイド(収率88%)を得た。収率は、最適化されなかった。生成物を高真空下で一晩乾燥させた。HPLC分析、54%、3.2分(イオダイドイオン)、44%、4.25分(生成物)、及び1%、5.2分(ヒドロモルホン)。
HPLC条件は、次のとおりであった: Alltech Alltima C18、5μ、4.6x250mmカラム;移動相 65:30:5 水:A1:メタノール;モニター波長 254及び220nm。A1=700mLの水、300mLのメタノール、3mLのトリエチルアミン、及び3.4のpHを得るために十分なリン酸。
【実施例2】
【0058】
インビトロ及びインビボアッセイにおけるN−メチルヒドロモルホンの評価
上に記載したように、N-メチルヒドロモルホンのμオピオイド受容体結合活性及びμオピオイド受容体におけるその機能プロフィールについて試験した。上に記載したアッセイを用いて、N-メチルヒドロモルホンを、脳のインビボ分布についても試験した。これらの試験におけるN−メチルヒドロモルホン及び他の化合物の結果を表1に示す。
【0059】
表1
インビボ及びインビトロアッセイにおけるμオピオイド受容体の作動薬としての試験化合物の評価及び血液脳関門に対する浸透

【0060】
試験結果は、N-メチルヒドロモルホンは、オキシコドン及びヒドロキシモルホンに類似したμ効力及び効果を有するが、CNSには浸透しないことを示している。
【0061】
本発明を、現在、十分に説明したが、本発明又はそのいずれの実施形態の範囲にも影響を及ぼすことなく、幅広い、同等の条件、調合物及び他のパラメータ範囲内で本発明を実施できることは、当業者は理解できる。
【0062】
本発明の他の実施形態は、本明細書に開示されている本発明の明細書及び実施例の考察から、当業者には自明である。本明細書及び実施例は、単なる例示とみなし、本発明の真の範囲及び精神は、後続の特許請求の範囲によって示されるものと解釈される。
【0063】
本明細書に引用されている全ての特許及び刊行物は、全文、本明細書に参照として完全に組み込まれている。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記式I:
【化1】

(式中、Rは、C1〜6アルキルである)
を有する化合物又はその医薬的に許容可能な塩。
【請求項2】
Rが、C1〜4アルキルである、請求項1に記載の化合物。
【請求項3】
Rが、メチル又はエチルである、請求項2に記載の化合物。
【請求項4】
前記化合物が、N-メチルヒドロモルホン又はその医薬的に許容可能な塩である、請求項1に記載の化合物。
【請求項5】
前記化合物が、ヒドロモルホンメチオダイドである、請求項4に記載の化合物。
【請求項6】
請求項1から5のいずれか一項に記載の1若しくはそれ以上の化合物、及び医薬的に許容可能な担体又は希釈剤を含む医薬組成物。
【請求項7】
約5mg〜約350mgの前記1又はそれ以上の化合物を含む、請求項6に記載の組成物。
【請求項8】
μオピオイド受容体の興奮に反応する疾患をそれに罹患している哺乳動物において治療する方法であって、当該治療が必要な哺乳動物に有効量の請求項1〜5のいずれか一項に記載の化合物を投与することを含む、前記方法。
【請求項9】
疼痛に罹患している哺乳動物において疼痛を治療、改善又は予防する方法であって、当該治療が必要な哺乳動物に有効量の請求項1〜5のいずれか一項に記載の化合物を投与することを含む、前記方法。
【請求項10】
慢性疼痛を治療、予防又は改善するためのものである、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
当該化合物、又は等量のその医薬的に許容可能な塩を、治療を受ける哺乳動物の体重あたり約0.1〜約5mg/kgの用量で、4時間ごとに経口投与することを含む、請求項9又は請求項10に記載の方法。

【公表番号】特表2006−503850(P2006−503850A)
【公表日】平成18年2月2日(2006.2.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−540164(P2004−540164)
【出願日】平成15年9月24日(2003.9.24)
【国際出願番号】PCT/US2003/029876
【国際公開番号】WO2004/029059
【国際公開日】平成16年4月8日(2004.4.8)
【出願人】(599108792)ユーロ−セルティーク エス.エイ. (134)
【Fターム(参考)】