説明

N−(シクロアルキル)アルキルアゼピン誘導体およびその製造法

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明はシグマレセプターに特異的に結合する活性を有する新規アゼピン誘導体およびその製造法に関する。
【0002】
【従来の技術】シグマ(σ)レセプターは、元来、μ、δ、κ、εレセプターと共にオピオイドレセプターの一つとして定義されていた。しかし、オピオイド拮抗薬であるナロキソン(Naloxon)がσレセプターに対して親和性をもたないことから、最近では、オピオイドレセプターではなく独立したレセプターとして分類されている。
【0003】σレセプターを介する薬理作用は未だ解明されていない。しかしながら、精神異常発現作用を有するフェンシクリジン(Phencyclidine)がNMDAレセプター以外にσレセプターにも親和性を有していることや抗精神分裂病薬であるハロペリドール(Haloperidol)がドパミンレセプター以外にσレセプターにも強く結合することが明らかとなっている。これらのことから、σレセプターは精神機能に関与している可能性が示唆されている。しかしながらσレセプターに対して特異的な薬物はほとんど報告されていない。
【0004】英国特許852971(1959)明細書、Acta pharmacol.et toxicol.,17,277〜287(1960)およびActaChemica Scandinavica,17,2069〜2078(1963)には、一般式
【0005】
【化11】


(式中、R1 、R2 、R3 およびR4 はH、Cl、−NO2 、−NH2 、−CH3 、−OCH3 または−OH基を示し、は1〜3の整数を示す。)で表されるN−置換フェニルアルキルカンフィジン誘導体が開示され、中枢神経系抑制薬(depressor activity upon the centralnervous system)およびトランキライザーとして有用であることが記載されている。
【0006】また、薬学雑誌、84(10),918〜929(1964)には、一般式
【化12】


【0007】(式中、R’はH、Clまたは−NH2 基を示し、は1または2を示す。)で表されるN−置換フェニルアルキルカンフィジン誘導体が開示され、鎮痛作用について検討されたが、あまり効果はなかったと報告されている。しかしながら、上記のいずれの先行文献においても、これらの公知化合物は、精神分裂病の動物モデルとして汎用されているアポモルヒネ誘発クライミングモデルでの有用性は全く記載はない。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】σレセプターに対し特異的な薬物が見出され、その薬効の発見が新しいタイプの薬物を開発する上で重要なことである。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、種々の化合物を合成し、それらの薬理作用について広く検索していたところ、下記の一般式(1)で示されるアゼピン誘導体が、σレセプターに対し高い親和性をもち、他のレセプターに対しては殆ど親和性を示さず、また抗精神分裂病の評価に使用されているアポモルヒネ誘発クライミングの抑制作用に対して有効性を示した。本発明は、上記の知見に基づいて完成されたものである。
【0010】すなわち、本発明は、一般式
【化13】


〔式中、Rは式
【化14】


(式中、R1 は水素原子、低級アルキル基、低級アルコキシ基、水酸基、ハロゲン原子または置換基を有していてもよいフェニル基を示し、nは0または1を示す)で表される基、低級アルキル基で置換していてもよい炭素数5〜8個のシクロアルキル基、ノルボルニル基またはビシクロ[3.3.1]ノニル基を示し、mは0〜4の整数を示し、C* は不斉炭素原子を示す〕で表されるアゼピン誘導体またはその塩を提供するものである。
【0011】また、本発明は、一般式
【化15】


〔式中、C* は不斉炭素原子を示し、pは0〜3の整数を示し、Rは前記と同じ意味を有する)で表される化合物のカルボニル基を還元することを特徴とするか、あるいは一般式
【0012】
【化16】


(式中、C* は不斉炭素原子を示す)で表されるアミンと一般式X−(CH2 )m−R (5)
(式中、Xは反応性有機スルホニルオキシ基またはハロゲン原子を示し、mは0〜4の整数を示し、Rは前記と同じ意味を有する)で表される反応性誘導体を不活性有機溶媒中、塩基の存在下で反応させることを特徴とする前記一般式(1)で表されるアゼピン誘導体またはその塩を提供するものである。
【0013】さらに、本発明は、前記一般式(1)で表されるアゼピン誘導体またはその塩の中間体として有用な前記一般式(3)で表されるアゼピン誘導体およびその塩を提供するものである。
【0014】前記一般式(1)において定義される基Rとしては、水素原子、低級アルキル基、低級アルコキシ基、水酸基、ハロゲン原子または置換基を有していてもよいフェニル基置換されたアダマンチル基またはノルアダマンチル基が挙げられる。上記の置換基はアダマンタン環およびノルアダマンタン環中のいずれの位置の炭素原子に置換されていてもよい。低級アルキル基とは炭素数1〜4個の分鎖を有していてもよいアルキル基を意味し、低級アルコキシ基とは炭素数1〜4個の分鎖を有していてもよいアルコキシ基を意味し、ハロゲン原子とは塩素原子、臭素原子、弗素原子などを意味し、置換基を有していてもよいフェニル基とは1〜3個の低級アルキル基、低級アルコキシ基、水酸基またはハロゲン原子で置換されていてもよいフェニル基を意味する。アダマンタン基およびノルアダマンタン基の基−(CH2 )m−との結合位置は該環中のいずれの位置の炭素原子と結合していてもよい。
【0015】他の基Rとしては、低級アルキル基で置換していてもよい炭素数5〜8個のシクロアルキル基、ノルボルニル基、ビシクロ[3.3.1]ノニル基が挙げられる。ノルボルニル基およびビシクロ[3.3.1]ノニル基−(CH2 )m−との結合位置は該環中のいずれの位置の炭素原子と結合していてもよい。炭素数5〜8個のシクロアルキル基の例としてはシクロペンチル、シクロヘキシル、シクロプチルおよびシクロオクチル基が挙げられ、低級アルキル基とは炭素数1〜4個の分鎖を有していてもよいアルキル基を意味する。
【0016】本発明のアゼピン誘導体(1)およびその塩は、次の方法により製造される。A).化合物(3)のカルボニル基の還元による一般式(1)におけるmが1〜4である目的化合物(1)、すなわち一般式
【化17】


(C* は不斉炭素原子を示し、pは0〜3の整数を示し、Rは前記と同じ意味を有する)で表される目的化合物(1a)の製造
【0017】前記化合物(3)は、前記一般式(4)で表されるアミンを一般式R−(CH2 )p−COOH (6)
(式中、pは0〜3の整数を示し、Rは前記と同じ意味を有する)で表されるカルボン酸またはその反応性誘導体でアシル化することにより得られる。
【0018】上記の出発原料のうち、一般式(4)で示されるアミン、すなわち1,8,8−トリメチル−3−アザビシクロ[3.2.1]オクタンは一般式(4)で示される如く不斉炭素原子を有するので、R体またはS体の光学活性体として使用される。R体は文献記載の公知化合物であって、例えば、Acta.Chem.Scand.,17,2069(1963)、Tetrahedron Letters,21,4593(1980)などの文献に記載されている。S体は文献未載の化合物であって、(1S)−1,8,8−トリメチル−3−アザビシクロ[3.2.1]オクタン−2−オンを不活性有機溶媒中水素化リチウムアルミニウムなどの還元剤で還元することにより得られる。
【0019】一方、一般式(6)で示されるカルボン酸の好適な例としては、1−アダマンチル酢酸、2−アダマンチル酢酸、3−メチル−1−アダマンチル酢酸、1−アダマンタンカルボン酸、2−アダマンチル−3−プロピオン酸、2−アダマンチル−4−酪酸、3−ノルアダマンタンカルボン酸、2−ノルボルニル酢酸、9−ビシクロ[3.3.1]ノニル酢酸、シクロヘキサンカルボン酸、シクロペンタンカルボン酸、シクロペンチル酢酸、シクロヘキシル酢酸、シクロへプチル酢酸、シクロオクチル酢酸、3−シクロヘキシルプロピオン酸、4−シクロヘキシル酪酸、4−メチルシクロヘキシル酢酸、5−ヒドロキシ−2−アダマンチル酢酸、5−メトキシ−2−アダマンチル酢酸、5−フェニル−2−アダマンチル酢酸、4−ヒドロキシ−2−アダマンチル酢酸、4−フェニル−2−アダマンチル酢酸などが挙げられる。これらの多くは公知の化合物であり、それぞれ市販品または合成により容易に入手可能である。
【0020】上記のアシル化反応は、公知のアミド化反応に準じて実施することができる。カルボン酸(6)を遊離の形で使用する場合には、縮合剤の存在下で反応を行わせる。その縮合剤の例としては、N,N’−ジシクロヘキシルカルボジイミド(DCC)、1−エチル−3−(3’−ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド(WSC)、N−シクロヘキシル−N’−(4−ジエチルアミノシクロヘキシル)カルボジイミドなどのカルボジイミド化合物、ジフェニルホスホリルアジド、ベンゾトリアゾリル−N−ヒドロキシトリス(ジメチルアミノ)ホスホニウムヘキサフルオロリン化物塩、カルボニルジイミダゾールなどの試薬、N−メチルホルムアミド、N,N−ジメチルホルムアミドなどのアミド化合物を塩化チオニル、オキシ塩化リン、ホスゲンなどのハロゲン化物との反応によって生成する試薬(いわゆるビルスマイヤー試薬)などが挙げられる。その他の公知の縮合剤も使用できる。
【0021】カルボン酸(6)の反応性誘導体としては、その酸ハライド、酸無水物、酸アジド、活性エステル、活性アミドなどが挙げられ、その好ましい例としては、酸クロライド、酸ブロマイド、酢酸、ピバリン酸、イソ吉草酸、トリクロロ酢酸、炭酸モノアルキルエステルなどとの混合酸無水物、p−ニトロフェニルエステル、2,4−ジニトロフェニルエステル、トリクロロフェニルエステル、ペンタクロロフェニルエステル、1−ヒドロキシ−1H−ピリドン、N−ヒドロキシスクシンイミドエステル、N−ヒドロキシフタルイミドエステルなどの活性エステル、ピラゾール、イミダゾール、ジメチルピラゾール、ベンゾトリアゾールなどの活性アミドなどが挙げられる。
【0022】上記アシル化反応における反応性誘導体の中で、酸ハロゲン化物または酸無水物を用いる反応は脱酸剤の存在下で行うのが好ましい。脱酸剤としては、例えばトリエチルアミン、エチルジイソプロピルアミン、N,N−ジメチルアニリン、N−メチルモルホリン、ピリジンなどの第3級有機塩基や公知の無機塩基が使用される。
【0023】アミン(4)とカルボン酸(6)またはその反応性誘導体との量的割合は、理論的には等モルでよいが、通常はカルボン酸(6)またはその反応性誘導体が過剰に用いられる。
【0024】上記アシル化反応は、反応に悪影響を及ぼさないような有機溶媒中で行われ、有機溶媒としては、クロロホルム、塩化メチレン、テトラヒドロフラン、1,4−ジオキサン、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、アセトンまたはこれらの混合溶媒などが使用される。反応温度は特に限定されないが、通常は室温で充分に進行する。反応時間は、反応温度、カルボン酸(6)またはその反応性誘導体の種類により左右され、一般には特定できないが、精々48時間程度迄である。
【0025】上記アシル化反応によって得られた化合物(3)を反応液から採取するには、反応溶媒が非親水性有機溶媒である場合には、反応液をアルカリ性水溶液、酸性水溶液または飽和食塩水で洗浄した後、有機溶媒層を濃縮し、反応溶媒が親水性有機溶媒である場合には、該溶媒を留去し、残渣を非親水性有機溶媒に溶解した後、前記と同様に処理することにより化合物(3)を得ることができる。該化合物(3)を、さらに、例えば、カラムクロマトグラフィー、再結晶などの公知の精製法により精製することができる。
【0026】本発明においては、化合物(3)のカルボニル基を還元して本発明化合物(1a)を得るのであるが、上記の反応は化合物(3)を不活性有機溶媒中、水素化リチウムアルミニウム、水素化ナトリウムアルミニウム、水素化ホウ素などの還元剤で還元することにより行われる。不活性有機溶媒の例としてはテトラヒドロフラン、ジエチルエーテル、1,4−ジオキサン、ピリジンなどが挙げられる。反応温度は通常、加熱下、できれば還流下で行われる。反応時間は、反応温度、還元剤の種類により左右されるが、薄層クロマトグラフィー、高速液体クロマトグラフィーなどにより反応の経過を追跡することができるので、化合物(3)の消失を待って反応を終了させればよい。一般には特定できないが、1〜10時間程度である。
【0027】上記還元反応によって得られた目的化合物(1a)を反応液から採取するには、反応溶媒が非親水性有機溶媒である場合には、反応液を酸性水溶液、アルカリ性水溶液、または飽和食塩水で洗浄した後、有機溶媒層を濃縮し、反応溶媒が親水性有機溶媒である場合には、該溶媒を留去し、更に必要に応じて残渣を非親水性有機溶媒に溶解した後、前記と同様に処理することにより化合物(1a)を得ることができる。該化合物(1a)を、さらに、例えば、カラムクロマトグラフィー、再結晶などの公知の精製法により精製することができる。
【0028】B).アミン(4)のN−アルキル化による目的化合物(1)の製造目的化合物(1)は、一般式
【化18】


式中、C* は不斉炭素原子を示す)で表されるアミンと一般式X−(CH2 m −R (5)
(式中、Xは反応性有機スルホニルオキシ基またはハロゲン原子を示し、mは0〜4の整数を示し、Rは前記と同じ意味を有する)で表される反応性誘導体を不活性有機溶媒中、塩基の存在下で反応させることにより得られる。
【0029】上記反応性誘導体(5)のうちスルホニルオキシ誘導体は、一般式HO−(CH2 )m−R (7)
(mは0〜4の整数を示す)で表されるアルコールを塩化メチレンのような乾燥不活性反応溶媒中、メタンスルホニルクロライド、p−トルエンスルホニルクロライドなどでスルホニル化することにより得られる。上記のアルコール(7)の例としては、1−アダマンチルエタノ−ル、1−アダマンチルメタノール、2−アダマンチルエタノ−ル、2−ノルボルニルエタノール、3−ノルアダマンチルメタノール、9−ビシクロ[3.3.1]ノニルエタノール、シクロペンチルアルコール、シクロヘキシルアルコール、シクロペンチルメタノール、シクロヘキシルメタノール、シクロヘプチルメタノール、シクロオクチルメタノール、シクロペンチルエタノール、シクロヘキシルエタノール、シクロペンチルエタノ−ル、3−シクロヘキシル−1−プロパノ−ル、4−シクロヘキシル−1−ブタノール、5−メトキシ−2−アダマンチルエタノ−ル、5−クロロ−2−アダマンチルエタノ−ル、5−フェニル−2−アダマンチルエタノ−ル、4−フェニル−2−アダマンチルエタノ−ルなどが挙げられる。これらは公知の化合物であり、それぞれ市販品または合成により容易に入手可能である。
【0030】また、上記反応性誘導体(5)のうちハロゲン化物としては、シクロヘキシルブロマイド、シクロヘキシルメチルブロマイド、1−アダマンチルブロマイド、2−アダマンチルブロマイドなどが挙げられる。これらは公知の化合物であり、試薬メーカーのカタログに掲載されている化合物であって、容易に入手可能である。
【0031】アミン(4)と反応性誘導体(5)との反応で使用される塩基の例としては、例えば、トリエチルアミン、エチルジイソプロピルアミン、N,N−ジメチルアニリン、N−メチルモルホリン、ピリジン、N,N−ジメチルアミノピリジンなどの第3級有機塩基やアルカリまたはアルカリ土類金属の炭酸塩、炭酸水素塩、水酸化物または水素化物などの無機塩基が挙げられる。
【0032】上記反応において使用される不活性有機溶媒の例としては、アセトニトリル、ベンゼン、アセトン、テトラヒドロフランなどが挙げられるが、アセトニトリルが特に好ましい。上記反応は通常、使用する反応溶媒の還流温度で適宜行われる。反応時間は、反応温度、塩基の種類により左右されるが、薄層クロマトグラフィー、高速液体クロマトグラフィーなどにより反応の経過を追跡することができるので、化合物(4)の消失を待って適宜反応を終了させればよい。一般には特定できないが、通常は2〜72時間程度である。
【0033】上記反応液から目的化合物(1)を得るには、不溶性物を濾去し、溶媒を濃縮した後、残渣を例えば、クロロホルムとアセトンやメタノールとの混合物を溶離剤としてシリカゲルカラムクロマトグラフィーなどの公知の精製法により精製することができる。本発明においては、本発明化合物(1)が開示されれば、上記で示した製造法に限らず、公知の反応を組み合わせることにより製造することは容易である。
【0034】このようにして得られた本発明化合物(1)は、塩とすることができ、必要に応じてその医薬上許容される無毒性塩とすることも可能である。このような塩の例としては、塩酸、硫酸、リン酸などの無機酸との塩、酢酸、プロピオン酸、酒石酸、クエン酸、グリコール酸、グルコン酸、コハク酸、リンゴ酸、グルタミン酸、アスパラギン酸、メタンスルホン酸、マンデル酸、p−トルエンスルホン酸、マレイン酸などの有機酸との酸付加塩を挙げることができる。
【0035】本発明化合物(1)またはその無毒性塩のいずれの化合物もラットに30mg/kg静脈投与しても、死亡例は認められなかったことから明かなように、医薬として使用しても安全な化合物ということができる。
【0036】本発明化合物(1)またはその無毒性塩を医薬として使用するには、これを製剤化し、通常、経口投与もしくは点滴を含む注射などの非経口投与すればよく、その投与量は、投与形態、被投与者の年齢、体重、症状などによって異なるが、一般には、成人1日当り0.1mg〜100mg程度である。
【0037】上記製剤化のための剤形としては、錠剤、丸剤、散剤、顆粒剤、カプセル剤、注射剤などが挙げられるが、その製造のためには、これら製剤に応じた各種担体、例えば、錠剤、顆粒剤、カプセル剤などの経口剤は、澱粉、乳糖、白糖、マンニット、カルボキシメチルセルロース、コーンスターチ、無機塩類などの賦形剤、澱粉、デキストリン、アラビアゴム、ゼラチン、ヒドロキシプロピルスターチ、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム、ヒドロキシプロピルセルロース、結晶セルロース、エチルセルロース、ポリビニルピロリドン、マクロゴールなどの結合剤、澱粉、ヒドロキシプロピルスターチ、カルボキシプロピルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム、ヒドロキシプロピルセルロースなどの崩壊剤、ラウリル硫酸ナトリウム、大豆レシチン、蔗糖脂肪酸エステル、ポリソルベート80などの界面活性剤、タルク、ロウ、水素添加植物油、蔗糖脂肪酸エステル、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸カルシウムなどの滑沢剤、流動性促進剤、矯味剤、着色剤、香料などを使用することができる。
【0038】また、本発明化合物(1)またはその無毒性塩は、懸濁液、エマルジョン剤、シロップ剤、エリキシル剤としても使用できる。非経口剤は、希釈剤として一般に注射用蒸留水、生理食塩水、ブドウ糖水溶液、注射用植物油、プロピレングリコール、ポリエチレングリコールなどを使用することができる。さらに必要に応じ、殺菌剤、防腐剤、安定剤、等張化剤、無痛化剤などを加えてもよい。
【0039】
【発明の効果】本目的化合物(1)またはその無毒性塩のシグマレセプターへの結合能の測定は以下の方法により行い、その結果は表1に示す通りであった。
(A)文献(Proc.Natl.Acad.Sci.USA,vol.83,8784〜8788(1986),E.Weber et al)に記載の方法に準じて本発明の化合物のシグマレセプターへの結合能を測定した。
【0040】スプレードーリー(Sprague−Dawley)系雄性ラット(7週令、チャールスリバー)を断頭後、速やかに脳を取り出し小脳を除いた全脳を50mM Tris/HCl緩衝液(pH8.0、TH緩衝液)でホモジネート後、700xgで10分間遠心した。その上清を48,000xgで15分間遠心し、得られた沈渣をTH緩衝液に再懸濁して37℃、20分間インキュベートした。これを48,000xgで15分間遠心し得られた沈渣をTH緩衝液に懸濁して膜標品とした。
【0041】この膜標品(約600μg蛋白量)と〔3 H〕1,3−ジ(2−トリル)グアニジン(DTG,New England Nuclear社製)(最終濃度3nM)を25℃で60分間反応させ、反応液をワツトマンGF/Cフイルターで吸引濾過することにより反応を停止させ、フイルターに吸着した放射活性シンチレーションカウンターで測定し、得られた値を総結合量とした。また10μMのハロペリドールを加えて同様に測定したものを非特異的結合量(NB)とした。検体の結合量を測定するには、ハロペリドールの代わりに適宜の濃度の検体を加えて同様に測定し、検体における測定値(DTB)を得た。
【0042】
(B)Ki値(薬物の受容体に対する親和性)計算法ある一定濃度における検体の結合阻害率を次の計算法で算出した。結合阻害率(%)=〔1−(DTB−NB)÷(TB−NB)〕×100各検体毎に適宜の濃度(高濃度から低濃度まで)における結合阻害率を求め、横軸に濃度の対数値、縦軸に結合阻害率をプロットし、非線形最小二乗法にて曲線を引き、IC50値を求めた。
【0043】Ki値は次の計算式で算出した。
Ki=(IC50)÷〔1+(L)/Kd〕
但し式中、(L)は実験に用いた放射性リガンド濃度(3nM)、Kdは放射性リガンドの受容体に対する親和性を表す濃度(10.6nM)、IC50は受容体と放射性リガンドとの結合を50%阻害する薬物濃度である。シグマレセプターに対する結合能を表1に示す。
【0044】
【表1】


【0045】前記試験例から明らかなように、本発明化合物(1)またはその無毒性塩はシグマレセプターに高い親和性を有し、他のレセプターに対しては殆ど親和性を示さなかった。
【0046】次に、本発明の化合物(1)の薬理学的作用について述べる。
アポモルヒネ誘発クライミングの抑制作用ドーパミン作動薬であるアポモルヒネをマウスに投与すると種々の異常行動が観察され、なかでもケージをよじ登る行動(クライミング)はヒトでの精神分裂病と密接な関係があることが知られている。すなわち、ある薬物がマウスでのアポモルヒネ誘発クライミングの抑制作用を有していれば、その薬物はヒトにおいて抗精神分裂病作用を有すると予測することができる。
【0047】ICR系雄性マウス(チャールス・リバー)に本発明化合物を経口投与し、その30分後にアポモルヒネ2mg/kgを皮下投与した。アポモルヒネ投与後20分から23分までの3分間のクライミング行動を観察した。クライミング行動はステンレススチール製金網ケージにマウスを入れ、観察時間中にケージの1/2以上上部へ留まっている時間を測定した。アポモルヒネ単独群のクライミング時間を100%として被験薬物による時間短縮を抑制率で示した。アポモルヒネ誘発クライミングの抑制作用を表2に示す。
【0048】
【表2】


【0049】本発明化合物(1)はアポモルヒネ誘発クライミング行動を抑制した。これらの成績より、本発明化合物(1)は、非常に強い抗精神分裂病作用を有することが認められた。
【0050】前記試験例から明らかなように、本発明化合物(1)またはその無毒性塩はシグマレセプターに高い親和性を有し、他のレセプターに対しては殆ど親和性を示さず、また、抗精神分裂病の評価に使用されているアポモルヒネ誘発クライミングの抑制作用に対して有効性を示したことから、シグマレセプターに関与する疾病、例えば精神分裂病の治療に有利に使用することができる。
【0051】
【実施例】次に、参考例および実施例を挙げ、本発明をさらに詳しく説明するが、本発明は、これに限定されるものではない。尚、各参考例および各実施例で得られた目的物の質量分析(MS)および核磁気共鳴スペクトル( 1H−NMR)は表3〜4に示す。
【0052】参考例 1(1S)−1,8,8−トリメチル−3−アザビシクロ3.2.1オクタン−2−オン(1S)−樟脳8.31gとヒドロキシルアミン−O−スルホン酸9.25gを酢酸200ml中7時間加熱還流した。反応後、減圧濃縮し、得られた残渣をクロロホルム溶液として飽和重曹水で洗浄した。有機層を無水硫酸ナトリウムで乾燥し、乾燥剤濾別後、濾液を減圧濃縮した。得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフイー(ワコーゲル、C200、クロロホルム)で精製し、表題の目的物を得た。収量5.57g(収率56%)
〔α〕D 25=+25.0゜(c 1,メタノール)
【0053】参考例 2(1S)−1,8,8−トリメチル−3−アザビシクロ3.2.1オクタン水素化リチウムアルミニウム0.88gのテトラヒドロフラン(THF)20ml溶液に(1S)−1,8,8−トリメチル−3−アザビシクロ[3.2.1]オクタン−2−オン1.93gを加え22時間加熱還流した。反応後冷却し、6N塩酸続いて5N水酸化ナトリウムを加え、アルカリ性とした。不溶物を濾別し、濾液をジエチルエーテル(エーテル)抽出して無水硫酸ナトリウムで乾燥し、乾燥剤濾別後、濾液を減圧濃縮し、表題の目的物を得た。収量1.70g(収率97%)
〔α〕D 25=−17.2°(c 1,メタノール)
【0054】実施例 1(1S)−3−〔2−(1−アダマンチル)エチル〕−1,8,8−トリメチル−3−アザビシクロ3.2.1オクタン(1S)−1,8,8−トリメチル−3−アザビシクロ3.2.1オクタン塩酸塩490mgの塩化メチレン20ml溶液にトリエチルアミン0.43mlを加え、0℃で1時間攪拌した。そこへ、1−アダマンチル酢酸552mg、続いて1−エチル−3−(3’−ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド塩酸塩(WSC)595mgを加え、徐々に室温に戻し23時間攪拌した。反応後、10%水酸化ナトリウムで洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥した。乾燥剤濾別後、濾液を減圧濃縮して粗(1S)−3−(1−アダマンチルアセチル)−1,8,8−トリメチル−3−アザビシクロ3.2.1オクタンを得た。
【0055】これを単離することなく、水素化リチウムアルミニウム196mgのTHF25ml溶液へ加え、1時間加熱還流した。反応後、冷却し、エーテル、水そして10%水酸化ナトリウム水溶液を加え不溶物を濾別し、濾液をエーテルで抽出し、無水硫酸ナトリウムで乾燥した。乾燥剤濾別後、濾液を減圧濃縮して得られた残渣をフラッシュカラムクロマトグラフイー(メルク、シリカゲル60:230−600メッシュ、クロロホルム)で精製し、表題の目的物を得た。収量737mg(収率91%)得られた表題化合物に2倍モル量の塩化水素メタノール溶液を加え、濃縮してジエチルエーテルで結晶化し、塩酸塩を得た。
〔α〕D 25=−8.6°(c=0.5、メタノール)
【0056】実施例 2(1S)−3−〔2−(2−ノルボルニル)エチル〕−1,8,8−トリメチル−3−アザビシクロ3.2.1オクタン(1S)−1,8,8−トリメチル−3−アザビシクロ3.2.1オクタン塩酸塩485mgの塩化メチレン20ml溶液にトリエチルアミン0.43mlを加え、0℃で40分攪拌した。そこへ、2−ノルボニル酢酸0.41m1、続いてWSC588mgを加え、徐々に室温に戻し23時間攪拌した。反応後、減圧濃縮し、エーテル溶液にして5N水酸化ナトリウムで洗浄後、無水硫酸ナトリウムで乾燥した。乾燥剤濾別後、濾液を減圧濃縮して粗(1S)−3−(2−ノルボルニルアセチル)−1,8,8−トリメチル−3−アザビシクロ3.2.1オクタンを得た。
【0057】これを単離することなく、水素化リチウムアルミニウム194mgのTHF20ml溶液へ加え、1時間加熱還流した。反応後、冷却し、エーテル、水そして10%水酸化ナトリウム水溶液を加え不溶物を濾別し、濾液をエーテルで抽出し、無水硫酸ナトリウムで乾燥した。乾燥剤濾別後、濾液を減圧濃縮して得られた残渣をフラッシュカラムクロマトグラフイー(メルク、シリカゲル60:230−600メッシュ、クロロホルム〜クロロホルム:アセトン=20:1)で精製し、表題の目的物を得た。収量618mg(収率88%)
実施例1と同様の方法で処理し、塩酸塩を得た。
〔α〕D 25=−11.3°(c=0.5、メタノール)
【0058】実施例3(1S)−3−(2−シクロペンチルエチル)−1,8,8−トリメチル−3−アザビシクロ3.2.1オクタン(1S)−1,8,8−トリメチル−3−アザビシクロ3.2.1オクタン塩酸塩0.49gの塩化メチレン20ml溶液にトリエチルアミン0.43mlを加え、0℃で45分撹拌した。そこへ、シクロペンチル酢酸0.36ml、続いてWSC0.59gを加え、徐々に室温に戻し24時間撹拌した。反応液を、10%水酸化ナトリウムで洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥した。乾燥剤濾別後、濾液を減圧濃縮して粗(1S)−3−シクロペンチルアセチル−1,8,8−トリメチル−3−アザビシクロ3.2.1オクタンを得た。
【0059】これを単離することなく、水素化リチウムアルミニウム0.19gのTHF30ml溶液へ加え1時間半加熱還流した。反応液を冷却し、エーテル、水そして10%水酸化ナトリウムを加え不溶物を濾別し、濾液をエーテルで抽出し、無水硫酸ナトリウムで乾燥した。乾燥剤濾別後、濾液を減圧濃縮して得られた残渣をフラッシュカラムクロマトグラフィー(メルク、シリカゲル60:230−600メッシュ、クロロホルム〜クロロホルム:アセトン=20:1)で精製し、表題の目的物を得た。収量0.58g(収率91%)
実施例1と同様の方法で処理し、塩酸塩を得た。
〔α〕D 25=−11.8°(c 0.5,メタノール)
【0060】実施例4(1S)−3−(2−シクロヘキシルエチル)−1,8,8−トリメチル−3−アザビシクロ3.2.1オクタン(1S)−1,8,8−トリメチル−3−アザビシクロ3.2.1オクタン塩酸塩0.95gの塩化メチレン20ml溶液にトリエチルアミン0.84mlを加え、0℃で30分撹拌した。そこへシクロヘキシル酢酸0.72g、続いてWSC1.35gを加え、徐々に室温に戻し25時間撹拌した。反応液を、飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥した。乾燥剤濾別後、濾液を減圧濃縮して粗(1S)−3−シクロヘキシルアセチル−1,8,8−トリメチル−3−アザビシクロ3.2.1オクタンを得た。
【0061】これを単離することなく、水素化リチウムアルミニウム0.38gのTHF30ml溶液へ加え1時間加熱還流した。反応液を冷却し、6N塩酸、続いて1N水酸化ナトリウムを加え不溶物を濾別し、濾液を減圧濃縮した。得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ワコーゲル、C200、クロロホルム:アセトン:メタノール=10:1:0.1)で精製し、表題の目的物を得た。収量1.01g(収率77%)
実施例1と同様の方法で処理し、塩酸塩を得た。
〔α〕D 25=−11.5°(c 0.5,メタノール)
【0062】実施例5(1R)−3−シクロヘキシルアセチル−1,8,8−トリメチル−3−アザビシクロ[3.2.1]オクタン(1R)−1,8,8−トリメチル−3−アザビシクロ3.2.1オクタン塩酸塩0.95gの塩化メチレン20ml溶液にトリエチルアミン0.84mlを加え、0℃で30分撹拌した。そこへシクロヘキシル酢酸0.72g、続いてWSC1.35gを加え、徐々に室温に戻し24時間撹拌した。反応液を飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥した。乾燥剤濾別後、濾液を減圧濃縮して得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ワコーゲル、C200、クロロホルム:メタノール=50:1)で精製し、表題の目的物を得た。収量0.52g(収率37%)
【0063】実施例6(1R)−3−(2−シクロヘキシルエチル)−1,8,8−トリメチル−3−アザビシクロ3.2.1オクタン水素化リチウムアルミニウム0.15gのTHF20ml溶液へ(1R)−3−シクロヘキシルアセチル−1,8,8−トリメチル−3−アザビシクロ3.2.1オクタン0.52gを加え1時間加熱還流した。反応液を冷却し、水を加え不溶物を濾別し、濾液を減圧濃縮した。得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ワコーゲル、C200、クロロホルム:アセトン:メタノール=5:1:0.1)で精製し、表題の目的物を得た。収量0.30g(収率61%)
実施例1と同様の方法で処理し、塩酸塩を得た。
〔α〕D 25=+11.6°(c 0.5,メタノール)
【0064】参考例3メチルシクロヘプチリデンアセテートシクロヘプタノン1.18mlとメチルジエチルホスホノアセテート2.21mlをベンゼン10mlに溶解し、水素化ナトリウム(60%、油分散体)0.08gを加え、室温で15時間、その後、6時間加熱還流した。反応液に水を加え、クロロホルムで抽出し、無水硫酸ナトリウムで乾燥した。乾燥剤濾別後、濾液を減圧濃縮した。得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ワコーゲル、C200、クロロホルム)で精製し、表題の目的物を得た。収量1.20g(収率71%)
【0065】参考例4シクロヘプチルエチルアルコール水素化リチウムアルミニウム0.81gのTHF35ml溶液にメチルシクロヘプチリデンアセテート1.20gを加え4時間加熱還流した。反応液を冷却し、水と10%水酸化ナトリウムを加え不溶物を濾別した。濾液をエーテルで抽出し、無水硫酸ナトリウムで乾燥した。乾燥剤濾別後、濾液を減圧濃縮した。これをメタノール50mlに溶解し、10%Pd−C0.12gを加え水素気流下、常温常圧にて4時間接触還元を行った。反応後、Pd−Cを濾別し、濾液を減圧濃縮して表題の目的物を得た。収量0.45g(収率45%)
【0066】実施例7(1S)−3−(2−シクロヘプチルエチル)−1,8,8−トリメチル−3−アザビシクロ3.2.1オクタンシクロヘプチルエチルアルコール0.45gを塩化メチレン20mlに溶解し、0℃に冷却してメタンスルホニルクロライド0.30ml、続いてトリエチルアミン0.62mlを加え、徐々に室温に戻し22時間半撹拌した。
【0067】反応液を減圧濃縮し、粗メシル体を得た。これに(1S)−1,8,8−トリメチル−3−アザビシクロ[3.2.1]オクタン塩酸塩0.51gと炭酸カリウム1.10gを加え、アセトニトリル20ml溶液として24時間加熱還流した。反応液から不溶物を濾別し、濾液を減圧濃縮した。得られた残渣をフラッシュカラムクロマトグラフィー(メルク、シリカゲル60:230−600メッシュ、クロロホルム)で精製し、表題の目的物を得た。収量0.61g(収率82%)
実施例1と同様の方法で処理し、塩酸塩を得た。
〔α〕D 25=−11.7°(c 0.5,メタノール)
【0068】参考例5メチルシクロオクチリデンアセテートシクロオクタノン2.00gとメチルジエチルホスホノアセテート3.50mlをTHF20mlに溶解し、0℃に冷却してカリウムターシャリブトキシド2.67gのターシャリーブタノール10ml溶液を20分かけて滴下した。徐々に室温に戻し12時間撹拌した。反応液に水を加え、THFのみを減圧濃縮した。得られた残渣を酢酸エチルで抽出し、無水硫酸ナトリウムで乾燥した。乾燥剤濾別後、濾液を減圧濃縮した。得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ワコーゲル、C200、クロロホルム)で精製し、表題の目的物を得た。収量1.33g(収率46%)
【0069】参考例6シクロオクチル酢酸メチルエステルメチルシクロオクチリデンアセテート0.50gをメタノール5mlに溶解し、10%Pd−C0.10gを加え水素気流下、常温常圧にて3時間接触還元を行った。反応後、Pd−Cを濾別し、濾液を減圧濃縮して表題の目的物を得た。収量0.45g(収率88%)
【0070】参考例7シクロオクチル酢酸シクロオクチル酢酸メチルエステル0.45gをメタノール10mlに溶解し、そこへ、1N水酸化ナトリウム4.0mlを加え室温で7時間撹拌した。反応液を減圧濃縮し、残渣に飽和重曹水を加えエーテルで洗浄した。水層を冷却し、6N塩酸で酸性とした後、酢酸エチルで抽出し、無水硫酸ナトリウムで乾燥した。乾燥剤濾別後、濾液を減圧濃縮して表題の目的物を得た。収量0.28g(収率67%)
【0071】実施例8(1S)−3−(2−シクロオクチルエチル)−1,8,8−トリメチル−3−アザビシクロ3.2.1オクタン(1S)−1,8,8−トリメチル−3−アザビシクロ3.2.1オクタン塩酸塩0.28gの塩化メチレン10ml溶液にトリエチルアミン0.24mlを加え、0℃で30分撹拌した。そこへシクロオクチル酢酸0.25g、続いてWSC0.40gを加え、徐々に室温に戻し21時間撹拌した。反応液を飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥した。乾燥剤濾別後、濾液を減圧濃縮して粗(1S)−3−シクロオクチルアセチル−1,8,8−トリメチル−3−アザビシクロ[3.2.1]オクタンを得た。
【0072】これを単離することなく、水素化リチウムアルミニウム0.12gのTHF15ml溶液へ加え1時間加熱還流した。反応液を冷却し、水を加え不溶物を濾別し、濾液を減圧濃縮した。得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ワコーゲル、C200、クロロホルム:アセトン=10:1)で精製し、表題の目的物を得た。収量0.26g(収率61%)
実施例1と同様の方法で処理し、塩酸塩を得た。
〔α〕D 25=−12.9°(c 0.5,メタノール)
【0073】実施例9(1S)−3−(4−シクロヘキシル−1−ブチル)−1,8,8−トリメチル−3−アザビシクロ3.2.1オクタン4−シクロヘキシル−1−ブタノール0.52mlを塩化メチレン20mlに溶解し、0℃に冷却してメタンスルホニルクロライド0.28ml、続いてトリエチルアミン0.50mlを加え、徐々に室温に戻し6時間半撹拌した。反応液を減圧濃縮し、粗メシル体を得た。
【0074】これに(1S)−1,8,8−トリメチル−3−アザビシクロ3.2.1オクタン塩酸塩0.47gと炭酸カリウム1.04gを加え、アセトニトリル20ml溶液として15時間加熱還流した。反応液から不溶物を濾別し、濾液を減圧濃縮した。得られた残渣をフラッシュカラムクロマトグラフィー(メルク、シリカゲル60:230−600メッシュ、クロロホルム)で精製し、表題の目的物を得た。収量0.55g(収率75%)
実施例1と同様の方法で処理し、塩酸塩を得た。
〔α〕D 25=−13.1°(c 0.5,メタノール)
【0075】実施例10(1S)−3−(3−シクロヘキシルプロピル)−1,8,8−トリメチル−3−アザビシクロ3.2.1オクタン(1S)−1,8,8−トリメチル−3−アザビシクロ3.2.1オクタン塩酸塩0.49gの塩化メチレン20ml溶液にトリエチルアミン0.43mlを加え、0℃で40分撹拌した。そこへ3−シクロヘキシルプロピオン酸0.44ml、続いてWSC0.59gを加え、徐々に室温に戻し45時間撹拌した。反応液を減圧濃縮し、残渣をエーテル溶液にして10%水酸化ナトリウムで洗浄後、無水硫酸ナトリウムで乾燥した。乾燥剤濾別後、濾液を減圧濃縮して粗(1S)−3−(3−シクロヘキシルプロピオニル)−1,8,8−トリメチル−3−アザビシクロ[3.2.1]オクタンを得た。
【0076】これを単離することなく、水素化リチウムアルミニウム0.19gのTHF20ml溶液へ加え1時間半加熱還流した。反応液を冷却し、エーテル、水そして10%水酸化ナトリウムを加え不溶物を濾別した。濾液をエーテルで抽出し、無水硫酸ナトリウムで乾燥した。乾燥剤濾別後、濾液を減圧濃縮した。得られた残渣をフラッシュカラムクロマトグラフィー(メルク、シリカゲル60:230−600メッシュ、クロロホルム〜クロロホルム:アセトン=20:1)で精製し、表題の目的物を得た。収量0.56g(収率79%)
実施例1と同様の方法で処理し、塩酸塩を得た。
〔α〕D 25=−11.3°(c 0.5,メタノール)
【0077】実施例11(1S)−3−シクロヘキシルメチル−1,8,8−トリメチル−3−アザビシクロ3.2.1オクタン(1S)−1,8,8−トリメチル−3−アザビシクロ3.2.1オクタン塩酸塩0.50gとシクロヘキシルメチルブロマイド0.44mlをアセトニトリル25mlに溶解し、これに炭酸カリウム1.10gを加え26時間加熱還流した。反応液から不溶物を濾別し、濾液を減圧濃縮した。得られた残渣をフラッシュカラムクロマトグラフィー(メルク、シリカゲル60:230−600メッシュ、クロロホルム〜クロロホルム:アセトン=20:1)で精製し、表題の目的物を得た。収量0.66g(収率100%)実施例1と同様の方法で処理し、塩酸塩を得た。
〔α〕D 25=−11.0°(c 0.5,メタノール)
【0078】実施例12(1R)−3−シクロヘキシルメチル−1,8,8−トリメチル−3−アザビシクロ3.2.1オクタン(1R)−1,8,8−トリメチル−3−アザビシクロ3.2.1オクタン3.00gとシクロヘキシルメチルブロマイド5.48mlをアセトニトリル50mlに溶解し、これに炭酸カリウム6.78gを加え39時間加熱還流した。反応液から不溶物を濾別し、濾液を減圧濃縮した。得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ワコーゲル、C200、クロロホルム)で精製し、表題の目的物を得た。収量4.62g(収率95%)
実施例1と同様の方法で処理し、塩酸塩を得た。
〔α〕D 25=+13.0°(c 0.5,メタノール).
【0079】実施例13(1S)−3−シクロヘキシル−1,8,8−トリメチル−3−アザビシクロ[3.2.1]オクタン(1S)−1,8,8−トリメチル−3−アザビシクロ[3.2.1]オクタン塩酸塩0.12gとシクロヘキシルブロマイド0.092mlをアセトニトリル5mlに溶解し、これに炭酸カリウム0.26gを加え51時間加熱還流した。反応液から不溶物を濾別し、濾液を減圧濃縮した。得られた残渣をフラッシュカラムクロマトグラフィー(メルク、シリカゲル60:230−600メッシュ、クロロホルム〜クロロホルム:アセトン=20:1)で精製し、表題の目的物を得た。収量32.0mg(収率22%)
実施例1と同様の方法で処理し、塩酸塩を得た。
【0080】実施例14(1R)−3−[2−(1−アダマンチル)エチル]−1,8,8−トリメチル−3−アザビシクロ[3.2.1]オクタン(1R)−1,8,8−トリメチル−3−アザビシクロ[3.2.1]オクタン塩酸塩0.95g(5.0ミリモル)と1ーアダマンチル酢酸1.17g(6.0ミリモル)から実施例1の化合物の合成と同様に反応し、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(ワコ−ゲル、C200、クロロホルム:アセトン=20:1)で精製し、表題の目的物を得た。収量1.21g(収率77%)
実施例1と同様の方法で処理し、塩酸塩を得た。
〔α〕D 25=+9.2°(c 0.5,メタノール).
【0081】参考例8メチル 2−アダマンチリデンアセテ−ト2−アダマンタノン115.00g(0.77モル)とメチルジエチルホスホノアセテ−ト210.78ml(1.15モル)のメタノ−ル500ml溶液を0℃に冷却し、ナトリウムメチラ−トの28%メタノ−ル溶液371.7gを滴下して徐々に室温に戻し4時間撹拌した。反応液を減圧濃縮し、得られた残渣に水を加え酢酸エチルで抽出した後、無水硫酸ナトリウムで乾燥した。乾燥剤濾別後、濾液を減圧濃縮して得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ワコ−ゲル、C200、ノルマルヘキサン:酢酸エチル=20:1)で精製し、表題の目的物を得た。収量157.70g(収率100%)
【0082】参考例92−アダマンチル酢酸メチルエステルメチル 2−アダマンチリデンアセテ−ト145g(0.74モル)のメタノ−ル1150ml溶液に10%パラジウム炭素2.90gと蟻酸アンモニウム178g(2.8モル)を加え室温で3時間撹拌した。反応液からパラジウム炭素を濾別し、濾液を減圧濃縮した。得られた残渣に水を加え酢酸エチルで抽出した後、無水硫酸ナトリウムで乾燥した。乾燥剤濾別後、濾液を減圧濃縮し、表題の目的物を得た。収量146.41g(収率100%)
【0083】参考例102−アダマンチル酢酸2−アダマンチル酢酸メチルエステル150g(0.72モル)のメタノ−ル1125ml溶液に2.5N水酸化ナトリウム433mlを加え室温で6時間撹拌した。反応液を減圧濃縮し、残渣に重曹水を加えエ−テルで洗浄した。水層を12N塩酸を加えpH1にし、酢酸エチルで抽出した後、無水硫酸ナトリウムで乾燥した。乾燥剤濾別後、濾液を減圧濃縮し、表題の目的物を得た。収量129.39g(収率93%)
【0084】実施例15(1S)−3−[2−(2−アダマンチル)エチル]−1,8,8−トリメチル−3−アザビシクロ[3.2.1]オクタン(1S)−1,8,8−トリメチル−3−アザビシクロ[3.2.1]オクタン塩酸塩0.78g(4.1ミリモル)の塩化メチレン20ml溶液にトリエチルアミン0.69ml(5.0ミリモル)を加え、0℃で30分撹拌した。そこへ、2−アダマンチル酢酸0.80g(4.1ミリモル)、続いてWSC1.11g(5.79ミリモル)を加え、徐々に室温に戻し23時間撹拌した。反応液を、飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥した。乾燥剤濾別後、濾液を減圧濃縮して粗(1S)−3−(2−アダマンチルアセチル)−1,8,8−トリメチル−3−アザビシクロ[3.2.1]オクタンを得た。
【0085】これを単離することなく、水素化リチウムアルミニウム0.47g(12ミリモル)のTHF50ml溶液へ加え2時間加熱還流した。反応液を冷却し、水を加え不溶物を濾別し、濾液を減圧濃縮した。得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ワコ−ゲル、C200、クロロホルム:アセトン=10:1〜5:1)で精製し、表題の目的物を得た。収量1.26g(収率97%)
実施例1と同様の方法で処理し、塩酸塩を得た。
〔α〕D 25=−10.2°(c 0.5,メタノール)
【0086】実施例16(1R)−3−[2−(2−アダマンチル)エチル]−1,8,8−トリメチル−3−アザビシクロ[3.2.1]オクタン(1R)−1,8,8−トリメチル−3−アザビシクロ[3.2.1]オクタン塩酸塩0.38g(2.0ミリモル)と2ーアダマンチル酢酸0.43g(2.2ミリモル)から実施例15の化合物の合成と同様に反応し、シリカゲルカラムクロマトグラフィ−(ワコ−ゲル、C200、クロロホルム:アセトン=10:1)で精製し、表題の目的物を得た。収量0.57g(収率91%)
実施例1と同様の方法で処理し、塩酸塩を得た。
〔α〕D 25=+10.5°(c 0.5,メタノール)
【0087】参考例112−アダマンチルエタノ−ル水素化リチウムアルミニウム0.16g(4.2ミリモル)のジエチルエ−テル20ml溶液に2−アダマンチル酢酸メチルエステル0.57g(2.7ミリモル)を加え2時間加熱還流した。反応液を冷却し、水を加え不溶物を濾別した。濾液をエ−テル抽出し、無水硫酸ナトリウムで乾燥した。乾燥剤濾別後、濾液を減圧濃縮し、表題の目的物を得た。収量0.23g(収率47%)
【0088】実施例17(1S)−3−[2−(2−アダマンチル)エチル]−1,8,8−トリメチル−3−アザビシクロ[3.2.1]オクタン2−アダマンチルエタノ−ル0.64g(3.6ミリモル)の塩化メチレン10ml溶液を0℃に冷却し、メタンスルホニルクロライド0.42ml(5.4ミリモル)続いてトリエチルアミン1.00ml(7.17ミリモル)を加え徐々に室温に戻し15時間撹拌した。反応液を減圧濃縮し、粗メシル体を得た。
【0089】これに(1S)−1,8,8−トリメチル−3−アザビシクロ[3.2.1]オクタン塩酸塩0.68g(3.6ミリモル)と炭酸カリウム1.49g(10.8ミリモル)を加え、アセトニトリル30ml溶液とし、18時間加熱還流した。反応液の不溶物を濾別し、濾液を減圧濃縮した。得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ワコ−ゲル、C200、クロロホルム:アセトン=20:1〜5:1)で精製し、表題の目的物を得た。収量0.59g(収率53%)
実施例1と同様の方法で処理し、塩酸塩を得た。
【0090】実施例18(1S)−3−[2−(4−メチルシクロヘキシル)エチル]−1,8,8−トリメチル−3−アザビシクロ[3.2.1]オクタン(1S)−1,8,8−トリメチル−3−アザビシクロ[3.2.1]オクタン塩酸塩0.95gの塩化メチレン20ml溶液にトリエチルアミン0.84mlを加え0℃で30分攪拌した。そこへ、4−メチルシクロヘキシル酢酸0.94g、続いてWSC1.35gを加え、徐々に室温に戻し24時間攪拌した。反応後、飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥した。乾燥剤濾別後、濾液を減圧濃縮して粗(1S)−3−(4−メチルシクロヘキシルアセチル)−1,8,8−トリメチル−3−アザビシクロ[3.2.1]オクタンを得た。
【0091】これを単離することなく、水素化リチウムアルミニウム0.39gのTHF30ml溶液へ加え1時間加熱還流した。反応後、冷却し、水を加え不溶物を濾別し、濾液を減圧濃縮した。得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィ−(ワコ−ゲル、C200、クロロホルム:アセトン=10:1)で精製し、表題の目的物を得た。収量1.37g(収率100%)
実施例1と同様の方法で処理し、塩酸塩を得た。
〔α〕D 25=−11.0゜(c 0.5、メタノール)
【0092】実施例19(1S)−3−[2−(3−メチル−1−アダマンチル)エチル]−1,8,8−トリメチル−3−アザビシクロ[3.2.1]オクタン(1S)−1,8,8−トリメチル−3−アザビシクロ[3.2.1]オクタン塩酸塩0.51gの塩化メチレン15ml溶液にトリエチルアミン0.53mlを加え0℃で30分攪拌した。そこへ、3−メチル−1−アダマンチル酢酸0.68g、続いてWSC0.73gを加え、徐々に室温に戻し23.5時間攪拌した。反応後、飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥した。乾燥剤濾別後、濾液を減圧濃縮して粗(1S)−3−(3−メチル−1−アダマンチルアセチル)−1,8,8−トリメチル−3−アザビシクロ[3.2.1]オクタンを得た。
【0093】これを単離することなく、水素化リチウムアルミニウム0.21gのTHF15ml溶液へ加え3時間加熱還流した。反応後、冷却し、水を加え不溶物を濾別し、濾液を減圧濃縮した。得られた残渣をフラッシュカラムクロマトグラフィ−(メルク、シリカゲル60:230−600メッシュ、クロロホルム)で精製し、表題の目的物を得た。収量0.63g(収率71%)
実施例1と同様の方法で処理し、塩酸塩を得た。
〔α〕D 25=−9.4゜(c 0.5、メタノール)
【0094】実施例20(1S)−3−(3−ノルアダマンチルメチル)−1,8,8−トリメチル−3−アザビシクロ[3.2.1]オクタン(1S)−1,8,8−トリメチル−3−アザビシクロ[3.2.1]オクタン塩酸塩100mgの塩化メチレン5ml溶液にトリエチルアミン0.096mlを加え0℃で30分攪拌した。そこへ、WSC0.132g、続いて3−ノルアダマンタンカルボン酸96.5mgを加え、徐々に室温に戻し15.5時間攪拌した。反応液を飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥した。乾燥剤濾別後、濾液を減圧濃縮して粗(1S)−3−(3−ノルアダマンチルカルボニル)−1,8,8−トリメチル−3−アザビシクロ[3.2.1]オクタンを得た。
【0095】これを単離することなく、水素化リチウムアルミニウム24.0mgのTHF10ml溶液へ加え1.5時間加熱還流した。反応液を冷却し、水を加え不溶物を濾別後、濾液を減圧濃縮した。得られた残渣シリカゲルカラムクロマトグラフィー(ワコーゲル、C200、クロロホルム)で精製し、表題の目的物を得た。収量118.2mg(収率78%)
実施例1と同様の方法で処理し、塩酸塩を得た。
〔α〕D 25=−9.4゜(c 0.5,メタノール)
【0096】参考例12メチル 9−ビシクロ[3.3.1]ノニリデンアセテートビシクロ[3.3.1]ノナン−9−オン0.50gとメチルジエチルホスホノアセテート1.00mlの1,2−ジメトキシエタン(DME)10ml溶液に水素化ナトリウム(60%、油分散体)0.30gを加え室温で3時間撹拌した。反応液に水を加え未反応の水素化ナトリウムを分解した後、DMEを減圧濃縮した。残渣をクロロホルムで抽出し、無水硫酸ナトリウムで乾燥した。乾燥剤濾別後、濾液を減圧濃縮して得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ワコーゲル、C200、ノルマルヘキサン:酢酸エチル=20:1)で精製し、表題の目的物得た。収量 0.70g(収率100%)
【0097】参考例139−ビシクロ[3.3.1]ノニル酢酸メチルエステルメチル 9−ビシクロ[3.3.1]ノニリデンアセテート0.70gのメタノール10ml溶液に10%Pd−C0.07gを加え水素気流下、常温常圧にて2時間接触還元を行った。反応液からPd−Cを濾別し、濾液を減圧濃縮して表題の目的物を得た。収量0.67g(収率94%)
【0098】参考例149−ビシクロ[3.3.1]ノニル酢酸9−ビシクロ[3.3.1]ノニル酢酸メチルエステル0.67gのメタノール15ml溶液に1N水酸化ナトリウム水溶液5.2mlを加え室温で5時間撹拌した。反応液を減圧濃縮し、得られた残渣に飽和重曹水を加えエーテル洗浄した。水層を12N塩酸でpH1とし、酢酸エチルで抽出して無水硫酸ナトリウムで乾燥した。乾燥剤濾別後、濾液を減圧濃縮して表題の目的物を得た。収量0.44g(収率71%)
【0099】実施例21(1S)−3−[2−(ビシクロ[3.3.1]ノナン−9−イル)エチル]−1,8,8−トリメチル−3−アザビシクロ[3.2.1]オクタン(1S)−1,8,8−トリメチル−3−アザビシクロ[3.2.1]オクタン塩酸塩100mgの塩化メチレン10ml溶液にトリエチルアミン0.12mlを加え0℃で30分攪拌した。そこへ、9−ビシクロ[3.3.1]ノニル酢酸97.0mg、続いてWSC0.15gを加え、徐々に室温に戻し19時間攪拌した。反応液を飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥した。乾燥剤濾別後、濾液を減圧濃縮して粗(1S)−3−(ビシクロ[3.3.1]ノナンー9ーイル)アセチル−1,8,8−トリメチル−3−アザビシクロ[3.2.1]オクタンを得た。
【0100】これを単離することなく、水素化リチウムアルミニウム41mgのTHF10ml溶液へ加え1時間加熱還流した。反応液を冷却し、水を加え不溶物を濾別後、濾液を減圧濃縮した。得られた残渣シリカゲルカラムクロマトグラフィー(ワコーゲル、C200、クロロホルム:アセトン=10:1〜5:1)で精製して表題の目的物を得た。収量110mg(収率69%)
実施例1と同様の方法で処理し、塩酸塩を得た。
[α]D 25=−17.9゜(c 0.5,メタノール)
【0101】実施例22(1S)−3−(1−アダマンチルメチル)−1,8,8−トリメチル−3−アザビシクロ[3.2.1]オクタン(1S)−1,8,8−トリメチル−3−アザビシクロ[3.2.1]オクタン塩酸塩100mgの塩化メチレン5ml溶液にトリエチルアミン0.096mlを加え0℃で30分攪拌した。そこへ、WSC0.13g、続いて1−アダマンタンカルボン酸0.11gを加え、徐々に室温に戻し15時間攪拌した。反応液を飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥した。乾燥剤濾別後、濾液を減圧濃縮して粗(1S)−3−(1−アダマンチルカルボニル)−1,8,8−トリメチル−3−アザビシクロ[3.2.1]オクタンを得た。
【0102】これを単離することなく、水素化リチウムアルミニウム24.0mgのTHF10ml溶液へ加え1.5時間加熱還流した。反応液を冷却し、水を加え不溶物を濾別後、濾液を減圧濃縮した。得られた残渣シリカゲルカラムクロマトグラフィー(ワコーゲル、C200、クロロホルム)で精製して表題の目的物を得た。収量71.2mg(収率45%)
実施例1と同様の方法で処理し、塩酸塩を得た。
〔α〕D 25=−10.5゜(c 0.5,メタノール)
【0103】参考例15メチル 5−ヒドロキシ−2−アダマンチリデンアセテートメチルジエチルホスホノアセテート0.200mlのDME5ml溶液を−10℃に冷却し、水素化ナトリウム(60%、油分散体)54.3mgを加え同温で1時間撹拌した。そこへ、5−ヒドロキシ−2−アダマンタノン150mgのDME5ml溶液を加え同温にて1.5時間撹拌した。そこへ、水を加えDMEを減圧濃縮し、残渣をクロロホルム抽出して無水硫酸ナトリウムで乾燥した。乾燥剤濾別後、濾液を減圧濃縮し得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ワコーゲル、C200、クロロホルム)で精製して表題の目的物を得た。収量180mg(収率90%)
【0104】参考例165−ヒドロキシ−2−アダマンチル酢酸メチルエステルメチル 5−ヒドロキシ−2−アダマンチリデンアセテート179.9mgのメタノール5ml溶液に10%Pd−C18.0mgを加え水素気流下、常温常圧にて2.5時間接触還元を行った。反応液からPd−Cを濾別し、濾液を減圧濃縮して目的物を無色油状物で得た。収量166.3mg(収率92%)
【0105】参考例175−ヒドロキシ−2−アダマンチル酢酸5−ヒドロキシ−2−アダマンチル酢酸メチルエステル181.5mgのメタノール10ml溶液に2.5N水酸化ナトリウム水溶液0.49mlを加え室温で14時間撹拌した。反応液を減圧濃縮し、得られた残渣に飽和重曹水を加えエーテル洗浄した。水層を12N塩酸でpH1とし、酢酸エチルで抽出して無水硫酸ナトリウムで乾燥した。乾燥剤濾別後、濾液を減圧濃縮して表題の目的物を得た。収量150mg(収率88%)
【0106】実施例23(1S)−3−[−(5−ヒドロキシ−2−アダマンチル)エチル]−1,8,8−トリメチル−3−アザビシクロ[3.2.1]オクタン(1S)−1,8,8−トリメチル−3−アザビシクロ[3.2.1]オクタン塩酸塩0.44gの塩化メチレン15ml溶液にトリエチルアミン0.38mlを加え0℃で30分攪拌した。そこへ、WSC0.53g、続いて5−ヒドロキシ−2−アダマンチル酢酸0.44gを加え、徐々に室温に戻し14.5時間攪拌した。反応液を飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥した。乾燥剤濾別後、濾液を減圧濃縮して粗(1S)−3−(5−ヒドロキシ−2−アダマンチルアセチル)−1,8,8−トリメチル−3−アザビシクロ[3.2.1]オクタンを得た。
【0107】これを単離することなく、水素化リチウムアルミニウム95.5mgのTHF30ml溶液へ加え1.5時間加熱還流した。反応液を冷却し、水を加え不溶物を濾別後、濾液を減圧濃縮した。得られた残渣シリカゲルカラムクロマトグラフィー(ワコーゲル、C200、クロロホルム:メタノール=150:1)で精製して表題の目的物を得た。収量556mg(収率79%)実施例1と同様の方法で処理し、塩酸塩を得た。
[α]D 25=−10.9゜(c 0.5,メタノール)
【0108】参考例185−メトキシ−2−アダマンタノン5−ヒドロキシ−2−アダマンタノン100mg、ヨウ化メチル0.113mlのTHF5ml溶液を0℃に冷却し、水素化ナトリウム(60%、油分散体)48.2mgを加え徐々に室温にもどし25時間攪拌した。反応液に水を加えTHFのみを減圧濃縮した。得られた残渣をクロロホルムで抽出し、無水硫酸ナトリウムで乾燥した。乾燥剤濾別後、濾液を減圧濃縮し、得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ワコーゲル、C200、ノルマルヘキサン:酢酸エチル=10:1)で精製して表題の目的物を得た。収量57.7mg(収率54%)
【0109】参考例19メチル 5−メトキシアダマンチリデンアセテート5−メトキシ−2−アダマンタノン57.7mgとメチルジエチルホスホノアセテート70.6μlのDME2ml溶液を0℃に冷却し、水素化ナトリウム(60%、油分散体)25.6mgを加え徐々に室温にもどし3.5時間撹拌した。反応液に水を加え未反応の水素化ナトリウムを分解した後、DMEを減圧濃縮した。残渣をクロロホルムで抽出し、無水硫酸ナトリウムで乾燥した。乾燥剤濾別後、濾液を減圧濃縮して得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ワコーゲル、C200、ノルマルヘキサン:酢酸エチル=10:1)で精製し、表題の目的物を得た。収量53.2mg(収率70%)
【0110】参考例205−メトキシ−2−アダマンチル酢酸メチルエステルメチル 5−メトキシ−2−アダマンチリデンアセテ−ト53.2mgのメタノール2ml溶液に10%Pd−C5.3mgを加え水素気流下、常温常圧にて1.5時間接触還元を行った。反応液からPd−Cを濾別し、濾液を減圧濃縮して表題の目的物を得た。収量50.0mg(収率93%)
【0111】参考例215−メトキシ−2−アダマンチル酢酸5−メトキシ−2−アダマンチル酢酸メチルエステル50.0mgのメタノール2ml溶液に2.5N水酸化ナトリウム水溶液0.13mlを加え室温で7時間撹拌した。反応液を減圧濃縮し、得られた残渣に飽和重曹水を加えエーテル洗浄した。水層を12N塩酸でpH1とし、酢酸エチルで抽出して無水硫酸ナトリウムで乾燥した。乾燥剤濾別後、濾液を減圧濃縮して表題の目的物を得た。収量36.2g(収率77%)
【0112】実施例24(1S)−3−[−(5−メトキシ−2−アダマンチル)エチル]−1,8,8−トリメチル−3−アザビシクロ[3.2.1]オクタン(1S)−1,8,8−トリメチル−3−アザビシクロ[3.2.1]オクタン塩酸塩33.7mgの塩化メチレン1ml溶液にトリエチルアミン29.3μlを加え0℃で30分攪拌した。そこへ、5−メトキシ−2−アダマンチル酢酸36.2mg、続いてWSC40.3mgを加え、徐々に室温にもどし20.5時間攪拌した。反応液を飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥した。乾燥剤濾別後、濾液を減圧濃縮して粗(1S)−3−(5−メトキシ−2−アダマンチルアセチル)−1,8,8−トリメチル−3−アザビシクロ[3.2.1]オクタンを得た。
【0113】これを単離することなく、水素化リチウムアルミニウム7.4mgのTHF3ml溶液へ加え1.5時間加熱還流した。反応液を冷却し、水を加え不溶物を濾別後、濾液を減圧濃縮した。得られた残渣シリカゲルカラムクロマトグラフィー(ワコーゲル、C200、クロロホルム:アセトン=20:1〜10:1)で精製して表題の目的物を得た。収量32.1mg(収率58%)
実施例1と同様の方法で処理し、塩酸塩を得た。
〔α〕D 25=−22.5°(c 0.1,メタノール)
【0114】実施例25(1S)−3−[−(5−クロロ−2−アダマンチル)エチル]−1,8,8−トリメチル−3−アザビシクロ[3.2.1]オクタン(1S)−3−[−(5−ヒドロキシ−2−アダマンチル)エチル]−1,8,8−トリメチル−3−アザビシクロ[3.2.1]オクタン80.3mgに塩化チオニル5mlを加え、4.5時間加熱還流した。反応液を減圧濃縮し、得られた残渣に1N水酸化ナトリウムを加えアルカリ性とした後、クロロホルム抽出した。抽出液を無水硫酸ナトリウムで乾燥した後、乾燥剤濾別後、濾液を減圧濃縮して得られた残渣シリカゲルカラムクロマトグラフィー(ワコーゲル、C200、クロロホルム:アセトン=20:1)で精製して表題の目的物を得た。収量44.8mg(収率53%)
実施例1と同様の方法で処理し、塩酸塩を得た。
〔α〕D 25=−12.2゜(c 0.5,メタノ−ル)
【0115】参考例22メチル 5−フェニル−2−アダマンチリデンアセテ−ト5−フェニル−2−アダマンタノン86.1mgとメチルジエチルホスホノアセテ−ト84.0μlのDME2ml溶液を0℃に冷却し、水素化ナトリウム(60%、油分散体)22.9mgを加え0℃で1.5時間撹拌した。反応液に水を加え未反応の水素化ナトリウムを分解した後、DMEを減圧濃縮した。残渣をクロロホルムで抽出し、無水硫酸ナトリウムで乾燥した。乾燥剤濾別後、濾液を減圧濃縮して得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ワコーゲル、C200、ノルマルヘキサン:酢酸エチル=30:1)で精製し、表題の目的物を得た。収量55.3mg(収率52%)
【0116】参考例235−フェニル−2−アダマンチル酢酸メチルエステルメチル 5−フェニル−2−アダマンチリデンアセテ−ト55.3mgのメタノール2ml溶液に10%Pd−C5.3mgを加え水素気流下、常温常圧にて2.5時間接触還元を行った。反応液からPd−Cを濾別し、濾液を減圧濃縮して表題の目的物を得た。収量55.7mg(収率100%)
【0117】参考例245−フェニル−2−アダマンチル酢酸5−フェニル−2−アダマンチル酢酸メチルエステル55.7mgのメタノール3ml溶液に2.5N水酸化ナトリウム水溶液0.12mlを加え室温で14.5時間撹拌した。反応液を減圧濃縮し、得られた残渣に飽和重曹水を加えエーテル洗浄した。水層を12N塩酸でpH1とし酢酸エチルで抽出して無水硫酸ナトリウムで乾燥した。乾燥剤濾別後、濾液を減圧濃縮して表題の目的物を得た。収量22.6g(収率43%)
【0118】実施例26(1S)−3−[−(5−フェニル−2−アダマンチル)エチル]−1,8,8−トリメチル−3−アザビシクロ[3.2.1]オクタン(1S)−1,8,8−トリメチル−3−アザビシクロ[3.2.1]オクタン塩酸塩15.9mgの塩化メチレン1ml溶液にトリエチルアミン14.0μlを加え0℃で30分攪拌した。そこへ、5−フェニル−2−アダマンチル酢酸22.6mg、続いてWSC19.3mgを加え、徐々に室温にもどし64時間攪拌した。反応液を飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥した。乾燥剤濾別後、濾液を減圧濃縮して粗(1S)−3−(5−フェニル−2−アダマンチルアセチル)−1,8,8−トリメチル−3−アザビシクロ[3.2.1]オクタンを得た。
【0119】これを単離することなく、水素化リチウムアルミニウム3.8mgのTHF3ml溶液へ加え1.5時間加熱還流した。反応液を冷却し、水を加え不溶物を濾別後、濾液を減圧濃縮した。得られた残渣シリカゲルカラムクロマトグラフィー(ワコーゲル、C200、クロロホルム:アセトン=20:1)で精製して表題の目的物を得た。収量7.0mg(収率21%)
実施例1と同様の方法で処理し、塩酸塩を得た。
【0120】参考例25メチル 4−ヒドロキシ−2−アダマンチリデンアセテート4−ヒドロキシ−2−アダマンタノン536.1mgとメチルジエチルホスホノアセテ−ト0.72mlのDME20ml溶液を−10℃に冷却し、水素化ナトリウム(60% 油分散体)259mgを加え同温で1.5時間撹拌した。反応液に水を加え、未反応の水素化ナトリウムを分解した後、DMEを減圧濃縮した。残渣をクロロホルムで抽出し、無水硫酸ナトリウムで乾燥した。乾燥剤濾別後、濾液を減圧濃縮して得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ワコーゲル、C200、クロロホルム)で精製し、表題の目的物を得た。収量0.51g(収率71%)
【0121】参考例264−ヒドロキシ−2−アダマンチル酢酸メチルエステルメチル 4−ヒドロキシ−2−アダマンチリデンアセテ−ト0.51gのメタノール20ml溶液に10%Pd−C51mgを加え水素気流下、常温常圧にて1時間接触還元を行った。反応液からPd−Cを濾別し、濾液を減圧濃縮して表題の目的物を得た。収量0.47g(収率92%)
【0122】参考例274−ヒドロキシ−2−アダマンチル酢酸4−ヒドロキシ−2−アダマンチル酢酸メチルエステル0.47gのメタノール15ml溶液に2.5N水酸化ナトリウム水溶液1.26mlを加え室温で5.5時間撹拌した。反応液を減圧濃縮し、得られた残渣に飽和重曹水を加えエーテル洗浄した。水層を12N塩酸でpH1とし酢酸エチルで抽出して無水硫酸ナトリウムで乾燥した。乾燥剤濾別後、濾液を減圧濃縮して表題の目的物を得た。収量0.26g(収率59%)
【0123】実施例27(1S)−3−[−(4−ヒドロキシ−2−アダマンチル)エチル]−1,8,8−トリメチル−3−アザビシクロ[3.2.1]オクタン(1S)−1,8,8−トリメチル−3−アザビシクロ[3.2.1]オクタン塩酸塩0.26gの塩化メチレン5ml溶液にトリエチルアミン0.23mlを加え0℃で30分攪拌した。そこへ、4−ヒドロキシ−2−アダマンチル酢酸0.26g、続いてWSC0.31gを加え、徐々に室温にもどし25時間攪拌した。反応液を飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥した。乾燥剤濾別後、濾液を減圧濃縮して粗(1S)−3−(4−ヒドロキシ−2−アダマンチルアセチル)−1,8,8−トリメチル−3−アザビシクロ[3.2.1]オクタンを得た。
【0124】これを単離することなく、水素化リチウムアルミニウム70.5mgのTHF25ml溶液へ加え1.5時間加熱還流した。反応液を冷却し、水を加え不溶物を濾別後、濾液を減圧濃縮した。得られた残渣シリカゲルカラムクロマトグラフィー(ワコーゲル、C200、クロロホルム:メタノール=150:1)で精製して表題の目的物を得た。収量160.5mg(収率39%)
実施例1と同様の方法で処理し、塩酸塩を得た。
【0125】参考例28メチル 4−フェニル−2−アダマンチリデンアセテ−ト4−フェニル−2−アダマンタノン1.43gとメチルジエチルホスホノアセテ−ト1.74mlのDME50ml溶液に水素化ナトリウム(60%、油分散体)506mgを加え、室温で23.5時間撹拌した。反応液にエ−テルを加え水洗し、無水硫酸ナトリウムで乾燥した。乾燥剤濾別後、濾液を減圧濃縮して得られた残渣をフラッシュシリカゲルカラムクロマトグラフィー(メルク、シリカゲル60、230〜400メッシュ、ノルマルヘキサン:酢酸エチル=8:1)で精製し、表題の目的物を得た。収量866mg(収率49%)
【0126】参考例294−フェニル−2−アダマンチル酢酸メチルエステルメチル 4−フェニル−2−アダマンチリデンアセテ−ト838mgのメタノ−ル15ml溶液に10%Pd−C100mgを加え、水素気流下常温常圧で1時間接触還元を行った。反応液からPd−Cを濾別し、濾液を減圧濃縮して表題の目的物を得た。収量838mg(収率96%)
【0127】参考例304−フェニル−2−アダマンチル酢酸4−フェニル−2−アダマンチル酢酸メチルエステル838mgのメタノール20ml溶液に1N水酸化ナトリウム水溶液6mlを加え室温で13.5時間撹拌した。反応液を減圧濃縮し、得られた残渣に飽和重曹水を加えエーテル洗浄した。水層を12N塩酸でpH1とし、塩化メチレンで抽出して無水硫酸ナトリウムで乾燥した。乾燥剤濾別後、濾液を減圧濃縮して表題の目的物を得た。収量774mg(収率97%)
【0128】実施例28(1S)−3−[2−(4−フェニル−2−アダマンチル)エチル]−1,8,8−トリメチル−3−アザビシクロ[3.2.1]オクタン(1S)−1,8,8−トリメチル−3−アザビシクロ[3.2.1]オクタン塩酸塩815mgの塩化メチレン30ml溶液にトリエチルアミン1.00mlを加え0℃で30分攪拌した。そこへ、4−フェニル−2−アダマンチル酢酸774mg、続いてWSC1.65gを加え、徐々に室温にもどし16.5時間攪拌した。反応液を1N塩酸で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥した。乾燥剤濾別後、濾液を減圧濃縮して粗(1S)−3−(4−フェニル−2−アダマンチルアセチル)−1,8,8−トリメチル−3−アザビシクロ[3.2.1]オクタンを得た。
【0129】これを単離することなく、水素化リチウムアルミニウム229mgのTHF30ml溶液へ加え1時間加熱還流した。反応液を冷却し、水と2.5N水酸化ナトリウムを加え不溶物を濾別後、濾液を減圧濃縮した。得られた残渣をフラッシュシリカゲルカラムクロマトグラフィー(メルク、シリカゲル60、230〜400メッシュ、クロロホルム)で精製して表題の目的物を得た。収量878mg(収率78%)
実施例1と同様の方法で処理し、塩酸塩を得た。
〔α〕D 25=−8.9゜(c 0.5,メタノ−ル)
【0130】実施例29(1R)−3−[2−(4−フェニル−2−アダマンチル)エチル]−1,8,8−トリメチル−3−アザビシクロ[3.2.1]オクタン(1R)−1,8,8−トリメチル−3−アザビシクロ[3.2.1]オクタン塩酸塩0.48gと4−フェニル−2−アダマンチル酢酸0.59gから実施例28の化合物の合成と同様に反応し、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(ワコーゲル、C200、クロロホルム)で精製し、表題の目的物を得た。収量0.69g(収率82%)
実施例1と同様の方法で処理し、塩酸塩を得た。
〔α〕D 25=+9.5゜(c 0.5,メタノ−ル)
【0131】実施例30(1R)−3−[−(5−メトキシ−2−アダマンチル)エチル]−1,8,8−トリメチル−3−アザビシクロ[3.2.1]オクタン(1R)−1,8,8−トリメチル−3−アザビシクロ[3.2.1]オクタン塩酸塩28.4mgと5−メトキシ−2−アダマンチル酢酸36.9mgから実施例24の化合物の合成と同様に反応し、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(ワコーゲル、C200、クロロホルム:アセトン=10:1)で精製し、表題の目的物を得た。収量34.1mg(収率66%)
実施例1と同様の方法で処理し、塩酸塩を得た。
〔α〕D 25=+18.7゜(c 0.5,メタノ−ル)
【0132】実施例31(1R)−3−[−(5−ヒドロキシ−2−アダマンチル)エチル]−1,8,8−トリメチル−3−アザビシクロ[3.2.1]オクタン(1R)−1,8,8−トリメチル−3−アザビシクロ[3.2.1]オクタン塩酸塩0.15gと5−ヒドロキシ−2−アダマンチル酢酸0.15gから実施例23の化合物の合成と同様に反応し、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(ワコーゲル、C200、クロロホルム:メタノ−ル=100:1)で精製し、表題の目的物を得た。収量0.16g(収率66%)
実施例1と同様の方法で処理し、塩酸塩を得た。
〔α〕D 25=+11.2゜(c 0.5,メタノール)
【0133】実施例32(1R)−3−[−(5−クロロ−2−アダマンチル)エチル]−1,8,8−トリメチル−3−アザビシクロ[3.2.1]オクタン(1R)−3−[−(5−ヒドロキシ−2−アダマンチル)エチル]−1,8,8−トリメチル−3−アザビシクロ[3.2.1]オクタン82.8mgに塩化チオニル5mlを加え、5時間加熱還流した。反応液を減圧濃縮し、得られた残渣に1N水酸化ナトリウムを加えアルカリ性とした後、クロロホルム抽出した。抽出液を無水硫酸ナトリウムで乾燥した後、乾燥剤濾別後、濾液を減圧濃縮して得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ワコーゲル、C200、クロロホルム:アセトン=20:1)で精製して表題の目的物を得た。収量48.1mg(収率55%)
実施例1と同様の方法で処理し、塩酸塩を得た。
〔α〕D 25=+13.6゜(c 0.5,メタノ−ル)
【0134】実施例33(1R)−3−[−(5−フェニル−2−アダマンチル)エチル]−1,8,8−トリメチル−3−アザビシクロ[3.2.1]オクタン(1R)−1,8,8−トリメチル−3−アザビシクロ[3.2.1]オクタン塩酸塩37.2mgと5−フェニル−2−アダマンチル酢酸53.0mgから実施例26の化合物の合成と同様に反応し、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(ワコーゲル、C200、クロロホルム:アセトン=20:1)で精製し、表題の目的物を得た。収量11.0g(収率13%)
実施例1と同様の方法で処理し、塩酸塩を得た。
【0135】実施例34(1R)−3−[−(4−ヒドロキシ−2−アダマンチル)エチル]−1,8,8−トリメチル−3−アザビシクロ[3.2.1]オクタン(1R)−1,8,8−トリメチル−3−アザビシクロ[3.2.1]オクタン塩酸塩0.22gと4−ヒドロキシ−2−アダマンチル酢酸0.37gから実施例27の化合物の合成と同様に反応し、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(ワコーゲル、C200、クロロホルム:メタノ−ル=150:1)で精製し、表題の目的物を得た。収量74mg(収率19%)
実施例1と同様の方法で処理し、塩酸塩を得た。
【0136】実施例35(1R)−3−[2−(3−メチル−1−アダマンチル)エチル]−1,8,8−トリメチル−3−アザビシクロ[3.2.1]オクタン(1R)−1,8,8−トリメチル−3−アザビシクロ[3.2.1]オクタン塩酸塩0.50gと3−メチル−1−アダマンチル酢酸0.65gから実施例19の化合物の合成と同様に反応し、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(ワコーゲル、C200、クロロホルム)で精製し、表題の目的物を得た。収量0.74g(収率85%)
実施例1と同様の方法で処理し、塩酸塩を得た。
〔α〕D 25=+10.6゜(c 0.5、メタノール)
【0137】実施例36(1S)−3−[3−(2−アダマンチル)−1−プロピル]−1,8,8−トリメチル−3−アザビシクロ[3.2.1]オクタン(1S)−1,8,8−トリメチル−3−アザビシクロ[3.2.1]オクタン塩酸塩50.0mgの塩化メチレン3ml溶液にトリエチルアミン44.1μlを加え0℃で30分攪拌した。そこへ、3−(2−アダマンチル)プロピオン酸60.4mg、続いてWSC65.7mgを加え、徐々に室温に戻し13時間攪拌した。反応後、飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥した。乾燥剤濾別後、濾液を減圧濃縮して粗(1S)−3−[3−(2−アダマンチル)プロピオニル]−1,8,8−トリメチル−3−アザビシクロ[3.2.1]オクタンを得た。
【0138】これを単離することなく、水素化リチウムアルミニウム12.0mgのTHF5ml溶液へ加え3時間加熱還流した。反応後、冷却し、水を加え不溶物を濾別し、濾液を減圧濃縮した。得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィ−(ワコ−ゲル、C200、クロロホルム)で精製し、表題の目的物を得た。収量61.6mg(収率71%)
実施例1と同様の方法で処理し、塩酸塩を得た。
〔α〕D 25=−9.8゜(c 0.5、メタノール)
【0139】実施例37(1R)−3−[3−(2−アダマンチル)−1−プロピル]−1,8,8−トリメチル−3−アザビシクロ[3.2.1]オクタン(1R)−1,8,8−トリメチル−3−アザビシクロ[3.2.1]オクタン塩酸塩50.0mgと3−(2−アダマンチル)プロピオン酸60.4mgから実施例36の化合物の合成と同様に反応し、シリカゲルカラムクロマトグラフィ−(ワコ−ゲル、C200、クロロホルム)で精製し、表題の目的物を得た。収量59.0mg(収率68%)
実施例1と同様の方法で処理し、塩酸塩を得た。
〔α〕D 25=+9.6゜(c 0.5、メタノール)
【0140】実施例38(1S)−3−[2−(3−ノルアダマンチル)エチル]−1,8,8−トリメチル−3−アザビシクロ[3.2.1]オクタン(1S)−1,8,8−トリメチル−3−アザビシクロ[3.2.1]オクタン塩酸塩50.0mgの塩化メチレン3ml溶液にトリエチルアミン44.1μlを加え0℃で30分攪拌した。そこへ、WSC65.7mg、続いて3−ノルアダマンチル酢酸52.2mgを加え、徐々に室温に戻し18時間攪拌した。反応液を飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥した。乾燥剤濾別後、濾液を減圧濃縮して粗(1S)−3−(3−ノルアダマンチルアセチル)−1,8,8−トリメチル−3−アザビシクロ[3.2.1]オクタンを得た。
【0141】これを単離することなく、水素化リチウムアルミニウム12.0mgのTHF5ml溶液へ加え3時間加熱還流した。反応液を冷却し、水を加え不溶物を濾別後、濾液を減圧濃縮した。得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ワコーゲル、C200、クロロホルム)で精製して表題の目的物を得た。収量65.9mg(収率83%)
実施例1と同様の方法で処理し、塩酸塩を得た。
〔α〕D 25=−9.8゜(c 0.5,メタノール)
【0142】実施例39(1S)−3−(2−アダマンチルメチル)−1,8,8−トリメチル−3−アザビシクロ[3.2.1]オクタン(1S)−1,8,8−トリメチル−3−アザビシクロ[3.2.1]オクタン塩酸塩100mgの塩化メチレン5ml溶液にトリエチルアミン0.096mlを加え0℃で30分撹拌した。そこへ、2−アダマンタンカルボン酸0.11g、続いてWSC0.13gを加え、徐々に室温に戻し17時間撹拌した。反応液を飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥した。乾燥剤濾別後、濾液を減圧濃縮して粗(1S)−3−(2−アダマンチルカルボニル)ー1,8,8−トリメチル−3−アザビシクロ[3.2.1]オクタンを得た。
【0143】これを単離することなく、水素化リチウムアルミニウム24.0mgのTHF10ml溶液へ加え2時間加熱還流した。反応液を冷却し、水を加え不溶物濾別後、濾液を減圧濃縮した。得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ワコーゲル、C200、クロロホルム)で精製して表題の目的物を得た。収量53.0mg(収率33%)
実施例1と同様の方法で処理し、塩酸塩を得た。
〔α〕D 25=−9.7゜(c 0.5,メタノール)
【0144】実施例40(1R)−3−(2−アダマンチルメチル)−1,8,8−トリメチル−3−アザビシクロ[3.2.1]オクタン(1R)−1,8,8−トリメチル−3−アザビシクロ[3.2.1]オクタン塩酸塩100mgと2−アダマンタンカルボン酸0.11gから実施例39の化合物の合成と同様に反応し、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(ワコーゲル、C200、クロロホルム)で精製して表題の目的物を得た。収量55.2mg(収率34%)
実施例1と同様の方法で処理し、塩酸塩を得た。
〔α〕D 25=+10.3゜(c 0.5,メタノール)
【0145】実施例41注射剤の製造(1S)−3−[2−(2−アダマンチル)エチル]−1,8,8−トリメチル−3−アザビシクロ[3.2.1]オクタン塩酸塩1.0gを注射用蒸留水1Lに溶解し、1N水酸化ナトリウム水溶液でpH6−7に調節した後、滅菌し、これをアンプルに5mlずつ充填して注射剤を得た。
【0146】実施例42錠剤の製造(1S)−3−[2−(2−アダマンチル)エチル]−1,8,8トリメチル−3−アザビシクロ[3.2.1]オクタン塩酸塩 50.0mg とうもろこし澱粉 40.0mg 結晶セルロース 80.0mg ステアリン酸マグネシウム 0.5mg タルク 29.5mgの組成からなる1錠200mgの錠剤を乾式打錠により得た。
【0147】
【表3】






【0148】
【表4】










【特許請求の範囲】
【請求項1】 一般式
【化1】


〔式中、Rは式
【化2】


(式中、R1 は水素原子、低級アルキル基、低級アルコキシ基、水酸基、ハロゲン原子または置換基を有していてもよいフェニル基を示し、nは0または1を示す)で表される基、低級アルキル基で置換していてもよい炭素数5〜8個のシクロアルキル基、ノルボルニル基またはビシクロ[3.3.1]ノニル基を示し、mは0〜4の整数を示し、C* は不斉炭素原子を示す〕で表されるアゼピン誘導体またはその
【請求項2】 1 が水素原子である請求項1記載のアゼピン誘導体またはその塩
【請求項3】 (1S)−3−〔2−(2−アダマンチル)エチル〕−1,8,8−トリメチル−3−アザビシクロ[3.2.1]オクタンである請求項1または2記載のアゼピン誘導体またはその塩
【請求項4】 一般式
【化3】


式中、Rは式
【化4】


式中、R1 は水素原子、低級アルキル基、低級アルコキシ基、水酸基、ハロゲン原子または置換基を有していてもよいフェニル基を示し、nは0または1を示す)で表される基、低級アルキル基で置換していてもよい炭素数5〜8個のシクロアルキル基、ノルボルニル基またはビシクロ[3.3.1]ノニル基を示し、pは0〜3の整数を示し、C* は不斉炭素原子を示す〕で表される化合物のカルボニル基を還元することを特徴とする一般式
【化5】


式中、mは0〜4の整数、C* は不斉炭素原子を示し、Rは前記と同じ意味を有する)で表されるアゼピン誘導体またはその塩の製造法
【請求項5】 一般式
【化6】


式中、C* は不斉炭素原子を示す)で表されるアミンと一般式X−(CH2 )m−R式中、Rは
【化7】


式中、R1 は水素原子、低級アルキル基、低級アルコキシ基、水酸基、ハロゲン原子または置換基を有していてもよいフェニル基を示し、nは0または1を示す)で表される基、低級アルキル基で置換していてもよい炭素数5〜8個のシクロアルキル基、ノルボルニル基またはビシクロ[3.3.1]ノニル基を示し、Xは反応性有機スルホニルオキシ基またはハロゲン原子を示し、mは0〜4の整数を示す)で表される反応性誘導体を不活性有機溶媒中、塩基の存在下で反応させることを特徴とする一般式
【化8】


式中、mは0〜4の整数、C* は不斉炭素原子を示し、Rは前記と同じ意味を有する)で表されるアゼピン誘導体またはその塩の製造法
【請求項6】 一般式
【化9】


〔式中、Rは式
【化10】


(式中、R1 は水素原子、低級アルキル基、低級アルコキシ基、水酸基、ハロゲン原子または置換基を有していてもよいフェニル基を示し、nは0または1を示す)で表される基、低級アルキル基で置換していてもよい炭素数5〜8個のシクロアルキル基、ノルボルニル基またはビシクロ[3.3.1]ノニル基を示し、pは0〜3の整数を示し、C* は不斉炭素原子を示す〕で表されるアゼピン誘導体またはその塩。
【請求項7】 1 が水素原子である請求項6記載のアゼピン誘導体またはその塩
【請求項8】 (1S)−3−(2−アダマンチルアセチル)−1,8,8−トリメチル−3−アザビシクロ[3.2.1]オクタンである請求項6または7記載のアゼピン誘導体またはその塩

【特許番号】第2824381号
【登録日】平成10年(1998)9月4日
【発行日】平成10年(1998)11月11日
【国際特許分類】
【出願番号】特願平5−223745
【出願日】平成5年(1993)9月8日
【公開番号】特開平6−172315
【公開日】平成6年(1994)6月21日
【審査請求日】平成7年(1995)8月8日
【出願人】(000000033)旭化成工業株式会社 (901)