説明

N−(ヨードフェニル)ピリミジニルアミン誘導体の製造方法

【課題】N−(ヨードフェニル)ピリミジニルアミン誘導体を製造する際、副生成物の生成を抑制し、N−(ヨードフェニル)ピリミジニルアミン誘導体の製造効率及び精製効率を高めること。
【解決手段】本発明は、N−(ヨードフェニル)ピリミジニルアミン誘導体の製造方法であり、ヨードアニリン誘導体と、2−クロロピリミジン誘導体とを、水溶媒中、塩酸、リン酸、酢酸及びメタンスルホン酸からなる群から選択される酸の存在下、40〜75℃の温度で反応させ、一般式(III)で示されるN−(ヨードフェニル)ピリミジニルアミン誘導体を得る工程を備える、製造方法を提供する。


[式中、R、R及びRは、それぞれ独立に水素原子又は炭素数1〜5のアルキル基を表す。]

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、N−(ヨードフェニル)ピリミジニルアミン誘導体の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
N−(ヨードフェニル)ピリミジニルアミン誘導体は、優れた炎症性腸疾患治療効果を有するアリルグリシン誘導体の合成中間体として有用な化合物である。N−(ヨードフェニル)ピリミジニルアミン誘導体の製造方法としては、4−ヨードアニリンと2−クロロピリミジンとを、酢酸の存在下、1,4−ジオキサン溶媒中で反応させる方法が開示されている(特許文献1)。
【0003】
また、ヨードアニリン誘導体と2−クロロピリミジン誘導体との反応例としては、塩酸の存在下、メタノール:水=36:1の溶媒中、80℃で34時間反応させる方法(特許文献2)、塩酸の存在下、エタノール:水=1:4の溶媒中、還流下で18時間反応させる方法(特許文献3)、炭酸水素カリウムの存在下、テトラヒドロフラン:水=1:1.2の溶媒中、室温で63時間反応させる方法(非特許文献1)、2−メトキシエタノール:水=2.6:1の溶媒中、還流下で10時間反応させる方法(特許文献4)が報告されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】国際公開第2006/068213号
【特許文献2】国際公開第2008/140420号
【特許文献3】国際公開第2008/050096号
【特許文献4】国際公開第2001/029045号
【非特許文献】
【0005】
【非特許文献1】Fenniriら、The Journal of Organic Chemistry、2008年、73巻、3号、p.931−939
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上記の方法では、N−(ヨードフェニル)ピリミジニルアミン誘導体の収率が悪く、100℃の高温条件下で最適化を試みた場合であっても、工業的生産に適した収率が得られないのが現状であった。また、上記の方法では、脱ヨウ素体をはじめとする副生成物の生成率も高く、医薬品の合成中間体として利用するには、N−(ヨードフェニル)ピリミジニルアミン誘導体の精製効率を高める必要があり、製造方法の改善が望まれていた。
【0007】
そこで本発明は、N−(ヨードフェニル)ピリミジニルアミン誘導体を製造する際、副生成物の生成を抑制し、N−(ヨードフェニル)ピリミジニルアミン誘導体の製造効率及び精製効率を高めることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意研究を重ねた結果、溶媒として水を用いることにより、従来方法と比較して極めて高収率であり、かつ、温和な条件下でN−(ヨードフェニル)ピリミジニルアミン誘導体を製造できることを見出し、本発明を完成させた。
【0009】
すなわち、本発明は、N−(ヨードフェニル)ピリミジニルアミン誘導体の製造方法であり、一般式(I)で示されるヨードアニリン誘導体と、一般式(II)で示される2−クロロピリミジン誘導体とを、水溶媒中、塩酸、リン酸、酢酸及びメタンスルホン酸からなる群から選択される酸の存在下、40〜75℃の温度で反応させ、一般式(III)で示されるN−(ヨードフェニル)ピリミジニルアミン誘導体を得る工程を備える、製造方法を提供する。
【化1】

【化2】

[式中、R、R及びRは、それぞれ独立に水素原子又は炭素数1〜5のアルキル基を表す。]
【化3】

[式中、R、R及びRは、それぞれ独立に水素原子又は炭素数1〜5のアルキル基を表す。]
【0010】
上記の製造方法は、上記2−クロロピリミジン誘導体の量が上記ヨードアニリン誘導体に対して1.2〜2モル当量であり、上記酸の量が上記ヨードアニリン誘導体に対して0.2〜2モル当量であることが好ましい。
【0011】
上記2−クロロピリミジン誘導体の量が上記ヨードアニリン誘導体に対して1.2モル当量未満ではやや収率が低下し、2モル当量以上用いても反応に影響はないが、過剰に用いた2−クロロピリミジン誘導体を分離する必要が生じるため好ましくない。また、上記酸の量が上記ヨードアニリン誘導体に対して0.2〜2モル当量である場合に良好な収率でN−(ヨードフェニル)ピリミジニルアミン誘導体が得られる。
【0012】
また上記製造方法は、R、R及びRがそれぞれ独立に水素原子又はメチル基であることが好ましく、R及びRがそれぞれ独立に水素原子又はメチル基であり、Rが水素原子であり、かつ、反応温度が50〜60℃であることがより好ましい。
【0013】
反応温度が50〜60℃である場合には、特に高い収率でN−(ヨードフェニル)ピリミジニルアミン誘導体が得られるからである。
【発明の効果】
【0014】
本発明の製造方法によれば、従来方法と比較して副反応を顕著に抑制でき、温和な条件下で、一般式(III)で示されるN−(ヨードフェニル)ピリミジニルアミン誘導体を極めて高い収率で製造できる。また、本発明の製造方法は、医薬品の合成中間体として利用可能な高純度の上記N−(ヨードフェニル)ピリミジニルアミン誘導体を得るのに好適であり、工業的生産にも利用できる。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本発明のN−(ヨードフェニル)ピリミジニルアミン誘導体の製造方法は、一般式(I)で示されるヨードアニリン誘導体と、一般式(II)で示される2−クロロピリミジン誘導体とを、水溶媒中、塩酸、リン酸、酢酸及びメタンスルホン酸からなる群から選択される酸の存在下、40〜75℃の温度で反応させ、一般式(III)で示されるN−(ヨードフェニル)ピリミジニルアミン誘導体を得る工程を備えることを特徴としている。
【化4】

【化5】

[式中、R、R及びRは、それぞれ独立に水素原子又は炭素数1〜5のアルキル基を表す。]
【化6】

[式中、R、R及びRは、それぞれ独立に水素原子又は炭素数1〜5のアルキル基を表す。]
【0016】
上記の一般式(I)で示されるヨードアニリン誘導体及び一般式(II)で示される2−クロロピリミジン誘導体は、試薬メーカーから購入することにより入手できる。
【0017】
上記の一般式(II)で示される2−クロロピリミジン誘導体は、例えば、国際公開第2006/068213号、米国特許出願公開第2005/0234046号明細書又はOrganic Syntheses、1955年、第35巻、p.34−35に記載の方法に従って化学合成することも可能である。
【0018】
上記の製造方法では、R及びRは、それぞれ独立て水素原子又はメチル基であることが好ましく、Rは、水素原子又はメチル基であることが好ましく、水素原子であることがより好ましい。
【0019】
上記の一般式(II)で示される2−クロロピリミジン誘導体の量としては、上記ヨードアニリン誘導体に対して1.2〜2モル当量が好ましく、1.3〜1.8モル当量がより好ましく、上記の製造方法に用いられる酸の量としては、上記ヨードアニリン誘導体に対して0.2〜2モル当量であることが好ましく、0.8〜1.2モル当量がより好ましい。なお、酸の種類としては、塩酸が最も好ましい。
【0020】
また、上記の製造方法における反応温度は、45〜65℃が好ましく、50〜60℃がより好ましく、反応時間は、4〜30時間の範囲が好適である。
【0021】
上記の製造方法で得られる一般式(III)で示されるN−(ヨードフェニル)ピリミジニルアミン誘導体は、例えば、カラムクロマトグラフィー、薄層クロマトグラフィー、再結晶、再沈殿又は蒸留といった方法で精製できる。当業者であれば、具体的な対象化合物に合った方法をこれらの方法から選択したり、組み合わせたりすることが可能であり、精製方法を容易に最適化できる。
【実施例】
【0022】
本発明者らは、N−(ヨードフェニル)ピリミジニルアミン誘導体の製造効率及び精製効率を改善すべく、N−(ヨードフェニル)ピリミジニルアミン誘導体の製造方法の研究を行った結果、低収率の主な原因はヨードフェニル基の炭素−ヨウ素結合が切断され、脱ヨウ素体が生成する副反応であることを見出した(スキーム1)。この炭素−ハロゲン結合の切断は、ヨードアニリン誘導体に特有の反応であり、クロロアニリン誘導体又はブロモアニリン誘導体と2−クロロピリミジン誘導体の反応では見られないことを明らかにし、本発明を完成させるに至った。
【化7】

【0023】
以下、実施例を挙げて本発明を詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例により限定されるものではない。
【0024】
(測定機器、測定方法及び分析条件)
融点の測定には、MP70融点自動測定器(メトラー・トレド社)又はMP−500D融点測定器(柳本製作所)を用いた。
【0025】
H核磁気共鳴スペクトル(以下、H−NMR)の測定には、JNM−AL400(日本電子社)を用い、化学シフトは、テトラメチルシランを基準として、δ(単位:ppm)で表し、各シグナルの多重度はそれぞれ、s(一重線)、d(二重線)、t(三重線)、q(四重線)、m(多重線)又はbr.(幅広)で表した。
【0026】
質量分析スペクトル(以下、MS)は、1200LC/MSD(アジレント・テクノロジー社)を用い、ESI法で測定した。
【0027】
反応の分析は、高速液体クロマトグラフィー(以下、HPLC)で行った。分析条件は、以下のとおりである。
【0028】
HPLC:LC−10ADvp又はLC−20AD(いずれも島津製作所)
検出:UV(210nm)
カラム:YMC−Pack Pro C18 RS(ワイエムシィ社)
カラムサイズ:250×3.0mm I.D.
カラム温度:40℃
移動相:A液 20mMリン酸二水素ナトリウム水溶液
B液 アセトニトリル
展開条件:A/B=45/55(0〜15分)
A/B=45/55〜25/75(15〜20分;リニアグラジエント)
A/B=25/75(20〜25分)
A/B=25/75−45/55(25〜26分;リニアグラジエント)
A/B=45/55(26〜35分)
流速:0.5mL/分
注入量:10μL
【0029】
また、HPLC分析用のサンプル調製は、以下の手順で行った。
1)反応液約100mgを採取する。
2)テトラヒドロフラン(以下、THF)400mgを加えて均一に溶解する。
3)上記THF希釈液100mgをメスフラスコに採取し、アセトニトリル/水(50/50)を加えて定容する。
【0030】
HPLC分析の結果から、目的物生成量、ヨードアニリン残量、脱ヨウ素体生成量及びその他副生成物量として、N−(ヨードフェニル)ピリミジニルアミン誘導体、ヨードアニリン誘導体、脱ヨウ素体及びその他副生成物のピークの相対面積を算出した。2−クロロピリミジン誘導体及びそれが溶媒の水と反応して生成する分解物である2−ヒドロキシピリミジン誘導体は、N−(ヨードフェニル)ピリミジニルアミン誘導体の収率に影響を与える副生成物量ではないため、生成量は算出しなかった。また、溶媒のピークも相対面積の計算から除外した。計算式を以下に示す。
【0031】
(目的物生成量)={A/(B−C−D−E)}×100(%)
A:N−(ヨードフェニル)ピリミジニルアミン誘導体のピーク面積
B:全ピーク面積
C:2−クロロピリミジン誘導体のピーク面積
D:2−ヒドロキシピリミジン誘導体のピーク面積
E:溶媒のピーク面積
【0032】
(ヨードアニリン残量)={A/(B−C−D−E)}×100(%)
A:ヨードアニリン誘導体のピーク面積
B:全ピーク面積
C:2−クロロピリミジン誘導体のピーク面積
D:2−ヒドロキシピリミジン誘導体のピーク面積
E:溶媒のピーク面積
【0033】
(脱ヨウ素体生成量)={A/(B−C−D−E)}×100(%)
A:脱ヨウ素体のピーク面積
B:全ピーク面積
C:2−クロロピリミジン誘導体のピーク面積
D:2−ヒドロキシピリミジン誘導体のピーク面積
E:溶媒のピーク面積
【0034】
(その他副生成物量)={A−(B+C+D+E+F+G)}×100(%)
A:全ピーク面積
B:2−クロロピリミジン誘導体のピーク面積
C:2−ヒドロキシピリミジン誘導体のピーク面積
D:溶媒のピーク面積
E:N−(ヨードフェニル)ピリミジニルアミン誘導体のピーク面積
F:ヨードアニリン誘導体のピーク面積
G:脱ヨウ素体のピーク面積
【0035】
(実施例1)塩酸の存在下、水溶媒中、55℃の条件でのN−(4−ヨードフェニル)−2−ピリミジニルアミンの製造:
アルゴン雰囲気下、4−ヨードアニリン(0.500g、2.28mmol)、2−クロロピリミジン(0.392g、3.42mmol)に1M塩酸(2.28mL、2.28mmol)を加え、55℃にて16時間撹拌した。反応液をサンプリングし、HPLC分析を行った。反応液を室温に冷却し、0.78M水酸化ナトリウム水溶液(10mL)を加え、酢酸エチル(20mL)で抽出した。有機層を水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥した。無水硫酸ナトリウムを濾別した後、濾液を濃縮した。残渣をカラムクロマトグラフィー(シリカゲル、溶出液:ヘキサン/酢酸エチル)で精製した。N−(4−ヨードフェニル)−2−ピリミジニルアミン(収量0.614g、収率91%)を得た。
【化8】

融点150−154℃
MS m/z 298[(M+H)
H−NMR(CDCl
δ6.75(t,J=4.8Hz,1H),7.29(br.s,1H),7.43(d,J=9.4Hz,2H),7.62(d,J=9.4Hz,2H),8.43(d,J=4.8Hz,2H).
【0036】
(実施例2)酢酸の存在下、水溶媒中、55℃の条件でのN−(4−ヨードフェニル)−2−ピリミジニルアミンの製造:
アルゴン雰囲気下、4−ヨードアニリン(0.500g、2.28mmol)、2−クロロピリミジン(0.392g、3.42mmol)に水(2.28mL)、酢酸(0.137g、2.28mmol)を加え、55℃にて16時間撹拌した。反応液をサンプリングし、HPLC分析を行った。反応液を室温に冷却し、0.78M水酸化ナトリウム水溶液(10mL)を加え、酢酸エチル(20mL)で抽出した。有機層を水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥した。無水硫酸ナトリウムを濾別した後、濾液を濃縮した。残渣をカラムクロマトグラフィー(シリカゲル、溶出液:ヘキサン/酢酸エチル)で精製した。N−(4−ヨードフェニル)−2−ピリミジニルアミン(0.625g、92%)を得た。
【0037】
(実施例3)メタンスルホン酸の存在下、水溶媒中、55℃の条件でのN−(4−ヨードフェニル)−2−ピリミジニルアミンの製造:
酢酸の代わりにメタンスルホン酸(0.219g、2.28mmol)を用いて、実施例2と同様の操作を行い、N−(4−ヨードフェニル)−2−ピリミジニルアミン(収量0.607g、収率90%)を得た。
【0038】
(実施例4)リン酸の存在下、水溶媒中、55℃の条件でのN−(4−ヨードフェニル)−2−ピリミジニルアミンの製造:
酢酸の代わりにリン酸(0.263g、2.28mmol)を用いて、実施例2と同様の操作を行い、N−(4−ヨードフェニル)−2−ピリミジニルアミン(収量0.628g、収率93%)を得た。実施例1〜4の結果を表1に示す。
【0039】
【表1】

【0040】
いずれの場合も脱ヨウ素体を初めとする不純物の生成量は少なく、高収率でN−(4−ヨードフェニル)−2−ピリミジニルアミンが得られた。
【0041】
(比較例1)酢酸の存在下、1,4−ジオキサン溶媒中、100℃の条件でのN−(4−ヨードフェニル)−2−ピリミジニルアミンの製造:
アルゴン雰囲気下、4−ヨードアニリン(5.00g、22.8mmol)、2−クロロピリミジン(2.75g、24.0mmol)に1,4−ジオキサン(10mL)、酢酸(2.0mL、34.9mmol)を加え、100℃にて4時間撹拌した。反応液をサンプリングし、HPLC分析を行った。反応液を室温に冷却し、THF(20mL)、水(20mL)、1M水酸化ナトリウム水溶液(60mL)を加え、酢酸エチル(100mL)で2回抽出した。有機層を飽和塩化ナトリウム水溶液で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥した。無水硫酸ナトリウムを濾別した後、濾液を濃縮した。残渣をカラムクロマトグラフィー(シリカゲル、溶出液:ヘキサン/酢酸エチル)で精製した。N−(4−ヨードフェニル)−2−ピリミジニルアミン(収量4.02g、収率59%)を得た。
【0042】
(比較例2)塩酸の存在下、1,4−ジオキサン溶媒中、80℃の条件でのN−(4−ヨードフェニル)−2−ピリミジニルアミンの製造:
アルゴン雰囲気下、4−ヨードアニリン(1.00g、4.57mmol)、2−クロロピリミジン(0.549g、4.79mmol)に1,4−ジオキサン(1.6mL)、4M塩化水素1,4−ジオキサン溶液(0.400mL、1.60mmol)を加え、80℃にて18時間撹拌した。反応液をサンプリングし、HPLC分析を行った。
【0043】
(比較例3)塩酸の存在下、1,4−ジオキサン溶媒中、55℃の条件でのN−(4−ヨードフェニル)−2−ピリミジニルアミンの製造:
アルゴン雰囲気下、4−ヨードアニリン(0.500g、2.28mmol)、2−クロロピリミジン(0.392g、3.42mmol)に1,4−ジオキサン(1.7mL)、4M塩化水素1,4−ジオキサン溶液(0.571mL、2.28mmol)を加え、55℃にて16時間撹拌した。反応液をサンプリングし、HPLC分析を行った。
【0044】
(比較例4)塩酸の存在下、エタノール溶媒中、80℃の条件でのN−(4−ヨードフェニル)−2−ピリミジニルアミンの製造:
1,4−ジオキサンの代わりにエタノールを用いて比較例2と同様の操作を行った。反応液をサンプリングし、HPLC分析を行った。
(比較例5)塩酸の存在下、N,N−ジメチルホルムアミド(以下、DMF)溶媒中、80℃の条件でのN−(4−ヨードフェニル)−2−ピリミジニルアミンの製造:
1,4−ジオキサンの代わりにDMFを用いて比較例2と同様の操作を行った。反応液をサンプリングし、HPLC分析を行った。
【0045】
(比較例6)塩酸の存在下、DMF/水混合溶媒中、55℃の条件でのN−(4−ヨードフェニル)−2−ピリミジニルアミンの製造:
アルゴン雰囲気下、4−ヨードアニリン(2.00g、9.13mmol)、2−クロロピリミジン(1.60g、14.0mmol)にDMF(6.2mL)、3M塩酸(3.10mL、9.30mmol)を加え、55℃にて18時間撹拌した。反応液をサンプリングし、HPLC分析を行った。
【0046】
実施例1及び比較例1〜6の結果を表2に示す。溶媒に1,4−ジオキサン、DMFなどの有機溶媒を用いた場合、脱ヨウ素体を初めとする副生成物の生成量が増加する。有機溶媒と水の混合溶媒を用いた場合も副生成物の生成量は多く(比較例6)、水のみを溶媒とした場合に副生成物の生成を抑制する効果が高い。また、実施例1と比較して比較例3ではほとんど反応が進行していないことから、水を溶媒とした場合に低い温度でも反応が進行することが明らかとなった。
【0047】
【表2】

【0048】
(比較例7)水溶媒中でのN−(4−ブロモフェニル)−2−ピリミジニルアミンの製造:
アルゴン雰囲気下、4−ブロモアニリン(0.500g、2.91mmol)、2−クロロピリミジン(0.499g、4.36mmol)に1M塩酸(2.91mL、2.91mmol)を加え、55℃にて16時間撹拌した。反応液をサンプリングし、HPLC分析を行った。反応液を室温に冷却し、1M水酸化ナトリウム水溶液(10mL)を加え、酢酸エチル(20mL)で抽出した。有機層を水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥した。無水硫酸ナトリウムを濾別した後、濾液を濃縮した。残渣をカラムクロマトグラフィー(シリカゲル、溶出液:ヘキサン/酢酸エチル)で精製した。N−(4−ブロモフェニル)−2−ピリミジニルアミン(収量0.670g、収率92%)を得た。
【化9】

融点171−174℃
MS m/z 250[(M+H)
H−NMR(CDCl
δ6.75(t,J=4.8Hz,1H),7.28(br.s,1H),7.43(d,J=9.4Hz,2H),7.54(d,J=9.4Hz,2H),8.43(d,J=4.8Hz,2H).
【0049】
(比較例8)1,4−ジオキサン溶媒中でのN−(4−ブロモフェニル)−2−ピリミジニルアミンの製造:
アルゴン雰囲気下、4−ブロモアニリン(0.786g、4.57mmol)、2−クロロピリミジン(0.550g、4.80mmol)に1,4−ジオキサン(1.6mL)、4M塩化水素1,4−ジオキサン溶液(0.400mL、1.60mmol)を加え、80℃にて18時間撹拌した。反応液をサンプリングし、HPLC分析を行った。
【0050】
(比較例9)水溶媒中でのN−(4−クロロフェニル)−2−ピリミジニルアミンの製造:
アルゴン雰囲気下、4−クロロアニリン(0.500g、3.92mmol)、2−クロロピリミジン(0.673g、5.88mmol)に1M塩酸(3.92mL、3.92mmol)を加え、55℃にて16時間撹拌した。反応液をサンプリングし、HPLC分析を行った。反応液を室温に冷却し、1.3M水酸化ナトリウム水溶液(10mL)を加え、酢酸エチル(20mL)で抽出した。有機層を蒸留水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥した。無水硫酸ナトリウムを濾別した後、濾液を濃縮した。残渣をカラムクロマトグラフィー(シリカゲル、溶出液:ヘキサン/酢酸エチル)で精製した。N−(4−クロロフェニル)−2−ピリミジニルアミン(収量0.729g、収率90%)を得た。
【化10】

融点171−177℃
MS m/z 206[(M+H)
H−NMR(CDCl
δ6.75(t,J=4.9Hz,1H),7.29(d,J=9.5Hz,2H),7.34(br.s,1H),7.58(d,J=9.5Hz,2H),8.42(d,J=4.9Hz,2H).
【0051】
(比較例10)1,4−ジオキサン溶媒中でのN−(4−クロロフェニル)−2−ピリミジニルアミンの製造:
アルゴン雰囲気下、4−クロロアニリン(0.583g、4.57mmol)、2−クロロピリミジン(0.550g、4.80mmol)に1,4−ジオキサン(1.6mL)、4M塩化水素1,4−ジオキサン溶液(0.400mL、1.60mmol)を加え、80℃にて18時間撹拌した。反応液をサンプリングし、HPLC分析を行った。比較例7〜10の結果を表3に示す。
【0052】
【表3】

【0053】
ブロモアニリン誘導体、クロロアニリン誘導体を用いた反応の場合、水溶媒、有機溶媒ともに副生成物の生成は少なく、高い収率で目的物が得られることが分かった。
【0054】
(実施例5)水溶媒中でのN−(3−ヨードフェニル)−2−ピリミジニルアミンの製造:
4−ヨードアニリンの代わりに3−ヨードアニリン(0.500g、2.28mmol)を用いて、実施例1と同様の操作を行い、N−(3−ヨードフェニル)−2−ピリミジニルアミン(収量0.607g、収率90%)を得た。
【化11】

融点116−118℃
MS m/z 298[(M+H)
H−NMR(CDCl
δ6.78(t,J=4.8Hz,1H),7.04(t,J=8.0Hz,1H),7.28(br.s,1H),7.37(m,1H),7.54(m,1H),8.12(t,J=2.0Hz,1H),8.44(d,J=4.8Hz,2H).
【0055】
(比較例11)1,4−ジオキサン溶媒中でのN−(3−ヨードフェニル)−2−ピリミジニルアミンの製造:
4−ヨードアニリンの代わりに3−ヨードアニリン(1.00g、4.57mmol)を用いて比較例2と同様の操作を行った。反応液をサンプリングし、HPLC分析を行った。
【0056】
(実施例6)水溶媒中でのN−(2−ヨードフェニル)−2−ピリミジニルアミンの製造:
4−ヨードアニリンの代わりに2−ヨードアニリン(0.500g、2.28mmol)を用いて、実施例1と同様の操作を行い、N−(2−ヨードフェニル)−2−ピリミジニルアミン(0.487g、72%)を得た。
【化12】

融点76−78℃
MS m/z 298[(M+H)
H−NMR(CDCl
δ6.78−6.80(m,2H),7.34−7.40(m,2H),7.82(dd,J=8.0,1.3Hz,1H),8.34(dd,J=8.3,1.5Hz,1H),8.45(d,J=4.9Hz,2H).
【0057】
(比較例12)1,4−ジオキサン溶媒中でのN−(2−ヨードフェニル)−2−ピリミジニルアミンの製造:
4−ヨードアニリンの代わりに2−ヨードアニリン(1.00g、4.57mmol)を用いて比較例2と同様の操作を行った。反応液をサンプリングし、HPLC分析を行った。
【0058】
実施例5及び6、並びに比較例11及び12の結果を表4に示す。3−ヨードアニリン及び2−ヨードアニリンを用いた反応においても、水溶媒を用いた場合に高い収率で目的物が得られることが分かった。
【0059】
【表4】

【0060】
(実施例7)水溶媒中でのN−(4−ヨードフェニル)−4−メチルピリミジン−2−イルアミンの製造:
2−クロロピリミジンの代わりに2−クロロ−4−メチルピリミジン(0.440g、3.42mmol)を用いて、実施例1と同様の操作を行い、N−(4−ヨードフェニル)−4−メチルピリミジン−2−イルアミン(収量0.662g、収率93%)を得た。
【化13】

融点139−143℃
MS m/z 312[(M+H)
H−NMR(CDCl
δ2.42(s,3H),6.63(d,J=5.0Hz,1H),7.11(br.s,1H),7.44(d,J=9.3Hz,1H),7.60(d,J=9.3Hz,1H),8.28(d,J=5.0Hz,1H).
【0061】
(比較例13)1,4−ジオキサン溶媒中でのN−(4−ヨードフェニル)−4−メチルピリミジン−2−イルアミンの製造:
2−クロロピリミジンの代わりに2−クロロ−4−メチルピリミジン(0.616g、4.79mmol)を用いて比較例2と同様の操作を行った。反応液をサンプリングし、HPLC分析を行った。
【0062】
(実施例8)水溶媒中でのN−(4−ヨードフェニル)−4,6−ジメチルピリミジン−2−イルアミンの製造:
2−クロロピリミジンの代わりに2−クロロ−4,6−ジメチルピリミジン(0.488g、3.42mmol)を用いて、実施例1と同様の操作を行い、N−(4−ヨードフェニル)−4,6−ジメチルピリミジン−2−イルアミン(収量0.724g、収率98%)を得た。
【化14】

融点139−142℃
MS m/z 326[(M+H)
H−NMR(CDCl
δ2.37(s,6H),6.52(s,1H),7.02(br.s,1H),7.47(d,J=9.3Hz,1H),7.59(d,J=9.3Hz,1H).
【0063】
(比較例14)1,4−ジオキサン溶媒中でのN−(4−ヨードフェニル)−4,6−ジメチルピリミジン−2−イルアミンの製造:
2−クロロピリミジンの代わりに2−クロロ−4,6−ジメチルピリミジン(0.684g、4.79mmol)を用いて比較例2と同様の操作を行った。反応液をサンプリングし、HPLC分析を行った。実施例7及び8並びに比較例12及び13の結果を表5に示す。
【0064】
【表5】

【0065】
置換基を有する2−クロロピリミジ誘導体を用いた反応においても、水溶媒を用いた場合に高い収率で目的物が得られることが分かった。
【0066】
(比較例15)塩酸0.5モル当量の存在下、水溶媒中、30℃の条件でのN−(4−ヨードフェニル)−2−ピリミジニルアミンの製造:
アルゴン雰囲気下、4−ヨードアニリン(5.00g、22.8mmol)、2−クロロピリミジン(3.92g、34.3mmol)に0.5M塩酸(23.0mL、11.5mmol)を加え、30℃にて21時間撹拌した。反応液を室温に冷却し、1M水酸化ナトリウム水溶液(70mL)を加え、酢酸エチル(150mL)で抽出した。有機層を飽和塩化ナトリウム水溶液で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥した。無水硫酸ナトリウムを濾別した後、濾液を濃縮した。残渣を再結晶(溶媒:アセトニトリル)で精製した。N−(4−ヨードフェニル)−2−ピリミジニルアミン(収量3.78g、収率56%)を得た。
【0067】
(比較例16)塩酸1モル当量の存在下、水溶媒中、30℃の条件でのN−(4−ヨードフェニル)−2−ピリミジニルアミンの製造:
0.5M塩酸の代わりに1M塩酸(23.0mL、23.0mmol)を用いて比較例15と同様の操作を行い、N−(4−ヨードフェニル)−2−ピリミジニルアミン(収量4.47g、収率66%)を得た。
【0068】
(実施例9)塩酸1モル当量の存在下、水溶媒中、40℃の条件でのN−(4−ヨードフェニル)−2−ピリミジニルアミンの製造:
アルゴン雰囲気下、4−ヨードアニリン(1.50g、6.85mmol)、2−クロロピリミジン(1.18g、10.3mmol)に1M塩酸(6.90mL、6.90mmol)を加え、40℃にて19時間撹拌した。反応液を室温に冷却し、1M水酸化ナトリウム水溶液(20mL)を加え、酢酸エチル(40mL)で2回抽出した。有機層を飽和塩化ナトリウム水溶液で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥した。無水硫酸ナトリウムを濾別した後、濾液を濃縮した。残渣を再結晶(溶媒:2−プロパノール)で精製した。N−(4−ヨードフェニル)−2−ピリミジニルアミン(収量1.63g、収率80%)を得た。
【0069】
(実施例10)塩酸0.5モル当量の存在下、水溶媒中、50℃の条件でのN−(4−ヨードフェニル)−2−ピリミジニルアミンの製造:
反応温度を50℃として比較例15と同様の操作を行い、N−(4−ヨードフェニル)−2−ピリミジニルアミン(収量5.67g、収率84%)を得た。
【0070】
(実施例11)塩酸1モル当量の存在下、水溶媒中、50℃の条件でのN−(4−ヨードフェニル)−2−ピリミジニルアミンの製造:
0.5M塩酸の代わりに1M塩酸(23.0mL、23.0mmol)を用い、かつ、反応温度を50℃として比較例15と同様の操作を行い、N−(4−ヨードフェニル)−2−ピリミジニルアミン(収量5.64g、収率83%)を得た。
【0071】
(実施例12)塩酸0.2モル当量の存在下、水溶媒中、55℃の条件でのN−(4−ヨードフェニル)−2−ピリミジニルアミンの製造:
アルゴン雰囲気下、4−ヨードアニリン(1.50g、6.85mmol)、2−クロロピリミジン(1.18g、10.3mmol)に水(5.5mL)、1M塩酸(1.40mL、1.40mmol)を加え、55℃にて19時間撹拌した。反応液を室温に冷却し、1M水酸化ナトリウム水溶液(20mL)を加え、酢酸エチル(40mL)で2回抽出した。有機層を飽和塩化ナトリウム水溶液で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥した。無水硫酸ナトリウムを濾別した後、濾液を濃縮した。残渣を再結晶(溶媒:2−プロパノール)で精製した。N−(4−ヨードフェニル)−2−ピリミジニルアミン(収量1.78g、収率87%)を得た。
【0072】
(実施例13)塩酸2モル当量の存在下、水溶媒中、55℃の条件でのN−(4−ヨードフェニル)−2−ピリミジニルアミンの製造:
1M塩酸の代わりに2M塩酸(6.90mL、13.8mmol)を用い、かつ、反応温度を55℃として実施例9と同様の操作を行い、N−(4−ヨードフェニル)−2−ピリミジニルアミン(収量1.79g、収率88%)を得た。
【0073】
(実施例14)塩酸0.5モル当量の存在下、水溶媒中、75℃の条件でのN−(4−ヨードフェニル)−2−ピリミジニルアミンの製造:
反応温度を75℃として比較例15と同様の操作を行い、N−(4−ヨードフェニル)−2−ピリミジニルアミン(収量5.11g、収率75%)を得た。
【0074】
(実施例15)塩酸1モル当量の存在下、水溶媒中、75℃の条件でのN−(4−ヨードフェニル)−2−ピリミジニルアミンの製造:
0.5M塩酸の代わりに1M塩酸(23.0mL、23.0mmol)を用い、かつ、反応温度を75℃として比較例15と同様の操作を行い、N−(4−ヨードフェニル)−2−ピリミジニルアミン(収量5.11g、収率75%)を得た。
【0075】
(比較例17)塩酸1モル当量の存在下、水溶媒中、90℃の条件でのN−(4−ヨードフェニル)−2−ピリミジニルアミンの製造:
反応温度を90℃として実施例9と同様の操作を行い、N−(4−ヨードフェニル)−2−ピリミジニルアミン(収量1.35g、収率66%)を得た。
【0076】
実施例1及び9〜15並びに比較例15〜17の結果に基づき、本発明の製造方法における温度及び酸の当量とN−(ヨードフェニル)ピリミジニルアミン誘導体の収率との関係を表6に示す。
【0077】
【表6】

【0078】
その結果、反応温度が、40〜75℃の場合に良好な収率でN−(ヨードフェニル)ピリミジニルアミン誘導体が得られ、55℃付近で特に高い収率となり、酸の当量が、0.2〜2モル当量の場合に良好な収率でN−(ヨードフェニル)ピリミジニルアミン誘導体が得られることが分かった。
【0079】
(比較例18)水溶媒中、2−クロロピリミジン1.1モル当量を用いた条件でのN−(4−ヨードフェニル)−2−ピリミジニルアミンの製造:
アルゴン雰囲気下、4−ヨードアニリン(5.00g、22.8mmol)、2−クロロピリミジン(2.75g、24.0mmol)に1M塩酸(23.0mL、23.0mmol)を加え、50℃にて24時間撹拌した。反応液を室温に冷却し、1M水酸化ナトリウム水溶液(66mL)を加え、酢酸エチル(150mL)で抽出した。有機層を飽和塩化ナトリウム水溶液で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥した。無水硫酸ナトリウムを濾別した後、濾液を濃縮した。残渣を再結晶(溶媒:アセトニトリル)で精製した。N−(4−ヨードフェニル)−2−ピリミジニルアミン(収量4.49g、収率66%)を得た。
【0080】
(実施例16)水溶媒中、2−クロロピリミジン1.2モル当量を用いた条件でのN−(4−ヨードフェニル)−2−ピリミジニルアミンの製造:
2−クロロピリミジンの使用量を3.18g(27.7mmol)として比較例18と同様の操作を行い、N−(4−ヨードフェニル)−2−ピリミジニルアミン(収量5.31g、収率78%)を得た。
【0081】
(実施例17)水溶媒中、2−クロロピリミジン1.3モル当量を用いた条件でのN−(4−ヨードフェニル)−2−ピリミジニルアミンの製造:
2−クロロピリミジンの使用量を3.40g(29.7mmol)として比較例18と同様の操作を行い、N−(4−ヨードフェニル)−2−ピリミジニルアミン(収量5.40g、収率80%)を得た。
【0082】
比較例18並びに実施例16及び17の結果に基づき、本発明の製造方法における2−クロロピリミジン誘導体の当量とN−(ヨードフェニル)ピリミジニルアミン誘導体の収率との関係を表7に示す。
【0083】
【表7】

【0084】
その結果、2−クロロピリミジン誘導体の当量が1.2当量以上の場合に良好な収率でN−(ヨードフェニル)ピリミジニルアミン誘導体が得られることが分かった。
【産業上の利用可能性】
【0085】
本発明の製造方法によれば、N−(ヨードフェニル)ピリミジニルアミン誘導体を温和な条件下で高収率に製造でき、医薬品の合成中間体として工業的に生産可能な製造効率及び精製効率を実現できる。


【特許請求の範囲】
【請求項1】
N−(ヨードフェニル)ピリミジニルアミン誘導体の製造方法であり、
一般式(I)で示されるヨードアニリン誘導体と、一般式(II)で示される2−クロロピリミジン誘導体とを、水溶媒中、塩酸、リン酸、酢酸及びメタンスルホン酸からなる群から選択される酸の存在下、40〜75℃の温度で反応させ、一般式(III)で示されるN−(ヨードフェニル)ピリミジニルアミン誘導体を得る工程を備える、製造方法。
【化1】

【化2】

[式中、R、R及びRは、それぞれ独立に水素原子又は炭素数1〜5のアルキル基を表す。]
【化3】

[式中、R、R及びRは、それぞれ独立に水素原子又は炭素数1〜5のアルキル基を表す。]
【請求項2】
前記2−クロロピリミジン誘導体の量は、前記ヨードアニリン誘導体に対して1.2〜2モル当量であり、
前記酸の量は、前記ヨードアニリン誘導体に対して0.2〜2モル当量である、請求項1記載の製造方法。
【請求項3】
、R及びRは、それぞれ独立に水素原子又はメチル基を表す、請求項1又は2記載の製造方法。
【請求項4】
及びRは、それぞれ独立に水素原子又はメチル基を表し、Rは、水素原子を表し、前記温度は、50〜60℃である、請求項1〜3のいずれか一項記載の製造方法。