説明

N−(1−アルキル−2−フェニルエチル)−カルボキサミド誘導体及びその殺菌剤としての使用。

一般式(I)の化合物。その化合物を調製する方法。一般式(I)の化合物を含んでいる殺菌剤組成物。一般式(I)の化合物又はそれを含んでいる組成物を施用することによる、植物の処理方法。


【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、新規N−(1−アルキル−2−フェニルエチル)−カルボキサミド誘導体、それらを調製する方法、殺菌剤としてのそれらの使用、特に、殺菌剤組成物の形態における殺菌剤としてのそれらの使用、及び、それら化合物又はそれらの組成物を使用して植物の植物病原性菌類を防除する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
国際特許出願WO00/026191には、本発明の化合物を包含する一般式のピコリンアミド誘導体及びそれらの殺菌剤としての使用が開示されている。しかしながら、本発明の化合物は、上記特許出願には開示されていない。
【0003】
欧州特許出願EP296673には、5−チアゾールカルボキサミド誘導体及びそれらの殺菌剤としての使用が開示されている。しかしながら、本発明の化合物は、上記特許出願には開示されていない。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
既に当業者に知られている化合物よりも活性の高い殺有害生物性化合物を使用し、それによって、同等の効力を維持しながら化合物の使用量を低減し得るようにすることに関して、農薬分野においては常に高い関心が持たれている。
【0005】
さらに、高い効力を有する新規殺有害生物性化合物を提供することによって、処理対象の菌類における耐性株の出現のリスクが、大幅に低減される。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者らは、そのような化合物の一般に知られているファミリーと比較して、増強された殺菌活性を示す化合物の新規ファミリーを見いだした。
【0007】
従って、本発明は、 一般式(I)
【0008】
【化6】

[式中、
・ nは、1、2、3、4又は5であり;
・ pは、1、2、3、4又は5であり;
・ Xは、同一であるか又は異なっていて、ハロゲン原子、ニトロ基、シアノ基、アミノ基、スルファニル基、ペンタフルオロ−λ−スルファニル基、ホルミル基、ホルミルオキシ基、ホルミルアミノ基、カルバモイル基、N−ヒドロキシカルバモイル基、カルバメート基、(ヒドロキシイミノ)−C−C−アルキル基、C−C−アルキル、1から5個のハロゲン原子を有するC−C−ハロゲノアルキル、C−C−アルケニル、C−C−アルキニル、C−C−アルキルアミノ、ジ−C−C−アルキルアミノ、C−C−アルコキシ、1から5個のハロゲン原子を有するC−C−ハロゲノアルコキシ、C−C−アルキルスルファニル、1から5個のハロゲン原子を有するC−C−ハロゲノアルキルスルファニル、C−C−アルケニルオキシ、1から5個のハロゲン原子を有するC−C−ハロゲノアルケニルオキシ、C−C−アルキニルオキシ、1から5個のハロゲン原子を有するC−C−ハロゲノアルキニルオキシ、C−C−シクロアルキル、1から5個のハロゲン原子を有するC−C−ハロゲノシクロアルキル、C−C−アルキルカルボニル、1から5個のハロゲン原子を有するC−C−ハロゲノアルキルカルボニル、C−C−アルキルカルバモイル、ジ−C−C−アルキルカルバモイル、N−C−C−アルキルオキシカルバモイル、C−C−アルコキシカルバモイル、N−C−C−アルキル−C−C−アルコキシカルバモイル、C−C−アルコキシカルボニル、1から5個のハロゲン原子を有するC−C−ハロゲノアルコキシカルボニル、C−C−アルキルカルボニルオキシ、1から5個のハロゲン原子を有するC−C−ハロゲノアルキルカルボニルオキシ、C−C−アルキルカルボニルアミノ、1から5個のハロゲン原子を有するC−C−ハロゲノアルキルカルボニルアミノ、C−C−アルキルアミノカルボニルオキシ、ジ−C−C−アルキルアミノカルボニルオキシ、C−C−アルキルオキシカルボニルオキシ、C−C−アルキルスルフェニル、1から5個のハロゲン原子を有するC−C−ハロゲノアルキルスルフェニル、C−C−アルキルスルフィニル、1から5個のハロゲン原子を有するC−C−ハロゲノアルキルスルフィニル、C−C−アルキルスルホニル、1から5個のハロゲン原子を有するC−C−ハロゲノアルキル−スルホニル、(C−C−アルコキシイミノ)−C−C−アルキル、(C−C−アルケニルオキシイミノ)−C−C−アルキル、(C−C−アルキニルオキシイミノ)−C−C−アルキル、(ベンジルオキシイミノ)−C−C−アルキル、ベンジルオキシ、ベンジルスルファニル、ベンジルアミノ、フェノキシ、フェニルスルファニル又はフェニルアミノであり;
・ R、R、R及びRは、互いに独立して、水素原子、C−C−アルキル又はC−C−アルキル−C−C−シクロアルキルであるように選択されるが、但し、置換基R、R、R及びRのうちの少なくとも1は、水素とは異なっており;
・ Rは、水素原子、C−C−アルキル又はC−C−シクロアルキルであり;
・ Hetは、同一であっても又は異なっていてもよい1個、2個又は3個のヘテロ原子を有する5員、6員又は7員のヘテロ環を表し、ここで、Hetは炭素原子で結合しており;
・ Yは、オルト位の置換基であって、ハロゲン原子、シアノ基、スルファニル基、ペンタフルオロ−λ−スルファニル基、ホルミル基、C−C−アルキル、1から5個のハロゲン原子を有するC−C−ハロゲノアルキル、C−C−アルケニル、C−C−アルキニル、C−C−アルコキシ、1から5個のハロゲン原子を有するC−C−ハロゲノアルコキシ、C−C−アルキルスルファニル、1から5個のハロゲン原子を有するC−C−ハロゲノアルキルスルファニル、C−C−アルケニルオキシ、1から5個のハロゲン原子を有するC−C−ハロゲノアルケニルオキシ、C−C−アルキニルオキシ、1から5個のハロゲン原子を有するC−C−ハロゲノアルキニルオキシ、C−C−シクロアルキル又は1から5個のハロゲン原子を有するC−C−ハロゲノシクロアルキルであり;
及び、
・ Yは、同一であるか又は異なっていて、水素原子、ハロゲン原子、C−C−アルキル、C−C−ハロゲノアルキル、アミノ基、シアノ基、C−C−アルキルアミノ又はジ−(C−C−アルキル)アミノである。]
のN−(1−アルキル−2−フェニルエチル)−カルボキサミド誘導体並びにその塩、N−オキシド、金属錯体、半金属錯体及び光学活性異性体に関する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
本発明に関連して:
・ ハロゲンは、フッ素、臭素、塩素又はヨウ素を意味する;
・ カルボキシは、−C(=O)OHを意味する;
・ カルボニルは、−C(=O)−を意味する;
・ カルバモイルは、−C(=O)NHを意味する;
・ N−ヒドロキシカルバモイルは、−C(=O)NHOHを意味する;
・ アルキル基、アルケニル基及びアルキニル基、並びに、これらの用語を含んでいる部分構造は、直鎖又は分枝鎖であることができる;及び、
・ ヘテロ原子は、硫黄、窒素又は酸素を意味する。
【0010】
本発明に関連して、2置換されているアミノラジカル及び2置換されているカルバモイルラジカルの場合、当該2つの置換基がそれらを担持している窒素原子と一緒に3から7個の原子を含んでいる飽和ヘテロ環を形成し得るということも、理解されなくてはならない。
【0011】
本発明の化合物はいずれも、その化合物内の不斉中心の数に応じて、1種類以上の光学異性体形態又はキラル異性体形態で存在し得る。かくして、本発明は、等しく、全ての光学異性体及びそれらのラセミ混合物又はスケールミック混合物(用語「スケールミック(scalemic)」は、異なった比率のエナンチオマーの混合物を意味する)、並びに、可能な全ての立体異性体の全ての比率における混合物に関する。当業者は、自体公知の方法により、ジアステレオ異性体及び/又は光学異性体を分離させることができる。
【0012】
本発明の化合物はいずれも、その化合物内の二重結合の数に応じて、1種類以上の幾何異性体形態でも存在し得る。かくして、本発明は、等しく、全ての幾何異性体及び全ての比率における可能な全ての混合物に関する。当業者は、自体公知の一般的な方法により、幾何異性体を分離させることができる。
【0013】
一般式(I)[式中、Xは、ヒドロキシ、スルファニル基又はアミノ基を表す]の化合物は、いずれも、当該ヒドロキシ基、スルファニル基又はアミノ基のプロトンのシフトの結果として、その互変異性体形態で見いだされ得る。上記化合物のそのような互変異性体も、本発明の一部である。さらに一般的にいえば、一般式(I)[式中、Xは、ヒドロキシ、スルファニル基又はアミノ基を表す]の化合物の全ての互変異性体、及び、該調製方法において中間体として場合により使用可能で且つそれらの調製方法についての記載において定義されている化合物の互変異性体も、本発明の一部である。
【0014】
本発明では、該フェニル基は、どの位置においても(X)で置換されることが可能であり、その際、X及びnは、上記で定義されているとおりである。好ましくは、本発明は、一般式(I)のN−(1−アルキル−2−フェニルエチル)−カルボキサミド誘導体に関し、ここで、種々の特性は、下記のものとして、単独で選択され得るか又は組み合わせて選択され得る:
・ nに関しては、nは、1、2又は3であるように選択され、さらに好ましくは、nは、1又は2である;
及び、
・ Xに関しては、Xは、ハロゲン原子、(ヒドロキシイミノ)−C−C−アルキル基、C−C−アルキル、1から5個のハロゲン原子を有するC−C−ハロゲノアルキル、(C−C−アルコキシイミノ)−C−C−アルキル、(C−C−アルケニルオキシイミノ)−C−C−アルキル又は(C−C−アルキニルオキシイミノ)−C−C−アルキルであるように選択され、さらに好ましくは、Xは、ハロゲン原子又は1から5個のハロゲン原子を有するC−C−ハロゲノアルキルであるように選択される。
【0015】
本発明では、式(I)の化合物のエチルアミド部分の炭素原子は、R、R、R及びRで置換されており、ここで、R、R、R及びRは上記で定義されているとおりである。好ましくは、本発明は、一般式(I)のN−(1−アルキル−2−フェニルエチル)−カルボキサミド誘導体にも関し、ここで、種々の特性は、下記のものとして、単独で選択され得るか又は組み合わせて選択され得る:
・ R及びRに関しては、R及びRは、互いに独立して、水素原子又はハロゲン原子であるように選択される;
及び、
・ R及びRに関しては、R及びRは、互いに独立して、水素原子又はC−C−アルキルであるように選択され、さらに好ましくは、Rはメチル基であるようにうに選択され、且つ、Rは水素原子であるように選択される。
【0016】
本発明では、式(I)の化合物のカルボキサミド部分の窒素原子は、Rで置換されており、ここで、Rは、水素原子、C−C−アルキル又はC−C−シクロアルキルであり、好ましくは、該C−C−シクロアルキルは、シクロプロピルである。
【0017】
本発明では、一般式(I)の化合物の「Het」は、同一であっても又は異なっていてもよい1個、2個又は3個のヘテロ原子を有する5員、6員又は7員の非縮合ヘテロ環であり、ここで、Hetは炭素原子で結合しており、また、Hetは少なくともオルト位がYで置換されている(ここで、Yは、上記で定義されているとおりである)。好ましくは、本発明は、一般式(I)のN−(1−アルキル−2−フェニルエチル)−カルボキサミド誘導体にも関し、ここで、種々の特性は、下記のものとして、単独で選択され得るか又は組み合わせて選択され得る:
・ Hetに関しては、Hetは、2−フラン、3−フラン、4,5−ジヒドロ−3−フラン、2−チオフェン、3−チオフェン、2−ピロール、3−ピロール、5−オキサゾール、4−オキサゾール、5−チアゾール、4−チアゾール、5−ピラゾール、4−ピラゾール、3−ピラゾール、3−イソオキサゾール、4−イソオキサゾール、5−イソオキサゾール、3−イソチアゾール、4−1,2,3−トリアゾール、4−チアジアゾール、5−チジアゾール(thidiazole)、2−ピリジン、3−ピリジン、4−ピリジン、2−オキサチイン、4,5−ジヒドロ−3−ピラン、4,5−ジヒドロ−2−チオピラン、4,5−ジヒドロ−3−チオピラン又は2−ピラジンであるように選択される;
・ Yに関しては、Yは、ハロゲン原子、C−C−アルキル、1から5個のハロゲン原子を有するC−C−ハロゲノアルキルであるように選択される;
・ pに関しては、pは、1、2又は3であり、さらに好ましくは、pは、1又は2である;
及び、
・ Yに関しては、Yは、水素原子、ハロゲン原子又はC−C−アルキルであるように選択される。
【0018】
本発明では、一般式(I)の化合物の「Het」は、5員環式ヘテロ環であることができる。Hetが5員ヘテロ環である本発明化合物の特定例としては、以下のものを挙げることができる。
【0019】
* Hetは、一般式(Het−1)
【0020】
【化7】

[式中、
・ R及びRは、同一であっても又は異なっていてもよく、そして、それらは、水素原子、ハロゲン原子、アミノ基、ニトロ基、C−C−アルキル又は1から5個のハロゲン原子を有するC−C−ハロゲノアルキルであり得る;
及び、
・ Rは、ハロゲン原子、ニトロ基、C−C−アルキル又は1から5個のハロゲン原子を有するC−C−ハロゲノアルキルであり得る。]
のヘテロ環を表す。
【0021】
* Hetは、一般式(Het−2)
【0022】
【化8】

[式中、
・ Rは、水素原子、ハロゲン原子、C−C−アルキル又は1から5個のハロゲン原子を有するC−C−ハロゲノアルキルであり得る;
及び、
・ R10及びR11は、同一であっても又は異なっていてもよく、そして、それらは、水素原子、ハロゲン原子、アミノ基、C−C−アルキル又は1から5個のハロゲン原子を有するC−C−ハロゲノアルキルであり得る;
但し、RとR11が両方とも水素原子であることはない。]
のヘテロ環を表す。
【0023】
* Hetは、一般式(Het−3)
【0024】
【化9】

[式中、
・ R12は、ハロゲン原子、C−C−アルキル又は1から5個のハロゲン原子を有するC−C−ハロゲノアルキルであり得る;
及び、
・ R13は、水素原子、C−C−アルキル又は1から5個のハロゲン原子を有するC−C−ハロゲノアルキルであり得る。]
のヘテロ環を表す。
【0025】
* Hetは、一般式(Het−4)
【0026】
【化10】

[式中、
・ R14及びR15は、同一であっても又は異なっていてもよく、そして、それらは、水素原子、ハロゲン原子、C−C−アルキル、1から5個のハロゲン原子を有するC−C−ハロゲノアルキル、C−C−アルキルチオ又はC−C−アルキルスルホニルであり得るか、又は、ハロゲン原子若しくはC−C−アルキルで場合により置換されていてもよいフェニルであり得るか、又は、ハロゲン原子若しくはC−C−アルキルで場合により置換されていてもよいピリジルであり得る;
及び、
・ R16は、ハロゲン原子、シアノ基、C−C−アルキル、1から5個のハロゲン原子を有するC−C−ハロゲノアルキル又は1から5個のハロゲン原子を有するC−C−ハロゲノアルコキシであり得る。]
のヘテロ環を表す。
【0027】
* Hetは、一般式(Het−5)
【0028】
【化11】

[式中、
・ R17及びR18は、同一であっても又は異なっていてもよく、そして、それらは、水素原子、ハロゲン原子、C−C−アルキル、C−C−アルキルオキシ又は1から5個のハロゲン原子を有するC−C−ハロゲノアルキルであり得る;
及び、
・ R19は、水素原子、ハロゲン原子、C−C−アルキル又は1から5個のハロゲン原子を有するC−C−ハロゲノアルキルであり得る;
但し、R18とR19が両方とも水素原子であることはない。]
のヘテロ環を表す。
【0029】
* Hetは、一般式(Het−6)
【0030】
【化12】

[式中、
・ R20は、水素原子、ハロゲン原子、シアノ基、C−C−アルキル又は1から5個のハロゲン原子を有するC−C−ハロゲノアルキルであり得る;
・ R21及びR23は、同一であっても又は異なっていてもよく、そして、それらは、水素原子、ハロゲン原子、C−C−アルキル又は1から5個のハロゲン原子を有するC−C−ハロゲノアルキルであり得る;
及び、
・ R22は、水素原子、シアノ基、C−C−アルキル、1から5個のハロゲン原子を有するC−C−ハロゲノアルキル、C−C−アルコキシ−C−C−アルキル、ヒドロキシ−C−C−アルキル、C−C−アルキルスルホニル、ジ(C−C−アルキル)アミノスルホニル又はC−C−アルキルカルボニルであり得るか、又は、ハロゲン原子若しくはC−C−アルキルで場合により置換されていてもよいフェニルスルホニルであり得るか、又は、ハロゲン原子若しくはC−C−アルキルで場合により置換されていてもよいベンゾイルであり得る;
但し、R20とR23が両方とも水素原子であることはない。]
のヘテロ環を表す。
【0031】
* Hetは、一般式(Het−7)
【0032】
【化13】

[式中、
・ R24は、水素原子、シアノ基、C−C−アルキル、1から5個のハロゲン原子を有するC−C−ハロゲノアルキル、C−C−アルコキシ−C−C−アルキル、ヒドロキシ−C−C−アルキル、C−C−アルキルスルホニル、ジ(C−C−アルキル)アミノスルホニル又はC−C−アルキルカルボニルであり得るか、又は、ハロゲン原子若しくはC−C−アルキルで場合により置換されていてもよいフェニルスルホニルであり得るか、又は、ハロゲン原子若しくはC−C−アルキルで場合により置換されていてもよいベンゾイルであり得る;
及び、
・ R25、R26及びR27は、同一であっても又は異なっていてもよく、そして、それらは、水素原子、ハロゲン原子、シアノ基、C−C−アルキル、1から5個のハロゲン原子を有するC−C−ハロゲノアルキル又はC−C−アルキルカルボニルであり得る;
但し、R24とR27が両方とも水素原子であることはない。]
のヘテロ環を表す。
【0033】
* Hetは、一般式(Het−8)
【0034】
【化14】

[式中、
・ R28は、水素原子又はC−C−アルキルであり得る;
及び、
・ R29は、ハロゲン原子、C−C−アルキル又は1から5個のハロゲン原子を有するC−C−ハロゲノアルキルであり得る。]
のヘテロ環を表す。
【0035】
* Hetは、一般式(Het−9)
【0036】
【化15】

[式中、
・ R30は、水素原子又はC−C−アルキルであり得る;
及び、
・ R31は、ハロゲン原子、C−C−アルキル又は1から5個のハロゲン原子を有するC−C−ハロゲノアルキルであり得るか、又は、ハロゲン原子若しくはC−C−アルキルで場合により置換されていてもよいフェニルであり得る。]
のヘテロ環を表す。
【0037】
* Hetは、一般式(Het−10)
【0038】
【化16】

[式中、
・ R32は、水素原子、ハロゲン原子、アミノ基、シアノ基、C−C−アルキルアミノ、ジ−(C−C−アルキル)アミノ、C−C−アルキル又は1から5個のハロゲン原子を有するC−C−ハロゲノアルキルであり得るか、又は、ハロゲン原子若しくはC−C−アルキルで場合により置換されていてもよいフェニルであり得る;
及び、
・ R33は、ハロゲン原子、C−C−アルキル又は1から5個のハロゲン原子を有するC−C−ハロゲノアルキルであり得る。]
のヘテロ環を表す。
【0039】
* Hetは、一般式(Het−11)
【0040】
【化17】

[式中、
・ R34は、水素原子、ハロゲン原子、アミノ基、シアノ基、C−C−アルキルアミノ、ジ−(C−C−アルキル)アミノ、C−C−アルキル又は1から5個のハロゲン原子を有するC−C−ハロゲノアルキルであり得る;
及び、
・ R35は、ハロゲン原子、C−C−アルキル又は1から5個のハロゲン原子を有するC−C−ハロゲノアルキルであり得る。]
のヘテロ環を表す。
【0041】
* Hetは、一般式(Het−12)
【0042】
【化18】

[式中、
・ R36は、ハロゲン原子、シアノ基、ニトロ基、C−C−アルキル、1から5個のハロゲン原子を有するC−C−ハロゲノアルキル、C−C−シクロアルキル、C−C−アルコキシ、1から5個のハロゲン原子を有するC−C−ハロゲノアルコキシ、C−C−アルキルチオ、1から5個のハロゲン原子を有するC−C−ハロゲノアルキルチオ、アミノカルボニル基又はアミノカルボニル−C−C−アルキルであり得る;
・ R37は、水素原子、ハロゲン原子、シアノ基、ニトロ基、C−C−アルキル、C−C−アルコキシ又はC−C−アルキルチオであり得る;
及び、
・ R38は、水素原子、フェニル、C−C−アルキル、1から5個のハロゲン原子を有するC−C−ハロゲノアルキル、ヒドロキシ−C−C−アルキル、C−C−アルケニル、C−C−シクロアルキル、C−C−アルキルチオ−C−C−アルキル、1から5個のハロゲン原子を有するC−C−ハロゲノアルキルチオ−C−C−アルキル、C−C−アルコキシ−C−C−アルキル又は1から5個のハロゲン原子を有するC−C−ハロゲノアルコキシ−C−C−アルキルであり得る。]
のヘテロ環を表す。
【0043】
* Hetは、一般式(Het−13)
【0044】
【化19】

[式中、
・ R39は、水素原子、ハロゲン原子、シアノ基、ニトロ基、C−C−アルキル、1から5個のハロゲン原子を有するC−C−ハロゲノアルキル、C−C−シクロアルキル、C−C−アルコキシ、1から5個のハロゲン原子を有するC−C−ハロゲノアルコキシ、C−C−アルキルチオ、1から5個のハロゲン原子を有するC−C−ハロゲノアルキルチオ、アミノカルボニル又はアミノカルボニル−C−C−アルキルであり得る;
・ R40は、水素原子、ハロゲン原子、シアノ基、C−C−アルキル、C−C−アルコキシ、1から5個のハロゲン原子を有するC−C−ハロゲノアルコキシ又はC−C−アルキルチオであり得る;
及び、
・ R41は、水素原子、C−C−アルキル、1から5個のハロゲン原子を有するC−C−ハロゲノアルキル、ヒドロキシ−C−C−アルキル、C−C−アルケニル、C−C−シクロアルキル、C−C−アルキルチオ−C−C−アルキル、1から5個のハロゲン原子を有するC−C−ハロゲノアルキルチオ−C−C−アルキル、C−C−アルコキシ−C−C−アルキル又は1から5個のハロゲン原子を有するC−C−ハロゲノアルコキシ−C−C−アルキルであり得るか、又は、ハロゲン原子、C−C−アルキル、C−C−アルコキシアルキル若しくはニトロ基で場合により置換されていてもよいフェニルであり得る;
但し、R39とR40が両方とも水素原子であることはない。]
のヘテロ環を表す。
【0045】
* Hetは、一般式(Het−14)
【0046】
【化20】

[式中、
・ R42は、水素原子、ハロゲン原子、シアノ基、ニトロ基、C−C−アルキル、1から5個のハロゲン原子を有するC−C−ハロゲノアルキル、C−C−シクロアルキル、C−C−アルコキシ、1から5個のハロゲン原子を有するC−C−ハロゲノアルコキシ、C−C−アルキルチオ、1から5個のハロゲン原子を有するC−C−ハロゲノアルキルチオ、アミノカルボニル又はアミノカルボニル−C−C−アルキルであり得る;
・ R43は、水素原子、ハロゲン原子、シアノ基、C−C−アルキル、C−C−アルコキシ、C−C−アルキルチオ又は1から5個のハロゲン原子を有するC−C−ハロゲノアルキルであり得る;
・ R44は、水素原子、フェニル、ベンジル、C−C−アルキル、1から5個のハロゲン原子を有するC−C−ハロゲノアルキル、ヒドロキシ−C−C−アルキル、C−C−アルケニル、C−C−シクロアルキル、C−C−アルキルチオ−C−C−アルキル、1から5個のハロゲン原子を有するC−C−ハロゲノアルキルチオ−C−C−アルキル、C−C−アルコキシ−C−C−アルキル又は1から5個のハロゲン原子を有するC−C−ハロゲノアルコキシ−C−C−アルキルであり得る;
但し、R43とR44が両方とも水素原子であることはない。]
のヘテロ環を表す。
【0047】
* Hetは、一般式(Het−15)
【0048】
【化21】

[式中、
・ R45は、水素原子、ハロゲン原子、C−C−アルキル又は1から5個のハロゲン原子を有するC−C−ハロゲノアルキルであり得る;
及び、
・ R46は、ハロゲン原子、C−C−アルキル又は1から5個のハロゲン原子を有するC−C−ハロゲノアルキルであり得る。]
のヘテロ環を表す。
【0049】
* Hetは、一般式(Het−16)
【0050】
【化22】

[式中、
・ R47及びR48は、同一であっても又は異なっていてもよく、そして、それらは、水素原子、ハロゲン原子、C−C−アルキル又は1から5個のハロゲン原子を有するC−C−ハロゲノアルキルであり得るか、又は、ハロゲン原子若しくはC−C−アルキルで場合により置換されていてもよいフェニルであり得るか、又は、ハロゲン原子若しくはC−C−アルキルで場合により置換されていてもよいヘテロシクリルであり得る;
但し、R47とR48が両方とも水素原子であることはない。]
のヘテロ環を表す。
【0051】
* Hetは、一般式(Het−17)
【0052】
【化23】

[式中、
・ R49は、ハロゲン原子、C−C−アルキル又は1から5個のハロゲン原子を有するC−C−ハロゲノアルキルであり得る;
及び、
・ R50は、ハロゲン原子、C−C−アルキル又は1から5個のハロゲン原子を有するC−C−ハロゲノアルキルであり得る。]
のヘテロ環を表す。
【0053】
* Hetは、一般式(Het−18)
【0054】
【化24】

[式中、
・ R51は、ハロゲン原子、C−C−アルキル又は1から5個のハロゲン原子を有するC−C−ハロゲノアルキルであり得る。]
のヘテロ環を表す。
【0055】
* Hetは、一般式(Het−19)
【0056】
【化25】

[式中、
・ R52は、ハロゲン原子、C−C−アルキル又は1から5個のハロゲン原子を有するC−C−ハロゲノアルキルであり得る;
及び、
・ R53は、水素原子、C−C−アルキル又は1から5個のハロゲン原子を有するC−C−ハロゲノアルキルであり得るか、又は、ハロゲン原子若しくはC−C−アルキルで場合により置換されていてもよいフェニルであり得る。]
のヘテロ環を表す。
【0057】
* Hetは、一般式(Het−20)
【0058】
【化26】

[式中、
・ R54は、ハロゲン原子、C−C−アルキル又は1から5個のハロゲン原子を有するC−C−ハロゲノアルキルであり得る。]
のヘテロ環を表す。
【0059】
本発明では、一般式(I)の化合物の「Het」は、6員環式ヘテロ環であることができる。Hetが6員ヘテロ環である本発明化合物の特定例としては、以下のものを挙げることができる。
【0060】
* Hetは、一般式(Het−21)
【0061】
【化27】

[式中、
・ R55は、ハロゲン原子、ヒドロキシ基、シアノ基、C−C−アルキル、1から5個のハロゲン原子を有するC−C−ハロゲノアルキル、C−C−アルコキシ、C−C−アルキルチオ、1から5個のハロゲン原子を有するC−C−ハロゲノアルキルチオ又は1から5個のハロゲン原子を有するC−C−ハロゲノアルコキシであり得る;
・ R56、R57及びR58は、同一であっても又は異なっていてもよく、そして、それらは、水素原子、ハロゲン原子、シアノ基、C−C−アルキル、1から5個のハロゲン原子を有するC−C−ハロゲノアルキル、C−C−アルコキシ、C−C−アルキルチオ、1から5個のハロゲン原子を有するC−C−ハロゲノアルコキシ、C−C−アルキルスルフィニル又はC−C−アルキルスルホニルであり得る。]
のヘテロ環を表す。
【0062】
* Hetは、一般式(Het−22)
【0063】
【化28】

[式中、
・ R59は、水素原子、ハロゲン原子、ヒドロキシ基、シアノ基、C−C−アルキル、1から5個のハロゲン原子を有するC−C−ハロゲノアルキル、C−C−アルコキシ、C−C−アルキルチオ、C−C−アルケニルチオ、1から5個のハロゲン原子を有するC−C−ハロゲノアルキルチオ又は1から5個のハロゲン原子を有するC−C−ハロゲノアルコキシであり得るか、又は、ハロゲン原子若しくはC−C−アルキルで場合により置換されていてもよいフェニルオキシであり得るか、又は、ハロゲン原子若しくはC−C−アルキルで場合により置換されていてもよいフェニルチオであり得る;
・ R60、R61及びR62は、同一であっても又は異なっていてもよく、そして、それらは、水素原子、ハロゲン原子、シアノ基、C−C−アルキル、1から5個のハロゲン原子を有するC−C−ハロゲノアルキル、C−C−アルコキシ、C−C−アルキルチオ、1から5個のハロゲン原子を有するC−C−ハロゲノアルコキシ、C−C−アルキルスルフィニル又はC−C−アルキルスルホニルであり得るか、又は、ハロゲン原子若しくはC−C−アルキルで場合により置換されていてもよいN−モルホリンであり得るか、又は、ハロゲン原子若しくはC−C−アルキルで場合により置換されていてもよいチエニルであり得る;
但し、R59とR62が両方とも水素原子であることはない。]
のヘテロ環を表す。
【0064】
* Hetは、一般式(Het−23)
【0065】
【化29】

[式中、
・ R63、R64、R65及びR66は、同一であっても又は異なっていてもよく、そして、それらは、水素原子、ハロゲン原子、ヒドロキシ基、シアノ基、C−C−アルキル、1から5個のハロゲン原子を有するC−C−ハロゲノアルキル、C−C−アルコキシ、C−C−アルキルチオ、1から5個のハロゲン原子を有するC−C−ハロゲノアルキルチオ、1から5個のハロゲン原子を有するC−C−ハロゲノアルコキシ、C−C−アルキルスルフィニル又はC−C−アルキルスルホニルであり得る;
但し、R63とR66が両方とも水素原子であることはない。]
のヘテロ環を表す。
【0066】
* Hetは、一般式(Het−24)
【0067】
【化30】

[式中、
・ R67は、ハロゲン原子、C−C−アルキル又は1から5個のハロゲン原子を有するC−C−ハロゲノアルキルであり得る;
・ R68は、水素原子、C−C−アルキル、1から5個のハロゲン原子を有するC−C−ハロゲノアルキル又はC−C−アルコキシカルボニルであり得るか、又は、1から3個のハロゲン原子で場合により置換されていてもよいベンジルであり得るか、又は、1から3個のハロゲン原子で場合により置換されていてもよいベンジルオキシカルボニルであり得るか、又は、ヘテロシクリルであり得る。]
のヘテロ環を表す。
【0068】
* Hetは、一般式(Het−25)
【0069】
【化31】

[式中、
・ R69は、ハロゲン原子、ヒドロキシ基、シアノ基、C−C−アルキル、1から5個のハロゲン原子を有するC−C−ハロゲノアルキル、C−C−アルコキシ、C−C−アルキルチオ、1から5個のハロゲン原子を有するC−C−ハロゲノアルキルチオ又は1から5個のハロゲン原子を有するC−C−ハロゲノアルコキシであり得る;
・ R70は、水素原子、C−C−アルキル、1から5個のハロゲン原子を有するC−C−ハロゲノアルキル又はベンジルであり得る。]
のヘテロ環を表す。
【0070】
* Hetは、一般式(Het−26)
【0071】
【化32】

[式中、
・ Qは、硫黄原子、−SO−、−SO−又は−CH−であり得る;
・ R71は、C−C−アルキル又は1から5個のハロゲン原子を有するC−C−ハロゲノアルキルであり得る;
及び、
・ R72及びR73は、同一であっても又は異なっていてもよく、そして、それらは、水素原子又はC−C−アルキルであり得る。]
のヘテロ環を表す。
【0072】
* Hetは、一般式(Het−27)
【0073】
【化33】

[式中、
・ R74は、C−C−アルキル又は1から5個のハロゲン原子を有するC−C−ハロゲノアルキルであり得る。]
のヘテロ環を表す。
【0074】
* Hetは、一般式(Het−28)
【0075】
【化34】

[式中、
・ R75は、C−C−アルキル又は1から5個のハロゲン原子を有するC−C−ハロゲノアルキルであり得る。]
のヘテロ環を表す。
【0076】
* Hetは、一般式(Het−29)
【0077】
【化35】

[式中、
・ R76は、ハロゲン原子、C−C−アルキル又は1から5個のハロゲン原子を有するC−C−ハロゲノアルキルであり得る。]
のヘテロ環を表す。
【0078】
本発明は、さらにまた、一般式(I)の化合物を調製する方法にも関する。かくして、本発明のさらなる態様により、一般式(I)の化合物を調製する方法が提供され、ここで、該方法は、一般式(II)
【0079】
【化36】

[式中、R、R、R、R、R、X及びnは、上記で定義されているとおりである。]
の1−アルキル−2−フェニルエチルアミン誘導体又はその塩のうちの1種類を、一般式(III)
【0080】
【化37】

[式中、
・ Het、Y、Y及びpは、上記で定義されているとおりであり;
・ Lは、ハロゲン原子、ヒドロキシル基、−OR77、−OCOR77であるように選択される脱離基であり、ここで、R77は、C−C−アルキル、C−C−ハロアルキル、ベンジル、4−メトキシベンジル、ペンタフルオロフェニル又は式
【0081】
【化38】

の基である。]
のカルボン酸誘導体と、触媒の存在下で、また、Lがヒドロキシル基である場合は、縮合剤の存在下で、反応させることを含む。
【0082】
本発明の調製方法は、触媒の存在下で実施する。適切な触媒は、4−ジメチル−アミノピリジン、1−ヒドロキシ−ベンゾトリアゾール又はジメチルホルムアミドであるように選択することができる。
【0083】
がヒドロキシ基である場合、本発明の調製方法は、縮合剤の存在下で実施する。適切な縮合剤は、酸ハロゲン化物形成物質(former)、例えば、ホスゲン、三臭化リン、三塩化リン、五塩化リン、三塩化リン酸化物(phosphorous trichloride oxide)若しくは塩化チオニル;無水物形成物質、例えば、クロロギ酸エチル、クロロギ酸メチル、クロロギ酸イソプロピル、クロロギ酸イソブチル若しくはメタンスルホニルクロリド;カルボジイミド類、例えば、N,N’−ジシクロヘキシルカルボジイミド(DCC)、又は、別の慣習的な縮合剤、例えば、五酸化リン、ポリリン酸、N,N’−カルボニル−ジイミダゾール、2−エトキシ−N−エトキシカルボニル−1,2−ジヒドロキノリン(EEDQ)、トリフェニルホスフィン/テトラクロロメタン、4−(4,6−ジメトキシ[1.3.5]トリアジン−2−イル)−4−メチルモルホリニウムクロリド水和物若しくはブロモ−トリピロリジノ−ホスホニウム−ヘキサフルオロホスフェートなどであるように選択することができる。
【0084】
が水素原子である場合、一般式(I)の化合物を調製するための上記方法は、一般式(Ib)の化合物を一般式(VI)の化合物と反応させて一般式(Ia)の化合物を生成させることを含む以下の反応スキーム:
【0085】
【化39】

[ここで、
・ R、R、R、R、X、n、Het、Y、Y及びpは、上記で定義されているとおりであり;
・ Lは、ハロゲン原子、4−メチルフェニルスルホニルオキシ又はメチルスルホニルオキシであるように選択される脱離基であり;
・ R5aは、C−C−アルキル基又はC−C−シクロアルキルである。]
に従うさらなるステップで場合により完結させることができる。
【0086】
、R、R、R、R、X及びnの定義に応じて、一般式(II)のアミン誘導体は、種々の調製方法で調製することができる。そのような調製方法の1つの例(A)は、以下のとおりであり得る:
・ R、R、R、R、X及びnが、上記で定義されているとおりであり;
及び、
・ Rが、水素原子である場合;
一般式(II)のアミン誘導体は、以下のステップを含む調製方法に従って調製することができる:
− 反応スキーム(A−1)による第1ステップ:
スキーム(A−1)
【0087】
【化40】

[ここで、R、R、R、R、X及びnは、上記で定義されているとおりである。]
(ここで、該第1ステップは、一般式(IV)の化合物を式R−NHのアミンと反応させて、一般式(V)のイミン誘導体を生成させることを含む);
− 反応スキーム(A−2)による第2ステップ:
スキーム(A−2)
【0088】
【化41】

[ここで、R、R、R、R、X及びnは、上記で定義されているとおりである。]
(ここで、該第2ステップは、一般式(V)のイミン誘導体を、同一のポット又は異なったポット内で、水素化又は水素化物供与体により還元して、一般式(IIa)のアミン誘導体又はその塩のうちの1種類を生成させることを含む)。好ましくは、該水素化物供与体は、LiAlH、NaBH、NaBHCN、KBH、Bなどのような金属水素化物又は半金属水素化物であるように選択される。
【0089】
本発明の化合物は、上記で記述した一般的な調製方法に準じて調製することができる。それにもかかわらず、当業者が、自分の一般的な知識及び利用可能な刊行物に基づいて、合成することが望まれる化合物のそれぞれの特性に応じて該方法を適合させることができるということは理解されるであろう。
【0090】
当業者は、自分の一般的な知識及び利用可能な刊行物に基づいて、本発明の式(V)の中間体化合物も調製することができるであろう。
【0091】
本発明は、さらに、有効量の一般式(I)の活性物質を含んでいる殺菌剤組成物にも関する。かくして、本発明により、活性成分としての有効量の上記で定義されている一般式(I)の化合物、及び、農業上許容される支持体、担体又は増量剤を含んでいる殺菌剤組成物が提供される。
【0092】
本明細書において、用語「支持体(support)」は、該活性物質と組み合わせて、特に植物の一部分に対して、より容易に施用できるようにする、天然又は合成の有機物質又は無機物質を意味する。このような支持体は、従って、一般に不活性であり、また、農業上許容されるものであるべきである。支持体は、固体であってもよいし、又は、液体であってもよい。適切な支持体の例としては、クレー、天然又は合成のシリケート、シリカ、樹脂、蝋、固形肥料、水、アルコール(特に、ブタノール)、有機溶媒、鉱油及び植物油、並びに、それらの誘導体などを挙げることができる。このような支持体の混合物を使用することもできる。
【0093】
上記組成物は、さらにまた、付加的な成分も含有することができる。特に、該組成物は、さらに、界面活性剤を含有することができる。該界面活性剤は、イオン性若しくは非イオン性のタイプの乳化剤、分散剤若しくは湿潤剤であることが可能であるか、又は、そのような界面活性剤の混合物であることが可能である。例えば、以下のものを挙げることができる:ポリアクリル酸塩、リグノスルホン酸塩、フェノールスルホン酸塩若しくはナフタレンスルホン酸塩、エチレンオキシドと脂肪アルコールの重縮合物、エチレンオキシドと脂肪酸の重縮合物若しくはエチレンオキシドと脂肪アミンの重縮合物、置換されているフェノール(特に、アルキルフェノール又はアリールフェノール)、スルホコハク酸エステルの塩、タウリン誘導体(特に、アルキルタウレート)、ポリオキシエチル化アルコールのリン酸エステル若しくはポリオキシエチル化フェノールのリン酸エステル、ポリオールの脂肪酸エステル、並びに、硫酸官能基、スルホン酸官能基及びリン酸官能基を含んでいる上記化合物の誘導体。該活性物質及び/又は該不活性支持体が水不溶性である場合、及び、施用のための媒介物(vector agent)が水である場合、一般に、少なくとも1種類の界面活性剤を存在させることが必要である。好ましくは、界面活性剤の含有量は、該組成物の5重量%から40重量%であり得る。
【0094】
場合により、さらなる成分、例えば、保護コロイド、粘着剤、増粘剤、揺変剤、浸透剤、安定化剤、金属イオン封鎖剤などを含ませることもできる。さらに一般的には、該活性物質は、通常の製剤技術に従う固体又は液体の任意の添加剤と組み合わせることが可能である。
【0095】
一般に、本発明の組成物には、0.05から99%(重量基準)の活性物質、好ましくは、10から70重量%の活性物質を含有させることができる。
【0096】
本発明の組成物は、エーロゾルディスペンサー、カプセル懸濁液剤、冷煙霧濃厚剤(cold fogging concentrate)、散粉性粉剤、乳剤、水中油型エマルション剤、油中水型エマルション剤、カプセル化粒剤、細粒剤、種子処理用フロアブル剤、ガス剤(加圧下)、ガス生成剤(gas generating product)、粒剤、温煙霧濃厚剤(hot fogging concentrate)、大型粒剤、微粒剤、油分散性粉剤、油混和性フロアブル剤、油混和性液剤、ペースト剤、植物用棒状剤(plant rodlet)、乾燥種子処理用粉剤、農薬粉衣種子、可溶性濃厚剤(soluble concentrate)、可溶性粉剤、種子処理用溶液剤、懸濁製剤(フロアブル剤)、微量散布用液剤(ultra low volume (ulv) liquid)、微量散布用懸濁液剤(ultra low volume (ulv) suspension)、顆粒水和剤、水分散性錠剤、スラリー処理用水和剤、水溶性顆粒剤、水溶性錠剤、種子処理用水溶性粉剤及び水和剤などのような、さまざまな形態で使用することが可能である。
【0097】
これらの組成物には、処理対象の植物又は種子に対して噴霧装置又は散粉装置のような適切な装置を用いて施用される状態にある組成物のみではなく、作物に対して施用する前に希釈することが必要な商業的な濃厚組成物も包含される。
【0098】
本発明の化合物は、さらにまた、1種類以上の殺虫剤、殺菌剤、殺細菌剤、誘引性殺ダニ剤若しくはフェロモン、又は、生物学的活性を有する別の化合物と混合することもできる。そのようにして得られた混合物は、拡大された活性スペクトルを有する。別の殺菌剤との混合物が特に有利である。適切な混合相手殺菌剤の例は、以下のリストの中で選択し得る:
(1) 核酸合成を阻害し得る化合物、例えば、ベナラキシル、ベナラキシル−M、ブピリメート、キララキシル(chiralaxyl)、クロジラコン、ジメチリモール、エチリモール、フララキシル、ヒメキサゾール、メフェノキサム、メタラキシル、メタラキシル−M、オフラセ、オキサジキシル、オキソリン酸;
(2) 有糸分裂及び細胞分裂を阻害し得る化合物、例えば、ベノミル、カルベンダジム、ジエトフェンカルブ、エタボキサム、フベリダゾール、ペンシクロン、チアベンダゾール、チオファネート−メチル、ゾキサミド;
(3) 呼吸を阻害し得る化合物、例えば、
CI−呼吸阻害薬、例えば、ジフルメトリム;
CII−呼吸阻害薬、例えば、ボスカリド、カルボキシン、フェンフラム、フルトラニル、フラメトピル、フルメシクロックス、メプロニル、オキシカルボキシン、ペンチオピラド、チフルザミド;
CIII−呼吸阻害薬、例えば、アミスルブロム、アゾキシストロビン、シアゾファミド、ジモキシストロビン、エネストロビン(enestrobin)、ファモキサドン、フェンアミドン、フルオキサストロビン、クレソキシム−メチル、メトミノストロビン、オリサストロビン、ピコキシストロビン、ピラクロストロビン、トリフロキシストロビン;
(4) 脱共役剤として作用し得る化合物、例えば、ジノカップ、フルアジナム、メプチルジノカップ(meptyldinocap);
(5) ATP産生を阻害し得る化合物、例えば、酢酸トリフェニルスズ、塩化トリフェニルスズ、水酸化トリフェニルスズ、シルチオファム;
(6) AA及びタンパク質の生合成を阻害し得る化合物、例えば、アンドプリム(andoprim)、ブラストサイジン−S、シプロジニル、カスガマイシン、カスガマイシン塩酸塩水和物、メパニピリム、ピリメタニル;
(7) シグナル伝達を阻害し得る化合物、例えば、フェンピクロニル、フルジオキソニル、キノキシフェン;
(8) 脂質及び膜の合成を阻害し得る化合物、例えば、ビフェニル、クロゾリネート、エジフェンホス、エトリジアゾール、ヨードカルブ(iodocarb)、イプロベンホス、イプロジオン、イソプロチオラン、プロシミドン、プロパモカルブ、プロパモカルブ塩酸塩、ピラゾホス、トルクロホス−メチル、ビンクロゾリン;
(9) エルゴステロールの生合成を阻害し得る化合物、例えば、アルジモルフ、アザコナゾール、ビテルタノール、ブロムコナゾール、シプロコナゾール、ジクロブトラゾール、ジフェノコナゾール、ジニコナゾール、ジニコナゾール−M、ドデモルフ、酢酸ドデモルフ、エポキシコナゾール、エタコナゾール、フェナリモール、フェンブコナゾール、フェンヘキサミド、フェンプロピジン、フェンプロピモルフ、フルキンコナゾール、フルルプリミドール、フルシラゾール、フルトリアホール、フルコナゾール、フルコナゾール−シス、ヘキサコナゾール、イマザリル、硫酸イマザリル、イミベンコナゾール、イプコナゾール、メトコナゾール、ミクロブタニル、ナフチフィン、ヌアリモール、オキシポコナゾール、パクロブトラゾール、ペフラゾエート、ペンコナゾール、プロクロラズ、プロピコナゾール、プロチオコナゾール、ピリブチカルブ、ピリフェノックス、シメコナゾール、スピロキサミン、テブコナゾール、テルビナフィン、テトラコナゾール、トリアジメホン、トリアジメノール、トリデモルフ、トリフルミゾール、トリホリン、トリチコナゾール、ウニコナゾール、ビニコナゾール、ボリコナゾール;
(10) 細胞壁の合成を阻害し得る化合物、例えば、ベンチアバリカルブ、ビアラホス、ジメトモルフ、フルモルフ(flumorph)、イプロバリカルブ、マンジプロパミド、ポリオキシン、ポリオキソリム、バリダマイシンA;
(11) メラニンの生合成を阻害し得る化合物、例えば、カルプロパミド、ジクロシメット、フェノキサニル、フタリド、ピロキロン、トリシクラゾール;
(12) 宿主の防御を誘発し得る化合物、例えば、アシベンゾラル−S−メチル、プロベナゾール、チアジニル;
(13) 多部位に作用し得る化合物、例えば、ボルドー液、カプタホール、キャプタン、クロロタロニル、ナフテン酸銅、酸化銅、塩基性塩化銅、銅剤、例えば、水酸化銅、硫酸銅、ジクロフルアニド、ジチアノン、ドジン、ドジン遊離塩基、ファーバム、フルオロホルペット、ホルペット、グアザチン、酢酸グアザチン、イミノクタジン、イミノクタジンアルベシル酸塩、イミノクタジン三酢酸塩、マンカッパー、マンゼブ、マンネブ、メチラム、メチラム亜鉛(metiram zinc)、オキシン銅、プロピネブ、硫黄及び硫黄剤、例えば、多硫化カルシウム、チウラム、トリルフルアニド、ジネブ、ジラム;
(14) 以下のリストの中で選択される化合物:(2E)−2−(2−{[6−(3−クロロ−2−メチルフェノキシ)−5−フルオロピリミジン−4−イル]オキシ}フェニル)−2−(メトキシイミノ)−N−メチルアセトアミド、(2E)−2−{2−[({[(1E)−1−(3−{[(E)−1−フルオロ−2−フェニルビニル]オキシ}フェニル)エチリデン]アミノ}オキシ)メチル]フェニル}−2−(メトキシイミノ)−N−メチルアセトアミド、1−(4−クロロフェニル)−2−(1H−1,2,4−トリアゾール−1−イル)シクロヘプタノール、1−[(4−メトキシフェノキシ)メチル]−2,2−ジメチルプロピル−1H−イミダゾール−1−カルボキシレート、2,3,5,6−テトラクロロ−4−(メチルスルホニル)ピリジン、2−ブトキシ−6−ヨード−3−プロピル−4H−クロメン−4−オン、2−クロロ−N−(1,1,3−トリメチル−2,3−ジヒドロ−1H−インデン−4−イル)ニコチンアミド、2−フェニルフェノール及び塩、3,4,5−トリクロロピリジン−2,6−ジカルボニトリル、3,4−ジクロロ−N−(2−シアノフェニル)イソチアゾール−5−カルボキサミド、3−[5−(4−クロロフェニル)−2,3−ジメチルイソオキサゾリジン−3−イル]ピリジン、5−クロロ−6−(2,4,6−トリフルオロフェニル)−N−[(1R)−1,2,2−トリメチルプロピル][1,2,4]トリアゾロ[1,5−a]ピリミジン−7−アミン、5−クロロ−7−(4−メチルピペリジン−1−イル)−6−(2,4,6−トリフルオロフェニル)[1,2,4]トリアゾロ[1,5−a]ピリミジン、5−クロロ−N−[(1R)−1,2−ジメチルプロピル]−6−(2,4,6−トリフルオロフェニル)[1,2,4]トリアゾロ[1,5−a]ピリミジン−7−アミン、8−ヒドロキシキノリンスルフェート、ベンチアゾール、ベトキサジン、カプシマイシン(capsimycin)、カルボン、キノメチオネート、クフラネブ、シフルフェナミド、シモキサニル、ダゾメット、デバカルブ(debacarb)、ジクロロフェン、ジクロメジン、ジクロラン、ジフェンゾコート、ジフェンゾコートメチル硫酸塩、ジフェニルアミン、フェリムゾン、フルメトベル、フルオピコリド、フルオルイミド、フルスルファミド、ホセチル−アルミニウム、ホセチル−カルシウム、ホセチル−ナトリウム、ヘキサクロロベンゼン、イルママイシン、イソチアニル、メタスルホカルブ、(2E)−2−{2−[({シクロプロピル[(4−メトキシフェニル)イミノ]メチル}チオ)メチル]フェニル}−3−メトキシアクリル酸メチル、1−(2,2−ジメチル−2,3−ジヒドロ−1H−インデン−1−イル)−1H−イミダゾール−5−カルボン酸メチル、イソチオシアン酸メチル、メトラフェノン、ミルディオマイシン、N−(3’,4’−ジクロロ−5−フルオロビフェニル−2−イル)−3−(ジフルオロメチル)−1−メチル−1H−ピラゾール−4−カルボキサミド、N−(3−エチル−3,5,5−トリメチルシクロヘキシル)−3−(ホルミルアミノ)−2−ヒドロキシベンズアミド、N−(4−クロロ−2−ニトロフェニル)−N−エチル−4−メチルベンゼンスルホンアミド、N−(4−クロロベンジル)−3−[3−メトキシ−4−(プロプ−2−イン−1−イルオキシ)フェニル]プロパンアミド、N−[(4−クロロフェニル)(シアノ)メチル]−3−[3−メトキシ−4−(プロプ−2−イン−1−イルオキシ)フェニル]プロパンアミド、N−[(5−ブロモ−3−クロロピリジン−2−イル)メチル]−2,4−ジクロロニコチンアミド、N−[1−(5−ブロモ−3−クロロピリジン−2−イル)エチル]−2,4−ジクロロニコチンアミド、N−[1−(5−ブロモ−3−クロロピリジン−2−イル)エチル]−2−フルオロ−4−ヨードニコチンアミド、N−[2−(4−{[3−(4−クロロフェニル)プロプ−2−イン−1−イル]オキシ}−3−メトキシフェニル)エチル]−N<−(メチルスルホニル)バリンアミド、N−{(Z)−[(シクロプロピルメトキシ)イミノ][6−(ジフルオロメトキシ)−2,3−ジフルオロフェニル]メチル}−2−フェニルアセトアミド、N−{2−[1,1’−ビ(シクロプロピル)−2−イル]フェニル}−3−(ジフルオロメチル)−、1−メチル−1H−ピラゾール−4−カルボキサミド、N−{2−[3−クロロ−5−(トリフルオロメチル)ピリジン−2−イル]エチル}−2−(トリフルオロメチル)ベンズアミド、ナタマイシン、N−エチル−N−メチル−N’−{2−メチル−5−(トリフルオロメチル)−4−[3−(トリメチルシリル)プロポキシ]フェニル}イミドホルムアミド、N−エチル−N−メチル−N’−{2−メチル−5−(ジフルオロメチル)−4−[3−(トリメチルシリル)プロポキシ]フェニル}イミドホルムアミド、ジメチルジチオカルバミン酸ニッケル、ニトロタル−イソプロピル、O−{1−[(4−メトキシフェノキシ)メチル]−2,2−ジメチルプロピル} 1H−イミダゾール−1−カルボチオエート、オクチリノン、オキサモカルブ(oxamocarb)、オキシフェンチイン(oxyfenthiin)、ペンタクロロフェノール及び塩、亜リン酸及びその塩、ピペラリン、プロパモカルブホセチレート(propamocarb fosetylate)、プロパノシン−ナトリウム(propanosine-sodium)、プロキナジド、ピリベンカルブ、ピロールニトリン、キントゼン、テクロフタラム、テクナゼン、トリアゾキシド、トリクラミド、バリフェナール(valiphenal)、並びに、ザリラミド。
【0099】
式(I)の化合物と殺細菌活性化合物の混合物を含んでいる本発明の組成物も、特に有利であり得る。適切な混合相手殺細菌剤の例は、以下のリストの中で選択し得る:ブロノポール、ジクロロフェン、ニトラピリン、ジメチルジチオカルバミン酸ニッケル、カスガマイシン、オクチリノン、フランカルボン酸、オキシテトラサイクリン、プロベナゾール、ストレプトマイシン、テクロフタラム、硫酸銅及び他の銅剤。
【0100】
本発明の殺菌剤組成物を使用して、作物の植物病原性菌類を治療的又は予防的に防除することができる。かくして、本発明のさらに別の態様により、作物の植物病原性菌類を治療的又は予防的に防除する方法が提供され、ここで、該方法は、上記で定義した殺菌剤組成物を、種子、植物及び/若しくは植物の果実に施用するか、又は、植物が成育している土壌若しくは植物を栽培するのが望ましい土壌に施用することを特徴とする。
【0101】
作物の植物病原性菌類に対して使用する該組成物は、有効で且つ植物に対して毒性を示さない量の一般式(I)の活性物質を含有している。
【0102】
「有効で且つ植物に対して毒性を示さない量」という表現は、作物上に存在しているか又はおそらく出現するであろう菌類を防除又は駆除するのに充分で、且つ、該作物について植物毒性の感知可能などのような症状も引き起こすことのない、本発明組成物の量を意味する。そのような量は、防除対象の菌類、作物のタイプ、気候条件、及び、本発明の殺菌剤組成物に含まれている化合物に応じて、広い範囲で変動し得る。
【0103】
そのような量は、当業者が実行可能な範囲内にある体系的な圃場試験により決定することが可能である。
【0104】
本発明による処置方法は、塊茎又は根茎のような繁殖材料を処置するのに有効であるのみではなく、種子、実生又は移植実生(seedlings pricking out)及び植物又は移植植物(plants pricking out)を処置するのにも有効である。この処置方法は、根を処置するのにも有効であり得る。本発明による処置方法は、関係している植物の樹幹、茎又は柄、葉、花及び果実のような植物の地上部を処置するのにも有効であり得る。
【0105】
本発明の方法で保護可能な植物の中で、以下のものを挙げることができる:ワタ;アマ;ブドウ;果実又は野菜作物、例えば、バラ科各種(Rosaceae sp.)(例えば、ピップフルーツ(pip fruit)、例えば、リンゴ及びナシ、さらに、核果、例えば、アンズ、アーモンド及びモモ)、リベシオイダエ科各種(Ribesioidae sp.)、クルミ科各種(Juglandaceae sp.)、カバノキ科各種(Betulaceae sp.)、ウルシ科各種(Anacardiaceae sp.)、ブナ科各種(Fagaceae sp.)、クワ科各種(Moraceae sp.)、モクセイ科各種(Oleaceae sp.)、マタタビ科各種(Actinidaceae sp.)、クスノキ科各種(Lauraceae sp.)、バショウ科各種(Musaceae sp.)(例えば、バナナの木及びプランタン)、アカネ科各種(Rubiaceae sp.)、ツバキ科各種(Theaceae sp.)、アオギリ科各種(Sterculiceae sp.)、ミカン科各種(Rutaceae sp.)(例えば、レモン、オレンジ及びグレープフルーツ);ナス科各種(Solanaceae sp.)(例えば、トマト)、ユリ科各種(Liliaceae sp.)、キク科各種(Asteraceae sp.)(例えば、レタス)、セリ科各種(Umbelliferae sp.)、アブラナ科各種(Cruciferae sp.)、アカザ科各種(Chenopodiaceae sp.)、ウリ科各種(Cucurbitaceae sp.)、マメ科各種(Papilionaceae sp.)(例えば、エンドウ)、バラ科各種(Rosaceae sp.)(例えば、イチゴ);主要作物(major crop)、例えば、イネ科各種(Graminae sp.)(例えば、トウモロコシ、芝、又は、禾穀類、例えば、コムギ、イネ、オオムギ及びライコムギ)、キク科各種(Asteraceae sp.)(例えば、ヒマワリ)、アブラナ科各種(Cruciferae sp.)(例えば、ナタネ)、マメ科各種(Fabacae sp.)(例えば、ピーナッツ)、マメ科各種(Papilionaceae sp.)(例えば、ダイズ)、ナス科各種(Solanaceae sp.)(例えば、ジャガイモ)、アカザ科各種(Chenopodiaceae sp.)(例えば、ビートルート(beetroot));園芸作物及び森林作物(forest crops);さらに、これら作物の遺伝子組み換えが行われた相同物。
【0106】
本発明の方法で防除可能な植物又は作物の病害の中で、以下のものを挙げることができる:
・ うどんこ病(powdery mildew disease)、例えば、
ブルメリア(Blumeria)病、例えば、ブルメリア・グラミニス(Blumeria graminis)に起因するもの;
ポドスファエラ(Podosphaera)病、例えば、ポドスファエラ・レウコトリカ(Podosphaera leucotricha)に起因するもの;
スファエロテカ(Sphaerotheca)病、例えば、スファエロテカ・フリギネア(Sphaerotheca fuliginea)に起因するもの;
ウンシヌラ(Uncinula)病、例えば、ウンシヌラ・ネカトル(Uncinula necator)に起因するもの;
・ さび病(rust disease)、例えば、
ギムノスポランギウム(Gymnosporangium)病、例えば、ギムノスポランギウム・サビナエ(Gymnosporangium sabinae)に起因するもの;
ヘミレイア(Hemileia)病、例えば、ヘミレイア・バスタトリクス(Hemileia vastatrix)に起因するもの;
ファコプソラ(Phakopsora)病、例えば、ファコプソラ・パキリジ(Phakopsora pachyrhizi)又はファコプソラ・メイボミアエ(Phakopsora meibomiae)に起因するもの;
プッシニア(Puccinia)病、例えば、プッシニア・レコンジタ(Puccinia recondita)に起因するもの;
ウロミセス(Uromyces)病、例えば、ウロミセス・アペンジクラツス(Uromyces appendiculatus)に起因するもの;
・ 卵菌類による病害(Oomycete disease)、例えば、
ブレミア(Bremia)病、例えば、ブレミア・ラクツカエ(Bremia lactucae)に起因するもの;
ペロノスポラ(Peronospora)病、例えば、ペロノスポラ・ピシ(Peronospora pisi)又はペロノスポラ・ブラシカエ(P. brassicae)に起因するもの;
フィトフトラ(Phytophthora)病、例えば、フィトフトラ・インフェスタンス(Phytophthora infestans)に起因するもの;
プラスモパラ(Plasmopara)病、例えば、プラスモパラ・ビチコラ(Plasmopara viticola)に起因するもの;
プセウドペロノスポラ(Pseudoperonospora)病、例えば、プセウドペロノスポラ・フムリ(Pseudoperonospora humuli)又はプセウドペロノスポラ・クベンシス(Pseudoperonospora cubensis)に起因するもの;
ピシウム(Pythium)病、例えば、ピシウム・ウルチムム(Pythium ultimum)に起因するもの;
・ 葉斑点性、葉汚斑性及び葉枯れ性の病害(leafspot, leaf blotch and leaf blight disease)、例えば、
アルテルナリア(Alternaria)病、例えば、アルテルナリア・ソラニ(Alternaria solani)に起因するもの;
セルコスポラ(Cercospora)病、例えば、セルコスポラ・ベチコラ(Cercospora beticola)に起因するもの;
クラジオスポルム(Cladiosporum)病、例えば、クラジオスポルム・ククメリヌム(Cladiosporium cucumerinum)に起因するもの;
コクリオボルス(Cochliobolus)病、例えば、コクリオボルス・サチブス(Cochliobolus sativus)に起因するもの;
コレトトリクム(Colletotrichum)病、例えば、コレトトリクム・リンデムタニウム(Colletotrichum lindemuthanium)に起因するもの;
シクロコニウム(Cycloconium)病、例えば、シクロコニウム・オレアギヌム(Cycloconium oleaginum)に起因するもの;
ジアポルテ(Diaporthe)病、例えば、ジアポルテ・シトリ(Diaporthe citri)に起因するもの;
エルシノエ(Elsinoe)病、例えば、エルシノエ・ファウセッチイ(Elsinoe fawcettii)に起因するもの;
グロエオスポリウム(Gloeosporium)病、例えば、グロエオスポリウム・ラエチコロル(Gloeosporium laeticolor)に起因するもの;
グロメレラ(Glomerella)病、例えば、グロメレラ・シングラタ(Glomerella cingulata)に起因するもの;
グイグナルジア(Guignardia)病、例えば、グイグナルジア・ビドウェリ(Guignardia bidwelli)に起因するもの;
レプトスファエリア(Leptosphaeria)病、例えば、レプトスファエリア・マクランス(Leptosphaeria maculans)又はレプトスファエリア・ノドルム(Leptosphaeria nodorum)に起因するもの;
マグナポルテ(Magnaporthe)病、例えば、マグナポルテ・グリセア(Magnaporthe grisea)に起因するもの;
ミコスファエレラ(Mycosphaerella)病、例えば、ミコスファエレラ・グラミニコラ(Mycosphaerella graminicola)、ミコスファエレラ・アラキジコラ(Mycosphaerella arachidicola)又はミコスファエレラ・フィジエンシス(Mycosphaerella fijiensis)に起因するもの;
ファエオスファエリア(Phaeosphaeria)病、例えば、ファエオスファエリア・ノドルム(Phaeosphaeria nodorum)に起因するもの;
ピレノホラ(Pyrenophora)病、例えば、ピレノホラ・テレス(Pyrenophora teres)に起因するもの;
ルムラリア(Ramularia)病、例えば、ルムラリア・コロ−シグニ(Ramularia collo-cygni)に起因するもの;
リンコスポリウム(Rhynchosporium)病、例えば、リンコスポリウム・セカリス(Rhynchosporium secalis)に起因するもの;
セプトリア(Septoria)病、例えば、セプトリア・アピイ(Septoria apii)又はセプトリア・リコペルシシ(Septoria lycopercisi)に起因するもの;
チフラ(Typhula)病、例えば、チフラ・インカルナタ(Typhula incarnata)に起因するもの;
ベンツリア(Venturia)病、例えば、ベンツリア・イナエクアリス(Venturia inaequalis)に起因するもの;
・ 根及び茎の病害(root and stem disease)、例えば、
コルチシウム(Corticium)病、例えば、コルチシウム・グラミネアルム(Corticium graminearum)に起因するもの;
フサリウム(Fusarium)病、例えば、フサリウム・オキシスポルム(Fusarium oxysporum)に起因するもの;
ガエウマンノミセス(Gaeumannomyces)病、例えば、ガエウマンノミセス・グラミニス(Gaeumannomyces graminis)に起因するもの;
リゾクトニア(Rhizoctonia)病、例えば、リゾクトニア・ソラニ(Rhizoctonia solani)に起因するもの;
タペシア(Tapesia)病、例えば、タペシア・アクホルミス(Tapesia acuformis)に起因するもの;
チエラビオプシス(Thielaviopsis)病、例えば、チエラビオプシス・バシコラ(Thielaviopsis basicola)に起因するもの;
・ 穂の病害(ear and panicle disease)、例えば、
アルテルナリア(Alternaria)病、例えば、アルテルナリア属種(Alternaria spp.)に起因するもの;
アスペルギルス(Aspergillus)病、例えば、アスペルギルス・フラブス(Aspergillus flavus)に起因するもの;
クラドスポリウム(Cladosporium)病、例えば、クラドスポリウム属種(Cladosporium spp.)に起因するもの;
クラビセプス(Claviceps)病、例えば、クラビセプス・プルプレア(Claviceps purpurea)に起因するもの;
フサリウム(Fusarium)病、例えば、フサリウム・クルモルム(Fusarium culmorum)に起因するもの;
ジベレラ(Gibberella)病、例えば、ジベレラ・ゼアエ(Gibberella zeae)に起因するもの;
モノグラフェラ(Monographella)病、例えば、モノグラフェラ・ニバリス(Monographella nivalis)に起因するもの;
・ 黒穂病(smut and bunt disease)、例えば、
スファセロテカ(Sphacelotheca)病、例えば、スファセロテカ・レイリアナ(Sphacelotheca reiliana)に起因するもの;
チレチア(Tilletia)病、例えば、チレチア・カリエス(Tilletia caries)に起因するもの;
ウロシスチス(Urocystis)病、例えば、ウロシスチス・オクルタ(Urocystis occulta)に起因するもの;
ウスチラゴ(Ustilago)病、例えば、ウスチラゴ・ヌダ(Ustilago nuda)に起因するもの;
・ 果実の腐敗性及び黴性の病害(fruit rot and mould disease)、例えば、
アスペルギルス(Aspergillus)病、例えば、アスペルギルス・フラブス(Aspergillus flavus)に起因するもの;
ボトリチス(Botrytis)病、例えば、ボトリチス・シネレア(Botrytis cinerea)に起因するもの;
ペニシリウム(Penicillium)病、例えば、ペニシリウム・エクスパンスム(Penicillium expansum)に起因するもの;
スクレロチニア(Sclerotinia)病、例えば、スクレロチニア・スクレロチオルム(Sclerotinia sclerotiorum)に起因するもの;
ベルチシリウム(Verticilium)病、例えば、ベルチシリウム・アルボアトルム(Verticilium alboatrum)に起因するもの;
・ 種子及び土壌が媒介する腐朽性、黴性、萎凋性、腐敗性及び苗立ち枯れ性の病害(seed and soilborne decay, mould, wilt, rot and damping-off disease)、
フサリウム(Fusarium)病、例えば、フサリウム・クルモルム(Fusarium culmorum)に起因するもの;
フィトフトラ(Phytophthora)病、例えば、フィトフトラ・カクトルム(Phytophthora cactorum)に起因するもの;
ピシウム(Pythium)病、例えば、ピシウム・ウルチムム(Pythium ultimum)に起因するもの;
リゾクトニア(Rhizoctonia)病、例えば、リゾクトニア・ソラニ(Rhizoctonia solani)に起因するもの;
スクレロチウム(Sclerotium)病、例えば、スクレロチウム・ロルフシイ(Sclerotium rolfsii)に起因するもの;
ミクロドキウム(Microdochium)病、例えば、ミクロドキウム・ニバレ(Microdochium nivale)に起因するもの;
・ 腐乱性病害、開花病及び枯れ込み性病害(canker, broom and dieback disease)、例えば、
ネクトリア(Nectria)病、例えば、ネクトリア・ガリゲナ(Nectria galligena)に起因するもの;
・ 枯損性病害(blight disease)、例えば、
モニリニア(Monilinia)病、例えば、モニリニア・ラキサ(Monilinia laxa)に起因するもの;
・ 葉水泡性病害又は縮葉病(leaf blister or leaf curl disease)、例えば、
タフリナ(Taphrina)病、例えば、タフリナ・デホルマンス(Taphrina deformans)に起因するもの;
・ 木本植物の衰退性病害(decline disease of wooden plant)、例えば、
エスカ(Esca)病、例えば、ファエモニエラ・クラミドスポラ(Phaemoniella clamydospora)に起因するもの;
・ 花及び種子の病害、例えば、
ボトリチス(Botrytis)病、例えば、ボトリチス・シネレア(Botrytis cinerea)に起因するもの;
・ 塊茎の病害、例えば、
リゾクトニア(Rhizoctonia)病、例えば、リゾクトニア・ソラニ(Rhizoctonia solani)に起因するもの。
【0107】
本発明の殺菌剤組成物は、材木の表面又は内部で発生するであろう菌類病に対しても使用することができる。用語「材木(timber)」は、全ての種類の木、そのような木を建築用に加工した全てのタイプのもの、例えば、ソリッドウッド、高密度木材、積層木材及び合板などを意味する。本発明による材木の処理方法は、主に、本発明の1種類以上の化合物又は本発明の組成物を接触させることにより行う。これには、例えば、直接的な塗布、噴霧、浸漬、注入、又は、別の適切な任意の方法が包含される。
【0108】
本発明の処理において通常施用される活性物質の薬量は、茎葉処理における施用では、一般に、また、有利には、10から800g/ha、好ましくは、50から300g/haである。種子処理の場合は、活性物質の施用薬量は、一般に、また、有利には、種子100kg当たり2から200g、好ましくは、種子100kg当たり3から150gである。上記で示されている薬量が本発明を例証するための例として挙げられているということは、明確に理解される。当業者は、処理対象の作物の種類に応じて、該施用薬量を適合させる方法を理解するであろう。
【0109】
本発明の殺菌剤組成物は、さらにまた、遺伝子組み換え生物の本発明化合物又は本発明農薬組成物による処理においても使用することができる。遺伝子組み換え植物は、興味深いタンパク質をコードする異種の遺伝子がゲノムに安定的に組み込まれている植物である。「興味深いタンパク質をコードする異種の遺伝子(heterologous gene encoding a protein of interest)」という表現は、本質的に、形質転換された植物に新しい農業的特性を付与する遺伝子を意味するか、又は、形質転換された植物の農業的特性を改善するための遺伝子を意味する。
【0110】
本発明の組成物は、さらにまた、例えば、真菌症、皮膚病、白癬菌性疾患(trichophyton disease)及びカンジダ症、又は、アスペルギルス属種(Aspergillus spp.)(例えば、アスペルギルス・フミガツス(Aspergillus fumigatus))に起因する疾患のようなヒト及び動物の菌類病を治療的又は予防的に処置するのに有用な組成物を調製するのに使用することもできる。
【0111】
本発明の態様について、化合物についての下記表及び下記実施例を参照して説明する。以下の表は、本発明の殺菌性化合物の例について非限定的に例証している。下記実施例において、「M+1」(又は、「M−1」)は、それぞれ、質量分析において観察された分子イオンピークプラス1a.m.u.(原子質量単位)又はマイナス1a.m.u.(原子質量単位)を意味し、M(ApcI+)は、質量分析におけるポジティブ大気圧化学イオン化法で見いだされた分子イオンピークを意味する。
【0112】
【表1】

【0113】
【表2】

【0114】
【表3】

【0115】
【表4】

【0116】
【表5】

【0117】
【表6】

【0118】
【表7】

【0119】
【表8】

【実施例】
【0120】
一般式(I)の化合物の調製方法についての実施例
3−ブロモ−N−[2−(4−クロロフェニル)−1−メチルエチル]チオフェン−2−カルボキサミド(化合物B−1)の調製
140mgの1−(4−クロロフェニル)プロパン−2−アミン塩酸塩(0.70mmol)及び0.107mLのトリエチルアミン(0.77mmol)を、室温で、4mLのTHF中で希釈する。その反応混合物に、4mLのTHF中の溶液状態にある173mgの3−ブロモチオフェン−2−カルボニルクロリド(0.77mmol)を添加する。
【0121】
48時間撹拌した後、その反応混合物を塩基性アルミナで濾過し、次いで、濃縮乾固させて、0.18gの本質的に純粋な3−ブロモ−N−[2−(4−クロロフェニル)−1−メチルエチル]チオフェン−2−カルボキサミド(収率=64%)を得る。
[M+1]=358。
【0122】
2−ブロモ−N−[2−(4−クロロフェニル)−1−メチルエチル]−N−シクロプロピルチオフェン−3−カルボキサミド(化合物H−1)の調製
N−[2−(4−クロロフェニル)−1−メチルエチル]シクロプロパンアミン塩酸塩の調製
アルゴン下、150mLのメタノール中で、10.1gのシクロプロピルアミン(0.177mol)と12.6mLの酢酸(0.221mol)を混合させる。次いで、15.0gの1−(4−クロロフェニル)アセトン(0.088mol)及び15gの3Åモレキュラーシーブを添加する。その反応混合物を3時間環流する。室温まで冷却した後、その反応混合物に8.34gのシアノ水素化ホウ素ナトリウム(0.13mol)を添加し、再度、3時間環流する。室温で一晩経過した後、その反応混合物に3gのシアノボロヒドリド(0.048mol)及び8mLの酢酸(0.126mol)を添加し、3時間環流する。室温まで冷却した後、、セライトで濾過し、減圧下に濃縮する。その反応混合物に、250mLのジクロロメタン及び400mLのNaOH 1Mを添加する。
【0123】
分離後、水相を250mLのジクロロメタンで抽出し、有機相を合して1550mLの水及び200mLのブラインで洗浄する。硫酸マグネシウムで脱水した後、濾過及び濃縮する。エーテル中のHCl 2Mを用いて粗製アミンを沈殿させて、19.06gのN−[2−(4−クロロフェニル)−1−メチルエチル]シクロプロパン塩酸塩を得る(収率=88%)。
[M+1−HC1]=210。
【0124】
2−ブロモ−N−[2−(4−クロロフェニル)−1−メチルエチル]−N−シクロプロピルチオフェン−3−カルボキサミドの調製
300mgのN−[2−(4−クロロフェニル)−1−メチルエチル]シクロプロパンアミン塩酸塩(1.218mmol)、265mgの2−ブロモチオフェン−3−カルボン酸(1.28mmol)、16mgの1−ヒドロキシベンゾトリアゾール(0.12mmol)、256mgの1−(3−ジメチルアミノプロピル)−3−エチルカルボジイミド塩酸塩(1.34mmol)及び0.171mLのTEA(1.22mmol)を、10mLのジクロロメタン中で1時間環流する。室温で48時間経過した後、その反応物を5mLのHCl 0.5Mでクエンチする。
【0125】
分離後、有機相を5mLの水及び5mLの重炭酸ナトリウム飽和溶液で洗浄し、硫酸マグネシウムで脱水し、濾過し、減圧下に濃縮する。得られた粗製生成物を、ヘプタン/EtOAcを用いるシリカ上のフラッシュクロマトグラフィーに付して、190mgの2−ブロモ−N−[2−(4−クロロフェニル)−1−メチルエチル]−N−シクロプロピルチオフェン−3−カルボキサミド(収率=39%)を得る。
[M+l]=399。
【0126】
一般式(I)の化合物の生物学的活性についての実施例
実施例A: アルテルナリア・ブラシカエ(Alternaria brassicae)(アブラナ科植物の斑点病(leaf spot))に対するインビボ試験
被験活性成分を、アセトン/Tween/DMSOの混合物中で均質化することにより調製し、次いで、水で希釈して、所望の活性材料とする。
【0127】
スターターカップ(starter cup)内の50/50の泥炭土−ポゾランの底土に播種し、18から20℃で生育させたハツカダイコン植物(品種 Pernot)を、子葉期で、上記で調製した活性成分を噴霧することにより処理する。
【0128】
対照として使用する植物は、活性物質を含んでいないアセトン/Tween/DMSO/水の混合物で処理する。
【0129】
24時間経過した後、アルテルナリア・ブラシカエ(Alternaria brassicae)の胞子の水性懸濁液(1cm当たり40,000胞子)を噴霧することにより、該植物を汚染する。その胞子は、12から13日間培養したものから採取する。
【0130】
汚染されたハツカダイコン植物を、湿潤雰囲気下、約18℃で、6から7日間インキュベートする。
【0131】
上記汚染から6から7日間経過した後、対照植物と比較して、等級付けを行う。
【0132】
これらの条件下、以下の化合物を500ppmの薬量で用いて、良好な保護(少なくとも70%)又は完全な保護が観察される:B−1、B−2、B−4、C−1、C−2、D−2、D−3、F−2、F−3、F−4、F−6、F−7、G−2及びH−1。
【0133】
実施例B: ボトリチス・シネレア(Botrytis cinerea)(キュウリの灰色かび病)に対するインビボ試験
被験活性成分を、アセトン/Tween/DMSOの混合物中で均質化することにより調製し、次いで、水で希釈して、所望の活性材料とする。
【0134】
スターターカップ内の50/50の泥炭土−ポゾランの底土に播種し、18から20℃で生育させたガーキン植物(品種 Vert petit de Paris)を、子葉Z11期で、上記で調製した活性成分を噴霧することにより処理する。
【0135】
対照として使用する植物は、活性物質を含んでいないアセトン/Tween/DMSO/水の混合物で処理する。
【0136】
24時間経過した後、ボトリチス・シネレア(Botrytis cinerea)の胞子の水性懸濁液(1mL当たり150,000胞子)の滴を葉の上面にデポジットさせることにより、該植物を汚染する。その胞子は、15日間培養したものから採取し、
・ 20g/Lのゼラチン
・ 50g/Lのカンショ糖
・ 2g/LのNHNO
・ 1g/LのKHPO
から構成される栄養溶液に懸濁させる。
【0137】
汚染されたキュウリ植物を、5/7日間、15/11℃(昼/夜)で相対湿度80%の人工気象室(climatic room)内に静置する。
【0138】
上記汚染から5/7日間経過した後、対照植物と比較して、等級付けを行う。これらの条件下、以下の化合物を500ppmの薬量で用いて、良好な保護(少なくとも50%)又は完全な保護が観察される:B−1、C−2、D−3、F−2、F−6及びG−2。
【0139】
実施例C: スファエロテカ・フリギネア(Sphaerotheca fuliginea)(ウリ科植物のうどんこ病)に対するインビボ試験
被験活性成分を、アセトン/Tween/DMSOの混合物中で均質化することにより調製し、次いで、水で希釈して、所望の活性物質濃度とする。
【0140】
スターターカップ内の50/50の泥炭土−ポゾランの底土に播種し、20℃/23℃で生育させたガーキン植物(品種 Vert petit de Paris)を、2葉期で、上記水性懸濁液を噴霧することにより処理する。対照として使用する植物は、活性物質を含んでいないアセトン/Tween/DMSO/水の混合物で処理する。
【0141】
24時間経過した後、スファエロテカ・フリギネア(Sphaerotheca fuliginea)の胞子の水性懸濁液(1mL当たり100,000胞子)を噴霧することにより、該植物を汚染する。その胞子は、汚染された植物から採取する。汚染されたガーキン植物を、約20℃/25℃、相対湿度60/70%でインキュベートする。
【0142】
上記汚染から21日間経過した後、対照植物と比較して、等級付け(効力%)を行う。 これらの条件下、以下の化合物を500ppmの薬量で用いて、良好な保護(少なくとも70%)又は完全な保護が観察される:B−3、D−1、D−2、F−2、F−3、F−4及びF−6。
【0143】
実施例D: ミコスファエレラ・グラミニコラ(Mycosphaerella graminicola)(コムギの斑点病(leaf spot))に対するインビボ試験
被験活性成分を、アセトン/Tween/DMSOの混合物中で均質化することにより調製し、次いで、水で希釈して、所望の活性物質濃度とする。
【0144】
スターターカップ内の50/50の泥炭土−ポゾランの底土に播種し、12℃で生育させたコムギ植物(品種 Scipion)を、1葉期(草丈10cm)で、上記で調製した活性成分を噴霧することにより処理する。
【0145】
対照として使用する植物は、活性物質を含んでいないアセトン/Tween/DMSO/水の混合物で処理する。
【0146】
24時間経過した後、ミコスファエレラ・グラミニコラ(Mycosphaerella graminicola)の胞子の水性懸濁液(1mL当たり500,000胞子)を噴霧することにより、該植物を汚染する。その胞子は、7日間培養したものから採取する。汚染されたコムギ植物を、18℃、相対湿度100%で72時間インキュベートし、次いで、相対湿度90%で21から28日間インキュベートする。
【0147】
上記汚染から21から28日間経過した後、対照植物と比較して、等級付け(効力%)を行う。
【0148】
これらの条件下、以下の化合物を500ppm及び500g/haの薬量で用いて、良好な保護(少なくとも70%)又は完全な保護が観察される:
・ 500ppmの薬量:B−1、B−3、B−4、C−2、D−3、F−5及びF−6;
並びに、
・ 500g/haの薬量:F−4。
【0149】
実施例E: ピレノホラ・テレス(Pyrenophora teres)(オオムギの網斑病)に対するインビボ試験
被験活性成分を、アセトン/Tween/DMSOの混合物中で均質化することにより調製し、次いで、水で希釈して、所望の活性物質濃度とする。
【0150】
スターターカップ内の50/50の泥炭土−ポゾランの底土に播種し、12℃で生育させたオオムギ植物(品種 Express)を、1葉期(草丈10cm)で、上記で調製した活性成分を噴霧することにより処理する。対照として使用する植物は、活性物質を含んでいないアセトン/Tween/DMSO/水の混合物で処理する。
【0151】
24時間経過した後、ピレノホラ・テレス(Pyrenophora teres)の胞子の水性懸濁液(1mL当たり12,000胞子)を噴霧することにより、該植物を汚染する。その胞子は、12日間培養したものから採取する。汚染されたオオムギ植物を、約20℃、相対湿度100%で24時間インキュベートし、次いで、相対湿度80%で12日間インキュベートする。
【0152】
上記汚染から12日間経過した後、対照植物と比較して、等級付けを行う。
【0153】
これらの条件下、以下の化合物を500ppmの薬量で用いて、良好な保護(少なくとも70%)又は完全な保護が観察される:B−3、B−4、C−1、D−1、D−2、F−1、F−2、F−3、F−4、F−6及びF−7。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
一般式(I)の化合物、
【化1】

[式中、
・ nは、1、2、3、4又は5であり;
・ pは、1、2、3、4又は5であり;
・ Xは、同一であるか又は異なっており、及びハロゲン原子、ニトロ基、シアノ基、アミノ基、スルファニル基、ペンタフルオロ−λ−スルファニル基、ホルミル基、ホルミルオキシ基、ホルミルアミノ基、カルバモイル基、N−ヒドロキシカルバモイル基、カルバメート基、(ヒドロキシイミノ)−C−C−アルキル基、C−C−アルキル、1から5個のハロゲン原子を有するC−C−ハロゲノアルキル、C−C−アルケニル、C−C−アルキニル、C−C−アルキルアミノ、ジ−C−C−アルキルアミノ、C−C−アルコキシ、1から5個のハロゲン原子を有するC−C−ハロゲノアルコキシ、C−C−アルキルスルファニル、1から5個のハロゲン原子を有するC−C−ハロゲノアルキルスルファニル、C−C−アルケニルオキシ、1から5個のハロゲン原子を有するC−C−ハロゲノアルケニルオキシ、C−C−アルキニルオキシ、1から5個のハロゲン原子を有するC−C−ハロゲノアルキニルオキシ、C−C−シクロアルキル、1から5個のハロゲン原子を有するC−C−ハロゲノシクロアルキル、C−C−アルキルカルボニル、1から5個のハロゲン原子を有するC−C−ハロゲノアルキルカルボニル、C−C−アルキルカルバモイル、ジ−C−C−アルキルカルバモイル、N−C−C−アルキルオキシカルバモイル、C−C−アルコキシカルバモイル、N−C−C−アルキル−C−C−アルコキシカルバモイル、C−C−アルコキシカルボニル、1から5個のハロゲン原子を有するC−C−ハロゲノアルコキシカルボニル、C−C−アルキルカルボニルオキシ、1から5個のハロゲン原子を有するC−C−ハロゲノアルキルカルボニルオキシ、C−C−アルキルカルボニルアミノ、1から5個のハロゲン原子を有するC−C−ハロゲノアルキルカルボニルアミノ、C−C−アルキルアミノカルボニルオキシ、ジ−C−C−アルキルアミノカルボニルオキシ、C−C−アルキルオキシカルボニルオキシ、C−C−アルキルスルフェニル、1から5個のハロゲン原子を有するC−C−ハロゲノアルキルスルフェニル、C−C−アルキルスルフィニル、1から5個のハロゲン原子を有するC−C−ハロゲノアルキルスルフィニル、C−C−アルキルスルホニル、1から5個のハロゲン原子を有するC−C−ハロゲノアルキル−スルホニル、(C−C−アルコキシイミノ)−C−C−アルキル、(C−C−アルケニルオキシイミノ)−C−C−アルキル、(C−C−アルキニルオキシイミノ)−C−C−アルキル、(ベンジルオキシイミノ)−C−C−アルキル、ベンジルオキシ、ベンジルスルファニル、ベンジルアミノ、フェノキシ、フェニルスルファニル又はフェニルアミノであり;
・ R、R、R及びRは、互いに独立して、水素原子、C−C−アルキル又はC−C−アルキル−C−C−シクロアルキルであるように選択されるが、但し、置換基R、R、R及びRのうちの少なくとも1は、水素とは異なっており;
・ Rは、水素原子、C−C−アルキル又はC−C−シクロアルキルであり;
・ Hetは、同一であっても又は異なっていてもよい1個、2個又は3個のヘテロ原子を有する5員、6員又は7員のヘテロ環を表し、ここで、Hetは炭素原子で結合しており;
・ Yは、オルト位の置換基であり、及びハロゲン原子、シアノ基、スルファニル基、ペンタフルオロ−λ−スルファニル基、ホルミル基、C−C−アルキル、1から5個のハロゲン原子を有するC−C−ハロゲノアルキル、C−C−アルケニル、C−C−アルキニル、C−C−アルコキシ、1から5個のハロゲン原子を有するC−C−ハロゲノアルコキシ、C−C−アルキルスルファニル、1から5個のハロゲン原子を有するC−C−ハロゲノアルキルスルファニル、C−C−アルケニルオキシ、1から5個のハロゲン原子を有するC−C−ハロゲノアルケニルオキシ、C−C−アルキニルオキシ、1から5個のハロゲン原子を有するC−C−ハロゲノアルキニルオキシ、C−C−シクロアルキル又は1から5個のハロゲン原子を有するC−C−ハロゲノシクロアルキルであり;
及び、
・ Yは、同一であるか又は異なっており、及び水素原子、ハロゲン原子、C−C−アルキル、C−C−ハロゲノアルキル、アミノ基、シアノ基、C−C−アルキルアミノ又はジ−(C−C−アルキル)アミノである。]
並びに、その塩、N−オキシド、金属錯体、半金属錯体及び光学活性異性体。
【請求項2】
nが、1、2又は3であるように選択されることを特徴とする、請求項1に記載の化合物。
【請求項3】
Xが、ハロゲン原子、(ヒドロキシイミノ)−C−C−アルキル基、C−C−アルキル、1から5個のハロゲン原子を有するC−C−ハロゲノアルキル、(C−C−アルコキシイミノ)−C−C−アルキル、(C−C−アルケニルオキシイミノ)−C−C−アルキル又は(C−C−アルキニルオキシイミノ)−C−C−アルキルであるように選択されることを特徴とする、請求項1又は2に記載の化合物。
【請求項4】
及びRが、互いに独立して、水素原子又はハロゲン原子であるように選択されることを特徴とする、請求項1から3のいずれかに記載の化合物。
【請求項5】
及びRが、互いに独立して、水素原子又はC−C−アルキルであるように選択される(さらに好ましくは、Rはメチル基であるように選択され、且つ、Rは水素原子であるように選択される)ことを特徴とする、請求項1から4のいずれかに記載の化合物。
【請求項6】
Hetが、5員ヘテロ環であることを特徴とする、請求項1から5のいずれかに記載の化合物。
【請求項7】
Hetが、6員ヘテロ環であることを特徴とする、請求項1から5のいずれかに記載の化合物。
【請求項8】
Hetが、2−フラン、3−フラン、4,5−ジヒドロ−3−フラン、2−チオフェン、3−チオフェン、2−ピロール、3−ピロール、5−オキサゾール、4−オキサゾール、5−チアゾール、4−チアゾール、5−ピラゾール、4−ピラゾール、3−ピラゾール、3−イソオキサゾール、4−イソオキサゾール、5−イソオキサゾール、3−イソチアゾール、4−1,2,3−トリアゾール、4−チアジアゾール、5−チジアゾール(thidiazole)、2−ピリジン、3−ピリジン、4−ピリジン、2−オキサチイン、4,5−ジヒドロ−3−ピラン、4,5−ジヒドロ−2−チオピラン、4,5−ジヒドロ−3−チオピラン又は2−ピラジンであるように選択されることを特徴とする、請求項1から5のいずれかに記載の化合物。
【請求項9】
が、ハロゲン原子、C−C−アルキル、1から5個のハロゲン原子を有するC−C−ハロゲノアルキルであるように選択されることを特徴とする、請求項1から8のいずれかに記載の化合物。
【請求項10】
pが、1、2又は3であることを特徴とする、請求項1から9のいずれかに記載の化合物。
【請求項11】
Yが、水素原子、ハロゲン原子又はC−C−アルキルであるように選択されることを特徴とする、請求項1から10のいずれかに記載の化合物。
【請求項12】
請求項1で定義されている一般式(I)の化合物を調製する方法であって、
一般式(II)
【化2】

[式中、R、R、R、R、R、X及びnは、請求項1で定義されているとおりである。]
の1−アルキル−2−フェニルエチルアミン誘導体又はその塩のうちの1種類を、一般式(III)
【化3】

[式中、
・ Het、Y、Y及びpは、請求項1で定義されているとおりであり;並びに
・ Lは、ハロゲン原子、ヒドロキシル基、−OR77、−OCOR77であるように選択される脱離基であり、ここで、R77は、C−C−アルキル、C−C−ハロアルキル、ベンジル、4−メトキシベンジル、ペンタフルオロフェニル又は式
【化4】

の基である。]
のカルボン酸誘導体と、触媒の存在下で、また、Lがヒドロキシル基である場合は、縮合剤の存在下で、反応させることを含む、前記方法。
【請求項13】
が水素原子であること、及び、方法が、一般式(Ib)の化合物を一般式(VI)の化合物と反応させて一般式(Ia)の化合物を生成させることを含む以下の反応スキーム:
【化5】

[ここで、
・ R、R、R、R、X、n、Het、Y、Y及びpは、請求項1で定義されているとおりであり;
・ Lは、ハロゲン原子、4−メチルフェニルスルホニルオキシ又はメチルスルホニルオキシであるように選択される脱離基であり;並びに
・ R5aは、C−C−アルキル基又はC−C−シクロアルキルである。]
に従うさらなるステップにより完結されることを特徴とする、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
有効量の請求項1から11のいずれかに記載の化合物及び農業上許容される支持体を含んでいる、殺菌剤組成物。
【請求項15】
作物の植物病原性菌類と予防的又は治療的に闘う方法であって、有効で且つ植物に対して毒性を示さない量の請求項14に記載の組成物を、植物の種子、又は、植物の葉及び/若しくは植物の果実、又は、植物がそこで生育している土壌若しくは植物をそこで栽培するのが望ましい土壌に施用することを特徴とする、前記方法。

【公表番号】特表2009−516721(P2009−516721A)
【公表日】平成21年4月23日(2009.4.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−541733(P2008−541733)
【出願日】平成18年11月21日(2006.11.21)
【国際出願番号】PCT/EP2006/068720
【国際公開番号】WO2007/060164
【国際公開日】平成19年5月31日(2007.5.31)
【出願人】(503325538)バイエル・クロツプサイエンス・エス・アー (73)
【Fターム(参考)】