説明

N−[(2−アザ−ビシクロ[2.1.1]ヘキス−1−イル)−アリール−)メチル]−ヘテロベンズアミドの誘導体、その調製および治療におけるその用途

本発明は、塩基状態または酸についての付加塩としての一般式(I)


(式中、Rは、水素原子またはハロゲン原子、(C−C)シクロアルキル、(C−C)アルキル、(C−C)BlCOXy、ヒドロキシ基から互いに独立して選択される少なくとも1個の基により場合により置換されている(C−C)アルキル、(C−C)シクロアルキル、ベンジルもしくはアリル基から選択される基を表し;Rは、ハロゲン原子、(CrC)アルキル、(C−C)BlCOXy、ハロ(C−C)アルキル、ヒドロキシ、ハロ(C)アルコキシ、(C−C)アルキル−チオ、(C−C)アルキル−SO、(C)アルキル−SO基から互いに独立して選択される少なくとも1個の置換基により場合により置換されているフェニルまたはナフチル基を表し;Hetは、ヘテロアリール基を表し;およびRは、水素原子、ハロゲン原子、ハロ(d−C)アルキル、(C)アルキル、(C−C)シクロアルキル、(C−C)シクロアルキル−(C−C)アルキル、(C−C)アルコキシ、ベンジル、(C)アルキル−チオ、(C)アルキル−SOもしくは(C)アルキル−SO基から選択される少なくとも1個の置換基を表す。)の化合物に関する。本発明はまた、治療における前記化合物の使用および合成方法に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、N−[(2−アザビシクロ[2.2.1]ヘキス−1−イル)(アリール)メチル]ヘテロベンズアミド誘導体、この調製およびグリシントランスポーターGlyT1が関与する疾患の治療または予防におけるこの治療的用途に関する。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0002】
本発明の化合物は、塩基の形態または酸との付加塩の形態の式(I)
【0003】
【化1】

(式中、
− Rは、水素原子またはハロゲン原子もしくは(C−C)シクロアルキル、(C−C)アルキル、(C−C)アルコキシもしくはヒドロキシル基から互いに独立して選択される1個以上の基により場合により置換されている(C−C)アルキル、(C−C)シクロアルキル、ベンジルもしくはアリル基から選択される基を表し;
− Rは、ハロゲン原子または(C−C)アルキル、(C−C)アルコキシ、ハロ(C−C)アルキル、ヒドロキシル、ハロ(C−C)アルコキシ、(C−C)アルキルチオ、(C−C)アルキル−SOもしくは(C−C)アルキル−SO基から互いに独立して選択される1個以上の置換基により場合により置換されているフェニルまたはナフチル基を表し;
− Hetは、ヘテロアリール基を表し;
− Rは、水素原子、ハロゲン原子またはハロ(C−C)アルキル、(C−C)アルキル、(C−C)シクロアルキル、(C−C)シクロアルキル(C−C)アルキル、(C−C)アルコキシ、ベンジル、(C−C)アルキルチオ、(C−C)アルキル−SOもしくは(C−C)アルキル−SO基から選択される1個以上の置換基を表す。)に対応する。
【0004】
式(I)の化合物は、不斉炭素原子を含む。従って、これらの化合物は、エナンチオマーの形態で存在することができる。ラセミ混合物を含むこれらのエナンチオマーは、本発明の範囲内である。
【0005】
式(I)の化合物は、塩基の形態または酸との付加塩の形態で存在することができる。このような付加塩は、本発明の範囲内である。
【0006】
これらの塩は、有利には、医薬的に許容される酸を用いて調製されるが、例えば、式(I)の化合物の精製または単離において使用される他の酸の塩も本発明の範囲内である。
【0007】
本発明に関して:
− C−Cは、tおよびzが1から6の値を取ることができ、tからz個の炭素原子を有することができる炭素鎖を意味するものと解され;例えば、C−Cは、1から6個の炭素原子を有することができる炭素鎖を意味するものと解され;
− アルキルは、飽和の直鎖または分枝鎖の脂肪族基を意味するものと解され;例えば、(C−C)アルキル基は、1から6個の炭素原子の直鎖または分枝鎖の炭素鎖、例えば、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、tert−ブチル、ペンチルまたはヘキシルを表し;
− アルコキシは、−O−アルキル基を意味するものと解され;
− ヒドロキシルは、−OH基を意味するものと解され;
− アリルは、−(CH)−CH=CH基を意味するものと解され;
− アルキルチオは、アルキル基により置換されている硫黄原子を意味するものと解され;
− ハロゲン原子は、フッ素、塩素、臭素またはヨウ素を意味するものと解され;
− ハロアルキルは、1個以上の水素原子がハロゲンにより置き換えられたアルキル基を意味するものと解される。
【0008】
例として、トリフルオロメチル、トリフルオロエチルまたはペンタフルオロエチル基を挙げることができ;
− ヘテロアリール基は、窒素、酸素および硫黄から選択される1から3個のヘテロ原子を含む5または10員のヘテロ芳香族単環または二環基を意味するものと解される。ヘテロアリール基の例として、ピロール、フラン、チオフェン、ピラゾール、イミダゾール、トリアゾール、テトラゾール、オキサゾール、イソオキサゾール、オキサジアゾール、チアゾール、イソチアゾール、チアジアゾール、ピリジン、ピリミジン、ピラジン、ピリダジン、トリアジン、インドール、イソインドール、ベンゾイミダゾール、インダゾール、インドリジン、ベンゾフラン、イソベンゾフラン、ベンゾチオフェン、ベンゾ[c]チオフェン、ピロロピリジン、イミダゾピリジン、ピラゾロピリジン、トリアゾロピリジン、テトラゾロピリジン、ピロロピリミジン、イミダゾピリミジン、ピラゾロピリミジン、トリアゾロピリミジン、テトラゾロピリミジン、ピロロピラジン、イミダゾピラジン、ピラゾロピラジン、トリアゾロピラジン、テトラゾロピラジン、ピロロピリダジン、イミダゾピリダジン、ピラゾロピリダジン、トリアゾロピリダジン、テトラゾロピリダジン、ピロロトリアジン、イミダゾトリアジン、ピラゾロトリアジン、トリアゾロトリアジン、テトラゾロトリアジン、フロピリジン、フロピリミジン、フロピラジン、フロピリダジン、フロトリアジン、オキサゾロピリジン、オキサゾロピリミジン、オキサゾロピラジン、オキサゾロピリダジン、オキサゾロトリアジン、イソオキサゾロピリジン、イソオキサゾロピリミジン、イソオキサゾロピラジン、イソオキサゾロピリダジン、イソオキサゾラトリアジン、オキサジアゾロピリジン、オキサジアゾロピリミジン、オキサジアゾロピラジン、オキサジアゾロピリダジン、オキサジアゾロトリアジン、ベンゾオキサゾール、ベンゾイソオキサゾール、ベンゾオキサジアゾール、チエノピリジン、チエノピリミジン、チエノピラジン、チエノピリダジン、チエノトリアジン、チアゾロピリジン、チアゾロピリミジン、チアゾロピラジン、チアゾロピリダジン、チアゾロトリアジン、イソチアゾロピリジン、イソチアゾロピリミジン、イソチアゾロピラジン、イソチアゾロピリダジン、イソチアゾロトリアジン、チアジアゾロピリジン、チアジアゾロピリミジン、チアジアゾロピラジン、チアジアゾロピリダジン、チアジアゾロトリアジン、ベンゾチアゾール、ベンゾイソチアゾール、ベンゾチアジアゾール、キノリン、イソキノリン、シンノリン、フタラジン、キノキサリン、キナゾリン、ナフチリジン、ベンゾトリアジン、ピリドピリミジン、ピリドピラジン、ピリドピリダジン、ピリドトリアジン、ピリミドピリミジン、ピリミドピラジン、ピリミドピリダジン、ピリミドトリアジン、ピラジノピラジン、ピラジノピリダジン、ピラジノトリアジン、ピリダジノピリダジンまたはピリダジノトリアジン基を挙げることができる。
【0009】
本発明の主題である一般式(I)の化合物のうち、第1の化合物群は、
− Rが、水素原子、ベンジル基またはアリル基を表し;
− R、HetおよびRが、上記定義の通りである、
塩基の形態または酸との付加塩の形態の化合物から構成される。
【0010】
本発明の主題である一般式(I)の化合物のうち、第2の化合物群は、
− Rが、ハロゲン原子または(C−C)アルキル、(C−C)アルコキシもしくはハロ(C−C)アルキル基から互いに独立して選択される1個以上の基により場合により置換されているフェニルまたはナフチル基を表し;
− R、HetおよびRが、上記定義の通りである、
塩基の形態または酸との付加塩の形態の化合物から構成される。
【0011】
本発明の主題である一般式(I)の化合物のうち、第3の化合物群は、
− Hetが、インドール、チオフェンまたはピリジン基を表し;
− R、RおよびRが、上記定義の通りである、
塩基の形態または酸との付加塩の形態の化合物から構成される。
【0012】
本発明の主題である一般式(I)の化合物のうち、第4の化合物群は、
− Rが、水素原子、ハロゲン原子またはハロ(C−C)アルキル、ベンジルもしくは(C−C)アルキルチオ基から選択される1個以上の置換基を表し;
− R、RおよびHetが、上記定義の通りである、
塩基の形態または酸との付加塩の形態の化合物から構成される。
【0013】
本発明の主題である一般式(I)の化合物のうち、第5の化合物群は、
− Rが、水素原子、ベンジル基またはアリル基を表し;
− Rが、ハロゲン原子または(C−C)アルキル、(C−C)アルコキシもしくはハロ(C−C)アルキル基から互いに独立して選択される1個以上の置換基により場合により置換されているフェニルまたはナフチル基を表し;
− Hetが、インドール、チオフェンまたはピリジン基を表し;
− Rが、水素原子、ハロゲン原子またはハロ(C−C)アルキル、ベンジルもしくは(C−C)アルキルチオ基から選択される1個以上の置換基を表す、
塩基の形態または酸との付加塩の形態の化合物から構成される。
【0014】
本発明の主題である一般式(I)の化合物のうち、第6の化合物群は、
− Rが、水素原子、ベンジル基またはアリル基を表し;
− Rが、フッ素原子またはメチル、メトキシもしくはトリフルオロメチル基から互いに独立して選択される1個以上の置換基により場合により置換されているフェニルまたはナフチル基を表し;
− Hetが、インドール、チオフェンまたはピリジン基を表し;
− Rが、水素原子、臭素もしくは塩素原子またはトリフルオロメチル、メチルチオもしくはベンジル基から選択される1個以上の置換基を表す、
塩基の形態または酸との付加塩の形態の化合物から構成される。
【0015】
上記第1から第6の群の組合せも、本発明の範囲内である。
【0016】
本発明の主題である一般式(I)の化合物のうち、特に、以下の化合物を挙げることができる:
N−[(2−アリル−2−アザビシクロ[2.1.1]ヘキス−1−イル)(フェニル)メチル]−4,5−ジブロモチオフェン−2−カルボキサミド;
N−[(2−アザビシクロ[2.1.1]ヘキス−1−イル)(フェニル)メチル]−4,5−ジブロモチオフェン−2−カルボキサミド;
N−[(2−アザビシクロ[2.1.1]ヘキス−1−イル)(フェニル)メチル]−2,5−ジクロロチオフェン−3−カルボキサミド;
(+)−N−[(2−アザビシクロ[2.1.1]ヘキス−1−イル)(フェニル)メチル]−4,5−ジブロモチオフェン−2−カルボキサミドおよびこの塩酸塩;
(−)−N−[(2−アザビシクロ[2.1.1]ヘキス−1−イル)(フェニル)メチル]−4,5−ジブロモチオフェン−2−カルボキサミドおよびこの塩酸塩;
N−[(2−アザビシクロ[2.1.1]ヘキス−1−イル)(4−フルオロフェニル)メチル]−3−クロロ−4−(トリフルオロメチル)ピリジン−2−カルボキサミド;
N−[(2−アザビシクロ[2.1.1]ヘキス−1−イル)(フェニル)メチル]−2−(メチルスルファニル)ニコチンアミド;
N−[(2−アザビシクロ[2.1.1]ヘキス−1−イル)(フェニル)メチル]−3−クロロ−4−(トリフルオロメチル)ピリジン−2−カルボキサミド;
N−[(2−アザビシクロ[2.1.1]ヘキス−1−イル)(フェニル)メチル]−1−ベンジル−1H−インドール−4−カルボキサミド;
N−[(2−アザビシクロ[2.1.1]ヘキス−1−イル)(ナフト−2−イル)メチル]−3−クロロ−4−(トリフルオロメチル)ピリジン−2−カルボキサミドおよびこの塩酸塩;
N−[(2−アザビシクロ[2.1.1]ヘキス−1−イル)(ナフト−2−イル)メチル]−2−(メチルスルファニル)ニコチンアミドおよびこの塩酸塩;
N−[(2−アザビシクロ[2.1.1]ヘキス−1−イル)(3−メトキシフェニル)メチル]−3−クロロ−4−(トリフルオロメチル)ピリジン−2−カルボキサミドおよびこの塩酸塩;
N−[(2−アザビシクロ[2.1.1]ヘキス−1−イル)(3−メトキシフェニル)メチル]−2−(メチルスルファニル)ニコチンアミドおよびこの塩酸塩;
N−[(2−アザビシクロ[2.1.1]ヘキス−1−イル)(m−トリル)メチル]−2−(メチルスルファニル)ニコチンアミドおよびこの塩酸塩;
N−[(2−アザビシクロ[2.1.1]ヘキス−1−イル)(3−(トリフルオロメチル)フェニル)メチル]−3−クロロ−4−(トリフルオロメチル)ピリジン−2−カルボキサミドおよびこの塩酸塩;
N−[(2−アザビシクロ[2.1.1]ヘキス−1−イル)(m−トリル)メチル]−3−クロロ−4−(トリフルオロメチル)ピリジン−2−カルボキサミドおよびこの塩酸塩;
(+)−N−[(2−アリル−2−アザビシクロ[2.1.1]ヘキス−1−イル)(フェニル)メチル]−4,5−ジブロモチオフェン−2−カルボキサミド;
(−)−N−[(2−アリル−2−アザビシクロ[2.1.1]ヘキス−1−イル)(フェニル)メチル]−4,5−ジブロモチオフェン−2−カルボキサミド;
N−[(2−ベンジル−2−アザビシクロ[2.1.1]ヘキス−1−イル)(3−(トリフルオロメチル)フェニル)メチル]−3−クロロ−4−(トリフルオロメチル)ピリジン−2−カルボキサミドおよびこの塩酸塩;
N−[(2−ベンジル−2−アザビシクロ[2.1.1]ヘキス−1−イル)(フェニル)メチル]−2,5−ジクロロチオフェン−3−カルボキサミドおよびこの塩酸塩;
N−[(2−アザビシクロ[2.1.1]ヘキス−1−イル)(フェニル)メチル]−3,6−ジクロロピリジン−2−カルボキサミドおよびこの塩酸塩;
N−[(2−アザビシクロ[2.1.1]ヘキス−1−イル)(フェニル)メチル]−3−クロロ−5−(トリフルオロメチル)ピリジン−2−カルボキサミド;
N−[(2−アザビシクロ[2.1.1]ヘキス−1−イル)(フェニル)メチル]−6−クロロ−3−(トリフルオロメチル)ピリジン−2−カルボキサミド。
【0017】
本発明の化合物は、グリシントランスポーターGlyT1の阻害剤としての特定の活性、特に、改善された活性プロファイルおよび改善された安全性プロファイルを示す。
【0018】
一般式(I)の化合物は、以下のスキーム1に説明される方法により調製することができる:
【0019】
【化2】

【0020】
一般式(II)(式中、RおよびRは、上記定義の通りである。)のジアミンは、特に、Rが水素原子またはアリル基を表す場合、当業者に公知の方法を使用して一般式(III)(式中、Yは、例えば、ベンゼトリアゾールまたはアシル尿素から誘導される脱離基またはハロゲン原子を表し、Rは、上記定義の通りである。)の活性化酸、例えば、混合無水物を介して活性化された酸または酸塩化物とカップリングさせることができる。
【0021】
Rが水素原子を表す一般式(I)の化合物は、Rが
− 水素化分解により脱保護することができる保護基と、
− アリル基のいずれか
を表す一般式(I)の化合物から、当業者に公知の方法に従って、例えば、パラジウム(0)錯体により窒素を脱保護することにより調製することもできる。
【0022】
Rが水素原子以外である一般式(I)の化合物は、Rが水素原子を表す一般式(I)の化合物から、前記一般式(I)の化合物をアセトニトリル中で無機塩基、例えば、炭酸カリウムの存在下でRXタイプ(式中、Rは、上記定義の通りであり、Xは、メシラートまたはハロゲンである。)のハロゲン化物もしくはメシラートによりアルキル化することにより;または当業者に公知の方法に従って適切なアルデヒドもしくは適切なケトンによるエシュバイラー・クラークタイプの反応もしくは還元的アミノ化により;または当業者に公知の方法に従って適切なエポキシド誘導体を用いて調製することもできる。
【0023】
基がヒドロキシルにより置換されているフェニル基である一般式(I)の化合物は、メトキシにより置換されている一般式(I)の対応する化合物から、当業者に公知の方法を使用して得ることができる。
【0024】
一般式(II)のジアミンは、アミン(IIa)については以下のスキーム2およびアミン(IIb)および(IIc)については以下のスキーム3により説明される方法により調製することができる。
【0025】
【化3】

【0026】
エステル(IV)は、溶媒、例えば、トルエンの還流下でトリメチルアルミニウム錯体および適切なアミン、例えば、モルホリンを加熱することによりアミド(V)に変換する。アミン(V)は、低温、例えば−70℃において溶媒、例えば、テトラヒドロフラン中でフェニルリチウムタイプのリチウム化合物を使用することより脱保護することができる。続いて、周囲温度において溶媒、例えば、アセトニトリル中で塩基、例えば、炭酸カリウムの存在下で臭化アリルを使用してN−アリル化を実施して化合物(VII)を得る。式(VII)のモルホリンアミドは、低温においてエーテル溶媒、例えば、エーテルまたはテトラヒドロフラン中で一般式(VIII)(式中、Rは、上記定義の通りである。)のリチオ化芳香族化合物と反応させることができる。こうして一般式(IX)のケトンを得、ピリジンの還流下でO−ベンジルヒドロキシルアミン塩酸塩と反応させて一般式(X)のオキシムのZ/E混合物を得る。
【0027】
続いて、オキシム(X)を水素化リチウムアルミニウムによりエーテルの還流下で還元して式(IIa)のジアミンを提供する。
【0028】
【化4】

【0029】
スキーム3によれば、式(XI)のニトリルを低温、例えば、−70℃においてエーテル溶媒、テトラヒドロフランまたはエーテル中でRが上記定義の通りである一般式(VIII)のリチオ化芳香族化合物と反応させる。こうしてイミンを得、プロトン性溶媒、例えば、メタノール中で還元剤、例えば、水素化ホウ素ナトリウムにより還元して一般式(IIb)のアミンを生じさせる。アミン(IIb)をパラジウム触媒の存在下で水素化により脱ベンジル化して脱保護アミン(IIc)を提供することができる。
【0030】
さらに、SまたはRエナンチオマーに対応する一般式(I)のキラル化合物は、キラルカラム上での高速液体クロマトグラフィー(HPLC)によるラセミ化合物の分離により得ることができ、またはキラル酸、例えば、ジベンゾイル酒石酸の使用による一般式(II)のラセミアミンの分割もしくはジアステレオ異性体塩の分別再結晶および優先再結晶により得ることができる。
【0031】
式(IV)のエステルは、J.Org.Chem.,2003,9348−9355に記載の方法に従って調製する。
【0032】
式(XI)のニトリルは、Tetrahedron:Asymmetry,2006(17),252−258に記載の方法に従って調製する。
【0033】
一般式(VIII)のリチオ化誘導体は、当業者に公知の方法に従って調製することができる。
【0034】
一般式(III)の酸および酸塩化物は、市販されており、または当業者に公知の方法と類似の方法により調製する。
【0035】
以下の実施例は、本発明の一部の化合物の調製を説明する。これらの実施例において:
− 微量元素分析、IRおよびNMRスペクトルならびにキラルカラムHPLCにより、得られた化合物の構造およびエナンチオマー純度を確認し、
− NMRの説明について、「m」は多重線、「s」は一重線、「t」は三重線、「d」は二重線、「q」は四重線、「d×d」は二重の二重線、「t×t」は三重の三重線、「d×t」は二重の三重線などを意味し、
− 実施例の標題の括弧間に示される番号は、表1の第1欄における番号に対応し、
− 「decomp.」は「分解」を意味し、
− 塩形態の化合物について、括弧間の数字は(塩基:酸)比を示し、
− 「ee」は、エナンチオマー過剰率を意味し、
− 用いられる命名法は、IUPAC(国際純正応用化学連合(International Union of Pure and Applied Chemistry))推奨による命名法である。
【0036】
化合物の名称において、ハイフン「−」は、単語の一部を形成し、「下線」記号「_」は、改行についてのみ使用され;この記号は改行の不存在下で省略すべきであり、通常のハイフンによってもスペースによっても置き換えるべきでない。
【実施例1】
【0037】
(化合物番号1)N−[(2−アリル−2−アザビシクロ[2.1.1]ヘキス−1−イル)(フェニル)メチル]−4,5−ジブロモチオフェン−2−カルボキサミド
1.1 (2−ベンゾイル−2−アザビシクロ[2.1.1]ヘキス−1−イル)(モルホリン−4−イル)メタノン
モルホリン10ml(115mmol)を、アルゴン下で500mlの三口フラスコ中で2Nトリメチルアルミニウム29ml(58mmol)の無水トルエン200ml中溶液に滴加し、混合物を60℃において15分間加熱する。エチル2−ベンゾイル−2−アザビシクロ[2.1.1]ヘキサン−1−カルボキシラート20g(77.1mmol)の無水トルエン190ml中溶液をチューブを介して反応媒体中に移し、続いて還流下で一晩加熱する。冷却後、混合物を撹拌しながら水60mlにより慎重に加水分解する。形成された沈殿物をCelite(登録商標)上で濾別し、次いでジクロロメタンによりすすぐ。濾液を減圧下で蒸発させる。
【0038】
得られた残留物をエーテルから粉砕する。こうして(2−ベンゾイル−2−アザビシクロ[2.1.1]ヘキス−1−イル)(モルホリン−4−イル)メタノン18.35gを、暗ベージュ色固体の形態で得る。
H NMR(400 MHz,d−DMSO)δ ppm 7.69(d,J=8Hz,2H)、7.56−7.45(m,3H)、3.76(d,J=7.7Hz,1H)、3.64−3.26(m,9H)、2.73(t,J=2.7Hz,1H)、2.10(m,2H)、1.97(m,1H)、1.52(m,1H)。
融点:176−177℃
【0039】
1.2.(2−アザビシクロ[2.1.1]ヘキス−1−イル)(モルホリン−4−イル)メタノン
(2−ベンゾイル−2−アザビシクロ[2.1.1]ヘキス−1−イル)(モルホリン−4−イル)メタノン(段階1.1に従って得られた化合物)10g(33.3mmol)を、アルゴン下で1lの三口フラスコ中で−70℃において無水テトラヒドロフラン400ml中に装入する。0.8Mフェニルリチウム(シクロヘキサン/エーテル)50ml(40mmol)を滴加し、得られた溶液を−70℃において1時間撹拌しておく。
【0040】
加水分解を水100mlにより実施し、混合物を周囲温度に戻す。抽出後、有機相を濃縮し、次いで残留物をエーテル中に取る。このエーテル相を予備酸性化させた水相中に注ぐ。抽出後、水相をアンモニア水により塩基性化し、次いでジクロロメタン(3×200ml)により抽出する。有機相を硫酸ナトリウムで脱水させ、濾過し、減圧下で蒸発させる。こうして(2−アザビシクロ[2.1.1]ヘキス−1−イル)(モルホリン−4−イル)メタノン5.2gを暗ベージュ色固体の形態で得る。
H NMR(400 MHz,d−DMSO)δ ppm 3.71(m,2H)、3.55(m,4H)、3.44(m,2H)、2.87(s,2H)、2.69(broad s,1H)、2.60(t,J=2.9Hz,1H)、1.84(m,2H)、1.43(m,2H)。
融点:97.5−98℃
【0041】
1.3.(2−アリル−2−アザビシクロ[2.1.1]ヘキス−1−イル)(モルホリン−4−イル)メタノン
(2−アザビシクロ[2.1.1]ヘキス−1−イル)(モルホリン−4−イル)メタノン(段階1.2に従って得られた化合物)7.4g(37.7mmol)を、500mlの丸底フラスコ中でアセトニトリル100mlおよび炭酸カリウム10.4g(75.4mmol)中に装入する。臭化アリル3.9ml(45.2mmol)の溶液をこの懸濁液に滴加する。反応媒体を周囲温度において一晩撹拌し、次いで減圧下で濃縮する。
【0042】
残留物をジクロロメタン100ml中で溶解させる。有機相を水により洗浄し、硫酸ナトリウムで脱水させ、濾過し、次いで減圧下で蒸発させる。こうして(2−アリル−2−アザビシクロ[2.1.1]ヘキス−1−イル)(モルホリン−4−イル)メタノン8.9gを油状物の形態で得る。
H NMR(400 MHz,d−DMSO)δ ppm 5.85(m,1H)、5.24(m,1H)、5.09(m,1H)、3.78(broad t,J=4.7Hz,2H)、3.54(m,4H)、3.44(m,2H)、3.05(broad d,J=5.7Hz,2H)、2.69(broad s,2H)、2.56(broad t,J=3Hz,1H)、1.83(m,2H)、1.68(m,2H)。
【0043】
1.4.(2−アリル−2−アザビシクロ[2.1.1]ヘキス−1−イル)(フェニル)メタノン
(2−アリル−2−アザビシクロ[2.1.1]ヘキス−1−イル)(モルホリン−4−イル)メタノン(段階1.3に従って得られた化合物)3.2g(13.5mmol)を、アルゴン下で250mlの三口フラスコ中で−70℃においてテトラヒドロフラン70ml中に装入する。1Mのフェニルリチウム(シクロヘキサン/エーテル)16.2mlを滴加し、混合物を−70℃において1時間放置する。水20mlにより加水分解した後、混合物を周囲温度に戻す。溶媒を減圧下で蒸発させた後、残留物を酢酸エチル中に取る。抽出後、有機相を硫酸ナトリウムで脱水させ、濾過し、減圧下で蒸発させる。残留物をシリカゲルのカラム上でのクロマトグラフィーにより精製し、溶出を石油エーテルおよび酢酸エチルの混合物により実施する。こうして(2−アリル−2−アザビシクロ[2.1.1]ヘキス−1−イル)(フェニル)メタノン2gを油状物の形態で得る。
H NMR(400 MHz,d−DMSO)δ ppm 8.28(m,2H)、7.64(txt,J=7.3 and 1.4Hz,1H)、7.52(m,2H)、5.73(m,1H)、5.20(m,J=17 and 2Hz,1H)、5(m,J=10 and 2Hz,1H)、2.99(dxt,J=5.6 and 1.5Hz,2H)、2.86(s,2H)、2.70(t,J=2.9Hz,1H)、1.99−1.85(m,4H)。
【0044】
1.5.(2−アリル−2−アザビシクロ[2.1.1]ヘキス−1−イル)(フェニル)メタノンO−ベンジルオキシム
(2−アリル−2−アザビシクロ[2.1.1]ヘキス−1−イル)(フェニル)メタノン(段階1.4による化合物)0.8g(3.7mmol)を、50mlの丸底フラスコ中でピリジン12ml中に装入し、次いでO−ベンジルヒドロキシルアミン塩酸塩0.91g(7.4mmol)を添加する。反応媒体を一晩還流加熱し、次いで減圧下で濃縮する。
【0045】
残留物を水中に取り、アンモニア水により塩基性化し、次いでジクロロメタンにより3回抽出する。有機相を合わせ、飽和塩化ナトリウム溶液により洗浄し、硫酸ナトリウムで脱水させ、濾過し、減圧下で蒸発させる。粗製生成物をシリカゲルのカラム上でのクロマトグラフィーにより精製し、溶出をジクロロメタンおよびアンモニア性メタノールの混合物により実施する。こうして(2−アリル−2−アザビシクロ[2.1.1]ヘキス−1−イル)(フェニル)メタノンO−ベンジルオキシム1.2gを油状物の形態で得る。
H NMR(400 MHz,d−DMSO)δ ppm 7.49−7.45(m,2H)、7.42−7.26(m,8H)、5.76(m,1H)、5.17(m,J=17Hz and 1.7Hz,1H)、5.09(s,1H)、5.03(m,1H)、3.06(dxt,J=5.9Hz and 1.4Hz,2H)、2.66(broad s,2H)、2.62(broad t,J=3Hz,2H)、1.79(m,2H)、1.63(m,2H)。
【0046】
1.6.[(2−アリル−2−アザビシクロ[2.1.1]ヘキス−1−イル)(フェニル)メチル]アミン
水素化リチウムアルミニウム0.32g(8.4mmol)を、窒素下で50mlの三口フラスコ中でエーテル15ml中に装入する。続いて、(2−アリル−2−アザビシクロ[2.1.1]ヘキス−1−イル)(フェニル)メタノン O−ベンジルオキシム(段階1.5に従って得られた化合物)0.7g(2.1mmol)のエーテル3ml中溶液を添加し、次いで混合物を40℃において3時間加熱する。冷却後、反応媒体を0.1Mの酒石酸カリウムナトリウム水溶液1.4mlにより0℃において一晩加水分解する。
【0047】
反応媒体を濾過した後、濾液を減圧下で濃縮する。残留物をシリカゲルのカラム上でのクロマトグラフィーにより精製し、溶出をジクロロメタンおよびアンモニア性メタノールの混合物により実施する。こうして[(2−アリル−2−アザビシクロ[2.1.1]ヘキス−1−イル)(フェニル)メチル]アミン0.3gを油状物の形態で得る。
H NMR(400 MHz,d−DMSO)δ ppm 7.36−7.15(m,5H)、5.87(m,1H)、5.23(m,1H)、5.06(m,1H)、4.14(s,1H)、3.36(m,J=13.5 and 5.5Hz,1H)、3.06(m,J=13.5 and 6.4Hz,1H)、2.76(broad d,J=8Hz,1H)、2.43(m,2H)、1.78(broad s,2H)、1.39−1.21(m,3H)、1.08(m,1H)。
【0048】
1.7.N−[(2−アリル−2−アザビシクロ[2.1.1]ヘキス−1−イル)(フェニル)メチル]−4,5−ジブロモチオフェン−2−カルボキサミド
[(2−アリル−2−アザビシクロ[2.1.1]ヘキス−1−イル)(フェニル)メチル]アミン(段階1.6に従って得られた化合物)1.75g(7.66mmol)を、250mlの丸底フラスコ中で炭酸カリウム2.1g(15.3mmol)の存在下で0℃においてジクロロメタン30ml中に装入する。4,5−ジブロモチオフェン−2−カルボニルクロリド2.8g(9.2mmol)のジクロロメタン20ml中溶液を添加し、混合物を周囲温度において一晩撹拌しておく。続いて、反応媒体をジクロロメタン100mlにより希釈し、次いで水(50ml)、1N水酸化ナトリウム溶液(50ml)および飽和塩化ナトリウム溶液(50ml)により連続的に洗浄する。
【0049】
有機相を硫酸ナトリウムで脱水させ、濾過し、減圧下で蒸発させる。残留物をシリカゲルのカラム上でのクロマトグラフィーにより精製し、溶出をジクロロメタンおよびアンモニア性メタノールの混合物により実施する。こうしてN−[(2−アリル−2−アザビシクロ[2.1.1]ヘキス−1−イル)(フェニル)メチル]−4,5−ジブロモチオフェン−2−カルボキサミド3.2gを得る。
H NMR(400 MHz,CDCL)δ ppm 7.40−7.08(m,7H)、5.79(m,1H)、5.18(m,1H)、5.06(m,1H)、4.98(m,1H)、3.36(m,1H)、3.07(m,1H)、2.87(m,1H)、2.54(m,1H)、2.46(m,1H)、1.55−1.22(m,4H)。
融点=59−60℃
【実施例2】
【0050】
(化合物番号2)N−[(2−アザビシクロ[2.1.1]ヘキス−1−イル)(フェニル)メチル]−4,5−ジブロモチオフェン−2−カルボキサミド
ジクロロメタン2ml中に溶解させたパラジウムテトラキス(トリフェニルホスフィン)4.7mg(0.004mmol)およびN,N−ジメチルバルビツール酸0.19g(1.2mmol)を、還流凝縮器を備える10mlの丸底フラスコ中にアルゴン下で装入する。反応媒体を40℃に加熱し、次いでジクロロメタン2ml中のN−[(2−アリル−2−アザビシクロ[2.1.1]ヘキス−1−イル)(フェニル)メチル]−4,5−ジブロモチオフェン−2−カルボキサミド(化合物1)0.2g(0.4mmol)を添加し、次いで混合物を40℃においてさらに2時間加熱する。冷却後、混合物をジクロロメタン10mlにより希釈し、続いて炭酸ナトリウム溶液5mlにより加水分解する。
【0051】
有機相を分離し、1Nの塩酸5mlにより2回洗浄する。水相を合わせ、次いでアンモニア水によりpH9に塩基性化し、続いてジクロロメタン25mlにより2回抽出する。有機相を硫酸ナトリウムで脱水させ、濾過し、減圧下で蒸発させる。残留物をシリカゲルのカラム上でのクロマトグラフィーにより精製し、溶出をジクロロメタンおよびアンモニア性メタノールの混合物により実施する。こうしてN−[(2−アザビシクロ[2.1.1]ヘキス−1−イル)(フェニル)メチル]−4,5−ジブロモチオフェン−2−カルボキサミド70mgを粉末の形態で得る。
H NMR(400 MHz,d−DMSO)δ ppm 8.69(d,J=8.8Hz,1H)、8.15(s,1H)、7.39(m,2H)、7.33(m,2H)、7.26(m,1H)、5.29(d,J=7.8Hz,1H)、2.79(s,2H)、2.63(m,J=2.8Hz,1H)、1.62(m,2H)、1.15(m,2H)。
融点=189−190℃
【実施例3】
【0052】
(化合物番号17)(+)−N−[(2−アリル−2−アザビシクロ[2.1.1]ヘキス−1−イル)(フェニル)メチル]−4.5−ジブロモチオフェン−2−カルボキサミド
この化合物は、CHIRALpak(登録商標)AD20μmおよび溶媒として80/20のアセトニトリル/プロパン−2−オール混合物を使用してN−[(2−アリル−2−アザビシクロ[2.1.1]ヘキス−1−イル)(フェニル)メチル]−4.5−ジブロモチオフェン−2−カルボキサミド(化合物番号1)を分取HPLCにより分離することにより得る。
H NMR(400 MHz,d−DMSO)δ ppm 8.65(m,1H)、8.15(s,1H)、7.4−7.2(m,5H)、5.75(m,1H)、5.40(m,1H)、5.30(m,1H)、5.02(m,1H)、3.20(m,2H)、2.70(m,1H)、2.60−2.50(m,2H)、1.58(m,1H)、1.4(m,3H)。
ee=99.7%
[α20℃ MeOH=+39.2℃=0.475g/100 ml
【実施例4】
【0053】
(化合物番号4)(+)−N−[(2−アザビシクロ[2.1.1]ヘキス−1−イル)(フェニル)メチル]−4,5−ジブロモチオフェン−2−カルボキサミド塩酸塩(1:1)
この化合物は、実施例2に記載の方法に従って、実施例3に記載の化合物番号17から出発し、エーテル中で塩基を溶解させることにより塩酸塩形態で塩形成させ、過剰のエーテル中1N塩酸を添加し、次いで減圧下で濃縮した後に得る。
H NMR(400 MHz,d−DMSO)δ ppm 9.77(m,1H)、9.55(d,J=8.9Hz,1H)、8.93(m,1H)、8.46(s,1H)、7.56−7.38(m,5H)、5.70(d,J=9.2Hz,1H)、3.30(m,2H)、2.84(m,1H)、2.10(m,1H)、1.87(m,1H)、1.66(m,2H)。
融点=211−213℃
ee=99.7%
[α20℃ MeOH=+35.5℃=1.02g/100 ml
【実施例5】
【0054】
(化合物番号18)(−)−N−[(2−アリル−2−アザビシクロ[2.1.1]ヘキス−1−イル)(フェニル)メチル]−4,5−ジブロモチオフェン−2−カルボキサミド
本化合物は、CHIRALpak(登録商標)AD20μmカラムおよび溶媒として80/20のアセトニトリル/プロパン−2−オール混合物を使用してN−[(2−アリル−2−アザビシクロ[2.1.1]ヘキス−1−イル)(フェニル)メチル]−4,5−ジブロモチオフェン−2−カルボキサミド(化合物番号1)を分取HPLCにより分離することにより得る。
H NMR(400 MHz,d−DMSO)δ ppm 8.65(m,1H)、8.15(s,1H)、7.4−7.2(m,5H)、5.75(m,1H)、5.40(m,1H)、5.30(m,1H)、5.02(m,1H)、3.20(m,2H)、2.70(m,1H)、2.60−2.50(m,2H)、1.58(m,1H)、1.4(m,3H)。
ee=100%
[a20℃ MeOH=−36.4℃=0.45g/100 ml
【実施例6】
【0055】
(化合物番号5)(−)−N−[(2−アザビシクロ[2.1.1]ヘキス−1−イル)(フェニル)メチル]−4,5−ジブロモチオフェン−2−カルボキサミド塩酸塩(1:1)
この化合物は、実施例2に記載の方法に従って、実施例5に記載の化合物番号18から出発し、エーテル中で塩基を溶解させることにより塩酸塩形態で塩形成させ、過剰のエーテル中1N塩酸を添加し、次いで減圧下で濃縮した後に得る。
H NMR(400 MHz,d−DMSO)δ ppm 9.52(d,J=9.2Hz,1H)、8.42(s,1H)、7.50−7.34(m,5H)、5.66(d,J=8.9Hz,1H)、3.25(m,2H)、2.80(m,1H)、2.07(m,1H)、1.83(m,1H)、1.62(m,2H)。
融点=227−228℃
ee=100%
[a20℃ MeOH=−36.2℃=1.02g/100 ml
【実施例7】
【0056】
(化合物番号7)N−[(2−アザビシクロ[2.1.1]ヘキス−1−イル)(フェニル)メチル]−2−(メチルスルファニル)ニコチンアミド
7.1 [(2−ベンジル−2−アザビシクロ[2.1.1]ヘキス−1−イル)(フェニル)メチル]アミン
2−ベンジル−2−アザビシクロ[2.1.1]ヘキサン−1−カルボニトリル(XI)3g(15.1mmol)を、アルゴン下で500mlの三口フラスコ中で無水テトラヒドロフラン100ml中に−70℃において装入する。フェニルリチウムの0.8M溶液(シクロヘキサン/エーテル)37.8ml(30.2mmol)を滴加する。
【0057】
反応混合物を−70℃において2時間半撹拌しておき、次いで水30mlにより−20℃において加水分解する。
【0058】
抽出後、有機相を濃縮し、次いで残留物をメタノール40ml中に取る。この残留物に水素化ホウ素ナトリウム2.8g(75mmol)を分けて添加する。反応媒体を周囲温度において一晩撹拌しておく。
【0059】
減圧下で蒸発させた後、残留物をエーテル100mlおよび水100ml中に取る。
【0060】
媒体を1N塩酸溶液により酸性化し、次いでエーテル相を抽出する。
【0061】
水相をアンモニア水により塩基性化し、次いでジクロロメタン100mlにより2回再抽出する。有機相を合わせ、次いで硫酸ナトリウムで脱水させ、濾過し、減圧下で蒸発させる。こうして[(2−ベンジル−2−アザビシクロ[2.1.1]ヘキス−1−イル)(フェニル)メチル]アミン(IIb)4.15gを低温で結晶化する油状物の形態で得る。
H NMR(200 MHz,CDCl)δ ppm 7.6−7.3(m,5H)、4.4(s,1H)、4.2(d,J=16Hz,1H)、3.6(d,J=16Hz,1H)、3.0(d,J=9Hz,1H)、2.6(m,1H)、2.4(d,J=9Hz,1H)、1.8(broad s,2H)、1.6−1.2(m,4H)。
融点=63.5−64℃。
【0062】
分析試料は、エーテル中で塩基を溶解させ、過剰のエーテル中1N塩酸を添加し、次いで減圧下で濃縮することにより塩酸塩の形態で得る。
融点=140−142℃
【0063】
7.2 [(2−アザビシクロ[2.1.1]ヘキス−1−イル)(フェニル)メチル]アミン
[(2−ベンジル−2−アザビシクロ[2.1.1]ヘキス−1−イル)(フェニル)メチル]アミン0.43g(1.54mmol)を、水素4気圧下で40℃において3時間、Parrボトル中でスパチュラ先端量の10%炭上パラジウムの存在下でエタノール20mlおよび1N塩酸5ml中に装入する。
【0064】
触媒を濾過し、濾液を減圧下で濃縮した後、残留物をジクロロメタン30mlおよび水30ml中に取り、アンモニア水により塩基性化する。抽出後、有機相を硫酸ナトリウムで脱水させ、濾過し、減圧下で蒸発させる。こうして [(2−アザビシクロ[2.1.1]ヘキス−1−イル)(フェニル)メチル]アミン0.24gを低温で凝固する黄色油状物の形態で得、以下の段階においてこのまま使用する。
融点=46.5−47℃
【0065】
分析試料は、エーテル中で塩基を溶解させ、過剰のエーテル中1N塩酸を添加し、次いで減圧下で濃縮することにより塩酸塩の形態で得る。
H NMR(400 MHz,d−DMSO)δ ppm 10.12−8.71(m,4H)、7.46−7.35(m,6H)、4.83(m,1H)、3.15(m,2H)、2.72(m,1H)、2.10(m,1H)、1.89(m,1H)、1.57(broad t,J=9.3Hz,1H)、1.36(broad t,J=9.3Hz,1H)。
融点=220−223℃(decomp.)
【0066】
7.3 N−[(2−アザビシクロ[2.1.1]ヘキス−1−イル)(フェニル)メチル]−2−(メチルスルファニル)ニコチンアミド
2−(メチルスルファニル)ニコチン酸0.22g(1.27mmol)、ヒドロキシベンゾトリアゾール0.17g(1.27mmol)および1−[3−(ジメチルアミノ)プロピル]−3−エチルカルボジイミド塩酸塩0.25g(1.27mmol)を、25mlの丸底フラスコ中でジクロロメタン2ml中に溶解させて装入し、混合物を周囲温度において15分間撹拌する。ジクロロメタン2ml中で溶解させた[(2−アザビシクロ[2.1.1]ヘキス−1−イル)(フェニル)メチル]アミン0.2g(1.0mmol)を添加し、混合物を周囲温度において一晩撹拌する。
【0067】
続いて、反応媒体をジクロロメタン10mlにより希釈し、次いで水(5ml)、1N水酸化ナトリウム溶液(5ml)および飽和塩化ナトリウム溶液(5ml)により連続的に洗浄する。
【0068】
有機相を硫酸ナトリウムで脱水させ、濾過し、減圧下で蒸発させる。残留物をシリカゲルのカラム上でのクロマトグラフィーにより精製し、溶出をジクロロメタンおよびアンモニア性メタノールの混合物により実施する。こうしてN−[(2−アザビシクロ[2.1.1]ヘキス−1−イル)(フェニル)メチル]−2−(メチルスルファニル)ニコチンアミド63mgを粉末の形態で得る。
融点=141−143℃
H NMR(400 MHz,d−DMSO)δ ppm 8.79(d,J=8.5Hz,1H)、8.55(dxd,J=5Hzおよび1.7Hz,1H)、7.76(dxd,J=7.5Hzおよび1.8Hz,1H)、7.43−7.18(m,6H)、5.30(d,J=8.6Hz,1H)、2.77(m,2H)、2.63(m,1H)、2.45(s,3H)、1.70(m,1H)、1.64(m,1H)、1.14(m,2H)。
【0069】
表1に記載の他の化合物は、実施例1から7に記載の方法に従って、適切な式(IIa)、(IIb)もしくは(IIc)のアミンから、適切な式(VIII)のリチウム化合物から、または適切な式(III)のカルボン酸誘導体から出発して得る。
【0070】
本発明の一部の化合物の化学構造を以下の表1に説明する。
【0071】
欄において:
− 「塩」:「−」は塩基の形態の化合物を示し、「HCl」は塩酸塩を示し、括弧内の数字は(酸:塩基)比を示し、
− 表中の化合物は、1個以上の水分子により溶媒和されている塩酸塩の形態で提供し、
R、RおよびR欄において:
− 「Cl」は塩素を意味し、
− 「Br」は臭素を意味し、
− 「CH」はメチルを意味し、
− 「OCH」はメトキシを意味し、
− 「Ph」はフェニルを意味し、
− 「CF」はトリフルオロメチルを意味し、
− 「Bn」はベンジルを意味し;
− 「R」欄において、置換基前部の数字は、一般式(I)における位置を示す。
【0072】
表1の化合物の物理的特性、融点および旋光度を表2に挙げる。
【0073】
表2において:
− [αD]20°C欄は、波長589nMおよび温度20℃における表中の化合物の旋光度についての分析結果を挙げる。括弧内に示す溶媒は度における旋光度の計測の実施において用いる溶媒に対応し、文字「c」は溶媒の濃度をg/100mlで示す。「N.A.」は、旋光度の計測が適用することができないことを意味し、
− 「m/z」欄は、Agilent LC−MSD Trapタイプの装置上でポジティブESIモードにおいて実施されるLC−MS(液体クロマトグラフィーを直結させた質量分析)による、またはDCI−NH技術を使用するAutospec M(EBE)装置上でのMS(質量分析)による直接導入による、もしくはWaters GCTタイプの装置上での電子衝撃技術を使用することによる質量分析による生成物の分析により観察される分子イオン(M+H)または(M)を挙げる。
【0074】
【表1】


【0075】
【表2】

【0076】
本発明の化合物を一連の薬理学的試験に供し、該試験により治療活性を有する物質としてのこの利点が実証された。
【0077】
未変性ヒトトランスポーターGlyT1を発現するSK−N−MC細胞におけるグリシン輸送の試験
14C]グリシンの取り込みを、未変性ヒトトランスポーターGlyT1を発現するSK−N−MC細胞(ヒト神経上皮細胞)において、試験化合物の存在または不存在下で組み込まれる放射能を計測することにより試験する。細胞は、0.02%のフィブロネクチンにより前処理したプレート中で単層として48時間培養する。実験当日、培養培地を除去し、細胞をpH7.4のクレブス−HEPES(4−(2−ヒドロキシエチル)ピペラジン−1−エタンスルホン酸)緩衝液により洗浄する。緩衝液(対照バッチ)または種々の濃度の試験化合物またはグリシン10mM(非特異的取り込みの測定)の存在下で37℃において10分間プレインキュベートした後、続いて[14C]グリシン10μM(比放射能112mCi/mmol)を添加する。インキュベーションを37℃において10分間継続し、pH7.4のクレブス−HEPES緩衝液により2回洗浄することにより反応を停止させる。次いで、細胞により組み込まれた放射能を、液体シンチラント100μlを添加し、1時間撹拌した後に評価する。計数は、Microbeta Tri−Lux(商標)カウンターにより実施する。化合物の有効性は、IC50、即ち、対照バッチおよび10mMのグリシンを受けたバッチにより組み込まれた放射能の差異により定義されるグリシンの特異的取り込みを50%だけ低減する化合物の濃度により決定する。
【0078】
本発明の化合物は、この試験において、0.01−10μMの順でのIC50を有する。
【0079】
本発明による化合物についてのIC50結果の一部の例を表3に示す。
【0080】
【表3】

【0081】
一般式(I)による本発明のキラル化合物およびこのラセミ体について実施したインビトロ試験の結果は、これらの化合物が脳内に存在するグリシントランスポーターGlyT1の阻害剤であることを示す。
【0082】
これらの結果は、本発明の化合物が、神経変性疾患または認知症に伴う認知障害および/または行動障害の治療のため;精神病、特に統合失調症(欠損型および産出型);または神経弛緩薬により誘発される急性もしくは慢性の錐体外路症状の治療のため;種々の形態の不安神経症、パニック発作、恐怖症もしくは強迫性障害の治療のため;種々の形態の精神病性うつ病を含むうつ病の治療のため;双極性障害、躁病もしくは気分障害の治療のため;またはアルコール依存症もしくはアルコール離脱に起因する障害、性行動障害、摂食障害、偏頭痛、疼痛もしくは睡眠障害の治療のために使用することができることを示唆する。
【0083】
従って、本発明による化合物は、医薬品の調製、特にグリシントランスポーターGlyT1の阻害剤である医薬品の調製において使用することができる。
【0084】
従って、本発明の別の態様によれば、本発明の主題は、式(I)の化合物または医薬的に許容される塩との式(I)の化合物の付加塩を含む医薬品である。
【0085】
本発明の別の主題は、本発明による少なくとも1種の化合物の有効用量を、塩基または医薬的に許容される塩の形態で、必要に応じて、好適な賦形剤との混合物として含む医薬組成物である。
【0086】
前記賦形剤は、所望される医薬形態および投与方法に従って選択される。
【0087】
従って、本発明による医薬組成物は、経口、舌下、皮下、筋肉内、静脈内、局所、気管内、鼻腔内、経皮、直腸または眼内投与を意図することができる。
【0088】
単位投与形態は、例えば、錠剤、ゼラチンカプセル剤、顆粒剤、散剤、経口服用もしくは注射すべき液剤もしくは懸濁液剤、貼付剤または坐剤であり得る。局所投与については、軟膏剤、ローション剤および洗眼液を想定することができる。
【0089】
前記単位形態は、医薬剤形に従って体重1kg当たり活性成分0.01から20mgの1日投与を可能にするように投与される。
【0090】
錠剤を調製するため、希釈剤、例えば、ラクトース、微結晶セルロースまたはデンプンなど、および配合助剤、例えば結合剤(ポリビニルピロリドン、ヒドロキシプロピルメチルセルロースなど)、流動化剤(flow agent)、例えば、シリカまたは潤滑剤、例えば、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸、グリセリルトリベヘナートまたはナトリウムステアリルフマラートから構成することができる医薬ビヒクルが、微粒化されたまたは微粒化されていない活性成分に添加される。湿潤剤または界面活性剤、例えば、ラウリル硫酸ナトリウムを添加することもできる。
【0091】
調製技術は、直接打錠、乾式造粒、湿式造粒または加熱溶融であり得る。
【0092】
錠剤は、裸錠、糖衣錠、例えばショ糖による糖衣錠または種々のポリマーもしくは他の適切な材料によりコーティングされた錠剤であり得る。これらの錠剤は、ポリマーマトリックスまたはコーティングにおいて使用される特定のポリマーにより活性成分の速放、緩放または徐放を可能にするように設計することができる。
【0093】
ゼラチンカプセル剤を調製するため、活性成分は乾燥医薬ビヒクル(単純混合、乾式もしくは湿式造粒または加熱溶融)または液体もしくは半固形の医薬ビヒクルと混合される。
【0094】
ゼラチンカプセル剤は、急速活性、持続活性または遅延活性(例えば、腸溶性形態のために)を有するように硬カプセル剤でも軟カプセル剤でもよく、または薄型フィルムによりコーティングされていてもコーティングされていなくてもよい。
【0095】
シロップもしくはエリキシルの形態またはドロップの形態における投与のための形態の組成物は、活性成分を甘味料、好ましくは、カロリーゼロの甘味料、防腐剤としてのメチルパラベンまたはプロピルパラベン、香味増強剤および着色料と共に含むことができる。
【0096】
水分散性の散剤および顆粒剤は、活性成分を、分散化剤もしくは湿潤剤または分散化剤、例えばポリビニルピロリドンならびに甘味料および香味矯正剤との混合物として含むことができる。
【0097】
直腸投与には、直腸温において溶融する結合剤、例えば、ココアバターまたはポリエチレングリコールを用いて調製された坐剤が使用される。
【0098】
非経口投与には、薬理学的に適合性を示す分散化剤および/または湿潤剤、例えばプロピレングリコールもしくはブチレングリコールを含む水性懸濁液、等張食塩液または注射用無菌溶液が使用される。
【0099】
活性成分は、場合により1種以上のビヒクルもしくは添加剤と、そうでなければポリマーマトリックスと、またはシクロデキストリン(貼付剤または徐放形態)とマイクロカプセルの形態で配合することもできる。
【0100】
本発明による局所用組成物は、皮膚との適合性を示す媒体を含む。これらの組成物は、特に水性、アルコール性もしくは水性/アルコール性液剤の形態、ゲル剤の形態、クリームまたはゲルの外観を有する油中水型もしくは水中油型エマルションの形態またはマイクロエマルション剤もしくはエアゾール剤の形態またはイオン性および/もしくは非イオン性の脂質を含む小胞分散液剤の形態で提供することができる。これらの医薬剤形は、当分野において慣用の方法に従って調製される。
【0101】
例として、錠剤形態における本発明による化合物の単位投与形態は、以下の成分を含むことができる:
本発明による化合物 50.0mg
マンニトール 223.75mg
クロスカルメロースナトリウム 6.0mg
トウモロコシデンプン 15.0mg
ヒドロキシプロピルメチルセルロース 2.25mg
ステアリン酸マグネシウム 3.0mg
経口的に与えられる場合、1日に投与される活性成分の用量は、1回以上の摂取において0.1から20mg/kgに達してよい。
【0102】
より多いまたは少ない投与量が適切である特定の場合が存在し得るが;このような投与量は本発明の範囲から逸脱するものではない。慣例の実務によれば、各患者に適切な投与量は、投与方法、ならびに前記患者の体重および応答に従って医師により決定される。
【0103】
本発明の別の態様によれば、本発明はまた、本発明による化合物、または医薬的に許容されるこの塩の1種の有効用量を患者に投与することを含む、上記の病変を治療する方法に関する。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
塩基の形態または酸との付加塩の形態の一般式(I):
【化1】

(式中、
− Rは、水素原子またはハロゲン原子もしくは(C−C)シクロアルキル、(C−C)アルキル、(C−C)アルコキシもしくはヒドロキシル基から互いに独立して選択される1個以上の置換基により場合により置換されている(C−C)アルキル、(C−C)シクロアルキル、ベンジルもしくはアリル基から選択される基を表し;
− Rは、ハロゲン原子または(C−C)アルキル、(C−C)アルコキシ、ハロ(C−C)アルキル、ヒドロキシル、ハロ(C−C)アルコキシ、(C−C)アルキルチオ、(C−C)アルキル−SOまたは(C−C)アルキル−SO基から互いに独立して選択される1個以上の置換基により場合により置換されているフェニルまたはナフチル基を表し;
− Hetは、ヘテロアリール基を表し;
− Rは、水素原子、ハロゲン原子またはハロ(C−C)アルキル、(C−C)アルキル、(C−C)シクロアルキル、(C−C)シクロアルキル(C−C)アルキル、(C−C)アルコキシ、ベンジル、(C−C)アルキルチオ、(C−C)アルキル−SOもしくは(C−C)アルキル−SO基から選択される1個以上の置換基を表す。)の化合物。
【請求項2】
− Rが、水素原子、ベンジル基またはアリル基を表し;
− R、HetおよびRが、請求項1に定義の通りである
ことを特徴とする、塩基の形態または酸との付加塩の形態の請求項1に記載の一般式(I)の化合物。
【請求項3】
が、ハロゲン原子または(C−C)アルキル、(C−C)アルコキシもしくはハロ(C−C)アルキル基から互いに独立して選択される1個以上の基により場合により置換されているフェニルまたはナフチル基を表し;
R、HetおよびRが、請求項1に定義の通りである
ことを特徴とする、塩基の形態または酸との付加塩の形態の請求項1に記載の一般式(I)の化合物。
【請求項4】
− Hetが、インドール、チオフェンまたはピリジン基を表し;
− R、RおよびRが、請求項1に定義の通りである
ことを特徴とする、塩基の形態または酸との付加塩の形態の請求項1に記載の一般式(I)の化合物。
【請求項5】
が、水素原子、ハロゲン原子またはハロ(C−C)アルキル、ベンジルもしくは(C−C)アルキルチオ基から選択される1個以上の置換基を表し;
R、RおよびHetが、請求項1に定義の通りである
ことを特徴とする、塩基の形態または酸との付加塩の形態の請求項1に記載の一般式(I)の化合物。
【請求項6】
− Rが、水素原子、ベンジル基またはアリル基を表し;
− Rが、ハロゲン原子または(C−C)アルキル、(C−C)アルコキシもしくはハロ(C−C)アルキル基から互いに独立して選択される1個以上の置換基により場合により置換されているフェニルまたはナフチル基を表し;
− Hetが、インドール、チオフェンまたはピリジン基を表し;
− Rが、水素原子、ハロゲン原子またはハロ(C−C)アルキル、ベンジルもしくは(C−C)アルキルチオ基から選択される1個以上の置換基を表す
ことを特徴とする、塩基の形態または酸との付加塩の形態の請求項1に記載の一般式(I)の化合物。
【請求項7】
− Rが、水素原子、ベンジル基またはアリル基を表し;
− Rが、フッ素原子またはメチル、メトキシもしくはトリフルオロメチル基から互いに独立して選択される1個以上の置換基により場合により置換されているフェニルまたはナフチル基を表し;
− Hetが、インドール、チオフェンまたはピリジン基を表し;
− Rが、水素原子、臭素もしくは塩素原子またはトリフルオロメチル、メチルチオもしくはベンジル基から選択される1個以上の置換基を表す
ことを特徴とする、塩基の形態または酸との付加塩の形態の請求項1または6に記載の一般式(I)の化合物。
【請求項8】
以下から選択されることを特徴とする、請求項1から7のいずれか一項に記載の化合物:
N−[(2−アリル−2−アザビシクロ[2.1.1]ヘキス−1−イル)(フェニル)メチル]−4,5−ジブロモチオフェン−2−カルボキサミド;
N−[(2−アザビシクロ[2.1.1]ヘキス−1−イル)(フェニル)メチル]−4,5−ジブロモチオフェン−2−カルボキサミド;
N−[(2−アザビシクロ[2.1.1]ヘキス−1−イル)(フェニル)メチル]−2,5−ジクロロチオフェン−3−カルボキサミド;
(+)−N−[(2−アザビシクロ[2.1.1]ヘキス−1−イル)(フェニル)メチル]−4,5−ジブロモチオフェン−2−カルボキサミドおよびこの塩酸塩;
(−)−N−[(2−アザビシクロ[2.1.1]ヘキス−1−イル)(フェニル)メチル]−4,5−ジブロモチオフェン−2−カルボキサミドおよびこの塩酸塩;
N−[(2−アザビシクロ[2.1.1]ヘキス−1−イル)(4−フルオロフェニル)メチル]−3−クロロ−4−(トリフルオロメチル)ピリジン−2−カルボキサミド;
N−[(2−アザビシクロ[2.1.1]ヘキス−1−イル)(フェニル)メチル]−2−(メチルスルファニル)ニコチンアミド;
N−[(2−アザビシクロ[2.1.1]ヘキス−1−イル)(フェニル)メチル]−3−クロロ−4−(トリフルオロメチル)ピリジン−2−カルボキサミド;
N−[(2−アザビシクロ[2.1.1]ヘキス−1−イル)(フェニル)メチル]−1−ベンジル−1H−インドール−4−カルボキサミド;
N−[(2−アザビシクロ[2.1.1]ヘキス−1−イル)(ナフト−2−イル)メチル]−3−クロロ−4−(トリフルオロメチル)ピリジン−2−カルボキサミドおよびこの塩酸塩;
N−[(2−アザビシクロ[2.1.1]ヘキス−1−イル)(ナフト−2−イル)メチル]−2−(メチルスルファニル)ニコチンアミドおよびこの塩酸塩;
N−[(2−アザビシクロ[2.1.1]ヘキス−1−イル)(3−メトキシフェニル)メチル]−3−クロロ−4−(トリフルオロメチル)ピリジン−2−カルボキサミドおよびこの塩酸塩;
N−[(2−アザビシクロ[2.1.1]ヘキス−1−イル)(3−メトキシフェニル)メチル]−2−(メチルスルファニル)ニコチンアミドおよびこの塩酸塩;
N−[(2−アザビシクロ[2.1.1]ヘキス−1−イル)(m−トリル)メチル]−2−(メチルスルファニル)ニコチンアミドおよびこの塩酸塩;
N−[(2−アザビシクロ[2.1.1]ヘキス−1−イル)(3−(トリフルオロメチル)フェニル)メチル]−3−クロロ−4−(トリフルオロメチル)ピリジン−2−カルボキサミドおよびこの塩酸塩;
N−[(2−アザビシクロ[2.1.1]ヘキス−1−イル)(m−トリル)メチル]−3−クロロ−4−(トリフルオロメチル)ピリジン−2−カルボキサミドおよびこの塩酸塩;
(+)−N−[(2−アリル−2−アザビシクロ[2.1.1]ヘキス−1−イル)(フェニル)メチル]−4,5−ジブロモチオフェン−2−カルボキサミド;
(−)−N−[(2−アリル−2−アザビシクロ[2.1.1]ヘキス−1−イル)(フェニル)メチル]−4,5−ジブロモチオフェン−2−カルボキサミド;
N−[(2−ベンジル−2−アザビシクロ[2.1.1]ヘキス−1−イル)(3−(トリフルオロメチル)フェニル)メチル]−3−クロロ−4−(トリフルオロメチル)ピリジン−2−カルボキサミドおよびこの塩酸塩;
N−[(2−ベンジル−2−アザビシクロ[2.1.1]ヘキス−1−イル)(フェニル)メチル]−2,5−ジクロロチオフェン−3−カルボキサミドおよびこの塩酸塩;
N−[(2−アザビシクロ[2.1.1]ヘキス−1−イル)(フェニル)メチル]−3,6−ジクロロピリジン−2−カルボキサミドおよびこの塩酸塩;
N−[(2−アザビシクロ[2.1.1]ヘキス−1−イル)(フェニル)メチル]−3−クロロ−5−(トリフルオロメチル)ピリジン−2−カルボキサミド;
N−[(2−アザビシクロ[2.1.1]ヘキス−1−イル)(フェニル)メチル]−6−クロロ−3−(トリフルオロメチル)ピリジン−2−カルボキサミド。
【請求項9】
一般式(II):
【化2】

(式中、RおよびRは、請求項1に定義の通りである。)の化合物を、一般式(III):
【化3】

(式中、Yは、脱離基または塩素原子を表し、ならびにHetおよびRは、請求項1に定義の通りである。)の化合物と反応させることを特徴とする、請求項1に記載の一般式(I)の化合物を調製する方法。
【請求項10】
式(II)
【化4】

(式中、RおよびRは、請求項1に定義の通りである。)の化合物。
【請求項11】
請求項1から8のいずれか一項に記載の式(I)の化合物または医薬的に許容される酸とのこの化合物の付加塩を含むことを特徴とする医薬品。
【請求項12】
請求項1から8のいずれか一項に記載の式(I)の化合物またはこの化合物の医薬的に許容される塩およびさらに少なくとも1種の医薬的に許容される賦形剤を含むことを特徴とする医薬組成物。
【請求項13】
神経変性疾患または認知症に伴う認知障害および/または行動障害の治療用の医薬品の調製における、請求項1から8のいずれか一項に記載の式(I)の化合物の使用。
【請求項14】
精神病、統合失調症(欠損型および産出型)または神経弛緩薬により誘発される急性もしくは慢性の錐体外路症状の治療用の医薬品の調製における、請求項1から8のいずれか一項に記載の式(I)の化合物の使用。
【請求項15】
種々の形態の不安神経症、パニック発作、恐怖症または強迫性障害の治療用の医薬品の調製における、請求項1から8のいずれか一項に記載の式(I)の化合物の使用。
【請求項16】
種々の形態の精神病性うつ病を含むうつ病の治療;双極性障害、躁病もしくは気分障害の治療;またはアルコール依存症もしくはアルコール離脱に起因する障害、性行動障害、摂食障害もしくは偏頭痛の治療用の医薬品の調製における、請求項1から8のいずれか一項に記載の式(I)の化合物の使用。
【請求項17】
疼痛の治療用の医薬品の調製における、請求項1から8のいずれか一項に記載の式(I)の化合物の使用。
【請求項18】
睡眠障害の治療用の医薬品の調製における、請求項1から8のいずれか一項に記載の式(I)の化合物の使用。
【請求項19】
神経変性疾患または認知症に伴う認知障害および/または行動障害の治療のための、請求項1から8のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項20】
精神病、統合失調症(欠損型および産出型)または神経弛緩薬により誘発される急性もしくは慢性の錐体外路症状の治療のための、請求項1から8のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項21】
種々の形態の不安神経症、パニック発作、恐怖症または強迫性障害の治療のための、請求項1から8のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項22】
種々の形態の精神病性うつ病を含むうつ病の治療;双極性障害、躁病もしくは気分障害の治療;またはアルコール依存症もしくはアルコール離脱に起因する障害、性行動障害、摂食障害もしくは偏頭痛の治療のための、請求項1から8のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項23】
疼痛の治療のための、請求項1から8のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項24】
睡眠障害の治療のための、請求項1から8のいずれか一項に記載の化合物。

【公表番号】特表2012−520345(P2012−520345A)
【公表日】平成24年9月6日(2012.9.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−500292(P2012−500292)
【出願日】平成22年3月15日(2010.3.15)
【国際出願番号】PCT/FR2010/050447
【国際公開番号】WO2010/106269
【国際公開日】平成22年9月23日(2010.9.23)
【出願人】(504456798)サノフイ (433)
【Fターム(参考)】