説明

N−[(6−アザビシクロ[3.2.1]オクト−1−イル)−アリール−メチル]−ベンズアミド誘導体、これらの調製およびこれらの治療的使用

本発明は、一般式(I):(式中、Rは、水素原子、または1つ以上のフッ素、(C−C)−シクロアルキル、(C−C)アルケニル、フェニル、(C−C)アルコキシ、ヒドロキシで任意に置換される(C−C)アルキル基、(C−C)−シクロアルキルである;Rは、1つ以上のハロゲン、(C−C)アルキル、(C−C)アルコキシ、ハロ−(C)アルキル、NR、(C−C)アルキルチオ、(C−C)アルキル−SO、フェニルもしくはヘテロアリールで任意に置換されるフェニルもしくはナフチルである;Rは、1つ以上の水素もしくはハロゲン原子、ハロ−(C−C)アルキル、(C−C)アルキル、(C−C)シクロアルキル、(C−C)−シクロアルキル−(C−C)アルキルである;R、RおよびRは、独立して水素原子または(C−C)アルキル基である;Rは、(C−C)アルキル基である;RおよびRは一緒に、(C−C)アルキル基で任意に置換される、アゼチジン、ピロリジン、ピペリジン、モルホリン、チオモルホリン、ピペラジン、アゼピンから選択される環を形成することができる。)のN−[(6−アザビシクロ[3.2.1]オクト−1−イル)−アリール−メチル]−ベンズアミド誘導体に関する。本発明は、さらにこの治療的使用および同一物を合成する方法に関する。


【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、GlyT1グリシントランスポーターに関連する疾患の治療または予防におけるN−[(6−アザビシクロ[3.2.1]オクト−1−イル)アリールメチル]ベンズアミドの誘導体、これらの調製、およびこれらの治療的使用に関する。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0002】
本発明の化合物は、塩基または酸付加塩の形態の、一般式(I):
【0003】
【化1】

(式中、
− Rは、水素原子、または(C−C)アルキルもしくは(C−C)−シクロアルキル基から選択される基を表し、これらの基は、相互に独立して、フッ素原子、および(C−C)シクロアルキル、(C−C)アルケニル、フェニル、(C−C)アルコキシもしくはヒドロキシ基から選択される1つ以上の基で任意に置換されており、フェニル基は1つ以上のアルコキシ基で任意に置換される;
− Rは、相互に独立して、ハロゲン原子、および(C−C)アルキル、(C−C)アルコキシ、ハロ(C−C)アルキル、NR、NRC(O)OR、NRSO、NRC(O)R、ヒドロキシ、ハロ(C−C)アルコキシ、(C−C)アルキルチオ、(C−C)アルキル−SO、フェニルもしくはヘテロアリール基から選択される1つ以上の置換基で任意に置換されるフェニルもしくはナフチル基を表し、フェニル基は、ハロゲン原子、および(C−C)アルキル、(C−C)アルコキシ、ハロ(C−C)アルキル、NR、NRC(O)OR、NRSO、NRC(O)R、ヒドロキシ、ハロ(C−C)アルコキシ、(C−C)アルキルチオおよび(C−C)アルキル−SO基から独立して選択される1つ以上の置換基で任意に置換されており、ヘテロアリール基は、ハロゲン原子、および(C−C)アルキル、(C−C)アルコキシ、ハロ(C−C)アルキルもしくはNR基から独立して選択される1つ以上の置換基で任意に置換される;
− Rは、水素原子、ハロゲン原子、および(C−C)アルキル、(C−C)シクロアルキル、(C−C)シクロアルキル(C−C)アルキル、ハロ(C−C)アルキル、(C−C)アルコキシ、NR、フェニル、ヘテロアリール、シアノ、アセチル、(C−C)チオアルキル、(C−C)アルキルスルホニル、カルボキシもしくは(C−C)アルコキシカルボニル基から選択される1つ以上の置換基を表し、フェニル基は、ハロゲン原子、および(C−C)アルキル、(C−C)アルコキシ、ハロ(C−C)アルキル、NR、NRC(O)OR、NRSO、NRC(O)R、ヒドロキシ、ハロ(C−C)アルコキシ、(C−C)アルキルチオおよび(C−C)アルキル−SO基から独立して選択される1つ以上の置換基で任意に置換されており、ヘテロアリール基は、ハロゲン原子、および(C−C)アルキル、(C−C)アルコキシ、ハロ(C−C)アルキルもしくはNR基から独立して選択される1つ以上の置換基で任意に置換される;
− R、RおよびRは、相互に独立して、水素原子もしくは(C−C)アルキル基を表す;
− Rは、(C−C)アルキル基を表す;
− RおよびRは一緒に、これらを有する窒素原子とともに、(C−C)アルキル基で任意に置換される、アゼチジン、ピロリジン、ピペリジン、モルホリン、チオモルホリン、ピペラジンもしくはアゼピン環から選択される環を形成することができる;
− RおよびRは一緒に、これらを有する原子とともに、5もしくは6員環を形成することができる;
− RおよびRは一緒に、これらを有する原子とともに、5もしくは6員環を形成することができる。)
に対応する。
【0004】
式(I)の化合物は、3個の不斉炭素原子を含んでいる。このためこれらは、ジアステレオイソマーおよびエナンチオマーの形態で存在することができる。ラセミ混合物を含むこれらのエナンチオマーは、本発明の一部である。
【0005】
式(I)の化合物は、塩基または酸付加塩の形態で存在することができる。このような付加塩は、本発明の一部である。
【0006】
これらの塩は、有益には医薬的に許容される酸を用いて調製されるが、例えば式(I)の化合物を精製または単離するために有用である他の酸の塩もまた本発明の一部である。
【0007】
本発明の文脈においては、以下の定義が当てはまる:
− C−C(式中、tおよびzは、1から6の数値を取ることができる。):tからz個の炭素原子を有していてもよい炭素基鎖であって、例えばC−Cは、1から6個の炭素原子を有していてもよい炭素基鎖である;
− アルキル:直鎖状または分枝状飽和脂肪族基;例えば、C−C−アルキル基は、1から6個の炭素原子を有する直鎖状または分枝状炭素基鎖、例えばメチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、tert−ブチル、ペンチルまたはヘキシルを表す;
− アルケニル:例えば、1つまたは2つのエチレン性不飽和基を含む直鎖状または分枝状モノ不飽和またはポリ不飽和脂肪族基;
− アミノ:NH基;
− アルコキシ:−O−アルキル基;
− アセチル:−C(O)−基;
− シアノ:−CN基;
− ヒドロキシ:−OH基;
− チオアルキル:アルキル基で置換された硫黄原子;
− ハロゲン原子:フッ素、塩素、臭素またはヨウ素;
− ハロアルキル:1つ以上の水素原子がハロゲンと置換されているアルキル基。例として、トリフルオロメチル、トリフルオロエチルまたはペンタフルオロエチル基を挙げることができる;および
− ヘテロアリール:窒素、酸素および硫黄から選択された1から3個のヘテロ原子を含む5もしくは6員の芳香族単環基。ヘテロアリール基の例として、ピロール、フラン、チオフェン、ピラゾール、イミダゾール、トリアゾール、テトラゾール、オキサゾール、イソキサゾール、オキサジアゾール、チアゾール、イソチアゾール、チアジアゾール、ピリジン、ピリミジン、ピラジン、ピリダジンまたはトリアジン基を挙げることができる。
【0008】
本発明の主題である一般式(I)の化合物の中で、第1群の化合物は、Rが水素原子または(C−C)アルキル基を表す化合物によって構成される;
、R、R、RおよびRは、上記に規定した通りである。
【0009】
本発明の主題である一般式(I)の化合物の中で、第2群の化合物は、Rが水素原子またはメチルもしくはエチル基を表す化合物によって構成される;
、R、R、R、RおよびRは、上記に規定した通りである。
【0010】
本発明の主題である一般式(I)の化合物の中で、第3群の化合物は、Rが、相互に独立して、ハロゲン原子、(C−C)アルキル、ハロ(C−C)アルキル、(C−C)アルコキシまたはヒドロキシ基から選択される1つ以上の置換基で任意に置換されるフェニル基を表す化合物によって構成される;
、R、R、RおよびRは、上記に規定した通りである。
【0011】
本発明の主題である一般式(I)の化合物の中で、第4群の化合物は、Rが、相互に独立して、ハロゲン原子、メチル、エチル、トリフルオロメチル、メトキシまたはヒドロキシ基から選択される1つ以上の置換基で任意に置換されるフェニル基を表す化合物によって構成される;
、R、R、R、RおよびRは、上記に規定した通りである。
【0012】
本発明の主題である一般式(I)の化合物の中で、第5群の化合物は、Rが、水素原子、ハロゲン原子、ハロ(C−C)アルキル、(C−C)アルキル、(C−C)アルコキシまたは(C−C)アルキル−SO基から選択される1つ以上の置換基を表す化合物によって構成される;
R、R、R、RおよびRは、上記に規定した通りである。
【0013】
本発明の主題である一般式(I)の化合物の中で、第6群の化合物は、Rが、水素原子、ハロゲン原子、トリフルオロメチル、メチル、メトキシまたはエタンスルホニル基から選択される1つ以上の置換基を表す化合物によって構成される;
R、R、R、RおよびRは、上記に規定した通りである。
【0014】
本発明の主題である一般式(I)の化合物の中で、第7群の化合物は、塩基または酸付加塩の形態の、(式中、
− Rは、水素原子またはメチルもしくはエチル基を表す;
− Rは、相互に独立して、ハロゲン原子またはメチル、エチル、トリフルオロメチル、メトキシもしくはヒドロキシ基から選択される1つ以上の置換基で任意に置換されるフェニル基を表す;および
− Rは、水素原子、ハロゲン原子、またはトリフルオロメチル、メチル、メトキシもしくはエタンスルホニル基から選択される1つ以上の置換基を表す。)化合物によって構成される。
【0015】
上記に規定した第1から7群の組み合わせもまた本発明の一部である。
【0016】
本発明の主題である一般式(I)の化合物の中で、特に以下の化合物:
N−[(6−アザビシクロ[3.2.1]オクト−5−イル)フェニルメチル](2−メチル−3−トリフルオロメチル)ベンズアミド;
N−[(6−アザビシクロ[3.2.1]オクト−5−イル)フェニルメチル](3−メトキシ−2−メチル)ベンズアミド;
N−[(6−アザビシクロ[3.2.1]オクト−5−イル)フェニルメチル](2,6−ジクロロ−3−トリフルオロメチル)ベンズアミドおよびこの塩酸塩;
N−[6−アザビシクロ[3.2.1]オクト−5−イル)フェニルメチル](2−クロロ−3−トリフルオロメチル)ベンズアミドおよびこの塩酸塩;
(+)−N−[(6−アザビシクロ[3.2.1]オクト−5−イル)フェニルメチル](2−クロロ−3−トリフルオロメチル)ベンズアミドおよびこの塩酸塩;
(−)−N−[(6−アザビシクロ[3.2.1]オクト−5−イル)フェニルメチル](2,6−ジクロロ−3−トリフルオロメチル)ベンズアミドおよびこの塩酸塩;
(−)−N−[(6−アザビシクロ[3.2.1]オクト−5−イル)フェニルメチル](2−クロロ−3−トリフルオロメチル)ベンズアミドおよびこの塩酸塩;
(+)−N−[(6−アザビシクロ[3.2.1]オクト−5−イル)フェニルメチル](2,6−ジクロロ−3−トリフルオロメチル)ベンズアミドおよびこの塩酸塩;
N−[(6−アザビシクロ[3.2.1]オクト−5−イル)フェニルメチル](4−クロロ−5−エタンスルホニル−2−メトキシ)ベンズアミドおよびこの塩酸塩;
N−[(6−アザビシクロ[3.2.1]オクト−5−イル)フェニルメチル](2−クロロ−5−トリフルオロメチル)ベンズアミドおよびこの塩酸塩;
N−[(6−アザビシクロ[3.2.1]オクト−5−イル)フェニルメチル](2,6−ジクロロ)ベンズアミド;
N−[(6−アザビシクロ[3.2.1]オクト−5−イル)フェニルメチル](3−クロロ−2−メチル)ベンズアミド;
N−[(6−アザビシクロ[3.2.1]オクト−5−イル)−(4−フルオロフェニル)メチル](2−クロロ−3−トリフルオロメチル)ベンズアミド;
N−[(6−アザビシクロ[3.2.1]オクト−5−イル)−(4−フルオロフェニル)メチル](2,6−ジクロロ−3−トリフルオロメチル)ベンズアミド;
N−[(−6−アザビシクロ[3.2.1]オクト−5−イル)−(3−メトキシフェニル)メチル](2,6−ジクロロ−3−トリフルオロメチル)ベンズアミド;
N−[(6−アザビシクロ[3.2.1]オクト−5−イル−(3−メトキシフェニル)メチル](2−クロロ−3−トリフルオロメチル)ベンズアミド;
N−[6−アザビシクロ[3.2.1]オクト−5−イル−(3−ヒドロキシフェニル)メチル](2−クロロ−3−トリフルオロメチル)ベンズアミド;
N−[(6−アザビシクロ[3.2.1]オクト−5−イル)−(3−ヒドロキシフェニル)メチル(2,6−ジクロロ−3−トリフルオロメチル)ベンズアミド;
N−[(6−アザビシクロ[3.2.1]オクト−5−イル)−m−トリルメチル](2−クロロ−3−トリフルオロメチル)ベンズアミドおよびこの塩酸塩;
2−クロロ−N−[(6−エチル−6−アザビシクロ[3.2.1]オクト−5−イル)フェニルメチル](3−トリフルオロメチル)ベンズアミド;
N−[(6−アザビシクロ[3.2.1]オクト−5−イル−m−トリルメチル)(2,6−ジクロロ−3−トリフルオロメチル)ベンズアミド;
2−クロロ−N−[(6−メチル−6−アザビシクロ[3.2.1]オクト−5−イル)フェニルメチル](3−トリフルオロメチル)ベンズアミドおよびこの塩酸塩;
N−[(6−アザビシクロ[3.2.1]オクト−5−イル)−(3−ブロモフェニル)メチル](2−クロロ−3−トリフルオロメチル)ベンズアミドおよびこの塩酸塩;
N−[(6−アザビシクロ[3.2.1]オクト−5−イル)−(3−ブロモフェニル)メチル](2,6−ジクロロ−3−トリフルオロメチル)ベンズアミドおよびこの塩酸塩;
N−[6−アザビシクロ[3.2.1]オクト−5−イル−(3−トリフルオロメチルフェニル)メチル](2−クロロ−3−トリフルオロメチル)ベンズアミドおよびこの塩酸塩;
(+)−2,6−ジクロロ−N−[(6−エチル−6−アザビシクロ[3.2.1]オクト−5−イル)フェニルメチル](3−トリフルオロメチル)ベンズアミドおよびこの塩酸塩;
2−クロロ−N−[(6−エチル−6−アザビシクロ[3.2.1]オクト−5−イル)−(3−トリフルオロメチルフェニル)メチル](3−トリフルオロメチル)ベンズアミドおよびこの塩酸塩
を挙げることができる。
【0017】
本発明の化合物は、GlyT1グリシントランスポーターの阻害剤としての特定の活性、特に改良された活性および安全性プロファイルを有する。
【0018】
一般式(I)の化合物は、下記のスキーム1:
【0019】
【化2】

によって例示される方法によって調製することができる。
【0020】
一般式(II)(式中、RおよびRは、上記に規定した通りである。)のジアミンは、特にRが水素原子、またはアリルもしくはフェニルメチル基を表す場合は、活性化された酸と、例えば混合無水物または一般式(III)(式中、Yは、例えばベンゾトリアゾール、アシルウレアもしくはハロゲン原子に由来する脱離基を表し、Rは、上記に規定した通りである。)の酸クロリドを介して、当業者には公知の方法を用いて結合される。
【0021】
一般式(I)(式中、Rは、水素原子を表す。)の化合物は、さらにまた一般式(I)(式中、Rは:
− 水素化分解を介して窒素を脱保護することによって、フェニルメチル基;
− または、例えば当業者には公知の方法によってパラジウム(0)錯体を介して窒素を脱保護することによって、アルケニル、好ましくはアリル基のいずれかを表す。)の化合物から調製することもできる。
【0022】
一般式(I)(式中、Rは水素原子以外である。)の化合物はさらにまた一般式(I)(式中、Rは水素原子を表す。)の化合物から出発して、RXタイプ(式中、Rは上記に規定した通りであり、Xはメシレートもしくはハロゲンである。)のハライドもしくはメシレートを用いた、アセトニトリル中のミネラル塩基、例えば炭酸カリウムの存在下でのアルキル化によって、またはEschweiler−Clarke反応もしくは当業者には公知の方法に従った適切なアルデヒドもしくはケトンを用いた還元的アミノ化を介してのいずれかで調製することもできる。
【0023】
一般式(I)(R基は、ヒドロキシで置換されたフェニル基である。)の化合物は、メトキシで置換された一般式(I)の対応する化合物から、当業者には公知の方法を使用することによって入手できる。
【0024】
一般式(II)のジアミンは、アミン(IIa)および(IIb)については下記のスキーム2ならびにアミン(IIc)についてはスキーム3によって例示される方法によって調製できる。
【0025】
【化3】

【0026】
【化4】

【0027】
スキーム2によると、式(IVa)のニトリルは、一般式(V)(式中、Rは、上記に規定した通りである。)のリチオ化芳香族化合物と、例えばテトラヒドロフランまたはエーテルなどのエーテル溶媒中において、例えば−70℃の低温で反応させられる。こうして得られたイミンは、一般式(IIa)のアミンを得るためにメタノールなどのプロトン性溶媒中で、特にナトリウムボロハイドライドなどの還元剤を用いてジアステレオ選択的に還元される。アミン(IIa)は、脱保護されたアミン(IIb)を提供するためにパラジウム触媒の存在下での水素化によって脱ベンジル化することができる(スキーム2)。
【0028】
スキーム3によると、式(IVc)のニトリルは、一般式(V)(式中、Rは、上記に規定した通りである。)のリチオ化芳香族化合物と、テトラヒドロフランまたはエーテルなどのエーテル溶媒中において、例えば−70℃の低温で反応させることもまた可能である。こうして得られたイミンは、メタノールなどのプロトン性溶媒中で、一般式(IIc)のアミンを得るために、ナトリウムボロハイドライドなどの還元剤を用いて還元される(スキーム3)。
【0029】
さらに、一般式(I)のキラル化合物は、キラルカラム上での高性能液体クロマトグラフィー(HPLC)によるラセミ化合物の分離によって、またはスキーム2に記載したように一般式(IIa)のアミンのキラルジアステレオイソマーのシリカゲルクロマトグラフィーによる分離、およびその後の脱ベンジル化によって入手することができる。
【0030】
式(IVa)のニトリルは、Tetrahedron:Asymmetry,2006(17),252−258に記載された方法によって調製され、式(IVc)のニトリルは、同一文献に従ってアリルアミンを用いて合成される。
【0031】
一般式(V)のリチオ化アリール化合物は、当業者には公知の方法に従って調製することができる。
【0032】
一般式(III)の酸および酸クロリドは市販で入手でき、または当業者には公知の方法から類推することによって調製される。
【発明を実施するための形態】
【0033】
以下の実施例では、本発明の一部の化合物の調製を例示している。これらの実施例では:
− 微量元素分析、IRおよびNMRスペクトルならびにキラルカラムHPLCは、得られた化合物の構造およびエナンチオマー純度を確証する。
− NMR記述については、「m」はマルチプレット、「s」はシングレット、「t」はトリプレット、「d」はダブレット、「q」はクアドラプレットを表し、「dxd」はダブルダブレット、「txt」はトリプルトリプレット、「dxt」はダブルトリプレットなどを表す。
− 実施例の標題の括弧内に示された数は、下記の表の第1欄の数に対応する。
− 用語「decomp.」は、「分解(decomposition)」を表す。
− 括弧内のローマ数字は、合成スキームに示した対応する一般式に対応する。
− 使用された命名法は、IUPAC(国際純正応用化学連合:International Union of Pure and Applied Chemistry)勧告に従った命名法である。
【0034】
化合物の名称では、長音記号「−」は用語の一部であり、長音記号「_」は行の最後での中断のためだけに使用される;中断がない場合は抹消すべきであり、通常の長音記号や空白に置換されてはならない。
【実施例1】
【0035】
(化合物番号3):N−[(6−アザビシクロ[3.2.1]オクト−5−イル)フェニルメチル](2,6−ジクロロ−3−トリフルオロメチル)ベンズアミド塩酸塩(1:1)。
【0036】
1.1. フェニル−[(6−((R)−1−フェニルエチル)−6−アザビシクロ[3.2.1]オクト−5−イル)メチルアミン(IIa)
100mLの三つ口フラスコ内に、アルゴン下で、35mLの無水テトラヒドロフラン中に1gの6−((R)−1−フェニルエチル)−6−アザビシクロ[3.2.1]オクタン−5−カルボニトリル(IVa)(4.16mmol)を−70℃で装填する。7.4mLのフェニルリチウム(8.32mmol)の1.13M溶液(シクロヘキサン/エーテル)を滴下する。
【0037】
この混合液を−70℃で2時間半放置し、その後15mLの水を用いて−20℃で加水分解する。
【0038】
抽出後、有機相を減圧下で濃縮し、次に残渣を20mLのメタノール中に取り上げる。そこに0.79gのナトリウムボロハイドライド(20.8mmol)を少しずつ加える。反応媒質は、室温で一晩攪拌しながら放置する。
【0039】
減圧下で蒸発させた後、残渣を50mLのエーテルおよび50mLの水で取り上げる。この媒質を1N塩酸溶液で酸性化し、次に抽出する。水相はアンモニア水溶液で塩基性化し、次に50mLのジクロロメタンを用いて2回再抽出する。有機相を混ぜ合わせ、硫酸ナトリウムで脱水し、濾過し、減圧下で蒸発させる。こうして、1.5gの油が得られ、これをジクロロメタンとメタノールの混合液の溶離によるシリカゲルカラムを通したクロマトグラフィーによって精製する。こうして油状の2つのキラルジアステレオイソマーの混合物である1.15gのフェニル−[6−((R)−1−フェニルエチル)−6−アザビシクロ[3.2.1]オクト−5−イル]メチルアミン(IIa)が得られる。
【0040】
1.2. (6−アザビシクロ[3.2.1]オクト−5−イル)フェニルメチルアミン(IIb)
Parrフラスコ中に、4gの式(IIa)の化合物(12.5mmol)を含む80mLのメタノールをスパチュラチップ一杯の20%パラジウムヒドロキシドの存在下において4気圧の水素雰囲気下、室温で6時間にわたり装填する。
【0041】
触媒の濾過および減圧下での濾液の蒸発後、残渣を10mLのジクロロメタンおよび20mLのアンモニア水溶液で取り上げる。抽出後、有機相を塩化ナトリウムの飽和溶液中で洗浄し、硫酸ナトリウムで脱水し、濾過し、次に減圧下で溶媒を蒸発させる。こうして、式(IIb)の1gの(6−アザビシクロ[3.2.1]オクト−5−イル)フェニルメチルアミンが油状で得られ、これは次の工程でこのまま使用できる。
【0042】
分析サンプルは、2N塩酸エーテル溶液による塩基の塩化、およびその後のエーテル中での粉砕によって入手する。
【0043】
融点=215−225℃
H NMR(400MHz,DMSO−d6)δ ppm 9.14(m,4H)、7.76(m,2H)、7.56−7.43(m,4H)、5.09(broad s,1H)、3.49(m,1H)、3.11(m,1H)、2.72(m,1H)、2.19(m,1H)、1.87(m,1H)、1.83−1.37(m,8H)。
【0044】
1.3. N−[(6−アザビシクロ[3.2.1]オクト−5−イル)フェニルメチル](2,6−ジクロロ−3−トリフルオロメチル)ベンズアミド塩酸塩(1:1)
25mLの丸底フラスコ中に、240mgの(2,6−ジクロロ−3−トリフルオロメチル)安息香酸(0.92mmol)、124mgのヒドロキシベンゾトリアゾール(0.92mmol)および180mgの1−[3−(ジメチルアミノ)プロピル]−3−エチルカルボジイミド塩酸塩(0.92mmol)を含む5mLのジクロロメタン溶液を装填し、この混合液を室温で15分間にわたり攪拌する。式(IIb)の200mg(0.92mmol)の(6−アザビシクロ[3.2.1]オクト−5−イル)フェニルメチルアミンを含む5mLのジクロロメタン溶液を加え、この混合液を室温で一晩攪拌する。
【0045】
次に反応媒質を10mLのジクロロメタンで希釈し、次に水(5mL)、1Nナトリウムヒドロキシド(5mL)および塩化ナトリウムの飽和溶液(5mL)を用いて連続的に洗浄する。
【0046】
有機相を硫酸ナトリウムで脱水し、濾過し、および減圧下で蒸発させる。
【0047】
残渣は、ジクロロメタンとメタノールの混合液の溶離によるシリカゲルカラムを通したクロマトグラフィーによって精製する。こうして、180mgのN−[(6−アザビシクロ[3.2.1]オクト−5−イル)フェニルメチル](2,6−ジクロロ−3−トリフルオロメチル)ベンズアミドが得られ、この塩基をジクロロメタン中に溶解させ、過剰の1N塩酸エーテル溶液を加え、次に減圧下で濃縮することによって塩酸塩形に塩化する。
【0048】
融点=249.5−250.5℃
H NMR(400MHz,DMSO−d6)δ ppm 9.79(m,1H)、9.66(d,J=9Hz,1H)、8.86(m,1H)、8.01(m,1H)、7.84(m,1H)、7.69(m,2H)、7.50(m,2H)、7.42(m,1H)、5.79(d,J=9.1Hz,1H)、3.57(m,1H)、3.16(m,1H)、2.69(m,1H)、2.16−1.84(m,3H)、1.77−1.38(m,5H)。
【実施例2】
【0049】
(化合物番号8):(+)−N−[(6−アザビシクロ[3.2.1]オクト−5−イル)フェニルメチル](2,6−ジクロロ−3−トリフルオロメチル)ベンズアミド塩酸塩(1:1)。
【0050】
2.1. フェニル−[6−((R)−1−フェニルエチル)−6−アザビシクロ[3.2.1]オクト−5−イル]メチルアミン(IIa1)の第1ジアステレオ異性体
2つのジアステレオイソマー(IIa)は、溶離剤としてのジクロロメタンとメタノールの混合液を用いたシリカゲルを通じて分離することができる。最小極性化合物は、フェニル−[6−((R)−1−フェニルエチル)−6−アザビシクロ[3.2.1]オクト−5−イル]メチルアミン(IIa1)である。
【0051】
H NMR(400MHz,DMSO−d6)δ ppm 7.47(m,4H)、7.39−7.17(m,6H)、4.26(s,1H)、4.23(m,1H)、3.17(m,1H)、3.56(d,J=8.7Hz,1H)、2.28(m,1H)、2.07(m,1H)、2.00(m,2H)、1.65(m,1H)、1.54(d,J=6.8Hz,3H)、1.28−0.86(m,6H)。
【0052】
2.2. (+)−(6−アザビシクロ[3.2.1]オクト−5−イル)フェニルメチルアミン(IIb1)エナンチオマー
この化合物は、実施例1.2に従って、式(IIa1)の化合物から出発することによって得られる。
【0053】
塩基形にある式(IIb1)の化合物。
【0054】
融点=84−85℃
ee=100%
[α20℃ CHCl=+55.2 c=0.80g/100mL
H NMR(400MHz,CDCl)δ ppm 7.29 7.13(m,5H)、3.72(s,1H)、3.01(m,J=5.4Hzおよび10Hz,1H)、2.87(m,J=10Hzおよび1Hz,1H)、2.25(m,1H)、1.83(m,1H)、1.70(m,3H)、1.58(m,1H)、1.52−1.39(m,2H)、1.31−1.08(m,4H)。
【0055】
2.3. (+)−N−[(6−アザビシクロ[3.2.1]オクト−5−イル)フェニルメチル](2,6−ジクロロ−3−トリフルオロメチル)ベンズアミド塩酸塩(1:1)
この化合物は、実施例1.3に従って、式(IIb1)の化合物から出発することによって得られる。分析サンプルは、塩基をジクロロメタン中に溶解させ、過剰の1N塩酸エーテル溶液を加え、次に減圧下で濃縮させることによって塩酸塩形で得られる。
【0056】
融点:241−242℃
ee=95%
[α20℃ MeOH=+30.7 c=0.75g/100mL
H NMR(400MHz,DMSO−d6)δ ppm 9.62(d,J=8.9Hz,1H)、9.42(m,1H)、8,84(m,1H)、7.97(m,1H)、7.80(m,1H)、7.59(m,2H)、7.46(m,2H)、7.39(m,1H)、5.70(broad d,J=9Hz,1H)、3.49(m,1H)、3.13(m,1H)、2.65(m,1H)、2.11−1.20(m,9H)。
【実施例3】
【0057】
(化合物番号6):(−)−N−[(6−アザビシクロ[3.2.1]オクト−5−イル)フェニルメチル](2,6−ジクロロ−3−トリフルオロメチル)ベンズアミド塩酸塩(1:1)。
【0058】
3.1. フェニル−[(6−((R)−1−フェニルエチル)−6−アザビシクロ[3.2.1]オクト−5−イル)メチルアミン(IIa2)の第2ジアステレオ異性体
2つのジアステレオイソマー(IIa)は、溶離剤としてのジクロロメタンとメタノールの混合液を用いたシリカゲルを通じて分離することができる。最も極性の化合物は、フェニル−C−[(6−((R)−1−フェニルエチル)−6−アザビシクロ[3.2.1]オクト−5−イル)メチルアミン(IIa2)である。
【0059】
H NMR(400MHz,DMSO−d6)δ ppm 7.46(m,2H)、7.34(m,2H)、7.29−7.14(m,6H)、4.23(q,J=6.8Hz,1H)、3.56(m,1H)、3.21(m,1H)、3.06(m,1H)、2.26(m,1H)、2.19(m,2H)、1.75−1.16(m,10H)、0.89(m,2H)。
【0060】
3.2. (−)−(6−アザビシクロ[3.2.1]オクト−5−イル)フェニルメチルアミン(IIb2)エナンチオマー
この化合物は、実施例1.2に従って、式(IIa2)の化合物から出発することによって得られる。
【0061】
塩基形にある式(IIb2)の化合物。
【0062】
融点=82.5−83.5℃
ee=93%
[α20℃ CHCl=−18.3 c=0.58g/100mL
H NMR(400MHz,CDCl)δ ppm 7.29−7.13(m,5H)、3.72(s,1H)、3.02(m,J=5.4Hzおよび10Hz,1H)、2.88(m,J=10Hzおよび1Hz,1H)、2.25(m,1H)、1.83(m,1H)、1.70(m,3H)、1.59(m,1H)、1.52−1.39(m,2H)、1.33−1.08(m,4H)。
【0063】
3.3. (−)−N−[(6−アザビシクロ[3.2.1]オクト−5−イル)フェニルメチル](2,6−ジクロロ−3−トリフルオロメチル)ベンズアミド塩酸塩(1:1)
この化合物は、実施例1.3に従って、式(IIb2)の化合物から出発することによって得られる。
【0064】
融点:192−193℃
ee=92%
[α20℃ MeOH=−40.5 c=0.194g/100mL
H NMR(400MHz,DMSO−d6)δ ppm 9.61(d,J=8.6Hz,1H)、9.54(m,1H)、8.83(m,1H)、7.97(m,J=8.8Hz,1H)、7.79(m,1H)、7.60(m,2H)、7.46(t,J=7.7Hz,2H)、7.38(m,1H)、5.71(d,J=8.5Hz,1H)、3.49(m,1H)、3.13(m,1H)、2.65(m,1H)、2.11−1.78(m,3H)、1.71−1.22(m,6H)。
【実施例4】
【0065】
(化合物番号20):2−クロロ−N−[(6−エチル−6−アザビシクロ[3.2.1]オクト−5−イル)フェニルメチル](3−トリフルオロメチル)ベンズアミド。
【0066】
25mLの丸底フラスコ中に、0.17gのN−[(6−アザビシクロ[3.2.1]オクト−5−イル)フェニルメチル](2−クロロ−3−トリフルオロメチル)ベンズアミド(0.40mmol)および0.084gの炭酸カリウム(0.60mmol)を含む4mLのアセトニトリルを装填し、これに50μLのヨードエタン(0.60mmol)を加える。
【0067】
反応媒質を室温で一晩、次に50℃で3時間攪拌し、およびさらに減圧下で濃縮する。次に残渣は10mLのジクロロメタンを用いて希釈し、次に水(5mL)で洗浄する。
【0068】
抽出後、有機相は、硫酸ナトリウムで脱水し、濾過し、および減圧下で蒸発させる。こうして158mgの油が得られ、これをジクロロメタンとメタノールの混合液の溶離によるシリカゲルカラムを通したクロマトグラフィーによって精製する。こうして、84mgの2−クロロ−N−[(6−エチル−6−アザビシクロ[3.2.1]オクト−5−イル)フェニルメチル](3−トリフルオロメチル)ベンズアミドが粉末形で得られる。
【0069】
融点:160−162℃
H NMR(400MHz,DMSO−d6)δ ppm 8.60(d,J=7.7Hz,1H)、7.92(m,1H)、7.63(m,2H)、7.43−7.21(m,5H)、4.93(d,J=7.7Hz,1H)、3.41(m,1H)、2.82(m,1H)、2.62−2.39(m,2H)、2.20(m,2H)、1.72(m,1H)、1.53−0.84(m,9H)。
【実施例5】
【0070】
(化合物番号22):2−クロロ−N−[(6−メチル−6−アザビシクロ[3.2.1]オクト−5−イル)フェニルメチル](3−トリフルオロメチル)ベンズアミド塩酸塩(1:1)。
【0071】
25mLの丸底フラスコ中に、0.127gのN−[(6−アザビシクロ[3.2.1]オクト−5−イル)フェニルメチル](2−クロロ−3−トリフルオロメチル)ベンズアミド(0.30mmol)および1mLのホルムアルデヒドを含む2mLのギ酸を装填する。この反応混合液を100℃で一晩加熱する。冷却した後、媒質を加水分解し、アンモニア水溶液を用いてpH9に塩基性化し、次に酢酸エチルを用いて抽出する。有機相は、硫酸ナトリウムで脱水し、濾過し、および減圧下で蒸発させる。
【0072】
残渣は、ジクロロメタンとアンモニア性メタノールの混合液を用いた溶離によるシリカゲルカラムを通したクロマトグラフィーによって精製する。こうして、113mgの油が得られ、この塩基をジクロロメタン中に溶解させ、過剰の1N塩酸エーテル溶液を加え、次に減圧下で濃縮させることによって塩酸塩形に塩化する。
【0073】
融点:186−188℃
H NMR(400MHz,DMSO−d6)δ ppm 10.20(m,1H)、9.34(d,J=9.8Hz,1H)、8.06(d,J=7.7Hz,1H)、7.97(d,J=7.7Hz,1H)、7.68(m,3H)、7.53−7.38(m,3H)、5.74(d,J=9.8Hz,1H)、4.16(m,1H)、3.10(m,1H)、2.73−2.50(m,4H)、2.40(m,1H)、2.10−1.38(m,7H)。
【実施例6】
【0074】
(化合物番号23):N−[(6−アザビシクロ[3.2.1]オクト−5−イル)−(3−ブロモフェニル)メチル](2−クロロ−3−トリフルオロメチル)ベンズアミド塩酸塩(1:1)。
【0075】
6.1. 6−アリル−6−アザビシクロ[3.2.1]オクタン−5−カルボニトリル(IVc)
5mLの密封試験管中に、アルゴン下で0.5gの3−クロロメチルシクロヘキサノン(3.4mmol)、3mLの無水メタノール、0.93mLのアセトンシアンヒドリン(10.2mmol)および0.26mLのアリルアミン(3.4mmol)を装填する。この反応混合液を100℃で3日間にわたり加熱する。冷却した後、反応媒質を10mLのナトリウムヒドロキシドの1N水溶液に注ぎ入れる。ジクロロメタンを用いた2回の抽出後、混ぜ合わせた有機相を塩化ナトリウムの飽和溶液中で洗浄し、硫酸ナトリウムで脱水し、濾過し、次に減圧下で溶媒を蒸発させる。残渣は石油エーテルと酢酸エチルの混合液を用いた溶離によるシリカゲルカラムを通したクロマトグラフィーによって精製する。こうして、426mgの6−アリル−6−アザビシクロ[3.2.1]オクタン−5−カルボニトリル(IVc)が油状で得られる。
【0076】
H NMR(400MHz,DMSO−d6)δ ppm 8.60(d,J=7.7Hz,1H)、7.92(m,1H)、7.63(m,2H)、7.43−7.21(m,5H)、4.93(d,J=7.7Hz,1H)、3.41(m,1H)、2.82(m,1H)、2.62−2.39(m,2H)、2.20(m,2H)、1.72(m,1H)、1.53−0.84(m,9H)。
【0077】
6.2. (6−アリル−6−アザビシクロ[3.2.1]オクト−5−イル)−(3−ブロモフェニル)メチルアミン(IIc)
この化合物は、実施例1.1に記載された方法に従って、1gの6−アリル−6−アザビシクロ[3.2.1]オクタン−5−カルボニトリル(IVc)、2.5当量の3−ブロモフェニルリチウムおよび5当量のナトリウムボロハイドライドから出発することによって得られる。ジクロロメタンとアンモニア性メタノールの混合液を用いた溶離によってシリカゲルカラムを通したクロマトグラフィーによる精製後に、140mgの(6−アリル−6−アザビシクロ[3.2.1]オクト−5−イル)−(3−ブロモフェニル)メチルアミン(IIc)(0.42mmol)を含有する260mgの油が得られ、これを後の工程において使用する。
【0078】
6.3. N−[(6−アリル−6−アザビシクロ[3.2.1]オクト−5−イル)−(3−ブロモフェニル)メチル](2−クロロ−3−トリフルオロメチル)ベンズアミド
25mLの丸底フラスコ内に、260mgの(6−アリル−6−アザビシクロル[3.2.1]オクト−5−イル)−(3−ブロモフェニル)メチルアミン(IIc)(0.42mmol)を含む8mLのジクロロメタンを0℃で118mgの炭酸カリウム(0.78mmol)の存在下で装填する。
【0079】
次に189mgの(2−クロロ−3−トリフルオロ)安息香酸(0.78mmol)の酸クロリドを加える。反応媒質は、室温で一晩攪拌する。加水分解および抽出後、有機相は、1N水酸化ナトリウムで洗浄し、硫酸ナトリウムで脱水し、濾過し、次に減圧下で濃縮させる。ジクロロメタンとアンモニア性メタノールの混合液を用いた溶離によってシリカゲルカラムを通したクロマトグラフィーによる精製後、146mgのN−[(6−アリル−6−アザビシクロ[3.2.1]オクト−5−イル)−(3−ブロモフェニル)メチル](2−クロロ−3−トリフルオロメチル)ベンズアミドが油状で得られる。
【0080】
H NMR(400MHz,DMSO−d6)δ ppm 8.68(d,J=7.7Hz,1H)、7.91(d,J=7.7Hz,1H)、7.63(m,2H)、7.58(m,1H)、7.44(m,1H)、7.40(m,1H)、7.28(d,J=7.8Hz,1H)、5.81(m,1H)、5.22(m,1H)、5.00(m,1H)、4.97(d,J=7.7Hz,1H)、3.53(m,1H)、3.34(m,1H)、3.07(m,1H)、2.37(m,1H)、2.18(m,1H)、1.77(m,1H)、1.54−0.77(m,7H)
【0081】
6.4. N−[(6−アザビシクロ[3.2.1]オクト−5−イル)−(3−ブロモフェニル)メチル](2−クロロ−3−トリフルオロメチル)ベンズアミド塩酸塩
アルゴン下の密封試験管中に、19mgのパラジウムテトラキス(トリフェニルホスフィン)(0.02mmol)および0.078gのN,N−ジメチルバルビツール酸(0.5mmol)を含む3mLのジクロロメタンの溶液を装填する。この反応媒質を40℃で加熱し、その後に0.09gのN−[(6−アリル−6−アザビシクロ[3.2.1]オクト−5−イル)−(3−ブロモフェニル)メチル](2−クロロ−3−トリフルオロメチル)ベンズアミド(0.17mmol)を含む3mLのジクロロメタンを加える。この反応媒質を40℃で2時間にわたり加熱する。冷却した後、10mLのジクロロメタンで希釈し、次に5mLの炭酸ナトリウム溶液を用いて加水分解する。
【0082】
有機相を分離し、5mLの1N塩酸を用いて2回洗浄する。水相を混ぜ合わせ、次にアンモニア水溶液を用いてpH9へ塩基性化し、次に25mLのジクロロメタンを用いて2回抽出する。有機相は、硫酸ナトリウムで脱水し、濾過し、および減圧下で蒸発させる。残渣は、ジクロロメタンとアンモニア性メタノールの混合液を用いた溶離によるシリカゲルカラムを通したクロマトグラフィーによって精製する。こうして、62mgのN−[(6−アザビシクロ[3.2.1]オクト−5−イル)−(3−ブロモフェニル)メチル](2−クロロ−3−トリフルオロメチル)−ベンズアミドが得られ、この塩基をジクロロメタンに溶解させ、過剰の1N塩酸エーテル溶液を加え、次に減圧下で濃縮させ、エーテル中で粉砕して次に濾過することによって塩酸塩へ塩化する。
【0083】
融点:250.5−251.5℃
H NMR(400MHz,DMSO−d6)δ ppm 9.62(m,1H)、9.45(d,J=9.2Hz,1H)、8.94(m,1H)、7.97(dxd,J=8および1.5Hz,1H)、7.91(m,1H)7.77(dxd,J=7.8および1.4Hz,1H)、7.67(t,J=7.6Hz,2H)、7.59(m,J=8Hz,1H)、7.43(t,J=7.9Hz,2H)、5.74(d,J=9.1Hz,1H)、3.50(m,1H)、3.15(m,1H)、2.64(m,1H)、2.08(m,1H)1.94(m,1H)、1.80(m,1H)、1.72−1.40(m,5H)。
【0084】
表1に列挙した他の化合物は、実施例1から56に記載した方法に従って、式(IIa)、(IIb)、(IIc)のアミン、式(V)のリチオ化化合物、式(III)のカルボン酸誘導体または適切なアルキル化剤から得られる。
【0085】
以下の表1は、本発明の一部の化合物の化学構造を例示している。
【0086】
欄内では:
− 「塩」、「−」は、塩基形にある化合物を意味し、「HCl」は塩酸塩を意味し、括弧内の数は(酸:塩)の比率を示す。
− 表に記載の化合物は、水の1つ以上の分子によって溶媒和された塩酸塩形にある。
【0087】
R、RおよびRの欄内では:
− 「Cl」は、塩素を表す:
− 「CH」は、メチルを表す;
− 「NH」は、アミノを表す;
− 「OCH」は、メトキシを表す;
− 「Ph」は、フェニルを表す;
− 「SO」は、エタンスルホニルを表す;
− 「CF」は、トリフルオロメチルを表す;および
− 「R」欄内では、置換基の前にある数は、一般式(I)におけるこれらの位置を示している。
【0088】
表2は、表1に記載の化合物についての物理的特性、融点および旋光度を提供している。
【0089】
表2では:
− 「[α20℃」欄は、表に記載の化合物の波長589nMおよび温度20℃での旋光度の分析結果を示している。括弧内に示した溶媒は、旋光度(°)を測定するために使用された溶媒に対応し、文字「c」は、単位g/100mLでの溶媒の濃度を示している。「N.A.」は、旋光度測定が適用されないことを意味している;
− 「m/z」欄は、陽性ESIモードでAgilent LC−MSD Trapタイプの機械で実施されるLC−MS(液体クロマトグラフィー結合質量分析法)、またはDCI−NH技術を使用してAutospec M(EBE)機上でのMS(質量分析法)による直接導入またはWaters GCTタイプの機械上での電子衝撃技術のいずれかを使用する質量分析法による生成物の分析によって観察された分子イオン(M+H)または(M)を示している。
【0090】
【表1】



【0091】
【表2】

【0092】
本発明の化合物は、一連の薬理学的試験を受けており、治療活性を有する物質としてのこれらの利点が証明されている。
【0093】
天然ヒトトランスポーターGlyT1を発現するSK−N−MC細胞におけるグリシン輸送の試験
14C]グリシンの取込みについて、試験化合物の存在下または非存在下で組み込まれた放射能を測定することによって、天然ヒトトランスポーターGlyT1を発現するSK−N−MC細胞(ヒト神経上皮細胞)内で試験する。細胞は、0.02%フィブロネクチンで前処理した培養皿内で48時間にわたり単層として培養する。実験当日に、培養培地を取り除き、細胞はpH7.4のKrebs−HEPES(4−(2−ヒドロキシエチル)ピペラジン−1−エタンスルホン酸)バッファーを用いて洗浄する。37℃のバッファー(コントロールバッチ)または様々な濃度の試験化合物または10mMのグリシン(非特異的取込みの決定)いずれかの存在下での10分間にわたるプレインキュベーション後に、引き続いて10μMの[14C]グリシン(比放射能112mCi/mmol)を加える。インキュベーションは37℃で10分間継続し、この反応はpH7.4のKrebs−HEPESバッファーを用いて2回洗浄することによって停止させる。次に100μLの液体シンチラントを加え、1時間にわたり攪拌した後に、細胞によって組み込まれた放射能を推定する。計数は、Microbeta(商標)Tri−Luxカウンター上で実施する。本化合物の有効性は、コントロールバッチによって組み込まれた放射能の差によって規定されるグリシンの特異的取込みを50%減少させる化合物の濃度であるIC50および10mMグリシンを受け入れたバッチによって決定する。
【0094】
本発明の化合物は、本試験において、およそ0.001から10μMのIC50を有する。
【0095】
表3は、本発明に記載の化合物についてのIC50の結果の一部の例を示している。
【0096】
【表3】

【0097】
一般式(I)(Rは、特に1つ以上のハロゲン原子またはトリフルオロメチル基を表す。)の本発明のキラル化合物およびこれらのラセミ化合物を対象に実施した試験結果は、これらが脳内に存在するGlyT1グリシントランスポーターの阻害剤であることを証明している。
【0098】
これらの結果は、本発明の化合物を神経変性疾患および認知症と関連する認識および/または行動障害を治療するため;精神病、特に統合失調症(欠損型および生産型)ならびに神経遮断薬誘導性の急性もしくは慢性の錘体外路系症状を治療するため;様々の形態の不安、パニック発作、恐怖症および強迫神経障害を治療するため;心因性うつ病を含む様々な形態のうつ病を治療するため;双極性障害、躁病障害および気分障害を治療するため;アルコール依存症もしくは離脱に起因する障害、性行動の障害、摂食障害および偏頭痛障害を治療するため;疼痛;ならびに睡眠障害を治療するために使用できることを示唆している。
【0099】
このため本発明に記載の化合物は、薬剤、特にGlyT1グリシントランスポーターの阻害剤である薬剤を調製するために使用できる。
【0100】
そこでまた別の態様によると、本発明の1つの主題は、式(I)の化合物、または式(I)の化合物の医薬的に許容される酸を備える付加塩またはさもなければ水和物もしくは溶媒和物を含む薬剤である。
【0101】
本発明のまた別の主題は、塩基または医薬的に許容される塩もしくは溶媒和物の形態の、および適切であれば適合する賦形剤との混合物としての、有効量の本発明に記載の少なくとも1つの化合物を含む医薬組成物である。
【0102】
前記賦形剤は、所望の医薬形態および投与方法に従って選択される。
【0103】
従って本発明に記載の医薬組成物は、経口、舌下、皮下、筋肉内、静脈内、局所、気管内、鼻腔内、経皮、直腸または眼内投与用として企図することができる。
【0104】
単位投与形は、例えば、経口摂取または注射できる錠剤、ゼラチンカプセル剤、顆粒剤、散剤、液剤または懸濁剤、パッチまたは坐剤であってよい。軟膏剤、ローション剤および洗眼液は、局所投与を想定できる。
【0105】
前記単位形は、医薬剤形に従って、体重1kg当り0.01から20mgの有効成分の毎日の投与を許容するために投与される。
【0106】
錠剤を調製するためには、希釈剤、例えばラクトース、微結晶セルロースもしくはデンプンなどから構成することのできる医薬ビヒクル、および製剤アジュバント、例えば結合剤(ポリビニルピロリドン、ヒドロキシプロピルメチルセルロースなど)、流動剤、例えばシリカ、または潤滑剤、例えばマグネシウムステアレート、ステアリン酸、グリセリルトリベヘネートもしくはナトリウムステアリルフマレートを微粉化もしくは非微粉化有効成分に加える。湿潤剤もしくは界面活性剤、例えばラウリル硫酸ナトリウムもまた添加できる。
【0107】
調製技術は、直接打錠法、乾式増粒法、湿式増粒法またはホットメルト法であってよい。
【0108】
錠剤は、裸であってよい、例えばスクロースを用いた糖衣錠、または様々なポリマーもしくは他の適切な材料によるコーティング錠であってよい。これらは、ポリマーマトリックスまたはコーティングに使用される特定ポリマーによる有効成分の急速放出、遅延もしくは持続放出を可能にするように設計できる。
【0109】
ゼラチンカプセル剤を調製するために、有効成分を乾燥医薬ビヒクル(単純な混合、乾式もしくは湿式増粒、またはホットメルト)または液体もしくは半固体医薬ビヒクルと混合する。
【0110】
ゼラチンカプセル剤は、急速、持続性もしくは遅延性活性(例えば、腸溶形のため)を有することができるように、硬質もしくは軟質および薄膜でコーティングされていてもされていなくてもよい。
【0111】
シロップもしくはエリキシルの形態の、またはドロップの形態で投与するための組成物は、有効成分を甘味料、好ましくはカロリーゼロの甘味料、防腐剤としてのメチルパラベンもしくはプロピルパラベン、フレーバー増強剤および着色剤と結び付けて含むことができる。
【0112】
水分散性散剤および顆粒剤は、有効成分を分散剤もしくは湿潤剤、または分散剤、例えばポリビニルピロリドンとの、ならびに甘味料およびフレーバー改良剤との混合物として含むことができる。
【0113】
直腸投与のためには、直腸温度で溶解する結合剤を用いて調製される坐剤には、例えばカカオ脂もしくはポリエチレングルコールが用いられる。
【0114】
非経口投与のためには、薬理学的に適合性の分散剤および/または湿潤剤、例えばプロピレングリコールもしくはブチレングリコールを含む水性懸濁液、等張性食塩液もしくは注射用無菌溶液が利用される。
【0115】
有効成分は、さらにまた任意で1つ以上の支持体もしくは添加物とともに、またはさもなければポリマーマトリックスもしくはシクロデキストリン(パッチもしくは持続放出製剤)を備えるマイクロカプセルの形態で調製することもできる。
【0116】
本発明に記載の局所用組成物は、皮膚と適合性の媒質を含んでいる。局所用組成物は、特に水性、アルコール性もしくは水性/アルコール性溶液、ゲル、クリームもしくはゲルの外観を有する油中水型もしくは水中油型エマルジョン、マイクロエマルジョンもしくはエーロゾルの形態で、またはイオン性および/または非イオン性脂質を含む小胞性分散液の形態で提供することができる。これらの医薬剤形は、当分野で検討中の従来型の方法に従って調製される。
【0117】
例として、錠剤形にある本発明に記載の化合物の単位投与形は、以下の成分を含み得る。
【0118】
本発明に記載の化合物 50.0mg
マンニトール 223.75mg
クロスカルメロースナトリウム 6.0mg
トウモロコシデンプン 15.0mg
ヒドロキシプロピルメチルセルロース 2.25mg
マグネシウムステアレート 3.0mg
経口経路によって、1日当り投与される有効成分の用量は、1回以上の用量摂取で0.1から20mg/kgの範囲に及んでよい。
【0119】
より高用量もしくは低用量が適切な特定の場合が存在することがある;このような用量は本発明の範囲外ではない。標準実践によると、各患者にとって適切である用量は、投与様式ならびに前記患者の体重および応答に依存して医師によって決定される。
【0120】
本発明は、また別の態様によると、上述した病状を治療するための方法であって、有効量の本発明に記載の化合物、またはこの医薬的に許容される塩の患者への投与を含む方法にさらに関する。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
塩基または酸付加塩の形態の、一般式(I):
【化1】

(式中、
− Rは、水素原子、または(C−C)アルキルもしくは(C−C)シクロアルキル基から選択される基を表し、これらの基は、相互に独立して、フッ素原子、および(C−C)シクロアルキル、(C−C)アルケニル、フェニル、(C−C)アルコキシもしくはヒドロキシ基から選択される1つ以上の基で任意に置換される基であり、フェニル基は1つ以上のアルコキシ基で任意に置換される;
− Rは、相互に独立して、ハロゲン原子、および(C−C)アルキル、(C−C)アルコキシ、ハロ(C−C)アルキル、NR、NRC(O)OR、NRSO、NRC(O)R、ヒドロキシ、ハロ(C−C)アルコキシ、(C−C)アルキルチオ、(C−C)アルキル−SO、フェニルもしくはヘテロアリール基から選択される1つ以上の置換基で任意に置換されるフェニルもしくはナフチル基を表し、フェニル基は、ハロゲン原子、および(C−C)アルキル、(C−C)アルコキシ、ハロ(C−C)アルキル、NR、NRC(O)OR、NRSO、NRC(O)R、ヒドロキシ、ハロ(C−C)アルコキシ、(C−C)アルキルチオおよび(C−C)アルキル−SO基から独立して選択される1つ以上の置換基で任意に置換されており、ヘテロアリール基は、ハロゲン原子、および(C−C)アルキル、(C−C)アルコキシ、ハロ(C−C)アルキルもしくはNR基から独立して選択される1つ以上の置換基で任意に置換される;
− Rは、水素原子、ハロゲン原子、および(C−C)アルキル、(C−C)シクロアルキル、(C−C)シクロアルキル(C−C)アルキル、ハロ(C−C)アルキル、(C−C)アルコキシ、NR、フェニル、ヘテロアリール、シアノ、アセチル、(C−C)チオアルキル、(C−C)アルキルスルホニル、カルボキシもしくは(C−C)アルコキシカルボニル基から選択される1つ以上の置換基を表し、フェニル基は、ハロゲン原子、および(C−C)アルキル、(C−C)アルコキシ、ハロ(C−C)アルキル、NR、NRC(O)OR、NRSO、NRC(O)R、ヒドロキシ、ハロ(C−C)アルコキシ、(C−C)アルキルチオおよび(C−C)アルキル−SO基から独立して選択される1つ以上の置換基で任意に置換され、ヘテロアリール基は、ハロゲン原子、および(C−C)アルキル、(C−C)アルコキシ、ハロ(C−C)アルキルもしくはNR基から独立して選択される1つ以上の置換基で任意に置換される;
− R、RおよびRは、相互に独立して、水素原子もしくは(C−C)アルキル基を表す;
− Rは、(C−C)アルキル基を表す;
− RおよびRは一緒に、これらを有する窒素原子とともに、(C−C)アルキル基で任意に置換される、アゼチジン、ピロリジン、ピペリジン、モルホリン、チオモルホリン、ピペラジンもしくはアゼピン環から選択される環を形成することができる;
− RおよびRは一緒に、これらを有する原子とともに、5もしくは6員環を形成することができる;
− RおよびRは一緒に、これらを有する原子とともに、5もしくは6員環を形成することができる。)
の化合物。
【請求項2】
Rは、水素原子または(C−C)アルキル基を表すことを特徴とする、請求項1に記載の一般式(I)の化合物。
【請求項3】
は、相互に独立して、ハロゲン原子、および(C−C)アルキル、ハロ(C−C)アルキル、(C−C)アルコキシまたはヒドロキシ基から選択される1つ以上の置換基で任意に置換されるフェニル基を表すことを特徴とする、請求項1または2に記載の一般式(I)に記載の化合物。
【請求項4】
は、水素原子、ハロゲン原子、およびハロ(C−C)アルキル、(C−C)アルキル、(C−C)アルコキシまたは(C−C)アルキル−SO基から選択される1つ以上の置換基を表すことを特徴とする、請求項1から3のいずれか一項に記載の一般式(I)の化合物。
【請求項5】
塩基または酸付加塩の形態の、
− Rは、水素原子またはメチルもしくはエチル基を表す;
− Rは、相互に独立して、ハロゲン原子またはメチル、エチル、トリフルオロメチル、メトキシもしくはヒドロキシ基から選択される1つ以上の置換基で任意に置換されるフェニル基を表す;および
− Rは、水素原子、ハロゲン原子、およびトリフルオロメチル、メチル、メトキシもしくはエタンスルホニル基から選択される1つ以上の置換基を表すことを特徴とする、請求項1から4のいずれか一項に記載の一般式(I)の化合物。
【請求項6】
N−[(6−アザビシクロ[3.2.1]オクト−5−イル)フェニルメチル](2−メチル−3−トリフルオロメチル)ベンズアミド;
N−[(6−アザビシクロ[3.2.1]オクト−5−イル)フェニルメチル](3−メトキシ−2−メチル)ベンズアミド;
N−[(6−アザビシクロ[3.2.1]オクト−5−イル)フェニルメチル](2,6−ジクロロ−3−トリフルオロメチル)ベンズアミドおよびこの塩酸塩;
N−[6−アザビシクロ[3.2.1]オクト−5−イル)フェニルメチル](2−クロロ−3−トリフルオロメチル)ベンズアミドおよびこの塩酸塩;
(+)−N−[(6−アザビシクロ[3.2.1]オクト−5−イル)フェニルメチル](2−クロロ−3−トリフルオロメチル)ベンズアミドおよびこの塩酸塩;
(−)−N−[(6−アザビシクロ[3.2.1]オクト−5−イル)フェニルメチル](2,6−ジクロロ−3−トリフルオロメチル)ベンズアミドおよびこの塩酸塩;
(−)−N−[(6−アザビシクロ[3.2.1]オクト−5−イル)フェニルメチル](2−クロロ−3−トリフルオロメチル)ベンズアミドおよびこの塩酸塩;
(+)−N−[(6−アザビシクロ[3.2.1]オクト−5−イル)フェニルメチル](2,6−ジクロロ−3−トリフルオロメチル)ベンズアミドおよびこの塩酸塩;
N−[(6−アザビシクロ[3.2.1]オクト−5−イル)フェニルメチル](4−クロロ−5−エタンスルホニル−2−メトキシ)ベンズアミドおよびこの塩酸塩;
N−[(6−アザビシクロ[3.2.1]オクト−5−イル)フェニルメチル](2−クロロ−5−トリフルオロメチル)ベンズアミドおよびこの塩酸塩;
N−[(6−アザビシクロ[3.2.1]オクト−5−イル)フェニルメチル](2,6−ジクロロ)ベンズアミド;
N−[(6−アザビシクロ[3.2.1]オクト−5−イル)フェニルメチル](3−クロロ−2−メチル)ベンズアミド;
N−[(6−アザビシクロ[3.2.1]オクト−5−イル)−(4−フルオロフェニル)メチル](2−クロロ−3−トリフルオロメチル)ベンズアミド;
N−[(6−アザビシクロ[3.2.1]オクト−5−イル)−(4−フルオロフェニル)メチル](2,6−ジクロロ−3−トリフルオロメチル)ベンズアミド;
N−[(−6−アザビシクロ[3.2.1]オクト−5−イル)−(3−メトキシフェニル)メチル](2,6−ジクロロ−3−トリフルオロメチル)ベンズアミド;
N−[(6−アザビシクロ[3.2.1]オクト−5−イル−(3−メトキシフェニル)メチル](2−クロロ−3−トリフルオロメチル)ベンズアミド;
N−[6−アザビシクロ[3.2.1]オクト−5−イル−(3−ヒドロキシフェニル)メチル](2−クロロ−3−トリフルオロメチル)ベンズアミド;
N−[(6−アザビシクロ[3.2.1]オクト−5−イル)−(3−ヒドロキシフェニル)メチル(2,6−ジクロロ−3−トリフルオロメチル)ベンズアミド;
N−[(6−アザビシクロ[3.2.1]オクト−5−イル)−m−トリルメチル](2−クロロ−3−トリフルオロメチル)ベンズアミドおよびこの塩酸塩;
2−クロロ−N−[(6−エチル−6−アザビシクロ[3.2.1]オクト−5−イル)フェニルメチル](3−トリフルオロメチル)ベンズアミド;
N−[(6−アザビシクロ[3.2.1]オクト−5−イル−m−トリルメチル)(2,6−ジクロロ−3−トリフルオロメチル)ベンズアミド;
2−クロロ−N−[(6−メチル−6−アザビシクロ[3.2.1]オクト−5−イル)フェニルメチル](3−トリフルオロメチル)ベンズアミドおよびこの塩酸塩;
N−[(6−アザビシクロ[3.2.1]オクト−5−イル)−(3−ブロモフェニル)メチル](2−クロロ−3−トリフルオロメチル)ベンズアミドおよびこの塩酸塩;
N−[(6−アザビシクロ[3.2.1]オクト−5−イル)−(3−ブロモフェニル)メチル](2,6−ジクロロ−3−トリフルオロメチル)ベンズアミドおよびこの塩酸塩;
N−[6−アザビシクロ[3.2.1]オクト−5−イル−(3−トリフルオロメチルフェニル)メチル](2−クロロ−3−トリフルオロメチル)ベンズアミドおよびこの塩酸塩;
(+)−2,6−ジクロロ−N−[(6−エチル−6−アザビシクロ[3.2.1]オクト−5−イル)フェニルメチル](3−トリフルオロメチル)ベンズアミドおよびこの塩酸塩;
2−クロロ−N−[(6−エチル−6−アザビシクロ[3.2.1]オクト−5−イル)−(3−トリフルオロメチルフェニル)メチル](3−トリフルオロメチルベンズアミドおよびこの塩酸塩から選択されることを特徴とする、請求項1から5のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項7】
一般式(II):
【化2】

(式中、RおよびRは、請求項1に記載した通りである。)の化合物は、一般式(III):
【化3】

(式中、Yは、活性化OH基もしくは塩素原子であり、Rは、請求項1に規定した通りである。)の化合物と反応することを特徴とする、請求項1に記載の一般式(I)の化合物を調製するための方法。
【請求項8】
請求項1から6のいずれか一項に記載の式(I)の化合物、またはこの化合物と医薬的に許容される酸との付加塩を含むことを特徴とする、薬剤。
【請求項9】
請求項1から6のいずれか一項に記載の式(I)の化合物、またはこの化合物の医薬的に許容される塩、およびさらに少なくとも1つの医薬的に許容される賦形剤を含むことを特徴とする、医薬組成物。
【請求項10】
神経変性疾患および認知症と関連する認識および/または行動障害を治療することを企図する薬剤を調製するための、請求項1から6のいずれか一項に記載の式(I)の化合物の使用。
【請求項11】
精神病、統合失調症(欠損型および生産型)ならびに神経遮断薬誘導性の急性もしくは慢性の錘体外路系症状を治療することを企図する薬剤を調製するための、請求項1から6のいずれか一項に記載の式(I)の化合物の使用。
【請求項12】
様々の形態の不安、パニック発作、恐怖症および強迫神経障害を治療することを企図する薬剤を調製するための、請求項1から6のいずれか一項に記載の式(I)の化合物の使用。
【請求項13】
心因性うつ病を含む様々な形態のうつ病を治療するため;双極性障害、躁病障害および気分障害を治療するため;アルコール依存症もしくは離脱に起因する障害、性行動の障害、摂食障害および偏頭痛障害を治療することを企図する薬剤を調製するための、請求項1から6のいずれか一項に記載の式(I)の化合物の使用。
【請求項14】
疼痛を治療することを企図する薬剤を調製するための、請求項1から6のいずれか一項に記載の式(I)の化合物の使用。
【請求項15】
睡眠障害を治療することを企図する薬剤を調製するための、請求項1から6のいずれか一項に記載の式(I)の化合物の使用。
【請求項16】
神経変性疾患および認知症と関連する認識および/または行動障害を治療するための、請求項1から6のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項17】
精神病、統合失調症(欠損形および生産形)ならびに神経遮断薬誘導性の急性もしくは慢性の錘体外路系症状を治療するための、請求項1から6のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項18】
様々の形態の不安、パニック発作、恐怖症および強迫神経障害を治療するための、請求項1から6のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項19】
心因性うつ病を含む様々な形態のうつ病を治療するため;双極性障害、躁病障害および気分障害を治療するため;アルコール依存症もしくは離脱に起因する障害、性行動の障害、摂食障害および偏頭痛障害を治療するための、請求項1から6のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項20】
疼痛を治療するための、請求項1から6のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項21】
睡眠障害を治療するための、請求項1から6のいずれか一項に記載の化合物。

【公表番号】特表2012−517412(P2012−517412A)
【公表日】平成24年8月2日(2012.8.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−548759(P2011−548759)
【出願日】平成22年2月9日(2010.2.9)
【国際出願番号】PCT/FR2010/050204
【国際公開番号】WO2010/092287
【国際公開日】平成22年8月19日(2010.8.19)
【出願人】(504456798)サノフイ (433)
【Fターム(参考)】