説明

N−[3−アミノ−1−(シクロブチルメチル)−2,3−ジオキソプロピル]−3−{N−[(tert−ブチルアミノ)カルボニル]−3−メチル−L−バリル}−6,6−ジメチル−3−アザビシクロ[3.1.0]ヘキサン−2−カルボキサミドおよび関連化合物を調製するための酸化プロセス

【課題】C型肝炎の1種以上の症状の処置、予防もしくは改善において有用な化合物の提供。
【解決手段】式Iの化合物(ここで、Rはアルキルであり;Rはアルキルであり、そしてRは必要に応じて置換されたシクロアルキルアルキルである)を調製するためのプロセスに関連しており、このプロセスは、式Iの化合物を得るために、R、RおよびRが上記で定義したとおりの式の化合物を酸化する工程を包含する。この酸化反応は、代表的には、酸化剤を使用して実施され、別の実施形態においてはさらに触媒を使用し、好ましくはさらに共触媒を使用する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(発明の分野)
本発明は、式Aの以下の構造:
【0002】
【化11】

を有する、N−[3−アミノ−1−(シクロブチルメチル)−2,3−ジオキソプロピル]−3−{N−[(tert−ブチルアミノ)カルボニル]−3−メチル−L−バリル}−6,6−ジメチル−3−アザビシクロ[3.1.0]ヘキサン−2−カルボキサミド化合物および他の関連化合物(全ての立体異性体を含む)を調製するための新規な酸化プロセスに関連している。
【背景技術】
【0003】
(発明の背景)
(1R,2S,5S)−N−[3−アミノ−1−(シクロブチルメチル)−2,3−ジオキソプロピル]−3−{N−[(tert−ブチルアミノ)カルボニル]−3−メチル−L−バリル}−6,6−ジメチル−3−アザビシクロ[3.1.0]ヘキサン−2−カルボキサミドは、特許文献1および同時係属中の米国特許出願第10/052,386号(2002年1月18日に出願された)、米国特許出願第10/867,600号、米国特許出願第10/867,601号および米国特許出願第10/867,602号(全て、2004年6月15日に出願された)中に開示されており、これらの全ては、本明細書中に参考として援用される。
【0004】
式Aの化合物は、C型肝炎および関連障害を処置するのに有用であるC型肝炎ウイルス(「HCV」)プロテアーゼインヒビターである。特に、式Aの化合物は、HCV NS3/NS4aセリンプロテアーゼのインヒビターである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】米国特許出願公開第2003/0126324号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
C型肝炎の1種以上の症状の処置、予防もしくは改善において有用な化合物の必要性が
存在する。
【0007】
C型肝炎ウイルス(「HCV」)プロテアーゼインヒビターの重要性の観点から、このようなアンタゴニストを作るための新たな新規の方法は、常に関心の的である。
【課題を解決するための手段】
【0008】
(発明の要旨)
一局面において、本願は、式I:
【0009】
【化12】

の化合物(全ての立体異性体、回転異性体、エナンチオマーおよびジアステレオマー(diasteromer)を含む)を、式II
【0010】
【化13】

の化合物を酸化することによって作製するプロセスに関連しており、ここで、
はアルキルであり;
はアルキルであり;そして
は必要に応じて置換されたシクロアルキルアルキルである。
【0011】
式Iの化合物を作るための本発明の酸化プロセスは、いくつかの利点(式Iの化合物を高収率で形成するための、単純な1工程の酸化手順の提供を含む)を有する。
例えば、本発明は、以下を提供する。
(項目1)
式I:
【化1】


の化合物を調製するためのプロセスであって、ここで、
がアルキルであり;
がアルキルであり;そして
が必要に応じて置換されたシクロアルキルアルキルであり、
ここで、該プロセスは、式II:
【化2】


の化合物の酸化反応を実施し、式Iの化合物を得る工程を包含し、ここで、R、RおよびRは上記で定義したとおりである、プロセス。
(項目2)
前記酸化反応が、NaClO、Ca(OCl)、およびNaBrOからなる群より選択される酸化剤を使用して実施される、項目1に記載のプロセス。
(項目3)
約1〜約2当量の前記酸化剤が使用される、項目2に記載のプロセス。
(項目4)
前記酸化反応がさらに触媒を使用する、項目2に記載のプロセス。
(項目5)
式IIの化合物を基にして、前記触媒が約0.1〜約3当量の量で前記反応において存在する、項目4に記載のプロセス。
(項目6)
前記触媒が、TEMPO、4−メトキシTEMPOおよび4−アミノTEMPOからなる群より選択される、項目4に記載のプロセス。
(項目7)
前記酸化反応がさらに共触媒を使用する、項目4に記載のプロセス。
(項目8)
前記共触媒が、臭化カリウムもしくは臭化ナトリウムである、項目7に記載のプロセス。
(項目9)
第二の共触媒を包含する、項目7に記載のプロセス。
(項目10)
前記共触媒が、酢酸カリウムもしくは酢酸ナトリウムである、項目7に記載のプロセス。
(項目11)
共触媒の量が、約0.1〜約3当量である、項目10に記載のプロセス。
(項目12)
前記酸化反応がさらに酸を使用する、項目1に記載のプロセス。
(項目13)
酸の量が、約0.1〜約3当量の範囲である、項目12に記載のプロセス。
(項目14)
前記酸が、酢酸、ClCHCOOH、ClCHCOOH、ClCCOOHおよびCFCOOHからなる群より選択される、項目12に記載のプロセス。
(項目15)
前記酸化反応の温度が、約0℃〜約80℃の範囲である、項目1に記載のプロセス。
(項目16)
前記反応の温度が、約10℃〜約50℃の範囲である、項目1に記載のプロセス。
(項目17)
前記酸化剤がNaOClであり、前記触媒がTEMPOであり、そして前記共触媒がKBrである、項目8に記載のプロセス。
(項目18)
前記酸化反応の温度が、約15℃〜約30℃の範囲である、項目1に記載のプロセス。
(項目19)
およびRがt−ブチルであり、そしてRがシクロブチルメチルである、項目17に記載のプロセス。
(項目20)
前記酸化反応工程の後に、触媒除去試薬を加える工程をさらに包含する、項目4に記載のプロセス。
(項目21)
前記触媒除去試薬が、アスコルビン酸、無機酸およびこれらの混合物からなる群より選択される、項目20に記載のプロセス。
(項目22)
前記触媒除去試薬がアスコルビン酸であり、そして該アスコルビン酸が、約0.1〜約3当量の量で加えられる、項目21に記載のプロセス。
(項目23)
前記触媒除去試薬が、約3N〜約5Nの濃度のHClであり、該HClが、式IIの化合物の重量を基にして、約1〜約10倍の容量の量で加えられる、項目20に記載のプロセス。
(項目24)
式IA:
【化3】


の化合物を調製するためのプロセスであって、ここで、
がアルキルであり;
がアルキルであり;そして
が必要に応じて置換されたシクロアルキルアルキルであり、
ここで、該プロセスは、式IIA:
【化4】


の化合物の酸化反応を実施して、式IAの化合物を得る工程を包含し、ここで、R、RおよびRは上記で定義したとおりである、プロセス。
(項目25)
前記酸化反応が、NaClO、Ca(OCl)、およびNaBrOからなる群より選択される酸化剤を使用して実施される、項目24に記載のプロセス。
(項目26)
およびRがtert−ブチルであり、そしてRがシクロブチルアルキルである、項目25に記載のプロセス。
(項目27)
式IB:
【化5】


の化合物を調製するためのプロセスであって、ここで、
がアルキルであり;
がアルキルであり;そして
が必要に応じて置換されたシクロアルキルアルキルであり、
ここで、該プロセスは、式IIB:
【化6】


の化合物の酸化反応を実施して、式IBの化合物を得る工程を包含し、ここで、R、RおよびRは上記で定義したとおりである、プロセス。
(項目28)
前記酸化反応が、NaClO、Ca(OCl)、およびNaBrOからなる群より選択される酸化剤を使用して実施される、項目27に記載のプロセス。
(項目29)
およびRがtert−ブチルであり、そしてRがシクロブチルアルキルである、項目28に記載のプロセス。
(項目30)
式IC:
【化7】


の化合物を調製するためのプロセスであって、ここで、
がアルキルであり;
がアルキルであり;そして
が必要に応じて置換されたシクロアルキルアルキルであり、
ここで、該プロセスは、式IIC:
【化8】


の化合物の酸化反応を実施して、式ICの化合物を得る工程を包含し、ここで、R、RおよびRは上記で定義したとおりである、プロセス。
(項目31)
前記酸化反応が、NaClO、Ca(OCl)、およびNaBrOからなる群より選択される酸化剤を使用して実施される、項目30に記載のプロセス。
(項目32)
およびRがtert−ブチルであり、そしてRがシクロブチルアルキルである、項目31に記載のプロセス。
(項目33)
式ID:
【化9】


の化合物を調製するためのプロセスであって、ここで、
がアルキルであり;
がアルキルであり;そして
が必要に応じて置換されたシクロアルキルアルキルであり、
ここで、該プロセスは、式IID:
【化10】


の化合物の酸化反応を実施し、式IDの化合物を得る工程を包含し、ここで、R、RおよびRは上記で定義したとおりである、プロセス。
(項目34)
前記酸化反応が、NaClO、Ca(OCl)、およびNaBrOからなる群より選択される酸化剤を使用して実施される、項目33に記載のプロセス。
(項目35)
およびRがtert−ブチルであり、そしてRがシクロブチルアルキルである、項目34に記載のプロセス。
(項目36)
選択される前記酸が酢酸である、項目14に記載のプロセス。
(項目37)
前記酢酸に水が加えられる、項目36に記載のプロセス。
【発明を実施するための形態】
【0012】
(詳細な説明)
上記および本明細書にわたって使用される場合、以下の用語は、他に示されない限り、以下の意味を有すると理解されるべきである:
「アルキル」は、直鎖状でも分枝状でもよく、約1〜約20個の炭素原子を鎖中に含む脂肪族炭化水素基を意味する。好ましいアルキル基は、鎖中に約1〜約12個の炭素原子を含む。さらに好ましいアルキル基は、鎖中に約1〜約6個の炭素原子を含む。分枝状とは、1つ以上の低級アルキル基(例えば、メチル、エチルもしくはプロピル)が直鎖状のアルキル鎖に結合していることを意味する。「低級アルキル」は、直鎖状でも分枝状でもよい鎖中に約1〜約6個の炭素原子を有する基を意味する。用語「置換アルキル」は、1つ以上の置換基によって置換され得るアルキル基を意味し、ここでこの置換基は同じであっても異なっていてもよく、それぞれの置換基は、ハロ、アルキル、アリール、シクロアルキル、シアノ、ヒドロキシ、アルコキシ、アルキルチオ、アミノ、−NH(アルキル)、−NH(シクロアルキル)、−N(アルキル)、カルボキシおよび−C(O)O−アルキルからなる群より独立して選択される。適切なアルキル基の非限定的な例としては、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、t−ブチル、n−ペンチル、ヘプチル、ノニルおよびデシル、フルオロメチル、トリフルオロメチルおよびシクロプロピルメチルが挙げられる。
【0013】
「アルケニル」は、少なくとも1つの炭素−炭素二重結合を含む脂肪族炭化水素基を意味し、ここで、この鎖は直鎖状でも分枝状でもよく、そしてこの基は、鎖中に約2〜約15個の炭素原子を含む。好ましいアルケニル基は、鎖中に約2〜約12個の炭素原子を有しており;さらに好ましくは、鎖中に約2〜約6個の炭素原子を有する。分枝状とは、1つ以上の低級アルキル基(例えば、メチル、エチルもしくはプロピル)が直鎖状のアルケニル鎖に結合していることを意味する。「低級アルケニル」は、約2〜約6個の炭素原子が鎖中にあることを意味し、この鎖は、直鎖状でも分枝状でもよい。用語「置換アルケニル」は、1つ以上の置換基によって置換され得るアルケニル基を意味し、ここでこの置換基は同じであっても異なっていてもよく、各置換基は、ハロ、アルキル、アリール、シクロアルキル、シアノおよびアルコキシからなる群より独立して選択される。適切なアルケニル基の非限定的な例としては、エテニル、プロペニル、n−ブテニル、3−メチルブト−2−エニル、n−ペンテニル、オクテニルおよびデセニルが挙げられる。
【0014】
「アリール」は、約6〜約14個の炭素原子(好ましくは約6〜約10個の炭素原子)を含む芳香族の単環式もしくは多環式の環系を意味する。アリール基は、1つ以上の同じでも異なっていてもよい「環系置換基」で必要に応じて置換され得、これは本明細書中で定義するとおりである。適切なアリール基の非限定的な例としては、フェニルおよびナフチルが挙げられる。
【0015】
「ヘテロアリール」は、約5〜約14個の環原子(好ましくは約5〜約10個の環原子)を含む芳香族の単環式もしくは多環式の環系であって、ここで、環原子のうちの1個以上は炭素とは異なる元素(1つもしくは組み合わせ)であり、例えば、窒素、酸素もしくは硫黄であるものを意味する。好ましいヘテロアリールは、約5〜約6個の環原子を含む。「ヘテロアリール」は、1つ以上の同じでも異なっていてもよい「環系置換基」によって必要に応じて置換され得、これは本明細書中で定義するとおりである。ヘテロアリールの語幹名(root name)の前の接頭辞のアザ、オキサもしくはチアはそれぞれ、少なくとも窒素原子、酸素原子もしくは硫黄原子が環原子として存在することを意味する。ヘテロアリールの窒素原子は、対応するN−酸化物へと必要に応じて酸化され得る。適切なヘテロアリールの非限定的な例としては、ピリジル、ピラジニル、フラニル、チエニル、ピリミジニル、イソオキサゾリル、イソチアゾリル、オキサゾリル、チアゾリル、ピラゾリル、フラザニル、ピロリル、ピラゾリル、トリアゾリル、1,2,4−チアジアゾリル、ピラジニル、ピリダジニル、キノキサリニル、フタラジニル、イミダゾ[1,2−a]ピリジニル、イミダゾ[2,1−b]チアゾリル、ベンゾフラザニル、インドリル、アザインドリル、ベンズイミダゾリル、ベンゾチエニル、キノリニル、イミダゾリル、チエノピリジル、キナゾリニル、チエノピリミジル、ピロロピリジル、イミダゾピリジル、イソキノリニル、ベンゾアザインドリル、1,2,4−トリアジニル、ベンゾチアゾリルなどが挙げられる。
【0016】
「アラルキル」は、アリール−アルキル−基を意味し、ここで、アリールおよびアルキルは、上記のとおりである。好ましいアラルキルは、低級アルキル基を含む。適切なアラルキル基の非限定的な例としては、ベンジル、2−フェネチルおよびナフタレニルメチルが挙げられる。親部分への結合は、アルキルを介してである。
【0017】
「アルキルアリール」は、アルキル−アリール基を意味し、ここで、アルキルおよびアリールは、上記のとおりである。好ましいアルキルアリールは、低級アルキル基を含む。適切なアルキルアリール基の非限定的な例としては、o−トリル、p−トリルおよびキシリルが挙げられる。親部分への結合は、アリールを介してである。
【0018】
「シクロアルキル」は、約3〜約10個の炭素原子(好ましくは約5〜約10個の炭素原子)を含む非芳香族の単環式もしくは多環式の環系を意味する。好ましいシクロアルキル環は約5〜約7個の環原子を含む。シクロアルキルは、1つ以上の同じであっても異なっていてもよい「環系置換基」で必要に応じて置換され得、それらは上記で定義したとおりである。適切な単環式シクロアルキルの非限定的な例として、シクロプロピル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチルなどが挙げられる。適切な多環式シクロアルキルの非限定的な例として、1−デカリン、ノルボルニル、アダマンチルなどが挙げられる。
【0019】
「ハロ」は、フルオロ基、クロロ基、ブロモ基もしくはヨード基を意味する。好ましいのは、フルオロ、クロロもしくはブロモであり、さらに好ましいのは、フルオロおよびクロロである。
【0020】
「ハロゲン」は、フッ素、塩素、臭素もしくはヨウ素を意味する。好ましいのは、フッ素、塩素および臭素であり、さらに好ましいのは、フッ素および塩素である。
【0021】
「環系置換基」は、芳香族もしくは非芳香族の環系に結合した置換基を意味し、例えば、環系上の利用可能な水素にとって代わる。環系置換基は、同じでも異なっていてもよく、各置換基は、アリール、ヘテロアリール、アラルキル、アルキルアリール、アラルケニル、ヘテロアラルキル、アルキルヘテロアリール、ヘテロアラルケニル、ヒドロキシ、ヒドロキシアルキル、アルコキシ、アリールオキシ、アラルコキシ、アシル、アロイル、ハロ、ニトロ、シアノ、カルボキシ、アルコキシカルボニル、アリールオキシカルボニル、アラルコキシカルボニル、アルキルスルホニル、アリールスルホニル、ヘテロアリールスルホニル、アルキルスルフィニル、アリールスルフィニル、ヘテロアリールスルフィニル、アルキルチオ、アリールチオ、ヘテロアリールチオ、アラルキルチオ、ヘテロアラルキルチオ、シクロアルキル、ヘテロシクリル、シクロアルケニル、ヘテロシクリル、ヘテロシクレニル、YN−、YN−アルキル−、YNC(O)−およびYNSO−からなる群より独立して選択され、ここで、YおよびYは、同じでも異なっていてもよく、そして、水素、アルキル、アリールおよびアラルキルからなる群より独立して選択される。
【0022】
「シクロアルケニル」は、約3〜約10個の炭素原子(好ましくは、約5〜約10個の炭素原子)を含む、少なくとも1つの炭素−炭素二重結合を含む非芳香族の単環式もしくは多環式の環系を意味する。好ましいシクロアルケニル環は、約5〜約7個の環原子を含む。シクロアルケニルは、1つ以上の同じであっても異なっていてもよい「環系置換基」で必要に応じて置換され得、それらは上記で定義したとおりである。適切な単環式シクロアルケニルの非限定的な例として、シクロペンテニル、シクロヘキセニル、シクロヘプテニルなどが挙げられる。適切な多環式シクロアルケニルの非限定的な例はノルボルニレニルである。
【0023】
「シクロアルキルアルキル」は、シクロアルキル−アルキル基を意味し、ここで、シクロアルキル基およびアルキル基は、上記のとおりである。シクロアルキル部分は、1つ以上の「環系置換基」で必要に応じて置換され得る。アルキル部分は、上記で定義したとおりの1つ以上のアルキル置換基で置換され得る。
【0024】
「ヘテロシクレニル」は、約3〜約10個の環原子(好ましくは、約5〜約10個の環原子)を含む非芳香族の単環式もしくは多環式の環系であって、ここで、環系中の原子のうちの1個以上が炭素とは異なる元素(1個もしくは組み合わせ)(例えば、窒素原子、酸素原子、もしくは硫黄原子)であり、そして少なくとも1つの炭素−炭素二重結合もしくは炭素−窒素二重結合を有するものを意味する。この環系内には隣接した酸素原子および/もしくは硫黄原子は存在しない。好ましいヘテロシクレニル環は約5〜約6個の環原子を含む。ヘテロシクレニルの根名の前の接頭辞のアザ、オキサもしくはチアはそれぞれ、少なくとも窒素原子、酸素原子もしくは硫黄原子が環原子として存在することを意味する。ヘテロシクレニルは、1個以上の環系置換基によって必要に応じて置換され得、「環系置換基」は、上記で定義したとおりである。ヘテロシクレニルの窒素原子もしくは硫黄原子は、対応するN−酸化物、S−酸化物もしくはS,S−二酸化物へと必要に応じて酸化され得る。適切な単環式アザヘテロシクレニル基の非限定的な例としては、1,2,3,4−テトラヒドロピリジン、1,2−ジヒドロピリジル、1,4−ジヒドロピリジニル、1,2,3,6−テトラヒドロピリジン、1,4,5,6−テトラヒドロピリミジン、2−ピロリニル、3−ピロリニル、2−イミダゾリニル、2−ピラゾリニルなどが挙げられる。適切なオキサヘテロシクレニル基の非限定的な例としては、3,4−ジヒドロ−2H−ピラン、ジヒドロフラニル、フルオロジヒドロフラニルなどが挙げられる。適切な単環式オキサヘテロシクレニル基の例は、7−オキサビシクロ[2.2.1]ヘプテニルである。適切な単環式チアヘテロシクレニル環の非限定的な例としては、ジヒドロチオフェニル、ジヒドロチオピラニルなどが挙げられる。
【0025】
「ヘテロシクリル」は、約3〜約10個の環原子を含む非芳香族の飽和した単環式もしくは多環式の環系を意味し、好ましくは約5〜約10個の環原子であり、ここで、環系内の1つ以上の原子は炭素とは異なる元素であり、例えば、窒素、酸素、もしくは硫黄のどれか1つか、もしくはそれらの組み合わせである。環系内には隣接した酸素原子および/もしくは硫黄原子は存在しない。好ましいヘテロシクリルは、約5〜約6個の環原子を含む。ヘテロシクリルの根名の前の接頭辞のアザ、オキサもしくはチアはそれぞれ、少なくとも窒素原子、酸素原子もしくは硫黄原子が環原子として存在することを意味する。ヘテロシクリルは、1つ以上の同じであっても異なっていてもよい「環系置換基」によって必要に応じて置換され得、それらは本明細書中で定義したとおりである。ヘテロシクリルの窒素原子もしくは硫黄原子は、対応するN−酸化物、S−酸化物もしくはS,S−二酸化物へと必要に応じて酸化され得る。適切な単環式のヘテロシクリル環の非限定的な例として、ピペリジル、ピロリジニル、ピペラジニル、モルホリニル、チオモルホリニル、チアゾリジニル、1,3−ジオキソラニル、1,4−ジオキサニル、テトラヒドロフラニル、テトラヒドロチオフェニル、テトラヒドロチオピラニルなどが挙げられる。
【0026】
「アラルケニル」は、アリール−アルケニル−基を意味し、ここで、アリールおよびアルケニルは上記のとおりである。好ましいアラルケニルは、低級アルケニル基を含む。適切なアラルケニル基の非限定的な例としては、2−フェネテニルおよび2−ナフチルエテニルが挙げられる。親部分への結合はアルケニルを介してである。
【0027】
「ヘテロアラルキル」は、ヘテロアリール−アルキル−基を意味し、ここで、ヘテロアリールおよびアルキルは上記のとおりである。好ましいヘテロアラルキルは、低級アルキル基を含む。適切なアラルキル基の非限定的な例としては、ピリジルメチル、2−(フラン−3−イル)エチルおよびキノリン−3−イルメチルが挙げられる。親部分への結合は、アルキルを介してである。
【0028】
「ヘテロアラルケニル」は、ヘテロアリール−アルケニル−基を意味し、ここで、ヘテロアリールおよびアルケニルは上記のとおりである。好ましいヘテロアラルケニルは、低級アルケニル基を含む。適切なヘテロアラルケニル基の非限定的な例としては、2−(ピリド−3−イル)エテニルおよび2−(キノリン−3−イル)エテニルが挙げられる。親部分への結合は、アルケニルを介してである。
【0029】
「ヒドロキシアルキル」は、HO−アルキル−基を意味し、ここで、アルキルは上記に定義したとおりである。好ましいヒドロキシアルキルは、低級アルキルを含む。適切なヒドロキシアルキル基の非限定的な例としては、ヒドロキシメチルおよび2−ヒドロキシエチルが挙げられる。
【0030】
「アシル」は、R−C(O)−基を意味し、ここで、Rは例えば、水素もしくは上記で列挙した定義において記載した基のうちの任意のものである。このような基の例としては、H−C(O)−、アルキル−C(O)−、アルケニル−C(O)−、アルキニル−C(O)−、シクロアルキル−C(O)−、シクロアルケニル−C(O)−もしくはシクロアルキニル−C(O)−基が挙げられる。親部分への結合は、カルボニルを介してである。好ましいアシルは、低級アルキルを含む。適切なアシル基の非限定的な例としては、ホルミル、アセチル、プロパノイル、2−メチルプロパノイル、ブタノイルおよびシクロヘキサノイルが挙げられる。
【0031】
「アロイル」は、アリール−C(O)−基を意味し、ここで、アリール基は上記のとおりである。親部分への結合は、カルボニルを介してである。適切な基の非限定的な例としては、ベンゾイルならびに1−および2−ナフトイルが挙げられる。
【0032】
「アルコキシ」は、アルキル−O−基を意味し、ここで、アルキル基は上記のとおりである。適切なアルコキシ基の非限定的な例としては、メトキシ、エトキシ、n−プロポキシ、イソプロポキシ、n−ブトキシおよびヘプトキシが挙げられる。親部分への結合は、エーテル酸素を介してである。
【0033】
「アリールオキシ」は、アリール−O−基を意味し、ここで、アリール基は上記のとおりである。適切なアリールオキシ基の非限定的な例としては、フェノキシおよびナフトキシが挙げられる。親部分への結合は、エーテル酸素を介してである。
【0034】
「アラルキルオキシ」は、アラルキル−O−基を意味し、ここで、アラルキル基は上記のとおりである。適切なアラルキルオキシ基の非限定的な例としては、ベンジルオキシおよび1−ナフタレンメトキシもしくは2−ナフタレンメトキシが挙げられる。親部分への結合は、エーテル酸素を介してである。
【0035】
「アルキルアミノ」は、−NHもしくは−NH基を意味し、ここで、窒素上の1つ以上の水素原子は、上記で定義したとおりのアルキル基によってとって代えられる。
【0036】
「アリールアミノ」は、−NHもしくは−NH基を意味し、ここで、窒素上の1つ以上の水素原子は、上記で定義したとおりのアリール基によってとって代えられる。
【0037】
「アルキルチオ」は、アルキル−S−基を意味し、ここで、アルキル基は上記のとおりである。適切なアルキルチオ基の非限定的な例としては、メチルチオ、エチルチオ、i−プロピルチオおよびヘプチルチオが挙げられる。親部分への結合は、硫黄を介してである。
【0038】
「アリールチオ」は、アリール−S−基を意味し、ここで、アリール基は上記のとおりである。適切なアリールチオ基の非限定的な例としては、フェニルチオおよびナフチルチオが挙げられる。親部分への結合は、硫黄を介してである。
【0039】
「アラルキルチオ」は、アラルキル−S−基を意味し、ここで、アラルキル基は上記のとおりである。適切なアラルキルチオ基の非限定的な例は、ベンジルチオである。親部分への結合は、硫黄を介してである。
【0040】
「アルコキシカルボニル」は、アルキル−O−CO−基を意味する。適切なアルコキシカルボニル基の非限定的な例としては、メトキシカルボニルおよびエトキシカルボニルが挙げられる。親部分への結合は、カルボニルを介してである。
【0041】
「アリールオキシカルボニル」は、アリール−O−C(O)−基を意味する。適切なアリールオキシカルボニル基の非限定的な例としては、フェノキシカルボニルおよびナフトキシカルボニルが挙げられる。親部分への結合は、カルボニルを介してである。
【0042】
「アラルコキシカルボニル」は、アラルキル−O−C(O)−基を意味する。適切なアラルコキシカルボニル基の非限定的な例は、ベンジルオキシカルボニルである。親部分への結合は、カルボニルを介してである。
【0043】
「アルキルスルホニル」は、アルキル−S(O)−基を意味する。好ましい基は、アルキル基が低級アルキルである基である。親部分への結合は、スルホニルを介してである。
【0044】
「アルキルスルフィニル」は、アルキル−S(O)−基を意味する。好ましい基は、アルキル基が低級アルキルである基である。親部分への結合は、スルフィニルを介してである。
【0045】
「アリールスルホニル」は、アリール−S(O)−基を意味する。親部分への結合は、スルホニルを介してである。
【0046】
「アリールスルフィニル」は、アリール−S(O)−基を意味する。親部分への結合は、スルフィニルを介してである。
【0047】
用語、「必要に応じて置換された」は、特定の基、ラジカルもしくは部分での必要に応じた置換を意味する。
【0048】
本開示は、式Iの化合物(種々の異性体および薬学的に受容可能な塩を含む)を調製するための方法を提供する。様々な所望の異性体および塩を提供するために本記載は改変され得ることは理解され、これは本発明の範囲内である。
【0049】
本発明の一実施形態は、
【0050】
【化14】

を含む式IAの化合物を作るためのプロセスに関連しており、
ここで、R、RおよびRは上記のとおりであり、
このプロセスは、式IIA
【0051】
【化15】

の化合物を酸化して式IAの化合物を得る工程を包含する。
【0052】
本発明の別の実施形態は、式IB
【0053】
【化16】

の化合物を作るためのプロセスに関連しており、
ここで、R、RおよびRは上記のとおりであり、
このプロセスは、式IIB
【0054】
【化17】

の化合物を酸化して式IBの化合物を得る工程を包含する。
【0055】
本発明の別の実施形態は、式IC
【0056】
【化18】

の化合物を作るためのプロセスに関連しており、
ここで、R、RおよびRは上記のとおりであり、
このプロセスは、式IIC
【0057】
【化19】

の化合物を酸化して式ICの化合物を得る工程を包含する。
【0058】
本発明の別の実施形態は、式ID
【0059】
【化20】

の化合物を作るためのプロセスに関連しており、
ここで、R、RおよびRは上記のとおりであり、
このプロセスは、式IID
【0060】
【化21】

の化合物を酸化して式IDの化合物を得る工程を包含する。
【0061】
式IIの化合物は、先行文献(例えば、米国特許出願公開第2003/0216325
A1および米国特許出願公開第2004/0254117 A9中において見出されるものであり、両方とも本明細書中で参考として援用される)において見出されるプロセスにしたがって調製され得る。これらにおいて開示されているプロセスは、特に望ましい出発物質を調製するために、過度な実験をせずに改変され得ることは理解される。
【0062】
式IIの化合物を式Iの化合物に酸化する酸化剤の非限定的な例としては、Na(ClO)、Ca(OCl)、およびNaBrOが挙げられる。酸化剤は、一般的には、式IIの化合物に関しては、約0〜4当量(例えば、約1〜約2当量)の範囲で使用され得る。
【0063】
本発明のいくつかの実施形態において、プロセスに関しては、触媒、そして必要に応じて共触媒の使用を包含することが好ましい。本発明のプロセスにおいて使用され得る触媒の非限定的な例としては、テトラメチルピペリジニルオキシ(TEMPO)、2−メトキシTEMPOおよび4−アミノTEMPOが挙げられる。触媒は一般的には、式IIの化合物に関しては、約0.1〜約3当量(例えば、約1〜約2当量)の範囲で使用され得る。
【0064】
本発明のいくつかの実施形態において、少なくとも1つの共触媒が反応混合物中に存在することが好ましい。適切な共触媒の非限定的な例としては、金属酢酸塩(例えば、酢酸ナトリウム、酢酸リチウムもしくは酢酸カリウム)、ハロゲン化金属(例えば、臭化ナトリウム、臭化カリウムもしくはヨウ化ナトリウム)が挙げられる。共触媒は、0〜飽和の範囲の量で使用され得、さらに好ましくは、0〜約2当量もしくは約0.5〜約1.5当量であり、最も好ましくは、約0.9当量であり、全ては、式IIの化合物に関してである。共触媒が存在する場合、好ましくは、1つもしくは2つの共触媒がプロセス中に存在する。
【0065】
本発明のプロセスの別の実施形態は、酸の存在を包含する。酸の非限定的な例としては、酢酸もしくはハロゲン化酢酸(例えば、ClCHCOOH、ClCHCOOH、ClCCOOHおよびCFCOOH)が挙げられる。酸は一般的には、式IIの化合物に関しては、約0.1〜約3当量(例えば、約1〜約2当量)の範囲で使用され得る。
【0066】
溶媒の非限定的な例としては、エステル、エーテル、水もしくはこれらの混合物が挙げられる。2相性溶媒系(例えば、t−ブチルメチルエーテルと水とを含む系)が使用され得る。好ましくは、溶媒は、メチル三級ブチルエーテル(MTBE)である。
【0067】
酸化は、約0℃〜約80℃の範囲(例えば、約10℃〜約50℃、そしてさらなる例としては、約15℃〜約30℃)で実施され得る。
【0068】
本発明のいくつかの実施形態において、式IIA、IIB、IICおよびIIDの化合物から選択される化合物と、酸化剤、触媒、1つもしくは2つの共触媒および酸とを、溶媒もしくは溶媒混合物中で接触させて酸化を実施することが好まれる。
【0069】
触媒を使用する本発明のプロセスのいくつかの実施形態において、酸化工程の後に、反応混合物に触媒除去試薬を加えることによって触媒を除去する工程をさらに包含することが好ましい。触媒除去試薬の例としては、アルコルビン酸および1つ以上の無機酸(例えば、HClおよびHBr)ならびにこれらの2つ以上の混合物が挙げられるが、これらに限定されない。触媒除去試薬は一般的には、0〜約4当量、さらに好ましくは、約0.1〜約3当量もしくは約1〜約3当量の範囲で使用され得る。
【0070】
無機酸を触媒除去試薬として使用するいくつかの実施形態において、無機酸を約1N〜約5Nの濃度で使用することが好ましい。HClを触媒除去試薬として使用するいくつかの実施形態において、約3.5の濃度のHClを使用することが好ましい。無機酸を触媒除去試薬として使用するいくつかの実施形態において、使用される触媒の約1〜約10倍の量の無機酸を使用することが好ましい。
【0071】
およびRの好ましい基としては、メチル、エチル、n−プロピル、i−プロピル、n−ブチル、sec−ブチル、イソ−ブチルもしくはtert−ブチルが挙げられる。特に好ましいのは、RおよびRの両方がtert−ブチルである化合物である。
【0072】
の好ましい基としては、式−(CH−Rの基が挙げられ、ここで、Rは、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチルおよびシクロヘキシルからなる群より選択される部分であり、そしてnは、1〜10(さらに好ましくは、1〜5)の整数である。特に好ましい化合物は、nが1でありそしてRがシクロブチルである化合物である。
【0073】
代表的な例示的手順は、以下の反応スキームにて略述されている。以下の例示的スキームは少数の代表的な本発明の化合物の調製を記載しているが、適切な置換が、このような置換を基に所望する化合物の形成に至ることを理解されるべきである。このような変更は本発明の範囲内であることが企図される。
【0074】
本発明をさらに例示するために以下の非限定的な実施例が提供される。本開示に関する(物質、方法および反応条件の両方に関する)多くの改変、変更および代案が実施され得ることは当業者には明らかとなる。このような改変、変更および代案は、本発明の意図および範囲内であることが意図される。
【実施例】
【0075】
(1R,2S,5S)−N−[3−アミノ−1−(シクロブチルメチル)−2,3−ジオキソプロピル]−3−{N−[(tert−ブチルアミノ)カルボニル]−3−メチル−L−バリル}−6,6−ジメチル−3−アザビシクロ[3.1.0]ヘキサン−2−カルボキサミド(下のスキームA中の構造2の化合物)の調製
【0076】
【化22】

他に示されない限り、以下の略語は下の実施例中においては記載される意味を有する:g=グラム
mL=ミリリットル
eq=当量
mmol=ミリモル
DMF=ジメチルホルムアミド
NaOAc=酢酸ナトリウム
TEMPO=2,2,6,6−テトラメチル−1−ピペリジニルオキシ遊離ラジカル(Aldrichから入手可能であり、そしてそのまま使用される)
MTBE=メチルtert−ブチルエーテル
NaOCl=次亜塩素酸ナトリウム
Equiv=当量
他に示されない限り、全ての溶媒は市販物品であり、全ての試薬はそのまま使用された。
【0077】
(実施例1:水性酢酸を反応混合物中で使用した化合物2の調製)
1Lの3つ首フラスコに、KBr(10g、84mmol)、NaOAc(10g、122mmol)、化合物1(50g、96mmol)およびTEMPO(15g、96mmol)を入れ、その後、500mLのMTBEを入れる。この反応混合物を、350〜400rpmで攪拌し、そして温度を10℃〜20℃の温度に保つ。酢酸(50mL、874mmol)および水(5mL)をこの反応混合物中に加え、そして2相の混合物を15分間激しく攪拌する。継続して2時間の間に、158mLのNaOCl(130mmol)の0.82M溶液をこの反応混合物に加える。全てのNaOCl溶液を加えたら、この反応混合物を温度を保ちながらさらに3時間攪拌する。水(50mL)を加える。層を分離させ、有機層を水(2×250mL)で2回洗浄する。アスコルビン酸の溶液(50gのアスコルビン酸ナトリウム、200mLの水、および50mLの4N HClから調製される)をこの有機層に加え、そしてこの混合物を約1時間攪拌する。層を分離させた後、有機層を水(2×250mL)で2回洗浄する。有機層を、総容量が約350mLになるまで低温(0〜5℃)で溶媒を蒸留させて、濃縮する。濃縮された有機層を、2Lのn−ヘプタンを有する3Lのフラスコに約0℃で30分にわたって滴下して、白色沈殿物を得る。この白色沈殿物をろ過によって収集し、n−ヘプタン(400mL)で洗浄し、そして真空オーブン内で乾燥させる(25℃で2時間、35℃で8時間、そして45℃で8時間)。生成物を白色粉末として得る(典型的には、94〜96%収率)。
【0078】
【化23】

(実施例2:氷酢酸を反応混合物中で使用した化合物2の調製)
2Lの3つ首フラスコに、KBr(20g、168mmol)、NaOAc(20g、243mmol)、化合物1(100g、192mmol)およびTEMPO(30g、192mmol)を加え、続いて800mLのMTBEを加えた。この反応混合物を、この反応混合物の温度を10℃〜20℃に保ちながら350〜400rpmで攪拌した。酢酸(70mL、1223mmol、そのまま使用する)を加え、そしてこの混合物をさらに15分間激しく攪拌した。継続して2時間の間に、315mlのNaOCl(230mmol)の0.73M溶液をこの反応混合物に加えた。全てのNaOCl溶液を加えたら、激しい攪拌をさらに3時間続けた。この3時間の最後に水(100mL)をこの反応混合物に加えた。層を分離させ、そして有機層を水(500mL)で1回洗浄した。アスコルビン酸の溶液(100gのアスコルビン酸ナトリウム、456mLの水および44mLの36% HClから調製される)を有機層に加え、そしてこの混合物を約2時間攪拌した。層を分離させ、その後、3.5N HCLの溶液を加え、そして約30分攪拌した。層を分離させた後、有機層を水(3×500mL)で3回洗浄した。その後、この有機層を、3Lのn−ヘプタンを有する5Lフラスコに30分にわたって約−10℃〜約0℃で滴下した。白色沈殿物をろ過し、n−ヘプタン(600mL)で洗浄し、そして真空オーブン中で乾燥させた(25℃で2時間、35℃で8時間、そして45℃で8時間)。生成物を白色粉末として得た(93%収率)。
【0079】
【化24】

本明細書中に開示されている実施形態および実施例に関して種々の改変がなされ得ることは理解される。したがって、上の記載は、限定的に解釈されるべきではなく、好ましい実施形態の単なる例示として理解されるべきである。当業者は、種々の改変は本明細書に添付される特許請求の範囲の範囲および意図内であることを予見する。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
明細書中に記載の発明。

【公開番号】特開2013−32370(P2013−32370A)
【公開日】平成25年2月14日(2013.2.14)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2012−217154(P2012−217154)
【出願日】平成24年9月28日(2012.9.28)
【分割の表示】特願2008−540241(P2008−540241)の分割
【原出願日】平成18年11月13日(2006.11.13)
【出願人】(596129215)メルク・シャープ・アンド・ドーム・コーポレーション (785)
【氏名又は名称原語表記】Merck Sharp & Dohme Corp.
【住所又は居所原語表記】One Merck Drive,Whitehouse Station,New Jersey 08889,U.S.A.
【Fターム(参考)】