説明

N−[4−4(4−モルホリニル)フェニル]−[(4−ピペリジニル)メチル]カルボキシアミド誘導体、およびグリシントランスポーター阻害薬としてのその使用

本発明は、式(I)の化合物、またはその塩もしくは溶媒和物[R、R、R、R、R、R、R、R、R、R10、R11、n、およびArは明細書で定義された通りである]、ならびにそのような化合物の使用を提供する。化合物はGlyT1トランスポーターを阻害し、統合失調症を含む、ある種の神経障害および神経精神障害の処置に有用である。


【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、グリシントランスポーターを阻害する化合物に関し、神経障害および神経精神障害、特に精神病、認知症、または注意欠陥障害を処置するための薬物の製造におけるその使用に関する。本発明は、さらにこれらの化合物およびその薬剤製剤を製造する方法を含む。
【背景技術】
【0002】
分子クローニングにより、哺乳動物の脳に、GlyT1およびGlyT2と呼ばれる2つのクラスのグリシントランスポーターが存在することが明らかになっている。GlyT1は、前脳部にて優勢的に見られ、その分布は、グルタミン作動性の経路およびNMDA受容体の分布に一致している(Smithら、Neuron、8巻、1992年、927〜935頁)。分子クローニングにより、さらにGlyT−la、GlyT−1b、およびGlyT−1cと呼ばれるGlyT1の3つの変種が存在することが明らかになり(Kimら、Molecular Pharmacology、45巻、1994年、608〜617頁)、これらは各々、脳および末梢の組織で独特の分布を示している。変種は、特異的なスプライシングおよびエキソンの利用によって生じ、それらのN末端領域が異なる。それとは対照的に、GlyT2は、脳幹および脊髄にて優勢的に見られ、その分布はストリキニーネ感受性のグリシン受容体の分布にぴったりと一致している(Liuら、J.Biological Chemistry、268巻、1993年、22802〜22808頁;JurskyおよびNelson、J.Neurochemistry、64巻、1995年、1026〜1033頁)。GlyT2が媒介するグリシン輸送の別の顕著な特徴は、GlyT1が媒介するグリシン輸送の場合のように、サルコシンによって阻害されないことである。これらのデータは、グリシンのシナプスのレベルを調節することにより、GlyT1およびGlyT2は、それぞれNMDA受容体およびストリキニーネ感受性のグリシン受容体の活性に選択的に影響を及ぼすという見解と一致する。
【0003】
NMDA受容体は、臨界的に記憶および学習に関与しており(RisonおよびStaunton、Neurosci.Biobehav.Rev.、19巻、533〜552頁(1995年);Danyszら、Behavioral Pharmacol.、6455〜474頁(1995年))、さらに、NMDAが媒介する神経伝達の機能の低下は、統合失調症の症状の根底をなし、または原因となっているようである(OlneyおよびFarber、Archives General Psychiatry、52巻、998〜1007頁(1996年))。したがって、GlyT1を阻害し、その結果NMDA受容体のグリシンの活性化を増大する作用物質は、新規な抗精神病薬および抗認知症薬として、また、注意欠陥障害および器質性脳症候群などの認知過程が損なわれる他の疾患を処置するために用いることができる。逆に言えば、NMDA受容体の過剰な活性化は、数々の疾患状態、特に脳卒中に付随するニューロンの死、おそらくは、アルツハイマー病、多発梗塞性認知症、AIDS認知症、ハンチントン病、パーキンソン病、筋萎縮性側策硬化症、またはニューロン細胞死が生じる他の病状、例えば脳卒中もしくは頭の外傷などの神経変性疾患に関係がある。CoyleおよびPuttfarcken、Science、262巻、689〜695頁(1993年);LiptonおよびRosenberg、New Engl.J.of Medicine、330巻、613〜622頁(1993年);Choi、Neuron、1巻、623〜634頁(1988年)。したがって、GlyT1の活性を上昇させる薬剤はNMDA受容体のグリシン活性化の低下をもたらし、NMDA受容体の活性を用いて、これらのおよび関連のある疾患状態を処置することができる。同様に、NMDA受容体のグリシン部位を直接阻止する薬物を用いて、これらのおよび関連のある疾患状態を処置することができる。
【0004】
グリシン輸送阻害薬は、例えば、公表されている国際特許出願WO第03/055478号(SmithKline Beecham)に開示されているものなど、当技術分野ではすでに知られている。
【0005】
しかし、選択的にGlyT2トランスポーターよりもGlyT1トランスポーターを阻害するものを含めた、GlyT1トランスポーターを阻害することができるさらなる化合物を同定する必要が依然としてある。
【0006】
この度、一連の新規な化合物がGlyT1トランスポーターを阻害し、したがって、統合失調症を含む、ある種の神経障害および神経精神障害の処置に有用であることが見出された。
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0007】
したがって、第1の態様では、式(I):
【化1】

[式中、
は、所望により置換されていてもよいC1〜8アルキル、所望により置換されていてもよいC3〜8シクロアルキル、所望により置換されていてもよいC3〜8複素環、所望により置換されていてもよいアリール、所望により置換されていてもよいヘテロアリール、アリールC1〜8アルキル(アリールもC1〜8アルキルも所望により置換されていてもよい)、C3〜8複素環C1〜8アルキル(C1〜8アルキルは所望により置換されていてもよい)、およびヘテロアリールC1〜8アルキル(ヘテロアリールもC1〜8アルキルも所望により置換されていてもよい)からなる群から選択され;
およびRは、それらが結合している炭素原子と一緒になって、所望により置換されていてもよいC3〜4シクロアルキルを形成するか、またはRおよびRは、独立して、水素またはC1〜8アルキルであり;
、R、R、およびRは、独立して、水素およびハロゲンから選択され;
もRも水素であるか、またはRおよびRは一緒になってピペリジン環に架かるC1〜4アルキレン架橋を形成し;
10およびR11は、独立して、水素、ハロゲン、およびC1〜4アルキルからなる群から選択されるか、またはR10およびR11は一緒になってC3〜4シクロアルキルを形成し;
Arは、所望により置換されていてもよいアリール、または所望により置換されていてもよいヘテロアリールであり;
nは、0、1、2または3である;
、R、R、R、R、R、R、R10およびR11が同時に水素であり、Rがフッ素であり、nが1であり、そしてArが4−エチルで置換されているフェニルである場合、Rは5−キノリニル以外の基である]
で示される化合物、またはその塩もしくは溶媒和物が提供される。
【0008】
本明細書で用いられる「アルキル」は、全ての異性体型の直鎖または分枝のアルキルを意味する。C1〜4アルキルの例には、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、sec−ブチル、およびtert−ブチルが含まれる。C1〜8アルキルの例には、例えば、C1〜4アルキルの他に、ペンチル、ネオペンチル、sec−ペンチル、n−ペンチル、イソペンチル、tert−ペンチル、ヘキシル、ヘプチル、およびオクチルが含まれる。
【0009】
本明細書で用いられる「シクロアルキル」は、非芳香族の環状飽和炭化水素環を意味する。C3〜4シクロアルキルの例には、シクロプロピル、およびシクロブチルが含まれる。C3〜8シクロアルキルの例には、さらに、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル、およびシクロオクタニルが含まれる。
【0010】
本発明で用いられる「C3〜8複素環」は、1から3個の炭素原子が、N、O、およびSから独立して選択されるヘテロ原子によって置換されているC3〜8シクロアルキル基を意味する。例には、アジリジニル、オキセタニル、オキシラニル、アゼチジニル、ピロリジニル、イミダゾリジニル、ピラゾリジニル、テトラヒドロフラニル、ジオキソラニル、ピペリジニル、ピペラジニル、モルホリニル、チオモルホリニル、テトラヒドロチエニル、テトラヒドロピラニル、ジオキサニル、ジチアニル、アゼパニル、およびオクタヒドロアゾシニルが含まれる。
【0011】
本明細書で用いられる「アリール」は、5員または6員の単環芳香族基、または8員から11員の二環芳香族基を意味する。例として、フェニル、インデニル、アズレニル、およびナフチルが含まれる。
【0012】
本明細書で用いられる「ヘテロアリール」は、1、2、3、または4個の炭素原子がN、O、およびSから独立して選択されるヘテロ原子によって置換されている5員または6員の単環芳香族基、あるいは、1から4個の炭素原子がN、O、およびSから独立して選択されるヘテロ原子によって置換されており、環の1つが部分的にまたは完全に飽和していてもよい8員から11員の二環芳香族基を意味する。5員または6員の単環ヘテロアリールの例には、フラニル、チエニル、ピロリル、オキサゾリル、チアゾリル、イミダゾリル、オキサジアゾリル、チアジアゾリル、ピリジニル、トリアゾリル、トリアジニル、ピリダジニル、ピリミジニル、イソチアゾリル、イソキサゾリル、ピラジニル、ピラゾリル、およびピリミジニルが含まれ、両方の環が芳香族である8員から11員の二環ヘテロアリールの例には、キノキサリニル、キナゾリニル、ピリドピラジニル、ベンゾキサゾリル、ベンゾチオフェニル、ベンズイミダゾリル、ナフチリジニル、キノリニル、ベンゾフラニル、インドリル、ベンゾチアゾリル、オキサゾリル[4,5−b]ピリジイル、ピリドピリミジニル、およびイソキノリニルが含まれる。環の1つが部分的にまたは完全に飽和している8員から11員の二環のヘテロアリールの例には、ジヒドロベンゾフラニル、インダニル、テトラヒドロナフチル、インドリニル、ソインドリニル、テトラヒドロイソキノリニル、テトラヒドロキノリニル、ベンズオキサジニル、およびベンゾアゼピニルが含まれる。
【0013】
本明細書で用いられる「ヘテロアリールC1〜8アルキル」は、フラニル、チエニル、ピロリル、オキサゾリル、チアゾリル、イミダゾリル、オキサジアゾリル、チアジアゾリル、ピリジニル、トリアゾリル、トリアジニル、ピリダジニル、ピリミジニル、イソチアゾリル、イソキサゾリル、ピラジニル、およびピリミジニルから選択されるヘテロアリール基で置換されているC1〜8アルキル基;キノキサリニル、キナゾリニル、ピリドピラジニル、ベンズオキサゾリル、ベンゾチオフェニル、ベンズイミダゾリル、ナフチリジニル、キノリニル、ベンゾフラニル、インドリル、ベンゾチアゾリル、オキサゾリル[4,5−b]ピリジイル、ピリドピリミジニル、およびイソキノリニル;ならびに、環の1つが部分的にまたは完全に飽和されている8員から11員の二環ヘテロアリール、例えば、ジヒドロベンゾフラニル、インダニル、テトラヒドロナフチル、インドリニル、ソインドリニル、テトラヒドロイソキノリニル、テトラヒドロキノリニル、ベンズオキサジニル、およびベンゾアゼピニルを意味する。
【0014】
本明細書で用いられる「ハロゲン」およびその略語である「ハロ」は、フッ素、塩素、臭素、またはヨウ素を意味する。
【0015】
本明細書で用いられる「塩」は、無機または有機の酸または塩基、4級アンモニウム塩、および内部に形成されている塩から調製される本発明による化合物のあらゆる塩を意味する。生理学的に許容できる塩は、親化合物に比べて水溶性が高いので医薬の応用に特に適している。そのような塩は、明らかに、生理学的に許容できる陰イオンまたは陽イオンを有していなければならない。本発明の化合物の適切に生理学的に許容できる塩には、塩酸、臭化水素酸、ヨウ素酸、リン酸、メタリン酸、硝酸、および硫酸などの無機酸で形成される酸付加塩、および酒石酸、酢酸、トリフルオロ酢酸、クエン酸、リンゴ酸、乳酸、フマル酸、安息香酸、ギ酸、プロピオン酸、グリコール酸、グルコン酸、マレイン酸、コハク酸、カンファースルホン酸、イソチオン酸、粘液酸、ゲンチシン酸、イソニコチン酸、サッカリン酸、グルクロン酸、フロ酸、グルタミン酸、アスコルビン酸、アントラニル酸、サリチル酸、フェニル酢酸、マンデル酸、エンボン(パモン)酸、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、パントテン酸、ステアリン酸、スルフィニル酸、アルギン酸、ガラクトウロン酸、およびアリールスルホン酸、例えば、ベンゼンスルホン酸、およびp−トルエンスルホン酸などの有機酸で形成される酸付加塩、アルカリ金属およびアルカリ土類金属、ならびに、N,N−ジベンジルエチレンジアミン、クロロプロカイン、コリン、ジエタノールアミン、エチレンジアミン、メグルマイン(meglumaine)(N−メチルグルカミン)、リジン、およびプロカインなどの有機塩基で形成される塩基の付加塩、ならびに内部に形成される塩が含まれる。非生理学的に許容できる陰イオンまたは陽イオンを有する塩は、生理学的に許容できる塩の調製のための、および/または、例えばin vitroの状態の非治療で使用するための有用な中間化合物として、本発明の範囲内にある。
【0016】
本明細書で用いられる「溶媒和物」は、溶質(本発明では、式(I)の化合物またはその塩)および溶媒により形成される様々な化学量論の複合体を意味する。本発明の目的のそのような溶媒は、溶質の生物学的活性を妨害してはならない。適切な溶媒の例には、それだけには限定されないが、水、メタノール、エタノール、および酢酸が含まれる。好ましくは、用いる溶媒は、医薬上許容される溶媒である。適切な医薬上許容される溶媒の例には、水、エタノールおよび酢酸が含まれる。用いる溶媒が水であるのが最も好ましい。
【0017】
本明細書で用いられる、「置換されていてもよい」なる語は、
ハロゲン、ヒドロキシ、オキソ、シアノ、ニトロ、C1〜6アルキル、C1〜4アルコキシ、ハロC1〜4アルキル、ハロC1〜4アルコキシ、アリールC1〜4アルコキシ、C1〜4アルキルチオ、ヒドロキシC1〜4アルキル、C1〜4アルコキシC1〜4アルキル、C3〜6シクロアルキル、C3〜6シクロアルキルC1〜4アルコキシ、C1〜4アルカノイル、C1〜4アルコキシカルボニル、C1〜4アルキルスルホニル、C1〜4アルキルスルホニルオキシ、C1〜4アルキルスルホニルC1〜4アルキル、アリールスルホニル、アリールスルホニルオキシ、アリールスルホニルC1〜4アルキル、C1〜4アルキルアミド、C1〜4アルキルスルホンアミドC1〜4アルキル、C1〜4アルキルアミドC1〜4アルキル、アリールスルホンアミド、アリールカルボキシアミド、アリールスルホンアミドC1〜4アルキル、アリールカルボキシアミドC1〜4アルキル、アロイル、アロイルC1〜4アルキル、アリールC1〜4アルカノイル、C1〜4アシル、アリール、アリールC1〜4アルキル、C1〜4アルキルアミノC1〜4アルキル、基R1213N−、R12OCO(CH、R12CON(R13)(CH、R1213NSO(CHまたはR12SONR13(CH2)(ここで、R12およびR13は各々、独立して、水素またはC1〜4アルキルから選択され、もしくは必要に応じてR1213は、C3〜6アザシクロアルカンもしくはC3〜6(2−オキソ)アザシクロアルカン環の部分を形成し、mは0、1、2、3、もしくは4である)、またはR1213NCO(CH、(式中、R12およびR13は各々、独立して、C1〜4アルキルから選択され、もしくは必要に応じてR1213は、C3〜6アザシクロアルカンもしくはC3〜6(2−オキソ)アザシクロアルカン環の部分を形成し、mは0、1、2、3、もしくは4である)、基、R1213N(CH−またはR1213N(CHO−(式中、pは1、2、3、もしくは4である)から選択される1つまたは複数の基による置換を意味し、置換基がR1213N(CH−、またはR1213N(CHO−である場合は、基の(CH部分の少なくとも1つのCHを有するR12は、C3〜6アザシクロアルカンを形成することもでき、R13は水素であってもよく、C1〜4アルキルまたはそれが結合している窒素とともに第1のC3〜6アザシクロアルカンに縮合している第2のC3〜6アザシクロアルカンを形成する。さらに、Rが所望により置換されていてもよいC3〜8シクロアルキル、または所望により置換されていてもよいC3〜8複素環である場合には、所望により置換されていてもよいシクロアルキルまたは複素環の基はさらに、C1〜3アルキレン基により所望により架橋されていてよい。
【0018】
したがって、例えば、「置換されていてもよいC1〜8アルキル」は、CFなどのハロC1〜8アルキルを含む。
【0019】
1つを超える置換基がある場合には、置換基は異なっていても同じでもよい。置換基が存在する場合には、置換基の数は、1、2、3、または4個であることが好ましい。
【0020】
一実施形態では、Rは、C1〜4アルキル(例えば、プロピル、イソプロピル、またはtert−ブチル)、C3〜8シクロアルキル(例えば、シクロペンチル、またはシクロヘキシル)、アリール(例えば、ハロゲン、C1〜4アルキル、およびC1〜4アルコキシから選択される1つまたは2つの基で所望により置換されていてもよいフェニル、C3〜8複素環(例えば、テトラヒドロピラニル、またはテトラヒドロフラニル)、C3〜8複素環C1〜8アルキル(例えば、テトラヒドロフラニルメチル)、またはアリールC1〜8アルキル(例えば、その各々が、ハロゲン、C1〜4アルキル、およびC1〜4アルコキシから選択される1つまたは2つの基により所望により置換されていてもよいベンジル、およびフェネチル)である。
【0021】
一実施形態では、RもRも水素である。
【0022】
一実施形態では、R、R、およびRは水素であり、Rはフッ素または水素である。
【0023】
一実施形態では、Arは、その各々がC1〜4アルキル(例えば、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、またはtert−ブチル)、CFなどのハロC1〜4アルキル、ハロゲン、およびC3〜6シクロアルキルから選択される1つまたは2つの基により所望により置換されていてもよいフェニルまたはナフチルなど、所望により置換されていてもよいアリールである。
【0024】
別の一実施形態では、Arは、その各々が、C1〜4アルキル、またはCFなどのハロC1〜4アルキルの1つまたは2つにより所望により置換されていてもよいキノリニルまたはベンズイミダゾリルなど、所望により置換されていてもよいへテロアリールである。
【0025】
一実施形態では、Arは、ハロゲン、オキソ、シアノ、C1〜6アルキル、C1〜4アルコキシ、ハロC1〜4アルキル、ハロC1〜4アルコキシ、アリールC1〜4アルコキシ、C1〜4アルキルチオ、C1〜4アルコキシC1〜4アルキル、C3〜6シクロアルキル、C3〜6シクロアルキルC1〜4アルコキシ、C1〜4アルカノイル、C1〜4アルキルスルホニル、C1〜4アルキルスルホニルC1〜4アルキル、アリールスルホニル、アリールスルホニルC1〜4アルキル、C1〜4アルキルアミド、C1〜4アルキルルルホンアミドC1〜4アルキル、アロイル、アロイルC1〜4アルキル、C1〜4アシル、アリール、アリールC1〜4アルキル、C1〜4アルキルアミノC1〜4アルキル、基R1213N−、R12CON(R13)(CH、またはR1213NCO(CH(ここで、R12およびR13は各々、独立して、水素またはC1〜4アルキルから選択されるか、もしくは必要に応じてR1213はC3〜6アザシクロアルカン環の部分を形成し、mは0、1、2、3、または4である)からなる群から選択される1、2、または3つの置換基により所望により置換されていてもよい。
【0026】
一実施形態では、nは1である。
【0027】
一実施形態では、RもRも水素であり、次式:
【化2】

で示される化合物を形成する。
【0028】
別の一実施形態では、RおよびRは、ピペリジン環に架かる1、2、3、または4個の炭素を含むC1〜4アルキレン架橋を形成する。例えば、RおよびRは、エチレン鎖を形成して、
【化3】

などの化合物を形成することができる。
【0029】
一実施形態では、R10もR11も水素である。
【0030】
一実施形態では、本発明は式(Ia):
【化4】

[式中、
は、C1〜8アルキル、C3〜8シクロアルキル、C3〜8複素環、C3〜8複素環C1〜8アルキル、アリール、ヘテロアリール、アリールC1〜8アルキル、およびヘテロアリールC1〜8アルキルらなる群から選択され、その各々は、ハロゲン、オキソ、シアノ、C1〜6アルキル、C1〜4アルコキシ、ハロC1〜4アルキル、ハロC1〜4アルコキシ、アリールC1〜4アルコキシ、C1〜4アルコキシC1〜4アルキル、C3〜6シクロアルキル、C3〜6シクロアルキルC1〜4アルコキシ、C1〜4アルカノイル、C1〜4アルキルスルホニル、C1〜4アシル、アリール、アリールC1〜4アルキル、C1〜4アルキルアミノC1〜4アルキル、基R1213N−、R12CON(R13)(CH、またはR1213NCO(CH(ここで、R12およびR13は各々、独立して、水素もしくはC1〜4アルキルから選択され、必要に応じてR1213はC3〜6アザシクロアルカン環の部分を形成し、mは0、1、2、3、もしくは4である)からなる群から選択される1、2または3つの置換基で所望により置換されていてもよく;
Zは、水素、フッ素、または塩素であり;
Arはフェニルもしくはヘテロアリールであり、その各々はハロゲン、シアノ、C1〜6アルキル、C1〜4アルコキシ、ハロC1〜4アルキル、ハロC1〜4アルコキシ、C1〜4アルコキシC1〜4アルキル、C3〜6シクロアルキル、C3〜6シクロアルキルC1〜4アルコキシ、C1〜4アシル、およびC1〜4アルキルアミノC1〜4アルキルからなる群から選択される1、2または3つの置換基で所望により置換されていてもよい]
で示される化合物、またはその塩もしくは溶媒和物を提供する。
【0031】
式(I)の化合物の実施形態および特徴の全てが、式(Ia)の化合物に適用される。
【0032】
好ましい実施形態の様々な態様は、不適切でない場合には、それぞれ他の好ましい実施形態の態様と組み合わせることができることを理解されたい。
【0033】
本発明の化合物の例には、
1.N−({1−[(4−エチルフェニル)メチル]−4−ピペリジニル}メチル)−N−[3−フルオロ−4−(4−モルホリニル)フェニル]−2−フェニルアセトアミド
2.2−シクロペンチル−N−[3−フルオロ−4−(4−モルホリニル)フェニル]−N−[(1−{[4−(トリフルオロメチル)フェニル]メチル}−4−ピペリジニル)メチル]アセトアミド
3.N−[(1−{[4−(1,1−ジメチルエチル)フェニル]メチル}−4−ピペリジニル)メチル]−N−[3−フルオロ−4−(4−モルホリニル)フェニル]−2−(テトラヒドロ−2H−ピラン−4−イル)アセトアミド
4.N−[(1−{[4−(1,1−ジメチルエチル)フェニル]メチル}−4−ピペリジニル)メチル]−N−[4−(4−モルホリニル)フェニル]−2−(テトラヒドロ−2H−ピラン−4−イル)アセトアミド
5.N−({1−[(4−エチルフェニル)メチル]−4−ピペリジニル}メチル)−N−[3−フルオロ−4−(4−モルホリニル)フェニル]−3−フェニルプロパンアミド
6.N−[3−フルオロ−4−(4−モルホリニル)フェニル]−2−(テトラヒドロ−2H−ピラン−4−イル)−N−[(1−{[4−トリフルオロメチル]フェニル]メチル}−4−ピペリジニル)メチル]アセトアミド
7.N−[3−フルオロ−4−(4−モルホリニル)フェニル]−2−(テトラヒドロ−2−フラニル)−N−[(1−{[4−(トリフルオロメチル)フェニル]メチル}−4−ピペリジニル)メチル]アセトアミド
8.N−({1−[(4−エチルフェニル)メチル]−4−ピペリジニル}メチル)−N−[3−フルオロ−4−(4−モルホリニル)フェニル]ペンタンアミド
ならびにそれらの塩および溶媒和物が含まれる。
【0034】
式(I)の化合物は、1つを超える形態で結晶化する能力を有することがある。これは、多形として知られる特徴であり、このような多形性の形態(「多形体」)は、式(I)の範囲内にあることが理解される。多形は、一般に、温度、または圧力、または双方の変化に対する反応として起こることがあり、結晶化の過程における変動にも起因する。多形体は、X線回折のパターン、溶解性、および融点など、当技術分野で知られている様々な物理的特徴によって区別することができる。
【0035】
本明細書に記載した化合物のあるものは、立体異性体の形態で存在することができる(すなわち、これらは1つまたは複数の不斉炭素原子を含むことがあり、またはシス−トランス異性体を表すことがある)。個々の立体異性体(エナンチオマーおよびジアステレオマー)、およびこれらの混合物は、本発明の範囲内に含まれる。同様に、式(I)の化合物は、式に示したもの以外の互変体の形態で存在することができ、これらも本発明の範囲内に含まれることが理解される。
【0036】
上記に述べたように、式(I)の化合物の個々のエナンチオマーを調製することができ、そのようなエナンチオマーに対する好ましい立体化学の指示が与えられている。好ましい一実施形態では、光学的に純粋なエナンチオマーが望ましい。「光学的に純粋なエナンチオマー」なる語は、化合物が、約90重量%を超えて所望の異性体を含み、好ましくは約95重量%を超えて所望の異性体を含み、最も好ましくは約99重量%を超えて所望の異性体を含み、この重量パーセントは化合物の異性体の全重量をもとにしている。
【0037】
本発明の化合物は、標準的な化学を含む、様々な方法により製造することができる。先に定義したあらゆる変数は、別段の記載がなければ、先に定義した意味を継続して有する。例示的な一般的な合成方法を以下に述べ、次いで、本発明の特定の化合物を、実施例で調製する。
【0038】
一般式(I)の化合物は、以下の合成スキームに一部述べるような有機合成の技術分野で知られている方法を参照にして、また方法により、前述の文書に開示されている方法により調製することができる。感受性の基または反応性の基に対する保護基を、化学の一般的原理に従って、必要に応じて使用することが十分に理解されることも、以下に記載するスキームの全てで認識される。有機合成の標準方法に従って、保護基を操作する(T.W.GreeneおよびP.G.M.Wuts(1991年)、Protecting Groups in Organic Synthesis、John Wiley&Sons)。これらの基は、当業者であれば容易に明白である方法を用いて、化合物の合成の都合のよい段階で除去する。プロセスの選択、ならびに反応条件およびそれらを行う順番は、式(I)の化合物の調製に一致する。当業者であれば、式(I)の化合物に立体中心が存在するか否かを理解するであろう。したがって、本発明は、両方の可能な立体異性体を含み、ラセミ化合物だけではなく個々のエナンチオマーも含む。立体化学が特定の位置で可変的であると示唆される場合、立体異性体の混合物を得ることができ、この混合物は示される場合には分離されている。立体異性体は、高速液体クロマトグラフィーまたは他の好適な手段により分離することができる。単一のエナンチオマーの化合物が望まれる場合には、立体特異的な合成により、または最終化合物の分割により、またはあらゆる好都合な中間化合物により得ることができる。最終化合物、中間化合物、または出発材料の分割は、当技術分野では知られているあらゆる適切な方法により行うことができる。例えば、「Stereochemistry of Organic Compounds」E.L.Eliel、S.H.Wilen、およびL.N.Mander著(Wiley−Interscience、1994年)を参照されたい。
【0039】
先に定義した式(I)の化合物を調製するための典型的な反応経路を、スキーム1および2に示す。
【0040】
一般構造(2)および(3)の出発材料、ならびに試薬(7)、(8)、(9)、および(13)は、文献で知られているか、当技術分野で知られている方法を用いて調製することができる。
【化5】


ここで、R〜R11、n、およびArは、上記(1)で定義した通りであり、Lは脱離基である。
【0041】
脱離基の例には、ハロゲン、ヒドロキシ、OC(=O)アルキル、OC(=O)O−アルキル、およびOSOMeが含まれる。好ましくは、Lはハロゲンであり、工程(ii)、(iv)および(v)におけるアシル化は、トリエチルアミンなどの塩基の存在下で、ジクロロメタンなどの不活性の溶媒中で行うことができる。Lがヒドロキシを表す場合には、反応を、[O−(7−アザベンゾトリアゾール−1−イル)−1,1,3,3−テトラメチルウロニウムヘキサフルオロリン酸]などのジイミド試薬の存在下で、ジクロロメタンなどの不活性の溶媒中で行う。
【0042】
還元工程(i)は、不活性な溶媒中での触媒的水素化分解(例えば、低級アルコールまたは酢酸エチル中のパラジウム/炭素を用いて)、触媒的移動の水素化分解(例えば、パラジウムブラックおよびギ酸のメタノール溶液)、または化学的還元(例えば、鉄および酢酸)など、周知の方法を用いて行うことができる。
【0043】
還元工程(iii)および(vii)は、テトロヒドロフランなどの不活性な溶媒中で、水素化アルミニウムリチウムでの還元など、標準の方法を用いて実現することができる。還元的アミノ化工程(vi)を、例えば、1,2−ジクロロエタンまたはジクロロメタンなどの不活性な溶媒中トリアセトキシ水素化ホウ素ナトリウムなどの還元剤の存在下で、(3)をアルデヒド(8)と反応させるなど、周知の方法を用いて行うことができる。
【化6】


ここで、R〜R11、n、およびArは、上記(1)で定義した通りであり、Lは、スキーム1で定義した脱離基であり、Pは保護基である。
【0044】
保護基Pの例として、t−ブチルオキシカルボニル、トリフルオロアセチル、ベンジルオキシカルボニル、および所望により置換されていてもよいベンジルが含まれる。脱保護の条件は、特定の保護基による。上記に記載した基では、それぞれ、酸(例えば、トリフルオロ酢酸のジクロロメタン溶液)、塩基(例えば、炭酸カリウムの水性メタノールなどの溶媒の溶液)、および不活性な溶媒中での触媒的水素化分解(例えば、低級アルコールまたは酢酸エチル中のパラジウム/炭素を用いて)である。その範囲内に、保護基の相互交換の手段がある。
【0045】
還元工程(i)、還元的アミノ化工程(ii)、およびアシル化工程(iii)は、スキーム1に記載した通りに実現することができる。アミン(12)の化合物(1)への変換は、適切なケトン(R10もしくはR11=H)またはアルデヒド(R10=R11=H)との還元的アミノ化などの周知の方法により、あるいは炭酸カリウムなどの塩基の存在下でジメチルホルムアミドなどの不活性な溶媒中、アルキル化剤とのN−アルキル化により遂行することができる。あるいは、アルキル化は、Mitsunobu条件下で、すなわち、ジクロロメタンまたはテトラヒドロフランなどの不活性な溶媒中、トリフェニルホスフィンまたはトリブチルホスフィンなどのホスフィン試薬、およびジエチルアゾジカルボキシレート、ジイソプロピルアゾジカルボキシレート、または1,1’−アゾジカルボニルジピペリジンなどのアゾジカルボニル試薬の存在下で、適切なアルコールで実現することができる。
【0046】
したがって、第2の態様では、本発明は、
(a)式(II):
【化7】

[式中、RからR11、n、およびArは式(I)で定義した通りである]
で示される化合物を、式(III):
【化8】

[式中、R、R、およびRは(I)で定義した通りであり、Lは脱離基である]
で示される化合物と反応させる工程、または
【0047】
(b)式(IV):
【化9】

[式中、RからRは(I)で定義した通りである]
で示される化合物を、式(V):
【化10】

[式中、R10、R11、n、およびArは式(I)で定義した通りであり、Zはハロゲン、ヒドロキシ、またはトリフルオロメタンスルホニルオキシなどの脱離基である]
で示される化合物と反応させる工程、
【0048】
(c)nが、1、2、または3である式(I)の化合物に対して、上記で定義した式(IV)の化合物を式(VI):
【化11】

[式中、R10、R11、およびArは式(I)で定義した通りであり、pはnから1を引いた数であり、AはR10またはR11である]
で示される化合物と反応させる工程、ならびに
次いで、所望により、工程(a)、工程(b)、または工程(c)について、
あらゆる保護基を除去すること、および/または、
式(I)の化合物を別の式(I)の化合物に変換すること、および/または、
塩もしくは溶媒和物を形成すること
を含む、式(I)の化合物を調製する方法を提供する。
【0049】
式(I)の化合物は、標準の技術を用いて、式(I)のさらなる化合物に変換することができる。例えば、また、限定的なものとしてよりむしろ例示として、可能な変換反応には、塩化アセチルなどの好適なアシル化試薬でのアシル化、ヨウ化メチルなどの好適なアルキル化試薬を用いるアルキル化、および無水メタンスルホン酸などのスルホニル化剤を用いたスルホニル化が含まれる。
【0050】
医薬上許容される塩は、慣例的には、好適な酸または酸誘導体との反応により調製することができる。
【0051】
本発明の化合物は、GlyT1トランスポーターを阻害する。化合物は、GlyT2トランスポーターよりもGlyT1トランスポーターを選択的に阻害することができる。
【0052】
このような化合物は、ある種の神経障害および神経精神障害の処置に適する。本明細書で用いられる「処置」、および「処置する」は、確立された症状の緩和および/または治療、ならびに予防を意味する。
【0053】
本発明の化合物のGlyT1トランスポーターに対する親和性は、以下のアッセイにより決定することができる。
グリシン(タイプ1)トランスポーターを発現するHEK293細胞を、L−グルタミン2mM、G418 0.8mg/ml、および加熱不活化したウシ胎児血清(Gibco BRL)10%を含む細胞培養液(DMEM/NUTmixF12)中、37℃、5%COで増殖させた。T175フラスコで70〜80%のコンフルエントに増殖させた細胞を回収し、アッセイバッファー[NaCl(140mM)、KCl(5.4mM)、CaCl(1.8mM)、MgSO(0.8mM)、HEPES(20mM)、グルコース(5mM)、およびアラニン(5mM)、pH7.4]に、1.6x10細胞/mlで再懸濁した。等容量のLeadseeker(登録商標)SPAビーズ(アッセイバッファー中12.5mg/mlで懸濁)を細胞に加え、細胞/ビーズ懸濁液25μLを、アッセイバッファー14μLを含む384ウェルの白色固体底プレートの各ウェルに移した(20000細胞/ウェル)。化合物を、DMSO中10mMのストックとして調製した。5mMの最高濃度から化合物の2倍の段階希釈を、DMSOで作成した。各濃度の化合物1μLを、384ウェルのパラレル分取を用いてアッセイプレートに添加した。各ウェルに基質(10μL)を加えた(グリシン5mMを含むアッセイバッファーに[H]−グリシンの1:40希釈)。最終のDMSO濃度=2%。5分間暴露して、PerkinElmer Viewluxを用いてデータを回収した。Grafitを用いてIC50値を決定した。
【0054】
以下の代替のアッセイも用いることができる。
1.
グリシン(タイプ1)トランスポーターを発現するHEK293細胞を、細胞培養液[L−グルタミン2mM、G418 0.8mg/ml、および加熱不活化したウシ胎児血清10%を含むDMEM/NUTmixF12]で、37℃および5%COで増殖させた。T175フラスコで70〜80%のコンフルエントに増殖させた細胞を回収し、アッセイバッファー[NaCl 140mM、KCl 5.4mM、CaCl1.8mM、MgSO0.8mM、HEPES20mM、グルコース5mM、およびアラニン5mM、pH7.4]中、1.6x10細胞/mLで再懸濁した。等容量のWGA SPAビーズ(アッセイバッファー中12.5mg/mlで懸濁)を細胞懸濁液に加え、細胞/ビーズ懸濁液25μLを、アッセイバッファー14μLを含む384ウェルの白色固体底プレートの各ウェルに移した(20000細胞/ウェル)。5mMの最高濃度から化合物をDMSOで2倍に段階希釈し、各化合物から16データポイントの投与量−反応を得た。各濃度の化合物1μLを、アッセイプレートに添加した。各ウェルに基質(10μL)を加えた[グリシン5mMを含むアッセイバッファーに[H]−グリシンの1:40希釈]。最終のDMSO濃度は2v/v%であった。Wallac Triluxを用いてデータを回収した。Grafitを用いてIC50値を決定した。
2.
グリシン(タイプ1)トランスポーターを発現するHEK293細胞を、細胞培養液[L−グルタミン2mM、G418 0.8mg/ml、および加熱不活化したウシ胎児血清10%を含むDMEM/NUTmixF12]で、37℃および5%COで増殖させた。T175フラスコで70〜80%のコンフルエントに増殖した細胞を回収し、アッセイバッファー[NaCl 140mM、KCl 5.4mM、CaCl1.8mM、MgSO0.8mM、HEPES20mM、グルコース5mM、およびアラニン5mM、pH7.4]中、1.6x10細胞/mlで再懸濁した。10mMの最高濃度から化合物をDMSOで2倍に段階希釈し、各化合物から16データポイントの投与量−反応を得た。各濃度の化合物250nLを、アッセイプレートに添加した。等容量のLeadseeker(商標)WGA SPAビーズ(アッセイバッファー中12.5mg/mlで懸濁)を細胞懸濁液に添加し、細胞/ビーズ懸濁液12.5μLを、試験化合物250nLを含む384ウェル白色固体底プレートの各ウェルに移した(10000細胞/ウェル)。各ウェルに基質(12.5μL)を加えた[グリシン2mMを含むアッセイバッファーに[H]−グリシンストックの1:100希釈]。最終のDMSO濃度は1v/v%であった。Perkin Elmer Viewluxを用いてデータを回収した。Grafitを用いてIC50値を決定した。
【0055】
化合物のplC50が4.8もしくはそれを超え、または10μMの濃度で阻害が30%を超える場合に、化合物はGlyT1トランスポーターで活性があるとみなされる。以下の例の化合物は、GlyT1トランスポーターでplC50が6.0を超えることが見出された。本発明の好ましい化合物は、GlyT1トランスポーターでplC50が6.0を超えることが見出された。
【0056】
したがって、本発明のさらなる一態様では、治療で使用するための、前述の式(I)の化合物、またはその塩もしくは溶媒和物が提供される。
【0057】
本発明の別の一態様では、GlyT1が媒介する障害の処置に使用するための、前述の式(I)の化合物、またはその塩もしくは溶媒和物が提供される。
【0058】
本明細書で用いる「GlyT1が媒介する障害」は、GlyT1トランスポーターの活性を変更する薬物を投与することにより処置することができる障害を意味する。上記に記載したように、GlyT1トランスポーターの作用は、NMDA受容体周囲のグリシンの局部濃度に影響を及ぼす。NMDA受容体が効率よく機能するためには、ある量のグリシンが必要とされるので、グリシンの局所濃度に対するあらゆる変化はNMDAが媒介する神経伝達に影響を及ぼし得る。上記に記載したように、NMDAが媒介する神経伝達は、認知症、うつ病および精神病、例えば統合失調症、ならびに学習障害および記憶障害、例えば注意欠陥障害および自閉症などの、ある種の神経精神障害に関係している。したがって、GlyT1トランスポーターの活性を変更すると、このような障害に影響を及ぼすと考えられる。
【0059】
本明細書で言及するGlyT1が媒介する障害は、統合失調症、認知症、ならびに注意欠陥障害および器質脳症候群などの他の形態の認知損傷を含めた、神経障害および神経精神障害を含む。他の神経精神障害には、薬物性(フェンシクリジン、ケタミン、および他の解離性麻酔薬、アンフェタミンおよび他の精神賦活薬、ならびにコカイン)精神病、情動障害に関連する精神病、短期反応精神病、統合失調情動精神病、およびNOS精神病、統合失調質もしくは統合失調症性人格障害などの「統合失調症圏」障害、または精神病(例えば、大うつ病、躁うつ性(双極性)障害に付随する疾患、アルツハイマー病、および外傷後ストレス症候群)、ならびに自閉症などのNMDA受容体に関連する障害、うつ病、良性健忘症、小児期学習障害、および閉塞性頭部外傷が含まれる。
【0060】
本発明の別の一態様では、上記で定義した式(I)の化合物、またはその塩もしくは溶媒和物の有効量を投与することを含む、GlyT1が媒介する障害に罹患しており、または感受性のある、ヒトを含む哺乳動物を処置する方法が提供される。
【0061】
本発明の別の一態様では、上記で定義した式(I)の化合物、またはその塩もしくは溶媒和物の、GlyT1が媒介する障害を処置するための薬剤の調製における使用が提供される。
【0062】
上記に記載した使用または方法で処置する、GlyT1が媒介する障害は、統合失調症、認知症、および注意欠陥障害を含む精神病、特に統合失調症であることが好ましい。
【0063】
本明細書で用いられる「有効量」は、例えば研究者または臨床医が探求する組織、系、動物、またはヒトの生物学的反応または医学的反応を誘発する、薬物または薬剤の量を意味する。
【0064】
本発明にしたがって用いる化合物は原材料として投与することができるが、有効成分は医薬組成物の形態で提供することが好ましい。
【0065】
したがって、本発明のさらなる一態様では、上記に記載した式(I)の化合物、またはその塩もしくは溶媒和物、および少なくとも1つの医薬上許容される担体、希釈剤、または賦形剤を含む医薬組成物が提供される。
【0066】
これらの医薬組成物は、例えば統合失調症など、GlyT1阻害薬が指摘される臨床的病状の処置に用いることができる。担体は、受容者にとって薬学的に許容できなければならず、組成物中の他の成分と相容性でなければならず、すなわち心身に有害な作用を有してはならない。担体は固体でも液体でもよく、単位投与量形態として、式(I)の化合物、またはその塩もしくは溶媒和物の少なくとも1つとともに処方することが好ましい。所望により、他の生理学的に活性な成分を、本発明の医薬組成物に組み入れてもよい。
【0067】
本発明の文脈内では、本明細書に用いる用語は、American Psychiatric Association(DSM−IV)発行のDiagnostic and Statistical Manual of Mental Disorders、第4版、および/またはInternational Classification of Diseases、第10版(ICD−10)で分類されているものである。本明細書で言及する障害の様々な亜型は、本発明の部分として企図されるものである。以下に列挙する疾患の後の括弧内の番号は、DSM−IVにおける分類番号を意味する。
【0068】
詳しく述べると、式(I)の化合物は、亜型である、妄想型(295.30)、解体型(295.10)、緊張型(295.20)、鑑別不能型(295.90)、および残遺型(295.60)を含む統合失調症;統合失調症様障害(295.40);亜型である双極型およびうつ型を含む、統合失調感情障害(295.70);亜型である色情型、誇大妄想型、嫉妬型、被害妄想型、身体型、混合型、および非特定型を含む妄想性障害(297.1);短期精神障害(298.8);共有精神障害(297.3);妄想を伴う亜型および幻覚を伴う亜型を含む一般的な医学的病状による精神障害;妄想を伴う亜型(293.81)および幻覚を伴う亜型(293.82)を含む物質誘発性精神障害;および他に特定されない精神障害(298.9)の処置に有用である。
【0069】
式(I)の化合物は、大うつ病エピソード、そう病エピソード、混合エピソード、および軽そう病エピソードを含む気分障害;大うつ病性障害、気分変調性障害(300.4)、他に特定されないうつ病性障害(311)を含むうつ病性障害;I型双極性障害、II型双極性障害(軽そう病エピソードを伴う再発性大うつ病エピソード)(296.89)、循環障害(301.13)、および他に特定されない双極性障害(296.80)を含む双極性障害;うつ病の特徴を伴う亜型、大うつ病様エピソードを伴う亜型、そう病の特徴を伴う亜型、および混合型の特徴を伴う亜型)を含む一般的な医学的病状による気分障害(298.83)、物質誘発性気分障害(うつ病の特徴を伴う亜型、そう病の特徴を伴う亜型、および混合型の特徴を伴う亜型を含む)、ならびに他に特定されない気分障害を含む気分障害(296.90)を含む、他の気分障害の処置にも有用である。
【0070】
式(I)の化合物は、不安発作、広場恐怖症、パニック障害、パニック障害の病歴のない広場恐怖症(300.22)、動物型、自然環境型、血液−注射−外傷型、状況型、およびその他の型の亜型を含む特定恐怖症(300.29)、対人恐怖症(300.23)、強迫性障害(300.3)、心的外傷ストレス障害(309.81)、急性ストレス障害(308.3)、全般性不安障害(300.02)、一般的な医学的病状による不安障害(293.84)、物質誘発性不安障害、および他に特定されない不安障害(300.00)を含む不安障害の処置にも有用である。
【0071】
式(I)の化合物は、物質依存症および物質乱用などの物質使用障害;物質中毒、物質離脱、物質誘発性せん妄、物質誘発性持続性認知症、物質誘発性持続性健忘性障害、物質誘発性精神障害、物質誘導性気分障害、物質誘発性不安障害、物質誘発性性的機能不全、物質誘発性睡眠障害、および幻覚発現薬性持続性知覚障害(フラッシュバック)などの物質誘発性障害;アルコール依存症(303.90)、アルコール乱用(305.00)、アルコール中毒(303.00)、アルコール離脱(291.81)、アルコール中毒せん妄、アルコール離脱せん妄、アルコール誘発性持続性認知症、アルコール誘発性持続性健忘性障害、アルコール誘発性精神障害、アルコール誘発性気分障害、アルコール誘発性不安障害、アルコール誘発性性的機能不全、アルコール誘発性睡眠障害、および他に特定されないアルコールに関連する障害(291.9)などのアルコールに関連する障害;アンフェタミン依存症(304.40)、アンフェタミン乱用(305.70)、アンフェタミン中毒(292.89)、アンフェタミン離脱(292.0)、アンフェタミン中毒せん妄、アンフェタミン誘導性精神障害、アンフェタミン誘導性気分障害、アンフェタミン誘導性不安障害、アンフェタミン誘導性性機能障害、アンフェタミン誘導性睡眠障害、および他に特定されないアンフェタミンに関連する障害(292.9)などのアンフェタミン(またはアンフェタミン様)に関連する障害;カフェイン中毒(305.90)、カフェイン誘導性不安障害、カフェイン誘導性睡眠障害、および他に特定されないカフェインに関連する障害(292.9);大麻依存症(304.30)、大麻乱用(305.20)、大麻中毒(292.89)、大麻中毒せん妄、大麻誘発性精神障害、大麻誘発性不安障害、および他に特定されない大麻に関連する障害(292.9)などの大麻に関連する障害;コカイン依存症(304.20)、コカイン乱用(305.60)、コカイン中毒(292.89)、コカイン離脱(292.0)、コカイン中毒せん妄、コカイン誘発性精神障害、コカイン誘導性気分障害、コカイン誘導性不安障害、コカイン誘導性性的機能不全、コカイン誘導性睡眠障害、および他に特定されないコカインに関連する障害(292.9)などのコカインに関連する障害;幻覚発現薬依存症(304.50)、幻覚発現薬乱用(305.30)、幻覚発現薬中毒(292.89)、幻覚発現薬性持続性知覚障害(フラッシュバック)(292.89)、幻覚発現薬中毒せん妄、幻覚発現薬誘導性精神障害、幻覚発現薬誘導性気分障害、幻覚発現薬誘導性不安障害、および他に特定されない幻覚発現薬に関連する障害(292.9)などの幻覚発現薬に関連する障害;吸入薬依存症(304.60)、吸入薬乱用(305.90)、吸入薬中毒(292.89)、吸入薬中毒せん妄、吸入薬誘発性持続性認知症、吸入薬誘発性精神障害、吸入薬誘発性気分障害、吸入薬誘発性不安障害、および他に特定されない吸入薬に関連する障害(292.9)などの吸入薬に関連する障害;ニコチン依存症(305.1)、ニコチン離脱(292.0)、および他に特定されないニコチンに関連する障害(292.9)などのニコチンに関連する障害;オピオイド依存症(304.00)、オピオイド乱用(305.50)、オピオイド中毒(292.89)、オピオイド離脱(292.0)、オピオイド中毒せん妄、オピオイド誘発性精神障害、オピオイド誘発性気分障害、オピオイド誘発性性的機能不全、オピオイド誘導性睡眠障害、および他に特定されないオピオイドに関連する障害(292.9)などのオピオイドに関連する障害;フェンシクリジン依存症(304.60)、フェンシクリジン乱用(305.90)、フェンシクリジン中毒(292.89)、フェンシクリジン中毒せん妄、フェンシクリジン誘導性精神障害、フェンシクリジン誘導性気分障害、フェンシクリジン誘導性不安障害、および他に特定されないフェンシクリジンに関連する障害(292.9)などのフェンシクリジン(またはフェンシクリジン様)に関連する障害;鎮静薬、催眠薬、または抗不安薬依存症(304.10)、鎮静薬、催眠薬、または抗不安薬乱用(305.40)、鎮静薬、催眠薬、または抗不安薬中毒(292.89)、鎮静薬、催眠薬、または抗不安薬離脱(292.0)、鎮静薬、催眠薬、または抗不安薬中毒せん妄、鎮静薬、催眠薬、または抗不安薬離脱せん妄、鎮静薬、催眠薬、または抗不安薬持続性認知症、鎮静薬、催眠薬、または抗不安薬持続性健忘障害、鎮静薬、催眠薬、または抗不安薬誘発性精神障害、鎮静薬、催眠薬、または抗不安薬誘発性気分障害、鎮静薬、催眠薬、または抗不安薬誘発性不安障害、鎮静薬、催眠薬、または抗不安薬誘発性性的機能不全、鎮静薬、催眠薬、または抗不安薬誘発性睡眠障害、および他に特定されない鎮静薬、催眠薬、または抗不安薬に関連する障害(292.9)などの鎮静薬、催眠薬、または抗不安薬に関連する障害;各種薬物の依存症(304.80)などの各種薬物に関連する障害;ならびに、タンパク同化ステロイド、硝酸吸入薬、および亜酸化窒素などの他の(もしくは未知の)物質に関連する障害を含めた、物質に関連する障害の処置にも有用である。
【0072】
式(I)の化合物は、原発性不眠症(307.42)、原発性過眠症(307.44)、ナルコレプシー(347)、呼吸関連睡眠障害(780.59)、日周期リズム睡眠障害(307.45)、および他に特定されない睡眠異常(307.47)などの睡眠異常等の原発性睡眠障害;悪夢障害(307.47)、夜驚症障害(307.46)、夢遊障害(307.46)、および他に特定されない錯睡眠(307.47)などの錯睡眠等の原発性睡眠障害;別の心的障害に関連する不眠症(307.42)および別の心的障害に関連する過眠症(307.44)などの別の心的障害に関連する睡眠障害;一般的な医学的病状による睡眠障害、亜型である不眠型、過眠型、錯睡眠型、および混合型を含む物質誘発性睡眠障害を含めた睡眠障害の処置にも有用である。
【0073】
式(I)の化合物は、亜型である制限型およびむちゃ食い/排出型を含む拒食症(307.1);亜型である排出型および非排出型を含む神経性過食症(307.51);肥満;強迫性摂食障害;および他に特定されない摂食障害(307.50)などの摂食障害の処置にも有用である。
【0074】
式(I)の化合物は、自閉性障害(299.00);亜型である注意欠陥多動障害混合型(314.01)、注意欠陥多動障害不注意優勢型(314.00)、注意欠陥多動障害多動性優勢型(314.01)、および他に特定されない注意欠陥多動障害(314.9)を含む注意欠陥多動障害;他動性障害;亜型である小児期発症型(321.81)、青年期発症型(312.82)、および特定されない発症(312.89)を含む行為障害、反抗挑戦性障害(313.81)、および他に特定されない破壊的行動障害などの破壊的行動障害;ならびにトゥーレット障害(307.23)などのチック障害の処置にも有用である。
【0075】
式(I)の化合物は、亜型である妄想性人格障害(301.0)、統合失調質人格障害(301.20)、統合失調型人格障害(301.22)、反社会性人格障害(301.7)、境界型人格障害(301.83)、演技性人格障害(301.50)、自己愛性人格障害(301.81)、回避性人格障害(301.82)、依存性人格障害(301.6)、強迫性人格障害(301.4)、および他に特定されない人格障害(301.9)を含む人格障害の処置にも有用である。
【0076】
式(I)の化合物は、統合失調症、双極性障害、うつ病、認知損傷に付随する他の精神障害および精神病状などの、他の疾患における認知損傷の処置を含めた、認知の向上にも有用である。本発明の文脈内では、認知損傷は、例えば、注意、見当識、学習障害、記憶(すなわち記憶障害、健忘症、健忘性障害、一過性全健忘症候群、および年齢に付随する記憶の障害)、ならびに言語機能を含む認知機能の障害;脳卒中の結果としての認知損傷、アルツハイマー病、ハンチントン病、ピック病、エイズに関連する認知症、または多発梗塞性認知症、アルコール性認知症、甲状腺機能低下に関連する認知症、ならびに小脳萎縮症および筋萎縮性側策硬化症などの他の変性障害に付随する認知症などの他の痴呆状態;せん妄またはうつ病(仮性痴呆状態)のトラウマ、頭部外傷、年齢に関連する認知低下、脳卒中、神経変性、薬物誘発性状態、神経毒性物質、軽度の認知損傷、年齢に関連する認知損傷、認知損傷に関連する自閉症、ダウン症候群、精神病に関連する認知欠損、および電気ショック処置後に関連する認知損傷;ならびにパーキンソン病、神経遮断薬誘発性パーキンソニズム、および遅発性ジスキネジーなどの運動障害の処置を含む。
【0077】
式(I)の化合物は、性的欲求低下障害(302.71)および性嫌悪障害(302.79)などの性的衝動障害;女性性的刺激障害(302.72)および男性勃起障害(302.72)などの性的刺激障害;女性オルガスム障害(302.73)、男性オルガスム障害(302.74)、および早発射精(302.75)などのオルガスム障害;性交疼痛(302.76)および膣痙(306.51)などの性交疼痛障害;他に特定されない性的機能不全(302.70);露出症(302.4)、フェチシズム(302.81)、窃触症(302.89)、小児性愛(302.2)、性的マゾヒズム(302.83)、性的サディズム(302.84)、服装倒錯性フェチシズム(302.3)、窃視症(302.82)、および他に特定されない性倒錯(302.9)などの性倒錯;小児における性同一性障害(302.6)、および青年期または成年における性同一性障害(302.85)などの性同一性障害;ならびに他に特定されない性的障害(302.9)を含めた、性的機能不全の処置にも有用である。
【0078】
本発明は、統合失調症、気分障害、不安障害、物質に関連する障害、睡眠障害、摂食障害、自閉症障害、注意欠陥他動性障害、破壊的行動障害、チック障害、人格障害、他の疾患における認知損傷、性的機能不全、パーキンソン病、運動障害、うつ病、双極性障害、認知損傷、肥満、嘔吐、運動障害、強迫性障害、健忘症、攻撃性、めまい、認知症、および日周期リズム障害の処置に使用するための、前記に記載した式(I)の化合物、または医薬上許容されるその塩もしくは溶媒和物も提供する。
【0079】
本発明は、精神障害、統合失調症、パーキンソン病、物質の乱用、運動障害、うつ病、双極性障害、不安、認知損傷、摂食障害、肥満、性的機能不全、睡眠障害、嘔吐、運動障害、強迫性障害、健忘症、攻撃性、自閉症、めまい、認知症、日周期リズム障害、および胃運動性障害の処置に使用するための、前記に記載した式(I)の化合物、または医薬上許容されるその塩もしくは溶媒和物も提供する。
【0080】
本発明の別の一態様では、上記で定義した式(I)の化合物、またはその塩もしくは溶媒和物の有効量を投与することを含む、GlyT1が媒介する障害に罹患しており、または感受性のある、ヒトを含む哺乳動物を処置する方法が提供される。
【0081】
本発明は、上記に記載した式(I)の化合物、または医薬上許容されるその塩もしくは溶媒和物の有効量を、それを必要とする哺乳動物に投与することを含む、統合失調症、気分障害、不安障害、物質に関連する障害、睡眠障害、摂食障害、自閉症障害、注意欠陥多動性障害、破壊的行動障害、チック障害、人格障害、他の疾患における認知損傷、性的機能不全、パーキンソン病、運動障害、うつ病、双極性障害、認知損傷、肥満、嘔吐、運動障害、強迫性障害、健忘症、攻撃性、めまい、認知症、および日周期リズム障害を処置する方法も提供する。
【0082】
本発明は、上記に記載した式(I)の化合物、または医薬上許容されるその塩もしくは溶媒和物の有効量を、それを必要とする哺乳動物に投与することを含む、精神障害、統合失調症、パーキンソン病、物質の乱用、運動障害、うつ病、双極性障害、不安、認知損傷、摂食障害、肥満、性的機能不全、睡眠障害、嘔吐、運動障害、強迫性障害、健忘症、攻撃性、自閉症、めまい、認知症、日周期リズム障害、および胃運動性障害を処置する方法も提供する。
【0083】
本発明の別の一態様では、上記で定義した式(I)の化合物、またはその塩もしくは溶媒和物の、GlyT1が媒介する障害を処置するための薬物の調製における使用が提供される。
【0084】
上記に記載した使用または方法により処置するGlyT1が媒介する障害は、統合失調症、認知症、および注意欠陥障害を含む精神病、特に統合失調症である。
【0085】
本発明は、統合失調症、気分障害、不安障害、物質に関連する障害、睡眠障害、摂食障害、自閉症障害、注意欠陥多動性障害、破壊的行動障害、チック障害、人格障害、他の疾患における認知損傷、性的機能不全、パーキンソン病、運動障害、うつ病、双極性障害、認知損傷、肥満、嘔吐、運動障害、強迫性障害、健忘症、攻撃性、めまい、認知症、および日周期リズム障害を処置するための薬物の製造における、前記に記載した式(I)の化合物、または医薬上許容されるその塩もしくは溶媒和物の使用も提供する。
【0086】
本発明は、精神障害、統合失調症、パーキンソン病、物質の乱用、運動障害、うつ病、双極性障害、不安、認知損傷、摂食障害、肥満、性的機能不全、睡眠障害、嘔吐、運動障害、強迫性障害、健忘症、攻撃性、自閉症、めまい、認知症、日周期リズム障害、および胃運動性障害を処置するための薬物の製造における、前記に記載した式(I)の化合物、または医薬上許容されるその塩もしくは溶媒和物の使用も提供する。
【0087】
本明細書で用いられる「有効量」なる語は、例えば研究者または臨床医が探求する組織、系、動物、またはヒトの生物学的反応または医薬上の反応を誘発する、薬物または薬剤の量を意味する。
【0088】
本発明にしたがって用いる化合物は原材料として投与することができるが、有効成分は医薬組成物の形態で提供することが好ましい。
【0089】
したがって、本発明のさらなる一態様では、上記に記載した式(I)の化合物、またはその塩もしくは溶媒和物、および少なくとも1つの医薬上許容される担体、希釈剤、または賦形剤を含む医薬組成物が提供される。
【0090】
これらの医薬組成物生物は、例えば統合失調症などGlyT1阻害薬が指摘される臨床的病状の処置に用いることができる。担体は、受容者にとって薬学的に許容できなければならず、組成物中の他の成分と相容性でなければならず、すなわち心身に有害な作用を有してはならない。担体は、固体でも液体でもよく、単位投与量形態として、式(I)の化合物、またはその塩もしくは溶媒和物の少なくとも1つとともに処方することが好ましい。所望により、他の生理学的に活性な成分を、本発明の医薬組成物に組み入れてもよい。
【0091】
本発明の化合物は、1つまたは複数の他の治療用物質、例えば、5HT3拮抗薬、セロトニン作用薬、NK−1拮抗薬、選択的セロトニン再取込み阻害薬(SSRI)、ノルアドレナリン再取込み阻害薬(SNRI)、三環系抗うつ薬、ドパミン作動性抗うつ薬、H3拮抗薬、5HT1A拮抗薬、5HT1B拮抗薬、5HT1D拮抗薬、D1作用薬、M1作用薬、および/または抗痙攣薬などの様々な抗うつ薬、ならびに非定型抗精神病薬、および向知性薬と組み合わせて用いると有利であることがあることを、当業者であれば理解するであろう。
【0092】
本発明の化合物と組み合わせて用いることができる適切な5HT3拮抗薬には、例えば、オンダンセトロン、グラニセトロン、メトクロプラミドが含まれる。
【0093】
本発明の化合物と組み合わせて用いることができる適切なセロトニン拮抗薬には、スマトリプタン、ラウウォルシン(rauwolscine)、ヨヒンビン、メトクロプラミドが含まれる。
【0094】
本発明の化合物と組み合わせて用いることができる適切なSSRIには、フルオキセチン、シタロプラム、フェモキセチン、フルボキサミン、パロキセチン、インダルピン、セルトラリン(setraline)、ジメルジンが含まれる。
【0095】
本発明の化合物と組み合わせて用いることができる適切なSNRIには、ベンラファキシン、およびレボキセチンが含まれる。
【0096】
本発明の化合物と組み合わせて用いることができる適切な三環系抗うつ薬には、イミプラミン、アミトリプチリン、クロミプラミン、およびノルトリプチリンが含まれる。
【0097】
本発明の化合物と組み合わせて用いることができる適切なドパミン作動性抗うつ薬には、ブプロピオンおよびアミネプチンが含まれる。
【0098】
本発明の化合物と組み合わせて用いることができる適切な抗痙攣薬には、例えば、ジバルプロエクス、カルバマゼピン、およびジアゼパムが含まれる。
【0099】
本発明の化合物と組み合わせて用いることができる適切な非定型抗精神病薬には、例えば、リスペリドン、オランザピン、ジプラシドン、アリピプラゾール、およびクロザピンが含まれる。
【0100】
組合せの化合物、または組成物は、同時に(同一の、もしくは異なる医薬処方のいずれかにおいて)、別々に、または逐次に投与することができることが理解されよう。
【0101】
式(I)の化合物、ならびにそれらの医薬上許容される塩および溶媒和物は、改善された精神障害の処置を提供するための、他の典型的な、および非定型の抗精神病薬との組合せにも適している。式(I)の化合物、ならびにそれらの医薬上許容されるその塩および溶媒和物の組合せ、使用、および方法に付随する詳しい利点として、個々の成分に通常用いるよりも低い投与量で有効性が同等であり、または向上していることが含まれる。精神障害の、陽性症状、および/または陰性症状、および/または認知症状の処置の改善も見ることができる。本発明の処置の組合せ、使用、および方法は、ある神経遮断薬での処置に十分に反応できない患者、または耐性である患者の処置にも利点をもたらすことができる。
【0102】
本発明の併用療法は、補助的に投与することが好ましい。補助的投与は、各成分を別々の医薬組成物または装置の形態で、完全に重複し、または一部重複して投与することを意味する。2つまたはそれを超える治療用物質の治療的投与のこのレジームは、当業者および本明細書で補助的な治療的投与として概ね言及され、付加的な治療的投与でも知られる。患者が式(I)の化合物、または医薬上許容されるその塩もしくは溶媒和物、および少なくとも1つの神経遮断薬を、別々であるが、完全に重複し、または一部重複する治療的投与を受ける、あらゆる、かつ、全ての治療レジメンは、本発明の範囲内である。本明細書に記載した補助的な治療的投与の一実施形態では、患者は、典型的には、ある期間、1つまたは複数の構成成分の治療的投与に安定化され、次いで別の成分の投与を受ける。本発明の範囲内では、式(I)の化合物、または医薬上許容されるその塩もしくは溶媒和物を、少なくとも1つの神経遮断薬の投与を受けている患者に対する補助的な治療的処置として投与することが好ましいが、本発明の範囲は、式(I)の化合物、または医薬上許容されるその塩もしくは溶媒和物の投与を受けている患者に対する少なくとも1つの神経遮断薬の補助的な治療的投与も含む。
【0103】
本発明の併用療法は、同時に投与してもよい。同時投与は、単一の医薬組成物、または両成分を構成し、もしくは含む装置の形態で、あるいは同時に投与される成分の1つを、各々が含む別々の組成物もしくは装置として、個々の成分を一緒に投与する処置のレジメンを意味する。同時に組み合わせるための、このような別々の個々の成分の組合せは、パーツのかたまりの形態で提供することができる。
【0104】
したがってさらなる一態様では、本発明は、式(I)の化合物、または医薬上許容されるその塩もしくは溶媒和物を、少なくとも1つの神経遮断薬の治療的投与を受けている患者に補助的に治療的投与することによる、精神障害を処置する方法を提供する。さらなる一態様では、本発明は、少なくとも1つの神経遮断薬の治療的投与を受けている患者における精神障害を処置するための補助的な治療的投与のための薬物の製造における、式(I)の化合物、または医薬上許容されるその塩もしくは溶媒和物の使用を提供する。本発明は、少なくとも1つの神経遮断薬の治療的投与を受けている患者における精神障害を処置するための補助的な治療的投与のための、式(I)の化合物、または医薬上許容されるその塩もしくは溶媒和物をさらに提供する。
【0105】
さらなる一態様では、本発明は、式(I)の化合物、または医薬上許容されるその塩もしくは溶媒和物の治療的投与を受けている患者に、少なくとも1つの神経遮断薬を補助的に治療的投与することによる、精神障害を処置する方法を提供する。さらなる一態様では、本発明は、式(I)の化合物、または医薬上許容されるその塩もしくは溶媒和物の治療的投与を受けている患者における精神障害を処置するための補助的な治療的投与のための薬物の製造における、少なくとも1つの神経遮断薬の使用を提供する。本発明は、式(I)の化合物、または医薬上許容されるその塩もしくは溶媒和物の治療的投与を受けている患者における精神障害を処置するための補助的な治療的投与のための少なくとも1つの神経遮断薬をさらに提供する。
【0106】
さらなる一態様では、本発明は、式(I)の化合物、または医薬上許容されるその塩もしくは溶媒和物を、少なくとも1つの神経遮断薬と組み合わせて同時に治療的投与することによる、精神障害を処置する方法を提供する。本発明は、精神障害の処置において同時に治療的投与するための薬物の製造における、式(I)の化合物または医薬上許容されるその塩と少なくとも1つの神経遮断薬との組合せの使用をさらに提供する。本発明は、精神障害の処置において少なくとも1つの神経遮断薬と同時に治療的投与するための薬物の製造における、式(I)の化合物または医薬上許容されるその塩の使用をさらに提供する。本発明は、精神障害の処置において、少なくとも1つの神経遮断薬と同時に治療的投与するための使用のための式(I)の化合物または医薬上許容されるその塩をさらに提供する。本発明は、精神障害の処置において式(I)の化合物または医薬上許容されるその塩と同時に治療的投与をするための薬物の製造における、少なくとも1つの神経遮断薬の使用をさらに提供する。
【0107】
さらなる一態様では、本発明は、式(I)の化合物、または医薬上許容されるその塩もしくは溶媒和物、および少なくとも1つの気分安定薬または抗そう病薬、式(I)の化合物、または医薬上許容されるその塩もしくは溶媒和物、および少なくとも1つの気分安定薬または抗そう病薬を含む、医薬組成物を含む医薬組成物を同時に治療的投与することによる精神障害を処置する方法、式(I)の化合物、または医薬上許容されるその塩もしくは溶媒和物および少なくとも1つの気分安定薬または抗そう病薬を含む医薬組成物の精神障害を処置するための薬物の製造における使用、ならびに精神障害の処置において使用するための、式(I)の化合物、または医薬上許容されるその塩もしくは溶媒和物、および少なくとも1つの気分安定薬または抗そう病薬を含む医薬組成物を提供する。
【0108】
さらなる一態様では、本発明は、式(I)の化合物、または医薬上許容されるその塩もしくは溶媒和物、および同時に治療的投与するための神経遮断薬を各々が含む1つまたは複数のさらなる投与量形態を含む初回投与量形態を含む、精神障害の処置における使用のためのパーツのかたまりを提供する。
【0109】
本発明の文脈の中で、精神障害は、統合失調症、気分障害、不安障害、物質に関連する障害、睡眠障害、摂食障害、自閉症障害、注意欠陥多動性障害、破壊的行為障害、チック障害、人格障害、他の疾患における認知損傷、性的機能不全、運動障害、うつ病、双極性障害、認知損傷、および強迫性障害、ならびに全ての本明細書で述べた様々な形態の障害など、上記に記載したこれらの障害を含み、これらは本発明の部分として企図される。
【0110】
本発明で有用な神経遮断薬/向精神薬の例として、それだけには限定されないが、ハロペリドール、ピモジド、およびドロペリドールなどのブチロフェノン系;クロルプロマジン、チオリダジン、メソリダジン、トリフルオペラジン、ペルフェナジン、フルフェナジン、チフルプロマジン(thiflupromazine)、プロクロルペラジン、およびアセトフェナジンなどのフェノチアジン系;チオチキセン、およびクロルプロチキセンなどのチオキサンテン系;チエノベンゾジアゼピン系;ジベンゾジアゼピン系;ベンズイソキサゾール系;ジベンゾチアゼピン系;イミダゾリジノン系;ベンズイソチアゾリル−ピペラジン系;ラモトリジンなどのトリアジン系;ロキサピンなどのジベンゾオキサゼピン(dibenzoxazepine)系;モリンドンなどのジヒドロインドロン類;アリピプラゾール;ならびに抗精神病作用を有するこれらの誘導体が含まれる。
【0111】
本発明の使用に好ましい神経遮断薬を、表1に示す。
【表1−1】


【表1−2】

【0112】
選択された神経遮断薬の商品名および供給業者の例は以下の通りである。クロザピン(Mylan、Zenith Goldline、UDL、NovartisからCLOZARIL(登録商標)の商品名で入手可能)、オランザピン(LillyからZYPREX(登録商標)の商品名で入手可能)、ジプラシドン(PfizerからGEODON(登録商標)の商品名で入手可能)、リスペリドン(JanssenからRISPERDAL(登録商標)の商品名で入手可能)、フマル酸クエチアピン(AstraZenecaからSEROQUEL(登録商標)の商品名で入手可能)、ハロペリドール(Ortho−McNeilからHALDOL(登録商標)の商品名で入手可能)、クロルプロマジン(SmithKline Beecham(GSK)からTHORAZINE(登録商標)の商品名で入手可能)、フルフェナジン(Apothecon、Copley、Schering、Teva、およびAmerican Pharmaceutical Partners、PasadenaからPROLIXIN(登録商標)の商品名で入手可能)、チオチキセン(PfizerからNAVANE(登録商標)の商品名で入手可能)、トリフルオペラジン(10−[3−(4−メチル−1−ピペラジニル)プロピル]−2−(トリフルオロメチル)フェノチアジン二塩酸塩、Smith Klein BeckmanからSTELAZINE(登録商標)の商品名で入手可能)、ペルフェナジン(ScheringからTRILAFON(登録商標)の商品名で入手可能)、チオリダジン(Novartis、Roxane、HiTech、Teva、およびAlpharmaからMELLARIL(登録商標)の商品名で入手可能)、モリンドン(EndoからMOBAN(登録商標)の商品名で入手可能)、およびロキサピン(WatsonからLOXITANE(登録商標)の商品名で入手可能)。さらに、ベンペリドール(Glianimon(登録商標))、ペラジン(Taxilan(登録商標))、またはメルペロン(Eunerpan(登録商標))を用いることができる。
【0113】
他の好ましい神経遮断薬には、プロマジン(SPARINE(登録商標)の商品名で入手可能)、トリフルルプロマジン(triflurpromazine)(VESPRIN(登録商標)の商品名で入手可能)、クロルプロチキセン(TARACTAN(登録商標)の商品名で入手可能)、ドロペリドール(INAPSINE(登録商標)の商品名で入手可能)、アセトフェナジン(TINDAL(登録商標)の商品名で入手可能)、プロクロルペラジン(COMPAZINE(登録商標)の商品名で入手可能)、メトトリメプラジン(NOZINAN(登録商標)の商品名で入手可能)、ピポチアジン(PIPOTRIL(登録商標)の商品名で入手可能)、ジプラシドン、および 非経口が含まれる。
【0114】
本発明の化合物は、1つまたは複数の他の治療用物質、例えば、5HT3拮抗薬、セロトニン拮抗薬、NK−1拮抗薬、選択的セロトニン再取込み阻害薬(SSRI)、ノルアドレナリン再取込み阻害薬、三環系抗うつ薬、ドパミン作動性抗うつ薬、H3拮抗薬、5HT1A拮抗薬、5HT1B拮抗薬、5HT1D拮抗薬、D1作用薬、M1作用薬、および/または抗痙攣薬などの様々な抗うつ薬、ならびに非定型抗精神病薬、および向知性薬と組み合わせて有利に用いることができることを、当業者であれば理解するであろう。
【0115】
本発明の化合物と組み合わせて用いることができる適切な5HT3拮抗薬には、例えば、オンダンセトロン、グラニセトロン、メトクロプラミドが含まれる。本発明の化合物と組み合わせて用いることができる適切なセロトニン作用薬には、スマトリプタン、ラウウォルシン、ヨヒンビン、メトクロプラミドが含まれる。
【0116】
本発明の化合物と組み合わせて用いることができる適切なSSRIには、フルオキセチン、シタロプラム、フェモキセチン、フルボキサミン、パロキセチン、インダルピン、セルトラリン、ジメルジンが含まれる。
【0117】
本発明の化合物と組み合わせて用いることができる適切なSNRIには、ベンラファキシンおよびレボキセチンが含まれる。
【0118】
本発明の化合物と組み合わせて用いることができる適切な三環系抗うつ薬には、イミプラミン、アミトリプチリン、クロミプラミン、およびノルトリプチリンが含まれる。
【0119】
本発明の化合物と組み合わせて用いることができる適切なドパミン作動性抗うつ薬には、ブプロピオンおよびアミネプチンが含まれる。
【0120】
本発明の化合物と組み合わせて用いることができる適切な抗痙攣薬には、例えば、ジバルプロエクス、カルバマゼピン、およびジアゼパムが含まれる。
【0121】
本発明の化合物と組み合わせて用いることができる適切な非定型抗精神病薬には、例えば、リスペリドン、オランザピン、ジプラシドン、アリピプラゾール、およびクロザピンが含まれる。
【0122】
組合せの化合物、または組成物は、同時に(同一の、もしくは異なる薬剤製剤のいずれかにおいて)、別々に、または逐次に投与することができることが理解されよう。
【0123】
可能な処方には、経口の、舌下の、バッカルの、非経口の(例えば、皮下の、筋肉内の、または静脈内の)、直腸の、局所の、および鼻腔内の投与に適するもの、および吸入または通気(口または鼻のいずれかによる)の投与に適する形態のものが含まれる。特定の患者に最も適する投与手段は、処置する病状の性質および重症度により、有効化合物の性質によるが、可能な場合には経口投与が好ましい。
【0124】
経口投与に適する処方は、各々が所定の量の有効成分を含む、錠剤、カプセル剤、カシェ剤、もしくはロゼンジ剤などの別個の単位で、粉末剤もしくは顆粒剤で、水性もしくは非水性の液体の溶液もしくは懸濁剤で、または水中油型もしくは油中水型の乳剤で提供することができる。
【0125】
舌下の、またはバッカルの投与に適する処方には、有効化合物、ならびに典型的には糖およびアラビアゴムもしくはトラガカントゴムなどの味付けされた基剤を含むロゼンジ剤、ならびにゼラチンおよびグリセリンまたはショ糖およびアラビアゴムなどの不活性な基剤中に有効化合物を含む香錠が含まれる。
【0126】
非経口投与に適する処方は、典型的には、所定の濃度の有効化合物を含む滅菌の水溶液を含み、この溶液は意図する受容者の血液と等張であることが好ましい。そのような溶液は、静脈から投与することが好ましいが、皮下注射または筋肉内注射により投与することもできる。
【0127】
直腸投与に適する処方は、有効成分、および、座剤の基剤を形成する1つまたは複数の固体の担体、例えばココアバターを含む、単位投与量の座剤として提供することが好ましい。
【0128】
局所の、または鼻腔内の適用に適する処方には、軟膏剤、クリーム剤、ローション剤、パスタ剤、ゲル剤、噴霧剤、エアロゾル、および油剤が含まれる。このような処方に適する担体には、ワセリン、ラノリン、ポリエチレングリコール、アルコール、およびこれらの組合せが含まれる。
【0129】
本発明の処方は、あらゆる適切な方法により、典型的には、有効化合物を液体もしくは微粉化した固体の担体、またはその両方と、望ましい比率で均一かつ完全に混合し、次いで、必要であれば得られた混合物を望ましい形状に形作ることにより調製することができる。
【0130】
例えば、錠剤は、有効成分の粉末または顆粒、および1つまたは複数の所望の成分、例えば、結合剤、滑沢剤、不活性の希釈剤、もしくは界面活性の分散剤を含む均質な混合物を圧縮することにより、あるいは粉末化した有効成分および不活性の液体の希釈剤の均質な混合物を成形することにより、調製することができる。
【0131】
非経口投与のための水溶液は、典型的には、有効化合物を十分な水に溶解して望ましい濃度にし、次いで得られた溶液を滅菌および等張にすることにより調製する。
【0132】
投与する正確な投与量は、患者の年齢および病状、ならびに投与の頻度および経路により、担当の医師の最終判断にあることが理解されよう。化合物は、1回のまたは分割した投与量で投与することができ、1回または複数回、例えば、1日1から4回投与することができる。
【0133】
統合失調症を含む、GlyT1阻害物質が媒介する神経障害および神経精神障害を処置するために、(体重約70kgの)ヒトに対する、経口の、舌下の、非経口の、バッカルの、直腸の、鼻腔内の、または局所の投与のために、本発明により使用するための有効成分の提唱されている投与量は、例えば、1日1回から4回投与することができる単位投与量あたりの有効成分が、約1から約1000mg、好ましくは約5から約500mg、より好ましくは約10から約100mgであることができる。
【0134】
本発明を、以下の非限定的な実施例により、さらに説明する。
【0135】
略語
テトラヒドロフラン THF
ジクロロメタン DCM
トリエチルアミン TEA
酢酸エチル EtOAc
重炭酸ナトリウム NaHCO
水素化アルミニウムリチウム LAH
ジメチルスルホキシド DMSO
アセトニトリル MeCN
(実施例)
【0136】
記載例1:4−(2−フルオロ−4−ニトロフェニル)モルホリン
【化12】

氷塩浴中で冷却したモルホリン(71.3ml、0.82モル)のTHF溶液(60ml)に、3,4−ジフルオロニトロベンゼン(30g、0.18モル)を滴加した。添加後、冷却を取り除き、反応混合物を1.25時間かけて室温に暖めた。得られた淡黄色の懸濁液を冷却し、クエン酸水溶液を25分間かけて滴加し、その後さらなる35分間撹拌した。トルエン(1L)を加え、得られた溶液を水で洗浄し、乾燥し、蒸発させて淡黄色固体の表題生成物(42.6g、100%)を得た。
H NMR(CDCl)δ:3.29(4H,m)、3.88(4H,m)、6.92(1H,t,J=9Hz)、7.91(1H,m)、8.00(1H,m)。
【0137】
記載例2:3−フルオロ−4−(4−モルホリニル)アニリン
【化13】

4−(2−フルオロ−4−ニトロフェニル)モルホリンD1(42.6g、0.19モル)のエタノール溶液(1.2L)を、NTPで18時間、10%Pd/Cペースト(4g)上で水素化した。得られた混合物を、Kieselguhrでろ過し、ろ液を真空中で蒸発させて、無色固体の表題生成物(36.9g、100%)を得た。
H NMR(CDCl)δ:2.96(4H,m)、3.55(2H,br s)、3.84(4H,m)、6.41(2H,m)、6.79(1H,m)。
【0138】
記載例3:エチル1−[(4−エチルフェニル)カルボニル]−4−ピペリジンカルボキシレート
【化14】

4−エチルベンゾイルクロライド(21.8ml、0.128モル)のDCM溶液(70ml)を、0℃のエチルイソニペコテート(ethyl isonipecotate)(23.27g、0.148モル)およびTEA(41.5ml、0.296モル)のDCM溶液(300ml)の撹拌されている溶液に30分かけて滴加した。反応混合物を、放置して室温に暖め、一夜撹拌した。混合物を蒸発させ、残渣をEtOAc(350ml)で溶解し、水(400ml)、1M HCl(2x250ml)、NaHCO3(sat)(250ml)、および塩水(2x150ml)で洗浄した。有機相をNaSOで乾燥し、濃縮して、白色固体の表題生成物(40.5g、95%)を得た。
H−NMR(300MHz,DMSO)δ:1.1(6H,m)、1.4(2H,m)、1.7(2H.br m)、2.5(3H,m)、2.9(2H,br m)、3.45(1H,br m)、4.0(2H,q)、4.2(1H,br m)、7.10(4H,m)。
【0139】
記載例4:1−[(4−エチルフェニル)カルボニル]−4−ピペリジンカルボキシル酸
【化15】

室温で、水酸化ナトリウム(300ml 1M)を、撹拌しながら、エチル1−[(4−エチルフェニル)カルボニル]−4−ピペリジンカルボキシレートD3(43.3g、0.15モル)のメタノール水溶液(300ml:300ml)に加えた。18時間後、混合物を真空中で約500mlに濃縮し、2N HClで酸性化して、放置して固化する淡黄色ゴム状の酸性生成物を沈殿させた。この固体をろ過し、水で洗浄し、真空中で乾燥して、無色固体の表題生成物(35.7g、91%)を得た。マススペクトル(エレクトロスプレーLC/MS)で262(MH)にピークが見出された。C1519NOは261である。
【0140】
記載例5:1−[(4−エチルフェニル)カルボニル]−N−[3−フルオロ−4−(4−モルホリニル)フェニル]−4−ピペリジンカルボキシアミド
【化16】

1−[(4−エチルフェニル)カルボニル]−4−ピペリジンカルボキシル酸D4(12.65g、48.4ミリモル)の無水トルエン溶液(250ml)に、アルゴン下0℃で、塩化チオニル(50ml、700ミリモル)を0.5時間かけて滴加した。得られた混合物を、放置して室温にし、18時間撹拌し、次いで真空中で蒸発させた。残渣をトルエン(x2)から再蒸発させて、コハク色油状の粗製の酸塩化物(14g、100%)を得、これを精製せずに使用した。
上記の酸塩化物のDCM溶液(50ml)を、0℃で、3−フルオロ−4−(4−モルホリニル)アニリン(7.13g、36ミリモル)およびトリエチルアミン(14ml、101ミリモル)の撹拌されているDCM溶液(450ml)に滴加した。得られた混合物を、放置して室温に到達させ、18時間撹拌し、次いでNaHCO3(sat)で分割した。有機相を乾燥し、真空中で蒸発させて、ベージュ色固体の表題生成物(20.1g、91%)を得た。マススペクトル(エレクトロスプレーLC/MS)で440(MH)にピークが見出された。C2530FNは439である。
【0141】
記載例6:N−({1−[(4−エチルフェニル)メチル]−4−ピペリジニル}メチル)−3−フルオロ−4−(4−モルホリニル)アニリン
【化17】

1−[(4−エチルフェニル)カルボニル]−N−[3−フルオロ−4−(4−モルホリニル)フェニル]−4−ピペリジンカルボキシアミドD5(20.1g、46ミリモル)の無水THF溶液(350ml)に、LAH(130ml 1M THF溶液)を、アルゴン下0℃で滴加した。反応物を放置して室温まで暖め、次いで3時間還流して加熱した。室温まで冷却後、氷冷しながら、水(14ml)、2N NaOH(17ml)および水(14ml)を継続的に滴加した。5分後、硫酸ナトリウムを加え、さらなる10分間撹拌を続け、その後反応混合物をろ過した。固体を、THFで十分に洗浄し、ろ液と洗浄物を合わせたものを真空中で蒸発させた。残渣を、シリカゲル上のクロマトグラフィーで酢酸エチルで溶出して、オフホワイト固体の表題生成物(13g、94%)を得た。マススペクトル(エレクトロスプレーLC/MS)で412(MH)にピークが見出された。C2534FNOは411である。
【0142】
記載例7:エチル1−{[4−(トリフルオロメチル)フェニル]カルボニル}−4−ピペリジンカルボキシレート
【化18】

0℃で、エチルイソニペコテート(18.45ml、0.12モル)およびトリエチルアミン(50.1ml、0.36モル)のDCM溶液(200ml)に、撹拌しながら4−トリフルオロメチルベンゾイルクロライド(24.93g、0.12モル)を滴加し、得られた混合物を室温で20時間撹拌した。混合物を飽和NaHCO水溶液で洗浄し、有機層を分離し、水層をDCMで抽出した。合わせた有機物を乾燥し(NaSO)、真空中で蒸発させて表題生成物(39.3g、100%)を得た。マススペクトル(API)で330(MH)にピークが見出された。C1618NOは329である。
【0143】
記載例8:1−{[4−(トリフルオロメチル)フェニル]カルボニル}−4−ピペリジンカルボキシル酸
【化19】

エチル1−{[4−(トリフルオロメチル)フェニル]カルボニル}−4−ピペリジンカルボキシレートD7(39g、0.119モル)およびNaOH(4.75g、0.119モル)の混合物の、水(300ml)およびメタノール(200ml)溶液を、室温で20時間撹拌した。反応混合物を、約200mlに濃縮し、水(300ml)で希釈し、EtOAc(300ml)で洗浄した。水層を5N HClで酸性化し、DCM(3x200ml)で抽出した。合わせた有機物を乾燥し(NaSO)、真空中で蒸発させて淡いクリーム色固体の表題生成物(34.3g、96%)を得た。マススペクトル(API)で302(MH)にピークが見出された。C1414NOは301である。
【0144】
記載例9:N−[3−フルオロ−4−(4−モルホリニル)フェニル]−1−{[4−(トリフルオロメチル)フェニル]カルボニル}−4−ピペラジンカルボキシアミド
【化20】

1−{[4−(トリフルオロメチル)フェニル]カルボニル}−4−ピペリジンカルボキシル酸D8(4g、13.3ミリモル)の無水トルエン溶液(100ml)に、アルゴン下0℃で、塩化チオニル(1.27ml、18ミリモル)を0.5時間かけて滴加した。得られた混合物を、放置して室温に到達させ、18時間撹拌し、次いで真空中で蒸発させた。残渣を、トルエン(x2)から再蒸発させて、淡緑色ゴム状の粗製酸塩化物(4.3g、100%)を得、これを精製せずに用いた。
上記の酸塩化物のDCM(50ml)溶液を、0℃で、撹拌されている3−フルオロ−4−(4−モルホリニル)アニリン(2.6g、13.3ミリモル)およびトリエチルアミン(5.6ml、40ミリモル)のDCM溶液(150ml)に滴加した。得られた混合液を放置して室温に到達させ、4時間撹拌し、DCMで希釈し、次いでNaHCO3(sat)で分割した。有機相を分離し、水性の、いくらかの沈殿した固体をEtOAcで抽出した。有機相を合わせ、乾燥させ、真空中で蒸発させて無色固体の表題生成物(4.5g、71%)を得た。マススペクトル(エレクトロスプレーLC/MS)で480(MH)にピークが見出された。C2425は479である。
【0145】
記載例10:3−フルオロ−4−(4−モルホリニル)−N−[(1−{[4−(トリフルオロメチル)フェニル]メチル}−4−ピペリジニル)メチル]アニリン
【化21】

N−[3−フルオロ−4−(4−モルホリニル)フェニル]−1−{[4−(トリフルオロメチル)フェニル]カルボニル}−4−ピペリジンカルボキシアミドD9(4.5g、9.39ミリモル)を、D6の方法を用いて、茶色ゴム状の表題生成物(3.9g、94%)に変換した。マススペクトル(エレクトロスプレーLC/MS)で452(MH)にピークが見出された。C2429Oは451である。
【0146】
記載例11:1,1−ジメチル4−({[3−フルオロ−4−(4−モルホリニル)フェニル]アミノメチル}−1−ピペリジンカルボキシレート
【化22】

3−フルオロ−4−(4−モルホリニル)アニリンD2(1.8g、9.2ミリモル)および1,1−ジメチルエチル−4−ホルミル−1−ピペリジンカルボキシレート(Wackerら、Bioorg Med Chem Lett、2002年、12巻(13)、1785頁、2.3g、11ミリモル)の混合物の無水DCM溶液(200ml)に、トリアセトキシ水素化ホウ素ナトリウム(2.92g、13.8ミリモル)を加えた。18時間撹拌後、反応混合物をNaHCO3(sat)で分割し、有機相を分離し、乾燥し、真空中で蒸発させて、黄色固体を得、これをエーテルとともに粉砕して表題生成物(1.96g、54%)を得た。母液をさらに粉砕して、さらなる表題生成物(0.64g、18%)を得た。マススペクトル(エレクトロスプレーLC/MS)で394(MH)にピークが見出された。C2132FNは393である。
【0147】
記載例12:1,1−ジメチルエチル4−{[[3−フルオロ−4−(4−モルホリニル)フェニル](テトラヒドロ−2H−ピラン−4−イルアセチル)アミノ]メチル}−1−ピペリジンカルボキシレート
【化23】

塩化オキサリル(1.33ml、15.3ミリモル)を、撹拌されているテトラヒドロ−2H−ピラン−4−イル酢酸(1g、6.9ミリモル)のDCM溶液(20ml)に加えた。DMF(1滴)を加え、反応混合物を室温で1.5時間撹拌し、次いで真空中で蒸発させて無色油状(1.17g)を得た。粗製の酸塩化物(0.39g)を、DCM(3ml)に溶解し、撹拌されている1,1−ジメチル4−({[3−フルオロ−4−(4−モルホリニル)フェニル]アミノメチル}−1−ピペリジンカルボキシレートD11(0.6g、1.53ミリモル)およびトリエチルアミン(0.64ml、4.62ミリモル)のDCM溶液(12ml)に加えた。72時間後、混合物を飽和炭酸水素ナトリウムで洗浄し、有機層を相分離カートリッジを通して分離し、真空中で蒸発させた。シリカゲル上のクロマトグラフィーで、酢酸エチル0〜100%のペンタングラジエントで溶離して、無色ゴム状の表題化合物(0.63g、79%)を得た。マススペクトル(AP)で542(MNa)にピークが見出された。C2842FNは519である。
【0148】
記載例13:N−[3−フルオロ−4−(4−モルホリニル)フェニル]−N−(4−ピペリジニルメチル)−2−(テトラヒドロ−2H−ピラン−4−イル)アセトアミド
【化24】

トリフルオロ酢酸(5ml)を1,1−ジメチルエチル4−{[[3−フルオロ−4−(4−モルホリニル)フェニル](テトラヒドロ−2H−ピラン−4−イルアセチル)アミノ]メチル}−1−ピペリジンカルボキシレートD12(0.63g、2.74ミリモル)のDCM溶液(20ml)に加え、溶液を1.5時間、室温に放置した。混合物を真空中で乾燥するまで蒸発させ、残渣をDCMと2N NaOH(各50ml)との間で分割した。塩基性の水層を、DCM(50ml)で抽出し、有機相を合わせ、乾燥させ(NaSO)、真空中で蒸発させて、無色ゴム状の表題化合物(0.49g、96%)を得た。マススペクトル(AP)で420(MH)にピークが見出された。C2334FNは419である。
【0149】
記載例14:1,1−ジメチルエチル4−({[4−(4−モルホリニル)フェニル]アミノメチル}−1−ピペリジンカルボキシレート
【化25】

4−(4−モルホリニル)アニリン(2.0g、11ミリモル)および1,1−ジメチルエチル4−ホルミル−1−ピペリジンカルボキシレート(2.6g、12ミリモル)から、D11の方法を用いて、淡黄褐色固体の表題化合物(3.48g、84%)を調製した。マススペクトル(AP)で376(MH)にピークが見出された。C2123は375である。
【0150】
記載例15:1,1−ジメチルエチル4−{[[4−(4−モルホリニル)フェニル](テトラヒドロ−2H−ピラン−4−イルアセチル)アミノ]メチル}−1−ピペリジンカルボキシレート
【化26】

1,1−ジメチルエチル4−({[4−(4−モルホリニル)フェニル]アミノメチル}−1−ピペリジンカルボキシレートD14(0.6g、1.6ミリモル)から、D12の方法を用いて、無色ゴム状の表題化合物(0.67g、84%)を調製した。マススペクトル(AP)で524(MNa)にピークが見出された。C2843は501である。
【0151】
記載例16:N−[4−(4−モルホリニル)フェニル]−N−(4−ピペリジニルメチル)−2−(テトラヒドロ−2H−ピラン−4−イル)アセトアミド
【化27】

1,1−ジメチルエチル4−{[[4−(4−モルホリニル)フェニル](テトラヒドロ−2H−ピラン−4−イルアセチル)アミノ]メチル}−1−ピペリジンカルボキシレートD15(0.67g、1.33ミリモル)から、D13の方法を用いて、無色ゴム状の表題化合物(0.51g、95%)を調製した。マススペクトル(AP)で402(MH)にピークが見出された。C2335は401である。
【0152】
実施例1:N−({1−[(4−エチルフェニル)メチル]−4−ピペリジニル}メチル)−N−[3−フルオロ−4−(4−モルホリニル)フェニル]−2−フェニルアセトアミド
【化28】

TEA(0.075ml、0.54ミリモル)を含むN−({1−[(4−エチルフェニル)メチル]−4−ピペリジニル}メチル)−3−フルオロ−4−(4−モルホリニル)アニリンD6(0.075g、0.18ミリモル)のDCM溶液(1.5ml)を、フェニル酢酸クロライド(0.043g、0.27ミリモル)に加えた。周囲温度で18時間後、反応混合物を飽和NaHCO水溶液で洗浄し、有機相をプレパックのシルカゲルカートリッジに添加し、これをメタノール0〜10%のDCMグラジエントで溶出して表題生成物(0.056g、54%)を得た。マススペクトル(エレクトロスプレーLC/MS)で530(MH)にピークが見出された。C3340FNは529である。
【0153】
実施例2:2−シクロペンチル−N−[3−フルオロ−4−(4−モルホリニル)フェニル]−N−[(1−{[4−(トリフルオロメチル)フェニル]メチル}−4−ピペリジニル)メチル]アセトアミド
【化29】

撹拌されているシクロペンチル酢酸(0.19g、1.48ミリモル)のDCM溶液(10ml)に、塩化オキサリル(0.178ml、2ミリモル)のDCM溶液(1ml)を加えた。DMF/DCMの1:1混合物(1滴)を加え、反応混合物を、室温で4時間撹拌した。次いで、この溶液の10分の1を、3−フルオロ−4−(4−モルホリニル)−N−[(1−{[4−(トリフルオロメチル)フェニル]メチル}−4−ピペリジニル)メチル]アニリンD10(0.09g、0.2ミリモル)およびトリエチルアミン(0.06g、0.6ミリモル)のDCM溶液(2ml)に加え、混合物を24時間振とうした。混合物を飽和炭酸水組成物ナトリウムで洗浄し、有機層を相分離カートリッジを通して分離し、真空中で蒸発させた。残渣を、1:1DMSO/MeCN(0.5ml)に溶解し、WatersC185μMカラム8(内径19x100mm)上、0.1%ギ酸を含むMeCN5〜99%の水グラジエントで溶出して、質量分析計直結の自動調製HPLCにより精製して、無色ゴム状の表題化合物(0.05g、60%)を得た。マススペクトル(AP)で562(MH)にピークが見出された。C3139は561である。
【0154】
実施例3:N−[(1−{[4−(1,1−ジメチルエチル)フェニル]メチル}−4−ピペリジニル)メチル]−N−[3−フルオロ−4−(4−モルホリニル)フェニル]−2−(テトラヒドロ−2H−ピラン−4−イル)アセトアミド
【化30】

N−[3−フルオロ−4−(4−モルホリニル)フェニル]−N−(4−ピペリジニルメチル)−2−(テトラヒドロ−2H−ピラン−4−イル)アセトアミドD13(0.15g、0.36ミリモル)および4−tert−ブチルベンズアルデヒド(0.1g、0.62ミリモル)のDCM溶液(3ml)に、MP−トリアセトキシ水素化ホウ素固相支持試薬(ex Argonaut、2.07ミリモル/gを添加)(0.3g、0.62ミリモル)を加えた後、氷酢酸(1滴)を加えた。反応混合物を20時間振とうし、ろ過し、2gSCXカラム上に加えた。DCM(10ml)およびMeOH(10ml)で洗浄後、カラムを1N NHのMeOH溶液(15ml)で溶出した。溶出物を真空中で蒸発させ、残渣を、メタノール0〜10%の酢酸エチルグラジエントを用いてシリカゲル上のクロマトグラフィーにかけ、無色ゴム状の表題化合物(0.16g、79%)を得た。マススペクトル(AP)で566(MH)にピークが見出された。C3448FNは565である。
【0155】
実施例4:N−[(1−{[4−1,1−ジメチルエチル]フェニル]メチル}−4−ピペリジニル]メチル]−N−[4−(4−モルホリニル)フェニル]−2−(テトラヒドロ−2H−ピラン−4−イル)アセトアミド
【化31】

N−[4−(4−モルホリニル)フェニル]−N−(4−ピペリジニルメチル)−2−(テトラヒドロ−2H−ピラン−4−イル)アセトアミドD16(0.15g、0.37ミリモル)から、E3の方法を用いて、無色ゴム状の表題化合物を調製した(0.17g、83%)。マススペクトル(AP)で548(MH)にピークが見出された。C3449は547である。
【0156】
以下の実施例の化合物は、上記の記載例および実施例における記載と同様の手順を用いて調製される。
【化32】

【0157】
【表5】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(I):
【化1】

[式中:
は、置換されていてもよいC1〜8アルキル、置換されていてもよいC3〜8シクロアルキル、置換されていてもよいC3〜8複素環、置換されていてもよいアリール、置換されていてもよいヘテロアリール、アリールC1〜8アルキル(アリールもC1〜8アルキルも置換されていてもよい)、C3〜8複素環C1〜8アルキル(C1〜8アルキルは置換されていてもよい)およびヘテロアリールC1〜8アルキル(ヘテロアリールもC1〜8アルキルも置換されていてもよい)からなる群から選択され;
およびRは、それらが結合している炭素原子と一緒になって、置換されていてもよいC3〜4シクロアルキルを形成するか、またはRおよびRは、独立して、水素またはC1〜8アルキルであり;
、R、R、およびRは、独立して、水素およびハロゲンから選択され;
もRも水素であるか、またはRおよびRは一緒になってピペリジン環に架かるC1〜4アルキレン架橋を形成し;
10およびR11は、独立して、水素、ハロゲンおよびC1〜4アルキルからなる群から選択されるか、またはR10およびR11は一緒になってC3〜4シクロアルキルを形成し;
Arは置換されていてもよいアリールまたは置換されていてもよいヘテロアリールであり;および
nは、0、1、2、または3を意味する;
ここで、R、R、R、R、R、R、R、R10およびR11が同時に水素であり、Rがフッ素であり、nが1であり、Arが4−エチルで置換されているフェニルである場合、その場合はRは5−キノリニル以外の基である]
で示される化合物、またはその塩もしくは溶媒和物。
【請求項2】
がC1〜4アルキル(プロピル、イソプロピル、またはtert−ブチルなど)、C3〜8シクロアルキル(シクロペンチル、またはシクロヘキシルなど)、アリール(ハロゲン、C1〜4アルキル、およびC1〜4アルコキシから選択される1つまたは2つの基で置換されていてもよいフェニルなど)、C3〜8複素環(テトラヒドロピラニル、またはテトラヒドロフラニルなど)、C3〜8複素環C1〜8アルキル(テトラヒドロフラニルメチルなど)、またはアリールC1〜8アルキル(その各々が、ハロゲン、C1〜4アルキル、およびC1〜4アルコキシから選択される1つまたは2つの基により置換されていてもよいベンジル、およびフェネチルなど)である、請求項1記載の化合物。
【請求項3】
およびRが共に水素である、請求項1または請求項2記載の化合物。
【請求項4】
、R、およびRが水素であり、Rがフッ素または水素である、請求項1、2または3記載の化合物。
【請求項5】
Arが、C1〜4アルキル(メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、またはtert−ブチルなど)、ハロC1〜4アルキル(CFなど)、ハロゲンおよびC3〜6シクロアルキルから選択される1つまたは2つの基により置換されていてもよい、フェニルまたはナフチルなどの、置換されていてもよいアリールである、請求項1ないし4のいずれかに記載の化合物。
【請求項6】
Arが、C1〜4アルキル、またはCFなどのハロC1〜4アルキルの1つまたは2つにより置換されていてもよいキノリニルまたはベンズイミダゾリルなどの、置換されていてもよいへテロアリールである、請求項1ないし4のいずれかに記載の化合物。
【請求項7】
Arが、ハロゲン、オキソ、シアノ、C1〜6アルキル、C1〜4アルコキシ、ハロC1〜4アルキル、ハロC1〜4アルコキシ、アリールC1〜4アルコキシ、C1〜4アルキルチオ、C1〜4アルコキシC1〜4アルキル、C3〜6シクロアルキル、C3〜6シクロアルキルC1〜4アルコキシ、C1〜4アルカノイル、C1〜4アルキルスルホニル、C1〜4アルキルスルホニルC1〜4アルキル、アリールスルホニル、アリールスルホニルC1〜4アルキル、C1〜4アルキルアミド、C1〜4アルキルスルホンアミドC1〜4アルキル、アロイル、アロイルC1〜4アルキル、C1〜4アシル、アリール、アリールC1〜4アルキル、C1〜4アルキルアミノC1〜4アルキル、基R1213N−、R12CON(R13)(CH、またはR1213NCO(CH(ここで、R12およびR13は、各々独立して、水素もしくはC1〜4アルキルから選択されるか、または必要に応じてR1213はC3〜6アザシクロアルカン環の部分を形成し、mは0、1、2、3、または4である)からなる群から選択される1、2、または3つの置換基により置換されていてもよい、請求項1ないし6のいずれかに記載の化合物。
【請求項8】
nが1である、請求項1ないし7のいずれかに記載の化合物。
【請求項9】
およびRが共に水素である、請求項1ないし8のいずれかに記載の化合物。
【請求項10】
10およびR11が共に水素である、請求項1ないし9のいずれかに記載の化合物。
【請求項11】
式(Ia):
【化2】

[式中:
は、その各々が、ハロゲン、オキソ、シアノ、C1〜6アルキル、C1〜4アルコキシ、ハロC1〜4アルキル、ハロC1〜4アルコキシ、アリールC1〜4アルコキシ、C1〜4アルコキシC1〜4アルキル、C3〜6シクロアルキル、C3〜6シクロアルキルC1〜4アルコキシ、C1〜4アルカノイル、C1〜4アルキルスルホニル、C1〜4アシル、アリール、アリールC1〜4アルキル、C1〜4アルキルアミノC1〜4アルキル、基R1213N−、R12CON(R13)(CH、またはR1213NCO(CH(ここで、R12およびR13は、各々独立して、水素またはC1〜4アルキルから選択されるか、または必要に応じてR1213はC3〜6アザシクロアルカン環の部分を形成し、mは0、1、2、3、または4である)からなる群から選択される1、2または3つの置換基で置換されていてもよい、C1〜8アルキル、C3〜8シクロアルキル、C3〜8複素環、C3〜8複素環C1〜8アルキル、アリール、ヘテロアリール、アリールC1〜8アルキル、およびヘテロアリールC1〜8アルキルからなる群から選択され;
Zは、水素、フッ素、または塩素であり;および
Arは、その各々が、ハロゲン、シアノ、C1〜6アルキル、C1〜4アルコキシ、ハロC1〜4アルキル、ハロC1〜4アルコキシ、C1〜4アルコキシC1〜4アルキル、C3〜6シクロアルキル、C3〜6シクロアルキルC1〜4アルコキシ、C1〜4アシル、およびC1〜4アルキルアミノC1〜4アルキルからなる群から選択される1、2または3つの置換基により置換されていてもよい、フェニルまたはヘテロアリールを意味する]
で示される化合物、またはその塩もしくは溶媒和物。
【請求項12】
1.N−({1−[(4−エチルフェニル)メチル]−4−ピペリジニル}メチル)−N−[3−フルオロ−4−(4−モルホリニル)フェニル]−2−フェニルアセトアミド
2.2−シクロペンチル−N−[3−フルオロ−4−(4−モルホリニル)フェニル]−N−[(1−{[4−(トリフルオロメチル)フェニル]メチル}−4−ピペリジニル)メチル]アセトアミド
3.N−[(1−{[4−(1,1−ジメチルエチル)フェニル]メチル}−4−ピペリジニル)メチル]−N−[3−フルオロ−4−(4−モルホリニル)フェニル]−2−(テトラヒドロ−2H−ピラン−4−イル)アセトアミド
4.N−[(1−{[4−(1,1−ジメチルエチル)フェニル]メチル}−4−ピペリジニル)メチル]−N−[4−(4−モルホリニル)フェニル]−2−(テトラヒドロ−2H−ピラン−4−イル)アセトアミド
5.N−({1−[(4−エチルフェニル)メチル]−4−ピペリジニル}メチル)−N−[3−フルオロ−4−(4−モルホリニル)フェニル]−3−フェニルプロパンアミド
6.N−[3−フルオロ−4−(4−モルホリニル)フェニル]−2−(テトラヒドロ−2H−ピラン−4−イル)−N−[(1−{[4−トリフルオロメチル]フェニル]メチル}−4−ピペリジニル)メチル]アセトアミド
7.N−[3−フルオロ−4−(4−モルホリニル)フェニル]−2−(テトラヒドロ−2−フラニル)−N−[(1−{[4−(トリフルオロメチル)フェニル]メチル}−4−ピペリジニル)メチル]アセトアミド
8.N−({1−[(4−エチルフェニル)メチル]−4−ピペリジニル}メチル)−N−[3−フルオロ−4−(4−モルホリニル)フェニル]ペンタンアミド
である、請求項1記載の化合物、またはその塩もしくは溶媒和物。
【請求項13】
(a)式(II):
【化3】

[式中、RないしR11、n、およびArは請求項1の記載と同意義である]
で示される化合物を、式(III):
【化4】

[式中、R、R、およびRは請求項1の記載と同意義であり、Lは脱離基である]
で示される化合物と反応させるか;あるいは
(b)式(IV):
【化5】

[式中、RないしRは請求項1の記載と同意義である]
で示される化合物を、式(V):
【化6】

[式中、R10、R11、n、およびArは請求項1の記載と同意義であり、Zはハロゲン、ヒドロキシ、またはトリフルオロメタンスルホニルオキシなどの脱離基を意味する]
で示される化合物と反応させるか;
(c)nが1、2または3である式(I)の化合物の場合、上記で定義した式(IV)の化合物を、式(VI):
【化7】

[式中、R10、R11、およびArは請求項1の記載と同意義であり、pはnから1を引いた数であり、AはR10またはR11である]
で示される化合物と反応させ;
次いで、工程(a)、工程(b)または工程(c)について、
いずれの保護基を除去してもよく、および/または、
式(I)の化合物を、別の式(I)の化合物に変換してもよく、および/または、
塩もしくは溶媒和物を形成してもよい
工程を含む、請求項1に記載の化合物を調製する方法。
【請求項14】
治療に使用するための、請求項1から12のいずれかに記載の化合物。
【請求項15】
GlyT1が媒介する障害の処置に使用するための、請求項1から12のいずれかに記載の化合物。
【請求項16】
障害が、統合失調症、認知症、または注意欠陥障害を含む精神病である、請求項15に記載の化合物。
【請求項17】
請求項1から12のいずれかに記載の化合物の有効量を投与することを含む、GlyT1が媒介する障害に罹患しているか、感受性であるヒトを含む哺乳動物を処置する方法。
【請求項18】
障害が、統合失調症、認知症、または注意欠陥障害を含む精神病である、請求項17記載の方法。
【請求項19】
GlyT1が媒介する障害を処置するための薬物の調製における、請求項1から12のいずれかに記載の化合物の使用。
【請求項20】
障害が、統合失調症、認知症、または注意欠陥障害を含む精神病である、請求項19記載の使用。
【請求項21】
請求項1から12のいずれかに記載の化合物、および少なくとも1つの医薬上許容される担体、希釈剤、または賦形剤を含む、医薬組成物。

【公表番号】特表2007−533713(P2007−533713A)
【公表日】平成19年11月22日(2007.11.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−508958(P2007−508958)
【出願日】平成17年4月15日(2005.4.15)
【国際出願番号】PCT/GB2005/001437
【国際公開番号】WO2005/103000
【国際公開日】平成17年11月3日(2005.11.3)
【出願人】(397009934)グラクソ グループ リミテッド (832)
【氏名又は名称原語表記】GLAXO GROUP LIMITED
【住所又は居所原語表記】Glaxo Wellcome House,Berkeley Avenue Greenford,Middlesex UB6 0NN,Great Britain
【Fターム(参考)】