説明

N含有複素環式化合物

本発明は、JAKキナーゼを含むタンパク質キナーゼの阻害剤であるN含有複素環式化合物に関する。より詳細には、本化合物は、JAK1、JAK2、JAK3またはTYK2キナーゼ、およびこれらの組合せ(例えば、JAK1およびJAK2の組み合わせ等)に対して選択的である。これらのキナーゼ阻害剤は、キナーゼ関連疾患、例えば、臓器移植を含む免疫および炎症性疾患;癌および骨髄増殖性疾患を含む過剰増殖性疾患;ウィルス性疾患;代謝疾患;および血管疾患などの治療に使用することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、JAKキナーゼを含むタンパク質キナーゼの阻害剤であるN含有複素環式化合物に関する。特に本化合物は、JAK1、JAK2、JAK3またはTYK2キナーゼに対し、およびそれらの組み合わせ(例えば、JAK1およびJAK2など)に対して選択的である。これらのキナーゼ阻害剤は、臓器移植と、癌および骨髄増殖性疾患を含む過剰増殖性疾患、ウィルス性疾患、代謝疾患、血管疾患を含む、免疫学的および炎症性疾患などのキナーゼ関連疾患の治療において使用できる。
【背景技術】
【0002】
JAKは、情報伝達および転写活性化(Signal Transduction and Activators of Transcription)またはSTATと称される一群のタンパク質をリン酸化するキナーゼである。リン酸化されると、STATは二量体化し、核に転移して遺伝子発現を活性化し、それはとりわけ内皮細胞および平滑筋細胞増殖などの細胞増殖をもたらし、心筋細胞の肥大化を引き起こす。
【0003】
JAK/STAT文献のレビューは、この経路が、ウィルスおよび細菌感染などの外界からの刺激に対する宿主免疫応答の動員および組織化に重要であるという仮説に強力な裏付けを提供する。遺伝子ノックアウト実験から蓄積された情報は、いくつかの重要な免疫調節性サイトカインによって始動される細胞内シグナル伝達に対する、JAKファミリーのメンバーの重要性を強調している。したがってJAK/STAT経路の阻害から生じる治療的可能性は、免疫調節の分野にあり、この分野における様々な病状治療のための有望な薬剤となる可能性が高い。さらに、JAKの阻害剤は、臓器移植、喘息、および慢性閉塞性肺疾患(COPD)を含む免疫および炎症疾患、ならびに、全身性エリテマトーデス、混合性結合組織疾患、強皮症、自己免疫脈管炎、多発性硬化症、関節リウマチ、クローン病、I型糖尿病および自己免疫甲状腺障害などの自己免疫疾患のために使用できる。
【0004】
いくつかの重要な細胞型の増殖および機能終了の両方のサイトカイン依存性調節において、タンパク質チロシンキナーゼのJAKファミリーが中心的役割を果たしていることから、JAKキナーゼを阻害できる薬剤が、これらの酵素に依存する疾患状態の予防および化学療法的処置において有用であることが示唆される。目下知られている4つの各JAKファミリーメンバーの強力かつ特異的阻害剤は、上で論じたものなどの免疫および炎症性疾患を後押しするサイトカイン作用の阻害手段を提供する。さらに、多発性骨髄腫、前立腺癌、乳癌、肺癌、胃癌、ホジキンリンパ腫、B細胞慢性リンパ球性白血病、転移性メラノーマ、神経膠腫、および肝細胞腫を含む癌などの過剰増殖性障害のJAK阻害剤による治療が示唆されている。加えて、ウィルス性疾患および代謝疾患の治療のためのJAKキナーゼ阻害剤の使用が示唆されている。
【0005】
上に加えて、JAK2の強力な阻害剤は、高血圧、肥大、心臓虚血、心不全(収縮期心不全および拡張期心不全を含む)などの血管疾患、片頭痛および関連脳血管性障害、脳卒中、レイノー現象、POEMS症候群、プリンツメタル型狭心症、高安動脈炎およびウェゲネル肉芽腫などの脈管炎、末梢動脈疾患、心疾患、ならびに肺動脈高血圧においても有用であろう。JAK2阻害剤は、真性赤血球増加症(PV)などの骨髄増殖症候群(MPD)において有用でもある。
【0006】
JAK1およびJAK2の双方の強力かつ特異的阻害剤は、多発性骨髄腫、前立腺癌、乳癌、肺癌、ホジキンリンパ腫、B細胞慢性リンパ球性白血病、転移性メラノーマ、多発性骨髄腫、胃癌、神経膠腫、および肝細胞腫を含む癌の治療において有用であろう。
【0007】
JAK3の強力かつ特異的阻害剤は、とりわけ臓器移植のための免疫抑制剤、喘息および慢性閉塞性肺疾患などの免疫および炎症性疾患、ならびに、全身性エリテマトーデス、混合性結合組織疾患、強皮症、自己免疫脈管炎、多発性硬化症、関節リウマチ、クローン病、I型糖尿病および糖尿病合併症、代謝疾患などの自己免疫疾患および免疫抑制が望ましいかもしれないその他の適応症のための免疫抑制剤において有用であろう。さらに、JAK3の特異的阻害剤は、JAK3が活性化過剰である白血病およびリンパ腫などの増殖性疾患の治療処置に応用され得る。
【0008】
JAKファミリーのその他のメンバーは、本質的に全ての組織によって発現されるが、JAK3の発現は造血細胞に限定されるようである。これは、JAK3と、これらの多重鎖受容体に共通するγ鎖との非共有結合による、IL−2、IL4、IL−7、IL−9、およびIL−15の受容体を介するシグナル伝達における、JAK3の必須の役割と矛盾しない。X連鎖重症複合型免疫不全症(XSCID)がある男性は、インターロイキン−2(IL−2)、IL−4、IL−7、IL−9、およびIL−15受容体に共通の必須構成要素をコードする、共通サイトカイン受容体γ鎖(γc)遺伝子に欠陥を有する。患者が、変異され、または大幅にレベル低下したJAK3タンパク質のいずれかを有することがわかっているXSCID症候群は、免疫抑制が、JAK3経路を通じたシグナル伝達ブロックの結果として起こることを示唆している。マウスにおける遺伝子ノックアウト研究によって、JAK3がBおよびTリンパ球成熟において重要な役割を果たすだけでなく、T細胞機能を維持するためにJAK3が構成的に必要であることが示唆された。IL−2およびIL−4受容体下流のシグナル伝達事象においてJAK3が関与しているという生化学的証拠と総合すると、これらのヒトおよびマウス突然変異研究は、JAK3の阻害を通じた免疫活性調節が、組織移植拒絶および自己免疫疾患などのT細胞およびB細胞増殖性障害の治療において有用であり得ることを示唆している。
【0009】
JAK3シグナル伝達抑制を通じた長期的免疫調節は、JAK3阻害が選択的に達成されてその他のキナーゼ依存シグナル伝達過程の阻害を伴わないのでさえあれば、慢性疾患に対して大きな治療的可能性を有する。特に、キナーゼのJAKファミリーメンバーが共有する高度な配列同一性は、JAK3を阻害する化合物が、有害な長期的帰結によってファミリーのその他のメンバーをも阻害し得る可能性を高める。例えば、エリスロポエチンおよびトロンボポエチン受容体は、いずれも細胞内シグナル伝達のためにJAK2のみを使用するので、JAK2の長期の阻害は赤血球減少症および血小板減少症をもたらす可能性が高い。
【0010】
本発明の化合物は、オーロラキナーゼなどのその他の治療的関連性のあるキナーゼを標的とするのにも有用かもしれない。セリン/スレオニンタンパク質キナーゼのオーロラファミリーは、有糸分裂の適切な調節のために重要である。哺乳類は3種のオーロラキナーゼパラログを発現し、少なくとも2種のオーロラキナーゼ(オーロラAおよびB)が乳癌、肺癌、結腸癌、卵巣癌、および膵臓癌を含むヒト腫瘍中で一般に過剰発現される。オーロラA遺伝子は、多くの腫瘍中で増幅されており、オーロラAの過剰発現が、これらの腫瘍の増殖に選択的利点を与えている可能性があることが示唆される。オーロラBの過剰発現は、多核を産生し、侵襲性の転移を誘発することも報告されており、オーロラキナーゼBの過剰発現が癌の進行において複数の機能を有することが示唆される。イマチニブ、ゲフィチニブ、およびエルロチニブなどのキナーゼ阻害剤の最近の臨床経験と引き続く認可は、このクラスの酵素が抗癌剤開発のために有用であることを例証している。オーロラAは、異所性発現すると発癌遺伝子として機能して細胞を形質転換できるという観察を通じて、それ自体が特に魅力的な薬剤標的として認識されている。オーロラAおよびBキナーゼの強力な阻害剤であるVX−680は、生体内で腫瘍の成長を抑制することが示されている。これらの研究結果は、癌治療で使用するためのオーロラキナーゼ阻害剤を同定することの望ましさを強調する。
【0011】
有用な治療標的である可能性があるその他のキナーゼとしては、CK2、TBK1、NEK9、LCK、ACK1、p38キナーゼ、FAK、CAK、CDK1、2、および4、GSK−3β、Abl、PDGF−R、PLK1、PLK2、PLK3、PYK2、c−Kit、NPM−ALK、Flt−3、c−Met、KDR、EGFR、TIE−2、VEGFR−1、VEGFR−3、c−SRC、LCK、HCK、LYN、FYN、およびYESが挙げられる。
【0012】
様々な疾患状態を標的とする様々なタイプのタンパク質キナーゼの阻害は明らかに有益ではあるが、関心のあるタンパク質キナーゼに選択的であり、高い経口バイオアベイラビリティなどの良好な「薬のような」特性を有する化合物の同定は、達成が難しいことが今までに実証されている。さらに、キナーゼ阻害剤の開発においては、標的とされる酵素間の配列類似性のレベルにかかわらず、阻害または選択性の予測可能性がかなり低いことが確立されている。
【0013】
臓器移植を含む免疫および炎症性疾患;癌および骨髄増殖性疾患を含む過剰増殖性疾患;ウィルス性疾患;代謝疾患;および血管疾患などのキナーゼ関連疾患の治療で使用するための治療的に適切なJAK1、JAK2、JAK3、もしくはTYK2阻害剤、またはこれらの組み合わせ、およびオーロラキナーゼ阻害剤の開発における課題としては、良好な薬のような特性も有する適切な特異性のある化合物をデザインすることが挙げられる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
したがって、JAKおよびオーロラファミリーのキナーゼを特異的に阻害する化合物、特にその他のJAKキナーゼと比較してJAKキナーゼの1つ以上を優先的に阻害するかもしれない化合物をデザインしおよび/または同定することの継続的必要性がある。様々な疾患状態の治療のために、このような化合物に対する必要性がある。
【課題を解決するための手段】
【0015】
第1の態様では、式I:
【化1】

(式中、
Q、W、およびYは独立に、NおよびCRから選択され、
ZはNRまたはSであり、
Lは存在しないか、CO、SOまたは置換または非置換C1〜6アルキレンであり、
AおよびBは独立に、存在しないかまたは置換または非置換C1〜6アルキレンであり、その中で1つ以上の炭素原子は任意にO、CO、NR、NRCO、CONR、NRSO、SONR、Sおよび/またはS(O)で置換されていることができ、
は独立に、H、置換または非置換C1〜6アルキル、置換または非置換C2〜6アルケニル、置換または非置換C2〜6アルキニル、置換または非置換C1〜6アルコキシ、OH、ハロゲン、CN、NO、NR、SO、SONR、CF、OCF、NRSO、CO、COSR、CSR、COR、NR、CSR、NRCSR、CONR、NRCOR、NRCONR、SO、置換または非置換C3〜8シクロアルキル、置換または非置換アリール、およびN、O、S、およびSOから選択される最高で3個のヘテロ原子を有する置換または非置換ヘテロシクリルから選択され、
RはH、置換または非置換C1〜6アルキル、置換または非置換C2〜6アルケニル、置換または非置換C2〜6アルキニル、置換または非置換C1〜6アルコキシ、OH、ハロゲン、CN、NO、CO、CONR、NRCOR、SO、C3〜8シクロアルキル、アリール、およびN、O、S、およびSOから選択される最高で3個のヘテロ原子を有するヘテロシクリルから選択され、そのそれぞれは置換または非置換C1〜6アルキル、置換または非置換C2〜6アルケニル、置換または非置換C2〜6アルキニル、置換または非置換C1〜6アルコキシ、OH、OCF、ハロゲン、CN、NO、NR、SO、SONR、NRSO、CO、COR、NRCOR、RNHCO、CONR、NRCONR、およびN、O、S、およびSOから選択される最高で3個のヘテロ原子を有する置換または非置換ヘテロシクリルから独立に選択される最高で3個の置換基によって置換されていてもよく、
およびRは独立に、H、置換または非置換C1〜6アルキル、置換または非置換C2〜6アルケニル、置換または非置換C2〜6アルキニル、置換または非置換C1〜6アルコキシ、CN、置換または非置換C3〜8シクロアルキル、置換または非置換アリール、およびN、O、S、およびSOから選択される最高で3個のヘテロ原子を有する置換または非置換ヘテロシクリルから選択され、
mは1〜3であり、
nは1または2である)
の化合物、その塩、異性体および/またはプロドラッグを提供する。
【0016】
第2の態様では、式II:
【化2】

(式中、
Q、W、Y、Z、およびnは、上の式Iで定義されるとおりであり、
Xは離脱基であり、
Rは上の式Iで定義されるとおりである)
の化合物と、式III:
【化3】

(式中、
L、A、Y、R、およびmは上の式Iで定義されるとおりである)
の化合物とをカップリングする工程を含む、上で定義される式Iの化合物の調製方法を提供する。
【0017】
式Iの化合物は、キナーゼ阻害剤、好ましくはJAK阻害剤、より好ましくはJAK1、JAK2、JAK3またはTYK2阻害剤である。これらの化合物は、キナーゼ関連疾患、好ましくは免疫および炎症性疾患;骨髄増殖性疾患を含む過剰増殖性疾患;血管疾患;ウィルス性疾患;および代謝疾患などのJAKキナーゼまたはオーロラキナーゼ関連疾患の治療において有用である。
【0018】
第3の態様では、上で定義される式Iの化合物を含むキナーゼ阻害剤を提供する。
【0019】
上で定義される式Iの化合物のキナーゼ阻害剤としての使用も提供する。
【0020】
キナーゼ阻害剤として使用するための上で定義される式Iの化合物をさらに提供する。
【0021】
式Iの化合物は、好ましくは、選択的JAK2阻害剤、選択的JAK3阻害剤、または選択的JAK1およびJAK2阻害剤として機能する。
【0022】
式Iの化合物は、薬学的に許容できる担体と共に医薬組成物の形態で投与してもよい。
【0023】
第4の態様では、上で定義される式Iの化合物と薬学的に許容できる担体とを含む医薬組成物を提供する。
【0024】
一実施態様では、本医薬組成物は、1つ以上の追加的治療薬も含む。
【0025】
式Iの化合物は、薬剤溶出ステントなどのインプラント中に含有させても、またはそれに付着させてもよい。例えば、肺動脈高血圧(PAH)の治療のために本化合物を使用する場合、本化合物は肺動脈ステント中に含有させても、またはそれに付着させてもよく、それは局所的に作用してもよく、またはステントから肺循環内に放出させてもよく、そこで本化合物はその治療活性を肺血管系内で発揮する。
【0026】
第5の態様では、上で定義される式Iの化合物を含むインプラントを提供する。
【0027】
第6の態様では、治療的に有効量の式Iの化合物または上で定義される医薬組成物を、それを必要とする対象に投与する工程を含む、臓器移植を含む免疫および炎症性疾患;癌および骨髄増殖性疾患を含む過剰増殖性疾患;ウィルス性疾患;代謝疾患;および血管疾患などのキナーゼ関連疾患を治療する方法を提供する。
【0028】
臓器移植を含む免疫および炎症性疾患;癌および骨髄増殖性疾患を含む過剰増殖性疾患;ウィルス性疾患;代謝疾患;および血管疾患などのキナーゼ関連疾患を治療するための薬剤の製造における、式Iの化合物または上で定義した医薬組成物の使用も提供する。
【0029】
臓器移植を含む免疫および炎症性疾患;癌および骨髄増殖性疾患を含む過剰増殖性疾患;ウィルス性疾患;代謝疾患;および血管疾患などのキナーゼ関連疾患治療における、式Iの化合物または上で定義される医薬組成物の使用をさらに提供する。
【0030】
臓器移植を含む免疫および炎症性疾患;癌および骨髄増殖性疾患を含む過剰増殖性疾患;ウィルス性疾患;代謝疾患;および血管疾患などのキナーゼ関連疾患の治療のための式Iの化合物または上で定義した医薬組成物の使用をさらに提供する。
【0031】
第7の態様では、細胞と上で定義される式Iの化合物とを接触させる工程を含む、細胞中でキナーゼを阻害する方法を提供する。
【発明を実施するための形態】
【0032】
本発明は、キナーゼ、特にJAK1、JAK2、JAK3などのJAKキナーゼ、またはTYK2キナーゼまたはオーロラキナーゼを阻害し、臓器移植を含む免疫および炎症性疾患;癌および骨髄増殖性疾患を含む過剰増殖性疾患;ウィルス性疾患;代謝疾患;および血管疾患などのキナーゼ関連疾患の治療において有用である、式Iの化合物に関する。
【0033】
本発明は、式I:
【化4】

(式中、
Q、W、およびYは独立に、NおよびCRから選択され、
ZはNRまたはSであり、
Lは存在しないか、CO、SOまたは置換または非置換C1〜6アルキレンであり、
AおよびBは独立に、存在しないかまたは置換または非置換C1〜6アルキレンであり、その中で1つ以上の炭素原子は任意にO、CO、NR、NRCO、CONR、NRSO、SONR、Sおよび/またはS(O)で置換されていることができ、
は独立に、H、置換または非置換C1〜6アルキル、置換または非置換C2〜6アルケニル、置換または非置換C2〜6アルキニル、置換または非置換C1〜6アルコキシ、OH、ハロゲン、CN、NO、NR、SO、SONR、CF、OCF、NRSO、CO、COSR、CSR、COR、NR、CSR、NRCSR、CONR、NRCOR、NRCONR、SO、置換または非置換C3〜8シクロアルキル、置換または非置換アリール、およびN、O、S、およびSOから選択される最高で3個のヘテロ原子を有する置換または非置換ヘテロシクリルから選択され、
RはH、置換または非置換C1〜6アルキル、置換または非置換C2〜6アルケニル、置換または非置換C2〜6アルキニル、置換または非置換C1〜6アルコキシ、OH、ハロゲン、CN、NO、CO、CONR、NRCOR、SO、C3〜8シクロアルキル、アリール、およびN、O、S、およびSOから選択される最高で3個のヘテロ原子を有するヘテロシクリルから選択され、そのそれぞれは置換または非置換C1〜6アルキル、置換または非置換C2〜6アルケニル、置換または非置換C2〜6アルキニル、置換または非置換C1〜6アルコキシ、OH、OCF、ハロゲン、CN、NO、NR、SO、SONR、NRSO、CO、COR、NRCOR、RNHCO、CONR、NRCONR、およびN、O、S、およびSOから選択される最高で3個のヘテロ原子を有する置換または非置換ヘテロシクリルから独立に選択される最高で3個の置換基によって置換されていてもよく、
およびRは独立に、H、置換または非置換C1〜6アルキル、置換または非置換C2〜6アルケニル、置換または非置換C2〜6アルキニル、置換または非置換C1〜6アルコキシ、CN、置換または非置換C3〜8シクロアルキル、置換または非置換アリール、およびN、O、S、およびSOから選択される最高で3個のヘテロ原子を有する置換または非置換ヘテロシクリルから選択され、
mは1〜3であり、
nは1または2である)
の化合物、その塩、異性体および/またはプロドラッグにさらに関する。
【0034】
一実施態様では、式Iの化合物は、式Ia:
【化5】

(式中、
Q、W、Y、Z、L、A、B、R、R、m、およびnは上で定義されるとおりである)を有する。
【0035】
好ましい実施態様では、式IおよびIaの化合物は、式Ib:
【化6】

(式中、
Z、A、B、R、R、m、およびnは上で定義されるとおりであり、
Aは好ましくは存在しないか、置換または非置換C1〜6アルキレンまたは置換または非置換二価のC1〜6アルコキシであり、
Bは好ましくは存在しないかまたはSであり、
Rは好ましくは独立に、H、ハロゲン、CO、CONR、C3〜8シクロアルキル、5または6員環アリール、およびN、O、S、およびSOから選択される最高で3個のヘテロ原子を有する5〜9員環ヘテロシクリルから選択され、そのそれぞれは独立に、置換または非置換C1〜6アルキル、N、O、S、およびSOから選択される最高で3個のヘテロ原子を有する置換または非置換5〜8員環ヘテロシクリル、ROH、RNHCO、OCF、置換または非置換C1〜6アルコキシ、OH、NR、SONR、NRSO、NRCOR、CONR、NRCONR、COR、COおよび/またはSO(式中、RおよびRは上で定義されるとおりである)から選択される最高で3個の置換基で置換されていてもよい)
を有する。
【0036】
Rのための好ましい置換または非置換5または6員環アリールは、NR、NRCOR、置換または非置換C1〜6アルコキシ、N、O、S、およびSOから選択される最高で3個のヘテロ原子を有する置換または非置換5〜8員環ヘテロシクリル、SONR、NRCONR、NRSO、ROH、RNHCO、OCF、CONRまたは置換または非置換C1〜6アルキルの少なくとも1つで置換されたかまたは非置換のフェニルである。
【0037】
Rあたり最高で3個の、N、O、S、およびSOから選択されるヘテロ原子を有する、好ましい置換または非置換5〜9員環ヘテロシクリルは、ピラゾリル、ピリジニル、1,2,3,6−テトラヒドロ−ピリジニル、およびピリミジニルなどの1〜2個のN原子を有する飽和または不飽和5〜9員環ヘテロシクリル、または、ベンゾオキサジアゾリルなどの1〜2個のO原子を有する飽和または不飽和5〜9員環ヘテロシクリルであり、そのそれぞれは、C1〜6アルコキシ、COまたはNRの少なくとも1つで置換されていてもよい。
【0038】
は、好ましくは独立に、H、ハロゲン、置換または非置換C1〜6アルケニル、置換または非置換C2〜6アルキル、置換または非置換C1〜6アルコキシ、OH、ハロゲン、NO、NR、NRCOR、CO、SO、NRSO、置換または非置換C3〜8シクロアルキル、置換または非置換5または6員環アリール、およびN、O、S、およびSOから選択される最高で3個のヘテロ原子を有する置換または非置換5〜8員環飽和または不飽和ヘテロシクリルから選択される。
【0039】
あたりN、O、S、およびSOから選択される最高で3個のヘテロ原子を有する好ましい置換または非置換5〜8員環ヘテロシクリルは、モルホリノ、チオモルホリノ、チオモルホリノ−1−オキシド、チオモルホリノ−1,1−ジオキシド、NR−ピペラジン、4−ヒドロキシピペリジン、3−ヒドロキシピロリジン、3−ヒドロキシピロール、ピペリジン、ならびに、ピロリジンなどのN、O、およびSから選択される最高で3個のヘテロ原子を有する5または6員環飽和または不飽和ヘテロシクリルである。
【0040】
式IおよびIaの化合物がJAK3キナーゼを阻害する場合、A−Rの1つおよびRの置換基は、JAK3のCys963残基のチオール基などのチオール部分と可逆的にまたは不可逆的に反応できる群から選択することが好ましい。このような基の例としては、マイケル受容体が挙げられる。
【0041】
マイケル受容体は、α,β−不飽和カルボニルまたはチオカルボニル化合物であり、選択例を下に示す。
【化7】

式中、
DはOまたはNであり、
はHおよび置換または非置換C1〜4アルキルから選択され、
およびRは独立に、H、置換または非置換C1〜4アルキル、C1〜4アルキルNR、C1〜4アルキルOR、置換または非置換アリールから選択され、または結合して任意にO、S、SO、およびNRから選択される1つ以上のヘテロ原子を含有する置換または非置換5〜8員環を形成してもよく、
はOH、OC1〜4アルキル、NRから選択され、
pは0〜4であり、
およびRは独立に、H、置換または非置換C1〜4アルキルから選択され、または結合して任意にO、S、SO、およびNRから選択される1つ以上のヘテロ原子を含有する置換された3〜8員環を形成してもよい。
【0042】
チオール部分との可逆的または不可逆的反応を受け得るその他の基としては、ケトン、アルデヒド、α−アシルオキシケトン、α−フェノキシケトン、ハロメチルケトン、マレイミド、ニトリル、1,2,4−チアジアゾール、2−ビニルオキサゾール、2−アルキニル−オキサゾール、ケト−オキサゾール、環式二硫化物、エポキシド、およびO−アシルヒドロキサム酸が挙げられる。
【0043】
本発明の化合物の例示的な実施例を以下の表に示す。
【0044】
【表1】

【0045】
【表2】

【0046】
【表3】

【0047】
【表4】

【0048】
【表5】

【0049】
【表6】

【0050】
【表7】

【0051】
【表8】

【0052】
【表9】

【0053】
【表10】

【0054】
【表11】

【0055】
【表12】

【0056】
【表13】

【0057】
【表14】

【0058】
【表15】

【0059】
【表16】

【0060】
【表17】

【0061】
【表18】

【0062】
【表19】

【0063】
【表20】

【0064】
【表21】

【0065】
【表22】

【0066】
【表23】

【0067】
【表24】

【0068】
【表25】

【0069】
【表26】

【0070】
【表27】

【0071】
【表28】

【0072】
【表29】

【0073】
【表30】

【0074】
【表31】

【0075】
【表32】

【0076】
【表33】

【0077】
【表34】

【0078】
【表35】

【0079】
【表36】

【0080】
【表37】

【0081】
【表38】

【0082】
【表39】

【0083】
【表40】

【0084】
【表41】

【0085】
【表42】

【0086】
【表43】

【0087】
【表44】

【0088】
【表45】

【0089】
表中の化合物名は以下のとおりである。
1. 7−ヨード−N−(4−モルホリノフェニル)チエノ[3,2−d]ピリミジン−2−アミン
2. 7−(4−アミノフェニル)−N−(4−モルホリノフェニル)チエノ[3,2−d]ピリミジン−2−アミン
3. N−(4−(2−(4−モルホリノフェニルアミノ)チエノ[3,2−d]ピリミジン−7−イル)フェニル)アクリルアミド
4. 7−(3−アミノフェニル)−N−(4−モルホリノフェニル)チエノ[3,2−d]ピリミジン−2−アミン
5. N−(3−(2−(4−モルホリノフェニルアミノ)チエノ[3,2−d]ピリミジン−7−イル)フェニル)アクリルアミド
7. N−(4−モルホリノフェニル)チエノ[3,2−d]ピリミジン−2−アミン
8. メチル2−(4−モルホリノフェニルアミノ)チエノ[3,2−d]ピリミジン−7−カルボキシレート
9. N−(4−モルホリノフェニル)−5H−ピロロ[3,2−d]ピリミジン−2−アミン
10. 7−(4−アミノ−3−メトキシフェニル)−N−(4−モルホリノフェニル)チエノ[3,2−d]ピリミジン−2−アミン
11. 4−(2−(4−モルホリノフェニルアミノ)チエノ[3,2−d]ピリミジン−7−イル)ベンゼンスルホンアミド
12. N,N−ジメチル−3−(2−(4−モルホリノフェニルアミノ)チエノ[3,2−d]ピリミジン−7−イル)ベンゼンスルホンアミド
13. 1−エチル−3−(2−メトキシ−4−(2−(4−モルホリノフェニルアミノ)チエノ[3,2−d]ピリミジン−7−イル)フェニル)ウレア
14. N−(4−(2−(4−モルホリノフェニルアミノ)チエノ[3,2−d]ピリミジン−7−イル)フェニル)メタンスルホンアミド
15. 2−メトキシ−4−(2−(4−モルホリノフェニルアミノ)チエノ[3,2−d]ピリミジン−7−イル)フェノール
16. 2−シアノ−N−(3−(2−(4−モルホリノフェニルアミノ)チエノ[3,2−d]ピリミジン−7−イル)フェニル)アセトアミド
17. N−(シアノメチル)−2−(4−モルホリノフェニルアミノ)チエノ[3,2−d]ピリミジン−7−カルボキサミド
18. N−(3−(2−(4−モルホリノフェニルアミノ)チエノ[3,2−d]ピリミジン−7−イル)フェニル)メタンスルホンアミド
19. 1−エチル−3−(4−(2−(4−モルホリノフェニルアミノ)チエノ[3,2−d]ピリミジン−7−イル)−2−(トリフルオロメトキシ)フェニル)ウレア
20. N−(3−ニトロフェニル)−7−フェニルチエノ[3,2−d]ピリミジン−2−アミン
21. 7−ヨード−N−(3−ニトロフェニル)チエノ[3,2−d]ピリミジン−2−アミン
22. N1−(7−(2−エチルフェニル)チエノ[3,2−d]ピリミジン−2−イル)ベンゼン−1,3−ジアミン
25. N−tert−ブチル−3−(2−(4−モルホリノフェニルアミノ)チエノ[3,2−d]ピリミジン−7−イル)ベンゼンスルホンアミド
26. N1−(7−ヨードチエノ[3,2−d]ピリミジン−2−イル)ベンゼン−1,3−ジアミン
28. 7−(4−アミノ−3−(トリフルオロメトキシ)フェニル)−N−(4−モルホリノフェニル)チエノ[3,2−d]ピリミジン−2−アミン
29. 7−(2−エチルフェニル)−N−(4−モルホリノフェニル)チエノ[3,2−d]ピリミジン−2−アミン
30. N−(3−(2−(4−モルホリノフェニルアミノ)チエノ[3,2−d]ピリミジン−7−イル)フェニル)アセトアミド
31. N−(シアノメチル)−N−(3−(2−(4−モルホリノフェニルアミノ)チエノ[3,2−d]ピリミジン−7−イル)フェニル)メタンスルホンアミド
32. N−(シアノメチル)−N−(4−(2−(4−モルホリノフェニルアミノ)チエノ[3,2−d]ピリミジン−7−イル)フェニル)メタンスルホンアミド
33. N−(3−(5−メチル−2−(4−モルホリノフェニルアミノ)−5H−ピロロ[3,2−d]ピリミジン−7−イル)フェニル)メタンスルホンアミド
34. 4−(5−メチル−2−(4−モルホリノフェニルアミノ)−5H−ピロロ[3,2−d]ピリミジン−7−イル)ベンゼンスルホンアミド
36. N−(4−(5−メチル−2−(4−モルホリノフェニルアミノ)−5H−ピロロ[3,2−d]ピリミジン−7−イル)フェニル)メタンスルホンアミド
37. 7−ヨード−N−(4−モルホリノフェニル)−5H−ピロロ[3,2−d]ピリミジン−2−アミン
38. 7−(2−イソプロピルフェニル)−N−(4−モルホリノフェニル)チエノ[3,2−d]ピリミジン−2−アミン
39. 7−ブロモ−N−(4−モルホリノフェニル)チエノ[3,2−d]ピリミジン−2−アミン
40. N7−(2−イソプロピルフェニル)−N2−(4−モルホリノフェニル)チエノ[3,2−d]ピリミジン−2,7−ジアミン
41. N7−(4−イソプロピルフェニル)−N2−(4−モルホリノフェニル)チエノ[3,2−d]ピリミジン−2,7−ジアミン
42. 7−(5−アミノ−2−メチルフェニル)−N−(4−モルホリノフェニル)チエノ[3,2−d]ピリミジン−2−アミン
43. N−(シアノメチル)−4−(2−(4−モルホリノフェニルアミノ)チエノ[3,2−d]ピリミジン−7−イル)ベンズアミド
44. 7−ヨード−N−(3−モルホリノフェニル)チエノ[3,2−d]ピリミジン−2−アミン
45. 7−(4−アミノ−3−ニトロフェニル)−N−(4−モルホリノフェニル)チエノ[3,2−d]ピリミジン−2−アミン
46. 7−(2−メトキシピリジン−3−イル)−N−(4−モルホリノフェニル)チエノ[3,2−d]ピリミジン−2−アミン
47. (3−(7−ヨードチエノ[3,2−d]ピリミジン−2−イルアミノ)フェニル)メタノール
48. N−tert−ブチル−3−(2−(3−モルホリノフェニルアミノ)チエノ[3,2−d]ピリミジン−7−イル)ベンゼンスルホンアミド
49. N−tert−ブチル−3−(2−(3−(ヒドロキシメチル)フェニルアミノ)チエノ[3,2−d]ピリミジン−7−イル)ベンゼンスルホンアミド
50. N−(4−モルホリノフェニル)−7−(4−ニトロフェニルチオ)−5H−ピロロ[3,2−d]ピリミジン−2−アミン
51. N−tert−ブチル−3−(2−(3,4,5−トリメトキシフェニルアミノ)チエノ[3,2−d]ピリミジン−7−イル)ベンゼンスルホンアミド
52. 7−(4−アミノ−3−ニトロフェニル)−N−(3,4−ジメトキシフェニル)チエノ[3,2−d]ピリミジン−2−アミン
53. N−(3,4−ジメトキシフェニル)−7−(2−メトキシピリジン−3−イル)チエノ[3,2−d]ピリミジン−2−アミン
54. N−tert−ブチル−3−(2−(3,4−ジメトキシフェニルアミノ)チエノ[3,2−d]ピリミジン−7−イル)ベンゼンスルホンアミド
55. 7−(2−アミノピリミジン−5−イル)−N−(3,4−ジメトキシフェニル)チエノ[3,2−d]ピリミジン−2−アミン
56. N−(3,4−ジメトキシフェニル)−7−(2,6−ジメトキシピリジン−3−イル)チエノ[3,2−d]ピリミジン−2−アミン
57. N−(3,4−ジメトキシフェニル)−7−(2,4−ジメトキシピリミジン−5−イル)チエノ[3,2−d]ピリミジン−2−アミン
58. 7−ヨード−N−(4−(モルホリノメチル)フェニル)チエノ[3,2−d]ピリミジン−2−アミン
59. N−tert−ブチル−3−(2−(4−(モルホリノメチル)フェニルアミノ)チエノ[3,2−d]ピリミジン−7−イル)ベンゼンスルホンアミド
60. 2−シアノ−N−(4−メチル−3−(2−(4−モルホリノフェニルアミノ)チエノ[3,2−d]ピリミジン−7−イル)フェニル)アセトアミド
61. エチル3−(2−(4−モルホリノフェニルアミノ)チエノ[3,2−d]ピリミジン−7−イル)ベンゾエート
62. 7−ブロモ−N−(4−(2−(ピロリジン−1−イル)エトキシ)フェニル)チエノ[3,2−d]ピリミジン−2−アミン
63. N−(3−(2−(4−(2−(ピロリジン−1−イル)エトキシ)フェニルアミノ)チエノ[3,2−d]ピリミジン−7−イル)フェニル)アセトアミド
64. N−(シアノメチル)−3−(2−(4−モルホリノフェニルアミノ)チエノ[3,2−d]ピリミジン−7−イル)ベンズアミド
65. N−tert−ブチル−3−(2−(4−モルホリノフェニルアミノ)チエノ[3,2−d]ピリミジン−7−イル)ベンズアミド
66. N−tert−ブチル−3−(2−(4−(1−エチルピペリジン−4−イルオキシ)フェニルアミノ)チエノ[3,2−d]ピリミジン−7−イル)ベンゼンスルホンアミド
67. tert−ブチル4−(2−(4−(モルホリノメチル)フェニルアミノ)チエノ[3,2−d]ピリミジン−7−イル)−1H−ピラゾール−1−カルボキシレート
68. 7−ブロモ−N−(4−((4−エチルピペラジン−1−イル)メチル)フェニル)チエノ[3,2−d]ピリミジン−2−アミン
69. N−tert−ブチル−3−(2−(4−((4−エチルピペラジン−1−イル)メチル)フェニルアミノ)チエノ[3,2−d]ピリミジン−7−イル)ベンゼンスルホンアミド
70. N−(4−((4−エチルピペラジン−1−イル)メチル)フェニル)−7−(1H−ピラゾール−4−イル)チエノ[3,2−d]ピリミジン−2−アミン
71. N−(シアノメチル)−3−(2−(4−(モルホリノメチル)フェニルアミノ)チエノ[3,2−d]ピリミジン−7−イル)ベンズアミド
72. N−tert−ブチル−3−(2−(4−(2−(ピロリジン−1−イル)エトキシ)フェニルアミノ)チエノ[3,2−d]ピリミジン−7−イル)ベンゼンスルホンアミド
73. tert−ブチルピロリジン−1−イル)エトキシ)フェニルアミノ)チエノ[3,2−d]ピリミジン−7−イル)ベンジルカルバメート
74. 3−(2−(4−(2−(ピロリジン−1−イル)エトキシ)フェニルアミノ)チエノ[3,2−d]ピリミジン−7−イル)ベンゼンスルホンアミド
75. 7−(3−クロロ−4−フルオロフェニル)−N−(4−(2−(ピロリジン−1−イル)エトキシ)フェニル)チエノ[3,2−d]ピリミジン−2−アミン
76. tert−ブチル4−(2−(4−(1−エチルピペリジン−4−イルオキシ)フェニルアミノ)チエノ[3,2−d]ピリミジン−7−イル)−1H−ピラゾール−1−カルボキシレート
77. 7−(ベンゾ[d][1,3]ジオキソール−5−イル)−N−(4−(モルホリノメチル)フェニル)チエノ[3,2−d]ピリミジン−2−アミン
78. tert−ブチル5−(2−(4−(モルホリノメチル)フェニルアミノ)チエノ[3,2−d]ピリミジン−7−イル)−1H−インドール−1−カルボキシレート
79. 7−(2−アミノピリミジン−5−イル)−N−(4−(モルホリノメチル)フェニル)チエノ[3,2−d]ピリミジン−2−アミン
80. tert−ブチル4−(2−(4−(モルホリノメチル)フェニルアミノ)チエノ[3,2−d]ピリミジン−7−イル)−5,6−ジヒドロピリジン−1(2H)−カルボキシレート
81. tert−ブチルモルホリノメチル)フェニルアミノ)チエノ[3,2−d]ピリミジン−7−イル)ベンジルカルバメート
82. N−(3−(2−(4−(モルホリノメチル)フェニルアミノ)チエノ[3,2−d]ピリミジン−7−イル)フェニル)アセトアミド
83. N−(4−(2−(4−(モルホリノメチル)フェニルアミノ)チエノ[3,2−d]ピリミジン−7−イル)フェニル)アセトアミド
84. N−(3−(2−(4−(モルホリノメチル)フェニルアミノ)チエノ[3,2−d]ピリミジン−7−イル)フェニル)メタンスルホンアミド
85. 7−(4−(4−メチルピペラジン−1−イル)フェニル)−N−(4−(モルホリノメチル)フェニル)チエノ[3,2−d]ピリミジン−2−アミン
86. N−(2−メトキシ−4−(2−(4−(モルホリノメチル)フェニルアミノ)チエノ[3,2−d]ピリミジン−7−イル)フェニル)アセトアミド
87. 7−ブロモ−N−(3,4,5−トリメトキシフェニル)チエノ[3,2−d]ピリミジン−2−アミン
88. (3−(2−(3,4,5−トリメトキシフェニルアミノ)チエノ[3,2−d]ピリミジン−7−イル)フェニル)メタノール
89. (4−(2−(3,4,5−トリメトキシフェニルアミノ)チエノ[3,2−d]ピリミジン−7−イル)フェニル)メタノール
90. (3−(2−(4−モルホリノフェニルアミノ)チエノ[3,2−d]ピリミジン−7−イル)フェニル)メタノール
91. (4−(2−(4−モルホリノフェニルアミノ)チエノ[3,2−d]ピリミジン−7−イル)フェニル)メタノール
92. N−(ピロリジン−1−イル)エトキシ)フェニルアミノ)チエノ[3,2−d]ピリミジン−7−イル)ベンジル)メタンスルホンアミド
93. tert−ブチルモルホリノメチル)フェニルアミノ)チエノ[3,2−d]ピリミジン−7−イル)ベンジルカルバメート
94. N−(4−(モルホリノメチル)フェニル)−7−(3−(ピペラジン−1−イル)フェニル)チエノ[3,2−d]ピリミジン−2−アミン
95. 7−(6−(2−モルホリノエチルアミノ)ピリジン−3−イル)−N−(3,4,5−トリメトキシフェニル)チエノ[3,2−d]ピリミジン−2−アミン
96. 7−(2−エチルフェニル)−N−(4−(2−(ピロリジン−1−イル)エトキシ)フェニル)チエノ[3,2−d]ピリミジン−2−アミン
97. 7−(4−(アミノメチル)フェニル)−N−(4−(モルホリノメチル)フェニル)チエノ[3,2−d]ピリミジン−2−アミン
98. N−(4−(1−エチルピペリジン−4−イルオキシ)フェニル)−7−(1H−ピラゾール−4−イル)チエノ[3,2−d]ピリミジン−2−アミン
99. N−(2,4−ジメトキシフェニル)−7−フェニルチエノ[3,2−d]ピリミジン−2−アミン
100. 7−ブロモ−N−(3,4−ジメトキシフェニル)チエノ[3,2−d]ピリミジン−2−アミン
101. N−(3,4−ジメトキシフェニル)−7−フェニルチエノ[3,2−d]ピリミジン−2−アミン。
【0090】
「C1〜6アルキル」という用語は、1〜6個の炭素原子を有する直鎖または分枝鎖炭化水素基を指す。例としてはエチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、sec−ブチル、tert−ブチル、ペンチル、ネオフェニル、およびヘキシルが挙げられる。
【0091】
「C1〜6アルキレン」という用語は、上で定義される「C1〜6アルキル」の二価の同等物を指す。
【0092】
「C2〜6アルケニル」という用語は、当てはまる場合EまたはZ立体化学どちらかの少なくとも1つの二重結合、および2〜6個の炭素原子を有する直鎖または分枝鎖炭化水素基を指す。例としてはビニル、1−プロペニル、1−および2−ブテニル、および2−メチル−2−プロペニルが挙げられる。
【0093】
「C2〜6アルキニル」という用語は、少なくとも1つの三重結合および2〜4個の炭素原子を有する直鎖または分枝鎖炭化水素基を指す。例としてはエチニル、1−または2−プロピニル、1−、2−または3−ブチニル、およびメチル−2−プロピニルが挙げられる。
【0094】
「C3〜6シクロアルキル」という用語は、3〜6個の炭素原子を有する非芳香族環式炭化水素基を指す。例としてはシクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、およびシクロヘキシルが挙げられる。
【0095】
「アリール」という用語は、単一、多核、抱合型または縮合芳香族炭化水素残基を指す。例としてはフェニル、ビフェニル、テルフェニル、クアテルフェニル、ナフチル、テトラヒドロナフチル、アントラセニル、ジヒドロアントラセニル、ベンゾアントラセニル、ジベンキサントラセニル、およびフェナントレニルが挙げられる。フェニルなどの5または6員環アリールが好ましい。
【0096】
「ヘテロシクリル」という用語は、N、O、S、およびSOからなる群から選択される少なくとも1つのヘテロ原子を含有する飽和または不飽和の単環または多環式炭化水素基を指す。
【0097】
適切なヘテロシクリルとしては、例えばピロリル、ピロリニル、イミダゾリル、ピラゾリル、ピリジル、ピリミジニル、ピラジニル、ピリダジニル、トリアゾリルまたはテトラゾリルなどの1〜4個の窒素原子を有する不飽和3〜6員環ヘテロ単環基などのN含有複素環式基;
ピロリジニル、イミダゾリジニル、ピペリジノまたはピペラジニルなどの1〜4個の窒素原子を有する飽和3〜6員環ヘテロ単環基;
インドリル、イソインドリル、インドリジニル、ピロリニル、ベンゾイミダゾリル、キノリル、イソキノリル、インダゾリル、ベンゾトリアゾリルまたはテトラゾロピリダジニルなどの1〜5個の窒素原子を有する不飽和縮合複素環式基;
ピラニルまたはフリルなどの酸素原子を有する不飽和3〜6員環ヘテロ単環基;
チエニルなどの1〜2個のイオウ原子を有する不飽和3〜6員環ヘテロ単環基;
オキサゾリル、イソオキサゾリルまたはオキサジアゾリルなどの1〜2個の酸素原子および1〜3個の窒素原子を有する不飽和3〜6員環ヘテロ単環基;
モルホリニルなどの1〜2個の酸素原子および1〜3個の窒素原子を有する飽和3〜6員環ヘテロ単環基;
ベンゾオキサゾリルまたはベンゾオキサジアゾリルなどの1〜2個の酸素原子および1〜3窒素原子を有する不飽和縮合複素環式基;
チアゾリルまたはチアジアゾリルなどの1〜2個のイオウ原子および1〜3個の窒素原子を有する不飽和3〜6員環ヘテロ単環基;
チオモホリノまたはチアゾリジニルなどの1〜2個のイオウ原子および1〜3個の窒素原子を有する飽和3〜6員環ヘテロ単環基;および
チオモルホリノ−1−オキシドおよびチオモルホリノ−1,1−ジオキシドなどの1〜2個のイオウ原子、1〜3個の窒素原子、および1〜2個の酸素原子を有する飽和3〜6員環ヘテロ単環基;
ベンゾチアゾリルまたはベンゾチアジアゾリルなどの1〜2個のイオウ原子および1〜3個の窒素原子を有する不飽和縮合複素環式基
が挙げられる。
【0098】
好ましいヘテロシクリルは、モルホリノ、チオモルホリノ、チオモルホリノ−1−オキシド、チオモルホリノ−1,1−二酸化、NR−ピペラジン、4−ヒドロキシピペリジン、3−ヒドロキシピロリジン、3−ヒドロキシピロールまたはピペリジンである。
【0099】
「ハロゲン」という用語は、フッ素、塩素、臭素、およびヨウ素、好ましくはフッ素を指す。
【0100】
「置換されたまたは置換された」という用語は、
1〜6アルキル、Si(C1〜6アルキル)、C3〜6シクロアルキル、C2〜6アルケニル、C2〜6アルキニル、アリール、ヘテロシクリル、ハロ、
ハロC1〜6アルキル、ハロC3〜6シクロアルキル、ハロC2〜6アルケニル、
ハロC2〜6アルキニル、ハロアリール、ハロヘテロシクリル、ヒドロキシ、C1〜6アルコキシ、C2〜6アルケニルオキシ、C2〜6アルキニルオキシ、アリールオキシ、ヘテロシクリルオキシ、カルボキシ、ハロC1〜6アルコキシ、
ハロC2〜6アルケニルオキシ、ハロC2〜6アルキニルオキシ、ハロアリールオキシ、ニトロ、ニトロC1〜6,アルキル、ニトロC2〜6アルケニル、ニトロアリール、ニトロヘテロシクリル、アジド、アミノ、C1〜6アルキルアミノ、
2〜6アルケニルアミノ、C2〜6アルキニルアミノ、アリールアミノ、ヘテロシクラミノアシル、C1〜6アルキルアシル、C2〜6アルケニルアシル、C2〜6アルキニルアシル、アリールアシル、ヘテロシクリルアシル、アシルアミノ、アシルオキシ、アルデヒド、C1〜6アルキルスルホニル、アリールスルホニル、C1〜6アルキルスルホニルアミノ、アリールスルホニルアミノ、C1〜6アルキルスルホニルオキシ、アリールスルホニルオキシ、C1〜6アルキルスルフェニル、C2〜6アルキルスルフェニル、アリールスルフェニル、カルボアルコキシ、カルボアリールオキシ、メルカプト、C1〜6アルキルチオ、アリールチオ、アシルチオ、シアノなどから選択される1つ以上の基でさらに置換されていても、いなくてもよい基を指す。好ましい任意の置換基は、C1〜4アルキル、Si(C1〜6アルキル)、C3〜6シクロアルキル、C2〜6アルケニル、C2〜6アルキニル、アリール、ヘテロシクリル、ハロ、ヒドロキシ、C1〜4アルコキシ、アリールオキシ、カルボキシ、アミノ、アリールアシル、ヘテロシクリルアシル、アシルアミノ、アシルオキシ、アリールスルホニル、およびシアノからなる群から選択される。
【0101】
本発明の化合物は、薬学的に許容できる塩として調製されてもよいが、薬学的に許容できない塩もまた薬学的に許容できる塩の調製における中間体として有用であるので、これらは本発明の範囲内に入ることが理解されるであろう。薬学的に許容できる塩の例としては、ナトリウム、カリウム、リチウム、カルシウム、マグネシウム、アンモニウム、およびアルキルアンモニウムなどの薬学的に許容できるカチオンの塩;塩酸、オルトリン酸、硫酸、リン酸、硝酸、炭酸、ホウ酸、スルファミン、および臭化水素酸などの薬学的に許容できる無機酸の酸付加塩;または酢酸、プロピオン酸、酪酸、酒石酸、マレイン酸、ヒドロキシマレイン酸、フマル酸、クエン酸、乳酸、粘液酸、グルコン酸、安息香酸、コハク酸、シュウ酸、フェニル酢酸、メタンスルホン酸、トリハロメタンスルホン酸、トルエンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、イセチオン酸、サリチル酸、スルファニル酸、アスパラギン酸、グルタミン酸、エデト酸、ステアリン酸、パルミチン酸、オレイン酸、ラウリン酸、パントテン酸、タンニン酸、アスコルビン酸、吉草酸およびオロチン酸などの薬学的に許容できる有機酸の塩が挙げられる。アミン基の塩は、その中でアミノ窒素原子がアルキル、アルケニル、アルキニルまたはアラルキル部分などの適切な有機基を保持する四級アンモニウム塩を含んでいてもよい。
【0102】
塩は、塩が溶けない溶媒または媒体中で、または水などの溶媒中で、遊離塩基形態の化合物と1当量以上の適切な酸とを反応させるなどの従来の手段によって形成されてもよく、溶媒または媒体は、真空内で、または凍結乾燥法によって、または適切なイオン交換樹脂上で既存の塩のアニオンを別のアニオンで交換することで除去される。
【0103】
化合物がキラル中心を保有する場合、化合物は精製された鏡像異性体またはジアステレオマーとして、またはあらゆる比率の立体異性体の混合物として使用できる。しかし混合物が少なくとも70%、80%、90%、95%、97.5%または99%の好ましい異性体を含むことが好ましい。
【0104】
本発明は、式Iの化合物のプロドラッグも包含する。例えば、式Iの化合物は、プロドラッグに転換できる遊離アミノ、アミド、ヒドロキシまたはカルボン酸基を有する。プロドラッグとしては、アミノ酸残基または2つ以上(例えば2、3または4つ)のアミノ酸残基のポリペプチド鎖が、ペプチド結合を通じて本発明の化合物の遊離アミノ、ヒドロキシ、およびカルボン酸基に共有結合する化合物が挙げられる。アミノ酸残基としては、一般に3文字表記によって表される20種の天然アミノ酸が挙げられ、4−ヒドロキシプロリン、ヒドロキシリジン、デスモシン、イソデスモシン、3−メチルヒスチジン、ノルバリン、βアラニン、γアミノ酪酸、シトルリン、ホモシステイン、ホモセリン、オルニチン、およびメチオニンスルホンもまた挙げられる。プロドラッグは、炭酸塩、カルバメート、アミド、およびアルキルエステルが、カルボニル炭素プロドラッグ側鎖を通じて本発明の化合物の上記置換基に共有結合する化合物も含む。プロドラッグとしては、リン−酸素結合を通じて、式Iの化合物の遊離ヒドロキシルに結合する、化合物のリン酸誘導体(酸、酸の塩、またはエステルなど)も挙げられる。プロドラッグとしては、式I中の適切な窒素およびイオウ原子のN−オキシド、およびS−オキシドも挙げられる。
【0105】
本発明は、本発明の化合物の薬剤またはプロドラッグを投与する工程を含む、JAKまたはオーロラキナーゼなどのタンパク質キナーゼの阻害によって治療または予防することができる障害を治療しまたは予防する方法も包含する。
【0106】
化合物の作成方法
一般式Iの化合物は、一般にジハロゲン化複素環から調製される。方法は下述の順またはその逆のどちらで実施されてもよい。
【0107】
方法の第1の工程は、典型的に、適切なアミンによるジハロゲン化複素環の求核性芳香族置換反応を伴う。求核性芳香族置換は、典型的にエタノール、n−プロパノール、イソプロパノール、tert−ブタノール、ジオキサン、THF、DMF、トルエン、NMPまたはキシレンなどの溶剤中のジハロゲン化複素環へのアミンの付加によって実施する。反応は、典型的にHClまたはp−トルエンスルホン酸などの酸の存在下で、またはトリエチルアミンまたはジイソプロピルエチルアミンのような非求核性塩基、または炭酸カリウムまたは炭酸ナトリウムのような無機塩基などの塩基の存在下において、通常の加熱またはマイクロ波の加熱下で実施する。あるいは、反応は、溶剤なしで実施することができる。
【0108】
あるいは、アミン置換基は、遷移金属が触媒するアミノ化反応を通じて導入してもよい。このような転換のための典型的な触媒/リガンドとしては、Pd(OAc)/P(t−Bu)、Pd(dba)/BINAP、およびPd(OAc)/BINAPが挙げられる。これらの反応は、室温から還流に及ぶ温度で、炭酸セシウム、またはナトリウムまたはカリウムtert−ブトキシドなどの塩基の存在下において、トルエンまたはジオキサンなどの溶剤中で典型的に実施する(例えばHartwig,J.F.,Angew.Chem.Int.Ed.1998,37,2046)。
【0109】
これらの化合物の合成の第1の工程で用いられるアミンは、商業的に入手され、または当業者に良く知られている方法を使用して調製される。
【0110】
方法の第2の工程は、典型的に、上で得られるモノハロゲン化誘導体と適切に官能化されたカップリングパートナーとの間のクロスカップリング反応から始まる。典型的なカップリングパートナーは、有機ボロン酸またはエステル(鈴木カップリング反応:例えばMiyaura,N.and Suzuki,Chem Rev.1995,95 2457を参照されたい)、有機スタンナン(スティルカップリング反応:例えばStille,J.K.,Angew.Chem.,Int.Ed.Engl.,1986,25,508を参照されたい)、グリニャール試薬(熊田カップリング:Kumada,M.;Tamao,K.;Sumitani,K.Org.Synth.1988,Coll.Vol.6,407.)または有機亜鉛化学種(根岸カップリング:Negishi,E.;J.Organomet.Chem.2002,653,34)である。鈴木カップリング反応が好ましいカップリング方法であり、炭酸ナトリウムまたはカリウム、水酸化リチウム、炭酸セシウム、水酸化ナトリウム、フッ化カリウムまたはリン酸カリウムなどの塩基の存在下において、水添加または無添加で、DME、THF、DMF、エタノール、プロパノール、トルエン、アセトニトリルまたは1,4−ジオキサンなどの溶剤中で典型的に実施する。反応は高温で実施されてもよく、用いられるパラジウム触媒は、Pd(PPh、Pd(OAc)、[PdCl(dppf)]、Pd(dba)/P(t−Bu)から選択されてもよい。
【0111】
いずれの反応工程から形成される生成物も、当業者に知られている技術を使用してさらに誘導体化してもよい。あるいは、第2のハロ置換基の反応に先だって、モノ−ハロ中間体の誘導体化を行ってもよい。当業者は上述の反応が妥当な収率および効率で進行するために、上の合成について述べられている反応順序が特定の状況において変化してもよいこと、また場合によっては特定の官能基を誘導体化する(すなわち保護する)必要があるかもしれないことを理解するであろう。保護する官能基のタイプについては当業者によく知られており、例えばGreene(Greene, T.,Wuts,P.(1999)Protective Groups in Organic Synthesis.Wiley−Interscience;3rd edition.)で述べられている。
【0112】
離脱基は、参照によって本明細書に援用する、J.March,“Advanced Organic Chemistry:Reactions,Mechanisms and Structure”4th Edition,pp 352−357,John Wiley & Sons,New York,1992で開示されるものなどのあらゆる適切な既知のタイプであってよい。好ましくは離脱基はハロゲンであり、より好ましくは塩素である。
【0113】
JAK阻害
式Iの化合物は、タンパク質キナーゼ、特にJAKキナーゼまたはオーロラキナーゼに対する活性、特にJAK1、JAK2、JAK3またはTYK2キナーゼまたはこれらの組み合わせに対する選択的活性を有する。JAK2阻害剤は、JAK2の活性を選択的に阻害するあらゆる化合物である。JAK3阻害剤は、JAK3の活性を選択的に阻害するあらゆる化合物である。JAK1/JAK2選択的阻害剤は、JAK1とJAK2の双方を選択的に阻害するあらゆる化合物である。JAK2およびJAK3の双方の活性の1つは、STATタンパク質をリン酸化することである。したがってJAK2またはJAK3阻害剤の効果の一例は、1種以上のSTATタンパク質のホスホリル化を低下させることである。この阻害剤は、JAK2またはJAK3のリン酸化形態、またはJAK2またはJAK3の非リン酸化形態を阻害することができる。
【0114】
JAK3の選択的および不可逆的阻害
PTKは、ATP分子からタンパク質基質上に位置するチロシン残基へのリン酸基転移を触媒する。当該技術分野で知られているその阻害剤は、通常、ATPまたはキナーゼのタンパク質基質のどちらかと競合する(Levitzki 2000)。細胞内のATP濃度は常態では非常に高く(ミリモル濃度)、細胞内でATPと競合する化合物がATPをその結合部位から転移させるのに必要な濃度に達することはありそうもないので、細胞内でATPと競合する化合物は生体内活性を欠く可能性がある。
【0115】
EGFRに関して試みられた代替のアプローチは、不可逆様式でEGFRTKに結合する化合物をデザインまたは選択することである。このような化合物は、Fry 1998;Discafani 1999;Smaill 1999;Smaill 2000;Tsou 2001;Smaill 2001;Wissner 2003に開示されている。これらの化合物は、それらが酵素活性部位に位置するアミノ酸残基と共有結合を形成できることにより不可逆的阻害剤として機能し、それは生体外における化合物効力の強化、および癌の生体内モデルにおけるヒト腫瘍の成長抑制をもたらす。可逆的阻害剤と比べたこのような不可逆的阻害剤のさらなる利点は、不可逆的阻害剤がチロシンキナーゼの長期の抑制に使用でき、正常な受容体代謝回転速度によってのみ制限されることである。
【0116】
タンパク質チロシンキナーゼのJAKファミリーの4つのメンバーの配列比較から、これらのキナーゼのATP結合ポケットを構成するアミノ酸中に非常にわずかなアミノ酸の違いしかないことが明らかになり、この違いを用いて1つのまたは別のファミリーメンバーに対する潜在的阻害剤を目標とすることができる。興味深いことにこのキナーゼのサブファミリー中では、JAK3のみがATP結合窩の前縁近くにシステイン残基(Cys963)を有する。このシステインを、マイケル受容体などのアルキル化基を保有する官能基、またはこのシステイン残基のチオール部分と可逆的または不可逆的に反応できるその他の基の標的とすることで、高度に選択的なJAK3の阻害を達成することができる。
【0117】
医薬組成物
本発明は、式Iの化合物の少なくとも1つと薬学的に許容できる担体と含む医薬組成物を提供する。担体は「薬学的に許容できる」べきであり、これはそれが組成物のその他の成分と適合性であり、対象に有害でないことを意味する。本発明の組成物は下述するようなその他の治療薬を含有することができ、例えば医薬製剤技術分野で良く知られた技術に従って、従来の固体または液体ビヒクルまたは希釈剤、ならびに所望の投与様式に適したタイプの医薬品添加剤(例えば賦形剤、バインダー、保存料、安定剤、香料など)を用いて調合すすことができる(例えばRemington:The Science and Practice of Pharmacy,21st Ed.,2005,Lippincott Williams & Wilkinsを参照されたい)。
【0118】
本発明の化合物は、無毒の薬学的に許容できるビヒクルまたは希釈剤を含有する投薬単位製剤で、例えば錠剤、カプセル、顆粒または粉末などの形態で経口的に;舌下で;口腔で;皮下、静脈内、筋肉内、皮内(経皮)、または大槽内注射または輸液技術(例えば無菌の注射用水性または非水性溶液または懸濁液として)などによって非経口的に;吸入スプレーまたは吸入剤などによって経鼻的に;クリームまたは軟膏などの形態で局所的に、溶液または懸濁液の形態で眼内に;膣坐薬、タンポンまたはクリームの形態で経膣的に;または坐薬の形態などで直腸的になどのあらゆる適切な手段によって投与することができる。本化合物は、例えば即時放出または持続放出に適した形態で投与してもよい。即時放出または持続放出は、本化合物を含む適切な医薬組成物の使用によって、または特に持続放出の場合、皮下インプラントまたは浸透圧のポンプなどの装置の使用によって達成することができる。
【0119】
本発明の化合物の投与のための医薬組成物は好都合には投薬単位形態で提供することができ、薬学技術分野で良く知られている方法のいずれによって調製することもできる。これらの方法は、一般に式Iの化合物と、1つ以上の副成分を構成する担体とを会合させる工程を含む。一般に医薬組成物は、式Iの化合物と、液体担体または超微粒子固体担体または双方とを均一かつ密接に会合させて調製され、次に必要に応じて、生成物を所望の剤形に成形する。医薬組成物には、活性な目的化合物が、疾患過程または病状に対して所望の効果を生じるのに十分な量で含まれる。本明細書において「組成物」という用語は、特定成分を特定量で含む製品、ならびに特定量の特定成分の組み合わせに直接にまたは間接的に由来するあらゆる製品を包含することが意図される。
【0120】
式Iの化合物を含有する医薬組成物は、例えば錠剤、トローチ、ロゼンジ、水性または油性懸濁液、分散性粉末または顆粒、エマルジョン、硬質または軟質カプセル、またはシロップまたはエリキシル剤などの経口使用に適した形態であってもよい。経口使用が意図される組成物は、医薬組成物の製造に関する技術分野で知られているあらゆる方法に従って調製することができ、このような組成物は、甘味料、着香剤、着色剤、および保存料などの1つ以上の薬剤を含有して、例えば薬学的に安定であり且つ美味な製剤を提供することができる。錠剤は、錠剤の製造に適した無毒の薬学的に許容できる賦形剤との混和材料中に式Iの化合物を含有する。これらの賦形剤は、例えば炭酸カルシウム、炭酸ナトリウム、乳糖、リン酸カルシウムまたはリン酸ナトリウムなどの不活性希釈剤と、例えばコーンスターチ、またはアルギン酸などの造粒および崩壊剤と、例えばデンプン、ゼラチンまたはアカシアなどの結合剤と、例えばステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸または滑石などの潤滑剤であってよい。錠剤は、未被覆であってよく、あるいは錠剤を既知の技術によって被覆して胃腸管内での崩壊および吸収を遅延させ、それによって長時間にわたる持続的作用を提供することもできる。例えばモノステアリン酸グリセリンまたはジステアリン酸グリセリンなどの時間遅延材料を用いることができる。これらを被覆して、浸透圧性治療的錠剤を形成し、放出を調節することもできる。
【0121】
経口使用のための製剤は、その中で式Iの化合物が例えば炭酸カルシウム、リン酸カルシウムまたはカオリンなどの不活性固体希釈剤と混合されている硬質ゼラチンカプセルとして、またはその中で式Iの化合物が、例えば落花生油、液体パラフィン、またはオリーブ油などの水または油媒体と混合されている軟質ゼラチンカプセルとして提供することもできる。
【0122】
水性懸濁液は、水性懸濁液の製造に適した賦形剤との混和材料中に、活性物質を含有する。このような賦形剤は、例えばナトリウムカルボキシメチルセルロース、メチルセルロース、ヒドロキシ−プロピルメチルセルロース、アルギン酸ナトリウム、ポリビニル−ピロリドン、トラガカントガム、およびアカシアガムなどの懸濁剤;例えばレシチンなどの天然リン脂質であってもよい分散または湿潤剤;または例えばポリオキシエチレンステアリン酸などの酸化アルキレンと脂肪酸との縮合物;または例えばヘプタデカエチレンオキシセタノールなどの酸化エチレンと長鎖脂肪族アルコールとの縮合物;またはポリオキシエチレンソルビトールモノオレエートなどの脂肪酸とヘキシトールとから誘導される酸化エチレンと部分エステルとの縮合物;または例えばポリエチレンソルビタンモノオレエートなどの脂肪酸とヘキシトール無水物とから誘導される酸化エチレンと部分エステルとの縮合物である。水性懸濁液は、例えばエチル、またはn−プロピル、p−ヒドロキシベンゾエートなどの1つ以上の保存料、1つ以上の着色剤、1つ以上の着香剤、およびスクロースまたはサッカリンなどの1つ以上の甘味料を含有してもよい。
【0123】
油性懸濁液は、例えば落花生油、オリーブ油、ゴマ油またはココナッツ油などの植物油、または液体パラフィンなどの鉱物油に式Iの化合物を懸濁させて調合してもよい。油性懸濁液は、例えば蜜蝋、硬質パラフィンまたはセチルアルコールなどの増粘剤を含有していてもよい。上述したような甘味料、および着香剤を添加して、美味な経口製剤を提供してもよい。これらの組成物は、アスコルビン酸などの抗酸化剤の添加によって保存してもよい。
【0124】
水の添加による水性懸濁液の調製に適した分散性粉末および顆粒は、分散または湿潤剤、懸濁剤、および1つ以上の保存料との混和材料中に式Iの化合物を提供する。適切な分散または湿潤剤および懸濁剤は、上で既述したものによって例示される。例えば甘味料、着香剤、および着色剤などの追加的賦形剤が存在していてもよい。
【0125】
本発明の医薬品組成物は、水中油型エマルジョンの形態であってもよい。油性相は、例えばオリーブ油または落花生油などの植物油、または例えば液体パラフィンなどの鉱物油、またはこれらの混合物であってもよい。適切な乳化剤は、例えばアカシアガムまたはトラガカントガムなどの天然ガム、例えばダイズレシチンなどの天然リン脂質、および例えばソルビタンモノオレエートなどの脂肪酸とヘキシトール無水物とから誘導されるエステルまたは部分エステル、および例えばポリオキシエチレンソルビタンモノオレエートなどの前記部分エステルと酸化エチレンとの縮合物であってもよい。エマルジョンは、甘味料および着香剤を含有していてもよい。
【0126】
シロップおよびエリキシル剤は、例えばグリセロール、プロピレングリコール、ソルビトールまたはスクロースなどの甘味料を用いて調合してもよい。このような製剤は、粘滑薬、保存料および着香剤および着色剤を含有していてもよい。
【0127】
医薬組成物は、無菌の注射用水性または油脂性懸濁液の形態であってもよい。この懸濁液は上述の適切な分散または湿潤剤および懸濁剤を使用して、既知の技術に従って調合することができる。無菌の注射用製剤は、例えば1,3−ブタンジオール中の溶液など、無毒の非経口的に許容可能な希釈剤または溶剤中の無菌の注射用溶液または懸濁液であってもよい。許容可能なビヒクルおよび溶剤中では、水、リンゲル液、および等張塩化ナトリウム溶液を用いることができる。さらに無菌の不揮発性油を、溶剤または懸濁媒として好都合に用いることができる。この目的で、合成モノまたはジグリセリドを含む任意の無刺激不揮発性油を用いることができる。さらにオレイン酸などの脂肪酸は、注射用製剤の調製において有用である。
【0128】
鼻腔内投与を含む気道への投与のために、気道への投与のために当該技術分野で用いられる任意の方法および剤形によって活性化合物を投与することができる。
【0129】
したがって一般に活性化合物は、溶液または懸濁液または乾燥粉末の形態で投与することができる。
【0130】
溶液および懸濁液は一般に水性であり、例えば水(例えば無菌水または発熱物質を含まない水)のみ、あるいは水および生理学的に許容可能な補助溶剤(例えばエタノール、プロピレングリコール、またはPEG400などのポリエチレングリコール)から調製する。
【0131】
このような溶液または懸濁液は、例えば保存料(塩化ベンザルコニウムなど)、ポリソルベートなどの可溶化剤/界面活性剤(例えば、Tween 80、Span 80、塩化ベンザルコニウム)、緩衝剤、等張性調節剤(例えば塩化ナトリウム)、吸収促進剤、および粘度増強剤などのその他の賦形剤をさらに含んでいてもよい。懸濁液は、懸濁剤(例えば微結晶性セルロースおよびカルボキシメチルセルロースナトリウム)をさらに含有していてもよい。
【0132】
溶液または懸濁液は、例えばスポイト、ピペットまたはスプレーを用いて、従来の手段によって鼻腔に直接塗布される。製剤は単回または多回用量形態で提供することもできる。後者の場合、望ましくは用量計測手段を提供する。スポイトまたはピペットの場合、これは対象者が、適切な所定容積の溶液または懸濁液を投与することで達成されてもよい。スプレーの場合、これは例えば噴霧スプレーポンプを計測する手段によって達成されてもよい。
【0133】
気道への投与は、化合物が、例えばジクロロジフルオロメタン、トリクロロフルオロメタンまたはジクロロテトラフルオロエタンなどのクロロフルオロカーボン(CFC)、二酸化炭素またはその他の適切なガスなどの適切な噴霧剤と共に、加圧パック内で提供される煙霧剤製剤によって達成することもできる。煙霧剤は、好都合にはレシチンなどの界面活性剤を含有していてもよい。活性化合物の用量は、定量バルブを提供することにより制御することもできる。
【0134】
あるいは、活性化合物は、例えば乳糖、デンプン、ヒドロキシプロピルメチルセルロースなどのデンプン誘導体、およびポリビニルピロリドン(PVP)などの適切な粉末ベース中の化合物粉末混合物などの乾燥粉末の形態で提供することもできる。好都合には、粉末担体は、鼻腔内でゲルを形成する。粉末組成物は、例えばゼラチンのカプセルまたはカートリッジなどの、またはそれから吸入器によって粉末が投与されてもよいブリスター包装のような単位用量形態で提供することもできる。
【0135】
鼻腔内製剤形態を含む気道への投与が意図される製剤形態中で、活性化合物は一般に例えばほぼ5μm以下程度の小さな粒度を有する。このような粒度は、例えば微粉化などの当該技術分野で知られている手段によって得ることもできる。
【0136】
必要に応じて、活性化合物の徐放を与えるように適応された製剤形態を用いることもできる。
【0137】
活性化合物は、「Diskhaler」(Glaxo Group Ltdの登録商標)または定量用量煙霧剤吸入器を通じて、易流動性粉末として経口吸入によって投与してもよい。
【0138】
本発明の化合物は、薬剤の直腸投与のための坐薬形態で投与することもできる。これらの組成物は、常温では固体であるが直腸温度では液体であり、したがって直腸内で溶けて薬剤を放出する適切な非刺激性の賦形剤に、薬剤を混合することによって調製することができる。このような材料は、カカオ脂およびポリエチレングリコールである。
【0139】
膣投与に適した組成物は、活性成分に加えて、適切であることが当該技術分野で知られている担体を含有する、膣坐薬、タンポン、クリーム、ジェル、ペースト、フォームまたはスプレーとして提供されてもよい。
【0140】
局所使用のために、本発明の化合物を含有するクリーム、軟膏、ゼリー、溶液または懸濁液などが用いられる。(本明細書の目的では、局所施用は口内洗浄液およびうがい薬を含むものとする)。
【0141】
目に塗布するために、活性化合物は、適切な無菌の水性または非水性ビヒクル中の溶液または懸濁液の形態であってもよい。例えば緩衝液や、フェニル酢酸第二水銀またはフェニル硝酸第二水銀、塩化ベンザルコニウム、またはクロロヘキシジンなどの殺菌剤および殺真菌剤を含む保存料、およびヒプロメロースなどの増粘剤のような添加剤が含まれていてもよい。
【0142】
本発明の化合物は、リポソームの形態で投与できる。当該技術分野で知られているように、リポソームは、一般にリン脂質またはその他の脂質物質から誘導される。リポソームは、水性媒体中に分散する単層または多重層水和液晶によって形成される。リポソームを形成できるあらゆる無毒の生理学的に許容可能なかつ代謝可能な脂質を使用することができる。リポソーム形態の本組成物は、本発明の化合物に加えて、安定剤、保存料、賦形剤などを含有していてもよい。好ましい脂質は、天然および合成双方のリン脂質およびホスファチジルコリンである。リポソームを形成する方法については、当該技術分野で知られている。
【0143】
このクラスの化合物の有効性は、薬剤溶出ステントに応用可能である可能性がある。これらの化合物を用いた薬剤溶出ステントの潜在用途としては、肺動脈狭窄、肺静脈窄症、ならびに冠動脈狭窄が挙げられる。薬剤溶出ステントは、伏在静脈グラフトまたは動脈グラフトまたは導管に使用してもよい。このクラスの化合物を放出する薬剤溶出ステントは、腸骨動脈、大腿動脈または膝窩動脈などの大動脈または末梢動脈の狭窄を治療するのに適用することができる可能性がある。本化合物は、当該技術分野で知られている様々な方法のいずれかによって薬剤溶出ステントに結合させることができる。このような方法の例としては、ポリマー、ホスホリルコリン、およびセラミックが挙げられる。化合物を、生体吸収性ステントに含浸させることもできる。
【0144】
本活性化合物を、例えば当該技術分野で慣習的な方法によって調製され得る獣医用調合品の形態で使用するために提供することもできる。このような獣医用調製品の例として、以下のために適応させたものが挙げられる。経口投与、外用、例えば水薬(例えば水性または非水性溶液または懸濁液);錠剤またはボーラス;飼料と混和するための粉末、顆粒またはペレット;舌に塗布するためのペースト;例えば無菌の溶液または懸濁液としての例えば皮下、筋肉内または静脈内注射による非経口投与;または(必要に応じて)懸濁液または溶液が乳首を通じて乳房中に取り込まれる乳房内注射による非経口投与;例えば皮膚に塗布されるクリーム、軟膏またはスプレーとしての局所塗布;または例えば膣坐薬、クリームまたはフォームとしての直腸または膣内塗布。
【0145】
本発明の医薬組成物および方法は、通常前述の病状の治療において適用される、ここで言及されるようなその他の治療効果のある化合物をさらに含んでいてもよい。併用療法で使用するための適切な薬剤の選択は、従来の薬学的原理に従って当業者によってなされ得る。治療薬の組み合わせは相乗的に作用して、上述の様々な障害の治療または予防をもたらす可能性がある。このアプローチを使用して、各薬剤のより低い投薬量を用いて治療効果を達成できる可能性があり、したがって有害副作用の潜在性が低下する。
【0146】
その他の治療薬の例として、以下が挙げられる。エンドセリン受容体拮抗薬(例えば、アンブリセンタン、ボセンタン、シタクスセンタン);PDE−V阻害剤(例えば、シルデナフィル、タダラフィル、バルデナフィル);カルシウムチャネル遮断剤(例えば、アムロジピン、フェロジピン、ベラパミル、ジルチアゼム、メントール);プロスタサイクリン;トレプロスチニル;イロプロスト;ベラプロスト;酸化窒素;酸素;ヘパリン;ワルファリン;利尿剤;ジゴキシン;シクロスポリン(例えばシクロスポリンA);CTLA4−Ig;ICAM−3、抗IL−2受容体(抗Tac)、抗CD45RBと抗CD2、抗CD3(OKT−3)、抗CD4、抗CD80、および抗CD86などの抗体;CD40および/またはgp39(すなわちCD154)に対する特異的抗体などのCD40とgp39の間の相互作用をブロックする作用薬;CD40およびgp39(CD401gおよびCD8gp39)から構築される融合タンパク質;デオキシスペルグアリン(DSG)などの核転座阻害剤のようなNF−κB機能阻害剤、HMG CoA還元酵素阻害剤(ロバスタチンおよびシムバスタチン)などのコレステロール生合成阻害剤;イブプロフェンやアスピリンなどの非ステロイド性抗炎症薬(NSAID);アセトアミノフェン;レフルノミド;デオキシスパガリン;セレコキシブなどのシクロオキシゲナーゼ阻害剤;プレドニゾロンまたはデキサメタゾンなどのステロイド;金化合物;サルブタモールなどのβ作動薬;サルメテロールなどのLABA;モンテルカストなどのロイコトリエン拮抗薬;メトトレキサートなどの抗増殖剤;FK506(タクロリムス、Prograf);ミコフェノール酸モフェチル;アザチオプリン、VP−16、エトポシド、フルダラビン、ドキソルビン、アドリアマイシン、アムサクリン、カンプトテシン、シタラビン、ゲムシタビン、フルオロデオキシウリジン、メルファラン、およびシクロホスファミドなどの細胞毒性薬;メトトレキサートなどの代謝拮抗剤;カンプトテシンなどのトポイソメラーゼ阻害剤;シスプラチンなどのDNAアルキル化剤;ソラフェニブなどのキナーゼ阻害剤;パクリタキセルなどの微小管毒;テニダップなどのTNF−α阻害剤;抗TNF抗体または可溶性TNF受容体;ヒドロキシウレアおよびラパマイシン(シロリムスまたはラパミューン)またはそれらの誘導体。
【0147】
本発明の化合物との併用でその他の治療薬を用いる場合、それらは例えばPhysician Desk Reference(PDR)において言及される量、または当業者によって判定される量で使用することができる。
【0148】
治療法
式Iの化合物は、JAKキナーゼ関連疾患を含むキナーゼ関連疾患;臓器移植を含む免疫および炎症性疾患;癌および骨髄増殖性疾患を含む過剰増殖性疾患;ウィルス性疾患;代謝疾患;および血管疾患の治療において使用することができる。
【0149】
一般に「治療」という用語は、対象、組織または細胞に影響して、以下を含む所望の薬理学的および/または生理学的効果を得ることを意味する。(a)疾患に罹りやすいかもしれないが、まだ罹っていると診断されていない対象において疾患の発症を予防する、(b)疾患を抑制する、すなわちその発症を阻む、または(c)疾患の影響を和らげまたは改善する、すなわち疾患の影響の軽減を引き起こす。
【0150】
「対象」という用語は、式Iの化合物による治療を必要とする疾患を有するあらゆる動物を指す。
【0151】
本発明の化合物、組成物、および方法を使用して、ヒトなどの霊長類に加えて多様なその他の哺乳類を治療できる。例えば雌牛、ヒツジ、ヤギ、ウマ、イヌ、ネコ、モルモット、ラットを含むが、これに限定されるものではない哺乳類、またはその他のウシ、ヒツジ、ウマ、イヌ、ネコ、齧歯類またはマウス種を治療することができる。しかし本発明は、鳥類種(例えばニワトリ)などのその他の種においても実践できる。
【0152】
「投与する」という用語は、治療を必要とする対象に本発明の化合物を提供することを意味するものと理解される。
【0153】
「キナーゼ関連疾患」という用語は、異常なキナーゼ活性、特にJAKまたはオーロラキナーゼ活性に直接または間接的に起因し、またはそれによって悪化し、および/またはこれらのキナーゼ酵素の1つ以上の阻害によって軽減される1つまたは複数の障害を指す。
【0154】
好ましい実施態様においては、キナーゼ関連疾患状態に、JAKキナーゼ、JAK1、JAK2、JAK3またはTYK2の1つ以上が関与している。特に好ましい実施態様では、疾患に、JAK2またはJAK3キナーゼが関与している。このような疾患として、下の表に列挙されるものが挙げられるがこれらに限定されるものではない。
【0155】
【表46】

【0156】
【表47】

【0157】
【表48】

【0158】
【表49】

【0159】
「免疫および炎症性疾患」という用語は、関節リウマチ、多発性関節炎、リウマチ性脊椎炎、骨関節炎、痛風、喘息、気管支炎、アレルギー性鼻炎、慢性閉塞性肺疾患、嚢胞性線維症、炎症性腸疾患、過敏性大腸症候群、粘液性大腸炎、潰瘍性大腸炎、腐食性大腸炎、クローン病、自己免疫甲状腺障害、胃炎、食道炎、肝炎、膵臓炎、腎炎、乾癬、湿疹、尋常性座瘡、皮膚炎、蕁麻疹、多発性硬化症、アルツハイマー病、ルー・ゲーリック病、パジェット病、敗血症、結膜炎、神経性カタル、慢性関節リウマチ、全身性炎症反応症候群(SIRS)、多発性筋炎、皮膚筋炎(DM)、結節性多発動脈炎(PN)、混合性結合組織病(MCTD)、シェーグレン症候群、クルゾン症候群、軟骨形成不全、全身性エリテマトーデス、強皮症、脈管炎、致死性骨異形成、インシュリン抵抗性、I型糖尿病と糖尿病合併症、および代謝症候群を含むがこれに限定されるものではない、免疫学的、炎症性または自己免疫疾患を指す。
【0160】
「過剰増殖性疾患」という用語は、以下を含むがこれに限定されるものではない細胞増殖性疾患状態などの癌および骨髄増殖性疾患状態を含む。心臓:肉腫(血管肉腫、線維肉腫、横紋筋肉腫、脂肪肉腫)、粘液腫、横紋筋腫、線維腫、脂肪腫、および奇形腫;肺:気管支原性肺癌(扁平細胞、未分化小細胞、未分化大型細胞、腺癌)、肺胞(細気管支)癌腫、気管支腺腫、肉腫、リンパ腫、軟骨性過誤腫、中皮腫;胃腸:食道(扁平上皮癌、腺癌、平滑筋肉腫、リンパ腫)、胃(癌腫、リンパ腫、平滑筋肉腫)、膵臓(導管腺癌、インシュリノーマ、グルカゴノーマ、ガストリノーマ、カルチノイド腫瘍、ビポーマ)、小腸(腺癌、リンパ腫、カルチノイド腫瘍、カポジ肉腫、平滑筋腫、血管腫、脂肪腫、神経線維腫、線維腫)、大腸(腺癌、管状腺腫、絨毛腺腫、過誤腫、平滑筋腫);尿生殖路:腎臓(腺癌、ウィルムス腫瘍[腎芽細胞腫]、リンパ腫、白血病)、膀胱および尿道(扁平上皮癌、移行上皮癌、腺癌)、前立腺(腺癌、肉腫)、精巣(セミノーマ、奇形種、胚性癌腫、奇形癌腫、絨毛癌、肉腫、間質細胞癌、線維腫、線維腺腫、腺腫様腫瘍、脂肪種);肝臓:肝細胞腫(肝細胞の癌腫)、胆管細胞癌、肝芽細胞腫、血管肉腫、肝細胞腺腫、血管腫;骨:骨原性肉腫(骨肉腫)、線維肉腫、悪性線維性組織球腫、軟骨肉腫、ユーイング肉腫、悪性リンパ腫(細網肉腫)、多発性骨髄腫、悪性巨細胞腫、脊索腫、骨軟骨腫(骨軟骨性外骨症)、良性軟骨腫、軟骨芽細胞腫、類骨腫、および巨細胞腫;神経系:頭蓋(骨腫、血管腫、肉芽腫、黄色腫、変形性骨炎)、髄膜(髄膜腫、髄膜肉腫、神経膠腫症)、脳(星細胞腫、髄芽細胞腫、神経膠腫、上衣細胞腫、胚細胞腫[松果体腫]、多形性神経膠芽細胞腫、乏突起膠腫、シュワン細胞腫、網膜芽細胞腫、先天性腫瘍)、脊髄神経線維腫、髄膜腫、神経膠腫、肉腫);婦人科:子宮(子宮内膜癌腫)、子宮頸部(子宮頸癌、前癌子宮頸部異形成)、卵巣(卵巣癌[漿液性嚢胞腺癌、粘液性嚢胞腺癌、分類不能腫瘍]、顆粒膜卵胞膜細胞腫、セルトリ・ライディッヒ細胞腫、未分化胚細胞腫、悪性奇形種)、外陰部(扁平上皮癌、上皮内癌、腺癌、線維肉腫、メラノーマ)、膣(明細胞癌、扁平上皮癌、ブドウ状肉腫(胎児性横紋筋肉腫]、ファロピウス管(癌腫);血液学:血液(骨髄性白血病[急性および慢性]、急性リンパ芽球性白血病、慢性リンパ球性白血病、多発性骨髄腫、骨髄異形成症候群)、ホジキン病、非ホジキンリンパ腫[悪性リンパ腫];皮膚:悪性メラノーマ、基底細胞腫、扁平上皮癌、カポジ肉腫、異形成母斑、脂肪種、血管腫、皮膚線維腫、ケロイド、乾癬;副腎:神経芽細胞腫;および真性赤血球増加症、原発性骨髄線維症、血小板血症、本態性血小板血症(ET)、特発性骨髄線維症(IMF)とも称される原発性骨髄線維症(AMM)、および慢性骨髄性白血病(CML)などの骨髄増殖性疾患。
【0161】
「血管疾患」という用語は、心血管疾患、高血圧、肥厚、高コレステロール血症、高脂血症、血栓性障害、脳卒中、レイノー現象、POEMS症候群、アンギナ、虚血、片頭痛、末梢動脈疾患、心不全、再狭窄、アテローム動脈硬化、左心室肥大、心筋梗塞、心臓、腎臓、肝臓、および脳の虚血性疾患、および肺動脈高血圧を含むが、これらに限定されるものではない疾患を指す。
【0162】
JAK2選択的阻害剤にとって好ましい疾患としては、以下が挙げられる。例えばアトピー性皮膚炎、喘息、関節リウマチ、クローン病、乾癬、クルゾン症候群、軟骨形成不全、全身性エリテマトーデス、強皮症、混合性結合組織病、脈管炎、致死性骨異形成、および糖尿病のような自己免疫疾患などの免疫および炎症性疾患;例えば前立腺癌、結腸癌、乳癌、胃癌、肝細胞腫などの肝臓癌、肺癌、神経膠腫などの頭頸部癌、転移性メラノーマなどの皮膚癌、白血病、リンパ腫、多発性骨髄腫、および真性赤血球増加症と、骨髄線維症と、血小板血症と、本態性血小板血症(ET)と、特発性骨髄線維症(IMF)とも称される原発性骨髄線維症(AMM)と、慢性骨髄性白血病(CML)などの骨髄増殖性疾患のような癌などの過剰増殖性障害;ならびに高血圧、肥厚、脳卒中、レイノー現象、POEMS症候群、アンギナ、虚血、片頭痛、末梢動脈の疾患、心不全、再狭窄、アテローム動脈硬化および肺動脈高血圧などの血管疾患。
【0163】
JAK1およびJAK2の双方を選択的に阻害する化合物にとって好ましい疾患は、例えば前立腺癌、結腸癌、乳癌、胃癌、肝細胞腫などの肝臓癌、肺癌、神経膠腫などの頭頸部癌、転移性メラノーマなどの皮膚癌、白血病、リンパ腫、および多発性骨髄腫のような癌などの過剰増殖性疾患である。
【0164】
JAK3の選択的阻害剤にとって好ましい疾患は、全身性エリテマトーデス、混合性結合組織病、強皮症、多発性硬化症、自己免疫神経炎、関節リウマチ、乾癬、インシュリン抵抗性、I型糖尿病と糖尿病の合併症、代謝症候群、喘息、アトピー性皮膚炎、自己免疫甲状腺障害、潰瘍性大腸炎、クローン病、アルツハイマー病などの免疫および炎症性疾患、および臓器移植など免疫抑制が望ましいかもしれないその他の適応症である。さらにJAK3の特異的阻害剤は、JAK3が過剰に活性化される白血病およびリンパ腫などの過剰増殖性疾患の治療処置に応用できる可能性がある。
【0165】
投薬量
「治療的有効量」という用語は、研究者、獣医、医者またはその他の臨床医が求める、組織、器官系、動物またはヒトの生物学的または医学的反応をもたらす式Iの化合物の量を指す。
【0166】
キナーゼ阻害を必要とする病状の治療または予防では、適切な投薬量レベルは一般に患者の体重1kgあたり一日あたり約0.01〜500mgであり、それは単回投与または複数回投与できる。好ましくは投薬量レベルは一日あたり約0.1〜約250mg/kg、より好ましくは一日あたり約0.5から約100mg/kgである。適切な投薬量レベルは、一日あたり約0.01〜250mg/kg、一日あたり約0.05〜100mg/kg、または一日あたり約0.1〜50mg/kgであってもよい。この範囲内で、投薬量は一日あたり0.05〜0.5、0.5〜5または5〜50mg/kgであってもよい。経口投与のためには、組成物は好ましくは1.0〜1000ミリグラムの活性成分、特に1.0、5.0、10.0、15.0.20.0、25.0、50.0、75.0、100.0、150.0、200.0、250.0、300.0、400.0、500.0、600.0、750.0、800.0、900.0、および1000.0ミリグラムの活性成分を含有する錠剤の形態で提供される。治療される患者への投薬量の治療効果および/または対症的調節のために、例えばこれらのいずれかの範囲内のあらゆる用量で投薬量を選択してもよい。化合物は好ましくは一日あたり1〜4回、好ましくは一日あたり1または2回の投与計画で投与される。
【0167】
あらゆる特定患者に対する投薬の特定の用量レベルおよび頻度は変動してもよく、用いられる特定化合物の活性、化合物の代謝安定性および作用時間、年齢、体重、総体的な健康、性別、食餌、投与様式および時間、排出速度、薬剤の組み合わせ、特定の病状の重篤性、および治療受給者を含む、多様な要素に左右されるものと理解される。
【0168】
本発明の性質がより明らかに理解されるよう、それを例示するために以下の非限定的例が提供される。
【実施例】
【0169】
化合物の合成
本発明の化合物は、当業者に良く知られている方法によって調製することができ、かつ、以下の選択化合物の合成および実験的手順で述べるとおりに調製することができる。
【0170】
定義:
PyBOP:ベンゾトリアゾール−1−イルオキシトリピロリジノホスホニウムヘキサフルオロリン酸
DMF:N,N−ジメチルホルムアミド
DMAP:4−ジメチルアミノピリジン
DCM:ジクロロメタン
NMP:1−メチル−2−ピロリジノン
n−PrOH:n−プロパノール
ACN:アセトニトリル
EDC.HCl:1−エチル−3−(ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド塩酸塩
HOBT:N−ヒドロキシベンゾトリアゾール
TEA:トリエチルアミン
DIPEA:ジイソプロピルエチルアミン
p−TsOH:p−トルエンスルホン酸
HATU:O−(7−アザベンゾトリアゾール−1−イル)−N,N,N’,N’−テトラメチルウロニウムヘキサフルオロリン酸
NaSO:硫酸ナトリウム
THF:テトラヒドロフラン
t−BuOK:カリウムtertブトキシド
Pd(dppf)Cl:1,1’−ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン]ジクロロパラジウム(II)
EtOAc:酢酸エチル
【0171】
一般的反応スキーム
【化8】

(a)p−TsOH.HO、1,4−ジオキサン、170℃で50分間のマイクロ波照射;(b)DIPEA(2.5eq)、NMP、240℃で25分間のマイクロ波照射;(c)Pd[PPh](0.05eq)、トルエン、n−PrOH、2MNaCO(aq)、90℃、(d)t−BuOK、THF、65時間の還流。
【0172】
【化9】

(a)Pd[PPh]NaCO、トルエン/イソプロパノール、還流。(b)t−BuOK、THF還流。
【0173】
【化10】

(a)Pd(PPh(0.1eq)、DMF、100℃、2M NaCO(aq)Natm;(b)NMP、DIPEA(2.5eq)、240℃で5時間のマイクロ波照射。
【0174】
チエノピリミジンコアの形成
【化11】

メチル−3−アミノ−2−チオフェンカルボキシレート(20g、127mmol)およびウレア(44g、732mmol)を200℃で2時間にわたり加熱した。得られた固形物を5%水性NaOH(500mL)に溶解し、黄色溶液を濾過した。2M HClを滴下して添加して塩基性溶液をpH5.5に酸性化し、沈殿物を濾過して収集し、生成物をクリーム/白色固体(19.7g、92%)として得た。1H NMR(DMSO−d,300 MHz):11.28(br.s,2H),8.03(d,J=5.1Hz,1H),6.90(d,J=5.1Hz,1H);LRMS(ESI):[M−H]のm/z理論値166.99,実測値167.1。
【化12】

【0175】
POCl(40mL)中のウラシル(5g、29mmol)懸濁液にジイソプロピルエチルアミン(13mL、74mmol)を添加し、反応を還流して2時間加熱した。次に過剰なPOClおよびジイソプロピルエチルアミンを減圧下での蒸留により除去し、得られた褐色固体をクロロホルムに溶解し、再度水中で分配した。5M NaOHの添加によって水相を塩基性にし、クロロホルムでさらに2回抽出した。合わせた有機画分を水および鹹水で洗浄し、乾燥させて(NaSO)濾過し、濃縮して生成物を淡褐色固体(6.05g、定量的収率)として得た。H NMR(CDCl,300MHz):8.16(d,J=5.4Hz,1H),7.56(d,J=5.7Hz,1H);LRMS(ESI):[M+H]のm/z理論値204.94,206.94,実測値205.1,207.0。
【化13】

【0176】
EtOAc(250mL)およびEtOH(250mL)中の二塩化物(11.9g、58mmol)の溶液に、10%Pd/C(1.5g)およびNaHCO(11g、130mmol)を添加した。反応を排気して水素雰囲気にして、室温で16時間撹拌した。さらに10%Pd/C(560mg)およびNaHCO(5.6g、66mmol)を添加して、水素付加をさらに19時間継続した。セライトを通して濾過して固形物を除去し、次に濾液を濃縮して、生成物を灰色がかった固体(9.51g,96%)として得た。H NMR(CDCl,300MHz):9.14(s,1H),8.11(d,J=5.7Hz,1H),7.52(d,J=5.4Hz,1H)。
【化14】

【0177】
チオフェン(7.9g、47mmol)、過ヨウ素酸(5.3g、23mmol)、およびICl(11.4g、70mmol)を酢酸(60mL)に混和して、80℃で2時間加熱した。次に反応を水とEtOAcの間で分配し、水層をEtOAcでさらに2回抽出した。合わせた有機画分を飽和水性NaHCOおよび鹹水で洗浄し、乾燥させて(MgSO)濾過し、濃縮して2−クロロ−7−ヨードチエノ[3,2−d]ピリミジンを得た。溶出剤としてCHClを使用したフラッシュクロマトグラフィーにより、2−クロロ7−ヨード−チエノ[3,2−d]ピリミジンを黄色固体(5.15g、37%)として得た。HNMR(CDCl,300MHz):9.11(s,1H),8.23(s,1H);13CNMR(CDCl,75MHz):154.1,153.9,140.4,140.3,128.9,80.1;LRMS(EI):[M]のm/z理論値295.87,297.87,実測値295.90,297.90。
【化15】

【0178】
アセトニトリル(50mL)中のチオフェン(5g、29mmol)溶液に、臭素(2.25mL、44mmol)および過ヨウ素酸(3.3g、14mmol)を添加した。反応を還流させて2時間加熱し、次に酢酸エチル中に注いで、水および十分な水性チオ硫酸中で分配して臭素を発色させた。水層を酢酸エチルでさらに2回抽出し、合わせた有機画分を飽和水性NaHCOおよび鹹水で洗浄し、乾燥させて(NaSO)濾過し、濃縮して7−ブロモ−2−クロロチエノ[3,2−d]ピリミジンをクリーム/褐色固体(5.46g,75%)として得た。HNMR(CDCl,300MHz):δ9.15(s,1H),8.09(s,1H);LRMS(ESI):[M+H]のm/z理論値248.89,250.89,実測値248.9,250。
【0179】
実施例1−化合物21の合成
1,4−ジオキサン(10mL)中の2−クロロ−7−ヨードチエノ[3,2−d]ピリミジン(500mg、1.69mmol)、3−ニトロアニリン(280mg、2.03mmol)、p−TsOH.HO(323mg、1.69mmol)の混合物を170℃で50分間電子レンジで加熱し、その後黄色沈殿物が形成された。水(20mL)を添加して、固体を遠心分離により収集して、液体を傾斜して廃棄した。固体を水(2×10mL)、次にエーテル(3×10mL)で洗浄し、次にトルエンで2回共沸して乾燥させた。これにより化合物21を黄色固体として得た(452mg、67%)。
【0180】
実施例2−化合物20の合成
化合物21(90mg、0.226mmol)、フェニルボロン酸(33mg、0.27mmol)およびPd[PPh](13mg、0.0112mmol)の混合物に、トルエン(1.65mL)、n−プロパノール(0.54mL)、続いて2Mの水性NaCO(0.34mL、0.68mmol)を添加した。次に得られた懸濁液を90℃で2時間加熱した。薄層クロマトグラフィー分析は、反応が起きなかったことを示唆した。次にN,N−ジメチルホルムアミド(1mL)を添加して、得られた均質溶液を90℃でさらに4時間加熱した。室温への冷却後、飽和水性NaHCOを添加して、混合物をジクロロメタンで3回抽出した。合わせた抽出物を水、鹹水で2回洗浄して、次に乾燥させた(NaSO)。溶剤を減圧下で除去し、溶出剤として100%ジクロロメタンを使用して、シリカゲルクロマトグラフィーによって残留物を精製し、化合物20を明るい黄色固体(35mg、45%)として得た。
【0181】
実施例3−化合物1の合成
NMP(13mL)中の2−クロロ−7−ヨードチエノ[3,2−d]ピリミジン(593mg、2.0mmol)、4−モルホリノアニリン(500mg、2.8mmol)、およびN,N’−ジイソプロピルエチルアミン(0.87mL、5.0mmol)の混合物を電子レンジ内で240℃で25分間加熱した。水を添加して混合物を酢酸エチルで3回抽出した。合わせた抽出物を2%水性クエン酸、水、鹹水で洗浄して乾燥させた(NaSO)。溶剤を減圧下で除去し、溶出剤として15〜30%の酢酸エチル/ジクロロメタンを用いて、シリカゲルクロマトグラフィーによって残留物を精製し、化合物1を明るい黄色固体(618mg、70%)として得た。
【0182】
実施例4−化合物2の合成
化合物1(198mg、0.45mmol)、4−アミノフェニルボロン酸エステル(118mg、0.54mmol)およびPd[PPh](26mg、0.022mmol)の混合物に、トルエン(3.3mL)およびn−プロパノール(1.1mL)、それに続いて2Mの水性NaCO(0.675mL、1.35mmol)を添加した。次に混合物を90℃で18時間加熱した。室温への冷却後、水を添加して、混合物をクロロホルムで3回抽出した。合わせた抽出物を鹹水で2回洗浄し、次に乾燥させた(NaSO)。溶剤を減圧下で除去し、溶出剤として30〜50%の酢酸エチル/ジクロロメタンを使用してシリカゲルクロマトグラフィーにより残留物を精製し、化合物2を明るい黄色固体(125mg、69%)として得た。
【0183】
実施例5−化合物3の合成
室温のジクロロメタン(2mL)中の化合物2(95mg、0.235mmol)の懸濁液に、トリエチルアミン(100μL、0.717mmol)、続いてアクリル酸(32μL、0.467mmol)を添加した。1−(3−ジメチルアミノプロピル)−3−エチルカルボジイミド塩酸塩(EDC.HCl)(68mg、0.35mmol)、続いて4−ジメチルアミノピリジン(3mg)を添加し、混合物を16時間撹拌した。追加量のEDC.HCl(22mg、0.115mmol)、続いてN,N−ジメチルホルムアミド(0.5mL)を添加し、撹拌をさらに24時間継続した。混合物を水(50mL)とジクロロメタン(100mL)の間で分配し、水層中に多量の沈殿物が形成した。有機層を傾斜して廃棄し水相を濾過して、得られた固体を水(2×5mL)、次に酢酸エチル(15mL)で洗浄して、化合物3を黄色固体(34mg、32%)として得た。有機相を濃縮して追加的な低純度生成物(134mg)を得た。
【0184】
実施例6−化合物26の合成
メタノール(10mL)およびNMP(10mL)中の化合物21(398mg、1.0mmol)の溶液に、濃HCl(1.6mL)、続いてSnCl.2HO(1.13g、5.0mmol)を添加した。次に得られた黄色懸濁液を65℃で1.25時間加熱して、その後、赤色の均質な溶液がもたらされた。混合物を室温に冷却し、水および酢酸エチルを添加して水層を28%水性アンモニアでpH10に調節した。層が分離して水相を酢酸エチルでさらに2回抽出した。合わせた抽出物を水、鹹水で2回洗浄し、次に乾燥させた(NaSO)。溶剤を減圧下で除去し、微量のNMPを含有するオレンジ/褐色固体として(382mg、104%)化合物26を得た。
【0185】
実施例7−化合物22の合成
化合物26(60mg、推定0.126mmol)、2−エチルベンゼンボロン酸(23mg、0.153mmol)、およびPd[PPh](7.3mg、0.0063mmol)の混合物に、トルエン(0.9mL)およびn−プロパノール(0.3mL)、それに続いて2Mの水性NaCO(0.19mL、0.38mmol)を添加した。次に混合物を90℃で30時間加熱した。室温への冷却後、飽和水性NaHCOを添加して、混合物を酢酸エチルで3回抽出した。合わせた抽出物を水、鹹水で洗浄し、次に乾燥させた(NaSO)。溶剤を減圧下で除去し、溶出剤として40%酢酸エチル/石油エーテルを用いて、シリカゲルクロマトグラフィーによって残留物を精製し、化合物22を黄色の気泡(38mg、86%)として得た。
【0186】
実施例8−化合物4の合成
化合物1(400mg、0.91mmol)、3−アミノフェニルボロン酸(150mg、1.1mmol)、およびPd[PPh](53mg、0.046mmol)の混合物に、トルエン(6.7mL)およびn−プロパノール(2.3mL)、続いて2Mの水性NaCO(1.37mL、2.74mmol)を添加した。次に混合物を90℃で20時間加熱した。室温への冷却後、飽和水性NaHCOを添加して混合物をクロロホルムで5回抽出した。合わせた抽出物を鹹水で洗浄し、次に乾燥させた(NaSO)。溶剤を減圧下で除去し、溶出剤として30〜60%酢酸エチル/ジクロロメタンを用いて、シリカゲルクロマトグラフィーによって残留物を精製し、化合物4を明るい黄色固体(168mg、46%)として得た。
【0187】
実施例9−化合物5の合成
0℃のN,N−ジメチルホルムアミド(2mL)中の化合物4(77mg、0.19mmol)、アクリル酸(16μL、0.233mmol)、およびHATU(72mg、0.19mmol)の溶液に、N,N’−ジイソプロピルエチルアミン(67μL、0.38mmol)を添加した。混合物を0℃で2.5時間撹拌し、次に室温にして撹拌をさらに16時間継続した。飽和水性NaHCO(20mL)を添加して、混合物をジクロロメタンで3回抽出した。合わせた抽出物を水、鹹水で洗浄し、乾燥させた(NaSO)。次に溶剤を減圧下で除去し、溶出剤として50%酢酸エチル/ジクロロメタンを用いてシリカゲルクロマトグラフィーによって残留物を精製し、化合物5を黄色固体(36mg、41%)として得た。
【0188】
実施例10−化合物11の合成
DMF(3mL)および2Mの水性NaCO(350μL)中の化合物1(100mg、0.228mmol)および4−(4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロラン−2−イル)ベンゼンスルホンアミド(97mg、0.343mmol)溶液に、Pd[PPh](26mg、0.22mmol)を添加した。反応容器を密封して100℃で15時間加熱し、次に冷却して水(約20mL)で希釈し、濾過により固形物を収集した。粗生成物を熱メタノール/DMFに溶解し、濾過して、次にメタノール/DMFおよび水から結晶化させて、化合物11を灰色/緑色固体(77.5mg、78%)として得た。
【0189】
化合物29および30は、上で報告した手順に従って調製された。
【0190】
実施例11−化合物8の合成
メタノール(10mL)およびトリエチルアミン(143μL、1.03mmol)中の化合物1(150mg、0.34mmol)の溶液に、Pd(dppf)Cl(30mg、0.03mmol)を添加した。反応を一酸化炭素雰囲気で排気して、還流下で16時間加熱した。反応を冷却し、真空内で溶剤を除去して粗製物を得た。溶出剤として30〜70%EtOAc/DCMを使用したフラッシュクロマトグラフィーによる精製から、化合物1(61mg、40%)ならびに黄色固体として得られる化合物8(51mg、回収化合物1を基準にして68%)を得た。
【0191】
実施例12−化合物17の合成
THF(3mL)およびメタノール(1mL)中の化合物8(40mg、0.1mmol)の溶液に、水(1mL)および水酸化リチウム(8mg、0.3mmol)を添加した。反応を室温で17時間撹拌し、次に約5mLの5%水性クエン酸を添加して、メタノールおよびTHFを除去した。形成した沈殿物を濾過により収集し、水で洗浄して酸を黄色固体(37.5mg、98%)として得た。DCM(2mL)およびDMF(1mL)中の酸の懸濁液(37mg、0.1mmol)に、トリエチルアミン(72μL、0.52mmol)およびHATU(59mg、0.16mmol)を添加した。反応を1分間超音波処理し、次にアミノアセトニトリル塩酸塩(19.3mg、0.2mmol)を添加して、反応を室温で16時間撹拌した。反応をEtOAcおよび飽和水性NaHCOで希釈し、層を分配して水層をEtOAcでさらに2回抽出した。合わせた水性画分を水および鹹水で洗浄して乾燥させ(NaSO)、濾過して蒸発させて、化合物17を黄色固体(35mg、86%)として得た。
【0192】
実施例13−化合物7の合成
NMP(5mL)中の2−クロロチエノ[3,2−d]ピリミジン(150mg、0.87mmol)および4−モルホリノアニリン(188mg、1.05mmol)溶液に、ジイソプロピルエチルアミン(337μL、1.93mmol)を添加した。電子レンジ反応装置内で反応を250℃で20分間加熱し、次にEtOAcおよび5%水性クエン酸で希釈した。水層をEtOAcでさらに2回抽出し、合わせた有機画分を飽和水性NaHCOで洗浄して乾燥させ(NaSO)、濾過して濃縮し粗生成物を得た。次に溶出剤として30〜70%EtOAc/DCMを使用したシリカゲルクロマトグラフィーによる精製から生成物をオレンジ色のガムとして得た。EtOAcでの3回の研和、および微細固体の収集によって、化合物7を濃黄色固体(26mg、10%)として得た。
【0193】
実施例14−化合物16の合成
DCM(3mL)中の2−シアノ酢酸(14mg、0.17mmol)およびトリエチルアミン(46μL、0.33mmol)の溶液にHATU(46mg、0.12mmol)を添加して、混合物を1分間超音波処理した。次に活性化された酸の溶液を化合物4(45mg、0.11mmol)に添加して、DCM(2×1mL)で洗浄し、反応を室温で16時間撹拌した。反応混合物をEtOAcおよび飽和水性NaHCOで希釈して、水層をEtOAcでさらに2回抽出した。合わせた有機画分を水および鹹水で洗浄して乾燥させ(NaSO)、濾過して濃縮した。得られたガラス質固体を1:1のDCM:ジエチルエーテルと共に超音波処理して、得られた粉末をジエチルエーテルでさらに2回洗浄し、化合物16を黄/緑色固体(33.1mg、63%)として得た。
【0194】
実施例15−化合物25の合成
トルエン(3mL)中の化合物1(123mg、0.28mmol)および3−(4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロラン−2−イル)−N−(tert−ブチル)ベンゼンスルホンアミド(143mg、0.42mmol)の溶液に、n−プロパノール(1mL)、2Mの水性NaHCO(420μL)、およびPd[PPh](32mg、0.03mmol)を添加した。反応を90℃で9時間加熱して、次にEtOAcと水の間で分配した。水層をEtOAcでさらに2回抽出し、合わせた有機画分を鹹水で洗浄して乾燥させ(NaSO)、濾過して濃縮した。次に溶出剤として50〜100%EtOAc/石油スピリットを使用したシリカゲルクロマトグラフィーから、化合物25を淡黄色固体(100mg、68%)として得た。
【0195】
2−クロロ−7−ヨード−5H−ピロロ[3,2−d]ピリミジンの調製
【化16】

手順はJ.Med.Chem.1976,19,1072で報告されたものを応用した。6−メチルピリミジン−2,4(1H,3H)−ジオン(7.0g、55.56mmol)を内部温度が40度を超えないような速度で、氷冷濃硫酸(26mL)に添加した。温度を15℃未満に保ちながら、この混合物に発煙硝酸(5.2mL)を滴下して添加した。冷却槽を除去して混合物を室温で30分間撹拌し、次に100mlの破砕氷片中に放出した。10分間の撹拌後、固体を収集して冷水で洗浄し、次に真空内において五酸化リン上で乾燥させた。6−メチル−5−ニトロピリミジン−2,4(1H,3H)−ジオンの黄緑色固体が得られた(7.92g、83%)。
【0196】
手順はJ.Org.Chem.1978,43,2536で報告されたものを応用した。ジメチルホルムアミド−ジメチルアセタール(4mL、30.05mmol)をジメチルホルムアミド(10ml)中の6−メチル−5−ニトロピリミジン−2,4(1H,3H)−ジオン(3g、17.54mmol)の温かい(80℃)懸濁液に添加した。得られた混合物を140℃で30分間加熱し、次に室温に放冷した。固体を濾過により収集して酢酸エチルで洗浄し、次に真空内で乾燥させて6−[(e)−2−(ジメチルアミノ)ビニル]−5−ニトロピリミジン−2,4(1H,3H)−ジオン(2.62g、66%)を得た。
【0197】
酢酸(23mL)中の6−[(e)−2−(ジメチルアミノ)ビニル]−5−ニトロピリミジン−2,4(1H,3H)−ジオン(1.43g、6.36mmol)の懸濁液を80℃に加熱して、次に亜鉛末(2g、30.77mmol)を1時間かけて緩慢に添加した。得られた懸濁液をさらに1時間加熱し、次に室温に放冷した。固体を濾過により収集し、次に酢酸で洗浄した。固体をビーカーに移して水(25mL)で洗浄し、収集して次に水酸化ナトリウム(5%、10mL)に溶解した。この溶液を70℃に加温して、30分間撹拌した。pH5〜6まで酢酸を添加し、次に沈殿物を収集して冷水、次にエタノールで洗浄した。得られた固体を真空内で乾燥させ、1H−ピロロ[3,2−d]ピリミジン−2,4(3H,5H)−ジオン(0.62g、65%)を得た。
【0198】
オキシ塩化リン(30mL)中の1H−ピロロ[3,2−d]ピリミジン−2,4(3H,5H)−ジオン(0.38g、2.52mmol)の懸濁液を120℃で6時間加熱し、その間に混合物は透明かつ均質になった。混合物を室温に放冷して、過剰なオキシ塩化リンを真空内で除去した。残留物を氷中で冷却し、冷水酸化アンモニウム(30mL、pH=8)を添加して、混合物を30分間撹拌した。沈殿物を収集して冷水で洗浄した。固体を真空内で乾燥させ、2,4−ジクロロ−5H−ピロロ[3,2−d]ピリミジン(0.33g、70%)を得た。
【0199】
エタノール(200mL)中の2,4−ジクロロ−5H−ピロロ[3,2−d]ピリミジン(6.6g、35.3mmol)の溶液に、炭酸水素ナトリウム(2.96g)およびパラジウム炭素(10%、0.66g)を添加した。室温において水素雰囲気下で混合物を3時間撹拌した。混合物を濾過し、次に濾液をシリカゲルに吸収させた。フラッシュクロマトグラフィー、クロロホルム/メタノール4/1による溶出から2−クロロ−5H−ピロロ[3,2−d]ピリミジン(3.3g、61%)を得た。カラムからは、5H−ピロロ[3,2−d]ピリミジン(1.5g)もまた回収された。
【0200】
水(200ml)中の2−クロロ−5H−ピロロ[3,2−d]ピリミジン(3.55g、23.2mmol)の懸濁液に、炭酸水素ナトリウム(19.2g)を添加した。水(25ml)中のヨウ化カリウム(16.41g、98.9mmol)およびヨウ素(5.78g、22.8mmol)の溶液を滴下して添加し、次に室温にして1時間撹拌した。混合物を鹹水で希釈し、酢酸エチルで抽出した。抽出物を乾燥させて濾過し、蒸発させた。残留物をフラッシュクロマトグラフィーにより精製し、25/1〜20/1のクロロホルム/メタノールで溶出して、2−クロロ−7−ヨード−5H−ピロロ[3,2−d]ピリミジン(5.33g、83%)を得た。HNMR(DMSO,300MHz):12.50(s,1H),8.82(s,1H),8.20(s,1H);13CNMR(DMSO,75MHz):143.2,143.0,139.7,139.5,126.5,56.2;LRMS(EI):[M]のm/z理論値278.91,280.91,実測値278.95,280.95。
【0201】
実施例16−化合物33の合成
工程1.2−クロロ−7−ヨード−5−メチル−5H−ピロロ[3,2−d]ピリミジンの調製
DCM(28ml)中の2−クロロ−7−ヨード−5H−ピロロ[3,2−d]ピリミジン(1g、3.57mmol、1.0当量)およびNaOH(0.430mg、10.73mmol、3.0当量)の懸濁液に、ヨードメタン(0.66g、4.6mmol、1.3当量)およびテトラブチル臭化アンモニウム(0.116g、0.36mmol、0.1当量)を添加した。反応混合物を室温で一晩撹拌した。水を注ぎ入れて、水層を酢酸エチル(2回)で抽出した。次に合わせた有機層をNaSO上で乾燥させた。濾過および蒸発後、黄色残留物を酢酸エチル/石油スピリットの混合物(1:2)と共に粉砕して、白色固体(0.73g、70%)として生成物を得た。HNMR(DMSO,300MHz):8.99(s,1H),8.17(s,1H),3.94(s,3H);LRMS(EI):[M+H]のm/z理論値293.93,実測値294.1。
【0202】
工程2.N−[3−(2−クロロ−5−メチル−5H−ピロロ[3,2−d]ピリミジン−7−イル)フェニル]メタンスルホンアミドの調製
DMF(6ml)中の2−クロロ−7−ヨード−5−メチル−5H−ピロロ[3,2−d]ピリミジン(0.140g、0.48mmol、1.0当量)の溶液に、3−メタンスルホニルアミノフェニルボロン酸(0.124g、0.576mmol、1.2当量)、続いて水性NaCO(2M、0.7ml、1.44mmol、3.0当量)を添加した。Pd[PPh](0.055g、0.048mmol、0.1当量)を添加する前に、混合物中に窒素流を15〜20分間吹き込んだ。次に混合物を最高100℃で一晩加熱した。反応混合物を室温に冷却後、大量の水(約60ml)を添加して、混合物を酢酸エチル(3回)で抽出した。蒸発後、溶出剤として石油スピリット/酢酸エチル(1:4)を使用して、カラムクロマトグラフィーで残留物を精製した。生成物は、淡黄色固体(110mg、68%)として得られた。LRMS(EI):[M+H]のm/z理論値337.05,実測値337.2。
【0203】
工程3.化合物33の調製
化合物N−[3−(2−クロロ−5−メチル−5H−ピロロ[3,2−d]ピリミジン−7−イル)フェニル]−メタンスルホンアミド(100mg、0.30mmol、1.0当量)をNMP(1.2ml)に溶解した。溶液に4−モルホリノアニリン(74mg、0.48mmol、1.4当量)、続いてN,N−ジイソプロピルエチルアミン(0.132ml、0.75mmol、2.5当量)を添加した。電子レンジ反応装置内で、混合物を240℃で35分間加熱した。次にアリコートを取って、LCMSにより分析した。LCMS分析は反応をほとんど示さなかったので、次に混合物を240℃でさらに5時間加熱した。次に得られた黒色混合物に、大量の水を添加した。次に水性懸濁液を酢酸エチルで数回抽出した。有機層を蒸発させて黒色残留物を得た。フラッシュクロマトグラフィー(9:1酢酸エチル/石油スピリット)から白色固体を得て、それをジエチルエーテルと共に粉砕して化合物33(3.4mg、2%)を得た。
【0204】
化合物34は、上で報告する手順を使用して調製された。
【0205】
実施例17−化合物12の合成
DMF(3mL)中の化合物1(100mg、0.228mmol)および3−(4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロラン−2−イル)−N,N−ジメチルベンゼンスルホンアミド(106mg、0.34mmol)の溶液に、2Mの水性NaHCO(350μL)およびPd[PPh](26mg、0.02mmol)を添加した。反応を100℃で15時間加熱して放冷し、次に水(20mL)で希釈した。得られた沈殿物を濾過により収集して風乾した。粗生成物を熱メタノール/DMFに再溶解し、熱濾過して次に十分な水を添加して溶液を濁らせた。室温への冷却後、次にさらに氷浴中で濾過により固体を収集し、水で洗浄して風乾し、続いて減圧下でさらに乾燥させた。これにより黄/褐色固体(65mg、57%)として化合物12を得た。
【0206】
実施例18−化合物14の合成
DMF(3mL)中の化合物1(100mg、0.228mmol)およびN−4−メタンスルホンアミドフェニルボロン酸(74mg、0.34mmol)溶液に、2Mの水性NaHCO(350μL)およびPd[PPh](26mg、0.02mmol)を添加した。反応を100℃で15時間加熱して放冷し、次に水(20mL)で希釈した。得られた沈殿物を濾過により収集して、風乾した。粗生成物を熱メタノール/DMFに再溶解し、熱濾過して次に十分な水を添加して溶液を濁らせた。室温への冷却後、次にさらに氷浴中で濾過により固体を収集し、水で洗浄して風乾し、続いて減圧下でさらに乾燥させた。これにより化合物14を黄/緑色固体(66mg、60%)として得た。
【0207】
実施例19−化合物15の合成
DMF(3mL)中の化合物1(100mg、0.228mmol)および2−メトキシ−4−(4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロラン−2−イル)フェノール(86mg、0.34mmol)の溶液に、2Mの水性NaHCO(350μL)およびPd[PPh](26mg、0.02mmol)を添加した。反応を100℃で15時間加熱して放冷し、次に水(20mL)で希釈した。得られた沈殿物を濾過により収集して風乾した。粗生成物を熱メタノール/DMFに再溶解し、熱濾過して次に十分な水を添加して溶液を濁らせた。室温への冷却後、次にさらに氷浴中で濾過により固体を収集し、水で洗浄して風乾し、続いて減圧下でさらに乾燥させた。これにより化合物15を褐色固体(54mg、55%)として得た。
【0208】
実施例20−化合物19の合成
DMF(3mL)中の化合物1(100mg、0.228mmol)および1−エチル−3−(4−(4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロラン−2−イル)−2−(トリフルオロメトキシ)フェニル)ウレア(128mg、0.34mmol)の溶液に、2Mの水性NaHCO(350μL)およびPd[PPh](26mg、0.02mmol)を添加した。反応を100℃で15時間加熱して放冷し、次に水(20mL)で希釈した。得られた沈殿物を濾過により収集して風乾した。粗生成物を熱メタノール/DMFに再溶解し、熱濾過して次に十分な水を添加して溶液を濁らせた。室温への冷却後、次にさらに氷浴中で濾過により固体を収集し、水で洗浄して風乾し、続いて減圧下でさらに乾燥させた。これにより化合物19を黄色固体(45mg、41%)として得た。
【0209】
実施例21−化合物28の合成
電子レンジ管内の1,4−ジオキサン(1mL)中の化合物19(40mg、0.072mmol)の懸濁液に、2Mの水性NaOH(200μL)を添加した。混合物を電子レンジ反応装置(出力=300W、温度=180℃)内で30分間処理した。反応混合物を水中に注いで、DCM(4倍)で抽出した。合わせた有機相を乾燥させ(MgSO)、真空内で濃縮した。シリカ上のカラムクロマトグラフィーによって粗生成物を精製し、化合物28を淡褐色固体(18mg、51%)として得た。
【0210】
実施例22−化合物31の合成
室温において、DMF(2mL)中の化合物18(0.11mmol)の溶液に、CsCO(80mg、0.25mmol)、続いてブロモアセトニトリル(15μL、0.22mmol)を添加した。混合物を15時間撹拌し、次に水中に注いで塩化ナトリウムで飽和させ、THF(3倍)で抽出した。合わせた抽出物を乾燥させて(MgSO)真空内で濃縮した。粗生成物をエーテルに部分的に溶解し、次に2容積の石油エーテルで希釈した。固体を濾過して収集し、乾燥させた。これにより化合物31を褐色固体(15mg、26%)として得た。
【0211】
化合物32は、上で報告する手順を使用して調製された。
【0212】
実施例23−化合物9の合成
ジオキサン中の2−クロロ−5H−ピロロ[3,2−d]ピリミジン(100mg、0.65mmol)、p−モルホリノ−アニリンおよびp−TsOH.HO(150mg、0.78mmol)の溶液を還流下で3日間加熱した。ジオキサンを真空内で除去し、酢酸エチルを添加した。溶液を飽和炭酸水素ナトリウム、次に2%水性クエン酸で洗浄した。得られた固体をフラッシュクロマトグラフィー(4:1酢酸エチル/石油スピリット)により精製して、化合物9を得た(10mg、5%)。
【0213】
実施例24−化合物61の合成
THF(15mL)中の7−ブロモ−2−クロロチエノ[3,2−d]ピリミジン(1.18g、4.7mmol)および4−(2−ピロリジン−1−イルエトキシ)アニリン(1.27g、6.15mmol)の溶液に、カリウムt−ブトキシド(637mg、5.68mmol)を添加した。反応を還流下で65時間加熱し、次に冷却して酢酸エチル/水中に注いだ。水層を酢酸エチルでさらに2回抽出し、合わせた有機層を鹹水で洗浄して乾燥させ(NaSO)、濾過して濃縮し、褐色/オレンジ糸のガムを得た。溶出剤として5%メタノール、酢酸エチル中の0.5%水性アンモニアを使用したシリカゲルクロマトグラフィーにより、静置すると凝固する黄色/オレンジ油(459mg、23%)として化合物61を得た。
【0214】
実施例25−化合物71の合成
トルエン(3mL)、n−プロパノール(0.5mL)、および水性炭酸ナトリウム(2M、1mL、0.2mmol)中の化合物61(100mg、0.24mmol)およびN−tert−ブチル−3−(4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロラン−2−イル)ベンゼンスルホンアミド(200mg、0.61mmol)の溶液に、Pd[PPh](55mg、0.05mmol)を添加した。反応を95℃で18時間加熱して、次に酢酸エチルと水の間で分配した。水層を酢酸エチルでさらに抽出し、次に水および鹹水で洗浄して乾燥させ(NaSO)、濾過して濃縮し、粗生成物を得た。0〜100%の89:10:1のジクロロメタン:メタノール:水性アンモニアを使用したフラッシュクロマトグラフィーによる精製から、化合物71をガラス質のオレンジ固体(32.4mg、25%)として得た。
【0215】
実施例26−化合物39の合成
トルエン(3mL)中の化合物1(100mg、0.23mmol)および2−イソプロピルアニリン(48uL、0.34mmol)の溶液に、ナトリウムt−ブトキシド(44mg、0.45mmol)、tris[ジベンジリデンアセトン]ジパラジウム(0)(5.2mg、0.005mmol)、および4,5−ビス(ジフェニルホスフィノ)−9,9−ジメチルキサンテン(7.1mg、0.013mmol)を添加した。反応を還流下で3時間加熱し、次に冷却して酢酸エチルと水の間で分配した。水層を酢酸エチルで抽出し、合わせた有機物を鹹水で洗浄し、乾燥させて(NaSO)濾過して濃縮し、粗生成物を得た。溶出剤として0〜50%の酢酸エチル/石油スピリットを使用したシリカゲルクロマトグラフィーによる精製から、化合物39を黄色固体(24.4mg、24%)として得た。
【0216】
実施例27−化合物49の合成
トルエン(50mg/ml、0.18mmol)中の4−ニトロ塩化スルフェニル溶液のアリコート(0.35ml)を、アセトニトリル(3ml)中の化合物7(50mg、0.17mmol)の溶液に添加した。混合物を室温で4.5時間撹拌し、得られた沈殿物を収集した。濾液を蒸発させて、沈殿物に追加した。合わせた物質を(56mg)フラッシュクロマトグラフィー(12mg)、続いて分取HPLCで精製して、化合物49(2.5mg、3%)を得た。
【0217】
実施例28−化合物101の合成
工程1:2−クロロ−7−フェニルチエノ[3,2−d]ピリミジンの調製
トルエン(25mL)/イソプロパノール(8mL)中の7−ブロモ−2−クロロチエノ[3,2−d]ピリミジン(1.0g、4.0mmol)、フェニルボロン酸(0.6g、4.9mmol)、Pd[PPh](0.47g、0.4mmol)、および水性炭酸ナトリウム(2M、4.5mL、9.0mmol)の混合物を還流下で一晩加熱した。混合物を室温に放冷し酢酸エチルで希釈して、次に10%水性炭酸水素ナトリウムで洗浄して乾燥させ(NaSO)、濾過して濃縮した。得られた固体をジエチルエーテル(2×70mL)中で超音波処理し、合わせたエーテル洗浄液を蒸発させ、出発原料およびOPPhをなおも含有する粗生成物(1.4g)を得た。
【0218】
工程2:化合物101の調製
THF(10ml)中の上からの粗製2−クロロ−7−フェニルチエノ[3,2−d]ピリミジン(0.30g、約1.2mmol)、3,4−ジメトキシアニリン(0.18g、1.2mmol)、およびカリウムt−ブトキシド(0.26g、2.3mmol)の混合物を還流下で35時間加熱した。混合物を室温に放冷し、HCl(4M、0.5mL)を添加して、次にTHFを真空内で除去した。酢酸エチルおよび水、続いてさらにHCl(10mL)を添加した。有機相を除去して乾燥させ(NaSO)、濾過して濃縮した。得られた物質(0.30mg)をフラッシュクロマトグラフィー(0.13g)続いてC18クロマトグラフィーにより精製して、化合物101(24mg、5%)および化合物100(34mg)を得た。
【0219】
化合物分析
HNMRデータはBruker 300MHz NMR分光計上で得た。LC MSデータは、コーン電圧30V、窒素脱溶媒ガス(500L/h)、コーンガス(100L/h)、原料温度設定120℃、脱溶媒温度設定140℃において、2695Xe HPLC、2996 PDA検出器、および100〜650のm/z範囲にわたるZQ単一四重極質量分光計から構成され、Masslynxソフトウェア制御下で作動するWaters LC MSシステム上で得た。HPLC条件は、以下の1つである。
【0220】
【表50】

【0221】
実施例29−酵素スクリーニング
化合物希釈
スクリーニングの目的で、化合物(100%DMSO中)を使用前に37℃で少なくとも20分間加温した。最初に20μmの原液をDMSOの最終濃度が0.3%のアッセイ緩衝液にした。次に384ウェルOptiplate(Packard)内で原液を希釈し、化合物の最終濃度は5μMであった。
【0222】
JAKチロシンキナーゼドメイン作成
以下の手順を使用してJAKキナーゼドメインを作成した。
JAK1
以下のプライマーを用いてポリメラーゼ連鎖反応を使用して、U937mRNAからヒトJAK1のキナーゼドメインを増幅した。
XHOI−J1 5’−CCG CTC GAG ACT GAA GTG GAC CCC ACA CAT−3’[配列番号5]
J1−KPNI 5’−CGG GGT ACC TTA TTT TAA AAG TGC TTC AAA−3’[配列番号6]
【0223】
JAK1 PCR産物をpDest20目的ベクター(Gibco)にクローンした。次にJAK1プラスミドをコンピテントDH10Bac細胞(Gibco)に形質転換し、Sf9昆虫細胞形質移入を通じて組み換えバキュロウィルスを調製した。
【0224】
JAK2
以下のプライマーを用いてポリメラーゼ連鎖反応を使用して、U937mRNAからヒトJAK2のキナーゼドメインを増幅した。
SALI−jk2 5’−ACG CGT CGA CGG TGC CTT TGA AGA CCG GGA T−3’[配列番号7]
jk2−NOTI 5’−ATA GTT TAG CGG CCG CTC AGA ATG AAG GTC ATT T−3’[配列番号8]
【0225】
JAK2 PCR産物をpDest20目的ベクター(Gibco)にクローンした。次にJAK2プラスミドをコンピテントDH10Bac細胞(Gibco)に形質転換し、Sf9昆虫細胞形質移入を通じて組み換えバキュロウィルスを調製した。
【0226】
JAK3
以下のプライマーを用いてポリメラーゼ連鎖反応を使用して、U937mRNAからヒトJAK3のキナーゼドメインを増幅した。
XHOI−J3 5’−CCG CTC GAG TAT GCC TGC CAA GAC CCC ACG−3’[配列番号9]
J3−KPNI 5’−CGG GGT ACC CTA TGA AAA GGA CAG GGA GTG−3’[配列番号10]
【0227】
JAK3 PCR産物をpDest20目的発現ベクター(Gibco)にクローンした。次にJAK3プラスミドをコンピテントDH10Bac細胞(Gibco)に形質転換し、Sf9昆虫細胞形質移入を通じて組み換えバキュロウィルスを調製した。
【0228】
キナーゼドメインの大規模生産
SF900II無血清培地(Invitrogen)中で生育させた1LのSf9スポドプテラ・フルギペルダ(Spodoptera frugiperda)細胞(Invitrogen)に、各JAKファミリーメンバーからのバキュロウィルス調製品をおよそ2×10細胞/mlの細胞密度に感染させた。20:1の細胞培養物とウィルス原液比で、細胞をウィルスで感染させた。感染48時間後に細胞を収集して溶解した。GSHアガロースカラム(Scientifix)上の親和クロマトグラフィーによって、GST標識JAKキナーゼドメインを精製した。
【0229】
アッセイプロトコル
Alphascreenタンパク質チロシンキナーゼP100検出キットを使用して、384ウェルOptiplate(Packard)内でキナーゼアッセイを実施した。ホスホチロシンアッセイ緩衝液(10mM HEPES、pH7.5、100mM MgCl、25mM NaCl、200mMバナジン酸ナトリウム、および0.1%Tween 20)の存在下で、化合物をアフィニティ精製PTK領域と共に20分間プレインキュベートした。次に80または625umのどちらかのATP存在下で、化合物を基質と共に60または90分間インキュベートした。使用した基質は、ビオチン−EGPWLEEEEEAYGWMDF−NH[配列番号13]配列を有する基質−1(最終濃度111μM)、またはビオチン−EQEDEPEGDYFEWLEPE配列を有する基質−2基質(最終濃度133μM)のどちらかであった。控えめな照明下で、停止緩衝液中の1/100濃度のAlphascreenホスホチロシン受容体ビーズ、続いてストレプトアビジン供与体ビーズを各ウェルに添加して、2〜3時間インキュベートした。Alphascreenプレートは、Packard Fusion Alpha装置上で読み取った。
【0230】
結果
選択される化合物についての酵素アッセイ結果および構造データを下の表1に示し、ここで+++は100nM、++は<500nM、および+は<1μMである。
【0231】
実施例30−細胞スクリーニング
化合物の希釈
スクリーニングの目的で、化合物を96ウェルプレート内で20μMの濃度に希釈した。アッセイを実施する前に、プレートを37℃で30分間加温した。
【0232】
TEL:JAK2細胞系の確立
オリゴヌクレオチド5TEL(5’−GGA GGA TCC TGA TCT CTC TCG CTG TGA GAC−3’)[配列番号14]および3TEL(5’−AGGC GTC GAC TTC TTC TTC ATG GTT CTG−3’)[配列番号15]、およびテンプレートとしてU937mRNAを使用して、TELのヌクレオチド1〜487を包含するコード領域をPCRによって増幅した。BamHI制限部位を5TELプライマーに組み込み、Sal I制限部位を3TELプライマーに組み込んだ。Taq DNAポリメラーゼ(Gibco/BRL)、およびテンプレートとしてU937 mRNAを使用して、JAK2(ヌクレオチド2994〜3914;JAK2F 5’−ACGC GTC GAC GGT GCC TTT GAA GAC CGG GAT−3’[配列番号16];JAK2R 5’−ATA GTT TAG CGG CCG CTC AGA ATG AAG GTC ATT T−3’)[配列番号 17]、およびJAK3(ヌクレオチド2520〜3469;JAK3F 5’−GAA GTC GAC TAT GCC TGC CAA GAC CCC ACG ATC TT−3’)[配列番号18]のキナーゼドメインを包含する領域をPCRによって作り出した。Sal I制限部位をJAK2およびJAK3の順方向プライマーに組み込み、Not I部位をJAK2逆方向プライマー中に組み込み、Xba I部位をJAK3の逆方向プライマーに付加した。
【0233】
TEL/Jak2融合体を、BamH I/Sal I制限酵素によるTELPCR産物の消化、Sal I/Not I制限酵素によるJAK2 PCR産物の消化、続くライゲーション、および、BamH I−Not I制限酵素での消化によって調製された哺乳類発現ベクターpTRE2(Clontech)へのライゲーション産物のサブクローニングによってTEL/Jak2融合プラスミド(pTELJAK2)を得ることによって生成させた。
【0234】
TEL/Jak2融合体を、JAK3 Sal I/Not I切断キナーゼドメインPCR産物と、BamH I/Sal I制限酵素消化TEL産物とのライゲーション、続くBamH I/Not I消化pTRE2へのライゲーション産物のライゲーションによってTEL/Jak3融合プラスミド(pTELJAK3)を得ることによって調製した。
【0235】
pTET−offプラスミド(Clontech)を保有する成長因子依存性骨髄単核細胞系BaF3をpTELJAK2またはpTELJAK3のどちらかを用いて形質移入し、形質移入された細胞を成長因子独立細胞成長について選択した。BaF3野生型細胞をDMEM含有、10%FCS、10%WEHI 3B馴化培地中で培養した。BaF3 TELJAK細胞(BafT_J2またはBafT_J2)をDMEM 10% Tet−System Approved FBS(WEHI 3B馴化培地なしの)中で培養した。
【0236】
細胞アッセイは以下のようにして実施した。
培養物から細胞を収集して細胞懸濁液を調製した。(この試験で使用した細胞は、高生存率の後期対数増殖期にあった)。細胞を、上述したとおり、適切な増殖培地中で1.1×最終濃度(50,000細胞/mL〜200,000細胞/mL、細胞系次第)に希釈した。
【0237】
試験する化合物(10μL、10×最終濃度)平底96ウェルプレートに入れた。次に細胞懸濁液(ウェル当たり90μL)を添加し、プレートを37℃、5%COで40時間インキュベートした。ウェル当たり10μLのAlamar Blueを添加して、プレートを恒温器にさらに4〜6時間戻した。次にプレートを544nmで読み取った。
【0238】
結果
表1に示す結果において+++は<1μM、++は<5μM、および+は<20μMである。
【0239】
【表51】

【0240】
【表52】

【0241】
【表53】

【0242】
実施例31−疾患モデルにおける化合物の試験
適切な生体内動物有効性モデル中で、腫瘍の発症、進行、および転移に対する化合物の効果を評価することができる。モデルは、免疫欠損マウス中のヒト腫瘍細胞系からの、あるいは好ましくは原発性または転移性ヒト腫瘍からのヒト腫瘍異種移植片モデルであることができる。その他のモデルは、同所部位で生育するヒト腫瘍異種移植片、散在性疾患モデルおよび遺伝子導入または標識腫瘍モデルであってもよい。モデルには、原発腫瘍の外科的切除物および転移性疾患の評価も含まれる。
【0243】
モデルは、目標とする分子薬剤が発現されることを確実にするように選択することができる。JAK/STAT経路の調節解除を示す腫瘍の例としては、前立腺癌、乳癌、結腸癌、白血病、リンパ腫、骨髄腫、卵巣腫瘍、メラノーマ、肺癌、神経膠腫、腎臓細胞癌が挙げられる。
【0244】
有効性は、腫瘍タイプ(固形、白血病または転移性)に応じて様々な結果によってこれらのモデルで測定することができ、標識細胞または試薬、生存、血管新生、組織病理学を含む様々なアプローチによる、腫瘍発症、腫瘍増殖速度、腫瘍量、腫瘍増殖遅延、腫瘍細胞の死滅、転移発生率、腫瘍の造影、および侵襲性/転移の測定などを含むことができる。
【0245】
生体内動物有効性モデルは、その他の薬剤と組み合わさった化合物の効果の相加または相乗作用の判定のために使用することもできる。
【0246】
関節リウマチ(RA)は、受動的滑膜増殖および炎症細胞の内膜下浸潤を特徴とする慢性の破壊的炎症性多関節疾患である。病因論は未だに解明されていないが、RAが自己免疫疾患であり、関節炎が軟骨特異的自己抗原に対する耐性喪失の帰結であることは、一般に認知されている。この文脈で、1.II型コラーゲン誘発性関節炎(CIA)、および2.グラム陰性細菌(LPS)からの抗原と4つのモノクローナル抗体(mAb)パネルとの組み合わせなどの、自己抗原によるRAの誘発を軸に展開する動物モデルが確立されている。関節炎の第3のモデルは、主にラットで実施するアジュバント誘発性関節炎(AIA)である。AIAの根底にある機序には、依然として議論の余地がある。しかし65kDのマイコバクテリア熱ショックタンパク質が、プロテオグリカンのコアタンパク質分子中で、ノナペプチド配列を共有することが示され、AIAもまた自己抗原によって誘導される疾患であることが示唆される。
【0247】
AIAでは、液体パラフィンに12mg/mlで熱殺菌マイコバクテリウム・ブチリカム(Mycobacterium butyricum)エマルジョンとして懸濁して調製された、完全なフロイントアジュバント(CFA)を8週齢Lewisラットに与えた。CFA誘発性関節炎は、足蹠または尾の基部どちらかへの50μlのCFAエマルジョンの皮内注射によって刺激することができる。(関節炎発症)7日目から、ラットを0=正常;1=最小腫脹;2=中程度腫脹;3=重度腫脹;および4=重度かつ体重不支持の0〜4の尺度で、臨床関節炎スコアについて毎日検査する。ラット1匹当たり48の最大臨床スコアを与えて、各脚について、前脚中央、肘、手指関節、後脚中央、踝関節および足指関節を評点した。動物を17日目に屠殺して、後ろ脚を切断して7.4%ホルマリン中で固定した。脱会およびパラフィン包埋後、脚を正中矢状面に薄切し、エオジンおよびヘマトキシリンで染色して、パンヌス形成(軟骨および骨浸食および破壊)、血管分布(CD31染色による血管形成)、および単核細胞浸潤(T、Bおよびマクロファージ)について顕微鏡的に検査した。
【0248】
CIAでは、CIAにより罹患しやすいことから、H−2MHCハプロタイプを保有するDBA/1マウスを使用する。一般に相同的なII型コラーゲンよりも免疫原性/関節炎誘発性であることから、異種のコラーゲンが使用される。マウスを、1:1の比率のウシII型コラーゲンと完全な−フロイントアジュバントからなるエマルジョンで予備刺激する(最終濃度=2mg/ml)。基部からおよそ1〜2cmで各マウスの尾にエマルジョン(0.1ml)を注射する。真皮下方の白っぽいボーラスが、目視できるはずである。21日目にPBS中のII型コラーゲン追加免疫(マウス当たり200μg)を腹腔内投与する。高CIA感受性マウス(DBA/1)は、一般に初回刺激の4〜5週間後に関節炎を発症する。赤く腫れ上がった脚を含む完全に進行した関節炎は、発症の3〜5日後に観察でき、活性炎症性関節炎は3〜4週間を超えて持続する。炎症は次第に和らぐが、関節強直として見られるように関節損傷は恒久的である。CIA症状のアセスメントはAIAモデルと本質的に同様であり、疾患の重篤性に基づいて、臨床徴候に臨床スコア(0〜4)を与える。ホルマリン固定関節に組織学的測定を実施して、浸食、細胞浸潤、および過形成を評価することもできる。
【0249】
LPS−mAB併用誘発性関節炎では、II型コラーゲンのCB11領域内に位置する83アミノ酸ペプチド断片中にクラスター形成する個々のエピトープを認識する、LPSおよびmABカクテルの併用によって、重篤で恒常的な関節炎をマウスにおいて誘発できる。このモデルは、消化管を通じて吸収された細菌毒素が、RAの誘発において、II型コラーゲンに対する関節炎誘発性レベル以下の自己抗体と共に、相乗的かつ病理学的役割を果たすという仮説に基づいて開発された。このモデルの利点は、以下のとおりである。1.同期化された関節炎(100%)が7日以内に迅速に誘発される。2.抗II型コラーゲンmABカクテルの投与は、宿主のII型コラーゲンに対する自己抗体産生要件を迂回させ、したがってCIA感受性MHCハプロタイプを有さないマウスで関節炎を誘発させることができるため、多様なマウス系統が使用できる。3.i.v.およびi.p.経路のどちらによってもmABおよびLPS投与が容易である。
【0250】
クローン病(CD)および潰瘍性大腸炎(UC)を含む炎症性腸疾患(IBD)は、胃腸管の炎症によって特徴づけられる一群の慢性障害である。CDが消化管のあらゆる部分を侵し得るのに対し、UCは結腸および直腸のみを侵し得る。UCは、通常S字形結腸および直腸の炎症および潰瘍を引き起こす。細胞浸潤は複雑であり、CDおよびUCにおいて炎症促進性のサイトカインが明らかである。
【0251】
リューコノストック(Leuconostoc)種から単離されたデキストラン硫酸ナトリウム(3%DSS)の飲用水への投与による、Balb/CマウスでUCの実験モデルが確立されている。実験は、比較的短い時間的経過(8日間)を有し、大腸炎アセスメントのためのパラメーターとしては、体重低下、便の硬さ、直腸出血、結腸長さの短縮、陰窩の損傷、および結腸環(colonic rings)のサイトカイン分析が挙げられる。
【0252】
CDでは0日目に、剪毛した腹部および脚の皮膚上で、2×50μlの5mg/mlジニトロフルオロベンゼン(DNFB)を用いて、Balb/Cを2日間続けて感作させる。DNFBは、典型的に、アセトン:オリーブ油(4:1)中で可溶化される。5日目に、10%エタノール中の6mg/mlの50μlジニトロベンゼンスルホン酸(DNS)を、マウスに結腸内に投与する。マウスを8日目に屠殺した。測定するパラメーターとしては、総血液細胞数および細胞型の抑制、血清中の粘膜肥満細胞プロテアーゼ1(MMCP−1)、結腸ホモジェネート中のTNFαレベル、便の硬さ、血管透過性、および結腸パッチ数が挙げられる。結腸損傷ならびに細胞流入の徴候である好中球および肥満細胞の数も、組織学的および顕微鏡的検査によって評価される。
【0253】
喘息は人類に限定されるが、このヒト疾患の特定の側面を研究するために動物モデルが使用されることが多い。喘息患者から回収された気管支生検および気管支肺胞洗浄(BAL)液は、増加した活性化T細胞、B細胞、好酸球、および肥満細胞を含有することが示されている。多くの喘息患者は、1つ以上の吸入アレルゲンに対して感作され、特異的免疫グロブリンE(IgE)抗体を有する。アトピーは、喘息の主要原因であると見なされる。アトピー性の個体では、アレルゲンの吸入がヘルパーT2細胞(Th2)応答を優先的に誘発する。現行のモデルの大部分では、マウスは、頻繁にミョウバンなどのTh2斜行(skewed)アジュバントと共に、オボアルブミン(OVA)の腹腔内(ip)注射によって、感作される。喘息の古典的マウスモデルでは、C57/BL6マウスを、1mgのミョウバンに吸収させた10μgのOVAのip注射によって、0日目に能動的に感作させる。14〜21日目には、マウスをエアロゾル化OVAに毎日30分間曝露する。22日目には、気道炎症が明白である。これらの動物から回収されたBAL液は、単核細胞および好酸球の混合細胞浸潤からなる、細気管支周囲空間の増大を実証する。OVA特異的IgE抗体は、感作動物の血清中で実証することができる。単核細胞集団は主に、サイトカインIL−4およびIL−5を分泌するTh2表現型細胞からなる。IL−4はIgE合成に向けたB細胞のアイソタイプスイッチを促進し、IL−5は好酸球の産生、成熟、および活性化に影響を及ぼす。
【0254】
本明細書で言及さする全ての公報を、参照によって本明細書に援用する。本明細書に含まれる文献、行為、材料、装置、物品などのあらゆる説明は、本発明の文脈を提供することのみを目的とする。これはこれらの事項のいずれかまたは全てが先行技術ベースの一部を形成し、または本出願の各請求項の優先日の前にオーストラリアまたはほかの場所に存在した本発明に関連する分野の一般常識であることを承認するものではない。
【0255】
特定の実施態様で示したように、広く記載されているような本発明の特許請求の範囲の趣旨と範囲を逸脱することなく、本発明に多数の変更および/または修正を加えてもよいことが当業者によって理解されるであろう。したがって本実施態様は、全ての点で限定的ではなく例示的と見なされる。
【0256】
以下の特許請求の範囲および先の本発明の説明において、言語または必要な意味合いを表現するために、文脈が特に必要とする場合を除いて、「含む(comprise)」という語、または「含む(comprises)」または「含む(comprising)」などの活用形は、包括的な意味で使用する。すなわち記述した特徴の存在を特定するが、本発明の様々な実施態様におけるさらなる特徴の存在または付加を排除しない。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
式I:
【化1】

(式中、
Q、W、およびYは、独立に、NおよびCRから選択され、
ZはNRまたはSであり、
Lは存在しないか、またはCO、SOまたは置換もしくは非置換C1〜6アルキレンであり、
AおよびBは独立に、存在しないかまたは置換もしくは非置換C1〜6アルキレンであり、その中で1つ以上の炭素原子は任意にO、CO、NR、NRCO、CONR、NRSO、SONR、S、および/またはS(O)で置換されていてもよく、
は独立に、H、置換または非置換C1〜6アルキル、置換または非置換C2〜6アルケニル、置換または非置換C2〜6アルキニル、置換または非置換C1〜6アルコキシ、OH、ハロゲン、CN、NO、NR、SO、SONR、CF、OCF、NRSO、CO、COSR、CSR、COR、NR、CSR、NRCSR、CONR、NRCOR、NRCONR、SO、置換または非置換C3〜8シクロアルキル、置換または非置換アリール、ならびにN、O、S、およびSOから選択される最高で3個のヘテロ原子を有する置換または非置換ヘテロシクリルから選択され、
RはH、置換または非置換C1〜6アルキル、置換または非置換C2〜6アルケニル、置換または非置換C2〜6アルキニル、置換または非置換C1〜6アルコキシ、OH、ハロゲン、CN、NO、CO、CONR、NRCOR、SO、C3〜8シクロアルキル、アリール、ならびにN、O、S、およびSOから選択される最高で3個のヘテロ原子を有するヘテロシクリルから選択され、そのそれぞれは、置換または非置換C1〜6アルキル、置換または非置換C2〜6アルケニル、置換または非置換C2〜6アルキニル、置換または非置換C1〜6アルコキシ、OH、OCF、ハロゲン、CN、NO、NR、SO、SONR、NRSO、CO、COR、NRCOR、RNHCO、CONR、NRCONR、ならびにN、O、S、およびSOから選択される最高で3個のヘテロ原子を有する置換または非置換ヘテロシクリルから独立に選択される最高で3個の置換基によって置換されていてもよく、
およびRは独立に、H、置換または非置換C1〜6アルキル、置換または非置換C2〜6アルケニル、置換または非置換C2〜6アルキニル、置換または非置換C1〜6アルコキシ、CN、置換または非置換C3〜8シクロアルキル、置換または非置換アリール、ならびにN、O、S、およびSOから選択される最高で3個のヘテロ原子を有する置換または非置換ヘテロシクリルから選択され、
mは1〜3であり、
nは1または2である)
の化合物、その塩、異性体、および/またはプロドラッグ。
【請求項2】
式Iの化合物が、式Ia:
【化2】

(式中、Q、W、Y、Z、L、A、B、R、R、m、およびnは請求項1で定義したとおりである)
を有する、請求項1に記載の化合物。
【請求項3】
式Iの化合物が、式Ib:
【化3】

(式中、Z、A、B、R、R、m、およびnは請求項1で定義したに記載されるとおりである)
を有する、請求項1に記載の化合物。
【請求項4】
Aが存在しないか、あるいは置換または非置換C1〜6アルキレンまたは置換または非置換二価C1〜6アルコキシであり、Bが存在しないかまたはSである、請求項1に記載の化合物。
【請求項5】
Rが独立に、H、ハロゲン、CO、CONR、C3〜8シクロアルキル、5または6員環アリール、ならびにN、O、S、およびSOから選択される最高で3個のヘテロ原子を有する5〜8員環ヘテロシクリルから選択され、そのそれぞれが、置換または非置換C1〜6アルキル、N、O、S、およびSOから選択される最高で3個のヘテロ原子を有する置換または非置換5〜8員環ヘテロシクリル、ROH、RNHCO、OCF、置換または非置換C1〜6アルコキシ、OH、NR、SONR、NRSO、NRCOR、CONR、NRCONR、COR、CO、および/またはSO(式中、RおよびRは請求項1で定義したとおりである)から独立に選択される最高で3個の置換基で置換されていてもよい、請求項1に記載の化合物。
【請求項6】
Rが独立に、NR、NRCOR、置換または非置換C1〜6アルコキシ、N、O、S、およびSOから選択される最高で3個のヘテロ原子を有する置換または非置換5〜8員環ヘテロシクリル、SONR、NRCONR、NRSO、ROH、RNHCO、OCF、CONRまたは置換または非置換C1〜6アルキルの少なくとも1つで置換されたかまたは非置換のフェニル;C1〜6アルコキシ、COまたはNRの少なくとも1つで置換されたかまたは非置換の、1〜2個のN原子を有する飽和または不飽和5〜9員環ヘテロシクリル;およびC1〜6アルコキシ、COまたはNRの少なくとも1つで置換されたかまたは非置換の、1〜2個のO原子を有する飽和または不飽和5〜9員環ヘテロシクリルから選択される、請求項1に記載の化合物。
【請求項7】
が独立に、H、ハロゲン、置換または非置換C1〜6アルケニル、置換または非置換C2〜6アルキル、置換または非置換C1〜6アルコキシ、OH、ハロゲン、NO、NR、NRCOR、CO、SO、NRSO、置換または非置換C3〜8シクロアルキル、置換または非置換5または6員環アリール、ならびにN、O、S、およびSOから選択される最高で3個のヘテロ原子を有する置換または非置換5〜8員環飽和または不飽和ヘテロシクリルから選択される、請求項1に記載の化合物。
【請求項8】
前記N、O、S、およびSOから選択される最高で3個のヘテロ原子を有する置換または非置換5〜8員環飽和または不飽和ヘテロシクリルが、モルホリノ、チオモルホリノ、チオモルホリノ−1−オキシド、チオモルホリノ−1,1−ジオキシド、NR−ピペラジン、4−ヒドロキシピペリジン、3−ヒドロキシピロリジン、3−ヒドロキシピロール、ピペリジン、またはピロリジンである、請求項7に記載の化合物。
【請求項9】
B−RおよびA−Rの1つが、下記:
【化4】

(式中、
DはOまたはNであり、
はH、ならびに置換および非置換C1〜4アルキルから選択され、
およびRは独立に、H、置換または非置換C1〜4アルキル、C1〜4アルキルNR、C1〜4アルキルOR、置換または非置換アリールから選択され、または結合してO、S、SO、およびNRから選択される1つ以上のヘテロ原子を任意に含有する置換または非置換5〜8員環を形成してもよく、
はOH、OC1〜4アルキル、NRから選択され、
pは0〜4であり、
およびRは独立に、H、置換または非置換C1〜4アルキルから選択され、または結合してO、S、SO、およびNRから選択される1つ以上のヘテロ原子を任意に含有する置換された3〜8員環を形成してもよく、
10はHおよび置換または非置換C1〜4アルキルから選択される)
から選択されるマイケル受容体である、請求項1に記載の化合物。
【請求項10】
1. 7−ヨード−N−(4−モルホリノフェニル)チエノ[3,2−d]ピリミジン−2−アミン
2. 7−(4−アミノフェニル)−N−(4−モルホリノフェニル)チエノ[3,2−d]ピリミジン−2−アミン
3. N−(4−(2−(4−モルホリノフェニルアミノ)チエノ[3,2−d]ピリミジン−7−イル)フェニル)アクリルアミド
4. 7−(3−アミノフェニル)−N−(4−モルホリノフェニル)チエノ[3,2−d]ピリミジン−2−アミン
5. N−(3−(2−(4−モルホリノフェニルアミノ)チエノ[3,2−d]ピリミジン−7−イル)フェニル)アクリルアミド
7. N−(4−モルホリノフェニル)チエノ[3,2−d]ピリミジン−2−アミン
8. メチル2−(4−モルホリノフェニルアミノ)チエノ[3,2−d]ピリミジン−7−カルボキシレート
9. N−(4−モルホリノフェニル)−5H−ピロロ[3,2−d]ピリミジン−2−アミン
10. 7−(4−アミノ−3−メトキシフェニル)−N−(4−モルホリノフェニル)チエノ[3,2−d]ピリミジン−2−アミン
11. 4−(2−(4−モルホリノフェニルアミノ)チエノ[3,2−d]ピリミジン−7−イル)ベンゼンスルホンアミド
12. N,N−ジメチル−3−(2−(4−モルホリノフェニルアミノ)チエノ[3,2−d]ピリミジン−7−イル)ベンゼンスルホンアミド
13. 1−エチル−3−(2−メトキシ−4−(2−(4−モルホリノフェニルアミノ)チエノ[3,2−d]ピリミジン−7−イル)フェニル)ウレア
14. N−(4−(2−(4−モルホリノフェニルアミノ)チエノ[3,2−d]ピリミジン−7−イル)フェニル)メタンスルホンアミド
15. 2−メトキシ−4−(2−(4−モルホリノフェニルアミノ)チエノ[3,2−d]ピリミジン−7−イル)フェノール
16. 2−シアノ−N−(3−(2−(4−モルホリノフェニルアミノ)チエノ[3,2−d]ピリミジン−7−イル)フェニル)アセトアミド
17. N−(シアノメチル)−2−(4−モルホリノフェニルアミノ)チエノ[3,2−d]ピリミジン−7−カルボキサミド
18. N−(3−(2−(4−モルホリノフェニルアミノ)チエノ[3,2−d]ピリミジン−7−イル)フェニル)メタンスルホンアミド
19. 1−エチル−3−(4−(2−(4−モルホリノフェニルアミノ)チエノ[3,2−d]ピリミジン−7−イル)−2−(トリフルオロメトキシ)フェニル)ウレア
20. N−(3−ニトロフェニル)−7−フェニルチエノ[3,2−d]ピリミジン−2−アミン
21. 7−ヨード−N−(3−ニトロフェニル)チエノ[3,2−d]ピリミジン−2−アミン
22. N1−(7−(2−エチルフェニル)チエノ[3,2−d]ピリミジン−2−イル)ベンゼン−1,3−ジアミン
25. N−tert−ブチル−3−(2−(4−モルホリノフェニルアミノ)チエノ[3,2−d]ピリミジン−7−イル)ベンゼンスルホンアミド
26. N1−(7−ヨードチエノ[3,2−d]ピリミジン−2−イル)ベンゼン−1,3−ジアミン
28. 7−(4−アミノ−3−(トリフルオロメトキシ)フェニル)−N−(4−モルホリノフェニル)チエノ[3,2−d]ピリミジン−2−アミン
29. 7−(2−エチルフェニル)−N−(4−モルホリノフェニル)チエノ[3,2−d]ピリミジン−2−アミン
30. N−(3−(2−(4−モルホリノフェニルアミノ)チエノ[3,2−d]ピリミジン−7−イル)フェニル)アセトアミド
31. N−(シアノメチル)−N−(3−(2−(4−モルホリノフェニルアミノ)チエノ[3,2−d]ピリミジン−7−イル)フェニル)メタンスルホンアミド
32. N−(シアノメチル)−N−(4−(2−(4−モルホリノフェニルアミノ)チエノ[3,2−d]ピリミジン−7−イル)フェニル)メタンスルホンアミド
33. N−(3−(5−メチル−2−(4−モルホリノフェニルアミノ)−5H−ピロロ[3,2−d]ピリミジン−7−イル)フェニル)メタンスルホンアミド
34. 4−(5−メチル−2−(4−モルホリノフェニルアミノ)−5H−ピロロ[3,2−d]ピリミジン−7−イル)ベンゼンスルホンアミド
36. N−(4−(5−メチル−2−(4−モルホリノフェニルアミノ)−5H−ピロロ[3,2−d]ピリミジン−7−イル)フェニル)メタンスルホンアミド
37. 7−ヨード−N−(4−モルホリノフェニル)−5H−ピロロ[3,2−d]ピリミジン−2−アミン
38. 7−(2−イソプロピルフェニル)−N−(4−モルホリノフェニル)チエノ[3,2−d]ピリミジン−2−アミン
39. 7−ブロモ−N−(4−モルホリノフェニル)チエノ[3,2−d]ピリミジン−2−アミン
40. N7−(2−イソプロピルフェニル)−N2−(4−モルホリノフェニル)チエノ[3,2−d]ピリミジン−2,7−ジアミン
41. N7−(4−イソプロピルフェニル)−N2−(4−モルホリノフェニル)チエノ[3,2−d]ピリミジン−2,7−ジアミン
42. 7−(5−アミノ−2−メチルフェニル)−N−(4−モルホリノフェニル)チエノ[3,2−d]ピリミジン−2−アミン
43. N−(シアノメチル)−4−(2−(4−モルホリノフェニルアミノ)チエノ[3,2−d]ピリミジン−7−イル)ベンズアミド
44. 7−ヨード−N−(3−モルホリノフェニル)チエノ[3,2−d]ピリミジン−2−アミン
45. 7−(4−アミノ−3−ニトロフェニル)−N−(4−モルホリノフェニル)チエノ[3,2−d]ピリミジン−2−アミン
46. 7−(2−メトキシピリジン−3−イル)−N−(4−モルホリノフェニル)チエノ[3,2−d]ピリミジン−2−アミン
47. (3−(7−ヨードチエノ[3,2−d]ピリミジン−2−イルアミノ)フェニル)メタノール
48. N−tert−ブチル−3−(2−(3−モルホリノフェニルアミノ)チエノ[3,2−d]ピリミジン−7−イル)ベンゼンスルホンアミド
49. N−tert−ブチル−3−(2−(3−(ヒドロキシメチル)フェニルアミノ)チエノ[3,2−d]ピリミジン−7−イル)ベンゼンスルホンアミド
50. N−(4−モルホリノフェニル)−7−(4−ニトロフェニルチオ)−5H−ピロロ[3,2−d]ピリミジン−2−アミン
51. N−tert−ブチル−3−(2−(3,4,5−トリメトキシフェニルアミノ)チエノ[3,2−d]ピリミジン−7−イル)ベンゼンスルホンアミド
52. 7−(4−アミノ−3−ニトロフェニル)−N−(3,4−ジメトキシフェニル)チエノ[3,2−d]ピリミジン−2−アミン
53. N−(3,4−ジメトキシフェニル)−7−(2−メトキシピリジン−3−イル)チエノ[3,2−d]ピリミジン−2−アミン
54. N−tert−ブチル−3−(2−(3,4−ジメトキシフェニルアミノ)チエノ[3,2−d]ピリミジン−7−イル)ベンゼンスルホンアミド
55. 7−(2−アミノピリミジン−5−イル)−N−(3,4−ジメトキシフェニル)チエノ[3,2−d]ピリミジン−2−アミン
56. N−(3,4−ジメトキシフェニル)−7−(2,6−ジメトキシピリジン−3−イル)チエノ[3,2−d]ピリミジン−2−アミン
57. N−(3,4−ジメトキシフェニル)−7−(2,4−ジメトキシピリミジン−5−イル)チエノ[3,2−d]ピリミジン−2−アミン
58. 7−ヨード−N−(4−(モルホリノメチル)フェニル)チエノ[3,2−d]ピリミジン−2−アミン
59. N−tert−ブチル−3−(2−(4−(モルホリノメチル)フェニルアミノ)チエノ[3,2−d]ピリミジン−7−イル)ベンゼンスルホンアミド
60. 2−シアノ−N−(4−メチル−3−(2−(4−モルホリノフェニルアミノ)チエノ[3,2−d]ピリミジン−7−イル)フェニル)アセトアミド
61. エチル3−(2−(4−モルホリノフェニルアミノ)チエノ[3,2−d]ピリミジン−7−イル)ベンゾエート
62. 7−ブロモ−N−(4−(2−(ピロリジン−1−イル)エトキシ)フェニル)チエノ[3,2−d]ピリミジン−2−アミン
63. N−(3−(2−(4−(2−(ピロリジン−1−イル)エトキシ)フェニルアミノ)チエノ[3,2−d]ピリミジン−7−イル)フェニル)アセトアミド
64. N−(シアノメチル)−3−(2−(4−モルホリノフェニルアミノ)チエノ[3,2−d]ピリミジン−7−イル)ベンズアミド
65. N−tert−ブチル−3−(2−(4−モルホリノフェニルアミノ)チエノ[3,2−d]ピリミジン−7−イル)ベンズアミド
66. N−tert−ブチル−3−(2−(4−(1−エチルピペリジン−4−イルオキシ)フェニルアミノ)チエノ[3,2−d]ピリミジン−7−イル)ベンゼンスルホンアミド
67. tert−ブチル4−(2−(4−(モルホリノメチル)フェニルアミノ)チエノ[3,2−d]ピリミジン−7−イル)−1H−ピラゾール−1−カルボキシレート
68. 7−ブロモ−N−(4−((4−エチルピペラジン−1−イル)メチル)フェニル)チエノ[3,2−d]ピリミジン−2−アミン
69. N−tert−ブチル−3−(2−(4−((4−エチルピペラジン−1−イル)メチル)フェニルアミノ)チエノ[3,2−d]ピリミジン−7−イル)ベンゼンスルホンアミド
70. N−(4−((4−エチルピペラジン−1−イル)メチル)フェニル)−7−(1H−ピラゾール−4−イル)チエノ[3,2−d]ピリミジン−2−アミン
71. N−(シアノメチル)−3−(2−(4−(モルホリノメチル)フェニルアミノ)チエノ[3,2−d]ピリミジン−7−イル)ベンズアミド
72. N−tert−ブチル−3−(2−(4−(2−(ピロリジン−1−イル)エトキシ)フェニルアミノ)チエノ[3,2−d]ピリミジン−7−イル)ベンゼンスルホンアミド
73. tert−ブチルピロリジン−1−イル)エトキシ)フェニルアミノ)チエノ[3,2−d]ピリミジン−7−イル)ベンジルカルバメート
74. 3−(2−(4−(2−(ピロリジン−1−イル)エトキシ)フェニルアミノ)チエノ[3,2−d]ピリミジン−7−イル)ベンゼンスルホンアミド
75. 7−(3−クロロ−4−フルオロフェニル)−N−(4−(2−(ピロリジン−1−イル)エトキシ)フェニル)チエノ[3,2−d]ピリミジン−2−アミン
76. tert−ブチル4−(2−(4−(1−エチルピペリジン−4−イルオキシ)フェニルアミノ)チエノ[3,2−d]ピリミジン−7−イル)−1H−ピラゾール−1−カルボキシレート
77. 7−(ベンゾ[d][1,3]ジオキソール−5−イル)−N−(4−(モルホリノメチル)フェニル)チエノ[3,2−d]ピリミジン−2−アミン
78. tert−ブチル5−(2−(4−(モルホリノメチル)フェニルアミノ)チエノ[3,2−d]ピリミジン−7−イル)−1H−インドール−1−カルボキシレート
79. 7−(2−アミノピリミジン−5−イル)−N−(4−(モルホリノメチル)フェニル)チエノ[3,2−d]ピリミジン−2−アミン
80. tert−ブチル4−(2−(4−(モルホリノメチル)フェニルアミノ)チエノ[3,2−d]ピリミジン−7−イル)−5,6−ジヒドロピリジン−1(2H)−カルボキシレート
81. tert−ブチルモルホリノメチル)フェニルアミノ)チエノ[3,2−d]ピリミジン−7−イル)ベンジルカルバメート
82. N−(3−(2−(4−(モルホリノメチル)フェニルアミノ)チエノ[3,2−d]ピリミジン−7−イル)フェニル)アセトアミド
83. N−(4−(2−(4−(モルホリノメチル)フェニルアミノ)チエノ[3,2−d]ピリミジン−7−イル)フェニル)アセトアミド
84. N−(3−(2−(4−(モルホリノメチル)フェニルアミノ)チエノ[3,2−d]ピリミジン−7−イル)フェニル)メタンスルホンアミド
85. 7−(4−(4−メチルピペラジン−1−イル)フェニル)−N−(4−(モルホリノメチル)フェニル)チエノ[3,2−d]ピリミジン−2−アミン
86. N−(2−メトキシ−4−(2−(4−(モルホリノメチル)フェニルアミノ)チエノ[3,2−d]ピリミジン−7−イル)フェニル)アセトアミド
87. 7−ブロモ−N−(3,4,5−トリメトキシフェニル)チエノ[3,2−d]ピリミジン−2−アミン
88. (3−(2−(3,4,5−トリメトキシフェニルアミノ)チエノ[3,2−d]ピリミジン−7−イル)フェニル)メタノール
89. (4−(2−(3,4,5−トリメトキシフェニルアミノ)チエノ[3,2−d]ピリミジン−7−イル)フェニル)メタノール
90. (3−(2−(4−モルホリノフェニルアミノ)チエノ[3,2−d]ピリミジン−7−イル)フェニル)メタノール
91. (4−(2−(4−モルホリノフェニルアミノ)チエノ[3,2−d]ピリミジン−7−イル)フェニル)メタノール
92. N−(ピロリジン−1−イル)エトキシ)フェニルアミノ)チエノ[3,2−d]ピリミジン−7−イル)ベンジル)メタンスルホンアミド
93. tert−ブチルモルホリノメチル)フェニルアミノ)チエノ[3,2−d]ピリミジン−7−イル)ベンジルカルバメート
94. N−(4−(モルホリノメチル)フェニル)−7−(3−(ピペラジン−1−イル)フェニル)チエノ[3,2−d]ピリミジン−2−アミン
95. 7−(6−(2−モルホリノエチルアミノ)ピリジン−3−イル)−N−(3,4,5−トリメトキシフェニル)チエノ[3,2−d]ピリミジン−2−アミン
96. 7−(2−エチルフェニル)−N−(4−(2−(ピロリジン−1−イル)エトキシ)フェニル)チエノ[3,2−d]ピリミジン−2−アミン
97. 7−(4−(アミノメチル)フェニル)−N−(4−(モルホリノメチル)フェニル)チエノ[3,2−d]ピリミジン−2−アミン
98. N−(4−(1−エチルピペリジン−4−イルオキシ)フェニル)−7−(1H−ピラゾール−4−イル)チエノ[3,2−d]ピリミジン−2−アミン
99. N−(2,4−ジメトキシフェニル)−7−フェニルチエノ[3,2−d]ピリミジン−2−アミン
100. 7−ブロモ−N−(3,4−ジメトキシフェニル)チエノ[3,2−d]ピリミジン−2−アミン
101. N−(3,4−ジメトキシフェニル)−7−フェニルチエノ[3,2−d]ピリミジン−2−アミン
から選択される、請求項1に記載の化合物。
【請求項11】
化合物がキナーゼ阻害剤である、請求項1に記載の化合物。
【請求項12】
式II:
【化5】

(式中、
Q、W、Y、Z、およびnは請求項1で定義したとおりであり、
Xは離脱基であり、
Rは上の請求項1で定義したとおりである)
の化合物と、式III:
【化6】

(式中、
L、A、Y、R、およびmは請求項1で定義したとおりである)
の化合物とをカップリングさせる工程を含む、請求項1に記載の式Iの化合物の調製方法。
【請求項13】
請求項1に記載の式Iの化合物および薬学的に許容できる担体を含む医薬組成物。
【請求項14】
治療的に有効量の請求項1に記載の式Iの化合物、または請求項1に記載の医薬組成物を、それを必要とする対象に投与する工程を含む、キナーゼ関連疾患を治療する方法。
【請求項15】
キナーゼ関連疾患が、免疫および炎症性疾患、過剰増殖性疾患、ウィルス性疾患、代謝疾患、または血管疾患である、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
細胞と請求項1に記載の式Iの化合物とを接触させる工程を含む、キナーゼを細胞内で阻害する方法。

【公表番号】特表2011−503115(P2011−503115A)
【公表日】平成23年1月27日(2011.1.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−533385(P2010−533385)
【出願日】平成20年11月14日(2008.11.14)
【国際出願番号】PCT/AU2008/001699
【国際公開番号】WO2009/062258
【国際公開日】平成21年5月22日(2009.5.22)
【出願人】(504430433)ワイエム・バイオサイエンシズ・オーストラリア・ピーティーワイ・リミテッド (9)
【Fターム(参考)】