説明

N,2,3−トリメチル−2−イソプロピルブタナミドの局所用疼痛緩和用組成物並びにその使用法

【課題】局所用疼痛緩和用組成物、並びにその使用法の提供。
【解決手段】疼痛緩和有効量のN,2,3−トリメチル−2−イソプロピルブタナミドを、例えばゲル剤、クリーム、あるいはフォーム等の局所剤に含有され、組成物を疼痛緩和の適用における使用方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
米国特許法 35 U.S.C. § 119 (e)の規定に基づき、本願は2005年10月24日出願の米国仮特許出願 Serial No. 60/729,844の優先権を主張し、かつそこでの開示を引例としてここに合体される。
本発明は、局所用疼痛緩和用組成物の分野に関する。
【背景技術】
【0002】
今日の研究領域は経皮鎮痛剤形を用いて疼痛を緩和あるいは除去のための安全にして有効な方法の開発である。今までに種々のそのような鎮痛剤形が開発されてきた。これらにはアスピリンや沢山の非ステロイド型消炎剤のいずれかを含有するローションや軟膏が挙げられる。
しかしながら多くの今日の局所疼痛剤は完全には満足されていない。例えば、オピオイドは患者に強い耽溺性を引き起こしうる。非ステロイド型消炎剤(NSAIDs)は吐き気、便秘、血液凝固などの種々の好ましくない副作用を引き起こしうる。局所麻酔薬は、皮膚の水疱、徐脈、めまいなどの好ましくない副作用をまた引き起こしうる。
この様な次第で、最近の市販の鎮痛剤の多くは、ある程度まで疼痛を減じるが、それでもなお、短時間で、より長い間持続する疼痛緩和を提供する新たな製剤の創製に関心がある。
従って新たな局所疼痛緩和剤の開発に興味が注がれている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】米国特許第4,296,255号
【特許文献2】米国特許第4,296,093号
【特許文献3】米国特許第4,230,688号
【特許文献4】米国特許第4,226,988号
【特許文献5】米国特許第4,193,936号
【特許文献6】米国特許第4,153,679号
【特許文献7】米国特許第4,150,052号
【特許文献8】米国特許第4,070,496号
【特許文献9】米国特許第4,070,449号
【特許文献10】米国特許第4,060,091号
【特許文献11】米国特許第4,059,118号
【特許文献12】米国特許第4,034,109号
【特許文献13】米国特許第4,033,994号
【特許文献14】米国特許第4,032,661号
【特許文献15】米国特許第4,020,153号
【特許文献16】米国特許第5,266,592号
【特許文献17】米国特許第4,459,425号
【特許文献18】米国特許第5,773,410号
【特許文献19】米国特許第6,267,974号
【特許文献20】米国特許第6,592,884号
【特許文献21】米国特許第5,959,161号
【特許文献22】米国特許第6,328,982号
【特許文献23】米国特許第6,359,168号
【特許文献24】米国特許第6,214,788号
【特許文献25】米国特許第5,608,119号
【特許文献26】米国特許第6,769,428号
【特許文献27】米国特許第6,455,080号
【特許文献28】米国特許第6,656,456号
【特許文献29】米国特許第6,821,507号
【特許文献30】米国特許第6,740,311号
【特許文献31】米国特許第6,677,391号
【特許文献32】米国特許第6,497,859号
【特許文献33】米国特許第6,769,428号
【特許文献34】米国特許第6,719,995号
【特許文献35】日本特許公開第2004059474号
【特許文献36】米国特許出願第20040067970号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
N,2,3−トリメチル−2−イソプロピルブタナミドの局所用疼痛緩和用組成物並びにその使用法が提供される。主題の組成物は疼痛緩和の有効量のN,2,3−トリメチル−2−イソプロピルブタナミドを局所製剤、例えば貼付剤、ゲル剤、クリーム、スプレイ、泡中に含有される。また、疼痛緩和の適応に主題の組成物の使用法が提供される。
【課題を解決するための手段】
【0005】
特定具体例の記述
N,2,3−トリメチル−2−イソプロピルブタナミドの局所用疼痛緩和用組成物並びにその使用法が提供される。主題の組成物は疼痛緩和の有効量のN,2,3−トリメチル−2−イソプロピルブタナミドを局所製剤、例えば貼付剤、ゲル剤、クリーム、軟膏、スプレイ、泡中に含有される。また、疼痛緩和の適応に主題の組成物の使用法が提供される。
本発明につき、より詳細に記述する前に、本発明は記載の特定の具体例に限定されるものでなく、勿論変形を含むものと理解されるべきである。本発明の範囲は添付の請求項のみによって制限されるものであるから、ここで使用されている用語は、特定の具体例のみの記述のためであり、制限するためのものでないと、また理解されるべきである。
ある値の範囲が示されている場合、その間に存在する値のそれぞれ(その範囲の上限と下限との間において、文脈がそうでないことを明らかに示さない限り、下限の1/10の単位にまで)、及び、その言及された範囲における任意の他の言及された値または間に存在する値は本発明に包含されることが理解される。これらのより小さい範囲の上限及び下限は独立してそれらのより小さい範囲に含まれうる。従って、そのような実施形態もまた本発明に包含される。しかし、そのような実施形態は、言及された範囲における何らかの特に含まれない限界に依存する。言及された範囲が上限、下限の一方または両方を含む場合、それらの含まれる上限、下限のいずれかまたは両方を含まない範囲もまた、本範囲において含まれる。
【0006】
他に規定がなければ、ここで使用された全ての技術的、科学的用語は本発明が属する当業者によって共通的に理解される意味と同じ意味を有する。ここに記載した方法、材料と類似または均等なそれらは、また、本発明の実施または試験に使用されうるが、代表的例示の方法、材料を目下記載する。
本願で述べた全ての刊行物または特許は、あたかも引例により合体されると特別に、個々に示したかの如く、そして刊行物が引用された関連の方法及び/または材料を開示、記載するために引例によって、ここに合体したかの如く、それに関連してその刊行物が引用された関連の方法及び/または材料を開示、記載する。
【0007】
本文及び請求項で使用されている如く、単数形、“a”、“an”、及び“the”は、文脈が明確に他のことを指示していなければ、複数対象物を含む。請求項がいかなる任意の要素を除外するよう起案されているかもしれないことが更に注意される。従って、この記述はクレーム要素の列挙に関連して、“solely”、“only”等の排他的用語の使用、または“negative”限定の使用のための先行基礎として、使用されると意図される。
刊行物の引用は本願の出願日前の単なる開示を提供するものでが、本発明が先発明の特典によりそのような刊行物に先行する権利を放棄したものであることを容認するものでない。更に、提供された刊行物の日付は現実の刊行日と異なるかもしれず、ここに確認される必要があるかもしれない。
【0008】
本開示を読むとき当業者にとって明らかな様に、ここに記載のあるいは例示の個々の具体例は、本発明の範囲あるいは精神から逸脱することなく、他のいくつかの具体例の特徴と容易に分離あるいは結合しうる別個の構成及び特徴を有する。ここに挙げた方法は、事象の挙げた順番のみならず、論理的に可能な挙げた事象のいかなる順番で実施してもよい。
【0009】
本発明の種々の具定例を更に記述するに際して、
代表的局所用組成物をまず詳細にレビューし、ついで本発明の方法に使用されうる主題の組成物の代表的キットのみならず主題の組成物が使用される代表的方法と適用について記述する。
【0010】
局所用疼痛緩和用組成物
上記に要約したように、主題の発明は局所用投与疼痛緩和組成物並びに疼痛緩和を必要としている主体、例えば疼痛を患っていると知られている主体の治療におけるそれらの使用法に関する。主題の局所用疼痛緩和用組成物の特徴は、N,2,3−トリメチル−2−イソプロピルブタナミド(WS−23;CAS#51115−67−4としても知られている)の疼痛緩和の有効量の存在である。WS−23活性剤は好都合なプロトコルを用いて製造される。代表的プロトコルは米国特許4,296,255に記載されている。疼痛緩和用量とは、本発明の方法に従い主体に局所投与したときに、該組成物に存するWS−23活性剤の量は、疼痛が、疼痛の完全な停止のみならず、疼痛の程度、例えば下記の実験項で報告するスケールを用いて測定したときに、ある程度の減少に言及するために使用される疼痛緩和を主体が経験するに十分である。代表的具体例において、局所用組成物中のWS−23活性剤の量は、約0.1から30%(w/w)の範囲、例えば約2から20%(w/w)である。
【0011】
本局所用組成物は、色んな局所剤形でよく、例えばハイドロゲル貼付剤などの貼付剤;ゲル剤;クリーム;フォーム(foam);ローション;スプレイ;軟膏;テープ;プラスターなどである。
興味のある好ましい具体例は、局所用貼付剤である。ある具体例では、主題の発明の局所貼付製剤は、ゲル粘着基剤の存在で特徴付けられ、ハイドロゲル貼付製剤と考えられる。当業界で公知のように、図面1で示される具体物10の様な局所貼付製剤は、一般的にはゲル粘着基剤12、支持体13及び剥離ライナー16からなる。ゲル粘着基剤は、代表的具体例では、活性剤の他に、ポリマー、粘着樹脂、溶解剤、増粘剤、軟化剤、pH調節剤、架橋剤、水保持剤、防腐剤などの混合物である。更に、局所貼付製剤は他の生理学的に許容される賦形剤又は他の少量の添加剤、特に感覚器官的(organoleptic)性質を有する添加剤、香料、着色料、乳化剤、緩衝剤、抗生物質、安定化剤など含めてもよい。
【0012】
支持体は一般的に、人体の動きにフィットしうる柔軟性のある材料から作製され、例えば、プラスチックフィルム、種々の非織布、織布、スパンデックス等が挙げられる。
剥離ライナーは、一般的には通常の材料から作製され、代表的には、PETやPPなどのポリエステルフィルムである。
代表的具体例の局所用貼付剤は通常のプロトコルで作製される。主題の貼付剤の製造のための都合のよいプロトコルは上記の組成物を均一に混合するゲル粘着基剤の製法と、ついで支持体上にそのペーストをコートすることを含み、できた製品を特定の大きさに切断して所望の局所用貼付剤を作製することを含む。その製造プロトコルのより詳細な記載は以下の記載が参照され、その記載がここにレファレンスとして合体される。米国特許 5,827,529及び米国特許出願番号 60/615,320、WO 02/078757、WO 02/078756及び米国特許: 5,120,544; 5,160,328; 5,270,358; 5,423,737; 5,476,443; 5,489,262; 5,501,661; 5,827,529; 6,039,940; 6,096,333; 6,214,374; 6,296,869; 6,348,212; 6,455,065。
【0013】
上記の製法プロトコルは単なる代表例であると理解されるべきである。上記のような主題の局所用製剤を製造しうるいかなる好都合なプロトコルも採用しうる。
興味のある代表的具体例としては、局所用ゲル剤及びクリームである。これらの製剤は、常法に従い、一般的には、活性剤の他に、水、水溶性ポリマー、保存剤、アルコール、多価アルコール、乳化剤、ワセリンTM石油ジェリー、ワックス、溶媒、増粘剤、軟化剤、pH調節剤、水保持剤などの混合物である。
これらの代表的具体例の局所用ゲル及びクリーム剤はいかなる好都合なプロトコルも採用しうる。
【0014】
興味のある代表的具体例としては、局所用軟膏剤である。これらの製剤は、常法に従い、一般的には、活性剤の他に、ワックス、ワセリンTM石油ジェリー、保存剤、高級アルコール、多価アルコール、乳化剤、溶媒、増粘剤、軟化剤などの混合物である。更に、局所貼付製剤は他の生理学的に許容される賦形剤又は他の少量の添加剤を含めてもよく、特に感覚器官的性質を有する添加剤、例えば香料、着色料、乳化剤、緩衝剤、抗生物質、安定化剤などを含めてもよい。
【0015】
WS−23局所用組成物の使用方法
主題の局所組成物は、疼痛を有する主体の治療の適用への使用に関する。主題の局所用組成物は疼痛の主体の治療のための適用の使用の知見である。従って、そのような主題の組成物は疼痛の主体の治療方法の使用の知見であり、主体は疼痛を患っており、該組成物は疼痛の治療に採用される。
【0016】
主題の方法を実施するに際し、局所用組成物は、適当な局所に投与される。関心のある局所には、限定的でなく:腕、脚、胴、頭などである。局所用組成物を適用することで覆われる表面領域は、投与される薬剤の所望量を提供するに十分でなければならない。代表的具体例は、約1から200cm、多くの場合約10から180cmであり、通常は140cmなどの約100から150cmである。
代表的具体例として、組成物が適用領域で維持される時間は約48時間を超えず、代表的具体例では、約24時間を超えない。しかし、薬剤が適用領域で維持される時間は、代表的具体例では、少なくとも約15から30分であり、通常は少なくとも約1時間である。
主題の方法を実施するに際し、局所用組成物の所定量は投与期間を通じて、例えば複数の組成物が所定の期間を通じて投与されたとき、投与スケジュールが日ごと、週毎、2週毎、月毎などの場合、1回または複数回である。
【0017】
主題の方法に関して、WS−23活性剤を含む局所用組成物は疼痛の領域に直近の主体の角質化皮膚領域に適用される。その場合「疼痛の領域」との用語は主体により知覚される疼痛の場所と言及して使用される。疼痛の領域は種々の身体領域に存在する。組成物が適用される皮膚の部位(投与部位)は、疼痛部位の直近の部位であり、例えばその皮膚の部位が、組成物を皮膚の表面に接触させたときに、WS−23活性剤が疼痛部位に速やかに到達し、活性を発揮しうるように、疼痛の領域を覆う。局所用組成物が適用される特定の皮膚部位は、必要により疼痛の部位に依拠する。例えば、頭の疼痛の治療の場合、患者のこめかみに適用してもよい。同様に、背中の疼痛の治療の場合、患者の背中の局所に適用してもよい。代表的事例では、疼痛部位と適用部位との間隔は約3cmを超えず、代表的事例では約1cmを超えないことである。
本組成物は、一般的には、疼痛緩和が達成されるに所望量が十分な時間、皮膚部位に適用され、代表的事例では、局所用組成物を0.25から24時間、例えば約1から8時間を含む0.5から10時間、主体の皮膚部位に適用され、その間に患者がWS−23活性剤により、疼痛からの緩和を体験する。
【0018】
疼痛が局所用組成物を除去後再発すれば、新たな局所用組成物を適用してもよい。このプロセスは疼痛緩和を達成するために、必要と所望に応じ反復してよい。代表的事例では、患者は投与後すぐに疼痛緩和を体験する。いくつかの事例では、患者が局所用組成物の投与後約0.25から30分後、通常は、約5から30分後に、少なくともある程度の疼痛の緩和を体験するであろう。
適用される組成物の量は、患者が疼痛緩和を体験するように、通常、疼痛部位に亘っている皮膚の大部分の領域をカバーするに十分量である。適用される局所用組成物の正確な量は、経験則により決定してもよい。例えば、適用される局所用組成物の量は、少なくともその部位の50%、より通常は、少なくとも約75%をカバーするに十分量である。溶液、分散剤、ゲル剤、ローション、クリーム等に関しては、組成物を部位に拡布し、必要に応じ、覆いが施される。貼付剤に関しては、適当なサイズの貼付剤が皮膚部位を含む領域に亘って貼付されてよい。
【0019】
好都合的には、該組成物は当業界に公知の形態である単位用量形態で提供されうる。
該局所用組成物を適用すると、WS−23活性剤が皮膚の表面に浸透し、患者が疼痛の緩和を体験する。その結果、患者が疼痛の度合いにおいて、少なくとも鎮静を体験する。いくつかの事例では、疼痛の完全な中断を体験するかもしれない。この様に、本方法に従って、局所用組成物を適用することは、結果として疼痛を患っている宿主の治療になる。
種々の宿主が主題の方法で処理される。一般的にはそのような宿主は、“哺乳動物”または“哺乳類”であり、これらの用語は広義に使用され、哺乳類綱に属する有機体を表す。特別な興味は主題の方法での霊長類(例えばヒト、チンパンジー、サル)の治療であり、主題の方法は疼痛を患っているヒトの治療における使用に特に適している。
代表的事例において、主題の方法は疼痛の存在で特徴付けられる病状の治療における使用の知見である。治療とは主体による疼痛の経験の改善を少なくとも意味する。その場合の改善は、例えば、処置される病状を伴う症状、それに伴う副作用などのパラメーターの大きさの少なくとも減少に関係し広義に使用される。よって、治療はまた、病状または少なくともそれに伴う症状が完全に阻止され、例えば発生の阻止、終結され、その主体が最早病状、または少なくとも病状を特徴づける症状に係っていないような状況を含む。代表的事例において、主題の方法が以下の実施例の項に示した疼痛スケールの少なくともポイント1の程度、少なくともポイント3以上を含む少なくともポイント2以上の様な程度の変化に帰する。したがって、処置は病状の治療と管理の両方を含む。
【0020】
代表的具体例において、主題の方法で治療される疼痛症状は以下により詳細にレビューするように、背中の疼痛、偏頭痛、肩こり、リウマチ性痒み、手根トンネル症候群、関節炎症、打撲傷、筋肉の疲労、骨の亀裂、反射交換神経系ジストロフィー、糖尿病性疼痛である。
【0021】
代表的特定の有用性
本組成物は上記の疼痛の領域に該組成物を局所的に適用することにより多くの症状に伴う疼痛を治療するために使用しうる。特に該組成物は、限定的でなく、関節炎、首の疼痛、肩の疼痛、背中の疼痛、外科疼痛、術前及び術後の疼痛、一過性下顎骨結合症候群、手根トンネル症候群、及び骨障害疼痛を含む疼痛の治療に使用される。
本組成物は骨関節炎、リウマチ性関節炎や乾癬性関節炎等の免疫疾患、痛風、偽痛風、癒合性脊椎炎、若年性関節炎、全身性エリトマトーデス、感染に伴う関節炎、強皮症、及び線維筋痛症に伴う疼痛を治療するためにまた、使用しうる。
更に、該組成物は、筋肉痛、筋緊張、疲労、脊髄彎曲、強弱脊髄ディスク圧迫、pinched nerves、疲労性、捻挫性筋肉及び神経緊張に伴う疼痛の治療に使用しうる。
【0022】
更に、本組成物は、外傷、血腫、筋肉炎、下部背中症候群、脊髄狭窄、間接痛、骨痛、胸部、肺などの転位癌により惹起される骨折に伴う疼痛の治療に使用しうる。該組成物は癌に一般的に伴う筋肉、骨、関節の疼痛の治療にも使用しうる。
本組成物は腰部脊椎及び他の部位の骨粗鬆症による骨折、及び骨盤の骨折を含む外傷性骨骨折に伴う疼痛の治療に使用しうる。関節の疼痛に関しては、当該組成物は全体的関節のかたまりの減少や関節の可動性の増加のために使用しうる。
本組成物は術前術後の整形手続きに伴う疼痛の治療にもまた、使用しうる。例えば、本組成物は、特に肩や膝における関節鏡検査の前後の疼痛に適用しうる。
更には、本組成物はヒップや肘の置換を含む関節の置換のみならず、腱、筋肉及び骨の修復などの術後の整形的回復に伴う疼痛の治療に使用しうる。例えば、骨の骨折はプレートやネジ釘の使用を要し、他の付属物は骨を共に保持することを意味する。これらの備品の装着には手術を要し、そのことから派生する術後疼痛は本組成物で治療しうる。
【0023】
更に、本組成物はヘルニア性髄核(slipped disc)、筋肉−骨格疼痛、関節の脱臼、ヘルニア性椎間ディスク、脱出性椎間ディスク(腰部及び頸管を含む)、破損ディスク、むち打ち症障害、線維筋炎、肋間肋骨疼痛、筋肉破損、腱炎、滑液のう炎、半月損傷、腱破損及び骨棘突起によって惹起される疼痛の治療に使用してもよい。本組成物は、頸管筋肉活動亢進(痙縮)等の疼痛、緊張、炎症性あるいは亜脱臼関節への応答、関節炎的変化、貧弱な姿勢または仕事習慣を含む多くの原因による極端な通常な状態、外傷、全身性病気及び近辺病因の治療にも使用してもよい。
本発明の組成物は、スポーツ関連障害による疼痛の処理に使用してもよい。そのようなスポーツ関連障害には、限定的でなく、血腫、水膨れ、捻挫(肘の捻挫など)、筋肉痙縮(例えば緊張性筋肉)、部分的腱破損、腱炎、滑液のう炎、筋肉炎、障害性関節炎及び関節脱臼のポスト挿入が含まれる。スポーツ関連障害を伴う疼痛の治療において、本組成物はここに記載した疼痛の領域に適用されうる。本組成物は、そのなかで物理療法、針療法、ウエイトトレイニング、ビオフイードバック技術の組み合わせで使用してもよい。
【0024】
本組成物は年配者市民に特徴的疼痛の処理に使用されてもよい。年配者により経験される骨、関節、或いは筋肉疼痛の多くは、ソースの組み合わせから生じる。これらのいくらかのソースは公知であり、他はそうでない。ある事例では、そのような疼痛は老齢化に伴う自然の成り行きである。それには減少した運動機能、萎縮、食事の変化を含む。したがって、年配者における疼痛の制禦は困難である。しばしば、年配者は、疼痛を効果的に制禦するために、複数の薬剤を毎日摂取する必要がある。このことが年配者に、過度の出費、日ごとベースでの必要な薬剤投与計画を維持するための努力のみならず、薬剤の副作用や薬剤混合による副反応などの重大な欠点を引き起こす。
このように、年配者における骨、関節、或いは筋肉疼痛を処理するために本組成物の使用が、既に服用している疼痛緩和薬の投与量を最小限にするのに有効である。また、年配者に於ける疼痛はこの年齢の人たちにおいて抑圧、不活性、及び固定化に寄与している。本組成物の使用により生じる疼痛の減少は年配者の患者において、より大きい独立性、増加した活性、社会化、食欲及び福祉の総合的センスに帰着する。
【0025】
更には、本発明の組成物は物理療法の補助薬として使用しうる。一般的に物理療法は、筋肉、腱、骨及び関節を強化及び/または治癒のための受動的、能動的治療法或いは方法を含む。物理療法の欠点は患者とって、疼痛と不快さである。本発明の製剤はそのような疼痛の治療に使用しうる。例えば、本製剤は物理療法前、その間及びその後に、疼痛(ここでで使用されている)の領域に適用されてもよい。
本組成物は固定された組織に伴う疼痛の処理にも使用されうる。傷害された筋肉、骨、腱及び関節の治療はしばしば、組織が長期間固定されることを必要とする。これらの環境において、組織は限定的でなく、支持器、三角巾、ギブス、包帯及び副木を含む種々のデバイスによって固定される。しばしば、デバイスが除去され、そしてその後継続すると、患者が固定部位当たりにおいて、筋肉、骨、腱及び/または関節疼痛を経験する。本製剤はここに記載の方法で疼痛の領域に、該製剤を適用することにより、そのような疼痛を処理するために使用しうる。
【0026】
TENS(transcutaneous electro-nerve stimulation)は高圧と知覚電流で特徴づけられ、疼痛を遮断するために使用される。本組成物は電気的神経筋肉刺激と一緒に使用され、疼痛処理の有効性を増加できる。例えば、電気的神経筋肉刺激処理の前或いは後に、本組成物を上記と同様の方法で、該当箇所に適用される。
本組成物は、ステロイド含有、非含有のリドカインのような局所麻酔注射剤または他の麻酔注射剤と併用してもよい。例えば、ステロイド含有、非含有のリドカイン含有注射液を疼痛領域に亘る皮膚に注射しうる。皮膚のこの領域は、更に本組成物を注射部位或いはその当たりに、注射前或いは後に、適用することにより、更に麻痺させることができる。
更に本組成物は、経口鎮痛剤或いは消炎剤(例えば、NSAIDS及びCox−2−阻害剤)と併用し、疼痛を緩和させてもよい。そのように使用すれば、例えば該組成物は増強され、及び/または付加緩和効果を奏しうる。
【0027】
本組成物は、限定的でなく、加熱パッドや加熱タオルのような加熱パックを含む加熱処理デバイスと併用しうる。そのようなデバイスにはまた深部組織加熱処理であるDiathermyを含み、その中で障害を受けた組織の温度が高頻度電流、超音波やマイクロ波照射で上げられる。Diathermyは疼痛の軽減、筋肉痙攣、軟組織の拘縮の軽減、炎症の解消及び治癒の促進のために使用される。本組成物は、ホットパック或いはDiathermyと併用することにより増強され、及び/または付加緩和を奏する。
更に、本組成物は、コデイン、オピウム製剤、oxy-cotcontin、Percocet、Demorol、及びVicadinのようなモルヒネ様製剤と併用してもよい。そのように使用する場合に、例えば、モルヒネ様製剤は、本発明の製剤と共に使用して、副作用の軽減された鎮痛効果(さもなければオピオイドの高用量を費用とする。)を達成しうる。
【0028】
更に本組成物は、バイオフィードバックと共に使用しうる。バイオフィードバックはある物理的プロセスをモニター或いは制禦によってストレスの軽減、苦痛の軽減及び心理的状態の緩和のための有用な技術である。当該組成物との併用によるバイオフィードバック技術の使用は、その技術の使用を通してよりも、物理的プロセスにたいして一層の制禦を達成、或いは疼痛の一層の緩和の達成を患者に可能にする。
本組成物は、また針療法と組み合わせて使用しうる。針療法は身体の表面の特定な箇所に細い針を挿入することからなる。針療法は疼痛の緩和に有効であることが証明されている。針療法は骨関節炎の治療に有用でもある。下部背中疼痛、手根骨トンネル症候群、線維筋肉痛症及び慢性疼痛を惹起する他の症状の治療に有用である。組成物は、針療法と併用すると強化及び/または追加の緩和効果を提供しうる。
【0029】
キット
またキットも提供され、そのキットは上述のように、少なくとも1つ以上の局所用組成物あるいは製剤を含む。キット中の本局所製剤は、下記のようにパッケージの中にあってもよい。必要に応じキットの局所用組成物は使用まで保管するために、個々のポーチ又はそれに類した物に入れてもよい。
本キットはまた、如何に貼付剤を使用するかの指示書を含んでもよい。その指示書は、代表的には貼付する場所や投与スケジュールなどを含む。その指示書は適切な記録媒体上に記録されうる。その指示書は例えば、紙あるいはプラスチックのような代替物に印刷されてよい。従って、その指示は、容器挿入物として、キットの中、キットの容器のラベルの中に、あるいはその部品の中(即ち、容器またはサブ容器と共に)などに存在してもよい。他の態様においては、指示は、CD−ROM、デスケットなどの適当なコンピュターで読み取り可能な貯蔵媒体に存する電子貯蔵データとして存在する。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【図1】本発明の局所貼付剤の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0031】
以下の実施例並びに比較例は、例示であって、限定するものでない。
【実施例】
【0032】
実施例並びに比較例を以下に挙げるが、製造法はこれらにより限定されない。
【0033】
実施例1
WS−23局所貼付剤での背中の疼痛の治療
A.貼付剤
局所5%WS−23貼付剤は次のように作製した:
ゲル粘着基剤を作製すべく、5%WS−23を12%ひまし油、0.15%メチルパラベン、8%ポリアクリル酸ナトリウム、0.4%酒石酸、3%ポリビニルアルコール、0.04%アルミニウム架橋剤、4%セルロースガム、20%グリセリン及び47.41%水とよく混合する。
得られたゲル粘着基剤をPET非織布に塗布する(1000g/m)。得られた製品をPPフィルムでラミネートし、これを10cmx14cmの大きさに切断する。
【0034】
B.プロトコル
局所貼付剤を患者の下部背中に1日当たり8時間、4週間貼付した。
【0035】
C.結果

【0036】
実施例2
肩こりの治療
A.局所ゲル剤
局所20%WS−23経皮ゲル剤は次のように作製した:
20%WS−23を20%Deet(dimethyltoluamide)、0.15%メチルパラベン、20%水、5%カルボマー(カルボキシポリメチレン)及び34.85%エタノールとよく混合した。得られた混合物をチューブに充填し、封をした。
【0037】
B.プロトコル
局所ゲル剤を患者の左右のどちらかの肩に1日2回、1回につき8時間、1週間適用した。
【0038】
C.結果:

スケールは上記実施例1.Cで採用したスケールと同じである。
【0039】
実施例3
手根トンネル症候群
A.局所用クリーム剤
局所用20%WS−23経皮クリーム剤は次のように作製した:
20%WS−23を40%プロピレングリコール、7%水、0.2%メチルパラベン、0.1%プロピルパラベン、3%ワックス、1.7%グリセリンモノステアレイト、1.3%水素化ひまし油、1%ポリソルベート、2%イソプロピルミリステイト、7%ステアリルアルコール及び16.7%ワセリンTM石油ジェリーとよく混合した。得られた混合物をチューブに充填し、封をした。
【0040】
B.プロトコル
局所クリーム剤を1日2回、1回につき8時間、2週間投与した。
【0041】
C.結果

スケールは上記実施例1.Cで採用したスケールと同じである。
【0042】
実施例4
偏頭痛の治療
A.局所軟膏剤
局所20%WS−23軟膏剤は次のように作製した:
20%WS−23を25%Deet、10%ステアリルアルコール、10%ミツロウ及び60%ワセリンTM石油ジェリーとよく混合した。得られた混合物をチューブに充填し、封をした。
【0043】
B.プロトコル
局所軟膏剤を患者の各こめかみに1日8時間2日間投与した。
【0044】
C.結果

スケールは上記実施例1.Cで採用したスケールと同じである。
本発明は、副作用の欠如を含め、今日使用されている薬剤を上回る利益を提供する重要な新局所疼痛緩和活性剤を提供するものであることは、上記結果と考察から明らかである。
【0045】
上記の発明が理解を明確にするために、例示や実施例である程度詳細に記載しているが、添付の請求項の精神または範囲内で、ある程度の変更や修正が可能であることは、本発明の教示にてらし、当業者にとって自明である。
したがって、前述は単なる発明の原理を例示している。当業者が、ここに明らかに記載或いは示されていなくても、発明の原理を具現し、そしてその精神及び範囲に含まれる種々の変形を考案しうることは理解されるであろう。ここに列挙した全ての例示及び条件付き用語は原則的には、発明の原理と技術を助長すべく発明者により貢献された概念を理解するために読者を手助けすることを意図されており、そしてそのような特定的に列挙した例示及び条件に限定されないと理解されるべきである。更に発明の特定の例示のみならず、発明の原理、形態及び具体例を列挙した全ての記述は構造的、機能的均等の両者を含むと意図されている。更にそのような均等は現在の均等及び将来展開される均等を含み、即ち構造に関係なく同じ機能を達成すると展開される要素を含む。従って本発明の範囲は、ここに示され、記載の具体的事例に限定されるものではなく、むしろ本発明の範囲及び精神は、添付の請求項によって具現されている。
【符号の説明】
【0046】
10 局所貼付剤、
12 ゲル粘着基剤、
14 支持体、
16 剥離ライナー

【特許請求の範囲】
【請求項1】
疼痛緩和の有効量のN,2,3−トリメチル−2−イソプロピルブタアミドを唯一の活性剤として含有する、クリーム、フォーム(foam)、ローション、スプレイ、軟膏、テープ、またはプラスターである局所用疼痛緩和用組成物。
【請求項2】
N,2,3−トリメチル−2−イソプロピルブタアミドを2〜20%(w/w)含有する請求項1の組成物。
【請求項3】
局所用疼痛緩和用組成物がゲルである請求項1の組成物。
【請求項4】
局所用疼痛緩和用組成物がクリームである請求項1の組成物。
【請求項5】
局所用疼痛緩和用組成物がフォームである請求項1の組成物。
【請求項6】
該疼痛が、背中の疼痛、マイナースポーツ障害痛、偏頭痛、肩こり、リウマチ性関節炎、手根トンネル症候群、関節の炎症、打撲傷、筋肉の疲労、骨の亀裂、反射交感神経ジストロフィー、および糖尿病性疼痛から選ばれる疼痛である請求項1の組成物。
【請求項7】
(a)疼痛緩和の有効量のN,2,3−トリメチル−2−イソプロピルブタアミドを唯一の活性剤として含有する、クリーム、フォーム(foam)、ローション、スプレイ、軟膏、テープ、またはプラスターである局所用疼痛緩和用組成物、及び
(b)必要とする対象に疼痛緩和を提供するための該組成物を使用するための指示書:からなるキット。
【請求項8】
該キットが複数の該組成物を含む請求項7のキット。
【請求項9】
該複数の組成物が別々の収納箱に存する請求項8のキット。
【請求項10】
該別々の収納箱が封入されたポーチである請求項9のキット。
【請求項11】
N,2,3−トリメチル−2−イソプロピルブタアミドを5〜20%(w/w)含有する請求項1の組成物。
【請求項12】
N,2,3−トリメチル−2−イソプロピルブタアミドを5%(w/w)含有する請求項1の組成物。
【請求項13】
N,2,3−トリメチル−2−イソプロピルブタアミドを20%(w/w)含有する請求項1の組成物。
【請求項14】
局所用疼痛緩和用組成物がゲルである請求項7のキット。
【請求項15】
局所用疼痛緩和用組成物がクリームである請求項7のキット。
【請求項16】
局所用疼痛緩和用組成物がフォームである請求項7のキット。
【請求項17】
人の疼痛を治療するためのクリーム、フォーム(foam)、ローション、スプレイ、軟膏、テープ、またはプラスターである局所用疼痛緩和用組成物の製造における唯一の活性剤としてのN,2,3−トリメチル−2−イソプロピルブタアミドの使用。

【図1】
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【公開番号】特開2012−197301(P2012−197301A)
【公開日】平成24年10月18日(2012.10.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−133664(P2012−133664)
【出願日】平成24年6月13日(2012.6.13)
【分割の表示】特願2008−536741(P2008−536741)の分割
【原出願日】平成18年10月16日(2006.10.16)
【出願人】(502346286)テイコク ファーマ ユーエスエー インコーポレーテッド (26)
【Fターム(参考)】