説明

N,N−ジアルキルアミノエチルアクリレート(メタクリレート)類の製造

連続エステル交換反応においてN,N−ジアルキルアミノアルキルアクリレートを調製するための方法および装置。反応は、アルキルアクリレート類、例えばメタクリレートまたはエタクリレートをリボイラーメカニズムに添加する工程と、効率的にアルコール副産物を除去する工程を含む。反応は連続的であるので、アルキルアクリレー類は、必要に応じて添加することができ、生産量を増加させ、生産量を減少させ、または反応動力学を微調整することができる。共沸剤を使用して、アルコールと共沸剤の両方を含み、リボイラーメカニズムから容易に除去される揮発性共沸物を形成させる。この方法は、使用されるアルキルアクリレートの単位あたりに必要とされる共沸剤の量を減少させ、最終生成物を得られるN,N−ジアルキルアミノアルキルアクリレート生成物の共沸剤汚染から精製する必要性を排除する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、アルキルアクリレート(メタクリレート)とジアルキルアミノアルコールとの、触媒および共沸剤(エントレーナー:entrainer)の存在下でのエステル交換により、N,N−ジアルキルアミノアルキルアクリレート(メタクリレート)および副生成物アルコールを形成させることによりN,N−ジアルキルアミノアルキルアクリレート(メタクリレート)類を調製するための連続プロセスであって、共沸剤および副生成物アルコールの共沸混合物が連続してエステル交換から除去される連続プロセス、エステル交換を実施するための装置ならびにN,N−ジアルキルアミノアルキルアクリレート(メタクリレート)を精製するための装置および方法に関する。
【背景技術】
【0002】
多くの以前のアプローチが、N,N−ジアルキルアミノアルキルアクリレート(メタクリレート)類を調製するためにとられている。日本特許出願第2001/172234 A2号では、ヘキサン共沸剤が一連の蒸留塔で使用され、これは、水で洗浄され、デカンタ中で分離され、カラムに戻される。日本特許出願第2001/172235号では、複数の直列反応塔が精製カラムと共に使用され、日本特許出願第2001/172236 A号では、2つのカラムが使用され、1つは過剰のメチルアクリレートを除去し、1つは、蒸発器を用いて過剰のDMAを触媒および他の重質成分から除去し、米国公開特許出願第2004/0168903 A1号は、連続して反応させ、その後生成物を除去する3または4つの蒸留カラムを使用することを記載し、米国公開特許出願第2004/0171868 A1号は、低級アルコール副産物が低級アクリレート(メタクリレート)と共に除去され、その後、プラントに送られ、アルコール副産物がメチルアクリレートに変換して戻されるプロセスを記載し、米国特許第6,437,173号は、チタン触媒を3つの蒸留カラムと共に使用することを記載し、公開PCT出願WO 2003/093218 A1号は、管状ピストン反応技術を記載し、米国特許第6,417,392号は、アルコール副産物をアクリレート(メタクリレート)共沸物として除去することを記載し、公開PCT出願WO 2007/057120 A1号は、有用な共沸剤を記載し、日本特許出願第2004/189650 A2号は、バッチプロセスを記載し、日本特許出願第2004/106278 A1号は、マイケル(Michael)付加分解を促進するために水を使用するバッチプロセスを記載する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】日本特許出願第2001/172234 A2号明細書
【特許文献2】日本特許出願第2001/172235号明細書
【特許文献3】日本特許出願第2001/172236 A号明細書
【特許文献4】米国公開特許出願第2004/0168903 A1号公報
【特許文献5】米国公開特許出願第2004/0171868 A1号公報
【特許文献6】公開PCT出願WO 2003/093218 A1号公報
【特許文献7】米国特許第6,417,392号公報
【特許文献8】公開PCT出願WO 2007/057120 A1号公報
【特許文献9】日本特許出願第2004/189650 A2号明細書
【特許文献10】日本特許出願第2004/106278 A1号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、これらの試みすべてにもかかわらず、依然として、使用者が要望通り進行中の反応に試薬および触媒を添加することができる連続反応である、N,N−ジアルキルアミノアルキルアクリレート(メタクリレート)類を調製するための簡便で、費用効率の高い、高収率の方法が必要とされている。
【0005】
このセクションで記載されている技術は、本明細書で言及されているすべての特許、出版物または他の情報が、特定的にそのようなものとして指定されない限り、本発明に対し「先行技術」であるという承認を構成することを意図しない。さらに、このセクションは、調査がなされている、あるいは37C.F.R.§1.56(a)において規定される他の関連情報が存在しないことを意味すると解釈されるべきではない。
【課題を解決するための手段】
【0006】
少なくとも1つの実施形態は、式1のN,N−ジアルキルアミノアルキルアクリレートを調製する方法に向けられる:
【化1】

(式中、RはH、またはC〜Cアルキルであり、RはC〜Cアルキレンであり、RおよびRはC〜Cアルキルである)。
【0007】
その方法は、a)蒸留カラムおよびリボイラーを備える蒸留反応器を提供する工程と、b)蒸留カラムに、共沸剤、触媒、重合防止剤(複数可)、ならびに式2のアルキルアクリレート、
【化2】

(式中、RはC〜Cアルキルである)
および式3のジアルキルアミノアルコール、
【化3】

を連続して添加する工程と、を含む。連続添加は、アルキルアクリレートと前記ジアルキルアミノアルコールとのエステル交換が得られ、前記N,N−ジアルキルアミノアルキルアクリレートおよび式ROHのアルコールが形成される条件下で起こる。方法はまた、
c)同時に、共沸剤とアルコールの共沸混合物を蒸留カラムから除去し、N,N−ジアルキルアミノアルキルアクリレートおよび残留反応物をリボイラーから除去する工程を含む。
【0008】
少なくとも1つの実施形態は、RはHまたはメチルであり、Rはエチレンであり、R、RおよびRはメチルである方法に向けられる。共沸剤はメチルペンタン、ヘキサン、ヘプタン、C〜C直鎖炭化水素類、C〜C環状炭化水素類、C〜C分枝炭化水素類、およびそれらの任意の組み合わせからなるリストより選択されてもよい。触媒は強酸、強塩基、スズに基づくルイス酸、チタンに基づくルイス酸、および室温で液体として存在し、反応媒質に高溶解性であるスズ触媒、ジ−N−ブチルスズジアセテート(DBTA)、ならびにそれらの任意の組み合わせからなるリストから選択される1つのアイテムとしてもよい。共沸剤、触媒、防止剤、ジアルキルアミノアルコールおよびアルキルアクリレートはすべて、リボイラーに添加されてもよい。共沸剤、触媒、防止剤およびジアルキルアミノアルコールはまた、蒸留カラムに添加されてもよく、アルキルアクリレートはリボイラーに添加される。さらに、メチルアクリレートのN,N−ジメチルアミノエタノールに対するモル供給比は1.7以下としてもよく、N,N−ジメチルアミノエタノールのN,N−ジメチルアミノエチルアクリレートへの化学変換は、88%を超えることができる。
【0009】
少なくとも1つの実施形態は、蒸留カラムがカラムの底からカラムの頂上まで連続して配列された1から40の間の蒸留トレイを備える方法に向けられる。さらに、共沸剤、触媒および重合防止剤から選択される1つのアイテム、ならびにそれらの任意の組み合わせは、蒸留カラムに、真ん中の蒸留トレイより低い位置で供給される。少なくとも1つの実施形態は、N,N−ジアルキルアミノアルキルアクリレートがリボイラーから除去される場合、N,N−ジアルキルアミノアルキルアクリレートと混合される共沸剤は実質的にない方法に向けられる。
【0010】
本発明の詳細な説明を以下、特に図面を参照して記載する。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】N,N−ジアルキルアミノアルキルアクリレートを調製するプロセスを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
「アルキル」は1つの水素原子の除去により、直鎖または分枝鎖飽和炭化水素から誘導される一価基を意味する。代表的なアルキル基としては、メチル、エチル、n−およびiso−プロピル、n−、sec−、iso−およびtert−ブチル、などが挙げられる。
【0013】
「アルキルアクリレート」は式CH=CHOO−アルキルのアルキルエステルを規定する物質組成物を意味する。
【0014】
「アルキレン」は2つの水素原子の除去により、直鎖または分枝鎖飽和炭化水素から誘導される二価基を意味する。代表的なアルキレンとしてはメチレン、1,2−エチレン、1,1−エチレン、1,3−プロピレン、2,2−ジメチルプロピレン、などが挙げられる。
【0015】
「連続して添加する」は、連続反応に少なくとも1つの物質組成物を添加することを意味する。
【0016】
「連続反応」は、試薬を反応動作に連続して供給し、連続して生成物を生成させることができる、無限期間にわたって継続することができる進行中の化学プロセスを意味する。連続プロセスおよびバッチプロセスは、互いに矛盾する。
【0017】
「蒸発器」は、数秒の間に、純粋液体を高い蒸気対液体比を有する混合物に変換するように構成され、配列された装置を意味する。
【0018】
少なくとも1つの実施形態では、エステル交換反応は、アルキルアクリレートからN,N−ジメチルアミノエチルアクリレート(以下、DMAEA)を生成するために実施される。アルキルアクリレートは、アルキル基上に1から4つの炭素を有し得る。少なくとも1つの実施形態では、反応は、式Iに従い、この場合、メチルアクリレート(MA)はN、N−ジメチルアミノエタノール(DMAE)と反応し、N,N−ジメチルアミノエチルアクリレート(DMAEA)を生成する。
【化4】

【0019】
少なくとも1つの実施形態は、反応は式IIに従い、この場合、エチルアクリレート(EA)はN,N−ジメチルアミノエタノール(DMAE)と反応し、N,N−ジメチルアミノエチルアクリレート(DMAEA)を生成する。
【化5】

【0020】
以下、図1について説明すると、DMAEA生成物(1)が、反応蒸留プロセスに従い実施されるエステル交換を介して生成される装置が図示される。反応蒸留プロセスでは、エステル交換は実際、単一の蒸留反応器(10)内で起こる。全体として、装置は、反応蒸留セクション(2)、精製セクション(3)、共沸剤回収セクション(4)を備える。試薬、共沸剤、および触媒が供給源を介して添加される。DMAEは系にDMAE源(6)を介して添加される。アルキルアクリレートは系に、アルキルアクリレート源(7)を介して添加される。1つ以上の触媒が系に、1つ以上の触媒源(8)を介して供給される。共沸剤もまた系に、共沸剤源(5)を介して添加される。
【0021】
少なくとも1つの実施形態では、触媒は強酸(例えば硫酸、p−トルエンスルホン酸)、強塩基(例えばKOH、NaOH)、スズに基づくルイス酸(例えばジ−N−ブチルスズオキシド、酸化ジオクチルスズ、ジ−N−ブチルスズジオキシド、d−N−ブチルスズジアセテート(DBTA)、ジ−N−ブチルスズマレアート、ジ−N−ブチルスズジラウレート、およびジ−N−ブチルスズジメトキシド、ならびに他のジアルキルスズオキシド類、スズカルボキシレート類、スズアルコキシド類、ジ−アルキルスタンナン類、ジ−アリールスタンナン類、トリ−アルキルスタンナン類、トリ−アリールスタンナン類、ジスタノキサン類、および塩化スズ(IV))、チタンに基づくルイス酸類(例えば(テトラエチルチタン酸)テトライソプロピルチタン酸、tert−ブチルチタン酸、テトラ(N,N−ジメチルアミノエトキシ)チタン酸、アルコキシチタン酸類、および室温で液体として存在し、反応媒質に高溶解性であるスズ触媒)、ならびにそれらの任意の組み合わせからなるリストから選択される1つである。
【0022】
共沸剤は共沸的にエステル交換反応中に形成されたアルコール副産物を除去する。少なくとも1つの実施形態では、共沸剤は液体である。少なくとも1つの実施形態では、共沸剤は、メチルペンタン類、ヘキサン、ヘプタン、C〜C直鎖炭化水素類、C〜C環状炭化水素類、C〜C分枝炭化水素類、およびそれらの任意の組み合わせからなるリストから選択される1つである。
【0023】
試薬および触媒は蒸留反応器(10)に供給される。少なくとも1つの実施形態では、蒸留反応器(10)は蒸留カラム、リボイラー(19)、および凝縮器(12)を備える。少なくとも1つの実施形態では、リボイラー(19)はケトル型リボイラーである。リボイラー(19)および凝縮器(12)はどちらも、蒸留カラムと流体連繋している。少なくとも1つの実施形態では、リボイラー(19)の少なくとも一部は、蒸留カラムの少なくとも一部の真下にある。
【0024】
少なくとも1つの実施形態では、1から60の蒸留トレイが、蒸留カラムに沿って垂直順序で配置されている。少なくとも1つの実施形態では、触媒、DMAE、および/または共沸剤のいくつかまたはすべてが、蒸留反応器(10)内の同じトレイに添加される。少なくとも1つの実施形態では、触媒、DMAEおよび共沸剤は、蒸留反応器(10)に単一のポート(11)を介して供給される。少なくとも1つの実施形態では、触媒、DMAE、および共沸剤の少なくとも1つは、蒸留カラム(10)の底トレイから数えて、第1と第20のトレイの間に配置されたトレイに供給される。少なくとも1つの実施形態では、蒸留底部(21)は、アルキルアクリレートを含み、リボイラー(19)に供給される。少なくとも1つの実施形態では共沸剤、DMAE、触媒、およびアルキルアクリレートの個々の供給速度は、0.935/1.00/0.030/1.451の比に設定される。
【0025】
少なくとも1つの実施形態では、共沸剤は揮発共沸蒸留を形成する。揮発共沸蒸留では、アルコール副産物は、別個の蒸留画分を形成する共沸剤と共沸物を形成する。この共沸物は、カラム内の他の材料よりも揮発性であり、その結果、この共沸物はカラムを上昇する傾向が最も強くなる。その結果、共沸剤を有するアルコールは、ある条件下で、蒸留カラムの頂上に向かって移動する実質的に唯一のアイテムとなる。
【0026】
この揮発共沸蒸留は、先行技術の、連続エステル化プロセスにおける共沸剤の使用とは実質的に異なる。例えば、国際公開番号第WO 2007/057120 A1号は、抽出蒸留法を記載する。抽出蒸留では、共沸剤はルコールとの揮発性共沸物の一部ではない。その結果、アルコールがカラムを上昇しても、共沸剤はそれに随行しない。これは、共沸剤がむしろ、MAと接触したままであり、MAの揮発性を抑制し、これによってアルコール副産物と共沸物を形成するのを阻止するように使用されるからである。
【0027】
本発明の揮発共沸法は、抽出蒸留において使用されるものとは異なる方法論および化学薬品を用いて達成される。抽出蒸留は、揮発性抑制共沸剤、例えばジベンジルエーテル、ジエチレングリコールジブチルエーテル、ジエチレングリコールジ−n−ブチルエーテル、トリエチレングリコールジブチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、およびトリプロピレングリコールジメチルエーテルを使用する。対照的に、本発明の揮発共沸法は、揮発性を抑制しない、少なくとも1つの共沸物形成共沸剤を使用する。これらの2つの方法間の熱力学的差により、アルキルアクリレート1単位あたり必要とされる共沸剤および触媒がずっと少なくなる。さらに、底部生成物(13)は大量の共沸剤で汚染されない。
【0028】
全エステル交換反応は単一の蒸留反応器(10)内で起こるので、反応は、連続反応条件下で実施してもよい。連続反応として、追加の量の共沸剤、DMAE、触媒、およびアルキルアクリレートを連続して添加してもよく、第1のバッチの反応が完了するのを待たずに、より多くのDMAEA生成物が生成される。さらに、共沸剤、DMAE、触媒、および/またはアルキルアクリレートの添加速度は実施中に反応を微調整するために変化させられる。
【0029】
さらに、単一蒸留反応器(10)内でエステル交換反応を実施することにより、プロセスは高効率となり、先行技術による方法を用いて実現可能なDMAEの量よりも少ない量のアルキルアクリレートおよび共沸剤を用いて実施することができるようになる。最後に、反応が単一蒸留反応器内で起こるので、アルコール副産物の除去およびさらなる試薬および/または触媒の添加を同時に実施できるようになり、反応変換が非常に好都合となる。少なくとも1つの実施形態では、アルキルアクリレートのDMAEに対する比率が1.5未満と低くても高い変換が達成される。少なくとも1つの実施形態では、少ない量の触媒(DMAEの2.5重量%未満)であっても、高い変換が達成される。少なくとも1つの実施形態では、蒸留反応器(10)蒸留カラムの底部流の温度は、190Fから205Fの間である。
【0030】
精製セクション(3)では、蒸留反応器(10)の底部生成物(13)は、熱交換器(15)が取り付けられた精製蒸留カラムに供給される。底部生成物(13)は蒸留反応器(10)の粗生成物であり、精製蒸留カラム(20)に送られ、これは、過剰の、未反応の原材料(14)を再利用するために分離し、蒸留反応器(10)に送り戻す。再利用される材料(14)は、アルキルアクリレート類およびN,N−ジメチルアミノエタノールを含む。精製蒸留カラム(20)の底部は、粗DMAEAを含む。
【0031】
精製蒸留カラム(20)の蒸留された底部は、最終蒸留カラム(23)に移る。最終蒸留カラム(23)は、蒸発器(9)と流体連繋する。蒸発器(9)は触媒および重質副産物をDMAEA生成物から分離し、最終蒸留カラム(23)のためのリボイラーとして機能する。精製されたDMAEA生成物(1)は、最終蒸留カラム(23)から蒸留物として回収される。DMAEA、触媒、および高沸点不純物を含み得る蒸発器(9)の底部(16)の少なくともいくらかは、蒸留反応器(10)に戻され再利用される。少なくとも1つの実施形態では、DMAEA生成物(1)は、フリーラジカル重合防止剤(24)例えば、ヒドロキノンのメチルエーテル(MEHQ)により安定化される。
【0032】
共沸剤回収セクション(4)は、凝縮器(12)から蒸留物(17)を受理する。共沸剤(22)からアルコール副産物を分離するために、分離装置(18)が使用される。本発明は、当術分野で知られている共沸剤を回収する多くの方法のいずれかおよびすべてを含む。少なくとも1つの実施形態では、分離装置(18)はまた、再利用される水および塩類を除去する。
【0033】
少なくとも1つの実施形態では、アルキルアクリレートのDMAEAに対する供給モル比は、1.1から2.0である。少なくとも1つの実施形態では、リボイラー(19)内の温度は、85℃から120℃の間、好ましくは100℃未満であり、最も好ましくは95℃未満である。少なくとも1つの実施形態では、DMAEに対する触媒の重量%は、5%未満であり、好ましくは3%未満である。
【実施例】
【0034】
前記は、下記実施例を参照することにより、よりよく理解することができ、実施例は、説明目的のために提供され、本発明の範囲を制限することを意図しない。
【0035】
(実施例1)
<反応蒸留によるN,N−ジメチルアミノエチルアクリレートの調製>
この実施例のために、ステンレス鋼パイロットスケール反応蒸留ユニットを使用した。これは、15.2cm離された35シーブトレイを有する内径15.4cmの蒸留カラムから構成された。関連する構成要素としては、頂部凝縮物の一部を凝縮し、戻すための凝縮器およびアキュムレータ、およびユニットに熱を供給するための標準構成のケトル型リボイラーが挙げられる。51部のDMAE反応物、47.5部のヘキサン共沸剤、および1.5部のDBTA触媒を含む溶液を、蒸留カラムの底からの第5プレートに約10.5ポンド/時間の速度で連続して添加した。同時に、メチルアクリレート(MA)反応物を約7.75ポンド/時間の速度でリボイラーに添加し、これは1.5:1のMA/DMAEモル供給比に相当した。メタノール副産物を蒸留カラムから除去し、熱交換器でヘキサン/メタノール共沸物として凝縮させた。蒸留物をカラム頂上から約7.4ポンド/時間の速度および約14.2psia(絶対圧)のカラム上部圧力で回収した。DMAEA生成物を系から、すべての未反応MAおよびDMAEと共に、系の底から除去した。底部は、リボイラーから約11.0ポンド/時間の速度で引き出した。リボイラーの内容物の温度は約92℃であった。
【0036】
蒸留物は主にヘキサンおよびメタノールから構成され、2重量%未満のメチルアクリレート不純物を含んだ。約95%の凝縮蒸留物をカラムに戻した(還流比=20)。4−ヒドロキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジニルオキシフリーラジカル防止剤のメタノール溶液を凝縮蒸留物に、蒸留カラムに戻される凝縮蒸留物中で100ppm防止剤濃度を提供するのに十分な量で添加し、カラム内での重合を阻止するよう助けた。
【0037】
リボイラーから引き出された底部は主に、所望のDMAEA生成物および反応器に添加された過剰のMAを含んだ。さらに、底部は%レベルの未反応DMAEおよび触媒、ならびにより少量のメタノール、ヘキサン、および重質不純物により汚染された。反応蒸留プロセスの粗生成物を表す、底部のGC分析を表1に示す。この実施例では、生成される重質揮発性不純物レベルが非常に低い穏やかな反応条件下で、94モル%のDMAEからDMAEAへの変換が達成された。
【0038】
(実施例2〜7)
<反応蒸留によるN,N−ジメチルアミノエチルアクリレートの調製>
DMAEAは、プロセス条件を下記表で記載されるように変化させたことを除き、実施例1において上述したように生成させた。プロセス変数は、MA/DMAEモル供給比(MA/DMAE)、DMAE反応物の総重量に基づく重量%触媒(wt.%触媒)、下記で記載されるGC分析に基づくDMAEからDMAEAへの%反応変換(%変換)、底部温度(T(℃))、時間で表されるリボイラー内での滞留時間(滞留時間(h))を含んだ。一般に、制限的なDMAE反応物の所望のDMAEA生成物への高い化学変換は、所望のプロセス条件(低いMA/DMAE供給比、低い触媒量、および低いリボイラー温度(100℃未満))下で達成され得るであろう。実験プロセス条件を表す底部サンプルの揮発性成分をガスクロマトグラフィー(GC)により測定し、結果を表内の「揮発性成分」見出し下で列挙する。実施例1および2から得られる底部組成物は、底部における高いDMAEA濃度(60wt.%超)、高いDMAE変換(85モル%超)、および低い不純物レベル(1wt.%未満)の達成を示す。実施例5および7から得られる結果から、高いDMAE変換(90%超)および低レベルの副生成物(1%未満)が、1.6(実施例6)または1.7(実施例7)のかなり低いMA/DMAE供給比で達成できることが確認される。実施例3は、MA/DMAE供給比は望ましく、さらにもっと減少させることができる(実施例3では1.2まで)が、リボイラー温度は、この場合100℃超まで増加し、このため、より高い不純物レベルとなることを示す。実施例4および6は、リボイラー滞留時間が約2時間まで減少された場合、DMAEからDMAEAへの化学変換が損なわれることを示す。
【0039】
【表1】

【0040】
本明細書では、本発明の特定の好ましい実施形態を図示し、詳細に説明しているが、本発明は多くの異なる形態で具体化され得る。本開示は、本発明の原理の例示であり、本発明を説明した特定の実施形態に制限することを意図しない。さらに、本発明は本明細書で記載される様々な実施形態のいくつかまたはすべてのいずれかの、およびすべての可能な組み合わせを含む。本出願において引用されるいずれかの、およびすべての特許、特許出願、学術論文および他の参考文献は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【0041】
上記開示は、例示であり、包括的なものではないことを意図する。この記載は、当業者に多くの変更および代替案を示唆するであろう。これらの代替案および変更はすべて特許請求の範囲に含まれることが意図され、ここで、「備える(含む)」という用語は、「含むが、それらに限定されない」ことを意味する。当技術に詳しいものは、本明細書で記載される特定の実施形態の他の等価物を認識することができ、それらの等価物もまた、特許請求の範囲に含まれることが意図される。
【0042】
これで、本発明の好ましいおよび別の実施形態の記載を終了する。当業者であれば、本明細書で記載される特定の実施形態の他の等価物を認識することができ、それらの等価物は、添付の特許請求の範囲に含まれることが意図される。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
式1のN,N−ジアルキルアミノアルキルアクリレートを調製する方法であって、
【化1】

(式中、RはH、またはC〜Cアルキルであり、RはC〜Cアルキレンであり、RおよびRはC〜Cアルキルである)
a)蒸留カラムおよびリボイラーを備える蒸留反応器を提供する工程と、
b)蒸留カラムに、共沸剤、触媒、重合防止剤、ならびに式2のアルキルアクリレート
【化2】

(式中、RはC〜Cアルキルである)
および式3のジアルキルアミノアルコールを、
【化3】

前記アルキルアクリレートと前記ジアルキルアミノアルコールとのエステル交換が得られ、前記N,N−ジアルキルアミノアルキルアクリレートおよび式ROHのアルコールが形成される条件下で、連続して添加する工程と、
c)同時に、前記共沸剤と前記アルコールの共沸混合物を前記蒸留カラムから除去し、前記N,N−ジアルキルアミノアルキルアクリレートを前記リボイラーから除去する工程と、を含む、方法。
【請求項2】
はHまたはメチルであり、Rはエチレンであり、R、RおよびRはメチルである、請求項1記載の方法。
【請求項3】
前記共沸剤はメチルペンタン、ヘキサン、ヘプタン、C〜C直鎖炭化水素類、C〜C環状炭化水素類、C〜C分枝炭化水素類、およびそれらの任意の組み合わせからなるリストより選択される、請求項2記載の方法。
【請求項4】
前記触媒は強酸、強塩基、スズに基づくルイス酸、チタンに基づくルイス酸、および室温で液体として存在し、反応媒質に高溶解性であるスズ触媒、DBTAならびにそれらの任意の組み合わせからなるリストから選択される1つのアイテムである、請求項3記載の方法。
【請求項5】
前記共沸剤、触媒、防止剤、ジアルキルアミノアルコールおよびアルキルアクリレートはすべて、リボイラーに添加される、請求項4記載の方法。
【請求項6】
前記共沸剤、触媒、防止剤およびジアルキルアミノアルコールは前記蒸留カラムに添加され、前記アルキルアクリレートは前記リボイラーに添加される請求項4記載の方法。
【請求項7】
前記蒸留カラムは前記カラムの底からカラムの頂上まで連続して配列された1から60の蒸留トレイを備える、請求項1記載の方法。
【請求項8】
前記共沸剤、前記触媒、および前記防止剤から選択される1つのアイテムは前記蒸留カラムに真ん中の蒸留トレイよりも低い位置で供給される、請求項7記載の方法。
【請求項9】
はHであり、メチルアクリレートのN,N−ジメチルアミノエタノールに対するモル供給比は1.7以下であり、N,N−ジメチルアミノエタノールのN,N−ジメチルアミノエチルアクリレートへの前記化学変換は、88%を超える、請求項4記載の方法。
【請求項10】
前記N,N−ジアルキルアミノアルキルアクリレートが前記リボイラーから除去される場合、前記N,N−ジアルキルアミノアルキルアクリレートと混合される共沸剤は実質的にない、請求項1記載の方法。
【請求項11】
前記蒸留カラム内の圧力は14〜14.4psiaの範囲内にある、請求項10記載の方法。
【請求項12】
前記リボイラーはケトル型リボイラーである、請求項1記載の方法。

【公表番号】特表2012−527462(P2012−527462A)
【公表日】平成24年11月8日(2012.11.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−511882(P2012−511882)
【出願日】平成22年5月7日(2010.5.7)
【国際出願番号】PCT/US2010/033980
【国際公開番号】WO2010/135092
【国際公開日】平成22年11月25日(2010.11.25)
【出願人】(507248837)ナルコ カンパニー (91)
【Fターム(参考)】