説明

NAD(P)H類縁体を用いた第XIII因子の測定方法

本発明は、インビトロ診断の分野の発明であり、血液凝固因子XIII(第XIII因子、F XIII)の測定方法及び前記方法を実施するための試験キットに関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、インビトロ診断の分野の発明であり、血液凝固因子XIII(第XIII因子、F XIII)の測定方法及び前記方法を実施するための試験キットに関する。
【背景技術】
【0002】
第XIII因子は、血液凝固カスケードの最後に作用する血液凝固因子であり、持続的な創傷閉塞のために重要な役割を果たす。血液凝固の最終段階であるフィブリン形成において、トロンビンは、フィブリノーゲンを分解する。こうして生じたフィブリンモノマーは、凝集して自然発生的に長い繊維になり、最終的に、可溶性のフィブリンポリマーからなる緻密で分枝した網状構造を生じる。第XIII因子も、また、トロンビンによって活性化され、それにより、第XIIIa因子が生じる。第XIIIa因子は、このフィブリンポリマーの架橋を引き起こし、それにより、このフィブリン塊を、機械的に、より安定とし、より変形できなくし、プラスミンによる分解に対して、より耐性とする。先天性又は後天性の第XIII因子欠損症は、出血傾向、創傷治癒障害並びに流産を引き起こすことがある。その臨床的な重要性の故に、第XIII因子欠損症の除外又は確認のための第XIII因子の測定は、血液凝固診断の重要な要素である。
【0003】
触媒不活性のプロ酵素である第XIII因子の活性形である第XIIIa因子は、トランスグルタミナーゼであり、このトランスグルタミナーゼは、フィブリン分子のリシル−及びグルタミニル−アミノ酸側鎖の間での分子間アミド結合の形成によるフィブリンポリマーの三次元的な架橋を触媒する。この反応の際に、アンモニア(NH3)又はアンモニウムイオン(NH4+)が遊離される。この現象が、第XIII因子の測定のための多様な試験方法において、利用される。以後、「アンモニア」の概念を、アンモニア及びアンモニウムイオンについて、同義に使用する。
【0004】
非特許文献1には、繊維素を除去した血漿試料中での第XIII因子の測定方法が記載されており、そこでは、試料の第XIII因子は、トロンビンにより活性化されて第XIIIa因子となる。更に、この試料を、第XIIIa因子による分子間アミド結合の形成のための基質の役割をするβ−カゼイン及びエチルアミンと、混合する。この反応の際に遊離するアンモニアを定量的に検出するために、この試料を、更にNADPH(ニコチンアミドアデニンジヌクレオチドリン酸ヒドリド)及びNADPH依存性の指示反応(インジケーター反応)の成分、つまりグルタメートデヒドロゲナーゼ(GLDH)及びα−ケトグルタレートと、混合する。アンモニアが存在する場合には、GLDHは、α−ケトグルタレートをグルタメートに変換する。この反応は、付加的にNADPHを消費し、NADPHが酸化された形態のNADP+(ニコチンアミドアデニンジヌクレオチドリン酸)が生成する。NADP+は、NADPHとは異なる吸収スペクトルを有するので、この試験バッチの吸収(吸光度又は光学密度とも言われる)は、NADPH消費に比例し、従って、アンモニア量に比例し、従って、第XIII因子量又は第XIII因子活性に比例して、変化する。別法として、この試験バッチ中にNADPHの代わりにNADHを使用することもできる。NAD(P)+とは対照的に、NAD(P)Hは、約260nmにおける吸収極大の他に、約340nmにおいて吸収極大を有する。吸収極大の正確な位置は、一般に多様なパラメータ、特に溶液の誘電率及びpH値、に依存する。一般に、NAD(P)Hの吸収極大は、335〜345nmの範囲内にある。340nmの波長における試験バッチの吸収の変化を測定することにより、試料中の第XIII因子の定量的測定が可能になる。
【0005】
特許文献1及び非特許文献2は、遊離されたアンモニアを介して第XIII因子を定量する同様の方法を記載している。特許文献1は、前処理していないフィブリン含有血漿試料中の第XIII因子の測定方法を記載している。反応バッチ中で障害となるフィブリン塊の形成を妨げるために、この試料は、更に、フィブリン凝集阻害剤と混合される。この試料の第XIII因子は、Ca2+イオンの存在下で、トロンビンによって活性化されて、第XIIIa因子となる。更に、この試料を、第XIIIa因子による分子間アミド結合の形成のための基質の役割をする合成グルタミン含有ペプチド及びグリシンエチルエステルと混合する。この反応の際に遊離するアンモニアを定量的に検出するために、この試料を、更に、NADH(ニコチンアミドアデニンジヌクレオチドヒドリド)及びNADH依存性の指示反応の成分、つまりグルタメートデヒドロゲナーゼ(GLDH)及びα−ケトグルタレート、と混合する。アンモニアの存在下で、GLDHは、α−ケトグルタレートをグルタメートに変換する。この反応は、更にNADHを消費し、NADHの酸化された形態であるNAD+を生じる。NAD+は、NADHとは異なる吸収スペクトルを有するため、この試験バッチの吸収は、NADH消費に比例して、従ってアンモニア量に比例して、従って第XIII因子量ないし第XIII因子活性に比例して、変化する。別法として、この試験バッチにおいて、NADHの代わりにNADPHを使用することもできる。340nmの波長における試験バッチの吸収の変化を測定することにより、試料中の第XIII因子の定量的測定が可能になる。特許文献1に記載された試験原理に基づき市販されている試験は、シーメンス ヘルスケア ダイアグノスティクス プロダクツ ゲゼルシヤフト ミツト ベシユレンクテル ハフツング社のBerichrom(登録商標)第XIII因子試験である。
【0006】
上記方法は、試料に内在する妨害物質により比較的影響を受けやすいという欠点を有する。個々のケースにおいて、患者の試料が、1つ以上の内在性の、つまり身体に独自の、物質を異常に高い濃度で含有することがあり、これらの物質が測光検出方法において許容濃度を超えた場合に、妨害とみなされ、体系的な誤りを引き起こしかねない。溶血性、黄疸性及び/又は高脂血症性の血清試料又は血漿試料、即ち、異常に高いヘモグロビン濃度、ビリルビン濃度及び/又はトリグリセリド濃度を有する、いわゆるHIL試料が問題を引き起こすことが知られている。この干渉物質の異常に高い濃度の原因は、患者の病理学的状態又は不適切な試料採取若しくは試料貯蔵である可能性がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】欧州特許公開第336353A2号明細書
【非特許文献】
【0008】
【非特許文献1】Muszbek,L.et al.[Clin.Chem.(1985)31(1),35−40]
【非特許文献2】Fickenscher et al.著(Thromb Haemost.1991,65(5):535−40)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
従って、本発明の根底をなす課題は、試料に内在する妨害物質による影響をあまり受けない第XIII因子の測定方法を提供することであった。前記課題は、特に、高いヘモグロビン濃度、高いビリルビン濃度及び/又は高いトリグリセリド濃度を有する試料中の第XIII因子の測定を可能にする方法を提供することにあった。
【課題を解決するための手段】
【0010】
前記課題は、第XIII因子を測定する公知の方法において、
a)試料を、
I.第XIII因子を第XIIIa因子に活性化するための物質(例えば、Ca2+イオンの存在下におけるトロンビン)、II.第XIIIa因子のための受容体基質(例えばグルタミン含有ペプチド)、III.第XIIIa因子のためのアミノ基供与体基質(例えば第1級アミン)、IV.NADH又はNADPH、及び、V.アンモニアの存在下において、NADHをNAD+に酸化させることができる薬剤(例えば、グルタメートデヒドロゲナーゼとα−ケトグルタレートとからなる薬剤)と、
混合し、
b)この試験バッチの吸収の変化を測定する方法であって、
NADH又はNADPHの代わりに、350nmを超える波長に吸収極大を有するNADH又はNADPHの類縁体、いわゆるNAD(P)H類縁体、を使用する方法により解決される。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】チオ−NADHを用いた第XIII因子測定を示す図。
【図2】ヘモグロビンが混入された血漿試料中の第XIII因子測定を示す図であって、上側の図は、NADH第XIII因子試験結果を示し、下側の図は、本発明によるチオ−NADH第XIII因子試験結果を示す。
【図3】コレステロールが混入された血漿試料中の第XIII因子測定を示す図であって、上側の図は、NADH第XIII因子試験結果を示し、下側の図は、本発明によるチオ−NADH第XIII因子試験結果を示す。
【図4】ビリルビンが混入された血漿試料中の第XIII因子測定を示す図であって、上側の図は、NADH第XIII因子試験結果を示し、下側の図は、本発明によるチオ−NADH第XIII因子試験結果を示す。
【発明を実施するための態様】
【0012】
簡素化のために、NADHのリン酸化された形及びリン酸化されていない形の両方を表現する場合には、つまり、NADH及びNADPHが同様に考慮されている場合には、「NAD(P)H」の用語を使用する。酸化された状態でのNADHのリン酸化された形及びリン酸化されていない形の両方を表現する場合には、つまりNAD+及びNADP+が同様に考慮されている場合には、「NAD(P)+」の用語を使用する。
【0013】
「NAD(P)H類縁体」の概念は、本発明の目的において、NAD(P)Hと同様に、アンモニアを変換するNAD(P)H依存性のデヒドロゲナーゼのための補基質として機能することができる物質である。本発明においては、酸化された形態及び還元された形態で異なる吸収極大を有する類縁体が重要であり、この場合、このNAD(P)H類縁体の還元された形態の吸収極大は、350nmを超える波長にある。
【0014】
NAD(P)H類縁体は、好適には、有機の環式及び複素環式化合物であり、これらの化合物は、ヒドリドイオンの移動の概念に基づくレドックス反応、つまり、2つの電子を有するプロトンの等価物が移動されるレドックス反応、を可能にする。
特に、上記化合物は、還元の際に、つまりヒドリドイオンの受け取りの際に、キノイド型からベンゼノイド型に移行することができ且つその逆に移行することができる有機化合物、好適には、複素環式化合物を含む。特に、ピリジンの誘導体が有利である。中でも、ニコチンアミドの構造類縁体が有利である。
【0015】
特に、NAD(P)Hのニコチンアミド基が他の基に交換されたNAD(P)H構造類縁体が、有利である。ここでは、ヒドリドイオンの移動の概念に基づくレドックス反応、つまり、2つの電子を有するプロトンの等価物が移動されるレドックス反応、を可能にする、有機の環式及び複素環式化合物が有利である。特に、ここには、有機化合物、好適にはキノイド型から、還元の際に、つまりヒドリドイオンの受け取りの際に、ベンゼノイド型に移行することができ且つその逆に移行することができる複素環式化合物、が含まれている。特にピリジン誘導体が有利である。
【0016】
本発明による方法における使用のためには、ピリジン環の4位に置換基を有する類縁体、例えば4−メチルニコチンアミドアデニンジヌクレオチド、は、ピリジン誘導体から除外される。この種の類縁体は、化学的に、例えば亜二チオン酸塩により、還元することができる(M.Jarman及びF.Searle著:Potential coenzyme inhibitors V−The synthesis and some properties of 4−methylnicotinamide adenine dinucleotide, Biochemical Pharmacology,Vol.21,455−464,1972)。しかし、立体的な理由から、ヒドリドイオンの酵素に触媒される移動には、ほとんど適していない。
【0017】
ピリジン基が3位に側鎖を有するNAD(P)H構造類縁体が、特に好適である。好適な置換基としては、カルボニル化合物、例えばアルデヒド基、アセチル基、カルボン酸基、チオアルデヒド基、チオアセチル基、チオカルボン酸基、チオカルボン酸アミド基、セレノアルデヒド基、セレノアセチル基、セレノカルボン酸基、セレノカルボン酸アミド基等、が挙げられる。
【0018】
ここで、ピリジン類縁体である、3−アセチルピリジン、3−(カルボ)アルデヒドピリジン、チオニコチンアミド及びセレノニコチンアミドを有する、NAD(P)H構造類縁体が、特に有利である。このグループの中でも、更にチオニコチンアミドが、特に有利である。
【0019】
セレノ−NAD(P)H、チオ−NAD(P)H、3−アセチルピリジンアデノシンジヌクレオチドヒドリド及び3−アルデヒドピリジンアデノシンジヌクレオチドヒドリドの吸収極大は、その反応が監視できるところ、例えば、それぞれ、約417nm、400nm、365nm及び358nmに、存在する(Werner Hensel,Dagmar Rakow,Wolfram Christ著:Convenient method for preparation and purification of nicotinamide mononucleotide analogs.Analytical Biochemistry,68,128−137,1975;Christ,W.及びCoper H.著:Properties of selenonictoinamide−adenine dinucleotide phosphate,an analogue of NADP.FEBS Letters,Vol.2,Number 4,267−269)。
【0020】
NAD(P)H類縁体は、NAD(P)Hとは異なる酵素反応速度論的特性を有していてもよい。例えば、類縁体の転換が、あまり良好ではない可能性がある。これは、反応バッチ中の前記類縁体、酵素又は他の成分の濃度を調整することによって、反応が十分な程度に、なお進行するように少なくとも部分的に、補償することができる。相応する酵素によって転換されないか又はそれどころか禁止剤として機能する類縁体は、本発明による類縁体ではない。例えば、4位に置換基を有するピリジン類縁体、例えば4−メチルニコチンアミドアルデヒドジヌクレオチド、が適していないのは、このためである(上記参照)。
【0021】
NAD(P)H類縁体の探索又は発見は、NAD(P)H依存性デヒドロゲナーゼにより触媒される酵素反応を用いて、行なうことができる。例えば、相応するスクリーニング法の場合、第XIII因子試験においても使用される系を、使用することができる。本発明による方法において使用するのに適しているNAD(P)H類縁体を同定するために、先ず、その類縁体のスペクトル特性を測定するのが好ましい。還元された形態のスペクトル特性を測定するのが有利である。類縁体は、350nmより高い波長に、吸収極大を有していなければならない。この相応する類縁体を試験溶液に添加し、関連する波長領域における吸収の変化を追跡する。この場合、この類縁体を多様な濃度で使用するのが有利である。このために、例えば、多様な濃度を有する還元された形態の類縁体の溶液20μLを、イミダゾール緩衝剤84.7mM、2−オキソグルタレート13.6mM、酢酸アンモニウム217mM、エチレンジアミン四酢酸0.9mM及びアデノシン−5’−二リン酸1.7mMを含有する、pH7.9の試験溶液2,880μL中にピペットで量り取る。還元された類縁体が転換される、つまり酸化される、場合には、吸収が低下し、これは測光により、追跡することができる。このようにして、本発明によるNAD(P)H類縁体を突き止めることができる。
【0022】
相応するNAD(P)H類縁体の合成は、ピリジン類縁体を用いて行なうことができる。先ず、このピリジン類縁体を化学的に合成し、同様に化学的方法を用いてモノヌクレオチド類縁体にアルキル化し、次いで、例えばNAD−ピロホスホリラーゼを用いて酵素的に、又はアデノシン三リン酸(ATP)又はアデノシン二リン酸(ADP)を用いて化学的に、縮合させて、相応するNAD(P)+類縁体又はNAD(P)H類縁体にする。原則として、酸化された形態、即ち、NAD(P)+類縁体が、先ず、合成される。ジホスホピリジンヌクレオチド又はNAD(P)+類縁体の還元は、次いで、例えば、亜二チオン酸塩によって、行なうことができる(Werner Hensel,Dagmar Rakow,Wolfram Christ著:Convenient method for preparation and purification of nicotinamide mononucleotide analogs,Analytical Biochemistry,68,128−137,1975;M.Jarman及びF.Searle著:Potential coenzyme inhibitors V−The synthesis and some protperties of 4−methylnicotinamide adenine dinucleotide,Biochemical Pharmacology,Vol.21,455−464,1972)。
【0023】
チオ−NAD(P)Hは、他の類縁体と比較して、特に長波長領域にある吸収極大を示し、更に、たいていのデヒドロゲナーゼにより酵素的に良好に転換され、比較的安定であり且つ市場で入手可能であるので、このNAD(P)H類縁体は、特に有利である。他の有利なNAD(P)H類縁体は、セレノ−NAD(P)Hである。
【0024】
チオ−NADH(チオニコチンアミドアデニンジヌクレオチドヒドリド)又はチオ−NADPH(チオニコチンアミドアデニンジヌクレオチドリン酸ヒドリド)は、NADH及びNADPHと同様にして、酸化することができ、つまりチオ−NAD+又はチオ−NADP+に酸化することができ、且つ、公知のように、NADH又はNADPHとは異なる光学特性を示すので、チオ−NAD+又はチオ−NADP+への酸化による吸収の変化は、約340nm〜約430nmの波長で測定することができる。
【0025】
従って、本発明の主題は、試料中の第XIII因子の測定方法における、350nmを超える波長に吸収極大を有するNAD(P)H類縁体の、使用である。
【0026】
本発明の他の主題は、試料中の第XIII因子の測定方法における、チオ−NADH又はチオ−NADPH(つまり、チオ−NAD(P)H)の、使用である。
【0027】
本発明の他の主題は、試料中の第XIII因子の測定方法における、セレノ−NADH又はセレノ−NADPH(つまり、セレノ−NAD(P)H)の、使用である。
【0028】
本発明は、更に、試料中の第XIII因子の測定方法であって、
a)前記試料を、
I.第XIII因子を第XIIIa因子に活性化するための物質又は物質混合物、
II.少なくとも1つのグルタミニル基を有する、第XIIIa因子のための受容体基質、
III.第XIIIa因子のためのアミノ基供与体基質、
IV.350nmを超える波長に吸収極大を有するNAD(P)H類縁体、及び
V.アンモニアの存在下に、NAD(P)HをNAD(P)+に又はNAD(P)H類縁体を相応するNAD(P)+類縁体に、酸化することができる薬剤、
を含有する1種以上の試薬と混合し、そして、
b)前記試験バッチの吸収の変化を測定する、測定方法に関する。
【0029】
本発明による方法の有利な実施態様の場合には、チオ−NAD(P)Hが、NAD(P)H類縁体として、使用される。
【0030】
本発明による方法の他の有利な実施態様の場合には、セレノ−NAD(P)Hが、NAD(P)H類縁体として、使用される。
【0031】
第XIII因子を第XIIIa因子へ活性化させるための物質として、特に、トロンビン、例えばヒト又はウシ由来のトロンビン又は組み換えにより製造されたトロンビン、が適している。同様に、試料中に含まれるプロトロンビンを直接的に又は間接的にトロンビンに活性化し、このトロンビンが次いで更に第XIII因子を活性化することにより、第XIII因子の活性化に間接的に作用する物質又は物質混合物、例えば第Xa因子、ヘビ毒のエカリン、又は組織因子、リン脂質及びCa2+イオンからなる混合物、が適している。
【0032】
「少なくとも1つのグルタミニル基を有する、第XIIIa因子のための受容体基質」との概念は、例えばアミノ酸グルタミン酸アミドからの、少なくとも1つのグルタミニル基、を有するポリペプチド又は擬似ペプチド(Peptidmimetikum)である。公知の第XIIIa因子のための受容体基質は、例えば、β−カゼイン並びに多数の合成ペプチドである。適切な合成ペプチドは、例えば欧州特許公開第314023A2号明細書に、記載されている。
【0033】
「第XIIIa因子のためのアミノ基供与体基質」の概念は、特に第1級アミンである。好適な第1級アミンは、エタノールアミン、プトレシン、カダベリン、ジアミノエタン、アミノエタンである。特に好適な第1級アミンは、グリシンエチルエステル又はグリシンメチルエステルである。
【0034】
「アンモニアの存在下に、NADHをNAD+に酸化することができる薬剤」とは、好適には、酵素/基質系であり、この系は、酵素と酵素のための基質とを有し、ここで、前記酵素は、前記基質に触媒的に作用し、これにより、アンモニアの存在下に、NADHをNAD+に又はNADPHをNADP+に(つまり、NAD(P)HをNAD(P)+に)酸化し、同様にチオ−NADHをチオ−NAD+に、又はチオ−NADPHをチオ−NADP+に、又は本発明による他のNAD(P)H類縁体を、酸化する。
【0035】
適切な酵素/基質系は、デヒドロゲナーゼ及びその基質であり、前記基質は、補因子としてのNAD(P)H又はNAD(P)H類縁体を、アンモニアと共に、転換させる。これは、特に、D−アミノ酸デヒドロゲナーゼ及びL-アミノ酸デヒドロゲナーゼ等の、アミノ酸デヒドロゲナーゼである。その例は、アラニン−デヒドロゲナーゼ、グルタメートデヒドロゲナーゼ、セリン−2−デヒドロゲナーゼ、バリン−デヒドロゲナーゼ、ロイシン−デヒドロゲナーゼ、グリシン−デヒドロゲナーゼ、リシン−デヒドロゲナーゼ、トリプトファン−デヒドロゲナーゼ、フェニルアラニン−デヒドロゲナーゼ、アスパレート−デヒドロゲナーゼ、ジアミノピメレート−デヒドロゲナーゼ、N−メチルアラニン−デヒドロゲナーゼ、L−エリトロ−3,5−ジアミノヘキサノエート−デヒドロゲナーゼ、及び、2,4−ジアミノペンタノエート−デヒドロゲナーゼである。アミノ化の上述の反応方向のための、それぞれの基質は、アンモニア及びそれぞれのオキソ化合物である。上記例の順序に応じて、これらは、アミノ酸デヒドロゲナーゼのための2−オキソ酸、並びにピルベート、アルファ−ケトグルタレート(2−オキソグルタレート)、3−ヒドロキシピルベート、3−メチル−2−オキソブタノエート、4−メチル−2−オキソペンタノエート、グリオキシレート、1,2−ジデヒドロピペリジン−2−カルボキシレート、インドール−3−イル−ピルベート、フェニルピルベート、オキサロアセテート、L−2−アミノ−6−オキソヘプタンジオエート、ピルベート及びメチルアミン、(S)−5−アミノ−3−オキソヘキサノエート、及びL−2−アミノ−6−オキソヘプタンジオエートである。適切な酵素/基質系は、例えば、グルタメートヒドロゲナーゼ/ケトグルタレート系又はアラニンデヒドロゲナーゼ/ピルベート系又はセリン−2−デヒドロゲナーゼ/3−ヒドロキシピルベート系又はバリンデヒドロゲナーゼ/3−メチル−2−オキソブタノエート系又はロイシンデヒドロゲナーゼ/4−メチル−2−オキソペンタノエート系又はグリシンデヒドロゲナーゼ/グリオキシレート系又はリシンデヒドロゲナーゼ/1,2−ジデヒドロピペリジン−2−カルボキシレート系又はフェニルアラニン/フェニルピルベート系又はアスパルテートデヒドロゲナーゼ/オキサロアセテート系又はグルコース−6−ホスフェートデヒドロゲナーゼ/D−グルコノ−1,5−ラクトン−6−ホスフェート系である。
【0036】
本発明による方法の有利な実施態様の場合には、試料、好適には血漿試料、を更にフィブリン凝集阻害剤と混合する。フィブリン凝集阻害剤は、トロンビンにより誘発された、フィブリンモノマーの凝集を抑制する物質である。このようにして、フィブリノーゲン含有試料中でのフィブリン凝血塊の発生を抑制する。そうしないと、このフィブリン凝血塊は、試験バッチの吸収測定に不利な影響を及ぼしかねないためである。好適なフィブリン凝集阻害剤は、合成ペプチド、例えば、配列Gly−Pro−Arg−Pro(Pentapharm社(スイス国)のPefabloc(登録商標)FGとして市場で入手可能である)を有するペプチドである。フィブリン凝集阻害剤として使用することができる他の有利なペプチド、配列Gly−Pro−Arg−Pro−Alaを有する特に好適なペプチド、は、欧州特許公開第456152A2号明細書に記載されている。
【0037】
他の実施態様においては、試料を、更に、ヘパリンを中和する物質、例えば臭化ヘキサジメトリン(Polybrene(登録商標)としても公知)、と混合し、ヘパリンのトロンビン阻害作用を排除する。ヘパリンは、例えばヘパリン治療された患者の試料中に存在することがあり得る。
【0038】
試料と混合して試験バッチにされる成分I〜Vは、それぞれ別個に、つまり別個の試薬の形で、順に、試料と混合することができるが、これらの成分は、唯一のピペット工程で試料と混合される唯一の試薬の形に統合することもできる。この1つの試薬又はこれらの複数の試薬は、好適には、上記物質が溶かされている緩衝マトリックスを含有することができる。適切な緩衝マトリックスは、例えば、HEPES、ビシン、NaCl、アルブミン及び/又は、例えばアジ化ナトリウムのような、保存剤、を含有し、好適には6.0〜9.0、特に好適には6.5〜8.5、のpH値を有する。カルシウムイオンは、第XIII因子の活性化のために必要であるので、緩衝マトリックスは、更にカルシウム塩、好適には塩化カルシウム、を含有する。1つの試薬又は複数の試薬と試料との混合は、手作業で又は自動凝固測定装置中で、実施することができる。
【0039】
試験バッチに添加されるNAD(P)H類縁体の量は、アンモニアの存在下に、前記NAD(P)H類縁体を相応するNADP+類縁体に酸化させることができる薬剤の量に応じて、最適化される。グルタメートデヒドロゲナーゼ/ケトグルタレート系を使用する場合に、この量は、例えばチオ−NADHについて、有利には、チオ−NADHの最終濃度が、試験バッチ中で、10〜500μM、有利には50〜400μM、となるように選択される。
【0040】
本発明による方法において、アンモニアの存在下にNADHをNADに酸化することができる薬剤としてグルタメートデヒドロゲナーゼ/ケトグルタレート系を使用する場合に、試験バッチに添加されるグルタメートデヒドロゲナーゼの量は、試験バッチ中のこの最終濃度が2〜500 IU/mL、有利には5〜250 IU/mL、となるように選択される。
【0041】
試料材料として、特にフィブリノーゲン含有血漿が適している。しかしながら、脱フィブリン血漿中でも、本発明による方法により、第XIII因子を測定することができる。
【0042】
試験バッチの吸収変化(ΔE)の測定は、測定されるべき試験バッチを透過するように光線を送る光源と透過された光の強度を測定し電気信号に変換するする検出器とを備えた測光器を用いて行なう。吸収変化の測定は、約340nm〜約430nmの波長、好適には約380〜約420nmの波長、特に好適には約390〜約410nmの波長、の光を用いて行なわれる。単位時間当たりで変化する吸収は、第XIII因子活性と相関する。チオ−NADHの又はチオ−NADPHの消費による試験バッチの吸収(E)の減少は、特に反応速度論の線形の範囲内で、第XIII因子活性に正比例する。試料の第XIII因子活性は、好適には、100%の第XIII因子活性を有すると定義される標準血漿貯留試料との比較により計算される。
【0043】
本発明の他の主題は、試料中の第XIII因子を測定するための本発明による方法を実施するための試験キットであって、この試験キットは、次の成分を有する。
1.第XIII因子を活性化して第XIIIa因子にする物質又は物質混合物、好適にはトロンビン、を含有する第1の試薬;
2.以下の成分を含有する第2の試薬
・第XIIIa因子のための、少なくとも1つのグルタミニル基を有する、少なくとも1つの受容体基質、好適にはアミン受容体として少なくとも1つのグルタミニル基を有する合成ペプチド、
・第XIIIa因子のための少なくとも1つのアミノ基供与体基質、好適には第1級アミン、及び
・アンモニアの存在下に、NAD(P)HをNAD(P)+に、又はNAD(P)H類縁体を相応するNAD(P)+類縁体に、酸化することができる、好適にはグルタメートデヒドロゲナーゼとケトグルタレートとからなる、少なくとも1つの薬剤;
及び
3.350nmを超える波長に吸収極大を有する少なくとも1つのNAD(P)H類縁体を含有する第3の試薬。
【0044】
好適な試験キットにおいて、NAD(P)H類縁体を含有する試薬は、チオ−NAD(P)H又はセレノ−NAD(P)Hを含有する。
【0045】
これらの試薬は、更に、保存剤、塩、緩衝物質及び/又は安定剤、例えばアジ化ナトリウム及びアルブミン、を含有していてもよい。これらの試薬は、液体試薬として又は凍結乾燥物として準備してもよい。試験キットの試薬のいくつか又は全てが凍結乾燥物として存在する場合には、この試験キットは、更に、この凍結乾燥物を溶解するために必要な溶剤、例えば、蒸留水及び/又は適当な緩衝液、を含有していてもよい。
【0046】
好適な試験キットにおいて、第XIII因子を第XIIIa因子に活性化するためのトロンビンを含有する第1の試薬は、更に、塩化カルシウム及び/又はフィブリン凝集阻害剤及び/又は臭化ヘキサジメトリンを含有する。
【0047】
図1は、チオ−NADHを用いた第XIII因子測定を示す。試験バッチの吸収の低下は、試料中の第XIII因子濃度と比例する(実施例1参照)。
図2は、ヘモグロビンが混入された血漿試料中の第XIII因子測定を示す(実施例2参照)。上側の図は、NADH第XIII因子試験結果を示す。下側の図は、本発明によるチオ−NADH第XIII因子試験結果を示す。この破線で示す水平の線は、ヘモグロビン0mg/mLの出発値からの10%の乖離を示す。チオ−NADH第XIII因子試験は、公知のNADH第XIII因子試験よりも本質的に高いヘモグロビン濃度の場合に初めて、10%の境界を超える。
図3は、コレステロールが混入された血漿試料中の第XIII因子測定を示す(実施例2参照)。上側の図は、NADH第XIII因子試験結果を示す。下側の図は、本発明によるチオ−NADH第XIII因子試験結果を示す。この破線で示す水平の線は、コレステロール0mg/mLの出発値からの10%の乖離を示す。公知のNADH第XIII因子試験とは対照的に、本発明によるチオ−NADH第XIII因子試験は、ここで試験したコレステロール濃度の場合に、10%の境界を全く超えない。
図4は、ビリルビンが混入された血漿試料中の第XIII因子測定を示す(実施例2参照)。上側の図は、NADH第XIII因子試験結果を示す。下側の図は、本発明によるチオ−NADH第XIII因子試験結果を示す。この破線で示す水平の線は、ビリルビン0mg/mLの出発値からの10%の乖離を示す。公知のNADH第XIII因子試験とは対照的に、本発明によるチオ−NADH第XIII因子試験は、ここで試験したビリルビン濃度の場合に10%の境界を全く超えない。
【実施例】
【0048】
実施例1:
チオ−NADHを用いた第XIII因子の本発明による測定
次の試薬を調製した:
【0049】
活性剤試薬(pH8.3):
・チオ−NADH(Oriental Yeast Company、ロッテルダム、オランダ国)292μM
・ウシのトロンビン(10 IU/mL)
・フィブリン凝集阻害剤としてのGly−Pro−Arg−Pro−Ala−アミド(2g/L)
・塩化カルシウム(1.2g/L)
・臭化ヘキサジメトリン(10mg/L)
・ウシのアルブミン
・ビシン緩衝剤(100ミリモル/L)
【0050】
検出試薬(pH6.5):
・グルタメートデヒドロゲナーゼ(260 IU/mL)
・第XIII因子受容体基質としてのLeu−Gly−Pro−Gly−Gln−Ser−Lys−Val−lle−Gly−アミド(2.4g/L)
・ADP
・グリシンエチルエステル(1.4g/L)
・α−ケトグルタレート(2.7g/L)
・ウシのアルブミン
・HEPES緩衝剤(10ミリモル/L)
【0051】
この試験のために、BCS(登録商標)−XP凝固分析装置(シーメンス ヘルスケア ダイアグノスティクス プロダクツ ゲゼルシヤフト ミツト ベシユレンクテル ハフツング社、マールブルグ、ドイツ国)を用いて、活性剤試薬75μL、検出試薬75μL及び試料15μLをキュベット中で合一し、37℃でインキュベートした。5分後に、405nmの波長において、吸収の測定を開始した。評価のために、測定開始後の60秒〜350秒の時間枠内で、1分ごとに、405nmにおいて吸収の変化を計算した。較正のために、102%d.N.(標準に対する百分率)の第XIII因子濃度を有する標準として、標準ヒト血漿(シーメンス ヘルスケア ダイアグノスティクス プロダクツ ゲゼルシヤフト ミツト ベシユレンクテル ハフツング社、マールブルグ、ドイツ国)を使用した。低い第XIII因子濃度での較正点は、0.9%のNaCl溶液中での標準の希釈により得られ、高い第XIII因子の濃度での較正点は、試験中の標準の体積を増加することにより得られた。図1は、典型的な較正曲線を示す。
【0052】
実施例2:
HIL試料中のチオ−NADHを用いた第XIII因子の本発明による測定
標準ヒト血漿(SHP、シーメンス ヘルスケア ダイアグノスティクス)を、ヘモグロビン、ビリルビン、トリグリセリド又はコレステロールと、これらの濃度を増加させながら、混合し、これらは、それぞれ、一定の体積でこの血漿に供給した。このために、540μLのSHPを、様々な濃度を有するそれぞれの物質の溶液60μLと、混合した。ヘモグロビンを、Tris緩衝した食塩水(TBS:150mM NaCl、50mM Tris、pH7.6)中に溶かし、コレステロールをヒト血清アルブミン40mg/mLを有するTBS中に溶かし、ビリルビンを0.05M NaOH中に溶かし、上記SHPに量り込んだ。出発値の測定のために、540μLのSHPを、物質を添加せずに、それぞれの緩衝液60μLと混合した。引き続き、各物質が混入された血漿試料の第XIII因子活性を、本発明による方法によって、チオ−NADH(実施例1参照)を用いて、3回繰り返して、測定した。比較のために、同じ試料を、NADHを使用するBerichrom(登録商標)第XIII因子試験(シーメンス ヘルスケア ダイアグノスティクス プロダクツ ゲゼルシヤフト ミツト ベシユレンクテル ハフツング社、マールブルグ、ドイツ国)を用いて、製造元の記載事項に基づき、3回繰り返して、測定した。各物質が混入された試料についての測定結果が、各物質が混入されていない試料についての測定結果から、10%より高く相違する場合には、干渉が生じている。即ち、信頼し得る第XIII因子測定は不可能である。
【0053】
それぞれ、ヘモグロビン、コレステロール及びビリルビンが混入された試料についての結果を、図2〜4に示した。
【0054】
表1には、Berichrom(登録商標)第XIII因子試験(省略して、「NADH第XIII因子試験」)によって又は本発明による方法(省略して、「チオ−NADH第XIII因子試験」)によって干渉が観察されない、妨害物質の最大濃度が記載されている。この両方の試験の比較は、本発明による試験が、より高い濃度の妨害物質濃度を許容すること、つまり、試料に固有の妨害物質から、影響を受けにくいことを、示す。妨害物質がコレステロール又はビリルビンである場合に、本発明によるチオ−NADH試験は、最大の投与量を許容するので、表1に示した濃度よりも高い濃度で初めて干渉が生じると想定される。
【0055】
【表1】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
試料中の第XIII因子の測定方法であって、
a)前記試料を、
I.第XIII因子を第XIIIa因子に活性化するための物質又は物質混合物、
II.少なくとも1つのグルタミニル基を有する、第XIIIa因子のための受容体基質、
III.第XIIIa因子のためのアミノ基供与体基質、
IV.350nmを超える波長に吸収極大を有するNAD(P)H類縁体、及び
V.アンモニアの存在下に、NAD(P)HをNAD(P)+に又はNAD(P)H類縁体を相応するNAD(P)+類縁体に、酸化することができる薬剤
を有する1種以上の試薬と、
混合し、
b)前記試験バッチの吸収の変化を測定する、
測定方法。
【請求項2】
前記NAD(P)H類縁体がチオ−NAD(P)Hである、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記NAD(P)H類縁体がセレノ−NAD(P)Hである、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
工程a)において前記試料を更にフィブリン凝集阻害剤と混合する、請求項1〜3のいずれか1項に記載の方法。
【請求項5】
前記第XIII因子を第XIIIa因子に活性化するための物質がトロンビンである、請求項1〜4のいずれか1項に記載の方法。
【請求項6】
少なくとも1つのグルタミニル基を有する、第XIIIa因子のための、受容体基質が、アミン受容体として少なくとも1つのグルタミン残基を有するポリペプチドである、請求項1〜5のいずれか1項に記載の方法。
【請求項7】
第XIIIa因子のためのアミノ基供与体基質が、第1級アミン、好適には、エタノールアミン、プトレシン、カダベリン、ジアミノエタン、アミノエタン、グリシンエチルエステル及びグリシンメチルエステルからなる群から選択される第1級アミン、である、請求項1〜6のいずれか1項に記載の方法。
【請求項8】
アンモニアの存在下に、NAD(P)HをNAD(P)+へ、又はNAD(P)H類縁体を相応するNAD(P)+類縁体へ、酸化することができる薬剤が、酵素及び該酵素のための基質を含有する、請求項1〜7のいずれか1項に記載の方法。
【請求項9】
前記酵素がグルタメートデヒドロゲナーゼであり、前記酵素のための基質がα−ケトグルタレートである、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
工程a)において、前記試料を、更に、ヘパリン中和物質、好適には臭化ヘキサジメトリンと、及び/又は塩化カルシウムと、混合する、請求項1〜9のいずれか1項に記載の方法。
【請求項11】
前記試験バッチの吸収変化を、約340nm〜約430nmの波長の光を用いて、好適には約380nm〜約420nmの波長の光を用いて、更に特に好適には約390〜約410nmの波長の光を用いて、測定する、請求項1〜10のいずれか1項に記載の方法。
【請求項12】
試料中の第XIII因子の測定方法における、350nmを超える波長に吸収極大を有するNAD(P)H類縁体の、使用。
【請求項13】
試料中の第XIII因子の測定方法における、NAD(P)H類縁体であるチオ−NAD(P)Hの使用。
【請求項14】
試料中の第XIII因子の測定方法における、NAD(P)H類縁体であるセレノ−NAD(P)Hの使用。
【請求項15】
試料中の第XIII因子の測定方法を実施するための試験キットであって、以下の成分:
a.第XIII因子を活性化して第XIIIa因子にする物質又は物質混合物、好適にはトロンビン、を含有する第1の試薬、
b.以下の成分を含有する第2の試薬、
・第XIIIa因子のための、少なくとも1個のグルタミニル基を有する、少なくとも1種の受容体基質、
・第XIIIa因子のための少なくとも1種のアミノ基供与体基質、好適には第1級アミン、及び
・アンモニアの存在下に、NAD(P)HをNAD(P)+へ、又はNAD(P)H類縁体を相応するNAD(P)+類縁体へ、酸化することができる、好適にはグルタメートデヒドロゲナーゼ及びα−ケトグルタレートとからなる、少なくとも1種の薬剤、
及び
c.350nmより長い波長にある吸収極大を有する、少なくとも1種のNAD(P)H類縁体を含有する第3の試薬
を含有する、試験キット。
【請求項16】
前記第3の試薬がNAD(P)H類縁体であるチオ−NAD(P)Hを含有する、請求項15に記載の試験キット。
【請求項17】
前記第3の試薬がNAD(P)H類縁体であるセレノ−NAD(P)Hを含有する、請求項15に記載の試験キット。
【請求項18】
前記第1の試薬が、第XIII因子を第XIIIa因子に活性化するトロンビン、並びに、更に、塩化カルシウム及び/又はフィブリン凝集阻害剤及び/又は臭化ヘキサジメトリンを含有する、請求項15〜17のいずれか1項に記載の試験キット。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公表番号】特表2013−506401(P2013−506401A)
【公表日】平成25年2月28日(2013.2.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−531248(P2012−531248)
【出願日】平成22年6月16日(2010.6.16)
【国際出願番号】PCT/EP2010/003611
【国際公開番号】WO2011/042071
【国際公開日】平成23年4月14日(2011.4.14)
【出願人】(510259921)シーメンス ヘルスケア ダイアグノスティクス プロダクツ ゲゼルシヤフト ミツト ベシユレンクテル ハフツング (11)
【Fターム(参考)】