説明

NCO基と重合性C=C二重結合を共に有する化合物を含む組成物

【課題】毒性の高い未反応ジイソシアネートモノマーを実質的に含まず、NCO基と反応可能な官能基を2つ以上有する主剤と配合した場合でも貯蔵安定性が良好であり、さらには、UV硬化した塗膜の硬度と可とう性のバランスが良好な優れた性能を示す、NCO基と重合性C=C二重結合を共に有する化合物を含む組成物を提供する。
【解決手段】下記、一般式(1)において、


XがNCO基であって、Yが重合性C=C二重結合を含む有機基であるか、又はXが重合性C=C二重結合を含む有機基であって、YがNCO基である化合物(A成分)が24〜65wt%、X、Yがいずれも重合性C=C二重結合を含む有機基である化合物(B成分)が34〜75wt%、X、YがいずれもNCO基である化合物(C成分)が0.01〜2wt%の組成を有する、NCO基と重合性C=C二重結合を共に有する化合物を含む組成物。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、NCO基と重合性C=C二重結合を共に有する化合物を含む組成物および該NCO基と重合性C=C二重結合を共に有する化合物を含む組成物を用いたUV硬化型塗料、UV硬化型粘・接着剤、UV硬化型インキ、UV硬化型ハードコート剤等に関する。
【背景技術】
【0002】
これまでに、ジイソシアネートモノマーと水酸基及び重合性C=C二重結合を有する化合物から得られる、NCO基と重合性C=C二重結合を共に有する化合物を含む組成物は知られている(例えば、特許文献1及び特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2006−316257号公報
【特許文献2】特開2002−138112号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記特許文献1で開示されている、NCO基と重合性C=C二重結合を共に有する化合物を含む組成物は、未反応のジイソシアネートモノマーが残存し、その毒性が高く、また、NCO基と反応可能な官能基を2つ以上有する主剤と配合すると、主剤の分子間で架橋反応が起こり、増粘又はゲル化するため、貯蔵安定性が良好ではない。
【0005】
また、上記特許文献2では、ジイソシアネートモノマーと水酸基及び重合性C=C二重結合を有する化合物とを、ジイソシアネートモノマー過剰下で反応させた後、過剰に残存するモノマーをフラッシュ蒸留によって分離することで、NCO基と重合性C=C二重結合を共に有する化合物を製造することは可能であるが、特殊な設備が必要であることに加えて、熱変性する可能性がある。
【0006】
そこで、本発明では、毒性の高い未反応ジイソシアネートモノマーを実質的に含まず、NCO基と反応可能な官能基を2つ以上有する主剤と配合した場合でも、増粘しにくいもしくはゲル化しない、つまり、貯蔵安定性が良好であり、さらには、UV硬化した塗膜の硬度と可とう性のバランスが良好な優れた性能を示す、NCO基と重合性C=C二重結合を共に有する化合物を含む組成物を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者は、前記課題を解決するため検討を進め、1分子中にNCO基及び重合性C=C二重結合を共に有する有機基を有する成分(A)と、1分子中に重合性C=C二重結合を有する有機基を2個有する成分(B)とが特定の組成範囲である組成物が、UV硬化型塗料、UV硬化型粘・接着剤、UV硬化型インキ、UV硬化型ハードコート剤等の分野で硬度と可とう性のバランスが良好な優れた性能を発揮することを見出し、本発明をなすに至った。
【0008】
すなわち、本発明は、
[1]下記、一般式(1)において、
【化1】


XがNCO基であって、Yが重合性C=C二重結合を含む有機基であるか、又はXが重合性C=C二重結合を含む有機基であって、YがNCO基である化合物(A成分)が24〜65wt%、X、Yがいずれも重合性C=C二重結合を含む有機基である化合物(B成分)が34〜75wt%、X、YがいずれもNCO基である化合物(C成分)が0.01〜2wt%の組成を有する、NCO基と重合性C=C二重結合を共に有する化合物を含む組成物、
[2]重合性C=C二重結合を含む有機基が下記一般式(2)又は(3)で示される、上記[1]に記載の組成物、
【化2】


(式中、R、RはそれぞれCH又はHを示し、Rは任意に分岐鎖、エステル基、エーテル基、カルボニル基を有していてもよい炭素数2〜30の2価の有機基を示す。)
[3]重合性C=C二重結合を含む有機基が下記式(4)で示される、上記[1]に記載の組成物、
【化3】


[4]下記、一般式(1)において、
【化4】


XがNCO基であって、Yが重合性C=C二重結合を含む有機基であるか、又はXが重合性C=C二重結合を含む有機基であって、YがNCO基である化合物(A成分)が24〜65wt%、X、Yがいずれも重合性C=C二重結合を含む有機基である化合物(B成分)が34〜75wt%、X、YがいずれもNCO基である化合物(C成分)が0.01〜2wt%の組成を有する、NCO基と重合性C=C二重結合を共に有する化合物を含む組成物の製造方法であって、
イソホロンジイソシアネート(IPDI)と、1分子中に水酸基及び重合性C=C二重結合を有する化合物とを、NCO/OH当量比=1.2〜1.6の範囲で反応させて製造することを特徴とする、前記方法、
[5](a)上記[1]又は[2]に記載の組成物と、
(b)OH基を2つ以上有するポリオール
とを、(a)のNCO基と(b)のOH基の当量比が1以下の範囲となるように反応して得られる、UV硬化型塗料、UV硬化型粘・接着剤、UV硬化型インキ、又はUV硬化型ハードコート剤、等に関するものである。
【発明の効果】
【0009】
本発明のNCO基と重合性C=C二重結合を共に有する化合物を含む組成物は、毒性の高い未反応ジイソシアネートモノマーを実質的に含まず、NCO基と反応可能な官能基を2つ以上有する主剤(ポリオール等)とを配合した場合でも、増粘しにくい又はゲル化しない、つまり、貯蔵安定性が良好であり、さらには、UV硬化した塗膜の硬度と可とう性のバランスが良好な優れた性能を示す効果を有する。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明について、以下具体的に説明する。
【0011】
本発明のNCO基と重合性C=C二重結合を共に有する化合物を含む組成物の成分割合としては通常、上記一般式(1)において、XがNCO基であって、Yが重合性C=C二重結合を含む有機基であるか、又はXが重合性C=C二重結合を含む有機基であって、YがNCO基である化合物(A成分)を24〜65wt%、X、Yがいずれも重合性C=C二重結合を含む有機基である化合物(B成分)を34〜75wt%、及びX、YがいずれもNCO基である化合物(C成分)を0.01〜2wt%であり、好ましくは、A成分:29〜60wt%、B成分:39〜70wt%、C成分:0.01〜1wt%の成分割合を達成することで、該組成物とOH基を含有するポリオール(主剤)とを配合した場合でも、得られた組成物は増粘しにくい又はゲル化しない、つまり、貯蔵安定性が良好であり、さらには、UV硬化した塗膜の硬度と可とう性のバランスが良好な優れた性能を示す。
【0012】
重合性C=C二重結合を含む有機基として、好ましくは上記の一般式(2)又は(3)で示される有機基であることが好ましい。一般式(2)及び(3)中のR、Rは、それぞれCH又はHであることが好ましく、Hであることがさらに好ましい。また、一般式(2)及び(3)中のRはCH、C、C、C等の分岐鎖、エステル基、エーテル基、カルボニル基を有してもよい炭素数2〜30の2価の有機基であることが好ましく、Cであることが更に好ましい。
【0013】
本発明のNCO基と重合性C=C二重結合を共に有する化合物を含む組成物は、イソホロンジイソシアネート(IPDI)と、水酸基及び重合性C=C二重結合を有する化合物とを、配合比(NCO/OH当量比):1.2〜1.6で反応させることにより、製造可能であるが、特に限定されない。
【0014】
前記A成分、B成分及びC成分を含む組成物の原料である、水酸基及び重合性C=C二重結合を有する化合物としては、例えば、2−ヒドロキシエチルアクリレート(2−HEA)、2−ヒドロキシプロピルアクリレート(2−HPA)、2−ヒドロキシエチルメタクリレート(2−HEMA)、2−ヒドロキシプロピルメタクリレート(2−HPMA)、4−ヒドロキシブチルアクリレート(4−HBA)、2−ヒドロキシ−3−フェノキシプロピルアクリレート、2−ヒドロキシ−3−アクリロイロキシプロピルメタクリレート、3−クロロ−2−ヒドロキシプロピルメタクリレート、ジエチレングリコールアクリレート、ポリエチレングリコールアクリレート、ポリプロピレングリコールアクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、ジペンタエリスリトールペンタアクリレート、ヒドロキシブチルビニルエーテル、及び上記の水酸基及び重合性C=C二重結合を有する化合物とε−カプロラクトンとの付加物等が挙げられ、これらから選ばれる少なくとも1種が用いられる。
【0015】
イソホロンジイソシアネート(IPDI)と、水酸基及び重合性C=C二重結合を有する化合物との反応温度としては、原料の種類、溶媒の種類、その他の条件により必ずしも一定しないが、通常は30〜80℃、好ましくは、50〜70℃である。
【0016】
前記反応の反応促進用の触媒としては、ジブチルスズジラウレート、ジオクチルスズジラウレート、2−エチルヘキサン酸スズ、2−エチルヘキサン酸亜鉛、コバルト塩、等の金属塩、トリエチルアミン、ピリジン、メチルピリジン、ベンジルジメチルアミン、N,N−ジメチルシクロヘキシルアミン、N−メチルピペリジン、ペンタメチルジエチレントリアミン、N,N’−エンドエチレンピペラジン、及びN,N’−ジメチルピペラジンのような3級アミン類等が挙げられる。その添加量は、反応物の樹脂100重量部に対して、0.005〜0.1重量部が好ましい。
【0017】
本発明のNCO基と重合性C=C二重結合を共に有する化合物を含む組成物、水酸基を2つ以上有するポリオール、UV硬化型塗料、UV硬化型粘・接着剤、UV硬化型インキ、UV硬化型ハードコート剤等はいずれも、有機溶剤で希釈することができる。この場合、有機溶剤は、水酸基及びNCO基と反応する官能基を有していない方が好ましい。また、有機溶剤は本発明で用いるNCO基と重合性C=C二重結合を共に有する化合物を含む組成物、OH基を2つ以上有するポリオール、UV硬化型塗料、UV硬化型粘・接着剤、UV硬化型インキ、UV硬化型ハードコート剤等と相溶する方が好ましい。このような有機溶剤として、一般に塗料溶剤として用いられているエステル化合物や、エーテル化合物、ケトン化合物、芳香族化合物、エチレングリコールジアルキルエーテル系の化合物、ポリエチレングリコールジカルボキシレート系の化合物、炭化水素系溶剤、芳香族系溶剤などが挙げられる。
【0018】
本発明の水酸基を2つ以上有するポリオールとしては、アクリルポリオール類、ポリエステルポリオール類、ポリエーテルポリオール類、脂肪族炭化水素ポリオール類、及びエポキシ樹脂類等が挙げられる。
【0019】
本発明の(a)NCO基と重合性C=C二重結合を共に有する化合物を含む組成物を調製する際のNCO基と、(b)OH基を2つ以上有するポリオールのOH基の配合比(NCO/OH当量比)は1以下、好ましくは、0.5以上1以下を達成することで、主剤への二重結合の導入割合を上げることができる。
【0020】
本発明の光重合開始剤としては、ベンゾイン、イソプロピルベンゾインエーテル、イソブチルベンゾインエーテル、ベンゾフェノン、ミヒラーケトン、クロロチオキサントン、ドデシルチオキサントン、ジメチルチオキサントン、ジエチルチオキサントン、アセトフェノンジエチルケタール、ベンジルジメチルケタール、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン等が挙げられ、これらから選ばれる少なくとも1種が用いられる。好ましくは、ベンジルジメチルケタール、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オンが用いられる。その添加量は、通常、樹脂100重量部に対して、0.01〜5重量部、好ましくは0.1〜3重量部である。
【0021】
UV照射を行なう時の光源としては、高圧水銀灯、超高圧水銀灯カーボンアーク灯、キセノン灯、メタルハライドランプ、ケミカルランプ、ブラックライト等が用いられる。高圧水銀ランプの場合は、例えば5〜3000mJ/cm、好ましくは、10〜1000mJ/cmの条件で行なわれる。照射時間は、光源の種類、光源と塗布面との距離、塗工厚、その他の条件によっても異なるが、通常は数秒〜数十秒、場合によっては数分の1秒でもよい。
【実施例】
【0022】
本発明を実施例に基づいて説明する。なお、実施例で得られた組成物及び塗膜の特性は下記の方法により求めた。
【0023】
組成物中のA成分、B成分及びC成分のそれぞれの含有量は、示差屈折率計検出によるゲルパーミエーションクロマトグラフィ(GPC)によって測定した各成分ピークの面積百分率にて求められる。
【0024】
NCO%は、NCO基を過剰の2Nアミンで中和した後、1N塩酸による逆滴定によって測定した。
【0025】
粘度は、E型粘度計(東機産業株式会社のRE−85R)を用いて、25℃で測定した。なお、標準ローター(1°34’×R24)を用いた。回転数は、以下の通り。
100r.p.m. (128mPa・s未満の場合)
50r.p.m. (128mPa・s〜256mPa・sの場合)
20r.p.m. (256mPa・s〜640mPa・sの場合)
10r.p.m. (640mPa・s〜1280mPa・sの場合)
5r.p.m. (1280mPa・s〜2560mPa・sの場合)
UV照射は、小型UV照射装置(オーク製造社のハンディUV−300)を用いた。
【0026】
UV硬化塗膜の物性について、硬度はケーニッヒ硬度計(BYK Garder社のPendulum hardness tester)を用いて、耐衝撃性はJIS−K−5600−5−3(デュポン式)に準じて測定した。
[実施例1]
4口フラスコに、NCO/OH当量比=1.43となるように、IPDI(商品名:VESTANAT IPDI、エボニックデグサ製)を44.1重量部、2―ヒドロキシプロピルアクリレート(2−HPA、日本触媒製)を35.9重量部、酢酸n−ブチルを20.0重量部、BHTを0.2重量部で仕込み、40℃へ昇温する。反応熱に注意しながら、オクチルスズ系触媒(商品名:U−810、日東化成製)を添加していき、発熱がなくなった時点で60℃へ昇温した。NCO%が計算値付近(5.0%)になったところで、反応を終了し、ウレタンアクリレートオリゴマー1を合成した。以下、U1とする。
【0027】
得られたU1は、NCO含有量:5.0%、粘度:300mPa・sであり、GPC測定結果から、NCO基を1つ有しNCO基の1つがアクリレート化された化合物(片末端アクリレート体:成分(A))の含有量:49%、NCO基を有さずNCO基の2つがアクリレート化された化合物(両末端アクリレート体:成分(B))の含有量:51%、未反応IPDI(成分(C))の含有量:1%未満であった。
[実施例2]
表1に示すように、NCO/OH当量比=1.25とした以外は、実施例1と同様にして、ウレタンアクリレートオリゴマー2を合成した。以下、U2とする。なお、分析値については表2に示す。
[実施例3]
表1に示すように、2−HPAを2−ヒドロキシエチルアクリレート(2−HEA、東亜合成製)にした以外は、実施例1と同様にして、ウレタンアクリレートオリゴマー3を合成した。以下、U3とする。なお、分析値については表2に示す。
[実施例4]
表1に示すように、2−HPAを2−ヒドロキシエチルメタクリレート(2−HEMA、日本触媒製)にした以外は、実施例1と同様にして、ウレタンアクリレートオリゴマー4を合成した。以下、U4とする。なお、分析値については表2に示す。
[比較例1]
表1に示すように、NCO/OH当量比=2.00とした以外は、実施例1と同様にして、ウレタンアクリレートオリゴマー5を合成した。以下、U5とする。なお、分析値については表2に示す。
[比較例2]
表1に示すように、NCO/OH当量比=1.67とした以外は、実施例1と同様にして、ウレタンアクリレートオリゴマー6を合成した。以下、U6とする。なお、分析値については表2に示す。
[比較例3]
表1に示すように、NCO/OH当量比=1.11とした以外は、実施例1と同様にして、ウレタンアクリレートオリゴマー7を合成した。以下、U7とする。なお、分析値については表2に示す。
[実施例5]
アクリルポリオール(Setalux1184 SS−51、Nuplex製、以下、A1とする。)に対して、U1をNCO/OH当量比=1、トータル固形分が40%となるように酢酸n−ブチルで希釈した条件下で、NCOのピーク(IR測定)が消失するまで反応させた溶液の外観を観察したところ、ゲル化せずに良好な結果であった(表3)。なお、ゲル化せず:○、ゲル化:×という記号で表す。
【0028】
さらに、光開始剤(1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン)を2wt%/固形分となるように配合し、ガラス板・軟鋼板それぞれに塗工した(乾燥膜厚:約40μm)。100℃のオーブンで5分間、酢酸n−ブチルを揮発後、UV照射を1分間させて、UV硬化塗膜を得た。
【0029】
UV硬化塗膜のケーニッヒ硬度(ガラス板)・耐衝撃性(軟鋼板)を測定した。結果は、表3に示す。なお、ケーニッヒ硬度については、121以上:◎(優)、101〜120:○(良)、100以下:×(不可)、耐衝撃性については、1/2インチ(撃ち型及び受け台の寸法)*300g(おもりの質量)*30cm(おもりの高さ)以上:◎、1/2インチ*300g*15cm〜25cm:○、1/2インチ*300g*10cm以下:×という記号で表す。
[実施例6]
U1をU2とした以外は、実施例5と同様にして、A1と配合後の溶液外観の観察およびUV硬化塗膜物性の評価を行なった。結果は、表3に示す。
[実施例7]
U1をU3とした以外は、実施例5と同様にして、A1と配合後の溶液外観の観察およびUV硬化塗膜物性の評価を行なった。結果は、表3に示す。
[実施例8]
U1をU4とした以外は、実施例5と同様にして、A1と配合後の溶液外観の観察およびUV硬化塗膜物性の評価を行なった。結果は、表3に示す。
[比較例4]
U1をU5とした以外は、実施例5と同様にして、A1と配合後の溶液外観の観察およびUV硬化塗膜物性の評価を行なった。結果は、表3に示す。
[比較例5]
U1をU6とした以外は、実施例5と同様にして、A1と配合後の溶液外観の観察およびUV硬化塗膜物性の評価を行なった。結果は、表3に示す。
[比較例6]
U1をU7とした以外は、実施例5と同様にして、A1と配合後の溶液外観の観察およびUV硬化塗膜物性の評価を行なった。結果は、表3に示す。
【0030】
【表1】

【0031】
【表2】

【0032】
【表3】

【産業上の利用可能性】
【0033】
本発明のNCO基と重合性C=C二重結合を共に有する化合物を含む組成物は、NCO基と反応可能な官能基を2つ以上有する主剤(ポリオール等)と配合した場合でも、増粘しにくい又はゲル化しない、つまり、貯蔵安定性が良好であり、さらには、UV硬化した塗膜の硬度と可とう性のバランスが良好な優れた性能を示すために、UV硬化型塗料、UV硬化型粘・接着剤、UV硬化型インキ、UV硬化型ハードコート剤等の分野で好適に利用できる。


【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記、一般式(1)において、
【化1】


XがNCO基であって、Yが重合性C=C二重結合を含む有機基であるか、又はXが重合性C=C二重結合を含む有機基であって、YがNCO基である化合物(A成分)が24〜65wt%、X、Yがいずれも重合性C=C二重結合を含む有機基である化合物(B成分)を34〜75wt%、及びX、YがいずれもNCO基である化合物(C成分)を0.01〜2wt%の組成を有する、NCO基と重合性C=C二重結合を共に有する化合物を含む組成物。
【請求項2】
重合性C=C二重結合を含む有機基が下記一般式(2)又は(3)で示される、請求項1に記載の組成物。
【化2】


(式中、R、RはそれぞれCH又はHを示し、Rは任意に分岐鎖、エステル基、エーテル基、カルボニル基を有していてもよい炭素数2〜30の2価の有機基を示す。)
【請求項3】
重合性C=C二重結合を含む有機基が下記式(4)で示される、請求項1に記載の組成物。
【化3】

【請求項4】
下記、一般式(1)において、
【化4】


XがNCO基であって、Yが重合性C=C二重結合を含む有機基であるか、又はXが重合性C=C二重結合を含む有機基であって、YがNCO基である化合物(A成分)が24〜65wt%、X、Yがいずれも重合性C=C二重結合を含む有機基である化合物(B成分)を34〜75wt%、及びX、YがいずれもNCO基である化合物(C成分)を0.01〜2wt%の組成を有する、NCO基と重合性C=C二重結合を共に有する化合物を含む組成物の製造方法であって、
イソホロンジイソシアネート(IPDI)と、1分子中に水酸基及び重合性C=C二重結合を有する化合物とを、NCO/OH当量比=1.2〜1.6の範囲で反応させて製造することを特徴とする、前記方法。
【請求項5】
(a)請求項1又は2に記載の組成物と、
(b)OH基を2つ以上有するポリオール
とを、(a)のNCO基と(b)のOH基の当量比が1以下の範囲となるように反応して得られる、UV硬化型塗料、UV硬化型粘・接着剤、UV硬化型インキ、又はUV硬化型ハードコート剤。


【公開番号】特開2010−265246(P2010−265246A)
【公開日】平成22年11月25日(2010.11.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−120219(P2009−120219)
【出願日】平成21年5月18日(2009.5.18)
【出願人】(303046314)旭化成ケミカルズ株式会社 (2,513)
【Fターム(参考)】