説明

NDフィルタ及びその製造方法及び光量絞り装置

【課題】使用領域の各濃度に渡って分光透過率の平坦性が良好なNDフィルタを得る。
【解決手段】最高濃度部の傾きに対応する分光透過率比T700/T400の値は、(a)1.05、(b)1.0、(c)0.92、(d)0.85である。使用領域である0〜5mmにおいて、透過率平坦性を比較すると最高濃度部の傾きが正(T700/T400>1)である(a)は、位置4〜5mmで平坦性が10%を超過しており好ましくない。傾きが0(T700/T400=1)である(b)も6%を若干超え、好ましくない。(c)は0〜5mmで平坦性が6%以下で良好である。(d)は位置5mmを越えると平坦性が悪化しているが0〜5mmでは良好である。最高濃度部の分光透過率の傾きを負、即ち分光透過率比では0.97≧T700/T400≧0.85にする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、カメラ等の撮影装置や光学機器等に使用されるNDフィルタ及びその製造方法及び光量絞り装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、デジタルカメラやビデオカメラ等の光学機器には、その光量調節のために絞り装置が組み込まれている。そして、この絞り装置においては、通常では絞り羽根を用いて光量調節することが行われている。しかし、特に高輝度被写体に対しては、その絞り開口部が小さくなり過ぎると回折による解像力の劣化が生ずる。
【0003】
そのため、絞り開口部の大きさが小さくなり過ぎることを防止するために、光量調節部材として光減衰膜から成るND(Neutral Density)フィルタ等を用いて、通過光量を減少させることにより画質低下を防止している。具体的には、絞り羽根の一部に別部材のNDフィルタを接着することにより、被写体が高輝度の時に絞り開口部を極端に小さくなるまで絞り込まなくとも、NDフィルタにより通過光量を減少するようにしている。
【0004】
また近年では、撮像素子の感度が向上するに従い、NDフィルタの濃度を濃くすることにより光の透過率を更に低下させ、高感度のCCD、CMOS等から成る固体撮像素子を使用した場合でも、絞り開口部が小さくなり過ぎないようにしている。
【0005】
しかし、このようにNDフィルタの濃度が濃くすると、NDフィルタを透過した光束と、NDフィルタが存在しない部分を通過した光束の光量差が大きく異なることになる。そのため、画面内で明るさが異なるシェーディング現象が生じたり、解像度が低下してしまうという欠点がある。この欠点を解決するために、NDフィルタの濃度を光軸に対してNDフィルタを移動させた際に、一方向に透過率が変化するような分布とする必要がある。
【0006】
一般的なNDフィルタは、フィルム状を成すセルロースアセテート、PET(ポリエチレンテレフタレート)、塩化ビニル等から成る基材が用いられる。この基材中に、光を吸収する有機色素又は顔料を混入して練り込むか、基材に光を吸収する有機色素又は顔料を塗布して作製される。しかし、これらの方法では同一フィルタ内で濃度が変化するグラデーション勾配を有するNDフィルタを作製することは極めて困難である。
【0007】
そこで、特許文献1に示すように、このグラデーション勾配を有するNDフィルタを銀塩フィルムに撮影して作製するマイクロ写真法が提案されている。しかし、近年のCCD等の固体撮像素子の更なる高感度化、小型化、高画質対応に伴い、銀塩粒子による光の散乱の影響は無視できない。そこで、特許文献2に示すように基板に対して所定の間隔をおいて配置したスリットマスクを用いて、ND膜を蒸着する蒸着法が提案されている。
【0008】
NDフィルタの重要な特性としては、透過率、透過率平坦性、反射率等が挙げられる。透過率平坦性とは各波長における測定した分光透過率の変化の大きさを示す値であり、次式で表される最大透過率と最小透過率の差が小さいほど、透過率平坦性の値は小さくなり、分光透過率の平坦性が良いことを示している。
透過率平坦性=(最大透過率−最小透過率)/(500〜600nm平均透過率)
【0009】
分光透過率はNDフィルタの透過率を各波長ごとに測定したものであり、蒸着膜を構成する材料や膜厚、成膜条件等により変化するが、均一濃度のNDフィルタであれば、例えば図16に示すような透過率曲線が得られる。
【0010】
NDフィルタにおいては、可視領域である波長400〜700nmの範囲で分光透過率の変化が少ない、つまり上述の透過率平坦性が良いことが要求され、かつ低反射であることが望ましい。従って、それらの条件を満たすような膜構成や成膜条件を調整する必要がある。
【0011】
この透過率平坦性は小さい方が良く、一般的なカメラやビデオカメラでは数〜10%程度であるが、6%以下であればより好ましい。
【0012】
【特許文献1】特開平6−175193号公報
【特許文献2】特開2004−61900号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
しかし、上述したスリットマスクを用いた蒸着法により作製したグラデーション勾配を有するNDフィルタにおいては、連続的に膜厚が変化しているために、図17に示すように各濃度D(0.1〜1.5)で異なる分光透過率となる。なお、濃度Dは透過率TからD=log10(1/T)で求めた値である。
【0014】
当然のことながら、グラデーション勾配を有するNDフィルタにおいても、各濃度Dにおいて透過率平坦性が小さく良好であることが要求されるため、均一濃度のNDフィルタと比較すると最適な膜構成や成膜条件を見い出すことが格段に困難となる。しかも、グラデーション部の膜厚はスリット開口部からの位置と所定の相関をもって自動的に決定してしまうため、各濃度Dにおいて膜構成を変えることができず、全領域で透過率平坦性を良好にすることは至難である。
【0015】
本発明の目的は、上述の問題点を解消し、使用領域の各濃度に渡って分光透過率の平坦性が良いNDフィルタ及びその製造方法及び光量絞り装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0016】
上記目的を達成するための本発明に係るNDフィルタの技術的特徴は、基板上に少なくとも光吸収層と誘電体層を交互に積層して光減衰膜を形成し、濃度が一方向に連続的に変化する領域を有するNDフィルタであって、波長400nmの分光透過率をT400、波長700nmの分光透過率をT700とした場合に、分光透過率比T700/T400が前記連続的に濃度が増加する領域の高濃度側端部において、前記光減衰膜は0.97≧T700/T400≧0.85となるように調整した膜構成を有することにある。
【0017】
また、本発明に係るNDフィルタの製造方法の技術的特徴は、基板上に少なくとも光吸収層と誘電体層を交互に積層した光減衰膜を形成し、濃度が連続的に一方向に変化する領域を有するNDフィルタの製造方法であって、波長400nmの分光透過率をT400、波長700nmの分光透過率をT700とした場合に、分光透過率比T700/T400が前記連続的に濃度が増加する領域の高濃度側端部において、0.97≧T700/T400≧0.85となるように前記光減衰膜の成分を調整することにある。
【0018】
更に、本発明に係る光量絞り装置の技術的特徴は、基板上に少なくとも光吸収層と誘電体層を交互に積層して光減衰膜を形成し、濃度が一方向に連続的に変化する領域を有するNDフィルタであって、波長400nmの分光透過率をT400、波長700nmの分光透過率をT700とした場合に、分光透過率比T700/T400が前記連続的に濃度が増加する領域の高濃度側端部において、前記光減衰膜は0.97≧T700/T400≧0.85となるように調整した膜構成を有するNDフィルタと、該NDフィルタを取り付けた光量調節部材と、該光量調節部材を駆動する駆動手段とを有し、前記光量調節部材を駆動して開口部を通過する光量を調節するように構成した光量絞り装置であって、前記NDフィルタは前記光減衰膜の前記分光透過率の平坦性が良い平坦部と、前記分光透過率の平坦性が悪い非平坦部を有し、該非平坦部は前記光量調節部材への取付代となる領域に配置したことにある。
【発明の効果】
【0019】
本発明に係るNDフィルタ及びその製造方法及び光量絞り装置によれば、使用領域の各濃度に渡って分光透過率が十分に平坦であるため、これにより各色の透過光量の均一性が向上し、撮像装置の高画質化が可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
本発明を図1〜図15に図示の実施例に基づいて詳細に説明する。
図1は本実施例における撮影光学系の構成図を示し、レンズ1、光量絞り装置2、レンズ3〜5、ローパスフィルタ6、CCD等から成る固体撮像素子7が順次に配列されている。光量絞り装置2においては、絞り羽根支持板8に一対の絞り羽根9a、9bが可動に取り付けられている。絞り羽根9aには、絞り羽根9a、9bにより形成される略菱形形状の開口部を通過する光量を減光するためのNDフィルタ10が接着されている。
【0021】
図2はこのNDフィルタ10を製造するための真空蒸着機におけるチャンバの構成図を示している。チャンバ21内には、蒸着源22、回転可能な蒸着傘23が設けられ、この蒸着傘23には基板を固定するための治具24が設けられている。蒸着傘23に固定された基板は、この蒸着傘23と共に回転し成膜が行われる。
【0022】
図3は治具24の断面図であり、この治具24の成膜面側には厚さ75μmのシート状のPET(ポリエチレンテレフタレート)から成る基板31が取り付けられている。更に、厚さ5mmのスペーサ32を介して、基板31の一部を遮蔽するようにスリット33aを有するスリットマスク33が設けられている。
【0023】
基板31上にスリットマスク33がセットされた治具24を、図2に示すチャンバ21内にセットし、ヒータにより基板温度を100℃に加熱しながら真空引きを行う。チャンバ21内においては、基板31上に成膜して、一度に多数枚のNDフィルタ10を製作するため、蒸着膜厚や基板温度を均一にするため蒸着傘23は回転しており、蒸着傘23と共に治具24及び基板31も回転している。
【0024】
図4は基板31上にスリットマスク33を配置した状態の平面図を示し、基板31上の蒸着面側にはスペーサ32を挟んで3本の帯状のスリット33aを有するスリットマスク33が配置される。蒸着源22と基板31との位置関係から、蒸着する蒸着粒子はスリットマスク33を廻り込んで基板31に到達したり、スリットマスク33に遮られて基板31まで到達できなかったりすることになる。
【0025】
これにより、図5に示すようなグラデーション勾配を有する膜厚分布を得ることとなり、膜厚が厚くなるほど光透過率は低く、つまり濃度が濃くなり膜厚分布と同形状の濃度分布を得ることができる。
【0026】
膜厚分布はスリットマスク33のスリット33aの幅や形状、基板31とマスク33との距離などによって異なるものとなる。これらを調整し、基板31から切り出すことにより、所望の濃度とグラデーション幅のグラデーション勾配を有するNDフィルタ10を得ることができる。本実施例においては、スリット33aの形状は帯状の直線としたが、作製すべきNDフィルタ10のグラデーション濃度分布によって、鋸歯型や櫛型等の様々な形状のスリットマスクを用いることができる。
【0027】
図6は本実施例におけるNDフィルタ10の膜構成図を示しており、基板31上には誘電体膜であるAl23膜41と、可視光を吸収するための可視光吸収膜であるTiOx膜42が交互に積層されている。更に、最表層である第9層に反射防止膜としてMgF2膜43が積層されている。本実施例においては、誘電体膜にAl23膜41を用いたが、SiO2膜、SiO膜を用いてもよい。また、反射防止膜にはMgF2膜43の代りにSiO2膜を用いることもできる。更に、本実施例においては計9層の膜構成としたが、層数は9〜13層で、特性や生産性に応じて使い分けることができる。
【0028】
グラデーション勾配を有するNDフィルタ10においては、フィルタ面内で濃度勾配を設けるために、図7に示すように各層の膜厚が連続的に変化するように薄膜を積層している。しかし、膜厚が変化すれば光の干渉も変化してくるために、従来例で説明した図17に示すように各濃度毎に異なった分光透過率曲線が存在し、つまり透過率平坦性も場所により異なることとなる。
【0029】
本発明者らは各濃度において透過率平坦性を求め、位置、濃度との関係を精査し、また膜構成を変化させることにより透過率平坦性の調整を行った。これにより、最高濃度部の分光透過率の傾きを、0を含まない所定の範囲内の負の値に調整することで、グラデーション部の分光透過率曲線をより平坦に調整できることを見い出した。
【0030】
ここで、分光透過率の傾きは波長400nmにおける分光透過率をT400とし、波長700nmにおける分光透過率をT700とし、その比、即ち分光透過率比T700/T400と対応させて表す。T700/T400=1で傾きは0、T700/T400>1で傾きは正、T700/T400<1で傾きは負となる。
【0031】
図8は分光透過率比のグラフ図を示し、最高濃度部の傾きを調整することにより、グラデーション部の傾きに対応する分光透過率比T700/T400を示している。このグラフ図は最低濃度が0.1であるグラデーション勾配を有するNDフィルタ10の特性を表し、最低濃度部を位置0mmとし5mmまでが使用領域である。
【0032】
図9は図8のNDフィルタ10の平坦性を示したグラフ図である。図8、9において、それぞれの最高濃度部の傾きに対応する分光透過率比T700/T400の値は(a)1.05、(b)1.0、(c)0.92、(d)0.85である。
【0033】
このNDフィルタ10の使用領域である0〜5mmにおいて、透過率平坦性を比較すると、最高濃度部の傾きが正(T700/T400>1)である(a)は、位置4〜5mmで平坦性が10%を超過して悪化しており好ましくない。傾きが0(T700/T400=1)である(b)も、6%を若干超えているため好ましくない。(c)は0〜5mmで平坦性が6%以下で良好である。(d)は位置5mmを越えると平坦性が大きくなり悪化しているが、0〜5mmで平坦性が6%内に入っているので良好である。
【0034】
このように、使用領域である0〜5mmにおいて平坦性を6%以下の良好な状態にするには、最高濃度部の分光透過率の傾きを負、即ち分光透過率比では0.97≧T700/T400≧0.85にすることが好ましい。更に望ましくは、0.95≧T700/T400≧0.9とすればよい。
【0035】
図10はNDフィルタ10の分光透過率比から求められる傾きのグラフ図を示し、TiOx膜42のxの値により上述したT700/T400で表される。(A)はT400≒T700で分光透過率比は1であり傾きは0、(B)はT400<T700で分光透過率比は1よりも大きく傾きは正、(C)はT400>T700で分光透過率比は1よりも小さく傾きは負となる。
【0036】
傾き0付近の平坦性が最も小さく良好であり、正方向及び負方向に大きくなるほど平坦性は大きくなり悪化する。ここで、TiOx膜42におけるxの好ましい値は0〜2であり、概ねx=1.2以下のときに波長の短い光の透過率が低くなるように、分光透過率曲線が傾く傾向がある。
【0037】
本実施例においては、上述した最高濃度部の分光透過率の傾きを0を含まない所定の範囲の負の値に調整することにより、最高濃度部以外の平坦性が良好になる。実際に傾きを変える方法としては、蒸着中のチャンバ21内の酸素分圧を調整し、酸素分圧を高くすると傾きは負方向に傾き、酸素分圧を低くすると正方向に傾く。また、分光透過率の傾きはチャンバ21の大きさや清浄度で変ってくるため、それも考慮して酸素分圧の値を調整する必要がある。
【0038】
本実施例においては、図8の(c)に示すように最高濃度部の分光透過率比が0.92になるように酸素分圧を調整した。そして、Al23膜41とTiOx膜42を交互に積層し、最高濃度部の濃度が1.5、濃度0.1〜1.5のグラデーション幅が6mmの蒸着膜を成膜する。その後に、スリットマスク33を取り外し、基板31の全面に最表層としてMgF2膜43を光学膜厚でλ/4(λ=540nm)成膜し、図11に示すようなNDフィルタシート51を作製し、グラデーションを有する光学膜厚を成膜する。
【0039】
このようにして得られたNDフィルタシート51を図12に示すように三角形のフィルタ形状に切断して、NDフィルタ10を作製した。図12中のX0〜X1は濃度Dが0.1〜1.3にグラデーションで変化する使用領域であり、X1〜X2は濃度1.5付近の最高濃度部である。
【0040】
本実施例において製作したNDフィルタ10の濃度分布を、測定スポット直径0.1mmの顕微分光測定器を使用して測定すると、図9の(c)の透過率平坦性を示す。高濃度側の5mmを越える位置では、平坦性が低下し8%以上になっているが、5mm以下の使用領域では5%以下で良好な平坦性となっていることが分かる。
【0041】
このようにして作製したNDフィルタ10を、図13に示すようにX1〜X2の領域を絞り羽根の開口領域に侵入しないように絞り羽根9aに重ね、重なり部分を絞り羽根9aに接着する。これにより、開口部の透過率平坦性が良好な絞り装置を得ることができる。
【0042】
また、図14は0〜4mmが使用領域のNDフィルタ10の特性のグラフ図を示す。5mm付近の最高濃度部が均一濃度領域になっていないグラデーション勾配を有する一点鎖線で示すNDフィルタ10においても、最高濃度部の分光透過率の傾きを調整することで、実線で示すように低濃度側の平坦性を良好にすることができる。そして、最高濃度部を絞り羽根9aとの接着代とすることで、透過率平坦性の優れた光量絞り装置を得ることができる。
【0043】
なお、本実施例においては平坦性の悪い領域を接着代として利用したが、これに限定されるものではなく、例えば接着をしない場合でも平坦性の悪い部分を光束の通過しない領域に配設すれば、光量絞り装置として同等の効果が得られる。
【0044】
比較例として、上述した蒸着中の酸素分圧のみを調整した以外は本実施例と同様とし、最高濃度部の分光透過率比を0.8〜1.1まで変化させてグラデーション勾配を有するNDフィルタを製作した。
【0045】
図15はこのとき得られたグラデーション勾配を有するNDフィルタの透過率平坦性を示している。この結果から、透過率平坦性を6%内に抑制し、良好な特性とするには、最高濃度部の分光透過率比T700/T400を0.97≧T700/T400≧0.85にすればよいことが分かる。
【0046】
更に望ましくは、0.95≧T700/T400≧0.9とすれば、グラデーション部の分光透過率が平坦であるグラデーション勾配を有するNDフィルタを得ることができる。このNDフィルタを用いて光量絞り装置を作製し、その光量絞り装置を撮影装置に組み込むことで、高画質な撮影装置が得られる。
【0047】
なお、本発明は上述の実施例に基づいて説明したが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
【図面の簡単な説明】
【0048】
【図1】撮影光学系の構成図である。
【図2】真空蒸着機のチャンバの構成図である。
【図3】治具の断面図である。
【図4】基板上にスリットマスクを配置した平面図である。
【図5】膜厚分布のグラフ図である。
【図6】NDフィルタの膜構成図である。
【図7】NDフィルタの断面図である。
【図8】分光透過率比のグラフ図である。
【図9】NDフィルタの分光透過率の平坦性のグラフ図である。
【図10】分光透過率比から求められる傾きのグラフ図である。
【図11】NDフィルタシートの平面図である。
【図12】NDフィルタの平面図である。
【図13】絞り羽根にNDフィルタと取り付けた状態の構成図である。
【図14】NDフィルタの分光透過率平坦性のグラフ図である。
【図15】NDフィルタの分光透過率平坦性のグラフ図である。
【図16】分光透過率平坦性のグラフ図である。
【図17】分光透過率平坦性のグラフ図である。
【符号の説明】
【0049】
1、3〜5 レンズ
2 光量絞り装置
6 ローパスフィルタ
7 固体撮像素子
8 絞り羽根支持板
9a、9b 絞り羽根
10 NDフィルタ
21 チャンバ
22 蒸着源
23 蒸着傘
24 治具
31 基板
32 スペーサ
33 スリットマスク
33a スリット
41 Al23
42 TiOx膜
43 MgF2
51 NDフィルタシート

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板上に少なくとも光吸収層と誘電体層を交互に積層して光減衰膜を形成し、濃度が一方向に連続的に変化する領域を有するNDフィルタであって、波長400nmの分光透過率をT400、波長700nmの分光透過率をT700とした場合に、分光透過率比T700/T400が前記連続的に濃度が増加する領域の高濃度側端部において、前記光減衰膜は0.97≧T700/T400≧0.85となるように調整した膜構成を有することを特徴とするNDフィルタ。
【請求項2】
前記光減衰膜は前記分光透過率の平坦性が良い平坦部と、前記分光透過率の平坦性が悪い非平坦部とから成り、前記高濃度側端部は前記非平坦部に含むことを特徴とする請求項1に記載のNDフィルタ。
【請求項3】
前記光吸収層と前記誘電体層は前記高濃度側から低濃度側に向けて連続的に膜厚が薄くなるように構成したことを特徴とする請求項1又は2に記載のNDフィルタ。
【請求項4】
前記光吸収層はTiOx膜であり、前記誘電体層はAl23膜、SiO2膜、SiO膜の何れかから選択し、最表層の反射防止膜はMgF2膜又はSiO2膜であることを特徴とする請求項1〜3の何れか1つの請求項に記載のNDフィルタ。
【請求項5】
基板上に少なくとも光吸収層と誘電体層を交互に積層した光減衰膜を形成し、濃度が連続的に一方向に変化する領域を有するNDフィルタの製造方法であって、波長400nmの分光透過率をT400、波長700nmの分光透過率をT700とした場合に、分光透過率比T700/T400が前記連続的に濃度が増加する領域の高濃度側端部において、0.97≧T700/T400≧0.85となるように前記光減衰膜の成分を調整することを特徴とするNDフィルタの製造方法。
【請求項6】
基板上に少なくとも光吸収層と誘電体層を交互に積層して光減衰膜を形成し、濃度が一方向に連続的に変化する領域を有するNDフィルタであって、波長400nmの分光透過率をT400、波長700nmの分光透過率をT700とした場合に、分光透過率比T700/T400が前記連続的に濃度が増加する領域の高濃度側端部において、前記光減衰膜は0.97≧T700/T400≧0.85となるように調整した膜構成を有するNDフィルタと、該NDフィルタを取り付けた光量調節部材と、該光量調節部材を駆動する駆動手段とを有し、前記光量調節部材を駆動して開口部を通過する光量を調節するように構成した光量絞り装置であって、前記NDフィルタは前記光減衰膜の前記分光透過率の平坦性が良い平坦部と、前記分光透過率の平坦性が悪い非平坦部を有し、該非平坦部は前記光量調節部材への取付代となる領域に配置したことを特徴とする光量絞り装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図6】
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【図7】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2007−199447(P2007−199447A)
【公開日】平成19年8月9日(2007.8.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−18585(P2006−18585)
【出願日】平成18年1月27日(2006.1.27)
【出願人】(000104652)キヤノン電子株式会社 (876)
【Fターム(参考)】