NELLペプチドの発現系及びNELLペプチドの骨形成活性
本発明は、一般に骨成長因子に関するものであり、さらに詳しくは、NELL1を含む組成物、NELL1を含む製造物品及びNELL1を用いた骨形成を誘導する方法に関する。本発明はまた、NELL1ペプチド及びNELL2ペプチドの発現及び精製のための方法も提供する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
<連邦政府によって経済援助を受けた研究開発のもとで行なわれた発明の権利に関する声明>
本研究は、NIH/NIDR助成金番号DE9400及びCRC/NIH助成金番号RR00865による支援を受けた。米国政府は本発明に特定の権利を有してもよい。
【0002】
本発明は、一般に骨成長因子に関するものであり、さらに詳しくは、NELL1を含む組成物、NELL1を含む製造物品及びNELL1を用いた骨形成を誘導する方法に関する。本発明はまた、NELL1ペプチド及びNELL2ペプチドの発現及び精製のための方法も提供する。
【背景技術】
【0003】
成長因子は、試験管内又は生体内で規定された細胞集団の増殖及び分化に影響を及ぼす、たとえば、ペプチドのような物質である。
【0004】
骨形成は、長骨(軟骨内の骨形成)及び扁平骨(膜内の骨形成)の発達の間で起きる。さらに、骨形成は、骨格の整合性を維持するために成人で継続して生じる骨リモデリングの間に起きる。最後的に、骨形成は、たとえば、骨折又は手術で骨創傷が生じた場合のような骨修復の間に起きる。長骨及び扁平骨の胎児発生では別個の骨形成メカニズムが関与すると考えられ、修復には、膜内骨形成が関与すると考えられている。
【0005】
いずれのメカニズムによる骨形成にも、成長因子により調節される骨芽細胞の活性が関与する。骨芽細胞は、骨髄幹細胞(間葉幹細胞:MSCとしても知られる)のプールに由来する。これらの細胞は種々の組織に存在するが、骨髄間質で優勢である。MSCは、多能性であり、骨芽細胞、軟骨細胞、線維芽細胞、筋細胞及び脂肪細胞を含む多様な細胞種に分化することができる。成長因子は、骨形成性細胞の増殖、分化及び骨芽細胞の石灰化に影響を与えると考えられ、そのそれぞれが骨形成に影響を与える。
【0006】
たとえば、頭蓋骨癒合症の患者及び中裂移植の患者で骨を修復するのに自家骨が用いられてきた。頭蓋骨癒合症(CS)は、頭蓋縫合の早すぎる閉鎖であり、3,000人の1人の乳児を冒すので、ヒトの最も一般的な頭蓋及び顔面の変形の1つである。早過ぎる縫合の閉鎖は、頭蓋の二形性を生じ、手術による矯正を必要とする可能性がある。ヒトのCSにおける早過ぎる縫合の閉鎖は、2つのおそらく別個の過程:頭蓋冠の過形成及び骨融合により生じる可能性がある。最近、CBFA−1が介在する経路を介した頭蓋縫合の早過ぎる融合にFGF2及びFGFR1が関与するとみなされている(8)。縫合の遅延閉鎖として現れる鎖骨・頭蓋異形成症には、CBFA1のミスセンス変異が連鎖している。
【0007】
たとえば、腸骨稜又は頭蓋冠からの自家骨を利用して自家骨移植処置が行なわれている。これらの供給部位は、腸骨稜については、疼痛、歩行障害、錯感覚を含む病的状態と無関係はなく、頭蓋冠移植については、感染、神経障害及び血腫を含む病的状態と無関係ではない。さらに、供給部位は、容積が限定され、且つ手術時間及び入院期間を長くする可能性がある。
【0008】
異物形成的移植素材も利用されており、動物モデルでは成長因子も調べられている。たとえば、bFGFは骨の再生及び修復における使用に可能性を示している。骨形成性成長因子の別のファミリーは、骨形成タンパク質(BMP)として記載されている。具体的には、BMP−2組換えタンパク質が、下顎連続性障害及び口蓋裂を再生し、粒子状の自家骨及び骨髄と同等か又はそれ以上の結果が得られたことが明らかにされている。BMP及びそのほかの骨形成因子が臨床応用における使用について検討されている。しかしながら、最小の有効性を上げるのに使用するBMP投与量のコストが臨床での使用の限定要因になっている。
【0009】
脊髄の1以上の椎骨をその間での動きがもはや生じないように一体化する脊椎固定は外科手法である。適応には、骨折(破壊)した椎骨の治療、変形の矯正、動きからの疼痛の除去、不安定性の治療、及び一部の頸椎椎間板ヘルニアの治療が挙げられる。手術には、椎骨間に骨移植片を留置して椎骨間のしっかりした結合を得ることが含まれる。その処置にはまた、プレート、ネジ、ケージ及び最近では、骨形成タンパク質2及び7を留置して骨移植片の安定及び癒合を助けることを含む補完治療も関与する。自家骨移植は臨床的には好まれる方法ではあるが、未だに30〜50%の失敗率を有する。自家骨移植は別個の手術であり、重大な病的状態ももたらす。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
従って、骨の発達、障害又は骨の外傷において骨形成を誘導するために、安全で、効果的な、且つ手ごろな価格の組成物及び方法が望まれる。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明は、NELL1ペプチド及びNELL2ペプチドの発現及び精製のための方法を提供する。実施態様の1つでは、方法は、NELLペプチド、NELLペプチドを発現する核酸構築物、及びNELLペプチドの分量を産生するのに有用であってもよいNELLペプチドを発現する細胞を含む。実施態様の1つでは、NELLペプチドを発現する核酸構築物は、宿主細胞におけるタンパク質の輸送及びNELLペプチドの産生後修飾を促進するシグナルペプチドをコードする核酸配列をさらに含んでもよい。実施態様の1つでは、シグナルペプチドは、宿主細胞からのペプチドの分泌を促進してもよい。従って、本発明は、臨床上又は研究上使用するために精製してもよい機能的NELLペプチドの分量を提供する上で少なくとも有利である。
【0012】
本発明は、NELLペプチドを含む組成物及び基材を含んでもよい。一部の実施態様では、組成物は、NELL1を含んでもよく、且つ、たとえば、適用部位に関して、適用、安定性、活性、希釈及び/又は濃度を達成してもよい追加の作用剤を含んでもよい。一部の実施態様では、基材は、移植近傍の骨修復を促進してもよい細胞及び/又はNELL1ペプチドを含んでもよい。
【0013】
本発明は、種々の臨床応用において骨形成性の分化、骨芽細胞の石灰化及び/又は骨形成を誘導する方法を含んでもよい。
【0014】
本発明は、NELLペプチドが既知の成長因子よりも高い効果を提供してもよい、又は他の成長因子の活性を高めてもよいという点で少なくとも有利である。従って、さらに低用量の各成長因子を臨床応用に使用してもよい。このことは、臨床治療がさらに安価であってもよいという点で少なくとも重要である。さらに、本発明は、NELL1が、BMPのみによる治療の臨床割合及び有効性を高めてもよい、骨形成性の分化、骨芽細胞の石灰化及び骨形成を高めるという点で少なくとも有利である。
【0015】
<定義>
用語「ポリペプチド」、「ペプチド」及び「タンパク質」は本明細書では交換可能に使用してもよく、アミノ酸残基の重合体を言う。該用語は、天然に生じるアミノ酸重合体に適用されるのと同様に、1以上のアミノ酸残基が相当する天然に生じるアミノ酸の人工的な化学的類縁体であるアミノ酸重合体にも適用されてもよい。
【0016】
用語「NELL1cDNA」は、配列番号1、3及び5(それぞれ図1、3及び5)を言ってもよく、「NELL2cDNA」は、配列番号7、9、11及び13(それぞれ図7、9、11及び13)を言ってもよい。
【0017】
NELL1ペプチドは、NELL1遺伝子又はcDNAによって発現されてもよいタンパク質であり、配列番号2、4及び6(それぞれ、図2、4及び16)を含む。NELL1ペプチドは、骨形成細胞の分化、骨芽細胞の石灰化及び骨形成を誘導する能力を保持するNELL1ペプチド断片を含んでもよい。NELL2ペプチドは、NELL2遺伝子又はcDNAによって発現されてもよいタンパク質であり、配列番号8、10、12及び14(それぞれ、図8、10、12及び14)を含む。NELL2ペプチドは、完全なNELL2ペプチド配列に類似する活性を保持するNELL2ペプチドを含んでもよい。
【0018】
用語「抗体」は、たとえば、未処理の免疫グロブリン、L鎖及びH鎖の可変領域しか含有しないFv断片、ジスルフィド結合で結合したFv断片、可変領域及び定常領域の一部を含有するFab又は(Fab)’2断片、単鎖抗体などのような種々の形態の改変抗体又は改造抗体を含んでもよい。抗体は、未処理の分子を含んでもよいのと同様にその断片、たとえば、Fab及びF(ab’)2、及び/又はエピトープ決定基に結合してもよい単鎖抗体(たとえば、scFv)を含んでもよい。抗体は、動物(たとえば、マウス又はラット)又はヒト起源であってもよく、或いはキメラ抗体であってもよく、又はヒト化されてもよい。抗体は、ポリクローナル抗体であってもよいし、又はモノクローナル抗体(「mAb」)、たとえば、NELL1タンパク質又はNELL2タンパク質によりコードされたポリペプチドに特異性を持つモノクローナル抗体であってもよい。
【0019】
用語「捕捉剤」は、他の分子を特異的に結合し、たとえば、抗体−抗原、レクチン−炭水化物、核酸−核酸、ビオチン−アビジンなどのような結合複合体を形成する分子を言ってもよい。
【0020】
用語「特異的に結合する」は、生体分子(たとえば、タンパク質、核酸、抗体など)を言ってもよく、異質集団の分子(たとえば、タンパク質及びそのほかの生物製剤)において存在する生体分子を決定するような結合反応を言う。従って、指定された条件下(たとえば、抗体の場合、免疫アッセイ条件又は核酸の場合、ストリンジェントなハイブリッド形成条件)で、特定のリガンド又は抗体は、その特定の「標的」分子に結合してもよく、試料に存在するそのほかの分子には有意な量では結合してはならない。
【0021】
用語「核酸」又は「オリゴヌクレオチド」は、共に共有結合する少なくとも2つのヌクレオチドを言う。本発明の核酸は、場合によっては、たとえば、リンアミド結合、ホスホロチオエート結合、ホスホロジチオエート結合、o−メチルリンアミド結合、及び/又はペプチド核酸主鎖及び結合を含む代替主鎖を有してもよい核酸類縁体を含んでもよいが、一本鎖でもよいし、二本鎖でもよく、ホスホジエステル結合を含有してもよい。類縁体核酸は正の主鎖及び/又は非リボースの主鎖を有してもよい。核酸はまた、1以上の炭素環式の糖を含んでもよい。リボース−リン酸の主鎖の修飾を行なって、たとえば標識のような追加部分の付加を促進してもよいし、又はたとえば、生理的環境におけるそのような分子の安定性高め、半減期を延ばしてもよい。
【0022】
用語「特異的なハイブリッド形成」は、プローブがその標的の部分配列に優先的にハイブリッド形成し、他の配列により少ない程度にハイブリッド形成してもよい条件下を含むストリンジェントな条件下での特定のヌクレオチド配列への核酸分子の優先的な結合、二本鎖形成、又はハイブリッド形成を言う。
【発明を実施するための最良の形態】
【0023】
本発明は、NELL1を用いた骨形成を誘導するための作用剤及び方法に関する。本発明はまた、NELL1タンパク質及びNELL2タンパク質の発現及び精製のための方法に関する。
【0024】
NELL1は、Ting及びWatanabeによって同時に同定された。NELL1は主として骨に分布する810アミノ酸のペプチドである。成人では、NELL2は頭蓋顔面の骨に高レベルで発現され、長骨では低レベルで発現される。骨芽細胞の分化、骨形成及び骨再生におけるその役割は調べられている。NELL2は、1996年Watanabeにより同定されたが、それは、神経細胞及び脳に分布する816ペプチドである。
【0025】
ヒトのNELL1遺伝子は、プロモータ領域に少なくとも3つのCbfa1反応エレメントを含む。Cbfa1はNELL1のプロモータにおけるこれらの反応エレメントに特異的に結合する。NELL1の発現は、発達中及び成人で少なくとも前骨芽細胞、骨芽細胞及び肥大軟骨細胞で内因性に発現されるこの転写因子の制御下にあってもよい。鎖骨頭蓋骨形成不全症は、少なくとも部分的にはCbfaの破壊により生じると考えられている発達上の頭蓋欠陥である。
【0026】
NELL1ペプチド及びNELL2ペプチドの機能を検討するために、該ペプチドを生産し、精製することを試みた。残念ながら、多数の発現系においてNELL1ペプチド及びNELL2ペプチドを発現させることはできなかった。具体的には、大腸菌直接発現系及び酵母発現系において発現は検出されず、大腸菌融合発現系及びCHO−dhfr発現系では、きわめて低レベルの発現が生じた。バキュロウイルス系でペプチドは発現された。
【0027】
NELL1ペプチド及びNELL2ペプチドを昆虫細胞で高レベルに発現することができ、昆虫系で発現させたNELL1ペプチド及びNELL2ペプチドがタンパク質の機能的形態であるということは本発明の驚くべき発見であった。
【0028】
NELL1タンパク質及びNELL2タンパク質を、たとえば、1リットルの培地当たり約10マイクログラムのような低レベルで生産するのにCOS7細胞を使用することができるが、発現には血清を含有する培地を必要とする。残念ながら、この培地はタンパク質の生産には好適ではない。シグナルペプチドについては、NELL1及びNELL2の内因性シグナルペプチドは、COS7細胞では低レベルの発現でしかない。
【0029】
実施態様の1つでは、本発明は、昆虫の細胞株を用いて、NELL1ペプチド又はNELL2ペプチドのような機能的NELLペプチドを発現させる方法を含む。実施態様の1つでは、昆虫細胞は、ハイファイブ細胞(high five cell)、Sf9細胞及びそのほかのSf細胞であってもよい。
【0030】
実施態様の1つでは、方法は、NELL1ペプチド又はNELL2ペプチドのようなNELLペプチドをコードする核酸配列を提供することを含んでもよい。核酸配列は、NELLタンパク質の少なくとも機能的部分をコードするcDNA又はゲノムDNAであってもよい。たとえば、核酸配列は、ヒトNELL1(配列番号1)、ラットNELL1(配列番号3)、マウスNELL1(配列番号5)又はヒトNELL2(配列番号7)、ラットNELL2(配列番号9)、マウスNELL2(配列番号11)、ニワトリNELL2(配列番号13)を含む群から選択されてもよいが、これらに限定されない。核酸配列はまた、たとえば、上に列記した配列のいずれかの部分に少なくとも約75%の配列類似性を有する配列のような、実質的な配列類似性を持つもののような配列を含んでもよい。
【0031】
さらに核酸は、NELL1ペプチド又はNELL2ペプチドのようなNELLペプチドをコードする核酸配列を発現させるための発現ベクターを含んでもよい。たとえば、発現ベクターは、plZTN5−His(インビトロゲン)であってもよく、選択マーカーもブラストシジン及びネオマイシンを含んでもよい。
【0032】
さらに、核酸配列は、遺伝子の発現レベルをモニターするリポータ産物をコードする追加の核酸、又はペプチドの発現レベルをモニターするために当該技術で既知の方法を用いて視覚化することができるペプチドタグをコードする追加の核酸も含んでもよい。追加の配列は、核酸の発現又は発現されたペプチド産物の機能性を妨害しないように選択されてもよい。
【0033】
実施態様の1つでは、方法は、分泌型シグナルペプチドをコードする核酸配列と共に、フレーム内にNELL1ペプチド又はNELL2ペプチドのようなNELLペプチドをコードする核酸配列を提供することを含んでもよい。実施態様の1つでは、分泌型シグナルペプチドは、分泌されたミツバチタンパク質に由来する分泌型シグナルペプチドであってもよい。たとえば、核酸配列は、メリチンのシグナル配列、ショウジョウバエの免疫グロブリン結合タンパク質のシグナル配列、ウマのインターフェロン−γ(eIFNγ)のシグナルペプチド、ヘビのホスホリパーゼA2阻害剤のシグナルペプチド、ヒト及びニワトリのリゾチームのシグナルペプチドを含む群から選択されてもよいが、これらに限定されない。哺乳類の発現系では、プロトリプシンのリーディング配列も使用されてもよい。
【0034】
実施態様の1つでは、方法は、NELLペプチドをコードする核酸構築物により昆虫の細胞株に形質移入し、NELLペプチドを発現できる及び/又は分泌できる条件下で昆虫の細胞株を培養することを含んでもよい。たとえば、NELLペプチドをコードする核酸構築物により一過性に又は安定的に細胞株に形質移入してもよい。
【0035】
方法は、分泌されたNELLペプチドを回収し、及び/又は使用のためにNELLペプチドを精製することも含んでもよい。種々の機能性アッセイ又は発現アッセイにおいて活性についてペプチド生成物を調べてもよい。たとえば、いずれかのアッセイにおいて、任意のパラメータで対照物質よりも有意な効果をNELLペプチドが有するならば、NELLペプチドは、測定されたパラメータを達成するのに機能的であると言われてもよい。
【0036】
実施態様の1つでは、本発明は、昆虫細胞においてNELL1ペプチド及び/又はNELL2ペプチドのようなNELLペプチドを発現するための核酸構築物を含んでもよい。核酸配列は、NELLペプチドの少なくとも機能的な部分をコードするcDNAであっても、ゲノムDNAであってもよい。たとえば、核酸配列は、ヒトNELL1(配列番号1)、ラットNELL1(配列番号3)、マウスNELL1(配列番号5)又はヒトNELL2(配列番号7)、ラットNELL2(配列番号9)、マウスNELL2(配列番号11)、ニワトリNELL2(配列番号13)を含む群から選択されてもよいが、これらに限定されない。核酸配列はまた、たとえば、上に列記した配列のいずれかの部分に少なくとも約75%の配列類似性を有する配列のような、実質的な配列類似性を持つもののような配列を含んでもよい。
【0037】
核酸構築物は、シグナルペプチドをコードする核酸配列を含んでもよい。核酸は、NELLペプチドをコードする核酸配列を発現するための発現ベクターであってもよい。さらに核酸配列は、遺伝子の発現レベルをモニターするリポータ産物をコードする追加の核酸、又はペプチドの発現レベルをモニターするために当該技術で既知の方法を用いて視覚化することができるペプチドタグをコードする追加の核酸も含んでもよい。
【0038】
たとえば、ベクターで形質転換された宿主細胞の生き残り又は増殖に必要なタンパク質をコードする遺伝子のような、選抜可能なマーカーとも呼ばれる選抜遺伝子を含有するならば、核酸構築物は、発現ベクター及びクローニングベクターを含んでもよい。この遺伝子の存在によって、確実に、ベクターを欠失した宿主細胞が、形質転換された宿主に対して増殖や再生で将来利点を得ないようにする。典型的な選抜遺伝子は、(a)抗生物質又はそのほかの毒素、たとえば、アンピシリン、ネオマイシン、メソトレキセート又はテトラサイクリンに耐性を付与する、(b)自己栄養欠乏を補足するタンパク質をコードする。
【0039】
核酸構築物は、宿主生物により認識され、NELLをコードする核酸に操作可能に連結されるプロモータを含んでもよい。プロモータは、構造遺伝子(一般に約100〜1000bpの範囲内)の開始コドンから上流に位置し、誘導性プロモータ及び構成的プロモータを含めてそれらの制御下で核酸の転写及び翻訳を制御する非翻訳配列である。誘導性プロモータは、培養条件の何らかの変化、たとえば、栄養物の存在又は非存在或いは温度の変化に反応してその制御下でDNAからの転写レベルの上昇を開始させるプロモータである。現時点で、種々の可能性のある宿主細胞により認識される多数のプロモータが周知である。
【0040】
核酸は、もう1つの核酸配列との機能的関係に置かれる場合、操作可能に連結されてもよい。たとえば、再配列又は分泌リーダー用のDNAは、それがポリペプチドの分泌に関与するプレタンパク質として発現されるならば、ポリペプチドのDNAに操作可能に連結され;プロモータ又はエンハンサは、それが配列の転写に影響を及ぼすのであれば、コーディング配列に操作可能に連結され;或いはリボソーム結合部位は、それが翻訳を促進するように位置するのであれば、コーディング配列に操作可能に連結される。
【0041】
実施態様の1つでは、本発明は機能的なNELLペプチドを発現する細胞を含んでもよい。実施態様の1つでは、細胞は昆虫細胞であってもよい。実施態様の1つでは昆虫細胞はハイファイブ細胞であってもよい。
【0042】
実施態様の1つでは、細胞は、NELLペプチドをコードする核酸構築物により形質移入されてもよい。たとえば、NELLペプチドをコードする核酸構築物により一時的に又は安定的に細胞株が形質移入されてもよい。実施態様の1つでは、遺伝子発現ベクター又は細胞(たとえば、昆虫細胞)に形質移入する能力があるウイルス粒子で、NELLを発現する核酸(たとえば、cDNA)をクローニングしてもよい。
【0043】
核酸配列は、昆虫の分泌型シグナルペプチドをコードする核酸配列と共に、NELL1ペプチド又はNELL2ペプチドのようなNELLペプチドをコードする核酸配列もフレーム内に含んでもよい。
【0044】
実施態様の1つでは、本発明は機能的なNELLペプチドを発現する細胞を含んでもよく、機能的タンパク質を分泌してもよい細胞を含んでもよい。
【0045】
実施態様の1つでは、本発明はNELL1ペプチド又はNELL2ペプチドのようなNELLペプチドを含むポリペプチド(アミノ酸配列)を含んでもよく、分泌型シグナルペプチドを含んでもよい。
【0046】
たとえば、NELLペプチドのアミノ酸配列は、ヒトNELL1(配列番号2)、ラットNELL1(配列番号4)、マウスNELL1(配列番号6)又はヒトNELL2(配列番号8)、ラットNELL2(配列番号10)、マウスNELL2(配列番号12)、ニワトリNELL2(配列番号14)を含む群から選択されてもよいが、これらに限定されない。アミノ酸配列はまた、たとえば、上に列記した配列のいずれかの部分に少なくとも約75%の配列類似性を有する配列のような、実質的な配列類似性を持つもののような配列を含んでもよく、NELL1ペプチドに類似の活性のある結合ドメインを含有してもよい。
【0047】
実施態様の1つでは、本発明は、以下に記載されたものを含むがこれらに限定されない標準的なペプチド精製プロトコールに従って培養培地に分泌されたNELL1ペプチド及び/又はNELL2ペプチドを精製する方法を含む。
【0048】
実施態様の1つでは、選択された細胞が選択された核酸配列を発現しNELLペプチドを発現し、及び/又は分泌するかどうかを調べてもよい。実施態様の1つでは、NELLペプチドの存在、量及び/又は活性を調べてもよい。
【0049】
実施態様の1つにおける、当業者に周知の多数の方法のいずれかにより検出される及び定量されるNELLペプチド。これらには、電気泳動、キャピラリー電気泳動、高速液体クロマトグラフィ(HPLC)、薄層クロマトグラフィ(TLC)、高分散クロマトグラフィなどのような分析生化学的方法、又は液体若しくはゲルの沈降反応、免疫拡散(単一又は二重)、免疫電気泳動、放射免疫アッセイ(RIA)、酵素結合免疫吸収アッセイ(ELISA)、免疫蛍光アッセイ、ウエスタンブロットなどのような種々の免疫学的方法が挙げられてもよい。
【0050】
実施態様の1つでは、ウエスタンブロット(免疫ブロット)解析を用いて、選択された試料におけるNELLペプチドの存在を検出し、定量してもよい。本技法には、分子量に基づいてゲル電気泳動により試料のタンパク質を分離すること、好適な固形の支持体(たとえば、ニトロセルロースフィルター、ナイロンフィルター、又は誘導体化したナイロンフィルター)に分離したタンパク質を移すこと、及び標的ペプチドを特異的に結合する抗体と共に試料をインキュベートすることが含まれてもよい。
【0051】
本発明のアッセイは、当業者に周知の標準的な方法に従って評点化(陽性又は陰性又は標的ポリペプチドの量として)してもよい。評点化の特定の方法は、アッセイ形式及び標識の選択に依存する。たとえば、酵素標識により生じる発色生成物を視覚化することによりウエスタンブロットアッセイを評点化してもよい。正しい分子量での明瞭な目に見える色のついたバンド又はスポットを陽性の結果として評点化してもよく、一方、明瞭に目に見えるスポットやバンドの非存在を陰性として評点化してもよい。バンドやスポットの濃さが、標的ポリペプチドの濃度の定量的測定を提供してもよい。
【0052】
そのような発現系で生成されたNELL1は、骨形成タンパク質(たとえば、BMP−1〜BMP−24)に対して類似の方式で使用することができる。従って、骨折の修復を急がせるのに、或いは自然治癒に限界がある又は自然治癒がないような状況下で骨の修復又は置換を誘導するのにNELL1ポリペプチドを使用することができる。さらに、骨移植材にNELL1ポリペプチドを組み入れることができる。骨折の治療、或いは人工補助物又は骨移植及び脊椎固定の置換/治癒を促進するためにこれらの移植材を使用することができる。
【0053】
本発明はまた、骨形成の程度及び/又は速度を高めるための作用剤及び方法を含んでもよい。さらに具体的には、本発明は、骨形成を高めるための作用剤の全身性及び/又は局所の適用を含んでもよい。DEXAスキャンにより評価されるように骨形成の所望の部位にて骨密度の改善によって、骨形成の程度及び/又は速度を高める方法又は作用剤の臨床指標を立証する。選択した時間間隔での骨折部位の通常のX−線によって、治癒しつつある骨折における骨形成の増大を日常的に評価する。定量的CTスキャンのような、上記指標を決定するためのさらに進んだ技法を使用してもよい。
【0054】
実施態様の1つでは、本発明は、骨形成細胞におけるNELL1遺伝子産物の濃度を高めること、任意選択で第2の作用剤を適用すること、及び骨芽細胞分化の細胞性マーカーの発現を誘導することを含む骨形成細胞の分化を増大させる方法を含んでもよい。
【0055】
該方法は、骨形成細胞にNELL1ペプチドを適用することによりNELL−1遺伝子産物の濃度を高めることを含んでもよく、NELL1ペプチドは、配列番号2、配列番号4又は配列番号6、或いは骨芽細胞分化を増大させることに有効であるNELL1ペプチドのいずれかの部分を含む群から選択されてもよい。方法は、たとえば、発現調節分子、Cbfa1の細胞性レベルを高めることのような、内因性NELL1遺伝子の発現を誘導することによってNELL1遺伝子産物の濃度を高めることを含んでもよい。方法は、NELL1ペプチドをコードする核酸構築物により骨形成細胞に形質移入することによってNELL1遺伝子産物の濃度を高めることを含んでもよく、NELL1ペプチドをコードする核酸構築物は、配列番号1、配列番号3又は配列番号5を含む群から選択されてもよい。
【0056】
骨形成細胞には、骨芽細胞、間葉細胞、線維芽細胞、胎児性胚細胞、幹細胞、骨髄細胞、硬膜細胞、軟骨細胞、軟骨幹細胞及び脂肪幹細胞が挙げられてもよいが、これらに限定されない。
【0057】
骨形成細胞はまた、骨組織内に局在する、骨組織に接触する又は骨組織に移動する
(すなわち、「ホーミングする」)細胞、及び細胞が直接又は間接的に骨組織の形成を刺激する細胞も含んでもよい。そういうものとして、骨形成細胞は、最終的に成熟骨芽細胞自体に分化する細胞、すなわち、「直接」骨組織を形成する細胞であってもよい。
【0058】
第2の作用剤には、TGF−β、BMP2、BMP4、BMP7、bFGF、及びコラーゲンが挙げられてもよいが、これらに限定されない。第2の作用剤は、骨芽細胞分化を誘導する際、NELL−1と相補的又は相乗的な効果を有するように選択されてもよい。
【0059】
骨芽細胞分化の細胞性マーカーには、アルカリホスファターゼ活性の上昇、オステオカルシン及びオステオポニンのmRNA発現、BMP7の発現、デコリンの発現及びラミニンB1の発現が挙げられるが、これらに限定されない。しかしながら、その活性又は発現が骨芽細胞分化の結果として変化するいかなる細胞性マーカーもそのようなマーカーとして使用してもよい。
【0060】
実施態様の1つでは、骨芽細胞の石灰化を高める方法は、骨芽細胞におけるNELL1遺伝子産物の濃度を高めること、任意選択で第2の作用剤を適用すること、及び石灰化の細胞性マーカーの発現を誘導することを含んでもよい。
【0061】
該方法は、骨形成細胞にNELL1ペプチドを適用することによってNELL1遺伝子産物の濃度を高めることを含んでもよく、NELL1ペプチドは、配列番号2、配列番号4又は配列番号6、或いは骨芽細胞の石灰化を高めることに有効であるNELL1ペプチドのいずれかの部分を含む群から選択されてもよい。第2の作用剤は、骨芽細胞の石灰化を誘導する際、NELL−1と相補的又は相乗的な効果を有するように選択されてもよい。
【0062】
骨芽細胞石灰化の細胞性マーカーには、カルシウムの取り込みレベルの増加が挙げられるが、これに限定されない。しかしながら、その活性又は発現が骨芽細胞石灰化の結果として変化するいかなる細胞性マーカーもそのようなマーカーとして使用してもよい。
【0063】
実施態様の1つでは、膜内骨形成を増大させる方法は、骨形成が所望される位置にてNELL1遺伝子産物の濃度を高めること、任意選択で骨形成が所望されるほぼ同一位置領域に第2の作用剤を適用すること、及び膜内骨形成の形成を誘導することを含んでもよい。
【0064】
該方法は、骨形成が所望される位置にNELL1ペプチドを適用することによりNELL1遺伝子産物の濃度を高めることを含んでもよく、NELL1ペプチドは、配列番号2、配列番号4又は配列番号6、或いは膜内骨形成を高めることに有効であるNELL1ペプチドのいずれかの部分を含む群から選択されてもよい。
【0065】
第2の作用剤には、TGF−β、BMP2、BMP4、BMP7、bFGF、コラーゲン、骨形成細胞、骨、骨基質、腱基質、靭帯基質が挙げられるが、これらに限定されない。第2の作用剤は、膜内骨形成を誘導する際、NELL−1と相補的又は相乗的な効果を有するように選択されてもよい。
【0066】
膜内骨の形成は、骨形成が所望される領域における骨密度の組織学、DEXAスキャン又はCTスキャンを目的とした顕微鏡的検査によって評価してもよい。
【0067】
実施態様の1つでは、軟骨内の骨形成を増大させる方法は、骨形成が所望される領域におけるNELL1遺伝子産物の濃度を高めること、任意選択で、骨形成が所望される領域に第2の作用剤を適用すること、及び骨形成が所望される領域で軟骨芽細胞の肥大を少なくとも誘導することを含んでもよい。
【0068】
該方法は、骨形成が所望される位置にNELL1ペプチドを適用することによりNELL1遺伝子産物の濃度を高めることを含んでもよく、NELL1ペプチドは、配列番号2、配列番号4又は配列番号6、或いは軟骨内骨形成を高めることに有効であるNELL1ペプチドのいずれかの部分を含む群から選択されてもよい。
【0069】
第2の作用剤には、TGF−β、BMP2、BMP4、BMP7、bFGF、コラーゲン、骨形成細胞、骨、骨基質、腱基質、靭帯基質が挙げられてもよいが、これらに限定されない。第2の作用剤は、軟骨内骨形成を誘導する際、NELL−1と相補的又は相乗的な効果を有するように選択されてもよい。
【0070】
軟骨内骨の形成は、TUNELスキャンにより解明される肥大した及びアポトーシスの軟骨芽細胞の増加により見られるような軟骨芽細胞の肥大によって評価してもよい。
【0071】
実施態様の1つでは、本発明は、キャリア又は基材にNELL1を組み入れる方法、及び得られる基材を含んでもよい。
【0072】
実施態様の1つでは、骨形成を誘導する組成物は、NELL1ペプチド、及びNELL1ペプチドの発現を変化させる作用剤又はNELL1ペプチドの活性を変化させる作用剤を含む群から選択されるが、これらに限定されない、骨形成を誘導する、有効量の第1の作用剤、並びに任意選択でのキャリアを含んでもよい。
【0073】
該組成物は、配列番号2、配列番号4又は配列番号6、或いは骨形成を誘導することに有効であるNELL1ペプチドのいずれかの断片を含む群から選択されるNELL1ペプチドを含んでもよい。
【0074】
組成物は、TGF−β、BMP2、BMP4、BMP7、bFGF、コラーゲン、骨、骨基質、腱基質又は靭帯基質、骨形成細胞及び/又は骨芽細胞を含むが、これらに限定されない第2の作用剤を含んでもよい。
【0075】
実施態様の1つでは、たとえば、酵素的メカニズム又は加水分解のメカニズムによって分解できるような生分解性であってもよい。キャリアの例には、たとえば、ポリ(L−ラクチド)(PLLA)、ポリ(D,L−ラクチド)(PDLLA)、ポリグリコリド(PGA)、ポリ(ラクチド−コ−グリコリド(PLGA)、ポリ(カプロラクトン)、ポリ(トリメチレンカーボネート)、ポリ(p−ジオキサノン)、ポリ(カプロラクトン−コ−グリコリド)、ポリ(グリコリド−コ−トリメチレンカーボネート)ポリ(D,L−ラクチド−コ−トリメチレンカーボネート)のようなポリ(α−ヒドロキシ酸)、ポリアリーレート類、ポリヒドロキシブチラート(PHB)、ポリ無水物、ポリ(無水物−コ−イミド)、プロピレン−コ−フマレート類、ポリラクトン類、ポリエステル類、ポリカーボネート類、ポリアニオン系ポリマー類、ポリ無水物、ポリエステルアミド類、ポリ(アミノ酸)、ホモポリペプチド類、ポリ(ホスファゼン)、ポリ(グラクサノン)、多糖類、及びポリ(オルソエステル)、ポリグラチン、ポリグラチン酸、ポリアルドン酸、ポリアクリル酸、ポリアルカノエート類のような、しかし、これらに限定されない合成の吸収性ポリマー類、これらのコポリマー及び混合物、並びに任意の誘導体及び修飾体にが挙げられるが、これらに限定されない。たとえば、参照により本出願に組み入れられる米国特許第4,563,489号及びPCT国際出願WO/03024316を参照のこと。キャリアのそのほかの例には、アルキルセルロース、ヒドロキシアルキルセルロース、メチルセルロース、エチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピル−メチルセルロース、ヒドロキシメチルセルロースのようなセルロース系ポリマー類、及びそれらのカチオン系の塩が挙げられるが、これらに限定されない。キャリアのそのほかの例には、炭酸カルシウム、リン酸カルシウム、アパタイト類、生体活性ガラス材料、及びサンゴ由来のアパタイト類のような合成及び天然のバイオセラミックスが挙げられるが、これらに限定されない。たとえば、参照により本出願に組み入れられる、米国特許出願2002187104号、PCT国際出願WO/9731661及びPCT国際出願WO/0071083を参照のこと。
【0076】
実施態様の1つでは、キャリアはさらに、ゾルゲル技法に由来する生体ガラス及び/又はアパタイトを含む組成物、或いは、天然の血清濃度の約1.5〜7倍の範囲内でのカルシウム及びリン酸の濃度を持ち、約15〜65℃の温度で約2.8〜7.8のpH範囲を持つ溶液に種々の手段で調製された人工体液のような、しかし、これに限定されない浸漬技法に由来する生体ガラス及び/又はアパタイトを含む組成物によって被覆されてもよい。たとえば、参照により本出願に組み入れられる米国特許第6,426,114号及び同第6,013,591号、並びにPCT国際出願WO/9117965を参照のこと。
【0077】
キャリアのそのほかの例には、コラーゲン(たとえば、Collastat、Helistatコラーゲンスポンジ)、ヒアルロナン、フィブリン、キトサン、アルギネート及びゼラチンが挙げられる。たとえば、参照により本出願に組み入れられるPCT国際出願WO/9505846、WO/02085422を参照のこと。
【0078】
実施態様の1つでは、キャリアは、ヘパリン様ポリマー、たとえば、デキストラン硫酸、コンドロイチン硫酸、硫酸ヘパリン、フカン、アルギネート、又はそれらの誘導体を含むが、これらに限定されないヘパリン結合剤;及びアミノ酸修飾を持つペプチド断片を含んでヘパリンへの親和性を高めてもよい。たとえば、参照により本出願に組み入れられるJournal of Biological Chemistry, 278(44):43229-43235, 2003を参照のこと。
【0079】
実施態様の1つでは、基材は液体、固体又はゲルの形態であってもよい。
【0080】
実施態様の1つでは、基材は流動性ゲルの形態であるキャリアを含んでもよい。ゲルは、骨形成が所望される部位に注射器を介して注入できるように選択してもよい。ゲルは、一次結合により形成され、pH、イオン基及び/又は溶媒濃度により制御される化学作用によるゲルであってもよい化学作用によるゲルであってもよい。ゲルはまた、二次結合により形成され、温度及び粘度により制御されてもよい物理作用によるゲルであってもよい。ゲルの例には、プルロニック類、ゼラチン、ヒアルロナン、コラーゲン、ポリアクチド−ポリエチレングリコール溶液及び抱合体、キトサン、シトサン&b−グリセロホスフェート(BST−ゲル)、アルギネート類、アガロース、ヒドロキシプロピルセルロース、メチルセルロース、ポリエチレンオキシド、N−メチル−2−ピロリドン中のポリアクチド/グリコリドが挙げられるが、これらに限定されない。たとえば、参照により本出願に組み入れられるAnatomical Record, 263(4):324-349, 2001を参照のこと。
【0081】
実施態様の1つでは、キャリアは、たとえば、少なくとも約250nmの波長での電磁波照射による光重合が可能であってもよい。光重合が可能なポリマーの例には、ポリエチレン(PEG)アクリレート誘導体、PEGメタクリレート誘導体、プロピレンフマレート−コ−エチレングリコール、ポリビニルアルコール誘導体、PEG−コ−ポリ(ヒドロキシ酸)ジアクリレートマクロマー、並びに、たとえば、ヒアルロン酸誘導体及びデキストランメタクリレートのような修飾多糖類が挙げられる。たとえば、参照により本出願に組み入れられる米国特許第5,410,016号を参照のこと。
【0082】
実施態様の1つでは、基材は、温度感受性であるキャリアを含んでもよい。例には、N−イソプロピルアクリルアミド(NiPAM)、又は低下させた低臨界溶解温度(LCST)で修飾したNiPAM、並びにエチルメタクリレート及びN−アクリルオキシスクシンイミドの取り込みにより向上させたペプチド(たとえば、NELL1)の結合;又はブチルメタクリレート、ヘキシルメタクリレート及びドデシルメタクリレートのようなアルキルメタクリレートから作製されたキャリアが挙げられる。参照により本出願に組み入れられるPCT国際出願WO/2001070288;米国特許第5,124,151号。
【0083】
実施態様の1つにおける、受容体介在性のメカニズムを介して細胞−マトリクスの結合を促進してもよい細胞接着分子、接着ペプチド及び接着ペプチド類縁体によって装飾される及び/又は固相化される表面を、及び/又はたとえば、ポリカチオン系ポリアミノ酸ペプチド(たとえば、ポリリジン)、ポリアニオン系ポリアミノ酸ペプチド、Mefpクラス接着分子及びそのほかのDOPAリッチペプチド(たとえば、ポリリジンDOPA)、多糖類及びプロテオグリカン類のような、しかし、これらに限定されないものを結合する受容体非介在性のメカニズムを介して接着を促進してもよい分子部分によって装飾される及び/又は固相化される表面を、キャリアが有してもよい場合。たとえば、参照により本出願に組み入れられるPCT国際出願WO/2004005421、WO/2003008376、WO/9734016を参照のこと。
【0084】
実施態様の1つでは、キャリアは、コラーゲン、ゼラチン、ヒアルロン酸、アルギネート、ポリ(エチレングリコール)、メチルセルロース、エチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピル−メチルセルロース及びカルボキシメチルセルロースを含むアルキルセルロース(ヒドロキシアルキルセルロースを含む)、血液、フィブリン、ポリオキシエチレンオキシド、硫酸カルシウム半水化物、アパタイト類、カルボキシビニルポリマー、及びポリ(ビニルアルコール)のような、しかし、これらに限定されない金属イオン封鎖剤を含んでもよい。たとえば、参照により本出願に組み入れられる米国特許第6,620,406号を参照のこと。
【0085】
実施態様の1つでは、キャリアは、たとえば、ポリオキシエステル(たとえば、ポリソルベート80、ポリソルベート20又はプルロニックF−68)のような、しかし、これらに限定されない、キャリア物質の中におけるNELL1の安定性及び/又は分布を促進するための界面活性剤を含んでもよい。
【0086】
実施態様の1つでは、キャリアは、たとえば、グリシン、グルタミン酸塩酸塩、塩化ナトリウム、グアニジン、ヘパリン、グルタミン酸塩酸塩、酢酸、コハク酸、ポリソルベート、デキストラン硫酸、スクロース及びアミノ酸のような、しかし、これらに限定されない緩衝剤を含んでもよい。たとえば、参照により本出願に組み入れられる米国特許第5,385,887号を参照のこと。実施態様の1つでは、上記で列記したもののような物質の組み合わせを含んでもよい。
【0087】
例示の目的で、キャリアは、PLGA/コラーゲンキャリア膜であってもよい。NELL1ペプチドを含む溶液中に該膜を浸してもよい。
【0088】
実施態様の1つでは、人体に使用するインプラントは、インプラントの近傍で骨形成を誘導するのに十分な量のNELL1を含む基材を含んでもよい。
【0089】
実施態様の1つでは、人体に使用するインプラントは、インプラントの近傍で骨形成を誘導するのに十分な量のNELL1を含む表面を有する基材を含んでもよい。
【0090】
実施態様の1つでは、人体に使用するインプラントは、骨形成細胞、及び骨形成を誘導するのに十分な量のNELL1を含む表面を有する基材を含んでもよい。実施態様の1つでは、インプラントは、自己の細胞、骨形成細胞又は骨芽細胞、NELL1又はもう1つの骨形成分子を発現する細胞を含むが、これらに限定されない細胞と共に播かれてもよい。
【0091】
インプラントは、メッシュ、ピン、プレート又は人工装具の継ぎ目に形成された基材を含んでもよい。例示の目的で、基材は歯科用インプラント又は整形外科用インプラントの形態であってもよく、NELL1は、インプラント近傍の骨における統合を向上させるのに使用されてもよい。インプラントは、たとえば、コラーゲンを含む基材のような吸収可能である基材を含んでもよい。
【0092】
一例では、本発明に係る組成物は、時間放出の錠剤の中に含有されてもよい。
【0093】
NELL1を許容可能なキャリアと組み合わせて医薬組成物を形成してもよい。許容可能なキャリアは、たとえば、組成物を安定化させるように、又は作用剤の吸収を増減するように作用する生理学的に許容可能な化合物を含有することができる。生理学的に許容可能な化合物には、グルコース、スクロース又はデキストランのような炭水化物、アスコルビン酸及びグルタチオンのような抗酸化剤、キレート剤、低分子量タンパク質、細胞分裂防止剤のクリアランス又は加水分解を減らす組成物、又は賦形剤又はそのほかの安定剤及び/又は緩衝液を挙げることができる。
【0094】
そのほかの生理学的に許容可能な化合物には、湿潤剤、乳化剤、分散剤、微生物の増殖や作用を妨げるのに特に有用である防腐剤が挙げられる。種々の防腐剤が周知であり、たとえば、フェノール及びアスコルビン酸が挙げられる。当業者は、生理学的に許容可能な化合物を含むキャリアの選択が、たとえば、投与経路に依存することを十分理解するであろう。
【0095】
投与の方法に依存する種々の単位投与形態で組成物を投与することができる。たとえば、好適な単位投与形態には、散剤、錠剤、丸薬、カプセルが挙げられてもよい。
【0096】
本発明の組成物は、たとえば、水溶性ペプチドのための水性キャリアのような薬学上許容可能なキャリアに溶解されたNELL1ペプチドの溶液を含んでもよい。たとえば、緩衝化した生理食塩水などのような種々のキャリアを使用することができる。これらの溶液は無菌であり、一般に望ましくないものは含まれていない。従来の、周知の滅菌技法でこれらの組成物を滅菌してもよい。組成物は、たとえば、pH調整剤及び緩衝剤、毒性調整剤などのような、必要に応じて生理的条件に近似させるための薬学上許容可能な補助的物質を含有してもよい。
【0097】
これらの処方におけるNELL1ペプチドの濃度は、幅広く変化させることができ、選択された投与形式及び患者のニーズに従って、主として液体容積、粘度、体重などに基づいて選択されるであろう。
【0098】
投与計画は、種々の患者の変数(たとえば、体重、年齢、性別)及び臨床提示(たとえば、負傷の程度、負傷の部位など)と同様に、対処する臨床適応によって決定されるであろう。
【0099】
しかしながら、本発明において有用なNELL1ペプチド又はNELL1剤の治療上の有効用量は、上述のような骨芽細胞の分化、石灰化、骨形成を向上させる作用剤の能力によって測定されるとき、患者において陽性の臨床効果を有する、又は細胞において所望の効果を有するものである。各ペプチド又は作用剤の治療上有効な用量を調節して、負の副作用をできるだけ抑える一方で、所望の臨床効果を達成することができる。ペプチド又は作用剤の投与量は、投与経路、疾患の重症度、患者の年齢及び体重、患者が服用しているそのほかの薬物、並びに通常、主治医により考慮されるそのほかの要因によって、個々の計画及び特定の患者に適した用量レベルを決定する際、個々の患者について選択されてもよい。
【0100】
投与形態。投与形態に含まれる作用剤の治療上有効な用量は、選択された作用剤の種類及び投与経路を考慮することによって選択されてもよい。投与形態は、製薬技術の当業者に既知であるように、患者への投与形態を円滑にするためのアジュバント及び薬学上許容可能なキャリアを含む、そのほかの不活性成分と組み合わせた作用剤を含んでもよい。
【0101】
実施態様の1つでは、本発明は、骨形成を増大させるために選択された間隔で有効な投与形態にて治療上有効な用量でNELL1ペプチドを投与することを含む、患者を治療して骨形成を誘導する方法を含んでもよい。該方法は、TGF−β、BMP2、BMP4、BMP7、bFGF、コラーゲン、骨、骨基質、腱基質又は靭帯基質、骨形成細胞及び/又は骨芽細胞を含むが、これらに限定されない少なくとも1種の第2の作用剤を骨形成が所望される領域に投与することをさらに含んでもよい。
【0102】
実施態様の1つでは、患者を治療して骨形成を誘導する方法は、哺乳類の骨形成細胞を回収すること、骨形成細胞に接触するNELL1ペプチドの発現濃度を高めること、及び骨形成が所望される領域に骨形成細胞を投与することを含んでもよい。
【0103】
実施態様の1つでは、頭蓋顔面の障害又は口蓋裂を有する胎児、乳児又は成人に生じる頭蓋の外傷又は頭蓋の障害を修復するための骨形成が所望されてもよい。実施態様の1つでは、治癒しない骨損傷(骨が損傷において再生できない又は治癒できない場合、臨界サイズ欠陥としても知られる)の領域で骨形成が所望されてもよい。全骨創傷治癒は、膜(膜内とも呼ばれる)の骨形成によると考えられているので、臨界サイズ欠陥モデルは、長骨骨折を含む全骨治癒を達成する作用剤における厳格試験として検討されている。たとえば、長骨の骨折及び頭蓋冠の欠陥は双方共に、膜の骨形成により治癒する。実施態様の1つでは、歯槽骨移植又は歯槽堤の増強、或いは歯周骨欠陥において骨形成が所望されてもよい。実施態様の1つでは、関節用又は歯科用インプラントのようなインプラント、或いは美容整形用オンプラントの統合を向上させるために骨形成が所望されてもよい。
【0104】
実施態様の1つでは、骨移植のための自己材料、自家材料又は異物形成的材料の代替的に、或いはそれに加えて、骨形成が使用されてもよい。
【実施例】
【0105】
以下の実施例は説明のために提供されるのであって、請求される本発明を限定するものではない。
【0106】
実施例1:NELLペプチドの発現
【0107】
発現ベクターPiZTN5−His(3.4kb)(EcoRV部位、インビトロゲン)にcDNA断片を連結し、cDNA断片は、メリチンのシグナルペプチド、ラットの成熟NELL1のBamHI−EcoRIcDNA断片及びFLAGタグ配列を包含した。図16は、本実施例で使用したcDNA構築物の核酸配列、及び相当する推定上のペプチド配列の描写である。
【0108】
ハイファイブ細胞(BTI−TN−5B1−4)を無血清培地に馴化させ、NELL1ペプチド発現ベクターにより細胞に形質移入した。NELL1−FLAG構築物を発現する細胞集団のみを選択するように細胞をゼオシンで処理した。生き残った細胞集団が安定した形質転換体であることを確認した。細胞外の培地を回収し、NELL1ペプチドの存在について調べた。NELL1ペプチドを精製し、以下に記載する機能的アッセイに用いた。
【0109】
図17Aは、精製されたNELL1ペプチドを含有するUnoQ溶出液のCBB染色したSDS−PAGEの説明である。本明細書に記載されたように培地をUnoQカラム(バイオラッド)にかけた。図4Bは、タンパク質マーカーを参照したNELL1−FLAGの発現を示す抗FLAG抗体を用いたウエスタンブロットの説明である。ペプチド:140kDa(細胞内の前駆体)、130kDa(成熟型:90kDaのペプチド)、400kDa(分泌型、ホモ三量体)。上記実施例では、発現系における生産性は培地1L当たりNELL1ペプチド約3mgであった。
【0110】
ペプチドを全く発現しない又は分泌しない他の発現系(たとえば、酵母を含む、細菌での発現)、或いはそのペプチド生産が極めて低い他の発現系(たとえば、大腸菌融合ペプチド系、CHO−dhfr細胞、>10mcg/L)に比べて、記載した系(哺乳類細胞及び昆虫細胞)による生産は、驚くべきことに、且つ実質的に大量の機能的タンパク質の生産でさらに効果的である。
【0111】
ラットの組換えNELL1タンパク質の発現及び精製。C末端にFLAGタグを付けたNELL1ペプチドの昆虫細胞による産生について。pTB701−NELL1−FLCプラスミド(Kuroda, BBRC)に由来するFLAGエピトープ配列に融合したラットのNELL1cDNAを昆虫の発現ベクター、plZTN5−His(インビトロゲン)に挿入することにより、plZT−NELL1−FLCプラスミドを構築した。さらに、PCR法を用いて、NELL1の本来の分泌シグナル配列をミツバチのミリチンのシグナル配列に置き換えた。ハイファイブ細胞はインビトロゲンから購入し、ハイファイブ無血清培地(インビトロゲン)で培養した。FuGene6(ロシュ)を用いてplZT−NELL1−FLCプラスミドによりハイファイブ細胞に形質移入した。形質移入後48時間に、400mg/mLのゼオシン(インビトロゲン)で細胞を選抜した。安定した発現細胞株を確立するまで3〜4日に1回選抜培地を交換する。免疫沈降及びウエスタンブロット解析を用いてNELL1の分泌を確認した。ハイファイブ細胞は、培養培地中でNELL1ペプチド(140kDa)を発現することが見い出された。
【0112】
UnoQ−1カラム(バイオラッド)を用いた陰イオン交換クロマトグラフィによって、ゼオシン耐性ハイファイブ細胞の培養培地からラットの組換えNELL1−FLCペプチドを精製した。NELL1ペプチドは500mMのNaClにて溶出された。
【0113】
Cos7細胞によりC末端にFLAGタグを付けたNELL1ペプチドを生産するために、pTB701−NELL1−FLCプラスミドに由来するFLAGエピトープ配列に連結したラットNELL1cDNAを哺乳類の発現ベクター、pcDNA3.1(インビトロゲン)に挿入することによってpcDNA3.1−NELL1−FLCプラスミドを構築した。10%FBSを補完したDMEMにてCos7細胞を培養した。内因性NELLシグナルペプチドプラスミドを用い、エレクトロポレーション法を用いて、pcDNA3.1−NELL1−FLCによりCos7細胞に形質移入した。形質移入の48時間後、培養培地を、NELL1ペプチド用の免疫沈降及びウエスタンブロット解析の対象とした。
【0114】
図17Cは、NELL1−FLAGを含むUnoQの溶出液のCBBで染色したSDS−PAGEゲルの説明である。これらの発現試験は、たとえば、シグナル配列を含むことのように、分泌効率を高めるためにNELLのN末端を修飾しなければ、COS7が機能的NELLペプチドを発現しないことを示した。図17Dは、NELL1−FLAGの発現を示す抗FLAG抗体を用いたウエスタンブロットの説明である。
【0115】
ラットの組換えNELL2タンパク質の発現及び精製。C末端にFLAGタグを付けたNELL2ペプチドの昆虫細胞による産生について。pTB701−NELL2−FLCプラスミドに由来するFLAGエピトープ配列に融合したラットのNELL2cDNAを昆虫の発現ベクター、plZTN5−His(インビトロゲン)に挿入することにより、plZT−NELL1−FLAGプラスミドを構築した。ハイファイブ細胞はインビトロゲンから購入し、ハイファイブ無血清培地(インビトロゲン)で培養した。FuGene6(ロシュ)を用いてplZT−NELL1−FLAGプラスミドによりハイファイブ細胞に形質移入した。形質移入後48時間に、400mg/mLのゼオシン(インビトロゲン)で細胞を選抜した。安定した発現細胞株を確立するまで3〜4日に1回選抜培地を交換した。免疫沈降及びウエスタンブロット解析を用いて培養培地におけるNELL2の発現を確認した。ハイファイブ細胞は、培養培地中でNELL2ペプチド(140kDa)を発現することが見い出された。
【0116】
UnoQ−1カラム(バイオラッド)を用いた陰イオン交換クロマトグラフィによって、ゼオシン耐性ハイファイブ細胞の培養培地からラットの組換えNELL2−FLCペプチドを精製した。NELL2ペプチドは500mMのNaClにて溶出された。
【0117】
実施例2:培養培地からのNELL2タンパク質の精製
【0118】
plZT−FLC−NELL2を持つハイファイブ細胞を無血清培地(1L)で約3日間培養した。培養培地を3000xgにて5分間遠心し、上清を回収した。最終濃度1mMでPMSFを加えた。飽和硫安溶液(80%飽和、v/v)を加え、溶液を4℃にて1時間保持した。溶液を15000xgにて30分間遠心し、沈殿物を回収した。沈殿物を20mMのトリスHCl(pH8.0)、1mmのEDTA50mLに4℃にて溶解し、4℃(1mL/分の速度)にてFPLC(アマシャム−ファルマシア)により、20mMのトリスHCl(pH8.0)、1mMのEDTAで平衡化した陰イオン交換クロマトグラフィUnoQカラム(6mL、バイオラッド)にかけた。同一緩衝液でカラムを十分に洗浄した。
【0119】
次いで、同一緩衝液中の0M〜1.5MのNaClの勾配により結合しているタンパク質を溶出した。抗FlagM2(シグマ)Abを用いたウエスタンブロットにより、NELL2−FLAGの分画を同定した。陽性の分画を1本の試験管に回収した。最終生成物を継ぎ目のないセルロースチューブ(和光、MW12000カットオフ)にて1LのPBSに対して4℃で一晩透析した。生成物を−70℃に保存した。
【0120】
SDS−PAGE/CBB染色によりNELL2−FLAGペプチドの純度を調べた。図18は、精製したNELL2ペプチドを含有するUnoQの溶出液のCBB染色したSDS−PAGEゲルの説明である。カラムAは、約130kDaでのペプチドのバンドが細胞の培地から単離されたことを示す。「IP」は、免疫沈降に用いた抗FLAG抗体を言い、「WB」は、ウエスタンブロット検出に用いた抗FLAG抗体を言う。
【0121】
図19は、ファイブSFMからのNELL1及びNELL2の発現を説明するブロットである。「ESF921」は無血清培地の商品名を言い、「ファイブSFM」は培地の商品名を言う。双方のNELLタンパク質の発現のための構築物は上述のものと同様である。
【0122】
実施例3:アルカリホスファターゼ活性の上昇は、骨芽細胞の分化の初期細胞性マーカーである。試験の1つでは、経過時間の間、本明細書で記載された方法を用いて産生されたNELL1(1ng/mL、10ng/mL、100ng/mL)の存在下、又はBMP4(100ng/mL)の存在下、ラット胎児の頭蓋冠細胞を増殖させた。従来の方法により各試料においてアルカリホスファターゼをアッセイした。
【0123】
図20は、ラットの頭蓋冠細胞の培養における処理の作用としてのアルカリホスファターゼの誘導を示す棒グラフである(「OD」=光学密度)。従って、アルカリホスファターゼ誘導によって測定されたとき、NELL1による処理は、骨芽細胞の分化の誘導においてBMP4よりも強力だった。
【0124】
図21は、NELL1で処理したラット頭蓋冠細胞の培養の顕微鏡写真である。NELL1による処理は、アスコルビン酸の非存在下でアルカリホスファターゼ活性及び細胞の微小小体形成を誘導したが、それは、骨芽細胞の分化及び骨形成の前駆体の指標である。
【0125】
実施例4:アルカリホスファターゼのアッセイは、骨芽細胞分化の初期の細胞性マーカーである。試験の1つでは、24ウエルプレートでラットの頭蓋冠の骨芽細胞を増殖させた。NELL1、BMP2、NELL1/BMP2及び対照(ペプチドなし)を含む群にウエルを分割した。処理は、100ng/mLのペプチドの適用を含んだ。従来の方法により各試料においてアルカリホスファターゼをアッセイした。
【0126】
【表1】
【0127】
従って、アルカリホスファターゼの活性により測定したとき、対照又は単一ペプチドのみで処理した細胞と比べてNELL1及びBMPは、骨芽細胞の分化に対して相加効果を有する。
【0128】
実施例5:骨芽細胞の分化におけるNELL1の発現の効果を検討するために、β−galを発現する構築物を感染させた細胞と比較して、NELL1を発現する構築物を感染させて3、6及び9日後のMC3T3細胞のマイクロアレイで、骨に関連する遺伝子の発現を評価した。
【0129】
【表2】
【0130】
NELL1を形質移入した細胞における幾つかの骨関連遺伝子は、β−gal対照を形質移入した細胞に比べて少なくとも2倍高いレベルで発現されていた。従って、骨芽細胞の後期分化の細胞性マーカー(たとえば、オステオカルシン及びオステオポニン)が上方制御されるので、NELL1の発現及び産生は骨芽細胞の分化を促進した。
【0131】
実施例6:微小小体の形成、又は多数の骨芽細胞の凝集は、骨芽細胞の分化及び骨形成の前駆体の指標である。その過程はアスコルビン酸により調節されると考えられる。
【0132】
微小小体の形成に対するNELL1の効果を検討するために、NELL1をコードする構築物によりMC3TC細胞に形質移入し、アスコルビン酸の非存在下で細胞を増殖させた。
【0133】
図22A及びBは、NELL1を発現し、微小小体を形成する、且つアルカリホスファターゼで染色された(B)MC3TC細胞の顕微鏡写真である。NELL1の発現は、微小小体の形成と同様にアルカリホスファターゼの誘導も誘導した。従って、NELL1は、骨形成の前駆体である細胞の微小小体の形成において活性があり、NELL1単独で骨芽細胞の分化を誘導するのに十分である。
【0134】
実施例7:石灰化又はカルシウムの細胞内蓄積は、骨芽細胞の分化及び骨形成の前駆体の指標である。石灰化に対するNELL1の効果を検討するために、NELL1をコードする構築物、β−galをコードする対照構築物、又はアンチセンスNELL1をコードするアデノウイルスによって、一次頭蓋冠細胞に形質移入した。培養の3、6、9及び12日後に、フォン・カッサ(Von Kassa)染色により細胞を調べ、細胞内のカルシウム蓄積の存在を検出した。これによりNELL1は骨の石灰化を促進できることが明らかにされた。
【0135】
図23A〜Cは、(A)アンチセンスNELL1ウイルス、(B)β−gal又は(C)NELL1で処理された頭蓋冠細胞の顕微鏡写真である。対照の細胞は、中程度の量の石灰化を有し、NELL1を発現している細胞は、高いレベルの石灰化を有したが、アンチセンスNELL1の細胞では、石灰化は抑制された。この「ノックアウト」試験は、NELL1が骨芽細胞の分化に必要とされることを示している。
【0136】
図23D及びEは、培養の3、6、9及び12日後における対照、GAPFHに対する比としてのオステオカルシン及びオステオポニンのmRNAの発現を示す棒グラフである。12日後、NELL1を発現している細胞は、有意に高いレベルのオステオカルシン及びオステオポニンのmRNAを発現した。従って、NELL1は、骨形成の前駆体である、骨芽細胞の分化及び石灰化の後期細胞性マーカーの発現を誘導することに活性がある。
【0137】
実施例8:トランスジェニック動物モデルを用いて骨形成におけるNELL1の過剰発現の影響を調べた。CMVプロモータをNELL1cDNAに連結し、受精卵に微量注入した。強力なCMVプロモータのもとにNELL1は、汎過剰発現された。
【0138】
図24は、フォン・カッサ染色を示す、NELL1トランスジェニックマウスの組織の顕微鏡写真である。図24に示されるように、NELL1トランスジェニックマウスが頭蓋冠の過剰増殖を有するということは、骨成長を誘導するNELL1の能力は膜の骨形成を包含することを裏付けている。
【0139】
図25A及びBは、NELL1トランスジェニックマウス(A)及び正常の同腹仔(B)の頭蓋冠のフォン・カッサ染色を示す顕微鏡写真である。図25Aに示されるように、正常同腹仔に比べてNELL1トランスジェニックマウスが高い石灰化を有したということは、膜の骨形成におけるNELL1の役割を裏付けている。
【0140】
実施例9:トランスジェニック動物モデルを使用して、Cbfa1の欠損が誘導する発達障害に対するNELL1の発現の効果を調べた。
【0141】
NELL1の調節においてCbfa1が役割を担ってもよいかどうかを確定するために、マウスのCbfa1を含有するプラスミドベクターによりラット胎児の頭蓋冠細胞に形質移入した。
【0142】
図26は、対照細胞と比べた、24及び48時間でのCbfa1形質移入細胞におけるNELL1の発現を示すブロットである。Cbfa1の形質移入は、24時間以内にNELL1の発現を上方制御した(陽性対照、オステオカルシンと共に)。このことは、NELL1が、鍵となる「骨芽細胞転写因子」であるCbfa1の下流にあることを示している。
【0143】
図27A〜Cは骨格染色(上、中)及びマイクロCT(下)の写真である。図27Aは、野生型マウスの正常な骨格パターンを示す。石灰化の典型的な境界を示す(点線)が、前後の泉門(星印)、及び右冠状縫合の輪郭(矢印)を見ることができる。また、正常な頭蓋冠も示す(A、中)。マイクロCTは、典型的な頭蓋顔面骨の形態を明らかにしている。図27Bは、Cbfa1+/−動物の骨格欠損を示す。具体的には、頭蓋冠の欠損の側面から中央にかけてよく染色されていない組織(点線の間)に欠陥のある骨石灰化及び骨形成が存在し、冠状縫合(矢印)の領域に透明像も見られうる。有意な程度の頭蓋冠の形成不全を示す(B、中)。図27Cは、Cbfa+/−+NELL1過剰発現動物の骨格欠損を示し、骨格染色及びマイクロCTにおいてCbfa1+/−半数体欠損動物に比べて頭蓋冠の骨形成に有意な増加が見られる。また、Cbfa1+/−半数体欠損動物に比べて有意に少ない鎖骨形成不全(中)。冠状縫合(矢印)における骨の重なりの修復に注意のこと。従って、トランスジェニックマウスにおいてNELL1の過剰発現は、Cbfa1の欠損を救済したということは、膜の骨形成及び軟骨内の骨形成におけるNELL1の役割を裏付けている。さらに、NELL1は、誕生時欠損した骨において骨を再生することができる。
【0144】
実施例10:臨界サイズ欠損は、膜内骨修復を誘導する作用剤の能力の試験のための重要なモデルである。骨修復におけるNELL1の効果を検討するために、野生型成熟オスCD−1マウスにおいて左右の頭蓋冠欠損(3mm)を創った。左の欠損(対照)は、PLGA/コラーゲンキャリア膜のみを移植したが、右の欠損は、部位当たり200ngのNELL1又はBMP2のいずれかに浸したPLGA/コラーゲンキャリア膜を移植した。頭蓋冠を摘出し、マイクロCT解析により調べた。
【0145】
図28Aは、頭蓋冠欠損の対照(左)及びBMP2(右)処理の写真であり;頭蓋冠欠損の対照(左)及びNELL1(右)処理の写真であり;図29は頭蓋冠欠損のNELL1(左)及びBMP2(右)の処理の写真である。NELL1及びBMP2双方の群で有意な量の骨形成が認められた。従って、NELL1の発現が、臨界サイズ欠損モデルにおいて骨形成を有意に達成し、骨再生を誘導したということは、膜の骨形成におけるNELL1の役割を裏付けている。
【0146】
実施例11:口蓋の急速拡大(RPE)は、膜内骨修復を誘導する作用剤の能力の試験のためのもう1つのモデルである。骨修復におけるNELL1の効果を検討するために、4週令のスプラーグドーリー系ラットを(1)対照の拡大及び(2)NELL1処理による拡大の群に分けた。ラットを屠殺し、口蓋を摘出し、器官培養で生かし続けた。口蓋は拡大し、NELL1を処理群に9日間添加した。
【0147】
図30A及びBは、NELL1で処理して拡大した(A)及び対照(B)の拡大した口蓋の写真である。NELL1及びBMP2の双方の群で有意な量の骨形成が認められた。従って、RPEモデルにおいてNELL1処理が骨形成を有意に達成したということは、膜の骨形成におけるNELL1の役割を裏付けている。
【0148】
実施例12:長骨の発達では軟骨内の骨形成が鍵となる過程である。それには、軟骨芽細胞の増殖、肥大、アポトーシス、血管への侵入、骨芽細胞による置換を含む幾つかの段階がある。これら段階のいずれか1つの加速が軟骨内の骨成長を誘導するであろう。
【0149】
図31A及びBは、NELL1過剰発現のトランスジェニックマウス(A)及び野生型マウス(B)におけるアポトーシス細胞を染色するTUNELにより染色された軟骨組織の写真である。
【0150】
図31Aに示されるように、マウスにおけるNELL1の過剰発現では、軟骨組織は、肥大した軟骨芽細胞及びアポトーシス(アポトーシス核の収縮を同定するためのTUNELアッセイを用いて茶色に染色することにより示される)を示す。TUNEL染色による正常マウス(野生型)の軟骨組織である図31Bでは、極めて少ないアポトーシス細胞が存在し、細胞は肥大していない。従って、NELL1は、軟骨組織の肥大及びアポトーシスを誘導し、それによって長骨の形成及び再生を誘導することができる。
【0151】
実施例13:NELLの基材の調製
【0152】
In vitro。ポリアクチド−コ−グリコリド(85:15;固有粘度〜0.6dL/g;アラバマ州、バーミンガム・ポリマーズ)をクロロホルムに溶解し、5%溶液を調製し、ガラス製の培養皿に注いで24時間ゆっくりと蒸発させた。溶媒の抽出後、以下の8群:(a)被覆なしのポリマーのみ;(b)従来のアパタイト(1xSBFその後1.5xSBF);(c)加速生物模倣のアパタイト(5xSBFその後Mgなし且つカーボネートなしの5xSBF);(d)フィブロネクチン(0.01mg/mL);(e)ポリ−L−リジン(0.01mg/mL);(f)コラーゲン;(g)Mefp−1(0.01mg/mL)及び(h)コラーゲンとヒアルロナンの混合物、に従って膜を被覆した。各群をNELL1含有群(100ng)とNELL1なし群とにさらに分割し、非分化培地(アスコルビン酸なし、βグリセロールホスフェートなし)にて一次骨芽細胞とともに7日間in vitroで培養した。各物質について、NELL1群は、その相手群よりも高いアルカリホスファターゼ活性を刺激した。物質の中では、加速アパタイト(c群)が最も高い活性を誘導し、ポリマーのみ(a群)が最も少ないアルカリホスファターゼ活性を誘導した。
【0153】
In vivo。ポリアクチド−コ−グリコリド(85:15;固有粘度〜0.6dL/g;アラバマ州、バーミンガム・ポリマーズ)をクロロホルムに溶解し、ポロゲン(直径〜100〜300μmのスクロース顆粒)と混合し、粒子浸出及び溶媒抽出の後、〜90%多孔率のPLGA足場を作製した。多孔性の足場をアルゴンプラズマでエッチングし、滅菌し、200ngのNELL1ペプチドを含有するウシ1型コラーゲンの水性混合物で被覆し、乾燥して、成熟オス野生型マウスの頭蓋冠欠損に移植した。陽性対照(PLGA/コラーゲン/BMP)及び陰性対照(PLGA/コラーゲンのみ、成長因子なし)も同様の欠損に移植した。4週目でのマイクロCT解析は、陰性対照(PLGA/コラーゲンのみ)の足場によってはほとんど又はまったく骨形成が誘導されなかったのに対して、NELL1含有及びBMP含有の足場は、4週間までに欠損を横切って迅速且つ完全な石灰化を誘導した。従来の組織学により、石灰化が成熟骨の古典的特長を呈することを確認した。
【0154】
本明細書に記載された実施例及び実施態様は、単に説明を目的とするものであり、その観点からの種々の修正又は変更が当業者に示唆され、それらは、本出願の精神及び範囲並びに添付のクレームの範囲の中に包含されるべきであることが理解される。本明細書で引用した出版物、特許及び特許出願はすべて、あらゆる目的でその全体を参照により本出願に組み入れる。本発明はまた、記載された実施態様の組み合わせ又は既知の方法及び組成物との組み合わせも含むことが理解されるであろう。
【0155】
今や、NELLペプチド発現系及びNELLペプチドの骨形成活性の特定の実施態様を有しているが、これらの実施態様に絶対的な概念は、同様に他の実施態様に用いられてもよいことが理解されるべきである。手短に言えば、本出願の保護は、すぐ後に続くクレームのみに限定される。
【図面の簡単な説明】
【0156】
【図1】核酸配列をコードするヒトNELL1cDNA(配列番号1)である。
【図2】アミノ酸配列をコードするヒトNELL1(配列番号2)である。
【図3】核酸配列をコードするラットNELL1cDNA(配列番号3)である。
【図4】アミノ酸配列をコードするラットNELL1(配列番号4)である。
【図5】核酸配列をコードするマウスNELL1cDNA(配列番号5)である。
【図6】アミノ酸配列をコードするマウスNELL1(配列番号6)である。
【図7】核酸配列をコードするヒトNELL2cDNA(配列番号7)である。
【図8】アミノ酸配列をコードするヒトNELL2(配列番号8)である。
【図9】核酸配列をコードするラットNELL2cDNA(配列番号9)である。
【図10】アミノ酸配列をコードするラットNELL2(配列番号10)である。
【図11】核酸配列をコードするマウスNELL2cDNA(配列番号11)である。
【図12】アミノ酸配列をコードするマウスNELL2(配列番号12)である。
【図13】核酸配列をコードするニワトリNELL2(配列番号13)である。
【図14】アミノ酸配列をコードするニワトリNELL2(配列番号14)である。
【図15A】機能的NELLペプチドを産生させる方法の1つのフローチャートである。
【図15B】機能的NELLペプチドを産生させる方法の1つのフローチャートである。
【図16】シグナルペプチド−NELL1−FLAGの核酸構築物の説明である。下線のアミノ酸配列はメリチンのシグナルペプチドに由来する。アラニンとプロリンとの間の結合は、ハイファイブ細胞による分泌のための推定上の切断部位である。RTVLGFG・・・の残基は、ラット/ヒトNELL1タンパク質の成熟タンパク質に由来する。
【図17AB】NELL1−FLAGの細胞外発現の生成物の説明である。図17Aは、無血清培地においてハイファイブ細胞により産生された精製NELL1ペプチド(生産性:3mg/L培地)を含有するUnoQ溶出物のCBB染色したSDS−PAGEゲルである。図17Bは、抗FLAG抗体を用いたウエスタンブロットである。
【図17CD】NELL1−FLAGの細胞外発現の生成物の説明である。図17Cは、無血清培地においてCOS7細胞により産生された精製NELL1ペプチド(生産性:<0.1mg/L培地)を含有するUnoQ溶出物のCBB染色したSDS−PAGEゲルである。図17Dは、抗FLAG抗体を用いたウエスタンブロットである。
【図18】無血清培地における昆虫細胞によるNELL2−FLAGペプチドの細胞外の発現を説明するウエスタンブロットである。
【図19】2種類の無血清培地(ファイブSFM及びESF921における発現)におけるハイファイブ細胞によるNELL−1及びNELL2−FLAGペプチドの細胞外の発現を説明するウエスタンブロットである。
【図20】NELL−1(1ng、10ng、100ng/mL)及びBMP4(100ng/mL)に暴露したラット胎児の頭蓋冠細胞におけるアルカリホスファターゼの誘導を示す棒グラフである。
【図21】NELL1(A及びB:5ng/mL;C及びD:50ng/mL)で処理した骨芽細胞の顕微鏡写真である。
【図22】アスコルビン酸非存在下で微小小体を形成するNELL1MC3T3微小小体の顕微鏡写真である。Bはアルカリホスファターゼの染色である。
【図23】A〜Cは、(A)抗NELL、(B)β−Gal及び(C)NELLアデノウイルス構築物における石灰化を示す顕微鏡写真である。D及びEは各群のオステオカルシン及びオステオポニンの経時的レベルを表す棒グラフである。
【図24】は、頭蓋冠の過剰増殖を示す石灰化を表すように染色されたNELL1を過剰発現するトランスジェニックマウスの顕微鏡写真である。
【図25】(A)NELL1過剰発現のトランスジェニックマウス及び(B)正常な同腹仔において石灰化について染色された頭蓋冠の顕微鏡写真である。
【図26】(A)Cbfa1で処理した又は(B)対照のラット胎児の頭蓋冠細胞においてNELL1遺伝子の発現を示す逆転写ポリメラーゼ鎖反応のブロットである。
【図27】(A)野生型、(B)Cbfa1+/−及び(C)Cbfa1+/−+NELL1過剰発現のマウスの頭蓋(上)、鎖骨(中)の骨格染色及び頭蓋のマイクロCTの写真である。
【図28】(A)BMP処理した、及び(B)NELL1処理した頭蓋冠欠損の処理(右)及び対照(左)のマイクロCTの写真である。
【図29】頭蓋冠欠損におけるNELL1処理(右)及びBMP処理(左)のマイクロCTの写真である。
【図30】口蓋欠損におけるNELL1処理(左)及び対照(右)のマイクロCTの写真である。
【図31】(A)NELL1過剰発現のマウス及び(B)野生型マウスにおけるTUNEL染色した軟骨組織の顕微鏡写真である。
【図32】選択された位置において骨を形成するために患者を治療する方法の1つのフローチャートである。
【図33】Aはインプラントの実施態様の1つを模式的に表し、Bは、選択された位置において骨を形成するために患者を治療する実施態様の1つを模式的に表す。
【図17】
【技術分野】
【0001】
<連邦政府によって経済援助を受けた研究開発のもとで行なわれた発明の権利に関する声明>
本研究は、NIH/NIDR助成金番号DE9400及びCRC/NIH助成金番号RR00865による支援を受けた。米国政府は本発明に特定の権利を有してもよい。
【0002】
本発明は、一般に骨成長因子に関するものであり、さらに詳しくは、NELL1を含む組成物、NELL1を含む製造物品及びNELL1を用いた骨形成を誘導する方法に関する。本発明はまた、NELL1ペプチド及びNELL2ペプチドの発現及び精製のための方法も提供する。
【背景技術】
【0003】
成長因子は、試験管内又は生体内で規定された細胞集団の増殖及び分化に影響を及ぼす、たとえば、ペプチドのような物質である。
【0004】
骨形成は、長骨(軟骨内の骨形成)及び扁平骨(膜内の骨形成)の発達の間で起きる。さらに、骨形成は、骨格の整合性を維持するために成人で継続して生じる骨リモデリングの間に起きる。最後的に、骨形成は、たとえば、骨折又は手術で骨創傷が生じた場合のような骨修復の間に起きる。長骨及び扁平骨の胎児発生では別個の骨形成メカニズムが関与すると考えられ、修復には、膜内骨形成が関与すると考えられている。
【0005】
いずれのメカニズムによる骨形成にも、成長因子により調節される骨芽細胞の活性が関与する。骨芽細胞は、骨髄幹細胞(間葉幹細胞:MSCとしても知られる)のプールに由来する。これらの細胞は種々の組織に存在するが、骨髄間質で優勢である。MSCは、多能性であり、骨芽細胞、軟骨細胞、線維芽細胞、筋細胞及び脂肪細胞を含む多様な細胞種に分化することができる。成長因子は、骨形成性細胞の増殖、分化及び骨芽細胞の石灰化に影響を与えると考えられ、そのそれぞれが骨形成に影響を与える。
【0006】
たとえば、頭蓋骨癒合症の患者及び中裂移植の患者で骨を修復するのに自家骨が用いられてきた。頭蓋骨癒合症(CS)は、頭蓋縫合の早すぎる閉鎖であり、3,000人の1人の乳児を冒すので、ヒトの最も一般的な頭蓋及び顔面の変形の1つである。早過ぎる縫合の閉鎖は、頭蓋の二形性を生じ、手術による矯正を必要とする可能性がある。ヒトのCSにおける早過ぎる縫合の閉鎖は、2つのおそらく別個の過程:頭蓋冠の過形成及び骨融合により生じる可能性がある。最近、CBFA−1が介在する経路を介した頭蓋縫合の早過ぎる融合にFGF2及びFGFR1が関与するとみなされている(8)。縫合の遅延閉鎖として現れる鎖骨・頭蓋異形成症には、CBFA1のミスセンス変異が連鎖している。
【0007】
たとえば、腸骨稜又は頭蓋冠からの自家骨を利用して自家骨移植処置が行なわれている。これらの供給部位は、腸骨稜については、疼痛、歩行障害、錯感覚を含む病的状態と無関係はなく、頭蓋冠移植については、感染、神経障害及び血腫を含む病的状態と無関係ではない。さらに、供給部位は、容積が限定され、且つ手術時間及び入院期間を長くする可能性がある。
【0008】
異物形成的移植素材も利用されており、動物モデルでは成長因子も調べられている。たとえば、bFGFは骨の再生及び修復における使用に可能性を示している。骨形成性成長因子の別のファミリーは、骨形成タンパク質(BMP)として記載されている。具体的には、BMP−2組換えタンパク質が、下顎連続性障害及び口蓋裂を再生し、粒子状の自家骨及び骨髄と同等か又はそれ以上の結果が得られたことが明らかにされている。BMP及びそのほかの骨形成因子が臨床応用における使用について検討されている。しかしながら、最小の有効性を上げるのに使用するBMP投与量のコストが臨床での使用の限定要因になっている。
【0009】
脊髄の1以上の椎骨をその間での動きがもはや生じないように一体化する脊椎固定は外科手法である。適応には、骨折(破壊)した椎骨の治療、変形の矯正、動きからの疼痛の除去、不安定性の治療、及び一部の頸椎椎間板ヘルニアの治療が挙げられる。手術には、椎骨間に骨移植片を留置して椎骨間のしっかりした結合を得ることが含まれる。その処置にはまた、プレート、ネジ、ケージ及び最近では、骨形成タンパク質2及び7を留置して骨移植片の安定及び癒合を助けることを含む補完治療も関与する。自家骨移植は臨床的には好まれる方法ではあるが、未だに30〜50%の失敗率を有する。自家骨移植は別個の手術であり、重大な病的状態ももたらす。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
従って、骨の発達、障害又は骨の外傷において骨形成を誘導するために、安全で、効果的な、且つ手ごろな価格の組成物及び方法が望まれる。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明は、NELL1ペプチド及びNELL2ペプチドの発現及び精製のための方法を提供する。実施態様の1つでは、方法は、NELLペプチド、NELLペプチドを発現する核酸構築物、及びNELLペプチドの分量を産生するのに有用であってもよいNELLペプチドを発現する細胞を含む。実施態様の1つでは、NELLペプチドを発現する核酸構築物は、宿主細胞におけるタンパク質の輸送及びNELLペプチドの産生後修飾を促進するシグナルペプチドをコードする核酸配列をさらに含んでもよい。実施態様の1つでは、シグナルペプチドは、宿主細胞からのペプチドの分泌を促進してもよい。従って、本発明は、臨床上又は研究上使用するために精製してもよい機能的NELLペプチドの分量を提供する上で少なくとも有利である。
【0012】
本発明は、NELLペプチドを含む組成物及び基材を含んでもよい。一部の実施態様では、組成物は、NELL1を含んでもよく、且つ、たとえば、適用部位に関して、適用、安定性、活性、希釈及び/又は濃度を達成してもよい追加の作用剤を含んでもよい。一部の実施態様では、基材は、移植近傍の骨修復を促進してもよい細胞及び/又はNELL1ペプチドを含んでもよい。
【0013】
本発明は、種々の臨床応用において骨形成性の分化、骨芽細胞の石灰化及び/又は骨形成を誘導する方法を含んでもよい。
【0014】
本発明は、NELLペプチドが既知の成長因子よりも高い効果を提供してもよい、又は他の成長因子の活性を高めてもよいという点で少なくとも有利である。従って、さらに低用量の各成長因子を臨床応用に使用してもよい。このことは、臨床治療がさらに安価であってもよいという点で少なくとも重要である。さらに、本発明は、NELL1が、BMPのみによる治療の臨床割合及び有効性を高めてもよい、骨形成性の分化、骨芽細胞の石灰化及び骨形成を高めるという点で少なくとも有利である。
【0015】
<定義>
用語「ポリペプチド」、「ペプチド」及び「タンパク質」は本明細書では交換可能に使用してもよく、アミノ酸残基の重合体を言う。該用語は、天然に生じるアミノ酸重合体に適用されるのと同様に、1以上のアミノ酸残基が相当する天然に生じるアミノ酸の人工的な化学的類縁体であるアミノ酸重合体にも適用されてもよい。
【0016】
用語「NELL1cDNA」は、配列番号1、3及び5(それぞれ図1、3及び5)を言ってもよく、「NELL2cDNA」は、配列番号7、9、11及び13(それぞれ図7、9、11及び13)を言ってもよい。
【0017】
NELL1ペプチドは、NELL1遺伝子又はcDNAによって発現されてもよいタンパク質であり、配列番号2、4及び6(それぞれ、図2、4及び16)を含む。NELL1ペプチドは、骨形成細胞の分化、骨芽細胞の石灰化及び骨形成を誘導する能力を保持するNELL1ペプチド断片を含んでもよい。NELL2ペプチドは、NELL2遺伝子又はcDNAによって発現されてもよいタンパク質であり、配列番号8、10、12及び14(それぞれ、図8、10、12及び14)を含む。NELL2ペプチドは、完全なNELL2ペプチド配列に類似する活性を保持するNELL2ペプチドを含んでもよい。
【0018】
用語「抗体」は、たとえば、未処理の免疫グロブリン、L鎖及びH鎖の可変領域しか含有しないFv断片、ジスルフィド結合で結合したFv断片、可変領域及び定常領域の一部を含有するFab又は(Fab)’2断片、単鎖抗体などのような種々の形態の改変抗体又は改造抗体を含んでもよい。抗体は、未処理の分子を含んでもよいのと同様にその断片、たとえば、Fab及びF(ab’)2、及び/又はエピトープ決定基に結合してもよい単鎖抗体(たとえば、scFv)を含んでもよい。抗体は、動物(たとえば、マウス又はラット)又はヒト起源であってもよく、或いはキメラ抗体であってもよく、又はヒト化されてもよい。抗体は、ポリクローナル抗体であってもよいし、又はモノクローナル抗体(「mAb」)、たとえば、NELL1タンパク質又はNELL2タンパク質によりコードされたポリペプチドに特異性を持つモノクローナル抗体であってもよい。
【0019】
用語「捕捉剤」は、他の分子を特異的に結合し、たとえば、抗体−抗原、レクチン−炭水化物、核酸−核酸、ビオチン−アビジンなどのような結合複合体を形成する分子を言ってもよい。
【0020】
用語「特異的に結合する」は、生体分子(たとえば、タンパク質、核酸、抗体など)を言ってもよく、異質集団の分子(たとえば、タンパク質及びそのほかの生物製剤)において存在する生体分子を決定するような結合反応を言う。従って、指定された条件下(たとえば、抗体の場合、免疫アッセイ条件又は核酸の場合、ストリンジェントなハイブリッド形成条件)で、特定のリガンド又は抗体は、その特定の「標的」分子に結合してもよく、試料に存在するそのほかの分子には有意な量では結合してはならない。
【0021】
用語「核酸」又は「オリゴヌクレオチド」は、共に共有結合する少なくとも2つのヌクレオチドを言う。本発明の核酸は、場合によっては、たとえば、リンアミド結合、ホスホロチオエート結合、ホスホロジチオエート結合、o−メチルリンアミド結合、及び/又はペプチド核酸主鎖及び結合を含む代替主鎖を有してもよい核酸類縁体を含んでもよいが、一本鎖でもよいし、二本鎖でもよく、ホスホジエステル結合を含有してもよい。類縁体核酸は正の主鎖及び/又は非リボースの主鎖を有してもよい。核酸はまた、1以上の炭素環式の糖を含んでもよい。リボース−リン酸の主鎖の修飾を行なって、たとえば標識のような追加部分の付加を促進してもよいし、又はたとえば、生理的環境におけるそのような分子の安定性高め、半減期を延ばしてもよい。
【0022】
用語「特異的なハイブリッド形成」は、プローブがその標的の部分配列に優先的にハイブリッド形成し、他の配列により少ない程度にハイブリッド形成してもよい条件下を含むストリンジェントな条件下での特定のヌクレオチド配列への核酸分子の優先的な結合、二本鎖形成、又はハイブリッド形成を言う。
【発明を実施するための最良の形態】
【0023】
本発明は、NELL1を用いた骨形成を誘導するための作用剤及び方法に関する。本発明はまた、NELL1タンパク質及びNELL2タンパク質の発現及び精製のための方法に関する。
【0024】
NELL1は、Ting及びWatanabeによって同時に同定された。NELL1は主として骨に分布する810アミノ酸のペプチドである。成人では、NELL2は頭蓋顔面の骨に高レベルで発現され、長骨では低レベルで発現される。骨芽細胞の分化、骨形成及び骨再生におけるその役割は調べられている。NELL2は、1996年Watanabeにより同定されたが、それは、神経細胞及び脳に分布する816ペプチドである。
【0025】
ヒトのNELL1遺伝子は、プロモータ領域に少なくとも3つのCbfa1反応エレメントを含む。Cbfa1はNELL1のプロモータにおけるこれらの反応エレメントに特異的に結合する。NELL1の発現は、発達中及び成人で少なくとも前骨芽細胞、骨芽細胞及び肥大軟骨細胞で内因性に発現されるこの転写因子の制御下にあってもよい。鎖骨頭蓋骨形成不全症は、少なくとも部分的にはCbfaの破壊により生じると考えられている発達上の頭蓋欠陥である。
【0026】
NELL1ペプチド及びNELL2ペプチドの機能を検討するために、該ペプチドを生産し、精製することを試みた。残念ながら、多数の発現系においてNELL1ペプチド及びNELL2ペプチドを発現させることはできなかった。具体的には、大腸菌直接発現系及び酵母発現系において発現は検出されず、大腸菌融合発現系及びCHO−dhfr発現系では、きわめて低レベルの発現が生じた。バキュロウイルス系でペプチドは発現された。
【0027】
NELL1ペプチド及びNELL2ペプチドを昆虫細胞で高レベルに発現することができ、昆虫系で発現させたNELL1ペプチド及びNELL2ペプチドがタンパク質の機能的形態であるということは本発明の驚くべき発見であった。
【0028】
NELL1タンパク質及びNELL2タンパク質を、たとえば、1リットルの培地当たり約10マイクログラムのような低レベルで生産するのにCOS7細胞を使用することができるが、発現には血清を含有する培地を必要とする。残念ながら、この培地はタンパク質の生産には好適ではない。シグナルペプチドについては、NELL1及びNELL2の内因性シグナルペプチドは、COS7細胞では低レベルの発現でしかない。
【0029】
実施態様の1つでは、本発明は、昆虫の細胞株を用いて、NELL1ペプチド又はNELL2ペプチドのような機能的NELLペプチドを発現させる方法を含む。実施態様の1つでは、昆虫細胞は、ハイファイブ細胞(high five cell)、Sf9細胞及びそのほかのSf細胞であってもよい。
【0030】
実施態様の1つでは、方法は、NELL1ペプチド又はNELL2ペプチドのようなNELLペプチドをコードする核酸配列を提供することを含んでもよい。核酸配列は、NELLタンパク質の少なくとも機能的部分をコードするcDNA又はゲノムDNAであってもよい。たとえば、核酸配列は、ヒトNELL1(配列番号1)、ラットNELL1(配列番号3)、マウスNELL1(配列番号5)又はヒトNELL2(配列番号7)、ラットNELL2(配列番号9)、マウスNELL2(配列番号11)、ニワトリNELL2(配列番号13)を含む群から選択されてもよいが、これらに限定されない。核酸配列はまた、たとえば、上に列記した配列のいずれかの部分に少なくとも約75%の配列類似性を有する配列のような、実質的な配列類似性を持つもののような配列を含んでもよい。
【0031】
さらに核酸は、NELL1ペプチド又はNELL2ペプチドのようなNELLペプチドをコードする核酸配列を発現させるための発現ベクターを含んでもよい。たとえば、発現ベクターは、plZTN5−His(インビトロゲン)であってもよく、選択マーカーもブラストシジン及びネオマイシンを含んでもよい。
【0032】
さらに、核酸配列は、遺伝子の発現レベルをモニターするリポータ産物をコードする追加の核酸、又はペプチドの発現レベルをモニターするために当該技術で既知の方法を用いて視覚化することができるペプチドタグをコードする追加の核酸も含んでもよい。追加の配列は、核酸の発現又は発現されたペプチド産物の機能性を妨害しないように選択されてもよい。
【0033】
実施態様の1つでは、方法は、分泌型シグナルペプチドをコードする核酸配列と共に、フレーム内にNELL1ペプチド又はNELL2ペプチドのようなNELLペプチドをコードする核酸配列を提供することを含んでもよい。実施態様の1つでは、分泌型シグナルペプチドは、分泌されたミツバチタンパク質に由来する分泌型シグナルペプチドであってもよい。たとえば、核酸配列は、メリチンのシグナル配列、ショウジョウバエの免疫グロブリン結合タンパク質のシグナル配列、ウマのインターフェロン−γ(eIFNγ)のシグナルペプチド、ヘビのホスホリパーゼA2阻害剤のシグナルペプチド、ヒト及びニワトリのリゾチームのシグナルペプチドを含む群から選択されてもよいが、これらに限定されない。哺乳類の発現系では、プロトリプシンのリーディング配列も使用されてもよい。
【0034】
実施態様の1つでは、方法は、NELLペプチドをコードする核酸構築物により昆虫の細胞株に形質移入し、NELLペプチドを発現できる及び/又は分泌できる条件下で昆虫の細胞株を培養することを含んでもよい。たとえば、NELLペプチドをコードする核酸構築物により一過性に又は安定的に細胞株に形質移入してもよい。
【0035】
方法は、分泌されたNELLペプチドを回収し、及び/又は使用のためにNELLペプチドを精製することも含んでもよい。種々の機能性アッセイ又は発現アッセイにおいて活性についてペプチド生成物を調べてもよい。たとえば、いずれかのアッセイにおいて、任意のパラメータで対照物質よりも有意な効果をNELLペプチドが有するならば、NELLペプチドは、測定されたパラメータを達成するのに機能的であると言われてもよい。
【0036】
実施態様の1つでは、本発明は、昆虫細胞においてNELL1ペプチド及び/又はNELL2ペプチドのようなNELLペプチドを発現するための核酸構築物を含んでもよい。核酸配列は、NELLペプチドの少なくとも機能的な部分をコードするcDNAであっても、ゲノムDNAであってもよい。たとえば、核酸配列は、ヒトNELL1(配列番号1)、ラットNELL1(配列番号3)、マウスNELL1(配列番号5)又はヒトNELL2(配列番号7)、ラットNELL2(配列番号9)、マウスNELL2(配列番号11)、ニワトリNELL2(配列番号13)を含む群から選択されてもよいが、これらに限定されない。核酸配列はまた、たとえば、上に列記した配列のいずれかの部分に少なくとも約75%の配列類似性を有する配列のような、実質的な配列類似性を持つもののような配列を含んでもよい。
【0037】
核酸構築物は、シグナルペプチドをコードする核酸配列を含んでもよい。核酸は、NELLペプチドをコードする核酸配列を発現するための発現ベクターであってもよい。さらに核酸配列は、遺伝子の発現レベルをモニターするリポータ産物をコードする追加の核酸、又はペプチドの発現レベルをモニターするために当該技術で既知の方法を用いて視覚化することができるペプチドタグをコードする追加の核酸も含んでもよい。
【0038】
たとえば、ベクターで形質転換された宿主細胞の生き残り又は増殖に必要なタンパク質をコードする遺伝子のような、選抜可能なマーカーとも呼ばれる選抜遺伝子を含有するならば、核酸構築物は、発現ベクター及びクローニングベクターを含んでもよい。この遺伝子の存在によって、確実に、ベクターを欠失した宿主細胞が、形質転換された宿主に対して増殖や再生で将来利点を得ないようにする。典型的な選抜遺伝子は、(a)抗生物質又はそのほかの毒素、たとえば、アンピシリン、ネオマイシン、メソトレキセート又はテトラサイクリンに耐性を付与する、(b)自己栄養欠乏を補足するタンパク質をコードする。
【0039】
核酸構築物は、宿主生物により認識され、NELLをコードする核酸に操作可能に連結されるプロモータを含んでもよい。プロモータは、構造遺伝子(一般に約100〜1000bpの範囲内)の開始コドンから上流に位置し、誘導性プロモータ及び構成的プロモータを含めてそれらの制御下で核酸の転写及び翻訳を制御する非翻訳配列である。誘導性プロモータは、培養条件の何らかの変化、たとえば、栄養物の存在又は非存在或いは温度の変化に反応してその制御下でDNAからの転写レベルの上昇を開始させるプロモータである。現時点で、種々の可能性のある宿主細胞により認識される多数のプロモータが周知である。
【0040】
核酸は、もう1つの核酸配列との機能的関係に置かれる場合、操作可能に連結されてもよい。たとえば、再配列又は分泌リーダー用のDNAは、それがポリペプチドの分泌に関与するプレタンパク質として発現されるならば、ポリペプチドのDNAに操作可能に連結され;プロモータ又はエンハンサは、それが配列の転写に影響を及ぼすのであれば、コーディング配列に操作可能に連結され;或いはリボソーム結合部位は、それが翻訳を促進するように位置するのであれば、コーディング配列に操作可能に連結される。
【0041】
実施態様の1つでは、本発明は機能的なNELLペプチドを発現する細胞を含んでもよい。実施態様の1つでは、細胞は昆虫細胞であってもよい。実施態様の1つでは昆虫細胞はハイファイブ細胞であってもよい。
【0042】
実施態様の1つでは、細胞は、NELLペプチドをコードする核酸構築物により形質移入されてもよい。たとえば、NELLペプチドをコードする核酸構築物により一時的に又は安定的に細胞株が形質移入されてもよい。実施態様の1つでは、遺伝子発現ベクター又は細胞(たとえば、昆虫細胞)に形質移入する能力があるウイルス粒子で、NELLを発現する核酸(たとえば、cDNA)をクローニングしてもよい。
【0043】
核酸配列は、昆虫の分泌型シグナルペプチドをコードする核酸配列と共に、NELL1ペプチド又はNELL2ペプチドのようなNELLペプチドをコードする核酸配列もフレーム内に含んでもよい。
【0044】
実施態様の1つでは、本発明は機能的なNELLペプチドを発現する細胞を含んでもよく、機能的タンパク質を分泌してもよい細胞を含んでもよい。
【0045】
実施態様の1つでは、本発明はNELL1ペプチド又はNELL2ペプチドのようなNELLペプチドを含むポリペプチド(アミノ酸配列)を含んでもよく、分泌型シグナルペプチドを含んでもよい。
【0046】
たとえば、NELLペプチドのアミノ酸配列は、ヒトNELL1(配列番号2)、ラットNELL1(配列番号4)、マウスNELL1(配列番号6)又はヒトNELL2(配列番号8)、ラットNELL2(配列番号10)、マウスNELL2(配列番号12)、ニワトリNELL2(配列番号14)を含む群から選択されてもよいが、これらに限定されない。アミノ酸配列はまた、たとえば、上に列記した配列のいずれかの部分に少なくとも約75%の配列類似性を有する配列のような、実質的な配列類似性を持つもののような配列を含んでもよく、NELL1ペプチドに類似の活性のある結合ドメインを含有してもよい。
【0047】
実施態様の1つでは、本発明は、以下に記載されたものを含むがこれらに限定されない標準的なペプチド精製プロトコールに従って培養培地に分泌されたNELL1ペプチド及び/又はNELL2ペプチドを精製する方法を含む。
【0048】
実施態様の1つでは、選択された細胞が選択された核酸配列を発現しNELLペプチドを発現し、及び/又は分泌するかどうかを調べてもよい。実施態様の1つでは、NELLペプチドの存在、量及び/又は活性を調べてもよい。
【0049】
実施態様の1つにおける、当業者に周知の多数の方法のいずれかにより検出される及び定量されるNELLペプチド。これらには、電気泳動、キャピラリー電気泳動、高速液体クロマトグラフィ(HPLC)、薄層クロマトグラフィ(TLC)、高分散クロマトグラフィなどのような分析生化学的方法、又は液体若しくはゲルの沈降反応、免疫拡散(単一又は二重)、免疫電気泳動、放射免疫アッセイ(RIA)、酵素結合免疫吸収アッセイ(ELISA)、免疫蛍光アッセイ、ウエスタンブロットなどのような種々の免疫学的方法が挙げられてもよい。
【0050】
実施態様の1つでは、ウエスタンブロット(免疫ブロット)解析を用いて、選択された試料におけるNELLペプチドの存在を検出し、定量してもよい。本技法には、分子量に基づいてゲル電気泳動により試料のタンパク質を分離すること、好適な固形の支持体(たとえば、ニトロセルロースフィルター、ナイロンフィルター、又は誘導体化したナイロンフィルター)に分離したタンパク質を移すこと、及び標的ペプチドを特異的に結合する抗体と共に試料をインキュベートすることが含まれてもよい。
【0051】
本発明のアッセイは、当業者に周知の標準的な方法に従って評点化(陽性又は陰性又は標的ポリペプチドの量として)してもよい。評点化の特定の方法は、アッセイ形式及び標識の選択に依存する。たとえば、酵素標識により生じる発色生成物を視覚化することによりウエスタンブロットアッセイを評点化してもよい。正しい分子量での明瞭な目に見える色のついたバンド又はスポットを陽性の結果として評点化してもよく、一方、明瞭に目に見えるスポットやバンドの非存在を陰性として評点化してもよい。バンドやスポットの濃さが、標的ポリペプチドの濃度の定量的測定を提供してもよい。
【0052】
そのような発現系で生成されたNELL1は、骨形成タンパク質(たとえば、BMP−1〜BMP−24)に対して類似の方式で使用することができる。従って、骨折の修復を急がせるのに、或いは自然治癒に限界がある又は自然治癒がないような状況下で骨の修復又は置換を誘導するのにNELL1ポリペプチドを使用することができる。さらに、骨移植材にNELL1ポリペプチドを組み入れることができる。骨折の治療、或いは人工補助物又は骨移植及び脊椎固定の置換/治癒を促進するためにこれらの移植材を使用することができる。
【0053】
本発明はまた、骨形成の程度及び/又は速度を高めるための作用剤及び方法を含んでもよい。さらに具体的には、本発明は、骨形成を高めるための作用剤の全身性及び/又は局所の適用を含んでもよい。DEXAスキャンにより評価されるように骨形成の所望の部位にて骨密度の改善によって、骨形成の程度及び/又は速度を高める方法又は作用剤の臨床指標を立証する。選択した時間間隔での骨折部位の通常のX−線によって、治癒しつつある骨折における骨形成の増大を日常的に評価する。定量的CTスキャンのような、上記指標を決定するためのさらに進んだ技法を使用してもよい。
【0054】
実施態様の1つでは、本発明は、骨形成細胞におけるNELL1遺伝子産物の濃度を高めること、任意選択で第2の作用剤を適用すること、及び骨芽細胞分化の細胞性マーカーの発現を誘導することを含む骨形成細胞の分化を増大させる方法を含んでもよい。
【0055】
該方法は、骨形成細胞にNELL1ペプチドを適用することによりNELL−1遺伝子産物の濃度を高めることを含んでもよく、NELL1ペプチドは、配列番号2、配列番号4又は配列番号6、或いは骨芽細胞分化を増大させることに有効であるNELL1ペプチドのいずれかの部分を含む群から選択されてもよい。方法は、たとえば、発現調節分子、Cbfa1の細胞性レベルを高めることのような、内因性NELL1遺伝子の発現を誘導することによってNELL1遺伝子産物の濃度を高めることを含んでもよい。方法は、NELL1ペプチドをコードする核酸構築物により骨形成細胞に形質移入することによってNELL1遺伝子産物の濃度を高めることを含んでもよく、NELL1ペプチドをコードする核酸構築物は、配列番号1、配列番号3又は配列番号5を含む群から選択されてもよい。
【0056】
骨形成細胞には、骨芽細胞、間葉細胞、線維芽細胞、胎児性胚細胞、幹細胞、骨髄細胞、硬膜細胞、軟骨細胞、軟骨幹細胞及び脂肪幹細胞が挙げられてもよいが、これらに限定されない。
【0057】
骨形成細胞はまた、骨組織内に局在する、骨組織に接触する又は骨組織に移動する
(すなわち、「ホーミングする」)細胞、及び細胞が直接又は間接的に骨組織の形成を刺激する細胞も含んでもよい。そういうものとして、骨形成細胞は、最終的に成熟骨芽細胞自体に分化する細胞、すなわち、「直接」骨組織を形成する細胞であってもよい。
【0058】
第2の作用剤には、TGF−β、BMP2、BMP4、BMP7、bFGF、及びコラーゲンが挙げられてもよいが、これらに限定されない。第2の作用剤は、骨芽細胞分化を誘導する際、NELL−1と相補的又は相乗的な効果を有するように選択されてもよい。
【0059】
骨芽細胞分化の細胞性マーカーには、アルカリホスファターゼ活性の上昇、オステオカルシン及びオステオポニンのmRNA発現、BMP7の発現、デコリンの発現及びラミニンB1の発現が挙げられるが、これらに限定されない。しかしながら、その活性又は発現が骨芽細胞分化の結果として変化するいかなる細胞性マーカーもそのようなマーカーとして使用してもよい。
【0060】
実施態様の1つでは、骨芽細胞の石灰化を高める方法は、骨芽細胞におけるNELL1遺伝子産物の濃度を高めること、任意選択で第2の作用剤を適用すること、及び石灰化の細胞性マーカーの発現を誘導することを含んでもよい。
【0061】
該方法は、骨形成細胞にNELL1ペプチドを適用することによってNELL1遺伝子産物の濃度を高めることを含んでもよく、NELL1ペプチドは、配列番号2、配列番号4又は配列番号6、或いは骨芽細胞の石灰化を高めることに有効であるNELL1ペプチドのいずれかの部分を含む群から選択されてもよい。第2の作用剤は、骨芽細胞の石灰化を誘導する際、NELL−1と相補的又は相乗的な効果を有するように選択されてもよい。
【0062】
骨芽細胞石灰化の細胞性マーカーには、カルシウムの取り込みレベルの増加が挙げられるが、これに限定されない。しかしながら、その活性又は発現が骨芽細胞石灰化の結果として変化するいかなる細胞性マーカーもそのようなマーカーとして使用してもよい。
【0063】
実施態様の1つでは、膜内骨形成を増大させる方法は、骨形成が所望される位置にてNELL1遺伝子産物の濃度を高めること、任意選択で骨形成が所望されるほぼ同一位置領域に第2の作用剤を適用すること、及び膜内骨形成の形成を誘導することを含んでもよい。
【0064】
該方法は、骨形成が所望される位置にNELL1ペプチドを適用することによりNELL1遺伝子産物の濃度を高めることを含んでもよく、NELL1ペプチドは、配列番号2、配列番号4又は配列番号6、或いは膜内骨形成を高めることに有効であるNELL1ペプチドのいずれかの部分を含む群から選択されてもよい。
【0065】
第2の作用剤には、TGF−β、BMP2、BMP4、BMP7、bFGF、コラーゲン、骨形成細胞、骨、骨基質、腱基質、靭帯基質が挙げられるが、これらに限定されない。第2の作用剤は、膜内骨形成を誘導する際、NELL−1と相補的又は相乗的な効果を有するように選択されてもよい。
【0066】
膜内骨の形成は、骨形成が所望される領域における骨密度の組織学、DEXAスキャン又はCTスキャンを目的とした顕微鏡的検査によって評価してもよい。
【0067】
実施態様の1つでは、軟骨内の骨形成を増大させる方法は、骨形成が所望される領域におけるNELL1遺伝子産物の濃度を高めること、任意選択で、骨形成が所望される領域に第2の作用剤を適用すること、及び骨形成が所望される領域で軟骨芽細胞の肥大を少なくとも誘導することを含んでもよい。
【0068】
該方法は、骨形成が所望される位置にNELL1ペプチドを適用することによりNELL1遺伝子産物の濃度を高めることを含んでもよく、NELL1ペプチドは、配列番号2、配列番号4又は配列番号6、或いは軟骨内骨形成を高めることに有効であるNELL1ペプチドのいずれかの部分を含む群から選択されてもよい。
【0069】
第2の作用剤には、TGF−β、BMP2、BMP4、BMP7、bFGF、コラーゲン、骨形成細胞、骨、骨基質、腱基質、靭帯基質が挙げられてもよいが、これらに限定されない。第2の作用剤は、軟骨内骨形成を誘導する際、NELL−1と相補的又は相乗的な効果を有するように選択されてもよい。
【0070】
軟骨内骨の形成は、TUNELスキャンにより解明される肥大した及びアポトーシスの軟骨芽細胞の増加により見られるような軟骨芽細胞の肥大によって評価してもよい。
【0071】
実施態様の1つでは、本発明は、キャリア又は基材にNELL1を組み入れる方法、及び得られる基材を含んでもよい。
【0072】
実施態様の1つでは、骨形成を誘導する組成物は、NELL1ペプチド、及びNELL1ペプチドの発現を変化させる作用剤又はNELL1ペプチドの活性を変化させる作用剤を含む群から選択されるが、これらに限定されない、骨形成を誘導する、有効量の第1の作用剤、並びに任意選択でのキャリアを含んでもよい。
【0073】
該組成物は、配列番号2、配列番号4又は配列番号6、或いは骨形成を誘導することに有効であるNELL1ペプチドのいずれかの断片を含む群から選択されるNELL1ペプチドを含んでもよい。
【0074】
組成物は、TGF−β、BMP2、BMP4、BMP7、bFGF、コラーゲン、骨、骨基質、腱基質又は靭帯基質、骨形成細胞及び/又は骨芽細胞を含むが、これらに限定されない第2の作用剤を含んでもよい。
【0075】
実施態様の1つでは、たとえば、酵素的メカニズム又は加水分解のメカニズムによって分解できるような生分解性であってもよい。キャリアの例には、たとえば、ポリ(L−ラクチド)(PLLA)、ポリ(D,L−ラクチド)(PDLLA)、ポリグリコリド(PGA)、ポリ(ラクチド−コ−グリコリド(PLGA)、ポリ(カプロラクトン)、ポリ(トリメチレンカーボネート)、ポリ(p−ジオキサノン)、ポリ(カプロラクトン−コ−グリコリド)、ポリ(グリコリド−コ−トリメチレンカーボネート)ポリ(D,L−ラクチド−コ−トリメチレンカーボネート)のようなポリ(α−ヒドロキシ酸)、ポリアリーレート類、ポリヒドロキシブチラート(PHB)、ポリ無水物、ポリ(無水物−コ−イミド)、プロピレン−コ−フマレート類、ポリラクトン類、ポリエステル類、ポリカーボネート類、ポリアニオン系ポリマー類、ポリ無水物、ポリエステルアミド類、ポリ(アミノ酸)、ホモポリペプチド類、ポリ(ホスファゼン)、ポリ(グラクサノン)、多糖類、及びポリ(オルソエステル)、ポリグラチン、ポリグラチン酸、ポリアルドン酸、ポリアクリル酸、ポリアルカノエート類のような、しかし、これらに限定されない合成の吸収性ポリマー類、これらのコポリマー及び混合物、並びに任意の誘導体及び修飾体にが挙げられるが、これらに限定されない。たとえば、参照により本出願に組み入れられる米国特許第4,563,489号及びPCT国際出願WO/03024316を参照のこと。キャリアのそのほかの例には、アルキルセルロース、ヒドロキシアルキルセルロース、メチルセルロース、エチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピル−メチルセルロース、ヒドロキシメチルセルロースのようなセルロース系ポリマー類、及びそれらのカチオン系の塩が挙げられるが、これらに限定されない。キャリアのそのほかの例には、炭酸カルシウム、リン酸カルシウム、アパタイト類、生体活性ガラス材料、及びサンゴ由来のアパタイト類のような合成及び天然のバイオセラミックスが挙げられるが、これらに限定されない。たとえば、参照により本出願に組み入れられる、米国特許出願2002187104号、PCT国際出願WO/9731661及びPCT国際出願WO/0071083を参照のこと。
【0076】
実施態様の1つでは、キャリアはさらに、ゾルゲル技法に由来する生体ガラス及び/又はアパタイトを含む組成物、或いは、天然の血清濃度の約1.5〜7倍の範囲内でのカルシウム及びリン酸の濃度を持ち、約15〜65℃の温度で約2.8〜7.8のpH範囲を持つ溶液に種々の手段で調製された人工体液のような、しかし、これに限定されない浸漬技法に由来する生体ガラス及び/又はアパタイトを含む組成物によって被覆されてもよい。たとえば、参照により本出願に組み入れられる米国特許第6,426,114号及び同第6,013,591号、並びにPCT国際出願WO/9117965を参照のこと。
【0077】
キャリアのそのほかの例には、コラーゲン(たとえば、Collastat、Helistatコラーゲンスポンジ)、ヒアルロナン、フィブリン、キトサン、アルギネート及びゼラチンが挙げられる。たとえば、参照により本出願に組み入れられるPCT国際出願WO/9505846、WO/02085422を参照のこと。
【0078】
実施態様の1つでは、キャリアは、ヘパリン様ポリマー、たとえば、デキストラン硫酸、コンドロイチン硫酸、硫酸ヘパリン、フカン、アルギネート、又はそれらの誘導体を含むが、これらに限定されないヘパリン結合剤;及びアミノ酸修飾を持つペプチド断片を含んでヘパリンへの親和性を高めてもよい。たとえば、参照により本出願に組み入れられるJournal of Biological Chemistry, 278(44):43229-43235, 2003を参照のこと。
【0079】
実施態様の1つでは、基材は液体、固体又はゲルの形態であってもよい。
【0080】
実施態様の1つでは、基材は流動性ゲルの形態であるキャリアを含んでもよい。ゲルは、骨形成が所望される部位に注射器を介して注入できるように選択してもよい。ゲルは、一次結合により形成され、pH、イオン基及び/又は溶媒濃度により制御される化学作用によるゲルであってもよい化学作用によるゲルであってもよい。ゲルはまた、二次結合により形成され、温度及び粘度により制御されてもよい物理作用によるゲルであってもよい。ゲルの例には、プルロニック類、ゼラチン、ヒアルロナン、コラーゲン、ポリアクチド−ポリエチレングリコール溶液及び抱合体、キトサン、シトサン&b−グリセロホスフェート(BST−ゲル)、アルギネート類、アガロース、ヒドロキシプロピルセルロース、メチルセルロース、ポリエチレンオキシド、N−メチル−2−ピロリドン中のポリアクチド/グリコリドが挙げられるが、これらに限定されない。たとえば、参照により本出願に組み入れられるAnatomical Record, 263(4):324-349, 2001を参照のこと。
【0081】
実施態様の1つでは、キャリアは、たとえば、少なくとも約250nmの波長での電磁波照射による光重合が可能であってもよい。光重合が可能なポリマーの例には、ポリエチレン(PEG)アクリレート誘導体、PEGメタクリレート誘導体、プロピレンフマレート−コ−エチレングリコール、ポリビニルアルコール誘導体、PEG−コ−ポリ(ヒドロキシ酸)ジアクリレートマクロマー、並びに、たとえば、ヒアルロン酸誘導体及びデキストランメタクリレートのような修飾多糖類が挙げられる。たとえば、参照により本出願に組み入れられる米国特許第5,410,016号を参照のこと。
【0082】
実施態様の1つでは、基材は、温度感受性であるキャリアを含んでもよい。例には、N−イソプロピルアクリルアミド(NiPAM)、又は低下させた低臨界溶解温度(LCST)で修飾したNiPAM、並びにエチルメタクリレート及びN−アクリルオキシスクシンイミドの取り込みにより向上させたペプチド(たとえば、NELL1)の結合;又はブチルメタクリレート、ヘキシルメタクリレート及びドデシルメタクリレートのようなアルキルメタクリレートから作製されたキャリアが挙げられる。参照により本出願に組み入れられるPCT国際出願WO/2001070288;米国特許第5,124,151号。
【0083】
実施態様の1つにおける、受容体介在性のメカニズムを介して細胞−マトリクスの結合を促進してもよい細胞接着分子、接着ペプチド及び接着ペプチド類縁体によって装飾される及び/又は固相化される表面を、及び/又はたとえば、ポリカチオン系ポリアミノ酸ペプチド(たとえば、ポリリジン)、ポリアニオン系ポリアミノ酸ペプチド、Mefpクラス接着分子及びそのほかのDOPAリッチペプチド(たとえば、ポリリジンDOPA)、多糖類及びプロテオグリカン類のような、しかし、これらに限定されないものを結合する受容体非介在性のメカニズムを介して接着を促進してもよい分子部分によって装飾される及び/又は固相化される表面を、キャリアが有してもよい場合。たとえば、参照により本出願に組み入れられるPCT国際出願WO/2004005421、WO/2003008376、WO/9734016を参照のこと。
【0084】
実施態様の1つでは、キャリアは、コラーゲン、ゼラチン、ヒアルロン酸、アルギネート、ポリ(エチレングリコール)、メチルセルロース、エチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピル−メチルセルロース及びカルボキシメチルセルロースを含むアルキルセルロース(ヒドロキシアルキルセルロースを含む)、血液、フィブリン、ポリオキシエチレンオキシド、硫酸カルシウム半水化物、アパタイト類、カルボキシビニルポリマー、及びポリ(ビニルアルコール)のような、しかし、これらに限定されない金属イオン封鎖剤を含んでもよい。たとえば、参照により本出願に組み入れられる米国特許第6,620,406号を参照のこと。
【0085】
実施態様の1つでは、キャリアは、たとえば、ポリオキシエステル(たとえば、ポリソルベート80、ポリソルベート20又はプルロニックF−68)のような、しかし、これらに限定されない、キャリア物質の中におけるNELL1の安定性及び/又は分布を促進するための界面活性剤を含んでもよい。
【0086】
実施態様の1つでは、キャリアは、たとえば、グリシン、グルタミン酸塩酸塩、塩化ナトリウム、グアニジン、ヘパリン、グルタミン酸塩酸塩、酢酸、コハク酸、ポリソルベート、デキストラン硫酸、スクロース及びアミノ酸のような、しかし、これらに限定されない緩衝剤を含んでもよい。たとえば、参照により本出願に組み入れられる米国特許第5,385,887号を参照のこと。実施態様の1つでは、上記で列記したもののような物質の組み合わせを含んでもよい。
【0087】
例示の目的で、キャリアは、PLGA/コラーゲンキャリア膜であってもよい。NELL1ペプチドを含む溶液中に該膜を浸してもよい。
【0088】
実施態様の1つでは、人体に使用するインプラントは、インプラントの近傍で骨形成を誘導するのに十分な量のNELL1を含む基材を含んでもよい。
【0089】
実施態様の1つでは、人体に使用するインプラントは、インプラントの近傍で骨形成を誘導するのに十分な量のNELL1を含む表面を有する基材を含んでもよい。
【0090】
実施態様の1つでは、人体に使用するインプラントは、骨形成細胞、及び骨形成を誘導するのに十分な量のNELL1を含む表面を有する基材を含んでもよい。実施態様の1つでは、インプラントは、自己の細胞、骨形成細胞又は骨芽細胞、NELL1又はもう1つの骨形成分子を発現する細胞を含むが、これらに限定されない細胞と共に播かれてもよい。
【0091】
インプラントは、メッシュ、ピン、プレート又は人工装具の継ぎ目に形成された基材を含んでもよい。例示の目的で、基材は歯科用インプラント又は整形外科用インプラントの形態であってもよく、NELL1は、インプラント近傍の骨における統合を向上させるのに使用されてもよい。インプラントは、たとえば、コラーゲンを含む基材のような吸収可能である基材を含んでもよい。
【0092】
一例では、本発明に係る組成物は、時間放出の錠剤の中に含有されてもよい。
【0093】
NELL1を許容可能なキャリアと組み合わせて医薬組成物を形成してもよい。許容可能なキャリアは、たとえば、組成物を安定化させるように、又は作用剤の吸収を増減するように作用する生理学的に許容可能な化合物を含有することができる。生理学的に許容可能な化合物には、グルコース、スクロース又はデキストランのような炭水化物、アスコルビン酸及びグルタチオンのような抗酸化剤、キレート剤、低分子量タンパク質、細胞分裂防止剤のクリアランス又は加水分解を減らす組成物、又は賦形剤又はそのほかの安定剤及び/又は緩衝液を挙げることができる。
【0094】
そのほかの生理学的に許容可能な化合物には、湿潤剤、乳化剤、分散剤、微生物の増殖や作用を妨げるのに特に有用である防腐剤が挙げられる。種々の防腐剤が周知であり、たとえば、フェノール及びアスコルビン酸が挙げられる。当業者は、生理学的に許容可能な化合物を含むキャリアの選択が、たとえば、投与経路に依存することを十分理解するであろう。
【0095】
投与の方法に依存する種々の単位投与形態で組成物を投与することができる。たとえば、好適な単位投与形態には、散剤、錠剤、丸薬、カプセルが挙げられてもよい。
【0096】
本発明の組成物は、たとえば、水溶性ペプチドのための水性キャリアのような薬学上許容可能なキャリアに溶解されたNELL1ペプチドの溶液を含んでもよい。たとえば、緩衝化した生理食塩水などのような種々のキャリアを使用することができる。これらの溶液は無菌であり、一般に望ましくないものは含まれていない。従来の、周知の滅菌技法でこれらの組成物を滅菌してもよい。組成物は、たとえば、pH調整剤及び緩衝剤、毒性調整剤などのような、必要に応じて生理的条件に近似させるための薬学上許容可能な補助的物質を含有してもよい。
【0097】
これらの処方におけるNELL1ペプチドの濃度は、幅広く変化させることができ、選択された投与形式及び患者のニーズに従って、主として液体容積、粘度、体重などに基づいて選択されるであろう。
【0098】
投与計画は、種々の患者の変数(たとえば、体重、年齢、性別)及び臨床提示(たとえば、負傷の程度、負傷の部位など)と同様に、対処する臨床適応によって決定されるであろう。
【0099】
しかしながら、本発明において有用なNELL1ペプチド又はNELL1剤の治療上の有効用量は、上述のような骨芽細胞の分化、石灰化、骨形成を向上させる作用剤の能力によって測定されるとき、患者において陽性の臨床効果を有する、又は細胞において所望の効果を有するものである。各ペプチド又は作用剤の治療上有効な用量を調節して、負の副作用をできるだけ抑える一方で、所望の臨床効果を達成することができる。ペプチド又は作用剤の投与量は、投与経路、疾患の重症度、患者の年齢及び体重、患者が服用しているそのほかの薬物、並びに通常、主治医により考慮されるそのほかの要因によって、個々の計画及び特定の患者に適した用量レベルを決定する際、個々の患者について選択されてもよい。
【0100】
投与形態。投与形態に含まれる作用剤の治療上有効な用量は、選択された作用剤の種類及び投与経路を考慮することによって選択されてもよい。投与形態は、製薬技術の当業者に既知であるように、患者への投与形態を円滑にするためのアジュバント及び薬学上許容可能なキャリアを含む、そのほかの不活性成分と組み合わせた作用剤を含んでもよい。
【0101】
実施態様の1つでは、本発明は、骨形成を増大させるために選択された間隔で有効な投与形態にて治療上有効な用量でNELL1ペプチドを投与することを含む、患者を治療して骨形成を誘導する方法を含んでもよい。該方法は、TGF−β、BMP2、BMP4、BMP7、bFGF、コラーゲン、骨、骨基質、腱基質又は靭帯基質、骨形成細胞及び/又は骨芽細胞を含むが、これらに限定されない少なくとも1種の第2の作用剤を骨形成が所望される領域に投与することをさらに含んでもよい。
【0102】
実施態様の1つでは、患者を治療して骨形成を誘導する方法は、哺乳類の骨形成細胞を回収すること、骨形成細胞に接触するNELL1ペプチドの発現濃度を高めること、及び骨形成が所望される領域に骨形成細胞を投与することを含んでもよい。
【0103】
実施態様の1つでは、頭蓋顔面の障害又は口蓋裂を有する胎児、乳児又は成人に生じる頭蓋の外傷又は頭蓋の障害を修復するための骨形成が所望されてもよい。実施態様の1つでは、治癒しない骨損傷(骨が損傷において再生できない又は治癒できない場合、臨界サイズ欠陥としても知られる)の領域で骨形成が所望されてもよい。全骨創傷治癒は、膜(膜内とも呼ばれる)の骨形成によると考えられているので、臨界サイズ欠陥モデルは、長骨骨折を含む全骨治癒を達成する作用剤における厳格試験として検討されている。たとえば、長骨の骨折及び頭蓋冠の欠陥は双方共に、膜の骨形成により治癒する。実施態様の1つでは、歯槽骨移植又は歯槽堤の増強、或いは歯周骨欠陥において骨形成が所望されてもよい。実施態様の1つでは、関節用又は歯科用インプラントのようなインプラント、或いは美容整形用オンプラントの統合を向上させるために骨形成が所望されてもよい。
【0104】
実施態様の1つでは、骨移植のための自己材料、自家材料又は異物形成的材料の代替的に、或いはそれに加えて、骨形成が使用されてもよい。
【実施例】
【0105】
以下の実施例は説明のために提供されるのであって、請求される本発明を限定するものではない。
【0106】
実施例1:NELLペプチドの発現
【0107】
発現ベクターPiZTN5−His(3.4kb)(EcoRV部位、インビトロゲン)にcDNA断片を連結し、cDNA断片は、メリチンのシグナルペプチド、ラットの成熟NELL1のBamHI−EcoRIcDNA断片及びFLAGタグ配列を包含した。図16は、本実施例で使用したcDNA構築物の核酸配列、及び相当する推定上のペプチド配列の描写である。
【0108】
ハイファイブ細胞(BTI−TN−5B1−4)を無血清培地に馴化させ、NELL1ペプチド発現ベクターにより細胞に形質移入した。NELL1−FLAG構築物を発現する細胞集団のみを選択するように細胞をゼオシンで処理した。生き残った細胞集団が安定した形質転換体であることを確認した。細胞外の培地を回収し、NELL1ペプチドの存在について調べた。NELL1ペプチドを精製し、以下に記載する機能的アッセイに用いた。
【0109】
図17Aは、精製されたNELL1ペプチドを含有するUnoQ溶出液のCBB染色したSDS−PAGEの説明である。本明細書に記載されたように培地をUnoQカラム(バイオラッド)にかけた。図4Bは、タンパク質マーカーを参照したNELL1−FLAGの発現を示す抗FLAG抗体を用いたウエスタンブロットの説明である。ペプチド:140kDa(細胞内の前駆体)、130kDa(成熟型:90kDaのペプチド)、400kDa(分泌型、ホモ三量体)。上記実施例では、発現系における生産性は培地1L当たりNELL1ペプチド約3mgであった。
【0110】
ペプチドを全く発現しない又は分泌しない他の発現系(たとえば、酵母を含む、細菌での発現)、或いはそのペプチド生産が極めて低い他の発現系(たとえば、大腸菌融合ペプチド系、CHO−dhfr細胞、>10mcg/L)に比べて、記載した系(哺乳類細胞及び昆虫細胞)による生産は、驚くべきことに、且つ実質的に大量の機能的タンパク質の生産でさらに効果的である。
【0111】
ラットの組換えNELL1タンパク質の発現及び精製。C末端にFLAGタグを付けたNELL1ペプチドの昆虫細胞による産生について。pTB701−NELL1−FLCプラスミド(Kuroda, BBRC)に由来するFLAGエピトープ配列に融合したラットのNELL1cDNAを昆虫の発現ベクター、plZTN5−His(インビトロゲン)に挿入することにより、plZT−NELL1−FLCプラスミドを構築した。さらに、PCR法を用いて、NELL1の本来の分泌シグナル配列をミツバチのミリチンのシグナル配列に置き換えた。ハイファイブ細胞はインビトロゲンから購入し、ハイファイブ無血清培地(インビトロゲン)で培養した。FuGene6(ロシュ)を用いてplZT−NELL1−FLCプラスミドによりハイファイブ細胞に形質移入した。形質移入後48時間に、400mg/mLのゼオシン(インビトロゲン)で細胞を選抜した。安定した発現細胞株を確立するまで3〜4日に1回選抜培地を交換する。免疫沈降及びウエスタンブロット解析を用いてNELL1の分泌を確認した。ハイファイブ細胞は、培養培地中でNELL1ペプチド(140kDa)を発現することが見い出された。
【0112】
UnoQ−1カラム(バイオラッド)を用いた陰イオン交換クロマトグラフィによって、ゼオシン耐性ハイファイブ細胞の培養培地からラットの組換えNELL1−FLCペプチドを精製した。NELL1ペプチドは500mMのNaClにて溶出された。
【0113】
Cos7細胞によりC末端にFLAGタグを付けたNELL1ペプチドを生産するために、pTB701−NELL1−FLCプラスミドに由来するFLAGエピトープ配列に連結したラットNELL1cDNAを哺乳類の発現ベクター、pcDNA3.1(インビトロゲン)に挿入することによってpcDNA3.1−NELL1−FLCプラスミドを構築した。10%FBSを補完したDMEMにてCos7細胞を培養した。内因性NELLシグナルペプチドプラスミドを用い、エレクトロポレーション法を用いて、pcDNA3.1−NELL1−FLCによりCos7細胞に形質移入した。形質移入の48時間後、培養培地を、NELL1ペプチド用の免疫沈降及びウエスタンブロット解析の対象とした。
【0114】
図17Cは、NELL1−FLAGを含むUnoQの溶出液のCBBで染色したSDS−PAGEゲルの説明である。これらの発現試験は、たとえば、シグナル配列を含むことのように、分泌効率を高めるためにNELLのN末端を修飾しなければ、COS7が機能的NELLペプチドを発現しないことを示した。図17Dは、NELL1−FLAGの発現を示す抗FLAG抗体を用いたウエスタンブロットの説明である。
【0115】
ラットの組換えNELL2タンパク質の発現及び精製。C末端にFLAGタグを付けたNELL2ペプチドの昆虫細胞による産生について。pTB701−NELL2−FLCプラスミドに由来するFLAGエピトープ配列に融合したラットのNELL2cDNAを昆虫の発現ベクター、plZTN5−His(インビトロゲン)に挿入することにより、plZT−NELL1−FLAGプラスミドを構築した。ハイファイブ細胞はインビトロゲンから購入し、ハイファイブ無血清培地(インビトロゲン)で培養した。FuGene6(ロシュ)を用いてplZT−NELL1−FLAGプラスミドによりハイファイブ細胞に形質移入した。形質移入後48時間に、400mg/mLのゼオシン(インビトロゲン)で細胞を選抜した。安定した発現細胞株を確立するまで3〜4日に1回選抜培地を交換した。免疫沈降及びウエスタンブロット解析を用いて培養培地におけるNELL2の発現を確認した。ハイファイブ細胞は、培養培地中でNELL2ペプチド(140kDa)を発現することが見い出された。
【0116】
UnoQ−1カラム(バイオラッド)を用いた陰イオン交換クロマトグラフィによって、ゼオシン耐性ハイファイブ細胞の培養培地からラットの組換えNELL2−FLCペプチドを精製した。NELL2ペプチドは500mMのNaClにて溶出された。
【0117】
実施例2:培養培地からのNELL2タンパク質の精製
【0118】
plZT−FLC−NELL2を持つハイファイブ細胞を無血清培地(1L)で約3日間培養した。培養培地を3000xgにて5分間遠心し、上清を回収した。最終濃度1mMでPMSFを加えた。飽和硫安溶液(80%飽和、v/v)を加え、溶液を4℃にて1時間保持した。溶液を15000xgにて30分間遠心し、沈殿物を回収した。沈殿物を20mMのトリスHCl(pH8.0)、1mmのEDTA50mLに4℃にて溶解し、4℃(1mL/分の速度)にてFPLC(アマシャム−ファルマシア)により、20mMのトリスHCl(pH8.0)、1mMのEDTAで平衡化した陰イオン交換クロマトグラフィUnoQカラム(6mL、バイオラッド)にかけた。同一緩衝液でカラムを十分に洗浄した。
【0119】
次いで、同一緩衝液中の0M〜1.5MのNaClの勾配により結合しているタンパク質を溶出した。抗FlagM2(シグマ)Abを用いたウエスタンブロットにより、NELL2−FLAGの分画を同定した。陽性の分画を1本の試験管に回収した。最終生成物を継ぎ目のないセルロースチューブ(和光、MW12000カットオフ)にて1LのPBSに対して4℃で一晩透析した。生成物を−70℃に保存した。
【0120】
SDS−PAGE/CBB染色によりNELL2−FLAGペプチドの純度を調べた。図18は、精製したNELL2ペプチドを含有するUnoQの溶出液のCBB染色したSDS−PAGEゲルの説明である。カラムAは、約130kDaでのペプチドのバンドが細胞の培地から単離されたことを示す。「IP」は、免疫沈降に用いた抗FLAG抗体を言い、「WB」は、ウエスタンブロット検出に用いた抗FLAG抗体を言う。
【0121】
図19は、ファイブSFMからのNELL1及びNELL2の発現を説明するブロットである。「ESF921」は無血清培地の商品名を言い、「ファイブSFM」は培地の商品名を言う。双方のNELLタンパク質の発現のための構築物は上述のものと同様である。
【0122】
実施例3:アルカリホスファターゼ活性の上昇は、骨芽細胞の分化の初期細胞性マーカーである。試験の1つでは、経過時間の間、本明細書で記載された方法を用いて産生されたNELL1(1ng/mL、10ng/mL、100ng/mL)の存在下、又はBMP4(100ng/mL)の存在下、ラット胎児の頭蓋冠細胞を増殖させた。従来の方法により各試料においてアルカリホスファターゼをアッセイした。
【0123】
図20は、ラットの頭蓋冠細胞の培養における処理の作用としてのアルカリホスファターゼの誘導を示す棒グラフである(「OD」=光学密度)。従って、アルカリホスファターゼ誘導によって測定されたとき、NELL1による処理は、骨芽細胞の分化の誘導においてBMP4よりも強力だった。
【0124】
図21は、NELL1で処理したラット頭蓋冠細胞の培養の顕微鏡写真である。NELL1による処理は、アスコルビン酸の非存在下でアルカリホスファターゼ活性及び細胞の微小小体形成を誘導したが、それは、骨芽細胞の分化及び骨形成の前駆体の指標である。
【0125】
実施例4:アルカリホスファターゼのアッセイは、骨芽細胞分化の初期の細胞性マーカーである。試験の1つでは、24ウエルプレートでラットの頭蓋冠の骨芽細胞を増殖させた。NELL1、BMP2、NELL1/BMP2及び対照(ペプチドなし)を含む群にウエルを分割した。処理は、100ng/mLのペプチドの適用を含んだ。従来の方法により各試料においてアルカリホスファターゼをアッセイした。
【0126】
【表1】
【0127】
従って、アルカリホスファターゼの活性により測定したとき、対照又は単一ペプチドのみで処理した細胞と比べてNELL1及びBMPは、骨芽細胞の分化に対して相加効果を有する。
【0128】
実施例5:骨芽細胞の分化におけるNELL1の発現の効果を検討するために、β−galを発現する構築物を感染させた細胞と比較して、NELL1を発現する構築物を感染させて3、6及び9日後のMC3T3細胞のマイクロアレイで、骨に関連する遺伝子の発現を評価した。
【0129】
【表2】
【0130】
NELL1を形質移入した細胞における幾つかの骨関連遺伝子は、β−gal対照を形質移入した細胞に比べて少なくとも2倍高いレベルで発現されていた。従って、骨芽細胞の後期分化の細胞性マーカー(たとえば、オステオカルシン及びオステオポニン)が上方制御されるので、NELL1の発現及び産生は骨芽細胞の分化を促進した。
【0131】
実施例6:微小小体の形成、又は多数の骨芽細胞の凝集は、骨芽細胞の分化及び骨形成の前駆体の指標である。その過程はアスコルビン酸により調節されると考えられる。
【0132】
微小小体の形成に対するNELL1の効果を検討するために、NELL1をコードする構築物によりMC3TC細胞に形質移入し、アスコルビン酸の非存在下で細胞を増殖させた。
【0133】
図22A及びBは、NELL1を発現し、微小小体を形成する、且つアルカリホスファターゼで染色された(B)MC3TC細胞の顕微鏡写真である。NELL1の発現は、微小小体の形成と同様にアルカリホスファターゼの誘導も誘導した。従って、NELL1は、骨形成の前駆体である細胞の微小小体の形成において活性があり、NELL1単独で骨芽細胞の分化を誘導するのに十分である。
【0134】
実施例7:石灰化又はカルシウムの細胞内蓄積は、骨芽細胞の分化及び骨形成の前駆体の指標である。石灰化に対するNELL1の効果を検討するために、NELL1をコードする構築物、β−galをコードする対照構築物、又はアンチセンスNELL1をコードするアデノウイルスによって、一次頭蓋冠細胞に形質移入した。培養の3、6、9及び12日後に、フォン・カッサ(Von Kassa)染色により細胞を調べ、細胞内のカルシウム蓄積の存在を検出した。これによりNELL1は骨の石灰化を促進できることが明らかにされた。
【0135】
図23A〜Cは、(A)アンチセンスNELL1ウイルス、(B)β−gal又は(C)NELL1で処理された頭蓋冠細胞の顕微鏡写真である。対照の細胞は、中程度の量の石灰化を有し、NELL1を発現している細胞は、高いレベルの石灰化を有したが、アンチセンスNELL1の細胞では、石灰化は抑制された。この「ノックアウト」試験は、NELL1が骨芽細胞の分化に必要とされることを示している。
【0136】
図23D及びEは、培養の3、6、9及び12日後における対照、GAPFHに対する比としてのオステオカルシン及びオステオポニンのmRNAの発現を示す棒グラフである。12日後、NELL1を発現している細胞は、有意に高いレベルのオステオカルシン及びオステオポニンのmRNAを発現した。従って、NELL1は、骨形成の前駆体である、骨芽細胞の分化及び石灰化の後期細胞性マーカーの発現を誘導することに活性がある。
【0137】
実施例8:トランスジェニック動物モデルを用いて骨形成におけるNELL1の過剰発現の影響を調べた。CMVプロモータをNELL1cDNAに連結し、受精卵に微量注入した。強力なCMVプロモータのもとにNELL1は、汎過剰発現された。
【0138】
図24は、フォン・カッサ染色を示す、NELL1トランスジェニックマウスの組織の顕微鏡写真である。図24に示されるように、NELL1トランスジェニックマウスが頭蓋冠の過剰増殖を有するということは、骨成長を誘導するNELL1の能力は膜の骨形成を包含することを裏付けている。
【0139】
図25A及びBは、NELL1トランスジェニックマウス(A)及び正常の同腹仔(B)の頭蓋冠のフォン・カッサ染色を示す顕微鏡写真である。図25Aに示されるように、正常同腹仔に比べてNELL1トランスジェニックマウスが高い石灰化を有したということは、膜の骨形成におけるNELL1の役割を裏付けている。
【0140】
実施例9:トランスジェニック動物モデルを使用して、Cbfa1の欠損が誘導する発達障害に対するNELL1の発現の効果を調べた。
【0141】
NELL1の調節においてCbfa1が役割を担ってもよいかどうかを確定するために、マウスのCbfa1を含有するプラスミドベクターによりラット胎児の頭蓋冠細胞に形質移入した。
【0142】
図26は、対照細胞と比べた、24及び48時間でのCbfa1形質移入細胞におけるNELL1の発現を示すブロットである。Cbfa1の形質移入は、24時間以内にNELL1の発現を上方制御した(陽性対照、オステオカルシンと共に)。このことは、NELL1が、鍵となる「骨芽細胞転写因子」であるCbfa1の下流にあることを示している。
【0143】
図27A〜Cは骨格染色(上、中)及びマイクロCT(下)の写真である。図27Aは、野生型マウスの正常な骨格パターンを示す。石灰化の典型的な境界を示す(点線)が、前後の泉門(星印)、及び右冠状縫合の輪郭(矢印)を見ることができる。また、正常な頭蓋冠も示す(A、中)。マイクロCTは、典型的な頭蓋顔面骨の形態を明らかにしている。図27Bは、Cbfa1+/−動物の骨格欠損を示す。具体的には、頭蓋冠の欠損の側面から中央にかけてよく染色されていない組織(点線の間)に欠陥のある骨石灰化及び骨形成が存在し、冠状縫合(矢印)の領域に透明像も見られうる。有意な程度の頭蓋冠の形成不全を示す(B、中)。図27Cは、Cbfa+/−+NELL1過剰発現動物の骨格欠損を示し、骨格染色及びマイクロCTにおいてCbfa1+/−半数体欠損動物に比べて頭蓋冠の骨形成に有意な増加が見られる。また、Cbfa1+/−半数体欠損動物に比べて有意に少ない鎖骨形成不全(中)。冠状縫合(矢印)における骨の重なりの修復に注意のこと。従って、トランスジェニックマウスにおいてNELL1の過剰発現は、Cbfa1の欠損を救済したということは、膜の骨形成及び軟骨内の骨形成におけるNELL1の役割を裏付けている。さらに、NELL1は、誕生時欠損した骨において骨を再生することができる。
【0144】
実施例10:臨界サイズ欠損は、膜内骨修復を誘導する作用剤の能力の試験のための重要なモデルである。骨修復におけるNELL1の効果を検討するために、野生型成熟オスCD−1マウスにおいて左右の頭蓋冠欠損(3mm)を創った。左の欠損(対照)は、PLGA/コラーゲンキャリア膜のみを移植したが、右の欠損は、部位当たり200ngのNELL1又はBMP2のいずれかに浸したPLGA/コラーゲンキャリア膜を移植した。頭蓋冠を摘出し、マイクロCT解析により調べた。
【0145】
図28Aは、頭蓋冠欠損の対照(左)及びBMP2(右)処理の写真であり;頭蓋冠欠損の対照(左)及びNELL1(右)処理の写真であり;図29は頭蓋冠欠損のNELL1(左)及びBMP2(右)の処理の写真である。NELL1及びBMP2双方の群で有意な量の骨形成が認められた。従って、NELL1の発現が、臨界サイズ欠損モデルにおいて骨形成を有意に達成し、骨再生を誘導したということは、膜の骨形成におけるNELL1の役割を裏付けている。
【0146】
実施例11:口蓋の急速拡大(RPE)は、膜内骨修復を誘導する作用剤の能力の試験のためのもう1つのモデルである。骨修復におけるNELL1の効果を検討するために、4週令のスプラーグドーリー系ラットを(1)対照の拡大及び(2)NELL1処理による拡大の群に分けた。ラットを屠殺し、口蓋を摘出し、器官培養で生かし続けた。口蓋は拡大し、NELL1を処理群に9日間添加した。
【0147】
図30A及びBは、NELL1で処理して拡大した(A)及び対照(B)の拡大した口蓋の写真である。NELL1及びBMP2の双方の群で有意な量の骨形成が認められた。従って、RPEモデルにおいてNELL1処理が骨形成を有意に達成したということは、膜の骨形成におけるNELL1の役割を裏付けている。
【0148】
実施例12:長骨の発達では軟骨内の骨形成が鍵となる過程である。それには、軟骨芽細胞の増殖、肥大、アポトーシス、血管への侵入、骨芽細胞による置換を含む幾つかの段階がある。これら段階のいずれか1つの加速が軟骨内の骨成長を誘導するであろう。
【0149】
図31A及びBは、NELL1過剰発現のトランスジェニックマウス(A)及び野生型マウス(B)におけるアポトーシス細胞を染色するTUNELにより染色された軟骨組織の写真である。
【0150】
図31Aに示されるように、マウスにおけるNELL1の過剰発現では、軟骨組織は、肥大した軟骨芽細胞及びアポトーシス(アポトーシス核の収縮を同定するためのTUNELアッセイを用いて茶色に染色することにより示される)を示す。TUNEL染色による正常マウス(野生型)の軟骨組織である図31Bでは、極めて少ないアポトーシス細胞が存在し、細胞は肥大していない。従って、NELL1は、軟骨組織の肥大及びアポトーシスを誘導し、それによって長骨の形成及び再生を誘導することができる。
【0151】
実施例13:NELLの基材の調製
【0152】
In vitro。ポリアクチド−コ−グリコリド(85:15;固有粘度〜0.6dL/g;アラバマ州、バーミンガム・ポリマーズ)をクロロホルムに溶解し、5%溶液を調製し、ガラス製の培養皿に注いで24時間ゆっくりと蒸発させた。溶媒の抽出後、以下の8群:(a)被覆なしのポリマーのみ;(b)従来のアパタイト(1xSBFその後1.5xSBF);(c)加速生物模倣のアパタイト(5xSBFその後Mgなし且つカーボネートなしの5xSBF);(d)フィブロネクチン(0.01mg/mL);(e)ポリ−L−リジン(0.01mg/mL);(f)コラーゲン;(g)Mefp−1(0.01mg/mL)及び(h)コラーゲンとヒアルロナンの混合物、に従って膜を被覆した。各群をNELL1含有群(100ng)とNELL1なし群とにさらに分割し、非分化培地(アスコルビン酸なし、βグリセロールホスフェートなし)にて一次骨芽細胞とともに7日間in vitroで培養した。各物質について、NELL1群は、その相手群よりも高いアルカリホスファターゼ活性を刺激した。物質の中では、加速アパタイト(c群)が最も高い活性を誘導し、ポリマーのみ(a群)が最も少ないアルカリホスファターゼ活性を誘導した。
【0153】
In vivo。ポリアクチド−コ−グリコリド(85:15;固有粘度〜0.6dL/g;アラバマ州、バーミンガム・ポリマーズ)をクロロホルムに溶解し、ポロゲン(直径〜100〜300μmのスクロース顆粒)と混合し、粒子浸出及び溶媒抽出の後、〜90%多孔率のPLGA足場を作製した。多孔性の足場をアルゴンプラズマでエッチングし、滅菌し、200ngのNELL1ペプチドを含有するウシ1型コラーゲンの水性混合物で被覆し、乾燥して、成熟オス野生型マウスの頭蓋冠欠損に移植した。陽性対照(PLGA/コラーゲン/BMP)及び陰性対照(PLGA/コラーゲンのみ、成長因子なし)も同様の欠損に移植した。4週目でのマイクロCT解析は、陰性対照(PLGA/コラーゲンのみ)の足場によってはほとんど又はまったく骨形成が誘導されなかったのに対して、NELL1含有及びBMP含有の足場は、4週間までに欠損を横切って迅速且つ完全な石灰化を誘導した。従来の組織学により、石灰化が成熟骨の古典的特長を呈することを確認した。
【0154】
本明細書に記載された実施例及び実施態様は、単に説明を目的とするものであり、その観点からの種々の修正又は変更が当業者に示唆され、それらは、本出願の精神及び範囲並びに添付のクレームの範囲の中に包含されるべきであることが理解される。本明細書で引用した出版物、特許及び特許出願はすべて、あらゆる目的でその全体を参照により本出願に組み入れる。本発明はまた、記載された実施態様の組み合わせ又は既知の方法及び組成物との組み合わせも含むことが理解されるであろう。
【0155】
今や、NELLペプチド発現系及びNELLペプチドの骨形成活性の特定の実施態様を有しているが、これらの実施態様に絶対的な概念は、同様に他の実施態様に用いられてもよいことが理解されるべきである。手短に言えば、本出願の保護は、すぐ後に続くクレームのみに限定される。
【図面の簡単な説明】
【0156】
【図1】核酸配列をコードするヒトNELL1cDNA(配列番号1)である。
【図2】アミノ酸配列をコードするヒトNELL1(配列番号2)である。
【図3】核酸配列をコードするラットNELL1cDNA(配列番号3)である。
【図4】アミノ酸配列をコードするラットNELL1(配列番号4)である。
【図5】核酸配列をコードするマウスNELL1cDNA(配列番号5)である。
【図6】アミノ酸配列をコードするマウスNELL1(配列番号6)である。
【図7】核酸配列をコードするヒトNELL2cDNA(配列番号7)である。
【図8】アミノ酸配列をコードするヒトNELL2(配列番号8)である。
【図9】核酸配列をコードするラットNELL2cDNA(配列番号9)である。
【図10】アミノ酸配列をコードするラットNELL2(配列番号10)である。
【図11】核酸配列をコードするマウスNELL2cDNA(配列番号11)である。
【図12】アミノ酸配列をコードするマウスNELL2(配列番号12)である。
【図13】核酸配列をコードするニワトリNELL2(配列番号13)である。
【図14】アミノ酸配列をコードするニワトリNELL2(配列番号14)である。
【図15A】機能的NELLペプチドを産生させる方法の1つのフローチャートである。
【図15B】機能的NELLペプチドを産生させる方法の1つのフローチャートである。
【図16】シグナルペプチド−NELL1−FLAGの核酸構築物の説明である。下線のアミノ酸配列はメリチンのシグナルペプチドに由来する。アラニンとプロリンとの間の結合は、ハイファイブ細胞による分泌のための推定上の切断部位である。RTVLGFG・・・の残基は、ラット/ヒトNELL1タンパク質の成熟タンパク質に由来する。
【図17AB】NELL1−FLAGの細胞外発現の生成物の説明である。図17Aは、無血清培地においてハイファイブ細胞により産生された精製NELL1ペプチド(生産性:3mg/L培地)を含有するUnoQ溶出物のCBB染色したSDS−PAGEゲルである。図17Bは、抗FLAG抗体を用いたウエスタンブロットである。
【図17CD】NELL1−FLAGの細胞外発現の生成物の説明である。図17Cは、無血清培地においてCOS7細胞により産生された精製NELL1ペプチド(生産性:<0.1mg/L培地)を含有するUnoQ溶出物のCBB染色したSDS−PAGEゲルである。図17Dは、抗FLAG抗体を用いたウエスタンブロットである。
【図18】無血清培地における昆虫細胞によるNELL2−FLAGペプチドの細胞外の発現を説明するウエスタンブロットである。
【図19】2種類の無血清培地(ファイブSFM及びESF921における発現)におけるハイファイブ細胞によるNELL−1及びNELL2−FLAGペプチドの細胞外の発現を説明するウエスタンブロットである。
【図20】NELL−1(1ng、10ng、100ng/mL)及びBMP4(100ng/mL)に暴露したラット胎児の頭蓋冠細胞におけるアルカリホスファターゼの誘導を示す棒グラフである。
【図21】NELL1(A及びB:5ng/mL;C及びD:50ng/mL)で処理した骨芽細胞の顕微鏡写真である。
【図22】アスコルビン酸非存在下で微小小体を形成するNELL1MC3T3微小小体の顕微鏡写真である。Bはアルカリホスファターゼの染色である。
【図23】A〜Cは、(A)抗NELL、(B)β−Gal及び(C)NELLアデノウイルス構築物における石灰化を示す顕微鏡写真である。D及びEは各群のオステオカルシン及びオステオポニンの経時的レベルを表す棒グラフである。
【図24】は、頭蓋冠の過剰増殖を示す石灰化を表すように染色されたNELL1を過剰発現するトランスジェニックマウスの顕微鏡写真である。
【図25】(A)NELL1過剰発現のトランスジェニックマウス及び(B)正常な同腹仔において石灰化について染色された頭蓋冠の顕微鏡写真である。
【図26】(A)Cbfa1で処理した又は(B)対照のラット胎児の頭蓋冠細胞においてNELL1遺伝子の発現を示す逆転写ポリメラーゼ鎖反応のブロットである。
【図27】(A)野生型、(B)Cbfa1+/−及び(C)Cbfa1+/−+NELL1過剰発現のマウスの頭蓋(上)、鎖骨(中)の骨格染色及び頭蓋のマイクロCTの写真である。
【図28】(A)BMP処理した、及び(B)NELL1処理した頭蓋冠欠損の処理(右)及び対照(左)のマイクロCTの写真である。
【図29】頭蓋冠欠損におけるNELL1処理(右)及びBMP処理(左)のマイクロCTの写真である。
【図30】口蓋欠損におけるNELL1処理(左)及び対照(右)のマイクロCTの写真である。
【図31】(A)NELL1過剰発現のマウス及び(B)野生型マウスにおけるTUNEL染色した軟骨組織の顕微鏡写真である。
【図32】選択された位置において骨を形成するために患者を治療する方法の1つのフローチャートである。
【図33】Aはインプラントの実施態様の1つを模式的に表し、Bは、選択された位置において骨を形成するために患者を治療する実施態様の1つを模式的に表す。
【図17】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
昆虫細胞において機能的ペプチドを発現する方法であって、
昆虫の分泌型シグナルペプチドをコードする核酸と共に少なくともNELL1ペプチドをコードする少なくとも核酸をフレーム内に包含する核酸構築物を提供すること;
前記核酸構築物により昆虫細胞に形質移入を行なうこと;
NELL1ペプチドを発現できるような条件下で前記昆虫細胞を培養すること;
任意選択で、細胞株から分泌されたNELL1ペプチドを回収すること;
任意選択で、NELL1ペプチドを実質的に精製すること;及び
任意選択で、NELL1ペプチドの活性を調べること、
を含む方法。
【請求項2】
前記昆虫細胞がハイファイブ細胞である請求項1の方法。
【請求項3】
前記昆虫の分泌型シグナルペプチドがメリチンのシグナル配列である請求項1の方法。
【請求項4】
NELL1をコードする核酸が、配列番号1、配列番号3又は配列番号5を含む群から選択される請求項1の方法。
【請求項5】
NELL1ペプチドが、配列番号2、配列番号4又は配列番号6を含む群から選択される請求項1の方法。
【請求項6】
昆虫細胞においてNELL1ペプチドを発現するための核酸構築物であって、昆虫の分泌型シグナルペプチドをコードする核酸と共に少なくともNELL1ペプチドをコードする少なくとも核酸をフレーム内に含む核酸構築物。
【請求項7】
前記昆虫の分泌型シグナルペプチドがメリチンのシグナル配列である請求項5の核酸。
【請求項8】
NELL1をコードする核酸が、配列番号1、配列番号3又は配列番号5を含む群から選択される請求項5の核酸。
【請求項9】
NELL1ペプチドが、配列番号2、配列番号4又は配列番号6を含む群から選択される請求項5の核酸。
【請求項10】
機能的NELL1ペプチドを発現する細胞株であって、昆虫の分泌型シグナルペプチドをコードする核酸と共に少なくともNELL1ペプチドをコードする少なくとも核酸をフレーム内に含む核酸構築物を包含する前記細胞株。
【請求項11】
前記細胞が昆虫細胞である請求項10の細胞。
【請求項12】
前記細胞がハイファイブ細胞である請求項11の細胞。
【請求項13】
前記細胞がNELL1ペプチドを分泌する請求項10の細胞。
【請求項14】
前記分泌型シグナルペプチドがメリチンのシグナル配列である請求項10の細胞。
【請求項15】
NELL1をコードする核酸が、配列番号1、配列番号3又は配列番号5を含む群から選択される請求項10の細胞。
【請求項16】
NELL1ペプチドが、配列番号2、配列番号4又は配列番号6を含む群から選択される請求項1の方法。
【請求項17】
NELL1ペプチド及び昆虫の分泌型シグナルペプチドを含むポリペプチド。
【請求項18】
NELL1ペプチドが、配列番号2、配列番号4又は配列番号6を含む群から選択される請求項16のポリペプチド。
【請求項19】
前記分泌型シグナルペプチドがメリチンのシグナル配列である請求項17のポリペプチド。
【請求項20】
哺乳類細胞において機能的ペプチドを発現する方法であって、
分泌型シグナルペプチドをコードする核酸と共に少なくともNELL1ペプチドをコードする少なくとも核酸をフレーム内に包含する核酸構築物を提供すること;
前記核酸構築物により哺乳類細胞に形質移入を行なうこと;
NELL1ペプチドを発現できるような条件下で前記哺乳類細胞を培養すること;
任意選択で、細胞株から分泌されたNELL1ペプチドを回収すること;
任意選択で、NELL1ペプチドを実質的に精製すること;及び
任意選択で、骨形成を誘導するNELL1ペプチドの活性を調べること、
を含む方法。
【請求項21】
前記昆虫細胞がCOS7細胞である請求項20の方法。
【請求項22】
前記昆虫の分泌型シグナルペプチドがNELLペプチドのシグナル配列である請求項20の方法。
【請求項23】
NELL1をコードする核酸が、配列番号1、配列番号3又は配列番号5を含む群から選択される請求項20の方法。
【請求項24】
NELL1ペプチドが、配列番号2、配列番号4又は配列番号6を含む群から選択される請求項20の方法。
【請求項25】
哺乳類細胞においてNELL1ペプチドを発現するための核酸構築物であって、分泌型シグナルペプチドをコードする核酸と共に少なくともNELL1ペプチドをコードする少なくとも核酸をフレーム内に含む前記核酸構築物。
【請求項26】
前記昆虫の分泌型シグナルペプチドがNELLペプチドのシグナル配列である請求項24の核酸。
【請求項27】
NELL1をコードする核酸が、配列番号1、配列番号3又は配列番号5を含む群から選択される請求項24の核酸。
【請求項28】
NELL1ペプチドが、配列番号2、配列番号4又は配列番号6を含む群から選択される請求項24の核酸。
【請求項29】
機能的NELL1ペプチドを発現する細胞株であって、分泌型シグナルペプチドをコードする核酸と共に少なくともNELL1ペプチドをコードする少なくとも核酸をフレーム内に含む核酸構築物を包含する細胞株。
【請求項30】
前記細胞が哺乳類細胞である請求項29の細胞。
【請求項31】
前記細胞がCOS7細胞である請求項30の細胞。
【請求項32】
前記細胞がNELL1ペプチドを分泌する請求項29の細胞。
【請求項33】
前記分泌型シグナルペプチドがNELLペプチドのシグナル配列である請求項29の細胞。
【請求項34】
NELL1をコードする核酸が、配列番号1、配列番号3又は配列番号5を含む群から選択される請求項29の細胞。
【請求項35】
NELL1ペプチドが、配列番号2、配列番号4又は配列番号6を含む群から選択される請求項20の方法。
【請求項36】
NELL1ペプチド及び分泌型シグナルペプチドを含むポリペプチド。
【請求項37】
NELL1ペプチドが、配列番号2、配列番号4又は配列番号6を含む群から選択される請求項35のポリペプチド。
【請求項38】
前記分泌型シグナルペプチドがNELLペプチドのシグナル配列である請求項35のポリペプチド。
【請求項39】
昆虫細胞において機能的ペプチドを発現する方法であって、
少なくともNELL2ペプチド及び昆虫の分泌型シグナルペプチドををコードする少なくとも核酸をNELL2ペプチドのフレーム内に包含する核酸構築物を提供すること;
前記核酸構築物により昆虫細胞に形質移入を行なうこと;
NELL2ペプチドを発現できるような条件下で前記昆虫細胞を培養すること;
任意選択で、細胞株から分泌されたNELL2ペプチドを回収すること;
任意選択で、NELL2ペプチドを実質的に精製すること;及び
任意選択で、NELL2ペプチドの活性を調べること、
を含む方法。
【請求項40】
前記昆虫細胞がハイファイブ細胞である請求項39の方法。
【請求項41】
前記昆虫の分泌型シグナルペプチドがメリチンのシグナル配列である請求項39の方法。
【請求項42】
NELL2をコードする核酸が、配列番号7、配列番号9、配列番号11又は配列番号13を含む群から選択される請求項39の方法。
【請求項43】
NELL2ペプチドが、配列番号8、配列番号10、配列番号12又は配列番号14を含む群から選択される請求項39の方法。
【請求項44】
昆虫細胞においてNELL2ペプチドを発現するための核酸構築物であって、昆虫の分泌型シグナルペプチドをコードする核酸と共に少なくともNELL2ペプチドをコードする少なくとも核酸をフレーム内に含む前記核酸構築物。
【請求項45】
前記昆虫の分泌型シグナルペプチドがメリチンのシグナル配列である請求項43の核酸。
【請求項46】
NELL2をコードする核酸が、配列番号7、配列番号9、配列番号11又は配列番号13を含む群から選択される請求項43の核酸。
【請求項47】
NELL2ペプチドが、配列番号8、配列番号10、配列番号12又は配列番号14を含む群から選択される請求項5の核酸。
【請求項48】
機能的NELL2ペプチドを発現する細胞株であって、昆虫の分泌型シグナルペプチドをコードする核酸と共に少なくともNELL2ペプチドをコードする少なくとも核酸をフレーム内に含む核酸構築物を包含する前記細胞株。
【請求項49】
前記細胞が昆虫細胞である請求項48の細胞。
【請求項50】
前記細胞がハイファイブ細胞である請求項49の細胞。
【請求項51】
前記細胞がNELL2ペプチドを分泌する請求項48の細胞。
【請求項52】
前記分泌型シグナルペプチドがメリチンのシグナル配列である請求項48の細胞。
【請求項53】
NELL2をコードする核酸が、配列番号7、配列番号9、配列番号11又は配列番号13を含む群から選択される請求項48の細胞。
【請求項54】
NELL2ペプチドが、配列番号8、配列番号10、配列番号12又は配列番号14を含む群から選択される請求項39の方法。
【請求項55】
NELL2ペプチド及び昆虫の分泌型シグナルペプチドを含むポリペプチド。
【請求項56】
NELL2ペプチドが、配列番号8、配列番号10、配列番号12又は配列番号14を含む群から選択される請求項55のポリペプチド。
【請求項57】
前記分泌型シグナルペプチドがメリチンのシグナル配列である請求項55のポリペプチド。
【請求項58】
哺乳類細胞において機能的ペプチドを発現する方法であって、
少なくともNELL2ペプチドをコードする少なくとも核酸及び分泌型シグナルペプチドをコードする核酸をNELL2ペプチドのフレーム内に包含する核酸構築物を提供すること;
前記核酸構築物により哺乳類細胞に形質移入を行なうこと;
NELL2ペプチドを発現できるような条件下で前記哺乳類細胞を培養すること;
任意選択で、細胞株から分泌されたNELL2ペプチドを回収すること;
任意選択で、NELL2ペプチドを実質的に精製すること;及び
任意選択で、神経細胞の生き残りを促進するNELL2ペプチドの活性を調べること、
を含む方法。
【請求項59】
前記哺乳類細胞がCOS7細胞である請求項58の方法。
【請求項60】
前記哺乳類の分泌型シグナルペプチドがNELLペプチドのシグナル配列である請求項58の方法。
【請求項61】
NELL1をコードする核酸が、配列番号7、配列番号9、配列番号11又は配列番号13を含む群から選択される請求項58の方法。
【請求項62】
NELL2ペプチドが、配列番号8、配列番号10、配列番号12又は配列番号14を含む群から選択される請求項58の方法。
【請求項63】
哺乳類細胞においてNELL2ペプチドを発現するための核酸構築物であって、分泌型シグナルペプチドをコードする核酸と共に少なくともNELL2ペプチドをコードする少なくとも核酸をフレーム内に含む前記核酸構築物。
【請求項64】
前記哺乳類の分泌型シグナルペプチドがNELLペプチドのシグナル配列である請求項63の核酸。
【請求項65】
NELL2をコードする核酸が、配列番号7、配列番号9、配列番号11又は配列番号13を含む群から選択される請求項63の核酸。
【請求項66】
NELL2ペプチドが、配列番号8、配列番号10、配列番号12又は配列番号14を含む群から選択される請求項63の核酸。
【請求項67】
機能的NELL2ペプチドを発現する細胞株であって、分泌型シグナルペプチドをコードする核酸と共に少なくともNELL2ペプチドをコードする少なくとも核酸をフレーム内に含む核酸構築物を包含する前記細胞株。
【請求項68】
前記細胞が哺乳類細胞である請求項67の細胞。
【請求項69】
前記細胞がCOS7細胞である請求項68の細胞。
【請求項70】
前記細胞がNELL2ペプチドを分泌する請求項67の細胞。
【請求項71】
前記分泌型シグナルペプチドがNELLペプチドのシグナル配列である請求項67の細胞。
【請求項72】
NELL2ペプチドをコードする核酸が、配列番号7、配列番号9、配列番号11又は配列番号13を含む群から選択される請求項67の細胞。
【請求項73】
NELL2ペプチドが、配列番号8、配列番号10、配列番号12又は配列番号14を含む群から選択される請求項58の方法。
【請求項74】
骨形成細胞の分化を増大させる方法であって、
骨形成細胞においてNELL1遺伝子産物の濃度を高めること;
任意選択で、第2の骨形成剤を添加すること;及び
骨芽細胞分化の細胞性マーカーの発現を誘導すること、
を含む方法。
【請求項75】
NELL1遺伝子産物の濃度を高めることが、骨形成細胞にNELL1ペプチドを適用することを含む請求項74の方法。
【請求項76】
NELL1ペプチドが、配列番号2、配列番号4又は配列番号6を含む群から選択される請求項74の方法。
【請求項77】
NELL1遺伝子産物の濃度を高めることが、内因性NELL1遺伝子の発現を誘導することを含む請求項74の方法。
【請求項78】
NELL1遺伝子産物の濃度を高めることが、Cbfa1の細胞性レベルを高めることを含む請求項77の方法。
【請求項79】
NELL1遺伝子産物の濃度を高めることが、NELL1ペプチドをコードする核酸構築物により骨形成細胞に形質移入することを含む請求項74の方法。
【請求項80】
NELL1ペプチドをコードする核酸構築物が、群:配列番号1、配列番号3又は配列番号5から選択される少なくとも1つを含む請求項74の方法。
【請求項81】
NELL1ペプチドが、配列番号2、配列番号4又は配列番号6を含む群から選択される請求項74の方法。
【請求項82】
骨形成細胞が、骨芽細胞、間葉細胞、線維芽細胞、胎児性胚細胞、幹細胞(単数)、骨髄細胞、硬膜細胞、軟骨細胞、軟骨芽細胞、一次頭蓋冠細胞、幹細胞(複数)、脂肪幹細胞を含む群から選択される請求項74の方法。
【請求項83】
第2の骨形成ペプチドが、TGF−β、BMP2、BMP4、BMP7、bFGF、コラーゲンを含む群から選択される請求項74の方法。
【請求項84】
骨芽細胞分化の誘導される細胞性マーカーが、アルカリホスファターゼ活性、オステオカルシンmRNAの発現、オステオポニンmRNAの発現、デコリンの発現及びラミニンBの発現を含む群から選択される請求項74の方法。
【請求項85】
骨芽細胞の石灰化を高める方法であって、
骨形成細胞においてNELL1遺伝子産物の濃度を高めること;
任意選択で、骨形成細胞に作用剤を適用すること;及び
石灰化の細胞性マーカーの発現を誘導すること、
を含む方法。
【請求項86】
NELL1遺伝子産物の濃度を高めることが、骨形成細胞にNELL1ペプチドを適用することを含む請求項85の方法。
【請求項87】
NELL1ペプチドが、配列番号2、配列番号4又は配列番号6を含む群から選択される請求項85の方法。
【請求項88】
NELL1遺伝子産物の濃度を高めることが、内因性NELL1遺伝子の発現を誘導することを含む請求項85の方法。
【請求項89】
NELL1遺伝子産物の濃度を高めることが、Cbfa1の細胞性レベルを高めることを含む請求項88の方法。
【請求項90】
NELL1遺伝子産物の濃度を高めることが、NELLペプチドをコードする核酸構築物により骨形成細胞に形質移入することを含む請求項85の方法。
【請求項91】
NELL1をコードする核酸構築物が、群:配列番号1、配列番号3又は配列番号5から選択される少なくとも1つを含む請求項85の方法。
【請求項92】
NELL1ペプチドが、配列番号2、配列番号4又は配列番号6を含む群から選択される請求項85の方法。
【請求項93】
骨形成細胞が、骨芽細胞、間葉細胞、線維芽細胞、胎児性胚細胞、幹細胞(単数)、骨髄細胞、硬膜細胞、軟骨細胞、軟骨芽細胞、一次頭蓋冠細胞、幹細胞(複数)、脂肪幹細胞を含む群から選択される請求項85の方法。
【請求項94】
第2の骨形成剤が、TGF−β、BMP2、BMP4、BMP7、bFGF、コラーゲンを含む群から選択される請求項85の方法。
【請求項95】
石灰化の誘導される細胞性マーカーがカルシウムの取り込みを含む群から選択される請求項85の方法。
【請求項96】
膜内骨形成を増大させる方法であって、
骨形成が所望される領域におけるNELL1遺伝子産物の濃度を高めること;
任意選択で、骨形成が所望されるほぼ同一領域に第2の作用剤を適用すること;及び
膜内骨形成の形成を誘導すること、
を含む方法。
【請求項97】
NELL1遺伝子産物の濃度を高めることが、骨形成が所望される領域にNELL1ペプチドを適用することを含む請求項96の方法。
【請求項98】
NELL1ペプチドが、配列番号2、配列番号4又は配列番号6を含む群から選択される請求項96の方法。
【請求項99】
NELL1遺伝子産物の濃度を高めることが、内因性NELL1遺伝子の発現を誘導することを含む請求項96の方法。
【請求項100】
NELL1遺伝子産物の濃度を高めることが、NELLペプチドをコードする核酸構築物により細胞に形質移入すること、及び該細胞を骨形成が所望される領域の近傍に適用することを含む請求項96の方法。
【請求項101】
NELL1をコードする核酸構築物が、群:配列番号1、配列番号3又は配列番号5から選択される少なくとも1つを含む請求項96の方法。
【請求項102】
NELL1ペプチドが、配列番号2、配列番号4又は配列番号6を含む群から選択される請求項96の方法。
【請求項103】
作用剤が、TGF−β、BMP2、BMP4、BMP7、bFGF、コラーゲン、骨、基質、靭帯基質、腱基質、骨形成細胞又は骨芽細胞を含む群から選択される請求項96の方法。
【請求項104】
膜内骨の形成が、CT、遺伝子発現、組織学、機械的試験によって評価される請求項96の方法。
【請求項105】
軟骨内の骨形成を増大させる方法であって、
骨形成、及び/又は骨の治癒又は骨の再生が所望される領域でNELL1遺伝子産物の濃度を高めること;
任意選択で、骨形成が所望される領域に作用剤を適用すること;及び
骨形成が所望される領域で少なくとも軟骨芽細胞の肥大を誘導すること、
を含む方法。
【請求項106】
骨形成が骨の治癒又は骨の再生を含む請求項105の方法。
【請求項107】
NELL1遺伝子産物の濃度を高めることが、骨形成が所望される領域にNELL1ペプチドを適用することを含む請求項105の方法。
【請求項108】
NELL1ペプチドが、配列番号2、配列番号4又は配列番号6を含む群から選択される請求項105の方法。
【請求項109】
NELL1遺伝子産物の濃度を高めることが、内因性NELL1遺伝子の発現を誘導することを含む請求項105の方法。
【請求項110】
NELL1遺伝子産物の濃度を高めることが、NELLペプチドをコードする核酸構築物により細胞に形質移入すること、及び該細胞を骨形成が所望される領域の近傍に適用することを含む請求項105の方法。
【請求項111】
NELL1ペプチドをコードする核酸構築物が、群:配列番号1、配列番号3又は配列番号5から選択される少なくとも1つを含む請求項110の方法。
【請求項112】
NELL1ペプチドが、配列番号2、配列番号4又は配列番号6を含む群から選択される請求項110の方法。
【請求項113】
作用剤が、TGF−β、BMP2、BMP4、BMP7、bFGF、コラーゲン、骨、基質、靭帯基質、腱基質、骨形成細胞又は骨芽細胞を含む群から選択される請求項105の方法。
【請求項114】
軟骨芽細胞の肥大を誘導することがアポトーシスの軟骨芽細胞の増加を起こす請求項105の方法。
【請求項115】
椎骨の近傍で骨形成を増大させる方法であって
脊椎固定が所望される椎骨の最も近くでのNELL1遺伝子産物の濃度を高めること;
任意選択で、脊椎固定が所望される椎骨の最も近くに追加の活性剤を適用すること;及び
脊椎固定が所望される領域で軟骨芽細胞の肥大又は骨芽細胞の分化を誘導すること、
を含む方法。
【請求項116】
骨芽細胞の分化を増大させることをさらに含む請求項115の方法。
【請求項117】
骨芽細胞の石灰化を増大させることをさらに含む請求項115の方法。
【請求項118】
膜の骨形成を誘導することをさらに含む請求項115の方法。
【請求項119】
NELL1遺伝子産物の濃度を高めることが、脊椎固定が所望される領域にNELL1ペプチドを適用することを含む請求項115の方法。
【請求項120】
NELL1ペプチドが、配列番号2、配列番号4又は配列番号6を含む群から選択される請求項115の方法。
【請求項121】
NELL1遺伝子産物の濃度を高めることが、内因性NELL1遺伝子の発現を誘導することを含む請求項105の方法。
【請求項122】
NELL1遺伝子産物の濃度を高めることが、NELLペプチドをコードする核酸構築物により細胞に形質移入すること、及び該細胞を脊椎固定が所望される領域の近傍に適用することを含む請求項115の方法。
【請求項123】
NELL1をコードする核酸構築物が、群:配列番号1、配列番号3又は配列番号5から選択される少なくとも1つを含む請求項122の方法。
【請求項124】
NELL1ペプチドが、配列番号2、配列番号4又は配列番号6を含む群から選択される請求項122の方法。
【請求項125】
作用剤が、TGF−β、BMP2、BMP4、BMP7、bFGF、コラーゲン、骨、基質、靭帯基質、腱基質、骨形成細胞又は骨芽細胞を含む群から選択される請求項115の方法。
【請求項126】
骨形成を誘導するための組成物であって、
NELL1ペプチド、及びNELL1ペプチドの発現を変化させる作用剤、又はNELL1ペプチドの活性を変化させる作用剤を含む群から選択される、骨形成を誘導するための、有効量の第1の作用剤、並びに任意選択でキャリアを含む組成物。
【請求項127】
NELL1ペプチドが、配列番号2、配列番号4又は配列番号6を含む群から選択される請求項126の組成物。
【請求項128】
作用剤が、TGF−β、BMP2、BMP4、BMP7、bFGF、コラーゲンを含む群から選択される請求項126の組成物。
【請求項129】
作用剤が、骨基質、腱基質又は靭帯基質、骨形成細胞又は骨芽細胞を含む群から選択される請求項126の組成物。
【請求項130】
前記キャリアが酵素的メカニズム又は加水分解のメカニズムで分解可能である請求項126の組成物。
【請求項131】
前記キャリアが、ポリ(L−ラクチド)、ポリ(D,L−ラクチド)、ポリグリコリド、ポリ(ラクチド−コ−グリコリド)、ポリ(カプロラクトン)、ポリ(トリメチレンカーボネート)、ポリ(p−ジオキサノン)、ポリ(カプロラクトン−コ−グリコリド)、ポリ(グリコリド−コ−トリメチレンカーボネート)ポリ(D,L−ラクチド−コ−トリメチレンカーボネート)のようなポリ(α−ヒドロキシ酸)、ポリアリーレート類、ポリヒドロキシブチラート、ポリ無水物、ポリ(無水物−コ−イミド)、プロピレン−コ−フマレート類、ポリラクトン類、ポリエステル類、ポリカーボネート類、ポリアニオン系ポリマー類、ポリ無水物、ポリエステルアミド類、ポリ(アミノ酸)、ホモポリペプチド類、ポリ(ホスファゼン類)、ポリ(グラクサノン)、多糖類、及びポリ(オルソエステル類)、ポリグラチン、ポリグラチン酸、ポリアルドン酸、ポリアクリル酸、ポリアルカノエート類を含む群から選択される合成ポリマーから構成される請求項126の組成物。
【請求項132】
前記キャリアが、アルキルセルロース、ヒドロキシアルキルセルロース、メチルセルロース、エチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピル−メチルセルロース、カルボキシメチルセルロース及びそれらのカチオン系塩から構成される請求項126の組成物。
【請求項133】
前記キャリアが、炭酸カルシウム、リン酸カルシウム、アパタイト、生体活性ガラス材料、及びサンゴ由来のアパタイトを含む群から選択される合成の又は天然のバイオセラミックから構成される請求項126の組成物。
【請求項134】
前記キャリアが、コラーゲン、ヒアルロナン、フィブリン、キトサン、アルギネート及びゼラチンを含む群から選択される請求項126の組成物。
【請求項135】
デキストラン硫酸、コンドロイチン硫酸、硫酸ヘパリン、フカン、アルギネートを含む群から選択されるヘパリン結合剤をさらに含む請求項126の組成物。
【請求項136】
前記キャリアが流動性ゲルの形態である請求項126の組成物。
【請求項137】
前記キャリアが光重合性である請求項126の組成物。
【請求項138】
前記キャリアが温度感受性である請求項126の組成物。
【請求項139】
組成物が、コラーゲン、ゼラチン、ヒアルロン酸、アルギネート、ポリ(エチレングリコール)、メチルセルロース、エチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピル−メチルセルロース及びカルボキシメチルセルロースを含むアルキルセルロース(ヒドロキシアルキルセルロースを含む)、血液、フィブリン、ポリオキシエチレンオキシド、硫酸カルシウム半水化物、アパタイト類、カルボキシビニルポリマー、又はポリ(ビニルアルコール)を含む群から選択される金属イオン封鎖剤をさらに含む請求項126の組成物。
【請求項140】
組成物が、ポリソルベート80、ポリソルベート20又はプルロニックF−68を含む群から選択される界面活性剤をさらに含む請求項126の組成物。
【請求項141】
組成物が、グリシン、グルタミン酸塩酸塩、塩化ナトリウム、グアニジン、ヘパリン、グルタミン酸塩酸塩、酢酸、コハク酸、ポリソルベート、デキストラン硫酸、スクロース及びアミノ酸を含む群から選択される緩衝剤をさらに含む請求項126の組成物。
【請求項142】
膜内の骨形成を増大させるために患者を治療する方法であって、骨形成を増すために選択された間隔で、有効な投与形態で、治療上有用な用量にてNELLペプチドを投与することを含む方法。
【請求項143】
骨形成が所望される領域に、TGF−β、BMP2、BMP4、BMP7、bFGF、コラーゲン、骨基質、腱基質又は靭帯基質を含む群から選択される少なくとも1種の作用剤を投与することをさらに含む請求項142の方法。
【請求項144】
骨形成を誘導するために患者を治療する方法であって、哺乳類の骨形成細胞を回収すること;該骨形成細胞に接触するNELL1ペプチドの濃度を高めること;骨形成が所望される領域に該骨形成細胞を投与することを含む方法。
【請求項145】
骨形成細胞に接触するNELL1ペプチドの発現の濃度を高めることが、NELL1ペプチドを含む組成物を骨形成細胞に適用することを含む請求項144の方法。
【請求項146】
骨形成細胞に接触するNELL1ペプチドの発現の濃度を高めることが、NELL1ペプチドの内因性の発現を誘導することを含む請求項144の方法。
【請求項147】
骨形成細胞に接触するNELL1ペプチドの発現の濃度を高めることが、NELL1ペプチドをコードする核酸構築物により細胞に形質移入することを含む請求項144の方法。
【請求項148】
NELL1ペプチドが、配列番号2、配列番号4又は配列番号6を含む群から選択される請求項145、146又は147の方法。
【請求項149】
骨形成が所望される領域に、TGF−β、BMP2、BMP4、BMP7、bFGF、コラーゲン、骨、基質、靭帯基質、腱基質、骨形成細胞又は骨芽細胞を含む群から選択される少なくとも1種の作用剤を投与することをさらに含む請求項145、146又は147の方法。
【請求項150】
人体で使用するためのインプラントであって、基材がインプラントの近傍で骨形成を誘導するのに十分な量のNELL1を含む基材を含むインプラント。
【請求項151】
人体で使用するためのインプラントであって、表面の少なくとも一部がインプラントの近傍で骨形成を誘導するのに十分な量のNELL1を含む表面を有する基材を含むインプラント。
【請求項152】
人体で使用するためのインプラントであって、表面の少なくとも一部が骨形成細胞を含む表面を有する基材を含み、該基材が骨形成を誘導するのに十分な量のNELL1を含むインプラント。
【請求項153】
前記基材がメッシュ、ピン、ネジ、プレート又は人工装具の継ぎ目の形状に形成される請求項145、146又は147のインプラント。
【請求項154】
前記基材が吸収性である請求項145、146又は147のインプラント。
【請求項155】
前記基材がコラーゲンを含む請求項145、146又は147のインプラント。
【請求項1】
昆虫細胞において機能的ペプチドを発現する方法であって、
昆虫の分泌型シグナルペプチドをコードする核酸と共に少なくともNELL1ペプチドをコードする少なくとも核酸をフレーム内に包含する核酸構築物を提供すること;
前記核酸構築物により昆虫細胞に形質移入を行なうこと;
NELL1ペプチドを発現できるような条件下で前記昆虫細胞を培養すること;
任意選択で、細胞株から分泌されたNELL1ペプチドを回収すること;
任意選択で、NELL1ペプチドを実質的に精製すること;及び
任意選択で、NELL1ペプチドの活性を調べること、
を含む方法。
【請求項2】
前記昆虫細胞がハイファイブ細胞である請求項1の方法。
【請求項3】
前記昆虫の分泌型シグナルペプチドがメリチンのシグナル配列である請求項1の方法。
【請求項4】
NELL1をコードする核酸が、配列番号1、配列番号3又は配列番号5を含む群から選択される請求項1の方法。
【請求項5】
NELL1ペプチドが、配列番号2、配列番号4又は配列番号6を含む群から選択される請求項1の方法。
【請求項6】
昆虫細胞においてNELL1ペプチドを発現するための核酸構築物であって、昆虫の分泌型シグナルペプチドをコードする核酸と共に少なくともNELL1ペプチドをコードする少なくとも核酸をフレーム内に含む核酸構築物。
【請求項7】
前記昆虫の分泌型シグナルペプチドがメリチンのシグナル配列である請求項5の核酸。
【請求項8】
NELL1をコードする核酸が、配列番号1、配列番号3又は配列番号5を含む群から選択される請求項5の核酸。
【請求項9】
NELL1ペプチドが、配列番号2、配列番号4又は配列番号6を含む群から選択される請求項5の核酸。
【請求項10】
機能的NELL1ペプチドを発現する細胞株であって、昆虫の分泌型シグナルペプチドをコードする核酸と共に少なくともNELL1ペプチドをコードする少なくとも核酸をフレーム内に含む核酸構築物を包含する前記細胞株。
【請求項11】
前記細胞が昆虫細胞である請求項10の細胞。
【請求項12】
前記細胞がハイファイブ細胞である請求項11の細胞。
【請求項13】
前記細胞がNELL1ペプチドを分泌する請求項10の細胞。
【請求項14】
前記分泌型シグナルペプチドがメリチンのシグナル配列である請求項10の細胞。
【請求項15】
NELL1をコードする核酸が、配列番号1、配列番号3又は配列番号5を含む群から選択される請求項10の細胞。
【請求項16】
NELL1ペプチドが、配列番号2、配列番号4又は配列番号6を含む群から選択される請求項1の方法。
【請求項17】
NELL1ペプチド及び昆虫の分泌型シグナルペプチドを含むポリペプチド。
【請求項18】
NELL1ペプチドが、配列番号2、配列番号4又は配列番号6を含む群から選択される請求項16のポリペプチド。
【請求項19】
前記分泌型シグナルペプチドがメリチンのシグナル配列である請求項17のポリペプチド。
【請求項20】
哺乳類細胞において機能的ペプチドを発現する方法であって、
分泌型シグナルペプチドをコードする核酸と共に少なくともNELL1ペプチドをコードする少なくとも核酸をフレーム内に包含する核酸構築物を提供すること;
前記核酸構築物により哺乳類細胞に形質移入を行なうこと;
NELL1ペプチドを発現できるような条件下で前記哺乳類細胞を培養すること;
任意選択で、細胞株から分泌されたNELL1ペプチドを回収すること;
任意選択で、NELL1ペプチドを実質的に精製すること;及び
任意選択で、骨形成を誘導するNELL1ペプチドの活性を調べること、
を含む方法。
【請求項21】
前記昆虫細胞がCOS7細胞である請求項20の方法。
【請求項22】
前記昆虫の分泌型シグナルペプチドがNELLペプチドのシグナル配列である請求項20の方法。
【請求項23】
NELL1をコードする核酸が、配列番号1、配列番号3又は配列番号5を含む群から選択される請求項20の方法。
【請求項24】
NELL1ペプチドが、配列番号2、配列番号4又は配列番号6を含む群から選択される請求項20の方法。
【請求項25】
哺乳類細胞においてNELL1ペプチドを発現するための核酸構築物であって、分泌型シグナルペプチドをコードする核酸と共に少なくともNELL1ペプチドをコードする少なくとも核酸をフレーム内に含む前記核酸構築物。
【請求項26】
前記昆虫の分泌型シグナルペプチドがNELLペプチドのシグナル配列である請求項24の核酸。
【請求項27】
NELL1をコードする核酸が、配列番号1、配列番号3又は配列番号5を含む群から選択される請求項24の核酸。
【請求項28】
NELL1ペプチドが、配列番号2、配列番号4又は配列番号6を含む群から選択される請求項24の核酸。
【請求項29】
機能的NELL1ペプチドを発現する細胞株であって、分泌型シグナルペプチドをコードする核酸と共に少なくともNELL1ペプチドをコードする少なくとも核酸をフレーム内に含む核酸構築物を包含する細胞株。
【請求項30】
前記細胞が哺乳類細胞である請求項29の細胞。
【請求項31】
前記細胞がCOS7細胞である請求項30の細胞。
【請求項32】
前記細胞がNELL1ペプチドを分泌する請求項29の細胞。
【請求項33】
前記分泌型シグナルペプチドがNELLペプチドのシグナル配列である請求項29の細胞。
【請求項34】
NELL1をコードする核酸が、配列番号1、配列番号3又は配列番号5を含む群から選択される請求項29の細胞。
【請求項35】
NELL1ペプチドが、配列番号2、配列番号4又は配列番号6を含む群から選択される請求項20の方法。
【請求項36】
NELL1ペプチド及び分泌型シグナルペプチドを含むポリペプチド。
【請求項37】
NELL1ペプチドが、配列番号2、配列番号4又は配列番号6を含む群から選択される請求項35のポリペプチド。
【請求項38】
前記分泌型シグナルペプチドがNELLペプチドのシグナル配列である請求項35のポリペプチド。
【請求項39】
昆虫細胞において機能的ペプチドを発現する方法であって、
少なくともNELL2ペプチド及び昆虫の分泌型シグナルペプチドををコードする少なくとも核酸をNELL2ペプチドのフレーム内に包含する核酸構築物を提供すること;
前記核酸構築物により昆虫細胞に形質移入を行なうこと;
NELL2ペプチドを発現できるような条件下で前記昆虫細胞を培養すること;
任意選択で、細胞株から分泌されたNELL2ペプチドを回収すること;
任意選択で、NELL2ペプチドを実質的に精製すること;及び
任意選択で、NELL2ペプチドの活性を調べること、
を含む方法。
【請求項40】
前記昆虫細胞がハイファイブ細胞である請求項39の方法。
【請求項41】
前記昆虫の分泌型シグナルペプチドがメリチンのシグナル配列である請求項39の方法。
【請求項42】
NELL2をコードする核酸が、配列番号7、配列番号9、配列番号11又は配列番号13を含む群から選択される請求項39の方法。
【請求項43】
NELL2ペプチドが、配列番号8、配列番号10、配列番号12又は配列番号14を含む群から選択される請求項39の方法。
【請求項44】
昆虫細胞においてNELL2ペプチドを発現するための核酸構築物であって、昆虫の分泌型シグナルペプチドをコードする核酸と共に少なくともNELL2ペプチドをコードする少なくとも核酸をフレーム内に含む前記核酸構築物。
【請求項45】
前記昆虫の分泌型シグナルペプチドがメリチンのシグナル配列である請求項43の核酸。
【請求項46】
NELL2をコードする核酸が、配列番号7、配列番号9、配列番号11又は配列番号13を含む群から選択される請求項43の核酸。
【請求項47】
NELL2ペプチドが、配列番号8、配列番号10、配列番号12又は配列番号14を含む群から選択される請求項5の核酸。
【請求項48】
機能的NELL2ペプチドを発現する細胞株であって、昆虫の分泌型シグナルペプチドをコードする核酸と共に少なくともNELL2ペプチドをコードする少なくとも核酸をフレーム内に含む核酸構築物を包含する前記細胞株。
【請求項49】
前記細胞が昆虫細胞である請求項48の細胞。
【請求項50】
前記細胞がハイファイブ細胞である請求項49の細胞。
【請求項51】
前記細胞がNELL2ペプチドを分泌する請求項48の細胞。
【請求項52】
前記分泌型シグナルペプチドがメリチンのシグナル配列である請求項48の細胞。
【請求項53】
NELL2をコードする核酸が、配列番号7、配列番号9、配列番号11又は配列番号13を含む群から選択される請求項48の細胞。
【請求項54】
NELL2ペプチドが、配列番号8、配列番号10、配列番号12又は配列番号14を含む群から選択される請求項39の方法。
【請求項55】
NELL2ペプチド及び昆虫の分泌型シグナルペプチドを含むポリペプチド。
【請求項56】
NELL2ペプチドが、配列番号8、配列番号10、配列番号12又は配列番号14を含む群から選択される請求項55のポリペプチド。
【請求項57】
前記分泌型シグナルペプチドがメリチンのシグナル配列である請求項55のポリペプチド。
【請求項58】
哺乳類細胞において機能的ペプチドを発現する方法であって、
少なくともNELL2ペプチドをコードする少なくとも核酸及び分泌型シグナルペプチドをコードする核酸をNELL2ペプチドのフレーム内に包含する核酸構築物を提供すること;
前記核酸構築物により哺乳類細胞に形質移入を行なうこと;
NELL2ペプチドを発現できるような条件下で前記哺乳類細胞を培養すること;
任意選択で、細胞株から分泌されたNELL2ペプチドを回収すること;
任意選択で、NELL2ペプチドを実質的に精製すること;及び
任意選択で、神経細胞の生き残りを促進するNELL2ペプチドの活性を調べること、
を含む方法。
【請求項59】
前記哺乳類細胞がCOS7細胞である請求項58の方法。
【請求項60】
前記哺乳類の分泌型シグナルペプチドがNELLペプチドのシグナル配列である請求項58の方法。
【請求項61】
NELL1をコードする核酸が、配列番号7、配列番号9、配列番号11又は配列番号13を含む群から選択される請求項58の方法。
【請求項62】
NELL2ペプチドが、配列番号8、配列番号10、配列番号12又は配列番号14を含む群から選択される請求項58の方法。
【請求項63】
哺乳類細胞においてNELL2ペプチドを発現するための核酸構築物であって、分泌型シグナルペプチドをコードする核酸と共に少なくともNELL2ペプチドをコードする少なくとも核酸をフレーム内に含む前記核酸構築物。
【請求項64】
前記哺乳類の分泌型シグナルペプチドがNELLペプチドのシグナル配列である請求項63の核酸。
【請求項65】
NELL2をコードする核酸が、配列番号7、配列番号9、配列番号11又は配列番号13を含む群から選択される請求項63の核酸。
【請求項66】
NELL2ペプチドが、配列番号8、配列番号10、配列番号12又は配列番号14を含む群から選択される請求項63の核酸。
【請求項67】
機能的NELL2ペプチドを発現する細胞株であって、分泌型シグナルペプチドをコードする核酸と共に少なくともNELL2ペプチドをコードする少なくとも核酸をフレーム内に含む核酸構築物を包含する前記細胞株。
【請求項68】
前記細胞が哺乳類細胞である請求項67の細胞。
【請求項69】
前記細胞がCOS7細胞である請求項68の細胞。
【請求項70】
前記細胞がNELL2ペプチドを分泌する請求項67の細胞。
【請求項71】
前記分泌型シグナルペプチドがNELLペプチドのシグナル配列である請求項67の細胞。
【請求項72】
NELL2ペプチドをコードする核酸が、配列番号7、配列番号9、配列番号11又は配列番号13を含む群から選択される請求項67の細胞。
【請求項73】
NELL2ペプチドが、配列番号8、配列番号10、配列番号12又は配列番号14を含む群から選択される請求項58の方法。
【請求項74】
骨形成細胞の分化を増大させる方法であって、
骨形成細胞においてNELL1遺伝子産物の濃度を高めること;
任意選択で、第2の骨形成剤を添加すること;及び
骨芽細胞分化の細胞性マーカーの発現を誘導すること、
を含む方法。
【請求項75】
NELL1遺伝子産物の濃度を高めることが、骨形成細胞にNELL1ペプチドを適用することを含む請求項74の方法。
【請求項76】
NELL1ペプチドが、配列番号2、配列番号4又は配列番号6を含む群から選択される請求項74の方法。
【請求項77】
NELL1遺伝子産物の濃度を高めることが、内因性NELL1遺伝子の発現を誘導することを含む請求項74の方法。
【請求項78】
NELL1遺伝子産物の濃度を高めることが、Cbfa1の細胞性レベルを高めることを含む請求項77の方法。
【請求項79】
NELL1遺伝子産物の濃度を高めることが、NELL1ペプチドをコードする核酸構築物により骨形成細胞に形質移入することを含む請求項74の方法。
【請求項80】
NELL1ペプチドをコードする核酸構築物が、群:配列番号1、配列番号3又は配列番号5から選択される少なくとも1つを含む請求項74の方法。
【請求項81】
NELL1ペプチドが、配列番号2、配列番号4又は配列番号6を含む群から選択される請求項74の方法。
【請求項82】
骨形成細胞が、骨芽細胞、間葉細胞、線維芽細胞、胎児性胚細胞、幹細胞(単数)、骨髄細胞、硬膜細胞、軟骨細胞、軟骨芽細胞、一次頭蓋冠細胞、幹細胞(複数)、脂肪幹細胞を含む群から選択される請求項74の方法。
【請求項83】
第2の骨形成ペプチドが、TGF−β、BMP2、BMP4、BMP7、bFGF、コラーゲンを含む群から選択される請求項74の方法。
【請求項84】
骨芽細胞分化の誘導される細胞性マーカーが、アルカリホスファターゼ活性、オステオカルシンmRNAの発現、オステオポニンmRNAの発現、デコリンの発現及びラミニンBの発現を含む群から選択される請求項74の方法。
【請求項85】
骨芽細胞の石灰化を高める方法であって、
骨形成細胞においてNELL1遺伝子産物の濃度を高めること;
任意選択で、骨形成細胞に作用剤を適用すること;及び
石灰化の細胞性マーカーの発現を誘導すること、
を含む方法。
【請求項86】
NELL1遺伝子産物の濃度を高めることが、骨形成細胞にNELL1ペプチドを適用することを含む請求項85の方法。
【請求項87】
NELL1ペプチドが、配列番号2、配列番号4又は配列番号6を含む群から選択される請求項85の方法。
【請求項88】
NELL1遺伝子産物の濃度を高めることが、内因性NELL1遺伝子の発現を誘導することを含む請求項85の方法。
【請求項89】
NELL1遺伝子産物の濃度を高めることが、Cbfa1の細胞性レベルを高めることを含む請求項88の方法。
【請求項90】
NELL1遺伝子産物の濃度を高めることが、NELLペプチドをコードする核酸構築物により骨形成細胞に形質移入することを含む請求項85の方法。
【請求項91】
NELL1をコードする核酸構築物が、群:配列番号1、配列番号3又は配列番号5から選択される少なくとも1つを含む請求項85の方法。
【請求項92】
NELL1ペプチドが、配列番号2、配列番号4又は配列番号6を含む群から選択される請求項85の方法。
【請求項93】
骨形成細胞が、骨芽細胞、間葉細胞、線維芽細胞、胎児性胚細胞、幹細胞(単数)、骨髄細胞、硬膜細胞、軟骨細胞、軟骨芽細胞、一次頭蓋冠細胞、幹細胞(複数)、脂肪幹細胞を含む群から選択される請求項85の方法。
【請求項94】
第2の骨形成剤が、TGF−β、BMP2、BMP4、BMP7、bFGF、コラーゲンを含む群から選択される請求項85の方法。
【請求項95】
石灰化の誘導される細胞性マーカーがカルシウムの取り込みを含む群から選択される請求項85の方法。
【請求項96】
膜内骨形成を増大させる方法であって、
骨形成が所望される領域におけるNELL1遺伝子産物の濃度を高めること;
任意選択で、骨形成が所望されるほぼ同一領域に第2の作用剤を適用すること;及び
膜内骨形成の形成を誘導すること、
を含む方法。
【請求項97】
NELL1遺伝子産物の濃度を高めることが、骨形成が所望される領域にNELL1ペプチドを適用することを含む請求項96の方法。
【請求項98】
NELL1ペプチドが、配列番号2、配列番号4又は配列番号6を含む群から選択される請求項96の方法。
【請求項99】
NELL1遺伝子産物の濃度を高めることが、内因性NELL1遺伝子の発現を誘導することを含む請求項96の方法。
【請求項100】
NELL1遺伝子産物の濃度を高めることが、NELLペプチドをコードする核酸構築物により細胞に形質移入すること、及び該細胞を骨形成が所望される領域の近傍に適用することを含む請求項96の方法。
【請求項101】
NELL1をコードする核酸構築物が、群:配列番号1、配列番号3又は配列番号5から選択される少なくとも1つを含む請求項96の方法。
【請求項102】
NELL1ペプチドが、配列番号2、配列番号4又は配列番号6を含む群から選択される請求項96の方法。
【請求項103】
作用剤が、TGF−β、BMP2、BMP4、BMP7、bFGF、コラーゲン、骨、基質、靭帯基質、腱基質、骨形成細胞又は骨芽細胞を含む群から選択される請求項96の方法。
【請求項104】
膜内骨の形成が、CT、遺伝子発現、組織学、機械的試験によって評価される請求項96の方法。
【請求項105】
軟骨内の骨形成を増大させる方法であって、
骨形成、及び/又は骨の治癒又は骨の再生が所望される領域でNELL1遺伝子産物の濃度を高めること;
任意選択で、骨形成が所望される領域に作用剤を適用すること;及び
骨形成が所望される領域で少なくとも軟骨芽細胞の肥大を誘導すること、
を含む方法。
【請求項106】
骨形成が骨の治癒又は骨の再生を含む請求項105の方法。
【請求項107】
NELL1遺伝子産物の濃度を高めることが、骨形成が所望される領域にNELL1ペプチドを適用することを含む請求項105の方法。
【請求項108】
NELL1ペプチドが、配列番号2、配列番号4又は配列番号6を含む群から選択される請求項105の方法。
【請求項109】
NELL1遺伝子産物の濃度を高めることが、内因性NELL1遺伝子の発現を誘導することを含む請求項105の方法。
【請求項110】
NELL1遺伝子産物の濃度を高めることが、NELLペプチドをコードする核酸構築物により細胞に形質移入すること、及び該細胞を骨形成が所望される領域の近傍に適用することを含む請求項105の方法。
【請求項111】
NELL1ペプチドをコードする核酸構築物が、群:配列番号1、配列番号3又は配列番号5から選択される少なくとも1つを含む請求項110の方法。
【請求項112】
NELL1ペプチドが、配列番号2、配列番号4又は配列番号6を含む群から選択される請求項110の方法。
【請求項113】
作用剤が、TGF−β、BMP2、BMP4、BMP7、bFGF、コラーゲン、骨、基質、靭帯基質、腱基質、骨形成細胞又は骨芽細胞を含む群から選択される請求項105の方法。
【請求項114】
軟骨芽細胞の肥大を誘導することがアポトーシスの軟骨芽細胞の増加を起こす請求項105の方法。
【請求項115】
椎骨の近傍で骨形成を増大させる方法であって
脊椎固定が所望される椎骨の最も近くでのNELL1遺伝子産物の濃度を高めること;
任意選択で、脊椎固定が所望される椎骨の最も近くに追加の活性剤を適用すること;及び
脊椎固定が所望される領域で軟骨芽細胞の肥大又は骨芽細胞の分化を誘導すること、
を含む方法。
【請求項116】
骨芽細胞の分化を増大させることをさらに含む請求項115の方法。
【請求項117】
骨芽細胞の石灰化を増大させることをさらに含む請求項115の方法。
【請求項118】
膜の骨形成を誘導することをさらに含む請求項115の方法。
【請求項119】
NELL1遺伝子産物の濃度を高めることが、脊椎固定が所望される領域にNELL1ペプチドを適用することを含む請求項115の方法。
【請求項120】
NELL1ペプチドが、配列番号2、配列番号4又は配列番号6を含む群から選択される請求項115の方法。
【請求項121】
NELL1遺伝子産物の濃度を高めることが、内因性NELL1遺伝子の発現を誘導することを含む請求項105の方法。
【請求項122】
NELL1遺伝子産物の濃度を高めることが、NELLペプチドをコードする核酸構築物により細胞に形質移入すること、及び該細胞を脊椎固定が所望される領域の近傍に適用することを含む請求項115の方法。
【請求項123】
NELL1をコードする核酸構築物が、群:配列番号1、配列番号3又は配列番号5から選択される少なくとも1つを含む請求項122の方法。
【請求項124】
NELL1ペプチドが、配列番号2、配列番号4又は配列番号6を含む群から選択される請求項122の方法。
【請求項125】
作用剤が、TGF−β、BMP2、BMP4、BMP7、bFGF、コラーゲン、骨、基質、靭帯基質、腱基質、骨形成細胞又は骨芽細胞を含む群から選択される請求項115の方法。
【請求項126】
骨形成を誘導するための組成物であって、
NELL1ペプチド、及びNELL1ペプチドの発現を変化させる作用剤、又はNELL1ペプチドの活性を変化させる作用剤を含む群から選択される、骨形成を誘導するための、有効量の第1の作用剤、並びに任意選択でキャリアを含む組成物。
【請求項127】
NELL1ペプチドが、配列番号2、配列番号4又は配列番号6を含む群から選択される請求項126の組成物。
【請求項128】
作用剤が、TGF−β、BMP2、BMP4、BMP7、bFGF、コラーゲンを含む群から選択される請求項126の組成物。
【請求項129】
作用剤が、骨基質、腱基質又は靭帯基質、骨形成細胞又は骨芽細胞を含む群から選択される請求項126の組成物。
【請求項130】
前記キャリアが酵素的メカニズム又は加水分解のメカニズムで分解可能である請求項126の組成物。
【請求項131】
前記キャリアが、ポリ(L−ラクチド)、ポリ(D,L−ラクチド)、ポリグリコリド、ポリ(ラクチド−コ−グリコリド)、ポリ(カプロラクトン)、ポリ(トリメチレンカーボネート)、ポリ(p−ジオキサノン)、ポリ(カプロラクトン−コ−グリコリド)、ポリ(グリコリド−コ−トリメチレンカーボネート)ポリ(D,L−ラクチド−コ−トリメチレンカーボネート)のようなポリ(α−ヒドロキシ酸)、ポリアリーレート類、ポリヒドロキシブチラート、ポリ無水物、ポリ(無水物−コ−イミド)、プロピレン−コ−フマレート類、ポリラクトン類、ポリエステル類、ポリカーボネート類、ポリアニオン系ポリマー類、ポリ無水物、ポリエステルアミド類、ポリ(アミノ酸)、ホモポリペプチド類、ポリ(ホスファゼン類)、ポリ(グラクサノン)、多糖類、及びポリ(オルソエステル類)、ポリグラチン、ポリグラチン酸、ポリアルドン酸、ポリアクリル酸、ポリアルカノエート類を含む群から選択される合成ポリマーから構成される請求項126の組成物。
【請求項132】
前記キャリアが、アルキルセルロース、ヒドロキシアルキルセルロース、メチルセルロース、エチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピル−メチルセルロース、カルボキシメチルセルロース及びそれらのカチオン系塩から構成される請求項126の組成物。
【請求項133】
前記キャリアが、炭酸カルシウム、リン酸カルシウム、アパタイト、生体活性ガラス材料、及びサンゴ由来のアパタイトを含む群から選択される合成の又は天然のバイオセラミックから構成される請求項126の組成物。
【請求項134】
前記キャリアが、コラーゲン、ヒアルロナン、フィブリン、キトサン、アルギネート及びゼラチンを含む群から選択される請求項126の組成物。
【請求項135】
デキストラン硫酸、コンドロイチン硫酸、硫酸ヘパリン、フカン、アルギネートを含む群から選択されるヘパリン結合剤をさらに含む請求項126の組成物。
【請求項136】
前記キャリアが流動性ゲルの形態である請求項126の組成物。
【請求項137】
前記キャリアが光重合性である請求項126の組成物。
【請求項138】
前記キャリアが温度感受性である請求項126の組成物。
【請求項139】
組成物が、コラーゲン、ゼラチン、ヒアルロン酸、アルギネート、ポリ(エチレングリコール)、メチルセルロース、エチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピル−メチルセルロース及びカルボキシメチルセルロースを含むアルキルセルロース(ヒドロキシアルキルセルロースを含む)、血液、フィブリン、ポリオキシエチレンオキシド、硫酸カルシウム半水化物、アパタイト類、カルボキシビニルポリマー、又はポリ(ビニルアルコール)を含む群から選択される金属イオン封鎖剤をさらに含む請求項126の組成物。
【請求項140】
組成物が、ポリソルベート80、ポリソルベート20又はプルロニックF−68を含む群から選択される界面活性剤をさらに含む請求項126の組成物。
【請求項141】
組成物が、グリシン、グルタミン酸塩酸塩、塩化ナトリウム、グアニジン、ヘパリン、グルタミン酸塩酸塩、酢酸、コハク酸、ポリソルベート、デキストラン硫酸、スクロース及びアミノ酸を含む群から選択される緩衝剤をさらに含む請求項126の組成物。
【請求項142】
膜内の骨形成を増大させるために患者を治療する方法であって、骨形成を増すために選択された間隔で、有効な投与形態で、治療上有用な用量にてNELLペプチドを投与することを含む方法。
【請求項143】
骨形成が所望される領域に、TGF−β、BMP2、BMP4、BMP7、bFGF、コラーゲン、骨基質、腱基質又は靭帯基質を含む群から選択される少なくとも1種の作用剤を投与することをさらに含む請求項142の方法。
【請求項144】
骨形成を誘導するために患者を治療する方法であって、哺乳類の骨形成細胞を回収すること;該骨形成細胞に接触するNELL1ペプチドの濃度を高めること;骨形成が所望される領域に該骨形成細胞を投与することを含む方法。
【請求項145】
骨形成細胞に接触するNELL1ペプチドの発現の濃度を高めることが、NELL1ペプチドを含む組成物を骨形成細胞に適用することを含む請求項144の方法。
【請求項146】
骨形成細胞に接触するNELL1ペプチドの発現の濃度を高めることが、NELL1ペプチドの内因性の発現を誘導することを含む請求項144の方法。
【請求項147】
骨形成細胞に接触するNELL1ペプチドの発現の濃度を高めることが、NELL1ペプチドをコードする核酸構築物により細胞に形質移入することを含む請求項144の方法。
【請求項148】
NELL1ペプチドが、配列番号2、配列番号4又は配列番号6を含む群から選択される請求項145、146又は147の方法。
【請求項149】
骨形成が所望される領域に、TGF−β、BMP2、BMP4、BMP7、bFGF、コラーゲン、骨、基質、靭帯基質、腱基質、骨形成細胞又は骨芽細胞を含む群から選択される少なくとも1種の作用剤を投与することをさらに含む請求項145、146又は147の方法。
【請求項150】
人体で使用するためのインプラントであって、基材がインプラントの近傍で骨形成を誘導するのに十分な量のNELL1を含む基材を含むインプラント。
【請求項151】
人体で使用するためのインプラントであって、表面の少なくとも一部がインプラントの近傍で骨形成を誘導するのに十分な量のNELL1を含む表面を有する基材を含むインプラント。
【請求項152】
人体で使用するためのインプラントであって、表面の少なくとも一部が骨形成細胞を含む表面を有する基材を含み、該基材が骨形成を誘導するのに十分な量のNELL1を含むインプラント。
【請求項153】
前記基材がメッシュ、ピン、ネジ、プレート又は人工装具の継ぎ目の形状に形成される請求項145、146又は147のインプラント。
【請求項154】
前記基材が吸収性である請求項145、146又は147のインプラント。
【請求項155】
前記基材がコラーゲンを含む請求項145、146又は147のインプラント。
【図18】
【図17】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図24】
【図26】
【図28】
【図29】
【図30】
【図32】
【図17】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図24】
【図26】
【図28】
【図29】
【図30】
【図32】
【公表番号】特表2007−524360(P2007−524360A)
【公表日】平成19年8月30日(2007.8.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−503442(P2006−503442)
【出願日】平成16年2月9日(2004.2.9)
【国際出願番号】PCT/US2004/003808
【国際公開番号】WO2004/072100
【国際公開日】平成16年8月26日(2004.8.26)
【出願人】(505296980)ザ リージェンツ オブ ザ ユニバーシティ オブ カリフォルニア (4)
【Fターム(参考)】
【公表日】平成19年8月30日(2007.8.30)
【国際特許分類】
【出願日】平成16年2月9日(2004.2.9)
【国際出願番号】PCT/US2004/003808
【国際公開番号】WO2004/072100
【国際公開日】平成16年8月26日(2004.8.26)
【出願人】(505296980)ザ リージェンツ オブ ザ ユニバーシティ オブ カリフォルニア (4)
【Fターム(参考)】
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