説明

NF膜及びその製造方法

【課題】脱塩率の高いNF膜の提供。
【解決手段】塩素含有ポリマーと多価アミノ基含有化合物の脱塩化水素縮合体からなり、pH=6〜7における表面のゼータ電位が+であり、下記式から求められるCa除去率が70%以上である、NF膜。
Ca除去率
=〔1−(透過液中のCa量)/{(供給液中のCa量+濃縮液中のCa量)/2}〕

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、水道水、天然水中の硬度成分を除去するためのNF膜とその製造方法、NF膜を用いた膜モジュール、前記膜モジュールを備えた水処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
水道水等の原水から、カルシウムイオン、マグネシウムイオン等の硬度成分を除去する方法としては、イオン交換樹脂を用いる軟水化方法、水酸化カルシウム等の凝結剤を用いる方法、逆浸透膜やナノ濾過膜を用いる方法が知られている。
【0003】
イオン交換樹脂を用いる軟水化方法では、イオン交換樹脂に硬度成分が吸着して飽和すると、食塩を用いてイオン交換樹脂を再生する必要がある。このため、硬度成分の濃度が高くなると、再生頻度が高くなり、手間と費用がかかることになる。
【0004】
水酸化カルシウム等の凝結剤を用いる方法では、硬度成分の除去率を上げるためには凝結剤の添加量が増加することから、前記除去率を高めることが困難である。
【0005】
逆浸透膜やナノ濾過膜(NF膜)を用いる方法では、従来の逆浸透膜やナノ濾過膜は原水側に高い圧力を作用させて硬度成分を除去しなければならず、処理水量当たりの運転動力が多くなり、エネルギー効率が悪かった。また、従来の逆浸透膜やナノ濾過膜はスパイラル形状が一般的であり、物理的洗浄が困難である。このため、原水に含まれる懸濁成分、細菌及び有機物質等が多い場合には、これらを予め限外濾過膜や精密濾過膜等で除去するなどの高度な前処理をしないと膜の目詰まりが起こり易くなる。
【0006】
特許文献1は、液体分離膜に関する発明である。請求項6、段落0024には、支持体上に多官能アミン水溶液を塗布した後、さらに多官能ハロゲン化合物を含有する有機溶媒溶液を塗布し、支持体上で多官能アミンと多官能ハロゲン化合物を重縮合反応させて液体分離膜を製造することが記載されている。
段落0021には、液体分離膜の表面のゼータ電位(pH6−8)は負であることが好ましいと記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2005−46659号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、硬質成分、特に2価イオンの除去率が高く、軟水化用として好適な中空糸型NF膜とその製造方法を提供することを課題とする。
さらに本発明は、前記NF膜を有する膜モジュール、前記NF膜を有する膜モジュールを備えた水処理装置を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、課題の解決手段として、
塩素含有ポリマーと多価アミノ基含有化合物の脱塩化水素縮合体からなり、pH=6〜7における表面のゼータ電位が+であり、下記式から求められるCa除去率が70%以上である、NF膜を提供する。
Ca除去率
=〔1−(透過液中のCa量)/{(供給液中のCa量+濃縮液中のCa量)/2}〕
【0010】
また本発明は、他の課題の解決手段として、
上記のNF膜の製造方法であって、
請求項1〜3のいずれか1項記載のNF膜の製造方法であって、
塩素含有ポリマーからなり、pH=6〜7における表面のゼータ電位が−である膜を製造する工程と、
前記工程で得られた膜と多価アミノ基含有化合物の水溶液を接触させる工程と、その後、加熱する工程を有している、NF膜の製造方法を提供する。
【0011】
さらに本発明は、別の課題の解決手段として、前記NF膜を有する膜モジュール、前記NF膜を有する膜モジュールを備えた水処理装置を提供する。
【発明の効果】
【0012】
本発明のNF膜は、膜表面のゼータ電位がプラスであることから、2価イオンの除去率が高められるため、高い脱塩率を有するものとなる。
【発明を実施するための形態】
【0013】
<NF膜>
本発明のNF膜は、塩素含有ポリマーと多価アミノ基含有化合物の脱塩化水素縮合体からなるものである。
【0014】
塩素含有ポリマーとしては、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、塩素化ポリ塩化ビニルから選ばれるものを挙げることができる。
多価アミノ基含有化合物としては、ポリエチレンイミン、ヒドロキシエチルポリエチレンイミン、ポリアリルアミンから選ばれるものを挙げることができる。ポリエチレンイミンとしては、(株)日本触媒のエポミン(登録商標)の品番SP−003(分子量300)、SP−006(分子量600)、SP−012(分子量1200)、SP−018(分子量1800)、SP−200(分子量10、000)、P-1000(分子量70、000)等を使用することができる。
【0015】
本発明のNF膜は、実施例に記載の方法により測定される表面のゼータ電位が+のものであり、好ましくは+5mV以上のものであり、より好ましくは+10mV〜+30mVのものである。
このようにNF膜表面の電位がプラスに制御されていることから、特にカルシウムイオン、マグネシウムイオン等の2価イオンの除去率が高められる。
詳しい除去メカニズムは不明であるが、膜表面のゼータ電位がプラスであることにより、水中のカチオンが荷電反撥により膜透過性が減少し、特にカルシウムイオン、マグネシウムイオンなどの2価カチオンの除去率が高められるものと考えられる。
【0016】
本発明のNF膜の形態は特に制限されるものではないが、本発明では中空糸型又は平膜型であるものが好ましく、特に中空糸膜型が好ましい。
【0017】
本発明のNF膜が中空糸型であるときの内径及び外径は特に制限されるものはないが、好ましくは内径が0.2〜1.0mm、より好ましくは0.3〜0.7mmであり、好ましくは外径が内径の1.3〜1.8倍、より好ましくは1.4〜1.7倍である。内径と外径を前記範囲内にすることにより、逆圧洗浄したときにも膜が損傷することなく、洗浄性も高めることができるので好ましい。
【0018】
本発明のNF膜が平膜型であるときの厚みは特に制限されるものではないが、分離機能層の厚みは0.1〜0.5mmが好ましく、0.01〜0.30mmがより好ましい。
【0019】
本発明のNF膜は、実施例に記載の方法により測定され、下記式から求められるCa(塩化カルシウム)の除去率(脱塩率)が70%以上のものであり、好ましくは80%以上、さらに好ましくは90%以上のものである。
Ca除去率
=〔1−(透過液中のCa量)/{(供給液中のCa量+濃縮液中のCa量)/2}〕
【0020】
なお、本発明のNF膜は、マグネシウムイオンの除去率も、塩化カルシウム(カルシウムイオン)の除去率と同程度の数値を達成できる。
また、本発明のNF膜は、塩化ナトリウム(ナトリウムイオン及び塩素イオン)は、10〜50%程度除去できる。
【0021】
本発明のNF膜が中空糸型の場合には、純水透過係数が5L/m2h・0.1MPa以上であり、好ましくは10L/m2h・0.1MPa以上、より好ましくは20L/m2h・0.1MPa以上である。
本発明のNF膜が平膜型の場合には、5L/m2h・0.1MPa以上であり、好ましくは10L/m2h・0.1MPa以上、より好ましくは20L/m2・0.1MPa以上である。
【0022】
本発明のNF膜は、水道水、河川水、湖沼水、海水等から硬度成分等を除去して軟水を製造するための膜として好適である。
本発明のNF膜は、軟水製造器、海水淡水化の前処理装置、人工透析用等の医療用精製水製造の前処理装置、浄水器等に適用することができる。
【0023】
<NF膜の製造方法>
本発明のNF膜の製造方法は、塩素含有ポリマーからなり、pH=6〜7における表面のゼータ電位が−である膜(以下、単に「塩素含有ポリマー膜」という)の製造工程(製膜工程)、接触工程及び加熱工程を有しており、さらに水洗工程や乾燥工程を付加することができる。
【0024】
塩素含有ポリマー膜の製造工程(製膜工程)は、製膜溶液を使用した周知の湿式紡糸法を適用することができる。
製膜溶液は、塩素含有ポリマーと溶媒を含むものであり、塩素含有ポリマーの含有割合は10〜40質量%が好ましく、15〜30質量%がより好ましい。
溶媒は、N−メチル−2−ピロリドン、ジメチルスルホキシド、ジメチルアセトアミド、N、N・ジメチルホルムアミド等を使用することができる。
【0025】
接触工程は、前工程で得られた塩素含有ポリマー膜と、多価アミノ基含有化合物の水溶液を接触させる工程である。
【0026】
この工程で使用する塩素含有ポリマー膜は、目的とする最終的な膜形態のものであり、本発明では中空糸膜型又は平膜型であるものが好ましい。
多価アミノ基含有化合物の水溶液中の多価アミノ基含有化合物濃度は、5〜50質量%の範囲にすることができる。
【0027】
接触工程は、塩素含有ポリマー膜と多価アミノ基含有化合物の水溶液が十分に接触できる方法であれば特に制限されるものではないが、本発明では、
(I)塩素含有ポリマー膜をアミノ基含有化合物の水溶液中に浸漬する方法、
(II)アミノ基含有化合物の水溶液を塩素含有ポリマー膜で濾過する方法、
のいずれかの接触方法を適用することが好ましい。
【0028】
(I)の接触方法は、室温雰囲気(例えば5〜35℃)において、塩素含有ポリマー膜の体積に対して2〜20倍量程度のアミノ基含有化合物の水溶液中に、塩素含有ポリマー膜を1〜60分間浸漬する方法を適用することができる。
前記水溶液中のアミノ基含有化合物濃度が高い場合と低い場合では、濃度が高いほど接触時間を短くすることができる。
浸漬中は静置すればよいが、塩素含有ポリマー膜とアミノ基含有化合物の接触状態を高めるため、浸漬中において継続して撹拌するようにしてもよいし、浸漬開始から浸漬時間全体の10〜20%程度の時間だけ撹拌して、その後は静置するようにしてもよい。
また膜内部に含まれる空気を除くための減圧による脱泡処理をすることもできる。
【0029】
(II)の接触方法は、例えば、中空糸膜型の塩素含有ポリマー膜の多数本を束ねて端部をポリウレタンあるいはエポキシ樹脂等で中空糸膜間を接着した通常の膜モジュールとした状態で、通常の濾過運転条件にて多価アミノ基含有化合物の水溶液を濾過する方法を適用することができる。平膜型の塩素含有ポリマー膜を使用した場合も、公知の濾過条件にて濾過すればよい。
【0030】
接触工程の後、十分に多価アミノ基含有化合物の水溶液が付着した状態の塩素含有ポリマー膜を加熱する。
加熱工程は、浸漬した塩素含有ポリマー膜を取り出した後に加熱する方法と、浸漬した状態のまま加熱する方法のいずれの方法でも適用できるが、浸漬した状態のまま加熱する方法の方が好ましい。(II)の接触方法を採った場合でもモジュール内に多価アミノ基含有化合物の水溶液を充填した状態のまま、加熱する方法が好ましい。
この加熱工程により縮合反応(付加脱離反応)が進行して塩化水素が脱離し、塩素含有ポリマー膜とアミノ基含有化合物が化学的に結合される。
また、前記塩化水素の脱離を促進させるために、水酸化ナトリウム等のアルカリ触媒を接触工程における多価アミノ基含有化合物の水溶液に添加し、接触工程・加熱工程を行うこともできる。
【0031】
加熱工程は60〜120℃で0.5〜60時間加熱することが好ましい。ここで、浸漬した塩素含有ポリマー膜を取り出した後に加熱する方法の場合には、樹脂成形体が置かれた雰囲気の温度(気温)であり、浸漬した状態のまま加熱する方法の場合には、アミノ基含有ポリマーの水溶液の温度(液温)である。
なお、室温雰囲気(例えば5〜35℃)で接触させた後、そのままの状態で加熱工程(60〜120℃)に移行するときは、所定の加熱温度になるまでの時間は、実質的に接触工程となる。
加熱工程における加熱温度と加熱時間は、目的とするゼータ電位及び脱塩率(いずれも実施例に記載の方法により測定する)を考慮して調整する。
同じ塩素含有ポリマー膜とアミノ基含有化合物を使用するときには、
加熱温度を上げ、加熱時間を長くすることで、ゼータ電位が高くなり、脱塩率が上がる傾向がある。
このため、加熱温度と加熱時間を変えた組み合わせを複数実施してデータを蓄積することで、好適な範囲の加熱温度と加熱時間を容易に求めることができる。アルカリ触媒を使用する場合も同様である。
【0032】
加熱温度及び時間は、使用する多価アミノ基含有化合物の分子量との関連においても調整することができる。
多価アミノ基含有化合物の分子量が小さい場合には分子量が大きい場合と比べて、加熱温度を高く、加熱時間を長くする。
多価アミノ基含有化合物の分子量が大きい場合には分子量が小さい場合と比べて、加熱温度を低く、加熱時間を短くする。
例えば、多価アミノ基含有化合物として分子量が1万のポリエチレンイミンを使用したとき、80〜100℃で20〜30時間程度加熱することで、ゼータ電位を+にして、かつ脱塩率を70%以上にすることができる。
【0033】
水洗工程は、加熱工程後の塩素含有ポリマーからなる膜を水洗して、未反応の多価アミノ基含有化合物等を除去する工程である。
水洗方法は特に制限されるものではなく、流水洗浄、洗浄水を循環させる流水循環洗浄、浸漬洗浄、浸漬撹拌洗浄等を適用することができる。
浸漬洗浄を適用するときには、塩素含有ポリマーからなる膜の体積に対して30〜300倍量程度の水(水道水、イオン交換水等)中に、前記塩素含有ポリマーからなる膜を3〜24時間浸漬する方法を適用することができる。
【0034】
得られたNF膜は、上記したとおり、表面のゼータ電位が+のものであり、好ましくは+5mV以上のものであり、より好ましくは+10mV〜+30mVのものである。
【0035】
得られたNF膜は、脱塩率が70%以上のものが好ましく、75%以上のものがより好ましく、80%以上のものがさらに好ましい。
【0036】
<膜モジュール>
本発明の膜モジュールは、上記したNF膜を有するものである。
NF膜を中空糸膜型にしたときは、例えば、液出入り口を備えたケースハウジング内に多数本の中空糸膜型NF膜を充填したものにすることができる。具体的には、特開平11−333261号公報の図1に示されたもの、特開2004−330081号公報の図1に示されたものにすることができる。
NF膜を平膜型にしたときには、例えば、支持枠や支持板に平膜型のNF膜を固定したものにすることができる。具体的には、特開平10−109020号公報の図1〜4に示されたもの、特開2006−281125号公報の図1に示されたものにすることができる。
【0037】
<水処理装置>
本発明の水処理装置は、本発明のNF膜を有する膜モジュールを備えた装置であり、前記膜モジュールと共に、他の膜装置(RO膜装置、UF膜装置等)、活性炭処理装置、プレフィルター、UV装置、凝集装置等の公知の水処理用の各種装置と組み合わせることができる。
例えば、特開2010−58101号公報に記載の低濃度海水の製造方法の発明を実施するための図1に示された装置、特開2002−292248号公報に記載のミネラル液の製造方法を実施するための図1〜図4に示された装置、特開2009−39696の医療用精製水の製造方法を実施するための図1に示された装置、特表平11−504564号公報に記載の水性溶液のナノ濾過方法を実施するための図1に示された装置のNF膜モジュールとして本願発明のNF膜モジュールを使用することができる。
【実施例】
【0038】
〔ゼータ電位の測定方法〕
膜のゼータ電位は、ゼータ電位測定システムELSZ(大塚電子株式会社製)を用いて、電気泳動光散乱法により測定した。
具体的には,平板試料用セルユニット(大塚電子株式会社製)に膜を設置し、モニター粒子(大塚電子製)を分散させたpH=6〜7、10mMNaCI水溶液でセルを満たし電気泳動測定を行い,ゼータ電位を算出した。
【0039】
(Caの除去率:脱塩率)
実施例及び比較例で得た中空糸膜の両端を開口させたもの5本を用い、両端側をエポキシ樹脂で封止したものをケースハウジングに収容して、試験用中空糸膜モジュールを作製した。
この試験用中空糸膜モジュールの一端側から、中空糸膜の内側に100mg/Lの塩化カルシウム水溶液を0.5MPaの圧力を加えて供給しながら、他端側から濃縮水を排出する内圧クロスフロー濾過を行った。中空糸内の塩化カルシウム水溶液の線速は0.5m/sであった。
安定状態の下、供給液、透過液及び濃縮液を採取し、ドロップテスト(共立理化学研究所社製のWAD−TH)を用いて、それぞれの硬度を測定し、下記式からCa除去率(%)を求めた。
Ca除去率
=〔1−(透過液中のCa量)/{(供給液中のCa量+濃縮液中のCa量)/2}〕
【0040】
〔純水透過係数:PWP〕
上記の試験用中空糸膜モジュールの一端側を閉じた状態で、他端側から純水を0.5MPaで供給し、中空糸膜から一定時間に透過する純水の質量を測定した。この質量を採取時間(h)、中空糸膜内表面の膜面積(m2)、圧力(0.5MPa)で除して、純水透過係数〔L/m2h・0.1MPa〕を求めた。
【0041】
実施例1、2、比較例1、2
〔製膜工程〕
N−メチル−2−ピロリドン83質量%量にPVC(ポリ塩化ビニル)17質量%量を加え、80℃で5時間加熱溶解して、製膜溶液を得た。その後、製膜溶液を60℃で15時間かけて脱泡した。
脱泡した製膜溶液を用い、二重紡糸ノズルにより40℃で紡糸した。内部凝固液として20℃の水を用いた。
二重紡糸ノズルから吐出させた後、距離100mmの乾燥空間(40℃)を通して乾燥させた後、40℃の水が入った凝固槽を通過させた。
その後、さらに40℃の水が入った水洗槽を通過させてPVC中空糸膜を巻き取った。
【0042】
〔接触工程〕
PVC中空糸膜(内径0.5mm、外径0.8mm、長さ1000mmのもの)を表1に示すPEIの水溶液(25℃)中に3分間浸漬した状態で、減圧脱泡を行った。
【0043】
〔加熱工程〕
PVC中空糸膜をPEI水溶液に接触させた状態のまま、乾燥機内で表1に示す条件で加熱処理した。
【0044】
【表1】

【0045】
PVC:シグマアルドリッチジャパン(株)製(Mn233、000、Mw99、000)
PEI:(株)日本触媒のエポミン(登録商標)SP−006(分子量600)、SP−200(分子量10、000)
【0046】
実施例3、4、比較例3、4
PVC中空糸膜に代えて、表2に示す塩素化PVC(塩素化ポリ塩化ビニル)を用いたほかは、実施例1と同様にしてNF膜を得た。但し、加熱条件は表2に示す条件で行った。
【0047】
【表2】

【0048】
塩素化PVC:(株)カネカの塩素化ポリ塩化ビニル、品名カネカCPVCH516
PEI:(株)日本触媒のエポミン(登録商標)SP−006(分子量600)、SP−200(分子量10、000)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
塩素含有ポリマーと多価アミノ基含有化合物の脱塩化水素縮合体からなり、pH=6〜7における表面のゼータ電位が+であり、下記式から求められるCa除去率が70%以上である、NF膜。
Ca除去率
=〔1−(透過液中のCa量)/{(供給液中のCa量+濃縮液中のCa量)/2}〕
【請求項2】
塩素含有ポリマーが、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、塩素化ポリ塩化ビニルから選ばれるものであり、
多価アミノ基含有化合物が、ポリエチレンイミン、ヒドロキシエチルポリエチレンイミン、ポリアリルアミンから選ばれるものである、請求項1記載のNF膜。
【請求項3】
中空糸型又は平膜型である、請求項1又は2記載のNF膜。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれか1項記載のNF膜の製造方法であって、
塩素含有ポリマーからなり、pH=6〜7における表面のゼータ電位が−である膜を製造する工程と、
前記工程で得られた膜と多価アミノ基含有化合物の水溶液を接触させる工程と、その後、加熱する工程を有している、NF膜の製造方法。
【請求項5】
前記接触工程が、塩素含有ポリマーからなる膜を多価アミノ基含有化合物の水溶液中に浸漬する方法である、請求項4記載のNF膜の製造方法。
【請求項6】
加熱工程が60〜95℃で0.5〜60時間加熱する工程である、請求項4又は5記載のNF膜の製造方法。
【請求項7】
請求項1〜3のいずれか1項記載のNF膜を有する膜モジュール。
【請求項8】
請求項1〜3のいずれか1項記載のNF膜を有する膜モジュールを備えた水処理装置。

【公開番号】特開2013−22580(P2013−22580A)
【公開日】平成25年2月4日(2013.2.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−163292(P2011−163292)
【出願日】平成23年7月26日(2011.7.26)
【出願人】(594152620)ダイセン・メンブレン・システムズ株式会社 (104)
【Fターム(参考)】