説明

NK−1受容体拮抗薬としてのアザ二環式アミン誘導体

本発明は、式(I):(式中、Xは、水素又はヒドロキシ基によって場合により置換されたC1−4アルキル基を表し、Yは、水素、C1−6アルキル又はC3−7シクロアルキルを表し、Zは、−CR10CH−又は−CHCR10−であり、Rは、水素、フッ素、ヒドロキシ、C1−6アルキル又はC1−6アルコキシを表し、R、R、R、R、R及びRは、明細書に定義された通りである。)の化合物に関する。この化合物は、鬱病、不安、疼痛、炎症、偏頭痛、嘔吐又は疱疹後神経痛の治療又は予防に於いて特に使用するものである。
【化83】


【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、タキキニン拮抗薬として有用であるアザ二環式化合物の種類に関する。更に特に、本発明の化合物は、ニューロキニン1(NK−1)受容体拮抗薬として有用である1−フェニル−8−アザビシクロ[3.2.1]オクタンの置換ベンジルアミノ誘導体である。
【発明の開示】
【0002】
本発明は、式(I):
【0003】
【化4】

[式中、Xは、水素又はヒドロキシ基によって場合により置換されたC1−4アルキル基を表し、
Yは、水素、C1−6アルキル又はC3−7シクロアルキルを表し、
Zは、−CR10CH−又は−CHCR10−であり、
Rは、水素、フッ素、ヒドロキシ、C1−6アルキル又はC1−6アルコキシを表し、
は、水素、ヒドロキシ、C1−6アルキル、C2−6アルケニル、C3−7シクロアルキル、C3−7シクロアルキルC1−4アルキル、C1−6アルコキシ、フルオロC1−6アルコキシ、ヒドロキシC1−6アルキル、C1−6アルコキシC1−4アルキル、C1−6アルコキシC1−4アルコキシ、フルオロC1−6アルコキシC1−4アルキル、C2−6アルケニルオキシ、C3−7シクロアルコキシ、C3−7シクロアルキルC1−4アルコキシ、フェノキシ、ベンジルオキシ、シアノ、ハロゲン、NR、SR、SOR、SO、OSO、NRCOR12、COR、CO若しくはCONR(式中、R及びRは、それぞれ独立に、水素、C1−4アルキル又はフルオロC1−4アルキルを表す。)を表し、
は、水素、ハロゲン、C1−6アルキル若しくはC1−6アルコキシを表し、
又はRがRに隣接するとき、これらは、一緒に結合して、窒素、酸素、硫黄、NH若しくはNRから選択された1個若しくは2個の原子を含有する5員若しくは6員の飽和若しくは不飽和環(但し、この環は、ヒドロキシ、C1−4アルキル、C1−3アルコキシC1−3アルキル、フルオロC1−4アルキル、フェニル、=O又は=Sから選択された1個、2個又は3個の基によって場合により置換されており、Rは、C1−4アルキル、ヒドロキシC1−4アルキル、C1−4アルコキシC1−4アルキル、フルオロC1−4アルキル、フェニル又はベンジルである。)を形成することができ、
は、水素、ハロゲン、C1−6アルキル、フルオロC1−6アルキル、C1−6アルコキシ、フルオロC1−6アルコキシ、C3−7シクロアルキル、C3−7シクロアルキルC1−4アルキル、シアノ、SR、SOR、SO、NR、NRCOR12、COR、CO、CONRを表し、又はシアノ、CO若しくはCONRによって置換されたC1−4アルキル(式中、R及びRは、前記定義された通りである。)を表し、
又はRは、窒素、酸素及び硫黄から選択された1個、2個、3個若しくは4個のヘテロ原子を含有する5員若しくは6員の芳香族複素環式基(この基は、C1−6アルキル、C1−6アルコキシ、C3−7シクロアルキル、C3−7シクロアルキルC1−4アルキル、トリフルオロメチル、OCF、NO、CN、SR、SOR、SO、COR、CO、フェニル、−(CHNR、−(CHNRCOR、−(CHCONR又はCHC(O)R(式中、R及びRは、前記定義された通りであり、rはゼロ、1又は2である。)から選択された1個又は2個の基によって場合により置換されている。)を表し、
は、水素、ハロゲン、C1−6アルキル、C1−6アルコキシ、CF、OCF、NO、CN、SR、SOR、SO、CO、CONR、C2−6アルケニル、C2−6アルキニルを表し、又はC1−4アルコキシによって置換されたC1−4アルキル(式中、R及びRは、前記定義された通りである。)を表し、
は、水素、ハロゲン、C1−6アルキル、CF又はC1−4アルコキシによって置換されたC1−6アルコキシを表し、
は、水素、ヒドロキシ、COR、CO、COCONR、COCO、(CO、CONR、ヒドロキシ、CN、COR、NR、C(NOH)NR、CONHフェニル(C1−4アルキル)、COCO、CONHNR、C(S)NR、CONR1−6アルキルR14、CONR112−6アルケニル、CONR112−6アルキニル、COCONR、CONRC(NR)NR、CONRヘテロアリールおよび(C1−6アルキル、C1−6アルコキシ、ハロゲン及びトリフルオロメチルから選択された1個、2個又は3個の置換基によって場合により置換された)フェニル)から選択された基によって場合により置換されたC1−6アルキルを表し、
又はRは、式−CHC≡CCHNR(式中、R及びRは、下記に定義される通りである。)の基を表し、
又はRは、オキソによって場合により置換された、=O若しくは=Sによって場合により置換された1個、2個若しくは3個の窒素原子を含有する5員若しくは6員の複素環式環によって置換された、式−W−NRの基によって場合により置換されたC1−6アルキルを表し、
Wは、C1−6アルキレン又はC3−6シクロアルキルであり、
は、水素又はC1−4アルキル、C3−7シクロアルキル、C3−7シクロアルキルC1−4アルキルを表し、又はC1−4アルコキシ若しくはヒドロキシルによって置換されたC2−4アルキルを表し、
は、水素又はC1−4アルキル、C1−4アルコキシ、C3−7シクロアルキル、C3−7シクロアルキルC1−4アルキルを表し、又はC1−4アルコキシ、ヒドロキシル、CO、NR、アリール、アリールオキシ、ヘテロアリール若しくはN、O及びSから選択された1個若しくは2個のヘテロ原子を含有する4員、5員若しくは6員のヘテロ脂肪族環から選択された基によって置換されたC2−4アルキルを表し、
又はR、R及びそれらが結合している窒素原子は、ヒドロキシ、フェニル、ベンジル又は(C1−4アルコキシ若しくはヒドロキシル基によって場合により置換された)C1−4アルコキシから選択された1個若しくは2個の基によって場合により置換され、二重結合を場合により含有する、4個から7個の環原子のヘテロ脂肪族環を形成し(この環は、酸素若しくは硫黄環原子、基S(O)若しくはS(O)又はNH若しくはNR単位(Rは前記定義された通りである。)の一部である第二窒素原子を場合により含有してよい。)、
又はR、R及びそれらが結合している窒素原子は、6個から12個の環原子の非芳香族アザ二環式環系を形成し、
又はW、R及びそれらが結合している窒素原子は、酸素環原子を場合により含有してよい4個から7個の環原子のヘテロ脂肪族環を形成し、
は、水素、ヒドロキシ、オキソ、C1−6アルキル、C2−6アルケニル、C2−6アルキニル、C3−7シクロアルキル、C3−7シクロアルキルC1−4アルキル、フルオロC1−6アルキル、C1−6アルコキシ、フルオロC1−6アルコキシ、ヒドロキシC1−6アルキル、C1−6アルコキシC1−4アルキル、C1−6アルコキシC1−4アルコキシ、フルオロC1−6アルコキシC1−4アルキル、C2−6アルケニルオキシ、C2−6アルキニルオキシ、C3−7シクロアルコキシ、C3−7シクロアルキルC1−4アルコキシ、アリール、アリール(CH)、アリールオキシ、アリール(CH)オキシ、シアノ、ハロゲン、NR、CHNR、SR12、SOR12、SO12、OSO12、NRCOR12、CH(OH)R12、COR12、CO12、CONR、CHOR13、ヘテロアリール又はヘテロアリールC1−4アルキル(式中、Rは、前記定義された通りである。)を表し、
10は、水素、ハロゲン又はヒドロキシを表し、
11は、水素又はC1−6アルキルを表し、
12は、水素、C1−6アルキル、C1−6アルコキシ、フルオロC1−6アルキルを表し、又はC1−6アルキル、C1−6アルコキシ、ハロゲン若しくはトリフルオロメチルから選択された1個、2個若しくは3個の置換基によって場合により置換されたフェニルを表し、
13は、ヒドロキシ、COR、CO、CONR及びヘテロアリール(式中、Rは、前記定義された通りである。)から選択された基によって置換されたC1−4アルキルを表し、
14は、OR、CONR又はヘテロアリールを表す。]
の化合物及びその医薬適合性の塩又はN−オキシドを提供する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0004】
式(I)の化合物の好ましい種類は、Xが、水素、メチル又はヒドロキシメチル、特に水素であるものである。
【0005】
式(I)の化合物の他の好ましい種類は、Yが、水素又はC1−4アルキル、特に水素又はメチル、特別に水素であるものである。
【0006】
式(I)の化合物の別の好ましい種類は、Rが、水素又はフッ素を表すものである。
【0007】
式(I)の化合物の好ましい種類は、Rが、C1−6アルコキシ、フルオロC1−6アルコキシ若しくはC3−7シクロアルコキシ基であり又はRが基Rと一緒に、1個の酸素原子を含有する5員飽和環を形成し、この環がメチル基によって場合により置換されているものである。
【0008】
式(I)の化合物の特に好ましい種類は、Rが、メトキシ、トリフルオロメトキシ、2,2,2−トリフルオロエトキシ、2,2−ジフルオロエトキシ、2−フルオロエトキシ、シクロプロポキシであり又はRが基Rと一緒に、−OCH(CH)CH−若しくは−N(CH)C(O)C(CH−を表して、5員飽和環を完結し又は−CH(OH)CHOC(CH)(CF)−、−CHCHC(O)N(CH)−若しくは−CH(OH)CHC(O)N(CH)−を表して、6員飽和環を完結するものである。最も特に、Rはメトキシ又はシクロプロポキシである。
【0009】
式(I)の化合物の他の好ましい種類は、Rが、水素、フッ素又は塩素原子、特に水素原子であるものである。
【0010】
式(I)の化合物の別の好ましい種類は、Rが、水素若しくはハロゲン原子又はフルオロC1−6アルコキシ基、特に、フッ素、トリフルオロメトキシ若しくは2,2,2−トリフルオロエトキシ又は前記定義された通りの5員芳香族複素環式基であるものである。最も好ましくは、Rは、トリフルオロメトキシ又は5−(トリフルオロメチル)テトラゾール−1−イルである。
【0011】
式(I)の特に好ましい種類は、Rがフェニル環の2位に結合しており、Rがフェニル環の5位に結合しているものである。
【0012】
式(I)の化合物の別の好ましい種類は、Rが水素原子又はフッ素原子であるものである。
【0013】
式(I)の化合物の他の好ましい種類は、Rが水素原子であるものである。
【0014】
式(I)の化合物の別の好ましい種類は、Rが水素原子又はC1−6アルキル基であるものである。最も特に、Rは水素又はメチルである。
【0015】
また、Rが、前記定義された通りの2個又は3個の窒素原子を含有する5員複素環式環によって置換された、C1−6アルキル基、特に、CH、CH(CH)及びCHCH、特別にCHである、式(I)の化合物の種類も好ましい。
【0016】
特に、5員環は、1,3−イミダゾール−4−イル、1,2,4−トリアゾール−3−イル、1,2,3−トリアゾール−4−イル、2−オキソ−1,3−イミダゾール−4−イル及び3−オキソ−1,2,4−トリアゾール−5−イル(これらの環の何れも、基−W−NRによって場合により置換されている。)から選択された複素環式環である。
【0017】
特に好ましい複素環式環は、
【0018】
【化5】

から選択される。
【0019】
式(I)の化合物の他の好ましい種類は、Rが、水素、ヒドロキシ、オキソ、C1−6アルコキシ、C1−6アルコキシC1−4アルキル、ヒドロキシC1−4アルキル、シアノ、NR、CHNR、SO、CH(OH)R12、COR12、CO12、CONR、フェニル、ヘテロアリール、ヘテロアリールC1−4アルキル又はCHOR13(式中、該フェニルは、C1−4アルキル、C1−4アルコキシ、ハロゲン又はトリフルオロメチルから選択された1個又は2個の置換基によって場合により置換されている。)を表すものである。
【0020】
式(I)の化合物の別の好ましい種類は、Rが、水素、SO(特に、Rはフェニルである。)又はCONR(特に、Rは、C1−4アルキルであり、又はヒドロキシル若しくはC1−2アルコキシ基によって置換されたC2−4アルキルであり、Rは、水素、C1−4アルキル、C1−4アルコキシであり、又はヒドロキシル若しくはC1−2アルコキシ基によって置換されたC2−4アルキルであり、又はR及びRが、それらが結合している窒素原子と一緒に、アゼチジニル、ピロリジニル、ピペリジニル、モルホリノ、チオモルホリノ、ピペラジノ又は窒素原子上でC1−4アルキル、ヒドロキシC1−2アルキル、C1−4アルコキシC1−2アルキル、フェニル若しくはベンジル基によって置換されたピペラジノ基を形成する。)を表すものである。
【0021】
式(I)の化合物の他の好ましい種類は、R10が、水素、フッ素又はヒドロキシを表すもの、特にR10が水素であるものである。
【0022】
本発明のある種の特に適切な化合物には、Rが、ピロール、フラン、チエン、ピリジン、ピラゾール、イミダゾール、オキサゾール、イソキサゾール、チアゾール、イソチアゾール、ピラジン、ピリミジン、ピリダジン、トリアゾール、オキサジアゾール、チアジアゾール、トリアジン及びテトラゾールから選択された基であり、それぞれのヘテロアリール基が、前記定義された通り場合により置換されているものが含まれる。
【0023】
本発明の好ましい化合物は、Rが、フラン、ピリジン、ピラゾール、イミダゾール、オキサゾール、イソキサゾール、ピラジン、ピリミジン、チアゾール、1,2,3−トリアゾール、1,2,4−トリアゾール、1,2,4−オキサジアゾール、1,3,4−オキサジアゾール及びテトラゾールから選択された基であり、それぞれのヘテロアリール基が、前記定義された通り場合により置換されているものである。
【0024】
本発明の特に好ましい化合物は、Rが、フラン、ピリジン、ピリミジン、1,2,3−トリアゾール、1,2,4−トリアゾール及びテトラゾールから選択された基であり、それぞれのヘテロアリール基が、前記定義された通り場合により置換されているものである。
【0025】
式(I)の化合物の特に好ましい種類は、Rが、基
【0026】
【化6】

[式中、R15は、水素、ハロゲン、C1−6アルキル、C1−6アルコキシ、CF、OCF、NO、CN、SR、SOR、SO、COR、CO、(CHCONR、(CHNR又は(CHNRCOR(式中、R及びRは、水素又はC1−4アルキルであり、rはゼロ、1又は2である。)である。]
であるものである。
【0027】
場合により置換されたテトラゾリル基が特に好ましい。
【0028】
15は、好ましくは、水素、C1−4アルキル、特にメチル、CF、(CHCONR、SOR又はSO(式中、R、R及びrは、前記定義された通りである。)である。最も好ましくは、R15はCFである。
【0029】
本発明の化合物の一つの好ましい群は、式(Ia)のもの及びその医薬適合性の塩である。
【0030】
【化7】

(式中、R、R、R、R、X及びYは、式(I)に関して定義された通りであり、Zは−CR10CH−である。)。
【0031】
式(I)の化合物に関して、W(存在する場合)は、直鎖、分枝鎖又は環式基であってよい。好ましくは、Yには、1個から4個の炭素原子、最も好ましくは1個又は2個の炭素原子が含まれる。特に好ましい基WはCHである。
【0032】
式(I)の化合物に関して、Rは、適切に、C1−4アルキル基であってよく、又はヒドロキシル若しくはC1−2アルコキシ基によって置換されたC2−4アルキル基であってよく、Rは、適切に、水素又はC1−4アルキル基であってよく、又はヒドロキシル若しくはC1−2アルコキシ基によって置換されたC2−4アルキル基であってよく、又はR及びRは、それらが結合している窒素原子と一緒に、それらがアゼチジニル、ピロリジニル、ピペリジル、モルホリノ、チオモルホリノ、ピペラジノ又は窒素原子上で、C1−4アルキル基によって又はヒドロキシル若しくはC1−2アルコキシ基によって置換されたC2−4アルキル基によって置換されたピペラジノ基を形成するように結合することができる。
【0033】
基NRが、4個から7個の環原子のヘテロ脂肪族環を表し、該環が二重結合を含む場合に、特に好ましい基は3−ピロリンである。
【0034】
基NRが、非芳香族アザ二環式環系を表す場合、このような系には、6個から12個、好ましくは7個から10個の環原子が含有されていてよい。適切な環には、5−アザビシクロ[2.1.1]ヘキシル、5−アザビシクロ[2.2.1]ヘプチル、6−アザビシクロ[3.2.1]オクチル、2−アザビシクロ[2.2.2]オクチル、6−アザビシクロ[3.2.2]ノニル、6−アザビシクロ[3.3.1]ノニル、6−アザビシクロ[3.2.2]デシル、7−アザビシクロ[4.3.1]デシル、7−アザビシクロ[4.4.1]ウンデシル及び8−アザビシクロ[5.4.1]ドデシル、特に、5−アザビシクロ[2.2.1]ヘプチル及び6−アザビシクロ[3.2.1]オクチルが含まれる。
【0035】
が、1個又は2個の、N、O及びSから選択されたヘテロ原子を含有する4員、5員又は6員のヘテロ脂肪族環によって置換されたC2−4アルキルを表す場合、適切な環には、アゼチジニル、ピロリジノ、ピペリジノ、ピペラジノ、モルホリノ又はチオモルホリノが含まれる。窒素含有ヘテロ脂肪族環、特に、ピロリジノ及びモルホリノ環が特に好ましい。
【0036】
特に適切な単位−W−NRには、WがCH又はCHCHであり、NRがアミノ、メチルアミノ、ジメチルアミノ、ジエチルアミノ、アゼチジニル、ピロリジノ及びモルホリノであるものが含まれる。
【0037】
特に、Wは好ましくはCHであり、NRは好ましくは、ジメチルアミノ、アゼチジニル又はピロリジノ、特にジメチルアミノである。
【0038】
全ての変化が、式(I)又は全ての置換基に於いて2回以上起こるとき、それぞれの発生に於けるその定義は、全ての他の発生でのその定義から独立である。
【0039】
がオキソ(=O)基を表す場合、R10は存在せず、基Zは、実際に、−C(O)CH−又は−CHC(O)−を表すことが認められる。
【0040】
本明細書で使用されるとき、基又は基の一部としての用語「アルキル」又は「アルコキシ」は、基が直鎖又は分枝鎖であることを意味する。適切なアルキル基の例には、メチル、エチル、n−プロピル、i−プロピル、n−ブチル、s−ブチル及びt−ブチルが含まれる。適切なアルコキシ基の例には、メトキシ、エトキシ、n−プロポキシ、i−プロポキシ、n−ブトキシ、s−ブトキシ及びt−ブトキシが含まれる。
【0041】
本明細書で使用されるとき、用語「フルオロC1−6アルキル」及び「フルオロC1−6アルコキシ」は、1個又は2個以上(特に、1から3個)の水素原子が、フッ素原子によって置換されたC1−6アルキル又はC1−6アルコキシ基を意味する。同様に、用語「フルオロC1−4アルキル」は、1個又は2個以上(特に、1から3個)の水素原子が、フッ素原子によって置換されたC1−4アルキル基を意味する。フルオロC1−3アルキル及びフルオロC1−3アルコキシ基、例えば、CF、CHCHF、CHCHF、CHCF、OCF、OCHCHF、OCHCHF又はOCHCFが特に好ましく、CF、OCF及びOCHCFが最も特に好ましい。
【0042】
本明細書で使用されるとき、用語「ヒドロキシC1−6アルキル」は、1個又は2個以上(特に、1から3個)の水素原子が、ヒドロキシ基によって置換されたC1−6アルキル基を意味する。ヒドロキシC1−3アルキル基、特に、1個の水素原子がヒドロキシ基によって置換されたもの、例えば、CHOH、CHCHOH及びC(CHOHが好ましい。
【0043】
本明細書で引用されるシクロアルキル基は、例えば、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル又はシクロヘキシルを表すことができる。適切なシクロアルキルアルキル基は、例えば、シクロプロピルメチルであり得る。
【0044】
同様に、本明細書で引用されるシクロアルコキシ基は、例えば、シクロプロポキシ又はシクロブトキシを表すことができる。
【0045】
本明細書で使用されるとき、基又は基の一部としての用語「アルケニル」及び「アルキニル」は、基が直鎖又は分枝鎖であることを意味する。適切なアルケニル基の例には、ビニル及びアリルが含まれる。適切なアルキニル基はプロパルギルである。
【0046】
本明細書で使用されるとき、基又は基の一部としての用語「アリール」は、6個、10個又は12個の炭素原子を含有する単環式、縮合二環式又は線状二環式芳香族環を意味し、これらの環の何れも、1個、2個又は3個の、ハロゲン、C1−6アルキル、C1−6アルコキシ又はトリフルオロメチルから選択された置換基によって場合により置換されている。このような基の特別の例には、フェニル、ナフチル及びビフェニルが含まれる。フェニルが特に好ましい。
【0047】
本明細書で使用されるとき、基又は基の一部としての用語「ヘテロアリール」は、5個から10個の環員(その1個から4個は、N、O及びSから選択されたヘテロ原子であってよい)を含有する単環式又は縮合二環式ヘテロ芳香族環を意味し、これらの環の何れも、1個又は2個の、ハロゲン、C1−6アルキル、C1−6アルコキシ、トリフルオロメチル又はフェニルから選択された置換基によって場合により置換されている。このような基の特別の例には、ピロリル、フラニル、チエニル、ピリジル、ピラゾリル、イミダゾリル、オキサゾリル、イソキサゾリル、チアゾリル、イソチアゾリル、ピラジニル、ピリミジニル、ピリダジニル、トリアゾリル、オキサジアゾリル、チアジアゾリル、トリアジニル、テトラゾリル、インドール、ベンゾフラン、ベンズチオフェン、ベンズイミダゾール、ベンゾオキサゾール及びベンズチアゾールが含まれる。フラニル、チエニル、イミダゾリル、オキサゾリル、イソキサゾリル、チアゾリル、トリアゾリル、テトラゾリル及びピリジルが特に好ましい。該環が置換されているとき、好ましい置換基には、メチル及びフェニル基が含まれる。
【0048】
本明細書で使用されるとき、用語「ハロゲン」は、フッ素、塩素、臭素及びヨウ素を意味する。最も適切なハロゲンは、フッ素及び塩素であり、他に記載しない限りフッ素が好ましい。
【0049】
本発明の範囲内の特別の化合物には、下記のものが含まれる。
【0050】
(1R,2R,5S)−2−(3,5−ビス(トリフルオロメチル)ベンジルアミノ)−1−フェニル−8−アザビシクロ[3.2.1]オクタン;
(1R,2R,5S)−2−(2−メトキシ−5−(トリフルオロメトキシ)ベンジルアミノ)−1−フェニル−8−アザビシクロ[3.2.1]オクタン;
(1R,2R,5S)−2−(2−シクロプロピルオキシ−5−[5−(トリフルオロメチル)テトラゾール−1−イル]ベンジルアミノ)−1−フェニル−8−アザビシクロ[3.2.1]オクタン;
(1R,2R,5S)−2−(2−メトキシ−5−(トリフルオロメトキシ)ベンジルアミノ)−8−ベンジル−1−フェニル−8−アザビシクロ[3.2.1]オクタン;
(1R,2R,5S)−2−(2−シクロプロポキシ−5−(トリフルオロメトキシ)ベンジルアミノ)−1−フェニル−8−アザビシクロ[3.2.1]オクタン;
(1R,2R,5S,6R)−2−(2−メトキシ−5−(トリフルオロメトキシ)ベンジルアミノ)−1−フェニル−6−フェニルスルホニル−8−アザビシクロ[3.2.1]オクタン;
(1R,2R,5S,9S)−及び(1R,2R,5S,9R)−2−[1−(2−メトキシ−5−(トリフルオロメトキシ)フェニル)エチルアミノ]−1−フェニル−8−アザビシクロ[3.2.1]オクタン;
(1R,2R,5S,6R)−2−(2−シクロプロポキシ−5−(トリフルオロメトキシ)ベンジルアミノ)−6−(ヒドロキシメチル)−1−フェニル−8−アザビシクロ[3.2.1]オクタン;
(1R,2R,5S)−2−(2−クロロ−5−(トリフルオロメトキシ)ベンジルアミノ)−1−フェニル−8−アザビシクロ[3.2.1]オクタン;
(1R,2R,5S,6R)−2−(2−シクロプロポキシ−5−(トリフルオロメトキシ)ベンジルアミノ)−6−[1−(3−ヒドロキシ)プロピルオキシメチル]−1−フェニル−8−アザビシクロ[3.2.1]オクタン;
(1R,2R,5S,6R)−2−(2−シクロプロポキシ−5−(トリフルオロメトキシ)ベンジルアミノ)−6−(tert−ブトキシカルボニル)−1−フェニル−8−アザビシクロ[3.2.1]オクタン;
(1R,2R,5S,6R)−2−(2−シクロプロポキシ−5−(トリフルオロメトキシ)ベンジルアミノ)−6−(N−メトキシ−N−メチルカルボキサミド)−1−フェニル−8−アザビシクロ[3.2.1]オクタン;
(1R,2R,5S,6R)−2−(2−シクロプロポキシ−5−(トリフルオロメトキシ)ベンジルアミノ)−6−アセチル−1−フェニル−8−アザビシクロ[3.2.1]オクタン;
(1R,2R,5S,6R,R)−及び(1R,2R,5S,6R,S)−2−(2−シクロプロポキシ−5−(トリフルオロメトキシ)ベンジルアミノ)−6−(1−ヒドロキシ)エチル−1−フェニル−8−アザビシクロ[3.2.1]オクタン;
(1R,2R,5S,6R)−2−(2−シクロプロポキシ−5−(トリフルオロメトキシ)ベンジルアミノ)−6−(1−ヒドロキシ−1−メチル)エチル−1−フェニル−8−アザビシクロ[3.2.1]オクタン;
(1R,2R,5S,6S)−2−(2−シクロプロポキシ−5−(トリフルオロメトキシ)ベンジルアミノ)−6−(1H−テトラゾール−5−イル)−1−フェニル−8−アザビシクロ[3.2.1]オクタン;
(1R,2R,5S,6S)−2−(2−シクロプロポキシ−5−(トリフルオロメトキシ)ベンジルアミノ)−1−フェニル−6−(1−メチル−1H−テトラゾール−5−イル)−8−アザビシクロ[3.2.1]オクタン;
(1R,2R,5S,6S)−2−(2−シクロプロポキシ−5−(トリフルオロメトキシ)ベンジルアミノ)−1−フェニル−6−(2−メチル−2H−テトラゾール−5−イル)−8−アザビシクロ[3.2.1]オクタン;
(1R,2R,3S,5S,6R)−2−(2−シクロプロポキシ−5−(トリフルオロメトキシ)ベンジルアミノ)−3−フルオロ−1−フェニル−6−(ヒドロキシメチル)−8−アザビシクロ[3.2.1]オクタン;
(1R,2R,5S,6R)−6−(ブロモメチル)−2−(2−シクロプロポキシ−5−(トリフルオロメトキシ)ベンジルアミノ)−1−フェニル−8−アザビシクロ[3.2.1]オクタン;
(1R,2R,5S,6R)−2−(2−シクロプロポキシ−5−(トリフルオロメトキシ)ベンジルアミノ)−6−[(メチルスルホニル)メチル]−1−フェニル−8−アザビシクロ[3.2.1]オクタン;
及びその医薬適合性の塩。
【0051】
本発明の別の局面に於いて、式(I)の化合物は、医薬適合性の塩、特に酸付加塩の形で製造することができる。
【0052】
医薬で使用するために、式(I)の化合物の塩は非毒性の医薬適合性の塩である。しかしながら、他の塩が、本発明に従った化合物又はその非毒性の医薬適合性の塩の製造に於いて有用である。本発明の化合物の適切な医薬適合性の塩には、例えば、本発明に従った化合物の溶液を、塩酸、フマル酸、p−トルエンスルホン酸、マレイン酸、コハク酸、酢酸、クエン酸、酒石酸、炭酸、リン酸又は硫酸のような医薬適合性の酸の溶液と混合することによって形成することができる酸付加塩が含まれる。また、アミン基の塩には、アミノ窒素原子が、アルキル、アルケニル、アルキニル又はアラルキル単位のような適切な有機基を有する第四級アンモニウム塩が含まれていてよい。更に、本発明の化合物が酸性単位を有する場合、その適切な医薬適合性の塩には、アルカリ金属塩、例えばナトリウム又はカリウム塩及びアルカリ土類金属塩、例えばカルシウム又はマグネシウム塩のような金属塩が含まれてよい。
【0053】
これらの塩は、生成物の遊離塩基形を、塩が不溶性である溶媒若しくは媒体中の又は真空中で若しくは凍結乾燥により除去される水のような溶媒中の、1当量以上の適切な酸と反応させることによる又は存在する塩のアニオンを適切なイオン交換樹脂上で他のアニオンに交換することによるような一般的な方法によって形成することができる。
【0054】
本発明には、その範囲内に、前記式(I)の化合物のプロドラッグが含まれる。一般的に、このようなプロドラッグは、インビボで式(I)の必要な化合物に容易に転換させることができる、式(I)の化合物の官能性誘導体である。適切なプロドラッグ誘導体の選択及び製造についての一般的な方法は、例えば、H.Bundgaard編、Elsevier、1985年刊行、「プロドラッグの設計(Design of Prodrugs)」に記載されている。
【0055】
プロドラッグは、活性薬物を放出するために体内で変換を必要とし、親薬物分子を越えた改良された付与特性を有する、生物学的に活性の物質(「親薬物」又は[親分子」)の薬理学的に不活性の誘導体であってよい。インビボでの変換は、例えば、カルボン酸エステル、リン酸エステル又は硫酸エステルの化学的若しくは酵素的加水分解又は感受性官能基の還元若しくは酸化のような幾つかの代謝工程の結果としてであってよい。
【0056】
本発明には、その範囲内に、式(I)の化合物の溶媒和物及びその塩、例えば水和物が含まれる。
【0057】
本発明に従った化合物は、少なくとも3個の不斉中心を有しており、従ってエナンチオマーとして及びジアステレオ異性体として存在する。全てのこのような異性体及びそれらの混合物は、本発明の範囲内に包含されることが理解されるべきである。
【0058】
式(I)及び(Ia)の好ましい化合物は、例えば、実施例1の化合物によって有されるように、即ち、式(Ib)
【0059】
【化8】

に示されるように、1位、2位及び5位の立体化学を有する。
【0060】
本明細書に列挙した種々の置換基の好ましい定義は、単独で又は組み合わせて、他の方法で記載されない限り、本発明の化合物についての一般式並びに式(Ia)によって表される化合物の好ましい種類に適用するようにとることができることが認められる。
【0061】
本発明は、更に、医薬適合性の担体又は賦形剤と一緒に、1種又は2種以上の式(I)の化合物を含む医薬組成物を提供する。
【0062】
好ましくは、本発明に従った組成物は、経口、非経口若しくは直腸投薬用の又は吸入若しくは通気による投薬用の、錠剤、丸剤、カプセル剤、散剤、顆粒剤、水剤若しくは懸濁剤又は坐剤のような単位剤形である。錠剤、丸剤、カプセル剤又はウエハース剤のような経口組成物が特に好ましい。
【0063】
本発明の化合物の配合のために適している医薬組成物の更に詳細な説明は、米国特許第6,071,927号(その内容は、参照してここに組み込まれる。)に開示されている(特に、第8欄、第50行から第10欄、第4行を参照されたい。)。
【0064】
本発明は、更に、式(I)の化合物を含む医薬組成物の製造方法であって、式(I)の化合物を医薬適合性の担体又は賦形剤と一緒にすることを含む方法を提供する。
【0065】
式(I)の化合物は、過剰のタキキニン、特にサブスタンスP活性の存在によって特徴付けられる、広範囲の種々の臨床的状態の治療で価値のあるものである。本発明の化合物が有用である、臨床的状態、使用及び治療方法の包括的リストは、米国特許第6,071,927号(その内容は、参照してここに組み込まれる。)に開示されている(特に、第10欄、第14行から第22欄、第18行を参照されたい。)。
【0066】
特に、本発明の化合物は、種々の中枢神経系の障害の治療で有用である。このような障害には、鬱病若しくは更に特に抑鬱性異常症、例えば、単一エピソード若しくは再発性大(major)抑鬱異常症及び気分変調異常症又は双極性異常症、例えば、双極性I異常症、双極性II異常症及び循環気質性異常症のような情緒異常症;広場恐怖症を伴う又は伴わないパニック異常症、パニック異常症の経歴を伴わない広場恐怖症、特異恐怖症、例えば、特異動物恐怖症、社会恐怖症、強迫異常症、外傷後ストレス異常症及び急性ストレス異常症を含むストレス異常症並びに全般性不安症のような不安症が含まれる。
【0067】
本発明の化合物は、また、痛感及び疼痛の治療で特に有用である。疼痛が支配する疾患及び状態には、急性外傷、変形性関節症、慢性関節リウマチ、特に外傷後の筋骨格疼痛、脊髄疼痛、筋膜性疼痛症候群、頭痛、偏頭痛、会陰切開疼痛及び熱傷のような軟組織及び末梢損傷が含まれる。
【0068】
本発明の化合物は、また、呼吸器疾患、特に、慢性閉塞性気道疾患、気管支肺炎、慢性気管支炎、嚢胞性線維症及び喘息、成人呼吸窮迫症候群及び気管支痙攣のような過剰粘液分泌に付随するものの治療に於いて、炎症性腸疾患、乾癬、結合組織炎、変形性関節症、慢性関節リウマチ、掻痒症及び日焼けのような炎症性疾患の治療に於いて並びに湿疹及び鼻炎のようなアレルギー性異常症の治療に於いて特に有用である。
【0069】
本発明の化合物は、また、潰瘍性大腸炎、クローン病及び過敏性腸管症候群のようなGI管の炎症性異常症及び疾患を含む、胃腸(GI)異常症の治療に於いて特に有用である。
【0070】
本発明の化合物は、また、化学療法、放射線、毒素、妊娠、前庭異常症、運動、手術、偏頭痛及び頭蓋内圧力に於ける変動により誘発される嘔吐のような、急性、遅延又は先行嘔吐を含む嘔吐の治療に於いて特に有用である。最も特に、式(I)の化合物は、癌化学療法で日常的に使用されるものを含む抗腫瘍(細胞毒性)薬により、癌の治療に於けるような放射線治療を含む放射線により誘発される嘔吐の治療に於いて、術後性吐き気及び嘔吐の治療に於いて使用されるものである。
【0071】
本発明の化合物の優れた薬理学的プロフィールは、それによって望ましくない副作用の危険を最小にする、治療に於いて低用量でそれらを使用するための機会を提供する。
【0072】
過剰のタキキニンに付随する状態の治療に於いて、適切な用量レベルは、約0.001から50mg/kg/日、特に、約0.01から約25mg/kg/日、例えば、約0.05から約10mg/kg/日である。
【0073】
例えば、疼痛感覚の神経伝達を含む状態の治療に於いて、適切な用量レベルは、約0.001から25mg/kg/日、好ましくは約0.005から10mg/kg/日、特に約0.005から5mg/kg/日である。この化合物は、一日当たり1から4回、好ましくは一日当たり1回又は2回の処方で投薬することができる。
【0074】
嘔吐の治療に於いて、適切な用量レベルは、約0.001から10mg/kg/日、好ましくは約0.005から5mg/kg/日、特に0.01から3mg/kg/日である。この化合物は、一日当たり1から4回、好ましくは一日当たり1回又は2回の処方で投薬することができる。
【0075】
精神医学異常症の治療に於いて、適切な用量レベルは、約0.001から10mg/kg/日、好ましくは約0.005から5mg/kg/日、特に0.01から3mg/kg/日である。この化合物は、一日当たり1から4回、好ましくは一日当たり1回又は2回の処方で投薬することができる。
【0076】
全ての治療で使用するために必要な式(I)の化合物の量は、選択された特別の化合物又は組成物のみならず、投薬の経路、治療する状態の性質並びに患者の年齢及び状態により変化し、最終的に主治医の裁量によるであろうことが認められる。
【0077】
本明細書で使用されるとき、用語「治療」には、上記の状態の何れかの発生又は再発を防止するための予防的使用が含まれる。
【0078】
一般的方法(A)に従って、式(I)の化合物は、式(II)の化合物を、式(III)の化合物
【0079】
【化9】

(式中、R、R、R、R、R、R、R、X、Y及びZは、全ての反応性単位が適切な保護基によって保護されている以外は、式(I)について定義された通りであり、LGは、離脱基を表す。)
と、塩基の存在下で反応させ、続いて必要な場合に脱保護することを含む方法(A)によって製造することができる。
【0080】
適切な離脱基には、ハロゲン原子、例えば塩素、臭素若しくはヨウ素又はトシラート、メシラート若しくはトリフラートのようなスルホナート誘導体が含まれる。
【0081】
この反応は、エーテル、例えば1,2−ジメトキシエタンのような適切な有機溶媒中で、0℃付近の温度で便利に実施される。この反応で使用する好ましい塩基には、アルカリ金属アミド及び水素化物、例えばカリウムビス(トリメチルシリル)アミド又は水素化カリウムが含まれる。適切には、水素化ナトリウムが使用される。
【0082】
他の一般的方法(B)に従って、式(I)の化合物は、還元剤の存在下での、式(IV):
【0083】
【化10】

の化合物による、式(II)の化合物の還元的アミノ化によって製造することができる。
【0084】
この反応で使用するための適切な還元剤には、例えば、シアノホウ水素化ナトリウム若しくはトリアセトキシホウ水素化ナトリウム又は接触水素化が含まれる。この反応は、酢酸又はメタノールのような適切な溶媒中で、0℃から50℃の温度、便利にはほぼ室温で便利に実施される。
【0085】
他の一般的方法(C)に従って、Rが、C1−6アルコキシ、フルオロC1−6アルコキシ、C2−6アルケノキシ、C3−7シクロアルコキシ、C3−7シクロアルキルC1−4アルコキシ又はベンジルオキシである式(I)の化合物は、適切なアルキル−、フルオロアルキル−、アルケニル−、シクロアルキル−、シクロアルキルアルキル−又はアラルキル−ハロゲン化物、特にヨウ化物との、塩基の存在下での反応による、Rがヒドロキシである式(I)(以下、式(V)
【0086】
【化11】

として参照する。)の化合物の相互転換(interconversion)によって製造することができる。
【0087】
適切な塩基には、ジメチルホルムアミドのような適切な溶媒中の、水素化ナトリウムのような水素化アルカリ金属が含まれる。この反応は、ほぼ室温で便利に実施される。
【0088】
他の一般的方法(D)に従って、式(I)の化合物は、式(VII)
LG−R6a (VII)
[式中、R6aは、(H以外の)式(I)に関して定義された通りの式Rの基又はそのための前駆体であり、LGは、アルキル−若しくはアリールスルホニルオキシ基(例えば、メシラート若しくはトシラート)又はハロゲン原子(例えば、臭素、塩素若しくはヨウ素)のような離脱基である。]
の化合物との反応による、R6aが前駆体基である場合には、それを基Rに転化する(この方法に於いて、全ての反応性基を保護し、その後所望によって脱保護することができる。)ことによる、RがHである式(I)(以下、式(VI)
【0089】
【化12】

として参照する。)の対応する化合物の相互転換によって製造することができる。
【0090】
この反応は、一般的な方法で、例えば、ジメチルホルムアミドのような有機溶媒中で、炭酸カリウムのような酸受容体の存在下で実施することができる。
【0091】
基Rを導入するための適切な代替方法は、例えば、国際特許第WO95/18124号明細書に記載されている。
【0092】
他の一般的方法(E)に従って、式(I)の化合物は、式(VIII)
【0093】
【化13】

の化合物から
(a)テトラヒドロフラン中でリチウムナフタレニドとの反応、この反応は、低温度、例えば約−78℃の温度で実施される、又は
(b)第一工程に於いて、酸化アルミニウムの存在下で、例えば、オキソンを使用するフェニルチオ単位の酸化、この反応は、ハロゲン化炭化水素、例えば、クロロホルムのような適切な溶媒中で、便利に室温で実施される、並びに第二工程に於いて、オルトリン酸水素二ナトリウムの存在下で、例えば、ナトリウムアマルガムを使用する、フェニルスルホニル単位の除去、この反応はアルコール、例えばメタノールのような適切な溶媒中で、低温度、例えば0℃から10℃で実施される、
により製造することができる。
【0094】
適切な手順の更に詳細なことは、付属する実施例中に記載する。
【0095】
30がNHYである式(II)の化合物は、式(IX):
【0096】
【化14】

の化合物と、式NHYR40(式中、R40は、水素原子又は更に好ましくはベンジル基のようなN−保護基である)のアミンとの反応によって製造することができる。この反応は、二工程で、即ち、最初に、式(IX)の化合物をアミンと、理想的には、芳香族炭化水素、例えばトルエンのような適切な溶媒中で、p−トルエンスルホン酸のような適切な触媒の存在下で反応させる工程、続いてホウ水素化物、例えば、シアノホウ水素化ナトリウム、トリアセトキシホウ水素化ナトリウム又はホウ水素化ナトリウムのような還元剤で処理する工程で、便利に実施される。この第二工程は、アルコール、例えばメタノールのような適切な溶媒中で便利に実施される。
【0097】
存在する場合に、全てのN−保護基を、当業者に公知の一般的な手順により(例えば、酢酸若しくはメタノール又はこれらの混合物のような適切な溶媒中で、適切な触媒、例えば炭素上パラジウムの存在下での接触水素化により)除去することができる。
【0098】
式(VIII)の化合物は、(1−ヨード−シクロプロプ−1−イル)フェニルスルフィドとの反応により、式(V)の化合物から製造することができる。
【0099】
式(IX)の化合物は、式(X)
【0100】
【化15】

の化合物から、好ましくはアルコール、例えばメタノール若しくはエタノール又はエステル、例えば酢酸エチル又は有機酸、例えば酢酸又はこれらの混合物のような適切な溶媒中で、パラジウム若しくは白金又はこれらの水酸化物若しくは酸化物のような金属触媒を使用する接触水素化によって製造することができる。
【0101】
Rがフッ素である式(IX)の化合物は、一般的なフッ素化技術を使用して、例えば、リチウムヘキサメチルジシラジドにより処理し、続いてN−フルオロベンゼンスルホンアミドと反応させることにより、式中、Rが水素である、対応する式(IX)の化合物の相互転換(interconversion)によって製造することができる。
【0102】
式(X)(式中、Rは、ベンジル又はアリルである)の化合物は、式(XI)
【0103】
【化16】

の化合物(又は、OがOHである対応する化合物、この化合物は、臭化物又は塩化物イオンのような対イオンを伴う。)から、トリアルキルアミン、例えばトリエチルアミンのような有機塩基の存在下で、式RCH=CH(特に、Rがシアノである場合)、SO13(特に、R13がフェニルである場合)又はCO13(特に、R13がtert−ブチルである場合)のビニル化合物との反応によって製造することができる。この反応は、芳香族炭化水素、例えばトルエンのような非プロトン性溶媒中で便利に実施される。
【0104】
式(XI)とアクリロニトリルとの反応は、R置換基が、二炭素ブリッジの炭素原子の何れか上に位置している化合物を製造するために特に適している。
【0105】
前記のプロセスの好ましい実施態様に於いて、Rはベンジル基である。前記の種々の還元反応は、ベンジル基を水素原子で便利に置き換えることができる。Rが水素原子である式(I)の化合物が、式(I)の他の化合物への特に好ましい前駆体であることが、前記のことから認められる。
【0106】
式(III)及び(IV)の化合物は、公知の化合物であり、本明細書に記載したものと同様の方法によって製造することができる。
【0107】
上記の一般的方法論は、本発明の別の化合物を製造するために、当業者に容易に明らかである方法を使用して適合させることができることが認められる。
【0108】
上記の合成順序の全ての間に、関係する分子の何れかの上の感受性又は反応性基を保護することが必要であり及び/又は望ましい。これは、「有機化学に於ける保護基(Protective Groups in Organic Chemistry)」、J.F.W.McOmie編、プレナム・プレス社(Plenum Press)、1973年刊行及びT.W.Greene及びP.G.M.Wuts著、「有機合成に於ける保護基(Protective Groups in Organic Synthesis)」、ジョン・ウィリー・アンド・サンズ社(John Wiley & Sons)、1991年刊行に記載されているもののような、一般的な保護基の手段によって達成することができる。この保護基は、当該技術分野で公知の方法を使用して、便利な後の段階で除去することができる。
【0109】
本発明の例示した化合物を、国際特許第WO93/01165号明細書の第36から39頁に記載の方法により試験した。この化合物は、該試験方法で、100nMより小さいヒトNK受容体でのIC50で活性であることが見出された。
【0110】
下記の非限定実施例は、本発明の化合物の製造を例示するように機能する。
【0111】
説明1
N−ベンジル−3−ヒドロキシ−2−フェニルピリジニウムブロミド
トルエン(250mL)中の3−ヒドロキシ−2−フェニルピリジン(20g、116ミリモル)の懸濁液を、還流下で30分間加熱した。臭化ベンジル(20mL)を添加し、この反応混合物を還流下で6時間加熱し、次いで氷浴を使用して冷却した。固体残渣を濾過によって集め、エーテルで2回洗浄して、粗製N−ベンジル−3−ヒドロキシ−2−フェニルピリジニウムブロミド(36.5g、91%)を得、これを更に精製することなく次の工程で使用した。
【0112】
【化17】

【0113】
説明2
(1R,5S,6R)−8−ベンジル−1−フェニル−6−フェニルスルホニル−8−アザビシクロ[3.2.1]オクト−3−エン−2−オン
N−ベンジル−3−ヒドロキシ−2−フェニルピリジニウムブロミド(説明1;4.91g、14.3ミリモル)、フェニルビニルスルホン(4.2g、25ミリモル)、トリエチルアミン(2.8mL、20ミリモル)及び1,4−ジオキサン(50mL)の混合物を、還流下で一晩加熱した。室温にまで冷却した後、反応混合物を、NaHCO飽和水溶液上に注ぎ、酢酸エチル(3×100mL)で抽出した。一緒にした有機抽出液を、乾燥させ(NaSO)そして濃縮した。残渣を、シリカゲル上でのクロマトグラフィー(イソヘキサン:ジエチルエーテル10−70%)によって精製して、表題化合物(4.84g、78%)を黄橙色フォームとして得た。イソヘキサン:ジエチルエーテルからの結晶化によって、生成物を黄色斜方晶として得た。
【0114】
【化18】

【0115】
説明3
(1R,5S,6R)−8−ベンジル−1−フェニル−6−フェニルスルホニル−8−アザビシクロ[3.2.1]オクタン−2−オン
炭素上10%パラジウム(1g)を、水(2mL)中のスラリーとして、メタノール(50mL)及び酢酸エチル(50mL)中の(1R,5S,6R)−8−ベンジル−1−フェニル−6−フェニルスルホニル−8−アザビシクロ[3.2.1]オクト−3−エン−2−オン(説明2;11g、25.6ミリモル)の溶液に添加した。この混合物を、30psiで1時間水素化した。この反応混合物を、セライト(Celite)(商標)のパッドに通して濾過した。このフィルターケークをジクロロメタン(1L)で洗浄し、一緒にした濾液を真空濃縮して、表題化合物(10.8g、98%)を得た。
【0116】
【化19】

【0117】
説明4
(1R,2R,5S,6R)−2−ベンジルアミノ−8−ベンジル−1−フェニル−6−フェニルスルホニル−8−アザビシクロ[3.2.1]オクタン
トルエン(150mL)中の、(1R,5S,6R)−8−ベンジル−1−フェニル−6−フェニルスルホニル−8−アザビシクロ[3.2.1]オクタン−2−オン(説明3;15.0g、35ミリモル)、p−トルエンスルホン酸一水和物(50mg)及びベンジルアミン(5.5g、51ミリモル)の混合物を、ディーンシュタルク(Dean Stark)条件下で還流で24時間加熱し、次いで冷却し、溶媒を真空除去した。残渣をメタノール(300mL)中に溶解させ、シアノホウ水素化ナトリウム(2.3g、36ミリモル)を添加した。生成した溶液を、室温で16時間攪拌し、次いで約1/4体積まで濃縮した。炭酸水素ナトリウム飽和水溶液(500mL)を添加し、生成した懸濁液を酢酸エチル(2×500mL)で抽出した。この抽出液を乾燥させ(MgSO)、濃縮し、その後、残渣を、シリカクロマトグラフィーによって精製して、標題化合物をゴムとして得た。
【0118】
【化20】

【0119】
説明5
(1R,2R,5S,6R)−2−アミノ−1−フェニル−6−フェニルスルホニル−8−アザビシクロ[3.2.1]オクタン
(1R,2R,5S,6R)−2−ベンジルアミノ−8−ベンジル−1−フェニル−6−フェニルスルホニル−8−アザビシクロ[3.2.1]オクタン(説明4;1.73g、3.3ミリモル)を、メタノール(30mL)及び酢酸(20mL)の混合物中に溶解させ、次いで木炭上10%パラジウム(500mg)で処理した。この懸濁液を50psi水素で16時間水素化し、次いで濾過しそして濃縮した。この残渣を、重炭酸ナトリウム飽和溶液(100mL)で塩基性にし、ジクロロメタン(2×100mL)で抽出した。この抽出液を乾燥させ(MgSO)、濃縮し、残渣を、シリカクロマトグラフィーによって精製して、標題化合物をゴム(1.10g、3.2ミリモル)として得た。
【0120】
【化21】

【0121】
説明6
(1R,2R,5S)−2−アミノ−1−フェニル−8−アザビシクロ[3.2.1]オクタン
メタノール(20mL)中の(1R,2R,5S,6R)−2−アミノ−1−フェニル−6−フェニルスルホニル−8−アザビシクロ[3.2.1]オクタン(説明5;1.0g、2.9ミリモル)を、リン酸水素二ナトリウム(1.65g、11.6ミリモル)及び10%ナトリウムアマルガム(2.67g)で処理し、この混合物を40分間攪拌した。次いで、重炭酸ナトリウム飽和溶液(100mL)を添加し、この懸濁液をジクロロメタン(2×100mL)で抽出した。この抽出液を乾燥させ(MgSO)、濃縮し、残渣を、シリカクロマトグラフィーによって精製して、標題化合物をゴム(315mg、1.6ミリモル)として得た。
【0122】
【化22】

【0123】
説明7
2−メトキシ−5−(トリフルオロメトキシ)ベンズアルデヒド
−78℃に冷却したテトラヒドロフラン(100mL)中の4−(トリフルオロメトキシ)アニソール(5.0g、26ミリモル)に、ペンタン中のtert−ブチルリチウムの溶液(23mL、1.7M、39ミリモル)をゆっくり添加した。得られた溶液を−78℃で30分間攪拌し、その後、N,N’−ジメチルホルムアミド(8mL、104ミリモル)を添加した。この溶液を環境温度まで攪拌し、次いで塩化アンモニウム飽和水溶液(100mL)でクエンチした。生成した懸濁液を酢酸エチル(2×100mL)で抽出し、抽出液を乾燥させた(MgSO)。濃縮によって黄色油を得、これをシリカクロマトグラフィーによって精製して、標題化合物を油(4.13g、18.8ミリモル)として得た。
【0124】
【化23】

【0125】
説明8
(1R,2R,5S,6R)−2−アミノ−8−ベンジル−1−フェニル−6−フェニルスルホニル−8−アザビシクロ[3.2.1]オクタン
(1R,2R,5S,6R)−2−ベンジルアミノ−8−ベンジル−1−フェニル−6−フェニルスルホニル−8−アザビシクロ[3.2.1]オクタン(説明4;8.34g、16ミリモル)を、メタノール(150mL)及び酢酸(150mL)中に溶解させ、次いで活性炭上10%パラジウム(2g)で処理した。次いで、この懸濁液を50psi水素で16時間水素化し、次いで濾過した。濾液を真空濃縮し、残留した油を、炭酸水素ナトリウム飽和水溶液(250mL)中に懸濁させた。これを酢酸エチル(2×250mL)で抽出し、この抽出液を乾燥させ(MgSO)、次いで濃縮した。シリカクロマトグラフィーによる精製によって、標題化合物をゴム(3.37g、7.8ミリモル)として得た。
【0126】
【化24】

【0127】
説明9
(1R,2R,5S)−2−アミノ−8−ベンジル−1−フェニル−8−アザビシクロ[3.2.1]オクタン
リチウム(175mg、25ミリモル)を、テトラヒドロフラン(25mL)中のナフタレン(3.2g、25ミリモル)の溶液に添加し、この混合物を2時間超音波処理した。次いで、生成した緑色溶液を、前もって−78℃に冷却した、テトラヒドロフラン(50mL)中の(1R,2R,5S,6R)−2−アミノ−8−ベンジル−1−フェニル−6−フェニルスルホニル−8−アザビシクロ[3.2.1]オクタン(説明8;2.0g、4.6ミリモル)の溶液に、ゆっくり添加した。この混合物を−78℃で1時間攪拌し、次いで塩化アンモニウム飽和水溶液(50mL)でクエンチした。環境温度にまで加温した後、この混合物を酢酸エチル(2×100mL)で抽出し、この抽出液を乾燥させた(MgSO)。真空濃縮によって固体を得、これを、シリカクロマトグラフィーによって精製して、標題化合物をゴム(900mg、3.1ミリモル)として得た。
【0128】
【化25】

【0129】
説明10
1−(2−クロロエトキシ)−2−ヨード−4−(トリフルオロメトキシ)ベンゼン
2−ヨード−4−(トリフルオロメトキシ)フェノール(10g、33ミリモル)、2−クロロエチル−p−トルエンスルホナート(7.9g、34ミリモル)、N,N’−ジメチルホルムアミド(50mL)及び炭酸カリウム(9.1g、66ミリモル)を、一緒に、50℃で16時間攪拌し、次いで冷却した。この懸濁液を水(100mL)で希釈し、60%ジエチルエーテル/ヘキサン(2×100mL)で抽出した。この抽出液を乾燥させ(MgSO)そして濃縮して、標題化合物を固体(12.1g、33ミリモル)として得た。
【0130】
【化26】

【0131】
説明11
1−(ビニルオキシ)−2−ヨード−4−(トリフルオロメトキシ)ベンゼン
−5℃のテトラヒドロフラン(50mL)中の1−(2−クロロエトキシ)−2−ヨード−4−(トリフルオロメトキシ)ベンゼン(説明10;12.1g、33ミリモル)に、カリウムtert−ブトキシド(3.7g、33ミリモル)をゆっくり添加した。添加が完結した後、この溶液を室温で20時間攪拌し、次いで水(100mL)でクエンチした。この混合物を50%ジエチルエーテル/ヘキサン(2×100mL)で抽出し、この抽出液を乾燥させた(MgSO)。濃縮によって油を得、これを、シリカクロマトグラフィーによって精製して、標題化合物を油(7.62g、23ミリモル)として得た。
【0132】
【化27】

【0133】
説明12
1−(シクロプロポキシ)−2−ヨード−4−(トリフルオロメトキシ)ベンゼン
1−(ビニルオキシ)−2−ヨード−4−(トリフルオロメトキシ)ベンゼン(説明11;7.6g、23ミリモル)及びクロロヨードメタン(5.4mL、74ミリモル)を、1,2−ジクロロエタン(40mL)中に溶解させ、0℃に冷却した。次いで、ジエチル亜鉛(3.8mL、36.8ミリモル)を滴下により添加した。この溶液を室温にまで10分間加温し、次いで0℃まで戻し冷却し、このときこれを塩化アンモニウム飽和水溶液(50mL)でクエンチした。生成した懸濁液を、50%ジエチルエーテル/ヘキサン(2×100mL)で抽出し、この抽出液を乾燥させた(MgSO)。濃縮によって黄色油を得、これを、シリカクロマトグラフィーによって精製して、標題化合物を透明な油(5.84g、17ミリモル)として得た。
【0134】
【化28】

【0135】
説明13
2−(シクロプロポキシ)−5−(トリフルオロメトキシ)ベンズアルデヒド
1−(シクロプロポキシ)−2−ヨード−4−(トリフルオロメトキシ)ベンゼン(説明12;5.84g、17ミリモル)をテトラヒドロフラン(150mL)中に溶解させ、−78℃に冷却した。次いで、tert−ブチルリチウム溶液(20mL、ペンタン中1.7M、34ミリモル)を滴下により添加した。この溶液を−78℃で10分間攪拌し、その後、N,N’−ジメチルホルムアミド(5.3mL、68ミリモル)を添加し、得られた溶液を室温まで攪拌した。次いで、塩化アンモニウム飽和水溶液(50mL)を添加し、この混合物をジエチルエーテル(2×100mL)で抽出した。この抽出液を乾燥させ(MgSO)、濃縮して油を得た。シリカクロマトグラフィーによるこの油の精製によって、標題化合物を透明な油(3.94g、16ミリモル)として得た。
【0136】
【化29】

【0137】
説明14
1−ヒドロキシ−1−(2−メトキシ−5−(トリフルオロメトキシ)フェニル)エタン
0℃のテトラヒドロフラン(10mL)中の2−メトキシ−5−(トリフルオロメトキシ)ベンズアルデヒド(1.0g、4.5ミリモル)に、テトラヒドロフラン中の臭化メチルマグネシウムの溶液(1.6mL、3M、4.7ミリモル)を添加した。次いで、この溶液を室温にまで加温し、塩化アンモニウム飽和水溶液(50mL)でクエンチした。生成した懸濁液を、酢酸エチル(2×100mL)で抽出し、この抽出液を乾燥させた(MgSO)。真空濃縮によって標題化合物を油(1.03g、4.4ミリモル)として得た。
【0138】
【化30】

【0139】
説明15
2−メトキシ−5−(トリフルオロメトキシ)アセトフェノン
ジクロロメタン(20mL)中の1−ヒドロキシ−1−(2−メトキシ−5−(トリフルオロメトキシ)フェニル)エタン(説明14;1.03g、4.4ミリモル)を、1,1,1−トリアセトキシ−1,1−ジヒドロ−1,2−ベンズヨードキソール−3(1H)−オン(1.85g、4.4ミリモル)で処理し、室温で15分間攪拌した。メタ重亜硫酸ナトリウム水溶液(10mL)を添加し、この溶液を10分間攪拌した。有機層を取り出し、水、ブラインで洗浄し、次いで乾燥させた(MgSO)。濃縮によって油を得、これをシリカクロマトグラフィーによって精製して、標題化合物をろう状の固体(840mg、3.6ミリモル)として得た。
【0140】
【化31】

【0141】
説明16
(1R,5S,6RS)−8−ベンジル−6−(tert−ブトキシカルボニル)−1−フェニル−8−アザビシクロ[3.2.1]オクト−3−エン−2−オン
N−ベンジル−3−ヒドロキシ−2−フェニルピリジニウムブロミド(255g、0.745モル)、アクリル酸tert−ブチル(470mL)、トリエチルアミン(150mL)及び1,4−ジオキサン(1L)の混合物を、還流下で15時間加熱し、室温にまで冷却した。この反応混合物をNaHCO飽和水溶液(1L)の上に注ぎ、イソヘキサン:ジエチルエーテルの1:1混合物(3×500mL)の中に抽出した。一緒にした有機抽出液を、乾燥させ(NaSO)そして濃縮した。残渣を、シリカゲル上でのクロマトグラフィー(750g、イソヘキサン:ジエチルエーテル0−20%)によって精製して、(1R,5S,6R)−8−ベンジル−6−(tert−ブトキシカルボニル)−1−フェニル−8−アザビシクロ[3.2.1]オクト−3−エン−2−オン及び(1R,5S,6S)−8−ベンジル−6−(tert−ブトキシカルボニル)−1−フェニル−8−アザビシクロ[3.2.1]オクト−3−エン−2−オンの2:1混合物(205g、70%)を、黄橙色フォームとして得た。異性体をシリカゲル(イソヘキサン:ジエチルエーテル)上で分離し、イソヘキサン:ジエチルエーテルから結晶化させて、黄色斜方晶を得た。
【0142】
説明16a:(1R,5S,6R)−8−ベンジル−6−(tert−ブトキシカルボニル)−1−フェニル−8−アザビシクロ[3.2.1]オクト−3−エン−2−オン
【0143】
【化32】

【0144】
説明16b:(1R,5S,6S)−8−ベンジル−6−(tert−ブトキシカルボニル)−1−フェニル−8−アザビシクロ[3.2.1]オクト−3−エン−2−オン
【0145】
【化33】

【0146】
説明17
(1R,5S,6RS)−8−ベンジル−6−(tert−ブトキシカルボニル)−1−フェニル−8−アザビシクロ[3.2.1]オクタン−2−オン
(1R,5S,6RS)−8−ベンジル−6−(tert−ブトキシカルボニル)−1−フェニル−8−アザビシクロ[3.2.1]オクト−3−エン−2−オン(説明16;26g、66ミリモル)、木炭上10%パラジウム(3.5g、3.3ミリモル)、酢酸エチル(50mL)及びメタノール(100mL)の混合物を、水素雰囲気(1atm)下で室温で1時間攪拌した。この反応混合物をジクロロメタン(500mL)で処理し、セライト(商標)のパッドに通して濾過した。フィルターケークをジクロロメタンで十分に洗浄し、濾液を濃縮して、表題化合物を固体(26g、100%)として得た。異性体をシリカゲル(イソヘキサン:酢酸エチル)上で分離し、アセトン:イソヘキサンから結晶化させて、純粋なケトンを無色結晶として得た。
【0147】
6R−エピマー
【0148】
【化34】

【0149】
6S−エピマー
【0150】
【化35】

【0151】
説明18
(1R,2R,5S,6R)−2−ベンジルアミノ−8−ベンジル−6−(tert−ブトキシカルボニル)−1−フェニル−8−アザビシクロ[3.2.1]オクタン
トルエン(50mL)中の、(1R,5S,6R)−8−ベンジル−6−(tert−ブトキシカルボニル)−1−フェニル−8−アザビシクロ[3.2.1]オクタン−2−オン(説明17;5.0g、12.8ミリモル)、p−トルエンスルホン酸一水和物(25mL)及びベンジルアミン(2.1g、20ミリモル)を、還流下でディーンシュタルク条件下で24時間加熱し、次いで冷却し、溶媒を真空除去した。残渣をメタノール(100mL)中に溶解させ、シアノホウ水素化ナトリウム(900mg、14ミリモル)を添加した。生成した溶液を、室温で2時間攪拌し、次いで約1/4体積まで濃縮した。水(500mL)を添加し、生成した懸濁液を酢酸エチル(2×500mL)で抽出した。この抽出液を乾燥させ(MgSO)、濃縮し、その後、残渣を、シリカクロマトグラフィーによって精製して、標題化合物(3.87g、8ミリモル)をゴムとして得た。
【0152】
【化36】

【0153】
説明19
(1R,2R,5S,6R)−2−ベンジルアミノ−8−ベンジル−6−ヒドロキシメチル−1−フェニル−8−アザビシクロ[3.2.1]オクタン
ジクロロメタン(10mL)中の(1R,2R,5S,6R)−2−ベンジルアミノ−8−ベンジル−6−(tert−ブトキシカルボニル)−1−フェニル−8−アザビシクロ[3.2.1]オクタン(説明18;600mg、1.2ミリモル)を、−5℃に冷却し、ジクロロメタン中の水素化ジイソブチルアルミニウムの溶液(3mL、1M、3ミリモル)を滴下により添加した。この溶液を2時間かけて環境温度に攪拌し、次いでジクロロメタン(30mL)続いて酒石酸ナトリウムカリウム飽和水溶液(50mL)を添加した。この二相系を1時間激しく攪拌し、次いで有機層を取り出しそして乾燥させた(MgSO)。真空濃縮によってゴムを得、これをシリカクロマトグラフィーによって精製して、標題化合物(258mg、0.63ミリモル)を得た。
【0154】
【化37】

【0155】
説明20
(1R,2R,5S,6R)−2−アミノ−6−ヒドロキシメチル−1−フェニル−8−アザビシクロ[3.2.1]オクタン
(1R,2R,5S,6R)−2−ベンジルアミノ−8−ベンジル−6−ヒドロキシメチル−1−フェニル−8−アザビシクロ[3.2.1]オクタン(説明19;220mg、0.53ミリモル)をエタノール(5mL)中に溶解させ、活性炭上の10%パラジウム(100mg)、続いて1,4−シクロヘキサジエン(1.5mL)で処理した。生成した懸濁液を、還流で24時間加熱し、次いで冷却しそして濾過した。濾液を真空濃縮し、残留した油をシリカクロマトグラフィーによって精製して、標題化合物をゴム(92mg、0.4ミリモル)として得た。
【0156】
【化38】

【0157】
説明21
(1R,2R,5S,6R)−2−ジベンジルアミノ−8−ベンジル−6−(ヒドロキシカルボニル)−1−フェニル−8−アザビシクロ[3.2.1]オクタン
(1R,2R,5S,6R)−2−ベンジルアミノ−8−ベンジル−6−(tert−ブトキシカルボニル)−1−フェニル−8−アザビシクロ[3.2.1]オクタン(説明18;1.8g、3.7ミリモル)をN,N’−ジメチルホルムアミド(20mL)中に溶解させ、炭酸カリウム(966mg、7ミリモル)及び臭化ベンジル(833μL、7ミリモル)で処理した。この懸濁液を環境温度で16時間攪拌し、次いで水(200mL)の中に注いだ。この混合物を酢酸エチル(2×100mL)で抽出し、抽出液を真空濃縮し、その後、30%トリフルオロ酢酸/ジクロロメタン(50mL)中に溶解させた。この溶液を2時間攪拌し、濃縮し、残渣を炭酸水素ナトリウム飽和水溶液(100mL)で塩基性にした。有機物をジクロロメタン(2×50mL)で抽出し、抽出液を乾燥させた(MgSO)。次いで、残留した固体を、シリカクロマトグラフィーによって精製して、酸を白色フォーム(400mg、0.8ミリモル)として得た。
【0158】
【化39】

【0159】
説明22
(1R,2R,5S,6R)−2−ジベンジルアミノ−8−ベンジル−6−(ヒドロキシメチル)−1−フェニル−8−アザビシクロ[3.2.1]オクタン
(1R,2R,5S,6R)−2−ジベンジルアミノ−8−ベンジル−6−(ヒドロキシカルボニル)−1−フェニル−8−アザビシクロ[3.2.1]オクタン(説明21;400mg、0.78ミリモル)を、テトラヒドロフラン(10mL)中に溶解させ、テトラヒドロフラン中の水素化アルミニウムリチウム溶液(800μL、1M、0.8ミリモル)で処理した。得られた混合物を16時間攪拌し、次いで、テトラヒドロフラン中の水素化アルミニウムリチウム溶液の別の部分(200μL、1M、0.8ミリモル)を添加した。50℃で1時間攪拌し、次いで冷却し、水(40μL)、続いて15%水酸化ナトリウム水溶液(40μL)、次いで水(120μL)を添加した。生成した懸濁液を濾過し、濾液を水(10mL)中に入れた。この混合物を酢酸エチル(2×10mL)で抽出し、抽出液を乾燥させ(MgSO)、その後、真空濃縮した。残留したゴムを、シリカクロマトグラフィーによって精製して、標題化合物(295mg、0.59ミリモル)をゴムとして得た。
【0160】
【化40】

【0161】
説明23
(1R,2R,5S,6R)−2−ジベンジルアミノ−8−ベンジル−6−[1−(3−ヒドロキシ)プロピルオキシメチル]−1−フェニル−8−アザビシクロ[3.2.1]オクタン
テトラヒドロフラン(5mL)中の、(1R,2R,5S,6R)−2−ジベンジルアミノ−8−ベンジル−6−(ヒドロキシメチル)−1−フェニル−8−アザビシクロ[3.2.1]オクタン(説明22;295mg、0.59ミリモル)、18−クラウン−6(396mg、1.5ミリモル)及び3−(ブロモプロポキシ)−tert−ブチルジメチルシラン(348μL、1.5ミリモル)を、油中の60%水素化ナトリウム懸濁液(60mg、1.5ミリモル)で処理し、室温で16時間攪拌した。この混合物を塩化アンモニウム飽和水溶液(50mL)の中に注ぎ、次いで酢酸エチル(2×50mL)で抽出した。抽出液を乾燥させ(MgSO)、濃縮し、残渣をテトラヒドロフラン(10mL)中に溶解させた。次いで、テトラヒドロフラン中のテトラ−n−ブチルアンモニウムフルオリド溶液(3mL、1M、3ミリモル)を添加し、この溶液を環境温度で1時間攪拌した。この溶液を水(50mL)の中に注ぎ、酢酸エチル(2×50mL)で抽出した。抽出液を乾燥させ(MgSO)、濃縮し、残渣をシリカクロマトグラフィーによって精製して、標題化合物(240mg、0.43ミリモル)を得た。
【0162】
【化41】

【0163】
説明24
(1R,2R,5S,6R)−2−アミノ−6−[1−(3−ヒドロキシ)プロピルオキシメチル]−1−フェニル−8−アザビシクロ[3.2.1]オクタン
(1R,2R,5S,6R)−2−ジベンジルアミノ−8−ベンジル−6−[1−(3−ヒドロキシ)プロピルオキシメチル]−1−フェニル−8−アザビシクロ[3.2.1]オクタン(説明23;240mg、0.43ミリモル)及び1,4−シクロヘキサジエン(812μL、8.6ミリモル)を、エタノール(5mL)中に溶解させ、活性炭上に担持させた10%パラジウム(100mg)で処理した。得られた懸濁液を還流で16時間加熱し、冷却し、次いで濾過した。濾液を真空濃縮して、標題化合物をゴム(71mg、0.24ミリモル)として得た。
【0164】
【化42】

【0165】
説明25
2−ブロモ−1−クロロ−4−(トリフルオロメトキシ)ベンゼン
アセトニトリル(100mL)中の無水塩化銅(II)(6.3g、47ミリモル)に、tert−ブチルニトリル(6.85mL、58ミリモル)を添加し、続いてアセトニトリル(15mL)中の2−ブロモ−4−(トリフルオロメトキシ)アニリン(10g、39ミリモル)の溶液を滴下により添加した。この溶液を環境温度で1時間攪拌し、次いで塩酸(250mg、2M)の中に注いだ。生成した懸濁液をジエチルエーテル(2×250mL)で抽出し、抽出液を乾燥させた(MgSO)。濃縮して、標題化合物を油(7.82g、28ミリモル)として得た。
【0166】
【化43】

【0167】
説明26
1−クロロ−2−ビニル−4−(トリフルオロメトキシ)ベンゼン
2−ブロモ−1−クロロ−4−(トリフルオロメトキシ)ベンゼン(説明25;1.0g、3.6ミリモル)及びトリ−n−ブチルビニルスズ(1.21g、3.8ミリモル)を、トルエン(20mL)中に溶解させ、この溶液を窒素で45分間脱気した。次いで、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)(100mg)を添加し、この溶液を還流で2時間加熱した。冷却して、この溶液を濃縮し、残渣をシリカクロマトグラフィーによって精製して、標題化合物(274mg、1.2ミリモル)を得た。
【0168】
【化44】

【0169】
説明27
2−クロロ−5−(トリフルオロメトキシ)ベンズアルデヒド
1−クロロ−2−ビニル−4−(トリフルオロメトキシ)ベンゼン(説明26;274mg、1.2ミリモル)を、ジクロロメタン(15mL)及びメタノール(5mL)中に溶解させ、この溶液を−78℃まで冷却した。次いで、オゾンを、溶液が青色に変わるまでバブリングさせた。硫化ジメチル(1mL)を添加し、この溶液を環境温度に16時間攪拌した。濃縮によって油を得、この油をシリカクロマトグラフィーによって精製して、標題化合物(120mg、0.53ミリモル)を得た。
【0170】
【化45】

【0171】
説明28
(1R,2R,5S,6R)−2−アミノ−6−(tert−ブトキシカルボニル)−1−フェニル−8−アザビシクロ[3.2.1]オクタン
(1R,2R,5S,6R)−2−ベンジルアミノ−8−ベンジル−6−(tert−ブトキシカルボニル)−1−フェニル−8−アザビシクロ[3.2.1]オクタン(説明18;7.07g、14.7ミリモル)及び活性炭上の10%パラジウム(2g)を、メタノール(100mL)及び酢酸(100mL)中に溶解させ、この混合物を、50psi水素で16時間室温で水素化した。この懸濁液を濾過し、濾液を真空濃縮した。次いで、残渣を炭酸水素ナトリウム飽和水溶液(200mL)中に懸濁させ、ジクロロメタン(2×400mL)で抽出した。抽出液を乾燥させ(MgSO)、濃縮して、標題化合物を褐色油(4.4g、14.6ミリモル)として得た。
【0172】
【化46】

【0173】
説明29
(1R,5S,6R)−8−ベンジル−6−シアノ−1−フェニル−8−アザビシクロ[3.2.1]オクト−3−エン−2−オン
N−ベンジル−3−ヒドロキシ−2−フェニルピリジニウムブロミド(20g、58.3ミリモル)、アクリロニトリル(50mL、755ミリモル)及びトリエチルアミン(20mL、143ミリモル)を混合し、1,4−ジオキサン(150mL)中で還流で20時間攪拌した。この混合物を炭酸水素ナトリウム飽和溶液と酢酸エチルとの間に分配させた。有機層を分離し、乾燥させ(MgSO)、濾過しそして濃縮した。残渣を、25、35及び45%ジエチルエーテル/イソヘキサンで溶離するシリカゲル上でクロマトグラフィー処理して、標題化合物(4.4g、24%)を得た。
【0174】
【化47】

【0175】
説明30
(1R,5S,6R)−8−ベンジル−6−シアノ−1−フェニル−8−アザビシクロ[3.2.1]オクタン−2−オン
水酸化パラジウム(20%)(700mg)を、メタノール(100mL)中の(1R,5S,6R)−8−ベンジル−6−シアノ−1−フェニル−8−アザビシクロ[3.2.1]オクト−3−エン−2−オン(説明29;7.1g、22.6ミリモル)の溶液に添加した。この混合物をパル(Parr)(商標)装置に移し、45psiで20分間水素化した。この混合物をセライト(Celite)(商標)に通して濾過し、濾液を真空濃縮した。この残渣を酢酸エチルとブラインとの間に分配させた。有機層を分離し、乾燥させ(MgSO)、濾過し、濃縮して、標題化合物(6.9g、96%)を得た。
【0176】
【化48】

【0177】
説明31
(1R,2R,5S,6R)−2−ベンジルアミノ−8−ベンジル−1−フェニル−6−(1H−テトラゾール−5−イル)−8−アザビシクロ[3.2.1]オクタン
トルエン(10mL)中の、(1R,5S,6R)−8−ベンジル−6−シアノ−1−フェニル−8−アザビシクロ[3.2.1]オクタン−2−オン(説明30;2.3g、7.3ミリモル)、p−トルエンスルホン酸一水和物(5mg)及びベンジルアミン(1.2g、11ミリモル)の混合物を、還流下でディーンシュタルク条件下で24時間加熱し、次いで冷却し、溶媒を真空除去した。残渣をメタノール(20mL)中に溶解させ、シアノホウ水素化ナトリウム(510mg、8ミリモル)を添加した。生成した溶液を、室温で1時間攪拌し、次いで約1/4体積まで濃縮した。炭酸水素ナトリウム飽和水溶液(50mL)を添加し、生成した懸濁液をジクロロメタン(2×50mL)で抽出した。この抽出液を乾燥させ(MgSO)、濃縮し、その後、残渣を、シリカクロマトグラフィーによって精製して、アキシアルアミン及びエクアトリアルアミンを混合物(1.47g、3.6ミリモル)として得た。この混合物の一部(1.0g、2.5ミリモル)を、N−メチルピロリジノン(5mL)中のアジ化ナトリウム(488mg、7.5ミリモル)及びトリエチルアミン塩酸塩(1.03ミリモル)と混合し、150℃で16時間加熱した。冷却した後、この混合物を酢酸エチル(50mL)で希釈し、水(50mL)で洗浄し、乾燥させた(MgSO)。濃縮によって固体を得、これをシリカクロマトグラフィーによって精製して、標題化合物を黄褐色固体(723mg、1.6ミリモル)として得た。
【0178】
【化49】

【0179】
説明32
(1R,2R,5S,6R)−2−アミノ−1−フェニル−6−(1H−テトラゾール−5−イル)−8−アザビシクロ[3.2.1]オクタン
(1R,2R,5S,6R)−2−ベンジルアミノ−8−ベンジル−1−フェニル−6−(1H−テトラゾール−5−イル)−8−アザビシクロ[3.2.1]オクタン(説明31;300mg、0.67ミリモル)をエタノール(10mL)中に溶解させ、1,4−シクロヘキサジエン(660μL、7ミリモル)及び活性炭上の10%パラジウム(100mg)で処理した。得られた懸濁液を還流で96時間加熱し、冷却し、濾過した。濾液を真空濃縮して、標題化合物をフォーム(166mg、0.61ミリモル)として得た。
【0180】
【化50】

【0181】
説明33a及び33b
(a) (1R,2R,5S,6R)−2−ベンジルアミノ−8−ベンジル−1−フェニル−6−(1−メチル−1H−テトラゾール−5−イル)−8−アザビシクロ[3.2.1]オクタン及び
(b) (1R,2R,5S,6R)−2−ベンジルアミノ−8−ベンジル−1−フェニル−6−(2−メチル−2H−テトラゾール−5−イル)−8−アザビシクロ[3.2.1]オクタン
(1R,2R,5S,6R)−2−ベンジルアミノ−8−ベンジル−1−フェニル−6−(1H−テトラゾール−5−イル)−8−アザビシクロ[3.2.1]オクタン(説明31;370mg、0.82ミリモル)を、トルエン(5mL)及びメタノール(5mL)の混合物中に溶解させ、ヘキサン中の(トリメチルシリル)ジアゾメタンの溶液(700μL、2M、1.4ミリモル)で処理した。室温で15分間攪拌した後、この溶液を真空濃縮し、残渣をシリカクロマトグラフィーによって精製して、2種の標題化合物を得た。
【0182】
説明33a(57mg、0.12ミリモル)(最大極性):
【0183】
【化51】

【0184】
説明33b(357mg、0.77ミリモル)(最小極性):
【0185】
【化52】

【0186】
説明34
(1R,2R,5S,6R)−2−アミノ−1−フェニル−6−(1−メチル−1H−テトラゾール−5−イル)−8−アザビシクロ[3.2.1]オクタン
(1R,2R,5S,6R)−2−ベンジルアミノ−8−ベンジル−1−フェニル−6−(1−メチル−1H−テトラゾール−5−イル)−8−アザビシクロ[3.2.1]オクタン(説明33a;57mg、0.12ミリモル)を、エタノール(5mL)中に溶解させ、1,4−シクロヘキサジエン(5mL)続いて活性炭上の10%パラジウム(50mg)で処理した。生成した懸濁液を還流で72時間加熱し、次いで冷却し、濾過した。濾液を濃縮し、残渣を酢酸エチル(2mL)中に溶解させ、エーテル性塩化水素(2mL、1M)で処理した。生成した固体を濾過によって取り出し、ジエチルエーテルで洗浄し、乾燥させて、粗製標題化合物を固体(27mg)として得た。
【0187】
MS(ES)285(M+H)。
【0188】
説明35
(1R,2R,5S,6R)−2−アミノ−1−フェニル−6−(2−メチル−2H−テトラゾール−5−イル)−8−アザビシクロ[3.2.1]オクタン
(1R,2R,5S,6R)−2−ベンジルアミノ−8−ベンジル−1−フェニル−6−(2−メチル−2H−テトラゾール−5−イル)−8−アザビシクロ[3.2.1]オクタン(説明33b;357mg、0.77ミリモル)を、エタノール(10mL)中に溶解させ、1,4−シクロヘキサジエン(5mL)続いて活性炭上の10%パラジウム(300mg)で処理した。生成した懸濁液を還流で72時間加熱し、次いで冷却し、濾過した。濾液を濃縮して、標題化合物をゴム(239mg、0.67ミリモル)として得た。
【0189】
【化53】

【0190】
説明36a、36b及び36c
(a) (1R,3S,5S,6R)−8−ベンジル−3−フルオロ−1−フェニル−6−(tert−ブトキシカルボニル)−8−アザビシクロ[3.2.1]オクタン−2−オン;
(b) (1R,3R,5S,6R)−8−ベンジル−3−フルオロ−1−フェニル−6−(tert−ブトキシカルボニル)−8−アザビシクロ[3.2.1]オクタン−2−オン;及び
(c) (1R,5S,6R)−8−ベンジル−3,3−ジフルオロ−1−フェニル−6−(tert−ブトキシカルボニル)−8−アザビシクロ[3.2.1]オクタン−2−オン
テトラヒドロフラン中のリチウムヘキサメチルジシラジドの溶液(18mL、1M、18ミリモル)に、テトラヒドロフラン(100mL)を添加し、この混合物を−78℃に冷却した。次いで、(1R,5S,6R)−8−ベンジル−1−フェニル−6−(tert−ブトキシカルボニル)−8−アザビシクロ[3.2.1]オクタン(説明17;5.0g、12.8ミリモル)の溶液を、ゆっくり添加した。温度を−50℃まで加温し、次いで直ちに攪拌して−78℃に30分間戻した。次いで、テトラヒドロフラン(50mL)中に溶解させたN−フルオロベンゼンスルホンイミド(5.7g、18ミリモル)を添加し、この溶液を−30℃に30分間攪拌した。塩化アンモニウム飽和水溶液(100mL)を添加し、この混合物を酢酸エチル(2×200mL)で抽出した。乾燥させた(MgSO)後、抽出液を濃縮し、残渣をシリカクロマトグラフィーによって精製して、3種類の生成物を得た。
【0191】
説明36a(1.62g、4.0ミリモル)(最大極性):
【0192】
【化54】

【0193】
説明36b(1.67g、4.1ミリモル):
【0194】
【化55】

【0195】
説明36c(1.76g、4.1ミリモル)(最小極性):
【0196】
【化56】

【0197】
説明37
(1R,2R,3S,5S,6R)−2−ベンジルアミノ−8−ベンジル−3−フルオロ−1−フェニル−6−(tert−ブトキシカルボニル)−8−アザビシクロ[3.2.1]オクタン
(1R,3S,5S,6R)−8−ベンジル−3−フルオロ−1−フェニル−6−(tert−ブトキシカルボニル)−8−アザビシクロ[3.2.1]オクタン−2−オン(説明36a;1.68g、4.1ミリモル)、チタンイソプロポキシド(1.8mL、6.2ミリモル)及びベンジルアミン(520μL、4.7ミリモル)を、85℃で2時間一緒に加熱し、次いで冷却し、メタノール(30mL)で希釈した。次いでこの溶液を50℃に加熱し、ホウ水素化ナトリウム(1.06g、28ミリモル)を、4時間かけて少しずつ添加した。添加が完結した後、この溶液を更に16時間加熱し、次いで冷却し、水酸化ナトリウム水溶液(100mL、1M)の中に注いだ。生成した懸濁液を、酢酸エチル(2×100mL)で抽出し、抽出液を乾燥させた(MgSO)。真空濃縮によってゴムを得、これを、シリカクロマトグラフィーによって精製して、標題化合物(651mg、1.3ミリモル)を得た。
【0198】
【化57】

【0199】
説明38
(1R,2R,3S,5S,6R)−2−ベンジルアミノ−8−ベンジル−3−フルオロ−1−フェニル−6−(ヒドロキシメチル)−8−アザビシクロ[3.2.1]オクタン
(1R,2R,3S,5S,6R)−2−ベンジルアミノ−8−ベンジル−3−フルオロ−1−フェニル−6−(tert−ブトキシカルボニル)−8−アザビシクロ[3.2.1]オクタン(説明36b;651mg、1.3ミリモル)を、テトラヒドロフラン(10mL)中に溶解させ、次いでテトラヒドロフラン中のトリエチルホウ水素化リチウムの溶液(4mL,1M、4ミリモル)で処理した。この溶液を室温で1時間攪拌し、次いで水酸化ナトリウム水溶液(50mL、1M)の中に注いだ。生成した懸濁液を、酢酸エチル(2×100mL)で抽出し、抽出液を乾燥させた(MgSO)。真空濃縮によってゴムを得、これを、シリカクロマトグラフィーによって精製して、標題化合物(476mg、1.1ミリモル)を得た。
【0200】
【化58】

【0201】
説明39
(1R,2R,3S,5S,6R)−2−アミノ−3−フルオロ−1−フェニル−6−(ヒドロキシメチル)−8−アザビシクロ[3.2.1]オクタン
(1R,2R,3S,5S,6R)−2−ベンジルアミノ−8−ベンジル−3−フルオロ−1−フェニル−6−(ヒドロキシメチル)−8−アザビシクロ[3.2.1]オクタン(説明38;486mg、1.13ミリモル)を、エタノール(20mL)及び1,4−シクロヘキサジエン(2mL)中に溶解させた。活性炭上の10%パラジウム(500mg)を添加し、懸濁液を還流で24時間加熱した。冷却し、濾過した後、濾液を真空濃縮して、標題化合物をゴム(257mg、1.0ミリモル)として得た。
【0202】
【化59】

【実施例1】
【0203】
(1R,2R,5S)−2−(3,5−ビス(トリフルオロメチル)ベンジルアミノ)−1−フェニル−8−アザビシクロ[3.2.1]オクタン二塩酸塩
(1R,2R,5S)−2−アミノ−1−フェニル−8−アザビシクロ[3.2.1]オクタン(説明6;97mg、0.48ミリモル)及び3,5−ビス(トリフルオロメチル)ベンズアルデヒド(121mg、0.5ミリモル)を、1,2−ジクロロエタン(10mL)中に溶解させ、酢酸(30μL)で処理した。この溶液を室温で16時間攪拌し、次いで濃縮した。この残渣をメタノール(10mL)中に溶解させ、シアノホウ水素化ナトリウム(60mg)で処理し、次いで80℃で2時間加熱し、真空濃縮し、残渣を重炭酸ナトリウム飽和溶液(10mL)中に懸濁させた。これを、ジクロロメタン(2×10mL)で抽出し、抽出液を乾燥させ(MgSO)、次いで濃縮した。残渣を酢酸エチル(10mL)中に溶解させ、エーテル性塩化水素(1M、2mL)で処理した。生成した懸濁液を真空濃縮し、残留した固体をメタノール/ジエチルエーテルから再結晶して、標題化合物を白色固体(167mg、0.33ミリモル)として得た。
【0204】
【化60】

【実施例2】
【0205】
(1R,2R,5S)−2−(2−メトキシ−5−(トリフルオロメトキシ)ベンジルアミノ)−1−フェニル−8−アザビシクロ[3.2.1]オクタン二塩酸塩
説明6の生成物及び2−メトキシ−5−(トリフルオロメトキシ)ベンズアルデヒドから、実施例1の方法に従って製造した。
【0206】
【化61】

【実施例3】
【0207】
(1R,2R,5S)−2−(2−シクロプロピルオキシ−5−[5−(トリフルオロメチル)テトラゾール−1−イル]ベンジルアミノ)−1−フェニル−8−アザビシクロ[3.2.1]オクタン
(1R,2R,5S)−2−アミノ−1−フェニル−8−アザビシクロ[3.2.1]オクタン(説明6;50mg、0.25ミリモル)及び2−(シクロプロポキシ)−5−[5−(トリフルオロメチル)テトラゾール−1−イル]ベンズアルデヒド(119mg、0.4ミリモル)[国際(PCT)特許出願公開第WO99/24423号明細書、1999年5月20日公開、参照]を、1,2−ジクロロエタン(5mL)中に溶解させ、酢酸(23μL)で処理し、続いてトリアセトキシホウ水素化ナトリウム(85mg)で処理した。この溶液を環境温度で16時間攪拌し、次いで炭酸水素ナトリウム飽和水溶液(50mL)でクエンチした。この混合物をジクロロメタン(2×50mL)で抽出し、抽出液を乾燥させ(MgSO)、次いで濃縮した。残渣を、シリカクロマトグラフィーによって精製して遊離塩基を得、これを酢酸エチル(10mL)中に溶解させ、エーテル性塩化水素(1M、2mL)で処理した。生成した固体を濾過によって取り出し、メタノール/酢酸エチルから再結晶して、標題化合物を白色固体(84mg、0.15ミリモル)として得た。
【0208】
【化62】

【実施例4】
【0209】
(1R,2R,5S)−2−(2−メトキシ−5−(トリフルオロメトキシ)ベンジルアミノ)−8−ベンジル−1−フェニル−8−アザビシクロ[3.2.1]オクタン二塩酸塩
(1R,2R,5S)−2−アミノ−8−ベンジル−1−フェニル−8−アザビシクロ[3.2.1]オクタン(説明9;156mg、0.53ミリモル)及び2−メトキシ−5−(トリフルオロメトキシ)ベンズアルデヒド(132mg、0.6ミリモル)を、1,2−ジクロロエタン(10mL)及び酢酸(35μL)中に溶解させ、トリアセトキシホウ水素化ナトリウム(127mg、0.6ミリモル)で処理した。生成した懸濁液を環境温度で16時間攪拌し、次いで炭酸水素ナトリウム飽和水溶液(50mL)でクエンチした。この混合物をジクロロメタン(2×50mL)で抽出し、抽出液を乾燥させ(MgSO)、次いで濃縮した。残渣の精製によって、所望の遊離塩基を得、これを酢酸エチル(10mL)中に溶解させ、エーテル性塩化水素(1M、2mL)で処理した。生成した固体を濾過によって回収し、メタノール/ジエチルエーテルから再結晶して、標題化合物を白色固体(178mg、0.3ミリモル)として得た。
【0210】
【化63】

【実施例5】
【0211】
(1R,2R,5S)−2−(2−シクロプロポキシ−5−(トリフルオロメトキシ)ベンジルアミノ)−1−フェニル−8−アザビシクロ[3.2.1]オクタン二塩酸塩
(1R,2R,5S)−2−アミノ−1−フェニル−8−アザビシクロ[3.2.1]オクタン(説明6;116mg、0.57ミリモル)及び2−(シクロプロポキシ)−5−(トリフルオロメトキシ)ベンズアルデヒド(説明13;100mg、0.41ミリモル)を、1,2−ジクロロエタン(5mL)及び酢酸(1mL)中に溶解させ、次いでトリアセトキシホウ水素化ナトリウム(318mg、1.5ミリモル)で処理した。生成した懸濁液を室温で4時間攪拌し、次いで炭酸水素ナトリウム飽和水溶液(25mL)でクエンチした。生成した懸濁液をジクロロメタン(2×25mL)で抽出し、抽出液を乾燥させ(MgSO)、次いで濃縮した。シリカクロマトグラフィーによる残渣の精製によって、遊離塩基をゴムとして得た。これを酢酸エチル(10mL)中に溶解させ、エーテル性塩化水素(1M、2mL)で処理した。生成した固体を濾過によって回収し、酢酸エチルで洗浄した。真空乾燥によって、標題化合物を白色粉末(130mg、0.26ミリモル)として得た。
【0212】
【化64】

【実施例6】
【0213】
(1R,2R,5S,6R)−2−(2−メトキシ−5−(トリフルオロメトキシ)ベンジルアミノ)−1−フェニル−6−フェニルスルホニル−8−アザビシクロ[3.2.1]オクタン二塩酸塩
(1R,2R,5S,6R)−2−アミノ−1−フェニル−6−フェニルスルホニル−8−アザビシクロ[3.2.1]オクタン(説明6;90mg、0.26ミリモル)及び2−メトキシ−5−(トリフルオロメトキシ)ベンズアルデヒド(116mg、0.54ミリモル)を、1,2−ジクロロメタン(5mL)及び酢酸(35μL)中に溶解させ、トリアセトキシホウ水素化ナトリウム(165mg、0.78ミリモル)で処理した。この懸濁液を室温で16時間、次いで60℃で2時間攪拌した。冷却した後、この混合物を炭酸水素ナトリウム飽和水溶液(20mL)の中に注ぎ、ジクロロメタン(2×25mL)で抽出した。抽出液を乾燥させ(MgSO)、濃縮した。シリカクロマトグラフィーによる残渣の精製によって、遊離塩基をゴムとして得た。これを酢酸エチル(10mL)中に溶解させ、エーテル性塩化水素(1M、2mL)で処理した。生成した固体を濾過によって回収し、メタノール/ジエチルエーテルから再結晶して、標題化合物を白色粉末(109mg、0.18ミリモル)として得た。
【0214】
【化65】

【実施例7】
【0215】
(1R,2R,5S,9S)−及び(1R,2R,5S,9R)−2−[1−(2−メトキシ−5−(トリフルオロメトキシ)フェニル)エチルアミノ]−1−フェニル−8−アザビシクロ[3.2.1]オクタン二塩酸塩
(1R,2R,5S,6R)−2−アミノ−1−フェニル−8−アザビシクロ[3.2.1]オクタン(説明6;78mg、0.39ミリモル)及び2−メトキシ−5−(トリフルオロメトキシ)アセトフェノン(116mg、0.54ミリモル)を、1,2−ジクロロメタン(5mL)及び酢酸(35μL)中に溶解させ、トリアセトキシホウ水素化ナトリウム(170mg、0.8ミリモル)で処理した。この懸濁液を室温で16時間、次いで100℃で4時間攪拌した。冷却した後、この混合物を炭酸水素ナトリウム飽和水溶液(20mL)の中に注ぎ、ジクロロメタン(2×25mL)で抽出した。抽出液を乾燥させ(MgSO)、濃縮した。シリカクロマトグラフィーによる残渣の精製によって、遊離塩基をゴムとして得た。次いで、このジアステレオマーを、キラル分取HPLCによって分離した。次いで遊離塩基のそれぞれを、酢酸エチル(10mL)中に溶解させ、エーテル性塩化水素(1M、2mL)で処理した。生成した固体を濾過によって回収し、酢酸エチルで洗浄して、2種の二塩酸塩(16mg及び4mg)を得た。
ジアステレオマーA(最大極性)
【0216】
【化66】

【0217】
ジアステレオマーB(最小極性)
【0218】
【化67】

【実施例8】
【0219】
(1R,2R,5S,6R)−2−(2−シクロプロポキシ−5−(トリフルオロメトキシ)ベンジルアミノ)−6−(ヒドロキシメチル)−1−フェニル−8−アザビシクロ[3.2.1]オクタン二塩酸塩
説明20の生成物及び説明13の生成物から、実施例5の方法に従って製造した。
【0220】
【化68】

【実施例9】
【0221】
(1R,2R,5S)−2−(2−クロロ−5−(トリフルオロメトキシ)ベンジルアミノ)−1−フェニル−8−アザビシクロ[3.2.1]オクタン二塩酸塩
(1R,2R,5S)−2−アミノ−1−フェニル−8−アザビシクロ[3.2.1]オクタン(説明6;77mg、0.38ミリモル)及び2−クロロ−5−(トリフルオロメトキシ)ベンズアルデヒド(説明27;120mg、0.53ミリモル)を、1,2−ジクロロエタン(5mL)及び酢酸(1mL)中に溶解させ、次いでトリアセトキシホウ水素化ナトリウム(128mg、0.6ミリモル)で処理した。この懸濁液を室温で16時間攪拌し、次いでメタノール(5mL)で希釈した。シアノホウ水素化ナトリウム(200mg、0.9ミリモル)を添加し、この溶液を環境温度で更に16時間攪拌した。得られた混合物を炭酸水素ナトリウム飽和水溶液(50mL)の中に注ぎ、ジクロロメタン(2×50mL)で抽出した。抽出液を乾燥させ(MgSO)、濃縮して、ゴムを得、これをシリカクロマトグラフィーによって精製した。この純粋な遊離塩基を、酢酸エチル(10mL)中に溶解させ、エーテル性塩化水素(2mL、1M)で処理した。生成した固体を濾過によって取り出し、ジエチルエーテルで洗浄し、乾燥させて、標題化合物を固体(46mg、0.1ミリモル)として得た。
【0222】
【化69】

【実施例10】
【0223】
(1R,2R,5S,6R)−2−(2−シクロプロポキシ−5−(トリフルオロメトキシ)ベンジルアミノ)−6−[1−(3−ヒドロキシ)プロピルオキシメチル]−1−フェニル−8−アザビシクロ[3.2.1]オクタン二塩酸塩
説明24の生成物及び2−シクロプロポキシ−5−(トリフルオロメトキシ)ベンズアルデヒドから、実施例6の方法に従って製造した。
【0224】
【化70】

【実施例11】
【0225】
(1R,2R,5S,6R)−2−(2−シクロプロポキシ−5−(トリフルオロメトキシ)ベンジルアミノ)−6−(tert−ブトキシカルボニル)−1−フェニル−8−アザビシクロ[3.2.1]オクタン
説明28の生成物及び2−シクロプロポキシ−5−(トリフルオロメトキシ)ベンズアルデヒドから、実施例1の方法に従って製造した。
【0226】
【化71】

【実施例12】
【0227】
(1R,2R,5S,6R)−2−(2−シクロプロポキシ−5−(トリフルオロメトキシ)ベンジルアミノ)−6−(N−メトキシ−N−メチルカルボキサミド)−1−フェニル−8−アザビシクロ[3.2.1]オクタン
(1R,2R,5S,6R)−2−(2−シクロプロポキシ−5−(トリフルオロメトキシ)ベンジルアミノ)−6−(tert−ブトキシカルボニル)−1−フェニル−8−アザビシクロ[3.2.1]オクタン(実施例11;294mg、0.55ミリモル)を、ジクロロメタン中の30%トリフルオロ酢酸(10mL)中に溶解させ、室温で4時間攪拌した。真空濃縮した後、残渣をジクロロメタン(15mL)中に溶解させ、トリエチルアミン(612μL、4.4ミリモル)、N,O−ジメチルヒドロキシルアミン塩酸塩(107mg、1.1ミリモル)、N,N−ジメチルアミノピリジン(10mg)及び1−(3−ジメチルアミノプロピル)−3−エチルカルボジイミド塩酸塩(115mg、0.6ミリモル)で処理した。生成した溶液を室温で4時間攪拌し、次いで、水(50mL)の中に注いだ。ジクロロメタン(2×50mL)で抽出し、乾燥させた(MgSO)抽出液を濃縮して、粗製生成物をゴムとして得た。シリカクロマトグラフィーによって精製して、標題化合物(160mg、0.31ミリモル)を得た。
【0228】
【化72】

【実施例13】
【0229】
(1R,2R,5S,6R)−2−(2−シクロプロポキシ−5−(トリフルオロメトキシ)ベンジルアミノ)−6−アセチル−1−フェニル−8−アザビシクロ[3.2.1]オクタン
(1R,2R,5S,6R)−2−(2−シクロプロポキシ−5−(トリフルオロメトキシ)ベンジルアミノ)−6−(N−メトキシ−N−メチルカルボキサミド)−1−フェニル−8−アザビシクロ[3.2.1]オクタン(実施例12;490mg、0.95ミリモル)を、テトラヒドロフラン(10mL)中に溶解させ、0℃に冷却した。次いで、テトラヒドロフラン中の塩化メチルマグネシウムの溶液(1mL、3M、3ミリモル)を添加し、この溶液を0℃で1時間攪拌し、次いで室温で2時間攪拌した。この溶液を、塩化アンモニウム飽和水溶液(20mL)の中に注ぎ、酢酸エチル(2×20mL)で抽出し、抽出液を乾燥させた(MgSO)。真空濃縮によって油を得、これをシリカクロマトグラフィーによって精製して、標題化合物を黄褐色油(356mg、0.75ミリモル)として得た。
【0230】
【化73】

【実施例14】
【0231】
(1R,2R,5S,6R,R)−及び(1R,2R,5S,6R,S)−2−(2−シクロプロポキシ−5−(トリフルオロメトキシ)ベンジルアミノ)−6−(1−ヒドロキシ)エチル−1−フェニル−8−アザビシクロ[3.2.1]オクタン二塩酸塩
メタノール(5mL)中の(1R,2R,5S,6R)−2−(2−シクロプロポキシ−5−(トリフルオロメトキシ)ベンジルアミノ)−6−アセチル−1−フェニル−8−アザビシクロ[3.2.1]オクタン(実施例13;109mg、0.23ミリモル)を、ホウ水素化ナトリウム(8.7mg、0.23ミリモル)で処理し、この溶液を15分間攪拌し、その後、炭酸水素ナトリウム飽和水溶液(20mL)の中に注いだ。この溶液をジクロロメタン(2×20mL)で抽出し、抽出液を乾燥させ(MgSO)、次いで濃縮した。残渣をシリカクロマトグラフィーによって精製して、2種のジアステレオマーを得た。それぞれのものを酢酸エチル(5mL)中に溶解させ、エーテル性塩化水素(1mL、1M)で処理した。生成した固体を濾過によって取り出し、ジエチルエーテルで洗浄し、乾燥させて、標題化合物を固体(それぞれ16mg)として得た。
【0232】
最小極性化合物:
【0233】
【化74】

【0234】
最大極性化合物
【0235】
【化75】

【実施例15】
【0236】
(1R,2R,5S,6R)−2−(2−シクロプロポキシ−5−(トリフルオロメトキシ)ベンジルアミノ)−6−(1−ヒドロキシ−1−メチル)エチル−1−フェニル−8−アザビシクロ[3.2.1]オクタン二塩酸塩
テトラヒドロフラン(2mL)中の(1R,2R,5S,6R)−2−(2−シクロプロポキシ−5−(トリフルオロメトキシ)ベンジルアミノ)−6−アセチル−1−フェニル−8−アザビシクロ[3.2.1]オクタン(実施例13;132mg、0.28ミリモル)を、−70℃に冷却し、テトラヒドロフラン中の塩化メチルマグネシウムの溶液(300μL、3M、0.9ミリモル)をゆっくり添加した。添加が完結した後、この溶液を室温に1時間攪拌し、次いで塩化アンモニウム飽和水溶液(10mL)の中に注いだ。酢酸エチル(2×10mL)で抽出し、抽出液を乾燥させた(MgSO)。真空濃縮によってゴムを得、これをシリカクロマトグラフィーによって精製して、遊離塩基を得た。これを酢酸エチル(10mL)中に溶解させ、エーテル性塩化水素(2mL、1M)で処理した。生成した固体を濾過によって取り出し、ジエチルエーテルで洗浄し、乾燥させて、標題化合物を固体(33mg、0.06ミリモル)として得た。
【0237】
【化76】

【実施例16】
【0238】
(1R,2R,5S,6S)−2−(2−シクロプロポキシ−5−(トリフルオロメトキシ)ベンジルアミノ)−6−(1H−テトラゾール−5−イル)−1−フェニル−8−アザビシクロ[3.2.1]オクタン二塩酸塩
説明32の生成物及び2−シクロプロポキシ−5−(トリフルオロメトキシ)ベンズアルデヒドから、実施例5の方法に従って製造した。
【0239】
【化77】

【実施例17】
【0240】
(1R,2R,5S,6R)−2−(2−シクロプロポキシ−5−(トリフルオロメトキシ)ベンジルアミノ)−1−フェニル−6−(1−メチル−1H−テトラゾール−5−イル)−8−アザビシクロ[3.2.1]オクタン二塩酸塩
説明34の生成物及び2−シクロプロポキシ−5−(トリフルオロメトキシ)ベンズアルデヒドから、実施例5の方法に従って製造した。
【0241】
【化78】

【実施例18】
【0242】
(1R,2R,5S,6R)−2−(2−シクロプロポキシ−5−(トリフルオロメトキシ)ベンジルアミノ)−1−フェニル−6−(2−メチル−2H−テトラゾール−5−イル)−8−アザビシクロ[3.2.1]オクタン二塩酸塩
説明35の生成物及び2−シクロプロポキシ−5−(トリフルオロメトキシ)ベンズアルデヒドから、実施例5の方法に従って製造した。
【0243】
【化79】

【実施例19】
【0244】
(1R,2R,3S,5S,6R)−2−(2−シクロプロポキシ−5−(トリフルオロメトキシ)ベンジルアミノ)−3−フルオロ−1−フェニル−6−(ヒドロキシメチル)−8−アザビシクロ[3.2.1]オクタン二塩酸塩
説明39の生成物及び2−シクロプロポキシ−5−(トリフルオロメトキシ)ベンズアルデヒドから、実施例5の方法に従って製造した。
【0245】
【化80】

【実施例20】
【0246】
(1R,2R,5S,6R)−6−(ブロモメチル)−2−(2−シクロプロポキシ−5−(トリフルオロメトキシ)ベンジルアミノ)−1−フェニル−8−アザビシクロ[3.2.1]オクタン
(1R,2R,5S,6R)−2−(2−シクロプロポキシ−5−(トリフルオロメトキシ)ベンジルアミノ)−6−(ヒドロキシメチル)−1−フェニル−8−アザビシクロ[3.2.1]オクタン(実施例19;225mg、0.49ミリモル)をジクロロメタン(5mL)中に溶解させ、トリフェニルホスフィン(392mg、1.5ミリモル)続いて四臭化炭素(497mg、1.5ミリモル)で処理した。次いで、この溶液を室温で16時間攪拌し、その後、水(20mL)の中に注ぎ、ジクロロメタン(2×20mL)で抽出し、抽出液を乾燥させた(MgSO)。約1/4体積にまで濃縮した後、濃縮した溶液を、ジクロロメタン及び酢酸エチルで十分に洗浄した、酸性SCXイオン交換カートリッジに適用した。次いで、このカートリッジを、メタノール性アンモニア(200mL、2M)で溶離し、溶離液を真空濃縮して、標題化合物をゴム(208mg、0.4ミリモル)として得た。
【0247】
【化81】

【実施例21】
【0248】
(1R,2R,5S,6R)−2−(2−シクロプロポキシ−5−(トリフルオロメトキシ)ベンジルアミノ)−6−[(メチルスルホニル)メチル]−1−フェニル−8−アザビシクロ[3.2.1]オクタン二塩酸塩
(1R,2R,5S,6R)−6−(ブロモメチル)−2−(2−シクロプロポキシ−5−(トリフルオロメトキシ)ベンジルアミノ)−1−フェニル−8−アザビシクロ[3.2.1]オクタン(実施例20;200mg、0.38ミリモル)をN,N−ジメチルホルムアミド(5mL)中に溶解させ、この溶液を、メタンスルフィン酸のナトリウム塩(388mg、3.8ミリモル)で処理した。得られた懸濁液を、110℃で1時間加熱し、次いで冷却し、水(50mL)の中に注いだ。この混合物を酢酸エチル(2×20mL)で抽出し、抽出液を乾燥させ(MgSO)、次いで濃縮して、ゴムを得た。これをシリカクロマトグラフィーによって精製して、純粋な遊離塩基を得、これを酢酸エチル(10mL)中に溶解させた。エーテル性塩化水素溶液(2mL、1M)を添加し、生成した固体を濾過によって取り出し、メタノール/ジエチルエーテルから再結晶して、標題化合物を白色粉末(120mg、0.20ミリモル)として得た。
【0249】
【化82】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(I):
【化1】

[式中、Xは、水素又はヒドロキシ基によって場合により置換されたC1−4アルキル基を表し、
Yは、水素、C1−6アルキル又はC3−7シクロアルキルを表し、
Zは、−CR10CH−又は−CHCR10−であり、
Rは、水素、フッ素、ヒドロキシ、C1−6アルキル又はC1−6アルコキシを表し、
は、水素、ヒドロキシ、C1−6アルキル、C2−6アルケニル、C3−7シクロアルキル、C3−7シクロアルキルC1−4アルキル、C1−6アルコキシ、フルオロC1−6アルコキシ、ヒドロキシC1−6アルキル、C1−6アルコキシC1−4アルキル、C1−6アルコキシC1−4アルコキシ、フルオロC1−6アルコキシC1−4アルキル、C2−6アルケニルオキシ、C3−7シクロアルコキシ、C3−7シクロアルキルC1−4アルコキシ、フェノキシ、ベンジルオキシ、シアノ、ハロゲン、NR、SR、SOR、SO、OSO、NRCOR12、COR、CO若しくはCONR(式中、R及びRは、それぞれ独立に、水素、C1−4アルキル又はフルオロC1−4アルキルを表す。)を表し、
は、水素、ハロゲン、C1−6アルキル若しくはC1−6アルコキシを表し、
又はRがRに隣接するとき、これらは、一緒に結合して、窒素、酸素、硫黄、NH若しくはNRから選択された1個若しくは2個の原子を含有する5員若しくは6員の飽和若しくは不飽和環(但し、この環は、ヒドロキシ、C1−4アルキル、C1−3アルコキシC1−3アルキル、フルオロC1−4アルキル、フェニル、=O又は=Sから選択された1個、2個又は3個の基によって場合により置換されており、Rは、C1−4アルキル、ヒドロキシC1−4アルキル、C1−4アルコキシC1−4アルキル、フルオロC1−4アルキル、フェニル又はベンジルである。)を形成することができ、
は、水素、ハロゲン、C1−6アルキル、フルオロC1−6アルキル、C1−6アルコキシ、フルオロC1−6アルコキシ、C3−7シクロアルキル、C3−7シクロアルキルC1−4アルキル、シアノ、SR、SOR、SO、NR、NRCOR12、COR、CO、CONRを表し、又はシアノ、CO若しくはCONRによって置換されたC1−4アルキル(式中、R及びRは、前記定義された通りである。)を表し、
又はRは、窒素、酸素及び硫黄から選択された1個、2個、3個若しくは4個のヘテロ原子を含有する5員若しくは6員の芳香族複素環式基(この基は、C1−6アルキル、C1−6アルコキシ、C3−7シクロアルキル、C3−7シクロアルキルC1−4アルキル、トリフルオロメチル、OCF、NO、CN、SR、SOR、SO、COR、CO、フェニル、−(CHNR、−(CHNRCOR、−(CHCONR又はCHC(O)R(式中、R及びRは、前記定義された通りであり、rはゼロ、1又は2である。)から選択された1個又は2個の基によって場合により置換されている。)を表し、
は、水素、ハロゲン、C1−6アルキル、C1−6アルコキシ、CF、OCF、NO、CN、SR、SOR、SO、CO、CONR、C2−6アルケニル、C2−6アルキニルを表し、又はC1−4アルコキシによって置換されたC1−4アルキル(式中、R及びRは、前記定義された通りである。)を表し、
は、水素、ハロゲン、C1−6アルキル、CFを表し、又はC1−4アルコキシによって置換されたC1−6アルコキシを表し、
は、水素、ヒドロキシ、COR、CO、COCONR、COCO、[CO、CONR、ヒドロキシ、CN、COR、NR、C(NOH)NR、CONHフェニル(C1−4アルキル)、COCO、CONHNR、C(S)NR、CONR1−6アルキルR14、CONR112−6アルケニル、CONR112−6アルキニル、COCONR、CONRC(NR)NR、CONRヘテロアリール並びに(C1−6アルキル、C1−6アルコキシ、ハロゲン及びトリフルオロメチルから選択された1個、2個又は3個の置換基によって場合により置換された)フェニル]から選択された基によって場合により置換されたC1−6アルキルを表し、
又はRは、式−CHC≡CCHNR(式中、R及びRは、下記に定義される通りである。)の基を表し、
又はRは、オキソによって場合により置換された、=O若しくは=Sによって場合により置換された1個、2個若しくは3個の窒素原子を含有する5員若しくは6員の複素環式環によって置換された、式−W−NRの基によって場合により置換されたC1−6アルキルを表し、
Wは、C1−6アルキレン又はC3−6シクロアルキルであり、
は、水素又はC1−4アルキル、C3−7シクロアルキル、C3−7シクロアルキルC1−4アルキルを表し、又はC1−4アルコキシ若しくはヒドロキシルによって置換されたC2−4アルキルを表し、
は、水素又はC1−4アルキル、C1−4アルコキシ、C3−7シクロアルキル、C3−7シクロアルキルC1−4アルキルを表し、又はC1−4アルコキシ、ヒドロキシル、CO、NR、アリール、アリールオキシ、ヘテロアリール若しくはN、O及びSから選択された1個若しくは2個のヘテロ原子を含有する4員、5員若しくは6員のヘテロ脂肪族環から選択された基によって置換されたC2−4アルキルを表し、
又はR、R及びそれらが結合している窒素原子は、ヒドロキシ、フェニル、ベンジル又は(C1−4アルコキシ若しくはヒドロキシル基によって場合により置換された)C1−4アルコキシから選択された1個若しくは2個の基によって場合により置換され、二重結合を場合により含有する、4個から7個の環原子のヘテロ脂肪族環を形成し(この環は、酸素若しくは硫黄環原子、基S(O)若しくはS(O)又はNH若しくはNR単位(Rは前記定義された通りである。)の一部である第二窒素原子を場合により含有してよい。)、
又はR、R及びそれらが結合している窒素原子は、6個から12個の環原子の非芳香族アザ二環式環系を形成し、
又はW、R及びそれらが結合している窒素原子は、酸素環原子を場合により含有してよい4個から7個の環原子のヘテロ脂肪族環を形成し、
は、水素、ヒドロキシ、オキソ、C1−6アルキル、C2−6アルケニル、C2−6アルキニル、C3−7シクロアルキル、C3−7シクロアルキルC1−4アルキル、フルオロC1−6アルキル、C1−6アルコキシ、フルオロC1−6アルコキシ、ヒドロキシC1−6アルキル、C1−6アルコキシC1−4アルキル、C1−6アルコキシC1−4アルコキシ、フルオロC1−6アルコキシC1−4アルキル、C2−6アルケニルオキシ、C2−6アルキニルオキシ、C3−7シクロアルコキシ、C3−7シクロアルキルC1−4アルコキシ、アリール、アリール(CH)、アリールオキシ、アリール(CH)オキシ、シアノ、ハロゲン、NR、CHNR、SR12、SOR12、SO12、OSO12、NRCOR12、CH(OH)R12、COR12、CO12、CONR、CHOR13、ヘテロアリール又はヘテロアリールC1−4アルキル(式中、Rは、前記定義された通りである。)を表し、
10は、水素、ハロゲン又はヒドロキシを表し、
11は、水素又はC1−6アルキルを表し、
12は、水素、C1−6アルキル、C1−6アルコキシ、フルオロC1−6アルキルを表し、又はC1−6アルキル、C1−6アルコキシ、ハロゲン若しくはトリフルオロメチルから選択された1個、2個若しくは3個の置換基によって場合により置換されたフェニルを表し、
13は、ヒドロキシ、COR、CO、CONR及びヘテロアリール(式中、Rは、前記定義された通りである。)から選択された基によって置換されたC1−4アルキルを表し、
14は、OR、CONR又はヘテロアリールを表す。]
の化合物[但し、化合物(2−メトキシ−5−トリフルオロメトキシベンジル)−(1−フェニル−8−アザビシクロ[3.2.1]オクト−2−イル)アミンを除く。]又はその医薬適合性の塩若しくはN−オキシド。
【請求項2】
Rが水素又はフッ素である、請求項1に記載の化合物。
【請求項3】
が、C1−6アルコキシ、フルオロC1−6アルコキシ若しくはC3−7シクロアルコキシ基であり又はRが基Rと一緒に、1個の酸素原子を含有する5員飽和環を形成し、この環はメチル基によって場合により置換されている、請求項1又は請求項2に記載の化合物。
【請求項4】
が、水素、フッ素又は塩素原子である、請求項1から3の何れか1項に記載の化合物。
【請求項5】
が、水素若しくはハロゲン原子又はフルオロC1−6アルコキシ基又は請求項1で定義された通りの5員芳香族複素環式基である、請求項1から4の何れか1項に記載の化合物。
【請求項6】
が水素又はフッ素である、請求項1から5の何れか1項に記載の化合物。
【請求項7】
が水素原子である、請求項1から6の何れか1項に記載の化合物。
【請求項8】
が水素若しくはC1−6アルキルであり、又は請求項1で定義された通りの2個又は3個の窒素原子を含有する5員複素環式環によって置換されたC1−6アルキル基である、請求項1から7の何れか1項に記載の化合物。
【請求項9】
Zが−CR10CH−である、請求項1から8の何れか1項に記載の化合物。
【請求項10】
が、水素、ヒドロキシ、オキソ、C1−6アルコキシ、C1−6アルコキシC1−4アルキル、ヒドロキシC1−4アルキル、シアノ、NR、CHNR、SO、CH(OH)R12、COR12、CO12、CONR、フェニル、ヘテロアリール、ヘテロアリールC1−4アルキル又はCHOR13(式中、該フェニルは、C1−4アルキル、C1−4アルコキシ、ハロゲン又はトリフルオロメチルから選択された1個又は2個の置換基によって場合により置換されている。)である、請求項1から9の何れか1項に記載の化合物。
【請求項11】
10が、水素、フッ素又はヒドロキシである、請求項1から10の何れか1項に記載の化合物。
【請求項12】
Xが、水素、メチル又はヒドロキシメチルである、請求項1から11の何れか1項に記載の化合物。
【請求項13】
Yが、水素又はC1−4アルキルである、請求項1から12の何れか1項に記載の化合物。
【請求項14】
式(Ia):
【化2】

(式中、R、R、R、R、X及びYは、請求項1で定義された通りであり、Zは−CR10CH−である。)
の化合物[但し、化合物(2−メトキシ−5−トリフルオロメトキシベンジル)−(1−フェニル−8−アザビシクロ[3.2.1]オクト−2−イル)アミンを除く。]又はその医薬適合性の塩。
【請求項15】
(1R,2R,5S)−2−(3,5−ビス(トリフルオロメチル)ベンジルアミノ)−1−フェニル−8−アザビシクロ[3.2.1]オクタン;
(1R,2R,5S)−2−(2−メトキシ−5−(トリフルオロメトキシ)ベンジルアミノ)−1−フェニル−8−アザビシクロ[3.2.1]オクタン;
(1R,2R,5S)−2−(2−シクロプロピルオキシ−5−[5−(トリフルオロメチル)テトラゾール−1−イル]ベンジルアミノ)−1−フェニル−8−アザビシクロ[3.2.1]オクタン;
(1R,2R,5S)−2−(2−メトキシ−5−(トリフルオロメトキシ)ベンジルアミノ)−8−ベンジル−1−フェニル−8−アザビシクロ[3.2.1]オクタン;
(1R,2R,5S)−2−(2−シクロプロポキシ−5−(トリフルオロメトキシ)ベンジルアミノ)−1−フェニル−8−アザビシクロ[3.2.1]オクタン;
(1R,2R,5S,6R)−2−(2−メトキシ−5−(トリフルオロメトキシ)ベンジルアミノ)−1−フェニル−6−フェニルスルホニル−8−アザビシクロ[3.2.1]オクタン;
(1R,2R,5S,9S)−及び(1R,2R,5S,9R)−2−[1−(2−メトキシ−5−(トリフルオロメトキシ)フェニル)エチルアミノ]−1−フェニル−8−アザビシクロ[3.2.1]オクタン;
(1R,2R,5S,6R)−2−(2−シクロプロポキシ−5−(トリフルオロメトキシ)ベンジルアミノ)−6−(ヒドロキシメチル)−1−フェニル−8−アザビシクロ[3.2.1]オクタン;
(1R,2R,5S)−2−(2−クロロ−5−(トリフルオロメトキシ)ベンジルアミノ)−1−フェニル−8−アザビシクロ[3.2.1]オクタン;
(1R,2R,5S,6R)−2−(2−シクロプロポキシ−5−(トリフルオロメトキシ)ベンジルアミノ)−6−[1−(3−ヒドロキシ)プロピルオキシメチル]−1−フェニル−8−アザビシクロ[3.2.1]オクタン;
(1R,2R,5S,6R)−2−(2−シクロプロポキシ−5−(トリフルオロメトキシ)ベンジルアミノ)−6−(tert−ブトキシカルボニル)−1−フェニル−8−アザビシクロ[3.2.1]オクタン;
(1R,2R,5S,6R)−2−(2−シクロプロポキシ−5−(トリフルオロメトキシ)ベンジルアミノ)−6−(N−メトキシ−N−メチルカルボキサミド)−1−フェニル−8−アザビシクロ[3.2.1]オクタン;
(1R,2R,5S,6R)−2−(2−シクロプロポキシ−5−(トリフルオロメトキシ)ベンジルアミノ)−6−アセチル−1−フェニル−8−アザビシクロ[3.2.1]オクタン;
(1R,2R,5S,6R,R)−及び(1R,2R,5S,6R,S)−2−(2−シクロプロポキシ−5−(トリフルオロメトキシ)ベンジルアミノ)−6−(1−ヒドロキシ)エチル−1−フェニル−8−アザビシクロ[3.2.1]オクタン;
(1R,2R,5S,6R)−2−(2−シクロプロポキシ−5−(トリフルオロメトキシ)ベンジルアミノ)−6−(1−ヒドロキシ−1−メチル)エチル−1−フェニル−8−アザビシクロ[3.2.1]オクタン;
(1R,2R,5S,6S)−2−(2−シクロプロポキシ−5−(トリフルオロメトキシ)ベンジルアミノ)−6−(1H−テトラゾール−5−イル)−1−フェニル−8−アザビシクロ[3.2.1]オクタン;
(1R,2R,5S,6S)−2−(2−シクロプロポキシ−5−(トリフルオロメトキシ)ベンジルアミノ)−1−フェニル−6−(1−メチル−1H−テトラゾール−5−イル)−8−アザビシクロ[3.2.1]オクタン;
(1R,2R,5S,6S)−2−(2−シクロプロポキシ−5−(トリフルオロメトキシ)ベンジルアミノ)−1−フェニル−6−(2−メチル−2H−テトラゾール−5−イル)−8−アザビシクロ[3.2.1]オクタン;
(1R,2R,3S,5S,6R)−2−(2−シクロプロポキシ−5−(トリフルオロメトキシ)ベンジルアミノ)−3−フルオロ−1−フェニル−6−(ヒドロキシメチル)−8−アザビシクロ[3.2.1]オクタン;
(1R,2R,5S,6R)−6−(ブロモメチル)−2−(2−シクロプロポキシ−5−(トリフルオロメトキシ)ベンジルアミノ)−1−フェニル−8−アザビシクロ[3.2.1]オクタン;
(1R,2R,5S,6R)−2−(2−シクロプロポキシ−5−(トリフルオロメトキシ)ベンジルアミノ)−6−[(メチルスルホニル)メチル]−1−フェニル−8−アザビシクロ[3.2.1]オクタン;
又はその医薬適合性の塩から選択された、請求項1に記載の化合物。
【請求項16】
1位、2位及び5位の立体化学が、式(Ib):
【化3】

に示される通りである、請求項1から13の何れか1項に記載の化合物。
【請求項17】
治療で使用するための請求項1から16の何れか1項に記載の化合物。
【請求項18】
少なくとも1種の医薬適合性の担体又は賦形剤と一緒に、請求項1から16の何れか1項に記載の化合物を含有する医薬組成物。
【請求項19】
過剰のタキキニンに付随する生理学的異常症の治療又は予防方法であって、これが必要な患者に、タキキニンを減少させる量の請求項1に記載の化合物を投薬することを含む方法。
【請求項20】
疼痛若しくは炎症、偏頭痛、嘔吐、疱疹後神経痛、鬱病又は不安の治療又は予防のための、請求項19に記載の方法。
【請求項21】
過剰のタキキニンに付随する生理学的異常症の治療又は予防のための薬物の製造のための、請求項1から16の何れか1項に記載の化合物の使用。
【請求項22】
疼痛若しくは炎症、偏頭痛、嘔吐、疱疹後神経痛、鬱病又は不安の治療又は予防のための薬物の製造のための、請求項1から16の何れか1項に記載の化合物の使用。

【公表番号】特表2006−503858(P2006−503858A)
【公表日】平成18年2月2日(2006.2.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−540909(P2004−540909)
【出願日】平成14年10月4日(2002.10.4)
【国際出願番号】PCT/GB2002/004515
【国際公開番号】WO2004/031190
【国際公開日】平成16年4月15日(2004.4.15)
【出願人】(390035482)メルク シャープ エンド ドーム リミテッド (81)
【Fターム(参考)】