説明

NK−2/NK−3受容体リガンドとしての置換キノリン−4−カルボン酸ヒドラジド

本発明は、精神分裂病、COPD、喘息または過敏性腸症候群を治療するためのNK−2/NK−3リガンドとしての式(I):


[式中、Rはアリールまたはヘテロアリール環であり;Rはヒドロキシ、C1−6アルコキシ、C1−6アルキル、アミノ、NR’R”またはC1−6アルキルNR’R”(ここで、R’及びR”は独立して水素及びC1−4アルキルから選択されるかR’及びR”はこれらが結合している窒素原子と一緒になって、場合により別の窒素原子を含有し、場合により上記したNR’R”で置換された飽和窒素含有3〜7員ヘテロ環を形成する)、またはRは上記したNR’R”で置換されたC1−6アルコキシであり;Rは水素またはC1−6アルキルであり;Rは水素、C1−8アルキル、C2−8アルケニル、C2−8アルキニル、C3−8シクロアルキル、アリールまたはアリールC1−6アルキルであり;Rは水素、C1−8アルキル、C2−8アルケニル、C2−8アルキニル、C3−8シクロアルキル、アリール、アリールC1−6アルキルまたはC1−6アルコキシカルボニルであり;或いはR及びRはこれらが結合している窒素原子と一緒になってC3−10単環式または二環式飽和環を形成し;X及びYは独立して水素、ヒドロキシ、ニトロ、アミノ、シアノ、CF、ハロゲン及びC1−4アルキルから選択される]
を有する化合物またはその医薬的に許容され得る塩を開示する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、本明細書中に定義した置換キノリン−4−カルボン酸ヒドラジド、前記化合物を含む医薬組成物及びニューロキニン−2及び/またはニューロキニン−3(NK−3)受容体により媒介される疾患の治療における前記化合物の使用に関する。よって、前記化合物は前記疾患を抑制及び治療するための治療方法において使用され得る。
【背景技術】
【0002】
NK−3受容体アンタゴニストに関する背景技術は、Giardina及びRaveglia,Exp.Opin.Ther.Patents,7(4):307−323(1997)及びGiardinaら,Exp.Opin.Ther.Patents,10(6):939−960(2000)のような文献中に見つけることができる。これらの文献にはNK−3アンタゴニストで治療可能な治療法の前臨床確認に関する関連情報も含まれている。
【0003】
NK−3アンタゴニストとして当業界で製造した化合物の代表例は国際特許出願公開第97/19926号パンフレット(SmithKline Beecham S.p.a.)及び米国特許第5741910号明細書(Sanofi)中に記載されている。
【発明の開示】
【0004】
従って、本発明は、式(I):
【0005】
【化2】

[式中、
は場合によりヒドロキシ、ハロゲン、ニトロ、シアノ、アミノ、CF、C1−4アルキル、C2−4アルケニル及びC2−4アルキニルから独立して選択される1〜3個の基で置換されているアリール環(ここで、アリールはフェニルまたはナフチルである)またはヘテロアリール環(ここで、ヘテロアリールは1〜4個の窒素原子及び/または2個以下の窒素原子しか存在しない条件で酸素または硫黄原子を含有する5員不飽和環または1〜3個の窒素原子を含有する6員不飽和環である)であり;
はヒドロキシ、C1−6アルコキシ、C1−6アルキル、アミノ、NR’R”またはC1−6アルキル−NR’R”(ここで、R’及びR”は独立して水素及びC1−4アルキルから選択されるかR’及びR”はこれらが結合している窒素原子と一緒になって、場合により別の窒素原子を含有し、場合により上記したNR’R”で置換されている飽和窒素含有3〜7員ヘテロ環を形成する)、または上記したNR’R”で置換されたC1−6アルコキシであり;
は水素またはC1−6アルキルであり;
は水素、C1−8アルキル、C2−8アルケニル、C2−8アルキニル、C3−8シクロアルキル、アリールまたはアリールC1−6アルキルであり;
は水素、C1−8アルキル、C2−8アルケニル、C2−8アルキニル、C3−8シクロアルキル、アリール、アリールC1−6アルキルまたはC1−6アルコキシカルボニルであり;或いは
及びRはこれらが結合している窒素原子と一緒になって、C3−10単環式または二環式飽和環を形成し;
X及びYは独立して水素、ヒドロキシ、ニトロ、アミノ、シアノ、CF、ハロゲン及びC1−4アルキルから選択される]
を有する化合物またはその医薬的に許容され得る塩の使用を提供する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0006】
好ましくは、Rは未置換であるかまたはヒドロキシ、ハロゲン、ニトロ、シアノ、アミノ、CFまたはCHでモノ置換されている。Rは通常アリール基、例えばフェニルである。
【0007】
好ましくは、Rはヒドロキシ、C1−4アルコキシ、C1−4アルキルまたはNR’R”で置換されたC1−4アルキルである。特に、Rはメトキシ、メチルまたは4−N’−(1−メチルエチル)ピペラジニル−1−N−メチレンである。
【0008】
好ましくは、R’及びR”は独立して水素、メチル、エチル及びプロピルから選択されるかまたはR’及びR”はこれらが結合している窒素原子と一緒になって、場合によりC1−4アルキルで置換されているピペリジンまたはピペラジン環を形成する。好ましくは、R’及びR”はこれらが結合している窒素原子と一緒になって、場合によりC1−4アルキルで置換されているピペリジンまたはピペラジン環を形成する。最も好ましくは、R’及びR”はこれらが結合している窒素原子と一緒になって、場合により置換されているピペラジン環を形成する。好ましくは、任意の置換基はプロピル、特にイソプロピルである。
【0009】
好ましくは、RはC1−8アルキル、C3−8シクロアルキル、アリールまたはアリールC1−6アルキルである。より好ましくは、RはC1−6アルキル、C4−7シクロアルキルまたはフェニルC1−4アルキルである。最も好ましくは、Rはフェニル、1−フェニルプロピル、イソプロピル、シクロヘキシル、シクロペンチルまたはベンジルである。
【0010】
好ましくは、Rは水素、C1−6アルキル、アリールまたはC1−4アルコキシカルボニルである。より好ましくは、Rは水素、C1−4アルキル、フェニルまたはC1−2アルコキシカルボニルである。最も好ましくは、Rは水素、メトキシカルボニル、エチル、メチルまたはフェニルである。
【0011】
及びRがこれらが結合している窒素原子と一緒になって単環式または二環式環を形成するとき、アゼパニルやヘキサヒドロシクロペンタ[c]ピロル−2(1H)−イルのように5〜8個の炭素原子を含むことが好ましい。
【0012】
好ましくは、X及びYは水素またはメチルであり、最も好ましくは水素である。
【0013】
NR’R”が3〜7員ヘテロ環及びその好ましい定義を形成する化合物はNK−2阻害剤として特に有用である。
【0014】
光学異性体の独立合成及びそのクロマトグラフィー分離は当業界で公知のように実施され得る。この絶対立体化学は所要により公知の絶対立体配置を有する不斉中心を含む試薬を用いて誘導体化される結晶性生成物または結晶性中間体のX線結晶学により決定され得る。
【0015】
本明細書中、用語「C1−8アルキル」は1〜8個の炭素原子を有する直鎖もしくは分枝鎖アルキル基を意味し、この中にはすべてのオクチル、ヘプチル、ヘキシル及びペンチルアルキル異性体並びにn−,iso−,sec−及びt−ブチル、n−及びイソプロピル、エチル及びメチルが含まれる。「C1−6アルキル」、「C1−4アルキル」及び「C1−2アルキル」も「C1−6アルコキシ」や「C1−4アルコキシ」も同様に理解される。
【0016】
用語「C2−8アルケニル」は2〜8個の炭素原子を有する直鎖もしくは分枝鎖アルケニル基を意味し、この中にはすべてのヘキセニル及びペンテニル異性体並びに1−ブテニル、2−ブテニル、3−ブテニル、イソブテニル、1−プロペニル、2−プロペニル及びエテニル(すなわち、ビニル)が含まれる。
【0017】
用語「C2−8アルキニル」は2〜8個の炭素原子を有する直鎖もしくは分枝鎖アルキニル基を意味し、この中にはすべてのオクチニル、ヘプチニル、ヘキシニル及びペンチニル異性体並びに1−ブチニル、2−ブチニル、3−ブチニル、1−プロピニル、2−プロピニル及びエチニル(すなわち、アセチレニル)が含まれる。
【0018】
用語「C3−8シクロアルキル」は全部で3〜8個の炭素原子を含む環状アルカン環、すなわちシクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチルまたはシクロオクチルを指す。用語「C4−7シクロアルキル」はシクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル及びシクロヘプチルから選択される環状環を指す。
【0019】
用語「ハロゲン」はフッ素、塩素、臭素及びヨウ素を指す。
【0020】
本明細書中、用語「ヘテロアリール」はフラニル、イミダゾリル、イソチアゾリル、イソオキサゾリル、オキサジアゾリル、オキサゾリル、ピラジニル、ピラゾリル、ピリダジニル、ピリダジニル、ピリジル、ピリミジル、ピロリル、テトラゾリル、チアジアゾリル、チアゾリル、チエニル、トリアゾリル及びピロリジニルが含まれると解される。
【0021】
本明細書中、用語「チオフェニル」及び「チエニル」は同義であり、互換可能に使用される。また、「ピリジニル」及び「ピリジル」も同一の意味を有する。
【0022】
本発明化合物の代表例には、
3−(4−(1−メチルエチル)ピペラジン−1−イルメチル)−2−フェニル−キノリン−4−カルボン酸アゼパン−1−イルアミド、
3−(4−メチルエチル)ピペラジン−1−イルメチル)−2−フェニル−キノリン−4−カルボン酸N’−(1−フェニルプロピル)−ヒドラジド、
メチル2−{[3−メチルオキシ−2−フェニル−4−キノリニル]カルボニル}−1−フェニルヒドラジンカルボキシレート、
N’−エチル−3−メチルオキシ−N’,2−ジフェニル−4−キノリンカルボヒドラジド、
3−メチルオキシ−2−フェニル−N’−(1−フェニルプロピル)−4−キノリンカルボヒドラジド、
及びその医薬的に許容され得る塩が含まれる。
【0023】
興味深い更なる化合物には、
3−メチル−N’,N’,2−トリフェニル−4−キノリンカルボヒドラジド、
N’,3−ジメチル−N’,2−ジフェニル−4−キノリンカルボヒドラジド、
3−メチル−N’,2−ジフェニル−N’−フェニルメチル−4−キノリンカルボヒドラジド、
N−ヘキサヒドロシクロペンタ[c]ピロル−2(1H)−イル−3−メチル−2−フェニル−4−キノリンカルボキサミド、
N’−シクロペンチル−3−メチル−2−フェニル−N’−プロピル−4−キノリンカルボヒドラジド、
N’−シクロヘキシル−3−{[4−(1−メチルエチル)−1−ピペラジニル]メチル}−2−フェニル−4−キノリンカルボヒドラシド、
N−ヘキサヒドロ−1H−アゼピン−1−イル−3−メチル−2−フェニル−4−キノリンカルボキサミド
及びその医薬的に許容され得る塩が含まれる。
【0024】
これらの化合物及び直前に記載した化合物はNK−2及び/またはNK−3アンタゴニストとして、特にNK−3アンタゴニストとして特に有用である。
【0025】
化合物の「投与」及び「投与する」は、本発明化合物を治療を要する個体に対して与えることを意味すると理解すべきである。
【0026】
本明細書中、用語「被験者」(または、本明細書中では「患者」と呼ぶ)は治療、観察または実験の対象者である動物、好ましくは哺乳動物、最も好ましくはヒトを指す。
【0027】
本発明化合物は医薬的に許容され得る塩の形態で投与され得る。用語「医薬的に許容され得る塩」には、溶解性または加水分解特性を調節するための剤形として使用され得、または徐放性またはプロドラッグ処方物の形態で使用され得るすべての許容され得る塩、例えば酢酸塩、ラクトビオン酸塩、ベンゼンスルホン酸塩、ラウリン酸塩、安息香酸塩、リンゴ酸塩、重炭酸塩、マレイン酸塩、重硫酸塩、マンデル酸塩、重酒石酸塩、メシル酸塩、ホウ酸塩、メチル臭化物、臭化物、メチル硝酸塩、カルシウムエデト酸塩、メチル硫酸塩、カムシラート、粘液酸塩、炭酸塩、ナプシラート、塩化物、硝酸塩、クラブラン酸塩、N−メチルグルカミン、クエン酸塩、アンモニウム塩、二塩酸塩、オレイン酸塩、エデト酸塩、シュウ酸塩、エジシレート、パモ酸塩(エンボネート)、エストラート、パルミチン酸塩、エシレート、パントテン酸塩、フマル酸塩、リン酸塩/二リン酸塩、グルセプタート、ポリガラクツロン酸塩、グルコン酸塩、サリチル酸塩、グルタミン酸塩、ステアリン酸塩、グリコリルアラサニル酸塩、硫酸塩、ヘキシルレゾルシネート、塩基性酢酸塩、ヒドラバミン、コハク酸塩、臭化水素酸塩、タンニン酸塩、塩酸塩、酒石酸塩、ヒドロキシナフトエ酸塩、テオクレート、ヨウ化物、トシル酸塩、イソチオン酸塩、トリエチオダイド、乳酸塩、パノエート、吉草酸塩等が含まれると解される。本発明化合物の特殊官能性に応じて、本発明化合物の医薬的に許容され得る塩にはカチオン(例えば、ナトリウム、カリウム、アルミニウム、カルシウム、リチウム、マグネシウム、亜鉛)及び塩基(例えば、アンモニア、エチレンジアミン、N−メチルグルタミン、リシン、アルギニン、オルニチン、コリン、N,N’−ジベンジルエチレンジアミン、クロロプロカイン、ジエタノールアミン、プロカイン、N−ベンジルフェネチルアミン、ジエチルアミン、ピペラジン、トリス(ヒドロキシメチル)アミノメタン及び水酸化テトラメチルアンモニウム)から形成される塩が含まれる。これらの塩は一般的な方法、例えば遊離酸を適当な有機もしくは無機塩基と反応させることにより製造され得る。アミノのような塩基性基が存在するならば、酸性塩、すなわち塩酸塩、臭化水素酸塩、酢酸塩、パモ酸塩等が剤形として使用され得る。
【0028】
また、アルコール基が存在する場合には、医薬的に許容され得るエステル(例えば、酢酸エステル、マレイン酸エステル、ピバロイルオキシメチル等)及び徐放性またはプロドラッグ処方物として使用すべく溶解度または加水分解特性を調節するために当業界で公知のエステルを使用することができる。
【0029】
本発明化合物は経口により、非経口(例えば、筋肉内、腹腔内、静脈内、ICV、槽内注射または注入、皮下注射またはインプラント)により、吸入スプレー、鼻、膣、直腸、舌下または局所投与ルートにより投与され得、単独でまたは組み合わせて各投与ルートに適した一般的な非毒性で医薬的に許容され得る担体、助剤及びビヒクルを含む適当な1回量投与処方物中に処方され得る。温血動物(例えば、マウス、ラット、ウマ、ウシ、ヒツジ、イヌ、ネコ、サル等)の治療に加えて、本発明化合物をヒトに使用するのに効果的である。
【0030】
本発明化合物を投与するための医薬組成物を1回量投与剤形で提供することが便利であり、製薬業界で公知の方法により製造され得る。いずれの方法も、活性成分を1つ以上の補助成分からなる担体と組み合わせるステップを含む。通常、医薬組成物は、活性成分を液体担体及び/または微細固体担体と均一且つ均密に混合し、その後所要により生成物を所望の処方物に成形することにより製造される。医薬組成物中には、活性化合物は病気のプロセスまたは状態に対して望ましい効果を生じさせるのに十分な量含まれる。本明細書中、用語「組成物」には、特定成分を特定量含む製品及び特定量の特定成分の組合せから直接または間接的に生ずる製品が包含されると解される。
【0031】
活性化合物を含む医薬組成物は経口投与に適した形態を取り得、例えば錠剤、トローチ剤、ドロップ剤、水性または油性懸濁液、分散性粉末または顆粒、エマルション、硬または軟カプセル剤、シロップ剤またはエリキシル剤として提供され得る。経口用に意図された組成物は医薬組成物の製造のために当業界で公知の方法に従って製造され得、前記組成物は医薬的に上品で口に合う製剤を提供するために甘味料、着香料、着色料及び保存料からなる群から選択される1つ以上の物質を含み得る。錠剤は、活性成分を錠剤を製造するのに適した非毒性で医薬的に許容され得る賦形剤と混合して含む。前記賦形剤は、例えば不活性希釈剤(例えば、炭酸カルシウム、炭酸ナトリウム、ラクトース、リン酸カルシウムまたはリン酸ナトリウム)、顆粒化及び崩壊剤(例えば、コーンスターチまたはアルギン酸)、結合剤(例えば、スターチ、ゼラチンまたはアカシア)及び滑沢剤(例えば、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸またはタルク)であり得る。錠剤は被覆されていなくても、胃腸管での崩壊及び吸収を遅らせて長時間にわたり持続作用を発揮するように公知技術によりコーティングを施してもよい。例えば、遅放性物質(例えば、グリセリルモノステアレートまたはグリセリルジステアレート)が使用され得る。前記錠剤は、制御放出用浸透性治療錠剤を形成するために米国特許第4,256,108号明細書、同第4,166,452号明細書及び同第4,265,874号明細書に記載されている技術によって被覆してもよい。
【0032】
経口用組成物は、活性成分が不活性固体希釈剤(例えば、炭酸カルシウム、リン酸カルシウムまたはカオリン)と混合されている硬ゼラチンカプセル剤、または活性成分が水または油性媒体(例えば、落花生油、流動パラフィンまたはオリーブ油)と混合されている軟ゼラチンカプセル剤としても提供され得る。
【0033】
水性懸濁液は、活性成分を水性懸濁液を製造するのに適した賦形剤と混合して含む。前記賦形剤は懸濁剤、例えばナトリウムカルボキシメチルセルロース、メチルセルロース、ヒドロキシ−プロピルメチルセルロース、アルギン酸ナトリウム、ポリビニルピロリドン、トラガカントガム及びアカシアガムである。分散/湿潤剤は天然に存在するホスファチド(例えば、レシチン)、アルキレンオキシド−脂肪酸の縮合生成物(例えば、ポリオキシエチレンステアレート)、エチレンオキシド−長鎖脂肪アルコールの縮合生成物(例えば、ヘプタデカエチレンオキシセタノール)、エチレンオキシド−脂肪酸とヘキシトールから誘導される部分エステルの縮合生成物(例えば、ポリオキシエチレンソルビトールモノオレエート)、エチレンオキシド−脂肪酸とヘキシトール無水物から誘導される部分エステルの縮合生成物(例えば、ポリエチレンソルビタンモノオレエート)であり得る。前記水性懸濁液は1つ以上の保存料(例えば、p−ヒドロキシ安息香酸エチルまたはn−プロピル)、1つ以上の着色料、1つ以上の着香料及び1つ以上の甘味料(例えば、スクロースまたはサッカリン)をも含み得る。
【0034】
油性懸濁液は、活性成分を植物油(例えば、落花生油、オリーブ油、ゴマ油またはヤシ油)または鉱油(例えば、流動パラフィン)中に懸濁することにより処方され得る。前記油性懸濁液は増粘剤(例えば、蜜ろう、硬質パラフィンまたはセチルアルコール)を含み得る。口にあう経口調製物を提供すべく、上記した甘味料及び着香料を添加してもよい。前記組成物は酸化防止剤(例えば、アスコルビン酸)を添加することにより保存され得る。
【0035】
水を添加することにより、水性懸濁液を調製するのに適した分散性粉末及び顆粒は、活性成分を分散/湿潤剤、懸濁剤及び1つ以上の保存料と混合したものとなる。好適な分散/湿潤剤及び懸濁剤は上に例示されている。追加の賦形剤、例えば甘味料、着香料及び着色料を存在させてもよい。
【0036】
本発明の医薬組成物は、水中油型エマルションの形態もとり得る。油性相は植物油(例えば、オリーブ油または落花生油)または鉱油(例えば、流動パラフィン)またはこれらの混合物であり得る。好適な乳化剤は天然に存在するガム(例えば、アカシアガムまたはトラガカントガム)、天然に存在するホスファチド(例えば、大豆レシチン)、脂肪酸と無水ヘキシトールから誘導されるエステルまたは部分エステル(例えば、ソルビタンモノオレエート)及び前記部分エステルとエチレンオキシドの縮合物(例えば、ポリオキシエチレンソルビタンモリオレエート)であり得る。前記エマルションは甘味料及び着香料を含み得る。
【0037】
シロップ剤及びエリキシル剤は甘味料(例えば、グリセロール、プロピレングリコール、ソルビトールまたはスクロース)を用いて処方され得る。前記組成物は粘滑剤、保存料、着香料及び着色料をも含み得る。
【0038】
医薬組成物は滅菌注射用水性または油性懸濁液の形態をとり得る。この懸濁液は上記した適当な分散/湿潤剤及び懸濁剤を用いて公知技術に従って処方され得る。滅菌注射剤は、非毒性の非経口的に許容され得る希釈剤または溶媒中の滅菌注射用溶液または懸濁液(例えば、1,3−ブタンジオール中の溶液)でもあり得る。使用可能な許容され得るビヒクル及び溶媒の中には、水、リンガー溶液及び等張性塩化ナトリウム溶液が含まれる。更に、滅菌脂肪油が通常溶媒または懸濁媒体として使用される。この目的で、合成モノ−またはジグリセリドを含めた無刺激性脂肪油が使用され得る。加えて、脂肪酸(例えば、オレイン酸)が注射剤の製造に使用される。
【0039】
本発明化合物は、薬物の直腸投与用座剤の形態でも投与され得る。前記組成物は、薬物を常温で固体であるが直腸温で液体であり、よって直腸中で溶融して薬物を遊離する適当な非刺激性賦形剤と混合することにより調製され得る。前記賦形剤はカカオ脂及びポリエチレングリコールである。
【0040】
局所用に、本発明化合物を含有するクリーム剤、軟膏剤、ジェリー剤、液剤または懸濁液等が使用される。本明細書では、局所適用にはうがい薬及び含そう剤が含まれるであろう。
【0041】
本発明の医薬組成物及び方法は、更に上記した病的状態の治療に通常適用される本明細書中に記載の他の治療上活性な化合物をも含み得る。
【0042】
ケモカイン受容体調節を必要とする状態の治療または予防において、適当な1日用量レベルは通常患者の体重1kgあたり約0.01〜500mgであり、これを1回または複数回に分けて投与し得る。好ましい1日用量レベルは約0.1〜約250mg/kg、より好ましくは約0.5〜約100mg/kgである。適当な1日用量レベルは約0.01〜250mg/kg、約0.05〜100mg/kgまたは約0.1〜50mg/kgであり得る。この範囲で、1日用量は0.05〜0.5、0.5〜5または5〜50mg/kgであり得る。経口投与のために、組成物を1.0〜1000mgの活性成分、特に治療対象の患者に対する用量を症状にてらして調節するために1.0、5.0、10.0、15.0、20.0、25.0、50.0、75.0、100.0、150.0、200.0、250.0、300.0、400.0、500.0、600.0、750.0、800.0、900.0、1000.0mgの活性成分を含有する錠剤の形態で提供することが好ましい。化合物は1日1〜4回、好ましくは1日1〜2回の投与方式で投与され得る。
【0043】
しかしながら、特定患者に対する特定用量レベル及び投与頻度は変更可能であり、使用する特定化合物の活性、前記化合物の代謝安定性及び作用時間、年齢、体重、全身健康状態、性別、食事、投与モード及び投与時間、排泄率、併用薬物、特定状態の重篤度及び治療を受ける宿主を含めた各種要因に依存することを理解されたい。
【0044】
本発明は、式Iを有する化合物またはその医薬的に許容され得る塩及び医薬的に許容され得る賦形剤を含む医薬組成物をも提供する。
【0045】
よって、ヒトまたは動物の身体の治療方法において使用するための式Iを有する化合物またはその医薬的に許容され得る塩が提供される。
【0046】
同様に、ニューロキニン−2及び/またはニューロキニン−3媒介疾患、例えば精神分裂病、COPD、喘息または過敏性腸症候群の治療用薬剤を製造するための式Iを有する化合物の使用をも提供する。
【0047】
また、ニューロキニン−2及び/またはニューロキニン−3媒介疾患、例えば精神分裂病、COPD、喘息または過敏性腸症候群を患っている患者の治療方法をも開示し、その方法は前記患者に対して治療有効量の式Iを有する化合物またはその医薬的に許容され得る塩を投与することを含む。
【0048】
本発明で使用するための化合物は以下のテストにおいて通常活性である。前記化合物は1μM未満、好ましくは100nM未満のIC50を有する。
【0049】
NK−2受容体及びその異種発現の詳細は、Gerardら,J.Biol.Chem.,265:20455−20462(1990)及びHuangら,Biochem.,33:3007−3013(1994)に見つけることができる。後者の文献には突然変異体スキャニングの詳細も含まれている。
【0050】
NK−3受容体及びその異種発現の詳細は、Huangら,BBRC,184:966−972(1992)及びSadowskiら,Neuropeptides,24:317−319(1993)に見つけることができる。
【0051】
膜は以下のように作成する。10層細胞ファクトリーにNK−3受容体を安定的に発現するCHO細胞を接種する。前記CHO細胞は、トリプルT175フラスコにおいて10ml/Lの200mM L−グルタミン、10ml/Lのペニシリン−ストレプトマイシン、1バイアルのヒポキサンチン−チミジン500x/L、1mg/mlのゲネチシン及び10% ウシ胎仔血清(不活化)を含有するIscoreの修飾ダルベッコ培地を含む1L増殖培地中で作成する。前記細胞をインキュベータにおいて3日間増殖させる。培地を洗い流し、ファクトリーを(Ca,Mg非含有)PBS(400ml)で2回すすぐ。酵素非含有解離溶液(FEDS)(400ml)を添加し、ファクトリーを室温で10分間維持する。細胞を除去し、懸濁液を500ml容量の遠心ボトルに注ぐ。前記方法をFEDS(200ml)を用いて繰り返し、混合物をプールして、全部で6個のボトルを得る。これらを遠心機において2200rpmで10分間遠心する。
【0052】
上清を吸引し、細胞溶解を改善すべく残留細胞ペレットを−80℃で30分間凍結した後細胞ファクトリーあたり40mlの阻害剤含有トリス中に再懸濁させる。細胞を40にセットしたガラス−テフロン粉砕機を8回操作して40mlアリコートずつホモジナイズする。ホモジネートを50ml容量の遠心管に移し、ロッカー上に室温で15分間置く。ホモジネートを再ホモジナイズし、所要により氷上に保持した後、上記したように再遠心する。
【0053】
上清をSS−34回転子用Sorvall管に移し、氷上に保持する。
【0054】
冷却した阻害剤含有トリス(40ml)を用いて再懸濁し、ペレットと一緒にし、上記のように再遠心する。上清を再びSorvall管に移し、上記と共に18000rpmで20分間遠心する。
【0055】
上清を捨て、ペレットを2.50mlの1M トリス(pH7.4)、50μlの1000× プロテアーゼ阻害剤(いずれも水に溶解させた、4mg/ml ロイペプチン(Sigmo)、40mg/ml バシトラシン(Sigma)及び10mM ホスホラニドン(Peninsula))、0.5mlの0.5M MnClからなり、Hddで50mlとしたStorage Buffer中に再懸濁する。順次、20−、23−及び25−ゲージ針を取り付けた10ml注射器を用いる。
【0056】
2〜10μlの標準としてのBSA含有アリコートに対してBradfordタンパク質アッセイを実施した後、−80℃での貯蔵のために500〜1000μlアリコートを液体窒素中でスナップ凍結する。
【0057】
膜結合アッセイは以下のように実施する。125I−ニューロキニンBの≦10%に特異的に結合させるのに必要な膜の量を予め測定する。次いで、凍結ストックを希釈して、50μl中に添加する。
【0058】
試験化合物をDMSO中に溶解する。自動装置(Tecan)を、96ウェルフォーマットで深壁Marshボックス(March Biomedical Products)中に化合物またはDMSO(5μl);50μM トリス(pH7.5)、150μM NaCl,0.02%までのウシ血清アルブミン及び0.5Mストックとして調製した貯蔵緩衝液中のプロテアーゼ阻害剤から作成した緩衝液20μl中の放射性同位体(約100,000cpm);及びアッセイ緩衝液(5μM MnClを含有し、NaClを含有しない貯蔵緩衝液)(175μl)を添加するようにプログラム化する。過剰量の非標識競合ペプチドを以下に示す非特異的結合のために手動で添加する。まず細胞膜(50μl)を添加することにより結合反応を開始する。管を室温で1時間振とうしながらインキュベートし、Tomtec 96ウェル細胞収集装置とMach IIIフィルターマット(Tomtec)を用いるか、またはPackard 96ウェル収集装置またはTomtec 9600と0.25% ポリエチレンイミン中に予浸漬し、1× 洗浄緩衝液(0.1M トリス(pH7.4)及び1M NaCl;1×=冷蒸留水1Lあたり100mlの10× ストック)で5回洗浄したUnifilter GF/C(Packard)を用いて濾過する。Unifilterプレートを用いるならば、各ウェルに60μlのMicroscint 20(Packard)を添加し、プレートを熱シールした後Packard Topcountでカウントする。或いは、フィルターマットからのフィルターを75×100mmプラスチック管に入れ、Corbaガンマカウンターを用いてカウントする。
【0059】
アッセイのために、通常膜10μgを25,000cpmで使用し、0.5% BSAに予浸漬したUnifilter GF/Cで濾過する。
【0060】
ニューロキニン−2受容体での結合に関するアッセイも同様に実施し得る。
【0061】
本明細書中、特にスキーム及び実施例中で使用した略語には、以下のものが含まれる:
Ac=アセチル、
9−BBN=9−ボラビシクロ[3.3.1]ノナン、
Bn=ベンジル、
BOCまたはBoc=t−ブチルオキシカルボニル、
Bu=ブチル、
t−Bu=tert−ブチル、
CBZ=カルボベンゾキシ(または、ベンジルオキシカルボニル)、
CDI=カルボニルジイミダゾール、
DAST=(ジエチルアミノ)硫黄トリフルオリド、
DCC=ジシクロヘキシルカルボジイミド、
DCM=ジクロロメタン、
DIBAL=ジイソブチルアルミニウム水和物、
DIEAまたはDIPEA=ジイソプロピルエチルアミン、
DIAD=ジイソプロピルアゾジカルボキシレート、
DMF=N,N−ジメチルホルムアミド、
DMSO=ジメチルスルホキシド、
EDAC=1−(3−ジメチルアミノ)プロピル−3−エチルカルボジイミド、
Et=エチル、
エーテル=ジエチルエーテル、
h=時、
HMDS=ヘキサメチルジシラジル、
HOBTまたはHOBt=1−ヒドロキシベンゾトリアゾール水和物、
KHMDS=カリウムヘキサメチルジシラジド、
LDA=リチウムジイソプロピルアミド、
Me=メチル、
m=分、
Ph=フェニル、
Pr=プロピル、
i−Pr=イソプロピル、
PMB=p−メトキシベンジル、
sat’d=飽和水性、
rt=室温、
TBSO=t−ブチルジメチルシロキシ、
TEA=トリエチルアミン、
Tf=トリフリックまたはトリフレート、
TFA=トリフルオロ酢酸、
THF=テトラヒドロフラン、
TPAP=テトラプロピルアンモニウム過ルテニウム酸塩。
【0062】
式Iを有する化合物は、式IIの化合物を式IIIの化合物と反応させることにより製造され得る。
【0063】
【化3】

上記式中、R、R、R、R、R、X及びYは上記と同義である。上記反応は、通常溶媒(例えば、CHCl及び/またはTHF)中塩基(例えば、EtN)及び縮合剤(例えば、HBTUまたはHOBT+EDC・HCl)の存在下で実施される。試薬の正確な種類に応じて、反応条件は1〜18時間及び0℃〜還流の範囲であり得る。
【0064】
所要により、式IIの化合物は式IIIの化合物と反応させる前にその酸クロリドに変換させてもよい。これは、室温において塩化オキサリルと約18時間反応させることにより実施され得る。
【0065】
所望により、特に1つの基Rを別の基に変換したいときには、式Iを有する化合物は当業界で公知の手段により式Iを有する他の化合物に変換され得る。例えば、RがHである化合物は、通常塩基(例えば、EtN)及び溶媒(例えば、CHCl)の存在下でクロロギ酸メチルと室温において約4時間反応させることによりRがメトキシカルボニルである別の化合物に変換され得る。
【0066】
式II及びIIIの化合物は通常当業界で公知であるか、または当業界で公知の方法により公知化合物から製造され得る。例えば、式IIの化合物は、式IV及びV:
【0067】
【化4】

(式中、R、R、X及びYは上記と同義である)
を有する化合物を反応させることにより製造され得る。上記反応は、通常強塩基(例えば、水酸化カリウム)及び溶媒(例えば、エタノール)の存在下還流下で実施される。
【0068】
式IV及びVの化合物は当業界で公知であるか、または公知化合物から公知の方法により製造され得る。
【0069】
式II(式中、RはC1−6アルキルNR’R”である)の化合物は、式II(式中、RはC1−6アルキルである)の化合物をN−ブロモスクシンイミド[通常、溶媒(例えば、CHCN)中還流下開始剤(例えば、ジベンゾイルペルオキシド)と一緒に]、次いでHNR’R”[通常、溶媒(例えば、THF)中塩基(例えば、ジイソプロピルエチルアミン)の存在下約50℃で]と順次反応させることにより製造され得る。この反応中、式IIの化合物のカルボキシル基をメチルエステルとして保護してもよい。
【0070】
式HNR’R”の化合物は当業界で公知であるか、または公知化合物から公知の方法により製造され得る。
【0071】
本発明化合物は、下記する反応スキーム及び実施例、またはその修飾に従って容易に製造され得る。出発物質は当業界で公知であるか例示されている手順により製造され得る。これらの反応において、それ自体当業者に公知であるが詳細に記載されていない変異体を使用することも可能である。更に、本発明化合物を製造するための他の方法は、以下の反応スキーム及び実施例にてらして当業者には容易に分かるであろう。特記しない限り、変数は上記と同義である。
【0072】
下記実施例により本発明を説明する。
【実施例1】
【0073】
3−(4−(1−メチルエチル)−ピペラジン−1−イルメチル)−2−フェニルキノリン−4−カルボン酸アゼパン−1−イルアミド
【0074】
O−ベンゾトリアゾール−N,N,N’,N’−テトラメチルウロニウムヘキサフルオロホスフェート(HBTU)(156mg,0.41ミリモル)を、3−(4−(1−メチルエチル)−ピペラジン−1−イルメチル)−2−フェニルキノリン−4−カルボン酸(100mg,0.26ミリモル)[J.Med.Chem.,44:1675−1689(2001)]、1−アミノホモピペリジン(47μl,0.41ミリモル)及びEtN(178μl,1.3ミリモル)をTHF(5ml)及びCHCl(1.5ml)中に含む撹拌混合物に添加し、混合物をN下で18時間還流加熱した。溶媒を減圧下で蒸発させ、残渣をCHCl中に溶解し、HO、0.5N NaOH溶液及びHOで洗浄した。有機相を乾燥し(MgSO)、減圧下で濃縮した。残渣を逆相分取HPLCにより精製し、基本的な後処理をした後所望のヒドラジド(28mg,17%)を得た。H NMR(CDOD,360MHz):主要回転異性体 δ 8.05(1H,d,J=8.3Hz)、7.96(1H,d,J=8.3Hz)、7.83−7.75(1H,m)、7.72−7.60(1H,m)、7.55−7.43(5H,m)、3.66(2H,s)、3.24−3.17(4H,m)、2.53(1H,七重項,J=6.5Hz)、2.45−2.10(8H,m)、1.86−1.72(8H,m)、1.00(6H,d,J=6.5Hz)。MS(ES)C3039O:理論値=485,実測値=486(M+H,100%)。
【実施例2】
【0075】
3−(4−(1−メチルエチル)−ピペラジン−1−イルメチル)−2−フェニルキノリン−4−カルボン酸N’−(1−フェニルプロピル)ヒドラジド
【0076】
3−(4−(1−メチルエチル)−ピペラジン−1−イルメチル)−2−フェニルキノリン−4−カルボン酸(100mg,0.26ミリモル)、(1−フェニルプロピル)ヒドラジン・2HCl(152mg,0.822ミリモル)、HBTU(312mg,0.822ミリモル)及びEtN(356μl,2.57ミリモル)を用い、実施例1に記載されている手順に従って反応を実施して、所望ヒドラジド(35mg,26%)を得た。H NMR(CDOD,360MHz) δ 7.97(1H,d,J=8.3Hz)、7.70(1H,t,J=8.3Hz)、7.55−7.30(12H,m)、5.48(1H,s)、4.15(1H,幅広s)、3.60−3.40(4H,m)、2.81(2H,s)、2.53(1H,七重項,J=6.4Hz)、2.40−1.70(7H,m)、1.01(6H,d,J=6.4Hz)、0.90(3H,t,J=7.5Hz)。MS(ES)C3339O:理論値=521,実測値=522(M+H,100%)。
【実施例3】
【0077】
メチル2−{[3−メチルオキシ−2−フェニル−4−キノリニル]カルボニル}−1−フェニルヒドラジンカルボキシレート
【0078】
ステップ1:3−メチルオキシ−N’,2−ジフェニル−4−キノリンカルボヒドラジド
【0079】
0℃において1−ヒドロキシベンゾトリアゾール(365mg,2.7ミリモル)、3−メチルオキシ−2−フェニルキノリン−4−カルボン酸(500mg,1.8ミリモル)[J.Med.Chem.,42:1053−1065(1999)]、フェニルヒドラジン(228μl,2.3ミリモル)及びEtN(373μl,2.7ミリモル)をTHF(40ml)中に含む混合物に1−[3−(ジメチルアミノ)プロピル]−3−エチルカルボジイミド塩酸塩(518mg,2.7ミリモル)を少しずつ添加した。0℃で1時間撹拌した後、冷却浴を外し、混合物を室温で3時間撹拌した。溶媒を減圧下で蒸発し、残渣を酢酸エチル(50ml)中に溶解し、HO(2×50ml)、飽和NaHCO(50ml)、1N クエン酸(50ml)及びブライン(50ml)で洗浄した。有機相を乾燥し(MgSO)、減圧下で濃縮した。残渣をイソヘキサン:酢酸エチル(1:1)を溶離液とするシリカゲルカラムクロマトグラフィーにより精製して、ヒドラジド(400mg,61%)を黄色固体として得た。H NMR(CDCl,400MHz) δ 8.16(1H,d,J=7.4Hz)、8.06−8.02(2H,m)、7.95−7.92(2H,m)、7.70(1H,dt,J=7.0及び1.4Hz)、7.60−7.48(4H,m)、7.32(2H,dt,J=7.4及び1.0Hz)、7.10−7.07(2H,m)、6.99(1H,t,J=7.4Hz)、6.50(1H,d,J=4.2Hz)、3.62(3H,s)。MS(ES)C2319:理論値=369,実測値=370(M+H,100%)。
【0080】
ステップ2:メチル2−{[3−メチルオキシ−2−フェニル−4−キノリニル]カルボニル}−1−フェニルヒドラジンカルボキシレート
【0081】
3−メチルオキシ−N’,2−ジフェニル−4−キノリンカルボヒドラジド(100mg,0.27ミリモル)及びEtN(56μl,0.41ミリモル)をCHCl(7ml)中に含む溶液にクロロギ酸メチル(27μl,0.35ミリモル)を添加した。室温で4時間撹拌した後、混合物をCHClで希釈し、1N HCl(20ml)、1N NaOH(20ml)及びブライン(20ml)で洗浄した。有機相を乾燥し(MgSO)、減圧下で濃縮した。残渣をイソヘキサン:酢酸エチル(2:1)を溶離液とするシリカゲルカラムクロマトグラフィーにより精製して、標記化合物(59mg,51%)を無色泡状物として得た。H NMR(CDCl,360MHz) δ 8.43(1H,s)、8.16−8.13(2H,m)、8.02−8.00(2H,m)、7.69(1H,dt,J=6.9及び1.3Hz)、7.61−7.41(8H,m)、7.30(1H,t,J=7.4Hz)、3.91(3H,s)、3.57(3H,s)。MS(ES)C2521:理論値=427,実測値=428(M+H,100%)。
【実施例4】
【0082】
N’−エチル−3−メチルオキシ−N’,2−ジフェニル−4−キノリンカルボヒドラジド
【0083】
ステップ1:3−メチルオキシ−2−フェニル−4−キノリンカルボニルクロリド
【0084】
3−メチルオキシ−2−フェニルキノリン−4−カルボン酸(200mg,0.72ミリモル)[J.Med.Chem.,42:1053−1065(1999)]を0℃においてCHCl(5ml)中に懸濁し、塩化オキサリル(62μl,0.72ミリモル)を撹拌しながら添加した。0℃で1時間撹拌した後、冷却浴を外し、溶液を室温で18時間撹拌した。この後、溶媒を蒸発させ、粗な酸クロリドを更に精製することなく後続の反応に使用した。
【0085】
ステップ2:N’−エチル−3−メチルオキシ−N’,2−ジフェニル−4−キノリンカルボヒドラジド
【0086】
ステップ1で得た3−メチルオキシ−2−フェニル−4−キノリンカルボニルクロリドをCHCl(2ml)中に溶解し、0℃においてEtN(104μl,0.76ミリモル)及び1−エチル−1−フェニルヒドラジン(102mg,0.76ミリモル)[Synthesis,157−158(1983)]をCHCl(3ml)中に含む溶液に滴下した。0℃で2時間撹拌した後、冷却浴を外し、溶液を室温で18時間撹拌した、溶媒を蒸発させ、残渣を酢酸エチル(20ml)に取った。有機相をHO(2×10ml)、1N NaOH(20ml)及びブライン(20ml)で洗浄した。有機相を分離し、乾燥し(MgSO)、減圧下で濃縮した。残渣をイソヘキサン:酢酸エチル(2:1)を溶離液とするシリカゲルカラムクロマトグラフィーにより精製した。所望生成物を含むフラクションを合わせ、蒸発させ、ジエチルエーテルと粉砕した。標記化合物(159mg,53%)を無色固体として得た。H NMR(CDCl,400MHz) δ 8.09(1H,d,J=7.6Hz)、7.96−7.93(2H,m)、7.70(1H,d,J=7.6Hz)、7.63(1H,dt,J=7.0及び1.4Hz)、7.51−7.45(6H,m)、7.42−7.28(4H,m)、5.36−5.35(1H,幅広s)、4.21−4.19(1H,m)、3.48(3H,s)。MS(ES)C2625:理論値=411,実測値=412(M+H,100%)。
【実施例5】
【0087】
3−メチルオキシ−2−フェニル−N’−(1−フェニルプロピル)−4−キノリンカルボヒドラジド
【0088】
THF(8ml)中の3−メチルオキシ−2−フェニルキノリン−4−カルボン酸(100mg,0.36ミリモル)[J.Med.Chem.,42:1053−1065(1999)]、(1−フェニルプロピル)ヒドラジン・2HCl(104mg,0.47ミリモル)、1−ヒドロキシベンゾトリアゾール(73mg,0.54ミリモル)及びEtN(204μl,1.48ミリモル)を用いて、実施例3のステップ1に記載の手順に従って反応を実施した。残渣をイソヘキサン:酢酸エチル(2:1)を溶離液とするシリカゲルカラムクロマトグラフィーにより精製して、ヒドラジド(106mg,72%)を無色泡状物として得た。H NMR(CDCl,400MHz) δ 8.18(1H,d,J=8.9Hz)、8.06−8.04(2H,m)、8.01(1H,dd,J=8.9及び0.9Hz)、7.71(1H,dt,J=7.0及び1.4Hz)、7.64−7.59(2H,m)、7.56−7.50(3H,m)、7.33(2H,dt,J=7.3及び1.9Hz)、7.13(2H,d,J=7.9Hz)、6.94(1H,t,J=7.2Hz)、3.80(2H,q,J=7.2Hz)、3.66(3H,s)、1.21(3H,t,J=7.2Hz)。MS(ES)C2523:理論値=397,実測値=398(M+H,100%)。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(I):
【化1】

[式中、
は場合によりヒドロキシ、ハロゲン、ニトロ、シアノ、アミノ、CF、C1−4アルキル、C2−4アルケニル及びC2−4アルキニルから独立して選択される1〜3個の基で置換されているアリール環(ここで、アリールはフェニルまたはナフチルである)またはヘテロアリール環(ここで、ヘテロアリールは1〜4個の窒素原子及び/または2個以下の窒素原子しか存在しない条件で酸素または硫黄原子を含有する5員不飽和環または1〜3個の窒素原子を含有する6員不飽和環である)であり;
はヒドロキシ、C1−6アルコキシ、C1−6アルキル、アミノ、NR’R”またはC1−6アルキル−NR’R”(ここで、R’及びR”は独立して水素及びC1−4アルキルから選択されるかR’及びR”はこれらが結合している窒素原子と一緒になって、場合により別の窒素原子を含有し、場合により上記したNR’R”で置換されている飽和窒素含有3〜7員ヘテロ環を形成する)、または上記したNR’R”で置換されたC1−6アルコキシであり;
は水素またはC1−6アルキルであり;
は水素、C1−8アルキル、C2−8アルケニル、C2−8アルキニル、C3−8シクロアルキル、アリールまたはアリールC1−6アルキルであり;
は水素、C1−8アルキル、C2−8アルケニル、C2−8アルキニル、C3−8シクロアルキル、アリール、アリールC1−6アルキルまたはC1−6アルコキシカルボニルであり;或いは
及びRはこれらが結合している窒素原子と一緒になって、C3−10単環式または二環式飽和環を形成し;
X及びYは独立して水素、ヒドロキシ、ニトロ、アミノ、シアノ、CF、ハロゲン及びC1−4アルキルから選択される]
を有する化合物またはその医薬的に許容され得る塩。
【請求項2】
が未置換であるかまたはヒドロキシ、ハロゲン、ニトロ、シアノ、アミノ、CFまたはCHでモノ置換されている請求の範囲第1項に記載の化合物。
【請求項3】
がフェニルである請求の範囲第2項に記載の化合物。
【請求項4】
がヒドロキシ、C1−4アルコキシ、C1−4アルキルまたはNR’R”(ここで、R’及びR”は請求の範囲第1項に記載されている通りである)で置換されたC1−4アルキルである請求の範囲第1項に記載の化合物。
【請求項5】
R’及びR”は独立して水素、メチル、エチル及びプロピルから選択されるかまたはR’及びR”はこれらが結合している窒素原子と一緒になって、場合によりC1−4アルキルで置換されているピペリジンまたはピペラジン環を形成する請求の範囲第4項に記載の化合物。
【請求項6】
がC1−8アルキル、C3−8シクロアルキル、アリールまたはアリールC1−6アルキルである請求の範囲第1項に記載の化合物。
【請求項7】
が水素、C1−6アルキル、アリールまたはC1−4アルコキシカルボニルである請求の範囲第1項に記載の化合物。
【請求項8】
X及びYが独立して水素またはメチルである請求の範囲第1項に記載の化合物。
【請求項9】
3−(4−(1−メチルエチル)ピペラジン−1−イルメチル)−2−フェニル−キノリン−4−カルボン酸アゼパン−1−イルアミド、
3−(4−メチルエチル)ピペラジン−1−イルメチル)−2−フェニル−キノリン−4−カルボン酸N’−(1−フェニルプロピル)−ヒドラジド、
メチル2−{[3−メチルオキシ−2−フェニル−4−キノリニル]カルボニル}−1−フェニルヒドラジンカルボキシレート、
N’−エチル−3−メチルオキシ−N’,2−ジフェニル−4−キノリンカルボヒドラジド、
3−メチルオキシ−2−フェニル−N’−(1−フェニルプロピル)−4−キノリンカルボヒドラジド
である請求の範囲第1項に記載の化合物またはその医薬的に許容され得る塩。
【請求項10】
3−メチル−N’,N’,2−トリフェニル−4−キノリンカルボヒドラジド、
N’,3−ジメチル−N’,2−ジフェニル−4−キノリンカルボヒドラジド、
3−メチル−N’,2−ジフェニル−N’−フェニルメチル−4−キノリンカルボヒドラジド、
N−ヘキサヒドロシクロペンタ[c]ピロル−2(1H)−イル−3−メチル−2−フェニル−4−キノリンカルボキサミド、
N’−シクロペンチル−3−メチル−2−フェニル−N’−プロピル−4−キノリンカルボヒドラジド、
N’−シクロヘキシル−3−{[4−(1−メチルエチル)−1−ピペラジニル]メチル}−2−フェニル−4−キノリンカルボヒドラシド、
N−ヘキサヒドロ−1H−アゼピン−1−イル−3−メチル−2−フェニル−4−キノリンカルボキサミド
である請求の範囲第1項に記載の化合物またはその医薬的に許容され得る塩。
【請求項11】
治療有効量の請求の範囲第1項に記載の化合物またはその医薬的に許容され得る塩及び医薬的に許容され得る賦形剤を含む医薬組成物。
【請求項12】
精神分裂病、COPD、喘息または過敏性腸症候群を患っている被験者に対して治療有効量の請求の範囲第1項に記載の化合物またはその医薬的に許容され得る塩を投与することを含む前記患者の治療方法。

【公表番号】特表2006−518362(P2006−518362A)
【公表日】平成18年8月10日(2006.8.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−502230(P2006−502230)
【出願日】平成16年2月3日(2004.2.3)
【国際出願番号】PCT/GB2004/000415
【国際公開番号】WO2004/072045
【国際公開日】平成16年8月26日(2004.8.26)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
テフロン
【出願人】(390035482)メルク シャープ エンド ドーム リミテッド (81)
【Fターム(参考)】