説明

NK細胞の培養方法及びNK細胞の利用

【課題】 NK細胞を効率良く増殖・活性化させる方法を提供する。更に、ADCCを介したモノクローナル抗体治療薬の効果を高めるための該NK細胞とモノクローナル抗体治療薬を併用した医薬及び治療方法も提供する。
【解決手段】 末梢血単核球にグルココルチコイド及びIL−18を培養開始後に添加することで、NK細胞を選択的に増殖させることができ、高増殖率で大量のNK細胞を得ることが可能である。得られたNK細胞は細胞傷害活性、細胞保存安定性に優れている。また、CD16陽性細胞率が高いため、ADCC増強効果が高い。従って、該NK細胞はADCCを介してモノクローナル抗体治療薬の治療効果を増大させることが可能である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
NK細胞をex vivoで、選択的かつ効果的に増殖させる培養方法に関する。詳しくはモノクローナル抗体治療薬の作用増強を目的として、ADCCを強化するために、NK細胞をグルココルチコイド及びIL−18添加により増殖させる培養方法に関する。
【背景技術】
【0002】
日本人の最も多い死亡原因として悪性新生物(以下、がんという)が挙げられる。がんの治療法として、三大療法と言われる外科療法、化学療法および放射線療法があるが、治療の困難性と副作用といった問題がある。
近年、上記三大療法の他にがんの新しい治療法として免疫細胞療法が行われており、この免疫細胞療法は、上記の三大療法のような治療の困難性や副作用といった問題が少ないため注目されている。
【0003】
この免疫細胞療法の中に、ナチュラルキラー細胞(以下、本明細書において「NK細胞」と略す。)を用いる療法がある。NK細胞には腫瘍細胞を強く傷害する活性を有することから、がん治療に利用する研究が古くからなされていた。
このNK細胞による腫瘍傷害の作用機序の一つとして抗体依存性細胞傷害(ADCC;Antibody−Dependent Cell−mediated Cytotoxicity)が挙げられる。ADCCは標的細胞に結合した抗体がCD16(CD;Cluster of Differentiation;白血球分化抗原)陽性のナチュラルキラー細胞(CD16+NK細胞)上のFc受容体と結合することで、抗体依存的に誘導される標的細胞傷害活性である。
【0004】
ADCCを利用したモノクローナル抗体治療薬であるトラスツズマブ(製品名ハーセプチン 登録商標、製造販売元:中外製薬株式会社)、リツキシマブ(製品名リツキサン 登録商標、製造販売元:全薬工業株式会社、発売元:中外製薬)、セツキシマブ(製品名エルビタックス 登録商標、製造元イムクローン・システムズ、販売元ブリストル・マイヤーズスクイブ)及びアレムツズマブ(米国内商品名Campath)などはめざましい効果を上げている。
モノクローナル抗体治療薬の効果を上げる方法の一つは、大量且つ高活性のNK細胞を得ることである。
【0005】
培地にIL−2を添加して細胞を増殖させることは従来から行われてきた方法であり、NK細胞の培養においても、普通に行われている方法である。しかしながら、この場合では、その他の細胞の増殖率がNK細胞の増殖率を上回ってしまい、所望するほどのNK細胞数を得ることがなかなか難しい。
そこで、この方法以外の培養方法を確立し、抗体との併用によるADCCの増強を目指してNK細胞細胞を増殖させるための様々な試みも以前からあった。代表的な方法を以下に示す。
【0006】
1)リンパ芽球様細胞株、造血幹細胞または末梢血幹細胞を利用してNK細胞を分化させる方法(非特許文献1、非特許文献2、非特許文献3及び非特許文献4)。患者由来ではない細胞や細胞株を用いる場合があり、拒絶反応の危険性がある。リンパ芽球様細胞株、造血幹細胞または末梢血幹細胞を維持する工程が煩雑である。
【0007】
2)IL−2や抗CD−3抗体を用いるLAK(lymphokine−activated killer;リンフォカイン活性化キラー)療法で末梢血単核球(PBMC:Peripheral Blood Mononuclear Cell、以下、本明細書中でPBMCと略す。)からNK細胞を増殖させる方法(非特許文献1及び非特許文献5)。NK細胞以外のリンパ球も増殖するため、NK細胞を選択的に増殖させることは困難である。またこの方法で二週間以上増殖させたNK細胞は傷害活性が低くなることが知られている。
【0008】
3)樹状細胞と接触させることにより、NK細胞の細胞傷害活性能及びIFN−γの産生能を向上させる方法(非特許文献1及び非特許文献6)、及びGM−CSF(顆粒球マクロファージコロニー刺激因子)B70タンパク質を強制発現させた腫瘍細胞とNK細胞を共培養する方法(非特許文献1及び非特許文献7)。高い細胞傷害を誘導させることができるが、増殖率は高くない。後者はGM−CSFやB70分子を強制発現させるためにウィルスを用いて形質転換しており、培養したNK細胞を患者に投与することは安全面で問題がある。
【0009】
4)HFWT細胞株をはじめとしたフィーダー細胞株とNK細胞を共培養する方法(非特許文献1並びに特許文献1、特許文献2及び特許文献3)。この方法では患者由来ではない細胞株を用いるため、拒絶反応の危険性がある。また、細胞株の維持や培養等の工程が増えて煩雑である。
【0010】
例えば、2)の培養方法で得られるNK細胞は、全細胞中わずか5%である。また、1)、3)及び4)の増殖方法は煩雑であり、拒絶反応等の安全性の問題がある。
このように増殖率・NK細胞の機能性・簡便性・安全性等、臨床応用の必須条件が揃ったNK細胞培養方法の確立が求められている。
【0011】
【非特許文献1】World J Gastroenterol 2004;10:2119−2123
【非特許文献2】Nat. Immun. Cell Growth Regul. 1987;6:171−188
【非特許文献3】Exp Hematol. 1995;23:1676−1681
【非特許文献4】Bone Marrow Transplant. 2001;28:673−680
【非特許文献5】Biomed Pharmacother. 1993;47:73−78
【非特許文献6】J Immunol. 2001;166:1590−1600
【非特許文献7】Cancer Lett. 2001;166:33−40
【特許文献1】特開2006−115826号公報
【特許文献2】特開2001−149069号公報
【特許文献1】特開2002−45174号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
本発明は上記事情を鑑みてなされたものであり、NK細胞を効率良く分化・増殖・活性化させる培養方法を提供する。更に、ADCCを介したモノクローナル抗体治療薬の効果を高めるための該NK細胞とモノクローナル抗体治療薬を併用した医薬及び治療方法も提供する。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明者らは上記の課題を解決すべくNK細胞を有効に増殖させる方法および条件について鋭意研究を行なった。その結果、培養開始からタイムラグを設けてIL−18及びヒドロコルチゾンを培養液に添加することにより、既存の方法より高い増殖率でNK細胞を活性化させることに成功した。また、該NK細胞を用いることで、モノクローナル抗体治療薬の効果を増大させる結果を得た。
【0014】
すなわち本発明は下記手段を提供するものである。
(1)末梢血単核球にグルココルチコイド及びIL−18を添加して培養することを特徴とするNK細胞の培養方法;
(2)前記グルココルチコイド添加濃度が10−8M以上10−4M以下であることを特徴とする(1)に記載のNK細胞の培養方法;
(3)前記グルココルチコイドの添加時期が培養開始後1〜7日目であることを特徴とする(1)又は(2)に記載のNK細胞の培養方法;
(4)前記グルココルチコイドが、ヒドロコルチゾン又はデキサメタゾンであることを特徴とする(1)乃至(3)のいずれか一項に記載のNK細胞の培養方法;
(5)前記IL−18の添加濃度が50ng/mL以上であることを特徴とする(1)乃至(4)のいずれか一項に記載のNK細胞の培養方法;
(6)前記IL−18の添加時期が培養開始後0〜3日目であることを特徴とする(1)乃至(5)のいずれか一項に記載のNK細胞の培養方法;
(7)IL−2を更に含むことを特徴とする(1)乃至(6)のいずれか一項に記載のNK細胞の培養方法;
(8)前記IL−2の添加濃度が1〜3000IU/mLであることを特徴とする(1)乃至(7)のいずれか一項に記載のNK細胞の培養方法;
(9)前記IL−2の添加時期が培養開始時であることを特徴とする(1)乃至(8)のいずれか一項に記載のNK細胞の培養方法;
(10)末梢血単核球にグルココルチコイド及びIL−18を添加して培養して得られるNK細胞;
(11)前記グルココルチコイドの添加濃度が10−8M以上10−4M以下であることを特徴とする(10)に記載のNK細胞;
(12)前記グルココルチコイドの添加時期が培養開始後1〜7日目であることを特徴とする(10)又は(11)に記載のNK細胞;
(13)前記グルココルチコイドがヒドロコルチゾン又はデキサメタゾンであることを特徴とする(10)乃至(12)のいずれか一項に記載のNK細胞;
(14)前記IL−18の添加濃度が50ng/mL以上であることを特徴とする(10)乃至(13)のいずれか一項に記載のNK細胞;
(15)前記IL−18の添加時期が培養開始後0〜3日目であることを特徴とする(10)乃至(14)のいずれか一項に記載のNK細胞;
(16)IL−2を更に含むことを特徴とする(10)乃至(15)のいずれか一項に記載のNK細胞;
(17)前記IL−2の添加濃度が1〜3000IU/mLであることを特徴とする(10)乃至(16)のいずれか一項に記載のNK細胞;
(18)前記IL−2の添加時期が培養開始時であることを特徴とする(10)乃至(17)のいずれか一項に記載のNK細胞;
(19)末梢血単核球にグルココルチコイド及びIL−18を添加して培養したNK細胞を含む治療・予防剤;
(20)前記グルココルチコイド添加濃度が10−8M以上10−4M以下であることを特徴とする(19)に記載の治療・予防剤;
(21)前記グルココルチコイドの添加時期が培養開始後1〜7日目であることを特徴とする(19)又は(20)に記載の治療・予防剤;
(22)前記グルココルチコイドが、ヒドロコルチゾン又はデキサメタゾンであることを特徴とする(19)乃至(21)のいずれか一項に記載の治療・予防剤;
(23)前記IL−18の添加濃度が50ng/mL以上であることを特徴とする(19)乃至(22)のいずれか一項に記載の治療・予防剤;
(24)前記IL−18の添加時期が培養開始後0〜3日目であることを特徴とする(19)乃至(23)のいずれか一項に記載の治療・予防剤;
(25)IL−2を更に含むことを特徴とする(19)乃至(24)のいずれか一項に記載の治療・予防剤;
(26)前記IL−2の添加濃度が1〜3000IU/mLであることを特徴とする(19)乃至(25)のいずれか一項に記載の治療・予防剤;
(27)前記IL−2の添加時期が培養開始時であることを特徴とする(19)乃至(16)のいずれか一項に記載の治療・予防剤;
(28)前記NK細胞が自己リンパ球由来であることを特徴とする(19)乃至(27)のいずれか一項に記載の治療・予防剤;
(29)モノクローナル抗体治療薬を更に含むことを特徴とする(19)乃至(28)のいずれか一項に記載の治療・予防剤;
(30)前記モノクローナル抗体治療薬がトラスツズマブであることを特徴とする(19)乃至(29)のいずれか一項に記載の治療・予防剤;
(31)前記モノクローナル抗体治療薬がリツキシマブであることを特徴とする(19)乃至(29)のいずれか一項に記載の治療・予防剤;
(32)末梢血単核球にグルココルチコイドとIL−18を添加して増殖させたNK細胞を投与することを特徴とする治療方法;
(33)前記グルココルチコイド添加濃度が10−8M以上10−4M以下であることを特徴とする(32)に記載の治療方法;
(34)前記グルココルチコイドの添加時期が培養開始後1〜7日目であることを特徴とする(32)又は(33)に記載の治療方法;
(35)前記グルココルチコイドが、ヒドロコルチゾン又はデキサメタゾンであることを特徴とする(32)乃至(34)のいずれか一項に記載の治療方法;
(36)前記IL−18の添加濃度が50ng/mL以上であることを特徴とする(32)乃至(35)のいずれか一項に記載の治療方法;
(37)前記IL−18の添加時期が培養開始後0〜3日目であることを特徴とする(32)乃至(36)のいずれか一項に記載の治療方法;
(38)IL−2を更に含むことを特徴とする(32)乃至(37)のいずれか一項に記載の治療・予防剤;
(39)前記IL−2の添加濃度が1〜3000IU/mLであることを特徴とする(32)乃至(38)のいずれか一項に記載の治療・予防剤;
(40)前記IL−2の添加時期が培養開始時であることを特徴とする(32)乃至(39)のいずれか一項に記載の治療・予防剤;
(41)前記NK細胞が自己リンパ球由来であることを特徴とする(32)乃至(40)のいずれか一項に記載の治療方法;
(42)モノクローナル抗体治療薬を更に含むことを特徴とする(32)乃至(41)のいずれか一項に記載の治療方法;
(43)前記モノクローナル抗体治療薬がトラスツズマブであることを特徴とする(32)乃至(42)のいずれか一項に記載の治療方法;
(44)前記モノクローナル抗体治療薬がリツキシマブであることを特徴とする(32)乃至(42)のいずれか一項に記載の治療方法;
(45)グルココルチコイドとIL−18を添加して増殖させたNK細胞を含むモノクローナル抗体治療薬アジュバント;
(46)前記グルココルチコイド添加濃度が10−8M以上10−4M以下であることを特徴とする(45)に記載のモノクローナル抗体治療薬アジュバント;
(47)前記グルココルチコイドの添加時期が培養開始後1〜7日目であることを特徴とする(45)又は(46)に記載のモノクローナル抗体治療薬アジュバント;
(48)前記グルココルチコイドが、ヒドロコルチゾン又はデキサメタゾンであることを特徴とする(45)乃至(47)のいずれか一項に記載のモノクローナル抗体治療薬アジュバント;
(49)前記IL−18の添加濃度が50ng/mL以上であることを特徴とする(45)乃至(48)のいずれか一項に記載のモノクローナル抗体治療薬アジュバント;
(50)前記IL−18の添加時期が培養開始後0〜3日目であることを特徴とする(45)乃至(49)のいずれか一項に記載のモノクローナル抗体治療薬アジュバント;
(51)IL−2を更に含むことを特徴とする(45)乃至(50)のいずれか一項に記載のモノクローナル抗体治療薬アジュバント;
(52)前記IL−2の添加濃度が1〜3000IU/mLであることを特徴とする(45)乃至(51)のいずれか一項に記載のモノクローナル抗体治療薬アジュバント;
(53)前記IL−2の添加時期が培養開始時であることを特徴とする(45)乃至(52)のいずれか一項に記載のモノクローナル抗体治療薬アジュバント;
(54)前記NK細胞が自己リンパ球由来であることを特徴とする(45)又は(53)のいずれか一項に記載のモノクローナル抗体治療薬アジュバント;
(55)モノクローナル抗体治療薬を更に含むことを特徴とする(45)乃至(54)のいずれか一項に記載のモノクローナル抗体治療薬アジュバント。
(56)前記モノクローナル抗体治療薬がトラスツズマブであることを特徴とする(45)乃至(55)のいずれか一項に記載のモノクローナル抗体治療薬アジュバント;
(57)前記モノクローナル抗体治療薬がリツキシマブであることを特徴とする(45)乃至(55)のいずれか一項に記載のモノクローナル抗体治療薬アジュバント;
【発明の効果】
【0015】
本発明の培養方法によれば、培養開始時の細胞数と比較して概ね10〜3000倍以上の増殖率でNK細胞を増殖させることができるため、大量のNK細胞を得ることが可能となる。
また、培養で得られた細胞集団中のNK細胞率も従来よりも高く、その培養効率も向上させることが可能である。
【0016】
得られたNK細胞の特性としても、従来と比較して高いINFγ産生性、細胞保存安定性を示し、NK細胞の機能そのものとしても、従来よりも効果の高いNK細胞を提供することが可能となる。
また、NK細胞の細胞表面にモノクローナル抗体治療薬を結合させる分子であるCD16を70%以上のNK細胞で発現させることができる。得られたNK細胞は増殖率だけでなく、増殖する工程が従来技術より簡便であり、拒絶反応等のおそれも少なく安全性が高い。
【0017】
このように、本発明のNK細胞を用いた本発明の治療・予防剤及び治療方法によれば、今まで以上に効果の高いNK細胞を用いることになるため、従来よりも薬効・治療効果の高い医薬・治療方法を提供することが可能となる。
更に、このNK細胞を用いることにより効果的にADCCにおける細胞傷害能を高めることができ、モノクローナル抗体治療薬により標的化されたがん細胞を特異的且つ効果的に傷害することが可能である。このように、本発明によるNK細胞をモノクローナル抗体治療薬のアジュバントとして用いることで、既存もしくは今後開発されるモノクローナル抗体治療薬の効果も向上させることが可能となる。
【0018】
以下、本発明の実施形態について説明する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
<NK細胞の培養方法>
まずNK細胞の培養方法について説明する。
【0020】
本発明のNK細胞の培養方法は、末梢血単核球にグルココルチコイド及びIL−18を添加して培養することを特徴とする方法である。
ここで、本明細書でいう「NK細胞」とは、具体的にはCD3陰性CD56陽性細胞を指す。
【0021】
グルココルチコイドは免疫抑制作用を有し、一般的に抗炎症剤として使用されるものであればよく、その例として、酢酸ヒドロコルチゾン並びにその塩及び/又はそれらの水和物、酪酸ヒドロコルチゾン並びにその塩及び/又はそれらの水和物、塩酸ヒドロコルチゾン並びにその塩及び/又はそれらの水和物、コハク酸ヒドロコルチゾン並びにその塩及び/又はそれらの水和物、酢酸デキサメタゾン並びにその塩及び/又はそれらの水和物、リン酸デキサメタゾン並びにその塩及び/又はそれらの水和物、吉草酸デキサメタゾン並びにその塩及び/又はそれらの水和物等が挙げられる。この中でも好ましくはコハク酸ヒドロコルチゾン並びにその塩及び/又はそれらの水和物が好ましく用いられる。
【0022】
グルココルチコイドの調製方法としては、例えばコハク酸ヒドロコルチゾンナトリウム(商品名:サクシゾン、興和創薬株式会社)を生理食塩液に溶解して調製する。
【0023】
グルココルチコイドの濃度としては、例えばコハク酸ヒドロコルチゾンナトリウムであれば1×10−8M以上1×10−4M以下となるように培養開始後に添加する。
【0024】
グルココルチコイドの添加時期は培養開始後1日目から7日目の間ならNK細胞を効率よく増殖させることができるが、好ましくは、培養開始から3日目に添加することが望ましい。通常であれば、グルココルチコイドの免疫抑制作用により、細胞増殖も抑制されるものと考えられるが、上記の通り添加濃度及び添加時期を設定することにより、NK細胞が細胞死(アポトーシスなど)から回避される効果が得られる。
【0025】
IL−18(Interleukin−18)はインターロイキンの一種で、1型ヘルパーT細胞(Th1)及びNK細胞に働いてIFN−γの産生を促す作用を有する。
【0026】
IL−18の調製方法としては、例えばIL−18(商品名:Recombinant Human Interleukin 18、医学生物学研究所)を生理食塩水等に溶解して調製する。
【0027】
IL−18の添加濃度としては、50ng/mL以上になるように培養開始後に添加する。
【0028】
IL−18の添加時期は培養開始0日目(開始当日)から14日目の間であればNK細胞を効果的に増殖させることができるが、好ましくは、培養開始から0〜3日目に添加することが望ましい。このような時期に添加することで、より多くのNK細胞が得られる。
【0029】
IL−2(Interleukin−2)はインターロイキンの一種で、T細胞およびNK細胞の増殖を促す作用を有する。
【0030】
IL−2の調製方法としては、例えばIL−2(商品名:PROLEUKIN、Chiron)を生理食塩水等に溶解して調製する。
【0031】
IL−2の添加濃度としては、1〜3000IU/mLになるように培養開始時に添加する。NK細胞を増殖させるためには、培養開始時に500IU/mLの濃度であることが望ましい。培養開始から培養終了までIL−2濃度が一定である必要はなく、適宜濃度を変化させてもよい。
【0032】
IL−2の添加時期は培養開始時である。培養開始後はIL−2濃度を変化させても良く、適宜添加しても良い。
【0033】
本発明によれば、PBMCにグルココルチコイド及びIL−18を添加して培養すると、例えば、培養開始時と比較して概ね10〜3000倍程度の増殖率でNK細胞を活性化・増殖させることができる。また、培養で得られた細胞集団中のNK細胞率も概ね60%以上となり、培養効率も上げることができる。これらの効果はグルココルチコイド及びIL−18が夫々発揮するよりも高いものである。
【0034】
次に、本発明のNK細胞の培養方法を、具体的に説明する。
採血により末梢血を得る。採血する方法としては、真空採血管等による全血採取を利用することができる。採血量は患者の末梢血に含まれるNK細胞の割合、NK細胞の培養可能期間、投与数などを考慮し、患者の負担とならない程度に設定することが好ましい。
【0035】
例えば、14日間の培養期間で、投与するNK細胞として1×10個程度のNK細胞を得たい場合には、培養開始時のPBMC数を概ね1×10〜5×10個程度確保できるように採血量を設定することが好ましい。
【0036】
また、多量の細胞を確保する必要がある場合には、成分採血装置を用いて単核球成分を採取することにより、直接末梢血単核球を取得することが可能である。
【0037】
例えば密度勾配遠心法により末梢血単核球を得る。末梢血単核球を例えば培養液AIM−V(インビトロジェン)中に懸濁する。ここで末梢血単核球を懸濁した液を細胞懸濁液という。なお、ここで示した培養液以外にも、AlyS培地((株)細胞科学研究所)、RPMI−1640培地(インビトロジェン)、ダルベッコ改変イーグル培地(インビトロジェン、DMEM)、イスコフ培地(インビトロジェン、IMEM)等の細胞の培養に使用される市販の培養液を使用してもよい。
【0038】
また、必要に応じて血清を0.1〜20%添加してもよい。血清として、例えば、自己血漿等を使用してもよい。次いで、このようにして得られた細胞懸濁液をフラスコ、バッグ又はプレートに播種する。
【0039】
フラスコ、バッグ又はプレート中に播種された末梢血単核球にIL−2(商品名:PROLEUKIN、Chiron)を濃度が500〜3000IU/mL、より好ましくは1000IU/mL以上となるように添加する。また、培養中全期間を通じてIL−2濃度は一定である必要はなく、必要に応じて変化させても良い。ただし、培養開始時に500IU/mLの濃度があることが好ましい。
【0040】
IL−2を添加した後、温度34〜38℃、より好ましくは37℃で、2〜10%、より好ましくは5%CO存在下で静置培養する。この際、培養する細胞数に応じ、IL−2含有の培養液を適宜添加する。このときのIL−2の含有濃度は0〜3
000U/mLとなるように適宜添加する。
【0041】
培養開始後、上記培養液に濃度が10−4M以下となるようにグルココルチコイドを添加する。ここで、使用されるグルココルチコイドとしては、例えば酢酸ヒドロコルチゾン、酪酸ヒドロコルチゾン、塩酸ヒドロコルチゾン、酢酸デキサメタゾン、リン酸デキサメタゾン、及び吉草酸デキサメタゾン等並びにそれらの塩及び/又はそれらの水和物が挙げられる。例えばコハク酸ヒドロコルチゾン、その塩及び/又はそれらの水和物であれば1×10−8M以上1×10−4M以下にすることが好ましい。
【0042】
上記グルココルチコイドの添加時期は培養開始3日目から7日目の間であれば、概ね10〜3000倍程度の増殖率でNK細胞が得られ、十分な効果が期待できる。好ましくは、培養開始から3日目に添加することで、高増殖率でNK細胞を得ることができる。
【0043】
培養開始後、上記培養液に濃度が50ng/mL以上となるようにIL−18(商品名:Recombinant Human Interleukin 18、医学生物学研究所)を添加する。
【0044】
上記IL−18の添加時期は培養開始0日目から14日目の間であれば、十分な効果が期待できる。好ましくは、培養開始から3日目に添加することで、14〜2900倍のNK細胞が得られる。IL−2のみを添加する従来の方法だと、得られるNK細胞は2〜90倍であり、本発明のNK培養は従来の方法と比較して概ね18倍ほどのNK細胞が得られる。
【0045】
培養期間としては7日間以上であれば高純度でNK細胞を含む細胞群が得られるが、NK細胞の細胞数を増やすには、14〜28日間程度培養することが好ましい。
【0046】
上記培養により得られた細胞を遠心分離法等により培地を取り除き、回収する。回収した細胞を洗浄液で洗浄する。洗浄液は細胞と浸透圧が等しい等張液であることが好ましく、医薬品として使用可能な液体であればより好ましい。洗浄後に得られた細胞を遠心分離法等で回収する。
【0047】
上述の通り、本発明の培養方法によれば、グルココルチコイド及びIL−18を培養開始後に添加することにより、大量のNK細胞を得ることが可能である。また細胞集団中のNK細胞率は従来の方法では6〜70%であるが、本発明の培養方法では安定的に65%以上の細胞率となり、従来の方法と比べてNK細胞率をおよそ2倍に上昇させることが可能となり、効率良くNK細胞を増殖させることができる。
【0048】
次に、本発明のNK細胞について説明する。
【0049】
<NK細胞>
【0050】
本発明のNK細胞は、末梢血単核球にグルココルチコイド及びIL−18を添加して培養して得られるものである。具体的には、本発明の培養方法により得られるNK細胞である。
【0051】
本発明の培養方法により培養されたNK細胞は、従来の培養方法で得られたNK細胞と比較して細胞傷害活性、細胞保存安定性に優れている。また、本発明のNK細胞は、得られるNK細胞数中の細胞表面マーカーCD16陽性NK細胞の割合が70%以上の割合で含む細胞集団であるため、高いADCC活性を有する。
【0052】
上記本発明のNK細胞の特性は、サイトカイン産生細胞率、生細胞率及び細胞表面マーカーの発現等を測定することにより、判定することが可能である。
【0053】
IFNγは、T細胞やNK細胞等が産生するサイトカインである。NK細胞が腫瘍細胞やウィルス感染症を認識すると分泌され、近傍細胞の増殖抑制や貪食機能促進、NK細胞自身の活性増強等の機能を持つ。従って、培養細胞中IFNγ産生細胞率を測定した値が、上記に示すような機能を持った細胞集団の割合である。
【0054】
本発明のNK細胞は、IL−18を添加して培養することによりIFNγ産生が増強されるため、従来の手法で得られるNK細胞と比較してIFNγ産生率の高い細胞集団となり、細胞傷害活性に優れている。
【0055】
本発明における細胞保存安定性は、例えば、上記NK細胞を含む培養細胞を保存後、一定時間ごとに培養液中のLAKregion内細胞率(フローサイト解析画面で細胞の大きさを示すプロットにおける死細胞を除くゲート)及び生細胞率を測定することで示すことができる。
【0056】
該NK細胞は、保存後の生細胞率の高い細胞集団であり、細胞保存安定性に優れている。これは、ヒドロコルチゾン存在下でNK細胞が培養されることによりBimなどのアポトーシスを誘導する分子が抑制されるためと考えられる。
【0057】
NK細胞における、ADCC活性を判定する方法として、例えば、細胞表面マーカーであるCD16陽性細胞率を測定することが挙げられる。CD16分子は、標的細胞に結合した抗体のFc領域に結合する、Fc受容体である。CD16を発現しているNK細胞は、標的細胞を覆った抗体に結合し、且つ傷害することができるため、有効にADCCを誘導することが可能である。また、細胞表面マーカーCD3陰性CD56陽性細胞(CD3−CD56+)の細胞集団をNK細胞とみなすことができるので、CD3陰性CD56陽性細胞CD16陽性細胞(CD3−CD56+CD16+)がADCCに有効な細胞傷害能を持つNK細胞であるといえる。
【0058】
本発明のNK細胞は、上述したCD3陰性CD56陽性細胞CD16陽性細胞(CD3−CD56+CD16+)が、得られたNK細胞数中概ね70%以上となるため、ADCC活性が高いNK細胞集団であると言える。
【0059】
以上、説明した通り、本発明のNK細胞は、高効率な増殖性及び高NK細胞率であることに加えて、高細胞傷害活性能及び高細胞保存安定性等の特性を示す。また、NK細胞中のCD16陽性細胞率が非常に高く、ADCC活性が高い細胞集団である。該NK細胞はADCCを介してモノクローナル抗体治療薬の効果を増強する働きを持つため、治療・予防剤及び治療方法に用いることで、高い治療効果をあげることが可能となる。
【0060】
次に、本発明の培養方法によって得られたNK細胞を含む治療・予防剤及び治療方法(以下、本発明の治療・予防剤、本発明の治療方法とも言う)について説明する。
【0061】
<本発明の治療・予防剤、治療方法>
本発明の治療・予防剤及び治療方法は、末梢血単核球にグルココルチコイド及びIL−18を添加して培養したNK細胞を含むものである。
【0062】
該NK細胞はADCCを作用機序とするモノクローナル抗体治療薬の効果を増強するような特性を持つため、モノクローナル抗体治療薬と併用することにより、高い治療効果をあげることが可能となる。
【0063】
本発明の治療・予防剤に用いられるNK細胞は、上記のとおり得られたNK細胞を遠心分離等により回収して用いる。
【0064】
本発明の薬剤に用いるNK細胞数は、投与方法、疾病の種類、患者の症状等に応じて適宜選択されるが、通常、一回の投与あたり概ね10〜1012個/人であることが好ましく、より好ましくは10個/人以上である。投与間隔としては、週一回投与や隔週投与、あるいは複数週間に一回投与などが可能であるが、これら投与量、投与間隔などは患者の状態、疾病の種類に応じて適宜調整することができる。
【0065】
回収した細胞を洗浄液で洗浄する。洗浄液は、細胞と浸透圧が等しい等張液であることが好ましく、医薬品として使用可能な液体であればより好ましい。ここで、患者に投与することを考慮すると、例えば生理食塩水等を利用することが好ましい。
【0066】
生理食塩水に懸濁してNK細胞を含む薬剤を得る。
【0067】
本薬剤を投与する方法としては、例えば静脈内、皮内、皮下、リンパ節等へ注射することができる。また、病変部に直接注入してもよく、例えば内視鏡的または経皮的に直接穿針して投与することもできる。更に、病変部近辺の動脈から注入してもよく、例えばがん栄養血管に選択的に挿入された動脈カテーテルを経由して投与することができる。
【0068】
NK細胞は自己由来であれば、投与した際に患者の免疫系に排除されることなく、その機能を発揮することが可能である。
【0069】
次にモノクローナル抗体治療薬を含む薬剤について説明する。モノクローナル抗体治療薬としては様々なものを用いることができ、例えばトラスツズマブ(製品名ハーセプチン 登録商標、製造販売元:中外製薬株式会社)、リツキシマブ(製品名リツキサン 登録商標、製造販売元:全薬工業株式会社、発売元:中外製薬)、セツキシマブ(製品名エルビタックス 登録商標、製造元イムクローン・システムズ、販売元ブリストル・マイヤーズスクイブ)及びアレムツズマブ(米国内商品名
ampath)等が挙げられる。
【0070】
モノクローナル抗体の特徴としては、がん細胞表面上の分子を標的とし、ヒトFc部分を持ったヒト抗体およびマウス・ヒトキメラ抗体である。具体的には、CD20を標的としたリツキシマブ、HER2(Human Epidermal Growth Factor Receptor Type 2、ヒト上皮増殖因子受容体2型)を標的としたトラスツマブ、EGFR(Epidermal Growth Factor Receptor、上皮増殖因子受容体)を標的としたセツキシマブ、CD52を標的としたアレムツズマブなどを用いることができるが、ここではリツキシマブ、トラスツズマブを例として説明する。
【0071】
リツキシマブはヒトBリンパ球表面に発現するCD20抗原に結合するモノクローナル抗体であり、B細胞性非ホジキンリンパ腫を対象としたモノクローナル抗体治療薬である。また、CD20陽性慢性リンパ性白血病の治療薬として用いられることもある。
【0072】
リツキシマブは例えばリツキサン(登録商標、製造販売元:中外製薬株式会社)等として入手することができる。瓶内のリツキシマブ溶液を生理的に許容可能な溶液、例えば生理食塩水等により希釈して調製する。
【0073】
リツキシマブの投与量は0.0001〜30mg/kgであることが好ましい。特に、臨床におけるリツキシマブの投与量は1回375mg/mであるが、患者の状態に応じて減量することもできる。
【0074】
トラスツズマブはHER2に結合するモノクローナル抗体で、HER2過剰発現が確認された転移性乳がんを対象としたモノクローナル抗体治療薬である。また、HER2を過剰に発現したその他の癌の治療薬として用いられることもある。
【0075】
トラスツズマブは例えばハーセプチン(登録商標、製造販売元:中外製薬株式会社)等として入手することができる。バイアル内のトラスツズマブを生理食塩水に溶解して、必要量抜き取り、生理的に許容可能な溶液、例えば生理食塩水等に溶解して調製する。
【0076】
トラスツズマブの投与量は0.01〜10mg/kgであることが好ましい。
特に、臨床におけるトラスツズマブの投与量は初回投与時は4mg/kg、2回目以降は2mg/kgであるが、患者の状態に応じて減量することもできる。
【0077】
本発明のNK細胞をがんの治療・予防剤として使用する場合には、様々なサイトカイン及びインターフェロン等を組み合わせることも可能である。
【0078】
本発明のNK細胞とモノクローナル抗体治療薬を個別に投与しても、一つの溶液としても良く、例えば一つの溶液にすることで1度に2種の薬剤を投与することができ、患者への負担や作業の軽減を図ることができる。
【0079】
投与頻度としては、同時投与を行う場合は例えば、リツキシマブまたはトラスツズマブの投与頻度と同じとし、適時本発明のNK細胞を単独で追加投与することも可能である。
【0080】
本薬剤を投与する方法としては、例えば静脈内、皮内、皮下、リンパ節等へ注射することができる。また、病変部に直接注入してもよく、例えば内視鏡的または経皮的に直接穿針して投与することもできる。更に、病変部近辺の動脈から注入してもよく、例えばがん栄養血管に選択的に挿入された動脈カテーテルを経由して投与することができる。
【0081】
この際、リツキシマブを添加した場合には投与開始時にはリツキシマブが25mg/時の速度となるようにし、患者の状態を観察しながら100mg/時、200mg/時まで速度を上げることができる。
【0082】
トラスツズマブを添加した場合には90分以上かけて投与するようにする。
【0083】
該NK細胞を含む薬剤とモノクローナル抗体治療薬を含む薬剤を投与する順序としては、
1) NK細胞を含む薬剤とモノクローナル抗体治療薬を同時に別剤として投与する場合、
2) モノクローナル抗体治療薬を含む薬剤を投与した後に、適宜時間を経てからNK細胞を含む薬剤を別剤として投与する場合、
3) NK細胞とモノクローナル抗体治療薬とを混合した薬剤を投与する場合
が考えられ、いずれの順序でも良いが、患者の症状に応じて適宜調整される。
【0084】
また、本発明NK細胞は、モノクローナル抗体治療薬の効果を増強するような特性を持つため、モノクローナル抗体治療薬アジュバントとして用いることが可能である。
【0085】
本発明NK細胞をモノクローナル抗体治療薬アジュバントとして使用し、がん及びウィルス感染症等の難治性疾患の治療・予防剤と併用する場合には、様々なサイトカイン及びインターフェロン等を組み合わせることも可能である。
【0086】
本発明NK細胞は様々なモノクローナル抗体治療薬に対するアジュバントとして用いることが可能であり、例えばトラスツズマブ(製品名ハーセプチン 登録商標、製造販売元:中外製薬株式会社)、リツキシマブ(製品名リツキサン 登録商標、製造販売元:全薬工業株式会社、発売元:中外製薬)、セツキシマブ(製品名エルビタックス 登録商標、製造元イムクローン・システムズ、販売元ブリストル・マイヤーズスクイブ)及びアレムツズマブ(米国内商品名Campath)等が挙げられる。
【0087】
トラスツズマブをはじめとしたモノクローナル抗体治療薬を用いた治療において、モノクローナル抗体治療薬、及び本発明NK細胞を含むモノクローナル抗体治療薬アジュバントを投与する順序としては
1) モノクローナル抗体治療薬を同時に別剤として投与する場合、
2) モノクローナル抗体治療薬を含む薬剤を投与した後に、適宜時間を経て別剤として投与する場合、
3) モノクローナル抗体治療薬と混合した薬剤を投与する場合
等が挙げられ、いずれの順序でも良いが、患者の症状に応じて適宜調整される。
【0088】
本発明NK細胞を含むモノクローナル抗体治療薬アジュバントは既存のモノクローナル抗体治療薬のみならず、今後開発されるモノクローナル抗体治療薬の効果をも向上させることが可能である。
【0089】
以上、本発明のNK細胞を用いた治療・予防剤及び治療方法は、モノクローナル抗体治療薬の効果を増強し、高い効果をあげることが可能となる。該治療・予防剤、治療方法は、従来技術のような煩雑な工程を含まず簡便であり、拒絶反応等のおそれが少なく安全性が高い。
【0090】
以下、実施例を用いて本発明を詳細に説明する。ただし、本発明がこれに限定されるものでないことは言うまでもない。
【実施例1】
【0091】
<IL−18、ヒドロコルチゾン添加時期の決定のための試験>
1−1:NK細胞の培養
健常人ドナーから末梢血を48ml採血し、血球分離用比重液充填済み採血管を用いて末梢血単核球を分離した。
得られた末梢血単核球を、AlyS203(IL−2 1000IU/mL含有。(株)細胞科学研究所製)に懸濁し、24 well plate(SUMILON)に、1.0×10/1mLの末梢血単核球を播種した。
この時、IL−18(登録商標、Recombinant Human Interleukin 18、医学生物学研究所)を100ng/mL添加したウェルと、IL−18およびコハク酸ヒドロコルチゾンナトリウム(商品名:サクシゾン、興和創薬株式会社)を濃度が10−4Mとなるように添加したウェルと、IL−18およびヒドロコルチゾンを添加しないウェルを作成し、37℃、5%CO濃度条件下で培養を開始した。
【0092】
培養開始時にIL−18を添加したウェルにおいては、細胞の増殖に応じて培養液AlyS203(IL−2 1000IU/mL含有。(株)細胞科学研究所製)を添加して14日間培養を行った。この場合、添加培地量に対してIL−18を開始から3,5,7,10,及び12日目まで、それぞれ100ng/mLの濃度で継続添加した。また、更に各々3,5,7,10,12日目において、すなわちそれぞれのIL−18添加最終日に、コハク酸ヒドロコルチゾンナトリウムを培養液量に対して濃度が10−4Mとなるように添加した(これらをそれぞれday3IL−18+day3HC,day5IL−18+day5HC,day7IL−18+day7HC,day10IL−18+day10HC,day12IL−18+day12HCとする)。
また、培養開始時にIL−18とヒドロコルチゾンを添加したウェルにおいては、細胞の増殖に応じて培養液AlyS203(IL−2 1000IU/mL含有。(株)細胞科学研究所製)を添加しながら14日間培養を行い、その際に培養を開始してから3,5,7日目まで、IL−18を添加培地量に対して100ng/mLの濃度で継続添加した(これらをそれぞれday3IL−18+day0HC,day5IL−18+day0HC,day7IL−18+day0HCとする)。
培養開始時にIL−18とヒドロコルチゾンを添加しないウェルにおいては、細胞の増殖に応じて培養液AlyS203(IL−2 1000IU/mL含有。(株)細胞科学研究所製)を添加し14日間培養を行った(Control)。
【0093】
1−2:培養14日間でのNK細胞増殖率
上述の試験培養開始時および培養14日目において、血球計算盤にて各条件の細胞数を測定した。また、FITC標識された抗CD3抗体(ベックマン・コールター)、PE標識された抗CD56抗体(ベックマン・コールター)、ECD標識された抗CD45抗体(ベックマン・コールター)をPBSで洗浄した細胞に添加し、遮光の状態で、4℃で30分染色した。細胞の測定はCytomics FC500を用い、測定結果の解析にはCytomics CXP Analysisを用いた。
上記の計測によって得られた総細胞数とCD3−CD56+細胞率を掛けてNK細胞数とし、培養開始時から培養14日目までに増殖したNK細胞の倍率をNK細胞増殖率とし、図1に示す。
【0094】
図1に示すように、培養開始時にIL−18とヒドロコルチゾンを添加した条件では、培養開始時にIL−18を添加し、ヒドロコルチゾンを途中添加した条件よりも、NK細胞増殖が低いことが確認された。また、培養開始時にIL−18を添加しヒドロコルチゾンを途中添加した条件においては、ヒドロコルチゾン添加時期が早い方が高いNK細胞増殖率を示していた。
以上の結果から、特に培養開始3〜7日目にヒドロコルチゾンを添加することが好ましいことがわかった。
【実施例2】
【0095】
<NK細胞の調製>
2−1:本発明のNK細胞の調製
健常人ドナー4名から末梢血を48mL採血し、血球分離用比重液充填済み採血管を用いて末梢血単核球を分離した。
得られた末梢血単核球を、AlyS203(IL−2 1000IU/mL含有。(株)細胞科学研究所)に懸濁した。
T75−flask(SUMILON)に、1.7×107/17mLの末梢血単核球を播種した。IL−2を1000IU/mL、IL−18(登録商標、Recombinant Human Interleukin 18、医学生物学研究所)を100ng/mL添加し、37℃、5%CO濃度条件下で培養を開始した。
培養を開始してから3日後にコハク酸ヒドロコルチゾンナトリウム(商品名:サクシゾン、興和創薬株式会社)を濃度が10−4Mとなるように添加した。更に細胞の増殖に応じて培養液AlyS203(IL−2 1000IU/mL含有)を添加し、14日間培養を行った。
【0096】
2−2:比較例となるコントロールNK細胞の調製
健常人ドナー4名(上記検体と同一)から末梢血を48mL採血し、血球分離用比重液充填済み採血管を用いて末梢血単核球を分離した。
得られた末梢血単核球を、AlyS203(IL−2 1000IU/mL含有。(株)細胞科学研究所製)に懸濁した。
T75−flask(SUMILON、住友ベークライト)に、1.7×107mLの末梢血単核球を播種した。IL−2を1000IU/mLを添加し、37℃、5%CO濃度条件下で培養を開始した。
細胞の増殖に応じて培養液AlyS203(IL−2 1000IU/mL含有。(株)細胞科学研究所製)を添加し、14日間培養を行った。
【0097】
2−3:細胞数の測定
細胞培養液から10μLの細胞懸濁液を分取し、血球計算盤にて細胞数を測定した。
上記測定の結果を図2に示す。図2に示すように、本発明の培養方法によれば、従来のNK細胞の培養方法(IL−2のみ)より多くの細胞を得ることが可能となる。
【実施例3】
【0098】
<細胞表面マーカーの測定>
FITC標識された抗CD3抗体(ベックマン・コールター)、PE標識された抗CD56抗体(ベックマン・コールター)、ECD標識された抗CD45抗体(ベックマン・コールター)を培養後PBSで洗浄した細胞に添加した。遮光の状態で、4℃で30分染色した。細胞の測定はCytomics FC500を用い、測定結果の解析にはCytomics CXP Analysisを用いた。
その結果を図3に示す。
【0099】
図3に示すように、本発明の培養方法によれば、従来のNK細胞の培養方法(IL−2のみ)よりCD3−CD56+細胞率の割合が高い細胞集団を得ることが可能となる。
【0100】
FITC標識された抗CD3抗体(ベックマン・コールター)、PE標識された抗CD56抗体(ベックマン・コールター)、ECD標識された抗CD45抗体(ベックマン・コールター)、PC5標識された抗CD16抗体(ベックマン・コールター)を培養後PBSで洗浄した細胞に添加した。遮光の状態で、4℃で30分染色した。細胞の測定はCytomics FC500を用い、測定結果の解析にはCytomics CXP Analysisを用いた。その結果を図4および図5に示す。
【0101】
図4および図5に示すように、本発明の培養方法によれば、従来のNK細胞の培養方法(IL−2のみ)より、細胞集団全体のCD16発現率およびCD3−CD56+細胞集団のCD16発現率が高くなることが確認された。
【実施例4】
【0102】
<IFNγ産生細胞の比率>
24 well plate(SUMILON、住友ベークライト)に、20ng/mL PMA(Sigma)および2μg/mL lonomycin(Sigma)および20μg/mL Breferdin A(Sigma)を含有したRPMI−1640(GIBCO)(10%FBS:Fetal Bovine Serum)1mLを添加し、培養後PBSで洗浄した細胞を3×10cells/mLで播種した。37℃、5%CO濃度条件下で4時間培養した。培養後細胞を回収、PBSで洗浄し、IntraPrep細胞内染色キット(ベックマン・コールター)を使用し、細胞の調製を行った。その際の細胞内サイトカインは、FITC標識された抗IFNγ抗体(ベックマン・コールター)で染色した。細胞の測定はCytomics FC500を用い、測定結果の解析にはCytomics CXP Analysisを用いた。
【0103】
その結果を図6に示す。図6に示すように、本発明の培養方法によれば、従来のNK細胞の培養方法(IL−2のみ)より、培養細胞集団全体のIFNγ産生細胞率が高くなることが確認された。
【実施例5】
【0104】
<細胞保存安定性の測定>
培養後PBSで洗浄した細胞を5×107cells/mLで、1%ブミネート25(商品名)および7%ラクトリンゲルを含有する生理食塩液に懸濁し、6℃で保存した。0,6,24,30,48時間保存後の細胞を1×10cells程度分取し、Propidium Iodide20μg/mLで染色直後にFCMにて測定した。
【0105】
その結果を図7に示す。図7に示すように、本発明の培養方法(IL−2、IL−18、ヒドロコルチゾン添加)によれば、従来のNK細胞の培養方法IL−2のみ)より、保存後の生細胞率が高くなることが確認された(n=4平均)。
【実施例6】
【0106】
<ADCC効果の測定>
ターゲット細胞として、高HER2発現乳癌細胞株であるSK−BR−3細胞を調製した。SK−BR−3細胞をRPMI1640(10%FBS:Fetal Bovine Serum)で1×10cells/mLに調製し、Calcein AM(同仁科学)10μg/mLで37℃、30分染色後洗浄し、トラスツズマブ(商品名:ハーセプチン、中外製薬)10μg/mLを添加したものと添加しないものを準備した。ハーセプチン処理したSK−BR−3細胞とハーセプチン処理していないSK−BR−3細胞それぞれを96 well plate(Coster)に1×10cells/mLで播種した。
実施例1および2で調整した、培養後の本発明のNK細胞およびコントロールのNK細胞をエフェクター細胞とし、96 well plate(Coster)にハーセプチン処理有無のターゲット細胞に対して25:1、5:1となるように播種し、37℃、5%CO2条件下で4時間混合培養を行った。
次いで1時間ごとのターゲット細胞の蛍光強度を測定、0時間測定時の蛍光強度からの残存率を算出し、下記の式により細胞傷害活性を求めた。
【0107】
細胞傷害活性(%)={(エフェクター細胞と混合培養したターゲット細胞の平均蛍光強度残存率)−(ターゲット細胞の自然遊離平均蛍光強度残存率)}/{(ターゲット細胞の最大遊離蛍光強度残存率)-(ターゲット細胞の自然遊離平均蛍光強度残存率)}×100
【0108】
結果を図8に示す。従来のNK細胞の培養方法(IL−2のみ)では、ハーセプチン処理をしたSK−BR−3細胞に対する細胞傷害活性が60%であった(n=4平均)が、本発明の培養方法によれば、ハーセプチン処理をしたSK−BR−3細胞に対する細胞傷害活性が90%まで増加した(同一検体n=4平均)。また、本発明の培養方法にてハーセプチン処理をしないSK−BR−3細胞に対する細胞傷害活性が40%程度であったことから、ハーセプチン処理によりNK細胞のADCC活性が上昇することが確認された。
【産業上の利用可能性】
【0109】
以上説明したように、本発明のNK細胞の培養方法は、従来行われてきた培養方法(IL−2のみ)と比較して、NK細胞数が多く(平均18倍増加)、細胞集団中のNK細胞率が高く(平均2倍増加)、IFNγ産生細胞率も多い(平均1.5倍増加)培養方法である。また、細胞傷害活性が高く、特にADCC活性が高い(平均1.5倍増加)。したがって、本発明はがん治療のための免疫細胞療法等の医療分野等に有用であり、特に抗体医薬との併用療法に有用である。
【図面の簡単な説明】
【0110】
【図1】図1は、グルココルチコイドとIL−18の添加時期を変えて培養したときのNK細胞の増殖率の違いを示すグラフである。
【図2】図2は、本発明の培養方法及び従来の培養方法で得られた全細胞数の比較を示すグラフである。
【図3】図3は、本発明の培養方法及び従来の培養方法で得られたCD3−CD56+細胞率の割合の比較を示すグラフである。
【図4】図4は、本発明の培養方法及び従来の培養方法で得られた全細胞集団中のCD16陽性細胞発現率の比較を示すグラフである。
【図5】図5は、本発明の培養方法及び従来の培養方法で得られたNK細胞集団中のCD16陽性細胞率の比較を示すグラフである。
【図6】図6は、本発明のNK細胞と従来の培養方法によるNK細胞との、IFNγの産生量の差を示すグラフである。
【図7】図7は、本発明のNK細胞と従来の培養方法によるNK細胞との、保存後の生細胞率の割合を示すグラフである。
【図8】図8は、本発明のNK細胞と従来の培養方法によるNK細胞との、SK−BR−3細胞に対する細胞傷害活性の度合いを示すグラフである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
末梢血単核球にグルココルチコイド及びIL−18を添加して培養することを特徴とするNK細胞の培養方法。
【請求項2】
前記グルココルチコイド添加濃度が10−8M以上10−4M以下であることを特徴とする請求項1に記載のNK細胞の培養方法。
【請求項3】
前記グルココルチコイドの添加時期が培養開始後1〜7日目であることを特徴とする請求項1又は2に記載のNK細胞の培養方法。
【請求項4】
前記グルココルチコイドが、ヒドロコルチゾン又はデキサメタゾンであることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか一項に記載のNK細胞の培養方法。
【請求項5】
前記IL−18の添加濃度が50ng/mL以上であることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか一項に記載のNK細胞の培養方法。
【請求項6】
前記IL−18の添加時期が培養開始後0〜3日目であることを特徴とする請求項1乃至5のいずれか一項に記載のNK細胞の培養方法。
【請求項7】
IL−2を更に含むことを特徴とする請求項1乃至6のいずれか一項に記載のNK細胞の培養方法。
【請求項8】
前記IL−2の添加濃度が1〜3000IU/mLであることを特徴とする請求項1乃至7のいずれか一項に記載のNK細胞の培養方法。
【請求項9】
前記IL−2の添加時期が培養開始時であることを特徴とする請求項1乃至
8のいずれか一項に記載のNK細胞の培養方法。
【請求項10】
末梢血単核球にグルココルチコイド及びIL−18を添加して培養して得られるNK細胞。
【請求項11】
前記グルココルチコイドの添加濃度が10−8M以上10−4M以下であることを特徴とする請求項10に記載のNK細胞。
【請求項12】
前記グルココルチコイドの添加時期が培養開始後1〜7日目であることを特徴とする請求項10又は11に記載のNK細胞。
【請求項13】
前記グルココルチコイドがヒドロコルチゾン又はデキサメタゾンであることを特徴とする請求項10乃至12のいずれか一項に記載のNK細胞。
【請求項14】
前記IL−18の添加濃度が50ng/mL以上であることを特徴とする請求項10乃至13のいずれか一項に記載のNK細胞。
【請求項15】
前記IL−18の添加時期が培養開始後0〜3日目であることを特徴とする請求項10乃至14のいずれか一項に記載のNK細胞。
【請求項16】
IL−2を更に含むことを特徴とする請求項10乃至15のいずれか一項に記載のNK細胞。
【請求項17】
前記IL−2の添加濃度が1〜3000IU/mLであることを特徴とする請求項10乃至16のいずれか一項に記載のNK細胞。
【請求項18】
前記IL−2の添加時期が培養開始時であることを特徴とする請求項10乃至17のいずれか一項に記載のNK細胞。
【請求項19】
末梢血単核球にグルココルチコイド及びIL−18を添加して培養したNK細胞を含む治療・予防剤。
【請求項20】
前記グルココルチコイド添加濃度が10−8M以上10−4M以下であることを特徴とする請求項19に記載の治療・予防剤。
【請求項21】
前記グルココルチコイドの添加時期が培養開始後1〜7日目であることを特徴とする請求項19又は20に記載の治療・予防剤。
【請求項22】
前記グルココルチコイドが、ヒドロコルチゾン又はデキサメタゾンであることを特徴とする請求項19乃至21のいずれか一項に記載の治療・予防剤。
【請求項23】
前記IL−18の添加濃度が50ng/mL以上であることを特徴とする請求項19乃至22のいずれか一項に記載の治療・予防剤。
【請求項24】
前記IL−18の添加時期が培養開始後0〜3日目であることを特徴とする請求項19乃至23のいずれか一項に記載の治療・予防剤。
【請求項25】
IL−2を更に含むことを特徴とする請求項19乃至24のいずれか一項に記載の治療・予防剤。
【請求項26】
前記IL−2の添加濃度が1〜3000IU/mLであることを特徴とする請求項19乃至25のいずれか一項に記載の治療・予防剤。
【請求項27】
前記IL−2の添加時期が培養開始時であることを特徴とする請求項19乃至26のいずれか一項に記載の治療・予防剤。
【請求項28】
前記NK細胞が自己リンパ球由来であることを特徴とする請求項19乃至27のいずれか一項に記載の治療・予防剤。
【請求項29】
モノクローナル抗体治療薬を更に含むことを特徴とする請求項19乃至28のいずれか一項に記載の治療・予防剤。
【請求項30】
前記モノクローナル抗体治療薬がトラスツズマブであることを特徴とする請求項19乃至29のいずれか一項に記載の治療・予防剤。
【請求項31】
前記モノクローナル抗体治療薬がリツキシマブであることを特徴とする請求項19乃至請求項29のいずれか一項に記載の治療・予防剤。
【請求項32】
末梢血単核球にグルココルチコイドとIL−18を添加して増殖させたNK細胞を投与することを特徴とする治療方法。
【請求項33】
前記グルココルチコイド添加濃度が10−8M以上10−4M以下であることを特徴とする請求項32に記載の治療方法。
【請求項34】
前記グルココルチコイドの添加時期が培養開始後1〜7日目であることを特徴とする請求項32又は33に記載の治療方法。
【請求項35】
前記グルココルチコイドが、ヒドロコルチゾン又はデキサメタゾンであることを特徴とする請求項32乃至34のいずれか一項に記載の治療方法。
【請求項36】
前記IL−18の添加濃度が50ng/mL以上であることを特徴とする請求項32乃至35のいずれか一項に記載の治療方法。
【請求項37】
前記IL−18の添加時期が培養開始後0〜3日目であることを特徴とする
請求項32乃至36のいずれか一項に記載の治療方法。
【請求項38】
IL−2を更に含むことを特徴とする請求項32乃至37のいずれか一項に記載の治療方法。
【請求項39】
前記IL−2の添加濃度が1〜3000IU/mLであることを特徴とする請求項32乃至38のいずれか一項に記載の治療方法。
【請求項40】
前記IL−2の添加時期が培養開始時であることを特徴とする請求項32乃至39のいずれか一項に記載の治療方法。
【請求項41】
前記NK細胞が自己リンパ球由来であることを特徴とする請求項32乃至40のいずれか一項に記載の治療方法。
【請求項42】
モノクローナル抗体治療薬を更に含むことを特徴とする請求項32乃至請求項41のいずれか一項に記載の治療方法。
【請求項43】
前記モノクローナル抗体治療薬がトラスツズマブであることを特徴とする請求項32乃至42のいずれか一項に記載の治療方法。
【請求項44】
前記モノクローナル抗体治療薬がリツキシマブであることを特徴とする請求項32乃至42のいずれか一項に記載の治療方法。
【請求項45】
グルココルチコイドとIL−18を添加して増殖させたNK細胞を含むモノクローナル抗体治療薬アジュバント。
【請求項46】
前記グルココルチコイド添加濃度が10−8M以上10−4M以下であることを特徴とする請求項45に記載のモノクローナル抗体治療薬アジュバント。
【請求項47】
前記グルココルチコイドの添加時期が培養開始後1〜7日目であることを特徴とする請求項45又は46に記載のモノクローナル抗体治療薬アジュバント。
【請求項48】
前記グルココルチコイドが、ヒドロコルチゾン又はデキサメタゾンであることを特徴とする請求項45乃至47のいずれか一項に記載のモノクローナル抗体治療薬アジュバント。
【請求項49】
前記IL−18の添加濃度が50ng/mL以上であることを特徴とする請求項45乃至48のいずれか一項に記載のモノクローナル抗体治療薬アジュバント。
【請求項50】
前記IL−18の添加時期が培養開始後0〜3日目であることを特徴とする請求項45乃至49のいずれか一項に記載のモノクローナル抗体治療薬アジュバント。
【請求項51】
IL−2を更に含むことを特徴とする請求項45乃至50のいずれか一項に記載のモノクローナル抗体治療薬アジュバント。
【請求項52】
前記IL−2の添加濃度が1〜3000IU/mLであることを特徴とする請求項45乃至51のいずれか一項に記載のモノクローナル抗体治療薬アジュバント。
【請求項53】
前記IL−2の添加時期が培養開始時であることを特徴とする請求項45乃至52のいずれか一項に記載のモノクローナル抗体治療薬アジュバント。
【請求項54】
前記NK細胞が自己リンパ球由来であることを特徴とする請求項45又は53のいずれか一項に記載のモノクローナル抗体治療薬アジュバント。
【請求項55】
モノクローナル抗体治療薬を更に含むことを特徴とする請求項45乃至54のいずれか一項に記載のモノクローナル抗体治療薬アジュバント。
【請求項56】
前記モノクローナル抗体治療薬がトラスツズマブであることを特徴とする請求項45乃至55のいずれか一項に記載のモノクローナル抗体治療薬アジュバント。
【請求項57】
前記モノクローナル抗体治療薬がリツキシマブであることを特徴とする請求項45乃至55のいずれか一項に記載のモノクローナル抗体治療薬アジュバント。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2010−220479(P2010−220479A)
【公開日】平成22年10月7日(2010.10.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−159578(P2007−159578)
【出願日】平成19年6月15日(2007.6.15)
【出願人】(598086844)株式会社メディネット (10)
【Fターム(参考)】