説明

NNRT阻害剤

本発明は、ヒト免疫不全ウイルス(HIV)感染症の治療または予防、またはエイズ(AIDS)またはARCの治療に有用な式(I)の化合物(式中、R〜Rは本明細書に規定の通り)を提供する。さらに本発明は、式(I)による化合物およびこれを含む組成物を用いたHIV感染症を治療または予防するための方法を提供する。さらにまた本発明は、式(I)の化合物(式中、RはAであり、そしてXはNHまたはOである)の調製方法を提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、抗ウイルス性の療法の分野、特にHIV逆転写酵素を阻害し、ヒト免疫不全ウイルス(HIV)媒介疾患の治療に有用な非ヌクレオシド化合物に関する。本発明は、HIV媒介疾患、AIDSまたはARCの治療または予防のための、式Iに示される新規なヘテロ環状化合物を提供し、前記化合物を単一療法または併用療法として用いる。
【0002】
ヒト免疫不全ウイルスHIVは、免疫システム、特にCD4+T細胞の破壊に特徴付けられ、日和見感染症を付随してかかりやすい病気である、後天性免疫不全症候群(AIDS)の原因物質である。HIV感染はまた、永続性の一般化されたリンパ節症、発熱および体重減などの兆候で特徴付けられる症候群である前駆AIDS関連症候群(ARC)を伴う。
【0003】
他のレトロウイルスにも共通して、HIVゲノムは、ウイルスプロテアーゼが処理するgagおよびgag-polとして知られるタンパク質前駆体をコードし、プロテアーゼ、逆転写酵素(RT)、エンドヌクレアーゼ/インテグラーゼ、およびウイルス核の成熟した構造タンパク質を生成する。このプロセスを妨害すると、通常の感染ウイルスの生成が妨げられる。これまで、ウイルスにコードされた酵素の阻害によってHIVを制御することに、多くの努力が向けられてきた。
【0004】
現在利用可能な化学療法は、ウイルス性タンパク質の生成に欠くことのできない2種の必須のウイルス性酵素:HIVプロテアーゼおよびHIV逆転写酵素を標的にしている(J. S. G. Montanerら Antiretroviral therapy: 'the state of the art', Biomed. & Pharmacother. 1999 53:63- 72; R. W. ShaferおよびD. A. Vuitton, Highly active retroviral therapy (HAART) for the treatment of infection with human immunodeficiency virus type, Biomed. & Pharmacother.1999 53 :73-86; E. De Clercq, New Developments in Anti-HIV Chemotherap. Curr. Med. Chem. 2001 8:1543-1572)。RTI阻害剤には、ヌクレオシド系逆転写酵素阻害剤(NRTI)および非ヌクレオシド系逆転写酵素阻害剤の2種の一般的なクラスが確認されている。
【0005】
NRTIは、典型的には、ウイルス性RTと相互作用する前にリン酸化されなければならない2’、3’−ジデオキシヌクレオシド(ddN)類似体である。対応するトリフォスフェイトは、ウイルス性RTに対して競争阻害剤または代替基質として機能する。核酸に組み込まれた後、ヌクレオシド類似体は鎖延長プロセスを停止する。HIV逆転写酵素はDNA校正能力を有しており、耐性株にヌクレオシド類似体を分裂させて延長を持続することによって、上記の阻害を解消させる。
【0006】
NNRTIは1989年に最初に発見された。NNRTIは、非基質結合部位でHIV逆転写酵素に可逆的に結合し、これによって活性部位の形状を変形するかまたはポリメラーゼ活性を停止するアロステリックな阻害剤である(R. W. Buckheit, Jr., "Non-nucleoside reverse transcriptase inhibitors: perspectives for novel therapeutic compounds and strategies for treatment of HIV infection", Expert Opin. Investig. Drugs 200110(8) 1423-1442; E. De Clercq, "The role of non-nucleoside reverse transcriptase inhibitors (NNRTIs) in the therapy of HIV infection", Antiviral Res. 1998 38:153-179; E. De Clercq, "New Developments in Anti-HIV Chemotherapy", Current Medicinal Chem. 2001 8(13):1543-1572; G. Moyle, "The Emerging Roles of Non-Nucleoside Reverse Transcriptase Inhibitors in Antiviral Therapy", Drugs 2001 61 (l):19-26)。30を超えるNNRTIの構造上のクラスが実験室で同定されているが、HIV療法に対しては3種の化合物:エファビレンツ、ネビラピンおよびデラビルジンのみが承認されている、
【化11】


2−ベンゾイルフェニル−N−[フェニル]−アセトアミド化合物1aおよび1bは、HIV-1逆転写酵素を阻害することが示されている(P. G. Wyattら, J. Med. Chem. 1995 38(10): 1657-1665)。さらなるスクリーニングで関連化合物、例えば同じく逆転写酵素を阻害する2−ベンゾイルフェニルオキシ−N−[フェニル]−アセトアミド,2a,および,スルフォンアミド誘導体2bを同定した(J. H. Chanら, J. Med Chem. 2004 47(5):1175-1182; C. L. Websterら, WOO 01/17982)。P. Bonneauらは2006年3月30日に発行されたUS 20060069261において、HIV逆転写酵素の阻害剤である4−{4−[2−(2−ベンゾイル−フェノキシ)−アセチルアミノ]−フェニル}−2,2−ジメチル−ブタ−3−イン酸化合物3を開示している。
【化12】

【0007】
ピリダジノン非ヌクレオシド逆転写酵素阻害剤4は、J. P. Dunnらが2004年3月23日に提出したU.S. PublicationおよびJ. P. Dunnらが2005年3月22日に提出したU.S. Publication No. 2005021554に記載されている。5−アラルキル−2,4−ジヒドロ−[1,2,4]トリアゾール−3−オン、5−アラルキル−3H−[1,3,4]オキサジアゾール−2−オンおよび5−アラルキル−3H−[1,3,4]チアジアゾール−2−オン非ヌクレオシド逆転写酵素阻害剤5はJ. P. Dunnらが2004年3月23日に提出したU.S. Publication No. 20040192704およびJ. P. Dunnらが2005年6月27日に提出したU.S. Publication No. 20060025462号に開示している。関連化合物は、Y. D. SaitoらがU.S. Ser. No. 60/722,335に開示している。フェニルアセトアミド非ヌクレオシド逆転写酵素阻害剤6は、J. P. Dunnらが2005年10月27日に発行したU.S. Publication No. 20050239881に開示しており、フェニルアセトアミド化合物を用いてレトロウイルス感染症を治療する方法は、J. P. Dunnらが2005年10月27日に発行したU.S. Publication No. 20050239880;T. MirzadeganおよびT. Silva が2005年10月19日に提出したU.S. Ser. No. 60/728,443;およびZ. K. SweeneyおよびT. Silvaが2005年10月19日のU.S. Ser. No. 60/728,609に開示している。これらの出願の内容は全て、参照により本明細書に援用される。
【化13】

【0008】
2006年6月26日に発行されたWO2006/067587では、L. J. Jonesらが、酵素逆転写酵素に結合し、これらのモジュレーター、特に阻害剤であるビアリールエーテル誘導体7およびこれらを含む化合物を開示している。
【0009】
本発明の一つの目的は、(i)式I:
【化14】


(式中、
はO、NRまたはCHであり;
は水素、ハロゲン、C1−6アルキルまたはC1−6アルコキシであり;
は水素またはハロゲンであり;
はC1−6アルキル、C1−6ハロアルキル、C3−8シクロアルキル、ハロゲン、シアノまたはニトロからなる群より独立して選択される1〜3の置換基で場合により置換されたフェニルであり;
はA1またはA2であり;
およびRは独立して水素、C1−10アルキル、C1−6ハロアルキル、ヒドロキシ−C1−6アルキル、またはC1−6アルキル、C1−6アルコキシ、C1−6ハロアルキル、ハロゲン、ヒドロキシ、ニトロおよびシアノからなる群より各々、独立して選択される1〜3の置換基で場合により置換されたフェニルであるか、あるいはRおよびRは共に(CHであり;
は水素、C1−10アルキルまたはフェニルであり;
は水素またはC1−6アルキルであり;
nは2〜4である)
で示される化合物、および医薬的に許容し得るそれらの塩である。
【0010】
本発明の他の目的は:(ii)式I:
【化15】


(式中、
はO、NRまたはCHであり;
は水素、ハロゲンまたはC1−6アルキルであり;
は水素またはハロゲンであり;
はC1−6アルキル、C1−6ハロアルキル、ハロゲンまたはシアノからなる群より独立して選択される1〜3の置換基で場合により置換されたフェニルであり;
はA1またはA2であり;
およびRは独立して水素、C1−10アルキル、C1−6ハロアルキル、ヒドロキシ−C1−6アルキル、またはC1−6アルキル、C1−6アルコキシ、C1−6ハロアルキル、またはハロゲンからなる群より各々、独立して選択される1〜3の置換基で場合により置換されたフェニルであるか、あるいはRおよびRは共に(CHであり;
は水素、C1−10アルキルまたはフェニルであり;
は水素またはC1−6アルキルであり;
nは2〜4である)
で示される(i)に記載の化合物および医薬的に許容し得るそれらの塩。
【0011】
(iii)式I:
【化16】


(式中、
はO、NRまたはCHであり;
は水素、ハロゲンまたはC1−6アルキルであり;
は水素またはハロゲンであり;
はC1−6アルキル、C1−6ハロアルキル、ハロゲンまたはシアノからなる群より独立して選択される1〜3の置換基で場合により置換されたフェニルであり;
はA1であり;
およびRは独立して水素、C1−10アルキル、C1−6ハロアルキル、ヒドロキシ−C1−6アルキル、またはC1−6アルキル、C1−6アルコキシ、C1−6ハロアルキル、またはハロゲンからなる群より各々、独立して選択される1〜3の置換基で場合により置換されたフェニルであるか、あるいはRおよびRは共に(CHであり;
は水素またはC1−6アルキルであり;
nは2〜4である)
で示される(i)または(ii)に記載の化合物および医薬的に許容し得るそれらの塩。
【0012】
(iv)(iii)に記載の化合物であって、式中、
はO、NRまたはCHであり;
は水素、ハロゲンまたはC1−6アルキルであり;
は水素またはハロゲンであり;
はC1−6ハロアルキル、ハロゲンまたはシアノからなる群より独立して選択される1〜3の置換基で場合により置換されたフェニルであり;
はA1であり;
およびRは独立して水素、C1−10アルキル、C1−6ハロアルキル、またはヒドロキシ−C1−6アルキルであるか、あるいはRおよびRは共に(CHであり;
は水素またはC1−6アルキルである
化合物および医薬的に許容し得るその塩。
【0013】
(v)(iv)に記載の化合物であって、式中、
はOであり;
はハロゲンであり;
は水素またはハロゲンであり;
はハロゲンまたはシアノからなる群より独立して選択される1〜3の置換基で場合により置換されたフェニルであり;
はA1であり;
およびRは独立して水素、またはC1−10アルキルである
化合物および医薬的に許容し得るその塩。
【0014】
(vi)(v)に基づく化合物であって、式中、
はOであり;
はClであり;
は水素またはFであり;
はBr、Clまたはシアノからなる群より独立して選択される1〜3の置換基で場合により置換されたフェニルであり;
はA1であり;
およびRは独立して水素、メチルまたはエチルである
化合物および医薬的に許容し得るその塩。
【0015】
(vii)(iii)に記載の化合物であって、式中、
はNRであり;
は水素、ハロゲンまたはC1−6アルキルであり;
は水素またはハロゲンであり;
はC1−6ハロアルキル、ハロゲンまたはシアノからなる群より独立して選択される1〜3の置換基で場合により置換されたフェニルであり;
はA1であり;
およびRは独立して水素、C1−10アルキル、C1−6ハロアルキル、ヒドロキシ−C1−6アルキルであるか、あるいはRおよびRは共に(CHであり;
は水素である
化合物および医薬的に許容し得るその塩。
【0016】
(viii)(vii)に記載の化合物であって、式中、
はNHであり;
は水素、Br、Clまたはメチルであり;
は水素またはFであり;
はCF、Br、Clまたはシアノからなる群より独立して選択される1〜3の置換基で場合により置換されたフェニルであり;
はA1であり;
およびRは独立して水素、メチル、CF、CHOHであるか、あるいはRおよびRは共に(CHである
化合物および医薬的に許容し得るその塩。
【0017】
(ix)(iii)に記載の化合物であって、式中、
はCHであり;
は水素またはハロゲンであり;
は水素またはハロゲンであり;
はハロゲンまたはシアノからなる群より独立して選択される1〜3の置換基で場合により置換されたフェニルであり;
はA1であり;
およびRは独立して水素またはC1−6アルキルである
化合物および医薬的に許容し得るその塩。
【0018】
(x)(ix)に記載の化合物であって、式中、
はCHであり;
は水素またはClであり;
は水素またはFであり;
はBr、Clまたはシアノからなる群より独立して選択される1〜3の置換基で場合により置換されたフェニルであり;
はA1であり;
およびRは独立して水素またはメチルである
化合物および医薬的に許容し得るその塩。
【0019】
(xi)式I:
【化17】


(式中、
は水素またはハロゲンであり;
は水素またはハロゲンであり;
はハロゲンまたはシアノからなる群より独立して選択される1〜3の置換基で場合により置換されたフェニルであり;
はA2であり;
は水素、C1−10アルキルまたはフェニルである)
に示される(i)または(ii)に記載の化合物および医薬的に許容し得るそれらの塩。
【0020】
(xii)(xi)記載の化合物であって、式中、
は水素またはClであり;
は水素またはFであり;
はBrまたはシアノからなる群より独立して選択される1〜3の置換基で場合により置換されたフェニルであり;
はA2であり;
はメチルまたはフェニルである
化合物および医薬的に許容し得るその塩。
【0021】
(xiii)薬剤として使用される、(i)に記載の化合物、および医薬的に許容し得るそれらの塩。
【0022】
(xiv)ヒト免疫不全ウイルス(HIV)媒介疾患治療用の薬剤を製造するための、(i)に記載の化合物および医薬的に許容し得るそれらの塩の使用。
【0023】
(xv)少なくとも1つの医薬的に許容し得る担体、希釈剤または賦形剤を混合した、(i)に記載の化合物および/または医薬的に許容し得るそれらの塩を含む医薬組成物。
【0024】
(xvi)請求項1に記載の化合物および医薬的に許容し得るそれらの塩の調製方法であって、式中、(i)RはA1であり、XはNRであり、そしてRは水素であるか、あるいは(ii)RはA2であり、そしてR、R、R、Rおよびnは請求項1に規定のとおりであり、以下の工程:
(i)カップリング試薬の存在下でフェニル酢酸化合物IIをアミノ酸エステルに接触させてIIIを生成する工程;
【化18】


(ii)IIIをラヴェッソン試薬に接触させてIVを生成する工程;
【化19】


(iii)IVをヒドラジンに接触させて式Iの化合物(式中、RはA1であり、そしてXはNRであり、そしてRは水素である)を生成する工程;および
(iv)A1をA2に場合により酸化し、式Iの化合物(式中、RはA2である)を生成する工程を含む方法。
【0025】
(xvii)(i)の化合物の調製方法であって、式中、RはA1であり、XはOであり、そしてR、R、Rおよびnは(i)に規定のとおりであり、以下の工程:
(i)カップリング試薬の存在下でフェニル酢酸化合物またはフェニル酢酸エステルIIaをヒドラゾンに接触させてN−アシルヒドラジドVを生成する工程;
【化20】


(ii)前記N−アシルヒドラジドVをアリールアルデヒドに接触させてイミン(VIa)を生成し、ついでVIaを還元してN−アシル−N’−アラルキル−ヒドラジドVIbを生成する工程;
【化21】


(iii)VIbをハロゲン化2−ハロ−アルカノイルおよび塩基に接触させてN−アシル−N’−アラルキル−N’−2ハロ−アシルヒドラジド(VIIa)を生成し、N−アシル−N’−アラルキル−ヒドラジドVIIaを環状化して4H−[1,3,4]オキサジアジン−5−オン(VIIb)を生成する工程;
【化22】


(iv)VIIbをAlClに接触させて該4H−[1,3,4]オキサジアジン−5−オンを脱ベンジル化し、VIIIを生成する工程
【化23】


を含む方法。
【0026】
式Iの化合物は、HIV逆転写酵素の阻害剤として有用であり、HIV感染症の予防および治療方法ならびにAIDSおよび/またはARCの治療方法を提供する。HIVはその遺伝子コードが容易に変異して、現行の治療法の選択肢を有する療法に対して感受性の低い株となる。本発明はまた、HIV感染症の予防および治療ならびにAIDSおよび/またはARCの治療に有用な、式Iの化合物を含む組成物に関する。本発明はさらに、単一療法、または他の抗ウイルス剤を用いた併用療法において有用な、式Iの化合物に関する。
【0027】
本発明の一実施態様では、式Iに基づく化合物(式中、R、R、R、R、R、R、R、R、Xおよびnは上記に規定のとおりである)を提供する。
【0028】
本発明の別の実施態様では、式Iに基づく化合物(式中、RはA1であり、Rは水素であり、そしてR、R、R、R、R、Xおよびnは上記に規定のとおりである)を提供する。
【0029】
本発明の別の実施態様では、式Iに基づく化合物(式中、Rはブロモ、クロロ、メチルまたはエチルであり、Rは水素またはフッ化物であり、RはA1であり、Rは水素であり、そしてR、R、R、Xおよびnは上記に規定のとおりである)を提供する。
【0030】
本発明の別の実施態様では、式Iに基づく化合物(式中、Rはブロモ、クロロ、メチルまたはエチルであり、Rは水素またはフッ素であり、Rは1または2つの置換基で置換されたフェニルであり、RはA1であり、Rは水素であり、そしてR、R、Xおよびnは上記に規定のとおりである)を提供する。本実施態様では、Rのフェニル置換基はハロゲン、シアノまたはハロアルキルから独立して選択される。
【0031】
本発明の別の実施態様では、式Iに基づく化合物(式中、Rはブロモ、クロロ、メチルまたはエチルであり、Rは水素またはフッ化物であり、Rは3,5−二置換フェニルであり、RはA1であり、Rは水素であり、そしてR、R、Xおよびnは上記に規定のとおりである)を提供する。本実施態様では、Rのフェニル置換基はハロゲン、シアノまたはハロアルキルから独立して選択される。
【0032】
本発明の別の実施態様では、式Iに基づく化合物(式中、Rはブロモ、クロロ、メチルまたはエチルであり、Rは水素またはフッ化物であり、Rは置換基がハロゲン、シアノまたはハロアルキルからなる群より独立して選択される2,5−二置換フェニルであり、RはA1であり、Rは水素であり、そしてR、R、Xおよびnは上記に規定のとおりである)を提供する。
【0033】
本発明の別の実施態様では、式Iに基づく化合物(式中、Rはブロモ、クロロ、メチルまたはエチルであり、Rは水素またはフッ化物であり、Rは2,3,5−三置換フェニルであり、RはA1であり、Rは水素であり、そしてR、R、Xおよびnは上記に規定のとおりである)を提供する。本実施態様では、Rのフェニル置換基はハロゲン、シアノまたはハロアルキルから独立して選択される。
【0034】
本発明の別の実施態様では、式Iに基づく化合物(式中、XはOまたはNRであり、Rはブロモ、クロロ、メチルまたはエチルであり、Rは水素またはフッ化物であり、RはA1であり、Rは水素であり、そしてR、R、Rおよびnは上記に規定のとおりである)を提供する。
【0035】
本発明の別の実施態様では、式Iに基づく化合物(式中、XはOまたはNRであり、Rはブロモ、クロロ、メチルまたはエチルであり、Rは水素またはフッ化物であり、Rは一または二置換フェニルであり、RはA1であり、Rは水素であり、そしてR、R、Rおよびnは上記に規定のとおりである)を提供する。本実施態様では、Rのフェニル置換基はハロゲン、シアノまたはハロアルキルから独立して選択される。
【0036】
本発明の別の実施態様では、式Iに基づく化合物(式中、RはA2であり、R、R、RおよびRは上記に規定のとおりである)を提供する。
【0037】
本発明の別の実施態様では、式Iに基づく化合物(式中、Rはブロモ、クロロ、メチルまたはエチルであり、Rは水素またはフッ化物であり、RはA2であり、RおよびRは上記に規定のとおりである)を提供する。
【0038】
本発明の別の実施態様では、式Iに基づく化合物(式中、Rはブロモ、クロロ、メチルまたはエチルであり、Rは水素またはフッ化物であり、Rはハロゲン、シアノおよびハロアルキルからなる群より独立して選択される1または2つの置換基で置換されたフェニルであり、RはA2であり、RおよびRは上記に規定のとおりである)を提供する。
【0039】
本発明の別の実施態様では、式Iに基づく化合物(式中、Rはブロモ、クロロ、メチルまたはエチルであり、Rは水素またはフッ化物であり、Rは置換基がハロゲン、シアノおよびハロアルキルからなる群より独立して選択される3,5−二置換フェニルであり、RはA2であり、RおよびRは上記に規定のとおりである)を提供する。
【0040】
本発明の別の実施態様では、式Iに基づく化合物(式中、Rはブロモ、クロロ、メチルまたはエチルであり、Rは水素またはフッ化物であり、Rは置換基がハロゲン、シアノおよびハロアルキルからなる群より独立して選択される2,5−二置換フェニルであり、RはA2であり、RおよびRは上記に規定のとおりである)を提供する。
【0041】
本発明の別の実施態様では、式Iに基づく化合物(式中、Rはブロモ、クロロ、メチルまたはエチルであり、Rは水素またはフッ化物であり、Rは置換基がハロゲン、シアノおよびハロアルキルからなる群より独立して選択される2,3,5−三置換フェニルであり、RはA2であり、RおよびRは上記に規定のとおりである)を提供する。
【0042】
本発明の別の実施態様では、必要とする患者にヒト免疫不全ウイルス(HIV)感染症の治療または予防方法、またはAIDSまたはARCの治療方法であって、治療上有効な量の式Iに基づく化合物(式中、R、R、R、R、R、R、R、R、Xおよびnは上記に規定のとおりである)を前記患者に投与する工程を含む方法を提供する。
【0043】
本発明の別の実施態様では、必要とする患者にヒト免疫不全ウイルス(HIV)感染症の治療または予防方法、またはAIDSまたはARCの治療方法であって、治療上有効な量の式Iに基づく化合物(式中、R、R、R、R、R、R、R、R、Xおよびnは上記に規定のとおりである)と、HIVヌクレオシド逆転写酵素阻害剤、HIV非ヌクレオシド逆転写酵素阻害剤、HIVプロテアーゼ阻害剤およびウイルス性融合阻害剤からなる群から選択される少なくとも1つの化合物とを前記患者に共投与する工程を含む方法を提供する。
【0044】
本発明の別の実施態様では、必要とする患者にヒト免疫不全ウイルス(HIV)感染症の治療または予防方法、またはAIDSまたはARCの治療方法であって、治療上有効な量の式Iに基づく化合物(式中、R、R、R、R、R、R、R、R、Xおよびnは上記に規定のとおり)と、エファビレンツ、ネビラピンまたはデラビルジン、ジドブジン、ジダノシン、ザルシタビン、スタブジン、ラミブジン、アバカビル、アデフォビル、ジピボキシル、サキナビル、リトナビル、ネルフィナビル、インジナビル、アンプレナビルおよびロピナビルおよび/またはT20のうちの少なくとも1つの化合物とを該患者に共投与する工程を含む方法を提供する。
【0045】
本発明の別の実施態様では、レトロウイルス逆転写酵素を阻害する方法であって、治療上有効な量の式Iに基づく化合物(式中、R、R、R、R、R、R、R、R、Xおよびnは上記に規定のとおりである)を該患者に投与する工程を含む方法を提供する。
【0046】
本発明の別の実施態様では、野生型ウイルスに比して少なくとも1つの変異を伴うレトロウイルス逆転写酵素を阻害する方法であって、治療上有効な量の式Iに基づく化合物(式中、R、R、R、R、R、R、R、R、Xおよびnは上記に規定のとおりである)を前記患者に投与する工程を含む方法を提供する。
【0047】
本発明の別の実施態様では、少なくとも1つのHIV株に感染し、エファビレンツ、ネビラピンまたはデラビルジンに対する感受性が低い患者においてヒト免疫不全ウイルス(HIV)感染症の治療または予防方法、またはAIDSまたはARCの治療方法であって、治療上有効な量の式Iに基づく化合物(式中、R、R、R、R、R、R、R、R、Xおよびnは上記に規定のとおりである)を投与する工程を含む方法を提供する。
【0048】
本発明の別の実施態様では、ヒト免疫不全ウイルス(HIV)感染症の治療または予防、またはAIDSまたはARCの治療のための医薬組成物であって、少なくとも1つの医薬的に許容し得る担体、希釈剤または賦形剤と混合した、式Iに基づく化合物(式中、R、R、R、R、R、R、R、R、Xおよびnは上記に規定のとおりである)を含む医薬組成物を提供する。
【0049】
本発明の別の実施態様では、スキームI(13から10)に示すように、カルボン酸誘導体から式Iに基づく化合物(式中、(i)RはA1であり、XはNRであり、そしてRは水素であるか、あるいは(ii)RはA2であり、そしてR、R、RおよびRは請求項1に規定のとおりである)を調製する方法を提供する。前記方法の第一工程では、カルボン酸またはカルボン酸誘導体をアシルヒドラジド(15a)に転換する。カルボン酸誘導体は一般的にエステル、酸塩化物または無水物である。第二工程は、アミドのチオアミド15bへの転換を必要とする。この転換は、ラヴェッソン試薬を用いてよく行われるが、例えばPなどの他の試薬を用いることもできる。第三工程は、Rおよび/またはRの少なくとも1つが水素である場合に場合により対応する1H−[1,2,4]トリアジン−6−オン16に酸化され得る4,5−ジヒドロ−1H−[1,2,4]トリアジン−6−オンを生成するチオアミドおよびヒドラジンの縮合である。
【0050】
本発明の別の実施態様では、スキームII(17aから19b)に記述するように、カルボン酸誘導体から式Iに基づく化合物(式中、RはA1であり、XはOであり、そしてR、R、R、R、Rおよびnは請求項1に規定のとおりである)を調製する方法を提供する。
【0051】
本発明の別の実施態様では、式Iに基づく化合物であって、表1における化合物I−1〜I−30または表2における化合物II−1〜II−6から選択される化合物を提供する。
【0052】
前記方法の第一工程では、カルボン酸またはカルボン酸誘導体をアシルヒドラジド(15b)に転換する。カルボン酸誘導体は一般的にエステル、酸塩化物または無水物である。第二工程は、アリールアルデヒドを用いた還元アルキル化によって前記アシルヒドラジド15bをベンジル化すること、および、ついで2−ハロアルカノイルハライドを用いてアシル化して18を生成することを含む。本発明の本実施態様の第三工程は、カルボキシアミドのエノール互変異性体中において2−ハロ脱離基を酸素で置換することによって19を生成する分子内環状化であり、最終工程は、N−ベンジル−4H−[1,3,4]オキサジアジン−5−オンの脱ベンジル化である。
【0053】
本明細書で用いる単数物(aまたはanのentity)の表現は、1またはそれ以上を示し、例えば化合物は、1またはそれ以上の化合物または少なくとも1つの化合物を示す。同様に、「単一の(aまたはanの)」、「1またはそれ以上の」、および「少なくとも1つの」との語は、本明細書で相互変換可能に用いることができる。
【0054】
「上記に規定のとおり」という表現は、発明の要約に記述した最初の定義を指す。
【0055】
「任意の」または「場合により」は、つづいて記述する事象または状況が必要であるかもしれないし必要でないかもしれないということを意味し、該記述には、前記事象または状況が起こる事例および起こらない事例が含まれる。例えば、「場合により結合」は、前記結合が存在するかもしれないし存在しないかもしれないということを意味し、該記述には、単一の結合、二重結合または三重結合が含まれる。
【0056】
本明細書で用いる「アルキル」という用語は、未分岐鎖または分岐鎖の飽和した一価の炭素原子数1〜10の炭化水素残基を示す。「低級アルキル」という用語は、直鎖状または分岐鎖状の炭素原子数1〜6の炭化水素残基を示す。本明細書で用いる「C1−10アルキル」は、1〜10の炭素からなるアルキルを指す。アルキル基の例は、これに限定されないが、低級アルキルは、メチル、エチル、プロピル、i−プロピル、n−ブチル、i−ブチル、t−ブチルまたはペンチル、イソペンチル、ネオペンチル、ヘキシル、ヘプチル、およびオクチルを含む。
【0057】
本明細書で用いる「アルコキシ」という用語は、−O−アルキル基(式中、アルキルは先に規定したとおりである)を意味し、例えばメトキシ、エトキシ、n−プロピルオキシ、i−プロピルオキシ、n−ブチルオキシ、i−ブチルオキシ、t−ブチルオキシ、ペンチルオキシ、ヘキシルオキシであり、これらの異性体を含む。本明細書で用いる「低級アルコキシ」は、前記で規定されるとおりの「低級アルキル」基をともなうアルコキシ基を指す。本明細書で用いる「C1−10アルコキシ」は、アルキルがC1−10である−O−アルキルを指す。
【0058】
本明細書で用いる「シクロアルキル」という用語は、炭素原子数3〜8の飽和炭素環式環、例えばシクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチルまたはシクロオクチルを示す。本明細書で用いる「C3−7シクロアルキル」は、炭素環式環において3〜7の炭素からなるシクロアルキルを指す。
【0059】
本明細書で用いる「ハロアルキル」という用語は、1,2,3またはそれ以上の水素原子がハロゲンで置換されている先に規定したとおりの未分岐鎖または分岐鎖のアルキル基を示す。例えば、1−フルオロメチル、1−クロロメチル、1−ブロモメチル、1−ヨードメチル、トリフルオロメチル、トリクロロメチル、トリブロモメチル、トリヨードメチル、1−フルオロエチル、1−クロロエチル、1−ブロモエチル、1−ヨードエチル、2−フルオロエチル、2−クロロエチル、2−ブロモエチル、2−ヨードエチル、2,2−ジクロロエチル、3−ブロモプロピルまたは2,2,2−トリフルオロエチルである。
【0060】
本明細書で用いる「シアノ」という用語は、三重結合でチッ素に結合した炭素、すなわち−C≡Nを指す。
【0061】
本明細書で用いる「ハロゲン」または「ハロ」という用語は、フッ素、塩素、臭素、またはヨウ素を意味する。
【0062】
本明細書で用いる「2−ハロアルカノイル」という用語は、R’R’’C(Cl)C(O)−(式中、R’およびR’’は独立して水素または先に規定したとおりのC1−6アルキルである)を指す。
【0063】
本明細書で用いる「ヒドロキシアルキル」および「アルコキシアルキル」という用語は、ラジカルR’R’’を示し、式中、R’はそれぞれヒドロキシラジカルまたはアルコキシラジカルであり、そしてR’’は本明細書に規定するとおりのアルキレンであり、そして該ヒドロキシアルキルラジカルの結合点は前記アルキレンラジカル上にあり、該ヒドロキシまたはアルコキシラジカルは該アルキレン鎖のいずれの炭素原子に結合してもよい。
【0064】
本明細書で用いる「アルキレン」という用語は、別段指示のない限り、炭素原子数1〜8の二価飽和直鎖状炭化水素ラジカル[−(CH−(式中、nは1〜8である)]または炭素原子数3〜8の分岐鎖状飽和二価炭化水素ラジカルを示す。アルキレンラジカルの例には、これに限定されないが、メチレン、エチレン、プロピレン、2−メチル−プロピレン、ブチレン、2−エチルブチレンが含まれる。
【0065】
式Iの化合物は互変異性を示す。互変異性化合物は、2またはそれ以上の相互転換可能な種として存在できる。プロトン性(prototropic)互変異性体は、2つの原子間における共有結合した水素原子の移動によって生じる。互変異性体は、一般的に平衡状態で存在し、個々の互変異性体を分離しようとすると、通常、化合物の混合物と変わらない化学的および物理的性質を有する物質を生成する。該平衡の位置は、分子内の化学的特徴部分に依存する。例えば、アセトアルデヒドなどの多くの脂肪族アルデヒドおよびケトンでは、ケト型が優位を占める一方、フェノールでは、エノール型が優位を占める。一般的なプロトン性互変異性体は、ケト/エノール(−C(=O)−CH−D−C(−OH)=CH−)、アミド/イミド酸(-C(=O)−NH−D−C(−OH)=N−)およびアミジン(−C(=NR)−NH−D−C(−NHR)=N−)互変異性を含む。後者2つはヘテロアリールおよび複素環において特に共通であり、本発明は該化合物のすべての互変異性型を包含する。
【0066】
塩基性の式Iの化合物は、ハロゲン化水素酸(例えば、塩酸または臭化水素酸)、硫酸、硝酸およびリン酸などの無機酸によって、ならびに有機酸(例えば、酢酸、酒石酸、コハク酸、フマル酸、マレイン酸、リンゴ酸、サリチル酸、クエン酸、メタンスルホン酸およびp−トルエンスルホン酸など)によって、医薬的に許容し得る酸付加塩を形成できる。
【0067】
本明細書で用いる「カップリング試薬」という用語は、カルボン酸およびアミンをカップリングさせる試薬または試薬(複数)を指す。これらの試薬は当該技術分野において周知であり、カップリング手順はペプチド合成のために広く最適化されており、これらの試薬は本発明の化合物の調製に適用可能である。典型的なカップリング試薬には、これらに限定されないが、N,N’−ジシクロヘキシルカルボジイミド、N,N’−ジシクロヘキシル−カルボジイミド/N−ヒドロキシサクシンイミド、または1−ヒドロキシ−ベンゾトリアゾール、N,N’−カルボニルジイミダゾール、テトラフルオロホウ酸O−(ベンゾトリアゾール−1−イル)−N,N,N’,N’−テトラメチル−ウロニウム/N−メチルモルホリン、テトラフルオロホウ酸O−(ベンゾトリアゾール−1−イル)−N,N,N’,N’−テトラメチル−ウロニウム/N−エチルジイソプロピルアミン、N,N’−チオニルジイミダゾールまたはトリフェニルホスフィン/四塩化炭素が含まれる。カップリングは、−20〜200℃の間の温度、好ましくは−10〜160℃の間の温度、より好ましくは20〜40℃の間で行われる。
【0068】
本明細書で用いる「溶媒和物」という用語は、本発明の化合物またはその塩を意味し、さらに、非共有性の分子間力で結合した溶媒の化学量論的または非化学量論的な量を含む。好ましい溶媒は、揮発性で、非毒性で、および/または微量で人体への投与に許容し得るものである。
【0069】
本明細書で用いる「水和物」という用語は、本発明の化合物またはその塩を意味し、さらに、非共有性の分子間力で結合した水の化学量論的なまたは非化学量論的な量を含む。
【0070】
ラヴェッソン試薬は[2,4−ビス−(4−メトシキフェニル)−1,3−ジチア−2,4−ジホスフェタン−2,4−ジスルフィド]である。
【0071】
本明細書で用いる「野生型」という用語は、逆転写酵素阻害剤に曝されていなかった正常な母集団において自然発生する優位な遺伝子を有するHIVウイルス株を指す。本明細書で用いる「野生型逆転写酵素」という用語は、スイスプロットデータベースにおいてアクセッション番号P03366で配列決定され寄託された野生型株で発現される逆転写酵素を指す。
【0072】
本明細書で用いる「低減した感受性」という用語は、同じ実験系における野生型ウイルスが示す感度と比較して、特定のウイルス性の分離株の感度の変化が約10倍またはそれを超えることを指す。
【0073】
本明細書で用いる「ヌクレオシドおよびヌクレオチド逆転写酵素阻害剤」(NRTI)との語は、HIV-1逆転写酵素の活性を阻害するヌクレオシド、ヌクレオチドおよびこれらの類似体を意味し、該酵素はウイルス遺伝子性HIV-1 RNAからプロウイルス性HIV-1 DNAへの転換を触媒する。
【0074】
本明細書で用いる「ヌクレオシドおよびヌクレオチド逆転写酵素阻害剤」(NRTI)との語は、HIV-1逆転写酵素の活性を阻害するヌクレオシド、ヌクレオチドおよびそれらの類似体を意味し、前記酵素はウイルス性遺伝子HIV-1 RNAからプロウイルス性HIV-1 DNAへの転換を触媒する。最近の進展は、RTIおよびPI阻害剤の開発に見られる(F. M. UckunおよびO. J. D'Cruz, Exp. Opin. Ther. Pat. 2006 16:265-293, L. Menendez- Arias, Eur. Pharmacother. 2006 94-96ならびにS. RusconiおよびO. Vigano, Future Drugs 2006 3(l):79-88.)。
【0075】
代表的で、好適なNRTIは、GSKからのジドブジン(AZT; RETROVIR(登録商標));Bristol-Myers Squibb Co. (BMS)からのジダノシン(ddl; VIDEX(登録商標));Rocheからのザルシタビン(ddC; HIVID(登録商標));BMSからのスタブジン(d4T; ZERIT(登録商標)); GSKからのラミブジン(3TC; EPIVIR(登録商標)); WO96/30025に開示され、GSKから入手し得るアバカビル(1592U89; ZIAGEN(登録商標)); アデフォビルジピボキシル(adefovir dipivoxil)(bis(POM)-PMEA; PREVON(登録商標)) Gilead Sciences;EP-0358154およびEP-0736533に開示され、BMSが開発したヌクレオシド逆転写酵素阻害剤ロブカビル(lobucavir)(BMS- 180194);Biochem Pharma が開発した逆転写酵素阻害剤BCH- 10652(BCH-10618 およびBCH-10619のラセミ体混合物の形状);Emory Univ.のU.S. Pat. No. 5,814,639に基づいてEmory Universityからライセンスされ、Gilead Sciences, Incが開発したエミトリシタビン(emitricitabine)[(-)-FTC]; Yale UniversityからVion Pharmaceuticalsにライセンスされているエブシタビン(Evucitabine)(β−L−D4FC; β−L−2',3'−ジデオキシ−5−フルオロ−シチデン); EP-0656778に開示したEmory UniversityおよびUniversity of GeorgiaからTriangle PharmaceuticalsにライセンスされているプリンヌクレオシドDAPDである(−)−β−D−2,6,− ジアミノ−プリンジオキソラン;ならびにNIHにより発見され、U.S. Bioscience Inc. が開発した酸安定プリン系逆転写酵素阻害剤ロデノシン(lodenosine)(FddA)である9− (2,3−ジデオキシ−2−フルオロ−β−D−トレオ−ペントフラノシル)アデニンを含む。
【0076】
3種のNNRTIがアメリカ合衆国において承認されている:Boehringer Ingelheim(BI)から入手可能なネビラピン(BI-RG-587; VIRAMUNE(登録商標))、Pfizerから入手可能なデラビラジン(BHAP, U- 90152; RESCRIPTOR(登録商標))およびBMSからのベンズオキサジン−2−オンであるエファビレンツ(DMP-266, SUSTIVA(登録商標))。現在調査中の他のNNRTIは、Pfizerによって開発されているフロピリジン−チオ−ピリミジンであるPNU-142721;ShionogiおよびPfizerによるカプラビリン(S-1153またはAG-1549;5−(3,5−ジクロロフェニル)−チオ−4−イソプロピル−1−(4−ピリジル)メチル−1H−イミダゾール−2−イルメチルカーボネート);Mitsubishi Chemical Co.およびTriangle Pharmaceuticalsによるエミビリン[MKC-442;(1−(エトキシ−メチル)−5−(1-メチルエチル)−6−(フェニルメチル)−(2,4(1H,3H)−ピリミジンジオン)];NIHのU.S. Pat. No. 5,489,697に開示され、Sarawak/ Advanced Life Sciencesがライセンスを有しているクマリン誘導体である(+)−カラノライドA(NSC-675451)およびB; Tibotec-VircoおよびJohnson & Johnsonによるエトラビリン(TMC-125; 4−[6−アミノ−5−ブロモ−2−(4−シアノ−フェニルアミノ)−ピリミジン−4−イルオキシ]−3,5−ジメチル−ベンゾニトリル)およびDAPY(TMC120;4−{4−[4−((E)−2−シアノ−ビニル)−2,6−ジメチル−フェニルアミノ]−ピリミジン−2−イルアミノ}−ベンゾニトリル);Boehringer-IngleheimによるBILR-355 BS(12−エチル−8−[2−(1−ヒドロキシ−キノリン−4−イルオキシ)−エチル]−5−メチル−11,12−ジヒドロ-5H−1,5,10,12−テトラアザ−ジベンゾ[a,e]シクロオクテン−6−オン;Paradigm PharmaceuticalsによるPHI-236(7−ブロモ−3−[2−(2,5−ジメトキシ−フェニル)−エチル]−3,4−ジヒドロ−1H−ピリド[1,2−a][1,3,5]トリアジン−2−チオン)およびPHI-443(1−(5−ブロモ−ピリジン−2−イル)−3−(2−チオフェン−2−イル−エチル)−チオ尿素)を含む。
【0077】
本明細書で用いる「プロテアーゼ阻害剤」(PI)という用語は、HIV-1プロテアーゼ、すなわちウイルス性ポリタンパク質前駆体(例えば、ウイルス性GAGおよびGAG Polポリタンパク質)が感染性HIV-1中に見られる個々の機能性タンパク質にタンパク質分解的切断するのに必要な酵素、の阻害剤を意味する。HIVプロテアーゼ阻害剤は、例えばVIRACEPT(登録商標)などの非ペプチド性のプロテアーゼ阻害剤と同様に、例えばCRIXIVAN(登録商標)などのペプチド様の構造、高分子量(7600ダルトン)および実質的なペプチドの性質を有する化合物も含む。
【0078】
代表的で、好適なPIは、INVIRASE(登録商標)のように硬いゲル状カプセルおよびFORTOVASE(登録商標)のように柔らかいゲル状カプセルでRocheから入手可能なサキナビル;Abbott LaboratoriesからNORVIRとして入手可能なリトナビル(ABT-538);同様にAbbotから入手可能なロピナビル(ABT-378);KALETRA(登録商標)はロピナビルと副治療学的(sub-therapeutic)量のリトナビルとの共処方(co-formulation)で、Abbott Laboratoriesから入手可能である;CRIXIVAN(登録商標)としてMerck & Co.から入手可能なインジナビル(MK-639);VIRACEPT(登録商標)としてAgouron Pharmaceuticals, Inc.から入手可能なネルフィナビル(AG- 1343);AGENERASE(登録商標)としてVertex Pharmaceuticals, Inc.およびGSKから入手可能なアンプレナビル(141W94);APTIVUS(登録商標)としてBIから入手可能なチプラナビル(PNU- 140690);BMSによるラシナビル(BMS-234475/CGP-61755);第2世代HIV-1 PIとしてBMSにより開発されているアザペプチドであるBMS-2322623;GSKおよびVertexのコラボレーションにより開発されているGW-640385X(VX-385);Agouron/Pfizerにより臨床前開発されているAG-001859;Sumitomo Pharmaceuticals により開発されているSM-309515を含む。
【0079】
臨床前開発されている追加的なPIは、BMSからのN−シクロアルキルグリシン、Enanta Pharmaceuticalsによるα−ヒドロキシアリールブタンアミド;α−ヒドロキシ−γ−[[(炭素環式−または複素環式−置換)アミノ)カルボニル]アルカンアミド誘導体;Merckによるγ−ヒドロキシ−2−(フルオロアルキルアミノカルボニル)−1−ピペラジンペンタンアミド;Pfizerによるジヒドロピロン誘導体およびα−およびβ−アミノ酸ヒドロキシエチルアミノスルホンアミド;およびProcyonによるN−アミノ酸置換L−リシン誘導体を含む。
【0080】
ターゲットとなる細胞へのHIVの侵入には、CD-4細胞表面レセプターならびにCCR5(M型株)およびCXCR4(T型株)ケモカインコレセプターを必要とする。ケモカインへのウイルス性結合をブロックするケモカイン拮抗作用は、ウイルス性感染の有用な阻害剤である。タケダはTAK-779が強いCCR5アンタゴニストであることを確認した。(M. Shiraishiら, J. Med. Chem. 2000 43(10):2049-2063;M. Babbaら Proc. Nat. Acad Sd. USA 1999 96:5698-5703)およびTAK-220(C. Tremblayら Antimicrob. Agents Chemother. 2005 49(8):3483-3485)WO0039125(D. R. Armourら)およびWO0190106(M. Perrosら)は、潜在的で選択的なCCR5アンタゴニストである複素環式化合物を開示している。Miraviroc(UK-427,857:MVC)はPfizerによって第三フェイズの臨床試験に進んでおり、HIV-1分離体および実験室株に対する活性を示している(P. Dorrら, Antimicrob. Agents Chemother. 2005 49(ll):4721-4732;A. WoodおよびD. Armour, Prog. Med. Chem. 2005 43:239-271;C. Watsonら, MoI Pharm. 2005 67(4): 1268- 1282;M. J. Macartneyら, 43rd Intersci. Conf. Antimicrob. Agents Chemother. September 14-17, 2003, Abstract H- 875)。ScheringはSch-351125(SCH-C)を第1/2フェイズの臨床研究に進めており、さらに強力な追跡化合物であるVicroviroc (Sch-417690, SCH-D)の第1フェイズの研究への進展を報告している(S. W. McCrombieら, WO00066559;B. M. BaroudyらWO00066558;A. Palaniら, J. Med. Chem. 2001 44(21) :3339-3342;J. R. Tagatら, J. Med. Chem. 2001 44(21) :3343-3346;J. A. Este, Cur. Opin. Invest. Drugs 2002 3(3):379- 383;J. M. Struzkiら Proc. Nat. Acad Sd. USA 2001 98:12718-12723)。Merckは、CCR5レセプターおよび強いHIV活性に対してよい親和性を有する(2S)−2−(3−クロロフェニル)−1−N−(メチル)−N−(フェニルスルホニル)アミノ]−4−[スピロ(2,3−ジヒドロベンゾチオフェン−3,4’−ピペリジン−1’−イル)ブタンS−オキシド(1)および関連する誘導体の調製を開示している(P. E. Finkeら, Bioorg. Med. Chem. Lett., 2001 11:265-270;P. E. Finkeら, Bioorg. Med. Chem. Lett., 2001 11:2469-2475;P. E. Finkeら, Bioorg. Med. Chem. Lett., 2001 11:2475-2479;J. J. Haleら, Bioorg. Med. Chem. Lett., 2001 11:2741-22745;D. Kimら, Bioorg. Med. Chem. Lett., 2001 11:3099-3102) C. L. Lynchら Org Lett. 2003 5:2473-2475;R. S. Veazeyら J. Exp. Med. 2003198:1551-1562)。GSK-873140 (ONO-4128, E-913, AK-602)は、Kumamoto Universityにおいて始められたプログラムにおいて確認され(K. Maedaら J. Biol. Chem. 2001 276:35194-35200;H. Nakataら J. Virol. 2005 79(4):2087-2096) 、臨床試験に進められた。WOOO/ 166525; WO00/187839; WO02/076948; WO02/076948;WO02/079156、WO2002070749、WO2003080574、WO2003042178、WO2004056773、WO2004018425において、Astra Zenecaは、CCR5アンタゴニストである4−アミノピペリジン化合物を開示している。2005年8月11日に発行したU.S. Publication No. 20050176703において、S. D. GabrielおよびD. M. Rotsteinは、HIVの細胞侵入を防ぐことのできる複素環式CCR5アンタゴニストを開示している。2006年1月19日に発行したU.S. Publication No. 20060014767において、E. K. Leeらは、HIVの細胞侵入を防ぐことのできる複素環式CCR5アンタゴニストを開示している。
【0081】
結合阻害剤は、ウイルス性のエンベロープタンパク質とケモカインレセプターまたはCD40タンパク質との間の相互作用を効果的にブロックする。TNX-355は、CD4のドメイン2において配座エピトープに結合するヒトIgG4モノクローナル抗体である(L. C. Burklyら, J. Immunol. 1992 149:1779-87)。TNX-355は、CCR5-、CXCR4-および二元/混合性(dual/mix tropic)HIV-1株へのウイルス接着を阻害することができる(E. Godofskyら, In Vitro Activity of the Humanized Anti-CD4 Monoclonal Antibody, TNX-355, against CCR5, CXCR4, and Dual- Tropic Isolates and Synergy with Enfuvirtide, 45th Annual Interscience Conference on Antimicrobial Agents and Chemotherapy (ICAAC). December 16-19, 2005, Washington DC. Abstract # 3844;D. Norrisら TNX-355 in Combination with Optimized Background Regime (OBR) Exhibits Greater Antiviral Activity than OBR Alone in HIV- Treatment Experienced Patients, 45th Annual Interscience Conference on Antimicrobial Agents and Chemotherapy (ICAAC). December 16-19, 2005, Washington DC. Abstract # 4020)。
【0082】
抗体、溶解性レセプターおよび生物学的に活性なそれらのフラグメントを含む巨大分子治療薬は、従来の低分子量薬に付随してその重要性が増している(O. H. BrekkeおよびI. Sandlie Nature Review Drug Discov. 2003 2:52-62;A. M. Reichert Nature Biotech. 2001 19:819-821)。高特異性および高親和性を有する抗体は、ウイルス性の細胞融合に必須の細胞外タンパク質において標的となりうる。CD4、CCR5およびCXCR4は、ウイルス性融合を阻害する抗体の標的であった。
【0083】
V. Roschkeら(Characterization of a Panel of Novel Human Monoclonal Antibodies that Specifically Antagonize CCR5 and Block HIV- 1 Entry, 44th Annual Interscience Conference on Antimicrobial Agents and Chemotherapy (ICAAC). October 29, 2004, Washington DC. Abstract # 2871)は、CCR5レセプターに結合してCCR5レセプターを発現する細胞にHIVが侵入するのを阻害するモノクローナル抗体を開示した。L. Wu and C. R MacKayは、2001年5月30日に提出した米国特許出願第09/870,932号において、細胞のHIV感染を阻害できるような態様で、CCR5レセプターに結合するモノクローナル抗体5C7および2D7を開示している。W. C. Olsenら(J. Virol. 1999 73(5) :4145-4155)は、(i)HIV-1の細胞侵入、(ii)HIV-1のエンベロープ媒介膜融合、(iii)gp120のCCR5への結合および(iv)CC-ケモカイン活性を阻害することのできるモノクローナル抗体を開示している。抗CCR5抗体 Pro 140および低分子量CCR5アンタゴニストの間の相乗作用は、Murgaらが開示した(3rd IAS Conference on HIV Pathogenesis and Treatment, Abstract TuOa.02.06. July 24-27, 2005, Rio de Janeiro, Brazil)。HIV-1の細胞侵入を阻害する抗CCR5抗体をM. Brandtらが分離し、2006年3月31日に提出した米国特許出願第11/394,439にて開示した。
【0084】
FUZEON(登録商標)(T-20, DP-178, ペンタフシド)は、U.S. Pat. No. 5,464,933に開示している。T-20および類似体のT-1249は、HIV gp41フラグメントの類似体であり、HIV融合に必要な配座変化を効果的に阻害する。T-20は承認されており、RocheおよびTrimerisから入手可能である。FUZEONは、他の分類の抗HIV薬との併用療法において、 持続的なsc注入または注射として投与される。
【0085】
HIV療法において有用かもしれない他の抗ウイルス性薬剤は、ヒドロキシウレア、リバビリン、IL-2、IL-12、ペンタフシドを含む。ヒドロキシウレア(Droxia)、リボヌクレオシド三リン酸還元酵素阻害剤、T−細胞の活性化に関与する酵素は、NCIにおいて発見され、Bristol-Myers Squibbによって開発されている;その臨床前研究において、ジダノシンの活性に相乗効果を有することが示され、スタブジンとともに研究された。IL-2は、AjinomotoのEP-0142268、TakedaのEP-0176299、およびChironのU.S. Pat. Nos. RE33,653、4,530,787、4,569,790、4,604,377、4,748,234、4,752,585、および4,949,314に開示しており、IV注入またはsc投与のための凍結乾燥粉末として、Chiron Corp.からPROLEUKIN(登録商標)(aldesleukin)として入手可能である。IL-12は、WO96/25171に開示しており、RocheおよびWyeth Pharmaceuticalsから入手可能である。1−(β−D−リボフラノシル−1H−1,2,4−トリアゾール−3−カルボキシアミドであるリバビリンは、U.S. Pat. No. 4,211,771に開示しており、ICN Pharmaceuticalsから入手可能である。
【0086】
本明細書で用いる「抗HIV-1療法」という用語は、人間のみにおいてHIV-1感染症を治療するために、または、特にHAART三剤および四剤併用療法といった多剤併用療法の一部として、有用な任意の抗HIV-1療法をも意味する。代表的で、好適で公知の抗HIV-1療法は、これらに限定されないが、(i)2種のNRTI、1つのPI、第二のPI、および1つのNNRTIから選択される少なくとも3種の抗HIV-1薬、および(ii)NNRTIおよびPIから選択される少なくとも2種の抗HIV-1薬、などの多剤併用療法を含む。代表的で、好適なHAART多剤併用療法は、(a)2種のNRTIおよび1種のPI、または(b)2種のNRTIおよび1つのNNRTIなどを用いた三剤併用療法、ならびに(c)2種のNRTI、1つのPIおよび第二のPIまたは1つのNNRTIを用いた四剤併用療法などの多剤併用療法を含む。投薬を受けたことのない患者の治療では、三剤併用療法を用いる抗HIV-1治療を始めるのが好ましい;PIに対する過敏症がなければ2種のNRTIおよび1つのPIの使用が好ましい。薬物順守は必須である。CD4+およびHIV-1-RNAプラズマレベルは、3〜6ヶ月毎にモニターすべきである。ウイルス負荷が横ばい状態であれば、例えば1つのPIまたは1つのNNRTIの第四の薬を追加することができる。
【0087】
本願で用いる省略形は:アセチル(Ac)、酢酸(HOAc)、アゾ−ビス−イソブチリルニトリル(AIBN)、1−N−ヒドロキシベンゾトリアゾール(HOBT)、気圧(Atm)、高圧液体クロマトグラフィー(HPLC)、9−ボラビシクロ[3.3.1]ノナン(9-BBNまたはBBN)、メチル(Me)、tert−ブトキシカルボニル(Boc)、アセトニトリル(MeCN)、ジ−tert−ブチルピロカーボネートまたはboc無水物(BOC2O)、塩酸1−(3−ジメチルアミノプロピル)−3−エチルカルボジイミド(EDCI)、ベンジル(Bn)、メタクロロ過安息香酸(MCPBA)、ブチル(Bu)、メタノール(MeOH)、ベンジルオキシカルボニル(cbzまたはZ)、融点(mp)、カルボニルジイミダゾール(CDI)、MeSO2-(メシルまたはMs)、1,4−ジアザビシクロ[2.2.2]オクタン(DABCO)、質量スペクトル(ms)、三フッ化ジエチルアミノ硫黄(DAST)、メチルt−ブチルエーテル(MTBE)、ジベンジリデンアセトン(Dba)、N−カルボン酸無水物(NCA)、1,5−ジアザビシクロ[4.3.0]ノン−5−エン(DBN)、N−ブロモスクシンイミド(NBS)、1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデク−7−エン(DBU)、N−メチルピロリドン(NMP)、1,2−ジクロロエタン(DCE)、クロロクロム酸ピリジニウム(PCC)、N,N’−ジシクロヘキシルカルボジイミド(DCC)、ニクロム酸ピリジニウム(PDC)、ジクロロメタン(DCM)、プロピル(Pr)、アゾジカルボン酸ジエチル(DEAD)、フェニル(Ph)、ジ−イソ−プロピルアゾジカルボキシレート、DIAD、平方インチ当たりのポンド(psi)、d−イソ−プロピルエチルアミン(DIPEA、ヒューニッヒ塩基)、ピリジン(pyr)、ジ−イソ−ブチルアルミニウム無水物(DIBAL-H)、室温、rtまたはRT、N,N−ジメチルアセトアミド(DMA)、tert−ブチルジメチルシリルまたはt−BuMeSi、(TBDMS)、4−N,N−ジメチルアミノピリジン(DMAP)、トリエチルアミン(ETNまたはTEA)、N,N−ジメチルホルムアミド(DMF)、トリフラートまたはCFSO2−(Tf)、ジメチルスルホキシド(DMSO)、トリフルオロ酢酸(TFA)、1,1’−ビス−(ジフェニルホスフィノ)エタン(dppe)、2,2,6,6−テトラメチルヘプタン−2,6−ジオン(TMHD)、1,1’−ビス−(ジフェニルホスフィノ)フェロセン(dppf)、薄層クロマトグラフィー(TLC)、酢酸エチル(EtOAc)、テトラヒドロフラン(THF)、ジエチルエーテル(ETO)、トリメチルシリルまたはMeSi(TMS)、エチル(Et)、p−トルエンスルホン酸一水和物(TsOHまたはpTsOH)、リチウムヘキサメチルジシラザン(LiHMDS)、4−メチル−CSO2-またはトシル(Ts)、イソ−プロピル(i-Pr)、N−ウレタン−N−カルボン酸無水物(UNCA)、エタノール(EtOH)。接頭辞であるノルマル(n)、イソ(i-)、セカンダリー(sec-)、ターシャリー(tert-)およびネオを含む従来の名称は、アルキル部位とともに用いられた際に慣例的な意味を有する(J. RigaudyおよびD. P. Klesney, Nomenclature in Organic Chemistry, IUPAC 1979 Pergamon Press, Oxford.)。
【0088】
本発明の化合物は、以下に示し記載している実例的な合成反応スキームに記述される種々の方法によって製造することができる。これらの化合物の調製に用いられる出発物質および試薬は、一般的に、Aldrich Chemical Co.などの市販品供給者から入手可能であるか、または、以下の参考文献に記載した手順など当業者に公知の方法で調製することができる:Fieser and Fieser's Reagents for Organic Synthesis;Wiley & Sons: New York, Volumes 1-21;R. C. LaRock, Comprehensive Organic Transformations, 2nd edition Wiley- VCH, New York 1999;Comprehensive Organic Synthesis, B. TrostおよびI. Fleming (Eds.) vol. 1-9 Pergamon, Oxford, 1991;Comprehensive Heterocyclic Chemistry, A. R. KatritzkyおよびC. W. Rees (Eds) Pergamon, Oxford 1984, vol. 1-9;Comprehensive Heterocyclic Chemistry II, A. R. KatritzkyおよびC. W. Rees (Eds) Pergamon, Oxford 1996, vol. 1-11; ならびにOrganic Reactions, Wiley & Sons: New York, 1991, Volumes 1-40)。以下の合成反応スキームは、本発明の化合物を合成できるいくつかの方法の単なる例に過ぎず、当該分野に属する当業者であれば、本願に含まれる開示を参照して、これらの合成反応スキームを種々の修正し、認識することができる。
【0089】
合成反応スキームにおける出発物質および中間体は、これらに限定されないが、必要に応じてろ過、蒸留、結晶化、クロマトグラフィーなどの従来の技術を用いて分離および精製することができる。このような物質は、物理的定数を含み、これに限定されないが、質量分光測定法、核磁気共鳴分光測定法および赤外線分光測定法を含む従来の手段によって特徴付けることができる。
【0090】
別段特に規定がなければ、本明細書で説明する反応は、好ましくは不活性雰囲気下、大気圧で、約−78℃〜約150℃、より好ましくは約0℃〜約125℃の温度範囲、最も好ましく好都合には、例えば約20℃の室温(周囲温度)で行われる。当業者は、過度の実験をすることなく個々の変形例に対して最適な反応条件を決定することができるであろう。
【0091】
以下のスキームは、多くは特定の化合物について説明しているが、反応条件は例示であり他の反応物に対しても容易に適用することができる。代替的な条件も公知である。以下の実施例における反応の順序は、請求の範囲に記載した発明の範囲を限定することを意味するものではない。
【0092】
本発明に含まれ、本発明の範囲内にある代表的な化合物の例を以下の表に示す。これらの例およびつづく調製法を提供し、当業者は、本発明をより明確に理解して実施することができる。これらは、本発明の範囲を限定するものと考えてはならず、単に本発明の例示および代表例として考えるべきである。
【0093】
一般的に、本願における命名法は、Beilstein Institute computerized system for the generation of IUPAC systematic nomenclature であるAUTONOM(商標)v.4.0に基づいている。記載した構造とその構造の付与名との間に不一致がある場合には、記載した構造を重視する。
【0094】
【表1】







【0095】
【表2】

【0096】
3−アラルキル−4,5−ジヒドロ−1H−[1,2,4]トリアジン−6−オン10は、α−アシルアミノ酸化合物11(式中、XはO−アルキル)の環化によって調製することができる(H. Neunhoeffer, "1,2,4- Triazines and their Benzo Derivatives" in Comprehensive Heterocyclic Chemistry II;A. J. Boulton, vol. Ed. Pergamon Press: Oxford, 1996, p. 561)。したがって、本発明の化合物は、
【化24】

【0097】
(1−アルコキシ−2−フェニル−エチリデンアミノ)−酢酸エステル11を生成するアルキルイミダート12(X=低級アルコキシ)とα−アミノエステル13とのイミン交換によって好都合に調製することができる。□−炭素上での多様な置換を伴うα−アミノエステルが有用であることにより、種々の置換基をトリアジノン環に導入するための好都合な方法を提供することができる。イミン11をヒドラジンに接触させることにより、イミダート炭素への付加とエステル炭素の環化が起こり、トリアジノン10を生成する(A. Kjaer, Acta Chem. Scand. 1953 7:1024-29)。必須のイミダートエステルは、酸の存在下で、対応するニトリルをアルコールと接触させることによって調製する。あるいはまた、(2−アリール−チオアセチルアミノ)−酢酸エステル15aを直接環化して15bとすることができる(T. P. Andersen et al. Tetrahedron 1983 39(20):3419-3427)。
【0098】
3−ベンジル−1H−[1,2,4]トリアジン−6−オン16は、対応する4,5−ジヒドロ−1H−[1,2,4]トリアジン−6−オンを、例えば次亜塩素酸ナトリウムなどの穏やかな酸化剤に接触させることにより、容易に調製することができる。
【化25】

【0099】
2−アラルキル−4H−[1,3,4]オキサジアジン−5−オン19bは、
【0100】
N−(2−ハロアルカノイル)−N−アラルキル−N’アリールアセチル−ヒドラジド18の分子内環化および、つづくチッ素原子上のアラルキル置換基の除去によって調製することができる。4−メトキシベンジル基は19aをAlClで処理して除去し、19bを生成した。
【化26】

【0101】
6−アラルキル−4,5−ジヒドロ−2H−ピリダジン−3−オン22は、当該分野において周知で容易に調製できるγ−ケト−エステル21から容易に調製する。本例では、必須のγ−ケト−エステルは、マロン酸エステルの段階的な添加の後、マロン酸エステルの活性炭素を酢酸誘導体23でアルキル化することにより調製することができる。マロン酸エステルの脱炭酸から得られるγ−ケト−エステルをヒドラジンに曝すことにより、効率よい環化を起こして22を生成することができる。
【0102】
スキーム1〜3に記述する経路における必須の前駆体は、3−フェノキシ−フェニル酢酸エステル(17aまたは対応するカルボン酸)または3−フェノキシ−フェニルアセトニトリル14である。フェノキシ置換基およびペンダント酢酸またはアセトニトリルを有するフェニル環のいずれも、請求の範囲に記載するように場合により置換されており、R、R’、RおよびArの記号は、これらの位置が請求の範囲および明細書に規定する範囲にまで前記スキームを一般化することを意図している。
【0103】
ジアリールエーテルの調製が検討されてきた(J. S. Sawyer, Recent Advances in Diaryl Ether Synthesis, Tetrahedron 2000 56:5045-5065)。(ヘテロ)アリールオキシエーテルの導入は、多くの場合、脱離基および電気陰性置換基で置換された芳香環上において、直接的なSAr置換反応により達成される。電気陰性置換基を有するフッ化芳香族化合物 は、ソフトな求核剤による求核攻撃に敏感であることが知られている。フッ素置換基は、一般的に、他の置換基よりも著しく不安定である。水および水酸化物などのハードな求核剤はフッ化物を置換しないが、フェノール、イミダゾール、アミン、チオールおよびいくつかのアミドなどのソフトな求核剤は、室温においてでも、容易な置換反応を起こす(D. Bogerら, Biorg. Med. Chem. Lett. 2000 10: 1471-75; F. Terrier Nucleophilic Aromatic Displacement: The Influence of the Nitro Group VCH Publishers, New York, NY 1991)。28および31aに代表されるフェノールを、適切に置換されたアリールフッ素化合物で処理し、ジアリールエーテル(下記)を生成することができる。
【0104】
アリールエーテルは、置換されたベンゼンボロン酸(benzene boronic acids)とフェノールとのCu(OAc)触媒縮合によっても効率よく調製することができる(D. A. Evansら, Tetrahedron Lett. 1998 39:2937-2940およびD. M. T. Chanら, Tetrahedron Lett. 1998 39:2933-2936)。このプロトコルは、28および31aなどのフェノールにも適用することができる。種々の他の置換基を有するベンゼンボロン酸を広く利用することができる。
【0105】
あるいはまた、Cu(I)塩を用いたウルマンの種々のジアリールエーテル合成(J.-F. Marcouxら, J. Am. Chem. Soc. 1997 119:10539-540;E. Buckら, Org. Lett. 2002 4(9): 1623- 1626)またはパラジウム触媒のカップリング手順(G. Mannら, J. Am. Chem. Soc., 1999 121:3224-3225)もまた報告されている。当該分野における当業者であれば、最適な手順は、カップリングされるアリール環上の置換基の性質および位置に依存して変わること、およびカップリングに有用な条件は過度の実験を行うことなく決定し得ることを理解するであろう。
【化27】

【0106】
多くの有用な、さまざまに置換された3−ヒドロキシフェニル酢酸(またはその前駆体)は市販されており、本発明の化合物を調製するために使用することができる。酢酸(またはアセトニトリル)側鎖を合成するために場合により置換された3−アルコキシ−トルエン化合物を用いた代替経路が採用されてきた。4−クロロ−3−ヒドロキシ−フェニル酢酸エチル(28)は、1−クロロ−2−メトキシ−4−メチル−ベンゼン(26)からベンジル型臭素化(工程1)およびシアン化ナトリウムでの臭素原子の置換(工程2)によって調製した。標準的な条件下におけるニトリルの加水分解(工程3および4)ならびにエーテルの脱メチル化により28が生成される。BBrまたはLiI/synコリジンを媒介とした脱メチル化は、メチルエーテルを対応するフェノールに転換するのに効果的な技術である。アリールエーテルの組込みは、前記した方法の一つにより達成することができる。フッ化アリールの置換は、適切な前駆体を利用できれば効果的であることが判明している。あるいはまた、フェノールとアリールボロン酸のカップリングにより、ジアリールエーテルが生成する。
【0107】
4−クロロ−2−フルオロ−3−フェノキシ−フェニル酢酸化合物(スキーム5)は、1−クロロ−3−フルオロ−2−メトキシ−4−メチルベンゼン(30a)から出発して、NBSおよびAIBNを用いたベンジル型臭素化、シアン化物の置換、ニトリルの加水分解、およびカルボン酸のエステル化を含む順序を用いることにより調製し、スキーム4で記載したのと類似する反応順序で30eを生成することができる。
【化28】

【0108】
あるいはまた、2−フルオロ置換化合物の合成は、フッ化芳香族化合物からフッ素原子を容易に置換することにより実施した。1,2,3−トリフルオロ−4−ニトロ−ベンゼン(32)をアルカリ金属フェノラートで処理することにより、良好な位置選択性で3−フルオロ基を置換して、33aを生成することができる(スキーム6)。マロン酸tert−ブチルエチルの脱プロトン化によって形成されたカルバニオンで、33aを処理することにより、マロン酸エステル33bを位置選択的に導入することができ、マロン酸エステル33bはtert−ブチルエステルの酸触媒加水分解および脱炭酸化を受け、33cを生成する。類似した方法で、マロン酸tert−ブチルエチルを、シアノ酢酸tert−ブチルで置換すれば、加水分解および脱炭酸化の後に、アセトニトリル33dを生成する。フェノキシ酸および酢酸(またはアセトニトリル)部分を導入した後、ニトロ基は4位置で他の置換基に容易に転換する。ニトロ置換基を還元すれば34aを生成し、34aはザントマイヤー条件を受けることにより、ブロモ34bまたはクロロ34e置換基を導入することができる。ブロモ置換基は、さらにジアルキル亜鉛(Negishiカップリング)と反応することによって、34cおよび34dに例示する4−アルキル−3−アリールオキシ−2−フルオロ−フェニル酢酸化合物を生成する。
【0109】
ハロアレーンおよびアリールトリフラートを用いた有機ハロゲン化物またはジアルキル亜鉛のNegishiカップリングは、アレーンへのアルキル基の付着に効果的な手段である。当該反応は、パラジウムPd(0)が触媒となり、パラジウムは好ましくは、Pd(dppf)ClおよびPd(dppe)Clを含む二座リガンドに結合する(J. M. Herbert Tetrahedron Lett. 2004 45:817-819)。代表的には、当該反応は不活性の非プロトン性溶媒で進行し、ジオキサン、DMEおよびTHFを含むエーテルを含んだ一般的な溶媒が好適である。当該反応は、一般的に、高温度下で進行する。
【化29】

【0110】
あるいはまた、マロン酸tert−ブチルエチルまたは酢酸tert−ブチルシアノの反応は、1位置35a(または対応するアセトニトリル)でのフッ素置換が優位を占める付加化合物の位置選択的な混合物を生成する。1:3の異性体の比率は約2:1であり、化合物は、シリカクロマトグラフィーによって分離することができる。35aの加水分解および脱炭酸化によって、アリールエーテルの導入およびザントマイヤー型化学反応に効果的な基質である酢酸フェニル35bを生成する。
【0111】
本発明の化合物は、種々の経口投与形態または担体中に配合されてもよい。経口投与は、錠剤、コーティング錠、ドラジェ剤、硬および軟ゼラチンカプセル剤、液剤、乳剤、シロップ剤、または懸濁剤の形態であってもよい。本発明の化合物は、他の投与経路のうち、連続(静脈内点滴)、局所の非経口、筋肉内、静脈内、皮下、経皮(透過性増強剤を含んでいてもよい)、頬内、経鼻、吸入、および坐剤投与をはじめとする他の投与経路で投与する場合に有効である。投与の好ましい方法は、一般に、病気の程度および活性成分に対する患者の反応により調整し得る、簡便な日常の投与計画を利用する経口である。
【0112】
本発明の化合物、およびそれらの医薬的に使用され得る塩を、1つ以上の従来の賦形剤、担体、または希釈剤と共に、医薬組成物および単位用量形態にしてもよい。医薬組成物および単位用量形態は、追加の活性化合物または有効成分を含むかまたは含まずに、従来の割合の従来の成分で構成されていてもよく、単位用量形態は、任意の適切な効果的量の活性成分を、所望の日用量範囲に比例して含み、使用してもよい。当該医薬組成物は、経口用では、固形(例えば、錠剤または充填カプセル剤)、半固形、粉末、徐放性配合剤または液体(例えば、液剤、懸濁剤、乳剤、エリキシル剤または充填カプセル剤)として;または経腸または経膣投与用の坐剤の形態で;または非経口用の滅菌注射可能溶液の形態で使用してもよい。代表的な製剤は、活性化合物または活性化合物群を約5%〜約95%(w/w)含む。「製剤」または「投与形態」という用語は、活性化合物の固体および液体の両配合物を含むものとし、活性成分が標的器官または組織、ならびに所望の用量および薬物動態パラメータに応じて異なる製剤中に存在し得ることは、当業者であれば理解するであろう。
【0113】
本明細書で用いる「賦形剤」という用語は、医薬組成物を製造するのに有用で、一般に安全で非毒性であり、生物学的または他についても望ましくないものではない化合物を指し、ヒト用医薬としての用途と同様に、獣医薬としての用途にも許容され得る賦形剤を含む。本明細書で用いる「賦形剤」という用語は、そのような賦形剤1つおよび1つ以上の両方を包含する。
【0114】
化合物の「医薬的に許容され得る塩」は、医薬的に許容できて、親化合物の望ましい薬理学的活性を有する塩を意味する。該塩としては:(1)無機酸(例えば、塩酸、臭化水素酸、硫酸、硝酸、リン酸など)で形成された酸付加塩;有機酸(例えば、酢酸、プロピオン酸、ヘキサン酸、シクロペンタンプロピオン酸、グリコール酸、ピルビン酸、乳酸、マロン酸、コハク酸、リンゴ酸、マレイン酸、フマル酸、酒石酸、クエン酸、安息香酸、3−(4−ヒドロキシベンゾイル)安息香酸、桂皮酸、マンデル酸、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、1,2−エタンジスルホン酸、2−ヒドロキシエタンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、4−クロロベンゼンスルホン酸、2−ナフタレンスルホン酸、4−トルエンスルホン酸、ショウノウスルホン酸、4−メチルビシクロ[2.2.2]−オクタ−2−エン−1−カルボン酸、グルコヘプトン酸、3−フェニルプロピオン酸、トリメチル酢酸、t−ブチル酢酸、ラウリル硫酸、グルコン酸、グルタミン酸、ヒドロキシナフトエ酸、サリチル酸、ステアリン酸、ムコン酸など)で形成された酸付加塩;または(2)親化合物に存在する酸性プロトンが、金属イオン(例えば、アルカリ金属イオン、アルカリ土類金属イオン、もしくはアルミニウムイオン)に置き換えられた場合、または有機塩基(例えば、エタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、トロメタミン、N−メチルグルカミンなど)と配位した場合に形成される塩が挙げられる。N−アシルスルホンアミドは酸性プロトンを有し、酸性プロトンは取り除かれ有機カチオンまたは無機カチオンと塩を形成する。
【0115】
好ましい医薬的に許容され得る塩は、酢酸、塩酸、硫酸、メタンスルホン酸、マレイン酸、リン酸、酒石酸、クエン酸、ナトリウム、カリウム、カルシウム、亜鉛、およびマグネシウムから形成される塩である。当然のことながら、医薬的に許容され得る塩に対する言及すべてには、同様の酸付加塩の、本明細書に規定する溶媒付加形態(溶媒和物)または結晶形態(多型)が含まれる。
【0116】
固形製剤は、散剤、錠剤、ピル、カプセル、カシェ、坐剤、および分散性顆粒を含む。固体担体は、希釈剤、香料添加剤、可溶化剤、滑沢剤、懸濁剤、結合剤、防腐剤、錠剤崩壊剤、または封入材としても作用し得る1つまたはそれ以上の物質であってもよい。散剤では、担体が、一般に、微粉化された活性成分との混合物である微粉化された固体である。錠剤では、活性成分は、一般に、必要な結合力を有する担体と適切な割合で混合され、所望の形状および寸法に圧縮されている。適切な担体は、これらに限定されないが、炭酸マグネシウム、ステアリン酸マグネシウム、タルク、砂糖、ラクトース、ペクチン、デキストリン、デンプン、ゼラチン、トラガカント、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム、低融点ワックス、ココアバターなどが挙げられる。固形製剤は、活性成分に加え、着色剤、香料、安定化剤、緩衝液、人工および天然甘味料、分散剤、増粘剤、可溶化剤などを含んでいてもよい。
【0117】
経口投与に適した液体製剤も、乳剤、シロップ剤、エリキシル剤、水溶液、水性懸濁剤などを含む。これらには、使用前に短時間で液状製剤に変換させる固形製剤が含まれる。乳剤は、溶液(例えばプロピレングリコール水溶液)中で調製されてもよく、または乳化剤(例えば、レシチン、モノオレイン酸ソルビタン、もしくはアカシア)を含んでいてもよい。水溶液は、活性成分を水に溶解させて、適切な着色剤、香料、安定化剤、および増粘剤を添加することにより調製することができる。水性懸濁剤は、微粉化した活性成分を粘性材料(例えば、天然または合成ゴム、樹脂、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウムおよび他の公知の懸濁剤)と共に水に分散させることにより調製することができる。
【0118】
本発明の化合物は、非経口投与(例えば、注射、例としてはボーラス注入法または持続注入法による)用に製剤化することができ、アンプル、充填済注射器、防腐剤を加えた小容量注入容器または多用量容器中に単位投薬形態で存在することができる。組成物は、油性または水性ビヒクル中の懸濁剤、溶液または乳剤、例えばポリエチレングリコール水溶液における液剤などの形態をとることができる。油性または非水性担体、希釈剤、溶媒またはビヒクルの例は、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール、植物油(例えば、オリーブ油)および注射用有機エステル類(例えば、エチルオレアート)を含み、防腐剤、湿潤剤、乳化剤もしくは懸濁剤、安定剤および/または分散剤などの配合剤を含有してよい。あるいはまた、活性成分は、滅菌固体の無菌分離によるか、または適切なビヒクル、例えば滅菌した発熱物質を含まない水で使用前に構成されるための溶液から凍結乾燥することにより得られる粉末形態であってよい。
【0119】
本発明の化合物は坐剤として投与するために製剤化することができる。脂肪酸グリセリドまたはココアバターの混合物などの低融点ロウを、最初に溶融して、活性成分を例えば撹拌により均質に分散する。次に均質溶融混合物を、都合のよい大きさの成形型に注ぎ、冷却させ、凝固させる。
【0120】
本発明の化合物は膣内投与用に製剤化することができる。活性成分に加えて、該担体を含有するペッサリー、タンポン、クリーム、ゲル、ペースト、フォームまたはスプレーが適切であることは当該技術分野において公知である。
【0121】
所望により、製剤は、活性成分の持続的または制御的放出投与に適合するように、腸溶剤皮を用いて調製することができる。例えば本発明の化合物は、経皮または皮下薬剤送達装置中で配合することができる。これらの送達系は、化合物の持続放出が必要であり、患者の治療計画に対するコンプライアンスが重要である場合に有利である。経皮送達系における化合物は、多くの場合、皮膚付着固体支持体に結合されている。目的の化合物は、また、浸透向上剤、例えばアゾン(1−ドデシルアザ−シクロヘプタン−2−オン)と組み合わせることができる。持続的放出送達系は、手術または注入により皮下層に皮下的に挿入される。皮下インプラントは、脂質可溶膜、例えばシリコーンゴムまたは生物分解性ポリマー、例えばポリ乳酸で化合物を包み込んでいる。
【0122】
医薬担体、希釈剤、および賦形剤を含む適切な製剤は、E. W. Martin, Mack Publishing Company, 19th edition, Easton, Pennsylvaniaの編集によるRemington: The Science and Practice of Pharmacy 1995 に記載している。熟練した製剤専門家は、本発明の組成物を不安定にせず、そして治療活性を犠牲にすることなく、明細書の教示内で製剤を改良して、個々の投与経路用の多数の製剤を提供することができる。
【0123】
本発明の化合物を変更して、より水溶性にしたりまたは他の担体への溶解度を高めたりすることは、例えば、当該技術に十分含まれるマイナーな変更(塩形成、エステル化)により容易に実現することができる。患者の最大の有益効果のために本発明の化合物の薬物動態を管理することを目的に、個々の化合物の投与経路及び投与量を改良することも、当業者が十分に行える範囲のことである。
【0124】
本明細書で用いる「治療上有効な量」という用語は、患者の疾患の症状を軽減するのに必要な量を意味する。用量は各症例の各要件に適応させる。その投与量は、多数の因子、例えば治療する疾患の重症度、患者の年齢および全般的健康状態、患者に処置している他の医薬 、投与の経路および形態、ならびに関与する医療従事者の選択および経験に応じて広い限界内で変動してもよい。経口投与では、1日あたり約0.01〜約100mg/kg体重の日用量が、単独療法及び/または併用療法で適切である。好ましい日用量は、1日あたり約0.1〜約500mg/kg体重、より好ましくは約0.1〜約100mg/kg体重、最も好ましくは1.0〜約10mg/kg体重である。つまり70kgのヒトに投与する場合、投与範囲は、1日あたり約7mg〜0.7gになる。日用量を、単回投与または分割投与(代表的には1日あたり1〜5回)で投与してもよい。一般的に、治療は、化合物の最適用量よりも少ない、より少なめの投与量で開始する。その後、各患者の最適効果に達するまで、投与量を少量ずつ増加させる。本明細書に記載した疾患を治療する当業者であれば、過度の実験を行わなくても、個人の知識、経験、および本願の開示を頼りに、所定の疾患および患者のために本発明の化合物の治療上有効な量を確定できるであろう。
【0125】
本発明の実施形態において、活性化合物または塩を、ヌクレオシド逆転写酵素阻害剤のような別の抗ウイルス剤、別の非ヌクレオシド逆転写酵素阻害剤またはHIVプロテアーゼ阻害剤と併用して投与することができる。活性化合物またはその誘導体もしくは塩を、別の抗ウイルス剤と併用投与する場合に、活性が親化合物よりも増加する可能性がある。治療が併用療法である場合、該投与は、ヌクレオシド誘導体の投与に対して同時または連続していてもよい。したがって、本明細書で用いる「同時投与」は、薬剤を同時または異なる時間に投与することを含む。2種以上の薬剤の同時投与は、2種以上の活性成分を含む単一の配合剤により、または単一の活性剤を含む2種以上の投与形態の実質的同時投与により、実現することができる。
【0126】
当然のことながら、本明細書の言及は、現行の条件の治療はもとより、予防にまで及ぶものであり、動物の治療にはヒトの治療はもとより他の動物の治療も含まれる。さらに、本明細書で用いるHIV感染症の治療には、HIV感染症を伴うかまたは介在する病気や疾患、もしくはこれらの臨床学的な兆候の治療または予防をも含まれる。
【0127】
医薬製剤は、好ましくは単位用量形態である。該形態では、当該製剤は、適量の活性成分を含む単位用量に分割されている。単位用量形態は、異なる量の製剤を含む包装製剤、例えば包装錠、カプセル剤、およびバイアルまたはアンプル中の粉末であってもよい。同じく、単位用量形態は、そのカプセル、錠剤、カシェ剤、もしくはトローチ剤そのものであってもよく、またはこれらのいずれかの適切な数の包装形態であってもよい。
【実施例1】
【0128】
(R)−3−[4−クロロ−3−(3,5−ジブロモ−フェノキシ)−2−フルオロ−ベンジル]−5−メチル−4,5−ジヒドロ−1H−[1,2,4]トリアジン−6−オン(I−3)および5−[6−クロロ−2−フルオロ−3−((R)−5−メチル−6−オキソ−1,4,5,6−テトラヒドロ−[1,2,4]トリアジン−3−イルメチル)−フェノキシ]−イソフタロニトリル(I−5)
【化30】


工程1 tert−ブトキシドナトリウム(0.76g、1当量)の一部を、乾燥THF(16mL)中の3,5−ジブロモフェノール(40、2.0g、7.9.mmol)の溶液に添加した。溶液を0℃まで冷却し、2,3,4−トリフルオロニトロベンゼン(32、0.91mL、1当量)をシリンジで滴下した。溶液を室温まで加温し、一晩攪拌し、水中に注いだ。混合物をEtOAcで抽出し、合わせた有機層を水、塩水で洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥させた。濾過および蒸発により油状物として3.26g(100%)の41aを生成し、これはゆっくりと結晶化した。
【0129】
工程2 無水CsCO(10.5g、1.2当量)を、乾燥DMF(110mL)中の41a(11.0g、27mmol)およびtert−ブチルシアノアセタート(4.2g、1.1当量)の溶液に添加した。溶液を3時間で90℃まで加熱し、室温まで冷却し、濃縮水酸化アンモニウム溶液に注いだ。水層をEtOAc/ヘキサン(1:1)で抽出し、合わせた有機物を水および塩水で洗浄した。揮発性物質の蒸発により約15gの赤い油状物を生成した。油状物をジクロロエタン(135mL)に溶解し、TFA(6.8mL)を添加した。溶液を加熱して3時間還流し、室温まで冷却した。揮発性物質を除去し、残留油状物をDCMと水との間に分配した。水層をDCMで抽出し、合わせた抽出物をNaHCOおよび塩水で洗浄した。粗生成物は、EtOAc/ヘキサン勾配(20〜60% EtOAc)を用いたSiOクロマトグラフィー溶離によって精製し、油状物として9.0g(84%)の41bを生成した。
【0130】
工程3 EtOH(3.7mL)およびHO(3.7mL)中の41b(0.80g、1.8mmol)、鉄粉(0.44g、4.2当量)、およびNHCl(0.42g、4.2当量)の懸濁液を、12時間で90℃に加熱した。溶液を室温に冷却し、CELITE(登録商標)で濾過し、パッドをEtOAcで洗浄した。合わせた有機物は、水、塩水で洗浄し、乾燥した(MgSO)。揮発性物質の蒸発により褐色の油状物として対応するアニリンを0.68g(91%)を生成した。
【0131】
亜硝酸tert−ブチル(3.72mL、2当量)を、Ar雰囲気下に維持された60℃の乾燥MeCN(39mL)中のCuCl(4.21g、2当量)の懸濁液に添加した。MeCN(39mL)中のアニリン(6.26g、15.7mmol)溶液を45分間かけて滴下した。溶液をさらに10分間60℃で攪拌し、0℃に冷却した。反応を10%HCl(5mL)でクエンチした。水を反応性生物に添加し、溶液をEtOAcで抽出した。合わせた有機物は、水、塩水で洗浄し、乾燥した(MgSO)。揮発性物質の蒸発およびEtOAc/ヘキサン勾配(5〜20% EtOAc)を用いたSiOクロマトグラフィー溶離による精製によって、白色固体として2.7g(40%)の42aを生成した。
【0132】
工程4 炉で加熱した丸底フラスコに、ニトリル42a(2.68g、6.4mmol)を入れ、フラスコをNでパージした。このフラスコに、無水トルエン(18mL)および無水エタノール(0.432mL、7.66mmol)を添加した。溶液を0℃に冷却し、フラスコにNを流しながらHClガスを15分間溶液にバブリングした。溶液を封止し、−10℃で36時間以上保管した。この間、所望する生成物が溶液から析出した。白色固体を回収し、無水エチルエーテルで洗浄し、高真空下で乾燥し、白色固体として2.77g(84%)の42bを得、これをさらに精製せずに使用した。
【0133】
工程5 炉で加熱した丸底フラスコに、42b(100mg、0.2mmol)およびエチルL−アラニンヒドロクロリド(28mg、0.2mmol)を入れた。混合物をアルゴンでパージし、無水DCM(1mL)に懸濁させた。この懸濁液にTEA(30.5μL、0.22mmol)を添加し、混合物を40℃で12時間攪拌した。ついで溶液をDCM(15mL)で希釈し、水(5mL)およびブライン(5mL)で洗浄した。有機層を真空下で濃縮し、不安定なイミン43が即座にEtOH(1mL)に溶解した。ヒドラジン一水和物(水中85%、28μL、0.2mmol)を添加し、混合物をN雰囲気下還流させて2時間加熱した。反応混合物を冷却し、EtOAcで希釈し、ついで水(15mL)およびブライン(5mL)で洗浄した。有機層を乾燥し(MgSO)、濾過し、真空下で濃縮した。粗生成物を、DCM/MeOH勾配を用いたSiOカラムクロマトグラフィー溶離によって精製することにより、白色の泡状物として69mg(68%)のI−3を得た。
【0134】
工程6 炉で加熱した丸底フラスコに、I−3(154mg、0.30mmol)、Zn(CN)(50mg、0.43mmol)、およびPd(PPh(88mg、76μmol)を入れた。混合物をアルゴンでパージし、ついで無水DCM(1.5mL)に懸濁させた。この混合物をアルゴン雰囲気下80℃で2時間加熱した。反応混合物を室温に冷却し、1:1ヘキサン/EtOAc(25mL)で希釈し、水(10mL)で洗浄した。真空下、有機相をブライン(5mL)で洗浄し、乾燥し(MgSO)、濾過し、濃縮した。粗生成物を、DCM/MeOH勾配を用いたSiOクロマトグラフィー溶離によって精製し、白色固体として110mg(91%)のI−5を得た。
【0135】
(S)−3−[4−クロロ−3−(3,5−ジブロモ−フェノキシ)−2−フルオロ−ベンジル]−5−メチル−4,5−ジヒドロ−1H−[1,2,4]トリアジン−6−オン(I−2)を、工程5においてL−アラニンエチルエステルのHCl塩をD−アラニンエチルエステルのHCl塩で置換した以外は、実施例1の手順によって調製した。
【0136】
3−クロロ−5−[6−クロロ−2−フルオロ−3−((R)−5−メチル−6−オキソ−1,4,5,6−テトラヒドロ−[1,2,4]トリアジン−3−イルメチル)−フェノキシ]−ベンゾニトリル(I−15)を、工程1において3,5−ジブロモフェノールを3−ブロモ−5−クロロフェノールで置換して2−(3−ブロモ−5−クロロ−フェノキシ)−3,4−ジフルオロ−1−ニトロ−ベンゼンを得て、これを本実施例に記載したようにI−15に転換した以外は、実施例1の手順によって調製した。
【0137】
3−クロロ−5−[6−クロロ−2−フルオロ−3−(5−メチル−6−オキソ−1,4,5,6−テトラヒドロ−[1,2,4]トリアジン−3−イルメチル)−フェノキシ]−ベンゾニトリル(I−18)を、工程5においてL−アラニンエチルエステルのHCl塩をD−アラニンエチルエステルのHCl塩で置換した以外は、I−15と同様にして調製した。
【0138】
3−クロロ−5−[6−クロロ−3−((R)−5−エチル−6−オキソ−1,4,5,6−テトラヒドロ−[1,2,4]トリアジン−3−イルメチル)−2−フルオロ−フェノキシ]−ベンゾニトリル(I−17)を、工程5においてL−アラニンエチルエステルHClをエチルL−2−アミノブチラートHClで置換した以外は、実施例1の手順によって調製した。
【実施例2】
【0139】
5−[4−クロロ−3−(3,5−ジブロモ−フェノキシ)−2−フルオロ−ベンジル]−4,6,7−トリアザ−スピロ[2.5]オクト−5−エン−8−オン(I−10)
【化31】


イミダート44(0.145g、0.29mmol)および1−アミノ−シクロプロパンカルボン酸エチルエステル(0.048g。0.29mmol)を、DCM(1.1mL)に懸濁させ、チッ素雰囲気下に維持した。TEA(44μL、1.1当量)を滴下し、混合物を35℃で攪拌した。5時間後、溶液を室温に冷却し、DCMで希釈し、ブラインで洗浄し、乾燥した(NaSO)。揮発性物質は蒸発させ、粗イミダート生成物はさらに精製せずに使用した。イミダートをEtOH(1.4mL)に溶解し、ヒドラジン(54μL、4当量)を添加した。溶液を2時間還流し、室温に冷却し、そしてEtOAcで希釈した。有機層はブラインで洗浄し、乾燥し(MgSO)、濃縮した。粗生成物は、EtOAc/ヘキサン勾配(20〜80% EtOAc)を用いたSiOクロマトグラフィー溶離によって精製し、白色泡状物として0.12g(81%)のI−10を生成した。
【実施例3】
【0140】
3−[6−クロロ−2−フルオロ−3−((R)−5−メチル−6−オキソ−1,4,5,6−テトラヒドロ−[1,2,4]トリアジン−3−イルメチル)−フェノキシ]−5−ジフルオロメチル−ベンゾニトリル(I−16)
【化32】


工程1 BBr溶液(DCM中の1.0M溶液の29.1mL、29.1mmol)を、N下で−78℃に維持した無水DCM(25mL)中の45a(2.5g、11.62mmol)溶液にゆっくりと添加した。オレンジ色の溶液を室温に加温し、2時間攪拌し、氷の上に注いだ。混合物をDCM(100mL)で抽出し、有機層をHO(50mL)およびブライン(50mL)で洗浄した。溶媒を蒸発させ、残りの油状物を、EtOAc/ヘキサン勾配(0〜20% EtOAc)を用いたSiOでのフラッシュクロマトグラフィー溶離によって精製し、所望するフェノールを得た。アルゴン下、ピリジン(10mL)中のこのフェノール溶液に、無水酢酸(0.6mL、6.33mmol)をゆっくりと添加した。2時間後、揮発性物質を除去し、3−ブロモ−5−ホルミル−フェニルアセタート(45b、1.02g、40%)を得た。
【0141】
工程2 DAST(1.02mL、7.69mmol)をNALGENE(登録商標)ボトル中に含まれたチッ素下のDCM(5mL)中の3−ブロモ−5−ホルミル−フェニルアセタート(45b、1.1g、4.52mmol)の溶液に添加した。EtOH(0.013mL、0.23mmol)を添加し、混合物を16時間攪拌した。ついで、反応混合物を、NaHCOの飽和水溶液にゆっくりと添加した。バブリングを終えた後、DCM(50mL)を添加し、層を分離した。有機層をブライン(30mL)で洗浄し、無水MgSOで乾燥した。溶媒を除去し、黄色の油状物を得て、これをTHF(15mL)およびHO(4mL)の混合物中に入れた。LiOH一水和物(474mg、11.3mmol)を添加し、反応混合物を室温で2時間攪拌した。ついで溶液を5%の水性HCl(50mL)に滴下し、混合物をEtOAc(3×30mL)で抽出した。合わせた有機性分画をブライン(30mL)で洗浄し、乾燥した(MgSO)。揮発性物質の蒸発により油状物を得て、これをシリカゲルでのフラッシュクロマトグラフィー(0〜25% EtOAc/ヘキサン)により精製して、800mgの3−ブロモ−5−ジフルオロメチルフェノール(46)を得た。
【0142】
工程3−5 2,3,4−トリフルオロ−ニトロ−ベンゼンによる46の逐次縮合およびtert−ブチルシアノアセタートの添加を、実施例1の工程1および2に記載のように実施した。ニトロ基の塩化物への転換を実施例1の工程3に記載のように実施して48aを生成した。
【0143】
工程6 HClガスで48a(1.25g、3.20mmol)、EtOH(7mL)およびトルエン(30mL)を含む冷却した溶液(5℃)を1時間バブリングした。得られた溶液を蒸発させて乾燥し、残渣をEtOですり潰して0.82g(54%)の48bを生成した。
【0144】
工程7 TEA(0.265mL、1.91mmol)を、48b(0.82g、1.73mmol)、塩酸D−アラニンメチルエステル(0.97g、6.93mmol)およびDCM(20mL)の混合物に添加した。室温で2時間攪拌した後、反応混合物を水の添加によりクエンチする。有機相を分離し、乾燥し(MgSO)、蒸発させた。残渣をEtOH(20mL)に溶解させて、80%のヒドラジンヒドラート(4.08mL、69.32mmol)を添加した。反応混合物を90℃で14時間攪拌し、ついで真空下で冷却して蒸発させた。残渣をEtOAcに溶解させ、ブラインで洗浄し、乾燥して(MgSO)蒸発させ、泡状物として49を0.60g(73%)生成した。
【0145】
工程8 DCM(2mL)中の49(0.60g、1.26mmol)の溶液を、DMF(20mL)中のZn(CN)(0.10g、0.88mmol)、P(0)(PPh(0.04g、0.25mmol)を含む丸底フラスコに、添加した。反応物をアルゴン雰囲気下90℃で48時間攪拌した。反応混合物を冷却して蒸発させて乾燥した。粗生成物をEtOAcに溶解させ、ブライン溶液で洗浄し、乾燥して(MgSO)蒸発させた。粗生成物を、MeOH/DCM勾配(2%〜5% MeOH)を用いたSiOカラムクロマトグラフィー溶離によって精製して、0.15g(28%)のI−16を得た:mp 173.2〜174.8℃;ms(M+H)=423.
【実施例4】
【0146】
3−ジフルオロメチル−5−[2−フルオロ−6−メチル−3−((R)−5−メチル−6−オキソ−1,4,5,6−テトラヒドロ−[1,2,4]トリアジン−3−イルメチル)−フェノキシ]−ベンゾニトリル(I−19)
【化33】


工程1 50a、ナトリウムメトキシド(1当量)およびDMFをN雰囲気下室温で一晩攪拌した。揮発性溶媒を真空下で除去すると、残渣がEtOと水との間に分離した。有機相を5%NaOH、水およびブラインで洗浄し、乾燥し(MgSO)、濾過し、蒸発させて50bを生成した。
【0147】
工程2 −78℃に冷却し、Ar雰囲気下に保持した50b(60g、0.2256mol)および無水EtO(1L)の溶液に、30分間かけて、n−BuLi(100mL、0.2482mol、ヘキサン中2.5M)を滴下した。黄色の溶液を−78℃で20分間攪拌した。反応混合物に乾燥DMF(19mL、248.2mmol)を15分間かけて滴下し、反応物を−78℃で10分間攪拌し、その後、冷却槽を除去し、-30℃に加温して30分間以上反応させた。反応容器を氷水槽に設置して−10℃に加温した。混合物を、氷で冷却したNHClの飽和水溶液(400mL)にゆっくりと添加した。有機層を分離し、水相をEtOで三回抽出した。合わせた抽出物を水で洗浄し、乾燥し(MgSO)、濾過し、蒸発させて油状物を得、この油状物は放置して固化させた。粗生成物は、ヘキサン/EtOAc勾配(3〜5% EtOAc)を用いたSiOクロマトグラフィー溶離によって精製し、51bを生成した。
【0148】
工程3 実施例3の工程9に記載のように、Zn(CN)、Pd(PPh(0)およびDMFを用いて、51のシアノ化を実施して52aを得た。
【0149】
工程4 DAST(21.04mL、519mmol)をNALGENE(登録商標)ボトル中に含まれたチッ素下のDCM(100mL)中の52a(15.1g、94mmol)の溶液に添加した。EtOH(0.013mL、0.23mmol)を添加し、混合物を16時間攪拌した。ついで、反応混合物を、NaHCOの飽和水溶液にゆっくりと添加した。バブリングを終えた後、DCM(50mL)を添加し、層を分離した。有機層をブライン(30mL)で洗浄し、無水MgSOで乾燥した。溶媒を除去し、粗生成物は、2回のフラッシュクロマトグラフィーによりシリカゲルで精製して(0%〜10% EtOAc/ヘキサン)白色固体として52bを得た。
【0150】
工程5 エーテル52bを氷状のHOAcおよび48%水性HBr中に溶解させ、溶液を120℃に加熱した。40時間後、80℃に加熱しながら揮発物を除去し、残渣を室温に冷却した。残渣は、水(100mL)とDCM(3×250mL)との間に分離される。合わせた抽出物は、HO(50mL)、NaHCO水溶液(2×50mL)、ブライン(50mL)、及び(MgSO)で洗浄した。溶媒を除去して53を生成した。
【0151】
工程6 炉で加熱した丸底フラスコに、53(9.07g、54mmol)および乾燥THF(90mL)を入れた。溶液をチッ素下0℃に冷却し、ナトリウムtert−ブトキシド(5.27g、55mmol)を数分間かけてゆっくりと添加した。透明な黄色溶液を0℃で10分間攪拌した。炉で加熱した別の丸底フラスコに、チッ素下で35b(13,148g、54mmol)を入れ、乾燥THF(90mL)を添加した。この溶液を、0℃に維持されたナトリウムフェノラート溶液に10分間かけてシリンジを介してゆっくりと添加した。室温で一晩攪拌した後、反応物を冷たい水性飽和KHSO(100mL)にゆっくりと注ぎ、ETOAc(2×200mL)で2回抽出した。有機層を合わせ、ブライン(100mL)で洗浄した。溶液を乾燥し(MgSO)、濾過し、真空下で濃縮した。粗生成物を、温かいEtO(100mL)中に溶解させ、ヘキサン(50mL)を添加し、数時間冷蔵庫で保管することにより、再結晶化した。沈殿物を濾過して褐色の固体を13g生成した。濾液を濃縮し、EtOAc/ヘキサン勾配を用いたSiOクロマトグラフィー溶離によって精製することにより、黄色固体として10gの54aを得た。生成物を沈殿物と合わせ、混合物を上記のようにして再結晶化し、白色固体として20g(94%)の54aを得た。
【0152】
工程7 ビス−アリールエーテル54a(16.36g、41.5mmol)、鉄(9.732g、174mmol)、およびNHCl(9.322g、174mmol)を丸底中で合わせてEtOH(70mL)および水(70mL)中に懸濁させた。懸濁液を加熱して2.5時間還流し、室温に冷却し、CELITE(登録商標)で濾過した。CELITEケーキはEtOAcで繰返し洗浄した。濾液を合わせてブラインで洗浄し、乾燥し(MgSO)、濾過して、真空下濃縮した。粗材料を、EtOAc/ヘキサンを用いたSiOクロマトグラフィー溶離によって精製し、白色固体として14.2g(93%)の54bを得た。
【0153】
工程8 500mLの丸底に、Cu(II)Br(2.62g、11.7mmol)およびLiBr(3.052g、35.2mmol)を入れた。混合物を20分間乾燥アルゴンでパージした。これに、MeCN(150mL)を添加して固体微粒子がよく分散するまで50℃で20分間攪拌した。懸濁液に亜硝酸tert−ブチルを添加し、5分間攪拌を継続し、その後、54b(4.27g、11.72mmol)およびMeCN(40mL)の溶液を単一部として添加した。得られた混合物は70℃で1時間攪拌した。反応混合物を0℃に冷却し、5%の水性HBr(10mL)でクエンチした。溶液を、EtOAc(200mL)で希釈し、水(100mL)およびブライン(50mL)で洗浄した。有機層を乾燥し(MgSO)、濾過し、真空下で濃縮した。粗材料を、EtOAc/ヘキサンを用いたSiOクロマトグラフィー溶離によって精製し、白色固体として2.6g(52%)の54cを得た。
【0154】
工程9 炉で乾燥した丸底フラスコに、臭化物54c(3.0g、7mmol)およびPd(dppf)CHCl(572mg,0.7mmol)を入れた。混合物を15分間アルゴンでパージした。固体に、乾燥THF(35mL)、ジメチルアミノエタノール(0.14mL、1.4mmol)、およびジメチル亜鉛(トルエン中の1.1M、12.7mL、14mmol)を添加した。得られた混合物を10分間で65℃に加温し、ついで50℃に冷却した。1時間後、反応混合物を室温に冷却し、水性の飽和NHCl(100mL)に添加した。混合物をEtOAc(150mL)で抽出し、有機層を水(100mL)およびブライン(50mL)で洗浄した。有機層を乾燥し(MgSO)、濾過し、真空下で濃縮した。粗生成物を、EtOAc/ヘキサンを用いたSiOクロマトグラフィー溶離によって精製し、白色固体として2.3g(90%)の54dを生成した。
【0155】
3−ジフルオロメチル−5−[2−フルオロ−6−メチル−3−((R)−5−メチル−6−オキソ−1,4,5,6−テトラヒドロ−[1,2,4]トリアジン−3−イルメチル)−フェノキシ]−ベンゾニトリル(I−19)を、水性THF中に溶解したLiOHで54bを加水分解して55を得て、工程1においてL−アラニンメチルエステルをグリシンメチルエステルに置換する以外は実施例9に記載の手順によりI−19に転換することにより調製する。
【実施例5】
【0156】
3−[4−クロロ−3−(3,5−ジブロモ−フェノキシ)−2−フルオロ−ベンジル]−5−メチル−1H−[1,2,4]トリアジン−6−オン(II−4)および5−[6−クロロ−2−フルオロ−3−(5−メチル−6−オキソ−1,6−ジヒドロ−[1,2,4]トリアジン−3−イルメチル)−フェノキシ]−イソフタロニトリル(II−5)
【化34】


工程1 丸底フラスコに、I−2(実施例1、253mg、0.5mmol)を入れ、10%の水性水酸化ナトリウム(2mL)中に懸濁させた。懸濁液を0℃に冷却し、水性次亜塩素酸ナトリウム(6重量%、807mg、0.65mmol)を添加した。溶液を室温に加温し、1.5時間攪拌した。反応物を、素早く攪拌してpH7.0に調整したリン酸塩緩衝溶液(20mL)に注いだ。得られた混合物はEtOAc(100mL)で抽出し、抽出物をブライン(10mL)で洗浄し、乾燥し(MgSO)、濾過し、真空下で濃縮した。粗生成物を、EtOAc/ヘキサン勾配を用いたSiOカラムクロマトグラフィー溶離によって精製し、白色固体として150mg(60%)のII−4を生成した。
【0157】
工程2 オーブンで乾燥した丸底フラスコに、II−4(138mg、0.27mmol)、Zn(CN)(48mg、0.41mmol)、およびPd(PPh(62mg、54μmol)を入れた。混合物をアルゴンでパージし、無水DMF(2.7mL)中に懸濁させた。混合物をアルゴン雰囲気下、80℃で2時間加熱した。反応混合物を室温に冷却し、1:1ヘキサン/EtOAc(25mL)で希釈し、水(10mL)で3回洗浄した。有機相をブライン(5mL)で洗浄し、乾燥し(MgSO)、濾過し、真空下で濃縮した。粗生成物を、DCM/MeOH勾配を用いたSiOカラムクロマトグラフィー溶離と、ついで、SiO(MeOH/DCM)での分取TLCとによって精製することにより、白色固体として17mg(15%)のII−5を得た。3−ブロモ−5−[6−クロロ−2−フルオロ−3−(5−メチル−6−オキソ−1,6−ジヒドロ−[1,2,4]トリアジン−3−イルメチル)−フェノキシ]−ベンゾニトリル(II−6)が、副生成物として、反応から単離された。
【0158】
(S)−6−[3−(3−ブロモ−5−クロロ−フェノキシ)−4−クロロ−2−フルオロ−ベンジル]−4−メチル−4,5−ジヒドロ−2H−ピリダジン−3−オン(II−1)を、I−2をI−1に置換した以外は実施例5の工程1に記載のような手順で調製した。
【0159】
I−2を、工程5においてアラニンエチルエステルを2−フェニルグリシンメチルエステルにより置換した以外は実施例1に記載のように調製した3−[3−(3−ブロモ−フェノキシ)−4−クロロ−ベンジル]−5−フェニル−4,5−ジヒドロ−1H−[1,2,4]トリアジン−6−オンにより置換した以外は、実施例5の工程1に記載の手順で3−[3−(3−ブロモ−フェノキシ)−4−クロロ−ベンジル]−5−フェニル−1H−[1,2,4]トリアジン−6−オン(II−3)を調製した。
【0160】
3−[2−クロロ−5−(5−メチル−6−オキソ−1,6−ジヒドロ−[1,2,4]トリアジン−3−イルメチル)−フェノキシ]−ベンゾニトリル(II−2)を、実施例1の工程6に記載の手順によりII-1から調製した。
【実施例6】
【0161】
(S)−3−[3−(3−ブロモ−フェノキシ)−4−クロロ−ベンジル]−5−メチル−4,5−ジヒドロ−1H−[1,2,4]トリアジン−6−オン(I−1)
【化35】


工程1 2−クロロ−5−メチル−フェノール(4.0g、28.06mmol)、3−ブロモ−フェニルボロン酸(11.3g、2.0当量)、4オングストローム分子ふるい(20g)およびCu(OAc)(5.6g、1当量)の混合物を、無水DCM(250mL)中に懸濁させた。TEA(19.6mL、5当量)を添加し、反応混合物に空気を簡単にバブリングした。24時間後、反応混合物をCELITE(登録商標)で濾過し、濾液を連続して10%HCl、水、およびブラインで洗浄した。揮発性物質の蒸発により油状物として5.0g(54%)の56を得て、ヘキサンを用いたSiOクロマトグラフィー溶離によってこの油状物を精製した。
【0162】
工程2 56(4.78g、16.1mmol)、NBS(2.66g、0.95当量)、AIBN(120mgs、0.075当量)およびCCl(70mL)の溶液を80℃に加熱した。追加のAIBN80mgを反応混合物に添加した。3時間後、混合物を冷却してSIOパッドで濾過し、これをDCMで洗浄した。揮発性物質の蒸発により油状物を生成し、これをEtOH(80mL)およびMeCN(15mL)中に溶解させた。シアン化ナトリウム(3.9g、5当量)を反応混合物に添加し、懸濁液を16時間攪拌した。EtOAcを用いたSiO溶離により溶液を濾過した。揮発性物質を除去し、残りの物質を、EtOAc/ヘキサン勾配(0%〜25% EtOAc)を用いたSiOクロマトグラフィー溶離によって精製し、3.56g(69%)の57を生成した。
【0163】
工程3 (S)−3−[3−(3−ブロモ−フェノキシ)−4−クロロ−ベンジル]−5−メチル−4,5−ジヒドロ−1H−[1,2,4]トリアジン−6−オン(I−1)を、実施例1の工程4および5における手順により、57から調製した。
【0164】
工程4雰囲気下に維持された無水トルエン(7mL)中の57(0.42g、1.3mmol)の溶液に、EtOH(0.09mL、1.2当量)を添加し、反応混合物をHCl(g)で10分間バブリングした。溶液を3℃で一晩放置した。反応混合物を0℃に冷却し、無水EtO(25mL)を添加した。冷たい溶液を濾過し、回収したイミダートをHO(15mL)中に溶解させた。溶液を6時間50℃に加熱した。ついで混合物を冷却し、EtOAcで抽出した。合わせた抽出物を乾燥し(MgSO)、濾過し、蒸発させて0.34g(71%)の58aを生成した。
【実施例7】
【0165】
2−[3−(3−ブロモ−フェノキシ)−4−クロロ−ベンジル]−6−メチル−4H−[1,3,4]オキサジアジン−5−オン(I−4)
【化36】


[3−(3−ブロモ−フェノキシ)−4−クロロ−フェニル]−酢酸エチルエステル58aを、実施例6に記載のように調製した。
工程1 58a(585mg、1.40mmol)およびヒドラジン(水中で85%、1.8mL、49mmol)の混合物にEtOH(5.5mL)を添加した。溶液を加熱して4時間還流し、真空下で濃縮した。粗生成物を、10mLのMeOHで再結晶化し、白色固体として370mg(65%)の58bを生成し、これをさらに精製せずに使用した。
【0166】
工程2 EtOH(5.9mL)中の58b(360mg、0.88mmol)懸濁液に、p−アニスアルデヒド(0.11mL、0.93mmol)を添加し、得られた混合物をAr下に維持し、2時間加熱して還流し、ついで室温に冷却した。反応混合物を、エーテル(20mL)で希釈し、0℃で保管した。24時間後、沈殿物を回収して乾燥し、白色固体として417mg(90%)の58cを生成した。
【0167】
工程3雰囲気下に維持し氷で冷却した58c(414mg、0.79mL)およびTFA(1.3mL)の溶液に、EtSiH(0.25mL、1.6mmol)をシリンジを介して添加した。溶液を0℃で1時間攪拌し、真空下で濃縮し、エーテル(10mL)中に再溶解させた。混合物を水(10mL)、水性飽和NaHCO(10mL)、およびブライン(5mL)で洗浄した。有機相を乾燥し(MgSO)、濾過し、濃縮した。粗生成物を、MeOH/DCM勾配を用いたSiOクロマトグラフィー溶離によって精製し、白色固体として400mg(96%)の58dを生成した。
【0168】
工程4雰囲気下に維持した58d(223mg、0.42mmol)および無水ジオキサン(4.2mL)の溶液に、2−クロロ−プロピオニルクロリド(46μL、0.46mmol)を添加し、反応混合物を室温で1時間攪拌した。混合物を真空下で濃縮し、DCM(20mL)中に再溶解させ、ブライン(5mL)で洗浄した。溶液を乾燥し(MgSO)、濾過し、真空下で濃縮して、透明の油状物として256mg(98%)の59を生成し、これをさらなる精製をすることなく使用した。
【0169】
工程5雰囲気下で59(256mg、0.41mmol)および無水MeCN(4.1mL)の溶液に、シリンジを介して1分間かけてDBU(62uL、0.41mmol)を添加した。溶液を室温で1時間攪拌し、ついで水性の飽和NHCl(10mL)中に注ぎ、EtOAc(60mL)で抽出した。有機層をブライン(5mL)で洗浄し、乾燥し(MgSO)、濾過し、真空下で濃縮し、白色固体として240mg(99%)の60を生成した。
【0170】
工程6 炉で乾燥した丸底フラスコにArを流し込み、オキサジアジノン60(240mg、0.41mmol)およびAlCl(220mg、1.6mmol)を入れた。これに無水アニソール(4.0mL)を添加し、溶液をアルゴン下室温で18時間攪拌した。反応を5%の水性HCl(25mL)でクエンチし、EtOAc(60mL)で抽出した。有機層をブライン(10mL)で洗浄し、乾燥し(MgSO)、濾過し、真空下で濃縮した。粗生成物を、MeOH/DCMを用いたSiOクロマトグラフィー溶離によって精製し、白色固体として190mg(99%)のI−4を生成した。
【0171】
2−[3−(3−ブロモ−フェノキシ)−4−クロロ−ベンジル]−6−エチル−4H−[1,3,4]オキサジアジン−5−オン(I−12)を、工程4において2−クロロプロピオニルクロリドを2−クロロブチロイルクロリドにより置換した以外は、実施例7に記載の手順で調製した。3−[2−クロロ−5−(6−エチル−5−オキソ−5,6−ジヒドロ−4H−[1,3,4]オキサジアジン−2−イルメチル)−フェノキシ]−ベンゾニトリル(I−14)を、実施例1の工程7に記載のようにI−12のシアン化によって調製した。
【0172】
2−[3−(3−ブロモ−フェノキシ)−4−クロロ−ベンジル]−6,6−ジメチル−4H−[1,3,4]オキサジアジン−5−オン(I−11)を、工程4において2−クロロプロピオニルクロリドを2−ブロモ−2−メチル−プロピオニルブロミドに置換した以外は、実施例7に記載の手順で調製した。
【0173】
3−[2−クロロ−5−(6,6−ジメチル−5−オキソ−5,6−ジヒドロ−4H−[1,3,4]オキサジアジン−2−イルメチル)−フェノキシ]−ベンゾニトリル(I−13)を、実施例1の工程7に記載のようにI−11のシアン酸塩化によって調製した。
【化37】

【0174】
2−[3−(3−ブロモ−5−クロロ−フェノキシ)−4−クロロ−2−フルオロ−ベンジル]−6−メチル−4H−[1,3,4]オキサジアジン−5−オン(I−6)を同様にして調製した。[3−(3−ブロモ−5−クロロ−フェノキシ)−4−クロロ−2−フルオロ−フェニル]−酢酸エチルエステル62を、工程1において3,5−ジブロモフェノールを3−ブロモ−5−クロロフェノールで置換し、工程2においてtert−ブチルシアノアセタートをtert−ブチルエチルマロナートに置換した以外は、実施例1の工程1〜4に記載の手順により、調製した。3−クロロ−5−[6−クロロ−2−フルオロ−3−(6−メチル−5−オキソ−5,6−ジヒドロ−4H−[1,3,4]オキサジアジン−2−イルメチル)−フェノキシ]−ベンゾニトリル(I−8)を、実施例1の工程7に記載のようにI−6のシアン酸塩化によって調製した。
【0175】
2−[4−クロロ−3−(3,5−ジブロモ−フェノキシ)−2−フルオロ−ベンジル]−6−メチル−4H−[1,3,4]オキサジアジン−5−オン(I−7)および5−[6−クロロ−2−フルオロ−3−(6−メチル−5−オキソ−5,6−ジヒドロ−4H−[1,3,4]オキサジアジン−2−イルメチル)−フェノキシ]イソフタロニトリル(I−9)を、3,5−ジブロモフェノールを実施例1の工程1に記載のように使用して[4−クロロ−3−(3,5−ジブロモ−フェノキシ)−2−フルオロ−フェニル]−酢酸エチルエステルを生成した以外は、I−6およびI−8と同様にして調製した。エステルは、実施例7の工程4〜6に記載のようにI−7に転換した。
【実施例8】
【0176】
(S)−6−[3−(3−ブロモ−フェノキシ)−4−クロロ−ベンジル]−4−メチル−4,5−ジヒドロ−2H−ピリダジン−3−オン(I−20)および3−[2−クロロ−5−((S)−5−メチル−6−オキソ−1,4,5,6−テトラヒドロ−ピリダジン−3−イルメチル)−フェノキシ]−ベンゾニトリル(I−21)
【化38】


工程1 EtOH(16mL)中の58a(2.80g、7.57mmol)の溶液に、HO(4mL)中のNaOH(364mg、9.09mmol)の溶液を添加した。溶液を15時間攪拌し、EtOHを真空下で除去した。水(30mL)を添加し、溶液をEtO(20mL)で洗浄し、溶液をpH1に酸性化してEtOで抽出した。有機抽出物をブラインで洗浄し、乾燥した(MgSO)。揮発性物質を蒸発させて2.36g(92%)の63aを生成した。
【0177】
工程2 氷で冷却した無水THF(16mL)中の63a(1.86g、5.44mmol)の溶液に、1,1’−カルボニルジイミダゾール(1.06g、6.5mmol)を添加した。溶液を1時間攪拌した。別のフラスコにおいて、塩化イソプロピルマグネシウム(EtO中の2M溶液の8.17mL、16.3mmol)を、無水THF(10mL)中のtert−ブチルエチルマロナート(1.26mL、8.17mmol)の冷溶液(0℃)に滴下した。マロナートを含む溶液を45℃に45分間加熱し、室温に冷却し、ついで、アシルイミダゾールの冷溶液にゆっくりと添加した。合わせた溶液を16時間攪拌し、10%HCl溶液に添加し、EtOで抽出した。合わせた抽出物を、ブラインで洗浄し、乾燥した(MgSO)。粗生成物を、EtOAc/ヘキサン勾配(0%〜10% EtOAc)を用いたSiOクロマトグラフィー溶離により精製し、1.81g(76%)の63bを生成した。
【0178】
工程3 氷で冷却された無水THF中の63b(885mg、2.01mmol)の溶液に、NaH(88mg、鉱油中の60%懸濁液、2.21mmol)を添加した。15分後、プロピオン酸エチルS−2−トリフルオロメチルスルホニルオキシ(431μL、2.31mmol)を添加し、反応混合物を室温に加温し、16時間攪拌した。反応混合物をゆっくりと10%HClに添加し,EtOで抽出した。合わせた有機物をブラインで洗浄し、乾燥した(MgSO)。揮発性物質を真空下で除去し、残渣をTFA(8mL)中に溶解させ、2時間攪拌した。TFAを真空下で除去し、残渣をベンゼン(10mL)中に懸濁させ、加熱して2時間還流した。揮発性物質を除去し、残渣をEtOAc/ヘキサン勾配(0%〜25% EtOAc)を用いたSiOクロマトグラフィー溶離によって精製し、所望するケト−エステルを生成した。EtOH中のこのケト-エステルの溶液に、ヒドラジン(120uL、2.45mmol)を添加し、混合物を加熱して2時間還流した。反応を室温に冷却し、揮発性物質を真空下で蒸発させた。残渣をEtOAc中に溶解させ、水、ブラインで洗浄し、乾燥した(MgSO)。揮発性物質の蒸発およびSiOクロマトグラフィーによる残渣の精製により、430mg(52%)のジヒドロピリダジノンI−20:(ESI MS)(M+H)=407を生成した。
【0179】
工程4 無水DMF(3mL)中のI−20(213mg、0.52mmol)、Zn(CN)(37mg、0.31mmol)、Pd(PPh(120mg、0.10mmol)の溶液をN雰囲気下で80℃に加熱した。反応を室温に冷却し、2MのNHONに注ぎ、EtOAcで抽出した。合わせた抽出物を水、ブラインで洗浄し、乾燥した(MgSO)。揮発性物質の蒸発およびEtOAc/ヘキサン勾配(0%〜100% EtOAc)を用いたSiOクロマトグラフィーによる残渣の精製によって156mg(84%)のI−21:(ESI MS)(M+H)=354を生成した。
【0180】
(S)−6−[3−(3−ブロモ−5−クロロ−フェノキシ)−4−クロロ−2−フルオロ−ベンジル]−4−メチル−4,5−ジヒドロ−2H−ピリダジン−3−オン(I−23)および3−クロロ−5−[6−クロロ−2−フルオロ−3−((S)−5−メチル−6−オキソ−1,4,5,6−テトラヒドロ−ピリダジン−3−イルメチル)−フェノキシ]−ベンゾニトリル(I−22)を、工程1における58aを[3−(3−ブロモ−5−クロロ−フェノキシ)−4−クロロ−2−フルオロ−フェニル]−酢酸エチルエステルに置換した以外は、実施例8の手順により調製した。
【実施例9】
【0181】
3−[6−ブロモ−2−フルオロ−3−((R)−5−メチル−6−オキソ−1,4,5,6−テトラヒドロ−[1,2,4]トリアジン−3−イルメチル)−フェノキシ]−5−ジフルオロメチル−ベンゾニトリル(I−25)
【化39】


工程1 TEA(0.73mL、5.25mmol)を、DCM(50mL)中のD−アラニンメチルエステルヒドロクロリド(0.73g、5.25mmol)、DCC(1.08g、5.25mmol)、HOBt(0.71g、5.25mmol)およびDMF(5mL)に溶解した64a(2.10g、5.247mmol)の溶液に添加し、混合物をN雰囲気下室温で14時間攪拌した。水の添加により反応をクエンチした。有機相を分離し、ブラインで洗浄し、乾燥し(MgSO)、真空下で蒸発させた。残渣を20%EtOAc/ヘキサンを用いたSiOクロマトグラフィー溶離によって精製し、白色固体として0.90g(36%)の64bを生成した。
【0182】
工程2 ベンゼン(30mL)中の(R)64b(0.90g、1.91mmol)、ラヴェッソン試薬(0.38g、0.95mmol)の混合物を、N雰囲気下に維持し、14時間90℃で加熱した。反応混合物を室温に冷却し、ついで蒸発させて乾燥した。粗生成物をEtOAc/ヘキサン勾配(5〜20% EtOAc)を用いたSiOクロマトグラフィー溶離によって精製し、油状物として0.56g(58%)の(R)64cを生成した。
【0183】
工程3 含水ヒドラジン(0.20mL、3.30mmol)をジオキサン(30mL)中の64c(0.56g、1.12mmol)に添加し、混合物を90℃で6時間、ついで室温で36時間攪拌した。反応混合物を蒸発させ、粗生成物をMeOH/DCM勾配(2〜10% MeOH DCM)を用いたSiOクロマトグラフィー溶離によって精製し、ついでIPAから結晶化させ、白色固体(0.30g、55%)として0.30g(55%)のI−25:mp183.7〜185.8℃;m/z=467(MH+)を生成した。
【実施例10】
【0184】
6−(4−クロロ−3−フェノキシ−ベンジル)−4,5−ジヒドロ−2H−ピリダジン−3−オン(I−24)
【化40】


6−(4−クロロ−3−フェノキシ−ベンジル)−2H−ピリダジン−3−オンを、28(1.0当量)、ベンゼンボロン酸(2.5当量)、酢酸第二銅(1.1当量)、4オングストロームの分子ふるい(1g)、およびCHCl(25mL)、TEA(5当量)を合わせ、得られた混合物を一晩攪拌することにより調製する。さらにベンゼンボロン酸を添加し、出発物質が消費されるまで攪拌を継続する。反応混合物をCELITE(登録商標)のパッドで濾過し、CHClで洗浄する。合わせた有機濾液は蒸発させる。粗生成物を、ヘキサン/EtOAc勾配(0〜25% EtOAc)を用いたシリカゲルでのSiOクロマトグラフィー溶離によって精製し、65を生成した。
【0185】
水性HCl(12mL)中の15%TiClの溶液を、MeCN(16mL)中の65(0.38g、1.2mmol)の溶液に添加した。溶液を50℃に5時間加熱し、ついで室温に冷却し、12時間攪拌した。混合物を10%NaOH溶液に注ぎ、ついでEtOAcで抽出した。粗生成物を、EtOAc/ヘキサン勾配(50〜75% EtOAc)を用いたSiOクロマトグラフィー溶離によって精製し、白色固体(0.045g、12%)として0.045g(12%)のI−24を生成した。
【実施例11】
【0186】
HIV逆転写酵素アッセイ:阻害剤のIC50測定
精製した組換え酵素およびpoly(rA)/oligo(dT)16テンプレート−プライマーを全量50μLで用い、96ウェル Millipore Multiscreen MADVNOB50プレートにおいてHIV-1 RTアッセイを実施した。アッセイの構成要素は、50mM Tris/HCl、50mM NaCl、1mM EDTA、6mM MgCl、5μM dTTP、0.15μCi[H]dTTP、2.5μg/ml oligo(dT)16にプレアニールされた5μg/ml poly(rA)、および10%DMSOの最終濃度における種々の阻害剤濃度であった。反応は4nM HIV-1 RTを添加することによって開始し、37℃で30分間培養した後、氷で冷却された50μLの20%TCAを添加することによって停止させ、4℃で30分間沈殿させた。プレートに真空をかけることによって沈殿物を回収し、続いて、3×200μLの10%TCAおよび2×200μLの70%エタノールで洗浄した。最後に、プレートを乾燥し、ウェルごとに25μLのシンチレーション流体を添加した後、Packard TopCounterにおいて放射能を計測した。IC50はlog10阻害剤濃度に対して%阻害をプロットすることにより算出した。
【0187】
【表3】

【実施例12】
【0188】
抗ウイルスアッセイ
R.E.Pauwelsら、J. Virol. Methods 1988 20(4) :309- 322に記載の方法で抗ウイルスアッセイを実施した。
【0189】
【表4】

【実施例13】
【0190】
医薬組成物
いくつかの経路で投与するための主題となる本化合物の医薬組成物を本実施例に記載したように調製した。
【0191】
【表5】

【0192】
成分を混合してそれぞれ約100mgを含有するカプセルに分配した;一つのカプセルがおおよそ一日の全用量である。
【0193】
【表6】

【0194】
該成分を混ぜ合わせ、メタノールなどの溶媒を用いて造粒する。ついで、該調合物を乾燥して適切な錠剤形成機で錠剤(活性成分を約20mg含む)とした。
【0195】
【表7】

【0196】
成分を混合し、経口投与用の懸濁液を形成した。
【0197】
【表8】

【0198】
活性成分は注射用水の一部に溶解される。ついで、攪拌しながら十分な量の塩化ナトリウムを添加し、溶液を等張とする。注射用水の残りで溶液を増量して、0.2ミクロン膜フィルタで濾過し、滅菌条件下で包装する。
【0199】
【表9】

【0200】
成分を一緒に蒸気浴で溶融して混合し、全重量2.5gを含有する型に注ぐ。
【0201】
具体的形態もしくは開示した機能を実施する手段に関して表した前述の記述もしくは以下の特許請求の範囲に開示した特徴、または開示した結果を得る方法もしくは工程は、本発明を多様な形態で実現するために、必要に応じて、別々にまたは該特徴を組み合わせて利用してもよい。
【0202】
前述の発明は、明瞭性および理解の目的で、例証および一例として詳細に記載した。変化および変更を添付の特許請求の範囲内で実施してもよいことは、当業者であれば明白であろう。それゆえ、先の記述が例示であり限定でないことを理解されたい。それゆえ、本発明の範囲は、先の記述を参照せずに決定すべきであり、代わりに、特許請求の範囲が権利を与える均等の全ての範囲と共に、以下に添付した該特許請求の範囲を参照して決定すべきである。
【0203】
各特許、特許出願または刊行物が極めて個別に表されてるいるのと同程度まで、本願に引用した全ての特許、特許出願および刊行物は、全体として参照により本明細書に援用される。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
式I:
【化1】


(式中、
はO、NRまたはCHであり;
は水素、ハロゲン、C1−6アルキルまたはC1−6アルコキシであり;
は水素またはハロゲンであり;
はC1−6アルキル、C1−6ハロアルキル、C3−8シクロアルキル、ハロゲン、シアノまたはニトロからなる群より独立して選択される1〜3の置換基で場合により置換されたフェニルであり;
はA1またはA2であり;
およびRは独立して水素、C1−10アルキル、C1−6ハロアルキル、ヒドロキシ−C1−6アルキル、またはC1−6アルキル、C1−6アルコキシ、C1−6ハロアルキル、ハロゲン、ヒドロキシ、ニトロおよびシアノからなる群より各々、独立して選択される1〜3の置換基で場合により置換されたフェニルであるか、あるいはRおよびRは共に(CHであり;
は水素、C1−10アルキルまたはフェニルであり;
は水素またはC1−6アルキルであり;
nは2〜4である)
に示される化合物、および医薬的に許容し得るそれらの塩。
【請求項2】
式I:
【化2】


(式中、
はO、NRまたはCHであり;
は水素、ハロゲンまたはC1−6アルキルであり;
は水素またはハロゲンであり;
はC1−6アルキル、C1−6ハロアルキル、ハロゲンまたはシアノからなる群より独立して選択される1〜3の置換基で場合により置換されたフェニルであり;
はA1またはA2であり;
およびRは独立して水素、C1−10アルキル、C1−6ハロアルキル、ヒドロキシ−C1−6アルキル、またはC1−6アルキル、C1−6アルコキシ、C1−6ハロアルキル、またはハロゲンからなる群より各々、独立して選択される1〜3の置換基で場合により置換されたフェニルであるか、あるいはRおよびRは共に(CHであり;
は水素、C1−10アルキルまたはフェニルであり;
は水素またはC1−6アルキルであり;
nは2〜4である)
に示される請求項1記載の化合物および医薬的に許容し得るそれらの塩。
【請求項3】
式I:
【化3】


(式中、
はO、NRまたはCHであり;
は水素、ハロゲンまたはC1−6アルキルであり;
は水素またはハロゲンであり;
はC1−6アルキル、C1−6ハロアルキル、ハロゲンまたはシアノからなる群より独立して選択される1〜3の置換基で場合により置換されたフェニルであり;
はA1であり;
およびRは独立して水素、C1−10アルキル、C1−6ハロアルキル、ヒドロキシ−C1−6アルキル、またはC1−6アルキル、C1−6アルコキシ、C1−6ハロアルキル、またはハロゲンからなる群より各々、独立して選択される1〜3の置換基で場合により置換されたフェニルであるか、あるいはRおよびRは共に(CHであり;
は水素またはC1−6アルキルであり;
nは2〜4である)
に示される請求項1または2に記載の化合物および医薬的に許容し得るそれらの塩。
【請求項4】
請求項3に記載の化合物であって、式中、
はO、NRまたはCHであり;
は水素、ハロゲンまたはC1−6アルキルであり;
は水素またはハロゲンであり;
はC1−6ハロアルキル、ハロゲンまたはシアノからなる群より独立して選択される1〜3の置換基で場合により置換されたフェニルであり;
はA1であり;
およびRは独立して水素、C1−10アルキル、C1−6ハロアルキル、またはヒドロキシ−C1−6アルキルであるか、あるいはRおよびRは共に(CHであり;
は水素またはC1−6アルキルである
化合物および医薬的に許容し得るその塩。
【請求項5】
請求項4に記載の化合物であって、式中、
はOであり;
はハロゲンであり;
は水素またはハロゲンであり;
はハロゲンまたはシアノからなる群より独立して選択される1〜3の置換基で場合により置換されたフェニルであり;
はA1であり;
およびRは独立して水素またはC1−10アルキルである
化合物および医薬的に許容し得るその塩。
【請求項6】
請求項5に記載の化合物であって、式中、
はOであり;
はClであり;
は水素またはFであり;
はBr、Clまたはシアノからなる群より独立して選択される1〜3の置換基で場合により置換されたフェニルであり;
はA1であり;
およびRは独立して水素、メチルまたはエチルである
化合物および医薬的に許容し得るその塩。
【請求項7】
請求項3に記載の化合物であって、式中、
はNRであり;
は水素、ハロゲンまたはC1−6アルキルであり;
は水素またはハロゲンであり;
はC1−6ハロアルキル、ハロゲンまたはシアノからなる群より独立して選択される1〜3の置換基で場合により置換されたフェニルであり;
はA1であり;
およびRは独立して水素、C1−10アルキル、C1−6ハロアルキル、ヒドロキシ−C1−6アルキルであるか、あるいはRおよびRは共に(CHであり;
は水素である
化合物および医薬的に許容し得るその塩。
【請求項8】
請求項7に記載の化合物であって、式中、
はNHであり;
は水素、Br、Clまたはメチルであり;
は水素またはFであり;
はCF、Br、Clまたはシアノからなる群より独立して選択される1〜3の置換基で場合により置換されたフェニルであり;
はA1であり;
およびRは独立して水素、メチル、CF、CHOHであるか、あるいはRおよびRは共に(CHである
化合物および医薬的に許容し得るその塩。
【請求項9】
請求項3に記載の化合物であって、式中、
はCHであり;
は水素またはハロゲンであり;
は水素またはハロゲンであり;
はハロゲンまたはシアノからなる群より独立して選択される1〜3の置換基で場合により置換されたフェニルであり;
はA1であり;
およびRは独立して水素またはC1−6アルキルである
化合物および医薬的に許容し得るその塩。
【請求項10】
請求項9に記載の化合物であって、式中、
はCHであり;
は水素またはClであり;
は水素またはFであり;
はBr、Clまたはシアノからなる群より独立して選択される1〜3の置換基で場合により置換されたフェニルであり;
はA1であり;
およびRは独立して水素またはメチルである
化合物および医薬的に許容し得るその塩。
【請求項11】
式I:
【化4】


(式中、
は水素またはハロゲンであり;
は水素またはハロゲンであり;
はハロゲンまたはシアノからなる群より独立して選択される1〜3の置換基で場合により置換されたフェニルであり;
はA2であり;
は水素、C1−10アルキルまたはフェニルである)
に示される請求項1または2に記載の化合物および医薬的に許容し得るそれらの塩。
【請求項12】
請求項11に記載の化合物であって、式中、
は水素またはClであり;
は水素またはFであり;
はBrまたはシアノからなる群より独立して選択される1〜3の置換基で場合により置換されたフェニルであり;
はA2であり;
はメチルまたはフェニルである
化合物および医薬的に許容し得るその塩。
【請求項13】
化合物が
(S)−3−[3−(3−ブロモ−フェノキシ)−4−クロロ−ベンジル]−5−メチル−4,5−ジヒドロ−1H−[1,2,4]トリアジン−6−オン、
(S)−3−[4−クロロ−3−(3,5−ジブロモ−フェノキシ)−2−フルオロ−ベンジル]−5−メチル−4,5−ジヒドロ−1H−[1,2,4]トリアジン−6−オン、
(R)−3−[4−クロロ−3−(3,5−ジブロモ−フェノキシ)−2−フルオロ−ベンジル]−5−メチル−4,5−ジヒドロ−1H−[1,2,4]トリアジン−6−オン、
2−[3−(3−ブロモ−フェノキシ)−4−クロロ−ベンジル]−6−メチル−4H−[1,3,4]オキサジアジン−5−オン、
5−[6−クロロ−2−フルオロ−3−((R)−5−メチル−6−オキソ−1,4,5,6−テトラヒドロ−[1,2,4]トリアジン−3−イルメチル)−フェノキシ]−イソフタロニトリル、
2−[3−(3−ブロモ−5−クロロ−フェノキシ)−4−クロロ−2−フルオロ−ベンジル]−6−メチル−4H−[1,3,4]オキサジアジン−5−オン、
2−[4−クロロ−3−(3,5−ジブロモ−フェノキシ)−2−フルオロ−ベンジル]−6−メチル−4H−[1,3,4]オキサジアジン−5−オン、
3−クロロ−5−[6−クロロ−2−フルオロ−3−(6−メチル−5−オキソ−5,6−ジヒドロ−4H−[1,3,4]オキサジアジン−2−イルメチル)−フェノキシ]−ベンゾニトリル、
5−[6−クロロ−2−フルオロ−3−(6−メチル−5−オキソ−5,6−ジヒドロ−4H−[1,3,4]オキサジアジン−2−イルメチル)−フェノキシ]−イソフタロニトリル、
5−[4−クロロ−3−(3,5−ジブロモ−フェノキシ)−2−フルオロ−ベンジル]−4,6,7−トリアザ−スピロ[2.5]オクタ−5−エン−8−オン、
2−[3−(3−ブロモ−フェノキシ)−4−クロロ−ベンジル]−6,6−ジメチル−4H−[1,3,4]オキサジアジン−5−オン、
2−[3−(3−ブロモ−フェノキシ)−4−クロロ−ベンジル]−6−エチル−4H−[1,3,4]オキサジアジン−5−オン、
3−[2−クロロ−5−(6,6−ジメチル−5−オキソ−5,6−ジヒドロ−4H−[1,3,4]オキサジアジン−2−イルメチル)−フェノキシ]−ベンゾニトリル、
3−[2−クロロ−5−(6−エチル−5−オキソ−5,6−ジヒドロ−4H−[1,3,4]オキサジアジン−2−イルメチル)−フェノキシ]−ベンゾニトリル、
3−クロロ−5−[6−クロロ−2−フルオロ−3−((R)−5−メチル−6−オキソ−1,4,5,6−テトラヒドロ−[1,2,4]トリアジン−3−イルメチル)−フェノキシ]−ベンゾニトリル、
3−[6−クロロ−2−フルオロ−3−((R)−5−メチル−6−オキソ−1,4,5,6−テトラヒドロ−[1,2,4]トリアジン−3−イルメチル)−フェノキシ]−5−ジフルオロメチル−ベンゾニトリル、
3−クロロ−5−[6−クロロ−3−((R)−5−エチル−6−オキソ−1,4,5,6−テトラヒドロ−[1,2,4]トリアジン−3−イルメチル)−2−フルオロ−フェノキシ]−ベンゾニトリル、
3−クロロ−5−[6−クロロ−2−フルオロ−3−(5−メチル−6−オキソ−1,4,5,6−テトラヒドロ−[1,2,4]トリアジン−3−イルメチル)−フェノキシ]−ベンゾニトリル、
3−ジフルオロメチル−5−[2−フルオロ−6−メチル−3−((R)−5−メチル−6−オキソ−1,4,5,6−テトラヒドロ−[1,2,4]トリアジン−3−イルメチル)−フェノキシ]−ベンゾニトリル、
(S)−6−[3−(3−ブロモ−フェノキシ)−4−クロロ−ベンジル]−4−メチル−4,5−ジヒドロ−2H−ピリダジン−3−オン、
3−[2−クロロ−5−((S)−5−メチル−6−オキソ−1,4,5,6−テトラヒドロ−ピリダジン−3−イルメチル)−フェノキシ]−ベンゾニトリル、
3−クロロ−5−[6−クロロ−2−フルオロ−3−((S)−5−メチル−6−オキソ−1,4,5,6−テトラヒドロ−ピリダジン−3−イルメチル)−フェノキシ]−ベンゾニトリル、
(S)−6−[3−(3−ブロモ−5−クロロ−フェノキシ)−4−クロロ−2−フルオロ−ベンジル]−4−メチル−4,5−ジヒドロ−2H−ピリダジン−3−オン、
6−(4−クロロ−3−フェノキシ−ベンジル)−4,5−ジヒドロ−2H−ピリダジン−3−オン、
3−[6−ブロモ−2−フルオロ−3−((R)−5−メチル−6−オキソ−1,4,5,6−テトラヒドロ−[1,2,4]トリアジン−3−イルメチル)−フェノキシ]−5−ジフルオロメチル−ベンゾニトリル、
3−[6−ブロモ−2−フルオロ−3−((R)−5−メチル−6−オキソ−1,4,5,6−テトラヒドロ−[1,2,4]トリアジン−3−イルメチル)−フェノキシ]−5−クロロ−ベンゾニトリル、
3−クロロ−5−[6−クロロ−3−(5,5−ジメチル−6−オキソ−1,4,5,6−テトラヒドロ−[1,2,4]トリアジン−3−イルメチル)−2−フルオロ−フェノキシ]−ベンゾニトリル、
3−クロロ−5−[6−クロロ−2−フルオロ−3−(6−オキソ−1,4,5,6−テトラヒドロ−[1,2,4]トリアジン−3−イルメチル)−フェノキシ]−ベンゾニトリル、
3−クロロ−5−[6−クロロ−2−フルオロ−3−(6−オキソ−5−トリフルオロメチル−1,4,5,6−テトラヒドロ−[1,2,4]トリアジン−3−イルメチル)−フェノキシ]−ベンゾニトリル、
3−クロロ−5−[6−クロロ−2−フルオロ−3−((R)−5−ヒドロキシメチル−6−オキソ−1,4,5,6−テトラヒドロ−[1,2,4]トリアジン−3−イルメチル)−フェノキシ]−ベンゾニトリル、
3−[3−(3−ブロモ−フェノキシ)−4−クロロ−ベンジル]−5−メチル−1H−[1,2,4]トリアジン−6−オン、
3−[2−クロロ−5−(5−メチル−6−オキソ−1,6−ジヒドロ−[1,2,4]トリアジン−3−イルメチル)−フェノキシ]−ベンゾニトリル、
3−[3−(3−ブロモ−フェノキシ)−4−クロロ−ベンジル]−5−フェニル−1H−[1,2,4]トリアジン−6−オン、
3−[4−クロロ−3−(3,5−ジブロモ−フェノキシ)−2−フルオロ−ベンジル]−5−メチル−1H−[1,2,4]トリアジン−6−オン、
5−[6−クロロ−2−フルオロ−3−(5−メチル−6−オキソ−1,6−ジヒドロ−[1,2,4]トリアジン−3−イルメチル)−フェノキシ]−イソフタロニトリル、又は
3−ブロモ−5−[6−クロロ−2−フルオロ−3−(5−メチル−6−オキソ−1,6−ジヒドロ−[1,2,4]トリアジン−3−イルメチル)−フェノキシ]−ベンゾニトリル
である、請求項1〜12のうちのいずれか一項に記載の化合物および医薬的に許容し得るそれらの塩。
【請求項14】
薬剤として使用される、請求項1〜13のうちのいずれか一項に記載の化合物および医薬的に許容し得るそれらの塩。
【請求項15】
ヒト免疫不全ウイルス(HIV)媒介疾患治療用の薬剤を製造するための、請求項1〜13のうちのいずれか一項に記載の化合物および医薬的に許容し得るそれらの塩の使用。
【請求項16】
少なくとも1つの医薬的に許容し得る担体、希釈剤または賦形剤を混合した、請求項1〜13のうちのいずれか一項に記載の化合物および/または医薬的に許容し得るそれらの塩を含む医薬組成物。
【請求項17】
請求項1に記載の化合物および医薬的に許容し得るそれらの塩の調製方法であって、式中、(i)RはA1であり、XはNRであり、そしてRは水素であるか、あるいは(ii)RはA2であり、そしてR、R、R、Rおよびnは請求項1に規定のとおりであり、以下の工程:
(i)カップリング試薬の存在下でフェニル酢酸化合物IIをアミノ酸エステルに接触させてIIIを生成する工程;
【化5】


(ii)IIIをラヴェッソン試薬に接触させてIVを生成する工程;
【化6】


(iii)IVをヒドラジンに接触させて式Iの化合物(式中、RはA1であり、そしてXはNRであり、そしてRは水素である)を生成する工程;および
(iv)A1をA2に場合により酸化し、式Iの化合物(式中、RはA2である)を生成する工程
を含む方法。
【請求項18】
請求項1に記載の化合物の調製方法であって、式中、RはA1であり、XはOであり、そしてR、R、Rおよびnは請求項1に規定のとおりであり、以下の工程:
(i)カップリング試薬の存在下でフェニル酢酸化合物またはフェニル酢酸エステルIIaをヒドラゾンに接触させてN−アシルヒドラジドVを生成する工程;
【化7】


(ii)該N−アシルヒドラジドVをアリールアルデヒドに接触させてイミン(VIa)を生成し、ついでVIaを還元してN−アシル−N’−アラルキル−ヒドラジドVIbを生成する工程;
【化8】


(iii)VIbをハロゲン化2−ハロ−アルカノイルおよび塩基に接触させてN−アシル−N’−アラルキル−N’−2ハロ−アシルヒドラジド(VIIa)を生成し、N−アシル−N’−アラルキル−ヒドラジドVIIaを環状化して4H−[1,3,4]オキサジアジン−5−オン(VIIb)を生成する工程;
【化9】


(iv)VIIbをAlClに接触させて該4H−[1,3,4]オキサジアジン−5−オンを脱ベンジル化し、VIIIを生成する工程
【化10】


を含む方法。
【請求項19】
上記した発明。

【公表番号】特表2009−510013(P2009−510013A)
【公表日】平成21年3月12日(2009.3.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−532729(P2008−532729)
【出願日】平成18年9月20日(2006.9.20)
【国際出願番号】PCT/EP2006/066541
【国際公開番号】WO2007/039463
【国際公開日】平成19年4月12日(2007.4.12)
【出願人】(591003013)エフ.ホフマン−ラ ロシュ アーゲー (1,754)
【氏名又は名称原語表記】F. HOFFMANN−LA ROCHE AKTIENGESELLSCHAFT
【Fターム(参考)】