説明

NOx浄化システムの診断装置

【課題】故障診断に基づき修理されたNOx浄化システムの機能確認を簡単且つ短時間で高い精度により実施できるNOx浄化システムの診断装置を提供する。
【解決手段】DPF過堆積ランプ34が点灯していない状態でDPF再生開始スイッチ35が操作されたとき(S2,4)、故障診断に基づきNOx浄化システムの修理が完了して機能確認が要求されていると見なし、DPF18の手動再生を開始する(S12)。手動再生によりDPF18の下流側に位置するSCR触媒20も昇温され、SCR触媒20の下流側のNOxセンサ36の検出値に基づきNOx浄化システムの機能を確認可能となるため(S18〜22)、車両を実際に走行させて触媒昇温する必要がなくなる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はNOx浄化システムの診断装置に係り、詳しくは故障診断に基づき修理されたNOx浄化システムが正常に機能するか否かを確認する診断装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、エンジンの排気通路にNOx触媒を配したNOx浄化システムが実用化されている。例えばディーゼルエンジンでは、燃焼がリーン空燃比の下で実施されるため、排気中の酸素(O2)量が多く、ガソリンエンジンで実用化されている三元触媒は機能せず、種々のディーゼルエンジン用NOx触媒が開発されている。その一つとして、最近では、定地式ディーゼルエンジンで実用化されている還元剤としてアンモニアを添加する構成のアンモニア選択還元型NOx触媒(以下、SCR触媒と称する)を用いたNOx浄化システムが車両用として開発されつつある。この種のSCR触媒では、触媒上に添加されたアンモニア(NH)によってNOxが窒素(N2)及びH2Oに還元されるように反応が進行する。
【0003】
ところで、この種のNOx浄化システムは稼働中に種々の要因により故障を生じる場合があり、故障状態での稼働の継続は大気中へのNOx排出につながることから、その対策として故障診断装置の装備が法規により義務づけられている。故障診断装置の一例としては、特許文献1に記載されたものを挙げることができる。
この故障診断装置では、SCR触媒上へのアンモニア添加量を変化させて、SCR触媒の下流側に配設したNOxセンサの検出値に基づき故障の有無を判定している。このような故障診断装置はエンジン運転によりNOx浄化システムが稼働している間は常に作動して故障を監視し、故障判定時には運転席に設けたSCR故障ランプを点灯させて運転者に故障を報知することで、車両の販売修理を取り扱うディーラーなどでの修理を促している。
【0004】
また、ディーラーなどでの不完全な修理への対策として、修理完了後に実際にNOx浄化システムを作動させて機能が回復していることを確認する作業を実施している。周知のようにSCR触媒が良好なNOx浄化性能を発揮するのは活性温度域に限られ、触媒温度が活性温度域の下限値(活性下限温度)を下回ると、たとえアンモニアを添加しても十分な浄化性能を発揮しない。このため、修理後の確認作業は、実際に車両を走行させてSCR触媒を活性温度域まで昇温させた上で実施している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2010−248963号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、SCR触媒の活性下限温度は180℃前後の高温であり、少なくとも活性下限温度までSCR触媒を昇温するには、例えば100km/hで30分程度は走行を継続する必要があり、多大な手間と時間を要するという問題があった。加えて、活性温度域内においてもSCR触媒のNOx浄化性能は触媒温度に依存し、触媒温度と共に変動する。そして、触媒温度はエンジンの排気温度、ひいては車両の走行状態に応じて変動することから、その影響を受けて確認作業中にNOx浄化性能も変動し、機能回復か否かの判定精度が低下するという問題もある。
【0007】
付言すると、このようなNOx浄化システムの機能回復の確認作業に特許文献1の故障診断装置を利用することも可能ではあるが、触媒昇温のための車両走行に起因する上記問題を解決できないことは明らかである。
本発明はこのような問題点を解決するためになされたもので、その目的とするところは、故障診断に基づき修理されたNOx浄化システムの機能確認を簡単且つ短時間で高い精度により実施することができるNOx浄化システムの診断装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するため、請求項1の発明は、エンジンの排気通路に配設されて還元剤の添加により排ガス中のNOxを選択的に浄化するアンモニア選択還元型NOx触媒、及びアンモニア選択還元型NOx触媒に還元剤を供給する還元剤供給手段を少なくとも具備するNOx浄化システムにおいて、排気通路のアンモニア選択還元型NOx触媒の上流側に配設されて排ガス中のパティキュレートを捕集するフィルタと、フィルタへのパティキュレートの過堆積を報知する過堆積報知手段と、過堆積報知手段による報知に応じて運転者により再生開始スイッチが操作されたときに、車両停車状態でフィルタを昇温して捕集されたパティキュレートを強制的に焼却除去する手動再生を実行する手動再生手段と、排気通路の上記アンモニア選択還元型NOx触媒の下流側に配設されたNOx検出手段と、故障診断手段の故障判定に基づくNOx浄化システムの修理後に、NOx浄化システムの機能が回復したか否かの判定を指示する機能確認指示手段が操作されたとき、過堆積報知手段による報知がないときでも手動再生手段に手動再生を実行させ、手動再生によるフィルタの昇温に伴って下流側のアンモニア選択還元型NOx触媒が少なくとも活性下限温度まで昇温されたときに、NOx検出手段の検出値に基づきNOx浄化システムの機能回復を判定する機能確認手段とを備えたものである。
【0009】
請求項2の発明は、機能確認手段が、アンモニア選択還元型NOx触媒の温度が活性下限温度近傍に設定された昇温終了温度に達したときに、手動再生手段に手動再生を終了させるものである。
請求項3の発明は、請求項1または2において、機能確認指示手段が、車両の運転席に設けられた再生開始スイッチであり、機能確認手段が、再生開始スイッチが操作されたとき、過堆積報知手段による報知がないときに限って手動再生に続いて機能回復の判定を実行するものである。
【0010】
請求項4の発明は、請求項1または2において、機能確認指示手段が、機能確認手段に接続可能な診断ツールであり、機能確認手段が、診断ツールにより機能確認モードの開始が入力されたとき、機能確認モードとして手動再生に続いて機能回復の判定を実行するものである。
請求項5の発明は、請求項4において、機能確認手段が、機能確認モードに加えて、NOx浄化システムの各構成の作動状態を順次変更すると共に、作動状態の変更のために手作業の準備を要するときには診断ツールに準備内容を表示指示し、作動状態を変更した構成がNOx浄化システムの故障原因であるか否かをNOx検出手段の検出値に基づき順次判定する故障究明モードを実行可能であり、機能確認モードでNOx浄化システムの機能が回復していないと判定した後のタイミング、またはNOx浄化システムの修理前のタイミングで故障究明モードを開始して、NOx浄化システムの各構成の故障を逐次判定し、特定した故障原因の構成の修理指示を診断ツールに表示するものである。
【発明の効果】
【0011】
以上説明したように請求項1の発明のNOx浄化システムの診断装置によれば、故障診断に基づくNOx浄化システムの修理後に機能回復の判定を指示する機能確認指示手段が操作されたとき、過堆積報知手段による報知がなくフィルタの過堆積防止のために手動再生を要しないときであっても手動再生を実行し、手動再生によるフィルタの昇温に伴って下流側のアンモニア選択還元型NOx触媒が少なくとも活性下限温度まで昇温したときに、NOx検出手段の検出値に基づきNOx浄化システムの機能回復を判定するようにした。
このように手動再生を利用してアンモニア選択還元型NOx触媒を昇温することから、昇温のための車両走行による手間や時間の消費を防止して、簡単且つ短時間でNOx浄化システムの機能確認を実施できる。しかも、車両走行による触媒昇温に比較して手動再生による触媒昇温では触媒温度の変動が少なく、機能回復したか否かを高い精度で判定することができる。
【0012】
請求項2の発明のNOx浄化システムの診断装置によれば、アンモニア選択還元型NOx触媒の温度が活性下限温度近傍の昇温終了温度に達すると手動再生を終了するようにした。手動再生の終了後のアンモニア選択還元型NOx触媒の温度低下はヒートマスに起因して緩慢なものとなるため、触媒温度が活性下限温度を下回るまでにNOx浄化システムの機能確認が完了する。そして、手動再生の実行時間を必要最小限に留めることにより消費燃料を節減して燃費悪化の弊害を未然に防止することができる。
請求項3の発明のNOx浄化システムの診断装置によれば、機能確認指示手段としての再生開始スイッチが操作されたとき、過堆積報知手段による報知がないときには、フィルタは過堆積しておらずNOx浄化システムの修理後の機能確認が指示されたと見なし、手動再生に続いて機能回復の判定を実行するようにした。このように機能確認指示手段として既存の再生開始スイッチを利用することから、装備を追加せずにNOx浄化システムの修理後の機能確認を指示でき、製造コストを低減することができる。
【0013】
請求項4の発明のNOx浄化システムの診断装置によれば、診断ツールにより機能確認モードの開始が入力されたとき、手動再生に続いて機能回復の判定を実行するようにした。このように車両側の装備を追加せずに、機能確認手段に診断ツールを接続するだけでNOx浄化装置の修理後の機能確認を指示でき、製造コストを低減することができる。
請求項5の発明のNOx浄化システムの診断装置によれば、機能確認モードでNOx浄化システムの機能が回復していないと判定した後のタイミング、またはNOx浄化システムの修理前のタイミングで故障究明モードを開始し、この故障究明モードによりNOx浄化システムの各構成の作動状態を変更して順次検査すると共に、必要に応じてメカニックに対する準備指示を診断ツールに表示し、これにより特定した故障原因の構成の修理指示を診断ツールに表示するようにした。
【0014】
従って、当初の修理によりNOx浄化システムの機能が回復していないと判定したときには、その後に故障究明モードにより故障原因となっているNOx浄化システムの構成が特定されて診断ツールの表示に基づき再び修理され、修理後に再度機能確認モードが実行される。或いは、当初の修理前に故障究明モードが実行されて故障原因のNOx浄化システムの構成が特定され、診断ツールに表示された修理指示に基づき当初の修理が実施された後に機能確認モードが実行される。
何れの場合でも、故障究明モードによりNOx浄化システムの各構成を自動的に順次検査することから、習熟しないメカニックでも容易に故障原因を特定でき、しかも、作動状態の変更にメカニックによる準備を要するときには診断ツールに準備指示を表示するため、不適切な準備によるメカニックの無駄な労力を軽減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明のNOx浄化システムの診断装置が適用されたディーゼルエンジンを示す全体構成図である。
【図2】第1実施形態のECUが実行するSCR昇温・機能確認ルーチンを示すフローチャートである。
【図3】第1実施形態のECUの処理によるNOx浄化システムの修理後の機能確認の手順を示すタイムチャートである。
【図4】第2実施形態のECUが実行するSCR昇温・機能確認ルーチンを示すフローチャートである。
【図5】第2実施形態のECUが実行する故障究明ルーチンを示すフローチャートである。
【図6】第2実施形態のECUの処理によるNOx浄化システムの修理後の機能確認及び故障究明の手順を示すタイムチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0016】
[第1実施形態]
以下、本発明を具体化したNOx浄化システムの診断装置の第1実施形態を説明する。
図1は本発明のNOx浄化システムの診断装置が適用されたディーゼルエンジンを示す全体構成図であり、エンジン1は直列6気筒機関として構成されている。エンジン1の各気筒には燃料噴射弁2が設けられ、各燃料噴射弁2は共通のコモンレール3から加圧燃料を供給され、機関の運転状態に応じたタイミングで開弁して各気筒の筒内に燃料を噴射する。
エンジン1の吸気側には吸気マニホールド4が装着され、吸気マニホールド4に接続された吸気通路5には、上流側よりエアクリーナ6、ターボチャージャ7のコンプレッサ7a、インタクーラ8が設けられている。また、エンジン1の排気側には排気マニホールド9が装着され、排気マニホールド9には上記コンプレッサ7aと同軸上に連結されたターボチャージャ7のタービン7bを介して排気通路10が接続されている。
【0017】
エンジン1の運転中においてエアクリーナ6を経て吸気通路5内に導入された吸気はターボチャージャ7のコンプレッサ7aにより加圧された後にインタクーラ8、吸気マニホールド4を経て各気筒に分配され、各気筒の吸気行程で筒内に導入される。筒内では所定のタイミングで燃料噴射弁2から燃料が噴射されて圧縮上死点近傍で着火・燃焼し、燃焼後の排ガスは排気マニホールド9を経てタービン7bを回転駆動した後に排気通路10を経て外部に排出される。
吸気マニホールド4と排気マニホールド9とは排ガス環流用のEGR通路12により接続され、EGR通路12にはEGR弁13及びEGRクーラ14が介装されている。EGR弁13の開度に応じて排気マニホールド9内の排ガスがEGRガスとして吸気マニホールド4に環流され、環流されたEGRガスは各気筒の筒内での燃焼温度を抑制してNOx生成量を低減する作用を奏する。
【0018】
上記排気通路10には排気浄化装置が設けられている。排気浄化装置の上流側ケーシング16内には上流側より前段酸化触媒17及びDPF(ディーゼルパティキュレートフィルタ)18が収容され、排気浄化装置の下流側ケーシング19内には上流側よりSCR触媒(アンモニア選択還元型NOx触媒)20及び後段酸化触媒21が収容されている。
上流側ケーシング16と下流側ケーシング19とはミキシング通路22により接続され、ミキシング通路22内には尿素水噴射用の噴射ノズル23(還元剤供給手段)が配設されている。噴射ノズル23の先端はミキシング通路22内の中心に位置し、噴射ノズル23の基端はミキシング通路22の外周に設置された電磁弁23aに接続されている。電磁弁23aには図示しない尿素タンクから所定圧の尿素水が供給されており、電磁弁23aの開閉に応じて噴射ノズル23の先端から尿素水が放射状に噴射される。
【0019】
一方、車室内には、図示しない入出力装置、制御プログラムや制御マップなどの記憶に供される記憶装置(ROM,RAM等)、中央処理装置(CPU)、タイマカウンタなどを備えたECU(電子制御ユニット)31が設置されている。ECU31の入力側には、SCR触媒20に導入される排気温度Tex1を検出する温度センサ32、SCR触媒20を経て後段酸化触媒21を流通後の排気温度Tex2を検出する温度センサ37、運転席に設置されたNOx浄化システムの故障を表示するSCR故障ランプ33、同じく運転席に設置されたDPF18の過堆積を報知するDPF過堆積ランプ34(過堆積報知手段)、同じく運転席に設置されたDPF18の手動再生を開始する再生開始スイッチ35(機能確認指示手段)、SCR触媒20を経て後段酸化触媒21を流通後の排ガス中に含まれるNOx量を検出するNOxセンサ36(NOx選出手段)などのセンサ類が接続されている。またECU31の出力側には、上記燃料噴射弁2、EGR弁13及び噴射ノズル23の電磁弁23aなどのデバイス類が接続されている。
【0020】
例えばECU31は、エンジン回転速度Ne及びアクセル操作量θaccから図示しないマップに従って燃料噴射量を設定し、エンジン回転速度Ne及び燃料噴射量から図示しないマップに従って燃料噴射時期を設定し、これらの燃料噴射量及び燃料噴射時期に基づいて燃料噴射弁2を駆動制御してエンジン1を運転する。
また、ECU31は、燃料噴射量Q及びエンジン回転速度Neから所定のマップに従ってEGRの実行域と非実行域とを判別し、EGR実行域ではマップから設定した目標EGR量に基づきEGR弁13の開度を制御する。これによりEGR実行域では排ガスをEGRガスとして吸気側に環流させることで各気筒の筒内の燃焼温度を抑制してNOx生成の低減を達成する。
【0021】
また、ECU31は、SCR触媒20上にアンモニアを供給してNOx浄化作用を発揮させるべく、電磁弁23aを駆動制御して噴射ノズル23から尿素水を噴射する。尿素水の目標噴射量はSCR触媒20の温度Tcatに基づき決定され、触媒温度Tcatが活性下限温度Tlo未満のときには目標噴射量が0(噴射中止)に設定される一方、活性下限温度Tlo以上のときには高温側ほど目標噴射量が増加側に設定され、これにより適切なアンモニア添加が実現される。
例えば触媒温度Tcatは、温度センサ32により検出されたSCR触媒20の上流側温度である排気温度Tex1、及び温度センサ37により検出されたSCR触媒20の下流側温度である排気温度Tex2に基づき、エンジン1の運転中にECU31により逐次算出される。但し、触媒温度Tcatの算出手法はこれに限ることはなく、例えば排気温度Tex1から触媒温度Tcatを推定するようにしてもよい。
【0022】
そして、エンジン1の運転中において、エンジン1から排出された排ガスは排気マニホールド9及び排気通路10を経て上流側ケーシング11内に導入され、前段酸化触媒14を経てDPF15を流通する際に含有しているPM(パティキュレートマター)を捕集される。その後、排ガスはミキシング通路22内で噴射ノズル23から尿素水が噴射され、尿素水は排気熱及び排ガス中の水蒸気により加水分解されてアンモニアを生成する。
そして、生成されたアンモニアによりSCR触媒20上で排ガス中のNOxが無害なNに還元されてNOxの浄化が行われる一方、このときの余剰アンモニアが後段酸化触媒21によりNOに酸化されて処理される。
【0023】
DPF18に捕集されたPMは種々の要因により焼却除去され、これによりDPF18が再生される。例えばエンジン1の排気温度Texが比較的高い運転状態では、前段酸化触媒上の酸化作用により排ガス中のNOからNO2が生成され、そのNO2がDPF18上で酸化反応することによりPMは連続的に焼却される(連続再生)。
また、連続再生の作用が得られないときには、DPF18上のPM捕集量が限界を越えて過堆積に陥ってしまう。そこで、例えばECU31は、DPF18の上流側及び下流側に設けた図示しない圧力センサの検出値に基づきDPF18での圧損を算出し、圧損がPMの捕集限界付近に設定された判定値を越えたときにはPMの過堆積と判定してPMを強制的に焼却除去する(強制再生)。強制再生はメイン噴射後のポスト噴射などによりDPF18を昇温して実現されるが、DPF18へのPMの堆積状況に応じて車両走行中に行われる自動再生と停車中に行われる手動再生とに大別できる。
【0024】
通常は車両走行中に自動再生が実行されてDPF18が昇温される一方、低速走行の連続などにより自動再生を実行してもDPF18の昇温が不足してPMを焼却できないときには、運転者への報知により手動再生の実行を促す。この報知はDPF過堆積ランプ34により行われ、ECU31により点灯されたDPF過堆積ランプ34により運転者は手動再生の必要性を認識し、車両を最寄りの安全な場所に停車した上で再生開始スイッチ35を押圧操作する。スイッチ操作に呼応して、ECU31がDPF18の昇温に最適な条件でエンジン1を運転しながら手動再生を開始する。
自動再生と手動再生との何れでもDPF18の昇温過程に応じた複数の段階に細分化されており、例えば予備昇温制御、上昇制御及び下降制御からなる。予備昇温制御は、主に前段酸化触媒17の昇温(例えば、290〜300℃)を目的としてポスト噴射量を抑制しながら実行される制御である。また、上昇制御及び下降制御は予備昇温制御の完了後に交互に実行される制御であり、何れも予備昇温制御に比較してポスト噴射量を増加させて、前段酸化触媒17上に供給したHC,COの燃焼により下流側のDPF18をPMの燃焼温度以上(例えば、600℃)に維持することを目的とする。
【0025】
なお、自動再生及び手動再生はポスト噴射に限らず種々の手法を用いることができる。例えば、排気通路10に設けた燃料噴射弁より燃料を噴射して前段酸化触媒17上にHC,COを供給して燃焼させたり、図示しない排気絞り弁を閉弁制御したり、或いはこれらの手法を組み合わせたりしてもよい。
以上のようにしてエンジン1の排ガス中に含まれるNOxやPMなどの種々の有害成分の大気中への排出が抑制される。NOxについては、以下に述べるNOx浄化システムの各構成が互いに協調して機能することにより所期のNOx浄化性能を達成する。
【0026】
NOx浄化システムの各構成としては、まず、直接的にNOx浄化作用を奏するSCR触媒20、そのSCR触媒20にアンモニアを添加するための尿素噴射システム(噴射ノズル23など)を挙げることができる。また、エンジン1の筒内でのNOxの生成を抑制するためのEGRシステム(EGR通路12、EGR弁13及びEGRクーラ14)もNOx浄化システムの構成の一つである。さらには、エンジン1の燃料噴射量や燃料噴射時期を導くためのマップは事前の台上試験に基づくキャリブレーションから最適設定され、これらのマップに基づき燃料噴射制御を実行することで筒内でのNOxやPM生成が極力抑制されているため、その意味ではエンジン1の燃料噴射制御もNOx浄化システムの構成の一つと見なせる。
換言すれば、これらのNOx浄化システムの何れかの構成が故障して機能に支障を生じれば、大気中へのNOx排出量が増加することになる。
【0027】
このようなNOx浄化システムの故障を想定して、ECU31は故障診断装置の機能を備えている(故障診断手段)。故障診断装置としては、例えば特許文献1に記載された技術を用いることができ、エンジン1の運転中に所定時間毎に噴射ノズル23からの尿素噴射量を目標噴射量から故意に変化させ、このときのNOxセンサ36の検出値に基づき故障の有無を判定する。故障判定を下したときには、SCR故障ランプ33を所定周期で点滅させてNOx浄化システムの故障を運転者に報知する。
運転者は修理のためにディーラーなどに車両を持ち込み、ディーラーでは故障原因を特定して部品交換などの修理を実施する。なお、故障診断装置は上記例示に限ることはなく、別の手法を用いて故障診断を行ってもよい。
【0028】
NOx排出量(SCR触媒20下流側のNOxセンサ36の検出値)の増加要因は、NOx浄化システムの故障発生箇所に応じて異なり、それに応じて修理内容も相違する。例えばSCR触媒20の破損や劣化が生じると、当該SCR触媒20のNOx浄化性能が所期値から低下するため、触媒下流側の排ガス中のNOx量、ひいては大気中へのNOx排出量が増加する。この場合の修理は、SCR触媒20の交換などで対処する。
また、噴射ノズル23の目詰まりや電磁弁23aの開閉不良などにより尿素噴射システムが故障すると尿素水の噴射量が不適切になり、SCR触媒20自体は問題なくてもNOx還元に必要な量のアンモニアが供給されないためNOx浄化性能が低下する。この場合にも触媒下流側の排ガス中のNOx量が増加し、尿素噴射システムの故障箇所の交換や噴射ノズル23のクリーニングなどで対処する。
【0029】
同様に、EGR通路12の目詰まりやEGR弁13の開閉不良などによりEGRシステムが故障するとエンジン1の筒内でNOx生成量が増加し、SCR触媒20が所期のNOx浄化性能を発揮していても大気中へのNOx排出量が増加する。この場合の修理は、EGRシステムの故障箇所の交換やEGR通路12のクリーニングなどで対処する。
また、何れかの気筒の燃料噴射弁2の目詰まりや開閉不良などによりエンジン1の燃料噴射制御に不具合が生じると、上記EGRシステムの場合と同様に特定気筒の筒内でのNOx生成量が増加することから、やはりSCR触媒20が正常であっても大気中へのNOx排出量が増加する。この場合の修理は、故障した燃料噴射弁2の交換やクリーニングなどで対処する。
【0030】
以上のような故障原因に応じた修理がディーラーで行われ、修理完了後に実際にNOx浄化システムを作動させて機能が回復していることを確認する作業を実施し、当該確認作業によりNOx浄化システムの機能回復が確認された後に修理完了の判断が下されて車両の運用が可能となる。
ここで、[発明が解決しようとする課題]で述べたように、従来の確認作業によれば、NOx浄化システムを作動させるために車両を走行させてSCR触媒20を少なくとも活性下限温度Tloまで昇温する必要があることから、多大な手間と時間を要し、さらに車両の走行状態に応じた触媒温度Tcatの変動により正確な判定が困難であるという問題があった。
そこで、本実施形態では、ECU31が備えるDPF18の手動再生機能を利用して排気下流側に位置するSCR触媒20を昇温することにより、車両を走行させることなくNOx浄化システムの機能確認を行うようにしており、以下、当該機能確認処理の手順を詳述する。
【0031】
ECU31は図2に示すSCR昇温・機能確認ルーチンをエンジン1の運転中に所定の制御インターバルで実行する。まず、ECU31はステップS2で再生開始スイッチ35が操作されたか否かを判定し、判定がNo(否定)のときには一旦ルーチンを終了する。ここで、再生開始スイッチ35は以下の2種の状況で操作される。一つは、DPF過堆積ランプ34の点灯に基づきDPF18の過堆積を運転者が認識し、DPF18を手動再生するために再生開始スイッチ35が操作された場合である。他の一つは、SCR故障ランプ33の点灯に基づきメカニックによりNOx浄化システムの修理が完了し、その機能確認を実施するために再生開始スイッチ35が操作された場合である。
後者の場合、DPF18は未だ過堆積に至っていないため、通常であれば仮に再生開始スイッチ35が操作されたとしてもECU31は手動再生を開始しないが、以下に述べるように、本実施形態ではこのような状況でのスイッチ操作でも手動再生を開始している。
【0032】
再生開始スイッチ35が押圧操作されると、ECU31はステップS2でYes(肯定)の判定を下してステップS4に移行し、DPF過堆積ランプ34が点灯しているか否かを判定する。ステップS4の処理は、再生開始スイッチ35の操作が上記何れの要因によるかを判別するためのものである。ステップS4の判定がYes、即ちDPF18の手動再生を目的としてスイッチ操作された場合には、ステップS6に移行してDPF18の手動再生を実行し、完了後にステップS8でDPF過堆積ランプ34を消灯させてルーチンを終了する。
手動再生の内容は通常と相違しないため詳述しないが、上記のように予備昇温制御を実行して前段酸化触媒を昇温した後、上昇制御と下降制御を交互に実行してPMの燃焼温度以上にDPF18を維持する。これによりPMが強制的に焼却除去されてDPF18が再生される。
【0033】
一方、ステップS4の判定がNo、即ちNOx浄化システムの修理後の機能確認を目的として再生開始スイッチ35が操作された場合には、ステップS10で機能確認を開始したことをメカニックに認識させるべく、SCR故障ランプ33を点滅状態から点灯状態に切り換える。ステップS12では手動再生を開始し、続くステップS14でSCR触媒20の温度Tcatが昇温終了温度T0に達したか否かを判定する。手動再生のポスト噴射による前段酸化触媒17上での酸化反応及びDPF18上でのPM燃焼により、手動再生の継続中はDPF18のみならず下流側に位置するSCR触媒20も昇温され、その触媒温度Tcatは次第に上昇する。
ここで、昇温終了温度T0は、SCR触媒20の活性下限温度Tloよりも若干高温側の値に設定されている。手動再生を終了したときのSCR触媒20の温度低下は、排気浄化装置が有するヒートマスに起因して緩慢なものとなる。この点を鑑みて具体的な昇温終了温度T0としては、NOx浄化システムの機能を確認する判定時間TA(例えば5〜10min程度)が経過するまで触媒温度Tcatが活性下限温度Tloを下回らないような値に設定されている。
【0034】
手動再生はDPF18側の昇温状況(例えばDPF温度など)に基づき上記のように予備昇温制御から上昇制御及び下降制御へと進行するため、手動再生の進行状況とSCR触媒20の温度Tcatとの間に明確な相関性はない。このため、触媒温度Tcatが昇温終了温度T0に達するタイミングは予備昇温制御中であるか、或いは上昇制御及び下降制御に移行した後になるかは場合によって異なるが、何れにしても触媒温度Tcatが昇温終了温度T0に達するまで手動再生が継続される。
本実施形態では、以上のステップS6,12〜16の処理を実行するときのECU31が手動再生手段として機能する。
ECU31はステップS14の判定がNoの間は手動再生を継続し、判定がYesになるとステップS16で手動再生を中止し、続くステップS18〜22でNOx浄化システムの機能確認を実施する。具体的には、ステップS18でエンジン1の運転状態、EGRシステム及び尿素噴射システムの作動状態など、NOx浄化システム全体を所定の作動状態とした上で、ステップS20で判定時間TAが経過したか否かを判定し、続くステップS22でNOxセンサ36の検出値が正常レベルになったか否かを判定する。
【0035】
判定時間TAが経過する以前にNOxセンサ36の検出値が正常レベルになればOK判定を下し、ステップS24でSCR故障ランプ33を消灯させて修理完了を報知した後にルーチンを終了する。また、NOxセンサ36の検出値が正常レベルになることなく判定時間TAが経過したときにはNG判定を下し、ステップS26でSCR故障ランプ33を再び点滅させて修理が完了していないことを報知した後にルーチンを終了する。
従って、NOx浄化システムの修理が完了してない場合には、SCR故障ランプ33の再点滅に基づきメカニックがその事態を認識し、再度別の箇所を修理した上で再生開始スイッチ35を操作する。これに呼応してECU31が上記と同じくステップS2以降の処理を実行して、再度浄化システムの機能確認が行われる。
本実施形態では、以上のステップS2,4,18〜26の処理を実行するときのECU31が機能確認手段として機能する。
【0036】
以上のECU31により実行されるNOx浄化システムの修理後の機能確認の手順を図3のタイムチャートに従って説明する。
メカニックによるNOx浄化システムの修理中にはSCR故障ランプ33が点滅し続け、修理完了により再生開始スイッチ35が操作されるとSCR故障ランプ33が点灯状態に切り換えられると共に、DPF18の手動再生が開始される。なお、このときのエンジン回転速度NeはDPF18の昇温を目的とした最適値に調整される。手動再生の継続によりDPF18の下流側のSCR触媒20は次第に昇温され、触媒温度Tcatが昇温終了温度T0に達した時点で手動再生が中止され、NOx浄化システムの機能確認に移行する。排気浄化装置のヒートマス効果により触媒温度Tcatは緩慢に低下し、判定時間TAが経過するまではSCR触媒20が活性下限温度Tlo以上に保持されてNOxセンサ36の検出値に基づく機能確認が可能となる。
【0037】
そして、図中に実線で示すように、判定時間TAの経過以前にNOxセンサ36の検出値に基づきOK判定が下されると、SCR故障ランプ33が消灯されて修理完了となる。また、図中に破線で示すように、NOxセンサ36の検出値が正常レベルにならずに判定時間TAが経過してNG判定が下されると、SCR故障ランプ33は再び点滅される。メカニックによる再修理後に再生開始スイッチ35が操作されると、手動再生が開始されて一旦低下した触媒温度Tcatが再び上昇して昇温終了温度T0に到達し、NOx浄化システムの機能確認が行われる。このような修理、手動再生、機能確認が繰り返され、最終的には適切な修理により機能確認でOK判定が下されて修理完了となる。
以上のように本実施形態のNOx浄化システムの診断装置によれば、故障診断に基づくNOx浄化システムの修理後に再生開始スイッチ35が操作されたとき、DPF過堆積ランプ34が消灯してDPF18の過堆積防止のために手動再生を要しないときであっても手動再生を実行し、手動再生によるDPF18の昇温に伴って下流側のSCR触媒20が昇温終了温度T0まで昇温されたときに、NOxセンサ36の検出値に基づきNOx浄化システムの機能回復を判定している。
【0038】
そして、このようにDPF18の手動再生を利用してSCR触媒20を昇温することから、昇温のための車両走行による手間や時間の消費を防止して、簡単且つ短時間でNOx浄化システムの機能確認を実施することができる。また、車両走行による触媒昇温に比較して手動再生による触媒昇温では触媒温度Tcatの変動が少ないため、機能回復したか否かを高い精度で判定することができる。
しかも、装備を追加することなく既存のDPF再生開始スイッチ35を利用してNOx浄化システムの修理後の機能確認を指示しているため、コストアップの弊害を未然に防止することができる。
一方、SCR触媒20の温度Tcatが活性下限温度Tloよりも若干高温側の昇温終了温度T0に達した時点で手動再生を終了するため、手動再生の実行時間を必要最小限に留めることができ、もって消費燃料を節減して燃費悪化の弊害を未然に防止することができる。また、このように手動再生の終了後にNOx浄化システムの機能確認を開始しているため、結果として機能確認は緩慢に低下する触媒温度Tcatの下で実施される。例えば手動再生の予備昇温制御では触媒温度Tcatが上昇し、上昇制御及び下降制御では触媒温度Tcatが上昇・下降を繰り返すが、これらの状況よりも手動再生の終了後は触媒温度Tcatがより安定するため、機能確認の判定精度を一層向上することができる。
【0039】
ところで、故障原因の修理が不適切で機能確認の結果、上記ステップS20,22でNG判定が下されたとき、メカニックは自己の判断で再び故障原因を究明した上で、その故障箇所の部品交換などの修理を実施する。例えば目視で故障の有無を判断できない場合は、上記したNOx浄化システムの各構成の作動状態を変更した上で、当該構成が故障要因であるか否かをNOxセンサ36の検出値の変化に基づき判断する。
このときのNOx浄化システムの作動状態の変更は、例えばNOx排出量を低減する方向に実施される。例えばSCR触媒20の破損や劣化に対しては、下流側ケーシング19内のSCR触媒20を交換する(結果として修理にもなる)。尿素噴射システムの故障(噴射ノズル23の目詰まりなど)に対しては、尿素噴射量を例えば通常値の1.5倍に増加補正する。
EGRシステムの故障(EGR通路12の目詰まりなど)に対しては、EGR弁13の開度を100%に制御、或いは手動にてEGR弁13を全開状態とする。エンジン1の燃料噴射制御の故障(燃料噴射弁2の目詰まりなど)に対しては、燃料噴射量を例えば通常値の1.5倍に増加補正する。これらの状態でNOx浄化システムを作動させ、NOxセンサ36により検出されるNOx量が正常レベルまで低下したときには作動状態を変更した構成が故障原因であると判断し、逆にNOx量が正常レベルまで低下しないときには当該構成が故障原因ではない(他の構成が故障原因)と判断する。
【0040】
また、故障原因を究明するための検査手法はこれに限ることはなく、例えばNOx浄化システムの各構成を順次作動停止させてもよい。即ち、SCR触媒20の破損や劣化に対しては、下流側ケーシング19内のSCR触媒20を抜き取る。尿素噴射システムの故障に対しては、尿素噴射量を0に設定する。EGRシステムの故障に対しては、EGR弁13の開度を0%に制御、或いは手動にてEGR弁13を全閉状態とする。エンジン1の燃料噴射制御の故障に対しては、各気筒に対する燃料噴射量を0に設定する。
これらの状態でNOx浄化システムを作動させて、NOxセンサ36により検出されるNOx量を判定する。作動停止させた構成が故障していなければ、当該構成へのNOx浄化の貢献度に対応する所定値だけNOxセンサ36による検出されるNOx量は増加する。これに対して作動停止させた構成が既に故障していれば、作動停止後のNOx量の増加は上記所定値よりも小さくなる(完全故障では増加0)ため、NOx量に基づき各構成が故障原因であるか否かを判断できる。
【0041】
以上のような手法により故障原因がNOx浄化システムの何れの構成にあるかを大まかに特定した後、当該構成内の具体的な故障箇所を見つけ出して修理を実施する。
しかし、この種の故障原因の究明に習熟しないメカニックの場合、故障原因として考慮すべき構成が漏れたり、必要のない構成を検査したりして、故障原因を究明できない或いは究明できたとしても余分な手間と時間を要する場合がある。そこで、このような故障原因を究明するための一連の処理プログラムをECU31に記憶しておき、最初の修理が不適切な場合には、プログラムに従ってNOx浄化システムの各構成を自動的に順次検査して故障原因を特定することが考えられる。以下、このような修理後の機能確認の機能に加えて、当初の修理が不適切なときの故障原因の特定処理をECU31が実行する例を第2実施形態として説明する。
【0042】
ここで、上記検査手法の説明から明らかなように、検査には、尿素噴射量の増加補正のようにECU31の制御だけで対応可能なものだけでなく、SCR触媒20の交換のようにメカニックによる手作業の準備を要するものがある。このようなメカニックによる準備作業は車両を停車させて実施する必要があることから、車両の走行によりSCR触媒20を昇温する従来の確認作業では到底実現できず、車両停車状態で手動再生により触媒昇温する本発明でこそ実現可能となるものである。
【0043】
[第2実施形態]
以下に第2実施形態を説明するが、本実施形態の全体的な構成は図1に示す第1実施形態と同一であり、主な相違点はECU31の処理にある。そこで、共通する箇所の説明は省略し、相違点を重点的に説明する。
図1に破線で示すように、ECU31にはMUT(マルチユーステスタであり、本発明の診断ツール及び機能確認指示手段)41を接続可能であり、周知のようにMUT41はECU31の自己診断機能による故障診断結果を読み出す場合などに用いられている。本実施形態では、このMUT41を利用して修理後のNOx浄化システムの機能回復の判定や故障原因の究明を行っており、MUT41の入力部への入力操作に応じてECU31が作動して後述する機能確認モードや故障究明モードが実行される一方、各モードでのメカニックに対する指令や指示などがMUT41の表示部に表示される。
【0044】
ECU31は図4に示すSCR昇温・機能確認ルーチンをエンジン1の運転中に所定の制御インターバルで実行する。まず、ECU31はステップS32でMUT41から機能確認モードの開始指令が入力されたか否かを判定する。SCR故障ランプ33の点滅に基づきNOx浄化システムの修理を完了すると、メカニックは車両のECU31にMUT41を接続してNOx浄化システムの機能回復を確認すべく機能確認モードの開始を入力する。当該入力に基づきMUT41からECU31に機能確認モードの開始指令が出力され、これに呼応してECU31はステップS32でYesの判定を下してステップS34に移行し、MUT41の表示部に機能確認モードの実行中であることを表示する。
全体的な機能確認の手順は、上記第1実施形態のステップS12〜22の処理と同様である。即ち、ステップS36で手動再生を開始し、ステップS38で触媒温度Tcatが昇温終了温度T0に達するとステップS40で手動再生を中止する。本実施形態では、以上のステップS36〜40の処理を実行するときのECU31が手動再生手段として機能する。さらにステップS42でNOx浄化システム全体を所定の作動状態とし、ステップS44で判定時間TAが経過したか否かを判定し、続くステップS46でNOxセンサ36の検出値が正常レベルになったか否かを判定する。
【0045】
ステップS46でYesの判定を下すとステップS48に移行してMUT41の表示部にOKを表示し、ステップS50で機能確認モードの表示を中止した後にルーチンを終了する。またステップS44でYesの判定を下すとステップS52に移行してMUT41の表示部にNGを表示し、続くステップS54で故障究明モードを実行した後にルーチンを終了する。本実施形態では、以上のステップS42〜54の処理を実行するときのECU31が機能確認手段として機能する。
図5は故障究明モードにおいてECU31が実行する故障究明ルーチンを示すフローチャートであり、ECU31は当該ルーチンに従って上記ステップS54の処理を実行する。まず、ステップS62でMUT41の表示部に故障究明モードの実行中であることを表示し、ステップS64以降の処理によりNOx浄化システムの各構成が故障原因であるか否かを順次検査していく。
【0046】
ステップS64ではMUT41の表示部に検査対象及び検査内容を表示すると共に、必要に応じて検査の準備指示を表示する。検査対象とは、ECU31の今回の制御周期で検査するNOx浄化システムの構成であり、検査内容とは、当該構成に対して上記した種々の手法により実施する具体的な作動状態の変更(作動停止も含む)である。検査には、尿素噴射量の増加補正のようにECU31の制御だけで対応可能なものと、SCR触媒20の交換のようにメカニックによる準備を要するものとがあり、後者の場合に、メカニックが行うべき準備作業が検査の準備指示としてMUT41に表示される。
具体的には、例えば尿素噴射システムを検査する場合には、検査対象として尿素噴射システムが、検査内容として尿素噴射量の1.5倍増加補正が表示される。また、SCR触媒20を検査する場合には、検査対象としてSCR触媒20が、検査内容としてSCR触媒20の交換が表示され、加えて検査の準備指示としてSCR触媒20を新品に交換する旨の指示が表示される。
【0047】
続くステップS66では今回の検査がメカニックによる準備を要するものであるか否かを判定し、判定がNoのときにはステップS70に移行する。また、ステップS66の判定がYesのときには、ステップS68に移行してMUT41から準備完了が入力されるまで待機する。メカニックはMUT41に表示された準備指示に従って検査準備を実施した上で準備完了をMUT41に入力し、その入力に応じてステップS68の判定がYesになるとECU31はステップS70に移行する。
ステップS70以降では手動再生によりSCR触媒20を昇温した上で検査を実施して、検査対象としたNOx浄化システムの構成が故障原因であるか否かを判定する。これらの基本的な処理内容は上記ステップS40〜46と同様であるが、機能確認と故障究明との目的の相違に起因して若干相違している。
【0048】
即ち、ステップS70で手動再生を開始し、ステップS72で触媒温度Tcatが昇温終了温度T0に達するとステップS74で手動再生を中止する。ステップS76ではNOx浄化システム全体を所定の作動状態とするが、NOx浄化システムの各構成の内、ステップS64で表示した検査対象の構成については検査内容に基づく制御を実行する。
例えば、検査手法として検査対象の構成の作動状態をNOx低減方向に変更する手法を採ったときには、尿素噴射システムの検査では尿素噴射量を1.5倍に増加補正し、SCR触媒20の検査では既にSCR触媒20が交換されているため制御上の変更はない。また、検査手法として検査対象の構成を作動停止させる手法を採ったときには、尿素噴射システムの検査では尿素噴射量を0に設定し、SCR触媒20の検査では既にSCR触媒20が抜き取られているため制御上の変更はない。
【0049】
その後、ステップS78で判定時間TAが経過したか否かを判定し、続くステップS80でNOxセンサ36の検出値を判定する。ステップS80の処理内容についても、検査手法に応じて相違する。検査手法として検査対象の構成の作動状態をNOx低減方向に変更する手法を採ったときには、ステップS80でNOxセンサ36の検出値が正常レベルになったか否かを判定する。ステップS80の判定がYesであれば作動状態を変更した構成が故障原因であり、判定がNoであれば当該構成が故障原因ではないと判断できる。
また、検査手法として検査対象の構成を作動停止させる手法を採ったときには、ステップS80で作動停止前後のNOx増加量(例えば、現在のNOx量から機能確認モードのステップS52でNG判定を下す直前のNOx量を減算した値)が所定の判定値未満であるか否かを判定する。ステップS80の判定がYesであれば作動状態を変更した構成が故障原因であり、判定がNoであれば当該構成が故障原因ではないと判断できる。
【0050】
何れの検査手法を採った場合でも、ステップS80の判定がNoのままステップS78で判定時間TAが経過すると、今回の検査対象の構成が故障原因でないとして、ステップS82でMUT41の表示部にNGを表示した後にステップS64に戻る。ステップS64では、次のNOx浄化システムの構成を検査対象として、上記と同じくステップS64〜80までの処理を実行する。
ここで、NOx浄化システムの各構成の検査順序は、検査回数や労力を可能な限り低減させる観点から予め定められている。例えば、各構成の検査順序は故障の発生率が高い構成から順に、或いは検査のための準備が不要または容易な構成から順に検査対象として選択される。
【0051】
そして、故障原因となっている構成を検査対象として選択した制御周期では、上記ステップS78で判定時間TAが経過する以前にステップS80でYesの判定が下される。このときのECU31はステップS80からステップS84に移行してMUT41の表示部にOKを表示し、続くステップS86で故障究明モードの表示を中止する。このステップS84のOK表示は、修理完了を意味するステップS48とは異なり、故障原因の構成を特定できたことを意味するものである。
続くステップS88では特定した故障原因の構成に対する修理指示をMUT41に表示し、その後にルーチンを終了する。具体的には、故障原因として尿素噴射システムが特定されたときには、当該システム内の故障発生の可能性がある箇所の一覧を表示し、作動状態を停止させる手法で故障原因としてSCR触媒20が特定されたときには、抜き取っているSCR触媒20に代えて新品のSCR触媒20を装着する修理指示を表示する。また、作動状態をNOx低減方向に変更する手法で故障原因としてSCR触媒20が特定されたときには、既にSCR触媒20は交換されているため表示はしない。
【0052】
このような修理指示を参考にしてメカニックは修理を実施し、修理完了後にMUT41に機能確認モードの開始を入力する。従って、ECU31により再び機能確認モードが開始されて、NOx浄化システムの機能(より具体的には故障究明モードにより故障原因として特定され修理された構成の機能)が回復しているか否かが判定される。なお、上記のようにSCR触媒20の交換により故障究明モードでOK判定したときには、実質的には機能確認も既に完了していることになるため、その後の機能確認モードの実行を省略してもよい。
以降は上記と同様の手順が繰り返され、機能確認モードの結果がOKであれば修理完了し、NGであれば故障究明モードにより新たな構成を故障原因として特定した上で、メカニックによる修理完了後に機能確認モードにより機能確認が行われる。
【0053】
以上のNOx浄化システムの修理後にECU31により実行される機能確認モード及び故障究明モードの手順を図6のタイムチャートに従って説明する。
メカニックによるNOx浄化システムの修理が完了してMUT41に機能確認モードの開始指令が入力されると、機能確認モードが開始される。まず、DPF18の手動再生によりSCR触媒20が昇温され、触媒温度Tcatが昇温終了温度T0に達すると手動再生が中止され、その後にNOx排出量に基づき機能回復したか否かが判定される。判定時間TAの経過以前にNOxセンサ36の検出値に基づきOK判定が下されると、MUT41にOKが表示されて修理完了となり、破線で示すように触媒温度Tcatは次第に低下する。また、NOxセンサ36の検出値が正常レベルにならずに判定時間TAが経過してNG判定が下されると、MUT41にはNG表示がなされた後に故障究明モードが表示される。
【0054】
これにより機能確認モードから故障究明モードに移行し、MUT41に最初の検査対象及び検査内容が表示されると共に、必要に応じて検査の準備指示が表示される。図6では故障究明モードへの移行当初に検査準備を要する構成が検査対象として選択された場合を示し、準備指示に従ってメカニックにより検査準備が実施される。検査の準備完了がMUT41に入力されると手動再生が開始され、実線で示すように一旦低下した触媒温度Tcatが再び上昇して昇温終了温度T0に到達し、ECU31により検査対象の構成の作動状態が変更された上でNOx排出量に基づき当該構成が故障原因であるか否かが判定される。
図6では、検査対象の構成が故障原因ではないとしてNG判定され、次の検査対象として準備を要しないNOx浄化システムの構成が選択された場合を示している。このときにはMUT41に検査対象及び検査内容が表示されるのと同時に直ちに手動再生が開始され、SCR触媒20の昇温後に検査対象の構成の作動状態が変更されて、NOx排出量に基づく判定が行われる。
【0055】
このときにもNG判定が下され、次の検査対象としては準備を要するNOx浄化システムの構成が選択され、MUT41には検査対象及び検査内容と共に準備指示が表示される。準備指示に従ってメカニックにより検査準備が実施されて準備完了が入力されると手動再生が開始され、SCR触媒20の昇温後に検査対象の構成の作動状態が変更されてNOx排出量に基づく判定が行われる。図6はこのときにOK判定(故障原因の特定)が下された場合を示し、特定した故障原因の構成に対する修理指示をMUT41に表示して故障究明モードが終了される。
修理指示を参考にした修理がメカニックにより完了すると、再びMUT41への入力に基づき機能確認モードが開始され、手動再生によるSCR触媒20の昇温後にNOx排出量に基づきNOx浄化システムの機能回復が判定される。図6ではOK判定(修理完了)が下された場合を示し、MUT41にOK表示がなされて修理完了となる。
【0056】
このようにNOx浄化システムの修理後に機能確認モードでNG判定が下されたときには、故障究明モードにより故障原因になったNOx浄化システムの構成が特定され、当該構成に対する修理指示を参考にした修理後に、再び機能確認モードが実行されて機能回復が判定される。機能回復せずにNG判定が下される度に故障究明モードにより新たな故障原因が特定されることから、複数の構成が故障原因になっている場合であっても個別に適切な修理が行われ、最終的には機能確認モードでOK判定が下されて修理完了となる。
以上のように本実施形態のNOx浄化システムの診断装置によれば、機能確認モード及び故障究明モードでのSCR触媒20の昇温にDPF18の手動再生を利用した。このため、第1実施形態と同じく昇温のための車両走行による手間や時間の消費を防止して、簡単且つ短時間でNOx浄化システムの機能確認を実施できる。また、触媒温度Tcatの変動が少ない手動再生の条件下で機能確認モード及び故障究明モードを実行するため、NOx浄化システムが機能回復したか否かの判定、及び故障原因の構成の特定を高い精度で実施することができる。
【0057】
そして、本実施形態では、機能確認モードでNOx浄化システムの機能が回復していないと判定したときに、故障究明モードによりNOx浄化システムの各構成の作動状態を変更して順次検査すると共に、必要に応じてメカニックに対する準備指示をMUT41に表示し、これにより故障原因になっているNOx浄化システムの構成を特定して、当該構成の修理指示をMUT41に表示するようにした。
このように修理後にNOx浄化システムの機能が回復していないとき、故障究明モードにより各構成を自動的に順次検査することから、習熟しないメカニックでも容易に故障原因を特定することができる。しかも、作動状態の変更にメカニックによる準備を要するときにはMUT41に準備指示を表示するため、不適切な準備によるメカニックの無駄な労力を軽減することができる。
【0058】
結果として、NOx浄化システムの修理後に機能回復していないときであっても簡単且つ短時間で故障原因を特定でき、もって故障原因の特定を含めたNOx浄化システムの修理全体に要する手間や時間を大幅に削減することができる。
しかも、故障診断のために従来から用いられているMUT41を入力装置や表示装置として利用しているため、装備の追加によるコストアップの弊害を未然に防止することができる。
以上で実施形態の説明を終えるが、本発明の態様はこの実施形態に限定されるものではない。例えば上記各実施形態ではエンジン1の排気上流側から前段酸化触媒17、DPF18、噴射ノズル23、SCR触媒20、後段酸化触媒21を配設して排気浄化装置を構成したが、これに限るものではない。例えば前段酸化触媒17及び後段酸化触媒21を省略して、DPF18に酸化機能を付与してもよく、この場合でも上記各実施形態と同様の作用効果を得ることができる。無論、エンジン1の形式やNOx浄化システムの全体構成などに関しても上記実施形態に限ることはなく、任意に変更可能である。
【0059】
また、上記第2実施形態では、ECU31側に機能確認モード及び故障究明モードを実行するためのプログラムを記憶したが、これらのプログラムをMUT41側に記憶させ、NOx浄化システムの修理後にMUT41の接続と共にECU31側にプログラムを読み込ませて実行させるようにしてもよい。
また、上記第2実施形態では、当初の修理後に機能確認モードによりNOx浄化システムの機能確認を実施し、機能が回復していないと判定したときに故障究明モードを開始したが、処理手順はこれに限ることはない。
例えば当初の修理前に故障究明モードを実行するようにしてもよい。具体的には、SCR故障ランプ33の点滅に基づきNOx浄化システムの故障を認識した時点で、MUT41からの指令に基づき図5のルーチンに従って故障究明モードを開始して故障原因となっているNOx浄化システムの構成を特定し、MUT41に表示した修理指示に基づき当初の修理を実施した後に、図4のルーチンに従って機能確認モードを開始するようにしてもよい。この場合には故障究明モードにより特定した故障原因の構成を当初より修理できるため、より一層NOx浄化システムの修理に要する手間や時間を削減することができる。
【符号の説明】
【0060】
1 エンジン
18 DPF(フィルタ)
20 SCR触媒(アンモニア選択還元型NOx触媒)
23 噴射ノズル(還元剤供給手段)
31 ECU(故障診断手段、手動再生手段、機能確認手段)
34 DPF過堆積ランプ(過堆積報知手段)
35 再生開始スイッチ(機能確認指示手段)
36 NOxセンサ(NOx検出手段)
41 MUT(診断ツール、機能確認指示手段)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
エンジンの排気通路に配設されて還元剤の添加により排ガス中のNOxを選択的に浄化するアンモニア選択還元型NOx触媒、及び該アンモニア選択還元型NOx触媒に還元剤を供給する還元剤供給手段を少なくとも具備するNOx浄化システムにおいて、
上記排気通路の上記アンモニア選択還元型NOx触媒の上流側に配設されて排ガス中のパティキュレートを捕集するフィルタと、
上記フィルタへのパティキュレートの過堆積を報知する過堆積報知手段と、
上記過堆積報知手段による報知に応じて運転者により再生開始スイッチが操作されたときに、車両停車状態で上記フィルタを昇温して捕集されたパティキュレートを強制的に焼却除去する手動再生を実行する手動再生手段と、
上記排気通路の上記アンモニア選択還元型NOx触媒の下流側に配設されたNOx検出手段と、
故障診断手段の故障判定に基づく上記NOx浄化システムの修理後に、上記NOx浄化システムの機能が回復したか否かの判定を指示する機能確認指示手段が操作されたとき、上記過堆積報知手段による報知がないときでも上記手動再生手段に手動再生を実行させ、該手動再生による上記フィルタの昇温に伴って下流側の上記アンモニア選択還元型NOx触媒が少なくとも活性下限温度まで昇温されたときに、上記NOx検出手段の検出値に基づき上記NOx浄化システムの機能回復を判定する機能確認手段と
を備えたことを特徴とするNOx浄化システムの診断装置。
【請求項2】
上記機能確認手段は、上記アンモニア選択還元型NOx触媒の温度が上記活性下限温度近傍に設定された昇温終了温度に達したときに、上記手動再生手段に手動再生を終了させることを特徴とする請求項1記載のNOx浄化システムの診断装置。
【請求項3】
上記機能確認指示手段は、上記車両の運転席に設けられた上記再生開始スイッチであり、
上記機能確認手段は、上記再生開始スイッチが操作されたとき、上記過堆積報知手段による報知がないときに限って上記手動再生に続いて上記機能回復の判定を実行することを特徴とする請求項1または2記載のNOx浄化システムの診断装置。
【請求項4】
上記機能確認指示手段は、上記機能確認手段に接続可能な診断ツールであり、
上記機能確認手段は、上記診断ツールにより機能確認モードの開始が入力されたとき、該機能確認モードとして上記手動再生に続いて上記機能回復の判定を実行することを特徴とする請求項1または2記載のNOx浄化システムの診断装置。
【請求項5】
上記機能確認手段は、上記機能確認モードに加えて、上記NOx浄化システムの各構成の作動状態を順次変更すると共に、作動状態の変更のために手作業の準備を要するときには上記診断ツールに準備内容を表示指示し、該作動状態を変更した構成が上記NOx浄化システムの故障原因であるか否かを上記NOx検出手段の検出値に基づき順次判定する故障究明モードを実行可能であり、
上記機能確認モードで上記NOx浄化システムの機能が回復していないと判定した後のタイミング、または上記NOx浄化システムの修理前のタイミングで上記故障究明モードを開始して、上記NOx浄化システムの各構成の故障を逐次判定し、特定した故障原因の構成の修理指示を上記診断ツールに表示することを特徴とする請求項4記載のNOx浄化システムの診断装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2012−233415(P2012−233415A)
【公開日】平成24年11月29日(2012.11.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−100783(P2011−100783)
【出願日】平成23年4月28日(2011.4.28)
【出願人】(303002158)三菱ふそうトラック・バス株式会社 (1,037)
【Fターム(参考)】