説明

NOx浄化舗装用粉体及びセメント組成物

【課題】 NOx浄化舗装用粉体及びセメント組成物において、若材齢での圧縮強度を低下させずに可使時間を60分程度確保すること。
【解決手段】 混和材が、カルシウムアルミネートと無機硫酸塩とが所定の質量比で混合された急硬成分に対して所定の割合でアルミン酸ナトリウム、無機炭酸塩及びカルボン酸類からなる凝結調整剤を含む。カルシウムアルミネートのガラス化率は80%以上であり、凝結調整剤のいずれか1種を100質量%とするとき他の2種を25〜300質量%含む。凝結調整剤の少なくとも1種が、この選ばれた1種の凝結調整剤の総量を100質量%とするとき、平均粒径45〜90μm以下の第1粒子10〜45質量%と、平均粒径90〜150μm以下の第2粒子30〜70質量%と、平均粒径150〜500μm以下の第3粒子5〜30質量%とを含み、かつ第2粒子を第1粒子より多く含むとともに第3粒子より多く含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、NOx浄化舗装用粉体及びセメント組成物に関し、さらに詳しくは所定の流動性と可使時間を確保することができると共に硬化体の材齢3時間程度の圧縮強度及び長期強度を低下させないものに関する。
【背景技術】
【0002】
ディーゼルエンジン,ガソリンエンジン等の内燃機関を搭載した自動車等からの排気ガス中には有害物質のNOx等(NOx、SOx、HC(ハイドロカーボン)等)が含まれており、このNOx等による大気汚染が問題になっている。このNOx等は、金属酸化物の強い光触媒作用によりその濃度が低下することが知られており、特に二酸化チタン等の酸化チタンが知られている。すでに、この酸化チタンを混合して作製されたシートやパネルなどが建築物の外壁等に設置されて実用化されていると共に、この酸化チタンを含むセメントを用いたNOx浄化舗装構造物や大気浄化用セメント製品なども種々提案されている(特許文献1、2参照)。
このような酸化チタンを含有したNOx浄化舗装構造物は、酸化チタンによる光触媒反応によりNOxを硝酸イオンとすると共にコンクリートのアルカリで中和する機能を有している。
【0003】
一方、このような酸化チタンを混合させるセメントとしては、養生が短時間ですむ超速硬セメントが工事期間の短い道路舗装等に採用される。
従来、超速硬セメント組成物としては、カルシウムアルミネートと無機硫酸塩とが重量比で1:(0.5〜3)の割合で混合された急硬成分をセメント鉱物に対して内割で15〜35%含む急硬セメントを主成分とし、この急硬セメントに対して内割重量でアルミン酸ナトリウム0.2〜5%、無機炭酸塩0.2〜5%及びカルボン酸類0.1〜2%を含む超速硬セメント組成物(例えば、特許文献3参照。)が開示されている。
【0004】
このように構成された超速硬セメント組成物では、このセメント組成物に注水した後、少なくとも20分以上の可使時間を保持できるとともに、1時間後の圧縮強度が19.6N/mm2以上となる。またその後の圧縮強度も順調に延び、長期耐久性に優れ、更に硬化体に斑点化現象を起こさないようになっている。
【0005】
また、ポルトランドセメント又はポルトランドセメントを含む混合セメントからなるセメント成分と、このセメント成分に対して内割りで2〜50重量%の速硬成分と、セメント成分及び速硬成分の合計重量に対して0.1〜5重量%の凝結調整剤とを含む温度緩衝型速硬性組成物(例えば、特許文献4参照。)が開示されている。この温度緩衝型速硬性組成物では、速硬成分が、アルミン酸カルシウムを主成分とする微粉冶金滓40〜95重量%及びII型無水石膏5〜60重量%の混合物に、炭酸アルカリが内割で1〜10重量%添加され、アルミン酸ナトリウム、アルミン酸カリウム及び硫酸アルミニウムからなる群より選ばれた1種又は2種以上が1〜10重量%添加される。更に凝結調整剤が有機酸系凝結遅延剤と硫酸アルカリからなる。
【0006】
このように構成された温度緩衝型速硬性組成物は、セメント成分、速硬成分及び凝結調整剤の所定量を添加混合して容易に調製することができ、混練水量30〜100重量%にて混練することにより、高強度の硬化体を得ることができる。この結果、温度緩衝型速硬性組成物を用いれば、幅広い施工温度において、安定かつ良好な凝結特性及び作業性を確保できるようになっている。
【0007】
またカルシウムアルミネート、ポリアクリル酸類、ホウ酸類、炭酸塩及びカルボン酸類を含有するセメント組成物(例えば、特許文献5参照。)が開示されている。
このように構成されたセメント組成物は、流動性と可使時間を長く確保でき、適度な硬度時間を有するとともに、良好な強度を十分に発現でき、更に耐火性や高温強度に優れるとしている。
【0008】
【特許文献1】特許第3428381号公報(特許請求の範囲)
【特許文献2】特許第3361046号公報(特許請求の範囲)
【特許文献3】特公平3−41420号公報(請求項1、明細書第2頁右欄第28行目〜同頁右欄33行目)
【特許文献4】特許第3125316号公報(請求項1、段落番号[0028]、段落番号[0039])
【特許文献5】特開平6−32642号公報(請求項1、段落番号[0066])
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
上記従来の技術には、以下の課題が残されている。
すなわち、上記従来の特許文献3に示された超速硬セメントでは、若材齢(材齢3時間程度)での圧縮強度を低下させずに、可使時間を60分程度と長く確保することが難しく、また硬化体に斑点の発生が認められ、この部分が欠陥となって長期的な強度も低下する不具合があった。ここで、材齢とは、セメント組成物に水を加えた混合物の練り上がり直後から測定した時間をいい、若材齢(材齢3時間程度)での圧縮強度とは、セメント組成物に水を加えた混合物の練り上がり直後から3時間経過したときの硬化体の圧縮強度をいう。また、可使時間とは、セメント組成物に水を加えた混合物の練り上がり直後からこの混合物に流動性がなくなるまでの時間をいう。
【0010】
また、上記従来の特許文献3に示された超速硬セメントでは、注水後の混練温度が異なると凝結時間が変化してしまうという凝結時間の温度依存性が大きく、特に混練装置の違いによる凝結時間の温度依存性が大きい問題点があった。
また、上記従来の特許文献3に示された超速硬セメントでは、可使時間を長くするために、凝結調整剤の添加量を多くすると、若材齢(材齢3時間程度)での圧縮強度が低下する問題点もあった。
また、上記従来の特許文献4に示された温度緩衝型速硬性組成物では、カルシウムアルミネートが粉末冶金滓であるため、硬化体の圧縮強度が低下し、凝結時間の温度依存性が未だ大きい問題点があった。
【0011】
また、上記従来の特許文献5に示されたセメント組成物では、無水石膏等の無機炭酸塩を使用しないため、若材齢(材齢3時間程度)での圧縮強度が低い問題点があった。
【0012】
本発明は、前述の課題に鑑みてなされたもので、以下の目的を有するものである。
本発明の目的は、セメント、酸化チタン粉末及び混和材を含み水と混練して用いるNOx浄化機能を有する舗装用粉体において、若材齢(材齢3時間程度)での圧縮強度を低下させずに、可使時間を60分程度と長く確保することができ、また硬化体に斑点が発生するのを防止できるNOx浄化用舗装用粉体及びセメント組成物を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明は、前記課題を解決するために以下の構成を採用した。すなわち、第1の発明のNOx浄化舗装用粉体は、セメント、酸化チタン粉末及び混和材を含み水と混練して用いるNOx浄化機能を有する舗装用粉体であって、前記混和材が、カルシウムアルミネートと無機硫酸塩とが質量比で1:(0.5〜3)の割合で混合された急硬成分に対して、内割でアルミン酸ナトリウム0.2〜35.0質量%、無機炭酸塩0.2〜35.0質量%及びカルボン酸類0.1〜15.0質量%からなる凝結調整剤を含む混和材であって、前記カルシウムアルミネートのガラス化率が80%以上であって、前記アルミン酸ナトリウム、前記無機炭酸塩及び前記カルボン酸類からなる凝結調整剤のうちのいずれか1種を100質量%とするとき他の2種をそれぞれ60〜160質量%含み、前記アルミン酸ナトリウム、前記無機炭酸塩又は前記カルボン酸類のうちの少なくとも1種の凝結調整剤が、この選ばれた1種の凝結調整剤の総量を100質量%とするとき、平均粒径45μmを越えかつ90μm以下の第1粒子10〜45質量%と、平均粒径90μmを越えかつ150μm以下の第2粒子30〜70質量%と、平均粒径150μmを越えかつ500μm以下の第3粒子5〜30質量%とを含み、かつ前記第2粒子を前記第1粒子より多く含むとともに前記第3粒子より多く含むことを特徴とする。
【0014】
このNOx浄化舗装用粉体では、混和材において、カルシウムアルミネートのガラス化率を80%以上としたので、上記混和材を含むセメント組成物に水を加えて混合した後に硬化させた硬化体の若材齢(材齢3時間程度)での圧縮強度を低下させずに、可使時間を60分程度と長く確保することができ、また硬化体に斑点が発生するのを防止でき、更に混和材を含むセメント組成物に水を加えた後の混練温度が異なっても凝結時間が殆ど変化せず、凝結時間の温度依存性が小さくすることができる。
また、アルミン酸ナトリウム、無機炭酸塩及びカルボン酸類の混合割合を上記範囲とし、アルミン酸ナトリウム、無機炭酸塩又はカルボン酸類のうちの少なくとも1種の凝結調整剤の第1〜第3粒子の混合割合をそれぞれ上記範囲とし、更に第2粒子を第1粒子より多く含むとともに第3粒子より多く含む凝結調整剤と、セメント鉱物と、急硬成分とからなるセメント組成物に、水を加えて混合すると、反応開始が速やかに開始し、水和反応が順調に継続する、即ち急激な反応を抑え、連続的に穏やかな水和反応が起こるようにすることにより、有益なエトリンガイト[3CaO・Al23・3CaSO4・32H2O]又はモノサルフェート[3(3CaO・Al23・CaSO4・12H2O)]のいずれか一方又は双方が速やかに生成される。この結果、上記セメント組成物に注水して硬化させた硬化体の若材齢(材齢3時間程度)での圧縮強度を低下させずに、確実に可使時間を60分程度と長く確保することができるとともに、凝結時間の温度依存性を更に小さくすることができる。
なお、ここで可使時間は、フロー値150mm以上を維持することができる時間として定義される。
【0015】
また、第2の発明のNOx浄化舗装用粉体は、第1の発明のNOx浄化舗装用粉体において、前記混和材100質量%に対して、前記セメント200〜660質量%、前記酸化チタン3〜400質量%、前記水100〜780質量%を混合してセメントペーストを調整したときに、可使時間が55〜75分であることを特徴とする。
ここで、混和材100質量%に対するセメントの混合割合を200〜660質量%の範囲に限定したのは、200質量%未満ではコスト的に不経済でありまた凝結時間の調整が難しくなって可使時間が短くなるという不具合があり、660質量%を越えると若齢材の圧縮強度が低下するという不具合があるからである。また、混和材100質量%に対する水の混合割合を100〜780質量%の範囲に限定したのは、100質量%未満では流動性が悪くなり、780質量%を越えると材料分離を生じるとともに圧縮強度が低くなってしまうからである。
【0016】
さらに、第3の発明のNOx浄化舗装用粉体は、第2の発明のNOx浄化舗装用粉体において、前記混和材100質量%に対して、前記セメントが250〜550質量%、前記酸化チタンが50〜300質量%、混練する前記水が180〜500質量%にそれぞれ設定されていることが好ましい。すなわち、このNOx浄化舗装用粉体では、セメント、酸化チタン及び水の割合をさらに上記範囲に設定することで、高率のNOx除去性能と良好な施工性能を同時に満足することができる。具体的には、フロー値180mm以上の高流動性を30分程度維持することができる。
【0017】
さらに、第4の発明のNOx浄化舗装用粉体は、第2又は第3の発明のNOx浄化舗装用粉体において、前記混和材、前記セメント及び前記酸化チタンの合計100質量%に対して、前記水30〜60質量%を混合して調製したセメントペーストの可使時間が55〜75分であるときに、材齢3時間の圧縮強度が4.5N/mm以上であることを特徴とする。
ここで、混和材、セメント及び酸化チタンの合計100質量%に対する水の混合割合を30〜60質量%の範囲に限定したのは、30質量%未満では流動性が悪くなって硬化体の強度にばらつきが多くなるという不具合があり、60質量%を越えると材料分離を生じて硬化体の強度にばらつきが多くなるという不具合があるからである。更に硬化体の材齢3時間の圧縮強度を4.5N/mm2以上に限定したのは、4.5N/mm2未満では道路舗装等に使用したときに強度が低く開放(道路閉鎖の解除)ができないからである。
【0018】
第5の発明のセメント組成物は、第1から第4の発明のいずれか一つのNOx浄化舗装用粉体、水及び液体エマルジョンを混練してモルタルを調整したときに、フロー値が150mm以上であることを特徴とする。ここで、フロー値は、JASS 15M−10「セルフレベリング材の品質規準」に準拠して測定したものである。
【0019】
また、第6の発明のセメント組成物は、第1から第4の発明のいずれか一つのNOx浄化舗装用粉体と、水と、砂と、消泡剤と、液体エマルジョンもしくは再乳化形粉末樹脂の少なくとも1種とを混練してなり、前記混和材と前記セメントとの合計100質量%に対して、粒径90〜3000μmの前記砂を0.5〜100質量%、前記消泡剤を0.001〜0.2質量%含み、前記液体エマルジョンを混練するときは、前記液体エマルジョンを前記水100質量%に対して内割で0〜50質量%含み、前記再乳化形粉末樹脂を混練するときは、前記再乳化形粉末樹脂を前記混和材と前記セメントの合計100質量%に対して0〜19質量%含むことを特徴とする。
ここで、砂の粒径を90〜3000μmの範囲に限定したのは、90μm未満では細かすぎて練り混ぜたときに水量が増加する上に、練り混ぜ性向上の効果が認められず、3000μmを越えるとモルタルの材料分離が起こり易いからである。また砂の含有割合を0.5〜100質量%の範囲に限定したのは、0.5質量%未満では砂の量が少ないために練り混ぜ性向上の効果が認められない上に、モルタルの収縮率が大きくなってしまい、100質量%を越えると強度発現性が悪くなり、材料分離が起こり易くなるからである。
また、液体エマルジョンの量を水100質量%に対して内割で0〜50質量%、再乳化形粉末樹脂の量を混和材とセメントの合計100質量%に対して0〜19質量%に限定したのは、液体エマルジョンの量が50質量%もしくは再乳化形粉末樹脂の量が19質量%を超えると、エマルジョン中の高分子が空隙に充満し、酸化チタン粒子とNOxガスの接触を妨げ、この結果、NOx浄化性能が低下するからである。また、消泡剤の含有割合を0.001〜0.2質量%の範囲に限定したのは、0.001質量%未満では消泡剤含有の効果が認められず、0.2質量%を超えるとコストアップとなり経済的に好ましくないからである。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、以下の効果を奏する。
すなわち、本発明のNOx浄化舗装用粉体及びセメント組成物によれば、カルシウムアルミネートと無機硫酸塩とが所定の割合で混合された急硬成分に、アルミン酸ナトリウム、無機炭酸塩及びカルボン酸類からなる凝結調整剤を含む混和材において、上記カルシウムアルミネートのガラス化率を80%以上にし、アルミン酸ナトリウム、無機炭酸塩及びカルボン酸類の混合割合を所定の範囲に設定し、アルミン酸ナトリウム、無機炭酸塩又はカルボン酸類のうちの少なくとも1種の凝結調整剤の第1〜第3粒子の混合割合を所定の範囲に設定し、更に第2粒子を第1粒子より多く含むとともに第3粒子より多く含むように設定したので、この混和材を含むNOx浄化舗装用粉体に水を加えて混合した後、硬化させた場合、硬化体の若材齢(材齢3時間程度)で圧縮強度を低下させずに、可使時間を60分程度と長く確保することができる。
【0021】
また、硬化体に斑点が発生しないので、この斑点部分が欠陥となって長期的な硬化体の強度の低下を招くという事態の発生を防止できる。また、注水後の混練温度が異なっても凝結時間が殆ど変化せず、凝結時間の温度依存性が小さくすることができる。この結果、どのような作業環境であっても、この混和材を含むNOx浄化舗装用粉体に注水して得られた混練物の粘性変化が略同一の条件で混練作業、打設作業又は塗布作業等を行うことができる。また、この混和材を含むNOx浄化舗装用粉体に注水すると、エトリンガイト[3CaO・Al23・3CaSO4・32H2O]又はモノサルフェート[3(3CaO・Al23・CaSO4・12H2O)]のいずれか一方又は双方が生成され、上記エトリンガイトやモノサルフェートが六価クロムを吸収できる。この結果、環境を汚染する有害物質として挙げられている六価クロムが地中に拡散されるのを防止できる。
このように、本発明によれば、硬化体としてNOx等の有害物質の浄化効果を有するだけでなく、60分の可使時間を確保でき、硬化体の若材齢の圧縮強度及び長期強度の低下を抑制することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
本実施形態のNOx浄化舗装用粉体は、セメント、酸化チタン粉末及び混和材を含み水と混練して用いるNOx浄化機能を有する舗装用粉体であって、上記混和材100質量%に対して、上記セメントが200〜660質量%、上記酸化チタンが3〜400質量%、混練する上記水が100〜780質量%にそれぞれ設定されているものである。
また、本実施形態のセメント組成物は、上記NOx浄化舗装用粉体、水及び液体エマルジョンを混練してモルタルを調整したときに、フロー値が150mm以上であるものである。また、このセメント組成物は、上記NOx浄化舗装用粉体と、水と、砂と、消泡剤と、液体エマルジョンもしくは再乳化形粉末樹脂の少なくとも1種とを混練してなり、上記混和材と前記セメントとの合計100質量%に対して、粒径90〜3000μmの前記砂を0.5〜100質量%、前記消泡剤を0.001〜0.2質量%含み、上記液体エマルジョンを混練するときは、上記液体エマルジョンを上記水100質量%に対して内割で0〜50質量%含み、上記再乳化形粉末樹脂を混練するときは、上記再乳化形粉末樹脂を上記混和材と上記セメントの合計100質量%に対して0〜19質量%含むものである。
【0023】
上記舗装用とは、歩道や車道等を含む意味である。
上記セメント(セメント鉱物)としては、特に制限はなく、普通ポルトランドセメント、早強ポルトランドセメント、中庸熱ポルトランドセメント、低発熱セメント、高炉セメント、シリカセメント、フライアッシュセメント、シリカフュームセメント等が挙げられる。
上記酸化チタンは、光触媒作用を有する酸化チタンを意味し、本実施形態では、例えば石原産業社製「ST−30L」を用いている。酸化チタンとしては、特に二酸化チタンが好ましく、ルチン及びアナターゼのどちらの結晶形態を持つものでも構わない。なお、アナターゼ型二酸化チタンの方が活性が高い。また、これらの二酸化チタンは、二酸化チタンを主成分に他の酸化チタンを含むものでもよい。さらに、酸化チタンとして、中間物質であるメタチタン酸、オルトチタン酸も使用してもよい。
【0024】
上記混和材は、カルシウムアルミネートと無機硫酸塩とが質量比で1:(0.5〜3)の割合で混合された急硬成分に対して、内割でアルミン酸ナトリウム0.2〜35.0質量%、好ましくは0.4〜5.0質量%と、無機炭酸塩0.2〜35.0質量%、好ましくは0.4〜5.0質量%と、カルボン酸類0.1〜15.0質量%、好ましくは0.2〜2.0質量%とからなる凝結調整剤を含む。カルシウムアルミネートの組成としては、12CaO・7Al23、11CaO・7Al23・CaX2(Xはハロゲン元素である。)、3CaO・Al23、CaO・Al23などが挙げられる。また無機硫酸塩としては、無水石膏(組成:CaSO4)、硫酸ナトリウム等が挙げられる。更に無機炭酸塩としては、炭酸カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウム等が挙げられ、カルボン酸類としては、クエン酸、酒石酸、グルコン酸又はリンゴ酸、或いはこれらの酸のナトリウム、カリウム、カルシウム等の水溶性塩が挙げられる。
【0025】
ここで、カルシウムアルミネートと無機硫酸塩との混合割合を1:(0.5〜3)の範囲に限定したのは、この範囲外ではセメントペーストの可使時間(作業時間)が短くなるか、或いは硬化体の若材齢(材齢3時間程度)での圧縮強度が低下してしまうからである。アルミン酸ナトリウムの急硬成分に対する混合割合を内割で0.2〜35.0質量%の範囲に限定したのは、0.2質量%未満では硬化体が所定の圧縮強度に達せず、35.0質量%を越えると凝結調整剤を用いてもセメントペーストの可使時間が60分程度、具体的には55〜75分という比較的長い時間を確保できないからである。また無機炭酸塩の急硬成分に対する混合割合を内割で0.2〜35.0質量%の範囲に限定し、カルボン酸類の急硬成分に対する混合割合を内割で0.1〜15.0質量%の範囲に限定したのは、これらの範囲外では施工に必要な作業時間(セメントペーストの可使時間)を確保できないか、或いは硬化体の圧縮強度が低下するからである。
【0026】
なお、セメントペーストとは、混和材100質量%に対して、セメント200〜660質量%、好ましくは250〜550質量%と、酸化チタン3〜400質量%、好ましくは50〜300質量%と、水100〜780質量%、好ましくは180〜500質量%とを混合して調製したものであり、硬化体とは、上記セメントペーストを硬化させたものである。
また、混和材、セメント及び酸化チタンの合計100質量%に対して水30〜60質量%、好ましくは43〜48質量%を混合して調製したセメントペースト、即ち水粉体比率30〜60%、好ましくは43〜48質量%のセメントペーストを硬化させた硬化体の材齢3時間の圧縮強度は4.5N/mm2以上であることが好ましい。ここで、混和材100質量%に対するセメントの混合割合を200〜660質量%の範囲に限定したのは、200質量%未満ではコスト的に不経済でありまた凝結時間の調整が難しくなって可使時間が短くなるという不具合があり、660質量%を越えると若齢材の圧縮強度が低下するという不具合があるからである。
【0027】
また、混和材100質量%に対する水の混合割合を100〜780質量%の範囲に限定したのは、100質量%未満では流動性が悪くなり、780質量%を越えると材料分離を生じるとともに圧縮強度が低くなってしまうからである。また、混和材、セメント及び酸化チタンの合計100質量%に対する水の混合割合を30〜60質量%の範囲に限定したのは、30質量%未満では流動性が悪くなって硬化体の強度にばらつきが多くなるという不具合があり、60質量%を越えると材料分離を生じて硬化体の強度にばらつきが多くなるという不具合があるからである。更に硬化体の材齢3時間の圧縮強度を4.5N/mm2以上に限定したのは、4.5N/mm2未満では道路舗装等に使用したときに強度が低く開放(道路閉鎖の解除)ができないからである。
【0028】
本発明のNOx浄化舗装用粉体の特徴ある構成は、混和材において、カルシウムアルミネートのガラス化率(非結晶化率)を80%以上、好ましくは80〜98%、更に好ましくは90〜95%としたところにある。ここで、カルシウムアルミネートのガラス化率を80%以上に限定したのは、80%未満では、可使時間を長くしたときの強度発現性が低下するからである。また、カルシウムアルミネートのガラス化率が98%を越えると、歩留まりが低下して製造コストを押上げるため好ましくない。なお、上記カルシウムアルミネートのガラス化率(%)は、試料を粉末X線回折法により分析し、メインピークの高さの比により算出した。
【0029】
一方、アルミン酸ナトリウム、無機炭酸塩及びカルボン酸類からなる凝結調整剤のうちのいずれか1種を100質量%とするとき他の2種をそれぞれ60〜160質量%含む。例えば、アルミン酸ナトリウム、無機炭酸塩又はカルボン酸類のうちの任意の1種としてアルミン酸ナトリウムを選び、アルミン酸ナトリウムを混和材の総量に対して0.4質量%含み、無機炭酸塩を混和材の総量に対してそれぞれ0.6質量%%含み、カルボン酸類を混和材の総量に対して0.4質量%含む場合、アルミン酸ナトリウムを基準(100質量%)として、無機炭酸塩及びカルボン酸類がそれぞれ150質量%及び100質量%含むことになり、上記設定範囲内となる。
【0030】
また、アルミン酸ナトリウム、無機炭酸塩又はカルボン酸類のうちの少なくとも1種の凝結調整剤が、この選ばれた1種の凝結調整剤の総量を100質量%とするとき、平均粒径45μmを越えかつ90μm以下の第1粒子10〜45質量%、好ましくは15〜40質量%と、平均粒径90μmを越えかつ150μm以下の第2粒子30〜70質量%、好ましくは35〜65質量%と、平均粒径150μmを越えかつ500μm以下の第3粒子5〜30質量%、好ましくは10〜25質量%とを含む。第1〜第3粒子の平均粒径が上記範囲に限定されるのは、アルミン酸ナトリウム、無機炭酸塩又はカルボン酸類のうちのいずれか1種でもよく、アルミン酸ナトリウム、無機炭酸塩及びカルボン酸類からなる群より選ばれた2種でもよく、アルミン酸ナトリウム、無機炭酸塩及びカルボン酸類の全てでもよい。また、上記選ばれた1種の凝結調整剤が第1〜第3粒子のみからなる場合には、第1〜第3粒子の合計が100質量%となり、上記選ばれた1種の凝結調整剤が第1〜第3粒子の他に平均粒径45μm未満の微粒子などを含む場合には、第1〜第3粒子の合計は100質量%未満となる。更に第2粒子を第1及び第3粒子より多く含む。なお、第3粒子は第1粒子と同量か或いは第1粒子より多く含むことが好ましい。
【0031】
ここで、アルミン酸ナトリウム、無機炭酸塩及びカルボン酸類からなる凝結調整剤のうちのいずれか1種を100質量%とするとき他の2種をそれぞれ60〜160質量%の範囲に限定したのは、アルミン酸ナトリウム、無機炭酸塩及びカルボン酸類の混和材の総量に対する混合割合が比較的広いため、上記選ばれた1種の凝結調整剤の総量より他の種類の凝結調整剤の総量が遙かに多く、かつ他の種類の凝結調整剤の第3粒子の混合割合が上記設定範囲より大幅に多い場合、他の種類の凝結調整剤の影響が大きくなってしまい、硬化体の若材齢(材齢3時間程度)での圧縮強度を低下させずにセメントペーストの可使時間を60分程度、具体的には55〜75分と長く確保することができないからである。
【0032】
また、第1粒子の混合割合を10〜45質量%の範囲に限定したのは次の理由に基づく。第1粒子の混合割合が10質量%未満であると、混和材を含むNOx浄化舗装用粉体に注水した場合、反応初期に溶解する薬剤(選ばれた凝結調整剤)が少なくなり、反応開始が遅れるか、或いは凝結の遅延作用が小さくなって凝結が速く進行してしまうため、エトリンガイト[3CaO・Al23・3CaSO4・32H2O]やモノサルフェート[3(3CaO・Al23・CaSO4・12H2O)]等の水和物の生成等に悪影響を与え、若材齢強度(材齢3時間程度)の発現性が悪くなると考えられるからである。第1粒子の混合割合が45質量%を越えると、混和材を含むNOx浄化舗装用粉体に注水した場合、反応初期に薬剤(選ばれた凝結調整剤)が多く溶解し、初期の反応が急激に進むか、或いは凝結の遅延作用が大きくなって凝結が遅く進行してしまうため、エトリンガイト等の水和物の生成等に悪影響を与え、若材齢強度(材齢3時間程度)の発現性が悪くなると考えられるからである。
【0033】
第2粒子の混合割合を30〜70質量%の範囲に限定したのは次の理由に基づく。第2粒子の混合割合が30質量%未満であると、混和材を含むNOx浄化舗装用粉体に注水した場合、反応中期に溶解する薬剤(選ばれた凝結調整剤)が少なくなり、水和反応が順調に継続しなくなってしまうため、エトリンガイト等の水和物の生成等に悪影響を与え、若材齢強度(材齢3時間程度)の発現性が悪くなると考えられるからである。第2粒子の混合割合が70質量%を越えると、混和材を含むNOx浄化舗装用粉体に注水した場合、反応中期に溶解する薬剤(選ばれた凝結調整剤)が多くなり、初期から中期にかけての反応が急激に進んでしまうため、エトリンガイト等の水和物の生成等に悪影響を与え、若材齢強度(材齢3時間程度)の発現性が悪くなると考えられるからである。
【0034】
第3粒子の混合割合を5〜30質量%の範囲に限定したのは次の理由に基づく。第3粒子の混合割合が5質量%未満であると、混和材を含むNOx浄化舗装用粉体に注水した場合、反応後期に溶解する薬剤(選ばれた凝結調整剤)が少なくなり、水和反応が順調に継続しなくなってしまうため、エトリンガイト等の水和物の生成等に悪影響を与え、若材齢強度(材齢3時間程度)の発現性が悪くなると考えられるからである。第3粒子の混合割合が30質量%を越えると、混和材を含むNOx浄化舗装用粉体に注水した場合、反応後期に溶解する薬剤(選ばれた凝結調整剤)が多くなり、中期から後期にかけての反応が急激に進んでしまうため、エトリンガイト等の水和物の生成等に悪影響を与え、若材齢強度(材齢3時間程度)の発現性が悪くなると考えられるからである。更に第2粒子を第1及び第3粒子より多く含むとしたのは、混和材を含むNOx浄化舗装用粉体に注水した場合、反応中期に寄与する第2粒子を比較的多めにすることにより、急激な反応を抑え、連続的に穏やかな水和反応が起こるようにし、若材齢強度(材齢3時間程度)の発現性の良い水和物を生成するためである。
【0035】
一方、上記混和材をセメント鉱物と酸化チタンと混和材の合計量に対して内割で10〜40質量%、好ましくは15〜30質量%含むことによりNOx浄化舗装用粉体が調製される。ここで、混和材のセメント鉱物と酸化チタンと混和材の合計量に対する混合割合を10〜40質量%の範囲に限定したのは、10質量%未満では早期材齢(若材齢)の強度発現性が低下し、40質量%を越えると製造コストが増大するとともにセメント鉱物が少なくなって長期強度の発現性が低下するからである。なお、本発明におけるNOx浄化舗装用粉体は、上記以外に細骨材や、細骨材及び粗骨材を包含する。モルタル及びコンクリートには、必要に応じて混和材が混合される。
【0036】
このように構成されたNOx浄化舗装用粉体では、カルシウムアルミネートのガラス化率を80%以上とし、アルミン酸ナトリウム、無機炭酸塩及びカルボン酸類の混合割合を所定の範囲に設定し、アルミン酸ナトリウム、無機炭酸塩又はカルボン酸類のうちの少なくとも1種の凝結調整剤の第1〜第3粒子の混合割合を所定の範囲に設定し、更に第2粒子を第1及び第3粒子より多く含むように設定したので、このNOx浄化舗装用粉体に、水を加えて混合すると、反応開始が速やかに開始し、水和反応が順調に継続する、即ち急激な反応を抑え、連続的に穏やかな水和反応が起こるようにすることにより、有益なエトリンガイト又はモノサルフェートのいずれか一方又は双方が速やかに生成される。この結果、上記NOx浄化舗装用粉体に注水して硬化させた硬化体の若材齢(材齢3時間程度)で圧縮強度を低下させずに、可使時間を60分程度と長く確保することができる。また、硬化体に斑点が発生しないので、この斑点部分が欠陥となって長期的な硬化体の強度の低下を招くという事態の発生を防止できる。更に注水後の混練温度が異なっても凝結時間が殆ど変化せず、凝結時間の温度依存性が小さくすることができる。
【0037】
従って、どのような作業環境であっても、上記混和材を含むNOx浄化舗装用粉体に水を加えた混練物の粘性変化が略同一の条件で混練作業、打設作業又は塗布作業等を行うことができる。
なお、上記混和材を含むNOx浄化舗装用粉体に注水して生成されたエトリンガイト又はモノサルフェートのいずれか一方又は双方は六価クロムを吸収することができる。この結果、環境を汚染する有害物質として挙げられている六価クロムが地中に拡散されるのを防止できる。
【0038】
一方、混和材とセメントの合計量を100質量%とするとき、粒径90〜3000μm、好ましくは150〜3000μmの砂を0.5〜100質量%、好ましくは10〜25質量%含むことができる。また、混和材とセメントの合計量を100質量%とするとき、消泡剤を0.001〜0.2質量%、好ましくは0.005〜0.02質量%含むことができる。消泡剤は、混練時に含んだ大径気泡の破泡、抑泡及び脱泡といった効果により、硬化体の組成を緻密化して均質にするために用いるものである。消泡剤としては、エーテル類、脂肪酸エステル、脂肪酸アミド、脂肪酸金属石けん、高級アルコール、高重合グリコール類、有機リン酸塩、シリコーン類等が挙げられる。
【0039】
また、道路基材との付着を高める場合には、液体エマルジョンもしくは再乳化形粉末樹脂の少なくとも1種を含むことができる。液体エマルジョンは、水100質量%に対して内割で0〜50質量%含むことができる。再乳化形粉末樹脂は、混和材とセメントの合計100質量%に対して0〜19質量%含むこができる。上記液体エマルジョンは、水中に溶け込まず分散する樹脂の微細粒子を含む乳濁液や乳剤である。上記再乳化形粉末樹脂は、液体エマルジョンに安定剤などを加えたものを乾燥して得られる、再乳化可能な粉末状樹脂である。これら液体エマルジョンもしくは再乳化形粉末樹脂は、アクリル系、アクリル−ベオバ系、EVA系、SBR系などと呼ばれるものが好ましい。また、流動性を高める場合には、粉末もしくは液体状の減水剤を含むことができる。上記減水剤は、セメント粒子を分散させ、所定の強度を得るのに必要な水量を減少させることができる。これら減水剤は、ポリカルボン酸系、メラミンスルホン酸系、ナフタレンスルホン酸系、リグニンスルホン酸系、アミノスルホン酸系などと呼ばれるものが好ましい。更に、上記混和材を含むNOx浄化舗装用粉体中には、ポゾラン物質を含むことができる。ポゾラン物質としては、シリカフューム、フライアッシュ、高炉スラグ、けいそう土、ゼオライトなどが挙げられる。この中でシリカフュームは、本来のポゾラン物質としての作用に加えて、高性能減水剤と組み合わせて使用することにより、モルタルの適度な注入性を改善することができる。更に材料分離を防止できるという効果もある。
【0040】
ここで、砂の粒径を90〜3000μmの範囲に限定したのは、90μm未満では細かすぎて練り混ぜたときに水量が増加する上に、練り混ぜ性向上の効果が認められず、3000μmを越えるとモルタルの材料分離が起こり易いからである。また、砂の含有割合を0.5〜100質量%の範囲に限定したのは、0.5質量%未満では砂の量が少ないために練り混ぜ性向上の効果が認められない上に、モルタルの収縮率が大きくなってしまい、100質量%を越えると強度発現性が悪くなり、材料分離が起こり易くなるからである。なお、本発明の砂には、川砂、山砂、海砂、珪砂、人工細骨材、砕砂、天然珪砂等が例示される。
【0041】
また、液体エマルジョンの量を水100質量%に対して内割で0〜50質量%、再乳化形粉末樹脂の量を混和材とセメントの合計100質量%に対して0〜19質量%に限定したのは、液体エマルジョンの量が50質量%もしくは再乳化形粉末樹脂の量が19質量%を超えると、エマルジョン中の高分子が空隙に充満し、酸化チタン粒子とNOxガスの接触を妨げ、この結果、NOx浄化性能が低下するからである。また、消泡剤の含有割合を0.001〜0.2質量%の範囲に限定したのは、0.001質量%未満では消泡剤含有の効果が認められず、0.2質量%を超えるとコストアップとなり経済的に好ましくないからである。なお、ポゾラン物質とは、それ自体は水硬性を殆どもたないけれども、水の存在のもとで水酸化カルシウムと常温で徐々に反応して不溶性の化合物を作って硬化するような微粉末状のシリカ質の物質である。
【0042】
混和材中の凝結調整剤は、水に溶解することにより反応し、凝結の調整や強度の発現増進の効果が現れる。しかし、セメント鉱物と酸化チタンと混和材の混合物の合計量に対する水の混合割合(水粉体比率)が小さい場合、溶解速度が変化し、凝結性状が変化する場合がある。このため、本発明のNOx浄化舗装用粉体では、上記セメント鉱物と酸化チタンと混和材と水の混合物中に砂を入れることで混練時に、砂により材料が良く撹拌され、水粉体比率が小さくても、凝結調整剤の溶け方が改善され、凝結性状が安定する。また、材料中に砂が比較的多く混入しているため、水粉体比率が小さい状態で混練しても、凝結調整剤が溶解して反応が促進される。この結果、凝結の状態や強度発現性が良好になる。
【0043】
更にセメント鉱物と酸化チタンと混和材と水の混合物にポゾラン物質を添加することにより、水酸化カルシウムCa(OH)2と二酸化ケイ素SiO2が反応してケイ酸カルシウムCaSiO2(セメントゲル)になるポゾラン反応が進むので、セメント粒子間の空隙を超微粒子のアモルファスシリカで充填され、セメントマトリックスの組織構造を緻密化することができる。またシリカフュームの場合、この他に、前述したように、本来のポゾラン物質としての作用に加えて、高性能減水剤と組み合わせて使用することにより、モルタルの適度な注入性を改善することができる。更に材料分離を防止できるという効果もある。
【0044】
本発明のNOx浄化舗装用粉体と水との混練物(セメント組成物)は、例えば道路の表面に比較的厚く付着させて表面層を構成することで適用される。この場合、この混練物を吹き付け手段を用いたり、スラリー状にして表面に掛けることで付着させる。
【実施例】
【0045】
次に本発明の実施例を比較例とともに詳しく説明する。
先ず使用材料の種類及び略号、即ちカルシウムアルミネート、無機硫酸塩、セメント鉱物、アルミン酸ナトリウム、無機炭酸塩及びカルボン酸類の種類及び略号を次の表1に示す。なお、表1において、『C12A7』は『12CaO・7Al23』である。また、ブレーン値は、1gのカルシウムアルミネート粒子の総表面積であり、ブレーン空気透過式比表面積測定法で測定される。
【0046】
【表1】

【0047】
上記表1中のアルミン酸ナトリウム、無機炭酸塩及びカルボン酸類をそれぞれ所定の平均粒径の範囲毎に混合割合を変えた。その混合割合を表2に示す。なお、表2中の『0-45』は『0μmを越えかつ45μm以下』であり、『45-90』は『45μmを越えかつ90μm以下』であり、『90-150』は『90μmを越えかつ150μm以下』であり、『150-500』は『150μmを越えかつ500μm以下』であることを意味する。
【0048】
【表2】

【0049】
表2において、使用材料の略号『Al-2』、『K-2』、『Na-2』、『Ci-2』、『Ta-2』及び『CiNa-2』で示す第1〜第3粒子の混合割合は全て本発明の範囲内、即ち上述した本発明で設定した範囲内にあり、上記以外の使用材料の第1〜第3粒子のうちの少なくとも1種の混合割合が本発明で設定した範囲外にある。
更に表1のカルシウムアルミネートのうち略号CA70、CA80及びCA90の化学組成毎の含有割合をガラス化率及びブレーン値とともに表3に示す。
【0050】
【表3】

【0051】
<実施例1>
カルシウムアルミネートCA90を10質量%と、フッ酸II型無水石膏S8を10質量%と、普通ポルトランドセメントNを80質量%と、アルミン酸ソーダAl−2を0.6質量%と、炭酸カリウムK−1を0.6質量%と、クエン酸Ci−1を0.6質量%と、酸化チタンTiO22質量%と、水を50質量%とを混合した。この混合物を実施例1とした。
<実施例2>
アルミン酸ソーダAl−2に替えてアルミン酸ソーダAl−1を用い、炭酸カリウムK−1に替えて炭酸カリウムK−2を用いたこと以外は実施例1と同様にして混合物を作製した。この混合物を実施例2とした。
<実施例3>
アルミン酸ソーダAl−2に替えてアルミン酸ソーダAl−1を用い、クエン酸Ci−1に替えてクエン酸Ci−2を用いたこと以外は実施例1と同様にして混合物を作製した。この混合物を実施例3とした。
【0052】
<実施例4>
炭酸カリウムK−1に替えて炭酸カリウムK−2を用いたこと以外は実施例1と同様にして混合物を作製した。この混合物を実施例4とした。
<実施例5>
アルミン酸ソーダAl−2に替えてアルミン酸ソーダAl−1を用い、炭酸カリウムK−1に替えて炭酸カリウムK−2を用い、クエン酸Ci−1に替えてクエン酸Ci−2を用いたこと以外は実施例1と同様にして混合物を作製した。この混合物を実施例5とした。
<実施例6>
炭酸カリウムK−1に替えて炭酸カリウムK−2を用い、クエン酸Ci−1に替えてクエン酸Ci−2を用いたこと以外は実施例1と同様にして混合物を作製した。この混合物を実施例6とした。
【0053】
<実施例7>
カルシウムアルミネートCA90を10質量%と、フッ酸II型無水石膏S8を10質量%と、普通ポルトランドセメントNを80質量%と、アルミン酸ソーダAl−2を0.4質量%と、ソーダ灰Na−1を0.6質量%と、酒石酸Ta−1を0.4質量%と、水を50質量%とを混合した。この混合物を実施例7とした。
<実施例8>
アルミン酸ソーダAl−2に替えてアルミン酸ソーダAl−1を用い、ソーダ灰Na−1に替えてソーダ灰Na−2を用いたこと以外は実施例7と同様にして混合物を作製した。この混合物を実施例8とした。
<実施例9>
アルミン酸ソーダAl−2に替えてアルミン酸ソーダAl−1を用い、酒石酸Ta−1に替えて酒石酸Ta−2を用いたこと以外は実施例7と同様にして混合物を作製した。この混合物を実施例9とした。
【0054】
<実施例10>
ソーダ灰Na−1に替えてソーダ灰Na−2を用いたこと以外は実施例7と同様にして混合物を作製した。この混合物を実施例10とした。
<実施例11>
アルミン酸ソーダAl−2に替えてアルミン酸ソーダAl−1を用い、ソーダ灰Na−1に替えてソーダ灰Na−2を用い、酒石酸Ta−1に替えて酒石酸Ta−2を用いたこと以外は実施例7と同様にして混合物を作製した。この混合物を実施例11とした。
<実施例12>
ソーダ灰Na−1に替えてソーダ灰Na−2を用い、酒石酸Ta−1に替えて酒石酸Ta−2を用いたこと以外は実施例7と同様にして混合物を作製した。この混合物を実施例12とした。
【0055】
<実施例13>
カルシウムアルミネートCA90を10質量%と、フッ酸II型無水石膏S8を10質量%と、普通ポルトランドセメントNを80質量%と、アルミン酸ソーダAl−1を0.6質量%と、炭酸カリウムK−1を0.6質量%と、クエン酸Ci−2を0.6質量%と、クエン酸ナトリウムCiNa−2を0.3質量%と、酸化チタンTiO22質量%と、水を50質量%とを混合した。この混合物を実施例13とした。
<実施例14>
炭酸カリウムK−1に替えて炭酸カリウムK−2を用いたこと以外は実施例13と同様にして混合物を作製した。この混合物を実施例14とした。
<実施例15>
炭酸カリウムK−1に替えて炭酸カリウムK−2を用い、クエン酸Ci−1に替えてクエン酸Ci−2を用いたこと以外は実施例13と同様にして混合物を作製した。この混合物を実施例15とした。
<実施例16>
アルミン酸ソーダAl−1に替えてアルミン酸ソーダAl−2を用い、炭酸カリウムK−1に替えて炭酸カリウムK−2を用い、クエン酸Ci−1に替えてクエン酸Ci−2を用いたこと以外は実施例13と同様にして混合物を作製した。この混合物を実施例16とした。
<実施例17>
カルシウムアルミネートCA90に替えてカルシウムアルミネートCA80を用いたこと以外は実施例6と同様にして混合物を作成した。この混合物を実施例17とした。
【0056】
<比較例1>
アルミン酸ソーダAl−2に替えてアルミン酸ソーダAl−1を用いたこと以外は実施例1と同様にして混合物を作製した。この混合物を比較例1とした。
<比較例2>
アルミン酸ソーダAl−2に替えてアルミン酸ソーダAl−1を用い、炭酸カリウムK−1に替えて炭酸カリウムK−3を用いたこと以外は実施例1と同様にして混合物を作製した。この混合物を比較例2とした。
<比較例3>
アルミン酸ソーダAl−2に替えてアルミン酸ソーダAl−1を用い、クエン酸Ci−1に替えてクエン酸Ca−3を用いたこと以外は実施例1と同様にして混合物を作製した。この混合物を比較例3とした。
<比較例4>
アルミン酸ソーダAl−2に替えてアルミン酸ソーダAl−1を用いたこと以外は実施例7と同様にして混合物を作製した。この混合物を比較例4とした。
<比較例5>
アルミン酸ソーダAl−2に替えてアルミン酸ソーダAl−1を用い、ソーダ灰Na−1に替えてソーダ灰Na−3を用いたこと以外は実施例7と同様にして混合物を作製した。この混合物を比較例5とした。
【0057】
<比較例6>
アルミン酸ソーダAl−2に替えてアルミン酸ソーダAl−1を用い、酒石酸Ta−1に替えて酒石酸Ta−3を用いたこと以外は実施例7と同様にして混合物を作製した。この混合物を比較例6とした。
<比較例7>
クエン酸ナトリウムCiNa−2を用いなかったこと以外は実施例13と同様にして混合物を作製した。この混合物を比較例7とした。
<比較例8>
クエン酸ナトリウムCiNa−2に替えてクエン酸ナトリウムCiNa−1を用いたこと以外は実施例13と同様にして混合物を作製した。この混合物を比較例8とした。
<比較例9>
クエン酸ナトリウムCiNa−2に替えてクエン酸ナトリウムCiNa−3を用いたこと以外は実施例13と同様にして混合物を作製した。この混合物を比較例9とした。
<比較例10>
カルシウムアルミネートCA90に替えてカルシウムアルミネートCA70を用いたこと以外は実施例6と同様にして混合物を作成した。この混合物を比較例10とした。
【0058】
<比較試験1及び評価>
実施例1〜17及び比較例1〜10の混合物について、混練時の雰囲気温度をそれぞれ5℃、20℃及び35℃として、練り上がり温度、始発時間、終結時間及び圧縮強度をそれぞれ測定した。ここで、練り上がり温度は、練り上がり直後の混合物の温度計により測定した温度である。また、凝結の始発時間及び凝結の終結時間は、JIS R 5201に準じて自動凝結試験機を用いて測定した。具体的には、凝結の始発時間は、練り上がり直後から測定した時間であって、混合物に対して直径1mmの針が底面から1mm上がった位置で止まるまでの時間であり、凝結の終結時間は、練り上がり直後から測定した時間であって、直径1mmの針が混合物に突き刺さらなくなるまでの時間である。更に圧縮強度は、JIS R 5201に準じて測定した強度であり、材齢3時間及び材齢28日での圧縮強度をそれぞれ測定した。なお、上記凝結の始発時間及び凝結の終結時間の両者を合せて凝結時間と呼ぶ。これらの結果を表4〜表7に示す。
【0059】
【表4】

【0060】
【表5】

【0061】
【表6】

【0062】
【表7】

【0063】
表4から明らかなように、Al(アルミン酸ソーダ)、K(炭酸カリウム)及びCi(クエン酸)の平均粒径が90μmを越えかつ150μm以下と比較的大きいものと平均粒径が150μmを越えかつ500μm以下と極めて大きいものだけを含む比較例1や、K(炭酸カリウム)の平均粒径が0μmを越えかつ45μm以下と極めて小さいものと平均粒径が45μmを越えかつ90μm以下の比較的小さいものとの合計が72.2%と多く含む比較例2や、Ci(クエン酸)の平均粒径が0μmを越えかつ45μm以下と極めて小さいものと平均粒径が45μmを越えかつ90μm以下の比較的小さいものとの合計が76.1%と多く含む比較例3では、作業雰囲気温度5℃、材齢3時間での圧縮強度が4.2N/mm2以下であった。また凝結時間、即ち凝結の始発時間及び終結時間が作業雰囲気温度によって大きく変化した。これらに対し、Al(アルミン酸ソーダ)、K(炭酸カリウム)又はCi(クエン酸)のうちの少なくとも1種の第1〜第3粒子の混合割合が本発明の範囲内にあり、かつ第3粒子が第1及び第2粒子より多く含む実施例1〜6では、作業雰囲気温度5℃、材齢3時間での圧縮強度が4.5〜5.9N/mm2の範囲にあった。また凝結時間、即ち凝結の始発時間及び終結時間が作業雰囲気温度によってあまり大きく変化しなかった。
【0064】
表5から明らかなように、Al(アルミン酸ソーダ)、Na(ソーダ灰)及びTa(酒石酸)の平均粒径が90μmを越えかつ150μm以下と比較的大きいものと平均粒径が150μmを越えかつ500μm以下と極めて大きいものだけを含む比較例4や、Ta(ソーダ灰)の平均粒径が0μmを越えかつ45μm以下と極めて小さいものと平均粒径が45μmを越えかつ90μm以下の比較的小さいものとの合計が74.5%及び72.7%と多く含む比較例5及び6では、作業雰囲気温度5℃、材齢3時間での圧縮強度が4.0N/mm2以下であった。また、凝結時間、即ち凝結の始発時間及び終結時間が作業雰囲気温度によって大きく変化した。これらに対し、Al(アルミン酸ソーダ)、Na(ソーダ灰)又はTa(酒石酸)のうちの少なくとも1種の第1〜第3粒子の混合割合が本発明の範囲内にあり、かつ第3粒子が第1及び第2粒子より多く含む実施例7〜12では、作業雰囲気温度5℃、材齢3時間での圧縮強度が4.5〜5.8N/mm2の範囲にあった。また、凝結時間、即ち凝結の始発時間及び終結時間が作業雰囲気温度によってあまり大きく変化しなかった。
【0065】
表6から明らかなように、Al(アルミン酸ソーダ)、K(炭酸カリウム)及びCi(クエン酸)の平均粒径が90μmを越えかつ150μm以下と比較的大きいものと平均粒径が150μmを越えかつ500μm以下と極めて大きいものだけを含む比較例7や、Al(アルミン酸ソーダ)、K(炭酸カリウム)、Ci(クエン酸)及びCiNa(クエン酸ナトリウム)の平均粒径が90μmを越えかつ150μm以下と比較的大きいものと平均粒径が150μmを越えかつ500μm以下と極めて大きいものだけを含む比較例8や、CiNa(クエン酸ナトリウム)の平均粒径が0μmを越えかつ45μm以下と極めて小さいものと平均粒径が45μmを越えかつ90μm以下の比較的小さいものとの合計が75.52%と多く含む比較例9では、作業雰囲気温度5℃、材齢3時間での圧縮強度が4.0N/mm2以下であった。また、凝結時間、即ち凝結の始発時間及び終結時間が作業雰囲気温度によって大きく変化した。
【0066】
これらに対し、Al(アルミン酸ソーダ)、K(炭酸カリウム)、Ci(クエン酸)又はCiNa(クエン酸ナトリウム)のうちの少なくとも1種の第1〜第3粒子の混合割合が本発明の範囲内にあり、かつ第3粒子が第1及び第2粒子より多く含む実施例13〜16では、作業雰囲気温度5℃、材齢3時間での圧縮強度が4.5〜4.8N/mm2の範囲にあった。また凝結時間、即ち凝結の始発時間及び終結時間が作業雰囲気温度によってあまり大きく変化しなかった。
従って、上記表4〜表6から、アルミン酸ナトリウム(アルミン酸ソーダ)と、無機炭酸塩(炭酸カリウム、ソーダ灰)と、カルボン酸類(クエン酸、酒石酸、クエン酸ナトリウム)のうちの少なくとも1種の第1〜第3粒子の混合割合が本発明の範囲内にあり、かつ第3粒子が第1及び第2粒子より多く含むとき、作業雰囲気温度5℃、材齢3時間での圧縮強度が4.5〜5.9N/mm2の範囲にあることが判った。
【0067】
表7から明らかなように、ガラス化率70%のカルシウムアルミネートを含む比較例10では、作業雰囲気温度5℃、材齢3時間での圧縮強度が3.9N/mm2、作業雰囲気温度20℃、材齢3時間での圧縮強度が4.3N/mm2であった。また凝結時間、即ち凝結の始発時間及び終結時間が作業雰囲気温度によって大きく変化した。これに対し、ガラス化率90%のカルシウムアルミネートを含む実施例6、及びガラス化率80%のカルシウムアルミネートを含む実施例17では、作業雰囲気温度5℃、材齢3時間での圧縮強度が5.0〜5.9N/mm2の範囲にあった。また凝結時間、即ち凝結の始発時間及び終結時間が作業雰囲気温度によってあまり大きく変化しなかった。
なお、特許文献3には1時間後の圧縮強度が19.6N/mm2以上であると記載されているのに対し、上記実施例1〜17では材齢3時間での圧縮強度が4.5〜8.2N/mm2と低いのは、特許文献3では水粉体比の少ない材料を用いているのに対し、実施例1〜17では水粉体比の大きな材料を用いており、また、強度発現に寄与しない酸化チタンを含有しているためである。
【0068】
<実施例18>
カルシウムアルミネートCA90を15.9質量%と、フッ酸II型無水石膏S8を15.9質量%と、普通ポルトランドセメントNを66.4質量%と、アルミン酸ソーダAl−2を0.4質量%と、ソーダ灰Na−2を0.6質量%と、酒石酸Ta−1を0.4質量%と、酸化チタンTiO22質量%と、水50質量%とを混合した。この混合物を実施例18とした。この実施例18では、混和材(CA90、S8、Al−2、Na−2及びTa−1の合計)100質量%に対してセメントは200質量%であった。
<実施例19>
カルシウムアルミネートCA90を7.7質量%と、フッ酸II型無水石膏S8を7.7質量%と、普通ポルトランドセメントNを84.0質量%と、アルミン酸ソーダAl−2を0.4質量%と、ソーダ灰Na−2を0.6質量%と、酒石酸Ta−1を0.4質量%と、酸化チタンTiO22質量%と、水50質量%とを混合した。この混合物を実施例19とした。ここで、この実施例19では、混和材(CA90、S8、Al−2、Na−2及びTa−1の合計)100質量%に対してセメントは500質量%であった。
【0069】
<比較例11>
カルシウムアルミネートCA90を26.0質量%と、フッ酸II型無水石膏S8を26.0質量%と、普通ポルトランドセメントNを47.9質量%と、アルミン酸ソーダAl−1を0.4質量%と、ソーダ灰Na−1を0.6質量%と、酒石酸Ta−1を0.4質量%と、酸化チタンTiO22質量%と、水50質量%とを混合した。この混合物を比較例11とした。ここで、この比較例11では、混和材(CA90、S8、Al−1、Na−1及びTa−1の合計)100質量%に対してセメントは90質量%であった。
<比較例12>
カルシウムアルミネートCA90を4.1質量%と、フッ酸II型無水石膏S8を4.1質量%と、普通ポルトランドセメントNを105.6質量%と、アルミン酸ソーダAl−1を0.4質量%と、ソーダ灰Na−1を0.6質量%と、酒石酸Ta−1を0.4質量%と、酸化チタンTiO22質量%と、水50質量%とを混合した。この混合物を比較例12とした。ここで、この比較例12では、混和材(CA90、S8、Al−1、Na−1及びTa−1の合計)100質量%に対してセメントは1100質量%であった。
【0070】
<比較試験2及び評価>
実施例18〜19と比較例11及び12の混合物について、混練時の雰囲気温度を20℃として、練り上がり温度、始発時間、終結時間及び圧縮強度をそれぞれ測定した。ここで、練り上がり温度、始発時間、終結時間及び圧縮強度の測定は上記比較試験1と同様にして行った。上記練り上がり温度、始発時間、終結時間及び圧縮強度の測定結果を表8に示す。但し、圧縮強度は、材齢3時間で測定した。また、表8には、混和材(CA90、S8、Al−2、Na−2及びTa−1の合計)100質量%に対するセメントの含有量(質量%)を、[セメント/混和材](質量%)として示した。
【表8】

表8から明らかなように、Al(アルミン酸ソーダ)、Na(ソーダ灰)及びTa(酒石酸)の平均粒径が90μmを越えかつ150μm以下と比較的大きいものと平均粒径が150μmを越えかつ500μm以下と極めて大きいものだけを含み、セメント/混和材が90質量%である比較例11では、圧縮強度が4.0N/mm2と低くなり、また、Al(アルミン酸ソーダ)、Na(ソーダ灰)及びTa(酒石酸)の平均粒径が90μmを越えかつ150μm以下と比較的大きいものと平均粒径が150μmを越えかつ500μm以下と極めて大きいものだけを含み、セメント/混和材が1100質量%である比較例12では、圧縮強度が3.5N/mm2と低くなったのに対し、セメント/混和材が200〜500質量%である実施例18〜19では、圧縮強度が5.2〜8.9N/mm2と高くなった。この結果、混和材の割合を所定の範囲に設定し、かつセメント/混和材を所定の範囲に設定することにより、圧縮強度が高くなることが判った。
【0071】
<実施例20>
カルシウムアルミネートCA90を10質量%と、フッ酸II型無水石膏S8を10質量%と、普通ポルトランドセメントNを80質量%と、アルミン酸ソーダAl−2を0.4質量%と、ソーダ灰Na−2を0.6質量%と、酒石酸Ta−1を0.4質量%と、酸化チタンTiO22質量%と、水45.6質量%とを混合した。この混合物を実施例20とした。この実施例20では、結合材(CA90、S8、N、Al−2、Na−2及びTa−1の合計)100質量%に対して水は45質量%であった。
<実施例21>
カルシウムアルミネートCA90を10質量%と、フッ酸II型無水石膏S8を10質量%と、普通ポルトランドセメントNを80質量%と、アルミン酸ソーダAl−2を0.4質量%と、ソーダ灰Na−2を0.6質量%と、酒石酸Ta−1を0.4質量%と、酸化チタンTiO22質量%と、水48.7質量%とを混合した。この混合物を実施例21とした。ここで、この実施例21では、結合材(CA90、S8、N、Al−2、Na−2及びTa−1の合計)100質量%に対して水は48質量%であった。
【0072】
<実施例22>
カルシウムアルミネートCA90を10質量%と、フッ酸II型無水石膏S8を10質量%と、普通ポルトランドセメントNを80質量%と、アルミン酸ソーダAl−2を0.4質量%と、ソーダ灰Na−2を0.6質量%と、酒石酸Ta−1を0.4質量%と、酸化チタンTiO22質量%と、水52.7質量%とを混合した。この混合物を実施例22とした。ここで、この実施例22では、結合材(CA90、S8、N、Al−2、Na−2及びTa−1の合計)100質量%に対して水は52質量%であった。
<実施例23>
カルシウムアルミネートCA90を10質量%と、フッ酸II型無水石膏S8を10質量%と、普通ポルトランドセメントNを80質量%と、アルミン酸ソーダAl−2を0.4質量%と、ソーダ灰Na−2を0.6質量%と、酒石酸Ta−1を0.4質量%と、酸化チタンTiO22質量%と、水55.8質量%とを混合した。この混合物を実施例23とした。ここで、この実施例23では、結合材(CA90、S8、N、Al−2、Na−2及びTa−1の合計)100質量%に対して水は55質量%であった。
【0073】
<比較例13>
カルシウムアルミネートCA90を10質量%と、フッ酸II型無水石膏S8を10質量%と、普通ポルトランドセメントNを80質量%と、アルミン酸ソーダAl−1を0.4質量%と、ソーダ灰Na−1を0.6質量%と、酒石酸Ta−1を0.4質量%と、酸化チタンTiO22質量%と、水25.4質量%とを混合した。この混合物を比較例13とした。ここで、この比較例13では、結合材CA90、S8、N、Al−1、Na−1及びTa−1の合計)100質量%に対して水は25質量%であった。
<比較例14>
カルシウムアルミネートCA90を10質量%と、フッ酸II型無水石膏S8を10質量%と、普通ポルトランドセメントNを80質量%と、アルミン酸ソーダAl−1を0.4質量%と、ソーダ灰Na−1を0.6質量%と、酒石酸Ta−1を0.4質量%と、酸化チタンTiO22質量%と、水65.9質量%とを混合した。この混合物を比較例14とした。ここで、この比較例14では、結合材(CA90、S8、N、Al−1、Na−1及びTa−1の合計)100質量%に対して水は65質量%であった。
【0074】
<比較試験3及び評価>
実施例20〜23と比較例13及び14の混合物について、混練時の雰囲気温度をそれぞれ5、20及び35℃として、練り上がり温度、始発時間、終結時間及び圧縮強度をそれぞれ測定した。ここで、練り上がり温度、始発時間、終結時間及び圧縮強度の測定は上記比較試験1と同様にして行った。上記練り上がり温度、始発時間、終結時間及び圧縮強度の測定結果を表9に示す。但し、圧縮強度は、材齢3時間で測定した。また、表9には、混和材、セメント及び酸化チタンの合計100質量%に対する水の含有量(質量%)を、[水/粉体](質量%)として示した。
【0075】
【表9】

【0076】
表9から明らかなように、Al(アルミン酸ソーダ)、Na(ソーダ灰)及びTa(酒石酸)の平均粒径が90μmを越えかつ150μm以下と比較的大きいものと平均粒径が150μmを越えかつ500μm以下と極めて大きいものだけを含み、水/粉体が25質量%である比較例13では、圧縮強度が9.1〜9.5N/mm2と高くなったけれども凝結時間が比較的短くなり、また、Al(アルミン酸ソーダ)、Na(ソーダ灰)及びTa(酒石酸)の平均粒径が90μmを越えかつ150μm以下と比較的大きいものと平均粒径が150μmを越えかつ500μm以下と極めて大きいものだけを含み、水/粉体が65質量%である比較例14では、凝結時間が比較的長くなったけれども圧縮強度が3.5〜3.8N/mm2と比較的低くなったのに対し、水/粉体が30〜60質量%である実施例20〜23では、雰囲気温度が5、20及び35℃と変化しても、凝結時間が始発73〜86分、終結80〜97分と最適な範囲となって圧縮強度が5.2〜7.9N/mm2と高くなった。この結果、混和材の割合を所定の範囲に設定し、かつ水/粉体を所定の範囲に設定することにより、雰囲気温度が5〜35℃と変化しても、凝結時間を最適な範囲とすることができるとともに、圧縮強度が高くなることが判った。
【0077】
<実施例24>
カルシウムアルミネートCA90を10質量%と、フッ酸II型無水石膏S8を10質量%と、アルミン酸ソーダA1−2を0.6質量%と、炭酸カリウムK−1を0.6質量%と、クエン酸Ci−1を0.6質量%を混合したものを混和材とした。この混和材100質量%に対して普通ポルトランドセメントNを490質量%と、酸化チタンTiOを120質量%と、水330質量%と、液体エマルジョンPW40質量%を混合し、混和材と普通ポルトランドセメントNとの合計100質量%に対して、砂S17質量%と、消泡剤Dcf0.011質量%を混合した。この混合物を実施例24とした。
<実施例25>
酸化チタンTiOを290質量%と、水400質量%と、液体エマルジョンPW50質量%を混合したこと以外は、実施例24と同様の配合で混合物を作製した。この混合物を実施例25とした。
<実施例26>
酸化チタンTiOを290質量%と、水450質量%と、液体エマルジョンPWに替えて再乳化形粉末樹脂PPを、混和材と普通ポルトランドセメントNとの合計100質量%に対して2質量%混合したこと以外は、実施例24と同様の配合で混合物を作製した。この混合物を実施例26とした。
【0078】
<比較例15>
アルミン酸ソーダA1−2に替えてアルミン酸ソーダA1−1を用いたこと以外は、実施例24と同様の配合で混合物を作製した。この混合物を比較例15とした。
<比較例16>
アルミン酸ソーダA1−2に替えてアルミン酸ソーダA1−1を用い、混和材100質量%に対して普通ポルトランドセメントNを150質量%を混合したこと以外は、実施例24と同様の配合で混合物を作製した。この混合物を比較例16とした。
<比較例17>
アルミン酸ソーダA1−2に替えてアルミン酸ソーダA1−1を用い、混和材100質量%に対して普通ポルトランドセメントNを700質量%を混合したこと以外は、実施例24と同様の配合で混合物を作製した。この混合物を比較例17とした。
【0079】
<比較例18>
アルミン酸ソーダA1−2に替えてアルミン酸ソーダA1−1を用い、混和材100質量%に対して酸化チタンTiOを1質量%を混合したこと以外は、実施例24と同様の配合で混合物を作製した。この混合物を比較例18とした。
<比較例19>
アルミン酸ソーダA1−2に替えてアルミン酸ソーダA1−1を用い、混和材100質量%に対して酸化チタンTiOを500質量%を混合したこと以外は、実施例24と同様の配合で混合物を作製した。この混合物を比較例19とした。
<比較例20>
アルミン酸ソーダA1−2に替えてアルミン酸ソーダA1−1を用い、水100質量%と、液体エマルジョンPW270質量%を混合したこと以外は、実施例24と同様の配合で混合物を作製した。この混合物を比較例20とした。
<比較例21>
アルミン酸ソーダA1−2に替えてアルミン酸ソーダA1−1を用い、酸化チタンTiOを290質量%と、水450質量%と、混和材と普通ポルトランドセメントNとの合計100質量%に対して再乳化形粉末樹脂PPを25質量%混合したこと以外は、実施例24と同様の配合で混合物を作製した。この混合物を実施例26とした。
【0080】
<比較試験4及び評価>
実施例24〜26及び比較例15〜21の混合物について、混練時の雰囲気温度を20℃として、フロー値、可使時間、3時間圧縮強度およびNOx除去量をそれぞれ測定した。
フロー値は、JASS15M−103「セルフレベリング材の品質基準」3.5に準拠する静置フロー試験により測定した。具体的には、先ず厚さ5mmのみがき板ガラスの上に内径50mm、高さ51mmの塩化ビニル製パイプ(内容積100mL)を立てた状態で置く。次にこのパイプ内に予め練り混ぜた混合物を充填する。更にこのパイプを引き上げて、混合物の広がりが静止した後に、直角2方向の直径を測定し、その平均値をフロー値とした。可使時間は、練り上がり直後から測定した時間であって、フロー値150mm以上を維持することができる時間である。
【0081】
3時間圧縮強度はJIS R 5201に準拠して測定した。
NOx除去量は「光触媒コンクリート工業会法」に準拠して測定した。100×200×60mmのインターロッキングブロックの表面(100×200mm)に、各混合物を塗布し、1週間湿空養生したものを試験体とした。光照射容器に試験体を設置し、上面にパイレックス(登録商標)ガラスを取り付け、容器に模擬汚染空気(NO・1ppm・3L/min)を導入し、ブラックライトで紫外線(0.6mW/cm)を照射した。紫外線照射下で、容器の入口と出口のNO,NO濃度を12時間測定し、入口濃度から出口濃度を差し引いてNOx除去量を算出した。このNOx除去量を製品1mあたりの除去量に換算し、最終物性値とした。
これらの結果を表10に示す。
【表10】

【0082】
本発明の実施例24〜26では60分以上の可使時間が確保され、3時間圧縮強度が4.5N/mmを上回った。また、酸化チタン量の増加に伴ってNOx除去量も増加した。
Al(アルミン酸ソーダ)、K(炭酸カリウム)及びCi(クエン酸)の平均粒径が90μmを越え、かつ150μm以下と比較的大きいものと平均粒径が150μmを越え、かつ500μm以下と極めて大きいものだけを含む比較例15では、3時間圧縮強度が4.5N/mmを下回った。Al(アルミン酸ソーダ)、K(炭酸カリウム)及びCi(クエン酸)の平均粒径が90μmを越え、かつ150μm以下と比較的大きいものと平均粒径が150μmを越え、かつ500μm以下と極めて大きいものだけを含み、かつ普通ポルトランドセメントNが200質量%未満の比較例16では、結合材不足による材料分離が生じ試験が実施できなかった。Al(アルミン酸ソーダ)、K(炭酸カリウム)及びCi(クエン酸)の平均粒径が90μmを越え、かつ150μm以下と比較的大きいものと平均粒径が150μmを越え、かつ500μm以下と極めて大きいものだけを含み、かつ普通ポルトランドセメントNが660質量%を超える比較例17では、3時間圧縮強度は高いものの、練り上がり直後の流動性が低く、可使時間が確保できなかった。また、酸化チタン量が相対的に低くなったため、NOx除去量も実施例を大きく下回った。
【0083】
Al(アルミン酸ソーダ)、K(炭酸カリウム)及びCi(クエン酸)の平均粒径が90μmを越え、かつ150μm以下と比較的大きいものと平均粒径が150μmを越え、かつ500μm以下と極めて大きいものだけを含み、かつ酸化チタンTiOが3質量%未満の比較例18では、NOx除去性能が確認できなかった。Al(アルミン酸ソーダ)、K(炭酸カリウム)及びCi(クエン酸)の平均粒径が90μmを越え、かつ150μm以下と比較的大きいものと平均粒径が150μmを越え、かつ500μm以下と極めて大きいものだけを含み、かつ酸化チタンTiOが400質量%を超える比較例19では、練り上がり直後の流動性が低く、可使時間が確保できなかった。Al(アルミン酸ソーダ)、K(炭酸カリウム)及びCi(クエン酸)の平均粒径が90μmを越え、かつ150μm以下と比較的大きいものと平均粒径が150μmを越え、かつ500μm以下と極めて大きいものだけを含み、かつ液体エマルジョンPPが、水100質量%に対して内割で50質量%を越える比較例20及びAl(アルミン酸ソーダ)、K(炭酸カリウム)及びCi(クエン酸)の平均粒径が90μmを越え、かつ150μm以下と比較的大きいものと平均粒径が150μmを越え、かつ500μm以下と極めて大きいものだけを含み、かつ再乳化形粉末樹脂PPが混和材と普通ポルトランドセメントNとの合計100質量%に対して19質量%を超える比較例21では、樹脂中の高分子が空隙に充満し、酸化チタン粒子とNOxガスとの接触が妨げられ、NOx除去量が大きく低下した。
これらの結果から、混和材、セメント、酸化チタン、水、骨材、消泡剤、液体エマルジョンおよび再乳化形粉末樹脂の質量%を所定の範囲に設定することにより、60分程度の可使時間と4.5N/mm以上の3時間圧縮強度と、1.00mmol/m・12h以上のNOx除去量が同時に得られることが分かった。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
セメント、酸化チタン粉末及び混和材を含み水と混練して用いるNOx浄化機能を有する舗装用粉体であって、
前記混和材が、
カルシウムアルミネートと無機硫酸塩とが質量比で1:(0.5〜3)の割合で混合された急硬成分に対して、内割でアルミン酸ナトリウム0.2〜35.0質量%、無機炭酸塩0.2〜35.0質量%及びカルボン酸類0.1〜15.0質量%からなる凝結調整剤を含む混和材であって、
前記カルシウムアルミネートのガラス化率が80%以上であって、
前記アルミン酸ナトリウム、前記無機炭酸塩及び前記カルボン酸類からなる凝結調整剤のうちのいずれか1種を100質量%とするとき他の2種をそれぞれ60〜160質量%含み、
前記アルミン酸ナトリウム、前記無機炭酸塩又は前記カルボン酸類のうちの少なくとも1種の凝結調整剤が、この選ばれた1種の凝結調整剤の総量を100質量%とするとき、平均粒径45μmを越えかつ90μm以下の第1粒子10〜45質量%と、平均粒径90μmを越えかつ150μm以下の第2粒子30〜70質量%と、平均粒径150μmを越えかつ500μm以下の第3粒子5〜30質量%とを含み、かつ前記第2粒子を前記第1粒子より多く含むとともに前記第3粒子より多く含むことを特徴とするNOx浄化舗装用粉体。
【請求項2】
請求項1に記載のNOx浄化舗装用粉体において、
前記混和材100質量%に対して、前記セメント200〜660質量%、前記酸化チタン3〜400質量%、混練する前記水100〜780質量%を混合してセメントペーストを調整したときに、可使時間が55〜75分であることを特徴とするNOx浄化舗装用粉体。
【請求項3】
請求項2に記載のNOx浄化舗装用粉体において、
前記混和材100質量%に対して、前記セメントが250〜550質量%、前記酸化チタンが50〜300質量%、混練する前記水が180〜500質量%にそれぞれ設定されていることを特徴とするNOx浄化舗装用粉体。
【請求項4】
請求項2又は3に記載のNOx浄化舗装用粉体において、
前記混和材、前記セメント及び前記酸化チタンの合計100質量%に対して、前記水30〜60質量%を混合して調製したセメントペーストの可使時間が55〜75分であるときに、材齢3時間の圧縮強度が4.5N/mm以上であることを特徴とするNOx浄化舗装用粉体。
【請求項5】
請求項1から4のいずれか一項に記載のNOx浄化舗装用粉体、水及び液体エマルジョンを混練してモルタルを調整したときに、フロー値が150mm以上であることを特徴とするセメント組成物。
【請求項6】
請求項1から4のいずれか一項に記載のNOx浄化舗装用粉体と、水と、砂と、消泡剤と、液体エマルジョンもしくは再乳化形粉末樹脂の少なくとも1種とを混練してなり、
前記混和材と前記セメントとの合計100質量%に対して、粒径90〜3000μmの前記砂を0.5〜100質量%、前記消泡剤を0.001〜0.2質量%含み、
前記液体エマルジョンを混練するときは、前記液体エマルジョンを前記水100質量%に対して内割で0〜50質量%含み、前記再乳化形粉末樹脂を混練するときは、前記再乳化形粉末樹脂を前記混和材と前記セメントの合計100質量%に対して0〜19質量%含むことを特徴とするセメント組成物。

【公開番号】特開2008−214172(P2008−214172A)
【公開日】平成20年9月18日(2008.9.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−57847(P2007−57847)
【出願日】平成19年3月7日(2007.3.7)
【出願人】(000006264)三菱マテリアル株式会社 (4,417)
【Fターム(参考)】