説明

NOx除去透光性コーティング用の組成物

少なくとも(a)NO除去活性を有する光触媒性二酸化チタン粒子と、(b)当該粒子が分散され、少なくとも1のポリシロキサンを含むシリコン系材料と、(c)炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム及びそれらの混合物から選択されるHNO除去活性を有する粒子とを備える、透光性コーティングを建設資材表面上に形成可能な改良された組成物。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、建設資材表面の透光性コーティングとして用いられる、光触媒によるセルフクリーニング特性を有する組成物に関し、より詳細には、そのような高HNO除去活性を有する改良された組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
建造物及びコーティングの分野において、環境汚染が、建造物及び室外建造物の外装材の汚染を引き起こし、深刻な問題となっている。晴天下において、空気中を漂うダスト及び粒子は、建造物の屋根及び外壁に堆積する。降雨に晒されると、堆積物は雨水と共に流れ、建造物の外壁に沿って流れ落ちる。結果として、汚染物質が雨水の流路に沿って付着する。表面が乾燥すると、土がストライプパターンとして現れる。
【0003】
この問題を少なくとも部分的に解決するため、建築資材表面にコーティングを施すことが既に提案されている。また、コーティングは更に、光触媒による大気汚染物質に対するセルフクリーニング特性を示す。このように、酸化チタン光触媒コーティングは、EP0901991、WO97/07069、WO97/10186、及びWO98/41480に開示されている。
【0004】
酸化チタンのような半導体への(例えばUV光からの)紫外線照射は、有害な有機化合物を最終的に無害な物質に分解可能な、強い還元活性を有する電子及び強い酸化活性を有する正孔を生じる。典型的な大気汚染物質は、例えば、資材の塗装された表面に吸収される窒素酸化物、オゾン及び有機汚染物質である。これは、特に、例えば街路のような、特に強い太陽光の下で有機汚染物質の濃度が比較的高く、資材の利用可能な表面部分も比較的多い市街地において有効である。
【0005】
しかし、水及び酸素の存在下でUV光によってNO及びNOとTiOとの反応から生成される、HNOのような酸化種は、資材の塗装された表面上にそれらが吸収するという問題を生じさせる。これにより、やがて除去困難な汚れ及び/又は腐食の問題が生じうる。
【0006】
従って、大きく改善された汚染除去特性、汚染耐性、及び、先行するコーティングに対する優れた耐久性を有するコーティング組成物に対するニーズが依然存在する。
【0007】
驚くべきことに、本発明者らは、コーティング用の特定の組成物により、この目的が効果的に達成されることを発見した。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
従って、本発明の1つの目的は、資材の表面にコーティングとして塗装された場合に、改善されたNO(更に任意的にVOC(即ち、キシレン及びベンゼンのような揮発性有機物))除去特性を示す組成物を提供することである。
【0009】
本発明のもう一つの目的は、コーティングの透光性を犠牲にせずに、そのような特性の組成物を提供することである。
【0010】
更にもう一つの本発明の目的は、資材の表面にコーティングとして塗装された場合に、降雨又は水洗浄により容易に汚染物質をそこから離脱させることができる組成物を提供することである。特に、この組成物は、基材の表面に塗装されて薄膜を形成した場合に、表面に付着した汚染物質又はその派生物を水により容易に洗い流すことを可能にする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
一側面によると、本発明は、(a)少なくともNO除去活性を有する光触媒性二酸化チタン粒子、(b)HNO除去活性を有する粒子、(c)前記粒子が分散されるシリコン系材料を備え、前記光触媒性粒子は結晶の大きさが1nmから50nmであり、(a)及び(b)の粒子は前記組成物の全重量の20%未満含まれる、建設資材表面上の透光性コーティング用のNO除去組成物に関連する。
【0012】
もう一つの側面によると、本発明は、少なくとも、本発明の組成物を資材の表面上に塗布する段階と、前記組成物を乾燥又は硬化して透光性コーティングシステムを提供する段階とを備える、資材の表面において大気汚染物質に対するセルフクリーニング特性を付与する方法に関する。
【0013】
さらに他の側面によると、本発明は、少なくとも、(a)NO除去活性を有し、実質的に質量で少なくとも50%のアナターゼ結晶型からなり、1nmから150nmの範囲の平均サイズ及び少なくとも30m/gの表面積を有する光触媒性二酸化チタン粒子と、(b)前記(a)粒子が分散され、下記化学式
【化1】

(ここで、R及びRは炭素数1から20のアルキル又はフェニルのラジカル)を有するポリシロキサン誘導体を少なくとも1種含むシリコン系材料と、を少なくとも備える組成物であって、前記組成物中に(c)炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム及びそれらの混合物から選択されるHNO除去活性を有する粒子が加えられることを含み、(i)(a)及び(c)粒子は当該組成物中の全重量の20重量%未満存在し、(ii)(c)HNO除去活性を有する粒子の(a)光触媒性粒子に対する比率は0.05:2から0.2:0.8の範囲までであり、(iii)HNO除去活性を有する粒子と光触媒性二酸化チタン粒子は互いに密接に接触しない、建設資材表面上に透光性コーティングを形成可能な改良された組成物に関する。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明は、建設資材表面上に透光性薄膜コーティングを形成可能な改良された組成物の発見に属する。当該組成物は、少なくとも(a)少なくともNO除去活性を有し、実質的に質量で少なくとも50%のアナターゼ結晶型からなり、1nmから150nmまでの平均サイズ範囲及び少なくとも30m/gの表面積を有する光触媒性二酸化チタン粒子と、(b)当該(a)粒子が分散されるシリコン系材料とを少なくとも備え、前記シリコン系材料は少なくとも下記化学式
【化2】

(ここで、R及びRは炭素数1から20のアルキル又はフェニルのラジカル)を有するポリシロキサン誘導体を含む。発見又は改良は、当該組成物中に炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム及びそれらの混合物から選択されるHNO除去活性を有する(c)粒子を組み込むことを含む。ここで、(i)(a)及び(c)粒子は当該組成物中の全重量の20重量%未満存在し、(ii)(c)HNO除去活性を有する粒子の(a)光触媒性粒子に対する比率は0.05:2から0.2:0.8の範囲までであり、(iii)HNO除去活性を有する粒子と光触媒性二酸化チタン粒子は互いに密接に接触しない。
【0015】
光触媒性二酸化チタン粒子:
【0016】
本発明による組成物は、少なくともNO除去活性を有する分散された光触媒性二酸化チタン粒子を少なくとも備える。ここでNOは、NO及び/又はNOを意味する。特定の実施形態によると、光触媒粒子はVOC除去活性を同様に示してもよい。
【0017】
本明細書において、「NO除去」及び/又は「VOC除去」活性という用語は、NOに対するHNOのように、NO及び/又はVOC種をそれぞれの酸化種に変換する能力を意味する。
【0018】
特に本発明においては、「光触媒性粒子」という用語は、結晶の伝導帯及び価電子帯間のエネルギーギャップよりも高エネルギーを有する(即ち、より短波長の)光(励起光)が照射されると、価電子帯において電子の励起(光子励起)を引き起こし、伝導電子及びバレンス正孔を生じさせることができる材料に基づいた粒子を指す。
【0019】
本発明の組成物中に含有される光触媒性二酸化チタン粒子は、基本的に、アナターゼ型及びルチル型の酸化チタン及びそれらの混合物を含むが、アナターゼ型酸化チタンは特にその高い光活性のために好適に用いられる。
【0020】
二酸化チタン粒子のコーティングにおいて、粒子の性質は、好ましくは主にアナターゼ結晶型であることが好ましい。「主に」とは、コーティング組成物の二酸化チタン粒子におけるアナターゼ型の含有量が、質量において50%よりも大きいことを意味する。コーティング組成物の粒子は、アナターゼ型の含有量が80%を超えることが好ましい。
【0021】
結晶の程度及び結晶相の性質はX線回折によって測定される。
【0022】
コーティングに組み込まれる結晶構造の二酸化チタン粒子は、1nmから150nmまで、好ましくは2nmから30nmまで、より好ましくは5nmから20nmの範囲の平均サイズを示す。粒子の直径は、透過電子顕微鏡(TEM)及び同様にXRDによって測定される。
【0023】
好適な光触媒性粒子は、グラム当たり高い表面積を有し、例えば、BET法により測定される30m/g以上、好ましくは50m/g以上、最も好ましくは100m/g以上の表面積を有する。
【0024】
これに対して、従来の即ち非光触媒性のTiO2顔料のグラム当たりの表面積は、約1−30m/gである。光触媒性のより小さな粒子及び結晶におけるこの違いは、より高い表面積を生じさせる。
【0025】
特に、ミレニアム無機化学(Millennium Inorganic Chemicals Ltd)から「S5−300B」の名称で販売される光触媒性TiOは本発明に有用である。
【0026】
光触媒活性を有する粒子は、当該組成物の全重量に対して、(乾燥状態において)0.1から15、好ましくは1から12、最も好ましくは2から10重量%加えられる。
【0027】
特に、本発明の組成物は、少なくとも5重量%の光触媒性粒子を含む。
【0028】
特定の実施形態によると、光触媒性粒子はVOC除去特性を同様に示してよい。
【0029】
光触媒性二酸化チタン粒子は、水中分散により製造されたゾル、水又は溶媒含有ペースト、若しくは粉末として用いられ得る。ゾルを製造するために用いられる分散剤の好適な例は、水と、メタノール、エタノール、イソプロパノール、n−ブタノール及びイソブタノールのようなアルコールと、メチルエチルケトン及びメチルイソブチルケトンのようなケトンとを有する。
【0030】
HNO除去粒子:
【0031】
本発明の改良された組成物は、NO粒子から光触媒により生成されるHNO酸化種を除去するための粒子を、一定量分散して組成物中に含めることに基づく。この第2の粒子を、「HNOを除去する粒子」又は「HNO除去粒子」と呼ぶ。
【0032】
HNO除去粒子の例は、基本的な化合物、特にあらゆる不溶性の炭酸塩(例えば、炭酸カルシウム、炭酸亜鉛、炭酸マグネシウム及びその混合物)を含む。そのような化合物の特に好適な例は、炭酸カルシウムを含む。その含有量は、HNOをそのアルカリ塩にするのに十分であるべきであり、また二次的に、含有するコーティングに相溶性のある範囲であるべきであるが、その含有量は限定されるものではない。当該組成物の全重量の(乾燥状態において)0.05から15、特に0.1から2重量%の量が特に有用である。
【0033】
HNO3除去粒子/光触媒性粒子の比率は、0.05:2、特に0.1:1、より好ましくは0.2:0.8の範囲あってよい。
【0034】
当該粒子、即ち、HNO3除去粒子及び光触媒性粒子は本発明の組成物に、(乾燥状態において)組成物の全重量に対して20重量%未満、特に15重量%未満、より好ましくは12重量%未満含まれる。
【0035】
シリコン系成分:
【0036】
本発明の組成物は、シリコン系成分を含み、ここに少なくとも前述した粒子が保持(エントラップ)される。
【0037】
特に本発明においては、ここで用いられる「シリコン系材料」という用語は、コーティングに有用なシリコン系フィルムを提供可能である、シリカ又はその混合物に基づくあらゆる材料を意味する。
【0038】
シリコン系材料は、好適には、ポリシロキサンポリマーフィルムを提供する。
【0039】
一実施形態によると、シリコン系材料は、少なくとも特に化学式(I)を有する、1種のポリシロキサン誘導体を含む。
【化3】

(I)において、nはポリシロキサンを固体重量比率が40−70%の範囲となるように水中に分散させる値であり、R及びRは炭素数1から20のアルキルラジカルまたはフェニルのようなアリール基である。
【0040】
典型的には、nの値は50から2000の範囲である。
【0041】
及びRラジカルの実例は、アルキル基(例えば、メチル、エチル、プロピル、ブチル、2−エチルブチル、オクチル)、シクロアルキル基(例えば、シクロヘキシル、シクロペンチル)、アルケニル基(例えば、ビニル、ヘキセニル、アリル)、アリール基(例えば、フェニル、トリル、キシリル、ナフチル、ジフェニル)、アラルキル基(例えば、ベンジル、フェニルエチル)、一部又は全ての炭素に結合する水素が(例えば、ハロゲン原子又はシアノ基で)置換された前述のあらゆる基、又は、例えばアミノ基、エーテル基(−O−)、カルボニル基(−CO−)、カルボキシル基(−COOH)、若しくはスルホニル基(−SO2−)(例えば、クロロメチル,トリフルオロプロピル,2−シアノエチル,3−シアノプロピル)を含む/により置換される基である。
【0042】
本発明においては、ワッカーケミー社(WACKER-Chemie GmbH)からWACKER BS 45の商標で販売されているポリシロキサンが特に有用である。
【0043】
本発明による組成物中のポリシロキサンの内容は適切に決められてよい。
【0044】
本発明の組成物は少なくとも溶媒を含んでよい。
【0045】
ここで用いられ得る溶媒の例は、水、有機溶媒、及び、水と有機溶媒とからなる混合溶剤が含まれる。水及びアルコールは、特に好適な溶媒である。
【0046】
本発明の組成物は、品質保持期間、UV耐久性、透光性又は耐汚染性に悪影響を与えない追加的な要素を含んでよい。そのような追加の化合物の例は、石英、カルサイト、クレイ、タルク、バライト、及び/又はNa−Al−ケイ酸塩のようなフィラー;TiO、リトポン及び他の無機顔料のような顔料;ポリリン酸、プロアクリレート、ホスホン酸塩、ナフテン、及びリグニンスルホン酸塩のような分散剤;アニオン性、カチオン性、両性、非イオン性の界面活性剤のような湿潤剤;シリコンエマルジョンのような消泡剤;炭化水素;長鎖アルコール;主としてカチオン性化合物のような安定剤;アルカリ安定エステル、グリコールのような合体剤;セルロース誘導体(CMC、HEC)、キサンタンガム、ポリウレタン、ポリアクリレート、加工デンプン、ベントン及び他の層状ケイ酸塩のようなレオロジー添加剤;アルキルシリコネート、シロキサン、ワックスエマルジョン、脂肪酸Li塩のような撥水剤、殺菌剤及び殺生物剤を含む。
【0047】
本発明の組成物は、資材表面上にあらゆる適切な方法によりコーティングされ得る。適切な方法の例は、スプレーコーティング、ディップコーティング、フローコーティング、スピンコーティング、ロールコーティング、ブラッシュコーティング及びスポンジコーティングを含む。
【0048】
基材表面上への塗布の後、組成物は乾燥又は硬化されて、薄膜を形成する。ここで用いられる「乾燥又は硬化」という用語は、本発明の組成物中のシリコン系材料がシリコン系薄膜に変換され、空気乾燥又は熱乾燥により乾燥が実行され得ることを意味する。これに代えて、前駆体がシリコンフィルムに変換される限りにおいては、紫外線照射等が実行されて、ポリマー化を生じさせてよい。
【0049】
本発明の組成物は、多種の資材の表面上に塗布しうる。
【0050】
資材は特に限定されず、例えば、金属、セラミクス、ガラス、プラスチック、木材、石材、セメント、コンクリート、ファイバー、織物およびこれらの組み合わせおよび積層物であってよい。組成物が塗布される対象の特定の例は、住宅、建設資材、建物の外装、建物の内装、窓枠、窓ガラス、構造資材、機械および物品の外装、防塵カバーおよびコーティング、フィルム、シート、およびシールを含む。
【0051】
本発明の好ましい実施形態を準備するにあたって、本発明の目的の達成を容易にするために、さまざまな代替手段が用いられ得る。
【0052】
以下の例は本発明の理解を助けるために提供されるものであり、如何なる場合も本発明を限定することを意図せず、またそのように解釈されるべきではない。本開示に当った当業者にとって明らかとなり得る全ての代替物、修正物、および均等物は、本発明の範囲に含まれる。
【0053】
(実施例)
【0054】
塗料は下記の材料を用いることにより準備された。TiO(24重量%):TiO S5−300B(ミレニアム無機化学)。ケイ酸ナトリウム:ケイ酸ナトリウム溶液 Grade Crystal 79(イネオス社) SiOとして386g/l、183g/l、U3(21重量%)に希釈。水中に固体成分含有量で21%分散されたSOLVAY Grade U3の沈殿炭酸カルシウム。1%MR:ヒドロキシエチルセルロースNatrosol MR(ハーキュリーズ社)1%水溶液。フォーマスターNXZ:消泡剤(コグニス社)。ワッカーBS45:ポリシロキサンポリマーラテックス(ワッカーケミー社)。テクサノール:2,2,4トリメチル‐1,3ペンタンジオールモノイソブチレート(イーストマンケミカルカンパニー)。
【0055】
塗料は、AおよびBの2つのパートで準備された。
【0056】
パートAにおいて、TiO溶液は水で希釈され、ケイ酸ナトリウム、炭酸カルシウムがその後追加され、さらにヒドロキシエチルセルロースおよび消泡剤が追加された。
【0057】
これらの要素は高速せん断しながら混合された。
【0058】
パートBにおいて、ポリシロキサンポリマーが水に加えられ、この溶液のpHは10.0に調整され、ケイ酸ナトリウムが追加された。その後、パートAがパートBに高速せん断しながら混合された。最後に、テキサノールが追加された。
【0059】
このように準備された塗料の組成は下記表1に示される。
【表1】

TiO*−溶液の固体成分含有量は24重量%。CaCo*−溶液の固体成分含有量は21重量%。表中のパーセントは販売品に表示される(乾燥成分+溶媒に対する)パーセントである。
【0060】
NO測定は、メリネックス(マイラー(登録商標))基板上に準備された10cm×1cmの塗料フィルム上で行われた。
【0061】
用いられたNOは30ppmのNOである。初期測定の後、塗料フィルムは、フィルタされたキセノン光源を用いて、55W/mで300−400nmの紫外線で18時間照射された。NO測定において、サンプルは、10W/mで300−400nmの紫外線を放射するUV蛍光灯管で照射された。
【0062】
コーティングによるNO/NOの除去を測定するために用いられる装置、生産物および方法は、以下の通りである。
1.装置
窒素酸化物分析器 SIGNAL4000
UVランプモデル VL−6LM 365および312nm波長‐exBDH
気密サンプルチャンバ
3チャネルガスミキサー‐exブルックスインスツルメンツ、オランダ
【0063】
2.ガス
NO 酸化窒素
NO 二酸化窒素
NO NOおよびNO混合物
水蒸気含有高圧空気
【0064】
3.方法
測定方法は以下の通りである。
(1)分析器をスイッチオンし、ポンプを排気する。排気パイプが大気に接続されるか確認する。
(2)ウォームアップする。分析器が運転を開始する前に、いくつかの内部コンポーネントが運転温度に達する必要がある。このプロセスは、典型的には、周囲温度でのスタートから60分を要し、運転条件が整うまで「開始手順中(スタートアップシーケンスアクティブ)」のメッセージが表示される。
(3)ウォームアップの後、ガス混合器へ空気およびテストガスの供給を開始する。
(4)製造者の指示に従い、テストガス供給のみにおいて分析器をキャリブレートする(ガス混合器の空気チャネルをゼロにする)。
(5)キャリブレーションの後、ガス混合器におけるテストガスの供給を止める。
(6)テストチャンバにテストサンプルを置き、チャンバを密閉する。
(7)空気およびテストガスの両方の栓を開き、分析器の出力に示されるように、それぞれをテストガスが要求されるレベルに到達するまで調整する。このレベルを記録する。
(8)テストガスレベルが所望のポイントになったときに、UVランプを点灯する。
(9)典型的には5分ほどかけて、照射サンプル値を平衡に達せさせる。
(10)分析器に示される値を記録する。
(11)「初期値」すなわちUVが無い状態、所定時間のUV照射後の「最終値」、Δ値すなわち初期−最終値、及び、%減少値、すなわちΔ値/初期値×100を報告する。
【0065】
結果は表2に示される。
【表2】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)NO除去活性を有し、実質的に質量で少なくとも50%のアナターゼ結晶型からなり、1nmから150nmの範囲の平均サイズ及び少なくとも30m/gの表面積を有する光触媒性二酸化チタン粒子と、
(b)前記(a)粒子の両者が分散され、下記化学式
【化1】

(R及びRは炭素数1から20のアルキルラジカル又はフェニル)を有するポリシロキサン誘導体を少なくとも1種含むシリコン系材料と
を少なくとも備える組成物であって、
前記組成物中に(c)炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム及びそれらの混合物から選択されるHNO除去活性を有する粒子が加えられることを含み、
(i)(a)及び(c)粒子は前記組成物中の全重量の20重量%未満存在し、
(ii)(c)HNO除去活性を有する粒子の(a)光触媒性粒子に対する比率は0.05:2から0.2:0.8の範囲までであり、
(iii)HNO除去活性を有する粒子と光触媒性二酸化チタン粒子は互いに密接に接触しない、
建設資材表面上に透光性コーティングを形成可能な組成物。
【請求項2】
(a)NO除去活性を有し、実質的に質量で少なくとも50%のアナターゼ結晶型からなり、1nmから150nmの範囲の平均サイズ及び少なくとも30m/gの表面積を有する光触媒性二酸化チタン粒子と、
(b)前記(a)粒子の両者が分散され、下記化学式
【化2】

(ここで、R及びRは炭素数1から20のアルキルラジカル又はフェニル)を有するポリシロキサン誘導体を少なくとも1種含むシリコン系材料と
を備える分散系により得られ、
(c)炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム及びそれらの混合物から選択されるHNO除去活性を有する粒子が塗布の前にさらに前記分散系に追加されることを含み、
(i)(a)及び(c)粒子は前記分散系中の全重量の20重量%未満存在し、
(ii)(c)HNO除去活性を有する粒子の(a)光触媒性粒子に対する比率は0.05:2から0.2:0.8の範囲までであり、
(iii)HNO除去活性を有する粒子と前記光触媒性二酸化チタン粒子は互いに密接に接触しない、
建設資材表面上に付着する改良された透光性薄膜。
【請求項3】
結晶構造の前記二酸化チタン粒子は、平均サイズが5nmから20nmである
請求項1に記載の組成物。
【請求項4】
前記光触媒性の粒子は、乾燥状態において、当該組成物の全重量の0.1%から15重量%含まれる請求項1に記載の組成物。
【請求項5】
溶媒をさらに含む請求項1に記載の組成物。
【請求項6】
請求項1に記載の組成物を資材の表面上に塗布する段階と、前記組成物を乾燥又は硬化して前記資材表面上に薄膜コーティングを得る段階とを備える、前記資材の表面において大気汚染物質に対するセルフクリーニング特性を付与する方法。

【公表番号】特表2013−505334(P2013−505334A)
【公表日】平成25年2月14日(2013.2.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−529863(P2012−529863)
【出願日】平成22年9月15日(2010.9.15)
【国際出願番号】PCT/US2010/048865
【国際公開番号】WO2011/034880
【国際公開日】平成23年3月24日(2011.3.24)
【出願人】(503256276)ミレニアム インオーガニック ケミカルズ, インコーポレイテッド (1)
【Fターム(参考)】