説明

NP−1アンタゴニスト活性を有するアルギニン誘導体

本発明は、NP−1アンタゴニストとして適する、式Iまたは式II
【化1】


の化合物である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
発明の分野
本発明は、NP−1アンタゴニスト活性およびを有し、治療に有益な可能性のある活性を有する、ペプチド模倣剤に関する。
【背景技術】
【0002】
発明の背景
非チロシンキナーゼ膜貫通型タンパク質、ニューロピリン−1(NP−1)は、血管新生サイトカインのVEGFファミリーのメンバー、特にVEGF−A165の受容体、ならびに哺乳動物発育中に神経細胞軸索の誘導に重要な役割を有するセマフォリンまたはコラプシンと呼ばれる分子のファミリーの受容体である。特に、NP−1は、セマフォリン3Aの成長円錐崩壊および化学反発性活性を仲介することが知られている。NP−1は、初期T細胞免疫応答に役割を有することが示されている。
【0003】
NP−1が病状に顕著な役割を有している可能性のある多くの状態がある。このような状態は、卒中、虚血性眼疾患、癌およびリウマチ性関節炎を含む。
【発明の概要】
【0004】
発明の要約
NP−1アンタゴニスト活性を有する、新規化合物が発見された。
【0005】
第一の局面により、本発明は、式Iまたは式II
【化1】

〔式中、
XはCH、C(O)、NH、OまたはSOであり;
Yは直接結合またはフラニレンであり;
はアリーレンまたはヘテロ芳香族基であり;
は直接結合、SONH、CONHまたはNHCONH基であり;
はアリールまたはヘテロ芳香族基であり;
はCHまたはNRであり;
はH、OH、C(O)ORまたはP(O)(OR)であり;
はORまたはNHRであり;
各Rは、独立してHまたはアルキル基であり;
各Rは、独立してHまたはCN、OHまたはSOCH基であり;そして
nは0、1または2である。〕
の化合物、またはその薬学的に許容される塩、溶媒和物または多形に関する。
【0006】
好ましい態様の記載
好ましくは、本化合物は、X、Y、Z1−6、およびR1−2が上記で定義の通りの式Iの化合物である。
【0007】
本発明の化合物が、不斉に置換された炭素原子を含むことは認識されよう。式(I)の化合物におけるこの不斉中心の存在が、立体異性体を生じさせ得て、各場合において、本発明は、エナンチオマーおよびジアステレオマー、およびそのラセミおよび非ラセミ混合物を含む混合物を含む、全てのこのような立体異性体へ拡張されることは理解すべきである。
【0008】
本発明の特定の化合物の互変異性体が存在し、これらは本発明の範囲内に含まれることもまた認識されよう。これらの互変異性体は、水素原子のホルマール移動、および単結合と隣接する二重結合の交換の後に形成され得る。互変異性化の方法は、当業者に既知である。
【0009】
単独で、または、組み合わせて本明細書で使用する用語“アルキル”は、例えば、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、tert−ブチル、ペンチル、ヘキシルなどを含む、直鎖または分枝鎖アルキル部分を意味する。
【0010】
用語“アリール”は、芳香族性炭化水素部分を意味し、フェニル、ビフェニルまたはナフチル基を含む。アリール環は、例えばNO基で置換されていてよい。
【0011】
用語“アリーレン”は、二価芳香族性炭化水素部分を意味し、フェニレン、ビフェニレンまたはナフチレンを含む。アリーレン環は、例えばNH基で置換されていてよい。
【0012】
用語“ヘテロ芳香族性”は、少なくとも1個の環原子が、O、N、またはSから選択され、例えばベンゾ縮合フラニル、チオフェニレン、チオフェニレン(フェニル)、ピリジル、インドリル、ピリダジニル、ピペラジニル、ピリミジニル、チアゾリレンなどを含む、一価または二価芳香環系を意味する。
【0013】
本発明の化合物の活性は、それらがNP−1が病状において顕著な役割を有し得る疾患の処置に有用であり得ることを意味する。本発明の化合物は、神経修復刺激、神経変性処置および抗癌治療における使用に有用であり得る。それらはまた免疫系の調節が必要である疾患、例えば、移植手術後の処置にも有用であり得る。本発明の化合物を使用して処置し得るさらに別の状態は、乾癬のような皮膚疾患、免疫調節が必要な疾患、眼の血管形成、糖尿病、黄斑変性症、緑内障および心不全を含む。
【0014】
治療的使用のために、本発明の化合物は、当業者に既知の方法により、当業者に既知の成分を使用して、製剤および投与し得る。本化合物の適当な投与量は、処置すべき対象の状態、化合物の効力、投与経路などのような通常の因子を考慮して、当業者により選択され得る。適当な投与経路は、経口、静脈内、筋肉内、腹腔内、鼻腔内および皮下を含む。
【0015】
NP−1アンタゴニストは、NP−1の結合についてセマフォリン−3Aと競合し、それにより、セマフォリン−3Aの神経細胞における軸索伸長および移動に対する阻害効果と拮抗する。この可能性のある適用は、神経突起伸長促進、神経修復刺激または神経変性処置である。さらに、NP−1アンタゴニストは、セマフォリン−3A応答性ニューロンの生存を促進し得て、その効果は上記の適用におけるその有用性を確認または増強し、そして、その適用を、例えば卒中およびある眼疾患のような虚血の事象が原因のニューロン死にまで拡大し得る。
【0016】
最近の証拠は、血管形成におけるNP−1の役割を示唆する。証拠は、NP−1が癌、眼疾患、リウマチ性関節炎および他の疾患におけるVEGF誘発血管形成に必須であり得ることを示す。それ故、NP−1アンタゴニストは、疾患におけるVEGF依存性血管形成の阻害への適用を有し得る。
【0017】
NP−1アンタゴニストはまた免疫系の調節にも役割を有し得る。それ故、本発明の化合物を、移植の前、途中または後に与えることが有用であり得る。
【0018】
加えて、NP−1アンタゴニストは、腫瘍細胞においてNP−1への結合についてVEGFと競合し、NP−1発現腫瘍細胞における細胞死を促進し得る。この可能性のある適用は抗癌治療にである。さらに、NP−1アンタゴニストは、それが細胞外マトリクスタンパク質への癌腫細胞付着および細胞移動を有効に阻害するため、抗転移能を有する。
【0019】
以下の実施例は本発明を説明する。本発明のペプチド模倣剤を合成するための一般的スキームを提供する。固相および溶相両方についての実験の詳細もまた示す。
【0020】
略語
Ar;芳香族性、Arg、アルギニン;Boc、tert−ブトキシカルボニル;Trt、トリチル;tBu、tert−ブチル;Acm、アセトアミドメチル;DIC、ジイソプロピルカルボジイミド;DIPEA、N,N−ジイソプロピルエチルアミン、Et、エチル;Fmoc、9−フルオレニルメトキシ−カルボニル;HATU、2−(7−アザ−1H−ベンゾトリアゾール−1−イル)−1,1,3,3−テトラメチルウロニウムヘキサフルオロホスフェート;HBTU、2−(1H−ベンゾトリアゾール−1−イル)−1,1,3,3−テトラメチルウロニウムヘキサフルオロホスフェート;HetAr;ヘテロ芳香族性、HOBt、1−ヒドロキシベンゾトリアゾール;HPLC、高速液体クロマトグラフィー;LC−MS、液体クロマトグラフィー質量分析;Me、メチル;Pbf、2,2,4,6,7−ペンタメチルジヒドロベンゾフラン−5−スルホニル;PG、保護基;py、ピリジン;PyBrOP、ブロモ−tris−ピロリジノ−ホスホニウムヘキサフルオロホスフェート;THF、テトラヒドロフラン;TLC、薄層クロマトグラフィー。
【実施例】
【0021】
固相
定義および最終化合物特徴付け
スルホンアミドの合成の一般法
【化2】

メチル−3−アミノチオフェン−2−カルボキシレート(100−500mg、1当量)を、対応する芳香族性スルホニルクロライド(1.1当量)と、ピリジン(5mL)中、窒素下、20℃で18時間撹拌した。
反応をTLCを使用してモニターし、その後、水を反応混合物に添加し(約1mL)、溶媒を真空で除去した。得られた赤/ピンク色固体を1M 塩酸(水性溶液、20mL)および酢酸エチル(20mL)に分配した。相を分離し、水性相を酢酸エチルで抽出した(3×20mL)。有機相を合わせ、水(25mL)、塩水(飽和水性溶液、25mL)で洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥させ、濾過し、溶媒を真空で除去して、典型的に赤/褐色油状固体を得た。固体を、次いで、シリカゲルフラッシュクロマトグラフィーを使用して精製した(溶離剤 酢酸エチル:イソヘキサン;25:75)。
ブロモ−tris−ピロリジノ−ホスホニウムヘキサフルオロホスフェート(1当量)を、撹拌しているアニリン(1.5mmol、1当量)、遊離酸(1.5mmol、1当量)およびN,N−ジイソプロピルエチルアミン(3当量)のアセトニトリル(5mL)溶液に添加した。次いで、反応混合物を20時間、85℃で撹拌した。この後、反応溶媒を真空で除去し、残渣を酢酸エチル(15mL)に溶解する。
【0022】
チオフェンアミノ酸とスルホニルクロライドの反応の一般法
【化3】

アミン(1当量)を1,4−ジオキサン(7.5mL)に溶解し、炭酸ナトリウム(5当量)を水(7.5mL)に溶解し、この2種の溶液を合わせ、激しく撹拌した。スルホニルクロライド(1.5−2.5当量)を1時間にわたり少しずつ添加し、褐色反応混合物を室温で48時間撹拌した。この後、反応溶媒を半量に減少させ、水で希釈した(15ml)。この相をジエチルエーテル(15mL)で洗浄し、次いで硫酸水素カリウム(10%水性溶液)で酸性化した。得られた沈殿を酢酸エチルに抽出し、相を分離し、溶媒を真空で除去して、褐色半固体を得て、それをシリカゲルフラッシュカラムクロマトグラフィー(溶離剤:酢酸エチル:イソヘキサン;50:50からメタノール/酢酸エチル;10:90に増加)を使用して精製して、所望の化合物を得た。
【0023】
エステル構成要素/中間体:液相PyBroPカップリングの一般法
【化4】

カルボン酸(20−250mg、1当量)およびブロモ−tris−ピロリジノ−ホスホニウムヘキサフルオロホスフェート(1.1当量)をジクロロメタン(5mL)に懸濁し、混合物を20℃で10分間撹拌した。N,N−ジイソプロピルエチルアミン(7当量)を混合物に添加し、さらに10分間撹拌した。適当なアミン(1.1当量)を添加し、次いで反応混合物を24−48時間、20℃で撹拌した。この後、反応溶媒を真空で除去し、残渣を塩酸(1M 水性溶液、20mL)および酢酸エチル(20mL)に分配した。相を分離し、水性相を酢酸エチルで抽出した(3×20mL)。有機相を合わせ、塩水(飽和、水性溶液、25mL)で洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥させ、濾過し、溶媒を真空で除去して、粗残渣を得た。
【0024】
Fmoc−Arg−Wang樹脂からのFmoc基の除去のための一般法
【化5】

Fmoc−Arg−Wang樹脂(典型的に100mg、1当量)をN,N−ジメチルホルムアミド(2mL)で30分間膨張させた。N,N−ジメチルホルムアミドを除去し、ピペリジンのN,N−ジメチルホルムアミド溶液(2mL、1:5)を添加し、樹脂を5分間撹拌した。溶媒を除去し、さらにピペリジンのN,N−ジメチルホルムアミド溶液(2mL、1:5)を添加し、さらに15分間撹拌した。溶媒を除去し、樹脂をジクロロメタン(5mL)、メタノール(5mL)、N,N−ジメチルホルムアミド(5mL)で洗浄し、真空で乾燥させた。Kaiser試験を行い、陽性であれば(すなわち、遊離アミン存在)、樹脂をさらなる変換に適切であると見なした。
【0025】
カルボン酸スキャフォールドのArg−Wang樹脂へのカップリングのための一般法
【化6】

方法A(DIC/HOBt)
スキャフォールド(3当量)、1−ヒドロキシベンゾトリアゾール水和物(3当量)およびN,N'−ジイソプロピルカルボジイミド(3当量)をN,N−ジメチルホルムアミド(2mL)に溶解し、樹脂に添加した。反応混合物を3時間、室温で撹拌し、しかしながら、あるスキャフォールドは18時間撹拌した。試薬を樹脂から除去し、樹脂をジクロロメタン(5mL)、メタノール(5mL)、およびN,N−ジメチルホルムアミド(5mL)で洗浄した。Kaiser試験を行い、陰性であれば(すなわち、遊離アミン存在せず)、樹脂をさらなる変換に適切であると見なした。
【0026】
方法B(HBTU/HOBt/DIPEA)
スキャフォールド(3当量)、1−ヒドロキシベンゾトリアゾール水和物(3当量)、および2−(1H−ベンゾトリアゾール−1yl)−1,1,3,3−テトラメチルウロニウムヘキサフルオロホスフェート(3当量)をN,N−ジメチルホルムアミド(2mL)に溶解し、樹脂に添加した。N,N−ジイソプロピルエチルアミン(9当量)を添加し、反応混合物を3時間、室温で撹拌し、しかしながら、あるスキャフォールドは18時間撹拌した。試薬を樹脂から除去し、樹脂をジクロロメタン(5mL)、メタノール(5mL)、およびN,N−ジメチルホルムアミド(5mL)で洗浄した。Kaiser試験を行い、陰性であれば(すなわち、遊離アミン存在せず)、樹脂をさらなる変換に適切であると見なした。
【0027】
方法C(PyBrOP/DIPEA)
スキャフォールド(3当量)、ブロモ−tris−ピロリジノ−ホスホニウムヘキサフルオロホスフェート(4当量)をN,N−ジメチルホルムアミド(2mL)またはジクロロメタン/N−メチル−2−ピロリドン(2mL、19:1)に溶解し、樹脂に添加した。N,N−ジイソプロピルエチルアミン(9当量)を添加し、反応混合物を3時間、室温で撹拌し、しかしながら、あるスキャフォールドは18時間撹拌した。試薬を樹脂から除去し、樹脂をジクロロメタン(5mL)、メタノール(5mL)、およびN,N−ジメチルホルムアミド(5mL)で洗浄した。Kaiser試験を行い、陰性であれば(すなわち、遊離アミン存在せず)、樹脂をさらなる変換に適切であると見なした。
得られた樹脂を真空で乾燥させ、その後脱保護/開裂を行った。
【0028】
固相上でのスルホンアミドの合成の一般法
【化7】

N末端アニリン樹脂(典型的に100mg、1当量)をジクロロメタン(3×5mL)で洗浄し、4−ニトロベンゼンスルホニルクロライド(5当量)の無水ジクロロメタン(2mL)溶液、続いてトリエチルアミン(3当量)を添加した。次いで、反応混合物を16時間、室温で撹拌した。試薬を除去し、樹脂を(2×5mL)、メタノール(2×5mL)およびN,N−ジメチルホルムアミド(2×5mL)で洗浄したジクロロメタン。クロルアニル試験を行い、陰性であれば(すなわち、遊離アニリン存在せず)、樹脂をさらなる変換に適切であると見なした。
【0029】
固相上のでウレアの合成の一般法
【化8】

N末端アニリン樹脂(典型的に100mg、1当量)をジクロロメタン(3×5mL)で洗浄し、4−ニトロフェニルイソシアネート(5当量)のジクロロメタン(2mL)溶液を添加し、反応混合物を16時間、室温で撹拌した。この後、試薬を除去し、樹脂をジクロロメタン(2×5mL)、メタノール(2×5mL)およびN,N−ジメチルホルムアミド(2×5mL)で洗浄した。クロルアニル試験を行い、陰性であれば(すなわち、遊離アニリン存在せず)、樹脂をさらなる変換に適切であると見なした。
【0030】
酸の樹脂結合アニリン化合物へのカップリングの一般法
【化9】

アニリン樹脂(典型的に100mg、1当量)を、最小量のジクロロメタンで20分間膨張させ、その間酸(4当量)、ブロモ−トリピロリジノ−ホスホニウム−ヘキサフルオロホスフェート(4.8当量)および2,6−ルチジン(15当量)を室温で15分間撹拌し、予め膨張させた樹脂に添加した。次いで、反応混合物を室温で24時間撹拌して、カップリングを行わせ、次いでN,N−ジメチルホルムアミド(3×10ml)、N,N−ジメチルホルムアミド:N,N−ジイソプロピルエチルアミン(1:1、3×10ml)、さらにN,N−ジメチルホルムアミド(3×10ml)、ジクロロメタン(3×10ml)、メタノール(3×10ml)およびジエチルエーテル(3×10ml)で洗浄した。アニリンについてのクロルアニル試験を行い、陰性であれば(すなわち、遊離アミン存在せず)、樹脂は開裂に適切であると見なした。
【0031】
樹脂結合芳香族性ニトロ化合物の還元の一般法
【化10】

ニトロ含有樹脂(典型的に100mg、1当量)をN,N−ジメチルホルムアミド(2mL)で30分間膨張させた。N,N−ジメチルホルムアミドを除去し、塩化錫二水和物(10当量)のN,N−ジメチルホルムアミド(2mL)溶液を、樹脂に添加し、反応混合物を3時間、続いて18時間(新鮮な試薬と)、室温で撹拌した。試薬を除去し、樹脂をN,N−ジメチルホルムアミド(5mL)、20%ピリジンのN,N−ジメチルホルムアミド(5mL)溶液、ジクロロメタン(5mL)、メタノール(5mL)およびN,N−ジメチルホルムアミド(5mL)で洗浄した。アニリンについてのクロルアニル試験を行い、陽性であれば(すなわち、遊離アミン存在)、樹脂は開裂に適切であると見なした。得られた樹脂を真空で乾燥させ、その後脱保護/開裂を行った。
【0032】
固相上での還元的アミノ化の一般法
【化11】

3および4−アミノフェニル含有樹脂(典型的に100mg、1当量)をジクロロメタン(2×5mL)で洗浄した。アルデヒド(10当量)を、洗浄した樹脂に、酢酸の1,2−ジクロロエタン(2mL、98:2)溶液中で添加し、反応混合物を3時間、20℃で撹拌した。ナトリウムトリアセトキシボロハイドライド(20当量)を添加し、反応混合物を2日間、20℃で撹拌した。試薬を除去し、樹脂をジクロロメタン(2×5mL)、メタノール(2×5mL)、N,N−ジメチルホルムアミド(2×5mL)、およびジクロロメタン(2×5mL)で洗浄した。得られた樹脂を真空で乾燥させ、その後脱保護/開裂を行った。
【0033】
固相上での薗頭反応の一般法
【化12】

臭素含有樹脂(典型的に100mg、1当量)、アルキン(5当量)およびヨウ化銅(0.2当量)を、脱気N,N−ジメチルホルムアミドおよびテトラヒドロフラン(5mL、1:1)に添加した。トリエチルアミン(5当量)を添加し、反応混合物をさらに脱気し、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)(0.1mg)を添加し、反応混合物を18時間、90℃で撹拌した。この後、樹脂を濾過し、N,N−ジメチルホルムアミド/テトラヒドロフラン(1:1、15mL)、N,N−ジメチルホルムアミド/水(2×15mL)、N,N−ジメチルホルムアミド(15mL)、ジクロロメタン(15mL)、メタノール(15mL)およびジエチルエーテル(14mL)で洗浄した。得られた樹脂を真空で乾燥させ、その後脱保護/開裂を行った。
【0034】
固相上の鈴木反応の一般法
【化13】

臭素含有樹脂(典型的に100mg、1当量)、ボロン酸(1−5当量)および炭酸ナトリウム(10当量、2M、水性溶液)を脱気N,N−ジメチルホルムアミド:テトラヒドロフラン(1:1、4mL)に懸濁した。[1,1'−ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン]ジクロロパラジウム(II)(ジクロロメタンとの複合体、約5mg)を添加し、溶液をさらに脱気した。反応混合物を100℃で18時間穏やかに撹拌した。この後、樹脂を濾過し、N,N−ジメチルホルムアミド(15mL)、N,N−ジメチルホルムアミド/水(15mL)、N,N−ジメチルホルムアミド(15mL)、ジクロロメタン(15mL)、メタノール(15mL)およびジエチルエーテル(14mL)で洗浄した。得られた樹脂を真空で乾燥させ、その後脱保護/開裂を行った。
【0035】
Arg−Wangからの開裂法
【化14】

ペプチド模倣性樹脂(約100mg)をジクロロメタン(3×5mL)で徹底的に洗浄し、窒素で乾燥させ、次いでトリフルオロ酢酸(1.9mL)、トリイソプロピルシラン(50μL)および水(50μL)を添加し、開裂混合物を90分間で撹拌した。開裂混合物を除去し、樹脂をさらにジクロロメタン(1mL)で洗浄した。開裂/ジクロロメタン混合物を合わせ、さらに90分間で撹拌し、冷ジエチルエーテル(30mL、−78℃)に滴下した。白色固体が沈殿し、遠心によりペレット化し、ジエチルエーテルをデカントし、さらに冷ジエチルエーテル(20mL)を添加し、徹底的に混合し、遠心し、デカントした。この工程をさらに1回繰り返した。粗最終化合物を真空下で乾燥させ、2g C−18カラム(溶離剤:アセトニトリル/水)を通す溶出により、または分取C−18カラム(Phenomenex Gemini、50×21.2mm、5□m)および流速20mL/分で15分間にわたり5−95%のの直線AB勾配B(ここで、溶離剤Aは0.1%ギ酸/水であり、溶離剤Bは0.1%ギ酸/アセトニトリルであった)を使用した(質量指示(mass-directed))分取LC−MSのいずれかにより精製した。次いで、精製ペプチド模倣剤を凍結乾燥(−54℃、0.08mbar)し、逆相LC−MS(分析C−18カラム、Thermo Betabasic、100×4.6mm、5μm)により、1mL/分の流速で11分間にわたり5−95%のBのAB勾配(ここで、溶離剤Aは0.1%ギ酸/水であり、溶離剤Bは0.1%ギ酸/アセトニトリルであった)を使用して分析した。
全ての最終化合物をトリフルオロ酢酸塩として単離した。
【0036】
表1は、これらの方法を使用して構築された最終化合物を要約する。
【表1】

【表2】

【表3】

【表4】

【表5】

【表6】

【表7】

【表8】

【0037】
アルファ−カルボニルグアニジン化合物の製造
液相PyBroPカップリングの一般法
【化15】

カルボン酸(200−300mg、1当量)およびブロモ−tris−ピロリジノ−ホスホニウムヘキサフルオロホスフェート(1.1当量)をジクロロメタン(5mL)に懸濁し、混合物を20℃で10分間撹拌した。N,N−ジイソプロピルエチルアミン(7当量)を混合物に添加し、さらに10分間撹拌した。適当に保護したアミン(アスパラギン酸由来、1.1当量)を添加し、次いで、反応混合物を2日間、20℃で撹拌した。この後、反応溶媒を真空で除去し、残渣を塩酸(1M 水性溶液、20mL)および酢酸エチル(20mL)に分配した。相を分離し、水性相を酢酸エチルで抽出した(3×20mL)。有機相を合わせ、塩水(飽和、水性溶液、25mL)で洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥させ、濾過し、溶媒を真空で除去して、粗残渣を得た。
【0038】
表2は、この方法を使用して構築した化合物を要約する。
【表9】

【0039】
液相PyBroPカップリング(側鎖酸カップリング)の一般法
【化16】

適当な側鎖カルボン酸(50−150mg、1当量)およびブロモ−tris−ピロリジノ−ホスホニウムヘキサフルオロホスフェート(1.5当量)をジクロロメタン(5mL)に懸濁し、混合物を20℃で10分間撹拌した。N,N−ジイソプロピルエチルアミン(9当量)を混合物に添加し、溶液をさらに10分間撹拌した。Tert−ブトキシカルボニルグアニジン(1.5当量、参考文献1に従い製造)を添加し、次いで、反応混合物を20時間、20℃で撹拌した。この後、反応溶媒を真空で除去し、残渣を塩酸(1M 水性溶液、20mL)および酢酸エチル(20mL)に分配した。相を分離し、水性相を酢酸エチルで抽出した(3×20mL)。有機相を合わせ、塩水(飽和、水性溶液、25mL)で洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥させ、濾過し、溶媒を真空で除去して、粗残渣を得た。
【0040】
表3は、この方法を使用して構築した化合物を要約する。
【表10】

【0041】
EG00247;(S)−5−グアニジノ−2−{[3−(4−ニトロ−ベンゼンスルホニルアミノ)−チオフェン−2−カルボニル]−アミノ}−5−オキソ−ペンタン酸
【化17】

(S)−5−(tert−ブトキシカルボニル)−グアニジノ−2−{[3−(4−ニトロ−ベンゼンスルホニルアミノ)−チオフェン−2−カルボニル]−アミノ}−5−オキソ−ペンタン酸メチルエステル(10mg、0.016mmol)を塩酸(2M 水性溶液:テトラヒドロフラン;1:1)と共に80℃で4時間撹拌した。この後、反応溶媒を真空で除去し、粗残渣を2g C−18カラム(溶離剤:水、続いてアセトニトリル:水;20:80)を通す溶出により精製し、所望の化合物を得て、塩酸塩として単離した。
【0042】
EG00302;(S)−2−{[3−(ベンゾ[1,2,5]チアジアゾール−4−スルホニルアミノ)−チオフェン−2−カルボニル]−アミノ}−5−グアニジノ−5−オキソ−ペンタン酸
【化18】

(S)−2−{[3−(ベンゾ[1,2,5]チアジアゾール−4−スルホニルアミノ)−チオフェン−2−カルボニル]−アミノ}−ペンタンジオイック酸1−tert−ブチルエステル5−メチルエステルを、ジクロロメタン/トリフルオロ酢酸(2.5mL、5:1)、16時間、20℃で撹拌した。この後、溶媒を真空で除去し、得られた黄色残渣を分取LC−MSで精製した。
所望の化合物をトリフルオロ酢酸塩として単離した。
【0043】
EG00285;(S)−5−グアニジノ−2−{[3−(2−ニトロ−ベンゼンスルホニルアミノ)−チオフェン−2−カルボニル]−アミノ}−5−オキソ−ペンタン酸
【化19】

(S)−5−tert−ブトキシカルボニル−グアニジノ−2−{[3−(2−ニトロ−ベンゼンスルホニルアミノ)−チオフェン−2−カルボニル]−アミノ}−5−オキソ−ペンタン酸メチルエステルを、塩酸(1:1、4M 水性溶液:テトラヒドロフラン)中、80℃で3時間、続いて48時間、室温、続いてさらに2時間、80℃で撹拌した。溶媒を真空で除去し、残渣を、2g C−18カラムでのクロマトグラフィー(溶離剤:水からアセトニトリル:水;20:80に漸増)で精製して、所望の化合物を得て、塩酸塩として単離した。
【0044】
液相鈴木カップリング(カルボン酸メチルエステル)の一般法
【化20】

3−(2−ブロモ−N−tert−ブトキシカルボニル−ベンゼンスルホニルアミノ)−チオフェン−2−カルボン酸メチルエステル(1当量)、ボロン酸(2.5当量)およびリン酸カリウム(三塩基性、2M 水性溶液、4当量)を、脱気1,2−ジメトキシエタン(10mL)に懸濁した。溶液をさらに脱気し、[1,1'−ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン]ジクロロパラジウム(II)(ジクロロメタンと複合体化、0.1当量)を一度に添加した。反応混合物を90℃で4時間加熱した。この後、溶媒を真空で除去し、褐色残渣を、3つの方法のうち一つで単離した:
A:濾過、続いて塩酸(1M、水性溶液)での沈殿。
B:残渣を酢酸エチルおよび塩酸(1M 水性溶液)に分配した。相を分離し、水性相を酢酸エチルで抽出し(3×15mL)、合わせた有機抽出物を水、塩水で洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥させ、溶媒を真空で除去して、所望の化合物を得た。
C:何等さらなる操作を行わずに使用。
全て、さらに精製することなく次反応に使用した。
【0045】
水酸化リチウムを使用した、エステル加水分解の一般法(好ましい方法)
【化21】

メチルエステル(1当量)を、水酸化リチウム(2.53mmol、3−5当量)と、テトラヒドロフラン/メタノール/水(10mL、5:3:2)中、必要に応じて20〜80℃で3〜48時間撹拌した。この後、有機溶媒を真空で除去し、残渣を水で5mLに希釈し、次いで塩酸(1M、水性溶液、15mL)で酸性化し、それにより沈殿が起こり、生成物を濾過により回収して真空で乾燥させるか;または水性相を酢酸エチルで抽出し(3×10mL)、合わせた有機相を硫酸マグネシウムで乾燥させ、溶媒を真空で除去するかのいずれかにより、所望の生成物を得た。
【0046】
液相鈴木カップリング(カルボン酸)の一般法
【化22】

適当に置換した3−および4−ブロモフェニル含有カルボン酸(50−200mg、1当量)、ボロン酸(2.5当量)およびリン酸カリウム(三塩基性、2M 水性溶液、4当量)を、脱気1,2−ジメトキシエタン(10mL)に懸濁した。溶液をさらに脱気し、[1,1'−ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン]ジクロロパラジウム(II)(ジクロロメタンと複合体化、0.1当量)を一度に添加した。反応混合物を90℃で4時間加熱した。この後、溶媒を真空で除去し、褐色残渣を、以下の方法のひとつにより単離した:
A:濾過、続いて塩酸(1M、水性溶液)での沈殿。
B:残渣を酢酸エチルおよび塩酸(1M 水性溶液)に分配した。相を分離し、水性相を酢酸エチルで抽出した(3×15mL)、合わせた有機抽出物を水、塩水で洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥させ、溶媒を真空で除去して、所望の化合物を得た。
全て、さらに精製することなく次反応に使用した。
【0047】
溶液中でのPyBroPカップリングの一般法(H−Arg(Pbf)−OtBuを使用)
【化23】

カルボン酸(20−100mg、1当量)およびブロモ−tris−ピロリジノ−ホスホニウムヘキサフルオロホスフェート(1.1当量)を、ジクロロメタン(5mL)に懸濁し、混合物を20℃で10分間撹拌した。N,N−ジイソプロピルエチルアミン(7.0当量)を混合物に添加し、さらに10分間撹拌した。保護アミン(1.1当量)を添加し、次いで、反応混合物を20℃で16時間撹拌した。この後、溶媒を真空で除去し、残渣を塩酸(1M 水性溶液、20mL)および酢酸エチル(20mL)に分配した。相を分離し、水性相を酢酸エチルで抽出した(3×20mL)。有機相を合わせ、塩酸(1M 水性溶液、3×10mL)、塩水(飽和、水性溶液、25mL)で洗浄した、硫酸マグネシウムで乾燥させ、濾過し、溶媒を真空で除去して、所望の生成物を褐色残渣として得た。
【0048】
表4は、この方法を使用して製造した生成物を要約する。
【表11】

【表12】

【表13】

【0049】
EG00400/(S)−2−{[3−(3−ホウ素オキシ−ベンゼンスルホニルアミノ)−チオフェン−2−カルボニル]−アミノ}−5−グアニジノ−ペンタン酸
【化24】

ピナコール、tert−ブトキシおよび2,2,4,6,7−ペンタメチルジヒドロベンゾフラン−5−スルホニル保護化合物をトリフルオロ酢酸/トリイソプロピルシラン/水(10mL、95:2.5:2.5)に溶解し、反応混合物を20℃で2日間撹拌した。溶媒を真空で除去し、得られた黄色残渣を分取LC−MSで精製した。
所望の化合物をトリフルオロ酢酸塩として単離した。
【0050】
トリフルオロ酢酸を使用したtert−ブチルおよび2,2,4,6,7−ペンタメチルジヒドロベンゾフラン−5−スルホニル基除去の一般法
【化25】

tert−ブトキシおよび2,2,4,6,7−ペンタメチルジヒドロベンゾフラン−5−スルホニル保護化合物をトリフルオロ酢酸/トリイソプロピルシラン/水(10mL、95:2.5:2.5)に溶解し、反応混合物を20℃で2日間撹拌した。溶媒を真空で除去し、化合物を分取LC−MSを使用して精製した。
全ての最終化合物をトリフルオロ酢酸塩として単離した。
【0051】
表5は、これらの方法を使用して構築された最終化合物を要約する。
【表14】

【表15】

【表16】

【0052】
EG00323;(S)−5−グアニジノ−2−({3−[3−(2−ピリジン−3−イル−エチル)−ベンゼンスルホンアミノ]−チオフェン−2−カルボニル}−アミノ)−ペンタン酸
【化26】

アセチレン(EG00298/5−グアニジノ−2−{[3−(3−ピリジン−3−イルエチニル−ベンゼンスルホニルアミノ)−チオフェン−2−カルボニル]−アミノ}−ペンタン酸;約10mg)をテトラヒドロフラン:水(4:1、2mL)に溶解し、パラジウム/炭(約10重量%)を添加し、水素雰囲気をバルーンにより導入した。反応混合物を20℃で24時間、水素バルーンを時々再充填しながら撹拌した。この後、反応混合物をCeliteTMで濾過し、溶媒を真空で除去した。黄色残渣分取LCMSを使用して精製した。
【0053】
EG00369;(S)−2−({3−[3−(3−アミノ−プロピル)−ベンゼンスルホニルアミノ]−チオフェン−2−カルボニル}−アミノ)−5−グアニジノ−ペンタン酸
【化27】

アセチレン(EG00274/(S)−2−({3−[3−(3−アミノ−プロプ−1−イニル)−ベンゼンスルホニルアミノ]−チオフェン−2−カルボニル}−アミノ)−5−グアニジノ−ペンタン酸;約10mg)をテトラヒドロフラン:水(4:1、2mL)に溶解し、パラジウム/炭(約10重量%)を添加し、水素雰囲気をバルーンにより導入した。反応混合物を20℃で24時間、水素バルーンを時々再充填しながら撹拌した。この後、反応混合物をCeliteTMで濾過し、溶媒を真空で除去した。黄色残渣分取LCMSを使用して精製し、所望の化合物をトリフルオロ酢酸塩として単離した。
【0054】
EG00466、3−(ベンゾ[1,2,5]チアジアゾール−4−スルホニルアミノ)−チオフェン−2−カルボン酸((S)−4−グアニジノ−1−ヒドロキシカルバモイル−ブチル)−アミド
【化28】

EG00229/(S)−2−{[3−(ベンゾ[1,2,5]チアジアゾール−4−スルホニルアミノ)−チオフェン−2−カルボニル]−アミノ}−5−グアニジノ−ペンタン酸(1.0当量)、N,N−ジイソプロピルエチルアミン(9.0当量)およびHATU(2−(7−アザ−1H−ベンゾトリアゾール−1−イル)−1,1,3,3−テトラメチルウロニウムヘキサフルオロホスフェート、1.5当量)を、N,N−ジメチルホルムアミド(2mL)中、40℃で30分間撹拌した。ヒドロキシルアミンヒドロクロライド(1.5当量)を添加し、反応混合物を40℃で16時間撹拌した。この後、溶媒を真空で除去し、黄色残渣分取LCMSを使用して精製した。所望の化合物をトリフルオロ酢酸塩として単離した。
【0055】
以下に、本発明の化合物のいくつかで実施した種々の結合および付着試験の実験法を記載する。これらの試験の結果を以下に示す。
【0056】
一般的実験法
細胞培養
ニューロピリン−1を発現するブタ大動脈内皮細胞(PAE/NP−1)を、10%ウシ胎児血清(FBS)および25μg/ml ハイグロマイシンB含有HamのF12培地で培養した。KDRを発現するPAE細胞(PAE/KDR)を、10%FBSおよび250μg/ml ゲンタマイシンG418含有HamのF12培地含有で培養した。ヒト癌腫細胞株(DU145、A549およびACHN)を、10%FBSおよびL−グルタミン含有RPMI 1640培地で培養した。
【0057】
125I−VEGF−A165結合
24ウェルプレート中コンフルエント細胞を2回リン酸緩衝化食塩水(PBS)で洗浄した。4℃で、結合培地(0.1%BSA含有ダルベッコ改変イーグル培地、25mM HEPES pH7.3)で希釈した種々の濃度のペプチドまたはペプチド模倣剤を添加し、続いて0.1nMの125I−VEGF−A165(1200−1800Ci/mmol、GE Healthcare)を添加した。4℃で2時間のインキュベーション後、培地を吸引し、4回冷PBSで洗浄した。細胞を0.25M NaOH、0.5%SDS溶液で溶解し、溶解物の結合放射活性をγカウンターで測定した。非特異的結合を、100倍過剰の非標識VEGF−A165の存在下で測定した。
【0058】
細胞マトリクス付着
細胞外マトリクスタンパク質(基底膜タンパク質複合体、ラミニンI、コラーゲンIV、フィブロネクチンまたはビトロネクチン)に対する細胞付着を、Innocyte ECM細胞付着アッセイ(Calbiochem)により測定した。細胞を、非酵素細胞解離溶液(Sigma)で脱離し、RPMI 1640培地で洗浄し、再懸濁する。ペプチド模倣剤で処置したまたはしていない細胞を、96ウェルプレートのマトリクスコートしたウェルあたり3×10細胞で播種した。1.5時間インキュベーション後、細胞をPBSで洗浄した。付着細胞を緑色蛍光色素カルセイン−AMで標識し、蛍光プレートリーダーを使用して、励起波長485nmおよび放出波長520nmで測定した。
【0059】
細胞移動
細胞移動を、コラーゲンIコートしたインサートを含む走化性24トランスウェルプレート中で測定した。RPMI 1640/0.1%BSA中種々の濃度の血清を、プレートの底ウェルに入れ、一方、8ミクロン・ポアを有するPET(ポリエチレンテレフタレート)トラック・エッチング(track-etched)膜(Becton Dickinson Biosciences)を包含する頂部インサートを底ウェルの上に入れた。細胞をトリプシン処理し、RPMI 1640/0.1%BSAで洗浄し、再懸濁した。示す通りペプチドまたはペプチド模倣剤処置したまたはしていない1.5×10細胞を、各頂部インサートに負荷し、走化性トランスウェルプレートを37℃で4時間インキュベートした。インキュベーション後、トランスウェル膜の頂部の非移動細胞を除去し、トランスウェル膜の下部に移動した細胞をREASTAIN Quick-Diffキット(REAGENA)で染色した。各ウェルからの染色細胞を、100倍の倍率で、接眼指示目盛付きレンズ(100グリッド)を使用して4視野で計数した。
【0060】
細胞生存能
細胞生存能を、テトラゾリウム塩XTTのホルマゾン色素形態への変換の測定により測定した。癌腫細胞を、96ウェルプレートのウェルあたり4×10細胞の密度で、NP−1ペプチドまたはペプチド模倣性アンタゴニストの非存在下または存在下で播種した。44時間インキュベーション後、XTT標識試薬混合物(Roche)を培養物に添加し、それをさらにさらに4時間インキュベートした。次いで、ホルマゾン産生を、A490nmで、595nmの参照波長と共に測定した。
【0061】
結果
細胞−マトリクス付着試験において、EG00144が、10−100μM濃度で、DU145癌細胞の細胞外マトリクスタンパク質への付着の阻害に有効であることが判明した。
細胞移動試験において、EG00144は、10−100μM濃度で、A549およびACHN細胞の移動を低下させることが判明した。
細胞生存能試験において、EG00229が、100μM濃度で、A549細胞の生存能を低下させることが判明した。
以下の化合物は、20μM未満のIC50を有する:EG00144、EG00174、EG00203、EG00224、EG00225、EG00229、EG00264、EG00265、EG00274、EG00280、EG00283、EG00285、EG00287、EG00288、EG00291、EG00299、EG00316、EG00317、EG00318、EG00319、EG00323、EG00332、EG00350、EG00369、EG00428、EG00475。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
式Iまたは式II
【化1】

〔式中、
XはCH、C(O)、NH、OまたはSOであり;
Yは直接結合またはフラニレンであり;
はアリーレンまたはヘテロ芳香族基であり;
は直接結合、SONH、CONHまたはNHCONH基であり;
はアリールまたはヘテロ芳香族基であり;
はCHまたはNRであり;
はH、OH、C(O)ORまたはP(O)(OR)であり;
はORまたはNHRであり;
各Rは、独立してHまたはアルキル基であり;
各Rは、独立してHまたはCN、OHまたはSOCH基であり;そして
は0、1または2である。〕
の化合物、またはその薬学的に許容される塩、溶媒和物または多形。
【請求項2】
がSONH基である、請求項1に記載の化合物。
【請求項3】
がフェニレン、ビフェニレン、チオフェニレン、−チオフェニレン(フェニル)、−チオフェニレン(アルキル)、フラニレン、チアゾリレンまたはピリジレンである、請求項1または2に記載の化合物。
【請求項4】
がアリール基である、請求項1から3のいずれかに記載の化合物。
【請求項5】
がアリール(ニトロ)またはアリール(アミノ)基である、請求項4に記載の化合物。
【請求項6】
が、N、OまたはSから選択される1個以上のヘテロ原子を含むベンゾ縮合5員環である、請求項1〜3のいずれかに記載の化合物。
【請求項7】
がベンゾ[1,2,5]チアジアゾールである、請求項6に記載の化合物。
【請求項8】
治療に使用するための、請求項1〜7のいずれかに記載の化合物。
【請求項9】
神経修復刺激に使用するための、請求項1〜8のいずれかに記載の化合物。
【請求項10】
神経変性の処置に使用するための、請求項1〜8のいずれかに記載の化合物。
【請求項11】
癌の処置に使用するための、請求項1〜8のいずれかに記載の化合物。
【請求項12】
免疫系調節に使用するための、請求項1〜8のいずれかに記載の化合物。
【請求項13】
請求項1〜7のいずれかに記載の化合物を使用する、神経修復を刺激する方法。
【請求項14】
請求項1〜7のいずれかに記載の化合物を使用する、神経変性を処置する方法。
【請求項15】
請求項1〜7のいずれかに記載の化合物を使用する、癌を処置する方法。
【請求項16】
請求項1〜7のいずれかに記載の化合物を使用する、免疫系調節の方法。

【公表番号】特表2010−505807(P2010−505807A)
【公表日】平成22年2月25日(2010.2.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−530940(P2009−530940)
【出願日】平成19年10月4日(2007.10.4)
【国際出願番号】PCT/GB2007/003766
【国際公開番号】WO2008/040979
【国際公開日】平成20年4月10日(2008.4.10)
【出願人】(500175668)アーク・セラピューティックス・リミテッド (13)
【氏名又は名称原語表記】Ark Therapeutics Limited
【Fターム(参考)】