説明

NPYY5受容体拮抗作用を有するピロリドン誘導体

【課題】NPY Y5受容体拮抗作用を有する新規化合物の提供。
【解決手段】式(I):


[式中、Rは置換若しくは非置換のアルキル、置換若しくは非置換のシクロアルキル、置換若しくは非置換のアリール、置換若しくは非置換のヘテロアリール、置換若しくは非置換のアラルキルまたは置換若しくは非置換のヘテロアリールアルキルであり、Rは置換若しくは非置換のモルホリノで置換されたアリールまたは置換若しくは非置換のヘテロサイクリルである。ただし、Rが置換若しくは非置換のカルバゾール−3−イルである場合を除く。]で示される化合物、その製薬上許容される塩またはそれらの溶媒和物。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はNPY Y5受容体拮抗作用を有し、医薬、特に、抗肥満薬として有用な新規なピロリドン誘導体に関する。
【背景技術】
【0002】
ニューロペプチドY(以下、NPYとする)は36個のアミノ酸残基からなるペプチドで、1982年に豚の脳から分離された。NPYはヒトおよび動物の中枢神経系および末梢組織に広く分布している。
【0003】
これまでの報告において、NPYは中枢神経系においては摂食促進作用、抗痙攣作用、学習促進作用、抗不安作用、抗ストレス作用等を有していることが判明しており、さらにうつ病、アルツハイマー型痴呆、パーキンソン病等の中枢神経系疾患に深く関与している可能性もある。また、末梢組織においては、NPYは血管等の平滑筋や心筋の収縮を引き起こすため、循環器系障害にも関与していると考えられる。さらには肥満症、糖尿病、ホルモン異常等の代謝性疾患にも関与していることが知られている(非特許文献1参照)。従って、NPY受容体拮抗作用を有する医薬組成物は上記のようなNPY受容体が関与する種々の疾患に対する予防または治療薬となる可能性がある。
【0004】
NPY受容体には、現在までにY1、Y2、Y3、Y4、Y5およびY6のサブタイプが発見されている(非特許文献2参照)。Y5受容体は少なくとも摂食機能に関与しており、その拮抗剤は抗肥満薬になることが示唆されている(非特許文献3〜5参照)。
【0005】
特許文献1には、NPY Y5受容体拮抗作用を有するピロリドン誘導体が記載されている。また、NPY Y5受容体拮抗作用を有するピロリジン環を有するピリジン誘導体が特許文献2に、チアゾール誘導体が特許文献3に記載されている。
また、本発明に係る化合物と構造が異なるがNPY Y5拮抗活性を有する化合物が特許文献4〜7等に開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】国際公開第2003/059905号パンフレット
【特許文献2】国際公開第98/40356号パンフレット
【特許文献3】国際公開第2005/014593号パンフレット
【特許文献4】国際公開第01/037826号パンフレット
【特許文献5】国際公開第2006/001318号パンフレット
【特許文献6】国際公開第2003/104255号パンフレット
【特許文献7】国際公開第97/20823号パンフレット
【非特許文献】
【0007】
【非特許文献1】Trends in Pharmacological Sciences、1994年、第15巻、p.153
【非特許文献2】Trends in Pharmacological Sciences、1997年、第18巻、p.372
【非特許文献3】Peptides、1997年、第18巻、p.445
【非特許文献4】Obesity、2006年、第14巻、p.A235
【非特許文献5】Obesity、2007年、第15巻、p.A57
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明の目的は、優れたNPY Y5受容体拮抗作用を有する新規化合物を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明者らは、鋭意研究の結果、優れたNPY Y5受容体拮抗作用を有する新規化合物の合成に成功した。特許文献1には、NPY Y5受容体拮抗作用を有する化合物として、以下の式(I)中のR 部分が9−エチル−9H−カルバゾール−3−イルまたは4−置換アミノフェニルである化合物が開示されている。本発明者らは、本発明の化合物がNPY Y5受容体拮抗作用を有するのみならず、薬物代謝酵素に対する阻害が少なく、代謝安定性および水溶性も良いことも見出した。
【0010】
(1)式(I):
【化1】


(式中、R は置換若しくは非置換のアルキル、置換若しくは非置換のシクロアルキル、置換若しくは非置換のアリール、置換若しくは非置換のヘテロアリール、置換若しくは非置換のアラルキルまたは置換若しくは非置換のヘテロアリールアルキルであり、
は置換若しくは非置換のモルホリノで置換されたアリールまたは置換若しくは非置換のヘテロサイクリルである。
ただし、R が置換若しくは非置換のカルバゾール−3−イルである場合を除く。)
で示される化合物、その製薬上許容される塩またはそれらの溶媒和物。
(2)R が置換若しくは非置換のフェニルまたは置換若しくは非置換のシクロアルキルである(1)記載の化合物、その製薬上許容される塩またはそれらの溶媒和物。
(3)R がハロゲン、アルキル、ハロアルキル、アルコキシ、ハロアルコキシまたはシアノから選択される1以上の置換基で置換されたフェニルまたは炭素数5〜8の非置換シクロアルキルである、(2)記載の化合物、その製薬上許容される塩またはそれらの溶媒和物。
(4)R がフルオロ、メチル、エチル、イソプロピル、ジフルオロメトキシまたはシアノから選択される1以上の置換基で置換されたフェニル、非置換シクロペンチルまたは非置換シクロオクチルである、
(3)記載の化合物、その製薬上許容される塩またはそれらの溶媒和物。
(5)R が置換若しくは非置換のヘテロサイクリルである、(1)〜(4)のいずれかに記載の化合物、その製薬上許容される塩またはそれらの溶媒和物。
(6)R が式:
【化2】


(式中、環Aはヘテロサイクルであり、
およびR はそれぞれ独立してハロゲン、シアノ、オキソ、置換若しくは非置換のアルキル、置換若しくは非置換のアルケニル、置換若しくは非置換のアルキニル、置換若しくは非置換のシクロアルキル、置換若しくは非置換のヘテロサイクリルまたは置換若しくは非置換のアリールであり、
mおよびnはそれぞれ独立して0〜2の整数。)で示される基である、
(5)記載の化合物、その製薬上許容される塩またはそれらの溶媒和物。
(7)環Aがピラゾール、イミダゾール、ピリジン、ピリダジン、ピリミジン、ピラジン、ベンズオキサゾール、2,3−ジヒドロベンズオキサゾール、ベンズチアゾール、2,3−ジヒドロベンズチアゾール、ベンズイミダゾールまたは2,3−ジヒドロベンズイミダゾールである、(6)記載の化合物、その製薬上許容される塩またはそれらの溶媒和物。
(8)環Aがピラゾールまたは2,3−ジヒドロベンズオキサゾールである、(7)記載の化合物、その製薬上許容される塩またはそれらの溶媒和物。
(9)環Aがピラゾールである、(8)記載の化合物、その製薬上許容される塩またはそれらの溶媒和物。
(10)環Aが2,3−ジヒドロベンズオキサゾールである、(8)記載の化合物、その製薬上許容される塩またはそれらの溶媒和物。
(11)R がハロゲン置換フェニルまたは非置換アルキルであり、
がオキソであり、
mが1であり、
nが0または1の整数である、
(9)または(10)に記載の化合物、その製薬上許容される塩またはそれらの溶媒和物。
(12)R がフルオロフェニルまたはイソプロピルであり、
がオキソであり、
mが1であり、
nが0または1の整数である、
(11)記載の化合物、その製薬上許容される塩またはそれらの溶媒和物。
(13)(1)〜(12)のいずれかに記載の化合物、その製薬上許容される塩またはそれらの溶媒和物を有効成分とする医薬組成物。
(14)(1)〜(12)のいずれかに記載の化合物、その製薬上許容される塩またはそれらの溶媒和物を有効成分とするNPY Y5受容体拮抗作用を有する医薬組成物。
【発明の効果】
【0011】
本発明の化合物はNPY Y5受容体拮抗作用を示し、本発明化合物は、医薬品、特にNPY Y5の関与する疾患、例えば、摂食障害、肥満、神経性食欲昂進症、性的障害、生殖障害、鬱病、癲癇発作、高血圧、脳溢血、鬱血心不全または睡眠障害の治療および/または予防のための医薬として非常に有用である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下に本明細書中で使用する各用語を説明する。なお、本明細書中、各用語は単独で使用されている場合も、または他の用語と一緒になって使用されている場合も、同一の意義を有する。
【0013】
「ハロゲン」とは、フッ素、塩素、臭素およびヨウ素を包含する。特にフッ素が好ましい。
【0014】
「アルキル」とは、炭素数1〜10の直鎖または分枝状のアルキルを包含し、例えばメチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチル、sec−ブチル、tert−ブチル、n−ペンチル、イソペンチル、ネオペンチル、ヘキシル、イソヘキシル、n−へプチル、イソヘプチル、n−オクチル、イソオクチル、n−ノニル、n−デシル等が挙げられる。
における「アルキル」は好ましくは炭素数1〜6、さらに好ましくはイソプロピルである。
その他の場合における「アルキル」は好ましくは炭素数1〜6、さらに好ましくは炭素数1〜4である。
【0015】
「ハロアルキル」とは、1以上の、好ましくは1〜5、さらに好ましくは1〜3の上記「ハロゲン」がアルキル基に置換した基を意味する。
【0016】
「アルケニル」とは、任意の位置に1以上の二重結合を有する炭素数2〜10、好ましくは炭素数2〜8、さらに好ましくは炭素数3〜6の直鎖または分枝状のアルケニルを包含する。具体的にはビニル、プロペニル、イソプロペニル、ブテニル、イソブテニル、プレニル、ブタジエニル、ペンテニル、イソペンテニル、ペンタジエニル、ヘキセニル、イソヘキセニル、ヘキサジエニル、ヘプテニル、オクテニル、ノネニル、デセニル等が挙げられる。
【0017】
「アルキニル」とは、炭素数2〜10、好ましくは炭素数2〜6、さらに好ましくは炭素数2〜4の直鎖状または分枝状のアルキニルを意味する。具体的には、エチニル、プロピニル、ブチニル、ペンチニル、ヘキシニル、ヘプチニル、オクチニル、ノニニル、デシニル等が挙げられる。これらは任意の位置に1以上の三重結合を有しており、さらに二重結合を有していてもよい。
【0018】
「アルコキシ」とは、上記「アルキル」が酸素原子に結合した基を意味する。具体的には、メトキシ、エトキシ、n−プロポキシ、イソプロポキシ、n−ブトキシ、イソブトキシ、sec−ブトキシ、tert−ブトキシ、n−ペントキシ、ペントキシ、ネオペントキシ、ヘキソキシ、イソヘキソキシ、n−へプトキシ、イソヘプトキシ、n−オクトキシ、イソオクトキシ等が挙げられる。
【0019】
「ハロアルコキシ」とは、1以上の上記「ハロゲン」がアルコキシ基に置換した基を意味する。
における「フェニル」の置換基としての「ハロアルコキシ」はジフルオロメトキシが好ましい。
【0020】
「シクロアルキル」とは、炭素数3〜8、好ましくは炭素数5〜8の環状のアルキルを意味する。具体的には、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロへプチル、シクロオクチル等が挙げられる。
における「シクロアルキル」は特にシクロヘプチルまたはシクロオクチルが好ましい。
【0021】
「シクロアルケニル」とは、上記「シクロアルキル」の環中の任意の位置に1以上の二重結合を有しているものを意味する。具体的にはシクロプロペニル、シクロブテニル、シクロペンテニル、シクロヘキセニル、シクロヘキサジエニル等が挙げられる。
【0022】
「アリール」とは、単環または多環の芳香族炭素環式基を意味する。具体的には、フェニル、ナフチル、アントリル、フェナントリル等が挙げられる。
【0023】
「単環の芳香族ヘテロ環」とは、O、SおよびNから任意に選択されるヘテロ原子を環内に1以上有する4〜8員の単環芳香族ヘテロ環を意味し、具体的にはピロール、イミダゾール、ピラゾール、ピリジン、ピリダジン、ピリミジン、ピラジン、トリアゾール、トリアジン、テトラゾール、イソオキサゾール、オキサゾール、オキサジアゾール、イソチアゾール、チアゾール、チアジアゾール、フラン、チオフェン等があげられる。特に、5員または6員の単環芳香族ヘテロ環が好ましい。
「2環の芳香族ヘテロ環」とは、上記「単環の芳香族ヘテロ環」に芳香族炭素環(上記「アリール」から誘導される芳香族炭素環)または芳香族ヘテロ環(O、SおよびNから任意に選択されるヘテロ原子を環内に1以上有する4〜8員の芳香族ヘテロ環)が縮合した縮合芳香族へテロ環を意味する。例えば、インドール、イソインドール、インダゾール、インドリジン、キノリン、イソキノリン、シンノリン、フタラジン、キナゾリン、ナフチリジン、キノキサリン、プリン、プテリジン、ベンズイミダゾール、ベンズイソオキサゾール、ベンズオキサゾール、ベンズオキサジアゾール、ベンゾイソチアゾール、ベンゾチアゾール、ベンゾチアジアゾール、ベンゾフラン、イソベンゾフラン、ベンゾチオフェン、ベンゾトリアゾール、イミダゾピリジン、トリアゾロピリジン、イミダゾチアゾール、ピラジノピリダジン、オキサゾロピリジン、チアゾロピリジン等が挙げられる。
【0024】
「ヘテロアリール」とは、単環または多環の芳香族へテロ環式基を意味する。例えば、上記「単環の芳香族ヘテロ環」から誘導される基、上記「2環の芳香族ヘテロ環」から誘導される基、3環以上の多環のヘテロアリールも含有する。「単環の芳香族ヘテロ環」から誘導される基としては、例えば、ピロリル、イミダゾリル、ピラゾリル、ピリジル、ピリダジニル、ピリミジニル、ピラジニル、トリアゾリル、トリアジニル、テトラゾリル、イソオキサゾリル、オキサゾリル、オキサジアゾリル、イソチアゾリル、チアゾリル、チアジアゾリル、フリル、チエニル等が挙げられる。上記「2環の芳香族ヘテロ環」から誘導される基としては、例えば、インドリル、イソインドリル、インダゾリル、インドリジニル、キノリニル、イソキノリニル、シンノリニル、フタラジニル、キナゾリニル、ナフチリジニル、キノキサリニル、プリル、プテリジニル、ベンズイミダゾリル、ベンズイソオキサゾリル、ベンズオキサゾリル、ベンズオキサジアゾリル、ベンゾイソチアゾリル、ベンゾチアゾリル、ベンゾチアジアゾリル、ベンゾフリル、イソベンゾフリル、ベンゾチエニル、ベンゾトリアゾリル、イミダゾピリジル、トリアゾロピリジル、イミダゾチアゾリル、ピラジノピリダジニル、オキサゾロピリジル、チアゾロピリジル等が挙げられる。3環以上の多環のヘテロアリールとしては、例えば、カルバゾリル、アクリジニル、キサンテニル、フェノチアジニル、フェノキサチニル、フェノキサジニル、ジベンゾフリル等が挙げられる。「多環のへテロアリール」である場合、結合手をいずれの環に有していてもよい。
【0025】
「ヘテロサイクリル」とは、O、SおよびNから任意に選択されるヘテロ原子を環内に1以上有する上記「ヘテロアリール」、4〜8員の単環非芳香族へテロ環式基、または「単環非芳香族へテロ環式基」に芳香族炭素環(上記「アリール」から誘導される環)、芳香族ヘテロ環(上記「ヘテロアリール」から誘導される環)、単環非芳香族へテロ環(「単環非芳香族へテロ環式基」から誘導される環)、シクロアルカン(上記「シクロアルキル」から誘導される環)が縮合した縮合へテロサイクルを意味する。「単環非芳香族へテロ環式基」である単環へテロサイクリルとして、具体的には、ジオキサニル、チイラニル、オキシラニル、オキサチオラニル、アゼチジニル、チアニル、ピロリジニル、ピロリニル、イミダゾリジニル、イミダゾリニル、ピラゾリジニル、ピラゾリニル、ピペリジル、ピペリジノ、ピペラジニル、ピペラジノ、モルホリニル、モルホリノ、オキサジアジニル、ジヒドロピリジル、チオモルホリニル、チオモルホリノ、テトラヒドロフリル、テトラヒドロピラニル、テトラヒドロチアゾリル、テトラヒドロイソチアゾリル等が挙げられる。縮合へテロサイクリルとして、具体的には、インドリニル、イソインドリニル、クロマニル、イソクロマニル、2,3−ジヒドロベンズオキサゾリル、2,3−ジヒドロベンズチアゾリル、2,3−ジヒドロベンズイミダゾリル等が挙げられる。
「ヘテロサイクル」とは、上記「ヘテロサイクリル」基を形成する環状構造を意味する。
環Aにおける「ヘテロサイクル」は、ピラゾール、イミダゾール、ピリジン、ピリダジン、ピリミジン、ピラジン、ベンズオキサゾール、2,3−ジヒドロベンズオキサゾール、ベンズチアゾール、2,3−ジヒドロベンズチアゾール、ベンズイミダゾールまたは2,3−ジヒドロベンズイミダゾールが好ましく、さらにピラゾールまたは2,3−ジヒドロベンズオキサゾールが好ましい。
【0026】
「アラルキル」とは、1以上の上記「アリール」がアルキル基に置換した基を意味する。
【0027】
「ヘテロアリールアルキル」とは、1以上の上記「ヘテロアリール」がアルキル基に置換した基を意味する。
【0028】
「置換若しくは非置換のアルキル」、「置換若しくは非置換のアルケニル」、「置換若しくは非置換のアルキニル」、「置換若しくは非置換のアラルキル」のアルキル基または「置換若しくは非置換のヘテロアリールアルキル」のアルキル基の置換基としては、ハロゲン、シアノ、ニトロ、ニトロソ、アジド、アシル、アシルオキシ、イミノ、ヒドロキシ、置換若しくは非置換のアルコキシ、置換若しくは非置換のアルキニルオキシ、置換若しくは非置換のシクロアルキル、置換若しくは非置換のシクロアルキルオキシ、置換若しくは非置換のシクロアルケニル、置換若しくは非置換のシクロアルケニルオキシ、置換若しくは非置換のアリール、置換若しくは非置換のアリールオキシ、置換若しくは非置換のヘテロアリール、置換若しくは非置換のヘテロアリールオキシ、置換若しくは非置換のヘテロサイクル、置換若しくは非置換のヘテロサイクルオキシ、
メルカプト、置換若しくは非置換のアルキルチオ、置換若しくは非置換のアルケニルチオ、置換若しくは非置換のシクロアルキルチオ、置換若しくは非置換のシクロアルケニルチオ、置換若しくは非置換のアリールチオ、置換若しくは非置換のヘテロアリールチオ、置換若しくは非置換のヘテロサイクルチオ、カルボキシ、置換若しくは非置換のアルコキシカルボニル、置換若しくは非置換のアルケニルオキシカルボニル、置換若しくは非置換のシクロアルキルオキシカルボニル、置換若しくは非置換のシクロアルケニルオキシカルボニル、置換若しくは非置換のアリールオキシカルボニル、置換若しくは非置換のヘテロアリールオキシカルボニル、置換若しくは非置換のヘテロサイクルオキシカルボニル、置換若しくは非置換のカルバモイル、ホルミル、置換若しくは非置換のアルキルカルボニル、置換若しくは非置換のアルケニルカルボニル、置換若しくは非置換のシクロアルキルカルボニル、置換若しくは非置換のシクロアルケニルカルボニル、置換若しくは非置換のアリールカルボニル、置換若しくは非置換のヘテロアリールカルボニル、置換若しくは非置換のヘテロサイクルカルボニル、スルフィノ、スルホ、置換若しくは非置換のアルキルスルホニル、置換若しくは非置換のアルケニルスルホニル、置換若しくは非置換のシクロアルキルスルホニル、置換若しくは非置換のシクロアルケニルスルホニル、置換若しくは非置換のアリールスルホニル、置換若しくは非置換のヘテロアリールスルホニル、置換若しくは非置換のヘテロサイクルスルホニル、置換若しくは非置換のスルファモイル、置換若しくは非置換のアミノ、オキソ等が挙げられる。任意の位置がこれらから選択される1以上の基で置換されていてもよい。
【0029】
「置換若しくは非置換のシクロアルキル」、「置換若しくは非置換のアリール」、「置換若しくは非置換のヘテロアリール」、「置換若しくは非置換のヘテロサイクリル」、「置換若しくは非置換のアラルキル」のアリール基または「置換若しくは非置換のヘテロアリールアルキル」のヘテロアリール基の置換基としては、置換されていてもよい低級アルキル、置換されていてもよい低級アルケニル、置換されていてもよい低級アルキニル、ハロゲン、シアノ、ニトロ、ニトロソ、アジド、アシル、アシルオキシ、イミノ、ヒドロキシ、置換若しくは非置換のアルコキシ、置換若しくは非置換のアルキニルオキシ、置換若しくは非置換のシクロアルキル、置換若しくは非置換のシクロアルキルオキシ、置換若しくは非置換のシクロアルケニル、置換若しくは非置換のシクロアルケニルオキシ、置換若しくは非置換のアリール、置換若しくは非置換のアリールオキシ、置換若しくは非置換のヘテロアリール、置換若しくは非置換のヘテロアリールオキシ、置換若しくは非置換のヘテロサイクル、置換若しくは非置換のヘテロサイクルオキシ、メルカプト、置換若しくは非置換のアルキルチオ、置換若しくは非置換のアルケニルチオ、置換若しくは非置換のシクロアルキルチオ、置換若しくは非置換のシクロアルケニルチオ、置換若しくは非置換のアリールチオ、置換若しくは非置換のヘテロアリールチオ、置換若しくは非置換のヘテロサイクルチオ、カルボキシ、置換若しくは非置換のアルコキシカルボニル、置換若しくは非置換のアルケニルオキシカルボニル、置換若しくは非置換のシクロアルキルオキシカルボニル、置換若しくは非置換のシクロアルケニルオキシカルボニル、置換若しくは非置換のアリールオキシカルボニル、置換若しくは非置換のヘテロアリールオキシカルボニル、置換若しくは非置換のヘテロサイクルオキシカルボニル、置換若しくは非置換のカルバモイル、ホルミル、置換若しくは非置換のアルキルカルボニル、置換若しくは非置換のアルケニルカルボニル、置換若しくは非置換のシクロアルキルカルボニル、置換若しくは非置換のシクロアルケニルカルボニル、置換若しくは非置換のアリールカルボニル、置換若しくは非置換のヘテロアリールカルボニル、置換若しくは非置換のヘテロサイクルカルボニル、スルフィノ、スルホ、置換若しくは非置換のアルキルスルホニル、置換若しくは非置換のアルケニルスルホニル、置換若しくは非置換のシクロアルキルスルホニル、置換若しくは非置換のシクロアルケニルスルホニル、置換若しくは非置換のアリールスルホニル、置換若しくは非置換のヘテロアリールスルホニル、置換若しくは非置換のヘテロサイクルスルホニル、置換若しくは非置換のスルファモイル、置換若しくは非置換のアミノ、オキソ、置換若しくは非置換のアルキレン、置換若しくは非置換のアルキレンジオキシ、式:−N(R)−置換若しくは非置換のアルキレン−O−で示される基、式:−N(R)−置換若しくは非置換のアルキレン−N(R)−で示される基(Rはそれぞれ独立して水素またはアルキル)等が挙げられる。二価の基で置換されている場合は、該二価の基は、同一または異なる原子に置換していてもよい。隣接する原子に置換する場合のみならず、ビシクロ環やスピロ環を形成するように置換していてもよい。任意の位置がこれらから選択される1以上の基で置換されていてもよい。
【0030】
例えば、「置換若しくは非置換のシクロアルキル(例:シクロヘキシル)」の置換基が置換若しくは非置換のアルキレン(例:−CH−CH−)の場合、以下のように置換していてもよい。
【化3】

【0031】
例えば、置換若しくは非置換のアリールの置換基が置換若しくは非置換のアルキレンジオキシの場合、以下の基等が例示される。
【化4】

【0032】
例えば、置換若しくは非置換のアリールの置換基が式:−N(R)−置換若しくは非置換のアルキレン−O−で示される基の場合、以下の基等が例示される。
【化5】


他の二価の基の場合も、同様である。
【0033】
以下に、式(I)で示される化合物の好ましい態様を説明する。
【0034】
は置換若しくは非置換のアルキル、置換若しくは非置換のシクロアルキル、置換若しくは非置換のアリール、置換若しくは非置換のヘテロアリール、置換若しくは非置換のアラルキルまたは置換若しくは非置換のヘテロアリールアルキルである。好ましくは、置換若しくは非置換のフェニルまたは置換若しくは非置換のシクロアルキル、さらに好ましくは、ハロゲン、アルキル、ハロアルキル、アルコキシ、ハロアルコキシまたはシアノから選択され、特に好ましくはフルオロ、メチル、エチル、イソプロピル、ジフルオロメトキシまたはシアノから選択される1以上の置換基で置換されたフェニルまたは炭素数5〜8、特に好ましくは炭素数5または8の非置換シクロアルキルである。
【0035】
は置換アリール(置換基は置換若しくは非置換のモルホリノである。)または置換若しくは非置換のヘテロサイクリルである。ただし、Rが置換若しくは非置換のカルバゾール−3−イルである場合を除く。好ましくは、式:
【化6】


(式中、環Aはヘテロサイクルであり、
およびR はそれぞれ独立してハロゲン、シアノ、オキソ、置換若しくは非置換のアルキル、置換若しくは非置換のアルケニル、置換若しくは非置換のアルキニル、置換若しくは非置換のシクロアルキル、置換若しくは非置換のヘテロサイクリルまたは置換若しくは非置換のアリールであり、
mおよびnはそれぞれ独立して0〜2の整数。)で示される。
環Aは好ましくはピラゾール、イミダゾール、ピリジン、ピリダジン、ピリミジン、ピラジン、ベンズオキサゾール、2,3−ジヒドロベンズオキサゾール、ベンズチアゾール、2,3−ジヒドロベンズチアゾール、ベンズイミダゾールまたは2,3−ジヒドロベンズイミダゾールであり、さらに好ましくはピラゾールまたは2,3−ジヒドロベンズオキサゾールである。
は好ましくはハロゲン置換フェニルまたは非置換アルキルであり、さらに好ましくはフルオロフェニルまたはイソプロピルである。
は好ましくはオキソである。
mは0〜2の整数である。好ましくは1である。
nは0〜2の整数である。好ましくは0または1である。
【0036】
本発明に係る化合物には、各々の化合物の生成可能であり、製薬上許容される塩を包含する。「製薬上許容される塩」としては、例えば塩酸、硫酸、硝酸またはリン酸等の無機酸の塩;パラトルエンスルホン酸、メタンスルホン酸、シュウ酸またはクエン酸等の有機酸の塩;アンモニウム、トリメチルアンモニウムまたはトリエチルアンモニウム等の有機塩基の塩;ナトリウムまたはカリウム等のアルカリ金属の塩;およびカルシウムまたはマグネシウム等のアルカリ土類金属の塩等を挙げることができる。
【0037】
本発明に係る化合物はその溶媒和物を包含し、化合物(I)に対する。好ましくは水和物であり、本発明に係る化合物1分子が任意の数の水分子と配位していてもよい。
【0038】
本発明に係る化合物(I)が不斉炭素原子を有する場合には、ラセミ体、両対掌体および全ての立体異性体(幾何異性体、エピマー、鏡像異性体等)を含む。また、本発明に係る化合物(I)が二重結合を有する場合にE体およびZ体が存在し得るときはそのいずれをも含む。
【0039】
本発明に係る式(I)で示される化合物は、例えば次の方法で合成することができる。
【0040】
【化7】


第1工程
式:RNH(式中、Rは式(I)と同意義。)で示される化合物とイタコン酸を酢酸存在下で適当な溶媒中、80℃〜200℃、好ましくは100℃〜150℃で、15分〜5時間、好ましくは30分〜2.5時間反応させ、式(II)で示される化合物を得る。場合によっては、反応にマイクロウェーブ照射装置を用いてもよい。
反応溶媒としては、テトラヒドロフラン、ジメチルホルムアミド、ジエチルエーテル、ジクロロメタン、トルエン、ベンゼン、キシレン、シクロヘキサン、ヘキサン、クロロホルム、酢酸エチル、酢酸ブチル、ペンタン、ヘプタン、ジオキサン、アセトン、アセトニトリルおよびそれらの混合溶媒等を用いることができる。好ましくはトルエンである。
第2工程
式(II)で示される化合物と式:RNH(式中、Rは式(I)と同意義。)で示される化合物を塩基存在下で適当な溶媒中、0℃〜50℃、好ましくは室温で、30分〜24時間、好ましくは1時間〜16時間反応させ、式(I)で示される化合物を得る。
上記反応の際、必要に応じて、脱水縮合剤を入れて反応させることができる。また、必要に応じて、反応前に式(II)で示される化合物を適当な溶媒中でハロゲン化剤を用いて対応する酸塩化物に変換させてから反応させることもできる。
塩基としては、ピリジン、トリエチルアミン、N−メチルモルホリン、ジメチルアニリン、水酸化バリウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等を使用することができる。好ましくはトリエチルアミンである。
反応溶媒としては、テトラヒドロフラン、ジメチルホルムアミド、ジエチルエーテル、ジクロロメタン、トルエン、ベンゼン、キシレン、シクロヘキサン、ヘキサン、クロロホルム、酢酸エチル、酢酸ブチル、ペンタン、ヘプタン、ジオキサン、アセトン、アセトニトリルおよびそれらの混合溶媒等を用いることができる。好ましくはジメチルホルムアミドである。
脱水縮合剤としては、DCC(N,N’-ジシクロヘキシルカルボジイミド)、ジフェニルリン酸アジド、BOP(ヘキサフルオロリン酸(ベンゾトリアゾール−1−イルオキシ)トリ(ジメチルアミノ)ホスホニウム)、PyBOP(ヘキサフルオロリン酸(ベンゾトリアゾール−1−イルオキシ)トリピロリジノホスホニウム)、HATU(ヘキサフルオロリン酸O−(7−アザベンゾトリアゾール−1−イル)−N,N,N’,N’−テトラメチルウロニウム)等を用いることができる。好ましくはHATUである。
ハロゲン化剤としては、チオニルクロリド、塩化スルフリル、ホスゲン、オキザリルクロリド等を用いることができる。好ましくはオキザリルクロリドである。
【0041】
本発明のNPY Y5受容体拮抗作用を有する医薬組成物はNPY Y5の関与する疾患全般、例えば、摂食障害、肥満、神経性食欲昂進症、性的障害、生殖障害、鬱病、癲癇発作、高血圧、脳溢血、鬱血心不全または睡眠障害に有効に作用するが、特に肥満の予防および/または治療並びに摂食抑制に有用である。また、肥満がリスクファクターとなる疾患、例えば糖尿病、高血圧、高脂血症、動脈硬化、急性冠症候群等の予防/およびまたは治療に対しても有効である。
さらに、本発明化合物は、NPY Y5受容体拮抗作用のみならず、医薬としての有用性を備えており、下記いずれか、あるいは全ての優れた特徴を有している。
a)CYP酵素のうち、CYP1A2、CYP2C19、CYP2D6に対する阻害作用が弱い。
b)代謝安定性が高い。
c)水溶性が高い。
【0042】
NPY Y5受容体拮抗作用を有する医薬組成物は、摂食を抑制して抗肥満効果を示すものである。そのため、消化吸収を阻害することによって抗肥満効果を示す薬剤に見られるような消化不良等の副作用や、抗肥満効果を示すセロトニントランスポーター阻害剤のような抗鬱作用等の中枢性副作用を発現しないことは本薬剤の特長の一つである。
【0043】
本発明に係る化合物を抗肥満薬または摂食抑制剤として投与する場合、経口的、非経口的のいずれの方法でも投与することができる。経口投与は常法に従って錠剤、顆粒剤、散剤、カプセル剤、丸剤、液剤、シロップ剤、バッカル剤または舌下剤等の通常用いられる剤型に調製して投与すればよい。非経口投与は、例えば筋肉内投与、静脈内投与等の注射剤、坐剤、経皮吸収剤、吸入剤等、通常用いられるいずれの剤型でも好適に投与することができる。本発明に係る化合物は経口吸収性が高いため、経口剤として好適に使用できる。
【0044】
本発明に係る化合物の有効量にその剤型に適した賦形剤、結合剤、湿潤剤、崩壊剤、滑沢剤、希釈剤等の各種医薬用添加剤を必要に応じて混合し医薬製剤とすることができる。注射剤の場合には適当な担体と共に滅菌処理を行なって製剤とすればよい。
【0045】
具体的には、賦形剤としては乳糖、白糖、ブドウ糖、デンプン、炭酸カルシウムもしくは結晶セルロ−ス等、結合剤としてはメチルセルロ−ス、カルボキシメチルセルロ−ス、ヒドロキシプロピルセルロ−ス、ゼラチンもしくはポリビニルピロリドン等、崩壊剤としてはカルボキシメチルセルロ−ス、カルボキシメチルセルロ−スナトリウム、デンプン、アルギン酸ナトリウム、カンテン末もしくはラウリル硫酸ナトリウム等、滑沢剤としてはタルク、ステアリン酸マグネシウムもしくはマクロゴ−ル等が挙げられる。坐剤の基剤としてはカカオ脂、マクロゴ−ルもしくはメチルセルロ−ス等を用いることができる。また、液剤もしくは乳濁性、懸濁性の注射剤として調製する場合には通常使用されている溶解補助剤、懸濁化剤、乳化剤、安定化剤、保存剤、等張剤等を適宜添加しても良く、経口投与の場合には嬌味剤、芳香剤等を加えても良い。
【0046】
本発明に係る化合物の抗肥満薬または摂食抑制剤としての投与量は、患者の年齢、体重、疾病の種類や程度、投与経路等を考慮した上で設定することが望ましいが、成人に経口投与する場合、通常0.05〜100mg/kg/日であり、好ましくは0.1〜10mg/kg/日の範囲内である。非経口投与の場合には投与経路により大きく異なるが、通常0.005〜10mg/kg/日であり、好ましくは0.01〜1mg/kg/日の範囲内である。これを1日1回〜数回に分けて投与すれば良い。
【実施例】
【0047】
以下に実施例を示し、本発明をさらに詳しく説明するが、これらは本発明を限定するものではない。
また、本明細書中で用いる略号は以下の意味を表す。
Me:メチル
Et:エチル
Pr:プロピル
iPr:イソプロピル
DMF:ジメチルホルムアミド
HATU:ヘキサフルオロリン酸O−(7−アザベンゾトリアゾール−1−イル)−N,N,N’,N’−テトラメチルウロニウム
【0048】
実施例1 化合物(I−1)の合成
第1工程
【化8】


4−フルオロアニリン(1)(1.1 g)とイタコン酸1.3 gのトルエン(8 ml)溶液に、酢酸2 mlを加え、100℃で2.5時間攪拌した。反応液を室温まで冷却して析出した粗結晶をろ取し、再結晶させることにより化合物2(1.18 g, 収率53%)を白色結晶として得た。
1H-NMR (DMSO-d6) δ: 2.65-2.81 (m, 3H), 3.92-4.10 (m, 2H), 7.21 (m, 2H), 7.68 (m, 2H,)
第2工程
【化9】


化合物2(220 mg, 1 mmol)のジクロロメタン混濁液に、DMFを一滴加え、次に氷冷下でオキザリルクロライド(96 μl, 1.1 mmol)を加え、室温で30分攪拌した。反応液に、氷冷下1-(2-フルオロフェニル)-1H-ピラゾール-3-アミン(159 mg, 0.9 mmol)、トリエチルアミン(418 μl, 3 mmol)のジクロロメタン溶液を加え、室温で1時間攪拌した。反応液よりクロロホルムを用いて抽出し、2N塩酸、飽和食塩水で洗浄後、硫酸ナトリウムで乾燥し溶媒を減圧留去した。得られた粗結晶を酢酸エチルーヘキサンで再結晶させることにより、化合物I−1(156 mg, 収率41%)を得た。
1H-NMR (DMSO-d6) δ: 2.69-2.87 (m, 2H), 3.51 (m, 1H), 3.93-4.12 (m, 2H), 6.85 (s, 1H), 7.22 (t, 2H, J = 9.0 Hz), 7.32-7.53 (m, 3H), 7.65-7.78 (m, 3H), 8.12 (s, 1H)
【0049】
実施例2 化合物(I−2)の合成
第1工程
【化10】


3−フルオロアニリン(3)(1.1 g)とイタコン酸1.3 gのトルエン(8 ml)溶液に、酢酸2 mlを加え、100℃で2.5時間攪拌した。反応液を室温まで冷却して析出した粗結晶をろ取し、再結晶させることにより化合物4(1.35 g, 収率60%)を白色結晶として得た。
1H-NMR (DMSO-d6) δ: 2.65-2.86 (m, 3H), 3.94-4.10 (m, 2H), 4.10-4.31 (m, 2H), 6.98 (m, 1H,), 7.41 (m, 2H), 7.65(d, 1H, J = 12.3Hz)
第2工程
【化11】


化合物4(150 mg, 0.67 mmol)のジクロロメタン混濁液に、DMFを一滴加え、次に氷冷下でオキザリルクロライド(63 μl, 0.73 mmol)を加え、室温で30分攪拌した。反応液に、氷冷下1-(2-フルオロフェニル)-1H-ピラゾール-3-アミン(107 mg, 0.64 mmol)、トリエチルアミン(281 μl, 2 mmol)のジクロロメタン溶液を加え、室温で1時間攪拌した。反応液よりクロロホルムを用いて抽出し、2N塩酸、飽和食塩水で洗浄後、硫酸ナトリウムで乾燥し溶媒を減圧留去した。残渣をシリカゲルクロマトグラフィーで精製し、得られた粗結晶を酢酸エチルーヘキサンで再結晶させることにより、化合物I−2(113 mg)を得た。
1H-NMR (DMSO-d6) δ: 2.70-2.91 (m, 2H), 3.50 (q, 1H, J = 6.9 Hz), 3.93-4.20 (m, 2H), 6.83 (s, 1H), 6.97 (m, 1H), 7.30-7.49 (m, 5H), 7.62-7.76 (m, 2H), 8.10 (s, 1H), 11.05 (s, 1H)
【0050】
実施例3 化合物(I−3)の合成
第1工程
【化12】


2−メチルアニリン(5)(1.1 g)とイタコン酸1.3 gのトルエン(8 ml)溶液に、酢酸2 mlを加え、100℃で2.5時間攪拌した。室温まで冷却して析出した粗結晶をろ取し、再結晶させることにより化合物6(1.35 g, 収率62%)を白色結晶として得た。
1H-NMR (DMSO-d6) δ: 2.13 (s, 3H), 2.58-2.80 (m, 2H), 3.78 (m, 1H), 3.91 (t, 1H, J = 8.7Hz), 7.18-7.29(m, 4H), 12.5 (br-s, 1H)
第2工程
【化13】


化合物6(120 mg, 0.55 mmol)のジクロロメタン混濁液に、DMFを一滴加え、次に氷冷下でオキザリルクロライド(52 μl, 0.61 mmol)を加え、室温で30分攪拌した。反応液に、氷冷下1-(2-フルオロフェニル)-1H-ピラゾール-3-アミン(92 mg, 0.52 mmol)、トリエチルアミン(228 μl, 1.8 mmol)のジクロロメタン溶液を加え、室温で1時間攪拌した。反応液よりクロロホルムを用いて抽出し、2N塩酸、飽和食塩水で洗浄後、硫酸ナトリウムで乾燥し溶媒を減圧留去した。残渣をシリカゲルクロマトグラフィーで精製し、化合物I−3(78 mg)をアモルファスとして得た。
1H-NMR (CDCl3) δ: 2.70-3.00 (m, 2H), 3.03 (m, 1H), 3.78 (t, 1H, J = 8.7 Hz), 4.04 (t, 1H, J = 6.9 Hz), 7.00 (d, 1H, J = 2.4 Hz), 7.12-7.28 (m, 7H), 7.75 (t, 1H, J = 7.8 Hz), 7.93 (s, 1H), 8.68 (br-s, 1H)
【0051】
実施例4 化合物(I−6)の合成
第1工程
【化14】


2−フルオロアニリン(7)(1.4 g)とイタコン酸1.4 gのトルエン(8 ml)溶液に、酢酸2 mlを加え、マイクロウェーブ照射装置により150℃で1.5時間照射した。溶媒を留去したのち反応器に析出した粗結晶を酢酸エチル−ヘキサンで再結晶させることにより化合物8(1.35 g, 収率62%)を白色結晶として得た。
1H-NMR (DMSO-d6) δ: 2.84-3.05 (m, 2H), 3.46 (q, 1H, J = 8.1Hz), 4.00-4.10 (m, 2H), 7.12-7.45 (m, 4H)
第2工程
【化15】


化合物8(140 mg, 0.63 mmol)と6-アミノ-3-イソプロピルベンゾ[d]オキサゾール-2(3H)-オン(133 mg, 0.69 mmol)のDMF溶液に、トリエチルアミン(0.44 ml, 3.14 mmol)、HATU(242 mg, 0.75 mmol)を順次加え、室温で3時間攪拌した。反応液を2N塩酸にあけ酢酸エチルで抽出し、飽和食塩水で洗浄後、硫酸ナトリウムで乾燥し溶媒を減圧留去した。残渣をシリカゲルクロマトグラフィーで精製して得られた粗結晶を再結晶させることにより、化合物I−6(52 mg, 収率62%)を得た。
1H-NMR (DMSO-d6) δ: 1.45 (d, 6H, J = 6.9Hz), 2.69-2.82 (m, 2H), 3.49 (m, 1H), 3.82-4.04 (m, 2H), 4.46 (q, 1H, J = 6.6Hz), 7.23-7.40 (m, 6H), 7.75 (s, 1H), 10.27 (s, 1H)
【0052】
実施例5 化合物(I−7)の合成
第1工程
【化16】


2−イソプロピルアニリン(9)(1.49 g)とイタコン酸1.3 gのトルエン(8 ml)溶液に、酢酸2 mlを加え、マイクロウェーブ照射装置により150℃で30分照射した。溶媒を留去することにより化合物10(1.68 g, 収率62%)を黄色油状物として得た。
第2工程
【化17】


化合物10(200 mg, 0.81 mmol)と6-アミノ-3-イソプロピルベンゾ[d]オキサゾール-2(3H)-オン(187 mg, 0.97 mmol)のDMF溶液に、トリエチルアミン(0.56 ml, 4.1 mmol)、HATU(338 mg, 1.05 mmol)を順次加え、室温で16時間攪拌した。反応液を2N塩酸にあけ酢酸エチルで抽出し、飽和食塩水で洗浄後、硫酸ナトリウムで乾燥し溶媒を減圧留去した。残渣をシリカゲルクロマトグラフィーで精製して得られた粗結晶を酢酸エチル−ヘキサンで再結晶させることにより、化合物I−7(55 mg, 収率16%)を得た。
1H-NMR (CDCl3) δ: 1.23 (d, 6H, J = 6.9 Hz), 1.53 (d, 6H, J = 6.9 Hz), 2.83-3.10 (m, 3H), 3.45 (m, 1H), 3.39 (m, 1H), 4.01 (t, 1H, J = 9.6 Hz), 4.27 (t, 1H, J = 8.4 Hz), 4.53(m, 1H), 7.03 (t, 2H, J = 9.0 Hz), 7.27-7.38 (m, 3H), 7.42 (s, 1H), 7.58 (d, 1H, J = 1.8 Hz), 7.39 (br-s, 1H)
【0053】
実施例6 化合物(I−8)の合成
第1工程
【化18】


2−エチルアニリン(11)(1.3 g)とイタコン酸1.3 gのトルエン(8 ml)溶液に、酢酸2 mlを加え、マイクロウェーブ照射装置により150℃で30分照射した。溶媒を留去することにより化合物12(1.6 g, 収率69%)を黄色油状物として得た。
1H-NMR (DMSO-d6) δ: 1.10 (t, 3H), 2.48-2.80 (m, 3H), 3.78 (m, 1H), 3.89 (dd, 1H, J = 8.7Hz), 7.15-7.32(m, 4H), 12.6 (br-s, 1H)
第2工程
【化19】


化合物12(200 mg, 0.86 mmol)と6-アミノ-3-イソプロピルベンゾ[d]オキサゾール-2(3H)-オン(165 mg, 0.86 mmol)のDMF溶液に、トリエチルアミン(0.24 ml, 1.7 mmol)、HATU(336 mg, 1.06 mmol)を順次加え、室温で1時間攪拌した。反応液を2N塩酸にあけ酢酸エチルで抽出し、飽和食塩水で洗浄後、硫酸ナトリウムで乾燥し溶媒を減圧留去した。残渣をシリカゲルクロマトグラフィーで精製することにより、化合物I−8(202 mg, 収率58%)を微黄色結晶として得た。
1H-NMR (DMSO-d6) δ: 1.13 (t, 3H, J = 7.2 Hz), 1.44 (s, 3H), 1.46 (s, 3H), 2.61-2.80 (m, 2H), 3.50 (m, 1H), 3.78 (m, 1H), 3.94 (t, 1H, J = 8.4 Hz), 4.46 (q, 1H, J = 6.9 Hz), 7.18-7.41 (m, 7H), 7.76 (s, 1H), 10.26 (s, 1H)
【0054】
実施例7 化合物(I−10)の合成
第1工程
【化20】


3−アミノベンゾニトリル(13)(1.1 g)とイタコン酸1.2 gのトルエン(8 ml)溶液に、酢酸2 mlを加え、マイクロウェーブ照射装置により150℃で1.5時間照射した。溶媒を留去したのち反応器に析出した粗結晶を酢酸エチル−ヘキサンで再結晶させることにより化合物14(0.52 g, 収率24%)を白色結晶として得た。
1H-NMR (DMSO-d6) δ: 2.68-2.90 (m, 2H), 3.97-4.21 (m, 2H), 7.58-7.62(m, 2H), 8.01(m, 1H), 8.13 (m, 1H), 12.6 (br-s, 1H)
第2工程
【化21】


化合物14(140 mg, 0.61 mmol)と6-アミノ-3-イソプロピルベンゾ[d]オキサゾール-2(3H)-オン(123 mg, 0.64 mmol)のDMF溶液に、トリエチルアミン(0.25 ml, 1.83 mmol)、HATU(234 mg, 0.73 mmol)を順次加え、室温で3時間攪拌した。反応液を2N塩酸にあけ酢酸エチルで抽出し、飽和食塩水で洗浄後、硫酸ナトリウムで乾燥し溶媒を減圧留去した。残渣をシリカゲルクロマトグラフィーで精製して得られた粗結晶を酢酸エチル−ヘキサンで再結晶することにより、化合物I−10(85 mg, 収率35%)を得た。
1H-NMR (CDCl3) δ: 1.53 (d, 6H, J = 6.9 Hz), 2.89-3.14 (m, 2H), 3.43 (q, 1H, J = 7.5 Hz), 4.08 (t, 1H, J = 9.0 Hz), 4.25 (t, 1H, J = 7.8 Hz), 4.54(q, 1H, J =6.9 Hz), 7.05 (d, 1H, J = 8.4 Hz), 7.32-7.56 (m, 3H), 7.56 (s, 1H), 7.90 (d, 1H, J = 8.1 Hz), 7.98 (s, 1H), 8.12 (s, 1H)
【0055】
実施例8 化合物(I−11)の合成
第1工程
【化22】


3−イソプロピルアニリン(15)(1.49 g)とイタコン酸1.3 gのトルエン(8 ml)溶液に、酢酸2 mlを加え、マイクロウェーブ照射装置により150℃で1時間照射した。溶媒を留去したのち化合物16(1.1 g, 収率39%)を黄色油状物として得た。
1H-NMR (DMSO-d6) δ: 1.24 (s, 3H), 1.27 (s, 3H), 2.87-2.96 (m, 3H), 3.39 (m, 1H), 4.04-4.19 (m, 2H), 7.06 (d, 1H, J = 8.7Hz), 7.24-7.45 (m, 3H)
第2工程
【化23】


化合物16(150 mg, 0.61 mmol)と6-アミノ-3-イソプロピルベンゾ[d]オキサゾール-2(3H)-オン(117 mg, 0.61 mmol)のDMF溶液に、トリエチルアミン(0.17 ml, 1.2 mmol)、HATU(234 mg, 0.73 mmol)を順次加え、室温で1時間攪拌した。反応液を2N塩酸にあけ酢酸エチルで抽出し、飽和食塩水で洗浄後、硫酸ナトリウムで乾燥し溶媒を減圧留去した。残渣をシリカゲルクロマトグラフィーで精製することにより、化合物I−11(181 mg, 収率71%)を黄色結晶として得た。
1H-NMR (DMSO-d6) δ: 1.20 (d, 6H, J = 7.2 Hz), 1.50 (d, 6H, J = 6.9 Hz), 2.74-2.89 (m, 3H), 3.44 (m, 1H), 3.98-4.10 (m, 2H), 4.46 (m, 1H), 7.03 (d, 1H J =7.5 Hz), 7.26-7.49 (m, 4H), 7.55 (s, 1H), 7.75 (s, 1H), 10.29 (br-s, 1H)
【0056】
実施例9 化合物(I−12)の合成
第1工程
【化24】


3−ジフルオロメトキシアニリン(17)(1.6 g)とイタコン酸1.3 gのトルエン(8 ml)溶液に、酢酸2 mlを加え、マイクロウェーブ照射装置により150℃で30分照射した。溶媒を留去したのち粗結晶をジエチルエーテル−トルエンで再結晶することにより化合物18(1.68 g, 収率62%)を白色結晶として得た。
1H-NMR (DMSO-d6) δ: 3.04-3.11 (m, 2H), 3.52 (q, 1H, J = 7.2Hz), 4.10-4.31 (m, 2H), 7.04 (d, 1H, J = 7.2Hz), 7.40-7.59(m, 3H)
第2工程
【化25】


化合物18(150 mg, 0.55 mmol)と6-アミノ-3-イソプロピルベンゾ[d]オキサゾール-2(3H)-オン(106 mg, 0.55 mmol)のDMF溶液に、トリエチルアミン(0.16 ml, 1.1 mmol)、HATU(213 mg, 0.66 mmol)を順次加え、室温で1時間攪拌した。反応液を2N塩酸にあけ酢酸エチルで抽出し、飽和食塩水で洗浄後、硫酸ナトリウムで乾燥し溶媒を減圧留去した。残渣をシリカゲルクロマトグラフィーで精製して得られた粗結晶を酢酸エチル−ヘキサンで再結晶することにより、化合物I−12(141 mg, 収率57%)を黄色結晶として得た。
1H-NMR (DMSO-d6) δ: 1.31 (d, 6H, J = 6.9 Hz), 2.68-2.90 (m, 3H), 3.26 (q, 1H, J = 7.8 Hz), 3.83 (t, 1H, J = 9.6 Hz), 4.05 (t, 1H, J = 7.8 Hz), 4.31(q, 1H, J =6.9 Hz), 6.31 (s, 1H), 6.71 (d, 1H, J = 7.5 Hz), 6.81 (d, 1H, J = 8.4 Hz), 7.05-7.20 (m, 2H), 7.29 (m, 1H), 7.37 (m, 1H), 7.61 (m, 1H), 8.43 (br-s, 1H)
【0057】
実施例10 化合物(I−13)の合成
第1工程
【化26】


4−イソプロピルアニリン(19)(1.49 g)とイタコン酸1.3 gのトルエン(8 ml)溶液に、酢酸2 mlを加え、マイクロウェーブ照射装置により150℃で30分照射した。溶媒を留去することにより化合物20(1.94 g, 収率79%)を黄色油状物として得た。
第2工程
【化27】


化合物20(140 mg, 0.57 mmol)と6-アミノ-3-イソプロピルベンゾ[d]オキサゾール-2(3H)-オン(109 mg, 0.57 mmol)のDMF溶液に、トリエチルアミン(0.16 ml, 1.1 mmol)、HATU(218 mg, 0.68 mmol)を順次加え、室温で1時間攪拌した。反応液を2N塩酸にあけ酢酸エチルで抽出し、飽和食塩水で洗浄後、硫酸ナトリウムで乾燥し溶媒を減圧留去した。残渣をシリカゲルクロマトグラフィーで精製して得られた粗結晶を酢酸エチル−ヘキサンで再結晶することにより、化合物I−13(120 mg, 収率50%)を黄色結晶として得た。
1H-NMR (CDCl3) δ: 1.21 (d, 6H, J = 6.9 Hz), 1.52 (d, 6H, J = 6.9 Hz), 2.87 (m, 1H), 2.94-3.03 (m, 2H), 3.49 (m, 1H), 4.00 (t, 1H, J =9.6 Hz), 4.28(t, 1H, J =6.9 Hz), 4.52 (m, 1H), 7.01 (d, 1H, J = 8.4 Hz), 7.20-7.27 (m, 2H), 7.36 (m, 1H), 7.43-7.49 (m, 2H), 7.62 (m, 1H), 7.81 (m, 1H), 8.88 (m, 1H)
【0058】
実施例11 化合物(I−14)の合成
第1工程
【化28】


4−ジフルオロメトキシアニリン(21)(1.59 g)とイタコン酸1.3 gのトルエン(8 ml)溶液に、酢酸2 mlを加え、マイクロウェーブ照射装置により150℃で1時間照射した。溶媒を留去することにより化合物22(505 mg, 収率19%)をアモルファスとして得た。
第2工程
【化29】


化合物22(150 mg, 0.55 mmol)と6-アミノ-3-イソプロピルベンゾ[d]オキサゾール-2(3H)-オン(106 mg, 0.55 mmol)のDMF溶液に、トリエチルアミン(0.15 ml, 1.1 mmol)、HATU(213 mg, 0.66 mmol)を順次加え、室温で1時間攪拌した。反応液を2N塩酸にあけ酢酸エチルで抽出し、飽和食塩水で洗浄後、硫酸ナトリウムで乾燥し溶媒を減圧留去した。残渣をシリカゲルクロマトグラフィーで精製することにより、化合物I−14(145 mg, 収率59%)を黄色結晶として得た。
1H-NMR (DMSO-d6) δ: 1.45 (d, 6H, J = 7.5 Hz), 2.68-2.90 (m, 2H), 3.45 (m, 1H), 3.96-4.10 (m, 2H), 4.46(q, 1H, J =6.9 Hz), 7.20-7.25 (m, 2H), 7.32-7.45 (m, 3H), 7.71-7.80 (m, 3H), 10.3 (s, 1H)
実施例12 化合物(I−17)の合成
【化30】


化合物14(150 mg, 0.65 mmol)のジクロロメタン混濁液に、DMFを一滴加え、次に氷冷下でオキザリルクロライド(68 μl, 0.77 mmol)を加え、室温で30分攪拌した。反応液に、氷冷下4-((2S,6R)-2,6-ジメチルモルホリノ)アニリン(150 mg, 0.62 mmol)、トリエチルアミン(272 μl, 1.96 mmol)のジクロロメタン溶液に加え、室温で16時間攪拌した。反応液をクロロホルムで抽出し、2N塩酸、飽和食塩水で洗浄後、硫酸ナトリウムで乾燥し溶媒を減圧留去した。残渣をシリカゲルクロマトグラフィーで精製し、得られた粗結晶を酢酸エチル−ヘキサンで再結晶することにより、化合物I−17(85 mg, 収率31%)を得た。
1H-NMR (CDCl3) δ: 1.24 (s, 3H), 1.27 (s, 3H), 2.33-2.43 (m, 2H), 2.85-3.11 (m, 2H), 3.29-3.78 (m, 3H), 3.75-3.84 (m, 2H), 4.01 (t, 1H, J =9.0 Hz), 6.84-6.90 (m, 2H), 7.39-7.54 (m, 4H), 7.87 (d, 1H, J =7.5 Hz), 7.97 (s, 1H)
【0059】
同様にして合成される以下の化合物も本発明に含まれる。
化合物I−4
【化31】


1H-NMR (DMSO-d6) δ: 1.45-1.77 (m, 8H), 2.49 (m, 2H), 3.40 (m, 2H), 3.68 (t, 1H, J = 9.0 Hz), 4.30 (m, 1H), 6.83 (d, 1H, J = 2.6 Hz), 7.31-7.50 (m, 3H), 7.72 (m, 1H), 8.10 (t, 1H, J = 2.6 Hz), 10.93 (s, 1H).
化合物I−5
【化32】


1H-NMR (DMSO-d6) δ: 1.45 (d, 6H, J = 6.9 Hz), 2.18 (s, 3H), 2.67-2.77 (m, 2H), 3.49 (m, 1H), 3.80 (m, 1H), 3.96 (t, 1H, J = 9.6 Hz), 4.46 (q, 1H, J = 6.6 Hz), 7.23-7.40 (m, 5H), 7.75 (s, 1H), 10.25 (s, 1H)
化合物I−9
【化33】


1H-NMR (DMSO-d6) δ: 1.46 (d, 6H, J = 6.9 Hz), 2.12 (s, 3H), 2.27 (s, 3H), 2.67-2.76 (m, 2H), 3.49 (m, 1H), 3.76 (m, 1H), 3.93 (m, 1H), 4.46 (q, 1H, J = 6.9 Hz), 7.04-7.07 (m, 2H), 7.16 (d, 1H, J = 8.1 Hz), 7.29-7.40 (m, 2H), 7.76 (s, 1H), 10.25 (br-s, 1H)
化合物I−15
【化34】


1H-NMR (DMSO-d6) δ: 1.44 (d, 6H, J = 8.0 Hz), 1.45-1.70 (m, 14H), 2.48 (m, 2H), 3.38 (m, 2H), 3.58 (t, 1H, J = 9.0), 4.01 (m, 1H), 4.44 (m, 1H), 7.27 (dd, 1H, J = 1.8, 8.7 Hz), 7.35 (d, 1H, J = 8.7 Hz), 7.71 (d, 1H, J = 1.8 Hz), 10.2 (s, 1H).
化合物I−16
【化35】


1H-NMR (CDCl3) δ: 1.25 (s, 3H), 1.27 (s, 3H), 2.26 (s, 3H), 2.31-2.50 (m, 2H), 2.74-3.30 (m, 2H), 3.28-3.42 (m, 3H), 3.78-3.85 (m, 3H), 4.05 (m, 1H), 6.78-6.92 (m, 2H), 7.13-7.27 (m, 4H), 7.38-7.42 (m, 2H), 7.81 (br-s, 1H)
【0060】
試験例1 NPY Y5受容体に対する親和性
ヒトNPY Y5受容体をコードするcDNA配列(WO96/16542号参照)を、発現ベクター pME18S(Takebe et al. Mol. Cell. Biol. 8, 8957)にクローニングした。得られた発現ベクターをLipofectAMINE試薬(商標、Gibco BRL社)を用いて、宿主細胞CHOに使用説明書にしたがってトランスフェクションし、NPY Y5受容体安定発現細胞を得た。
NPY Y5受容体を発現させたCHO細胞から調製した膜標品を、本発明に係る化合物及び30,000 cpmの[125I]ペプタイドYY(終濃度60 pM:アマーシャム社製)とともに、アッセイ緩衝液(0.1% 牛血清アルブミンを含む20 mM HEPES-Hanks緩衝液、pH 7.4)中で、25℃、2時間インキュベーションした後、1% ポリエチレンイミン処理したグラスフィルターGF/Cにて濾過した。50 mM Tris-HCl緩衝液、pH 7.4にて洗浄後、ガンマカウンターにてグラスフィルター上の放射活性を求めた。非特異的結合は200 nMペプタイドYY存在下で測定し、特異的ペプタイドYY結合に対する被検化合物の50%阻害濃度(IC50値)を求めた[Inui, A. et al. Endocrinology 131, 2090-2096 (1992) 参照]。結果を表1に示す。
本発明に係る化合物は、NPY Y5受容体に対するペプタイドYY(NPYと同族物質)の結合を阻害した。即ち本化合物は、NPY Y5受容体に対して親和性を示した。
【表1】

【0061】
試験例2 CYP阻害試験
市販のプールドヒト肝ミクロソームを用いて、ヒト主要CYP5分子種(CYP1A2、2C19、2D6)の典型的基質代謝反応としてエトキシレゾルフィンのO−脱エチル化酵素活性(CYP1A2)、トルブタミド4位水酸化活性(CYP2C9)、メフェニトイン4’位水酸化活性(CYP2C19)、デキストロメトルファンO−脱メチル化活性(CYP2D6)、テルフェナジン水酸化活性(CYP3A4) を指標とし、それぞれの代謝物生成量が被検化合物によって阻害される程度を評価した。
反応条件は以下のとおり:基質、0.5 μM エトキシレゾルフィン(CYP1A2)、100 μM トルブタミド(CYP2C9)、50 μM S-メフェニトイン(CYP2C19)、5 μM デキストロメトルファン(CYP2D6)、、1 μM テルフェナジン(CYP3A4);反応時間、15分;反応温度、37℃;酵素、プールドヒト肝ミクロソーム 0.2 mg/mL;被検薬物濃度、1、5、10、20 μM(4点)。
96穴プレートに反応溶液として、50mM Hepes緩衝液中に各5種の基質、ヒト肝ミクロソーム、被検薬物を上記組成で加え、補酵素であるNADPHを添加して、指標とする代謝反応を開始し、37℃、15分間反応した後、メタノール/アセトニトリル=1/1(v/v)溶液を添加することで反応を停止した。3000rpm、15分間の遠心操作後、遠心上清中のレゾルフィン(CYP1A2代謝物)を蛍光マルチラベルカウンタで、ヒドロキシトルブタミド(CYP2C9代謝物)、4’-ヒドロキシメフェニトイン(CYP2C19代謝物)、デキストロルファン(CYP2D6代謝物)、テルフェナジンアルコール代謝物(CYP3A4代謝物)をLC/MS/MSで定量した。
薬物を溶解した溶媒であるDMSOのみを反応系に添加したものをコントロール(100%)とし、被検薬物溶液を加えたそれぞれの濃度での残存活性(%)を算出し、XLfitでy=A+(B-A)/(1+((C/x)^D)))の式からIC50値を算出して阻害評価を行った。結果を表2に示す。
以上により、本発明に係る化合物はCYP1A2、CYP2C19、CYP2D6に対する阻害作用が弱いことを確認した。
【表2】

【0062】
試験例3
代謝安定性について
肝ミクロソームによる代謝安定性評価:トリス塩酸バッファー(pH7.4)中にNADPH(終濃度1mM,酸化的代謝の場合)、ヒト肝ミクロソーム(終濃度0.5 mg protein/ml)および各化合物(終濃度2μM)を添加し、37℃で0および30分間反応させた。グルクロン酸抱合の場合は、NADPHに代えてUDPGA(終濃度5mM)を添加した。反応液の倍量のアセトニトリル/メタノール=1/1(v/v)を添加し反応を停止した後、その遠心上清中の化合物をHPLCで測定した。0および30分の値の比較から代謝反応による消失量を算出した。結果を表3に示す。
以上により、本発明化合物の代謝安定性が高いことを確認した。
【表3】

【0063】
試験例4
溶解性について
本発明化合物と測定溶媒(JP-2液、20mMタウロコール酸Na含有JP-2液)を37℃で3時間攪拌後、0.45μmのフィルターで濾過し、濾液の濃度をHPLC法により測定した。結果を表4に示す。
以上により、本発明化合物の溶解性が優れていることを確認した。
【表4】

【0064】
製剤例
以下に示す製剤例は例示にすぎないものであり、発明の範囲を何ら限定することを意図するものではない。
製剤例1 錠剤
化合物(I) 15mg
デンプン 15mg
乳糖 15mg
結晶性セルロース 19mg
ポリビニルアルコール 3mg
蒸留水 30ml
ステアリン酸カルシウム 3mg
ステアリン酸カルシウム以外の成分を均一に混合し、破砕造粒して乾燥し、適当な大きさの顆粒剤とした。次にステアリン酸カルシウムを添加して圧縮成形して錠剤とした。
【0065】
製剤例2 カプセル剤
化合物(I) 10mg
ステアリン酸マグネシウム 10mg
乳糖 80mg
を均一に混合して粉末または細粒状として散剤をつくる。それをカプセル容器に充填してカプセル剤とした。
【0066】
製剤例3 顆粒剤
化合物(I) 30g
乳糖 265g
ステアリン酸マグネシウム 5g
よく混合し、圧縮成型した後、粉砕、整粒し、篩別して適当な大きさの顆粒剤とした。
【産業上の利用可能性】
【0067】
以上の試験例から明らかなように、本発明に係る化合物はNPY Y5受容体拮抗作用を示す。従って、本発明に係る化合物は抗肥満薬および摂食抑制剤として非常に有用である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(I):
【化1】


(式中、R は置換若しくは非置換のアルキル、置換若しくは非置換のシクロアルキル、置換若しくは非置換のアリール、置換若しくは非置換のヘテロアリール、置換若しくは非置換のアラルキルまたは置換若しくは非置換のヘテロアリールアルキルであり、
は置換若しくは非置換のモルホリノで置換されたアリールまたは置換若しくは非置換のヘテロサイクリルである。
ただし、Rが置換若しくは非置換のカルバゾール−3−イルである場合を除く。)
で示される化合物、その製薬上許容される塩またはそれらの溶媒和物。
【請求項2】
が置換若しくは非置換のフェニルまたは置換若しくは非置換のシクロアルキルである請求項1記載の化合物、その製薬上許容される塩またはそれらの溶媒和物。
【請求項3】
がハロゲン、アルキル、ハロアルキル、アルコキシ、ハロアルコキシまたはシアノから選択される1以上の置換基で置換されたフェニルまたは炭素数5〜8の非置換シクロアルキルである、請求項2記載の化合物、その製薬上許容される塩またはそれらの溶媒和物。
【請求項4】
がフルオロ、メチル、エチル、イソプロピル、ジフルオロメトキシまたはシアノから選択される1以上の置換基で置換されたフェニル、非置換シクロペンチルまたは非置換シクロオクチルである、
請求項3記載の化合物、その製薬上許容される塩またはそれらの溶媒和物。
【請求項5】
が置換若しくは非置換のヘテロサイクリルである、請求項1〜4のいずれかに記載の化合物、その製薬上許容される塩またはそれらの溶媒和物。
【請求項6】
が式:
【化2】


(式中、環Aはヘテロサイクルであり、
およびR はそれぞれ独立してハロゲン、シアノ、オキソ、置換若しくは非置換のアルキル、置換若しくは非置換のアルケニル、置換若しくは非置換のアルキニル、置換若しくは非置換のシクロアルキル、置換若しくは非置換のヘテロサイクリルまたは置換若しくは非置換のアリールであり、
mおよびnはそれぞれ独立して0〜2の整数。)で示される基である、
請求項5記載の化合物、その製薬上許容される塩またはそれらの溶媒和物。
【請求項7】
環Aがピラゾール、イミダゾール、ピリジン、ピリダジン、ピリミジン、ピラジン、ベンズオキサゾール、2,3−ジヒドロベンズオキサゾール、ベンズチアゾール、2,3−ジヒドロベンズチアゾール、ベンズイミダゾールまたは2,3−ジヒドロベンズイミダゾールである、請求項6記載の化合物、その製薬上許容される塩またはそれらの溶媒和物。
【請求項8】
環Aがピラゾールまたは2,3−ジヒドロベンズオキサゾールである、請求項7記載の化合物、その製薬上許容される塩またはそれらの溶媒和物。
【請求項9】
環Aがピラゾールである、請求項8記載の化合物、その製薬上許容される塩またはそれらの溶媒和物。
【請求項10】
環Aが2,3−ジヒドロベンズオキサゾールである、請求項8記載の化合物、その製薬上許容される塩またはそれらの溶媒和物。
【請求項11】
がハロゲン置換フェニルまたは非置換アルキルであり、
がオキソであり、
mが1であり、
nが0または1の整数である、
請求項9または10に記載の化合物、その製薬上許容される塩またはそれらの溶媒和物。
【請求項12】
がフルオロフェニルまたはイソプロピルであり、
がオキソであり、
mが1であり、
nが0または1の整数である、
請求項11記載の化合物、その製薬上許容される塩またはそれらの溶媒和物。
【請求項13】
請求項1〜12のいずれかに記載の化合物、その製薬上許容される塩またはそれらの溶媒和物を有効成分とする医薬組成物。
【請求項14】
請求項1〜12のいずれかに記載の化合物、その製薬上許容される塩またはそれらの溶媒和物を有効成分とするNPY Y5受容体拮抗作用を有する医薬組成物。

【公開番号】特開2010−222298(P2010−222298A)
【公開日】平成22年10月7日(2010.10.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−71382(P2009−71382)
【出願日】平成21年3月24日(2009.3.24)
【出願人】(000001926)塩野義製薬株式会社 (229)
【Fターム(参考)】