説明

Neisseria配合組成物

【課題】現在使用される髄膜炎菌のワクチンは、血清型A、C、YおよびW135から構成される四価の多糖ワクチンである。しかし、髄膜炎菌Bは問題を残す。集団の中で優勢な菌株において頻発する経時的な変化とともに、非流行期間の髄膜炎菌病が、複数の菌株または菌株改変体によって引き起こされる傾向があることを考慮すると、汎用髄膜炎菌Bワクチンは1より多い抗原性種が要求される。
【解決手段】Neisseria(ナイセリア)細菌、特にN.meningitidisおよびN.gonorrhoeae由来の生物学的分子の組合せを含む組成物。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書中に引用される全ての文書は、それらの全てが参考として援用される。
【0002】
(発明の分野)
本発明は、Neisseria(ナイセリア)細菌、特にN.meningitidisおよびN.gonorrhoeae由来の生物学的分子の組合せを含む組成物に関する。
【背景技術】
【0003】
(背景技術)
Neisseria meningitidisおよびNeisseria gonorrhoeaeは、非運動性であり、ヒトにおいて病原性であるグラム陰性の双球菌である。
【0004】
生物体の被嚢多糖に基づいて、N.meningitidisの12の血清型が同定された。A群は、サハラ以南のアフリカにおける流行病に最も頻繁に関係した病原体である。血清型BおよびCは、米国およびほとんどの先進国における症例の大多数の原因である。血清型W135およびYは、米国および先進国における症例の残りの原因である。
【0005】
現在使用される髄膜炎菌のワクチンは、血清型A、C、YおよびW135から構成される四価の多糖ワクチンである。しかし、髄膜炎菌Bは問題を残す。多糖アプローチは使用され得ない。なぜなら、menB被嚢多糖は、哺乳動物組織にもまた存在するα(2−8)連結N−アセチルノイラミン酸のポリマーであるからである。menBワクチンに対する1つのアプローチは、外膜タンパク質(OMP)の混合物を使用する。抗原性の可変性を克服するために、9までの異なるポーリンを含む多価ワクチンが構築された(例えば、非特許文献1)。外膜ワクチンに使用されるべきさらなるタンパク質は、opaタンパク質およびopcタンパク質であるが、これらのアプローチのいずれもが抗原性の可変性を克服し得なかった(例えば、非特許文献2)。
【0006】
集団の中で優勢な菌株において頻発する経時的な変化とともに、非流行期間の髄膜炎菌病が、複数の菌株または菌株改変体によって引き起こされる傾向があることを考慮すると(非特許文献3)、汎用髄膜炎菌Bワクチンは1より多い抗原性種が要求されるようである。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0007】
【非特許文献1】Poolman JT(1992) Development of a meningococcal vaccine.Infect.Agents Dis.4:13−28
【非特許文献2】Ala AldeenおよびBorriello(1996) The meningococcal transferrin−binding proteins 1 and 2 are both surface exposed and generate bactericidal antibodies capable of killing homologous and heterologous strains.Vaccine 14(1):49−53
【非特許文献3】Russelら(1998)Abstracts of 11th International pathogenic Neisseria conference.281頁
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は例えば、以下を提供する。
(項目1) Neisseria細菌由来の第一の生物学的分子およびNeisseria細菌由来の第二の生物学的分子を含む、組成物。
(項目2) 上記第一の生物学的分子が配列番号1〜8376からなる群より選択される、項目1に記載の組成物。
(項目3) 上記第一の生物学的分子が配列番号1〜4002からなる群より選択される、項目2に記載の組成物。
(項目4) 上記第二の生物学的分子が配列番号1〜8376からなる群より選択される、項目1〜3のいずれかに記載の組成物。
(項目5) 上記第二の生物学的分子が配列番号1〜4002からなる群より選択される、項目4に記載の組成物。
(項目6) 配列番号1〜4002より選択される2以上の生物学的分子を含む、項目1〜4のいずれか1つに記載の組成物。
(項目7) 配列番号4003〜8376より選択される1以上の生物学的分子と組合せられる、配列番号1〜4002より選択される1以上の生物学的分子を含む、項目1〜4のいずれか1つに記載の組成物。
(項目8) 好ましくは成熟形態のWO96/29412に開示されるNspAタンパク質と組合せられる、配列番号1〜4002および4057〜83
76より選択される1以上の生物学的分子を含む、項目1〜4のいずれか1つに記載の組成物。
(項目9) 953タンパク質と組合せられる、配列番号1〜8376より選択される1以上の生物学的分子を含む、項目1〜4のいずれか1つに記載の組成物。
(項目10) 医薬としての使用のための、項目1〜9のいずれかに記載の組成物。
【0009】
(発明の説明)
Neisseriaタンパク質およびヌクレオチドの配列は、以下の文書に開示される:
・WO99/24578
・WO99/36544
・WO99/57280
・WO97/28273
・WO96/29412
・WO95/03413
・Tettelinら(2000)Science 287:1809−1815。
【0010】
参照を容易にすると、これらの文書に開示される配列は、以下の表に従って本願中に参照される:
【0011】
【表1】


本発明は、Neisseria細菌由来の第一の生物学的分子およびNeisseria細菌由来の第二の生物学的分子を含む組成物を提供する。用語「生物学的分子」は、タンパク質および核酸を含む。
【0012】
組成物はまた、さらなる生物学的分子、好ましくはまたNeisseria由来の生物学的分子を含み得る。すなわち、組成物は、2以上の生物学的分子(例えば、3、4、5、6、7、8など)(このうち少なくとも2つ(例えば、3、4、5、6、7、8など)は、Neisseria細菌由来)を含み得る。このような組成物は、(i)2以上の異なるNeisseriaタンパク質、(ii)2以上の異なるNeisseria核酸、または(iii)1以上のNeisseriaタンパク質および1以上のNeisseria核酸を含む組成物を含む。
【0013】
1つの好ましい実施形態において、第一および第二の生物学的分子は、異なるNeisseria種由来である(例えば、1つはN.meningitidis由来で、1つはN.gonorrhoeae由来である)。しかし、第一および第二の生物学的分子は、同一種からであり得る。組成物中の生物学的分子は、同一種の異なる血清型または菌株であり得る。
【0014】
第一の生物学的分子は、好ましくは配列番号1〜8376からなる群より選択される。より好ましくは、第一の生物学的分子は、配列番号1〜4002および/または配列番号4057〜8376からなる群より選択される。好ましくは、第一の生物学的分子は、精製されるかまたは単離された生物学的分子である。
【0015】
第二の生物学的分子は、好ましくは配列番号1〜8376からなる群より選択される。より好ましくは、第二の生物学的分子は、配列番号1〜4002および/または配列番号4057〜8376からなる群より選択される。好ましくは、第二の生物学的分子は、精製されるかまたは単離された生物学的分子である。
【0016】
第一および第二の生物学的分子の一方または両方は、Neisseriaの生物学的分子であり得、本明細書中に詳細には開示されない。そして、本特許出願が出願される前は、同定も、発見も、公衆に利用可能にされも、精製もされ得ない。
【0017】
特に、本発明は、以下の第一および第二の生物学的分子(配列番号によって列挙される)の対の1つ以上を含む組成物を提供する。
【0018】
First:第一;Second:第二
【0019】
【表2】





































































































したがって、本発明は、配列番号1〜8376の35074500個の可能な対の各々(1および2、1および3、1および4、1および5、・・・ 1および8375、1および8376、2および3、2および4、2および5、… 2および8375、2および8376、3および4、・・・ 1000および1001、1000および1002、・・・ 1000および8376、・・・ 8374および8375、8374および8376、8375および8376)を包含するが、スペースの都合で、その全てをここに列挙していない。
【0020】
配列番号1〜4056をなす分子がいかに生成されそして使用され得るかの詳細は、関連する国際出願から見出され得、これらの詳細は、ここで繰り返される必要はない。同様の原理が配列番号4057〜8376に当てはまる。
【0021】
本発明の組成物における配列番号1〜8376は、配列番号1〜8376に相同な配列(すなわち、配列同一性を有する)を含む分子により補充または置換され得る。特定の配列に依存して、同一性の程度は、好ましくは、50%よりも大きく(例えば、65%、80%、90%、またはそれ以上)、そして変異体および対立遺伝子改変体を含む。タンパク質間の配列同一性は、好ましくは、MPSRCHプログラム(Oxford Molecular)に装備されたSmith−Waterman相同性検索アルゴリズムによって、アフィンギャップ検索をギャップオープンペナルティ(gap open penalty)=12およびギャップ伸長ペナルティ(gap extension penalty)=1で使用して決定される。
【0022】
本発明の組成物における配列番号1〜8376は、配列番号1〜8376のフラグメントを含む分子によって補充または置換され得る。このようなフラグメントは、その分子由来の少なくともn個の連続するモノマーを含むべきであり、そして特定の配列に依存して、nは、(i)タンパク質分子については、好ましくは、そのフラグメントがその配列からのエピトープを含むように7またはそれ以上(例えば、8、10、12、14、16、18、20、またはそれ以上)であり、または(ii)核酸分子については、10またはそれ以上である(例えば、12、14、15、18、20、25、30、35、40またはそれ以上)のいずれかである。
【0023】
その組成物が、異なる新生形態または成熟形態で存在するタンパク質を含む場合、成熟形態のタンパク質が好ましくは使用される。例えば、シグナルペプチドを欠失するNspAタンパク質の成熟形態(配列番号4008〜4033;WO96/29412;図29)が使用され得る。
【0024】
タンパク質分子の場合、本発明の組成物における配列番号1〜8376は、そのタンパク質に結合する抗体によって補充または置換され得る。この抗体は、モノクローナル抗体かまたはポリクローナル抗体であり得る。
【0025】
核酸分子の場合、本発明の組成物における配列番号1〜8376は、Neisseriaの核酸に、好ましくは、「高いストリンジェンシー」条件下で(例えば、0.1×SSC、0.5%SDS溶液において、65℃)、ハイブリダイズし得る核酸によって補充または置換され得る。
【0026】
組成物中の任意の核酸が種々の形態(例えば、一本鎖、二本鎖、ベクター、プローブなど)をとり得ることは明らかである。さらに、用語「核酸」は、DNAおよびRNAを含み、そしてまた、それらのアナログ(例えば、改変された骨格を含むもの)、およびまたペプチド核酸(PNA)などを含む。
【0027】
特定の実施形態において、その組成物は、異なるNeisseria種(例えば、1つ以上のN.meningitidis分子および1つ以上のN.gonorrhoeae分子)由来の分子を包含する。いくつかの実施形態において、その組成物は、同じ種の異なる血清型および/または菌株由来の分子(例えば、N.meningitidisのA株およびB株)を含み得る。さらなる実施形態は、異なる菌株由来の1つ以上のN.meningitidis分子、およびまた1つ以上のN.gonorrhoeae分子の混合物を含む。
【0028】
多くのタンパク質は、異なる種、血清群、およびN.meningitidisおよびN.gonorrhoeaeの菌株(例えば、配列番号52、54、58)間で比較的保存されている。PCT/IB00/00642は、これらのタンパク質における保存された領域のより多くの詳細な実験分析を含む。最大の菌株間認識および反応性を確実にするために、異なるNeisseria種、血清型、および菌株間で保存されているタンパク質の領域が、本発明の組成物において使用され得る。したがって、本発明は、Neisseriaの大部分にわたって、特に、N.meningitidisおよびN.gonorrhoeaeに共有されているアミノ酸配列のストレッチを含むタンパク質を提供する。したがって、好ましくは、その組成物は、Neisseriaタンパク質のフラグメントを含むタンパク質(好ましくは、配列番号1〜8376のタンパク質、またはより好ましくは、配列番号1〜4002のタンパク質)を含む。ここで、そのフラグメントは、n個の連続する保存されたアミノ酸からなる。特定のタンパク質に依存して、nは7またはそれ以上(例えば、8、10、12、14、16、18、20、またはそれ以上)からなる。そのフラグメントは、好ましくは、Neisseriaタンパク質の抗原性または免疫原性領域を含む。「保存された」アミノ酸は、少なくともx%のNeisseria(または好ましくは少なくともx%の、N.meningitidisおよびN.gonorrhoeae菌株の組み合わせ)の特定のNeisseriaタンパク質に存在する1つである。xの値は、50%以上、例えば、66%、75%、80%、90%、95%またはさらに100%(すなわち、アミノ酸が全てのNeisseriaにおける問題のタンパク質に見出される)であり得る。アミノ酸が特定のNeisseriaタンパク質において「保存されている」か否かを決定するために、複数の異なるNeisseria(「参照集団」)由来の問題のタンパク質の配列中のアミノ酸残基を比較することが必要である。「参照集団」の適切な定義は、PCT/IB00/00642に見出され得る。異なるNeissieriaeのアミノ酸配列は、容易に、コンピュータを使用して比較され得る。これは、代表的には、CLUSTAL(Thompsonら(1994)Nucleic Acids Res 22:4673−4680;Trends Biochem Sci (1998)23:403−405)または好ましくは、PILEUP(GCG Wisconsinパッケージの一部、好ましくは、バージョン9.0)のようなアルゴリズムを使用して、多数の配列のアラインメントを包含する。保存されたアミノ酸は、複数の配列アラインメント−整列された配列の大部分が特定のアミノ酸を含む問題のアミノ酸位置−において容易に明らかである。保存されたアミノ酸は、BOXSHADE(例えば、NIHからオンラインで入手可能)、PRETTYBOX(GCG Wisconsin、Version10)、またはJALVIEW(EBIからオンラインで入手可能)のようなプログラムを使用して、より視覚的に明らかである。
【0029】
したがって、本発明に従う特定の組成物は、以下のものを含む:
・配列番号1〜4002から選択される2つ以上の生物学的分子;
・配列番号1〜4002から選択される1つ以上の生物学的分子と配列番号4003〜8376から選択される1つ以上の生物学的分子の組み合わせ;
・配列番号1〜4002から選択される1つ以上の生物学的分子とNspAタンパク質(WO96/29412に開示されるもの;本願明細書の図29もまた参照のこと)(好ましくは、成熟形態)との組み合わせ;
・配列番号1〜8376(好ましくは、配列番号1〜4002)から選択される1つ以上の生物学的分子とトランスフェリン結合タンパク質A(TbpA)および/またはB(TbpB)(例えば、WO00/25811に開示されるTbpAおよびTbpB(またはそれらの免疫原性フラグメント))との組み合わせ;
・配列番号1〜4002から選択されるタンパク質の1つ以上のフラグメントと好ましくは、保存されたアミノ酸のストレッチを含むフラグメントとの組み合わせ;
・異なるタンパク質の組み合わせであって、ここで、その組み合わせは、全体として、参照集団において各菌株によって認識される1つ以上のタンパク質を含むが、その組み合わせ中の各個々のタンパク質は、それ自体、参照集団において各菌株によって認識されないかもしれない、すなわち、参照集団の各メンバーは、少なくとも1つのタンパク質をその組み合わせにおいて認識する。
【0030】
本発明はまた、医薬としての使用のため(例えば、免疫原性組成物またはワクチン)または診断試薬としての本発明の組成物を提供する。本発明はまた、(i)Neisseria細菌による感染を処置または予防するための医薬;(ii)Neisseria細菌またはNeisseria細菌に対する抗体の存在を検出するための診断試薬;および/または(iii)Neisseria細菌に対して抗体を惹起し得る試薬の製造における組成物の使用を提供する。
【0031】
本発明はまた、患者を処置するための方法を提供する。この方法は、その患者に治療有効量の本発明の組成物を提供する工程を包含する。
【0032】
本発明はさらに、本発明に従う組成物を産生するためのプロセスを提供する。このプロセスは、1つ以上の配列番号1〜8376を、1つ以上の配列番号1〜8376と組み合わせる工程を包含する。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【図1−1】図1は、ORF6、7、13、65−1、72、73−1、105−1、137−1、143−1、および147−1の発現のためのSDS−PAGE結果を示す。左側のレーンは、分子量マーカーを示す(セットM1)。
【図1−2】図1は、ORF6、7、13、65−1、72、73−1、105−1、137−1、143−1、および147−1の発現のためのSDS−PAGE結果を示す。左側のレーンは、分子量マーカーを示す(セットM1)。
【図2】図2は、(A)ORF9についてのSDS−PAGE結果、(B)N.meningitidis外膜粒子調製物に対するウエスタンブロットにおけるN.meningitidis免疫反応性バンドの位置、(c)FACS分析を示す。
【図3】図3は、ORF2−1、5−1、22−1、132−1、および4の発現についてのSDS−PAGE結果を示す。左側のレーンは、分子量マーカーを示す(セットM1)。
【図4】図4は、ORF2についての親水性プロット(上段)、抗原性指数(中段)、およびAMPHI領域(下段)を示す。
【図5】図5は、ORF5についての親水性プロット(上段)、抗原性指数(中段)、およびAMPHI領域(下段)を示す。
【図6】図6は、ORF6についての親水性プロット(上段)、抗原性指数(中段)、およびAMPHI領域(下段)を示す。
【図7】図7は、ORF7についての親水性プロット(上段)、抗原性指数(中段)、およびAMPHI領域(下段)を示す。
【図8】図8は、ORF9についての親水性プロット(上段)、抗原性指数(中段)、およびAMPHI領域(下段)を示す。
【図9】図9は、ORF13aについての親水性プロット(上段)、抗原性指数(中段)、およびAMPHI領域(下段)を示す。
【図10】図10は、ORF15についての親水性プロット(上段)、抗原性指数(中段)、およびAMPHI領域(下段)を示す。
【図11】図11は、ORF22についての親水性プロット(上段)、抗原性指数(中段)、およびAMPHI領域(下段)を示す。
【図12】図12は、ORF23についての親水性プロット(上段)、抗原性指数(中段)、およびAMPHI領域(下段)を示す。
【図13】図13は、ORF27についての親水性プロット(上段)、抗原性指数(中段)、およびAMPHI領域(下段)を示す。
【図14】図14は、ORF28についての親水性プロット(上段)、抗原性指数(中段)、およびAMPHI領域(下段)を示す。
【図15】図15は、ORF32についての親水性プロット(上段)、抗原性指数(中段)、およびAMPHI領域(下段)を示す。
【図16】図16は、ORF65についての親水性プロット(上段)、抗原性指数(中段)、およびAMPHI領域(下段)を示す。
【図17】図17は、ORF72についての親水性プロット(上段)、抗原性指数(中段)、およびAMPHI領域(下段)を示す。
【図18】図18は、ORF73についての親水性プロット(上段)、抗原性指数(中段)、およびAMPHI領域(下段)を示す。
【図19】図19は、ORF76についての親水性プロット(上段)、抗原性指数(中段)、およびAMPHI領域(下段)を示す。
【図20】図20は、ORF79についての親水性プロット(上段)、抗原性指数(中段)、およびAMPHI領域(下段)を示す。
【図21】図21は、ORF89についての親水性プロット(上段)、抗原性指数(中段)、およびAMPHI領域(下段)を示す。
【図22】図22は、ORF105についての親水性プロット(上段)、抗原性指数(中段)、およびAMPHI領域(下段)を示す。
【図23】図23は、ORF106−1についての親水性プロット(上段)、抗原性指数(中段)、およびAMPHI領域(下段)を示す。
【図24】図24は、ORF132についての親水性プロット(上段)、抗原性指数(中段)、およびAMPHI領域(下段)を示す。
【図25】図25は、ORF137についての親水性プロット(上段)、抗原性指数(中段)、およびAMPHI領域(下段)を示す。
【図26】図26は、ORF138についての親水性プロット(上段)、抗原性指数(中段)、およびAMPHI領域(下段)を示す。
【図27】図27は、ORF143についての親水性プロット(上段)、抗原性指数(中段)、およびAMPHI領域(下段)を示す。
【図28】図28は、ORF147についての親水性プロット(上段)、抗原性指数(中段)、およびAMPHI領域(下段)を示す。
【図29−1】図29は、髄膜炎菌Bの種々の菌株からのNspAの配列可変性を示す。これらの配列は、WO96/29412のNspAに対する代替として使用され得る(配列番号4008−4033)。
【図29−2】図29は、髄膜炎菌Bの種々の菌株からのNspAの配列可変性を示す。これらの配列は、WO96/29412のNspAに対する代替として使用され得る(配列番号4008−4033)。
【図29−3】図29は、髄膜炎菌Bの種々の菌株からのNspAの配列可変性を示す。これらの配列は、WO96/29412のNspAに対する代替として使用され得る(配列番号4008−4033)。
【図30−1】図30は、間接的蛍光フローサイトメトリーによるポリクローナル抗rNspAの被嚢化menB菌株および非被嚢化menB菌株への結合を示す。
【図30−2】図30は、間接的蛍光フローサイトメトリーによるポリクローナル抗rNspAの被嚢化menB菌株および非被嚢化menB菌株への結合を示す。
【図31A−1】図31は、被嚢化された菌株8047、CU385およびM986(31A)、ならびに非被嚢化菌株BZ232、MC58、NG3/88およびNGB165(31B)についての同様のデータを示す。
【図31A−2】図31は、被嚢化された菌株8047、CU385およびM986(31A)、ならびに非被嚢化菌株BZ232、MC58、NG3/88およびNGB165(31B)についての同様のデータを示す。
【図31B−1】図31は、被嚢化された菌株8047、CU385およびM986(31A)、ならびに非被嚢化菌株BZ232、MC58、NG3/88およびNGB165(31B)についての同様のデータを示す。
【図31B−2】図31は、被嚢化された菌株8047、CU385およびM986(31A)、ならびに非被嚢化菌株BZ232、MC58、NG3/88およびNGB165(31B)についての同様のデータを示す。
【図31B−3】図31は、被嚢化された菌株8047、CU385およびM986(31A)、ならびに非被嚢化菌株BZ232、MC58、NG3/88およびNGB165(31B)についての同様のデータを示す。
【図32】図32は、NspAの二次構造のモデルを示す。
【図33A】図33は、4価の混合物を使用する非被嚢化菌株M7(37A)およびエタノール処置(カプセルを破壊するため)菌株2996、N44776、MC58、1000、BZ232、BZ133、NG6/88、BZ198、NG3/88、297−0、BZ147、およびBZ169(37B)のFACS分析を示す。
【図33B−1】図33は、4価の混合物を使用する非被嚢化菌株M7(37A)およびエタノール処置(カプセルを破壊するため)菌株2996、N44776、MC58、1000、BZ232、BZ133、NG6/88、BZ198、NG3/88、297−0、BZ147、およびBZ169(37B)のFACS分析を示す。
【図33B−2】図33は、4価の混合物を使用する非被嚢化菌株M7(37A)およびエタノール処置(カプセルを破壊するため)菌株2996、N44776、MC58、1000、BZ232、BZ133、NG6/88、BZ198、NG3/88、297−0、BZ147、およびBZ169(37B)のFACS分析を示す。
【図33B−3】図33は、4価の混合物を使用する非被嚢化菌株M7(37A)およびエタノール処置(カプセルを破壊するため)菌株2996、N44776、MC58、1000、BZ232、BZ133、NG6/88、BZ198、NG3/88、297−0、BZ147、およびBZ169(37B)のFACS分析を示す。
【図33B−4】図33は、4価の混合物を使用する非被嚢化菌株M7(37A)およびエタノール処置(カプセルを破壊するため)菌株2996、N44776、MC58、1000、BZ232、BZ133、NG6/88、BZ198、NG3/88、297−0、BZ147、およびBZ169(37B)のFACS分析を示す。
【図33B−5】図33は、4価の混合物を使用する非被嚢化菌株M7(37A)およびエタノール処置(カプセルを破壊するため)菌株2996、N44776、MC58、1000、BZ232、BZ133、NG6/88、BZ198、NG3/88、297−0、BZ147、およびBZ169(37B)のFACS分析を示す。
【図33B−6】図33は、4価の混合物を使用する非被嚢化菌株M7(37A)およびエタノール処置(カプセルを破壊するため)菌株2996、N44776、MC58、1000、BZ232、BZ133、NG6/88、BZ198、NG3/88、297−0、BZ147、およびBZ169(37B)のFACS分析を示す。
【図33B−7】図33は、4価の混合物を使用する非被嚢化菌株M7(37A)およびエタノール処置(カプセルを破壊するため)菌株2996、N44776、MC58、1000、BZ232、BZ133、NG6/88、BZ198、NG3/88、297−0、BZ147、およびBZ169(37B)のFACS分析を示す。
【図33B−8】図33は、4価の混合物を使用する非被嚢化菌株M7(37A)およびエタノール処置(カプセルを破壊するため)菌株2996、N44776、MC58、1000、BZ232、BZ133、NG6/88、BZ198、NG3/88、297−0、BZ147、およびBZ169(37B)のFACS分析を示す。
【図34】図34は、1:400(34A)、1:200(34B)、および1:100(34C)希釈で、5価の混合物を使用してのM7菌株のFACS分析を示す。
【図35−1】図35は、個々の抗原および4つの組合せに対するFACSデータを示す。
【図35−2】図35は、個々の抗原および4つの組合せに対するFACSデータを示す。
【実施例】
【0034】
(実施例)
(実施例1−発現および精製実験)
WO99/24578に開示された、ORF6、7、13、65−1、72、73−1、105−1、137−1、143−1および147−1を、以下の表に示されるように、E.coli中で発現させ、そして精製した。
【0035】
【表3】


注意:ORF73−1は、フラグメント(アミノ酸41〜161)として発現された。
【0036】
これらの10個のORFを発現させるために使用されたプロトコールは、本質的にWO99/24578に記載されたプロトコールと同じであり、pGEXおよびpETベクターを使用した。ORFを増幅するために使用したPCRプライマーの例は、以下の表の通りである。
【0037】
【表4】

発現された10個のORFについてのSDS−PAGEの結果を、図1に示す。
【0038】
ORF7−His融合物を使用して、マウスに免疫した。本質的にWO99/24578に記載されるように、この血清がELISAアッセイにおいて使用され、そして陽性結果を与えた。
【0039】
以下のタンパク質もまた、発現および精製された(結果は示さず)。
【0040】
【表5】


以下のPCRプライマーを使用して、これらのORFを増幅した。
【0041】
【表6】


これらの各ORFを、1以上の配列番号1〜8376と組合せ得る。
【0042】
(実施例2−ORF9の発現および精製)
WO99/24578に開示されたORF9を、pETベクター中にクローン化し、そしてE.coliにおいて発現させた。精製されたORF−His融合タンパク質を、図2Aに示されるように、SDS−PAGEによって分析した。精製されたORF9−Hisを用いて、マウスに免疫し、そしてウェスタンブロット分析(図2B)、FACS分析(図2C)、およびELISAアッセイのために血清を使用した。使用されたプロトコールは、WO99/24578に示されたプロトコールと本質的に同じである。
【0043】
この結果によって、ORF9が表面に露出されるタンパク質であることが確認された。ORF9は、1つ以上の他の配列番号1〜8376と組合せるために適切であり得る。
【0044】
(実施例3−さらなる発現実験)
さらなる発現および精製実験を、以下の表に示されるように、WO99/24578に開示されたORF2−1、5−1、22−1、および132−1について、E.coli中で実施した。
【0045】
【表7】


これらの4つのORFを発現させるために使用されたプロトコールは、本質的にWO99/24578に記載されたプロトコールと同じであり、pGEXおよびpETベクターを使用した。ORFを増幅するために使用したPCRプライマーの例は、以下の表の通りである。
【0046】
【表8】


発現された4個のORFについてのSDS−PAGEの結果を、図3に示す。
【0047】
これらの各ORFを、1以上の配列番号1〜8376と組合せ得る。
【0048】
(実施例4−ORF4リポタンパク質の発現および精製)
ORF4は、リポペプチドシグナル配列(LPSS)を含むとして、WO99/24578に開示されている。全長ORFを、以下のPCRプライマーを使用して増幅した。
orf4−L(順方向)
CGCGGATCCCATATGAAAACCTTCTTCAAAACCorf4−L(順方向)
CCCGCTCGAGTTATTTGGCTGCGCCTTC。
【0049】
増幅されたDNAフラグメントを、C末端Hisタグ化融合物として、発現のためにベクターpET21b+中にクローン化した。pET21b+orf4−LPSSを含むE.coliの対数期培養物を、1.0mMのIPTGを用いて、3時間30℃にて誘導し、8000gで10分間遠心分離することによって収集し、そしてPBS中に再懸濁した。懸濁物を、氷上で音波破砕し、そしてTriton X−114を、最終濃度0.6%(v/v)まで添加した。この物質を、氷上で20分間インキュベートし、ついで、相分離(高い程度の曇りによって示される)が生じるまで、37℃で加温した。20℃で10,000gでの10分間の遠心分離後、上の水相を捨て、そして細菌のペレットを破壊することなく、下の界面活性剤相を収集した。この界面活性剤相に対して、13容量の20mMヒスチジン、2mM EDTA、30mM NaCl(pH5.8)を添加した。これを、4℃で10分間遠心分離し、そしてこの上清を、Q Sepharose Fast Flow樹脂(Pharmacia)を使用して、4℃で30分間、バッチ式(batchwise)で合わせた。この混合物を遠心分離し、この上清を保持させ、そしてこの樹脂を、20mMヒスチジン、2mM EDTA、30mM NaCl(pH5.8)、Triton X−100 0.3%(v/v)で洗浄し、そして同じ緩衝液中において1M NaClで溶出した。Orf4リポタンパク質の大部分が、結合後に得られた上清において見出された。最終的な精製を、Hi−TrapTM Q(Pharmacia)でのクロマトフラフィーによって達成した。結合上清を、0.1M HClの添加によってpH7.0に調整し、そして50mM Tris−HCl(pH7.0)、2mM EDTA、0.3% Triton X−100、10mM NaClで平衡化したHi−TrapTM Qカラムに適用した。このカラムを、5.0mlの平衡緩衝液で洗浄し、そして10mMから1MまでのNaCl勾配を適用した。電気泳動的に異なる2つの形態のタンパク質が溶出された。一方は、洗浄液中であり、そして他方は、150mM NaClと300mM NaClとの間のNaCl勾配中である。洗浄液中に得られたタンパク質を、マウスの免疫のために使用した。この形態のタンパク質はおそらく、完全にプロセスされた脂質化(lipidated)分子を表す。
【0050】
31kDaの精製リポタンパク質が、図3において見出され得る。ORF4は、1以上の他の配列番号1〜8376と組合せるのに適切であり得る。
【0051】
(実施例5−コンピューター予測)
ORF2、5、6a、7、9、13a、15、22、23、27、28、32、65、72、73、76、79、89、105、106−1、132、137、138、143、および147(WO99/24578において開示される)のコンピューター分析を実施した。図4〜28は、これらの各ORFに関する、親水性プロット(上段)、抗原性指数プロット(中段)、およびAMPHI分析(下段)を示す。AMPHIプログラムを使用して、T細胞エピトープを推定した[Gaoら(1989)、J.Immunol.143:3007;Robertsら(1996)AIDS Res Hum Retrovir 12:593;Quakyiら(1992)Scand J Immunol、補遺11:9]。AMPHIプログラムは、DNASTAR,Inc.(1228 South Park Street、Madison、Wisconsin 53715 USA)のProteanソフトウェアパッケージで利用可能である。
【0052】
これらの各ORFを、1以上の他の配列番号1〜8376と組合せ得る。
【0053】
(実施例6−四価混合物)
タンパク質919(WO99/57280)、225(WO99/57280)、ORF4(WO99/24578、実施例26)、およびORF40(WO99/36544、実施例1)の混合物を生成し、そしてELISAおよびFACSによってアッセイした。13試験菌株に対するELISA力価は、以下の通りであった。
【0054】
【表9】


FACSの結果を、図33に示す。この四価混合物が、使用された特定のmemB菌株とは無関係に、優れた結果を与えることは明らかである。さらに、菌株2996中で、この混合物に対して惹起された抗血清は、希釈率1:2048まで殺菌性である。
【0055】
(実施例7−五価混合物)
タンパク質ORF4−L(脂質化タンパク質、上記実施例4を参照のこと)、ORF37(WO99/24578、実施例1)、ORF40(WO99/36544、実施例1)、502(WO99/57280、687〜690頁)、および8(WO99/57280、165〜167頁)の混合物を生成した。13試験菌株に対するELISA力価は、以下の通りであった。
【0056】
【表10】


FACSの結果を、図34に示す。この五価混合物が、使用された特定のmemB菌株とは無関係に、優れた結果を与えることは明らかである。さらに、菌株2996中で、この混合物に対して惹起された抗血清は、静菌性である。
【0057】
(実施例8−三価混合物)
タンパク質ORF1(例えば、WO99/24578の実施例77;WO99/55873もまたを参照のこと)、「287」(例えば、WO99/57280の図21;その中の配列番号3103〜3108もまたを参照のこと)、および「919」(例えば、WO99/57280の図23およびその中の配列番号3069〜3074)を組合せ、そしてAl(OH)3でアジュバント処理(adjuvant)した。このタンパク質は、
MemBの菌株2996由来である。
【0058】
この混合物をまた、MenC多糖結合抗原[例えば、Costantinら(1992)Vaccine 10:691−698]と組合せた。OMVをコントロールとして使用した。
【0059】
この混合物を、相同な菌株に対する殺菌アッセイに使用し、そしてまた異種MemB菌株に対する殺菌アッセイにも使用した。力価は、以下の通りであった。
【0060】
【表11】


(実施例9−タンパク質287、919、および953)
タンパク質287、919、および953は、WO99/57280に開示される。N.meningitidis血清型Bの菌株2996由来のこれらのタンパク質を発現させ、そして単独または組合せにおいて、菌株2996に対する殺菌アッセイにおいて試験した。2996由来のOMVを、陽性コントロールとして使用した。
【0061】
【表12】


図35は、個々の抗原および4つの組合せに対するFACSデータを示す。
【0062】
抗原混合物が、単離物における抗原よりも有効であること、そして特に、919+953の組合せが、驚くべき程優れた結果を与えることが明らかである。
【0063】
2996由来の個々の抗原および組合せをまた、異なる血清型A、BおよびCの菌株に対して試験した(すなわち、異種チャレンジ)。殺菌力価は、以下の通りであった。
【0064】
【表13】


抗原混合物が、交差菌株活性を付与する際に有用であることが明らかである。
【0065】
第2の実験のセットでは、個々の抗原についての力価は以下の通りであった。
【0066】
【表14】


本実施例において使用された3つのタンパク質を、以下の形態で発現させ、そして使用した:
(1)タンパク質287を、GST融合物としてE.coli中で発現させた;
(2)タンパク質919を、そのリーダーペプチドを伴なわず、その成熟N末端システインを伴なわず、そしていかなる融合パートナー(「919−untag」)をも伴なわずに、E.coli中で発現させた;および
(3)タンパク質953を、ヒスチジンタグを使用して発現させた。
【0067】
これらの免疫を、フロイントアジュバントと共に投与した−最初にCFAを含み、そして最後の2つはIFAを含んだ。
【0068】
(実施例10−さらなる多価の組合せ)
さらなる抗原の組合せを、CD1マウスにおいて試験した。
【0069】
【表15】


*:「his」は、ヒスチジンタグ化タンパク質での発現および免疫を示す;
「ORF4−L」は、ORF4の脂質化形態である;
「GST」は、GST融合タンパク質での発現および免疫を示す;
「919−untag」は、実施例9に規定される通りである;
「MenC glycoconj」は、実施例8に記載される、MenC複合糖質である。
【0070】
さらなる抗原の組合せを、モルモットで試験した。
【0071】
【表16】


明らかに、組合せは、優れた免疫学的結果を与える。
【0072】
(実施例11−NspA組み合わせ)
NspAタンパク質は、WO96/29412において開示され、そして本明細書中に配列番号4008〜4033として表される。このタンパク質の学術文献の開示[Martinら(1997)J.Exp.Med.185 1173−1183]は、このタンパク質が、Neisseria菌株間で高度に保存されること(250の髄膜炎菌A、B、およびC菌株と抗NspA抗体との交差反応性は99%である)、そしてまた生細菌での致死的なチャレンジに対する効率的な防御を報告した。ミョウバン上に吸着されたNspAは、ウサギおよびサルにおいて血清髄膜炎殺菌抗体応答を惹起するとの報告もある[Martinら(1998)Abstract of 11th International pathogenic Neisseria conference.page
198]。これらのデータに基づいて、rNspA(組換えNspA)は、全血清群により引き起こされる髄膜炎菌疾患の予防のためのワクチンとして開発されつつある。
【0073】
しかし、配列保存に関わらず、驚くべきことに、rNspA細胞表面エピトープが、以下で試験した血清群B菌株の65%でしか検出されないこと、および抗NspA殺菌活性に対する感受性もまた、Martinらにより報告されたより低いことが発見された。これらの結果は、Martinらと対照的であり、そしてrNspAに基づく髄膜炎菌Bワクチンが、有効であるために、さらなる抗原で補充される必要があることを示唆する。
【0074】
本実施例で試験したN.meningitidis菌株を、30年を超える期間にわたって異国に居住している患者から単離した(72頁の表[表18]を参照のこと)。これらの菌株を、多遺伝子座イソ酵素型決定(typing)[Seilerら(1996)Mol.Microbiol.19:841−856]および/または多遺伝子座配列決定(typing)[Maidenら(1998)PNAS USA 95:3140−45]により定義されるように、広範に分岐する「クローン」群の代表であるように選択した。菌株M7(菌株NMBより誘導される)は、被嚢多糖生合成をブロックするトランスポゾン挿入を含む[Stephensら(1991)Infect.Immun.59:4097−4102]が、しかし他の菌株は、全て、被嚢を有する。
【0075】
Martinら(1997)におけるヌクレオチド配列に基づいて、PCRプライマーを設計し、そして菌株8047由来のNspA遺伝子を増幅した。プロモーター領域を含む配列をpSK+プラスミドにクローニングした(rNspA)。シグナル配列の一部がポリヒスチジンタグと置換されているタンパク質をコードするプラスミドpTrc.NspA.1もまた使用した。両方のプラスミドをE.coli 菌株BL21(DE3)で発現させ、そしてタンパク質を精製した。E.coliでは、rNspAは、外膜と結合しているよりもむしろ、分泌されている。このタンパク質を、55%w/v硫酸アンモニウムでの沈降により培養培地から部分的に精製し、そしてウェスタンブロットにより確認された18.6kDaの見かけ分子量を有した。
【0076】
2つの形態のNspA(rNspAおよび変性HisタグNspA)を、6週齢雌CD−1マウスに注入し、抗血清を惹起させた。これらがN.meningitidis菌株Bの表面に結合する能力を、間接的蛍光アッセイのフローサイトメトリー検出を用いて決定した[Granoffら(1998)J.Immunol.160:5028−36]。菌株NMBおよび菌株M7(NMBの無被嚢変異体)についての結果を図30に示す。予期されるように、抗群B多糖mAb SEAM−3[Granoffら]は、有被嚢菌株にのみ結合するが、一方、陽性抗P1.2(PorA)コントロールmAbは、両方の菌株に結合する。rNspAに対して惹起された抗血清は、両方の菌株に結合し得る。しかし、HisタグNspAに対する抗血清は、陰性結果を与えた。これらの抗血清はまた、菌株8047、菌株CU385および菌株M986についても陰性であった(図31A)が、しかしウェスタンブロットにより、これらの抗血清は、陽性結果を与えた。
【0077】
これらのデータは、HisタグNspAを用いて調製された抗体は、インビボで細胞表面上で見出されるように、変性NspAに存在するエピトープを認識するが、しかしネイティブなNspAは認識しないことを示唆する。対照的に、rNspAに対して調製された抗体は、コンフォメーショナルなNspAエピトープを認識するようである。
【0078】
フローサイトメトリーアッセイを、72頁の表[表18]に示される菌株に適用した。図31Aは、rNspAに対して惹起されたマウス抗体が菌株8047(nspA遺伝子がクローニングされた菌株)および菌株CU385の表面に結合するが、M986には結合しないことを示す。図31Bは、菌株BZ232、MC58、NG3/88およびNGP165について同様の陰性結果を示す。しかし、これらの陰性の場合の全てにおいて、抗被嚢mAbコントロールは陽性であった。
【0079】
72頁の表[表18]は、フローサイトメトリーの結果を要約する。NspAは、試験した全てのインタクトなN.meningitidis菌株の表面に到達可能であると報告されている[Martinら(1997)J.Exp.Med 185 1173−1183;Planteら(1999)Infect.Immun.67:2855−61]が、17の試験した菌株のうち11(65%)のみが抗rNspA血清と反応した。所定の菌株における細胞表面発現および分類(血清型、サブタイプ、または電気泳動タイプによる)の間、またはこれらと単離の年もしくは国との間に明らかな関係はなかった。
【0080】
抗rNspA血清との反応性の差異を説明しようとして、6つの陰性菌株の5つ(BX232、NG3/88、NGP165、M136、およびM986)および陽性菌株の3つ(8047、CU385、およびNG6/88)由来のnspA遺伝子を配列決定した。6番目の陰性菌株(MC58)の配列は、全ゲノム配列から既に入手可能であった。
【0081】
全10菌株のnspA配列は高度に保存され、Martinらのプロトタイプ配列からせいぜい5ヌクレオチドの変動であった。最も変動していたタンパク質は、3アミノ酸のみの差異であった(図29を参照のこと)。1つの例外があるが、アミノ酸改変体の全てが、このタンパク質の個々のセグメントに同じそれぞれの残基を含んだ。これらは、C末端の50残基中に、成熟タンパク質に存在しないシグナルペプチド、および2つの短いセグメントを含む。これらの差異は、陽性であった菌株および陰性であった菌株において同一の改変体配列の例があるので、抗血清結果を説明しない(M136および8047;NGP165およびNG6/88;MC58およびCU385を比較する)。
【0082】
遺伝子の欠失も多型も抗血清の結果を説明しなかったので、5つの菌株(8047、CU385およびNG6/88−全て抗rNspAについて陽性である;M986およびM136−ともに陰性である)の外膜中のNspAタンパク質の量を試験した。細菌細胞ペレットをサルコシン酸ラウリルで抽出し、そして不溶性外膜画分を分析した。18.6kDaバンドが5つの菌株全部について見られ、そしてこれは、ウェスタンブロットにより抗HisタグNspAと交差反応性であった。従って、nspA発現における菌株の差異もまた、結果を説明することができなかった。
【0083】
抗rNspAが細菌細胞表面に結合する能力は、存在する多糖被嚢の量によって影響され得た。従って、17試験菌株により生成された被嚢多糖の量をインヒビションELISAによって評価した。
【0084】
被嚢多糖の抽出物を、Cornら[J.Infect.Dis.(1993)167:356−64]により記載の方法に基づいて調製した。個々の細菌クローンを、7mlのMueller−Hintonブロス中でOD620が0.5〜0.7になるまで増殖させ
た。細菌を5000gで15分間の遠心分離によって採集し、0.6mlの10mM Hepes、pH8.0中で洗浄し、次いで10mM EDTAを含む0.6mlの同じ緩衝液中で再懸濁し、そして37℃で1時間インキュベートした。細胞を10,000gで1分間ペレット化し、そして上清中に放出された髄膜炎菌B多糖抗原の相対量を、Azmiら[Infect.Immun.(1995)63:1906−13]により記載のように行ったインヒビションELISAによって決定した。ELISA中の固相抗原は、アビジンコーティングマイクロタイタープレートに吸着された髄膜炎菌B多糖−ADH−ビオチン[Granoffら]であった。髄膜炎菌B多糖反応性ヒトパラプロチンLIP[Azmiら]を、一次抗体として使用した(0.2μg/ml)。インヒビターの非存在下で、この抗体濃度は、基質と30分インキュベートした後に約0.7〜1.0のODを与えるのに十分であった[Azmiら]。上清に放出された多糖の力価を、抗体結合50%阻害を生じた上清の希釈を決定することにより測定した。本アッセイ中のコントロールは、菌株M7(これはいかなる被嚢多糖も生成しない)から調製したEDTA抽出物、および精製された髄膜炎菌B多糖を含んだ。被嚢多糖のすべてがEDTA処理によって放出されたことを確実にするために、同じインヒビションELISAを、被嚢抽出物と同じ緩衝液および容積に再懸濁した細胞ペレットを用いて実施した。細胞ペレットからの観察可能な阻害活性は、被嚢抽出物で見られる活性の0%と10%との間であった。後の方の高い方の百分率は、最も多い量の被嚢を生成する菌株の細胞ペレットから生じた。
【0085】
各菌株についての結果を72頁の表[表18]に示す。平均して、6つの陰性抗rNspA菌株が、11の陽性菌株よりも3倍多い被嚢多糖を生じた(それぞれの相互幾何平均希釈は676対224、p<0.05)。これは、抗血清を用いて得られた結果を説明し得る−おそらく、より多い量の被嚢の存在は、抗rNspA抗体がNspAエピトープ(より低い量の被嚢を有する菌株では、到達可能である)に結合する能力を妨害し得た。
【0086】
抗rNspA抗血清の補体依存性殺菌活性を、Mandrellら[J.Infect.Dis.(1995)172:1279−89]により記載のアッセイと同様のアッセイを用いて試験した。補体供給源は、B群多糖に対する検出可能な抗被嚢抗体がなく、そして試験菌株に対する固有の殺菌活性がない、健常な成人由来のヒト血清であった。血清殺菌力価を、0時間でのコントロールCFU/mlに比較して、反応混合物中の細菌の60分インキュベーション後にCFU/mlの50%減少を生じる血清希釈として定義した。
【0087】
代表的には、陰性コントロール抗体とインキュベートした細菌は、60分のインキュベーションの間にCFU/mlの150〜200%増加を示した。陽性コントロール抗体[抗被嚢IgG2a mAb SEAM12、Granoffら]は、全17菌株に対して補体媒介殺菌活性を示した。対照的に、フローアッセイにより抗rNspA抗血清結合について陰性であった6つの菌株は、抵抗性であり、殺菌効果も静菌効果も示さなかった。他の11の陽性菌株のうち10は、補体および抗血清により殺傷された(SWZ107、J351、CU385、NG6/88、BZ198、H44/76、NMB,および8047)か、または阻害された(H355およびS3446);しかし、菌株1000は影響を受けなかった。
【0088】
抗rNspA抗血清が髄膜炎菌B菌血に対する受動防御を与える能力を、Saukkonen[J.Infect.Dis.(1988)158:209−21]から採用した方法を用いて乳児ラットにおいて試験した。簡潔には、6〜7日齢のラットを無作為に養母に分配した。5〜6匹の動物の群を100μlのおよそ5000CFUのN.meningitidis B群細菌で腹腔内(IP)でチャレンジした。NspA表面エピトープについて陰性である1つの菌株(M986)および陽性菌株(8047)を試験した。これらはそれぞれ、乳児ラットにおいて3回継代している。投与の直前に、細菌懸濁液を、試験またはコントロール抗体の異なる希釈物と混合した(陽性コントロール:抗被嚢mAb;陰性コントロール:抗E.coli)。チャレンジの18時間後、血液標本を心臓から得た。アリコートをチョコレート寒天上にプレートし、そしてCFU/mlを5%CO2中の37℃での一晩のインキュベーション後に決定した。
【0089】
種々の同時投与した抗体の防御活性は、以下のとおりであった:
【0090】
【表17】


観察され得るように、ラットあたり2μg用量の陽性抗被嚢コントロールは、両菌株に対して防御的であった。1:5または1:25希釈の抗rNspA抗血清は、菌株8047によって引き起こされた菌血症に対して防御した。しかし、いずれの希釈度も、M986菌血症の防御において効果的でなかった。
【0091】
従って、Martinらの肯定的結論にもかかわらず、NspAは、髄膜炎菌B感染の防御において効果的でないようである。約1/3の菌株が、インビトロで増殖させた場合にNspAエピトープの細胞表面発現を減少し、抗NspA誘導性の補体媒介性の溶菌に耐性であり、そして受動抗血清免疫に耐性である。これらの菌株は、大量の被嚢多糖を産生し、従って、最も高いビルレンスを有することが予測された。従って、NspAのみを含有するワクチンが髄膜炎菌Bに対する広範な防御免疫を付与する能力は疑われるべきである。
【0092】
従って、NspA[配列番号4008〜4033;図29]を含む組成物は、有利には、さらなる抗原を含む。従って、本発明の好ましい局面は、NspAタンパク質の1以上のさらなるNeisseria抗原との組み合わせである。
【0093】
(実施例12−NspAフラグメント)
NspAの二次構造のモデルを図32に示す。これは、8つの膜貫通β鎖および4つの表面露出連結ループを含む。これは、多くのβバレルポーリンに特徴的な、NspAの疎水性アミノ酸および親水性アミノ酸が交互するパターンにあてはまる[Weissら(1990)FEBS Letts 267:268−272]。
【0094】
このモデルの灰色の影を付けた領域は、非縮重性GenBank CDSのBLAST検索において同定されたN.meningitidis、N.gonorrhoeae、N.flavius、N.siccaおよびH.influenzae由来の混濁(opacity)タンパク質(Opa)のコードアミノ酸配列に対して>40%の同一性および>70%の類似性であるセグメントを示す。この交互する配列は予測された両親媒性β鎖であり;縦方向のセグメントは膜貫通セグメントに対応し;図の上部は、ループ1〜4と標識した、表面露出セグメントに対応する。
【0095】
Martinらに従って、NspAの推定アミノ酸配列と他のタンパク質の推定アミノ酸配列との間の唯一の有意な相同性は、このタンパク質のC末端近辺の2つの小さいセグメント(約20アミノ酸)における、Neisseria混濁タンパク質(Opa)ファミリーとの弱い相同性である。しかし、GenBankでのNspAのN末端およびC末端の別々の比較は、NspAとN.meningitidis、N.gonorrhoeae、N.flavius、N.siccaおよびH.influenzae由来のOpaタンパク質との間の、高い程度の相同性(>40%の同一性および>70%の類似性)を明らかにする。これらのOpaタンパク質は、8つの膜貫通セグメントおよびポーリンのβバレル形態に類似する膜中のβバレル形態を有する、内在型の膜タンパク質と考えられる[Merkerら(1997)Mol.Microbiol.23:281−293]。界面活性剤不溶性の膜調製物中のNspAの存在は、NspAが、外側の膜に位置することを示し、これは、このモデルに示されたOpa様膜形態と一致する。さらに、Opaタンパク質のセグメントに最も相同性のNspAセグメントは、図32の影を付けた領域に示される推定膜貫通セグメントである。
【0096】
Neisseriaの混濁タンパク質は、特定の条件下で、防御抗体を誘発する。しかし、被嚢性細菌中の混濁タンパク質の抗体接近性の制限、露出ループセグメントにおけるアミノ酸配列の可変性、および臨床感染の間のタンパク質発現の時期的変動の問題は、一貫して防御抗体を誘発するOpaの能力を制限する[Malomyら(1998)J.Infect.Dis.172:1279−89]。対照的に、図32におけるNspAの表面に露出されたループにおいて、ほとんどまたは全くアミノ酸の変動はないようである。しかし、たとえN.meningitidisおよびN.gonorrhoeaeの2つの種におけるそれぞれのアミノ酸配列が92%同一であるにもかかわらず、試験した全ての髄膜炎菌株と反応した抗N.meningitidis NspAモノクローナル抗体のパネルは、限定された数のN.gonorrhoeae菌株としか反応しないことが、近年報告された。髄膜炎菌株および淋菌株のそれぞれのNspA配列を比較する場合(図29)、それぞれのアミノ酸の差異の全てが、疎水性または電荷に変化を生じ、そしてこれらは、推定される表面に露出される連結ループに位置される(図32)。この知見は、N.meningitidisに高度に保存されている、NspAにおける連結ループが、ネイティブNspAに結合する抗体の重要なエピトープであり得ることを示唆する。従って、この分子のこれらのセグメントは、防御抗体との相互作用二間して最も関心深いものであるようである。しかし、NspAの推定表面ループは、例えば、PorAおよびOpcの高度に免疫原性の外部ループ(24〜45アミノ酸)と比較して、比較的小さい(10〜14アミノ酸)。これらのより短いループの長さは、特に、豊富な被嚢多糖の存在下で、血清抗体との結合相互作用のためのNspA表面エピトープの接近性を制限し得る。
【0097】
従って、本発明は、図32における細胞表面上に露出されているNspAのフラグメント、すなわち、SSSLGSAKG、NYKAPSTDFKLY、NRASVDLGGSDSFSQTおよびNYIGKVNTVKNVRSGを提供し、そしてNspAの対立遺伝子改変体由来の対応するフラグメントもまた提供する。さらに、本発明は、これらのフラグメントの部分配列を提供し、これらの部分配列は、これらのフラグメント由来の7以上連続するアミノ酸を含む。本発明はさらに、これらのフラグメントを含むタンパク質を提供する。これらのフラグメントをコードする核酸もまた、提供される。
【0098】
これらのNspAフラグメント、これらのフラグメントを含むタンパク質、および核酸は、本発明の組成物において、特に、全長NspAの代用物として使用され得る。さらなる局面において、これらのフラグメント、タンパク質および核酸は、単離された産物として使用され得、つまり、これらは、必ずしも他の生物学的分子と組み合わせて使用される必要はない。
【0099】
本発明は、実施例のみによって記載され、そして本発明の範囲および精神内に存在する限り改変が成され得ることが理解される。
【0100】
【表18】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
本願明細書に記載された発明。

【図1−1】
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【図1−2】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【図29−1】
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【図29−2】
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【図29−3】
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【図30−1】
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【図30−2】
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【図31A−1】
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【図31A−2】
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【図31B−1】
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【図31B−2】
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【図31B−3】
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【図32】
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【図33A】
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【図33B−1】
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【図33B−2】
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【図33B−3】
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【図33B−4】
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【図33B−5】
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【図33B−6】
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【図33B−7】
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【図33B−8】
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【図34】
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【図35−1】
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【図35−2】
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【公開番号】特開2013−47274(P2013−47274A)
【公開日】平成25年3月7日(2013.3.7)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2012−256105(P2012−256105)
【出願日】平成24年11月22日(2012.11.22)
【分割の表示】特願2000−620102(P2000−620102)の分割
【原出願日】平成12年5月19日(2000.5.19)
【出願人】(592243793)ノバルティス ヴァクシンズ アンド ダイアグノスティクス エスアールエル (107)
【Fターム(参考)】