説明

O−アルキルマクロライドおよびO−アルキルアザリド誘導体、およびそれらを調製するためのレギオ選択的方法

本発明の開示は、新規な11-O-アルキルマクロライドおよびアザリド、およびその薬剤として許容される塩および溶媒和物、およびそれらの薬剤組成物に関する。また、この開示は、触媒として遷移金属ハライドまたはホウ酸の存在下でジアゾアルカンを使用して、隣接ジオール系を有するマクロライドおよびアザリドをレギオ選択的11-O-アルキル化することによって、11-O-アルキルマクロライドおよびアザリドを調製する方法に関する。別の態様において、本開示は、11-O-アルキルマクロライドおよびアザリドの、抗菌剤または他の抗菌剤を合成するための中間体としての使用に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
1つの態様において、本発明は、大規模に適用できるマクロライドおよびアザリドのレギオ選択的O-アルキル化方法に関する。具体的には、本発明は、触媒として遷移金属ハライドおよびホウ酸の存在下で、ジアゾアルカンを使用した、隣接ジオール系を有するマクロライドまたはアザリドのレギオ選択的11-O-アルキル化に関する。別の態様においては、本発明は、上記方法によって得られた11-O-アルキルマクロライドおよびアザリド、その薬剤として許容される塩および溶媒和物、および抗菌剤または他の抗菌剤を合成するための中間体としてのその使用に関する。
【背景技術】
【0002】
マクロライドおよびアザリド抗生物質のいくつかのO-アルキル誘導体が、既に文献に記載されている。その中で、エリスロマイシン(クラリスロマイシン)のO-メチル誘導体(米国特許第4,331,803号)およびアジスロマイシン(米国特許第5,250,518号)が著しい生体活性を有する。マクロライドおよびアザリドのO-アルキル誘導体を調製する方法は、一般に多段階方法である。マクロライドおよびアザリド化合物は、いくつかのヒドロキシル基を持つので、他の保護されていないヒドロキシルまたはアミノ基の存在下で1つのヒドロキシル基を選択的にアルキル化することは、以前には困難であった(例えば、J.Antibiot.46(1993)647頁、1239頁;J.Antibiot.43(1990)286頁参照)。マクロライドおよびアザリドの選択的O-アルキル化を実施するために、種々の保護基の使用が文献に記載されている(例えば、J.Antibiot.45(1992)527頁、J.Antibiot.37(1984)187頁、J.Antibiot.46(1993)1163頁、米国特許第5,872,229号、第5,719,272号および第5,929,219号参照)。具体的には、12-O-メチルアジスロマイシンの多段階選択的合成が、WO 99/20639に記載されている。しかし、アルキル基による11-O-位における選択的置換は、従来技術の方法によっては容易には達成されず、副反応、副生物を伴い、収率が低い。
【0003】
一般に、マクロライドおよびアザリドの古典的O-メチル化方法は、一般に2’-OCbz-3’NMeCbzとしてデソサミン上の反応性部位を最初に保護することによって行う。次いで、かかる保護された誘導体は、塩基(例えば、KOHまたはNaH)およびヨウ化メチルを使用して、二極性非プロトン性溶媒(例えば、DMSO/THFまたはDMF)中でO-メチル化される。Cbz’sを除去し、3’-窒素のEschwiler-Clarkeメチル化すると、一連の操作が完了する。メチル化しうる4個のヒドロキシル(4”、6、11および12)があり、種々のモノ-、ジ-およびトリ-O-メチル化誘導体の混合物が通常得られることを留意すべきである。
【0004】
さらに、従来の技術研究は、古典的O-メチル化反応条件下でのヒドロキシル基の相対反応性は、以下の順に進むことを既に示している:8a-アザリドに対して、4”-OH>12-OH>>11-OH、9a-アザリドに対して、11-OH≧12-OH>4”-OH(Bioorg.Med.Chem.Lett.、8(1998)549頁)。最も激しい反応条件下でも8a-および9a-アザリド6-OH基のO-メチル化は、生じないことに言及することは重要である。これは、系において6-OHが、これらと非常に類似した条件下で容易にメチル化されるエリスロマイシンのO-メチル化と対照的である(J.Antibiotics 43(1990)286頁)。しかし、一般に全ての場合に、種々のモノ-、およびジ-およびトリ-O-メチル化誘導体が混合から得られる。ヒドロキシルのメチル化の相対速度は恐らく、微妙なコンホメーション細部に依存し、構造を一瞥しただけでは予測できない。
【0005】
一方、完全ではないが、実質上または部分的にレギオ選択的に、遷移金属ハライドおよびホウ酸の存在下で、ジアゾメタンにより種々のモノサッカライドおよびヌクレオシドをレギオ選択的にメチル化することが、文献[Carb.Res.316(1990)187頁;;Helv.Chim.Acta 79(1996)2114〜2136頁;Chem.Pharm.Bull.、18(1970)677頁;Carb.Res.、91(1981)31頁]に記載されているが、メチル化の部位を予測することは可能ではなかった。さらに、遷移金属ハライドおよびホウ酸の存在下で、ジアゾアルカンによりマクロライドおよびアザリドの11-ヒドロキシル基をレギオ選択的O-アルキル化する報告は、知られていない。
【0006】
これらの報告された知見と共に、本発明の方法による専有的(完全な)なレギオ選択的11-O-メチル化は、独特なものであり、すぐに分かるものではない。
【特許文献1】米国特許第4,331,803号
【特許文献2】米国特許第5,250,518号
【非特許文献1】J.Antibiot.46(1993)647頁、1239頁
【非特許文献2】J.Antibiot.43(1990)286頁
【非特許文献3】J.Antibiot.45(1992)527頁
【非特許文献4】J.Antibiot.37(1984)187頁
【非特許文献5】J.Antibiot.46(1993)1163頁
【特許文献3】米国特許第5,872,229号
【特許文献4】米国特許第5,719,272号
【特許文献5】米国特許第5,929,219号
【特許文献6】WO 99/20639
【非特許文献6】Bioorg.Med.Chem.Lett.、8(1998)549頁
【非特許文献7】J.Antibiotics 43(1990)286頁
【非特許文献8】Carb.Res.316(1990)187頁
【非特許文献9】Helv.Chim.Acta 79(1996)2114〜2136頁
【非特許文献10】Chem.Pharm.Bull.、18(1970)677頁
【非特許文献11】Carb.Res.、91(1981)31頁
【非特許文献12】J.Antibiot.43(1990)544〜549頁
【非特許文献13】J.Antibiot.39(1986)660頁
【非特許文献14】J.Chem.Research(S)(1988)152頁
【非特許文献15】J.Chem.Research(M)(1988)1239頁
【非特許文献16】J.Antibiotics 45(1992)527頁
【非特許文献17】J.Chem.Soc.Perkin Trans.1(1986)1881頁
【非特許文献18】J.Chem.Soc.Perkin Trans.1(1986)1881〜1890頁
【非特許文献19】Bioorg.Med.Chem.Lett.3(1993)287頁
【非特許文献20】J.Org.Chem.45(1980)5377〜5378頁
【非特許文献21】Org.Synth.Coll.Vol.2(1943)165頁
【非特許文献22】J.Antibiotics 45(1992)527〜534頁
【非特許文献23】Bioorg.Med.Chem.Lett.3(1993)1287頁
【特許文献7】WO 99/51616
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
1つの態様において、本発明は、式(I)の11-O-アルキル化合物、およびその薬剤として許容される塩および溶媒和物を調製するための、マクロライドおよびアザリドのレギオ選択的O-アルキル化方法に関する。
【0008】
【化1】

【0009】
式中、
Aは、14員マクロライドまたは15員アザリドから誘導され、
R1は、C1〜C4アルキル基であり、この方法は、
式(II]
【0010】
【化2】

【0011】
の隣接ヒドロキシルを有する、マクロライドまたはアザリドと、
式(III)
R2-CHN2 (III)
[式中、
R2は、水素またはC1〜C3アルキル基である]
のジアゾアルカンとを、
遷移金属ハライドまたはホウ酸、好ましくはH3BO3、TiCl4またはSnCl2の触媒の存在下、適切な不活性有機溶媒中で反応させることを含む。
【0012】
好ましくは本発明の方法において反応させる14員マクロライドおよび15員環アザリドは、式(IV)
【0013】
【化3】

【0014】
[式中、
Aは、-C(O)-、-C(O)NH-、-NHC(O)-、-N(R11)-CH2-、-CH2-N(R11)-、-CH(NR11R12)-および-C(=N-OR13)-から選択された二価基であり、
R1は、式(V)のクラジノシル、
【0015】
【化4】

【0016】
OH、またはR2と一緒になってケト基を形成し、但し、R1とR2が一緒になってケト基を形成する場合は、R4はHではなく、
R2は、HまたはR1と一緒になってケト基を形成し、
R3は、式(VI)のデソサミニル
【0017】
【化5】

【0018】
またはヒドロキシルであり、
R4は、水素、C1〜4アルキル、または9〜10員縮合二環式ヘテロアリールで場合によって置換されたC2〜6アルケニルであり、
R5は、水素またはフッ素であり、
R6は、ヒドロキシル、-NH2であり、またはR7と一緒になってケト基または=NR10を形成し、
R7は、水素、-NH2であり、またはR6と一緒になってケト基または=NR10を形成し、
R8は、Hまたはカルボベンゾキシ基であり、
R9は、H、CH3またはカルボベンゾキシ基であり、
R10は、水素またはC1〜6アルキルであり、
R11およびR12は、それぞれ独立に、水素、C1〜6アルキル、アリール、ヘテロアリール、ヘテロシクリル、スルホアルキル、スルホアリール、スルホヘテロシクリルまたは-C(O)R10であり、ここで、アルキル、アリール、およびヘテロシクリル基は、R14から独立に選択された3つまでの基で場合によって置換されており、
R13は、水素、-C1〜6アルキル、C2〜6アルケニル、-(CH2)aアリール、-(CH2)aヘテロシクリル、または-(CH2)aO(CH2)bOR10であり、
R14は、ハロゲン、シアノ、ニトロ、ヒドロキシル、C1〜6アルキル、C1〜6アルコキシまたはアリールオキシ、C1〜6アルキルチオまたはアリールチオ、-NH2、-NH(C1〜6アルキル)または-N(C1〜6アルキル)2、および
aおよびbは、それぞれ独立に、1〜4の整数である]を有する。
【課題を解決するための手段】
【0019】
本発明の方法は、限定はされないが、クラリスロマイシン(J.Antibiot.43(1990)544〜549頁)およびロキシスロマイシン(J.Antibiot.39(1986)660頁)の11-O-アルキル誘導体を含めて、11-O-アルキルマクロライドを調製するために利用することができる。また、本発明の方法は、限定はされないが、アジスロマイシン(J.Chem.Research(S)(1988)152頁、J.Chem.Research(M)(1988)1239頁)、2’-O,3’-N-ジカルボベンゾキシ-アジスロマイシン(J.Antibiotics 45(1992)527頁)、9-デオキソ-9a-アザ-9a-ホモエリスロマイシン(J.Chem.Soc.Perkin Trans.1(1986)1881頁)、3-デクラジノシル-5-デデソサミニル-9-デオキソ-9a-アザ-9a-ホモエリスロマイシン(J.Chem.Soc.Perkin Trans.1(1986)1881〜1890頁)、8a-アザ-8a-ホモエリスロマイシン(Bioorg.Med.Chem.Lett.3(1993)287頁)の11-O-アルキル誘導体を含めて、11-O-アルキルアザリドを調製するために使用することができる。
【0020】
他の態様においては、本発明は、
式(VIIa)
【0021】
【化6】

【0022】
[式中、
Yは窒素であり、Zは二価基-CH2-であり、またはYは-C(O)-であり、Zは窒素であり、
R1は、OHまたは式(V)
【0023】
【化7】

【0024】
(式中、R6は、ヒドロキシルであり、
R7は、水素である)のクラジノシルである]であり、
R2は、ヒドロキシルまたは式(VIII)
【0025】
【化8】

【0026】
のデソサミニルであり、
R3は、水素またはCH3基であり、
R4は、C1〜C4アルキル基である]
の11-O-アルキルアザリド、
または式(VIIb)
【0027】
【化9】

【0028】
の11-O-アルキルマクロライド、およびその薬剤として許容される塩および溶媒和物、および抗菌剤または他の抗菌剤の合成のための中間体としてのその使用に関する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0029】
本明細書では、下記の用語を以下の通り定義する。
【0030】
用語「レギオ選択的」は、1つの方向の結合形成または解消が、全ての他の可能な選択肢に優先して生じる反応を意味する。選択性が完全である場合には、反応は完全に(100%)レギオ選択的、または特定された部位における反応生成物が他の部位における反応生成物より優位である場合には、実質上レギオ選択的(少なくとも約75モル%)、または部分的に(少なくとも約50モル%)レギオ選択的と呼ぶ。
【0031】
本明細書では、用語「アルキル」は、基または基の部分として、特定の炭素原子数を含む直鎖または分枝炭化水素鎖を意味する。例えば、C1〜6アルキルは、少なくとも1個および多くとも6個の炭素原子を含む直鎖または分枝アルキルを意味する。本明細書では、「アルキル」の例には、限定はしないが、メチル、エチル、n-プロピル、n-ブチル、n-ペンチル、イソブチル、イソプロピル、t-ブチル、およびヘキシルが含まれる。
【0032】
本明細書では、用語「アルケニル」は、基または基の部分として、特定の炭素原子数を含み、少なくとも1つの二重結合を含む直鎖または分枝炭化水素鎖を意味する。例えば、用語「C2〜6アルケニル」は、少なくとも2個および多くとも6個の炭素原子を含み、少なくとも1つの二重結合を含む直鎖または分枝アルケニルを意味する。本明細書では、「アルケニル」の例には、限定はしないが、エテニル、2-プロペニル、3-ブテニル、2-ブテニル、2-ペンテニル、3-ペンテニル、3-メチル-2-ブテニル、3-メチルブト-2-エニル、3-ヘキセニルおよび1,1-ジメチルブト-2-エニルが含まれる。
【0033】
本明細書では、用語「アルコキシ」は、特定の炭素原子数を含む直鎖または分枝鎖アルコキシ基を意味する。例えば、C1〜6アルコキシは、少なくとも1個および多くとも6個の炭素原子を含む直鎖または分枝アルコキシを意味する。本明細書では、「アルコキシ」の例には、限定はしないが、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、プロプ-2-オキシ、ブトキシ、ブト-2-オキシ、2-メチルプロプ-1-オキシ、2-メチルプロプ-2-オキシ、ペントキシ、およびヘキシルオキシが含まれる。C1〜4アルコキシ基、例えばメトキシ、エトキシ、プロポキシ、プロプ-2-オキシ、ブトキシ、ブト-2-オキシ、または2-メチルプロプ-2-オキシが好ましい。
【0034】
本明細書では、用語「アリール」は、フェニル、ビフェニル、またはナフチルなどの芳香族炭素環部分を意味する。
【0035】
本明細書では、用語「ヘテロアリール」は、別に定義しない限り、窒素、酸素、および硫黄から選択された少なくとも1個のヘテロ原子を有し、および少なくとも1個の炭素原子を含み、単環式ならびに二環式環系を含む5から10員の芳香族ヘテロ環を意味する。ヘテロアリール環の例には、限定はしないが、フラニル、チオフェニル、ピロリル、ピラゾリル、イミダゾイル、オキサゾイル、イソオキサゾイル、チアゾイル、イソチアゾイル、トリアゾイル、オキサジアゾイル、テトラゾイル、チアジアゾイル、ピリジル、ピリダジニル、ピラジニル、ピリミジニル、トリアジニル、キノリニル、インキノリニル、1,2,3,4-テトラヒドロイソキノリニル、ベンゾフラニル、ベンズイミダゾイル、ベンゾチエニル、ベンズオキサゾイル、1,3-ベンゾジオキサゾイル、インドリル、ベンゾチアゾリル、フリルピリジン、オキサゾロピリジル、およびベンゾチオフェニルが含まれる。
【0036】
本明細書では、用語「9〜10員環縮合二環式ヘテロアリール」は、基または基の部分として、キノリニル、イソキノリニル、1,2,3,4-テトラヒドロイソキノリニル、ベンゾフラニル、ベンズイミダゾリル、ベンゾチエニル、ベンズオキサゾイル、1,3-ベンゾジオキサゾイル、インドリル、ベンゾチアゾリル、フリルピリジン、オキサゾロピリジル、またはベンゾチオフェニルを意味する。
【0037】
本明細書では、用語「ヘテロシクリル」は、別に定義しない限り、酸素、窒素、および硫黄から選択された少なくとも1個のヘテロ原子を有する、単環式または二環式3〜10員飽和または非芳香族、不飽和炭化水素環を意味する。好ましくはヘテロシクリル環は、5または6個の環状原子を有する。ヘテロシクリル環の例には、限定はしないが、ピロリジニル、テトラヒドロフラニル、テトラヒドロチオフェニル、イミダゾリジニル、ピラゾリジニル、ピペリジル、ピペラジニル、モルホリノ、テトラヒドロピラニル、およびチオモルホリノが含まれる。
【0038】
用語「ハロゲン」は、フッ素、塩素、臭素またはヨウ素原子を意味する。
【0039】
用語「低級アルコール」は、限定しないが、メタノール、エタノール、プロパノール、およびイソプロパノールを含む1から6個の炭素を有するアルコールを意味する。
【0040】
用語「非プロトン性溶媒」は、プロトン活性に対して相対的に不活性である、即ちプロトン供与体としては作用しない溶媒を意味する;例には、限定しないが、ヘキサンおよびトルエンなどの炭化水素;メチレンクロリド、エチレンクロリドおよびクロロホルムなどのハロゲン化炭化水素;ジエチルエーテルおよびジイソプロピルエーテルなどのエーテル;アセトニトリル;N,N,-ジメチルホルムアミド、N,N-ジメチルアセトアミド、およびピリジンなどのアミン;およびアセトンおよびジメチルスルホキシドなどの低級脂肪族ケトンが含まれる。
【0041】
用語「プロトン性溶媒」は、高度のプロトン活性を示す、即ちプロトン供与体である溶媒を意味する。プロトン性溶媒の例には、限定しないが、メタノール、エタノール、プロパノール、およびイソプロパノールなどの低級アルコールが含まれる。
【0042】
適切な「薬剤として許容される塩」は、非毒性の塩を形成する無機または有機酸から形成され、例は、塩酸塩、臭酸塩、ヨウ酸塩、硫酸塩、重硫酸塩、硝酸塩、リン酸塩、リン酸水素塩、酢酸塩、トリフルオロ酢酸塩、イソニコチン酸塩、サリチル酸塩、パントテン酸塩、マレイン酸塩、リンゴ酸塩、フマル酸塩、酪酸塩、酒石酸塩、酒石酸水素塩、アスコルビン酸塩、クエン酸塩、ギ酸塩、グルコン酸塩、コハク酸塩、ピルビン酸塩、シュウ酸塩、オキサル酢酸塩、トリフルオロ酢酸塩、サッカリン酸塩、安息香酸塩、アルキルまたはアリールスルホン酸塩(例えば、メタンスルホン酸塩、エタンスルホン酸塩、ベンゼンスルホン酸塩、またはp-トルエンスルホン酸塩)、パモエート、(即ち、1,1’-メチレン-ビス-(2-ヒドロキシ-3ナフトエート))およびイセチオン酸塩である。
【0043】
一般に、薬剤として許容される塩は、所望の酸または塩基を然るべく使用して簡単に調製することができる。塩を溶液から沈殿させ、濾過によって収集することができ、または溶媒の蒸発によって回収することができる。例えば、塩酸などの酸の水溶液を式(I)の化合物の水性懸濁液に添加することができ、得られた混合物を乾燥まで蒸発(凍結乾燥)して、固体として酸付加塩を得る。別法として、式(I)の化合物を適切な溶媒、例えばイソプロパノールなどのアルコール中に溶解することができ、酸をその溶媒または他の適切な溶媒中に添加することができる。次いで、得られた酸付加塩を直接沈殿させることができ、またはジイソプロピルエーテルまたはヘキサンなどのより極性の少ない溶媒を添加することによって、濾過により単離することができる。
【0044】
有機化学分野の技術者は、多数の有機化合物およびその塩が、その中で反応するか、そこから沈殿または結晶化する溶媒と錯体を形成することができることを理解するであろう。これらの錯体は、「溶媒和物」として知られている。例えば、水との錯体は、「水和物」として知られ、エタノールとの錯体は、「エタノレート」として知られている。本発明の化合物またはその塩の溶媒和物は、本発明の範囲内にある。
【0045】
本発明の1つの態様において、式(II)のマクロライドおよびアザリド誘導体を不活性有機溶媒中に溶解する。適切な溶媒には、限定しないが、プロトン性および非プロトン性溶媒、好ましくは低級アルコール、アセトニトリル、アセトン、N,N-ジメチルホルムアミド、N,N-ジメチルアセトアミド、ピリジン、ジクロロメタン、酢酸エチル、ジメチルスルホキシド、またはエーテル、さらに最も望ましくはアセトン、エタノール、アセトニトリルまたはN,N-ジメチルホルムアミドが含まれる。
【0046】
溶解したマクロライドまたはアザリドに、約1:0.05〜約1:4、好ましくは1:0.25〜約1:2のモル比において、触媒を添加する。
【0047】
好ましくは触媒は、ホウ酸または遷移金属ハライド、最も望ましくはホウ酸、またはTiCl4またはSnCl2である。反応混合物に、J.Org.Chem.45(1980)5377〜5378頁またはOrg.Synth.Coll.Vol.2(1943)165頁に記載されている方法によって調製されたジアゾアルカンを添加する。得られた混合物を約-20℃から溶媒のおよそ還流温度、好ましくは約0℃〜約40℃、さらに最も望ましくは約15℃〜約30℃の温度で撹拌する。混合物を約30分〜約8時間、好ましくは約1時間〜約6時間の間撹拌する。
【0048】
標準方法(抽出、沈殿等)を使用して単離すると、完全に(100%)レギオ選択的純度において所望の11-O-アルキルマクロライドまたはアザリド誘導体がもたらされる。
【0049】
本発明による化合物は、広範の抗菌活性、特に広範囲の臨床的病原性微生物に対する抗菌活性を示す。標準マイクロタイター液体培地逐次希釈試験を用いて、本発明の化合物は、広範の病原性微生物に対して有用な水準の活性を示すことが分かった。特に、本発明の化合物は、黄色ブドウ球菌、肺炎球菌、カタラーリスモラクセラ菌、ピオゲン球菌、またはヘモフィルスインフルエンザ菌の菌株に対して活性でありうる。本発明の化合物は、誘発性(ピオゲン球菌B0543)および流失(ピオゲン球菌B0545)耐性菌株に対して元の化合物よりも良好な活性を示す。(表1.)
【0050】
【表1】

【0051】
式(VIIa)および(VIIb)の化合物は、通常の製薬上の慣行によって調製された、錠剤、カプセル、粉末、トローチ、乾燥混合物、軟膏剤、懸濁液、溶液などの通常の投与形態において経口または非経口的に投与することができる。
【0052】
式(VIIa)および(VIIb)の化合物は、1日当り約1mg/kg体重〜約1000mg/kg体重の薬用量で投与することができる。好ましい薬用量の範囲は、1日当り約5mg/kg体重〜約200mg/kg体重である。
【0053】
本発明の方法は、以下の実施例と共に最もよく理解されるであろうが、これらは、本発明を例示するものであり、添付の特許請求の範囲において定義されている本発明の範囲を限定するものではない。
【0054】
実験:
出発化合物は、その開示が参照により本明細書に組み込まれている出版された方法により調製された。
【0055】
ジアゾメタンの調製
方法A
ジアゾメタンを、N-メチル-N-ニトロソ-p-トルエンスルホンアミド(Diazald)および水酸化カリウムから出発して、J.Org.Chem.45(1980)5377〜5378頁に記載されている方法および装置により調製した。ジエチルエーテル中のDiazaldの溶液を、水およびエタノール中のKOH溶液に滴下して添加した。ジアゾメタンの黄色濃縮物を反応混合物中に連続的に導入した。
【0056】
方法B
ジアゾメタンを、N-メチル-N-ニトロソ尿素から出発して、Org.Synth.Coll.Vol.2(1943)165頁に記載されている方法により調製した。N-メチル-N-ニトロソ尿素は、40%KOH水溶液およびジエチルエーテルまたはジイソプロピルエーテルの混合物に、部分に分けて0℃で激しく撹拌して添加した。相を分離し、ジアゾメタンを含む上部有機層をメチル化用に使用した。
【実施例】
【0057】
(実施例1)
11-O-メチル-アジスロマイシン
方法I
アジスロマイシン(75g、0.1モル)およびホウ酸(3.1g、0.05モル)を絶乾エタノール(300ml)中に溶解し、方法Aにおいて得られたジアゾメタンの黄色濃縮物(cca0.27モル)を反応混合物に滴下して連続的に添加した。混合物を室温で6時間撹拌した。ジアゾメタンの超過量を除去するために、酢酸数滴を添加した。エーテルを減圧下で除去した後に、200mlの体積にまでエタノールを蒸発させた。生成物を水400mlを添加することによって沈殿させた。粗製生成物を40℃で12時間真空炉中で乾燥した。収率は、87%であった。生成物をエタノール/水から結晶化させて、100%純粋な(LC-MS分析)11-O-メチル-アジスロマイシンを73%収率において得た。
ES-MS: m/z 763.2 (M+H)、605.3 (M+H-クラジノース)
1H NMR (500MHz, CDC13): δ(ppm) 3.59 (s, 3H, 11-OMe)、3.42 (d, 1H, 11-H)、3.25 (dd, 1H, 2’-H)、3.03 (t, 1H, 4”-H)
13C NMR (125MHz, CDC13): δ(ppm) 85.0 (11-C)、78.2 (4”-C)、70.9 (2’-C) 62.1 (11-OMe)
【0058】
方法II
アジスロマイシン(1.012g、1.35ミリモル)およびホウ酸(0.0885g、1.43ミリモル)をアセトニトリル(20ml)中に溶解して、室温で1時間撹拌した。方法Bによって調製されたジエチルエーテル中のジアゾメタン溶液(cca6ミリモル)を添加し、得られた混合物を室温で2時間撹拌した。混合物をNaHCO3水溶液(50ml)で希釈し、酢酸エチル(3×30ml)で抽出した。有機層をNa2SO4上で乾燥し、濃縮して、標題化合物を得た(0.027g、収率68%)。
【0059】
実施例1、方法IIにおいて記載したのと同様な方法で、表2に示した異なる溶媒および触媒を使用して実施例1の化合物を得た。最終混合物の定量的分析をLC-MS法によって実施した。
【0060】
【表2】

【0061】
(実施例2)
11-O-メチル-2’-O,3’-N-ジカルボベンゾキシ-アジスロマイシン
2’-O,3’-N-ジカルボベンゾキシ-アジスロマイシン(J.Antibiotics 45(1992)527〜534頁)(0.204g、0.203ミリモル)およびTiCl4(0.040g、0.210ミリモル)をDMF(5ml)中に溶解し、室温で1時間撹拌した。方法Bからの、ジエチルエーテル中のジアゾメタン溶液(cca4ミリモル)を添加し、得られた混合物を室温で6時間撹拌した。混合物をNaHCO3水溶液(50ml)で希釈し、酢酸エチル(3×30ml)で抽出した。有機層をNa2SO4上で乾燥し、濃縮して標題化合物を得た。
ES-MS:m/z1017.3(M+H)、859.4(M+H-クラジノーゼ)
【0062】
(実施例3)
11-O-メチル-9-デオキソ-9A-アザ-9A-ホモエリスロマイシン
9-デオキソ-9a-アザ-9a-ホモエリスロマイシン(J.Chem.Soc.Perkin Trans.1(1986)1881〜1890頁)(1.00g、1.36ミリモル)およびH3BO3(0.084g、1.36ミリモル)をアセトニトリル(20ml)中に溶解し、室温で1時間撹拌した。方法Bによって調製されたジエチルエーテル中のジアゾメタン溶液(cca6ミリモル)を添加し、得られた混合物を室温で2時間撹拌した。混合物をNaHCO3水溶液(50ml)で希釈し、酢酸エチル(3×30ml)で抽出した。有機層をNa2SO4上で乾燥し、濃縮して標題化合物を得た(0.813g、収率80%)。
ES-MS: m/z 749.6 (M+H)、591.5 (M+H-クラジノース)
1H NMR (500MHz, CDC13): δ(ppm) 3.56 (s, 3H, 11-OMe)、3.43 (d, 1H, 11-H)、3.30 (dd, 1H, 2’-H)、3.03 (t, 1H, 4”-H)
13C NMR (125MHz, CDC13): δ(ppm) 84.3 (11-C)、78.1 (4”-C)、70.9 (2’-C) 62.4 (11-OMe)
【0063】
(実施例4)
11-O-メチル-3-デクラジノシル-5-デデソサミニル-9-デオキソ-9A-アザ-9A-ホモエリスロマイシン
3-デクラジノシル-5-デデソサミニル-9-デオキソ-9a-アザ-9a-ホモエリスロマイシン(J.Chem.Soc.Perkin Trans.1(1986)1881〜1890頁)(0.201g、0.48ミリモル)およびH3BO3(0.040g、0.64ミリモル)をエタノール(20ml)中に溶解し、室温で1時間撹拌した。方法Bによって調製されたジエチルエーテル中のジアゾメタン溶液(cca3ミリモル)を添加し、得られた混合物を室温で4時間撹拌した。混合物をNaHCO3水溶液(20ml)で希釈し、酢酸エチル(3×20ml)で抽出した。有機層をNa2SO4上で乾燥し、濃縮して標題化合物を得た(0.106g、収率51%)。
ES-MS: m/z 434.3 (M+H)
1H NMR (500MHz, DMSO): δ(ppm) 4.64 (d, 1H, 3-OH)、3.68 (d, 1H, 5-OH)、3.48 (s, 3H, 11-OMe); 3.42 (t, 1H, 3-H)、3.31 (1H, 5-H)、3.18 (d, 1H, 6-OH)、3.14 (d, 1H, 11-H)
13C NMR (125MHz, DMSO): δ(ppm) 85.6 (11-C)、83.1 (5-C)、79.7 (3-C)、73.3 (6-C) 61.4 (11-OMe)
【0064】
(実施例5)
11-O-メチル-8a-アザ-8a-ホモエリスロマイシン
8a-アザ-8a-ホモエリスロマイシン(Bioorg.Med.Chem.Lett.3(1993)1287頁)(1.00g、1.34ミリモル)およびH3BO3(0.084g、1.36ミリモル)をアセトン(10ml)中に溶解し、室温で1時間撹拌した。方法Bによって調製されたジエチルエーテル中のジアゾメタン溶液(cca6ミリモル)を添加し、得られた混合物を室温で4時間撹拌した。混合物をNaHCO3水溶液(50ml)で希釈し、酢酸エチル(3×30ml)で抽出した。有機層をNa2SO4上で乾燥し、濃縮して標題化合物を得た(0.740g、収率71%)。
ES-MS: m/z 763.3 (M+H)、605.3 (M+H-クラジノース)
1H NMR (500MHz, CDCl3): δ(ppm) 3.48 (s, 3H, 11-OMe)、3.27 (dd, 1H, 2’-H)、3.17 (d, 1H, 11-H)、3.06 (t, 1H, 4”-H)
13C NMR (125MHz, CDCl3): δ(ppm) 79.5 (11-C)、77.5 (4”-C)、70.0 (2’-C) 59.9 (11-OMe)
【0065】
(実施例6)
11-O-メチル-ロキシスロマイシン
ロキシスロマイシン(J.Antibiot 39(1986)660頁)(1.00g、1.20ミリモル)およびH3BO3(0.042g、0.68ミリモル)をアセトン(10ml)中に溶解し、室温で1時間撹拌した。方法Bによって調製されたジエチルエーテル中のジアゾメタン溶液(cca6ミリモル)を添加し、得られた混合物を室温で4時間撹拌した。混合物をNaHCO3水溶液(50ml)で希釈し、酢酸エチル(3×30ml)で抽出した。有機層をNaSO4上で乾燥し、濃縮して標題および出発化合物の混合物を得た(70%:30%LC-MS)。
ES-MS: m/z 851.3 (M+H)
1H NMR(500MHz, CDCl3): δ(ppm) 3.63 (s, 3H, 11-OMe)、3.53 (d, 1H, 11-H)、3.33 (1H, 2’-H)、3.03 (1H, 4”-H)
13C NMR(125MHz, CDC13): δ(ppm) 79.8 (11-C)、77.9 (4”-C)、70.9 (2’-C) 62.1 (11-OMe)
【0066】
(実施例7)
11-O-メチル-クラリスロマイシン
クラリスロマイシン(J.Antibiot.43(1990)544〜549頁)(1.00g、1.34ミリモル)およびSnCl22H2O(0.307g、1.36ミリモル)をDMF(10ml)中に溶解し、室温で1時間撹拌した。方法Bによって調製されたジエチルエーテル中のジアゾメタン溶液(cca6ミリモル)を添加し、得られた混合物を室温で4時間撹拌した。混合物をNaHCO3水溶液(50ml)で希釈し、酢酸エチル(3×30ml)で抽出した。有機層をNaSO4上で乾燥し、濃縮して標題および出発化合物の混合物を得た(24%:73%LC-MS)。
ES-MS:m/z762.4(M+H)604.3(M+H-クラジノース)
【0067】
(実施例8)
11-O-メチル-3-デクラジノシル-5-デソサミニル-9-デオキソ-9A-アザ-9A-ホモエリスロマイシンA
3-デクラジノシル-5-デソサミニル-9-デオキソ-9a-アザ-9a-ホモエリスロマイシンA(J.Chem.Soc.Perkin Trans.1(1986)1881〜1890頁)から出発して、実施例4において記載されている手順によって、標題化合物が調製された。
【0068】
(実施例9)
11-O-メチル-3-デクラジノシル-5-デソサミニル-8A-アザ-8A-ホモエリスロマイシンA
a)8a-アザ-8a-ホモエリスロマイシンA(Bioorg.Med.Chem.Lett3(1993)1287頁)から出発して、3-デクラジノシル-5-デソサミニル-8a-アザ-8a-ホモエリスロマイシンが国際特許出願WO 99/51616の実施例4において記載されている手順によって調製される。
b)ステップa)において調製された化合物から出発して、実施例4において記載されている手順によって、標題化合物が調製される。
【0069】
(実施例10)
11-O-メチル-3-デクラジノシル-5-デデソサミニル-8A-アザ-8A-ホモエリスロマイシンA
a)実施例9、ステップa)において調製された化合物から出発して、化合物13に対してJ.Chem.Soc.Perkin Trans.1(1986)1881〜1890頁において掲載されている手順により、デソサミンが切断される。
b)ステップa)において調製された化合物から出発して、実施例4において記載されている手順によって、標題化合物が調製される。
【0070】
(実施例11)
6,11-ジ-O-メチル-8A-アザ-8A-ホモエリスロマイシンA
6-O-メチル-8a-アザ-8a-ホモエリスロマイシンA(WO 99/51616)が実施例3)から出発して、実施例4において記載されている手順によって、標題化合物が調製される。
【0071】
(実施例12)
6,11-ジ-O-メチル-3-デクラジノシル-5-デソサミニル-8A-アザ-8A-ホモエリスロマイシンA
3-デクラジノシル-6-O-メチル-8a-アザ-8a-ホモエリスロマイシンA(WO 99/51616、実施例5)から出発して、実施例4において記載されている手順によって、標題化合物が調製される。
【0072】
(実施例13)
6,11-ジ-O-メチル-3-デクラジノシル-5-デデソサミニル-8A-アザ-8A-ホモエリスロマイシン.A
a)3-デクラジノシル-6-O-メチル-8a-アザ-8a-ホモエリスロマイシンA(WO 99/51616、実施例5)から出発して、化合物13に対してJ.Chem.Soc.Perkin Trans.1(1986)1881〜1890頁において掲載されている手順により、デソサミンが切断される。
b)ステップa)において調製された化合物から出発して、実施例4において記載された手順によって、標題化合物が調製される。
【0073】
(実施例14)
11-O-メチル-アジスロマイシンの塩酸塩
実施例1の11-O-メチル-アジスロマイシン(1.0g、1.31ミリモル)をi-PrOH(20ml)中に溶解し、ジクロロメタン数滴、次いで、HCl(i-PrOH中5M溶液、2.05当量)を添加した。塩酸塩を(i-Pr)2Oで沈殿させて単離して標題化合物0.85gを得た。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(I)
【化1】

[式中、
Aは、14員マクロライドまたは15員アザリドから誘導され、
R1は、C1〜C4アルキル基である]の11-O-アルキル化合物、およびその薬剤として許容される塩および溶媒和物を調製するための、マクロライドおよびアザリドのレギオ選択的O-アルキル化方法であって、
式(II)
【化2】

の隣接ヒドロキシル系を有する、マクロライドまたはアザリドと、
式(III)
R2-CHN2 (III)
[式中、
R2は、水素またはC1〜C3アルキル基である]
のジアゾアルカンとを、遷移金属ハライド触媒またはホウ酸触媒の存在下、不活性有機溶媒中で反応させることを含む方法。
【請求項2】
ジアゾアルカンがジアゾメタンである請求項1に記載の方法。
【請求項3】
ジアゾアルカンがジアゾエタンである請求項1に記載の方法。
【請求項4】
触媒がTiCl4またはSnCl2である請求項1に記載の方法。
【請求項5】
触媒がホウ酸である請求項1に記載の方法。
【請求項6】
触媒とマクロライドまたはアザリドとの比が、約0.05:1から約4:1の範囲である請求項1に記載の方法。
【請求項7】
不活性有機溶媒が、アセトン、エタノール、アセトニトリルまたはN,N-ジメチルホルムアミドである請求項1に記載の方法。
【請求項8】
式(I)
【化3】

[式中、
Aは、14員マクロライドまたは15員アザリドから誘導され、
R1は、C1〜C4アルキル基である]の11-O-アルキル化合物、およびその薬剤として許容される塩および溶媒和物を調製するための、マクロライドおよびアザリドのレギオ選択的-O-アルキル化方法であって
式(IV)
【化4】

[式中、
Aは、-C(O)-、-C(O)NH-、-NHC(O)-、-N(R11)-CH2-、-CH2-N(R11)-、-CH(NR11R12)-および-C(=N-OR13)-から選択された二価基であり、
R1は、式(V)のクラジノシル、
【化5】

OH、またはR2と一緒になってケト基を形成し、但し、R1とR2が一緒になってケト基を形成する場合は、R4はHではなく、
R2は、HまたはR1と一緒になってケト基を形成し、
R3は、式(VI)のデソサミニル
【化6】

またはヒドロキシルであり、
R4は、水素、C1〜4アルキル、または9〜10員縮合二環式ヘテロアリールで場合によって置換されたC2〜6アルケニルであり、
R5は、水素またはフッ素であり、
R6は、ヒドロキシル、-NH2であり、またはR7と一緒になってケト基または=NR10を形成し、
R7は、水素、-NH2であり、またはR6と一緒になってケト基または=NR10を形成し、
R8は、Hまたはカルボベンゾキシ基であり、
R9は、H、CH3またはカルボベンゾキシ基であり、
R10は、水素またはC1〜6アルキルであり、
R11およびR12は、それぞれ独立に、水素、C1〜6アルキル、アリール、ヘテロアリール、ヘテロシクリル、スルホアルキル、スルホアリール、スルホヘテロシクリルまたは-C(O)R10であり、ここで、アルキル、アリール、およびヘテロシクリル基は、R14から独立に選択された3つまでの基で場合によって置換されており、
R13は、水素、-C1〜6アルキル、C2〜6アルケニル、-(CH2)aアリール、-(CH2)aヘテロシクリル、または-(CH2)aO(CH2)bOR10であり、
R14は、ハロゲン、シアノ、ニトロ、ヒドロキシル、C1〜6アルキル、C1〜6アルコキシまたはアリールオキシ、C1〜6アルキルチオまたはアリールチオ、-NH2、-NH(C1〜6アルキル)または-N(C1〜6アルキル)2であり、
aおよびbは、それぞれ独立に、1〜4の整数である]と、
式(III)
R2-CHN2 (III)
[式中、
R2は、水素またはC1〜C3アルキル基である]
のジアゾアルカンとを、遷移金属ハライド触媒またはホウ酸触媒の存在下、不活性有機溶媒中で反応させることを含む方法。
【請求項9】
式(VIIa)
【化7】

[式中、
Yは窒素であり、Zは二価基-CH2-であり、またはYは-C(O)-であり、Zは窒素であり、
R1は、OHまたは式(V)
【化8】

{式中、R6は、ヒドロキシルであり、
R7は、水素である}のクラジノシルであり、
R2は、ヒドロキシルまたは式(VIII)
【化9】

のデソサミニルであり、
R3は、水素またはCH3基であり、
R4は、C1〜C4アルキル基である]
の11-O-アルキルアザリド、
または式(VIIb)
【化10】

の11-O-アルキルマクロライドを含む化合物およびその薬剤として許容される塩および溶媒和物。
【請求項10】
11-O-アルキルマクロライドが、
11-O-メチル-ロキシトロマイシン;
11-O-メチル-9-デオキソ-9a-アザ-9a-ホモエリスロマイシン;
11-O-メチル-3-デクラジノシル-5-デソサミニル-9-デオキソ-9a-アザ-9a-ホモエリスロマイシン;
11-O-メチル-3-デクラジノシル-5-デデソサミニル-9-デオキソ-9a-アザ-9a-ホモエリスロマイシン;
11-O-メチル-8a-アザ-8a-ホモエリスロマイシン;
11-O-メチル-3-デクラジノシル-5-デソサミニル-8a-アザ-8a-ホモエリスロマイシン;
11-O-メチル-3-デクラジノシル-5-デデソサミニル-8a-アザ-8a-ホモエリスロマイシン;
6,11-ジ-O-メチル-8a-アザ-8a-ホモエリスロマイシン;
6,11-ジ-O-メチル-3-デクラジノシル-5-デソサミニル-8a-アザ-8a-ホモエリスロマイシン; および
6,11-ジ-O-メチル-3-デクラジノシル-5-デデソサミニル-8a-アザ-8a-ホモエリトロマイシン
である請求項9に記載の化合物。
【請求項11】
11-O-アルキルマクロライドが、11-O-メチル-9-デオキソ-9a-アザ-9a-ホモエリスロマイシンである請求項9に記載の化合物。
【請求項12】
11-O-アルキルマクロライドが、11-O-メチル-ロキシスロマイシンである請求項9に記載の化合物。
【請求項13】
11-O-アルキルマクロライドが、11-O-メチル-8a-アザ-8a-ホモエリスロマイシンである請求項9に記載の化合物。
【請求項14】
請求項9に記載の化合物の治療有効量および薬剤として許容される担体を含む薬剤組成物。

【公表番号】特表2007−502857(P2007−502857A)
【公表日】平成19年2月15日(2007.2.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−530698(P2006−530698)
【出願日】平成16年5月27日(2004.5.27)
【国際出願番号】PCT/IB2004/001749
【国際公開番号】WO2004/106354
【国際公開日】平成16年12月9日(2004.12.9)
【出願人】(505011361)プリヴァ−イストラジヴァキ・インスティトゥ・ディー・オー・オー (3)
【Fターム(参考)】