説明

O−イミノ−イソ−尿素化合物及びその重合性組成物

本発明は、ラジカル源としてのO−イミノ−イソ−尿素化合物の使用と、これらのO−イミノ−イソ−尿素を含む重合性組成物と、新規なO−イミノ−イソ−尿素化合物とに関する。O−イミノ−イソ尿素化合物は、式(I)[式中、nは、1、2、3又は4であり、R100及びR101は、独立してH、C1-18アルキル、C3−C12シクロアルキル、C6−C14アリール、C1−C14ヘテロアリール、C7−C15アラルキル、C2−C14ヘテロアラルキル、シアノであり、又はR100及びR101は、それらが結合する炭素と共に、単環式若しくは多環式C3−C18炭素環若しくはC1−C18複素環を形成し;R102及びR103は、独立してC1−C18アルキル、C3−C12シクロアルキル、C6−C14アリール、C1−C18アルキルによって1回又は1回超置換されたC6−C14アリール;C7−C15アラルキル、(CH33Si−であり;又はR102及びR103は、C1−C18アルキル、C3−C12シクロアルキル、C6−C14アリール、C7−C15アラルキルであり、又はR102及びR103は、Oによって又はC1−C18アルキルアミノ、ビス(C1−C18アルキル)アミノ若しくはトリス(C1−C1tアルキル)アンモニウムから選択されるN含有基によって中断若しくは置換されたC1−C18アルキル、C3−C12シクロアルキルであり;R104は、nが1である場合、H、C1−C18アルキル、C3−C12シクロアルキル、C7−C14アラルキル、C6−C14アリール若しくは以下のアシル、−C(=O)−H、−C(=O)−C1−C18アルキル、−C(=O)−C2−d18アルケニル、−C(=O)−C6−C14アリール、−C(=O)−C2−C18アルケニル−C6−C14アリール、−C(=O)−O−C118アルキル、−C(=O)−O−C6−C14アリール、−C(=O)−NH−C1−C18アルキル、−C(=O)−NH−C6−C14アリール及び−C(=O)−N(C118アルキル)2から成る群から選択されるアシルであり;又はR102及びR104は、nが1である場合、それらが結合する窒素原子と共に、更なるヘテロ原子を含んでよい5〜12員環を形成し、R104は、nが1を超える場合、ジ−、トリ−、テトラ−C1−C18アルキリデン、ジアシル、トリアシル若しくはテトラアシルである]の化合物及びそれらの塩である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ラジカル源としての、特に重合開始剤としてのO−イミノ−イソ−尿素化合物の使用と、これらのO−イミノ−イソ−尿素を含む重合性組成物と、新規なO−イミノ−イソ−尿素化合物とに関する。
【0002】
フリーラジカル重合は、最も重要な重合方法に属する。それは、多くの商業的に重要なポリマー、例えば、ポリスチレン、PVC、ポリアクリレート、ポリメタクリレート、PAN及び他のポリマーを製造するために使用される。技術的な詳細については、今日でもなお意義のある標準的研究、G.Odian,Principles of Polymerization,McGraw−Hill New York 1991を参照することができる。
【0003】
フリーラジカル重合は、開始剤を用いて開始される。ポリマー技術において確立されている開始剤の例としては、アゾ化合物、ジアルキルペルオキシド、ジアシルペルオキシド、ヒドロペルオキシド、熱不安定性C−C−ダイマー、レドックス系及び光重合開始剤がある。"Handbook of Free Radical Initiators",(E.T.Denisov,T.G.Denisova,T.S.Pokidova,J.Wiley & Sons,Inc.Hoboken,New Jersey,2003)が参照される。
【0004】
それらの広範囲にわたる使用にもかかわらず、公知の重合開始剤には、各種の不利な点がある。従って、例えば、ペルオキシドは、極めて容易に引火しやすく、燃焼を持続し、従って爆発事故の可能性を示し、その結果、それらの製造、貯蔵、輸送及び使用は、コストがかかる安全対策を伴わなければならない。一部の開始剤は、例えばAIBN等の毒性生成物を更に発生させる。
【0005】
故に、充分な安全性プロファイルを有するフリーラジカル重合方法のための新規な開始剤の一般的な必要性がある。
【0006】
M.Radau及びK.Hartkeは、"Archiv der Pharmazie"Vol.305,1972,pages702−707において、カルボジイミドへのオキシムの付加について記載している。重合開始剤としての使用は記載されていない。
【0007】
Erich Schmidtらは、"Justus Liebigs Annalen der Chemie"Vol.639,1961,pages24−31において、メチルtert.ブチル−カルボジイミド又はジイソプロピルカルボジイミドをメチルイソプロピルケトキシムと反応させることによって製造されるO−イミノ−イソ尿素化合物について記載している。重合開始剤としての使用は記載されていない。
【0008】
WO2001/90113及びWO2004/081100は、立体障害N−アシルオキシアミンが新規なクラスの重合開始剤であることを記載している。
【0009】
更に新規な重合開始剤、N−置換イミドがWO2006/051047に、O−ジアルキルアミノ−イソ尿素がPCT/EP200906794(2009年12月28日出願)に、アリールトリアゼンがEP09156625.7(2009年3月30日出願)に記載されている。
【0010】
ここで、我々は、例えばカルボジイミドとオキシムとの反応を介して得ることができるO−イミノ−イソ尿素が、フリーラジカル重合の、若しくはフリーラジカルによって誘発される他の方法、例えばポリオレフィンの制御分解の、又は架橋方法のための非常に効率的な開始剤であることを発見した。更に、これらのO−イミノ−イソ尿素の多くは、新規な化合物である。
【0011】
本発明の目的は、ラジカル源としての、特に重合開始剤としての一般式(I)
【化1】

[式中、
nは、1、2、3又は4であり、
100及びR101は、独立してH、C1-18アルキル、C3−C12シクロアルキル、C6−C14アリール、C1−C14ヘテロアリール、C7−C15アラルキル、C2−C14ヘテロアラルキル、シアノであり、又はR100及びR101は、それらが結合する炭素と共に、単環式若しくは多環式C3−C18炭素環若しくはC1−C18複素環を形成し;
102及びR103は、独立してC1−C18アルキル、C3−C12シクロアルキル、C6−C14アリール、C1−C18アルキルによって1回又は1回超置換されたC6−C14アリール;C7−C15アラルキル、(CH33Si−であり;又はR102及びR103は、C1−C18アルキル、C3−C12シクロアルキル、C6−C14アリール、C7−C15アラルキルであり、又はR102及びR103は、Oによって又はC1−C18アルキルアミノ、ビス(C1−C18アルキル)アミノ若しくはトリス(C1−C1tアルキル)アンモニウムから選択されるN含有基によって中断若しくは置換されたC1−C18アルキル、C3−C12シクロアルキルであり;
104は、nが1である場合、H、C1−C18アルキル、C3−C12シクロアルキル、C7−C14アラルキル、C6−C14アリール若しくは以下のアシル、−C(=O)−H、−C(=O)−C1−C18アルキル、−C(=O)−C2−C18アルケニル、−C(=O)−C6−C14アリール、−C(=O)−C2−C18アルケニル−C6−C14アリール、−C(=O)−O−C1−C18アルキル、−C(=O)−O−C6−C14アリール、−C(=O)−NH−C1−C18アルキル、−C(=O)−NH−C6−C14アリール及び−C(=O)−N(C1−C18アルキル)2から成る群から選択されるアシルであり;又は
102及びR104は、nが1である場合、それらが結合する窒素原子と共に、更なるヘテロ原子を含んでよい5〜12員環を形成し、
104は、nが1を超える場合、ジ−、トリ−、テトラ−C1−C18アルキリデン、ジアシル、トリアシル若しくはテトラアシルである]のO−イミノ−イソ尿素化合物及びそれらの塩の使用である。
【0012】
かかる環R102〜R104の例は、ピロリジン、ピペリジン、モルホリン、ピペラジン、N−メチル−ピペラジン、ヘキサメチレンイミンである。
【0013】
(I)の構造は、分子(I)がイソ尿素フラグメントを1回超、例えば2〜10回含むような(例えば、ダイマー、トリマー、オリゴマー又はポリマー)構造であり得る。
【0014】
モノマー構造(nは1);ダイマー構造(n=2)又はトリマー構造n=3が好ましい。
【0015】
化合物(I)は、特にコーティングを製造するための重合方法に用いるためのフリーラジカル重合の重合開始剤として適切である。熱硬化方法及び二重硬化方法、とりわけ第2硬化方法が電磁放射線又は化学線によって、例えば光、近赤外線又は電子ビームによって誘発されるものが包含される。
【0016】
更に、これらの化合物(I)は、フリーラジカルによって誘発される他の方法、例えばポリオレフィンの制御分解に適切である。
【0017】
更に、これらの化合物(I)は、架橋不飽和ポリマー樹脂に適切である。架橋方法は、化合物(I)と共に不飽和ポリマー樹脂を加熱することを含む。
【0018】
ポリマーという用語は、オリゴマー、コオリゴマー、ポリマー及びコポリマー、例えば、ランダムブロックコポリマー、マルチブロックコポリマー、星形コポリマー又はグラジエントコポリマーを包含する。
【0019】
基の定義
残基「alk」又は「cycloalk」は、標準的IUPAC用語法と組み合わせて用いられる。
【0020】
「アルケン」は、1つ以上の二重結合並びに場合によって芳香族残基を除く単結合を含む残基を表し、「アルキン」は、1つ以上の三重結合並びに場合によって単結合及び/又は二重結合を含む残基を表し、前記残基「アルケン」又は「アルキン」中における二重結合及び三重結合の最大数は、全体として前記残基アルケン」又は「アルキン」中におけるC原子の数の半分以下である。
【0021】
式Iの化合物中におけるC1−C18アルキルは、例えば、C1−C6アルキル、例えば、メチル、エチル、n−プロピル若しくはイソプロピル又はn−、sec−若しくはtert−ブチル又は直鎖状若しくは分枝状ペンチル若しくはヘキシル、或いはC7−C19アルキル、例えば、直鎖状若しくは分枝状ヘプチル、オクチル、イソオクチル、ノニル、tert−ノニル、デシル若しくはウンデシル、n−トリデシル、n−テトラデシル、n−ヘキサデシル又はn−オクタデシルである。
【0022】
式Iの化合物の基R101〜R104中におけるC1−C18アルキル及びC3−C12シクロアルキルは、適切な置換基、例えば、C1−C4アルコキシ又はハロゲン、例えば、塩素又はフッ素によって置換されてもよい。
【0023】
2−C18アルケニルは、例えば、エテニル、プロペニル、ブテニル、ペンテニル、ヘキセニル、ヘプテニル、オクテニル、ドデセニル、それらの異性体を含むもの等である。
【0024】
6−C14アリール、C7−C15アラルキル、C1−C14ヘテロアリール及びC2−C24ヘテロアラルキルは、単環式若しくは多環式化合物であってよく、縮合若しくは共役してよく、又は2個以上の芳香族若しくは複素芳香族基は、アルキレン基で架橋されてよい。C6−C14アリール、C7−C15アラルキル、C1−C14ヘテロアリール又はC2−C14ヘテロアラルキルは、例えば、フェニル、ベンジル、ナフチル、インドリル、インデニル、フルオレニル、アセナフチル、ビフェニリル、アントラシル、o−、m−又はp−テルフェニルである。
【0025】
6−C14アリールは、例えば、適切な置換基、例えば、C1−C4アルキル、例えば、メチル、エチル若しくはtert−ブチル、C1−C4アルコキシ、例えば、メトキシ若しくはエトキシ、又はハロゲン、例えば、塩素によって一置換又は二置換されてよい炭素環式モノアリール又はジアリール、好ましくはモノアリール、例えば、フェニルである。二置換の場合、2位及び6位が好ましい。
【0026】
1−C18アルキルによって1回又は1回超置換されたC6−C14アリールは、例えば、C1−C18アルキルによって1回又は2回置換されたフェニル、とりわけ2回置換された、例えば2,6−ジイソプロピルフェニルである。
【0027】
7−C10アラルキルは、例えば、ベンジル、フェニルプロピル、α,α−ジメチルベンジル又はα−メチルベンジルである。
【0028】
少なくとも1個のO原子によって中断されたC2−C18アルキルは、例えば、−CH2−CH2−O−CH2−CH3、−CH2−CH2−O−CH3又は−CH2−CH2−O−CH2−CH2−CH2−O−CH2−CH3である。それは、好ましくはポリエチレングリコールから誘導される。一般的記載は、−((CH2a−O)b−H/CH3[式中、aは、1から6の数であり、bは、2から10の数である]である。
【0029】
100及びR101は、それらが結合する炭素と共に、単環式又は多環式C3−C18カルボン酸環を形成する。
【0030】
結果として生じるシクロアルキリデンR101102C=の非限定的な例は、シクロブチリデン、シクロペンチリデン、シクロヘキシリデン、シクロヘプチリデン、シクロオクチリデン、シクロノニリデン、シクロデシリデン、シクロウンデシリデン、シクロドデシリデン、4−メチルシクロヘキシリデン、3,3,5,5−テトラメチルシクロヘキシリデン、3,3,5−トリメチルシクロヘキシリデン、2,3−ベンゾシクロヘキシリデン、3,4−ベンゾシクロヘキシリデンである。
【0031】
100及びR101は、それらが結合する炭素と共に、単環若しくは多環又はC1−C18複素環を形成する。
【0032】
結果として生じるシクロアルキリデンR101102C=の非限定的な例は、3−アザシクロペンチリデン、3−オキサシクロペンチリデン、2−メチル−3−オキサシクロペンチリデン、4−アザシクロヘキシリデン、3,3,5,5−テトラメチル−4−アザシクロヘキシリデン、4−チアシクロヘキシリデン、4−オキサシクロヘキシリデンである。
【0033】
用語「ジ、トリ又はテトラC1−C18アルキリデン」(nが1超である場合)は、完全飽和してよい、或いは1単位以上の不飽和を有する又は分子の残部への2個の結合点、3個の結合点若しくは4個の結合点を有する直鎖状又は分枝状炭素鎖を指す。
【0034】
「ジアシル」という用語は、例えば、アルキレン、アルケニレン、アルキニレン、ハロアルキレン、アルコキシアルキレン、アリール、ヘテロシクリル、ヘテロアリール、アラルキル、シクロアルキル、シクロアルキルアルキル及びシクロアルケニルから選択される基に結合する2個のカルボニル基又はチオカルボニル基を有することを意味する。「ジアシル」の例は、フタロイル、テレフタロイル、イソフタロイル、マロニル、スクシニル、アジポイル等である。
【0035】
「トリアシル」の例は、クエン酸から又はトリメシン酸から誘導される残基である。
【0036】
「テトラシル」の例は、ナフタレンテトラカルボン酸、ベンゾフェノン−テトラカルボン酸から誘導される残基である。
【0037】
O−イミノ−イソ尿素の塩は、例えば、HBF4塩、過塩素酸塩、塩酸塩、硫酸塩、硫酸水素塩、アルキルスルホン酸塩、アリールスルホン酸塩又はカルボン酸塩である。
【0038】
一実施形態において、nは1であり、それによって、ラジカル源としての一般式(I)
【化2】

[式中、
100及びR101は、独立してH、C1-18アルキル、C3−C12シクロアルキル、C6−C14アリール、C1−C14ヘテロアリール、C7−C15アラルキル、C2−C14ヘテロアラルキル、シアノであり、又はR100及びR101は、それらが結合する炭素と共に、単環式若しくは多環式C3−C18炭素環若しくはC1−C18複素環を形成し;
102及びR103は、独立してC1−C18アルキル、C3−C12シクロアルキル、C6−C14アリール、C1−C18アルキルによって1回又は1回超置換されたC6−C14アリール;C7−C15アラルキル、(CH33Si−であり;又はR102及びR103は、C1−C18アルキル、C3−C12シクロアルキル、C6−C14アリール、C7−C15アラルキルであり、又はR102及びR103は、Oによって又はC1−C18アルキルアミノ、ビス(C1−C18アルキル)アミノ若しくはトリス(C1−C1tアルキル)アンモニウムから選択されるN含有基によって中断若しくは置換されたC1−C18アルキル、C3−C12シクロアルキルであり;
104は、H、C1−C18アルキル、C3−C12シクロアルキル、C7−C14アラルキル、C6−C14アリール若しくは以下のアシル、−C(=O)−H、−C(=O)−C1−C18アルキル、−C(=O)−C2−C18アルケニル、−C(=O)−C6−C14アリール、−C(=O)−C2−C18アルケニル−C6−C14アリール、−C(=O)−O−C1−C18アルキル、−C(=O)−O−C6−C14アリール、−C(=O)−NH−C1−C18アルキル、−C(=O)−NH−C6−C14アリール及び−C(=O)−N(C1−C18アルキル)2から成る群から選択されるアシルであり;又は
102及びR104は、それらが結合する窒素原子と共に、更なるヘテロ原子を含んでよい5〜12員環を形成する]のO−イミノ−イソ尿素化合物及びそれらの塩が使用される。
【0039】
(優先請求項)請求項2
好ましい態様
一実施形態において、式Iのnは1である。
【0040】
一実施態様において、式Iのnは1超である。
【0041】
本発明の好ましい一実施形態は、ラジカル源としての、nが1である式I
[式中、
100及びR101は、独立してH、C1-18アルキル、C5−C12シクロアルキル、C6−C14アリール、C1−C14ヘテロアリール、C7−C15アラルキルであり、又はR100及びR101は、それらが結合する炭素と共に、C5−C12炭素環を形成し;
102及びR103は、独立してC1−C4アルキル、C5−C12シクロアルキル、C6−C14アリール、C1−C18アルキルによって1回又は1回超置換されたC6−C14アリール;C7−C15アラルキルであり;
104は、H、C1−C18アルキル、C5−C12シクロアルキル、C7−C14アラルキル、C6−C14アリール若しくは以下のアシル、−C(=O)−H、−C(=O)−C1−C18アルキル、−C(=O)−C2−C18アルケニル、−C(=O)−C6−C14アリールから成る群から選択されるアシルであり;又は
102及びR104は、それらが結合する窒素原子と共に、5〜6員環を形成する]の化合物及びそれらの塩の使用を提供する。(請求項3)
【0042】
本発明の好ましい別の一実施形態は、ラジカル源としての、nが1である式I
[式中、
100及びR101は、独立してC1-18アルキル、C5−C12シクロアルキル、C6−C14アリール、C1−C14ヘテロアリール、C7−C15アラルキルであり、又はR100及びR101は、それらが結合する炭素と共に、C5−C12炭素環を形成し;
102及びR103は、独立してC1−C4アルキル、シクロヘキシル、C6−C14アリール;C1−C18アルキルによって1回又は1回超置換されたC6−C14アリールであり;
104は、H、C1−C18アルキル、C5−C12シクロアルキル、−C(=O)−C1−C18アルキルであり;又はR102及びR104は、それらが結合する窒素原子と共に、5〜6員環を形成する]の化合物及びそれらの塩の使用を提供する。
請求項4
【0043】
ラジカル源としての一般式(I)
[式中、
100及びR101は、独立してC1-18アルキル、フェニルであり、又はR100及びR101は、それらが結合する炭素と共に、C5−C12シクロアルキル環を形成し、
102及びR103は、独立してC1−C4アルキル、C5−C12シクロアルキル、C6−C14アリール;C1−C6アルキルによって1回又は1回超置換されたC6−C14アリールであり;
104は、水素又は−C(=O)−C1−C18アルキルである]
のO−イミノ−イソ尿素化合物及びそれらの塩の使用が例示される。
(実施例)、(請求項5)
【0044】
一実施形態において、本発明は、ラジカル源としての、nが2、3又は4である式I
[式中、
100及びR101は、独立してC1-18アルキル、フェニルであり、又はR100及びR101は、それらが結合する炭素と共に、C5−C12シクロアルキル環を形成し、
102及びR103は、独立してC1−C4アルキル、C5−C12シクロアルキル、C6−C14アリール;C1−C6アルキルによって1回又は1回超置換されたC6−C14アリールであり;
104は、ジ−、トリ−、テトラ−C1−C18アルキリデン、ジアシル、トリアシル又はテトラアシルである]の化合物及びそれらの塩の使用を提供する。
(請求項6)
【0045】
新規なO−イミノ−イソ尿素化合物
本発明は、更に式I’
【化3】

[式中、
nは、1、2、3又は4であり、
100、R101、R102、R103及びR104は、上記で及び請求項1から6のいずれか一項において定義される通りである]の新規なO−イミノ−イソ尿素及びそれらの塩に関し;
但し、以下の化合物
【化4】

は除外され、並びにケトキシムから誘導される以下のO−イミノ−イソ尿素
【化5】

及びピクリン酸塩
及びHBF4
に関する。
請求項7
【0046】
新規な化合物に関して、M.Radau及びK.Hartkeによって"Archiv der Pharmazie"Vol.305,1972,pages702−707において記載されている化合物、並びにErich Schmidtらによって"Justus Liebigs Annalen der Chemie"Vol.639,1961,pages24−31において記載されている化合物が放棄される。
【0047】
一実施形態において、本発明は、更に、nが1である式I’
【化6】

[R100、R101、R102、R103及びR104は、上記で及び請求項2において定義される通りである]の新規なO−イミノ−イソ尿素及びそれらの塩に関する。但し、上記に示された化合物は除外される。
(請求項8、優先権主張)
【0048】
式(I’)の好ましい新規なO−イミノ−イソ尿素は、上記に示された式(I)のそれらの好ましい化合物に対応する。
【0049】
本発明の化合物(I)又は(I’)の製造
104=Hの化合物(I)は、
式:
【化7】

[R100、R101、R102、及びR103は、上記で定義される通りである]に従ってカルボジイミド(III)へのアルドキシム又はケトキシム(II)の付加を介して都合よく製造される。
【0050】
この型の付加は、例えば、E.Schmidt,W.Carl.による文献:Liebigs.Ann.Chem.24,(639),1961に記載されている。
【0051】
前記付加は、適切な溶媒、例えば、酢酸エチル、トルエン、ジクロロメタン、アセトニトリル、テトラヒドロフラン、ヘキサン等の中における(II)及び(III)の溶液を撹拌することによって都合よく実施され得る。反応温度は、室温(rt)以下、即ち−78℃以上、即ちrtから150℃であってよい。
【0052】
触媒、例えば、ブレンステッド酸、例えば、HCl、p−TsOH、HBF4若しくはH2SO4、又はルイス酸、例えば、BF3若しくはCu(O3SCF3)、又は塩基、例えば、アルカリ金属水酸化物、アルカリ金属アルコキシド、アルカリ金属アミド若しくはアルカリ金属水素化物、又はアミン、例えば、トリエチルアミン若しくはDABCO等、又はアミジン、例えば、DBU若しくはDBN等の混合は、(III)への(II)の付加の速度及び収率の改善を促進することができる。相間移動触媒作用の条件下における操作は、別の選択肢である。
【0053】
オキシム(II)、及び例えばカルボニル化合物とヒドロキシルアミンとの反応を介したそれらの製造は、周知であり、考察する必要はない。更に、それらの多くは商業的に入手可能である。
【0054】
また、多くのカルボジイミド(III)、例えば、
N,N’−ジシクロヘキシルカルボジイミド
1,3−ジイソプロピルカルボジイミド
ビス−(o−トリル)−カルボジイミド
ビス−(p−トリル)−カルボジイミド
ビス−(2,6−ジイソプロピルフェニル)−カルボジイミド−
ビス−(トリメチルシリル)−カルボジイミド
1−sec−ブチル−3−エチルカルボジイミド
N−シクロヘキシル−N’−[4−(ジメチルアミノ)−α−ナフチル]−カルボジイミド
1−シクロヘキシル−3−(2−モルホリノエチル)−カルボジイミド
1,3−ジ−tert−ブチルカルボジイミド
1−エチル−3−(3−ジメチルアミノプロピル)−カルボジイミド
1−エチル−3−(3−ジメチルアミノプロピル)−カルボジイミドメチオジド
ビス−(2,4,6−トリイソプロピルベンゼン)−カルボジイミド
も商業的に入手可能である。カルボジイミドIIIは、オリゴマー又はポリマーであってもよい。
【0055】
別の置換基を担持しているカルボジイミドの製造方法は、周知であり、例えば、Henri Ulrich,"Chemistry and technology of carbodiimides",Wiley2007において記載されている。
【0056】
104がHでない化合物(I)は、R104=Hの化合物(I)のアルキル化又はアシル化:
【化8】

を介して都合よく製造される。
【0057】
適切なアルキル化剤R104−Xは、周知であり、例えば、ハロゲン化アルキル、ハロゲン化シクロアルキル若しくはハロゲン化アラルキル、スルホン酸塩、トリフレート又はトリアルキルオキソニウム塩を含む。
【0058】
適切な活性マイケル受容体、例えば、アクリロニトリル又はアクリル酸アルキルへの化合物I(R104=H)のマイケル付加を介して、基R104を導入することもできる。
【0059】
適切なアシル化剤R104−Xは、周知であり、例えば、ハロゲン化アシル又はアシル無水物を含む。更に別の可能性は、化合物I(R104=H)とイソシアネートとの反応である。
【0060】
塩基の存在下で化合物(I、R104=H)のアルキル化又はアシル化を場合によって行って、遊離酸H−Xを中和する。適切な塩基の例は、水酸化アルカリ若しくは炭酸アルカリ又はアミン、例えば、トリエチルアミン若しくはピリジンである。
【0061】
化合物(I)の合成の更に別の可能性は、オキシム(II)と三置換ホルムアミジン(IV)とを反応させることから成る。
【0062】
【化9】

【0063】
ホルムアミジン(IV)は、公知の化合物であり、対応する三置換尿素又はチオ尿素から容易に製造される。例えば、クロロホルムアミジン(IV、Y=Cl)の製造は、R.Appel,K.D.Ziehn,K.Warning.:Chemische Berichte 2093,106(7),1973に記載されている。
【0064】
アルキルチオホルムアミジン(IV、Y=S−アルキル)は、例えば、Lecher & Graf.:Chemische Berichte1328,56,1923に記載されているように、三置換チオ尿素から容易に得られる。
【0065】
nが1超である式(I)又は(I’)の化合物は、nが1であり且つR104が水素である式(I)の化合物と、ジ−又はトリ−又はテトラカルボン酸とを反応させることによって製造される。
【0066】
使用
これらの化合物は、特に純粋なポリマー及びコポリマーの形成を可能にするので、重合開始剤として、特に重合方法における使用に適切である。前記化合物は、それらが光重合開始剤と組み合わせて使用される二重硬化方法における重合開始剤としても適切である。
【0067】
ポリマーという用語は、オリゴマー、コオリゴマー、ポリマー及びコポリマー、例えば、ランダムブロックコポリマー、マルチブロックコポリマー、星形コポリマー又はグラジエントコポリマーを包含する。
【0068】
方法技術における新規な化合物の更に有利な特性は、ポリマー、特にポリプロピレンの分子量を低下させるための方法及び特にポリエチレンの架橋において分子量の制御増加を達成するための方法における添加剤としてのそれらの適合性である。
【0069】
組成物
式I又はI’の化合物は、少なくとも1種のエチレン性不飽和重合性モノマー又はオリゴマーを含む重合性組成物中において重合助剤又は重合開始剤として存在する。
【0070】
O−イミノ−イソ尿素によって開始される重合方法は、異なる刺激によって、例えば、熱によって、更に、電磁放射線、例えば、X線、紫外線、可視光若しくは赤外光によっても、又は例えばβ−放射線(電子ビーム)等の化学線によっても誘発され得る。
【0071】
好ましくは、コーティングが製造される。
【0072】
故に、本発明は、更に
A)少なくとも1種のエチレン性不飽和重合性モノマー又はオリゴマー;及び
B)式I又はI’の少なくとも1種の化合物、
C)場合によって光重合開始剤
を含む組成物を提供する。
(請求項9)
【0073】
一実施形態において、光重合開始剤が存在する。いかなる公知の光重合開始剤も用いることができる。例は、例えば、Crivello J.V.,Dietliker K.K.,(1999):Chemistry & Technology of UV & EB Formulation for Coatings,Inks & Paints及びBradley G.(ed.)Vol.3:Photoinitiators for Free Radical and Cationic Polymerisation 2nd Edition,John Wiley & Son Ltd.において見出され得る。かかる化合物及び誘導体は、例えば、以下のクラスの化合物:ベンゾイン、ベンジルケタール、ベンゾフェノン、アセトフェノン、ヒドロキシアルキルフェノン、アミノアルキルフェノン、アシルホスフィンオキシド、ビスアシルホスフィンオキシド、アシルホスフィンスルフィド、ビスアシルホスフィンスルフィドアシルオキシイミノケトン、アルキルアミノ置換ケトン、例えばミヒラーのケトン、ペルオキシ化合物、ジニトリル化合物、ハロゲン化アセトフェノン、フェニルグリオキシレート、ダイマーフェニルグリオキサレート、ベンゾフェノン、オキシム及びオキシムエステル、チオキサントン、クマリン、フェロセン、チタノセン、オニウム塩、スルホニウム塩、ヨードニウム塩、ジアゾニウム塩、ボレート、トリアジン、ビスイミダゾール、ポリシラン及び染料から誘導される。また、前記記載のクラスの化合物からの化合物と、互いとの組合せ及び対応する共開始剤システム及び/又は増感剤との組み合わせを使用することも可能である。
【0074】
光重合性組成物は、前記組成物に対して、有利には0.05〜15質量%、好ましくは0.1〜8質量%の量で光重合開始剤を含む。
【0075】
式I又はI’の化合物は、不飽和ポリマー及びモノマーの質量に対して、好ましくは0.01〜10質量%、より好ましくは0.1〜6質量%の量で存在する。
【0076】
化合物Aは、化合物A及びB又はA、B及びCの総量が100質量%である量で存在する。
【0077】
エチレン性不飽和化合物の定義:
一般的なラジカル重合性化合物は、少なくとも1つのエチレン性不飽和二重結合を有する公知のラジカル重合性化合物から選択される。モノマー、プレポリマー、オリゴマー、それらの混合物又はそれらのコポリマーが含まれる。
【0078】
かかるモノマーの非限定的な例としては、アルケン、共役ジエン、スチレン、アクロレイン、ビニルアセテート、ビニルピロリドン、ビニルイミダゾール、無水マレイン酸、アクリル酸、アクリル酸誘導体、ハロゲン化ビニル及びハロゲン化ビニリデンから成る群から選択されるエチレン性不飽和重合性モノマーが挙げられる。
【0079】
アルケン及び共役アルケンの例としては、エチレン、イソプレン、1,3−ブタジエン及びα−C5−C18アルケンがある。
【0080】
適切なスチレンは、ヒドロキシ、C1−C4アルコキシ、例えばメトキシ又はエトキシ、ハロゲン、例えば塩素、アミノ、及びC1−C4アルキル、例えばメチル又はエチルから成る群から選択される1〜3個の置換基によってフェニル基上で置換され得る。
【0081】
不飽和カルボン酸、例えば、(メタ)アクリル酸、クロトン酸、イタコン酸(メチレンコハク酸)、マレイン酸又はフマル酸、並びにそれらの塩、エステル及びアミド。
【0082】
不飽和脂肪酸、例えばリノレン酸及びオレイン酸も挙げられる。アクリル酸及びメタアクリル酸が好ましい。
【0083】
しかし、不飽和カルボン酸との混合において飽和ジ−又はポリ−カルボン酸を使用することも可能である。適切な飽和ジ−又はポリ−カルボン酸の例としては、例えば、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、セバシン酸、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸、テトラクロロフタル酸、テトラブロモフタル酸、無水フタル酸、テトラヒドロフタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、トリメリト酸、ヘプタンジカルボン酸、ドデカンジカルボン酸、ヘキサヒドロフタル酸等が挙げられる。
【0084】
上述の不飽和酸エステルは、例えば、アルキルエステル、例えば、メチル、エチル、2−クロロエチル、N−ジメチルアミノエチル、n−ブチル、イソブチル−、ペンチル、ヘキシル、シクロヘキシル、2−エチルヘキシル、オクチル、イソボルニル[2−エキソボルニル]エステル;又はフェニル、ベンジル若しくはo−、m−及びp−ヒドロキシフェニルエステル;又はヒドロキシアルキルエステル、例えば、2−ヒドロキシエチル、2−ヒドロキシプロピル、4−ヒドロキシブチル、3,4−ジヒドロキシブチル若しくはグリセロール[1、2、3‐プロパントリオール]エステル、又はエポキシアルキルエステル、例えば、グリシジル、2,3−エポキシブチル、3,4−エポキシブチル、2,3−エポキシシクロヘキシル、10,11−エポキシウンデシルエステル、又はアミノアルキル若しくはメルカプトアルキルエステル、又は下記の通りのエステルである。
【0085】
上述の不飽和酸のアミドは、例えば、(メタ)アクリルアミド、N−置換(メタ)アクリルアミド、例えば、N−メチロールアクリルアミド、N−メチロールメタクリルアミド、N−エチルアクリルアミド、N−エチルメタクリルアミド、N−ヘキシルアクリルアミド、N−ヘキシルメタクリルアミド、N−シクロヘキシルアクリルアミド、N−シクロヘキシルメタクリルアミド−、N−ヒドロキシエチルアクリルアミド、N−フェニルアクリルアミド、N−フェニルメタクリルアミド、N−ベンジルアクリルアミド、N−ベンジルメタクリルアミド、N−ニトロフェニルアクリルアミド、N−ニトロフェニルメタクリルアミド、N−エチル−N−フェニルアクリルアミド、N−エチル−N−フェニルメタクリルアミド、N−(4−ヒドロキシフェニル)アクリルアミド及びN−(4−ヒドロキシフェニル)メタクリルアミド、IBMAA(N−イソブトキシメチルアクリルアミド、又は脂肪族多価アミンとのアミドである。
【0086】
(メタ)アクリルニトリル;
不飽和酸無水物、例えば、イタコン酸無水物、無水マレイン酸、2,3−ジメチルマレイン酸無水物及び2−クロロマレイン酸無水物。
【0087】
スチレン、例えば、メチルスチレン、クロロメチルスチレン、並びにo−、m−及びp−ヒドロキシスチレン。
【0088】
ビニルエーテル、例えば、イソブチルビニルエーテル、エチルビニルエーテル、2−クロロエチルビニルエーテル、ヒドロキシエチルビニルエーテル、プロピルビニルエーテル、ブチルビニルエーテル、イソブチルビニルエーテル、オクチルビニルエーテル及びフェニルビニルエーテル。
【0089】
ビニルエステル、例えば、ビニルアセテート、ビニルクロロアセテート、ビニルブチレート及びビニルベンゾエート。
【0090】
塩化ビニル及び塩化ビニリデン。
【0091】
N−ビニル複素環式化合物、N−ビニルピロリドン又は適切に置換されたビニルピロリドン、N−ビニルカルバゾール、4−ビニルピリジン。
【0092】
エステルの更なる例は:ジアクリレートエステル、例えば、1,6−ヘキサンジオールジアクリレート(HDDA)、エチレングリコールジアクリレート、プロピレングリコールジアクリレート、トリプロピレングリコールジアクリレート、ネオペンチルグリコールジアクリレート、ヘキサメチレングリコールジアクリレート及びビスフェノールAジアクリレート、ジビニルベンゼン、ジビニルスクシネート、ジアリルフタレート、トリアリルホスフェート、トリアリルイソシアヌレート及びトリス(2−アクリロイルエチル)イソシアヌレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、トリメチロールエタントリアクリレート、トリメチロールプロパントリメタクリレート、トリメチロールエタントリメタクリレート、テトラメチレングリコールジメタクリレート、トリエチレングリコールジメタクリレート、テトラエチレングリコールジアクリレート、ペンタエリトリトールジアクリレート、ペンタエリトリトールトリアクリレート、ペンタエリトリトールテトラアクリレート、ジペンタエリトリトールジアクリレート、ジペンタエリトリトールトリアクリレート、ジペンタエリトリトールテトラアクリレート、ジペンタエリトリトールペンタアクリレート、ジペンタエリトリトールヘキサアクリレート、トリペンタエリトリトールオクタアクリレート、ペンタエリトリトールジメタクリレート、ペンタエリトリトールトリメタクリレート、ジペンタエリトリトールジメタクリレート、ジペンタエリトリトールテトラメタクリレート、トリペンタエリトリトールオクタメタクリレート、ペンタエリトリトールジイタコネート、ジペンタエリトリトールトリスイタコネート、ジペンタエリトリトールペンタイタコネート、ジペンタエリトリトールヘキサイタコネート、エチレングリコールジアクリレート、1,3−ブタンジオールジアクリレート、1,3−ブタンジオールジメタクリレート、1,4−ブタンジオールジイタコネート、ソルビトールトリアクリレート、ソルビトールテトラアクリレート、ペンタエリトリトール変性トリアクリレート、ソルビトールテトラメタクリレート、ソルビトールペンタアクリレート、ソルビトールヘキサアクリレート、オリゴエステルアクリレート及びメタクリレート、グリセロールジ−及びトリ−アクリレート、1,4−シクロヘキサンジアクリレート、分子量200〜1500のポリエチレングリコールのビスアクリレート及びビスメタクリレート、並びにそれらの混合物である。
【0093】
以下のエステル:ジプロピレングリコールジアクリレート、トリプロピレングリコールジアクリレート、グリセロールエトキシレートトリアクリレート、グリセロールプロポキシレートトリアクリレート、トリメチロールプロパンエトキシレートトリアクリレート、トリメチロールプロパンプロポキシレートトリアクリレート、ペンタエリトリトールエトキシレートテトラアクリレート、ペンタエリトリトールプロポキシレートトリアクリレート、ペンタエリトリトールプロポキシレートテトラアクリレート、ネオペンチルグリコールエトキシレートジアクリレート、ネオペンチルグリコールプロポキシレートジアクリレートも適切である。
【0094】
より高分子量の(オリゴマーの)ポリ不飽和化合物(プレポリマーとしても公知の)非限定的な例としては、上記の通りのエチレン性不飽和単官能性又は多官能性カルボン酸とポリオール又はポリエポキシドとのエステル、鎖内又は側基内にエチレン性不飽和基を有するポリマー、例えば不飽和ポリエステル、ポリアミド及びポリウレタン、並びにそれらのコポリマー、アルキド樹脂;ポリブタジエン及びブタジエンコポリマー、ポリイソプレン及びイソプレンコポリマー、側鎖内に(メタ)アクリル基を有するポリマー及びコポリマー、例えば、メタクリル化ウレタン、及びまた1種以上のかかるポリマーの混合物がある。
【0095】
適切なポリオールは、芳香族、そしてとりわけ脂肪族及び脂環式のポリオールである。芳香族ポリオールの例としては、ベンジルアルコール、ヒドロキノン、4,4’−ジヒドロキシジフェニル、2,2’−ジ(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、並びにノボラック及びレゾールがある。ポリエポキシドの例としては、前記ポリオール、とりわけ芳香族ポリオール及びエピクロロヒドリンに基づくものがある。更にポリオールとして適切なものは、ポリマー鎖内又は側基内にヒドロキシル基を含むポリマー及びコポリマー、例えばポリビニルアルコール及びそのコポリマー、又はポリメタクリル酸ヒドロキシアルキルエステル若しくはそれらのコポリマーである。更に適切なポリオールは、ヒドロキシル末端基を有するオリゴエステルである。
【0096】
脂肪族及び脂環式ポリオールの例としては、好ましくは2〜12個の炭素原子を有するアルキレンジオール、例えば、エチレングリコール、1,2−若しくは1,3−プロパンジオール、1,2−、1,3−若しくは1,4−ブタンジオール、ペンタンジオール、ヘキサンジオール、オクタンジオール、ドデカンジオール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、好ましくは分子量200〜1500のポリエチレングリコール、1,3−シクロペンタンジオール、1,2−、1,3−若しくは1,4−シクロヘキサンジオール、1,4−ジヒドロキシメチルシクロヘキサン、グリセロール、トリス(β−ヒドロキシエチル)アミン、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、ペンタエリトリトール、ジペンタエリトリトール及びソルビトールが挙げられる。
【0097】
ポリオールは、1種又は異なる不飽和カルボン酸によって一部又は完全にエステル化されてよく、部分エステル内の遊離ヒドロキシル基が、変性されてよく、例えばエーテル化、又は他のカルボン酸によりエステル化されてよい。
【0098】
アミノアクリレート
モノマーと組み合わせて用いられる第2のオリゴマーは、例えば、GaskeのUS3844916、WeissらのEP280222、MeixnerらのUS5482649又はReichらのUS5734002に記載された通りの第1級又は第2級アミンとの反応によって変性されたアクリレートである。かかるアミン変性アクリレートは、アミノアクリレートとも呼ばれる。アミノアクリレートは、例えばUCB ChemicalsからEBECRYL 80、EBECRYL 81、EBECRYL 83、EBECRYL P115、EBECRYL 7100の名称で、BASFからLaromer PO 83F、Laromer PO 84F、Laromer PO 94Fの名称で、CognisからPHOTOMER 4775 F、PHOTOMER 4967 Fの名称で、又はCray ValleyからCN501、CN503、CN550の名称で入手可能である。
【0099】
不飽和ポリマーは、単独で、又はいずれかの所望の混合物において使用され得る。
【0100】
コーティングの製造
配合物、及び場合によって更なる添加剤の成分を、公知のコーティング技術、例えば、スピンコーティング、浸漬、ナイフコーティング、カーテン流し込み、はけ塗り若しくは吹付け、とりわけ静電吹付け、リバースロールコーティング、更に電気泳動塗装によって、基材に均一に塗布する。塗布量(膜厚)及び基材(層支持体)の性質は、所望の塗布分野に依存する。膜厚の範囲は、一般に0.1μm〜300μm超の値を含む。
【0101】
基材
適切なものは、全ての種類、例えば、木、織物、紙、セラミック、ガラス、ガラス繊維、プラスチック、例えば、ポリエステル、ポリエチレンテレフタレート、ポリオレフィン又はセルロースアセテートの基材であり、とりわけ薄膜の形態の基材であり、更に金属では、例えば、Al、Cu、Ni、Fe、Zn、Mg又はCo、及びGaAs、Si又はSiO2の基材あり、それに保護層又は像様露光による像を塗布する。
【0102】
塗布:
液体コーティング又は粉体コーティング又はゲルコート。コーティングは、着色されてよい。
【0103】
印刷インキ中における使用も可能である。
【0104】
上記の組成物は、通例の添加剤を更に含んでよく、或いはその添加剤を重合の後で添加してもよい。かかる添加剤、例えば、紫外線吸収剤又は光安定剤、例えば、ヒドロキシフェニルベンゾトリアゾール、ヒドロキシフェニルベンゾフェノン、オキサルアミド及びヒドロキシフェニル−s−トリアジンから成る群から選択される化合物を少量添加することができる。特に適切な光安定剤は、例えば2−(2−ヒドロキシフェニル)−1,3,5−トリアジン又は2−ヒドロキシフェニル−2H−ベンゾトリアゾール型の立体障害アミン(HALS)から成る群から選択されるものである。2−(2−ヒドロキシフェニル)−1,3,5−トリアジン型の光安定剤の例は、特許文献、例えば、US−A−4,619,956、EP−A−434608、US−A−5,198,498、US−A−5,322,868、US−A−5,369,140、US−A−5,298,067、WO−94/18278、EP−A−704437、GB−A−2,297,091又はWO−96/28431から公知である。
【0105】
前記組成物は、他の通例の添加剤、例えば、充填剤、例えば、炭酸カルシウム、シリケート、ガラス若しくはガラス繊維材料、タルク、カオリン、マイカ、硫酸バリウム、金属酸化物及び金属水酸化物、カーボンブラック、黒鉛、微粉木材及び他の天然物由来の微粉材料若しくは線維材料、合成繊維、可塑剤、潤滑剤、乳化剤、顔料、流動化剤、触媒、光学増白剤、難燃剤、帯電防止剤又は発泡剤を更に含んでよい。
【0106】
本発明は、式I又はI’の上記の新規な化合物を用いてフリーラジカル重合によって上記のオリゴマー、コオリゴマー、ポリマー又はコポリマーを製造するための方法を更に提供する。
【0107】
フリーラジカル重合は、熱重合及び/又はUV重合を含む。
【0108】
熱重合は、熱硬化、IR硬化又はNIR硬化である。
【0109】
熱硬化:
熱硬化は、混合物を基材に塗布した後に、対流熱、又はIR−若しくはNIR−放射線を当てることを指す。粉体コーティングの場合、付着した粉体コーティングが、好ましくは対流熱によって最初に溶融されて表面層を形成する。
【0110】
NIR硬化
本発明による方法において用いられるNIR放射線は、約750nm〜約1500nm、好ましくは750nm〜1200nmの波長範囲内の短波赤外線である。NIR放射線のための放射線源としては、例えば、(例えばAdphosから)商業的に入手可能な従来のNIR放射線エミッタが挙げられる。
【0111】
IR硬化
本発明による方法において用いられるIR放射線は、約1500nm〜約3000nmの波長範囲内の中波放射線、及び/又は3000nmを超える波長範囲内の長波赤外線である。
【0112】
この種のIR放射線エミッタは、(例えばHeraeusから)商業的に入手可能である。
【0113】
二重硬化システムにおいて、UV放射の後でIR若しくはNIR放射を行ってよく、又はその逆でもよい。好ましくは、IR又はNIR放射の後にUV放射を行う。対流熱曝露の後にUV放射を行うことも可能である。
【0114】
本発明は、更に、請求項9に記載の組成物をフリーラジカル重合の反応条件に供することを特徴とするオリゴマー、コオリゴマー、ポリマー又はコポリマーの製造方法に関する。(請求項10)
【0115】
本発明は、更に、請求項1又は請求項7において定義される通りの式I又はI’の少なくとも1種の化合物をポリプロピレン、プロピレンコポリマー又はポリプロピレンブレンドに添加し、前記混合物を加熱することを特徴とする、ポリプロピレン、プロピレンコポリマー又はポリプロピレンブレンドの分子量を低下させるための方法に関する。(請求項11)
【0116】
本発明は、更に、コーティングを製造するための請求項1又は請求項7に記載の化合物の使用に関する。(請求項12)
【0117】
本発明は、更に、架橋のための請求項1又は請求項7に記載の化合物の使用に関する。(請求項13)
【0118】
調製例
以下の第1表に、調製された化合物をまとめる。
【0119】
【表1】

【0120】
【表2】

【0121】
実施例1:1,3−ジイソプロピル−O−(N−シクロヘキシリデンアミノ)−イソ尿素(化合物1)
乾燥THF(40mL)中におけるシクロヘキサノンオキシム(5.65g、0.05mol)の溶液に、細粉化されたNaOH(0.2g)及びジイソプロピルカルボジイミド(7.57g、0.06mol)を添加する。次いで、アルゴン下で、室温で混合物を5時間撹拌する。その後、混濁状混合物を減圧下で濾過し、蒸発させて、11.75gの液体を得て、それを静置して凝固させて、標題化合物をわずかに黄色の固体(融点45〜48℃)として得る。
【0122】

【0123】
実施例2:1,3−ジシクロヘキシル−O−(N−2−ブチリデンアミノ)−イソ尿素(化合物2)
乾燥THF(30mL)中におけるメチルエチルケトンオキシム(4.6g、0.053mol)の溶液に、細粉化されたNaOH(0.15g)及びジシクロヘキシルカルボジイミド(10.3g、0.05mol)を添加する。次いで、アルゴン下で、室温で混合物を5時間撹拌する。その後、混濁状混合物を減圧下で濾過し、蒸発させる。残渣をアセトニトリル(30mL)と共に10分間撹拌し、次いでアセトニトリル相を取り除き、油状残渣をジクロロメタン(30mL)中に溶解し、濾過し、蒸発させて、11.24gの標題化合物をわずかに黄色の液体として得る。
【0124】

【0125】
実施例3:1,3−ジシクロヘキシル−O−(N−イソプロピリデンアミノ)−イソ尿素(化合物3)
乾燥THF(35mL)中におけるアセトンオキシム(3.65g、0.05mol)の溶液に、細粉化されたNaOH(0.2g)及びジシクロヘキシルカルボジイミド(10.3g、0.05mol)を添加する。次いで、アルゴン下で、室温で混合物を5時間撹拌する。その後、混濁状混合物を、減圧下でヘキサン(30mL)で希釈し、濾過し、蒸発させて、13.8gの標題化合物をわずかに黄色の液体として得る。
【0126】

【0127】
実施例4:1,3−ビス(2,6−ジイソプロピルフェニル)−O−(N−シクロヘキシリデンアミノ)−イソ尿素(化合物4)
乾燥THF(25mL)中におけるシクロヘキサノンオキシム(1.13g、0.01mol)の溶液に、細粉化されたNaOH(0.04g)及びビス(2,6−ジイソプロピルフェニル)カルボジイミド(3.65g、0.01mol)を添加する。次いで、アルゴン下で、室温で混合物を4時間撹拌する。その後、混濁状混合物を減圧下で濾過し、蒸発させる。ジクロロメタン−ヘキサンから固体残渣を結晶化させて、3.9gの標題化合物を無色固体(融点150〜152℃)で得る。
【0128】

【0129】
実施例5:1,3−ジシクロヘキシル−O−(N−ジフェニルメチリデンアミノ)−イソ尿素(化合物5)
乾燥THF(40mL)中におけるベンゾフェノンオキシム(3.94g、0.02mol)の溶液に、細粉化されたNaOH(0.08g)及びジシクロヘキシルカルボジイミド(4.25g、0.0206mol)を添加する。次いで、アルゴン下で、室温で混合物を22時間撹拌する。その後、混濁状混合物を減圧下で濾過し、蒸発させる。残渣をアセトニトリルから結晶化させ、アセトニトリル−ジクロロメタン−ヘキサンから再度結晶化させ、2.93gの標題化合物を無色固体(融点104〜107℃)として得る。
【0130】

【0131】
実施例6:1,3−ジシクロヘキシル−O−(N−シクロヘキシリデンアミノ)−イソ尿素(化合物6)
乾燥THF(30mL)中におけるシクロヘキサノンオキシム(5.65g、0.05mol)の溶液に、細粉化されたNaOH(0.2g)及びジシクロヘキシルカルボジイミド(11.34g、0.055mol)を添加する。次いで、アルゴン下で、室温で混合物を5時間撹拌する。その後、混濁状混合物を、減圧下でジクロロメタン(25mL)で希釈し、濾過し、蒸発させる。残渣をアセトニトリル(30mL)と共に10分間撹拌し、次いでアセトニトリル相を取り除き、油状残渣をジクロロメタン(30mL)中に溶解し、濾過し、蒸発させて、14.27gの標題化合物をわずかに黄色の液体として得る。
【0132】

【0133】
実施例7:1,3−(2,6−ジイソプロピルフェニル)−O−(N−ジフェニルメチリデンアミノ)−イソ尿素(化合物7)
乾燥THF(30mL)中におけるベンゾフェノンオキシム(1.97g、10mmol)とビス(2,6−ジイソプロピルフェニル)カルボジイミド(3.63g、10mmol)と粉末状NaOH(0.04g)との混合物を、アルゴン下で、室温で20時間撹拌する。その後、混合物を蒸発させ、シリカゲル上で残渣のクロマトグラフィーを行い(ヘキサン−酢酸エチル15:1)、1.1gの標題化合物を無職のガラス質固体として得る。
【0134】

【0135】
実施例8:1−アセチル−1,3−ジシクロヘキシル−O−(N−2−ブチリデンアミノ)−イソ尿素(化合物8)
ピリジン(25mL)中における1,3−ジシクロヘキシル−O−(N−2−ブチリデンアミノ)−イソ尿素(化合物2)(10.5g、35.7mmol)及び4−ジメチルアミノピリジン(100mg)の溶液に、アセト無水物(5mL、52.9mmol)を滴下する。混合物を2時間撹拌し、蒸発させる。残渣をトルエン(100mL)中に溶解し、水で洗浄し(5×20mL)、MgSO4上で乾燥させ、蒸発させて、9.58gの標題化合物を淡黄色油として得る。
【0136】

【0137】
実施例9:1,3−ジシクロヘキシル−O−(N−シクロドデカニリデンアミノ)−イソ尿素(化合物9)
ヘキサン(75mL)中におけるシクロドデカノンオキシム(19.73g、100mmol)とジシクロヘキシルカルボジイミド(20.63g、100mmol)とカリウム−t−ブチレート(0.12g)との混合物を、アルゴン下で、50℃で23時間撹拌する。次いで、混合物を、−18℃で終夜結晶化させる。固体を濾別し、ジクロロメタン−ヘキサンから再結晶化させて、17.4gの標題化合物を白色固体(融点108〜111℃)として得る。
【0138】

【0139】
実施例10:1−ピバロイル−1,3−ジシクロヘキシル−O−(N−2−ブチリデンアミノ)−イソ尿素(化合物10)
ジクロロメタン(25mL)及びトリエチルアミン(3.1mL、22mmol)中における1,3−ジシクロヘキシル−O−(N−2−ブチリデンアミノ)−イソ尿素(化合物2)(5.87g、20mmol)及び4−ジメチルアミノピリジン(60mg)の溶液に、塩化ピバロイル(2.46g、21mmol)を添加する。混合物を室温で43時間撹拌し、ヘキサン(200mL)で希釈し、水で洗浄し(4×20mL)、MgSO4上で乾燥させ、蒸発させる。シリカゲル上で残渣のクロマトグラフィーを行い(ヘキサン−酢酸エチル4:1)、5.49gの標題化合物を無色油として得る。
【0140】

【0141】
実施例11:1−ベンゾイル−1,3−ジシクロヘキシル−O−(N−2−ブチリデンアミノ)−イソ尿素(化合物11)
ジクロロメタン(25mL)及びトリエチルアミン(3.9mL、27.5mmol)中における1,3−ジシクロヘキシル−O−(N−2−ブチリデンアミノ)−イソ尿素(化合物2)(7.34g、25mmol)及び4−ジメチルアミノピリジン(100mg)の溶液に、塩化ベンゾイル(3.58g、25.5mmol)を添加する。混合物を室温で6時間撹拌し、ヘキサン(200mL)で希釈し、水で洗浄し(4×20mL)、MgSO4上で乾燥させ、蒸発させる。シリカゲル上で残渣のクロマトグラフィーを行い(ヘキサン−酢酸エチル4:1)、純粋画分をヘキサンから再結晶化させて、7.2gの標題化合物を白色の結晶(融点74〜78℃)として得る。
【0142】

【0143】
実施例12:テレフタル酸−ビス−N−(1,3−ジシクロヘキシル−O−(N−2−ブチリデンアミノ)−イソ尿素−1−イル)−アミド(化合物12)
ジクロロメタン(25mL)及びトリエチルアミン(2.8mL、20mmol)中における1,3−ジシクロヘキシル−O−(N−2−ブチリデンアミノ)−イソ尿素(化合物2)(5.87g、20mmol)及び4−ジメチルアミノピリジン(80mg)の溶液に、塩化テレフタロイル(1.63g、8mmol)を添加する。混合物を室温で19時間撹拌し、ジクロロメタン(30mL)で希釈し、水で洗浄し(3×10mL)、MgSO4上で乾燥させ、蒸発させる。シリカゲル上で残渣のクロマトグラフィーを行い(ヘキサン−酢酸エチル3:1+5%CH2Cl2))、純粋画分をヘキサンから再結晶化させて、3.97gの標題化合物を白色の結晶(融点146〜150℃)として得る。
【0144】

【0145】
実施例13:トリメシン酸−トリス−N−(1,3−ジシクロヘキシル−O−(N−2−ブチリデンアミノ)−イソ尿素−1−イル)−アミド(化合物13)
ジクロロメタン(25mL)及びトリエチルアミン(3.35mL、24mmol)中における1,3−ジシクロヘキシル−O−(N−2−ブチリデンアミノ)−イソ尿素(化合物2)(7.04g、24mmol)及び4−ジメチルアミノピリジン(100mg)の溶液に、トリメシン酸クロリド(1.6g、6mmol)を添加する。混合物を室温で20時間撹拌し、ジクロロメタン(80mL)で希釈し、水で洗浄し(4×20mL)、MgSO4上で乾燥させ、蒸発させる。シリカゲル上で残渣のクロマトグラフィーを行い(ヘキサン−酢酸エチル3:1)、4.95gの標題化合物を無色の樹脂として得る。
【0146】

【0147】
実施例14:1−フェニルアミノカルボニル−1,3−ジシクロヘキシル−O−(N−2−ブチリデンアミノ)−イソ尿素(化合物14)
ジクロロメタン(15mL)中における1,3−ジシクロヘキシル−O−(N−2−ブチリデンアミノ)−イソ尿素(化合物2)(2.93g、10mmol)の溶液に、フェニルイソシアネート(1.19g、10mmol)がある。混合物を室温で1時間撹拌し、蒸発させて、4.12gの標題化合物を淡黄色油として得る。
【0148】

【0149】
実施例15:1−t−ブチルオキシカルボニル−1,3−ジシクロヘキシル−O−(N−2−ブチリデンアミノ)−イソ尿素(化合物15)
ジクロロメタン(25mL)中における1,3−ジシクロヘキシル−O−(N−2−ブチリデンアミノ)−イソ尿素(化合物2)(5.87g、20mmol)及び4−ジメチルアミノピリジン(125mg)の溶液に、ジ−t−ブチル−ジカルボネート(5.96g、27.3mmol)を添加する。混合物を室温で48時間撹拌し、メタノール(2mL)で希釈し、更に1時間撹拌し、蒸発させる。シリカゲル上で残渣のクロマトグラフィーを行い(ヘキサン−酢酸エチル3:1)、5.3gの標題化合物を無色油として得る。
【0150】

【0151】
実施例16:1−アセチル−1,3−ジシクロヘキシル−O−(N−イソプロピリデンアミノ)−イソ尿素(化合物16)
ピリジン(40mL)中における1,3−ジシクロヘキシル−O−(N−イソプロピリデンアミノ)−イソ尿素(化合物3)(16.7g、60mmol)及び4−ジメチルアミノピリジン(180mg)の溶液に、酢酸無水物(8.9mL、90mmol)を添加する。混合物を2時間撹拌し、次いで減圧下で蒸発させる。残渣をヘキサン(150mL)で希釈し、水で洗浄し(5×20mL)、MgSO4上で乾燥させ、蒸発させる。固体残渣をヘキサンから再結晶化させ、13.3gの標題化合物を白色の結晶(融点74〜78℃)として得る。
【0152】

【0153】
第1表からの選択化合物を用いる重合例
材料及び方法:
・ 全ての溶媒及びモノマーを、使用の直前にビグリューカラムを介してアルゴン下又は減圧下で留去する。
【0154】
・ 凍結/融解手法を用いてアルゴンで除去することによって全反応混合物から酸素を取り除き、続いて重合前にその全反応混合物をアルゴンガス下で維持する。
【0155】
・ 反応物は、重合反応の開始前において透明な均一溶液の形態である。
【0156】
・ モノマー転化率を、ポリマー及び未反応モノマーの信号を組み込むことによって1H−NMRを介して決定する。
【0157】
・ ポリマーを、GPC(ゲルパーミエーションクロマトグラフィー)によって特徴付ける。
【0158】
・ GPC:FLUX INSTRUMENTS(Ercatech AG,Bern,Switzerlandが代表)からの2−ピストン製造モデルポンプRHEOS4000を使用する。ポンプ出力は、1mL/分である。クロマトグラフィーを、THF中において40℃で連続して連結するPOLYMER INSTRUMENTS、Shropshire UKからの2つのPlゲル5μm混合−Cカラム上で実施する。これらカラムを、200〜2000000の範囲内のMn値を有するポリスチレンを用いて校正する。画分を、ERCATECH AGからのRI検出器ERC−7515Aを使用して30℃で測定する。
【0159】
実施例100:120℃で化合物4を使用するn−ブチルアクリレートの重合
238mg(0.5mmol)の化合物4及び6.43g(50mmol)のn−ブチルアクリレートを、温度計、凝縮器及び磁気撹拌器を備えた50mLの三つ口丸底フラスコ中に入れ、混合物を脱気する。透明な溶液をアルゴン下で120℃で5時間加熱し、次いで室温に冷却し、わずかに黄色の粘性のポリマーを得る。モノマーの転化率=77%、GPC:Mn=7796、Mw=58308。
【0160】
実施例101:100℃で化合物5を使用するn−ブチルアクリレートの重合
202mg(0.5mmol)の化合物5及び6.43g(50mmol)のn−ブチルアクリレートを、温度計、凝縮器及び磁気撹拌器を備えた50mLの三つ口丸底フラスコ中に入れ、混合物を脱気する。透明な溶液をアルゴン下で100℃で5時間加熱し、次いで室温に冷却し、わずかに黄色の粘性のポリマーを得る。モノマーの転化率=72%、GPC:Mn=72491、Mw=143925。
【0161】
実施例102:80℃で化合物6を使用するn−ブチルアクリレートの重合
319mg(1mmol)の化合物6及び12.85g(100mmol)のn−ブチルアクリレートを、温度計、凝縮器及び磁気撹拌器を備えた50mLの三つ口丸底フラスコ中に入れ、混合物を脱気する。透明な溶液をアルゴン下で120℃で5時間加熱し、次いで室温に冷却し、無色の粘性のポリマーを得る。モノマーの転化率=86%、GPC:Mn=9262、Mw=70597。
【0162】
実施例103:(コーティング組成物の重合)
以下の不飽和重合性組成物を用いる(w/w%)。
【0163】
ウレタン−アクリレート(Ebecryl 4858、UCB Chemicals/Cytec) 50%
1,6−ヘキサンジオールジアクリレート(UCB Chemicals/Cytec) 30%
トリプロピレングリコールジアクリレート(UCB Chemicals/Cytec) 20%
この組成物中に1%の化合物(第1表参照)を溶解し、得られた混合物を示差走査熱量(DSC)測定に付す。試験化合物の活性を、開始、ピーク及び終了温度並びに放出される全熱量(発熱量)によって特徴付けられる発熱硬化反応によって明示する。
【0164】
以下のDSCパラメーターを用いる:
装置:DSC30(Mettler)
温度勾配:5℃/分
温度範囲:30〜300℃
窒素下における測定、流速5mL/分
試料量:アルミニウムカップ中に約10mgの化合物
第2表にまとめる結果は、ブランク配合物によって硬化は生じないが、本発明の化合物の実施例によって明瞭な発熱硬化が認められることを示す。
【0165】
【表3】

【0166】
実施例104:(ATR−IRを介した二重結合の転化率の決定)
A)2枚のPET膜の間の重合
アクリレート配合物(0.2g)を2枚のPET膜の間に積層し、次いで25分間、120℃の炉内において硬化させた。ATR−IR(810cm-1におけるピーク面積)によって二重結合の転化率を明らかにした。結果を第3表にまとめる。
【0167】
【表4】

【0168】
B)白色コイルシート上における重合
アクリレート配合物(0.2g)を200μm厚膜として白色コイルシート上に被覆し、次いでPET膜で覆い、25分間、130℃の炉内において硬化させた。ATR−IR(810cm-1におけるピーク面積)によって二重結合の転化率を明らかにした。結果を第4表にまとめる。
【0169】
【表5】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
一般式(I)
【化1】

[式中、
nは、1、2、3又は4であり、
100及びR101は、独立してH、C1-18アルキル、C3−C12シクロアルキル、C6−C14アリール、C1−C14ヘテロアリール、C7−C15アラルキル、C2−C14ヘテロアラルキル、シアノであり、又はR100及びR101は、それらが結合する炭素と共に、単環式若しくは多環式C3−C18炭素環若しくはC1−C18複素環を形成し;
102及びR103は、独立してC1−C18アルキル、C3−C12シクロアルキル、C6−C14アリール、C1−C18アルキルによって1回又は1回超置換されたC6−C14アリール;C7−C15アラルキル、(CH33Si−であり;又はR102及びR103は、C1−C18アルキル、C3−C12シクロアルキル、C6−C14アリール、C7−C15アラルキルであり、又はR102及びR103は、Oによって又はC1−C18アルキルアミノ、ビス(C1−C18アルキル)アミノ若しくはトリス(C1−C1tアルキル)アンモニウムから選択されるN含有基によって中断若しくは置換されたC1−C18アルキル、C3−C12シクロアルキルであり;
104は、nが1である場合、H、C1−C18アルキル、C3−C12シクロアルキル、C7−C14アラルキル、C6−C14アリール若しくは以下のアシル、−C(=O)−H、−C(=O)−C1−C18アルキル、−C(=O)−C2−C18アルケニル、−C(=O)−C6−C14アリール、−C(=O)−C2−C18アルケニル−C6−C14アリール、−C(=O)−O−C1−C18アルキル、−C(=O)−O−C6−C14アリール、−C(=O)−NH−C1−C18アルキル、−C(=O)−NH−C6−C14アリール及び−C(=O)−N(C1−C18アルキル)2から成る群から選択されるアシルであり;又は
102及びR104は、nが1である場合、それらが結合する窒素原子と共に、更なるヘテロ原子を含んでよい5〜12員環を形成し、
104は、nが1を超える場合、ジ−、トリ−、テトラ−C1−C18アルキリデン、ジアシル、トリアシル若しくはテトラアシルである]のO−イミノ−イソ尿素化合物及びそれらの塩を、ラジカル源としての、特に重合開始剤として用いる使用。
【請求項2】
nが1である一般式(I)
【化2】

[式中、
100及びR101は、独立してH、C1-18アルキル、C3−C12シクロアルキル、C6−C14アリール、C1−C14ヘテロアリール、C7−C15アラルキル、C2−C14ヘテロアラルキル、シアノであり、又はR100及びR101は、それらが結合する炭素と共に、単環式若しくは多環式C3−C18炭素環若しくはC1−C18複素環を形成し;
102及びR103は、独立してC1−C18アルキル、C3−C12シクロアルキル、C6−C14アリール、C1−C18アルキルによって1回又は1回超置換されたC6−C14アリール;C7−C15アラルキル、(CH33Si−であり;又はR102及びR103は、C1−C18アルキル、C3−C12シクロアルキル、C6−C14アリール、C7−C15アラルキルであり、又はR102及びR103は、Oによって又はC1−C18アルキルアミノ、ビス(C1−C18アルキル)アミノ若しくはトリス(C1−C1tアルキル)アンモニウムから選択されるN含有基によって中断若しくは置換されたC1−C18アルキル、C3−C12シクロアルキルであり;
104は、H、C1−C18アルキル、C3−C12シクロアルキル、C7−C14アラルキル、C6−C14アリール若しくは以下のアシル、−C(=O)−H、−C(=O)−C1−C18アルキル、−C(=O)−C2−C18アルケニル、−C(=O)−C6−C14アリール、−C(=O)−C2−C18アルケニル−C6−C14アリール、−C(=O)−O−C1−C18アルキル、−C(=O)−O−C6−C14アリール、−C(=O)−NH−C1−C18アルキル、−C(=O)−NH−C6−C14アリール及び−C(=O)−N(C1−C18アルキル)2から成る群から選択されるアシルであり;又は
102及びR104は、それらが結合する窒素原子と共に、更なるヘテロ原子を含んでよい5〜12員環を形成する]の請求項1に記載のO−イミノ−イソ尿素化合物及びそれらの塩の使用。
【請求項3】
一般式(I)で示され、その式中、
nは1であり、
100及びR101は、独立してH、C1-18アルキル、C5−C12シクロアルキル、C6−C14アリール、C1−C14ヘテロアリール、C7−C15アラルキルであり、又はR100及びR101は、それらが結合する炭素と共に、C5−C12炭素環を形成し;
102及びR103は、独立してC1−C4アルキル、C5−C12シクロアルキル、C6−C14アリール、C1−C18アルキルによって1回又は1回超置換されたC6−C14アリール;C7−C15アラルキルであり;
104は、H、C1−C18アルキル、C5−C12シクロアルキル、C7−C14アラルキル、C6−C14アリール若しくは以下のアシル、−C(=O)−H、−C(=O)−C1−C18アルキル、−C(=O)−C2−C18アルケニル、−C(=O)−C6−C14アリールから成る群から選択されるアシルであり;又は
102及びR104は、それらが結合する窒素原子と共に、5〜6員環を形成する、請求項1又は2に記載のO−イミノ−イソ尿素化合物及びそれらの塩の使用。
【請求項4】
一般式(I)で示され、その式中、
100及びR101は、独立してC1-18アルキル、C5−C12シクロアルキル、C6−C14アリール、C1−C14ヘテロアリール、C7−C15アラルキルであり、又はR100及びR101は、それらが結合する炭素と共に、C5−C12炭素環を形成し;
102及びR103は、独立してC1−C4アルキル、シクロヘキシル、C6−C14アリール;C1−C18アルキルによって1回又は1回超置換されたC6−C14アリールであり;
104は、H、C1−C18アルキル、C5−C12シクロアルキル、−C(=O)−C1−C18アルキルであり;又はR102及びR104は、それらが結合する窒素原子と共に、5〜6員環を形成する、請求項3に記載のO−イミノ−イソ尿素化合物及びそれらの塩の使用。
【請求項5】
一般式(I)で示され、その式中、
100及びR101は、独立してC1-18アルキル、フェニルであり、又はR100及びR101は、それらが結合する炭素と共に、C5−C12シクロアルキル環を形成し、
102及びR103は、独立してC1−C4アルキル、C5−C12シクロアルキル、C6−C14アリール;C1−C6アルキルによって1回又は1回超置換されたC6−C14アリールであり;
104は、水素又は−C(=O)−C1−C18アルキルである、請求項4に記載のO−イミノ−イソ尿素化合物及びそれらの塩の使用。
【請求項6】
一般式(I)で示され、その式中、
nは2、3又は4であり;
100及びR101は、独立してC1-18アルキル、フェニルであり、又はR100及びR101は、それらが結合する炭素と共に、C5−C12シクロアルキル環を形成し、
102及びR103は、独立してC1−C4アルキル、C5−C12シクロアルキル、C6−C14アリール;C1−C6アルキルによって1回又は1回超置換されたC6−C14アリールであり;
104は、ジ−、トリ−、テトラ−C1−C18アルキリデン、ジアシル、トリアシル又はテトラアシルである、請求項1に記載のO−イミノ−イソ尿素化合物及びそれらの塩の使用。
【請求項7】
式I’
【化3】

[式中、
nは、1、2、3又は4であり、
100、R101、R102、R103及びR104は、請求項1から6のいずれか一項において定義される通りである]の新規なO−イミノ−イソ尿素化合物及びそれらの塩(但し、以下の化合物
【化4】

を除く)、並びにケトキシムから誘導される以下
【化5】

のO−イミノ−イソ尿素。
【請求項8】
nが1である式I’
【化6】

[式中、
100、R101、R102、R103及びR104は、上記で及び請求項2において定義される通りである]の請求項7に記載の新規なO−イミノ−イソ尿素化合物及びそれらの塩。
【請求項9】
A)少なくとも1種のエチレン性不飽和重合性モノマー又はオリゴマー;及び
B)請求項1又は7に定義される通りの式I又はI’の少なくとも1種の化合物、
C)場合によって光重合開始剤
を含む組成物。
【請求項10】
請求項9に記載の組成物をフリーラジカル重合の反応条件に供することを特徴とするオリゴマー、コオリゴマー、ポリマー又はコポリマーの製造方法。
【請求項11】
請求項1又は請求項7において定義される通りの式I又はI’の少なくとも1種の化合物をポリプロピレン、プロピレンコポリマー又はポリプロピレンブレンドに添加し、前記混合物を加熱することを特徴とする、ポリプロピレン、プロピレンコポリマー又はポリプロピレンブレンドの分子量を低下させるための方法。
【請求項12】
コーティングを製造するための請求項1又は請求項7に記載の化合物の使用。
【請求項13】
架橋方法のための請求項1又は請求項7に記載の化合物の使用。

【公表番号】特表2012−526167(P2012−526167A)
【公表日】平成24年10月25日(2012.10.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−509020(P2012−509020)
【出願日】平成22年5月5日(2010.5.5)
【国際出願番号】PCT/EP2010/056063
【国際公開番号】WO2010/128062
【国際公開日】平成22年11月11日(2010.11.11)
【出願人】(508020155)ビーエーエスエフ ソシエタス・ヨーロピア (2,842)
【氏名又は名称原語表記】BASF SE
【住所又は居所原語表記】D−67056 Ludwigshafen, Germany
【Fターム(参考)】