説明

O−デスメチルベンラファキシンの製造方法及びそれに使用される中間体

本発明は、式(A)の化合物に関する:
【化1】


(Rはアルキルである)。化合物Aは、O−デスメチルベンラファキシン又はその塩の製造において中間体として使用され得、本発明は、上記の製造及び該式(A)の化合物の製造方法を提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、O−デスメチルベンラファキシン(ODV)及びその医薬として許容し得る塩の製造方法に関する。
【0002】
特に、本発明は、O−デスメチルベンラファキシン(ODV)の合成に有用な新規の重要な中間体及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0003】
O−デスメチルベンラファキシン(ODV)は、化学的に4−[2−ジメチルアミノ−1−(1−ヒドロキシ−シクロヘキシル)−エチル]−フェノールとして知られ、ベンラファキシンの主要な代謝物である。それは、以下に示す構造式Vにより表される。
【化1】

【0004】
インビボ試験では、ODVはベンラファキシンに比べより強力なノルエピネフリン及びセロトニン吸収の阻害剤であることが示唆されている。神経伝達物質間の不均衡さが鬱病の原因である。セロトニン及びノルエピネフリンは、脳内の神経により放出される2つの神経伝達物質である。デスベンラファキシンは、これらが放出された後に神経によるセロトニン及びエピネフリンの再吸収を妨げる作用をする。吸収は、放出された神経伝達物質を除去し、隣接する神経の活性を休止させるための重要な機構であるため、デスベンラファキシンによる吸収の低下が脳内のセロトニン及びノルエピネフリンの作用を亢進させ、これが精神安定の維持に役立ち、そのため、デスベンラファキシンは鬱病の抑制に非常に有用である。
【0005】
ベンラファキシン及びODVは、US4535186において最初に特許請求され、それらの製造方法が開示された。該方法は、以下のスキーム1に示されるように表される。
【化2】

【0006】
該方法は、接触水素化によるベンジル化ベンラファキシンの脱ベンジル化を含む。しかし、ベンジル化ベンラファキシンの製造は、水素化アルミニウムリチウムと濃硫酸を反応させることによる、水素化アルミニウムのインサイチュでの生成を含む。プラント規模でのこれらの試薬の取り扱いは非常に難しく、危険である。
【0007】
WO2000/059851、 WO2002/064543、 US6689912及び US2007/0299283 は、ODVの代替製造方法を提供しており、これらは、ベンラファキシンの脱メチル化を介して進められる。しかし、これらの反応は、それぞれジフェニルホスフィン及びn−ブチルリチウムなどの脱メチル化剤、トリアルキルボロヒドリドのアルカリ金属塩、PEG−400などの高沸点溶媒中の高分子量のアルカン又はアレーンチオラートアニオン、及び溶媒1−メチルピロリドン中の硫化ナトリウムなどの金属硫化物の使用を含む。これらの試薬は、高価であり、毒性がありかつ/又は危険であり、デスベンラファキシン及び/又は対応する副生成物を単離する大規模な精製方法を必要とする。該方法では、中程度から少量の収率であり、不純な最終生成物が生成されるため、工業的な実施には不適切である。
【0008】
WO2008/093142は、1−[1−(4−ベンジルオキシ−フェニル)−2−ジメチルアミノ−エチル]−シクロヘキサノールの脱ベンジル化を含むODVの製造について開示している。しかし、アミドシクロヘキサノールの製造は、ヘキサメチルジシラジドリチウムなどの高濃度の、非求核性、嵩高及び立体障害性の塩基の使用を含む。
【0009】
WO2009/084038は、有機溶媒の存在下で、メルカプトアルコール、複素環メルカプタン、キサンタート、チオ酸又はそれらの混合物などのメルカプト酸又はその誘導体のアルカリ又はアルカリ土類金属塩を使用して、ベンラファキシン又は塩を脱メチル化することによるO−デスメチルベンラファキシン及びその医薬として許容し得る塩の製造方法を開示している。
【0010】
従って、安全、短時間、経済的、高収率及び環境にやさしく、かつ危険である可能性がある試薬の使用を回避したODV又はその医薬として許容し得る塩の改良された製造方法が必要とされている。
【0011】
(発明の目的)
本発明の目的は、ODV及びその医薬として許容し得る塩の改良された製造方法を提供することである。
【0012】
別の目的は、ODVの製造に使用するのに適切な改良された中間体を提供することである。
【0013】
本発明の更なる別の目的は、簡易で、経済的及び工業規模に適した方法を提供することである。
【発明の概要】
【0014】
本発明の第1の態様により、式Aの化合物を提供する:
【化3】

(式中、Rはアルキル基である。化合物Aは2−(4−ベンジルオキシ−フェニル)−3−ジメチルアミノ−プロピオン酸アルキルエステルである。好ましくは、RはC1〜10アルキル基である。該アルキル基は、直鎖又は分岐鎖であってよい。例えば、Rは、メチル、エチル、i−プロピルもしくはn−プロピルなどのプロピル、n−ブチルなどのブチル、ペンチル又はヘキシルであってよい。より好ましくは、RはC1〜C3アルキル基である。最も好ましくは、Rはメチル又はエチルである)。
【0015】
本発明の別の態様により、上記で定義された式Aの化合物の製造方法を提供し
【化4】

(式中、Rはアルキル基である)、該方法は、
a)(4−ベンジルオキシ−フェニル)−酢酸をエステル化し、(4−ベンジルオキシ−フェニル)−酢酸アルキルエステルを形成すること、
【化5】

(式中、Rは上記の通りである)
b)典型的に無機塩基及び 相間移動触媒の存在下で、該(4−ベンジルオキシ−フェニル)−酢酸アルキルエステルとパラホルムアルデヒドを還流させ、2−(4−ベンジルオキシ−フェニル)−アクリル酸アルキルエステルを形成すること、
【化6】

(式中、Rは上記の通りである)及び、
c)典型的にルイス酸触媒の存在下で、該2−(4−ベンジルオキシ−フェニル)−アクリル酸アルキルエステルとジメチルアミンを反応させ、化合物Aを形成すること;
(好ましくは、RはC1〜10アルキル基である。該アルキル基は、直鎖又は分岐鎖であってよい。例えば、Rはメチル、エチル、i−プロピルもしくはn−プロピルなどのプロピル、n−ブチルなどのブチル、ペンチル又はヘキシルであってよい。より好ましくは、RはC1〜C3アルキル基である。最も好ましくは、Rはメチル又はエチルである)
を含む。
【0016】
一実施態様において、エステル化は、該式Iの酸とアルコール酸溶液を反応させることを含む。
【0017】
一実施態様において、該エステル化は、(4−ベンジルオキシ−フェニル)−酢酸と、アルコールと塩化チオニル又は炭酸カリウムと硫酸ジメチルとの混合物を反応させることを含む。該アルコールは、式R´−OH(式中、R´はアルキル基である。好ましくは、R´はC1〜C3アルキル基である。より好ましくは、R´はメチル又はエチルである。最も好ましくは、該アルコールはメタノールである)を有し得る。
【0018】
一実施態様において、無機塩基をステップb)で使用する。該塩基は、アルカリ金属水酸化物、好ましくは、水酸化ナトリウム又は水酸化カリウム、及びアルカリ金属炭酸塩、好ましくは炭酸カリウム、炭酸ナトリウム又は炭酸セシウムから選択され得る。好ましくは、該無機塩基はアルカリ金属炭酸塩、より好ましくは、炭酸カリウムである。
【0019】
一実施態様において、相間移動触媒をステップb)で使用する。該触媒は、テトラブチルアンモニウム硫酸水素塩、ハロゲン化アンモニウム、好ましくは、塩化トリエチルベンジルアンモニウム、ハロゲン化アルキルアンモニウム、好ましくは、臭化テトラブチルアンモニウム又はヨウ化テトラブチルアンモニウム、最も好ましくは、ヨウ化テトラブチルアンモニウムから選択され得る。
【0020】
ステップb)はトルエン、クロロベンゼン及びO−キシレン、好ましくはトルエンから選択される有機溶媒の存在下で行われ得る。
【0021】
一実施態様において、ステップc)のジメチルアミン源は、ジメチルアミンガス又はジメチルアミンのアルコール溶液である。該アルコールは、式R´−OH(式中、R´はアルキル基である。好ましくは、R´はC1〜C3アルキル基である。より好ましくは、R´はメチル又はエチルである。最も好ましくは、該アルコールはメタノールである)を有し得る。
【0022】
一実施態様において、ルイス酸触媒をステップc)で使用する。該ルイス酸触媒は、塩化亜鉛、塩化第二鉄、塩化アルミニウム、過塩素酸リチウム及び塩化第二スズ、好ましくは、塩化第二鉄及び過塩素酸リチウムから選択され得る。
【0023】
有利なことに、ステップb)及びc)は該化合物2−(4−ベンジルオキシ−フェニル)−アクリル酸アルキルエステルを単離することなく行われる。
【0024】
本発明は、収率が改良された新規のODVの製造方法を提供し、該方法は、反応条件を容易に調節できるとして大規模生産に対応可能である。中間体の製造は、ワンポットででき、更に収率及び品質が向上し、かつ過程での不純物による汚染が最小限である簡易な後処理方法を提供する。
【0025】
本発明の別の態様により、上記の化合物AをODVに変換することを含む下記式のODVの製造方法を提供する。一実施態様において、該化合物Aは上記の方法により製造されている。
【化7】

【0026】
一実施態様において、該変換は、化合物Aとグリニャール試薬を反応させ、下記式の1−[1−(4−ベンジルオキシ−フェニル)−2−ジメチルアミノ−エチル]−シクロヘキサノールを形成後、脱保護し、ODVを得ることを含む。
【化8】

【0027】
該グリニャール試薬は、典型的には、ペンタメチレン−1,5−ビス(ハロゲン化マグネシウム)、すなわち、XMg−(CH−MgX(式中、Xはハロ、例えば、塩素、臭素又はヨウ素である)である。該グリニャール試薬は、環状又は非環状エーテルの存在下で、活性化削り状マグネシウム及びヨウ素結晶と1,5−ジハロペンタンを還流させることにより製造され得る。該ジハロペンタンは、ジブロモペンタン、ジクロロペンタン及びジヨードペンタン、好ましくは、ジブロモペンタンから選択され得る。
【0028】
本発明の別の態様により、上記の方法により製造されたODVを提供する。
【0029】
このように製造されたODVを、1つ以上の医薬として許容し得る賦活剤と配合し、医薬組成物を得ることができる。このような賦活剤及び組成物は当業者により公知である。
【0030】
本発明の別の態様により、上記のODV又はその酸付加塩と合わせて1つ以上の医薬として許容し得る賦活剤を含む医薬組成物を提供する。
【0031】
本発明の更に別の態様により、薬品に使用される上記のODV又はその酸付加塩を提供する。
【0032】
本発明の更なる態様により、精神安定の維持及びそのため、おもに鬱病の抑制に使用される上記のODV又はその酸付加塩を提供する。
【0033】
本発明を以下でより詳述し、そのいかなる部分も本発明の範囲を制限するものと解釈されない。
【0034】
(発明の詳細な説明)
本発明の一実施態様において、式Aの新規の中間体2−(4−ベンジルオキシ−フェニル)−3−ジメチルアミノ−プロピオン酸アルキルエステルの製造方法を提供し、該方法を以下のスキーム2で示されるように概略的に表すことができる:
【化9】

(式中、Rはアルキル基、好ましくは、C1〜C10アルキル基、より好ましくは、メチル又はエチルである(角括弧は、単離され得る又は、され得ない中間体を示すが、過程全体において単離されないことが好ましい))。
【0035】
それに応じて、一実施態様において、本発明は、以下に記載のようにステップa)、b)及びc)を含む、式(A)の新規の中間体2−(4−ベンジルオキシ−フェニル)−3−ジメチルアミノ−プロピオン酸アルキルエステルの製造方法を提供する。
【0036】
ステップa):該式I の(4−ベンジルオキシ−フェニル)酢酸をエステル化する:
【化10】

(式中、Rは、適切なエステル化剤の存在下で上記の通りであり、該式IIの(4−ベンジルオキシ−フェニル)−酢酸アルキルエステルを形成する)。
【0037】
典型的に、該エステル化は、該(4−ベンジルオキシ−フェニル)酢酸とアルコール酸溶液を反応させることを含む。該酸は、塩酸又は硫酸であってよく、該アルコールはメタノールであってよい。最も具体的には、エステル化はアルコールと塩化チオニル又は炭酸カリウムと硫酸ジメチル、好ましくはアルコールと塩化チオニル、最も好ましくはメタノールと塩化チオニルとの混合物中で行われる。
【0038】
該エステル化は、0℃〜選択された溶媒の還流温度、好ましくは、5℃〜選択された溶媒の還流温度又は、より好ましくは、10℃〜選択された溶媒の還流温度の範囲で行われ得る。
【0039】
ステップb):適切な無機塩基及び相間移動触媒の存在下で、該(4−ベンジルオキシ−フェニル)−酢酸アルキルエステルとp−ホルムアルデヒドを還流させ、式IIIの2−(4−ベンジルオキシ−フェニル)−アクリル酸アルキルエステルを形成する:
【化11】

(式中、Rは上記の通りである)。
【0040】
該無機塩基は、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム及びアルカリ金属炭酸塩などのアルカリ金属水酸化物から選択され得、好ましくは、炭酸カリウム、炭酸ナトリウム及び炭酸セシウム、最も好ましくは炭酸カリウムから選択され得る。
【0041】
該相間移動触媒は、テトラブチルアンモニウム硫酸水素塩、塩化トリエチルベンジルアンモニウムなどのハロゲン化アンモニウム、臭化テトラブチルアンモニウム又はヨウ化テトラブチルアンモニウムなどのハロゲン化アルキルアンモニウム、最も好ましくは、ヨウ化テトラブチルアンモニウムから選択され得る。
【0042】
該反応は、有機溶媒の存在下で行われ得る。該溶媒は、トルエン、クロロベンゼン及びO−キシレン、最も好ましくはトルエンから選択される高沸点有機溶媒であってよい。
【0043】
該反応は、ステップb)で形成された中間体を単離することなく行われ得る。「単離することなく」とは、固体としての該中間体を単離しないことを意味する。該中間体は、形成される反応塊から分離され得るが、固体として単離されない。それゆえ、該反応は、該中間体を単離することなく進むことができる。
【0044】
ステップc):ルイス酸触媒の存在下で、適切なジメチルアミン源で2−(4−ベンジルオキシ−フェニル)−アクリル酸アルキルエステルをジメチルアミン化し、化合物Aを形成する:
【化12】

(式中、Rは上記の通りである)。
【0045】
使用されるジメチルアミン源は、ジメチルアミンガス及びジメチルアミンのアルコール溶液から選択され得る。好ましいアルコールはメタノールである。
【0046】
使用されるルイス酸触媒は、塩化亜鉛、塩化第二鉄、塩化アルミニウム、過塩素酸リチウム及び塩化第二スズから選択され得、好ましくは、塩化第二鉄及び過塩素酸リチウムから選択され得る。
【0047】
該ジメチルアミン化は、0℃〜50℃、好ましくは25℃〜30℃の範囲で行われ得る。
【0048】
好ましい一実施態様において、ステップb)及びc)は、該中間体2−(4−ベンジルオキシ−フェニル)−アクリル酸アルキルエステルを単離することなく行われる。
【0049】
本発明の別の実施態様において、化合物AをODVに変換することを含むODVの製造方法を提供する。該方法の一実施態様を以下のスキーム3に示されるように概略的に表すことができる:
【化13】

(式中、Rは上記の通りである)。
【0050】
それに応じて、一実施態様において、本発明は以下に記載のように、ステップd)及びe)を含む、化合物Aを使用したODVの製造方法を提供する。
【0051】
ステップd):溶媒として環状又は非環状エーテルの存在下で、化合物Aとグリニャール試薬を反応させ、式IVの1−[1−(4−ベンジルオキシ−フェニル)−2−ジメチルアミノ−エチル]−シクロヘキサノールを形成する。
【化14】

【0052】
該グリニャール試薬は、典型的に、ペンタメチレン−1,5−ビス(ハロゲン化マグネシウム)、すなわちXMg−(CH−MgX(式中、Xはハロ、例えば、塩素、臭素又はヨウ素である)である。該グリニャール試薬は、環状又は非環状エーテルの存在下で、活性化削り状マグネシウム及びヨウ素結晶と1,5−ジハロペンタンを還流させることにより製造され得る。該ジハロペンタンは、ジブロモペンタン、ジクロロペンタン及びジヨードペンタン、好ましくはジブロモペンタンから選択され得る。
【0053】
該方法で使用され得る環状エーテルは、エチレンオキシド、1,4−ジオキサン、フラン、ジヒドロフラン及びテトラヒドロフラン、アニソール、クラウンエーテル、好ましくは、テトラヒドロフランから選択され得る。
【0054】
該方法で使用され得る非環状エーテルは、ジメチルエーテル、メチルターシャリーブチルエーテル及びジエチルエーテル、ジメトキシエタン、ジプロピルエーテル、ジブチルエーテル、ジペンチルエーテル、メチオキシエタン、好ましくはジエチルエーテルから選択され得る。
【0055】
該反応は、0℃〜50℃、好ましくは、25℃〜30℃の範囲で行われ得る。
【0056】
ステップe):1−[1−(4−ベンジルオキシ−フェニル)−2−ジメチルアミノ−エチル]−シクロヘキサノールを脱保護し、ODVを形成する。
【0057】
該脱ベンジル化は、水素化、好ましくは、貴金属触媒の存在下で、又は相間移動水素化を使用して、水素ガスとの接触水素化反応を含み、ODVを得ることができる。別法として、他の脱保護試薬、例えば、適切な溶媒中に鉱酸、強酸、ルイス酸又は鉱塩基水溶液が使用され得る。
【0058】
水素化の好ましい方法は、パラジウム、水酸化パラジウム、パラジウム−活性炭、パラジウム−アルミナ、白金、白金−活性炭及びラネーニッケルから選択される貴金属触媒を使用する、水素ガスとの触媒還元である。
【0059】
ステップ(e)で使用される溶媒は、酢酸アルキル、低級アルキルアミン、アルコール、脂肪族炭化水素、芳香族炭化水素、複素環、ジアルキルエーテル、水と水溶性溶媒との混合物、イオン液体、ハロゲン化溶媒及びそれらの混合物から選択され得る。
【0060】
本実施態様において、該還元は約25℃〜約使用される溶媒の還流温度の範囲で適切に行われる。
【0061】
本発明の方法は、更に、ODVと適切な酸を反応させることにより式IのODVをその医薬として許容し得る塩に変換し、該ODVを有する酸付加塩を形成することを含む。該酸付加塩は、塩酸、臭化水素酸、硫酸、硝酸、リン酸、ピバル酸などの無機酸及びフマル酸、酒石酸、酢酸、シュウ酸、マロン酸、マンデル酸、コハク酸、マレイン酸、乳酸、クエン酸、メタンスルホン酸、p−ヒドロキシ安息香酸、1−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸、グルタミン酸、p−トルエンスルホン酸、好ましくは、コハク酸、シュウ酸及び1−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸などの有機塩を含む。
【0062】
本明細書に開示された実施態様に対して、種々の変更がなされることができ、それゆえ、上記の記載は限定されるものとして解釈されるべきではない。
【0063】
以下の実施例は、好ましい実施態様を含み、本発明の実施を示すのに役立ち、具体例は例として、及び本発明の好ましい実施態様の図示目的で示されることが理解される。
【実施例】
【0064】
(実施例1)
((4−ベンジルオキシ−フェニル)−酢酸メチルエステルの製造)
塩化チオニル(60ml、0.83mol)を、5〜10℃の温度を維持しながら、一定の撹拌下にて、(4−ベンジルオキシ−フェニル)酢酸(100gm、0.4132mol)とメタノール(300ml)との混合物に滴下にて添加した。添加が完了後、該反応混合物を室温にて5〜6時間撹拌した。該反応が完了後、白色の結晶固体を濾過により単離し、(4−ベンジルオキシ−フェニル)−酢酸メチルエステルを得た。収率:104g、効率:98.31%。
【0065】
(実施例2)
(2−(4−ベンジルオキシ−フェニル)−アクリル酸メチルエステルの製造)
(製造1)
(4−ベンジルオキシ−フェニル)−酢酸メチルエステル(10g、0.03906mol)をトルエン(100ml)に入れた。更に、炭酸カリウム(16.17g、0.116mol)、パラホルムアルデヒド(3.51g、0.116mol)及び臭化テトラブチルアンモニウム(1.25g)を入れ、そうして得られた反応混合物を5.5〜6時間還流させた。該反応塊を25〜30℃に冷却し、濾過した。該濾液は、2−(4−ベンジルオキシ−フェニル)−アクリル酸メチルエステルを含有する。
【0066】
(製造2)
(4−ベンジルオキシ−フェニル)−酢酸メチルエステル(10g、0.03906mol)をトルエン(100ml)に入れた。更に、炭酸ナトリウム(12.49g、0.12mol)、パラホルムアルデヒド(3.51g、0.116mol)及びヨウ化テトラブチルアンモニウム(1.25g)を入れ、そうして得られた反応混合物を5.5〜6時間還流させた。該反応塊を25〜30℃に冷却し、濾過した。該濾液は、2−(4−ベンジルオキシ−フェニル)−アクリル酸メチルエステルを含有する。
【0067】
(製造3)
(4−ベンジルオキシ−フェニル)−酢酸メチルエステル(10g、0.04mol)をトルエン(100ml)に入れた。更に、炭酸カリウム(13.47g、0.09mol)、パラホルムアルデヒド(2.9g、0.097mol)及びヨウ化テトラブチルアンモニウム(0.72g)を入れ、そうして得られた反応混合物を5.5〜6時間還流させた。該反応塊を25〜30℃に冷却し、濾過した。該濾液は、2−(4−ベンジルオキシ−フェニル)−アクリル酸メチルエステルを含有する。
【0068】
(実施例3)
a)2−(4−ベンジルオキシ−フェニル)−3−ジメチルアミノ−プロピオン酸メチルエステルの製造)
(製造1)
実施例2で得られた2−(4−ベンジルオキシ−フェニル)−アクリル酸メチルエステルの溶液を無水過塩素酸リチウム(1g、0.009mol)とともに撹拌した。該反応混合物を5〜10℃に冷却した。ジメチルアミンガスを、該混合物を介して5〜10℃で約30分間気泡させた。2時間一定に撹拌するとともに該反応塊の温度を25〜30℃に上昇させた。該反応が完了後、水(100ml)を添加し、該反応塊を10〜15℃に冷却した。該混合物のpHを、濃塩酸を使用して2〜3に調節した。両層を安定させ、分離した。該水性層を5〜10℃に冷却し、2N NaOHでpH8〜9に塩基性化させた。そうして得られた固体2−(4−ベンジルオキシ−フェニル)−3−ジメチルアミノ−プロピオン酸メチルエステルを濾過し、水で洗浄し、50〜55℃で7〜8時間乾燥させた。収率:6.5g。
【0069】
(製造2)
実施例2で得られた2−(4−ベンジルオキシ−フェニル)−アクリル酸メチルエステルの溶液を塩化第二鉄(1g、0.006mol)とともに撹拌した。該反応混合物を5〜10℃に冷却した。ジメチルアミンガスを、該混合物を介して室温で約30分〜1時間気泡させた。2時間一定に撹拌するとともに該反応塊の温度を25〜30℃に上昇させた。該反応が完了後、水(100ml)を添加し、該反応塊を10〜15℃に冷却した。該混合物のpHを、濃塩酸を使用して2〜3に調節した。両層を安定させ、分離した。該水性層を5〜10℃に冷却し、2N NaOHでpH8〜9に塩基性化させた。そうして得られた固体2−(4−ベンジルオキシ−フェニル)−3−ジメチルアミノ−プロピオン酸メチルエステルを濾過し、水で洗浄し、50〜55℃で7〜8時間乾燥させた。収率:5.1g。
【0070】
以下の実施例の式Aの2−(4−ベンジルオキシ−フェニル)−3−ジメチルアミノ−プロピオン酸アルキルエステルを、実施例3の方法を使用して同様に製造した。
【0071】
b)2−(4−ベンジルオキシ−フェニル)−3−ジメチルアミノ−プロピオン酸エチルエステル
c)2−(4−ベンジルオキシ−フェニル)−3−ジメチルアミノ−プロピオン酸n−プロピルエステル
d)2−(4−ベンジルオキシ−フェニル)−3−ジメチルアミノ−プロピオン酸イソプロピルエステル
e)2−(4−ベンジルオキシ−フェニル)−3−ジメチルアミノ−プロピオン酸n−ブチルエステル
f)2−(4−ベンジルオキシ−フェニル)−3−ジメチルアミノ−プロピオン酸sec−ブチルエステル
g)2−(4−ベンジルオキシ−フェニル)−3−ジメチルアミノ−プロピオン酸tert−ブチルエステル
h)2−(4−ベンジルオキシ−フェニル)−3−ジメチルアミノ−プロピオン酸n−ペンチルエステル
i)2−(4−ベンジルオキシ−フェニル)−3−ジメチルアミノ−プロピオン酸ネオペンチルエステル
j)2−(4−ベンジルオキシ−フェニル)−3−ジメチルアミノ−プロピオン酸n−ヘキシルエステル
【0072】
(実施例4)
(1−[1−(4−ベンジルオキシ−フェニル)−2−ジメチルアミノ−エチル]−シクロヘキサノールの製造)
(製造1)
活性化削り状マグネシウム(8g)及び数個のヨウ素の結晶をテトラヒドロフラン(200ml、2.47mol)に入れた。1,5−ジブロモペンタン(20.7ml、0.15mol)を上記の混合物に添加し、2時間還流させた。該反応塊を0〜5℃に冷却した。テトラヒドロフラン(100ml)中2−(4−ベンジルオキシ−フェニル)−3−ジメチルアミノ−プロピオン酸メチルエステル(10g、0.032mol)の溶液を上記反応塊に非常にゆっくりと添加した。2時間一定に撹拌するとともに温度を25〜30℃に上昇させた。該反応が完了後、該反応塊を飽和塩化アンモニウム溶液(100ml)でクエンチした。該水性層を酢酸エチル(2×50ml)で抽出し、結合した有機層を水(100ml)で洗浄した。該有機層を硫酸ナトリウムで乾燥させ、減圧下にて濃縮し、該生成物をn−ヘプタン(25〜30ml)中で単離した。該物質を真空下にて45〜50℃で乾燥させた。収率:7.0g、効率:62%。
【0073】
(製造2)
活性化削り状マグネシウム(8g)及び数個のヨウ素の結晶をメチルt−ブチルエーテル(200ml、1.68mol)に入れた。1,5−ジブロモペンタン(20.7ml、0.15mol)を添加後、該反応混合物を2時間還流させた。該反応塊を0〜5℃に冷却した。メチルt−ブチルエーテル(100ml)中2−(4−ベンジルオキシ−フェニル)−3−ジメチルアミノ−プロピオン酸メチルエステル(10g、0.032mol)の溶液を上記反応塊に非常にゆっくりと添加した。2時間一定に撹拌するとともに温度を25〜30℃に上昇させた。該反応が完了後、反応塊を飽和塩化アンモニウム溶液(100ml)でクエンチした。該水性層を酢酸エチル(2×50ml)で抽出し、結合した有機層を水(100ml)で洗浄した。該有機層を硫酸ナトリウムで乾燥させ、減圧下にて濃縮し、該生成物をn−ヘプタン(25〜30ml)中で単離した。該物質を真空下にて45〜50℃で乾燥させた。収率:5.9g、効率:52.35%。
【0074】
(製造3)
活性化削り状マグネシウム(8g)及び数個のヨウ素の結晶をジエチルエーテル(200ml)に入れた。1,5−ジブロモペンタン(20.7ml、0.15mol)を添加後、該反応混合物を2時間還流させた。該反応塊を0〜5℃に冷却した。ジエチルエーテル(100ml)中2−(4−ベンジルオキシ−フェニル)−3−ジメチルアミノ−プロピオン酸メチルエステル(10g、0.032mol)の別個に製造された溶液を上記反応塊に非常にゆっくりと添加した。2時間一定に撹拌するとともに温度を25〜30℃に上昇させた。該反応が完了後、該反応塊を飽和塩化アンモニウム溶液(100ml)でクエンチした。該水性層を酢酸エチル(2×50ml)で抽出し、結合した有機層を水(100ml)で洗浄した。該有機層を硫酸ナトリウムで乾燥させ、減圧下にて濃縮し、該生成物をn−ヘプタン(25〜30ml)中で単離した。該物質を真空下にて45〜50℃で乾燥させた。収率:7g、効率:62%。
【0075】
(実施例5)
(ODVの製造)
1−[1−(4−ベンジルオキシ−フェニル)−2−ジメチルアミノ−エチル]−シクロヘキサノール(2gm、0.006mol)を、150psi、25℃、約4.0時間にて特別精製変性スピリット(SPDS)−トルエン(50ml)中10%Pd/C(0.4gm)で水素ガスの存在下で脱ベンジル化した。該反応が完了後、触媒を濾過により除去し、該濾液を濃縮し、残渣を得た。酢酸エチル(10ml)を該残渣に添加し、30分間、50℃で撹拌し、更に30分〜1時間、室温にて撹拌した。該固体を濾過により単離し、灰白色の結晶固体としてODV(1.3g、0.005mol)を得た。効率:87.24%。
【0076】
(実施例6)
(ODVコハク酸の製造)
O−デスメチルベンラファキシン(10gm、0.038mol)をアセトン:水(3.5:1)の混合物(90ml)とともに撹拌した。該反応塊に、コハク酸(5.38gm、0.029mol)を添加した。該混合物を30分間、60〜65℃に加熱した。活性炭(1gm)を該反応混合物に添加し、30分間加熱還流させた。該混合物を、ハイフロベッドを介して濾過し、アセトン(10ml)で洗浄した。該濾液を徐々に室温に冷却し、更に0〜5℃に冷却した。得られた固体を濾過により単離し、冷却したアセトンで洗浄し、ODVコハク酸を得た。
【0077】
該塩を更に、アセトン:水(3.5:1)の混合物(84ml)に溶解させることにより精製した。該溶液を1時間、60〜65℃に加熱した。該混合物を徐々に室温に冷却し、更に0〜5℃に30分間冷却した。該固体を濾過により単離し、更に真空オーブンにて40〜50℃で乾燥させた。収率:11.7gm、効率:80.68%。
【0078】
(実施例7)
(ODVシュウ酸の製造)
O−デスメチルベンラファキシン(10gm、0.038mol)をアセトン:水(3.5:1)の混合物(90ml)とともに撹拌した。該反応塊に、シュウ酸(5.8gm、0.046mol)を添加した。該混合物を30分間、60〜65℃に加熱した。活性炭(1gm)を該反応混合物に添加し、30分間加熱還流させた。該混合物を、ハイフロベッドを介して濾過し、アセトン(10ml)で洗浄した。該濾液を徐々に室温に冷却し、更に0〜5℃に冷却した。得られた固体を濾過により単離し、冷却したアセトンで洗浄し、ODVシュウ酸を得た。
【0079】
該塩を更に、アセトン:水(3.5:1)の混合物(84ml)に溶解させることにより精製した。該混合物を1時間、60〜65℃に加熱した。該混合物を徐々に室温に冷却し、更に0〜5℃に30分間冷却した。該固体を濾過により単離し、更に真空オーブンにて40〜50℃で乾燥させた。収率:9.8gm、効率:73.13%。
【0080】
(実施例8)
(ODV1−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸の製造)
O−デスメチルベンラファキシン(10gm、0.038mol)をアセトン:水(3.5:1)の混合物(90ml)とともに撹拌した。該反応塊に、1−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸(8.14gm、0.043mol)を添加した。該混合物を30分間、60〜65℃に加熱した。活性炭(1gm)を該反応混合物に添加し、30分間加熱還流させた。該混合物を、ハイフロベッドを介して濾過し、アセトン(10ml)で洗浄した。該濾液を徐々に室温に冷却し、更に0〜5℃に冷却した。得られた固体を濾過により単離し、冷却したアセトンで洗浄し、ODV1−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸を得た。
【0081】
得られた塩を、アセトン:水(3.5:1)の混合物(84ml)に溶解させることにより精製した。該混合物を1時間、60〜65℃に加熱した。該混合物を徐々に室温に冷却し、更に0〜5℃に30分間冷却した。該固体を濾過により単離し、更に真空オーブンにて40〜50℃で乾燥させた。収率:10.3gm、効率:60.23%。
【0082】
本発明は添付の特許請求の範囲内で変更され得ることが理解されるだろう。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
式Aの化合物の製造方法であって、
【化1】

(式中、Rはアルキル基である)
a)式Iの(4−ベンジルオキシ−フェニル)−酢酸をエステル化し、式IIの(4−ベンジルオキシ−フェニル)−酢酸アルキルエステルを形成すること、
【化2】

b)無機塩基及び相間移動触媒の存在下で、該式IIの(4−ベンジルオキシ−フェニル)−酢酸アルキルエステルとパラホルムアルデヒドを反応させ、式IIIの2−(4−ベンジルオキシ−フェニル)−アクリル酸アルキルエステルを形成すること、及び
【化3】

c)ルイス酸触媒の存在下で、該式IIIの2−(4−ベンジルオキシ−フェニル)−アクリル酸アルキルエステルとジメチルアミンを反応させ、該式Aの化合物を形成することを含む、前記製造方法。
【請求項2】
RがC1〜10のアルキル基である請求項1記載の方法。
【請求項3】
Rがメチル又はエチルである請求項1又は2記載の方法。
【請求項4】
エステル化は前記式Iの酸とアルコール酸溶液を反応させることを含む、請求項1〜3のいずれか一項記載の方法。
【請求項5】
エステル化は(4−ベンジルオキシ−フェニル)−酢酸と、アルコールと塩化チオニル又は炭酸カリウムと硫酸ジメチルとの混合物を反応させることを含む、請求項1〜4のいずれか一項記載の方法。
【請求項6】
前記アルコールがメタノールである請求項4又は5記載の方法。
【請求項7】
ステップb)で使用される前記無機塩基がアルカリ金属水酸化物、好ましくは水酸化ナトリウム又は水酸化カリウム、及びアルカリ金属炭酸塩、好ましくは炭酸カリウム、炭酸ナトリウム又は炭酸セシウムから選択される、請求項1〜6のいずれか一項記載の方法。
【請求項8】
前記無機塩基がアルカリ金属炭酸塩、好ましくは炭酸カリウムである、請求項7記載の方法。
【請求項9】
ステップb)の前記相間移動触媒がテトラブチルアンモニウム硫酸水素塩、ハロゲン化アンモニウム、好ましくは塩化トリエチルベンジルアンモニウム、ハロゲン化アルキルアンモニウム、好ましくは臭化テトラブチルアンモニウム又はヨウ化テトラブチルアンモニウム、最も好ましくはヨウ化テトラブチルアンモニウムから選択される、請求項1〜8のいずれか一項記載の方法。
【請求項10】
ステップb)がトルエン、クロロベンゼン及びO−キシレン、好ましくはトルエンから選択される有機溶媒の存在下で行われる、請求項1〜9のいずれか一項記載の方法。
【請求項11】
ステップc)のジメチルアミン源がジメチルアミンガス又はジメチルアミンのアルコール溶液である、請求項1〜10のいずれか一項記載の方法。
【請求項12】
前記アルコールがメタノールである請求項11記載の方法。
【請求項13】
ステップc)で使用されるルイス酸触媒が塩化亜鉛、塩化第二鉄、塩化アルミニウム、過塩素酸リチウム及び塩化第二スズ、好ましくは塩化第二鉄及び過塩素酸リチウムから選択される、請求項1〜12のいずれか一項記載の方法。
【請求項14】
ステップb)及びc)が式IIIの2−(4−ベンジルオキシ−フェニル)−アクリル酸アルキルエステルを単離することなく行われる、請求項1〜13のいずれか一項記載の方法:
【化4】


【請求項15】
式Aの化合物をODVに変換することを含む式VのO−デスメチルベンラファキシン(ODV)の製造方法:
【化5】

(式中、Rはアルキル基である)。
【請求項16】
前記化合物Aが請求項1〜14のいずれか一項により製造されている、請求項15記載の方法。
【請求項17】
前記ODVへの変換がd)溶媒として環状又は非環状エーテルの存在下で化合物Aとグリニャール試薬を反応させ、下記式の1−[1−(4−ベンジルオキシ−フェニル)−2−ジメチルアミノ−エチル]−シクロヘキサノールを形成すること、及びe)1−[1−(4−ベンジルオキシ−フェニル)−2−ジメチルアミノ−エチル]−シクロヘキサノールを脱保護し、ODVを形成することを含む、請求項15又は16記載の方法:
【化6】


【請求項18】
前記グリニャール試薬がXMg−(CH−MgXであり、式中、Xはハロである、請求項17記載の方法。
【請求項19】
前記グリニャール試薬が環状又は非環状エーテルの存在下で、活性化削り状マグネシウム及びヨウ素結晶と1,5−ジハロペンタンを還流させることにより製造される、請求項17又は18記載の方法。
【請求項20】
前記ジハロペンタンがジブロモペンタン、ジクロロペンタン及びジヨードペンタン、好ましくはジブロモペンタンから選択される、請求項19記載の方法。
【請求項21】
前記溶媒がエチレンオキシド、1,4−ジオキサン、フラン、ジヒドロフラン、テトラヒドロフラン、アニソール及びクラウンエーテル、好ましくはテトラヒドロフランから選択される環状エーテルである、請求項17〜20のいずれか一項記載の方法。
【請求項22】
前記溶媒がジメチルエーテル、メチルターシャリーブチルエーテル、ジエチルエーテル、ジメトキシエタン、ジプロピルエーテル、ジブチルエーテル、ジペンチルエーテル及びメチオキシエタン、好ましくはジエチルエーテルから選択される非環状エーテルである、請求項17〜20のいずれか一項記載の方法。
【請求項23】
ステップe)の脱ベンジル化は水素化、好ましくは貴金属触媒の存在下で、又は相間移動水素化を使用して、水素ガスとの触媒水素化を含み、ODVを得る、請求項17〜22のいずれか一項記載の方法。
【請求項24】
前記貴金属触媒がパラジウム、水酸化パラジウム、パラジウム−活性炭、パラジウム−アルミナ、白金、白金−活性炭及びラネーニッケルから選択される、請求項23記載の方法。
【請求項25】
前記水素化が酢酸アルキル、低級アルキルアミン、アルコール、脂肪族炭化水素、芳香族炭化水素、複素環、ジアルキルエーテル、水と水溶性溶媒との混合物、イオン液体、ハロゲン化溶媒及びそれらの混合物から選択される溶媒中で行われる、請求項23又は24記載の方法。
【請求項26】
前記ODVがその医薬として許容し得る酸付加塩に変換される、請求項15〜25のいずれか一項記載の方法。
【請求項27】
前記医薬として許容し得る酸が塩酸、臭化水素酸、硫酸、硝酸、リン酸、ピバル酸、フマル酸、酒石酸、酢酸、シュウ酸、マロン酸、マンデル酸、コハク酸、マレイン酸、乳酸、クエン酸、メタンスルホン酸、p−ヒドロキシ安息香酸、1−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸、グルタミン酸及びp−トルエンスルホン酸から選択される、請求項26記載の方法。
【請求項28】
前記酸がコハク酸、シュウ酸又は1−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸である、請求項27記載の方法。
【請求項29】
式Aの化合物:
【化7】

(式中、Rはアルキル基である)。
【請求項30】
RがC1〜10アルキル基である請求項29記載の化合物。
【請求項31】
Rがメチル又はエチルである請求項29又は30記載の化合物。
【請求項32】
請求項15〜28のいずれか一項記載の方法により製造されたODV又はその塩。
【請求項33】
請求項32記載のODVと合わせて1つ以上の医薬として許容し得る賦活剤を含む医薬組成物。
【請求項34】
医薬品で使用される請求項32記載のODV又はその塩。
【請求項35】
鬱病治療に使用される請求項32記載のODV又はその塩。
【請求項36】
前記鬱病治療の医薬品の製造における請求項32記載のODV又はその塩の使用。
【請求項37】
請求項32記載のODV又はその塩を、それを必要とする患者に投与することを含む鬱病の治療方法。
【請求項38】
実質的に本明細書で実施例を参照して記載されたODV又はその塩。
【請求項39】
実質的に本明細書で実施例を参照して記載された方法。
【請求項40】
実質的に本明細書で実施例を参照して記載された式Aの化合物。

【公表番号】特表2012−532923(P2012−532923A)
【公表日】平成24年12月20日(2012.12.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−520087(P2012−520087)
【出願日】平成22年7月14日(2010.7.14)
【国際出願番号】PCT/GB2010/001341
【国際公開番号】WO2011/007136
【国際公開日】平成23年1月20日(2011.1.20)
【出願人】(511109180)シプラ・リミテッド (17)
【Fターム(参考)】