説明

O/W乳化組成物

【課題】
本発明は、製剤安定性、使用感、紫外線防御能に優れるO/W乳化組成物を提供する。
【解決手段】
本発明にかかる組成物は、下記第1油相と第2油相とがそれぞれ別個に水相中に分散しているO/W乳化組成物である:
(i)一般式(1)又は(2)のポリオキシエチレン・ポリオキシアルキレンアルキルエーテルブロックポリマーを乳化剤として形成された、有機紫外線吸収剤を含有する、平均粒子径が700nm以下である第1油相;
(ii)アルキル変性カルボキシビニルポリマーを乳化剤として形成された、シリコーン油を含有する第2油相。
O−(PO)m−(EO)n−H ・・・(1)
[Rは炭素数16〜18の炭化水素基;POはオキシプロピレン基;EOはオキシエチレン基;POとEOとはブロック状に付加;m、nはそれぞれPO、EOの平均付加モル数で70>m>4、70>n>10、n>m]
O−(AO)p−(EO)q−R ・・・(2)
[R、Rは同一もしくは異なっていてもよく、それぞれ炭素数1〜4の炭化水素基;AOは炭素数3〜4のオキシアルキレン基;EOはオキシエチレン基;AOとEOとはブロック状に付加;p、qはそれぞれAO、EOの平均付加モル数で1≦p≦70、1≦q≦70、0.2<(q/(p+q))<0.8]

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は水中油型(O/W)乳化組成物、特に油溶性の有機紫外線吸収剤とシリコーン油とを含有し、製剤安定性ならびに使用感に優れ、日焼け止め化粧料として好適なO/W乳化組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、紫外線による皮膚への影響が広く知れられるようになり、また、美白に対するユーザーの意識向上などもあって、より高い紫外線防御能を発揮し、しかも使用感のよい化粧料が求められている。
【0003】
O/W乳化組成物は、油分を配合しながらもみずみずしくさっぱりとした使用感が得られることから、乳液、クリームなどの基礎化粧料としてはもちろん、ファンデーションや日焼け止め化粧料などの製品においても汎用される。
【0004】
化粧料において、有機紫外線吸収剤や、微粒子酸化チタンや微粒子酸化亜鉛などの無機紫外線散乱剤を配合して紫外線防御能を付与することが広く行われている。しかし、微粒子酸化チタンや微粒子酸化亜鉛などの無機紫外線遮蔽性粉体を多量に配合してUV−B〜UV−Aの広い領域にわたって高い紫外線防御能を付与しようとすると、仕上がりが白っぽくなったり、きしみ感や粉っぽさを生じることがある。
【0005】
一方、有機紫外線吸収剤は一般に高極性油であるものが多く、これは上記のような白浮きやきしみ感、粉っぽさなどの問題を生じないが、べたつきが大きく、肌へ塗布した際にO/W乳化組成物のみずみずしい使用感が損なわれ、また、乳化安定性も低くなる傾向がある。例えば、オクトクリレンやメトキシケイ皮酸エチルヘキシルは優れた紫外線吸収効果を有するが、これらを配合して乳化安定性や使用感の高いO/W乳化組成物を得ることは困難であった。
【0006】
化粧料のべたつきを低減するためにシリコーン油を配合することは一般に行われている。しかしながら、有機紫外線吸収剤などの高極性油とシリコーン油とを混合してO/W乳化組成物とすると、乳化安定性が著しく悪くなってしまうという問題があった。
【0007】
また、油溶性の固体成分を油相に溶解して用いた場合には、シリコーン油混合による油相の極性変化により固体成分が析出してしまうという問題があった。
例えば、ビスエチルヘキシルオキシフェノールメトキシフェニルトリアジンはUV−AからUV−Bまで広い領域で紫外線吸収能を有する非常に優れた有機紫外線吸収剤であるが、常温では結晶性の固体であり通常高極性油に溶解して用いられる。しかし、シリコーン油を配合するとビスエチルヘキシルオキシフェノールメトキシフェニルトリアジンが析出してしまうことがあり、ビスエチルヘキシルオキシフェノールメトキシフェニルトリアジンをシリコーン油含有O/W乳化組成物に安定に配合することは困難であった。
【0008】
特許文献1には、2つの油相、すなわち、
(1)常温固体でクラフト点が40℃以上の非イオン性界面活性剤で形成される平均粒子径0.5μm以下の油相(硬性油相)と、
(2)界面活性剤及び/又はアルキル変性カルボキシビニルポリマーで形成される平均粒子径0.5〜100μmの油相(軟性油相)と、
を含むO/W毛髪化粧料が記載されている。
しかしながら、このようなO/W乳化組成物でも、上記のような有機紫外線吸収剤とシリコーン油とを安定に配合することは困難であった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開2005−89366号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明は前記背景技術に鑑みなされたものであり、その目的は油溶性の有機紫外線吸収剤とシリコーン油とを含有し、製剤安定性が高く、べたつきのないみずみずしい優れた使用感を有するO/W乳化組成物を提供することであり、さらには紫外線防御能にも優れるO/W乳化組成物を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
前記課題を解決するために本発明者らが検討を行った結果、特定成分を乳化剤として用い、有機紫外線吸収剤を含む高極性油相とシリコーン油とを混合せず、別々の乳化粒子として水相中に分散させ、前記高極性油相は一定以下の乳化粒子径とすることで、このような2種の油相粒子を同一の水相中に安定に分散できること、有機紫外線吸収剤を高配合してもべたつきがなくみずみずしい使用感のO/W乳化組成物が得られることを見出した。また、このような高極性油相中にシリコーン油に難溶性の固体成分を溶解させれば、経時的に析出することなく安定に溶解状態を保持できることも見出し、本発明を完成するに至った。
【0012】
すなわち、本発明は、O/W乳化組成物であって、下記第1油相と第2油相とがそれぞれ別個に水相中に分散していることを特徴とするO/W乳化組成物を提供する:
(i)下記一般式(1)又は(2)で示されるポリオキシエチレン・ポリオキシアルキレンアルキルエーテルブロックポリマーを乳化剤として形成された、有機紫外線吸収剤を含有する、平均粒子径が700nm以下である第1油相;
(ii)アルキル変性カルボキシビニルポリマーを乳化剤として形成された、シリコーン油を含有する第2油相。
【0013】
O−(PO)m−(EO)n−H ・・・(1)
[式中、Rは炭素数16〜18の炭化水素基、POはオキシプロピレン基、EOはオキシエチレン基である。POとEOとはブロック状に付加している。m、nはそれぞれPO、EOの平均付加モル数を意味し、70>m>4、70>n>10、n>mである。]
【0014】
O−(AO)p−(EO)q−R ・・・(2)
[式中、R、Rは同一もしくは異なっていてもよく、それぞれ炭素数1〜4の炭化水素基、AOは炭素数3〜4のオキシアルキレン基、EOはオキシエチレン基である。AOとEOとはブロック状に付加している。p、qはそれぞれAO、EOの平均付加モル数を意味し、1≦p≦70、1≦q≦70、且つ0.2<(q/(p+q))<0.8である。]
【0015】
また、本発明は、前記O/W乳化組成物において、有機紫外線吸収剤としてオクトクリレン及び/又はメトキシケイ皮酸エチルヘキシルを含むことを特徴とするO/W乳化組成物を提供する。
また、本発明は、前記O/W乳化組成物において、有機紫外線吸収剤としてビスエチルヘキシルオキシフェノールメトキシフェニルトリアジンを含有することを特徴とするO/W乳化組成物を提供する。
【0016】
また、本発明は、前記O/W乳化組成物において、有機紫外線吸収剤を8質量%以上含むことを特徴とするO/W乳化組成物を提供する。
また、本発明は、前記O/W乳化組成物において、前記一般式(1)又は(2)で示されるポリオキシエチレン・ポリオキシアルキレンアルキルエーテルブロックポリマーを0.3〜3質量%含むことを特徴とするO/W乳化組成物を提供する。
また、本発明は、前記何れかに記載のO/W乳化組成物からなる日焼け止め化粧料を提供する。
【0017】
また、本発明は、有機紫外線吸収剤を含有する第1油相と、水相とを、前記一般式(1)又は(2)で示されるポリオキシエチレン・ポリオキシアルキレンアルキルエーテルブロックポリマーを乳化剤として乳化し、水相中に前記第1油相が平均粒子径700nm以下に分散したO/W乳化物(第1乳化物)を調製する工程と、
第1乳化物とは別に、シリコーン油を含有する第2油相と、水相とを、アルキル変性カルボキシビニルポリマーを乳化剤として乳化し、水相中に前記第2油相が分散したO/W乳化物(第2乳化物)を調製する工程と、
前記第1乳化物と第2乳化物を混合して、水相中に第1油相と第2油相とがそれぞれ別個に分散したO/W乳化物を調製する工程と、
を備えることを特徴とする前記何れかに記載のO/W乳化組成物の製造方法を提供する。
【0018】
また、本発明は、有機紫外線吸収剤を含有する第1油相と、水相とを、前記一般式(1)又は(2)で示されるポリオキシエチレン・ポリオキシアルキレンアルキルエーテルブロックポリマーを乳化剤として乳化し、水相中に前記第1油相が平均粒子径700nm以下に分散したO/W乳化物(第1乳化物)を調製する工程と、
シリコーン油を含有する第2油相と、水相と、前記第1乳化物とを、アルキル変性カルボキシビニルポリマーを乳化剤として乳化し、水相中に第1油相と第2油相とがそれぞれ別個に分散したO/W乳化物を調製する工程と、
を備えることを特徴とする前記何れかに記載のO/W乳化組成物の製造方法を提供する。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、特定の乳化剤を用いて、有機紫外線吸収剤を含有する第1油相をシリコーン油を含有する第2油相と別々に水相中に分散し、且つ第1油相を微細粒子とすることにより、乳化安定性や使用感に優れるO/W乳化組成物を得ることができる。また、第1油相中にシリコーン難溶性の固体成分を溶解させることで、固体成分が析出することなく組成物中に安定に配合することができる。本組成物は有機紫外線吸収剤を高配合することが可能であり、日焼け止め化粧料などに非常に有用である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
有機紫外線吸収剤
第1油相に含まれる有機紫外線吸収剤としては、化粧料に通常使用される油性紫外線吸収剤が挙げられる。
好ましい有機紫外線吸収剤として、メトキシケイ皮酸エチルヘキシル、オクトクリレン、ビスエチルヘキシルオキシフェノールメトキシフェニルトリアジンが挙げられる。
オクチルメトキシシンナメートとオクトクリレンとを併用した場合には、優れた紫外線防御能が発揮できるので好ましい。また、これらはビスエチルヘキシルオキシフェノールメトキシフェニルトリアジンを良好に溶解可能である。そして、これらを組み合わせて使用すれば、UV−AからUV−Bまで広い領域で高い紫外線防御能効果を得ることができるので、特に好ましい。
【0021】
オクトクリレン(化学名:2−エチルヘキシル 2−シアノ−3,3−ジフェニルアクリレート)は、常温で油状の紫外線吸収剤であり、例えば「ユビヌルN539」(バスフ(BASF)社)、「パルソール340」(DSMニュートリションジャパン(株)社)等として市販されているものを簡便に使用できる。
【0022】
オクトクリレンの配合量は、目的に応じて適宜設定可能であるが、紫外線防御能や固体成分の溶解性などの点から、本発明のO/W乳化組成物中においては1質量%以上、さらには2質量%以上、特に3質量%以上とすることが好ましい。一方、過剰に配合するとべたつきや油っぽさなどを生じて使用感が悪化するので、本発明のO/W乳化組成物中においては10質量%以下、さらには8質量%以下、特に6質量%以下とすることが好ましい。
【0023】
メトキシケイ皮酸エチルヘキシル(オクチルメトキシシンナメート)は、常温で油状の紫外線吸収剤であり、例えば「パルソールMCX」(DSMニュートリションジャパン(株))等として市販されているものを簡便に使用できる。
【0024】
メトキシケイ皮酸エチルヘキシルの配合量は、目的に応じて適宜設定可能であるが、紫外線防御能や固体成分の溶解性などの点から、本発明のO/W乳化組成物中においては1質量%以上、さらには2質量%以上、特に4質量%以上とすることが好ましい。一方、過剰に配合するとべたつきや油っぽさなどを生じて使用感が悪化するので、本発明のO/W乳化組成物中においては7.5質量%以下、さらには7質量%以下、特に6質量%以下とすることが好ましい。
【0025】
ビスエチルヘキシルオキシフェノールメトキシフェニルトリアジン(化学名:2,4−ビス−{[4−(2−エチルヘキシルオキシ)2−ヒドロキシ]−フェニル}−6−(4−メトキシフェニル)−(1,3,5)−トリアジン))は、常温で固体の紫外線吸収剤であり、「チノソーブS」(チバスペシャリティケミカルズ(株)社)等として市販されているものを簡便に使用できる。本発明のO/W乳化組成物において、ビスエチルヘキシルオキシフェノールメトキシフェニルトリアジンは第1油相中に溶解している。
【0026】
ビスエチルヘキシルオキシフェノールメトキシフェニルトリアジンの配合量は、目的に応じて適宜設定可能であるが、紫外線防御能などの点から、本発明のO/W乳化組成物中において0.5質量%以上、さらには1質量%以上、特に1.5質量%以上とすることが好ましい。一方、過剰に配合すると経時的に結晶が析出しやすくなるので、本発明のO/W乳化組成物中においては5質量%以下、さらには4質量%以下、特に3質量%以下とすることが好ましい。
【0027】
その他の有機紫外線吸収剤としては、例えば、トリアジン系紫外線吸収剤(例えば、ビスレゾルシニルトリアジン等);オクチルトリアゾン(2,4,6−トリス[4−(2−エチルヘキシルオキシカルボニル)アニリノ]1,3,5−トリアジン);安息香酸系紫外線吸収剤(例えば、パラアミノ安息香酸(以下、PABAと略す)、PABAモノグリセリンエステル、N,N-ジプロポキシPABAエチルエステル、N,N-ジエトキシPABAエチルエステル、N,N-ジメチルPABAエチルエステル、N,N-ジメチルPABAブチルエステル、N,N-ジメチルPABAエチルエステル等);アントラニル酸系紫外線吸収剤(例えば、ホモメンチル-N- アセチルアントラニレート等);サリチル酸系紫外線吸収剤(例えば、アミルサリシレート、メンチルサリシレート、ホモメンチルサリシレート、オクチルサリシレート、フェニルサリシレート、ベンジルサリシレート、p-イソプロパノールフェニルサリシレート等);桂皮酸系紫外線吸収剤(例えば、オクチルシンナメート、エチル-4-イソプロピルシンナメート、メチル-2,5-ジイソプロピルシンナメート、エチル-2,4-ジイソプロピルシンナメート、メチル-2,4-ジイソプロピルシンナメート、プロピル-p-メトキシシンナメート、イソプロピル-p-メトキシシンナメート、イソアミル-p-メトキシシンナメート、オクチル-p-メトキシシンナメート(2-エチルヘキシル-p-メトキシシンナメート) 、2-エトキシエチル-p-メトキシシンナメート、シクロヘキシル-p-メトキシシンナメート、エチル-α-シアノ-β-フェニルシンナメート、2-エチルヘキシル-α-シアノ-β-フェニルシンナメート、グリセリルモノ-2-エチルヘキサノイル-ジパラメトキシシンナメート等);ベンゾフェノン系紫外線吸収剤(例えば、2,4-ジヒドロキシベンゾフェノン、2,2'- ジヒドロキシ-4- メトキシベンゾフェノン、2,2'-ジヒドロキシ-4,4'-ジメトキシベンゾフェノン、2,2',4,4'-テトラヒドロキシベンゾフェノン、2-ヒドロキシ-4- メトキシベンゾフェノン、2-ヒドロキシ-4- メトキシ-4'-メチルベンゾフェノン、2-ヒドロキシ-4- メトキシベンゾフェノン-5-スルホン酸塩、4-フェニルベンゾフェノン、2-エチルヘキシル-4'-フェニル-ベンゾフェノン-2-カルボキシレート、2-ヒドロキシ-4-n-オクトキシベンゾフェノン、4-ヒドロキシ-3-カルボキシベンゾフェノン等);3-(4'-メチルベンジリデン)-d,l-カンファー、3-ベンジリデン-d,l-カンファー;2-フェニル-5-メチルベンゾキサゾール;2,2'-ヒドロキシ-5-メチルフェニルベンゾトリアゾール;2-(2'-ヒドロキシ-5'-t-オクチルフェニル) ベンゾトリアゾール;2-(2'-ヒドロキシ-5'-メチルフェニルベンゾトリアゾール;ジベンザラジン;ジアニソイルメタン;4-メトキシ-4'-t-ブチルジベンゾイルメタン;5-(3,3-ジメチル-2-ノルボルニリデン)-3-ペンタン-2-オン、メチレンビスベンゾトリアゾリルテトラメチルブチルフェノール、4,4-ジアリールブタジェン等が挙げられる。
【0028】
また、有機紫外線吸収剤の合計量は所望の紫外線防御能に応じて設定すればよいが、O/W乳化組成物中8質量%以上、さらには9質量%以上、特に10質量%以上であることが好ましい。本発明においては、油溶性有機紫外線吸収剤をこのように高配合した場合でも、製剤安定性や使用感に優れるO/W乳化組成物が得られる。上限は特に制限されないが、通常は30質量%以下、さらには25質量%以下である。
【0029】
シリコーン油
第2油相に含まれるシリコーン油としては、例えば、鎖状ポリシロキサン(例えば、ジメチルポリシロキサン、メチルフェニルポリシロキサン、ジフェニルポリシロキサン等);環状ポリシロキサン(例えば、オクタメチルシクロテトラシロキサン、デカメチルシクロペンタシロキサン、ドデカメチルシクロヘキサシロキサン等)の他、各種変性ポリシロキサン(アミノ変性ポリシロキサン、ポリエーテル変性ポリシロキサン、アルキル変性ポリシロキサン、フッ素変性ポリシロキサン等)、3次元網目構造を形成しているシリコーン樹脂、シリコーンゴム等が挙げられる。特に、200mPa・s以下(20℃)の低粘度シリコーン油がべたつき改善に効果的である。
【0030】
シリコーン油の配合量は目的とする効果に応じて適宜設定可能であるが、本発明のO/W乳化組成物中0.1〜15質量%、好ましくは1〜10質量%、さらに好ましくは3〜7質量%である。少なすぎるとべたつきが改善できず、過剰に配合してもそれに見合った効果の増強はほとんど期待できない。
【0031】
O/W乳化組成物
本発明のO/W乳化組成物は、その連続相である水相中に、有機紫外線吸収剤を含む第1油相と、シリコーン油を含む第2油相とが別々に分散しているものである。
その製造方法は特に制限されないが、典型的には、第1油相を含むO/W乳化物(以下第1乳化物という)と、第2油相を含むO/W乳化物(以下第2乳化物という)とを別々に調製し、両者を混合することにより得ることができる。あるいは、第1乳化物を調製後、これを第2乳化物の製造成分として添加し、第2油相の乳化を行うことにより得ることもできる。特に問題のない限り、上記必須成分以外の成分をその相溶性や親和性に応じて、各油相又は水相に配合してもよい。
【0032】
第1乳化物において、第1油相は平均乳化粒子径700nm以下に乳化される。粒子径が700nmを超えると製剤安定性や使用感が悪くなる。
【0033】
第1油相の乳化方法は、油相を700nm以下にまで微細に乳化できる限り任意の方法を採用できる。例えば、高圧乳化法や、少量の水の存在下(あるいは非存在下)で多価アルコールなどの親水性溶媒を用いる微細乳化法(例えば特公昭57−29213号公報、特開2006−182724号公報など)などが挙げられるが、これらに制限されるものではない。
【0034】
第1油相の乳化剤としては、下記一般式(1)又は(2)で示されるポリオキシエチレン・ポリオキシアルキレンアルキルエーテルブロックポリマーの1種以上を用いることが好適である。本乳化剤を用いれば、第1油相が微細化・安定化されたO/W乳化組成物を容易に製造することができる。また、このようにして得られた第1乳化物は、第2乳化物の製造工程中に添加した場合にも破壊されずに高い安定性を示す。
【0035】
O−(PO)m−(EO)n−H ・・・(1)
【0036】
一般式(1)において、Rは炭素数16〜18の炭化水素基であり、好ましくは飽和又は不飽和の脂肪族炭化水素基である。例えば、パルミチル、ステアリル、イソステアリル、オレイル、リノリル等が挙げられる。
POはオキシプロピレン基、EOはオキシエチレン基である。
一般式(1)において、PO、EOはブロック状に結合していなければならない。ランダム状に結合している場合には、製剤安定性が十分に得られない。なお、プロピレンオキシドおよびエチレンオキシドの付加する順序は特に指定はない。またブロック状には2段ブロックのみならず、3段以上のブロックも含まれる。
m、nはそれぞれPO、EOの平均付加モル数を意味し、70>m>4、70>n>10、n>mである。
【0037】
一般式(1)のブロックポリマーの分子量は、好ましくは800以上、さらに好ましくは1500以上である。分子量800未満では効果が低い。また分子量の上限は特に規定できないが、分子量が大きくなっていくにつれべたつき感が生じる傾向がある。
一般式(1)で示されるブロックポリマーとしては、例えば、ニッコールPBC44(日光ケミカルズ(株))などが挙げられる。
【0038】
O−(AO)p−(EO)q−R ・・・(2)
【0039】
一般式(2)において、R、Rは同一もしくは異なっていてもよく、それぞれ炭素数1〜4の炭化水素基であり、好ましくは飽和の脂肪族炭化水素基である。例えば、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、sec−ブチル、tert−ブチルが挙げられ、より好ましくはメチル、エチルである。
AOは炭素数3〜4のオキシアルキレン基であり、オキシプロピル基、オキシブチル基が挙げられる。EOはオキシエチレン基である。
一般式(2)において、AO、EOはブロック状に結合している。ランダム状に結合している場合には、製剤安定性が十分に得られない。なお、エチレンオキシドおよびアルキレンオキシドの付加する順序は特に指定はない。またブロック状には2段ブロックのみならず、3段以上のブロックも含まれる。
p、qはそれぞれAO、EOの平均付加モル数を意味し、1≦p≦70、1≦q≦70、且つ0.2<(q/(p+q))<0.8である。
【0040】
一般式(2)のブロックポリマーの分子量は、好ましくは1000以上、さらに好ましくは3000以上である。分子量1000未満では効果が低い。また分子量の上限は特に規定できないが、分子量が大きくなっていくにつれべたつき感が生じる傾向がある。
一般式(2)のブロックポリマーは、公知の方法で製造することができる。例えば、水酸基を有している化合物にエチレンオキシドおよび炭素数3〜4のアルキレンオキシドを付加重合した後、ハロゲン化アルキルをアルカリ触媒存在下にエーテル反応させることによって得ることができる(例えば、特開2004−83541号公報等)。
【0041】
一般式(2)のブロックポリマーとしては、具体的にはPOE(14)POP(7)ジメチルエーテル、POE(10)POP(10)ジメチルエーテル、POE(7)POP(12)ジメチルエーテル、POE(15)POP(5)ジメチルエーテル、POE(25)POP(25)ジメチルエーテル、POE(27)POP(14)ジメチルエーテル、POE(55)POP(28)ジメチルエーテル、POE(22)POP(40)ジメチルエーテル、POE(35)POP(40)ジメチルエーテル、POE(50)POP(40)ジメチルエーテル、POE(36)POP(41)ジメチルエーテル、POE(55)POP(30)ジメチルエーテル、POE(30)POP(34)ジメチルエーテル、POE(25)POP(30)ジメチルエーテル、POE(14)POB(7)ジメチルエーテル、POE(10)POP(10)ジエチルエーテル、POE(10)POP(10)ジプロピルエーテル、POE(10)POP(10)ジブチルエーテル等が挙げられる。
なお、上記POE、POP、POBは、それぞれポリオキシエチレン、ポリオキシプロピレン、ポリオキシブチレンの略であり、以下このように略して記載することがある。
【0042】
これらブロックポリマーは、少量でも第1油相を微細・安定に乳化することができるので、界面活性剤によるべたつきを生じることなく安定なO/W乳化組成物を得ることができる。ただし、少なすぎると安定なO/W乳化組成物が得られないので、ブロックポリマーの配合量としては、組成物中0.3〜3質量%、さらには0.3〜2質量%、特に0.3〜1質量%が好ましい。
【0043】
第2乳化物において、第2油相の平均乳化粒子径は特に制限されないが、通常は0.5〜15μmである。これ以上微細化しても特段の効果はなく、またこれ以上粗大化すると製剤安定性の低下が懸念されるようになる。
【0044】
第2油相の乳化方法は特に制限されないが、第2油相の乳化剤としては、アルキル変性カルボキシビニルポリマーを用いることが好ましい。
アルキル変性カルボキシビニルポリマーは水溶性の高分子であり、(メタ)アクリル酸と(メタ)アクリル酸C10−30アルキルとの共重合体である。また、アルキル変性カルボキシビニルポリマーは、適当な公知の多官能性エチレン性不飽和モノマーによる架橋構造を有していてもよい。共重合体の平均分子量は好ましくは約50,000〜3,000,000である。
好適なアルキル変性カルボキシビニルポリマーとしは、例えば、下記一般式(3)で示されるものが挙げられる。
【0045】
一般式(3):
【化3】



【0046】
一般式(3)において、Rは炭素数10〜30のアルキル基(一部が水素原子であってもよい)、n、n’、m及びm’はn+n’+m+m’=40〜100となるような任意の数を示し、lは分子量が所定範囲となるような任意の数を示す。
アルキル変性カルボキシビニルポリマーの具体例としては、カーボポール1342、ペミュレンTR−1、ペミュレンTR−2(何れもB.F.Goodrich Chemical社製)等を挙げることができる。
アルキル変性ポリマーの配合量は、組成物中0.01〜2質量%、さらには0.05〜1質量%が好適である。
【0047】
本発明のO/W乳化組成物には、上記必須成分に加えて、本発明の効果に特に影響のない限り、化粧料に配合可能な他の成分を配合してよい。例えば、粉末成分、液体油脂、固体油脂、ロウ、炭化水素、高級脂肪酸、高級アルコール、エステル、シリコーン、アニオン界面活性剤、カチオン界面活性剤、両性界面活性剤、非イオン界面活性剤、保湿剤、水溶性高分子、増粘剤、皮膜剤、紫外線吸収剤、紫外線散乱剤、金属イオン封鎖剤、低級アルコール、多価アルコール、糖、アミノ酸、有機アミン、高分子エマルジョン、pH調整剤、皮膚栄養剤、ビタミン、酸化防止剤、酸化防止助剤、香料、水等を必要に応じて適宜配合することができる。油性成分を配合する場合には、相溶性等を考慮して、油相(a)及び/又は油相(b)に含有させることができる。
【0048】
本発明のO/W乳化組成物は、日焼け止め機能が望まれる各種化粧料に適用可能であり、乳液、クリーム、化粧下地料の他、ファンデーション、口紅などのメークアップ化粧料にも適用可能である。
【実施例】
【0049】
以下、具体例を挙げて本発明をさらに説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。配合量は特に記載のない限り質量%である。なお、本発明で用いた評価方法は次の通り。
【0050】
(平均乳化粒子径)
第1油相乳化物(第1乳化物)の製造直後の乳化粒子の粒度分布をゼータサイザー(Zetasizer Nano ZS (シスメックス株式会社))で測定した。
【0051】
(使用感)
女性パネラー20名によって、製造直後の被験試料を顔部に手で塗布してもらい、塗布中のべたつき、ならびになじみ際のべたつきについてアンケートを行い、以下の基準で評価した。
○:べたつかないと答えたパネラーが16名以上。
△:べたつかないと答えたパネラーが6名以上、15名以下。
×:べたつかないと答えたパネラーが5名以下。
【0052】
(乳化安定性)
被験試料を50℃で1ヵ月保存した後の外観を肉眼で観察し、下記の基準で評価した。
○:油浮きやクリーミングなどがない。
△:油浮きやクリーミングなどがわずかにある。
×:油浮きやクリーミングがある。
【0053】
(溶解安定性)
被験試料を0℃で1ヶ月保存した後の析出物を肉眼で観察し、下記の基準で評価した。
○:結晶や不溶物が析出しない。
△:結晶や不溶物が若干析出した。
×:結晶や不溶物が析出した。
【0054】
(紫外線防御能)
製造直後の被験試料の紫外線防御能をin vitro SPECTRO PHOTOMETER U-4100(HITACHI)で測定し、下記の基準で評価した。
◎:(310nmでの吸光度が基準サンプル(in
vivo測定値SPF30)よりも高い。
○:(310nmでの吸光度が基準サンプル(in
vivo測定値SPF16)よりも高い。
×:(310nmでの吸光度が基準サンプル(in
vivo測定値SPF16)よりも低い。
【0055】
試験例1 油相の存在状態
表1の組成で下記製法によりO/W組成物を調製した。
【0056】
【表1】

【0057】
(製法)
製法1(第1油相と第2油相とを別々に乳化):
第1油相を、POE・POPアルキルエーテルブロックポリマーを乳化剤として、高圧乳化法により乳化したO/W乳化物(第1乳化物)と、第2油相をアルキル変性カルボキシビニルポリマーで乳化したO/W乳化物(第2乳化物)とを別々に調製後、混合して目的とするO/W乳化組成物を得る。
具体的には、成分(1)の一部に、成分(3)〜(5)と成分(8)を加熱混合し、高圧乳化機(APV社)で乳化する。(第1乳化物、油相乳化粒子径700nm以下)。
成分(11)と成分(12)を混合し、これを成分(13)を成分(1)の残部に溶解した溶液に添加して、ホモミキサーで乳化する(第2乳化物)。
第1乳化物と第2乳化物とを混合し、その他の成分をさらに添加混合して、目的とするO/W乳化組成物を得る(第1油相粒径≦700nm)。
【0058】
製法1’(第1油相と第2油相とを別々に乳化):
第1油相を、POE・POPアルキルエーテルブロックポリマーを乳化剤として、親水性溶媒を用いた微細乳化法により乳化して第1乳化物を調製した以外は製法1と同様にして、目的とするO/W乳化組成物を得る。
具体的には、成分(6)、成分(7)、成分(1)の一部、成分(8)を混合し、これに成分(3)〜(5)を混合溶解したものを添加して、ホモミキサーで乳化する(第1乳化物、油相乳化粒子径700nm以下)。
成分(11)と成分(12)を混合し、これを成分(13)を成分(1)の残部に溶解した溶液に添加して、ホモミキサーで乳化する(第2乳化物)。
第1乳化物と第2乳化物とを混合し、その他の成分をさらに添加混合して、目的とするO/W乳化組成物を得る(第1油相粒径≦700nm)。
【0059】
製法2(第1油相と第2油相とを一括で乳化):
製法1’の第1乳化物の調製において、第1油相を第1油相と第2油相との混合物に代えて、目的とするO/W乳化組成物を得る。
具体的には、成分(6)、成分(7)、成分(1)の一部、成分(8)を混合し、これに成分(3)〜(5)を混合溶解したもの、ならびに成分(11)と成分(12)を混合したものを添加して、ホモミキサーで乳化する。この乳化物にその他の成分を添加混合して、目的とするO/W乳化組成物を得る(油相粒径≦700nm)。
【0060】
製法3(第1油相と第2油相とを別々に乳化):
製法1’において、第1油相と第2油相とを交換して乳化を行った以外は同様にして、目的とするO/W乳化組成物を得る。
具体的には、成分(6)、成分(7)、成分(1)の一部、成分(8)を混合し、これに成分(11)と成分(12)を混合溶解したものを添加して、ホモミキサーで乳化する(第2乳化物)。
成分(3)〜(5)を混合し、これを成分(13)を成分(1)の残部に溶解した溶液に添加して、ホモミキサーで乳化する(第1乳化物、油相乳化粒子径700nm超)。
第1乳化物と第2乳化物とを混合し、その他の成分をさらに添加混合して、目的とするO/W乳化組成物を得る(第1油相粒径>700nm)。
【0061】
製法4(第1油相と第2油相とを一括で乳化):
製法1’の第2乳化物の調製において、第2油相を第1油相と第2油相との混合物に代えて、目的とするO/W乳化組成物を得る。
具体的には、成分(3)〜(5)と成分(8)とを混合溶解したもの、ならびに成分(11)と成分(12)を混合したものを、成分(13)を成分(1)に溶解した溶液に添加して、ホモミキサーで乳化する。この乳化物にその他の成分を添加混合して、目的とするO/W乳化組成物を得る(油相粒径>700nm)。
【0062】
表1に示されるように、第1油相(有機紫外線吸収剤相)と第2油相(シリコーン油相)とを別々に乳化し、第1油相の平均油相の粒子径を700nm以下とした場合には、製剤安定性や使用感に優れたO/W乳化組成物を得ることができる(試験例1−1)。第2油相(シリコーン油相)を配合しない場合には、なじみ際にべたつき感を生じてしまう(試験例1−d)。また、別々に乳化した場合であっても、試験例1−bのように第1油相の乳化粒子径が700nmを超えていると、肌への塗布中にべたつき感があり、乳化安定性も不十分である。
【0063】
一方、試験例1−1と同じ組成であっても、第1油相と第2油相とを混合してPOE・POPアルキルエーテルブロックポリマーで一括で乳化した場合には、試験例1−aのように油相の乳化粒子径が700nm以下とできるものの、乳化が経時的に不安定となる。また、第1油相中に溶解していた固体成分(表1ではビスエチルヘキシルオキシフェノールメトキシフェニルトリアジン)も析出する。また、シリコーン油を配合しているにもかかわらずなじみ際のべたつきを生じる。また、試験例1−cのようにアルキル変性カルボキシビニルポリマーで一括乳化した場合には、油相の乳化粒子径が700nmを超え、安定性や使用感は著しく劣る。
【0064】
試験例2 ブロックポリマー量
試験例1−1において、第1油相の乳化剤であるブロックポリマー[POE(20)POP(8)セチルエーテル]の配合量を変えた以外は同様にして、O/W乳化組成物を調製した。
【0065】
【表2】

【0066】
表2に示されるように、第1油相の乳化剤が少なすぎると乳化安定性が低下する傾向があり、一方、過剰な使用は塗布中のべたつき感を生じる。
このようなことから、第1油相の乳化剤は本発明のO/W乳化組成物中0.3〜3質量%、さらには0.3〜2質量%、特に0.3〜1質量%が好適である。
本発明によれば、上記表2のように、極少量の乳化剤(例えば1質量%以下)で多量の油溶性有機紫外線吸収剤(例えば8質量%以上)を安定に乳化し、紫外線防御能、製剤安定性ならびに使用感に優れたO/W乳化組成物を提供することが可能である。
【0067】
試験例3 界面活性剤の種類
試験例1−1において、第1油相の乳化剤であるブロックポリマー[POE(20)POP(8)セチルエーテル]の種類を変えた以外は同様にして、O/W乳化組成物を調製した。
【0068】
【表3】

【0069】
表3に示されるように、一般式(1)や(2)のブロックポリマーは第1油相を700nm以下にまで容易に乳化でき、製剤安定性、使用感に優れるO/W乳化組成物が得られたが、他の非イオン性界面活性剤では、同程度のHLBであっても、このようなO/W乳化組成物を得ることは困難であった。
【0070】
試験例4 有機紫外線吸収剤量
試験例1−1において、有機紫外線吸収剤の配合量を変えた以外は同様にしてO/W乳化組成物を調製した。
【0071】
【表4】

【0072】
試験例4−a〜4−cのように、有機紫外線吸収剤であるオクトクリレン、メトキシケイ皮酸エチルヘキシル、ビスエチルヘキシルオキシフェノールメトキシフェニルトリアジンを過剰に配合するとべたつきや、乳化安定性の低下を生じる。また、ビスエチルヘキシルオキシフェノールメトキシフェニルトリアジンを過剰に配合した場合には、経時的な析出も生じることがある。
このようなことから、O/W乳化組成物中において、オクトクリレンは10質量%以下、メトキシケイ皮酸エチルヘキシルは7.5質量%以下、ビスエチルヘキシルオキシフェノールメトキシフェニルトリアジンは5質量%以下とすることが好ましい。
【0073】
ただし、試験例4−d〜4−fのように、有機紫外線吸収剤の配合量が少なすぎると紫外線防御能が低下するので、有機紫外線吸収剤の合計量は組成物中8質量%以上、さらには9質量%以上、特に10質量%以上とすることが好ましい。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
O/W乳化組成物であって、下記第1油相と第2油相とがそれぞれ別個に水相中に分散していることを特徴とするO/W乳化組成物:
(i)下記一般式(1)又は(2)で示されるポリオキシエチレン・ポリオキシアルキレンアルキルエーテルブロックポリマーを乳化剤として形成された、有機紫外線吸収剤を含有する、平均粒子径が700nm以下である第1油相;
(ii)アルキル変性カルボキシビニルポリマーを乳化剤として形成された、シリコーン油を含有する第2油相。
O−(PO)m−(EO)n−H ・・・(1)
[式中、Rは炭素数16〜18の炭化水素基、POはオキシプロピレン基、EOはオキシエチレン基である。POとEOとはブロック状に付加している。m、nはそれぞれPO、EOの平均付加モル数を意味し、70>m>4、70>n>10、n>mである。]
O−(AO)p−(EO)q−R ・・・(2)
[式中、R、Rは同一もしくは異なっていてもよく、それぞれ炭素数1〜4の炭化水素基、AOは炭素数3〜4のオキシアルキレン基、EOはオキシエチレン基である。AOとEOとはブロック状に付加している。p、qはそれぞれAO、EOの平均付加モル数を意味し、1≦p≦70、1≦q≦70、且つ0.2<(q/(p+q))<0.8である。]
【請求項2】
請求項1記載の組成物において、有機紫外線吸収剤としてオクトクリレン及び/又はメトキシケイ皮酸エチルヘキシルを含むことを特徴とするO/W乳化組成物。
【請求項3】
請求項1又は2記載の組成物において、有機紫外線吸収剤としてビスエチルヘキシルオキシフェノールメトキシフェニルトリアジンを含有することを特徴とするO/W乳化組成物。
【請求項4】
請求項1〜3の何れかに記載の組成物において、有機紫外線吸収剤を8質量%以上含むことを特徴とするO/W乳化組成物。
【請求項5】
請求項1〜4の何れかに記載の組成物において、一般式(1)又は(2)で示されるポリオキシエチレン・ポリオキシアルキレンアルキルエーテルブロックポリマーを0.3〜3質量%含むことを特徴とするO/W乳化組成物。
【請求項6】
請求項1〜5の何れかに記載のO/W乳化組成物からなる日焼け止め化粧料。
【請求項7】
有機紫外線吸収剤を含有する第1油相と、水相とを、前記一般式(1)又は(2)で示されるポリオキシエチレン・ポリオキシアルキレンアルキルエーテルブロックポリマーを乳化剤として乳化し、水相中に前記第1油相が平均粒子径700nm以下に分散したO/W乳化物(第1乳化物)を調製する工程と、
第1乳化物とは別に、シリコーン油を含有する第2油相と、水相とを、アルキル変性カルボキシビニルポリマーを乳化剤として乳化し、水相中に前記第2油相が分散したO/W乳化物(第2乳化物)を調製する工程と、
前記第1乳化物と第2乳化物を混合して、水相中に第1油相と第2油相とがそれぞれ別個に分散したO/W乳化物を調製する工程と、
を備えることを特徴とする請求項1〜5の何れかに記載のO/W乳化組成物の製造方法。
【請求項8】
有機紫外線吸収剤を含有する第1油相と、水相とを、前記一般式(1)又は(2)で示されるポリオキシエチレン・ポリオキシアルキレンアルキルエーテルブロックポリマーを乳化剤として乳化し、水相中に前記第1油相が平均粒子径700nm以下に分散したO/W乳化物(第1乳化物)を調製する工程と、
シリコーン油を含有する第2油相と、水相と、前記第1乳化物とを、アルキル変性カルボキシビニルポリマーを乳化剤として乳化し、水相中に第1油相と第2油相とがそれぞれ別個に分散したO/W乳化物を調製する工程と、
を備えることを特徴とする請求項1〜5の何れかに記載のO/W乳化組成物の製造方法。

【公開番号】特開2010−132648(P2010−132648A)
【公開日】平成22年6月17日(2010.6.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−246418(P2009−246418)
【出願日】平成21年10月27日(2009.10.27)
【出願人】(000001959)株式会社資生堂 (1,748)
【Fターム(参考)】