説明

OB−RGRPタンパク質の発現を阻害するオリゴヌクレオチドおよびOB−RGRPファミリーのタンパク質とレプチン受容体との間の相互作用を修飾する化合物の検出方法

本発明は、OB-RGRPタンパク質の発現を阻害するタンパク質、ならびにレプチンに関連する疾患の予防および/または治療のためのその使用に関する。さらに本発明は、OB-RGRPファミリーのタンパク質とレプチン受容体との間の相互作用を修飾する化合物の検出方法に関する。該検出は、該タンパク質とエネルギーの供与体および受容体であるタンパク質とを含む融合タンパク質同士の間のエネルギー転移により達成することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、OB-RGRPタンパク質の発現を阻害するオリゴヌクレオチドならびにレプチン関連病理状態の予防および/または治療のためのその使用に関する。
また、本発明は、まずレプチン受容体とエネルギー供与体または受容体タンパク質とから構成される融合タンパク質、および次にOB-RGRPまたはMYO47とエネルギー供与体または受容体タンパク質とから構成される融合タンパク質の間のエネルギー転移を用いてレプチン受容体リガンドを検出する方法にも関する。
また、本発明は、この方法を行うための融合タンパク質にも関する。
【背景技術】
【0002】
レプチンは、主に脂肪組織から分泌される16 kDaのタンパク質で、サイトカイン受容体ファミリーに属する受容体(OB-R)に結合する。この受容体の5つの膜結合イソ型が同定され、同じ遺伝子の選択可能なスプライシングに由来する。同じ細胞外膜貫通ドメインを有するこれらのイソ型は、種々のサイズの細胞内ドメインにより特徴付けられる(Tartagliaら、(1995) Cell 83, 1263〜1271)。この受容体の可溶形も同定されており、選択可能なスプライシングまたは膜結合形の細胞外ドメインのタンパク質分解的切断から作られる。血液脳関門を横切ってレプチンを輸送するのに関与すると見られる受容体の短縮形(OB-Rs)は、最も発現されるイソ型である。長形(OB-Rl)は、視床下部のようないくつかの組織でしか発現されず、レプチンの生物学的効果のほとんどを担うようである(Sweeny, G. (2002) Cell Signal 14, 655〜663)。
【0003】
レプチンとその受容体は、それらのエネルギーバランスおよび代謝の調節ならびに食物摂取に対する神経内分泌応答における関与のために、特別な注目の主題である。最近、レプチンが骨質量(bone mass)の調節、脈管形成、癒合、血栓形成、性成熟、造血、免疫および炎症の調節、胎児の発育ならびに癌のような重要なさらなる機能にも関与することが示されている。マウス(ob/ob)およびある特定のヒトのようなレプチン欠損生物にレプチンを投与すると、肝臓および脂肪組織のような種々の組織で脂肪塊(lipid mass)の減少を引き起こす(Halaasら(1995) Science 269, 543〜546, Pelleymounterら(1995) Science 269, 540〜543, Campfieldら(1995) Science 269, 546〜549, Farooqiら(1999) N Engl J Med 341, 879〜884)。レプチンを用いるこの処置は、インシュリンに対する感受性も向上させ、脂肪栄養障害を示すマウスおよびヒトにおいて脂肪塊を減少させる(Shimomuraら(1999) Nature 401, 73〜76, Oralら(2002) New England Journal of Medicine 346, 570〜578, Petersenら(2002) J Clin Invest 109, 1345〜1350)。
【0004】
肥満の個体は、通常、レプチンに耐性である。この耐性の理由はまだほとんどわかっていないが、いくつかの機構が提案されている。血液脳関門を横切るレプチン輸送の欠如、OB-Rの活性化またはこれらの受容体によるシグナリングの欠如、およびSOCS3およびPTP-1Bのような負のレギュレーターの過剰発現である(Bjorbaekら(2000) J Biol Chem 275, 40649〜40657, Chengら(2002) Developmental Cell 2, 497〜503, CookおよびUnder (2002) Developmental Cell 2, 385〜387)。レプチン耐性の機構を理解するためには、OB-R活性化に関与する機構のより詳細な特徴づけを必要とする。
【0005】
OB-Rは、ヤーヌスキナーゼ2 (JAK 2)と構成的に連結されている。受容体へのJAK 2の結合は、OB-Rによるシグナリングに重要であり、OB-R受容体ダイマーの安定化に関与することが提案されている。アゴニストによる活性化は、OB-Rの細胞質のテイルの膜近傍領域におけるコンフォメーションの変化を引き起こすと考えられている。この領域においてbox1モチーフと構成的に結合するJAK2は、自己リン酸化により活性化され、次いでOB-Rl受容体をリン酸化するが、OB-Rs受容体はリン酸化しない。OB-Rlのリン酸化は、STATタンパク質の固定(anchoring)を許容するが、これは受容体に結合し、かつチロシンのリン酸化により活性化される。活性化されたSTATタンパク質はダイマー化し、STAT応答要素を介して遺伝子の転写を刺激するために核内に移動する(Tartaglia (1997) J Biol Chem 272, 6093〜6096)。
【0006】
最近、レプチン受容体の第二のプロモーターが見出された。興味深いことに、第二の転写産物は、このプロモーターからOB-Rメッセンジャーと共に共発現される(co-expressed)。この転写産物は、いくつかの種、例えばマウス、ラット、ヒト、酵母およびシー・エレガンス(C. elegans)で観察された(Bailleulら(1997) Nucleic Acids Res 25, 2752〜2758)。インシトゥーハイブリダイゼーション実験により、体重の調節に関与する視床下部領域を含むマウスの脳において、OB-Rと関連遺伝子との共発現が確認された(Mercerら、J Neuroendocrinol 2000 July; 12(7):649〜55)。対応するタンパク質は、131アミノ酸からなり、OB-R遺伝子関連タンパク質 (OB-R-gene related protein; OB-RGRP)とよばれる。このタンパク質は、特許出願WO 98/05792号の主題であった。
【0007】
レプチン受容体を欠く生物である酵母および線虫においてOB-RGRPが発現されるという事実は、OB-RGRPのより一般的な役割を示し、このことは、酵母でこのタンパク質の欠失がゴルジ体から液胞へのタンパク質輸送の欠如を引き起こすことにより支持される(Belgareh-Touzeら(2002) Molecular Biology Of The Cell 13, 1694〜1708)。
【0008】
2001年には、MY047と呼ばれるcDNAがヒトの脳のcDNAライブラリからクローニングされた(Huangら(2001) Biochimica et Biophysica acta Gene structure and expression 327〜331)。このタンパク質は、特許出願EP 0 969 091号の主題でもあった。対応するタンパク質の機能はまだわかっていない。MY047は、OB-RGRPと68%のホモロジーを示すが、このことはこれらの2つのタンパク質が同じファミリーに属することを意味する。ヒトゲノム配列決定プロジェクトについて入手可能な配列の分析は、他のホモログが存在しないことを示す。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本出願人らは、OB-RGRPの役割とそのレプチン受容体との関係を決定するために努力した。
よって、彼らは、OB-RGRPとOBRs受容体との間の相互作用の特異性を見出した。
彼らは、レプチン受容体関連タンパク質(OB-RGRP)に指向されたアンチセンスオリゴヌクレオチドを用いて、細胞表面でレプチン受容体の発現を特異的に修飾(modify)できることも見出した。
【課題を解決するための手段】
【0010】
よって、本発明の主題は、配列番号1の配列と特異的にハイブリダイズし、かつOB-RGRP発現を阻害する8〜50ヌクレオチドからなる任意に修飾されたオリゴヌクレオチドである。
有利には、これらのオリゴヌクレオチドは、細胞表面でのレプチン受容体の発現を促進する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
好ましくは、これらのオリゴヌクレオチドは、アンチセンスオリゴヌクレオチドである。好ましくは、これらのオリゴヌクレオチドは、配列番号2の配列と少なくとも60%、70%、80%または90%の同一性(identity)を示す配列を含む。
有利な実施形態によると、これらのオリゴヌクレオチドにおいてヌクレオチドはチオエステル化される。
別の有利な実施形態によると、これらのオリゴヌクレオチドにおいてヌクレオチドは2'-O-メチル化される。
別の有利な実施形態によると、これらのオリゴヌクレオチドは、その3'末端にトリエチレングリコール残基を有する。
【0012】
アンチセンス化合物の最も一般的に用いられる形はアンチセンスオリゴヌクレオチドの形であるが、本発明は、オリゴヌクレオチド誘導体およびこれらの構造を模倣する化合物、例えば本明細書の以下に記載されるものを含み、この列挙に限定されない。
本発明に従うアンチセンス化合物は、8〜50のヌクレオ塩基(nucleobase)を含むのが好ましい(すなわち、これらは8〜50のヌクレオチド単位からつくられるオリゴマーである)。特に目的とするアンチセンス化合物は、アンチセンスオリゴヌクレオチド、特に約12〜30のヌクレオ塩基で作られるものである。このアンチセンス化合物は、リボザイム、オリゴザイムまたはその他の短い触媒RNAあるいは標的核酸にハイブリダイズしてその発現を調節する触媒オリゴヌクレオチドを含む。
【0013】
ヌクレオシドは、窒素含有塩基と糖との組み合わせである。ヌクレオシドの塩基は、一般に、複素環式窒素含有塩基である。複素環式塩基の最も一般的な2つのタイプは、プリンおよびピリミジン塩基である。ヌクレオチドは、ヌクレオシドの糖に共有結合したホスフェート基を有するヌクレオシドである。ペンタノフラノースを含むヌクレオシドについて、ホスフェートは糖の2'、3'または5'位のヒドロキシル基に結合できる。
【0014】
ヌクレオチドの形成は、ホスフェート基の2つの隣接するヌクレオシドへの共有結合による。これにより、段階的に直鎖状オリゴマーを得ることが可能になる。このような直鎖状ポリマーの2つの末端は、順番に、一緒に合わさって環状構造を形成することができるが、開放構造(open structure)が一般的に好ましい。ヌクレオチド構造において、ホスフェート基はオリゴヌクレオチドのヌクレオシド間骨格を形成すると考えられる。RNAまたはDNA骨格中の通常の結合は、3'-5'ホスホジエステル結合である。
【0015】
本発明で用い得るアンチセンス化合物の具体例は、修飾された主鎖または非天然のヌクレオシド間結合を含有するオリゴヌクレオチドを含む。よって、修飾された主鎖を有するオリゴヌクレオチドは、その骨格中にホスフェート原子を保持するものおよびその中にホスフェート原子を欠くものを含む。本発明の必要のために、リン原子をそのヌクレオシド間結合中に有さない修飾オリゴヌクレオチドは、それにもかかわらずオリゴヌクレオチドとみなすことができる。
【0016】
これらの修飾オリゴヌクレオチドの主鎖は、例えば次の基:通常の3'-5'結合を形成するホスホロチオエート、キラルホスホロチオエート、ホスホロジチオエート、ホスホトリエステル、アミノアルキルホスホトリエステル、3'-アルキレンホスホネート、5'-アルキレンホスホネートを含むメチルおよび他のアルキルホスホネート、キラルホスホネート、ホスフィネート、3'-アミノホスホロアミデートおよびアミノアルキルホスホロアミデートを含むホスホロアミデート、チオノホスホロアミデート、チオノアルキルホスホネート、チオノアルキルホスホトリエステル、セレノホスフェートおよびボロホスフェート、ならびに2'-5'結合を形成するこれらのアナログ、ならびに逆の極性を示す、すなわち3'-3'、5'-5'または2'-2'タイプの少なくとも1つのヌクレオシド間結合を含むものを含み得る。優先的に用いられる逆の極性を有するオリゴヌクレオチドの形は、3'に最初のヌクレオシド間結合を有するものが3'-3'タイプである。これは、単一転化ヌクレオチド残基(single inverted nucleotide residue)に対応するが、該単一転化ヌクレオチド残基は、さらに、塩基でない(abasic)、すなわち複素環式窒素含有塩基がないかまたはヒドロキシル基で置換されることができる。種々の形(塩または遊離の酸)が本発明の分野に含まれる。
【0017】
リン原子を欠く修飾オリゴヌクレオチドの主鎖は、ヌクレオシド間結合として作用する短鎖アルキルまたはシクロアルキル鎖(例えば1つ以上のヘテロ原子を含むその誘導体を含む)でつくられることが好ましい。このタイプの主鎖は、モルホリノ結合(部分的にヌクレオシドの糖からなる)、シロキサン、ホルムアセチルおよびチオホルムアセチル、メチレンホルムアセチルおよびメチレンチオホルムアセチル、リボアセチル、アルケン、スルファメート、スルホネートおよびスルホンアミド、メチレンイミンおよびメチレンヒドラジン、アミドならびに窒素、硫黄および酸素原子またはメチル基を含む種々のその他の基に基づくことができる。
【0018】
他のオリゴヌクレオチドアナログについて、糖およびヌクレオシド間結合(すなわち主鎖)は、同時にヌクレオチド構造中で新しい基で置換される。複素環式窒素含有塩基は、標的核酸とのハイブリダイゼーションを確実にするために保存される。このようなオリゴマー化合物であるPNA (ペプチド核酸)は、ハイブリダイゼーションについて優れた能力を示した。これらの化合物において、オリゴヌクレオチドの骨格は、窒素含有塩基に直接または間接的にグラフトされたアミドベースの主鎖、特にアミノエチルグリシンで置換される。さらに、これらのPNAに関するより詳細な教示は、Nielsenら, Science, 1991, 254, 1497に見出すことができる。
【0019】
本発明は、より具体的には、ホスホロチオエート、アミドおよびモルホリン主鎖を有するオリゴヌクレオチド、ならびにヘテロ原子骨格、より具体的には:
-CH2-NH-O-CH2-
-CH2-N(CH3)-O-CH2- (メチレン(メチルイミノ)またはMMI骨格とよばれる)
-CH2-O-N(CH3)-CH2-
-CH2-N(CH3)-N(CH3)-CH2-
-O-N(CH3)-CH2-CH2- (ここで、ホスホジエステルブリッジは:O-P-O-CH2である)
を有するオリゴヌクレオチドを含む。
【0020】
オリゴヌクレオチドの修飾は、糖に対しても行うことができる。好ましい置換は、特に2'位(C1〜C11の長さのO-、N-またはS-アルカン、O-、N-またはS -アルケンまたはO-、N-またはS -アルキン誘導体、これらは置換されてもされていなくてもよい)であり、好ましい誘導体は:
O-[(CH2)nO]m-CH3
O-(CH2)n-O-CH3
O-(CH2)n-NH2
O-(CH2)n-CH3
O-(CH2)n-O-NH2
O-(CH2)n-O-N[(CH2)n-CH3]2
(式中、nおよびmは1〜10の範囲である)である。
【0021】
2'位の他の修飾は、次の基を含む。置換されてもされていなくてもよいC1〜C10の長さの脂肪族鎖、アリール鎖、アリール-アルキル鎖およびアルキル-アリール鎖;-SH、-SCH3、-OCN、-Cl、-Br、-CN、CF3、-OCF3、-SO2CH3、-ONO2、-NO2、-N3、-NH2;置換シリル;「レポーター」基;介在基(intercalating groups);RNA切断基;オリゴヌクレオチドの薬力学的能力を向上する基。好ましい修飾は:
2'-メトキシエトキシ(2'-O-CH2CH2OCH3、2'-O-(2-メトキシエチル)または2'-MOEともよばれる) (Martinら、Helv. Chim. Acta, 1995, 78f 486〜504)、2'-ジメチルアミノオキシエトキシ (O(CH2)2ON(CH3)2、2'-DMAOEともよばれる;
2'-ジメチルアミノエトキシエトキシ (2'-O-CH2OCH2-N(CH2)2、2'-ジメチルアミノエトキシエチルまたは2'-DMAEOEともよばれる)
の基を含む。
【0022】
別の有利な修飾は、LNA (Locked Nucleic Acid;固定核酸)の形成を導くが、ここでは2'位のヒドロキシル基が糖の3'または4'位の炭素に結合し、そして二環式構造で糖を形成する。好ましい橋架けは、2'酸素と4'炭素との間のメチルまたはエチル連結を介しておこる。
【0023】
2'位の他の好ましい置換は:
-O-CH3 (2'-メトキシ)
-O-(CH2)3-NH2 (2'-アミノプロポキシ)
-CH2-CH=CH2 (2'-アリル)
-O-CH2-CH=CH2 (2'-O-アリル)
-F (2'-フルオロ)
を含む。
2'位のこれらの修飾は、リボ位(下位)またはアラビノ位(上位)にあり得る。2'-フルオロ置換は、アラビノ位の好ましいものである。
【0024】
類似の修飾が他の位置、特に3'末端または2'-5'主鎖を有するオリゴヌクレオチド中のヌクレオチドの糖の3'位、および5'末端の糖の5'位ににあってもよい。オリゴヌクレオチドの糖は、アナログで置き換えることもできる(例えばシクロブチルはペントフラニルを置換できる)。
【0025】
オリゴヌクレオチドは、ヌクレオ塩基(当業者により「塩基」とよばれる窒素含有複素環塩基)の修飾または置換を含むこともできる。中性(非修飾)の塩基は、プリン(アデニンAおよびグアニンG)とピリミジン(シトシンC、チミンTおよびウラシルU)である。修飾塩基に含まれるものは、5-メチルシトシン、5-ヒドロキシメチルシトシン、キサンチン、ヒポキサンチン、2-アミノアデニン;プリン塩基(AまたはG)の6-メチル、2-メチルまたはその他のアルキル誘導体;2-チオ誘導体(C、TおよびU);5-ハロ誘導体(U、C);5-プロピニルシトシン誘導体(UおよびC);6-アゾ誘導体(U、TおよびC);5-ウラシル;4-チオウラシル;8-ハロ、8-アミノ、8-チオール、8-チオアルキル、8-ヒドロキシルおよびその他の8位で置換されたアデニンおよびグアニン;5-ハロ(特に5-ブロモ)、5-トリフルオロメチルおよびその他の5位で置換されたウラシルおよびシトシン;7-メチルグアニンおよび7-メチルアデニン;2-フルオロアデニン;2-アミノアデニン;8-アザグアニンおよび8-アザアデニン;7-デアザグアニンおよび7-デアザアデニン;3-デアザグアニンおよび3-デアザアデニンのような天然または合成の分子である。
その他の修飾塩基において、三環式ピリミジン、例えばフェノキサジン シチジン(1H-ピリミド[5,4-b][1,4]ベンゾキサジン-2-(3H)-オン)、フェノチアジン シチジン(1H-ピリミド[5,4-b][1,4]ベンゾチアジン-2(3H)-オン)、置換フェノキサジン シチジン(9-(2-アミノエトキシ)-H-ピリミド[5,4-b][1,4]ベンゾキサジン-2(3H)-オンのような)、またはカルバゾール シチジン(2H-ピリミド[4,5-b]インドール-'2-オン)が見出される。
【0026】
修飾塩基は、プリンまたはピリミジンの複素環が別の複素環で置き換えられた化合物、例えば7-デアザアデニン、7-デアザグアノシン、2-アミノピリジンまたは2-アミノピリドン(The Concise Encyclopedia Of Polymer Science And Engineering, 858〜859, Kroschwitz, J.I.編 John Wiley & Sons, 1990;Englischら, Angewandte Chemie, International Edition, 1991, 30, 613;Sanghvi, Y.S., 第15章, Antisense Research and Applications, 289〜302, Crooke, S.T.およびLebleu, B.,編, CRC Press, 1993)を含む。これらの修飾塩基のいくつかは、本発明のオリゴマー化合物の親和性を増大させるのに非常に有用であり、例えば5位で置換されたピリミジン、アザピリミジンまたはN-およびO-置換プリン(例えば2-アミノプロピルアデニン、5-プロピニルウラシル、5-プロピニルシトシン)である。置換5-メチルシトシンは、オリゴマー−核酸二重鎖(oligomer-nucleic acid duplexes)の安定性に正の効果を有し(Sanghvi, Y.S., Crooke, S.T.およびLebleu, B.,編, Antisense Research and Applications, CRC Press, Boca Raton, 1993, 276〜278)、かつ特に糖の2'-メトキシエチル修飾との組み合わせにおいて好ましい置換である。
【0027】
好ましくは、これらのオリゴヌクレオチドは、一本鎖の形にある。
【0028】
特に有利な実施形態によると、これらのオリゴヌクレオチドは、5'から3'の方向の2、4、6、7、9、11、13、15、17、19および20の位置のヌクレオチドがチオエステル化された、配列番号2の配列と少なくとも60%、好ましくは70%、80%または90%の同一性を示す配列を含む。
【0029】
特に有利な実施形態によると、これらのオリゴヌクレオチドは、5'から3'の方向の1、2、3、4、5、16、17、18、19および/または20の位置のヌクレオチドが2'-O-メチル化された、配列番号2の配列と少なくとも60%の同一性を示す配列を含む。
【0030】
好ましくは、本発明によるオリゴヌクレオチドは、DNAである。
【0031】
本発明の主題は、10〜60ヌクレオチド、好ましくは15〜25ヌクレオチドを含み、配列番号21の配列に特異的にハイブリダイズして、かつOB-RGRPの発現を阻害するiRNA (干渉リボ核酸)タイプのオリゴヌクレオチドでもある。
好ましくは、このようなiRNAは、配列番号21の配列またはその相補的配列から連続してとった17または19ヌクレオチドを含む。
【0032】
これらのiRNAは二本鎖であることができ、この場合に、これらは15〜60ヌクレオチドを含む2つの鎖からなるのが有利である。好ましい実施形態によると、このようなiRNAは、2つの鎖の少なくとも1つが配列番号37または配列番号38の配列の一つと少なくとも60%、好ましくは70%、80%または90%の同一性を示す配列を含む。
【0033】
これらのiRNAは、一本鎖の形で発現されることもできる。またこのようなiRNAは、ループを含み得る。これらは、15〜60ヌクレオチドを含むのが有利である。好ましい実施形態によると、このようなiRNAは、配列番号42の配列と少なくとも60%、好ましくは70%、80%または90%の同一性を示す配列を含む。
【0034】
ヌクレオチドA (A/G)および(C/T) Tを、17または19ヌクレオチドのこの配列の5'および3'にそれぞれ付加できる。しかしながら、他のタイプの残基または化学基を、アンチセンスの活性を低減しないという条件においてこれらの2つの末端に付加できる。
アンチセンスについて記載されるヌクレオチド修飾は、siRNAの配置(composition)をつくるものについても可能である。
【0035】
本発明は、これらの化合物の細胞ヌクレアーゼに対する耐性またはそれらの細胞内への透過および/またはOB-RGRP配列を標的することにおけるそれらの効率を増加するのに向けられたアンチセンスまたはiRNAのいずれの修飾も含む。
【0036】
本発明によるオリゴヌクレオチドは、これらがDNAである場合、固相合成の周知の技術により便利にかつ慣行的に製造することができる。このような合成のための装置は、種々の専門企業、例えばアプライドバイオシステムズ(Foster City, CA)により販売される。本発明におけるアンチセンスの合成は、当業者に公知の方法、特にE. Uhlmann, A. Peyman, A. Ryte, A. SchmidtおよびE. Buddecke (1999, Methods in Enzymology 313: 268〜284)ならびにE. Uhlmann (Recent advances in the medicinal chemistry of antisense oligonucleotides, Current Opinion of Drug Discovery and Develepment 3: 203〜213, 2000)により記載される方法に従う適切な支持体上での化学合成を用いる。当業者に公知のいずれの他の合成方法も用いることができる。
【0037】
これらがiRNAである場合、本発明によるオリゴヌクレオチドは、合成iRNAである場合は化学合成により合成することができるか、このようなオリゴヌクレオチドの合成を許容するベクターを用いてインシトゥーで発現することができるか、またはRNAse IIIまたは酵素DICERを用いて二本鎖RNAのインビトロ切断により得ることができる。
siRNA (小型iRNA)は、種々の供給業者、例えばプロリゴ(Proligo France SAS 1 rue Robert et Sonia Delaunay 75011 Paris)、ダーマコン(Dharmacon, Inc. 1376 Miners Drive #101 Lafayette, CO 80026)およびアンビオン(Ambion (Europe) Ltd. Ermine Business Park Spitfire Close Huntingdon, Cambridgeshire PE29 6XY United Kingdom)から得ることができるか、またはダーマコンおよびアンビオンのような種々の企業により販売されるキットを用いて合成することができる。
好ましくは、本発明によるiRNAは二本鎖の形にある。
【0038】
合成の後、iRNAは、まずRNAseフリーの水の中に採取される。2つの一本鎖分子の対形成(pairing)は、次のようにして行うことができる。各鎖20μmol/Lを、対形成バッファー(酢酸カリウム100 mmol/L、HEPES-KOH, pH 7.4 30 mmol/L、酢酸マグネシウム2 mmol/L)中に混合し、次いで90℃で1分間加熱し、続いて37℃で1時間インキュベーションする。
siRNAのトランスフェクションは、アンチセンスのトランスフェクションと同じプロトコルを用いて行うことができる。
【0039】
iRNAの代わりとしては、サイレントにする遺伝子(gene to be silenced)に特異的なアンチセンスのRNAの合成を許容するベクターを使用する。第一のベクター系は、アンチセンス配列の発現を、この配列のそれぞれの側の反対方向にある2つのプロモーターにより許容して、トランスフェクションされた細胞内で対となる2つの相補的RNAを製造し、siRNAを与える。別のベクター系は、数ヌクレオチド離れてセンス配列が続くアンチセンスの配列を有するRNAの合成を用い、これはステムループRNA構造を創り、これがトランスフェクションされた細胞内で切断されてsiRNAを与える。さらに別のベクター系は、600塩基対長までの二本鎖RNAの発現を含むが、このRNAは、必須配列:3'-キャップ(リボザイム部位)およびいずれの5'-ポリ-Aテイル(MAZジンクフィンガータンパク質のための結合部位)を欠くことにより核を離れることができない。この長いRNAは、核内で切断されて機能性siRNAを与え、これが細胞質内に出て行き標的RNAの分解を引き起こす。
これらのベクターは、種々のDNAについて上記したようにして慣例的にトランスフェクションされる。標的遺伝子のノックアウトを示す安定な株は、細胞株を得るのに通常用いられる抗生物質選択により得ることができる。
【0040】
通常、当業者は、iRNAについては次の出版物を参照する:Elbashir S.M.ら(2001, Nature 411: 494〜498)、Elbashir S.M. Lendeckel W.およびTuschl T. (2001, Genes & Dev. 15: 188〜200)ならびにMasters J.R.,ら(2001. Proc. Natl. Acad. Sci. USA 98: 8012〜8017)。
iRNAの発現を許容するベクターは、Brummelkamp T.R., Bernards R., Agami R. (2002. Science 296: 550〜553)、Yu J.Y., DeRuiter S.L.,およびTurner D. (2002., Proc. Natl. Acad. Sci. USA 99: 6047〜6052)ならびにShinagawa T. and Ishii S. (2003, Genes & Dev. 17: 1340〜1345)に記載のようにして得ることができる。
このようなベクターおよび該ベクターを含有する細胞は、本出願の主題である。
【0041】
本出願の主題は、このようなオリゴヌクレオチド、ベクターおよび細胞を含有する医薬品、ならびにこのようなオリゴヌクレオチド、ベクターおよび細胞の薬理学的に活性な量と医薬的に許容される賦形剤とを含有する医薬組成物でもある。
【0042】
本発明の別の主題は、このようなオリゴヌクレオチド、ベクターおよび細胞の、レプチン関連病理状態を予防および/または治療するための医薬品の製造のための使用でもある。
【0043】
本発明の主題は、このようなオリゴヌクレオチド、ベクターおよび細胞をレプチン関連疾患に苦しむ患者に投与するレプチン関連疾患の治療または予防のための処置の方法でもある。
【0044】
本発明の別の主題は、OB-RGRPもしくはMYO47タンパク質またはこのタンパク質もしくはMYO47タンパク質と少なくとも65%の同一性を示すタンパク質とレプチン受容体との間の相互作用の化合物による修飾を測定する方法である。
本発明は、該方法を実施するための融合タンパク質およびこれらのタンパク質をエンコードする核酸にも関する。
【0045】
本発明の主題は、上記で規定される方法を用いて選択されたリガンドを、レプチン関連疾患に苦しむ患者に投与するレプチン関連疾患の治療または予防のための処置の方法でもある。
【0046】
よって、本発明の第一の主題は、配列番号4の配列もしくは配列番号16の配列と少なくとも65%の同一性を示す配列、または配列番号4の配列もしくは配列番号16の配列の実質的な部分と、エネルギー供与体もしくはエネルギー受容体タンパク質、またはエネルギー供与体もしくはエネルギー受容体タンパク質の実質的で活性な部分とから構成される融合タンパク質である。
【0047】
本発明による融合タンパク質は、配列番号4の配列または配列番号16の配列と少なくとも65%、好ましくは少なくとも75%、より好ましくは少なくとも85%もしくは95%の同一性を示す配列の一部分または全体に対応する成分、あるいは配列番号4の配列もしくは配列番号16の配列の実質的な部分と、エネルギー供与体もしくはエネルギー受容体タンパク質に対応する成分とで実質的に構成される。しかしながら、これらはシグナル配列のような他のタンパク質に由来する他のアミノ酸配列を含み得る。
【0048】
有利には、エネルギー供与体タンパク質は、ウミシイタケルシフェラーゼ(Renilla luciferase; Rluc)である。しかしながら、供与体の発光スペクトルが受容体の励起スペクトルに、これら2つのパートナーの間の効率的なエネルギー転移を許容するのに充分なようにオーバーラップするいずれの他のエネルギー供与体タンパク質も用い得る。よって、供与体タンパク質は、エネルギー転移がFRETである場合はGFP、またはエネルギー転移がCRETである場合はエクオリンでもあり得る。エクオリンは、特許出願EP 0 187 519号またはInouyeら(PNAS USA 82: 3154〜3158 (1985))による文献に記載のようにして得て用いることができる。
【0049】
エネルギー受容体蛍光タンパク質に関して、DsRed、GFPまたはこのタンパク質の変異体、例えばYFP、EYFP、野生型GFP、GFPS65T、TopazもしくはGFP10が好ましい。
しかしながら、受容体の励起スペクトルと供与体の発光スペクトルとが、これらの2つのパートナー間の効率的なエネルギー転移を許容するのに充分なようにオーパーラップするいずれの他のエネルギー受容体蛍光タンパク質も用い得る。
【0050】
これらのタンパク質は当業者に知られており、当業者は文献、特にBlinksら(Pharmacol.Rev. 28: 1〜93 (1976))の中にそれらの配列を見出すことができる。特に、GFPはTsien (Annu. Rev. Biochem. 67 : 509〜544 (1998))により記載され、それらのクローニングはPrasherら(Gene 111 : 229〜233 (1992))に記載される。DsRedのクローニングについては、Matzら(Nat. Biotechnol. 17 : 969〜973 (1999))に記載されている。Rlucについては、当業者は、Blinksら(Pharmacol. Rev. 28 : 1〜93 (1976))またはLorenzら(PNAS 88: 4438〜4442 (1991))を参照することができる。
【0051】
特に有利には、供与体および受容体融合タンパク質は、配列番号6、配列番号8、配列番号12、配列番号14、配列番号18または配列番号20の配列、あるいは少なくとも65%の同一性を示すこれらの配列の変形の1つを含む。
【0052】
本発明の他の主題は、これらのタンパク質をエンコードする核酸である。このような核酸は、相補的またはゲノムDNAあるいはRNAであり得る。これらの核酸またはポリヌクレオチドは、一本鎖の形または二重らせん(duplex)の形であり得る。
これらは、特に有利には相補的DNAである。
【0053】
好ましくは、本発明の主題は、配列番号5、配列番号7、配列番号11、配列番号13、配列番号17または配列番号19の配列の核酸と少なくとも65%、好ましくは少なくとも75%、より好ましくは少なくとも85%または95%のヌクレオチド同一性を有する核酸である。
【0054】
さらに別の観点によると、本発明は、高ストリンジェントなハイブリダイゼーション条件下で、上記で規定する核酸、より具体的には配列番号5、配列番号7、配列番号11、配列番号13、配列番号17または配列番号19のヌクレオチド配列の核酸あるいは相補配列の核酸とハイブリダイズする核酸に関する。
【0055】
本発明の目的のために、2つのヌクレオチドまたはアミノ酸配列の間の「パーセンテージ同一性」は、2つの最適に整列させた配列を比較のウインドウ(window of comparison)を通して比較することにより決定することができる。
よって、比較のウインドウの中のヌクレオチド配列またはポリペプチドの部分は、付加または欠失(例えばギャップ)を、これらの2つの配列の最適なアラインメントが得られるように参照配列(これらの付加またはこれらの欠失を含まない)に比較して含むことができる。
【0056】
このパーセンテージは、同一の核酸塩基またはアミノ酸残基が、比較した2つの(核酸またはペプチド)配列について観察される位置の数を測定し、2つの塩基またはアミノ酸残基の間の同一性がある位置の数を比較のウインドウの中の位置の全体数で割り、パーセンテージ配列同一性を得るためにその解に100を掛けることにより算出される。
【0057】
比較のための配列の最適アラインメントは、WISCONSIN GENETICS SOFTWARE PACKAGE, GENETICS COMPUTER GROUP (GCG), 575 Science Doctor, Madison, WISCONSINに含まれる周知のアルゴリズムを用いてコンピュータ上でつくることができる。
実例として、パーセンテージ配列同一性は、BLASTソフトウェア(1996年3月のBLAST 1.4.9、1998年2月のBLAST 2.0.4および1998年9月のBLAST 2.0.6のバージョン)を用い、デフォルトパラメータのみ(S. F. Altschulら、J. Mol. Biol. 1990 215 : 403〜410、S. F Altschulら, Nucleic Acids Res. 1997 25 : 3389〜3402)を用いてつくることができる。BLASTは、参照「リクエスト」配列に対して類似/相同な配列をAltschulらのアルゴリズムを用いて検索する。リクエスト配列と用いられるデータベースとは、ペプチドベースまたは核酸ベースであってよく、いずれの組み合わせも可能である。
【0058】
本発明の目的のために、「高ストリンジェントなハイブリダイゼーション条件」の用語は、次の条件を意味することを意図する。
1−メンブレン競合およびプレハイブリダイゼーション
−混合:サケ精子DNA (10 mg/ml) 40μl+ヒト胎盤DNA (10 mg/ml) 40μl
−96℃で5分間変性させ、次いで混合物を氷につける。
−2×SSCを除き、ホルムアミドミックス4 mlをメンブレンを含むハイブリダイゼーションチューブに入れる。
−2種の変性させたDNAの混合物を加える。
−42℃で5〜6時間、攪拌しながらインキュベートする。
【0059】
2−標識プローブ競合
−Cot I DNA 10〜50μlを標識し精製したプローブに繰返しの量(amount of repetition)に応じて加える。
−7〜10分間、95℃で変性させる。
−65℃で2〜5時間インキュベートする。
3−ハイブリダイゼーション
−プレハイブリダイゼーションミックスを除く。
−サケ精子DNA (10 mg/ml) 40μl+ヒト胎盤DNA (10 mg/ml) 40μlを混合し、5分間96℃で変性させ、氷につける。
−ホルムアミドミックス4 ml、2種のDNAの混合物および変性させたCot I DNA/標識プローブをハイブリダイゼーションチューブに加える。
−15〜20時間、42℃で攪拌しながらインキュベートする。
【0060】
4−洗浄
−周囲温度で2×SSC中で1回洗浄してリンスする。
−周囲温度で2×SSCおよび0.1% SDS中、65℃で5分間を2回。
−65℃で1×SSCおよび0.1% SDS中、65℃で15分間を2回。
メンブレンをサランラップ(登録商標)で包み、露光する。
【0061】
上記のハイブリダイゼーション条件は、高ストリンジェントな条件下での20ヌクレオチド〜数百ヌクレオチドの範囲の長さの核酸分子のハイブリダイゼーションに適切である。
上記のハイブリダイゼーション条件は、そのハイブリダイゼーションが所望される核酸の長さ、または選択した標識のタイプの関数として、当業者に周知の技法を用いて調整することができることはいうまでもない。
適切なハイブリダイゼーション条件は、例えばHAMESおよびHIGGINS (1985, "Nucleic acid hybridization : a practical approach", Hames and Higgins Ed., IRL Press, Oxford)による研究またはF. AUSUBELら(1989, Current Protocols in Molecular Biology, Green Publishing Associates and Wiley Interscience, N.Y.)による研究に含まれる教示にしたがって調整することができる。
【0062】
本発明の主題であるタンパク質は、当業者に知られたいずれの方法により得ることができる。しかしながら、これらは、これらのタンパク質をエンコードし、必要に応じて発現ベクター、有利に選択された細胞内に挿入された上述のような核酸の発現により、その後に任意に抽出および完全または部分的な精製を続けて得られるのが有利である。
【0063】
本発明は、本発明による核酸を含む組換えベクターにも関する。
有利には、このような組換えベクターは、核酸:
a) 配列番号6、配列番号8、配列番号18もしくは配列番号20の配列と少なくとも65%のアミノ酸同一性を有するタンパク質またはそのペプチドフラグメントもしくは変形をエンコードする核酸;
b) 配列番号5、配列番号7、配列番号17もしくは配列番号19の配列を有するポリヌクレオチドまたはそのフラグメントもしくは変形を含む核酸;
c) 配列番号5、配列番号7、配列番号17もしくは配列番号19の配列を有する核酸と少なくとも65%のヌクレオチド同一性を有する核酸またはそのフラグメントもしくは変形;
d) 配列番号5、配列番号7、配列番号17もしくは配列番号19の配列の核酸と高ストリンジェントなハイブリダイゼーション条件下でハイブリダイズする核酸、またはそのフラグメントもしくは変形
から選択される核酸を含む。
【0064】
本発明の目的のために、「ベクター」の用語は、一本鎖または二本鎖の形には無関係な環状もしくは線状のDNAまたはRNA分子を意味することを意図する。
ある実施形態によると、発現ベクターは、本発明による核酸のほかにも、その転写および翻訳を行うことを可能にする調節配列を含む。
【0065】
ある有利な実施形態によると、本発明による組換えベクターは、特に次の要素を含む:
(1) 挿入される核酸の発現を調節する要素、例えばプロモーターおよびエンハンサー;
(2) このようなベクターに挿入される本発明による核酸に含まれるコーディング配列であって、(1)に記載の調節シグナルと同相に(in phase)位置するコーディング配列;および
(3) 適切な転写開始および停止配列。
【0066】
さらに、本発明による組換えベクターは、その増幅または発現が所望される宿主細胞内での1つ以上の複製起点、マーカーまたは選択マーカーを含み得る。
例として、真核細胞のためのプロモーターは、HSVウイルスのチミジンキナーゼプロモーターまたはマウスメタロチオネイン-Lプロモーターを含む。
【0067】
一般的に、適切なプロモーターの選択には、当業者はSAMBROOKらの研究(1989, "Molecular Cloning : A Laboratory Manual,"第2版, Cold Spring Harbor Laboratory Press, Cold Spring Harbor, NY.)またはFULLERら(1996, Immunology in Current Protocols in Molecular Biology, Ausubelら)により記載された技術を有利に参照することができる。
【0068】
本発明による好ましいベクターは、例えばベクターpCDNA3 (Invitrogen)、pQE70、pQE60、pQE9 (Qiagen)、psiX174、pBluescript SA、pNH8A、pNH16A、pNH18A、pNH46A、pWLNEO、pSV2CAT、pOG44、pXTIおよびpSG(Stratagene)のようなプラスミドである。
これらは、バキュロウイルスタイプのベクター、例えばスポドプテラ・フルギペルダ(Spodoptera frugiperda)由来のSf9株(ATCC No. CRL 1711)の細胞に感染するのに用いられるベクターpVL1392/1393 (Pharmingen)でもあり得る。
これらは、アデノウイルスベクター、例えばヒトアデノウイルスタイプ2または5でもあり得る。
本発明による組換えベクターは、レトロウイルスベクターまたはアデノ随伴ベクター (adeno-associated vector;AAV)でもあり得る。このようなアデノ随伴ベクターは、例えばFLOTTEら(1992, Am. J. Respir. Cell Mol. Biol., 7 : 349〜356)により記載される。
【0069】
本発明の目的は、上記のようなタンパク質、核酸もしくはベクターを含む細胞、またはこれらの細胞のフラグメント、これらの細胞の溶解液、またはこれらの細胞の膜でもある。
このような細胞は、生物体から単離され、適切な増殖培地で培養され得る。しかしながら、これらは細胞株が好ましい。よって、このような株は、細胞株HEK 293、COS (ATCC No. CRL 1650)、COS-M6およびHeLa (ATCC No. CCL2)、またはCv 1 (ATCC No. CCL70)、Sf-9 (ATCC No. CRL 1711)、CHO (ATCC No. CCL-61)もしくは3T3 (ATCC No. CRL-6361)が特に有利である。
【0070】
これらの細胞の膜は、当業者に公知のいずれの方法により調製できる。
好ましくは、これらは、以下の実施例に記載のように細胞の機械的粉砕、次いで得られる懸濁物の遠心分離により調製される。
【0071】
本発明は、上記の細胞とサポニンとを含む組成物にも関する。
【0072】
本発明は、OB-RGRP、MY047タンパク質または配列番号4の配列もしくは配列番号16の配列と少なくとも65%の同一性を示すタンパク質と、レプチン受容体との間の相互作用の化合物による修飾を測定する方法に関し、該方法は:
- 該化合物を、配列番号4の配列または配列番号16の配列と少なくとも65%の同一性を示すタンパク質およびレプチン受容体、あるいはそのようなタンパク質を含む細胞または細胞のフラグメントもしくは溶解液もしくは膜と、必要に応じて適切な酵素基質と接触させる工程、および
- 配列番号4の配列または配列番号16の配列と少なくとも65%の同一性を示すタンパク質とレプチン受容体との間の相互作用を測定する工程
を含む。
【0073】
好ましくは、該化合物は、エネルギー供与体融合タンパク質およびエネルギー受容体融合タンパク質、またはそのようなタンパク質を含む細胞または細胞のフラグメントもしくは溶解液もしくは膜と、必要に応じて適切な酵素基質と接触させる。
好ましくは、該方法は、これらの細胞を透過させる剤、例えばサポニンで処理した細胞と接触させる。
エネルギー供与体融合タンパク質およびエネルギー受容体融合タンパク質は、供与体の活性化によるエネルギーが受容体に効果的に転移できるように選択される。
【0074】
該方法の有利な実施形態において、エネルギー供与体融合タンパク質は、ルシフェラーゼまたはルシフェラーゼの実質的な部分との融合からのタンパク質であり、この場合に基質はコエレンテラジン(coelenterazine)が有利である。
該方法の好ましい実施形態において、エネルギー受容体融合タンパク質は、YFPまたはYFPの実質的な部分との融合からのタンパク質である。
【0075】
該方法の有利な実施形態において、試験化合物の存在下に測定されるエネルギー転移は、試験化合物の不在下に測定されるエネルギー転移と比較される。
該方法の別の有利な実施形態において、試験化合物およびレプチン(または受容体のリガンド)の存在下に測定されるエネルギー転移は、レプチン(または受容体のリガンド)の不在下に化合物の存在下で測定されるエネルギー転移と比較される。
【0076】
好ましくは、該方法は上記のように細胞膜上で行われる。
【0077】
好ましくは、本発明による供与体および受容体タンパク質は、エネルギー転移が第一世代または第二世代(first or second generation)のBRET (バイオ発光共鳴エネルギー転移)またはLRET (発光共鳴エネルギー転移)により起こるように選択される。しかしながら、このようなエネルギー転移は、FRET (蛍光共鳴エネルギー転移)、またはCRET (化学発光共鳴エネルギー転移)によりもたらされ得る。
エネルギー転移のタイプにかかわらず、エネルギー供与体融合タンパク質/エネルギー受容体融合タンパク質の対は、このような転移を許容するように選択される。
【0078】
BRET2 (第二世代)は、適切な基質DeepblueC (商標)コエレンテラジン(Biosignal Packard)を用いるウミシイタケルシフェラーゼと変異体GFP、GFP10との間のエネルギー転移からなる。
CRETは、ルシフェラーゼであるエクオリンとGFPとの間のエネルギー転移からなる。
FRETは、異なるスペクトルを有するGFPファミリーの2つのタンパク質の間のエネルギー転移からなる。
【0079】
これらの転移を実行するために、当業者は、BRET2についてD. Ramsayら(Biochem J 365: 429〜40 (2002))およびK. Yoshiokaら(FEBS Lett 523: 147〜151 (2002))を、CRETについてBaubetら(PNAS USA 97 : 7260〜7265 (2000))を、FRETについてMatyus (J Photochem Photobiol B 12: 323〜337 (1992))ならびにPollokおよびHeim (Trends Cell Biol 9:57〜60 (1999))を参照することができる。
【0080】
本発明の別の主題は、レプチン関連の病理状態(leptin-related pathological condition)の予防および/または治療を意図する化合物をスクリーニングまたは検出する方法であり、該方法は:
- 該化合物を、配列番号4の配列または配列番号16の配列と少なくとも65%の同一性を示すタンパク質およびレプチン受容体、あるいはこのようなタンパク質を含む細胞または細胞のフラグメントもしくは溶解液もしくは膜と、必要に応じて適切な酵素基質と接触させる工程、および
- 配列番号4の配列または配列番号16の配列と少なくとも65%の同一性を示すタンパク質とレプチン受容体との間の相互作用を測定する工程
を含む。
【0081】
好ましくは、配列番号4の配列または配列番号16の配列と少なくとも65%の同一性を示すタンパク質は、OB-RGRPまたはMY047である。
【0082】
本発明による方法は、一般的に用いられる96ウェルまたは384ウェルのプレートに適合する。これは、放射活性分子の使用を必要としないが、感度がよく、再現性がありかつ迅速であり、結果を読み取りやすい。この特徴は、大規模スクリーニングを行うのに特に有利である。
【0083】
本発明は:
- 化合物を、配列番号4の配列または配列番号16の配列と少なくとも65%の同一性を示すタンパク質およびレプチン受容体、あるいはこのようなタンパク質を含む細胞または細胞のフラグメントもしくは溶解液もしくは膜と、必要に応じて適切な酵素基質と接触させ、そして
- 配列番号4の配列または配列番号16の配列と少なくとも65%の同一性を示すタンパク質とレプチン受容体との間の相互作用を測定する
方法を用いて選択される化合物の使用にも関する。
【0084】
最後に、本発明の主題は、レプチン関連疾患またはその受容体の関連する疾患の治療または予防のための処置の方法であり、該方法は:
- 該化合物を、配列番号4の配列または配列番号16の配列と少なくとも65%の同一性を示すタンパク質およびレプチン受容体、あるいはこのようなタンパク質を含む細胞または細胞のフラグメントもしくは溶解液もしくは膜と、必要に応じて適切な酵素基質と接触させ、そして
- 配列番号4の配列または配列番号16の配列と少なくとも65%の同一性を示すタンパク質とレプチン受容体との間の相互作用を測定する
方法を用いて化合物を選択する工程、
該化合物を該疾患に苦しむ患者に投与する工程
を含む。
【0085】
レプチン関連の病理状態は、骨密度の減少に関する疾患、例えば骨粗しょう症、または逆にかなりのカルシウム沈着に関する疾患であり得る。
これらは、体重に影響を及ぼす疾患、例えば肥満、糖尿病または食欲不振でもあり得る。
これらは、性成熟、造血、脈管形成、血栓形成、免疫および炎症の制御、胎児の発育、癒合および癌に影響を有する疾患でもあり得る。
【0086】
本発明の化合物、オリゴヌクレオチド、iRNAまたは他の化合物は、局所、経口、非経口、鼻腔内、静脈内、筋肉内、皮下、眼内の投与などを目的とする医薬組成物に処方できる。好ましくは、該医薬組成物は、注入可能な製剤のための医薬的に許容されるビヒクルを含有する。これらは特に、等張の滅菌された塩(1ナトリウムまたは2ナトリウムリン酸塩、塩化ナトリウム、塩化カリウム、塩化カルシウムまたは塩化マグネシウムなど、あるいはこのような塩の混合物)の溶液、あるいは乾燥、特に凍結乾燥された組成物であって、適切な場合に滅菌水または生理食塩水の添加により注入可能な溶液を構成できるものであり得る。
【0087】
治療用組成物の処方およびそれらの投与は、当業者の権限内である。
化合物の処方は、当業者に既知の種々の物質を含み得る。好ましくは、該化合物は、例えばそれらに添加されたナトリウム、カリウム、アンモニウム、マグネシウム、カルシウム、ポリアミンまたは塩酸、臭化水素酸、硫酸、リン酸または硝酸のような塩を含み得る。他の塩を用いることもでき、例えば酢酸、シュウ酸、酒石酸、コハク酸、マレイン酸、フマル酸、グルコン酸、クエン酸、リンゴ酸、アスコルビン酸、安息香酸、タンニン酸、パルミチン酸、アルギン酸、ポリグルタミン酸、ナフタレンスルホン酸、メタンスルホン酸、p-トルエンスルホン酸、ナフタレンジスルホン酸またはポリガラクツロン酸由来のものである。最後に、塩素、臭素およびヨウ素の塩も好ましく用いることができる。
【0088】
局所投与のための組成物および製剤は、経皮パッチ、軟膏、ローション、クリーム、ゲル、滴剤、坐剤、スプレー、液剤および散剤を含み得る。
経口投与のための組成物および製剤は、散剤、顆粒、マイクロ粒子、ナノ粒子、懸濁剤、水性であってもなくてもよい液剤、カプセル、ゼラチンカプセル、サッシェ、錠剤またはミニ錠剤を含み得る。増粘剤、矯味矯臭剤、希釈剤、乳化剤、分散剤または結合剤を添加し得る。
【0089】
非経口、髄膜内または脳室内の投与のための組成物および製剤は、緩衝剤、希釈剤および限定されないが浸透向上剤(penetration-increasing agent)、輸送物質(transporting product)および賦形剤のような他の添加物を含み得る滅菌水溶液を含み得る。
組成物は、フォーム、エマルション、マイクロエマルション、カチオン性、pH感受性または負に荷電したリポソーム、あるいはトランスフェローム(transferome)として処方され、用いられることができる。
【0090】
一般的に、種々の製剤は、1種以上の剤、例えば限定されないが、化合物の浸透を増加させる剤(界面活性剤、胆汁酸塩、キレート剤、非キレート界面活性剤)、賦形剤(結合剤、フィラー、滑沢剤、崩壊剤、湿潤剤)、またはトランスポーター(水、塩溶液、アルコール、ポリエチレングリコール、ゼラチン、ラクトース、アミロース、ステアリン酸マグネシウム、タルク、ケイ酸、粘性パラフィン、ヒドロキシメチルセルロース、ポリビニルピロリドン)の混合物を含み得る。他の成分、例えば色素、矯味矯臭剤、防腐剤、抗酸化剤、乳白剤、増粘剤および安定剤を添加することができる。
【0091】
用量は、数日から数ヶ月であり得るかまたは治療が効果的であるかもしくは疾患の低減が観察されるまでの治療期間を有する治療される疾患の症状の重篤度および感受性に依存する。最適用量は、患者の体内での治療剤の蓄積の測定から算出できる。当業者は、最適用量、投与の方法およびこれらの用量の反復の速度を容易に決定できる。最適用量は、各オリゴヌクレオチドまたはiRNAの相対的有効性の関数として変動でき、一般に、インビトロおよび動物モデルでのインビボで用いられる用量のEC50を測定することにより推定できる。一般に、用量は、体重1キログラム当たり0.01μg〜100 gであり、1日当たり、1週当たり、1ヶ月当たりまたは1年当たり1回以上、あるいは2〜20年ごとに1回であっても投与することができる。
【0092】
受容能力のある(competent)個体は、用量の反復の速度を、化合物が体液または体組織に存在する時間量に基づいて容易に決定することができる。成功した治療に続いて、疾患の再発を防ぐために、治療の維持を続けることが患者にとって望ましいであろう。これを行うためには、オリゴヌクレオチドまたはiRNAを、体重1キログラム当たり0.01μg〜100 gの範囲の維持用量を、1日当たり1回以上から20年ごとに1回まで投与する。
【0093】
インビボでのアンチセンスの投与は、アンチセンスの静脈内 (Heら(1998) Zhonghua Shi Yan He Lin Chuang Bing Du Xue Za Zhi 12:1〜4)、または脳内(Yoburnら (2003) Synapse 47: 109〜116, Tischkauら (2003) J. Biol. Chem. 278: 718〜723)への単純な注入のプロトコルを用いて、種々の著者により行なわれて成功している。最近2年間の間に、生物体内でのターゲティングアンチセンスのより複雑なシステムが開発され、用いられて成功している(Morishitaら (2002) J. Endocrinol. 175: 475〜485, Bartschら (2002) Pharm. Res. 19: 676〜680)が、これはマウスおよびラットにおいて種々の癌を治療することを可能にした(Raitら (2002) Mol. Med. 8: 475〜486, Ochiettiら (2002) J. Drug. Target 10: 113〜121, Ederら (2002) Cancer Gene Ther. 9:117〜125)。アンチセンスのトランスフェクションは、iRNAのトランスフェクションと同じ方法を含み、iRNAについて同じ適用を構想することを可能にする。このことを考えながら、中枢起源の疾患(肥満)だけでなくレプチン受容体の末梢作用により発生するものを治療するために、アンチセンスまたはiRNAを中枢神経系に向けて標的することを想定することができる。より具体的には、OB-Rが関与する血液脳関門を横切るレプチンの輸送へのアンチセンスまたはiRNAの作用があることを構想することができる。さらに、すでに内皮細胞は、インビボアンチセンスストラテジを用いて標的されて成功している(Bartschら (2002) Pharm. Res. 19: 676〜680)。
【0094】
図:
図1
用いられた種々のアンチセンスODN、AS 01〜AS 16の配列。
図2
種々の種のOB-RGRPタンパク質配列およびヒトMY047タンパク質配列のアラインメント。可能性のある膜貫通ドメインは、種々の方法(HMMTOP、TMHMM、TopPred2、TMpred)で決定し、太字で示す。
【0095】
図3
二重融合タンパク質であるYFP-OB-RGRP-Lucを用いてBRETにより研究されたOB-RGRPのトポロジー。図3a:3TMおよび4TMモデルについてのOB-RGRPのトポロジーのダイアグラム図。図3b:記載のタンパク質を用いたBRET実験の結果。データはmBUで表す。
【0096】
図4
SDS-PAGE実験および免疫沈降を用いるOB-RGRPのオリゴマー化の研究。図4a:記載された融合タンパク質を発現する細胞を、PBS (1×、pH7.4)中2 mmol.L-1のジチオビス(スクシンイミジル プロピオネート) (DSP)で、タンパク質複合体を架橋するために処理したかまたはしなかった。タンパク質をSDS-PAGEで分離し、YFPとの融合からのタンパク質を、特異的抗-YFP抗体を用いて検出した。図4b:構築物6Myc-OB-RGRPを発現する細胞を、1%のジギトニンまたは5%のSDSで可溶化し、溶解した物質を抗-myc抗体で免疫沈降した。沈降物をSDS-PAGEによる分離に付し、mycでタグをつけたタンパク質を抗-myc抗体で検出した。
【0097】
図5
OB-RGRPのオリゴマー化に関与する分子決定子の同定。OB-RGRP短縮物(truncation)との融合からのタンパク質を、図4bに記載のようにして処理した。TM;膜貫通ドメイン。
図6
BRET技術によるHEK生細胞におけるOB-RGRPのオリゴマー化の研究。図6a:記載された融合タンパク質を等モル比で共発現させ、BRET測定を行なった。図6b:プラスミドOB-RGRP-Lucの一定量を、漸増量のプラスミドOB-RGRP-YFPと共発現させBRET測定を行なった。MT2R-Luc;メラトニン受容体MT2とルシフェラーゼの融合からのタンパク質。
【0098】
図7
BRETにより研究されたOB-RsおよびOB-RGRPのMY047との相互作用。記載された融合タンパク質を等モル比で発現させ、BRET測定を行なった。IR-YFP;インシュリン受容体とYFPとの融合からのタンパク質。
図8
記載するようなOB-RGRPタンパク質構築物の過剰発現の存在下でのOB-Rlによる、HeLa細胞におけるSTAT3 (図8a)およびSTAT5 (図8b)についてのレポーター遺伝子の用量依存性活性化。
【0099】
図9
細胞表面でのOB-Rの発現に対するOB-RGRPの過剰発現の影響。OB-RGRP発現ベクターでトランスフェクションされたかまたはされなかったHEK 293細胞、およびOB-RlまたはOB-Rs発現ベクターおよび+/- OB-RGRPベクターでトランスフェクションされたCOS細胞を用いて、表面で発現された受容体の量および細胞内で発現された全量を、125I-レプチン結合実験により測定した。
【0100】
図10
半定量的RT-PCRにより観察された、OB-RGRPメッセンジャーのレベルに対する種々のアンチセンスオリゴデオキシヌクレオチド(ODN)の影響。図10a:PCRサイクルの数の関数としての、OB-RGRPおよびGAPDH転写産物の増幅の直線領域の測定。図10b:パネルaに示す結果の定量。図10c:種々のアンチセンスODNとインキュベートした細胞内における、26 PCRサイクルでのOB-RGRP mRNAの発現の相対的レベルの測定。
【0101】
図11
半定量的RT-PCRにより観察された、OB-RGRPメッセンジャーのレベルに対する種々の干渉RNAの影響。図11a:用いた合成iRNAの配列番号37/配列番号38の配列(ヒトおとびマウスのホモログ)。図11b:合成iRNAでトランスフェクションされたかまたはされなかったHELA細胞における、26 PCRサイクルを用いるOB-RGRP mRNAに関連する発現レベルの測定。図11c:ベクターPCR3.1-RNAi 14から合成されたヘアピンiRNAの配列番号42の配列。図11d:ベクターPCR3-RNAi 14でトランスフェクションしたかまたはしなかったLtk 細胞における、26 PCRサイクルを用いるOB-RGRP mRNAに関連する発現レベルの測定。
【0102】
図12
STAT3レポーター遺伝子の活性化に対するOB-RGRP特異的アンチセンスODNの影響。HeLa細胞を、まずOB-Rl発現ベクターおよびSTAT3または5についてのレポーター遺伝子の構築物で、次いで記載したアンチセンスODNで共トランスフェクションした(cotransfected)。レプチン10 nmol.L-1での刺激または刺激なしの48時間後。
【0103】
図13
OB-Rの表面発現に対するOB-RGRP特異的アンチセンスODNの影響。HeLa細胞を、OB-RlまたはOB-Rs発現プラスミドでトランスフェクションしたかまたはしなかった後に、記載するアンチセンスODNで第二のトランスフェクションしたかまたは第二のトランスフェクションしなかった。トランスフェクションの48時間後、OB-Rの全量および表面に露出されたフラクションを125I-レプチンとの結合実験において測定した。
【実施例】
【0104】
本発明を、限定することなく、以下の実施例により説明する。
実施例で使用する材料および方法
プラスミド構築
OB-RのYFPおよびルシフェラーゼとの融合からのタンパク質は、OB-R受容体のC-末端部分へのYFPおよびルシフェラーゼのライゲーションにより、標準的な分子生物学の技法により構築した。YFPのコーディング領域をベクターCytogem(登録商標)-Topaze (pGFPtpz-N1) (Packard, Meriden, CT)から得て、修飾されたポリリンカーを有するベクターpcDNA3/CMV (Invitrogen, Groningen, The Netherlands)のEcoRV部位に挿入した。ウミシイタケルシフェラーゼのコーディング領域をベクターpRL-CMV (Promega, Madison, WI)から得て、修飾されたベクターpcDNA3のEcoRV部位に挿入した。OB-RlおよびOB-Rsのコーディング領域 (Dr. Gainsford, Royal Melbourne Hospital, Victoria, Australiaから寄贈)を、上記の2つのベクターにそれぞれEcoR1/BamH1およびNhe1部位に挿入した。停止コドンを部位特異的突然変異により欠失させ、融合タンパク質のフレームを同時に調整した。
【0105】
ベクターpcDNA3-OB-RGRPを、ベクターpCDNA3-Di1から得られたOB-RGRPのコーディング領域をベクターpcDNA3/CMV (Invitrogen, Groningen, The Netherlands)のEcoR1およびXba1部位に挿入することにより得た。OB-RGRPの停止コドンを、部位特異的突然変異により欠失させた。ベクターpcDNA3-OB-RGRP-Lucを、ベクターpRL-CMV N3 (Promega, Madison, WI)をSma1とHpa1とを用いて消化し、ウミシイタケルシフェラーゼのコーディング領域に対応するフラグメントを、OB-RGRPのコーディング領域の後に、ベクターpcDNA3-OB-RGRPの埋められた(filled-in) BspE1部位に挿入することにより得た。
【0106】
ベクターpcDNA3-YFPを、ベクターpGFPtpz-N1 (Packard, Meriden, CT)からのYFPコーディング領域を、ベクターpcDNA3/CMVのEcoRV部位に挿入してサブクローニングすることにより得た。ベクターpcDNA3-OB-RGRP-YFPは、ベクターpCDNA3-OB-RGRPのBamH1/BspE1フラグメントを、BamH1およびAge1酵素で消化したベクターpcDNA3-YFPに停止なし(non-stop)で挿入することにより得た。
【0107】
構築物pcDNA3-GFP-OB-RGRP-Lucは、EcoR1で切断したベクターpcDNA3-OB-RGRP-RlucのOB-RGRP-Lucフラグメントを、ベクターpcDNA3-YFPのEcoR1部位に挿入することにより得た。YFPの停止コドンは、部位特異的突然変異により除いた。
【0108】
ベクター6Myc-OBR-GRP (4TM)は、ベクターpCDNA3-RSV-6Mycの6mycフラグメントを、ベクターpCDNA3-OBRGRPのBamH1およびEcoR1部位に挿入することにより得た。種々のOB-RGRP欠失(2および3 TM)は、PCRと、ベクターpcDNA3のEcoR1およびXba1部位への挿入とにより得た。
MY047のコーディング配列は、ヒト起源のmRNAでのRT-PCRにより得た。PCRフラグメントをEcoR1/Xba1制限酵素で消化し、同じ酵素で切断したベクターpcDNA3-Topazeに挿入した。次いで、YFPの停止コドンを部位特異的突然変異により除き、ベクターpcDNA3-YFP-MY047を得た。ベクターpcDNA3-MY047-GFPは、ベクターpcDNA3-YFP-MY047でのPCRにより得られ、BamH1で切断したDNAフラグメントを、同じ酵素で切断したベクターpcDNA3-YFPに挿入することにより得た。BamH1で切断したベクターpcDNA3-Rlucへの同じフラグメントの挿入により、ベクターpcDNA3-MY047-Rlucを得ることができた。
【0109】
2連続のPCR反応を行って、マウスU6プロモーターとそれに続く配列番号42の配列を有するヘアピンiRNA配列の増幅を得た。最初の反応において、最初のプライマー対:U6センス、5'-CCATCTAGGCCAAGCTTATCCGACGCCGCCATCTC-3' 配列番号41と、ループを形成する配列が続く標的のセンス配列に対応するもの(配列番号39)。次いでPCR産物を、同じセンスプライマー(U6センス)と、ループを形成する同じ配列が先行する標的のアンチセンス配列に対応する第二のプライマー(配列番号40)を用いる第二の反応に用いた。種々のヘアピンiRNAに対応する種々のPCR産物を、TA-クローニングキット(Invitrogen Groningen, the Netherlands)を用いてベクターPCR3.1に挿入して、プラスミドPCR3.1-RNAi 14を得た。
全ての構築物は、配列決定により確認した。
【0110】
細胞培養およびトランスフェクション
HEK 293、COS-7およびHeLa細胞は、10% (v/v)のSVF、4.5 g/lのグルコース、100 U/mlのペニシリン、0.1 mg/mlのストレプトマイシンおよび1 mmol.L-1のグルタミンを添加したDMEMで培養した(全てLife Technologies, Gaithersburg, MDから)。一過性の(transient)トランスフェクションは、Ltk細胞以外はFuGene 6試薬(Roche, Basel, Switzerland)を用いて、供給業者の指示に従って行なった。Ltk細胞は、DEAEデキストラン法を用いてトランスフェクションした:細胞をPBSで2回リンスし、次いでDNA 2μg、DMEM、20 mM, Hepes、4.5 g/lのグルコースおよび200μgのDEAE-デキストランの混合物1 mlを細胞に加える。8時間のインキュベーションの後、媒質を除去して細胞をDMEM 1 ml、4.5 g/lのグルコースおよび10% DMSOで1時間30分インキュベートする。細胞を最後にリンスし、培地でインキュベートする。
【0111】
膜の調製および可溶化
以前に記載された(19)ようにして膜を調製し、75 mmol.L-1 Tris (pH 7.4)、12.5 mmol.L-1 MgCl2および5 mmol.L-1 EDTAに再懸濁し、直ちにBRET実験で用いた。
【0112】
SDS PAGEおよびウェスタンブロッティング
全溶解液を、細胞を冷PBS (pH 7.4)で1回洗浄し、ローディングバッファー(30 mmol.L-1 Tris HCl、pH 6.8、1%グリセロール、5% SDS、50 mmol.L-1 DTTおよび0.05%ブロモフェノールブルー)を加えて変性することにより調製した。全溶解液または免疫沈降物を90℃で10分間インキュベートし、次いで電気泳動(SDS-PAGE)による分離のために10%アクリルアミドゲルにのせた。次いでタンパク質をニトロセルロースメンブレンに移し、特異的一次抗体:1/200に希釈した抗-YFP (8367-1 Living Colors) 、1/500に希釈した抗-myc A14 (sc-789 TEBU Peprotech Santa Cruz Biotechnology)、次に1/10,000に希釈したペルオキシダーゼと結合した二次抗体(抗-ウサギ(rabid) ヤギIgG;Jackson Immunoresearch Laboratories, Inc., West Baltimore Pike)を用いて明らかにした。免疫反応性のバンドをECLキット(Pharmacia Biotech)を用いて明らかにした。
【0113】
免疫沈降
トランスフェクションの2日後、細胞を冷PBSで1回洗浄し、タンパク質を溶解バッファー(1×PBS、1% Nonidet P40、0.5%デオキシコール酸ナトリウム、0.1% SDS、0.02% NaN3、10 mg.L-1 ベンズアミジンおよび5 mg/L-1 トリプシン阻害剤)中で15分間インキュベーションすることにより抽出した。溶解液を18000 gで15分間遠心分離し、次いで上清を、アガロースビーズ(sc 40AC TEBU preprotech, Santa CRUZ Biotechnology)と結合した抗-myc抗体と4℃で3時間インキュベートした。沈降物を冷溶解バッファーで3回洗浄し、SDS-PAGE用のローディングバッファーで変性させた。
【0114】
放射性結合実験
放射性結合実験を、わずかの変更を加えて以前に記載された(Barrら(1999) J Biol Chem, 274, 21416〜21424)ようにして行なった。表面のレプチン結合を測定するために、6-ウェルプレートで培養した細胞を冷PBSで2回洗浄し、125I-レプチン (PerkinElmer life sciences, Paris, France)を100,000 cpm/ウェル含有する結合バッファー(DMEM、25 mmol.L-1 Hepes、pH 7.4、1% BSA)中で、レプチン(PreproTech Inc, USA) 200 nmol.L-1の存在下または不在下に4℃で4時間インキュベートした。細胞を冷PBSで2回洗浄し、1N NaOH中で溶解し、放射能をγカウンター内で測定した。レプチンの全結合を測定するためには、直径10 cmのディッシュで培養した細胞を、0.15%ジギトニン含有結合バッファー1.5 ml中に4℃で2時間可溶化した。抽出物を最大速度で4℃で30分間遠心分離した。上清(0.2 ml)を125I-レプチン 100,000 cpmと、レプチン200 nmol.L-1の存在下または不在下に、全容量0.25 ml中で、一定の攪拌で4℃にて一晩インキュベートした。γ-グロブリン(1.25 mg/ml) 0.5 mlおよびポリエチレングリコール6000 (25% w/v) 0.5 mlを、受容体−リガンド複合体を沈殿させるために添加し、これを17,000 gで3分間遠心分離した。ペレットをポリエチレングリコール6000 (12% w/v) 1 mlで1回洗浄し、放射能をγカウンター内で測定した。
【0115】
レポーター遺伝子活性化測定
6-ウェルプレートのウェルで培養したHeLa細胞を、ホタル(firefly)ルシフェラーゼをSTAT3またはSTAT5ファクター応答要素の制御下で発現するレポータープラスミド(Dr. Levy, University of New York, New York, USAより寄贈) 500 ng、発現ベクターpcDNA3-ウミシイタケルシフェラーゼ(サンプルとの間の内部標準として使用) 250 pgと、種々のOB-R発現ベクター 500 ngまたは該ベクターのみで共トランスフェクションした。トランスフェクションの48時間後、細胞を1%のBSAを含有するOptimem培地(Invitrogen, Groningen, The Netherlands)で一晩飢えさせ、その後レプチン10 nmol.L-1で48時間刺激したかまたはしなかった。次いで、細胞をPBSで1回洗浄し、次に15分間、周囲温度で受動溶解バッファー(passive lysis buffer) (Promega Corporation, Madison, WI)中に溶解した。全溶解液を15,000 gで2分間遠心分離し、上清をルシフェラーゼを測定するために、Bertholdルミノメーター(Lumat LB 9507)を用いるアッセイ(Promega Corporation, Madison, WIからのDual Luciferase Assay System)において用いた。結果は、ホタルルシフェラーゼ活性のウミシイタケルシフェラーゼ活性に対する比として表す。
【0116】
マイクロプレートでのBRET測定
トランスフェクションの48時間後、OB-R融合タンパク質を発現するCOS-7、HeLaまたはHEK 293細胞を分離し、PBS中に洗浄する。1〜2×105の細胞を、リガンドの存在または不在下にオプティプレート(96-ウェル、Packard Instrument Company, Meriden, CT)のウェル中に分配し、25℃でインキュベートした。代わりに、種々の構築物を発現する細胞から調製した膜を用いて同じ手順を行なった。基質であるコエレンテラジンh (Molecular Probes, Eugene, OR)を最終濃度5μmol.L-1で添加し、Fusion (商標)ルミノメーター/フルオリメーター (Packard Instrument Company, Meriden, CT)を用いて読み取りを行なったが、これは2つのフィルター(ルシフェラーゼフィルター:485±10 nm;YFPフィルター:530±12.5 nm)を通して発光を測定することを可能にする。BRET比を、LucおよびYFP融合タンパク質を用いて共トランスフェクションした細胞の530 nm/485 nmでの発光と、細胞内へ単独でトランスフェクションされたLuc融合タンパク質の530 nm/485 nmでの発光との差として定義した。結果を、ミリBRET単位(mBU)として表し、1 mBRETは、1000をかけることによる比の差に値に相当する。
【0117】
RT-PCR
全RNAをChomczynskiおよびSacchi (Chomcynzki P., and Sacchi N. (1987) Anal. Biochem. 162, 156〜159)の方法により抽出した。1μgのRNAを68℃で5分間変性させ、次いで4℃で5分間急冷する。変性サンプルを37℃で1時間、RT反応媒体(5μmol.L-1 PdN6、10μmol.L-1 DTT、50 mmol.L-1 Tris-HCl、pH=8.3、75 mmol.L-1 KCl、5 mmol.L-1 MgCl2、500μmol.L-1 dNTP、200U RT MMLV) 20μl中で逆転写する。この反応物の2.5μlの一定量を、最終容量25μl中のPCR反応に用いる(40 mmol.L-1 Tris-HCl、pH 8.4:100 mmol.L-1 KCl;1.5 mmol.L-1 MgCl2;各dNTP 0.2 mmol.L-1;0.141 mmol.L-1のOB-RGRP特異的プライマー(ヒトセンス:CCGTGGCAGGAAGC 配列番号43、マウスセンス:GCAGCGACAGCCCCAGCTCC 配列番号44 アンチセンス:CAGCCACACGAGCAAG、配列番号45)および0.035 mmol.L-1のグリセルアルデヒドホスフェートデヒドロゲナーゼ(GAPDH)特異的プライマー(センス:GGAGAAGGCTGGGGC 配列番号46、アンチセンス:GATGGCATGGACTGTGG 配列番号47)および2.5UのTAQ DNAポリメラーゼ)。以下のプロトコルをPCR反応に用いた:最初の変性94℃で3分間、次いで変性(94℃で20秒)、ハイブリダイゼーション(59℃で20秒)、伸長(72℃で20秒)を22〜30サイクル、続いて最後の伸長72℃で7分間。
【0118】
PCR反応物の一定量を、電気泳動により反応産物を分離するために2%アガロースゲルにのせた。GAPDHおよびOBR-GRPのフラグメントの予想されるサイズは、それぞれ229 bpおよび334 bpである。
【0119】
オリゴヌクレオチド合成
オリゴヌクレオチドは、自動化DNA合成機(Applied Biosystemsからの"Expedite MOSS" 8909モデル)で、標準的なホスホルアミダイト化学およびヨウ素酸化により合成した。脱メチル化を、アセトニトリル中の3H-1,2-ベンゾジチオール-3-オン 1,1-ジオキシドの0.2 mol.L-1溶液を用いて120秒間行なった。支持体からの分離および脱保護を濃アンモニア中で行い(55℃で18時間)、オリゴヌクレオチドを沈殿により精製した。脱保護産物を10容量の1-ブタノールを用いて沈殿させた。ペレットを1容量の0.3 mol.L-1 NaCl中に採取し、4容量のエタノールを添加することにより再沈殿させた。
【0120】
20%ポリアクリルアミドゲルでの分析(8 mol.L-1の尿素および454 mmol.L-1 Tris-ボレート、pH 7.0のバッファー)は、予想される長さの産物の80%を超える割合を示した。
【0121】
合成アンチセンスオリゴデオキシヌクレオチドおよび合成干渉RNA二重らせんのトランスフェクション
6-ウェルプレートのウェルで培養された300,000の細胞について、20μmol.L-1でのアンチセンスODN 10μlまたは20μMでの干渉RNA二重らせん10μlをDMEM 175μl中に希釈した。オリゴフェクトアミン(Invitrogen, Groningen, The Netherlands) 3μlおよびDMEM 12μlを第二のチューブで周囲温度にて10分間インキュベートした。次いで、オリゴフェクトアミン/DMEM混合物を、希釈したアンチセンスODNに添加し、ボルテックスして周囲温度で20分間インキュベートした。この間に細胞をPBSで1回およびDMEMで1回洗浄し、次いでDMEM 800μlで被覆した。ODN/オリゴフェクトアミン混合物を細胞に滴下し、37℃で4時間インキュベートして、その後、30%血清を添加したDMEM 500μlを加えた。
【0122】
実施例1:OB-RGRPのトポロジーと細胞での位置
OB-RGRPのトポロジーと細胞内の位置を研究するために、タンパク質を緑蛍光タンパク質の黄色変異体(YFP)でそのC-末端テイルの端にタグをつけた。融合タンパク質を、HeLa細胞内で発現させ、その位置を蛍光顕微鏡により測定した。
【0123】
結果は、融合タンパク質が核周囲の膜と細胞内小胞内を優先的に標的とすることを示す。HEK細胞でも同様の結果が得られた。細胞質および核タンパク質との共局在化は観察されず、OB-RGRPが膜内に位置することが確かめられる(図示せず)。膜区画の厳密な性質は、細胞内区画に特異的なマーカーを用いる共局在化研究により測定された。エンドサイトーシス区画のマーカーであるMHC II分子の不変鎖(invariant chain)との強い共局在化が観察された。
【0124】
OB-RGRPのトポロジーの初期の分析は、3つの膜貫通(TM)ドメインでの機構を示唆した(Bailleulら (1997) Nucleic Acids Research 25, 2752〜2758)。MY047について類似の機構が提案された(Huangら(2001) Biochimica et Biophysica acta. Gene structure and expression 327〜331)。しかしながら、OB-RGRPおよびMY047について入手可能な種々のタンパク質配列の疎水性プロフィールの新規な分析は4-TMモデル(図2)とも矛盾しない。これら2つのモデルの間でトポロジーは大きく異なる。3-TMモデルにおいて、N-末端およびC-末端の端は膜のそれぞれの側面に位置するが、4-TMモデルにおいて、2つのテイルは膜の同じ側面上に配向されている(図3a)。正確なモデルを決定するために、我々は共鳴エネルギー転移(BRET)法を用いたが、これは生細胞内のタンパク質-タンパク質相互作用を追跡するのに最近開発された(Xuら(1999) Proc Natl Acad Sci USA 96, 151〜156)。天然の近接(2つの相互作用するタンパク質の間が<100Å)の場合、エネルギー転移は、興味のある2つのタンパク質に融合されたエネルギー供与体(Luc)とエネルギー受容体(YFP)との間で起こる。我々は、OB-RGRPのN-末端テイルにYFPで、およびC-末端テイルにルシフェラーゼでタグをつけ、この二重の融合タンパク質のBRETを測定することによりエネルギー転移を観察した。3-TMモデルは、2つのBRETパートナーが脂質二重膜により分けられているので、転移を許容しない。一方、4-TMモデルは、2つのパートナーが膜の同じ側面に位置するので、強いエネルギー転移が予想される。図3bに示すように、無損傷の細胞内で二重の融合タンパク質を用いて非常に強いエネルギー転移が観察され、このことはOB-RGRPが4-TMを有することを示唆する。
【0125】
この一連の結果は、OB-RGRPが4つの膜貫通ドメインを有し、3つの短ループおよび膜の同じ側に配向される短いN-およびC-末端の端を有する膜結合タンパク質であることを示唆する。OB-RGRPは、細胞内区画に主に位置する。
【0126】
実施例2:OB-RGRPのオリゴマー化
オリゴマー化は、膜結合タンパク質、例えばチロシンキナーゼ受容体、サイトカイン受容体およびホスホチロシンホスファターゼを含む種々のタンパク質に共通する特性である。このオリゴマー化は、これらのタンパク質の機能において重要な役割を演じることが示されている。OB-RGRPの機能における要素を得るために、我々はこのタンパク質がオリゴマー化するか否かを知りたかった。
【0127】
OB-RGRPは、そのC-末端テイルでYFPのタグをつけ、HeLa細胞で発現させた。タンパク質を、変性条件下でのポリアクリルアミドゲル電気泳動(SDS-PAGE)により分離し、イムノブロッティング実験を抗-YFP抗体を用いて行った。図4aは、OB-RGRP-YFPに特異的ないくつかのバンドを明らかにし、これらはモノマーおよびダイマーの形ならびにオリゴマー複合体に対応する。類似の結果が、N-末端にYFPまたはmycエピトープでタグをつけたOB-RGRP で得られた(図4 a、b)。OB-RGRPオリゴマーの形成は、免疫沈降後の全細胞抽出物で観察された。全部の細胞に対しての架橋剤の使用は、ダイマー複合体を安定化し、このことはダイマーの形が無損傷の細胞中でOB-RGRPの主要な形であることを示す(図4a)。
【0128】
驚くことに、OB-RGRPは、オリゴマーが種々の変性剤および/または解離剤、例えば5% SDS、1% Triton X-100、1% Nonidet P40、1% ジギトニン、50 mmol.L-1 DTTおよび2% β-メルカプトエタノールの存在下で安定であるので、予期できない特性を有する。しかしながら、他の膜結合タンパク質、例えばグリコホリンAおよびGタンパク質-結合β2-アドレナリン受容体について同様の観察結果が得られた。これらのタンパク質についての研究は、膜貫通ドメイン中のそれぞれLIXXGVXXGおよびLXXXGXXXGXXXLモチーフがオリゴマー形成に必須であることを示す。類似のモチーフがOB-RGRPの膜領域中に同定された。
【0129】
ダイマー化に関与する分子決定子を同定するために、我々はC-末端テイルの進行する欠失(progressive deletion)を示すOB-RGRP構築物を調製した(図5)。最初の2つの可能性のあるTMを含有する構築物は、オリゴマーを形成する能力を欠損する。3番目のTMの付加は、ダイマーの形成の可能性を保持する。しかしながら、完全なオリゴマー化のプロフィールは、4つの可能性のあるTMの存在下でのみ観察された。
【0130】
膜結合タンパク質のオリゴマーは、サンプル調製(可溶化、変性など)の間に誘導される人工産物であり得る。この理由のために、生細胞中のタンパク質のオリゴマー化を確かめることが重要である。BRETのように近年開発されたエネルギー転移技術は、、生細胞内でこのようなタンパク質-タンパク質相互作用を追跡することを可能にする。OB-RGRPのルシフェラーゼおよびYFPとの融合タンパク質を、生細胞内でOB-RGRPのオリゴマー化を追跡するのに用いた。OB-RGRP-YFPまたはYFP-OB-RGRP構築物のOB-RGRP-Luc構築物との共発現は、エネルギー転移を誘導する(図6a)。この相互作用の特異性は、2つの異なる融合タンパク質:β-アレスチン2-YFP (Angersら(2000) Proc Natl Acad Sci USA 97, 3684〜3689)またはメラトニン-Luc MT2受容体(Ayoubら (2002) J Biol Chem 277, 21522〜21528)との共発現の間のエネルギー転移の欠失により示された。次に我々は種々の比のBRETパートナーを発現させた(図6b)。BRETシグナルは、OB-RGRP-YFB/OB-RGRP-Luc比の関数として双曲的な様式で増加して、エネルギー受容体分子(OB-RGRP-YFP)によるエネルギー供与体分子(OB-RGRP-Luc)の飽和に対応する漸近線に近づくが、このことは特異的相互作用の場合に予想される。
【0131】
まとめると、これらの結果は、OB-RGRPがダイマー膜結合タンパク質で、高分子量オリゴマー複合体にも含まれ得ることを示す。3番目および4番目の可能性のある膜結合ドメインは、オリゴマー形成に重要であると考えられる。
【0132】
実施例3:OB-RとOB-RGRPとMY047の間の相互作用
我々は、生細胞内でのOB-RとOB-RGRPの間の可能性のある相互作用を研究するためにBRET技術を用いた。エネルギー転移は、OB-Rs-Luc構築物とOB-RGRP-YFP構築物とを共発現する細胞内で構成的に観察され、このことは相互作用パートナーが近接することを示す(図7)。同じ結果が、OB-Rs-LucおよびMYO47-YFP構築物を共発現する細胞内、ならびに逆の方向:OB-RGRP-LucおよびOB-Rs-YFPを共発現する細胞、またはMYO47-LucおよびOB-Rs-YFPを共発現する細胞で得られた。これらの相互作用の特異性は、OB-Rs-Luc、OB-RGRP-Luc、MYO47-LucとYFPでタグをつけたインシュリン受容体(Bouteら (2001) Mol Pharmacol 60, 640〜645)の構築物との間のエネルギー転移の欠失および逆の方向:Lucでタグをつけたインシュリン受容体の構築物とOB-Rs-YFP、OB-RGRP-YFPおよびMYO47-YFP構築物との間のエネルギー転移の欠失により確認された。OB-Rs-LucとN-末端にYFPタグを示すOB-RGRPまたはMYO47構築物との共発現は、有意なシグナルを発生せず、このことはOB-RGRP-YFPおよびMYO47との相互作用の特異性を証明し、OB-RGRPおよびMYO47のN-末端の端がOB-Rとの相互作用に関与しなければならないことを示す。
【0133】
OB-Rl-LucおよびOB-RGRP-YFPまたはYFP-OB-RGRP構築物を共発現する細胞において、有意なエネルギー転移は観察されなかった。このことは、OB-Rダイマー化を追跡するためにOB-Rl-YFPを共発現する細胞内において特異的BRETシグナルが観察されたことから、機能的OB-Rl-Luc発現の欠失によるものではない。OB-Rl-LucとOB-RGRP-YFP融合タンパク質の間のBRETの欠失は、これら2つのタンパク質の間の直接の相互作用を除外するものではない。なぜなら、これは、2つのBRETパートナー(LucとYFP)の間の距離が、転移を得るための最大限の距離である100Åより大きいという事実により説明できるからである。これが事実であろう。なぜなら、OB-RGRPのN-末端およびC-末端の端はOB-Rの領域の膜貫通領域の近くに位置するべきであるが、OB-RlのC-末端の端は、約300アミノ酸の長い細胞内テイルのために細胞質に向かって指し示すべきである可能性が高いからである。OB-Rの短いおよび長いイソ型が同じ膜貫通および膜近接領域を共有し、OB-RGRPのOB-Rsとの相互作用がこのレベルに位置するとすれば、おそらくOB-RGRPは、OB-Rsと同じ方法でOB-Rlと相互作用するであろう。
【0134】
実施例4:OB-RGRPの過剰発現のOB-Rシグナリングに対する影響
ルシフェラーゼレポーター遺伝子の上流にSTAT3-またはSTAT5-応答要素を含有する構築物を、種々のOB-RGRP構築物の存在下または不在下でOB-Rlと共発現させた(図8)。2つの構築物を、約50 pMのEC50を有する用量依存的様式のレプチンにより活性化した。STAT3についてのレポーター遺伝子を安定的に発現するHEK 293細胞において、同様の結果が得られた。種々のOB-RGRP構築物の過剰発現はこの活性化に再現可能な影響を示さなかったが、このことはOB-RGRPが制限因子でないことを示す。
【0135】
実施例5:OB-RGRPの過剰発現の表面でのOB-Rの発現に対する影響
OB-RGRPについてのノックアウト酵母(Vps55)において、タンパク質輸送がゴルジ体と液胞との間で妨害される(Belgareh-Touzeら (2002) Molecular Biology Of The Cell 13, 1694〜1708)。OB-Rは、これらが原形質膜で発現されるときにのみ活性化されるが、かなりの量の受容体が細胞内区画の中に蓄積される(Barr,ら (1999) J Biol Chem, 274, 21416〜21424) (Lundinら (2000) Biochimica and Biophysica Acta 1499, 130〜138)。この理由のために、我々はOB-RGRPの過剰発現の細胞表面でのOB-Rの発現に対する影響を調べた。
【0136】
受容体の分布は、125I-レプチン結合実験により調べた。他の著者ら(Barrら, 1999)に合致して、我々はOB-RlおよびOB-Rs受容体の10〜20%のみが、トランスフェクションされたCOS細胞(図9)およびHeLa細胞の表面で発現されることを示した。これは、外因性の受容体の発現による人工産物ではない。なぜなら、内生的OB-R受容体を発現するHEK 293細胞で類似の値が得られているからである(図9)。OB-RGRPの過剰発現は、細胞内の全量または表面で発現される受容体の%に変化を示さなかった(図9)。
【0137】
実施例6:OB-RGRP特異的アンチセンスデオキシヌクレオチドの特徴付け
OB-RGRPは、遍在的に発現すると考えられる。この理由のために、このタンパク質の発現の減少を、OB-R機能におけるその役割を研究するための代替のアプローチとして選択した。OB-RGRPに特異的な14のアンチセンス(AS 1〜14;配列番号22〜配列番号34および配列番号2)および2つのランダムアンチセンス(AS 15および16;配列番号35および配列番号36)を選択して(図1参照)、合成し、OB-RGRPを内生的に発現するHeLa細胞における半定量的RT-PCR実験を用いて、OB-RGRP発現を阻害するそれらの能力について試験した(図10)。これらのアンチセンスのうち、OB-RGRP mRNAの非翻訳3'領域に由来する1つ(AS-14)だけが、OB-RGRP発現を妨害する。このアンチセンスをCy3蛍光体で標識することにより、我々の種々の実験において、細胞の全てが我々の実験条件下でトランスフェクションされたことを示すことができた。
【0138】
実施例7:半定量的RT-PCRにより観察される、種々の干渉RNAのOB-RGRPメッセンジャーのレベルに対する影響
OB-RGRP発現を減少させるための代替のアプローチは、干渉RNAの使用である。このために、我々はまずヒトおよびマウスの配列の両方に指向された合成干渉RNA候補配列(図11a);次に、マウスOB-RGRP配列に指向されたヘアピン干渉RNA(図11c)を発現するベクター(PCR3.-1 RNAi 14)を用いた。
iRNAの内生的OB-RGRPの発現を減少させる能力をRT-PCRにより試験した。
【0139】
HELA細胞(ヒト起源)にトランスフェクションした合成iRNAは、ヒトOB-RGRP発現の減少をもたらす。
ベクターPCR3.1-RNAi-14のトランスフェクションは、L細胞(マウス起源)において同じ効果をもたらす。
【0140】
実施例8:OB-RGRP-特異的アンチセンスのOB-Rのシグナリングおよび表面発現に対する影響
HeLa細胞は、まずOB-Rlについての発現ベクターおよびSTAT3についてのレポーター遺伝子で、次いでアンチセンスで共トランスフェクションされた。レプチンは、コントロール細胞内でアンチセンスなしに、またはコントロールのアンチセンス(AS16)とともに、STAT3についてのレポーター遺伝子の基底の活性化を約1.5倍に増加させる(図12)。OB-RGRPに特異的なアンチセンス(AS-14)でトランスフェクションされた細胞において、基底およびレプチン刺激されたシグナリングは、コントロール条件に比べて相対的に増加する。このことは、JAK/STAT経路の活性化が、OB-RGRP発現の減少を示す細胞において増加することを示す。これらの知見は、OB-RGRPの基底およびOB-R-刺激された活性に対する阻害効果により説明することができ、この場合はOB-RGRPがOB-Rシグナリングのレギュレーターであると考えることができる。他の代替は、OB-RGRPが表面受容体の発現を、細胞表面に到達するOB-Rの数を制限することにより制御しているであろうことである。このことは、発現された受容体の10〜20%だけが細胞表面に到達することという事実と合致する。この仮定において、OB-RGRP発現の減少は、細胞表面での受容体の数を増加させるはずであり、このことがこれらの受容体によるシグナリングを増加させるはずである。この仮定を調べるために、我々は、OB-RGRPの存在下(コントロール)および不在下(AS-14)において細胞表面で発現されたOB-RlおよびOB-Rs受容体の数を定量した(図13)。ランダムアンチセンスのトランスフェクションは、細胞表面で発現された受容体の数に影響を示さなかったが、特異的アンチセンス(AS-14)のトランスフェクションは、原形質膜で発現されたOB-Rの数に3倍の増加をもたらした。内生的受容体を発現するトランスフェクションされていないHeLa細胞において、同様の結果が得られた。これらの実験条件下で、125I-レプチン結合実験により測定された受容体の総数は、有意な変動を示さなかった。
【0141】
全ての我々の結果は、酵母におけるOB-RGRPのタンパク質輸送における役割と矛盾しない。OB-Rの表面発現の増加は、観察されたシグナリングの増加に関係するようである。しかしながら、我々は、OB-RGRPがOB-R活性を直接制御するという仮説を完全に除くことができない。OB-RGRPに指向された特異的アンチセンスの適用は、レプチンに対する耐性が観察され、このホルモンに対して適合しない応答により特徴付けられるレプチン関連疾患、例えばヒト肥満におけるOB-Rシグナリングの増加に有用であるはずである。細胞表面での受容体の発現およびそれらのシグナリングの増加は、まず血液脳関門を横切って脳へのレプチン輸送を増加し、次に視床下部におけるOB-Rシグナリングを増加させることにより、ヒト肥満の場合にレプチンへの応答を増加するために重要であるはずである。
【0142】
OB-RGRPとOB-Rsとの間の相互作用は、OB-RGRPの作用が受容体とのこの直接の相互作用を介しておこることと、この相互作用を妨害することが再生された特異的アンチセンスODNの効果を導くこととを包含する。我々は、上記のようなOB-RGRPとOB-Rsとの間、およびMYO47とOB-Rsとの間の相互作用のBRET試験を、この相互作用を調節し得る分子のスクリーニングの試験として用いることを提案する。この試験は、OB-RGRPとOB-RsまたはMYO47とOB-RsのBRETパートナーの融合からのタンパク質を共発現する全細胞または透過細胞、あるいはこれらの細胞に由来する膜フラクションのいずれかに対して行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0143】
【図1】図1は、用いられた種々のアンチセンスODN、AS 01〜AS 16の配列を表す。
【図2】図2は、種々の種のOB-RGRPタンパク質配列およびヒトMY047タンパク質配列のアラインメントを表す。
【図3】図3は、二重融合タンパク質であるYFP-OB-RGRP-Lucを用いてBRETにより研究されたOB-RGRPのトポロジーを示す。
【図4】図4は、SDS-PAGE実験および免疫沈降を用いるOB-RGRPのオリゴマー化の研究を表す。
【図5】図5は、OB-RGRPのオリゴマー化に関与する分子決定子の同定を示す。
【図6】図6は、BRET技術によるHEK生細胞におけるOB-RGRPのオリゴマー化の研究を表す。
【図7】図7は、BRETにより研究されたOB-RsおよびOB-RGRPのMY047との相互作用を表す。
【図8】図8は、記載するようなOB-RGRPタンパク質構築物の過剰発現の存在下でのOB-Rlによる、HeLa細胞におけるSTAT3 (図8a)およびSTAT5 (図8b)についてのレポーター遺伝子の用量依存性活性化を表す。
【図9】図9は、細胞表面でのOB-Rの発現に対するOB-RGRPの過剰発現の影響を表す。
【図10】図10は、半定量的RT-PCRにより観察された、OB-RGRPメッセンジャーのレベルに対する種々のアンチセンスオリゴデオキシヌクレオチド(ODN)の影響を表す。
【図11】図11は、半定量的RT-PCRにより観察された、OB-RGRPメッセンジャーのレベルに対する種々の干渉RNAの影響を表す。
【図12】図12は、STAT3レポーター遺伝子の活性化に対するOB-RGRP特異的アンチセンスODNの影響を表す。
【図13】図13は、OB-Rの表面発現に対するOB-RGRP特異的アンチセンスODNの影響を表す。
【配列表】
























































【特許請求の範囲】
【請求項1】
配列番号1の配列に特異的にハイブリダイズしかつOB-RGRPの発現を阻害する8〜50のヌクレオチドを含む任意に修飾されたオリゴヌクレオチド。
【請求項2】
細胞表面でレプチン受容体の発現を促進する請求項1に記載のオリゴヌクレオチド。
【請求項3】
アンチセンスオリゴヌクレオチドである請求項1または2に記載のオリゴヌクレオチド。
【請求項4】
配列番号2の配列と少なくとも60%の同一性を示す配列を含む請求項1〜3のいずれか1つに記載のオリゴヌクレオチド。
【請求項5】
ヌクレオチドがチオエステル化されている請求項1〜3のいずれか1つに記載のオリゴヌクレオチド。
【請求項6】
ヌクレオチドが2'-O-メチル化されている請求項1〜3のいずれか1つに記載のオリゴヌクレオチド。
【請求項7】
オリゴヌクレオチドの3'末端にトリエチレングリコール残基を有する請求項1〜3のいずれか1つに記載のオリゴヌクレオチド。
【請求項8】
一本鎖である請求項1〜3のいずれか1つに記載のオリゴヌクレオチド。
【請求項9】
配列番号2の配列と少なくとも60%の同一性を示す配列を含み、5'から3'の方向の位置2、4、6、7、9、11、13、15、17、19および20のヌクレオチドがチオエステル化された請求項1〜8のいずれか1つに記載のオリゴヌクレオチド。
【請求項10】
配列番号2の配列と少なくとも60%の同一性を示す配列を含み、5'から3'の方向の位置1、2、3、4、5、16、17、18、19および20のヌクレオチドが2'-O-メチル化された請求項1〜8のいずれか1つに記載のオリゴヌクレオチド。
【請求項11】
DNAである請求項1〜10のいずれか1つに記載のオリゴヌクレオチド。
【請求項12】
配列番号21の配列に特異的にハイブリダイズしかつOB-RGRPの発現を阻害する10〜60のヌクレオチドを含むiRNAタイプのオリゴヌクレオチド。
【請求項13】
二本鎖RNAである請求項12に記載のオリゴヌクレオチド。
【請求項14】
請求項1〜4および12のいずれか1つに記載のオリゴヌクレオチドを発現するベクター。
【請求項15】
請求項13または14に記載のベクターを含む細胞。
【請求項16】
請求項1〜15のいずれか1つに記載のオリゴヌクレオチド、ベクターまたは細胞を含有する医薬品。
【請求項17】
請求項1〜15のいずれか1つに記載のオリゴヌクレオチド、ベクターまたは細胞の薬理学的有効量と医薬的に許容される賦形剤とを含有する医薬組成物。
【請求項18】
請求項1〜15のいずれか1つに記載のオリゴヌクレオチド、ベクターまたは細胞の、レプチン関連病理状態を予防および/または治療するための医薬品を製造するための使用。
【請求項19】
配列番号4の配列もしくは配列番号16の配列と少なくとも65%の同一性を示す配列、または配列番号4の配列もしくは配列番号16の配列の実質的な部分と、エネルギー供与体もしくはエネルギー受容体タンパク質、またはエネルギー供与体もしくはエネルギー受容体タンパク質の実質的で活性な部分とから構成される融合タンパク質。
【請求項20】
タンパク質がルシフェラーゼである請求項19に記載の融合タンパク質。
【請求項21】
タンパク質がGFPまたはこのタンパク質の変異体またはDsRedである請求項19に記載の融合タンパク質。
【請求項22】
GFPの変異体が、YFP、EYFP、野生型GFP、GFPS65TまたはTopazである請求項19に記載の融合タンパク質。
【請求項23】
配列番号6、配列番号8、配列番号18または配列番号20の配列を有する請求項19に記載の融合タンパク質。
【請求項24】
請求項19〜23のいずれか1つに記載のタンパク質の1つをエンコードする核酸。
【請求項25】
配列番号5、配列番号7、配列番号17または配列番号19の配列を有する請求項24に記載の核酸。
【請求項26】
請求項25に記載の配列と少なくとも65%の同一性を示す核酸。
【請求項27】
高ストリンジェントな条件下で請求項25に記載の配列とハイブリダイズする核酸。
【請求項28】
請求項24〜27のいずれか1つに記載の核酸を含む細胞。
【請求項29】
請求項19〜23のいずれか1つに記載のタンパク質を発現する細胞。
【請求項30】
請求項28または29に記載の細胞のフラグメント。
【請求項31】
請求項28または29に記載の細胞の溶解液。
【請求項32】
請求項28または29に記載の細胞の膜。
【請求項33】
−化合物を、配列番号4の配列または配列番号16の配列と少なくとも65%の同一性を示すタンパク質およびレプチン受容体あるいはこのようなタンパク質を含む細胞または細胞のフラグメントもしくは溶解液もしくは膜と、必要に応じて適切な酵素基質と接触させる工程、および
−配列番号4の配列または配列番号16の配列と少なくとも65%の同一性を示すタンパク質とレプチン受容体との間の相互作用を測定する工程
を含む、配列番号4の配列または配列番号16の配列に少なくとも65%の同一性を示すタンパク質とレプチン受容体との間の相互作用の化合物による修飾を測定する方法。
【請求項34】
−化合物を、エネルギー供与体融合タンパク質およびエネルギー受容体融合タンパク質あるいはこのようなタンパク質を含む細胞または細胞のフラグメントもしくは溶解液もしくは膜と、必要に応じて適切な酵素基質と接触させる工程、および
−エネルギー転移を測定する工程
を含む、配列番号4の配列または配列番号16の配列と少なくとも65%の同一性を示すタンパク質とレプチン受容体との間の相互作用の化合物による修飾を測定する方法。
【請求項35】
エネルギー供与体融合タンパク質が、レプチン受容体またはレプチン受容体の実質的な部分とルシフェラーゼまたはルシフェラーゼの実質的な部分との間の融合からのタンパク質であり、エネルギー受容体融合タンパク質が、請求項22に記載の融合タンパク質である請求項34に記載の方法。
【請求項36】
エネルギー供与体融合タンパク質が、請求項20に記載の融合タンパク質であり、エネルギー受容体融合タンパク質が、レプチン受容体またはレプチン受容体の実質的な部分とYFPまたはYFPの実質的な部分との間の融合からのタンパク質である請求項34に記載の方法。
【請求項37】
試験化合物の存在下に測定されるエネルギー転移が、試験化合物の不在下で測定されるエネルギー転移と比較される請求項34に記載の方法。
【請求項38】
試験化合物とレプチン(または受容体のリガンド)の存在下で測定されるエネルギー転移が、レプチン(または受容体のリガンド)の不在下で該化合物の存在下に測定されるエネルギー転移と比較される請求項34に記載の方法。
【請求項39】
−化合物を、配列番号4の配列または配列番号16の配列と少なくとも65%の同一性を示すタンパク質およびレプチン受容体あるいはこのようなタンパク質を含む細胞または細胞のフラグメントもしくは溶解液もしくは膜と、必要に応じて適切な酵素基質と接触させる工程、ならびに
−配列番号4の配列または配列番号16の配列と少なくとも65%の同一性を示すタンパク質とレプチン受容体との間の相互作用を測定する工程
を含む、レプチン関連病理状態の予防および/または治療を意図する化合物をスクリーニングまたは検出する方法。
【請求項40】
融合タンパク質が、配列番号6、配列番号8、配列番号12、配列番号14、配列番号18または配列番号20の配列のタンパク質である請求項34または35に記載の方法。
【請求項41】
細胞が透過剤で処理される請求項33〜40のいずれか1つに記載の方法。
【請求項42】
2つの鎖の少なくとも一方が、配列番号37または配列番号38の配列の一つと少なくとも60%の同一性を示す配列を含む二本鎖iRNAである請求項12に記載のオリゴヌクレオチド。
【請求項43】
一本鎖iRNAであり、かつ配列番号42の配列と少なくとも60%の同一性を示す配列を含む請求項12に記載のオリゴヌクレオチド。
【請求項44】
iRNAがループを含む請求項43に記載のオリゴヌクレオチド。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公表番号】特表2006−518209(P2006−518209A)
【公表日】平成18年8月10日(2006.8.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−502138(P2006−502138)
【出願日】平成16年2月9日(2004.2.9)
【国際出願番号】PCT/FR2004/000294
【国際公開番号】WO2004/072293
【国際公開日】平成16年8月26日(2004.8.26)
【出願人】(504146660)アヴェンティス ファーマ エス.エー. (5)
【氏名又は名称原語表記】AVENTIS PHARMA S.A.
【出願人】(500488225)アンスティテュ ナシオナル ド ラ サント エ ド ラ ルシュルシェ メディカル(アンセルム) (26)
【氏名又は名称原語表記】INSTITUT NATIONAL DE LA SANTE ET DE LA RECHERCHE MEDICALE(INSERM)
【住所又は居所原語表記】101,rue de Tolbiac,F−75654 Paris Cedex 13 France
【出願人】(594131887)サントル・ナショナル・ドゥ・ラ・ルシェルシュ・シアンティフィク−シーエヌアールエス (4)
【氏名又は名称原語表記】CENTRE NATIONAL DE LA RECHERCHE SCIENTIFIQUE−CNRS
【Fターム(参考)】