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OCT1のヒト遺伝子における多型、ならびに診断および治療用途におけるその使用
説明

OCT1のヒト遺伝子における多型、ならびに診断および治療用途におけるその使用

本発明は、多型性OCT1ポリヌクレオチドに関する。さらに、本発明は、本発明のポリヌクレオチドを含んでなる遺伝子またはベクター、および本発明のポリヌクレオチドまたは遺伝子で遺伝操作した宿主細胞に関する。さらに、本発明は、分子変異ポリペプチドまたはそのフラグメントの製造法、分子変異ポリペプチドを発現しうる細胞の製造法、および本発明のポリヌクレオチドまたは遺伝子によってコードされたか、または本発明の方法によって得られたかまたは本発明の方法によって製造した細胞から得られるポリペプチドまたはそのフラグメントに関する。さらに、本発明は、本発明のポリペプチドに特異的に結合する抗体に関する。さらに、本発明はトランスジェニック非ヒト動物に関する。本発明は、1つまたは複数の前記ポリヌクレオチド、遺伝子、ベクター、ポリペプチド、抗体または宿主細胞を含んでなる固体支持体にも関する。さらに、多型を同定する方法、プロドラッグまたは薬剤または阻害剤を同定し、得る方法も本発明に含まれる。さらに、本発明は、医薬組成物の製造法、および疾患の診断法に関する。さらに、本発明は、本発明のポリヌクレオチドの検出法に関する。さらに、診断用組成物および医薬組成物も本発明に含まれる。さらに、本発明は、本発明のポリヌクレオチド、遺伝子、ベクター、ポリペプチドまたは抗体の使用に関する。最後に、本発明は診断用キットに関する。

【発明の詳細な説明】
【発明の詳細な説明】
【0001】
技術分野
本発明は、多型性OCT1ポリヌクレオチドに関する。さらに、本発明は、本発明のポリヌクレオチドを含んでなる遺伝子またはベクター、および本発明のポリヌクレオチドまたは遺伝子で遺伝操作した宿主細胞に関する。さらに、本発明は、分子変異体ポリペプチドまたはそのフラグメントの製造法、分子変異体ポリペプチドを発現しうる細胞の製造法、および本発明のポリヌクレオチドまたは遺伝子によってコードされたか、または本発明の方法によって得られたかまたは本発明の方法によって製造した細胞から得られるポリペプチドまたはそのフラグメントに関する。さらに、本発明は、本発明のポリペプチドに特異的に結合する抗体に関する。さらに、本発明はトランスジェニック非ヒト動物に関する。本発明は、1つまたは複数の前記ポリヌクレオチド、遺伝子、ベクター、ポリペプチド、抗体または宿主細胞を含んでなる固体支持体にも関する。さらに、多型を同定する方法、プロドラッグまたは薬物または阻害剤を同定し、得る方法も本発明に含まれる。さらに、本発明は、医薬組成物の製造法、および疾患の診断法に関する。さらに、本発明は、本発明のポリヌクレオチドの検出法に関する。さらに、診断用組成物および医薬組成物も本発明に含まれる。さらに、本発明は、本発明のポリヌクレオチド、遺伝子、ベクター、ポリペプチドまたは抗体の使用に関する。最後に、本発明は診断用キットに関する。
【0002】
本明細書の本文において、いくつかの文献が引用されている。本明細書に引用されている各文献(任意の製造会社の仕様書、使用説明書等)およびそれらに引用されている参考文献は、参照として本明細書に組み入れられる。
【0003】
発明の背景
OCTファミリーは電気発生輸送体のサブファミリーを含み、該サブファミリーは、種々の有機陽イオンを転移させ、サブタイプOCT1、OCT2およびOCT3を含む(Dresser, J. Pharm. Sci. 90(2001), 397-421;Koepsell, J. Membr. Biol. 167(1999), 103-117)。ヒトOCT1(hOCT1、遺伝子SLC22A1)は、12個の膜貫通型ドメイン(TMD)を有すると予測され(Gorboulev, DNA Cell Biol. 16(1997), 871-881)、TMD1/2間に1つの大きい、細胞外に局在する親水ループを含有する(Meyer-Wentrup, Biochem. Biophys. Res. Commun. 248(1998),673-678)。OCT1は、肝細胞の類洞膜において最も強く発現され(Meyer-Wentrup, Biochem. Biophys. Res. Commun. 248(1998),673-678)、腸、胎盤、腎臓および心臓の上皮細胞およびニューロンにおいて、より低いレベルで発現される(Arndt, Am. J. Physiol. Renal. Physiol. 281(2001), F454-468;Chen, J. Neurosci. 21(2001),6348-6361;Wessler, Br. J. Pharmacol. 134(2001),951-956)。OCT1は、様々な構造および分子量を有する種々の有機陽イオンを転移させ、該有機陽イオンは下記のものを包含する:内因性化合物、例えば、コリン、グアニジン、ドーパミン、セロトニン、ヒスタミン、アセチルコリン、ノルエピネフリン、クレアチニン、およびプロスタグランジンE2およびF、ならびに外因性化合物、例えば、テトラエチルアンモニウム(TEA)、1-メチル-4-フェニルピリジニウム(MPP)、N-メチルキニン、およびN-(4,4-アゾ-n-ペンチル)-21-デオキシアジマリニウム、および薬物、例えば、プロカインアミド、デシプラミン、アマンタジン、胆汁酸-シスプラチン誘導体、例えば、シス-ジアミン-クロロ-コリルグリシネート-プラチナ(II)およびシス-ジアミン-ビスウルソデオキシコレート-プラチナ(II)、アジドチミン(AZT)および2'デオキシツベルシジン(Arndt, Am. J. Physiol. Renal. Physiol. 281(2001), F454-468;Dresser, J. Pharm. Sci. 90(2001), 397-421;Gorboulev, DNA Cell Biol. 16(1997), 871-881;Kimura, J. Pharmacol. Exp. Ther. 301(2002),293-298;van Montfoort, J. Pharmacol. Exp. Ther. 298(2001),110-115;Briz, Mol. Pharmacol.61(2002), 853-860;http://bigfoot.med.unc.edu/watkinsLab/intesinfo.htm)。OCT1は下記のものによって阻害される:非転移陽イオン、陰イオン、非荷電化合物および薬物、例えば、プラゾシン、プロゲステロン、β-エストラジオール、フェノキシベンザミン、シアニン863、およびHIVプロテアーゼ阻害薬、インジナビル、ネフィナビル、リトナビル、サキナビル(Arndt, Am. J. Physiol. Renal. Physiol. 281(2001), F454-468;Zhang, Drug Metab. Dispos. 28(2000), 329-334;Hayer-Zillgen, Br. J. Pharmacol.136(2002), 829-836)。
【0004】
OCT1は、陽イオンの肝排出において主要な役割を果たし(Briz, Mol. Pharmacol. 61(2002),853-860;Dresser, J. Pharm. Sci. 90(2001),397-421;Gorboulev, DNA Cell Biol. 16(1997),871-881;van Montfoort, J. Pharmacol. Exp. Ther. 298(2001),110-115;Koepsell, J. Membr. Biol. 167(1999),103-117)、間隙空間からの神経伝達物質の除去に関与し(Chen, J. Neurosci.21(2001), 6348-6361)、アセチルコリンの細胞放出を仲介し(Wessler, Br. J. Pharmacol.134(2001), 951-956)、プロスタグランジンの排出に関与している(Kimura, J. Pharmacol. Exp. Ther. 301(2002),293-298)。
【0005】
多くの薬物または他の治療は、種々の個体において極めて変動的な安全性および有効性を有することが既知である。そのような変動性の結果として、特定の薬物または他の治療は、1つの個体において有効でありうるが、他の個体において非有効であるかまたは充分に許容されない場合がある。従って、薬物が非有効である個体にそのような薬物を投与することは費用および時間の浪費であり、その間に患者の状態が有意に悪化する場合もある。さらに、薬物が許容されない個体に薬物を投与することは、患者の状態の直接的悪化を生じる場合があり、患者の死を招く場合さえある。
【0006】
体内における特定薬物の経路は、吸収、分布、代謝および排泄を包含する。いくつかの薬物に関して、選択された薬物動態パラメータにおける測定可能な個体間変化は90%を超えて遺伝性であることが示されている。しかし、薬物動態パラメータにおける個体間変化に寄与する遺伝的根拠は大部分同定されている。
【0007】
薬物動態パラメータにおける個体間変化に加えて、薬物療法における他の主要な問題は、薬物への暴露の結果としての肝副作用の発生である。肝毒性は、下記の薬物を包含する一般に使用されている種々の薬物に関して記載されている:非ステロイド性抗炎症薬、高血圧症薬、抗糖尿病薬(例えば、グリクラジド、トログリタゾン)、抗痙攣薬(例えば、バルプロ酸)、「スタチン」のような脂質降下薬、向精神薬、および抗菌薬(Chitturi, Semin. Liver Dis. 22(2002),169-83;Brown, Semin Liver Dis 22(2002),157-67)。肝毒性有害薬物応答は、主流薬物種に関してさえ、多くの有望な療法を減少させている(Chitturi, Semin. Liver Dis. 22(2002))。
【0008】
そのような薬物によって誘発される肝副作用は、肝内胆汁鬱滞のような肝疾患に類似しているかまたはそれと同様の表現型を有する場合が多い。
【0009】
輸送タンパク質は、薬物誘発肝疾患および原発性胆汁性肝硬変においても役割を担っている(Jansen, Ned Tijdschr Geneeskd 144(2000),2384-91)。1つの重大なメカニズムは、薬物およびそれらの代謝産物(即ち、エストロゲン、シクロスポリンA、リファンピシン、グリベンクラミド、リファマイシン)の胆汁酸塩の排出阻害であり、これは毒性胆汁酸塩の細胞内蓄積、その結果として起こる毒性肝細胞壊死、それに続く肝硬変を生じる(Stieger, Gastroenterology 118(2000), 422-30)。薬物によって生じる肝損傷および胆汁鬱滞は、ますます認識されている肝疾患原因である。それは、単純黄疸、胆汁鬱滞性肝炎、および肝外胆管閉塞を擬態しうる胆管傷害、原発性胆汁性肝硬変、および致死的結果を招く危険性を有する硬化性胆管炎を包含する傷害の広域臨床病理スペクトルを生じる(Lewis, Clin Liver Dis. 3(1999), 433-64)。
【0010】
肝毒性、例えば、薬物療法の副作用としての肝内胆汁鬱滞およびこの状態の臨床的発現である黄疸は、全人口の2〜5%を入院させる原因であると推測され、高齢者では20%にも達する。人口の高齢化、および高齢患者における多種薬物療法の一般的普及に伴って、薬物誘発肝内胆汁鬱滞による黄疸がさらに増えることが予想される(Feuer, Drug Metabol. Drug Interact. 10(1992),1-161)。さらに、過去数十年間わたって臨床使用に導入された新薬の増加を反映して、薬物誘発肝疾患の発病率は増え続けていると考えられる(Lewis, Med. Clin. North Am. 84(2000),1275-311)。しかし、疾患状態の開始前に、薬物誘発肝損傷および薬物誘発胆汁鬱滞(DIC)のような胆汁鬱滞障害に対する個体の罹患性を予測する診断手段は現在得られていない。
【0011】
薬物療法において増えつつある他の問題は、薬物/薬物相互作用である。例えば、抗レトロウイルス療法、特にAIDSの治療においてHIV1ウイルスを根絶することを目的とした療法は、インジナビル、ネフィナビル、リトナビルまたはサキナビルのようなHIVプロテアーゼ阻害薬を包含する種々の薬物の併用適用からなる。多剤併用療法は、ウイルスの逆転写酵素、ポリメラーゼおよびプロテアーゼの阻害によってウイルスの複製および増殖を標的とする薬物の同時適用を一般に含む。プロテアーゼ阻害薬は、OCT1のような輸送体の基質である陽イオン薬物の輸送を強力に阻害し、潜在的薬物/薬物相互作用を生じる(Zhang, Drug Metab. Dispos. 28(2000), 329-334)。しかし、これまでのところ、有機陽イオンの輸送を阻害することによって生じる該薬物-薬物相互作用の発生および程度は、個々の患者について予測できない。
【0012】
ヒトOCT1は、薬物を包含する種々の化合物を輸送する輸送体である。しかし、OCT1遺伝子における遺伝的多型の存在、ならびに薬物の安全性、許容性および有効性に密接な関係を有する薬理学的活性化合物およびそれらの代謝産物の輸送における、そのような変化性の影響については、知られていない。
【0013】
従って、OCT基質を含む治療の治療有効性または安全性を診断し予測する手段および方法、あるいはOCT1の機能不全または調節不全に基づく種々の疾患および障害を診断し治療する手段および方法はまだ得られていないが、極めて必要とされている。従って、本発明の基礎をなす技術的課題は、前記の要求に答えることである。
【0014】
この技術的課題の解決は、請求の範囲に特徴を記載した態様を提供することによって達成される。
【0015】
発明の要旨
本発明は、下記からなる群から選択されるポリヌクレオチドを含むポリヌクレオチドに関する:
(a)配列番号1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16または17の核酸配列を有するポリヌクレオチド;
(b)配列番号28、29、30、31、32または33のアミノ酸配列を有するポリペプチドをコードするポリヌクレオチド;
(c)OCT1遺伝子に対して、少なくとも70%、好ましくは少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、または少なくとも95%の配列同一性を有する核酸配列を有するポリヌクレオチドであって、OCT1遺伝子(GenBankアクセッション番号:GI:9581607)の107155、107265、107278、109130、109211、119220、123551、126806、126846、126863〜126865、126922、126915、130672、141819、142951、141961または142993位における少なくとも1つのヌクレオチドのヌクレオチド交換あるいはヌクレオチド欠失を有するポリヌクレオチド;
(d)OCT1遺伝子にハイブリダイズしうるポリヌクレオチド、OCT1遺伝子(GenBankアクセッション番号:GI:9581607)の107155、107265、107278、109130、109211、119220、123551、126806、126846、126922、126915、130672、141819、142951、141961または142993位に対応する位置における少なくとも1つのヌクレオチドの置換、あるいはOCT1遺伝子(GenBankアクセッション番号:GI:9581607)の126863〜126865位に対応する位置における3個のヌクレオチドの欠失を有するポリヌクレオチド;
(e)OCT1遺伝子にハイブリダイズしうるポリヌクレオチドであって、OCT1遺伝子(GenBankアクセッション番号:GI:9581607)の107155、107265、126806、141819、142951または142993位に対応する位置にA、OCT1遺伝子(GenBankアクセッション番号:GI:9581607)の107278、109211または126846位に対応する位置にC、OCT1遺伝子(GenBankアクセッション番号:GI:9581607)の126922または130672位に対応する位置にG、OCT1遺伝子(GenBankアクセッション番号:GI:9581607)の109130、119220、123551、126915または141961位に対応する位置にT、あるいはOCT1遺伝子(GenBankアクセッション番号:GI:9581607)の126863〜126865位に対応する位置にATG欠失を有するポリヌクレオチド;
(f)OCT1ポリペプチドまたはそのフラグメントをコードするポリヌクレオチドであって、OCT1ポリペプチド(GenBankアクセッション番号:GI:2511670)の61、88、401、414または465位にアミノ酸置換を有するポリペプチド;ならびに
(g)OCT1ポリペプチドまたはそのフラグメントをコードするポリヌクレオチドであって、OCT1ポリペプチド(GenBankアクセッション番号:GI:2511670)の61位にRからCへのアミノ酸置換、88位にCからRへのアミノ酸置換、401位にGからSへのアミノ酸置換、414位にGからAへのアミノ酸置換、420位にMのアミノ酸欠失、または465位にGからRへのアミノ酸置換を有するポリペプチド。
【0016】
本発明に関して「ポリヌクレオチド」または「ポリペプチド」という用語は、ポリヌクレオチドまたはポリペプチドの種々の変異体を意味する。そのような変異体は、本発明のポリヌクレオチドまたはポリペプチド、ならびに構造または組成においてそれらと異なる変異体の基準または野生型配列を有する。ポリヌクレオチドの基準または野生型配列は、GenBankアクセッション番号:GI:9581607およびGI:2511669である。本発明のポリペプチドの基準または野生型配列は、GenBankアクセッション番号:GI:2511670である。構造または組成の違いは、一般にヌクレオチドまたはアミノ酸置換および/または欠失によって生じる。本発明の好ましい欠失は、OCT1遺伝子(GenBankアクセッション番号:GI:9581607)の126863〜126865位に対応する位置のATG欠失、およびOCT1遺伝子(GenBankアクセッション番号:GI:9581607)の126880〜126887位に対応する位置のTGGTAAGT欠失である。好ましくは、本発明に含まれる該ヌクレオチド置換または欠失は、本発明のポリペプチドの対応するアミノ酸の1つまたはそれ以上の変化を生じる。
変異ポリヌクレオチドおよびポリペプチドは、本発明の該ポリヌクレオチドまたはポリペプチドのフラグメントも含む。本明細書において使用される「ポリヌクレオチド」という用語は、配列番号によって、および下記の表において特定される核酸配列、ならびにそれに対する逆相補核酸配列を含むポリヌクレオチドを包含するのが好ましい。本発明のポリヌクレオチドおよびポリペプチドならびに前記のそれらのフラグメントは、例えば不充分なおよび/または変化した薬物取込みを包含するOCT1機能不全または調節不全(dysregulations)に関係していることが特性付けられている。本発明において示す該機能不全または調節不全は、OCT1の基質である化合物の血清および/または細胞内濃度の変化の結果として、副作用、薬物療法の減少した活性、または薬物療法への無応答を生じる。少なくとも、一部の患者において、本発明において示す該機能不全は、疾患または障害、あるいは該疾患または障害への罹患性(prevalence)を生じうる。好ましくは、以下に詳しく記載するように、該障害は、輸送体OCT1の基質である化合物の、異常な血清および/または細胞内濃度によって生じる。
【0017】
本発明のポリヌクレオチドは、OCT1遺伝子への少なくとも70%、好ましくは少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、または少なくとも95%の配列同一性を有するポリヌクレオチドを包含し、該ポリヌクレオチドは、OCT1遺伝子(GenBankアクセッション番号:GI:9581607)の107155、107265、107278、109130、109211、119220、123551、126806、126846、126863〜126865、126922、126915、130672、141819、142951、141961位または142993において、少なくとも1個のヌクレオチドのヌクレオチド交換またはヌクレオチド欠失を有する。
【0018】
本明細書において使用される「ハイブリダイズする」という用語は、OCT1機能不全または調節不全に関係している本発明のポリヌクレオチドまたはその一部にハイブリダイズしうるポリヌクレオチドに関する。従って、該ハイブリダイズするポリヌクレオチドも、該機能不全および調節不全に関係している。好ましくは、OCT1機能不全または調節不全に関係している本発明のポリヌクレオチドまたはその一部にハイブリダイズしうる該ポリヌクレオチドは、OCT1機能不全または調節不全に関係している本発明のポリヌクレオチドまたはその一部に対して少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも95%または少なくとも100%の同一性である。従って、該ポリヌクレオチドは、それぞれRNAまたはDNA試料の、ノザンまたはサザンブロット分析におけるプローブとして有用であるか、またはそれぞれの大きさに依存してPCR分析におけるオリゴヌクレオチドプライマーとして使用できる。本発明は、例えば電気泳動移動度シフト分析(EMSA)によって、DNA-タンパク質相互作用を分析するのに有用なハイブリダイズするポリヌクレオチドも含む。好ましくは、該ハイブリダイズするポリヌクレオチドは、長さにおいて、少なくとも10個、より好ましくは少なくとも15個のヌクレオチドを含み、プローブとして使用される本発明のハイブリダイズするポリヌクレオチドは、長さにおいて、少なくとも100個、より好ましくは少なくとも200個、最も好ましくは少なくとも500個のヌクレオチドを含む。
核酸分子を使用するハイブリダイゼーション試験の実施方法は当該分野においてよく知られており、即ち、当業者は、どのようなハブリダイゼーション条件を本発明に使用すべきかを認識している。そのようなハイブリダイゼーション条件は、標準的教本、例えば、Molecular Cloning A Laboratory Manual, Cold Spring Harbor Laboratory(1989)N.Y.に記載されている。本発明に好ましいものは、ストリンジェントなハイブリダイゼーション条件下に、OCT1機能不全または調節不全に関係している本発明のポリヌクレオチドまたはその一部にハイブリダイズしうるポリヌクレオチドであり、即ち、本発明のOCT1ポリペプチドと異なるポリペプチドをコードするポリヌクレオチドのような無関係のポリヌクレオチドにクロスハイブリダイズしないポリヌクレオチドである。
核酸ハイブリダイゼーションは、当業者に容易に理解されるように、塩基組成、相補鎖の長さ、およびハイブリダイズする核酸間のヌクレオチド塩基不適正の数に加えて、塩濃度、温度または有機溶媒のような条件によって影響を受ける。ストリンジェントな温度条件は、通常30℃を超える温度、一般に37℃、好ましくは45℃を超える温度である。ストリンジェントな塩条件は、通常1000mM未満、一般に500mM未満、好ましくは200mM未満である。しかし、パラメータの組み合わせが、いかなる単一パラメータの測度よりかなり重要である(例えば、WetmurおよびDavidson, 1968参照)。プローブ配列は、特定条件下に、二重鎖DNAに特異的にハイブリダイズして、三重鎖またはより高いオーダーのDNA複合体を形成する場合もある。そのようなプローブの製造、および好適なハイブリダイゼーション条件は、当業者によく知られている。本発明のポリヌクレオチドにハイブリダイズしうるポリヌクレオチドは、本明細書に記載するOCT1遺伝子の核酸配列に対して、少なくとも70%、好ましくは少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%または少なくとも95%の同一性であるのが好ましい。
【0019】
核酸配列に関する「配列同一性パーセント」または「同一性」という用語は、最大対応に並べた場合に、同じである2つの配列における残基に関する。配列同一性比較の範囲は、少なくとも9個のヌクレオチド、一般に少なくとも20個のヌクレオチド、より一般的には少なくとも24個のヌクレオチド、典型的には少なくとも28個のヌクレオチド、より典型的には少なくとも32個のヌクレオチド、好ましくは少なくとも36個のヌクレオチドまたはそれ以上のヌクレオチドの範囲に及びうる。ヌクレオチド配列同一性を測定するのに使用できる当分野で既知の種々のアルゴリズムが存在する。例えば、Fasta、GCGバージョン6.6におけるプログラムを使用して、ポリヌクレオチド配列を比較することができる。Fastaは、問合せ配列と検索配列との最大重複領域のアラインメントおよび配列同一性パーセントを提供する(参照として本明細書に組み入れられるPearson, 1980)。例えば、核酸配列間の配列同一性パーセントは、参照として本明細書に組み入れられるGCGバージョン6.1において提供されているように、デフォルトパラメータ(語長6、およびスコアリングマトリックスのNOPAMファクタ)を使用してFastaによって決定できる。
【0020】
本明細書において使用される「対応する」という語句は、それぞれ、先行するヌクレオチドおよびアミノ酸の数だけによって、位置が決められないことを意味する。欠失または置換している場合がある本発明の所定ヌクレオチドまたはアミノ酸の位置は、遺伝子またはポリペプチドにおける他の位置の欠失または付加的ヌクレオチドまたはアミノ酸によって変化する。従って、本発明による「対応する位置」という語句によって、ヌクレオチドまたはアミノ酸が指示番号において異なっている場合があるが、類似した隣接ヌクレオチドまたはアミノ酸をなお有している場合があるものと理解される。交換されているかまたは欠失したヌクレオチドまたはアミノ酸である場合がある該ヌクレオチドまたはアミノ酸も、「対応する位置」という語句に包含される。該ヌクレオチドまたはアミノ酸は、例えば、それらに隣接するものと共に、遺伝子発現の調節、対応するRNAまたはRNA編集の安定性に関与し、本発明のタンパク質の機能ドメインまたはモチーフをコードする配列を形成しうる。
【0021】
例えば「126863〜126865位」は、該ポリヌクレオチドの対応する野生型バージョンの126863〜126865位において欠失している1個またはそれ以上の欠失ヌクレオチド(例えば3個のヌクレオチド欠失)を、該ポリヌクレオチドが含むことを意味する。同じ形態に設計された前記態様において記載した全ての他の位置番号に関して、必要な変更を加えて、同じことが適用される。
【0022】
本発明によって、OCT1遺伝子における遺伝的変化の形式および集団分布を、多くの個体からのヒト該遺伝子の関連領域の配列分析によって分析した。OCT1遺伝子を包含する全遺伝子の個々の遺伝子構成を内包する個体のゲノムDNAは、個体の血液試料から容易に精製できることはよく知られている。これらの個々のDNA試料を、血液試料を提供した個体に存在するOCT1遺伝子の対立遺伝子の配列構成分析に使用する。配列分析を、該遺伝子の関連領域のPCR増幅、次に、PCR生成物の精製、次に、確立された方法(例えば、ABIダイターミネーターサイクルシークエンシング)を使用した自動DNA塩基配列決定によって行った。
ヒト血液ゲノムDNAからのPCR生成物の直接DNA塩基配列決定によって、個体の遺伝子型を決定し、OCT1遺伝子の新しい変異体を同定する試みにおいて、考慮すべき1つの重要なパラメータは、各ヒトが、各常染色体遺伝子の2つの遺伝子複写(二倍体)を有する(一般に、極めて少ない異常例外を有する)ことである。これにより、ホモ接合配列変異だけでなくヘテロ接合変異も明確に同定できるように、配列の評価において、かなりの注意が払われた。OCT1遺伝子(ホモ接合およびヘテロ接合)の新しい多型性の同定および特性決定の種々の工程についての詳細は、下記の実施例に記載されている。
【0023】
過去20年間に、遺伝子異質性が薬物応答のバリエーションの重要な原因であることがますます認識されている。多くの科学文献(Meyer, Ann. Rev. Pharmacol.Toxicol. 37(1997), 269-296およびWest, J. Clin. Pharmacol.37(1997), 635-648)は、ある薬物がある患者において他の患者よりよく作用するかまたは高毒性である場合さえあり、薬物に対する患者の応答のこのようなバリエーションは、分子ベース(molecular basis)に関連づけられることを明確に示している。この「薬理ゲノム科学的」概念は、患者の薬物への応答と遺伝的プロフィールとの相関関係に焦点を当てている(Marshall, Nature Biotechnology, 15(1997),954-957;Marshall, Nature Biotechnology, 15(1997), 1249-1252)。薬物療法に関するこの集団変化性に関して、副作用なしに特定の薬物に反応することができる患者の同定および選択に有用な手段として、薬理ゲノム科学が提示されている。この同定/選択は、例えば患者の血液の白血球からのDNAをゲノタイピング(genotyping)することによる、遺伝子多型の分子診断、および疾患の特性付けに基くことができる(Bertz, Clin. Pharmacokinet. 32(1997),210-256;Engel. J. Chromatogra. B. Biomed. Appl. 678(1996), 93-103)。必要のない薬物、効果のない薬物および副作用のある薬物に多くのコストを要しているので、米国における健康維持機関および多くのヨーロッパ諸国における政府公共健康部門のような健康管理設立者にとって、この薬理ゲノム科学的アプローチは、健康管理の向上および経費削減の両方の方法を提示しうる。
【0024】
本発明の変異遺伝子(variant genes)における変異は、アミノ酸欠失、挿入、特に置換を、単独かまたは組み合わせて生じる場合ある。野生型遺伝子または他の変異形において、そのような変異を遺伝子的に操作することも当然可能である。該遺伝子のDNA配列にそのような修飾を導入する方法は、当業者によく知られている(例えば、Sambrook, MolecularCloning A LaboratoryManual, Cold Spring Harbor Laboratory(1989) N.Y.参照)。
【0025】
本発明のポリペプチドのアミノ酸配列の変化の種類を調査するために、インターネットから得られるBRASMOLのようなコンピュータプログラムを使用しうる。さらに、他の適切なコンピュータプログラムを使用して、折り畳みシミュレーションおよび構造モチーフ(structural motifs)のコンピュータ再設計(redesign)を行うことができる(Olszewski, Proteins 25(1996), 286-299;Hoffman, Comput. Appl. Biosci. 11(1995), 675-679)。精密なタンパク質モデルのコンホメーション分析およびエネルギー分析に、コンピュータを使用することができる(Monge, J. Mol. Biol. 247(1995), 995-1012;Renouf, Adv. Exp. Med. Biol. 376(1995),37-45)。これらの分析は、OCT1による薬物の結合および/または輸送における特定の変異の作用、またはタンパク質の折り畳みまたは安定性におけるその作用を同定するのに使用することができる。
【0026】
一般に、本発明のポリヌクレオチドによってコードされたタンパク質のアミノ酸配列における、該アミノ酸欠失または置換は、1つまたはそれ以上のヌクレオチド置換または欠失、あるいはそれらの任意の組み合わせによる。好ましくは、該ヌクレオチド置換または欠失は、OCT1ポリペプチド(GenBankアクセッション番号:GI:2511670)の61位に対応する位置におけるRからCへのアミノ酸置換;OCT1ポリペプチド(GenBankアクセッション番号:GI:2511670)の88位に対応する位置におけるCからRへのアミノ酸置換;および、OCT1ポリペプチド(GenBankアクセッション番号:GI:2511670)の401位に対応する位置におけるGからSへのアミノ酸置換を生じうる。本発明のポリヌクレオチドによってコードされたポリペプチドは、本発明によって示す変異によって生物学的または免疫学的特性が変化している。該変化した特性の例は、例えば、薬物輸送の不全、または野生型OCT1タンパク質の基質であるいくつかのまたは全ての薬物の輸送能力の完全な喪失によって特徴付けられる、基質特異性の変化または輸送活性の変化である。
【0027】
本発明によって検出されるOCT1遺伝子における変異は、表1〜4に示されている。標準プロトコル後の変異分析の方法は、実施例、および本発明で引用されている文献に詳しく記載されている。一般に、そのような方法は、表現型スペクトル、ならびに変化した薬物輸送に関係した機能不全または調節不全および障害に関係した疾患または状態の重複臨床特性を評価するために、本発明によって使用される。都合のよいことに、該変異体の特性付けは、OCT1の基質である薬物での、または前記のようなOCT1の基質(例えば、セロトニン、アセチルコリン等)に関係した生物学的経路に作用するかまたは阻害する薬物での、向上した治療用の診断アッセイの開発の基礎を形成しうる。本発明により、薬物取込みの変化、およびOCT1輸送体タンパク質の基質特異性の変化を生じる多型性が見出された。これは、重要な生物医学的な意味を有しうる。変化した薬物動態の結果として、薬物有効性、安全性および許容性に密接な関係を有する薬物の持続期間および強度の増加が、これらの変異のキャリアーに期待できる。
さらに、本発明により、OCT1遺伝子の多型が、肝臓副作用および胆汁うっ滞に関係していることが確認された。従って、OCT1遺伝子のゲノタイピングは、肝毒性および胆汁うっ滞のような疾患に罹患する危険性が高い患者の診断に有用である。本発明により、重大な肝疾患を予防するためにモニターすべき患者、または変更した薬物療法に関して前もって選択しうる患者を、同定することができる。遺伝子型は、絶対的に予測的であることはまれであり、即ち、特定遺伝子型を有する集団が特定表現型の高発生を示す場合、その遺伝子型を有する個体が全てその表現型を示すわけではない。しかし、本明細書に記載されているように患者をゲノタイピングすることは、OCT1基質での治療に対して患者が有する結果を予測する助けになることは、当業者に明らかである。
本発明によれば、OCT1遺伝子の変異体は、HIV治療を包含する抗レトロウイルス療法の間の薬物相互作用の個体差に寄与しうる。抗ウイルス療法の種々の成分は、AZTのようなOCT1輸送体タンパク質の阻害剤(例えば、サキナビル、ネルフィナビル、インジナビル、リトナビル)または基質である。従って、OCT1変異体のゲノタイピングは、OCT1基質の細胞取込みおよび分布、例えばOCT1活性およびその結果としての薬物応答を予測するのに有用である。
より好ましくは、該OCT1多型性の診断は、本発明のOCT1変異体を、抗レトロウイルス療法の間の個体応答および/または副作用と関係付けるのに有用であり、即ち、OCT1遺伝子の遺伝子構成に基づいて薬物−薬物相互作用の発生および程度を予測することを可能にする。その結果、このOCT1診断は、予測された薬物−薬物相互作用を補正することを可能にする。
【0028】
変異の該分析方法は、例えば、下記のものである:DNA塩基配列決定、ハイブリダイゼーション法、PCRに基づくアッセイ、蛍光染料および消光剤に基づくPCRアッセイ(Taqman PCR検出系)、RFLPに基づく方法、一本鎖コンホメーション多型(SSCP)、変性勾配ゲル電気泳動(DGGE)、温度勾配ゲル電気泳動(TGGE)、化学不適正開裂(CMC)、ヘテロ二本鎖分析に基づく系、質量分析に基づく方法、侵襲性開裂アッセイ、多型率塩基配列決定(PRS)、マイクロアレイ、ローリングサークル伸長アッセイ、HPLCに基づく方法、DHPLCに基づく方法、オリゴヌクレオチド伸長アッセイ(OLA)、伸長に基づくアッセイ(ARMS(増幅不応性変異系)、ALEX(増幅不応性変異線状伸長)、SBCE(単一塩基鎖伸長))、分子標識アッセイ、インベーダー法(Third wave technologies社)、リガーゼ連鎖反応アッセイ、5'-ヌクレアーゼアッセイに基づく方法、ハイブリダイゼーションキャピラリーアレイ電気泳動(CAE)、パイロシーケンシング、タンパク質トランケーションアッセイ(PTT)、免疫学的検定法、ハプロタイプ分析、および固相ハイブリダイゼーション(ドットブロット、リバースドットブロット、チップ)。該方法は、当分野において極めてよく知られており、例えば、Siitari, Nucleic acid diagnostics market, Technology Review 125/2002, ISDN1239-758X, Caplin, Biochemica 1(1999), 5-8;Neville, BioTechniques 32(2002), 34-43;Shi 47(2001),164-72, Underhill, Genome Res 7(1997), 996-1005;Oefner, J. Chromatogr B Biomed Sci Appl 739(2000),345-55、米国特許出願第20010049856号に記載されている。さらに、これらの方法を実施するためのキットは、例えばApplied biosystemsから、商業的に入手しうる。多くの患者の綿密な臨床特性付けに基づいて、表現型を、これらの変異に相関させることができる。
【0029】
前記に指定したポリヌクレオチドを少なくとも2つ含むポリヌクレオチド、即ち、前記ポリヌクレオチドに含まれているかまたは下記の表1〜4および表6に示されている少なくとも2つの変異を含有するヌクレオチド配列を有するポリヌクレオチドも、本発明において示されるポリヌクレオチドに含まれる。本発明の該ポリヌクレオチドは、対立遺伝子およびハプロタイプとも称される。前記ポリヌクレオチドに含まれるそれらの変異または変異体は、マーカー多型または機能多型でありうる。これらの変異体は、遺伝的疾患および集団の研究を包含する遺伝的分析および診断の多くの局面で使用できる。以下の2種類の遺伝的分析が一般に行われる:連鎖および関連研究。
【0030】
遺伝子の規定された遺伝的変異は、ある場合に、対応する表現型に直接関連付けることができる。しかし、多くの場合、ハプロタイプの決定は、単一多型の決定より、表現型に関してより予測的であることが知られている(Judson, Pharmacogenomics 1(2000), 15-26;Judson, Pharmacogenomics 2(2001), 7-10;Bader, Pharmacogenomics 2(2001), 11-24)。ハプロタイピングを行う方法は、当該分野の専門家によく知られている。分子ハプロタイピングに加えて、コンピュータプログラムをハプロタイプ分析に使用できる(例えば、ftp://linkage.rockefeller.edu/software/eh ;www.bioinf.mdc-berlin.de/projects/hap参照)。
好ましいハプロタイプは、OCT1遺伝子(配列番号21)の17939位においてTGGTAAGTの欠失に連鎖しているMet408Val多型(配列番号24、35)であり;イントロン9(配列番号16)におけるSNP 33012G>Tは、エキソン10(配列番号17)における34044G>A変異体に連鎖し;OCT1遺伝子(配列番号1)のプロモーターにおける-1795G>A置換は、エキソン1(配列番号22)における156T>C変異に連鎖し;イントロン2(配列番号6)における10270C>T変異体は、イントロン5(配列番号7)における14602C>T置換に連鎖している。最も好ましいハプロタイプは、OCT1遺伝子(配列番号21)の17939位においてTGGTAAGTの欠失に連鎖しているMet408Val多型(配列番号24、35)である。当然、これまでに見出されていない他のSNPも、これらの規定ハプロタイプのより大きい領域に存在しうる。これによって、前記タンパク質によって擬態しうる遺伝子のそのような変異形または類似した変異形を有する患者における薬物の薬理学的プロフィールにおける、OCT1遺伝子および/または該ポリヌクレオチドによってコードされたポリペプチドにおける該変異の相乗作用を研究することが可能となる。該相乗作用の分析は、OCT1機能不全または調節不全、または前記の変化した薬物輸送に関係した疾患の開始についてのより深い洞察を与えることが期待される。そのようなより深い洞察は、OCT1機能不全または調節不全、または変化した輸送に関係した疾患用の診断組成物および医薬組成物の開発に極めて有利である。
【0031】
本発明に関する「対立遺伝子」という用語は、特定部位における被検者または患者の核酸配列に存在する特定ヌクレオチドによって定義できる。多くの場合、遺伝子型は、ヒト集団において変化することが知られている単一多型部位に存在するヌクレオチドである。
【0032】
本発明に関して、「ハプロタイプ」という用語は、特定の染色体、例えば特定の遺伝子における、2つまたはそれ以上の多型ヌクレオチド、即ち変異体または変異体の、シス配置を意味する。ハプロタイプは、多型ヌクレオチドの相に関する情報を含有し、この情報は、どの組の変異体または変異体が父親から遺伝し、また母親から遺伝したかを示す。
【0033】
当業者に明らかであるように、本発明から推測される遺伝的知識は、患者の遺伝子型を正確にかつ信頼性をもって特性付けするのに使用できる。好都合にも、輸送体OCT1の基質である化合物の異常な血清濃度および/または細胞内濃度によって生じるOCT1機能不全または調節不全、ならびに/あるいは本明細書に記載したOCT1機能不全または調節不全に関係した疾患または疾患のへ罹患性を予測し、予防しうるか、またはそれに応じて治療措置を適用することができる。さらに、前記により、所定薬物が異常な作用を示す場合、本発明のポリヌクレオチドに関する患者の個々の遺伝構成の知識に基づいて、好適な個々の治療法を設計することができ、下記にさらに記載するように、改良した療法を開発することができる。
【0034】
一般に、OCT1タンパク質の発現レベルおよび活性によって定義されるOCT1「状態」は、輸送体OCT1の基質である化合物の異常な血清および/または細胞内濃度によって生じる疾患を包含する多くの疾患または障害において変化しうるだけでなく(前記参照)、遺伝子変異/多型により、正常組織においても変化しうる。OCT1の発現および/または活性の変化に関係している多型の同定は、例えば薬物取込みおよび輸送の予測、および薬物の副作用を包含するその後の治療結果の予測に重要である。従って、OCT1機能を示すOCT1変異の分析は、OCT1の基質である薬物での治療の重要な手段であり、本発明によって可能になった。
【0035】
最後に、本発明によって示されるポリヌクレオチドおよびポリペプチドは、法医学マーカーとしても有用であり、これは、例えば暴力犯罪またはあらゆる他の暴力によって殺されたかまたは死に、よく知られた従来の法医学的方法によって同定することができない被験体の同定を向上させる。本発明のポリヌクレオチドに含まれる多型を、被験体のゲノムにおいて検出することに基づく法医学的方法の適用は、顔の特徴のような他の死体特徴による同定が不可能なほど死体がひどく損傷している場合に特に適している。これは、例えば、一般に完全に損傷している水中で発見された死体の場合にあてはまる。都合のよいことに、本発明のポリヌクレオチドの提供に基づく方法は、それを実施するために、最少量の組織または細胞を必要とするだけである。該組織または細胞は、血液小滴、毛根、角質上皮、唾液小滴、精子等である。被験体を同定するために、そのような最少量の組織または細胞を必要とするだけなので、本発明のポリヌクレオチドに含まれる多型を、法医学マーカーとして使用して、暴力または強姦のような犯罪におけるある者の有罪を立証することもできる。さらに、本発明のポリヌクレオチドに含まれる多型を、父子関係の証明に使用することもできる。本明細書に示す法医学的方法によれば、本発明のポリヌクレオチドの存在または不存在を決定し、同定すべき被験体に由来することが明らかな基準試料と比較する。被験体の試料における本発明のポリヌクレオチドの存在または不存在、あるいは本発明のポリヌクレオチドに含まれる多型を検出することを必要とする法医学的方法は、例えばPCRに基づく方法であることができ、この方法は、法医学試料として最少量の組織または細胞しか使用できない場合に特に適している。一方、充分な組織または細胞を入手できる場合は、ハイブリダーゼーションに基づく方法を実施して、本発明のポリヌクレオチドの存在または不存在を検出しうる。これらの方法は、当業者によく知られており、本明細書に示す個々の目的に容易に適合させることができる。結果として、本発明により、前記の局面に関する向上した信頼性のある予測を可能にする法医学的手段が得られる。
前記と同様に、輸送体OCT1の基質である化合物の異常な血清および/または細胞内濃度によって生じる副作用または薬物療法の活性の減少または薬物療法の不活性と、本発明のポリヌクレオチドとを関連付けることが好ましい。
【0036】
さらなる態様において、本発明は、DNAまたはRNAであるポリヌクレオチドに関する。
本発明のポリヌクレオチドは、例えば、DNA、cDNA、ゲノムDNA、RNAまたは合成的に生成したDNAまたはRNA、またはそれらの任意ポリヌクレオチドを単独かまたは組み合わせて含む組換え生成したキメラ核酸分子でありうる。好ましくは、該ポリヌクレオチドは、本発明のポリヌクレオチドを含む遺伝子工学において一般に使用されるベクター、特にプラスミド、コスミド、ウイルスおよびバクテリオファージの一部である。そのようなベクターは、好適な宿主細胞において、好適な条件下で、該ベクターの選択を可能にするマーカー遺伝子のような付加的遺伝子を含みうる。
【0037】
本発明は、さらに、本発明のポリヌクレオチドを含む遺伝子にも関する。
遺伝子は、アミノ酸配列をコードする構造因子、ならびに該遺伝子の発現の調節に関与する調節因子を含むことは、当分野においてよく知られている。構造因子は、エキソンによって代表され、これは、アミノ酸配列をコードしうるか、または、アミノ酸配列をコードしていないが、それにもかかわらずRNA機能に関与している(例えば、RNAの安定性またはRNAの核輸出を調節することによって)RNAに対してコードしうる。
遺伝子の調節因子は、プロモーター因子またはエンハンサー因子を含み、それらは両方とも遺伝子発現の転写制御に関与しうる。プロモーターは遺伝子の構造因子の上流に見られることは当分野において極めてよく知られている。しかし、エンハンサー因子のような調節因子は、遺伝子の全座にわたって分布しているのが見られる。該因子は、例えば、イントロン、遺伝子のエキソンを分離するゲノムDNAの領域に存在しうる。プロモーターまたはエンハンサー因子は、該プロモーターまたはエンハンサー因子を含む遺伝子の調節に関与しているポリペプチドを誘引するかまたはそれに結合することができるポリヌクレオチドフラグメントに対応する。例えば、該遺伝子の調節に関与しているポリペプチドは、いわゆる転写因子を含む。
該イントロンは、適切な遺伝子発現に必要とされる他の調節因子を含みうる。イントロンは、一般に、遺伝子のエキソンと一緒に転写されて、エキソンおよびイントロン配列の両方を含有する初期RNA転写物を生じる。イントロンがコードしたRNA配列は、RNAスプライシングとして既知の過程によって通常は除去される。しかし、該過程も、RNA転写物に存在する調節配列を必要とし、該調節配列はイントロンによってコードしうる。
さらに、転写制御および適切なRNAプロセシングおよび/または安定性の制御における機能に加えて、遺伝子の調節因子は、遺伝子座の遺伝子安定性の制御にも関与しうる。該因子は、例えば組換え事象を制御するか、またはDNAの特定構造または染色体におけるDNAの配置を維持する作用をする。
従って、単一ヌクレオチド多型が、前記のアミノ酸配列をコードする遺伝子のエキソンにおいて、ならびに前記過程に関与する調節領域において、発生しうる。例えばイントロンを含む、遺伝子座全体のヌクレオチド配列の分析は、前記を考慮して、望ましい。本発明のポリヌクレオチドに含まれる多型は、OCT1遺伝子の増加または減少した転写、遺伝子のRNA転写物の安定化、およびプライマリーRNA転写物のプロセシングの変更を含むメカニズムによって、OCT1タンパク質の発現レベルに影響を与えうる。
【0038】
従って、本発明の遺伝子のさらに好ましい態様において、ヌクレオチド欠失および/または置換が、対応する野生型遺伝子と比較して、変異遺伝子の変化した発現を生じる。
【0039】
他の態様において、本発明は、本発明のポリヌクレオチドまたは本発明の遺伝子を含むベクターに関する。
該ベクターは、例えば、ファージ、プラスミドまたはウイルスまたはレトロウイルスベクターでありうる。レトロウイルスベクターは、複製適格性または複製欠損性でありうる。後者の場合、ウイルス増殖は、一般に、補足宿主/細胞においてのみ生じる。
【0040】
本発明のポリヌクレオチドまたは遺伝子は、宿主における増殖用の選択可能なマーカーを含有するベクターに結合しうる。一般に、プラスミドベクターは、DEAE法を用いて、エフェクテン(Qiagen, Hilden, Germany)のような化学物質を使用した縮合形態において、または荷電リピドとの複合体において、または炭素に基づくクラスターにおいて、リン酸カルシウム沈降物のような沈降物に導入される。あるいは、ベクターは、マイクロインジェクションによって導入される。ベクターがウイルスである場合、宿主細胞への適用前に、適切なパッケージング細胞系を使用してインビトロでパッケージングしうる。
【0041】
本発明のベクターのより好ましい態様において、ポリヌクレオチドを、原核または真核細胞またはそれらの単離フラクションにおける発現を可能にする発現制御配列に操作的に連鎖させる。
該ポリヌクレオチドの発現は、好ましくは翻訳可能なmRNAへの、ポリヌクレオチドの転写を含む。真核細胞、好ましくは哺乳動物細胞における発現を確実にする調節因子は、当業者によく知られている。それらは、一般に、転写の開始を確実にする調節配列、および任意に、転写の終止および転写物の安定化を確実にするポリ-Aシグナルを含む。付加的調節因子は、転写ならびに翻訳エンハンサーを包含しうる。原核宿主細胞における発現を可能にする可能な調節因子は、例えば、大腸菌におけるlac、trpまたはtacプロモーターを含み、真核宿主細胞における発現を可能にする調節因子の例は、酵母におけるAOX1またはGAL1プロモーター、あるいは哺乳動物および他の動物の細胞におけるCMV-、SV40-、RSV-プロモーター(ラウス肉腫ウイルス)、CMV-エンハンサー、SV40-エンハンサーまたはグロビンイントロンである。転写の開始に関与する因子の他に、そのような調節因子は、ポリヌクレオチドの下流のSV40-ポリ-A部位またはtk-ポリ-A部位のような転写終止シグナルも含みうる。これに関して、下記のような好適な発現ベクターが当分野で既知である:Okayama-Berg cDNA発現ベクターpcDV1(Pharmacia)、pCDM8、pRc/CMV、pcDNA1、pcDNA3(invitrogen)、pSPORT1(GIBCO BRL)、pFastBac(Invitrogen)、pYES(Invitrogen)、pOG1(van Montfoort,JPET 298(2001), 110-115)。好ましくは、該ベクターは、発現ベクターおよび/または遺伝子トランスファーまたはターゲッティングベクターである。レトロウイルス、ワクシニアウイルス、アデノ関連ウイルス、ヘルペスウイルス、またはウシパピローマウイルスのようなウイルスに由来する発現ベクターを、本発明のポリヌクレオチドまたはベクターの標的細胞集団への輸送に使用しうる。当業者によく知られている方法を使用して組換えウイルスベクターを構成することができる(例えば、Sambrook, MolecularCloning A LaboratoryManual, Cold Spring Harbor Laboratory(1989), N.Y.およびAusubel, Current Protocolsin Molecular Biology, Green PublishingAssociates and Wiley Interscience, N.Y.(1994)に記載されている方法を参照)。または、本発明のポリヌクレオチドおよびベクターを、標的細胞への輸送用に、リポソーム中に再構成することができる。「それらの単離フラクション」という語句は、本発明のベクターからRNAを転写することができるか、または転写および翻訳することができる真核細胞もしくは組織または原核細胞もしくは組織のフラクションを意味する。該フラクションは、RNAの転写、またはRNAの転写および該RNAのポリペプチドへの翻訳に必要とされるタンパク質を含む。該単離フラクションは、例えば、網状赤血球のような真核細胞の核および細胞質のフラクションでありうる。
【0042】
本発明は、さらに、本発明のポリヌクレオチド、本発明の遺伝子または本発明のベクターを使用して遺伝的に操作した宿主細胞にも関する。
該宿主細胞は、原核または真核細胞であってよい(前記参照)。宿主細胞に存在している本発明のポリヌクレオチドまたはベクターは、宿主細胞のゲノムに組み込まれていてもよく、または染色体外に維持されてもよい。これに関して、本発明の組換えDNA分子は、相同組換えによって変異遺伝子を修復するかまたは変異遺伝子を作製するために、「遺伝子ターゲッティング」および/または「遺伝子置換」に使用しうることも理解されるものとする(例えば、Mouellic, Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 87(1990), 4712-4716;Joyner, Gene Targeting, A Practical Approach,Oxford University Press参照)。
宿主細胞は、原核または真核細胞、例えば、細菌、昆虫、真菌、植物、動物、哺乳動物、または、好ましくはヒト細胞であってよい。好ましい真菌細胞は、例えば、サッカロミセス属の細胞、特にS. cerevisiae種の細胞である。好ましい動物細胞は、例えば、ツメガエル属卵母細胞である。「原核」という用語は、本発明の変異ポリペプチドの発現用のポリヌクレオチドで形質転換または感染させることができる全ての細菌を包含することを意味する。原核生物宿主としては、グラム陰性ならびにグラム陽性細菌、例えば、E. Coli, S. typhimurium、Serratia marcescensおよびBacillus subtilisが挙げられる。本発明の変異ポリペプチドの変異形態をコードするポリヌクレオチドを使用して、当業者に一般に知られている任意の方法によって、宿主を形質転換するかまたは感染させることができる。融合させ、操作可能に連鎖させた遺伝子を製造し、それらを細菌または動物細胞において発現させる方法は、当分野においてよく知られている(前記Sambrook)。そこに記載されている遺伝子構築物および方法を、例えば原核生物宿主における、本発明の変異ポリペプチドの発現に使用できる。一般に、挿入されたポリヌクレオチドの有効な転写を促進するプロモーター配列を含有する発現ベクターを、宿主に関連して使用する。発現ベクターは一般に、複製起点、プロモーターおよびターミネータ、ならびに形質転換した細胞の表現型選択を付与しうる特異遺伝子を含有する。形質転換原核生物宿主は、当分野で既知の方法によって、発酵槽において増殖させ、培養して、最適細胞増殖を得ることができる。次に、本発明のタンパク質を、増殖培地、細胞溶解産物または細胞膜フラクションから単離する。微生物的に、または他の方法で発現した本発明のポリペプチドの単離および精製は、任意の一般的方法、例えば、分取クロマトグラフィー分離および免疫学的分離、例えばモノクローナルまたはポリクローナル抗体の使用を含む分離によって行われる。
【0043】
従って、他の態様において、本発明は、分子変異体OCT1ポリペプチドまたはそのフラグメントの製造法であって、前記宿主細胞を培養する工程;および、該タンパク質またはフラグメントを培養物から回収する工程を包含する製造法に関する。
【0044】
他の態様において、本発明は、分子変異体OCT1ポリペプチドを発現しうる細胞の製造法であって、本発明のポリヌクレオチド、本発明の遺伝子または本発明のベクターを使用して、細胞を遺伝的に操作する工程を包含する製造法に関する。
本発明の方法によって得られる細胞を使用して、例えば、D. L. Spector, R. D. Goldman、L.A. Leinwand, Cell, a Lab manual, CSH Press 1998に記載されている方法によって薬物を試験することができる。さらに、該細胞を使用して、OCT1遺伝子における変異によって生じた欠損を補足する能力について、既知の薬物および未知のそれらの誘導体を研究することができる。これらの態様において、宿主細胞は、OCT1遺伝子の野生型対立遺伝子、好ましくは両方の対立遺伝子が欠けており、そして/またはそれらの対立遺伝子の少なくとも1つが変異しているのが好ましい。理論的には、本発明のポリヌクレオチドによって構成された対立遺伝子を含む遺伝子は、相同置換によって野生型遺伝子座に導入しうる。または、正常対立遺伝子を越える変異対立遺伝子の強い過剰発現、および同じレベルで正常対立遺伝子を過剰発現する組換え細胞系との比較を、スクリーニングおよび分析系として使用しうる。前記の方法で得られる細胞を、下記に示すスクリーニング法にも使用しうる。
【0045】
さらに、本発明は、本発明のポリヌクレオチドまたは本発明の遺伝子によってコードされるか、あるいは前記方法によって得られたかまたは前記方法によって作製された細胞から得られる、ポリペプチドまたはその断片に関する。これに関して、本発明の変異ポリペプチドを、当分野で既知の従来法によってさらに修飾しうることも理解される。本発明によって該変異タンパク質を提供することによって、それらの生物学的活性またはその阻害に関係した部分を決定することもできる。本明細書に使用される「ポリペプチド」および「タンパク質」という用語は、互換的である。さらに、該用語が包含することは、標準教本知識である。
【0046】
本発明は、さらに、本発明のポリペプチドに特異的に結合する抗体にも関する。
都合のよいことに、抗体は、前記の1つまたはそれ以上のアミノ酸置換を含有するエピトープを特異的に認識するかまたはそれに結合する。本発明の変異ポリペプチドに対する抗体は、本発明の精製タンパク質またはそれから誘導される(合成)断片を抗原として使用して、よく知られた方法によって作製できる。モノクローナル抗体は、例えば、KoehlerおよびMilstein, Nature 256(1975), 495、およびGalfre, Meth. Enzymol. 73(1981),3に最初に記載された技術によって作製することができ、その方法は、免疫処置した哺乳動物に由来する脾臓細胞へのマウス骨髄腫細胞の融合を含んでなる。本発明の好ましい態様において、該抗体は、該ペプチドまたはポリペプチドに特異的に結合するモノクローナル抗体、ポリクローナル抗体、一本鎖抗体、ヒトまたはヒト化抗体、霊長類化抗体、キメラ化抗体またはそれらの断片であり、二重特異性抗体、合成抗体、抗体断片、例えば、Fab、FvまたはscFv断片等、またはこれらのいずれかの化学修飾誘導体も包含する。さらに、前記ポリペプチドに対する抗体またはそれらの断片は、例えば、HarlowおよびLane,「Antibodies, A Laboratory Manual」、CSH Press, Cold Spring Harbor, 1988に記載されている方法を使用して得られ得る。これらの抗体は、例えば、本発明の変異ポリペプチドの免疫沈降および免疫学的局在決定、ならびに、例えば組換え有機体における、該変異ポリペプチドの存在のモニタリング、および本発明のタンパク質と相互作用する化合物の同定に使用できる。例えば、BIAコア系に使用される表面プラスモン共鳴を使用して、本発明のタンパク質のエピトープに結合するファージ抗体の有効性を増加させることができる(Schier, Human Antibodies Hybridomas7(1996), 97-105;Malmborg, J. Immunol. Methods 183(1995), 7-13)。
【0047】
好ましい態様において、本発明の抗体は、前記のヌクレオチド交換によって生じる1つまたはそれ以上のアミノ酸置換を含有するエピトープを特異的に認識する。
ホスホ−チロシン残基のような修飾アミノ酸を特異的に認識する抗体は、当分野においてよく知られている。同様に、本発明によって、エピトープにおける単一アミノ酸交換さえ特異的に認識する抗体を、前記のよく知られた方法によって産生しうる。
【0048】
前記を考慮して、より好ましい態様において、本発明の抗体はモノクローナルまたはポリクローナル抗体である。
【0049】
本発明は、少なくとも1つの前記の本発明のポリヌクレオチド、本発明の遺伝子または本発明のベクターを含んでなるトランスジェニック非ヒト動物にも関する。
本発明は、トランスジェニック非ヒト動物の作製法も含み、該方法は、本発明のポリヌクレオチドまたはベクターを生殖細胞、胚性細胞、幹細胞または卵子またはそれらから誘導した細胞に導入することを含んでなる。非ヒト動物を下記の本発明の方法によって使用することができ、該動物は、健康な非トランスジェニック動物であるかまたは疾患または障害を有していてもよく、該疾患は、本発明の遺伝子における少なくとも1つの変異によって生じた疾患であるのが好ましい。そのようなトランスジェニック動物は、例えば、前記の変異ポリペプチドの変異形態に関する薬物の薬理学的調査に好適であり、なぜなら、これらのポリペプチドまたは少なくともそれらの機能ドメインは、上位真核生物、特に哺乳動物における種間に保存されるからである。トランスジェニック胚の作製およびそれらのスクリーニングは、例えば、A. L. Joyner 編, Gene Targeting,A Practical Approach (1993), Oxford University Pressに記載のように行うことができる。胚のDNAは、例えば、適切なプローブを使用するサザンブロットを使用するか、またはPCR法に基づいて、解析することができる。
本発明のトランスジェニック非ヒト動物は、本発明の、または前記方法によって得られるポリヌクレオチドまたはベクターを含んでなるトランスジェニックマウス、ラット、ハムスター、イヌ、サル、ウサギ、ブタ、カエル、線虫、例えばCaenorhabditis elegans、ミバエ類、例えばDrosophila melanogaster、または魚、例えばシビレエイまたはゼブラフィッシュであり、それらにおいて、好ましくは該ポリヌクレオチドまたはベクターの存在が本発明の変異ポリペプチドの発現を生じるように、該ポリヌクレオチドまたはベクターが該非ヒト動物のゲノムに安定に組み込まれているのが好ましい。それは、同じかまたは異なる本発明のポリヌクレオチドまたは遺伝子の1つまたはいくつかのコピーを含んでよい。この動物は、心臓血管研究用の研究モデルを含む多くの用途を有し、従って、心臓血管障害によって生じた疾患の療法、処置等の開発における新規かつ貴重な動物を提供する。従って、この場合、哺乳動物はマウスまたはラットのような実験用動物であることが好ましい。
【0050】
従って、好ましい態様において、本発明のトランスジェニック非ヒト動物は、マウス、ラットまたはセブラフィッシュである。
多くの報告は、該動物が、薬物代謝および輸送およびその欠乏または癌の研究用のモデル生体として特に適していることを示している。都合のよいことに、トランスジェニック動物は、該モデル生体を使用して、当分野でよく知られている種々の好適な方法が利用可能であることによって、容易に作製することができる。
【0051】
本発明は、固定化形態の本発明の1つまたは複数のポリヌクレオチド、遺伝子、ベクター、ポリペプチド、抗体または宿主細胞を含んでなる固相支持体にも関する。
本明細書において使用される「固相支持体」という用語は、該固定化標的を運ぶのに好適な可撓性または非可撓性支持体を意味する。該固相支持体は、均質または不均質であってよい。例えば、該固相支持体は、例えば可撓性および固定化に関して、同じかまたは異なる特性を有する種々の材料からなるものでもよく、または、該固相支持体は、可撓性および固定化特性も含む複数の特性を示す1つの材料から構成してもよい。そのような支持体は、当分野でよく知られており、特に、商業的に入手可能なカラム材料(column materials)、ポリスチレンビーズ、ラテックスビーズ、磁性ビーズ、コロイド金属粒子、ガラスおよび/またはシリコンチップおよび表面、ニトロセルロースストリップ、膜、シート、ジュラサイト(duracytes)、反応トレーの穴および壁、プラスチックチューブ等が挙げられる。よく知られた担体の例は、ガラス、ポリスチレン、ポリ塩化ビニル、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリカーボネート、デキストラン、ナイロン、アミロース、天然および改質セルロース、ポリアクリルアミド、アガロースおよび磁鉄鉱である。該固相支持体は、ガラス−、ポリプロピレン−またはシリコン−チップ、膜、オリゴヌクレオチド結合ヒーズまたはビーズアレイ(bead arrays)を含みうる。
「固定化」という用語は、目的とする分子種が、固相支持体に固定されている、好ましくはそれに共有結合していることを意味する。この共有結合は、分子種の分子性質に依存する種々の手段によって得ることができる。さらに、分子種は、静電力、疎水的または親水的相互作用、ファン・デル・ヴァールス力、またはフォトリソグラフィーによって、固相支持体に固定することもできる。前記の物理化学的相互作用は、一般に分子間の相互作用において生じる。例えば、前記のタイプの相互作用によって、ビオチニル化ポリペプチドを、アビジン被覆固相支持体に固定しうる。さらに、抗体のようなポリペプチドを、抗体被覆固相支持体に固定してもよい。さらに、固定化は、固相支持体の化学的特性にも依存する。例えば、核酸分子を、紫外線架橋、フォトリソグラフィーまたは加熱のような標準法によって、膜に固定することができる。
【0052】
本発明の好ましい態様において、該固相支持体は膜であり、ガラス−またはポリプロピレン−またはシリコン−チップは、光学フィルター基材に結合させた(assembled)オリゴヌクレオチド結合ビーズまたはビーズアレイである。
【0053】
さらに、本発明は、多型を同定するインビトロの方法に関し、該方法は、下記の工程を含んでなる:
(a)本発明のポリヌクレオチドまたは遺伝子を、個体の複数のサブグループから分離する工程であって、1つのサブグループは、OCT1関連疾患への有病性を有さず、少なくとも1つまたはそれ以上の他のサブクループはOCT1関連疾患への有病性を有している工程;および
(b)OCT1関連疾患への有病性を有さない該1つのサブグループの該ポリヌクレオチドまたは該遺伝子の核酸配列を、OCT1関連疾患への有病性を有する該少なくとも1つまたはそれ以上の他のサブクループと比較することによって、多型を同定する工程。
【0054】
本明細書において使用される「有病性(prevalence)」という用語は、個体が、OCT1機能不全または調節不全に関係した1つまたはそれ以上の疾患に罹患性であるか、または1つまたはそれ以上の該疾患を既に有していることを意味する。それによって、1つのOCT1関連疾患を使用して、他のOCT1関連疾患への罹患性を決定することができ、例えば、OCT1変異体によって変化した薬物輸送は、例えば輸送体OCT1の基質である化合物の異常な血清および/または細胞内濃度によって生じる疾患への、有病性を示唆しうる。さらに、該疾患の発症についての有病性を示唆する症状は、当分野において極めてよく知られており、Pschyrembel, Stedman and Harrison's(Principles of internal medicine 第15版(2001), McGraw Hill, ISBN 0-07-0025113490)のような標準医学教本に充分に記載されている。都合のよいことに、OCT1機能不全または調節不全、またはそれに基づく1つまたはそれ以上の疾患に関連した本発明の多型は、該疾患への有病性を有さないサブグループと比較して、該疾患への有病性を有する個体サブグループにおいて多いはずである。従って、前記の方法は、1つまたはそれ以上のOCT1関連疾患またはそれへの罹患性を示唆する多型の、迅速かつ信頼性のある検出を可能にする。
都合のよいことに、表現型を前もって選択することによって、有病性を有さない多数の個体を、多型に関して一般に選別しうる。それによって、1つまたはそれ以上のOCT1関連疾患に相関しない多型を含む基準配列を得ることができる。該基準配列に基づいて、効率的かつ信頼性をもって関連多型を決定することができる。
【0055】
さらなる態様において、本発明は、OCT1ポリペプチドの分子変異体の活性を調節しうるプロドラッグまたは薬物を同定し、得る方法に関し、該方法は下記の工程を含んでなる:
(a)本発明のポリペプチド、本発明の固相支持体、本発明のポリヌクレオチドを含む分子変異体遺伝子を発現する細胞、本発明の遺伝子またはベクターを、薬物活性に反応して検出可能なシグナルを与えうる成分の存在下に、プロドラッグまたは薬物の活性に関して選別すべき化合物に接触させる工程;および
(b)プロドラッグまたは薬物の活性によって生じるシグナルの存在または非存在、あるいはシグナルの増加または減少を検出する工程であって、シグナルの非存在、存在、増加または減少が、推定プロドラッグまたは薬物であることを示唆する工程。
【0056】
本発明の方法における「化合物」という用語は、同定され得るかまたはされ得ない単一の物質または複数の物質を包含する。該化合物は、化学的に合成しうるか、または微生物発酵によって作製しうるが、例えば、試料、例えば、植物、動物または微生物からの細胞抽出物に含まれることもある。さらに、該化合物は、それぞれ、当分野において既知であるが阻害剤として有効であることがこれまで知られていないものであり得る。複数の化合物を、例えば、培地に添加しうるか、または本発明の細胞または非ヒト動物に注射しうる。
化合物を含有する試料を本発明の方法で同定する場合、目的とする化合物を含有することが確認されている原試料から化合物を分離することができるか、または、例えばそれが複数の異なる化合物からなる場合、原試料をさらに再分割して1試料当たりの異なる物質の数を減らし、原試料の再分割部分を使用してその方法を繰り返すことができる。次に、例えば、本明細書または文献(Spectorら、Cells manual、前記参照)に記載されている方法によって、該試料または化合物が、所望の特性を示すかどうかを決定することができる。試料の複雑性に依存して、好ましくは本発明の方法によって同定した試料が限定された数かまたは唯1つの物質を含有するようになるまで、前記の工程を数回行うことができる。好ましくは、該試料は、同様の化学的および/または物理的特性の物質を含み、最も好ましくは、該物質は同じである。本発明の方法は、例えば、先行文献に記載されている他の細胞に基づくアッセイによるか、または本明細書に記載されている方法を使用し改変することによって、当業者によって容易に実施でき、設計できる。さらに、本発明の方法を実施するためにどのような付加的化合物(例えば、必要であれば、特定化合物を先駆物質に変換する酵素)を使用しうるかを当業者は容易に理解する。本発明の方法のそのような調整は、充分に当業者の技術範囲内であり、過度の実験を行わずに行うことができる。
【0057】
本発明に使用できる化合物は、ペプチド、タンパク質、核酸、抗体、小有機化合物、リガンド、ペオチド擬似体、PNA等を包含する。該化合物は、本発明のアゴニストまたはアンタゴニストとして作用しうる。該化合物は、既知の薬物の機能誘導体(functional derivatives)または類似体であることもできる。化学誘導体および類似体の作製法は、当業者によく知られており、例えば、Beilstein, Handbook of Organic Chemistry, Springer edition New York Inc., 175 Fifth Avenue, New York, N.Y. 10010 U.S.A.およびOrganic Synthesis, Wiley, New York, USAに記載されている。さらに、該誘導体および類似体は、当業者に既知であるかまたは記載されている方法によって、それらの作用について試験することができる。さらに、例えば下記に記載の方法によって、ペプチド擬似体および/または適切な薬物誘導体および類似体のコンピュータ補助設計を使用することもできる。そのような類似体は、既知のOCT1基質および/または阻害剤および/または調節剤の基礎構造を有する分子を含む(下記参照)。
相補的構造モチーフのコンピュータ補助探索による、推定阻害因子と本発明のポリペプチドとの相互作用部位の同定のために、適切なコンピュータプログラムを使用することができる(Fassina, Immunomethods 5(1994), 114-120)。タンパク質およびペプチドのコンピュータ補助設計用の他の適切なコンピュータシステムは、先行文献、例えば、Berry, Biochem. Soc. Trans. 22(1994), 1033-1036;Wodak, Ann, N.Y. Acad. Sci. 501(1987), 1-13;Pabo,Biochemistry 25 (1986), 5987-5991に記載されている。前記コンピュータ解析から得た結果を、本発明の方法と組み合わせて使用して、例えば、既知の阻害剤、類似体、アンタゴニストまたはアゴニストを最適化することができる。例えば本明細書に記載されている方法によって、連続化学修飾によるペプチド擬似体コンビナトリアルライブラリーの合成および得られた化合物の試験によって、適切なペプチド擬似体および他の阻害剤を同定することもできる。ペプチド擬似体コンビナトリアルライブラリーの作製および使用の方法は、先行文献、例えば、Ostresh, Methods in Enzymology267(1996), 220-234およびDorner, Bioorg. Med. Chem. 4(1996), 709-715に記載されている。さらに、該化合物および本発明のポリペプチドの三次元および/または結晶学的構造を、ペプチド擬似薬の設計に使用することができる(Rose, Biochemistry 35(1996), 12933-12944;Rutenber, Bioorg. Med. Chem. 4(1996), 1545-1558)。例えば化学的または生化学的標準法によって、該化合物を得る方法は極めてよく知られている。従って、該化合物を形成または作製する方法も本発明の方法に含まれる。要約すれば、本発明は、輸送体OCT1の基質である化合物の異常な血清および/または細胞内濃度によって生じるOCT1関連疾患の特定形態の治療のために、特定用量で使用される化合物を同定し、得る方法を提供する。
【0058】
前記の定義は、必要な変更を加えて、以下に記載する全ての方法に適用される。
【0059】
さらなる態様において、本発明は、OCT1ポリペプチドの分子変異体の活性の阻害剤を同定し、得る方法に関し、該方法は下記の工程を含んでなる:
(a)本発明のタンパク質、固相支持体、またはポリヌクレオチドを含む分子変異体遺伝子を発現する細胞、または本発明の遺伝子またはベクターを、薬物活性に反応して検出可能なシグナルを与えうる成分の存在下に、阻害活性に関して選別すべき化合物に接触させる工程;および
(b)阻害活性によって生じるシグナルの存在または非存在、あるいはシグナルの増加または減少を検出する工程であって、シグナルの非存在または減少が、推定阻害剤であることを示唆する工程。
【0060】
本発明の方法の好ましい態様において、該細胞は、本発明の方法によって得られるか、または上記のようにトランスジェニック非ヒト動物から得られる細胞である。
【0061】
またさらなる態様において、本発明は、OCT1ポリペプチドの分子変異体の活性を調節しうるプロドラッグまたは薬物を同定し、得る方法に関し、該方法は下記の工程を含んでなる:
(a)本発明の方法により得られた宿主細胞、細胞、本発明のポリペプチドまたは固相支持体と、OCT1ポリペプチドと結合することが知られている第一の分子とを接触させ、該ポリペプチドと該第一の分子との第一の複合体を形成する工程;
(b)該第一の複合体とスクリーニング対象の化合物とを接触させる工程;および
(c)該化合物が該第一の複合体の該第一の分子と置き換わるか否かを測定する工程。
【0062】
好都合には、該方法において、該測定工程が、該タンパク質と該阻害剤候補との第二の複合体の形成を測定することを含む。好ましくは、該測定工程は、該タンパク質に結合していない該第一の分子の量を測定することを含む。
【0063】
前記方法の特に好ましい態様において、該第一の分子は、例えば放射性または蛍光標識を有する、本発明のポリペプチドのアゴニストまたはアンタゴニストまたは基質および/または阻害剤および/または調節剤である。
【0064】
さらに他の態様において、本発明は、OCT1ポリペプチドの分子変異体の活性を調節しうる阻害剤を同定し、得る方法に関し、該方法は下記の工程を含んでなる:
(a)本発明の方法により得られた宿主細胞または細胞、本発明のタンパク質または固相支持体と、OCT1ポリペプチドと結合することが知られている第一の分子とを接触させ、該タンパク質と該第一の分子との第一の複合体を形成する工程;
(b)該第一の複合体とスクリーニング対象の化合物とを接触させる工程;および
(c)該化合物が該第一の複合体の該第一の分子と置き換わるか否かを測定する工程。
【0065】
本発明の方法の好ましい態様において、該測定工程は、該タンパク質と該化合物との第二の複合体の形成を測定することを含む。
【0066】
本発明の方法の他の好ましい態様において、該測定工程は、該タンパク質に結合していない該第一の分子の量を測定することを含む。
【0067】
本発明の方法のより好ましい態様において、該第一の分子が標識される。
【0068】
さらに、本発明は医薬組成物の作製方法にも関し、該方法は、前記方法の工程、および同定して得られた化合物またはその誘導体を医薬的に許容される形態に製剤化する追加工程を含んでなる。
本発明の方法によって同定された治療的に有用な化合物を、前記のように、配合し、患者に投与することができる。使用、および当業者によって適切であると判断される治療用量、および「医薬組成物」の定義については、下記を参照。
さらに、本発明は医薬組成物の作製方法も含み、該方法は、前記方法の工程、ならびに治療的適用および本発明の方法で診断された患者の疾患の予防または回復に好適な形態に薬物またはプロドラッグを製剤化することを含んでなる。
インビボ投与後の薬物またはプロドラッグは代謝されて、排泄によるかまたは1つまたはそれ以上の活性または不活性代謝産物への代謝によって除去される(Meyer, J. Pharmacokinet. Biopharm.24(1996), 449-459)。従って、本発明の方法によって同定し、得た実際の化合物または阻害剤を使用するよりむしろ、患者において活性に変換されるプロドラッグのような対応する配合物を使用することができる。プロドラッグおよび薬物の適用に関してとりうる予防策は、文献に記載されている(概観のために、Ozama, J. Toxicol. Sci. 21(1996), 323-329参照)。
本発明の方法の好ましい態様において、該薬物またはプロドラッグは、以下に記載する医薬の誘導体である。
【0069】
本発明は、OCT1遺伝子の分子変異体の存在に関係した疾患、またはそのような疾患への罹患性を診断する方法にも関し、該方法は、被験体由来の試料における本発明のポリヌクレオチドまたは遺伝子の存在を決定することを含んでなる。
本発明のこの態様によれば、疾患の状態またはそのような疾患への罹患性を試験する方法を、本発明のポリヌクレオチド遺伝子または核酸を使用することによって、例えばサザンまたはノザンブロットまたはインサイチュ解析の形態において、行うことができる。該核酸配列は、遺伝子のコード領域または非コード領域、例えばイントロンに、ハイブリダイズしうる。相補配列を本発明の方法に使用する場合、該核酸分子を再びノザンブロットに使用することができる。さらに、該試験を、例えば遺伝子の転写の、実際のブロッキングと共に行うことができ、従って治療的適切性を有すると期待される。さらに、プライマーまたはオリゴヌクレオチドも、前記OCT1遺伝子または対応するmRNAの1つにハイブリダイズするのに使用することができる。ハイブリダイゼーションに使用される核酸は、当然、例えば放射性マーカーまたは他のマーカーを組み込むかまたは結合させることによって、簡便に標識することができる。そのようなマーカーは当分野でよく知られている。該核酸分子の標識付けは、従来法によって行うことができる。
【0070】
さらに、変異OCT1遺伝子の存在または発現は、いずれかの対応する核酸配列に特異的にハイブリダイズするプライマー対を使用することによって、および標準法によってPCR反応を行うことによって、監視することができる。前記のプローブまたはプライマーの特異的ハイブリダーゼーションは、好ましくは、ストリンジェントなハイブリダイゼーション条件において行われる。用語「ストリンジェントなハイブリダイゼーション条件」は、当分野でよく知られている(例えば、Sambrookら、「Molecular Cloning, A LaboratoryManual」第2版、CSH Press, Cold Spring Harbor, 1989;「Nucleic Acid Hybridization, A Practical Approach」、HamesおよびHiggins編、IRL Press, Oxford, 1985参照)。さらに、被験体から得たmRNA、cRNA、cDNAまたはゲノムDNAを塩基配列決定して、(本発明のポリヌクレオチドまたは遺伝子における変異の特徴的フィンガープリントになりうる)変異を同定しうる。本発明は、被験体から得たDNAまたはRNAのRFLPによって、そのようなフィンガープリントを生じさせる方法をさらに含み、任意に、DNAまたはRNAを解析前に増幅させてよく、その方法は当分野でよく知られている。RNAフィンガープリントは、例えば、被験体から得たRNA試料を、好適なRNA酵素、例えば、RNase T1、RNase T2等またはリボザイムを使用して消化し、そして、例えば電気泳動的に分離し、前記のようにRNA断片を検出することにより行われる。
本発明の前記態様のさらなる変更は、なんら過度の実験を行わずに、本発明の開示(例えば実施例参照)から、当業者によって容易に考案できる。本発明のさらなる態様は、本発明の抗体またはその断片を使用することによって該決定を行う方法に関する。本発明の方法に使用される抗体は、ヒスチジンフラグ(flags)またはビオチン分子のような検出可能なタグで標識しうる。
【0071】
本発明は、OCT1遺伝子の分子変異体体の存在に関係した疾患、またはそのような疾患への罹患性を診断する方法に関し、該方法は、被験体由来の試料における本発明のポリペプチドまたは抗体の存在を決定することを含んでなる。
【0072】
診断法の好ましい態様において、輸送体OCT1の基質である化合物の異常な血清および/または細胞内濃度の結果として、該疾患が、副作用、または薬物療法の減少した活性、または薬物療法の不活性を含む。
【0073】
本発明の他の好ましい態様において、前記の方法は、DNA塩基配列決定、ハイブリダイゼーション法、PCRに基づくアッセイ、蛍光染料および消光剤に基づくPCRアッセイ(Taqman PCR検出系)、RFLPに基づく方法、一本鎖コンホメーション多型(SSCP)、変性勾配ゲル電気泳動(DGGE)、温度勾配ゲル電気泳動(TGGE)、化学不適正開裂(CMC)、ヘテロ二本鎖解析に基づく系、質量解析に基づく方法、侵襲性開裂アッセイ、多型率塩基配列決定(PRS)、マイクロアレイ、ローリングサークル伸長アッセイ、HPLCに基づく方法、DHPLCに基づく方法、オリゴヌクレオチド伸長アッセイ(OLA)、伸長に基づくアッセイ(ARMS(増幅不応性変異系)、ALEX(増幅不応性変異線状伸長)、SBCE(単一塩基鎖伸長))、分子ビーコン(beacon)アッセイ、インベーダー(サードウェーブ(Third wave)法)、リガーゼ連鎖反応アッセイ、5'-ヌクレアーゼアッセイに基づく方法、ハイブリダイゼーションキャピラリーアレイ電気泳動(CAE)、ピロシーケンシング(pyrosequencing)、タンパク質トランケーションアッセイ(PTT)、免疫学的検定法、ハプロタイプ解析、および固相ハイブリダイゼーション(ドットブロット、リバースドットブロット、チップ)を含む。該方法は、当分野において極めてよく知られている。
【0074】
さらに、本発明は、試料における、本発明のポリヌクレオチドまたは遺伝子の検出方法に関し、該方法は下記の工程を含んでなる:
(a)本発明のポリヌクレオチドまたは遺伝子と固相支持体上の固定化標的との相互作用を可能にする条件下に、前記の固相支持体を試料に接触させる工程;および
(b)該ポリヌクレオチドまたは該遺伝子の、固相支持体上の該固定化標的への結合を測定する工程。
【0075】
本明細書に記載されている「接触させる」という語句は、固相支持体上の固定化標的と、試料に存在する本発明のポリヌクレオチドまたは遺伝子との直接接触を可能にする全ての方法を含む。好ましくは、接触は、液体またはゲル中か、または少なくとも湿った雰囲気中で行う。固定化標的と、試料に存在する本発明のポリヌクレオチドまたは遺伝子との相互作用を可能にするかまたは増加させる好適な緩衝剤を、液体またはゲルに補充していてもよい。この目的に好適な液体またはゲルは当分野でよく知られており、例えば、Cheung, Nat. Genet. 21(1999), 15-9に記載されている。より好ましくは、電場を使用して、固定化標的と試料との接触を促進する。
「相互作用を可能にする条件」という語句は、好ましくは、特異的相互作用が生じる条件を意味する。例えば米国特許第6287850号に開示されているように、相互作用の特異性は、原理的に、培養液のイオン強度、温度、電場によって制御されるか、または使用される攪拌システムに依存する。当業者は、日常試験によって、検出に好適な条件を調整することができる。好ましくは「相互作用を可能にする条件」という語句は、リガーゼによるかまたは化学的または光化学的反応によって、ポリヌクレオチドを結合させる反応を意味する。検出のために、蛍光、化学発光、質量分光測定法、ならびに導電率および電子的方法を包含する方法を、例えばWatson, Current opinion in Biotechnology 9(1998), 609-614に記載のように、使用することができる。
【0076】
本発明は、前記の方法の工程を含んでなるインビトロ疾患診断法にも関し、該方法において、該支持体上の該固定化標的への該ポリヌクレオチドまたは遺伝子の結合は、該疾患の存在または非存在、または該疾患への有病性を示す。
【0077】
さらに、本発明は、本発明のポリヌクレオチド、遺伝子、ベクター、ポリペプチドまたは抗体を含んでなる診断組成物にも関する。
さらに、本発明は、本発明のポリヌクレオチド、遺伝子、ベクター、ポリペプチドまたは抗体を含んでなる医薬組成物にも関する。
例えば抗体を含んでなるこれらの医薬組成物は、都合のよいことに、薬物投与に一般に使用される任意の経路、例えば、経口的、局所的、非経口的に、または吸引によって、投与しうる。許容される塩としては、酢酸塩、メチルエステル、HCl、硫酸塩、塩化物等が挙げられる。化合物は、従来法によって薬物と標準医薬担体とを組み合わすことによって作製される慣用的な投与形態において投与しうる。これらの方法は、所望される調製物に適した成分を、混合し、粒状化し、そして圧縮するかまたは溶解させる工程を含みうる。医薬的に許容される担体または希釈剤の形態または特性は、それと組み合わされる活性成分の量、投与経路、またはよく知られた他の変化物によって決まることは理解される。担体は、製剤の他の成分に適合性であり、それの受容者に有害でないという意味において、「許容される」ものでなければならない。使用される医薬担体は、例えば、固体または液体であってよい。固体担体の例は、ラクトース、白土、スクロース、タルク、ゼラチン、寒天、ペクチン、アカシア、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸等である。液体担体の例は、リン酸緩衝生理食塩水、シロップ、落花生油およびオリーブ油のような油、水、エマルジョン、種々のタイプの湿潤剤、滅菌溶液等である。
同様に、担体または希釈剤は、当分野でよく知られている遅延物質、例えば単独かまたはワックスと共に使用されるグリセリルモノステアレートまたはグリセリルジステアレートを包含しうる。投薬計画は、主治医および他の臨床的要因によって、好ましくは前記の方法のいずれか1つによって、決められる。医学分野でよく知られているように、ある1人の患者の投与量は、患者の体格、体表面積、年齢、投与される特定化合物、性別、投与時刻および経路、全身的健康状態、および併用投与される他の薬物を包含する多くの要因に依存する。経過は、定期的評価によって監視されうる。
さらに、本発明のポリヌクレオチドまたは遺伝子の変異型をコードするRNAに特異的にハイブリダイズするアンチセンスオリゴヌクレオチドを含んでなるか、または本発明の変異ポリペプチドを特異的に認識するが、機能的野生型形態を認識しないかまたは実質的に認識しない抗体を含んでなる医薬組成物の使用は、細胞における変異形態の濃度を減少すべき場合に考えられる。
本発明により、具体的な薬物の選択、投薬計画、および対応する治療すべき患者を、本発明によって決めることができる。考慮される患者群に依存して処方者が用量調整を予測しうるようにすることによって、間違った薬物を間違った患者に間違った用量で処方するのを防止する情報と共に、投薬提案が製剤ラベルに示される。
【0078】
他の態様において、本発明は、疾患の診断用の診断組成物の作製における、本発明のポリヌクレオチド、遺伝子、ベクター、ポリペプチド、配列番号:18、19、20、21、22、23、24、25、26または27のポリヌクレオチド配列を有するポリヌクレオチド、配列番号:34または35のポリペプチド、または抗体の使用に関する。
【0079】
さらなる態様において、本発明は、疾患の治療用の医薬組成物の作製における、本発明のポリヌクレオチド、遺伝子、ベクター、ポリペプチド、配列番号:18、19、20、21、22、23、24、25、26または27のポリヌクレオチド配列を有するポリヌクレオチド、配列番号:34または35のポリペプチド、または抗体の使用に関する。
【0080】
本発明の機能的かつ発現可能なポリペプチドをコードする遺伝子を、細胞に導入することができ、次に、この細胞が目的とするタンパク質を産生する。治療遺伝子をエクスビボまたはインビボ法によって細胞に導入することに基づく遺伝子治療は、遺伝子導入の最も重要な適用の1つである。インビトロまたはインビボ遺伝子治療に好適なベクターおよび方法は、文献に記載されており、当業者に既知である(例えば、下記文献を参照:Giordano, Nature Medicine 2(1996), 534-539;Schaper, Circ. Res. 79(1996),911-919;Anderson, Science 256(1992),808-813;Isner, Lancet 348(1996),370-374;Muhlhauser, Circ. Res. 77(1995), 1077-1086;Wang, Nature Medicine 2(1996), 714-716;WO 94/29469;WO 97/00957またはSchaper, Current Opinion in Biotechnology 7(1996), 635-640、およびそれらに引用されている文献)。遺伝子は、細胞への直接導入、またはリポソームまたはウイルスベクター(例えば、アデノウイルス、レトロウイルス)による導入用に、設計しうる。好ましくは、該細胞を、生殖系細胞、胚性細胞または卵細胞であるかあるいはそれらから誘導され、最も好ましくは、該細胞は幹細胞である。
前記から明らかなように、本発明の使用において、特定細胞への本発明のポリペプチドの発現および/またはターゲッティングを可能にする調節因子に、核酸配列を作動可能に連結させることが好ましい。本発明に使用しうる好適な遺伝子送達系は、特に、リポソーム、受容体媒介送達系、裸のDNA、およびウイルスベクター、例えば、ヘルペスウイルス、レトロウイルス、アデノウイルスおよびアデノ随伴ウイルスを包含しうる。遺伝子治療のための、体の特定部位への核酸の輸送は、Williams(Proc. Natl. Acad. Sci. USA 88(1991),2726-2729)によって記載されているようなバイオリステック送達系を使用して行ってもよい。組換えDNAで細胞をトランスフェクションする標準法は、分子生物学の当業者に知られている(例えば、WO 94/29469参照;前記も参照)。遺伝子治療は、本発明の組換えDNA分子またはベクターを患者に直接投与することによるか、または本発明のポリヌクレオチドまたはベクターで細胞をエクスビボでトランスフェクションし、トランスフェクションされた細胞を患者に注入することによって、実施しうる。
【0081】
本発明の使用のより好ましい態様において、該疾患は、輸送体OCT1の基質である化合物の異常な血清および/または細胞内濃度の結果としての、副作用、または薬物療法の減少した活性または不活性を含む。
【0082】
最後に、本発明は、本発明のポリヌクレオチド、遺伝子、ベクター、ポリペプチド、抗体、宿主細胞、トランスジェニック非ヒト動物または固相支持体を含んでなる単一ヌクレオチド多型の検出用の診断キットに関する。
本発明のキットは、さらなる成分、例えば、選択マーカー、およびトランスジェニック細胞および動物の作製に好適な選択培地の成分を含有しうる。本発明のキットは、本発明の方法を実施するのに使用することができ、特に、種々の用途、例えば、診断分野においてまたは研究ツールとして使用しうる。本発明のキットのパーツは、各成分に依存してバイアルまたは他の適切な手段に個々に装填するか、または好適な容器または多容器ユニットにおいて組み合わせて装填することができる。キットの作製は、好ましくは、当業者に既知の標準法によって行う。キットは、前記の本発明の方法のいずれか1つによってポリペプチド、遺伝子またはポリヌクレオチドの変異形態の発現を検出する方法に使用でき、例えば、前記または実施例に記載されているような、免疫学的方法、例えば、ラジオイムノアッセイまたは酵素免疫法、あるいは好ましくは核酸ハリブリダイゼーションおよび/または増幅法、ならびに本発明の非ヒトトランスジェニック動物を使用した場合の薬物動態試験を使用して検出する。
【0083】
本明細書に記載されている核酸およびアミノ酸配列を、下記の表1〜4に示す。
【表1】

【0084】
【表2】

【0085】
【表3】

【0086】
【表4】

【0087】
図面は本発明を説明している。
【0088】
例示するものにすぎず本発明の範囲を限定するものと理解すべきでない下記の生物学的実施例を参照して、本発明を説明する。
【実施例】
【0089】
実施例1:ヒト有機カチオン輸送体OCT1の変異の同定
多特異性カチオン輸送体OCT1(SLC22A1)をコードする遺伝子における遺伝的変異の系統的スクリーニングを、白人個体において行った。そのために、倫理的承認および書面でのインフォームドコンセントの後に、57人の健康な(病歴、臨床検査および日常実験室パラメータに基づく)白人(平均(標準偏差)年齢43.1(17.6)、男性40人、女性17人)から血液を採取した。190人の健康な白人(平均(標準偏差)年齢38.8(11.3)、男性129人、女性61人)の第二群を、同じ医学的、臨床的、実験的および倫理的原則によって集めて、選択した遺伝子型の集団頻度を確定した。Qiampシステム(Qiagen, Hilden, Germany)をQiagen 9604ロボットに使用して、DNAを単離した。特定OCT1遺伝子(Genbankアクセッション番号 GI:9581607)の増幅用のオリゴヌクレオチドプライマーを使用して、塩基配列決定によって多型の同定を行い、断片(11エキソンおよび2kbのプロモーター領域)を、完全エキソンおよび少なくとも50bpの各隣接イントロンに及ぶように設計した。精製したPCR断片のDNA配列を、ABI3700キャピラリーシーケンサー(ABI, Weiterstadt, Germany)によって得、phredPhrapソフトウェア(University of Washington)を使用して合成(assemble)した。
【0090】
OCT1遺伝子断片を特異的に増幅するのに使用したプライマーの配列を、表5に示す。
【0091】
少なくとも50bpの隣接イントロンおよび2kbのプロモーターを含有するOCT1の全11エキソンを塩基配列決定することによって、25のヌクレオチド変異を検出した。16の変異について、追加の190人の白人を解析することによって、集団頻度を確定した。変異の位置およびそれらの遺伝子型頻度を、表6に示す。3つの変異がプロモーター領域に存在し、10の変異がコード領域に存在し、12の変異がイントロンに存在した。これらの変異のうちの8つはアミノ酸交換を生じ、いくつかの変異は全調査対象において関連していた。変異Met408Valは17939位におけるTGGTAAGTの欠失に関連し、イントロン9におけるSNP 33012G>Tはエキソン10におけるサイレント変異34044G>Aに関連し、プロモーターにおける-1795G>A置換はエキソン1におけるサイレント156T>C変異に関連し、イントロン2における10270C>Tはイントロン5における14602C>T置換に関連している。
【0092】
【表5】

【0093】
【表6】

GenBankアクセッション番号GI:9581607のゲノム配列を基準配列として使用し、GI:4506998はOCT1のcDNA配列を与える。GI:9581607におけるエキソン3および4の不正確注釈は、本発明者らの解析に影響を与えなかった。ヌクレオチド番号付けのために、ATG開始コドン(GI:9581607の108950-108952位)のAを+1で表す。Aの後の第一ヌクレオチドを+2で表し、ATGのAの前の第一ヌクレオチドを-1で表す。*は、National Center of Biotechnology InformationのSNPデータベースにも示されているが、検証されていない変異を示す。 機能について解析。大溶質促進物質(major solute facilitators)のスーパーファミリーに保存されているTMD8と9の間の細胞内ループ。 57人の対照を調査。 247人の被験体を調査。TMD:膜貫通型ドメイン。N:首尾よく遺伝子型決定された対象の数。Wt:基準遺伝子型(GI:9581607およびGI:251169)用のホモ接合体。Het:ヘテロ接合遺伝子型。Mut:変異用のホモ接合体。
【0094】
実施例2:ヒト有機カチオン輸送体OCT1の変異の機能的結果
輸送測定によって、OCT1変異体を機能的に特性付けするために、特定部位変異誘発を使用して、ツメガエル属卵母細胞におけるOCT1およびOCT1変異体の組換え発現用プラスミドを作製した。全体として、5つのミスセンス変異を輸送測定によって特性付けした。予測される第9膜貫通型ドメイン(TMD)および第5細胞内ループにおける点変異を除外したが、その理由は、ラットのOCT1における点変異は、これらの変異が機能変化を生じないことを示したからである(非公開データ)。特性付けした変異を、大細胞外ループ(Arg61Cys、Cys88Arg)、TMD 2(Phe160Leu)、TMD 8と9の間の高度保存短細胞内ループ(Koepsell, J. Membr. Biol. 167(1999),103-117, Gorboulev, DNA Cell Biol. 16(1999), 871-881)(Gly401Ser)、およびTMD 9(Met420del)に局在化させる。
重複伸長法を使用してPCRによって、点変異を野生型(wt)OCT1に導入し、Gorboulevら(Gorboulev, DNA Cell Biol. 16(1999), 871-881)に記載のように、変異を有する増幅物(amplificates)をOCT1 wtにクローン化した。OCT1変異の存在を、DNA塩基配列決定、および/またはXenopus laevis卵母細胞における発現によって確認し、OCT1 wtおよびOCT1変異体を、適切なベクター系にクローン化した(Arndt, Am J. Physiol. Renal Physiol. 281(2001), F454-468)。Xenopus laevis卵母細胞における発現のために、OCT1 wtおよび変異体を含有するpOG1ベクターを、Not Iで線状にし、センスcRNAを、記載されているように転写した(Arndt, Am. J. Physiol. Renal Physiol. 281(2001), F454-468)。デフォリキュレーション(defolliculation)の後、各cRNAを、10ng/卵母細胞で卵母細胞に注入した。16℃で3日間培養した後、[3H]MPP、[14C]TEAおよび[3H]セロトニンを使用して取込みの測定を行った。100μMの阻害因子シアニン863の存在または非存在において、指定の基質濃度を使用して、卵母細胞を30分間培養した。同じバッチからの卵母細胞を使用して、サイド−バイ−サイド(side-by-side)実験において、変異体をOCT1 wtと比較した(Arndt, Am J. Physiol. Renal Physiol. 281(2001), F454-468)。各データポイントは、8〜10卵母細胞に対応した。ヒル式をデータに適合させることによって、K0.5値を推定した。平均値±標準偏差を示す。差異の有意性を、不対(unpaired)スチューデントのt検定によって検定した。
図1aは、変異体Arg61Cysによる0.1μM[3H]MPPの取込みが70%減少し、変異体Cys88ArgおよびGly401SerによるMPP取込みが98%以上減少したことを示す。これに対して、変異体Phe160LeuおよびMet420delによる0.1μM[3H]MPPの取込みは、OCT1 wtと有意に異ならず、野生型と同じ、基質活性についての半最大濃度(K0.5)値(図1b)および最大発現輸送率(データを示さず)を示した。Phe160Leu変異体について、OCT1 wtと比較して、同様のK0.5値(図1b)および32±16%(n=3)減少したVmax値が観測された。変異が基質選択性に作用するかどうか、およびCy88ArgおよびGly401Ser変異体が、他のカチオンをMPPよりよく輸送しうるかどうかを調査するために、本発明者らは、0.1μM[3H]MPP、10μM[14C]TEAおよび1μM[3H]セロトニンの取込みを、平行して、OCT1 wtと比較して、測定した。変異体Arg61Cys、Phe160LeuおよびMet420delについて、3つの独立実験において、基質選択性における有意な変化は検出されなかった(データを示さず)。これに対して、Cys88ArgおよびGly401Ser変異体について、基質特異性における有意な変化が観測された(図1c、d)。野生型と比較したこれらの変異体において、10μM TEAおよび1μMセロトニンの取込みは、0.1μM MPPの取込みより、減少が有意に少なかった。
【0095】
実施例3:ヒト有機カチオン輸送体OCT1の変異と薬物誘発胆汁うっ滞との相関
ヒトOCT1は、カチオンの肝臓取込みにおいて主要な役割をし(Briz, Mol. Pharmacol. 61(2002),853-860;Dresser, J. Pharm. Sci. 90(2001),397-421;Gorboulev, DNA Cell Biol. 16(1999),871-881, Koepsell, J. Membr. Biol. 167(1999), 103-117;van Montfoortl, J. Pharmacol.Exp. Ther. 298(2001),110-115)、間隙空間からの神経伝達物質の除去に関与し(Chen, J. Neurosci.21(2001), 6348-6361)、アセチルコリンの細胞放出を媒介し(Wessler, Br. J. Pharmacol.134(2001), 951-956)、プロスタグランジンの排出に関与している(Kimura, J. Pharmacol. Exp, Ther. 301(2002),293-298)。生理学的基質(アセチルコリン、セロトニン)を包含する種々の化合物ならびに薬物におけるこの直接的作用によって、OCT1の機能的に重要な変異が、逸脱した薬物作用の原因になりうるかまたはそれに寄与しうる。従って、OCT1変異は、OCT1変異体の保因者である個々の患者における、薬物活性の減少またはその反対に薬物の副作用の発生に関係しうる。変化した薬物動態の結果、薬物有効性、安全性および許容性に影響する薬物の持続時間および強度の増加が、機能的OCT1変異体の保因者において予測されうる。表7は、薬物誘発胆汁うっ滞に罹患した患者における、OCT1変異体の解析結果を示す。この患者コホートにおけるOCT1変異体の頻度を、薬物誘発胆汁うっ滞(DIC)が観察されない対照群と比較した。最も顕著なことは、Met408Val SNP(配列番号:24、35)および関連8bp欠失(配列番号:21)と、薬物誘発胆汁うっ滞の発生との有意な関連性である。これらの多型は、正常集団の30%で生じるにすぎないが、薬物誘発副作用を有する患者においては、多型の頻度は70%より大である。従って、これらのOCT1多型の診断は、薬物療法の副作用に遭遇する極めて高い個体リスクを、統計学的有意性をもって予測するのに有用である。このように、OCT1遺伝子型決定は、薬物療法の好ましくない副作用を予測し、それによって制御し防止するのに有効な手段として役立つ。OCT1多型と臨床的表現型との関連性の他の例は、対照と比較した、OCT1遺伝子の遺伝的変異体Gly401Serと、薬物療法の結果として肝副作用を有する患者との有意な相関である(表8)。
【0096】
【表7】

【0097】
薬物誘発胆汁うっ滞(DIC)の発症における、OCT1遺伝子のMet408Val多型の影響を調査するために、SNP-遺伝子型によって被験体を群分けした。対照とDIC患者と間において、AおよびG保因者の対立遺伝子頻度における有意差が観察できた(p=0.041)。有意差は、関連変異体17939delTGGTAAGTについても観察されている。
【0098】
【表8】

【0099】
肝毒性副作用の発症における、OCT1遺伝子のGly401Val多型の影響を調査するために、SNP-遺伝子型によって被験体を群分けした。群間の遺伝子型の分布は、統計学的に有意であり(p=0.025、フィッシャーの直接確立検定、2面)、肝毒性の発生におけるこの多型の関連性を反映している。有意差は、2群間のAおよびG担体の対立遺伝子頻度においても観察できた(p=0.012)。
【0100】
実施例4:多型の連関は、薬物誘発胆汁うっ滞に関連しているヒト有機カチオン輸送体OCT1の対立遺伝子およびハプロタイプを規定する。
いくつかの場合において、遺伝子の規定された遺伝的変異を、対応する表現型に直接関連付けることができる。しかし、多くの他の場合、ハプロタイプの決定、即ち、規定された対立遺伝子の組み合わせを知ることよって、単一多型の決定より多く表現型を予測しうることが知られている。従って、連関群および対立遺伝子へのOCT1対立遺伝子を、決定し、指定(assign)することが重要である。この情報は、次のハプロタイプ決定ならびに機能的対立遺伝子および変異対立遺伝子の同定に重要である。種々の個体において同定されたSNPの解析は、いくつかのOCT1 SNPが互いに関連していることを示す。これは、OCT1対立遺伝子を規定する:Met408Val多型は、17939位におけるTGGTAAGTの欠失に関連していることが見出され、イントロン9におけるSNP 33012G>Tはエキソン10における同義多型34044G>Aに関連し、プロモーターにおける-1795G>A置換はエキソン1における同義156T>C変異に関連し、イントロン2における10270C>Tはイントロン5における14602C>T置換に関連している。明らかに、これまでに見出されていない他のSNPも、これらの規定対立遺伝子のより大きい領域に存在することができるが、ここに記載した情報は、対立遺伝子および対立遺伝子クラスターを明確に同定するのに充分である。
薬物誘発胆汁うっ滞に関係していることが同定されたMet408-Val多型(実施例3参照)は、少なくとも2つの位置において、OCT1野生型配列と異なる対立遺伝子に属している。従って、薬物誘発胆汁うっ滞の予測用の診断アッセイは、SNPに限定されず、むしろ、これらの多型の存在または非存在によって規定される対立遺伝子の決定からなる。
【図面の簡単な説明】
【0101】
【図1】図1は、OCT1のミスセンス変異の機能的特性決定である。OCT1 wtおよびOCT1変異体を、ツメガエル属卵母細胞において発現させ、並べて解析した。放射標識有機カチオンのシアニン863阻害性取込みを、30分間にわたって測定した。a)OCT1と比較した、種々の変異体による0.1μM[3H]MPPの取込み。3〜8の各測定の平均取込みおよび標準偏差を示す。OCT1 wtと比較した差に関して***P<0.001。卵母細胞の種々のバッチにおいて、OCT1 wtによって示された0.1μM[3H]MPPのシアニン863阻害性取込みは、0.9〜1.8pmol×卵母細胞-1×30分-1であった。水を注入した対照卵母細胞のシアニン863阻害性取込みは、0.02pmol×卵母細胞-1×30分-1より常に低かった。b)OCT1 wtおよびOCT1変異体によるMPP取込みの濃度依存性。MPP取込みを、9種類の異なるMPP濃度で測定し、ヒル式をデータに適合させてK0.5値を求めた。3(変異体)または6(wt)の独立実験の平均K0.5±SDを示す。c,d)OCT1 wtと比較した、Cys88Arg(c)およびGly401Ser(d)によるMPP、TEAおよびセロトニンの取込み。同じ卵母細胞バッチおよび基質を使用して、0.1μM MPP、10μM TEAおよび1μMセロトニンの取込みを並べて測定した。3実験の平均値±SDを示す。*P<0.05、**P<0.01、***P<0.001。
【配列表】












【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)配列番号:4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16または17の核酸配列を有するポリヌクレオチド;
(b)配列番号:28、29、30、31、32または33のアミノ酸配列を有するポリペプチドをコードするポリヌクレオチド;
(c)OCT1遺伝子に対して少なくとも70%、好ましくは少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%または少なくとも95%の配列同一性を有するポリヌクレオチド、ここで該ポリヌクレオチドは、OCT1遺伝子(GenBankアクセッション番号:GI:9581607)の109130位、109211位、119220位、123551位、126806位、126846位、126863位〜126865位、126922位、126915位、130672位、141819位、142951位、141961位または142993位に少なくとも1つのヌクレオチドのヌクレオチド置換またはヌクレオチド欠失を有する;
(d)OCT1遺伝子にハイブリダイズすることができるポリヌクレオチド、ここで該ポリヌクレオチドはOCT1遺伝子(GenBankアクセッション番号:GI:9581607)の109130位、109211位、119220位、123551位、126806位、126846位、126922位、126915位、130672位、141819位、142951位、141961位または142993位に対応する位置に少なくとも1つのヌクレオチドの置換を有するか、またはOCT1遺伝子(GenBankアクセッション番号:GI:9581607)の126863位〜126865位に対応する位置に3ヌクレオチドの欠失を有する;
(e)OCT1遺伝子にハイブリダイズすることができるポリヌクレオチド、ここで該ポリヌクレオチドはOCT1遺伝子(GenBankアクセッション番号:GI:9581607)の126806位、141819位、142951位または142993位に対応する位置にA、OCT1遺伝子(GenBankアクセッション番号:GI:9581607)の109211位または126846位に対応する位置にC、OCT1遺伝子(GenBankアクセッション番号:GI:9581607)の126922位または130672位に対応する位置にG、OCT1遺伝子(GenBankアクセッション番号:GI:9581607)の109130位、119220位、123551位、126915位または141961位に対応する位置にTを有するか、またはOCT1遺伝子(GenBankアクセッション番号:GI:9581607)の126863位〜126865位に対応する位置にATG欠失を有する;
(f)OCT1ポリペプチドまたはその断片をコードするポリヌクレオチド、ここで該ポリペプチドは、OCT1ポリペプチド(GenBankアクセッション番号:GI:2511670)の61位、88位、401位、414位または465位にアミノ酸置換を含む;および
(g)OCT1ポリペプチドまたはその断片をコードするポリヌクレオチド、ここで該ポリペプチドはOCT1ポリペプチド(GenBankアクセッション番号:GI:2511670)の61位にRからCへのアミノ酸置換、88位にCからRへのアミノ酸置換、401位にGからSへのアミノ酸置換、414位にGからAへのアミノ酸置換、420位にMのアミノ酸欠失または465位にGからRへのアミノ酸置換を含む、
からなる群より選ばれるポリヌクレオチドを含んでなるポリヌクレオチド。
【請求項2】
前記ポリヌクレオチドが、トランスポーターOCT1の基質である化合物の異常な血清および/または細胞内濃度の結果としての薬物治療の副作用、または活性の低下、または薬物治療の非活性に関連する請求項1記載のポリヌクレオチド。
【請求項3】
DNAまたはRNAである請求項1または2記載のポリヌクレオチド。
【請求項4】
請求項1または2記載のポリヌクレオチドを含有してなる遺伝子。
【請求項5】
ヌクレオチド欠失および/または置換が対応する野生型遺伝子と比べて変異遺伝子の変化した発現をもたらす請求項4記載の遺伝子。
【請求項6】
請求項1〜3いずれか記載のポリヌクレオチドまたは請求項4または5記載の遺伝子を含んでなるベクター。
【請求項7】
ポリヌクレオチドが発現制御配列に作動可能に連結され、原核生物細胞もしくは真核生物細胞またはその単離された画分における発現が可能になる請求項6記載のベクター。
【請求項8】
請求項1〜3いずれか記載のポリヌクレオチド、請求項4もしくは5記載の遺伝子または請求項6もしくは7記載のベクターで遺伝子操作された宿主細胞。
【請求項9】
(a)請求項8記載の宿主細胞を培養する工程;および
(b)培養物から前記タンパク質または断片を収集する工程
を含む、分子変異体OCT1ポリペプチドまたはその断片の製造方法。
【請求項10】
請求項1〜3いずれか記載のポリヌクレオチド、請求項4もしくは5記載の遺伝子または請求項6もしくは7記載のベクターで細胞を遺伝子操作する工程を含む、分子変異体OCT1ポリペプチドを発現することができる細胞の作製方法。
【請求項11】
請求項1〜3いずれか記載のポリヌクレオチドによりコードされるか、請求項4もしくは5記載の遺伝子によりコードされるか、請求項9記載の方法により得られうるか、請求項10記載の方法により作製された細胞に由来するポリペプチドまたはその断片。
【請求項12】
請求項11記載のポリペプチドに特異的に結合する抗体。
【請求項13】
請求項1〜5に規定されるヌクレオチド置換から生じる1つ以上のアミノ酸置換を含むエピトープを特異的に認識する請求項12記載の抗体。
【請求項14】
モノクローナルまたはポリクローナルである請求項12または13記載の抗体。
【請求項15】
請求項1〜3いずれか記載の少なくとも1つのポリヌクレオチド、請求項4もしくは5記載の遺伝子または請求項6もしくは7記載のベクターを含有してなるトランスジェニック非ヒト動物。
【請求項16】
マウス、ラットまたはゼブラフィッシュである請求項15記載のトランスジェニック非ヒト動物。
【請求項17】
請求項1〜3いずれか記載の1つまたは複数のポリヌクレオチド、請求項4もしくは5記載の遺伝子、請求項6もしくは7記載のベクター、請求項11記載のポリペプチド、請求項12もしくは13記載の抗体または固定化形態の請求項8記載の宿主細胞を含有してなる固相支持体。
【請求項18】
固相支持体が膜、ガラス-またはポリプロピレン-またはシリコン-チップ、オリゴヌクレオチド-結合ビーズまたはビーズアレイであり、光学フィルター基板上に組立てられている請求項17記載の固相支持体。
【請求項19】
(a)個体の複数のサブグループから請求項1〜3いずれか記載のポリヌクレオチドまたは請求項4もしくは5記載の遺伝子を単離する工程、ここで1つのサブグループはOCT1関連疾患の有病性を有さず、少なくとも1つ以上のさらなるサブグループはOCT1関連疾患の有病性を有する;および
(b)OCT1関連疾患の有病性を有さない該1つのサブグループのポリヌクレオチドまたは遺伝子の核酸配列と、OCT1関連疾患の有病性を有する該少なくとも1つより多くのさらなるサブグループと比較することにより単一ヌクレオチド多型を同定する工程
を含む、単一ヌクレオチド多型のインビトロ同定方法。
【請求項20】
(a)薬物活性に応答して検出可能なシグナルを提供することができる成分の存在下において、請求項11記載のポリペプチド、請求項17または18記載の固相支持体、請求項1〜3いずれか記載のポリヌクレオチド、請求項4もしくは5記載の遺伝子または請求項6もしくは7記載のベクターを含有する分子変異体遺伝子を発現する細胞とプロドラッグまたは薬物活性についてスクリーニング対象の化合物とを接触させる工程;および
(b)プロドラッグまたは薬物活性から生じるシグナルの存在もしくは非存在またはシグナルの増大もしくは減少を検出する工程、ここでシグナルの非存在、存在、増大または減少は推定上のプロドラッグまたは薬物の指標である、
を含む、OCT1ポリペプチドの分子変異体の活性を調整することができるプロドラッグまたは薬物を同定し、得る方法。
【請求項21】
(a)薬物活性に応答して検出可能なシグナルを提供することができる成分の存在下で、請求項11記載のタンパク質、請求項17または18記載の固相支持体または請求項1〜3のいずれか記載のポリヌクレオチドまたは請求項4もしくは5記載の遺伝子または請求項6もしくは7記載のベクターを含有する分子変異体遺伝子を発現する細胞と、阻害活性についてスクリーニング対象の化合物とを接触させる工程;および
(b)阻害活性から生じるシグナルの存在もしくは非存在またはシグナルの増大もしくは減少を検出する工程、ここでシグナルの非存在または減少は推定上のインヒビターの指標である、
を含む、OCT1ポリペプチドの分子変異体の活性のインヒビターを同定し、得る方法。
【請求項22】
前記細胞が請求項8記載の細胞であるか、請求項10記載の方法により得られるか、または請求項15もしくは16記載のトランスジェニック非ヒト動物により得られる請求項20または21記載の方法。
【請求項23】
(a)請求項8記載の宿主細胞、請求項10記載の方法により得られた細胞、請求項11記載のポリペプチドまたは請求項17もしくは18記載の固相支持体と、OCT1ポリペプチドと結合することが知られている第一の分子とを接触させ、該ポリペプチドおよび該第一の分子の第一の複合体を形成する工程;
(b)該第一の複合体とスクリーニング対象の化合物とを接触させる工程、および
(c)該化合物が該第一の複合体の該第一の分子と置き換わるか否かを測定する工程、
を含む、OCT1ポリペプチドの分子変異体の活性を調整することができるプロドラッグまたは薬物を同定し、得る方法。
【請求項24】
(a)請求項8記載の宿主細胞、請求項10記載の方法により得られた細胞、請求項11記載のタンパク質または請求項17もしくは18記載の固相支持体と、OCT1ポリペプチドと結合することが知られている第一の分子とを接触させ、該ポリペプチドと該第一の分子との第一の複合体を形成する工程;
(b)該第一の複合体とスクリーニング対象の化合物とを接触させる工程、および
(c)該化合物が該第一の複合体の該第一の分子と置き換わるか否かを測定する工程、
を含む、OCT1ポリペプチド複合体の分子変異体の活性を調整することができるインヒビターを同定し、得る方法。
【請求項25】
該測定工程が、該ポリペプチドおよび該化合物の第二の複合体の形成を測定することを含む請求項23または24記載の方法。
【請求項26】
前記測定工程が前記ポリペプチドに結合されない該第一の分子の量を測定することを含む請求項23〜25いずれか記載の方法。
【請求項27】
前記第一の分子が標識されている請求項23〜26いずれか記載の方法。
【請求項28】
請求項20〜27いずれか記載の方法の工程;および同定され、得られた化合物またはその誘導体を薬学的に許容されうる形態に製剤化するさらなる工程を含む医薬組成物の製造方法。
【請求項29】
被験体由来の試料中の請求項1〜3いずれか記載のポリヌクレオチドまたは請求項4もしくは5記載の遺伝子の存在を測定する工程を含む、OCT1遺伝子の分子変異体の存在に関連する障害またはかかる障害に対する罹患性の診断方法。
【請求項30】
請求項11記載のポリペプチドの存在または請求項12〜14いずれか記載の抗体を測定する工程をさらに含む請求項29記載の方法。
【請求項31】
被験体由来の試料中の請求項11記載のポリペプチドまたは請求項12〜14いずれか記載の抗体の存在を測定する工程を含む、OCT1遺伝子の分子変異体体の存在に関連する障害またはかかる障害に対する罹患性の診断方法。
【請求項32】
前記障害が、トランスポーターOCT1の基質である化合物の異常な血清および/または細胞内濃度の結果としての薬物治療の副作用、または活性の減少、または非活性を含む請求項29〜31いずれか記載の方法。
【請求項33】
DNA塩基配列決定、ハイブリダイゼーション法、PCRに基づくアッセイ、蛍光染料および消光剤に基づくPCRアッセイ(Taqman PCR検出系)、RFLPに基づく方法、一本鎖コンホメーション多型(SSCP)、変性勾配ゲル電気泳動(DGGE)、温度勾配ゲル電気泳動(TGGE)、化学的ミスマッチ開裂(CMC)、ヘテロ二本鎖分析に基づく系、質量分析に基づく方法、侵襲性開裂アッセイ、多型率塩基配列決定(PRS)、マイクロアレイ、ローリングサークル伸長アッセイ、HPLCに基づく方法、DHPLCに基づく方法、オリゴヌクレオチド伸長アッセイ(OLA)、伸長に基づくアッセイ(ARMS(増幅不応性変異系)、ALEX(増幅不応性変異線状伸長)、SBCE(単一塩基鎖伸長))、分子標識アッセイ、インベーダー(サードウェーブ法)、リガーゼ連鎖反応アッセイ、5'-ヌクレアーゼアッセイに基づく方法、ハイブリダイゼーションキャピラリーアレイ電気泳動(CAE)、ピロシーケンシング、タンパク質トランケーションアッセイ(PTT)、免疫学的検定法、ハプロタイプ分析、および固相ハイブリダイゼーション(ドットブロット、リバースドットブロット、チップ)を含む請求項29〜32いずれか記載の方法。
【請求項34】
(a)請求項1〜3記載のポリヌクレオチドまたは請求項4もしくは5記載の遺伝子と固相支持体上の固定化された標的との相互作用が可能な条件下で、請求項17もしくは18記載の固相支持体と試料とを接触させる工程および;
(b)固相支持体上の該固定化標的への該ヌクレオチドまたは該遺伝子の結合を測定する工程、
を含む、試料中の請求項1〜3いずれか記載のポリヌクレオチドまたは請求項4もしくは5記載の遺伝子の検出方法。
【請求項35】
前記固相支持体上に固定化された標的への前記ポリヌクレオチドまたは遺伝子の結合が前記疾患の存在もしくは非存在または該疾患の有病性の指標である請求項34記載の方法の工程を含む疾患のインビトロ診断方法。
【請求項36】
請求項1〜3いずれか記載のポリヌクレオチド、請求項4もしくは5記載の遺伝子、請求項6もしくは7記載のベクター、請求項11記載のポリペプチドまたは請求項12〜14いずれか記載の抗体を含有してなる診断組成物。
【請求項37】
請求項1〜3いずれか記載のポリヌクレオチド、請求項4もしくは5記載の遺伝子、請求項6もしくは7記載のベクター、請求項11記載のポリペプチドまたは請求項12〜14いずれか記載の抗体を含有してなる医薬組成物。
【請求項38】
疾患を診断するための診断組成物の調製のための請求項1〜3いずれか記載のポリヌクレオチド、請求項4もしくは5記載の遺伝子、請求項6もしくは7記載のベクター、請求項11記載のポリペプチド、配列番号:18、19、20、21、22、23、24、25、26もしくは27のポリヌクレオチド配列を有するポリヌクレオチド、配列番号:34もしくは35のポリペプチド、または請求項12〜14いずれか記載の抗体の使用。
【請求項39】
疾患を治療するための医薬組成物の調製のための請求項1〜3いずれか記載のポリヌクレオチド、請求項4もしくは5記載の遺伝子、請求項6もしくは7記載のベクター、請求項11記載のポリペプチド、配列番号:18、19、20、21、22、23、24、25、26もしくは27のポリヌクレオチド配列を有するポリヌクレオチド、配列番号:34もしくは35のポリペプチド、または請求項12〜14いずれか記載の抗体の使用。
【請求項40】
前記疾患が、トランスポーターOCT1の基質である化合物の異常な血清および/または細胞内濃度の結果としての薬物治療の副作用、または活性の減少、または非活性を含む請求項38または39記載の方法。
【請求項41】
請求項1〜3いずれか記載のポリヌクレオチド、請求項4もしくは5記載の遺伝子、請求項6もしくは7記載のベクター、請求項11記載のポリペプチド、請求項12〜14いずれか記載の抗体、請求項8記載の宿主細胞、請求項15もしくは16記載のトランスジェニック非ヒト動物または請求項17もしくは18記載の固相支持体を含有してなる単一ヌクレオチド多型の検出のための診断キット。

【図1】
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【公表番号】特表2006−516182(P2006−516182A)
【公表日】平成18年6月29日(2006.6.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−530253(P2004−530253)
【出願日】平成15年8月22日(2003.8.22)
【国際出願番号】PCT/EP2003/009356
【国際公開番号】WO2004/018512
【国際公開日】平成16年3月4日(2004.3.4)
【出願人】(505063289)エピダウロス ビオテヒノロギー アーゲー (1)
【Fターム(参考)】