説明

OFDMの時間変化する巡回遅延ダイバーシティ

【課題】1又はそれより多くのアンテナから送信されるべきシンボルに時間変化する遅延を適用する方法及び装置を提供する。
【解決手段】送信データプロセッサ202は送信データをN個のデータ・ストリームに逆多重し、エンコーディング、インターリーブする。MIMOプロセッサ204はN個のデータ・ストリームについてシンボル・マッピング、変調して変調シンボルを生成し、IFFTブロックで時間ドメインに変換し、サイクリックプレフィックスを付加し、各シンボルに時間で変化する遅延を与える。1つの実施形態では、連続に送信されるべき複数のシンボル間で該遅延が変化する。他の実施形態では、フレーム内の又はバースト・ピリオド内のシンボルの全てが、各シンボルに対して前の又は次のフレーム又はバースト・ピリオドとは異なる遅延を有する各フレーム又はバースト・ピリオドで同じ遅延を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、米国特許仮出願番号第60/572,137号、名称「OFDMの巡回遅延ダイバーシティを時間変化させるシステム(Systems Time Varying Cyclic Delay Diversity of OFDM)」、2004年5月17日出願、に優先権を主張し、そして本出願の譲受人に譲渡されている。
【0002】
本出願は、一般にワイアレス通信に関し、特に、マルチアンテナ・システムにおける信号伝送に関する。
【背景技術】
【0003】
ワイアレス通信システムにおいて、送信機からのRF変調された信号は、複数の伝播パスを介して受信機に到達することがある。伝播パスの特性は、一般的にフェーディング及びマルチパスのような複数の要因のために時間とともに変化する。有害なパス効果に対するダイバーシティを提供するため、そして性能を向上させるために、複数の送信アンテナ及び受信アンテナが使用されることがある。多元入力多元出力(MIMO:multi-input multi-output)通信システムは、データ伝送のために複数の(N個の)送信アンテナ及び複数の(N個の)受信アンテナを採用する。N個の送信アンテナ及びN個の受信アンテナによって形成されたMIMOチャネルは、N≦min{N,N}である、N個の独立したチャネルに分解されることができる。N個の独立したチャネルの各々は、また、MIMOチャネルの空間サブ・チャネル(又は送信チャネル)と呼ばれることがあり、そして次元(dimension)に対応する。
【0004】
送信アンテナと受信アンテナとの間の伝播パスが線形的に独立している(すなわち、1つのパス上の送信は、他のパス上の送信の線形結合として形成されない)のであれば、これは一般的に少なくともある程度は真実であり、データ伝送を正しく受信する見込みは、アンテナの数が増加するとともに増大する。一般に、送信アンテナの数及び受信アンテナの数が増加するとともに、ダイバーシティは増加し、そして性能は向上する。
【0005】
チャネルのダイバーシティをさらに向上させるために、送信ダイバーシティ技術は利用されることができる。多くの送信ダイバーシティ技術が、捜し求められてきている。そのような技術の1つが、送信遅延ダイバーシティである。送信遅延ダイバーシティでは、送信機は、同じ信号を送信する2つのアンテナを利用し、第2のアンテナは第1のアンテナによって送信されたものの遅延したレプリカを送信する。そうすることによって、第2のアンテナは、受信機において集められることができる独立したマルチパス要素の第2のセットを設定することによってダイバーシティを創り出す。もし、第1の送信機によって生成されたマルチパスがフェードするのであれば、第2の送信機によって生成されるマルチパスは、許容可能な信号対ノイズ比(SNR:Signal-To-Noise Ratio)が受信機において維持されるケースにはないことがある。この技術は、複合TX0+TX1チャネルだけが受信機において推定されるという理由で、実装するのが容易である。送信遅延ダイバーシティについての最大の欠点は、チャネルの実効遅延広がりを増加させることであり、そして第2のアンテナによって導入されたマルチパスが第1のアンテナのマルチパスになり、そして破壊的に相互作用する時に、十分に機能しないことがあり、それによってダイバーシティの全体のレベルを低下させる。
【0006】
標準的な遅延ダイバーシティ問題を取り扱うために、さらなる遅延ダイバーシティ技術が、開発されてきている。そのような技術の1つは、巡回遅延ダイバーシティと呼ばれる。巡回遅延は、n個のシンボルの各シンボルのサンプルが順番にシフトされるものであり、その順番でそれらがシンボルの一部分として送信される。シンボルの実効的な部分を越えるそれらのサンプルは、そのシンボルの始めに送信される。そのような技術では、プレフィックスが、各サンプルの先頭に付加され、それはシンボルの一部分として特定のアンテナからサンプルを送信するために遅延又は順番を固定させる。巡回遅延は、より長い遅延を認める、しかしながら、それ以外ではシンボル間干渉を回避するためにガード・インターバル・ピリオドの一部分に制限されることになる。
【0007】
巡回遅延ダイバーシティスキームは、チャネルに周波数選択性を導入することができ、そしてそれゆえ、フラット・チャネルに対するダイバーシティの恩恵を提供することができる。しかしながら、それは、チャネルが時間選択的でなくそしてそれ自身が時間選択的でないときには、時間ダイバーシティを提供しない。例えば、2個の送信アンテナがスロー・フェーディング又はスタティックなチャネルにある場合に、巡回シフトΔは、2つのチャネル、例えば、H(n)及びH(n)、が常に破壊的に(destructively)(又は建設的に(constructively))加算するようなものとなりうる。
【0008】
それゆえ、ダイバーシティを与えるために利用されるチャネルの破壊的な又は建設的な加算の可能性を最小限に抑える遅延ダイバーシティスキームを提供することが望まれる。
【発明の概要】
【0009】
1態様では、送信ダイバーシティを与えるための方法は、第1の遅延ピリオドの後で第1のシンボルを第1のアンテナに与えること、該第1の遅延ピリオドとは異なる第2の遅延ピリオドの後で第2のシンボルを該第1のアンテナに与えること、そして該第1の遅延ピリオド及び該第2の遅延ピリオドとは異なる第3の遅延ピリオドの後で第3のシンボルを該第1のアンテナに与えることを具備する。
【0010】
別の態様では、送信機は、少なくとも2つのアンテナ、モジュレータ、及び該モジュレータから該アンテナへ出力されるシンボルを時間とともに変化する遅延ピリオドにしたがって遅延させる遅延回路を具備する。
【0011】
他の態様では、ワイアレス送信機は、少なくとも2つのアンテナ、及び複数のサンプルを各々が備える複数のシンボルを記憶するものを具備し、ここにおいて、メモリは、該2つのアンテナのうちの1つのアンテナに第1の遅延の後で第1のシンボルの複数のサンプルを出力し、そして該1つのアンテナに第2の遅延の後で該複数のシンボルの第2のシンボルを出力する。該第1の遅延及び該第2の遅延は異なる。
【0012】
他の態様では、送信機は、少なくとも3つのアンテナ、モジュレータ、該モジュレータと該少なくとも2つのアンテナのうちの1つとの間に接続された第1の遅延回路、該第1の遅延回路は該モジュレータから該アンテナに出力されるシンボルを時間とともに変化する遅延ピリオドにしたがって遅延させる、及び該モジュレータと該少なくとも2つのアンテナのうちの別の1つとの間に接続された第2の遅延回路、該第1の遅延回路は該モジュレータから該別の1つのアンテナに出力されるシンボルを時間とともに変化する別の1つの遅延ピリオドにしたがって遅延させる。該別の1つの遅延ピリオド及び該遅延ピリオドは異なる。
【0013】
他の態様では、マルチチャネル通信システムにおいて送信ダイバーシティを与えるための方法は、第1のアンテナ上で送信されるべき第1のシンボルに第1の位相シフトを与えること、及び第2のアンテナ上で送信されるべき該第1のシンボルに、該第1の位相シフトとは異なる第2の位相シフトを与えることを具備する。
【0014】
他の態様では、送信機は、少なくとも2つのアンテナ、モジュレータ、及び該モジュレータによって該アンテナに出力されるシンボルに時間とともに変化する位相シフトにしたがった位相シフトを与える位相シフトを具備する。
【0015】
本発明の特徴、性質、及び利点は、図面を使用して以下に述べる詳細な説明から、さらに明確になるであろう。図面では、一貫して対応するものは同じ参照符号で識別する。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】図1は、MIMOシステムにおける送信機システム及び受信機システムの1実施形態のブロック図を図示する。
【図2】図2は、時間変化する遅延ダイバーシティを与える送信機ユニットの1実施形態のブロック図を図示する。
【図3】図3は、同じアンテナから送信されるシンボルに適用される時間変化する遅延の1実施形態を図示する。
【図4】図4は、複数のアンテナから送信されるシンボルに適用される時間変化する遅延の1実施形態を図示する。
【図5】図5は、時間変化する遅延ダイバーシティを与える送信機ユニットの別の1つの実施形態のブロック図を図示する。
【図6】図6は、時間変化する遅延ダイバーシティを利用することが可能な受信機ユニットの1実施形態のブロック図を図示する。
【図7】図7は、遅延素子の1実施形態のブロック図を図示する。
【図8】図8は、時間変化するダイバーシティを与えるための方法の1実施形態のフローチャートを図示する。
【図9】図9は、時間変化する遅延ダイバーシティを与える送信機ユニットのさらなる実施形態のブロック図を図示する。
【図10】図10は、時間変化するダイバーシティを与えるための方法のさらなる実施形態のフローチャートを図示する。
【詳細な説明】
【0017】
添付された図面とともに以下に記載される詳細な説明は、具体例の実施形態の説明として意図されており、そして本発明がその実施形態の中で実行されることができる実施形態だけを表すように意図されていない。本明細書の全体を通して使用される用語“具体例の”は、 “例、事例、あるいは例証として機能すること”を意味し、そして他の実施形態に対して好ましい又は有利であると解釈される必要はない。詳細な説明は、本発明の完全な理解を与える目的のために具体的な詳細を含む。しかしながら、本発明がこれらの具体的な詳細を用いずに実行され得ることは、当業者に明らかであろう。ある例では、周知の構造及びデバイスが、本発明の概念を不明瞭にすることを避けるためにブロック図形式で示される。
【0018】
マルチチャネル通信システムは、多元入力多元出力(MIMO:multiple-input multiple- output)通信システム、直交周波数分割多重(OFDM:orthogonal frequency division multiplexing)通信システム、OFDMを採用するMIMOシステム(すなわち、MIMO−OFDMシステム)、及びその他のタイプの伝送を含む。明確化のために、種々の態様及び実施形態が、MIMOシステムに関して具体的に記載される。
【0019】
MIMOシステムは、データ通信のために複数の(N個の)送信アンテナ及び複数の(N個の)受信アンテナを採用する。N個の送信アンテナ及びN個の受信アンテナによって形成されるMIMOチャネルは、N個の独立したチャネルに分解されることができる。ここで、N≦min{N,N}である。N個の独立したチャネルの各々は、同様に、MIMOチャネルの空間サブチャネル(又は送信チャネル)と呼ばれることがある。空間サブチャネルの数は、MIMOチャネルの固有モード(eigenmodes)の数によって決定され、これは、チャネル応答行列、、に依存する。チャネル応答行列は、N個の送信アンテナとN個の受信アンテナとの間の応答を説明する。チャネル応答行列、、の要素は、独立したガウス・ランダム変数、{hi,j}、i=1,2,...,N、そしてj=1,2,...,Nに対して、からなる。ここで、hi,jは、j番目の送信アンテナとi番目の受信アンテナとの間のカップリング(すなわち、複素ゲイン)である。単純化のために、チャネル応答行列、、は、フル−ランク(すなわち、N=N≦N)であると仮定され、そして1つの独立したデータ・ストリームは、N個の送信アンテナの各々から送信されることができる。
【0020】
図1は、MIMOシステム100における送信機システム110及び受信機システム150の1実施形態のブロック図である。送信機システム110において、複数のデータ・ストリームに関するトラフィック・データは、データ・ソース112から送信(TX)データ・プロセッサ114に与えられる。1つの実施形態では、各データ・ストリームは、それぞれの送信アンテナを介して送信される。TXデータ・プロセッサ114は、各データ・ストリームに関するトラフィック・データを、そのデータ・ストリームについて選択された特定のコーディングスキームに基づいて、フォーマットし、コード化し、そしてインターリーブして、コード化されたデータを与える。
【0021】
各データ・ストリームに関するコード化されたデータは、例えば、時分割多重化(TDM:time division multiplexing)又はコード分割多重化(CDM:code division multiplexing)を使用してパイロット・データを用いて多重化されることができる。パイロット・データは、一般的に(あったとしても)公知の方法で処理される公知のデータ・パターンであり、そしてチャネル応答を推定するために受信機システムにおいて使用されることができる。各データ・ストリームに関する多重化されたパイロット・データ及びコード化されたデータは、その後、変調シンボルを与えるためにそのデータ・ストリームについて選択された特定の変調スキーム(例えば、BPSK,QSPK,M−PSK,又はM−QAM)に基づいて変調される(すなわち、シンボル・マップされる)。各データ・ストリームに関するデータ・レート、コーディング、及び変調は、プロセッサ130によって提供される制御により決定されることができる。
【0022】
全てのデータ・ストリームに関する変調シンボルは、その後、TX MIMOプロセッサ120に与えられ、TX MIMOプロセッサ120は、(例えば、OFDMに関する)変調シンボルをさらに処理することができる。TX MIMOプロセッサ120は、その後、N個の送信機(TMTR)122aから122tにN個の変調シンボル・ストリームを与える。各送信機122は、1又はそれより多くのアナログ信号を与えるためにそれぞれのシンボル・ストリームを受信しそして処理する、そしてMIMOチャネルを介した送信のために適した変調された信号を与えるためにアナログ信号をさらに調整する(例えば、増幅し、フィルタし、そしてアップコンバートする)。送信機122aから122tからのN個の変調された信号は、それからそれぞれN個のアンテナ124aから124tから送信される。
【0023】
受信機システム150において、送信された変調された信号は、N個のアンテナ152aから152rによって受信され、そして各アンテナ152からの受信された信号は、それぞれの受信機(RCVR)154に与えられる。各受信機154は、それぞれの受信した信号を調整し(例えば、フィルタし、増幅し、そしてダウンコンバートし)、サンプルを与えるために調整された信号をディジタル化し、そして対応する“受信した”シンボル・ストリームを与えるためにサンプルをさらに処理する。
【0024】
RX MIMO/データ・プロセッサ160は、次いで、特定の受信機処理技術に基づいてN個の受信機154からのN個の受信したシンボル・ストリームを受け取りそして処理して、N個の“検出された”シンボル・ストリームを与える。RX MIMO/データ・プロセッサ160による処理は、下記にさらに詳細に説明される。各検出されたシンボル・ストリームは、対応するデータ・ストリームに対して送信された変調シンボルの推定値であるシンボルを含む。RX MIMO/データ・プロセッサ160は、それから各検出されたシンボル・ストリームを復調し、デインターリーブし、そしてデコードして、データ・ストリームに関するトラフィック・データを再生する。RX MIMO/データ・プロセッサ160による処理は、送信機システム110においてTX MIMOプロセッサ120及びTXデータ・プロセッサ114によって実行されたものに相補的である。
【0025】
RX MIMOプロセッサ160は、例えば、トラフィック・データを用いて多重化されたパイロットに基づいて、N個の送信アンテナとN個の受信アンテナとの間のチャネル応答の推定値を導出できる。チャネル応答推定値は、受信機において空間処理又は空間/時間処理を実行するために使用されることができる。RX MIMOプロセッサ160は、検出されたシンボル・ストリームの信号−対−ノイズ−及び−干渉比(SNR:signal-to-noise-and-interference ratio)、及びおそらくその他のチャネル特性を推定でき、そしてプロセッサ170にこれらの量を与える。RX MIMO/データ・プロセッサ160又はプロセッサ170は、システムに対する“動作上の”SNRの推定値をさらに導出でき、それは通信リンクの状態の指標である。プロセッサ170は、それからチャネル状態情報(CSI:channel state information)を与え、それは通信リンク及び/又は受信したデータ・ストリームに関する種々のタイプの情報を備えることができる。例えば、CSIは、動作上のSNRだけを備えることがある。CSIは、その後、TXデータ・プロセッサ178によって処理され、モジュレータ180によって変調され、受信機154aから154rによって調整され、そして送信機システム110に送信して戻される。
【0026】
送信機システム110において、受信機システム150からの変調された信号は、アンテナ124によって受信され、受信機122によって調整され、デモジュレータ140によって復調され、そしてRXデータ・プロセッサ142によって処理されて、受信機システムによって報告されるCSIを再生する。報告されたCSIは、その後、プロセッサ130に与えられて、(1)データ・ストリームに対して使用されるべきデータ・レート及びコーディングスキームと変調スキームを決定し、そして(2)TXデータ・プロセッサ114及びTX MIMOプロセッサ120に対する種々の制御を生成する。
【0027】
プロセッサ130及び170は、適切な送信データ・プロセッサ及び受信データ・プロセッサを含むプロセッサに接続されている送信機システム及び受信機システムにおける動作を管理する。メモリ132及び172は、それぞれプロセッサ130及び170によって使用されるプログラム・コード及びデータに対する記憶場所を与える。
【0028】
OFDM MIMOシステムに関するモデルは、次式で表される。
Hx 式(1) ここで、は、受信されたベクトル、すなわち、=[y...yNR、であり、ここで{y}はi番目の受信アンテナで受信されたエントリであり、そしてi∈{1,...,N}であり、
は、送信されたベクトル、すなわち、=[x...xNT、であり、ここで{x}はj番目の送信アンテナで送信されたエントリであり、そしてj∈{1,...,N}であり、
は、MIMOチャネルに関するチャネル応答行列であり、
は、の平均ベクトル及びΛ=σの共分散行列を有する付加的な白色ガウス・ノイズ(AWGN:additive white Gaussian noise)であり、ここではゼロのベクトルであり、は対角線にそって1でありそれ以外はゼロの単位行列であり、そしてσはノイズの分散であり、そして
[.]は[.]の転置行列を表す。
伝播環境中の散乱ゆえに、N個の送信アンテナから送信されたN個のシンボル・ストリームは、受信機において互いに干渉する。特に、1つの送信アンテナから送信された所与のシンボル・ストリームは、異なる強度及び異なる位相で全てのN個の受信アンテナによって受信されることがある。各受信された信号は、そのようにしてN個の送信されたシンボル・ストリームの各々の成分を含むことができる。N個の受信した信号は、N個の送信されたシンボル・ストリームの全てを包括的に含むはずである。しかしながら、これらのN個のシンボル・ストリームは、N個の受信された信号の間に分散される。
【0029】
受信機において、各種の処理技術が、N個の受信した信号を処理するために使用されることができ、N個の送信されたシンボル・ストリームを検出する。これらの受信機処理技術は、2つの主なカテゴリにグループ化されることができる:
・空間及び空間−時間受信機処理技術(これは等化技術とも呼ばれる)、及び
・“連続的ヌリング/等化及び干渉除去”受信機処理技術(これは“連続的干渉除去”又は“連続的除去”受信機処理技術とも呼ばれる)。
【0030】
図2は、送信機ユニット200の一部のブロック図であり、送信機ユニットは、図1の送信機システム110のような送信機システムの送信機部分の1実施形態であり得る。1つの実施形態では、別々のデータ・レート及びコーディングスキームと変調スキームが、N個の送信アンテナ上で送信されるべきN個のデータ・ストリームの各々に対して使用されることができる(すなわち、アンテナ当りのベースで別々のコーディング及び変調)。各送信アンテナの各々に対して使用されるべき特定のデータ・レート及びコーディングスキームと変調スキームは、プロセッサ130によって提供される制御に基づいて決定されることができ、そしてデータ・レートは、上に説明されたように決定されることができる。
【0031】
送信機ユニット200は、1つの実施形態では、送信データ・プロセッサ202を含み、送信データ・プロセッサ202は、変調シンボルを与えるために別々のコーディングスキームと変調スキームにしたがって各データ・ストリームを受信し、コード化し、そして変調し、そして送信MIMO送信データ・プロセッサ202及び送信データ・プロセッサ204は、それぞれ図1の送信データ・プロセッサ114及び送信MIMOプロセッサ120の1つの実施形態である。
【0032】
1つの実施形態では、図2に示されたように、送信データ・プロセッサ202は、デマルチプレクサ210、N個のエンコーダ212aから212t、及びN個のチャネル・インターリーバ214aから214t(すなわち、各送信アンテナに対して1セットのデマルチプレクサ、エンコーダ、及びチャネル・インターリーバ)を含む。デマルチプレクサ210は、データ伝送のために使用されるべきN個の送信アンテナについてN個のデータ・ストリームにデータ(すなわち、情報ビット)を逆多重化する。N個のデータ・ストリームは、レート制御機能性によって決定されるように、異なるデータ・レートに関係することができ、レート制御機能性は、1つの実施形態ではプロセッサ130又は170(図1)によって提供されることができる。各データ・ストリームは、それぞれのエンコーダ212aから212tに与えられる。
【0033】
各エンコーダ212aから212tは、それぞれのデータ・ストリームを受信し、そのデータ・ストリームについて選択された特定のコーディングスキームに基づいてコード化して、コード化されたビットを与える。1つの実施形態では、コーディングは、データ伝送の信頼性を向上させるために使用されることができる。コーディングスキームは、1つの実施形態では、巡回冗長性チェック(CRC:cyclic redundancy check)コーディング、畳み込みコーディング、ターボ・コーディング、ブロック・コーディング、又はその他のいずれかの組み合わせを含むことができる。各エンコーダ212aから212tからのコード化されたビットは、その後、それぞれのチャネル・インターリーバ214aから214tに与えられる。チャネル・インターリーバは、特定のインターリービングスキームに基づいてコード化されたビットをインターリーブする。インターリービングは、コード化されたビットに対して時間ダイバーシティを与え、データ・ストリームのために使用される送信チャネルに関する平均SNRに基づいて送信されるべきデータを通過させ、フェーディングに対処し、そしてさらに各変調シンボルを生成するために使用する複数のコード化されたビット間の相関を除去する。
【0034】
各チャネル・インターリーバ214aから214tからのコード化されそしてインターリーブされたビットは、送信MIMOプロセッサ204のそれぞれのシンボル・マッピング・ブロック222aから222tに与えられる、送信MIMOプロセッサ204はこれらのビットをマッピングして変調シンボルを生成する。
【0035】
各シンボル・マッピング・ブロック222aから222tによって実装されるべき特定の変調スキームは、プロセッサ130によって提供される変調制御によって決定される。各シンボル・マッピング・ブロック222aから222tは、q個のコード化されそしてインターリーブされたビットのセットをグループ分けして、非バイナリ・シンボルを生成し、そしてさらに選択された変調スキーム(例えば、QPSK、M−OSK、M−QAM、又は他の何らかの変調スキーム)に対応する信号コンステレーションの特定の点に各非バイナリ・シンボルをマッピングする。各マッピングされた信号点は、M個のアレイの変調シンボルに対応し、ここで、Mは、j番目の送信アンテナに対して選択された特定の変調スキームに対応し、そしてM=2qjである。シンボル・マッピング・ブロック222aから222tは、それから変調シンボルのN個のストリームを与える。
【0036】
図2に図示された特定の実施形態では、送信MIMOプロセッサ204は、シンボル・マッピング・ブロック222aから222tとともに、モジュレータ224及び逆高速フーリエ変換(IFFT:inverse Fast Fourier transform)ブロック222aから226tを同様に含む。モジュレータ224は、サンプルを変調して、適正なサブバンド上のN個のストリーム及び送信アンテナに関する変調シンボルを生成する。その上、モジュレータ224は、規定されたパワー・レベルでN個のシンボル・ストリームの各々を与える。1つの実施形態では、モジュレータ224は、プロセッサ、例えば、プロセッサ130又は170によって制御されるホッピング・シーケンスにしたがってシンボルを変調できる。そのような実施形態では、N個のシンボル・ストリームがその周波数で変調される周波数は、各グループに対して又はシンボルのブロック、フレーム、又は送信サイクルのフレームの一部に対して変化することがある。
【0037】
各IFFTブロック226aから226tは、モジュレータ224からそれぞれの変調シンボル・ストリームを受信する。各IFFTブロック226aから226tは、N個の変調シンボルのセットをグループ化して、対応する変調シンボル・ベクトルを生成し、そして逆高速フーリエ変換を使用して変調シンボル・ベクトルをその時間ドメイン表示(これはOFDMシンボルと呼ばれる)に変換する。IFFTブロック226aから226tは、任意の数の周波数サブチャネル(例えば、8,16,32,...,N)上に逆変換を実行するように設計されることができる。
【0038】
IFFTブロック226aから226tによって発生された変調シンボル・ベクトルの各時間ドメイン表示は、関係付けられたサイクリックプレフィックス発生器228aから228tに与えられる。サイクリックプレフィックス発生器228aから228tは、一定数のサンプルのプレフィックスを先頭に付加する、一定数のサンプルは、一般に、OFDMシンボルの終わりから対応する送信シンボルを生成するためにOFDMシンボルを構成するN個のサンプルまでのサンプルの数である。プレフィックスは、周波数選択的フェーディングによって引き起こされるチャネルずれのような有害なパス効果に対して性能を向上させるように設計される。サイクリックプレフィックス発生器228aから228tは、それから送信シンボルのストリームを関係付けられた遅延素子230aから230t−1に与える。
【0039】
各遅延素子230aから230t−1は、サイクリックプレフィックス発生器228aから228tから出力される各シンボルに遅延を与える。1つの実施形態では、各遅延素子230aから230t−1によって与えられる遅延は、時間で変化する。1つの実施形態では、この遅延は、サイクリックプレフィックス発生器によって出力される連続した複数のシンボル間で、又は送信機ユニット200から連続的に送信されるべき連続した複数のシンボル間で、該遅延が変化するようなものである。他の実施形態では、遅延は、各シンボルが同じ遅延を有するグループの中の2,3,4、又はそれより多くの複数のシンボル間で変化することがある。さらなる実施形態では、フレーム内の又はバースト・ピリオド内のシンボルの全てが、各シンボルに対して前の又は次のフレーム又はバースト・ピリオドとは異なる遅延を有する各フレーム又はバースト・ピリオドで同じ遅延を有するはずである。
【0040】
また、図2に示された実施形態では、各遅延素子230aから230t−1によって与えられる遅延は、互いの遅延素子によって与えられる遅延とは異なる。さらに、図2はサイクリックプレフィックス発生器228aが遅延素子に接続されていないことを図示するが、別の実施形態は、サイクリックプレフィックス発生器228aから228tの各々の出力に遅延素子を与えることができる。
【0041】
遅延素子230aから230t−1によって出力されたシンボルは、関係付けられた送信機232aから232tに与えられ、送信機は、遅延素子230aから230t−1によって与えられる遅延にしたがってアンテナ232aから232tによってシンボルが送信されるようにする。
【0042】
上に述べたように、1つの実施形態では、各遅延素子230aから230t−1によって与えられる時間変化する遅延Δは、時間とともに変化する。1つの実施形態では、i番目のOFDMシンボルは、式2の遅延にしたがってアンテナmから送信されるシンボルとして送信される:
【数1】

【0043】
このケースでの結果としての全体のチャネルは、次のように表される
【数2】

【0044】
ここで、H(i,n)は、m番目の送信しているアンテナから受信しているアンテナへのチャネル・インパルス応答に関するチャネルn番の離散型フーリエ変換(DFT:discrete Fourier Transform)係数である。
【0045】
この時間変化する遅延の使用は、性能を改善するために利用されることができるチャネルに周波数選択性及び時間選択性の両方を導入することが可能である。例えば、異なるサブキャリア及び異なるOFDMシンボルにわたる送信シンボルに関する時間変化する遅延を使用することによって、時間選択性及び周波数選択性の両方が、同時に与えられることが可能である。その上、複数のユーザへ送信するケースでは、各ユーザの受信機が互いのユーザの受信機とは異なるチャネル状態を有するので、複数のシンボルに関する遅延を変えることによって与えられるチャネルの時間変化は、複数のユーザの各々へのダイバーシティ・ゲインを与えるために活用されることが可能である。
【0046】
1つの実施形態では、遅延Δ(i)は、各連続するシンボルで、又は連続するシンボルのグループで、時間について線形方式で変化されることができ、n*βサンプルだけ遅延される。ここで、βは定数であり、そしてnは0から1,...,N−1まで変化する、ここで、Nは、1フレーム中の、バースト・ピリオド中の、又はシンボル・ストリーム中のシンボルの数である。他の1つの実施形態では、遅延Δ(i)は、前のシンボル及び/又は次のシンボルのN個のアンテナのうちの隣接するチャネル、すなわち、アンテナに関する擬似ランダム・シーケンスに基づくランダム遅延であり得る。さらなる実施形態では、遅延は、f(x)によって変化されることができ、ここで、fは、正弦関数、余弦関数のような関数、又はその他の時間変化する関数であり、そしてxは、0から1,...,N−1まで変化する、又はそのあるもの倍数であり、ここで、Nは、フレーム中、バースト・ピリオド中、またはシンボル・ストリーム中のシンボルの数である。上記の実施形態の各々において、遅延は、同様に、フィードバック情報に基づいて変えられることができ、そのケースでは、受信機は、全体のチャネル状態を記述するチャネル品質インジケータを送り返し、そしてΔ(i)は、全体の品質を向上させるために変更される。
【0047】
図3を参照して、同じアンテナから送信されたシンボルに与えられる時間変化する遅延の1実施形態が図示される。シンボルS,S,S,及びSは、連続するタイム・スロットT,T,T,及びTのあいだ送信されるように発生される。各シンボルS,S,S,及びSは、9個のサンプルNS1,NS2,NS3,NS4,NS5,NS6,NS7,NS8,NS9及び、それぞれサンプルNS8及びNS9である2−サンプルサイクリックプレフィックスNC1及びNC2を備える。各サンプルのコンテントがシンボルの各々に対して異なることがあることに注意すべきである。サンプルNS1,NS2,NS3,NS4,NS5,NS6,NS7,NS8,NS9は、サンプルNS1,NS2,NS3,NS4,NS5,NS6,NS7,NS8,NS9の順番でシンボルSを形成するために統合されることになることに注意すべきである。
【0048】
遅延素子、例えば、遅延素子230aは、その後、同じアンテナから送信されるシンボルS,S,S,及びSに遅延を与える。図3に示された実施形態では、シンボルSに関する遅延は、1サンプル・ピリオドtである。シンボルSの直後に同じアンテナ上で送信されるべき次のシンボルSは、2サンプル・ピリオドt及びtだけ遅延される。シンボルSの直後に同じアンテナ上で送信されるべき次のシンボルSは、3サンプル・ピリオドt,t及びtだけ遅延される。シンボルSの直後に同じアンテナ上で送信されるべき次のシンボルSは、4サンプル・ピリオドt,t,t及びtだけ遅延される。もし、さらなるシンボルが同じアンテナ上で送信されるのであれば、次の連続するシンボルは、5サンプル・ピリオドt,t,t,t及びtの遅延で送信されるはずである。このようにして、線形の時間変化する遅延が、1つのアンテナからの送信に与えられることができ、そのアンテナは、MIMOシステムの一部であることもありそうでないこともある。
【0049】
遅延ピリオドの線形の変化が、1サンプル・ピリオドごとに連続的である必要はなく、同様に2又はそれより多くのサンプル・ピリオドごとに連続的であり得る、例えば、第1のシンボルSは、3サンプル・ピリオドだけ遅延されることができ、第2のシンボルSは、6サンプル・ピリオドだけ遅延されることができ、第3のシンボルSは、9サンプル・ピリオドだけ遅延されることができ、そして第4のシンボルSは、12サンプル・ピリオドだけ遅延されることができる。しかも、線形の変化は、各連続するシンボルの間で変わるだけでなく、シンボルのグループに対して変わる必要がある、例えば、シンボルS及びSは、それぞれ1サンプル・ピリオドずつ遅延され、そしてシンボルS,及びSは、それぞれ2又はそれより多くのサンプル・ピリオドずつ遅延される。
【0050】
図4を参照して、複数のアンテナ上で送信されるシンボルに与えられる時間変化する遅延の1実施形態が図示される。1つの同じシンボルSが、アンテナA,A,A,及びAから送信されることになる。シンボルSは、9個のサンプルNS1,NS2,NS3,NS4,NS5,NS6,NS7,NS8,NS9及び、それぞれサンプルN及びNS9である2−サンプルサイクリックプレフィックスNC1及びNC2を備える。第1のアンテナAから、シンボルSは、1つのサンプル・ピリオドも遅延されない。第2のアンテナAから、シンボルSは、1サンプル・ピリオドtだけ遅延される。第3のアンテナAから、シンボルSは、2サンプル・ピリオドt及びtだけ遅延される。第4のアンテナAから、シンボルSは、3サンプル・ピリオドt,t及びtだけ遅延される。そのようにして、時間ダイバーシティ及び周波数ダイバーシティが、アンテナA,A,A,及びAによって与えられる空間ダイバーシティに加えてMIMOシステムに与えられることができる。
【0051】
図4に図示されたスキーム及びその変形に対して与えられた時間ダイバーシティは、同じシンボルの同じサンプルによる衝突の可能性の削減を提供し、それによってチャネルの破壊的又は建設的な加算(destructive or constructive addition)の可能性を最小にする。
【0052】
同じアンテナ上で送信される同じシンボル間の遅延変動は、線形である必要がない、又は他のアンテナの遅延に関係することさえも必要なく、もしシンボルが実質的に同時に送信されようとしている限り、各アンテナにおいて異なる量だけ遅延されるはずであることに、注意すべきである。
【0053】
利用される順番が、アンテナの数に対応する必要がなく、より小さなグループに対して変えられる、又はアンテナの数よりも多くの数で変化できることに、注意すべきである。
【0054】
その上、図2に関して論じたように、遅延は、ランダムであることができ、そして正弦関数、余弦関数のような関数、又はその他の関数に基づくことがあり得る。いくつかの実施形態では、遅延ピリオドは、1つのシンボル中のサンプルの数に制限される、ここで、遅延ピリオドは、一定数のシンボル又はランダムなシンボル数の後で繰り返されることができる。しかも、複数のシンボル間の遅延がサンプル・ピリオドの部分であることができ、そしてサンプル・ピリオド全体の倍数であるように制限されないことに注意すべきである。部分遅延は、1つの実施形態では、送信機ユニット200の1又はそれより多くのクロックのクロック・ピリオドの部分を使用することによって実施されることができる。
【0055】
図5を参照して、時間変化する遅延ダイバーシティを与える送信機ユニットの別の1つの実施形態のブロック図が図示される。送信機ユニット500は、送信機ユニット200と実質的に同一である。その上、スケーリング回路554aから554t−1は、遅延素子530aから530t−1の1つの出力に各々が接続される。スケーリング回路534aから534t−1は、遅延素子530aから530t−1の各々によって与えられる遅延に一定のスカラ・シフトを与える。例えば、一定のシフトが、各遅延に与えられ、その結果、例えば0.5の一定のシフトが与えられるのであれば、1サンプル・ピリオド遅延は、0.5サンプル・ピリオドになるはずであり、2−サンプル・ピリオド遅延は、1サンプル・ピリオドになるはずであり、5サンプル・ピリオド遅延は、2.5サンプル・ピリオドになるはずである。1つの実施形態では、スケーリング回路554aから554t−1の各々は、互いのスケーリング回路とは異なるシフトを与える。1つの実施形態では、線形数列が、スケーリング回路554aから534t−1全体にわたり与えられる、すなわち、スケーリング回路554aは、554bよりも小さなシフトを与え、554bは554cよりも小さく、等である。
【0056】
図5は、サイクリックプレフィックス発生器228aが遅延素子に接続されないように図示するが、他の実施形態は、サイクリックプレフィックス発生器228aから228tの各々の出力に遅延素子を与えることができることに、注意すべきである。同様に、図5は、サイクリックプレフィックス発生器228aがスケーリング回路に接続されないように図示するが、他の実施形態は、遅延回路がサイクリックプレフィックス発生器に接続されるかどうかに拘らず、サイクリックプレフィックス発生器228aから228tの各々の出力にスケーリング回路を与えることができる。
【0057】
図6を参照して、時間変化する遅延ダイバーシティを利用することが可能な受信機ユニットの1実施形態のブロック図が図示される。送信された信号は、アンテナ602aから602rによって受信され、そしてそれぞれ受信機604aから604rによって処理されて、N個のサンプル・ストリ−ムを与える。これはその後、RXプロセッサ606に与えられる。
【0058】
デモジュレータ608の内部で、サイクリックプレフィックス除去素子612aから612r及びFFTブロック614aから614rは、N個のシンボル・ストリームを与える。サイクリックプレフィックス除去素子612aから612rは、各送信シンボル内に含まれたサイクリックプレフィックスを除去し、対応する再生されたOFDMシンボルを与える。
【0059】
FFTブロック614aから614rは、それから高速フーリエ変換を使用してシンボル・ストリームの各再生されたシンボルを変換して、各送信シンボル・ピリオドの間のN個の周波数サブチャネルに関するN個の再生された変調シンボルのベクトルを与える。FFTブロック614aから614rは、空間プロセッサ620にN個の受信されたシンボル・ストリームを与える。
【0060】
空間プロセッサ620は、N個の受信されたシンボル・ストリームに空間処理又は空間−時間処理を実行して、N個の検出されたシンボル・ストリームを与える、これは、N個の送信されたシンボル・ストリームの推定値である。空間プロセッサ620は、線形ZFイコライザ、チャネル相関行列反転(CCMI:channel correlation matrix inversion)イコライザ、最小平均二乗誤差(MMSE:minimum mean square error)イコライザ、MMSE線形イコライザ(MMSE−LE)、判断フィードバック・イコライザ(DFE:decision feedback equalizer)、又はある種のその他のイコライザを実装することができ、これは米国特許出願第09/993,087号、第09/854,235号、第09/826,481号、及び第09/956,444号に記載され、そして図示されていて、その各々は、全体が引用によって本明細書中に組み込まれている。
【0061】
空間プロセッサ620は、送信機の遅延素子及び/又はスケーリング回路によって与えられる時間変化する遅延を補償することができ、これは、図2及び図5に関連して論じられている。この補償は、1つの実施形態では、遅延スキームを、例えば、線形、擬似ランダム・シーケンスにしたがうランダム、又は受信機ユニット600によってアプリオリに知られた関数、にすることによって、与えられることができる。この知識は、例えば、全ての送信機によって利用される同じスキームを有することによって、又は送信機と受信機ユニット600との間の通信の初期化の一部として利用されるスキームに関する情報を提供することによって、与えられることがあり得る。
【0062】
マルチプレクサ/デマルチプレクサ622は、それから検出されたシンボルをマルチプレックスし/デマルチプレックスし、そしてN個のシンボル・デマッピング素子624aから624rへN個のデータ・ストリームに関するN個の集合した検出シンボル・ストリームを与える。各シンボル・デマッピング素子624aから624rは、その後、そのデータ・ストリームに対して使用された変調スキームに相補的である復調スキームにしたがって検出されたシンボルを復調する。N個のシンボル・デマッピング素子624aから624rからのN個の復調されたデータ・ストリームは、それからRXデータ・プロセッサ610に与えられる。
【0063】
RXデータ・プロセッサ610の内部で、各復調されたデータ・ストリームは、そのデータ・ストリームに対して送信機システムにおいて実行されたものに相補的な方法でチャネル・デインターリーバ632aから632rによってデインターリーブされる、そしてデインターリーブされたデータは、送信機システムにおいて実行されたものに相補的な方法でデコーダ634aから634rによってさらにデコードされる。例えば、もしターボ・コーディング又は畳み込みコーディングがそれぞれ送信機ユニットにおいて実行されたのであれば、ターボ・デコーダ又はビタビ・デコーダが、デコーダ634aから634rとして使用されることができる。各デコーダ634aから634rからのデコードされたデータ・ストリームは、送信されたデータ・ストリームの推定値を表す。デコーダ634aから634rは、しかも、(例えば、それが正しく受信されたかエラーで受信されたかどうかを指示している)各受信したパケットの状態を与えることができる。デコーダ634aから634rは、正しくデコードされなかったパケットに関する復調されたデータをさらに記憶させることができ、その結果、このデータは、引き続く漸増式の送信からのデータと統合されることができ、そしてデコードされることができる。
【0064】
図6に示された実施形態では、チャネル推定器640は、チャネル応答及びノイズ変動を推定し、そしてプロセッサ650にこれらの推定値を与える。チャネル応答及びノイズ変動は、パイロットに関する検出されたシンボルに基づいて推定されることができる。
【0065】
プロセッサ650は、レート選択に関係する種々の機能を実行するように設計されることができる。例えば、プロセッサ650は、チャネル推定値及び変調スキームのような他のパラメータに基づいて各データ・ストリームに対して使用されることができる最大データ・レートを決定できる。
【0066】
図7を参照して、遅延素子の1実施形態のブロック図が図示される。プロセッサ700は、バス702を介してメモリ704と接続される。メモリ704は、送信のために与えられる変調シンボルの時間ドメイン表示のサンプルを記憶するために利用される。各シンボルのサンプルは、プロセッサ700にとって既知のメモリ位置に記憶される。プロセッサ700は、それからメモリ704を指示することができ、シンボルの連続したグループ若しくはフレーム又はバースト・ピリオドに対して任意の所望の時間変化する遅延を利用して各シンボルのサンプルを出力する。
【0067】
図3及び図4に関して説明したように、各シンボルに関する遅延は、連続的に送信されるべきシンボルの複数のグループに対して各シンボル間で、そして異なるフレーム又はバースト・ピリオド内の複数のシンボル間で変化することがある。メモリの使用は、シンボルの遅延供給のために利用されるべきいずれかの予め決められたスキーム又は適応スキームを可能にし、そしてそれによって、チャネル状態ならびに予め決められたスキーム、例えば線形変化、に基づいて変化しうる時間ダイバーシティを与える。
【0068】
図8を参照して、時間変化するダイバーシティを与えるための方法の1実施形態のフローチャートが図示される。逆高速フーリエ変換を受けた後で1又はそれより多くの変調されたシンボルを表しているもののサンプルが与えられる(ブロック800)。サイクリックプレフィックスが、次いで、変調されたシンボルの各々の先頭に付加される(ブロック802)。プレフィックスのサイズは、望まれるように変えることができ、そして1つの実施形態では32サンプル又はそれより多くのサンプルであり得る。
【0069】
サイクリックプレフィックスを含んでいるサンプルは、その後、メモリ中に記憶される(ブロック804)、メモリは1つの実施形態ではバッファであり得る。1つの実施形態では、各変調されたシンボルに関するサンプルは、サイクリックプレフィックスを先頭に付加した後でサンプルがその順番で与えられる順番にしたがってメモリ中に記憶される。他の実施形態では、各変調されたシンボルのサンプルは、望まれる任意の順番で記憶されることができる。1つのシンボルに対して送信されるべき第1のシンボルは、第1の遅延Nにしたがって除去される(ブロック806)。送信されるべき次のシンボルは、それから第1の遅延とは異なる第2の遅延にしたがって除去される(ブロック808)。第2の遅延、及び後のシンボルに関するさらなる遅延は、N+βの遅延であり得る、ここで、βはNからの線形増加又は線形減少、Nからのランダムな変化、又はある関数の結果であり得る。
【0070】
遅延される必要があるシンボルのうち送信されてしまったかどうか又はそうでなければ利用されてしまったかどうかについての決定がなされる(ブロック810)。もしそうでなければ、同じ時間変動にしたがってメモリ又はバファからのさらなるシンボルの出力に、追加の遅延が与えられる。もしそうであれば、その時にはプロセスは終了する、そしてさらなるシンボルが、ブロック800−804に関して論じたように与えられる(ブロック812)。
【0071】
図9を参照して、時間変化する遅延ダイバーシティを与える送信機ユニットのさらなる実施形態のブロック図が図示される。送信機ユニット900は、送信機ユニット200と実質的に同じである。しかしながら、IFFTブロック226aから226tの出力に接続された遅延素子230aから230t−1を利用する代わりに、位相シフト回路930aから930t−1が、IFFTブロック926aから926tの入力の前に接続され、それらはモジュレータ924の出力を受信する。位相シフト回路930aから930t−は、各シンボルのサンプルに時間変化する位相シフトを与える。例えば、位相シフト回路930aは、モジュレータによって出力される第1のシンボルのサンプルに位相シフトΦを与えることができ、次のシンボル又はその後のシンボルのサンプルに位相シフトΦを与えることができる。後のシンボルのサンプルは、異なる大きさ又は同じ大きさの位相シフトを有することができる。この位相シフトは、IFFTブロック926aから926tによるIFFTの適用の後で、時間ドメインにおける遅延として機能することができる。
【0072】
各位相シフト回路930aから930tは、互いの位相シフト回路930aから930tとは異なる位相シフトを与えることができ、その結果、複数のアンテナから送信された同じシンボルの遅延は、各アンテナとは異なる。変動は、いずれかの他のアンテナに関して与えられる位相シフトの関数であることがあるし、そうでないこともある。
【0073】
1つの実施形態では、各位相シフト回路930aから930tによって与えられる位相シフトは、モジュレータによって出力された連続する複数のシンボル間で位相シフトが変化する結果である。他の実施形態では、位相シフトは、グループの中の各シンボルが同じ位相シフトを有する2つのシンボルのグループ、3つのシンボルのグループ、4つのシンボルのグループ、又はそれより多くのシンボルのグループの間で変り得る。さらなる実施形態では、1つのフレーム又はバースト・ピリオド内の全てのシンボルは、同じ位相シフトを有するはずであり、各フレーム又はバースト・ピリオドが前のフレーム又はバースト・ピリオド若しくは次のフレーム又はバースト・ピリオドとは異なる各シンボルに関する位相シフトを有する。
【0074】
図9は、位相シフト回路がサイクリックプレフィックス発生器928aに接続されていないことを描いているが、他の実施形態は、サイクリックプレフィックス発生器928aから928tの各々の出力に位相シフト回路を与えることができることに注意すべきである。
【0075】
いくつかの実施形態では、モジュレータ及び位相シフト回路は、プロセッサを備えることができる。
【0076】
図10を参照して、時間変化するダイバーシティを与えるための方法の1実施形態のフローチャートが図示される。モジュレータによって出力された第1のシンボルのサンプルは、第1の位相シフトΦを受ける(ブロック1000)。第2のシンボルのサンプルは、それからΦとは異なる第1の位相シフトΦを受ける(ブロック1002)。その後、さらなるシンボルがまだ位相シフトされるべきかどうかの決定がなされる(ブロック1004)。もしなければ、Φ又はΦと同じ又は異なることがある位相シフトが、その後、モジュレータによって出力される次のシンボルのサンプルに与えられる(ブロック106)。このプロセスは、位相シフトすべきさらなるシンボルがなくなるまでその後繰り返される。
【0077】
もし、位相シフトすべきさらなるシンボルがなければ、シンボルは、IFFTを受け(ブロック1008)、サイクリックプレフィックスを先頭に付加され(ブロック1010)、そしてシンボルをメモリ中に記憶する(ブロック1012)、1つの実施形態では、該メモリはバッファであり得る。1つの実施形態では、各変調されたシンボルに関するサンプルは、サイクリックプレフィックスを先頭に付加した後で与えられる順番にしたがってメモリ内に記憶される。他の実施形態では、各変調されたシンボルのサンプルは、望まれる任意の順番で記憶される。
【0078】
いくつかの実施形態では、位相シフトは、シンボル・ストリーム内のシンボルの位置に対応して変化する数を又はその他の序数を掛け算した一定角度に等しい位相にしたがって、連続するシンボル間で、シンボルのグループ間で、又はフレーム間で異なることができる。一定角度は、固定であることができ、又は他の時定数にしたがって変化することができる。また、異なるアンテナに向けられたシンボルに適用される一定角度は、異なるものであることができる。
【0079】
他の実施形態では、位相シフトは、いずれかの他のシンボルに関してランダムな位相にしたがって変化することがある。これは、位相シフトを発生させるために擬似ランダム・コードを利用することによって与えられることができる。
【0080】
図10は位相シフトがフレーム又はバースト・ピリオドの全てのシンボルに与えられるまでIFFTを実行すること及びサイクリックプレフィックスを先頭に付け加えることを実行することを待機することを示しているが、各シンボルは、フレーム又はバースト・ピリオドのシンボルの各々への位相シフトの完了の前に、個々に又はグループのいずれかでIFFT及びサイクリックプレフィックスの先頭への付加を受けられることに、注意すべきである。
【0081】
送信機ユニット200及び500が、(OFDMを用いないMIMOについて)それぞれの変調シンボル・ストリーム、又は(OFDMを用いたMIMOについて)送信シンボル・ストリームを受信し、処理して、変調された信号を発生させることができ、その変調された信号は、その後、関係付けられたアンテナから送信されることに、注意すべきである。送信機ユニットに関する他の設計が、また、実装されることができ、本発明の範囲内である。
【0082】
OFDMを用いる及び用いないMIMOシステムに関するコーディング及び変調は、下記の米国特許出願にさらに詳細に記載されている:
・米国特許出願番号第09/993,087号、名称“多重アクセス多元入力多元出力(MIMO)通信システム(Multiple-Access Multiple-Input Multiple-Output (MIMO) Communication System)”、2001年11月6日出願;
・米国特許出願番号第09/854,235号、名称“チャネル状態情報を利用する多元入力多元出力(MIMO)通信システムにおいてデータを処理するための方法及び装置(Method and Apparatus for Processing Data in a Multiple-Access Multiple-Input Multiple-Output (MIMO) Communication System Utilizing Channel State Information)”、2001年5月11日出願;
・米国特許出願番号第09/826,481号及び第09/956,449号、名称“ワイアレス通信システムにおいてチャネル状態情報を利用するための方法及び装置(Method and Apparatus for Utilizing Channel State Information in a Wireless Communication System)”、それぞれ2001年3月23日及び2001年9月18日出願;
・米国特許出願番号第09/776,075号、名称“ワイアレス通信システムのためのコーディングスキーム(Coding Scheme for a Wireless Communication System)”、2001年2月1日出願;及び
・米国特許出願番号第09/532,492号、名称“多重キャリア変調を採用する高効率、高性能通信システム(High Efficiency, High Performance Communications System Employing Multi-Carrier Modulation)”、2000年3月30日出願。
【0083】
これらの出願は、本出願の譲受人に全て譲渡され、引用によって本明細書中に組み込まれている。出願番号第09/776,075号は、コーディングスキームを記載し、それによって、同じ基本コード(例えば、畳み込みコード又はターボ・コード)を用いてデータをコーディングすることによって、そして所望のレートを実現するためにパンクチャリングを調節することによって、異なるレートが実現されることができる。その他のコーディングスキーム及び変調スキームが同様に使用されることができ、そしてこれは本発明の範囲内である。
【0084】
本明細書中に開示された実施形態に関連して説明された各種の例示的な論理ブロック、モジュール、回路、及びアルゴリズムが、電子ハードウェア、コンピュータ・ソフトウェア、又は両者の組み合わせとして実装されることができることを、当業者は、理解するであろう。ハードウェア及びソフトウェアのこの互換性を明確に説明するために、各種の例示的な複数の構成要素、ブロック、モジュール、回路、及びアルゴリズムが、それらの機能性の面から一般的に上記に説明されてきている。そのような機能性が、ハードウェア又はソフトウェアとして与えられるかどうかは、特定のアプリケーション及びシステム全体に課せられた設計の制約に依存する。知識のある者は、述べられた機能性を各々の特定のアプリケーションに対して違ったやり方で実行することができる。しかし、そのような実行の判断は、本発明の範囲からの逸脱を生じさせるように説明されるべきではない。
【0085】
本明細書中に開示された実施形態に関連して述べられた、各種の例示的な論理ブロック、プロセッサ、モジュール、及び回路は、汎用プロセッサ、ディジタル・シグナル・プロセッサ(DSP:digital signal processor)、複数の回路、用途特定集積回路(ASIC:application specific integrated circuit)、フィールド・プログラマブル・ゲートアレイ(FPGA:field programmable gate array)若しくはその他のプログム可能な論理デバイス、ディスクリート・ゲート・ロジック又はトランジスタ・ロジック、ディスクリート・ハードウェア素子、若しくは本明細書中に説明された機能を実行するために設計されたこれらのいずれかの組み合わせで、与えられる又は実行されることができる。汎用プロセッサは、マイクロプロセッサであり得るが、しかし代わりに、プロセッサは、いずれかの従来型のプロセッサ、プロセッサ、マイクロプロセッサ、又はステート・マシンであり得る。プロセッサは、デバイスの組み合わせとして与えられることができる。例えば、DSPとマイクロプロセッサの組み合わせ、複数のマイクロプロセッサの組み合わせ、DSPコアとともに1又はそれ以上のマイクロプロセッサの組み合わせ、複数の論理素子の組み合わせ、複数の回路の組み合わせ、若しくはいずれかの他のそのような構成の組み合わせであり得る。
【0086】
本明細書中に開示された実施形態に関連して説明された方法又はアルゴリズムは、ハードウェアにおいて、プロセッサにより実行されるソフトウェア・モジュールにおいて、又は両者の組み合わせにおいて直接実現されることができる。ソフトウェア・モジュールは、RAMメモリ、フラッシュ・メモリ、ROMメモリ、EPROMメモリ、EEPROMメモリ、レジスタ、ハード・ディスク、脱着可能なディスク、CD−ROM、又は、この技術において公知の他のいずれかの記憶媒体の中に常駐できる。ある具体例の記憶媒体は、プロセッサが記憶媒体から情報を読み出し、そしてそこに情報を書き込めるようにプロセッサに接続される。代わりのものでは、記憶媒体は、プロセッサに集積されることができる。プロセッサ及び記憶媒体は、ASIC中に常駐できる。ASICは、ユーザ端末中に常駐できる。代わりのものでは、プロセッサ及び記憶媒体は、ユーザ端末中に単体素子として常駐できる。
【0087】
開示された実施形態のこれまでの説明は、本技術に知識のあるいかなる者でも、本発明を作成し、使用することを可能にするために提供される。これらの実施形態への各種の変形は、当業者に容易に明らかであろう。そして、本明細書中に規定された一般的な原理は、本発明の精神又は範囲から逸脱することなく、その他の実施形態に適用されることができる。それゆえ、本発明は、本明細書中に示された実施形態に制限することを意図したものではなく、本明細書中に開示した原理及び新規な機能と整合する最も広い範囲に適用されるものである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
マルチチャネル通信システムにおいて送信ダイバーシティを与えるための方法、該方法は下記を具備する:
第1の複数のサンプルを備える第1のシンボルを、第1のアンテナに、与えること;
第1の遅延ピリオドの後で該第1のシンボルを、第2のアンテナに、与えること;
第2の複数のサンプルを備える第2のシンボルを、該第1のアンテナに、与えること;
該第1の遅延ピリオドとは異なる第2の遅延ピリオドの後で該第2のシンボルを、該第2のアンテナに、与えること;
第3の複数のサンプルを備える第3のシンボルを、該第1のアンテナに、与えること;
該第1の遅延ピリオド及び該第2の遅延ピリオドとは異なる第3の遅延ピリオドの後で該第3のシンボルを、該第2のアンテナに、与えること。
【請求項2】
請求項1の方法、ここにおいて、該第1のシンボル、該第2のシンボル、及び該第3のシンボルは、同じシンボル・ストリームの連続したシンボルである。
【請求項3】
請求項1の方法、ここにおいて、該第3のシンボルは、該第1のシンボルの直後に送信される該第2のシンボルの直後に送信される。
【請求項4】
請求項1の方法、ここにおいて、該第1のシンボル、該第2のシンボル、及び該第3のシンボルは、同じシンボル・ストリームの連続しないシンボルである。
【請求項5】
請求項4の方法、ここにおいて、該第1のシンボル及び該第2のシンボルは、複数のシンボルだけ分離され、そして該第2のシンボル及び該第3のシンボルは、該複数のシンボルだけ分離される。
【請求項6】
請求項1の方法、ここにおいて、該第1のシンボル、該第2のシンボル、及び該第3のシンボルは、異なるフレームにおいてそれぞれ送信される。
【請求項7】
請求項1の方法、ここにおいて
該第1の遅延ピリオドの後で該第1のシンボルを与えることは、該第1の複数のサンプルの各々に第1の位相シフトを与えることを備える;
該第1の遅延ピリオドとは異なる該第2の遅延ピリオドの後で該第2のシンボルの後で与えることは、該第2の複数のサンプルに第2の位相シフトを与えることを備え、それは該第1の位相シフトとは異なる;及び
該第1の遅延ピリオド及び該第2の遅延ピリオドとは異なる第3の遅延ピリオドの後で該第3のシンボルを与えることは、該第1の位相シフト及び該第2の位相シフトとは異なる該第3の複数のサンプルに第3の位相シフトを与えることを備える。
【請求項8】
請求項1の方法、ここにおいて、該第1の遅延ピリオドは、X個のサンプル・ピリオドの遅延を備え、該第2の遅延ピリオドは、X+β個のサンプル・ピリオドの遅延を備え、そして該第3の遅延は、X+2β個のサンプル・ピリオドの遅延を備える。
【請求項9】
請求項1の方法、ここにおいて、該第1の遅延ピリオドは、X個のサンプル・ピリオドの遅延を備え、該第2の遅延ピリオドは、X個以外の任意の数のサンプル・ピリオドであるY個のサンプル・ピリオドの遅延を備え、そして該第3の遅延は、X個又はY個以外の任意の数のサンプル・ピリオドであるZ個のサンプル・ピリオドの遅延を備える。
【請求項10】
請求項1の方法、ここにおいて、該第1の遅延ピリオドは、f(x)サンプル・ピリオドの遅延を備え、該第2の遅延ピリオドは、f(x+1)サンプル・ピリオドの遅延を備え、そして該第3の遅延は、f(x+1)サンプル・ピリオドの遅延を備える、ここで、fは関数である。
【請求項11】
請求項1の方法、該方法は、異なるキャリア周波数にしたがって該第1のシンボル、該第2のシンボル、及び該第3のシンボルを変調することをさらに具備する。
【請求項12】
請求項1の方法、該方法は、該第1の遅延ピリオド、該第2の遅延ピリオド、及び該第3のピリオドにスカラ・シフトを与えることをさらに具備する。
【請求項13】
請求項1の方法、ここにおいて、該第1の遅延ピリオド、該第2の遅延ピリオド、及び該第3の遅延ピリオドは、フィードバック情報に基づいて決定される。
【請求項14】
請求項1の方法、該方法は下記をさらに具備する:
与えることに先立って、該第1のシンボルにサイクリックプレフィックスを付加すること;
与えることに先立って、該第2のシンボルにサイクリックプレフィックスを付加すること;及び
与えることに先立って、該第3のシンボルにサイクリックプレフィックスを付加すること。
【請求項15】
送信機、該送信機は下記を具備する:
少なくとも2つのアンテナ;
該少なくとも2つのアンテナに接続されたモジュレータ;及び
該モジュレータと該少なくとも2つのアンテナのうちの1つの間に接続された遅延回路、該遅延回路は該モジュレータから該アンテナに出力されるシンボルを時間とともに変化する遅延ピリオドにしたがって遅延させる。
【請求項16】
請求項15の送信機、ここにおいて、該遅延回路は、該モジュレータによって該アンテナに出力される連続した複数のシンボル間で異なるように該遅延ピリオドを与える。
【請求項17】
請求項15の送信機、ここにおいて、該遅延回路は、該シンボルの該位置に対応して変化する数で掛け算した定数に等しいサンプル・ピリオドの数だけ連続した複数のシンボル間で異なるように該遅延ピリオドを与える。
【請求項18】
請求項15の送信機、ここにおいて、該遅延回路は、いずれかの他の連続したシンボルに対してランダムな数のサンプル・ピリオドだけ連続した複数のシンボル間で異なるように該遅延ピリオドを与える。
【請求項19】
請求項15の送信機、ここにおいて、該遅延回路は、f(x)サンプル・ピリオドだけ連続した複数のシンボル間で異なるように該遅延ピリオドを与える、ここで、fは関数であり、そしてxは該シンボルの位置にしたがって変化する数である。
【請求項20】
請求項15の送信機、該送信機は、該遅延回路と該アンテナとの間に接続されたスケーリング回路をさらに具備する。
【請求項21】
請求項15の送信機、ここにおいて、該モジュレータは、シンボルを変調するために周波数帯域の異なるキャリア周波数を利用する。
【請求項22】
請求項15の送信機、ここにおいて、該モジュレータ及び該遅延回路は、プロセッサを備える。
【請求項23】
請求項15の送信機、ここにおいて、該少なくとも2つのアンテナは、少なくとも3つのアンテナを備える、該送信機は、該モジュレータと該少なくとも3つのアンテナのうちの別の1つとの間に接続された別の1つの遅延回路を備え、該別の1つの遅延回路は、時間とともに変化する別の1つの遅延ピリオドを与える、ここにおいて、該別の1つの遅延ピリオド及び該遅延ピリオドは各シンボルに対して異なる。
【請求項24】
請求項23の送信機、ここにおいて、該遅延ピリオドは、該モジュレータによって該アンテナに出力される連続した複数のシンボル間で異なり、そして該別の1つの遅延ピリオドは、該モジュレータによって該別の1つのアンテナに出力される連続した複数のシンボル間で異なる、そしてここにおいて、連続した複数のシンボル間の該遅延ピリオドは、n*β個のサンプルだけ変化し、そして連続した複数のシンボル間の該別の1つの遅延ピリオドは、n*(β+k)個のサンプルだけ変化する。
【請求項25】
請求項25の送信機、該送信機は、該モジュレータと該遅延回路との間に接続されたサイクリックプレフィックス発生器回路をさらに具備する。
【請求項26】
ワイアレス送信機、該ワイアレス送信機は下記を具備する:
少なくとも2つのアンテナ;及び
該アンテナに接続されたメモリ、該メモリは各々が複数のサンプルを備える複数のシンボルを記憶する、ここにおいて、該メモリは、該2つのアンテナのうちの1つのアンテナに第1の遅延の後で該複数のシンボルの第1のシンボル及び該1つのアンテナに第2の遅延の後で該複数のシンボルの第2のシンボルの該複数のサンプルを出力する、ここにおいて、該第1の遅延と該第2の遅延は異なる。
【請求項27】
請求項26のワイアレス送信機、ここにおいて、該第2の遅延は、該第1の遅延よりn*β個のサンプルだけ大きい、ここで、nはシンボル・ストリーム中の該第2のシンボルの順序を示す位置であり、そしてβは定数である。
【請求項28】
請求項26のワイアレス送信機、ここにおいて、該第1の遅延は、f(x)サンプルであり、そして該第2の遅延は、f(x+1)サンプルである、ここで、fは関数である。
【請求項29】
請求項26のワイアレス送信機、ここにおいて、該メモリは、バッファを備える。
【請求項30】
請求項26のワイアレス送信機、該ワイアレス送信機は、メモリ中に該複数のシンボルを記憶することに先立って該複数のシンボルの各々にサイクリックプレフィックスを付加する該メモリに接続されたサイクリックプレフィックス発生器をさらに具備する。
【請求項31】
請求項26のワイアレス送信機、ここにおいて、該少なくとも2つのアンテナは、少なくとも3つのアンテナを備える、ここにおいて、該メモリは、第3の遅延の後で該少なくとも3つのアンテナのうちの別の1つに該第1のシンボルを与え、そして第4の遅延の後で該第2のシンボルを与える、ここにおいて、該第1の遅延、該第2の遅延、該第3の遅延、及び該第4の遅延は互いに全て異なる。
【請求項32】
請求項26のワイアレス送信機、ここにおいて、該第2の遅延は、該第1の遅延からn*β個のサンプルだけ変化し、そして該第4の遅延は、該第3の遅延からn*(β+k)個のサンプルだけ変化する、ここで、nはシンボル・ストリーム中のシンボルの位置であり、そしてβ及びkは定数である。
【請求項33】
複数のシンボルを送信するための送信機、該送信機は下記を具備する:
複数のアンテナ:
該複数のアンテナを介した送信のために複数のシンボルを変調する該複数のアンテナに接続されたモジュレータ;及び
該モジュレータによって出力される各シンボルの遅延を与えるため、そして該モジュレータによって出力される連続した複数のシンボル間で該遅延を変化させるための手段。
【請求項34】
請求項33の送信機、ここにおいて、該与えるための手段は、n*β個のサンプルだけ変化する連続した複数のシンボル間に遅延を与えるための手段を具備する、ここで、nはシンボル・ストリーム中の該第2のシンボルの順序を示す位置であり、そしてβは定数である。
【請求項35】
請求項33の送信機、ここにおいて、該与えるための手段は、ランダムな数のサンプルだけ変化する連続した複数のシンボル間に遅延を与えるための手段を具備する。
【請求項36】
請求項33の送信機、ここにおいて、該与えるための手段は、f(x)サンプルにしたがって変化する連続した複数のシンボル間に遅延を与えるための手段を具備する、ここで、fは関数である。
【請求項37】
請求項33の送信機、該送信機は、複数のキャリア周波数を利用する該複数のシンボルを変調するモジュレータをさらに具備する。
【請求項38】
請求項33の送信機、該送信機は、該複数のシンボルの各々に与えられた該遅延にスカラ・シフトを与えるための手段をさらに具備する。
【請求項39】
請求項33の送信機、該送信機は、該複数のシンボルの各々にN個のサンプルのサイクリックプレフィックスを付加するための手段をさらに具備する。
【請求項40】
送信機、該送信機は下記を具備する:
少なくとも3つのアンテナ;
該少なくとも3つのアンテナに接続されたモジュレータ;
該モジュレータと該少なくとも2つのアンテナのうちの1つとの間に接続された第1の遅延回路、該第1の遅延回路は該モジュレータから該アンテナに出力されるシンボルを時間とともに変化する遅延ピリオドにしたがって遅延させる;
該モジュレータと該少なくとも2つのアンテナのうちの別の1つとの間に接続された第2の遅延回路、該第1の遅延回路は該モジュレータから該別の1つのアンテナに出力されるシンボルを時間とともに変化する別の1つの遅延ピリオドにしたがって遅延させる;
ここにおいて、該別の1つの遅延ピリオド及び該遅延ピリオドは異なる。
【請求項41】
請求項40の送信機、ここにおいて、該遅延回路は、該モジュレータによって該アンテナに出力される連続した複数のシンボル間で異なるように該遅延ピリオドを与え、そして該別の1つの遅延回路は、該モジュレータによって該別の1つのアンテナに出力される連続した複数のシンボル間で異なるように該別の1つの遅延ピリオドを与える。
【請求項42】
請求項40の送信機、ここにおいて、該遅延回路は、該シンボルの位置に対応して変化する数で掛け算した定数に等しいサンプル・ピリオドの数だけ連続した複数のシンボル間で異なるように該遅延ピリオドを与え、そして該別の1つの遅延回路は、該シンボルの該位置に対応して変化する数で掛け算した別の1つの定数に等しいサンプル・ピリオドの数だけ連続した複数のシンボル間で異なるように該別の1つの遅延ピリオドを与える。
【請求項43】
請求項40の送信機、ここにおいて、該別の1つの遅延回路は、いずれかの他の連続したシンボルに関してランダムな数のサンプル・ピリオドだけ連続した複数のシンボル間で異なるように該遅延ピリオドを与える。
【請求項44】
請求項40の送信機、ここにおいて、該遅延回路は、f(x)サンプル・ピリオドだけ連続した複数のシンボル間で異なるように該遅延ピリオドを与える、ここで、fは関数であり、そしてxは該シンボルの位置にしたがって変化する数であり、そして該別の1つの遅延回路は、g(x)サンプル・ピリオドだけ連続した複数のシンボル間で異なるように該別の1つの遅延ピリオドを与える、ここで、gはfとは異なる関数であり、そしてxは該シンボルの該位置にしたがって変化する数である。
【請求項45】
請求項40の送信機、該送信機は、該遅延回路と該アンテナとの間に接続されたスケーリング回路、及び該別の1つの遅延回路と該別の1つのアンテナとの間に接続された別の1つのスケーリング回路をさらに具備する。
【請求項46】
請求項40の送信機、ここにおいて、該モジュレータは、シンボルを変調するために周波数帯域の異なるキャリア周波数を利用する。
【請求項47】
請求項40の送信機、該送信機は、モジュレータと該遅延回路との間に接続されたサイクリックプレフィックス発生器回路、及び該モジュレータと該別の1つの遅延回路との間に接続された別の1つのサイクリックプレフィックス発生器回路をさらに具備する。
【請求項48】
マルチチャネル通信システムにおいて送信ダイバーシティを与えるための方法、該方法は下記を具備する:
第1のアンテナ上で送信されるべき第1のシンボルに第1の位相シフトを与えること、該第1のシンボルは第1の複数のサンプルを備える;及び
第2のアンテナ上で送信されるべき該第1のシンボルに、該第1の位相シフトとは異なる第2の位相シフトを与えること、第2のシンボルは第2の複数のサンプルを備える。
【請求項49】
請求項48の方法、該方法は、該第1のアンテナ上で送信されるべき第2のシンボルに第3の位相シフトを与えること、及び該第2のアンテナ上で送信されるべき該第2のシンボルに第4の位相シフトを与えることをさらに具備する、ここにおいて、該第1の位相シフト、該第2の位相シフト、該第3の位相シフト、及び該第4の位相シフトは互いに全て異なる。
【請求項50】
請求項49の方法、ここにおいて、該第2のシンボルは、該第1のシンボルの直後に送信される。
【請求項51】
請求項49の方法、ここにおいて、該第1のシンボル及び該第2のシンボルは、同じシンボル・ストリームの連続しないシンボルである。
【請求項52】
請求項49の方法、ここにおいて、該第1のシンボル及び該第2のシンボルは、異なるフレームでそれぞれ送信される。
【請求項53】
請求項49の方法、該方法は、異なるキャリア周波数にしたがって該第1のシンボル及び該第2のシンボルを変調することをさらに具備する。
【請求項54】
請求項48の方法、ここにおいて、該第1の位相シフト及び該第2の位相シフトは、フィードバック情報に基づいて決定される。
【請求項55】
請求項48の方法、該方法は、送信に先立って該第1のシンボルにIFFT操作を適用することをさらに具備する。
【請求項56】
送信機、該送信機は下記を具備する:
少なくとも2つのアンテナ;
該少なくとも2つのアンテナに接続されたモジュレータ;及び
該モジュレータと該少なくとも2つのアンテナのうちの1つの間に接続された位相シフト回路、該位相シフト回路は該モジュレータによって該アンテナに出力されるシンボルに時間とともに変化する位相シフトにしたがって位相シフトを与える。
【請求項57】
請求項56の送信機、ここにおいて、該位相シフト回路は、該モジュレータによって該アンテナに出力される連続した複数のシンボル間で異なるように該位相シフトを与える。
【請求項58】
請求項56の送信機、ここにおいて、該位相シフト回路は、該シンボルの位置に対応して変化する数で掛け算した一定角度に等しい位相にしたがって連続した複数のシンボル間で異なるように該位相シフトを与える。
【請求項59】
請求項56の送信機、ここにおいて、該位相シフト回路は、いずれかの他の連続したシンボルに関してランダムな位相だけ複数のシンボル間で異なるように該位相シフトを与える。
【請求項60】
請求項56の送信機、ここにおいて、該モジュレータは、シンボルを変調するために周波数帯域の異なるキャリア周波数を利用する。
【請求項61】
請求項56の送信機、ここにおいて、該モジュレータ及び該位相シフト回路は、プロセッサを備える。
【請求項62】
請求項56の送信機、ここにおいて、該少なくとも2つのアンテナは、少なくとも3つのアンテナを備える、該送信機は該モジュレータと該少なくとも3つのアンテナのうちの別の1つとの間に接続された別の1つの位相シフト回路をさらに備え、該別の1つの位相シフト回路は時間とともに変化する別の1つの位相シフトを与える、ここにおいて、該別の1つの位相シフト及び該シフトは各シンボルに対して異なる。
【請求項63】
請求項56の送信機、該送信機は、該位相シフト回路の出力に接続されたIFFTブロックをさらに具備する。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2013−102463(P2013−102463A)
【公開日】平成25年5月23日(2013.5.23)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2012−277645(P2012−277645)
【出願日】平成24年12月20日(2012.12.20)
【分割の表示】特願2010−166280(P2010−166280)の分割
【原出願日】平成17年4月29日(2005.4.29)
【出願人】(595020643)クゥアルコム・インコーポレイテッド (7,166)
【氏名又は名称原語表記】QUALCOMM INCORPORATED
【Fターム(参考)】