説明

OFDM伝送に関するタイミング捕捉及びモードとガード検出

【課題】OFDM伝送に対するモードとガード長とを検出及びタイミング・オフセットを推定する技術を提供する。
【解決手段】OFDM伝送に使用された可能性があるモードとガード長の種々異なる組合せに対して相関関係評価が、受信されたサンプルについて実行されて求められる。該仮定されたガード・インターバルのエネルギーが決定される。該相関関係評価結果と該エネルギーに基づいて第1メトリックが導出される。該第1メトリックは、フィルタ処理、平均化される。雑音が、該仮定に対して推定されるタイミング・オフセットにより決定される位置における該フィルタ処理された第1メトリックに対する要素の集合に基づいて、推定される。該フィルタ処理された第1メトリック及び該推定された雑音に基づいて第2メトリックが導出される。全ての仮定に対する該第2メトリックがモード、ガード長、及びタイミング・オフセットを決定するために使用される。

【発明の詳細な説明】
【関連文献】
【0001】
本特許出願は、2005年9月20日に出願され、そして、本出願の譲受人に譲渡され、そして、参照として本出願に組み込まれた、“OFDMにおける高速モード、ガード及び第1到着経路捕捉”と題する米国特許仮出願番号第60/718,988号に優先権を主張する。
【技術分野】
【0002】
本開示は、一般に通信に係わり、更により詳しくは、通信システムのための捕捉技術に関する。
【背景技術】
【0003】
直交周波数分割多重化(orthogonal frequency division multiplexing)(OFDM)は、ある複数の無線環境に対して高性能を提供することが出来る多重キャリア変調技術である。OFDMは、全システム帯域を複数(K個)の直交する周波数サブバンドに分割し、該サブバンドは、又キャリア、サブキャリア、トーン、等々とも呼ばれる。OFDMに関しては、それぞれのサブバンドは、データで変調されることが出来るそれぞれのキャリアに関連付けられる。
【0004】
OFDMシステムでは、送信機は、トラヒック・データを処理して(例えば、符号化し、インターリーブし、そして変調して)変調シンボルを生成しそして更に該変調シンボルをK個のサブバンドにマッピングする。送信機は、次に該変調シンボルを時間ドメインに変換してOFDMシンボルを生成する。それぞれのOFDMシンボルは、有用部分とガード・インターバルとを含み、後者は、該有用部分の繰り返された部分である。OFDMシステムは、異なるKの値に対して異なるモードを、異なるガード・インターバル長に対して異なるガード長を、サポートすることが出来る。送信機は、次に使用のために選択されたモードとガード長とに従ってOFDMシンボルを生成する。送信機は、該OFDMシンボルを受信機に送信する。
【0005】
受信機は、送信機から受信されたOFDMシンボルに対し相補的処理を実行する。受信機は、一般的には送信機によって使用されたモードとガード長とを最初に検出する。受信機は、次に受信された各OFDMシンボルを該検出されたモードとガード長とに従って処理する。該受信OFDMシンボルの処理が可能な限り速やかに開始することが出来るように、モードとガード長とを迅速かつ信頼できるものとして検出することが望ましい。
【0006】
従って、当業界においては、OFDMシステムにおけるモードとガード長とを検出するための技術に対する必要性がある。
【非特許文献1】“Digital Video Broadcasting (DVB); Framing Structure, Channel Coding and Modulation for Digital Terrestrial Television”ETSI EN 300 744 November 2004 January 2001
【非特許文献2】“Transmission System for Digital Terrestrial Television Broadcasting”ARIB STD-B31 July 2003
【発明の概要】
【0007】
モードとガード長とを迅速かつ信頼できるものとして検出するための技術が本明細書で説明される。モードは、各OFDMシンボルの有用部分の期間を示す。ガード長は、各OFDMシンボルに対するガード・インターバルの期間を示す。タイミング・オフセットは、それぞれの受信OFDMシンボルの開始を示す。
【0008】
ある態様では、モード検出、ガード検出、及び/又はタイミング・オフセット推定のために改良されたメトリックが導かれそして使用される。本明細書で使用されるように、メトリックは、1又は複数の既知のパラメータの関数であって、1又は複数の未知のパラメータの定量的評価のために使用される。ある実施形態では、受信されたOFDM伝送に対して複数のサンプルが取得され、仮定されたガード・インターバルの間に相関関係評価が該複数のサンプルについて実行されて相関関係評価結果を求める。仮定されたガード・インターバルのエネルギーも又決定される。第1/初期メトリックは、該相関関係評価結果とエネルギーとに基づいて導出される。第1メトリックは、例えば平均化によって、フィルタ処理されることが出来る。雑音が、例えば推定されたタイミング・オフセットにより決定される位置における第1メトリックに対する諸要素の集合に基づいて、推定される。第2/改良メトリックは、次に該フィルタ処理された第1メトリック及び該推定雑音に基づいて導出される。第2メトリックは、OFDM伝送に関するタイミング・オフセットを推定するために、同様にOFDM伝送に対するモードとガード長とを検出するために使用されることが出来る。相関関係、エネルギー及び第1メトリックは、下記に説明されるように効率的に計算されることが出来る。
【0009】
別の態様では、モードとガード検出及びタイミング・オフセット推定が受信されたOFDMシンボルに対して効率的に実行される。少なくとも1つのメトリック(それは第1及び/又は第2メトリックであり得る)が諸サンプルに基づいて及び複数の仮定に対して導出される。それぞれの仮定は、該OFDM伝送に対して仮定されるモードとガード長との特定の組合せに対応する。次に、該OFDM伝送に対するモードとガード長とが該メトリックに基づいて検出される、例えば該メトリックに基づいて最も蓋然性の高い仮定を特定し、そして該OFDM伝送に対して検出されるモードとガード長としてこの仮定に対するモードとガード長とを提供することによって、検出される。該OFDM伝送に関するタイミング・オフセットも又該メトリックに基づいて推定されることが出来る。該諸サンプルは、次に該検出されたモードとガード長及び該推定タイミング・オフセットに従って処理される。
【0010】
更に別の態様では、第1到着経路(first arriving path)(FAP)が検出され、高速フーリエ変換(fast Fourier transform)(FFT)窓が良い性能を実現するように設置される。FAPは、OFDM伝送に対するモードとガード長とを検出するために使用されるメトリックと同じメトリックに基づいて検出されることが出来る。ある実施形態では、メトリックとFFT窓に対する目標位置を示す利得とに基づいて閾値が計算される。FAPが次に該メトリックと該閾値とに基づいて検出される。FFT窓が該検出されたFAPと
、モードと、ガード長とに基づいて決定される。該FFT窓は、該検出モードにより決定される幅を有し、該検出されたFAPとガード長とにより決定される位置に設置される。該FFT窓に基づいて処理するための諸サンプルが選択される。
【0011】
本発明の種々の態様と実施形態が下記でさらに詳細に説明される。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明の送信機と受信機のブロック図を示す図。
【図2】本発明の送信機におけるOFDM変調器のブロック図を示す図。
【図3】本発明の受信機におけるOFDM復調器のブロック図を示す図。
【図4】本発明の4つのガード長に対する相関関係の区分計算を示す図。
【図5A】本発明の単一パス・チャネルとマルチパス・チャネルに対するFAP検出を示す図。
【図5B】本発明の単一パス・チャネルとマルチパス・チャネルに対するFAP検出を示す図。
【図6】本発明のタイミング捕捉及びモード、ガードとFAP検出ユニットのブロック図を示す図。
【図7】本発明のガード・インターバル相関器、ガード・エネルギー計算ユニット、及びメトリック計算ユニットのブロック図を示す図。
【図8】本発明のモード及びガード検出のために使用されるメトリックを導出するためのプロセスを示す図。
【図9】本発明のデシメーションを持つメトリックを導出するためのプロセスを示す図。
【図10】本発明の区分的方法でパラメータを計算するためのプロセスを示す図。
【図11】本発明のモードとガード長とを検出するためのプロセスを示す図。
【図12】本発明の、OFDM伝送に対する、モードとガード長とを検出し且つタイミング・オフセットを推定するためのプロセスを示す図。
【図13】本発明のFAP検出とFFT窓設置のためのプロセスを示す図。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明の特徴と本質は、図面を使用して下記に記載される詳細な説明から更に明らかになる。図面では、一貫して対応するものは同じ参照符号で識別する。
【0014】
“例示的な(exemplary)”という用語は、本明細書中では“例、例証、又は実例として働く”ということを意味するために使用される。本明細書中で“例示的な”と記載される何れの実施形態又は設計も、他の実施形態又は設計に対して優位である又は有利であると必ずしも解釈される必要はない。
【0015】
本明細書中で説明される捕捉技術は、例えばOFDMシステム、直交周波数分割多元接続(orthogonal frequency division multiple access)(OFDMA)システム、単一搬送波(single-carrier)周波数分割多元接続(SC−FDMA)システム、等々のような、種々の通信システムに対して使用されることが出来る。OFDMAシステムは、OFDMを利用する。一般に、変調シンボルは、OFDMに関しては周波数ドメインで、そしてSC−FDMAに関しては時間ドメインで、送られる。
【0016】
平明にするために、本捕捉技術は、ハンドヘルド機器のためのデジタル・ビデオ放送(Digital Video Broadcasting for Handhelds)(DVB−H)及び地上テレビ放送のための統合デジタル放送サービス(Integrated Services Digital Broadcasting for Terrestrial Television Broadcasting)(ISDB−T)を実装する2つの例示的なOFDMに基づくシステムに対して、下記に具体的に説明される。DVB−HとISDB−Tは、地上通信網を介するマルチメディアのデジタル伝送をサポートする。DVB−Hは、“Digital Video Broadcasting (DVB); Framing Structure, Channel Coding and Modulation for Digital Terrestrial Television”と題する資料ETSI EN 300 744、2004年11月2001年1月に記載されている。ISDB−Tは、“Transmission System for Digital Terrestrial Television Broadcasting”と題する資料ARIB STD−B31 2003年7月に記載されている。これ等の資料は、公に入手可能である。
【0017】
図1は、OFDMに基づくシステム100における送信機110と受信機150のブロック図を示し、該システムは、DVB−H、ISDB−T、及び/又はある別の設計を実装することが出来る。送信機110では、送信(transmit)(TX)データ・プロセッサ120は、トラヒック・データを処理して(例えば、フォーマットし、符号化し、インターリーブし、そしてシンボル・マッピングして)データ・シンボルを生成する。本明細書で使用されるように、データ・シンボルは、トラヒック・データに対する変調シンボルであり、パイロット・シンボルは、パイロットに対する変調シンボルであり、これは送信側と受信側双方により先験的に知られるデータである、そしてゼロ・シンボルは、ゼロの信号値である。OFDM変調器130は、データ・シンボルとパイロット・シンボルとを受信して適切なサブバンド上に多重化し、下記に説明されるようにOFDM変調を実行し、そして各OFDMシンボル期間の中に1つのOFDMシンボルを提供する。OFDMシンボル期間(或いは単に、シンボル期間)は、1OFDMシンボルの期間である。送信機ユニット(transmitter unit)(TMTR)132は、OFDMシンボルを処理して(例えば、アナログに変換し、増幅し、フィルタ処理し、そして周波数アップコンバートして)、そして変調された信号を生成し、その信号はアンテナ134を介して送信される。
【0018】
受信機150では、アンテナ152は、送信機110からの変調信号を受信して、受信信号を受信機ユニット(receiver unit)(RCVR)154に与える。受信機ユニット154は、受信信号を調整して(例えば、フィルタ処理し、増幅し、周波数ダウンコンバートし、そしてデジタル化して)、サンプルを与える。OFDM復調器(demodulator)(Demod)160は、該OFDM伝送に対するモードとガード長とを検出し、そして各OFDMシンボル期間においてFFT窓を適切に設置するために更にタイミング・オフセットを推定する。OFDM復調器160は、下記で説明されるように該サンプルを更に処理して、送信機110によって送られたデータ・シンボルの推定値である、データ・シンボル推定値を与える。受信(receive)(RX)データ・プロセッサ170は、該データ・シンボル推定値を処理して(例えば、シンボル・デマッピングし、デインターリーブし、そして復号して)、復号されたデータを与える。一般には、OFDM復調器160及びRXデータ・プロセッサ170による処理は、それぞれ、送信機110におけるOFDM変調器130及びTXデータ・プロセッサ120による処理に相補的である。
【0019】
制御器/プロセッサ140及び180は、それぞれ、送信機110及び受信機150における種々の処理ユニットの動作を制御する。メモリ142及び182は、それぞれ、送信機110及び受信機150に対するデータ及びプログラム・コードを記憶する。
【0020】
図2は、図1の送信機110におけるOFDM変調器130のブロック図を示す。OFDM変調器130の内部では、シンボル・ツー・サブバンド(symbol-to-subband)マッピング・ユニット210は、データ・シンボルとパイロット・シンボルとを受信してK個の利用可能なサブバンドにマッピングし、ゼロ・シンボルを(N−K)個の使用されないサブバンドにマッピングして、全N個のサブバンドに対してN個の送信シンボルを与える。それぞれの送信シンボルは、データ・シンボル、パイロット・シンボル或いはゼロ・シンボルであることが出来る。それぞれのOFDMシンボル期間において、ユニット212は、N点逆高速フーリエ変換(inverse fast Fourier transform)(IFFT)又は逆離散フーリエ変換(inverse discrete Fourier transform)(IDFT)を用いて、N個の送信シンボルを時間ドメインに変換して、N個の時間ドメイン・チップを含む変換されたシンボルを与える。それぞれのチップは、1チップ期間において送信されるべき複素値である。パラレル/シリアル(parallel-to-serial)(P/S)変換器214は、それぞれの変換されたシンボルに対するN個のチップをシリアル化する。次にガード・インターバル挿入ユニット216は、それぞれの変換されたシンボルの一部(又はL個のチップ)を反復して、(N+L)個のチップを含むOFDMシンボルを形成する。それぞれのOFDMシンボルは、有用部分に対してN個のチップを含みそしてガード・インターバルに対してL個のチップを含む。ガード・インターバルは、通信チャネルにおける遅延広がりにより引き起こされる搬送波間干渉(inter-carrier interference)(ICI)及びシンボル間干渉(intersymbol interference)(ISI)に対処するために使用される。
【0021】
DVB−Hは、2K、4K、及び8KのFFTサイズに対する3つの動作モードをサポートする。ISDB−Tも又256、512、及び1KのFFTサイズに対する3つの動作モードをサポートする。DVB−H及びISDB−Tは、又OFDMシンボルの4つの異なるガード長1/4、1/8、1/16及び1/32をサポートする。
【0022】
表1は、DVB−H及びISDB−Tの3つのモードに対する幾つかの重要パラメータの値を与える。表1では、3行目と4行目は、DVB−H及びISDB−Tの3つのモードに対する、それぞれ、FFTサイズ(サンプル数)と利用可能なサブバンド/搬送波数を与える。5行目から8行目までは、DVB−H及びISDB−Tの3つのモードに対する、ガード長1/4、1/8、1/16、及び1/32に対する(サンプル数を単位とする)ガード・インターバル期間を与える。下記の説明では、mはモードに対する指標であり、そしてgはガード長に対する指標であって、ここに、m∈{1,2,3}及びg∈{1,2,3,4}。より具体的には、ガード長1/4に対してはg=1であり、ガード長1/8に対してはg=2であり、ガード長1/16に対してはg=3であり、ガード長1/32に対してはg=4である。
【0023】
表1に示されるように、有用部分の期間(又はFFTサイズ)は、Nと表わされて、モードmにのみ依存する。ガード・インターバルの期間は、Lm,gと表わされて、モードmとガード長gとの双方に依存する。モードmとガード長gに対するOFDMシンボル長Tm,gは、モードmに対するFFTサイズNプラス、ガード長gに対するガード・インターバルの期間Lm,g、に等しい、即ちTm,g=N+Lm,g。例えば、DVB-Hにおいてガード長1/16を持つモード2に対するOFDMシンボル・サイズは、
2,3=4096+256=4352。
【0024】
表1の第7列は、DVB−Hに対して種々の異なるガード長を持つモード1に対するOFDMシンボル・サイズT1,g(サンプルの数で)を与える。第11列は、ISDB−Tに対して種々の異なるガード長を持つモード1に対するOFDMシンボル・サイズT1,gを与える。
【表1】

【0025】
図3は、図1の受信機150におけるOFDM復調器160の一実施形態のブロック図を示す。OFDM復調器160の内部では、タイミング捕捉及びモード、ガードとFAP検出ユニット310は、受信機ユニット154からの受信された諸サンプルに基づいてタイミング・オフセットを推定しそしてモードとガード長とを検出する。ユニット310は、又各受信OFDMシンボルに対して何れのサンプルを処理すべきかを決定するFFT窓を生成する。
【0026】
プレプロセッサ320は、受信サンプルを処理して入力サンプルを与える。プレプロセッサ320は、自動利得制御(automatic gain control)(AGC)、タイミング捕捉、フィルタ処理、サンプル・レート変換、直流(direct current)(DC)オフセット除去、周波数誤差の推定と除去、及び/又はその他の機能、を実行することが出来る。ユニット322は、各受信OFDMシンボル中のガード・インターバルをFFT窓に基づいて除去し、そして該除去されたOFDMシンボルに対するN個の入力サンプルを与える。各受信OFDMシンボルに対して、FFTユニット324は、該N個の入力サンプルについてN点FFTを実行して、N個の周波数ドメイン受信シンボルを与える。チャネル推定器328は、受信パイロット・シンボルに基づいてチャネル推定値を導出する。チャネル推定値は、時間ドメインのチャネル・インパルス応答推定値及び/又は周波数ドメインのチャネル周波数応答推定値であることが出来る。データ復調器326は、該チャネル推定値を用いて受信データ・シンボルについてデータの復調/検波を実行してデータ・シンボル推定値を与える。簡明を期するため図3には示されてないけれども、OFDM復調器160は、フレーム検出、フレーム同期、時間追跡、周波数追跡、及び/又はその他の機能、のための他の処理ユニットを含むことが出来る。
【0027】
受信機での受信信号は、下記のように表わされることが出来る:
r(k)=s(k−τ)・ej2π・ε・k/N+w(k) 数式(1)
ここに、s(k)はサンプル期間kの間に送信されるチップであり、
r(k)はサンプル期間kの間に受信されるサンプルであり、
τは受信信号のタイミング・オフセットであり、
εは受信信号に対する周波数誤差であり、そして
w(k)はサンプルr(k)により観測される雑音である。
【0028】
簡明を期するため、下記の説明では、r(k)に対するサンプル・レートは、s(k)に対するチップ・レートに等しいと仮定する。周波数誤差εを推定して修正するための周波数捕捉は、本明細書では説明されない。
【0029】
数式(1)に示されるように、受信信号は、送信信号の遅延バージョンである。送信信号は、OFDMシンボルの系列で構成される。各OFDMシンボルは、T=N+L個のサンプルから構成され、ここに、N及びLは、例えば、DVB−H又はISDB−Tのような、システムのみならずOFDM伝送のために使用されるモードとガード長とによっても決定される。受信機は、(例えば、電源を入れた際に)システムと、モードとガード長とを知らない可能性があり、そして受信信号を適切に処理するためにこれ等のパラメータを確認する必要がある。
【0030】
一般には、受信機は、任意の数のモード及びガードの仮定を評価できる。モード及びガードの各仮定は、該受信信号に対して使用されると仮定される特定のモードと特定のガード長とに対応する。従って、仮定(m,g)は、モードmとガード長gが使用されるという仮定に対応する。全探索に関しては、DVB−H又はISDB−Tのための3つのモードと4つのガード長に対する全12の仮定が評価されることが出来る。部分探索に関しては、該全仮定の部分集合が評価される。特定探索に関しては、唯一の(例えば、前回捕捉されたモードとガード長に対する)仮定が評価される。
【0031】
各OFDMシンボルは、図2に示されるように、有用部分とガード・インターバルとを含む。有用部分は、多数のランダムな独立したデータ・シンボルのN点IFFTによる複素ガウス過程の諸性質を示す。ガード・インターバルを挿入の後、OFDMシンボルは、白色過程ではなく、モードとガード長とを検出するため、そしてタイミング・オフセットτを推定するために活用されることが出来る巡回定常的な統計的諸性質を示す。特に、OFDMシンボルの反復部分は、Nサンプル離れた原部分と関係付けられることが出来る。種々のメトリックが相関関係評価結果に基づいて導出されることが出来て、受信信号に対するモード、ガード長及びタイミング・オフセットを決定するために使用されることが出来る。
【0032】
相関関係評価は、受信サンプルについてモードmとガード長gに関して、下記のように、実行されることが出来る:
(k)=r(k)・r(k−N) 数式(2)
そして
【数1】

【0033】
ここに、c(k)はr(k)とr(k−N)の積であり、
”は複素共役を表し、そして
m,g(k)はサンプル期間kにおけるモードmとガード長gに関する相関関係評価結果である。
【0034】
モードmとガード長gに対するガード・インターバルのエネルギーは、下記のように計算されることが出来る:
(k)=|r(k)|+|r(k−N)| 数式(4)
そして
【数2】

【0035】
ここに、e(k)はサンプルr(k)とr(k−N)のエネルギーであり、
m,g(k)はサンプル期間kにおけるモードmとガード長gに対するガード・エネルギーである。
【0036】
数式(2)から数式(5)に示されるように、Cm,g(k)とEm,g(k)は、モードmとガード長gとの双方に依存する。モードmは、何れのサンプルが計算のために使用されるべきかを決定する。ガード長gは、Cm,g(k)とEm,g(k)とを求めるために累算すべきサンプル数を決定する。各仮定(m,g)に対して、各サンプル期間において、Cm,g(k)に関して新しい値が得られることが出来、そして、Em,g(k)に関して新しい値が得られることが出来る。
【0037】
m,g(k)とEm,g(k)は、下記のように、帰納的方法で計算されることが出来る:
m,g(k)=Cm,g(k−1)+c(k)−c(k−Lm,g) 数式(6)
m,g(k)=Em,g(k−1)+e(k)−e(k−Lm,g) 数式(7)
数式(6)に示されるように、Cm,g(k)は、それぞれのサンプル期間kに対して、現在のサンプル期間kに対して計算された新しいc(k)を加算し且つLm,gサンプル期間以前からの古いc(k−Lm,g)を減算することにより、計算されることが出来る。Em,g(k)は、Cm,g(k)と同様な方法で計算されることが出来る。
【0038】
一実施形態では、Cm,g(k)とEm,g(k)は、数式(3)と数式(5)に示されるように、それぞれc(k)とe(k)に対するLm,g個の値を累算することによって計算される。この実施形態に関しては、各仮定(m,g)に対して累算すべきc(k)とe(k)の値の個数、Lm,g、は、モードmとガード長gとに依存する。
【0039】
ガード・デシメーションと呼ばれる別の実施形態では、Cm,g(k)とEm,g(k)は、利用可能なサンプルの小部分に基づいて計算される。この実施形態に対しては、Cm,g(k)とEm,g(k)は、それぞれc(k)とe(k)に対するLm,g個の値より少ない個数を累算することによって求められることが出来る。累算のために使用されるc(k)とe(k)の値は、仮定された全ガード・インターバルの全体にわたり分散している。例えば、最短ガード長1/32に対するCm,4(k)は、全てのc(k)値、即ちc(k)からc(k−Lm,4−1)、を累算することにより計算されることが出来る。ガード長1/16に対するCm,3(k)は、1つおきのc(k)値、即ちc(k)、c(k−2)、…、c(k−Lm,3−2)、を累算することにより計算されることが出来る。ガード長1/8に対するCm,2(k)は、4つおきのc(k)値、即ちc(k)、c(k−4)、…、c(k−Lm,2−4)、を累算することにより計算されることが出来る。最も長いガード長1/4に対するCm,1(k)は、8つおきのc(k)値、即ちc(k)、c(k−8)、…、c(k−Lm,1−8)、を累算することにより計算されることが出来る。Em,g(k)も又Cm,g(k)と同様な方法でデシメーションを用いて計算されることが出来る。Cm,g(k)とEm,g(k)のデシメーションされた計算は、受信機に対する計算上の必要条件を緩和することが出来る一方、全てのガード長に対して同等の検出性能を提供する。
【0040】
DVB−Hに対するCm,g(k)とEm,g(k)とがISDB−Tに対するCm,g(k)とEm,g(k)とに合致するようにデシメーションされることが出来る。表1に示されるように、DVB−Hにおけるモード1に対するFFTサイズとガード長は、ISDB−Tにおけるモード1に対するFFTサイズとガード長の8倍である。従って、DVB−Hに対するCm,g(k)とEm,g(k)は、ISDB−Tに対する検出性能と同等である検出性能のために、DVB−Hに対して最大8までの因子だけデシメーションされることが出来る。一般には、Cm,g(k)とEm,g(k)の計算に際して任意のデシメーション因子が使用されることが出来る。
【0041】
区分計算と呼ばれる、一実施形態では、所与のモードに対して種々の異なるガード長に対するCm,g(k)とEm,g(k)は、計算量を低減するために、区分法で計算される。数式(2)から数式(5)に示されるように、Cm,g(k)とEm,g(k)とを計算するために使用される諸サンプルは、モードmによって決定され、それに対し、累算インターバルは、更にガード長gによって決定される。従って、Cm,g(k)とEm,g(k)が最短ガード長1/32に対して計算されることが出来、そしてこのガード長に対する結果は、もっと長いガード長1/16、1/8及び1/4に対するCm,g(k)とEm,g(k)とを計算するために使用されることが出来る。
【0042】
例えば、Lg1=2Lg2である2つのガード長g1及びg2に対して、Cm,g(k)は下記のように計算されることが出来る:
【数3】

【0043】
数式8で示されるように、サンプル期間kに対する長い方のガード長に関するCm,g1(k)は、サンプル期間kに対する短い方のガード長に関するCm,g2(k)及びLg2サンプル期間前に関するCm,g2(k−Lg2)に基づいて計算されることが出来る。
【0044】
図4は、最短ガード長1/32に対するCm,4(k)に基づく、モードmに対する4つのガード長に関するCm,g(k)の区分計算の一実施形態を示す。この実施形態に関して、Cm,4(k)は、例えば数式(6)に示されるように、c(k)に基づいてそれぞれのサンプル期間kに対して計算される。次にCm,3(k)は、新しく計算されたCm,4(k)及び記憶されているCm,4(k−Lm,4)に基づいて計算される。同様に、Cm,2(k)は、新しく計算されたCm,3(k)及び記憶されているCm,3(k−Lm,3)に基づいて計算される。最後に、Cm,1(k)は、新しく計算されたCm,2(k)及び記憶されているCm,2(k−Lm,2)に基づいて計算される。この実施形態に対しては、受信機は、Cm,4(k)に対しては直近のLm,4個の要素を、Cm,3(k)に対しては直近のLm,3個の要素を、そしてCm,2(k)に対しては直近のLm,2個の要素を、記憶すれば良い。
【0045】
区分計算は、メモリ効率の良い方法で実行されることが出来る。全4個のガード仮定が、Cm,4(k)のただ直近のLm,1個の値、即ち最大ガード・サイズの長さに等しい最小ガード相関値の個数、を記憶することによって、並列に評価されることが出来る。図4は、Cm,1、Cm,2及びCm,3のそれぞれに対する全ての構成要素がCm,4から階層的方法で導出されることが出来ることを示す。該階層を下降する総和のみが実行されるので、メモリ中には各ステップでCm,4値のみが記憶されればよい。Cm,4から開始して階層の階段を下降し、次のCm,x値のそれぞれは総和の段階に従って求められることが出来る。
【0046】
m,g(k)は、他の方法でも区分的に計算されることが出来る。Em,g(k)は、Cm,g(k)と同様な方法で区分的に計算されることが出来る。
【0047】
m,g(k)及び/又はEm,g(k)に基づいて種々のメトリックが定義されることが出来る。一実施形態では、メトリックは下記のように定義される:
m,g(k´)=|Cm,g(k)|−ρ・Em,g(k) 数式(9)
ここに、ρはスケーリング因子であり、
k´=k mod Tm,gは該メトリックに対する指標であり、そして
m,g(k´)は指標k´におけるモードmとガード長gに対するメトリック要素である。
【0048】
受信信号は、OFDMシンボルの系列から構成されているので、メトリックMm,g(k´)は、OFDMシンボル期間毎に反復すると期待される。かくして、メトリックMm,g(k´)は、モードm及びガード長gに対して指標k´=0,…,Tm,g−1を有するTm,g個の時間仮定に対して、計算されることが出来る。これ等のTm,g個の時間仮定は、受信OFDMシンボルの開始のために可能なTm,g個の位置に対応する。
【0049】
一実施形態では、スケーリング因子ρは、下記のように定義される:
ρ=SNR/(SNR+1) 数式(10)
ここに、SNRは、受信信号に対する信号対雑音比である。他の実施形態では、ρは、固定値又は高性能を与えるために選択されることが出来る設定可能な値に設定されることが出来る。例えば、ρは、0、1/4、1/2、1、或いは何か他の値に設定されることが出来る。ρは、該受信機に対して期待される動作SNRに対応する値に設定されることが出来る。
【0050】
相関関係評価結果Cm,g(k)は、フェージング・チャネルのために時間によって変動する可能性がある。数式(9)では、ガード・エネルギーEm,g(k)が相関関係評価結果から減算されてフェージング・チャネルの影響を補償する。
【0051】
メトリックMm,g(k´)は、1OFDMシンボル期間に対する複数のサンプルに基づいて導出される。改良された検出性能のために、メトリックMm,g(k´)は、複数のOFDMシンボル期間に亘ってフィルタ処理されることが出来る。一実施形態では、フィルタリング処理は、下記のように、平均によって実行される:
【数4】

【0052】
ここに、Mm,g(k´,L)はシンボル期間Lに対するメトリックであり、
m,g(k´,L)はシンボル期間Lに対するフィルタ処理されたメトリックであり、そして
はMm,g(k´,L)を求めるために平均処理するシンボル期間の個数である。
【0053】
は、全てのモードとガード長とに対して固定された値であることが出来る。例えば、Nは、1、2、4、8、16、等々と設定されることが出来る。それに代わって、Nは、モードm、ガード長g、チャネル及び雑音状態、等々に依存することが出来る設定可能な値であることが出来る。例えば、より大きな値のNが短いガード・インターバルに対して使用されることが出来て、より小さな値のNが長いガード・インターバルに対して使用されることが出来る。
【0054】
別の実施形態では、下記のように、無限インパルス応答(infinite impulse response)(IIR)フィルタを用いるフィルタ処理が実行される:
【数5】

【0055】
ここに、αは平均化の量を決定する係数である。一般に0≦α≦1であって、より大きなαは、より深い平均化に対応し逆も同様である。簡明を期すために、シンボル指標Lは、下記の説明では省略されて、Mm,g(k´)は、現在のシンボル期間に対するフィルタ処理されたメトリックを表す。
【0056】
一実施形態では、各モード及びガード仮定に関して、k´=0,…,Tm,g−1に対して、メトリックMm,g(k´)に対するTm,g個の要素が、記憶される。この実施形態では、異なるモード及びガード仮定に対しては異なる数の要素が記憶される。
【0057】
時間デシメーションと呼ばれる、別の実施形態では、メトリックMm,g(k´)に対するTm,g個の要素の小部分のみが仮定(m,g)に対して記憶される。可能なタイミング・オフセット(即ち、時間仮定)の個数は、Tm,g個の要素の部分集合のみを記憶することによって低減される。時間デシメーションは、より大きなFFTサイズを持つモード、例えばモード2とモード3、に対して使用されることが出来る。記憶されるべき要素は、全OFDMシンボルの全体から選択されることが出来る。一実施形態では、全T1,g個の要素がモード1に対して記憶され、1つおきのタイミング・オフセットに対するT2,g/2個の要素がモード2に対して記憶され、4つおきのタイミング・オフセットに対するT3,g/4個の要素がモード3に対して記憶される。この実施形態に対しては、所定のガード長gに対する全3つのモードに対して、同じ数の要素が記憶される。表1に示されるように、DVB−Hに関しては、受信機は、ガード長1/4に対して3つのモードのそれぞれに対するMm,g(k´)のために2568個の要素を記憶し、ガード長1/8に対しては2304個の要素を記憶し、ガード長1/16に対しては2192個の要素を記憶し、ガード長1/32に対しては2112個の要素を記憶すれば良い。
【0058】
時間デシメーションは、Mm,g(k´)に対する計算上の及びメモリ上の必要条件を緩和する一方、全モードに対して、OFDMシンボル・サイズに関連して、同等な時間分解能を提供する。
【0059】
時間デシメーションは、DVB−Hが時間分解能をISDB−Tに対して合致させるために使用されることが出来る。表1に示されるように、DVB−Hにおけるモード1に対するFFTサイズは、ISDB−Tにおけるモード1に対するFFTサイズの8倍である。一実施形態では、因子8による時間デシメーションがDVB−Hにおける3つのモードのそれぞれに対して使用される。この実施形態に関しては、DVB−HとISDB−Tの双方に対して、モード1は、同じ時間分解能を有しており、両システムに対するモード2は、モード1の2倍の時間分解能を有しており、そして両システムに対するモード3は、モード1の4倍の時間分解能を有する。別の実施形態では、両システムに対する全てのモードがOFDMシンボル・サイズに関連して同じ時間分解能を有するように、時間デシメーションは、DVB−HとISDB−Tに対して使用される。この実施形態では、因子2及び4による時間デシメーションがISDB−Tにおけるそれぞれモード2及びモード3に対して使用されることが出来る、そして、因子8、16、及び32による時間デシメーションがDVB−Hにおけるそれぞれモード1、モード2及びモード3に対して使用されることが出来る。一般に、任意の量の時間デシメーションが任意のモード及びシステムに対して使用されることが出来る。
【0060】
モードとガードの各仮定に対するメトリックMm,g(k´)の諸要素は、1つのベクトルm,gによって表現されることが出来る。各ベクトルm,gの要素数は、モードm、ガード長g、及び時間デシメーションが使用されるかどうかに依存する。
【0061】
一実施形態では、メトリックMm,g(k´)は、モードとガード長とを検出するために且つタイミング・オフセットを推定するために、使用される。この実施形態に関しては、モード、ガード長、及びタイミング・オフセットは、下記のように決定されることが出来る:
【数6】

【0062】
ここに、mは検出されるモードであり、gは検出されるガード長であり、そしてτは推定されるタイミング・オフセットである。数式(13)において、全てのモードとガード長に対してMm,g(k´)の最大の要素が特定される。Mm,g(k´)のこの最大要素に対する指標m、g及びk´は、それぞれ、検出モードm、検出ガード長g、そして推定タイミング・オフセットτ、として与えられる。推定タイミング・オフセットは、下記に示されるように、受信OFDMシンボルの開始を示す。
【0063】
メトリックMm,g(k´)は、タイミング・オフセットτの良好な推定値を与えることが出来る。しかしながら、メトリックMm,g(k´)は、ある動作シナリオにおいてはモードとガード長との信頼できない検出をもたらす可能性がある。例えば、フェージング・チャネルで5dB未満の低いSNRにおけるモード2及びモード3に対する最短ガード長1/32の場合のシナリオでは、メトリックMm,g(k´)は、しばしばモード1を宣告する。これはモード1が全3個のモードの中で最も雑音の多い統計を有するからであって、このことは、Cm,g(k)とEm,g(k)とが最も少ない数のサンプル、即ちISDB−Tでは8サンプルだけそしてDVB−Hでは64サンプル、にわたり累算することにより生成されることに起因する。
【0064】
別の実施形態では、モード、ガード長、及びタイミング・オフセットは、複数のステップで決定される。この実施形態に対しては、Mm,g(k´)は、タイミング・オフセットを推定するために使用される初期メトリックである。モードとガードの各仮定に対するMm,g(k´)の最大要素が、下記のように、最初に特定される:
【数7】

【0065】
ここに、τm,gは仮定(m,g)に対するMm,g(k´)の最大要素に対する指標である。τm,gは仮定(m,g)に対する推定タイミング・オフセットとして使用される。
【0066】
一実施形態では、モードとガード長検出のために使用される改良されたメトリックが下記のように定義されることが出来る:
【数8】

【0067】
ここに、Wm,gはモードmとガード長gに対する推定値又は平均雑音であり、そして Dm,gはモードとガード長検出のために使用される改良されたメトリックである。
【0068】
数式(15)では、仮定(m,g)に対するメトリックDm,gは、Mm,g(k´)の最大値をとることにより、そして雑音Wm,gを差し引くことによって求められる。Dm,gは、それぞれの仮定(m,g)に対して計算されることが出来る。Dm,gは、フェージング・チャネルや低SNRの場合を含む、多様なチャネル環境においてモードとガード長双方の精確な検出をもたらすことが出来る。
【0069】
一実施形態では、雑音Wm,gは、下記のように推定されることが出来る:
【数9】

【0070】
ここに、Nは、雑音を推定するために使用される要素の数である。数式(16)では、Wm,gは、長さTm,gの受信OFDMシンボルの中央部から取られたN個のMm,g(k´)を合計することによって求められる。仮定(m,g)に対するOFDMシンボルの中央部は、OFDMシンボルの開始からTm,g/2要素離れており、それはτm,gによって示される。N個の要素は、巡回方式で取られる、そして総和計算のための指標iは、mod Tm,gの周りで重複する。Nは、固定値(例えば、N=64)であって良い、或いは、モードm及び/又はガード長gに依存する設定値であっても良い。例えば、Nは、N/4、N/8、等々と設定されることが出来る。
【0071】
モードとガード長とは、メトリックDm,gに基づいて、下記のように、検出されることが出来る:
【数10】

【0072】
数式(17)において、モードとガードの全仮定に対するDm,gの最大要素が特定される。次に、Dm,gのこの最大要素に対する指標mとgは、それぞれ、検出モードm及び検出ガード長gとして与えられる。
【0073】
次にタイミング・オフセットτが、下記のように、Dm,gの最大要素をもたらす指標k´に基づいて推定されることが出来る:
【数11】

【0074】
数式(18)における探索を行う代わりに、各仮定(m,g)に対するタイミング・オフセットτm,gが記憶されても良い。この場合、Dm,gの最大要素に対応するタイミング・オフセットτm,gは、推定タイミング・オフセットτとして与えられることが出来る。
【0075】
数式(13)又は数式(18)から求められる推定タイミング・オフセットは、それぞれ、Mm,g(k´)又はDm,gの最大要素をもたらす信号経路に対するものである。受信機は、複数の信号経路を介して伝送される信号の複数のコピーを受信できる。それぞれの信号経路は、伝搬環境により決定される固有の複素利得と固有の遅延を有する。全ての信号経路に対する全ての又は大部分の有用なエネルギーが捕捉されることが出来そしてISIの影響が除去される又は最小にされるように、FFT窓を設置することが望ましい。
【0076】
一実施形態では、FAP検出がモード及びガード検出の後で実行され、そして検出FAPは、FFT窓を設置するために使用される。FAP検出は、種々の方法で実行されることが出来る。簡明を期するために、FAP検出の具体的な実施形態が下記に説明される。
【0077】
このFAP検出の実施形態に対しては、下記のように最初に閾値が計算される:
【数12】

【0078】
ここに、Mm∧,g∧(τ)は、検出されたモードとガード長とに対するMm,g(k´)の最大要素であり、
m∧,g∧は検出されたモードとガード長とに対するDm,gの最大要素であり、
Gは利得値であり、そして
THFAPはFAP検出のために使用される閾値である。
【0079】
利得Gは、下記に説明されるように、FFT窓の設置に影響する。利得Gは、固定値であることも或いはプログラム可能な値であることも可能であって、高い性能を達成するように選択されることが出来る。例えば、利得Gは、7/8、1/2、1/4、1/8、1/16、0、あるいはある他の値に設定されることが出来る。
【0080】
図5Aは、本明細書で説明される実施形態に従うFAP検出を示す。図5Aに示される例に関し、検出されたモードとガード長とに対するMm∧,g∧(k´)の諸要素が、プロット510により示され、それは推定タイミング・オフセットτにピークを有する。推定雑音は、Wm,gによって示される、そして該ピークと該雑音間の距離は、Dm,gによって示される。閾値THFAPは、数式(19)示されるように計算されて、水平線512により表わされる。
【0081】
FAPを検出するために、推定タイミング・オフセット位置及びそのすぐ左にあるMm∧,g∧(k´)のLm∧,g∧個の要素が特定されて、Mm∧,g∧(τ−Lm∧,g∧+1)からMm∧,g∧(τ)と表わされる。k´が0からTm∧,g∧−1までの範囲にあるので、これ等のLm∧,g∧個の要素は、巡回的に求められ、従って、Mm∧,g∧(Tm∧,g∧−1)は、Mm∧,g∧(0)の直ぐ後に選択される要素である。これ等のLm∧,g∧個の要素は、最大要素Mm∧,g∧(τ)よりも時間的に早く、そしてFAPが検出される探索範囲を表す。
【0082】
m∧,g∧個の要素は、最も早い要素Mm∧,g∧(τ−Lm∧,g∧+1)から始まってMm∧,g∧(τ)に向かって移動し、1回に1要素ずつ閾値THFAPと比較される。該閾値を超える最初の要素は、FAPに対する要素であると宣言され、そしてこの要素に対する指標は、kFAPと表わされる。指標kFAPと推定タイミング・オフセットτとの間の距離が決定されて、FFT窓バックオフBOWINと呼ばれる、即ち、BOWIN=τ−kFAP。該窓バックオフは、もし唯1つの要素、これはMm∧,g∧(τ)である、が閾値を超えるならば、最小値0を有する。もし最も早く選択された要素、これはMm∧,g∧(τ−Lm∧,g∧+1)である、が閾値を超えるならば、該窓バックオフは、最大値Lg∧−1を有する。
【0083】
そこで、FFT窓の開始は、下記のように計算されることが出来る:
【数13】

【0084】
数式(20)と図5Aに示されるように、FFT窓は、検出FAPの右側に1ガード・インターバルのところで開始する場所に設置される。
【0085】
図5Aは、単一信号経路の場合を示す。雑音がない状態では、Mm,g(k´)に対するピーク値が得られるのは、ガード・インターバルの全体がその原コピーと相関付けられる時であって、これは指標k´が受信OFDMシンボルの開始/終了に対応する場合に生じる。τは、従って受信OFDMシンボルの開始の推定値である。Mm,g(k´)に対する値は、τから次第に遠ざかる指標k´に対して、単調に減少する、というのは、ガード・インターバルの次第に小さくなる部分が相関付けられて行くからである。
【0086】
もしτに位置されるのは唯1つの信号経路のみであり且つ雑音がない状態であるならば、その場合、Mm,g(k´)は、τにおいてピーク値を有して、τの両側から単調に減少し結局、図5Aに示されるように該ピーク位置からLm∧,g∧サンプル期間離れた、ほぼτ−Lm∧,g∧及びτ+Lm∧,g∧の所で最小値が達せられる。Dm∧,g∧は、該ピーク値と平均雑音との間の距離であってLm∧,g∧に関係づけられる。
【0087】
利得Gは、閾値THFAPを決定し、該閾値は、FAPの検出とFFT窓の設置に影響する。例えば、もしG=1/4ならば、その場合該閾値は、ピーク値よりDm∧,g∧/4低い所に設定され、FAPは、図5Aに示される波形に対しては約τ−Lm∧,g∧/4の所で検出され、そして、有用部分の開始位置からLm∧,g∧/4手前にある、τ+3Lm∧,g∧/4の所で開始するFFT窓が設置される。利得G=xは、このようにしてFFT窓が有用部分の開始位置からx・Lm∧,g∧の所に設置されるという結果をもたらす。従って利得Gは、“ガードの分数”バックオフ・パラメータと考えられることが出来る。
【0088】
もしτに唯1つの信号経路のみが位置するならば、その場合FFT窓は、τからτ+Lm∧,g∧−1の範囲の内部の任意の箇所に設置されることが出来る、そして、この信号経路に対する全ての有用なエネルギーがFFT窓により捕獲されることが出来てISIはもたらされない。しかしながら、複数の信号経路がある可能性がある。更に、雑音がMm,g(k´)の計算値に不規則な揺らぎを引き起こす可能性がある。FAP検出とFFT窓設置は、雑音によるMm,g(k´)の不確定と同様にマルチパスが補償されることが出来るように実行されることが出来る。
【0089】
図5Bは、単一パス・チャネルと3つの異なるマルチパス・チャネルに対するFAP検出とFFT窓設置を示す。図5Bに示される例では、ガード長は、L=1024サンプルである。プロット520は、単一パス・チャネルに対するMm∧,g∧(k´)を示し、指標k´=512の所にある推定タイミング・オフセットτにピークを有する。プロット522は、L/4即ち256サンプルの遅延拡散を持つ2パス・チャネルに対するMm∧,g∧(k´)を示す。プロット522は、τからτ+255までの平坦域を有する。プロット524は、L/2即ち512サンプルの遅延拡散を持つ2パス・チャネルに対するMm∧,g∧(k´)を示す。プロット524は、τからτ+511までの平坦域を有する。プロット526は、7L/8即ち896サンプルの遅延拡散を持つ2パス・チャネルに対するMm∧,g∧(k´)を示す。プロット526は、τからτ+895までの平坦域を有する。
【0090】
一般に、マルチパスの存在下では、数式(2)と数式(3)で示されるガードの相関は、チャネルの遅延拡散に応じたサイズを持つ平坦領域をもたらす。雑音の存在下では、該平坦領域内の何れの点もピークと検出されることがあり得る。従って、検出ピークにだけ基づいてFFT窓を設置することは、あるチャネルに対しては最適とは云えず低い性能をもたらす可能性がある。FAP検出と窓バックオフは、下記に説明されるように、種々異なるチャネル・プロファイル長のみならず推定タイム・オフセットの不精確さを補償するために使用されることが出来る。
【0091】
図5Bで示される例に対しては、Gは1/4に設定され、そして目標窓バックオフは、ガード・インターバルの約1/4である。単一パス・チャネルに対しては、閾値が上記のように計算され、FAPは、kFAP=260の位置に検出され、そしてFFT窓は、260+1024=1284の位置で開始する。遅延拡散L/4を持つ2パス・チャネルに対しては、より低いピーク値のために閾値はより低くなって、FAPは、kFAP=304の位置に検出され、そしてFFT窓は、304+1024=1328の位置で開始する。遅延拡散L/2を持つ2パス・チャネルに対しては、FAPは、kFAP=344の位置に検出され、そしてFFT窓は、344+1024=1368の位置で開始する。遅延拡散7L/8を持つ2パス・チャネルに対しては、FAPは、kFAP=392の位置に検出され、そしてFFT窓は、392+1024=1416の位置で開始する。本例によって図示されるように、FFT窓は、より長い遅延拡散を持つより長いチャネル・プロファイルに対しては有用部分にさらに接近して設置される。図5Bで示されるように、FFT窓の開始位置と有用部分の開始位置との間の距離、窓バックオフは、より長いチャネル遅れに対しては縮小する。チャネル・プロファイル長さに伴う窓バックオフのこの動的スケーリングは、極めて望ましいものであって、より多くの有用なエネルギーが捕捉されることを可能にする一方、FFT窓設置に対する適切な安全余裕度を提供する。
【0092】
図6は、図3におけるOFDM復調器160内部の、タイミング捕捉及びモード、ガードとFAP検出ユニット310の一実施形態のブロック図を示す。ユニット310の内部では、サンプル・バッファ602は、受信機ユニット154からサンプルr(k)を受信しそしてこれ等のサンプルを後続の処理のために記憶する。
【0093】
ガード・インターバル相関器610は、例えば数式(2)と数式(3)又は数式(6)で示されるように、サンプルについて相関関係評価を実行し、そしてモードとガードの評価される全ての仮定に対する相関関係評価結果Cm,g(k)を与える。ガード・エネルギー計算ユニット620は、例えば数式(4)と数式(5)又は数式(7)で示されるように、ガード・インターバルとその原部分のエネルギーを計算して、モードとガードの全ての仮定に対するガード・エネルギーEm,g(k)を与える。ユニット610と620は、所与のモードに属する種々異なるガード長に対する相関関係評価とエネルギー計算を、数式(8)と図4で示されるように、区分的方法で実行することが出来る。ユニット630は、数式(9)に示されるように、相関関係評価結果Cm,g(k)とガード・エネルギーEm,g(k)とに基づいて、モードとガードの全ての仮定に対するメトリックMm,g(k´)を計算する。バッファ/累算器640は、例えば数式(11)で示される非一貫的(non-coherent)累算又は数式(12)で示されるIIRフィルタ処理のように、メトリックMm,g(k´)に対してフィルタ処理を実行して、モードとガードの全ての仮定に対するフィルタ処理されたメトリックMm,g(k´)を求める。バッファ640は、Mm,g(k´)の諸要素を記憶してバッファ制御器642による命令に従い適切な要素を与える。
【0094】
初期タイミング・オフセット検出器650は、例えば数式(14)で示されるようにMm,g(k´)の最大要素を特定することにより、モードとガードの各仮定に対するタイミング・オフセットを推定する。検出器650は、モードとガードの各仮定に対して、最大要素Mm,g(τm,g)のみならず推定タイミング・オフセットτm,gを与える。
【0095】
ユニット660は、数式(15)で示されるように、検出器650からの最大要素Mm,g(τm,g)及び推定雑音Wm,gに基づいて、モードとガードの各仮定に対するメトリックDm,gを計算する。ユニット660は、数式(16)で示されるように、モードとガードの各仮定に対して、該仮定に対する推定タイミング・オフセットτm,gにより決定される位置におけるMm,g(k´)の諸要素の集合に基づいて、雑音Wm,gを推定することが出来る。検出器670は、例えば数式(17)で示されるように、メトリックDm,gに基づいてモードとガード長を検出して、検出モードmと検出ガード長gを与える。最終タイミング・オフセット検出器652は、モードとガードの全仮定に対するタイミング・オフセットτm,gを受信して、該選択されたモードとガードの仮定に対するタイミング・オフセットを受信されたOFDM伝送に関する推定タイミング・オフセットτとして与える。
【0096】
FAP検出器680は、FAP検出を実行する。検出器680は、例えば数式(19)に示されるように、閾値THFAPを計算することが出来る。検出器680は、次に、例えば図5Aに関して上記で説明されたように、該閾値及び該検出されたモードとガード長に対するMm∧,g∧(k´)の諸要素に基づいて、FAPを探索することが出来る。検出器680は、該検出されたFAPに対して指標kFAPを与える。FFT窓生成器690は、検出器680からの指標kFAPと検出器670からの検出されたモードとガード長とに基づいてFFT窓を生成する。生成器690は、例えば数式(20)に基づいてFFT窓の開始位置を計算することが出来て、検出モードmに基づいてFFT窓のサイズを計算することが出来る。
【0097】
バッファ制御器642は、(1)ユニット630からのMm,g(k)をバッファ640内の適切な位置で累算、平均、又はフィルタ処理するために、及び(2)バッファ640からMm,g(k´)の適切な要素を検索するために、バッファ640のためにアドレスを生成する。タイミング・オフセット推定のために、バッファ640は、モードとガードの全仮定に対するMm,g(k´)の全要素を検出器650に与える。モードとガードの検出のために、バッファ640は、モードとガードの各仮定に対して、該仮定に対する推定タイミング・オフセットτm,gによって決定されるような、雑音測定窓内のMm,g(k´)の諸要素をユニット660に与える。FAP検出のために、バッファ640は、該探索窓内で検出されたモードとガード長に対するMm∧,g∧(k´)の諸要素をFAP検出器680に与える。
【0098】
図7は、図6におけるガード・インターバル相関器610、ガード・エネルギー計算ユニット620、及びメトリック計算ユニット630のブロック図を示す。相関器610の内部では、ユニット710は、サンプルr(k−N)を受信して複素共役演算を行う。乗算器712は、サンプルr(k)を複素共役サンプルr(k−N)と乗算して、出力c(k)を遅延ユニット714と合計器716とに与える。遅延ユニット714は、Lm,gサンプル期間の遅延を与えてc(k−Lm,g)を出力する。遅延ユニット714は、ゼロに初期化されることが出来るシフト・レジスタを用いて実現されることが出来る。合計器716は、c(k)とレジスタ718の出力との和を計算し、その出力をレジスタ718と合計器720とに与える。合計器716とレジスタ718は、乗算器712からの全てのc(k)出力を累算する累算器を形成する。合計器720は、合計器716の出力からc(k−Lm,g)を減算して、相関関係評価結果Cm,g(k)を与える。各サンプル期間kにおいて、c(k)は、合計器716によって累算されて、c(k−Lm,g)が合計器720によって減算される。714から720までのユニットは、集合してガード・インターバルの間にスライディング相関関係評価を実行する。
【0099】
計算ユニット620の内部では、ユニット730aは、サンプルr(k)の2乗絶対値を計算し、そしてユニット730bは、サンプルr(k−N)の2乗絶対値を計算する。合計器732は、ユニット730aとユニット730bとの出力を合計して、出力e(k)を遅延ユニット734と合計器736に与える。遅延ユニット734は、Lm,gサンプル期間の遅延と出力e(k−Lm,g)を与える。合計器736は、e(k)とレジスタ738の出力との和を計算し、その出力をレジスタ738と合計器740とに与える。合計器736とレジスタ738は、合計器732からの全てのe(k)出力を累算する累算器を形成する。合計器740は、合計器736の出力からe(k−Lm,g)を減算して、ガード・エネルギーEm,g(k)を与える。各サンプル期間kにおいて、e(k)は、合計器736によって累算されて、e(k−Lm,g)が合計器740によって減算される。734から740までのユニットは、集合してガード・インターバルの間にスライディング・エネルギー計算を実行する。
【0100】
計算ユニット630の内部では、ユニット742が相関器610からのCm,g(k)の大きさを決定する。乗算器744は、ユニット620からのEm,g(k)をスケーリング因子ρと乗算する。合計器746は、ユニット742の出力から乗算器744の出力を減算して、メトリックMm,g(k)を与える。
【0101】
ガードのデシメーションのためには、受信サンプルr(k)は、(例えばD個のサンプル毎にサンプル・バッファに取り込むことにより)デシメーション率Dだけダウンサンプリングされることが出来て、デシメーションされたサンプルrdec(k)を取得する、ここに、rdec(k)=r(D・k)である。この場合、上記で説明された全ての計算が、帰納法を含め、デシメーションされたサンプルについて実行されることが出来る。
【0102】
時間デシメーションに関しては、ガード・インターバル相関器610とガード・エネルギー計算ユニット620中の諸ユニットは、Cm,g(k)とEm,g(k)の帰納的計算のために、サンプル・レートで動作されることになる。しかしながら、メトリック計算ユニット630は、サンプル・レートの何分の1かで動作されることが出来る。
【0103】
一実施形態では、時間デシメーションは、ISDB−Tにおけるモード2とモード3がモード1に対して、OFDMシンボル・サイズに関連して、時間分解能を合致させるために、使用される。一実施形態では、ガード・デシメーションと時間デシメーションの双方がDVB−Hにおける全3モードに対して使用される。ガード・デシメーションと時間デシメーションは、該2つのシステムにおける種々のモードに対して他の方法で適用されることも出来る。
【0104】
図6と図7は、タイミング捕捉及びモード、ガードとFAP検出ユニット310の具体的な実施形態を示す。任意の数のモード及びガード仮定が受信されたOFDM伝送に対して使用されたモードとガード長を決定するために評価されることが出来る。複数の仮定は、逐次的に(例えば、ハードウェアを時分割多重化して該ハードウェアを恐らくより速いクロック速度で動作させることによって)評価されることが出来るし、及び/又は(例えば、ハードウェアのあるもの又は全てを複製することによって)並列に評価されることも出来る。
【0105】
図8は、モード及びガード検出のために、タイミング・オフセット推定のためと、そして/又はその他の目的のために、使用されるメトリックを導出するためのプロセス800の一実施形態を示す。プロセス800は、評価されるべきモード及びガードの各仮定に対して実行されることが出来る。プロセス800に関して、相関関係評価が仮定されたガード・インターバルの間にサンプルに実行されて相関関係評価結果を得る(ブロック812)。該仮定されたガード・インターバルのエネルギーも又決定される(ブロック814)。第1/初期メトリックが、例えば数式(9)で示されるように、相関関係評価結果とエネルギーに基づいて導出される(ブロック816)。第1メトリックは、例えば数式(11)で示されるような平均化によって或いは数式(12)で示されるようなIIRフィルタを用いて、フィルタ処理されることが出来る(ブロック818)。雑音が、例えば数式(16)で示されるように、推定タイミング・オフセットにより決定される位置における第1メトリックに対する諸要素の集合に基づいて、推定される(ブロック820)。次に第2/改良されたメトリックが、例えば数式(15)で示されるように、フィルタ処理された第1メトリックと該推定雑音に基づいて導出される(ブロック822)。第2メトリックは、受信された伝送に属する少なくとも1つのパラメータ(例えばモード、ガード長、タイミング・オフセット、等々)の検出のために使用される(ブロック824)。
【0106】
メトリックは、他の方法でも導出されることが出来る。例えば、仮定されたガード・インターバルのエネルギーは、省略されることが出来る。別の例として、フィルタ処理は、省略されることが出来る。メトリックは、図8に対して上述で説明されなかった付加的情報を統合することも出来る。
【0107】
図9は、デシメーションを持つメトリックを計算するためのプロセス900の一実施形態を示す。複数の仮定のそれぞれに対して、少なくとも1つのパラメータが受信されたOFDM伝送に関するサンプルに基づいて計算される(ブロック912)。該パラメータは、Cm,g(k)、Em,g(k)、及び/又はその他のパラメータを具備することが出来る。所与の仮定に対して、該パラメータは、利用可能なサンプルの小部分に基づいて計算されることが出来る(ブロック914)。ガード・デシメーションのためには、相関関係評価とエネルギー計算が所与の仮定に対して利用可能なサンプルの小部分を使用して実行されることが出来る。相関関係評価とエネルギー計算のために使用される諸サンプルは、仮定されたガード・インターバル全体から抜き取られることが出来る。相関関係評価とエネルギー計算は、評価される全ての仮定に対して等しい数のサンプルに対して実行されることが出来る。
【0108】
メトリックは、仮定に対する(諸)パラメータに基づき複数の仮定のそれぞれに対して導出される(ブロック916)。該メトリックは、Mm,g(k´)又は何か他のメトリックであることが出来る。所与の仮定に対して、該メトリックに対して利用可能な諸要素の小部分が計算されそして該仮定に対して記憶されることが出来る(ブロック918)。時間デシメーションのためには、該メトリックは、所与の仮定に対して可能な諸タイミング・オフセットの小部分に対して導出されることが出来る。該メトリックは、OFDMシンボル・サイズに関連して、評価される全仮定に対して同じ時間分解能を獲得するために導出されることも出来る。
【0109】
図10は、複数の仮定に対して区分的方法でパラメータを計算するためのプロセス1000の一実施形態を示す。プロセス1000に対しては、受信されたOFDM伝送に関するサンプルについて相関関係評価が実行されて、第1ガード長を有する第1仮定に対する複数の第1相関関係評価結果を求める(ブロック1012)。該複数の第1相関関係評価結果は、結合されて、第1ガード長よりも長い(例えば2倍)、第2ガード長を有する第2仮定に対する複数の第2相関関係評価結果を求める(ブロック1014)。より短いガード長に対する複数の相関関係評価結果を結合することによって、更に長いガード長に対する相関関係評価結果が求められることが可能である。第1仮定に関する第1ガード・インターバルの間の複数のエネルギーが計算される(ブロック1016)。第1ガード・インターバルの間の該複数のエネルギーは、結合されて第2仮定に関する第2ガード・インターバルの間の複数のエネルギーを求める(ブロック1018)。より短いガード・インターバルの間の複数のエネルギーを結合することによって、更に長いガード・インターバルの間のエネルギーが求められることが可能である。
【0110】
図11は、受信されたOFDM伝送に対するモードとガード長とを検出するためのプロセス1100の一実施形態を示す。少なくとも1つのメトリックが該受信されたOFDM伝送に関する諸サンプルに基づいて導出される(ブロック1112)。該(諸)メトリックは、上記で説明された諸メトリック(例えば、Mm,g(k´)、Mm,g(k´)及びDm,g)及び/又は何か他のメトリックのうちの任意の1つ又は任意の組合せであることが出来る。該(諸)メトリックは、モード及びガードの複数の仮定に対して導出されることが出来る。
【0111】
次に該OFDM伝送に対するモードとガード長とが該(諸)メトリックに基づいて検出される(ブロック1114)。最も確からしい仮定が該(諸)メトリックに基づいて特定されることが出来て、この仮定に対するモードとガード長とが該OFDM伝送に対して検出されたモードとガード長として与えられることが出来る。該OFDM伝送に関するタイミング・オフセットが該(諸)メトリックに基づいて推定されることが出来る(ブロック1116)。モードとガード長検出及びタイミング・オフセット推定は、該(諸)メトリックに基づき1又は複数のステップで実行されることが出来る。例えば、各仮定に対するタイミング・オフセットが決定されることが出来、モードとガード長とは、該複数の仮定に対する複数のタイミング・オフセットを使用して検出されることが出来、そして該OFDM伝送に関するタイミング・オフセットが、上記で説明されたようにモードとガード検出の後に推定されることが出来る。次に、該諸サンプルは、該検出されたモードとガード長及び該推定タイミング・オフセットに従って、処理される(ブロック1118)。
【0112】
図12は、受信されたOFDM伝送に関するタイミング捕捉及びモードとガード検出を実行するためのプロセス1200の一実施形態を示す。モード及びガードの複数の仮定のそれぞれに対する第1/初期メトリック(例えば、Mm,g(k´))が該OFDM伝送に関する諸サンプルに基づいて導出される(ブロック1212)。各仮定に対するタイミング・オフセットが該仮定に対する第1メトリックに基づいて推定される(ブロック1214)。各仮定に対する第2/改良されたメトリックが(例えば、Dm,g)該仮定に対する第1メトリック及び推定タイミング・オフセットに基づいて導出される(ブロック1216)。各仮定に対する第1メトリック及びタイミング・オフセットは、該仮定に対する雑音を推定するために使用されることが出来、該雑音は、引き続いて該仮定に対する第2メトリックを導出するために使用されることが出来る。該OFDM伝送に対するモードとガード長とが該第2メトリックに基づいて検出される(ブロック1218)。次に該OFDM伝送に関するタイミング・オフセットが、第1又は第2メトリックと該検出されたモードとガード長とに基づいて推定される(ブロック1220)。
【0113】
図13は、FAP検出とFFT窓設置を実行するためのプロセス1300の一実施形態を示す。FAPは、受信されたOFDM伝送に対するモードとガード長とを検出するために使用される少なくとも1つのメトリックに基づいて検出される(ブロック1312)。該(諸)メトリックは、上記で説明された諸メトリック及び/又は何か他のメトリックのうちの任意の1つ又は任意の組合せであることが出来る。例えば、該OFDM伝送に対して可能な種々異なるタイミング・オフセットに対してメトリックMm,g(k´)に対する諸要素が導出されることが出来、Mm,g(k´)の最大要素が特定されることが出来、該最大要素と推定雑音に基づいて閾値が決定されることが出来、該最大要素より早い位置にある複数の要素が選択されることが出来、該閾値を超え且つ該選択された諸要素の中で最も早い要素が特定されることが出来、そしてFAPは、該特定された要素に基づいて検出されることが出来る。該閾値は、FFT窓に対する目標位置を示す利得に基づいて決定されることも出来る。
【0114】
次にFFT窓は、該検出されたFAP、モードとガード長とに基づいて決定される(ブロック1314)。該FFT窓は、該検出モードにより決定される幅を有し、そして該検出FAPとガード長とにより決定される位置に、例えば該検出FAPより1ガード・インターバル後ろの位置に、設置される。該FFT窓に基づいて処理するための諸サンプルが選択される(ブロック1316)。
【0115】
本明細書に記載された捕捉技術は、種々の手段で実装されることが出来る。例えば、これ等の技術は、ハードウェア、ファームウェア、ソフトウェア、或いはこれらの組合せにおいて実装されることが出来る。ハードウェア実装に関しては、タイミング・オフセットを推定するために、モードとガード長とを検出するために、FAPを探索するために、そしてFFT窓を生成するために、使用される処理ユニットは、1又は複数の特定用途向け集積回路(application specific integrated circuit)(ASICs)、デジタル信号プロセッサ(digital signal processors)(DSPs)、デジタル信号処理デバイス(digital signal processing devices)(DSPDs)、プログラマブル・ロジック・デバイス(programmable logic devices)(PLDs)、フィールド・プログラマブル・ゲート・アレイ(field programmable gate arrays)(FPGAs)、プロセッサ、制御器、マイクロ制御器、マイクロプロセッサ、電子デバイス、本明細書中で説明された諸機能を実行するために設計された他の電子ユニット、又はそれ等の組合せ、の内部に実装されることが可能である。
【0116】
ファームウェア及び/又はソフトウェアの実装に関しては、本技術は、本明細書中で説明された諸機能を実行するモジュール(例えば、処理手順、機能、等々)を用いて実装されることが出来る。ファームウェア・コード及び/又はソフトウェア・コードは、メモリ(例えば、図1におけるメモリ182)の中に記憶されることが出来、そして、プロセッサ(例えば、プロセッサ180)により実行されることが出来る。メモリは、プロセッサの内部又はプロセッサの外部に実装されることが出来る。
【0117】
開示された諸実施形態の前記説明は、当業者の誰もが本発明を作る或は使用することを可能にするために提供されている。これ等の諸実施形態への種々の変更は、当業者には容易に明白であり、そして、本明細書中で定義される包括的な諸原理は、本発明の精神或は範囲を逸脱することなく、他の諸実施形態に適用されることが出来る。かくして、本発明は、本明細書中に示される諸実施形態に限定されるようには意図されておらず、本明細書で開示された原理及び新規性と首尾一貫する最も広い範囲を認容されるべきである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
相関関係評価結果を求めるために仮定されたガード・インターバルの間に相関関係評価を実行するためと、雑音を推定するためと、該相関関係評価結果と該推定された雑音に基づいてメトリックを導出するためと、そして受信された伝送に関する少なくとも1つのパラメータの検出のために該メトリックを使用するために、構成される少なくとも1つのプロセッサ、及び
該少なくとも1つのプロセッサに接続されるメモリ
を具備する装置。
【請求項2】
該少なくとも1つのプロセッサは、該仮定されたガード・インターバルの間のエネルギーを決定するためと、そして該エネルギーに基づいて更に該メトリックを導出するために、構成される、請求項1の装置。
【請求項3】
該少なくとも1つのプロセッサは、該仮定されたガード・インターバルの間のエネルギーを決定するためと、該相関関係評価結果と該エネルギーに基づいて第1メトリックを導出するためと、該第1メトリックをフィルタ処理するためと、該フィルタ処理された第1メトリックに対する諸要素の集合に基づいて該雑音を推定するためと、そして該フィルタ処理された第1メトリックと該推定された雑音とに基づいて該メトリックを導出するために、構成される、請求項1の装置。
【請求項4】
仮定されたガード・インターバルの間に相関関係評価を実行して、相関関係評価結果を求めること、
雑音を推定すること、
該相関関係評価結果と該推定された雑音とに基づいてメトリックを導出すること、及び 受信された伝送に関する少なくとも1つのパラメータの検出のために該メトリックを使用すること
を具備する方法。
【請求項5】
該仮定されたガード・インターバルの間のエネルギーを決定することを更に具備し、そしてここにおいて、該メトリックを導出することは、該相関関係評価結果と、該エネルギーと、そして該推定された雑音とに基づいて該メトリックを導出することを具備する、請求項4の方法。
【請求項6】
仮定されたガード・インターバルの間に相関関係評価を実行して、相関関係評価結果を求めるための手段、
雑音を推定するための手段、
該相関関係評価結果と該推定された雑音とに基づいてメトリックを導出するための手段、及び
受信された伝送に関する少なくとも1つのパラメータの検出のために該メトリックを使用するための手段
を具備する装置。
【請求項7】
該仮定されたガード・インターバルの間のエネルギーを決定するための手段を更に具備し、そしてここにおいて、該メトリックを導出するための該手段は、該相関関係評価結果と、該エネルギーと、そして該推定された雑音とに基づいて該メトリックを導出するための手段を具備する、請求項6の装置。
【請求項8】
仮定されたガード・インターバルの間に相関関係評価を実行して、相関関係評価結果を求めるためと、
雑音を推定するためと、
該相関関係評価結果と該推定された雑音とに基づいてメトリックを導出するためと、及び
受信された伝送に関する少なくとも1つのパラメータの検出のために該メトリックを使用するために、
動作可能な諸命令を記憶するためのプロセッサ可読媒体。
【請求項9】
該仮定されたガード・インターバルの間のエネルギーを決定するために動作可能な諸命令を更に記憶するためであり、そしてここにおいて、該メトリックを該導出することは、該相関関係評価結果と、該エネルギーと、そして該推定された雑音とに基づいて該メトリックを導出することを具備する、請求項8のプロセッサ可読媒体。
【請求項10】
通信チャネルを介して受信されるOFDM伝送に関する諸サンプルに基づいて少なくとも1つのメトリックを導出するためと、該少なくとも1つのメトリックに基づいて該OFDM伝送に対するモードとガード長とを検出するためと、そして該検出されたモードとガード長とに従い該諸サンプルを処理するために、構成される少なくとも1つのプロセッサ、ここにおいて、該モードは、該OFDM伝送における各OFDMシンボルの有用部分の期間を示し、そして該ガード長は、各OFDMシンボルに対するガード・インターバルの期間を示す、及び
該少なくとも1つのプロセッサに接続されるメモリ
を具備する装置。
【請求項11】
該少なくとも1つのプロセッサは、各仮定が該OFDM伝送のための仮定されるモードとガード長との異なる組合せに対応する複数の仮定に対して該少なくとも1つのメトリックを導出するためと、該少なくとも1つのメトリックに基づいて最も可能性の高い仮定を特定するためと、そして該OFDM伝送に対する検出されたモードとガード長として該特定された仮定に関するモードとガード長とを提供するために、構成される、請求項10の装置。
【請求項12】
該複数の仮定のそれぞれに対して、該少なくとも1つのプロセッサは、該仮定に対するガード・インターバルの間に相関関係評価を実行して該仮定に対する相関関係評価結果を求めるためと、該仮定に対する雑音を推定するためと、そして該仮定に対する該相関関係評価結果と該推定された雑音とに基づいて該仮定に対して該少なくとも1つのメトリックを導出するために、構成される、請求項11の装置。
【請求項13】
該複数の仮定のそれぞれに対して、該少なくとも1つのプロセッサは、該仮定に対する該ガード・インターバルのエネルギーを決定するためと、そして該エネルギーに更に基づいて該仮定に対する該少なくとも1つのメトリックを導出するために、構成される、請求項12の装置。
【請求項14】
該少なくとも1つのプロセッサは、該少なくとも1つのメトリックに基づいて該OFDM伝送に関するタイミング・オフセットを推定するためと、そして該推定されたタイミング・オフセットに更に基づいて該諸サンプルを処理するために、構成される、請求項10の装置。
【請求項15】
通信チャネルを介して受信されるOFDM伝送に関する諸サンプルに基づいて少なくとも1つのメトリックを導出すること、
該少なくとも1つのメトリックに基づいて該OFDM伝送に対するモードとガード長とを検出すること、ここに、該モードは該OFDM伝送における各OFDMシンボルの有用部分の期間を示し、そして該ガード長は各OFDMシンボルに対するガード・インターバルの期間を示す、及び
該検出されたモードとガード長とに従い該諸サンプルを処理すること
を具備する方法。
【請求項16】
該少なくとも1つのメトリックを該導出することは、各仮定が該OFDM伝送に対して仮定されるモードとガード長の異なる組合せに対応する複数の仮定に対して該少なくとも1つのメトリックを導出することを具備し、
そしてここにおいて、該モードと該ガード長とを該検出することは、
該少なくとも1つのメトリックに基づいて最も可能性の高い仮定を特定すること、及び 該特定された仮定に対する該モードとガード長とを該OFDM伝送に対して該検出されたモードとガード長として提供すること
を具備する、請求項15の方法。
【請求項17】
該少なくとも1つのメトリックを該導出することは、
該仮定に対するガード・インターバルの間に相関関係評価を実行して該仮定に対する相関関係評価結果を求めること、
該仮定に対する雑音を推定すること、及び
該仮定に対する該相関関係評価結果と該推定された雑音とに基づいて該仮定に対して該少なくとも1つのメトリックを導出すること
を具備する、請求項15の方法。
【請求項18】
通信チャネルを介して受信されるOFDM伝送に関する諸サンプルに基づいて少なくとも1つのメトリックを導出するための手段、
該少なくとも1つのメトリックに基づいて該OFDM伝送に対するモードとガード長とを検出するための手段、ここに、該モードは該OFDM伝送における各OFDMシンボルの有用部分の期間を示し、そして該ガード長は各OFDMシンボルに対するガード・インターバルの期間を示す、及び
該検出されたモードとガード長とに従い該諸サンプルを処理するための手段
を具備する装置。
【請求項19】
該少なくとも1つのメトリックを導出するための該手段は、複数の仮定に対して該少なくとも1つのメトリックを導出するための手段を具備し、ここに、各仮定は該OFDM伝送に対して仮定されるモードとガード長との異なる組合せに対応する、
そしてここにおいて、該モードと該ガード長とを検出するための該手段は、
該少なくとも1つのメトリックに基づいて最も可能性の高い仮定を特定するための手段、及び
該特定された仮定に対する該モードとガード長とを該OFDM伝送に対して該検出されたモードとガード長として与えるための手段
を具備する、請求項18の装置。
【請求項20】
該少なくとも1つのメトリックを導出するための該手段は、
該仮定に対するガード・インターバルの間に相関関係評価を実行して該仮定に対する相関関係評価結果を求めるための手段、
該仮定に対する雑音を推定するための手段、及び
該仮定に対する該相関関係評価結果と該推定された雑音とに基づいて該仮定に対する該少なくとも1つのメトリックを導出するための手段
を具備する、請求項18の装置。
【請求項21】
通信チャネルを介して受信されるOFDM伝送に関する諸サンプルに基づいて複数の仮定のそれぞれに対する第1メトリックを導出するためと、ここに各仮定は該OFDM伝送に対して仮定されるモードとガード長との異なる組合せに対応する、該仮定に対する該第1メトリックに基づいて各仮定に対するタイミング・オフセットを推定するためと、該仮定に対する該第1メトリックと該推定されたタイミング・オフセットとに基づいて各仮定に対する第2メトリックを導出するためと、そして該第2メトリックに基づいて該OFDM伝送に対するモードとガードとを検出するために、構成される少なくとも1つのプロセッサ、及び
該少なくとも1つのプロセッサに接続されるメモリ
を具備する装置。
【請求項22】
該複数の仮定のそれぞれに対して、該少なくとも1つのプロセッサは、該仮定に対するガード・インターバルの間に相関関係評価を実行して該仮定に対する相関関係評価結果を求めるためと、該仮定に対する該ガード・インターバルのエネルギーを決定するためと、そして該仮定に対する該相関関係評価結果と該エネルギーとに基づいて該仮定に対する該第1メトリックを導出するために、構成される、請求項21の装置。
【請求項23】
該複数の仮定のそれぞれに対して、該少なくとも1つのプロセッサは、該仮定に対する該第1メトリックをフィルタ処理するためと、該仮定に対する該フィルタ処理された第1メトリックと該推定されたタイミング・オフセットとに基づいて該仮定に対する雑音を推定するためと、そして該仮定に対する該フィルタ処理された第1メトリックと該推定された雑音とに基づいて該仮定に対する該第2メトリックを導出するために、構成される、請求項21の装置。
【請求項24】
該複数の仮定のそれぞれに対して、該少なくとも1つのプロセッサは、該仮定に対するタイミング・オフセットを推定するためと、そして該仮定に対する該推定されたタイミング・オフセットにより決定される位置で該フィルタ処理された第1メトリックに対する諸要素の集合に基づいて該仮定に対する該雑音を推定するために、構成される、請求項23の装置。
【請求項25】
該少なくとも1つのプロセッサは、該第2メトリックに基づいて該OFDM伝送に関するタイミング・オフセットを推定するために構成される、請求項21の装置。
【請求項26】
通信チャネルを介して受信されるOFDM伝送に関する諸サンプルに基づいて複数の仮定のそれぞれに対する第1メトリックを導出するための手段、ここに、各仮定は該OFDM伝送に対して仮定されるモードとガード長との異なる組合せに対応する、
該仮定に対する該第1メトリックに基づいて各仮定に対するタイミング・オフセットを推定するための手段、
該仮定に対する該第1メトリックと該推定されたタイミング・オフセットとに基づいて各仮定に対する第2メトリックを導出するための手段、及び
該第2メトリックに基づいて該OFDM伝送に対するモードとガードとを検出するための手段
を具備する装置。
【請求項27】
該第1メトリックを導出するための該手段は、
該仮定に対するガード・インターバルの間に相関関係評価を実行して該仮定に対する相関関係評価結果を求めるための手段、
該仮定に対する該ガード・インターバルのエネルギーを決定するための手段、及び
該仮定に対する該相関関係評価結果と該エネルギーとに基づいて該仮定に対する該第1メトリックを導出するための手段
を具備する、請求項26の装置。
【請求項28】
該第2メトリックを導出するための該手段は、
該仮定に対する該第1メトリックをフィルタ処理するための手段、
該仮定に対する該フィルタ処理された第1メトリックと該推定されたタイミング・オフセットとに基づいて該仮定に対する雑音を推定するための手段、及び
該仮定に対する該フィルタ処理された第1メトリックと該推定された雑音とに基づいて該仮定に対す該第2メトリックを導出するための手段
を具備する、請求項26の装置。
【請求項29】
通信チャネルを介して受信されるOFDM伝送に関する諸サンプルに基づいて複数の仮定のそれぞれに対する少なくとも1つのパラメータを計算するためと、ここにおいて、それぞれの仮定は該OFDM伝送に対して仮定されるモードとガード長との異なる組合せに対応する、そして該仮定に対する該少なくとも1つのパラメータに基づいて該複数の仮定のそれぞれに対するメトリックを導出するために、構成される少なくとも1つのプロセッサ、ここにおいて、少なくとも1つの仮定に対して、該諸サンプルの小部分は該少なくとも1つのパラメータを計算するために使用される或いは該メトリックに対して利用可能な諸要素の小部分は記憶される、及び
該少なくとも1つのプロセッサに接続されるメモリ
を具備する装置。
【請求項30】
該少なくとも1つの仮定のそれぞれに対して、該少なくとも1つのプロセッサは、該仮定に対して利用可能な諸サンプルの小部分を使用して相関関係評価を実行するために構成される、請求項29の装置。
【請求項31】
該少なくとも1つの仮定のそれぞれに対して、該少なくとも1つのプロセッサは、該仮定に対して仮定されたガード・インターバル全体から抜き取られる諸サンプルの小部分を使用して相関関係評価を実行するために構成される、請求項29の装置。
【請求項32】
該複数の仮定は、少なくとも2つの異なるガード長を包含する、そしてここにおいて、該少なくとも1つのプロセッサは、該複数の仮定に対して等しい数のサンプルについて相関関係評価を実行するために構成される、請求項29の装置。
【請求項33】
該少なくとも1つの仮定のそれぞれに対して、該少なくとも1つのプロセッサは、該仮定に対して可能なタイミング・オフセットの小部分に対するメトリックを導出するために構成される、請求項29の装置。
【請求項34】
該少なくとも1つの仮定のそれぞれに対して、該少なくとも1つのプロセッサは、該複数の仮定に対するOFDMシンボル・サイズに関連して等しい時間分解能でメトリックを導出するために構成される、請求項29の装置。
【請求項35】
通信チャネルを介して受信されるOFDM伝送に関する諸サンプルに基づいて複数の仮定のそれぞれに対する少なくとも1つのパラメータを計算するための手段、ここにおいて、それぞれの仮定は、該OFDM伝送に対して仮定されるモードとガード長との異なる組合せに対応する、及び
該仮定に対する該少なくとも1つのパラメータに基づいて該複数の仮定のそれぞれに対するメトリックを導出するための手段、ここにおいて、少なくとも1つの仮定に対して、該諸サンプルの小部分は、該少なくとも1つのパラメータを計算するために使用される、或いは該メトリックに対して利用可能な諸要素の小部分は、記憶される、
を具備する装置。
【請求項36】
該少なくとも1つのパラメータを計算するための該手段は、該仮定に対して利用可能な諸サンプルの小部分を使用して相関関係評価を実行するための手段を具備する、請求項35の装置。
【請求項37】
該メトリックを導出するための該手段は、該仮定に対して可能なタイミング・オフセットの小部分に対するメトリックを導出するための手段を具備する、請求項35の装置。
【請求項38】
通信チャネルを介して受信されるOFDM伝送に関する諸サンプルについて相関関係評価を実行して第1ガード長を有する第1仮定に対する第1相関関係評価結果を求めるためと、そして該諸第1相関関係評価結果を結合して該第1ガード長よりも長い第2ガード長を有する第2仮定に対する第2相関関係評価結果を求めるために、構成される少なくとも1つのプロセッサ、及び
該少なくとも1つのプロセッサに接続されるメモリ
を具備する装置。
【請求項39】
該第2ガード長は、該第1ガード長の2倍の長さである、請求項38の装置。
【請求項40】
該少なくとも1つのプロセッサは、複数の該第2相関関係評価結果を結合して該第2ガード長よりも長い第3ガード長を有する第3仮定に対する第3相関関係評価結果を求めるために構成される、請求項38の装置。
【請求項41】
該少なくとも1つのプロセッサは、該第1仮定に対する第1ガード・インターバルの間の複数のエネルギーを計算するためと、そして該第1ガード・インターバルの間の該複数のエネルギーを結合して該第2仮定に対する第2ガード・インターバルの間の複数のエネルギーを求めるために、構成される、請求項38の装置。
【請求項42】
通信チャネルを介して受信されるOFDM伝送のモードとガード長とを検出するために使用される少なくとも1つのメトリックに基づいて第1到着経路(first arriving path)(FAP)を検出するためと、該検出されたFAPに基づいてFFT窓を決定するためと、そして該FFT窓に基づいて処理するために諸サンプルを選択するために、構成される少なくとも1つのプロセッサ、及び
該少なくとも1つのプロセッサに接続されるメモリ
を具備する装置。
【請求項43】
該少なくとも1つのプロセッサは、仮定されたガード・インターバルの間に該諸サンプルについて相関関係評価を実行して相関関係評価結果を求めるためと、該仮定されたガード・インターバルの間のエネルギーを決定するためと、雑音を推定するためと、そして該相関関係評価結果と、該エネルギーと、そして該推定された雑音とに基づいて該少なくとも1つのメトリックを導出するために、構成される、請求項42の装置。
【請求項44】
該少なくとも1つのプロセッサは、該少なくとも1つのメトリックに基づいて閾値を決定するためと、そして該少なくとも1つのメトリックと該閾値とに基づいて該FAPを検出するために構成される、請求項42の装置。
【請求項45】
該少なくとも1つのプロセッサは、該FFT窓の目標位置を示す利得に更に基づいて該閾値を決定するために構成される、請求項44の装置。
【請求項46】
該少なくとも1つのプロセッサは、該OFDM伝送に対して可能な複数のタイミング・オフセットに対して第1メトリックに対する複数の要素を導出するためと、該第1メトリックに対する最大の要素を決定するためと、該第1メトリックに対する該最大の要素と推定された雑音とに基づいて閾値を決定するためと、該最大の要素よりも前の該第1メトリックの複数の要素を選択するためと、該閾値を超え且つ該複数の要素の中で最も前の要素を特定するためと、そして該特定された要素に基づいて該FAPを検出するために、構成される、請求項42の装置。
【請求項47】
該少なくとも1つのプロセッサは、該検出されたFAPと該ガード長とにより決定される位置に該FFT窓を設置するために構成される、請求項42の装置。
【請求項48】
該少なくとも1つのプロセッサは、該検出されたFAPより1ガード長後ろに該FFT窓を設置するために構成される、請求項42の装置。
【請求項49】
通信チャネルを介して受信されるOFDM伝送のモードとガード長とを検出するために使用される少なくとも1つのメトリックに基づいて第1到着経路(FAP)を検出するための手段、
該検出されたFAPに基づいてFFT窓を決定するための手段、及び
該FFT窓に基づいて処理するために諸サンプルを選択するための手段
を具備する装置。
【請求項50】
仮定されたガード・インターバルの間に該諸サンプルについて相関関係評価を実行して相関関係評価結果を求めるための手段、
該仮定されたガード・インターバルの間のエネルギーを決定するための手段、
雑音を推定するための手段、及び
該相関関係評価結果と、該エネルギーと、そして該推定された雑音とに基づいて該少なくとも1つのメトリックを導出するための手段
を具備する、請求項49の装置。
【請求項51】
該FAPを検出するための該手段は、
該少なくとも1つのメトリック及び該FFT窓の目標位置を示す利得に基づいて閾値を決定するための手段、及び
該少なくとも1つのメトリック及び該閾値に基づいて該FAPを検出するための手段を具備する、請求項49の装置。
【請求項52】
該FFT窓を決定するための該手段は、該検出されたFAP及び該ガード長により決定される位置に該FFT窓を設置するための手段を具備する、請求項49の装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5A】
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【図5B】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2011−229157(P2011−229157A)
【公開日】平成23年11月10日(2011.11.10)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2011−115014(P2011−115014)
【出願日】平成23年5月23日(2011.5.23)
【分割の表示】特願2008−532346(P2008−532346)の分割
【原出願日】平成18年9月20日(2006.9.20)
【出願人】(595020643)クゥアルコム・インコーポレイテッド (7,166)
【氏名又は名称原語表記】QUALCOMM INCORPORATED