OFDMFDD通信システムにおける送信経路および受信経路のI/Q較正
【課題】OFDMFDDトランシーバの送信および受信両経路のI/Q利得および位相不一致を同時に推定する。
【解決手段】単側波帯トーンを有する基準信号に対して送信経路がIQ変調を実行すると被アップコンバートRF信号を生成する。被アップコンバートRF信号はループバック経路によって受信経路に送信される。被アップコンバートRF信号に対して受信経路がIQ復調を実行すると被ダウンコンバート評価信号が生成される。1つの評価信号が、送信経路利得および位相不一致ならびに受信経路利得および位相不一致を割り出すために使用される。データ信号の通常の送信の際には使用されない大きなハードウェアを使用せずに4つのI/Q不一致が推定される。データ信号中のI/Q不一致は、同相および直交位相信号の被減衰成分同士を加えることによって被アップコンバートRF信号を前処理し且つ被ダウンコンバートRF信号を後処理することによって補正する。
【解決手段】単側波帯トーンを有する基準信号に対して送信経路がIQ変調を実行すると被アップコンバートRF信号を生成する。被アップコンバートRF信号はループバック経路によって受信経路に送信される。被アップコンバートRF信号に対して受信経路がIQ復調を実行すると被ダウンコンバート評価信号が生成される。1つの評価信号が、送信経路利得および位相不一致ならびに受信経路利得および位相不一致を割り出すために使用される。データ信号の通常の送信の際には使用されない大きなハードウェアを使用せずに4つのI/Q不一致が推定される。データ信号中のI/Q不一致は、同相および直交位相信号の被減衰成分同士を加えることによって被アップコンバートRF信号を前処理し且つ被ダウンコンバートRF信号を後処理することによって補正する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、概して無線通信装置に関し、より具体的にはOFDM FDDシステムの無線トランシーバの送信経路および受信経路においてI/Q利得不一致および位相不一致を同時に推定する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
直交振幅変調を使用する無線通信システム用トランシーバは、概してI/Q利得不一致(mismatch)および位相不一致を示す。直交変調を使用する通信システムによって送信される予定のデータ信号は、最初に同相(I相)送信成分および直交位相(Q相)送信成分に変換される。次に、アナログ無線送信器において、データ信号のI成分およびQ成分は無線周波数(RF)帯域に変換される。同相送信成分が局部発振器信号の同相成分と混合されると、アップコンバートされた(被アップコンバート)同相RF信号が生成される。同様に、直交位相送信成分が局部発振器信号の直交位相成分と混合されると、被アップコンバート直交位相RF信号が生成される。次に、同相RF信号と直交位相RF信号とが加えられて複合RF信号が形成され、RF信号は無線インターフェースを通して送信される。局部発振器信号の同相成分および直交位相成分がちょうど90度隔てられていないと、および被アップコンバート同相RF信号の振幅が被アップコンバート直交位相RF信号の振幅とちょうど等しくないと、送信器のIの枝とQの枝との間の位相および利得の不均衡が導入される。同様に、受信されたRF複合信号が局部発振器信号の同相成分および直交位相成分と混合することによってダウンコンバートされる際、アナログ無線受信器のIの枝とQの枝との間の位相および利得の不均衡が導入される。受信器中の局部発振器信号の同相成分および直交位相成分がちょうど90度隔てられていない場合、およびダウンコンバートされた(被ダウンコンバート)同相信号の振幅が被ダウンコンバート直交位相信号の振幅とちょうど等しくない場合、受信器のIの枝とQの枝との間の位相不均衡および利得不均衡が起こる。送信器および受信器中の位相および利得の不均衡によって引き起こされた4つの欠陥は、信号のスペクトルの正側帯域と負側帯域との間の干渉を引き起こす。
【0003】
直交周波数分割多重化(OFDM)および時分割2重化(TDD)に基づくいくつかの無線通信システムは、現在、送信器および受信器におけるI/Q利得欠陥および位相欠陥を推定するための機能を含んでいる。しかしながら、I/Q不一致を推定する既存の方法は様々な短所を有する。まず、既存の方法は2ステップで実行される。受信経路が較正されることが可能となる前に、送信経路が較正されなければならない。送信I/Q不一致が推定され、次に、送信経路が補正され、最後に、較正された送信経路が使用されて、受信経路のI/Q不一致を推定するための基準信号を提供する。第2に、既存の方法は、WLANとWiMax規格用に使用される現在のOFDMモデム・トランシーバにおいて、データ信号の通常の送信の際には使用されない付加的なハードウェアを必要とする。別個の専用ハードウェアが、送信経路中の不一致を推定するために必要である。典型的に、このハードウェアはRF包絡線検出器である。専用ハードウェアを使用して、送信経路中のI/Q不一致が推定された後、受信器中の局部発振器およびミキサが使用されて受信器中のI/Q不一致を推定する。
【0004】
OFDMトランシーバの送信器および受信器の両方におけるI/Q利得欠陥および位相欠陥を一度に推定するための方法が求められている。また、通常のデータ信号送信の際に使用されない大きな(significant)ハードウェアを必要とせずに、OFDMトランシーバの送信器および受信器の両方におけるI/Q利得欠陥および位相欠陥を推定することが可能な装置が求められている。
【発明の概要】
【0005】
OFDM FDD通信システムの送信器および受信器の両方においてI/Q利得不一致および位相不一致を同時に推定する方法は、送信経路の直交ミキサの出力から受信経路の直交ミキサの入力に向かうRFループバック経路を使用して実行される。推定方法は、外部ミキサまたは外部包絡線検波器のようなOFDM FDD RFトランシーバおよびベースバンド・モデムに外部の専用ハードウェアを使用せずに実行される。したがって、推定方法は、RFループバック経路専用の接続を除いて、データ信号の通常の送信においては使用されないハードウェアを使用せずに実行される。いくつかの実施形態では、オンチップ結合が送信経路の出力を受信経路に例えば集積回路の基板を介して中継する場合、専用のループバック経路さえも使用されない。
【0006】
OFDMトランシーバは推定モードおよび補正モードにおいて動作する。推定モードでは、トランシーバは単側波帯トーンを有する評価信号を生成する。逆高速フーリエ変換ブロックは基準信号を同相Tx成分および直交位相Tx成分に変換する。トランシーバの送信経路は、同相成分および直交位相成分上でIQ変調を実行する。同相Tx成分は同相送信器発振器信号と混合されて、被アップコンバート同相信号を生成する。直交位相Tx成分は、直交位相送信器発振器信号と混合されて被アップコンバート直交位相信号を生成する。複合RF信号は、被アップコンバート同相信号と被アップコンバート直交位相信号とを加えることによって生成される。複合RF信号は、RFループバック経路によってトランシーバの受信経路へ送信される。受信経路において、受信経路はIQ復調を実行する。複合RF信号は同相受信器発振器信号と混合されて被ダウンコンバート同相信号を生成する。複合RF信号は直交位相受信器発振器信号とも混合されて被ダウンコンバート直交位相信号を生成する。高速フーリエ変換ブロックは被ダウンコンバート同相信号および被ダウンコンバート直交位相信号を4つの側波帯トーンを有する評価信号に変換する。側波帯トーンはある特徴(例えば振幅)を示す。トランシーバは、4つの側波帯トーンの振幅を使用して、8つの倍数係数(multiplication factor)を算出する。倍数係数は、送信経路および受信経路のI成分およびQ成分が倍数係数に従って相互に加えられた場合に側波帯トーンのうちの1つの振幅が増加するとともに他の3つの側波帯トーンの振幅が減少するように決定される。送信経路および受信経路の両方の利得不一致および位相の不一致を完全に除去する倍数係数は、単側波帯トーンを有しかつ側波帯トーンのうちの3つの振幅が0である評価信号という結果になる。
【0007】
補正モードでは、データ信号中のI/Q不一致は、被アップコンバートRF信号を前処理するとともに被ダウンコンバートRF信号を後処理することによって補正される。一実施形態では、トランシーバは、ディジタル・ベースバンド集積回路(IC)およびアナログRFトランシーバICで構成される。ディジタル・ベースバンドICは、逆高速フーリエ変換ブロックとディジタル・アナログ(DA)変換器との間の第1補正回路を含んでいる。また、ディジタル・ベースバンドICは、アナログ・ディジタル(AD)変換器と高速フーリエ変換ブロックとの間の第2補正回路を含んでいる。各補正回路は4つの乗算器および2つの加算器を含んでいる。I/Q不一致の補正は、同相信信号の減衰された(被減衰)成分と直交位相信号の被減衰成分を相互に加えることによって実行される。例えば、第2補正回路は第1乗算器、第2乗算器、第3乗算器、および第4乗算器、ならびに第1加算器および第2加算器を有する。第1乗算器は、被ダウンコンバート同相信号を受信し、第1被減衰成分信号を生成する。第2乗算器は、被ダウンコンバート直交位相信号を受信し、第2被減衰成分信号を生成する。第3乗算器は、被ダウンコンバート同相信号を受信し、第3被減衰成分信号を生成する。第4乗算器は、被ダウンコンバート直交位相信号を受信し、第4被減衰成分信号を生成する。第1加算器は、第2被減衰成分信号を第1被減衰成分信号に加えることによって、同相成分信号を生成する。第2加算器は、第3被減衰成分信号を第4被減衰成分信号に加えることによって、直交位相成分信号を生成する。
【0008】
フーリエ変換計算回路は、同相成分信号および直交位相成分信号を使用して、ベースバンド信号を生成する。被減衰信号を生成するために乗算器によって使用される倍数係数は、評価信号に基づいて推定モードにおいて算出され、また補正モードにおいて使用されて同相成分信号および直交位相成分信号を生成する。同相成分信号および直交位相成分信号は結合されて補正された(被補正)ベースバンド信号を生成する。4つの欠陥は被補正ベースバンド信号からは補正され済みである。補正モードにおいて使用される倍数係数は、評価信号の1つの側波帯トーンの振幅が増加するとともに評価信号の他の3つの側波帯トーンの振幅が減少することにつながる。
【0009】
別の実施形態では、補正回路は、アップコンバートされる予定の信号を前処理せずダウンコンバートされた信号を後処理もせず、それらの起点(ソース、source)でI/Q欠陥を補正する。この実施形態では、直交ミキサ中の補正乗算器および補正シフタが、直交ミキサにおいて導入された利得不一致および位相不一致を補償する。
【0010】
前述したものは概要であって、したがって、必要に応じて、詳細事項の単純化、一般化、および省略を含んでいる。したがって、当業者は、概要が単なる例証であっていかなる点においても制限を行なうことを意味しないことを認識するだろう。本明細書において記述されている装置および/または工程の他の側面、発明的な要素、および利点は、請求項によってのみ定義されており、本明細書において示されている非制限的な詳細な説明において明らかになるだろう。
【図面の簡単な説明】
【0011】
類似の数字は、様々な実施形態の添付図面中の類似の構成要素(component)を示している。
【図1】送信器および受信器の両方の利得不一致および位相の不一致を同時に推定する方法を実行するOFDMトランシーバの簡略化された概略的なブロック図である。
【図2】図1のトランシーバの利得不一致および位相の不一致を推定および補正するためのステップのフローチャートである。
【図3】図1のトランシーバによって生成された基準信号を示す周波数領域の図である。
【図4】図1のトランシーバの逆高速フーリエ変換(IFFT)ブロックによって出力された同相成分および直交位相成分を記述する複素数式である。
【図5】図1のトランシーバの同相送信ミキサおよび直交位相送信ミキサの出力を記述する等式を示している。
【図6】IFFTブロックによるI成分およびQ成分出力を図1のトランシーバの同相送信ミキサの出力の実数部で混合することによって生成された被アップコンバート同相信号を記述する等式である。
【図7】複合RF信号と混合する前の局部発振器信号にのみ基づいた図1のトランシーバの受信ミキサの出力を記述する等式を示している。
【図8】受信ミキサの出力の図1のトランシーバのRFループバック経路の特徴との畳み込みを記述する等式を示している。
【図9】複合RF信号が図1のトランシーバの受信器の局部発振器信号と混合された結果得られるベースバンド信号を表わす等式である。
【図10】基準信号を使用して生成された評価信号の4つの複素周波数係数の振幅を示す周波数領域の図である。
【図11】図10の複素の周波数係数を送信器および受信器の利得不一致および位相不一致ならびにRFループバック経路の時間遅延の関数として表わす等式である。
【図12】利得成分と利得不一致との関係を記述する等式を示している。
【図13】位相成分と位相不一致との関係を記述する等式を示している。
【図14】図11の等式に記述されている複素振幅の実数部および虚数部を記述する等式を示している。
【図15】利得成分および位相成分を図11の等式に記述されている複素振幅の実数部および虚数部の1次結合として表わす等式を示している。
【図16】利得成分を評価信号105から測定された複素周波数係数の項で表現する等式を示している。
【図17】送信器の利得欠陥および受信器の利得欠陥を利得成分の項で記述する等式を示している。
【図18】位相成分を評価信号105から測定された複素周波数係数の項で表現する等式を示している。
【図19】アップコンバーションおよびダウンコンバージョン後の複素データ信号のベースバンド成分を表わす等式である。
【図20】図1のトランシーバの補正回路中の乗算器の倍数係数に相当する、逆行列の係数を示している。
【図21】Q行列の係数を図1のトランシーバの送信器の利得不一致および位相不一致の関数として表現する等式である。
【図22】逆行列の倍数係数を図1のトランシーバの送信器の利得不一致および位相不一致の関数として表現する等式である。
【図23】Q行列の係数を図1のトランシーバの受信器の利得不一致および位相不一致の関数として表現する等式である。
【図24】逆行列の倍数係数を図1のトランシーバの受信器の利得不一致および位相不一致の関数として表現する等式である。
【図25】補正回路がアナログ集積回路内に置かれている、図1のトランシーバの別の実施形態の概略的なブロック図である。
【図26】利得欠陥および位相欠陥が補正回路によって前処理および後処理されずに直交ミキサ中のそれらのソースで補正される、図1のトランシーバのさらに別の実施形態の概略的なブロック図である。
【詳細な説明】
【0012】
様々な実施形態が次に詳細に言及される。それらの例は添付図面において例示されている。
【0013】
図1は、周波数分割二重化(FDD)を使用した直交周波数分割多重化(OFDM)に基づく無線通信システム用のIQ変調およびIQ復調を実行するトランシーバ10の簡略的なブロック図である。トランシーバ10は、送信経路の直交ミキサから受信経路の直交ミキサまでのRFループバック経路11を含んでいる。RFループバック経路11は、送信器および受信器の両方の同相経路および直交位相経路中の利得不一致および位相不一致を同時に推定する方法を実行するために使用される。I/Q較正法は、トランシーバ10の外部のさらなるハードウェアを全く使用せずに実行される。送信器および受信器の両方においてI/Q利得不一致(欠陥)および位相不一致を同時に推定する方法は、特にFDDモデム・トランシーバに適している。なぜなら、これらの受信器が送信周波数および受信周波数を独立して生成するからである。また、方法は特にOFDMモデム・トランシーバに適している。なぜなら、OFDM受信器が、方法のI/Q不一致推定の実行が可能な信号生成装置および処理装置を含んでいるからである。したがって、以下の無線通信規格の下で動作する装置は、大きなさらなるハードウェア無しで方法を実行することが可能である。すなわち、3GPPロング・ターム・エボルーション(Long-Term Evolution)(LTE)、発展データ最適修正版C(Evolution-Data Optimized Revison C)としても知られているウルトラ・モバイル・ブロードバンド(UMB)およびFDD WiMax(IEEE802.16)である。一例では、トランシーバ10は、携帯電話または携帯情報端末(PDA)のような移動通信装置の一部である。別の例では、トランシーバ10は信号を移動通信装置から受信し移動通信装置に送信する基地局の一部である。
【0014】
トランシーバ10はRFループバック経路11、送信器12、受信器13、ディジタル信号プロセッサ(DSP)14、シリアル周辺インターフェース(SPI)バス15、およびI/Q較正レジスタ16を含んでいる。トランシーバ10は、デュプレクサ17およびアンテナ18に結合されている。送信器12はOFDMに基づいてIQ変調を実行し、また、受信器13はOFDMに基づいてIQ復調を実行する。一実施形態では、送信器12および受信器13の機能は、アナログ無線周波数(RF)トランシーバ集積回路(IC)19およびディジタル・ベースバンドIC20の両方において実行される。RFトランシーバIC19およびディジタル・ベースバンドIC20は、SPIシリアルバス15上で通信する。I/Q較正レジスタ16は、SPIシリアルバス15から書き込まれることが可能であり、またRFループバック経路11を制御するために使用される。いくつかの実施形態では、SPIシリアルバス15は、RFトランシーバIC19とディジタル・ベースバンドIC20との間のパラレルインターフェースで置換されている。IC19とIC20との間の通信は、SPIシリアルバス15のような1つのピンのインターフェース上でよりもパラレルインターフェース上での方が速い。
【0015】
図1中のトランシーバ10の別の実施形態(図示せず)では、トランシーバ10のアナログ機能およびディジタル機能は、両方とも、システム・オン・チップ(SOC)と呼ばれる1つの集積回路上で実行される。システム・オン・チップは、送信経路および受信経路の直交ミキサ、ならびにベースバンド処理ブロックおよびディジタル制御ブロックを含んでいる。ベースバンド処理ブロックは、I/Q較正法の計算を実行し、また、ディジタル制御ブロックは、送信器および受信器におけるI/Q利得不一致および位相不一致を補正するための送信動作および受信動作を制御する。
【0016】
図1の実施形態において、送信器12は、逆高速フーリエ変換(IFFT)ブロック21、第1補正回路22、第1ディジタル・アナログ変換器(DAC)23、第2DAC24、第1低域フィルタ25、第2低域フィルタ26、送信局部発振器27、送信周波数合成器(シンセサイザ、synthesizer)28、送信移相器(位相シフタ、phase shifter)29、同相送信ミキサ(混合器、mixer)30、直交位相送信ミキサ31、加算器32、および電力アンプ33を含んでいる。受信器13は、低ノイズ・アンプ34、受信局部発振器35、受信周波数合成器36、受信移相器37、同相受信ミキサ38、直交位相受信ミキサ39、第3低域フィルタ40、第4低域フィルタ41、第1アナログ・ディジタル変換器(ADC)42、第2ADC43、第2補正回路44、および高速フーリエ変換(FFT)ブロック45を含んでいる。ディジタル・ベースバンドIC20は、送信周波数合成器28によってミキサ30〜31に供給された局部発振器(LO)信号46の周波数ωa、および受信周波数合成器36によってミキサ38〜39に供給されたLO信号47の周波数ωbを制御することによって、送信器12と受信器13とを同調させる。送信局部発振器27は発振信号を生成し、送信周波数合成器28は発振信号を調整してLO信号46を生成する。同様に、受信周波数合成器36は、受信局部発振器35による発振信号出力を調整してLO信号47を生成する。
【0017】
受信I/Q不一致および送信I/Q不一致の両方を同時に推定する方法において、トランシーバ10は、FDD通信システムの送信器と受信器との間の周波数オフセットを使用して送信器I/Q不一致の割り出しを受信器I/Q不一致の割り出しから分離し、それによって、4つの不一致の割り出しを1組の計算において解決可能なものにする。トランシーバ10は、まず送信器のI/Q不一致を推定し、次に送信経路を較正し、次に受信器のI/Q不一致を推定する代わりに、送信器中のI/Q利得不一致および位相不一致ならびに受信器中のI/Q利得不一致および位相不一致の両方を同時に推定する。
【0018】
送信器と受信器が時分割2重化(TDD)システム中でのように同じ周波数を使用する場合には、送信器のI/Q不一致は付加的なハードウェアを使用すること無しに受信器のI/Q不一致と別々に解決されることが可能ではない。したがって、TDD方式用のI/Q推定方法は、受信器がRF送信信号をダウンコンバートする周波数と異なる周波数でRF送信信号をダウンコンバートするために付加的なハードウェアを使用する。TDDシステムおよびFDDシステムの両方向けの従来のI/Q推定方法は、受信経路のI/Q不一致を推定する前にまず送信経路を較正していた。受信I/Q不一致および送信I/Q不一致の両方を同時に推定する方法が4つのI/Q不一致推定すべてについての処理を一度に実行するので、本推定方法は従来のI/Q推定方法より少なくとも2倍高速である。
【0019】
図2は、OFDMトランシーバの送信経路および受信経路の4つのI/Q欠陥が全て同時に推定されるとともに補正される方法48の諸ステップを示すフローチャートである。図1において示されているトランシーバ10の動作は、図2に列挙されているステップ49〜61との関連において詳細に説明される。トランシーバ10は2つのモード、すなわち推定モードおよび補正モードで動作する。推定モードは方法48の第1段階に相当し、ここで4つのI/Q欠陥が推定される。補正モードは方法48の第2段階に相当し、ここで4つのI/Q欠陥が第1補正回路22および第2補正回路44を使用して補正される。最初のステップ49において、受信I/Q不一致および送信I/Q不一致の両方を同時に推定する方法48は、DSP14中の資源を使用して基準信号62を生成する。基準信号62は周波数領域で生成され、単側波帯トーンを有する。
【0020】
図3は、基準信号62の様々な「周波数ビン(frequency bin)」の振幅を示す周波数領域における図である。1つの典型的な実現形態では、64の周波数ビンがある。図3は、基準信号62が、周波数ω0にある周波数ビン63中のみで振幅を有することを例示している。基準信号62の周波数ビンの振幅は、(0,0,1,0,…0,0,0)として図1において表わされている。したがって、基準信号62はω0において単側波帯トーンを有している。
【0021】
ステップ50において、逆高速フーリエ変換ブロック21は基準信号62を周波数領域から時間領域に変換する。IFFT21は、基準信号62の時間領域変換形態(transform)を、実数の同相Tx成分64および虚数の直交位相Tx成分65の形態で出力する。同相Tx成分64はcos(ω0t)として表わされることが可能であり、直交位相Tx成分65はjsin(ω0t)として表わされることが可能である。
【0022】
図4は、IFFT21によって出力された同相成分64および直交位相成分65を記述する複素数等式66である。等式66は、時間領域成分64および65をω0の点からx(t)として記述した。ここで、jは虚数単位である。
【0023】
同相Tx成分64および直交位相Tx成分65は第1補正回路22によって受信される。第1補正回路22は4つの乗算器67〜70および2つの加算器71〜72を含んでいる。同相Tx成分64は第1乗算器67および第3乗算器69によって受信され、直交位相Tx成分65は第2乗算器68および第4乗算器70によって受信される。第1加算器71は第1乗算器67および第2乗算器68の出力を受信し、他方、第2加算器72は第3乗算器69および第4乗算器70の出力を受信する。4つのI/Q欠陥が推定される方法48の欠陥が補正される前の第1段階においては、第1補正回路22は、同相成分64および直交位相成分65をそのままDA変換器23〜24に渡すだけである。第1段階においてトランシーバ10が推定モードで動作している間、第2および第3乗算器68〜69の倍数係数は0に設定されている。第1DAC23は、同相Tx成分64を受信し、アナログ同相Tx成分を出力する。第2DAC24は、直交位相Tx成分65を受信し、アナログ直交位相Tx成分を出力する。アナログTx成分はディジタル・ベースバンドIC20によって出力され、アナログRFトランシーバIC19によって受信される。アナログ同相Tx成分は第1低域フィルタ25によって濾波され、アナログ直交位相Tx成分は第2低域フィルタ26によって濾波される。
【0024】
ステップ51において、変換および濾波された同相Tx成分は、これを送信器LO信号46と混合することによってアップコンバートされる。送信周波数合成器28は、周波数ωaを有する送信器LO信号46を生成し、同相送信器LO信号73を同相送信ミキサ30に提供する。同相送信ミキサ30は被アップコンバート同相信号74を生成する。ステップ52において、変換および濾波された直交位相Tx成分は、直交位相送信ミキサ31によってアップコンバートされる。送信移相器29は送信器LO信号46を受信し、位相を90度遅らせ、直交位相送信器LO信号75を出力する。ミキサ31は、直交位相送信器LO信号75を変換および濾波された直交位相Tx成分と混合し、被アップコンバート直交位相信号76を出力する。図1では、送信移相器29は、送信器LO信号46の位相を「90°−φa/2」シフト(移相、shift)することとして描かれている。また、同相送信器LO信号73は、送信器LO信号46から「+φa/2」シフトされた位相を有するものとして描かれている。φaは、被アップコンバート直交位相信号76が被アップコンバート同相信号74と比較してちょうど90度シフトされていない分である位相欠陥を表現している。同様に、「1+εa/2」を乗じる乗算器77、および「1−εa/2」を乗じる乗算器78は、送信器の同相経路と直交位相経路と間の利得不一致を表現している。εaは、被アップコンバート同相信号74の振幅が被アップコンバート直交位相信号76の振幅より大きい分である利得欠陥を表現している。
【0025】
図5は、同相送信器LO信号73にのみ基づいているとともに実数である同相Tx成分64から得られた変換および濾波された同相Tx成分と混合する前の同相送信ミキサ30の出力を記述する等式79を示している。図5は、また、直交位相送信器LO信号75にのみ基づいているとともに虚数である直交位相Tx成分65から得られた変換および濾波された直交位相Tx成分と混合する前の直交位相送信ミキサ31の出力を記述する等式80を示している。送信器LO信号46の周波数ωa、位相不一致φa、および利得不一致εaの関数として、等式79は送信ミキサの出力の実数部を記述し、また等式80は虚数部を記述している。
【0026】
ステップ53において、加算器32は被アップコンバート同相信号74と被アップコンバート直交位相信号76とを加え、複合RF信号81を出力する。推定モードでは、信号はアンテナ・デュプレクサ17によって伝達されず、アンテナ18によって送信もされない。推定モードでは、複合RF信号81は、送信器12の直交ミキサから受信器13の直交ミキサまで、RFループバック経路11によって伝達される。方法48の第1段階では、RFループバック経路11中のスイッチ82は閉じている。方法48の第2段階では、スイッチ82は開いている。一実施形態では、スイッチ82は2つのトランジスタで構成されている。切り替え信号83が論理的に有効にされていると、スイッチ82は閉じている。一実施形態では、切り替え信号83は、ディジタルの1がI/Q較正レジスタ16の6番目のビットに書き込まれている場合、論理的に有効にされている。ディジタル・ベースバンドIC20は、SPIシリアルバス15上で通信するとともにI/Q較正レジスタ16の6番目のビットにディジタルの1を書き込むことによって、スイッチ82を制御する。
【0027】
別の実施形態では、専用のループバック経路は送信器12の直交ミキサから受信器13の直交ミキサまで複合RF信号81を伝達するために使用されない。代わりに、IC19およびIC20の基板またはシステム・オン・チップ(SOC)の基板が、RFループバック経路として働き、複合RF信号81は基板カップリングによって送信器と受信器との間で伝達される。あるいは、送信器12からの信号を受信器13に結合することは変圧器によって実行されてもよい。また別の実施形態では、オフ・チップ結合器が使用されて送信器12の直交ミキサから受信器13の直交ミキサまで複合RF信号81を伝達する。
【0028】
図6は、送信器12の直交ミキサの被アップコンバート出力を記述する等式84を示している。等式84は、アップコンバートされた同相信号74および被アップコンバート直交位相信号76の両方を記述している。被アップコンバート同相信号74は、IFFT21によって出力されたI成分およびQ成分64〜65を記述する等式66が同相送信器LO信号73によって生成された同相送信ミキサ30の出力の実数部を記述する等式79によって乗じられた積である。被アップコンバート直交位相信号76は、I成分およびQ成分64〜65を記述する等式66が直交位相送信器LO信号75によって生成された直交位相送信ミキサ31の出力の虚数部を記述する等式80によって乗じられた積である。等式84は、アップコンバートされた信号74および76を、基準信号62の単側波帯トーンの周波数ω0、送信器LO信号46の周波数ωa、送信位相不一致φa、および送信利得不一致εaの関数R{x(t)・a(t)}として記述している。
【0029】
ステップ54において、複合RF信号81はこれを受信器LO信号47と混合することによってダウンコンバートされる。受信周波数合成器36は、周波数ωbを有する受信器LO信号47を生成し、同相受信ミキサ38に同相受信器LO信号85を提供する。同相受信ミキサ38は被ダウンコンバート同相信号86を生成する。ステップ55において、複合RF信号81はまた、これを直交位相受信LO信号87と混合することによってダウンコンバートされる。受信移相器37は受信器LO信号47を受信し、90度位相を遅らせて、直交位相受信LO信号87を出力する。ミキサ39は、直交位相受信LO信号87を複合RF信号81と混合し、被ダウンコンバート直交位相信号88を出力する。図1では、受信移相器37は、受信器LO信号47の位相を「90°−φb/2」シフトすることとして描かれている。また、同相受信LO信号85は、受信器LO信号47から「+φb/2」シフトされた位相を有するものとして描かれている。φbは、被ダウンコンバート直交位相信号88が被ダウンコンバート同相信号86と比較してちょうど90度シフトされていない分である位相欠陥を表現している。同様に、「1+εb/2」を乗じる乗算器89、および「1−εb/2」を乗じる乗算器90は、受信器の同相経路と直交位相経路との間の利得不一致を表現している。εbは、被ダウンコンバート同相信号86の振幅が被ダウンコンバート直交位相信号88の振幅より大きい分である利得欠陥を表現している。
【0030】
図7は、同相受信器LO信号85にのみ基づいているとともに複合RF信号81と混合する前の同相受信ミキサ38の出力を記述する等式91を示している。図7は、また、直交位相受信器LO信号87にのみ基づいているとともに複合RF信号81と混合する前の直交位相受信ミキサ39の出力を記述する等式92を示している。受信器LO信号47の周波数ωb、位相不一致φb、および利得不一致εbの関数として、等式91は受信器13の直交ミキサの出力の実数部を記述し、また等式92は虚数部を記述している。
【0031】
受信器13の直交ミキサにおいてダウンコンバートされる複合RF信号81をI/Q不一致を推定する目的で特徴づけると、より正確な推定が、RFループバック経路11によって導入された複合RF信号81の減衰および遅延を検討することによって得られる。RFループバック経路11は未知の利得誤差、位相誤差、および遅延誤差を導入する。RFループバック経路11は、送信器12から受信器13へのチャネル接続において利得スケーリングおよび時間遅延をもたらす。チャネル接続の特徴は以下の等式によって記述される。
【0032】
c(t)=β・δ(t−τ) (93)
ここでβは利得スケーリングを表わし、δは位相シフトを表わし、τは時間遅延を表わしている。関数δ(t)はディラック・インパルス(Dirac impulse)を表わしている。被ダウンコンバート同相信号86および被ダウンコンバート直交位相信号88をより正確に記述するために、複合RF信号81と受信器LO信号47との積が算出される前に、受信ミキサ38〜39の出力はまずチャネル接続の特徴と畳み込みされる。
【0033】
図8は、受信ミキサ38〜39の出力のRFループバック経路11の特徴との畳み込みを記述する等式94〜95を示している。等式94は、R{c(t)*b(t)}を示しており、また、等式93と等式91によって記述されている受信器13の直交ミキサの出力の実数部との畳み込みを表わしている。等式95は、T{c(t)*b(t)}を示しており、また、等式93と等式92において記述されている虚数部との畳み込みを表わしている。
【0034】
図9は、複合RF信号81が受信器LO信号47と混合されてダウンコンバートされた結果得られるベースバンド信号を表わす等式96を示している。等式96は、R{x(t)・a(t)}(被アップコンバート同相信号74の実数部を表わしている等式84)と{c(t)*b(t)}(受信ミキサ38〜39とRFループバック経路11との畳み込みの実数部および虚数部を表わしている等式94〜95)との積である。したがって、等式96は、積R{x(t)・a(t)}・{b(t)*c(t)}である。I/Q不一致の計算を簡略化するために、等式96は、被アップコンバート位相信号74およびミキサ38〜39のRFループバック経路11(これは、ベースバンド帯域幅以内にある)との畳み込みの特徴のみを検討している。等式84と等式94〜95との積の周波数(ωa+ωb)にある信号成分は無視される。なぜなら、周波数(ωa+ωb)が複合RF信号21の搬送周波数のおよそ2倍であって第3低域フィルタ40および第4低域フィルタ41によって濾波により除去されると考えられるからである。
【0035】
被ダウンコンバート同相信号86は第3低域フィルタ40によって濾波され、被ダウンコンバート直交位相信号88は第4低域フィルタ41によって濾波される。次に、RFトランシーバIC19は濾波された被ダウンコンバート信号86および88をディジタル・ベースバンドIC20に渡す。第1アナログ・ディジタル変換器(ADC)42は濾波された被ダウンコンバート同相信号86をディジタル化し、第2ADC43は濾波された被ダウンコンバート直交位相信号88をディジタル化する。
【0036】
ディジタル化および濾波された被ダウンコンバート信号86および88は、第2補正回路44によって受信される。第2補正回路44は4つの乗算器97〜100および2つの加算器101〜102を含んでいる。ディジタル化および濾波された同相信号86は第5乗算器97および第7乗算器99によって受信され、ディジタル化および濾波された直交位相信号88は第6乗算器98および第8乗算器100によって受信される。第3加算器101は第5乗算器97および第6乗算器98の出力を受信し、他方、第4加算器102は第7乗算器99および第8乗算器100の出力を受信する。4つのI/Q不一致が推定される方法48の不一致が補正される前の第1段階においては、第2補正回路44は、ディジタル化および濾波された同相信号86およびディジタル化および濾波された直交位相信号88をそのまま高速フーリエ変換(FFT)ブロック45に渡すだけである。第1段階においてトランシーバ10が推定モードで動作している間、第6および第7乗算器98〜99の倍数係数は0に設定されている。推定モードでは、第2補正回路44は、同相Rx成分103を、第2補正回路44がADC42から受信したディジタル化および濾波された同相信号86と実質的に同じ形態で出力する。推定モードでは、第2補正回路44は、直交位相Rx成分104を、第2補正回路44がADC43から受信したディジタル化および濾波された直交位相信号88と実質的に同じ形態で出力する。
【0037】
ステップ56において、FFTブロック45はディジタル化および濾波された被ダウンコンバート信号86および88を受信し、それらを評価信号105に変換する。被ダウンコンバート同相信号86および被ダウンコンバート直交位相信号88は、FFTブロック45によって時間領域において受信され、FFTブロック45は、評価信号105を周波数領域において出力する。基準信号62は単側波帯トーンを有するが、評価信号105は4つの側波帯トーンを有する。4つの側波帯トーンの各々は、振幅、位相、および他の特徴を示す。側波帯トーンの特徴は、図1において示されている周波数ビン(0,0…C+1…C+2…C−1…C−2…0,0,0)に対応する複素周波数係数C+1、C+2、C−1、およびC−2によって表現される。ωa>ωbおよびω0<(ωa−ωb)を仮定すると、複素フーリエ係数C+1、C+2、C−1、およびC−2によって定義される振幅の特徴を有する4つの側波帯トーンは、それぞれ周波数(ωa−ωb+ω0)、(ωa−ωb−ω0)、−(ωa−ωb+ω0)、および−(ωa−ωb−ω0)に帰する。
【0038】
図10は、周波数領域での評価信号105の図であり、4つの対応する周波数ビンでの複素周波数係数C+1、C+2、C−1、およびC−2の振幅を示している。推定モードでは、複素周波数係数の振幅は評価信号105を測定することによって割り出される。
【0039】
ステップ57において、DSP14は、第1側波帯トーンの第1特徴C+1、第2側波帯トーンの第2特徴C+2、第3側波帯トーンの第3特徴C−1、および第4側波帯トーンの第4特徴C−2を割り出す。4つのI/Q欠陥を全て同時に推定する方法48は、評価信号105の側波帯の複素振幅C+1、C+2、C−1、およびC−2を使用して補正回路22および44の8つの乗算器のための倍数係数を算出する。倍数係数は、複素振幅C+1、C+2、C−1、およびC−2の1つが増加するとともに他の3つの複素振幅が減少するように相互に加えられることが可能な、補正回路22および44への同相および直交位相の入力の振幅に相当する。1つの複素振幅が増加するとともに他の3つの複素振幅が減少することは、4つのI/Q欠陥が減少することに相当する。
【0040】
図11は、複素周波数係数C+1、C+2、C−1、およびC−2の振幅を、送信器12の利得不一致および位相不一致εaおよびφa、受信器13の利得不一致および位相不一致εbおよびφb、ならびにRFループバック経路11の時間遅延τの関数として表わす等式106を示している。補正回路22および44の8つの乗算器のための倍数係数を決定することは、評価信号105の側波帯の観察された複素振幅C+1、C+2、C−1、およびC−2を使用した複数の計算において実行される。まず、等式106は、利得成分K++、K+−、K−+、およびK−−ならびに位相成分φ+およびφ−の項に書き直される。また、時間遅延τはγの項で表現される。ここで、γ=ωb・τである。図12は、利得成分K++、K+−、K−+、およびK−−と利得不一致εaおよびεbとの関係を記述する等式を示している。図13は、位相成分φ+およびφ−と位相不一致φaおよびφbとの関係を記述する等式を示している。
【0041】
次に、等式106に記述されている複素振幅は、それらの実数部および虚数部に分割される。図14は、等式106の複素振幅の実数部を記述する等式107を示している。図14は、また、等式106の複素振幅の虚数部を記述する等式108を示している。次に、等式107は利得成分K++、K+−、K−+、およびK−−ならびに位相成分φ+およびφ−を複素振幅C+1、C+2、C−1、およびC−2の実数部の1次結合として表現するように書き直される。図15は、利得成分および位相成分を複素振幅の実数部の1次結合として表わす等式109を示している。図15は、また、利得成分および位相成分を複素振幅の虚数部の1次結合として表わす等式110を示している。
【0042】
次に、等式109および110は、利得成分K++、K+−、K−+、およびK−−について解決するために使用される。等式109および110の各行の利得成分は、K=(R{row}2+T{row}2)1/2として算出される。図16は、利得成分K++、K+−、K−+、およびK−−を評価信号105からの測定された(被測定)複素周波数係数C+1、C+2、C−1およびC−2の点から表現する等式111〜114を示している。利得成分の値は複素周波数係数の測定値を使用して算出される。
【0043】
次に、送信器12の直交ミキサの利得欠陥εaおよび受信器13の直交ミキサの利得欠陥εbが、図12の等式をεaとεbについて解決するとともに等式111〜114から得られた利得成分K++、K+−、K−+、およびK−−についての値を挿入することによって割り出される。利得成分K++、K+、K−+、およびK−−は、等式111〜114において、複素振幅C+1、C+2、C−1、およびC−2の点で表現された。したがって、利得欠陥εaおよびεbは、観察された複素振幅C+1、C+2、C−1、およびC−2から割り出される。
【0044】
図17は、利得欠陥εaを、利得成分K++、K+−、K−+、およびK−−の項で表現する2つの等式115〜116を示している。2つの等式115〜116の結果は、トランシーバ10によって導入されたノイズゆえに恐らく同一ではないだろう。したがって、送信器12中の利得欠陥εaの2つの値が両方の等式を使用して割り出され、それらの結果が平均される。図17は、また、受信器13の中の利得欠陥εbを利得成分K++、K+−、K−+、およびK−−の項で表現する2つの等式117〜118を示している。2つの等式117〜118の結果も利得欠陥εbを得るために平均される。等式115〜118中のεaおよびεbについての値が利得スケーリング係数β(これは等式111〜114中では存在する)によって表わされるチャネル接続の利得にもはや依存しないことに注意されたい。
【0045】
次に、送信器12の直交ミキサの位相不一致φaおよび受信器13の直交ミキサの位相不一致φbが割り出される。図13の等式を使用して、位相不一致φaおよびφbは以下のように位相成分φ+およびφ−の項で表現される。
【0046】
φa=φ++φ− (119)
φa=φ+−φ− (120)
次に位相成分φ+およびφ−が、図15の等式109および110から抽出される。等式110の4つの行の各々が等式109の対応する行によって除される。次に、位相がtan−1を付することによって抽出される。次に、チャネル接続で導入された回転は、行1および4ならびに行2および3を加えることによって除去される。図18は、位相成分φ+およびφ−を、複素周波数係数C+1、C+2、C−1、およびC−2の項で表現する等式121および122を示している。このように、位相不一致φaおよびφbは、観察された複素振幅C+1、C+2、C−1、およびC−2から割り出される。
【0047】
方法48の第1段階の最後のステップでトランシーバ10がまだ推定モードで動作している間、第2段階において使用されるための倍数係数が割り出される。次に、方法48の第2段階においてトランシーバ10が補正モードで動作している間、乗算器67〜70および97〜100が、4つのI/Q欠陥(利得欠陥εaおよびεb、ならびに位相不一致φaおよびφb)を補正するために倍数係数を使用して設定される。
【0048】
ステップ58において、利得および位相欠陥εaおよびφaを補正するために相互に加えられる同相Tx成分64の振幅および直交位相Tx成分65の振幅が割り出される。例えば、乗算器67の倍数係数によって決定されるような同相Tx成分64の振幅および乗算器68の倍数係数によって決定されるような直交位相Tx成分65の振幅は、諸周波数係数のうちの2つ(C+1およびC−1)が増加するとともに他の2つの係数(C+2およびC−2)が減少するように、加えられる。(受信経路の利得および位相欠陥εbおよびφbを補正することは、周波数係数C+1も減じさせる。)周波数係数の増加は、評価信号105の対応する側波帯トーンの特徴(例えば側波帯トーンの振幅)の増加を表わす。また、ステップ58で、ディジタル化および濾波された被ダウンコンバート同相信号86および被ダウンコンバート直交位相信号88の振幅が、4つの側波帯トーンの周波数係数C+1、C+2、C−1、およびC−2によって表わされている1つの側波帯トーンの特徴が増加するとともに他の3つの側波帯トーンの特徴が減じるように、割り出される。基準信号62が、特定の周波数ビン(0,0,1,0…0,0,0)において単側波帯トーンを有し、その結果、評価信号105が様々な周波数ビン(0,0…C+1…C+2…C−1…C−20,0,0)において側波帯トーンを有する実現形態については、増加する周波数係数はC−1である。別の周波数ビンが使用される他の実現形態では、増加する周波数係数はC−2である。
【0049】
乗算器67〜70および97〜100のための倍数係数は、理想的なアップコンバーションおよびダウンコンバージョンにつながる単位行列Qを仮定することによって算出される。トランシーバ10によって送受信される複素データ信号は次のように表現される。
【0050】
x^(t)=[R{x(t)・a(t)}・b(t)]BB (123)
等式123は、実数成分および虚数成分を分離するとともに単位行列Qを含めることによって書き直される。図19は、a(t)によるアップコンバーションおよびb(t)によるダウンコンバージョン後の複素データ信号のベースバンド成分を表わす、書き直された結果得られる等式124を示している。ここで、ωa=ωbである。単位行列Qによる乗算が理想的なアップコンバーションおよびダウンコンバージョンにつながるので、実際の行列Qを逆行列(Q−1)で乗じることは、単位行列につながり、あらゆるI/Q利得および位相不一致を補償するだろう。したがって、I/Q欠陥を補正することは、データ信号を逆行列Q−1の利得係数に対応する倍数係数を乗じることによって達成される。図20は、乗算器67〜70および97〜100の倍数係数に対応する逆行列Q−1の係数を示している。
【0051】
送信器12の直交ミキサのI/Q利得不一致および位相不一致を補正するために使用される乗算器67〜70のための倍数係数を決定するために、受信器13の直交ミキサは欠陥εb=φb=0の理想的なものと仮定される。次に、Qが等式124について解決され、R{a(t)}およびT{a(t)}の値が等式79および80から挿入され、R{b(t)}およびT{b(t)}の値が等式91および92から挿入される。受信器13の直交ミキサのI/Q利得不一致および位相不一致を補正するために使用される乗算器97〜100のための倍数係数を決定するために、送信器12の欠陥は0にセットされる、すなわち、εa=φa=0とされる。したがって、εb=φb=0でかつ利得欠陥εaおよび位相不一致φaが計算において使用されれば、乗算器67の第1倍数係数が図20の行列位置11における係数であり、乗算器68の第2倍数係数が行列位置12における係数であり、乗算器69の第3倍数係数が行列位置21における係数であり、乗算器70の第4倍数係数が行列位置22における係数である。εa=φa=0でかつ利得欠陥εbおよび位相不一致φbが計算において使用されれば、乗算器97の第5倍数係数が行列位置11での係数であり、乗算器98の第6倍数係数が行列位置12での係数であり、乗算器99の第7倍数係数が行列位置21での係数であり、乗算器100の第8倍数係数が行列位置22での係数である。
【0052】
εb=φb=0かつ利得欠陥εaおよび位相不一致φaが計算において使用される場合、等式124中のQについて解決することは、図21の等式125につながる。次に、Qの逆行列が、送信器12の利得欠陥および位相欠陥を補正するために第1補正回路22によって使用される利得係数に帰するために算出される。図22は、4つの乗算器67〜70の倍数係数を記述する等式126を示している。例えば、乗算器67のための第1倍数係数を決定するためには、等式126の公倍数が行列位置11(これは、(1− εa/2)・cos(φa/2)に等しい)で乗じられる。
【0053】
受信器13の直交ミキサのI/Q利得不一致および位相不一致を補正するために使用される乗算器97〜100のための倍数係数を決定するために、送信器12の直交ミキサは欠陥εa=φa=0の理想的なものと仮定される。次に、送信器補正係数に関しては、Qが等式124について解決され、R{a(t)}、T{a(t)}、R{b(t)}、およびT{b(t)}が等式79、80、91、および92から挿入される。
【0054】
εa=φa=0でかつ利得欠陥εbおよび位相不一致φbが計算において使用される場合、等式124においてQについて解決することは、図23の等式127につながる。次に、Qの逆行列が、受信器13の利得欠陥および位相欠陥を補正するために第2補正回路44によって使用される利得係数に帰するために算出される。図24は、4つの乗算器97〜100の倍数係数を記述する等式128を示している。例えば、乗算器98のための第6倍数係数を決定するためには、等式128の公倍数が行列位置12(これは、−(1+εb/2)・sin(φb/2)に等しい)で乗じられる。
【0055】
要約すると、方法48のトランシーバ10が推定モードにおいて動作している第1段階において、基準信号62が生成され、また評価信号105が観察される。複素周波数係数C+1、C+2、C−1、およびC−2が、評価信号105を測定することによって割り出される。DSP14において実行される一連の計算において、利得成分K++、K+−、K−+、およびK−−ならびに位相成分φ+およびφ−が算出される。利得成分および位相成分を使用して、1つの基準信号に基づいて、4つのI/Q欠陥(利得欠陥εaおよびεb、ならびに位相不一致φaおよびφb)が全て一度に割り出される。4つの欠陥は、トランシーバが補正モードにおいて動作している場合、方法48の第2段階において使用される8つの倍数係数を算出するために使用される。第1の4つの倍数係数は、送信器12の利得欠陥εaおよび位相欠陥φaを補正するために、第1補正回路22の乗算器によって使用され、また、第2の4つの倍数係数は、受信器13の利得欠陥εbおよび位相欠陥φbを補正するために、第2補正回路44の乗算器によって使用される。
【0056】
データ信号が補正モードにおいて送信される際、諸I/Q欠陥は、データ信号を第1補正回路22によって前処理して送信器12の利得欠陥および位相欠陥を補正することによってかつ受信された(被受信)データ信号を第2補正回路44によって後処理して受信器13の利得欠陥および位相欠陥を補正することによって補正される。例えば、前処理は、フーリエ逆変換計算回路21がOFDM通信システムのユーザによって送信された情報を含んだデータ信号129を受信した後に実行される。IFFT21は、同相Tx成分64および直交位相Tx成分65を生成する。同相Tx成分64は第1乗算器67および第3乗算器69によって受信され、直交位相Tx成分65は第2乗算器68および第4乗算器70によって受信される。方法48の4つのI/Q欠陥が補正される第2段階においては、第1補正回路22は、同相成分64および直交位相成分65を単にそのまま通さない。代わりに、推定モードにおいて算出された倍数係数が、成分64および65のうちのどれだけが別の成分に相互に加えられるかを決定する。
【0057】
ステップ59において、同相Tx成分64の減衰された(被減衰)成分が第1倍数係数を使用して生成される。DSP14は、第1倍数係数を含んだディジタル制御信号130を乗算器67に送信する。乗算器67は、第1倍数係数に対応する量によって同相Tx成分64の振幅を減じる(減衰させる)。一実施形態では、倍数係数はみな、乗算器に対して成分64および65を減じさせる。別の実施形態では、倍数係数は、乗算器に対して成分64および65を増幅させるかまたは減じさせる。
【0058】
ステップ60において、乗算器68が第2倍数係数に対応する量によって直交位相Tx成分65の振幅を減じると、直交位相Tx成分65の被減衰成分が生成される。
【0059】
ステップ61において、同相Tx成分64の被減衰成分が直交位相Tx成分65の被減衰成分に加えられる。第1加算器71は、第1乗算器67の出力および第2乗算器68の出力を受信し、補正された(被補正)同相Tx成分131を生成する。
【0060】
また、乗算器69は同相Tx成分64を第3倍数係数に対応する量によって減じ、乗算器70は直交位相Tx成分65を第4倍数係数に対応する量によって減じる。第2加算器72は、第3乗算器69の出力および第4乗算器70の出力を受信し、被補正直交位相Tx成分132を生成する。少量の直交位相成分を同相成分に加えることおよびその逆によって、各成分の位相および振幅の両方が変更され、これによって補正される。データ信号129は、まず、後に送信直交ミキサによって導入されるI/Q利得および位相欠陥を補償するために前処理され、次に、補正された送信信号133としてアップコンバートされ、送信される。
【0061】
補正モードは、受信直交ミキサで導入されたI/Q利得および位相欠陥を補償するためにダウンコンバートされた被受信信号を後処理することも含んでいる。第2補正回路44は、受信器13の直交ミキサのI/Q不一致を補償するために受信された(被受信)RF複合信号を補正する。RF受信信号134は、アンテナ18上で受信され、デュプレクサ17を通過し、低ノイズ・アンプ34によって増幅され、次いで受信器13の直交ミキサによってダウンコンバートされる。直交ミキサは被ダウンコンバート同相信号86および被ダウンコンバート直交位相信号88を出力する。次に、信号86および88は濾波およびディジタル化される。ディジタル化および濾波された同相信号86は第5乗算器97および第7乗算器99によって受信され、ディジタル化および濾波された直交位相信号88は第6乗算器98および第8乗算器100によって受信される。次に、推定モードにおいて算出された倍数係数が信号86および88の各々のどれだけが第2補正回路44によって他方の信号に加えられるかを規定するために使用される。
【0062】
例えば、ディジタル化および濾波された同相信号86の被減衰成分が、第5倍数係数を使用して生成される。DSP14は、第5倍数係数を含んだディジタル制御信号135を乗算器97に送信する。乗算器97は第5倍数係数に対応する量によってディジタル化および濾波された同相信号86を減じる(減衰させる)。また、乗算器98が第6倍数係数に対応する量によってディジタル化および濾波された被ダウンコンバート直交位相信号88の振幅を減じると、ディジタル化および濾波された被ダウンコンバート直交位相信号88の被減衰成分が生成される。次に、信号88の被減衰成分は信号86の被減衰成分に加えられる。第3加算器101は、第5乗算器97および第6乗算器98の出力を受信し、被補正同相Rx成分136を生成する。
【0063】
また、乗算器99はディジタル化および濾波された同相信号86を第7倍数係数に対応する量によって減じ、乗算器100はディジタル化および濾波された被ダウンコンバート直交位相信号88を第8倍数係数に対応する量によって減じる。第4加算器102は、第7乗算器99および第8乗算器100の出力を受信し、被補正直交位相Rx成分137を生成する。次に、フーリエ変換計算回路45は被補正同相Rx成分136および被補正直交位相Rx成分137を被補正ベースバンド信号138に変換する。次に、被補正ベースバンド信号138のディジタルストリームは後続のディジタル信号処理用のシンボルに変換される。第2補正回路44が、受信器13の直交ミキサで導入された利得および位相欠陥εbおよびφbを被補正ベースバンド信号138から除去済みである。したがって、補正モードでは、トランシーバ10は、送信されるデータ信号を前処理するとともに被受信データ信号を後処理して送信器の直交ミキサおよび受信器の直交ミキサで導入された4つのI/Q利得不一致および位相不一致を補正する。第1補正回路22は、データ信号129が送信器12で導入されるはずの利得欠陥εaおよび位相不一致φaを補正するように、アップコンバートおよび送信される前にデータ信号129を前処理する。第2補正回路44は、信号134が受信器13で導入された利得欠陥εbおよび位相不一致φbを補正するように、受信およびダウンコンバートされた後にRF受信信号134を後処理する。等式107によって示されているように、第1補正回路22および第2補正回路44が同相成分および直交位相成分を相互に加えることによってI/Q欠陥を補償すると、周波数係数C−1は増加するとともに周波数係数C+1、C+2、およびC−2は減少する。第1補正回路22および第2補正回路44が4つのI/Q欠陥を完全に補正する理想的なケースでは、周波数係数C+1、C+2、およびC−2は振幅を有さない。この理想的なケースでは、図10の線は1つのピーク(周波数係数C−1に対応する周波数ビン−40付近のピーク)のみを示すだろう。チャネル接続の特徴が理想的でない場合、およびRFループバック経路11がチャネル接続上で利得スケーリングおよび時間遅延を引き起こす場合、チャネル接続の欠陥は諸周波数係数に影響を与える。したがって、チャネル接続の欠陥は、全ての側波帯の位相は同等に変化させるが、周波数係数の相対的な振幅は変化させない。
【0064】
一実施形態では、通常動作中、OFDM方式のユーザがデータ信号を送信および受信している間、トランシーバ10の動作はユーザ・データの送信と送信チェーンおよび受信チェーンの再較正とを交互に行なう。データ信号が所定の期間にわたって送信および受信されると、トランシーバ10は推定モードに入る。一実現形態では、周波数合成器36は、推定モードにおいて使用されるLO信号47の周波数ωbを、被受信データ信号をダウンコンバートするために使用される周波数から変化させる。例えば、周波数ωbは、送信周波数合成器28によって生成された周波数ωaから約100キロヘルツ以内にあるように変化させられ、また、送信された信号をアップコンバートするために使用される。次に、トランシーバ10は基準信号62を生成し、評価信号105を評価し、倍数係数を決定する。次に、送信チェーンおよび受信チェーンが再較正された後、トランシーバ10は補正モードに交替し、音声およびデータ通信を含んだデータ信号を送信および受信する。補正モードでは、トランシーバ10は、政府のスペクトル使用許諾機関によって規定されているLO信号47の元々の周波数ωbを使用する。別の実施形態では、トランシーバ10は、トランシーバ10を含んだ移動通信装置に電源投入した際にのみ補正モードに入る。電源投入時の較正後、トランシーバは補正モードにおいて動作する。
【0065】
図25は、ディジタル・ベースバンドIC20に代えてアナログRFトランシーバIC19中に補正回路が位置するトランシーバ10の実施形態の概略的なブロック図である。したがって、送信器と受信器の両方の利得不一致および位相不一致を同時に推定する方法は、アナログ領域でI/Q欠陥を補正する。第1補正回路22はアナログRFトランシーバIC19中に位置しており、第1DAC23によって出力されるアナログ同相Tx成分およびDAC24によって出力されるアナログ直交位相Tx成分の両方を受信する。同相Tx成分64の被減衰成分および直交位相Tx成分65の被減衰成分は、アナログ領域において相互に加えられるとともに補正された同相Tx成分131および補正された直交位相Tx成分132として出力される。同様に、第2補正回路44もアナログRFトランシーバIC19に位置しており、濾波された被ダウンコンバート同相信号86および濾波された被ダウンコンバート直交位相信号88を受信する。次に、第2補正回路44は、信号86および88の被減衰成分同士を加え、また、被補正同相Rx成分136および被補正直交位相Rx成分137を出力する。次に、被補正同相Rx成分136はADC42によってディジタル化され、被補正直交位相Rx成分137はADC43によってディジタル化される。
【0066】
図25の実施形態のアナログ補正回路は、I/Q補正レジスタによって制御される。ディジタル・ベースバンドIC20は、SPIシリアルバス15上でI/Q補正レジスタを介して補正回路に倍数係数および他の補正情報を伝達する。例えば、図25は、第2補正回路44の乗算器97〜100を制御するI/Q補正レジスタ139を示している。第1補正回路22を制御するI/Q補正レジスタは、図25に示されていない。一側面では、乗算器97は、I/Q補正レジスタ139から受信された補正信号によって制御される。ディジタルの1がI/Q補正レジスタ139の第8ビットに書き込まれている場合、制御信号140が論理的に有効にされ、ディジタルの1がI/Q補正レジスタ139の第7ビットに書き込まれている場合、制御信号141が論理的に有効にされる。別の側面では、2つを超える制御信号が各乗算器の倍数係数を設定するために使用される。ディジタル・ベースバンドIC20は、SPIシリアルバス15上で通信するとともにディジタル値00、01、10、または11をI/Q補正レジスタ139の第7ビットおよび第8ビットに書き込むことによって、乗算器97の倍数係数を設定する。
【0067】
図26は、I/Q欠陥が前処理も後処理もされずにそれらのソースで補正される、トランシーバ10の別の実施形態の概略的なブロック図である。図26の実施形態は、利得不一致および位相不一致を補償する直交ミキサにおいて補正乗算器および補正シフタを含んでいる。補正無しでは、同相送信器LO信号73は直交位相送信器LO信号75からφaシフトされた位相を有する。図26において、送信移相器29中の「90°−φa/2」および移相器29の上方の「+φa/2」は、送信器12の直交ミキサで導入された位相不一致φaを表わしている。一実施形態では、アナログ送信移相器29はI/Q補正レジスタからの補正信号によって制御される。送信移相器29によって生成された位相シフトは、位相不一致φaが除去されるように変化させられる。DSP14は、等式119から得られた位相不一致φaを使用して、I/Q補正レジスタのビットを書き込むことによって送信移相器29を制御する。別の実施形態では、補正シフタ142は、直交ミキサで導入された+φa位相不一致を補正する量−φaによって直交位相送信器LO信号75の位相をシフトするために、直交ミキサに加えられる。
【0068】
図26において、乗算器77および78は、被アップコンバート同相信号74と被アップコンバート直交位相信号76との間の利得不一致εaを表わしている。アナログ式の電圧制御される(電圧制御型)補正アンプ143が、信号74を直交ミキサによって信号74へ導入された+εa/2利得不一致を補正する量−εa/2によって減じるために直交ミキサに加えられている。同様に、アナログ式電圧制御型補正アンプ144が、信号76を直交ミキサによって信号76へ導入された−εa/2利得不一致を補正する量+εa/2によって増幅するために直交ミキサに加えられている。DSP14は、図17中の等式115から得られた利得不一致εaを使用して、I/Q補正レジスタのビットを書き込むことによって、電圧制御型アンプ143および144を制御する。いくつかの実現形態では、利得不一致εaは負の量であり、アンプ143は信号74を増幅し、アンプ144は信号76を減じる。
【0069】
図26の実施形態は、また、受信器13の直交ミキサにおいて補正乗算器および補正シフタを含んでいる。一実施形態では、送信経路および受信経路の両方の直交ミキサは、補正シフタ142のような、1つのミキサへのLO信号をφaまたはφbによってシフトする1つの補正シフタを有する。別の実施形態では、各直交ミキサは、各々が2つのミキサのうちの1つへのLO信号をφ/2によってシフトする2つの補正シフタを有する。図26は、受信器13の直交ミキサに関してダブル・シフタの実施形態を例示している。補正シフタ145は、同相受信器LO信号85の位相を直交ミキサによって信号85へ導入された+φb/2位相不一致を補正する量−φb/2によってシフトするために、受信直交ミキサに加えられている。同様に、補正シフタ146は、直交位相受信器LO信号87の位相を直交ミキサによって信号87へ導入された−φb/2位相不一致を補正する量+φb/2によってシフトするために、受信直交ミキサに加えられている。また、補正アンプ147は、被ダウンコンバート同相信号86を直交ミキサによって信号86へ導入された+εa/2利得不一致を補正する量−εa/2によって減じるために、直交ミキサに加えられている。同様に、補正アンプ148は、被ダウンコンバート直交位相信号88を直交ミキサによって信号88へ導入された−εa/2利得不一致を補正する量+εa/2によって増幅するために、直交ミキサに加えられている。
【0070】
図26の実施形態の補正シフタおよび補正乗算器は、I/Q補正レジスタによって制御される。ディジタル・ベースバンドIC20は、SPIシリアルバス15上でI/Q補正レジスタを介して補正シフタおよび補正乗算器に補正情報を伝達する。補正情報は、図17の中の等式115〜118から得られた利得不一致εaおよびεbならびに等式119〜120から得られた位相不一致φaおよびφbを含んでいる。例えば、図26は、受信器13の直交ミキサの補正シフタ145〜146および補正乗算器147〜148を制御するI/Q補正レジスタ149を示している。送信器12の直交ミキサの補正シフタおよび補正乗算器を制御するI/Q補正レジスタは、図26に示されていない。補正シフタおよび補正乗算器は、I/Q補正レジスタ149から受信された補正信号によって制御される。例えば、ディジタルの1がI/Q補正レジスタ149の第8ビットに書き込まれている場合、制御信号150が論理的に有効にされ、ディジタルの1がI/Q補正レジスタ149の第7ビットに書き込まれている場合、制御信号151が論理的に有効にされる。別の例では、2つを超える制御信号が補正乗算器147のための減衰量を設定するために使用される。ディジタル・ベースバンドIC20は、SPIシリアルバス15上で通信するとともにI/Q補正レジスタ149の第8ビットにディジタル値を書き込むことによって、補正乗算器147〜148のための減衰量および増幅量ならびに補正シフタ145〜146のための位相遅れを設定する。
【0071】
1つ以上の例示的な実施形態において、記述されている機能は、ハードウェア、ソフトウェア、ファームウェア、またはそれらのあらゆる組合せにおいて実現され得る。ソフトウェアにおいて実現される場合、関数は1つまたは複数の指示またはコードとして、コンピュータ可読媒体上で格納または送信され得る。コンピュータ可読媒体は、コンピュータ記憶装置媒体、およびコンピュータ・プログラムのある位置から別の位置への移動を容易にするあらゆる媒体を含む通信媒体、の両方を含んでいる。記憶媒体は、コンピュータによってアクセスされることが可能なあらゆる利用可能な物理的媒体であり得る。限定ではなく例として、そのようなコンピュータ可読媒体は、RAM、ROM、EEPROM、CD−ROMまたは他の光学ディスク記憶装置、磁気ディスク記憶装置または他の磁気記憶装置、または命令またはデータ構造の形態の所望のプログラム・コードを運ぶか格納するために使用されることが可能で且つコンピュータによってアクセスされることが可能な他のあらゆる媒体を具備し得る。また、あらゆる接続も当然、コンピュータ可読媒体と称される。例えば、ソフトウェアが、同軸ケーブル、光ファイバーケーブル、撚線対、ディジタル加入者線(DSL)、または赤外線、無線およびマイクロ波のような無線技術を使用して、ウェブサイト、サーバ、または他の遠隔ソースから送信される場合、この同軸ケーブル、光ファイバーケーブル、撚線対、DSL、または赤外線、無線およびマイクロ波のような無線技術は、媒体の定義に含まれている。本明細書において使用されているディスク(disk)とディスク(disc)は、コンパクト・ディスク(CD)、レーザーディスク(登録商標)、光ディスク、ディジタル多用途ディスク(DVD)、フロッピー(登録商標)・ディスクおよびブルーレイ・ディスクを含んでいる。ここで、ディスク(disk)は通常磁気的にデータを再生し、他方、ディスク(disc)はレーザーでデータを光学的に再生する。上記のものの組合せもコンピュータ可読媒体の範囲に含まれるべきである。
【0072】
1つの評価信号を観察した後に送信経路および受信経路の両方の利得不一致および位相の不一致を決定するトランシーバが、教示目的用の特定の具体的な実施形態に関して記述されたが、トランシーバはそれに制限されない。例えば、トランシーバ10は、ディジタル信号プロセッサ中の推定モードの計算を実行することとして記述される。別の実施形態では、計算はディジタル・ベースバンドICの別の部分において実行される。例えば、その計算は埋込み型マイクロコントローラ、または埋込み型プログラマブル・ロジック中で実行される。トランシーバ10は、レジスタから送信される制御信号を使用して補正回路、補正シフタ、および補正乗算器を制御することとして記述される。別の実施形態では、制御信号は、ディジタル・ベースバンドICから直接送信される。4つのI/Q欠陥を全て同時に算出する方法は、移動通信装置中で実行されることとして記述されている。別の実施形態では、方法は、移動通信装置から信号を受信し移動通信装置に信号を送信する基地局で実行される。上に開示されている実施形態の記述は、あらゆる当業者がステップ型利得ミキサを実行または使用することを可能にするために提供されている。これらの実施形態に対する様々な修正は当業者にとって容易に明らかになり、また、本明細書において定義されている包括的な原理は、開示されている主題の思想または範囲から逸脱することなく別の実施形態に適用され得る。したがって、1つの評価信号を観察した後に送信経路および受信経路の両方の利得不一致および位相不一致を割り出す開示の方法は、本明細書において示されている実施形態に限定されることを意図されず、本明細書において開示されている原理および新規な要素と一貫している最も広い範囲と一致するべきである。
【技術分野】
【0001】
本開示は、概して無線通信装置に関し、より具体的にはOFDM FDDシステムの無線トランシーバの送信経路および受信経路においてI/Q利得不一致および位相不一致を同時に推定する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
直交振幅変調を使用する無線通信システム用トランシーバは、概してI/Q利得不一致(mismatch)および位相不一致を示す。直交変調を使用する通信システムによって送信される予定のデータ信号は、最初に同相(I相)送信成分および直交位相(Q相)送信成分に変換される。次に、アナログ無線送信器において、データ信号のI成分およびQ成分は無線周波数(RF)帯域に変換される。同相送信成分が局部発振器信号の同相成分と混合されると、アップコンバートされた(被アップコンバート)同相RF信号が生成される。同様に、直交位相送信成分が局部発振器信号の直交位相成分と混合されると、被アップコンバート直交位相RF信号が生成される。次に、同相RF信号と直交位相RF信号とが加えられて複合RF信号が形成され、RF信号は無線インターフェースを通して送信される。局部発振器信号の同相成分および直交位相成分がちょうど90度隔てられていないと、および被アップコンバート同相RF信号の振幅が被アップコンバート直交位相RF信号の振幅とちょうど等しくないと、送信器のIの枝とQの枝との間の位相および利得の不均衡が導入される。同様に、受信されたRF複合信号が局部発振器信号の同相成分および直交位相成分と混合することによってダウンコンバートされる際、アナログ無線受信器のIの枝とQの枝との間の位相および利得の不均衡が導入される。受信器中の局部発振器信号の同相成分および直交位相成分がちょうど90度隔てられていない場合、およびダウンコンバートされた(被ダウンコンバート)同相信号の振幅が被ダウンコンバート直交位相信号の振幅とちょうど等しくない場合、受信器のIの枝とQの枝との間の位相不均衡および利得不均衡が起こる。送信器および受信器中の位相および利得の不均衡によって引き起こされた4つの欠陥は、信号のスペクトルの正側帯域と負側帯域との間の干渉を引き起こす。
【0003】
直交周波数分割多重化(OFDM)および時分割2重化(TDD)に基づくいくつかの無線通信システムは、現在、送信器および受信器におけるI/Q利得欠陥および位相欠陥を推定するための機能を含んでいる。しかしながら、I/Q不一致を推定する既存の方法は様々な短所を有する。まず、既存の方法は2ステップで実行される。受信経路が較正されることが可能となる前に、送信経路が較正されなければならない。送信I/Q不一致が推定され、次に、送信経路が補正され、最後に、較正された送信経路が使用されて、受信経路のI/Q不一致を推定するための基準信号を提供する。第2に、既存の方法は、WLANとWiMax規格用に使用される現在のOFDMモデム・トランシーバにおいて、データ信号の通常の送信の際には使用されない付加的なハードウェアを必要とする。別個の専用ハードウェアが、送信経路中の不一致を推定するために必要である。典型的に、このハードウェアはRF包絡線検出器である。専用ハードウェアを使用して、送信経路中のI/Q不一致が推定された後、受信器中の局部発振器およびミキサが使用されて受信器中のI/Q不一致を推定する。
【0004】
OFDMトランシーバの送信器および受信器の両方におけるI/Q利得欠陥および位相欠陥を一度に推定するための方法が求められている。また、通常のデータ信号送信の際に使用されない大きな(significant)ハードウェアを必要とせずに、OFDMトランシーバの送信器および受信器の両方におけるI/Q利得欠陥および位相欠陥を推定することが可能な装置が求められている。
【発明の概要】
【0005】
OFDM FDD通信システムの送信器および受信器の両方においてI/Q利得不一致および位相不一致を同時に推定する方法は、送信経路の直交ミキサの出力から受信経路の直交ミキサの入力に向かうRFループバック経路を使用して実行される。推定方法は、外部ミキサまたは外部包絡線検波器のようなOFDM FDD RFトランシーバおよびベースバンド・モデムに外部の専用ハードウェアを使用せずに実行される。したがって、推定方法は、RFループバック経路専用の接続を除いて、データ信号の通常の送信においては使用されないハードウェアを使用せずに実行される。いくつかの実施形態では、オンチップ結合が送信経路の出力を受信経路に例えば集積回路の基板を介して中継する場合、専用のループバック経路さえも使用されない。
【0006】
OFDMトランシーバは推定モードおよび補正モードにおいて動作する。推定モードでは、トランシーバは単側波帯トーンを有する評価信号を生成する。逆高速フーリエ変換ブロックは基準信号を同相Tx成分および直交位相Tx成分に変換する。トランシーバの送信経路は、同相成分および直交位相成分上でIQ変調を実行する。同相Tx成分は同相送信器発振器信号と混合されて、被アップコンバート同相信号を生成する。直交位相Tx成分は、直交位相送信器発振器信号と混合されて被アップコンバート直交位相信号を生成する。複合RF信号は、被アップコンバート同相信号と被アップコンバート直交位相信号とを加えることによって生成される。複合RF信号は、RFループバック経路によってトランシーバの受信経路へ送信される。受信経路において、受信経路はIQ復調を実行する。複合RF信号は同相受信器発振器信号と混合されて被ダウンコンバート同相信号を生成する。複合RF信号は直交位相受信器発振器信号とも混合されて被ダウンコンバート直交位相信号を生成する。高速フーリエ変換ブロックは被ダウンコンバート同相信号および被ダウンコンバート直交位相信号を4つの側波帯トーンを有する評価信号に変換する。側波帯トーンはある特徴(例えば振幅)を示す。トランシーバは、4つの側波帯トーンの振幅を使用して、8つの倍数係数(multiplication factor)を算出する。倍数係数は、送信経路および受信経路のI成分およびQ成分が倍数係数に従って相互に加えられた場合に側波帯トーンのうちの1つの振幅が増加するとともに他の3つの側波帯トーンの振幅が減少するように決定される。送信経路および受信経路の両方の利得不一致および位相の不一致を完全に除去する倍数係数は、単側波帯トーンを有しかつ側波帯トーンのうちの3つの振幅が0である評価信号という結果になる。
【0007】
補正モードでは、データ信号中のI/Q不一致は、被アップコンバートRF信号を前処理するとともに被ダウンコンバートRF信号を後処理することによって補正される。一実施形態では、トランシーバは、ディジタル・ベースバンド集積回路(IC)およびアナログRFトランシーバICで構成される。ディジタル・ベースバンドICは、逆高速フーリエ変換ブロックとディジタル・アナログ(DA)変換器との間の第1補正回路を含んでいる。また、ディジタル・ベースバンドICは、アナログ・ディジタル(AD)変換器と高速フーリエ変換ブロックとの間の第2補正回路を含んでいる。各補正回路は4つの乗算器および2つの加算器を含んでいる。I/Q不一致の補正は、同相信信号の減衰された(被減衰)成分と直交位相信号の被減衰成分を相互に加えることによって実行される。例えば、第2補正回路は第1乗算器、第2乗算器、第3乗算器、および第4乗算器、ならびに第1加算器および第2加算器を有する。第1乗算器は、被ダウンコンバート同相信号を受信し、第1被減衰成分信号を生成する。第2乗算器は、被ダウンコンバート直交位相信号を受信し、第2被減衰成分信号を生成する。第3乗算器は、被ダウンコンバート同相信号を受信し、第3被減衰成分信号を生成する。第4乗算器は、被ダウンコンバート直交位相信号を受信し、第4被減衰成分信号を生成する。第1加算器は、第2被減衰成分信号を第1被減衰成分信号に加えることによって、同相成分信号を生成する。第2加算器は、第3被減衰成分信号を第4被減衰成分信号に加えることによって、直交位相成分信号を生成する。
【0008】
フーリエ変換計算回路は、同相成分信号および直交位相成分信号を使用して、ベースバンド信号を生成する。被減衰信号を生成するために乗算器によって使用される倍数係数は、評価信号に基づいて推定モードにおいて算出され、また補正モードにおいて使用されて同相成分信号および直交位相成分信号を生成する。同相成分信号および直交位相成分信号は結合されて補正された(被補正)ベースバンド信号を生成する。4つの欠陥は被補正ベースバンド信号からは補正され済みである。補正モードにおいて使用される倍数係数は、評価信号の1つの側波帯トーンの振幅が増加するとともに評価信号の他の3つの側波帯トーンの振幅が減少することにつながる。
【0009】
別の実施形態では、補正回路は、アップコンバートされる予定の信号を前処理せずダウンコンバートされた信号を後処理もせず、それらの起点(ソース、source)でI/Q欠陥を補正する。この実施形態では、直交ミキサ中の補正乗算器および補正シフタが、直交ミキサにおいて導入された利得不一致および位相不一致を補償する。
【0010】
前述したものは概要であって、したがって、必要に応じて、詳細事項の単純化、一般化、および省略を含んでいる。したがって、当業者は、概要が単なる例証であっていかなる点においても制限を行なうことを意味しないことを認識するだろう。本明細書において記述されている装置および/または工程の他の側面、発明的な要素、および利点は、請求項によってのみ定義されており、本明細書において示されている非制限的な詳細な説明において明らかになるだろう。
【図面の簡単な説明】
【0011】
類似の数字は、様々な実施形態の添付図面中の類似の構成要素(component)を示している。
【図1】送信器および受信器の両方の利得不一致および位相の不一致を同時に推定する方法を実行するOFDMトランシーバの簡略化された概略的なブロック図である。
【図2】図1のトランシーバの利得不一致および位相の不一致を推定および補正するためのステップのフローチャートである。
【図3】図1のトランシーバによって生成された基準信号を示す周波数領域の図である。
【図4】図1のトランシーバの逆高速フーリエ変換(IFFT)ブロックによって出力された同相成分および直交位相成分を記述する複素数式である。
【図5】図1のトランシーバの同相送信ミキサおよび直交位相送信ミキサの出力を記述する等式を示している。
【図6】IFFTブロックによるI成分およびQ成分出力を図1のトランシーバの同相送信ミキサの出力の実数部で混合することによって生成された被アップコンバート同相信号を記述する等式である。
【図7】複合RF信号と混合する前の局部発振器信号にのみ基づいた図1のトランシーバの受信ミキサの出力を記述する等式を示している。
【図8】受信ミキサの出力の図1のトランシーバのRFループバック経路の特徴との畳み込みを記述する等式を示している。
【図9】複合RF信号が図1のトランシーバの受信器の局部発振器信号と混合された結果得られるベースバンド信号を表わす等式である。
【図10】基準信号を使用して生成された評価信号の4つの複素周波数係数の振幅を示す周波数領域の図である。
【図11】図10の複素の周波数係数を送信器および受信器の利得不一致および位相不一致ならびにRFループバック経路の時間遅延の関数として表わす等式である。
【図12】利得成分と利得不一致との関係を記述する等式を示している。
【図13】位相成分と位相不一致との関係を記述する等式を示している。
【図14】図11の等式に記述されている複素振幅の実数部および虚数部を記述する等式を示している。
【図15】利得成分および位相成分を図11の等式に記述されている複素振幅の実数部および虚数部の1次結合として表わす等式を示している。
【図16】利得成分を評価信号105から測定された複素周波数係数の項で表現する等式を示している。
【図17】送信器の利得欠陥および受信器の利得欠陥を利得成分の項で記述する等式を示している。
【図18】位相成分を評価信号105から測定された複素周波数係数の項で表現する等式を示している。
【図19】アップコンバーションおよびダウンコンバージョン後の複素データ信号のベースバンド成分を表わす等式である。
【図20】図1のトランシーバの補正回路中の乗算器の倍数係数に相当する、逆行列の係数を示している。
【図21】Q行列の係数を図1のトランシーバの送信器の利得不一致および位相不一致の関数として表現する等式である。
【図22】逆行列の倍数係数を図1のトランシーバの送信器の利得不一致および位相不一致の関数として表現する等式である。
【図23】Q行列の係数を図1のトランシーバの受信器の利得不一致および位相不一致の関数として表現する等式である。
【図24】逆行列の倍数係数を図1のトランシーバの受信器の利得不一致および位相不一致の関数として表現する等式である。
【図25】補正回路がアナログ集積回路内に置かれている、図1のトランシーバの別の実施形態の概略的なブロック図である。
【図26】利得欠陥および位相欠陥が補正回路によって前処理および後処理されずに直交ミキサ中のそれらのソースで補正される、図1のトランシーバのさらに別の実施形態の概略的なブロック図である。
【詳細な説明】
【0012】
様々な実施形態が次に詳細に言及される。それらの例は添付図面において例示されている。
【0013】
図1は、周波数分割二重化(FDD)を使用した直交周波数分割多重化(OFDM)に基づく無線通信システム用のIQ変調およびIQ復調を実行するトランシーバ10の簡略的なブロック図である。トランシーバ10は、送信経路の直交ミキサから受信経路の直交ミキサまでのRFループバック経路11を含んでいる。RFループバック経路11は、送信器および受信器の両方の同相経路および直交位相経路中の利得不一致および位相不一致を同時に推定する方法を実行するために使用される。I/Q較正法は、トランシーバ10の外部のさらなるハードウェアを全く使用せずに実行される。送信器および受信器の両方においてI/Q利得不一致(欠陥)および位相不一致を同時に推定する方法は、特にFDDモデム・トランシーバに適している。なぜなら、これらの受信器が送信周波数および受信周波数を独立して生成するからである。また、方法は特にOFDMモデム・トランシーバに適している。なぜなら、OFDM受信器が、方法のI/Q不一致推定の実行が可能な信号生成装置および処理装置を含んでいるからである。したがって、以下の無線通信規格の下で動作する装置は、大きなさらなるハードウェア無しで方法を実行することが可能である。すなわち、3GPPロング・ターム・エボルーション(Long-Term Evolution)(LTE)、発展データ最適修正版C(Evolution-Data Optimized Revison C)としても知られているウルトラ・モバイル・ブロードバンド(UMB)およびFDD WiMax(IEEE802.16)である。一例では、トランシーバ10は、携帯電話または携帯情報端末(PDA)のような移動通信装置の一部である。別の例では、トランシーバ10は信号を移動通信装置から受信し移動通信装置に送信する基地局の一部である。
【0014】
トランシーバ10はRFループバック経路11、送信器12、受信器13、ディジタル信号プロセッサ(DSP)14、シリアル周辺インターフェース(SPI)バス15、およびI/Q較正レジスタ16を含んでいる。トランシーバ10は、デュプレクサ17およびアンテナ18に結合されている。送信器12はOFDMに基づいてIQ変調を実行し、また、受信器13はOFDMに基づいてIQ復調を実行する。一実施形態では、送信器12および受信器13の機能は、アナログ無線周波数(RF)トランシーバ集積回路(IC)19およびディジタル・ベースバンドIC20の両方において実行される。RFトランシーバIC19およびディジタル・ベースバンドIC20は、SPIシリアルバス15上で通信する。I/Q較正レジスタ16は、SPIシリアルバス15から書き込まれることが可能であり、またRFループバック経路11を制御するために使用される。いくつかの実施形態では、SPIシリアルバス15は、RFトランシーバIC19とディジタル・ベースバンドIC20との間のパラレルインターフェースで置換されている。IC19とIC20との間の通信は、SPIシリアルバス15のような1つのピンのインターフェース上でよりもパラレルインターフェース上での方が速い。
【0015】
図1中のトランシーバ10の別の実施形態(図示せず)では、トランシーバ10のアナログ機能およびディジタル機能は、両方とも、システム・オン・チップ(SOC)と呼ばれる1つの集積回路上で実行される。システム・オン・チップは、送信経路および受信経路の直交ミキサ、ならびにベースバンド処理ブロックおよびディジタル制御ブロックを含んでいる。ベースバンド処理ブロックは、I/Q較正法の計算を実行し、また、ディジタル制御ブロックは、送信器および受信器におけるI/Q利得不一致および位相不一致を補正するための送信動作および受信動作を制御する。
【0016】
図1の実施形態において、送信器12は、逆高速フーリエ変換(IFFT)ブロック21、第1補正回路22、第1ディジタル・アナログ変換器(DAC)23、第2DAC24、第1低域フィルタ25、第2低域フィルタ26、送信局部発振器27、送信周波数合成器(シンセサイザ、synthesizer)28、送信移相器(位相シフタ、phase shifter)29、同相送信ミキサ(混合器、mixer)30、直交位相送信ミキサ31、加算器32、および電力アンプ33を含んでいる。受信器13は、低ノイズ・アンプ34、受信局部発振器35、受信周波数合成器36、受信移相器37、同相受信ミキサ38、直交位相受信ミキサ39、第3低域フィルタ40、第4低域フィルタ41、第1アナログ・ディジタル変換器(ADC)42、第2ADC43、第2補正回路44、および高速フーリエ変換(FFT)ブロック45を含んでいる。ディジタル・ベースバンドIC20は、送信周波数合成器28によってミキサ30〜31に供給された局部発振器(LO)信号46の周波数ωa、および受信周波数合成器36によってミキサ38〜39に供給されたLO信号47の周波数ωbを制御することによって、送信器12と受信器13とを同調させる。送信局部発振器27は発振信号を生成し、送信周波数合成器28は発振信号を調整してLO信号46を生成する。同様に、受信周波数合成器36は、受信局部発振器35による発振信号出力を調整してLO信号47を生成する。
【0017】
受信I/Q不一致および送信I/Q不一致の両方を同時に推定する方法において、トランシーバ10は、FDD通信システムの送信器と受信器との間の周波数オフセットを使用して送信器I/Q不一致の割り出しを受信器I/Q不一致の割り出しから分離し、それによって、4つの不一致の割り出しを1組の計算において解決可能なものにする。トランシーバ10は、まず送信器のI/Q不一致を推定し、次に送信経路を較正し、次に受信器のI/Q不一致を推定する代わりに、送信器中のI/Q利得不一致および位相不一致ならびに受信器中のI/Q利得不一致および位相不一致の両方を同時に推定する。
【0018】
送信器と受信器が時分割2重化(TDD)システム中でのように同じ周波数を使用する場合には、送信器のI/Q不一致は付加的なハードウェアを使用すること無しに受信器のI/Q不一致と別々に解決されることが可能ではない。したがって、TDD方式用のI/Q推定方法は、受信器がRF送信信号をダウンコンバートする周波数と異なる周波数でRF送信信号をダウンコンバートするために付加的なハードウェアを使用する。TDDシステムおよびFDDシステムの両方向けの従来のI/Q推定方法は、受信経路のI/Q不一致を推定する前にまず送信経路を較正していた。受信I/Q不一致および送信I/Q不一致の両方を同時に推定する方法が4つのI/Q不一致推定すべてについての処理を一度に実行するので、本推定方法は従来のI/Q推定方法より少なくとも2倍高速である。
【0019】
図2は、OFDMトランシーバの送信経路および受信経路の4つのI/Q欠陥が全て同時に推定されるとともに補正される方法48の諸ステップを示すフローチャートである。図1において示されているトランシーバ10の動作は、図2に列挙されているステップ49〜61との関連において詳細に説明される。トランシーバ10は2つのモード、すなわち推定モードおよび補正モードで動作する。推定モードは方法48の第1段階に相当し、ここで4つのI/Q欠陥が推定される。補正モードは方法48の第2段階に相当し、ここで4つのI/Q欠陥が第1補正回路22および第2補正回路44を使用して補正される。最初のステップ49において、受信I/Q不一致および送信I/Q不一致の両方を同時に推定する方法48は、DSP14中の資源を使用して基準信号62を生成する。基準信号62は周波数領域で生成され、単側波帯トーンを有する。
【0020】
図3は、基準信号62の様々な「周波数ビン(frequency bin)」の振幅を示す周波数領域における図である。1つの典型的な実現形態では、64の周波数ビンがある。図3は、基準信号62が、周波数ω0にある周波数ビン63中のみで振幅を有することを例示している。基準信号62の周波数ビンの振幅は、(0,0,1,0,…0,0,0)として図1において表わされている。したがって、基準信号62はω0において単側波帯トーンを有している。
【0021】
ステップ50において、逆高速フーリエ変換ブロック21は基準信号62を周波数領域から時間領域に変換する。IFFT21は、基準信号62の時間領域変換形態(transform)を、実数の同相Tx成分64および虚数の直交位相Tx成分65の形態で出力する。同相Tx成分64はcos(ω0t)として表わされることが可能であり、直交位相Tx成分65はjsin(ω0t)として表わされることが可能である。
【0022】
図4は、IFFT21によって出力された同相成分64および直交位相成分65を記述する複素数等式66である。等式66は、時間領域成分64および65をω0の点からx(t)として記述した。ここで、jは虚数単位である。
【0023】
同相Tx成分64および直交位相Tx成分65は第1補正回路22によって受信される。第1補正回路22は4つの乗算器67〜70および2つの加算器71〜72を含んでいる。同相Tx成分64は第1乗算器67および第3乗算器69によって受信され、直交位相Tx成分65は第2乗算器68および第4乗算器70によって受信される。第1加算器71は第1乗算器67および第2乗算器68の出力を受信し、他方、第2加算器72は第3乗算器69および第4乗算器70の出力を受信する。4つのI/Q欠陥が推定される方法48の欠陥が補正される前の第1段階においては、第1補正回路22は、同相成分64および直交位相成分65をそのままDA変換器23〜24に渡すだけである。第1段階においてトランシーバ10が推定モードで動作している間、第2および第3乗算器68〜69の倍数係数は0に設定されている。第1DAC23は、同相Tx成分64を受信し、アナログ同相Tx成分を出力する。第2DAC24は、直交位相Tx成分65を受信し、アナログ直交位相Tx成分を出力する。アナログTx成分はディジタル・ベースバンドIC20によって出力され、アナログRFトランシーバIC19によって受信される。アナログ同相Tx成分は第1低域フィルタ25によって濾波され、アナログ直交位相Tx成分は第2低域フィルタ26によって濾波される。
【0024】
ステップ51において、変換および濾波された同相Tx成分は、これを送信器LO信号46と混合することによってアップコンバートされる。送信周波数合成器28は、周波数ωaを有する送信器LO信号46を生成し、同相送信器LO信号73を同相送信ミキサ30に提供する。同相送信ミキサ30は被アップコンバート同相信号74を生成する。ステップ52において、変換および濾波された直交位相Tx成分は、直交位相送信ミキサ31によってアップコンバートされる。送信移相器29は送信器LO信号46を受信し、位相を90度遅らせ、直交位相送信器LO信号75を出力する。ミキサ31は、直交位相送信器LO信号75を変換および濾波された直交位相Tx成分と混合し、被アップコンバート直交位相信号76を出力する。図1では、送信移相器29は、送信器LO信号46の位相を「90°−φa/2」シフト(移相、shift)することとして描かれている。また、同相送信器LO信号73は、送信器LO信号46から「+φa/2」シフトされた位相を有するものとして描かれている。φaは、被アップコンバート直交位相信号76が被アップコンバート同相信号74と比較してちょうど90度シフトされていない分である位相欠陥を表現している。同様に、「1+εa/2」を乗じる乗算器77、および「1−εa/2」を乗じる乗算器78は、送信器の同相経路と直交位相経路と間の利得不一致を表現している。εaは、被アップコンバート同相信号74の振幅が被アップコンバート直交位相信号76の振幅より大きい分である利得欠陥を表現している。
【0025】
図5は、同相送信器LO信号73にのみ基づいているとともに実数である同相Tx成分64から得られた変換および濾波された同相Tx成分と混合する前の同相送信ミキサ30の出力を記述する等式79を示している。図5は、また、直交位相送信器LO信号75にのみ基づいているとともに虚数である直交位相Tx成分65から得られた変換および濾波された直交位相Tx成分と混合する前の直交位相送信ミキサ31の出力を記述する等式80を示している。送信器LO信号46の周波数ωa、位相不一致φa、および利得不一致εaの関数として、等式79は送信ミキサの出力の実数部を記述し、また等式80は虚数部を記述している。
【0026】
ステップ53において、加算器32は被アップコンバート同相信号74と被アップコンバート直交位相信号76とを加え、複合RF信号81を出力する。推定モードでは、信号はアンテナ・デュプレクサ17によって伝達されず、アンテナ18によって送信もされない。推定モードでは、複合RF信号81は、送信器12の直交ミキサから受信器13の直交ミキサまで、RFループバック経路11によって伝達される。方法48の第1段階では、RFループバック経路11中のスイッチ82は閉じている。方法48の第2段階では、スイッチ82は開いている。一実施形態では、スイッチ82は2つのトランジスタで構成されている。切り替え信号83が論理的に有効にされていると、スイッチ82は閉じている。一実施形態では、切り替え信号83は、ディジタルの1がI/Q較正レジスタ16の6番目のビットに書き込まれている場合、論理的に有効にされている。ディジタル・ベースバンドIC20は、SPIシリアルバス15上で通信するとともにI/Q較正レジスタ16の6番目のビットにディジタルの1を書き込むことによって、スイッチ82を制御する。
【0027】
別の実施形態では、専用のループバック経路は送信器12の直交ミキサから受信器13の直交ミキサまで複合RF信号81を伝達するために使用されない。代わりに、IC19およびIC20の基板またはシステム・オン・チップ(SOC)の基板が、RFループバック経路として働き、複合RF信号81は基板カップリングによって送信器と受信器との間で伝達される。あるいは、送信器12からの信号を受信器13に結合することは変圧器によって実行されてもよい。また別の実施形態では、オフ・チップ結合器が使用されて送信器12の直交ミキサから受信器13の直交ミキサまで複合RF信号81を伝達する。
【0028】
図6は、送信器12の直交ミキサの被アップコンバート出力を記述する等式84を示している。等式84は、アップコンバートされた同相信号74および被アップコンバート直交位相信号76の両方を記述している。被アップコンバート同相信号74は、IFFT21によって出力されたI成分およびQ成分64〜65を記述する等式66が同相送信器LO信号73によって生成された同相送信ミキサ30の出力の実数部を記述する等式79によって乗じられた積である。被アップコンバート直交位相信号76は、I成分およびQ成分64〜65を記述する等式66が直交位相送信器LO信号75によって生成された直交位相送信ミキサ31の出力の虚数部を記述する等式80によって乗じられた積である。等式84は、アップコンバートされた信号74および76を、基準信号62の単側波帯トーンの周波数ω0、送信器LO信号46の周波数ωa、送信位相不一致φa、および送信利得不一致εaの関数R{x(t)・a(t)}として記述している。
【0029】
ステップ54において、複合RF信号81はこれを受信器LO信号47と混合することによってダウンコンバートされる。受信周波数合成器36は、周波数ωbを有する受信器LO信号47を生成し、同相受信ミキサ38に同相受信器LO信号85を提供する。同相受信ミキサ38は被ダウンコンバート同相信号86を生成する。ステップ55において、複合RF信号81はまた、これを直交位相受信LO信号87と混合することによってダウンコンバートされる。受信移相器37は受信器LO信号47を受信し、90度位相を遅らせて、直交位相受信LO信号87を出力する。ミキサ39は、直交位相受信LO信号87を複合RF信号81と混合し、被ダウンコンバート直交位相信号88を出力する。図1では、受信移相器37は、受信器LO信号47の位相を「90°−φb/2」シフトすることとして描かれている。また、同相受信LO信号85は、受信器LO信号47から「+φb/2」シフトされた位相を有するものとして描かれている。φbは、被ダウンコンバート直交位相信号88が被ダウンコンバート同相信号86と比較してちょうど90度シフトされていない分である位相欠陥を表現している。同様に、「1+εb/2」を乗じる乗算器89、および「1−εb/2」を乗じる乗算器90は、受信器の同相経路と直交位相経路との間の利得不一致を表現している。εbは、被ダウンコンバート同相信号86の振幅が被ダウンコンバート直交位相信号88の振幅より大きい分である利得欠陥を表現している。
【0030】
図7は、同相受信器LO信号85にのみ基づいているとともに複合RF信号81と混合する前の同相受信ミキサ38の出力を記述する等式91を示している。図7は、また、直交位相受信器LO信号87にのみ基づいているとともに複合RF信号81と混合する前の直交位相受信ミキサ39の出力を記述する等式92を示している。受信器LO信号47の周波数ωb、位相不一致φb、および利得不一致εbの関数として、等式91は受信器13の直交ミキサの出力の実数部を記述し、また等式92は虚数部を記述している。
【0031】
受信器13の直交ミキサにおいてダウンコンバートされる複合RF信号81をI/Q不一致を推定する目的で特徴づけると、より正確な推定が、RFループバック経路11によって導入された複合RF信号81の減衰および遅延を検討することによって得られる。RFループバック経路11は未知の利得誤差、位相誤差、および遅延誤差を導入する。RFループバック経路11は、送信器12から受信器13へのチャネル接続において利得スケーリングおよび時間遅延をもたらす。チャネル接続の特徴は以下の等式によって記述される。
【0032】
c(t)=β・δ(t−τ) (93)
ここでβは利得スケーリングを表わし、δは位相シフトを表わし、τは時間遅延を表わしている。関数δ(t)はディラック・インパルス(Dirac impulse)を表わしている。被ダウンコンバート同相信号86および被ダウンコンバート直交位相信号88をより正確に記述するために、複合RF信号81と受信器LO信号47との積が算出される前に、受信ミキサ38〜39の出力はまずチャネル接続の特徴と畳み込みされる。
【0033】
図8は、受信ミキサ38〜39の出力のRFループバック経路11の特徴との畳み込みを記述する等式94〜95を示している。等式94は、R{c(t)*b(t)}を示しており、また、等式93と等式91によって記述されている受信器13の直交ミキサの出力の実数部との畳み込みを表わしている。等式95は、T{c(t)*b(t)}を示しており、また、等式93と等式92において記述されている虚数部との畳み込みを表わしている。
【0034】
図9は、複合RF信号81が受信器LO信号47と混合されてダウンコンバートされた結果得られるベースバンド信号を表わす等式96を示している。等式96は、R{x(t)・a(t)}(被アップコンバート同相信号74の実数部を表わしている等式84)と{c(t)*b(t)}(受信ミキサ38〜39とRFループバック経路11との畳み込みの実数部および虚数部を表わしている等式94〜95)との積である。したがって、等式96は、積R{x(t)・a(t)}・{b(t)*c(t)}である。I/Q不一致の計算を簡略化するために、等式96は、被アップコンバート位相信号74およびミキサ38〜39のRFループバック経路11(これは、ベースバンド帯域幅以内にある)との畳み込みの特徴のみを検討している。等式84と等式94〜95との積の周波数(ωa+ωb)にある信号成分は無視される。なぜなら、周波数(ωa+ωb)が複合RF信号21の搬送周波数のおよそ2倍であって第3低域フィルタ40および第4低域フィルタ41によって濾波により除去されると考えられるからである。
【0035】
被ダウンコンバート同相信号86は第3低域フィルタ40によって濾波され、被ダウンコンバート直交位相信号88は第4低域フィルタ41によって濾波される。次に、RFトランシーバIC19は濾波された被ダウンコンバート信号86および88をディジタル・ベースバンドIC20に渡す。第1アナログ・ディジタル変換器(ADC)42は濾波された被ダウンコンバート同相信号86をディジタル化し、第2ADC43は濾波された被ダウンコンバート直交位相信号88をディジタル化する。
【0036】
ディジタル化および濾波された被ダウンコンバート信号86および88は、第2補正回路44によって受信される。第2補正回路44は4つの乗算器97〜100および2つの加算器101〜102を含んでいる。ディジタル化および濾波された同相信号86は第5乗算器97および第7乗算器99によって受信され、ディジタル化および濾波された直交位相信号88は第6乗算器98および第8乗算器100によって受信される。第3加算器101は第5乗算器97および第6乗算器98の出力を受信し、他方、第4加算器102は第7乗算器99および第8乗算器100の出力を受信する。4つのI/Q不一致が推定される方法48の不一致が補正される前の第1段階においては、第2補正回路44は、ディジタル化および濾波された同相信号86およびディジタル化および濾波された直交位相信号88をそのまま高速フーリエ変換(FFT)ブロック45に渡すだけである。第1段階においてトランシーバ10が推定モードで動作している間、第6および第7乗算器98〜99の倍数係数は0に設定されている。推定モードでは、第2補正回路44は、同相Rx成分103を、第2補正回路44がADC42から受信したディジタル化および濾波された同相信号86と実質的に同じ形態で出力する。推定モードでは、第2補正回路44は、直交位相Rx成分104を、第2補正回路44がADC43から受信したディジタル化および濾波された直交位相信号88と実質的に同じ形態で出力する。
【0037】
ステップ56において、FFTブロック45はディジタル化および濾波された被ダウンコンバート信号86および88を受信し、それらを評価信号105に変換する。被ダウンコンバート同相信号86および被ダウンコンバート直交位相信号88は、FFTブロック45によって時間領域において受信され、FFTブロック45は、評価信号105を周波数領域において出力する。基準信号62は単側波帯トーンを有するが、評価信号105は4つの側波帯トーンを有する。4つの側波帯トーンの各々は、振幅、位相、および他の特徴を示す。側波帯トーンの特徴は、図1において示されている周波数ビン(0,0…C+1…C+2…C−1…C−2…0,0,0)に対応する複素周波数係数C+1、C+2、C−1、およびC−2によって表現される。ωa>ωbおよびω0<(ωa−ωb)を仮定すると、複素フーリエ係数C+1、C+2、C−1、およびC−2によって定義される振幅の特徴を有する4つの側波帯トーンは、それぞれ周波数(ωa−ωb+ω0)、(ωa−ωb−ω0)、−(ωa−ωb+ω0)、および−(ωa−ωb−ω0)に帰する。
【0038】
図10は、周波数領域での評価信号105の図であり、4つの対応する周波数ビンでの複素周波数係数C+1、C+2、C−1、およびC−2の振幅を示している。推定モードでは、複素周波数係数の振幅は評価信号105を測定することによって割り出される。
【0039】
ステップ57において、DSP14は、第1側波帯トーンの第1特徴C+1、第2側波帯トーンの第2特徴C+2、第3側波帯トーンの第3特徴C−1、および第4側波帯トーンの第4特徴C−2を割り出す。4つのI/Q欠陥を全て同時に推定する方法48は、評価信号105の側波帯の複素振幅C+1、C+2、C−1、およびC−2を使用して補正回路22および44の8つの乗算器のための倍数係数を算出する。倍数係数は、複素振幅C+1、C+2、C−1、およびC−2の1つが増加するとともに他の3つの複素振幅が減少するように相互に加えられることが可能な、補正回路22および44への同相および直交位相の入力の振幅に相当する。1つの複素振幅が増加するとともに他の3つの複素振幅が減少することは、4つのI/Q欠陥が減少することに相当する。
【0040】
図11は、複素周波数係数C+1、C+2、C−1、およびC−2の振幅を、送信器12の利得不一致および位相不一致εaおよびφa、受信器13の利得不一致および位相不一致εbおよびφb、ならびにRFループバック経路11の時間遅延τの関数として表わす等式106を示している。補正回路22および44の8つの乗算器のための倍数係数を決定することは、評価信号105の側波帯の観察された複素振幅C+1、C+2、C−1、およびC−2を使用した複数の計算において実行される。まず、等式106は、利得成分K++、K+−、K−+、およびK−−ならびに位相成分φ+およびφ−の項に書き直される。また、時間遅延τはγの項で表現される。ここで、γ=ωb・τである。図12は、利得成分K++、K+−、K−+、およびK−−と利得不一致εaおよびεbとの関係を記述する等式を示している。図13は、位相成分φ+およびφ−と位相不一致φaおよびφbとの関係を記述する等式を示している。
【0041】
次に、等式106に記述されている複素振幅は、それらの実数部および虚数部に分割される。図14は、等式106の複素振幅の実数部を記述する等式107を示している。図14は、また、等式106の複素振幅の虚数部を記述する等式108を示している。次に、等式107は利得成分K++、K+−、K−+、およびK−−ならびに位相成分φ+およびφ−を複素振幅C+1、C+2、C−1、およびC−2の実数部の1次結合として表現するように書き直される。図15は、利得成分および位相成分を複素振幅の実数部の1次結合として表わす等式109を示している。図15は、また、利得成分および位相成分を複素振幅の虚数部の1次結合として表わす等式110を示している。
【0042】
次に、等式109および110は、利得成分K++、K+−、K−+、およびK−−について解決するために使用される。等式109および110の各行の利得成分は、K=(R{row}2+T{row}2)1/2として算出される。図16は、利得成分K++、K+−、K−+、およびK−−を評価信号105からの測定された(被測定)複素周波数係数C+1、C+2、C−1およびC−2の点から表現する等式111〜114を示している。利得成分の値は複素周波数係数の測定値を使用して算出される。
【0043】
次に、送信器12の直交ミキサの利得欠陥εaおよび受信器13の直交ミキサの利得欠陥εbが、図12の等式をεaとεbについて解決するとともに等式111〜114から得られた利得成分K++、K+−、K−+、およびK−−についての値を挿入することによって割り出される。利得成分K++、K+、K−+、およびK−−は、等式111〜114において、複素振幅C+1、C+2、C−1、およびC−2の点で表現された。したがって、利得欠陥εaおよびεbは、観察された複素振幅C+1、C+2、C−1、およびC−2から割り出される。
【0044】
図17は、利得欠陥εaを、利得成分K++、K+−、K−+、およびK−−の項で表現する2つの等式115〜116を示している。2つの等式115〜116の結果は、トランシーバ10によって導入されたノイズゆえに恐らく同一ではないだろう。したがって、送信器12中の利得欠陥εaの2つの値が両方の等式を使用して割り出され、それらの結果が平均される。図17は、また、受信器13の中の利得欠陥εbを利得成分K++、K+−、K−+、およびK−−の項で表現する2つの等式117〜118を示している。2つの等式117〜118の結果も利得欠陥εbを得るために平均される。等式115〜118中のεaおよびεbについての値が利得スケーリング係数β(これは等式111〜114中では存在する)によって表わされるチャネル接続の利得にもはや依存しないことに注意されたい。
【0045】
次に、送信器12の直交ミキサの位相不一致φaおよび受信器13の直交ミキサの位相不一致φbが割り出される。図13の等式を使用して、位相不一致φaおよびφbは以下のように位相成分φ+およびφ−の項で表現される。
【0046】
φa=φ++φ− (119)
φa=φ+−φ− (120)
次に位相成分φ+およびφ−が、図15の等式109および110から抽出される。等式110の4つの行の各々が等式109の対応する行によって除される。次に、位相がtan−1を付することによって抽出される。次に、チャネル接続で導入された回転は、行1および4ならびに行2および3を加えることによって除去される。図18は、位相成分φ+およびφ−を、複素周波数係数C+1、C+2、C−1、およびC−2の項で表現する等式121および122を示している。このように、位相不一致φaおよびφbは、観察された複素振幅C+1、C+2、C−1、およびC−2から割り出される。
【0047】
方法48の第1段階の最後のステップでトランシーバ10がまだ推定モードで動作している間、第2段階において使用されるための倍数係数が割り出される。次に、方法48の第2段階においてトランシーバ10が補正モードで動作している間、乗算器67〜70および97〜100が、4つのI/Q欠陥(利得欠陥εaおよびεb、ならびに位相不一致φaおよびφb)を補正するために倍数係数を使用して設定される。
【0048】
ステップ58において、利得および位相欠陥εaおよびφaを補正するために相互に加えられる同相Tx成分64の振幅および直交位相Tx成分65の振幅が割り出される。例えば、乗算器67の倍数係数によって決定されるような同相Tx成分64の振幅および乗算器68の倍数係数によって決定されるような直交位相Tx成分65の振幅は、諸周波数係数のうちの2つ(C+1およびC−1)が増加するとともに他の2つの係数(C+2およびC−2)が減少するように、加えられる。(受信経路の利得および位相欠陥εbおよびφbを補正することは、周波数係数C+1も減じさせる。)周波数係数の増加は、評価信号105の対応する側波帯トーンの特徴(例えば側波帯トーンの振幅)の増加を表わす。また、ステップ58で、ディジタル化および濾波された被ダウンコンバート同相信号86および被ダウンコンバート直交位相信号88の振幅が、4つの側波帯トーンの周波数係数C+1、C+2、C−1、およびC−2によって表わされている1つの側波帯トーンの特徴が増加するとともに他の3つの側波帯トーンの特徴が減じるように、割り出される。基準信号62が、特定の周波数ビン(0,0,1,0…0,0,0)において単側波帯トーンを有し、その結果、評価信号105が様々な周波数ビン(0,0…C+1…C+2…C−1…C−20,0,0)において側波帯トーンを有する実現形態については、増加する周波数係数はC−1である。別の周波数ビンが使用される他の実現形態では、増加する周波数係数はC−2である。
【0049】
乗算器67〜70および97〜100のための倍数係数は、理想的なアップコンバーションおよびダウンコンバージョンにつながる単位行列Qを仮定することによって算出される。トランシーバ10によって送受信される複素データ信号は次のように表現される。
【0050】
x^(t)=[R{x(t)・a(t)}・b(t)]BB (123)
等式123は、実数成分および虚数成分を分離するとともに単位行列Qを含めることによって書き直される。図19は、a(t)によるアップコンバーションおよびb(t)によるダウンコンバージョン後の複素データ信号のベースバンド成分を表わす、書き直された結果得られる等式124を示している。ここで、ωa=ωbである。単位行列Qによる乗算が理想的なアップコンバーションおよびダウンコンバージョンにつながるので、実際の行列Qを逆行列(Q−1)で乗じることは、単位行列につながり、あらゆるI/Q利得および位相不一致を補償するだろう。したがって、I/Q欠陥を補正することは、データ信号を逆行列Q−1の利得係数に対応する倍数係数を乗じることによって達成される。図20は、乗算器67〜70および97〜100の倍数係数に対応する逆行列Q−1の係数を示している。
【0051】
送信器12の直交ミキサのI/Q利得不一致および位相不一致を補正するために使用される乗算器67〜70のための倍数係数を決定するために、受信器13の直交ミキサは欠陥εb=φb=0の理想的なものと仮定される。次に、Qが等式124について解決され、R{a(t)}およびT{a(t)}の値が等式79および80から挿入され、R{b(t)}およびT{b(t)}の値が等式91および92から挿入される。受信器13の直交ミキサのI/Q利得不一致および位相不一致を補正するために使用される乗算器97〜100のための倍数係数を決定するために、送信器12の欠陥は0にセットされる、すなわち、εa=φa=0とされる。したがって、εb=φb=0でかつ利得欠陥εaおよび位相不一致φaが計算において使用されれば、乗算器67の第1倍数係数が図20の行列位置11における係数であり、乗算器68の第2倍数係数が行列位置12における係数であり、乗算器69の第3倍数係数が行列位置21における係数であり、乗算器70の第4倍数係数が行列位置22における係数である。εa=φa=0でかつ利得欠陥εbおよび位相不一致φbが計算において使用されれば、乗算器97の第5倍数係数が行列位置11での係数であり、乗算器98の第6倍数係数が行列位置12での係数であり、乗算器99の第7倍数係数が行列位置21での係数であり、乗算器100の第8倍数係数が行列位置22での係数である。
【0052】
εb=φb=0かつ利得欠陥εaおよび位相不一致φaが計算において使用される場合、等式124中のQについて解決することは、図21の等式125につながる。次に、Qの逆行列が、送信器12の利得欠陥および位相欠陥を補正するために第1補正回路22によって使用される利得係数に帰するために算出される。図22は、4つの乗算器67〜70の倍数係数を記述する等式126を示している。例えば、乗算器67のための第1倍数係数を決定するためには、等式126の公倍数が行列位置11(これは、(1− εa/2)・cos(φa/2)に等しい)で乗じられる。
【0053】
受信器13の直交ミキサのI/Q利得不一致および位相不一致を補正するために使用される乗算器97〜100のための倍数係数を決定するために、送信器12の直交ミキサは欠陥εa=φa=0の理想的なものと仮定される。次に、送信器補正係数に関しては、Qが等式124について解決され、R{a(t)}、T{a(t)}、R{b(t)}、およびT{b(t)}が等式79、80、91、および92から挿入される。
【0054】
εa=φa=0でかつ利得欠陥εbおよび位相不一致φbが計算において使用される場合、等式124においてQについて解決することは、図23の等式127につながる。次に、Qの逆行列が、受信器13の利得欠陥および位相欠陥を補正するために第2補正回路44によって使用される利得係数に帰するために算出される。図24は、4つの乗算器97〜100の倍数係数を記述する等式128を示している。例えば、乗算器98のための第6倍数係数を決定するためには、等式128の公倍数が行列位置12(これは、−(1+εb/2)・sin(φb/2)に等しい)で乗じられる。
【0055】
要約すると、方法48のトランシーバ10が推定モードにおいて動作している第1段階において、基準信号62が生成され、また評価信号105が観察される。複素周波数係数C+1、C+2、C−1、およびC−2が、評価信号105を測定することによって割り出される。DSP14において実行される一連の計算において、利得成分K++、K+−、K−+、およびK−−ならびに位相成分φ+およびφ−が算出される。利得成分および位相成分を使用して、1つの基準信号に基づいて、4つのI/Q欠陥(利得欠陥εaおよびεb、ならびに位相不一致φaおよびφb)が全て一度に割り出される。4つの欠陥は、トランシーバが補正モードにおいて動作している場合、方法48の第2段階において使用される8つの倍数係数を算出するために使用される。第1の4つの倍数係数は、送信器12の利得欠陥εaおよび位相欠陥φaを補正するために、第1補正回路22の乗算器によって使用され、また、第2の4つの倍数係数は、受信器13の利得欠陥εbおよび位相欠陥φbを補正するために、第2補正回路44の乗算器によって使用される。
【0056】
データ信号が補正モードにおいて送信される際、諸I/Q欠陥は、データ信号を第1補正回路22によって前処理して送信器12の利得欠陥および位相欠陥を補正することによってかつ受信された(被受信)データ信号を第2補正回路44によって後処理して受信器13の利得欠陥および位相欠陥を補正することによって補正される。例えば、前処理は、フーリエ逆変換計算回路21がOFDM通信システムのユーザによって送信された情報を含んだデータ信号129を受信した後に実行される。IFFT21は、同相Tx成分64および直交位相Tx成分65を生成する。同相Tx成分64は第1乗算器67および第3乗算器69によって受信され、直交位相Tx成分65は第2乗算器68および第4乗算器70によって受信される。方法48の4つのI/Q欠陥が補正される第2段階においては、第1補正回路22は、同相成分64および直交位相成分65を単にそのまま通さない。代わりに、推定モードにおいて算出された倍数係数が、成分64および65のうちのどれだけが別の成分に相互に加えられるかを決定する。
【0057】
ステップ59において、同相Tx成分64の減衰された(被減衰)成分が第1倍数係数を使用して生成される。DSP14は、第1倍数係数を含んだディジタル制御信号130を乗算器67に送信する。乗算器67は、第1倍数係数に対応する量によって同相Tx成分64の振幅を減じる(減衰させる)。一実施形態では、倍数係数はみな、乗算器に対して成分64および65を減じさせる。別の実施形態では、倍数係数は、乗算器に対して成分64および65を増幅させるかまたは減じさせる。
【0058】
ステップ60において、乗算器68が第2倍数係数に対応する量によって直交位相Tx成分65の振幅を減じると、直交位相Tx成分65の被減衰成分が生成される。
【0059】
ステップ61において、同相Tx成分64の被減衰成分が直交位相Tx成分65の被減衰成分に加えられる。第1加算器71は、第1乗算器67の出力および第2乗算器68の出力を受信し、補正された(被補正)同相Tx成分131を生成する。
【0060】
また、乗算器69は同相Tx成分64を第3倍数係数に対応する量によって減じ、乗算器70は直交位相Tx成分65を第4倍数係数に対応する量によって減じる。第2加算器72は、第3乗算器69の出力および第4乗算器70の出力を受信し、被補正直交位相Tx成分132を生成する。少量の直交位相成分を同相成分に加えることおよびその逆によって、各成分の位相および振幅の両方が変更され、これによって補正される。データ信号129は、まず、後に送信直交ミキサによって導入されるI/Q利得および位相欠陥を補償するために前処理され、次に、補正された送信信号133としてアップコンバートされ、送信される。
【0061】
補正モードは、受信直交ミキサで導入されたI/Q利得および位相欠陥を補償するためにダウンコンバートされた被受信信号を後処理することも含んでいる。第2補正回路44は、受信器13の直交ミキサのI/Q不一致を補償するために受信された(被受信)RF複合信号を補正する。RF受信信号134は、アンテナ18上で受信され、デュプレクサ17を通過し、低ノイズ・アンプ34によって増幅され、次いで受信器13の直交ミキサによってダウンコンバートされる。直交ミキサは被ダウンコンバート同相信号86および被ダウンコンバート直交位相信号88を出力する。次に、信号86および88は濾波およびディジタル化される。ディジタル化および濾波された同相信号86は第5乗算器97および第7乗算器99によって受信され、ディジタル化および濾波された直交位相信号88は第6乗算器98および第8乗算器100によって受信される。次に、推定モードにおいて算出された倍数係数が信号86および88の各々のどれだけが第2補正回路44によって他方の信号に加えられるかを規定するために使用される。
【0062】
例えば、ディジタル化および濾波された同相信号86の被減衰成分が、第5倍数係数を使用して生成される。DSP14は、第5倍数係数を含んだディジタル制御信号135を乗算器97に送信する。乗算器97は第5倍数係数に対応する量によってディジタル化および濾波された同相信号86を減じる(減衰させる)。また、乗算器98が第6倍数係数に対応する量によってディジタル化および濾波された被ダウンコンバート直交位相信号88の振幅を減じると、ディジタル化および濾波された被ダウンコンバート直交位相信号88の被減衰成分が生成される。次に、信号88の被減衰成分は信号86の被減衰成分に加えられる。第3加算器101は、第5乗算器97および第6乗算器98の出力を受信し、被補正同相Rx成分136を生成する。
【0063】
また、乗算器99はディジタル化および濾波された同相信号86を第7倍数係数に対応する量によって減じ、乗算器100はディジタル化および濾波された被ダウンコンバート直交位相信号88を第8倍数係数に対応する量によって減じる。第4加算器102は、第7乗算器99および第8乗算器100の出力を受信し、被補正直交位相Rx成分137を生成する。次に、フーリエ変換計算回路45は被補正同相Rx成分136および被補正直交位相Rx成分137を被補正ベースバンド信号138に変換する。次に、被補正ベースバンド信号138のディジタルストリームは後続のディジタル信号処理用のシンボルに変換される。第2補正回路44が、受信器13の直交ミキサで導入された利得および位相欠陥εbおよびφbを被補正ベースバンド信号138から除去済みである。したがって、補正モードでは、トランシーバ10は、送信されるデータ信号を前処理するとともに被受信データ信号を後処理して送信器の直交ミキサおよび受信器の直交ミキサで導入された4つのI/Q利得不一致および位相不一致を補正する。第1補正回路22は、データ信号129が送信器12で導入されるはずの利得欠陥εaおよび位相不一致φaを補正するように、アップコンバートおよび送信される前にデータ信号129を前処理する。第2補正回路44は、信号134が受信器13で導入された利得欠陥εbおよび位相不一致φbを補正するように、受信およびダウンコンバートされた後にRF受信信号134を後処理する。等式107によって示されているように、第1補正回路22および第2補正回路44が同相成分および直交位相成分を相互に加えることによってI/Q欠陥を補償すると、周波数係数C−1は増加するとともに周波数係数C+1、C+2、およびC−2は減少する。第1補正回路22および第2補正回路44が4つのI/Q欠陥を完全に補正する理想的なケースでは、周波数係数C+1、C+2、およびC−2は振幅を有さない。この理想的なケースでは、図10の線は1つのピーク(周波数係数C−1に対応する周波数ビン−40付近のピーク)のみを示すだろう。チャネル接続の特徴が理想的でない場合、およびRFループバック経路11がチャネル接続上で利得スケーリングおよび時間遅延を引き起こす場合、チャネル接続の欠陥は諸周波数係数に影響を与える。したがって、チャネル接続の欠陥は、全ての側波帯の位相は同等に変化させるが、周波数係数の相対的な振幅は変化させない。
【0064】
一実施形態では、通常動作中、OFDM方式のユーザがデータ信号を送信および受信している間、トランシーバ10の動作はユーザ・データの送信と送信チェーンおよび受信チェーンの再較正とを交互に行なう。データ信号が所定の期間にわたって送信および受信されると、トランシーバ10は推定モードに入る。一実現形態では、周波数合成器36は、推定モードにおいて使用されるLO信号47の周波数ωbを、被受信データ信号をダウンコンバートするために使用される周波数から変化させる。例えば、周波数ωbは、送信周波数合成器28によって生成された周波数ωaから約100キロヘルツ以内にあるように変化させられ、また、送信された信号をアップコンバートするために使用される。次に、トランシーバ10は基準信号62を生成し、評価信号105を評価し、倍数係数を決定する。次に、送信チェーンおよび受信チェーンが再較正された後、トランシーバ10は補正モードに交替し、音声およびデータ通信を含んだデータ信号を送信および受信する。補正モードでは、トランシーバ10は、政府のスペクトル使用許諾機関によって規定されているLO信号47の元々の周波数ωbを使用する。別の実施形態では、トランシーバ10は、トランシーバ10を含んだ移動通信装置に電源投入した際にのみ補正モードに入る。電源投入時の較正後、トランシーバは補正モードにおいて動作する。
【0065】
図25は、ディジタル・ベースバンドIC20に代えてアナログRFトランシーバIC19中に補正回路が位置するトランシーバ10の実施形態の概略的なブロック図である。したがって、送信器と受信器の両方の利得不一致および位相不一致を同時に推定する方法は、アナログ領域でI/Q欠陥を補正する。第1補正回路22はアナログRFトランシーバIC19中に位置しており、第1DAC23によって出力されるアナログ同相Tx成分およびDAC24によって出力されるアナログ直交位相Tx成分の両方を受信する。同相Tx成分64の被減衰成分および直交位相Tx成分65の被減衰成分は、アナログ領域において相互に加えられるとともに補正された同相Tx成分131および補正された直交位相Tx成分132として出力される。同様に、第2補正回路44もアナログRFトランシーバIC19に位置しており、濾波された被ダウンコンバート同相信号86および濾波された被ダウンコンバート直交位相信号88を受信する。次に、第2補正回路44は、信号86および88の被減衰成分同士を加え、また、被補正同相Rx成分136および被補正直交位相Rx成分137を出力する。次に、被補正同相Rx成分136はADC42によってディジタル化され、被補正直交位相Rx成分137はADC43によってディジタル化される。
【0066】
図25の実施形態のアナログ補正回路は、I/Q補正レジスタによって制御される。ディジタル・ベースバンドIC20は、SPIシリアルバス15上でI/Q補正レジスタを介して補正回路に倍数係数および他の補正情報を伝達する。例えば、図25は、第2補正回路44の乗算器97〜100を制御するI/Q補正レジスタ139を示している。第1補正回路22を制御するI/Q補正レジスタは、図25に示されていない。一側面では、乗算器97は、I/Q補正レジスタ139から受信された補正信号によって制御される。ディジタルの1がI/Q補正レジスタ139の第8ビットに書き込まれている場合、制御信号140が論理的に有効にされ、ディジタルの1がI/Q補正レジスタ139の第7ビットに書き込まれている場合、制御信号141が論理的に有効にされる。別の側面では、2つを超える制御信号が各乗算器の倍数係数を設定するために使用される。ディジタル・ベースバンドIC20は、SPIシリアルバス15上で通信するとともにディジタル値00、01、10、または11をI/Q補正レジスタ139の第7ビットおよび第8ビットに書き込むことによって、乗算器97の倍数係数を設定する。
【0067】
図26は、I/Q欠陥が前処理も後処理もされずにそれらのソースで補正される、トランシーバ10の別の実施形態の概略的なブロック図である。図26の実施形態は、利得不一致および位相不一致を補償する直交ミキサにおいて補正乗算器および補正シフタを含んでいる。補正無しでは、同相送信器LO信号73は直交位相送信器LO信号75からφaシフトされた位相を有する。図26において、送信移相器29中の「90°−φa/2」および移相器29の上方の「+φa/2」は、送信器12の直交ミキサで導入された位相不一致φaを表わしている。一実施形態では、アナログ送信移相器29はI/Q補正レジスタからの補正信号によって制御される。送信移相器29によって生成された位相シフトは、位相不一致φaが除去されるように変化させられる。DSP14は、等式119から得られた位相不一致φaを使用して、I/Q補正レジスタのビットを書き込むことによって送信移相器29を制御する。別の実施形態では、補正シフタ142は、直交ミキサで導入された+φa位相不一致を補正する量−φaによって直交位相送信器LO信号75の位相をシフトするために、直交ミキサに加えられる。
【0068】
図26において、乗算器77および78は、被アップコンバート同相信号74と被アップコンバート直交位相信号76との間の利得不一致εaを表わしている。アナログ式の電圧制御される(電圧制御型)補正アンプ143が、信号74を直交ミキサによって信号74へ導入された+εa/2利得不一致を補正する量−εa/2によって減じるために直交ミキサに加えられている。同様に、アナログ式電圧制御型補正アンプ144が、信号76を直交ミキサによって信号76へ導入された−εa/2利得不一致を補正する量+εa/2によって増幅するために直交ミキサに加えられている。DSP14は、図17中の等式115から得られた利得不一致εaを使用して、I/Q補正レジスタのビットを書き込むことによって、電圧制御型アンプ143および144を制御する。いくつかの実現形態では、利得不一致εaは負の量であり、アンプ143は信号74を増幅し、アンプ144は信号76を減じる。
【0069】
図26の実施形態は、また、受信器13の直交ミキサにおいて補正乗算器および補正シフタを含んでいる。一実施形態では、送信経路および受信経路の両方の直交ミキサは、補正シフタ142のような、1つのミキサへのLO信号をφaまたはφbによってシフトする1つの補正シフタを有する。別の実施形態では、各直交ミキサは、各々が2つのミキサのうちの1つへのLO信号をφ/2によってシフトする2つの補正シフタを有する。図26は、受信器13の直交ミキサに関してダブル・シフタの実施形態を例示している。補正シフタ145は、同相受信器LO信号85の位相を直交ミキサによって信号85へ導入された+φb/2位相不一致を補正する量−φb/2によってシフトするために、受信直交ミキサに加えられている。同様に、補正シフタ146は、直交位相受信器LO信号87の位相を直交ミキサによって信号87へ導入された−φb/2位相不一致を補正する量+φb/2によってシフトするために、受信直交ミキサに加えられている。また、補正アンプ147は、被ダウンコンバート同相信号86を直交ミキサによって信号86へ導入された+εa/2利得不一致を補正する量−εa/2によって減じるために、直交ミキサに加えられている。同様に、補正アンプ148は、被ダウンコンバート直交位相信号88を直交ミキサによって信号88へ導入された−εa/2利得不一致を補正する量+εa/2によって増幅するために、直交ミキサに加えられている。
【0070】
図26の実施形態の補正シフタおよび補正乗算器は、I/Q補正レジスタによって制御される。ディジタル・ベースバンドIC20は、SPIシリアルバス15上でI/Q補正レジスタを介して補正シフタおよび補正乗算器に補正情報を伝達する。補正情報は、図17の中の等式115〜118から得られた利得不一致εaおよびεbならびに等式119〜120から得られた位相不一致φaおよびφbを含んでいる。例えば、図26は、受信器13の直交ミキサの補正シフタ145〜146および補正乗算器147〜148を制御するI/Q補正レジスタ149を示している。送信器12の直交ミキサの補正シフタおよび補正乗算器を制御するI/Q補正レジスタは、図26に示されていない。補正シフタおよび補正乗算器は、I/Q補正レジスタ149から受信された補正信号によって制御される。例えば、ディジタルの1がI/Q補正レジスタ149の第8ビットに書き込まれている場合、制御信号150が論理的に有効にされ、ディジタルの1がI/Q補正レジスタ149の第7ビットに書き込まれている場合、制御信号151が論理的に有効にされる。別の例では、2つを超える制御信号が補正乗算器147のための減衰量を設定するために使用される。ディジタル・ベースバンドIC20は、SPIシリアルバス15上で通信するとともにI/Q補正レジスタ149の第8ビットにディジタル値を書き込むことによって、補正乗算器147〜148のための減衰量および増幅量ならびに補正シフタ145〜146のための位相遅れを設定する。
【0071】
1つ以上の例示的な実施形態において、記述されている機能は、ハードウェア、ソフトウェア、ファームウェア、またはそれらのあらゆる組合せにおいて実現され得る。ソフトウェアにおいて実現される場合、関数は1つまたは複数の指示またはコードとして、コンピュータ可読媒体上で格納または送信され得る。コンピュータ可読媒体は、コンピュータ記憶装置媒体、およびコンピュータ・プログラムのある位置から別の位置への移動を容易にするあらゆる媒体を含む通信媒体、の両方を含んでいる。記憶媒体は、コンピュータによってアクセスされることが可能なあらゆる利用可能な物理的媒体であり得る。限定ではなく例として、そのようなコンピュータ可読媒体は、RAM、ROM、EEPROM、CD−ROMまたは他の光学ディスク記憶装置、磁気ディスク記憶装置または他の磁気記憶装置、または命令またはデータ構造の形態の所望のプログラム・コードを運ぶか格納するために使用されることが可能で且つコンピュータによってアクセスされることが可能な他のあらゆる媒体を具備し得る。また、あらゆる接続も当然、コンピュータ可読媒体と称される。例えば、ソフトウェアが、同軸ケーブル、光ファイバーケーブル、撚線対、ディジタル加入者線(DSL)、または赤外線、無線およびマイクロ波のような無線技術を使用して、ウェブサイト、サーバ、または他の遠隔ソースから送信される場合、この同軸ケーブル、光ファイバーケーブル、撚線対、DSL、または赤外線、無線およびマイクロ波のような無線技術は、媒体の定義に含まれている。本明細書において使用されているディスク(disk)とディスク(disc)は、コンパクト・ディスク(CD)、レーザーディスク(登録商標)、光ディスク、ディジタル多用途ディスク(DVD)、フロッピー(登録商標)・ディスクおよびブルーレイ・ディスクを含んでいる。ここで、ディスク(disk)は通常磁気的にデータを再生し、他方、ディスク(disc)はレーザーでデータを光学的に再生する。上記のものの組合せもコンピュータ可読媒体の範囲に含まれるべきである。
【0072】
1つの評価信号を観察した後に送信経路および受信経路の両方の利得不一致および位相の不一致を決定するトランシーバが、教示目的用の特定の具体的な実施形態に関して記述されたが、トランシーバはそれに制限されない。例えば、トランシーバ10は、ディジタル信号プロセッサ中の推定モードの計算を実行することとして記述される。別の実施形態では、計算はディジタル・ベースバンドICの別の部分において実行される。例えば、その計算は埋込み型マイクロコントローラ、または埋込み型プログラマブル・ロジック中で実行される。トランシーバ10は、レジスタから送信される制御信号を使用して補正回路、補正シフタ、および補正乗算器を制御することとして記述される。別の実施形態では、制御信号は、ディジタル・ベースバンドICから直接送信される。4つのI/Q欠陥を全て同時に算出する方法は、移動通信装置中で実行されることとして記述されている。別の実施形態では、方法は、移動通信装置から信号を受信し移動通信装置に信号を送信する基地局で実行される。上に開示されている実施形態の記述は、あらゆる当業者がステップ型利得ミキサを実行または使用することを可能にするために提供されている。これらの実施形態に対する様々な修正は当業者にとって容易に明らかになり、また、本明細書において定義されている包括的な原理は、開示されている主題の思想または範囲から逸脱することなく別の実施形態に適用され得る。したがって、1つの評価信号を観察した後に送信経路および受信経路の両方の利得不一致および位相不一致を割り出す開示の方法は、本明細書において示されている実施形態に限定されることを意図されず、本明細書において開示されている原理および新規な要素と一貫している最も広い範囲と一致するべきである。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)基準信号を送信経路の直交ミキサへ受信することであって、前記送信経路は利得不一致および位相不一致を示す、基準信号を受信することと、
(b)被アップコンバートRF信号を生成するために前記基準信号を使用することと、
(c)前記被アップコンバートRF信号をRFループバック経路を介して受信経路の直交ミキサへ送信することであって、前記受信経路は利得不一致および位相不一致を示す、前記被アップコンバートRF信号を送信することと、
(d)被ダウンコンバート評価信号を生成するために前記被アップコンバートRF信号を使用することと、
(e)前記送信経路の前記利得不一致および前記位相不一致ならびに前記受信経路の前記利得不一致および前記位相不一致を割り出すために前記被ダウンコンバート評価信号を使用することと、
を具備する方法。
【請求項2】
前記送信経路の前記直交ミキサが直交周波数分割多重化(OFDM)および周波数分割2重化(FDD)に基づいて通信する通信装置の一部である、
請求項1の方法。
【請求項3】
前記通信装置がデータ信号の通常の送信を実行し、
前記送信経路の前記利得不一致および前記位相不一致ならびに前記受信経路の前記利得不一致および前記位相不一致を割り出すことが、前記RFループバック経路を除いて前記データ信号の前記通常の送信の際に使用されないハードウェアを使用せずに実行される、
請求項2の方法。
【請求項4】
前記評価信号が、第1振幅を有する第1側波帯トーン、第2振幅を有する第2側波帯トーン、第3振幅を有する第3側波帯トーン、および第4振幅を有する第4側波帯トーンを有し、
前記送信経路の前記利得不一致および前記位相不一致ならびに前記受信経路の前記利得不一致および位相が前記第1振幅、第2振幅、第3振幅、および第4振幅に基づいて割り出される、
請求項1の方法。
【請求項5】
(a)基準信号を生成することと、
(b)前記基準信号を同相Tx成分および直交位相Tx成分に変換することと、
(c)前記同相Tx成分を同相送信器発振器信号と混合することによって被アップコンバート同相信号を生成することと、
(d)前記直交位相Tx成分を直交位相送信器発振器信号と混合することによって被アップコンバート直交位相信号を生成することと、
(e)前記被アップコンバート同相信号と前記被アップコンバート直交位相信号とを加えることによって複合RF信号を生成することと、
(f)前記複合RF信号を同相受信器発振器信号と混合することによって被ダウンコンバート同相信号を生成することと、
(g)前記複合RF信号を直交位相受信器発振器信号と混合することによって被ダウンコンバート直交位相信号を生成することと、
(h)前記被ダウンコンバート同相信号および前記被ダウンコンバート直交位相信号を評価信号へ変換することであって、前記評価信号は、第1特徴を有する第1側波帯トーン、第2特徴を有する第2側波帯トーン、第3特徴を有する第3側波帯トーン、および第4特徴を有する第4側波帯トーンを有する、前記被ダウンコンバート同相信号および前記被ダウンコンバート直交位相信号を変換することと、
(i)前記第1特徴、前記第2特徴、前記第3特徴、および前記第4特徴を割り出すことと、
(j)前記第1特徴が増加するとともに前記第2特徴、前記第3特徴、および前記第4特徴の各々が減少する前記被ダウンコンバート同相信号の振幅および前記被ダウンコンバート直交位相信号の振幅を決定することと、
を具備する方法。
【請求項6】
前記同相送信器発振器信号が第1周波数を有し、
前記同相受信器発振器信号が第2周波数を有し、
前記第1周波数が前記第2周波数と異なる、
請求項5の方法。
【請求項7】
前記特徴が振幅である、
請求項5の方法。
【請求項8】
前記第1特徴が前記第1側波帯トーンの振幅および位相の組合せである、
請求項5の方法。
【請求項9】
前記第1特徴が複素フーリエ係数によって定められる、
請求項8の方法。
【請求項10】
前記基準信号が、周波数領域において生成され、また1つの周波数ビン中のみで振幅を有する、
請求項5の方法。
【請求項11】
前記基準信号が単側波帯トーンを有する、
請求項5の方法。
【請求項12】
(k)前記被ダウンコンバート同相信号の被減衰成分を生成することと、
(l)前記被ダウンコンバート直交位相信号の被減衰成分を生成することと、
(m)前記被ダウンコンバート直交位相信号の前記被減衰成分を前記被ダウンコンバート同相信号の前記被減衰成分に加えることと、
をさらに具備する、請求項5の方法。
【請求項13】
(e)における前記生成することがアナログ集積回路上で実行され、
(h)における前記変換することがディジタル集積回路上で実行される、
請求項5の方法。
【請求項14】
(e)における前記生成することが時間領域において実行され、
(h)における前記変換することが周波数領域において実行される、
請求項5の方法。
【請求項15】
前記同相Tx成分が振幅を有し、前記直交位相Tx成分が振幅を有し、
(k)前記同相Tx成分の前記振幅および前記直交位相Tx成分の前記振幅を調整することと、
(l)前記調整された同相Tx成分を前記調整された直交位相Tx成分に加えることと、
をさらに具備する、請求項5の方法。
【請求項16】
被ダウンコンバート同相信号を受信し、振幅を有する第1被減衰成分信号を生成する第1乗算器と、
被ダウンコンバート直交位相信号を受信し、振幅を有する第2被減衰成分信号を生成する第2乗算器であって、前記被ダウンコンバート同相信号および前記被ダウンコンバート直交位相信号を生成するために単側波帯トーンを有するデータ信号が送信および使用される、第2乗算器と、
前記被ダウンコンバート同相信号を受信し、振幅を有する第3被減衰成分信号を生成する第3乗算器と、
前記被ダウンコンバート直交位相信号を受信し、振幅を有する第4被減衰成分信号を生成する第4乗算器と、
前記第2被減衰成分信号を前記第1被減衰成分信号に加えることによって同相成分信号を生成する第1加算器と、
前記第3被減衰成分信号を前記第4被減衰成分信号に加えることによって直交位相成分信号を生成する第2加算器と、
前記同相成分信号および前記直交位相成分信号を使用して被補正信号を生成するフーリエ変換計算回路であって、前記被補正信号は、第1特徴を有する第1側波帯トーン、第2特徴を有する第2側波帯トーン、第3特徴を有する第3側波帯トーン、および第4特徴を有する第4側波帯トーンを有し、前記第1特徴が増加するとともに前記第2特徴、前記第3特徴、および前記第4特徴が減少するように、前記第1乗算器は前記第1被減衰成分信号の振幅を調整し、前記第2乗算器は前記第2被減衰成分信号の振幅を調整し、前記第3乗算器は前記第3被減衰成分信号の振幅を調整し、前記第4乗算器は前記第4被減衰成分信号の振幅を調整する、フーリエ変換計算回路と、
を具備する回路。
【請求項17】
前記被補正信号が評価信号である、
請求項16の回路。
【請求項18】
前記特徴が振幅である、
請求項16の回路。
【請求項19】
前記第1特徴が複素フーリエ係数によって定められる、
請求項16の回路。
【請求項20】
前記被ダウンコンバート同相信号が、第1乗算器および第3乗算器によって受信される前に濾波およびディジタル化され、
前記被ダウンコンバート直交位相信号が、第2乗算器および第4乗算器によって受信される前に濾波およびディジタル化される、
請求項16の回路。
【請求項21】
前記第1乗算器および前記第3乗算器によって受信された前記被ダウンコンバート同相信号が、ディジタル化された被ダウンコンバート同相信号であり、
前記第2乗算器および前記第4乗算器によって受信された前記被ダウンコンバート直交位相信号が、ディジタル化された被ダウンコンバート直交位相信号であり、
アナログ被ダウンコンバート同相信号を受信し、前記ディジタル化された被ダウンコンバート同相信号を出力する第1アナログ・ディジタル変換器と、
アナログ被ダウンコンバート直交位相信号を受信し、前記ディジタル化された被ダウンコンバート直交位相信号を出力するする第2アナログ・ディジタル変換器と、
をさらに具備する、請求項16の回路。
【請求項22】
前記アナログ被ダウンコンバート同相信号が、前記第1アナログ・ディジタル変換器によって受信される前に濾波される、
請求項21の回路。
【請求項23】
前記データ信号を受信し、同相成分および直交位相成分を生成するフーリエ逆変換計算回路であって、前記同相成分および前記直交位相成分が前記被ダウンコンバート同相信号および前記被ダウンコンバート直交位相信号を生成するために使用される、フーリエ逆変換計算回路、
をさらに具備する、請求項16の回路。
【請求項24】
前記回路が、直交周波数分割多重化(OFDM)および周波数分割2重化(FDD)に基づいて通信する通信装置の一部である、
請求項16の回路。
【請求項25】
第1モードおよび第2モードで動作する回路であって、
同相Tx成分および直交位相Tx成分を出力するフーリエ逆変換計算回路と、
前記同相Tx成分を受信する第1乗算器および第3乗算器を有し、前記直交位相Tx成分を受信する第2乗算器および第4乗算器を有する、第1補正回路と、
被ダウンコンバート同相信号を受信する第5乗算器および第7乗算器を有し、被ダウンコンバート直交位相信号を受信する第6乗算器および第8乗算器を有し、同相Rx成分および直交位相Rx成分を生成する、第2補正回路と、
前記同相Rx成分および前記直交位相Rx成分を受信するフーリエ変換計算回路と、
ディジタル信号プロセッサであって、前記第1モードにおいて前記フーリエ逆変換計算回路は基準信号を受信するとともに前記フーリエ変換計算回路は評価信号を生成し、前記評価信号は、第1特徴を有する第1側波帯トーン、第2特徴を有する第2側波帯トーン、第3特徴を有する第3側波帯トーン、および第4特徴を有する第4側波帯トーンを有し、前記ディジタル信号プロセッサは、前記第1特徴、前記第2特徴、前記第3特徴、および前記第4特徴を割り出すために前記評価信号を使用し、前記ディジタル信号プロセッサは、前記第1および第3乗算器が前記同相Tx成分を減じる量である第1倍数係数および第3倍数係数、前記第2および第4乗算器が前記直交位相Tx成分を減じる量である第2倍数係数および第4倍数係数、前記第5および第7乗算器が前記被ダウンコンバート同相信号を減じる量である第5倍数係数および第7倍数係数、ならびに前記第6および第8乗算器が前記被ダウンコンバート直交位相信号を減じる量である第6倍数係数および第8倍数係数を決定し、前記ディジタル信号プロセッサは、前記第1、第2、第3、第4、第5、第6、第7、および第8倍数係数を、前記第1特徴が増加するとともに前記第2特徴、前記第3特徴、および前記第4特徴の各々が減少するように決定する、ディジタル信号プロセッサと、
を具備する回路。
【請求項26】
前記第2モードにおいて、前記フーリエ逆変換計算回路がデータ信号を受信し、前記フーリエ変換計算回路が被補正ベースバンド信号を出力し、
前記第1モードおよび前記第2モードで動作する前記回路が、前記第2モードにおいて、前記第1モードにおいて決定された前記第1、第2、第3、第4、第5、第6、第7、および第8倍数係数を前記フーリエ変換計算回路によって受信される前記同相Rx成分および前記直交位相Rx成分を生成するために使用する、
請求項25の回路。
【請求項27】
前記特徴が振幅である、
請求項25の回路。
【請求項28】
前記第1特徴が前記第1側波帯トーンの振幅および位相の組合せである、
請求項25の回路。
【請求項29】
前記第1特徴が複素フーリエ係数によって定められる、
請求項25の回路。
【請求項30】
前記被ダウンコンバート同相信号が、前記第5乗算器および前記第7乗算器によって受信される前に濾波およびディジタル化され、
前記被ダウンコンバート直交位相信号が、前記第6乗算器および前記第8乗算器によって受信される前に濾波およびディジタル化される、
請求項25の回路。
【請求項31】
前記第1補正回路が第1加算器および第2加算器をさらに具備し、
前記第1加算器が前記第1乗算器および前記第3乗算器に結合されており、
前記第2加算器が前記第2乗算器および前記第4乗算器に結合されており、
前記第2補正回路が第3加算器および第4加算器をさらに具備し、
前記第3加算器が前記第5乗算器および前記第6乗算器に結合されており、
前記第4加算器が前記第7乗算器および前記第8乗算器に結合されている、
請求項25の回路。
【請求項32】
前記第1補正回路がI送信成分およびQ送信成分を出力し、
前記第2補正回路がI受信成分およびQ受信成分を受信し、
前記I送信成分および前記Q送信成分を送信し、複合RF信号を出力する送信直交ミキサと、
前記複合RF信号を受信し、前記I受信成分および前記Q受信成分を出力する受信直交ミキサと、
前記複合RF信号を前記送信直交ミキサから前記受信直交ミキサまで伝達するRFループバック経路と、
をさらに具備する、請求項25の回路。
【請求項33】
前記回路がディジタル・ベースバンド集積回路の一部である、
請求項31の回路。
【請求項34】
(a)基準信号を生成すること、
(b)前記基準信号を同相Tx成分および直交位相Tx成分へ変換することであって、前記同相Tx成分を同相送信器発振器信号と混合することによって被アップコンバート同相信号が生成され、前記直交位相Tx成分を直交位相送信器発振器信号と混合することによって被アップコンバート直交位相信号が生成され、前記被アップコンバート同相信号と前記被アップコンバート直交位相信号とを加えることによって複合RF信号が生成され、前記複合RF信号を同相受信器発振器信号と混合することによって被ダウンコンバート同相信号が生成され、前記複合RF信号を直交位相受信器発振器信号と混合することによって被ダウンコンバート直交位相信号が生成される、前記基準信号を変換することと、
(c)前記被ダウンコンバート同相信号および前記被ダウンコンバート直交位相信号を評価信号へ変換することであって、前記評価信号は、第1特徴を有する第1側波帯トーン、第2特徴を有する第2側波帯トーン、第3特徴を有する第3側波帯トーン、および第4特徴を有する第4側波帯トーンを有する、前記被ダウンコンバート同相信号および前記被ダウンコンバート直交位相信号を変換することと、
(d)前記第1特徴、前記第2特徴、前記第3特徴、および前記第4特徴を割り出すことと、
(e)前記第1特徴が増加するとともに前記第2特徴、前記第3特徴、および前記第4特徴の各々が減少する前記被ダウンコンバート同相信号の振幅および前記被ダウンコンバート直交位相信号の振幅を決定することと、
のための無線装置内で動作可能な命令を格納するためのプロセッサ可読媒体。
【請求項35】
前記同相送信器発振器信号が第1周波数を有し、
前記同相受信器発振器信号が第2周波数を有し、
前記第1周波数が前記第2周波数と異なる、
請求項34のプロセッサ可読媒体。
【請求項36】
前記第1特徴が前記第1側波帯トーンの振幅および位相の組合せである、
請求項34のプロセッサ可読媒体。
【請求項37】
前記基準信号が、周波数領域において生成され、また1つの周波数ビン中のみで振幅を有する、
請求項34のプロセッサ可読媒体。
【請求項38】
前記基準信号が単側波帯トーンを有する、
請求項34のプロセッサ可読媒体。
【請求項39】
(k)前記同相Tx成分の振幅および前記直交位相Tx成分の振幅を調整することと、
(l)前記調整された同相Tx成分を前記調整された直交位相Tx成分に加えることと、
のための無線装置において動作可能な命令をさらに格納するための、請求項34のプロセッサ可読媒体。
【請求項40】
(a)被アップコンバート同相信号と被アップコンバート直交位相信号との間のアップコンバーション位相不一致およびアップコンバーション利得不一致の両方を補正する第1補正回路であって、前記第1補正回路は同相Tx成分を第1倍数係数および第3倍数係数で乗じ、前記第1補正回路は直交位相Tx成分を第2倍数係数および第4倍数係数で乗じる、第1補正回路と、
(b)被ダウンコンバート同相信号と被ダウンコンバート直交位相信号との間のダウンコンバージョン位相不一致およびダウンコンバージョン利得不一致の両方を補正する第2補正回路であって、前記第2補正回路は前記被ダウンコンバート同相信号を第5倍数係数および第7倍数係数で乗じ、前記第2補正回路は前記被ダウンコンバート直交位相信号を第6倍数係数および第8倍数係数で乗じる、第2補正回路と、
(c)1つの評価信号を評価することに基づいて前記第1、第2、第3、第4、第5、第6、第7、および第8倍数係数を決定するための手段と、
を具備する回路。
【請求項41】
前記1つの評価信号が1つの基準信号から生成され、前記1つの基準信号が単側波帯トーンを有する、
請求項40の回路。
【請求項42】
前記第1補正回路が第1加算器および第2加算器を具備し、
前記第1加算器が第1乗算器および第3乗算器に結合されており、
前記第2加算器が第2乗算器および第4乗算器に結合されており、
前記第2補正回路が第3加算器および第4加算器を具備し、
前記第3加算器が第5乗算器および第6乗算器に結合されており、
前記第4加算器が第7乗算器および第8乗算器に結合されており、
前記第1、第2、第3、第4、第5、第6、第7、および第8乗算器が、それぞれ前記第1、第2、第3、第4、第5、第6、第7、および第8倍数係数を適用する、
請求項40の回路。
【請求項43】
前記回路が、直交周波数分割多重化(OFDM)および周波数分割2重化(FDD)に基づいて通信する通信装置の一部である、
請求項40の回路。
【請求項1】
(a)基準信号を送信経路の直交ミキサへ受信することであって、前記送信経路は利得不一致および位相不一致を示す、基準信号を受信することと、
(b)被アップコンバートRF信号を生成するために前記基準信号を使用することと、
(c)前記被アップコンバートRF信号をRFループバック経路を介して受信経路の直交ミキサへ送信することであって、前記受信経路は利得不一致および位相不一致を示す、前記被アップコンバートRF信号を送信することと、
(d)被ダウンコンバート評価信号を生成するために前記被アップコンバートRF信号を使用することと、
(e)前記送信経路の前記利得不一致および前記位相不一致ならびに前記受信経路の前記利得不一致および前記位相不一致を割り出すために前記被ダウンコンバート評価信号を使用することと、
を具備する方法。
【請求項2】
前記送信経路の前記直交ミキサが直交周波数分割多重化(OFDM)および周波数分割2重化(FDD)に基づいて通信する通信装置の一部である、
請求項1の方法。
【請求項3】
前記通信装置がデータ信号の通常の送信を実行し、
前記送信経路の前記利得不一致および前記位相不一致ならびに前記受信経路の前記利得不一致および前記位相不一致を割り出すことが、前記RFループバック経路を除いて前記データ信号の前記通常の送信の際に使用されないハードウェアを使用せずに実行される、
請求項2の方法。
【請求項4】
前記評価信号が、第1振幅を有する第1側波帯トーン、第2振幅を有する第2側波帯トーン、第3振幅を有する第3側波帯トーン、および第4振幅を有する第4側波帯トーンを有し、
前記送信経路の前記利得不一致および前記位相不一致ならびに前記受信経路の前記利得不一致および位相が前記第1振幅、第2振幅、第3振幅、および第4振幅に基づいて割り出される、
請求項1の方法。
【請求項5】
(a)基準信号を生成することと、
(b)前記基準信号を同相Tx成分および直交位相Tx成分に変換することと、
(c)前記同相Tx成分を同相送信器発振器信号と混合することによって被アップコンバート同相信号を生成することと、
(d)前記直交位相Tx成分を直交位相送信器発振器信号と混合することによって被アップコンバート直交位相信号を生成することと、
(e)前記被アップコンバート同相信号と前記被アップコンバート直交位相信号とを加えることによって複合RF信号を生成することと、
(f)前記複合RF信号を同相受信器発振器信号と混合することによって被ダウンコンバート同相信号を生成することと、
(g)前記複合RF信号を直交位相受信器発振器信号と混合することによって被ダウンコンバート直交位相信号を生成することと、
(h)前記被ダウンコンバート同相信号および前記被ダウンコンバート直交位相信号を評価信号へ変換することであって、前記評価信号は、第1特徴を有する第1側波帯トーン、第2特徴を有する第2側波帯トーン、第3特徴を有する第3側波帯トーン、および第4特徴を有する第4側波帯トーンを有する、前記被ダウンコンバート同相信号および前記被ダウンコンバート直交位相信号を変換することと、
(i)前記第1特徴、前記第2特徴、前記第3特徴、および前記第4特徴を割り出すことと、
(j)前記第1特徴が増加するとともに前記第2特徴、前記第3特徴、および前記第4特徴の各々が減少する前記被ダウンコンバート同相信号の振幅および前記被ダウンコンバート直交位相信号の振幅を決定することと、
を具備する方法。
【請求項6】
前記同相送信器発振器信号が第1周波数を有し、
前記同相受信器発振器信号が第2周波数を有し、
前記第1周波数が前記第2周波数と異なる、
請求項5の方法。
【請求項7】
前記特徴が振幅である、
請求項5の方法。
【請求項8】
前記第1特徴が前記第1側波帯トーンの振幅および位相の組合せである、
請求項5の方法。
【請求項9】
前記第1特徴が複素フーリエ係数によって定められる、
請求項8の方法。
【請求項10】
前記基準信号が、周波数領域において生成され、また1つの周波数ビン中のみで振幅を有する、
請求項5の方法。
【請求項11】
前記基準信号が単側波帯トーンを有する、
請求項5の方法。
【請求項12】
(k)前記被ダウンコンバート同相信号の被減衰成分を生成することと、
(l)前記被ダウンコンバート直交位相信号の被減衰成分を生成することと、
(m)前記被ダウンコンバート直交位相信号の前記被減衰成分を前記被ダウンコンバート同相信号の前記被減衰成分に加えることと、
をさらに具備する、請求項5の方法。
【請求項13】
(e)における前記生成することがアナログ集積回路上で実行され、
(h)における前記変換することがディジタル集積回路上で実行される、
請求項5の方法。
【請求項14】
(e)における前記生成することが時間領域において実行され、
(h)における前記変換することが周波数領域において実行される、
請求項5の方法。
【請求項15】
前記同相Tx成分が振幅を有し、前記直交位相Tx成分が振幅を有し、
(k)前記同相Tx成分の前記振幅および前記直交位相Tx成分の前記振幅を調整することと、
(l)前記調整された同相Tx成分を前記調整された直交位相Tx成分に加えることと、
をさらに具備する、請求項5の方法。
【請求項16】
被ダウンコンバート同相信号を受信し、振幅を有する第1被減衰成分信号を生成する第1乗算器と、
被ダウンコンバート直交位相信号を受信し、振幅を有する第2被減衰成分信号を生成する第2乗算器であって、前記被ダウンコンバート同相信号および前記被ダウンコンバート直交位相信号を生成するために単側波帯トーンを有するデータ信号が送信および使用される、第2乗算器と、
前記被ダウンコンバート同相信号を受信し、振幅を有する第3被減衰成分信号を生成する第3乗算器と、
前記被ダウンコンバート直交位相信号を受信し、振幅を有する第4被減衰成分信号を生成する第4乗算器と、
前記第2被減衰成分信号を前記第1被減衰成分信号に加えることによって同相成分信号を生成する第1加算器と、
前記第3被減衰成分信号を前記第4被減衰成分信号に加えることによって直交位相成分信号を生成する第2加算器と、
前記同相成分信号および前記直交位相成分信号を使用して被補正信号を生成するフーリエ変換計算回路であって、前記被補正信号は、第1特徴を有する第1側波帯トーン、第2特徴を有する第2側波帯トーン、第3特徴を有する第3側波帯トーン、および第4特徴を有する第4側波帯トーンを有し、前記第1特徴が増加するとともに前記第2特徴、前記第3特徴、および前記第4特徴が減少するように、前記第1乗算器は前記第1被減衰成分信号の振幅を調整し、前記第2乗算器は前記第2被減衰成分信号の振幅を調整し、前記第3乗算器は前記第3被減衰成分信号の振幅を調整し、前記第4乗算器は前記第4被減衰成分信号の振幅を調整する、フーリエ変換計算回路と、
を具備する回路。
【請求項17】
前記被補正信号が評価信号である、
請求項16の回路。
【請求項18】
前記特徴が振幅である、
請求項16の回路。
【請求項19】
前記第1特徴が複素フーリエ係数によって定められる、
請求項16の回路。
【請求項20】
前記被ダウンコンバート同相信号が、第1乗算器および第3乗算器によって受信される前に濾波およびディジタル化され、
前記被ダウンコンバート直交位相信号が、第2乗算器および第4乗算器によって受信される前に濾波およびディジタル化される、
請求項16の回路。
【請求項21】
前記第1乗算器および前記第3乗算器によって受信された前記被ダウンコンバート同相信号が、ディジタル化された被ダウンコンバート同相信号であり、
前記第2乗算器および前記第4乗算器によって受信された前記被ダウンコンバート直交位相信号が、ディジタル化された被ダウンコンバート直交位相信号であり、
アナログ被ダウンコンバート同相信号を受信し、前記ディジタル化された被ダウンコンバート同相信号を出力する第1アナログ・ディジタル変換器と、
アナログ被ダウンコンバート直交位相信号を受信し、前記ディジタル化された被ダウンコンバート直交位相信号を出力するする第2アナログ・ディジタル変換器と、
をさらに具備する、請求項16の回路。
【請求項22】
前記アナログ被ダウンコンバート同相信号が、前記第1アナログ・ディジタル変換器によって受信される前に濾波される、
請求項21の回路。
【請求項23】
前記データ信号を受信し、同相成分および直交位相成分を生成するフーリエ逆変換計算回路であって、前記同相成分および前記直交位相成分が前記被ダウンコンバート同相信号および前記被ダウンコンバート直交位相信号を生成するために使用される、フーリエ逆変換計算回路、
をさらに具備する、請求項16の回路。
【請求項24】
前記回路が、直交周波数分割多重化(OFDM)および周波数分割2重化(FDD)に基づいて通信する通信装置の一部である、
請求項16の回路。
【請求項25】
第1モードおよび第2モードで動作する回路であって、
同相Tx成分および直交位相Tx成分を出力するフーリエ逆変換計算回路と、
前記同相Tx成分を受信する第1乗算器および第3乗算器を有し、前記直交位相Tx成分を受信する第2乗算器および第4乗算器を有する、第1補正回路と、
被ダウンコンバート同相信号を受信する第5乗算器および第7乗算器を有し、被ダウンコンバート直交位相信号を受信する第6乗算器および第8乗算器を有し、同相Rx成分および直交位相Rx成分を生成する、第2補正回路と、
前記同相Rx成分および前記直交位相Rx成分を受信するフーリエ変換計算回路と、
ディジタル信号プロセッサであって、前記第1モードにおいて前記フーリエ逆変換計算回路は基準信号を受信するとともに前記フーリエ変換計算回路は評価信号を生成し、前記評価信号は、第1特徴を有する第1側波帯トーン、第2特徴を有する第2側波帯トーン、第3特徴を有する第3側波帯トーン、および第4特徴を有する第4側波帯トーンを有し、前記ディジタル信号プロセッサは、前記第1特徴、前記第2特徴、前記第3特徴、および前記第4特徴を割り出すために前記評価信号を使用し、前記ディジタル信号プロセッサは、前記第1および第3乗算器が前記同相Tx成分を減じる量である第1倍数係数および第3倍数係数、前記第2および第4乗算器が前記直交位相Tx成分を減じる量である第2倍数係数および第4倍数係数、前記第5および第7乗算器が前記被ダウンコンバート同相信号を減じる量である第5倍数係数および第7倍数係数、ならびに前記第6および第8乗算器が前記被ダウンコンバート直交位相信号を減じる量である第6倍数係数および第8倍数係数を決定し、前記ディジタル信号プロセッサは、前記第1、第2、第3、第4、第5、第6、第7、および第8倍数係数を、前記第1特徴が増加するとともに前記第2特徴、前記第3特徴、および前記第4特徴の各々が減少するように決定する、ディジタル信号プロセッサと、
を具備する回路。
【請求項26】
前記第2モードにおいて、前記フーリエ逆変換計算回路がデータ信号を受信し、前記フーリエ変換計算回路が被補正ベースバンド信号を出力し、
前記第1モードおよび前記第2モードで動作する前記回路が、前記第2モードにおいて、前記第1モードにおいて決定された前記第1、第2、第3、第4、第5、第6、第7、および第8倍数係数を前記フーリエ変換計算回路によって受信される前記同相Rx成分および前記直交位相Rx成分を生成するために使用する、
請求項25の回路。
【請求項27】
前記特徴が振幅である、
請求項25の回路。
【請求項28】
前記第1特徴が前記第1側波帯トーンの振幅および位相の組合せである、
請求項25の回路。
【請求項29】
前記第1特徴が複素フーリエ係数によって定められる、
請求項25の回路。
【請求項30】
前記被ダウンコンバート同相信号が、前記第5乗算器および前記第7乗算器によって受信される前に濾波およびディジタル化され、
前記被ダウンコンバート直交位相信号が、前記第6乗算器および前記第8乗算器によって受信される前に濾波およびディジタル化される、
請求項25の回路。
【請求項31】
前記第1補正回路が第1加算器および第2加算器をさらに具備し、
前記第1加算器が前記第1乗算器および前記第3乗算器に結合されており、
前記第2加算器が前記第2乗算器および前記第4乗算器に結合されており、
前記第2補正回路が第3加算器および第4加算器をさらに具備し、
前記第3加算器が前記第5乗算器および前記第6乗算器に結合されており、
前記第4加算器が前記第7乗算器および前記第8乗算器に結合されている、
請求項25の回路。
【請求項32】
前記第1補正回路がI送信成分およびQ送信成分を出力し、
前記第2補正回路がI受信成分およびQ受信成分を受信し、
前記I送信成分および前記Q送信成分を送信し、複合RF信号を出力する送信直交ミキサと、
前記複合RF信号を受信し、前記I受信成分および前記Q受信成分を出力する受信直交ミキサと、
前記複合RF信号を前記送信直交ミキサから前記受信直交ミキサまで伝達するRFループバック経路と、
をさらに具備する、請求項25の回路。
【請求項33】
前記回路がディジタル・ベースバンド集積回路の一部である、
請求項31の回路。
【請求項34】
(a)基準信号を生成すること、
(b)前記基準信号を同相Tx成分および直交位相Tx成分へ変換することであって、前記同相Tx成分を同相送信器発振器信号と混合することによって被アップコンバート同相信号が生成され、前記直交位相Tx成分を直交位相送信器発振器信号と混合することによって被アップコンバート直交位相信号が生成され、前記被アップコンバート同相信号と前記被アップコンバート直交位相信号とを加えることによって複合RF信号が生成され、前記複合RF信号を同相受信器発振器信号と混合することによって被ダウンコンバート同相信号が生成され、前記複合RF信号を直交位相受信器発振器信号と混合することによって被ダウンコンバート直交位相信号が生成される、前記基準信号を変換することと、
(c)前記被ダウンコンバート同相信号および前記被ダウンコンバート直交位相信号を評価信号へ変換することであって、前記評価信号は、第1特徴を有する第1側波帯トーン、第2特徴を有する第2側波帯トーン、第3特徴を有する第3側波帯トーン、および第4特徴を有する第4側波帯トーンを有する、前記被ダウンコンバート同相信号および前記被ダウンコンバート直交位相信号を変換することと、
(d)前記第1特徴、前記第2特徴、前記第3特徴、および前記第4特徴を割り出すことと、
(e)前記第1特徴が増加するとともに前記第2特徴、前記第3特徴、および前記第4特徴の各々が減少する前記被ダウンコンバート同相信号の振幅および前記被ダウンコンバート直交位相信号の振幅を決定することと、
のための無線装置内で動作可能な命令を格納するためのプロセッサ可読媒体。
【請求項35】
前記同相送信器発振器信号が第1周波数を有し、
前記同相受信器発振器信号が第2周波数を有し、
前記第1周波数が前記第2周波数と異なる、
請求項34のプロセッサ可読媒体。
【請求項36】
前記第1特徴が前記第1側波帯トーンの振幅および位相の組合せである、
請求項34のプロセッサ可読媒体。
【請求項37】
前記基準信号が、周波数領域において生成され、また1つの周波数ビン中のみで振幅を有する、
請求項34のプロセッサ可読媒体。
【請求項38】
前記基準信号が単側波帯トーンを有する、
請求項34のプロセッサ可読媒体。
【請求項39】
(k)前記同相Tx成分の振幅および前記直交位相Tx成分の振幅を調整することと、
(l)前記調整された同相Tx成分を前記調整された直交位相Tx成分に加えることと、
のための無線装置において動作可能な命令をさらに格納するための、請求項34のプロセッサ可読媒体。
【請求項40】
(a)被アップコンバート同相信号と被アップコンバート直交位相信号との間のアップコンバーション位相不一致およびアップコンバーション利得不一致の両方を補正する第1補正回路であって、前記第1補正回路は同相Tx成分を第1倍数係数および第3倍数係数で乗じ、前記第1補正回路は直交位相Tx成分を第2倍数係数および第4倍数係数で乗じる、第1補正回路と、
(b)被ダウンコンバート同相信号と被ダウンコンバート直交位相信号との間のダウンコンバージョン位相不一致およびダウンコンバージョン利得不一致の両方を補正する第2補正回路であって、前記第2補正回路は前記被ダウンコンバート同相信号を第5倍数係数および第7倍数係数で乗じ、前記第2補正回路は前記被ダウンコンバート直交位相信号を第6倍数係数および第8倍数係数で乗じる、第2補正回路と、
(c)1つの評価信号を評価することに基づいて前記第1、第2、第3、第4、第5、第6、第7、および第8倍数係数を決定するための手段と、
を具備する回路。
【請求項41】
前記1つの評価信号が1つの基準信号から生成され、前記1つの基準信号が単側波帯トーンを有する、
請求項40の回路。
【請求項42】
前記第1補正回路が第1加算器および第2加算器を具備し、
前記第1加算器が第1乗算器および第3乗算器に結合されており、
前記第2加算器が第2乗算器および第4乗算器に結合されており、
前記第2補正回路が第3加算器および第4加算器を具備し、
前記第3加算器が第5乗算器および第6乗算器に結合されており、
前記第4加算器が第7乗算器および第8乗算器に結合されており、
前記第1、第2、第3、第4、第5、第6、第7、および第8乗算器が、それぞれ前記第1、第2、第3、第4、第5、第6、第7、および第8倍数係数を適用する、
請求項40の回路。
【請求項43】
前記回路が、直交周波数分割多重化(OFDM)および周波数分割2重化(FDD)に基づいて通信する通信装置の一部である、
請求項40の回路。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図26】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図26】
【公開番号】特開2013−81197(P2013−81197A)
【公開日】平成25年5月2日(2013.5.2)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2012−253924(P2012−253924)
【出願日】平成24年11月20日(2012.11.20)
【分割の表示】特願2011−521321(P2011−521321)の分割
【原出願日】平成21年7月30日(2009.7.30)
【出願人】(595020643)クゥアルコム・インコーポレイテッド (7,166)
【氏名又は名称原語表記】QUALCOMM INCORPORATED
【公開日】平成25年5月2日(2013.5.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−253924(P2012−253924)
【出願日】平成24年11月20日(2012.11.20)
【分割の表示】特願2011−521321(P2011−521321)の分割
【原出願日】平成21年7月30日(2009.7.30)
【出願人】(595020643)クゥアルコム・インコーポレイテッド (7,166)
【氏名又は名称原語表記】QUALCOMM INCORPORATED
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