説明

OH基の分布が制御された活性化担体

【課題】オレフィンの重合におけるメタロセン錯体用の活性化担体の製造方法。この活性化担体はオレフィンの重合でメタロセン触媒成分を活性化するのに用いられる。
【解決手段】下記の(I)〜(VI)の段階を含む:(I)少なくとも一種の多孔質な無機酸化物で形成される粒子から成る担体を用意し、(II)必要に応じて、担体表面上のシラノールの比率を固定し、(III)金属塩を含む溶液で担体を官能化し、(IV)(c)段階の官能化担体を不活性ガス下または水素下で加熱し、(V)OH基の数が制御された活性担体を回収する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、メタロセン錯体(metallocene complexes)、特に不均質(heterogeneous)触媒の活性化方法と、その製造方法と、そのオレフィン重合での使用とに関するものである。
【背景技術】
【0002】
メタロセン錯体の存在下でのオレフィン重合の大部分は均質(homogeneous)触媒用のものである。このタイプの重合では触媒、オレフィンモノマーおよび得られたポリマーが全て同じ液相中、一般には溶剤中に存在する。
しかし、これらの触媒は不均質 (hetrogeneous) 重合、例えば懸濁重合や気相重合に適したものはない。これらの不均質重合プロセスには多くの利点、特に所定粒度分布を有する粒状のポリマーが得られるという利点がある。
【0003】
メタロセン触媒成分と活性化剤とから成る触媒系の存在下でエチレンとα−オレフィンとを(共)重合することは公知である。非特許文献1に記載されているように、均質な活性化剤は、単なるアルキルアルミニウム、例えばジエチルアルミニウムクロリドとCp2TiCl2からメチルアルミノキサン(MAO)単独またはその変性物、ペルフルオロアリールボラン、ペルフルオロアリールアラン、ペルフルオロアリールボレート、ペルフルオロアリールアルミネートとアルキル化剤、例えばトリイソブチルアルミニウムとの組み合わせまで広範囲である。
【0004】
しかし、これらの活性化剤は高価、不安定であり、モルホロジー(形態)の悪いポリマーしかできないため、懸濁重合や気相重合で高い収率で生産するプロセスには使えない。これらの重合プロセスで上記触媒系すなわちメタロセン錯体と活性化剤とを使用するためには触媒系を固体担体で支持しなければならない。
【0005】
最も代表的な方法は例えば非特許文献2〜5に記載のようにMAOのような均質活性化剤を固体の担体上に支持する方法である。また、ペルフルオロアリールボレートやペルフルオロアリールアルミネートは特許文献1に記載されている。
【0006】
これらの触媒系で得られるポリマーは規則的な粒径を有し、見掛け密度が大きく、均質重合に比較して反応器の汚れ (fouling) が減る。
支持された均質活性化剤を使用したこれらの触媒系は対応する均質触媒系よりも活性が劣り、従って、得られるポリマー特性は等級が低い。
【0007】
新世代の固体活性化担体が開発されている。それらはスルフェート化されたジルコン粒子で、その例は非特許文献6および特許文献2〜8に記載されている。これらの活性化剤は全て賦活に関与する表面に酸のサイトを有する固体である。
この酸のサイトはフッ素や塩素のようなハロゲン化物と組み合わせた金属である。金属はアルミニウム、チタン、ジルコニウムまたはニッケルから選択できる。
均質系触媒でこれに対応するものは活性化反応が極めて悪いものである。
【0008】
フッ化ジメチルアルミニウム(DMF)のような化合物をトリエチルアルミニウムと組み合わせて活性化剤として使用し、メタロセンファミリーの化合物を用いてプロピレンの立体特異性重合をした場合の生産性が悪いことは非特許文献7に記載されている。従って、この化合物は極めて悪い活性化剤である。
【0009】
特許文献9に記載の三成分触媒系はメタロセンファミリーの化合物と、有機アルミニウムと、シリカアルミナとフッ素化試剤とから得られる活性化剤として用いられるフッ素化されたシリカアルミナとから成る。表面の酸のサイトはフッ素およびアルミニウムである。この発明の欠点は上記サイトの定義とフッ素化剤を使用することにある。
【0010】
特許文献10にも三成分系が記載されている。この三成分系はプレアルキル化(pre-alkylated)した(またはプレアルキル化しない)メタロセンファミリーの化合物と、アルキルアルミニウムまたはオリゴマー状のアルキルアルミノキサンの中から選択可能な共触媒と、下記の式で表される表面アルミニウムまたはマグネシウム酸サイトを有する固体の活性化担体とから成る:
【0011】
【化1】

【0012】
この活性化担体の製造方法は下記の段階を含む:
(a)担体表面のOH基と反応するアルミニウムおよび/またはマグネシウムをベースにした官能化剤で多孔質無機酸化物を官能化し、
(b)必要に応じて、不活性ガス下に流動床中で熱処理した後、酸素下で熱処理し、
(c)(NH42SiF6型のフッ素化剤でフッ素化する。
【0013】
この活性化担体の製造方法は多数の段階を必要とし、長くなり、フッ素化段階を別に必要とする。それに加えて、場合によって、特に熱処理を省いた場合には、許容される活性を得るためにMAOのような活性化剤を使用する必要があるが、このMAOの使用は最終ポリマーのモルホロジーを悪くする。
【0014】
特許文献11にも、官能化反応とフッ素化反応を一段階で行う新規なフッ素化活性化担体が開示されている。担体は2つの熱処理、すなわち熱分解および燃焼の後に活性化担体となる。
【0015】
従って、表面上の位置決めが特許文献10のように良く定義され、段階の数が少なく、且つ、ポリマーのモルホロジーの等級を下げる原因となる均質系活性化剤、例えばメチルアルミノキサン(MAO)を使用しなくても十分活性が得られる活性化担体を開発するというニーズがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0016】
【特許文献1】米国特許第5643847号明細書
【特許文献2】McDaniel国際特許第WO-9960033号公報
【特許文献3】McDaniel国際特許第WO-0123433号公報
【特許文献4】McDaniel国際特許第WO-0123434号公報
【特許文献5】McDaniel国際特許第WO-0144309号公報
【特許文献6】McDaniel国際特許第WO-0149747号公報
【特許文献7】McDaniel米国特許第6548441号明細書
【特許文献8】Saudemontフランス特許第-A-2765225号公報
【特許文献9】国際特許出願第WO-0123433号公報
【特許文献10】フランス特許FR-A-2769245号公報
【特許文献11】国際特許第WO-2005/075525号
【非特許文献】
【0017】
【非特許文献1】Chen E.Chem Rev., 2000,100,1391
【非特許文献2】Chien (J. Polym. Sci., Part A Pol. Chem., 1991, 29, 1603.)
【非特許文献3】Collins (Macromolecules, 1992,25, 1780
【非特許文献4】Soga(Makromol. Chem., 1993, 194, 1745)
【非特許文献5】Kaminsky (Makromol.Chem.Rapid Commun., 1993, 14, 239)
【非特許文献6】Marks (J. Am. Chem. Soc., 1998, 120, 13533)
【非特許文献7】Zambelli (Macromolecules 1989,22, 2186)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0018】
本発明の目的は、製造が容易な、酸のサイトを有する活性化担体を製造することにある。
本発明の他の目的は、MAOのような活性化剤を必要とせず、且つ、均質系の活性および生産性と同じ程度の活性および生産性を有する活性触媒系を開発することにある。
本発明のさらに他の目的は、優れたモルホロジーを有するポリマーを製造することにある。
本発明のさらに他の目的は、反応器の汚れを減らすことにある。
上記の目的のいずれか一つは、本発明によって少なくとも一部が満たされる。
【課題を解決するための手段】
【0019】
本発明は下記の(a)〜(e)の段階を有する活性化担体の製造方法を開示する:
(a)少なくとも一種の多孔質な無機酸化物で形成される粒子から成る担体を用意し、
(b)(a)段階の担体を熱処理してデヒドロキシル化し、
(c)式MRnv-n(ここで、Mは周期律表の3族または4族の金属であり、vはMの結合価であり、nはゼロまたはv以下の整数であり、Rは1〜20の炭素原子を有するヒドロカルビル基であり、Xはハロゲンである)の金属塩を含む溶液で担体を官能化し、
(d)少なくとも250℃の温度、不活性ガス下で(c)段階の担体を熱処理して、または、(c)段階の担体を水素と反応させて担持金属−水素化物誘導体を形成し、
(e)室温で過剰N2Oで処理して担体を酸化してOHサイトを形成する。
【発明を実施するための形態】
【0020】
(a)段階の多孔質無機酸化物はシリカ、アルミナおよびこれらの混合物の中から選択するのが有利である。担体はシリカにするのが好ましい。
多孔質無機酸化物粒子は以下の特徴の少なくとも一つを有するのが好ましい:
7.5〜30nmの直径の気孔を有し、
1〜4cm3/gの気孔率を有し、
100〜1000m2/gの比表面積を有し、
1〜100μmの平均直径を有する。
【0021】
官能化前に担体を(b)段階でデヒドロキシル化する。その表面上に複数のOH基、好ましくは上記担体の単位nm2当り0.25〜10、好ましくは単位nm2当り0.5〜4のOH基を有するのが好ましい。これらの酸サイトは(c)段階で官能化される。
【0022】
担体は種々の担体にすることができる。担体はその種類、その水加状態およびその保水性に応じて脱水処理する。担体に加えるこの脱水処理の程度は所望されるOH基の表面含有比率に応じて強くしたり弱くすることができる。
【0023】
選択された担体に加えるべき脱水処理は所望表面−OH基含有量に従ってルーチンテストによって当業者が決定できる。
出発材料の担体はシリカにするのが好ましい。一般に、シリカを100〜1000℃、好ましくは120〜800℃、より好ましくは140〜700℃の温度で、不活性ガス雰囲気、例えば窒素またはアルゴン下に大気圧または約10-5バールの減圧下に少なくとも60分間加熱する。
【0024】
あるいは、熱処理を100〜450℃の温度で行い、その後、シラン化処理を行うこともできる。この場合には担体表面にグラフトした珪素から生じる化学種ができ、表面がより疎水性になる。
【0025】
シランは例えばアルコキシトリアルキルシラン、例えばメトオキシトリメチルシランまたはトリアルキルクロロシラン、例えばトリメチルクロロシランまたはトリエチルクロロシランにすることができる。一般に、担体上のOH基の1モル当りシラン濃度が0.1〜10モルとなる有機シラン溶液の担体懸濁液を形成する。この溶液用の溶剤は直鎖または分岐鎖の脂肪族炭化水素、例えばヘキサンまたはヘプタン、置換されていてもよい脂環式炭化水素、例えばシクロヘキサン、芳香族炭化水素、例えばトルエン、ベンゼンまたはキシレンの中から選択できる。シラン溶液による担体の処理は一般に撹拌下に50〜150℃の温度で1〜48時間実行される。
【0026】
シラン化後、例えばサイフォンを通して溶剤を除去し、担体を濾過し、例えば担体1グラム当り0.3リットルの溶剤を用いて担体を完全に洗浄する。
【0027】
本発明の好ましい実施例では、(c)段階の官能化はZrR4を用いて行う。ここで、ジルコニウムの量はシリカ表面上に存在するシラノールの1/3以下の量であり、Rは1〜20の炭素原子を有するヒドロカルビル、好ましくは置換アルキル、さらに好ましくはCH2Phである。
【0028】
本発明の別の好ましい実施例では、官能化剤はフッ素化剤でもある。すなわち、フッ素化酸サイトが担体ベース粒子が有する−OH基を下記の中から選択される少なくとも一種の官能化剤と反応させて形成される:
(1) OH−基と反応可能な少なくとも一つのアルミニウムと、一つのフッ素と、一つの有機基とを含む化合物。有機基は炭化水素であるのが好ましく、1〜12の炭素原子を有するアルキル基であるのがさらに好ましい。
(2) 必要に応じて、MF、MR2、M’F2、M’R2F、またはM’R22〔ここで、Mは周期律表(Handbook of Chemistry and Physics,76th edition)の1族の金属であり、M’は周期律表の2族の金属であり、R2は1〜20の炭素原子を有するアルキル基である〕から選択される任意の一種以上の化合物を一緒に用いる。
【0029】
フッ素化官能化剤はAl(R12F(ここで、R1基は1〜20の炭素原子を有する直鎖または分岐鎖のアルキル基で、互いに同じでも異なっていてもよい)であるのが好ましい。R1はメチル、エチル、ブチルおよびヘキシルであるのが好ましく、R1基は互いに同じであるのがさらに好ましい。
【0030】
この官能化およびフッ素化剤は例えば非特許文献8または特許文献12、13に記載の方法で調製できる。
【非特許文献8】Ziegler et al. (Liebigs Ann.Chem.1954,608,1)
【特許文献12】ドイツ国特許第1102151号
【特許文献13】ドイツ国特許第1116660号
【0031】
最も好ましい官能化/フッ素化剤はフッ化ジエチルアルミニウム(DEAF)である。
【0032】
官能化/フッ素化剤は単独またはMF、MR2、M’F2、M’R2F、またはM’R22(ここで、Mは1族の金属、好ましくはNaであり、M’は2族の金属、好ましくはMgであり、R2は1〜20の炭素原子を有するアルキル基である)から選択される任意の一種以上の基と組み合わせて用いることができる。
【0033】
本発明の好ましい実施例では、官能化段階は−150〜+150℃の温度で1〜12時間の時間、官能化およびフッ素化剤を含む溶剤媒体中で担体粒子の懸濁液を処理することで実行される。洗浄後、グラフトされた粒子を回収する。溶剤は脂肪族、脂環式および芳香族炭化水素から選択するのが好ましい。この処理は20〜100℃の温度で1〜3時間行なうのが好ましい。官能化およびフッ素化剤の濃度は担体粒子1gに対して0.5〜20mmolにするのが好ましい。
【0034】
本発明では、メタロセン錯体を活性化するのに十分なレベルの酸度を有する担体を形成するために、以下で説明する熱処理が必要である。
官能化処理の前に、特に、官能化処理をDEAFを用いて行う場合には、シリカをSiMe3Clで処理して触媒系の酸度を上げるのが好ましい。
【0035】
官能化段階後、不活性ガス、例えばアルゴンまたは窒素中で熱処理を行なう。変形例では、H2下で水素化するのが好ましい。いずれの場合も、金属水素化物誘導体を得ることが目的である。これらの処理は200〜600℃の温度、好ましくは約300℃の温度で1時間〜2日間、好ましくは1〜2時間加熱して行う。
【0036】
この処理は流動床で行う。初めに、部分デヒドロキシル化シリカを官能化する。次いで、官能化シリカをさらに処理し、下記の方法で金属−H結合を得る:
(1)約300℃の温度、不活性ガス、例えばアルゴンまたは窒素下での処理によるβ−H脱離、または、
(2)約300℃の温度、H2下での1〜2時間の水素化。
流動床は非常に脆い金属−H結合の破壊を避けるため遮光する。
【0037】
フッ素化段階の後に行う本発明の熱処理は、後で酸化してヒドロキシにする表面水素化物を調製することが目的である。
2O下での処理を(e)段階で行い、M−H結合を制御しながら酸化してM−OH結合にする。
【0038】
非特許文献9には、水素化ハフニウム錯体をヒドロキシ誘導体に選択酸化するのにN2Oを使用できることが報告されている。N2Oでの処理によるOH基を有するハフニウム錯体の形成は下記の方法で表される:
Cp2HfH2――>(−78℃、N2O下)――>N2+Cp2HfHOH――>(+80℃、過剰N2O下)――>N2+Cp2Hf(OH)2
この反応方法は、唯一の副生成物が、反応媒体から除去されるN2であるので、特に望ましい。
【非特許文献9】Hillhouse et al (J.Am.Chem.Soc.1987,109,5528)
【0039】
同様に、非特許文献10には、表面ZrOH基を得るための、N2Oでの処理によるシリカ上に存在する水素化ジルコニウムの酸化が開示されている。
【非特許文献10】Rataboul et al (J.Am.Chem.Soc.2004,126,12541)
【0040】
本発明では、シリカ表面上のOHサイトの形成を制御するためにN2Oを用いるのが望ましい。シリカ表面上に形成されたこのOH基によって、メタロセンおよびポストメタロセン触媒成分の活性化に必要なブレンステッド酸度が得られる。
【0041】
酸化処理は担体をN2O流に曝して行う。この反応は一般に室温で、約20mL/分のN2O流量下で約2時間行う。
処理終了時に担体中に存在するアルミニウムおよびフッ素の量は、それぞれアルミニウムが0.5〜7重量%、好ましくは1〜5重量%であり、フッ素が0.2〜5重量%、好ましくは0.5〜3重量%である。処理終了時に担体中に存在するジルコニウムの量は、0.2〜7重量%、好ましくは0.5〜5重量%である。
【0042】
官能化剤がフッ素化剤と同時に作用する場合、本発明の活性化担体は、各フッ素原子が金属原子(例えばアルミニウム原子)に直接結合し、且つ、担体の表面上のフッ素の分布が均一であることを特徴とする。これは特許文献10(フランス特許FR−A−2769245号公報)に開示されている状態とは異なる。この文献では、フッ素は種々の組合せで生じる。例えば、Alと結合して、あるいは、表面Siに直接結合してSi−FとしてまたはSi−OSiF3として、またはAl−OSiF3として生じる。
【0043】
本発明はさらに、下記の(a)〜(c)を含むオレフィンの重合用の担持メタロセン触媒系に関するものである:
(a)プレアルキル化(pre-alkylated)した(またはプレアルキル化しない)メタロセン触媒成分
(b)任意成分のアルキル化剤
(c)上記定義の方法で調製したメタロセン用活性化固体担体(メタロセン触媒成分を任意のアルキル化処理の前または後に活性化担体に含浸させる)。
【0044】
上記活性カチオン錯体のカウンタアニオンはチーグラー−ナッタ触媒で使用されているのと同様な固体担体、好ましくは所定定義のよく管理された構造を有する固体担体で構成できる。重合を物理的に進展させるために、上記担体を官能化してメタロセン錯体を効果的に活性化するための表面酸サイトを作る。
【0045】
メタロセン錯体をプレアルキル化した場合は、アルキル化剤はなくてもよい。担体は任意のプレアルキル化処理の前または後に含浸させることができる。
成分(a)(b)および(c)は、その後の重合プロセスに依存する任意の順序で導入できる。
【0046】
本発明の活性化担体は、メタロセン触媒成分およびポストメタロセン触媒成分の活性化に用いる。これらの触媒成分はこのような活性化剤の存在下でカチオン錯体を形成し易い。
【0047】
好ましいメタロセン触媒成分は一般式(I)で表される。
(CpRm)R''s(C'pR'n)MQ2 (I)
(ここで、
CpおよびC'pはそれぞれ独立して置換または未置換のシクロペンタジエニル、インデニルまたはフルオレニルから選択され、
RおよびR'はそれぞれ独立して1〜20の炭素原子を有するヒドロカルビルから選択され、
sはブリッジが存在しない場合はゼロで、ブリッジが存在する場合は1であり、
mおよびnは置換基の数を表す整数であり、
R''は化合物に立体剛性を与える構造ブリッジであり、
Mは周期律表の4族金属で、Ti、ZrまたはHfから選択され、
Qはハロゲンまたは1〜6の炭素原子を有するハロゲンまたはアルキルである)。
【0048】
本発明の活性化担体は式(II)の束縛構造触媒成分を活性化することもできる:
(CpRm)R''s(YR'n)MQ2 (II)
(ここで、Yはヘテロ原子で、YはN、OまたはPであるのが好ましく、Nであるのがさらに好ましい)
【0049】
ブリッジが存在するのが好ましく、このブリッジはアルキレン基、例えばメチレン基(−CR2−)、エチレン基(−CH2CH2−)またはトリメチレン基(−CH2CH2CH2−)にすることができ、このアルキレン基は未置換か、少なくとも一つの炭化水素基、例えばイソプロピリデン基で置換されていてもよい。このブリッジはシリレン基(−SiH2−)でもよく、この基は例えば少なくとも一つの炭化水素基で置換されていてもよい。例としてはジアルキルシリレン基、例えばジメチルシリレン、ジアリールシリレン基、例えばジフェニルシリレンまたは、例えばアルキルアリールシリレン基、例えばメチルフェニルシリレンを挙げることができる。
Qは塩素またはメチルであるのが好ましい。
【0050】
メタロセン触媒は例えば下記化合物の中から選択できる:
ビス(n−ブチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロライド[(n-but-Cp)2ZrCl2]、
エチレンビス(4,5,6,7-テトラヒドロ-1-インデニル)ジルコニウムジクロライド[Et(THI)2ZrCl2]、
エチレンビス(インデニル)ジルコニウムジクロライド[Et(Ind)2ZrCl2]、
イソプロピリデン(シクロペンタジエニル-フルオレニル)ジルコニウムジクロライド[iPr(Cp)(Flu)ZrCl2]、
イソプロピリデンビス(tert-ブチル−シクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロライド[iPr(t-Bu-Cp) 2ZrCl2]、
ジメチルシリル(3-tert-ブチル−シクロペンタジエニル−フルオレニル)ジルコニウムジクロライド[Me2Si(3-t-Bu-Cp-Flu)ZrCl2]、
ジメチルシリル−ビスインデニル−ジルコニウムジクロライド[Me2Si(Ind)2ZrCl2]、
エチレンビス(4,5,6,7-テトラヒドロ-1-インデニル)ジメチルジルコニウム[Et(THI)2ZrMe2]、
エチレンビス(インデニル)ジメチルジルコニウム[Et(Ind)2ZrMe2]、
イソプロピリデン(シクロペンタジエニル−フルオレニル)ジメチルジルコニウム(iPr(Cp-Flu)ZrMe2)、
ジメチルシリル(3-tert-ブチルシクロペンタジエニル−フルオレニル)ジメチルジルコニウム[Me2Si(3-t-Bu-Cp-Flu)ZrMe2]、
ジメチルシリル(テトラメチルシクロペンタジエニル-tert-ブチルアミノ)ジルコニウムジクロライド[Me2Si(Me4-Cp-t-but-N)ZrCl2]、
ジメチルシリル(テトラメチルシクロペンタジエニル、tert-ブチルアミノ)ジメチルチタン[Me2Si(Me4-Cp-t-but-N)TiMe2]、
【0051】
エチレンビス(4,5,6,7-テトラヒドロ-1-インダニル)ジメチルチタン[Et(THI)2TiMe2]、
エチレンビス(インデニル)ジメチルチタン[Et(Ind)2TiMe2]、
イソプロピリデン(シクロペンタジエニル,フルオレニル)ジメチルチタン[iPr(Cp-Flu)TiMe2]、
ジメチルシリル(3-tert-ブチル,5−メチル−シクロペンタジエニル−フルオレニル)ジルコニウムジクロライド[Me2Si(3-t-Bu,5-Me-Cp-Flu) ZrCl2]、
イソプロピリデン(3-tert-ブチル,5−メチル−シクロペンタジエニル-3,6-tert-ブチル-フルオレニル) ジルコニウムジクロライド [iPr(3-t-Bu,5-Me-Cp-3,6-t-Bu-Flu) ZrCl2];
ジメチルシリル(テトラメチルシクロペンタジエニル,tert-ブチルアミノ)チタンジクロライド[Me2Si(Me4-Cp-t-Bu-N)TiCl2]
【0052】
本発明の活性化担体は、非特許文献11に記載の遷移金属の全ての種類の非メタロセン先駆体も活性化できる。好ましい実施例では、遷移金属はTi、Zr、Hf、Fe、Co、NiおよびPdから選択される。
【非特許文献11】Gibson et al (Chem.Rev.2003,103,283)
【0053】
アルキル化剤は金属−L基結合を金属−炭素結合または金属−水素結合に変えることができる有機金属化合物またはその混合物であり、Al、LiまたはMgまたはZnのアルキル化誘導体から選択できる。下記の式(III)のアルミニウムのアルキル化誘導体から選択するのが好ましい:
AlR5n3-n (III)
(ここで、R5基は1〜12の炭素原子を含む置換されたか未置換のアルキル、例えばエチル、イソブチル、n−ヘキシルおよびn−オクチルで、互いに同じでも異なっていてもよく、そして、Xはハロゲンまたは水素であり、nは1〜3の整数であり、ただし、少なくとも一つのR5基はアルキルでなければならない)。アルキル化剤は、最終触媒系の活性を阻害しない限り、金属−炭素結合を形成可能な任意の有機金属化合物にすることもできる。
【0054】
アルキル化剤はアルミニウムアルキル、より好ましくはトリイソブチルアルミニウム(TIBAL)またはトリエチルアルミニウム(TEAL)であるのが好ましい。
【0055】
最終的に得られる担持メタロセン触媒系でのアルキル化剤とメタロセン錯体の量は、モル比Al/Mが1〜10000となる量であり、活性化担体の量は1ミクロモルのメタロセン錯体当り0.01〜2000mgの担体である。
【0056】
本発明の主たる利点の一つはメタロセン成分を活性化するのにアルミノキサンを使用する必要がなく、従って、危険が避けられ、アルミノキサンを使用したときに問題となるポリマーのモルホロジーの欠点を避けることができる点にある。
【0057】
本発明はさらに、下記(a)〜(g)の段階から成るエチレンおよびα−オレフィンの単独重合または共重合方法を開示する:
(a)上記の活性化担体を反応器に注入し、
(b)触媒成分の溶液を反応器に注入し、
(c)任意成分の捕捉剤/アルキル化剤を反応器に注入し、
(d)必要な場合には、コモノマーを反応器に注入し、
(e)モノマーを添加し、反応器を60〜100℃の温度に加熱し、
(f)重合条件下に維持し、
(g)反応器を非活性化し、ポリマーを回収する。
【0058】
メタロセン触媒成分は活性化剤担体上でプレ含浸することもできる。このプレ含浸は以下のようにして実行できる。すなわち、活性化担体を脂肪族、脂環式または芳香族炭化水素から選択される溶剤中でメタロセンを用いて懸濁させる。この反応は0〜140℃の温度で1時間〜10時間かけて実行される。メタロセン成分の量は活性化担体の総重量をベースにして0.01〜20重量%である。混合物を静置分離して上澄み液を除去する。次に、担体を20〜140℃の温度で1グラムの担体当り20〜300mlの溶剤で複数回洗浄する。
【0059】
メタロセン成分(a)がハロゲン化成分である場合は、これをアルキル化成分に変えるためにアルキル化処理しなければならない。活性化担体がメタロセン成分(a)でプレ含浸される場合には、このアルキル化処理はプレ含浸の前か後のいずれでも行なうことができる。
【0060】
本発明は、上記定義の担持メタロセン触媒系の存在下でオレフィンを懸濁相または凝縮相または気相でホモポリマー化またはコポリマー化する方法を提供する。
本発明の触媒系でホモポリマー化またはコポリマー化可能なオレフィンは例えば2〜20の炭素原子を有するオレフィン、好ましくはこのグループのα−オレフィンであり、好ましくはエチレン、プロピレン、1−ブテン、4−メチル−1−ペンテン、1−オクテン、1−ヘキセン、3−メチル−1−ペンテン、3−メチル−1−ブテン、1−デセン、1−テトラデセンまたはこれらの混合物を使うことができる。最も好ましいモノマーはエチレンまたはプロピレンで、コモノマーはプロピレン、1−ブテンまたは1−ヘキセンまたは1−オクテンである。
【0061】
上記重合プロセスに連鎖移動剤を入れて、ポリマーのメルトフローインデックスを制御することもできる。この連鎖移動剤としては一般に水素が使われ、その添加量は反応器に導入されるオレフィン/水素混合物の合計モル数に対して20モル%以下、好ましくは0.01〜10モル%である。
【0062】
本発明の担持触媒系には下記のような多くの利点がある。
(1)本発明触媒系は均質系触媒で得られるものに匹敵する高い活性と生産性とを有し、しかも、MAO、ペルフルオロアリールボランまたはペルフルオロアリールボレートのような活性化剤をアルキルアルミニウムと一緒に使用する必要がない。
(2)本発明で得られるポリマーは均質系メタロセン触媒反応で得られるものと同じ数平均分子量Mn、重量平均分子量MwおよびMw/Mnで定義される多分散性指数PDIを有する。多分散性指数は5以下、好ましくは2〜4である。
(3)本発明で得られるポリマーは均質系メタロセン触媒で得られるものに匹敵するコモノマー鎖のアイソ組成(isocomposition)および均質分布とを有する。
【0063】
(4)C2またはCS対称性を有する各メタロセン錯体でα−オレフィン、例えばプロピレンをイソ−またはシンジオ−特異的重合した場合、活性化担体の存在の影響を受けない。これは均質系メタロセン触媒反応で得られるものと同じである。
(5)本発明で得られるポリマーは見掛け密度が高く、極めて完全に規則的な粒子形状を有している。こうした優れたモルホロジーは活性化剤としてメチルアルミノキサンを使用する公知のメタロセン触媒系では不可能であった。最終ポリマーのモルホロジーを改良・制御するためには懸濁液中または好ましくは気相中で予備重合し、得られたプレポリマー粒子を所定の(共)重合プロセスへ導入することが推薦されている。予備重合の程度は次の重合プロセスに依存する。
(6)本発明の触媒系ではMAOは使用しない。従って、活性化担体は安定であり、極めて長期間貯蔵できる。
(7)ポリマー粒子が制御されたモルホロジーを有するので、反応器の汚れが実質的に減る。
【実施例】
【0064】
以下、本発明の実施例を説明するが、本発明が下記実施例に限定されるものではない。
【0065】
全て実施例は古典的なシュレンク(Schlenk)技術を用いてアルゴン下に実行した。溶剤のヘプタンおよびトルエンは3オングストロームのモレキュラーシーブで乾燥した。
【0066】
以下の実施例では、数平均分子量Mn、重量平均分子量Mwおよび多分散性指数PDI=Mw/Mnはトリクロロベンゼン(TCB)溶剤を用いて150℃で立体排除クロマトグラフィ(Steric Exclusion Chromatography、SEC)によって求めた。系の較正はユニバーサル較正法を用いてポリスチレンスケールで行なった。
立体規則性およびコモノマー取込み状態は13CNMR分析で求めた。13CNMR分析は135℃の温度でトリクロルベンゼン/重水素−ベンゼンの5:1混合物でVarian 300MHzで行った。
生産性は1グラムの触媒当りの(共)重合体のグラム数で表した。触媒重量には活性化担体の重量と、メタロセン化合物の重量とが含まれる。
【0067】
実施例1〜3
活性化担体SI、SII、SIIIの製造
本発明の活性化担体を以下のようにして製造した。
出発原料としてはCrossfield社からES70Xの名称で市販のシリカ担体を使った。このシリカのスペックは以下の通り:
比表面積=276m2/g、
平均粒径=53μm、
孔容積=1.54mL/g、
見掛けの密度=0.224g/cm3
【0068】
実施例1
活性化担体SIの合成
1.8mLのAlEt2F溶液(1.44mol/lアイソパー中に調製)を、ヘプタンに懸濁させた2.02gのシリカ(減圧下に450℃の温度で加熱して部分デヒドロキシル化済みのCrossfield社のES70X)に添加した。この混合物を20℃の温度で1時間撹拌した。次いで、担体をヘプタン中で3回洗浄し、減圧下で乾燥させた。次いで、担体をアルゴン下に下記の温度プログラムに従って流動床中で処理し、且つ、紫外線から保護した:
30℃から100℃に1時間で加熱、
100℃から130℃へ30分間で加熱、
130℃から300℃へ1時間で加熱、
300℃の温度で4時間維持。
次いで、担体を20mL/分のN2O流によって同じ流動床中で処理し、20℃の温度で、2時間の間、Al−Hに対して80当量の過剰を得た。得られた担体は3.74重量%のAlおよび2.46重量%のFを含んでいた。
【0069】
実施例2
活性化担体SIIの合成
0.17mLの純粋なMe3SiCl(1.33mmol)溶液を、トルエンに懸濁させた1.28gのシリカ(減圧下に450℃の温度で加熱して部分デヒドロキシル化済みのCrossfield社のES70X)に添加した。この混合物を還流下に110℃の温度で48時間加熱且つ撹拌した。次いで、担体をトルエン中で3回洗浄し、減圧下で乾燥させた。1.15mLのAlEt2F溶液(1.44mol/lアイソパー中に調製)を、ヘプタンに懸濁させた担体に添加した。この混合物を20℃の温度で1時間撹拌した。次いで、担体をヘプタン中で3回洗浄し、減圧下で乾燥させた。次いで、担体をアルゴン下に下記の温度プログラムに従って流動床中で処理し、且つ、紫外線から保護した:
30℃から100℃に1時間で加熱、
100℃から130℃へ30分間で加熱、
130℃から300℃へ1時間で加熱、
300℃の温度で4時間維持。
次いで、担体を20mL/分のN2O流によって同じ流動床中で処理し、20℃の温度で、2時間の間、Al−Hに対して160当量の過剰を得た。得られた担体は1.28重量%のAlおよび0.71重量%のFを含んでいた。
【0070】
実施例3
活性化担体SIIIの合成
269mLのZr(CH2Ph)4(0.59mmol)をトルエンに溶かし、1.36gのシリカ(減圧下に450℃の温度で加熱して部分デヒドロキシル化済みのCrossfield社のES70X)に添加した。この混合物を50℃の温度で1時間撹拌し、トルエン中で3回洗浄し、減圧下で乾燥させた。次いで、担体を水素下に下記の温度プログラムに従って流動床中で処理し、且つ、紫外線から保護した:
30℃から100℃に1時間で加熱、
100℃から130℃へ30分間で加熱、
130℃から300℃へ1時間で加熱、
300℃の温度で4時間維持。
次いで、担体を20mL/分のN2O流によって同じ流動床中で処理し、20℃の温度で、2時間の間、Zr−Hに対して240当量の過剰を得た。得られた担体は1.06重量%のZrを含んでいた。
【0071】
担体の特徴は[表1]にまとめてある。
【表1】

【0072】
実施例4
活性化担体SIを用いたエチレンと1−ヘキセンの共重合
アルゴン下に調整され、300mLのヘプタンを入れた1Lのフラスコ中に、1mmol/Lのトリ−イソブチルアルミニウム(TiBA)を加えた。このヘプタン/TiBA混合物中に担体SIを添加し、次いで、メタロセン触媒成分のエチレン−ビス(インデニル)ジルコニウムジクロライド[Et(Ind)2ZrCl2]を添加した。複数のメタロセン/担体比をテストし、メタロセンの担体に対する比は0.4〜2重量%にした。25mol%の1−ヘキセンを添加し、この混合物を500mLのブッチ(Buchi)タイプ反応器に移した。次いで、重合を80℃の温度で3バールのエチレンの圧力下で2時間行った。2時間後およびメタノール中での沈殿後、ポリマーは全く得られなかった。
【0073】
実施例5
活性化担体SIIを用いたエチレンと1−ヘキセンの共重合
メタロセン/担体比を1重量%にして、実施例4と同じ条件を用いて実施した。結果は[表2]に示す。
【0074】
実施例6
活性化担体SIIを用いたエチレンと1−ヘキセンの共重合
実施例4と同じ条件を用いて実施したが、TiBAの添加前に、活性化担体SIIを濃度が0.015mol/L(0.02mmol)の1.49mLのAlEt2F溶液と予備接触させた。結果は[表2]に示す。
【0075】
実施例7および8
活性化担体SIIIを用いたエチレンと1−ヘキセンの共重合
実施例4と同じ条件を用いて実施したが、メタロセン/担体比を実施例7では0.4重量%に、実施例8では1重量%にした。結果は[表2]に示す。
【0076】
実施例9
活性化担体SIbの合成
担体SIを下記の温度プログラムに従って減圧下にさらに処理した:
30℃から100℃に1時間で加熱、
100℃から130℃へ30分間で加熱、
130℃から300℃へ1時間で加熱、
300℃の温度で4時間維持。
【0077】
実施例10
活性化担体SIbを用いたエチレンと1−ヘキセンの共重合
実施例4と同じ条件を用いた。2時間後およびメタノール中での沈殿後、ポリマーは全く得られなかった。
【表2】

【0078】
Mw、PDIおよびTmはそれぞれ重量平均分子量、多分散性指数および溶融温度を表す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記の(a)〜(f)の段階を有する活性化担体の製造方法:
(a)少なくとも一種の多孔質な無機酸化物で形成される粒子から成る担体を用意し、
(b)(a)段階の担体を熱処理してデヒドロキシル化し、
(c)必要に応じて(b)段階の担体をシラン、好ましくはSiMe3Clで処理し、
(d)式ZrR4(ここで、Rは1〜20の炭素原子を有するヒドロカルビルである)の金属塩を含む溶液で担体を官能化し、
(e)少なくとも250℃の温度、不活性ガス下で(d)段階の担体を熱処理して、または、水素を(d)段階の担体と反応させて担持金属−水素化物誘導体を形成し、
(f)室温で過剰N2Oを用いた処理によって担体を酸化してOHサイトを形成する。
【請求項2】
担体がシリカであり、1nm2当たり0.25〜10のOH−基を有し、このOH−基は100〜1000℃の温度での不活性ガス下の少なくとも60分の熱処理または化学処理で得られる請求項1に記載の方法。
【請求項3】
デヒドロキシル化処理を100〜1000℃の温度で不活性ガス雰囲気下に、少なくとも60分間行う請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
ZrR4を用いて行う官能化段階で、ジルコニウムの量をシリカ表面上に存在するシラノール基の1/3以下の量にする請求項1〜3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
官能化剤がフッ素化剤でもあり、このフッ素化剤はOH−基と反応可能な少なくとも一つのアルミニウムと、一つのフッ素と、一つの有機基とを含む化合物から選択され、必要に応じて、MF、MR2、M’F2、M’R2F、またはM’R22(ここで、Mは周期律表の1族の金属であり、M’は周期律表の2族の金属であり、R2は1〜20の炭素原子を有するアルキル基である)から選択される任意の一種以上の化合物をそれと一緒に用いる請求項1〜3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
上記の官能化およびフッ素化剤が式(I):
Al(R12F(I)
(ここで、R1基は1〜20の炭素原子を有する直鎖または分岐鎖のアルキル基で、互いに同じでも異なっていてもよい)
の化合物であり、この官能化およびフッ素化剤が好ましくはフッ化ジエチルアルミニウムである請求項5に記載の方法。
【請求項7】
金属−水素化物誘導体の形成を、200〜600℃の温度で不活性ガス下に1時間〜2日間、加熱して行う請求項1〜6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
金属−水素化物誘導体の形成を、200〜600℃の温度で水素ガス下に1時間〜2日間、加熱して行う請求項1〜6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
酸素処理を、200〜600℃の温度でN2O下に1時間〜2日間行う請求項1〜8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
請求項1〜9のいずれか一項に記載の方法で得られる活性化担体。
【請求項11】
下記の(a)〜(c)を含むオレフィンの単独重合または共重合用の担持メタロセン触媒系:
(a)メタロセン触媒成分
(b)任意成分のトリエチルアルミニウム(TEAL)またはトリイソブチルアルミニウム(TIBA)から選択されるアルキル化剤
(c)請求項10に記載の活性化固体担体(メタロセン触媒成分を任意のアルキル化処理の前または後に活性化担体に含浸させる)。
【請求項12】
下記の(a)〜(e)の段階を含む担持メタロセン触媒系の製造方法:
(a)請求項10に記載の活性化担体を用意し、
(b)メタロセン触媒成分を有機溶剤に溶解し、
(c)必要に応じてアルキル化剤を用意して、メタロセン成分をアルキル化し、
(d)(b)段階の溶液および任意の(c)段階のアルキル化剤を同時にまたは任意の順序で活性化担体に含浸させ、
(e)担持触媒系を回収する。
【請求項13】
下記の(a)〜(d)の段階を含むオレフィンの単独重合方法または共重合方法:
(a)請求項11に記載の担持メタロセン触媒系を用意し、
(b)モノマーと任意成分のコモノマーとを注入し、
(c)重合条件下に維持し、
(d)ポリマーを回収する。
【請求項14】
オレフィンがエチレンまたはプロピレンである請求項13に記載の方法。

【公表番号】特表2012−526165(P2012−526165A)
【公表日】平成24年10月25日(2012.10.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−508996(P2012−508996)
【出願日】平成22年4月29日(2010.4.29)
【国際出願番号】PCT/EP2010/055797
【国際公開番号】WO2010/127988
【国際公開日】平成22年11月11日(2010.11.11)
【出願人】(504469606)トータル・ペトロケミカルズ・リサーチ・フエリユイ (180)
【出願人】(505252333)サントル・ナシヨナル・ド・ラ・ルシエルシユ・シヤンテイフイク (24)
【Fターム(参考)】