説明

OLEDを製造するためのペレットを使用する蒸着源

有機材料の薄い均一な層をコーティングできる熱物理蒸着源を提供する。ディスプレイを形成する際基板の表面に向かって有機材料の圧縮ペレットを気化する熱物理蒸着源は、各々圧縮ペレットを受け入れる複数の間隔の開いた通路を画定するハウジングと、ハウジングの間隔の開いた通路に対応する第1の複数の開口を備えたハウジングの上のカバープレートと、カバープレートの上に配置した電気ヒータ構造体とを含む。熱物理蒸着源はさらに、電気ヒータ構造体の上に配置したアパーチャプレートと、電気ヒータ構造体とアパーチャプレートとの間に位置する電気絶縁性スペーサ部材と、ペレットを気化し、材料の蒸気流出がカバープレート、ヒータ構造体、電気絶縁性スペーサ部材及びアパーチャプレートを通過して基板に向かうようにするのに十分な熱を発生する電流を電気ヒータ構造体に印加する回路とを含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、有機発光ディスプレイ(OLED)の一部を形成する有機層を形成する有機材料の物理蒸着に関する。特に、本発明は、圧縮有機材料のペレットを使用する改良された物理蒸着源の使用に関する。
【背景技術】
【0002】
有機発光素子は、有機エレクトロルミネッセント素子とも呼ばれ、第1及び第2の電極の間に2つかそれ以上の有機層を挟むことによって構築できる。
【0003】
従来の構造のパッシブマトリックス有機発光素子(OLED)では、例えばインジウム錫酸化物(ITO)アノードである複数の横方向に間隔の開いた光透過性アノードを、例えばガラス基板である光透過性基板上の第1の電極として形成する。そして、通常10-3トール(1.33×10-1パスカル)未満である低い圧力に保持したチャンバ内で、それぞれの蒸着源からのそれぞれの有機材料の蒸着によって2つかそれ以上の有機層を順次形成する。ドープまたは非ドープ有機発光材料に加えて、OLEDディスプレイを製造する際に使用する通常の有機層は、ドープまたは非ドープ有機正孔注入材料、ドープまたは非ドープ有機正孔輸送材料、及びドープまたは非ドープ電子輸送材料であり、ここでドーピングとは、ある材料またはそれによって構成した素子の電気的性能、光学的性能、安定性または寿命を向上するため微量の成分を追加することを指す。一番上の有機層の上に複数の横方向に間隔の開いたカソードを第2の電極として蒸着する。カソードは、アノードに対して、通常直角である、ある角度に配向する。
【0004】
こうした従来のパッシブマトリックス有機発光素子は、適当な縦列(アノード)と、順次方式で各横行(カソード)との間に電位(駆動電圧とも呼ぶ)を印加することによって動作する。カソードがアノードに対して負にバイアスをかけられている場合、カソードとアノードの重なり領域によって画定された画素から光が放出され、放出された光はアノードと基板を通過して観察者に到達する。
【0005】
アクティブマトリックス有機発光素子(OLED)では、それぞれの光透過性部分に接続した薄膜トランジスタ(TFT)によるアノードのアレイを第1の電極として提供する。上記のパッシブマトリックス素子を構築する場合とほぼ同等の方法での蒸着によって2つかそれ以上の有機層を順次形成する。一番上の有機層の上に、第2の電極として共通のカソードを蒸着する。アクティブマトリックス有機発光素子の構造と機能は同じ譲受人に譲受された米国特許第5,550,066号に記載されている。
【0006】
有機発光素子を構築する際に有用な有機材料、蒸着有機層の厚さ、及び層の構成は、例えば、同じ譲受人に譲受された米国特許第4,356,429号、第4,539,507号、第4,720,432号、及び第4,769,292号に記載されている。
【0007】
コンピュータX線撮影法用の撮像用蛍光体、及びデジタルX線撮影法用のX線光導電素子といった他の種類の撮像素子は、アクティブな材料を広い面積にわたって均一にコーティングする能力に依存する。以下の議論はOLEDディスプレイに関するが、同じ発明は、ハロゲン化アルカリ蛍光体、アモルファス半導体及び他の発光性または光活性層、及びこうした発光性または光活性層に基づく素子で使用される多様な他の材料の蒸着にも応用可能であることが容易に明らかになるだろう。
【0008】
十分に小さい基板の場合、点蒸着源アプローチを実現してもよく、そこでは蒸着される材料は局所的な加熱るつぼから発出し、基板は局所的な気化領域から十分遠くに配置するので、コーティングは局所的な気化領域から十分遠くで行われコーティングは基板に沿って十分均一になる。基板の寸法が増大しまた作業距離が増大すると、望ましい均一性を生じるため局所的な蒸着源に対する基板の回転または遊星運動が必要になることが多い。
【0009】
気化蒸着源を延長し蒸着源と基板とを互いに平行移動させることによって、望ましい場合、かなり小さい作業距離で望ましい均一性と、ひいてはかなり高い速度と良好な材料利用率を達成できる。こうした処理を広い面積(すなわち少なくとも1つの方向の寸法が15cmより大きい基板)に拡大することは点蒸着源の場合かなり容易である。
【0010】
有機発光素子を製造するための構造体への有機層の熱物理蒸着のための細長い蒸着源は、同じ譲受人に譲受された米国特許第6,237,529号でスパーン(Spahn)によって開示されている。スパーンが開示した蒸着源は、気化可能な個体有機材料を受け入れるエンクロージャを画定するハウジングを含む。ハウジングはさらに、有機物蒸気が細長い蒸着源から離れた構造体の表面に向かってスリットを通過できるようにした蒸気流出スリットアパーチャを画定する上部プレートによって画定される。エンクロージャを画定するハウジングは上部プレートに接続する。スパーンが開示した蒸着源はさらに、上部プレートに取り付けた導電性バッフル部材を含む。このバッフル部材は上部プレートのスリットの見通し線遮蔽を提供するので、ハウジングに電位が印加されエンクロージャ内の個体有機材料に熱が印加されて固体有機材料が気化する時、有機物蒸気は基板または構造体に向かってバッフル部材に沿ってスリットを通過でき、その一方でバッフル部材は有機材料の粒子がバッフル部材を通過するのを防止する。
【0011】
基板または構造体上に選択した有機材料の有機層を形成するためスパーンが開示した熱物理蒸着源を使用する際、蒸気流出スリットアパーチャのため、スリットの長さ寸法に沿って発出する有機材料の不均一な蒸気流出が発生することが発見されている。スリットの幅寸法を、例えば0.5mm未満の幅寸法まで縮小する場合問題が生じる。こうした対向するスリット縁端の空間的に不均一な配向は対向する縁端の平面性の偏差として考えることができるが、このため一方では、有機物蒸気のより多い部分がスリットの中央部を通じて蒸着源を出るようになり、有機物蒸気の対応するより少ない部分がスリットの長さ寸法に沿った残りの部分を通じて蒸着源を出るようになる。基板または構造体に向けられた、こうした不均一な蒸気流出によって、不均一な蒸気流出に対応した不均一な層厚さを有する有機層が形成されることになる。
【0012】
さらに、ヒータからの熱発生または蒸着すべき材料による熱吸収または蒸着源内の材料の分布に不均一性があると、蒸着源の長さに沿った蒸着の不均一性を生じることがある。不均一性のまた別の発生源としては、有機物蒸気を供給するために使用するアパーチャ以外の蒸着源エンクロージャ内の意図せぬ漏れである。蒸着源の端部にこうした漏れが存在すると、蒸着源の中央から端部への蒸気の流れが圧力勾配を発生し、それによって結果として得られる蒸着の不均一性を生じることがある。
【0013】
フォレスト(Forrest)他(米国特許第6,337,102B1号)は、有機材料及び有機先駆物質を気化し、基板を配置し個体または液体から発生した蒸気の供給がキャリアガスによって達成される反応容器にそれらを供給する方法を開示した。彼等の発明の1つの実施形態では、フォレスト他は適切な大型の反応容器内に基板を配置し、そこに輸送された蒸気を混合及び反応または基板上に蒸着させる。彼等の発明の別の実施形態は、面積の大きな基板をコーティングしこうした蒸着処理を互いに連続して行うことに向けられている。この実施形態のため、フォレスト他は、基板送りの方向に垂直な蒸着材料の連続ラインを形成するためガスマニホールド(「一連の穴を有する中空チューブ」として定義される)によって供給されるガスカーテンの使用を開示した。
【0014】
フォレスト他が開示した蒸気供給へのアプローチは「遠隔気化」として特徴付けることができ、そこでは蒸着ゾーンの外部、より有望には蒸着チャンバの外部にある熱物理蒸着源で材料を蒸気に変換する。単独またはキャリアガスと組み合わせた有機物蒸気は蒸着チャンバ及び最終的には基板表面に搬送される。このアプローチを使用するには、適当な加熱方法の使用によって供給ライン中の不要な凝結を避けるよう大きな注意を払わなければならない。この問題は、かなり高い温度で望ましい程度に気化する非有機材料の使用を考慮する場合さらに重要になる。その上、広い面積を均一にコーティングするための有機物蒸気を供給するにはガスマニホールドを使用する必要がある。
【0015】
有機物粉末、フレーク、または細粒の上記の態様の各々1つ、またはそれらの組み合わせは有機材料の空間的に不均一な昇華または気化に伴って、物理熱蒸着源内のこうした有機材料の不均一な加熱につながり、ひいては構造物上に形成される場合によっては不均一な蒸着有機層を生じることがある。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0016】
本発明の目的は、有機材料の薄い均一な層をコーティングできる熱物理蒸着源を提供することである。
本発明の別の目的は、広い面積をコーティングするのに特に適した熱物理蒸着源を提供することである。
本発明の別の目的は、熱物理蒸着源によって気化できる有機材料のペレットを有効に使用することである。
【課題を解決するための手段】
【0017】
上記の目的は、ディスプレイを形成する際基板の表面に向かって有機材料を含むペレットを気化する熱物理蒸着源であって、
(a)各々有機材料の圧縮ペレットを受け入れる複数の間隔の開いた通路を画定するハウジングと、
(b)ハウジングの間隔の開いた通路に対応する第1の複数の開口を備えた、ハウジングの上のカバープレートと、
(c)カバープレートの上に配置した電気ヒータ構造体と、
(d)電気ヒータ構造体の上に配置し少なくとも1つのアパーチャを有するアパーチャプレートと、
(e)電気ヒータ構造体と係合するアパーチャプレートとの間に配置し、カバープレートの第1の複数の開口及びハウジングの間隔の開いた通路に対応する少なくとも1つの開口を有する電気絶縁性スペーサ部材と、
(f)ペレットを気化し、材料の蒸気流出がカバープレートの第1の複数の開口、ヒータ構造体、電気絶縁性スペーサ部材及びアパーチャプレートのアパーチャを通過して基板に向かうようにする十分な熱を発生するため電流を電気ヒータ構造体に印加する手段とを備える熱物理蒸着源によって達成する。
【発明の効果】
【0018】
本発明の特徴は、OLEDディスプレイの一部を形成する薄い層を蒸着できる有機材料の圧縮ペレットを使用するよう設計した熱物理蒸着源を提供することである。
【0019】
本発明の別の特徴は、熱物理蒸着源が、比較的大きな構造体の上に少なくとも1つのホスト成分と少なくとも1つのドーパント成分とを含む均一な有機層を蒸着できることである。
【0020】
また、本発明の別の有益な特徴は、混合有機材料の圧縮ペレットが、単一成分粉末の場合のような多数蒸着源からの同時気化ではなく単一の熱物理蒸着源から長時間気化できることである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
「基板」という用語は、上に別の有機層が形成される1つかそれ以上の層を含むOLEDディスプレイの一部を示す。
【0022】
図1を参照すると、熱物理蒸着源100が例示されるが、そこでは複数の間隔の開いた通路120を画定するハウジング110が示され、間隔の開いた通路120は各々閉じた第1の端部112と開いた第2の端部114とを有する。間隔の開いた通路120は任意の形状及び寸法であり、有機材料の圧縮ペレット215(図2参照)が開いた第2の端部114を通じて挿入できるように製作する。
【0023】
ハウジング110は、石英、アルミナホウケイ酸ガラスのような高温ガラス及びアルミナ、ジルコニア、窒化ボロン、またはマグネシアのようなセラミックスといった断熱材料から形成すればよい。断熱材料を使用する目的は、使用する圧縮ペレット215が1つより多い有機成分を有する場合ハウジング110の熱特性を管理することであり、その詳細は後で説明する。また、熱物理蒸着源100を使用して主として単一の成分を含む圧縮ペレット214から有機層を蒸着する場合、ハウジング110は、ステンレス鋼、タンタル、タングステン、またはモリブデンといった熱伝導性材料を使用して製造してもよい。さらに、ハウジング110の温度は、温度源(図示せず)を制御すること、ハウジング110に液体または気体の流体を通す一体式冷却または加熱ライン(図示せず)を使用すること、または1つかそれ以上の加熱要素(図示せず)をハウジング110内に組み込むことを含む多様な異なる方法を使用して制御してもよい。
【0024】
熱物理蒸着源100はさらに、ハウジング110の上に配置したカバープレート130を含む。カバープレート130は第1の複数の開口134を画定し、各開口134はハウジング110の間隔の開いた通路120の1つに対応する。カバープレート130は、アルミナ、パイレックス(登録商標)のような高温ガラス、炭化ケイ素または窒化ケイ素といった電気絶縁材料から製造すればよい。
【0025】
熱物理蒸着源100はさらに電気ヒータ構造体140を含む。この実施形態では、電気ヒータ構造体140は、カバープレート130の上に配置した導電性ヒータプレート141を含む。電気ヒータ構造体140は図1に示すような単一のユニットでもよく、また加熱要素443(図4参照)の加熱アレイ442(図4参照)であってもよい。加熱要素443は直流電源148によって駆動する。ヒータプレート141は第2の複数の開口144を含み、第2の複数の開口144の各々1つはカバープレート130の第1の複数の開口134の各々1つに対応する。
【0026】
直流電源148はヒータプレート141を通じて駆動電流を提供する。電流がヒータプレート141を通過すると、熱放射が発生し、圧縮ペレット215の上部部分に吸収されて、気化ゾーン235(図2参照)内の圧縮ペレット215の一部を気化させる。気化は、ヒータプレート141とハウジング110との間に配置した気化ゾーン235で行われる。ヒータプレート141は、金属または導電性合金といった導電性材料から製造すればよい。ヒータプレート141に含まれる導電性材料は、熱物理蒸着源100の動作中気化した材料の凝結を防止するように選択する。
【0027】
熱物理蒸着源100はさらに、ヒータプレート141とアパーチャプレート160との間に配置した電気絶縁性スペーサ部材150を含む。電気絶縁性スペーサ部材150は、ヒータプレート141の第2の複数の開口144に対応する少なくとも1つの開口154を有する。電気絶縁性スペーサ部材150はアパーチャプレート160とヒータプレート141との間に配置し、ヒータプレート141を通過する電流からアパーチャプレート160を電気的に絶縁する。電気絶縁性スペーサ部材150は、セラミック、ガラス及びマイカといった電気絶縁性材料から製造すればよい。
【0028】
混合ゾーン255(図2参照)はヒータプレート141とアパーチャプレート160との間に配置する。また、電気絶縁性スペーサ部材150は、スペーサ部材150の上で凝結する内部気化材料のための電位を除去するように選択した材料を含んでもよい。
【0029】
アパーチャプレート160は、有機材料の蒸気がアパーチャプレート160を通過して基板270(図2参照)の上に蒸着できるようにする少なくとも1つのアパーチャ164を有する。アパーチャ164の形状と数は、蒸気流出の速度とパターンを制御し、基板270上の十分な蒸着厚さの均一性を促進するように選択する。アパーチャプレート160は、W、TaまたはMoのような高融点金属またはアルミナ、ジルコニア、マグネシアのようなセラミックス、または石英またはパイレックス(登録商標)のような高温ガラスを含んでもよい。
【0030】
電源148がヒータプレート141を通じて電流を駆動すると、気化ゾーン235で十分な熱が発生し、圧縮ペレット215の一部を気化する。気化ゾーン235で発生した有機材料の蒸気は順次、カバープレート130の第1の複数の開口134、ヒータプレート141の第2の複数の開口144、電気絶縁性スペーサ部材150、及びアパーチャプレート160のアパーチャ164を通過する。さらに、気化した材料がカバープレート130、スペーサ部材150、またはアパーチャプレート160の上で凝結するのを防止する追加の加熱要素を、カバープレート130、スペーサ部材150、及びアパーチャプレート160の上、またはその近くに配置してもよい。
【0031】
図2を参照すると、熱物理蒸着源200の別の実施形態の断面図が示される。圧縮ペレット215はハウジング210の複数の間隔の開いた通路220内に配置するが、その詳細は前に説明した(図1参照)。間隔の開いた通路220は、開いた第1の端部212と開いた第2の端部214とを有する多数の形状を含んでもよく、間隔の開いた通路220は各々圧縮ペレット215を受け入れることができる。
【0032】
間隔の開いた通路220は、圧縮ペレット215が間隔の開いた通路220の開いた第2の端部214を通じて挿入できるように形成する。この実施形態では、圧縮ペレット215の上部部分が気化ゾーン235内にあるように圧縮ペレット215を前進させる方法は複数のプッシュロッド225を含む。プッシュロッド225は間隔の開いた通路220の開いた第1の端部212に挿入可能であり、圧縮ペレット215の位置を調整して気化ゾーン235内での気化の際の材料の損失を補償するため間隔の開いた通路220内の圧縮ペレット215に係合する。気化ゾーン235はハウジング210と電気ヒータ構造体240との間の領域として画定する。
【0033】
圧縮ペレット215を間隔の開いた通路220に挿入し、プッシュロッド225が圧縮ペレット215に係合するまでプッシュロッド225を間隔の開いた通路220の開いた第1の端部212に挿入する。圧縮ペレット215の気化の際、圧縮ペレット215の上部部分は気化ゾーン235内で気化する。プッシュロッド225は間隔の開いた通路220を通じて圧縮ペレット215を移動させ、ペレット215が完全に気化するまで圧縮ペレット215を気化ゾーン235に露出する。このため、プッシュロッド225は、プッシュロッドの位置を変更するため手動で調整可能な蝶ネジ組立体227に係合する。
【0034】
樽形ネジ、各プッシュロッド225に接続され単一のネジによって駆動される共通ベース、全てのプッシュロッド225を同時に押す液圧または空圧ジャッキ、またはプッシュロッド225の移動を操作するコンピュータ制御システムを含む、プッシュロッド225を位置決めする代替実施形態を使用してもよい。
【0035】
熱物理蒸着源200はさらに、ハウジング210の上のカバープレート230を含む。カバープレート230は第1の複数の開口234を画定し、各開口234はハウジング210の間隔の開いた通路220の各々1つに対応する。カバープレート230は、アルミナ、パイレックス(登録商標)のような高温ガラス、炭化ケイ素または窒化ケイ素といった熱伝導性及び電気絶縁性材料から製造すればよい。
【0036】
熱物理蒸着源200はさらに電気ヒータ構造体240を含む。この実施形態では、電気ヒータ構造体240は、カバープレート230の上に配置した導電性ヒータプレート241を含む。ヒータプレート241は第2の複数の開口244を含み、第2の複数の開口244の各々1つはカバープレート230の第1の複数の開口234の各々1つに対応する。
【0037】
直流電源148(図1参照)はヒータプレート241を通じて駆動電流を提供する。電流がヒータプレート241を通過すると、ヒータプレート241から熱放射が発生する。熱放射は圧縮ペレット215の上部部分に吸収され、圧縮ペレット215の気化を発生する。ヒータプレート241は、石英バルブ、ストリップタンタル、カートリッジヒータ、及び他の金属といった導電性材料を含んでもよい。ヒータプレート241の材料は、熱物理蒸着源200の動作中気化した材料の凝結を防止するように選択してもよい。
【0038】
熱物理蒸着源200はさらに、ヒータプレート241の上に配置した電気絶縁性スペーサ部材250と、電気絶縁性スペーサ部材250の上に配置したアパーチャプレート260とを含む。電気絶縁性スペーサ部材250は、ヒータプレート241の第2の複数の開口244、カバープレート230の第1の複数の開口234及びハウジング210の間隔の開いた通路220に対応する少なくとも1つの開口254を有する。電気絶縁性スペーサ部材250はアパーチャプレート260とヒータプレート241との間に配置し、ヒータプレート241を通過する電流からアパーチャプレート260を電気的に絶縁する。電気絶縁性スペーサ部材250は、セラミック、ガラス及びマイカといった電気絶縁性材料から製造すればよい。
【0039】
混合ゾーン255はヒータプレート241とアパーチャプレート260との間に配置する。電気絶縁性スペーサ部材250は、スペーサ部材250の上で凝結する内部気化材料のための電位を除去するように選択した材料を含んでもよい。
【0040】
アパーチャプレート260は、有機材料の蒸気がアパーチャプレート260を通過して基板270に蒸着できるようにする少なくとも1つの開口264を有する。アパーチャ264の形状と数は、蒸気流出の速度とパターンを制御し、基板270上の十分な蒸着厚さの均一性を促進するように選択する。
【0041】
この実施形態では、有機材料から製造した圧縮ペレット215が気化ゾーン235内で気化する。有機材料の蒸気は順次、カバープレート230の第1の複数の開口234、ヒータプレート241の第2の複数の開口244、電気絶縁性スペーサ部材250、及びアパーチャプレート260のアパーチャ264を通過する。アパーチャプレート260は、W、TaまたはMoのような高融点金属またはアルミナ、ジルコニア、マグネシアのようなセラミックス、または石英またはパイレックス(登録商標)のような高温ガラスを含んでもよい。アパーチャプレート260の材料は、圧縮ペレット215の気化の際気化した材料の凝結を防止するように選択してもよい。さらに、気化した材料がカバープレート230、スペーサ部材250、及びアパーチャプレート260の上で凝結するのを防止する追加の加熱要素を、カバープレート230、電気絶縁性スペーサ部材250、及びアパーチャプレート260の上、またはその近くに配置してもよい。
【0042】
図3を参照すると、熱物理蒸着源300の別の実施形態が例示されるが、そこでは圧縮ペレット315はハウジング310の複数の間隔の開いた通路320内に配置する。間隔の開いた通路320は多数の形状を含んでもよく、開いた第1の端部312と開いた第2の端部324とを有し圧縮ペレット315を受け入れることができる。
【0043】
この実施形態では、間隔の開いた通路320は、断面積の大きな間隔の開いた通路321と断面積の小さな間隔の開いた通路322との両方を含み、異なる寸法と異なる組成の圧縮ペレット315を受け入れる。例えば、ホスト有機材料を含むペレットは断面積の大きな間隔の開いた通路321内に収容し、ドーパント有機材料を含むペレットは断面積の小さな間隔の開いた通路322内に収容して、多成分薄膜の蒸着をサポートしてもよい。こうしたホストとドーパントとの有機材料は気化の際混合し、間隔の開いた通路320の断面積と気化速度とによって制御された割合で基板上に蒸着される。
【0044】
ハウジング310は、黒鉛、石英、タンタル、セラミックス、及び金属といった電気絶縁性または導電性材料から製造すればよい。さらに、ハウジング310の温度は、温度源(図示せず)を制御すること、ハウジング310に液体または気体の流体を通す一体式冷却または加熱ライン(図示せず)を使用すること、または1つかそれ以上の加熱要素(図示せず)をハウジング310内に組み込むことを含む多様な異なる方法を使用して制御してもよい。
【0045】
間隔の開いた通路320は、圧縮ペレット315が間隔の開いた通路320の開いた第2の端部314に挿入できるように形成する。この実施形態では、圧縮ペレット315の上部部分が気化ゾーン335内にあるようにペレットを前進させる方法は複数のプッシュロッド325を含む。プッシュロッド325は間隔の開いた通路320の開いた第1の端部312に挿入可能であり、ペレット315の位置を調整して気化ゾーン335内での気化の際の材料の損失を補償するためペレット315に係合する。気化ゾーン335はハウジング310と電気ヒータ構造体340との間の領域として画定する。
【0046】
圧縮ペレット315を間隔の開いた通路320に挿入し、プッシュロッド325が圧縮ペレット315に係合するまでプッシュロッド325を間隔の開いた通路320の開いた第1の端部312に挿入する。圧縮ペレット315の気化の際、ペレット315の上部部分は気化ゾーン335内で気化する。プッシュロッド325は間隔の開いた通路320を通じて圧縮ペレット315を移動させ、ペレット315が完全に気化するまで圧縮ペレット315を気化ゾーン335に露出する。このため、プッシュロッド325は、プッシュロッドの位置を変更するため手動で調整可能な蝶ネジ組立体327に係合してもよい。
【0047】
樽形ネジ、各プッシュロッド325に接続され単一のネジによって駆動される共通ベース、全てのプッシュロッド325を同時に押す液圧または空圧ジャッキ、またはプッシュロッド325の移動を操作するコンピュータ制御システムを含む、プッシュロッド325を位置決めする代替実施形態を使用してもよい。
【0048】
熱物理蒸着源300はさらに、ハウジング320の上のカバープレート330を含む。カバープレート330は第1の複数の開口334を含み、第1の複数の開口334の各々1つはハウジング310の間隔の開いた通路320の各々1つに対応する。カバープレート330は、アルミナ、パイレックス(登録商標)のような高温ガラス、炭化ケイ素または窒化ケイ素といった熱伝導性及び電気絶縁性材料を含んでもよい。
【0049】
熱物理蒸着源300はさらに、電気ヒータ構造体340を含む。この実施形態では、電気ヒータ構造体340は、カバープレート330の上に配置した導電性ヒータプレート341を含む。ヒータプレート341は第2の複数の開口344を含み、第2の複数の開口344の各々1つはカバープレート330の第1の複数の開口334に対応する。
【0050】
直流電源148(図1参照)はヒータプレート341を通じて駆動電流を提供する。電流がヒータプレート341を通過すると、ヒータプレート341から熱放射が発生する。熱放射は圧縮ペレット315の上部部分によって吸収され、圧縮ペレット315の気化が行われる。ヒータプレート341は、石英バルブ、スプリットタンタル、カートリッジヒータ、及び他の金属といった導電性材料を含んでもよい。ヒータプレート341の材料は、熱物理蒸着源300の動作中気化した材料の凝結を防止するように選択してもよい。
【0051】
熱物理蒸着源300はさらに、ヒータプレート341の上に配置した電気絶縁性スペーサ部材350と、電気絶縁性スペーサ部材350の上に配置したアパーチャプレート360とを含む。電気絶縁性スペーサ部材350は、ヒータプレート341の第2の複数の開口344、カバープレート330の第1の複数の開口334、及びハウジング310の間隔の開いた通路320に対応する少なくとも1つの開口354を有する。電気絶縁性スペーサ部材350はアパーチャプレート360と電気ヒータ構造体340との間に配置し、ヒータプレート341を通過する電流からアパーチャプレート360を電気的に絶縁する。電気絶縁性スペーサ部材350はセラミック、ガラス及びマイカといった電気絶縁性材料から製造すればよい。
【0052】
混合ゾーン355はヒータプレート341とアパーチャプレート360との間に配置する。また、電気絶縁性スペーサ部材350は、スペーサ部材350上で凝結する内部気化材料のための電位を除去するように選択した材料を含んでもよい。
【0053】
アパーチャプレート360は、有機材料の蒸気がアパーチャプレート360を通過して基板270(図2参照)に蒸着できるようにする少なくとも1つのアパーチャ364を含む。アパーチャ364の形状と数は、蒸気流出の速度とパターンを制御し、基板270上の十分な蒸着厚さの均一性を促進するように選択する。
【0054】
この実施形態では、有機材料から製造した圧縮ペレット315が気化ゾーン335内で気化する。有機材料の蒸気は順次、カバープレート330の第1の複数の開口334、ヒータプレート341の第2の複数の開口344、電気絶縁性スペーサ部材350、及びアパーチャプレート360のアパーチャ364を通過する。アパーチャプレート360は、W、TaまたはMoのような高融点金属またはアルミナ、ジルコニア、マグネシアのようなセラミックス、または石英またはパイレックス(登録商標)のような高温ガラスを含んでもよい。アパーチャプレート360の材料は、圧縮ペレット315の気化の際気化した材料の凝結を防止するように選択してもよい。さらに、気化した材料がカバープレート330、電気絶縁性スペーサ部材350、またはアパーチャプレート360の上で凝結するのを防止する追加の加熱要素を、カバープレート330、スペーサ部材350、及びアパーチャプレート360の上、またはその近くに配置してもよい。
【0055】
図4を参照すると、熱物理蒸着源400の別の実施形態が例示されるが、そこでは圧縮ペレット215(図2)はハウジング410の複数の間隔の開いた通路420内に配置する。間隔の開いた通路420は多数の形状及び寸法を含んでもよく、開いた第1の端部412と開いた第2の端部414とを有し圧縮ペレット215を受け入れることができる。ハウジング410は、石英、タンタル、セラミックス、及びガラスセラミックスといった断熱及び電気絶縁性材料を含んでもよい。
【0056】
間隔の開いた通路420は、圧縮ペレット215が間隔の開いた通路420の開いた第2の端部414に挿入できるように形成する。この実施形態では、圧縮ペレット215の上部部分が気化ゾーン235内にあるように圧縮ペレット215を前進させる方法は前に説明したようなプッシュロッド225を含む。プッシュロッド225は間隔の開いた通路420の開いた第1の端部412に挿入可能であり、圧縮ペレット215の位置を調整して気化ゾーン235内での気化の際の材料の損失を補償するため間隔の開いた通路420内の圧縮ペレット215に係合する。気化ゾーン235はハウジング410と電気ヒータ構造体440との間の領域として画定する。
【0057】
圧縮ペレット215を間隔の開いた通路420に挿入し、プッシュロッド225が圧縮ペレット215に係合するまでプッシュロッド225を間隔の開いた通路420の開いた第1の端部412に挿入する。圧縮ペレット215の気化の際、ペレット215の上部部分は気化ゾーン235内で気化する。プッシュロッド225は間隔の開いた通路420を通じて圧縮ペレット215を移動させ、ペレット215が完全に気化するまで圧縮ペレット215を気化ゾーン235に露出する。このため、プッシュロッド225は、プッシュロッドの位置を変更するため手動で調整可能な蝶ネジ組立体227に係合する。
【0058】
樽形ネジ、全てのプッシュロッド225に接続され単一のネジによって駆動される共通ベース、全てのプッシュロッド225を同時に押す液圧または空圧ジャッキ、またはプッシュロッド225の移動を操作するコンピュータ制御システムを含む、プッシュロッド225を位置決めする代替実施形態を使用してもよい。
【0059】
熱物理蒸着源400はさらに、ハウジング410の上のカバープレート430を含む。カバープレート430は第1の複数の開口434を含み、第1の複数の開口434の各々1つはハウジング410の間隔の開いた通路420の各々1つに対応する。カバープレート430は、アルミナ、パイレックス(登録商標)のような高温ガラス、炭化ケイ素または窒化ケイ素といった熱伝導性及び電気絶縁性材料を含んでもよい。カバープレート430の材料は、圧縮ペレット215の気化の際カバープレート430の表面への気化した材料の凝結を防止するように選択してもよい。
【0060】
熱物理蒸着源400はさらに、電気ヒータ構造体440を含む。この実施形態では、電気ヒータ構造体440は、カバープレートの上に配置し、カバープレート430の第1の複数の開口434及びハウジング410の間隔の開いた通路420に対応する第2の複数の開口444を有するヒータプレート441を含む。電気ヒータ構造体440はさらに加熱アレイ442を含み、この加熱アレイ442は、ヒータプレート441の上の複数の加熱要素443を含み、この各加熱要素443がヒータプレート441の各開口に対応する。
【0061】
直流電源148(図1参照)は加熱要素443を通じて駆動電流を提供する。電流が加熱要素443を通過すると、個々の加熱要素443に印加された電流に比例した熱放射が加熱要素443から発生する。熱放射は気化ゾーン内の圧縮ペレット215の一部に吸収され、圧縮ペレット215の気化が行われる。加熱アレイ442内の加熱要素443とヒータプレート441とは石英バルブ、ストリップタンタル、カートリッジヒータ、及び他の金属を含む。電気ヒータ構造体440の材料は、熱物理蒸着源400の動作中気化した材料の凝結を防止するように選択してもよい。
【0062】
個別制御される加熱要素443を使用する利点は、可変放射プロファイルを発生することによってヒータ構造体の温度勾配を制御し、その結果個々の圧縮ペレット215の気化の速度のより良好な制御が得られることを含む。図4の実施形態を図3の実施形態と組み合わせることによって、内部混合挙動の制御の改善と基板270上に蒸着する蒸気組成の制御の改善とによる制御の改善された蒸着を行ってもよい。
【0063】
熱物理蒸着源400はさらに、電気ヒータ構造体440の上に配置した電気絶縁性スペーサ部材450と、電気絶縁性スペーサ部材450の上に配置したアパーチャプレート460とを含む。電気絶縁性スペーサ部材450は、電気ヒータ構造体440の第2の複数の開口444、カバープレート430の第1の複数の開口434、及びハウジング410の間隔の開いた通路420に対応する少なくとも1つの開口454を有する。電気絶縁性スペーサ部材450はアパーチャプレート460と電気ヒータ構造体440との間に配置し、電気ヒータ構造体440を通過する電位と結果として生じる電流からアパーチャプレート460を電気的に絶縁する。電気絶縁性スペーサ部材450はセラミック、ガラス及びマイカといった電気絶縁性材料から製造すればよい。
【0064】
混合ゾーン255はヒータプレート441とアパーチャプレート460との間に配置する。また、電気絶縁性スペーサ部材450は、スペーサ部材450の上で凝結する内部気化材料のための電位を除去するように選択した材料を含んでもよい。
【0065】
アパーチャプレート460は、有機材料の蒸気がアパーチャプレート460を通過して基板270に蒸着できるようにする少なくとも1つのアパーチャ464を含む。アパーチャ464の形状と数は、蒸気流出の速度とパターンを制御し、基板270上の十分な蒸着厚さの均一性を促進するように選択する。
【0066】
この実施形態では、有機材料から製造した圧縮ペレット215は気化ゾーン235内で気化する。有機材料の蒸気は順次、カバープレート430の第1の複数の開口434、ヒータプレート441の第2の複数の開口444、電気絶縁性スペーサ部材450、及びアパーチャプレート460のアパーチャ464を通過する。アパーチャプレート460は、W、TaまたはMoのような高融点金属またはアルミナ、ジルコニア、マグネシアのようなセラミックス、または石英またはパイレックス(登録商標)のような高温ガラスを含んでもよい。アパーチャプレート460の材料は、圧縮ペレット215の気化の際気化した材料の凝結を防止するように選択してもよい。さらに、蒸気材料がカバープレート430、スペーサ部材450、またはアパーチャプレート460の上で凝結するのを防止する追加の加熱要素を、カバープレート430、スペーサ部材450、及びアパーチャプレート460の上、またはその近くに配置してもよい。
【0067】
本発明はいくつかの好適実施形態を特に参照して説明したが、本発明の精神と範囲の中で変更及び修正が可能であることが理解されるだろう。
【図面の簡単な説明】
【0068】
【図1】本発明による熱物理蒸着源の分解図である。
【図2】図1の熱物理蒸着源の断面図である。
【図3】熱物理蒸着源の別の実施形態の断面図である。
【図4】異なる電気ヒータ構造体を有する熱物理蒸着源の分解図である。
【符号の説明】
【0069】
100 熱物理蒸着源
110 ハウジング
112 閉じた第1の端部
114 開いた第2の端部
120 間隔の開いた通路
130 カバープレート
134 第1の複数の開口
140 電気ヒータ構造体
141 ヒータプレート
144 第2の複数の開口
148 電源
150 電気絶縁性スペーサ部材
154 開口
160 アパーチャプレート
164 アパーチャ
200 熱物理蒸着源
210 ハウジング
212 開いた第1の端部
214 開いた第2の端部
215 圧縮ペレット
220 間隔の開いた通路
225 プッシュロッド
227 蝶ネジ組立体
230 カバープレート
234 第1の複数の開口
235 気化ゾーン
240 電気ヒータ組立体
241 ヒータプレート
244 第2の複数の開口
250 電気絶縁性スペーサ部材
254 開口
255 混合ゾーン
260 アパーチャプレート
264 アパーチャ
270 基板
300 熱物理蒸着源
310 ハウジング
312 開いた第1の端部
314 開いた第2の端部
315 圧縮ペレット
320 間隔の開いた通路
321 断面積の大きな間隔の開いた通路
322 断面積の小さな間隔の開いた通路
325 プッシュロッド
327 蝶ネジ組立体
330 カバープレート
334 第1の複数の開口
335 気化ゾーン
340 電気ヒータ構造体
341 ヒータプレート
344 第2の複数の開口
350 電気絶縁性スペーサ部材
354 開口
355 混合ゾーン
360 アパーチャプレート
364 アパーチャ
400 熱物理蒸着源
410 ハウジング
412 開いた第1の端部
414 開いた第2の端部
420 間隔の開いた通路
430 カバープレート
434 第1の複数の開口
440 電気ヒータ構造体
441 ヒータプレート
442 加熱アレイ
443 加熱要素
444 第2の複数の開口
450 電気絶縁性スペーサ部材
454 開口
460 アパーチャプレート
464 アパーチャ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ディスプレイを形成する際基板の表面に向かって有機材料を含むペレットを気化する熱物理蒸着源であって、
(a)各々有機材料の圧縮ペレットを受け入れる複数の間隔の開いた通路を画定するハウジングと、
(b)前記ハウジングの前記間隔の開いた通路に対応する第1の複数の開口を備えた、前記ハウジングの上のカバープレートと、
(c)前記カバープレートの上に配置した電気ヒータ構造体と、
(d)前記電気ヒータ構造体の上に配置し少なくとも1つのアパーチャを有するアパーチャプレートと、
(e)前記電気ヒータ構造体と係合する前記アパーチャプレートとの間に配置し、前記カバープレートの前記第1の複数の開口及び前記ハウジングの前記間隔の開いた通路に対応する少なくとも1つの開口を有する電気絶縁性スペーサ部材と、
(f)前記ペレットを気化し、材料の蒸気流出が前記カバープレートの前記第1の複数の開口、前記ヒータ構造体、前記電気絶縁性スペーサ部材及び前記アパーチャプレートの前記アパーチャを通過して前記基板に向かうようにする十分な熱を発生するため電流を前記電気ヒータ構造体に印加する手段とを備える熱物理蒸着源。
【請求項2】
前記ハウジングが断熱材料を含む、請求項1に記載の熱物理蒸着源。
【請求項3】
前記電気ヒータ構造体が前記カバープレートの上の導電性ヒータプレートを含み、該ヒータプレートが第2の複数の開口を有し、前記ヒータプレートの各開口が前記カバープレートの第1の複数の開口に対応し前記ハウジングの間隔の開いた通路に対応する、請求項1に記載の熱物理蒸着源。
【請求項4】
前記カバープレートが電気絶縁性材料を含む、請求項1に記載の熱物理蒸着源。
【請求項5】
前記電気絶縁性スペーサ部材が電気絶縁性材料を含む、請求項1に記載の熱物理蒸着源。
【請求項6】
前記アパーチャプレートが電気絶縁性材料を含み、前記電気絶縁性スペーサ部材によって前記導電性ヒータプレートから電気的に絶縁されている、請求項1に記載の熱物理蒸着源。
【請求項7】
蒸気流出の異なる流速とパターンを形成するため前記アパーチャプレートの前記アパーチャの異なる断面積が選択される、請求項1に記載の熱物理蒸着源。
【請求項8】
前記ヒータ構造体が1つかそれ以上の加熱要素を含む、請求項1に記載の熱物理蒸着源。
【請求項9】
さらに、前記電気ヒータ構造体と前記アパーチャプレートとの間に画定される混合ゾーンを含む、請求項1に記載の熱物理蒸着源。
【請求項10】
前記電気ヒータ構造体が複数の加熱要素を備えた加熱アレイを含む、請求項1に記載の熱物理蒸着源。
【請求項11】
さらに、ペレットの位置を調整して気化の際の材料の損失を補償するため前記間隔の開いた通路内の前記ペレットに係合可能な手段を含む、請求項1に記載の熱物理蒸着源。
【請求項12】
ディスプレイを形成する際基板の表面に向かって有機材料を含むペレットを気化する熱物理蒸着源であって、
(a)各々開いた第1の端部と開いた第2の端部とを有しペレットを受け入れることができる複数の間隔の開いた通路を画定するハウジングと、
(b)前記ハウジングの前記間隔の開いた通路に対応する第1の複数の開口を備えた、前記ハウジングの上のカバープレートと、
(c)前記カバープレートの上の電気ヒータ構造体と、
(d)前記ハウジングと前記電気ヒータ構造体との間に画定された気化ゾーンと、
(e)前記通路内のペレットに係合し前記ペレットを前記気化ゾーン内に移動させるため前記間隔の開いた通路の1つの前記開いた第1の端部に各々挿入可能なプッシュロッドと、
(f)各ペレットの上部部分を前記気化ゾーン内に移動させるため、前記ペレットに係合する前記プッシュロッドを移動させる手段と、
(g)少なくとも1つのアパーチャを有するアパーチャプレートと、
(h)前記電気ヒータ構造体と係合する前記アパーチャプレートとの間に配置し、前記カバープレートの前記第1の複数の開口及び前記ハウジングの前記間隔の開いた通路に対応する少なくとも1つの開口を有する電気絶縁性スペーサ部材と、
(i)前記ペレットを気化し、材料の蒸気流出が前記カバープレートの前記第1の複数の開口、前記電気ヒータ構造体、前記電気絶縁性スペーサ部材及び前記アパーチャプレートの前記アパーチャを通過して前記基板に向かうようにする十分な電流を前記電気ヒータ構造体に印加する手段とを備える熱物理蒸着源。
【請求項13】
前記ハウジングが断熱材料を含む、請求項12に記載の熱物理蒸着源。
【請求項14】
前記カバープレートが電気絶縁性材料を含む、請求項12に記載の熱物理蒸着源。
【請求項15】
前記電気ヒータ構造体が、前記カバープレートの上の、各々前記カバープレートの前記第1の複数の開口及び前記ハウジングの前記間隔の開いた通路の各々に対応する第2の複数の開口を有する導電性ヒータプレートを含む、請求項12に記載の熱物理蒸着源。
【請求項16】
前記スペーサ部材が電気絶縁性材料を含む、請求項12に記載の熱物理蒸着源。
【請求項17】
前記アパーチャプレートが電気絶縁性材料を含み、前記スペーサ部材によって前記導電性プレートから電気的に絶縁されている、請求項12に記載の熱物理蒸着源。
【請求項18】
前記アパーチャプレートの前記アパーチャが、蒸気流出の異なる流速とパターンを発生するため異なる断面積を有するよう選択される、請求項12に記載の熱物理蒸着源。
【請求項19】
前記電気ヒータ構造体が複数の加熱要素を備えた加熱アレイを含む、請求項12に記載の熱物理蒸着源。
【請求項20】
さらに、前記電気ヒータ構造体と前記アパーチャプレートとの間に画定される混合ゾーンを含む、請求項12に記載の熱物理蒸着源。
【請求項21】
前記ペレットと係合する前記プッシュロッドを移動させる前記手段が、樽形ネジ、全ての前記プッシュロッドに接続され単一のネジによって駆動される共通ベース、前記プッシュロッドに同時に係合する液圧または空圧ジャッキ、または前記プッシュロッドの移動を操作する自動またはコンピュータ制御システムを含む、請求項12に記載の熱物理蒸着源。
【請求項22】
ディスプレイを形成する際基板の表面に向かって有機材料を含むペレットを気化する熱物理蒸着源であって、
(a)各々開いた第1の端部と開いた第2の端部とを有しペレットを受け入れることができる複数の間隔の開いた通路を画定するハウジングと、
(b)前記ハウジングの前記間隔の開いた通路に対応する第1の複数の開口を備えた、前記ハウジングの上のカバープレートと、
(c)前記カバープレートの上に配置した、前記カバープレートの前記第1の複数の開口に対応する第2の複数の開口と、各々前記導電性ヒータプレートの各開口に対応する複数の加熱要素を含む加熱アレイとを備えた、導電性ヒータプレートを含む電気ヒータ構造体と、
(d)前記ハウジングと前記電気ヒータ構造体との間に画定された気化ゾーンと、
(e)ペレットに係合し前記ペレットを前記気化ゾーン内に移動させるため前記間隔の開いた通路の1つの前記開いた第1の端部に各々挿入可能なプッシュロッドと、
(f)前記電気ヒータ構造体の上の、前記カバープレートの前記第1の複数の開口及び前記ハウジングの前記間隔の開いた通路に対応する少なくとも1つの開口を備えた電気絶縁性スペーサ部材と、
(g)前記絶縁プレートの上の、少なくとも1つのアパーチャを有するアパーチャプレートと、
(h)前記電気ヒータ構造体と前記アパーチャプレートとの間に画定された混合ゾーンと、
(i)複数の加熱要素を含む加熱アレイに電流を印加し、それによって、前記ペレットを気化し、材料の蒸気流出が前記カバープレートの前記第1の複数の開口、前記電気ヒータ構造体の前記第2の複数の開口、前記電気絶縁性スペーサ部材及び前記アパーチャプレートの前記アパーチャを通過して前記基板に向かうようにする前記電気ヒータ構造体の温度勾配を制御する手段とを備える熱物理蒸着源。
【請求項23】
ディスプレイを形成する際基板の表面に向かって有機材料を含む複数のペレットを気化する熱物理蒸着源であって、
(a)複数の間隔の開いた通路を画定し、その際いくつかの通路がホスト有機材料の圧縮ペレットを受け入れ他の通路がドーパント有機材料を受け入れるハウジングと、
(b)前記ハウジングの前記間隔の開いた通路に対応する第1の複数の開口を備えた、前記ハウジングの上のカバープレートと、
(c)前記カバープレートの上に配置した電気ヒータ構造体と、
(d)前記電気ヒータ構造体の上に配置し少なくとも1つのアパーチャを有するアパーチャプレートと、
(e)前記電気ヒータ構造体と係合する前記アパーチャプレートとの間に配置し、前記カバープレートの前記第1の複数の開口及び前記ハウジングの前記間隔の開いた通路に対応する少なくとも1つの開口を有する電気絶縁性スペーサ部材と、
(f)前記ペレットを気化し、材料の蒸気流出が前記カバープレートの前記第1の複数の開口、前記ヒータ構造体、前記電気絶縁性スペーサ部材及び前記アパーチャプレートの前記アパーチャを通過して前記基板に向かうようにする十分な熱を発生するため電流を前記電気ヒータ構造体に印加する手段とを備える熱物理蒸着源。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公表番号】特表2007−507601(P2007−507601A)
【公表日】平成19年3月29日(2007.3.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−521090(P2006−521090)
【出願日】平成16年7月6日(2004.7.6)
【国際出願番号】PCT/US2004/021565
【国際公開番号】WO2005/067423
【国際公開日】平成17年7月28日(2005.7.28)
【出願人】(590000846)イーストマン コダック カンパニー (1,594)
【Fターム(参考)】