説明

OLED用途のためのランタノイドエミッター

本発明は、発光素子、特に、有機発光素子(OLED)に関する。本発明は、より特別には、そのような素子でのエミッターとしてのルミネッセンスランタノイド錯体の使用に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、発光素子、特に、有機発光素子(OLED)に関する。本発明は、より特別には、そのような素子でのエミッターとしてのルミネッセンスランタノイド錯体の使用に関する。
【0002】
OLED(有機発光素子若しくは有機発光ダイオード)は、表示スクリーンと照明技術を劇的に変化させるであろう新規な技術である。OLEDは、製造に順応性があり安価でもある有機層から主として成る。OLED素子は、照明要素として大面積を有するようにのみならず、表示装置のための画素として小さいように設計することができる。
【0003】
OLEDの機能の概要は、例えば、H. Yersin, Top. Curr. Chem. 2004, 241, 1とH. Yersin,「燐光材料を有する高度に効率なOLED」Wiley-VCH 2007で与えられる。
【0004】
OLEDの機能は、また、C. Adachi et al., Appl. Phys. Lett. 2001, 78, 1622、X.H. Yang et al., Appl. Phys. Lett. 2004, 84, 2476、J. Shinar,「有機発光素子−研究」, AIP-Press, Springer, New York 2004、W. Sotoyama et al., Appl. Phys. Lett. 2005, 86, 153505、S. Okada et al., Dalton Trans., 2005, 1583及びY. -L. Tung et al., J. Mater. Chem., 2005, 15, 460-464.に記載されてきた。
【0005】
OLEDに関する最初の報告(例えば、Tang et al., Appl. Phys. Lett. 51 (1987) 913参照。)以来、これら素子は、特に、使用されるエミッター材料に関して、特に、いわゆる近年関心の高い燐光エミッターと共に、更に開発されてきた。
【0006】
例えば、液晶表示装置(LCD)、プラズマ表示装置或いは陰極線管(CRT)のような従来技術と比べると、OLEDは、例えば、低い動作電圧、平坦なデザイン、高度に効率的な自己照光画素、高い明暗比と良好な解像度と同時に全色表示の可能性のような数々の利点を有する。更に、OLEDは、電圧を単に変調する代わりに、電圧の適用で発光する。多くの応用が、OLEDのために既に開発されてきており、また、新規な応用分野が切り開かれてきたが、改善されたOLEDのための、特に、改善されたエミッター材料のための需要が、未だ存在する。特に、長期間の安定性、熱的安定性と水及び酸素に対する化学的安定性に関する問題が、これまでの解決策において生じている。更に、多くのエミッターは、低い昇華能しか示さない。更に、重要な発光色は、これまでに知られたエミッターでは得ることができないことが多い。また、高い電流密度或いは高い輝度密度と同時に、高い効率を達成することはできないことが多い。最後に、問題は、多くのエミッター材料の場合に製造の再現性に関して存在する。
【0007】
有機金属物質、いわゆるエミッターを含むOLED、の光収率は、純粋な有機材料に対してよりも顕著に大きいことが、更に観察された。この特性の結果、有機金属材料の更なる開発が、かなりの重要性を有する。エミッターは、例えば、WO 2004/017043 A2(トンプソン)、WO 2004/016711 A1(トンプソン)、WO 03/095587(ツボヤマ)、US 2003/0205707(チーミン チェ)、US 2002/0179885(チーミン チェ)、US 2003/186080 A1(ジェー カマタニ)、DE 10350606 A1(シュテーセル)、DE 10338550(ボルト)、DE 10358665 A1(レナーツ)に記載されてきた。
【0008】
ランタノイド化合物は、また、エミッター材料として既に使用されてきた。ランタノイド化合物の利点は、そのフォト-或いはエレクトロルミネッセンスの狭い線幅に帰するその高い色純度である。ランタノイド錯体とOLEDでのそれの使用は、例えば、WO 98/55561 A1、WO 2004/016708 A1、WO 2004/058912、EP 0744451 A1、WO 00/44851 A2、WO 98/58037及びUS 5128587に記載されてきた。しかしながら、これら化合物、例えば、WO 98/55561に記載された化合物は、ランタノイド化合物によく観察される不利益を有する。水に接触すると、水酸化物と酸化物の形成と共に、大多数の錯体で分解が急速に生じ、OLEDの長期的安定性に関して問題を引き起こす。水溶液においては、多くのランタノイド化合物の配位領域の飽和不良は、ランタノイドカチオンが、水への配位に抗して充分に遮断されず、分解を生じることを意味する。
【0009】
少なくとも部分的に先行技術の不利益を解消し、特に、水と空気に対して安定である、特に、OLEDのための新規なエミッター材料と新規な発光素子を提供することが、本発明の目的であった。
【0010】
この目的は、本発明にしたがって、(i)陽極、(ii)陰極及び(iii)少なくとも一つの式(I)若しくは(II)の錯体を含む、陽極と陰極の間で、直接或いは間接的に陽極と陰極に接触して配置されたエミッター層を含む発光素子により達成される。
【化1】

【0011】
ここで、
Ln=Ce3+、Ce4+、Pr3+、Pr4+、Nd3+、Nd4+、Pm3+、Sm3+、Eu3+、Eu2+、Gd3+、Tb3+、Tb4+、Dy3+、Dy4+、Ho3+、Er3+、Tm3+、Tm2+、Yb3+、Yb2+若しくはLu3+であり、
=置換されても、非置換でもよいピラゾリル、トリアゾリル、ヘテロアリール、アルキル、アリール、アルコキシ、フェノラート、アミン若しくはアミド基又は
=R若しくはH、及び
、R、R、R、R=H、ハロゲン若しくは随意にヘテロ原子を含んでもよい炭化水素基、特に、アルキル、アリール若しくはヘテロアリールである。化合物の揮発性を増加するために、基R−Rは、フッ素化されてよい。
【0012】
驚くべきことに、エミッター層中の式(I)若しくは(II)の錯体の本発明による使用は、優れた特性を有する発光素子を得ることを可能にすることが観察された。配位子の硼素原子上の水素とは異なる基Rは、本発明にしたがって、空気中で安定で可溶性のLn錯体(式(I)の物質)を得ることを可能とする。硼素原子上の基Rの存在は、安定な錯体を与えるが、他方、可溶性で水と空気に安定なLn錯体は、硼素上の水素原子の存在下では、WO 98/55561に記載のように、ピラゾリル基上の置換パターンの改変によっては得ることができないことが、本発明によると観察された。トリアゾール基(式(II)の化合物)が、ピラゾリル基に代えて使用されるならば、所望の特性を得ることができることも更に観察された。
【0013】
本発明による化合物は、特に、合成的に取得する一番簡単なものであるが故に、特に、好ましくは、硼素原子上のホモレプチックな置換パターンを有する化合物である。この場合、化合物は、好ましい式(Ia)及び(IIa)を有する。
【化2】

【0014】
ここで、配位子は、夫々、テトラキス(ピラゾリル)ボラート及びテトラキス(トリアゾリル)ボラート配位子である。
【0015】
しかしながら、RとRは、また、別の有機基、特に、アルキル、アリール、ヘテロアリール、アルコキシ、フェノラート、アミン若しくはアミド基を表わしてもよい。
【0016】
本発明による化合物の本質的な利点は、実質的に全ての極性溶媒、例えば、HO、MeOH、EtOH、MeCN、CHCl、CHCl等へのその良好な溶解性と水と酸素に対するその良好な安定性である。それゆえ、化合物は、スピンコートプロセス、印刷プロセス及びインクジェット印刷プロセスのために特に適している。更なる重要な利点は、保護ガス雰囲気下、無水溶媒で作業する必要がないが故の、Ln錯体の合成の単純化に存する。加えて、錯体は、配位子の置換又は/及び変性により改変することができ、広範な種類の改変可能性と発光特性(例えば、色、量子効率、減衰時間等)の調節のきっかけとなる。
【0017】
したがって、本発明は、更に、ここに記載されたとおりの式(I)若しくは(II)の錯体に関する。
【0018】
本発明による発光素子は、少なくとも一つの式(I)若しくは(II)のLn錯体を、エミッターとして含む。
【0019】
本発明による化合物は、特に、ボラート配位子が、Ln中心を少なくとも九重配位で適切に遮断するホモレプチック錯体である。このようにして、分解は防止される。臭素原子上の置換基R1若しくはR5は、錯体中心から離れた方向にあり、配位に悪影響を及ぼさないことを意味する。これら置換基によって、溶解性を制御することができる。先行技術に記載のとおり、R1=Hに対して、わずかに溶解性の錯体が得られ、他方、本発明にしたがって、R1置換基、例えば、R1=ピラゾリルに対して、溶解性の錯体が得られる。こうして、湿式化学加工に大いに適し、顕著な技術的利点を示す物質が得られる。
【0020】
式(I)若しくは(II)の化合物は、発光素子、特に、有機発光素子(OLED)のためのエミッター分子として傑出して適していることが本発明にしたがい観察された。本発明による化合物は、特に、例えば、表示装置或いは照明のような光発生システムでの使用のために傑出して適している。
【0021】
式(I)若しくは(II)のLn錯体のOLEDでのエミッター材料としての使用は、多くの利点を生じる。本発明による式(I)及び/又は(II)の材料を含む100%の或いは高濃度のエミッター層の使用の場合には、濃度変動が素子製造中に起こることがない。更に、結晶性層のエミッターを提供することもできる。更に、高い輝度密度が、本発明によるエミッター分子による高い電流密度として同時に達成され得る。加えて、比較的高い効率(量子効率)も、高い電流密度として同時に達成され得る。これは、特に、短命な蛍光発光(約60ns)を有するCe3+錯体に適用される。式(I)及び(II)の錯体は、本発明にしたがい、低いドープ率(例えば、2〜10%)で適切なマトリックス中に溶解して使用することもできる。
【0022】
本発明の更に好ましい具体例では、式(I)又は/及び式(II)の錯体は、エミッター層中で低い濃度で使用され、OLED素子でのモノマー発光を達成する。式(I)又は/及び式(II)の錯体は、エミッター層中に、エミッター層の合計重量を基礎として、特に、2重量%より大であり、特に、4重量%より大であり、10重量%まで、特に、8重量%までの量で存在する。
【0023】
本発明の更に好ましい具体例では、3種若しくは少なくとも2種の相異なる式(I)若しくは(II)の錯体が、本発明にしたがって、発光素子中に使用される。複数の錯体を含むこの型のエミッター層は、特に、混合色の光を得ることを可能とする。
【0024】
本発明にしたがいエミッター分子として使用される式(I)若しくは(II)の錯体は、特に、ルミネッセンス化合物である。化合物は、ランタノイドである中心原子を有する。中心原子は、好ましくは、Ce3+、Eu3+、Tb3+若しくはNd3+である。Nd3+を中心原子として含む錯体は、特に、赤外領域のためのエミッターを生じる。中心原子の適切な選択は、本発明にしたがい興味あるスペクトル領域を対象とすることを可能とする。更に好ましいのは、特に、中心原子としてCe3+を含む青色エミッターである。
【0025】
は、好ましくは、ピラゾリル基である。ここで、Rは、Hであってもよいが、Rは、Hでない基を表わすことが好ましい。Rは、特に、好ましくは、トリアゾリル基である。
【0026】
基R、R、R、R及びRは、夫々、互いに独立して、水素、ハロゲン若しくは炭化水素基であって、随意に、ヘテロ原子を含んでも及び/又は置換されてもよい。
【0027】
ヘテロ原子は、特に、O、S、N、P、Si、Se、F、Cl、Br及び/又はIから選ばれる。基R〜Rは、各々、好ましくは、0〜50個、特に、0〜10個、更により好ましくは、0〜5個のヘテロ原子を有する。ある具体例では、基R〜Rは、各々、少なくとも1個、特に、少なくとも2個のヘテロ原子を有する。ここで、ヘテロ原子は、骨格中か置換基の部分に存在することができる。ある具体例では、基R〜Rは、1以上の置換基(官能基)を有する炭化水素基である。適切な置換基若しくは官能基は、例えば、ハロゲン、特に、F、Cl、Br若しくはI、アルキル、特に、C〜C20、更により好ましくは、C〜Cアルキル、アリール、O-アルキル、O-アリール、S-アリール、S-アルキル、P-アルキル、P-アリール、N-アルキル或いはN-アリール若しくは他の供与体或いは受容体基である。多くの場合、少なくとも一つの基R〜Rは、化合物の揮発性を増すために、少なくとも一つのフッ素を含むことが好ましい。
【0028】
ここで、炭化水素基は、好ましくは、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール若しくはヘテロアリール基、特に、アルキル、アリール若しくはヘテロアリール基である。
【0029】
他に断らない限り、ここで使用されるとおりの用語アルキル-或いはアルク-は、各場合に独立して、好ましくは、C〜C20、特に、C〜C炭化水素基を意味する。用語アリールは、好ましくは、5から、例えば、20個のC原子、特に6〜10個のC原子を有する芳香族構造を意味し、ここで、C原子は、随意にヘテロ原子(例えば、N、S、O)より置き代えられてよい。
【0030】
全ての置換基R、R、R、R及びRが、水素若しくはハロゲンを、すなわち、立体障害を引き起こさない置換基を表わすことが特に好ましい。
【0031】
好ましい具体例では、エミッター層は、エミッター層の合計重量を基礎として、1重量%より大な、特に、2重量%より大な、より好ましくは、5重量%より大で、10重量%までの、特に、8重量%までの濃度で、式(I)及び/又は(II)の錯体を含む。しかしながら、式(I)又は/及び式(II)の錯体を、特に、>80重量%、最も好ましくは、>90重量%、特に、>95重量%、より好ましくは、>99重量%で、実質的に完全に或いは完全に含むエミッター層を提供することも可能である。更なる具体例では、エミッター層は、式(I)又は/及び(II)の錯体から完全に、すなわち100%の範囲から成る。特に、エミッター層中での100%の錯体の場合には、製造中に濃度変動は起こらないか、高濃度系に僅かな影響を有するだけである。更に、高い輝度密度は、このような高濃度エミッター層により高い電流密度として同時に達成することができ、高い効率すなわち高い量子効率を達成することができる。
【0032】
本発明は、とりわけ、以下の利点を提供する。
【0033】
・狭い発光線幅による高い色純度、
・高い熱安定性、
・高い長期的安定性、
・酸素及び水に対する良好な化学的安定性、
・極性溶媒での良好な溶解性と、それゆえの種々のポリマーマトリックス材料でのドープのための高度の適合性(エミッター層への良好な組み込み)、
・スピンコートプロセス、印刷プロセス及びインクジェット印刷プロセスによる簡単な適用、
・前記プロセスのための種々の溶媒の広範な選択、それゆえの下に在る層の溶解発生の回避、
・種々のランタノイドイオンの均衡した混合物の使用による白色発光色の簡単な達成、
・顕著な製造上の利点、
・極度に短い発光減衰時間(約60ns)を有するCe錯体の青色発光。こうして、高い電流密度を使用することができる。
【0034】
本発明にしたがいエミッターとして使用される錯体は、適切なマトリックス材料の選択により、また少しは、特に、電子吸引或いは電子供与置換基の選択により、簡単な方法で波長範囲を調節することができる。
【0035】
好ましいのは、温度>70℃で、特に、好ましくは、温度100℃超で発光を呈する化合物の使用である。
【0036】
特に好ましいのは、本発明にしたがうと、以下の化合物である。
【0037】
・セリウム(III)テトラキス(ピラゾリル)ボラート、
・ユウロピウム(III)テトラキス(ピラゾリル)ボラート、
・テルビウム(III)テトラキス(ピラゾリル)ボラート、及び
・ネオジミウム(III)テトラキス(ピラゾリル)ボラート。
【0038】
本発明による発光素子の具体例が機能する方法が、図1に図解されている。素子は、少なくとも一つの陽極、陰極とエミッター層を含む。陰極若しくは陽極として使用される電極の一方或いは両方は、有利には、透明なデザインを有し、その結果光はこの電極を通じて放出することができる。使用される透明電極材料は、好ましくは、インジウム錫酸化物(ITO)である。透明陽極が、特に好ましくは、使用される。他の電極も同様に透明材料から形成されてもよいが、光が2つの電極の一方のみを通じて放出されることを意図しているのであれば、適切な電子仕事関数を有する別の材料から形成されてもよい。第2の電極、特に、陰極は、好ましくは、低い電子仕事関数と良好な電導性を有する金属、例えば、アルミニウム、銀若しくはMg/Ag或いはCa/Ag合金から成る。
【0039】
エミッター層は2つの電極の間に配置される。これは、陽極と陰極と直接的に接触するか、間接的に接触してもよく、ここで、間接接触は、陰極或いは陽極とエミッター層との間に更なる層が存在し、その結果、エミッター層と陽極及び/又は陰極とが互いに接触せず、その代わりに、更なる中間層を介して互いに電気的に接触することを意味する。電圧、例えば、3〜20V、特に、5〜10Vの電圧を適用すると、負に荷電した電子が、陰極、例えば、電導性金属層、例えば、アルミニウム陰極から出て行き、正の陽極方向に移動する。正に荷電したキャリアー、いわゆる正孔は、今度はこの陽極から陰極方向に移動する。本発明にしたがって、式(I)及び(II)の有機金属錯体は、陰極と陽極間に配置されたエミッター層中で、エミッター分子として位置づけられる。移動する電荷キャリアー、すなわち負に荷電した電子と正に荷電した正孔は、エミッター分子でか、その近傍で再結合し、中性となるが、エネルギー的にはエミッター分子の励起状態を生じる。次いで、エミッター分子の励起状態は、発光としてそのエネルギーを放出する。
【0040】
本発明による発光素子は、エミッター材料が昇華可能である限りは、真空堆積により製造することができる。代替として、湿式化学適用、例えば、スピンコートプロセス、インクジェット印刷プロセス若しくはスクリーン印刷プロセスによる構築も可能である。OLED素子の構築は、例えば、US 2005/0260449 A1及びWO 2005/098988 A1に詳細に記載されている。
【0041】
本発明による発光素子は、真空昇華技術により製造することができ、複数の更なる層、特に、電子注入層と電子伝導層(例えば、Alq=Al-8-ヒドキシキノリン或いはβ-Alq=Alビス(2-メチル-8-ヒドロキシキノラート)-4-フェニルフェノレート)及び/又は正孔注入層(例えば、CuPc=Cuフタロシアニン)及び正孔伝導層(例えば、α-NPD=N,N’-ジフェニル- N,N’-ビス(1-メチル)-1,1’-ビフェニル-4,4’-ジアミン)を含んでもよい。しかしながら、エミッター層が、正孔或いは電子伝導層(適切な材料は、以前に説明された。)の機能を引き受けることも可能である。
【0042】
エミッター層は、好ましくは、夫々の(選択されたLn中心イオンに依存する)発光色のために十分に広範である単項S〜三重項Tエネルギーギャップを有する有機マトリックス材料、例えば、UGH、PVK(ポリビニルカルバゾール)誘導体、CBP(4,4’-ビス(9-カルバゾリル)ビフェニル)または他のマトリックス材料から成る。エミッター錯体は、このマトリックス材料に、例えば、好ましくは、1〜10重量%の範囲でドープされる。
【0043】
特別の場合には、例えば、Ln3+=Ce3+の場合には、エミッター層は、対応する錯体を100%材料として適用することによりマトリックスなしで達成することもできる。対応する具体例は、以下に記載される。
【0044】
特に好ましい具体例では、本発明による発光素子は、また、陰極とエミッター層若しくは電子伝導層との間に、CsF中間層を有する。この層は、特に、0.5nm〜2nm、好ましくは、約1nmの厚さを有する。この中間層は、主に電子仕事関数の減少をもたらす。
【0045】
発光素子は、更に好ましくは、基板、例えば、ガラス基板に適用される。
【0046】
特に好ましい具体例では、本発明による昇華可能なエミッターのためのOLED構造は、陽極、エミッター層と陰極に加えて、少なくとも一つの、特に複数の、また、特に好ましくは、以下に言及され、図2に示される全ての層をも含む。
【0047】
全体構造は、好ましくは、支持材料上に配置され、その目的のために、特に、ガラス若しくは任意の他の固体或いは軟質透明材料を使用することができる。陽極、例えば、インジウム錫酸化物(ITO)陽極が支持材料上に配置される。正孔輸送層(HTL)、例えば、α-NPD(N,N’-ジフェニル- N,N’-ビス(1-メチル)-1,1’-ビフェニル-4,4’-ジアミン)が、陽極上で、エミッター層と陽極との間に配置される。正孔輸送層の厚さは、好ましくは、10〜100nm、特に、30〜50nmである。正孔注入を改善する更なる層、例えば、銅フタロシアニン(CuPc)層が、陽極と正孔輸送層との間に配置されてもよい。この層は、好ましくは、5〜50nm、特に、8〜15nmの厚さである。この型の電流が抵抗損のみを引き起こすであろうことから、陽極への電子輸送を抑止することを保証する電子障壁層が、好ましくは、正孔輸送層に、また正孔輸送層とエミッター層との間に適用される。この電子障壁層の厚さは、好ましくは、10〜100nm、特に、20〜40nmである。この追加的な層は、特に、HTL層が、既に元々弱い電子伝導体であるならば、省略されてもよい。
【0048】
次の層は、本発明によるエミッター材料を含むか、それから成るエミッター層である。昇華可能なエミッターを使用する具体例では、エミッター材料は、好ましくは、昇華により適用される。層の厚さは、好ましくは、40〜200nm、特に、70〜100nmである。本発明によるエミッター材料は、また、他の材料、特に、マトリックス材料と一緒に共蒸発されてもよい。緑色或いは赤色発光する本発明によるエミッター材料のために、CBP(4,4’-ビス(N-カルバゾリル)ビフェニル)のような通常のマトリックス材料が適している。しかしながら、式(I)の錯体、特に、Ln=Ceのものが、100%のエミッター材料層を構成することも可能である。例えば、Ln=Ceである青色発光する本発明によるエミッター材料のために、UGHマトリックス材料が、好ましくは、使用される(例えば、M.E. Thompson et al., Chem. Mater. 2004, 16, 4743)。相異なる中心金属イオンを含む本発明による化合物の使用に関して、共蒸発が、混合色光の生成のために同様に使用することができる。
【0049】
陰極への正孔流により発生しうる抵抗損を減少する正孔障壁層は、好ましくは、エミッター層に適用される。この正孔障壁層は、好ましくは、10〜50nm、特に、15〜25nmの厚さである。この目的のために適切な材料は、例えば、BCP(バソクプロインとしても知られる、4,7-ジフェニル-2,9-ジメチルフェナントロリン)である。電子輸送材料を含む電子輸送層(ETL)は、好ましくは、正孔障壁層に、またこの層と陰極との間に適用される。この層は、好ましくは、10〜100nm、特に、30〜50nmの厚さを有する蒸着可能なAlqから成る。例えば、CsF或いはLiFを含む中間層は、好ましくは、ETLと陰極との間に適用される。この中間層は、電子注入バリヤを減少し、ETLを保護する。この層は、一般的に蒸着により適用される。中間層は、好ましくは、非常に薄く、特に、0.5〜2nm、より好ましくは、0.8〜1.0nmの厚さである。最後に、電導性陰極層は、蒸着により適用され、特に、50〜500nm、より好ましくは、100〜250nmの厚さを有する。陰極層は、好ましくは、Al、Mg/Ag(特に、10:1の比で)若しくは他の金属から成る。3〜15Vの電圧が、好ましくは、本発明による昇華可能なエミッターのために記載されるOLED構造に適用される。
【0050】
OLEDは、部分的に湿式化学法により製造されてもよく、例えば、以下の構造を有する:ガラス基板、透明ITO層(インジウム錫酸化物を含む)、例えば、PEDOT/PSS(例えば、40nm)、本発明による100%錯体、特に、式(I)の錯体のLn=Ceであるもの(例えば、10〜80nm)または適切なマトリックス(例えば、40nm)にドープされた(例えば、1%、特に、4〜10%)式(I)或いは式(II)の錯体、蒸着Alq(例えば、40nm)、蒸着LiF若しくはCsF保護層(例えば、0.8nm)、蒸着金属陰極Al若しくはAg或いはMg/Ag(例えば、200nm)。
【0051】
本発明による溶解性エミッターのためのOLEDの設計は、特に好ましくは、以下に記載され、図3に示される構造を有するが、少なくとも1つの、より好ましくは、少なくとも2つの、最も好ましくは、全ての以下に言及される層を含む。
【0052】
素子は、好ましくは、支持材料、特にガラス若しくは他の固体或いは軟質透明材料に適用される。陽極、例えば、インジウム錫酸化物陽極が支持材料に適用される。陽極の厚さは、好ましくは、10〜100nm、特に、30〜50nmである。正孔伝導材料、特に、水溶性である正孔伝導材料を含む正孔輸送層(HTL)は、陽極に、また陽極とエミッター層との間に適用される。この型の正孔伝導材料は、例えば、PEDOT/PSS(ポリエチレンジオキシチオフェン/ポリスチレンスルホン酸)である。HTLの層厚は、好ましくは、10〜100nm、特に、40〜60nmである。次いで、本発明による溶解性エミッターを含むエミッター層(EML)が適用される。材料は、溶媒、例えば、アセトン、ジクロロメタン或いはアセトニトリルに溶解されてもよい。それゆえに下に在るPEDOT/PSS層の溶解は避けることができる。本発明によるエミッター材料は、式(I)及び式(II)の錯体を、低濃度で、例えば、2〜10重量%で使用することができるだけでなく、より高い濃度で、或いは100%の層として使用することもまたできる。エミッター材料は、適当なポリマー層(例えば、PVK=ポリビニルカルバゾール)に、低い、高い或いは中程度のドープ度で適用される。
【0053】
電子輸送材料を含む層は、好ましくは、エミッター層に適用され、特に、10〜80nm、より好ましくは、30〜50nmの厚さの層を有する。電子輸送材料層のために適切な材料は、例えば、Alqであり、蒸着により適用され得る。次に、電子注入バリヤを減少し、ETLを保護する薄い中間層が、好ましくは、適用される。この層は、好ましくは、0.5〜2nm、特に、0.5〜1.0nmの厚さを有し、好ましくは、CsF或いはLiFから成る。この層は、一般的には、蒸着により適用される。更なる単純化されたOLED構造のために、ETL及び/又は中間層は、場合によっては省略されてもよい。
【0054】
最後に、電導性陰極層が、特に蒸着により適用される。陰極層は、好ましくは、金属、特に、Al若しくはMg/Ag(特に、10:1の比で)から成る。
【0055】
3〜15Vの電圧が、好ましくは、素子に適用される。
【0056】
本発明は、更に、ここで定義されるとおりの式(I)若しくは(II)の化合物の発光素子、特に、有機発光素子でのエミッターとしての使用に関する。
【0057】
本発明は、更に、ここで定義されるとおりの式(I)若しくは(II)の化合物の錯体Lnに関する。
【0058】
発光色は、特に、中心原子の選択により調整することができる。例えば、式(I)若しくは(II)のCe3+錯体は、青色発光、特に、≦520nm、より好ましくは、≦500nm及び>380nm、特に、>430nmでの発光を有する。中心原子としてNd3+を含む錯体は、特に>600nm、より好ましくは、>700nm、更により好ましくは、>780nm及び1mmまでの、好ましくは、500μmまでの波長を有する、赤外での発光を有する。
【0059】
本発明にしたがい、2或いは3以上の相異なる式(I)若しくは(II)のエミッター錯体を単一のエミッター層に供給することも可能である。こうして、混合色、特に、白色光を生成することができる。
【0060】
それらのエミッター特性に加えて、本発明による錯体は、更に興味のある用途に役立つ。こうして、Ln=Ce3+若しくはGd3+である式(I)若しくは(II)の錯体が、電子基底状態と最低励起状態との間の非常に高いエネルギー差を有することが観察された。更に、そのような錯体でのHOMOのエネルギー位置は、多くの他の化合物のそれに比べて非常に低いエネルギーである。したがって、特に、>90%、より好ましくは、>90%の及び完全に、Ln=Ce3+若しくはGd3+である式(I)若しくは(II)の化合物から主に成る層は、正孔障壁層として、若しくはエミッター層構築のためのマトリックス材料として、使用されることもできる。非常に低いHOMO位置により、これらの錯体は、正孔障壁層として、使用されることもできる
したがって、本発明は、さらに、式(I)若しくは(II)の錯体を含む正孔障壁層に関する。
【化3】

【0061】
ここで、
Ln=Ce3+若しくはGd3+
=置換されても、非置換でもよいピラゾリル、トリアゾリル、ヘテロアリール、アルキル、アリール、アルコキシ、フェノラート、アミン若しくはアミド基又は
=R若しくはH及び
、R、R、R、R=H、ハロゲン若しくはヘテロ原子を含んでもよく又は/及び置換されてもよい炭化水素基である。
【0062】
Ln=Ce3+若しくはGd3+である式(I)若しくは(II)の錯体のエネルギー状態により、これらは、マトリックス材料として使用することもできる。したがって、本発明は、更に、少なくとも一つの式(I)若しくは(II)の錯体を含むエミッター層のためのマトリックス材料に関する。
【化4】

【0063】
ここで、
Ln=Ce3+若しくはGd3+
=置換されても、非置換でもよいピラゾリル、トリアゾリル、ヘテロアリール、アルキル、アリール、アルコキシ、フェノラート、アミン若しくはアミド基又は
=R若しくはH及び
、R、R、R、R=H、ハロゲン若しくはヘテロ原子を含んでもよく又は/及び置換されてもよい炭化水素基である。
【0064】
この適用においては、発光は、Ln=Ce3+若しくはGd3+である式(I)若しくは(II)の錯体からは生ぜずに、他のエミッター錯体から生じる。適切なエミッター錯体は、マトリックス材料にドープされてもよい。本発明によるマトリックス材料は、青色エミッターのために好ましい。Gd錯体を含むマトリックス材料のために、任意の所望の青色エミッターがドープされてよい。Ce錯体マトリックス材料の場合には、Ce錯体発光よりやや低い発光エネルギーを有するエミッターが有利にはドープされる。特に、Gd若しくはCe錯体を含む本発明によるマトリックス材料は、従来のマトリックス材料、例えば、上に言及されるUGHマトリックス材料に置き代わり得る。本発明によるマトリックス材料、すなわち、式(I)若しくは(II)のGd若しくはCe錯体から成る層は、これまでに知られたマトリックス材料よりも、特に、青色エミッターのためのこれまでに知られたマトリックス材料よりも、顕著により高い長期的安定性を有する。
【0065】
Gd錯体を追加的に含むマトリックス材料は、青色エミッターのためのこれまでに知られた殆どのマトリックス材料よりも、顕著により高いエネルギーギャップを有する。
【0066】
特に好ましい具体例では、中心原子としてCe3+を含む式(I)若しくは(II)の錯体は、エミッターとして、本発明にしたがい使用され、中心原子としてGdを含む式(I)若しくは(II)の更なる錯体は、マトリックス材料として、本発明にしたがい使用される。したがって、本発明は、また、
(i)少なくとも一つの式(I)若しくは(II)の錯体を含むマトリックス材料、
【化5】

【0067】
(ここで、
Ln=Gd3+
=置換されても、非置換でもよいピラゾリル、トリアゾリル、ヘテロアリール、アルキル、アリール、アルコキシ、フェノラート、アミン若しくはアミド基又は
=R若しくはH及び
、R、R、R、R=H、ハロゲン若しくはヘテロ原子を含んでもよく又は/及び置換されてもよい炭化水素基。)及び
(ii)エミッターとして、少なくとも一つの式(I)若しくは(II)の錯体
【化6】

【0068】
(ここで、
Ln=Ce3+
=置換されても、非置換でもよいピラゾリル、トリアゾリル、ヘテロアリール、アルキル、アリール、アルコキシ、フェノラート、アミン若しくはアミド基又は
=R若しくはH及び
、R、R、R、R=H、ハロゲン若しくはヘテロ原子を含んでもよく又は/及び置換されてもよい炭化水素基。)
を含む、エミッター層、特に、発光素子のためのエミッター層に関する。
【0069】
この適用においては、Ce錯体はエミッターであり、一方、Gd錯体はマトリックス材料として役立つ。ここで、Ceエミッター錯体のための好ましい濃度は、エミッター層の合計重量を基礎として、1〜10重量%である。
【0070】
本発明は、付属した図面と以下の例により、詳細に説明される。
【図面の簡単な説明】
【0071】

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(i)陽極、
(ii)陰極、及び
(iii)少なくとも一つの式(I)若しくは(II)の錯体を含む、陽極と陰極の間で、陽極と陰極と直接或いは間接的に接触して配置されたエミッター層
を含む発光素子。
【化1】

(ここで、
Ln=Ce3+、Pr3+、Nd3+、Pm3+、Sm3+、Eu3+、Gd3+、Tb3+、Dy3+、Ho3+、Er3+、Tm3+、Yb3+若しくはLu3+
=置換されても、非置換でもよいピラゾリル、トリアゾリル、ヘテロアリール、アルキル、アリール、アルコキシ、フェノラート、アミン若しくはアミド基又は
=R若しくはH、及び
、R、R、R、R=H、ハロゲン若しくはヘテロ原子を含んでもよく又は/及び置換されてもよい炭化水素基。)
【請求項2】
更に、正孔伝導層又は/及び電子伝導層を含むことを特徴とする、請求項1記載の発光素子。
【請求項3】
更に、CsF若しくはLiF中間層を含むことを特徴とする、請求項1又は2記載の発光素子。
【請求項4】
基板上、特に、ガラス基板上に配置されることを特徴とする、請求項1〜3何れか1項記載の発光素子。
【請求項5】
エミッター層中に存在する錯体が、ランタノイドエミッターであることを特徴とする、請求項1〜4何れか1項記載の発光素子。
【請求項6】
、R、R、R及びRは、夫々、互いに独立して、水素若しくはハロゲンを表すことを特徴とする、請求項1〜5何れか1項記載の発光素子。
【請求項7】
エミッター層が、エミッター層の合計重量を基礎として、1〜100重量%の濃度で、式(I)又は/及び(II)の錯体を含むことを特徴とする、請求項1〜6何れか1項記載のポ発光素子。
【請求項8】
エミッター層中の式(I)又は/及び(II)の錯体の割合は、エミッター層の合計重量を基礎として、80重量%より大である、特に、90重量%より大であることを特徴とする、請求項1〜7何れか1項記載の発光素子。
【請求項9】
エミッター層中の式(I)又は/及び(II)の錯体の割合は、エミッター層の合計重量を基礎として、10重量%より大であり、特に、20重量%より大であり、80重量%まで、特に、70重量%までであることを特徴とする、請求項1〜8何れか1項記載の発光素子。
【請求項10】
エミッター層中の式(I)又は/及び(II)の錯体の割合は、エミッター層の合計重量を基礎として、2重量%より大であり、特に、4重量%より大であり、10重量%まで、特に、8重量%までであることを特徴とする、請求項1〜7何れか1項記載の発光素子。
【請求項11】
エミッター層中の式(I)若しくは(II)の錯体は、モノマーの形態であることを特徴とする、請求項10記載の発光素子。
【請求項12】
式(I)若しくは(II)の錯体を含む結晶性又は/及び準結晶性層を有することを特徴とする、請求項1〜11何れか1項記載の発光素子。
【請求項13】
表示素子及び/又は照明素子であることを特徴とする、請求項1〜12何れか1項記載の発光素子。
【請求項14】
請求項1で定義されるとおりの式(I)若しくは(II)の錯体の、発光素子でのエミッターとしての使用。
【請求項15】
てLn=Ce3+である式(I)若しくは(II)の錯体の、短い発光減衰時間を有する蛍光エミッターとしての、請求項14記載の使用。
【請求項16】
少なくとも一つの式(I)若しくは(II)の錯体が、真空昇華によりエミッター層中に導入されることを特徴とする、請求項1〜13何れか1項記載の発光素子の製造方法。
【請求項17】
少なくとも一つの式(I)若しくは(II)の錯体が、湿式化学法によりエミッター層中に導入されることを特徴とする、請求項1〜13何れか1項記載の発光素子の製造方法。
【請求項18】
白色光生成のための、同じエミッター層中での、2或いは3以上の異なる請求項1で定義されるとおりの式(I)若しくは(II)のエミッター錯体の使用。
【請求項19】
青色発光OLEDの製造のための請求項1で定義されるとおりの式(I)若しくは(II)のCe(III)錯体の使用。
【請求項20】
赤外発光OLEDの製造のための請求項1で定義されるとおりの式(I)若しくは(II)のNd(III)錯体の使用。
【請求項21】
高い電流密度で低損失でそれゆえまた高効率でOLEDを駆動することができるように、非常に短い発光減衰時間を有するCe(III)錯体の使用。
【請求項22】
式(I)若しくは(II)の錯体を含む正孔障壁層。
【化2】

(ここで、
Ln=Ce3+若しくはGd3+
=置換されても、非置換でもよいピラゾリル、トリアゾリル、ヘテロアリール、アルキル、アリール、アルコキシ、フェノラート、アミン若しくはアミド基又は
=R若しくはH及び
、R、R、R、R=H、ハロゲン若しくはヘテロ原子を含んでもよく又は/及び置換されてもよい炭化水素基。)
【請求項23】
少なくとも一つの式(I)若しくは(II)の錯体を含むエミッター層のためのマトリックス材料。
【化3】

(ここで、
Ln=Ce3+若しくはGd3+
=置換されても、非置換でもよいピラゾリル、トリアゾリル、ヘテロアリール、アルキル、アリール、アルコキシ、フェノラート、アミン若しくはアミド基又は
=R若しくはH及び
、R、R、R、R=H、ハロゲン若しくはヘテロ原子を含んでもよく又は/及び置換されてもよい炭化水素基。)
【請求項24】
エミッター錯体でドープされた、請求項23記載のマトリックス材料。
【請求項25】
(i)少なくとも一つの式(I)若しくは(II)の錯体を含むマトリックス材料、
【化4】

(ここで、
Ln=Gd3+
=置換されても、非置換でもよいピラゾリル、トリアゾリル、ヘテロアリール、アルキル、アリール、アルコキシ、フェノラート、アミン若しくはアミド基又は
=R若しくはH及び
、R、R、R、R=H、ハロゲン若しくはヘテロ原子を含んでもよく又は/及び置換されてもよい炭化水素基。)、及び
(ii)エミッターとして、少なくとも一つの式(I)若しくは(II)の錯体
【化5】

(ここで、
Ln=Ce3+
=置換されても、非置換でもよいピラゾリル、トリアゾリル、ヘテロアリール、アルキル、アリール、アルコキシ、フェノラート、アミン若しくはアミド基又は
=R若しくはH、及び
、R、R、R、R=H、ハロゲン若しくはヘテロ原子を含んでもよく又は/及び置換されてもよい炭化水素基。)
を含む、特に、発光素子のためのエミッター層、
【請求項26】
式(I)若しくは(II)の錯体。
【化6】

(ここで、
Ln=Ce3+、Pr3+、Nd3+、Pm3+、Sm3+、Eu3+、Gd3+、Tb3+、Dy3+、Ho3+、Er3+、Tm3+、Yb3+若しくはLu3+
=置換されても、非置換でもよいピラゾリル、トリアゾリル、ヘテロアリール、アルキル、アリール、アルコキシ、フェノラート、アミン若しくはアミド基又は
=R若しくはH、及び
、R、R、R、R=H、ハロゲン若しくはヘテロ原子を含んでもよく又は/及び置換されてもよい炭化水素基。)

【図1】真空昇華技術により製造することができる本発明による錯体を含むOLED素子の例を示す。
【図2】本発明による昇華可能なエミッター材料を含む、分化型の高度に効率的なOLED素子の例を示す。
【図3】湿式化学法により適用しうる本発明によるエミッターのためのOLED素子の例を示す。層厚データは、実例値とみなされねばならない。
【図4】Ce[B(pz)(青色エミッター)の吸収及び発光スペクトルを示す。条件は、以下のとおりであった:励起:300nm、EtOH溶液;温度:300K。
【図5】Eu[B(pz)(赤色エミッター)の吸収及び発光スペクトルを示す。
【図6】Tb[B(pz)(緑色エミッター)の吸収及び発光スペクトルを示す。条件は、以下のとおりであった:励起:260nm、EtOH溶液、300K;フィルター:375。
【発明を実施するための形態】
【0072】

カリウム テトラキス(ピラゾリル)ボラートは、Acrosから入手可能であり、カリウム ヒドロ[トリス(トリアゾリル)]ボラートとカリウム テトラキス(トリアゾリル)ボラートは、KBHとトリアゾールから調製され、式(I)及び式(II)にしたがうボラート誘導体配位子は、種々の合成戦略によって、得ることができる。
【0073】
3個の簡単な例は、式(I)でR1=pz(pz=ピラゾリル)にしたがう本発明を説明することを意図されている:
LnCl:nHO(0.66ミリモル)(Ln=Ce3+、Eu3+及びTb3+)とK[B(pz)](2.0ミリモル)が、MeOH(10ミリモル)に溶解される。細かい結晶化した白色沈殿物が生成される。溶液はろ過され、溶媒は真空で除去される。残留物は、DCM(10ミリモル)で抽出される。溶液は蒸発され、生成物はペンタンを使用して沈殿され、真空乾燥される。
【表1】
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【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公表番号】特表2010−506411(P2010−506411A)
【公表日】平成22年2月25日(2010.2.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−531780(P2009−531780)
【出願日】平成19年10月11日(2007.10.11)
【国際出願番号】PCT/EP2007/008856
【国際公開番号】WO2008/043562
【国際公開日】平成20年4月17日(2008.4.17)
【出願人】(597035528)メルク パテント ゲーエムベーハー (209)
【Fターム(参考)】