OPGLへの抗体
【課題】カルシウムおよび他の鉱物の腸吸収低下に起因する不適切なカルシウム消費および加齢に伴うホルモン水準の変化を含む特定の骨減少疾患の治療において、オステオプロテゲリンリガンド(OPGL)の活性を制御することができる分子とこれらの治療の組み合わせ。
【解決手段】オステオプロテゲリンリガンド(OPGL)と相互作用する抗体。
【解決手段】オステオプロテゲリンリガンド(OPGL)と相互作用する抗体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、2001年6月26日に出願された米国仮出願番号60/301,172の優先権を主張し、これを任意の目的のために参照してここに組み込まれる。
【0002】
本発明は、オステオプロテゲリンリガンド(OPGL)に結合する抗体に関する。骨粗鬆症、関節炎による骨損失、ページェット病および骨減少症のような骨疾患を治療するための組成物および方法も記載する。
【背景技術】
【0003】
骨組織は、体の支持を提供し、鉱物(カルシウムおよび燐を含む)、コラーゲン性および非コラーゲン性蛋白のマトリクス、および細胞を含む。生きている骨組織は、沈着と呼ばれる骨の形成と再吸収と呼ばれる骨の破壊との間の動的平衡を示す。骨中に見られる三種類の細胞である骨細胞、骨芽細胞および破骨細胞は、この平衡に含まれる。骨芽細胞は、骨組織の形成を促進するが、破骨細胞は再吸収に関わる。骨マトリクスおよび鉱物の再吸収、すなわち溶解は、骨形成と比べると迅速で効率的なプロセスであり、骨から多量の鉱物を放出することができる。破骨細胞は、骨組織の正常リモデリングの制御に関与し、ホルモンにより誘発される再吸収に関与している。例えば、細胞外液中のカルシウムイオン濃度の低下に応答する副甲状腺ホルモンの分泌により再吸収が刺激される。これに対し、再吸収の阻害は、カルシトニンの機能である。さらに、ビタミンDの代謝産物は、骨の副甲状腺ホルモンおよびカルシトニンへの反応性を変える。
【0004】
サイトカインのTNFファミリーの一員であるオステオプロテゲリンリガンド(OPGL)は、NF−kBの受容体活性化物質(RANK:破骨細胞分化および活性化受容体すなわちODARとも呼ばれる)への結合により破骨細胞の形成を促進する。他方、オステオプロテゲリン(OPG)は、OPGLを隔離させ、OPGLがODARと組合わされないようにすることにより、破骨細胞の形成を阻害する。すなわち、ODARと組み合わされたOPGLの量が、骨の沈着と再吸収との間の平衡と関連している。
【0005】
骨格の成熟後、骨格中の骨の量は、骨の形成と骨の再吸収との均衡(または不均衡)を反映する。骨質量のピークは、骨格成熟後、40年目前に迎える。40年目と50年目の間に、平衡が移動し、骨再吸収が主流となる。加齢に伴う骨質量の避け難い減少は男性よりも女性においてより早く開始し、一部の女性(主に、コーカサスおよびアジア系の女性)では閉経後に著しく加速される。
【0006】
骨減少症は、通常、骨質量の正常水準を下回る減少に関わる症状である。そのような症状は、骨合成速度の低下または骨破壊速度の上昇あるいは両者から生じ得る。骨減少症の一般的形態は、閉経後および老人性骨粗鬆症とも呼ばれる原発性骨粗鬆症である。この形態の骨粗鬆症は、年と共に骨が全身性に損失する結果であり、しばしば、骨形成は正常速度であって骨再吸収が増加した結果である。合衆国の多くの白人女性は、症候性骨粗鬆症を発現する。45歳以上の女性における股関節部、大腿部、首および転子間骨折の発病率と、骨粗鬆症との間に、直接の関係が存在する。高齢の女性は、50歳から70歳の間に症候性骨粗鬆症を発現し得る。骨粗鬆症は、ある場合において、OPGLの上昇した水準または活性から生じ得る。すなわち、破骨細胞発生におけるOPGLの活性を制御することができる分子を有することが有用であろう。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
閉経後および老人性骨粗鬆症に貢献し得る幾つかの因子が確認された。これらは、カルシウムおよび他の鉱物の腸吸収低下に起因する不適切なカルシウム消費および加齢に伴うホルモン水準の変化を含む。ある治療は、プロセスを遅延させようとするホルモン療法または食事補足を含んでいた。より最近では、骨質量低下の予防および治療のために、ビホスホネートおよび選択的エストロゲン受容体修飾物質(SERM)のような抗再吸収性剤が現れた。すなわち、特定の骨減少疾患の治療において、OPGLの活性を制御することができる分子とこれらの治療を組み合わせることが有用であろう。
【課題を解決するための手段】
【0008】
ある実施形態において、本発明は、配列番号2で示すアミノ酸配列またはその断片を含むH鎖および配列番号4で示すアミノ酸配列またはその断片を含むL鎖を含む抗体を提供する。
【0009】
ある実施形態において、本発明は、配列番号13で示すアミノ酸配列またはその断片を含む可変領域を含むH鎖および配列番号14で示すアミノ酸配列またはその断片を含む可変領域を含むL鎖を含む抗体を提供する。
【0010】
ある実施形態において、本発明は、配列番号2で示すアミノ酸配列またはその断片を含むH鎖、およびL鎖を含む抗体を提供する。
【0011】
ある実施形態において、本発明は、配列番号13で示すアミノ酸配列またはその断片を含む可変領域を含むH鎖およびL鎖を含む抗体を提供する。
【0012】
ある実施形態において、本発明は、H鎖および配列番号4で示すアミノ酸配列またはその断片を含むL鎖を含む抗体を提供する。
【0013】
ある実施形態において、本発明は、H鎖および配列番号14で示すアミノ酸配列またはその断片を含む可変領域を含むL鎖を含む抗体を提供する。
【0014】
ある実施形態において、本発明は、H鎖およびL鎖を含む抗体であって、(a)H鎖は第1の可変領域を含み、第1の可変領域は、配列番号13で示すアミノ酸配列に少なくとも90%の同一性を有する配列を含み、(b)L鎖は第2の可変領域を含み、第2の可変領域は、配列番号14で示すアミノ酸配列に少なくとも90%の同一性を有する配列を含み、および(c)前記抗体は、オステオプロテゲリンリガンド(OPGL)と相互反応する上記抗体を提供する。
【0015】
ある実施形態において、第1の可変領域は、配列番号13で示すアミノ酸配列に少なくとも95%の同一性を有する配列を含み、第2の可変領域は、配列番号14で示すアミノ酸配列に少なくとも95%の同一性を有する配列を含む。
【0016】
ある実施形態において、第1の可変領域は、配列番号13で示すアミノ酸配列に少なくとも99%の同一性を有する配列を含み、第2の可変領域は、配列番号14で示すアミノ酸配列に少なくとも99%の同一性を有する配列を含む。
【0017】
ある実施形態において、本発明は、配列番号2で示すアミノ酸配列またはその断片を含むH鎖を提供する。ある実施形態において、本発明は、配列番号13で示すアミノ酸配列またはその断片を含む可変領域および定常領域を含むH鎖を提供する。
【0018】
ある実施形態において、本発明は、配列番号4で示すアミノ酸配列またはその断片を含むL鎖を提供する。ある実施形態において、本発明は、配列番号14で示すアミノ酸配列またはその断片を含むL鎖を提供する。
【0019】
本発明のある実施形態において、一本鎖抗体が提供される。本発明のある実施形態において、一本鎖Fv抗体が提供される。本発明のある実施形態において、Fab抗体が提供される。本発明のある実施形態において、Fab’抗体が提供される。本発明のある実施形態において、(Fab’)2抗体が提供される。
【0020】
ある実施形態において、本発明の抗体を含んでなる医薬組成物が提供される。ある実施形態において、治療有効量のOPGLへの抗体を含んでなる医薬組成物が提供される。
【0021】
ある実施形態において、医薬組成物は、骨形態発生因子、形質転換成長因子−β(TGF−β)、インターロイキン−1(IL−1)阻害因子、IL−1ra、キネレト(Kineret)(登録商標)、TNFα阻害因子、可溶性TNFα受容体、エンブレル(Enbrel)(登録商標)、抗−TNFα抗体、レミケード(Remicade)(登録商標)、D2E7抗体、副甲状腺ホルモン、副甲状腺ホルモン類似体、副甲状腺ホルモン関連蛋白、副甲状腺ホルモン関連蛋白類似体、プロスタグランジン、ビスホスホネート、アレンドロネート、フッ化物、カルシウム、非ステロイド性抗炎症薬(NSAID)、COX−2阻害因子、セレブレックス(Celebrex)(登録商標)、ビオックス(Vioxx)(登録商標)、免疫抑制薬、メトトレキセート、レフルノミド、セリンプロテアーゼ阻害因子、分泌性白血球プロテアーゼ阻害因子(SLPI)、IL−6阻害因子、IL−6への抗体、IL−8阻害因子、IL−8への抗体、IL−18阻害因子、IL−18結合性蛋白、IL−18抗体、インターロイキン−1転化酵素(ICE)調節因子、線維芽細胞成長因子(FGF)、FGF調節因子、PAF拮抗薬、ケラチノサイト成長因子(KGF)、KGF−関連分子、KGF調節因子、マトリクスメタロプロテアーゼ(MMP)調節因子、一酸化窒素シンターゼ(NOS)調節因子、グルココルチコイド受容体の調節因子、グルタメート受容体の調節因子、リポ多糖類(LPS)水準の調節因子、ノルアドレナリン、ノルアドレナリン模倣体およびノルアドレナリン調節因子から選択される少なくとも一つの治療剤、およびOPGLへの抗体を含む。
【0022】
本発明のある実施形態において、薬学的有効量の抗体を投与することを含んでなる、骨減少疾患を治療する方法が提供される。ある実施形態において、医薬組成物を投与することを含んでなる、骨減少疾患を治療する方法が提供される。
【0023】
ある実施形態において、医薬組成物を投与することを含んでなる、患者における骨損失を伴う炎症性症状を治療する方法が提供される。
【0024】
ある実施形態において、医薬組成物を投与することを含んでなる、患者における骨損失を伴う自己免疫症状を治療する方法が提供される。
【0025】
ある実施形態において、本発明の医薬組成物を投与することを含んでなる、患者におけるリューマチ性関節炎を治療する方法が提供される。
【0026】
ある実施形態において、サンプルを抗体に接触させることを含んでなる、生物学的サンプル中のOPGLの水準を検出する方法が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】αOPGL−1抗体H鎖をコードするcDNA配列(配列番号1)を示す。
【図2】αOPGL−1抗体H鎖のアミノ酸配列(配列番号2)を示す。
【図3】αOPGL−1抗体L鎖をコードするcDNA配列(配列番号3)を示す。
【図4】αOPGL−1抗体L鎖のアミノ酸配列(配列番号4)を示す。
【図5】αOPGL−1κL鎖発現プラスミドαOPGL−1−κ/pDSRa19の概略図を示す。
【図6】αOPGL−1 IgG2 H鎖発現プラスミドαOPGL−1−IgG2/pDSRa19の概略図を示す。
【図7】OPGL被覆EIAプレートへのαOPGL−1の投与量依存的結合を示す。
【図8】膜結合OPGLへのαOPGL−1の特異的結合を示す。
【図9】可溶性OPGLによるOPGL被覆EIAプレートへのαOPGL−1の結合の阻害を示す。
【図10】OPGL被覆EIAプレートへのαOPGL−1の特異的結合を示す。
【図11】αOPGL−1による破骨細胞形成の投与量依存的阻害を示す。
【図12】αOPGL−1によるOPGLのODARへの結合の投与量依存的阻害を示す。
【図13】カニクイザルにαOPGL−1の一回投与量を投与した後の平均血清濃度時間プロフィールを示す。
【図14】カニクイザルにαOPGL−1の一回投与量を投与した後の血清N−Tx濃度の平均変化%を示す。
【図15】カニクイザルにαOPGL−1の一回投与量を投与した後の尿N−Tx濃度の平均変化%を示す。
【図16】カニクイザルにαOPGL−1の一回投与量を投与した後の抗体陽性および陰性血清濃度時間プロフィールを示す。
【図17】αOPGL−1抗体H鎖可変領域のアミノ酸配列(配列番号13)を示す。
【図18】αOPGL−1抗体L鎖可変領域のアミノ酸配列(配列番号14)を示す。
【図19】αOPGL−1の生産のための細胞培養プロセスを示す。
【図20】カニクイザルにαOPGL−1の一回投与量を投与した後の血清カルシウム変化%を示す。
【図21】カニクイザルにαOPGL−1の一回投与量を投与した後の血清アルカリホスファターゼ変化%を示す。
【発明を実施するための形態】
【0028】
ここで用いられる区分表題は系統化の目的のみのものであり、記載された対象に限定することを意図しない。本出願で引用された全ての引例は、ここにおいて任意の目的のために参考として組み込まれる。
【0029】
定義
組換えDNA、オリグヌクレオチド合成並びに組織培養および形質転換(例えば、電気穿孔法、リポ移入)用の標準的技術を用いることができる。酵素的反応および精製技術を、製造者の仕様に従って、または当分野で一般的に行われるように、もしくはここで記載のように行うことができる。前記技術および手順は、通常、当分野で良く知られている従来法に従って、また、本明細書全体において引用および記載されている種々の一般的およびより具体的な引例に記載のように行うことができる。例えば、Sambrookら著、Molecular Cloning:A Laboratory Manual(第2版、Cold Spring Harbor Laboratory Press、Cold Spring Harbor、N.Y.(1989年))が参照され、ここで任意の目的のために参考として取り込まれる。特定の定義が無い限り、分析化学、合成有機化学および医学および薬学的化学に関して利用される命名法およびその実験室的手順および技術は、当分野においてよく知られていると共に一般的に用いられるものである。化学的合成、化学的分析、薬学的調製、処方、および送達、および患者の治療用の標準的技術を用いてよい。
【0030】
本開示に従って利用されるように、以下の用語は、特記しない限り、以下の意味を有すると解される:
ここで用いられる「単離ポリヌクレオチド」という用語は、ゲノム、cDNA、または合成起源またはそれらの組み合わせのポリヌクレオチドを意味し、その起源に依り、その「単離ポリヌクレオチド」は、(1)「単離ポリヌクレオチド」が天然に見られるポリヌクレオチドの全体または一部を伴わず、(2)天然には結合していないポリヌクレオチドに結合している、または(3)より大きな配列の一部として天然に存在しない。
【0031】
ここで言及される「単離蛋白」という用語は、cDNA、組換えRNAによるコードされる、または合成起源またはそれらの組み合わせの蛋白を意味し、(1)正常では見つかる少なくとも一部の蛋白を含まない、(2)同じ源からの、例えば同じ種からの他の蛋白を本質的に含まない、(3)異なる種からの細胞により発現される、または(4)天然では存在しない。
【0032】
「ポリペプチド」という用語は、ここで、天然蛋白または、天然配列の一または二以上のアミノ酸の欠失、付加および/または置換を有する配列に言及する総称として用いられる。「ポリペプチド」という用語は、αOPGL−1(以下に記載、配列番号2および配列番号4)または、αOPGL−1の一または二以上のアミノ酸の欠失、付加および/または置換を有する配列も含む。ある実施形態によれば、本発明は、図2に示されるヒトH鎖イムノグロブリン分子(配列番号2)および図4に示されるヒトL鎖イムノグロブリン分子(配列番号4)またはそれらの断片または類似体を含む。
【0033】
対象についてここで適用される「天然に存在する」という用語は、対象を天然に見つけることができるという事実を意味している。例えば、自然の供給源から単離し得る生物(ウイルスを含む)中に存在すると共に、実験室等においてヒトが意図的に修飾していないポリペプチドまたはポリヌクレオチド配列は、天然に存在する。
【0034】
ここで用いられる「機能可能に結合」という用語は、意図する方式で機能する関係にある成分を意味する。例えば、コード化配列に「機能可能に結合」している制御配列は、制御配列に適合する条件下でコード化配列の発現が達成されるように結合されている。
【0035】
ここで用いられる「制御配列」という用語は、それらが結合するコード化配列の発現および加工を達成し得るポリヌクレオチド配列を意味する。そのような制御配列の性質は、宿主生物に依存して異なる。ある実施形態によれば、原核生物用の制御配列は、プロモーター、リボソーム結合部位、および転写終止配列を含み得る。ある実施形態によれば、真核生物用の制御配列は、プロモーター、および転写終止配列を含み得る。ある実施形態において、「制御配列」はリーダー配列および/または融合パートナー配列を含み得る。
【0036】
ここで用いられる「ポリヌクレオチド」という用語は、長さが少なくとも10塩基であるヌクレオチドのポリマー状態を意味する。ある実施形態において、塩基は、リボヌクテオチドまたはデオキシリボヌクテオチドあるいは、いずれかのタイプのヌクレオチドの修飾状態であり得る。この用語は、DNAの一本鎖または二本鎖状態を含む。
【0037】
ここで用いられる「オリゴヌクレオチド」という用語は、天然に存在するもの、および天然産に存在するおよび/または天然に存在しないオリゴヌクレオチド結合により一緒に結合されている修飾ヌクレオチドを含む。オリゴヌクレオチドは、通常、200塩基以下の長さを有するポリヌクレオチド亜集団である。ある実施形態において、オリゴヌクレオチドは、長さが12、13、14、15、16、17、18、19、または20〜40塩基である。オリゴヌクレオチドは一本鎖または二本鎖であってよく、例えば、遺伝子突然変異体の構築に用いられる。本発明のオリゴヌクレオチドは、センスまたはアンチセンスオリゴヌクレオチドであってよい。
【0038】
「天然に存在するヌクレオチド」という用語は、デオキシリボヌクレオチドおよびリボヌクレオチドを含む。「修飾ヌクレオチド」という用語は、修飾または置換された糖等を有するヌクレオチドを含む。「オリゴヌクレオチド結合」という用語は、ホスホロチオエート、ホスホロジチオエート、ホスホロセレノエート、ホスホロジセレノエート、ホスホロアニロチオエート、ホスホロアニラデート、ホスホロアミデート等のようなオリゴヌクレオチド結合を含む。例えば、LaPlancheら著、Nucl.Acids Res.第14巻:9081頁(1986年);Stecら著、J.Am.Chem.Soc.第106巻:6077頁(1984年);Steinら著、Nucl.Acids Res.第16巻:3209頁(1988年);Zonら著、Anti−Cancer Drug Design第6巻:539頁(1991年);Zonら著、Oligonucleotides and Analogues:A Practical Approach、87〜108頁(F.Eckstein編,Oxford University Press、Oxford England(1991年));Stecら著、米国特許第5,151,510号;第Uhlmann and Peyman Chemical Reviews第90巻:543頁(1990年)が参照され、その開示が、ここで、任意の目的のために参考として取り込まれる。オリゴヌクレオチドは、検出用の標識を含むことができる。
【0039】
関連するポリペプチドの同一性および類似性は、既知の方法により容易に計算することができる。そのような方法には、Computational Molecular Biology、Lesk,A.M.編,Oxford University Press、New York(1988年);Biocomputing:Informatics and Genome Projects、Smith、D.W.編,Academic Press、New York(1993年);Computer Analysis of Sequence Data、Part1、Griffin、A.M.およびGriffin、H.G.編,Humana Press、New Jersey(1994年);Sequence Analysis in Molecular Biology、von Heinje、G.,Academic Press(1987年);Sequence Analysis Primer、Gribskov、M.およびDevereux、J.編,M.Stockton Press、New York(1991年);およびCarilloら著、SIAM J.Applied Math.第48巻:1073頁(1988年)に記載されたものがあるが、これらに限定されない。
【0040】
同一性を決めるための好ましい方法は、試験した配列間の最適一致を得るように設計されている。同一性を決めるための方法は、公に利用できるコンピュータープログラムに記載されている。二つの配列間の同一性を決めるための好ましいコンピュータープログラム法には、GCGプログラムパッケージ、例えばGAP(Devereuxら著、Nucl.Acid.Res.第12巻:387頁(1984年);Genetics Computer Group、University of Wisconsin、Madison、WI、BLASTP、BLASTN、およびFASTA(Altschulら著、J.Mol.Biol.第215巻:403〜410頁(1990年))あるが、これらに限定されない。BLASTXプログラムは、National Center for Biotechnology Information(NCBI)および他の供給源(BLAST Manual、Altschulら著、NCB/NLM/NIH Bethesda、MD20894;Altschulら著、前掲書(1990年))から公に利用することができる。良く知られているSmith Watermanアルゴリズムも、同一性を決めるために用いることができる。
【0041】
二つのアミノ酸配列を整列させるための特定の整列スキームにより、二つの配列の短い領域のみが一致することがあろう。この小さな整列領域は、二つの全長配列間に有意な関係が無くても、非常に高い配列同一性を有することができる。従って、ある実施形態において、選択された整列法(GAPプログラム)により、標的ポリペプチドの少なくとも50個の隣接アミノ酸に及ぶ整列がもたらされる。
【0042】
例えば、コンピューターアルゴリズムGAP(Genetics Computer Group、University of Wisconsin、Madison、WI)を用いて、配列同一性%を決めるべき二つのポリペプチドを、それぞれのアミノ酸の一致(アルゴリズムにより決められる「一致領域」)が最適になるように整列させる。ある実施形態において、ギャップ・オープニング・ペナルティ(gap opening penalty)(3×平均ダイアゴナルとして計算される。「平均ダイアゴナル」は、用いられる比較マトリクスのダイアゴナルの平均である。「ダイアゴナル」は、特定の比較マトリクスによる各完全アミノ酸一致に割り当てられた得点または数である)およびギャップ・エクステンション・ペナルティ(gap extension penalty)(通常、ギャップ・オープニング・ペナルティの1/10倍)、並びにPAM250またはBLOSUM62のような比較マトリクスが、アルゴリズムと組み合わされて用いられる。ある実施形態において、標準的比較マトリクス(PAM250比較マトリクスについてはDayhoffら著、Atlas of Protein Sequence and Structure、5(3)(1978年);BLOSUM62比較マトリクスについてはHenikoffら著、Proc.Natl.Acad.Sci USA、第89巻:10915〜10919頁(1992年)を参照されたい)もこのアルゴリズムにより用いられる。
【0043】
ある実施形態において、ポリペプチド配列比較用のパラメーターは以下のものを含む:
アルゴリズム:Needlemanら著、J.Mol.Biol.、第48巻:443〜453頁(1970年);
比較マトリクス:Henikoffら著、前掲書(1992年)からのBLOSUM62
ギャップ・ペナルティ:12
ギャップ・レングス・ペナルティ:4
類似性の閾値:0
【0044】
GAPプログラムは、前記パラメーターを用いて有用となり得る。ある実施形態において、前記パラメーターは、GAPアルゴリズムを用いるポリペプチドを比較(末端ギャップ用のペナルティ無しで)するためのデフォールトパラメーターである。
【0045】
ここで用いられるように、20個の慣用アミノ酸およびそれらの略号は、従来の慣例に従う。Immunology−A Synthesis(第2版、E.S.GolubおよびD.R.Gren編,Sinauer Associates、Sunderland、Mass.(1991年))が参照され、ここで任意の目的のために参考として取り込まれる。20個の慣用アミノ酸の立体異性体(例えば、D−アミノ酸)、α,α−二置換アミノ酸、N−アルキルアミノ酸、乳酸のような非天然アミノ酸、および他の非慣用アミノ酸も、本発明のポリペプチド用の適切な成分となり得る。非慣用アミノ酸の例には:4−ヒドロキシプロリン、γ−カルボキシグルタメート、ε−N,N,N−トリメチルリシン、ε−N−アセチルリシン、O−ホスホセリン、N−アセチルセリン、N−ホルミルメチオニン、3−メチルヒスチジン、5−ヒドロキシリシン、σ−N−メチルアルギニン、および他の類似のアミノ酸およびイミノ酸(例えば、4−ヒドロキシプリン)がある。ここで用いられるポリペプチド表記において、標準的慣例および慣用によれば、左側方向はアミノ末端方向であり右側方向はカルボキシ末端方向である。
【0046】
同様に、特記しない限り、一本鎖ポリヌクレオチド配列の左側末端は5’末端であり;二本鎖ポリヌクレオチド配列の左側末端は5’方向と呼ばれる。発生時期のRNA転写体の5’から3’への付加の方向は転写方向と呼ばれ、RNAと同じ配列を有しRNA転写体の5’から5’末端であるDNAストランド上の配列領域は、「上流配列」と呼ばれ、RNAと同じ配列を有しRNA転写体の3’から3’末端であるDNAストランド上の配列領域は、「下流配列」と呼ばれる。
【0047】
保存的アミノ酸置換は、生物学的システムにおける合成よりも、化学的ペプチド合成により典型的に組み込まれる非天然産アミノ酸残基を含み得る。これらは、ペプチド模倣体および、アミノ酸部分の他の逆のまたは逆転した形態を含む。
【0048】
天然に存在する残基は、側鎖共有特性に基づくクラスに分けることができる。
【0049】
1)疎水性:ノルロイシン、Met、Ala、Val、Leu、Ile;
2)中性親水性:Cys、Ser、Thr、Asn、Gln;
3)酸性:Asp、Glu;
4)塩基性:His、Lys、Arg;
5)鎖方向付けに影響する残基:Gly、Pro;および
6)芳香族:Trp、Tyr、Phe。
【0050】
例えば、非保存的置換は、これらのクラスの一員を他のクラスからの一員に置換することを含み得る。そのような置換された残基は、非ヒト抗体と相同性のヒト抗体の領域中に、または分子の非相同性領域中に導入することができる。
【0051】
ある実施形態においてそのような変化を起こす場合、アミノ酸のヒドロパシー指数を考慮することができる。各アミノ酸は、その疎水性および荷電特性を基準に、ヒドロパシー指数を割り与えられている。それらは、イソロイシン(+4.5);バリン(+4.2);ロイシン(+3.8);フェニルアラニン(+2.8);システイン/シスチン(+2.5);メチオニン(+1.9);アラニン(+1.8);グリシン(−0.4);スレオニン(−0.7);セリン(−0.8);トリプトファン(−0.9);チロシン(−1.3);プロリン(−1.6);ヒスチジン(−3.2);グルタメート(−3.5);グルタミン(−3.5);アスパルテート(−3.5);アスパラギン(−3.5);リシン(−3.9);およびアルギニン(−4.5)である。
【0052】
生物学的機能相互作用を蛋白に与える際のアミノ酸ヒドロパシー指数の重要性が、当分野において理解されている。Kyteら著、J.Mol.Biol.,第157巻:105〜131頁(1982年)。あるアミノ酸は、同様のヒドロパシー指数または得点を有し同様の生物学的活性を維持している他のアミノ酸に置換できることが知られている。ある実施形態においてヒドロパシー指数に基づいて変更する際に、ヒドロパシー指数が±2以内であるアミノ酸の置換が含まれる。ある実施形態において、ヒドロパシー指数が±1以内であるものが含まれ、ある実施形態において、ヒドロパシー指数が±0.5以内であるものが含まれる。
【0053】
類似アミノ酸の置換を、特に、この場合のように、それにより作られた生物学的機能性蛋白またはペプチドを免疫学的実施形態において用いることを意図する場合、親水性に基づいて効果的に行い得ることも当分野において理解されている。ある実施形態において、その隣接アミノ酸の親水性により支配される、蛋白の最も大きな局部的平均親水性は、その免疫原性および抗原性と、すなわち、蛋白の生物学的特性と関連している。
【0054】
以下の親水性値が、これらのアミノ酸残基に割り与えられている。アルギニン(+3.0);リシン(+3.0);アスパルテート(+3.0±1);グルタメート(+3.0±1);セリン(+0.3);アスパラギン(+0.2);グルタミン(+0.2);グリシン(0);スレオニン(−0.4);プロリン(−0.5±1);アラニン(−0.5);ヒスチジン(−0.5);システイン(−1.0);メチオニン(−1.3);バリン(−1.5);ロイシン(−1.8);イソロイシン(−1.8);チロシン(−2.3);フェニルアラニン(−2.5)およびトリプトファン(−3.4)。ある実施形態において類似の親水性値に基づいて変更する場合、その親水性値が±2以内にあるアミノ酸の置換が含まれ、ある実施形態においては、親水性値が±1以内にあるものが含まれ、ある実施形態においては、親水性値が±0.5以内にあるものが含まれる。親水性に基づき一次アミノ酸配列からのエピトープを特定することもできよう。これらの領域は、「エピトープコア領域」とも呼ばれる。
【0055】
アミノ酸置換の例を表1に示す。
【0056】
【表1】
【0057】
当業者は、良く知られた技術を用いて、ここで示されるようなポリペプチドの適切な変異体を決めることができる。ある実施形態において、当業者は、活性に重要と考えられない標的領域により、活性を破壊することなく変化させることができる分子の適切な領域を特定することができる。ある実施形態において、類似のポリペプチド中に保存される分子の残基および部分を特定することができる。ある実施形態において、生物学的活性または構造に重要であり得る領域でさえ、生物学的活性を破壊することなく、またはポリペプチド構造に悪影響を与えることなく、保存的アミノ酸置換に付すことができる。
【0058】
さらに、当業者は、活性または構造に重要な、類似のポリペプチド中の残基を特定する構造−機能研究を行うことができる。そのような比較を考慮して、類似蛋白中の活性または構造に重要なアミノ酸残基に対応する蛋白中のアミノ酸残基の重要性を予想することができる。当業者は、そのような予想される重要なアミノ酸残基を化学的に類似のアミノ酸置換を選択することができる。
【0059】
当業者は、類似のポリペプチド中のその構造に関する三次元構造およびアミノ酸配列を分析することもできる。そのような情報を考慮して、当業者は、その三次元構造に関して、抗体のアミノ酸残基の整列を予想することができる。ある実施形態において、当業者は、蛋白の表面にあることが予想されるアミノ酸残基に過激な変化を起こさないように選択することができるが、これは、そのような残基が、他の分子との重要な相互作用に含まれ得るからである。さらに、当業者は、各所望のアミノ酸残基において一つのアミノ酸置換を含む試験変異体を発生させることができる。この変異体は、次に、当業者に知られている活性アッセイを用いてスクリーニングすることができる。そのような変異体は、適切な変異体に関する情報を集めるために用いることができる。例えば、特定のアミノ酸への変化により、破壊され望ましくない低下した不適切な活性が生じる場合、そのような変化を有する変異体を避けることができる。換言すると、そのような慣用実験から集められる情報に基づいて、当業者は、さらなる置換が単独で避けられるまたは他の突然変異と組み合わされて避けられるアミノ酸を容易に決めることができる。
【0060】
二次構造の予想のために、多くの化学的出版物を利用することができる。Moult J.,Curr.Op.in Biotech.7(4)巻:422〜427頁(1996年)、Chouら著、Biochemistry、13(2)巻:222〜245頁(1974年);Chouら著、Biochemistry、113(2)巻:211〜222頁(1974年);Chouら著、Adv.Enzymol.Relat.Areas Mol.Biol.第47巻:45〜148頁(1978年);Chouら著、Ann.Rev.Biochem.第47巻:251〜276頁およびChouら著、Biophys.J.第26巻:367〜384頁(1979年)が参照される。さらに、二次構造の予想を補助するためにコンピュータープログラムが容易に利用される。二次構造を予想する一つの方法は、相同性モデリングに基づく。例えば、配列同一性が30%を超えるまたは類似性が40%を超える二つのポリペプチドまたは蛋白は、類似の構造トポロジーを有することが多い。蛋白構造データベース(PDB)の最近の成長は、ポリペプチドまたは蛋白構造中の折り重ねの潜在的数を含む、二次構造の向上した予想性を提供する。Holmら著、Nucl.Acid.Res.、27(1)巻:244〜247頁(1999年)を参照のこと。所定のポリペプチドまたは蛋白中に限定数の折り重ねがあることおよび、一旦、構造の重要な数が決まると、構造予想が劇的により正確になることが示された(Brennerら著、Curr.Op.Struct.Biol.、7(3):369〜376頁(1997年))。
【0061】
二次構造を予想するさらなる方法には、「Threading」(Jones、D.、Curr.Opin.Struct.Biol.7(3):377〜87頁(1997年);Sipplら著、Structure、4(1):15〜19頁(1996年))、「Profile Analysis」(Bowieら著、Science、第253巻:164〜170頁(1991年);Gribskovら著、Meth.Enzym.、第183巻:146〜159頁(1990年);Gribskovら著、Proc.Nat.Acad.Sci.、84(13):4355〜4358頁(1987))、および「evolutionary linkage」(Holm、前掲書(1999年)、およびBrenner、前掲書(1997年)参照)がある。
【0062】
ある実施形態において、抗体変異体は、グリコシル化部位の数および/または型が親ポリペプチドのアミノ酸配列と比べて変化したグリコシル化変異体を含む。ある実施形態において、蛋白変異体は、天然蛋白よりも多いまたは少ない数のN−結合グリコシル化部位を含む。N−結合グリコシル化部位は配列:Asn−X−SerまたはAsn−X−Thrにより特徴付けられ、Xとしてあらわされるアミノ酸残基はプロリンを除く任意のアミノ酸残基であり得る。この配列を作るためのアミノ酸残基の置換は、N−結合炭水化物鎖の付加のための潜在的新規部位を提供する。また、この配列を削除する置換は、存在するN−結合炭水化物鎖を除去する。また、一または二以上のN−結合グリコシル化部位(典型的には、天然に存在するもの)が削除され一または二以上の新規N−結合部位が作られるN−結合炭水化物鎖の再配列も提供される。さらなる好ましい抗体変異体は、一または二以上のシステイン残基が削除されているまたは親アミノ酸配列と比べて別のアミノ酸(例えば、セリン)に置換されているシステイン変異体を含む。システイン変異体は、不溶性封入体の単離後のように、抗体を再び折り重ねて生物学的活性立体配座にすべき場合に有用となり得る。システイン変異体は、通常、天然蛋白より少ないシステイン残基を有し、典型的に、不対システインから生じる相互作用を最少化するために偶数である。
【0063】
ある実施形態によれば、アミノ酸置換は、(1)蛋白分解への感受性を低下させる、(2)酸化への感受性を低下させる、(3)蛋白複合体を形成するための結合親和性を変化させる、(4)結合親和性を変化させる、および/または(5)そのようなポリペプチドに他の物理化学的または機能的特性を与えるまたは修飾する。ある実施形態によれば、天然に存在する配列(ある実施形態においては、分子間接触を形成する領域の外側のポリペプチドの部分)において、単一または複数のアミノ酸置換(ある実施形態においては、保存的アミノ酸置換)を設けることができる。ある実施形態において、保存的アミノ酸置換は、典型的には、親配列の構造特徴を実質的に変化させない(例えば、置換アミノ酸は、親配列中に生じる螺旋を破壊または親配列を特徴付ける他の型の二次構造を破壊する傾向があってはならない)。当分野で認識されているポリペプチド二次および三次構造の例が、Proteins,Structures and Molecular Priciples(Creighton編、W.H.Freeman and Company、New York(1984年));Introduction to Protein Structure(C.BrandenおよびJ.Tooze編、Garland Publishing、New York、N.Y.(1991年));およびThorntonら著、Nature第354巻:105頁(1991年)に記載されており、これらを参照してここに組み込まれる。
【0064】
ここで用いられる「ポリペプチド断片」という用語は、アミノ末端および/またはカルボキシ末端欠失を有するポリペプチドを意味する。ある実施形態において、断片は長さが少なくとも5〜467アミノ酸である。ある実施形態において、断片は長さが少なくとも5、6、8、10、14、20、50、70、100、150、200、250、300、350、400または450アミノ酸であると考えられる。
【0065】
ペプチド類似体は、テンプレートペプチドと同様の特性を有する非ペプチド薬として薬学産業において一般的に用いられる。これらのタイプの非ペプチド化合物は、「ペプチド模擬体」または「ペプチド模倣体」と呼ばれる。Fauchere、J.Adv.Drug Res.第15巻:29頁(1986年);Veber and Freidinger TINS,392頁(1985年);およびEvansら著、J.Med.Chem.第30巻:1229頁(1987年)が、ここで任意の目的のために参考として組み込まれる。そのような化合物は、コンピューター化分子モデリングの助けを借りて開発されることが多い。治療的に有用なペプチドに構造的に類似のペプチド模倣体を用いて、類似の治療または予防効果を得ることができる。通常、ペプチド模倣体は、ヒト抗体のような典型ポリペプチド(すなわち、生化学的特性または薬理学的活性を有するポリペプチド)に構造的に類似であるが、当分野でよく知られている方法により、−CH2NH−、−CH2S−、−CH2−CH2−、−CH=CH−(シスおよびトランス)、−COCH2−、−CH(OH)CH2−、および−CH2SO−から選択される結合により任意に置換される一または二以上のペプチド結合を有する。ある実施形態において、同じ型のD−アミノ酸(例えば、L−リシンの代わりにD−リシン)を有するコンセンサス配列の一または二以上のアミノ酸の系統的な置換を用いて、より安定なペプチドを発生させることができる。さらに、コンセンサス配列または実質的に同一のコンセンサス配列変異体を含む制約ペプチドを、当分野で知られている方法(Rizo and Gierasch Ann.Rev.Biochem.第61巻:387頁(1992年)、ここで任意の目的のために参考として取り込まれる)により、例えば、ペプチドを環化する分子内ジスルフィド橋を形成することができる内部システイン残基を添加することにより、発生させることができる。
【0066】
「抗体」または「抗体ペプチド」は、無傷抗体または特定の結合のために無傷抗体と競合するその結合性断片を意味する。ある実施形態において、結合性断片は、組換えDNA技術により生成される。ある実施形態において、結合性断片は、無傷抗体の酵素的または化学的分裂により生成される。結合性断片は、Fab、Fab’、F(ab’)2、Fv、および一本鎖抗体を含むが、これらに限定されない。
【0067】
「H鎖」という用語は、OPGLへの特異性を付与するための充分な可変領域配列を有するポリペプチドを含む。「L鎖」という用語は、OPGLへの特異性を付与するための充分な可変領域配列を有するポリペプチドを含む。全長H鎖は、可変領域VHおよび三つの定常領域CH1、CH2、およびCH3を含む。VH領域は、ポリペプチドのアミノ末端にあり、CH3領域はカルボキシ末端にある。ここで用いられる「H鎖」という用語は、全長H鎖およびその断片を含む。全長L鎖は、可変領域VLおよび定常領域CLを含む。H鎖と同様に、L鎖の可変領域は、ポリペプチドのアミノ末端にある。ここで用いられる「L鎖」という用語は、全長L鎖およびその断片を含む。Fab断片は、一つのL鎖および、一つのH鎖のCH1および可変領域を含む。Fab分子のH鎖は、もう一つのH鎖分子とのジスルフィド結合を形成することができない。Fab’断片は、CH1領域とCH2領域との間により多くの定常領域を含む一つのH鎖、および一つのL鎖を含み、それにより、二つのH鎖の間に鎖間ジスルフィド結合を形成してF(ab’)2分子を形成することができる。Fv領域は、H鎖とL鎖の両方からの可変領域を含むが、定常領域は欠く。一本鎖抗体は、H鎖可変領域とL鎖可変領域とがフレキシブルリンカーにより接続されて一本のポリペプチド鎖を形成しそれが抗原結合領域を形成しているFv分子である。一本鎖抗体は、WO88/01649および米国特許第4,946,778号および5,260,203号に詳細に説明されている。
【0068】
ある実施形態において、「多特異的」または「多機能性」抗体以外の二価抗体は、典型的には、同一のその結合部位の各々を有すると解される。
【0069】
過剰の抗体が対応受容体への受容体結合量を少なくとも約20%、40%、60%、80%、85%またはそれ以上(生体外競合結合アッセイで測定)減少させる場合、抗体は、リガンドの受容体への結合を実質的に阻害する。
【0070】
「エピトープ」という用語は、免疫グロブリンまたはT細胞受容体に特異的に結合することができるポリペプチド決定因子を含む。ある実施形態において、エピトープ決定因子は、アミノ酸、糖側鎖、ホスホリルまたはスフホニルのような分子の化学的活性表面基を含み、ある実施形態において、特定の三次元構造特性および/または特定の荷電特性を有し得る。エピトープは、抗体により結合される抗原の領域である。ある実施形態において、蛋白および/またはマクロ分子の複雑な混合物中のその標的抗原を選択的に認識する場合、抗体は特異的に抗原に結合すると言う。ある実施形態において、解離定数が1μM以下である場合、ある実施形態において、解離定数が100nM以下である場合、およびある実施形態において、解離定数が10nM以下である場合、抗体は特異的に抗原に結合すると言う。
【0071】
「剤」という用語は、ここで、化学的化合物、化学的化合物の混合物、生物学的マクロ分子、または生物学的材料から得られる抽出物を示すために用いられる。
【0072】
ここで用いられるように、「標識」または「標識された」という用語は、例えば、放射線標識アミノ酸の組み込み、または、マーカー付加されたアビジン(例えば、光学的または比色法により検出することができる酵素的活性または蛍光マーカーを含むストレプトアビジン)により検出することができるビオチン部分のポリペプチドへの付与により、検出可能なマーカーを組み込むことを意味する。ある実施形態において、標識またはマーカーは治療的でもあり得る。ポリペプチドおよび糖蛋白を標識する種々の方法は当分野で知られており、用いることができる。ポリペプチドの標識の例には、以下の標識があるが、これらに限定されない:放射性同位体または放射性核種(例えば、3H、14C、15N、35S、90Y、99Tc、111 In、125 I、131 I)、蛍光標識(例えば、FITC、ローダミン、ランタニド蛍光体)、酵素的標識(例えば、ホースラディッシュペルオキシダーゼ、β−ガラクトシダーゼ、ルシフェラーゼ、アルカリホスファターゼ)、化学発光、ビオチニル基、二次レポーター(例えば、ロイシンジッパー対配列、二次抗体用の結合部位、金属結合領域、エピトープタグ)により認識される予め決められたポリペプチドエピトープ。ある実施形態において、種々の長さのスペーサーアームにより標識が付着されて、可能性ある立体障害が低下される。
【0073】
ここで用いられる「生物学的サンプル」という用語は、生きている物体または以前は生きていた物体からの任意の量の物質を含むが、これらに限定されない。そのような生きている物体は、ヒト、マウス、サル、ラット、ウサギおよび他の動物を含むが、これらに限定されない。そのような物質は、血液、血清、尿、細胞、臓器、組織、骨、骨髄、リンパ節および皮膚を含むが、これらに限定されない。
【0074】
「骨減少疾患」という用語は、骨粗鬆症、骨減少症、ページェット病、溶解性骨転移、歯周病、リューマチ性関節炎および、固定による骨損失を含むが、これらに限定されない。これらの骨疾患に加えて、特定の癌が、破骨細胞活性を増加させると共に、乳、前立腺および多発性骨髄腫のような骨再吸収を誘発させることが知られている。これらの癌は、骨中でOPGLを過剰発現させると共に、破骨細胞の数および活性を増加させる因子を生成することが知られている。
【0075】
ここで用いられる「薬学的剤または薬」という用語は、患者に適切に投与された場合、所望の治療効果を誘発することができる化学的化合物または組成物を意味する。
【0076】
ここで用いられる「調節因子」という用語は、分子の活性および機能を変化または変更する化合物である。例えば、調節因子は、調節因子の不存在下に観察される活性または機能の強さと比較して、分子のある活性または機能の強さを増加または低下させることができる。ある実施形態において、調節因子は、分子の少なくとも一つの活性または機能の強さを低下させる阻害因子である。分子の活性および機能の特定の例には、結合親和性、酵素的活性および信号伝達があるが、これらに限定されない。阻害因子の特定の例には、蛋白、ペプチド、抗体、ペプチボデイー、炭水化物または小さな有機分子があるが、これらに限定されない。ペプチボデイーは、例えば、WO01/83525に記載されている。
【0077】
ここで用いられる「実質的に純粋」という用語は、目的の種が、優勢に存在する種である(すなわち、分子基準で、組成物中の他の個々の種よりも豊富である)ことを意味する。ある実施形態において、実質的に純粋な分画は、目的の種が、存在する全てのマクロ分子種の少なくとも約50%(分子基準)をなす組成物である。ある実施形態において、実質的に純粋な組成物は、組成物中に存在する全てのマクロ分子の約80%、85%、90%、95%または99%以上を含む。ある実施形態において、目的の種は、組成物が実質的に単一のマクロ分子種からなる本質的均質性(従来の検出法により組成物中に汚染種を検出することができない)まで精製される。
【0078】
患者という用語は、ヒトおよび動物対象を含む。
【0079】
本出願において、単数の使用は特記しない限り複数を含む。本出願において、「または」の使用は特記しない限り「および/または」を意味する。さらに、「含む」という用語の使用は限定的でない。また、「要素」または「成分」のような用語は、一つの単位を含む要素および成分、および特記しない限り二つ以上のサブユニットを含む要素および成分の両方を含む。
【0080】
サイトカインの腫瘍壊死因子(TNF)ファミリーの一員であるオステオプロテゲリンリガンド(OPGL)は、破骨細胞の形成に関与している。増加した破骨細胞活性は、閉経後骨粗鬆症、ページェット病、溶解性骨転移およびリューマチ性関節炎を含む多くの骨減少疾患に関わる。従って、OPGL活性の低下は、破骨細胞活性の低下につながり、骨減少疾患の重傷度を低下させ得る。本発明のある実施形態によれば、OPGLへの抗体を、これらに限定はされないが前述の疾患を含む骨減少疾患を治療するために用いることができる。
【0081】
本発明のある実施形態において、ヒトオステオプロテゲリンリガンド(OPGL)に対する完全ヒトモノクローナル抗体が提供される。ある実施形態において、H鎖イムノグロブリン分子とL鎖イムノグロブリン分子をコードするヌクレオチド配列およびそれらの分子を含むアミノ酸配列、特に、可変領域に相当する配列が提供される。ある実施形態において、相補性決定領域(CDR)、特にCDR1からCDR3に対応する配列が提供される。ある実施形態によれば、そのようなイムノグルブリン分子およびモノクローナル抗体を発現するハイブリドーマ細胞系も提供される。ある実施形態において、ヒトOPGLに対する精製ヒトモノクローナル抗体が提供される。
【0082】
酵母人工染色体(YAC)中にメガ塩基寸法のヒト遺伝子部位をクローン化しおよび再構築してそれらをマウス生殖細胞系に導入することができることにより、非常に大きなまたは粗くマップされた遺伝子座の機能性成分を解明するための、またヒト疾患の有用なモデルを発生させるための手段が提供される。さらに、そのような技術を利用してマウス遺伝子座をヒトの同等物で置換することにより、発育中のヒト遺伝子生成物の発現および制御、それらと他の系との連絡、および疾患の誘発および進行へのそれらの関与についてのユニークな洞察を得ることができる。
【0083】
そのような方策の重要な実際の応用は、マウス液性免疫系の「ヒト型化」である。内因性Ig遺伝子が不活性化されているマウスへの、ヒトイムノグルブリン(Ig)座の導入は、抗体のプログラムされた発現および組み立ての基礎となる機構並びにそれらのB細胞発育における役割を研究する機会を提供する。さらに、そのような方策により、完全ヒト型モノクローナル抗体(MAb)の生成のための供給源を提供することができよう。ある実施形態において、完全ヒト型抗体は、マウスまたはマウス誘導Mabに固有の免疫原性およびアレルギー性反応を最少化し、すなわち、ある実施形態において、投与された抗体の効果および安全性を高めることが予測される。ある実施形態において、完全ヒト型抗体を、骨粗鬆症、炎症、自己免疫および癌のような慢性および再発性ヒト疾患の治療において用いることができ、これは、繰り返し抗体投与を含み得る。
【0084】
マウスにマウス抗体の不存在下でヒト型抗体を生成させるような応用において、ヒトIg座の大きな断片を用いて、マウス抗体生成を欠くマウス株を作成することができる。大きなヒトIg断片は、大きな可変遺伝子多様性ならびに抗体生成および発現の適切な制御を保存していよう。抗体多様性および選択およびヒト蛋白への免疫学的寛容の欠損を活用することにより、これらのマウス株中の複製ヒト抗体レパートリーは、ヒト抗原を含む意図する抗原に対する高親和性抗体を有していよう。ハイブリドーマ技術を用いて、所望の特異性を有する抗原特異的ヒトMAbを生成および選択することができる。
【0085】
ある実施形態において、ヒト可変領域と一緒に、ヒト以外の種からの定常領域を用いることができる。
【0086】
天然に存在する抗体の構造
天然に存在する抗体の構造単位は、典型的に、四量体を含む。各々のそのようなテトラマーは、典型的に、二つの同一対のポリペプチド鎖を含み、各対は一つの全長L鎖(ある実施形態において、約25kDa)と一つの全長H鎖(ある実施形態において、約50kDaから70kDa)を有する。各鎖のアミノ末端部分は、典型的に抗原認識を担当する約100〜110またはそれ以上のアミノ酸の可変領域を典型的に含む。各鎖のカルボキシ末端部分は、エフェクター機能を担当し得る定常領域を典型的に規定する。ヒトL鎖は、典型的に、κおよびλL鎖とに分類される。H鎖は、典型的に、μ、δ、γ、αまたはεと分類され、それぞれIgM、IgD、IgG、IgAおよびIgEとして抗体アイソタイプを定義する。IgGは、IgG1、IgG2、IgG3およびIgG4を含む幾つかのサブクラスを有するが、これらに制限されない。IgMは、IgM1およびIgM2を含むサブクラスを有するが、これらに限定されない。IgAは同様にIgA1およびIgA2を含むサブクラスに下位分割されるが、これらに限定されない。全長L鎖およびH鎖中では、典型的に、可変領域と定常領域が、約12以上のアミノ酸からなる「J」領域により連結され、H鎖は、約10以上のアミノ酸からなる「D」領域も含む。例えば、Fundamental Immunology 第7章(Paul,W.編、第2版、Raven Press、N.Y.(1989年))を参照されたい(全ての目的のために、その全体を参考のために取り入れる)。各L/H鎖対からなる可変領域は、典型的に、抗原結合部位を形成する。
【0087】
可変領域は、相補性決定領域すなわちCDRとも呼ばれる、三つの超可変領域により連結された比較的保存されたフレームワーク領域(FR)の同じ一般的構造を典型的に示す。各対の二つの鎖からのCDRは、典型的に、このフレームワーク領域により典型的に配列されていて、これにより特定のエピトープへの結合が可能となり得る。N末端からC末端にかけて、L鎖可変領域とH鎖可変領域の両方が、典型的に、領域FR1、CDR1、FR2、CDR2、FR3、CDR3およびFR4を含む。各領域へのアミノ酸の割り当ては、典型的に、Kabat Sequences of Proteins of Immunological Interest(National Institutes of Health、Bethesda、Md.(1987年および1991年))またはChothia & Lesk J.Mol.Biol.第196巻:901〜917頁(1987年);Chothiaら著、Nature第342巻:878〜883頁(1989年)の定義に従う。
【0088】
二重特異的または二重機能的抗体
二重特異的または二重機能的抗体は、典型的には、二つの異なるH/L鎖対と二つの異なる結合部位を有する人工的ハイブリッド抗体である。二重特異的抗体は、限定はされないがハイブリドーマの融合またはFab’断片の結合を含む種々の方法により製造することができる。例えば、Songsivilai & Lachmann Clin.Exp.Immunol.第79巻:315〜321頁(1990年)、Kostelnyら著、J.Immunol.第148巻:1547〜1553頁(1992年)を参照のこと。
【0089】
抗体の調製
ある実施形態によれば、OPGLに特異的に結合する特定の抗体が本発明に含まれる。ある実施形態において、全長OPGL、OPGLの可溶性形態、またはその断片を用いて免疫化することにより抗体を製造することができる。ある実施形態において、本発明の抗体はポリクローナルまたはモノクローナル、および/または組換え抗体であってよい。ある実施形態において、本発明の抗体は、例えば、ヒト型抗体を生成することができるトランスジェニック動物の免疫化により調製されるヒト型抗体である(例えば、PCT公開出願番号WO93/12227参照)。
【0090】
ある実施形態において、αOPGL−1のLおよびH鎖可変領域の相補性決定領域(CDR)を、同じまたは別の種からのフレームワーク領域(FR)に移設することができる。ある実施形態において、αOPGL−1のLおよびH鎖可変領域のCDRを、コンセンサスヒトFRに移設することができる。コンセンサスヒトFRを作るために、ある実施形態において、幾つかのヒトH鎖またはL鎖アミノ酸配列からのFRが整列されてコンセンサスアミノ酸配列が同定される。ある実施形態において、αOPGL−1のH鎖またはL鎖のFRが、異なるH鎖またはL鎖からのFRで置換される。ある実施形態において、αOPGL−1のH鎖またはL鎖のFR中の稀アミノ酸(rare amino acid)は置換されないが、FRアミノ酸の残りは置換される。稀アミノ酸は、それらがFR中で通常見つからない位置にある特定のアミノ酸である。ある実施形態において、αOPGL−1からの移設可変領域を、αOPGL−1の定常領域と異なる定常領域と一緒に用いることができる。ある実施形態において、移設可変領域は、一本鎖Fv抗体の一部である。CDR移設は、例えば、米国特許第6,180,370号、第5,693,762号、第5,693,761号、第5,585,089号および5,530,101号に記載されており、これらが任意の目的のために参考としてここで組み込まれる。
【0091】
ある実施形態によれば、本発明の抗体は、挿入されたヒト型抗体生成ゲノムの実質部分を有するが内因性のネズミ抗体の生成が欠損したトランスジェニックマウスを利用することにより調製される。そのようなマウスは、ヒトイムノグルブリン分子および抗体を生成することができると共に、ネズミイムノグルブリン分子および抗体の生成は欠損している。この結果を達成するために利用される技術が、親出願および、ここで明細書中に開示されている参照文献に開示されている。ある実施形態において、PCT公開出願番号WO98/24893に開示のもののような方法を用いることができ、これが任意の目的で参考のためにここで取り込まれる。Mendezら著、Nature Genetics第15巻:146〜156頁(1997年)も参照され、これが任意の目的で参考のためにここで取り込まれる。
【0092】
ある実施形態によれば、OPGLに特異的な完全ヒトモノクローナル抗体が以下のように生成される。ヒトイムノグルブリン遺伝子を含むトランスジェニックマウスが、意図する抗原で免疫される。抗体を発現するマウスからのリンパ細胞(例えば、B細胞)が得られる。そのように回収された細胞が骨髄型細胞系と融合されて不死ハイブリドーマ細胞系が調製され、そのようなハイブリドーマ細胞系は、意図する抗原に特異的な抗体を生産するハイブリドーマ細胞系を特定するためにスクリーニングされ選択される。ある実施形態において、OPGLに特異的な抗体を生産するハイブリドーマ細胞系の生成が提供される。
【0093】
ある実施形態において、本発明の抗体は、ハイブリドーマ系AMG6.1、AMG6.4、AMG6.5、AMG7.1およびAMG7.2により生産される。ある実施形態において、本発明の抗体は、イブリドーマ系AMG6.1、AMG6.4およびAMG6.5により生産される。ある実施形態において、本発明の抗体は、約0.23から0.29nMの間の解離定数(Kd)でOPGLに結合する。本発明のある実施形態において、この抗体は0.23nM未満のKdでOPGLに結合する。
【0094】
ある実施形態において、本発明の抗体は、IgG2アイソタイプである。本発明のある実施形態において、この抗体は、ヒトκL鎖およびヒトIgG2H鎖を含む。ある実施形態において、本発明の抗体を、哺乳動物細胞中での発現のためにクローニングした。ある実施形態において、抗体の可変領域は、IgG2アイソタイプの定常領域以外の定常領域に連結される。
【0095】
ある実施形態において、αOPGL−1のHおよびL鎖への保存的修飾(およびコード化ヌクレオチドへの対応する修飾)により、αOPGL−1のものに類似の機能的および化学的特性を有するOPGLへの抗体が生成される。これに対して、αOPGL−1の機能的および/または化学的特性の実質的修飾が、(a)例えば面状または螺旋状配座として置換の領域における分子バックボーンの構造、(b)標的部位における分子の荷電または疎水性、または(c)側鎖の大きさ、の維持に対するそれらの効果が著しく異なるHおよびL鎖のアミノ酸配列における置換を選択することにより達成することができる。
【0096】
例えば、「保存的アミノ酸置換」は、天然アミノ酸残基を非天然残基で置換して、それによりその位置におけるアミノ酸残基の極性または電荷に殆どまたは全く影響が無いようにすることができる。さらに、ポリペプチド中の任意の天然残基を、「アラニンスキャンニング突然変異誘発」について先に記載したように、アラニンで置換することもできる。
【0097】
所望のアミノ酸置換(保存的または非保存的)は、そのような置換が望まれるときに当業者が決めることができる。ある実施形態において、アミノ酸置換を用いて、αOPGL−1の重要な残基を特定する、またはここに記載のOPGLへの抗体の親和性を増加または低下させることができる。
【0098】
ある実施形態において、本発明の抗体を、ハイブリドーマ細胞系以外の細胞系において発現させることができる。ある実施形態において、適切な哺乳動物宿主細胞の形質転換のために、特定の抗体をコードする配列を用いることができる。ある実施形態によれば、形質転換は、例えば、ポリヌクレオチドのウイルス(またはウイルスベクター)中への包装および宿主細胞へのウイルス(またはベクター)の導入または、米国特許第4,399,216号、第4,912,040号、第4,740,461号および4,959,455号(これら特許を、任意の目的で参考のためにここで組み込む)に例示されるような当分野で知られている形質移入手順を含む、ポリヌクレオチドを宿主細胞中に導入するための任意の既知の方法により行うことができる。ある実施形態において、用いられる形質転換手順は、形質転換すべき宿主に依存し得る。哺乳動物細胞中に異種ポリヌクレオチドを導入する方法は、当分野で良く知られており、限定はされないが、デキストラン媒介形質移入、燐酸カルシウム沈降、ポリブレン媒介形質移入、プロトプラスト融解、電気穿孔、リポソーム内へのポリヌクレオチドの封入、および核内へのDNAの直接顕微注入がある。
【0099】
発現用の宿主として利用できる哺乳動物細胞系は当分野で良く知られており、限定はされないが、American Type Culture Collection(ATCC)から入手される多くの不死化した細胞系があり、チャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞、HeLa細胞、ベビーハムスター腎(BHK)細胞、サル腎細胞(COS)、ヒト肝細胞癌細胞(例えば、Hep G2)および多くの他の細胞系が挙げられるが、これらに限定されない。ある実施形態において、どの細胞系が高い発現水準を有し、構成的OPGL結合特性を有する抗体を生成するかを決めることにより、細胞系を選択することができる。
【0100】
ある実施形態によれば、本発明の抗体は、生物学的サンプル中にOPGLを検出するのに有用である。ある実施形態において、これにより、蛋白を生成する細胞または組織を特定することができる。ある実施形態において、OPGLに結合すると共に他の結合性化合物との相互作用を阻害する抗体は、破骨細胞の分化および骨の再吸収の調節において治療的に用いることができる。ある実施形態において、OPGLに対する抗体は、OPGLのODARへの結合を阻害することができ、それにより、信号導入カスケードの阻害およびNF−kB媒介転写活性化の損失が生じ得る。例えば、ルシフェラーゼレポーターアッセイを用いてNF−kB媒介転写活性化を測定するアッセイは、当業者に知られている。
【0101】
ある実施形態において、治療有効量のOPGLに対する抗体を投与することを含んでなる骨疾患を治療する方法が提供される。ある実施形態において、治療有効量のOPGLに対する抗体および他の治療薬を投与することを含んでなる骨疾患を治療する方法が提供される。あるそのような態様において、さらなる治療薬は治療有効量で投与される。ある実施形態において、骨疾患は、正味骨損失を特徴とする疾患であり、骨減少症および骨溶解が挙げられるがこれらに限定されない。ある実施形態において、OPGLに対する抗体による治療を用いて骨再吸収速度を抑制する。従って、ある実施形態において、再吸収速度が正常を超える場合に骨再吸収速度を低下させる、または、骨形成の正常より低い水準を補うために骨再吸収を正常水準より低くするための治療を行うことができる。ある実施形態において、抗体を、OPGの不存在または存在下におけるOPGLへの結合について試験することができ、OPGL媒介破骨細胞発生および/または骨再吸収を阻害するその性能について試験することができる。
【0102】
ある実施形態に従って治療することができる症状には以下のものがあるが、これらに限定されない:
骨粗鬆症、例えば、原発性骨粗鬆症、内分泌性骨粗鬆症(甲状腺機能亢進症、副甲状腺機能亢進症、クッシング症候群および先端巨大症が挙げられるがこれらに限定されない)、骨粗鬆症の遺伝性および先天性型(骨形成不全症、ホモシスチン尿症、メンケズ症候群、ライリー−ダイ症候群が挙げられるがこれらに限定されない)、および端部の不動化による骨粗鬆症(これらに限定されない);
成人および若年者における骨のページェット病(変性性骨炎);
骨髄炎、すなわち、骨損失につながる、骨における感染性病変;
高カルシウム血症、例えば、充実性腫瘍(乳、肺および腎臓を含むがこれらに限定されない)および血液悪性病変(多発性骨髄腫、リンパ腫および白血病を含むがこれらに限定されない)から生じる高カルシウム血症、特発性高カルシウム血症、および甲状腺機能亢進症および腎機能障害に関わる高カルシウム血症(これらに限定されない);
骨減少症、例えば、手術に続く骨減少症、ステロイド投与により誘発される骨減少症、小腸および大腸の疾患に関わる骨減少症、および慢性肝臓および腎臓疾患に関わる骨減少症(これらに限定されない);
骨壊死、すなわち、骨細胞死であって、外傷に関わる骨壊死、ゴーシェ病に関わる骨壊死、鎌状赤血球貧血に関わる骨壊死、全身性エリテマトーデスに関わる骨壊死、リューマチ性関節炎に関わる骨壊死、歯周病に関わる骨壊死、骨溶解性転移に関わる骨壊死、および他の症状に関わる骨壊死(これらに限定されない);および
リューマチ性関節炎に関わる軟骨の損失および関節侵食。
【0103】
ある実施形態において、OPGLに対する抗体を、骨疾患の治療のために、単独で使用するまたは、少なくとも一種のさらなる治療剤と共に使用することができる。ある実施形態において、OPGLに対する抗体を、治療有効量のさらなる治療剤と組み合わせて用いる。OPGLに対する抗体と共に投与することができる治療剤の例には、BMP−1からBMP−12と表される骨形態発生因子;形質転換成長因子−β(TGF−β)およびTGF−βファミリー構成員;インターロイキン−1(IL−1)阻害因子、例えば、IL−1raおよびその誘導体およびキネレト(Kineret)(登録商標)(これらに限定されない);TNFα阻害因子、例えば、可溶性TNFα受容体、エンブレル(Enbrel)(登録商標)、抗−TNFα抗体、レミケード(Remicade)(登録商標)およびD2E7抗体(これらに限定されない);副甲状腺ホルモンおよびその類似体;副甲状腺関連蛋白およびその類似体;E系列プロスタグランジン;ビスホスホネート(アレンドロネート等);骨向上性鉱物、例えばフッ化物およびカルシウム;非ステロイド性抗炎症薬(NSAID)、例えば、セレブレックス(Celebrex)(登録商標)およびビオックス(Vioxx)(登録商標)のようなCOX−2阻害因子(これらに限定されない);免疫抑制薬、例えばメトトレキセートまたはレフルノミド;セリンプロテアーゼ阻害因子、例えば、分泌性白血球プロテアーゼ阻害因子(SLPI)(これらに限定されない);IL−6阻害因子(限定はされないがIL−6への抗体を含む);IL−8阻害因子(限定はされないがIL−8への抗体を含む);IL−18阻害因子(限定はされないがIL−18結合蛋白およびIL−18抗体を含む);インターロイキン−1転化酵素(ICE)調節因子;線維芽細胞成長因子FGF−1からFGF−10およびFGF調節因子;PAF拮抗薬;ケラチノサイト成長因子(KGF)、KGF−関連分子、およびKGF調節因子;マトリクスメタロプロテアーゼ(MMP)調節因子;一酸化窒素シンターゼ(NOS)調節因子、例えば、誘発性NOSの調節因子(これらに限定されない);グルココルチコイド受容体の調節因子;グルタメート受容体の調節因子;リポ多糖類(LPS)水準の調節因子;およびノルアドレナリン並びにその調節因子および模倣体があるが、これらに限定されない。
【0104】
ある実施形態において、OPGLに対する抗体が特定の治療剤と共に用いられて、骨損失を伴う種々の炎症性症状、自己免疫症状または他の症状が治療される。ある実施形態において、症状および治療の所望水準の観点から、二種、三種またはそれ以上の治療剤を投与することができる。ある実施形態において、同じ製剤中に含ませることにより治療剤を一緒に提供することができる。ある実施形態において、同じ製剤中に含ませることにより治療剤およびOPGLへの抗体を一緒に提供することができる。ある実施形態において、処理キット中に含ませることにより治療剤を一緒に提供することができる。ある実施形態において、処理キット中に含ませることにより治療剤およびOPGLに対する抗体を一緒に提供することができる。ある実施形態において、そのような治療剤を別々に提供することができる。ある実施形態において、遺伝子治療により投与された場合、蛋白剤および/またはOPGLに対する抗体をコードする遺伝子を同じベクター中に含ませることができる。ある実施形態において、蛋白剤および/またはOPGLに対する抗体をコードする遺伝子を同じプロモーター領域の制御下に置くことができる。ある実施形態において、蛋白剤および/またはOPGLに対する抗体をコードする遺伝子を別々のベクター中に存在させることができる。
【0105】
ある実施形態において、本発明は、OPGLに対する抗体および少なくとも一つのインターロイキン−1(IL−1)阻害因子を含む治療薬、およびそのような治療薬を用いる治療方法を提供する。ある実施形態において、この治療薬はOPGLに対する抗体およびIL−1阻害因子および、少なくとも一つのここに記載のさらなる分子を含む。ある実施形態において、治療法は、IL−1阻害因子および/またはTNF−α阻害因子をOPGLに対する抗体と組み合わせて用いる。ある実施形態において、IL−1阻害因子および/またはTNF−α阻害因子と組み合わされたOPGLに対する抗体を、喘息、リューマチ性関節炎および多発性硬化症のような症状の治療に用いることができる。
【0106】
インターロイキン−1(IL−1)は、抗炎症性サイトカインである。ある例において、IL−1は、多くの疾患および医学的症状における媒介物である。ある例において、IL−1は、マクロファージ/単核細胞直系の細胞により製造される。ある実施形態において、IL−1は二つの状態:IL−1アルファ(IL−1α)とIL−1ベータ(IL−1β)として生成される。
【0107】
自然発生的または実験的疾患または医学的症状が、体液または組織中のIL−1の高くなった水準を伴う場合、および/または、体から得た細胞または組織が培地中のIL−1の水準を高くする場合、疾患または医学的症状は「インターロイキン−1媒介疾患」と考えられる。ある実施形態において、そのようなインターロイキン−1媒介疾患は、以下のさらなる二つの条件によっても理解される:(1)疾患または医学的症状に関わる病的所見を、IL−1の投与またはIL−1の発現の上方制御により、動物中で実験的に模倣することができる;および(2)疾患または医学的症状の実験的動物モデルにおいて誘発される病因を、IL−1の作用を阻害する剤で処理することにより阻害または壊すことができる。ある実施形態において、IL−1媒介疾患において、前記条件の一つまたは二つ以上が見られる。ある実施形態において、IL−1媒介疾患において、三つの全ての条件が見られる。
【0108】
急性および慢性インターロイキン−1(IL−1)媒介疾患には以下のものがあるが、これらに限定されない:急性膵臓炎;筋萎縮性側索硬化症(ALS、またはルー・ゲーリック病);アルツハイマー病;悪液質/食欲不振、例えば、AIDS誘発悪液質(これに限定されない);喘息および他の肺疾患;アテローム性硬化症;自己免疫脈管炎;慢性疲労症候群;クロストリジウム関連疾患、例えば、クロストリジウム関連下痢(これに限定されない);冠動脈症状および適応症、例えば、鬱血性心不全、冠動脈再狭窄、心筋梗塞、心筋機能不全(例えば、敗血症関連)および冠動脈バイパスグラフト(これらに限定されない);癌、例えば、白血病、限定はさらないが多発性骨髄白血病および骨髄形成(例えば、AMLおよびCML)および腫瘍転移(これらに限定されない);糖尿病(限定はされないが、インスリン依存性糖尿病);子宮内膜症;熱;線維筋痛症;糸球体腎炎;対宿主性移植片病および/または移植拒絶反応;出血性ショック;痛覚過敏;炎症性腸疾患;関節の炎症症状、例えば、変形性関節炎、乾癬性関節炎およびリューマチ性関節炎(これらに限定されない);炎症性眼疾患、例えば、角膜移植に関わる疾患(これらに限定されない);虚血、例えば、脳虚血(限定はされないが、例えば各々が神経退化につながり得る外傷、癲癇、出血またはショックの結果としての脳損傷を含む)(これらに限定されない);川崎病;学習障害;肺疾患(限定はされないが、急性呼吸促迫症候群すなわちARDAを含む);多発性硬化症;筋障害(例えば、筋蛋白代謝、限定はされないが敗血症における筋蛋白代謝);神経毒性(限定はされないが、HIVにより誘発させる症状を含む);骨粗鬆症;疼痛、限定はされないが癌関連疼痛を含む;パーキンソン病;歯周病;早期分娩;乾癬;再灌流障害;敗血症ショック;放射線療法からの副作用;側頭下顎関節疾患;睡眠障害;ブドウ膜炎;および、例えば筋挫傷、捻挫、軟骨損傷、外傷、整形外科手術、感染または他の疾患過程から生じる炎症性症状。
【0109】
ある実施形態において、IL−1阻害因子は、任意数の機構から生じ得るIL−1への細胞性受容体の活性化を特異的に防止することができる任意の蛋白または分子であり得る。機構の例には、IL−1生成の下方制御、遊離IL−1の結合、その受容体に結合するIL−1の妨害、IL−1受容体複合体の形成(すなわち、IL−1受容体とIL−1受容体付属蛋白との組み合わせ)の妨害、およびその受容体への結合後に信号発信するIL−1の調節の妨害があるが、これらに限定されない。
【0110】
特定のインターロイキン−1阻害因子には、IL−1受容体拮抗薬、例えば限定はされないがキネレト(Kineret)(登録商標)、IL−1ra、IL−1ra変異体およびIL−1ra誘導体(集合的に「IL−1ra蛋白」と称する)、抗IL−1受容体モノクローナル抗体(例えば、ここで任意の目的のために参考として取り込まれるEP623674を参照されたい);IL−1結合蛋白、例えば、限定はされないが可溶性IL−1受容体(例えば米国特許第5,492,888号、米国特許第5,488,032号、米国特許第5,464,937号、米国特許第5,319,071号および米国特許第5,180,812号が参照され、ここで任意の目的のために参考として取り込まれる)を含む;抗IL−1モノクローナル抗体(例えばWO9501997、WO9402627、WO9006371、米国特許第4,935,343号、EP364778、EP267611およびEP220063が参照され、ここで任意の目的のために参考として取り込まれる);IL−1受容体付属蛋白およびそれに対する抗体(例えばWO96/23067およびWO99/37773が参照され、ここで任意の目的のために参考として取り込まれる);IL−1β生成および分泌を阻害するために用いることができる、インターロイキン−1β転化酵素(ICE)またはカスパセ(caspase)I(例えばWO99/46248、WO99/47545およびWO99/47154が参照され、ここで任意の目的のために参考として取り込まれる);インターロイキン−1βプロテアーゼ阻害因子;およびIL−1の生体内合成または細胞外放出を妨害する他の化合物および蛋白があるが、これらに限定されない。
【0111】
IL−1阻害因子の例が、例えば、米国特許第5,747,444号;第第5,359,032号;第第5,608,035号;第第5,843,905号;第第5,359,032号;第第5,866,576号;第第5,869,660号;第第5,869,315号;第第5,872,095号;第第5,955,480号;第第5,965,654号;第国際(WO)特許出願第98/21957号、第96/09323号、第91/17184号、第96/40907号、第98/32733号、第98/42325号、第98/44940号、第98/47892号、第98/56377号、第99/03837号、第99/06426号、第99/06042号、第91/17249号、第98/32733号、第98/17661号、第97/08174号、第95/34326号、第99/36426号、第99/36415号;第欧州(EP)特許出願第534978号および第894795;および仏国特許出願第FR276514号に開示されている。前記参考文献の全ての開示が、ここで任意の目的で参考として取り込まれる。
【0112】
インターロイキン−1受容体拮抗薬(IL−1ra)は、インターロイキン−1の天然阻害因子として作用すると共に、IL−1αおよびIL−1βを含むIL−1ファミリーの構成員であるヒト蛋白である。IL−1raおよびその変異体および誘導体を含む特定の受容体拮抗薬、並びにそれらを製造および使用する方法が、米国特許第5,075,222号;第WO91/08285;WO91/17184;AU9173636;WO92/16221;WO93/21946;WO94/06457;WO94/21275;FR2706772;WO94/21235;DE4219626、WO94/20517;WO96/22793;WO97/28828;およびWO99/36541に記載されており、これらがここで任意の目的で参考として取り込まれる。ある実施形態において、LI−1受容体拮抗薬をグリコシル化することができる。ある実施形態において、IL−1受容体拮抗薬はグリコシル化しなくてよい。
【0113】
IL−1raおよびその変異体の三つの形態が、米国特許第5,075,222号(’222特許)に記載されている。最初の形態は’222特許において「IL−1i」と呼ばれ、pH7.6のTris緩衝液中の約52mMのNaClでMono Q FPLCカラムから溶離される、等電点約4.8のSDS−PAGE上の22kDから23kD分子として特徴付けられる。第2の形態であるIL−1raβは、48mM NaClでMono Qカラムから溶離される、22kDから23kD分子として特徴付けられる。IL−1raαおよびIL−1raβの両方がグリコシル化される。第3の形態であるIL−1raxは、48mM NaClでMono Qカラムから溶離されグリコシル化されていない、20kD分子として特徴付けられる。’222特許は、阻害因子をコードする遺伝子を単離し、適切なベクター中でこれらの遺伝子をクローニングし、これらの遺伝子を特定の細胞型中に形質転換および形質移入し、これらの遺伝子を発現させて阻害因子を生成するための特定の方法も記載している。
【0114】
ある実施形態において、IL−1raのアミノ酸配列中で、欠失、挿入および/または置換(個々にまたは集合的に「変異体」と呼ばれる)が成される。ある実施形態において、IL−1ra変異体は生物学的に活性である(例えば、IL−1を阻害する性能を有する)。
【0115】
ある実施形態において、本発明は、OPGLに対する抗体および少なくとも一つのTNFα阻害因子を含む治療薬、およびそのような治療薬を用いる治療方法に関する。ある実施形態において、治療薬は、OPGLに対する抗体およびTNFα阻害因子並びにここに記載の少なくとも一つのさらなる分子を含む。
【0116】
ある疾患および医学的症状はTNFにより媒介され、炎症性症状と類別される。ここで用いられる「TNF媒介疾患」という用語は、体液または組織中のTNFの高くなった水準を伴うおよび/または体から得られる細胞または組織が培地中のTNF水準を高くする疾患または医学的症状を含むが、これらに制限されない。ある実施形態において、(1)疾患または医学的症状に関わる病的所見を、TNFの投与またはTNFの発現の上方制御により、動物中で実験的に模倣することができる、および/または(2)疾患または医学的症状の実験的動物モデルにおいて誘発される病因を、TNFの作用を阻害する医剤で処理することにより阻害または壊すことができる場合、疾患はTNF−媒介疾患である。
【0117】
特定の急性および慢性TNF媒介疾患には、悪液質および食欲不振;癌、例えば、白血病(これに限定されない);慢性疲労症候群;冠動脈症状および/または適応症、例えば、鬱血性心不全、冠動脈再狭窄、心筋梗塞、心筋機能不全(例えば、限定はされないが敗血症関連症状を含む)および冠動脈バイパスグラフト(これらに限定されない);抑鬱;糖尿病、例えば、若年発症1型糖尿病、真性糖尿病およびインスリン抵抗性(限定はされないが、肥満関連インスリン抵抗性を含む)(これらに限定されない);子宮内膜症、子宮内膜炎および関連症状;線維筋痛症および無痛覚症;対宿主性移植片病;痛覚過敏;炎症性腸疾患、例えば、クローン病およびクロストリジウム・ジフィシル(Clostridium difficile)関連下痢(これらに限定されない);虚血、例えば、脳虚血(限定はされないが、例えば外傷、癲癇、出血および/または脳卒中の結果としての脳損傷を含む)(これらに限定されない);肺疾患、例えば成人呼吸促迫症候群、喘息および肺線維症(これらに限定されない);多発性硬化症;神経炎症性疾患;眼疾患および症状、例えば、角膜移植、眼球退行変性およびブドウ膜炎(これらに限定されない);疼痛、限定はされないが癌関連疼痛を含む;膵臓炎;歯周病;毛孔性紅色ひこう疹(PRP);前立腺炎、例えばバクテリア性および非バクテリア性前立腺炎、および関連症状;乾癬および関連症状;肺線維症;再灌流障害;リューマチ性疾患、限定はされないが、リューマチ性関節炎、変性性関節炎、若年性関節炎(限定はされないが、若年性リューマチ性関節炎を含む)、セロネガティブ多発性関節炎、強直性脊椎炎、ライター症候群および反応性関節炎、スティル病、乾癬性関節炎、腸疾患に基づく関節炎、多発性筋炎、皮膚筋炎、強皮症、全身性硬化症、脈管炎(例えば、川崎病)、脳脈管炎、ライム病、ブドウ球菌誘発(「敗血症」)関節炎、シェーグレン症候群、リューマチ熱、多発性軟骨炎およびリューマチ性多発性筋痛および巨細胞性動脈炎を含む;敗血症性ショック;放射線療法からの副作用;全身性エリテマドーデス(SLE);側頭下顎関節疾患;甲状腺炎;および、例えば筋挫傷、捻挫、軟骨損傷、外傷、整形外科手術、感染(例えば、HIV、クロストリジウム・ジフィシルおよび関連種)または他の疾患過程から生じる組織移植および/または炎症疾患;があるが、これらに限定されない。
【0118】
ある実施形態において、TNF阻害因子は、TNF生成の下方制御または阻害、遊離TNFの結合、その受容体に結合するTNFの妨害、およびその受容体への結合後に信号発信するTNFの調節の妨害の少なくとも一つにより作用することができる。「TNF阻害因子」という用語は、可溶化TNF受容体、例えば、限定はされないが可溶性腫瘍壊死因子受容体I型(sTNF−RI;p55受容体とも呼ばれる)、可溶性腫瘍壊死因子受容体II型(p75受容体とも呼ばれる)およびエンブレル(Enbrel)(登録商標)がある;TNFに対する抗体、例えば、限定はされないレミケード(Remicade)(登録商標)およびD2E7(例えば、米国特許第6,090,382号および6,258,562号を参照)がある;TNF受容体への抗体;sTNF−RI(例えば、WO98/24463を参照)、etanercept(Enbrel(登録商標)、アバカイン(Avakine)(登録商標);TNF−α転化酵素(TACE)の阻害剤;およびTNF活性化に影響を与える他の分子;を含むが、これらに限定されない。
【0119】
TNF−α阻害因子に例が、例えば、欧州特許出願EP308 378;EP422 339;EP393 438;EP398 327;EP412 486;EP418 014;EP417 563;EP433 900;EP464 533;EP512 528;EP526 905;EP568 928;EP607 776(TNF−αの阻害のためのレフルノミドの使用を記載);EP663 210;EP542 795;EP818 439;EP664 128;EP542 795;EP741 707;EP874 819;EP882 714;EP880 970;EP648 783;EP731 791;EP895 988;EP550 376;EP882 714;EP853 083;EP550 376;EP943 616;EP939 121;EP614 984;EP853 083;米国特許第5,136,021号;第5,929,117号;第5,948,638号;第5,807,862号;第5,695,953号;第5,834,435号;第5,817,822号;第5,830,742号;第5,834,435号;第5,851,556号;第5,853,977号;第5,359,037号;第5,512,544号;第5,695,953号;第5,811,261号;第5,633,145号;第5,863,926号;第5,866,616号;第5,641,673号;第5,869,677号;第5,869,511号;第5,872,146号;第5,854,003号;第5,856,161号;第5,877,222号;第5,877,200号;第5,877,151号;第5,886,010号;第5,869,660号;第5,859,207号;第5,891,883号;第5,877,180号;第5,955,480号;第5,955,476号;第5,955,435号;第5,994,351号;第5,990,119号;第5,952,320号;第5,962,481号;第国際特許出願WO90/13575、WO91/03553、WO92/01002、WO92/13095、WO92/16221、WO93/07863、WO93/21946、WO93/19777、WO95/34326、WO96/28546、WO98/27298、WO98/30541、WO96/38150、WO96/38150、WO97/18207、WO97/15561、WO97/12902、WO96/25861、WO96/12735、WO96/11209、WO98/39326、WO98/39316、WO98/38859、WO98/39315、WO98/42659、WO98/39329、WO98/43959、WO98/45268、WO98/47863、WO96/33172、WO96/20926、WO97/37974、WO97/37973、WO97/47599、WO96/35711、WO98/51665、WO98/43946、WO95/04045、WO98/56377、WO97/12244、WO99/00364、WO99/00363、WO98/57936、WO99/01449、WO99/01139、WO98/56788、WO98/56756、WO98/53842、WO98/52948、WO98/52937、WO99/02510、WO97/43250、WO99/06410、WO99/06042、WO99/09022、WO99/08688、WO99/07679、WO99/09965、WO99/07704、WO99/06041、WO99/37818、WO99/37625、WO97/11668、WO99/50238、WO99/47672、WO99/48491;日本国特許出願第10147531号、第10231285号、第10259140号および第10130149号、第10316570号、第11001481号および第127,800号/1991;独国出願第19731521号;および英国出願第2218101号、第2326881号、第2246569号に記載されている。前記参考文献の全ての開示を、ここで、任意の目的のために参考として取り込む。
【0120】
EP393 438およびEP422 339は、集合的に「sTNF Rs」と呼ばれる、可溶性TNF受容体I型(sTNF R−Iまたは30kDa TNF阻害因子としても知られている)および可溶性TNF受容体II型(sTNF R−IIまたは40kDa TNF阻害因子としても知られている)のアミノ酸および核酸配列を記載している。EP393 438およびEP422 339は、sTNF R−IおよびsTNF R−IIの修飾形態も記載しており、例えば、限定はされないが断片、機能性誘導体および変異体が含まれる。さらに、EP393 438およびEP422 339は、阻害因子をコードする遺伝子を単離し、適切なベクター内に遺伝子をクローニングし、特定の細胞型内に遺伝子を形質転換または形質移入し、および遺伝子を発現して阻害剤を生成するための方法を記載している。
【0121】
sTNF R−IおよびsTNF R−IIは、神経成長因子受容体(NGF)、B細胞抗原CD40、4−1BB、ラットT細胞抗原MRC OX40、fas抗原、およびCD27およびCD30抗原(Smithら著(1990年)Science、第248巻:1019〜1023頁)を含む、受容体の神経成長因子/TNF受容体スーパーファミリーの構成員である。その群の細胞表面受容体の保存された特徴は、システインに富む細胞外リガンド結合領域であり、これは、充分に保存された位置において4個から6個のシステイン残基を含む約40個のアミノ酸からなる4つの繰り返しモチーフに分割することができる(Smithら著(1990年)、前掲書)。
【0122】
EP393 438は、全長組換え40kDa TNF阻害蛋白の切頭形態である40kDa TNF阻害因子Δ51および40kDa TNF阻害因子Δ53を教示している。Δ51およびΔ53は、成熟蛋白のカルボキシル末端から削除された、それぞれ51または53個のアミノ酸を有する。
【0123】
公開されたPCT出願番号WO98/01555は、4番目の領域(sTNF R−Iのアミノ酸残基Thr127−Asn161およびsTNF R−IIのアミノ酸残基Pro141−Thr179);3番目の領域の一部(sTNF R−Iのアミノ酸残基Asn111−Cys126およびsTNF R−IIのアミノ酸残基Pro123−Lys140)を含まず、任意に、1番目の領域の一部(sTNF R−Iのアミノ酸残基Asp1−Cys19およびsTNF R−IIのアミノ酸残基Leu1−Cys32)を含まないsTNF R−IおよびsTNF R−IIの切頭形態を記載している。ある実施形態において、切頭sTNF Rは、式:R1−[Cys19−Cys103]−R2およびR4−[Cys32−Cys115]−R5で示される蛋白を含む。これらの蛋白は、それぞれsTNF R−IおよびsTNF R−IIの切頭形態である。
【0124】
ここで用いられる「R1−[Cys19−Cys103]−R2」は、[Cys19−Cys103]がsTNF R−Iの残基19から103である一または二以上の蛋白を表し、その配列はWO98/01555の図1に示され、ここでR1はCys19のメチオニル化または非メチオニル化アミン基を表すかまたはCys18からAsp1から選択される一または二以上のアミノ末端アミノ酸残基を表し、R2はCys103のカルボキシ基を表すかまたはPhe104からLeu110から選択される一または二以上のカルボキシ末端アミノ酸残基を表す。
【0125】
本発明の切頭sTNF R−Iの例には、限定はされないが、sTNF R−I 2.6D/C105、sTNF R−I 2.6D/C106、sTNF R−I 2.6D/N105、sTNF R−I 2.3D/d8、sTNF R−I 2.3D/d18、sTNF R−I 2.3D/d15であってメチオニル化されたまはたメチオニル化されていないもの、その変異体および誘導体が含まれる。切頭sTNF R−Iのある例が、例えば、公開されたPCT出願番号WO98/01555に記載されている。
【0126】
ここで用いられる「R3−[Cys32−Cys115]−R4」は、[Cys32−Cys115]がsTNF R−IIの残基Cys32からCys115である一または二以上の蛋白を表し、その配列はWO98/01555の図8に示され、ここでR3はCys32のメチオニル化または非メチオニル化アミン基を表すかまたはCys31からLeu1から選択される一または二以上のアミノ末端アミノ酸残基を表し、R4はCys115のカルボキシ基を表すかまたはAla116からArg122から選択される一または二以上のカルボキシ末端アミノ酸残基を表す。
【0127】
ある実施形態において、本発明は、OPGLに対する抗体および少なくとも一つのセリンプロテアーゼ阻害因子を含む治療薬、およびそのような治療薬を用いる治療方法に関する。ある実施形態において、治療薬は、OPGLに対する抗体およびセリンプロテアーゼ阻害因子並びにここに記載の少なくとも一つのさらなる分子を含む。
【0128】
内因性プロテアーゼは、もはや必要でないまたは有用でない侵入生物、抗原−抗体複合体および特定の組織蛋白を分解させ得る。感染性剤は、さらなるプロテアーゼを生物中に導入することができる。プロテアーゼ阻害因子は、内因性と侵入性の両方のプロテアーゼを制御することができる。
【0129】
ある実施形態において、天然に存在するプロテアーゼ阻害因子は、その反応を局所的および一時的に制限することにより内因性プロテアーゼを制御するのに役立つ。ある実施形態において、プロテアーゼ阻害因子は、感染性剤により体内に導入されたプロテアーゼを阻害する。ある例において、限定はされないが気道の蛋白分解攻撃および感染を含む蛋白分解攻撃および感染を特に起こし易い組織は、プロテアーゼ阻害因子を多く含む。
【0130】
プロテアーゼ阻害因子は、ヒト血漿蛋白の約10%を含む。少なくとも8つの阻害因子がこの供給源から単離され、文献において特徴付けられている。これらは、限定はされないが、α2−マクロブロブリン(α2M)、α1−プロテアーゼ阻害因子(α1PI)、α1−アンチキモトリプシン(α1Achy)、α1−アンチコラーゲナーゼ(α1AC)およびαトリプシン間阻害因子(I−α−I)を含む。
【0131】
ある例において、プロテアーゼ/プロテアーゼ阻害因子バランスの妨害によりプロテアーゼ媒介組織破壊を起こすことができ、これは、限定はされないが、気腫、関節炎、糸球体腎炎、歯周病、筋ジストロフィ、腫瘍浸潤、および種々の他の病因性症状を含む。例えば敗血症または急性白血病のような重症の病因性過程である状況において、存在する遊離プロテアーゼの量は、分泌性細胞からの酵素の放出故に増加することができる。
【0132】
さらに、ある例において、生物の低下した制御阻害因子性能も、プロテアーゼ/プロテアーゼ阻害因子バランスを変化させ得る。そのような低下した制御阻害因子性能の非限定的例として、肺気腫の進行に関係するα1−プロテアーゼ阻害因子欠損がある。
【0133】
ある例において、プロテアーゼを制御するための手段を講ずることができず、そのような異常な状態が存在する場合、生物への過酷な損傷が起こり得る。従って、プロテアーゼを制御するために生物に投与することができるプロテアーゼ阻害因子を探した。
【0134】
白血球エラスターゼ、トリプシン、カテプシンGおよび膵臓エラスターゼは、セリンプロテアーゼとして知られているプロテアーゼのクラスの非限定的例である。
【0135】
ある実施形態において、白血球エラスターゼは、細胞外に放出された場合、結合組織および他の価値のある蛋白を分解する。正常に機能している生物はある量の結合組織および他の蛋白を分解するが、白血球エラスターゼの過剰量の存在は、限定はされないが気腫およびリューマチ性関節炎を含む種々の病原性状態を伴い得る。ある実施形態において、正常を超える量で存在する場合に白血球エラスターゼの効果を打ち消すために、白血球エラスターゼに特異的なプロテアーゼ阻害因子を探した。そのようなプロテアーゼ阻害因子は、薬学的に有用であるように純粋な状態で充分な量で単離または調製することができるなら、有用であり得る。
【0136】
特定の白血球エラスターゼ阻害因子が、例えば、Schiesslerら著、「Acid−Stable Inhibitors of Granulocyte Neutral Proteases in Human Mucous Secretions:Biochemistry and Possible Biological Function」in Neutral Proteases of Human Polymorphoneuclear Leucocytes、Havemannら(著)、Urban and Schwarzenberg、Inc.(1978年)、およびTravisおよびSalvesen著、Ann.Rev.Biochem.第52巻:655〜709頁(1983年)に記載されている。
【0137】
ある実施形態において、トリプシンは、限定はされないが膵臓炎を含む種々の急性症状中に、膵臓組織のような特定の軟質器官組織の分解を引き起こす。トリプシン阻害因子は、薬学的に有用となるように純粋状態で充分な量で単離および調製することができれば、有用であり得る。
【0138】
カテプシンGは、白血球中に存在するもう一つのプロテアーゼである。ある実施形態において、カテプシンGは、補体経路の蛋白を含む、種々の蛋白を生体外で分解することができる。膵臓エラスターゼは、膵臓炎で役割を果たすもう一つのプロテアーゼである。すなわち、これらのプロテアーゼ用の阻害因子も、薬学的価値がある。
【0139】
ある実施形態において、セリンプロテアーゼの異なる阻害因子の基質特異性および選択性は、僅かなアミノ酸残基の変化から生じると考えられる。したがって、比較的少ないアミノ酸の変化により異なるプロテアーゼを阻害することになるクラスのセリンプロテアーゼ阻害因子を考えることができる。ある実施形態において、このクラスの構成員は、全てのセリンプロテアーゼを阻害する。
【0140】
セリンプロテアーゼ阻害因子の例は、分泌性白血球プロテアーゼ阻害因子(SLPI)およびその断片および類似体である。セリンプロテアーゼ阻害因子の例には、抗白血球プロテアーゼ(ALP)、粘液性プロテアーゼ阻害因子(MPI)、ヒト精液血漿阻害因子(HUSI−I)、気管支粘膜阻害因子(BMI)および子宮頸部粘膜阻害因子(CUSI)もあるが、これらに限定されない。ある実施形態において、セリンプロテアーゼ阻害因子は、LPS調節因子でもあり得る。例えば、Jinら著(1997年)、Cell第88(3)巻:417〜26頁を参照されたい。ある実施形態において、これらの分子は、選択的に軟骨に導かれるために、骨損失に至る症状において用いるのに好適である。
【0141】
セリンプロテアーゼ阻害因子の例が、例えば、米国特許第4,760,130号;第米国特許第5,900,400号および米国特許第5,633,227号に記載されており、これらを任意の目的のために参照してここに組み込まれる。前記参考文献に開示の分子、およびその任意の変異体または類似体は、集合的に「セリンプロテアーゼ阻害因子」と呼ばれる。
【0142】
IL−18は、インターフェロン−γを誘発することが発見され先にインターフェロンガンマ誘発因子(IGIF)と命名された前炎症性サイトカインである。ある実施形態において、IL−1はIL−18生成を上方制御することが示され、IL−18は多くの前炎症性サイトカインの生成を誘発し、IL−6およびMMP−1を誘発する。例えば、Dinarelloら著(1998年)、J.Leukocyte Biol.第63巻:658〜64頁を参照されたい。ある実施形態において、カスパーゼIは、IL−18生成にも重要である。実験は、TNF−αがIL−18の生成を制御すること、およびTNF−αおよび1L−18の同時阻害が肝毒性を保護することも示している。例えば、Faggioniら著(2000年)、PNAS第97巻:2367〜72頁も参照されたい。
【0143】
IL−18は、IL−1系様の受容体系により生体内で作用する。IL−18は、付属蛋白(1L−18RAcP)と相互作用する細胞表面受容体(1L−18R)と相互作用する。IL−18媒介信号発信は、IL−18、IL−18RおよびIL−18RAcPの複合体の形成時に進行する。IL−18用の天然阻害因子はIL−18bpである。ある実施形態において、IL−18bpは、IL−18分子に結合しIL−18Rとの相互作用を妨げることにより「デコイ受容体」として作用する。
【0144】
ある実施形態において、本発明は、OPGLに対する抗体および少なくとも一つのIL−18阻害因子を含む治療薬、およびそのような治療薬を用いる治療方法に関する。ある実施形態において、この治療薬は、OPGLに対する抗体およびIL−18阻害因子並びにここに記載の少なくとも一つのさらなる分子を含む。特定の実施形態により治療することができる症状の例には、炎症、自己免疫疾患、IL−1媒介疾患およびTNF媒介疾患があるが、これらに限定されない。特定の態様に従ってOPGLに対する抗体および少なくとも一つのIL−18阻害因子で処理することができる症状の例には、限定はされないが関節炎があり、例えば、リューマチ性関節炎;全身性エリテマドーテス(SLE);対宿主性移植片病(GvHD);肝炎;敗血症;およびこれらの疾患に伴う骨および軟骨の損失が含まれるが、これらに限定されない。
【0145】
IL−18阻害因子の例には、IL−18に結合する抗体;IL−18Rに結合する抗体;IL−18RAcPに結合する抗体;IL−18bp;IL−18R断片(例えば、IL−18受容体の可溶化細胞外領域);IL−18に結合すると共にIL−18Rとのその相互作用を低下または防止するペプチド;IL−18Rに結合すると共にIL−18またはIL−18RAcPとのその相互作用を低下または防止するペプチド;IL−18RAcPに結合すると共にIL−18Rとのその相互作用を低下または防止するペプチド;およびIL−18の生成または1L−18、1L−18Rおよび1L−18RAcPのいずれかの間の相互作用を低下または防止する小さい分子が含まれるが、これらに限定されない。
【0146】
特定のIL−18阻害因子が、例えば、1994年7月14日に発行された米国特許第5,912,324号;第1999年12月8日に発行されたEP0 962 531;1994年11月15日に発行されたEP712 931;1994年7月14日に発行された米国特許第5,914,253号;第1997年7月10日に発行されたWO97/24441;2000年5月9日に発行された米国特許第6,060,283号;第1996年12月26日に発行されたEP850 952;1998年9月16日に発行されたEP864 585;1998年9月24日に発行されたWO98/41232;2000年4月25日に発行された米国特許第6,054,487号;第1997年8月14日に発行されたWO99/09063;1997年11月3日に発行されたWO99/22760;1998年1月23日に発行されたWO99/37772;1998年3月20日に発行されたWO99/37773;2000年1月26日に発行されたEP0 974 600;2000年3月9日に発行されたWO00/12555;1997年10月31日に発行された日本国特許出願JP111,399/94;1998年2月8日に公開されたイスラエル特許出願IL 121554A0に記載されており、これらを任意の目的のために参考としてここに取り込む。
【0147】
ある実施形態において、OPGLに対する抗体を、炎症用の少なくとも一つの治療剤と共に用いることができる。ある実施形態において、OPGLに対する抗体を、免疫疾患用の少なくとも一つの治療剤と共に用いることができる。炎症疾患および免疫疾患用の治療剤の例には、限定はされないが、コルチコステロイド、例えばプレドニソロン(これに限定されない);非ステロイド性抗炎症薬(NSAID)、例えばシクロオキシゲナーゼ1型(COX−1)およびシクロオキシゲナーゼ2型(COX−2)阻害因子(これらに限定されない);疾患修飾抗リューマチ薬(DMARD)、例えばメトトレキセート、ヒドロキシクロロキン、クロロキン、シクロスポリン、金化合物(例えば、オーラノフィン、オーロチオマレートおよびオーロチオグルコース)およびレフルノミド(これらに限定されない);IV型ホスホジエステラーゼ阻害因子、例えば、ロリプラム(Rolipram)およびペントキシフィリン(Pentoxifylline)(これらに限定されない);タクロリムス(Tacrolimus)(FK−506);シロリムス(Sirolimus)(ラパマイシン);マイコフェノール酸;5−リポキシゲナーゼ阻害因子、例えばジロイトン(Zileuton)(これらに限定されない);インターロイキン−6(IL−6)の調節因子;38kDa有糸分裂促進物質活性化蛋白キナーゼ(p38−MAPK)の小分子調節因子;限定はされないがjnk、IKK、NF−κB、ZAP70およびlckのような炎症経路に含まれる細胞内分子の小分子調節因子がある。炎症用の治療剤の特定の例が、例えば、C.A.DinarelloおよびL.L.Moldawer著Proinflammatory and Anti−Inflammatory Cytokines in Rheumatoid Arthritis:A Primer for Clinicians第3版(2001年),Amgen Inc.Thousand Oaks、CAに記載されている。炎症および自己免疫疾患用の治療剤の特定の例としては、限定はされないが、インターフェロンガンマ(IFN−γ)調節因子;OX40/OX40Lの調節因子(OX40の可溶性形態を含む);4−1BB/4−1BBリガンドの調節因子(4−1BBの可溶性形態を含む);B細胞−T細胞共刺激経路の調節因子、例えば限定はされないが受容体リガンド対CD28/B7、CD40/CD40L、ICOS/B7RP1およびAGP−3/TACI/BAFFR(AGP−3がTACIおよびBAFFR受容体の両方に結合する)の調節因子がある。B細胞−T細胞共刺激経路の調節因子の特定の例は、限定はされないが、CD28、B7.1およびB7.2の阻害因子(B7.1またはB7.2の可溶性形態およびCTLA4の可溶性形態を含み、それらの両方を融合して異種ペプチドまたは蛋白を形成することができ、これが、可溶性または循環半減期を増加させることにより、分解を低下または防止および/または半減期を増加させ、毒性を低下させ、免疫原性を低下させ、または治療性蛋白の生物学的活性を増加させる);CD40およびCD40Lの阻害因子(異種ペプチドまたは蛋白に融合し得るCD40の可溶性形態を含む);ICOSおよびB7RP1の阻害因子(異種ペプチドまたは蛋白に融合し得るICOSの可溶性形態を含む);およびAGP−3、TACIおよびBAFFRの阻害因子(TACIおよびBAFFRの可溶性形態を含む);を含む。ICOS、B7RP1およびそれらの阻害因子は、例えば、WO00/46240に記載されている。AGP−3、TACIおよびBAFFRおよびそれらの阻害因子は、例えば、WO00/47740、WO01/85872、WO02/15273、WO98/39361およびBulowおよびBram著(1997年)Science第278巻:138〜140頁に記載されている。
【0148】
ある実施形態において、OPGLに対する抗体が、限定はされないが悪性または転移性腫瘍により引き起こされる骨の骨溶解性破壊から生じる骨損失を含む骨損失を治療するために用いられる。ある実施形態において、OPGLに対する抗体は、癌に関する骨損失を治療するために用いることができる。癌の例としては、乳、前立腺、甲状腺、腎臓、肺、食道、直腸、膀胱、子宮頸部、卵巣および肝臓癌、並びに胃腸管の癌があるが、これらに限定されない。ある実施形態において、OPGLに対する抗体は、例えば、ある血液学的悪性疾患、例えば限定はされないがホジキン病を含む多発性骨髄腫およびリンパ腫に関する骨損失を治療するために用いることができる。
【0149】
ある実施形態において、OPGLに対する抗体は単独で投与される。ある実施形態において、OPGLに対する抗体は、限定はされないが少なくとも一つの他の癌治療剤を含む少なくとも一つの他の治療剤と一緒に投与される。癌治療には、例えば、放射線療法および化学療法があるが、これらに限定されない。ある実施形態において、化学療法は、以下の剤の一種または二種以上で治療することを含み得る:アントラサイクリン、タキソール、タモキシフェン、ドキソルビシン、5−フルオロウラシルおよび、当分野で知られている他の薬剤。ある実施形態において、癌治療剤は、黄体化ホルモン放出ホルモン(LHRH)拮抗薬である。ある実施形態において、LHRH拮抗薬はペプチド拮抗薬である。
【0150】
ある実施形態において、LHRH拮抗薬は、ペプチド:Ac−D−Nal−4−Cl−Phe−D−Pal−Ser−N−Me−Tyr−D−Asn−Leu−Lys(iPr)−Pro−D−Ala−NH2(配列番号20)を含み、ここでNalは3−(2−ナフチル)アラニニル;4−Cl−Pheは(4’−クロロフェニル)アラニニル;Palは3−(3’−ピリジル)アラニニル;およびLys(iPr)はN−エプシロン−2−プロピル−リシニルである。
【0151】
ある実施形態において、LHRH拮抗薬はLHRH拮抗薬デカペプチドである。デカペプチドの特定の例が、例えば、米国特許第5,843,901号に記載されており、これを任意の目的のために参照してここに組み込まれる。
【0152】
ある実施形態による治療性抗体の例としては、限定はされないが、マウス、マウス−ヒトキメラ、CDR−接枝、ヒト化および完全ヒト抗体、および限定はされないが抗体ライブラリーをスクリーニングすることにより選択される抗体を含む合成抗体がある。抗体の例には、細胞表面蛋白Her2、CDC20、CDC33、ムチン様糖蛋白および、腫瘍細胞上に存在する上皮成長因子受容体(EGFR)に結合すると共にこれらの蛋白を示す腫瘍細胞上に細胞増殖抑制性および/または細胞毒性効果を任意に誘発する抗体があるが、これらに限定されない。抗体の例は、乳癌および他の形態の癌を治療するために用いることができるHERCEPTIN(登録商標)(trastuzumab)、およびRITUXAN(登録商標)(rituximab)、ZEVALIN(登録商標)(ibritumomab tiuxetan)、および非ホジキンリンパ腫および他の形態の癌を治療するために用いることができるLYMPHOCIDE(登録商標)(epratuzumab)も含み。抗体の特定の例は、ERBITUX(登録商標)(IMC−C225)、BEXXAR(登録商標)(ヨウ素131 tositumomab)およびCampathも含む。
【0153】
ある実施形態において、癌治療剤は、限定はされないがTNF−関連ポリペプチドTRAILを含む、腫瘍細胞中でアポトーシスを選択的に誘発するポリペプチドである。ある実施形態において、OPGLに対する抗体は、少なくとも、癌治療剤での治療の前、同時および後のいずれかに投与することができる。ある実施形態において、OPGLに対する抗体は、転移性癌の骨損失の開始を防止または軽減するために予防的に投与することができる。ある実施形態において、OPGLに対する抗体は、転移による骨損失の存在する症状の治療のために投与することができる。
【0154】
ある実施形態において、OPGLに対する抗体は、多発性骨髄腫に関わる骨損失を防止および/または治療するため、および/またはその病気そのものを防止および/または治療するため用いることができる。多発性骨髄腫は、著しい罹患率および/または死亡率に到り得るB細胞誘導腫瘍である。ある実施形態において、多発性骨髄腫の臨床的症状発現は限局性骨損失であり、これは、局所領域における増加した破骨細胞活性化に起因し得る。多くの骨髄腫患者は、放射線医学的分析により見ることができる骨病巣を呈し、骨格痛を被る。ある例において、骨髄腫の患者は、突発的にまたは外傷により起こり得る、含まれる骨の病的骨折を起こし易い。ある実施形態において、骨髄腫中に生じる骨格病巣は、骨折を起こすのみならず、変形および時には特に椎骨特記における神経圧迫も起こす。ある実施形態において、血清カルシウムの病的増加(高カルシウム血症)が起こり、病気治療中に著しい問題を引き起こし得る。ある実施形態において、OPGLに対する抗体を、骨再吸収およびカルシウム放出を低下または阻害するために患者に投与することができ、これが骨折および脊椎変形の危険性を低下させることができる。
【0155】
ある実施形態において、骨髄腫細胞は骨破壊に直接関与せず、その代わりに、破骨細胞の分化および活性化につながる細胞外信号を発する。ある実施形態において、破骨細胞は、特に活性化したとき、高水準のサイトカインIL−6を生成する。IL−6は、B細胞成長因子であり、ネズミおよびヒトの両方の骨髄腫細胞の生体外での成長に貢献する。骨髄腫細胞は、直接または間接的にOPGLを生成することができ、これが、骨髄空間に埋められている骨髄腫細胞を包囲する限局性骨溶解を引き起こし得る。ある実施形態において、骨髄腫細胞に隣接する正常破骨細胞がここではIL−6を生成し、これが、腫瘍細胞の限局性拡張を引き起こし得る。骨髄腫細胞はクローン様に拡張し、不適切な骨再吸収により形成される骨空間を占めることができる。
【0156】
げっ歯類へのOPGの投与が、破骨細胞集団の迅速な死を誘発することが観察された。(例えば、Laceyら著、(2000年)Am.J.Pathol.第157巻:435〜448頁を参照のこと)。破骨細胞の数の減少が、これらの細胞による増加したIL−6生成の効果を阻害することがあり、従って、海綿質中での骨髄腫細胞の成長および生き残りに影響を与えることができる。すなわち、ある実施形態において、OPGLに対する抗体の骨髄腫患者への投与が、骨の過剰再吸収を阻害するのみならず、腫瘍そのものの拡張および生き残りに影響を与えることができる。
【0157】
B細胞は、OPGL、ODARへの受容体を発現する。骨髄腫細胞もODARを発現し、さらに、OPGLを生成することができる。ある実施形態において、同じ細胞集合におけるOPGLとODARの両方の発現が、骨髄腫細胞の生き残りに影響を与えるオートクリン刺激を生むことができる。すなわち、ある実施形態において、OPGLに対する抗体の投与が、腫瘍細胞生き残りを減少させ、それにより骨髄腫患者において見られる腫瘍負荷を減少または除去することができる。
【0158】
ある実施形態において、本発明は、治療有効量のOPGLに対する抗体を、医薬適合性の希釈剤、キャリア、可溶化剤、乳化剤、防腐剤および/またはアジュバントと一緒に含む医薬組成物を提供する。
【0159】
ある実施形態において、本発明は、治療有効量のOPGLに対する抗体および治療有効量の少なくとも一つのさらなる治療剤を、医薬適合性の希釈剤、キャリア、可溶化剤、乳化剤、防腐剤および/またはアジュバントと一緒に含む医薬組成物を提供する。ある実施形態において、少なくとも一つのさらなる治療剤は、BMP−1からBMP−12と表される骨形態発生因子;形質転換成長因子−β(TGF−β)およびTGF−β科構成員;インターロイキン−1(IL−1)阻害因子、例えばLI−1aおよびその誘導体およびキネレト(Kineret)(登録商標)(これらに限定されない);TNFα阻害因子、例えば可溶性TNFα受容体、エンブレル(Enbrel)(登録商標)、抗TNFα抗体、レミケード(Remicade)(登録商標)およびD2E7抗体(これらに限定されない);副甲状腺ホルモンおよびその類似体、副甲状腺関連蛋白およびその類似体;E系列プロスタグランジン;ビスホスホネート(例えば、アレンドロネートおよびその他);フッ化物およびカルシウムのような骨強化鉱物;非ステロイド抗炎症性薬(NSAID)、セレブレックス(Celebrex)(登録商標)およびビオツクス(Vioxx)(登録商標)のようなCOX−2阻害因子;免疫抑制剤、例えばメトトレキセートおよびレフルノミド;セリンプロテアーゼ阻害因子、例えば、分泌性白血球プロテアーゼ阻害因子(SLPI);IL−6阻害因子(例えば、IL−6への抗体);IL−8阻害因子(例えば、IL−8への抗体);IL−18阻害因子(例えば、IL−18結合蛋白またはIL−18抗体);インターロイキン−1転化酵素(ICE)調節因子;線維芽細胞成長因子FGF−1からFGF−10およびFGF調節因子;PAF拮抗薬;ケラチノサイト成長因子(KGF)、KGF−関連分子、またはKGF調節因子;マトリクスメタロプロテアーゼ(MMP)調節因子;一酸化窒素シンターゼ(NOS)調節因子、例えば、誘発性NOSの調節因子;グルココルチコイド受容体の調節因子;グルタメート受容体の調節因子;リポ多糖類(LPS)水準の調節因子;およびノルアドレナリン並びにその調節因子および模倣体から選択される。
【0160】
ある実施形態において、許容できる製剤材料は、好ましくは、用いられる投与量および濃度においてレシピエントに非毒性である。
【0161】
ある実施形態において、医薬組成物は、例えば組成物のpH、浸透性、粘度、透明さ、色、等張性、香り、無菌性、安定性、溶解または放出速度、吸着性および透過性を修飾、維持または保存するための製剤材料を含み得る。ある実施形態において、適切な製剤材料は、限定はさらないが、アミノ酸(例えば、グリシン、グルタミン、アスパラギン、アルギニンまたはリシン);抗菌物質;抗酸化物質(例えば、アスコルビン酸、亜硫酸ナトリウムまたは亜硫酸水素ナトリウム);緩衝物質(例えば、ホウ酸塩、重炭酸塩、Tris−HCl、クエン酸塩、燐酸塩または有機酸);バルキング剤(例えば、マンニトールまたはグリシン);キレート剤(例えば、エチレンジアミン四酢酸(EDTA));錯化剤(例えば、カフェイン、ポリビニルピロリドン、β−シクロデキストリンまたはヒドロキシプロピル−β−shクロデキストリン);充填剤;単糖類;二糖類;および他の炭水化物(例えば、グルコース、マンノースまたはデキストリン);蛋白(例えば、血清アルブミン、ゼラチンまたはイムノグロブリン);着色剤、着香剤および希釈剤;乳化剤;親水性ポリマー(例えば、ポリビニルピロリドン);低分子量ポリペプチド;塩形成性対イオン(例えば、ナトリウム);防腐剤(例えば、ベンズアルコニウムクロリド、安息香酸、サリチル酸、チメロサール、フェネチルアルコール、メチルパラベン、プロピルパラベン、クロルヘキシジン、ソルビン酸または過酸化水素);溶媒(例えば、グリセリン、プロピレングリコールまたはポリエチレングリコール);糖アルコール(例えば、マンニトールまたはソルビトール);懸濁剤;界面活性剤または湿潤剤(例えば、プルロニック、PEG、ソルビタンエステル、ポリソルベート、例えば、ポリソルベート20、ポリソルベート80、トリトン;トロメタミン、レシチン、コレステロール、チロキサパル);安定性向上剤(例えば、スクロースまたはソルビトール);張度向上剤(例えば、ハロゲン化アルカリ金属、好ましくは、塩化ナトリウムまたはカリウム、マンニトールソルビトール);送達ビヒクル;希釈剤;賦形剤および/または薬学的アジュバントを含む。(Remington’s Pharmaceutical Sciences、第18版、A.R.Gennaro編、Mack Publishing Company(1990年))。
【0162】
ある実施形態において、OPGLに対する抗体および/または治療性分子を、当分野において知られている半減期延長性ビヒクルに結合される。そのようなビヒクルは、限定はされないが、Fc領域、ポリエチレングリコールおよびデキストランを含む。そのようなビヒクルは、例えば、米国出願番号09/428,082および公開PCT出願WO99/25044に記載されており、これらを任意の目的のために参照してここに組み込まれる。
【0163】
ある実施形態において、最適医薬組成物は、例えば意図する投与経路、送達方式および所望の投与量に依存して当業者により決められる。例えば、Remington’s Pharmaceutical Sciences:前掲書を参照されたい。ある実施形態において、そのような組成物は、本発明の抗体の物理的状態、安定性、生体内放出速度および生体内クリアランス速度に影響を与えることができる。
【0164】
ある実施形態において、医薬組成物中の主なビヒクルまたはキャリアは、性質が水性または非水性である。例えば、ある実施形態において、適切なビヒクルまたはキャリアは、注射用水、生理食塩溶液または人工脳脊髄液であってよく、非経口投与のための組成物において一般的な他の材料を補足して良い。ある実施形態において、中性緩衝食塩水または血清アルブミンと混合された食塩水が、さらなるビヒクルの例である。ある実施形態において、医薬組成物は、pH約7.0〜8.5のTris緩衝液またはpH約4.0〜5.5の酢酸塩緩衝液を含み、さらに、ソルビトールまたは適切なその代替物を含んでよい。ある実施形態において、所望の純度を有する選択された組成物を、凍結乾燥ケーキまたは水溶液としての任意の製剤(Remington’s Pharmaceutical Sciences:前掲書)と混合することにより、OPGLに対する抗体を含み、少なくとも一つのさらなる治療剤を含むまたは含まない組成物を、貯蔵用に調製することができる。さらに、ある実施形態において、OPGLに対する抗体を含み、少なくとも一つのさらなる治療剤を含むまたは含まない組成物を、スクロースのような適切な賦形剤を用いて凍結乾燥体として調製することができる。
【0165】
ある実施形態において、本発明の医薬組成物を、非経口送達のために選択することができる。ある実施形態において、この組成物を、吸入または経口のような消化管を通る送達用に選択することができる。そのような医薬適合性の組成物の調製は、当分野の技術範囲内である。
【0166】
ある実施形態において、製剤成分は、投与部位に許容できる濃度で存在する。ある実施形態において、組成物を生理的pHまたは僅かに低いpH、典型的には約5〜約8のpH範囲内に維持するために緩衝液が用いられる。
【0167】
ある実施形態において、非経口投与を考える場合、治療組成物は、医薬適合性のビヒクル中に所望のOPGLに対する抗体を含み、さらなる治療剤を含むまたは含まない、発熱因子を含まず非経口的に許容できる水溶液の状態であり得る。ある実施形態において、非経口注入用のビヒクルは滅菌蒸留水であり、その中で、OPGLに対する抗体が、少なくとも一つのさらなる治療剤を用いてまたは用いないで、適切に保存された滅菌等張溶液として形成される。ある実施形態において、製剤は、その後にデポー注射により送達することができる生成物の管理された放出または少しずつの放出を提供し得る、注射性マイクロ球、生物学的腐食性粒子、ポリマー化合物(例えば、ポリ乳酸またはポリグリコール酸)、ビーズまたはリポソームのような剤と所望の分子の組成物を含むことができる。ある実施形態において、ヒアルロン酸も用いることができ、循環する持続を促進する効果を有することができる。ある実施形態において、所望の分子を導入するために移植可能な薬剤送達装置を用いることができる。
【0168】
ある実施形態において、医薬組成物を吸入用に調製することができる。ある実施形態において、OPGLに対する抗体を、少なくとも一つのさらなる治療剤を用いてまたは用いないで、吸入用の乾燥粉末として調製することができる。ある実施形態において、OPGLに対する抗体を、少なくとも一つのさらなる治療剤を用いてまたは用いないで、推進剤を用いてエアロゾル送達用に調製することができる。ある実施形態において、溶液を霧状にすることができる。肺投与が、さらに、PCT出願PCT/US94/001875に記載されており、これは化学的に修飾した蛋白の肺送達を記載している。
【0169】
ある実施形態において、製剤を経口的に投与することが考えられる。ある実施形態において、このように投与されるOPGLに対する抗体を、少なくとも一つのさらなる治療剤を用いてまたは用いないで、錠剤およびカプセルのような固体投与型の配合において通常用いられるキャリアを用いてまたは用いないで製剤にすることができる。ある実施形態において、生物学的利用性が最大となり前全身性分解が最少となる胃腸管の地点で組成物の活性部分を放出するようにカプセルを設計することができる。ある実施形態において、OPGLに対する抗体および/または任意のさらなる治療剤の吸収を容易にするように、少なくとも一つのさらなる剤を含ませることができる。ある実施形態において、希釈剤、着香剤、低融点ワックス、植物油、潤滑剤、懸濁剤、錠剤崩壊剤およびバインダーを用いることもできる。
【0170】
ある実施形態において、医薬組成物は、少なくとも一つのさらなる治療剤を用いてまたは用いないで、有効量のOPGLに対する抗体を、錠剤の製造に適している非毒性賦形剤を含む混合物中に含むことができる。ある実施形態において、錠剤を滅菌水または別の適切なビヒクル中に溶解することにより、溶液を単位投与形態で調製することができる。ある実施形態において、適切な賦形剤は、限定はされないが、炭酸カルシウム、炭酸または重炭酸ナトリウム、ラクトースまたは燐酸カルシウムのような不活性希釈剤;デンプン、ゼラチンまたはアカシアのような結合剤;またはステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸またはタルクのような潤滑剤を含む。
【0171】
さらなる医薬組成物は、当業者に良く知られており、少なくとも一つのさらなる治療剤を用いてまたは用いないで、OPGLに対する抗体を持続性または制御された送達製剤中に含む組成物を含む。ある実施形態において、種々の他の持続性または制御下の送達手段、例えば、リポソームキャリア、生物学的腐食性ミクロ粒子または多孔質ビーズおよび蓄積注射剤を調製する技術も当業者に知られている。例えば、PCT出願PCT/US93/00829が参照され、これは、医薬組成物の送達のための多孔質ポリマーミクロ粒子の制御下の放出を記載している。ある実施形態において、持続性放出製剤は、造形粒子、例えばフィルムまたはマイクロカプセルの状態の半透過性ポリマーマトリクスを含むことができる。持続性放出マトリクスは、ポリエステル、ヒドロゲル、ポリラクチド(U.S.3,773,919およびEP058,481)、L−グルタミン酸とガンマエチルL−グルタメートのコポリマー(Sidmanら著,Biopolymers第22巻:547〜556頁(1983年))、ポリ(2−ヒドロキシエチルメタクリレート)(Langerら著、J.Biomed.Mater.Res.第15巻:167〜277頁(1981年)およびLanger、Chem.Tech.第12巻:98〜105頁(1982年))、エチレンビニルアセテート(Langerら著、前掲書)またはポリ−D(−)−3−ヒドロキシ酪酸(EP133,988)を含むことができる。ある実施形態において、持続放出組成物は、当分野で知られている任意の幾つかの方法により調製することができるリポソームも含むことができる。例えば、Eppsteinら著、Proc.Natl.Acad.Sci.USA、第82巻:3688〜3692頁(1985年);EP036,676;EP088,046およびEP143,949を参照されたい。
【0172】
生体内投与用に用いられる医薬組成物は、典型的には無菌である。ある実施形態において、これは、滅菌濾過膜を通す濾過により達成することができる。ある実施形態において、組成物を凍結乾燥する場合、この方法を用いる滅菌を凍結乾燥および再構築の前または後に行うことができる。ある実施形態において、非経口投与用の組成物を、凍結乾燥状態または溶液中に貯蔵することができる。ある実施形態において、非経口組成物は、通常、滅菌アクセスポートを有する容器、例えば、静脈内溶液袋または皮下注射針により突き通すことができるストッパーを有するバイアル中に配される。
【0173】
ある実施形態において、医薬組成物が一旦調製されると、これを、溶液、懸濁液、ゲル、乳濁液、固体としてまたは脱水もしくは凍結乾燥粉末として滅菌バイアル中に貯蔵することができる。ある実施形態において、そのような製剤は、直ぐに使用できる状態または、投与前に再構築される状態(例えば、凍結乾燥された状態)で貯蔵することができる。
【0174】
ある実施形態において、本発明は、一回投与単位を製造するためのキットに関する。ある実施形態において、このキットは、各々が、乾燥蛋白を有する第1の容器および水性製剤を有する第2の容器の両方を含むことができる。本発明のある実施形態において、単数室および複数室予備充填注射器(例えば、液体注射器および溶解注射器)を含むキットが含まれる。
【0175】
ある実施形態において、少なくとも一つのさらなる治療剤を用いてまたは用いないで、OPGLに対する抗体を含む治療的に用いられる医薬組成物の有効量は、例えば、治療方法および対象に依存する。当業者は、特定の態様に従う治療用の適切な投与量は、部分的には、送達される分子、OPGLに対する抗体が少なくとも一つのさらなる治療剤を用いてまたは用いないで使用される指示、投与経路、および患者の大きさ(体重、体表面積または器官寸法)および/または症状(年齢および全身状態)に依存して変化すると理解する。ある実施形態において、臨床家は投与量を調節し投与経路を変更して最適治療効果を得ることができる。ある実施形態において、典型的投与量は、前述の因子に依存して、約0.1μg/kgから約100mg/kg以上の範囲で変化することができる。ある実施形態において、投与量は0.1μg/kgから約100mg/kg;または1μg/kgから約100mg/kg;または5μg/kgから約100mg/kgで変化し得る。
【0176】
ある実施形態において、投与回数は、用いられる組成物中のOPGLに対する抗体および/または任意のさらなる治療剤の薬物動態学的パラメーターを考慮する。ある実施形態において、臨床家は、所望の効果を達成する投与量に到るまで組成物を投与する。ある実施形態において、組成物は、従って、時間を置いて一回投与としてまたは二回以上の投与として(同量の所望の分子を含むまたは含まなくてもよい)、あるいは移植装置またはカテーテルを介する連続輸液として投与することができる。適切な投与量をさらに精製することは、当業者が通常方法で行い、当業者が一般的に行う作業範囲である。ある実施形態において、適切な投与量は、適切な投与量−応答データを用いることにより突き止めることができる。
【0177】
ある実施形態において、医薬組成物の投与経路は、既知の方法、例えば、経口投与、また、静脈内、腹腔内、大脳内(実質内)、脳室内、筋肉内、眼球内、動脈内、門脈内または病変内経路による注射;または維持放出システムまたは移植装置に従う。ある実施形態において、組成物は、ボーラス注射によりまたは輸液により連続的に、あるいは移植装置により投与することができる。
【0178】
ある実施形態において、この組成物は、そこに所望の分子が吸収または封入されている薄膜、スポンジまたは別の適切な材料の移植により局所的に投与することができる。ある実施形態において、移植装置を用いる場合、その装置は、適切な組織または器官に移植することができ、所望の分子の送達は拡散、遅延放出ボーラスまたは連続的投与であり得る。
【0179】
ある実施形態において、少なくとも一つのさらなる治療剤を用いてまたは用いないで、OPGLに対する抗体を含む医薬組成物を生体外で用いることが望ましい。そのような例において、患者から除去された細胞、組織および/または器官を、少なくとも一つのさらなる治療剤を用いてまたは用いないでOPGLに対する抗体を含む医薬組成物に晒し、その後、細胞、組織および/または器官を続いて患者に移植して戻す。
【0180】
ある実施形態において、OPGLに対する抗体および/または任意の治療剤は、ポリペプチドを発現し分泌するためにここに記載されたような方法を用いて遺伝子加工された特定の細胞を移植することにより送達することができる。ある実施形態において、そのような細胞は動物またはヒト細胞であって良く、自己由来、異種または遠異種であって良い。ある実施形態において、細胞は不朽化することができる。ある実施形態において、免疫学的反応の変化を低下させるために、細胞を封入して周囲組織の侵入を避けることができる。ある実施形態において、封入材料は典型的には、蛋白の放出は許すが、患者の免疫系によるまたは周囲細胞からの他の有害因子による細胞の破壊は防止する、生物適合性で半透過性のポリマー封入体または薄膜である。
【0181】
行った実験および達成された結果を含む以下の実施例は、説明の目的のみに提供され、本発明の制限を意図するものではない。
【実施例1】
【0182】
αOPGL−1 H鎖およびL鎖のクローニング
全長ヒトOPGL cDNAを発現するCHO細胞を用いて、ヒトイムノグルブリン遺伝子を含むトランスジェニックマウスを免疫する。免疫されたマウスからのリンパ説をネズミ骨髄腫細胞に融合させてハイブリドーマを発生させる。ハイブリドーマ系統からの上澄みを、ヒトOPGLと反応する抗体についてELISAアッセイにおいて試験する。抗OPGL発現ハイブリドーマ系統AMG6.5、AMG6.4およびAMG6.1は、OPGLに対する高い親和性を有する抗体を発現することがわかり(Kdがそれぞれ0.28nM、0.29nMおよび0.23nM)、AMG6.5をクローニングのために選択する。AMG6.5およびAMG6.4からのH鎖およびL鎖cDNAクローンは同一であり、AMG6.5を用いて、αOPGL−1 L鎖cDNAをクローン化し、AMG6.4を用いて、αOPGL−1 H鎖cDNAをクローン化する。
【0183】
αOPGL−1 L鎖のクローニング
AMG6.5全RNA調製される第1のストランドcDNAから、PCR増幅方法を用いて、αOPGL−1κL鎖可変領域を得る。第1のストランドcDNAは、拡張5’−アダプタ(5’−GGCCGGATAGGCCTCACNNNNNNT−3’(配列番号15)を有するランダムプライマーおよび材料を用い、Gibco SuperScript II(登録商標)Preamplification System for First Strand cDNA Synthesis kit(カタログ番号18089−011)により提供される方法を使用して、AMG6.5全RNAから調製する。PCRには以下のオリゴヌクレオチドを用いる:
5’κRACEプライマー:
5’−GAT GAC CCA GTC TCC AGC CAC CCT G−3’(配列番号5)
3’κRACEプライマー:
5’−AAG GGT CAG AGG CCA AAG GAT GG−3’(配列番号6)
【0184】
増幅されたDNAを、pCRII−TOPO(Invitrogen)中にクローニングし、得られるプラスミドを配列する。κ鎖コンセンサス配列を用いて、全長αOPGL−1κ鎖のPCR増幅用のプライマーを設計する。5’αOPGL−1κプライマーは、クローニング用のXbal部位(TCTAGA)および「CCACC」Kozak配列を、開始Metコドンの前に組み込む。3’αOPGL−1κプライマーは、クローニング用の停止コドンに続いてSalI部位(GTCGAC)を組み込む。
【0185】
【化1】
【0186】
【化2】
【0187】
全長αOPGL−1κ鎖cDNAクローンを、5’および3’αOPGL−1κプライマーを用いるPCR増幅により、前述のようにして、AMG6.5第1ストランドcDNAを用いて得た。PCR反応は、αOPGL−1κ鎖(図4、配列番号4)の235アミノ酸残基(20アミノ酸κ鎖信号配列を含む)をコードする738bp断片を生じさせる。QIAquick PCR Purification kit(カタログ番号28104)を用いる精製に続いて、この断片を用いてκL鎖発現ベクターを構築する。
【0188】
先に作成した738bp全長κ断片をXbalおよびSalIで切断し、Promega Wizard DNA Clean−Up System(Promega cat.no.A7100)を用いて精製し、pDSRα19中にクローニングしてプラスミドαOPGL−1κ/pDSRα19を作成する(図5)。pDSRα19は、先に記載した(WO90/14363を参照:これを任意の目的のために参照してここに組み込まれる(例えば、図12を参照))。簡単説明すると、pDSRα19を作るために、pDSRα2を以下のようにして修飾する。FSH polyAを約1400塩基対短縮して885塩基対を得ると、Ndel部位が末端となる。ジヒドロフォレートリダクターゼ(DHFR)プロモーターは5’末端から約1キロ塩基短縮された、209塩基対を含む。DHFRポリA配列からの約550塩基対BgIII断片を削除する。
【0189】
αOPGL−1κL鎖発現クローンを配列決定して、AMG6.5ハイブリドーマ中で同定される同じペプチドをコードしたことを確認する。最終発現ベクターαOPGL−1κ/pDSRα19は5476bpであり、表2に示す7つの機能性領域を含む。
【0190】
【表2】
【0191】
このベクターの環状プラスミドマップを図5に示す。
【0192】
αOPGL−1 H鎖のクローニング
αOPGL−1 IgG2 H鎖を、Clontech Marathon(登録商標)cDNA Amplification Kit(カタログ番号K1802−1)を用いて作成したAMG6.4ハイブリドーマ二本鎖cDNAからクローニングする。AMG6.4H鎖cDNAの増幅は、ヒト生殖細胞系IgG2 H鎖定常領域即位的プライマー(図示せず)およびRACEプライマーおよび他の材料ならびにMarathon(登録商標)cDNA増幅キットで提供される方法を用いて行われるcDNA末端(RACE)技術の5’および3’迅速増幅により達成される。
【0193】
5’IgG2 RACEプライマー
5’−GGC ACG GTC ACC ACG CTG CTG AG−3’(配列番号9)
3’−IgG2 RACEプライマー
5’−CCT CCA CCA AGG GCC CAT TGG TCT−3’(配列番号10)
【0194】
600bp5’RACE生成物および1200bp3’RACE生成物を、pCR2.1(Invitrogen)中にクローニングし、配列決定する。この配列情報を用いて、全長配列のクローニング用のαOPGL−1 H鎖特異的プライマーを設計する。H鎖5’プライマー(5’αOPGL−1 IgG2プライマー)は、センスストランドに向けられ、元の開始部位の前にHindIII部位およびコンセンサスKozak配列を有する。H鎖3’プライマー(3’αOPGL−1 IgG2プライマー)は、H鎖IgG2配列の最後のアミノ酸の後にSalI部位および停止コドンを含むアンチセンスプライマーである。
【0195】
【化3】
【0196】
【化4】
【0197】
前述の2本鎖cDNAを用いて、5’−および3’−αOPGL−1 IgG2プライマーを用いるPCR増幅により全長H鎖cDNAを作成する。PCRは、αOPGL−1 IgG2 H鎖蛋白の467アミノ酸残基(19アミノ酸IgG信号配列を含む)をコードする1433bp断片を生成する(図2、配列番号2)。QIAquick PCR Purification Kit(Qiagenカタログ番号28104)を用いる精製に続いて、この断片を用いて、以下のようにH鎖発現ベクターを構築する。
【0198】
前述のように作成した全長IgG2重断片をコードするDNAを、HindIIIおよびSalIで切断し、QIAquick Gel Extraction kit(Qiagenカタログ番号28704)を用いて精製し、この断片をpDSRα19中にクローニングする。得られる発現プラスミドを、αOPGL−1IgG2/pDSRα19と命名する(図6)。全てのベクター成分は、αOPGL−1IgG2H鎖cDNAが、Xbal部位とSalI部位との間のαOPGL−1κL鎖cDNAに取って代わる以外は、前述のαOPGL−1−κ/pDSRα19ベクターと同じである。αOPGL−1IgG2H鎖発現クローンを配列決定して、AMG6.4ハイブリドーマにおいて同定される同じポリペプチドをコードしたことを確認する。
【実施例2】
【0199】
CHO細胞中でのαOPGL−1発現
αOPGL−1抗体の安定発現を、ジヒドロフォレートリダクターゼ欠損(DHFR−)チャイニーズハムスター卵巣細胞(CHO AM−1/D、米国特許第6,210,924号)中へのαOPGL−1−κ/pDSRα19およびαOPGL−1−IgG2/pDSRα19プラスミドの共形質移入およびその後の個々のクローンの単離および試験により達成する。
【0200】
形質移入の前の日(0日目)に、100mm組織培養皿に、CHOd−培地(DMEM−高グルコース、10%胎児ウシ血清、1%ペニシリン/ストレプトマイシン/グルタミン、1×ピルビン酸ナトリウム、1%非必須アミノ酸(NEAA))(Gibco(登録商標))および1%htサプリメント(Gibco(登録商標))中で成長した1.5×106AM−1/D細胞を乗せる。1日目に、血清非含有RPMI 1640培地(Gibco(登録商標))400μlを12×75mmポリプロピレン管に入れる。Trans IT(登録商標)−LT1試薬(Mirus Corporation)の24μlを、培地に滴下し、混合物を室温で10分間インキュベートする。次に、合計15μgの線状化されたプラスミドDNA(7.5μgのαOPGL−1−κ/pDSRα19および7.5μgのαOPGL−1−IgG2/pDSRα19、Pvu1で消化)を混合物に滴下し、室温で10分間インキュベートする。
【0201】
CHOd−培地を細胞から除去し、これをダルベッコ燐酸緩衝食塩水(Gibco(登録商標))10mlで洗う。HT、L−glu、NEAAおよびピルビン酸ナトリウム(Gibco(登録商標))を補足した血清非含有MEM培地6mlを細胞に追加する。DNA/LT1複合体をプレートに滴下し、これを前後に穏やかに揺らしてDNAを細胞上に均一に分布させる。組織培養インキュベーター中で6時間後、培地を新しいCHOd−培地に置き換える。48時間後、細胞を、CHO選択培地(DMEM高グルコース、10%透析胎児ウシ血清(FBS)、1%ペニシリン/ストレプトマイシン/グルタミン、1%可欠アミノ酸および1×ピルビン酸ナトリウム(Gibco(登録商標))中の10個の100mm培養皿に分ける。培地を、コロニーが現れるまで、週に二回交換する。
【0202】
10日から14日後、コロニーを、1×トリプシン−EDTA(Gibco(登録商標))中に浸した5mmクローニングディスク(Labcore(登録商標))を用いてほじり、24ウエル組織培養プレート中でCHO選択培地で培養する。細胞がコンフルエントになると、血清非含有培地(CHO選択培地−FBS)を添加し、次に48時間後に集める。これらの条件に付した培地を、ホースラディッシュペルオキシダーゼ(HRP)共役ヤギ抗ヒトIgG Fc 抗体(Pierce、Rockford、IL)を用いてウエスタンブロットにより抗体発現について分析して、αOPGL−1 H鎖を検出し、ヤギ抗ヒトκ鎖抗体(Pierce、Rockford、IL)およびその後のHRP−共役ウサギ抗ヤギIgG(H+L)抗体(Pierce、Rockford、IL)を用いて、αOPGL−1 L鎖を検出する。最も高度に発現するクローンを拡張させ、液体窒素中に貯蔵する。
【実施例3】
【0203】
αOPGL−1の生成
細胞系125Qの調製および形成
αOPGL−1を生成するCHO細胞を、血清非含有条件下に96ウエルプレート中で2回限界希釈することによりクローニングする。クローンを、種々の懸濁容器中での生成および成長特性に基づいて選択する。EIAを行って、最高水準のαOPGL−1を生成するクローンを選択する。次に、倍加時間および密度を含む成長特性を、100ml、250ml、500ml、1L、および3Lのスピナフラスコ中、および3LのAplikon生物反応容器中でクローンを成長させることにより測定する。培地中で最高密度を達成する倍加時間が最も速いクローンを選択し、Cell Line 125Qとする。クローンが拡張して、約1×107cells/mLで360個のアンプルを凍結するのに充分な細胞を作成し、細胞を低温保存用の血清非含有培地(10ml/L可欠アミノ酸および10ml/L L−グルタミン(Gibco/LTI/Invitrogen)を付加した90% VM−Soy Batch Medium(詳細は表3を参照)、および10%ジメチルスルホキシド(JT Baker))中に再懸濁し凍結する。アンプルを、接触制限装置中に貯蔵し、液体窒素デューア瓶中の液体窒素に漬ける。
【0204】
寸法の小さなスピナおよび寸法の大きな生物反応容器における成長および生産に基づき、αOPGL−1の製造用の細胞系としてCell Line125Qを選択する。
【0205】
細胞培養
αOPGL−1−κ/pDSRα19およびαOPGL−1−IgG2/pDSRα19からαOPGL−1を発現するCHO細胞のクローン系であるCell Line125Q中で発現することによりαOPGL−1を生産する。αOPGL−1用の細胞培養プロセスを図19に示す。各生産ランについて、Cell Line125Qのバイアルからの細胞を、先ず、125mlエルレンマイエルシェーカー中で10ml/L非必須アミノ酸と10ml/L L−グルタミン(Gibco/LTI/Invitrogen)(VM−Soy Supp)を補足したVM−Soy Batch Medium(組成については表3を参照)50ml中で100rpmで5日間成長させる。次に、培地全体を用いて500mlスピナフラスコ中のVM−Soy Suppに接種して3×105バイアル細胞/ml(3E5 vc/ml)とし、70rpmで3日から4日間回転させつつ成長させる。次に、500mlスピナフラスコからの培地全体を用いて、3Lスピナフラスコ中のVM−Soy Suppに接種して3E5 vc/mlとし、70rpmで3日から4日間回転させつつ成長させる。
【0206】
次に、3Lスピナフラスコからの培地を、フェノールレッドを含まないVM−Soy Supp中3E5vc/mlにて二つの3Lスピナフラスコに分け、同じ条件下で成長させる。次に、これらのスピナフラスコ培地を用いて、フェノールレッドを含まないVM−Soy Supp中3E5vc/mlにて四つさらなるスピナフラスコを接種し、同じ条件下に成長させる。四つの3Lスピナフラスコからの培地4Lを用いて、20L生物反応器中でフェノールレッドを含まないVM−Soy Suppの10Lを接種し、生物反応器をフェッド−バッチモードで7日から10日間運転する。フェッド−バッチモードにおいて、濃厚培地成分を含む栄養供給物(「供給物」、以下の表3に示す)を添加して細胞成長および生存能を維持する。
【0207】
次に、20L生物反応器からの培地全体を用いて、150L生物反応器中でフェノールレッドを含まないVM−Soy Suppの70Lを接種し、生物反応器をフェッド−バッチモードで9日から10日間運転する。最後に、150L生物反応器からの培地全体を用いて、2000L生物反応器中で(サプリメントまたはフェノールレッドを含まない)VM−Soy約880Lを接種し、生物反応器をフェッド−バッチモードで運転する。フェッド−バッチモードの間の供給速度は、培地中のグルコース水準が各生物反応器について0.6g/Lであるように決められる。細胞密度およびグルコース濃度を毎日測定し、それに従って供給速度を調節する。
【0208】
2000L生物反応器中での生産を約2週間続け、その間に、その細胞によりαOPGL−1が構成的に生産され、細胞培地中に分泌する。
【0209】
生成反応器を、設定pH、設定温度および設定溶解酸素水準に制御し、pHは7.0とし、二酸化炭素ガスおよび炭酸ナトリウムの添加により制御され、溶解酸素は120mmHgであり、空気、窒素および酸素ガス流により制御される。プロセス全体を通して細胞を37℃に維持する。全てのガスを、孔寸法0.22μm以下の薄膜フィルターを通す。
【0210】
生産の最後に、細胞ブロスをディスクスタック遠心分離器に入れ、培養上澄みを細胞から分離する。遠心分離物を、Cuno 90SP深フィルターおよび続いて0.2μm Posidyneフィルター(Pall Co.)により、さらに清澄化する。清澄化条件に付した培地を、次に、50kD NMWL薄膜(Millipore Biomax 50)を用いる接線フロー限外濾過(UF)により濃縮する。培養上清を15倍から30倍に濃縮する。得られた濃縮培養上清(CCM)を、次に、精製によりまたは、後日の精製のための凍結により加工する。生産プロセスを図19に要約する。
【0211】
細胞培養培地
全細胞培養プロセスを通して用いるための細胞培養培地は、Dulbecco’s Modified Eagle’s Medium/Ham’s Nutrient F12(DMEM/F12、1:1)に基づき、補足水準のアミノ酸、さらなる栄養および塩、大豆加水分解物および組換えヒトインスリン(Nucellin(登録商標)Zn、Eli Lilly)を含む。成分を表3に列挙する。この培地をVM−Soyと呼ぶ。培地溶液を、使用前に0.2μm孔寸法の薄膜フィルターを通して濾過する。
【0212】
【表3】
【0213】
精製プロセス
CHO細胞中に発現されたαOPGL−1は、細胞外培地中に分泌される。一連の工程を用いて純粋な物質を生産することができる。このプロセスは、疎水性電荷誘導、カチオン交換、および低pH工程およびバイアルフィルターを用いる疎水性相互作用クロマトグラフィーを用いる。これらの手順を以下に記載する。
【0214】
A.疎水性電荷誘導クロマトグラフィー(HCIC)
このクロマトグラフィー工程は、大部分の宿主細胞蛋白およびDNAを除去する。濃縮培養上清(CCM)を、Cuno 30SPフィルター、次にCuno VR07荷電セルロース系フィルターを通して濾過し、次に、MEPHyperCel樹脂上に乗せる。負荷後、カラムを、平衡緩衝液(20mM Tris pH7.2)で洗う。抗体を、低pH緩衝液(20mM酢酸ナトリウム、pH5.0)を用いて樹脂から溶離する。カラムから溶離されると、生産物を、カラム溶出液の280nmでの吸収に基づいて集める。
【0215】
B.ウイルス不活化
MEPプールを、pH3.7まで滴定し、約60分間保持して汚染の可能性あるレトロウイルスを不活化する。保持工程に続いて、pHを約6.0に調節する。
【0216】
C.ウイルス濾過
pH調節したプールを、Millipore Viresolve NFRフィルターまたは同等物を通して濾過する。抗体がフィルターを通過し、汚染可能性ウイルス50nmより大は維持される。
【0217】
D.カチオン交換クロマトグラフィー(CEX)
抗体を、SP Sepharose HP(Amersham Pharmacia)または同等物を用いるカチオン交換クロマトグラフィーによりさらに精製する。カチオン交換クロマトグラフィー工程は、さらなるCHO細胞蛋白、DNA、低分子量蛋白、およびαOPGL−1の凝集形状を除去する。ウイルス濾過プールを、カチオン交換樹脂上に負荷する。負荷後、カラムを平衡緩衝液(20mM NaMES pH6.2)で洗う。次に、抗体を、塩が増加するリニアグラジエント(20mM NaMES pH6.2、0M NaCl〜20mM NaMES pH6.2、0.3M NaCl)で溶離する。カラムから溶離すると、カラム溶出液の280nmでの吸収に基づき生産物を集める。
【0218】
E.疎水性相互作用クロマトグラフィー(HIC)
抗体は、Phenyl Toyopearl 650S(Tosoh Biosep)または同等物を用いる疎水性相互作用クロマトグラフィーによりさらに精製される。疎水性相互作用クロマトグラフィー工程は、仕上げ工程として用いられ、さらなるCHO細胞蛋白、DNA、低分子量蛋白および、αOPGL−1の凝集形を除去する。カチオン交換プールを条件付けしてから、15℃から25℃で硫酸アンモニウムを添加して105mS/cmを超える導電性にすることによりカラムに負荷する。負荷後、カラムを平衡緩衝液(1M 燐酸カリウム pH8)で洗う。次に、抗体を、塩濃度が減少するリニアグラジエント(1M燐酸カリウム、0mM Tris pH8〜0M燐酸カリウム、20mM Tris pH8)で溶離する。カラムから溶離すると、カラム溶出液の280nmでの吸収に基づき生成物を集める。
【0219】
F.濃縮およびダイアフィルトレーション
HICカラムプールを濃縮し、50kD NMWL薄膜(Millipore Biomax 50)を用いて接線フロー限外濾過により製剤緩衝液中にダイアフィルトレーションする。製剤緩衝席は、10mM酢酸塩、5%ソルビトール、pH5.2およびαOPGL−1を30mg/mLで含む。
【0220】
最終的濾過および貯蔵
精製されたバルクを、0.22μm PVDFフィルター(Millipore)を通し、サンプルを得、固定冷凍器において約−30℃で貯蔵する。
【実施例4】
【0221】
αOPGL−1の結合特異性
実施例1および2に記載のように二つの発現ベクターを形質移入したCHO細胞中において生産された抗体を、以下の実施例4、5および6において用いることができる。
【0222】
ラット、マウスおよびカニクイザル、並びにヒトにおいて、ヒトOPGがOPGLに結合し中和する。αOPGL−1はヒトOPGLに高い親和性で結合するが、ネズミOPGLにはあまり結合しない(表4)。
【0223】
【表4】
【0224】
さらに、ヒトOPGは、OPGL(Laceyら著、1998年)にDNAおよびアミノ酸配列相同性を示すTNFファミリーの関連構成員である腫瘍壊死因子関連アポトーシス誘発リガンド(TRAIL)(Trunehら著、2000年)に弱い結合を示すことが報告された。しかしながら、OPGは、TNFα、TNFβまたはCD40リガンドのような他のTNF−関連蛋白に、検出可能に結合しない。
【0225】
αOPGL−1は、EIAプレート上のOPGLに特異的に結合する(図7)。組換え可溶性OPGL(2μg/ml)を、室温で96ウエルEIAプレート上に16時間から24時間被覆する。PBS中の1%BSAでブロックした後、1% BSA/PBS中に希釈された種々の濃度のαOPGL−1(約2ng/mlから1000ng/ml)をウエルに添加し、プレートを室温で約2時間インキュベートする。結合した抗体を、TMB−H202(テトラメチルベンジジンと過酸化水素)基質カクテルを用いてヤギ抗ヒトIgG(Fab’)−HRPで検出する。吸収を、450nmおよび650nmで読む。
【0226】
αOPGL−1は、形質移入した細胞の表面に発現されているOPGLに特異的に結合する(図8)。FACS緩衛液(PBS、0.1%BSA、0.01%アジ化ナトリウム)中に希釈されたαOPGL−1(100ng/ml)を、種々の濃度のOPGL、TNFa、TNFb、TRAILまたはCD40リガンド(約0.1ng/mlから1000ng/ml)で予備インキュベートし、次に、細胞表面上に膜結合OPGLを安定に発現しているCHO細胞であるCHO REN218−9細胞の約200,000個に添加する。2℃から8℃で1時間後、非結合抗体を、遠心分離および洗浄により除去する。次に、この細胞を、FITC−標識F(ab’)2ヤギ抗ヒトIgG(Fcy断片特異的)と2℃から8℃で30分間インキュベートする。遠心分離および洗浄後、フローサイトメトリーを用いて細胞表面蛍光を測定する。図8は、CHO REN218〜9細胞へのαOPGL−1の結合が特異的で、可溶性OPGLの添加により競合的に低下されるが、TNFa、TNFb、TRAILまたはCD40リガンドの添加によっては低下しないことを示している。
【0227】
競合実験において、EIAプレート上のOPGLへのαOPGL−1の結合は、外因性OPGLの添加により阻害される(図9)が、TNFα、TNFβ、TRAILまたはCD40リガンドの添加によっては阻害されない(図10)。この手順は、OPGL被覆プレートに添加する前に一定濃度のαOPGL−1(100ng/ml)を種々の濃度の可溶性OPGLまたは他のリガンド(各々について約1ng/mlから1000ng/ml)と予備インキュベートする以外は、EIAプレート上のOPGLにαOPGL−1を結合させるために前述したものと実質的に同じ方法で行う。
【実施例5】
【0228】
αOPGL−1中和活性
破骨細胞形成の阻害
RAW264.7(ATCC No.TIB−71、Manassas、VA)は、Abelsonネズミ白血病ウイルス誘発腫瘍から誘導されたネズミマクロファージ細胞系である。RAW264.7細胞は、OPGLの存在下に、破骨細胞様細胞に分化する。OPGLの存在下におけるRAW細胞からの培養中の破骨細胞の生成についての基本的アッセイが、Simonetら著(1997年)Cell第89巻、309頁およびLaceyら著(1998年)Cell第93巻、165頁に詳細に記載されており、これを任意の目的のために参照してここに組み込まれる。
【0229】
RAW細胞をリガンドにより刺激して破骨細胞様細胞に分化させる。分化は、破骨細胞の特性であるTRAP活性により測定することができる。すなわち、破骨細胞発生へのαOPGL−1の効果を測定することができる。
【0230】
RAW細胞を、細胞培養培地(DMEM、10%FBS、0.292mg/ml L−Glut、100単位/ml ペニシリンG、100μg/ml 硫酸ストレプトマイシン)中、一定量のOPGL−1(40ng/ml)および種々の量のαOPGL−1(6.3ng/mlから200ng/ml)の存在下に、4日間インキュベートする。4日の最後に、細胞を、透過性化および酸性化により、酒石酸塩抵抗性酸ホスファターゼ(TRAP)活性について染色し、続いて、パラニトロフェニルホスフェートで5分間処理する。簡単に説明すると、培地を細胞から吸引除去し、クエン酸塩緩衝液(410ml 0.1Mクエン酸、0.1Mクエン酸塩590ml、三ナトリウム塩、1mL Triton X−100)100μlを各ウエルに添加し、プレートを室温で3分から5分間インキュベートする。次に、RNPP100μlを添加(酸ホスファターゼ試薬(Sigma 104〜100)157.8mg、酒石酸塩溶液(Sigmaカタログ番号387〜3)7.2ml、およびクエン酸塩緩衝液22.8ml)し、プレートを室温で3分から5分間インキュベートする。反応を、0.5M NaOH溶液50μlの添加により終了させる。
【0231】
TRAPは、パラニトロフェニルホスフェートをパラニトロフェノールに転換し、これは、405nmで光学濃度を測定することにより定量化することができる。TRAP活性は、破骨細胞発生の代理マーカーであり、従って、405nmでの光学濃度に関連する。光学濃度対αOPGL−1濃度のプロットを図11に示す。このアッセイにおいてαOPGL−1が破骨細胞形成を阻害することを示す。
【0232】
OPGLの受容体への結合の阻害
αOPGL−1の性能を、OPGリガンドの、その同族受容体である、破骨細胞分化および活性化受容体(ODAR、RNAKとしても知られている)への結合を阻害する性能により示す。このアッセイは、均質時間分解蛍光共鳴(HTRF)を用いて、ユーロピウム結合オステオプロテゲリンリガンド(Eu−OPGL)へのαOPGL−1の結合を検出する。αOPGL−1が、ODARへのEu−OPGLの結合を阻害すると、蛍光出力は減少し、存在するαOPGL−1の量は、蛍光量と逆相関する。
【0233】
OPGLを、337nmの光で励起させると、620nmで発光するユーロピウムで標識する。ODARをFLAGおよびFcに融合し、Fc−ODAR−FLAG融合蛋白を、620nmの光で励起させると、665nm光を発する蛍光体であるアロフィコシアニン(APC)に結合した抗FLAG抗体で標識する。従って、Eu標識OPGリガンドがFc−ODAR−FLAG/抗−FLAG−APC複合体に結合した場合、337nmの光で励起したとき、3次複合体が665nm光を発する。
【0234】
0.05μg/mlのEu−OPGLを、アッセイ緩衝液(50mM Tris pH8、100mM NaCl、0.05% NaN3、0.1%BSA、および0.05% Tween20)中の種々の濃度(0.1ng/mlから150ng/ml)のαOPGL−1と共に、室温で約1時間、予備インキュベートする(予備インキュベーション混合物)。Fc−ODAR−FLAG(1μg/ml)と抗−FLAG−APC(2.5μg/ml)の混合物もアッセイ緩衝液中に調製し、室温で1時間インキュベートする(蛍光色素混合物)。次に、等体積の予備インキュベーション混合物および蛍光色素混合物を組み合わせ、室温で3時間インキュベートする。蛍光を、337nmの励起波長および665nmの発光波長を用いてPackard Discovery HTRFマイクロプレート分析器上でプレートを読むことにより測定する。
【0235】
αOPGL−1をEu−OPGリガンドと予備インキュベートし、次にFc−ODAR−FLAG/抗−FLAG−APCと混合したとき、665nmでの蛍光強度が、図12に示すように、投与量依存的に低下する。これは、αOPGL162がODARへのOPGLの結合を効果的に阻害し得ることを示している。
【実施例6】
【0236】
カニクイザルにおける薬物動態
4.5歳以下で2kgから4kgの6匹の雄および6匹の雌のカニクイザルを、四つの投与群に割り当てる。第1群は3匹の雄と3匹の雌からなる。第2、第3および第4群は、各々、1匹の雄と1匹の雌からなる。第1群の動物は、1mg/kg αOPGL−1の単一SC投与量を投与し、第2、第3および第4群の動物は、それぞれ0.1、1.0または10.0mg/kg αOPGL−1の単一IV投与量を投与する。
【0237】
動物に、形質移入したチャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞から発現したαOPGL−1を投与する。αOPGL−1水準の決定、抗体の分析、および骨代謝回転マーカー血清N−テロペプチド(血清N−Tx)、アルカリホスファターゼ(ALP)および血清カルシウム(血清Ca)の分析のために血清サンプルを採取する。N−テロペプチド(尿N−Tx)およびクレアチニンの分析のために尿も採取する。
【0238】
IV投与後の血清濃度−時間プロフィールを、三相分布により特徴付ける(図13)。最初に、迅速分布相があり、次に濃度依存的に見えるかなり遅いプラトー相がある。第三観測相は、迅速排除相である。
【0239】
サルにおけるαOPGL−1の薬物動態を調べるために、WinNonlin Professional(v1.5)を用いる完全血清濃度−時間プロフィールの非区分分析、および10000ng/mlを越える試験品投与後14日までのデータをSAAMII(v1.1.2)を用いて指数分析を用いる。全てのIV投与からの分布の初期体積は、血漿体積と同様に平均28.9ml/kgである。分布の定常状態体積(VSS)は、全てのIV投与において平均39ml/kgである。指数分析は、αOPGL−1が、6.02時間の平均分布半減期(t1/2α)、0.1mg/kgの投与量での86.9時間から10.0mg/kgの投与量で最大値444時間に、投与量と共に増加する半減期(t1/2β)を有する、拡張した二次相を有することを示す。終末排除半減期(t1/2z)は、全てのIV投与群を通じて非区分の平均31時間を推定した。αOPGL−1のクリアランスは、非線形であると分かり、動物は、0.1mg/kg(0.401ml/時間/kg)を投与したものより3.3倍低い平均クリアランス(0.120ml/時間/kg)を有する10mg/kgのIV投与を受ける。
【0240】
皮下投与後、吸収は低く、132時間において平均ピーク濃度(Cmax)は11,600ng/mlである。SC投与後の曝露範囲に高い可変性があり、その結果、平均クリアランスが0.387±0.281ml/時間/kgとなり、202±80.1時間の滞留時間を示す。平均生物学的利用率は89%である。
【0241】
前記データを表5に要約する。
【0242】
【表5】
【0243】
αOPGL−1は、投与後24時間以内に血清N−Tx水準の迅速増加を引き起こす(図14)。最大効果の平均時間は、IV投与量が0.1から10mg/kgに増えるのにしたがい投与後12時間から7日の間に生じることが観察され、1.0mg/kgのSC投与を受ける動物においては12時間から11日の間に生じることが観察される。最大効果は、0.1mg/kgから1mg/kgの投与範囲にわたって、投与量と共に約80から91%に増加する。しかしながら、より高い投与量においては、さらなる抑制が観察されず最大阻害率が91%である。血清N−Txの平均水準は、0.1mg/kg IVの投与後28日までに、および1mg/kg SCの投与後70日までにベースラインに戻る。尿N−Txは、105日目の検査により全ての群がベースラインに戻ることを除いて血清N−Txと同様の傾向を示す(図15)。
【0244】
投与量に従う血清Caの抑制は、10.0mg/kgのIV投与後平均7日で、ベースラインを31.6%下回る平均最下点に増加する。全ての他の投与群は、血清Caがベースライン平均から平均26.4%未満低下する。17日目までに、処理した動物中の全ての血清Ca水準は、それらのベースライン平均の10%以内に戻る(図20)。
【0245】
骨再吸収および形成は密切に関連しているので、骨形成マーカー(ALP)の変化が観察され、ALP水準は、形成マーカーN−Txの場合よりも、かなりゆっくり低下し、したがってより長時間抑制される(図21)。αOPGL−1の投与に続いて骨形成マーカー(ALP)の前に骨再吸収マーカーが減少することは、αOPGL−1が骨抗再吸収性剤であることを確認している。
【0246】
動物の大部分(12匹中の9匹)がαOPGL−1への抗体を発現する。αOPGL−1への抗体の発生率は、投与量または経路依存的ではない。投与群が抗体陰性および陽性動物の両方を有さないと、0.1mg/kgを超えるαOPGL−1薬物動態への、αOPGL−1に対する抗体の効果を評価することができない。0.1mg/kg IVでは、αOPGL−1の大部分が、抗体発生前に除去され、従って、αOPGL−1処理への影響が観察されない(図16)。
【技術分野】
【0001】
本出願は、2001年6月26日に出願された米国仮出願番号60/301,172の優先権を主張し、これを任意の目的のために参照してここに組み込まれる。
【0002】
本発明は、オステオプロテゲリンリガンド(OPGL)に結合する抗体に関する。骨粗鬆症、関節炎による骨損失、ページェット病および骨減少症のような骨疾患を治療するための組成物および方法も記載する。
【背景技術】
【0003】
骨組織は、体の支持を提供し、鉱物(カルシウムおよび燐を含む)、コラーゲン性および非コラーゲン性蛋白のマトリクス、および細胞を含む。生きている骨組織は、沈着と呼ばれる骨の形成と再吸収と呼ばれる骨の破壊との間の動的平衡を示す。骨中に見られる三種類の細胞である骨細胞、骨芽細胞および破骨細胞は、この平衡に含まれる。骨芽細胞は、骨組織の形成を促進するが、破骨細胞は再吸収に関わる。骨マトリクスおよび鉱物の再吸収、すなわち溶解は、骨形成と比べると迅速で効率的なプロセスであり、骨から多量の鉱物を放出することができる。破骨細胞は、骨組織の正常リモデリングの制御に関与し、ホルモンにより誘発される再吸収に関与している。例えば、細胞外液中のカルシウムイオン濃度の低下に応答する副甲状腺ホルモンの分泌により再吸収が刺激される。これに対し、再吸収の阻害は、カルシトニンの機能である。さらに、ビタミンDの代謝産物は、骨の副甲状腺ホルモンおよびカルシトニンへの反応性を変える。
【0004】
サイトカインのTNFファミリーの一員であるオステオプロテゲリンリガンド(OPGL)は、NF−kBの受容体活性化物質(RANK:破骨細胞分化および活性化受容体すなわちODARとも呼ばれる)への結合により破骨細胞の形成を促進する。他方、オステオプロテゲリン(OPG)は、OPGLを隔離させ、OPGLがODARと組合わされないようにすることにより、破骨細胞の形成を阻害する。すなわち、ODARと組み合わされたOPGLの量が、骨の沈着と再吸収との間の平衡と関連している。
【0005】
骨格の成熟後、骨格中の骨の量は、骨の形成と骨の再吸収との均衡(または不均衡)を反映する。骨質量のピークは、骨格成熟後、40年目前に迎える。40年目と50年目の間に、平衡が移動し、骨再吸収が主流となる。加齢に伴う骨質量の避け難い減少は男性よりも女性においてより早く開始し、一部の女性(主に、コーカサスおよびアジア系の女性)では閉経後に著しく加速される。
【0006】
骨減少症は、通常、骨質量の正常水準を下回る減少に関わる症状である。そのような症状は、骨合成速度の低下または骨破壊速度の上昇あるいは両者から生じ得る。骨減少症の一般的形態は、閉経後および老人性骨粗鬆症とも呼ばれる原発性骨粗鬆症である。この形態の骨粗鬆症は、年と共に骨が全身性に損失する結果であり、しばしば、骨形成は正常速度であって骨再吸収が増加した結果である。合衆国の多くの白人女性は、症候性骨粗鬆症を発現する。45歳以上の女性における股関節部、大腿部、首および転子間骨折の発病率と、骨粗鬆症との間に、直接の関係が存在する。高齢の女性は、50歳から70歳の間に症候性骨粗鬆症を発現し得る。骨粗鬆症は、ある場合において、OPGLの上昇した水準または活性から生じ得る。すなわち、破骨細胞発生におけるOPGLの活性を制御することができる分子を有することが有用であろう。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
閉経後および老人性骨粗鬆症に貢献し得る幾つかの因子が確認された。これらは、カルシウムおよび他の鉱物の腸吸収低下に起因する不適切なカルシウム消費および加齢に伴うホルモン水準の変化を含む。ある治療は、プロセスを遅延させようとするホルモン療法または食事補足を含んでいた。より最近では、骨質量低下の予防および治療のために、ビホスホネートおよび選択的エストロゲン受容体修飾物質(SERM)のような抗再吸収性剤が現れた。すなわち、特定の骨減少疾患の治療において、OPGLの活性を制御することができる分子とこれらの治療を組み合わせることが有用であろう。
【課題を解決するための手段】
【0008】
ある実施形態において、本発明は、配列番号2で示すアミノ酸配列またはその断片を含むH鎖および配列番号4で示すアミノ酸配列またはその断片を含むL鎖を含む抗体を提供する。
【0009】
ある実施形態において、本発明は、配列番号13で示すアミノ酸配列またはその断片を含む可変領域を含むH鎖および配列番号14で示すアミノ酸配列またはその断片を含む可変領域を含むL鎖を含む抗体を提供する。
【0010】
ある実施形態において、本発明は、配列番号2で示すアミノ酸配列またはその断片を含むH鎖、およびL鎖を含む抗体を提供する。
【0011】
ある実施形態において、本発明は、配列番号13で示すアミノ酸配列またはその断片を含む可変領域を含むH鎖およびL鎖を含む抗体を提供する。
【0012】
ある実施形態において、本発明は、H鎖および配列番号4で示すアミノ酸配列またはその断片を含むL鎖を含む抗体を提供する。
【0013】
ある実施形態において、本発明は、H鎖および配列番号14で示すアミノ酸配列またはその断片を含む可変領域を含むL鎖を含む抗体を提供する。
【0014】
ある実施形態において、本発明は、H鎖およびL鎖を含む抗体であって、(a)H鎖は第1の可変領域を含み、第1の可変領域は、配列番号13で示すアミノ酸配列に少なくとも90%の同一性を有する配列を含み、(b)L鎖は第2の可変領域を含み、第2の可変領域は、配列番号14で示すアミノ酸配列に少なくとも90%の同一性を有する配列を含み、および(c)前記抗体は、オステオプロテゲリンリガンド(OPGL)と相互反応する上記抗体を提供する。
【0015】
ある実施形態において、第1の可変領域は、配列番号13で示すアミノ酸配列に少なくとも95%の同一性を有する配列を含み、第2の可変領域は、配列番号14で示すアミノ酸配列に少なくとも95%の同一性を有する配列を含む。
【0016】
ある実施形態において、第1の可変領域は、配列番号13で示すアミノ酸配列に少なくとも99%の同一性を有する配列を含み、第2の可変領域は、配列番号14で示すアミノ酸配列に少なくとも99%の同一性を有する配列を含む。
【0017】
ある実施形態において、本発明は、配列番号2で示すアミノ酸配列またはその断片を含むH鎖を提供する。ある実施形態において、本発明は、配列番号13で示すアミノ酸配列またはその断片を含む可変領域および定常領域を含むH鎖を提供する。
【0018】
ある実施形態において、本発明は、配列番号4で示すアミノ酸配列またはその断片を含むL鎖を提供する。ある実施形態において、本発明は、配列番号14で示すアミノ酸配列またはその断片を含むL鎖を提供する。
【0019】
本発明のある実施形態において、一本鎖抗体が提供される。本発明のある実施形態において、一本鎖Fv抗体が提供される。本発明のある実施形態において、Fab抗体が提供される。本発明のある実施形態において、Fab’抗体が提供される。本発明のある実施形態において、(Fab’)2抗体が提供される。
【0020】
ある実施形態において、本発明の抗体を含んでなる医薬組成物が提供される。ある実施形態において、治療有効量のOPGLへの抗体を含んでなる医薬組成物が提供される。
【0021】
ある実施形態において、医薬組成物は、骨形態発生因子、形質転換成長因子−β(TGF−β)、インターロイキン−1(IL−1)阻害因子、IL−1ra、キネレト(Kineret)(登録商標)、TNFα阻害因子、可溶性TNFα受容体、エンブレル(Enbrel)(登録商標)、抗−TNFα抗体、レミケード(Remicade)(登録商標)、D2E7抗体、副甲状腺ホルモン、副甲状腺ホルモン類似体、副甲状腺ホルモン関連蛋白、副甲状腺ホルモン関連蛋白類似体、プロスタグランジン、ビスホスホネート、アレンドロネート、フッ化物、カルシウム、非ステロイド性抗炎症薬(NSAID)、COX−2阻害因子、セレブレックス(Celebrex)(登録商標)、ビオックス(Vioxx)(登録商標)、免疫抑制薬、メトトレキセート、レフルノミド、セリンプロテアーゼ阻害因子、分泌性白血球プロテアーゼ阻害因子(SLPI)、IL−6阻害因子、IL−6への抗体、IL−8阻害因子、IL−8への抗体、IL−18阻害因子、IL−18結合性蛋白、IL−18抗体、インターロイキン−1転化酵素(ICE)調節因子、線維芽細胞成長因子(FGF)、FGF調節因子、PAF拮抗薬、ケラチノサイト成長因子(KGF)、KGF−関連分子、KGF調節因子、マトリクスメタロプロテアーゼ(MMP)調節因子、一酸化窒素シンターゼ(NOS)調節因子、グルココルチコイド受容体の調節因子、グルタメート受容体の調節因子、リポ多糖類(LPS)水準の調節因子、ノルアドレナリン、ノルアドレナリン模倣体およびノルアドレナリン調節因子から選択される少なくとも一つの治療剤、およびOPGLへの抗体を含む。
【0022】
本発明のある実施形態において、薬学的有効量の抗体を投与することを含んでなる、骨減少疾患を治療する方法が提供される。ある実施形態において、医薬組成物を投与することを含んでなる、骨減少疾患を治療する方法が提供される。
【0023】
ある実施形態において、医薬組成物を投与することを含んでなる、患者における骨損失を伴う炎症性症状を治療する方法が提供される。
【0024】
ある実施形態において、医薬組成物を投与することを含んでなる、患者における骨損失を伴う自己免疫症状を治療する方法が提供される。
【0025】
ある実施形態において、本発明の医薬組成物を投与することを含んでなる、患者におけるリューマチ性関節炎を治療する方法が提供される。
【0026】
ある実施形態において、サンプルを抗体に接触させることを含んでなる、生物学的サンプル中のOPGLの水準を検出する方法が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】αOPGL−1抗体H鎖をコードするcDNA配列(配列番号1)を示す。
【図2】αOPGL−1抗体H鎖のアミノ酸配列(配列番号2)を示す。
【図3】αOPGL−1抗体L鎖をコードするcDNA配列(配列番号3)を示す。
【図4】αOPGL−1抗体L鎖のアミノ酸配列(配列番号4)を示す。
【図5】αOPGL−1κL鎖発現プラスミドαOPGL−1−κ/pDSRa19の概略図を示す。
【図6】αOPGL−1 IgG2 H鎖発現プラスミドαOPGL−1−IgG2/pDSRa19の概略図を示す。
【図7】OPGL被覆EIAプレートへのαOPGL−1の投与量依存的結合を示す。
【図8】膜結合OPGLへのαOPGL−1の特異的結合を示す。
【図9】可溶性OPGLによるOPGL被覆EIAプレートへのαOPGL−1の結合の阻害を示す。
【図10】OPGL被覆EIAプレートへのαOPGL−1の特異的結合を示す。
【図11】αOPGL−1による破骨細胞形成の投与量依存的阻害を示す。
【図12】αOPGL−1によるOPGLのODARへの結合の投与量依存的阻害を示す。
【図13】カニクイザルにαOPGL−1の一回投与量を投与した後の平均血清濃度時間プロフィールを示す。
【図14】カニクイザルにαOPGL−1の一回投与量を投与した後の血清N−Tx濃度の平均変化%を示す。
【図15】カニクイザルにαOPGL−1の一回投与量を投与した後の尿N−Tx濃度の平均変化%を示す。
【図16】カニクイザルにαOPGL−1の一回投与量を投与した後の抗体陽性および陰性血清濃度時間プロフィールを示す。
【図17】αOPGL−1抗体H鎖可変領域のアミノ酸配列(配列番号13)を示す。
【図18】αOPGL−1抗体L鎖可変領域のアミノ酸配列(配列番号14)を示す。
【図19】αOPGL−1の生産のための細胞培養プロセスを示す。
【図20】カニクイザルにαOPGL−1の一回投与量を投与した後の血清カルシウム変化%を示す。
【図21】カニクイザルにαOPGL−1の一回投与量を投与した後の血清アルカリホスファターゼ変化%を示す。
【発明を実施するための形態】
【0028】
ここで用いられる区分表題は系統化の目的のみのものであり、記載された対象に限定することを意図しない。本出願で引用された全ての引例は、ここにおいて任意の目的のために参考として組み込まれる。
【0029】
定義
組換えDNA、オリグヌクレオチド合成並びに組織培養および形質転換(例えば、電気穿孔法、リポ移入)用の標準的技術を用いることができる。酵素的反応および精製技術を、製造者の仕様に従って、または当分野で一般的に行われるように、もしくはここで記載のように行うことができる。前記技術および手順は、通常、当分野で良く知られている従来法に従って、また、本明細書全体において引用および記載されている種々の一般的およびより具体的な引例に記載のように行うことができる。例えば、Sambrookら著、Molecular Cloning:A Laboratory Manual(第2版、Cold Spring Harbor Laboratory Press、Cold Spring Harbor、N.Y.(1989年))が参照され、ここで任意の目的のために参考として取り込まれる。特定の定義が無い限り、分析化学、合成有機化学および医学および薬学的化学に関して利用される命名法およびその実験室的手順および技術は、当分野においてよく知られていると共に一般的に用いられるものである。化学的合成、化学的分析、薬学的調製、処方、および送達、および患者の治療用の標準的技術を用いてよい。
【0030】
本開示に従って利用されるように、以下の用語は、特記しない限り、以下の意味を有すると解される:
ここで用いられる「単離ポリヌクレオチド」という用語は、ゲノム、cDNA、または合成起源またはそれらの組み合わせのポリヌクレオチドを意味し、その起源に依り、その「単離ポリヌクレオチド」は、(1)「単離ポリヌクレオチド」が天然に見られるポリヌクレオチドの全体または一部を伴わず、(2)天然には結合していないポリヌクレオチドに結合している、または(3)より大きな配列の一部として天然に存在しない。
【0031】
ここで言及される「単離蛋白」という用語は、cDNA、組換えRNAによるコードされる、または合成起源またはそれらの組み合わせの蛋白を意味し、(1)正常では見つかる少なくとも一部の蛋白を含まない、(2)同じ源からの、例えば同じ種からの他の蛋白を本質的に含まない、(3)異なる種からの細胞により発現される、または(4)天然では存在しない。
【0032】
「ポリペプチド」という用語は、ここで、天然蛋白または、天然配列の一または二以上のアミノ酸の欠失、付加および/または置換を有する配列に言及する総称として用いられる。「ポリペプチド」という用語は、αOPGL−1(以下に記載、配列番号2および配列番号4)または、αOPGL−1の一または二以上のアミノ酸の欠失、付加および/または置換を有する配列も含む。ある実施形態によれば、本発明は、図2に示されるヒトH鎖イムノグロブリン分子(配列番号2)および図4に示されるヒトL鎖イムノグロブリン分子(配列番号4)またはそれらの断片または類似体を含む。
【0033】
対象についてここで適用される「天然に存在する」という用語は、対象を天然に見つけることができるという事実を意味している。例えば、自然の供給源から単離し得る生物(ウイルスを含む)中に存在すると共に、実験室等においてヒトが意図的に修飾していないポリペプチドまたはポリヌクレオチド配列は、天然に存在する。
【0034】
ここで用いられる「機能可能に結合」という用語は、意図する方式で機能する関係にある成分を意味する。例えば、コード化配列に「機能可能に結合」している制御配列は、制御配列に適合する条件下でコード化配列の発現が達成されるように結合されている。
【0035】
ここで用いられる「制御配列」という用語は、それらが結合するコード化配列の発現および加工を達成し得るポリヌクレオチド配列を意味する。そのような制御配列の性質は、宿主生物に依存して異なる。ある実施形態によれば、原核生物用の制御配列は、プロモーター、リボソーム結合部位、および転写終止配列を含み得る。ある実施形態によれば、真核生物用の制御配列は、プロモーター、および転写終止配列を含み得る。ある実施形態において、「制御配列」はリーダー配列および/または融合パートナー配列を含み得る。
【0036】
ここで用いられる「ポリヌクレオチド」という用語は、長さが少なくとも10塩基であるヌクレオチドのポリマー状態を意味する。ある実施形態において、塩基は、リボヌクテオチドまたはデオキシリボヌクテオチドあるいは、いずれかのタイプのヌクレオチドの修飾状態であり得る。この用語は、DNAの一本鎖または二本鎖状態を含む。
【0037】
ここで用いられる「オリゴヌクレオチド」という用語は、天然に存在するもの、および天然産に存在するおよび/または天然に存在しないオリゴヌクレオチド結合により一緒に結合されている修飾ヌクレオチドを含む。オリゴヌクレオチドは、通常、200塩基以下の長さを有するポリヌクレオチド亜集団である。ある実施形態において、オリゴヌクレオチドは、長さが12、13、14、15、16、17、18、19、または20〜40塩基である。オリゴヌクレオチドは一本鎖または二本鎖であってよく、例えば、遺伝子突然変異体の構築に用いられる。本発明のオリゴヌクレオチドは、センスまたはアンチセンスオリゴヌクレオチドであってよい。
【0038】
「天然に存在するヌクレオチド」という用語は、デオキシリボヌクレオチドおよびリボヌクレオチドを含む。「修飾ヌクレオチド」という用語は、修飾または置換された糖等を有するヌクレオチドを含む。「オリゴヌクレオチド結合」という用語は、ホスホロチオエート、ホスホロジチオエート、ホスホロセレノエート、ホスホロジセレノエート、ホスホロアニロチオエート、ホスホロアニラデート、ホスホロアミデート等のようなオリゴヌクレオチド結合を含む。例えば、LaPlancheら著、Nucl.Acids Res.第14巻:9081頁(1986年);Stecら著、J.Am.Chem.Soc.第106巻:6077頁(1984年);Steinら著、Nucl.Acids Res.第16巻:3209頁(1988年);Zonら著、Anti−Cancer Drug Design第6巻:539頁(1991年);Zonら著、Oligonucleotides and Analogues:A Practical Approach、87〜108頁(F.Eckstein編,Oxford University Press、Oxford England(1991年));Stecら著、米国特許第5,151,510号;第Uhlmann and Peyman Chemical Reviews第90巻:543頁(1990年)が参照され、その開示が、ここで、任意の目的のために参考として取り込まれる。オリゴヌクレオチドは、検出用の標識を含むことができる。
【0039】
関連するポリペプチドの同一性および類似性は、既知の方法により容易に計算することができる。そのような方法には、Computational Molecular Biology、Lesk,A.M.編,Oxford University Press、New York(1988年);Biocomputing:Informatics and Genome Projects、Smith、D.W.編,Academic Press、New York(1993年);Computer Analysis of Sequence Data、Part1、Griffin、A.M.およびGriffin、H.G.編,Humana Press、New Jersey(1994年);Sequence Analysis in Molecular Biology、von Heinje、G.,Academic Press(1987年);Sequence Analysis Primer、Gribskov、M.およびDevereux、J.編,M.Stockton Press、New York(1991年);およびCarilloら著、SIAM J.Applied Math.第48巻:1073頁(1988年)に記載されたものがあるが、これらに限定されない。
【0040】
同一性を決めるための好ましい方法は、試験した配列間の最適一致を得るように設計されている。同一性を決めるための方法は、公に利用できるコンピュータープログラムに記載されている。二つの配列間の同一性を決めるための好ましいコンピュータープログラム法には、GCGプログラムパッケージ、例えばGAP(Devereuxら著、Nucl.Acid.Res.第12巻:387頁(1984年);Genetics Computer Group、University of Wisconsin、Madison、WI、BLASTP、BLASTN、およびFASTA(Altschulら著、J.Mol.Biol.第215巻:403〜410頁(1990年))あるが、これらに限定されない。BLASTXプログラムは、National Center for Biotechnology Information(NCBI)および他の供給源(BLAST Manual、Altschulら著、NCB/NLM/NIH Bethesda、MD20894;Altschulら著、前掲書(1990年))から公に利用することができる。良く知られているSmith Watermanアルゴリズムも、同一性を決めるために用いることができる。
【0041】
二つのアミノ酸配列を整列させるための特定の整列スキームにより、二つの配列の短い領域のみが一致することがあろう。この小さな整列領域は、二つの全長配列間に有意な関係が無くても、非常に高い配列同一性を有することができる。従って、ある実施形態において、選択された整列法(GAPプログラム)により、標的ポリペプチドの少なくとも50個の隣接アミノ酸に及ぶ整列がもたらされる。
【0042】
例えば、コンピューターアルゴリズムGAP(Genetics Computer Group、University of Wisconsin、Madison、WI)を用いて、配列同一性%を決めるべき二つのポリペプチドを、それぞれのアミノ酸の一致(アルゴリズムにより決められる「一致領域」)が最適になるように整列させる。ある実施形態において、ギャップ・オープニング・ペナルティ(gap opening penalty)(3×平均ダイアゴナルとして計算される。「平均ダイアゴナル」は、用いられる比較マトリクスのダイアゴナルの平均である。「ダイアゴナル」は、特定の比較マトリクスによる各完全アミノ酸一致に割り当てられた得点または数である)およびギャップ・エクステンション・ペナルティ(gap extension penalty)(通常、ギャップ・オープニング・ペナルティの1/10倍)、並びにPAM250またはBLOSUM62のような比較マトリクスが、アルゴリズムと組み合わされて用いられる。ある実施形態において、標準的比較マトリクス(PAM250比較マトリクスについてはDayhoffら著、Atlas of Protein Sequence and Structure、5(3)(1978年);BLOSUM62比較マトリクスについてはHenikoffら著、Proc.Natl.Acad.Sci USA、第89巻:10915〜10919頁(1992年)を参照されたい)もこのアルゴリズムにより用いられる。
【0043】
ある実施形態において、ポリペプチド配列比較用のパラメーターは以下のものを含む:
アルゴリズム:Needlemanら著、J.Mol.Biol.、第48巻:443〜453頁(1970年);
比較マトリクス:Henikoffら著、前掲書(1992年)からのBLOSUM62
ギャップ・ペナルティ:12
ギャップ・レングス・ペナルティ:4
類似性の閾値:0
【0044】
GAPプログラムは、前記パラメーターを用いて有用となり得る。ある実施形態において、前記パラメーターは、GAPアルゴリズムを用いるポリペプチドを比較(末端ギャップ用のペナルティ無しで)するためのデフォールトパラメーターである。
【0045】
ここで用いられるように、20個の慣用アミノ酸およびそれらの略号は、従来の慣例に従う。Immunology−A Synthesis(第2版、E.S.GolubおよびD.R.Gren編,Sinauer Associates、Sunderland、Mass.(1991年))が参照され、ここで任意の目的のために参考として取り込まれる。20個の慣用アミノ酸の立体異性体(例えば、D−アミノ酸)、α,α−二置換アミノ酸、N−アルキルアミノ酸、乳酸のような非天然アミノ酸、および他の非慣用アミノ酸も、本発明のポリペプチド用の適切な成分となり得る。非慣用アミノ酸の例には:4−ヒドロキシプロリン、γ−カルボキシグルタメート、ε−N,N,N−トリメチルリシン、ε−N−アセチルリシン、O−ホスホセリン、N−アセチルセリン、N−ホルミルメチオニン、3−メチルヒスチジン、5−ヒドロキシリシン、σ−N−メチルアルギニン、および他の類似のアミノ酸およびイミノ酸(例えば、4−ヒドロキシプリン)がある。ここで用いられるポリペプチド表記において、標準的慣例および慣用によれば、左側方向はアミノ末端方向であり右側方向はカルボキシ末端方向である。
【0046】
同様に、特記しない限り、一本鎖ポリヌクレオチド配列の左側末端は5’末端であり;二本鎖ポリヌクレオチド配列の左側末端は5’方向と呼ばれる。発生時期のRNA転写体の5’から3’への付加の方向は転写方向と呼ばれ、RNAと同じ配列を有しRNA転写体の5’から5’末端であるDNAストランド上の配列領域は、「上流配列」と呼ばれ、RNAと同じ配列を有しRNA転写体の3’から3’末端であるDNAストランド上の配列領域は、「下流配列」と呼ばれる。
【0047】
保存的アミノ酸置換は、生物学的システムにおける合成よりも、化学的ペプチド合成により典型的に組み込まれる非天然産アミノ酸残基を含み得る。これらは、ペプチド模倣体および、アミノ酸部分の他の逆のまたは逆転した形態を含む。
【0048】
天然に存在する残基は、側鎖共有特性に基づくクラスに分けることができる。
【0049】
1)疎水性:ノルロイシン、Met、Ala、Val、Leu、Ile;
2)中性親水性:Cys、Ser、Thr、Asn、Gln;
3)酸性:Asp、Glu;
4)塩基性:His、Lys、Arg;
5)鎖方向付けに影響する残基:Gly、Pro;および
6)芳香族:Trp、Tyr、Phe。
【0050】
例えば、非保存的置換は、これらのクラスの一員を他のクラスからの一員に置換することを含み得る。そのような置換された残基は、非ヒト抗体と相同性のヒト抗体の領域中に、または分子の非相同性領域中に導入することができる。
【0051】
ある実施形態においてそのような変化を起こす場合、アミノ酸のヒドロパシー指数を考慮することができる。各アミノ酸は、その疎水性および荷電特性を基準に、ヒドロパシー指数を割り与えられている。それらは、イソロイシン(+4.5);バリン(+4.2);ロイシン(+3.8);フェニルアラニン(+2.8);システイン/シスチン(+2.5);メチオニン(+1.9);アラニン(+1.8);グリシン(−0.4);スレオニン(−0.7);セリン(−0.8);トリプトファン(−0.9);チロシン(−1.3);プロリン(−1.6);ヒスチジン(−3.2);グルタメート(−3.5);グルタミン(−3.5);アスパルテート(−3.5);アスパラギン(−3.5);リシン(−3.9);およびアルギニン(−4.5)である。
【0052】
生物学的機能相互作用を蛋白に与える際のアミノ酸ヒドロパシー指数の重要性が、当分野において理解されている。Kyteら著、J.Mol.Biol.,第157巻:105〜131頁(1982年)。あるアミノ酸は、同様のヒドロパシー指数または得点を有し同様の生物学的活性を維持している他のアミノ酸に置換できることが知られている。ある実施形態においてヒドロパシー指数に基づいて変更する際に、ヒドロパシー指数が±2以内であるアミノ酸の置換が含まれる。ある実施形態において、ヒドロパシー指数が±1以内であるものが含まれ、ある実施形態において、ヒドロパシー指数が±0.5以内であるものが含まれる。
【0053】
類似アミノ酸の置換を、特に、この場合のように、それにより作られた生物学的機能性蛋白またはペプチドを免疫学的実施形態において用いることを意図する場合、親水性に基づいて効果的に行い得ることも当分野において理解されている。ある実施形態において、その隣接アミノ酸の親水性により支配される、蛋白の最も大きな局部的平均親水性は、その免疫原性および抗原性と、すなわち、蛋白の生物学的特性と関連している。
【0054】
以下の親水性値が、これらのアミノ酸残基に割り与えられている。アルギニン(+3.0);リシン(+3.0);アスパルテート(+3.0±1);グルタメート(+3.0±1);セリン(+0.3);アスパラギン(+0.2);グルタミン(+0.2);グリシン(0);スレオニン(−0.4);プロリン(−0.5±1);アラニン(−0.5);ヒスチジン(−0.5);システイン(−1.0);メチオニン(−1.3);バリン(−1.5);ロイシン(−1.8);イソロイシン(−1.8);チロシン(−2.3);フェニルアラニン(−2.5)およびトリプトファン(−3.4)。ある実施形態において類似の親水性値に基づいて変更する場合、その親水性値が±2以内にあるアミノ酸の置換が含まれ、ある実施形態においては、親水性値が±1以内にあるものが含まれ、ある実施形態においては、親水性値が±0.5以内にあるものが含まれる。親水性に基づき一次アミノ酸配列からのエピトープを特定することもできよう。これらの領域は、「エピトープコア領域」とも呼ばれる。
【0055】
アミノ酸置換の例を表1に示す。
【0056】
【表1】
【0057】
当業者は、良く知られた技術を用いて、ここで示されるようなポリペプチドの適切な変異体を決めることができる。ある実施形態において、当業者は、活性に重要と考えられない標的領域により、活性を破壊することなく変化させることができる分子の適切な領域を特定することができる。ある実施形態において、類似のポリペプチド中に保存される分子の残基および部分を特定することができる。ある実施形態において、生物学的活性または構造に重要であり得る領域でさえ、生物学的活性を破壊することなく、またはポリペプチド構造に悪影響を与えることなく、保存的アミノ酸置換に付すことができる。
【0058】
さらに、当業者は、活性または構造に重要な、類似のポリペプチド中の残基を特定する構造−機能研究を行うことができる。そのような比較を考慮して、類似蛋白中の活性または構造に重要なアミノ酸残基に対応する蛋白中のアミノ酸残基の重要性を予想することができる。当業者は、そのような予想される重要なアミノ酸残基を化学的に類似のアミノ酸置換を選択することができる。
【0059】
当業者は、類似のポリペプチド中のその構造に関する三次元構造およびアミノ酸配列を分析することもできる。そのような情報を考慮して、当業者は、その三次元構造に関して、抗体のアミノ酸残基の整列を予想することができる。ある実施形態において、当業者は、蛋白の表面にあることが予想されるアミノ酸残基に過激な変化を起こさないように選択することができるが、これは、そのような残基が、他の分子との重要な相互作用に含まれ得るからである。さらに、当業者は、各所望のアミノ酸残基において一つのアミノ酸置換を含む試験変異体を発生させることができる。この変異体は、次に、当業者に知られている活性アッセイを用いてスクリーニングすることができる。そのような変異体は、適切な変異体に関する情報を集めるために用いることができる。例えば、特定のアミノ酸への変化により、破壊され望ましくない低下した不適切な活性が生じる場合、そのような変化を有する変異体を避けることができる。換言すると、そのような慣用実験から集められる情報に基づいて、当業者は、さらなる置換が単独で避けられるまたは他の突然変異と組み合わされて避けられるアミノ酸を容易に決めることができる。
【0060】
二次構造の予想のために、多くの化学的出版物を利用することができる。Moult J.,Curr.Op.in Biotech.7(4)巻:422〜427頁(1996年)、Chouら著、Biochemistry、13(2)巻:222〜245頁(1974年);Chouら著、Biochemistry、113(2)巻:211〜222頁(1974年);Chouら著、Adv.Enzymol.Relat.Areas Mol.Biol.第47巻:45〜148頁(1978年);Chouら著、Ann.Rev.Biochem.第47巻:251〜276頁およびChouら著、Biophys.J.第26巻:367〜384頁(1979年)が参照される。さらに、二次構造の予想を補助するためにコンピュータープログラムが容易に利用される。二次構造を予想する一つの方法は、相同性モデリングに基づく。例えば、配列同一性が30%を超えるまたは類似性が40%を超える二つのポリペプチドまたは蛋白は、類似の構造トポロジーを有することが多い。蛋白構造データベース(PDB)の最近の成長は、ポリペプチドまたは蛋白構造中の折り重ねの潜在的数を含む、二次構造の向上した予想性を提供する。Holmら著、Nucl.Acid.Res.、27(1)巻:244〜247頁(1999年)を参照のこと。所定のポリペプチドまたは蛋白中に限定数の折り重ねがあることおよび、一旦、構造の重要な数が決まると、構造予想が劇的により正確になることが示された(Brennerら著、Curr.Op.Struct.Biol.、7(3):369〜376頁(1997年))。
【0061】
二次構造を予想するさらなる方法には、「Threading」(Jones、D.、Curr.Opin.Struct.Biol.7(3):377〜87頁(1997年);Sipplら著、Structure、4(1):15〜19頁(1996年))、「Profile Analysis」(Bowieら著、Science、第253巻:164〜170頁(1991年);Gribskovら著、Meth.Enzym.、第183巻:146〜159頁(1990年);Gribskovら著、Proc.Nat.Acad.Sci.、84(13):4355〜4358頁(1987))、および「evolutionary linkage」(Holm、前掲書(1999年)、およびBrenner、前掲書(1997年)参照)がある。
【0062】
ある実施形態において、抗体変異体は、グリコシル化部位の数および/または型が親ポリペプチドのアミノ酸配列と比べて変化したグリコシル化変異体を含む。ある実施形態において、蛋白変異体は、天然蛋白よりも多いまたは少ない数のN−結合グリコシル化部位を含む。N−結合グリコシル化部位は配列:Asn−X−SerまたはAsn−X−Thrにより特徴付けられ、Xとしてあらわされるアミノ酸残基はプロリンを除く任意のアミノ酸残基であり得る。この配列を作るためのアミノ酸残基の置換は、N−結合炭水化物鎖の付加のための潜在的新規部位を提供する。また、この配列を削除する置換は、存在するN−結合炭水化物鎖を除去する。また、一または二以上のN−結合グリコシル化部位(典型的には、天然に存在するもの)が削除され一または二以上の新規N−結合部位が作られるN−結合炭水化物鎖の再配列も提供される。さらなる好ましい抗体変異体は、一または二以上のシステイン残基が削除されているまたは親アミノ酸配列と比べて別のアミノ酸(例えば、セリン)に置換されているシステイン変異体を含む。システイン変異体は、不溶性封入体の単離後のように、抗体を再び折り重ねて生物学的活性立体配座にすべき場合に有用となり得る。システイン変異体は、通常、天然蛋白より少ないシステイン残基を有し、典型的に、不対システインから生じる相互作用を最少化するために偶数である。
【0063】
ある実施形態によれば、アミノ酸置換は、(1)蛋白分解への感受性を低下させる、(2)酸化への感受性を低下させる、(3)蛋白複合体を形成するための結合親和性を変化させる、(4)結合親和性を変化させる、および/または(5)そのようなポリペプチドに他の物理化学的または機能的特性を与えるまたは修飾する。ある実施形態によれば、天然に存在する配列(ある実施形態においては、分子間接触を形成する領域の外側のポリペプチドの部分)において、単一または複数のアミノ酸置換(ある実施形態においては、保存的アミノ酸置換)を設けることができる。ある実施形態において、保存的アミノ酸置換は、典型的には、親配列の構造特徴を実質的に変化させない(例えば、置換アミノ酸は、親配列中に生じる螺旋を破壊または親配列を特徴付ける他の型の二次構造を破壊する傾向があってはならない)。当分野で認識されているポリペプチド二次および三次構造の例が、Proteins,Structures and Molecular Priciples(Creighton編、W.H.Freeman and Company、New York(1984年));Introduction to Protein Structure(C.BrandenおよびJ.Tooze編、Garland Publishing、New York、N.Y.(1991年));およびThorntonら著、Nature第354巻:105頁(1991年)に記載されており、これらを参照してここに組み込まれる。
【0064】
ここで用いられる「ポリペプチド断片」という用語は、アミノ末端および/またはカルボキシ末端欠失を有するポリペプチドを意味する。ある実施形態において、断片は長さが少なくとも5〜467アミノ酸である。ある実施形態において、断片は長さが少なくとも5、6、8、10、14、20、50、70、100、150、200、250、300、350、400または450アミノ酸であると考えられる。
【0065】
ペプチド類似体は、テンプレートペプチドと同様の特性を有する非ペプチド薬として薬学産業において一般的に用いられる。これらのタイプの非ペプチド化合物は、「ペプチド模擬体」または「ペプチド模倣体」と呼ばれる。Fauchere、J.Adv.Drug Res.第15巻:29頁(1986年);Veber and Freidinger TINS,392頁(1985年);およびEvansら著、J.Med.Chem.第30巻:1229頁(1987年)が、ここで任意の目的のために参考として組み込まれる。そのような化合物は、コンピューター化分子モデリングの助けを借りて開発されることが多い。治療的に有用なペプチドに構造的に類似のペプチド模倣体を用いて、類似の治療または予防効果を得ることができる。通常、ペプチド模倣体は、ヒト抗体のような典型ポリペプチド(すなわち、生化学的特性または薬理学的活性を有するポリペプチド)に構造的に類似であるが、当分野でよく知られている方法により、−CH2NH−、−CH2S−、−CH2−CH2−、−CH=CH−(シスおよびトランス)、−COCH2−、−CH(OH)CH2−、および−CH2SO−から選択される結合により任意に置換される一または二以上のペプチド結合を有する。ある実施形態において、同じ型のD−アミノ酸(例えば、L−リシンの代わりにD−リシン)を有するコンセンサス配列の一または二以上のアミノ酸の系統的な置換を用いて、より安定なペプチドを発生させることができる。さらに、コンセンサス配列または実質的に同一のコンセンサス配列変異体を含む制約ペプチドを、当分野で知られている方法(Rizo and Gierasch Ann.Rev.Biochem.第61巻:387頁(1992年)、ここで任意の目的のために参考として取り込まれる)により、例えば、ペプチドを環化する分子内ジスルフィド橋を形成することができる内部システイン残基を添加することにより、発生させることができる。
【0066】
「抗体」または「抗体ペプチド」は、無傷抗体または特定の結合のために無傷抗体と競合するその結合性断片を意味する。ある実施形態において、結合性断片は、組換えDNA技術により生成される。ある実施形態において、結合性断片は、無傷抗体の酵素的または化学的分裂により生成される。結合性断片は、Fab、Fab’、F(ab’)2、Fv、および一本鎖抗体を含むが、これらに限定されない。
【0067】
「H鎖」という用語は、OPGLへの特異性を付与するための充分な可変領域配列を有するポリペプチドを含む。「L鎖」という用語は、OPGLへの特異性を付与するための充分な可変領域配列を有するポリペプチドを含む。全長H鎖は、可変領域VHおよび三つの定常領域CH1、CH2、およびCH3を含む。VH領域は、ポリペプチドのアミノ末端にあり、CH3領域はカルボキシ末端にある。ここで用いられる「H鎖」という用語は、全長H鎖およびその断片を含む。全長L鎖は、可変領域VLおよび定常領域CLを含む。H鎖と同様に、L鎖の可変領域は、ポリペプチドのアミノ末端にある。ここで用いられる「L鎖」という用語は、全長L鎖およびその断片を含む。Fab断片は、一つのL鎖および、一つのH鎖のCH1および可変領域を含む。Fab分子のH鎖は、もう一つのH鎖分子とのジスルフィド結合を形成することができない。Fab’断片は、CH1領域とCH2領域との間により多くの定常領域を含む一つのH鎖、および一つのL鎖を含み、それにより、二つのH鎖の間に鎖間ジスルフィド結合を形成してF(ab’)2分子を形成することができる。Fv領域は、H鎖とL鎖の両方からの可変領域を含むが、定常領域は欠く。一本鎖抗体は、H鎖可変領域とL鎖可変領域とがフレキシブルリンカーにより接続されて一本のポリペプチド鎖を形成しそれが抗原結合領域を形成しているFv分子である。一本鎖抗体は、WO88/01649および米国特許第4,946,778号および5,260,203号に詳細に説明されている。
【0068】
ある実施形態において、「多特異的」または「多機能性」抗体以外の二価抗体は、典型的には、同一のその結合部位の各々を有すると解される。
【0069】
過剰の抗体が対応受容体への受容体結合量を少なくとも約20%、40%、60%、80%、85%またはそれ以上(生体外競合結合アッセイで測定)減少させる場合、抗体は、リガンドの受容体への結合を実質的に阻害する。
【0070】
「エピトープ」という用語は、免疫グロブリンまたはT細胞受容体に特異的に結合することができるポリペプチド決定因子を含む。ある実施形態において、エピトープ決定因子は、アミノ酸、糖側鎖、ホスホリルまたはスフホニルのような分子の化学的活性表面基を含み、ある実施形態において、特定の三次元構造特性および/または特定の荷電特性を有し得る。エピトープは、抗体により結合される抗原の領域である。ある実施形態において、蛋白および/またはマクロ分子の複雑な混合物中のその標的抗原を選択的に認識する場合、抗体は特異的に抗原に結合すると言う。ある実施形態において、解離定数が1μM以下である場合、ある実施形態において、解離定数が100nM以下である場合、およびある実施形態において、解離定数が10nM以下である場合、抗体は特異的に抗原に結合すると言う。
【0071】
「剤」という用語は、ここで、化学的化合物、化学的化合物の混合物、生物学的マクロ分子、または生物学的材料から得られる抽出物を示すために用いられる。
【0072】
ここで用いられるように、「標識」または「標識された」という用語は、例えば、放射線標識アミノ酸の組み込み、または、マーカー付加されたアビジン(例えば、光学的または比色法により検出することができる酵素的活性または蛍光マーカーを含むストレプトアビジン)により検出することができるビオチン部分のポリペプチドへの付与により、検出可能なマーカーを組み込むことを意味する。ある実施形態において、標識またはマーカーは治療的でもあり得る。ポリペプチドおよび糖蛋白を標識する種々の方法は当分野で知られており、用いることができる。ポリペプチドの標識の例には、以下の標識があるが、これらに限定されない:放射性同位体または放射性核種(例えば、3H、14C、15N、35S、90Y、99Tc、111 In、125 I、131 I)、蛍光標識(例えば、FITC、ローダミン、ランタニド蛍光体)、酵素的標識(例えば、ホースラディッシュペルオキシダーゼ、β−ガラクトシダーゼ、ルシフェラーゼ、アルカリホスファターゼ)、化学発光、ビオチニル基、二次レポーター(例えば、ロイシンジッパー対配列、二次抗体用の結合部位、金属結合領域、エピトープタグ)により認識される予め決められたポリペプチドエピトープ。ある実施形態において、種々の長さのスペーサーアームにより標識が付着されて、可能性ある立体障害が低下される。
【0073】
ここで用いられる「生物学的サンプル」という用語は、生きている物体または以前は生きていた物体からの任意の量の物質を含むが、これらに限定されない。そのような生きている物体は、ヒト、マウス、サル、ラット、ウサギおよび他の動物を含むが、これらに限定されない。そのような物質は、血液、血清、尿、細胞、臓器、組織、骨、骨髄、リンパ節および皮膚を含むが、これらに限定されない。
【0074】
「骨減少疾患」という用語は、骨粗鬆症、骨減少症、ページェット病、溶解性骨転移、歯周病、リューマチ性関節炎および、固定による骨損失を含むが、これらに限定されない。これらの骨疾患に加えて、特定の癌が、破骨細胞活性を増加させると共に、乳、前立腺および多発性骨髄腫のような骨再吸収を誘発させることが知られている。これらの癌は、骨中でOPGLを過剰発現させると共に、破骨細胞の数および活性を増加させる因子を生成することが知られている。
【0075】
ここで用いられる「薬学的剤または薬」という用語は、患者に適切に投与された場合、所望の治療効果を誘発することができる化学的化合物または組成物を意味する。
【0076】
ここで用いられる「調節因子」という用語は、分子の活性および機能を変化または変更する化合物である。例えば、調節因子は、調節因子の不存在下に観察される活性または機能の強さと比較して、分子のある活性または機能の強さを増加または低下させることができる。ある実施形態において、調節因子は、分子の少なくとも一つの活性または機能の強さを低下させる阻害因子である。分子の活性および機能の特定の例には、結合親和性、酵素的活性および信号伝達があるが、これらに限定されない。阻害因子の特定の例には、蛋白、ペプチド、抗体、ペプチボデイー、炭水化物または小さな有機分子があるが、これらに限定されない。ペプチボデイーは、例えば、WO01/83525に記載されている。
【0077】
ここで用いられる「実質的に純粋」という用語は、目的の種が、優勢に存在する種である(すなわち、分子基準で、組成物中の他の個々の種よりも豊富である)ことを意味する。ある実施形態において、実質的に純粋な分画は、目的の種が、存在する全てのマクロ分子種の少なくとも約50%(分子基準)をなす組成物である。ある実施形態において、実質的に純粋な組成物は、組成物中に存在する全てのマクロ分子の約80%、85%、90%、95%または99%以上を含む。ある実施形態において、目的の種は、組成物が実質的に単一のマクロ分子種からなる本質的均質性(従来の検出法により組成物中に汚染種を検出することができない)まで精製される。
【0078】
患者という用語は、ヒトおよび動物対象を含む。
【0079】
本出願において、単数の使用は特記しない限り複数を含む。本出願において、「または」の使用は特記しない限り「および/または」を意味する。さらに、「含む」という用語の使用は限定的でない。また、「要素」または「成分」のような用語は、一つの単位を含む要素および成分、および特記しない限り二つ以上のサブユニットを含む要素および成分の両方を含む。
【0080】
サイトカインの腫瘍壊死因子(TNF)ファミリーの一員であるオステオプロテゲリンリガンド(OPGL)は、破骨細胞の形成に関与している。増加した破骨細胞活性は、閉経後骨粗鬆症、ページェット病、溶解性骨転移およびリューマチ性関節炎を含む多くの骨減少疾患に関わる。従って、OPGL活性の低下は、破骨細胞活性の低下につながり、骨減少疾患の重傷度を低下させ得る。本発明のある実施形態によれば、OPGLへの抗体を、これらに限定はされないが前述の疾患を含む骨減少疾患を治療するために用いることができる。
【0081】
本発明のある実施形態において、ヒトオステオプロテゲリンリガンド(OPGL)に対する完全ヒトモノクローナル抗体が提供される。ある実施形態において、H鎖イムノグロブリン分子とL鎖イムノグロブリン分子をコードするヌクレオチド配列およびそれらの分子を含むアミノ酸配列、特に、可変領域に相当する配列が提供される。ある実施形態において、相補性決定領域(CDR)、特にCDR1からCDR3に対応する配列が提供される。ある実施形態によれば、そのようなイムノグルブリン分子およびモノクローナル抗体を発現するハイブリドーマ細胞系も提供される。ある実施形態において、ヒトOPGLに対する精製ヒトモノクローナル抗体が提供される。
【0082】
酵母人工染色体(YAC)中にメガ塩基寸法のヒト遺伝子部位をクローン化しおよび再構築してそれらをマウス生殖細胞系に導入することができることにより、非常に大きなまたは粗くマップされた遺伝子座の機能性成分を解明するための、またヒト疾患の有用なモデルを発生させるための手段が提供される。さらに、そのような技術を利用してマウス遺伝子座をヒトの同等物で置換することにより、発育中のヒト遺伝子生成物の発現および制御、それらと他の系との連絡、および疾患の誘発および進行へのそれらの関与についてのユニークな洞察を得ることができる。
【0083】
そのような方策の重要な実際の応用は、マウス液性免疫系の「ヒト型化」である。内因性Ig遺伝子が不活性化されているマウスへの、ヒトイムノグルブリン(Ig)座の導入は、抗体のプログラムされた発現および組み立ての基礎となる機構並びにそれらのB細胞発育における役割を研究する機会を提供する。さらに、そのような方策により、完全ヒト型モノクローナル抗体(MAb)の生成のための供給源を提供することができよう。ある実施形態において、完全ヒト型抗体は、マウスまたはマウス誘導Mabに固有の免疫原性およびアレルギー性反応を最少化し、すなわち、ある実施形態において、投与された抗体の効果および安全性を高めることが予測される。ある実施形態において、完全ヒト型抗体を、骨粗鬆症、炎症、自己免疫および癌のような慢性および再発性ヒト疾患の治療において用いることができ、これは、繰り返し抗体投与を含み得る。
【0084】
マウスにマウス抗体の不存在下でヒト型抗体を生成させるような応用において、ヒトIg座の大きな断片を用いて、マウス抗体生成を欠くマウス株を作成することができる。大きなヒトIg断片は、大きな可変遺伝子多様性ならびに抗体生成および発現の適切な制御を保存していよう。抗体多様性および選択およびヒト蛋白への免疫学的寛容の欠損を活用することにより、これらのマウス株中の複製ヒト抗体レパートリーは、ヒト抗原を含む意図する抗原に対する高親和性抗体を有していよう。ハイブリドーマ技術を用いて、所望の特異性を有する抗原特異的ヒトMAbを生成および選択することができる。
【0085】
ある実施形態において、ヒト可変領域と一緒に、ヒト以外の種からの定常領域を用いることができる。
【0086】
天然に存在する抗体の構造
天然に存在する抗体の構造単位は、典型的に、四量体を含む。各々のそのようなテトラマーは、典型的に、二つの同一対のポリペプチド鎖を含み、各対は一つの全長L鎖(ある実施形態において、約25kDa)と一つの全長H鎖(ある実施形態において、約50kDaから70kDa)を有する。各鎖のアミノ末端部分は、典型的に抗原認識を担当する約100〜110またはそれ以上のアミノ酸の可変領域を典型的に含む。各鎖のカルボキシ末端部分は、エフェクター機能を担当し得る定常領域を典型的に規定する。ヒトL鎖は、典型的に、κおよびλL鎖とに分類される。H鎖は、典型的に、μ、δ、γ、αまたはεと分類され、それぞれIgM、IgD、IgG、IgAおよびIgEとして抗体アイソタイプを定義する。IgGは、IgG1、IgG2、IgG3およびIgG4を含む幾つかのサブクラスを有するが、これらに制限されない。IgMは、IgM1およびIgM2を含むサブクラスを有するが、これらに限定されない。IgAは同様にIgA1およびIgA2を含むサブクラスに下位分割されるが、これらに限定されない。全長L鎖およびH鎖中では、典型的に、可変領域と定常領域が、約12以上のアミノ酸からなる「J」領域により連結され、H鎖は、約10以上のアミノ酸からなる「D」領域も含む。例えば、Fundamental Immunology 第7章(Paul,W.編、第2版、Raven Press、N.Y.(1989年))を参照されたい(全ての目的のために、その全体を参考のために取り入れる)。各L/H鎖対からなる可変領域は、典型的に、抗原結合部位を形成する。
【0087】
可変領域は、相補性決定領域すなわちCDRとも呼ばれる、三つの超可変領域により連結された比較的保存されたフレームワーク領域(FR)の同じ一般的構造を典型的に示す。各対の二つの鎖からのCDRは、典型的に、このフレームワーク領域により典型的に配列されていて、これにより特定のエピトープへの結合が可能となり得る。N末端からC末端にかけて、L鎖可変領域とH鎖可変領域の両方が、典型的に、領域FR1、CDR1、FR2、CDR2、FR3、CDR3およびFR4を含む。各領域へのアミノ酸の割り当ては、典型的に、Kabat Sequences of Proteins of Immunological Interest(National Institutes of Health、Bethesda、Md.(1987年および1991年))またはChothia & Lesk J.Mol.Biol.第196巻:901〜917頁(1987年);Chothiaら著、Nature第342巻:878〜883頁(1989年)の定義に従う。
【0088】
二重特異的または二重機能的抗体
二重特異的または二重機能的抗体は、典型的には、二つの異なるH/L鎖対と二つの異なる結合部位を有する人工的ハイブリッド抗体である。二重特異的抗体は、限定はされないがハイブリドーマの融合またはFab’断片の結合を含む種々の方法により製造することができる。例えば、Songsivilai & Lachmann Clin.Exp.Immunol.第79巻:315〜321頁(1990年)、Kostelnyら著、J.Immunol.第148巻:1547〜1553頁(1992年)を参照のこと。
【0089】
抗体の調製
ある実施形態によれば、OPGLに特異的に結合する特定の抗体が本発明に含まれる。ある実施形態において、全長OPGL、OPGLの可溶性形態、またはその断片を用いて免疫化することにより抗体を製造することができる。ある実施形態において、本発明の抗体はポリクローナルまたはモノクローナル、および/または組換え抗体であってよい。ある実施形態において、本発明の抗体は、例えば、ヒト型抗体を生成することができるトランスジェニック動物の免疫化により調製されるヒト型抗体である(例えば、PCT公開出願番号WO93/12227参照)。
【0090】
ある実施形態において、αOPGL−1のLおよびH鎖可変領域の相補性決定領域(CDR)を、同じまたは別の種からのフレームワーク領域(FR)に移設することができる。ある実施形態において、αOPGL−1のLおよびH鎖可変領域のCDRを、コンセンサスヒトFRに移設することができる。コンセンサスヒトFRを作るために、ある実施形態において、幾つかのヒトH鎖またはL鎖アミノ酸配列からのFRが整列されてコンセンサスアミノ酸配列が同定される。ある実施形態において、αOPGL−1のH鎖またはL鎖のFRが、異なるH鎖またはL鎖からのFRで置換される。ある実施形態において、αOPGL−1のH鎖またはL鎖のFR中の稀アミノ酸(rare amino acid)は置換されないが、FRアミノ酸の残りは置換される。稀アミノ酸は、それらがFR中で通常見つからない位置にある特定のアミノ酸である。ある実施形態において、αOPGL−1からの移設可変領域を、αOPGL−1の定常領域と異なる定常領域と一緒に用いることができる。ある実施形態において、移設可変領域は、一本鎖Fv抗体の一部である。CDR移設は、例えば、米国特許第6,180,370号、第5,693,762号、第5,693,761号、第5,585,089号および5,530,101号に記載されており、これらが任意の目的のために参考としてここで組み込まれる。
【0091】
ある実施形態によれば、本発明の抗体は、挿入されたヒト型抗体生成ゲノムの実質部分を有するが内因性のネズミ抗体の生成が欠損したトランスジェニックマウスを利用することにより調製される。そのようなマウスは、ヒトイムノグルブリン分子および抗体を生成することができると共に、ネズミイムノグルブリン分子および抗体の生成は欠損している。この結果を達成するために利用される技術が、親出願および、ここで明細書中に開示されている参照文献に開示されている。ある実施形態において、PCT公開出願番号WO98/24893に開示のもののような方法を用いることができ、これが任意の目的で参考のためにここで取り込まれる。Mendezら著、Nature Genetics第15巻:146〜156頁(1997年)も参照され、これが任意の目的で参考のためにここで取り込まれる。
【0092】
ある実施形態によれば、OPGLに特異的な完全ヒトモノクローナル抗体が以下のように生成される。ヒトイムノグルブリン遺伝子を含むトランスジェニックマウスが、意図する抗原で免疫される。抗体を発現するマウスからのリンパ細胞(例えば、B細胞)が得られる。そのように回収された細胞が骨髄型細胞系と融合されて不死ハイブリドーマ細胞系が調製され、そのようなハイブリドーマ細胞系は、意図する抗原に特異的な抗体を生産するハイブリドーマ細胞系を特定するためにスクリーニングされ選択される。ある実施形態において、OPGLに特異的な抗体を生産するハイブリドーマ細胞系の生成が提供される。
【0093】
ある実施形態において、本発明の抗体は、ハイブリドーマ系AMG6.1、AMG6.4、AMG6.5、AMG7.1およびAMG7.2により生産される。ある実施形態において、本発明の抗体は、イブリドーマ系AMG6.1、AMG6.4およびAMG6.5により生産される。ある実施形態において、本発明の抗体は、約0.23から0.29nMの間の解離定数(Kd)でOPGLに結合する。本発明のある実施形態において、この抗体は0.23nM未満のKdでOPGLに結合する。
【0094】
ある実施形態において、本発明の抗体は、IgG2アイソタイプである。本発明のある実施形態において、この抗体は、ヒトκL鎖およびヒトIgG2H鎖を含む。ある実施形態において、本発明の抗体を、哺乳動物細胞中での発現のためにクローニングした。ある実施形態において、抗体の可変領域は、IgG2アイソタイプの定常領域以外の定常領域に連結される。
【0095】
ある実施形態において、αOPGL−1のHおよびL鎖への保存的修飾(およびコード化ヌクレオチドへの対応する修飾)により、αOPGL−1のものに類似の機能的および化学的特性を有するOPGLへの抗体が生成される。これに対して、αOPGL−1の機能的および/または化学的特性の実質的修飾が、(a)例えば面状または螺旋状配座として置換の領域における分子バックボーンの構造、(b)標的部位における分子の荷電または疎水性、または(c)側鎖の大きさ、の維持に対するそれらの効果が著しく異なるHおよびL鎖のアミノ酸配列における置換を選択することにより達成することができる。
【0096】
例えば、「保存的アミノ酸置換」は、天然アミノ酸残基を非天然残基で置換して、それによりその位置におけるアミノ酸残基の極性または電荷に殆どまたは全く影響が無いようにすることができる。さらに、ポリペプチド中の任意の天然残基を、「アラニンスキャンニング突然変異誘発」について先に記載したように、アラニンで置換することもできる。
【0097】
所望のアミノ酸置換(保存的または非保存的)は、そのような置換が望まれるときに当業者が決めることができる。ある実施形態において、アミノ酸置換を用いて、αOPGL−1の重要な残基を特定する、またはここに記載のOPGLへの抗体の親和性を増加または低下させることができる。
【0098】
ある実施形態において、本発明の抗体を、ハイブリドーマ細胞系以外の細胞系において発現させることができる。ある実施形態において、適切な哺乳動物宿主細胞の形質転換のために、特定の抗体をコードする配列を用いることができる。ある実施形態によれば、形質転換は、例えば、ポリヌクレオチドのウイルス(またはウイルスベクター)中への包装および宿主細胞へのウイルス(またはベクター)の導入または、米国特許第4,399,216号、第4,912,040号、第4,740,461号および4,959,455号(これら特許を、任意の目的で参考のためにここで組み込む)に例示されるような当分野で知られている形質移入手順を含む、ポリヌクレオチドを宿主細胞中に導入するための任意の既知の方法により行うことができる。ある実施形態において、用いられる形質転換手順は、形質転換すべき宿主に依存し得る。哺乳動物細胞中に異種ポリヌクレオチドを導入する方法は、当分野で良く知られており、限定はされないが、デキストラン媒介形質移入、燐酸カルシウム沈降、ポリブレン媒介形質移入、プロトプラスト融解、電気穿孔、リポソーム内へのポリヌクレオチドの封入、および核内へのDNAの直接顕微注入がある。
【0099】
発現用の宿主として利用できる哺乳動物細胞系は当分野で良く知られており、限定はされないが、American Type Culture Collection(ATCC)から入手される多くの不死化した細胞系があり、チャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞、HeLa細胞、ベビーハムスター腎(BHK)細胞、サル腎細胞(COS)、ヒト肝細胞癌細胞(例えば、Hep G2)および多くの他の細胞系が挙げられるが、これらに限定されない。ある実施形態において、どの細胞系が高い発現水準を有し、構成的OPGL結合特性を有する抗体を生成するかを決めることにより、細胞系を選択することができる。
【0100】
ある実施形態によれば、本発明の抗体は、生物学的サンプル中にOPGLを検出するのに有用である。ある実施形態において、これにより、蛋白を生成する細胞または組織を特定することができる。ある実施形態において、OPGLに結合すると共に他の結合性化合物との相互作用を阻害する抗体は、破骨細胞の分化および骨の再吸収の調節において治療的に用いることができる。ある実施形態において、OPGLに対する抗体は、OPGLのODARへの結合を阻害することができ、それにより、信号導入カスケードの阻害およびNF−kB媒介転写活性化の損失が生じ得る。例えば、ルシフェラーゼレポーターアッセイを用いてNF−kB媒介転写活性化を測定するアッセイは、当業者に知られている。
【0101】
ある実施形態において、治療有効量のOPGLに対する抗体を投与することを含んでなる骨疾患を治療する方法が提供される。ある実施形態において、治療有効量のOPGLに対する抗体および他の治療薬を投与することを含んでなる骨疾患を治療する方法が提供される。あるそのような態様において、さらなる治療薬は治療有効量で投与される。ある実施形態において、骨疾患は、正味骨損失を特徴とする疾患であり、骨減少症および骨溶解が挙げられるがこれらに限定されない。ある実施形態において、OPGLに対する抗体による治療を用いて骨再吸収速度を抑制する。従って、ある実施形態において、再吸収速度が正常を超える場合に骨再吸収速度を低下させる、または、骨形成の正常より低い水準を補うために骨再吸収を正常水準より低くするための治療を行うことができる。ある実施形態において、抗体を、OPGの不存在または存在下におけるOPGLへの結合について試験することができ、OPGL媒介破骨細胞発生および/または骨再吸収を阻害するその性能について試験することができる。
【0102】
ある実施形態に従って治療することができる症状には以下のものがあるが、これらに限定されない:
骨粗鬆症、例えば、原発性骨粗鬆症、内分泌性骨粗鬆症(甲状腺機能亢進症、副甲状腺機能亢進症、クッシング症候群および先端巨大症が挙げられるがこれらに限定されない)、骨粗鬆症の遺伝性および先天性型(骨形成不全症、ホモシスチン尿症、メンケズ症候群、ライリー−ダイ症候群が挙げられるがこれらに限定されない)、および端部の不動化による骨粗鬆症(これらに限定されない);
成人および若年者における骨のページェット病(変性性骨炎);
骨髄炎、すなわち、骨損失につながる、骨における感染性病変;
高カルシウム血症、例えば、充実性腫瘍(乳、肺および腎臓を含むがこれらに限定されない)および血液悪性病変(多発性骨髄腫、リンパ腫および白血病を含むがこれらに限定されない)から生じる高カルシウム血症、特発性高カルシウム血症、および甲状腺機能亢進症および腎機能障害に関わる高カルシウム血症(これらに限定されない);
骨減少症、例えば、手術に続く骨減少症、ステロイド投与により誘発される骨減少症、小腸および大腸の疾患に関わる骨減少症、および慢性肝臓および腎臓疾患に関わる骨減少症(これらに限定されない);
骨壊死、すなわち、骨細胞死であって、外傷に関わる骨壊死、ゴーシェ病に関わる骨壊死、鎌状赤血球貧血に関わる骨壊死、全身性エリテマトーデスに関わる骨壊死、リューマチ性関節炎に関わる骨壊死、歯周病に関わる骨壊死、骨溶解性転移に関わる骨壊死、および他の症状に関わる骨壊死(これらに限定されない);および
リューマチ性関節炎に関わる軟骨の損失および関節侵食。
【0103】
ある実施形態において、OPGLに対する抗体を、骨疾患の治療のために、単独で使用するまたは、少なくとも一種のさらなる治療剤と共に使用することができる。ある実施形態において、OPGLに対する抗体を、治療有効量のさらなる治療剤と組み合わせて用いる。OPGLに対する抗体と共に投与することができる治療剤の例には、BMP−1からBMP−12と表される骨形態発生因子;形質転換成長因子−β(TGF−β)およびTGF−βファミリー構成員;インターロイキン−1(IL−1)阻害因子、例えば、IL−1raおよびその誘導体およびキネレト(Kineret)(登録商標)(これらに限定されない);TNFα阻害因子、例えば、可溶性TNFα受容体、エンブレル(Enbrel)(登録商標)、抗−TNFα抗体、レミケード(Remicade)(登録商標)およびD2E7抗体(これらに限定されない);副甲状腺ホルモンおよびその類似体;副甲状腺関連蛋白およびその類似体;E系列プロスタグランジン;ビスホスホネート(アレンドロネート等);骨向上性鉱物、例えばフッ化物およびカルシウム;非ステロイド性抗炎症薬(NSAID)、例えば、セレブレックス(Celebrex)(登録商標)およびビオックス(Vioxx)(登録商標)のようなCOX−2阻害因子(これらに限定されない);免疫抑制薬、例えばメトトレキセートまたはレフルノミド;セリンプロテアーゼ阻害因子、例えば、分泌性白血球プロテアーゼ阻害因子(SLPI)(これらに限定されない);IL−6阻害因子(限定はされないがIL−6への抗体を含む);IL−8阻害因子(限定はされないがIL−8への抗体を含む);IL−18阻害因子(限定はされないがIL−18結合蛋白およびIL−18抗体を含む);インターロイキン−1転化酵素(ICE)調節因子;線維芽細胞成長因子FGF−1からFGF−10およびFGF調節因子;PAF拮抗薬;ケラチノサイト成長因子(KGF)、KGF−関連分子、およびKGF調節因子;マトリクスメタロプロテアーゼ(MMP)調節因子;一酸化窒素シンターゼ(NOS)調節因子、例えば、誘発性NOSの調節因子(これらに限定されない);グルココルチコイド受容体の調節因子;グルタメート受容体の調節因子;リポ多糖類(LPS)水準の調節因子;およびノルアドレナリン並びにその調節因子および模倣体があるが、これらに限定されない。
【0104】
ある実施形態において、OPGLに対する抗体が特定の治療剤と共に用いられて、骨損失を伴う種々の炎症性症状、自己免疫症状または他の症状が治療される。ある実施形態において、症状および治療の所望水準の観点から、二種、三種またはそれ以上の治療剤を投与することができる。ある実施形態において、同じ製剤中に含ませることにより治療剤を一緒に提供することができる。ある実施形態において、同じ製剤中に含ませることにより治療剤およびOPGLへの抗体を一緒に提供することができる。ある実施形態において、処理キット中に含ませることにより治療剤を一緒に提供することができる。ある実施形態において、処理キット中に含ませることにより治療剤およびOPGLに対する抗体を一緒に提供することができる。ある実施形態において、そのような治療剤を別々に提供することができる。ある実施形態において、遺伝子治療により投与された場合、蛋白剤および/またはOPGLに対する抗体をコードする遺伝子を同じベクター中に含ませることができる。ある実施形態において、蛋白剤および/またはOPGLに対する抗体をコードする遺伝子を同じプロモーター領域の制御下に置くことができる。ある実施形態において、蛋白剤および/またはOPGLに対する抗体をコードする遺伝子を別々のベクター中に存在させることができる。
【0105】
ある実施形態において、本発明は、OPGLに対する抗体および少なくとも一つのインターロイキン−1(IL−1)阻害因子を含む治療薬、およびそのような治療薬を用いる治療方法を提供する。ある実施形態において、この治療薬はOPGLに対する抗体およびIL−1阻害因子および、少なくとも一つのここに記載のさらなる分子を含む。ある実施形態において、治療法は、IL−1阻害因子および/またはTNF−α阻害因子をOPGLに対する抗体と組み合わせて用いる。ある実施形態において、IL−1阻害因子および/またはTNF−α阻害因子と組み合わされたOPGLに対する抗体を、喘息、リューマチ性関節炎および多発性硬化症のような症状の治療に用いることができる。
【0106】
インターロイキン−1(IL−1)は、抗炎症性サイトカインである。ある例において、IL−1は、多くの疾患および医学的症状における媒介物である。ある例において、IL−1は、マクロファージ/単核細胞直系の細胞により製造される。ある実施形態において、IL−1は二つの状態:IL−1アルファ(IL−1α)とIL−1ベータ(IL−1β)として生成される。
【0107】
自然発生的または実験的疾患または医学的症状が、体液または組織中のIL−1の高くなった水準を伴う場合、および/または、体から得た細胞または組織が培地中のIL−1の水準を高くする場合、疾患または医学的症状は「インターロイキン−1媒介疾患」と考えられる。ある実施形態において、そのようなインターロイキン−1媒介疾患は、以下のさらなる二つの条件によっても理解される:(1)疾患または医学的症状に関わる病的所見を、IL−1の投与またはIL−1の発現の上方制御により、動物中で実験的に模倣することができる;および(2)疾患または医学的症状の実験的動物モデルにおいて誘発される病因を、IL−1の作用を阻害する剤で処理することにより阻害または壊すことができる。ある実施形態において、IL−1媒介疾患において、前記条件の一つまたは二つ以上が見られる。ある実施形態において、IL−1媒介疾患において、三つの全ての条件が見られる。
【0108】
急性および慢性インターロイキン−1(IL−1)媒介疾患には以下のものがあるが、これらに限定されない:急性膵臓炎;筋萎縮性側索硬化症(ALS、またはルー・ゲーリック病);アルツハイマー病;悪液質/食欲不振、例えば、AIDS誘発悪液質(これに限定されない);喘息および他の肺疾患;アテローム性硬化症;自己免疫脈管炎;慢性疲労症候群;クロストリジウム関連疾患、例えば、クロストリジウム関連下痢(これに限定されない);冠動脈症状および適応症、例えば、鬱血性心不全、冠動脈再狭窄、心筋梗塞、心筋機能不全(例えば、敗血症関連)および冠動脈バイパスグラフト(これらに限定されない);癌、例えば、白血病、限定はさらないが多発性骨髄白血病および骨髄形成(例えば、AMLおよびCML)および腫瘍転移(これらに限定されない);糖尿病(限定はされないが、インスリン依存性糖尿病);子宮内膜症;熱;線維筋痛症;糸球体腎炎;対宿主性移植片病および/または移植拒絶反応;出血性ショック;痛覚過敏;炎症性腸疾患;関節の炎症症状、例えば、変形性関節炎、乾癬性関節炎およびリューマチ性関節炎(これらに限定されない);炎症性眼疾患、例えば、角膜移植に関わる疾患(これらに限定されない);虚血、例えば、脳虚血(限定はされないが、例えば各々が神経退化につながり得る外傷、癲癇、出血またはショックの結果としての脳損傷を含む)(これらに限定されない);川崎病;学習障害;肺疾患(限定はされないが、急性呼吸促迫症候群すなわちARDAを含む);多発性硬化症;筋障害(例えば、筋蛋白代謝、限定はされないが敗血症における筋蛋白代謝);神経毒性(限定はされないが、HIVにより誘発させる症状を含む);骨粗鬆症;疼痛、限定はされないが癌関連疼痛を含む;パーキンソン病;歯周病;早期分娩;乾癬;再灌流障害;敗血症ショック;放射線療法からの副作用;側頭下顎関節疾患;睡眠障害;ブドウ膜炎;および、例えば筋挫傷、捻挫、軟骨損傷、外傷、整形外科手術、感染または他の疾患過程から生じる炎症性症状。
【0109】
ある実施形態において、IL−1阻害因子は、任意数の機構から生じ得るIL−1への細胞性受容体の活性化を特異的に防止することができる任意の蛋白または分子であり得る。機構の例には、IL−1生成の下方制御、遊離IL−1の結合、その受容体に結合するIL−1の妨害、IL−1受容体複合体の形成(すなわち、IL−1受容体とIL−1受容体付属蛋白との組み合わせ)の妨害、およびその受容体への結合後に信号発信するIL−1の調節の妨害があるが、これらに限定されない。
【0110】
特定のインターロイキン−1阻害因子には、IL−1受容体拮抗薬、例えば限定はされないがキネレト(Kineret)(登録商標)、IL−1ra、IL−1ra変異体およびIL−1ra誘導体(集合的に「IL−1ra蛋白」と称する)、抗IL−1受容体モノクローナル抗体(例えば、ここで任意の目的のために参考として取り込まれるEP623674を参照されたい);IL−1結合蛋白、例えば、限定はされないが可溶性IL−1受容体(例えば米国特許第5,492,888号、米国特許第5,488,032号、米国特許第5,464,937号、米国特許第5,319,071号および米国特許第5,180,812号が参照され、ここで任意の目的のために参考として取り込まれる)を含む;抗IL−1モノクローナル抗体(例えばWO9501997、WO9402627、WO9006371、米国特許第4,935,343号、EP364778、EP267611およびEP220063が参照され、ここで任意の目的のために参考として取り込まれる);IL−1受容体付属蛋白およびそれに対する抗体(例えばWO96/23067およびWO99/37773が参照され、ここで任意の目的のために参考として取り込まれる);IL−1β生成および分泌を阻害するために用いることができる、インターロイキン−1β転化酵素(ICE)またはカスパセ(caspase)I(例えばWO99/46248、WO99/47545およびWO99/47154が参照され、ここで任意の目的のために参考として取り込まれる);インターロイキン−1βプロテアーゼ阻害因子;およびIL−1の生体内合成または細胞外放出を妨害する他の化合物および蛋白があるが、これらに限定されない。
【0111】
IL−1阻害因子の例が、例えば、米国特許第5,747,444号;第第5,359,032号;第第5,608,035号;第第5,843,905号;第第5,359,032号;第第5,866,576号;第第5,869,660号;第第5,869,315号;第第5,872,095号;第第5,955,480号;第第5,965,654号;第国際(WO)特許出願第98/21957号、第96/09323号、第91/17184号、第96/40907号、第98/32733号、第98/42325号、第98/44940号、第98/47892号、第98/56377号、第99/03837号、第99/06426号、第99/06042号、第91/17249号、第98/32733号、第98/17661号、第97/08174号、第95/34326号、第99/36426号、第99/36415号;第欧州(EP)特許出願第534978号および第894795;および仏国特許出願第FR276514号に開示されている。前記参考文献の全ての開示が、ここで任意の目的で参考として取り込まれる。
【0112】
インターロイキン−1受容体拮抗薬(IL−1ra)は、インターロイキン−1の天然阻害因子として作用すると共に、IL−1αおよびIL−1βを含むIL−1ファミリーの構成員であるヒト蛋白である。IL−1raおよびその変異体および誘導体を含む特定の受容体拮抗薬、並びにそれらを製造および使用する方法が、米国特許第5,075,222号;第WO91/08285;WO91/17184;AU9173636;WO92/16221;WO93/21946;WO94/06457;WO94/21275;FR2706772;WO94/21235;DE4219626、WO94/20517;WO96/22793;WO97/28828;およびWO99/36541に記載されており、これらがここで任意の目的で参考として取り込まれる。ある実施形態において、LI−1受容体拮抗薬をグリコシル化することができる。ある実施形態において、IL−1受容体拮抗薬はグリコシル化しなくてよい。
【0113】
IL−1raおよびその変異体の三つの形態が、米国特許第5,075,222号(’222特許)に記載されている。最初の形態は’222特許において「IL−1i」と呼ばれ、pH7.6のTris緩衝液中の約52mMのNaClでMono Q FPLCカラムから溶離される、等電点約4.8のSDS−PAGE上の22kDから23kD分子として特徴付けられる。第2の形態であるIL−1raβは、48mM NaClでMono Qカラムから溶離される、22kDから23kD分子として特徴付けられる。IL−1raαおよびIL−1raβの両方がグリコシル化される。第3の形態であるIL−1raxは、48mM NaClでMono Qカラムから溶離されグリコシル化されていない、20kD分子として特徴付けられる。’222特許は、阻害因子をコードする遺伝子を単離し、適切なベクター中でこれらの遺伝子をクローニングし、これらの遺伝子を特定の細胞型中に形質転換および形質移入し、これらの遺伝子を発現させて阻害因子を生成するための特定の方法も記載している。
【0114】
ある実施形態において、IL−1raのアミノ酸配列中で、欠失、挿入および/または置換(個々にまたは集合的に「変異体」と呼ばれる)が成される。ある実施形態において、IL−1ra変異体は生物学的に活性である(例えば、IL−1を阻害する性能を有する)。
【0115】
ある実施形態において、本発明は、OPGLに対する抗体および少なくとも一つのTNFα阻害因子を含む治療薬、およびそのような治療薬を用いる治療方法に関する。ある実施形態において、治療薬は、OPGLに対する抗体およびTNFα阻害因子並びにここに記載の少なくとも一つのさらなる分子を含む。
【0116】
ある疾患および医学的症状はTNFにより媒介され、炎症性症状と類別される。ここで用いられる「TNF媒介疾患」という用語は、体液または組織中のTNFの高くなった水準を伴うおよび/または体から得られる細胞または組織が培地中のTNF水準を高くする疾患または医学的症状を含むが、これらに制限されない。ある実施形態において、(1)疾患または医学的症状に関わる病的所見を、TNFの投与またはTNFの発現の上方制御により、動物中で実験的に模倣することができる、および/または(2)疾患または医学的症状の実験的動物モデルにおいて誘発される病因を、TNFの作用を阻害する医剤で処理することにより阻害または壊すことができる場合、疾患はTNF−媒介疾患である。
【0117】
特定の急性および慢性TNF媒介疾患には、悪液質および食欲不振;癌、例えば、白血病(これに限定されない);慢性疲労症候群;冠動脈症状および/または適応症、例えば、鬱血性心不全、冠動脈再狭窄、心筋梗塞、心筋機能不全(例えば、限定はされないが敗血症関連症状を含む)および冠動脈バイパスグラフト(これらに限定されない);抑鬱;糖尿病、例えば、若年発症1型糖尿病、真性糖尿病およびインスリン抵抗性(限定はされないが、肥満関連インスリン抵抗性を含む)(これらに限定されない);子宮内膜症、子宮内膜炎および関連症状;線維筋痛症および無痛覚症;対宿主性移植片病;痛覚過敏;炎症性腸疾患、例えば、クローン病およびクロストリジウム・ジフィシル(Clostridium difficile)関連下痢(これらに限定されない);虚血、例えば、脳虚血(限定はされないが、例えば外傷、癲癇、出血および/または脳卒中の結果としての脳損傷を含む)(これらに限定されない);肺疾患、例えば成人呼吸促迫症候群、喘息および肺線維症(これらに限定されない);多発性硬化症;神経炎症性疾患;眼疾患および症状、例えば、角膜移植、眼球退行変性およびブドウ膜炎(これらに限定されない);疼痛、限定はされないが癌関連疼痛を含む;膵臓炎;歯周病;毛孔性紅色ひこう疹(PRP);前立腺炎、例えばバクテリア性および非バクテリア性前立腺炎、および関連症状;乾癬および関連症状;肺線維症;再灌流障害;リューマチ性疾患、限定はされないが、リューマチ性関節炎、変性性関節炎、若年性関節炎(限定はされないが、若年性リューマチ性関節炎を含む)、セロネガティブ多発性関節炎、強直性脊椎炎、ライター症候群および反応性関節炎、スティル病、乾癬性関節炎、腸疾患に基づく関節炎、多発性筋炎、皮膚筋炎、強皮症、全身性硬化症、脈管炎(例えば、川崎病)、脳脈管炎、ライム病、ブドウ球菌誘発(「敗血症」)関節炎、シェーグレン症候群、リューマチ熱、多発性軟骨炎およびリューマチ性多発性筋痛および巨細胞性動脈炎を含む;敗血症性ショック;放射線療法からの副作用;全身性エリテマドーデス(SLE);側頭下顎関節疾患;甲状腺炎;および、例えば筋挫傷、捻挫、軟骨損傷、外傷、整形外科手術、感染(例えば、HIV、クロストリジウム・ジフィシルおよび関連種)または他の疾患過程から生じる組織移植および/または炎症疾患;があるが、これらに限定されない。
【0118】
ある実施形態において、TNF阻害因子は、TNF生成の下方制御または阻害、遊離TNFの結合、その受容体に結合するTNFの妨害、およびその受容体への結合後に信号発信するTNFの調節の妨害の少なくとも一つにより作用することができる。「TNF阻害因子」という用語は、可溶化TNF受容体、例えば、限定はされないが可溶性腫瘍壊死因子受容体I型(sTNF−RI;p55受容体とも呼ばれる)、可溶性腫瘍壊死因子受容体II型(p75受容体とも呼ばれる)およびエンブレル(Enbrel)(登録商標)がある;TNFに対する抗体、例えば、限定はされないレミケード(Remicade)(登録商標)およびD2E7(例えば、米国特許第6,090,382号および6,258,562号を参照)がある;TNF受容体への抗体;sTNF−RI(例えば、WO98/24463を参照)、etanercept(Enbrel(登録商標)、アバカイン(Avakine)(登録商標);TNF−α転化酵素(TACE)の阻害剤;およびTNF活性化に影響を与える他の分子;を含むが、これらに限定されない。
【0119】
TNF−α阻害因子に例が、例えば、欧州特許出願EP308 378;EP422 339;EP393 438;EP398 327;EP412 486;EP418 014;EP417 563;EP433 900;EP464 533;EP512 528;EP526 905;EP568 928;EP607 776(TNF−αの阻害のためのレフルノミドの使用を記載);EP663 210;EP542 795;EP818 439;EP664 128;EP542 795;EP741 707;EP874 819;EP882 714;EP880 970;EP648 783;EP731 791;EP895 988;EP550 376;EP882 714;EP853 083;EP550 376;EP943 616;EP939 121;EP614 984;EP853 083;米国特許第5,136,021号;第5,929,117号;第5,948,638号;第5,807,862号;第5,695,953号;第5,834,435号;第5,817,822号;第5,830,742号;第5,834,435号;第5,851,556号;第5,853,977号;第5,359,037号;第5,512,544号;第5,695,953号;第5,811,261号;第5,633,145号;第5,863,926号;第5,866,616号;第5,641,673号;第5,869,677号;第5,869,511号;第5,872,146号;第5,854,003号;第5,856,161号;第5,877,222号;第5,877,200号;第5,877,151号;第5,886,010号;第5,869,660号;第5,859,207号;第5,891,883号;第5,877,180号;第5,955,480号;第5,955,476号;第5,955,435号;第5,994,351号;第5,990,119号;第5,952,320号;第5,962,481号;第国際特許出願WO90/13575、WO91/03553、WO92/01002、WO92/13095、WO92/16221、WO93/07863、WO93/21946、WO93/19777、WO95/34326、WO96/28546、WO98/27298、WO98/30541、WO96/38150、WO96/38150、WO97/18207、WO97/15561、WO97/12902、WO96/25861、WO96/12735、WO96/11209、WO98/39326、WO98/39316、WO98/38859、WO98/39315、WO98/42659、WO98/39329、WO98/43959、WO98/45268、WO98/47863、WO96/33172、WO96/20926、WO97/37974、WO97/37973、WO97/47599、WO96/35711、WO98/51665、WO98/43946、WO95/04045、WO98/56377、WO97/12244、WO99/00364、WO99/00363、WO98/57936、WO99/01449、WO99/01139、WO98/56788、WO98/56756、WO98/53842、WO98/52948、WO98/52937、WO99/02510、WO97/43250、WO99/06410、WO99/06042、WO99/09022、WO99/08688、WO99/07679、WO99/09965、WO99/07704、WO99/06041、WO99/37818、WO99/37625、WO97/11668、WO99/50238、WO99/47672、WO99/48491;日本国特許出願第10147531号、第10231285号、第10259140号および第10130149号、第10316570号、第11001481号および第127,800号/1991;独国出願第19731521号;および英国出願第2218101号、第2326881号、第2246569号に記載されている。前記参考文献の全ての開示を、ここで、任意の目的のために参考として取り込む。
【0120】
EP393 438およびEP422 339は、集合的に「sTNF Rs」と呼ばれる、可溶性TNF受容体I型(sTNF R−Iまたは30kDa TNF阻害因子としても知られている)および可溶性TNF受容体II型(sTNF R−IIまたは40kDa TNF阻害因子としても知られている)のアミノ酸および核酸配列を記載している。EP393 438およびEP422 339は、sTNF R−IおよびsTNF R−IIの修飾形態も記載しており、例えば、限定はされないが断片、機能性誘導体および変異体が含まれる。さらに、EP393 438およびEP422 339は、阻害因子をコードする遺伝子を単離し、適切なベクター内に遺伝子をクローニングし、特定の細胞型内に遺伝子を形質転換または形質移入し、および遺伝子を発現して阻害剤を生成するための方法を記載している。
【0121】
sTNF R−IおよびsTNF R−IIは、神経成長因子受容体(NGF)、B細胞抗原CD40、4−1BB、ラットT細胞抗原MRC OX40、fas抗原、およびCD27およびCD30抗原(Smithら著(1990年)Science、第248巻:1019〜1023頁)を含む、受容体の神経成長因子/TNF受容体スーパーファミリーの構成員である。その群の細胞表面受容体の保存された特徴は、システインに富む細胞外リガンド結合領域であり、これは、充分に保存された位置において4個から6個のシステイン残基を含む約40個のアミノ酸からなる4つの繰り返しモチーフに分割することができる(Smithら著(1990年)、前掲書)。
【0122】
EP393 438は、全長組換え40kDa TNF阻害蛋白の切頭形態である40kDa TNF阻害因子Δ51および40kDa TNF阻害因子Δ53を教示している。Δ51およびΔ53は、成熟蛋白のカルボキシル末端から削除された、それぞれ51または53個のアミノ酸を有する。
【0123】
公開されたPCT出願番号WO98/01555は、4番目の領域(sTNF R−Iのアミノ酸残基Thr127−Asn161およびsTNF R−IIのアミノ酸残基Pro141−Thr179);3番目の領域の一部(sTNF R−Iのアミノ酸残基Asn111−Cys126およびsTNF R−IIのアミノ酸残基Pro123−Lys140)を含まず、任意に、1番目の領域の一部(sTNF R−Iのアミノ酸残基Asp1−Cys19およびsTNF R−IIのアミノ酸残基Leu1−Cys32)を含まないsTNF R−IおよびsTNF R−IIの切頭形態を記載している。ある実施形態において、切頭sTNF Rは、式:R1−[Cys19−Cys103]−R2およびR4−[Cys32−Cys115]−R5で示される蛋白を含む。これらの蛋白は、それぞれsTNF R−IおよびsTNF R−IIの切頭形態である。
【0124】
ここで用いられる「R1−[Cys19−Cys103]−R2」は、[Cys19−Cys103]がsTNF R−Iの残基19から103である一または二以上の蛋白を表し、その配列はWO98/01555の図1に示され、ここでR1はCys19のメチオニル化または非メチオニル化アミン基を表すかまたはCys18からAsp1から選択される一または二以上のアミノ末端アミノ酸残基を表し、R2はCys103のカルボキシ基を表すかまたはPhe104からLeu110から選択される一または二以上のカルボキシ末端アミノ酸残基を表す。
【0125】
本発明の切頭sTNF R−Iの例には、限定はされないが、sTNF R−I 2.6D/C105、sTNF R−I 2.6D/C106、sTNF R−I 2.6D/N105、sTNF R−I 2.3D/d8、sTNF R−I 2.3D/d18、sTNF R−I 2.3D/d15であってメチオニル化されたまはたメチオニル化されていないもの、その変異体および誘導体が含まれる。切頭sTNF R−Iのある例が、例えば、公開されたPCT出願番号WO98/01555に記載されている。
【0126】
ここで用いられる「R3−[Cys32−Cys115]−R4」は、[Cys32−Cys115]がsTNF R−IIの残基Cys32からCys115である一または二以上の蛋白を表し、その配列はWO98/01555の図8に示され、ここでR3はCys32のメチオニル化または非メチオニル化アミン基を表すかまたはCys31からLeu1から選択される一または二以上のアミノ末端アミノ酸残基を表し、R4はCys115のカルボキシ基を表すかまたはAla116からArg122から選択される一または二以上のカルボキシ末端アミノ酸残基を表す。
【0127】
ある実施形態において、本発明は、OPGLに対する抗体および少なくとも一つのセリンプロテアーゼ阻害因子を含む治療薬、およびそのような治療薬を用いる治療方法に関する。ある実施形態において、治療薬は、OPGLに対する抗体およびセリンプロテアーゼ阻害因子並びにここに記載の少なくとも一つのさらなる分子を含む。
【0128】
内因性プロテアーゼは、もはや必要でないまたは有用でない侵入生物、抗原−抗体複合体および特定の組織蛋白を分解させ得る。感染性剤は、さらなるプロテアーゼを生物中に導入することができる。プロテアーゼ阻害因子は、内因性と侵入性の両方のプロテアーゼを制御することができる。
【0129】
ある実施形態において、天然に存在するプロテアーゼ阻害因子は、その反応を局所的および一時的に制限することにより内因性プロテアーゼを制御するのに役立つ。ある実施形態において、プロテアーゼ阻害因子は、感染性剤により体内に導入されたプロテアーゼを阻害する。ある例において、限定はされないが気道の蛋白分解攻撃および感染を含む蛋白分解攻撃および感染を特に起こし易い組織は、プロテアーゼ阻害因子を多く含む。
【0130】
プロテアーゼ阻害因子は、ヒト血漿蛋白の約10%を含む。少なくとも8つの阻害因子がこの供給源から単離され、文献において特徴付けられている。これらは、限定はされないが、α2−マクロブロブリン(α2M)、α1−プロテアーゼ阻害因子(α1PI)、α1−アンチキモトリプシン(α1Achy)、α1−アンチコラーゲナーゼ(α1AC)およびαトリプシン間阻害因子(I−α−I)を含む。
【0131】
ある例において、プロテアーゼ/プロテアーゼ阻害因子バランスの妨害によりプロテアーゼ媒介組織破壊を起こすことができ、これは、限定はされないが、気腫、関節炎、糸球体腎炎、歯周病、筋ジストロフィ、腫瘍浸潤、および種々の他の病因性症状を含む。例えば敗血症または急性白血病のような重症の病因性過程である状況において、存在する遊離プロテアーゼの量は、分泌性細胞からの酵素の放出故に増加することができる。
【0132】
さらに、ある例において、生物の低下した制御阻害因子性能も、プロテアーゼ/プロテアーゼ阻害因子バランスを変化させ得る。そのような低下した制御阻害因子性能の非限定的例として、肺気腫の進行に関係するα1−プロテアーゼ阻害因子欠損がある。
【0133】
ある例において、プロテアーゼを制御するための手段を講ずることができず、そのような異常な状態が存在する場合、生物への過酷な損傷が起こり得る。従って、プロテアーゼを制御するために生物に投与することができるプロテアーゼ阻害因子を探した。
【0134】
白血球エラスターゼ、トリプシン、カテプシンGおよび膵臓エラスターゼは、セリンプロテアーゼとして知られているプロテアーゼのクラスの非限定的例である。
【0135】
ある実施形態において、白血球エラスターゼは、細胞外に放出された場合、結合組織および他の価値のある蛋白を分解する。正常に機能している生物はある量の結合組織および他の蛋白を分解するが、白血球エラスターゼの過剰量の存在は、限定はされないが気腫およびリューマチ性関節炎を含む種々の病原性状態を伴い得る。ある実施形態において、正常を超える量で存在する場合に白血球エラスターゼの効果を打ち消すために、白血球エラスターゼに特異的なプロテアーゼ阻害因子を探した。そのようなプロテアーゼ阻害因子は、薬学的に有用であるように純粋な状態で充分な量で単離または調製することができるなら、有用であり得る。
【0136】
特定の白血球エラスターゼ阻害因子が、例えば、Schiesslerら著、「Acid−Stable Inhibitors of Granulocyte Neutral Proteases in Human Mucous Secretions:Biochemistry and Possible Biological Function」in Neutral Proteases of Human Polymorphoneuclear Leucocytes、Havemannら(著)、Urban and Schwarzenberg、Inc.(1978年)、およびTravisおよびSalvesen著、Ann.Rev.Biochem.第52巻:655〜709頁(1983年)に記載されている。
【0137】
ある実施形態において、トリプシンは、限定はされないが膵臓炎を含む種々の急性症状中に、膵臓組織のような特定の軟質器官組織の分解を引き起こす。トリプシン阻害因子は、薬学的に有用となるように純粋状態で充分な量で単離および調製することができれば、有用であり得る。
【0138】
カテプシンGは、白血球中に存在するもう一つのプロテアーゼである。ある実施形態において、カテプシンGは、補体経路の蛋白を含む、種々の蛋白を生体外で分解することができる。膵臓エラスターゼは、膵臓炎で役割を果たすもう一つのプロテアーゼである。すなわち、これらのプロテアーゼ用の阻害因子も、薬学的価値がある。
【0139】
ある実施形態において、セリンプロテアーゼの異なる阻害因子の基質特異性および選択性は、僅かなアミノ酸残基の変化から生じると考えられる。したがって、比較的少ないアミノ酸の変化により異なるプロテアーゼを阻害することになるクラスのセリンプロテアーゼ阻害因子を考えることができる。ある実施形態において、このクラスの構成員は、全てのセリンプロテアーゼを阻害する。
【0140】
セリンプロテアーゼ阻害因子の例は、分泌性白血球プロテアーゼ阻害因子(SLPI)およびその断片および類似体である。セリンプロテアーゼ阻害因子の例には、抗白血球プロテアーゼ(ALP)、粘液性プロテアーゼ阻害因子(MPI)、ヒト精液血漿阻害因子(HUSI−I)、気管支粘膜阻害因子(BMI)および子宮頸部粘膜阻害因子(CUSI)もあるが、これらに限定されない。ある実施形態において、セリンプロテアーゼ阻害因子は、LPS調節因子でもあり得る。例えば、Jinら著(1997年)、Cell第88(3)巻:417〜26頁を参照されたい。ある実施形態において、これらの分子は、選択的に軟骨に導かれるために、骨損失に至る症状において用いるのに好適である。
【0141】
セリンプロテアーゼ阻害因子の例が、例えば、米国特許第4,760,130号;第米国特許第5,900,400号および米国特許第5,633,227号に記載されており、これらを任意の目的のために参照してここに組み込まれる。前記参考文献に開示の分子、およびその任意の変異体または類似体は、集合的に「セリンプロテアーゼ阻害因子」と呼ばれる。
【0142】
IL−18は、インターフェロン−γを誘発することが発見され先にインターフェロンガンマ誘発因子(IGIF)と命名された前炎症性サイトカインである。ある実施形態において、IL−1はIL−18生成を上方制御することが示され、IL−18は多くの前炎症性サイトカインの生成を誘発し、IL−6およびMMP−1を誘発する。例えば、Dinarelloら著(1998年)、J.Leukocyte Biol.第63巻:658〜64頁を参照されたい。ある実施形態において、カスパーゼIは、IL−18生成にも重要である。実験は、TNF−αがIL−18の生成を制御すること、およびTNF−αおよび1L−18の同時阻害が肝毒性を保護することも示している。例えば、Faggioniら著(2000年)、PNAS第97巻:2367〜72頁も参照されたい。
【0143】
IL−18は、IL−1系様の受容体系により生体内で作用する。IL−18は、付属蛋白(1L−18RAcP)と相互作用する細胞表面受容体(1L−18R)と相互作用する。IL−18媒介信号発信は、IL−18、IL−18RおよびIL−18RAcPの複合体の形成時に進行する。IL−18用の天然阻害因子はIL−18bpである。ある実施形態において、IL−18bpは、IL−18分子に結合しIL−18Rとの相互作用を妨げることにより「デコイ受容体」として作用する。
【0144】
ある実施形態において、本発明は、OPGLに対する抗体および少なくとも一つのIL−18阻害因子を含む治療薬、およびそのような治療薬を用いる治療方法に関する。ある実施形態において、この治療薬は、OPGLに対する抗体およびIL−18阻害因子並びにここに記載の少なくとも一つのさらなる分子を含む。特定の実施形態により治療することができる症状の例には、炎症、自己免疫疾患、IL−1媒介疾患およびTNF媒介疾患があるが、これらに限定されない。特定の態様に従ってOPGLに対する抗体および少なくとも一つのIL−18阻害因子で処理することができる症状の例には、限定はされないが関節炎があり、例えば、リューマチ性関節炎;全身性エリテマドーテス(SLE);対宿主性移植片病(GvHD);肝炎;敗血症;およびこれらの疾患に伴う骨および軟骨の損失が含まれるが、これらに限定されない。
【0145】
IL−18阻害因子の例には、IL−18に結合する抗体;IL−18Rに結合する抗体;IL−18RAcPに結合する抗体;IL−18bp;IL−18R断片(例えば、IL−18受容体の可溶化細胞外領域);IL−18に結合すると共にIL−18Rとのその相互作用を低下または防止するペプチド;IL−18Rに結合すると共にIL−18またはIL−18RAcPとのその相互作用を低下または防止するペプチド;IL−18RAcPに結合すると共にIL−18Rとのその相互作用を低下または防止するペプチド;およびIL−18の生成または1L−18、1L−18Rおよび1L−18RAcPのいずれかの間の相互作用を低下または防止する小さい分子が含まれるが、これらに限定されない。
【0146】
特定のIL−18阻害因子が、例えば、1994年7月14日に発行された米国特許第5,912,324号;第1999年12月8日に発行されたEP0 962 531;1994年11月15日に発行されたEP712 931;1994年7月14日に発行された米国特許第5,914,253号;第1997年7月10日に発行されたWO97/24441;2000年5月9日に発行された米国特許第6,060,283号;第1996年12月26日に発行されたEP850 952;1998年9月16日に発行されたEP864 585;1998年9月24日に発行されたWO98/41232;2000年4月25日に発行された米国特許第6,054,487号;第1997年8月14日に発行されたWO99/09063;1997年11月3日に発行されたWO99/22760;1998年1月23日に発行されたWO99/37772;1998年3月20日に発行されたWO99/37773;2000年1月26日に発行されたEP0 974 600;2000年3月9日に発行されたWO00/12555;1997年10月31日に発行された日本国特許出願JP111,399/94;1998年2月8日に公開されたイスラエル特許出願IL 121554A0に記載されており、これらを任意の目的のために参考としてここに取り込む。
【0147】
ある実施形態において、OPGLに対する抗体を、炎症用の少なくとも一つの治療剤と共に用いることができる。ある実施形態において、OPGLに対する抗体を、免疫疾患用の少なくとも一つの治療剤と共に用いることができる。炎症疾患および免疫疾患用の治療剤の例には、限定はされないが、コルチコステロイド、例えばプレドニソロン(これに限定されない);非ステロイド性抗炎症薬(NSAID)、例えばシクロオキシゲナーゼ1型(COX−1)およびシクロオキシゲナーゼ2型(COX−2)阻害因子(これらに限定されない);疾患修飾抗リューマチ薬(DMARD)、例えばメトトレキセート、ヒドロキシクロロキン、クロロキン、シクロスポリン、金化合物(例えば、オーラノフィン、オーロチオマレートおよびオーロチオグルコース)およびレフルノミド(これらに限定されない);IV型ホスホジエステラーゼ阻害因子、例えば、ロリプラム(Rolipram)およびペントキシフィリン(Pentoxifylline)(これらに限定されない);タクロリムス(Tacrolimus)(FK−506);シロリムス(Sirolimus)(ラパマイシン);マイコフェノール酸;5−リポキシゲナーゼ阻害因子、例えばジロイトン(Zileuton)(これらに限定されない);インターロイキン−6(IL−6)の調節因子;38kDa有糸分裂促進物質活性化蛋白キナーゼ(p38−MAPK)の小分子調節因子;限定はされないがjnk、IKK、NF−κB、ZAP70およびlckのような炎症経路に含まれる細胞内分子の小分子調節因子がある。炎症用の治療剤の特定の例が、例えば、C.A.DinarelloおよびL.L.Moldawer著Proinflammatory and Anti−Inflammatory Cytokines in Rheumatoid Arthritis:A Primer for Clinicians第3版(2001年),Amgen Inc.Thousand Oaks、CAに記載されている。炎症および自己免疫疾患用の治療剤の特定の例としては、限定はされないが、インターフェロンガンマ(IFN−γ)調節因子;OX40/OX40Lの調節因子(OX40の可溶性形態を含む);4−1BB/4−1BBリガンドの調節因子(4−1BBの可溶性形態を含む);B細胞−T細胞共刺激経路の調節因子、例えば限定はされないが受容体リガンド対CD28/B7、CD40/CD40L、ICOS/B7RP1およびAGP−3/TACI/BAFFR(AGP−3がTACIおよびBAFFR受容体の両方に結合する)の調節因子がある。B細胞−T細胞共刺激経路の調節因子の特定の例は、限定はされないが、CD28、B7.1およびB7.2の阻害因子(B7.1またはB7.2の可溶性形態およびCTLA4の可溶性形態を含み、それらの両方を融合して異種ペプチドまたは蛋白を形成することができ、これが、可溶性または循環半減期を増加させることにより、分解を低下または防止および/または半減期を増加させ、毒性を低下させ、免疫原性を低下させ、または治療性蛋白の生物学的活性を増加させる);CD40およびCD40Lの阻害因子(異種ペプチドまたは蛋白に融合し得るCD40の可溶性形態を含む);ICOSおよびB7RP1の阻害因子(異種ペプチドまたは蛋白に融合し得るICOSの可溶性形態を含む);およびAGP−3、TACIおよびBAFFRの阻害因子(TACIおよびBAFFRの可溶性形態を含む);を含む。ICOS、B7RP1およびそれらの阻害因子は、例えば、WO00/46240に記載されている。AGP−3、TACIおよびBAFFRおよびそれらの阻害因子は、例えば、WO00/47740、WO01/85872、WO02/15273、WO98/39361およびBulowおよびBram著(1997年)Science第278巻:138〜140頁に記載されている。
【0148】
ある実施形態において、OPGLに対する抗体が、限定はされないが悪性または転移性腫瘍により引き起こされる骨の骨溶解性破壊から生じる骨損失を含む骨損失を治療するために用いられる。ある実施形態において、OPGLに対する抗体は、癌に関する骨損失を治療するために用いることができる。癌の例としては、乳、前立腺、甲状腺、腎臓、肺、食道、直腸、膀胱、子宮頸部、卵巣および肝臓癌、並びに胃腸管の癌があるが、これらに限定されない。ある実施形態において、OPGLに対する抗体は、例えば、ある血液学的悪性疾患、例えば限定はされないがホジキン病を含む多発性骨髄腫およびリンパ腫に関する骨損失を治療するために用いることができる。
【0149】
ある実施形態において、OPGLに対する抗体は単独で投与される。ある実施形態において、OPGLに対する抗体は、限定はされないが少なくとも一つの他の癌治療剤を含む少なくとも一つの他の治療剤と一緒に投与される。癌治療には、例えば、放射線療法および化学療法があるが、これらに限定されない。ある実施形態において、化学療法は、以下の剤の一種または二種以上で治療することを含み得る:アントラサイクリン、タキソール、タモキシフェン、ドキソルビシン、5−フルオロウラシルおよび、当分野で知られている他の薬剤。ある実施形態において、癌治療剤は、黄体化ホルモン放出ホルモン(LHRH)拮抗薬である。ある実施形態において、LHRH拮抗薬はペプチド拮抗薬である。
【0150】
ある実施形態において、LHRH拮抗薬は、ペプチド:Ac−D−Nal−4−Cl−Phe−D−Pal−Ser−N−Me−Tyr−D−Asn−Leu−Lys(iPr)−Pro−D−Ala−NH2(配列番号20)を含み、ここでNalは3−(2−ナフチル)アラニニル;4−Cl−Pheは(4’−クロロフェニル)アラニニル;Palは3−(3’−ピリジル)アラニニル;およびLys(iPr)はN−エプシロン−2−プロピル−リシニルである。
【0151】
ある実施形態において、LHRH拮抗薬はLHRH拮抗薬デカペプチドである。デカペプチドの特定の例が、例えば、米国特許第5,843,901号に記載されており、これを任意の目的のために参照してここに組み込まれる。
【0152】
ある実施形態による治療性抗体の例としては、限定はされないが、マウス、マウス−ヒトキメラ、CDR−接枝、ヒト化および完全ヒト抗体、および限定はされないが抗体ライブラリーをスクリーニングすることにより選択される抗体を含む合成抗体がある。抗体の例には、細胞表面蛋白Her2、CDC20、CDC33、ムチン様糖蛋白および、腫瘍細胞上に存在する上皮成長因子受容体(EGFR)に結合すると共にこれらの蛋白を示す腫瘍細胞上に細胞増殖抑制性および/または細胞毒性効果を任意に誘発する抗体があるが、これらに限定されない。抗体の例は、乳癌および他の形態の癌を治療するために用いることができるHERCEPTIN(登録商標)(trastuzumab)、およびRITUXAN(登録商標)(rituximab)、ZEVALIN(登録商標)(ibritumomab tiuxetan)、および非ホジキンリンパ腫および他の形態の癌を治療するために用いることができるLYMPHOCIDE(登録商標)(epratuzumab)も含み。抗体の特定の例は、ERBITUX(登録商標)(IMC−C225)、BEXXAR(登録商標)(ヨウ素131 tositumomab)およびCampathも含む。
【0153】
ある実施形態において、癌治療剤は、限定はされないがTNF−関連ポリペプチドTRAILを含む、腫瘍細胞中でアポトーシスを選択的に誘発するポリペプチドである。ある実施形態において、OPGLに対する抗体は、少なくとも、癌治療剤での治療の前、同時および後のいずれかに投与することができる。ある実施形態において、OPGLに対する抗体は、転移性癌の骨損失の開始を防止または軽減するために予防的に投与することができる。ある実施形態において、OPGLに対する抗体は、転移による骨損失の存在する症状の治療のために投与することができる。
【0154】
ある実施形態において、OPGLに対する抗体は、多発性骨髄腫に関わる骨損失を防止および/または治療するため、および/またはその病気そのものを防止および/または治療するため用いることができる。多発性骨髄腫は、著しい罹患率および/または死亡率に到り得るB細胞誘導腫瘍である。ある実施形態において、多発性骨髄腫の臨床的症状発現は限局性骨損失であり、これは、局所領域における増加した破骨細胞活性化に起因し得る。多くの骨髄腫患者は、放射線医学的分析により見ることができる骨病巣を呈し、骨格痛を被る。ある例において、骨髄腫の患者は、突発的にまたは外傷により起こり得る、含まれる骨の病的骨折を起こし易い。ある実施形態において、骨髄腫中に生じる骨格病巣は、骨折を起こすのみならず、変形および時には特に椎骨特記における神経圧迫も起こす。ある実施形態において、血清カルシウムの病的増加(高カルシウム血症)が起こり、病気治療中に著しい問題を引き起こし得る。ある実施形態において、OPGLに対する抗体を、骨再吸収およびカルシウム放出を低下または阻害するために患者に投与することができ、これが骨折および脊椎変形の危険性を低下させることができる。
【0155】
ある実施形態において、骨髄腫細胞は骨破壊に直接関与せず、その代わりに、破骨細胞の分化および活性化につながる細胞外信号を発する。ある実施形態において、破骨細胞は、特に活性化したとき、高水準のサイトカインIL−6を生成する。IL−6は、B細胞成長因子であり、ネズミおよびヒトの両方の骨髄腫細胞の生体外での成長に貢献する。骨髄腫細胞は、直接または間接的にOPGLを生成することができ、これが、骨髄空間に埋められている骨髄腫細胞を包囲する限局性骨溶解を引き起こし得る。ある実施形態において、骨髄腫細胞に隣接する正常破骨細胞がここではIL−6を生成し、これが、腫瘍細胞の限局性拡張を引き起こし得る。骨髄腫細胞はクローン様に拡張し、不適切な骨再吸収により形成される骨空間を占めることができる。
【0156】
げっ歯類へのOPGの投与が、破骨細胞集団の迅速な死を誘発することが観察された。(例えば、Laceyら著、(2000年)Am.J.Pathol.第157巻:435〜448頁を参照のこと)。破骨細胞の数の減少が、これらの細胞による増加したIL−6生成の効果を阻害することがあり、従って、海綿質中での骨髄腫細胞の成長および生き残りに影響を与えることができる。すなわち、ある実施形態において、OPGLに対する抗体の骨髄腫患者への投与が、骨の過剰再吸収を阻害するのみならず、腫瘍そのものの拡張および生き残りに影響を与えることができる。
【0157】
B細胞は、OPGL、ODARへの受容体を発現する。骨髄腫細胞もODARを発現し、さらに、OPGLを生成することができる。ある実施形態において、同じ細胞集合におけるOPGLとODARの両方の発現が、骨髄腫細胞の生き残りに影響を与えるオートクリン刺激を生むことができる。すなわち、ある実施形態において、OPGLに対する抗体の投与が、腫瘍細胞生き残りを減少させ、それにより骨髄腫患者において見られる腫瘍負荷を減少または除去することができる。
【0158】
ある実施形態において、本発明は、治療有効量のOPGLに対する抗体を、医薬適合性の希釈剤、キャリア、可溶化剤、乳化剤、防腐剤および/またはアジュバントと一緒に含む医薬組成物を提供する。
【0159】
ある実施形態において、本発明は、治療有効量のOPGLに対する抗体および治療有効量の少なくとも一つのさらなる治療剤を、医薬適合性の希釈剤、キャリア、可溶化剤、乳化剤、防腐剤および/またはアジュバントと一緒に含む医薬組成物を提供する。ある実施形態において、少なくとも一つのさらなる治療剤は、BMP−1からBMP−12と表される骨形態発生因子;形質転換成長因子−β(TGF−β)およびTGF−β科構成員;インターロイキン−1(IL−1)阻害因子、例えばLI−1aおよびその誘導体およびキネレト(Kineret)(登録商標)(これらに限定されない);TNFα阻害因子、例えば可溶性TNFα受容体、エンブレル(Enbrel)(登録商標)、抗TNFα抗体、レミケード(Remicade)(登録商標)およびD2E7抗体(これらに限定されない);副甲状腺ホルモンおよびその類似体、副甲状腺関連蛋白およびその類似体;E系列プロスタグランジン;ビスホスホネート(例えば、アレンドロネートおよびその他);フッ化物およびカルシウムのような骨強化鉱物;非ステロイド抗炎症性薬(NSAID)、セレブレックス(Celebrex)(登録商標)およびビオツクス(Vioxx)(登録商標)のようなCOX−2阻害因子;免疫抑制剤、例えばメトトレキセートおよびレフルノミド;セリンプロテアーゼ阻害因子、例えば、分泌性白血球プロテアーゼ阻害因子(SLPI);IL−6阻害因子(例えば、IL−6への抗体);IL−8阻害因子(例えば、IL−8への抗体);IL−18阻害因子(例えば、IL−18結合蛋白またはIL−18抗体);インターロイキン−1転化酵素(ICE)調節因子;線維芽細胞成長因子FGF−1からFGF−10およびFGF調節因子;PAF拮抗薬;ケラチノサイト成長因子(KGF)、KGF−関連分子、またはKGF調節因子;マトリクスメタロプロテアーゼ(MMP)調節因子;一酸化窒素シンターゼ(NOS)調節因子、例えば、誘発性NOSの調節因子;グルココルチコイド受容体の調節因子;グルタメート受容体の調節因子;リポ多糖類(LPS)水準の調節因子;およびノルアドレナリン並びにその調節因子および模倣体から選択される。
【0160】
ある実施形態において、許容できる製剤材料は、好ましくは、用いられる投与量および濃度においてレシピエントに非毒性である。
【0161】
ある実施形態において、医薬組成物は、例えば組成物のpH、浸透性、粘度、透明さ、色、等張性、香り、無菌性、安定性、溶解または放出速度、吸着性および透過性を修飾、維持または保存するための製剤材料を含み得る。ある実施形態において、適切な製剤材料は、限定はさらないが、アミノ酸(例えば、グリシン、グルタミン、アスパラギン、アルギニンまたはリシン);抗菌物質;抗酸化物質(例えば、アスコルビン酸、亜硫酸ナトリウムまたは亜硫酸水素ナトリウム);緩衝物質(例えば、ホウ酸塩、重炭酸塩、Tris−HCl、クエン酸塩、燐酸塩または有機酸);バルキング剤(例えば、マンニトールまたはグリシン);キレート剤(例えば、エチレンジアミン四酢酸(EDTA));錯化剤(例えば、カフェイン、ポリビニルピロリドン、β−シクロデキストリンまたはヒドロキシプロピル−β−shクロデキストリン);充填剤;単糖類;二糖類;および他の炭水化物(例えば、グルコース、マンノースまたはデキストリン);蛋白(例えば、血清アルブミン、ゼラチンまたはイムノグロブリン);着色剤、着香剤および希釈剤;乳化剤;親水性ポリマー(例えば、ポリビニルピロリドン);低分子量ポリペプチド;塩形成性対イオン(例えば、ナトリウム);防腐剤(例えば、ベンズアルコニウムクロリド、安息香酸、サリチル酸、チメロサール、フェネチルアルコール、メチルパラベン、プロピルパラベン、クロルヘキシジン、ソルビン酸または過酸化水素);溶媒(例えば、グリセリン、プロピレングリコールまたはポリエチレングリコール);糖アルコール(例えば、マンニトールまたはソルビトール);懸濁剤;界面活性剤または湿潤剤(例えば、プルロニック、PEG、ソルビタンエステル、ポリソルベート、例えば、ポリソルベート20、ポリソルベート80、トリトン;トロメタミン、レシチン、コレステロール、チロキサパル);安定性向上剤(例えば、スクロースまたはソルビトール);張度向上剤(例えば、ハロゲン化アルカリ金属、好ましくは、塩化ナトリウムまたはカリウム、マンニトールソルビトール);送達ビヒクル;希釈剤;賦形剤および/または薬学的アジュバントを含む。(Remington’s Pharmaceutical Sciences、第18版、A.R.Gennaro編、Mack Publishing Company(1990年))。
【0162】
ある実施形態において、OPGLに対する抗体および/または治療性分子を、当分野において知られている半減期延長性ビヒクルに結合される。そのようなビヒクルは、限定はされないが、Fc領域、ポリエチレングリコールおよびデキストランを含む。そのようなビヒクルは、例えば、米国出願番号09/428,082および公開PCT出願WO99/25044に記載されており、これらを任意の目的のために参照してここに組み込まれる。
【0163】
ある実施形態において、最適医薬組成物は、例えば意図する投与経路、送達方式および所望の投与量に依存して当業者により決められる。例えば、Remington’s Pharmaceutical Sciences:前掲書を参照されたい。ある実施形態において、そのような組成物は、本発明の抗体の物理的状態、安定性、生体内放出速度および生体内クリアランス速度に影響を与えることができる。
【0164】
ある実施形態において、医薬組成物中の主なビヒクルまたはキャリアは、性質が水性または非水性である。例えば、ある実施形態において、適切なビヒクルまたはキャリアは、注射用水、生理食塩溶液または人工脳脊髄液であってよく、非経口投与のための組成物において一般的な他の材料を補足して良い。ある実施形態において、中性緩衝食塩水または血清アルブミンと混合された食塩水が、さらなるビヒクルの例である。ある実施形態において、医薬組成物は、pH約7.0〜8.5のTris緩衝液またはpH約4.0〜5.5の酢酸塩緩衝液を含み、さらに、ソルビトールまたは適切なその代替物を含んでよい。ある実施形態において、所望の純度を有する選択された組成物を、凍結乾燥ケーキまたは水溶液としての任意の製剤(Remington’s Pharmaceutical Sciences:前掲書)と混合することにより、OPGLに対する抗体を含み、少なくとも一つのさらなる治療剤を含むまたは含まない組成物を、貯蔵用に調製することができる。さらに、ある実施形態において、OPGLに対する抗体を含み、少なくとも一つのさらなる治療剤を含むまたは含まない組成物を、スクロースのような適切な賦形剤を用いて凍結乾燥体として調製することができる。
【0165】
ある実施形態において、本発明の医薬組成物を、非経口送達のために選択することができる。ある実施形態において、この組成物を、吸入または経口のような消化管を通る送達用に選択することができる。そのような医薬適合性の組成物の調製は、当分野の技術範囲内である。
【0166】
ある実施形態において、製剤成分は、投与部位に許容できる濃度で存在する。ある実施形態において、組成物を生理的pHまたは僅かに低いpH、典型的には約5〜約8のpH範囲内に維持するために緩衝液が用いられる。
【0167】
ある実施形態において、非経口投与を考える場合、治療組成物は、医薬適合性のビヒクル中に所望のOPGLに対する抗体を含み、さらなる治療剤を含むまたは含まない、発熱因子を含まず非経口的に許容できる水溶液の状態であり得る。ある実施形態において、非経口注入用のビヒクルは滅菌蒸留水であり、その中で、OPGLに対する抗体が、少なくとも一つのさらなる治療剤を用いてまたは用いないで、適切に保存された滅菌等張溶液として形成される。ある実施形態において、製剤は、その後にデポー注射により送達することができる生成物の管理された放出または少しずつの放出を提供し得る、注射性マイクロ球、生物学的腐食性粒子、ポリマー化合物(例えば、ポリ乳酸またはポリグリコール酸)、ビーズまたはリポソームのような剤と所望の分子の組成物を含むことができる。ある実施形態において、ヒアルロン酸も用いることができ、循環する持続を促進する効果を有することができる。ある実施形態において、所望の分子を導入するために移植可能な薬剤送達装置を用いることができる。
【0168】
ある実施形態において、医薬組成物を吸入用に調製することができる。ある実施形態において、OPGLに対する抗体を、少なくとも一つのさらなる治療剤を用いてまたは用いないで、吸入用の乾燥粉末として調製することができる。ある実施形態において、OPGLに対する抗体を、少なくとも一つのさらなる治療剤を用いてまたは用いないで、推進剤を用いてエアロゾル送達用に調製することができる。ある実施形態において、溶液を霧状にすることができる。肺投与が、さらに、PCT出願PCT/US94/001875に記載されており、これは化学的に修飾した蛋白の肺送達を記載している。
【0169】
ある実施形態において、製剤を経口的に投与することが考えられる。ある実施形態において、このように投与されるOPGLに対する抗体を、少なくとも一つのさらなる治療剤を用いてまたは用いないで、錠剤およびカプセルのような固体投与型の配合において通常用いられるキャリアを用いてまたは用いないで製剤にすることができる。ある実施形態において、生物学的利用性が最大となり前全身性分解が最少となる胃腸管の地点で組成物の活性部分を放出するようにカプセルを設計することができる。ある実施形態において、OPGLに対する抗体および/または任意のさらなる治療剤の吸収を容易にするように、少なくとも一つのさらなる剤を含ませることができる。ある実施形態において、希釈剤、着香剤、低融点ワックス、植物油、潤滑剤、懸濁剤、錠剤崩壊剤およびバインダーを用いることもできる。
【0170】
ある実施形態において、医薬組成物は、少なくとも一つのさらなる治療剤を用いてまたは用いないで、有効量のOPGLに対する抗体を、錠剤の製造に適している非毒性賦形剤を含む混合物中に含むことができる。ある実施形態において、錠剤を滅菌水または別の適切なビヒクル中に溶解することにより、溶液を単位投与形態で調製することができる。ある実施形態において、適切な賦形剤は、限定はされないが、炭酸カルシウム、炭酸または重炭酸ナトリウム、ラクトースまたは燐酸カルシウムのような不活性希釈剤;デンプン、ゼラチンまたはアカシアのような結合剤;またはステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸またはタルクのような潤滑剤を含む。
【0171】
さらなる医薬組成物は、当業者に良く知られており、少なくとも一つのさらなる治療剤を用いてまたは用いないで、OPGLに対する抗体を持続性または制御された送達製剤中に含む組成物を含む。ある実施形態において、種々の他の持続性または制御下の送達手段、例えば、リポソームキャリア、生物学的腐食性ミクロ粒子または多孔質ビーズおよび蓄積注射剤を調製する技術も当業者に知られている。例えば、PCT出願PCT/US93/00829が参照され、これは、医薬組成物の送達のための多孔質ポリマーミクロ粒子の制御下の放出を記載している。ある実施形態において、持続性放出製剤は、造形粒子、例えばフィルムまたはマイクロカプセルの状態の半透過性ポリマーマトリクスを含むことができる。持続性放出マトリクスは、ポリエステル、ヒドロゲル、ポリラクチド(U.S.3,773,919およびEP058,481)、L−グルタミン酸とガンマエチルL−グルタメートのコポリマー(Sidmanら著,Biopolymers第22巻:547〜556頁(1983年))、ポリ(2−ヒドロキシエチルメタクリレート)(Langerら著、J.Biomed.Mater.Res.第15巻:167〜277頁(1981年)およびLanger、Chem.Tech.第12巻:98〜105頁(1982年))、エチレンビニルアセテート(Langerら著、前掲書)またはポリ−D(−)−3−ヒドロキシ酪酸(EP133,988)を含むことができる。ある実施形態において、持続放出組成物は、当分野で知られている任意の幾つかの方法により調製することができるリポソームも含むことができる。例えば、Eppsteinら著、Proc.Natl.Acad.Sci.USA、第82巻:3688〜3692頁(1985年);EP036,676;EP088,046およびEP143,949を参照されたい。
【0172】
生体内投与用に用いられる医薬組成物は、典型的には無菌である。ある実施形態において、これは、滅菌濾過膜を通す濾過により達成することができる。ある実施形態において、組成物を凍結乾燥する場合、この方法を用いる滅菌を凍結乾燥および再構築の前または後に行うことができる。ある実施形態において、非経口投与用の組成物を、凍結乾燥状態または溶液中に貯蔵することができる。ある実施形態において、非経口組成物は、通常、滅菌アクセスポートを有する容器、例えば、静脈内溶液袋または皮下注射針により突き通すことができるストッパーを有するバイアル中に配される。
【0173】
ある実施形態において、医薬組成物が一旦調製されると、これを、溶液、懸濁液、ゲル、乳濁液、固体としてまたは脱水もしくは凍結乾燥粉末として滅菌バイアル中に貯蔵することができる。ある実施形態において、そのような製剤は、直ぐに使用できる状態または、投与前に再構築される状態(例えば、凍結乾燥された状態)で貯蔵することができる。
【0174】
ある実施形態において、本発明は、一回投与単位を製造するためのキットに関する。ある実施形態において、このキットは、各々が、乾燥蛋白を有する第1の容器および水性製剤を有する第2の容器の両方を含むことができる。本発明のある実施形態において、単数室および複数室予備充填注射器(例えば、液体注射器および溶解注射器)を含むキットが含まれる。
【0175】
ある実施形態において、少なくとも一つのさらなる治療剤を用いてまたは用いないで、OPGLに対する抗体を含む治療的に用いられる医薬組成物の有効量は、例えば、治療方法および対象に依存する。当業者は、特定の態様に従う治療用の適切な投与量は、部分的には、送達される分子、OPGLに対する抗体が少なくとも一つのさらなる治療剤を用いてまたは用いないで使用される指示、投与経路、および患者の大きさ(体重、体表面積または器官寸法)および/または症状(年齢および全身状態)に依存して変化すると理解する。ある実施形態において、臨床家は投与量を調節し投与経路を変更して最適治療効果を得ることができる。ある実施形態において、典型的投与量は、前述の因子に依存して、約0.1μg/kgから約100mg/kg以上の範囲で変化することができる。ある実施形態において、投与量は0.1μg/kgから約100mg/kg;または1μg/kgから約100mg/kg;または5μg/kgから約100mg/kgで変化し得る。
【0176】
ある実施形態において、投与回数は、用いられる組成物中のOPGLに対する抗体および/または任意のさらなる治療剤の薬物動態学的パラメーターを考慮する。ある実施形態において、臨床家は、所望の効果を達成する投与量に到るまで組成物を投与する。ある実施形態において、組成物は、従って、時間を置いて一回投与としてまたは二回以上の投与として(同量の所望の分子を含むまたは含まなくてもよい)、あるいは移植装置またはカテーテルを介する連続輸液として投与することができる。適切な投与量をさらに精製することは、当業者が通常方法で行い、当業者が一般的に行う作業範囲である。ある実施形態において、適切な投与量は、適切な投与量−応答データを用いることにより突き止めることができる。
【0177】
ある実施形態において、医薬組成物の投与経路は、既知の方法、例えば、経口投与、また、静脈内、腹腔内、大脳内(実質内)、脳室内、筋肉内、眼球内、動脈内、門脈内または病変内経路による注射;または維持放出システムまたは移植装置に従う。ある実施形態において、組成物は、ボーラス注射によりまたは輸液により連続的に、あるいは移植装置により投与することができる。
【0178】
ある実施形態において、この組成物は、そこに所望の分子が吸収または封入されている薄膜、スポンジまたは別の適切な材料の移植により局所的に投与することができる。ある実施形態において、移植装置を用いる場合、その装置は、適切な組織または器官に移植することができ、所望の分子の送達は拡散、遅延放出ボーラスまたは連続的投与であり得る。
【0179】
ある実施形態において、少なくとも一つのさらなる治療剤を用いてまたは用いないで、OPGLに対する抗体を含む医薬組成物を生体外で用いることが望ましい。そのような例において、患者から除去された細胞、組織および/または器官を、少なくとも一つのさらなる治療剤を用いてまたは用いないでOPGLに対する抗体を含む医薬組成物に晒し、その後、細胞、組織および/または器官を続いて患者に移植して戻す。
【0180】
ある実施形態において、OPGLに対する抗体および/または任意の治療剤は、ポリペプチドを発現し分泌するためにここに記載されたような方法を用いて遺伝子加工された特定の細胞を移植することにより送達することができる。ある実施形態において、そのような細胞は動物またはヒト細胞であって良く、自己由来、異種または遠異種であって良い。ある実施形態において、細胞は不朽化することができる。ある実施形態において、免疫学的反応の変化を低下させるために、細胞を封入して周囲組織の侵入を避けることができる。ある実施形態において、封入材料は典型的には、蛋白の放出は許すが、患者の免疫系によるまたは周囲細胞からの他の有害因子による細胞の破壊は防止する、生物適合性で半透過性のポリマー封入体または薄膜である。
【0181】
行った実験および達成された結果を含む以下の実施例は、説明の目的のみに提供され、本発明の制限を意図するものではない。
【実施例1】
【0182】
αOPGL−1 H鎖およびL鎖のクローニング
全長ヒトOPGL cDNAを発現するCHO細胞を用いて、ヒトイムノグルブリン遺伝子を含むトランスジェニックマウスを免疫する。免疫されたマウスからのリンパ説をネズミ骨髄腫細胞に融合させてハイブリドーマを発生させる。ハイブリドーマ系統からの上澄みを、ヒトOPGLと反応する抗体についてELISAアッセイにおいて試験する。抗OPGL発現ハイブリドーマ系統AMG6.5、AMG6.4およびAMG6.1は、OPGLに対する高い親和性を有する抗体を発現することがわかり(Kdがそれぞれ0.28nM、0.29nMおよび0.23nM)、AMG6.5をクローニングのために選択する。AMG6.5およびAMG6.4からのH鎖およびL鎖cDNAクローンは同一であり、AMG6.5を用いて、αOPGL−1 L鎖cDNAをクローン化し、AMG6.4を用いて、αOPGL−1 H鎖cDNAをクローン化する。
【0183】
αOPGL−1 L鎖のクローニング
AMG6.5全RNA調製される第1のストランドcDNAから、PCR増幅方法を用いて、αOPGL−1κL鎖可変領域を得る。第1のストランドcDNAは、拡張5’−アダプタ(5’−GGCCGGATAGGCCTCACNNNNNNT−3’(配列番号15)を有するランダムプライマーおよび材料を用い、Gibco SuperScript II(登録商標)Preamplification System for First Strand cDNA Synthesis kit(カタログ番号18089−011)により提供される方法を使用して、AMG6.5全RNAから調製する。PCRには以下のオリゴヌクレオチドを用いる:
5’κRACEプライマー:
5’−GAT GAC CCA GTC TCC AGC CAC CCT G−3’(配列番号5)
3’κRACEプライマー:
5’−AAG GGT CAG AGG CCA AAG GAT GG−3’(配列番号6)
【0184】
増幅されたDNAを、pCRII−TOPO(Invitrogen)中にクローニングし、得られるプラスミドを配列する。κ鎖コンセンサス配列を用いて、全長αOPGL−1κ鎖のPCR増幅用のプライマーを設計する。5’αOPGL−1κプライマーは、クローニング用のXbal部位(TCTAGA)および「CCACC」Kozak配列を、開始Metコドンの前に組み込む。3’αOPGL−1κプライマーは、クローニング用の停止コドンに続いてSalI部位(GTCGAC)を組み込む。
【0185】
【化1】
【0186】
【化2】
【0187】
全長αOPGL−1κ鎖cDNAクローンを、5’および3’αOPGL−1κプライマーを用いるPCR増幅により、前述のようにして、AMG6.5第1ストランドcDNAを用いて得た。PCR反応は、αOPGL−1κ鎖(図4、配列番号4)の235アミノ酸残基(20アミノ酸κ鎖信号配列を含む)をコードする738bp断片を生じさせる。QIAquick PCR Purification kit(カタログ番号28104)を用いる精製に続いて、この断片を用いてκL鎖発現ベクターを構築する。
【0188】
先に作成した738bp全長κ断片をXbalおよびSalIで切断し、Promega Wizard DNA Clean−Up System(Promega cat.no.A7100)を用いて精製し、pDSRα19中にクローニングしてプラスミドαOPGL−1κ/pDSRα19を作成する(図5)。pDSRα19は、先に記載した(WO90/14363を参照:これを任意の目的のために参照してここに組み込まれる(例えば、図12を参照))。簡単説明すると、pDSRα19を作るために、pDSRα2を以下のようにして修飾する。FSH polyAを約1400塩基対短縮して885塩基対を得ると、Ndel部位が末端となる。ジヒドロフォレートリダクターゼ(DHFR)プロモーターは5’末端から約1キロ塩基短縮された、209塩基対を含む。DHFRポリA配列からの約550塩基対BgIII断片を削除する。
【0189】
αOPGL−1κL鎖発現クローンを配列決定して、AMG6.5ハイブリドーマ中で同定される同じペプチドをコードしたことを確認する。最終発現ベクターαOPGL−1κ/pDSRα19は5476bpであり、表2に示す7つの機能性領域を含む。
【0190】
【表2】
【0191】
このベクターの環状プラスミドマップを図5に示す。
【0192】
αOPGL−1 H鎖のクローニング
αOPGL−1 IgG2 H鎖を、Clontech Marathon(登録商標)cDNA Amplification Kit(カタログ番号K1802−1)を用いて作成したAMG6.4ハイブリドーマ二本鎖cDNAからクローニングする。AMG6.4H鎖cDNAの増幅は、ヒト生殖細胞系IgG2 H鎖定常領域即位的プライマー(図示せず)およびRACEプライマーおよび他の材料ならびにMarathon(登録商標)cDNA増幅キットで提供される方法を用いて行われるcDNA末端(RACE)技術の5’および3’迅速増幅により達成される。
【0193】
5’IgG2 RACEプライマー
5’−GGC ACG GTC ACC ACG CTG CTG AG−3’(配列番号9)
3’−IgG2 RACEプライマー
5’−CCT CCA CCA AGG GCC CAT TGG TCT−3’(配列番号10)
【0194】
600bp5’RACE生成物および1200bp3’RACE生成物を、pCR2.1(Invitrogen)中にクローニングし、配列決定する。この配列情報を用いて、全長配列のクローニング用のαOPGL−1 H鎖特異的プライマーを設計する。H鎖5’プライマー(5’αOPGL−1 IgG2プライマー)は、センスストランドに向けられ、元の開始部位の前にHindIII部位およびコンセンサスKozak配列を有する。H鎖3’プライマー(3’αOPGL−1 IgG2プライマー)は、H鎖IgG2配列の最後のアミノ酸の後にSalI部位および停止コドンを含むアンチセンスプライマーである。
【0195】
【化3】
【0196】
【化4】
【0197】
前述の2本鎖cDNAを用いて、5’−および3’−αOPGL−1 IgG2プライマーを用いるPCR増幅により全長H鎖cDNAを作成する。PCRは、αOPGL−1 IgG2 H鎖蛋白の467アミノ酸残基(19アミノ酸IgG信号配列を含む)をコードする1433bp断片を生成する(図2、配列番号2)。QIAquick PCR Purification Kit(Qiagenカタログ番号28104)を用いる精製に続いて、この断片を用いて、以下のようにH鎖発現ベクターを構築する。
【0198】
前述のように作成した全長IgG2重断片をコードするDNAを、HindIIIおよびSalIで切断し、QIAquick Gel Extraction kit(Qiagenカタログ番号28704)を用いて精製し、この断片をpDSRα19中にクローニングする。得られる発現プラスミドを、αOPGL−1IgG2/pDSRα19と命名する(図6)。全てのベクター成分は、αOPGL−1IgG2H鎖cDNAが、Xbal部位とSalI部位との間のαOPGL−1κL鎖cDNAに取って代わる以外は、前述のαOPGL−1−κ/pDSRα19ベクターと同じである。αOPGL−1IgG2H鎖発現クローンを配列決定して、AMG6.4ハイブリドーマにおいて同定される同じポリペプチドをコードしたことを確認する。
【実施例2】
【0199】
CHO細胞中でのαOPGL−1発現
αOPGL−1抗体の安定発現を、ジヒドロフォレートリダクターゼ欠損(DHFR−)チャイニーズハムスター卵巣細胞(CHO AM−1/D、米国特許第6,210,924号)中へのαOPGL−1−κ/pDSRα19およびαOPGL−1−IgG2/pDSRα19プラスミドの共形質移入およびその後の個々のクローンの単離および試験により達成する。
【0200】
形質移入の前の日(0日目)に、100mm組織培養皿に、CHOd−培地(DMEM−高グルコース、10%胎児ウシ血清、1%ペニシリン/ストレプトマイシン/グルタミン、1×ピルビン酸ナトリウム、1%非必須アミノ酸(NEAA))(Gibco(登録商標))および1%htサプリメント(Gibco(登録商標))中で成長した1.5×106AM−1/D細胞を乗せる。1日目に、血清非含有RPMI 1640培地(Gibco(登録商標))400μlを12×75mmポリプロピレン管に入れる。Trans IT(登録商標)−LT1試薬(Mirus Corporation)の24μlを、培地に滴下し、混合物を室温で10分間インキュベートする。次に、合計15μgの線状化されたプラスミドDNA(7.5μgのαOPGL−1−κ/pDSRα19および7.5μgのαOPGL−1−IgG2/pDSRα19、Pvu1で消化)を混合物に滴下し、室温で10分間インキュベートする。
【0201】
CHOd−培地を細胞から除去し、これをダルベッコ燐酸緩衝食塩水(Gibco(登録商標))10mlで洗う。HT、L−glu、NEAAおよびピルビン酸ナトリウム(Gibco(登録商標))を補足した血清非含有MEM培地6mlを細胞に追加する。DNA/LT1複合体をプレートに滴下し、これを前後に穏やかに揺らしてDNAを細胞上に均一に分布させる。組織培養インキュベーター中で6時間後、培地を新しいCHOd−培地に置き換える。48時間後、細胞を、CHO選択培地(DMEM高グルコース、10%透析胎児ウシ血清(FBS)、1%ペニシリン/ストレプトマイシン/グルタミン、1%可欠アミノ酸および1×ピルビン酸ナトリウム(Gibco(登録商標))中の10個の100mm培養皿に分ける。培地を、コロニーが現れるまで、週に二回交換する。
【0202】
10日から14日後、コロニーを、1×トリプシン−EDTA(Gibco(登録商標))中に浸した5mmクローニングディスク(Labcore(登録商標))を用いてほじり、24ウエル組織培養プレート中でCHO選択培地で培養する。細胞がコンフルエントになると、血清非含有培地(CHO選択培地−FBS)を添加し、次に48時間後に集める。これらの条件に付した培地を、ホースラディッシュペルオキシダーゼ(HRP)共役ヤギ抗ヒトIgG Fc 抗体(Pierce、Rockford、IL)を用いてウエスタンブロットにより抗体発現について分析して、αOPGL−1 H鎖を検出し、ヤギ抗ヒトκ鎖抗体(Pierce、Rockford、IL)およびその後のHRP−共役ウサギ抗ヤギIgG(H+L)抗体(Pierce、Rockford、IL)を用いて、αOPGL−1 L鎖を検出する。最も高度に発現するクローンを拡張させ、液体窒素中に貯蔵する。
【実施例3】
【0203】
αOPGL−1の生成
細胞系125Qの調製および形成
αOPGL−1を生成するCHO細胞を、血清非含有条件下に96ウエルプレート中で2回限界希釈することによりクローニングする。クローンを、種々の懸濁容器中での生成および成長特性に基づいて選択する。EIAを行って、最高水準のαOPGL−1を生成するクローンを選択する。次に、倍加時間および密度を含む成長特性を、100ml、250ml、500ml、1L、および3Lのスピナフラスコ中、および3LのAplikon生物反応容器中でクローンを成長させることにより測定する。培地中で最高密度を達成する倍加時間が最も速いクローンを選択し、Cell Line 125Qとする。クローンが拡張して、約1×107cells/mLで360個のアンプルを凍結するのに充分な細胞を作成し、細胞を低温保存用の血清非含有培地(10ml/L可欠アミノ酸および10ml/L L−グルタミン(Gibco/LTI/Invitrogen)を付加した90% VM−Soy Batch Medium(詳細は表3を参照)、および10%ジメチルスルホキシド(JT Baker))中に再懸濁し凍結する。アンプルを、接触制限装置中に貯蔵し、液体窒素デューア瓶中の液体窒素に漬ける。
【0204】
寸法の小さなスピナおよび寸法の大きな生物反応容器における成長および生産に基づき、αOPGL−1の製造用の細胞系としてCell Line125Qを選択する。
【0205】
細胞培養
αOPGL−1−κ/pDSRα19およびαOPGL−1−IgG2/pDSRα19からαOPGL−1を発現するCHO細胞のクローン系であるCell Line125Q中で発現することによりαOPGL−1を生産する。αOPGL−1用の細胞培養プロセスを図19に示す。各生産ランについて、Cell Line125Qのバイアルからの細胞を、先ず、125mlエルレンマイエルシェーカー中で10ml/L非必須アミノ酸と10ml/L L−グルタミン(Gibco/LTI/Invitrogen)(VM−Soy Supp)を補足したVM−Soy Batch Medium(組成については表3を参照)50ml中で100rpmで5日間成長させる。次に、培地全体を用いて500mlスピナフラスコ中のVM−Soy Suppに接種して3×105バイアル細胞/ml(3E5 vc/ml)とし、70rpmで3日から4日間回転させつつ成長させる。次に、500mlスピナフラスコからの培地全体を用いて、3Lスピナフラスコ中のVM−Soy Suppに接種して3E5 vc/mlとし、70rpmで3日から4日間回転させつつ成長させる。
【0206】
次に、3Lスピナフラスコからの培地を、フェノールレッドを含まないVM−Soy Supp中3E5vc/mlにて二つの3Lスピナフラスコに分け、同じ条件下で成長させる。次に、これらのスピナフラスコ培地を用いて、フェノールレッドを含まないVM−Soy Supp中3E5vc/mlにて四つさらなるスピナフラスコを接種し、同じ条件下に成長させる。四つの3Lスピナフラスコからの培地4Lを用いて、20L生物反応器中でフェノールレッドを含まないVM−Soy Suppの10Lを接種し、生物反応器をフェッド−バッチモードで7日から10日間運転する。フェッド−バッチモードにおいて、濃厚培地成分を含む栄養供給物(「供給物」、以下の表3に示す)を添加して細胞成長および生存能を維持する。
【0207】
次に、20L生物反応器からの培地全体を用いて、150L生物反応器中でフェノールレッドを含まないVM−Soy Suppの70Lを接種し、生物反応器をフェッド−バッチモードで9日から10日間運転する。最後に、150L生物反応器からの培地全体を用いて、2000L生物反応器中で(サプリメントまたはフェノールレッドを含まない)VM−Soy約880Lを接種し、生物反応器をフェッド−バッチモードで運転する。フェッド−バッチモードの間の供給速度は、培地中のグルコース水準が各生物反応器について0.6g/Lであるように決められる。細胞密度およびグルコース濃度を毎日測定し、それに従って供給速度を調節する。
【0208】
2000L生物反応器中での生産を約2週間続け、その間に、その細胞によりαOPGL−1が構成的に生産され、細胞培地中に分泌する。
【0209】
生成反応器を、設定pH、設定温度および設定溶解酸素水準に制御し、pHは7.0とし、二酸化炭素ガスおよび炭酸ナトリウムの添加により制御され、溶解酸素は120mmHgであり、空気、窒素および酸素ガス流により制御される。プロセス全体を通して細胞を37℃に維持する。全てのガスを、孔寸法0.22μm以下の薄膜フィルターを通す。
【0210】
生産の最後に、細胞ブロスをディスクスタック遠心分離器に入れ、培養上澄みを細胞から分離する。遠心分離物を、Cuno 90SP深フィルターおよび続いて0.2μm Posidyneフィルター(Pall Co.)により、さらに清澄化する。清澄化条件に付した培地を、次に、50kD NMWL薄膜(Millipore Biomax 50)を用いる接線フロー限外濾過(UF)により濃縮する。培養上清を15倍から30倍に濃縮する。得られた濃縮培養上清(CCM)を、次に、精製によりまたは、後日の精製のための凍結により加工する。生産プロセスを図19に要約する。
【0211】
細胞培養培地
全細胞培養プロセスを通して用いるための細胞培養培地は、Dulbecco’s Modified Eagle’s Medium/Ham’s Nutrient F12(DMEM/F12、1:1)に基づき、補足水準のアミノ酸、さらなる栄養および塩、大豆加水分解物および組換えヒトインスリン(Nucellin(登録商標)Zn、Eli Lilly)を含む。成分を表3に列挙する。この培地をVM−Soyと呼ぶ。培地溶液を、使用前に0.2μm孔寸法の薄膜フィルターを通して濾過する。
【0212】
【表3】
【0213】
精製プロセス
CHO細胞中に発現されたαOPGL−1は、細胞外培地中に分泌される。一連の工程を用いて純粋な物質を生産することができる。このプロセスは、疎水性電荷誘導、カチオン交換、および低pH工程およびバイアルフィルターを用いる疎水性相互作用クロマトグラフィーを用いる。これらの手順を以下に記載する。
【0214】
A.疎水性電荷誘導クロマトグラフィー(HCIC)
このクロマトグラフィー工程は、大部分の宿主細胞蛋白およびDNAを除去する。濃縮培養上清(CCM)を、Cuno 30SPフィルター、次にCuno VR07荷電セルロース系フィルターを通して濾過し、次に、MEPHyperCel樹脂上に乗せる。負荷後、カラムを、平衡緩衝液(20mM Tris pH7.2)で洗う。抗体を、低pH緩衝液(20mM酢酸ナトリウム、pH5.0)を用いて樹脂から溶離する。カラムから溶離されると、生産物を、カラム溶出液の280nmでの吸収に基づいて集める。
【0215】
B.ウイルス不活化
MEPプールを、pH3.7まで滴定し、約60分間保持して汚染の可能性あるレトロウイルスを不活化する。保持工程に続いて、pHを約6.0に調節する。
【0216】
C.ウイルス濾過
pH調節したプールを、Millipore Viresolve NFRフィルターまたは同等物を通して濾過する。抗体がフィルターを通過し、汚染可能性ウイルス50nmより大は維持される。
【0217】
D.カチオン交換クロマトグラフィー(CEX)
抗体を、SP Sepharose HP(Amersham Pharmacia)または同等物を用いるカチオン交換クロマトグラフィーによりさらに精製する。カチオン交換クロマトグラフィー工程は、さらなるCHO細胞蛋白、DNA、低分子量蛋白、およびαOPGL−1の凝集形状を除去する。ウイルス濾過プールを、カチオン交換樹脂上に負荷する。負荷後、カラムを平衡緩衝液(20mM NaMES pH6.2)で洗う。次に、抗体を、塩が増加するリニアグラジエント(20mM NaMES pH6.2、0M NaCl〜20mM NaMES pH6.2、0.3M NaCl)で溶離する。カラムから溶離すると、カラム溶出液の280nmでの吸収に基づき生産物を集める。
【0218】
E.疎水性相互作用クロマトグラフィー(HIC)
抗体は、Phenyl Toyopearl 650S(Tosoh Biosep)または同等物を用いる疎水性相互作用クロマトグラフィーによりさらに精製される。疎水性相互作用クロマトグラフィー工程は、仕上げ工程として用いられ、さらなるCHO細胞蛋白、DNA、低分子量蛋白および、αOPGL−1の凝集形を除去する。カチオン交換プールを条件付けしてから、15℃から25℃で硫酸アンモニウムを添加して105mS/cmを超える導電性にすることによりカラムに負荷する。負荷後、カラムを平衡緩衝液(1M 燐酸カリウム pH8)で洗う。次に、抗体を、塩濃度が減少するリニアグラジエント(1M燐酸カリウム、0mM Tris pH8〜0M燐酸カリウム、20mM Tris pH8)で溶離する。カラムから溶離すると、カラム溶出液の280nmでの吸収に基づき生成物を集める。
【0219】
F.濃縮およびダイアフィルトレーション
HICカラムプールを濃縮し、50kD NMWL薄膜(Millipore Biomax 50)を用いて接線フロー限外濾過により製剤緩衝液中にダイアフィルトレーションする。製剤緩衝席は、10mM酢酸塩、5%ソルビトール、pH5.2およびαOPGL−1を30mg/mLで含む。
【0220】
最終的濾過および貯蔵
精製されたバルクを、0.22μm PVDFフィルター(Millipore)を通し、サンプルを得、固定冷凍器において約−30℃で貯蔵する。
【実施例4】
【0221】
αOPGL−1の結合特異性
実施例1および2に記載のように二つの発現ベクターを形質移入したCHO細胞中において生産された抗体を、以下の実施例4、5および6において用いることができる。
【0222】
ラット、マウスおよびカニクイザル、並びにヒトにおいて、ヒトOPGがOPGLに結合し中和する。αOPGL−1はヒトOPGLに高い親和性で結合するが、ネズミOPGLにはあまり結合しない(表4)。
【0223】
【表4】
【0224】
さらに、ヒトOPGは、OPGL(Laceyら著、1998年)にDNAおよびアミノ酸配列相同性を示すTNFファミリーの関連構成員である腫瘍壊死因子関連アポトーシス誘発リガンド(TRAIL)(Trunehら著、2000年)に弱い結合を示すことが報告された。しかしながら、OPGは、TNFα、TNFβまたはCD40リガンドのような他のTNF−関連蛋白に、検出可能に結合しない。
【0225】
αOPGL−1は、EIAプレート上のOPGLに特異的に結合する(図7)。組換え可溶性OPGL(2μg/ml)を、室温で96ウエルEIAプレート上に16時間から24時間被覆する。PBS中の1%BSAでブロックした後、1% BSA/PBS中に希釈された種々の濃度のαOPGL−1(約2ng/mlから1000ng/ml)をウエルに添加し、プレートを室温で約2時間インキュベートする。結合した抗体を、TMB−H202(テトラメチルベンジジンと過酸化水素)基質カクテルを用いてヤギ抗ヒトIgG(Fab’)−HRPで検出する。吸収を、450nmおよび650nmで読む。
【0226】
αOPGL−1は、形質移入した細胞の表面に発現されているOPGLに特異的に結合する(図8)。FACS緩衛液(PBS、0.1%BSA、0.01%アジ化ナトリウム)中に希釈されたαOPGL−1(100ng/ml)を、種々の濃度のOPGL、TNFa、TNFb、TRAILまたはCD40リガンド(約0.1ng/mlから1000ng/ml)で予備インキュベートし、次に、細胞表面上に膜結合OPGLを安定に発現しているCHO細胞であるCHO REN218−9細胞の約200,000個に添加する。2℃から8℃で1時間後、非結合抗体を、遠心分離および洗浄により除去する。次に、この細胞を、FITC−標識F(ab’)2ヤギ抗ヒトIgG(Fcy断片特異的)と2℃から8℃で30分間インキュベートする。遠心分離および洗浄後、フローサイトメトリーを用いて細胞表面蛍光を測定する。図8は、CHO REN218〜9細胞へのαOPGL−1の結合が特異的で、可溶性OPGLの添加により競合的に低下されるが、TNFa、TNFb、TRAILまたはCD40リガンドの添加によっては低下しないことを示している。
【0227】
競合実験において、EIAプレート上のOPGLへのαOPGL−1の結合は、外因性OPGLの添加により阻害される(図9)が、TNFα、TNFβ、TRAILまたはCD40リガンドの添加によっては阻害されない(図10)。この手順は、OPGL被覆プレートに添加する前に一定濃度のαOPGL−1(100ng/ml)を種々の濃度の可溶性OPGLまたは他のリガンド(各々について約1ng/mlから1000ng/ml)と予備インキュベートする以外は、EIAプレート上のOPGLにαOPGL−1を結合させるために前述したものと実質的に同じ方法で行う。
【実施例5】
【0228】
αOPGL−1中和活性
破骨細胞形成の阻害
RAW264.7(ATCC No.TIB−71、Manassas、VA)は、Abelsonネズミ白血病ウイルス誘発腫瘍から誘導されたネズミマクロファージ細胞系である。RAW264.7細胞は、OPGLの存在下に、破骨細胞様細胞に分化する。OPGLの存在下におけるRAW細胞からの培養中の破骨細胞の生成についての基本的アッセイが、Simonetら著(1997年)Cell第89巻、309頁およびLaceyら著(1998年)Cell第93巻、165頁に詳細に記載されており、これを任意の目的のために参照してここに組み込まれる。
【0229】
RAW細胞をリガンドにより刺激して破骨細胞様細胞に分化させる。分化は、破骨細胞の特性であるTRAP活性により測定することができる。すなわち、破骨細胞発生へのαOPGL−1の効果を測定することができる。
【0230】
RAW細胞を、細胞培養培地(DMEM、10%FBS、0.292mg/ml L−Glut、100単位/ml ペニシリンG、100μg/ml 硫酸ストレプトマイシン)中、一定量のOPGL−1(40ng/ml)および種々の量のαOPGL−1(6.3ng/mlから200ng/ml)の存在下に、4日間インキュベートする。4日の最後に、細胞を、透過性化および酸性化により、酒石酸塩抵抗性酸ホスファターゼ(TRAP)活性について染色し、続いて、パラニトロフェニルホスフェートで5分間処理する。簡単に説明すると、培地を細胞から吸引除去し、クエン酸塩緩衝液(410ml 0.1Mクエン酸、0.1Mクエン酸塩590ml、三ナトリウム塩、1mL Triton X−100)100μlを各ウエルに添加し、プレートを室温で3分から5分間インキュベートする。次に、RNPP100μlを添加(酸ホスファターゼ試薬(Sigma 104〜100)157.8mg、酒石酸塩溶液(Sigmaカタログ番号387〜3)7.2ml、およびクエン酸塩緩衝液22.8ml)し、プレートを室温で3分から5分間インキュベートする。反応を、0.5M NaOH溶液50μlの添加により終了させる。
【0231】
TRAPは、パラニトロフェニルホスフェートをパラニトロフェノールに転換し、これは、405nmで光学濃度を測定することにより定量化することができる。TRAP活性は、破骨細胞発生の代理マーカーであり、従って、405nmでの光学濃度に関連する。光学濃度対αOPGL−1濃度のプロットを図11に示す。このアッセイにおいてαOPGL−1が破骨細胞形成を阻害することを示す。
【0232】
OPGLの受容体への結合の阻害
αOPGL−1の性能を、OPGリガンドの、その同族受容体である、破骨細胞分化および活性化受容体(ODAR、RNAKとしても知られている)への結合を阻害する性能により示す。このアッセイは、均質時間分解蛍光共鳴(HTRF)を用いて、ユーロピウム結合オステオプロテゲリンリガンド(Eu−OPGL)へのαOPGL−1の結合を検出する。αOPGL−1が、ODARへのEu−OPGLの結合を阻害すると、蛍光出力は減少し、存在するαOPGL−1の量は、蛍光量と逆相関する。
【0233】
OPGLを、337nmの光で励起させると、620nmで発光するユーロピウムで標識する。ODARをFLAGおよびFcに融合し、Fc−ODAR−FLAG融合蛋白を、620nmの光で励起させると、665nm光を発する蛍光体であるアロフィコシアニン(APC)に結合した抗FLAG抗体で標識する。従って、Eu標識OPGリガンドがFc−ODAR−FLAG/抗−FLAG−APC複合体に結合した場合、337nmの光で励起したとき、3次複合体が665nm光を発する。
【0234】
0.05μg/mlのEu−OPGLを、アッセイ緩衝液(50mM Tris pH8、100mM NaCl、0.05% NaN3、0.1%BSA、および0.05% Tween20)中の種々の濃度(0.1ng/mlから150ng/ml)のαOPGL−1と共に、室温で約1時間、予備インキュベートする(予備インキュベーション混合物)。Fc−ODAR−FLAG(1μg/ml)と抗−FLAG−APC(2.5μg/ml)の混合物もアッセイ緩衝液中に調製し、室温で1時間インキュベートする(蛍光色素混合物)。次に、等体積の予備インキュベーション混合物および蛍光色素混合物を組み合わせ、室温で3時間インキュベートする。蛍光を、337nmの励起波長および665nmの発光波長を用いてPackard Discovery HTRFマイクロプレート分析器上でプレートを読むことにより測定する。
【0235】
αOPGL−1をEu−OPGリガンドと予備インキュベートし、次にFc−ODAR−FLAG/抗−FLAG−APCと混合したとき、665nmでの蛍光強度が、図12に示すように、投与量依存的に低下する。これは、αOPGL162がODARへのOPGLの結合を効果的に阻害し得ることを示している。
【実施例6】
【0236】
カニクイザルにおける薬物動態
4.5歳以下で2kgから4kgの6匹の雄および6匹の雌のカニクイザルを、四つの投与群に割り当てる。第1群は3匹の雄と3匹の雌からなる。第2、第3および第4群は、各々、1匹の雄と1匹の雌からなる。第1群の動物は、1mg/kg αOPGL−1の単一SC投与量を投与し、第2、第3および第4群の動物は、それぞれ0.1、1.0または10.0mg/kg αOPGL−1の単一IV投与量を投与する。
【0237】
動物に、形質移入したチャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞から発現したαOPGL−1を投与する。αOPGL−1水準の決定、抗体の分析、および骨代謝回転マーカー血清N−テロペプチド(血清N−Tx)、アルカリホスファターゼ(ALP)および血清カルシウム(血清Ca)の分析のために血清サンプルを採取する。N−テロペプチド(尿N−Tx)およびクレアチニンの分析のために尿も採取する。
【0238】
IV投与後の血清濃度−時間プロフィールを、三相分布により特徴付ける(図13)。最初に、迅速分布相があり、次に濃度依存的に見えるかなり遅いプラトー相がある。第三観測相は、迅速排除相である。
【0239】
サルにおけるαOPGL−1の薬物動態を調べるために、WinNonlin Professional(v1.5)を用いる完全血清濃度−時間プロフィールの非区分分析、および10000ng/mlを越える試験品投与後14日までのデータをSAAMII(v1.1.2)を用いて指数分析を用いる。全てのIV投与からの分布の初期体積は、血漿体積と同様に平均28.9ml/kgである。分布の定常状態体積(VSS)は、全てのIV投与において平均39ml/kgである。指数分析は、αOPGL−1が、6.02時間の平均分布半減期(t1/2α)、0.1mg/kgの投与量での86.9時間から10.0mg/kgの投与量で最大値444時間に、投与量と共に増加する半減期(t1/2β)を有する、拡張した二次相を有することを示す。終末排除半減期(t1/2z)は、全てのIV投与群を通じて非区分の平均31時間を推定した。αOPGL−1のクリアランスは、非線形であると分かり、動物は、0.1mg/kg(0.401ml/時間/kg)を投与したものより3.3倍低い平均クリアランス(0.120ml/時間/kg)を有する10mg/kgのIV投与を受ける。
【0240】
皮下投与後、吸収は低く、132時間において平均ピーク濃度(Cmax)は11,600ng/mlである。SC投与後の曝露範囲に高い可変性があり、その結果、平均クリアランスが0.387±0.281ml/時間/kgとなり、202±80.1時間の滞留時間を示す。平均生物学的利用率は89%である。
【0241】
前記データを表5に要約する。
【0242】
【表5】
【0243】
αOPGL−1は、投与後24時間以内に血清N−Tx水準の迅速増加を引き起こす(図14)。最大効果の平均時間は、IV投与量が0.1から10mg/kgに増えるのにしたがい投与後12時間から7日の間に生じることが観察され、1.0mg/kgのSC投与を受ける動物においては12時間から11日の間に生じることが観察される。最大効果は、0.1mg/kgから1mg/kgの投与範囲にわたって、投与量と共に約80から91%に増加する。しかしながら、より高い投与量においては、さらなる抑制が観察されず最大阻害率が91%である。血清N−Txの平均水準は、0.1mg/kg IVの投与後28日までに、および1mg/kg SCの投与後70日までにベースラインに戻る。尿N−Txは、105日目の検査により全ての群がベースラインに戻ることを除いて血清N−Txと同様の傾向を示す(図15)。
【0244】
投与量に従う血清Caの抑制は、10.0mg/kgのIV投与後平均7日で、ベースラインを31.6%下回る平均最下点に増加する。全ての他の投与群は、血清Caがベースライン平均から平均26.4%未満低下する。17日目までに、処理した動物中の全ての血清Ca水準は、それらのベースライン平均の10%以内に戻る(図20)。
【0245】
骨再吸収および形成は密切に関連しているので、骨形成マーカー(ALP)の変化が観察され、ALP水準は、形成マーカーN−Txの場合よりも、かなりゆっくり低下し、したがってより長時間抑制される(図21)。αOPGL−1の投与に続いて骨形成マーカー(ALP)の前に骨再吸収マーカーが減少することは、αOPGL−1が骨抗再吸収性剤であることを確認している。
【0246】
動物の大部分(12匹中の9匹)がαOPGL−1への抗体を発現する。αOPGL−1への抗体の発生率は、投与量または経路依存的ではない。投与群が抗体陰性および陽性動物の両方を有さないと、0.1mg/kgを超えるαOPGL−1薬物動態への、αOPGL−1に対する抗体の効果を評価することができない。0.1mg/kg IVでは、αOPGL−1の大部分が、抗体発生前に除去され、従って、αOPGL−1処理への影響が観察されない(図16)。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
H鎖とL鎖を含む抗体を含む骨損失を治療するための医薬組成物であって、該H鎖は配列番号13のCDR1、CDR2及びCDR3を含むアミノ酸配列を含む可変領域を含み、該L鎖は配列番号14のCDR1、CDR2及びCDR3を含むアミノ酸配列を含む可変領域を含み、該抗体はOPGLがODARに結合することにより誘導される破骨細胞の分化を阻害する抗体であって、該骨損失は骨粗鬆症、ページェット病、骨髄炎、高カルシウム血症、オステオペニア、骨壊死又はリューマチ性関節炎による軟骨減少及び関節侵食に関連する骨損失である、骨損失を治療するための医薬組成物であり、前記抗体が完全ヒト型である医薬組成物。
【請求項2】
前記抗体がFab抗体である、請求項1に記載された医薬組成物。
【請求項3】
前記抗体がFab’抗体である、請求項1に記載された医薬組成物。
【請求項4】
前記抗体が(Fab’)2抗体である、請求項1に記載された医薬組成物。
【請求項1】
H鎖とL鎖を含む抗体を含む骨損失を治療するための医薬組成物であって、該H鎖は配列番号13のCDR1、CDR2及びCDR3を含むアミノ酸配列を含む可変領域を含み、該L鎖は配列番号14のCDR1、CDR2及びCDR3を含むアミノ酸配列を含む可変領域を含み、該抗体はOPGLがODARに結合することにより誘導される破骨細胞の分化を阻害する抗体であって、該骨損失は骨粗鬆症、ページェット病、骨髄炎、高カルシウム血症、オステオペニア、骨壊死又はリューマチ性関節炎による軟骨減少及び関節侵食に関連する骨損失である、骨損失を治療するための医薬組成物であり、前記抗体が完全ヒト型である医薬組成物。
【請求項2】
前記抗体がFab抗体である、請求項1に記載された医薬組成物。
【請求項3】
前記抗体がFab’抗体である、請求項1に記載された医薬組成物。
【請求項4】
前記抗体が(Fab’)2抗体である、請求項1に記載された医薬組成物。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
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【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【公開番号】特開2012−140430(P2012−140430A)
【公開日】平成24年7月26日(2012.7.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−6740(P2012−6740)
【出願日】平成24年1月17日(2012.1.17)
【分割の表示】特願2009−161406(P2009−161406)の分割
【原出願日】平成14年6月25日(2002.6.25)
【出願人】(398005777)アムジェン フレモント インク. (40)
【出願人】(500049716)アムジエン・インコーポレーテツド (242)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年7月26日(2012.7.26)
【国際特許分類】
【出願日】平成24年1月17日(2012.1.17)
【分割の表示】特願2009−161406(P2009−161406)の分割
【原出願日】平成14年6月25日(2002.6.25)
【出願人】(398005777)アムジェン フレモント インク. (40)
【出願人】(500049716)アムジエン・インコーポレーテツド (242)
【Fターム(参考)】
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